2011年07月08日

ベガスでは簡単に結婚できちゃう フレンズ5-24その6

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チャンドラーとモニカは、今夜ここで結婚することを決心します。
[Scene: A Little White Chapel, Chandler and Monica are entering.]
ア・リトル・ホワイト・チャペル。チャンドラーとモニカが入ってくる。
チャンドラー: Hello! One marriage, please. (ハロー! 結婚を1つ、お願い。)
モニカ: Yep, we wanna get married! (そうなの、私たち、結婚したいの!)
接客係(The Attendant): Well, there's a service in progress. Have a seat. (あのー、式が1つ進行中なんです。席にかけて(お待ち)下さい。)
チャンドラーとモニカ: All right. (了解。)
(They both sit down.)
二人とも座る。
チャンドラー: (singing) Dum! Dum-dum-dum! Dum! Dum! Dum! Dum-dum-dum! ([歌いながら] ♪ダーン! ダダダン、ダーン! ダーン! ダーン! ダダダン、ダーン♪)
モニカ: What are you doing? (何やってるの?[それは何?])
チャンドラー: Oh, that's the "Wedding March." Does, does that freak you out? (あぁ、今のは「結婚行進曲」だよ。今の曲でモニカはパニクる?)
モニカ: No, only because that's the graduation song. (いいえ(パニクらないわ)、だって、それはただ、卒業式の曲だから。)
(The real Wedding March begins playing from behind the closed doors of the chapel.)
閉じたチャペルのドアの後ろから、本物の結婚行進曲が流れ始める。
チャンドラー: Okay! (Stands up and claps his hands) This is it! We're gonna get married! (よし![立ち上がり、手を叩く] いよいよだ! 俺たちは結婚するぞ!)
モニカ: Are you sure you wanna do this? (結婚したいっていう気持ちは確かなの?)
(Suddenly the doors burst open, and ROSS AND RACHEL COME OUT ARM-IN-ARM!!!!! And Rachel's carrying a bouquet!!! THEY GOT MARRIED!!!!)
突然、ドアが勢いよくパッと開いて、ロスとレイチェルが腕を組んで出てくる!! そして、レイチェルはブーケを持っている!! 二人は結婚したのだ!!)
ロス: Well, hello, Mrs. Ross! (Throws some rice.) (あぁ、ハロー、ミセス・ロス[ロス夫人]! [ライスを投げる])
レイチェル: Well, hello, Mr. Rachel! (Throws some more rice.) (あぁ、ハロー、ミセス・レイチェル[レイチェル氏]! [さらにライスを投げる])
(They storm out into the street.)
二人は(教会の外の)道に勢いよく飛び出す。
レイチェル: Wait. (Gets her bearings) Okay. (待って。[方向を確かめて] よし。)

サイコロでハード8の目が出たため、宣言通り、今夜ここで結婚することにしたチャンドラーとモニカ。
ト書きにもあるように、A Little White Chapel というチャペルが画面に映りますが、これはラスベガスに実在する有名なチャペルです。

公式サイトはこちら。
A Little White Wedding Chapel, Las Vegas, Nevada
ウィキペディアもあります。
Wikipedia 英語版: The Little White Wedding Chapel

そのウィキペディアでは、このチャペルについて、最初にこう説明されています。
... has been the site of many "quickie" celebrity weddings. It is noted for its Drive-Thru Tunnel of Vows.
つまり、「(そのチャペルは)、多くの「急ごしらえの(急ぎの)」セレブの結婚式の場所となってきた。その「誓いのドライブスルー・トンネル」で有名である。」

その説明の横に、その「ドライブスルー・トンネル」の写真も出ています。
また、少し後の説明には、そこで結婚式を挙げた有名人として、フランク・シナトラ、ブリトニー・スピアーズ、ブルース・ウィリス&デミ・ムーアなどの名前が挙げられています。
また、テレビ番組にもよく使われる例として、「フレンズ」の名前が出ているのも、嬉しいところですね。

quickie と説明されていたように、「簡単に、すぐに結婚できちゃう」というのがこのチャペルのウリのようです。
その「すぐに」が究極の形になったのが、「ドライブスルー」なんですねぇ。
「ドライブスルーで結婚式?!」と普通は驚いてしまうところですが、このチャペル、日本のテレビ番組でも取り上げられていたことがあります。
その番組は、2010年10月31日に放映された「世界の果てまでイッテQ!」。
その時の放映内容が、以下のサイトで紹介されています。
世界の果てまでイッテQ! 放送内容 珍獣ハンターイモトワールドツアー 〜アメリカ横断ツアー〜

内容をスクロールしていくと、6番目に出てくる写真、それが今回フレンズに出てきた、「ア・リトル・ホワイト・チャペル」です。
私はこの番組を生で見ていたのですが、「あ、これって、フレンズに出てきたチャペルだ!」と気づいて、すごく嬉しかったのを覚えています。

その「イッテQ!」の説明にもあるように、「ラスベガスには結婚式場が多い」「ラスベガスのあるネバダ州は身分証明書さえあれば簡単に結婚ができ、法的にも認められる」のですね。

「イッテQ!」では実際に、イモトさんがその「ドライブスルー結婚式」を再現していました。
オープンカーのリムジンに乗ってきた新郎新婦が窓口の前に車を止めると、牧師さんが窓から身を乗り出して「永遠の愛を誓いますか?」と語りかける…みたいな感じでした。
その番組では、「式の費用は今ならなんと、8,000円ポッキリ」(笑)と説明されていましたので、ほんとにお手軽なんですね。

ちょっと、このチャペルの説明が長くなってしまいましたが、そのようにベガスには結婚式場がたくさんあって、他の州に比べるとものすごく簡単に結婚できてしまう、ということが意識の中にあるために、チャンドラーも、「今度、ハード8の目が出たら、今晩ここで結婚しよう」ということを言ってしまったわけですね。
で、実際に結婚するぞ、となった時に、登場したのがこの quickie で有名な、ア・リトル・ホワイト・チャペルだった、というのも自然な流れになるわけです。

チャンドラーがチャペルに入ってきた時、"One marriage, please." のように、まるでファストフードでメニューを注文するみたいに気軽な感じで言っているのも、「お手軽で早い」のがウリのチャペルに合わせて言ってみたセリフなのでしょう。

there's a service in progress の service は「(礼拝の)式、儀式」。
memorial service なら「告別式、追悼式」ですね。
in progress は「進行中で」なので、「進行中の式が1つあります、式が1つ進行中です」ということになります。
今、別の人が挙式中なので、座って待ってて下さい、ということです。

チャンドラーは、ダーン♪と言いながら、ある曲を歌っています。
「何それ?」と聞かれたチャンドラーは、「結婚行進曲だよ。そんなのを俺が歌うと、モニカはビビっちゃうかな?」と、余裕のある発言をしていますが、モニカは No. と否定して「ううん、ビビったりしないわよ」と言った後、only because that's the graduation song と言っています。
only because は「ただ…だから、ただ…という理由で」。
ビビらないのは、結婚するのにまだ躊躇する気持ちがあるとかないとかの問題じゃなくて、あなたが今歌ったのが、結婚行進曲じゃなくて、卒業式の曲だからよ、と言っていることになります。

モニカの言う通り、チャンドラーが歌っていたのは、卒業式で使われる、エルガー作曲の「威風堂々」(Pomp and Circumstance)ですね。
この曲は、過去記事、アメリカの卒業式の曲 フレンズ3-10その32 にも出てきました。
レイチェルがウェイトレスを卒業する最後の仕事の時に、フレンズたちがこの曲をハミングしていたんでしたね。
その記事でこの曲についてもう少し詳しく説明してありますので、興味のある方は合わせてご覧下さい。

チャンドラーは自分が余裕なところを見せようと、結婚行進曲を歌ったつもりが、実はそれは卒業式の曲だった、というオチなわけです。
私も聞いた瞬間、「それは卒業式の曲やろっ!」とツッコミを入れそうになりましたので(笑)、この曲を知っている人にとっては比較的わかりやすいジョークだったと言えそうです。

チャンドラーが歌うはずだった結婚行進曲が厳か(おごそか)に流れてきて、This is it! 「いよいよだ!」と立ち上がるチャンドラー。
コミットメント恐怖症のかけらも見えないチャンドラーに、モニカは最後の確認として、Are you sure you wanna do this? と聞いています。
「あなたがこれをしたい[こんな風に結婚式を挙げたい]と思っているのは自分で確かだと思う?」みたいなことですね。
ほんとにこんな風に結婚したいと思ってるの?、大丈夫?、本気なの?という確認です。

それに対してチャンドラーが何かを答える前に、式場のドアがバーンと開いて(まさに、burst open という形容がふさわしい)、何と、ロスとレイチェルの二人が登場します。
それも腕を組んで、レイチェルはブーケまで持って!
この状況を見れば明らかに「ここで今、結婚式を挙げたばかりの二人」であることは明白ですね。
ト書きを書いた方も興奮気味に大文字で書いておられますが、まさに観客も、チャンドラー&モニカもびっくりの展開になっています。
二人はお互いを、Mrs. Ross, Mr. Rachel などとトンチンカンな名前で呼び合い、結婚式で恒例のライスシャワーをお互いにかけあっています。
そのままチャペルのドアを開けて、一瞬、我に返ったように静かになった後、二人は左右別々の方向に歩いていってしまいます。
今回のエピソードでは、ロスとレイチェルがかなりのお酒を飲んでいましたので、その酔っぱらった状態がまだ続いていることがこの行動からわかりますね。

さあ、結婚するぞ!と意気込んでいたはずのチャンドラーとモニカは、思いがけない先客に、声も出ない様子で茫然としています。
エルビス・プレスリーの、Viva Las Vegas が流れ、二人の驚いた顔を映しながら、シーズン5は終了します。
結婚しようとしていたチャンドラーとモニカはこの後どうするの?、酔っぱらった勢いで結婚してしまったらしいロスとレイチェルはどうなるの?というクリフハンガー状態で、シーズン6へと続きます。

チャンドラーとモニカが結婚を決意するという話もびっくりでしたが、ロスとレイチェルがそれより先に式を挙げてしまっていたのも、「簡単に結婚できる」ベガスならではのお話ですね。
ア・リトル・ホワイト・チャペルが象徴する、そういうベガスのイメージが、シーズン5のラストにうまく結びつき、次のシーズンへと続く盛り上がりを生んでいる…。シーズン終わりの舞台をベガスに設定したことで出来た、効果的な演出だと思いました。


今日でシーズン5は終わりです。
来週からは、シーズン6に突入します。
1つのシーズンが終了し、次のシーズンに突入できる時、いつもとても幸せな気持ちになれます。
読んで下さる読者の皆様がおられるからこそ、こうして続けていくことができます。
これからもどうぞよろしくお願いいたします!


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posted by Rach at 17:18| Comment(4) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月06日

あなたが決めて フレンズ5-24その5

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次にハード8(2つのサイコロで4のぞろ目)が出たら、今夜ここで結婚しよう!と言ったチャンドラー。
モニカはびっくりしながらも、チャンドラーが本気でそう言っていると知り、次のサイコロを投げます。
(She rolls the dice, but one bounces out of the table.)
モニカはサイコロを転がす、が、一つはテーブルの外に飛び出る。
チャンドラー: (spots one) Okay! That's a four! And where-where's the other one? ([1つ目を見つけて] よし! それは4だ! で、もう1つのはどこ?)
酔っ払いギャンブラー: It went under the table. (テーブルの下に行ったぞ。)
モニカ: Nobody move! (To Chandler) Okay, you look that way, I look this way! (誰も動かないで! [チャンドラーに] いいわ、あなたはそっちを見て、私はこっちを見る!)
チャンドラー: All right! (わかった!)
(He searches to his right; she searches to her left. They're both on their hands and knees when they spot the die. It's propped up against the table leg, and it's not lying flat. Both the four and the five are showing.)
チャンドラーは右側を捜し、モニカは左側を捜す。二人ともサイコロを見つけるのに、四つん這い(よつんばい)になっている。そのサイコロはテーブルの脚に寄りかかっていて平らになっていない。4の面と5の面の両方が見えている。
チャンドラー: Here it is! Here it is! (ここだ! ここにある!)
モニカ: That could be a four or a five.... It's your call. (それだと4にも見えるし、5にも見えるわ…。あなたが決めて。)
(Pause.)
しばしの間(沈黙)。
チャンドラー: It's a four. (4だ。)
モニカ: I think so too. (私もそう思うわ。)

ト書きの spot は「…を見つける」ですね。名詞では「場所、地点」という意味なので、ある地点に何かがあるのを見つける、という感覚です。
1つは4で、もう1つは机の下に転がったと知り、二人はそのサイコロを捜します。
Nobody Move! と手を広げて叫んだり、「あなたはそっちを見て、私はこっちを見るから」のようにチャンドラーに指図している様子が、いかにもモニカ、な感じですね。
こういう場合にモニカが仕切り、チャンドラーがそれに従う、というのが、このカップルらしいところなのでしょう。
二人が机の下を捜して、サイコロがどんな状態になっているかを書いているネットスクリプトのト書き、こういう文章は参考になる部分が多いですね。
on their hands and knees というのは「手と膝をついて」ということですから、つまりは「四つん這いになって」ということ。

It's propped up against the table leg の prop は「〜を(…で)(倒れないように)支える、つっかい棒をする」「〜を(…に)立てかける、寄りかからせる、もたせかける、支える」。

研究社 新英和中辞典には、
He propped his bicycle (up) against the wall. 「彼は自転車を壁に立てかけた」
という例文が出ています。
壁にもたれる、壁で支える形にして、自転車が倒れないように立てている感覚ですね。

It's propped up against the table leg. は、受動態の形になっていて、「それ(2つ目のサイコロ)は、テーブルの脚に寄りかかる形で支えられていた」のような意味になるでしょう。
今回のエピソードでは、フレンズ5-24その2 にも、この be propped という表現が以下のト書きに出てきました。
He's propped up with his hand on a statute of a naked guy.

そのト書きの日本語訳を、私は「チャンドラーは、裸体の男性像の上に手を置いて自分の体を支える」と書きましたが、厳密に訳すと、「チャンドラーは裸体の男性像の上に[像に接触する形で]自分の手で支えられている」となるでしょうか。
前から意味を取っていくと、「彼はどこかに寄りかかり支えられていて、それは自分の手を使って支えられていて、接触している対象物は裸体の男性像である」という流れになるでしょう。

TOEIC Part 1 の写真問題で「(はしごなどが)(ビルなどに)立てかけられている、寄りかかっている」という場合に、lean against (be leaning against) というフレーズがよく出てくるように思います。
lean は基本的に「もたれる、もたれかかる、寄りかかる」という自動詞で使われるので lean agasint という能動態の形、prop は「〜を支える、…を寄りかからせる」という他動詞なので、be propped up against という受動態の形になる、という違いにも注意したいところです。

lie flat は「平らに横たわる」ですから、it's not lying flat は、通常のサイコロのように、1面が下になってその反対面が真上を向く形になっていないことを指します。
つまり、平らな状態ではなくて、テーブルの脚にもたれたように斜めになっていた、ということですね。
斜めになっているために、4の面と5の面の両方が見えている、ということになります。
そのサイコロの状態を映像で見ていれば、このト書きの意味はすんなり理解できますが、逆にこのサイコロの状態を英語で表現しろと言われて、be propped up against や lie flat を使ったこういう文章がすっと出てくるかと言われると、ノンネイティブにはなかなか難しいような気がします。
「ト書き」は、映像で見えている状態や動作を文字として的確に表現してくれているわけですから、そういうものも積極的に自分の表現として取り入れていけるといいですね。

That could be a four or a five. は、「それは4の面にもなりうるし、5の面にもなりうる」というような感覚。どちらにとることも可能だ、というようなニュアンスです。

It's your call. は「あなたが決めて」。It's your choice. や、It's up to you. と同じような意味です。
元々は、スポーツでの「(審判員の)判定、決定」という意味から、「それはあなたの判定よ、あなたが決めることよ」→「あなたが決めて」というニュアンスになるわけですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
call [noun] :
DECISION
a) a decision made by a referee (= judge) in a sport game
b) (informal) a decision
例) "Where should we eat tonight?" "I don't know, it's your call."
a hard/easy call (= a difficult or easy decision)
例) This is not an easy call.
Guilty or innocent? You make the call (= decide).


つまり、a) は、「スポーツの試合で、審判(レフェリー、ジャッジ)によってなされる決定」
b) は、「(インフォーマル) 決定」
例文は、「今夜はどこで食べたらいいかな?」「わからないわ、あなたが決めて」
a hard/easy call は、「難しい決定、簡単な決定」
例文は、「これは簡単に決められることではない」
「有罪か無罪か? 君が決めてくれ」

4とも5ともとれるこの目を、4だと言えばハード8になり、今夜ここで結婚、5だと言えば合計8ではなくなるため、結婚しない、ということになります。
結婚するかしないかの判断がチャンドラーに委(ゆだ)ねられたわけですが、チャンドラーは優しく微笑みながら、「4だ」と断言します。
男女の深く真剣な付き合いに対して尻込みしてしまう「コミットメント恐怖症」だったチャンドラーが、自分の判断でそう宣言したことで、モニカはうっとりした顔になり、観客もおぉ!とどよめいています。
ドラマならではの出来過ぎた演出ではありますが、いつもはモニカが何もかも仕切っている形になっていても、ここぞという時は「モニカがそう言うなら…」という他人任せではなく、チャンドラー自身が判断し決めて欲しいというモニカの女心が感じられ、微笑ましく幸せなシーンだなと思いました。


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posted by Rach at 14:39| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月04日

ハードエイトとイージーエイト フレンズ5-24その4

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クラップス(サイコロ2つの目を当てるゲーム)で絶好調のモニカ。隣にはチャンドラーがついていて、二人の周りには人だかりができています。
モニカ: Okay, good. Okay, what do I want now? (オッケー。それでいいわ。で、今度は何(の目)が欲しい?)
チャンドラー: Ahh, ooh, try a hard eight. (あー、うー、ハード8(エイト)でどう?[ハード8でやってみて])
モニカ: What? (何?)
チャンドラー: Two fours. (4が2つだよ。)
モニカ: Okay. (Rolls the dice) (わかった。[サイコロを転がす])
賭博の胴元(The Croupier): Eight! (8です!)
酔っ払いのギャンブラー(A Drunken Gambler): (To Chandler) Don't you let her go. You're a lucky guy! ([チャンドラーに] 彼女を手放すなよ。お前はラッキーな男だ!)
チャンドラー: Thank you, Mr. Drunken Gambler! Okay, you get this and uh, we get the biggest suite in the place! (Everyone cheers) Wait-wait-wait-wait! We (motions to Monica and him.) get the biggest suite in the place. (ありがとう、ミスター・酔っ払いギャンブラー! よし、モニカがこれをゲットしたら[これに成功したら]、俺たちはこの場所で一番大きなスイート(ルーム)をとるぞ! [みんなは歓声を上げる] 待って待って待って待って! 俺たち[チャンドラーは、モニカとチャンドラー(自身)を身振りで示す]が、この場所で一番大きなスイートをとるんだ!)
モニカ: All right. The biggest suite in the place. Come on! (Rolls the dice.) (わかった。この場所で一番大きなスイートね。来い! [サイコロを転がす])
チャンドラー: (sees the roll) Yes!! I love you! I can't even remember what we were fighting about! ([サイコロの振りを見て] よし! 愛してるよ! 俺たちが何のことで喧嘩してたのか思い出すことすらできないよ!)
モニカ: Oh, that's because I had lunch with Rich-- Me neither! Okay, what do I want now? (あぁ、それは私がランチを食べたからよ、リチャ…。私も思い出せないわ! よし、今度は何の目が欲しい?)
チャンドラー: Another hard eight. (もう1回、ハード8だ。)
モニカ: Hard eight? Let's call it easy eight! (ハード8? イージー8って呼びましょうよ!)
チャンドラー: Okay, okay, I'll tell you what. You roll another hard eight... (pause) and we get married here tonight. (オッケー、オッケー。ねぇ、こういうのはどうかな。モニカがもう一度、ハード8を出したら… [しばしの間] 俺たちは今夜ここで結婚するぞ。)
酔っ払いのギャンブラー: Go! Come on! Roll! (行け! やれ! 転がせ!)
みんな: Roll-roll! (転がせ、転がせ!)
モニカ: Shut up! It just got interesting! (黙って! ちょうど面白くなってきたところなのよ!)

仲直りしたチャンドラーが隣にいる状態で、モニカはサイコロを転がしています。
what do I want now? は、モニカが次はどんな目を出すかを、自分で決めないで隣のチャンドラーに決めてもらっている感覚ですね。
「今度は私は何の目が欲しい?」ということで、これから投げるのにどの目を狙って投げたらいいかなぁ?とチャンドラーに尋ねている感じになるでしょう。
チャンドラーは、hard eight にトライしてみて、と言っています。
モニカは一瞬、何?と聞き返していますが、チャンドラーは4が2つだと説明してくれていますね。
彼の説明によると、2つのサイコロを転がして合計8になる、それも4が2つのぞろ目で8になることを「ハード8(エイト)」と呼ぶようです。

その後、実際に転がして、2つのサイコロの目の合計が8になり、そばで見ていた酔っ払いのおじさんが「彼女を手放すなよ」みたいなことを言っています。
Don't you let her go. は、Don't you...? という否定疑問文ではなく、Don't を使った否定命令文の強い形ですね。
Don't let her go. 「彼女を(どこかへ)行かせるな」→「彼女を手放すな」を強調する形で、省略されている主語 you をつけたものが、You don't let her go. となり、それを倒置にしてさらに強調したのが、Don't you let her go. の形になります。

チャンドラーは、you get... we get の形を使って、「モニカが…をゲットしたら、俺たちは…をゲットする」のように言います。
get は非常に幅広く使える単語なので、その後に続く目的語によって、いろいろな日本語の動詞を当てはめることができます。
そのため、日本語に訳そうとする場合、どういう単語にしようかと一瞬迷ってしまうところですが、逆にその汎用性を利用して、とにかく何かを「ゲットする」んだ、というくらいの大きな広いイメージで捉えていた方が、そういう迷いがない分、タイムラグなしにニュアンスをすんなり理解できる気がします。
英語を英語のままで理解する場合には、get の基本的な語義である「得る、手に入れる」というイメージをきちんと理解できていればそれで問題ない、ということになるでしょう。
今回のセリフも、モニカが get this するというのは、あえて日本語で言うと「これを取る」という感じ、今から投げようとしているサイコロの勝負に勝つことを意味します。
get the biggest suite は、「一番大きなスイート(ホテルのスイートルーム)をとる」、つまり、「部屋をとる、予約する、そこに泊まる」ことを示します。
the biggest suite in the place は、「この場所で最大のスイート」、つまり、このホテルで一番大きなスイートということ。

「次のゲームも当てたら、一番大きなスイートをとるぞー!」と言った後、周りで見ていた観客も歓声を上げていますが、チャンドラーは「みんなは誤解してるようだけど、we っていうのは、ここにいるみんなのことじゃなくて、俺たち二人のことだからね」としぐさで示しています。
みんなでその部屋でどんちゃん騒ぎをするとかじゃないからね、と釘を刺している感じでしょう。

ト書きの see the roll の roll は「(サイコロの)ころがし、一振り」という感覚。
サイコロがころがって、その結果の目を見る、というのが、see the roll のニュアンスでしょう。
またもや、目が当たり、大喜びのチャンドラーは、「俺たちが何のことについて喧嘩していたのか、思い出すことすらできないよ!」と叫んでいます。
モニカは、「それは私が…したからよ」と正確な理由を言おうとしますが、せっかく仲直りしたのに、またその喧嘩の原因を思い出させるようなことを言うこともない、と気づいて、Richard という名前の途中で言うのをやめ、「私も思い出せないわ」と言ってごまかします。
I had lunch with Rich-- のように、途中で言うのをやめた英語を、そのニュアンスを出して日本語に直すのは難しいですね。
日英では文章の構造が異なるので、自然な日本語では「私がリチャードとランチを食べた」のように、どうしても、「リチャードと」が「ランチを食べた」の前に来てしまいます。
「リチャードと」と言いかけて途中でやめた「リチャ…」みたいなニュアンスを日本語に出そうとすると、「私がリチャ…とランチを食べた」ではおかしいし、「私があの人とランチを食べたからよね、ほら、リチャ…」みたいに言うと、ものすごくわざとらしいセリフになってしまいます。
英語の構造が、「私はランチを食べた、リチャードと」という形であるために、with Rich-- で絶句するのが自然になるわけですが、日本語の場合はその with 「…と一緒に」が前に来ることもありませんから、「あぁ、それは私がリチャ…」くらいで絶句することになり、「誰かとランチを食べたけど、その相手が問題だった」というニュアンスを日本語に出すのがどうしても難しくなる、ということです。

次の目をチャンドラーに相談するモニカ。チャンドラーはまた、ハード8だと答えます。
チャンドラーが何度も hard eight だと言うのを聞いて、モニカは、hard eight って言うけど、easy eight って呼びましょうよ、みたいに言っています。
これは、hard と easy を、「難しい」と「簡単な」のニュアンスで使っているようですね。
合計が8になるにしても、それが4のぞろ目だとより確率が低くなる、だから、4の目2つの8をハード8と呼んでいるのでしょうが、モニカは今、絶好調で、ハード8を出すのがそんなにハードな(難しい)気がしない、だから、「こんなのはハード8じゃなくて、私にとってはイージー(簡単な)8よ、だからイージー8って呼んで」と言っている、自信満々の強気なセリフなのかなと思いました。

この hard eight のニュアンスについては、以下の Urban Dictionary の説明が詳しいです。
Urban Dictonary : hard eight
その説明によると、2つのサイコロの合計が8になる組み合わせ(combination)のうち、6と2、3と5は、the easy way で、4と4の組み合わせが、the hard way であるとのこと。
やはり、そのように数が同じ「ぞろ目」の組み合わせを、hard numbers と呼ぶようです。
その語義にも、easy と hard が使われていることからも、ツキまくりのモニカにとっては、4と4の組み合わせさえ、hard じゃなくて、easy だわ、と言っていることになるでしょう。

ちなみに、ウィキペディアで hard eight を調べると、
Wikipedia 英語版: Hard Eight
Hard eight describes a dice roll in the game of craps wherein each of two dice land on "four."
と出ています。
つまり、「ハードエイトは、クラップスのゲームで、2つのサイコロのそれぞれが4で着地する[4の目が出て止まる]というサイコロのころがしを意味する」。

また、その説明の後に、
The term may also refer to: として、Hard Eight (film)Hard Eight (novel) が存在することも示されています。

allcinema : 映画「ハードエイト」 によると、1996年のアメリカ映画のようですが、日本では劇場未公開のようです。
やはり、ギャンブラーやカジノにまつわるお話のようですね。

それまでも次が当たりだったらこうする…みたいにいろいろ言っていたチャンドラーですが、ここで、ものすごい提案をしています。
次にもう1回、ハードエイトを転がしたら、つまり、ハードエイトの目を出したら、俺たちは今夜ここで結婚する!という宣言です。
観客からもオー!という声が上がっていますし、モニカはチャンドラーを見つめて固まっています。
ゲームを見ている人たちは、「やれ、転がせ!」とはやし立てますが、モニカは Shut up! と言ってみんなが騒ぐのを制していますね。
get interesting は「興味深くなる、面白くなる、面白くなってくる」ですから、It just got interesting! は「ちょうど面白くなってきたわ、面白くなってきたところなのよ!」という感じでしょう。
みんなは茶化すように騒ぐけど、こちらは人生がかかった真剣な話なのよ、それまでのお遊びのゲームじゃなくて、話がにわかに興味深いものになってきたんだから、他人はちょっとの間、黙ってて!みたいな気持ちなのでしょうね。


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posted by Rach at 16:32| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年07月01日

変な人は他にもたくさんいる フレンズ5-24その3

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ベガスに来る飛行機の中で喧嘩状態になったロスとレイチェル。
お互いを困らせようといたずらを繰り返した挙句、ロスは眠っているレイチェルの顔に、ペンでヒゲの落書きをします。
その落書きがどうしても消えないので、ロスは、ペンのインクを落とすにはどうしたら良いかを(おそらくペンのメーカーに)電話で尋ねています。
しばらく電話で話した後、
ロス: Okay, thank you! (Rachel gets excited at his tone.) (Hangs up the phone) Yeah, it's not coming off. (オッケー、ありがとう! [レイチェルはロスの声の調子(トーン)に胸を躍らせる] [ロスは電話を切る] あぁ、インクは落ちないって。)
レイチェル: What? What else did he say? (何ですって? その人は他に何か言ってた?)
ロス: Umm, he said he thought I was funny, so.... (Rachel stares at him.) Okay, look-look umm, let's just go downstairs, we'll have some fun and you will forget all about it. (うーん、あなたは面白い人ですね、って言ってた、それで… [レイチェルはロスをじっと見る] よし、ねえ、ただ下に[下の階に]行っちゃおうよ、僕たち楽しめるよ、そしたら君はその件のことを全部忘れるさ。)
レイチェル: Ross, no! There is no way I am leaving this room looking like this! (ロス、だめよ! こんな姿でこの部屋を出るなんて絶対に無理よ!)
ロス: Oh, come on, Rach. It's-it's not that bad. (もう、いいじゃないか、レイチェル。そんなにひどくないよ。)
レイチェル: Ross, I am a human doodle! (ロスは、私は人間のいたずら書きなのよ!)
ロス: Look, just because some idiot drew on your face doesn't mean you shouldn't have any fun, okay? Besides, hey-hey-hey, no one's even gonna look at you, okay? This is Vegas! Hello? There are tons of other freaks here. (Rachel turns around and glares at him.) There are tons... of... freaks here. No other. No. Come on. No one will notice. I swear. (ねえ、ただどこかのバカが君の顔に(絵を)描いたからって、それで、君は何も楽しむべきじゃないってことにはならないよ、だろ? それに、ほらほらほら、誰も君を見ることさえしないよ、そうだろ? ここはベガスだ! いいかい? ここには他にも変なやつはいっぱいいるんだよ。[レイチェルは振り向いて、ロスをにらむ] ここには変なやつがいっぱいいる…だ。「他にも」じゃなくて。ねぇ、誰も気付かないって。誓うよ[本当だって]。)
(They both exit.)
二人は部屋を出て行く。
[Time lapse, they're both entering.]
時間が経過し、二人は部屋に入ってくる。
ロス: Okay, there was some staring and pointing. (そうだね、見つめる人とか指差す人はいたね。)
レイチェル: Okay, I need a, I need a drink! (Makes a beeline for the mini-bar.) (いいわ、私にはお酒が必要よ! [(部屋の)ミニバーにまっすぐに進む])

come off は「分離した状態になる」という感覚ですから、「(ものが)(…から)とれる、はずれる、抜ける」「(汚れなどが)とれる、落ちる」「(塗料などが)はがれる」という意味になります。
ロスはずっと、顔に書いたペン(のインク)をとる方法を電話で問い合わせていましたので、it's not coming off は「その顔に書いたペンはとれない」と言っていることがわかりますね。
現在進行形なのは、「近い将来」を示す感覚でしょうか。
It's coming off. という肯定文ならば、「(指示通りにやっていれば)(そのうち、近いうちに)とれるよ」という感覚になり、今回はその否定形なので、「(何をやっても、どんな方法をとっても)そのペンがとれることはない」というニュアンスを出しているように思います。

電話で話している時のロスは、電話を切る直前、嬉しそうな声で相槌を打っていましたので、ト書きにあるように、ロスの声の調子(his tone)にレイチェルは喜んでいる様子でした。
それなのに電話を切った後、あっさり「とれないって、やっぱり無理だって」と言う、そういう「期待させておいて落とす」ところが「いかにもコメディー」な感じです。

インクは落ちない、という話だけなら、何をそんなに話してたの?とレイチェルは思ったのでしょう、「その人は他に何か言ってた?」と尋ねています。
ロスの he said he thought I was funny は、「その人は、僕(ロス)が面白いと思うと言ってた」。
つまり、電話の相手は、友人の顔に落書きをしたロスの話を聞いて、「あなたって面白い人ですねぇ」(I think you are funny.)と言ったと説明していることになります。
つまり、引用符を使うと、He said, "I think you are funny." になるわけですが、それが間接話法で、He said he thought I was funny. になっている、ということです。

何を楽しそうに話してたのかと思ったら、「ご友人の顔に落書きをしたなんて、そりゃあ面白いですね」みたいなことを言っていたのだとわかって、それでレイチェルはロスをにらんでいるわけです。
こっちは真剣に悩んでるのに、そんなくっだらないこと話してたの?!という気持ちですね。

let's just go downstairs は、「ただもう(つべこべ言わずに、悩まずに)下に行こう」という感覚。
上の階にあるこの客室から、下のカジノのある階に行こうよ、ということですね。
カジノとかでパーッと遊べば、思いきり楽しめて、その顔のヒゲのこととか全部忘れるさ、と言っていることになります。
こんな姿で部屋を出ることなんてできない、というレイチェルに、ロスは it's not that bad と言っています。
これは、that がポイントですね。
It's not bad. なら「悪くない」ですが、that が入ると、「そんなに悪くない」というニュアンスになります。
「そんなに」とは「どんなに」かと言うと、部屋を一歩も出ることができない、っていうほど、そんなにひどくないよ、という感覚ですね。
bad じゃないとは言えない、確かに bad は bad だけど(笑)、レイチェルがそこまで嫌がるほどそんなにひどくはない、と言っていることになります。
レイチェルは「あなたは他人事(ひとごと)だからそんな風に言うけど」と言いたげに、「私は a human doodle なのよ!」と叫んでいます。
doodle は「いたずら書き」。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
doodle : to draw shapes, lines, or patterns without really thinking about what you are doing
つまり、「自分が何をしているかについてよく考えることをせずに、形や線や模様(パターン)を描くこと」。

研究社 新英和中辞典では、
doodle :
【動】【自】 (考えごとをしながら)いたずら書きをする
【名】【C】 (考えごとなどをしている時の)いたずら書き


とあって、何か他のことを考えながら、何を書くという目的もなく何となく書いてしまったいたずら書きみたいなものを doodle と言うようです。
ロスの場合は、明らかに「ヒゲ」を描こうとして描いているので(笑)、without really thinking... 以下の語義とはちょっと合わないような気もしますが、「絵」と呼べるほどのものでもない、落書き、いたずら書きを doodle と表現する、ということで良いでしょう。

フレンズ3-15その5 では、メモの下に書いてあるのは何?と聞かれて、
モニカ: Oh that's my doodle of a ladybug with a top hat. (あぁ、それはシルクハットをかぶったテントウムシの落書き[いたずら書き]なの。)
というセリフも出てきました。

普通は、紙などに書かれるようないたずら書きを人間の体(顔)に書かれたことを、自ら、a human doodle 「人間(の)[人間に書かれた]いたずら書き」と表現しているわけですね。
これじゃあ、いたずら書き、落書きが歩いているようなもんだわ!みたいな感覚でしょう。

ロスはレイチェルを諭すように、just because... doesn't mean 〜 と言っています。
これは、「ただ…だからと言って、それが〜を意味しない」という感覚ですね。
some idiot は「(あえて名前を出さない)どこかのバカ」という感じですが、それはもちろん、レイチェルの顔に落書きをしたロス自身を指しています。
「どっかのおバカが、どこぞのアホが」、君の顔に(絵や線を)描いたからって、それが「レイチェルは少しも楽しむべきではない、少しも楽しんではいけない」ということにはならないよ、と言っていることになります。
僕がふざけてひどいことをしちゃったけど、そんなバカな僕のいたずらのせいで、君が楽しめないなんておかしいじゃないか、それってもったいないと思わない?みたいな感じですね。

besides 「その上、さらに」と付け加える形で、「誰も君の方を見ないよ」とも言っています。
look at は「…に視線を向ける」感覚。

ここはベガスなんだよ!と言ったロスは、There are tons of other freaks here. と言っています。
tons of は「多くの、多数の、大量の」。
重さの単位である1トン、2トンの ton ですが、その単位を使うことでその多さを強調しているニュアンスです。
これは、There is/are 構文で、「ここには、他の freak (変な人、変人)がたくさんいる」と言っていることになります。
つまり、「他にも変人はいっぱいいる、変人は他にもたくさんいる」と言っているわけですが、その言葉にレイチェルは引っ掛かったようで、ロスをにらみつけています。
other 「他の、別の」という表現を使って、「他にもいる」と言ったということは、すでに freak が存在していることを示していることになります。
つまりはロスはレイチェルのことも freak だと思っていて、「心配しなくても、ここはベガスだから、君みたいな freak は「他にも」いっぱいいるさ」と言っていることがわかるのですね。
other を使ってしまうと、レイチェルもその tons of freaks の一人だと言ってしまうことになると気付いたロスは、次のセリフで、other がないバージョンで言い直しているわけです。
no other 「other はナシでね」と付け足して、other がないことをさらに強調しています。
「君以外にもヘンなヤツはいっぱいいるから誰も君を見ない」じゃなくて、「ヘンなヤツが周りにいっぱいいるから、誰も(普通の)君を見ない」みたいに言い換えた感じになります。

I swear. 「誓うよ、絶対だよ」とまで言って、二人は部屋を出るのですが、その後、すぐに画面が切り替わり、レイチェルが怒りながら部屋に帰ってきます。
「絶対大丈夫だって」と出て行ったら、やっぱり全然大丈夫じゃなかった、というオチになるのは、コメディーの定番ですね。

there was some staring and pointing は、「いくつかの「じろじろ見ること」と「指を差すこと」があった」。
つまり、実際にカジノに行ってみると、「何、その顔?」みたいに、じろじろ見られて、指を差された、と言っていることになります。
レイチェルがプリプリ怒るのは無理もない、僕は「誰も気づかないよ」って言ったけど、実際そういう行為があったもんね、と少し前の状況を客観的に説明しているセリフになるでしょう。

レイチェルは、「もうやってられないわ!」という感じで、お酒を飲もうと、部屋のミニバーに近づきます。
ト書きの、make a beeline for は「…へまっすぐに・まっしぐらに進む」。
beeline の bee は「ミツバチ」のことで、ミツバチが巣に戻る時に描く一直線を beeline と言うようです。

LAAD では、
make a beeline for somebody/something : (informal) to go quickly and directly toward someone or something
つまり、「(インフォーマル) 急いで、そして直接、誰かや何かに向かうこと」。

ミツバチがまっすぐ巣に戻るように、「寄り道せずに、脇目も振らずに」一直線にそこに向かう、直行する、という感覚ですね。


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posted by Rach at 15:54| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月29日

彼は君の運命の恋人だ フレンズ5-24その2

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[Scene: The craps table, Monica is on a big roll.]
クラップス(2個のさいころを使うゲーム)のテーブル。モニカは大きく勝ち続けている。
モニカ: All right, baby, come on! (Rolls the dice) Yes! Yes! I am on fire! (いいわ、ベイビー、来い! [サイコロを転がす] やった、やった! 私は燃えてるわよ!)
チャンドラー: (walking by with his luggage) See you later, Mon. ([荷物を持って通りかかる] じゃあね、モニカ。)
モニカ: Wait, Chandler, what are you doing? (待って、チャンドラー、何やってるの?)
チャンドラー: What's it look like? I'm going home. (どう見える? 俺は家に帰るんだよ。)
モニカ: What? Wait! Why? (He turns and heads for the door and she chases after him.) Chandler! Chandler! Wait! I’m sorry, I was just playing for one second! I was trying to find you to tell you that, look, if you don't want me to see Richard again, I won't! He, He means nothing to me. (何ですって? 待って! どうして? [チャンドラーは向きを変えてドアの方に進む、そしてモニカは彼の後を追いかける] チャンドラー、チャンドラー! 待って! ごめんなさい。私はただ、ちょっとだけ(一瞬)、ゲームをやっていただけなの! 私はあなたを探して、こう言おうとしてたの、ほら、もしあなたが私にもう二度とリチャードに会って欲しくないと思うなら、私は会わないわ! 彼は、彼は私にとっては何の意味もないもの。)
チャンドラー: Oh, come on. I was there. (He's propped up with his hand on a statute of a naked guy. He winces and pulls his hand away.) I know he's the love of your life. (あぁ、よせよ。俺はその場にいたんだぞ。[チャンドラーは、裸体の男性像の上に手を置いて自分の体を支える。彼は顔をしかめ、手を引っ込める] リチャードは君の運命の恋人だって、俺は知ってるんだぞ。)
モニカ: Not anymore. (今はもう違うわ。)
チャンドラー: Really? (ほんとに?)
モニカ: Really! (They hug and kiss) All right? Let's forget about this going home stuff and celebrate our anniversary. (She picks up his suitcase.) Okay, this is empty. (ほんとよ! [二人はハグしてキスする] いい? この家に帰るってことは忘れましょう、そして、私たちの記念日を祝いましょうよ。[モニカはチャンドラーのスーツケースを持ち上げる] ちょっと、これは空(から)よ。)
チャンドラー: Yeah, I wanted to make a dramatic scene, but I hate packing. (そうなんだ。ドラマティックなシーンにしたかったんだけど、でも、荷造りするのが嫌でね。)

ト書きの the craps table について。
crap というと、ドラマや映画のセリフでは、「うんち」「くず、がらくた」「たわごと、うそ」という悪い意味で使われることが多いですが、この craps というのはゲームの名前で、「2個のサイコロを使う博打(ばくち)、ゲーム」のことを指します。

Macmillan Dictionary では、
craps [noun] [uncountable] : a game played especially in the U.S. in which the players throw two dice and risk money on the numbers
つまり、「特にアメリカで行われるゲームで、そのゲームでは、プレーヤーは2個のサイコロを投げて、数字に金を賭ける」。

今回のエピソードでは、実際にそのクラップスというゲームのシーンが流れますので、まさにその説明の通り、2個のサイコロを投げて、その出た目の合計を当てるゲームであることがわかります。

クラップスで絶好調なモニカのそばを、カバンを持ったチャンドラーが通りかかり、じゃあね、と言って去って行こうとします。
モニカの What are you doing? に対して、チャンドラーは What's it look like? と言っていますね。
What does it look like? ということで、「(今のこの状況は)何に見える?」みたいな感覚でしょう。
自然な日本語にすると、「見りゃわかるだろ、家に帰ろうとしてんだよ」みたいな感じになるでしょうか。

そう言ってまた去ろうとするチャンドラーを追いかけて、モニカは必死に自分のこれまでの行動を説明しています。ゲームをちょっとやってただけで、I was trying to find you... と言っていますね。
「私は…しようとしていた」のように、was trying to という過去進行形が使われていることで、「そうしようとしていたけど、失敗した。あなたを探そうとしたけれど、見つからなかったの」と言っていることがわかります。
to tell you that で、「that 以下のことをあなたに言うために(あなたを探そうとしていた)」ということもわかりますね。
その言おうとしていた内容が、if 以下のセリフで語られています。
「私がリチャードにもう一度会うことをあなたが望まないのなら、私は(もう二度と)会わないわ!」ということです。
He means nothing to me. は、「彼は私にとって何の意味もない」。
そこまではっきり断言しても、チャンドラーはその言葉が信じられない様子で、Oh, come on. I was there. と言っています。
「あぁ、(そんな嘘を言うのは)よしてくれよ。俺はその場にいたんだぞ」という感じですね。
この部分、DVDの日本語訳では、「当時を知ってるぞ/付き合ってた頃を知ってるんだぞ」となっていましたが、まさにそういう意味ですね。
モニカにとってリチャードの存在に意味がないだなんて大嘘だ、二人は熱愛していて、別れた後、モニカがボロボロになってたのも知ってる、その様子をずっと近くで見ていて知っている俺に、そんな口先だけの嘘を言うなよ、という感じなのでしょう。

ところで、この I was there. とよく似たフレーズの、You weren't there! というセリフが、フレンズ1-5 で使われていたことがあります。
偶然にも、つい先日、フレンズ1-5その1 のコメント欄 で、その You weren't there! に関するご質問があり、そのフレーズのニュアンスについても説明させていただいていますので、合わせてお読みいただけると幸いです。

そんな風に真剣に怒りながらも、たまたま手を乗せたのが近くにあったローマ風の彫刻で、それが男性の裸体像だったため、ぎょっとした顔をして慌てて手を引っ込めるのも、フレンズらしくて面白いです。
チャンドラーは、「モニカとリチャードが付き合っていた頃のことを知ってる」と言った後で、I know he's the love of your life. とも言っています。
この love は抽象的な「愛」というよりも「恋人」を意味していて、「人生の恋人」みたいな感覚でしょうか。
もっと詩的に言うと、「運命の恋人、運命の人」みたいな意味ですね。
Queen の曲にも、Love of My Life というタイトルの歌があります。
Queen のベスト盤、Jewels II の9曲目に入っていて、手持ちの歌詞カード(笑)を見てみたのですが、やはり歌詞の日本語訳では、「運命の恋人」と訳されていました。

将来に対する方向性の違いで二人は別れてしまったけれど、リチャードはモニカが一番愛した男性で、運命の人だってことを、俺は知ってるんだぞ、ということですね。
それに対してモニカは、Not anymore. と言っています。
not anymore は、「もはや(もう)…ではない」ということですね。
確かにつき合っていた当時はリチャードは運命の人、運命の恋人だった、でも今はもう違うのよ、ということです。
それはつまり、今の私にとっては、今の恋人のあなたが、the love of my life だと言っているわけですね。
昔のリチャードとの関係を否定しても、チャンドラーには嘘にしか聞こえないでしょうから、そのように過去の事実を否定するのではなく、「チャンドラーとこうして恋人になって、あなたを愛するようになったから、もはやリチャードは運命の人ではない」と、今の正直な気持ちを素直に伝えたわけです。
「今はもう違う」という一言がチャンドラーを救ってくれたようで、チャンドラーは嬉しそうな顔をして、Really? と言っています。
ハグ&キスをしたモニカは、家に帰ろうとしてたことは忘れて、記念日をお祝いしましょう、と言っています。
this going home stuff は、「この「家に帰る」って件、家に帰ろうとしていたこと」みたいな感覚ですね。

カバンを部屋に戻そうと持ち上げた時に、それが軽くて中身が空っぽであることにモニカは気付きます。
make a dramatic scene は文字通り、「ドラマティックなシーンを作る」ということですね。
「もう俺は帰るからな!」「あなた、お願いだから待って!」みたいにドラマティックになるような演出を考えていたんだけど、実際にカバンに荷物を詰めるのは苦手で面倒くさかったから、中身は空っぽのまま持ってきちゃったんだ、ということです。
つまり、チャンドラーは本気で帰ろうとしていたわけではなかった、ということで、その事実に気づかれて、チャンドラーもちょっと気まずそうな顔をしていますが、二人の誤解が解けて仲直りできたのならまぁそれでいいか、というところでしょうね。


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posted by Rach at 15:29| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月27日

ジャックポットを盗むラーカー フレンズ5-24その1

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シーズン5 第24話
The One in Vegas Part II (恋人たちのベガス PART 2 )
原題は「ベガスの話 パート2」


ベガスのホテルのカジノコーナーで話をしているロスとフィービー。
(The old lady at Phoebe's machine wins. Phoebe turns around in shock.)
フィービーの[フィービーが使っていた](スロット)マシンに座っている老婦人が勝つ。フィービーはショックな顔で振り向く。
フィービー: Ugh! (あー!)
ロス: What? (何?)
フィービー: That's like the third time that lady's won on a machine I was playing. (あれで3度目(くらい)なのよ、あの女性が私がプレイしてたマシンで勝つのは。)
ロス: Oooohhh, I'll bet she's one of those people. (ほぉー、彼女はあの手の人だと思うね。)
フィービー: M-M-Mole people? (ス、ス、スパイなの?)
ロス: What? No-no, a lurker. (何だって? 違う違う、ラーカーだよ。)
フィービー: Oh. What's a lurker? (ああ。ラーカーって何?)
ロス: Okay, when you're playing a machine and it hasn't paid out, a lurker waits for you to give up and then-- (そうだな、人がマシンをプレイしていて[ゲームをやっていて]支払い[払い戻し]がない時、ラーカーはその人があきらめるのを待っていて、それから…)
フィービー: Kills you? (その人を殺すの?)
ロス: No. They swoop in and steal your jackpot. (違うよ。そいつらは急にやってきて、その人の大当たり(ジャックポット)を盗むのさ。)

ベガスのホテルのカジノで、自分が使っていたスロットマシンに後から座った女性が勝ってしまうのよ、とフィービーはロスにボヤいています。
それを聞いてロスは、その女性は one of those people だと思うね、と言っています。
bet は元々、「(金などを)(…に)賭ける」という意味で、I'll bet (you) that だと「(that 以下であることを)(君に)賭けてもいい」と何かを「断言」するニュアンスになります。
お金を賭けてもいいと思えるほど、that 以下であることを確信してるよ、that 以下であることについては自信があるよ、みたいな感じです。

one of those はこれまで何度も登場してきましたが、「よくあるそういうものの一つ」というニュアンスですね。
「よくいる、あの手の人だよ」と言っているロスに、フィービーは、驚いたように「モモモ、モー・ピーポー?」みたいに、どもるような感じで言っています。

mole という単語は、「ほくろ」、あるいは「モグラ」という意味があります。
その「モグラ」という意味から発展して、「スパイ」という意味もあります。
地下に潜って行動するイメージから来たのでしょうね。
フィービーはその「スパイ」の意味で使っているようです。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
mole : someone who works for an organization, especially a government, while secretly giving information to its enemy.
例) FBI moles were looking for evidence of fraud.

つまり、「組織、特に政府のために働き、その一方でその敵方に秘密裏に情報を与える人」。
例文は、「FBI のスパイたちは不正行為の証拠を探していた」。

驚いて「スパイなの?」というフィービーに、ロスは、彼女は lurker だと説明しています。
聞きなれない言葉なので一瞬「それって何?」と思った方も多いかもしれませんが、フィービーもその言葉を知らずに聞き返しているため、その後のロスの説明を聞けば意味がわかる仕組みになっています。
ネイティブでも当然、知らない言葉、わからない言葉はあるわけで、そういう言葉がある場合に、「それは何?」と聞けて、相手がそれをわかりやすく説明できれば、それできちんと内容は伝わるわけです。
ノンネイティブが英語を学ぶ場合にもそれは非常に大切なことですね。
相手がわからない言葉を使ったら聞き直す。自分が何かを説明する際に、それを示す一番適切な言葉を知らなくても、別の言葉で何とかそれを説明しようとする姿勢があれば、コミュニケーションは成り立つということです。

ロスの説明はわかりやすいですね。when you're playing... の you は、話し相手のフィービーを指しているのではなく、「一般の人々」を指しています。
「聞き手のフィービー(あなた)を含めた一般の人々」の感覚ですね。
もしこれがフィービーを指しているのだとすれば、フィービーのセリフは、Kills me? になるはずですが、それが you になっていることからも、この you はフィービーだけを指しているのではないことが確認できます。
when you're playing..., a lurker waits... 「人が…している時、ラーカーは〜する」のような形の説明は、その lurker がする典型的な行動を説明するのに非常にわかりやすい形になっています。辞書の語義説明にもありそうなパターンです。
こういう部分はノンネイティブの我々も大いに参考にすべきだと思います。
「日本語の○○を英語で言うとこうなる」というように、日本特有の事項を英単語として覚えている人も多いと思いますが、文化背景の違う外国人の方にとっては、直訳とされている単語や熟語だけではピンと来ないことも多いような気がします。
英語に訳す場合には確かにそう表現するけど、でもそれって何のこと?と相手に思わせてしまう気がするのですね。
その場合、もう少し言葉を加えて、かみ砕いて説明することが必要になりますし、その際には、今回のロスのような説明の仕方を覚えておくことが重要になってくると思います。
いざと言う時、何とか自分の語彙の範囲内で説明できる力があると思えることが、英語を話す際の大きな自信になるはずです。

ロスは、「誰かがマシンを使っていて当たりが出ない時、ラーカーはその人があきらめるのを待っていて、それから…」と説明しています。
フィービーは、ロスがその先を言う前に、「その人があきらめるのを待って、その人を殺すの?」と物騒なことを言っていますね。
まださっきの「スパイ」の連想が頭から離れないようです。

swoop は「(鳥が)(空からさっと)舞い降りる、急降下する、飛びかかる」「急襲する」。
「猛禽類が空から獲物を襲う」イメージの言葉で、そこから「急襲する」イメージも出てくるのですね。
swoop in は、過去記事、フレンズ3-11その17 にも出てきました。

jackpot は「(スロットマシン、ポーカーなどの)積み立て掛け金、たまった賞金」「(賭け事の)大当たり」。
hit the jackpot なら「大当たりをとる」。
LAAD では、
jackpot [noun] [countable] : a large amount of money that you can win in a game that is decided by chance
つまり、「運で決まるゲームで、勝ち取ることができる多額の金」。
hit the jackpot : to win a lot of money by gambling
つまり、「ギャンブルで多額の金を勝ち取る」。

lurker についてのロスの説明を聞いた後で、改めて、lurker という単語について見てみることにします。
lurk は「待ち伏せする、潜伏する」「こそこそ動く、歩き回る」という動詞。
LAAD では、
lurk : to wait somewhere quietly and secretly, usually because you are going to do something bad
around/in/beneath etc.
例) Witnesses said they saw a man lurking near the woman's home.

つまり、「どこかで静かにひそかに待つこと、たいていは何か悪いことをしようとしているという理由で」。
例文は、「目撃者は、ある男性がその女性の家の近くでこそこそしているのを見たと言った」。

lurker 、つまり、「lurk する人」というのは、「こそこそ動き回るやつ、潜伏するやつ」みたいなニュアンスですね。
lurk という単語は普通に使われる動詞のようなので、フィービーも、「lurk する人」という意味であることはわかったのでしょうが、それが具体的にどんな風にこそこそするのか、という部分がピンと来なかったのでしょう。
ロスの説明で lurker の具体的な行いがわかって、やっとその言葉の意味が納得できた、というところでしょうね。


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posted by Rach at 15:20| Comment(4) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月24日

背後から棒で殴る フレンズ5-23その6

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[Scene: Chandler's hotel room, he's sitting there with Joey who's talking about his helmet and running his hand through that feathery thing at the top.]
チャンドラーのホテルの部屋。チャンドラーはそこでジョーイと座っている。ジョーイは自分の(グラディエイター用)ヘルメットについて語っていて、ヘルメットのてっぺんについているその羽のようなものを手でとかしている。
ジョーイ: Hey, y'know, in Roman times, this was more than just a hat. (なぁ、ほら、ローマ時代にはさ、これはただの帽子以上のものだったんだぜ。)
チャンドラー: Really? (ほんとに?)
ジョーイ: Yeah, sure, sure! They would uh, they would scrub the floors with it! They would use it to get the mud off their shoe. And sometimes would get dirty. So they would stick it right-- (ああ、そうさ、そうだよ! ローマ人はそれで床をゴシゴシ磨いてたもんだ! 彼らはそれを靴の泥を落とすのに使ったもんだ。それから時々、馬の下の部分が汚れるだろ、そしたら彼らはそれをそこに突っ込んで…)
チャンドラー: (interrupting in the nick of time) Joey, I uh! I can't believe this is how I'm spending my anniversary. ([間一髪でそれを遮って] ジョーイ、俺は、あぁ! 俺はこんな風に自分の記念日を過ごしてるってことが信じられないよ。)
ジョーイ: All right well, I'll take you someplace nice then. Look! A guy tipped me a hundred bucks today. (よーし、それなら、俺がお前をいいところに連れてってやる。見ろ! 今日、ある男が俺に 100ドルのチップをくれたんだ。)
チャンドラー: Whoa! (おぉ!)
ジョーイ: Yeah-yeah, he was playing blackjack for like an hour and he won $5,000. Can you believe that? $5,000! (そうなんだよ、彼は1時間くらいブラックジャックをしていて、5,000ドル勝ったんだ。そんなの信じられるか? 5,000ドルだぞ!)
チャンドラー: Y'know, if I won $5,000, I'd join a gym, y'know. Build up my upper body and hit Richard from behind with a stick! (Mimics it.) (なあ、もし俺が 5,000ドル勝ったとしたら、俺はジムに入会するね。上半身を鍛え上げて、リチャードを殴るんだ、背後から、棒で! [その動作をする(真似る)])
ジョーイ: Wait a minute! Why don't I just do what that guy did? I'll take this $100, turn it into $5,000! And then I'll turn that into enough money to get my movie going again! (ちょっと待て! 俺もただ、その男がやったことをしたらどうなんだ? この 100ドルを持って行って、それを 5,000ドルに変えるんだよ。それからそれを、俺の映画を再開させるのに十分な金に変えるんだ!)
チャンドラー: Good luck! (幸運を!)
ジョーイ: Chandler, I don't need luck. I have thought this through! (チャンドラー、俺には運は必要ないよ。このことはじっくり考え抜いたんだ。)
チャンドラー: I see. (そうだね。)
(Joey exits as Chandler shakes his head.)
ジョーイが出ていく時、チャンドラーは(だめだこりゃ、というように)首を横に振る。

ジョーイは、グラディエーターの衣装に含まれている、てっぺんに赤いフサフサがついたヘルメットを触りながら話をしています。
ト書きの running his hand through that feathery thing を直訳すると、「その羽のようなものを通って、自分の手を走らせている」ということですから、手櫛(てぐし)のように自分の指でその羽をとかしながら触っているような感覚ですね。
英辞郎にも、
run one's hand through one's untidy hair=乱れた髪を(片)手でとかす
という例が載っています。

ジョーイは、ローマ時代はこれはただの帽子じゃなかったんだ、と言っています。
more than just a hat は「ただの・単なる帽子以上である」という感覚ですね。
ジョーイは、ローマ時代にローマ人たちがしていたと思われることを、would を使って話しています。
would は「過去の習慣、反復行動・動作についての回想」を表すものですね。
「…したものだ、…したものだった」と訳されることが多いです。
ここでも、彼らはこの帽子を使って、こんなこと、あんなことしたもんだった、と回想風に語っているわけです。
ジョーイは頭の上のブラシみたいなのは、床を磨いたり、靴の泥を落としたりするのに使ってたんだ、と説明しています。
「したもんだった」と言っているけれども、それはあくまでもジョーイの想像の産物に過ぎないことは内容からも明らかなわけですが(笑)、ブラシみたいなのはダテじゃない、ちゃんとブラシとしても使っていたんだよ、と、もっともらしい(?)説明をしているのですね。
そして時には…と話を続けていますが、underneath the horse は「馬の下の部分」のエリアですね。
stick は「刺す、突き刺す」「差し込む、突っ込む」なので、馬の下部分が汚れたら、そのブラシ状のものをそこに差し込む…と言いかけていることになります。
汚れる、という表現から、下部分は股下を指していることが想像されますので、汚い話になりそうだと思ったチャンドラーは慌ててジョーイの発言を止めたわけですね。
まさにト書きにあるように、interrupting in the nick of time 「間一髪でそれを遮った」わけです。「それ以上は聞きたくない」という気持ちです。

I can't believe this is how I'm spending my anniversary. を直訳すると、「俺が自分の記念日をどんな風に過ごしているか、がこれ[こんな風]だなんて信じられないよ」みたいな感じになるでしょう。
I can't believe I'm spending my anniversary like this. 「こんな風に記念日を過ごしているなんて信じられない」と同じようなニュアンスですが、「これ、この今の状態が、記念日を過ごしている様子であることが信じられない」のような言い方をすることで、余計にその「本来、記念日を過ごしているであろう理想の形」と「今の悲惨な状態」とのギャップがはっきり出るような気がします。
恋人とラブラブで記念日を過ごしているはずが、どうして馬の下半身の掃除の話を聞かされるはめになるんだよ、みたいなことですね。

落ち込んでいるチャンドラーに、ジョーイは「俺がいいところに連れてってやる」と言います。
ある男が 100ドルのチップをくれたんだけど、そいつは1時間で 5,000ドルも稼いだんた、と言っていますね。

カジノで儲けた人の話を聞いて、チャンドラーは、if I won $5,000, I'd join a gym と言っています。
これは典型的な仮定法過去ですね。
5,000ドルも勝てるわけはないけど、もしそれだけ勝てたとしたら、俺ならこうするだろう、と言っていることになります。
その後に続く、Build up... and hit Richard... もすべて、I would に続く部分ですね。
ジムに入会して、上半身を鍛えて、リチャードを殴る…みたいなことを言っているわけですが、その後に続く言葉がチャンドラーらしくて面白いです。
from behind は「後ろから、背後から」で、with a stick は「棒で」ですね。
つまり、稼いだ金でジムに入って、体を鍛えてリチャードをやっつけてやるんだ!と、腕力で彼を負かしてやるかのように言っているのかと思ったら、正々堂々と戦うのではなくて、背後からの不意打ち、しかも棒(凶器)で殴る・叩く、という、非常に卑怯で姑息な方法でリチャードをやっつけようとしている、というオチです。

そう説明した後、その様子を再現して、「えいっ! このっ、このっ!」みたいに、スティックを持った手を伸ばして、リチャードを叩く真似をする姿にも笑えます。
今回のエピソードのセリフでは、私はこの、from behind with a stick という最後のオチが一番面白くて、DVDを見ながら声に出して笑ってしまいました。
背後から凶器を持って襲うなら、別にジムで上半身を鍛えなくてもいいじゃん、何のために上半身を鍛えたの?みたいな面白さですね。
過去記事、オチは最後に持ってくる フレンズ3-8その26 でも説明しましたが、英語のニュアンスと同じように日本語訳もオチを最後に持ってこようとすると、「リチャードを殴るんだ、背後から、棒でね」のような倒置の形にならざるを得ないため、ちょっとわざとらしいセリフになってしまいます。
英語ではこのように「背後から」「棒で」という副詞句が最後に来るのが普通なのでわざとらしい感じがない、自然なジョークになるわけですね。

ジョーイは突然、「5,000ドル稼いだ男と同じことを俺もすればいいんじゃないか?」みたいなことを言い出します。
100ドルを 5,000ドルにして、それをもっと大金、つまり、資金不足で中止になっている自分の主演映画を再開させるために十分なお金に変えることができるじゃないか、みたいな考えです。
その自分の考えに大いに納得した様子のジョーイは、チャンドラーの肩をポンと叩いてさっそくカジノに向かおうとします。
そのジョーイに、Good luck! 「グッドラック、幸運を!」とチャンドラーは声をかけるのですが、ジョーイは「俺には幸運なんて必要ない」と強気な発言をしています。
I have thought this through! の think through は「考え抜く、じっくり考える」。
現在完了形が使われていますので、「それを思いついてから今に至るまでじっくり考え抜いてきた(から大丈夫さ)」というニュアンスになると思います。
ついさっき、思いつきで言ったばかりなのに、ある程度の期間、熟慮熟考したかのように言っている面白さもあるでしょうね。

チャンドラーは、運が良ければカジノで儲かることもあるだろう、という気持ちで Good luck! と声をかけたのですが、ジョーイは、論理的に考えて出した結論だから、うまく行かないはずがないと信じ切っているのですね。
ギャンブルには当たりもあればはずれもある、という大前提をジョーイはすっかり忘れているようです。
お金をかければ必ずもうかって大金が手に入ると思いこんでいるジョーイを見て、チャンドラーもあきれたように首を横に振るしかありませんね。


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posted by Rach at 14:52| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月22日

あなたが指図することはできない フレンズ5-23その5

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ラスベガスのホテルで、ジョーイと再会したチャンドラーたち。
ジョーイは映画が中止になったことを黙っていて悪かったとチャンドラーに謝り、二人は仲直りするのですが、チャンドラーとモニカが喧嘩中のようなので、ジョーイはフィービーに質問しています。
ジョーイ: Yeah, what-what's going on? (あぁ、何が起こってるの?)
フィービー: Monica had lunch with Richard. (モニカはリチャードと食事したのよ。)
ジョーイ: Dawson? ((リチャードって)ドーソン?)
フィービー: Noo! But that would've been so cool! (違うわ! でもそうだったらすごくクールだったのにね!)
チャンドラー: No! Her boyfriend Richard! (違うよ。モニカの恋人のリチャードだよ。)
モニカ: It meant nothing! Okay? After all this time, how can you not trust me? (何の意味もないわ、いい? こんな時間をずっと過ごしてきた後で、どうして私のことを信頼できないの?)
チャンドラー: When you go lunching with hunky mustache men and don't tell me about it! (たくましいヒゲの男と一緒にランチに行って、それを俺に話さない時にはね!(信じられるわけないよ))
モニカ: You're right. I'm sorry. I should've told you. (あなたが正しいわ。ごめんなさい。あなたに言うべきだったのに。)
チャンドラー: Thanks. (They hug.) (ありがと。[二人はハグする])
ジョーイ: Aww, there we go. (あー、いいぞ。)
フィービー: Now I love Vegas. (今は、ベガスが大好き。)
モニカ: I promise you next time I absolutely will tell you. (あなたに約束するわ、この次は絶対にあなたに言うって。)
チャンドラー: (pushing her away from another hug) "Next time"? ([もう一回ハグしようとするモニカを押しのけて] 「この次」だって?)
ジョーイ: Ooh, so close. (あー、すごく惜しかった。)
チャンドラー: There's not gonna be a next time! You cannot see him ever again! (この次なんてないだろう! モニカはリチャードに二度と会っちゃいけないんだ!)
モニカ: I cannot see him? I mean, you can't tell me what to do! (私がリチャードに会っちゃいけないですって? 私が何をすべきかをあなたが言う[指図する]ことなんてできないわ!)
チャンドラー: That's so funny, because I think I just did! (そりゃものすごくおかしいね、だって俺はたった今、(そういうことを)言ったと思うけど。)

フィービーはジョーイに、「モニカがリチャードと食事したの」と説明しています。
それを聞いてジョーイは驚いたように、Dawson? と言っていますね。
モニカがリチャードと言えば、元カレのリチャードに決まっているというのに、フィービーに続いてジョーイまでもが、モニカと縁もゆかりもない(笑)別人のリチャードの名前を挙げている、という面白さです。
フィービーは、リチャード・シモンズの名前を出していましたが、ジョーイはまたそれとは違うリチャード・ドーソンを出してくるところにちょっとした「ひねり」みたいなものも感じます。
同じシモンズだとジョークとしてはありきたりになってしまいますものね。

とにかく、元カレのリチャードではなくて、別人の名前を出してきたというジョーイのオトボケ具合が楽しめればそれで十分ジョークとして笑えるわけですが、やはり一応(笑)、どんな人かだけ確認しておきましょう。

リチャード・ドーソンについては、詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Richard Dawson

ウィキペディアの説明にあるように、彼は「俳優、コメディアン、クイズ番組の解答者、司会者」だそうです。
そのウィキペディアに、クイズ番組の Family Feud の写真が載っていて、his greatest professional success とありますので、彼の名前を聞くと、やはりそのクイズ番組の司会者のイメージが浮かぶ人が多いということなのでしょうね。

フィービーは、「リチャード・ドーソンじゃないわ」と否定しながらも、that would've been so cool とも言っています。
もし、そうだったら、モニカがリチャード・ドーソンと食事したんだったら、クールだったのにねぇ、みたいなことですね。
自分はリチャード・シモンズを想像しちゃったけど、そのドーソンっていう案もなかなかイケるわね、みたいな感じでしょう。

チャンドラーは怒ったように「モニカの恋人のリチャードだよ」と説明していますが、ex-boyfriend 「元恋人、元カレ」のように、ex- 「元の」という言葉をつけていませんね。
チャンドラーも、「かつて付き合っていた元カレ」みたいに、完全に過去の人物として捉えているなら、ここまで怒らなかったのでしょう。
会って食事に行ったなんて、まだお互い気があるんじゃないか?と疑っている気持ちがあるために、まるで「今の恋人、今の思い人」であるかのように、わざと ex- をつけない boyfriend と言ったのかなという気がします。

mean nothing は「何も意味しない、何の意味もない」。
ばったり会って食事に行っただけのことで、そこには何の意味もないわ、ただ食事しただけよ、と言っているのですね。

After all this time, how can you not trust me? について。
this time 「この時間」は、チャンドラーとモニカが恋人として過ごしてきた時間を指しているでしょう。
二人がこういう時間をずっと過ごしてきたその後で、つまり、恋人としての時間を私たちは1年過ごしてきたのに、どうして私のことを信頼、信用できないの?みたいな感覚です。
why ではなくて、how なので、理由を尋ねているというよりは、「”私を信頼しない”ということがどのようにして可能なの?」と言っている感じになります。
一緒に長い時間を過ごしてきたのに、まだ私のことを信頼できないなんて、そんなことありえないわ!という気持ちですね。

それに対してチャンドラーは、When を使って答えています。
これは、I cannot trust you when you go lunching... and you don't tell me... ということですね。
「…とランチに行ってそのことを俺に話さない時には、俺は君を信じることができないよ」みたいなことです。
どうして信じてくれないの?ってモニカは言うけど、そういうことをして俺にそのことを話さないで秘密にしてたんだから、信じろって言う方が無理だろう、信じられないと思って当然だろう、という気持ちですね。

そのランチに行った相手はリチャードなわけですが、チャンドラーはリチャードの名前は出さず、あえて、hunky mustache men と表現しています。
hunky は「(男性が)がっちりしてたくましい」、hunk は「がっちりした男、魅力的な男」。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hunky : a man who is hunky is sexually attractive and strong-looking
つまり、「hunky な男性は、性的に魅力的で、強そうに見える」。
hunk : (informal) a sexually attractive man with a big strong body
つまり、「大きな強い体を持った、性的に魅力的な男性」。

men と複数形になっているのは、一般論として語っている感覚だと思います。
リチャードだけに限らず、「男性として魅力のあるかっこいい男」と食事してそれを黙ってたら、何かあると思うのが普通だろ、とチャンドラーは言いたいわけでしょう。
恋人のチャンドラーとしては、魅力のない男と食事したとかならまだしも、男性として魅力的な(しかも元カレの)リチャードとそんなことがあったと聞いたら、何か勘ぐってしまいたくなるのはしょうがないというところなのでしょうね。

チャンドラーが hunky mustache men と表現したことで、焼きもちを焼いているのがわかったのでしょう、モニカは素直に謝り、「あなたに話しておくべきだったわ」と言っています。
二人が仲直りし、ハグする様子を見て、ジョーイもフィービーも嬉しそう。
Now I love Vegas. と言っているのは、フィービーが今回の旅行中、自分だけ留守番だったロンドン旅行と今回のベガス旅行とを点数化して比較している流れからのセリフです。
フィービーとしては、自分も参加しているベガス旅行に軍配を上げたいのですが、飛行機の中でリチャードの件で二人が喧嘩を始めたため、ベガス旅行の評価が下がっていた、それがこの仲直りで「やっぱり今はベガスが一番ね、ベガスが大好きよ」と言えるようになったわけです。

モニカはチャンドラーに、「この次は必ずあなたに言うから」と言うのですが、チャンドラーはその言葉に引っかかったようで、さらにハグしようとするモニカを押し戻しています。
チャンドラー自身が繰り返しているように、next time という言葉が問題なわけですね。
次回、つまり、今度リチャードと食事する時は必ずあなたに事前に言うから、ということで、それはつまり、「また今度会うつもりがある」と言っていることになります。

チャンドラーが怒っているのが明らかなので、ジョーイは、so close と言っていますね。
close は「近い、接近した」なので、「(正解や目標に)近い、惜しい」という感覚になります。
もうちょっとで完全に仲直りできたところだったのに、その一言のせいでまた逆戻りしちゃったね、すごく惜しいところだったね、みたいなことです。

チャンドラーは怒って、「next time なんてないんだ、彼には二度と会っちゃいけない、会っちゃだめだ」と言っています。
You cannot と言われたことにカチンときたモニカは、I cannot...? 「私が…しちゃいけないですって?」みたいに返します。
その後、さらにそれを補足説明する形で、I mean を使って、you can't tell me what to do! と言っています。
tell someone what to do を直訳すると、「すべきことを人に言う」ということですから、「人に…すべきだと言う、…しろと言う、すべきことを指図する」という感覚になります。
モニカは、自分の行動に対して、You cannot と言われたことに腹を立て、自分の行動は自分で決めるわ、あなたに、ああしろとか、こうしろとか、もしくはこんなことはするなとかを指図されたくないわ、と言っているわけです。
あなたが you cannot と決めつけるんだったら、私の方こそ言わせてもらうわ、あなたには私の行動を指図することはできない、そんな権利はないんだからと、同じように you can't を使って返しているわけですね。

それを聞いたチャンドラーは、そりゃおかしいや、みたいに言った後、because I think I just did と言っています。
did はその前の文の tell 以下を指していて、つまりチャンドラーは、I think I just told you what to do. と言っていることになるでしょう。
モニカが、you can't tell me what to do と言ったのを受けて、モニカは俺が「言えない、言うことができない」って言うけど、現にさっき、俺は、You cannot see him ever again! って口に出して言ったよ、現に言えたよ、だから、言えないってことはない、俺はさっきそれを言ったばかりなんだからさ、みたいに言っていることになるでしょう。

このセリフを文字通りに解釈すれば、物理的に音声としてそういう言葉を発することができるし、実際そういうこと(モニカはリチャードに会っちゃいけないという、命令や指図のようなこと)をついさっき言ったわけだしね、という意味になるでしょう。
さらには、そのセリフに隠された本音としては、恋人としてそれくらいのことを言う権利はあるはずだ、元カレとはもう二度と会うなと言ってもいいはずだ、という気持ちも含まれている気がします。
「言えないなんてことないよ、実際、さっき言ったわけだし」と冗談のように茶化しながらも、モニカに対して「俺がこんなに怒ってるのにまた会うつもりなのか?」と非難したい気持ちも込められているのだろうと思いました。


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posted by Rach at 15:19| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月20日

誘おうとしてたんじゃなかったのか フレンズ5-23その4

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モニカがチャンドラーと旅行に出かけたため、部屋で一人きりのレイチェル。
フィービーが「家に一人だと裸で過ごせるわね」と言ったことを思い出し、裸になって歌など歌いご機嫌な様子ですが、その姿を向かいのアパートメントのロスに見られてしまいます。
ロスは「自分に見られるのを承知であんな行動をしている。きっと僕を誘っているに違いない」と思い、レイチェルの部屋をノックします。
ロス: May I come in? (入ってもいいかな?)
レイチェル: Uh, yeah, if you want to. (あー、いいわよ、もしあなたがお望みなら。)
ロス: Do you want me to? (君は僕にそうして欲しいと望んでる?)
レイチェル: Yeah, sure? (ええ、もちろん。)
ロス: So do I. (Slowly walks in.) Okay, Rach, before anything happens (He takes off his coat) I just want to lay down a couple of ground rules. (Turns back to face her.) This is just about tonight. I don't wanna go through with this if it's gonna raise the question of "us." (Rachel's confused) Okay? I just want this to be... (Kicks off his left shoe) about what it is! (Kicks off the other one.) (僕もそう望んでるよ。[ゆっくり歩いて部屋に入る] オッケー、レイチェル。何かが起こる前に [ロスは自分のコートを脱ぐ] ちょっと基本的なルールを2、3、決めておきたいんだ。[振り返ってレイチェルの方を見る] これは今夜だけだよ。僕はこのことをやり通したくない、もしそれが「僕たち」の問題を提起することになるのならね。[レイチェルは困惑している] いいかい? 僕はただ望んでるんだ [左の靴を蹴って脱ぐ]、このことが、今まさにそうであるもの(に関すること)であって欲しいってね。[反対の靴を蹴って脱ぐ])
レイチェル: And um, what-what is that, Ross? (それで、あの、それって何のこと、ロス?)
ロス: The physical act of love. (Hisses at her.) (愛の肉体行為だよ。 [(気取ったように)シーっという音を出す])
レイチェル: (laughs) What, are you crazy? ([笑って] 何、あなた、おかしいの?)
ロス: Oh so-so you weren't trying to entice me just now with your-your nakedness? (あぁ、それじゃあ、君はたった今、自分の裸で[裸になることで]僕を誘おうとしてたんじゃなかったのか?)
レイチェル: (gasps) Oh God, you saw me?! Oh! ([息を呑んで] まぁ、なんてこと、あなた、私を見たの? まあ!)
ロス: You weren't trying to entice me with your nakedness. (君は、自分の裸で僕を誘おうとしてたんじゃなかったのか…。)
レイチェル: Noo!! No! You thought, you actually thought I wanted to have sex with you?! Oh, my.... (そんなことしてない、してないわ! あなたは本当に私があなたとエッチしたがってると思ったの? なんてこと…)

レイチェルのドアのところに立っているロスは、気取った格好で意味ありげな表情を浮かべています。
入ってもいい?と尋ねるロスに、レイチェルは、「あなたが入りたいと思っているならどうぞ」みたいに答えますが、それにロスは Do you want me to? とさらに尋ねていますね。
「君は僕が部屋に入ることを望んでるの?」ということですが、暗に「裸で僕の気を引いて、部屋に誘い込もうとしている君の気持ちを僕は承知してるよ」みたいなことが言いたいようです。

部屋に入った後も、ずっと気取った雰囲気を保っているロスは、上着を脱ぎながら、何かが起こる前に、lay down a couple of ground rules しておきたい、と言っています。
ロスはレイチェルが誘ったと思い込んでいますので、あえて具体的に何とは言わず、anything と表現しているのですね。お互い、それが何を指しているかわかるだろ、という感じです。
lay down の基本的意味は「…を横たえる、据える」という感覚ですが、そこから、「(ルール・規則など)を定める、決める」という意味になります。
lay down rules なら「規則を定める」ですね。
ground rule は「基本原則」。

This is just about tonight. を直訳すると、「これは今夜についてだけだ、今夜だけに関することだ」みたいになるでしょうか。今から何が起こったとしても、それは今夜だけの、今夜限りの話ことだからね、と念押ししている感じです。
go through with は「やり通す、やり抜く」。
if という条件節を使って、「もし…なら」このことを最後までやり通したくはない、つまり、「もし if 以下のことになるのなら、これをするつもりはない」と言っていることになるでしょう。

raise the question は「問題を提起する」。
if 節の中に be going to が使われているのは、「この先(この流れで)、将来的に、そういう問題を提起することになるのなら」という感覚だと思います。
そのように、if の中に、be going to が使われるパターンは、if条件節の未来形 フレンズ5-3その7 にも出てきました。
その記事で、if+be going to の形について、もう少し詳しく説明していますので、興味のある方は合わせてお読み下さい。

ロスは、the question of "us" と言いながら、us の部分で、両手の指2本ずつを2回曲げるしぐさをしています。
これは「引用符」を意味するジェスチャーですね。
「僕たち」の問題、「僕たち」っていう問題、みたいな感覚で、元恋人同士である君と僕がまたよりを戻すなどのそういう「僕たちの(恋愛・男女)関係」の問題を提起することになったとしたら、僕は今からしようとしているこのことをやり通したくはないからね、と言っていることになるでしょう。
今から this (これ、あること)をしようとしているけれど、将来的に、僕らの問題が再浮上することになるんだったら、これをするのはやめにする、と宣言していることになると思います。

聞いているレイチェルは混乱した顔をして、ロスの言っている意味が理解できないようですが、ロスはさらに続けます。
I just want this to be about what it is! について。
シンプルな単語ばかりが並んでいますが、こういうものは却って自然な日本語に訳しづらいです。
this が、be about what it is であることを僕はただ望んでいる、ということで、This is about what it is. であることを望んでいる、ということになるでしょう。
what it is は「(今の)まさにそのもの」という感じになるでしょうか。

研究社 新英和中辞典では、
what
(関係代名詞)
(2) [関係詞節中 be の補語に用いて] (…ある)まさにその人[もの]
He's not what he was. 「彼は昔の彼ではない」
(用法:昔と比べて現在は「堕落した」「衰えた」など通例悪い意味に用いる)
You have made me what I am today. 「私の今日あるのはあなたのおかげです」


などの例が載っています。
what he was が「昔の彼」、what I am が「今の私」であるとすると、what it is は「今のそれ、それの今の姿」みたいな感じなんだろうと思います。
about が入っているので余計に訳しにくいのですが、意味としては、「このことが、今の状態、今の姿、今の形であって欲しいと望んでいる」みたいなことだろうと思います。
過去や未来は関係なしに、今からしようとしていることが今あるその姿の状態であってほしいと望んでいる、その行為そのもの以上の意味は持たせなくない、というようなことかなぁ、と。

ロスが、what it is という抽象的な表現を使ったので、「それは一体、何のことを言っているの?」という感じで、レイチェルは、What is that? と尋ねています。
ロスは the physical act of love だと答えていますね。
act of love 「愛の行為」だけでも、エッチ行為を示唆することになると思うのですが、ロスは、mental 「心の」の対義語となる physical 「身体の、肉体の」を使って、さらにそれを具体的に、ダイレクトに表現している感じです。

その言葉を聞いて、ロスの言っている意味にやっと気づいたレイチェルは、「あなた、クレイジーね」と言っています。
それに対してロスは、「君は僕のことをクレイジーだって言うけど、じゃあ君は、窓越しに見せていたあの裸で、たった今、僕を誘おうとしてたんじゃないのか?」と強気な発言をしています。
entice は過去記事、フレンズ5-9その6 にも出てきました。

このセリフは、疑問文の語順になってはいませんが、you weren't trying...? のように文尾が上がり調子になっていますので、Weren't you trying...? 「君は…しようとしてたんじゃないのか?」という否定疑問文のニュアンスになります。
このような否定疑問文は、通常の疑問文と比べて、話者の推測を感じ取ることができます。
「…しようとしてたのか?」ではなく、「…しようとしてたんじゃないのか?」と否定疑問文にすることで、「君は…しようとしてたはずだ、そうしようとしてたに決まってる、僕はそう思った、そう感じた」という話者(ここではロス)の考えが出るわけですね。話者がそうだと信じて決めつけている感じがこの否定疑問文にはあって、君はそれを否定するっていうのか?という感覚です。

your nakedness という言葉を聞いて、レイチェルは、「私を見たの?」と驚いています。
自分が裸でいたことをロスに見られたことに、ここで初めて気づいたわけですね。
そのレイチェルの発言で、「レイチェルはロスに見せようとして裸になっていたわけではない」という事実をロスも知ることになります。
その次のセリフ、You weren't trying to... は少し前にロスが言ったセリフとほぼ同じですね。
違うのは、さきほどのように決めつけて勝ち誇るような否定疑問文のニュアンスではないところです。
今回のセリフは語尾には疑問符はついておらず、レイチェルの発言から、レイチェルの過去の行動の意味は実際にはそうだったんだ、とロスが悟ったかのようなセリフになっています。
「…してたんじゃなかったのか?(僕には…しているように見えたけど)」ではなくて、「(それじゃあ本当に)…してたんじゃなかったのかぁ…そうなんだね」と改めて事実を確認するようなセリフになっているわけです。

セリフというのは文字から判断する意味だけではなく、その言い方やイントネーションが意味を大きく左右します。
今回のよく似た2つのセリフも、見た目は同じようなセリフなのに、イントネーションの違いで、「そうしようとしてたくせに(僕にはわかってるんだぞ)!」と「本当にそうしようとしてたわけじゃなかったんだ(僕の早合点だったんだ)」という二つの意味になる、というところが面白いわけですね。
最初のセリフが、Weren't you trying...? のような「疑問文」の形になっていなかったことで、余計に二つの文章がそっくりになっているのもポイントなんだろうと思います。
同じ言葉を発しているのに、言っているロスの気持ちが天と地ほど違う、という楽しさでしょう。

部屋に入ってからのロスはあえて、sex という言葉を使わないでずっと会話をしてきましたが、レイチェルは、have sex with you というダイレクトな言葉を使っています。
ロスの勝手な思い込みにあきれたために、「私があなたと sex したがってるって、あなたは勝手にそう思ってたの?」と、わざとそういう直接的な言葉を使って、そういうことを想像していたロスを非難しているわけですね。


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posted by Rach at 14:41| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月18日

実際の計画とは違うように見せかける フレンズ5-23その3

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モニカは、交際1周年の記念に、ラスベガス行きのチケットをチャンドラーにプレゼントします。
ベガスに行ったらチャンドラーがジョーイと仲直りできるし、二人の思い出にもなる、と思ったわけですが、フィービーもそれに同行したいと言い出し、結局、3人でベガス行きの飛行機に乗ることになりました。
フィービーがトイレに向かい、二人きりになったチャンドラーとモニカは、記念日を祝っています。
チャンドラー: Can I give you a present now? (今、君にプレゼントあげていい?)
モニカ: Okay! (いいわよ!)
チャンドラー: Okay! (He grabs his carryon and starts rummaging through it.) Oh, man! Don't tell me I did this. (よし! [チャンドラーは持ち込んだ手荷物を掴み、その中をひっかき回して(くまなく)探す] あぁ、なんてこった! まさか俺がこんなことしちゃったなんて言わないでくれよ。)
モニカ: I love "I forgot the present" fake-out! (「俺、プレゼント忘れちゃった」ってふりをして騙すの、大好き!)
チャンドラー: How do you feel about the "I really did forgot the present, please forgive me" not fake-out? (「俺、本当にプレゼントを忘れちゃったんだ。どうか俺を許して」っていう、「何かのふりをして騙してるんじゃない」だったらどう思う?)
モニカ: Oh, honey, that's okay. Don't worry about it, you can give it to me when we get back. (あぁ、ハニー、そんなのいいのよ。心配しないで、戻った時にプレゼントを渡してくれればいいわ。)
チャンドラー: Ohh, this is the worse thing that can happen on an anniversary ever! (あぁ、これは、記念日に起こりうる(中で)最悪の出来事だよ!)
フィービー: (sitting down) Oh good! All right, so you decided to tell him about the Richard thing. ([(戻ってきて)席に座りながら] あぁ、良かった! よし、それじゃあモニカは、例のリチャードのことをチャンドラーに言うことに決めたのね。)
チャンドラー: What, what "Richard thing"? (何? どんな「リチャードのこと」?)
フィービー: Oh, no. [The patented version.] (あら、やだ。[フィービー独特のバージョンで])
チャンドラー: What "Richard thing"? (どんな「リチャードのこと」なの?)
フィービー: (To Monica under her breath) Simmons! Go with Simmons! ([モニカに声をひそめて] シモンズよ! シモンズの線で行って!)

二人きりになった時に、チャンドラーは自分からのプレゼントをモニカに渡そうとします。
ト書きの carryon は、通常は carry-on とハイフン付きで表記されることが多いですが、「(飛行機の)機内持ち込み手荷物」のこと。carry-on baggage の略ですね。
rummage は「ひっかき回して・くまなく探す」。
実際の映像からも、またその rummage が使われているト書きからも、目的のプレゼントを探しているけれども見つからない感じが出ています。

Don't tell me! を直訳すると、「俺に(…だと)言わないでくれよ!」みたいなことですが、これは、「まさか!」というニュアンスですね。
英辞郎には、
Don't tell me you don't know.=知らないなんて言わないでくださいよ。/まさか知らないとは言わせないよ。
という例が載っています。
その例にならうと、「俺がこんなことしちゃったなんて言わないでくれよ。まさか俺がこんなことやっちゃったとは言わせないよ」みたいな感じになるでしょうか。
英辞郎に載っていた他の例文も、もっぱら、Don't tell me you... のように、you が主語の文が続く形が載っていて、「君が…したって(…だって)言わないでくれよ」というニュアンスを出していますが、その主語を I に変えたバージョンが今回のチャンドラーのセリフということになるでしょう。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
don't tell me : used to interrupt someone because you know what they are going to say or because you want to guess, especially when you are annoyed
例) Don't tell me we're out of milk!

つまり、「誰かがこれから言おうとしていることがわかるからという理由で、または自分が(相手の言うことを)推測したいからという理由で、相手の発言をさえぎるために使われる。特に、いらいらしている時に」。
例文は、「ミルクを切らしてるなんて言わないでくれよ」。

このロングマンの例も、主語に自分を含めた we が使われていますので、必ずしも、主語が you である必要はない、と言えそうです。
チャンドラーのセリフの、Don't tell me という命令文は、隣にいるモニカに向けられたものというよりも、もっと漠然とした対象、もしくは自分自身に向けられた言葉、という感じがします。
「…しちゃったとか言ってくれるなよ」と誰とはなしに言っている感覚、または、「こんなことしちゃった、とか言うなよ、俺」みたいに、自分自身に対して言っている感覚でしょうか。
いずれにしろ、探しているプレゼントが見つからない様子と、Don't tell me I did this. というセリフから、「こんなことしちゃった」=「プレゼントをバッグに入れるのを忘れちゃった、プレゼントを家に置いてきちゃった」であることは想像できますね。

そのチャンドラーの様子を見て、モニカはがっかりすることなく、I love ... fake-out! と嬉しそうに叫んでいます。
fake-out という単語については、fake-out という言葉そのものは手持ちの辞書にありませんでしたが、fake out という句動詞を名詞化した感覚だと思います。
fake someone out で「人をだます」という意味になります。

LAAD では、
fake somebody out [phrasal verb] : to deceive someone by making them think you are planning to do one thing when you are really planning to do something else.
つまり、「自分が本当は何か他のことを計画している時に、自分が(それとは違う)あることを計画していると人に思わせることで相手をだますこと」。

ですからここでの fake-out は、「Aをするように見せかけて、実はBをしようとしている」みたいな感覚になります。
「フェイク」という言葉は日本語になってしまっていますから、その「フェイク」という言葉で今回の fake-out のニュアンスを表せる気はします。
fake-out の前に、文を引用符でくくる形の形容詞、"I forgot the present" がついていますから、この fake-out は、「俺、プレゼント忘れちゃった、って見せかけて、実はプレゼントはここにあるんだよ〜ん」みたいに、私をだましてびっくりさせようとしてるのね、みたいなことになるでしょう。
「プレゼントがない、ない」と焦ったそぶりを見せて、私ががっかりした時に、ジャジャーン!と見せて喜びを倍増させるつもりね、と言っているわけですね。

それに対してチャンドラーは同じような、文を引用符でくくる形容詞+not fake-out を使って、「…についてどう思う?、どう感じる?」と尋ねています。
not fake-out を無理やり日本語にすると、「非フェイク、フェイクじゃないもの」みたいになるでしょうか。
「俺、プレゼント忘れちゃった」っていうフェイクじゃなくて、「俺は本当にプレゼントを忘れちゃったんだ、だからごめんね許してね」っていう「フェイクじゃないもの」だとしたらどう思う?みたいなことで、びっくりさせようと忘れたふりをしてるんじゃなくて、ほんとに忘れちゃったんだよ、これはフェイクじゃないんだよ、と言っていることになります。

モニカはチャンドラーがプレゼントを忘れたことを理解し、「戻った時に渡してくれればそれでいいわ」と言うのですが、チャンドラーは忘れたことがよほど悔やまれるようで、「記念日における最悪の出来事だ」みたいなことを言っています。
this is the worse thing that can happen on an anniversary ever を直訳すると、「これは、ある1つの記念日に起こりうる最悪のことである」になるでしょう。
記念日にはいいこと悪いこといろいろ起こるけど、相手にあげるプレゼントを忘れるなんて最悪だ、俺は最低のことをしちゃった、と言っているセリフになります。
プレゼントを忘れたことが客観的に見て「最悪」とは思えませんが、それを最悪と表現することで、モニカをがっかりさせてしまったことを俺は大いに反省しているよ、と示したいのでしょう。

席に戻ってきたフィービーは、そのチャンドラーのセリフを聞いて、「それじゃあ、モニカは例のリチャードの件をチャンドラーに告白することに決めたのね」みたいなことを言っています。
チャンドラーが、「それって何のこと?」みたいに言うので、フィービーは自分の失言に気づいたように、Oh, no. と言っていますね。
観客も、フィービーのそのセリフにどよめいていますから、フィービーがヤバいことを言ってしまったことは容易に想像できます。

たまたま席を外していて「記念日で最悪のこと」というセリフだけを聞いたフィービーは、チャンドラーが最悪のことと言ったのは、モニカがリチャードと食事したことを告白したからだ、と勘違いしたのですね。
you decided to tell him about 「…について彼に話すと決めた」という過去形は、そう決めて、今、実際にそれを話したのね、と言っていることになるでしょう。
「言わないって言ってたけど、今のチャンドラーのセリフを聞くと、モニカは話すことにしたのね」と軽く言ったわけですが、その内容を the Richard thing と名前を出して言ってしまったので、チャンドラーの注意を強く引いてしまったわけですね。
チャンドラーは、What "Richard thing"? と2回言っていますが、厳密に言うと、What's the Richard thing? (= What is the Richard thing?) とは微妙にニュアンスが違うように思います。
What's the Richard thing? なら、「例のリチャードのこと」って何?と問うていることになるでしょうが、What "Richard thing" だとその what は、「何の、どんな」という形容詞になり、何の「リチャードのこと」なの?、どんな「リチャードのこと」なの?、とその「リチャードのこと」の内容、「どのような”リチャードのこと”なのか?」を問うている感覚になると思います。

チャンドラーが「リチャードのこと」が何かわかっていないことから、フィービーは自分が失言したことに気づいたようで、Oh, no. と言っていますが、そのト書きには、[The patented version.] と書いてありますね。
patent は「特許、特許権、パテント」のことで、動詞では「…の特許(権)を取る、特許を受ける」という意味になります。
ですから、直訳すると、「例の特許を与えられたバージョン」みたいな意味になるわけですが、それはつまり、「フィービーがよく使うと多くの人に認められている、そのバージョンで」みたいな感じでしょう。
何か言ってはいけないことを言ってしまった後に、こんな風に、Oh, no. と言うのがフィービーの口癖、いつものパターンである、という感覚なんだろうと思います。

「リチャードのこと、ってどんなことだよ?」と追及するチャンドラーを見て、フィービーがモニカに、リチャード・シモンズのことを言うのが面白いですね。
リチャード・シモンズについては、1つ前の記事、あのリチャードってどのリチャード? フレンズ5-23その2 で説明しましたが、モニカが「あのリチャード」と言った時に、フィービーが思い出したのが、減量プログラムで有名なフィットネス界の有名人、リチャード・シモンズでした。

go with は「…と共に行く」ということですが、ここでは、英辞郎の
go with=【句動-9】〜を選ぶ、〜の線[路線]で行く
という語義が近いように思います。
リチャードという名前を聞いて、私はあなたの元カレのリチャードじゃなくて、リチャード・シモンズのことを思い出したんだから、ここでもその路線で、「リチャード・シモンズの線で」行きなさいよ、リチャードっていうのはあのリチャード・シモンズのことよ、って話をそらしちゃいなさいよ、と勧めているわけですね。
最初にシモンズの名前がセリフに出てから、このように、かなり後のシーンで再度シモンズの名前を出してくるところも、コメディの定石と言えるかもしれません。
モニカがリチャードと言えば、誰もが元カレのリチャードを思い出すに決まっているのに、シモンズだと言い張って逃げられるかのように思っているところに、フィービーのオトボケ具合が感じられて、楽しいなと思いました。


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posted by Rach at 08:36| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月16日

あのリチャードってどのリチャード? フレンズ5-23その2

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[Scene: Monica and Rachel's, Phoebe is entering.]
モニカとレイチェルの部屋。フィービーが入ってくる。
フィービー: Monica! I'm sorry I'm late! (Starts looking around for her) Monica? (Goes into Monica's bedroom.) (モニカ! 遅れてごめんなさい! [モニカを探し始める] モニカ? [モニカの寝室に入る])
モニカ: (entering) Phoebe? (Phoebe comes back into the living room) Oh, Phoebe, I'm so sorry. Have you been here long? ([(外からアパートメントの中に)入ってきて] フィービー? [フィービーはリビングに戻ってくる] あぁ、フィービー、ごめんなさい。ここに長い間いた?)
フィービー: (saddened) That's okay. What the hell took you so long? ([悲しんで(悲しそうな顔をして)] そんなのいいのよ。一体どうしてそんなに長い時間がかかったの?)
モニカ: Okay, you cannot tell Chandler. Okay? That I ran into Richard. (いいわ、チャンドラーには言っちゃだめよ、いい? 私、リチャードにばったり会ったの。)
フィービー: Which Richard? (どのリチャード?)
モニカ: The Richard. (あのリチャードよ。)
フィービー: Richard Simmons? Oh, my God! (リチャード・シモンズ? なんてこと!)
モニカ: Noo! My ex-boyfriend Richard! Y'know, the tall guy, mustache? (違うわ! 私の元カレのリチャードよ! ほら、背が高くて、口ひげの。)
フィービー: Oh! Okay, that actually makes more sense. So how was it? (あぁ! そうね、実際、その方が納得いくわね。それで、どうだったの?)
モニカ: It was, it was really nice. We started talking and I-I ended up having lunch with him. (本当に良かったわ。私たちは話し始めて、それで、結局、私は彼とランチを食べたの。)
フィービー: That is so weird! I had a dream that you'd have lunch with Richard. (それってすごく変な感じだわ! 私、あなたがリチャードとランチを食べる夢を見たのよ。)
モニカ: Really? (ほんとに?)
フィービー: But again, Richard Simmons. Go on. (でも、それもまた、リチャード・シモンズだけどね。(話を)続けて。)

外からアパートメントに入ってきたフィービーは、「遅くなってごめんなさい」と言いながら、モニカを探しています。
その後にアパートメントに入ってきたモニカは、フィービーの姿を見て、ここに長くいた?と尋ねます。
フィービーは悲しそうな顔をして、That's okay. と言っていますね。
これは、フィービーは予定の時刻に遅刻したけれど、モニカがさらにそれより遅かったので、自分がこの部屋でさも長い間モニカを待っていたかのようなお芝居をしているのですね。
最初は「遅れてごめん」と申し訳なさそうにモニカを探し回っていたのに、モニカが遅かったとわかると、「すごく待たされちゃったけど、まあいいわ、許したげる」みたいに、わざと不機嫌そうな顔をしてみせているわけです。

「take+someone+時間」は、「人に(時間が)かかる、人に(時間を)要する、必要とする」。
この場合は、「何があなたにそんなに長い時間を要したの?」ということで、つまりは、「何をしていたせいで、どんな用事で、あなたはそんなに遅くなった(時間がかかった)の?」と言っていることになります。
自然な日本語にするならば、「どうしてそんなに遅くなったの?」になるでしょうが、厳密に言うと、「遅くなった理由」を尋ねているというよりは、「遅くなった原因」を尋ねているニュアンスになるでしょう。

モニカは、「チャンドラーに言っちゃだめよ」と言いながら、「私、リチャードにばったり会っちゃったの」と言っています。
ネットスクリプトには、That I ran into Richard. と書いてあり、実際、that が音として聞こえるかどうかは微妙なところですが、この that は、You cannot tell Chandler that I ran into Richard. ということです。
that のニュアンスを出そうとすると、「チャンドラーには言わないでね。私がリチャードにばったり会ったことを」みたいになるでしょうか。
このように、「…ということ」の意味で、文頭がいきなり That で始まるような「That+S+V」という形は、ドラマや映画などのセリフに結構登場します。
その前に言ったセリフに続く形で、that が使われているのだと認識すれば良いでしょう。

リチャードに会ったと話すモニカに、フィービーは「どのリチャード?」と聞いています。
それに対するモニカの返事、The Richard. は、The の部分が強調され、通常の「ザ」ではなく、「ジ」…というより「ディ」みたいな発音に聞こえます。
モニカは、「どのリチャードって、あのリチャードに決まってるじゃない」という感じで、The の部分を強調しているわけですね。

「あの」リチャードと聞いて、フィービーが名前を出したのは、Richard Simmons という人。
それに対してモニカは、「違うわ、あのリチャードと言えば、私の元カレのリチャードよ!」と言い、背が高くて口ひげが生えているという彼の特徴を述べ、元カレのことを思い出させようとしています。

フレンズをずっと見てきたファンにとっても、モニカがリチャードと言えば、あの親子ほど年の離れた元カレのリチャードに決まってる、とわかるのに、全然関係のないリチャードの名前を持ち出すフィービーのズレ具合が「いかにもフィービー」という感じですね。

フィービーが名前を出した、リチャード・シモンズについては以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Richard Simmons

彼のオフィシャルサイトはこちら。
Richard Simmons Official Site and Clubhouse: Weight Loss and Fitness Tools and Motivation

減量プログラムなどを行なう、フィットネス界の有名人のようです。
ウィキペディアの説明には以下の記述があります。
... is known for his eccentric, outgoing and frequently flamboyant personality.
つまり、「彼は、エキセントリック(風変り)で、社交的で、しばしば、けばけばしい(派手な)性格で有名である」。

ついでにその flamboyant の英英辞典の語義も紹介しておきます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
flamboyant : behaving or dressing in a confident or surprising way that makes people notice you.
つまり、「人に(存在を)気づかせるような[人目を引くような]、自信に満ちた[大胆な]、または驚くようなやり方で行動する、またはそのような服を着る」。
つまり、行動や服装が大胆で人目をひくような人を指す言葉だということになります。

フィットネスやダンスのような華やかな業界は、派手めで、元気ハツラツな人が多いですよね。
このリチャード・シモンズもそういうイメージの人なのでしょう。
有名な映画俳優(例えば、リチャード・ギア)とかではなくて、フィットネス業界の人の名前を出してくるところが、変化球ぽいというか、どこかマニアックで意外性があって余計に笑えてしまう、ということかもしれません。
ダイエットのビデオなども多く出している有名人のようですが、それにしても、数多くいるリチャードと名のつく有名人の中で、なぜ彼の名前が一番最初に出てくる?!みたいな、人選のセンスの面白さなのでしょう。

口ひげの生えた元カレだと説明するモニカに、フィービーは、that actually makes more sense と言っています。
make sense は「道理にかなう」ですから、それを比較級にした、make more sense は「(主語)の方が、より道理にかなう」ということですね。
つまり、フィービーは、今のモニカの言ったことの方が、私の言ったことよりも道理にかなってるわ、と言っていることになります。
これがもし more がなければ、「あなたの言ったことは道理にかなってるわ、納得いくわ」になるのですが、more がついているために、自分の言ったことと比較して「より道理にかなっている」と言っていることになり、つまりは、自分の言ったことも多少は道理がかなっていると思っていることがわかります。
モニカがリチャードという名前を出した時に、全く何の関係もない、リチャード・シモンズだと思い込むのは超ナンセンスなのに、フィービーはその自覚がない、ということですね。
「うーん、なるほど、あなたの元カレのリチャードね、確かに”そっちの方が”納得いくわね」と「2つを比較した上でモニカの意見の方がより道理にかなう」と判断している、そのセリフの面白さに注目していただければと思います。

わりと最近の記事でも、これと同じようなパターンを取り上げたことがあります。
あまり道理にかなってるとは言えない フレンズ5-20その6 で、「銃声がしたから、サンドイッチを守ろうとしたんだ」というジョーイに、
チャンドラー: From a bullet? ((救うって)銃弾から?)
ジョーイ: I know it doesn't make much sense. (それほど筋が通らないのはわかってるけど。)
チャンドラー: "Much" sense? (「それほど」だって?)
というやり取りでした。
これも、自分の言っていることに「多少は道理がある、多少の筋は通っている」と思っているジョーイに、チャンドラーはあきれていたわけですね。

誰かの発言を受けて「なるほど。それなら道理にかなってる」と言いたい場合に、That makes sense. というフレーズをよく使いますが、それに more をつけることで、自分の言ったことも多少は道理があった、ということを示している、その面白さを楽しんでいただけたらと思います。

リチャードと会って話をして、結局はランチを一緒に食べたと言うモニカ。
フィービーは、「それって妙な感じね。(だって)私、あなたがリチャードとランチを食べる夢を見たんだもの」と言っています。
「モニカが実際にやったことを、それより前に夢で見ちゃったの。何だか予知夢みたいで奇妙な感じがするわよねぇ…」と言っているように聞こえるのですが、その後のセリフを聞いてみると、その夢に出てきたリチャードは、元カレのリチャードではなくて、またもや、リチャード・シモンズ!(笑)
「また、そっちのリチャード!?」とツッコミたくなるようなセリフですね。
さっきの話で、シモンズの件はオチがついていたと思ったら、少し間を置いてまた持ち出す、という、ある意味、喜劇の王道と言うべきジョークだと思います。
こんなところで再登場するとは思わず油断していると、まんまとそのジョークにハマってしまう、という感覚ですね。


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posted by Rach at 12:34| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月13日

ATMに残された暗証番号 フレンズ5-23その1

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シーズン5 第23話
The One in Vegas Part I (恋人たちのベガス PART 1 )
原題は「ベガスの話 パート1」


[Scene: Monica and Rachel's, Rachel is sitting in the living room and Phoebe is standing in the kitchen as the phone rings.]
モニカとレイチェルの部屋。レイチェルはリビングに座っていて、フィービーは台所に立っている。その時に電話が鳴る。
フィービー: (answering the phone) Hello? (Listens) Hey, Joey! ([電話に出て] もしもし? [電話を聞いて] はーい、ジョーイ!)
[Cut to Las Vegas, Joey is on the phone and wearing his gladiator costume.]
ラスベガスに画面がカット。ジョーイは電話をしていて、グラディエーターの衣装を着ている。
ジョーイ: Hey, Pheebs! Listen, uh can you do me a favor? I forgot the PIN number to my ATM card. Can, can you get it for me? (やあ、フィービー! ねぇ、お願いがあるんだけど。俺、ATM カードの暗証番号を忘れたんだ。俺のためにその番号を手に入れてくれる?[調べてくれる?])
フィービー: Sure! Where is it? (もちろん! それはどこにあるの?)
ジョーイ: Uh, I scratched it on the ATM machine down on the corner. (隅[角]にある ATM の上に走り書きしたんだ[引っかいて彫ったんだ]。)
フィービー: Ohh! So you're 5-6-3-9? (あー! それじゃあ、あなたが 5639 なのね?)
ジョーイ: That's it! Thanks, Pheebs! (それだよ! ありがと、フィービー!)

ラスベガスから電話してきたジョーイ。
ジョーイは、the PIN number to my ATM card を忘れたと言っています。
PIN は、personal identification number 「暗証番号」のことですね。
今回のセリフでは、the PIN number のように number という単語がついていますが、the PIN、または、my PIN という number のない形で使われることも多いようです。
実際、N = number の略であるわけですから、厳密に言うと、number をつけてしまうと、number が重複することになってしまうわけですが、より暗証「番号」であることをはっきりさせるために、PIN number という言い方もよく使われる、ということなのでしょう。

the PIN number to my ATM card のように前置詞 to が使われていますね。
これは、「…の鍵(かぎ)」と言いたい場合に、a key to something のように to が使われるのと同じような感覚だと思います。
a key to a door だと「ドアのカギ」、a key to a car だと「車のキー」ですね。
研究社 新英和中辞典では、そういう to のニュアンスを、
[付属・関連・関係を表わして] …の、…に(とっての)
と説明していますが、まさにそのような「付属しているという関係を示している」 to なのだろうと思います。紐付きになっている関係とでも言いましょうか。

Can you get it for me? の get は漠然とした動詞ですが、ここでは「入手する、手に入れる」という感覚が近いかなと思います。
番号を忘れちゃったんで、それを「探して、調べて」欲しいんだ、みたいなことでしょう。

I scratched it on the ATM machine down on the corner. について。
まずは動詞 scratch。「スクラッチくじ」という言葉があるように、scratch は「引っかく、かく、こする」という意味が基本ですね。
そこから、「引っかくように彫る」や「走り書きする、殴り書きする」という意味にもなります。

研究社 新英和中辞典では、
scratch :
1 〔+目+on+【(代)名】〕 〔…に〕〈印・名前などを〉ひっかくようにつける[書く]
scratch one's name on a wall (with a nail) (くぎで)壁に名前を彫りつける。
2 〈…を〉走り書きする, 殴り書きする
scratch one's signature さっとサインをする。
scratch a note to a friend 友人にさっと一筆手紙を書く。


と出ています。
「くぎで壁に彫りつける」というのはまさに日本語にもなっている「スクラッチ」のイメージですが、必ずしも「引っかいて傷をつける」というニュアンスばかりではなく、乱暴な感じで「書く」ことも scratch と表現するのですね。

Macmillan Dictionary では、
scratch : [transitive] (informal) to write something very quickly and carelessly
つまり、「(インフォーマル) 何かを非常に早く、ぞんざいに書くこと」。

the ATM machine down on the corner を定冠詞を忠実に訳すと、「その角にある、あの ATM 機」みたいな感覚になるでしょうか。
the という定冠詞は、話し手と聞き手が「それ」だと特定できるものに対して使われますので、いつも一緒にいるフレンズたちは、「あの隅・角の ATM 」と言えば、あぁ、いつも使ってるあれね!とピンとくるわけでしょう。
フレンズたちがよく使っているその ATM に、ジョーイは自分のカードの暗証番号を scratch したと言っているわけですが、何か硬いもので引っかいてその番号を彫った、ということもありうるし、ペンか何かで走り書き、殴り書きした、ということもあるでしょう。
彫って傷をつける方が時間がかかりそうなので(笑)、多分、忘れないようにどこかにささっと「落書きのように書き留めた」、という感じが近いのかな、とは思います。
いずれにしろ、学校の机に何かを彫ったり落書きしたりしてある、あんな感じのイメージですね。

ちなみに、ATM は、automated teller [telling] machine 「自動現金預払機」の略。
セリフでは、ATM machine と書いてありますが、これも、さきほどの PIN number と同じく、最後の machine が重複しています。
「自動現金預払機の機械」みたいな感じになるわけですが、PIN number と同様、machine を付けた方が「機械」であることをよりはっきりイメージできる、という効果もありますし、また、英語はこのような頭文字を使った略語が多いために、他の分野の同じ略語と見分けるために(紛らわしくないように)、念のため、number や machine をつけた形で使う、ということもある気がします。

いつもの ATM に書いてある、と言われたフィービーは、So you're 5-6-3-9? と驚いています。
その機械を使うと、その数字がどうしても目に入るので覚えてしまったようですね。
Your PIN number is 5-6-3-9? 「あなたの暗証番号は 5639 なの?」というような意味ですが、ここでは、be動詞 are で結ばれて、「you = 5-6-3-9」のように表現されています。
本来、「あなた(人)=暗証番号(数字)」という等式は成り立ちませんが、ATM に書かれている4桁の番号となると、それはカードの暗証番号であるに決まっている、誰の番号なんだろう?とずっと疑問に思っていたけれど、「暗証番号5639 の持ち主・正体はあなただったのね!」という感じで、「あなたが 5639 (さん)なのね」のように言っている感覚だと思います。

That's it. は「それだよ、それが求めていたものだ」というニュアンス。
that は今フィービーが言った暗証番号を指し、it はジョーイが頭の中にイメージしているもの、彼が求めているものを指しています。
「今言ったのが、俺が探していたものだ」ということですね。

ちなみに、この 5639 という番号はでたらめな数字ではありません。
この数字はアルファベットを意味しています。
正確に言うと、あるアルファベットを数字化すると、この数字になるということです。

過去記事、架空の電話番号 フレンズ3-7その3 では、お店の広告に、212-555-KING という電話番号が出てきました。
携帯電話には、数字キー(dial pad)に、アルファベットが割り振られていますよね。
この場合は、KING のアルファベットを押すと、5464 になる、という仕組みです。

今回のジョーイの暗証番号については、
5-J, K, L
6-M, N, O
3-D, E, F
9-W, X, Y, Z
と割り振られているので、5639 がどういうアルファベットから来ているかを想像してみると…なんと、JOEY という綴りを数字化したもの、だったのですね。
5639 = JOEY なわけです。

この暗証番号のやり取りが面白いのは、カードを使って引き出す機械そのものに暗証番号をメモっているという大胆さ、つまり、「人に見られるところに暗証番号をメモしてはいけない」というセキュリティーの鉄則を思いっきり破っているということがまずあります。
そこにカードを置き忘れたり、周辺に落としたりした場合に、他人にお金を引き出されてしまう可能性があるわけです。

さらに面白いのは、この暗証番号が、JOEY というアルファベットを数字化した数字になっているのに、それがわからないなんておかしいでしょ?とツッコミたくなる、ということもあるでしょう。
暗証番号に電話番号や生年月日を使わないように、という警告がよくありますが、ある意味、それよりもバレやすい暗証番号のような気もしますしね。
これもたまたま、ジョーイの綴りが4文字だったのでぴったり数字4つに収まるわけで、フレンズの中だと彼以外には、ROSS くらいしかこのパターンは使えません(ちなみにロスだと、7677 になります)。
「名前をそのまま暗証番号にした上に、それを ATM にメモっている。そんな覚えやすい番号なのに忘れてしまい、フレンズに助けを求めている」というところが、「いかにもジョーイ」という感じがして、楽しいなと思いました。


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posted by Rach at 13:38| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月11日

古代ローマがテーマのホテル フレンズ5-22その6

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ジョーイが主演するはずの映画は、資金不足で中止になってしまいます。ですが、フレンズたちはまだそのことを知りません。
[Scene: Monica and Rachel's, the phone is ringing.]
モニカとレイチェルの部屋。電話が鳴っている。
モニカ: (answering it) Hello? ([電話に出て] もしもし?)
ジョーイ: (on phone from Vegas) Hey, Monica, it's Joey! ([ベガスからの電話] よお、モニカ。ジョーイだ!)
モニカ: Hey, Joey! Aww, you remember me even though you're a big star! (まぁ、ジョーイ! あー、私を覚えててくれてるのね、あなたは大スターだっていうのに!)
ジョーイ: Aw, come on! It'll be years before I forget you! (あー、よせよ! 俺がモニカを忘れるには、何年もかかるよ。)
モニカ: Joey, what's it like on a movie set, huh? Do you have a dressing room? Do you have a chair with your name on it? (ジョーイ、映画セットにいるってどんな感じ? あなたには楽屋があるの? あなたの名前が書いてある椅子があるの?)
ジョーイ: Uh, well yeah-yeah, I got all of that going on. Yeah, listen uh, I want you to make sure you tell Chandler that he couldn't have been more wrong! Uh-oh! I gotta go, Monica. My uh, my sushi's here! (あー、そうだな、そう、そうだよ。そういうの全部あるよ。そうだ、ねぇ、必ずチャンドラーに言っといてよ、チャンドラーはこれ以上ないくらい間違ってたって。おっとー、モニカ、俺、行かなくちゃ。俺の、俺のスシがきたんでね!)
[Cut to Joey hanging up the phone in Vegas. He's wearing a Roman gladiator's uniform and goes over to join a family to pose for a picture. You see, he's apparently taken a job at Caesars Palace.]
ジョーイがベガスで電話を切る場面に切り替わる。ジョーイはローマ時代風のグラディエーターの服[軍服]を着ていて、ある家族のところに行って、写真のためにポーズを取る。おわかりのように、ジョーイはどうやらシーザーズ・パレスでの仕事に就いたらしい。
ジョーイ: (to the family) Sorry about that. Thanks for waitin'. ([その家族に] 今のは[電話してて]ごめん。待っててくれてありがとう。)
その家族の夫: Okay! (いいよ!)
ジョーイ: Everybody smile! (The picture is taken) Okay, thanks a lot! Enjoy your stay at Caesars! We hope it's toga-rific! (The family leaves.) Kill me. Kill me now. (みんな、笑って! [写真が撮影される] よし、どうもありがとうね! シーザーズでの滞在を楽しんで! トガリフィックになるように祈ってるよ! [その家族が去る] (誰か)俺を殺して、今すぐ、殺して。)

ラスベガスから、モニカの家に電話をしてきたジョーイ。
ジョーイの映画が中止になったことを知らないモニカは、映画の主役に抜擢されたジョーイを、ビッグスター扱いしています。
even though は「…であるのに、…にもかかわらず」。
すごい大スターで有名人になったのに、昔の友達の私のことを、以前と変わらず覚えていてくれてるの?みたいなお世辞ですね。

It'll be years before I forget you! を直訳すると、「俺が君を忘れる前に[までに]、何年もあるだろう」みたいな感じですね。

研究社 新英和中辞典では、以下の例文が載っています。
It will be long before we meet again. 「今度お会いするのはずっと先のことでしょう」
(用法:before の導く節が意味上は未来に関することを表わしていても述語動詞は現在形を用いる)


これも、「私たちが再び出会う前に、長い期間があるでしょう」ということから、上のような意味になるのですね。
この例文の long を years にしたのが今回のセリフということになります。

ジョーイがこのセリフを言った時、観客の笑い声(ラフトラック)があり、モニカは「あらら」というような顔をしています。
ジョーイを大スターのように扱ってあげたのに、あまり嬉しくないセリフで返された、というような表情に見えます。
その様子から判断すると、「モニカを忘れるには何年もかかるよ」というのは、モニカという人物の印象が強烈すぎて(笑)、忘れたくても忘れられない、一日や二日で忘れられるものじゃない(→忘れるためには何年もかかる)という意味のセリフなのかな、と思います。

モニカは、一瞬そのように、妙な表情を浮かべますが、また気を取り直して、映画に関することを質問します。
What's it like on a movie set? の What's it like? は「どんな感じ?」ですね。
What's it like to do? や、What's it like doing? なら、「…するのはどんな感じ?」という意味になります。
It is like A to do. / It is like A doing. 「〜することはAのようだ」の like の後に来る部分(A)を、疑問代名詞 what で問うているわけですね。
その場合の it は、to do や doing の仮主語ということになります。

今回のセリフ What's it like on a movie set? は、「on a movie set で、どんな感じ?」と尋ねている感覚ですね。
この場合の it は「漠然とした状況」を指しているのでしょう。
on a movie set は「映画のセットの上に乗っている」ような感覚で、そういうセットの中で行動している今の状況はどんな感じ?という質問になります。

dressing room は「更衣室、支度室、着替え部屋」みたいなことですが、映画などの場合だと「楽屋」がふさわしいでしょうか。
直訳すると、「あなたは1つの楽屋を持っているの?」ということなので、他の人と一緒の大部屋に押し込められているのではなく、主演俳優として楽屋を一つ与えられてるんでしょう?と言っていることになりますね。
a chair with your name on it の with は「付帯状況」を表し、「あなたの名前がその椅子の上にある椅子」→「あなたの名前が書いてある椅子」になります。
これもまた、主演俳優専用の椅子があるんでしょう?と言っていることになります。

I got all of that going on. の got は、have のニュアンスだと思われます。
have all of that going on で、「それ(モニカが今言ったようなこと)の全部が進行中である状態を持っている」みたいなことで、モニカが言ったように、個室の楽屋もあるし、名前の書いた椅子もあると返事していることになります。

I want you to make sure you tell Chandler that の make sure (that) は「間違いなく〜するようにする、必ず〜するように計らう」ですから、「間違いなく that 以下のことをチャンドラーに伝えて欲しい」ですね。
I want you to tell Chanlder that と同じようなことですが、make sure が入ることで、「必ず、間違いなく、もれなく」チャンドラーに伝えてよ、と念押ししている感じが出ています。

he couldn't have been more wrong の he はチャンドラーで、wrong には「悪い」という意味もありますが、ここでは「間違った、誤った、正しくない」という意味で使われているようです。
couldn't... more wrong で「それ以上、間違えることができなかった」→「これ以上はないと言うくらい、最高に・絶対的に間違っていた」ということが言いたいように思います。
I couldn't agree (with you) more. が、「これ以上同意することなんてできない」→「全く同感です」という意味になるのと同じで、「これ以上…である・になることを否定する」ことで、そのレベルが最高であることを表現する方法ですね。

ここでジョーイが言いたいのは、「俺の大ブレイクじゃない、本当の映画じゃない、ってチャンドラーは言ってたけど、今言ったように俺は主役として良い待遇を受けてるんだから、チャンドラーが言ったのは大間違いだったぞ」ということでしょう。
さらに、主役のVIP待遇であることを示すために、「俺のスシが来た」とも言っています。
お寿司を高級料理のように言っているわけですから、日本人としてはちょっと嬉しいですね。

その後のト書きにあるように、電話を切った後のジョーイの姿が映りますが、古代ローマの剣闘士(gladiator)の扮装をしています。
まさに、ラッセル・クロウ主演の映画「グラディエーター」の世界ですね。
そういう衣装を着て、お客さんと写真を撮っている、その様子から、Caesars Palace での仕事に就いたらしい、というト書きもあります。
このホテル、ラスベガスに実際に存在するホテルのようです。
Caesars Palace Las Vegas
Wikipedia 英語版: Caesars Palace

ウィキペディアの枠内の説明にあるように、Theme: Roman Empire 「テーマ:ローマ帝国」なので、ジョーイはこんな恰好をしているわけです。
Caesar は、古代ローマの将軍 Julius Caesar 「ジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)」のことですね。
palace は「宮殿」。

ネットスクリプトのト書きでは、Caesar's Palace のように所有格のアポストロフィーがついており、後のジョーイのセリフも、DVD英語字幕では、Enjoy your stay at Caesar's! のようにアポストロフィーがついていますが、アポストロフィーのつかない Caesars Palace が正式名称のようです。

上のウィキペディアの History に以下の記述がありました。
It is called "Caesars" and not "Caesar's" because every guest is a Caesar.
つまり、「呼び名(ホテルの名前)は、"Caesars" であって、"Caesar's" ではない。それは、すべての客が a Caesar 「一人のシーザー」だからである」。
つまり、Caesar's としてしまうと、「あの」ジュリアス・シーザーの宮殿、ということになり、ゲストがその宮殿にお邪魔していますみたいな感じになってしまいそうだけれども(??)、このホテルは「訪れたお客様一人ひとりがシーザーである」ようにおもてなしをするのがコンセプトなので、シーザーたちが集まる宮殿という意味で、複数形の Caesars を使っている、ということのようです。
複数形で所有格にする場合は、Caesars' のように、複数形にした後、アポストロフィーをつけることもありますが、この場合は、複数形を形容詞的に使っていると考えたら良いかなぁ、と。

かなり有名なホテルのようで、ウィキペディアの Film history や Television の項目を見ると、いろいろな作品に登場していることがわかります。
Television のところでは、ちゃんと今回のフレンズのことも書いてありますね。

ローマ時代のグラディエーターの恰好をして、お客さんと一緒に写真に納まるジョーイ。
シーザーズでの滞在を楽しんでね、と言った後、We hope it's toga-rific! と言っています。
toga-rific は恐らく、terriflc 「素晴らしい、素敵な」のもじりでしょう。
toga は「トーガ」という、古代ローマ人が着ていた外衣のことですね。
Wikipedia 日本語版: トガ
Wikipedia 英語版: Toga
上のウィキペディアには、トーガの絵なども載っています。

We hope の we は、「ホテル従業員の私たちは(滞在が素敵なものとなるように祈っています)」という感覚でしょう。
ジョーイのような写真撮影用のバイトも含め、おもてなしする側の人間を we と表現しているわけですね。
写真撮影の後は、必ずお客さんにこう言うように、と命じられている感じがします。

笑いながら客を見送ったジョーイですが、その後、落ち込んだ様子で、Kill me. Kill me now. と言っています。
映画の主役だと張り切っていたのに、写真撮影用モデルのバイトでこんな恰好をしている自分がみじめになってきたのでしょう。
「誰か、今すぐ俺を殺してくれ」というのは物騒な表現ではありますが、自分の境遇に悲観した時にはつい口から出てしまう表現のようですね。

フレンズ1-10 では、大晦日を恋人なしで過ごすことに耐え切れず、ジャニスを誘ってしまったチャンドラーが、大晦日のパーティーでジャニスと一緒に写真を撮っている時に、
チャンドラー: Kill me. Kill me now.
と、今回のジョーイと全く同じフレーズを言っていました。
これも、思わず誘ってしまったけれど、やっぱりジャニスはうっとうしかった(笑)ので、そういうことをしてしまった弱い自分を嫌悪して、「もうこんなダメな俺は消えてしまいたい。誰か俺を消してくれ」のニュアンスで言っている感じですね。
今回のジョーイのセリフ、フレンズ1-10 のチャンドラーのセリフが、どちらも写真撮影の際(もしくは後)のセリフであるのは偶然とはいえ面白いです。
カメラを向けられると、それ用の顔をしてしまうものの、そのカメラに向けている顔と自分の心情とのギャップを考えると、余計に今の自分の姿がみじめになってしまう、ということかもしれませんね。


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posted by Rach at 07:30| Comment(1) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月09日

試すだけの価値はある フレンズ5-22その5

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チャンドラーと喧嘩したジョーイは、その後、ずっと一人で車を運転して、撮影現場の砂漠に到着したところ。(ドアを開けた途端に、ファストフードの入れ物が一斉にこぼれ落ちるのが、いかにもジョーイらしいです)
ジョーイ: Hey-hey! Stanley! Hey-hey! Your leading man is here! Let's get to work. (やあ、やあ! スタンレー! やあ、やあ! 君の映画の主役がここにやってきたよ! さあ仕事を始めよう。)
スタンレー: Umm, slight change of plans. We've shut down. (あー、ちょっとした計画の変更があってね。中断[停止]したんだ。)
ジョーイ: Wh-what?! Why?! (な、何? 何で?)
スタンレー: It's a money thing. We don't have any. (金のことだよ。我々は金が全くないんだ。)
ジョーイ: (laughs) You're kidding, right? ([笑って] 冗談言ってからかってるんだろ?)
スタンレー: No. (いいや。)
ジョーイ: What?! (え?)
スタンレー: It-it's probably just temporary. We're hoping to get some more money soon, so if you could just uh, hang out. (多分、ちょっと一時的なものだよ。俺たちはすぐにもっと金が入ることを願ってる。だから、ちょっとぶらぶらして時間を過ごしててくれれば。)
ジョーイ: Uh, hang out?! How long? (あ、ぶらぶらする? どのくらい(の期間)?)
スタンレー: I don't know. A week. Maybe two. The money will turn up! People always wanna invest in movies. Hey, you're not rich, are ya? (さあね。1週間。2週間かも。金はやってくるさ! 人は常に映画に投資したがるものだよ。ねえ、君は金持ちじゃないよね?)
ジョーイ: No! (金持ちじゃないよ!)
スタンレー: Eh, worth a shot. (Gets into his car.) Well, Joey. Let me know where you're staying, okay? (The car peels away.) (ま、試してみる価値はあるさ[念のため聞いてみただけだ]。[自分の車に乗り込む] なぁ、ジョーイ。君がどこに滞在するか知らせてくれよ、いいね? [その車は離れて行く])

撮影隊がいるところにやってきたジョーイ。
監督(ディレクター)らしい男性スタンリーに元気よく挨拶しています。
lead が「(映画・演劇の)主役」であることは説明しましたが、ここでは、leading man という表現が使われています。
動詞 lead は「先頭に立つ、首位を占める」という意味なので、leading は「主要な」「主役の、主演の」という意味になります。
play the leading part/role なら、「主役を演じる」「中心的な・主要な役割を務める・果たす」という意味ですね。
「一流・大手企業」という意味の a leading company は「リーディング・カンパニー」という日本語にもなっています。
ここでのジョーイのセリフは、監督に対して、「君がお待ちかねの主役がやってきたよ!」と言っているわけですね。
get to work は「仕事を始める、仕事にとりかかる」。

そんな風に張り切るジョーイに、スタンレーは、slight change of plans があるといいます。
slight は「わずかな、ちょっとした」という意味ですが、彼が言った内容は、We've shut down. でした。
shut down は「閉鎖する、活動・操業を停止する」。
つまり、映画の撮影を停止・中断した、と言っていることになります。
現在完了形が使われていますし、周囲には撮影のためのクルーや機材もありますので、たった今、撮影を取りやめたばかりだ、という感覚なのでしょう。
映画の撮影を取りやめた、というのは「超大ごと」なわけですが、それを、slight change of plan 「ちょっとしたプランの変更」と言っていた、そのギャップがジョークになっているわけです。
「いやぁー、ちょっとしたことがあってね」と言った後に、実はそれは大ごとだった、というオチは、日本でもよく見られるお笑いのお決まりパターンとも言えるでしょう。

驚いて理由を尋ねるジョーイに、スタンレーは、It's a money thing. と答えています。
thing 「こと、もの」という漠然とした単語を使っていますが、これだけで、何かお金に関することで問題があることがわかりますね。
「お金のことで、お金関係のことで」と言いたい場合には、このようにシンプルに、a money thing と表現することで十分意図が伝わる、ということです。

その後、a money thing の具体的な内容について、We don't have any. と語っています。
つまり、We don't have any money. ということで、「お金が全然ない」と言っていることになりますね。
もちろん、「1銭もない」ということはないでしょうが、とにかく映画を撮影するための資金がないんだということを大げさに言っていることになるでしょう。

「またまたぁ、俺をそうやって騙してからかおうとしちゃってぇー」みたいに、笑いながらスタンレーを指さすジョーイですが、スタンレーは真顔で No. と言うので、さすがのジョーイも冗談ではないと気づいたようです。

temporary は「一時的な」。temporary worker なら「臨時雇い(の人)」ですね。
hang out は「ぶらぶらして時を過ごす」。
shut down と言っても一時的なものだから、再開するまでどっかで時間潰しをしといてよ、と言っているわけです。

turn up は「(不意に、ひょっこり、偶然)現れる」という感覚。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
turn up [phrasal verb]
if an opportunity or situation turns up, it happens, especially when you are not expecting it.
例) I'm ready to take any job that turns up.

「機会や状況が turn up するというのは、それが起こること、特にそれを予期していない時に」。
例文は、「不意に出てくるどんな仕事も受ける準備はできている。」

invest は「投資する」。
スタンレーは、「お金は現れるさ。人間ってのは常に映画に投資したいものだからね」みたいに言っていることになりますね。
映画を作ると言うと、それに投資したがる人が必ずいるから、そのうち、お金も集まるさ、と呑気なことを言っているわけです。
自分から積極的にお金を作ろうとしている感じはなく、誰かが投資してくれるのをただ待っているような「人任せ」な感覚が彼のセリフから感じられます。

スタンリーは、Hey, you're not rich, are ya? 「ねぇ、君はリッチじゃないよね?」と何ともぶしつけな質問をしています。
当然のごとく(笑)、No! と強く否定するジョーイですが、スタンレーは、worth a shot と言っていますね。
この shot は attempt 「試み」の意味ですね。
過去記事、フレンズ1-14その6 で、give it another shot 「もう一度試してみる、もう一度やってみる」というフレーズが登場しましたが、その時の shot と同じニュアンスということになります。
つまり、worth a shot は「試すだけの価値がある」ということで、worth a try と同じ意味になります。

スタンリー自身も、ジョーイが金持ちであるはずはない、とわかっていたようですが、もしかしたら見かけによらず意外と金持ちだったりするかもしれないので(?)一応念のために聞いてみた、という感覚だと思います。
ダメ元で聞いてみただけだけど、聞いてみないことにはわからないので一応試してみた、試す価値はあったよ、というところでしょう。

Let me know where you're staying, okay? は、「君の滞在場所を僕に教えてくれ」。
この周辺に滞在するにあたっての連絡先を教えておいてくれ、ということですね。

ト書きの The car peels away. について。
peel は、「(じゃがいもなどの)皮をむく」。peeler は「ピーラー、皮むき器」ですね。
そのように、「皮がむける、皮・表面がはがれる、はがれ落ちる」という意味があるために、peel off だと、「(飛行機が)編隊から急に離れる、集団から離れる」という意味にもなるようです。
LAAD では、
peel off [phrasal verb]
to leave a moving group of vehicles, aircraft etc. and go in a different direction
例) The last two motorcycles peeled off to the left.

つまり、「車(乗り物)や飛行機などの移動しているグループから離れて、別の方向に行くこと」。
例文は、「最後の2台のオートバイは(他から)左に離れて行った」。

このト書きでは、peel off ではなく、peel away が使われていますが、「離れて」という意味の away には、off の「分離」と同じような感覚が感じられますよね。
このシーンでは、スタンレーの車以外に他のクルーの車(トレーラーなど)も駐車していますので、そのグループから離れてスタンレーの車だけ先に行ってしまった、という感じを出すために、peel away が使われているのかな、と思います。
もしくは、茫然と立ちすくむジョーイを残して、ジョーイから「はがれるように去って行く」感じを出すための peel away かもしれません。
辞書の peel off のニュアンスは、何かの「集団」から離れるイメージがありますから、このト書きの peel away もどちらかと言えば、「ジョーイ」という一人の人間よりも、「他の複数止まっている車」から離れることを指している可能性が高いのかな、とは思います。
辞書の語義を厳密に見てみると、a moving group 「移動している(車、飛行機などの)グループ」とありますから、実際には、車や飛行機が揃って「移動している最中」に、1台、1機だけが群れから「はがれるように離れていく」というニュアンスが基本だとは思うのですが、いずれにしろ、peel に他動詞「皮をむく」、自動詞「皮がむける」という意味があることから、何かから分離する、離れる様子をイメージできるようになれば、自ずと意味は想像できるだろう、ということですね。


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posted by Rach at 11:31| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月07日

橋から突き落とされても良かった フレンズ5-22その4

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ジョーイとチャンドラーは、フィービーから借りたイエローキャブでラスベガスへのロードトリップに出発します。
その車中で、フィービーに教えてもらった「質問に考えずに即答する」というゲームをやっているうちに、チャンドラーはジョーイの映画は成功しないと思っていたことがバレてしまい、二人は大ゲンカ。チャンドラーは橋の上で車から降ろされてしまい、ふてくされた様子でセントラルパークに帰ってきます。
チャンドラー: (entering) Hey! ([セントラルパークに入ってきて] やあ!)
モニカ: Chandler! What are you doing here? (チャンドラー? ここで何してるの?[どうして今ここにいるの?)]
ロス: Hey! (やあ!)
チャンドラー: Joey kicked me out of the car on the George Washington bridge! (ジョーイが俺を車から放り出したんだ、ジョージ・ワシントン・ブリッジの上で!)
みんな: Why? (どうして?)
チャンドラー: I don't know! He went crazy! Y'know, we were playing that game where you, you ask a question and you answer it really fast. (わかんないよ! ジョーイがおかしくなったんだ! ほら、俺たちはゲームをやってたんだ、質問してそれに素早く答える、ってゲームだよ。)
フィービー: That game should not be played without my supervision. (そのゲームは、私の監視下にないところですべきではないのよ。)
チャンドラー: Well, I don't know what made him so mad, y'know? All I said was that uh, I didn't think this was gonna be his big break, that this movie wasn't going to do anything for him, and that uh, y'know it didn't sound like a real movie.... Okay, he should've pushed me off the bridge. (うーん、何が彼をそんなに怒らせたのかわからないよ、だろ? 俺が言ったことはこれだけだったんだ、ほら、これ[今回のこと]はジョーイの大ブレイクにはならないと思うって。それから、この映画は彼にとっては何にもならない、って。それから、うーん、ほら、本物の映画のようには聞こえない、って…わかった、彼は俺を橋から押し出しても[突き落としても]良かったのに。)

セントラルパークに入ってきたチャンドラーを見て、モニカは驚いたように What are you doing here? と言っています。
これは文字通り、「あなたは今ここで何をしているの?」と、している内容を問うているのではなく、ジョーイと一緒に出掛けたはずのあなたがどうしてここに戻ってきたの?、ジョーイと一緒にいるはずのあなたがどうしてここにいるの?というニュアンスですね。
kick someone out of... は「人を…から追い出す」。
直訳すると、「人を(ある場所など)から蹴り出す」ということですから、乱暴にそこから追い出された感じが出ています。

ジョージ・ワシントン・ブリッジについては以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版: ジョージ・ワシントン・ブリッジ

そのブリッジに関するセリフを前から意味をとっていくと、「ジョーイが俺を車から放り出した、ジョージ・ワシントン・ブリッジの上で」になるでしょう。
英語では on the... bridge のような場所を表す副詞句は、上のセリフのように文の最後に来るのが常でそれが普通の語順ですから、特にその場所を強調しているわけではないでしょう。
ただ、普通に前から意味をとっていくと、降ろされた場所が最後に登場することになり、その場所を具体的な固有名詞を使って言うことで、「あんな大きな橋のど真ん中(?)で俺は降ろされちまったんだぞ」というチャンドラーの怒りが出ているような気はします。
降ろすにしたって、普通はそんな危険な場所で降ろさないよな、と言いたいわけでしょう。

嬉しそうに出掛けたはずなのにそんなことになったと聞いて、みんなは口々に理由を尋ねています。
どうして?って聞かれても、俺にもわかんないよ、ジョーイが(急に)おかしくなっちゃったんだ、と言いながら、車の中で二人でゲームを始めたことを説明します。
そのゲームは元々、今回のエピソードで、ベガスに行くのに北ルート、南ルートのどちらにすればいいかを決められないジョーイのために、フィービーがジョーイに教えたゲームでした。
考える間を与えないほどのスピードで質問するおかげで、答える本人さえ自覚していない答えを引き出せる効果がある、というようなものです。

そのゲームをやっていて、こんなことになってしまった、という話らしいので、フィービーは、That game should not be played without my supervision. と得意げな顔で言っています。
supervision は「監督、管理、監視」。
under someone's supervision なら「(人)の監督下に、監視下に」。
今回は、without で否定されていますので、「(人)の監視下にない状態で」という意味になります。
動詞 supervise は「監督する、管理する」で、supervisor は「監督者」。これは「スーパーバイザー」と日本語になってもいますよね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
supervision [noun] [uncountable] : the act of supervising someone or something
例) The medicine should only be taken under a doctor's supervision.

つまり、「誰かや何かを監督する行為」。
例文は、「その薬は、医師の監視下でのみ服用されるべきである」。

フィービーは、should NOT のように否定語を強調してしゃべっており、私の監視下、監督下にない状態でそのゲームは行なわれるべきではない、という意味ですね。
私の見ていないところで、そのゲームを勝手にやっちゃいけないのよ、危険なのよ、と言いたいわけです。

確かにそのゲームをやったんだけど、何が彼を怒らせることになったのかわからない、どうして彼が怒ることになったのかわからない、とチャンドラーは言っています。
All I said was that... は、「俺が言ったことのすべては(that以下)である」ということなので、「俺が言ったのは(that以下)だけだ」ということですね。
その後、長い文章が続いていて、that this movie..., and that... のように that が合計3回登場していますが、その that に続くものがすべて、チャンドラーが言った内容になります。
All I said was that A, that B, and that C. という構造で、A, B, C 全てが彼の発言であることを示すために、それぞれの前に that が必要になってくるわけです。

not do anything for は「…のために何もしない」ということですから、「ジョーイのために何もしない、ジョーイのためにならない、ジョーイに何か(良いこと)をもたらすものにはならない」という感じですね。
didn't sound like a real movie のように sound が使われているのは、ジョーイがその映画について語るのを聞く限り、とても本物の映画のようには感じられない、聞こえない、という感覚です。
映画の様子を見たわけではない、つまり、映画に関する情報は視覚情報ではなく、ジョーイから聞いた話だけなので、「その話は…のように聞こえる、思われる」というニュアンスの sound like が使われているということになるでしょう。

今回、映画で主役を演じられることは、俺にとっての大ブレイクだ!とジョーイは大喜びしていたわけですが、そのジョーイに対して、「これはジョーイの大ブレイクではないと思う」「この映画はお前のためにならない」「本物の映画のように思えない」と言っただけだ…と自分の言ったことを回想しているチャンドラーですが、自分で言った言葉を口に出して改めて繰り返したことで、自分が何ともひどいことを言ってしまった事実にようやく気付いたようです。

he should've pushed me off the bridge を直訳すると、「ジョーイは俺をその橋から突き落とすべきだったのに(そうしなかった)」という感じになるでしょうか。
push someone で「人を押す」、off the bridge で「橋から離れて」という感覚ですから、push someone off the bridge は「橋から離れるように人を押す」→「橋から押し出す、突き落とす」感じが出ていると思います。

should have+過去分詞は、「…すべきであった(のにそうしなかった)」「…すればよかったのに」というニュアンスですね。
橋の上で追い出された!と怒っていたチャンドラーでしたが、自分があまりにもひどいことを言ってしまったことに気付き、「実際は車から追い出されただけだけど、ジョーイは俺をあの橋から突き落としても良かったぐらいだよね(それくらい俺はひどいことを言っちゃったんだね)」と自分のひどすぎる発言を反省するセリフ、ということになります。

最初はとにかく車から降ろされたことに怒っていて、「だって俺が言ったのはこれだけだぜ、それのどこが悪いんだ」みたいに強気の姿勢だったのに、みんなの前でその発言を披露しているうちにだんだん自分のひどさが明るみになり、最後には「俺は橋から落とされても良かったくらいだった」と弱気な発言になってしまう、その尻つぼみ具合を、英語のセリフから感じていただけたらと思います。


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posted by Rach at 13:37| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月04日

眼圧測定で目に空気を当てる フレンズ5-22その3

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片目がかゆいレイチェルですが、レイチェルは目に何かが触れそうになるとパニクってしまうタイプなので、眼科医に行くのをいやがります。
そんなことじゃ、目がかゆいのはいつまで経っても治らないわよ、とモニカは半強制的にレイチェルを眼科医に連れて来ました。
[Scene: Monica's eye doctor's office, Monica and Rachel are waiting in an exam room and looking at this big white thing used to check eyes.]
モニカの(主治医の)眼科医のオフィス。モニカとレイチェルは診察室で待っていて、目の検査に使われる大きな白いもの(機械)を見ている。
レイチェル: Oh, my God! What does that thing do? (まぁ! あれは何をするもの(機械)なの?)
モニカ: (looks at it more closely) Oh that's an eye removal machine. ([機械をより接近して[より念入りに]見て] あぁ、それは眼球除去装置ね。)
レイチェル: All right, I'm outta here! (わかった、ここを出る!)
モニカ: I'm kidding! I'm kidding! (冗談よ、冗談よ!)
(Rachel heads for the door but is intercepted by the doctor.)
レイチェルはドアに向かうが、医者が入ってきたのでさえぎられる。
眼科医: Hi, Rachel! (はーい、レイチェル!)
レイチェル: Hey! (はーい!)
眼科医: I'm Dr. Miller. Monica told me you were a little nervous, but don't worry, everything's gonna be just fine. (私はドクター・ミラーだ。君が少し神経質になっているってモニカが言ってたけど、でも、心配ないよ。何もかも大丈夫になるからね。)
レイチェル: So we're done then. (それじゃあ、済んだ、ってことで。)
ドクター・ミラー(眼科医): Almost, but first we gotta start. (ほとんどね、でもまずは始めなきゃ。)
レイチェル: Okay. (わかりました。)
ドクター・ミラー: This is a glaucoma test. (これは緑内障のテストだ。)
レイチェル: Uh-huh. (は、はい。)
ドクター・ミラー: Sit down. (座って。)
レイチェル: Okay. (わかりました。)
ドクター・ミラー: Put your chin here. (She does so.) Now, you'll feel a small puff of air in each eye. (あごをここに乗せて。[レイチェルはそうする] さて、それぞれの目に、少しのひと吹きの空気を[空気をちょっとひと吹き]感じるからね。)
レイチェル: (jerks back from the tester) What? ([検査装置から飛びのいて] 何ですって?)
モニカ: A small puff of air. Now, come on! (少しのひと吹きの空気よ。さあ、ぐずぐずしないで!)

眼科医のオフィスに、大きな白い機械が置いてあります。
これは何をする、何のための機械かしら?と尋ねるレイチェルに、モニカは、an eye removal machine 「目を取り除く機械」だと答えています。

What does that thing do? という「現在形」は、that thing 「目の前にある、そのもの、その機械」の習性、というか、「機能」を尋ねている感覚です。
今、その機械が稼働中であれば、「今、何をしているのか、何をしているところか?」というように現在進行形で尋ねることも可能でしょうが、現在はその機械は停止している状態なので、その機械は普段は何をするものなのか、何をするための機械なのか?と尋ねる場合には、このように「現在形」を使うことになります。

remove は「(もの)を取り除く、取り去る」で、removal は「除去」という名詞ですね。
目に触れられそうになるだけでもダメなのに、目を取り除く、目をくり抜く機械ですって?とすっかりびびってしまったレイチェルは逃げようとしますが、モニカは「冗談よ」と言って笑っています。
びびり過ぎのレイチェルをからかっているわけです。

ドアを出ようとしたところに、たまたま眼科医が入ってきて、レイチェルは逃げることもできなくなります。
don't worry, everything's gonna be just fine を直訳すると、「心配しないで、何もかも大丈夫な状態になるから」というところでしょう。
不安を感じている患者の心を落ち着かせるための定番のセリフですね。
それを聞いたレイチェルは、So we're done then. と言っています。
done は「済んだ、終わった、完了した」みたいなニュアンスで、「そういうことなら、それじゃあ、もう済んだ、ってことね」のような感じです。
医者は、be gonna (= be going to) を使って、「このまま順調に検査を進めて行けば、fine な状態になる」と言っているにもかかわらず、「大丈夫って言うんなら、もうこれで問題ないですよね、おしまいですよね」と、検査をせずに早々に立ち去ろうとしているレイチェルの気持ちがこのセリフには出ています。

医者はそのセリフを軽く受け止めて、Almost, but first we gotta start. と返します。
almost は「ほとんど、だいたい」ですから、「まぁ、だいたい済んだ、って言ってもいいけど、でもまずは、検査とかを始めないとね」と言っていることになります。
「もう済んだから帰ります」みたいに言う患者に対して、「まだ何も始めてない、何も済んでないじゃないか」などと怒って全否定したりせず、「あぁ、だいたいは済んだよね」と相手の発言をとりあえず受け止めているところに、お医者さんっぽさが出ている気がします。
検査をいやがる患者をたくさん診てきている医者は、相手のこういう物言いに慣れているということでしょう。
軽くなだめる感じで、「完全に済んだって言えるためには、まずは検査を始めないとね」と、検査をすることを促しているわけです。

逃げられないと観念したレイチェルは、医師の指示に従います。
Put your chin here. は「あごをここに乗せて」。
目を検査するための装置は、顔を固定するためのあごの台がありますから、そこに乗せて、という意味です。

Now, you'll feel a small puff of air in each eye. について。
これは、パフ・オブ・エアーという単語から、日本人にも何となく想像できる感じですが、「目に空気が当たる」感覚ですね。
コンタクトを作りに行った時などに、私もこういう機械で検査を受けますが、この機械は眼圧を測るための「空気眼圧計」で、空気を当てることで角膜の圧力を測る「非接触測定法」に当たる検査だそうです。
「目に空気を当てて眼圧を測りますので、目は閉じないで下さいね」とか言われるんですが、時々、反射的に目を閉じてしまい、「ではもう一回」などと言われてしまうこともあったりして…(笑)。
ですから、目にモノが近づくとパニくるレイチェルにとっては、拷問に近い(?)検査だと言えるかもしれません。

日本の眼医者さんでは「目に空気が当たります」という表現を使うことが多いような気が(自分の経験から)するのですが、英語では今回のセリフのように、you'll feel a small puff of air in each eye が定番表現…だと考えて良いのでしょうね。
片方ずつ検査するので、「それぞれの目に、a small puff of air を感じますよ」と言っていることになります。
puff は「プッと吹くこと」「ひと吹き、ひと吹きの量」なので、a small puff of air は、「少しのひと吹きの空気」という感覚でしょう。
実際、空気の小さな塊がポンッ!と飛んでくる感じなので、a small puff of air と表現されると、なるほどなぁ、と納得できちゃう気がします。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
puff [noun] [countable] :
2. a sudden small movement of wind, air, or smoke
of
a puff of smoke

つまり、「風、空気、煙の突然の小さな動き」。例は、「ひと吹きの煙」。

また、take a puff at/on one's cigar/cigarette だと「たばこを吹かす」になりますね。

眼科での検査でよく聞かれるような定番表現を英語では何と言うのか?を知るには、実際に英語でそういう検査が行われている様子を見るのが一番手っ取り早くて確実ですよね。
日本語で言われている表現をそのまま無理やり英語に直訳しようとするのではなく、「実際に英語が使われている現場」ではどう表現しているのかを知り、それを自分の中に蓄積していくのが、「自然な英語」を学ぶ、一番スタンダードな方法だと思えます。
今回のような「眼科での定番フレーズ」を、今後の人生で自分の実体験として聞く機会があるかどうかは別にして(笑)、実際に自分が体験したのと同じようにそういうセリフを状況と共に学べる、というのが、映像付きのDVDで学ぶ利点なのだと、今回改めて思いました。


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posted by Rach at 08:29| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年06月02日

問題解決!のbe動詞省略 フレンズ5-22その2

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映画の主役に決まったと大喜びのジョーイ。
ラスベガス郊外の砂漠で撮影が行われるため、フィービーの車(イエローキャブ)を借りて、チャンドラーと二人でベガスまで road trip (車の旅)をすることにします。
[Scene: Central Perk, Joey is reading a map as Phoebe enters.]
セントラルパーク。ジョーイは地図を見ている、そこにフィービーが入ってくる。
フィービー: Oh, hey, Joey! What's up? (ああ、ジョーイ。どうしたの?)
ジョーイ: I can't decide which route to take to Vegas. Hey, you've traveled a lot, right? (ベガスに行くのにどっちのルート(道)を行けばいいか決められないんだ。ねぇ、フィービーはよく旅行するだろ?)
フィービー: Yeah, I've been around. (そうね、あちこちに行ったわ。)
ジョーイ: Okay, so, so which route should I take? The northern route or the southern route? (わかった。それで、俺はどっちのルートをとるべき? 北ルート(北回り)、それとも南ルート(南回り)?)
フィービー: Ooh, if you take the northern route, there's a man in Illinois with a beard of bees. (うー、もし北ルートをとれば、イリノイ州にミツバチの(ミツバチでできた)あごひげの男がいるわ。)
ジョーイ: Great! Problem solved! (やったね! 問題解決!)
フィービー: But on the southern route, there's a chicken that plays tic-tac-toe. (でも、南ルートには、三目並べをするニワトリがいるわ。)
ジョーイ: Well, back to square one. (ああ、振り出しに戻った。)

ジョーイは地図を見ながら、ベガスに行くのにどっちのルートを通ればいいか悩んでて決められないんだ、と言っています。
ルートをとる、道を進む・行く、という場合には、セリフのように、動詞は take が使われます。
Hey, you've traveled a lot, right? は、フィービーの経験を尋ねる現在完了形ですね。
これまで、今まで、君はたくさん旅行してきただろ?みたいなニュアンスです。
それに対する I've been around. も同じように経験を表し、around で「あちこちに、方々に(いた、行った)」というニュアンスが出ています。

そういう経験豊富なフィービーに、ジョーイは、北ルートか南ルートかどっちをとるべき?と尋ねます。
北ルートだったら、イリノイ州に、a man with a beard of bees がいるわと言っていますね。
beard は「あごひげ」で、a がついていることからわかるように可算名詞です。
あの「あごひげのエリアひとかたまり」(?)を a beard と言うようですね。
grow/wear a beard で「あごひげを生やす、たくわえる」という意味になります。
ちなみに、モニカの元カレの眼科医リチャードがはやしていた口ひげは、mustache です。

bee は「ハチ、ミツバチ」のことですから、a beard of bees は「ミツバチでできたあごひげ」のようなニュアンスですね。
単数と複数に注目すると、「複数のミツバチでできた1つのあごひげ」みたいになるでしょう。
黒っぽいミツバチがあごのあたりに密集することで、まるであごひげみたいに見える…ということで、確かにそんな「びっくり映像」みたいなのをかつてどこかで見たことあるような気はします。
ひげかと思ってよく見たらそれはミツバチだった!という見た目的なすごさに加え、「顔にミツバチが張り付いて刺されたりしないの?」という驚きもありますよね。

そのミツバチひげの男の話を聞いて、ジョーイは北ルートをとることを即決したようです(笑)。
Problem solved! は「問題解決!」というニュアンスですね。
solve は「(問題)を解決する、解く」という他動詞で、solve a problem で「問題を解決する」という意味になります。
その目的語を主語にする形の「問題が解決される」であれば、A problem is solved. のように受動態の形になるわけですが、わかりきった冠詞や be動詞を省いたものが、Problem solved! という決まり文句になったと言えそうですね。
Problem solved. を冠詞、be動詞などを補って正しい文の形にしようとすると(正直よくわからないのですが)、The problem has (just) been solved. 「その(悩んでいた)問題は、たった今、解決された」みたいになるのかなぁ、と思います。
厳密に言うとやはり「現在完了形の完了」のニュアンスが必要になってくると思うのですね。
完了形を使うことで、これで解決されたから、もう悩まなくていい、みたいな感じも出ると思うからです。
そういう「厳密に言うと現在完了形」という時制を表現するのが面倒なので、冠詞も含めた細かいニュアンスを全部取っ払って、Problem solved. 「主語+過去分詞」の形でシンプルに表現しているのかな、と私は思ったのですが…実際のところはどうなんでしょう??

このように、solved は solve の過去形でもあり、過去分詞形でもありますが、Problem solved. の場合は受け身を表す過去分詞形であるということです。
problem が solved 「解決される」状態である、状態になった、と考えると良いでしょう。
今回のエピソードでは、これより後のシーンで、Apology accepted. という表現も出てきますが、それも同様に be動詞が省略された受動態の形ですね。
誰かが自分に対して謝罪した場合に、「あなたのその謝罪は受け入れられた」と言っていることになり、つまりは「あなたのその謝罪を受け入れます」と言って、相手を罪を許す場合の決まり文句になります。

日本人は、solved や accepted のような -ed 形の動詞を見ると、過去形か過去分詞形かで迷う人が多いように思います。
もしくは、過去分詞形である可能性に思いが及ばず、過去形だと思い込んでしまうということもある気がします。
過去形と過去分詞形が同じ形である場合には特に注意が必要ですが、英語には、「過去分詞形=受動態、受け身のニュアンスがある」というイメージが強いので、過去分詞形を見たらまずは受動態のニュアンスを頭に浮かべるべきだということです。
今回の2つの例も、「問題が”何かを”解決した」わけでも、「謝罪が”何かを”受け入れた」わけでもなく、「問題が解決された」「謝罪が受け入れられた」という、主語が受け身の状態を表現している、ということに注目していただけたらと思います。

ちなみに、新聞記事の見出しなどで be動詞が省略された過去分詞形が使われている場合も、それは受動態を表します。
少々脱線になりますが、映画「ゴッドファーザー」で、ドンであるビト・コルレオーネが襲撃された後、息子マイケルが見た新聞記事の見出しには、VITO CORLEONE FEARED MURDERED と書いてありました。
この見出しも、新聞見出しの法則に則って、be動詞が省略されていると考えるとわかりやすいです。

be動詞を補うと、Vito Corleone is feared murdered. になるでしょう。
動詞 fear は、「fear+目的語+(to be)補語」の形で、「(目的語)を…だと思う」 という意味があります。
ですから、be feared dead なら「死んだと思われている、死亡したとみられる」という意味になり、be feared murdered なら「殺されたと思われる、殺害されたとみられる」という意味になります。
つまりこの見出しは、Vito Corleone is feared murdered. 「ビト・コルレオーネは殺害されたとみられる」という意味となり、DVDの日本語字幕も「コルレオーネ 暗殺か」となっていました。
feared のニュアンスが「か」という一文字で表現されているわけですね。
これが、feared のない murdered だけなら「暗殺」と言い切ることになります。
日本語ではたかが一字の「か」のあるなしで、「暗殺」と断言するか、「暗殺か」のように暗殺された可能性があることを示唆しているのかを区別しているわけですが、日英とも「新聞の見出し」という限られた文字数の中で正確に情報を伝えるための省略法が存在する、ということにもなるでしょう。
実際、この映画では、ドンは襲撃されたものの、病院で一命を取り留めることとなりました。
情報が少なく、かなりの重症のようだが死亡は確認されていなかったために、feared が見出しに使われた、ということですね。
もしこの feared がなければ、「暗殺された」と断言することになり、最終的には誤報ということになったでしょう。
この見出しも、「ビトが誰かを殺した」という「過去形」ではなく、「ビトが(誰かに)殺された」可能性を告げている「過去分詞形」の murdered だということに注目して下さい。

(フレンズのセリフに戻ります)
問題解決!と喜ぶジョーイですが、フィービーは「南ルートには、tic-tac-toe をする(tic-tac-toe というゲームをプレイする)ニワトリがいる、と余計な情報(笑)も提供してくれます。

英辞郎では、
tic-tac-toe=【名】三目並べ
と出ています。
英辞郎の和英の機能を使って逆に「三目並べ」を調べてみると、
三目並べ=noughts and crosses●tic-tac-toe●tick-tack-toe / tick-tac-toe〈米〉〔3×3の升目に○と×を並べるゲーム〕●ticktacktoe
とあります。

研究社 新英和中辞典では、
ticktacktoe=【名】【U】 《米》 三目並べ (《英》 noughts and crosses) 《○×を五目並べのように三つ続くように並べ合う子供のゲーム》
と説明されています。

詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Tic-tac-toe
上のウィキペディアには、ゲームの絵ややり方も載っています。
枠の中に○と×を書き込むゲームですから、上のウィキペディアの説明にあるように、基本的には、a pencil-and-paper game for two players 「2人のプレーヤーの鉛筆と紙を使うゲーム」になりますね。
そういうゲームをニワトリがどうやって行うの?という疑問も浮かんできそうですが、おそらく土の上に線を書いて、くちばしを使って石でも置いていく…とかそんな感じなのかなぁ、と。
「ニワトリが三目並べをするって、一体どうやってやるんだよ?!」という疑問も込みで、その話に興味津々になってしまうわけですね。

back to square one は「振り出し(出発点、初め)に戻って、一からやり直しで」。
square は「正方形、四角」で、チェスなどのボードゲームの「四角の目、マス目」も表します。
1のマス目に戻って、ということから、「振り出しに戻って」というニュアンスになるのですね。
日本語の「振り出し(ふりだし)」という言葉も、すごろくの出発点を指しますから、日英どちらも、ゲームが語源となった言葉であるところが何とも興味深いです。

せっかく、ミツバチひげ男で決まり!と思ったのに、ニワトリにも興味を持ってしまったジョーイは、どちらか決められずに、「また振り出しに戻っちゃったよ、一からやり直しだ」とボヤいていることになるのですね。


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posted by Rach at 11:30| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月31日

10年間ずっとその状態 フレンズ5-22その1

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シーズン5 第22話
The One With Joey's Big Break (ジョーイ悲願の大ブレイク)
原題は「ジョーイの大ブレイクの話」


モニカとレイチェルの部屋にジョーイが入ってきます。
ジョーイ: (entering, depressed) Hey. I just got off the phone with Estelle. Guess what? (Pause, then very excitedly) I got the lead in a movie! ([落ち込んだ様子で入ってきて] やあ、エステルとの電話を終えたところなんだ。何だと思う? [間があって、ものすごく興奮して] 俺、映画の主役をゲットしたんだ!)
チャンドラー: You got the lead in a movie? That's amazing! What's the movie about? (映画の主役をゲットしただって? それってすごいよ! 何の映画なんだ?)
ジョーイ: It's called Shutterspeed. It's really cool. Yeah, umm, I meet this girl in the subway and we fall in love in, like, a day, right? And then she disappears. But I find out where she lives and when I get there, this like old lady answers the door and I say, "Where's Betsy?" Right? And she says, "Betsy's been dead for ten years." (「シャッタースピード」っていうタイトルなんだ。すごくクールなんだよ(かっこいいんだよ)。ほら、うーんと、俺が地下鉄である女の子に出会って、俺たちは恋に落ちるんだ、ほら、一日でね? で、それから、彼女は消える。でも俺は彼女が住んでるところを見つけて、そこに行くと、おばあさん(老婦人)が応対するんで、俺は「ベッツィーはどこ?」って言うんだよ。すると、そのおばあさんはこう言うんだ。「ベッツィーは10年前に死んだよ。」)
フィービー: Ohh-oh, chilling! (うぅー、身も凍るわね。)

get off the phone は「電話を切る」。
get off the bus/train 「バス・電車から降りる」のように使うことが多いですが、基本的な意味は「〜から離れる」というニュアンスですね。
さっきまで電話で話してて(on the phone)、そこから離れた(off)という感覚が出ています。

最初、ちょっと意気消沈した暗い感じで入ってきたジョーイですが、ちょっと間を置いた後、 I got the lead in a movie! と叫んでいます。
lead は「(映画・演劇などの)主役、主演俳優」。
play the lead なら「主役を演じる」ですね。
主役という意味では今回のセリフのように、the lead と定冠詞 the がつきます。
これは、ある映画や演劇においての主役は「その人に特定される」からでしょう。
ですから、セリフでも、the lead in a movie 「(まだ特定されていない)ある映画の(その中で特定された)主役」のように、the と a が使い分けられているのですね。

何だか落ち込んだ様子で入ってきた時には、たいていびっくりするようなビッグニュースを持っている、というのがいつものジョーイのパターンですが、今回もまさにそのセオリー通りの展開、ということになります。

I got the lead in a movie! とビッグニュースを伝えたジョーイに対して、チャンドラーは主語を変えただけの、You got the lead in a movie? というセリフをオウム返しのように言っています。
I got the lead in a movie! のように相手が「俺は…した!」と言った場合は、You did? 「そうなのか?」みたいに簡単に返す場合も多いですが、今回はジョーイにとって喜ばしいビッグニュースであり、聞いた自分たちも驚いたので、省略しないフルセンテンスで返した、という感覚だと思います。
What's the movie about? を直訳すると、「その映画は何に関するものですか?」ということですから、どんなジャンルのどんなテーマの映画なんだ?と内容を尋ねていることになります。
It's called... は「…と呼ばれている」ですから、今のところ、仮題・仮タイトルは、「シャッタースピード」なんだ、みたいな感じでしょう。

その後、ジョーイは映画のあらすじを話して聞かせます。
meet this girl の this は、これまでのフレンズにも何度も出てきた「物語調で語る場合に使われる a と同じような意味の this」ですね。
ある女の子と一瞬で恋に落ちるも、その子が消え、その子の住所を訪ねるとおばあさんが出てきてこう言うんだ…と説明しています。

"Betsy's been dead for ten years." は継続を表す現在完了形ですね。
自然な日本語に訳そうとすると、「ベッツィーは10年前に死んだよ」になるでしょうが、こういうニュアンスの場合、英語では、She died ten years ago. とか、She passed away ten years ago. (pass away は die の婉曲語)のようには言わず、She's been dead for ten years. のように表現します。

以前に、フレンズ3-7その1 のコメント欄 で書いたことがあるのですが、「死んでいる」という「状態」が10年間続いているということがポイントとなっているので、現在完了形が使われているということなんだろうと思います。
日本語のように「10年前に死んだ」をそのまま英語の died ten years ago にすると、「10年前に死んだという出来事が起こった」ことに焦点が当てられ、「死ぬ」という「行為・動作」が起こったのが10年前だ、という過去の事実を述べていることになります。
ですがここでは10年前に起きたその事実を述べたいのではなくて、彼女が死んでから10年が経つ、10年前から彼女はいない、彼女は死んでいるというその「状態」が10年間続いて現在に至る、それを、has been dead という継続を表す現在完了形で表現している、ということなのだと思います。

単純に過去形で表現してしまうと、それは単に過去に起こった出来事を語っていることになり、そこに現在の状態との接点は見られません。
現在完了形(the present perfect)に「現在」(present)という言葉が使われているのは、その時制を使うことによって、現在との関連、つながりを示すことができる時制だからです。
「10年間ずっと死んだ状態である」→「だから今ここに訪ねてきても、彼女はいるはずがない」という、現在の状況と繋がっていることを示せるわけですね。

このような、英語と日本語の「視点」の違いのようなものに気づく時に、外国語を学んでるんだなぁ、ということをしみじみ実感します。
日本語を直訳した She died ten years ago. でも意味や意図は通じると思うのですが、「英語ではこういう場合、普通はこう言う」という、ネイティブが良く使う自然な表現を学んで行くのが、英語学習だと思うのです。
みんなが普通に使っている表現だからこそ、話す方と聞く方の意思疎通がスムーズにいくのだろうと。

chill は名詞では「冷え、(ひんやりする)冷たさ」「ぞっとする・ひやりとする気持ち」、動詞では「(人)をぞっとさせる、ひやりとさせる」。
そこから、chilling という形容詞は「身も凍るような、ぞっとするような」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
chilling [adjective] : something that is chilling makes you feel frightened, especially because it is cruel, violent, or dangerous.
つまり、「chiling なものは、人に恐怖を感じさせる、特にそれが残酷、暴力的、または危険だという理由で」。

ここでは、「恋に落ちたはずの女性はずっと前に死んだ人だった」という怪談めいた話を聞いたのと、ジョーイがそのセリフをいかにもおばあさんみたいな震える声で言ったので(笑)、フィービーはちょっと大げさに、「それ、(人を)ぞっとさせるわね、身の毛もよだつわね」みたいなニュアンスで chilling を使っているのですね。


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posted by Rach at 11:18| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月29日

持ってけ、泥棒! フレンズ5-21その7

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前回の続きです。
スフィンクスという高価な猫を「投資の対象にもなるわよ」と言って通りすがりの女性に売りつけようとするレイチェル。
その人は「私はただ(ペットとしての)猫が欲しいだけだから…」と言って去ろうとします。
レイチェル: (makes some unintelligible sound to stop her from leaving) Obviously, you know how to haggle, so I'm not gonna try and take you on. Okay? So $800, and I don't call the cops because you're robbing me blind! Blind! (Covers her eyes) Just take cat, leave the money, and run away! Run away! (Uncovers her eyes and sees that the woman has fled) Damn it! (To the cat) Cat, can't you at least smile or something? (The cat hisses at her again, it sounds like Rachel) Okay, did anybody just hear that? Anybody? ([彼女が行くのを止めようとして意味不明の声を出して] どうやら、あなたは値切り方を知っているようね。それなら、あなたと争うのはやめるわ。いい? それじゃあ、800ドル。それで、私は警官を呼んだりしないわ、あなたが私の見えないところで盗んでいこうとしててもね! 見えてないわよ! [目を覆う] ただ猫を持ってって、そのお金を置いて、そして走り去って! 走り去って! [目を覆っていた手を外し、その女性が逃げてしまったのを見る] くそっ! [猫に] ねぇ猫(ちゃん)、少なくとも微笑むとかくらいはできないの? [猫はレイチェルにシューという声を出す。「レイチェル」と言っているように聞こえる] オッケー、誰か今の聞いた? 誰か?)

やっと猫に興味を持つ人が現れたので、レイチェルはそのお客を逃すまいと必死です。
haggle は「値切る、値段で押し問答する」。
LAAD では、
haggle : to argue about the amount of money you will pay for something
つまり、「何かに対して支払う金額について言い争う、議論する」。

you know how to haggle は「あなたは値切り方を知っている」ということですから、「あなた、値切りの方法、わかってるじゃない、なかなかの値切り上手ね」と言っている感じでしょう。

take on は、「(競技・争いなどで)…と対戦する、対決する、争う、…を相手にする」。
LAAD では、
take on [phrasal verb] :
COMPETE/FIGHT take somebody/something ⇔ on to compete or fight against someone or something

つまり、「誰かや何かを相手にして、競争する、または戦うこと」。

try and do は、try to do 「…しようとする」の口語表現ですね。
ですから、「あなたが交渉上手だってわかったから、私はあなたと争うのはやめるわ」みたいなことになります。
で、ただで渡すのかと思ったら、まだ 800ドルの値をつけているのもレイチェルらしいですね。
それじゃあ、800ドルで、と言った後、I don't call the cops because you're robbing me blind! と言っています。
rob someone blind は、「人が blind の状態で強奪する」という感覚ですから、被害者が見ていないすきに奪っていく、という意味になるでしょう。
この文章は、主節が否定文で because が使われている形なので、「…だからといって〜ない」と訳すのが適切となります。
つまり、「あなたが私の見てない間に奪おうとしているからって私は警官を(警察を)呼ばない」ということになります。
これを「私は警官を呼ばない、なぜならあなたが私の見てない間に奪おうとしているから」と訳すと意味不明になってしまうので注意しましょう。
「…だからといって/…という理由で、〜したりしない/〜するわけではない」という感覚ですね。
この場合は、because の前にカンマがつかないことにも注目したいところです。

「ほら、私は今、見てないわよ、目が見えてないわよ」という感じで、Blind! と叫びながら、手で自分の目を覆っているレイチェル。
「猫を持って、お金を置いて、走り去って!」と言うのですが、血統書付きの高価な猫には興味のない女性は、レイチェルが目隠ししている間に立ち去ってしまいます。

ところで、この「警察を呼ばない」に続く一連のセリフは、「あなたのしようとしていることは泥棒と同じだけど、私はあなたを警察に突き出したりはしないから、さっさと持ってって」というニュアンスですね。
DVDの日本語訳では、「持ってけ 泥棒」という表現が使われていましたが、私もまさにそのニュアンスだと思いました。
「持ってけ、泥棒」を直訳したものではありませんが、I don't call the cops because you're robbing me blind! Just take cat, leave the money, and run away! という長いセリフのニュアンスを一言で言うと、日本語の「持ってけ、泥棒」がピタッとハマる、という感じがして、面白いなと思いました。

レイチェルは猫に、「少しくらい微笑むとかなんとか、そういうお愛想はできないわけ?」みたいに言っています。
猫に可愛げや愛想がないせいで、客が逃げてしまったと言いたいのですね。
その発言に対して、猫はスマイルするどころか、hiss 「シューという音を立てる」をするのですが、その声が何となく「レイチェル」と聞こえなくもない?という感じになっています。
これは、このエピソードの前半で以下のセリフを言っていたことに由来しています。

レイチェル: And I swear, I know this sounds crazy, but every time this cat hisses at me I know it's saying, "Rachel!" (それから、誓って言うわ、こんなのクレイジーに聞こえるってわかってるけど、でもこの猫が私にシューって音を立てるたびに、「レイチェル」って言ってるってわかるのよ!)

フレンズたちはこの発言に対しては全くの無反応で、そのセリフが聞こえなかったかのように淡々とキャッチボールを続けていましたが(笑)、今、フレンズたちがいないこの場所で、自分の言ったことが証明されたわ!とレイチェルは思っているのですね。
それで、「誰か、今の猫の声、聞いてない? 確かに、レイチェル、って言ったわよね、ねぇ?」と、まわりをきょろきょろしてその事実を認めてくれる人を探している、ということですね。


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posted by Rach at 09:07| Comment(4) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月27日

猫よりむしろ投資物件として見る フレンズ5-21その6

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1,000ドルも出して買ったスフィンクスキャットがちっともなつかず、店に返品もできないと知ったレイチェルは、セントラルパークの外の通りで、その猫を売ろうと叫んでいます。
ある女性が話しかけてきますが、その人は猫は嫌いだと言って去って行き…。
(Another woman approaches.)
別の女性が近づいてくる。
女性2(Woman No. 2): Wow! What an unusual cat! (わあ! なんて珍しい猫なの!)
レイチェル: Yes! Thank you! Exactly! You want it? (そうよ! ありがとう! その通りよ。欲しい?)
女性2: Maybe. I was thinking about getting a cat, I was just going to go to the shelter but... Okay, why not? (もしかしたら(多分)ね。私、猫を手に入れようと思っていたの。私はちょうどシェルター(捨てられたペットの保護施設)に行こうとしていたところだったのよ、でも…。いいわ、ぜひ買うわ!)
レイチェル: Oh, terrific! That'll be $2,000. (わぁ、すごいわ! その猫は 2,000ドルよ。)
女性2: What?! (何ですって?)
レイチェル: Okay, 1000. (いいわ、1,000ドルよ。)
女性2: I thought you wanted me to adopt your cat. (あなたは猫を引き取って欲しいと思ってるんだと思ってた。)
レイチェル: Well, I do, but you're just gonna have to actually look at this as more of an investment than a cat. (そうね、そう思ってるわよ。でも、実際には、(ただの)猫というよりはむしろ投資の対象として見ないといけないことになるわ。)
女性2: Okay, yeah, I just wanted a cat. (Starts to leave.) (いいわ、わかった、私はただ猫が欲しかっただけだから。[立ち去ろうとする])

「この猫欲しい?」と聞かれた女性は、「猫を手に入れる(入手する)ことを考えていた、これからシェルターに行こうとしていたところだった」と言っています。
シェルターは「避難所」ですが、ペットなどの動物に関して言うと、「捨てられたペットなどを保護する収容所」の意味で使われます。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
shelter : a safe place where people or animals who have no homes or are in danger can go to live and receive help (SYN: refuge)
例) We got our dog from the animal shelter.

つまり、「家がなく、危険な状態にある人々や動物が、生活し援助を受けるために行く安全な場所」。
例文は、「私たちの犬は、動物シェルターからもらったの[で手に入れたの]」

Why not? は、「どうしてだめなの?」→「いいじゃない。ぜひそうしよう」という意味ですね。
猫が欲しい?と聞かれた女性は、ちょうど猫を欲しいと思ってて、シェルターにもらいに行こうとしていたところだったんだから、ここで猫が手に入るのなら断る理由なんかないわ、ええ、是非もらうわ!というニュアンスの Why not? になります。
買い手がついて喜んだレイチェルは、That'll be $2,000. と言っています。
これは、日本語で言うところの、「そちらは 2,000ドルになります」みたいな感じと似ているでしょうか。
もっと気さくな感じにすると、「じゃあ、それは 2,000ドルになるからね」みたいなニュアンスでしょう。
元値が 1,000ドルだったのに、すました顔でその2倍の金額をふっかけているレイチェルに笑えます。

相手が驚いたので、やはり高すぎたかと思ったレイチェルは、元値の1,000ドルに下げるのですが、そもそも女性が驚いていたのは金額の高さではなかったようです。
adopt は「…を養子として引き取る」という動詞なので、この場合は、「猫をお金を出して買う」のではなく、「無料で引き取る」んだと思っていた、と言っていることになります。
それなのに、レイチェルが金額(それもべらぼうに高い金額)を言ってきたので驚いているわけですね。

レイチェルは、I do. と言うことで、「えぇ、確かに私はあなたにこの猫を引き取ってもらいたいと思ってるわ」とひとまず同意した後、「でも実際にはあなたはこの猫を…として見なければいけないことになる」と言っています。
as 以下で、その「…として見る」という見方を説明しているわけですが、more of A than B は「B というよりはむしろ A」という意味ですね。
investment は「投資」ですが、「投資物件、投資対象」という意味もあります。
「投資」という抽象的な意味の場合は、不可算名詞(具体的なものを指す場合は可算名詞になる)ですが、具体的な「投資物件」という意味になると可算名詞扱いになります。
上のセリフでも、an investment のように冠詞 an がついているのはそのためです。

一匹の猫としてよりはむしろ、投資の対象、投資物件として見なければいけなくなるのよ、と言っていることになります。
珍しい種類の貴重な猫だから、ペットとしてかわいがるだけではなく、投資目的にも使えるのよ、結局、投資物件としての価値を無視できなくなるんだから、みたいに説得していることになるでしょう。
それを聞いた女性は、「私はただ猫が欲しかっただけだから」と立ち去ろうとします。
猫が欲しかっただけ、つまり、投資の対象としての猫になんて興味はないもの、というところですね。

この続きのレイチェルのセリフがなかなか面白いので、明日か明後日に「フレンズ5-21その7」として投稿する予定です。


(Rach からのお詫びと訂正)
非公開コメントにてご指摘がありました。
同居すると切手代が減る フレンズ5-21その4 で、
ギャリー: Okay, I'll see you at the station later. (わかったよ、後で駅で会おう。)
と日本語訳を書いたのですが、「駅」という訳語は間違いです。
この場合の station は「(電車の)駅」ではなく、「警察署(police station)」でした。

私もその日本語訳を書きながら、「へぇ〜、二人は駅で待ち合わせをするのかぁ〜」とちょっと不思議な感覚を覚えていたのですが、そのまま確認することなく投稿してしまったようです。
実際、その後で、フィービーがギャリーのいる警察署を訪ねるシーンが出てきますので、ここはやはり、police station のことを言っているのは間違いありません。
ご指摘下さった方、ありがとうございました!
(細かい部分まできっちり読んでいただけているのがわかって、とても嬉しいです。)


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posted by Rach at 12:43| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月25日

郵便受けに二人の名前がある場所で フレンズ5-21その5

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ギャリーと同居する約束をしたフィービー。ギャリーに、ブルックリン・ハイツ(Brooklyn Heights)で良い物件を探すように言われたのですが、新聞には1つも載ってなかったと答えます。
警官であるギャリーは、フィービーを取り調べ室(interrogation room)に連れて行き、犯人を尋問するようにフィービーを追い詰めてゆきます。
今日のニューヨークポストにブルックリンハイツの物件がたくさん載っている証拠を突きつけられ、「同居に同意したものの、実はまだ早すぎると思ってるんだろ?」と本心を見透かされ、フィービーはとうとうそれを認めることになります。
まるで犯人のように(笑)取り調べ室の机に顔を突っ伏して泣くフィービーに、
ギャリー: Phoebe, it's okay that you feel this way. I mean, it is soon and there's a lot of things we don't know about each other. I just figure that everything I know about you, I really like. And the things I don't know, I get to learn about at someplace with both our names on the mailbox. (フィービー、君がこんな風に感じてもいいんだよ。つまり、(同居するには)実際に早いし、お互いについて知らないこともたくさんある。俺はただこう思うんだ。君について知っていることすべて、俺は本当にそのすべてが好きだってね。そして、俺が知らないことは(これから)知るようになるんだ、郵便受けに俺たち二人の名前が書いてある場所でね。)
フィービー: That's so sweet. (それってすっごく素敵。)
ギャリー: Sweetheart, but none of that matters if it's too soon for you. It's fine! We don't have to move in together. I just, I want you to be happy. (ハニー、でも、もし君にとって早すぎるのなら、今の話はどれも重要じゃないよ。構わないさ! 俺たちは一緒に住む必要はない。俺はただ…俺は君に幸せになって欲しいんだ。)
フィービー: Living with you would make me happy. (あなたと一緒に住んだら私は幸せになるわ。)
ギャリー: Phoebe, you don't have to say that. (フィービー、そんなこと言わなくていいよ。)
フィービー: No, I really wanna live with you! I wanna move in with you! (いいえ、私は本当にあなたと一緒に住みたいの! あなたと一緒に引っ越すわ!)
ギャリー: Are you sure? (ほんとに?)
フィービー: Yes! Definitely, yes! Let's live in an apartment that we both live in! (Hugs him.) (ええ! もちろん、イエスよ! 私たち二人で住むアパートメントに住みましょう! [ギャリーをハグする])
ギャリー: Oh, that's great! (あぁ、それって最高だよ!)
フィービー: Oh, wait, one sec. One sec. (Goes to the mirror) Hey, you! Behind the glass! Who are you looking at! I always wanted to say that when I was in one of these rooms, (sees the look on his face) which was never! (ああ、待って、ちょっと、ちょっと待って。[鏡のところに行く] ちょっと、あなた! 鏡の後ろの(人)! 誰を見てんのよ! いつも今のセリフを言いたいと思ってたのよね、こういう部屋にいた時に… [ギャリーの顔に浮かんだ表情を見て] あ、そういう経験は今までなかったけどね!)

ギャリーとの同居に前向きになれないことを認めたフィービーは、机に顔を伏せて泣いています。
それを知ったらギャリーが悲しむことを知っているからですね。
ギャリーは泣いているフィービーに優しく、it's okay that you feel this way と声をかけます。
it は、that 以下の仮主語で、「君がこんな風に感じることはオッケーだよ」「君がこんな風に思うのはそれでいいんだよ、構わないんだよ」みたいな感覚です。
その後、I mean 「つまり(こういうことだ)」を使って、どうしてフィービーがそう思ってもいいのか、そう思うのは無理もないと思っているのかをより詳しく説明しています。
it is soon の部分は、音声では、it IS soon と is を強調してしゃべっています。
「事実、実際、(同居するには)早い」というニュアンスで、一般的な常識からすると、まだ同居するのは”実際”早いんだ、フィービーだけが早すぎると思ってるわけじゃないから、君がそう思うのは当然さ、という感じです。

I just figure that everything I know about you, I really like. は、really like の目的語にあたる部分が前に出た倒置のような形になっていると思われます。
意味としては、I really like everything I know about you. 「君について知っていることのすべてが俺はほんとに好きなんだ」ということですが、次の、the things I don't know との対比の形にするために、everything I know about you という目的語を前に出している感覚でしょう。
その前に、「お互いに知らないことがたくさんある」と言っていますので、その後に、「知っていることについては…、知らないことについては〜」のように、場合分けして語っている感覚だと思われます。

「君について知っていることすべて」については、俺はほんとに好きだ、君について知っている部分は全部好きだ、と言い、「俺が知らないこと」については、I get to learn... 以下で説明していますね。
get to learn は、get to know 「知るようになる」と同じような感覚で、「学ぶようになる、わかるようになる、知るようになる」といったニュアンスになるでしょう。
知らないことについては、ある場所で知るようになる、と言っているわけですが、その場所が、at someplace with both our names on the mailbox と表現されています。
with A on B は、「A が B の上にある状態で」という付帯状況を表しています。
ここでは、「郵便受け(メールボックス)(の上)に俺たち二人の名前が載っている状態の、ある場所」みたいなことでしょう。
つまり、これから二人が同居しようとしている部屋には、郵便受けに二人の名前を書くことになるから、その新しい場所で、まだ俺が知らない君のことを知っていこうと思ってるんだ、というセリフですね。
日本で言うと、「表札に二人の名前が並んでる場所で」みたいな感じになるでしょうか。

フィービーが同居に躊躇しているのは、付き合って日が浅く、まだまだ知らないことが多すぎるからです。
「今君について知っていることは全部好きだ、知らないことはこれから新居で知っていくんだよ」とギャリーが言ってくれたことで、「知らないことが多すぎる」ことに対するフィービーの不安が減ったわけですね。
それまで泣いていたフィービーですが、このギャリーのセリフを聞いて、本当に感動したように、That's so sweet. と言っています。
「知らないことはこれから少しずつ知っていけばいいじゃないか、その新しい場所で」…こういうセリフに女の子は実に弱いので(笑)、フィービーの嬉しい気持ち、よくわかります。
「これから一緒に住もうとしている場所で」とは言わずに、「二人の名前が郵便受けに並んでいる場所に」と表現しているのが、何ともロマンティックな気がします。

ギャリーはさらに優しくフィービーに語りかけます。
none of that matters は、「今言ったこと(知らないことはこれから新居で知っていきたいという気持ちなど)はどれも重要ではない」というニュアンス。
俺は今言ったような気持ちでいるけど、君にとって早すぎるなら、俺の言ったことなんかどうでもいいさ、ということですね。
俺はただ、君に幸せになって欲しいだけだから、とも言っています。

Living with you would make me happy. を直訳すると、「あなたと一緒に住むことは私を幸せにするでしょう」。
would に「もし一緒に住むことになったら、私は幸せになるわ」という仮定のニュアンスが感じられますね。
あんなに同居に後ろ向きだったフィービーですが、ギャリーの優しさにすっかり感動した様子で、今度は自分から進んで同居のことを口にしています。

「一緒に住みましょう!」と嬉しそうにハグした後、フィービーは、取り調べ室の鏡のところに行って叫んでいます。
この鏡は、向こうからは見えてこっちからは見えないマジックミラーですね。
目撃者があちらにいて、取り調べ室の容疑者の顔を見て犯人かどうか証言したりするためのものです。
フィービーは、まるで犯罪者のような口調で、「そこの鏡の後ろのあなた! 誰を見てんのよ!」と叫んでいます。
Who are you looking at! はキツい調子で叫んでいますので、文字通りの「あなたは誰を見ているのですか?」という疑問文ではなく、「あなた、誰を見てんのよ、あたしをジロジロ見るんじゃないわよ!」みたいな喧嘩をふっかけている風のニュアンスになります。
「見えない敵」(笑)にそう叫んだ後、「こういう部屋にいた時に、いつもそう言ってみたかったのよねー」とギャリーに説明するのですが、ギャリーが「こういう部屋にいた時、だって?」みたいな不審そうな顔をしたので、which was never 「今私が言ったようなことは、決してなかったけどね」と追加の形で、そういう経験があったことを全否定している形になるでしょう。
「こういう部屋でいつもそう言いたかったの…って、そんなの、ないない!」みたいな、慌てた付け足しの否定、という感じだと思います。

フレンズ5-16 で、フィービーの居所を突き止めるのに、警官バッジにべったりついた指紋をコンピューターで検索して住所を発見した、とギャリーが言っていました。
その時、I looked at your record and you've done some pretty weird stuff. 「君の記録(前科)を見たよ。かなり変わったことをしたんだね」とも言っていました。
警官が record と言うと、やはり、criminal record 「前科」のことだと思われるので、フィービーが前科者(!)であることをギャリーは知っていたと思うのですが、always 「いつも」そう言いたかった、という言葉から、「何度も」こういう部屋に入ったことがあるかのように聞こえるので、さすがのギャリーもギョッとした、ということなのかなぁと思います。


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posted by Rach at 11:36| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月23日

同居すると切手代が減る フレンズ5-21その4

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ジョーイとチャンドラーの部屋に、フィービーとギャリーが入ってきます。
ギャリー: We have great news! (すごいニュースがあるんだ!)
フィービー: We're moving in together! Isn't it great! Yay! (私たち(引っ越して)一緒に住むのよ! それってすごくない? イェイ!)
みんな: Congratulations! Congrats! (おめでとう! おめでと!)
フィービー: I know, I'm so excited! (そうね、私はすっごく興奮してるわ!)
ギャリー: So am I! (僕もだよ!)
フィービー: Well, you're not more excited than I am! No way! I'm the most excited! (うーん、あなたは私ほど興奮してないわ! 絶対にそんなことない! 私が一番興奮してるのよ!)
ギャリー: Okay, I'll see you at the station later. (わかったよ、後で駅で会おう。)
追記:この station は「(電車の)駅」ではなく、「警察署」(police station)のことでした。)
フィービー: Okay, yeah, I'll see you later! Don't forget about the moving-in! (いいわ、わかった。後で会いましょうね! 一緒に住むことを忘れないで!)
ギャリー: All right. (オッケー。)
(Phoebe closes the door behind him.)
フィービーは彼が出た後、ドアを閉める。
モニカ: So you're moving in with him? What happened? (それじゃあ、フィービーは彼と一緒に住むのね? 何が起こったの?)
フィービー: I couldn't tell him no. He got so sad. Maybe it'll be all right. I do really like him a lot and probably do it eventually, anyway. And plus, think of all the money I'll save on stamps. (彼にノーって言えなかったの。彼はすごく悲しんだから。多分、これでいいのよ。私はほんとに彼がすごく好きだし、多分、ゆくゆくは一緒に住むわ、どのみちね。それに、私が切手代で節約するお金を考えたら。)
モニカ: Why, do you write him a lot? (どうして? フィービーはギャリーに手紙をよく書くの?)
フィービー: No, I just heard when people live together, they split the cost of stamps, don't they? (いいえ、ただ、人は一緒に住むと切手にかかる費用を分けるって聞いたのよ。違うの?)
みんな: Yeah! That's right. Yeah-yeah! Yeah! (そうよ! それが正しいわ! そう、そう、そうだよ!)
(Rachel enters with the cat, wearing the oven mitt, and startles Phoebe.)
レイチェルは例のネコと共に入ってくる、手にオーブン用ミトンをはめて。フィービーはそれにびっくりする。
フィービー: Oh, I'm sorry, the oven mitts really freaked me out. (あぁ、ごめんなさい、そのオーブン用ミトンにすごくびっくりしちゃったのよ。)

入ってきたフィービーとギャリーは、great news を伝えます。
We're moving in together! の「現在進行形」は、「決まった近い予定を表す」ものですね。
いつかそうする、という漠然としたものでなく、かなり具体的に計画が決まっている場合に使われます。
みんなは口々に、 Congratulations! Congrats! と言っています。
Congrats! 「コングラッツ」はまさに見た目通り、 Congratulations! の略ですが、このように短く訳されても、複数形語尾の -s は省略されないことに注意しましょう。

次のフィービーとギャリーのセリフは、比較級と最上級を使って、「どっちが興奮してるか」を張り合っているかのようなやり取りになっています。
「僕も(君と同じように)興奮してるよ!」というギャリーに、「あなたは私ほど興奮していない」という比較級の否定文、さらには「私が最も・一番興奮してるの」という最上級を使っていますね。
通常、ラブラブの恋人同士なら、「あなたと私はおんなじくらい興奮してるのよねっ!」と、二人の喜びが同じレベルであることを喜び合うものですが、「あなたより私の方がワクワクしてるのよ!」と自分の方がレベルが上であることをむきになって強調しているところに、却ってフィービーが「無理して喜んでいる」ところが表れているのですね。
実際はそれほど喜んでいないけれど、喜んだふりをしているのがその不自然なセリフからわかるわけです。

幸せいっぱいのギャリーは、そういうフィービーの「不自然さ」にも気付かず、「また後でね」と言って去って行きます。
去って行くギャリーにフィービーは、Don't forget about the moving-in! 「move in (together) することについて忘れないでね! 忘れないでよ!」と声をかけていますが、ギャリーが忘れるはずのないことをわざわざ口に出して言っているところにもまた、無理に喜んだふりをしているフィービーの様子が見て取れます。

フィービーが同居に乗り気でなかったことを知っているモニカは、心境の変化をもたらしたような出来事が起こったのかを尋ねています。
フィービーは、彼が悲しんだから断れなかった、拒めなかったと答えます。そして、自分自身を納得させるように、「これでいいのよ、彼のことはすごく好きだし、どのみち最終的にはそうなるんだから」と言っています。
ちょっと時期が早まっただけで、決心そのものは間違っていないはず、と自分に言い聞かせている感じですね。
それに、と別の理由を加える形で、think of all the money I'll save on stamps と言っています。
これは直訳すると、「私が切手で節約するであろうお金を全部(お金の全額を)考えて」のような命令形、もしくは「考えてみたら」のような仮定のニュアンスになるでしょうか。
「同居することで切手代が節約できる、その金額を考えてみたら」みたいな感じでしょう。

そのフィービーの発言を聞いて、チャンドラーとモニカは、わからない、という顔をしています。
モニカは、「同居したら切手代が節約できる、って、フィービーはそんなによくギャリーに手紙を書いてたの?」と尋ねます。
フィービーは、手紙をよく書いていたわけじゃない、と否定して、「人が同居すると、切手代も分担することになるって聞いたんだけど…」みたいに言っています。
みんなは一瞬ポカンとした顔をするものの、「そうそう、フィービーの言う通りだ」と口々に言います。

切手に関するフィービーの最初のセリフ、「(同居したら)切手代が節約できる」というのは、恐らく、離れて暮らしていた恋人が同居する時によく口にする決まり文句みたいなものかなと思います。
モニカが質問したように、日頃からよく手紙を書く恋人同士であれば、一緒に住むことで郵便代としての切手代を使わなくて済むようになる、という効果が実際にありますよね。
もう少し現代風に考えるのなら、長距離恋愛をしているカップルが、同居することで電話代がかからなくなる、みたいなことでしょう。

フィービーが切手の話をするので、みんなが知らないところでフィービーもギャリーにせっせと手紙をしたためていたのかと思ったらそうではなくて、「よく聞くそういうセリフは、一緒に住んだら切手代の負担も半分になる、って話だと思ってたんだけど」みたいにフィービーは答えます。
「同居したら費用は半分になる」のは事実としても、それじゃあ別に切手代じゃなくて、食費でも光熱費でも家賃でもいいわけですよね。
わざわざ「切手」に言及しているのは、頻繁に文通している恋人のイメージがあってこその話なのに、それをフィービーは他の費用分担と同じ系列の話だと思っていた、という面白さなのでしょう。
フィービーの勘違いにフレンズたちは気づいたようですが、同居に後ろ向きなフィービーがその申し出を受け入れる覚悟を決めたことに水を差したくなかったのでしょう、「切手の話はフィービーの言う通りよ。一緒に住んだらどんな費用も半分こだもんね!」みたいに盛り上がって、切手の話を流そうとしているわけですね。

その時、部屋にまた、スフィンクスキャットを連れてレイチェルが入ってきます。
フィービーはそれを見て、えらくびっくりした顔をしていますが、ネコを見て驚いたのではなく、レイチェルが手にはめていたオーブン用ミトンを見て驚いた、と言っています。
他のフレンズのメンバーは、スフィンクスの特異な見かけに驚くのが常でしたが、フィービーはそのネコの姿には動じず、レイチェルの手が巨大になっているかのように見えた(?)そのミトンに驚いたと言っているのが、フィービーらしいおとぼけなのかな、と思いました。

一瞬、「ミトンに驚いた」→「ネコをオーブンで焼いて持ってきたように見えて驚いた」という意味で言っているのかな、とも思ったのですが、それだとまずは、動物愛護主義者的に、I can't believe you! You baked tha cat?! みたいな言葉を発する気がするのですね。
ネコのことは一切言わず、ミトンだけに言及しているところに、普通はみんなそのネコの姿に驚くものなのに、フィービーは全く動じていないのがわかって面白いのかな、と思いました。
「あー、びっくりした、(レイチェルの手が赤くでっかくなったんじゃなくて)ミトンだったのね」「そっち? 驚くのは、ネコじゃなくて、ミトンの方?」みたいな、フィービーのちょっとずれた感性による面白さなんだろうと思います。


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posted by Rach at 13:55| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月20日

煮ても焼いても食えない フレンズ5-21その3

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(Rachel enters with the "cat" and the chick and the duck start to get riled up.)
レイチェルは例の「猫」(スフィンクス・キャット)と共に入ってくる。すると、ニワトリとアヒルが怒り出す。
ジョーイ: Don't worry, guys. It's not a cat. (心配するな、お前ら。猫じゃない。)
モニカ: Oh my.... Oh, good God! (まぁ、なんて…なんてこと!)
レイチェル: (she's wearing an oven mitt to protect her hand) I give up, you guys. I don't know what I'm going to do with this thing! ([レイチェルは手を守るためにオーブン用ミトンをはめている] もう降参よ、みんな。こいつをどうしたらいいかわからないの!)
ロス: Baking it didn't help, huh? (焼いても無駄だったの?[焼いても食えなかったの?])
モニカ: So, why don't you just take it back to where you got it? (それじゃあ、それを買ったところに返品してきたらどうなの?)
レイチェル: I tried! They won't take her back. (やってみたわ! 店は受け取ろうとしなかったの[受け取りを拒否したの]。)
チャンドラー: Maybe that's because she's a minion of the Antichrist. (多分それは、その猫が反キリストの[キリストの敵の]手先だからだな。)
モニカ: Rach, why won't they take it back? (レイチェル、どうして彼らは受け取ろうとしないの?)
レイチェル: Well, they said they would but they would only give me store credit. I mean, what am I going to do? Get a thousand regular cats? (そうね、店員は受け取るとは言ったんだけど、私にストア・クレジットを渡そうとするのよ。つまり、私はどうしたらいいの? 普通の猫を1,000匹もらえっての?)

レイチェルが猫を連れて入ってきたので、チャンドラーとジョーイの飼っているニワトリとアヒルが騒ぎ出します。
騒ぐ鳥たちに、「心配するな、猫じゃない」というジョーイにまた笑ってしまいますね。
フレンズ5-21その1 でも、スフィンクスのことを猫だと言うと、必ずジョーイは「猫じゃない」とツッコミを入れていましたが、ここでもまた同じセリフを、それもペットに対して(笑)言っているのが、ジョーイらしくて楽しいです。

赤い座布団の上にその猫を乗せ、引っかかれないように手にはミトンをはめた状態で入ってきたレイチェルは、「こいつをどうしたらいいかわからない」と言っています。
this thing というのは「こいつ、このもの」みたいな感じで、その言い方にもはやペットとしての愛着がなくなってしまっている感じが出ていますね。
英語では自分が可愛がっているペットのことは、人間と同じように、him/her などの人称代名詞で呼びますので、with her ではなくて、with this thing と言っている時点で、「モノ扱い」して、持て余している様子がわかるわけです。

ロスの、Baking it didn't help, huh? について。
help は他動詞では「助ける」ですが、自動詞では「助けになる、役に立つ」という意味があります。
it は the cat なので、「その猫を焼くことが助けにならなかったの?、焼いても無駄だったの?」みたいなことですね。
これは、レイチェルが座布団の上に猫を乗せ、手にはミトンをはめているので、まるで猫を料理して持ってきたみたいに見えたことから、そう言っているようです。
「こいつをどうしたらいいかわからなくて」と言ったので、「オーブンで焼いてみたけど、無駄だった、ってこと? 料理して食べることもできなかったわけだ」みたいに言って、レイチェルをからかっているのですね。

この部分、DVDの日本語訳は、「焼いても食えなかったってわけ?」となっていましたが、私もこのロスのセリフを聞いた時、その言葉が頭に浮かびました。

日本語では「煮ても焼いても食えない」という表現がありますよね。
広辞苑では
煮ても焼いても食えぬ=どうするてだてもなくもてあます。
とありますので、まさに今回の「こいつをどうしたらいいかわかんないの」とお手上げ状態になっているレイチェルに通じるものがあります。

日本語の「煮ても焼いても食えない」の場合は慣用句で、「煮ても焼いても食えないやつ」のように人間に対して使う言葉です。
英語においては、そういう慣用表現があるわけではないでしょうが、今回たまたま、手にミトンをしたレイチェルが猫を座布団の上に乗せて持ってきた姿が、オーブンから取り出したばかりの料理を持ってきた姿に重なるので、Baking it didn't help, huh? というセリフが非常にハマって聞こえた、ということだと思います。
日本語はたまたまそれが慣用句になっているために、すんなり理解できてしまう感じですね。

猫にお手上げだというレイチェルに、返品してきたらいいのにと言うモニカ。
I tried! の後に特に but はありませんが、「返品しようとしてみたけど(だめだったの)。店が受け取ろうとしないのよ」というニュアンスであることは理解できますよね。
I tried 「やってみた」と言う場合はたいてい、I tried, but.... 「やってみたのよ、でもだめだった」と続くことが予想されますが、今回もそのパターンだということです。

a minion of the Antichrist について。

研究社 新英和中辞典では、以下のように出ています。
antichrist 【名】
T 【C】 キリストの敵、キリスト反対者
U [(the) A〜] 反キリスト 《キリスト再臨前にこの世に悪を満たすとされるキリストの敵》


LAAD では、
antichrist : [noun]
the Antichrist also the antichrist the great enemy of Jesus Christ who represents the power of evil and is expected to appear just before the end of the world

つまり、「イエス・キリストの大きな敵で、悪の力を象徴するもの。この世の終わりの直前に現れると言われているもの」。

minion は「手先」なので、a minion of the Antichrist は「キリストの敵の手先」という意味になります。
非常に珍しいルックスをしているので、悪の使い、悪の使者、悪の手先みたいに見えると言いたいようです。
元々、その店で購入したので、受け取り拒否の理由が、「悪の手先みたいに見えるから」であるはずはないのですが、「店もその姿に恐れをなしたんだね」みたいに言ってみせているのですね。

チャンドラーのジョークにも構わず(笑)、モニカは本当の理由を知ろうとします。
レイチェルは、「店には引き取る意志はあったけれど、相手はストア・クレジットを渡すつもりだった、ストア・クレジットで返金するつもりだった」と説明しています。

英辞郎では、
store credit=返品した品物と同金額分の買い物
と出ています。
買った金額と同額を返金してくれるのではなくて、同額のものと交換いたしますよ、みたいなことですね。

フレンズ4-8その6 でも、ロスがあげたネックレスをレイチェルがストア・クレジットに交換していた、という話がありましたが、プレゼント交換の機会が多いアメリカでは、プレゼントをもらった後、店に同額の商品と交換しに行く、ということもよくあるようです。(特に、レイチェルはよくそれをやっている…笑)

このスフィンクス・キャットを1,000ドルで購入したレイチェルは、店で1,000ドルのものと交換できる権利をもらってもどうしろって言うの?みたいに言いたいようです。
a thousand regular cats を文字通り訳すと、「1,000匹の普通の猫、普通の猫1,000匹」というところでしょう。
猫1匹の相場がいくらぐらいかよく知らないのですが、まさか、1匹1ドル、ということもないと思います。
これは多分、レイチェルの誇張表現で、1,000匹とは言わないまでも、高級な猫を返品して、代わりに安い普通の猫を何十匹ももらっても、こっちは困っちゃうわよ、と言いたいのですね。


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posted by Rach at 12:10| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年05月18日

それが唯一の取り柄なのに フレンズ5-21その2

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フィービーとラブラブのギャリーは、モニカに二人の進展具合を聞かれて、"I'm gonna ask Phoebe to move in with me." 「フィービーに俺と一緒に引っ越して欲しい(引っ越して同居して欲しい)って言うつもりなんだ」と答えます。
そんなビッグニュースを黙っていられないモニカは、早速フィービーに知らせるのですが、当人のフィービーは「まだ早すぎる、心の準備ができてない」と言って、それに乗り気ではない様子。
そこでフィービーは、コミットメント恐怖症(異性と深く真剣な付き合いをすることに恐怖を感じること)のチャンドラーに話をしてもらって、同じような恐怖心を植え付けてもらおうとします。
ですが、ギャリーと話したチャンドラーは、ギャリーが真剣にフィービーを愛していること、ずっと一緒にいたいと思っていることを痛感し、逆に同居を応援する考えに変わってしまいます。

[Scene: Central Perk, Phoebe is drinking coffee as Chandler enters.]
セントラルパーク。フィービーがコーヒーを飲んでいるところに、チャンドラーが入ってくる。
チャンドラー: Hi! (はーい!)
フィービー: Hmm, did you talk to Gary about the moving-in thing? (んー、(引っ越して)同居する件について、ギャリーに話してくれた?)
チャンドラー: Yes I did, and I think you should do it. (ああ、話したよ。で、フィービーは同居すべきだと思う。)
フィービー: What? (何ですって?)
チャンドラー: He's a great guy, y'know? And he loves you a lot. You are a very lucky lady. (ギャリーは最高の男だよ、だろ? そして君をとても愛している。フィービーはとってもラッキーな女性だよ。)
フィービー: You are useless! Freaking out about commitment is the one thing you can do! The one thing! And you can't even do that right! God! (あなたって役立たずね! コミットメント(異性と深く付き合うこと)にパニクるのが、あなたができるたった一つのことなのに[あなたの唯一の取り柄なのに]! たった一つの! そしてあなたはそれすら満足にできないのよ! なんてこと!)
チャンドラー: I'm sorry. (Pause) If he asked me, I'd move in with him. (ごめんよ。[間があって] もしギャリーが俺に頼んだのなら、俺なら彼と同居するのに。)
フィービー: Ohh!! God! (Gary enters and she sees him) Ooh! (To Chandler) Get out of here, good-for-nothing. (あー! もう! [ギャリーが入ってきて、フィービーは彼を見る] あー! [チャンドラーに] あっちに行って、この役立たず!)

チャンドラーを見たフィービーは、the moving-in thing について話してくれた?と尋ねています。
move は「動く」ですから、「引っ越す」という意味もあり、「move to+地名」だと「(地名)に引っ越す」という意味になります。
通常、move in は、「引っ越してくる、入居する」、move out だと、「引っ越して出ていく、転出する」ですね。
今回の場合は、ギャリーが最初に、move in with me 「俺と一緒に(引っ越して)入居する」という意味で使ったので、それ以降は、特に with me をつけなくても、「二人一緒にどこかに引っ越す」→「(今いる場所から引っ越して)同居する」という意味で、move in を使っています。
ですから、the moving-in thing だったら、「同居するって話、同居の件」を指すわけですね。
他に「同居する」という表現なら、live together もあります。

同居を思いとどまらせようとしたはずなのに、「ギャリーと話して、フィービーは同居すべきだと思った」とチャンドラーが言ったため、フィービーは驚きの声を上げています。
「ギャリーはすごくいい男で、君を愛してる。フィービーはラッキーだよ」と、普通なら「まあ!」と大喜びしそうなセリフをチャンドラーは言うのですが、それを聞いたフィービーは喜ぶどころか、チャンドラーを useless だと言ってののしります。

useless は、useful 「役に立つ、有用な」の反対語で、「役に立たない、無用な、使い物にならない」という意味。
You are useless! だと、「あなたは役に立たないわね、役立たずね!」とけなしていることになります。
freak out は「パニクる」という日本語が一番合いそうな感じ。
そのセリフを直訳すると、「コミットメントにパニクるのが、あなたができる一つの(唯一の)ことである」になるでしょう。
つまり、「あなたができるのはそれだけなのに、それが唯一の取り柄なのに」という感覚ですね。

And you can't even do that right! の、do 〜 right は、「〜を正しく・正確に・ちゃんと・望みどおりに行なう」という感覚。
フィービーのセリフは、「唯一できると言えるそのことを、あなたはちゃんとすることさえできないのよ」という感じで、唯一の取り柄なのに、それを失敗してくるなんて…みたいなものすごい非難のニュアンスが感じられます。
いつもなぜかジョーイには甘く、チャンドラーには厳しい、というのが、フィービーのキャラ設定ではありますが、それにしても「そこまで言うか!」的な、非常に批判的なセリフとなっているわけですね。
「たった一つの得意技なのに、あなたはそれすら満足にできないの!」という感覚で、期待して送り出したのに裏切られた、とでも言いたげな、フィービーの怒りが滲(にじ)み出ています。
そのものすごい怒りの表現が逆に、「普通の女の子なら喜びそうなことを、フィービーはこんなにもいやがっている」という事実を浮き彫りにしている感じもありますね。
この場面では、実はフィービーが一番「コミットメント恐怖症」に陥っている、ということを、やんわり示唆しているような気もします。

あまりにキャンキャン言われたので、とりあえず謝ったチャンドラーですが、その後、ぼそっとひとりごとのように、If he asked me, I'd move in with him. と言っています。
これは典型的な「仮定法」ですね。
現実には起こりえないことを仮定する時に使うものです。
「俺(チャンドラー)は男だし、もちろん恋人でもないので(笑)、ギャリーが俺に同居して欲しいと言うはずはないけれど、もし俺がギャリーにそう言われたんだったら、俺なら彼と同居するのに」みたいなことですね。
フィービーはそうやってむきになって拒むけど、ギャリーはいいやつだし、あんなに愛してくれてるんだから、俺なら断らないのにな、と言っているわけですね。
つまり、普通はそう思うだろうのに、フィービーのその絶対的な拒否のしかたは、俺には理解できないよ、と言いたいところなのでしょう。

そうこう話しているうちに、ギャリーが入ってきます。
Get out of here! 「ここから出て行って、あっちに行って!」と言うフィービーは、呼び掛け語として、good-for-nothing という言葉を使っています。

good for nothing は文字通り「何にとっても、何に対しても、グッドでない」ということなので、「何の役にも立たない」という意味になります。
それをハイフンで繋いで名詞にしたのが、good-for-nothing ですね。
(形容詞として使う場合でも、ハイフンで結ぶこともあります。)
ですから意味は、「何の役にも立たないもの、どうしようもないやつ、役立たず」ということになります。

つまり、意味としては、フィービーの最初の怒りの表現、You are useless. と同じようなことですが、 Get out of here, good-for-nothing. のように吐き捨てるように言うことで、さらに悪態をついた感覚がでている気がします。
nothing という全否定の強い言葉が入っているために、「全く、何の役にも立ちゃしない」的なニュアンスが余計に強く感じられる気がするのですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
good-for-nothing という1つの項目として、さらには、good の中の表現の1つとして、それぞれ語義が説明されています。

good-for-nothing [adjective]
a good-for-nothing person is lazy or has no skills (SYN: worthless)
good-for-nothing [noun] [countable]

つまり、「good-for-nothing な人というのは、怠惰な、またはスキル(技量)のない人。同義語:worthless 」

good for nothing : (informal) someone or something that is good for nothing is completely useless and worthless
つまり、「(インフォーマル) good for nothing な人や物は、全く役に立たなくて、価値がない」。

このように、語義説明にも、useless, worthless という言葉が使われているように、good-for-nothing は、You are useless. と同じような感覚で使われていることがわかります。
ギャリーはいいやつだから、フィービーは幸せ者だね、と応援するつもりで帰ってきたのに、「役立たず」と何度もののしられてしまったチャンドラーが何ともかわいそうですね。


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2011年05月16日

フラッフィーと呼べない猫 フレンズ5-21その1

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シーズン5 第21話
The One With the Ball (フィービーが同棲?)
原題は「ボールの話」


レイチェルは、「小さな頃からずっと欲しかったものを買ってきたの」と言って、毛のない猫(hairless cat)をロスとジョーイに見せます。
普通の猫とは全然違うその姿に、ロスとジョーイは驚いて、
ロス: What-what is it?! (何、何だ、それ?)
ジョーイ: What the hell is that? (一体、それは何なんだよ?)
レイチェル: It's a, it's a cat! (猫よ!)
ジョーイ: That is not a cat! (それは猫じゃない!)
レイチェル: Yes, it is! (いいえ、猫よ!)
ロス: Why is it inside out? (どうして、裏返し(裏表逆)になってるの?)
レイチェル: Excuse me! But this is a purebred, show-quality sphinx cat! (悪いけど、でもこれは、純血種の、ショーに出るほど質の高い、スフィンクス・キャットよ!)
ロス: How much did you pay for that? (それにいくら払ったの?)
レイチェル: Well, it was a little extravagant, but I got a pretty good deal. (そうねぇ、ちょっと高すぎる値段だったけど、でも、かなりいい買い物をしたわ。)
ロス: Yeah? How much? (そう? いくら?)
レイチェル: Thousand bucks. (1,000ドル。)
ロス: On a cat? (猫に?)
ジョーイ: It's not a cat! (猫じゃないって!)
レイチェル: All right. Listen, ball boys! My grandmother had one of these when I was a little girl and it was the sweetest thing! I mean it was so cute, it would sit in my lap and purr all day long, and I would drag a shoestring on the ground and he would chase it. (いいわ、聞いて、ボール・ボーイズ!私が小さかった頃、おばあさまがこういう猫を飼っていたの、そしてそれはすっごく素敵だったのよ! つまり、すっごく可愛くて、私の膝に座って、一日中、のどを鳴らしていたものだったわ。それから、私が地面に靴ひもを引きずると、その猫はそれを追いかけたものだったの。)
ロス: Free cats do that too, y'know. (ただの(無料の)猫もそういうことするよね。)
ジョーイ: It's not a cat! (猫じゃないって!)
レイチェル: Ugh! Look, you guys, I'm really excited about this, okay? I don't care what you think! I'm gonna set up a little litter box for Mrs. Whiskerson. (They both glare at her.) Well, what am I gonna call her? Fluffy? (あー! ねぇ、あなたたち、私は本当にこのことに興奮してるのよ、いい? あなたたちが思うことなんかどうでもいいわ! 私は、ミセス・ウィスカーソンのために、小さな砂のトイレを用意するつもりだから。[ロスとジョーイは二人とも、レイチェルをにらむ] じゃあ、この子を何て呼べばいいの? フラッフィー?)

体の表面に毛がないヘアレスキャットなので、ロスとジョーイは「それは何だ?」と驚いています。
「何、って…猫よ」と答えるレイチェルですが、ジョーイは「そんなの、猫じゃない!」と叫んでいます。
それに対するレイチェルの返事、Yes, it is! は、Yes, it is a cat! ということですね。
「猫ではない」という否定文を使ったジョーイに対して、肯定文を使って「猫である」と反論している形になります。
Yes, it is. と聞くと反射的に「はい、そうです」と訳してしまいそうになりますので注意したいところですね。

inside out は、「インサイドがアウトの状態になっている」みたいなことで、つまりは、「裏返しに、裏表(うらおもて)に(なっている)」という意味。
皮膚に毛が生えていなくて、生々しい肌になっているために、皮をはいだみたい、というか、中身をひっくり返したみたいに見える、という意味で、そう表現しているのですね。

purebred は「(動物が)純血の」。
「純血の」という意味では、pureblood, pureblooded という単語もありますが、purebred の bred は、breed 「育てる、繁殖させる」の過去分詞形。
純血の血統を保持するために、他の品種が混ざらないように繁殖させられた、ということでしょう。

show-quality は「ショーに出るようなクオリティーの」という感覚だと思います。
キャットショーに出場するような、珍しい、品質の高い猫なのよ、ということですね。
sphinx はいわゆる「(エジプトのギザにある)スフィンクス」のことですが、今回はこういう猫の品種名です。

Wikipedia 日本語版: スフィンクス (ネコ)

extravagant は、「浪費する、ぜいたくな」「高価な、(値段が)法外な」。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
extravagant : spending a lot of money, especially on things that are not necessary or that you cannot afford.
つまり、「たくさんのお金を消費すること、特に、必要でないもの、または買うお金がない(とても手が出ない)ようなものに対して」。

deal は「取引」なので、good deal は「良い取引」→「良い買い物」になるでしょう。
ちなみに、a good deal (of) は「かなりたくさん(の)」という意味でも使われますね。
1,000ドル払ったと聞いて、ロスは、On a cat? と叫んでいます。
the cat ではなく、a cat になっているので、「たかが猫1匹に、1,000ドルも払ったのか?」という驚きのニュアンスが感じられます。
それに対してジョーイがまた、It's not a cat! 「猫じゃない!」と言っているのも面白いです。
「ロスは猫に大金をはたいた、って言うけど、それは猫じゃないったら!」みたいに、そのスフィンクスは絶対にネコじゃない、とまだ自説を曲げていないわけですね(笑)。

レイチェルが二人のことを、ball boys と呼んでいるのは、二人がずっとキャッチボールをしているため。
今回のエピソードタイトルは、The One With the Ball 「ボールの話」ですが、ロスとジョーイが全くボールを落とさずにキャッチボールをしていることに気付き、どこまで記録が伸ばせるかに挑戦する、というのが今回のプロットの一つになっているのですね。

レイチェルは、スフィンクスへの思い入れを語ります。
one of these は「こういうものの一つ」という感覚で、「こういう感じのスフィンクスキャットを1匹(飼っていた)」ということになります。
it would, I would, he would など、would が多用されていますが、これは、「…したものだった、よく…した」という「過去の習慣・反復動作などの回想」を表す would ですね。
「小さい頃、その猫とこういうことをしたものだったわ…」と懐かしく回想する感覚でしょう。

purr は「(猫などが)気持ちよさそうにゴロゴロとのどを鳴らす」。
ひざの上に座る、のどを鳴らす、ひもを追いかける、など、猫がよくすると思われる行動の表現が使われています。

free cat は「無料の猫」ということでしょう。
「自由な猫」と解釈すれば、「野良猫」のニュアンスも出るかもしれませんが、通常、「野良猫」だと、a stray cat (直訳は「迷った、はぐれた猫」)になりますね。
ロスは、1,000ドルも出したと聞いて、「のどを鳴らすとか、ひもを追いかけるとかなら、そんな高い猫を買わなくてもいいんじゃない。ただで手に入る猫でもそういうことはするよ」と言いたいのですね。
ただで手に入る、という意味ではもちろん「野良猫」も含まれるわけですが、人から猫をもらうとかも含まれると思いますし、1,000ドルの猫との対比として使われていることをはっきりさせるために、「ただの(無料の)猫」と訳してみました。
レイチェルの思い出話が、特に高級な猫ならではの話ではなく、どこにでもいる猫と同じような思い出だったので、そのように言ってみたわけですね。
そこにまた、「猫じゃないって!」とツッコミを入れてくるジョーイにも笑えます。
スフィンクスのことを猫だと言うと、必ずそう言いたくなるようですね。
今回のエピソードでは、この後も、ジョーイの "It's not a cat!" が何回も登場することになります。
ジョーイが注目してるのはそこだけ?みたいな面白さもありますね。

litter box は「猫のトイレ」。litter は猫のトイレに入れる砂のことですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
litter : CAT'S TOILET small grains of a dry substance that is put in a container that a cat uses as a toilet indoors (SYN: cat litter)
つまり、「猫のトイレ。猫が屋内のトイレとして使う箱に入れられた、乾燥した物質の小さな粒子。同義語:cat litter 」

Mrs. Whiskerson は、レイチェルがこの猫につけた名前。
「猫などのひげ」を whisker と言うので、それをもじった名前を付けたのですね。
日本語で言うと、「ひげ田夫人」(??)みたいな感じでしょうか。

「ミセス・ウィスカーソン」という名前には、ちょっと気取った響きが感じられるのでしょうね、たかが猫にそんなたいそうな名前をつけるのか、と言わんばかりの顔で、ロスとジョーイはレイチェルを見ます。
その非難めいた顔に対して、レイチェルは、「じゃあ、どういう名前にすればいいっての? Fluffy ってつけろとでも言うわけ?」みたいに返しています。
fluffy は「ふわふわした」という意味の形容詞なので、「フラッフィー」は猫にふさわしそうな名前ですが、今回の猫はヘアレス・キャット、つまり、毛がなくて「ふわふわではない」ので、そんな名前は似つかわしくないでしょ、とレイチェルは言いたいのですね。
フワフワ系の猫の名前は付けられないんだから、こんな名前にならざるを得ないじゃない、というところでしょう。

フレンズ1-5 で以下のセリフがありました。

レイチェルがコインランドリーに行くと聞いて、ロスは自分も行くつもりだと言うのですが、
レイチェル: Don't you have a laundry room in your building? (あなたのアパートのビルには、洗濯室(ランドリー・ルーム)があるんじゃないの?)
ロス: Yes, I do have a laundry room in my building, um, but there's a... rat problem. Apparently they're attracted to the dryer sheets, and they're goin' in fine, but they're comin' out all... fluffy. (あぁ、確かに僕のアパートには洗濯室があるよ。でも、ネズミの問題があってね。どうやら、ネズミは、乾燥機に入っている(柔軟剤)シートに引き寄せられるらしいんだ。それで、入った時はいいんだけど、出てくるとみんな、フワフワなんだ。)

自分のビルにも確かに洗濯室はあるけど…と言いながら、とっさに考えた言い訳だったために、最後にはネズミがフワフワになって出てくる…という、わかったようなわからないような話で終わってしまっているのがポイントですが、「柔軟剤の入った乾燥機から出てきたネズミは、柔軟剤のおかげでフワフワだ」という部分も面白いわけですね。
そういう「ふわふわネズミ」を想像すると、今回のスフィンクスはそういう「ふわふわ感」が全くない猫なので、そんな名前はふさわしくない、ということが納得できる気がします。


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posted by Rach at 12:33| Comment(6) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする