2009年09月30日

チェンジとエクスチェンジ フレンズ4-8その6

ロスは、自分が前にあげたプレゼントを、レイチェルが返品していないかどうか確認するため、前にあげたネックレスを見せてくれ、と言います。
レイチェル: (coming out of her bedroom with a necklace) Here it is. I love it. I wear it all the time. ([ネックレスを持って寝室から出てくる] ほら、これよ。大好きなの。いつもそれをつけてるわ。)
ロス: (grabbing the necklace) The necklace I got you was gold. This is silver. ([ネックレスを掴んで] 僕があげたあのネックレスは金色[金]だった。これは銀色[銀]だぞ。)
レイチェル: Huh, well, maybe it uh, it changed. (うーん、そうねぇ、多分、その、変化したのよ。)
ロス: Oh, my God! You actually exchanged it. (なんてこった! 君は本当にネックレスを交換したんだな。)
レイチェル: Well, isn't it better that I exchanged it for something that I enjoy and that I can get a lot of use out of? (ねぇ、私が楽しめて、たくさん使うことができる何かに交換した方がいいんじゃないの?[いいと思わない?])
ロス: What did you get? (君は、(僕のあげたネックレスと交換に)何を手に入れたんだ?)
レイチェル: Credit. ((お店の)クレジットよ。)

自分の部屋からネックレスを持ってきたレイチェルですが、それをあや取りをする時のように手にかけてこねくり回しています。
そのしぐさを見ただけで、ネックレスをじーっと見られると困ることがわかりますね。
ロスはそのネックレスを奪い取って、僕があげたのは金(色)だったのに、これは銀(色)じゃないか、と指摘します。
レイチェルはそれでもトボけて、「あぁ、多分、change したのね」と言いますが、ロスは怒って、「自然に change したんじゃなくて、君がそれを exchange したんだろ」と言っています。
it changed という自動詞だと、「変化する、変わる」というニュアンスで、何かの物質が自然に変化した、変色した、みたいな感じが出ますよね。
ロスは change によく似た exchange という単語を使って、「君は自然に変化(change)した、みたいに言うけどとんでもない。君が意図的にそれを交換(exchange it)した結果だろ?」と怒っているわけです。
change じゃなくて exchange だと、自動詞 change の代わりに他動詞 exchange を使うことで、君が意図的にやったことだ、ということを指摘しているのです。

交換したことを非難されて、レイチェルは反論します。
もっと私が楽しめて、利用価値が高いものに交換した方がいいでしょ?と言うので何に交換したのかと尋ねたら、レイチェルの答えは、"Credit."
credit だけでは何だか漠然としているのですが、これは store credit のことのようです。
英辞郎では、
store credit=返品した品物と同金額分の買い物
と出ています。

実際、後のシーンで、ロスのセリフの中に、get store credit for that amount というフレーズも出てきます。
「その金額のストア・クレジットを得る」ということですね。
ですから、レイチェルの "Credit." という一言も、そのネックレスと交換にそれと同額のものを購入できる権利(金券など?)をゲットした、という感覚だろうと思います。

何か自分の大好きなものがお店にあって、思わずそれと交換しちゃった、とかならまだしも、後で何にでも使えるようなクレジットと交換した、ということです。
自分が一生懸命選んだプレゼントを、商品券に換えられてしまったようなもので、その金額そのものの価値しかない、レイチェルにとっては、「それだけの金額価値を持つ品」という目でしか見ていない、ということがはっきりわかってしまう気がしますね。
趣味の悪い1万円のプレゼントをもらうより、1万円の商品券を貰う方が、自分の好きなものを買えて嬉しいのに、と言われているのと同じですから、プレゼントをあげたロスにしてみたら、ショックなことなのでしょう。
レイチェルが人からもらったプレゼントを交換したがる性格をロスはよく知っているはずですが、もらったもの全てを交換している、しかもストア・クレジットに換えているとなると、やはり心穏やかではない、ということでしょうね。


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2009年09月28日

それぞれの不名誉な出来事 フレンズ4-8その5

チャンドラーはジョーイに反省の気持ちを示すため、箱の中に入っています。
リチャードの代わりにモニカを診察してくれた on-call doctor は、リチャードの息子ティモシー・バーク(ティム)でした。
彼と意気投合したモニカは、ティムを感謝祭のディナーに誘います。
付き合っていた男性の息子を、感謝祭に誘うなんて…とフレンズたちはモニカを非難します。
ロス: Hey, y'know, Mon, if things work out between you and Richard's son, you'll be able to tell your kids that you slept with their grandfather. (ねぇ、ほら、モニカ。モニカとリチャードの息子との間が上手くいったら、子供たちにこう言えるね。私はあなたたちのおじいさんと寝たのよ、って。)
モニカ: Fine! Judge all you want to, but, (points to Ross) married a lesbian, (points to Rachel) left a man at the altar, (points to Phoebe) fell in love with a gay ice dancer, (points to Joey) threw a girl's wooden leg in a fire. (points to Chandler) Live in a box! (goes to her room) (いいわ![結構よ!] あなたたちが批判したいだけ批判すれば。でも、[ロスを指差して] (あなたは)レズと結婚した、[レイチェルを指差して] 結婚式の祭壇に花婿を置き去りにした、[フィービーを指差して] ゲイのアイスダンサーに恋をした、[ジョーイを指差して] 女の子の木製の足を火に投げ入れた。[(箱に入っている)チャンドラーを指差して] 箱の中に住んでる! [自分の部屋に行く])

元彼リチャードの息子ティムと付き合うことで、フレンズたちにいろいろ言われるモニカ。
ティムと結婚して子供が生まれたら、おじいちゃんとも寝た、って言えるね、とまで言われてしまいます。
カチンと来たモニカは、あなたたちにもいろいろな過去があるでしょ、私のことをえらそうに非難するなんておかしいわ、とばかりに、フレンズたちの不名誉な出来事を順番に挙げていきます。
You married a lesbian となるところを、指を指して示すことで主語である You を省略している形になっています。
一人ひとりを指差しながら、ロス、レイチェル、フィービー、ジョーイに対しては過去形、チャンドラーには現在形を使っていますね。
4人に対しては過去の不名誉な出来事、そして、今まさに箱に入っているチャンドラーに対しては、「あなたは(今)、箱に住んでいるという状態なのよ」と言っているわけです。

過去の不名誉な出来事は、全てフレンズのエピソードで語られていたことばかりです。
ロスが離婚した元妻キャロルはレズだった、レイチェルが結婚式当日にバリーを置いて逃げた、というのは、フレンズ1-1(パイロット)以来ずっと語られている話です。
leave a man at the altar 「男性を祭壇に置き去りにする」→「花婿を結婚式の教会に残して、花嫁の自分が逃げ出す」という表現は、フレンズ1-2その2フレンズ1-17その4 に登場していました。

ゲイのアイスダンサーに恋をした[を好きになった]という話は、フレンズ2-4 に出てきました。
アイスダンサーであるダンカンと、書類上結婚していたフィービー。
彼は友達で、ゲイで、カナダから来てグリーンカードが必要だから結婚したのよ、と理由を説明していたフィービーでしたが、そのエピソードの最後の方の フレンズ2-4その4 に、「実は僕はゲイじゃなくて、ストレート(同性愛者ではなく異性愛者)だったんだ」というダンカンの告白があります。
デブラという女性と結婚するために、(書類上結婚したことになっている)フィービーと離婚したいという話でした。
偽装結婚だったとは言え、実はフィービーはダンカンのことが好きだったので、フィービーはその離婚話にショックを受けていました。
ですから、正確に言うと、ダンカンはストレートなので、gay ice dancer ではないのですが、ゲイだということで偽装結婚してあげていた、でも実はその彼に惚れていた、という意味で、fell in love with a gay ice dancer と表現しているようです。

ジョーイが付き合っていた女の子の義足を燃やしてしまった、という話は、フレンズ3-14その8 に出てきました。


レイチェル: So now, what exactly is the point of the box? (ところで、その箱のポイントは一体何なの?)
ジョーイ: Chandler? (チャンドラー?(お前から説明しろよ))
チャンドラー: The meaning of the box is threefold. One (holds a finger up through the air hole), it gives me the time to think about what I did. Two (holds up another finger), it proves how much I care about my friendship with Joey. And three (holds up a third finger), it hurts. (その箱の意味は3つある。1つ目、[空気穴から指を1本立てて] 俺がしたことを考える時間を与えてくれる。2つ目、[別の指を立てる] 俺がジョーイとの友情をどれほど大切に思っているかを証明する。そして3つ目、[3番目の指を立てる] 痛い。)

チャンドラーが何故箱に入っているのか?、他のフレンズたちにはいまいち意味がわかりません。
そこで箱に入ったまま、チャンドラーが理由を説明しています。
threefold は「3つの要素、3つの部分がある」というニュアンスですね。
箱の中に入るのには、意味が3つあるんだ、という感じです。

ちょうど空気穴があいているので、チャンドラーはそこから、1、2、3と指を出して、3つの理由を説明しています。
箱の中にこもることで、自分のしたことを反省し、ジョーイとの友情をどれほど大切に思っているかを証明すると言っています。
最後の3番目の It hurts. は「痛い」ですね。
体をどこかにぶつけて痛かった時などに It hurts. と言いますが、ここでは、小さな空気穴から指を3本出したら、キツキツ状態で指が痛かった、というオチのようです。
実際、穴のサイズは3本の指がギリギリ出る大きさになっているようですしね。


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2009年09月26日

もう一人はあそこにいる フレンズ4-8その4

[Scene: Central Perk, Chandler and Kathy are sitting at a table and talking about Joey.]
セントラルパーク。チャンドラーとキャシーはテーブル席に座っていて、ジョーイについて話をしている。
キャシー: Oh, my God. Is it really that bad? (まぁなんてこと。本当にそんなにひどいの?)
チャンドラー: I walk in the room, and he won't even talk to me. He just mumbles something in Italian. And I know he only knows the bad words. (俺が歩いて部屋に入っても、彼は俺に話そうとすらしないんだ。ただイタリア語で何かをブツブツつぶやくだけだ。俺は知ってるんだよ、ジョーイは(イタリア語は)悪い言葉しか知らない、ってことを。)
ジョーイ: (entering) Hey, Gunther, have you uh, have you seen Chandler? ([入ってきて] やぁガンター。えっと、チャンドラーを見なかった?)
ガンター: I thought you were Chandler. But umm, one of you is over there. (俺は、お前がチャンドラーだと思ってたよ。でも、あぁ、お前ら二人の片割れはあっちにいるよ。)
(Joey turns around and sees them kissing.)
ジョーイは振り向く、そして、二人がキスしているのを見る。
キャシー: Oh. (あぁ。)
チャンドラー: Hey, Joe. (やぁ、ジョーイ。)
ジョーイ: (Something in Italian.) (Storms out.) [何かをイタリア語で言って、飛び出して行く]

基本的な事柄ですが、ト書きの sitting at a table について。
これは、「テーブルの前に座っている、テーブル席についている」ということですね。
本当にテーブルの「上に」座っているとしたら、sit on a table になります。
席についているという「場所」を表す at と、上に座っているという「接触」を表す on の違いに気をつけましょう。

キャシーが that bad 「そんなにひどい」と言っていることから、そのシーンの前にも、ジョーイがチャンドラーに対してどれだけ怒っているかを示す出来事がいろいろ話されたことがわかります。
同じ部屋にいても、口もきいてくれない。ただ、ブツブツとイタリア語で何かつぶやいているんだよ、と説明しています。
ジョーイが知ってるイタリア語は、悪い言葉、すなわち、汚い言葉やののしり言葉のような言葉だけだから、きっと俺に対してひどい言葉を並べてるんだろうって想像できるよ、ということです。

セントラルパークに入ってきたジョーイは、ガンターに「チャンドラーを見た?」と尋ねています。
それに対するガンターの返事 I thought you were Chandler. に笑えますね。
俺は思っていた→でも実際は違った、ということで、「チャンドラーを見なかった?って、お前がそのチャンドラーじゃなかったのか。俺はてっきり、お前の方がチャンドラーだと思ってたよ。」ということです。
チャンドラーとジョーイはルームメイトであることもあり、よく一緒に行動しているので、ガンターはどっちがどっちかはっきりわかっていなかったようです。
店の常連客なのに名前を知らないというのはすごいですね。
きっつーいジョークなのかもしれませんが、多分本当に知らなかったというのが真実かな、と。
ガンターはレイチェルを密かに好きなのですが、それ以外の人、特に男どもには全く興味がなかった、ということをよく表しているセリフです。
ガンターはシーズン1の頃からいて、今はシーズン4なのに、ずっと名前を勘違いしていたのか、どんだけ興味がないんだよ!とツッコミを入れたくなるところです。

その後も、one of you 「お前らのうちの一人(one of you guys)、お前らペアの片割れ」のように表現して、どっちがどっちかよくわかんないけど、いつも一緒にいる連れの片方はあっちにいるよ、と説明しているのがさらにおかしいですね。
「お前がチャンドラーかと思ってた」と自分の認識が間違っていたとわかった後なら、「(そのお前の探してる)チャンドラーはあそこにいるよ」と続けるのが普通でしょう。
それをやはり固有名詞を出さずに「もう片方」と言っているところに、やっぱりどっちがどっちでも俺には関係ない、興味ないね、という感じが出ています。

あっちと言われてその方向を見た時に、ちょうどチャンドラーとキャシーがキスしているところを目撃してしまいます。
ジョーイが来る可能性の高いセントラルパークで堂々とキスするなんて、普通は考えられないところですが、これは演出上の流れでしょう。
それを見て、イタリア語で何かを言った後、出て行くジョーイ。
「何かイタリア語で言うんだけど、それは悪い言葉に決まってる」とチャンドラーが説明していたことがこれだ、とわかる仕組みですね。


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2009年09月25日

患者を選り好みする医者 フレンズ4-8その3

モニカ: What is wrong with this freezer? (She jabs her arm into the freezer and a piece of ice flies into her eye.) Ow! Ow!! (このフリーザーはどうなっているのかしら[どこが故障しているのかしら]? [モニカは自分の腕をフリーザーにぐいと突っ込む。すると、氷の破片がモニカの目の中に飛んで入る] いたい! いたい!!)
フィービー: God, what happened? (まぁ、どうしたの?)
モニカ: Oh, my God, ice just got in my eye! (あぁなんてこと。氷がちょうど私の目の中に入った!)
レイチェル: (standing in her doorway) People are trying to sleep in here! ([自分の部屋の戸口に立ちながら] 人がここで眠ろうとしているのよ!)
チャンドラー: Monica got ice in her eye and it hurts! (モニカの目に氷が入って、痛いんだって!)
フィービー: Open it up. Let me see. (目を開けて。私に見せて。)
モニカ: Oh, y'know what, I can't. It really kills. (あぁ、ねぇ、そんなことできないわ。本当に死ぬほど痛いの。)
チャンドラー: Well, maybe you should put some ice on it. (そうだな。多分、目の上に氷を置けば[置いて冷やせば]いいよ。)
フィービー: Ooh, God, it looks bad. (あぁ、まぁ。ひどいことになってるようね。)
レイチェル: Honey, maybe we should take you to a doctor. (ハニー。多分、私たちがモニカをお医者さんに連れていくべきみたいね。)
モニカ: No, my eye doctor is Richard! I can't go to him when I don't have a boyfriend. (だめよ。私の眼医者さんはリチャードよ。彼のところにはいけないわ、私に恋人がいない時は。)
チャンドラー: He's really picky about his patients. (リチャードは自分の患者を本当に選り好みするんだな。)
フィービー: Okay, you've got to go. What's his office number? (いいわ。モニカは行かなきゃだめよ。彼の診療所の電話番号は?)
モニカ: Like I remember his office number! (Pause) Speed dial seven. (私が彼の診療所の電話番号を覚えてるとでも? [沈黙] 短縮ダイヤルの7番。)
フィービー: (on phone) Hi! Yeah, I'm calling on behalf of Monica Geller's eye. And is um, is Richard Burke in today? (Listens) (to Monica) He's out of town, but does she want to see the on-call doctor? ([電話で] はーい。そう、私はモニカ・ゲラーの目の代理として電話しているの。それで、えーっと、リチャード・バークさんは今日はいますか? [聞いて] [モニカに] リチャードは(出張で)留守だって。でも待機している医師に見てもらいたいですか?って。)
モニカ: Yes! (ええ!)
フィービー: Yes! She's very excited about that! (ええ! モニカはその案にものすごく興奮しています。)

調子の悪いフリーザーに腕を突っ込んで、氷の破片が目に入ってしまったモニカ。
死にそうなほど痛いというモニカに、「目の上に氷を乗せればいいよ」というチャンドラーがおかしいですね。
どこかを傷めた場合に、その上に氷を乗せて冷やして痛みを和らげる、という方法がよくありますが、今回は氷のせいで目が痛いのに、その元凶である氷を乗せて冷やせと言っているのが面白いわけですね。
目に入ったのが氷だから、このよくあるセリフがジョークになる、ということです。

プロの眼医者さんに見てもらうべきだとレイチェルは言うのですが、モニカは大反対。
モニカの眼科の主治医は、以前に付き合っていたリチャードだから、というのがその理由です。
モニカは今、恋人がいない状態で、そんな時にはリチャードのところには行けない、と言っています。
それは、元恋人に独り身の自分を見られるのがいや、というのもあるでしょうし、1度別れたのにまたヨリを戻してしまった経験もあることから、フリーの状態で彼に会えば、また心が動いてしまうかもしれない、という恐れもあるのでしょうね。

picky は「選り好み(えりごのみ・よりごのみ)する、好き嫌いがある」。
picky は、フレンズ2-3その2 にも出てきました。
He's really picky about his patients. は、「リチャードというお医者さんは、ほんとうに患者をより好みするんだねぇ」みたいなニュアンスです。
彼氏がいないとダメと言ったのは、モニカの側の理由なのですが、それを「彼氏がいない女性の患者は見てくれない眼科医」だと解釈して、「彼氏がいないと診察してくれないなんて、患者の条件にうるさい人だね」みたいに言ったわけですね。

とにかく素人ではどうしようもないので、眼医者さんに行きなさいと言うフィービー。
リチャードの電話番号は何番?と尋ねています。
Like I remember his office number! は、「まるで私が彼のオフィスの電話番号を覚えているみたいに言うのね」というニュアンス。
リチャードとはもうずーっと前にきっぱり別れたのよ、いつまでも彼の電話番号を覚えているみたいに言わないでよ、という感じです。
そこまで言っておいて、しばらく沈黙した後、Speed dial seven. とボソっと言うモニカが面白いです。
番号を覚えているどころか、短縮ダイヤルに登録したまま消してない状態であることがわかりますね。
またいつか使うことがあるかも、と残しておいたのでしょうか?(笑)

モニカの代わりに電話をするフィービーですが、I'm calling on behalf of Monica Geller's eye. と言っているのが、フィービーっぽいです。
on behalf of は「〜の代わりに、〜に代わって」。
こういう場合、普通は、on behalf of Monica 「モニカの代わりに(友達である)私が電話してるんですが」でいいはずですが、フィービーはわざわざ、「モニカの目の代わりに」と言っています。
確かに、痛いのはモニカの目なわけで、その目が電話できないから私が電話している、というのも、あながち外れではない気はするのですが(笑)、観客もその部分で笑っていることからわかるように、フィービー独特の言い回し、ということですね。

on call は「呼べばすぐ来る・応じる、待機している」。
ですから、on-call doctor は「呼び出せば来るように待機している医師」ということです。
リチャードは今、町にいない、つまり、その診療所にはいないけれど、急患の場合に、呼び出し可能な医師が待機しているので、その医師でもいいですか?という質問です。
リチャードとは気まずいので会いたくないモニカは、on-call doctor の案に大賛成。
それを見てフィービーは、モニカは待機の医師だと聞いて大喜びしてます、と返事しています。
普通は「主治医の先生に見てもらいたいのに、代理の先生かぁ…」などと躊躇する人も多いでしょうから、電話相手の受付の人はびっくりしていたことでしょうね。


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2009年09月22日

大きな犬がくわえて逃げた フレンズ4-8その2

チャンドラー: Hey, by any chance did either of you pick uh Rachel for your Secret Santa, 'cause I wanna trade for her. (ねぇ、ひょっとして、君らのどっちかが、シークレットサンタでレイチェルを選んだ? (どうしてそういうことを尋ねるかって言うと)俺はレイチェルに交換したいんだ。)
フィービー: I picked her. Oh, thank God, you want her! Ooh! (私がレイチェルを選んだ。あぁ、ありがたいわ。チャンドラーは彼女を選びたいのね! やったー!)
チャンドラー: Wow! Why do you want to get rid of her so badly? (わぁ。フィービーはどうしてそんなにひどくレイチェルから逃れたいわけ?)
フィービー: Because she exchanges every gift she ever gets, it's like impossible to get her something she likes. Come on, let's trade! (だって、レイチェルは自分がもらったあらゆる贈り物を交換するんだもん。まるで、レイチェルが好きなものを彼女にあげることは不可能、って感じね。ねぇ、トレードしよう!)
チャンドラー: Oh, that's not true! That's not true! I got her that backpack and she loved it. I remember how much she was crying the day when that big dog ran off with-- (notices the look on Monica and Phoebe's faces.) Oh, there was no big dog. (あぁ、そんなことないよ! そんなことないよ! 俺はレイチェルにあのバックパックをあげて、彼女はそれをとても気に入ってた。俺、覚えてるよ。彼女はあの日、泣いてたんだ。あの大きな犬がそのバックパックをもった[くわえた]まま走って逃げて… [モニカとフィービーの顔に浮かぶ表情に気づく] あぁ、大きな犬は存在しなかったのか。)

pick は「選ぶ、選択する」ですが、シークレットサンタの担当は恐らくくじか何かで決めたのでしょうから、自分の意思で選んだのではなく、レイチェルのくじを引いた、レイチェルに当たった、レイチェルの担当になった、という感じでしょう。

レイチェルに当たった人がいたら、俺と代わってくれ、と言われて、レイチェル担当のフィービーは大喜び。
あまりに喜ぶので、レイチェルをいやがる理由があるのか?とチャンドラーは尋ねます。
フィービーの説明では、レイチェルは人からもらったプレゼントをことごとく店に行って別の品物に交換する、とのこと。
確かに、これまでフレンズを見てきた方なら、なるほど!と思える発言ですね。

フレンズ1-24その4 では、モニカからの誕生日プレゼントを別のスカートに交換していましたし、フレンズ2-22その7 では、誕生日に当時の恋人ロスがくれたイヤリングを喜びながらも、ロスが交換してもいいよと言うとさらに喜ぶという正直な面(笑)を見せていました。

「すべて交換しちゃう」というのは言い過ぎじゃない?と言うチャンドラー。
フィービーが大喜びで、Come on, let's trade! と言いながらピョンピョン飛び跳ねているのを真似て、チャンドラーも Oh, that's not true! That's not true! を飛び跳ねながら言っているのが面白いですね。
小学生の女の子同士の会話のようです。

俺のあげたバックパックは気に入っていて、彼女はそれが大きな犬にもって行かれた時に、大泣きしてただろ…と言いかけるのですが、フィービーとモニカは口をキュッとつぐんで、「チャンドラー、それは違うのよ」という顔をしています。

その顔を見て、レイチェルが言っていた「大きな犬があのバックパックをくわえたまま、走って逃げちゃったの…」という話は嘘だったということに気づくわけです。
結局、そのバックパックも、犬にとられたと嘘をついて、店で別の物と交換していたということですが、「犬がくわえて逃げた」という話がなんとも嘘くさいので、フィービーとモニカのその表情だけで、観客もレイチェルの話が作り話だとわかる、という仕組みですね。


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2009年09月20日

シークレットサンタ フレンズ4-8その1

シーズン4 第8話
The One With Chandler In a Box (チャンドラーの箱)
原題は「箱の中のチャンドラーの話」


モニカとレイチェルの部屋。入ってきたチャンドラーに、
レイチェル: So are things with you and Joey any better? (それで、チャンドラーとジョーイの状況は、少しは良くなったの?)
チャンドラー: They couldn't be worse. I spent eight hours calling him last night, just trying to get him to talk to me. (状況は最悪だよ。昨日の晩も、彼に電話するのに8時間も費やしたんだ。ただ、ジョーイが俺と話をしてくれるようになって欲しくて。)
レイチェル: Oh wow, eight hours. So you could probably really use one of those plug-in telephone headsets, huh? (まぁ。8時間も。それじゃあ、多分、よくあるあの差し込み式の電話のヘッドセットが欲しいでしょ?)
ロス: Should we all expect Christmas gifts that can be stolen from your office? (僕たちは全員、君のオフィスから盗み出すことができるようなクリスマスプレゼントを期待すべきなのかな?)
レイチェル: You shouldn't. (あなたは期待しないで。)
フィービー: Speaking of Christmas, umm, since Monica and I are starting a new business and have like no money, umm, this year maybe we could do Secret Santa and then we each only buy one gift. And-and there's the added mystery of who gets who. (クリスマスと言えば、あの、モニカと私は新しいビジネスを始めたから、お金がないの。それで、今年は多分、シークレットサンタ方式にすることができると思うの。そしたら、私たちはそれぞれ1つのプレゼントを買うのよ。そして、誰が誰、当たるかっていうミステリーも加わるし。)
ロス: Who gets "whom." (They all look at him.) I don't know why I do that. (誰が”誰に”当たるか、だ。[フレンズたちは全員ロスを見る] 今みたいなことを言うのはどうしてか僕にもわかんないよ。)

前回、ジョーイの知らないところでキャシーとキスしていたことがばれて、ジョーイは大激怒。
今回もまだ、怒りは収まっていないようです。
any better? の any は、疑問文で使われると「少しでも、いくらか」というニュアンスになりますね。

They couldn't be worse. を直訳すると「Things がこれ以上さらに悪くなることは不可能だろう」ということで、これ以上悪くなることはないくらい最悪、というニュアンスです。
couldn't be better が「最高である」という意味になるのと同じ仕組みですね。

spend+時間+doing は、「…するのに(時間)を費やす、過ごす」。
8時間の間、電話をかけてもかけてもジョーイはしゃべってくれなかった、ということです。

8時間も電話をかけていた、と聞いて、プラグインの、つまり、プラグで接続して使う差し込み式の、電話用のヘッドセット(マイク付きヘッドフォン)があったらありがたいわね、みたいなことをレイチェルは言っています。

could use は「…があるとありがたい、…がぜひとも欲しい、…が必要だ」。
フレンズ3-21その4 にも出てきました。
そんな長時間の電話なら、電話のオペレーターみたいに、手ぶらで話せるヘッドセットがあったら嬉しいでしょ?という感じです。
ロスはそれを聞いて、レイチェルはまさか、それをチャンドラーのクリスマスプレゼントにするつもりじゃないだろうな?、会社のオフィスの備品からそれを盗んでプレゼント代を安くあげよう、って作戦か?みたいに意地悪な質問をしています。
(ちなみに、今回の フレンズ4-8 は感謝祭のエピソードで、感謝祭は 11月の第4木曜日に行われます。ですから、1ヶ月後に迫ったクリスマスプレゼントの話題が登場するのは、時期的に自然な流れになります。)

ロスは We と言っているので、チャンドラーも含め、僕たち全員君からのプレゼントはそういった会社の備品になっちゃうの?という感じです。
レイチェルの You shouldn't. は、少なくともあなたはそんなことは期待しないで、他の人にはそういうものをあげるかもしれないけど、あなたにはそういうものすらあげないわ(そんな意地悪なことを言うあなたには何もあげない)という感じかな、と思いました。

フィービーとモニカはペアでケイタリングの仕事を始めたばかりで金欠だから、今年は、シークレットサンタをしましょう、と言っています。
その後のフィービーのセリフでもわかるのですが、シークレットサンタとは、簡単に言うと「誰からとは言わずにグループ内でプレゼントを渡すこと」のようですね。
Secret Santa については、詳しくはウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Secret Santa

サンタが誰だかわからない、だから「秘密のサンタ」なわけです。
フレンズたちも、いつもは、一人がそれぞれにプレゼントを渡しているのですが、今回は金欠メンバーがいるので全員に買うのは大変、だから、シークレットサンタ形式にして、匿名でプレゼント交換をすれば、一人一個買うだけで済むから、経済的にも助かる、ということです。

フィービーが言った who gets who というフレーズを、ロスは who gets whom と訂正します。
これは、他動詞 get の目的語に当たるから、文法的には who じゃなくて、目的格の whom になるはず、ということのようです。
口語では、目的格の場合でも who を使うことが多いですが、前置詞の直後に続く形だと whom もまだよく使われますね。(from whom など)

厳密に言うと目的格だから whom なのでしょうが、動詞の後なのでそれが目的格であることは明らかですから、who と言っても間違いではない、という気もします。
日向清人先生の 即戦力がつくビジネス英会話―基本から応用まで の p.21 に、
who reports to who(m) 誰が誰の部下か *report to 〜「〜の部下である、〜の指揮下にある」
という表現が載っていますが、who(m) (つまり who でも whom でも可)と表記されているのは、恐らく「前置詞 to の後なので厳密には目的格 whom になるところだが、慣用的に who も使われる」という感覚なのだろうと思いました。(実際、p.20 の DIALOG では、who reports to who が使われています。)

いずれにせよ、国語の授業でもないのに、楽しくクリスマスプレゼントの話をしている時に、ささいな文法的指摘をしたことで、何となく座がしらけてしまったので、フレンズたちはあきれてロスを見ます。
ロスは、 I don't know why I do that. と言っていますね。
I don't know why I did that. なら、「今、そんな風に文法間違いを指摘しちゃったけど、どうしてそんなことしたのかわからない」ですが、I do that と現在形になっているのは、ロスが普段からそういうことを指摘したがる習性があることを言っているような気がします。
「どうして僕は(いつも)場の空気を考えずに、細かい指摘をしちゃうんだろうね、自分にも理由がわからないよ」と、つい口から出てしまった言葉を、自分でも何でそんなこと言っちゃったのかわかんない、と逃げているセリフかな、と思いました。

そして、who gets who のニュアンスですが、get は実に多彩な意味があるので、どの日本語を選ぶのか難しいですね。
get+人+物、だったら、「人に物を買ってやる」という意味になり、クリスマスプレゼントの話とも合うのですが、ここでは、get+人、になっていて、目的語は「人」だけです。
ですから、「(人)をゲットする」、つまり、くじ引きか何かで、誰が誰に渡すことになるのかを決める、誰が誰になるのか、誰が誰に当たるのか、誰が誰を担当するのか、みたいなニュアンスかな?と思います。


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2009年09月18日

お前には線は点にすぎない フレンズ4-7その7

チャンドラーはとうとうジョーイに、キャシーが好きなことを告白します。
すると、ジョーイは「キャシーとはもう別れた」と言った上、チャンドラーとキャシーが付き合うことも構わないと言います。
ジョーイが傷つくのなら、無理にとは言わないけど、とジョーイを気遣うチャンドラーに、
ジョーイ: No-no-no, no it's uh, it's okay. (いや、いいんだ。)
チャンドラー: Yeah? (そうなのか?)
ジョーイ: Yeah. You know why? 'Cause you came to me first. (そうだ。なぜだかわかるか? それは、お前が俺のところに最初に来てくれたからだ。)
チャンドラー: Well, I thought that would be the best thing to do. (あぁ、それがベストなことだと思ったんだ。)
ジョーイ: But hey, listen, just so you know, you might have your work cut out for you. 'Cause when I talked to her, I kinda got the feeling she's into some other guy. So.... (でも、なぁ、言っとくけど、お前には厄介なことが待ち構えているかもしれないぞ。だって、俺がキャシーに話をした時、キャシーは誰か別の男に夢中だって感じが何となくしたからな。)
チャンドラー: See uh, that's-that's actually what I wanted to talk to you about. I-I think I know who the other guy is. (なぁ、その、そのことが実際、俺がお前に話したかったことなんだ。俺はその別の男が誰かを知ってると思う。)
ジョーイ: Who? (誰だよ?)
チャンドラー: Oh. It's me. I'm the other guy. (あぁ、俺だ。俺がその別の男なんだ。)
ジョーイ: What? (何だって?)
チャンドラー: Yeah, I mean when you were late last night, Kathy and I got to talking, and one thing led to another, and.... (そうなんだ。昨日の晩、お前の帰りが遅かった時、キャシーと俺は話をし始めて、いろんなことが重なって、それで…)
ジョーイ: And what? Did you sleep with her? (それで、何だよ? お前はキャシーと寝たのか?)
チャンドラー: No! No! No! I just kissed her. (違う!違う!違う! 俺はただ彼女にキスしただけだ。)
ジョーイ: What? That's even worse! (何だって? それじゃ(寝たのより)さらに悪い!)
チャンドラー: How is that worse? (どんな風にそんなに悪いんだよ?)
ジョーイ: I don't know! But it's the same! (わかんないよ! でも(寝たのと)同じだ!)
チャンドラー: Look, I'm sorry. But there's nothing I could do. I think I'm in love with her! (なぁ、ごめん。でも、俺ができそうなことは何もない。俺は彼女に恋してるんだ!)
ジョーイ: Who cares? You went behind my back? I would never do that to you! (構うもんか。お前は俺を裏切ったんだぞ? 俺ならお前にそんなことは決してしない。)
チャンドラー: You're right. I have no excuses. I was totally over the line. (お前の言う通りだよ。俺には弁解のしようもない。俺は完全に一線を越えたんだ。)
ジョーイ: Over the line? You-you're-you're so far past the line, that you-you can't even see the line! The line is a dot to you! (一線を超えただと? お前は、お前は、線をずーっと遠くまで超えたんだ。お前はその線が見えてさえいないんだ! その一線は、お前にとっては、一つの点なんだよ!)
チャンドラー: Yes. Yes, right! And I feel horrible. You have to believe me. (そうだ、そうだ、その通りだよ! そして俺は最悪の気分だ。俺を信じてくれよ。)

決死の覚悟でキャシーが好きなことを告白すると、ジョーイの反応は意外にも冷静でした。
キャシーとすでに別れた後であったこともありますが、ジョーイがチャンドラーの気持ちを素直に認めてやろうという気になったのは、'Cause you came to me first. というセリフで説明されていますね。
俺のところに最初に来てくれたから、というのは、キャシーに対して何らかの行動を起こす前に、彼氏であり親友である俺に、まずそのことを言って俺の了解を得ようとしてくれた、親友である俺の気持ちを真っ先に考えてくれたからだという意味です。

その言葉を聞いて、チャンドラーは「それがベストだと思ったから」と言っていますが、声にそれまでの勢いがなくなり、消え入るような声になっています。
前回の記事、キスする前に言っていれば フレンズ4-7その6 で出てきた、「キャシーとキスする前にジョーイに話していたら、きっとジョーイは身を引いてくれただろう」というロスたちの見解が当たっていたことがわかったからですね。

ジョーイは、俺がたとえいいと言っても、彼女には他に男がいるみたいだから、話はすんなり行かないかもしれないぞ、と忠告しています。
have one's work cut out for... は「(人)が難しい仕事をあてがわれている、厄介な仕事が(人)を待ち構えている」。
直訳すると「(人)のために、その人の仕事が切り抜かれた[準備された、あてがわれた]状態になっている」みたいな感じでしょうか。
これからお前にはやるべき仕事があるぞ、というニュアンスでしょう。

the other guy の話が出たので、チャンドラーは思い切って、そのキャシーの想い人は俺のことなんだ、と告白します。
one thing led to another は、「1つのことが別のあることに繋がって」ということで、「いろんなことが重なって」というニュアンスですね。
フレンズ2-2その4 にも出てきました。

LAAD では、
one thing led to another: used when explaining the way in which something happened, without giving many details
つまり、「何かが起こった時の様子を説明する時に使われる、多くの詳細を語ることなしに。」

そんな風に、詳細を省略されたせいで、ジョーイは余計に気分を害したみたいですね。
で結局、最後にはどうなったんだ?寝たのか?と尋ねています。

even は比較級を強調するので、even worse は「もっと悪い、さらに悪い」。
チャンドラーは、「寝ただなんてとんでもない。そんなことまではしてないよ。ただキスしただけだよ」と、決してエッチはしていない、ということを言うために、just kissed と表現したのですが、その言い方が、怒っているジョーイにとっては、「寝たわけじゃないからまだましだろ」的な開き直りに聞こえてしまったようです。
自分でも上手く理由を説明できないながらも、「エッチでもキスでも、俺を裏切ったことには変わりがない。キスだから寝たよりましだってことはない」と言っています。

go behind someone's back は「人を裏切る」。
I would never do that to you! は、I would で「もし俺がお前の立場なら(こうする)」という仮定を表しています。
「俺なら、俺だったら、親友(のお前)に対してそんな(ひどい)ことは決してしない」ということですね。

何を言われてもただ謝るしかないチャンドラー。
I was totally over the line. と言っています。
line というのは何とも抽象的な表現ですが、日本語の「一線を越える」という感覚と似ているように思います。
the line と the がついているのは、人間として許される行為の境界線、みたいな感じかなぁ、と。
超えてはいけない一線を俺は乗り越えてしまったんだ、という感じが、I was over the line. なのでしょう。

ジョーイは、over the line どころか、you're so far past the line だと言っています。
ちょっとその一線をひょいと乗り越えたみたいにお前は言うけど、ちょっと乗り越えたなんてレベルじゃなくて、その一線を通り過ぎて、ものすごく遠いところまで離れちゃってるよ、という感じでしょうか。

the line はお前にとっては a dot だ、と言っているのは、そういう大切な人の守るべき境界線が、お前にとっては、たった1つの点にしか見えてないんだろう、という感じでしょうね。
乗り越えるのが困難な「線」ではなくて、長さのないただの「点」だから、そんなに簡単に乗り越えちまったんだよな、というニュアンスだと思います。


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2009年09月16日

キスする前に言っていれば フレンズ4-7その6

[Scene: Central Perk, Rachel and Monica are sitting on the couch and Phoebe is getting coffee as Chandler enters. Ross is also there.]
セントラルパーク。レイチェルとモニカはカウチに座っていて、フィービーはコーヒーをもらっている。そこにチャンドラーが入ってくる。ロスもそこにいる。
ロス: Hey, Chandler. Saw the new furniture. Very nice. (やあ、チャンドラー。新しい家具を見たよ。とても素敵だね。)
モニカ: Yeah. Joey has the best boyfriend ever! (そうね。ジョーイは(これまでで)最高のボーイフレンドを持ってるわね。)
チャンドラー: I kissed Kathy. (俺はキャシーにキスした。)
ロス: What? (何だって?)
モニカ: Are you serious? (マジで?)
フィービー: Does Joey know? (ジョーイは知ってるの?)
チャンドラー: No. Is there any way, any way you think he'll understand this? (いいや。このこと(キャシーとキスしたこと)をジョーイが理解してくれそうな方法が何か、何かないかな?)
モニカ: You obviously haven't screwed over a lot of your friends. (They all look at her) Which we all appreciate. (明らかに、あなたは今までたくさんの自分の友達を裏切ったことなんてなかったのにね。 [フレンズは全員モニカを見る] そのことは私たち全員、感謝[評価]してるわよ。)
ロス: No, the-the sad thing is, if you had told him how you felt before you kissed her, knowing Joey, he probably just would've just stepped aside. (いや。残念なのは、もしチャンドラーが自分の気持ちを、キャシーとキスする前にジョーイに言っていたとしたら、ジョーイのことだから、彼は多分、ただ、身を引いてくれた[チャンドラーにキャシーを譲ってくれた]だろうね。)
チャンドラー: Oh, don't say that! Don't say that. That's not true, is it? (あぁ、そんなこと言わないでよ! そんなこと言うなよ。そんなの嘘だよな?)
フィービー: I think maybe, yeah. (私も多分そう思うわ。)
モニカ: He loves you. (ジョーイはあなたを愛しているもの。)

チャンドラーが買い揃えた家具を見たというロスは、それについて褒めています。
モニカは、「ジョーイは(これまでで)最高のボーイフレンドを持ってるのね。」と言っていますが、この boyfriend は、「男友達」という意味ではなくて、女の子が持つ「男性の恋人」のニュアンスですね。
女の子のために、あれもこれも買ってあげるリッチで太っ腹な恋人をジョーイは持ったみたい、と言っていて、ゲイ疑惑がいつも持ち上がるチャンドラーに対しては、「まるであなたはジョーイの恋人みたいね」という意味にも聞こえます。

キャシーとキスしたことをフレンズたちに告白するチャンドラー。
Is there any way...? の any way は、anyway 「とにかく」ではなくて、「何か方法があるかな?」という意味です。
「キャシーとキスしたのがいけないことだってわかってるけど、ジョーイがそのことを理解してくれそうな方法、何かないかな?」ということです。

screw over は「(人)をだます」というような意味ですね。
スクリュー フレンズ3-7その29 にも、screw over というフレーズが登場し、その時には、LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) (ロングマン現代英英辞典)の語義を紹介しました。
今回は、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) の語義を紹介します。
LAAD では、
screw somebody also screw somebody over: (slang) to cheat someone or treat them in a dishonest or unfair way (SYN: cheat)
つまり、「(スラング) 誰かをだますこと、もしくは、不誠実なまたは不公平なやり方で人を扱うこと」。

恐らくモニカが言いたいのは、チャンドラーは今までそんな風に、自分の友達の恋人とキスしちゃうような「友達に対する裏切り行為」をしたことなんてなかったのに、みたいなことでしょう。
チャンドラーは概してモテないので(笑)、友達の恋人を横取りしたりするようなことは確かになかったですし。
モニカの発言で、フレンズたちがモニカをあきれて見ているのは、チャンドラーがどんなにキャシーのことを好きか、ジョーイに対してどれほど罪悪感を持っているか、がわかっていながら、「友達を騙す、裏切る」なんて、今までそんなことは一度もなかったのにね、あなたらしくない…みたいなことを、screw over というスラングを使って、はっきり言ってしまったからでしょう。
みんなににらまれたので、その後、関係代名詞の which を使って、「今まで友達を裏切ったことがないことは、私たちみんな、appreciate してるわよ」と付け加えています。
appreciate は「感謝する、ありがたく思う」「(高く)評価する」という意味ですから、「これまではそういう裏切り行為がなかった」ということについては、私たちは友達として感謝してる、評価してるからね、と言っているのです。

ロスは、the sad thing is... と言って、「悲しいこと、残念なことはこれだよ」と説明します。
ロスの意見では、キャシーとキスする前に、チャンドラーがどれほどキャシーを真剣に思っているかを話せば、ジョーイはきっと二人のことを理解して、自分から身を引いてくれただろう、チャンドラーにキャシーを譲ってくれただろう、ということですね。
仮定法過去完了を使って、「(過去の時点で)もし…していたら、〜だっただろう」と、「過去の事実に反する仮定」をしています。
実際にはキスしちゃったけど、キスする前に話してたら、違った結果になっていたのに、という感覚です。
step aside は「脇へ寄る、脇へ退く」ですから、「(他人に譲るために)身を引く」という意味になります。

knowing Joey というフレーズが挿入句のように入っていますが、これは分詞構文で、「ジョーイのことを知っているから、わかってるから」みたいなニュアンスになるかな、と思います。
仮定法過去完了を使って、「ジョーイなら多分こうしただろう(に)」とロスはジョーイがしたであろう行動を語っているわけですが、どうしてそう思うかって言うと、「ほら、ジョーイはああいう人間だからさ」「僕が(僕たちが)よく知っているような友達思いのジョーイの性格を考えたら」きっと譲ってくれただろう、という感じでしょう。

日向清人先生の 即戦力がつくビジネス英会話―基本から応用まで の p.154 にも、knowing を使った以下の分詞構文が登場していました。
Hmm, knowing him, I can almost see him making.... (以下略) 「ふーむ、社長のことよく知っているだけに、…している様子が目に浮かぶようだわ。」
この knowing him も、今回のセリフ、knowing Joey と同じ感覚かな、と思います。
「彼を知っているから、様子が目に浮かぶ」「ジョーイを知っているから、多分こうしただろう(と思う、想像できる)」という感じですね。

「もうキスしちゃったからしょうがないけど、残念だったよね、もしキスする前に言ってれば…」みたいなことを言われて、チャンドラーはパニクります。
「今更そんなこと言うなよ! そんなことないよな? 違うって言ってくれ!」みたいに言うのですが、他のフレンズたちもロスの意見に賛成のようです。
チャンドラー、ますます辛いですね。


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2009年09月14日

29歳なら貯金は必要ない フレンズ4-7その5

[Scene: Chandler and Joey's, Joey is opening the door, but Chandler has the chain on it.]
チャンドラーとジョーイの部屋。ジョーイはドアを開けようとしているが、チャンドラーがドアにチェーン(ロック)をかけていた。
ジョーイ: Aww man! I can't believe I locked myself out again! (He knocks on the door.) (あぁ、なんてこった! 俺自身をまたロックで締め出しちゃうなんて信じられないよ! [ジョーイはドアをノックする])
チャンドラー: Hang on, buddy. (He goes over and unlocks the door and opens it to reveal a fully furnished apartment.) (ちょっと待て。[チャンドラーはドアのところに行ってドアのロックを開ける、そしてドアを開け、すっかり家具が備え付けられたアパートの部屋を見せる]
ジョーイ: (rushing in) Oh, my God! What happened here? Did you do all this? ([急いで入ってきて] なんてこった! ここで何が起こったんだ? これは全部お前がやったのか?)
チャンドラー: I sure did. (確かに俺がやったんだよ。)
ジョーイ: Why? (どうして?)
チャンドラー: Well, I just thought it'd make me feel good to do something nice for my friend. (そうだな。俺はただ、自分の友達のために何かいいことをしたら、俺の気持ちが良くなるだろうって思っただけだよ。)
ジョーイ: Well, you're amazing. (そうか、お前はすごいやつだよ。)
チャンドラー: Oh no-no-no. This is amazing. (He goes over and presses a button on a remote control that opens the entertainment center doors revealing the TV.) (いやいやいや。すごいのはこれだよ。[チャンドラーは向こうへ行って、リモコンのボタンを押す、そのリモコンで、エンターテインメント・センターのドアが開き、テレビが現れる]
ジョーイ: (very excited) A TV as if it appears from nowhere! That's the dream! Man, how did you afford all this stuff? ([すごく興奮して] まるでどこからともなく現れるようなテレビだ! それはまさに夢だ! あぁ、こんなもの全部、どうやって金を出したんだ?)
チャンドラー: Well, y'know I'm 29. I mean, who needs a savings account? (そうだな、ほら、俺は29歳だからね。つまり、誰が貯金なんか必要なんだ?ってことさ。)
ジョーイ: Oh, you are the best friend anyone has ever had. (あぁ、お前は誰もが持ったことのないほどの最高の友達だよ。)
チャンドラー: Oh, I don't know. (あぁ、それはどうかな。)

ジョーイが部屋に入ろうとしたら、チェーンロックがかかっていました。
それを知ったジョーイの一言が面白いですね。
「信じられないよ。俺はまた、俺自身を締め出しちまった!」みたいなセリフです。
車のキーを車内に置き忘れたまま鍵をかけてしまった、みたいなニュアンスですが、チェーンロックというものは、内側にいる人間しかかけることができませんよね。
それをまるで、ジョーイが部屋を出る時にうっかりチェーンロックをかけたまま出かけたかのように、「俺ってバカだよな。またチェーンロックをかけたまま出かけちゃったよ」というセリフになっている、そのジョーイのボケ具合が面白いのですね。

チェーンロックはト書きにもあるように、当然、中にいるチャンドラーがかけていたものでした。
どうしてそんなことをしていたかと言うと、ジョーイにジャジャーン!と部屋のものを見せて、ジョーイを驚かせようとしていたのです。
泥棒に盗まれた家財道具一式が、新しいものに買い揃えられていました。
どうして突然こんなことに!と驚くジョーイに、「友達、つまり、ジョーイのために良いことをしたかったから」と答えるチャンドラー。
ジョーイが、お前は amazing なヤツだ!と絶賛すると、ほんとに amazing なのはこっちだよ、と、チャンドラーはエンターテインメント・センターをリモコンでオープンしてみせます。

appear from nowhere は「どこからともなく現れる」。
思いがけない場所から、急にテレビが出現した驚きを表していますね。
afford は「(人が)…を買う余裕がある、…を買うことができる」。
いっぺんにあれもこれもこんなにたくさんのものを、どうやって買うことができたんだ? どこにそんな金の余裕があったんだ?みたいな質問ですね。

チャンドラーは、俺は29歳だ、と言った後、Who needs a savings account? と言っています。
この Who...? は、反語的表現で、Who cares? 「誰が気にするのか?」→「誰も気にしないさ」というのと同じ感覚でしょう。
「誰が貯蓄口座、貯金を必要とするんだ?」→「誰も貯金なんか要らない」というニュアンスで、チャンドラーのセリフは、「俺は29歳だから、貯金なんか必要ないんだよ。だから有り金はたいてこれを全部買ったんだ」と言っているわけです。

常識的に考えて、29歳くらいの男性ならば、将来のことを考えると、これからますます貯金が大切になってくる時期ですよね。
それを、29歳だから、貯金なんて要らない、だからパーッと使っちゃったよ、と言っている時点で、チャンドラーが無茶苦茶な行動をしていることがわかります。
敏感な人なら何か裏があるのでは?と勘ぐるところですが、ジョーイはあまりの嬉しさに、そんなことは微塵も思わなかったようですね。

you are the best friend anyone has ever had. と言って、お前は史上最高の友達だ、と褒めています。
この文章は、I have ever had なら「俺(ジョーイ)が今まで持った友達の中で最高」という意味になりますが、anyone が使われているので、「(この世の)誰か」がかつて持ったことのある友達、その友達の中で最高だ、という褒め言葉になります。
いろんな人がいろんな親友を持ってきただろうけど、その中でもお前は最高の友達だよ、誰の親友にも負けない最高に素晴らしい友達だよ、と言っているのです。
キャシーとキスしてしまったチャンドラーは、後ろめたい気持ちもあって、I don't know. 「それはどうかな」と言葉を濁すしかありませんね。


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2009年09月12日

犬をひいたと思っていたら フレンズ4-7その4

今日、散髪するつもりだったのにできなかった、というチャンドラーのために、キャシーはチャンドラーの髪を切ってあげます。
お互いに惹かれ合っているチャンドラーとキャシーは、顔が接近している時、思わずキスしそうになりますが、そこに、ジョーイから電話がかかってきます。
車のトラブルで、さらに遅くなりそうなことを説明するジョーイ。
ジョーイ: Listen uh, I'm really sorry, it looks like I'm gonna be stuck here for a while. I got the transmission fluid, but when I put it in the car, the transmission wasn't there. (なぁ、ほんとにごめん。しばらくここに足止めされることになりそうなんだ。トランスミッション・オイルは手に入れたんだけど、それを車に入れようとしたら、トランスミッション[変速機]がそこになかったんだ。)
チャンドラー: What? (何だって?)
ジョーイ: Yeah, it must've fallen out a few blocks back. I just figured we hit a dog. (あぁ、2、3個前のブロックで、変速機が落ちたに違いないよ。俺はただ、車で犬をひいた[車が犬にぶつかった]と思ってたんだ。)
チャンドラー: Okay. (わかった。)
ジョーイ: Listen uh, could you put Kathy on? I wanna apologize to her. (なぁ、キャシーを電話に出してくれる? 彼女に謝りたいんだ。)
チャンドラー: Oh yeah, man. (to Kathy) Joey. (Hands her the phone.) (あぁ、わかったよ。[キャシーに] ジョーイだ。[キャシーに電話を手渡す])
キャシー: (on phone) Hey. (listens) Oh no, it's fine. Don't worry about it. (listens) Yeah-no, stop apologizing. It's okay. (listens) Yeah! I'll talk to you tomorrow. (hangs up) (to Chandler) I should uh, probably go. ([電話に出て] はい。[聞いて] あぁ、いいえ、大丈夫。心配しないで。[聞いて] えぇ、謝らないで。大丈夫だから。[聞いて] そうね! 明日、話しましょう。[電話を切る] [チャンドラーに] 私は、多分、帰った方がいいわね。)
チャンドラー: Yeah. Yes! Yeah. (そう、そうだね! そうだ。)
(Kathy leaves and Chandler groans in agony. Kathy knocks on the door and Chandler opens it.)
キャシーは部屋を出て行き、チャンドラーは苦悩してうめく。キャシーがドアをノックし、チャンドラーがドアを開ける。
キャシー: I forgot my purse. (バッグを忘れたの。)
チャンドラー: Oh. (あぁ。)
(They kiss, passionately.)
二人は情熱的にキスする。
キャシー: Oh, I really did. I forget my purse. (あぁ、私はほんとに忘れたのよ。バッグを忘れたの。)
(They kiss again.)
二人はまたキスする。
COMMERCIAL BREAK

ケイシーという別の女性と車に乗って、家に帰ろうとしているジョーイは、少し前に、1度電話してきていました。
その時は、「車が故障したんで、transmission fluid を買ってくる」と言っていたのですが、今回の電話ではそれを買ってきたものの、それを入れる transmission 本体がなくなってることに気付いたんだ、という話になっています。

transmission は日本語にもなっているように「トランスミッション、変速機、変速装置」です。
AT車(オートマ車)は、automatic transmission 「自動変速装置」の車、ですよね。

fluid は「流動体、流体」。
研究社 新英和中辞典では「液体・気体の総称」、英辞郎では「水や空気のように動いたり流れたりするもの」という補足説明が載っていますが、
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
fluid: [noun] [uncountable and countable] (technical) a liquid
と出ています。
ほぼ、fluid = liquid (液体)と考えてよい、ということになりそうですね。

transmission fluid は日本語では「(トランス)ミッション・オイル」と呼ばれることが多いようです。
Wikipedia 日本語版: 自動車の整備 に「ミッションオイル交換」という項目もあります。

いざオイルを入れようと思ったら、変速機そのものがなくなってた、というジョーイ。
ジョーイは、「must have+過去分詞」を使って、「(過去のあの時)…したにちがいない」と推量しています。
fall out は「抜け落ちる」という感じでしょうか。

I just figured we hit a dog. は「彼女と俺の乗った車が犬にぶつかった、犬を車でひいた、ってただ思ってたんだよ」ということで、何ブロックか前に、車を走らせていてドーン!と衝撃があったけど、それは犬でもひいたせいだと思ってたんだよね、今考えると、多分、その衝撃は、変速機が外れて落ちた音だったんだろう、ということです。
「犬をひいたと思っていた」なんて、ひき逃げ犯がよく使う言い訳みたいですが、それくらいかなりの衝撃があった、ということです。

ジョーイは車を持っていないはずなので、ケイシーとのデートのためにレンタカーでも借りたのでしょうか。
ぼろっちいレンタカーだったのかもしれませんが、変速機が落ちるなんてあり得るのかな?(笑)
とにかく、さらに時間がかかりそうなので、ジョーイは電話でキャシーに謝ります。
キャシーのセリフで、「もう今夜は遅くなりそうなんで、会えない。明日、また会おう」という話になったこともわかりますね。
キャシーは「そんなに謝らないで、大丈夫だから」というようなことを言っています。
キャシーは性格も良さそうな女の子なので、ジョーイが遅くなったからと言って、怒ったり文句を言ったりするようなタイプではないでしょうが、今回は特に、さっき恋人のジョーイを裏切って、その友達のチャンドラーとキスしかけた、ということがあったので、余計にジョーイに謝られると心が痛む、という感じが出ていますね。

恋人ジョーイからの電話を切ったキャシーは、さっきチャンドラーとキスしかけたことはやっぱりマズいと思って、慌てて部屋を出ます。
苦悩の表情を浮かべるチャンドラーですが、またキャシーは戻ってきます。
バッグを忘れたから取りに戻っただけ、というキャシーですが、もう一度顔を合わせてしまった二人は、ついにキスをしてしまいます。
「この部屋に戻ってくる言い訳じゃなくて、ほんとにバッグを取りに戻ってきたのに(こんなことになっちゃうなんて)」みたいなことをキャシーは言っていますね。
ジョーイのことを考えると、こんなことはいけないとわかっているのに…という二人の気持ちがよくわかるシーンだと思います。


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2009年09月10日

「ここが好き」のit フレンズ4-7その3

[Scene: Chandler and Joey's, Chandler is watching Yasmein Bleeth running on TV, and the duck starts quacking.]
チャンドラーとジョーイの部屋。チャンドラーは、テレビでヤスミン・ブリースが走っているのを見ている。そして、アヒルがクワックワッと鳴き始める。
チャンドラー: Yeah, I know what you think. Yes, yes, your breasts are just as firm and juicy. (そうだね。お前の考えはわかってるよ。そうそう、お前の胸は(彼女と)同じくらい、引き締まっていて、みずみずしいよ[ジューシーだよ]。)
(There's a knock on the door.)
ドアにノックの音。
チャンドラー: Come in. (入って。)
キャシー: (entering) Hey! (sees what's on TV) Oh, God! Is that Baywatch? ([入ってきて] はーい! [テレビでやっているものを見る] まぁ! それってベイウォッチ?)
チャンドラー: Uh yes, but uh, I just watch it for the articles. (あぁ、そうだよ。でも、その、ただ、記事(or 論文)を書くために見てるだけなんだ。)
キャシー: So is Joey around? (それで、ジョーイはここにいる?)
チャンドラー: No-no, he's not back yet, but he'll be here any minute. So uh, come on in, have a seat. Bow or stern? (いや、いや。ジョーイはまだ帰ってない。でも、すぐに戻るよ。それで、あの、こっちに入ってきて、座りなよ。(カヌーの)船首[へさき]がいい?、それとも、船尾がいい?)
キャシー: I uh, don't really have a preference. You? (私は、その、特に好みはないわ。あなたは?)
チャンドラー: I like it in the stern. (Realizes what he just said.) Of the boat. (俺は、お尻の方がいいな。[自分がたった今言ったことに気付いて] (お尻と言っても)ボートの、だよ。)

チャンドラーは、また(!)ベイウォッチを見ています。
最近のエピソードでは、フレンズ3-21その6 でもベイウォッチを見ていました。

ベイウォッチを見ながら(?)鳴いているアヒルに、チャンドラーは面白いことを言っています。
アヒルが何か訴えようとしていると(もちろんジョークですが)解釈したチャンドラーは、お前が思っていることはわかってるよ、と理解を示します。
just as があることから、省略されている部分を補うと、your breasts are just as firm and juicy as hers [her breasts]. になるでしょう。
お前の胸は、彼女(ヤスミン・ブリース)の胸と同じくらい、firm で juicy だよ、お前がそう言いたいことは、俺はちゃんとわかってるよ、という感じですね。

firm は「硬い、堅固な」という意味ですが、肉や筋肉の場合は「堅く引き締まった、身が締まった」という意味になります。
juicy は日本語にもなっている「ジューシー」で、「水分の多い、みずみずしい」です。
また、juicy gossip だと「刺激的できわどいうわさ話」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
juicy gossip/details/stories etc. (informal) interesting or shocking information, especially about people's sexual behavior
つまり、「興味深くて、衝撃的な情報。特に、人の性的行動に関する情報。」

juicy gossip は、「エッチがらみのゴシップ」という感じですね。

ヤスミンの胸も、アヒルの胸も、同じくらいどっちも firm で juicy だ、と言っているのですが、ヤスミンの胸については、セクシーな女性の胸としての魅力を語っています。
そして同じ言葉を使いながら、それがアヒルの胸の話になると、胸肉という食材としての魅力を語っているように聞こえるのがミソですね。

ヤスミンの胸は、引き締まった美しい形をしている、つまり、ぶよぶよだったり垂れたりしてない…(笑)、そしてみずみずしい、つまり、ピチピチしていてはちきれんばかりの感じだと言いたいのでしょう。
また、juicy gossip などの juicy のイメージもあって、セクシーであるというニュアンスも入っているのかもしれません。
まぁ、女性の胸を juicy と表現するのは、露骨な感じもしますので、相手を目の前にしての褒め言葉としては使えない気もしますが…。

その同じ形容詞で、今度はアヒルの胸肉を形容した場合、「ぶよぶよじゃなくて、身が引き締まっている」「パサパサじゃなくて、(肉汁たっぷりで)ジューシー(でおいしい)」というような意味に聞こえますね。
魅力的なヤスミンの胸にお前の胸も負けてないよ、と言いながら、アヒルの胸肉を食肉として褒めているのがこのチャンドラーのセリフのポイントだということですね。

チャンドラーがベイウォッチを見ていたのを知って、キャシーは「まぁ」と言っています。
「やっぱりあなたも男の子ね。そういうの、好きなのねぇ」みたいにちょっとあきれている感じ。
article は「記事、論説、論文」のような意味があるので、具体的に何に載せる記事か論文かは知りませんが、そういうものを書くために見てるだけなんだよ、と言い訳しているようです。(もちろん、すぐにウソだとバレる、白々しい言い訳ですが)

部屋の真ん中には、相変わらずカヌーが置いてあります。
ジョーイが帰ってくるまでの間、そのカヌーの中に座って待ってたら?とチャンドラーは提案します。
bow は「船首、へさき」で、stern は「船尾」ですね。
preference は「好み、嗜好」ですから、I don't really have a preference. は「特に、これという好みがない。特にどちらがいい、ということはない」というニュアンスです。
カヌーに乗るシチュエーションはそんなにないから、どっちがいい?と急に言われてもわからないわ、という感じでしょう。
あなたはどっちが好きとかあるの?、あなたが好きなのはどっち?とキャシーが尋ね返すと、チャンドラーは、I like it in the stern. と答えます。
その後、Of the boat. と付け加えていますね。
stern は船だけではなく、「(ものの)後部」も指します。
そこから、「尻」という意味にもなるようです。
stern の方がいい、と言った後、「後部、尻」と言っても、もちろん、船の後部のことだからね、と付け加えたのですね。

I like it in the stern. は、「stern の場所にいるのが好き」という感じでしょうか。
I like the stern. だと、「船尾」という対象物が好きか嫌いかの話になってしまう気がします。
どっちに座りたい?という話なので、「stern にいる、座るのが好き」という意味で、I like it in the stern. という風に、目的語として it が入り、その後、in the stern という副詞句が続きます。
it は漠然と状況を指している感じでしょうか。

ちなみに、自分の職場などを指して「私はここが好き」ということがありますが、その場合も、I like it here. と it が入ります。
here は副詞ですから、like の目的語にはならないのですね。
日本語では「ここが好き」となりますが、それが実際に指す内容は「ここにいるのが好き」のようなことになりますので、英語では「ここ」は目的語になりません。
「ここにいるという状況」を指す感じで、it を目的語にしている感覚かな、と思います。
TOEICテスト 新公式問題集 の Part 3、『解答・解説編』の p.97 でも、転職を考えているという女性とのやり取りで、
(Man) I thought you liked it here. (ここが気に入っていると思っていたのに。)
(Woman) I do like it here. (大好きよ。)

というものがありました。
この it、日本人の感覚では抜かしてしまう気がするんですよねぇー。

I like it in the stern. は、I like it here. と同じような感覚で、「ある場所にいるのが好き」という意味になりますが、stern が「尻」に聞こえてしまうとすると、I like it in the stern. は、(勘ぐり過ぎかもしれませんが)「お尻を使ったエッチが好き」みたいな意味に聞こえてしまうのかもしれません。
エッチを it と表現したりすることもありますので、言ってしまった後、「お尻でのアレが好きなんだよね」みたいに聞こえたらマズいと思って、stern と言っても「(人間の)尻」じゃなくて、「船尾」だからね、と慌てて付け足した、ということかも?とも思います。


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2009年09月08日

いつも聞いてるものとは違う フレンズ4-7その2

学生時代に音楽をやっていた話をするロス。その音楽を聴きたいというフレンズたちの前で、キーボード(シンセサイザー)の演奏を始めようとしています。
ロス: Here we go. (Plays one note) Y'know, I've-I've never played my stuff for anyone before. So it's important that-that you understand it's about communicating very private emotions. (Plays another note) Y'know, umm, you should-you should think of umm, my work as wordless sound poems. That's what I-- (よし、いくよ。[一つの音を出して] ほら、僕はこれまで、自分の曲を誰かに対して演奏したことがないんだよ。だから、とても個人的な感情を伝えることである、ってことを君たちが理解してくれることが重要なんだ。[別の音を出して] ほら、うーんと、君たちにはこう思ってほしい、その、僕の作品は言葉のない音のポエムだ、って。それが僕が…)
チャンドラー: (interrupting) Oh, my God! Play! ([ロスの言葉をさえぎって] なんてこった! (しゃべってないで、さっさと)演奏しろよ!)
Ross starts to play.
ロスは演奏を始める。

さぁ演奏が始まるぞー、とみんなが期待しているのに、前口上が長くてなかなか演奏を始めない、というのは、コメディによくあるパターンですね。
特にロスは理屈っぽいキャラなので、こういう流れになるのがハマっている気がします。

ロスにとって、演奏にはどういう意味があるのかを一生懸命説明していますね。
「非常に個人的な感情を伝える」「言葉のない音のポエム」という風に、自分の内面を表現したものであると力説しているわけです。

で、実際のロスの音楽がどういうものであったかは、実際にドラマを見て確認していただきたいところですが、犬の鳴き声やサイレンなどの効果音てんこ盛りで、最後は、crash 音で終わる、というトンデモナイものでした。(大真面目に演奏しているロスの表情がこれまた、おかしい)

ですが、ロスの演奏をけなすわけにもいかず、フレンズたちは「すごい」というような言葉で感想を述べ、ロスはそれを賞賛と受け取って、演奏用の別のディスクを取りに行くために、部屋を出て行きます。
ロスが去った後、正直な感想を述べ合うフレンズたち。
モニカ: Oh, God bless my dad for soundproofing the basement! (あぁ、パパが地下室を防音にしてくれたことで、パパに神の祝福がありますように!)
レイチェル: Oh, I can't believe I ever let him touch me with those fingers. (あぁ、信じられないわ。ロスにあの指で私を触らせていたなんて。)
フィービー: What are you guys talking about? I loved it! It was soo moving. Oh, plus it's just, it's so different from the stuff you usually hear. (あなたたち、何言ってるの? 私は大好きよ! とっても感動的だったわ。あぁ、それに、ただ、いつも聞くものとは全く違うでしょ。)
チャンドラー: You mean, music? (いつも聞くもの、って音楽のこと?)

bless は「(神が)人に恵みを授ける、祝福する」ですね。
God bless you! 「あなたに神の恵み・祝福がありますように」というフレーズでよく使われます。
今回のセリフでは、「パパは地下室を防音にした、そのことで、神よ、パパに祝福を与えたまえ!」みたいな感じでしょう。

少し前のシーンで、学生時代に音楽をやっていた頃のロスの様子を、モニカが話していました。
モニカ: He used to lock himself in the basement for hours. No one was ever allowed to hear "the sound." (ロスは、何時間も地下室に閉じこもっていたものだったわ。誰も「そのサウンド」を聞かせてもらえなかったの。)

このセリフから、ロスはずっと地下室で音楽を演奏していたことがわかります。
今の演奏を聞いたモニカは、「ロスが演奏をしていた地下室が防音になっていて良かったわ。あの音楽が外に筒抜けだったら、近所の笑い者になるところだったもの」みたいなことで、「地下室を防音にしておいてくれたパパに感謝しないとね。そのでかしたパパに神の祝福を!」と、大袈裟に God bless my dad... という表現を使っているのです。

元恋人のレイチェルも、「今のようなひどい演奏を生み出した指が、私の体を触っていたのかと思うとぞっとするわ」みたいなことを言っています。

ところが、フィービーだけは本当にロスの音楽に感激していたようです。
悪口を並べるフレンズたちに、「何言ってるの? 私はすごく気に入ったわ」と力説しています。
「いつも私たちが聞くものとは全然違ってるでしょ?」と、ロスの音楽の斬新さ、前衛性(?)みたいなものを褒めちぎるのですが、それを聞いたチャンドラーは、「フィービーの言ってるのは、音楽のこと?」と言っています。

つまり、フィービーが、the stuff you usually hear と表現したものを指して、「それは音楽のことを言ってるの?」と尋ねているのです。
つまり、ロスが演奏したものは「音楽」とは全然違う、ロスのは音楽じゃない、音楽だとはとても言えない、と言っているわけですね。

今のロスの演奏、ありゃー音楽じゃないよ、と直接的に言うのではなく、「いつも聞くものとは違う」→「いつも聞くものって音楽のこと?」ということで、「俺たちがいつも聞いている「音楽」というジャンルから外れている、ロスのはとても「音楽」とは言えない」ということを示唆しているセリフになる、フィービーのセリフに一言付け足すことで、自分の言いたい本音を言っている、ということですね。


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2009年09月07日

「スポック博士の育児書」との関連性 フレンズ4-3その8

過去記事 スポックの産児制限 フレンズ4-3その5 で、百科事典のセールスマンに、vulcanized rubber 「硫化ゴム、ヴァルカナイズド・ラバー」のことを尋ねられたジョーイが、Spock's birth control 「スポックの産児制限[避妊]」だと自信ありげに答えるシーンがありました。

この Spock、スタートレックに出てくる Vulcan 「ヴァルカン人、バルカン人」のスポックを指していると解説したのですが、その記事のコメント欄で、「スポック博士の育児書」という有名な本を書いている博士とも関連しているのでは?というご意見をいただきました。

今回はその育児書の「スポック博士」について、調べたことを書いてみたいと思います。
もっと早く追加記事を書く予定だったのですが、こんなに遅くなってしまったこと、申し訳ありません。


Google のサーチボックスに「スポック」と入れると、グーグル・サジェスト機能で「スポック博士の育児書」と出てくるくらいですから、この育児書とそれを書いたスポック博士は、日本でもかなり有名なようですね。
「スポック博士の育児書」の原題は、The Common Sense Book of Baby and Child Care で、スポック博士は、ベンジャミン・スポック(Benjamin Spock)という名前です。

Wikipedia 日本語版: ベンジャミン・スポック
Wikipedia 日本語版: スポック博士の育児書
Amazon.co.jp: 最新版 スポック博士の育児書

「スポック博士の育児書」の日本語版ウィキペディアには、「1946年以降では聖書の次に売れたとも言われる」「「育児の聖書」のように言われ」という記述もあるので、そういう超ベストセラーの本の著者である、Dr. Spock (スポック博士)のイメージを出して、「らしく」答えた、という可能性は非常に高いですね。

ジョーイのことだから、その育児書を書いたスポック博士が、あのスタートレックのスポックだと思っていたのかもしれません。(後述しますが、その二人は混同されることが多い、という記述もありました。)
ジョーイが、"Dr. Spock's birth control." と答えていたら、ジョーイがスタートレックのスポック(ミスター・スポック)と、育児書のスポック博士(ドクター・スポック)とを混同していたことがわかるジョークになっていたかもしれませんね。

Wikipedia 英語版: Spock (disambiguation) という「曖昧さ回避のためのページ」では、以下のように説明されています。

Spock (disambiguation)
Spock is a fictional character in the American television show Star Trek
Spock may also refer to:
Benjamin Spock, a pediatrician and best-selling author of books on child development


筆頭にスタートレックのスポックがあがっていて、その次に、ベンジャミン・スポックが出ていますね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には、Spock, Dr. Benjamin、すなわち、育児書のスポック博士が載っていました。
Spock, Dr. Benjamin: (1903-1998) a U.S. doctor whose books giving advice on how parents should take care of their children had a great influence on parents
つまり、「アメリカの医者で、親が子供の面倒をどのように見るかということに助言を与える彼の本は、親たちに大きな影響を与えた。」

スタートレックの Spock の名前の由来について、ウィキペディア英語版に興味深い記述があったのでご紹介します。

Wikipedia 英語版: Benjamin Spock の、Public misconceptions 「一般的な勘違い」の項目に以下の記述がありました。

It is common to see "Dr. Spock" confused with the fictional character "Mr. Spock" of Star Trek fame, particularly in references from people unfamiliar with the field of science fiction. Reportedly, Trek creator Gene Roddenberry did not intentionally name the character after Dr. Spock; this was a coincidence.

つまり、「「ドクター・スポック」が、スタートレックの架空のキャラクター「ミスター・スポック」と混同されるのを見ることがよくある。特にSF分野に詳しくない人の言及において(その混同がよく見られる)。伝えられるところによれば、トレックの製作者であるジーン・ロッデンベリーは故意に[意図的に]ドクター・スポックの名前をとってそのキャラを名付けたのではなかった。これは偶然であった。」

ジーンの話の出典は、The Making of Star Trek という本のようです。

そして、Wikipedia 英語版: Spock の、Development の項目に、

In The Making of Star Trek (1968), Roddenberry noted that he had been looking for an alien-sounding name, and didn't know until later of Dr. Benjamin Spock, the renowned child psychologist.

という記述があります。
この文章、ちょっと訳しにくいのですが、didn't know (until later) of Dr. ... ということだと解釈して訳してみると、
「1968年の Making of Star Trek という本の中で、ロッデンベリーは以下のように言及していた。ロッデンベリーはエイリアンっぽく聞こえる名前をずっと探していて、後になるまで[後になって知るまで]、有名な児童心理学者であるベンジャミン・スポック博士については知らなかった、と。」

このコメントの出典も、さっきと同じ Making of Star Trek ですが、「名前が同じなのは偶然だ」というコメントと合わせて考えると、スポック博士の名前を見て「これだ!」と思ったわけでもないようですね。
「後にスポック博士の名前を知ることにはなったけれど、エイリアンっぽい名前を探している当時はまだ彼のことを知らなかった(だから、スポック博士の名前から付けたわけではない)」みたいな意味だろうと思うのですが…。


長くなってしまいましたが、育児書のスポック博士はこのようにとても有名な人であるし、スタートレックのスポックと混同されることもよくあるので、脚本家は、スポック博士を想像させることも意図して、このセリフを言わせた、ということなのでしょう。

育児関係の博士だから、birth control という言葉とも馴染みますし、そのこともあって、condom というダイレクトで世俗的な言葉を避け、birth control という抽象的な、育児の専門家が使いそうな言葉を使ったのでしょうね。


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2009年09月06日

2回の夕食の前にピザ1枚 フレンズ4-7その1

シーズン4 第7話
The One Where Chandler Crosses the Line (From ジョーイ To チャンドラー)
原題は「チャンドラーが一線を越える話」


[Scene: Central Perk, Joey is getting a phone number from a woman
(Casey) as Chandler watches from the doorway.]
セントラルパーク。ジョーイがある女性(ケイシー)から電話番号をもらっているところ、チャンドラーは出入り口からそれを見る。
ケイシー: Here you go. (どうぞ。)
ジョーイ: Great! All right, so I'll call you later. (やった! よし、じゃあ、後で電話するね。)
ケイシー: Great! (leaves) (いいわ! [立ち去る])
チャンドラー: (rushing up) Hey-Hey-Hey! Who was that? ([慌てて近づいて来て] おいおいおい! 今のは誰?)
ジョーイ: That would be Casey. We're going out tonight. (ケイシー(って名前)みたいだな。俺たち、今夜デートするんだ)
チャンドラー: Goin' out, huh? Wow! Wow! (Does a little celebration dance) So things didn't work out with Kathy, huh? Bummer. (デートするって? ワオ! ワオ! [少し喜びのダンスをする] それじゃあ、キャシーとはうまくいかなかったんだな? 残念だよ。)
ジョーイ: No, things are fine with Kathy. I'm having a late dinner with her tonight, right after my early dinner with Casey. (いいや。キャシーとはうまくいってるよ。今夜、キャシーと一緒に遅い夕食を食べるんだ。ケイシーと早い夕食を食べた直後にね。)
チャンドラー: (shocked) What? ([ショックを受けて] 何だって?)
ジョーイ: Yeah-yeah. And the craziest thing is, I just ate a whole pizza myself! (Laughs) (そう、そうなんだよ。それに、最高にクレイジーなことに、俺はたった今、一人で、ピザを丸ごと1枚食べちゃったんだ! [笑う])

ジョーイが女の子から電話番号をもらっているらしいのを見て、慌てて飛んでくるチャンドラー。
「あれは誰?」との問いに、ジョーイは、That would be Casey. と答えていますね。

She is Casey. ではなくて、That would be Casey. になっていることについて。
That は、チャンドラーの Who was that? を受けたものでしょう。
彼女は(she)というよりも、that girl(今のあの子は)みたいな感じでチャンドラーが尋ねたので、お前が知りたがってる今のあの子は、さっきの子は、という感覚で、主語を That にしたのでしょう。
is ではなく、would be になっているのは「推量」を表す would かな、と思います。
今、会ったばかりでよく知らないけど、書いてくれたメモに Casey と書いてあるから、ケイシーって名前みたいだな、みたいな感じだろうと。

そのケイシーと go out tonight 「今夜でかける」、つまり「夜に会う、デートする」と聞いて、チャンドラーは、軽くセレブレーション・ダンスを踊っています。
その次のセリフにあるように、ケイシーとデートすると言うからには、キャシーと別れたのだと思ったのですね。

bummer は過去にも何度か登場しましたが、「いやなこと、がっかりすること」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
bummer [noun] [singular] (spoken): a situation that is disappointing
例) You can't go? What a bummer!

つまり、「失望させるような状況」。例文は「君は行けないの? 何て残念な!」

ところが、ジョーイはキャシーとまだ別れていませんでした。
ケイシーとは早い夕食を食べて、その後、キャシーと遅い夕食を取る予定だと言っています。
てっきりキャシーと別れたと思って喜んだチャンドラーはそれを聞いて、What? と叫びますが、ジョーイはチャンドラーが何に対して驚いたかを勘違いしたようですね。

ジョーイは、「それに、さっきピザを丸ごと1枚食べちゃった」と言って笑っています。
つまりジョーイは、この後、二人の女性と2回も夕食を取ることになっているのに、あろうことかその前に、ピザをたらふく食べちゃったんだよ、俺ってバカだよな、みたいな感じで笑っているのですね。

チャンドラーは、同じ夜に2人の女性とデートすることに驚いている(さらには、キャシーと別れたと思ったのに、実はまだ別れてなかったという事実に驚いている)のに、ジョーイは「2回の夕食だけでも驚くよな。でもさらに俺は、ピザまで食べちゃってるんだぜ。俺ってどんだけ食べるんだよ」みたいに笑っている、ということです。


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2009年09月04日

彼のためにそこまでしてあげるなんて フレンズ4-6その7

キャシーの誕生日に、ジョーイはチャンドラーが苦労して入手した「ビロードうさぎ」の本をプレゼントします。
そして、ジョーイは自分が文房具店で買った「時計つきペン」を、チャンドラーからのプレゼントだと言って、チャンドラーからキャシーにプレゼントさせます。
その後のシーン。
チャンドラー: [to Kathy] Good night. ([キャシーに] おやすみ。)
キャシー: Um, thank you for the gift. (あの、贈り物をありがとう。)
チャンドラー: Oh, uh, yeah... I just knew that sometimes when you're writing, you... you don't always know the exact time. (あぁ、そうだね…時々君が書きものをしてる時、正確な時間がいつもわかるわけじゃない、って知ってたから。)
キャシー: No, I... I didn't mean the pen. Thank you for the book. (いいえ。私はペンのことを言ったんじゃないの。あの本をありがとう。)
チャンドラー: Uh, the book? (あー、本って?)
キャシー: The Velveteen Rabbit? I kinda have the feeling you had something to do with it. (「ビロードうさぎ」のことよ。あなたがあの本に関係してるっていう気がした、っていうか。)
チャンドラー: What do you mean? (どういう意味?)
キャシー: Well, uh, when Joey gave it to me he said: "This is 'cause I know ya like rabbits, and I know ya like cheese." Thanks. I love it. And I know how hard it must have been for you to find. (そうね、あの、ジョーイがそれを私にくれた時、ジョーイはこう言ったのよ。「これをあげるのは、君がうさぎが好きなことを知ってるからだ。それに、チーズが好きなことも知ってるから。」 ありがとう。これ大好きよ。それに、(この本を)見つけるのがどれほど大変だっただろうかもわかるわ。)
チャンドラー: (tongue-tied) Uhl..ell. By the way, in case you missed that, that sound was, "Oh, well." ([舌足らずになって] アー、エル。ところで、今のを君が聞き損ねた時のために言っておくと、今のは、「オー、ウェル(あぁ、まあね)」って言ったんだ。)
キャシー: You must really like... Joey... to go to all that trouble for him. (あなたは本当にジョーイが好きなのね。彼のためにそれほど骨を折ってあげるなんて。)
チャンドラー: Oh, yeah. He's my-- He's my best friend. (あぁ、そうだね。彼は俺の…俺の親友だから。)

むりやり時計つきペンを押し付けられたチャンドラー。
キャシーがプレゼントのお礼を言うので、「書きものをしている時に、いつでも時間がわかるようにと思ってプレゼントしたんだ」と言っています。
ジョーイがこのプレゼントを買ってきた時に言っていた理由をそのまま使っているのですね。

でも、キャシーがお礼を言ったのは、ペンではなく本のことでした。
have something to do with... は「…と関係・関連・かかわりがある」。
have nothing to do with... なら「…と関係ない」になります。
kinda (= kind of) と言葉をボカしながらも、あなたはあの本に関係してる、って気がしたの、というキャシー。

キャシーは、ジョーイのセリフから、この本を買ったのはジョーイじゃない、ということに気づいたのですね。
そのジョーイのセリフ、"This is 'cause I know ya like rabbits, and I know ya like cheese." について。
this は、この「ビロードうさぎ」の本、またはこの本をあげること、を指していると思います。
どうして俺がこの本をあげるかって言うと、「俺は君が…を好きなことを知ってるからさ。」と言っているわけですが、好きなものとして、rabbits と cheese が挙げられていますね。
チャンドラーはジョーイに、この本のタイトルと、小さい頃の彼女の愛読書であったことは教えましたが、ジョーイはどうやらこのお話を知らないようです。
お話にチーズは登場しませんので、cheese という言葉を出した時点で、ジョーイはこの本の中身を知らない、この本をよく知らない人が、高価な初版本を苦労して手に入れようとするはずがない、ということにキャシーは気づいた、ということですね。
この本をあげる理由としては、あまりにトンチンカンなので、キャシーはそのことに気づいたわけですが、ジョーイがどうして、cheese という言葉を出したのか?がよくわかりません。
私の意見を2つ書いてみます(あまり自信はありません)。

まず、1つ目は、cheese という食べ物を出したことで、rabbits も食べ物を指しているのではないか?ということ。
料理にウサギの肉が使われることもありますので、キャシーがウサギの肉が好物で、それと並べて好物であるチーズも挙げた、逆に言うと、チーズを出したことで、うさぎは食用の肉の種類を指していることになり、ぬいぐるみのうさぎの話であることを知らないことが露呈してしまった、という流れかなぁ、と。
ただ、食べ物としてのウサギを指す場合は、不可算名詞の rabbit になるような気もするのですが…。
まぁ、普通のうさぎと思わせておいて、実は食べ物だった、というオチだとすると、食べ物だとわからないようにわざと複数形で言わせてみた、ということかもしれません。

2つ目は、Welsh rabbit という名前の「チーズトースト」が存在するので、それからの連想かな?ということ。
研究社 新英和中辞典の rabbit の項目を見ていると、
rabbit=Welsh rabbit
という語義があり、さらに Welsh rabbit を調べると、
Welsh rabbit, Welsh rarebit=【名】【C】 [料理名には 【U】] チーズトースト 《チーズをあぶるか溶かして薬味などを加えトーストにかけたもの; 熱いうちに食べる》
という説明がありました。
Wikipedia 英語版: Welsh rarebit には、写真も載っています。

rabbit という名前のつく cheese 料理なので、このジョーイのセリフに関係あるような気がする、ということです。
The Velveteen Rabbit というタイトルから、Welsh rabbit を連想したジョーイは、Velveteen rabbit もそれと同じような料理の名前だと思った、というオチなのかな、と。

ということで、なぜ cheese も一緒に挙げたのか、についてはよくわからないのですが、少なくとも、そのジョーイのセリフを聞けば、ジョーイはこの本の内容を知らないということはわかりますよね。

この本のファンであるキャシーは、この初版本を入手するのがどれほど大変だったか、ということもわかってくれていました。
その言葉を聞いたことで、チャンドラーも今までの苦労が報われた気がしたでしょう。
嬉しさのあまり、舌が上手く回らず、Uhl..ell. と意味不明な言葉を発しています。
照れ隠しからか、今の言葉は Oh, well. と言おうとして舌がもつれちゃったんだよ、みたいに説明していますね。
キャシーが喜んでくれているのがわかって、叫びたいほど嬉しいはずのチャンドラーですが、「大変だったでしょ」という労いと感謝の言葉に、わざと気軽に「あぁ、まあね。」と返すつもりが、変に力が入りすぎてしまったようです。

ネットスクリプトでは、 You must really like... Joey と表記されていて、Joey と言うまでに少し間があるように書かれていますが、実際のセリフでは、それは「微妙な間(ま)」ですね。
キャシーはこの初版本の価値がよくわかっているので、それをくれたチャンドラーの気持ちに気付き始めているのかも…と思わせる「間」です。
この like... Joey の間がもう少し長いと、「こんなにしてくれるほど、あなたは私のことを…?」と一瞬言いそうになるのを飲み込んで Joey と言った感じが出ますが、今回はそこまでではない、ただ、ネットスクリプトを書いた人が ... を入れたくなるような雰囲気は確かにある、という感じがします。

go to all the trouble for... は「…のために骨を折る、…のために労を惜しまない」というニュアンスですね。
直訳すると「…のために全ての困難に向かう」というような感じでしょうか。
あらゆる困難を物ともせず、その人のために頑張る感じが出ている気がします。

「ここまでしてくれるなんて、ほんとにあなたは…ジョーイのことが好きなのね」と言ったキャシーに、チャンドラーは相槌を打ち、ジョーイが入っていった寝室を振り向いた後、キャシーの方を見るのですが、キャシーを見つめる顔が真剣で、完全に恋する男の顔になっています。
キャシーも、go to all that trouble for him と言いながらも、実は「私のためにそこまでしてくれるなんて(go to all that trouble for me) 」という気持ちも混ざっているはずで、チャンドラーの真剣な表情を見た時、「もしかして、あなたはやっぱり…」とちょっと焦った表情になっています。
が、ふっと力を抜いたように、「彼は俺の親友なんだ」と笑うチャンドラー。
この時のチャンドラーはとてもステキですね。
このハラハラするシーンを、英語で見ていながら、英語を見ていることを忘れるほど入り込めるようになれば「いい感じ」かな、と思います。


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2009年09月03日

what's sayという表現 フレンズ1-14その6

以前に、フレンズ1-14その5 のコメント欄 で、
what's say you and I give it another shot?
というセリフについてのご質問をいただきました。
今日はそれに対する私の見解を記事にしてみました。
本当はもっと早くお返事するつもりだったのですが、子供が夏休みの間はバタバタしてしまって、お返事がこんなに遅くなってしまいました。
誠に申し訳ありません。

このセリフは、偶然、料理店で再会した元妻キャロルと楽しい時間を過ごしたロスが、二人でもう一度やり直そう、みたいなことを言っているセリフです。
ご質問の内容は、上のセリフの「what's say という表現と it がわかりません」とのことでした。

まず、give it another shot の方から。
shot は「試み」ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
shot [noun]: ATTEMPT
[countable] an attempt to do something or achieve something
例) I've never tried before, but I'll give it a shot.

つまり、「何かをしよう、または何かを成し遂げようという試み」。
例文は、以前にやってみたことがないが、やってみようと思う。」

ロングマンの例文も、give it a shot というふうに it が使われていますが、その it は、今の状況を漠然と指しているのだと思います。
give it a shot で成句になっている、という感じでしょうね。
give は目的語を二つ取る他動詞で、it に another shot を与える、つまり、「今のこの状況に、もう一度試みを与える」ということから、「もう一度やってみる、もう一度チャンスにかけてみる」みたいな意味になると思います。
このセリフでは「二人がもう一度やり直してみる」みたいなことでしょう。

次に what's say について。
ネットスクリプトでは以下のようになっています。
ロス: You know? Here's a wacky thought. Um, what's say you and I give it another shot.
そして、DVDの英語字幕には、Let's say you and I give it another shot? と書いてあります。

実際に音声を聞いてみると、what's say に聞こえるような気がします。
でも、what's say という表現は、手元の英和や英英辞典には載っていません。

まずは、DVD字幕通りの、Let's say について見てみます。
Let's say だと「仮に…だと仮定してみましょう」という意味ですね。
LAAD では、
let's say:
said to ask someone to imagine something in order to discuss it or understand it better
例) If you found some money on the street -- let's say $100 -- what would you do?
let's say (that)
例) Okay, let's say he comes. Will you be happy to see him?


つまり、「何かを議論するために、またはそれをより良く理解するために、誰かに何かを想像するように言うために使われる」。
例文は、「君が通りでお金を見つけたとしたら…100ドルだと仮定しよう…君はどうする?」
「オッケー。彼が来ると仮定しよう。彼に会って嬉しいと思うかな?」

Let's say だとすると、セリフの意味は、「君と僕でもう一度やり直してみる、と仮定してみようよ。」になるでしょうか。

「what say ならみたことあるような」とのお話だったので、実際に映画やドラマのセリフで、What say が使われているかどうかを、映画やドラマのデータベースである、IMDb (Internet Movie Database)で調べてみました。
グーグルの検索ボックスに、site:www.imdb.com quotes what-say と入れると、IMDb のサイト内で、quotes (引用文、つまりサイトで引用されているセリフ)で、what say が使われているものが探せます。

ざっと見たところ、What say you? や、What say you to+名詞、あるいは、What say+文(SV)の形もあります。

What say you? については、Urban Dictionary に出ていました。
Urban Dictionary: What say you
What do you thik? のような意味のようです。

ですから、「What say you to+名詞」は、「…について/対してどう思う?」という意味でしょうし、What say+文(SV) は「SがVであることをどう思う?」みたいな意味になるのかな、と思います。

What do you say+文...? 「…はどうですか?」という、相手の意見を尋ねる表現がありますが、その do you が省略された形が、What say+文、なんだろうなぁ、と。

LAAD では、
what do you say?: used to ask someone if they agree with a suggestion
例) What do you say we split the two sandwiches?

つまり、「ある提案に同意するかどうかを誰かに尋ねる時に使われる」
例文は、「その2つのサンドウィッチを分ける、っていうのはどうかな?」

What say+文という形はそれなりに使われていそうだ、とわかったところで、では問題の What's say という表現です。
IMDb では、以下の2つのセリフを発見しました。

Quotes for Dr. Raymond Stantz (Character) from Ghost Busters (1984)
Ray Stantz: He's right... we do need to give you a name. Just to annoy Peter, what's say we call you Slimer?

Memorable quotes for Star Trek: Borg (1996) (VG)
Q: (一部省略) What's say we give the old goat a second chance to save Sprint's life?

とりあえず見つけたのは上の2例だけなので、頻出フレーズというほどではないですが、what's say という表現もアリなのかな?と思わせる結果ではあります。
この場合も意味としては、What say...? と同じでしょうね。

ただ、少々ひっかかるのは、What do you say が、What say になるのはいいとして、What's say とわざわざ -'s が付くのがどうにも違和感があるんですよ。
ネイティブがそんな略し方をするだろうか?と。
What でいいところを、わざわざ What's と言うと、何らかの省略形であることを示すことになり、その -'s は何の略?と他の人に思わせることになるような気がするのです。
日本人の話す英語だと、What を What's と言ってしまうような間違いはよくあると思うのですが、ネイティブは「意味もなく」 What を What's と言わない気がするんですよねぇ。

でも、IMDb に What's say と書いてあるセリフがあるわけですから、使う人もいる、ってことでいいのかなぁ?

仮に、What's say を What do you say 「…はどうかな?」のニュアンスで訳してみると、「君と僕とでもう一度やり直してみる、ってのはどうかな?」という提案になり、意味は通りますね。

上で引用した、IMDb にあったセリフも、
「君を Slimer と呼ぶのはどうだ?」
「その old goat に、スプリントの命を救う第2のチャンスを与えるのはどうだ?」と訳すとしっくり来る気がしますので。

ロスのセリフも、話の流れで言うと、「二人がもう一度やり直すって仮定しよう」よりも、「二人がもう一度やり直すってのはどうかな?」という提案の方がしっくり来るようには思います。
もちろん、Let's say 「仮定しよう」であったとしても、「そういう仮定を想像してみることで、君はどう思うかを考えさせる」わけですから、本質的な内容は同じことになるのでしょうが。
言葉としては、ここでは、What do you say...? のような「相手の意向を尋ねる」ニュアンスの方がぴったりくるかな?と思うのです。

くどくなりますが、セリフの流れを確認するため、この一連のセリフを以下にちょっと書いてみます。

ロス: You know? Here's a wacky thought. Um, what's say you and I give it another shot. (ねぇ、変なこと考えちゃった。君と僕とがもう一度やり直すってのはどう? [(Let's say なら) 君と僕とがもう一度やり直すと仮定してみようよ 。])
キャロル: Ross.... ([困ったように] ロス…)
ロス: No no no. I know what you're gonna say. You're a lesbian. But what do you say we just put that aside for now, you know? Let's just stick a pin in it, okay? Because we're great together, you know? You can't deny it. And besides, you're carrying my baby. I mean, how perfect is that? (いやいやいや。君が何て言うつもりかわかってるよ。君はレズだ。でも、とりあえず今はそのことを脇に置いておくっていうのはどうかな? それにはただピンを刺しておこうよ、いいだろ? だって僕らは二人で最高だっただろ。君はそれを否定できないはずだ。その上、君は僕の子供を妊娠してる。つまり、それってすごくパーフェクトじゃないか。)
ロス: Ross.... (ロス…)

2番目のロスの長セリフの中に、But what do you say we just put that aside for now, you know? というのがあり、上で関連表現として紹介した、what do you say...? の形が登場していますね。

仮定してみようよ、と言う場合は、「それを仮定することでこうなるはずだ、というロスの見解」がどこかで述べられるような気がします。
Let's say という表現は、大事なことを言うための前振り表現のように思うのですね。
今回のセリフの場合は、ロスが自ら、a wacky thought (ばかげだ、突飛な、奇抜な考え)と表現した上で、「君と僕、もう一度やり直さないか?」とキャロルに思い切った提案していることがメインテーマになると思うのです。
ですからその大事な部分を Let's say と仮定の表現で言うのは、インパクト不足のような気がするのです。

その後のセリフも、そう仮定したらどうなるか、の説明ではなくて、僕の提案を君は突拍子もないことだと思うだろうけど、実は何も不思議なことはなくて、それが一番自然な姿なはずなんだよ、ということを、because の後に理由を続けて、「二人がもう一度やり直すこと」の正当性を訴えていますね。

そういうことからも、Let's say よりも、What do you say のニュアンスに近いような気がするので、What's say というのは、What do you say のニュアンスで使っている、と考えた方がいいように思う、ということです。

今の私の見解は、
1. ロスのセリフは、Let's say ではなくて、What's say と言っているらしい。
2. What's say は、What say と同じような表現で、What do you say...? の意味らしい。
ということになります。

以上、大変長くなりましたが、what's say とそれに似た表現を比較したものとして、今回の記事を読んでいただければ幸いです。


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posted by Rach at 06:53| Comment(4) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月02日

犯罪と戦う名コンビ フレンズ4-6その6

お葬式でのケータリングの仕事を終えたモニカとフィービーが、セントラルパークに帰ってきます。
レイチェル: Hey, how'd the catering go? (ねぇ、ケータリングはどうだったの?)
モニカ: Oh, it was great! The widow wouldn't pay, so Phoebe yelled at her till she did. (あぁ、最高だったわ! 未亡人がお金を払おうとしなかったの。それでフィービーが、彼女が支払いをするまで怒鳴ったの。)
フィービー: Yeah. I'm a hard-ass. (えぇ。私はタフな女なのよ。)
モニカ: And I'm a wuss. And we should be partners. (そして私は弱虫なの。だから私たちはパートナーになるべきね。)
フィービー: Yeah. Hard-ass and wuss. We could fight crime. (そうね。ハードアス&ウス。私たちなら犯罪と戦えそうね。)
モニカ: Wait a minute, Phoebe. We should be partners. We should be catering partners. I mean, think about it. You're not working right now, and we have such a great time together. (ちょっと待って、フィービー。私たちは(冗談じゃなくて本当に)パートナーになるべきよ。私たちはケータリング・パートナーになるべきなの。つまり、考えてみて。あなたは今現在、働いていないわ[失業中だわ]。そして、私たちは(一緒にケータリングすることで)あんなに最高の時間を一緒に過ごせるのよ。)
フィービー: Okay. (そうね。)
モニカ: I can cook and you can take care of the money. (私は料理を作れる、そしてあなたは金銭面を引き受けることができるのよ。)
フィービー: Yeah. Oh! It'll be like I have a wife in the '50s! (そうね。まあ! 私はまるで 50年代の妻を持ったみたい。)
二人とも(Both): (screaming with excitement) Aah! ([興奮して叫びながら] あー!)

ケータリングの結果をレイチェルに語って聞かせるモニカたち。
未亡人は、支払いをする時になると、急に泣き出したりして、なかなかケータリングの料金を払おうとしませんでした。
そのことを、The widow wouldn't pay. と表現していますね。
この wouldn't は「拒絶」を表しますね。
The door would not open. 「ドアはどうしても開かなかった。」などの例文でよく説明される would です。

未亡人が泣いたふりをしているのにひるむことなく、大声で支払いをきっちり要求したフィービーは、自分のことを hard-ass だと言っています。
英辞郎によると、
hard-ass=【名】〈米・卑俗〉頑固者
【形】〈卑〉固い、頑固な、強硬な、タフな、攻撃的な、非妥協的な


ass という卑語が使われているので、hard-ass も卑語になりますから、むやみには使わない方がよい言葉のようです。
が、何を言われてもびくともしないタフな感じが出ていますね。
相手が何とか支払いから逃げようとするので、「私はそんなウソにひるんだりしない強い女なのよ」みたいな感じで、わざとそういう下品な言い回しを使ったということでしょう。

hard-ass という言葉を聞いて、モニカは自分のことを wuss だと言っています。
wuss は「弱虫、意気地(いくじ)なし、根性なし」で、発音はウス。
フレンズ3-9その6 などにも出てきました。

フィービーはタフで、モニカは意気地なし、だから二人一緒に行動するとうまくいく、私たちはいいコンビなのよ、と言うモニカに、Hard-ass and wuss. We could fight crime. とフィービーは続けます。
対照的な意味合いを持つ、hard-ass と wuss という言葉であり、さらに、ass と wuss が「アス」と「ウス」で韻を踏んでいて、コンビ名としてもゴロがいいわけですね。
ハード&ウス、というコンビとして犯罪と戦える、つまり、刑事モノの buddy movie のように、二人は相棒としてコンビを組めそうね、組むべきね、と言っているのです。
今回のように、支払うべき支払いから逃げようとする悪と戦う、というイメージでしょう。

「強い女、ハードでタフなやつ」という意味を表す表現はいくつもあると思いますが、今回は wuss との組み合わせを考えて、hard-ass という言葉をフィービーに言わせた、というのが、脚本家の意図でしょうね。

私がダメな部分をフィービーが補ってくれるので、パートナーになるべきなの…と言ったモニカですが、それが今回に限ったことではなくて、これからもずっとそうしたらどう?とモニカは提案しています。
マッサージの仕事をクビになったフィービーはただいま失業中だし、一緒に組んで仕事をしたら、さっきみたいに楽しく仕事ができるわけだしね、ということです。

私はシェフだから料理担当で、あなたは hard-ass でお金の取り立てがうまいから(笑)、お金を扱う方の担当ね、と言うモニカ。
それを聞いてフィービーは、自分は 50年代の夫になった気分だ、と言っています。
ほとんどが専業主婦だった1950年代は、妻は家で料理を作り、夫は外でお金を稼いでくるのが一般的だったわけですが、まるでその頃の夫婦の役割分担みたいね、と言っているのですね。
「私は料理を作るから、お金を稼いで来てね」と妻に言われた夫の気分よ、ということです。


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posted by Rach at 06:54| Comment(5) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする