2007年01月21日

フレンズ2-24その15

バリーの結婚式会場にて。
モニカ: So, I read this article in the paper the other day that says you're not supposed to throw rice at weddings. Because when pigeons eat rice, it kills them. (それで、この間、新聞の記事を読んでたら、結婚式でお米[ライス]を投げちゃいけないって書いてあったわ。なぜなら、鳩がお米を食べると、死んじゃうんですって。)
リチャード: Oh, that's why you never see pigeons in sushi bars. See, we're having fun. (あぁ、だからスシバーでは鳩を見かけないんだね。ほら、僕たち、今、楽しんでるよね。)
モニカ: Oh, absolutely. Yeah, you know I'm not even thinking about that thing that we're not supposed to think about. (えぇ、全くその通りよ。ほら、考える必要のないことは考えることすらしてないのよ。)
リチャード: Neither am I. (僕もだよ。)

どうして結婚式にお米を投げるのでしょうね?
こちらのサイト(↓)の説明が簡単で分かりやすいかなと思います。
Wedding Themes and More: Wedding Customs and Traditions
このサイトの下の方に Throwing Rice という項目があります。
勝手に訳すのは避けますが、fertility という言葉がポイントのようですね。
fertility は「肥沃(ひよく)、多産、生産力、繁殖力」のような意味ですが、お米で言うと「豊穣(ほうじょう)」という言葉が適切かな。
試しに「wedding rice fertility」でぐぐると、やはりライスは fertility のシンボルである、という記述がかなりヒットします。
この風習なんですが、英語での正式名称は何と言うのでしょう?
日本語ではこれを「ライス・シャワー」というのだと思いますが、rice shower で検索してもあまり英語のサイトはヒットしないんですよね。
shower は「(…を)(…に)雨あられと浴びせる」という意味がありますが、結婚式関係で shower というと、bridal shower という言葉がヒットすることが多いです。
bridal shower は「ブライダル・シャワー、花嫁になる人に贈り物をするパーティー」のこと。
また、baby shower というと「出産前の母親にベビー用品を贈るパーティー」のことです。
どちらも後のエピソードで出てきます。
結局、ライス・シャワーに関しては、上のサイトの項目名にもなっている、throwing rice の方が一般的な名称なのでしょうかねぇ?

で、そのモニカが言っている話なんですが、まさにその件について触れているサイトを発見しました。
Throwing rice at weddings harms birds - Fiction!
このサイトでは、「鳥に害を及ぼす」という俗説はでたらめで、本当はどうなのか、ということがわかりやすい英語で書いてあります。
その内容は説得力があり、面白いなと思いました。

モニカのそういう世間話に対して、リチャードの返しもそんなに面白くありませんね(笑)。
面白くないジョークに無理して笑っている、二人もそれをいやと言うほどわかっている…のが滲み出ている、ということなのでしょう。


ウェディング・プランナー: It's time. Bridesmaids and ushers... let's see two lines. Thank you. (時間よ。ブライズメイドと案内役の皆さん。2列に並んでね。ありがとう。)

usher は「(劇場などの)案内係」のことですが、結婚式では「結婚式の案内役(先導役)、花婿・花嫁の男友達」のことを言います。
usher は動詞として使うと「(人を)(…へ)先導する、案内する」という意味になり、usher in だと「(天候が)(季節の)先触れをする、(事件・時代が)(…の)到来を告げる」という意味になります。
usher in a new era だと「新しい時代の到来を告げる」です。
まさに「(主語が)新しい時代に案内する」わけですね。

ところで、「2列に並んで」の表現が面白いと思いました。
let's see ですから「見ましょう」、つまり、「2列になってる姿を見ましょうね。」ということで、「2列になってね。」という軽い命令の意味になるということでしょうか?
see には「…を想像する、予想する」という意味があります。
また、see that だと「(…のように)手はずをする、取り計らう」という意味もあり、See that the window is shut. だと「窓を必ず閉めておきなさい。」ということになります。
この see のイメージに通じるものがあるのかもしれません。

普通に命令形で言う場合は、どう言うんでしょうね?
英辞郎によると、
line up in ... lines は「…列に並ぶ」
line up in ... rows は「…列横隊に整列する」

ということですから、二人ずつ並ぶ場合は、"Line up in two lines." ということになるのでしょうかね?

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posted by Rach at 08:06| Comment(2) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月20日

フレンズ2-24その14

ジョーイが戻ってきました。リチャードにキスしようとしてモニカに蹴られたそうです。
ジョーイ: Man, I got this close to him, and Monica kneed me in the back. What's going on? (もう、リチャードにこれくらいまで近づいたのに、モニカが俺の背中を膝蹴りしたんだ。何やってんの?[どうしたの?])
フィービー: We're just wondering if Chandler's girlfriend is a girl. (チャンドラーの彼女って女の子なのかどうか、を今考えていたところなの。)
ジョーイ: Oh, well. Just ask her how long she's gonna live. Women live longer than men. (あぁ、じゃあ、ただこう尋ねればいいんだよ。その人はどのくらい生きるか、って。女は男よりも長生きだから。)
チャンドラー: How do you not fall down more? (どうしてお前はもっとたくさん転ばないんだよ。)
フィービー: Okay, ask her what is her current method of birth control. (わかった。彼女が今使ってる避妊方法は何かを尋ねてみたら?)
チャンドラー: All right. "My husband is sleeping with his secretary." She's married? (わかった。[質問すると、相手から答えが返ってくる。] 「私の夫は秘書と浮気をしています。」 彼女、結婚してるのか?)
フィービー: Well, at least we know she's a woman. (そう、少なくとも彼女が女性だ、ってことはわかるわね。)

wonder は「…かな?と思う」という意味ですよね。wonder if なら「…かどうか、と思う」。
この意味では、I'm wondering if... 「…かどうかを考えている」という表現がよく出てきますよね。
フレンズ1-9その1 では、"I was wondering, would it be possible, if I got a $100 advance on my salary?" (お給料を100ドル前倒しで、もらえたりするかなー、って思ったりしてるんだけど。)というレイチェルのセリフがありました。
遠回しにお願い事をする表現ですね。

ジョーイのアドバイスはなんともトンチンカンです。
確かに女性の平均寿命は男性よりも長いですから、仮に相手が100歳だとしたら、その相手が女性である可能性は高いのかもしれません(笑)。
しかし、どのくらい生きるか、つまり何歳まで生きられるか、ということは本人にわかるはずもありませんので、その質問は全く無意味なんですよね。

次の "How do you not fall down more?" はどう訳せばいいのか迷いました。
解説が長くなりますが、ご了承下さい。
how は「どんなふうに、どんな具合に、どのように」ですが、ここでは why のような意味で使っているようです。
why の場合は理由を尋ねているのですが、how の場合だと、「どういう経緯で、どういう顛末(てんまつ)で、そういうことになったのか?」と質問するニュアンスが感じられる気がします。

研究社 新英和中辞典の how の語義に以下のものがありました。
例文もちょっと多めに引用します。
how=[理由を尋ねて、しばしば can [could] を伴って] どうして(まあ)、なぜ
(例文)
How can you live alone? どうして一人で暮らすことができるのですか。
How can you say such a rude thing? よくもあなたはそんな失礼なことが言えたもんだね。
How is it that you didn't come? 君が来なかったのはなぜですか。
How is [comes] it (that) you are here? 君がここにいるのはどういうわけだ。
"Where is Tom?" - "How should I know?" 「トムはどこにいるの?」「そんなこと知るか(ぼくには関係ない)」

また、フレンズによく出てくる How come...? 「なぜ、どうして…なんですか?」という形は、How did it come that...? の短縮形だ、とも書いてありました。

こういう how の使い方を念頭において、それに似たフレーズを過去記事で探してみました。

フレンズ2-3その4
チャンドラー: How do you know that? How? (どうしてそんなことがわかるんだ? どうして?)
フレンズ2-14その5
ロス: Now, how do you know that? (どうしてそんなことがわかるんだよ?)
フレンズ2-16その17
レイチェル: How could you do this to me? This was your idea! (私に対して、どうしてそんなことが出来るの? これはあなたのアイデアだったのに!)

辞書の例文に出てきた How should I know? というフレーズは、フレンズ1-1 にも出てきましたよね。
ジョーイ: And you never knew she was a lesbian... (それでロスはキャロルがレズビアンだって知らなかったんだ…)
ロス: No!! Okay?! Why does everyone keep fixating on that? She didn't know, how should I know? (知らなかったよ! いいか? どうしてみんなそのことにこだわるんだよ? 彼女も自分がレズビアンだってことに気付いてなかったんだ。どうして僕にわかるんだよ。)

今回のセリフは、How do you know that? の how とニュアンスが似ているようですね。

fall down は「落ちる、ひっくり返る、転ぶ」です。
これはジョーイがモニカに蹴られた、と言っていることから、蹴られて転ぶ(ひっくり返る)ことを指しているように思うのですが…。
"How do you not fall down more?" は「どうしてお前はもっとたくさん転ばないんだよ。」ということで、そんなトンチンカンなことを言うやつは、もっと転んで頭でも打って、その頭の回路に刺激でも与えたらどうなんだ?というようなことなのでしょうか?
DVDの日本語は「膝蹴りが足りないみたいだな。」となっていました。
状況は、ジョーイが寿命の話を持ち出したので、チャンドラーとフィービーは顔を見合わせて「ジョーイは何ばかなことを言っているんだよ?」みたいな顔をしていました。
その後のチャンドラーのセリフなんですよね。
で、ジョーイは怪訝な顔をして、ドアを振り返っているのですが、それは今来た場所、リチャードにキスしようとして蹴られたことを思い出している、という様子で、「さっき、もっと転んでおけば良かった、って言うのかよ?」みたいな感じでした。

でも、「現在形」であるところに何かひっかかりを感じるのですが。
現在形というのは「現在の習慣を表す」んでしたよね?
モニカに蹴られた時の話なら、"How (または Why) didn't you fall down more over there?" 「何であそこでもっと転んでこなかったんだ?」の方がいいかな?とか。

もしくは、fall down は、もっと別の意味なのかなぁ?
fall down には「(計画・主張などが)くずれる、失敗に終わる」という意味もありますね。
失敗する、という意味だと「どうしてお前はもっと失敗しないんだ。」ということで、「どうしてそんなトンチンカンな意見を、そうも自信ありげに語ってるんだ?」みたいなニュアンスなのかなぁ…とも思うのですが、正直、よくわかりません。

birth control は「出産をコントロールする」ということですから、「産児制限、妊娠調節、避妊」ということですね。
その方法を聞くと、相手が男か女かわかるのでしょうか?
避妊にはいろんな方法がありますが、男性か女性どちらの側が使うものか、で判断する、ということでしょうか?
pill (経口避妊薬、ピル)を使っている、というのならまぁ女性かな、という想像はつくのですが…。
妙な話ですが、日本では圧倒的にコンドームが多いですよね。
アメリカではいろいろな方法が使われるようです。
フレンズでよく出てくるのはやはりコンドームで、コンドームがらみの話が多いのですが、フレンズ2-17その10 では、diaphragm 「ペッサリー(pessary)」という単語が出てきました。
アリー my Love では「避妊ゼリー」というのも出てきましたし。

質問の答えを見て驚くチャンドラー。
相手は、自分の夫は秘書に夢中だから、私とはエッチはしていない、だから避妊をする必要もない、という意味でその返事をしたのでしょうね。
その後のフィービーのセリフは、この緊急事態にそう来るか?!という感じで笑えます。
ただ、もっと大ボケの時のフィービーなら、「相手が女性だとわかって良かったわねぇ! 私の作戦うまくいったじゃん!」と無邪気に喜ぶという可能性もありますが、さすがにそこまではボケていなかったようで、しゃべっているテンションは低いです。
きまずい状況になったから、ちょっとギャグで逃げてみた…という程度ですね。

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posted by Rach at 07:47| Comment(8) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月19日

フレンズ2-24その13

フィービー: So how's your date with your cyber-chick going. Ooh, hey, what is all that? (それでサイバー・ガールとのデートはどうなったの? [パソコンの画面を見て]あ、ねぇ、それは何?)
チャンドラー: Oh, it's a web site. It's the, uh, the Guggenheim Museum. See, she likes art, and I like funny words. (あぁ、それはウェブサイトだよ。グッゲンハイム美術館のサイトなんだ。ほら、彼女は芸術(アート)が好きでさ、それで、俺は面白い言葉(ワーズ)が好きなんだ。)
フィービー: What does she mean by "H.H."? ("H.H." ってどういう意味なの?)
チャンドラー: It means we're holding hands. (それは、俺たちは手を握り合ってる、って意味なんだ。)
フィービー: Are you the cutest? (あなたって、超かわいいのね。)
チャンドラー: I'm afraid I might just be. (残念ながらそうらしいね。)
フィービー: You know, I think it's so great that you're totally into this person and yet for all you know, she could be like 90 years old, or have two heads, or... It could be a guy. (あなたがすっかりこの人にぞっこんなのは素敵なことだと思うわ。でも、ことによると、彼女は90歳かもしれないし、頭が二つあるかもしれないし、または…男かもしれないわよ。)

cyber はもうすっかり日本語になっていますが、「サイバーの、コンピュータ・ネットワークの」という意味ですね。
もともとは、cybernetic 「人工頭脳学の」、cybernetics 「サイバネティックス、人工頭脳学」から来た言葉のようです。
SFに出てくるサイボーグ(cyborg)は、cybernetic+organism 「人工頭脳有機体」を省略したものなんですね。
その cyber について、改めて英英辞典の語義を見てみることにします。
Merriam-Webster Online Dictionary によると、
combining form (連結形)の -cyber の語源は cybernetic
であり、その意味は、
-cyber: computer, computer network 例: cyberspace
と書いてあります。
また連結形ではなく、形容詞の cyber の語義には、
cyber: of, relating to, or involving computers or computer networks (as the Internet) 例: the cyber marketplace
つまり、「コンピュータやコンピュータ・ネットワーク(インターネットなど)と関係した[に関わる]」ということです。
chick は「若い女性、魅力的な女性」。
フレンズ1-15その3 にも出てきましたし、それ以外にもフレンズではよく「女の子」というニュアンスで登場します。

グッゲンハイム美術館についてはこちら↓
Guggeheim Museum
このサイトを見ると、グッゲンハイム美術館という名前の付くものは、ニューヨーク、ビルバオ、ヴェネツィア、ベルリン、ラスベガス、と世界各地にあるようです。
ニューヨークのものは、マンハッタンの Fifth Avenue にあるんですね。
Solomon R. Guggenheim という人のコレクションだったので、この名前がついているようです。
Wikipedia 英語版: Solomon R. Guggenheim Museum には、その NY のグッゲンハイム美術館のことが書いてあります。
世界各地のグッゲンハイム美術館については、
Wikipedia 英語版: Guggenheim Museum に書いてあります。
それを読むと、The Guggenheim UAE というのが United Arab Emirates (アラブ首長国連邦)に現在建設中で、2011年完成予定、ということのようです。
てっとり早くその美術館について知りたい方は日本語版をどうぞ。
Wikipedia 日本語版: グッゲンハイム美術館 を読むと、世界にその美術館があることの説明などが書いてあります。

最初にご紹介した、Guggeheim Museum で New York を選び、Collection Online で、The Collection の SEARCH ボックスにアーティストの名前を入れると、そのアーティストの作品を見ることができるようです。
私はピカソ(Picasso)で試してみましたが、いろいろな作品を見ることができますし、enlarge (拡大)して見ることもできます。
確かにアート好きの彼女なら、とても楽しめるサイトのようですね。
このフレンズ放映当時からこういうサイトがあったのかどうかは知りませんが、でもこの話の流れで言うと、その頃でもパソコンで作品がそれなりに見れたのではないかと思われます。

彼女が art が好き、それに対してチャンドラーは、自分は funny words が好き、と言っていますね。
アートとワーズは母音部分の「アー」の発音は異なりますが、同じような位置に r が入る単語ですよね。
韻を踏んでいるというほどのこともないのかもしれませんが、似た言葉を持ってきた、ということかな、と。
チャンドラーがアート関係のサイトを見ていて、チャンドラーもそれが好きで見ているのかと思いきや、彼は art じゃなくて、funny words 「面白い言葉、すなわちジョークやギャグ」が好きだ、と説明しているのが、このセリフのおかしさなのでしょう。
一晩中パソコン上で話をしているくらいですから、趣味が似ているのかと思いきや、実は趣味が全然違う、という面白さでしょうかね?
確かにチャンドラーはアートに興味のありそうなタイプではないのですが、でも彼女が好きだというからどんなのかちょっと試しにそのサイトを覗いてみた、ということでしょう。
興味がないのに覗いてみた、というところに、チャンドラーが彼女にすっかり惚れ込んでいる様子が伺えますね。
わからないなりにも何か掴んでみようとしている、というか、俺にはよくわかんねーけど、あの子はこーゆーのが好きなんだなぁ…と彼女に思いを馳せてみる…というか。
そういう気持ち、わかります。

What does she mean by "H.H."? は What does "H.H." mean? とほぼ同じですね。
ここでは「彼女が使っているその言葉の意味は何? 彼女はその言葉をどういう意味で使っているの?」という感じでしょうか。
hold hands は「手をつなぐ、手を握り合う」。
この二人のやり取りがどういう感じで繰り広げられているかわからないのですが(私はチャットとかもしたことないので)、例えば "You're so SWEET! (H.H.)" 「あなたって優しいのね。(むぎゅっ!)」みたいな感じなのかなぁ…と。
holding hands というのが可愛いですよねぇ。
まぁ、まだ相手のことをよく知らないというのもあるのでしょうが、言葉上だけのものだから、だんだんエスカレートして、もっと過激な行動を書いてしまう危険もあるのですが(笑)、手をつなぐところで止まっている、もしくは手をつなぐだけでお互い恥ずかしくて照れてしまう…というところが、フィービーも cutest だと思ったのでしょうね。
軽率なことを言って相手を傷つけたくない、相手のことをお互い大切にしたい、と思っている証なのかもしれません。
yet for all you know の yet は接続詞で、「けれども、それにもかかわらず、しかしそれでも」という意味。
for all you know は、「ことによると、(よくは知らないが)多分、おそらく」という意味。
直訳すると、「あなたが知っている全てのことを考えると」というようなニュアンスになるのでしょうか?
you の部分は他の人称代名詞に変えて使うこともできます。
すっかり相手に夢中のチャンドラーにフィービーの手厳しい一言ですが、フィービーの言うことにも一理あります。
のぼせてしまっているようなので、少しは冷静にならないとね、ということもあるのでしょうね。

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posted by Rach at 11:46| Comment(6) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月18日

フレンズ2-24その12

ジョーイの部屋にレイチェルがブライズメイド(メイド・オブ・オナー)のドレスで入ってきます。
ドレスと同じ色のでっかい帽子を着ています。
レイチェル: Hey! (はーい!)
チャンドラー: I'm sorry we, we don't have your sheep. (ごめんよ、ここには君の羊はいないよ。)

何故、sheep なのか?
実はネットスクリプトのト書きにヒントがありました。
ト書きはこうなっています。
[Rachel, in her bridesmaid dress, complete with hat, which makes her look like Little Bo Peep, and Ross enter]
つまり、「レイチェルはブライズメイドのドレスで、帽子までちゃんとかぶって正装している。その装いはレイチェルを Little Bo Peep のように見せている。そしてロスが入ってくる。」

Little Bo Peep とはこの人↓
Wikipedia 英語版: Little Bo Peep
でっかい帽子にフリフリの服を着たリトル・ボーピープの絵も載っています。
上のウィキペディアの説明を訳すと、「Little Bo Peep は、nursery rhyme (童謡・わらべ歌)にその名が付いているキャラクターである。Bo Peep は羊飼いの女の子で、羊を見失って[羊が逃げて?]しまい、それを取り戻すためのアドバイスを受ける。」

その rhyme も載っていて、最初の部分は、

Little Bo Peep has lost her sheep
And can't tell where to find them.

リトル・ボーピープは羊を見失った[リトル・ボーピープの羊が迷子になった]
そしてどこで見つけることができるのかもわからない[どこにいるのかもわからない]

アマゾンで以下の本を見つけました。
Amazon.co.jp: Picture Me As Little Bo Peep and Other Nursery Rhymes (Picture Me) (ボードブック)
上の picture は「想像する、心(頭)に描く」という意味ですから、このボードブック(boardbook =ページが丈夫な厚紙[ボール紙]でできている本)のタイトルは、「私がリトル・ボーピープになった姿を想像してみて」ということですね。
Book Description にも「子供の写真を本に挿入すれば、古典的な童謡が蘇る。」と書いてあり、リトル・ボーピープの顔の部分がくりぬかれていて、そこに顔写真を挟むと、あなたもリトル・ボーピープになれるわ!という本なのですね。
よく観光地にありますよねぇ…顔がくりぬかれた人型の立て看板で、そこから顔を出すと忍者になれたり、武士になれたりする…という。
あれと同じ原理ですね。着替えるよりは遥かにラクですし(笑)。
この本のボーピープもかなりでっかい帽子を被っています。

Amazon.co.jp: Little Bo-Peep (A Peep-Through Nursery Rhyme) (ボードブック) は絵本のようですが、その表紙の女の子の絵が可愛いです。
帽子はそんなにでっかくないけど、服の色がレイチェルのドレスと同じような色ですね。

ウィキペディアに書いてあるのですが、映画「トイ・ストーリー」にボー・ピープというキャラクターが出てくるんですね。
こちらはもっと妙齢の女性(笑)の姿をしているのですが、服装はピンクで、帽子も被っています。
Disney.co.jp: トイ・ストーリー
このトップページから「キャラクター図鑑」→「ボー・ピープ」と進むと、ボー・ピープちゃんの姿が見られます。

最初に引用したウィキペディアでの説明、「リトル・ボーピープは、童謡[わらべ歌]にその名が付いているキャラクターである。」という文章の原文は、Little Bo Peep is an eponymous character from a nursery rhyme. と表現されているのですが、ついでにこの eponymous という形容詞にも注目しておきましょう。
eponymous は「名祖(なおや)の、名祖となった」。
名詞形の eponym は「名祖、土地や建物などの名の起こりとなった人名、言葉のルーツとなった人名」のこと。
英辞郎には、eponym の例として、
上着のカーディガン(cardigan)はカーティガン伯爵という人の名前からついた
と書いてありますし、
研究社 新英和中辞典には、
Romulus(ロムルス、古代ローマの伝説上の人物)が、Rome(ローマ)の名前の由来である
と書いてあり、eponymous の例文として、
Romulus was the eponymous founder of Rome. 「ロムルスは名祖となったローマの建設者であった。」
とあります。
ロングマン現代英英辞典によると、
eponymous: the eponymous character in a book, film, or play is the character whose name is in its title
例) Hester, the book's eponymous heroine

つまり、「本、映画、演劇の "eponymous キャラクター" というのは、その名前がその作品のタイトルに入っているキャラクターのことである。」
例文は「ヘスター、その本のタイトルに名前があるヒロイン」

ちょっと、脱線しますが、R.E.M. というアメリカのバンドがいますよね。
今年(2007年)「ロックの殿堂(the Rock and Roll Hall of Fame)」入りを果たす5組の中に選ばれたと、最近、ニュースになっていましたが、彼らの最初のベストアルバムのタイトルが、Eponymous です。
私の iPod には、R.E.M. の曲も入っていて、そのベストアルバムにも収録されている、It's the End of the World As We Know It (And I Feel Fine) と The One I Love をよく台所で聞いてます。
…あ、別にこの話がしたくて、eponymous という単語を説明したわけじゃないんですが。

…てことで長くなったのですが、レイチェルのその格好(特にでっかい帽子)を見ると、誰もが羊を探しているリトル・ボーピープを思い出すので、「僕らのところには君の羊はいないよ。」と返事している、というわけですね。


チャンドラーはそうやってからかうのですが、ジョーイはレイチェルを褒めます。
ジョーイ: Aww, Rach, I think you look cute. (あぁ、レイチェル。俺はキュートだと思うよ。)
と言ってレイチェルのほっぺにキスをして、ロスを見ながら
ジョーイ: And you, uh, you, you. I could eat you with a spoon. (それから、ロス。スプーンで君を食べちゃいたいくらいだ。)
と言ってロスにキスしようとします。
ロス: Get away from me. I said no.(僕から離れろ。(キスは)いやだ、って言ったろ?)
モニカ: Richard buzzed. He's waiting downstairs. (リチャードがブザーを鳴らしたわ。彼は下で待ってるわよ。)
ジョーイ: Oh, Richard's here? I should run down say bye to him. (あぁ、リチャードが来たの? 降りていって彼に挨拶しなくちゃな。)

普段なら、絶対にチャンドラーと一緒にそのレイチェルの格好をからかうジョーイですが、今はキスのターゲット探しに夢中なので、レイチェルを褒めておいて、その後、ロスに迫ろうとします。
リチャードが来ていると言うと、慌てて彼に会いに行くジョーイ。
次のターゲットはリチャードかぁ…もう誰でもいいんですね(笑)。
リチャードには大人の男性の魅力、というのはありますが、でもジョーイとキスしているところは想像したくないですよねぇ。

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posted by Rach at 15:32| Comment(2) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月17日

フレンズ2-24その11

リチャード: You really need the bassinet? (モニカは本当にバシネット[赤ちゃん用かご型ベッド]が必要なの?)
モニカ: Well, I just think the baby would keep falling off the dog. Do you, uh, do you , do you not see kids in our future? (赤ちゃんが(もし犬に乗ってたら)犬から何度も落ちちゃうと思うもの。私たちの未来に子供はいないの?)
リチャード: Oh, hey. I love children. I have children. I just don't wanna be 70 when our kids go off to college... and our life can finally start. (あぁ。ねぇ、僕は子供が大好きだ。自分の子供もいるしね。ただ、僕らの子供が大学へ行くようになって、僕ら二人の生活がとうとう始まる、って時に僕が70歳だ、というのはいやなだけなんだ。)
モニカ: Uh-huh. (あぁ。)
リチャード: Look I want you... now. (ねぇ、僕は、今、君と一緒にいたいんだよ。)
モニカ: Well, that's great. You know we don't need to talk about this now. Really, I mean this is, is so way, way, way in the future. I'm talkin' hovercrafts and apes taking over the planet. (それは素敵ね。そうね、今はこのことに関して話す必要はないわね。本当に、これって、ものすごく、ずっとずっとずっと先の未来の話だもの。(その頃には)私はホバークラフトを話題にしていて、猿がこの惑星を支配しているわね。)

You really need the bassinet? という質問に対して、モニカは精一杯ジョークで返そうとしています。
I just think the baby would keep falling off the dog. の dog はリチャードが勘違いした basset hound 「バセット犬」のことですね。
keep doing は「ずっと・・・し続ける」。
fall off は「…から落ちる」。
off は「…から離れて」なので、何かに接触(on)していたのがそこから離れて落ちる、という感じです。
この場合は、fall off a horse 「馬から落ちる・転落する、落馬する」のイメージですね。
ですから、keep falling off the dog は「犬から落ちるという行為が何度も起こる、何度も落馬…ではなく落犬(?)する」という感じです。
バシネットに寝かせるような新生児ならまだ首もすわってないわけで、犬にちゃんとまたがって乗ることもできないし、犬の背中に寝かせても落ちちゃうし…ということでしょう。
フレンズ2-14その19 にも、keep falling down という表現が出てきました。

ここでちょっと注目したいのは冠詞の変化でしょうか。
昨日取り上げたセリフでは、フランスにいると仮定して、a (little) bassinet, a (basset) hound をそれぞれ想像しているのですが、その後のリチャードのセリフは、"You really need the bassinet?" 「”その”バシネットが君には本当に必要なの?」となっています。
これは既出の[すでに言及された]名詞なので the がついているというのもあるのでしょうが、「その君がこだわっている」 bassinet、フランスでの君の生活には欠かせない「その」 bassinet という感じもあるのかなぁ、と思います。
そしてその次のモニカのセリフ、I just think the baby would keep falling off the dog. の the baby と the dog はまさに「特定している」 the で、the bassinet 「そのバシネット」に寝ることになっているはずの the baby 「その赤ちゃん」が、バシネットというベッドではなくて、the dog 「そのリチャードが想像している bassinet hound」に乗っていた[寝かされていた]としたら、keep falling off 「落ち続ける、何度も何度も落ちる」ことになっちゃうわ、と言っているのですね。
仮定・想像の世界で、a 「ある一つの」と言っていたのが、具体的なイメージとなって、the baby (私たちの赤ちゃん)に言及するところまで来た、という感じでしょうか。

I want you... now. というと、何だかエッチなセリフのようなんですが…(笑)。
フレンズ2-13その9 では、"I want you right here, right now." (あなたが欲しいの。今すぐ、ここで。)というセリフがありましたね。
ここでのリチャードの I want you... now. は、赤ちゃんがいるとその子が成人するまでは二人きりのこんな生活は楽しめない、僕は今のモニカと今を生きて楽しみたいんだ、僕は今、ここにいるモニカが欲しいんだよ、自分がおじいちゃんになってから、おばさんになった(←失礼!)モニカと人生を楽しむよりは…ということですね。

I'm talkin' hovercrafts の talk ですが、一瞬、talk about という風に、"about" は必要ないのかな?と思ってしまいました。
もしくは、taking の間違いかも?とも思いました。
でも、ネットスクリプトもDVDの英語字幕も、talkin' (または talking) hovercrafts となっていますし、モニカも実際に talking と発音しており、間違いではありませんでした。
talk は大体、What are you talking about? みたいに自動詞として使われることが多いので、私は違和感を感じたのですが(私だけ?)、talk が他動詞として使われることもあるようです。
研究社 新英和中辞典には、
talk =(他動詞)(…のことを)語る
例) We talked politics for a long time. 我々は長時間政治を論じ合った。

とあります。
また、Merriam-Webster Online Dictionary には、
transitive verb (他動詞)として、
talk: to make the subject of conversation or discourse

という語義が載っています。
「会話や論議の題目[主題]とする」、ということですから、要は、「話題にする」という意味になるわけですね。
その未来の世界では、世間話の話題にホバークラフトが出てくる、という感じなんでしょう。
(2007.1.19 追記)
I'm talkin' の解釈について、下のコメント欄に追加説明と訂正があります。
興味のある方は合わせてご覧下さい。
(追記はここまで)

hovercraft は「ホバークラフト(水面や地面に空気を吹き出して、その空気の圧力で機体を浮かせて走る乗り物)」。
詳しくはこちら↓。
Wikipedia 英語版: Hovercraft
どうしてホバークラフトなのか?なんですが、「未来の乗り物」のイメージなんでしょうね。
上のウィキペディアの写真を見ると、どれも大掛かりなものばかりで、とても一般人が持つような代物には見えませんが(笑)、それが普通の道路を走っていて、マイカーみたいにどこの家庭にも一台ある、という時代、「ちょっとホバークラフトで買い物に行って来るわね。」みたいに、ホバークラフトのことを簡単に話題にできる未来、という意味で使っているのでしょう。

take over は「支配する、占領する」。
ape は「類人猿、直立して歩く尾のないサル」。
チンパンジーやゴリラなどを指します。
これに対して monkey はそれより小型で尾のあるものを指します。
apes と planet という言葉でわかりますが、これは1968年のチャールトン・ヘストン主演の映画「猿の惑星」(原題: Planet of the Apes)からの連想ですね。
2001年にティム・バートン監督が、この映画のリメイク…ではなくてリ・イマジネーションしたものとして、映画「PLANET OF THE APES/猿の惑星」(原題はやはり Planet of the Apes)を作りましたよね。
この邦題でもわかるように、日本では有名な前作と区別するため、もしくは新作であることを強調するために、わざわざ英語タイトルの PLANET OF THE APES (プラネット・オブ・ジ・エイプス)を邦題に付けています。
それまでは「猿といえば monkey」という連想をする日本人が多かったと思うのですが、このタイトルで「こういう場合のおサルさんは ape というのかぁ…」と改めて知ったという方も多かったのではないでしょうか。
実際に映画に登場しているのは大型の類人猿(チンパンジーとかゴリラとか)でしたしね。
今すぐ一緒に将来のことを考えたいのに、リチャードは先のことは考えたくないらしい。
だからモニカは、そんな風にものすごい未来の話だと冗談で言ってみせて、気にしていないふりを装おうとしています。
つらいね、モニカ。

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2007年01月16日

フレンズ2-24その10

モニカはリチャードに、将来のことをどう考えているかの質問を切り出します。
リチャード: Well, uh, sometimes I think about selling my practice. We could move to France. Make French toast. (そうだな、時々、医者の仕事の権利を誰かに売ろうかって考えるんだ。(そしたら)フランスへ引っ越せるよ。(フランスでは)フレンチトーストを作ってくれ。)
モニカ: Okay, so, uh, we're in France, and we're making the toast. Do you see a little bassinet in the corner? (わかったわ。じゃあ、私たちはフランスにいて、フレンチトーストを作るのね。部屋の隅には、ちっちゃなバシネットが見えるかしら?)
リチャード: Like a hound? (ハウンド[猟犬]みたいなやつのこと?)
モニカ: Not a basset. A bassinet. (バセットじゃなくて、バシネットよ。)

practice は「(医者・弁護士などの)開業」。
be in practice は「(人が)開業している」という意味です。
リチャードは眼科医で、個人で眼科医院を開業しています。
フレンズ2-15その9 では、先生のところで予約を取った話、フレンズ2-15その13 では、実際に先生の診療所で診察を受けるシーンが出てきました。
sell my practice ですから、その医院や機材などをまとめて誰かに売る、医院を経営する権利を誰かに譲る、ということでしょうね。
もうお孫さんのいる年齢(モニカのパパくらいの年齢)なので、リタイアも視野に入れているということでしょう。

フレンチトーストは「牛乳と卵を混ぜて、その中にパンを浸してフライパンで焼いたトースト」のことですが、フランスの食べ物、というとやはり誰でもその辺りが思い浮かぶんでしょうね。
一緒にフランスパン(French bread)を食べよう、でもいいですが、モニカは料理が得意なので、やはり何がしかの手間をかけて料理するものを出してきた、妥当な選択(?)だと思います。

Do you see a little bassinet in the corner? は、フランスに移住したと想像して、住んでいる部屋を思い浮かべると、その部屋の隅にある小さなバシネットがあなたには見える?、と尋ねているのですね。
あなたの想像している風景には、バシネットも入ってる?、部屋の隅にバシネットは置いてある?、という感じです。
bassinet は、「ほろ付き揺りかご、新生児用かご型ベッド」。
フランス語から来た言葉で、発音は「バサネット」と後ろのネットにアクセントがあります。
英語での説明は、Wikipedia 英語版: Bassinet で、
また、aBABY.com A-BABY SPECIALTY SHOP: Bassinet Bedding には、フリフリがたくさんついて、ファンシーで可愛らしい bassinet がたくさん載っています。

ちょっと脱線しますが、子供が生まれる前は、「あぁ、こんなお姫様みたいな可愛いベッドに寝かせてあげたいなぁ…」と思うんだけど、実際に子供を育て始めると、「こんなにフリフリで飾り立てたら、汚れた時に洗うのが大変やろ!」と、現実的なことを考えてしまうのが母の常…。
ベビー用品は洗濯機でガンガン洗っても傷まないような丈夫なものじゃないとねぇ(笑)。
我が家は、こんな可愛らしいバシネットではなくて、もっと機能的な「Aprica のハイローベッド&チェア」を使っておりました。
リクライニングが出来てベッドにも椅子にもなる、食事用のテーブルも付けられて、高さも調節できて、赤ちゃんが眠たい時にはゆらゆらとスウィングさせることもできる…というものです。

なお、日本でも「バシネット」という名前が浸透してきているようですね。
特に飛行機の国際線のサービスに関するサイトでこの名前をよく見かけます。
JAL 公式サイト: 国際線 赤ちゃん、お子様向けサービス には、機内提供品として、ベビーバシネット(赤ちゃん用ベッド)の説明とその写真が載っています。

basset は basset hound 「バセットハウンド、バセット犬(胴長短脚の猟犬)」のこと。
basset は、これまたフランス語で、short-legged (hound)という意味です。
こんなワンちゃんです↓
Wikipedia 英語版: Basset Hound

二つの単語を調べた後、だから「フランスへ行く」という話が出てきたんだ!と気付きました。(気付くの遅いって!)
bassinet も basset もちゃんと英語の辞書に載っていますから、もうすっかり英語として定着しているのでしょうが、どちらも語源はフランス語なので、フランスに住んでいるという設定ならその単語を使うのが自然だから、ということなのでしょう。
よく似た単語を出してリチャードが勘違いするという流れに持っていくために、bassinet と basset のダジャレを考えた脚本家のセンスは素晴らしいですね。
赤ちゃんがいることなど想像もしていないリチャードにとっては、部屋にある(いる)もの、というとペットを思いつくのはとても自然ですから。
ちなみにこういうダジャレは日本語に訳しにくいですが、DVDの日本語訳は、ベッドをペットと聞き間違える、ということになっていました。
実際にリチャードも、バシネット(ベッド)を犬(ペット)と聞き間違えたわけですから、非常に上手く日本語に置き換わっていますよね。

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posted by Rach at 11:06| Comment(0) | フレンズ シーズン2 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月15日

フレンズ2-24その9

リチャードとさよならした後も、もじもじ、くねくねしているモニカに向かって、
フィービー: I think my boyfriend's ever so dreamy. I wonder what our wedding's gonna be like. ([モニカになったつもりで]私の彼って超素敵だと思うわ。私たちの結婚式はどんな感じになるのかしら。)
モニカ: What are you talking about? What wedding? (何言ってるの? 何の結婚式よ[結婚式って何のことよ]?)
フィービー: Come on, like you never talk about that. (またまたぁ。結婚式について話し合ったことがないみたいに言うのね。)
モニカ: Nooo! Never! I mean, we're just living in the moment. God, it is so nice for once not to get all hung up on, "Where is this going?" (話し合ったことなんてないわよ! 一度も! だって私たちはただその瞬間を生きているだけだもの。あぁ、「これからどうなるの?」って一度くらい気にしないでいられたら、素晴らしいわ。)
レイチェル: Afraid to ask him? (彼に尋ねるのが怖いの?)
モニカ: Could not be more terrified. (それ以上怖いことなんてないわ。)
チャンドラー: Well, I think you should seriously consider the marriage thing. Give Rachel another chance to dress up like Princess Bubble Yum. (じゃあ、結婚について真剣に考えるべきだよ。レイチェルに、プリンセス・バブル・ヤムみたいなドレスをもう一度着るチャンスをあげろよ。)

ever so は「非常に、実に、大変、超…」。
very を強調した感じです。
get hung up on は「…にくよくよする、…に(心理的に)こだわる、…に夢中になる」。
hang up は「(ものを)かける、吊るす」ですから、何かに on して(接触して)引っかかって、それから離れられないというニュアンスだと思います。
よく似た表現で、be hooked on 「…に夢中になって」という表現もあります。
この hook も「(引っかけるため先の曲がった)鉤(かぎ)、留め金、ホック、フック」という意味で、同じように「何かに引っかかってしまう」ことから来ているのですね。

"Where is this going?" は進行形が使われているので、「この今の状況はこれからどこに行こう[向かおう]としているの?」、つまり「これから[この先]どうなるの?」ということになります。
for once 「一度だけ(は)」がよくわからないのですが、for once not to get all hung up on ... 「…を”一度だけ(でも)”気にしないでいられること」は nice だ、という意味のようです。
裏を返せば、モニカは心の中でいつも「これから私たちどうなるのかしら?」と気にしまくっている、それを気にしない日はないのだ、ということのように思えます。
几帳面なモニカのことですから、男性とお付き合いしている場合は、その男性との将来について考えていないはずはないですよね。

Could not be more terrified は「それ以上怯えることはあり得ない」、すなわち「一番恐ろしい、ものすごく怖い」という意味になります。
このように、「not +比較級」を使う表現は英語には多いですよね。
フレンズ2-16その17 では、"have never seen Richard happier" 「リチャードがこんなに幸せそうにしてるところは見たことがない。」という表現が出てきました。

Bubble Yum (バブル・ヤム)というのはこちら。↓
BUBBLE YUM bubble gum -HERSHEY'S
bubble gum というのは「風船ガム」のことで、その gum を yum 「おいしい」ともじったネーミングです。
まぁ、バブル・ヤムと聞くと、フーセンガムだろうなぁ…というのは察しがつきますよね。
HERSHEY'S という会社の製品で、上のサイトはそのバブル・ヤムを紹介したページなのですが、いろんな Flavors が並んでいる中でトップに挙がっている Original が、レイチェルのドレスのようなピンク色をしていますね。
これが一番有名なフレーバーで、バブル・ヤムの色、と言うと、みんなこの色を思い出すので笑えるのでしょう。
Wikipedia 英語版: Bubble Yum
上のウィキペディアに、Bubble Yum logo として、このピンクのロゴが載っていますので、やはりこの色のイメージは強いということですね。

このドレスの色については、フレンズ2-24その5 で、「吐き気止めの薬」の色のようだ、というセリフもありましたね。
その記事のコメント欄で、その薬の名前を教えていただいたので(ありがとうございました!)、今回、色の話が出たついでに、再度、それを紹介しておきます。
薬の名前は、Pepto-Bismol といいます。
Pepto-Bismol 公式サイト
Pepto-Bismol についての詳しい話は、その フレンズ2-24その5 のコメント欄 に書いてありますので、興味のある方は合わせてご覧下さい。
つまり、このドレスの色を見ると、フレンズたちは、Pepto-Bismol という薬、または、Bubble Yum というガムを思い出さずにはいられない、ということです。

モニカが結婚したら、レイチェルはモニカの maid of honor (花嫁の付き添い役)として、再度、こんな色のドレスを着ることができるぞ、とチャンドラーは言っているのですね。
悩んでいるモニカに、結婚を真剣に考えたら?というチャンドラーの助言はもっともなのですが、そこにこんなオチをつけないではいられない、というのが実にチャンドラーらしいです。

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2007年01月14日

フレンズ1-19その8 ご質問2

ここ数日、過去記事、M-1グランプリ2006(今さらですが) のコメント欄 でいただいたご質問から、記事を書いてきましたが、今日が最終日です。

今日は、フレンズ1-19 のエピソードから。

(質問)make your toes curl にはエッチな意味があるのか?
ロスとレイチェルは部屋に二人きり。
そこで、right guy 「理想の人」がいないと嘆くレイチェル。
レイチェル: I mean with Barry, it was, it was safe, and it was easy, but there was no heat. (ほら、バリーといると安心感があって気持ちが楽なんだけど、情熱[燃えるような熱さ]がなかったのよ。)
ロス: Mmm. (うん。)
レイチェル: You know with Paolo, that all there was, was heat. I, I mean, it was just this raw, animal, sexual... (パウロとは、燃えるような情熱だけ。ほら、みだらで、まるでケダモノみたいでエッチな…)
ロス: Right, right! I, I got it. I was there. (はいはい、わかった。僕はそこにいた[二人の関係を知っていた]からね。)
レイチェル: Ah. I mean, do you think you can ever have both? You know, someone who's, like, who's like your best friend, but then also can make your toes curl. (あぁ、その両方を手に入れることってできると思う? 親友みたいだけど、それと同時に、toes を curl させるような「誰か」、よ。)
ロス: Yes, yes, yes. Yes! Yes! I do! I really do! Er, in fact, it's funny. Very often, someone who you wouldn't think could, could, curl your toes, might just be the one who, er, who... (あぁ、そうだね。その両方を持った人を手に入れることはできると思うよ。実際、おかしな話なんだけど。よくある話なんだよね、(誰かの)toes を curl させることなんてできないと(人に)思われているような人が…)
と二人がいいムードになったところに、フレンズたちが帰ってきます。
モニカ: Hi! (はーい!)
ロス: ...gets interrupted! Hi! (邪魔が入っちゃったね。はーい!)

上の make your toes curl というフレーズは、調べてみるとどうやらエッチな意味があるようだけど、実際のところはどうなんだろう?…というようなご質問でした。

ちなみに、レイチェルは
"do you think you can ever have both? You know, someone who's, like, who's like your best friend, but then also can make your toes curl."
と主語に you を使っています。
do you think に関しては、ロスがどう思うかを尋ねているので、「 you =ロス」という解釈で良いのでしょうが、それ以降の you は「一般の人」というニュアンスです。
「”ロスに”、そういう両方の性質を持ち合わせた恋人ができる可能性があるかどうか」を尋ねているのではなくて、「そんな両方の性質を兼ね備えた恋人を持つことは、一般的に可能なのかしら? 人は、そんな恋人を手に入れることができるのかしら?」という感じですね。
さらに、このセリフの場合は、そうやって一般的な話として語っていながら、実はレイチェル自身のことを言っているわけでしょうね。
「私がそんな恋人をゲットできる可能性があると思う? 私の親友であり、私の toes を curl させてくれるような人が。」という感じなんだと思います。

こういう you の使い方に関しては、過去記事 フレンズ2-20その23 などで何度か簡単に説明したことがあるのですが、つい最近、そのことを簡潔にそしてわかりやすく説明してある文章に出会いました。

週刊ST 2007年1月12日号の、堀内克明さんとV.E.ジョンソンさんによるコラム「英語Q&A」で、「自分のことを指す you」という記事がありました。
「(インタビュー記事などで)、本人が自分のことを話しているのに、主語が "you" になっているのをよく見ます。I ではいけないのでしょうか?」
という読者の質問に先生方が回答しておられるのですが、その回答を以下に引用させていただきます。

こういう you は、generic you (総称的な you) または indefinite you (不特定の you)と呼ばれます。
つまり、この you は特定の「あなた」ではなく、「あなた(方)を含む人(たち)」です。これは「人」(one)に近く、結局「われわれ」(we)と同じ意味になります。この we には当然 I が含まれますので、回りまわって you = I に相当します。
要するに、最初から I と言うと自己主張のように聞こえて、客観性がありませんので、相手を含めて you と言うと、一般性のある意見を伝えることができるというわけなのです。


you の話が長くなりましたが、本題に入ります(笑)。
まず、make someone's toes curl を普通に調べると、英辞郎には、以下の意味が載っています。
make someone's toes curl
(人)を不愉快にさせる
例) It made her toes curl when you talked about her divorce in front of everyone. あなたが皆の前で彼女の離婚のことを話したとき、彼女は不愉快に思った。


これは多分、怒って(もしくは、「恥ずかしい」とか「気まずい」という気持ちで)、ぐぐーっと足の指に力が入っていることから来た意味なんでしょうね。

ですが、上のセリフでの意味は明らかにエッチな意味です。
DVDの日本語字幕では、「親友のような信頼感とエッチのときの情熱」
日本語吹替では、「まるで親友のように信頼できて、しかもエッチの時には超〜、感じさせてくれるような…」
となっていました。
また、make your toes curl とレイチェルが言った時の表情と、それに Yes と答えるロスの顔を見ても、それがエッチで情熱的な表現であることはわかりますよね。
まさに直訳通りの意味で、「(人の)つま先を曲げさせる」ということです。
このフレーズでロスの気持ちに火がついてしまったようで(笑)、ロスはとうとうレイチェルに告白しようとするけれど、みんなが帰って来てしまって残念でした…というシーンでした。
手持ちの辞書にはそういうエッチな意味は載っていないのですが、てっとり早くズバリその意味が書いてあるのを紹介します。

Urban Dictionary というオンラインスラング辞典に、Toes Curling として、以下の意味が載っていました。
Toes Curling: The way peoples toes curl during sex, especially during orgasm.
「エッチの最中、特に orgasm の際に、人がつま先[足の指]を曲げる様子」


実は、意外なことに(?)、このフレーズとよく似たものが、スタートレックで出てきたことがあります。
新スタートレック(TNG)のシーズン3第8話「非情なる駆け引き」(原題:The Price)。
ドクターのビバリー・クラッシャーと、カウンセラーのディアナ・トロイが、レオタードを着て(笑)、柔軟体操をしながら、恋愛話をしているシーン。
ディアナは今日会ったばかりのデビノニ・ラルという男性に夢中なのです。
ビバリー: You're unusually limber this morning. (今朝はいつになく軽快な感じね。)
ディアナ: I'll say. Devinoni Ral. It's ridiculous and wonderful. I feel completely out of control. Happy, terrified, but there's nothing rational about this. (そうね。デビノニ・ラルよ。ばかみたいなんだけど素敵な気分なの。全く気持ちが抑えきれない[制御・コントロールできない]って感じ。幸せなのに、怖いの。合理的な部分がどこにもないわ。)
ビバリー: Who needs rational when your toes curl up? (つま先が curl up している時に、誰が合理的なものを求めるって言うの?)
ディアナ: I'm afraid I'm going to lose myself. I can't get enough of him. Is it possible to fall in love in one day? (自分を見失いそうなの。彼に飽きてしまうってことがないのね。1日で恋に落ちるなんてあり得ることかしら?)
ビバリー: I did. (私にもそんな経験があるわよ。)

make your toes curl ではなくて、your toes curl up 「あなたのつま先が丸まる[曲がる]」ですが、ニュアンスは同じことですよね。
上のやり取りでわかるように、ディアナは「自分を見失いそうなほど」ラルという男性に夢中だということがわかりますね。
DVDの日本語訳では、「合理的なことがない、理性がなくなっている」というディアナに対し、「恋とはそういうものよ。恋をしてる時なんて、そんなものだわ。」とビバリーが返事をしていました。
つまり、「恋にすっかり夢中になっている時には、理性をなくすものだわ。」みたいな意味で言っているわけですが、つまり、頭では冷静であろうとしていても、「体が反応してしまう、体は正直」みたいな、ちょっとカゲキなニュアンスも感じますね。
ビバリーの when your toes curl up というセリフはさらりと言われていて、それに対してディアナが過剰に反応していることもありませんでした。
スタートレックの世界(23世紀)では、恋愛に関してはかなりオープンですし、この二人は、恋愛経験の豊富な大人の女性なので、そんなことくらいではドギマギしないようです(笑)。
(2007.2.24 追記)
上に「スタートレックの世界(23世紀)」と書きましたが、上でセリフを引用した新スタートレックの舞台は「24世紀」でした。
トレッキーの私としてはささいな間違いでも気になるので、訂正させて下さい(笑)。
(追記はここまで)

この会話の前に、ディアナとデビノニ・ラルのベッドシーンがあって(それほど激しいものではないですが)、当然そういう関係になっていることを見越してのセリフなわけですね。
(ちなみに、このデビノニ・ラルの日本語吹替をしているのは牛山茂さんで、ロスの吹替と同じ声優さんです。全くどうでもいいトリビアですが…笑)

私は最初にフレンズ1-19 でこのフレーズを知って、DVDの日本語訳からも想像される通りの文字通りの意味で、「つま先が曲がるほど…」ということなんだろうなぁ、と思っていたのですが、特に辞書には載っていなかったので、一般的な表現なのか、それともレイチェル独特の表現なのかがその当時はわからなかったのです。
その後、スタートレックで同じようなフレーズを発見して、ある程度、一般的な表現なのだとわかって、何だか嬉しかった記憶があります。

さらに、このフレーズに出会ってからかなり経った後、今から数ヶ月前の話なんですが、make your toes curl を思い出させる文章に出会いました。
日経新聞朝刊の明治大学教授 張 競 さんによるコラム「男を惑わす美女十選」で、有名な美女たちがその絵と共に取り上げられていました。
ジャン・クーザンの描いた「エヴァ・プリマ・パンドラ」の絵について、こんな説明が書いてありました。
「足の親指がわずかに立っているのも、性的な身体反応を連想させよう。」
それを読んで、フレンズやスタートレックに出てきた上のフレーズを思い出した私は、「やっぱり足の指とそういう感覚とを結びつけるという考え方はあるんだわ!」とわかって、さらに納得できたんですね。

一般的に日本語で「つま先が曲がる」と聞いて、そっち系(笑)を連想する人が何人くらいいるのかよくわからないのですが、日本の官能小説とかで出てきたりするのでしょうかねぇ?(私は官能小説には詳しくないので知らない…笑)
でも上の2つの例からわかるように、英語ではほぼ間違いなく、そういうエッチ系の想像が働くということみたいですね。
まぁ、女性としては、そういう状況で toes が curl するというのはわかりますので(もしかして爆弾発言? まぁ、さらりと流して下さい…笑)、私はそのフレーズを初めて見た時にすぐにピンと来たんですが…。
私が今回の記事の前半で、「you =ロス、ではない」ことをくどくどと説明していたのは、男性の側がそういう身体反応をすることはないように思ったからなんですが、その辺はどうなんでしょう?(ちょっと思っただけで、「僕の場合は…」などと誰かに答えて欲しいわけではないので、お気になさらず…笑)

とにかく、ここでのレイチェルは、「私のつま先を曲げさせるほど気持ち良くしてくれる男性」という意味で言っているのは間違いないと思いますね。
で、そんなフレーズを出されてドギマギしているロスの気持ちがよくわかるし、なかなか過激な表現だと思ったので、今回しつこく解説してみました。
この時のレイチェルは、ロスが自分に惚れているというのを知らないで言っているわけですが、もし自分に気があるとわかっていながら、そういうフレーズを使ったりすると、それはちょっと罪作りなのではないかな?と思うのですが…。
そんなこと好きな女性に言われたら、夜眠れなくなりません?(笑)。

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posted by Rach at 08:11| Comment(10) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月13日

フレンズ1-24その8 ご質問2

引き続き、M-1グランプリ2006(今さらですが) のコメント欄 でいただいたご質問から、記事を書いてみました。

今日は、フレンズ1-24 のエピソードから。

(質問)hand over fist はダブルミーニング?
バイトでお金が入るというジョーイに、どんなバイトなのかを知りたがるフレンズたち。
ジョーイ: It's a fertility study. (受精率の研究だよ。)
モニカ: Oh, Joey, please tell me you're only donating your time. (ジョーイ、お願いだから、時間をささげてる[提供してる]だけだ、って言ってよね。)→これは暗に、「時間以外の”何か”を提供してる、ってことはないわよね?」と言っている。
ジョーイ: Alright, come on you guys. It's not that big a deal. Really... I mean, I just go down there every other day and... make my contribution to the project. Hey, hey, but at the end of two weeks, I get $700! (いいかみんな。そんなに大したことじゃないよ。ただ、一日おきにそこへ行って、プロジェクトに対して貢献するだけだよ。2週間後には、700ドル手に入るんだぞ!)
ロス: Hey. (へぇ。)
フィービー: Wow, ooh, you're gonna be making money hand over fist. (わぁ。hand over fist でお金が儲かるのね。)
観客は大爆笑。

ご質問は、この hand over fist というフレーズを調べてみると、(質問者の方の)辞書には、二つの意味が載っていて、そのダブルミーニングのために観客が大受けしているのか?というものでした。
確かに、お察しの通り、ここでの hand over fist は、「どんどん」という意味と、「(ロープを登る時の)たぐるような手の動き」のダブルミーニングですね。
私が過去記事で説明を飛ばしているのは、確かに「露骨だから」…でしょう(笑)。(昔はそうやって恥ずかしいのを飛ばしていることが多々あります。)
こういう内容は、コメント欄で誰かに対する「返事」として書く方が抵抗ありますので、開き直って記事にしました。
不思議なことに、記事として解説を書く方が、私としては恥ずかしくないんですよ。
読んでいる方はびっくりかもしれませんけどねぇ…(笑)。

1-24 を解説していた頃は、多分、そういう意味だろうなぁ、と思いながらあえて解説は避けたのですが、今回詳しく調べて、いろんなことがわかりました。

まず、私の手持ちの辞書やオンライン辞書では、hand over fist にそういう「手の動き」の意味が書いてありません。
英和(研究社 新英和中辞典や英辞郎)では、
hand over fist =どしどし、どんどん
という意味で、
make money hand over fist =どんどん金をもうける
というイディオムが例文に上がっています。

Merriam-Webster Online Dictionary では、
hand over fist: quickly and in large amounts
例) making money hand over fist

「すばやく、そして大量に」、例文は、「すばやく大量に金をもうける」。
ロングマン現代英英辞典では、
hand over fist: (informal) if you gain or lose something hand over fist, you gain or lose it very quickly
例) Five years ago, the company was losing money hand over fist.

「もし何かを hand over fist で得る、または失う、という場合は、それをとても早く得る、または失うこと、を意味する。」
例文は、「5年前、その会社は瞬時に金を失っていた。」

上に挙げた例文たちを見ていると、このイディオムは make money hand over fist (またはその逆の lose money hand over fist )として使われることがほとんどなのかもしれませんね。
make money hand over fist としてまとめて覚えておくと良いのでしょう。
フィービーのセリフも、そのイディオムを使っているので、普通の状況なら、ごくありきたりの表現なわけですが、ここでは別の意味も暗示している、ということで観客が笑っているわけですね。

英和辞典では、hand over fist の下に、それとよく似た、hand over hand というイディオムが載っていました。

研究社 新英和中辞典では、
hand over hand =(登る時に)たぐって
climb a rope hand over hand たぐりながらロープを登る


英辞郎では、
hand over hand =(ロープなどを)両手でたぐって

また、同じく英辞郎の hand over fist の項目をここで改めて見直してみますと、
hand over fist =大量に、どんどん (同)hand over hand
例) The man boasted that they were making money hand over fist on the stock market. その男は、株式市場でお金をどんどん儲けていると自慢した。

とあり、hand over fist = hand over hand だと書いてあるので、この二つのイディオムは同じように使われる、ということですね。
実際、fist は「握りこぶし、げんこつ」ですから、「手」という意味にもなりますよね。
登る時にロープをたぐる仕草というのは、握った手の上にまた手を乗せる、ということですから、hand over fist でも hand over hand でも、そういう仕草を意味するはずです。
そのようにロープを掴んで行う手の動きが、ジョーイが精子を提供する際の方法を彷彿とさせるので(きゃ〜!)、みんなは大爆笑している、ってことですね。

私は何を長々と語っているのか?と思いつつ…とにかく、これで make money hand over fist という表現は絶対に忘れないでしょう(笑)。

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posted by Rach at 15:00| Comment(2) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年01月12日

フレンズ1-19その7 ご質問1

昨日に引き続き、M-1グランプリ2006(今さらですが) のコメント欄 でいただいたご質問から、記事を書いてみました。

今日は、フレンズ1-19 のエピソードから。

(質問)何故、Unclench. が「怒るなよ。」になるのか?
ロスはおサルのマルセルくんを肩に乗せています。
ロスは明日、用事があって出掛けるので、あらかじめ、マルセルの世話をレイチェルに頼んでいたようです。
レイチェル: And I will see you tomorrow. ([マルセルに]明日、会いましょうね。)
ロス: That's right. You're gonna spend tomorrow at Aunt Rachel's. aren't you? Huh? (そうだよ。マルセルは明日、レイチェルおばさんのところで過ごすんだよねー?)
モニカ: Huh, hang on, hang on. Does Aunt Monica get a say in this? (ちょっと待ってよ。モニカおばさんは、この件に関して発言権はないのかしら?)
ロス: Please, Aunt Monica, Please? Oh, unclench. You are not even gonna be here. (お願い、モニカおばさん、お願い! [と甘えた口調でお願いしてみるが効果がないので] あぁ、怒るなよ。モニカは(明日)ここにはいないだろ。)

at Aunt Rachel's 「レイチェルおばさんのところ(=at Aunt Rachel's place)」で過ごす、と言っていますが、それはこの部屋のことで、今はルームシェアしているとは言え、元々はモニカの部屋なわけです。
モニカはきれい好きだから動物は苦手なんですよね。
モニカは、私もこの部屋の住人なのに、その私に断りもなくそんなこと勝手に決めちゃって…とロスたちを非難しているわけです。

unclench が、DVDの日本語では「怒るなよ。」と訳されていたのですが、それは何故?というご質問でした。

研究社 新英和中辞典では、
unclench=(こぶし・くいしばった歯などを)解く、ゆるめる
とあります。
また、その反対語の clench は、
clench=(歯を)くいしばる、(口を)固く結ぶ、(こぶしを)固める
ですので、どの意味を見ても、非常に力が入っているさまが伺えますよね。
緩んでくつろいでいるのとは反対の状態なわけです。
上の辞書の語義には「怒り」という表現は書いてありませんが、「ぐっと力が入っている」ことから、「何かに対して怒っている」ことが連想されますよね。

英辞郎には、
I clenched my teeth in anger. 私は怒りで歯を食いしばった。
clench one's fist in anger 怒ってこぶしを固める(両方のこぶしの場合は fists)

という表現も載っていますので、そういう怒っている時に使われる動詞なんですね。
ですから、unclench は、そういう動詞 clench に 接頭語 un- がついてその「逆」の動作を表わすわけですから、訳してみると、「そんな風に怒ってこぶしを握り締めるのはやめなよ、歯をくいしばるのをやめなよ、そんなにギリギリと歯ぎしりして怒るなよ。」みたいな感じになるんでしょうかね?

ロングマン現代英英辞典には、
clench の項目に、次のように書いてあります。
clench your fists/teeth/jaw etc: to hold your hands, teeth etc together tightly, usually because you feel angry or determined
つまり、「拳・歯・顎(あご)を clench する=手や歯などを固くつなぎ合わせること、たいていは怒りを感じている、または決意を固めている、という理由で」
ここにははっきりと angry という単語が出ていますね。

…と、ここまではただ辞書の語義を引用しているだけなので、これだけなら、わざわざ記事にはしなかったのですが…。
フレンズの過去のエピソードで、clench がそういう「怒る」というニュアンスで使われていたことがあったので、それを今回、合わせて紹介したいと思います。(過去記事の解説では、何故か飛ばしていたので…)

フレンズ1-6 のシーン。
ジョーイが、アル・パチーノのお尻の代役で、シャワーを浴びているところです。
ネットスクリプトのト書きも日本語訳しておきます。

(JOEY STARTS TO SHOWER WITH A GRIM, DETERMINED LOOK ON HIS FACE)
ジョーイはいかめしい断固とした表情で、シャワーを浴び始める。
監督: And cut. Hey, Butt Guy, what the hell are you doing? (カット。おい、尻役、何をやってるんだ?)
ジョーイ: Well, I'm- I'm showering. (えーっと、僕はシャワーを浴びています。)
監督: No, that was clenching. (違う、その尻が clench してるんだよ。)
ジョーイ: Oh. Well, the way I see it, the guy's upset here, y'know? I mean, his wife's dead, his brother's missing... I think his butt would be angry here. (あぁ、僕が思うに、その男はここでは憤慨しているわけですよね? つまり、妻が死んで、兄が行方不明で…。僕は、ここ[このシーン]で、彼の尻は怒ってるだろうと思うんです。)
監督: I think his butt would like to get this shot before lunch. (私が思うに、彼の尻は、昼前にこのショットを撮影してしまいたいと思ってるよ。)

このシーンでは、尻の代役なわけですから、お尻しかカメラに映ってないわけですよね。
ですから、「お前は何をやってるんだ?」と監督が言っているのは、ジョーイという人物の行動がどうこうではなくて、その映っているお尻の様子(?)に問題がある、ということです。
ですから、That was clenching. の that は your butt (または the guy's butt)であって、それが「固くしまっている」ことを指摘しているのですが、それは「緊張している」とか「力が入っている」ということでしょうね。
それに対してのジョーイの弁解が「彼の尻は怒っている」(笑)。
やはり尻が clench していると言われると、「あぁ、それは怒っているんですよ。」という連想が瞬時に働くわけですね。
clench という単語はそんな風に「怒り」と強く結びついた動詞だ、ということでしょう。

今回はたった一つの動詞を説明しただけでしたが、フレンズなどのドラマで英語を学んでいると、このように同じ動詞が何度も出てくることがありますよね。
前にどっかで出てきたよなぁ…と思い出して、その過去のセリフを再度見直してみることで、その単語に対する理解がより深まる、ということもよくあります。
私が、「過去記事でも(そういうフレーズが)出てきました」といつもしつこく書いているのは、単語というものは、できるだけたくさんの例文(セリフ)と共にそのニュアンスを覚えることが大切だ、と思っているから、なんですよ。

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posted by Rach at 09:27| Comment(10) | フレンズ シーズン1 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする