リビングで喧嘩しているロスとレイチェル、それを寝室で隠れて聞いている、モニカ、ジョーイ&チャンドラー。
画面が頻繁にカットするので、セリフとト書きが見にくいかもしれませんが、ご了承下さい。
(Cut to Living Room 「リビングに画面が切り替わる」、Cut to Monica's bedroom 「モニカの寝室に画面が切り替わる」の日本語訳は省略します。)
[Cut to Living Room]
レイチェル: (opening the door) Y'know what, I want you to leave! Get outta here! (ねぇ、あなたに立ち去ってもらいたいの! ここから出て行って!)
ロス: No!! (いやだ!)
レイチェル: Just get out! Now!! ((つべこべ言わずに)ただ出て行って! 今すぐ!!)
ロス: No!! No!! I wanna stay. I wanna talk about this. (いやだ、いやだ! 僕はここにいたい。この件について話したいんだ。)
レイチェル: Okay! All right! How was she? (えぇ、いいわ。彼女はどうだった?)
[Cut to Monica's bedroom]
チャンドラー: Uh-oh. (やばい。)
[Cut to Living Room]
ロス: What? (何?)
レイチェル: Was she good? (彼女は良かった?)
[Cut to Monica's bedroom]
ジョーイ: Don't answer that. (それには答えるな。)
[Cut to Living Room]
レイチェル: Come on, Ross! You said you wanted to talk about it, let's talk about it!! How was she? (さぁ、ロス! あなたがその件について話をしたいって言ったのよ。それについて話し合いましょう! 彼女はどうだったの?)
ロス: She was... (彼女は…)
[Cut to Monica's bedroom]
ジョーイ: Awful! Horrible! (オーフル! ホリブル![ひどい! ひどい!])
チャンドラー: She was not good. Not good. (彼女は良くなかった。良くなかった。)
ジョーイ: Nothing compared to you. (君と比べたら、物の数じゃないよ。)
[Cut to Living Room]
ロス: She, she was different. (彼女は、彼女は違ってた。)
[Cut to Monica's bedroom]
ジョーイ: Ewwwww! (うわぁ〜!)
チャンドラー: Uh-oh. (あっちゃ〜。)
[Cut to Living Room]
レイチェル: Good different? (良いように違ってたの?)
ロス: Nobody likes change. (変化が好きな人はいないよ。)
(Rachel picks up a newspaper and starts beating him with it.)
レイチェルは新聞を取り上げて、それでロスをたたき始める。
ロス: What? Okay, okay, okay, okay. (何? わかった、わかった、わかった、わかった。)
[Cut to Monica's bedroom]
フィービー: Should we do something? (私たちは、何かすべきかしら?)
チャンドラー: Yeah, never cheat on Rachel. (そうだな、レイチェルを裏切って浮気をするようなことは絶対にするな。)
How was she? というのは、寝てみて彼女はどうだったか、彼女のことをどう思ったか、She was .... と彼女の感想を述べる場合、... に入る部分の言葉を、how で尋ねている、ということですね。
文章の構造的には、How are you? と同じです。
How are you? / I'm fine. 「元気ですか?」「元気です。」は、中学校で英語を習う時にまず最初に覚えるでしょうか。
直訳すると、「あなたは(今)どんな感じですか?、どんな具合ですか?」と尋ねて、今の私の状態は fine であると答える、ということですね。
How are you? / I'm fine. という挨拶を丸暗記している人は多いかもしれませんが、主語をいろいろと変えることで、様々なものの状態を尋ねることができる、その主語が「どんな状態であるか?、どうであるか?」を尋ねることができる、ということです。
デートから帰ってきた相手に対して、"How was the date?" 「デートはどうだった?」と尋ねるのも同じパターンですね。
How are you? は知っていても、「彼女はどうだった?」「デートはどうだった?」という日本語をいざ英語に直そうとすると一瞬悩んでしまう… How are you? のような会話の決まり文句であっても、その基本的概念を理解しておくと、いろいろ応用が利きますよ、ということです。
Uh-oh. は失敗したり、まずい状況になった場合に発する言葉で、「おっとー、あれっ、やばい、まずい」みたいな感じですね。
レイチェルが怒っているのに、ロスが帰ろうとしないで、この件についてもっと君とじっくり話をしたい、みたいに言ったものだから、「じゃあ、じっくり話をしましょう。それで、彼女はどんな感じだったの?」という、非常にまずーい質問をされる展開になってしまったのですね。
ロスにとっては、一番答えにくい質問で、それを察したチャンドラーは、「こりゃやばい」という感じで、Uh-oh. が口から出たわけです。
言いよどんでいるロスに対して、隣の部屋ではジョーイが、Awful! Horrible! だって言え!と言っています。
awful も、horrible も日本語にするとどちらも「ひどい」になってしまって、ニュアンスが出せませんが、そういう、けなす意味の悪い形容詞を言え!と言っているのです。
awful も、horrible も、良い意味の褒め言葉としては使えない言葉なので、どちらでも構わないですし、この場合は terrible も使えそうですね。
少々脱線しますが、terrible によく似た単語に terrific という単語があります。
terrific は「恐ろしい、ものすごい」という意味もありますが、「すばらしい、素敵な」という意味もあります。
この辺りが、日本人にとっては紛らわしいかもしれません。
日本人の場合だと、ここで、クロエをけなそうと思って terrible と言おうとして、間違って terrific を使ってしまう、という可能性もあるかもしれません。
すると、「彼女は(良い意味で)すごかった!」と褒めていることになり、とんでもない結果になりそうです。
ロスのようなネイティブの場合は、terrible と terrific を間違えることはないと思いますが…。
terrible と terrific については、過去記事、フレンズ2-17その5 でも解説しています。
ちなみに、awful は、awe 「畏(おそ)れ、畏怖(いふ)、畏敬」から来た形容詞、horrible は horror 「恐怖」の形容詞形です。
terrible や terrific は、なぜか手持ちの辞書には書いていないけれど、恐らく terror 「(非常な)恐怖」の形容詞形、もしくは関連語でしょうね。
そう言えば、日本語の「すごい(凄い)」も、広辞苑によると、
すごい(凄い)=
2. ぞっとするほど恐ろしい。気味が悪い。
4. ぞっとするほどすばらしい。
5. 程度が並々でない。
とあります。
「ぞっとするほど恐ろしい」という「程度が並々でない」様子が、「ぞっとするほどすばらしい」意味になる、という流れは、terrific と同じかな、と思いました。
ロスに聞こえないのはわかっていながら、こう言え、ああ言え、と隠れたところから助言をしている男性陣に笑ってしまいますね。
「そう答えないとまずいぞ、どうかそう答えてくれ!」という気持ちでしょう。
それなのにロスの返事は、she was different.
ジョーイとチャンドラーの反応を見たら、それが「最悪の返事だ」ということがわかります。
チャンドラーはまた、Uh-oh. と言っていますね。
「違う」とはつまり、レイチェルとは違う、ということですが、違うと言ってもいろいろあるでしょ、good different つまり、良い方に違っていたの?と問い返すレイチェル。
それに対して、"Bad different, of course! Very bad. Very very bad." とでも言ってフォローすれば良かったのに、Nobody likes change. という、何だか普遍的な回答になってしまっています。
change を好きな人は誰もいない、誰も change を好きじゃない、つまり、いつもと違うのは好きじゃない、人は自分に慣れたいつものが好きなんだ、みたいな意味で言ったようですが、これでは全くフォローになっていません。
二人の喧嘩がますますひどくなってきたので、間に割って入って二人を止めるべきかしら?みたいなニュアンスで、フィービーは、"Should we do something?" と言っています。
こんなところで、二人の喧嘩をただ見ていたらだめなんじゃない?ということですね。
それに対して、「何をすべきか、何をすべきじゃないか、という話で言うと、レイチェルを裏切って他の女の子と浮気するようなことは絶対にしちゃいけない」とチャンドラーは答えています。
彼女に対して浮気をしないことだな、じゃないとあんな風にキレられて、たたかれてしまうから、ということですね。
cheat on は「(配偶者などに隠れて)浮気をする」という意味で、on の次には配偶者や恋人などの名前が入ります。
フレンズ2-2その1 にも出てきました。
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2008年11月29日
2008年11月27日
itが指しているもの フレンズ3-16その14
[Cut to Living Room, Rachel is trying to close the door on Ross.]
リビングに画面がカット。レイチェルはロスが入る前にドアを閉めようとしている。
ロス: (forcing the door open) Come on, Rachel, come on! Talk to me! Please!! (ドアをこじ開けながら) ねぇ、レイチェル、ねぇ! 僕と話をしてよ。お願いだよ!)
[Cut to Monica's bedroom, Chandler slowly closes the door, and we hear Rachel from the living room.]
モニカの寝室に画面がカット。チャンドラーはドアをゆっくりと閉める。我々(観客・視聴者)は、リビングからのレイチェルの声を聞く。
レイチェル: I can't talk to you. I can't even look at you right now! (あなたと話はできないわ。たった今は、あなたを見ることすらできないわ。)
モニカ: What? (何?)
チャンドラー: Nothing, nothing. (なんでもない、なんでもない。)
モニカ: (going over to listen at the door) Rachel said everything was okay. ([ドアのところで(ドアの向こうの音を)聞くために、ドアの方に行きながら] レイチェルはすべて大丈夫だって言ったのに。)
フィービー: (to Joey) What, what are they talking about? ([ジョーイに] 何、二人は何を話しているの?)
ロス: Rachel? (レイチェル?)
[Cut to Living Room]
リビングに画面がカット。
レイチェル: Just get away from me! (ただ、あっちに行ってよ![私のところから離れてよ!])
ロス: No, it was a mistake! I made a mistake! Okay? (違うんだ。間違いだったんだよ。僕は間違いを犯したんだよ、わかるだろ?)
レイチェル: A mistake?! What were you trying to put it in? Her purse?! (間違いですって? あなたは it を[あれを]どこに入れようとしていたの? 彼女のカバンだったかしら?)
[Cut to Monica's bedroom]
モニカの寝室にカット。
フィービー: Whe-where did he put it?! (彼は it をどこに入れたの?!)
[Cut to Living Room]
リビングに画面がカット。
レイチェル: Ross, you had sex with another woman! (ロス、あなたは別の女性とエッチしたのよ。)
[Cut to Monica's bedroom, both Monica and Phoebe gasp.]
モニカの寝室に画面がカット。モニカとフィービーが息をのむ。
モニカ: Oh my God. (なんてこと。)
フィービー: Oh, I knew something had to be wrong because my fingernails did not grow at all yesterday. (あぁ、何か悪いことに違いないとわかっていたの。だって私の指の爪が昨日全然伸びなかったから。)
チャンドラー: Yeah, well, I guess they had a fight and he got drunk.... (あぁ、二人はけんかして、ロスは酔っ払ってて…)
モニカ: Oh!! (hits Chandler and Joey in the head) You guys knew about this and you didn't tell us?! (まぁ! [チャンドラーとジョーイの頭を(ペシッと)たたく] 二人はこのことを知ってて、私たちに話さなかったの?)
チャンドラー: (to Joey) He has sex and we get hit in our heads! (ロスがエッチをしたのに、俺たちが頭をたたかれるのか!)
ト書きに close the door on Ross とあります。
先にレイチェルが入り、その後、ロスも入ろうとしているのですが、そのロスが入る前にドアを閉めようとしている感じですね。
「入ってこないで」ということです。
その後のロスのト書き、forcing the door open は、その閉められそうになっているドアを力ずくでこじ開けながら、みたいなことですね。
listen at the door は、「ドアのところに耳を当てて、もしくはドアのそばに立って、ドアの向こうの音を聞く」という感じ。
英辞郎にも、
listen at a keyhole=鍵穴に耳をつけて聞く
という表現が出ています。
at で、listen している「場所、地点」を表しているのですね。
あれはミステイクだったんだ、というロスに、「ミステイクだなんてとんでもない!」という感じで"What were you trying to put it in? Her purse?!" とレイチェルは言っています。
put it in を直訳すると「it を…に入れる」ということですが、put it in という表現だけで、「エッチする」という卑語になるようです。
put it in を英辞郎で調べると、そういう卑語の意味が書いてあります。
日本語でも(恥を忍んで書きますと)「あれ・それを入れる」みたいに言うと、そういう感じが出るでしょうか。
英語の it は、あえてはっきり名前を出さなくてもお互いに「それ」だと「あれ」だとわかる、みたいな感覚ですよね。
ここで、it と that の違いについて。
中学校で英語を習う時に、that=あれ、it=それ、という訳語で覚えたのですが、その感覚は少し違う気がします。
少し離れた場所にあるものを指す場合は、日本語の「あれ」と同じ感覚ですが…。
研究社 新英和中辞典では、
that=[前に言及しているか、場面上了解されている物事をさして] そのこと
という語義が載っています。
また、it については、
it=[心中にあるかまたは問題になっている人・もの・事情・出来事・行動などをさして]
と説明されています。
イディオムなどでは、目的語をはっきり言わず、it と表現することが多々あります。
それは「心中にある」、つまり、何であるかをはっきり単語として言わなくても、会話している両人の頭の中に it が何をさしているかのイメージがはっきり浮かぶから、なんでしょうね。
日本語ではそういう頭に浮かんだイメージを指す時には、「あれ」という言葉を使う気がします。
「”あれ”だよ、”あれ”!」「ははーん、”アレ”ね。」みたいにお互いが了解している感覚でしょうか。
it は訳さず it のままの方がニュアンスが出ると思うのですが、あえて訳すとすると「あれ」になるのかなぁ、と。
「それ」と言ってしまうと、目の前にある何かを指しているように聞こえてしまうような気がします。
実際にレイチェルが言及しているものは、ロスの一部(笑)であるので、確かに目の前に存在しているものではあるのですが、本当に「その目の前にあるもの」を指しているのであれば、that を使うでしょうね。
今回は「頭に・心に浮かんだもの」を指しているので、「それ」と訳すと少しニュアンスが違ってしまうように思いました。
it というだけでお互いの頭の中にイメージが浮かぶ「あるもの」を指している、という感じですね。
レイチェルのセリフでは、put it in が「it (お互いにわかっているあるものを指す)を…に入れる」という表現で使われていて、この put it in というフレーズだけで、直接「エッチする」ということを表現しているのではありません。
「あなたは it をどこに入れようとしていたかしら? her purse (彼女のカバン)だったかしら?」と言うことで、あなたはある場所に it を入れようとしていたわよね、それは、彼女のカバンとかじゃなくて、もっととんでもない場所(つまり、クロエの…これ以上は言えません…笑)だったわよね。」と言っているのです。
ミステイクだなんて、まるで彼女のカバンに何かを入れちゃった、みたいな簡単な間違いのように言っているけれど、ミステイクで済まされるようなことじゃないでしょ、と言いたいわけでしょう。
そのやり取りを聞いてフィービーが、"Whe-where did he put it?!" と言っていますが、フィービーだけが、そのレイチェルのセリフの意味をわかっていない感じです。
チャンドラーとジョーイはロスとクロエが寝ていることを知っている、モニカは、put it in という表現を聞いて、何かそういうエッチ関係のトラブルがあったであろうことは察しがついたんじゃないかと思います。
でも、フィービーだけは卑語のニュアンスがある put it in を使っていることに気づかずに、文字通り、「it をどこかに入れる、彼女のカバンじゃないところに入れる」と言っているのを受けて、「her purse じゃないなら、一体どこに入れたの?」「入れた、って一体どこに?」と疑問を口にしているのです。
観客もここで笑っていますし、3人も「フィービーはわかってないの?」みたいな顔をしているので、きっとフィービーだけがそのメタファーみたいなものに気づいていない、ということでしょう。
その後、レイチェルは、"Ross, you had sex with another woman!" とはっきり、sex という言葉を使って言っています。
put it in みたいなメタファーでもなくて、slept with 「寝た」という表現でもなくて、はっきり、had sex with と言っているのは、「ミステイクで済まされる問題じゃない」ということをロスにはっきり認識させるためでしょう。
モニカは話の流れからうすうす気づいていたとは思いますが、ここでレイチェルがはっきり言ったのを聞いて、全てを悟るのですね。
Everything is okay. と言っていたのがこんなケンカに発展したのは、それが理由だったのだ、と。
びっくりして息をのみつつも、「昨日は爪が伸びなかったから、不吉な予感がしていたのよ。」みたいなピントはずれなことを言うフィービーです。
チャンドラーの話しぶりと二人の態度から、男性陣二人がロスの浮気を知っていたのを知って、モニカは、二人の頭を手のひらでペシッ、ペシッ、とはたきます。
ママが子供にするみたいなたたき方ですね。
浮気をしたのはロスだ、たたくならロスだろ、どうして俺たちがたたかれないといけないんだ、ということです。
(女の私が言うのもなんですが)本音としては、おいしい思いをしたのはロスなのに、どうして俺たちがはたかれるの?…というところでしょうか。
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リビングに画面がカット。レイチェルはロスが入る前にドアを閉めようとしている。
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[Cut to Monica's bedroom, Chandler slowly closes the door, and we hear Rachel from the living room.]
モニカの寝室に画面がカット。チャンドラーはドアをゆっくりと閉める。我々(観客・視聴者)は、リビングからのレイチェルの声を聞く。
レイチェル: I can't talk to you. I can't even look at you right now! (あなたと話はできないわ。たった今は、あなたを見ることすらできないわ。)
モニカ: What? (何?)
チャンドラー: Nothing, nothing. (なんでもない、なんでもない。)
モニカ: (going over to listen at the door) Rachel said everything was okay. ([ドアのところで(ドアの向こうの音を)聞くために、ドアの方に行きながら] レイチェルはすべて大丈夫だって言ったのに。)
フィービー: (to Joey) What, what are they talking about? ([ジョーイに] 何、二人は何を話しているの?)
ロス: Rachel? (レイチェル?)
[Cut to Living Room]
リビングに画面がカット。
レイチェル: Just get away from me! (ただ、あっちに行ってよ![私のところから離れてよ!])
ロス: No, it was a mistake! I made a mistake! Okay? (違うんだ。間違いだったんだよ。僕は間違いを犯したんだよ、わかるだろ?)
レイチェル: A mistake?! What were you trying to put it in? Her purse?! (間違いですって? あなたは it を[あれを]どこに入れようとしていたの? 彼女のカバンだったかしら?)
[Cut to Monica's bedroom]
モニカの寝室にカット。
フィービー: Whe-where did he put it?! (彼は it をどこに入れたの?!)
[Cut to Living Room]
リビングに画面がカット。
レイチェル: Ross, you had sex with another woman! (ロス、あなたは別の女性とエッチしたのよ。)
[Cut to Monica's bedroom, both Monica and Phoebe gasp.]
モニカの寝室に画面がカット。モニカとフィービーが息をのむ。
モニカ: Oh my God. (なんてこと。)
フィービー: Oh, I knew something had to be wrong because my fingernails did not grow at all yesterday. (あぁ、何か悪いことに違いないとわかっていたの。だって私の指の爪が昨日全然伸びなかったから。)
チャンドラー: Yeah, well, I guess they had a fight and he got drunk.... (あぁ、二人はけんかして、ロスは酔っ払ってて…)
モニカ: Oh!! (hits Chandler and Joey in the head) You guys knew about this and you didn't tell us?! (まぁ! [チャンドラーとジョーイの頭を(ペシッと)たたく] 二人はこのことを知ってて、私たちに話さなかったの?)
チャンドラー: (to Joey) He has sex and we get hit in our heads! (ロスがエッチをしたのに、俺たちが頭をたたかれるのか!)
ト書きに close the door on Ross とあります。
先にレイチェルが入り、その後、ロスも入ろうとしているのですが、そのロスが入る前にドアを閉めようとしている感じですね。
「入ってこないで」ということです。
その後のロスのト書き、forcing the door open は、その閉められそうになっているドアを力ずくでこじ開けながら、みたいなことですね。
listen at the door は、「ドアのところに耳を当てて、もしくはドアのそばに立って、ドアの向こうの音を聞く」という感じ。
英辞郎にも、
listen at a keyhole=鍵穴に耳をつけて聞く
という表現が出ています。
at で、listen している「場所、地点」を表しているのですね。
あれはミステイクだったんだ、というロスに、「ミステイクだなんてとんでもない!」という感じで"What were you trying to put it in? Her purse?!" とレイチェルは言っています。
put it in を直訳すると「it を…に入れる」ということですが、put it in という表現だけで、「エッチする」という卑語になるようです。
put it in を英辞郎で調べると、そういう卑語の意味が書いてあります。
日本語でも(恥を忍んで書きますと)「あれ・それを入れる」みたいに言うと、そういう感じが出るでしょうか。
英語の it は、あえてはっきり名前を出さなくてもお互いに「それ」だと「あれ」だとわかる、みたいな感覚ですよね。
ここで、it と that の違いについて。
中学校で英語を習う時に、that=あれ、it=それ、という訳語で覚えたのですが、その感覚は少し違う気がします。
少し離れた場所にあるものを指す場合は、日本語の「あれ」と同じ感覚ですが…。
研究社 新英和中辞典では、
that=[前に言及しているか、場面上了解されている物事をさして] そのこと
という語義が載っています。
また、it については、
it=[心中にあるかまたは問題になっている人・もの・事情・出来事・行動などをさして]
と説明されています。
イディオムなどでは、目的語をはっきり言わず、it と表現することが多々あります。
それは「心中にある」、つまり、何であるかをはっきり単語として言わなくても、会話している両人の頭の中に it が何をさしているかのイメージがはっきり浮かぶから、なんでしょうね。
日本語ではそういう頭に浮かんだイメージを指す時には、「あれ」という言葉を使う気がします。
「”あれ”だよ、”あれ”!」「ははーん、”アレ”ね。」みたいにお互いが了解している感覚でしょうか。
it は訳さず it のままの方がニュアンスが出ると思うのですが、あえて訳すとすると「あれ」になるのかなぁ、と。
「それ」と言ってしまうと、目の前にある何かを指しているように聞こえてしまうような気がします。
実際にレイチェルが言及しているものは、ロスの一部(笑)であるので、確かに目の前に存在しているものではあるのですが、本当に「その目の前にあるもの」を指しているのであれば、that を使うでしょうね。
今回は「頭に・心に浮かんだもの」を指しているので、「それ」と訳すと少しニュアンスが違ってしまうように思いました。
it というだけでお互いの頭の中にイメージが浮かぶ「あるもの」を指している、という感じですね。
レイチェルのセリフでは、put it in が「it (お互いにわかっているあるものを指す)を…に入れる」という表現で使われていて、この put it in というフレーズだけで、直接「エッチする」ということを表現しているのではありません。
「あなたは it をどこに入れようとしていたかしら? her purse (彼女のカバン)だったかしら?」と言うことで、あなたはある場所に it を入れようとしていたわよね、それは、彼女のカバンとかじゃなくて、もっととんでもない場所(つまり、クロエの…これ以上は言えません…笑)だったわよね。」と言っているのです。
ミステイクだなんて、まるで彼女のカバンに何かを入れちゃった、みたいな簡単な間違いのように言っているけれど、ミステイクで済まされるようなことじゃないでしょ、と言いたいわけでしょう。
そのやり取りを聞いてフィービーが、"Whe-where did he put it?!" と言っていますが、フィービーだけが、そのレイチェルのセリフの意味をわかっていない感じです。
チャンドラーとジョーイはロスとクロエが寝ていることを知っている、モニカは、put it in という表現を聞いて、何かそういうエッチ関係のトラブルがあったであろうことは察しがついたんじゃないかと思います。
でも、フィービーだけは卑語のニュアンスがある put it in を使っていることに気づかずに、文字通り、「it をどこかに入れる、彼女のカバンじゃないところに入れる」と言っているのを受けて、「her purse じゃないなら、一体どこに入れたの?」「入れた、って一体どこに?」と疑問を口にしているのです。
観客もここで笑っていますし、3人も「フィービーはわかってないの?」みたいな顔をしているので、きっとフィービーだけがそのメタファーみたいなものに気づいていない、ということでしょう。
その後、レイチェルは、"Ross, you had sex with another woman!" とはっきり、sex という言葉を使って言っています。
put it in みたいなメタファーでもなくて、slept with 「寝た」という表現でもなくて、はっきり、had sex with と言っているのは、「ミステイクで済まされる問題じゃない」ということをロスにはっきり認識させるためでしょう。
モニカは話の流れからうすうす気づいていたとは思いますが、ここでレイチェルがはっきり言ったのを聞いて、全てを悟るのですね。
Everything is okay. と言っていたのがこんなケンカに発展したのは、それが理由だったのだ、と。
びっくりして息をのみつつも、「昨日は爪が伸びなかったから、不吉な予感がしていたのよ。」みたいなピントはずれなことを言うフィービーです。
チャンドラーの話しぶりと二人の態度から、男性陣二人がロスの浮気を知っていたのを知って、モニカは、二人の頭を手のひらでペシッ、ペシッ、とはたきます。
ママが子供にするみたいなたたき方ですね。
浮気をしたのはロスだ、たたくならロスだろ、どうして俺たちがたたかれないといけないんだ、ということです。
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2008年11月25日
「英語にもっと強くなる本」を読んで
青春出版社から、この9月に発売になった、晴山陽一さんの「英語にもっと強くなる本」を読みました。
アマゾンではこちら(↓)。
英語にもっと強くなる本 (青春新書INTELLIGENCE (PI-212))
本の帯に
英語上達のコツは、「英語特有のクセ」を知ることです!
と書いてあります。
私もその点には全く同感です。
そして、この本では、そういう「英語特有のクセ」、つまり、日本語とは大きく異なっている部分を、日本語と対比する形で紹介しています。
英語という外国語を学ぶ場合に、単語や細かい文法事項、用法など、知識を積み上げていかなければいけない部分は確かにありますが、そもそも「英語とはどういう言語か?」「日本語と根本的にどこが違うのか?」ということが掴めないと、実際に英語を使えるようにはなりません。
英語の試験対策として、問題集や参考書をたくさんこなしているけれど、それが実際に自分が英語を書く、話す時に生きてこない気がする、と思う方は多いかな、と思います。
そういう方こそ、こういう「英語特有のクセ」があることを理解し、「英語の本質」というものを見極めた上で、そういう知識を活用していくようにしていったらよいのでは?と思いました。
日本語とは異なる英語のクセがたくさん挙げられている中で、いくつか典型的なものを取り上げたいと思います。
p.20 物事を動かす主体としての「人間」をできる限り表に出そうとするのが、英語的発想の特徴である。(中略) これに対し、日本語は、主体としての「人間」を隠そう隠そうとする。物事があたかもひとりでに動いているような言い方を好む。「人間中心主義」に対し、「ことがら中心主義」とでも言ったらよいだろうか。
p.29 (無生物主語を例に挙げて) 「物」であれ「人」であれ《行為の主体を重んじる態度》
p.21 では、日本人が英訳をよく間違える「ここはどこ?」が例として挙げられています。
日本人はその日本語を直訳して "Where is here?" などと言ってしまいがちですが、正しい英語は "Where am I?" になります。
これも「ここはどこ?」という日本語では、ここにいるべき「私」という人間が、言葉の中では隠れてしまっているのですね。
第3章 すべての英文の背後には "I" が潜んでいる
p.43 日本語では強調される場合以外は「私」や「あなた」を言葉に出すことは稀である。これに対し、英語の会話では「 I と you 」を使わずにコミュニケーションをとることは不可能に近い。
p.50 英会話とは、中身が何であれ、結局は「 I と you の間に成立するドラマ」なのだ。そのことを、英語の場合は、発言の1つ1つで確かめ合っていると言ってもいい。
p.54 では、英語と日本語の違いを際立たせるため、英語にある I と you を全て「私」「あなた」と訳出した日本語を紹介しています。
これを読むと、「あぁ、確かに日本語では、いちいち、”私”や”あなた”が入ってくると、違和感がある」ということに気づくでしょう。
私もこのブログでフレンズのセリフを訳している時に、そこが英語と日本語の大きな違いの一つだ、ということに気づきました。
何か自分の意見を言う時に、英語では、I think とか、I guess とかが最初につくことが多いですが、それをいちいち、「…と思う」「…と推測する」と日本語の文の最後できっちり訳出してしまうと、日本語として変な感じがしてしまいます。
I think that... のニュアンスをどうしても出したい場合は、あえて訳すならば、I think that... 「僕が思うに、…」みたいになるでしょうが、それも、なんとなく「とってつけたような感じ」も否めません。
これと関係する話が、マーク・ピーターセンさんの 続・日本人の英語 (岩波新書) にも出てきます。
「続・日本人の英語」からの引用部分は、緑色で書きます。
p.121 隠れた意志
「マークも行けば?」
「ええ? 僕も行くんですか?」
英語なら、同じことを
You mean you want me to go, too? (つまり、僕にも行ってほしいってわけ?)
Are you saying I should go, too? (僕も行った方がいいと言うんですか?)
などのように表現し、たいていの場合、人の意志や判断(すなわち、人の「つもり」)を明らかにしようとする。
(中略)
英語では、決して
What? Am I going, too?
あるいは、
What? Will I go, too?
とは言わない。なのに、(日本語の)「僕も行くんですか」を聞くと、単純に "I'm going, too?" や "I'll go, too?" のような英語しか浮かんでこないのである。
(中略)
「僕も行くんですか」という日本語のどこを捜しても、相手の「つもり」は見つからない。いわば、意志が「隠れている」のである。
(中略)
「つもり」をはっきりさせない「美学」は日本語の一部である。
英語を日本語に訳す場合に、I think などといちいち訳さないようにする、というのは簡単な話です。
が、日本語で省略されてしまっているそういう「話者の”つもり”」を、英語を使う時には、隠さずきちんと示さなければならない、という部分が、日本人にとっては盲点なのですね。
ピーターセンさんが訳されたように、You mean... や、Are you saying... で文章を始める、という感覚を、日本人が英語を作る場合にも持たなくてはいけません。
日本語は「…だろ?」「…だよね。」「…だったっけ?」「…じゃないかなぁ。」「…だってば。」みたいに、バリエーションに富んだ語尾変化で、文の最終的なニュアンス、つまりは「話者の”つもり”」を出そうとします。
そこにはいったいどういう「つもり」が隠されているのか、ということを、きちんと英語に訳出しなければ、英語圏の人に話が通じない、ということになるわけです。
第7章 英語動詞の”腕力”
p.125 英語は”変化”を”行為”として表そうとする!
「英語にもっと強くなる本」の p.126 では、SVOの第3文型の例文を挙げて、英語動詞の”腕力”について説明されています。
Steam drives machinery. 蒸気は機械を動かす
Wires conduct electricity. 針金は電気を伝える
これらの文における英語動詞の”腕力”の強さを表すためには、俗な言い方になるが「〜しちゃう」という言葉を補って訳すしかないように思う。たとえば、「蒸気は機械を動かしちゃう」とか「針金は電気を伝えちゃう」といった訳し方だ。
これに対し、日本語はむしろ自動詞的な表現を好むように思う。すなわち、
「機械は蒸気で動く」
「電気は針金を通して伝わる」
といった表現法だ。これでは、主体としての蒸気や針金の”頑張り”は感じられなくなるのである。
「頑張り」という言葉がなるほどなぁ、と思うのですが、何が動かすのか、何が伝えるのか、という、主体が誰・何であるか、という部分を、英語は明確にしようとしますね。
また拙著の話になって恐縮ですが(笑)、拙著 シットコムで笑え! 楽しくきわめる英語学習法 の p.35 で、日本語とはまったく異なる「英語のスピリット」のような部分 について触れています。
そこでは、exciting と excited 、annoying と annoyed の違いを説明しているのですが、
他動詞では「何が何に対して作用しているのか」という力の向きが非常に重要なのです。
と私は書いています。
英語ではそういう「腕力のある他動詞」を使うことで、SがOに対して、Vという行為を行っている、ということが明確になるのですね。
英語は「人間中心主義」、日本語は「ことがら中心主義」という晴山さんのお言葉通り、物事を動かす主体としての「人間」(または物も可)をはっきりと示すのが英語の特徴だ、ということになるのですね。
第10章 英語は流れ、日本語は落ちていく!
p.175 日本語は本来「縦書き」の世界だ。つまり重力に従って、下に向かって落ちていく世界である。これに対し、英語は「横書き」の世界で、これは重力に逆らって、横方向に流れていく世界だ。
p.177 英語が横に流れるためには、重力ではなく初期動力(イニシャル・インパルス)が必要となる。それこそ「S+V」というすべての英文が装備している《バネ仕掛け》の正体だったのである。
p.180 「上下の言語」と「左右の言語」
重力に従って下に落ちていく日本語では、「被修飾語」は常にいちばん下ですべての修飾語句を受け止めなくてはならない。これに対し、横に流れる英語では、修飾語の問題は「上下」ではなく「左右」の配置の違いの問題なのだ。軽い修飾語は先行して左に、重い修飾語は後ろに回って右に、というわけである。
晴山さんがおっしゃるように、日本語は「いちばん下ですべての修飾語句を受け止める」という性質がありますね。
今のように横書きが増えている現代においても、「下(あるいは最後)で受け止める」という日本語の基本的構造は変わっていません。
それで、日本語にない関係代名詞を使った文章を日本語らしい文章に直そうとすると、「訳し上げ、後ろから前に訳す」ことが必要になってきたりするわけです。
でも、英語を英語のまま読む場合、「左から右へ流れる」という英文の性質を考えると、そういう「訳し上げ」は非常に不自然な読み方であることがわかりますね。
日本語は「下で受け止める」傾向にあり、修飾語だけではなく、メインの動詞も一番最後に持ってきて、文を締める、という傾向にもあります。
その日本語の感覚を、つまり「縦書き・上下」の感覚を、英語を読む・聞く時に持ち込もうとするから、英語をあの語順ですんなり理解することができなくなるのですね。
英語は左から右へ流れるものだ、ということは、わかりきった事実のようでいて、左から右へという流れは日本語と異なる感覚である、ということをよく認識すべきなのだろうと思います。
p.181 (日本語は「上下の言語」、英語は「左右の言語」という)このような発見をできるのも、やはり「日本語原文とその英訳」をセットにして学習する時である。だから、私は日本語という「補助輪」を付けて英語を考えることに、大きな価値を認めている。どうせ英語を学ぶなら、表層的な翻訳ではなく、このような深いところでの両言語の特質の違いにまで注意を向けたいものだ。
英語と日本語を見比べてみてわかること、というのは確かにあるはずです。
私も、フレンズのセリフに自分なりの日本語訳を付けるという行為を通して、「日本語ではこんな風に言わないなぁ」という「英語らしい表現」にたくさん気づくことができました。
英語を日本語に訳す、ということは英単語を日本語の訳語に置き換えることではないのです。
その英語をイメージし、ニュアンスをつかみ、それを日本語にするとこんな感じ、と訳してみて、それで改めて二者を比較する…そこで、日本語では、I や you をいちいち言わないこと、などを発見するのですね。
私は英語を学んでみて、you という単語は何て便利なんだろう、と思いました。
相手が目上でも使えますよね。
逆に日本語では「あなた」という言葉を使う機会があまりありません。
コメントのやり取りをしている時にいつも思うのですが、英語風に「あなたが言うように」と書いてしまうと、ものすごく傲慢な感じがしてしまいます。
日本語では、相手のことを「あなた」と呼べる間柄は限られているように思います。
それで「誰々さんがおっしゃるように」という書き方にならざるを得ません。
(相手に対して敬意を表したい場合は、このように敬語を使うことにもなります。)
それをただ、you で済ますことができる英語はラクだ…というか、それだけ、英語では you が頻出し、日本語ではそれだけ「あなた」という言葉を使わずに話が進む、ということでもあるのですね。
「日本語だったらこう表現する」と比較することで、普段日本語を使う際には意識しない部分を、英語を使う時には意識していかなければいけない、ということに気づくのです。
英語を習得するためには、単語・文法…といろいろ必要なことがあるでしょう。
でも、一番大切なのは、こういう「英語独特のクセ」を理解した上で、実際に生きた英語に当たり、「これもそうだ、あれもそうだ」と英語独特の感覚、英語的発想を自分のものにしていく、ということです。
文法の穴埋め問題は得意だけど、英語がとっさに口から出てこない、という場合は、まず、「英語とはこういうものだ!」という大きな部分での理解から始めてみてはいかかでしょうか?
文法の穴埋め問題のような、「ここは、to 不定詞か、-ing か?」というような細かい用法は、ざっとした文章が書けた上で、より正確な文章にするために使うものに過ぎません。
話す、書く場合に必要なことは、「まず出だしを何で始めたらいいか?」、つまりは「基本的な文章の構造をどうしたらいいか?」という大きな部分です。
私がこれまで英語に触れてきて、漠然と感じていたことを、この本で晴山さんがうまくまとめて下さっていると感じました。
とても面白い本でした。
英語と日本語の違いから、英語特有のクセを知りたいという方、是非、晴山さんの「英語にもっと強くなる本」を読んでみて下さい。
(Rach からのお願い)
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英語にもっと強くなる本 (青春新書INTELLIGENCE (PI-212))
本の帯に
英語上達のコツは、「英語特有のクセ」を知ることです!
と書いてあります。
私もその点には全く同感です。
そして、この本では、そういう「英語特有のクセ」、つまり、日本語とは大きく異なっている部分を、日本語と対比する形で紹介しています。
英語という外国語を学ぶ場合に、単語や細かい文法事項、用法など、知識を積み上げていかなければいけない部分は確かにありますが、そもそも「英語とはどういう言語か?」「日本語と根本的にどこが違うのか?」ということが掴めないと、実際に英語を使えるようにはなりません。
英語の試験対策として、問題集や参考書をたくさんこなしているけれど、それが実際に自分が英語を書く、話す時に生きてこない気がする、と思う方は多いかな、と思います。
そういう方こそ、こういう「英語特有のクセ」があることを理解し、「英語の本質」というものを見極めた上で、そういう知識を活用していくようにしていったらよいのでは?と思いました。
日本語とは異なる英語のクセがたくさん挙げられている中で、いくつか典型的なものを取り上げたいと思います。
p.20 物事を動かす主体としての「人間」をできる限り表に出そうとするのが、英語的発想の特徴である。(中略) これに対し、日本語は、主体としての「人間」を隠そう隠そうとする。物事があたかもひとりでに動いているような言い方を好む。「人間中心主義」に対し、「ことがら中心主義」とでも言ったらよいだろうか。
p.29 (無生物主語を例に挙げて) 「物」であれ「人」であれ《行為の主体を重んじる態度》
p.21 では、日本人が英訳をよく間違える「ここはどこ?」が例として挙げられています。
日本人はその日本語を直訳して "Where is here?" などと言ってしまいがちですが、正しい英語は "Where am I?" になります。
これも「ここはどこ?」という日本語では、ここにいるべき「私」という人間が、言葉の中では隠れてしまっているのですね。
第3章 すべての英文の背後には "I" が潜んでいる
p.43 日本語では強調される場合以外は「私」や「あなた」を言葉に出すことは稀である。これに対し、英語の会話では「 I と you 」を使わずにコミュニケーションをとることは不可能に近い。
p.50 英会話とは、中身が何であれ、結局は「 I と you の間に成立するドラマ」なのだ。そのことを、英語の場合は、発言の1つ1つで確かめ合っていると言ってもいい。
p.54 では、英語と日本語の違いを際立たせるため、英語にある I と you を全て「私」「あなた」と訳出した日本語を紹介しています。
これを読むと、「あぁ、確かに日本語では、いちいち、”私”や”あなた”が入ってくると、違和感がある」ということに気づくでしょう。
私もこのブログでフレンズのセリフを訳している時に、そこが英語と日本語の大きな違いの一つだ、ということに気づきました。
何か自分の意見を言う時に、英語では、I think とか、I guess とかが最初につくことが多いですが、それをいちいち、「…と思う」「…と推測する」と日本語の文の最後できっちり訳出してしまうと、日本語として変な感じがしてしまいます。
I think that... のニュアンスをどうしても出したい場合は、あえて訳すならば、I think that... 「僕が思うに、…」みたいになるでしょうが、それも、なんとなく「とってつけたような感じ」も否めません。
これと関係する話が、マーク・ピーターセンさんの 続・日本人の英語 (岩波新書) にも出てきます。
「続・日本人の英語」からの引用部分は、緑色で書きます。
p.121 隠れた意志
「マークも行けば?」
「ええ? 僕も行くんですか?」
英語なら、同じことを
You mean you want me to go, too? (つまり、僕にも行ってほしいってわけ?)
Are you saying I should go, too? (僕も行った方がいいと言うんですか?)
などのように表現し、たいていの場合、人の意志や判断(すなわち、人の「つもり」)を明らかにしようとする。
(中略)
英語では、決して
What? Am I going, too?
あるいは、
What? Will I go, too?
とは言わない。なのに、(日本語の)「僕も行くんですか」を聞くと、単純に "I'm going, too?" や "I'll go, too?" のような英語しか浮かんでこないのである。
(中略)
「僕も行くんですか」という日本語のどこを捜しても、相手の「つもり」は見つからない。いわば、意志が「隠れている」のである。
(中略)
「つもり」をはっきりさせない「美学」は日本語の一部である。
英語を日本語に訳す場合に、I think などといちいち訳さないようにする、というのは簡単な話です。
が、日本語で省略されてしまっているそういう「話者の”つもり”」を、英語を使う時には、隠さずきちんと示さなければならない、という部分が、日本人にとっては盲点なのですね。
ピーターセンさんが訳されたように、You mean... や、Are you saying... で文章を始める、という感覚を、日本人が英語を作る場合にも持たなくてはいけません。
日本語は「…だろ?」「…だよね。」「…だったっけ?」「…じゃないかなぁ。」「…だってば。」みたいに、バリエーションに富んだ語尾変化で、文の最終的なニュアンス、つまりは「話者の”つもり”」を出そうとします。
そこにはいったいどういう「つもり」が隠されているのか、ということを、きちんと英語に訳出しなければ、英語圏の人に話が通じない、ということになるわけです。
第7章 英語動詞の”腕力”
p.125 英語は”変化”を”行為”として表そうとする!
「英語にもっと強くなる本」の p.126 では、SVOの第3文型の例文を挙げて、英語動詞の”腕力”について説明されています。
Steam drives machinery. 蒸気は機械を動かす
Wires conduct electricity. 針金は電気を伝える
これらの文における英語動詞の”腕力”の強さを表すためには、俗な言い方になるが「〜しちゃう」という言葉を補って訳すしかないように思う。たとえば、「蒸気は機械を動かしちゃう」とか「針金は電気を伝えちゃう」といった訳し方だ。
これに対し、日本語はむしろ自動詞的な表現を好むように思う。すなわち、
「機械は蒸気で動く」
「電気は針金を通して伝わる」
といった表現法だ。これでは、主体としての蒸気や針金の”頑張り”は感じられなくなるのである。
「頑張り」という言葉がなるほどなぁ、と思うのですが、何が動かすのか、何が伝えるのか、という、主体が誰・何であるか、という部分を、英語は明確にしようとしますね。
また拙著の話になって恐縮ですが(笑)、拙著 シットコムで笑え! 楽しくきわめる英語学習法 の p.35 で、日本語とはまったく異なる「英語のスピリット」のような部分 について触れています。
そこでは、exciting と excited 、annoying と annoyed の違いを説明しているのですが、
他動詞では「何が何に対して作用しているのか」という力の向きが非常に重要なのです。
と私は書いています。
英語ではそういう「腕力のある他動詞」を使うことで、SがOに対して、Vという行為を行っている、ということが明確になるのですね。
英語は「人間中心主義」、日本語は「ことがら中心主義」という晴山さんのお言葉通り、物事を動かす主体としての「人間」(または物も可)をはっきりと示すのが英語の特徴だ、ということになるのですね。
第10章 英語は流れ、日本語は落ちていく!
p.175 日本語は本来「縦書き」の世界だ。つまり重力に従って、下に向かって落ちていく世界である。これに対し、英語は「横書き」の世界で、これは重力に逆らって、横方向に流れていく世界だ。
p.177 英語が横に流れるためには、重力ではなく初期動力(イニシャル・インパルス)が必要となる。それこそ「S+V」というすべての英文が装備している《バネ仕掛け》の正体だったのである。
p.180 「上下の言語」と「左右の言語」
重力に従って下に落ちていく日本語では、「被修飾語」は常にいちばん下ですべての修飾語句を受け止めなくてはならない。これに対し、横に流れる英語では、修飾語の問題は「上下」ではなく「左右」の配置の違いの問題なのだ。軽い修飾語は先行して左に、重い修飾語は後ろに回って右に、というわけである。
晴山さんがおっしゃるように、日本語は「いちばん下ですべての修飾語句を受け止める」という性質がありますね。
今のように横書きが増えている現代においても、「下(あるいは最後)で受け止める」という日本語の基本的構造は変わっていません。
それで、日本語にない関係代名詞を使った文章を日本語らしい文章に直そうとすると、「訳し上げ、後ろから前に訳す」ことが必要になってきたりするわけです。
でも、英語を英語のまま読む場合、「左から右へ流れる」という英文の性質を考えると、そういう「訳し上げ」は非常に不自然な読み方であることがわかりますね。
日本語は「下で受け止める」傾向にあり、修飾語だけではなく、メインの動詞も一番最後に持ってきて、文を締める、という傾向にもあります。
その日本語の感覚を、つまり「縦書き・上下」の感覚を、英語を読む・聞く時に持ち込もうとするから、英語をあの語順ですんなり理解することができなくなるのですね。
英語は左から右へ流れるものだ、ということは、わかりきった事実のようでいて、左から右へという流れは日本語と異なる感覚である、ということをよく認識すべきなのだろうと思います。
p.181 (日本語は「上下の言語」、英語は「左右の言語」という)このような発見をできるのも、やはり「日本語原文とその英訳」をセットにして学習する時である。だから、私は日本語という「補助輪」を付けて英語を考えることに、大きな価値を認めている。どうせ英語を学ぶなら、表層的な翻訳ではなく、このような深いところでの両言語の特質の違いにまで注意を向けたいものだ。
英語と日本語を見比べてみてわかること、というのは確かにあるはずです。
私も、フレンズのセリフに自分なりの日本語訳を付けるという行為を通して、「日本語ではこんな風に言わないなぁ」という「英語らしい表現」にたくさん気づくことができました。
英語を日本語に訳す、ということは英単語を日本語の訳語に置き換えることではないのです。
その英語をイメージし、ニュアンスをつかみ、それを日本語にするとこんな感じ、と訳してみて、それで改めて二者を比較する…そこで、日本語では、I や you をいちいち言わないこと、などを発見するのですね。
私は英語を学んでみて、you という単語は何て便利なんだろう、と思いました。
相手が目上でも使えますよね。
逆に日本語では「あなた」という言葉を使う機会があまりありません。
コメントのやり取りをしている時にいつも思うのですが、英語風に「あなたが言うように」と書いてしまうと、ものすごく傲慢な感じがしてしまいます。
日本語では、相手のことを「あなた」と呼べる間柄は限られているように思います。
それで「誰々さんがおっしゃるように」という書き方にならざるを得ません。
(相手に対して敬意を表したい場合は、このように敬語を使うことにもなります。)
それをただ、you で済ますことができる英語はラクだ…というか、それだけ、英語では you が頻出し、日本語ではそれだけ「あなた」という言葉を使わずに話が進む、ということでもあるのですね。
「日本語だったらこう表現する」と比較することで、普段日本語を使う際には意識しない部分を、英語を使う時には意識していかなければいけない、ということに気づくのです。
英語を習得するためには、単語・文法…といろいろ必要なことがあるでしょう。
でも、一番大切なのは、こういう「英語独特のクセ」を理解した上で、実際に生きた英語に当たり、「これもそうだ、あれもそうだ」と英語独特の感覚、英語的発想を自分のものにしていく、ということです。
文法の穴埋め問題は得意だけど、英語がとっさに口から出てこない、という場合は、まず、「英語とはこういうものだ!」という大きな部分での理解から始めてみてはいかかでしょうか?
文法の穴埋め問題のような、「ここは、to 不定詞か、-ing か?」というような細かい用法は、ざっとした文章が書けた上で、より正確な文章にするために使うものに過ぎません。
話す、書く場合に必要なことは、「まず出だしを何で始めたらいいか?」、つまりは「基本的な文章の構造をどうしたらいいか?」という大きな部分です。
私がこれまで英語に触れてきて、漠然と感じていたことを、この本で晴山さんがうまくまとめて下さっていると感じました。
とても面白い本でした。
英語と日本語の違いから、英語特有のクセを知りたいという方、是非、晴山さんの「英語にもっと強くなる本」を読んでみて下さい。
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2008年11月23日
誤差を承知で TOEIC結果(第142回)
2008年10月26日実施の第142回TOEIC を受験していました。
その結果が昨日郵送されてきましたので、ブログでご報告します。
つまり、リスニング 495点(満点)、リーディング 460点、合計 955点。
過去最高点は、ブログタイトルの下に看板として掲げているように、「TOEIC945点(リスニング満点)」、つまり、
リスニング 495点(満点)、リーディング 450点、合計 945点
だったので、リーディングが 10点(だけ…笑)上がったことになり、自己最高を更新したことになります。
とりあえずは良かった、良かった…。
TOEIC は点数が統計学的に処理されているので、誤差があると言いますね。
今回の 10点アップも、誤差の範囲と言ってしまえばそれまでですが、英語のプロでない私が看板として使っている資格である以上、少しの点数アップでも、それを書き換えたいと思う…それが正直な気持ちです。
少しでも TOEIC の点数が高くなることで、このブログの内容に説得力が出るのならば…という気持ちなのです。
新TOEIC実は受けてました で、930点から945点に上がった時に、「どうせなら「もう一声!」、950点の大台(?)に乗りたかったですねぇ…。」と書きました。
その辺はもう「気分の問題」で、例えわずか 10点アップであっても、そんなのは誤差で、その 10点アップに何の意味がなかったとしても、今回、945点から 955点になり、「950点以上」を取れたことが嬉しい、ということもあるんですよね。
TOEIC は、このようにかっちりと数字で点数が出る試験ですから、データとして処理され、50点刻みでランク分けされた場合、これまでは「950点未満」、これからは「950点以上」の仲間入りができる、ということです。
895点と 900点ほどの気持ちの違いはないにしても、やはり「950点前後」と「950点以上」は、自分で点数を名乗る場合の気持ちが少し違うんです。
アラフォーと30代後半との違い、みたいなもんでしょうか?(点数は1点でも高く、年齢は1歳でも低く…爆)
新TOEIC実は受けてました で TOEIC という試験に振り回されたくない、という話を延々書きましたが、今でもその気持ちに変わりはありません。
死ぬまでに一度、満点が取れればいいなぁ、とは思っていますが、後は、少しでも点数が上がれば、偏差値だから、誤差があるから、とか言わずに、素直に喜んでいきたいと思っています。
自分が今後、英語学習を続ける上で、励ましになる形ならばそれでいいのです。
参考までに、ABILITIES MEASURED (項目別正答率)も画像で表示しておきます。
リスニングは、上から、100%, 96%, 100%, 94%
リーディングは、上から、94%, 100%, 94%, 88%, 96%
リスニングは満点と言っても、やはりまだ何問か間違っていますね。
自分では1問間違えた記憶はあるのですが…。
他にも間違ったみたいですね。
リーディングは、Part 5 で4問悩んだ記憶があります。
語彙の 88% と、文法 96% というのはそれですね。
実際に Part 5 でもっと間違っているのかどうか、というのは、よくわかりません。
Part 6 & 7 は、間違ったという自覚がないんですが(笑)、それが実は一番やばいんですよねぇ。
自分で「どことどこを間違った」というのがはっきりわかっていない間は、なかなか満点を取れるようにはならないだろうなぁ、と思います。
そういう部分が満点ホルダーの人との違いで、私もまだまだ修行が足りません。
…ということで、わざわざ読者の皆様に報告するほどの点差でもなかったのですが、数日後、ブログのタイトル下に掲げている看板やランキングの宣伝文句(?)の点数も変えるつもりですので、一応のご報告まで。
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その結果が昨日郵送されてきましたので、ブログでご報告します。
つまり、リスニング 495点(満点)、リーディング 460点、合計 955点。
過去最高点は、ブログタイトルの下に看板として掲げているように、「TOEIC945点(リスニング満点)」、つまり、
リスニング 495点(満点)、リーディング 450点、合計 945点
だったので、リーディングが 10点(だけ…笑)上がったことになり、自己最高を更新したことになります。
とりあえずは良かった、良かった…。
TOEIC は点数が統計学的に処理されているので、誤差があると言いますね。
今回の 10点アップも、誤差の範囲と言ってしまえばそれまでですが、英語のプロでない私が看板として使っている資格である以上、少しの点数アップでも、それを書き換えたいと思う…それが正直な気持ちです。
少しでも TOEIC の点数が高くなることで、このブログの内容に説得力が出るのならば…という気持ちなのです。
新TOEIC実は受けてました で、930点から945点に上がった時に、「どうせなら「もう一声!」、950点の大台(?)に乗りたかったですねぇ…。」と書きました。
その辺はもう「気分の問題」で、例えわずか 10点アップであっても、そんなのは誤差で、その 10点アップに何の意味がなかったとしても、今回、945点から 955点になり、「950点以上」を取れたことが嬉しい、ということもあるんですよね。
TOEIC は、このようにかっちりと数字で点数が出る試験ですから、データとして処理され、50点刻みでランク分けされた場合、これまでは「950点未満」、これからは「950点以上」の仲間入りができる、ということです。
895点と 900点ほどの気持ちの違いはないにしても、やはり「950点前後」と「950点以上」は、自分で点数を名乗る場合の気持ちが少し違うんです。
アラフォーと30代後半との違い、みたいなもんでしょうか?(点数は1点でも高く、年齢は1歳でも低く…爆)
新TOEIC実は受けてました で TOEIC という試験に振り回されたくない、という話を延々書きましたが、今でもその気持ちに変わりはありません。
死ぬまでに一度、満点が取れればいいなぁ、とは思っていますが、後は、少しでも点数が上がれば、偏差値だから、誤差があるから、とか言わずに、素直に喜んでいきたいと思っています。
自分が今後、英語学習を続ける上で、励ましになる形ならばそれでいいのです。
参考までに、ABILITIES MEASURED (項目別正答率)も画像で表示しておきます。
リスニングは、上から、100%, 96%, 100%, 94%
リーディングは、上から、94%, 100%, 94%, 88%, 96%
リスニングは満点と言っても、やはりまだ何問か間違っていますね。
自分では1問間違えた記憶はあるのですが…。
他にも間違ったみたいですね。
リーディングは、Part 5 で4問悩んだ記憶があります。
語彙の 88% と、文法 96% というのはそれですね。
実際に Part 5 でもっと間違っているのかどうか、というのは、よくわかりません。
Part 6 & 7 は、間違ったという自覚がないんですが(笑)、それが実は一番やばいんですよねぇ。
自分で「どことどこを間違った」というのがはっきりわかっていない間は、なかなか満点を取れるようにはならないだろうなぁ、と思います。
そういう部分が満点ホルダーの人との違いで、私もまだまだ修行が足りません。
…ということで、わざわざ読者の皆様に報告するほどの点差でもなかったのですが、数日後、ブログのタイトル下に掲げている看板やランキングの宣伝文句(?)の点数も変えるつもりですので、一応のご報告まで。
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2008年11月21日
隠れた主語の神が前面に出てくる フレンズ3-16その13
前回の記事、ナイスに扱われることを意図されたエリア フレンズ3-16その12 で、
フィービー: For your information, this happens to be a pain like no man will ever experience. (参考までに言っておくと、これは男性が決して経験することのないような痛みだったりするのよ。)
チャンドラー: Yeah, well, I don't think you can make that statement, unless you've been kicked in an area that God only meant to be treated nicely. (そうだな。そんな発言できないと思うよ。大切に[心地よく]扱われるように意図され(て作られ)た部分を蹴られた経験があるのなら、話は別だけどね。)
というやり取りがありました。
その you've been kicked in an area that God only meant to be treated nicely について、ざっと以下のように説明しました。
(be) meant to は「(物が)〜であることを[〜するように]意図されて[作られて]いる」という意味で、mean to 「…するつもりである」が過去分詞で受身になった形。
過去分詞形 meant となっている mean の主語は God だと思うのですが、その mean の主語の God がこの位置に来る理由を文法上うまく説明できません。
その記事のコメント欄で、
you've been kicked in an area that was meant (by God) to be treated nicely
みたいなニュアンスだと思う、というご意見をいただいたのですが、私もそういうニュアンスを感じたのです。
ですから、その by God がどうしてこの位置に来るんだろう?と思ったんですね。
でも、考えているうちにあることに気づきました。
この meant は過去分詞形じゃなくて、「過去形」なのではないか?と。
コメント欄でいただいた文章 that was meant (by God) to be treated nicely のように、関係代名詞の that を使って書く場合は、that was meant となりますね。
そして、that was を省略すると、形容詞の後置修飾の形になって、in an area meant to be ... と表現することも可能ですよね。
でも、セリフでは、in an area that God only meant となっていて、「that があるのに be動詞がない」、もしくは「meant という過去分詞だけで後置修飾できるのに、that がついている」みたいなことになっています。
be meant to do 「(物が)〜であることを[〜するように]意図されて[作られて]いる」という決まった表現があるので、その (be) meant to だとばかり思ってしまったのですが、このセリフの meant を mean の過去形の meant だと考えると、文法上しっくりきます。
研究社 新英和中辞典の mean の項目を見ると、以下の用法があります。
mean=(+目+to do)(…に)(…するように)予定する、計画する (注 しばしば受身で用いる)
例) I certainly mean him to come. もちろん彼に来てもらうつもりです。
つまり、mean という単語は、"S+mean+O+to do" という形を取れる、ということですね。
その考えで行くと、元々、
God only mean an area to be treated nicely. 「神はある場所が nicely に取り扱われるようにだけ意図する、計画する」
という文があって、その mean を過去形にすると、
God only meant an area to be treated nicely.
になって、
その an area を先行詞として前に出して、that という関係代名詞を使って後ろから修飾すると、
(in) an area that God only meant to be treated nicely
になる、という仕組みなのかな、と思いました。
ですから、日本語訳としては、「神が nicely に扱われるようにとだけ”計画した・意図した”エリア」ということになるかなぁ、と思います。
つまり、「(神によって)意図された」という受身の意味の過去分詞 meant ではなくて、「神が意図した」というS+V(過去形 meant)のようだ、というのが今の私の結論なのですが、どうでしょう??
meant something to be treated という文章で、目的語の something が先行詞として前に出たために、meant と to がくっつく形になってしまい、meant to be treated という一続きの過去分詞表現に見えてしまった、という間違いかな、と思うのです。
わざわざ一つの記事として投稿したのは、この meant に関しての興味深い話が、ある本に載っていたからです。
その本とは、マーク・ピーターセンさんの 続・日本人の英語 (岩波新書) です。
p.8 で、映画「雨に唄えば」の中の曲、You Were Meant For Me について語られています。
mean という単語を語る中で、I guess it just wasn't meant to be. (まあ、もともと縁がなかったんだろう。)という表現も出てきます。
以下、一部引用させていただきますと、
p.10 隠れた主語は「神」
"were meant for" という英語は、受動態である。ということは、能動態の "meant for (mean for の過去形)もあるはずである。それに、その主語もどこかにあるはずである。つまり、
Who meant you for me? という問題になる。
p.11 "mean" の受動態の多くの場合、その「つもり」をもつ、背景にある主語は「運命」、あるいは、もっと厳密に言えば「造物主」である。「神」である。
上の例文では、mean someone for という形になっていますが、まさに mean の過去形の能動態(meant)の話が出ています。
be meant to という受動態がよく使われ、その隠れた主語は神である、ということは暗黙の了解のようです。
ですから、今回のセリフも、
in an area that was meant to be treated nicely
または、that was を省略して、
in an area meant to be treated nicely
と表現することも可能だと思います。
ですが、チャンドラーはその「隠れた主語」である神をはっきりと出すために能動態の形にした、それが、
in an area that God only meant to be treated nicely なのだと思いました。
実際の発音も God にアクセントがきていて、「神様がただただ、そこが nicely に扱われるように…と思って作ったエリアを蹴られる」という対比、その神の思し召しに反して、大切な部分を蹴られてしまう、という不幸な出来事、想定外の出来事、という感じがより出るのかな、と思いました。
文法的に考えると、目的語が前に出た関係代名詞の形だと理解しやすいのですが、be meant to という過去分詞を使った表現が有名でそれが頭にあったために、「meant は過去分詞」という考えから抜け出せなかったようです。
普段は過去分詞 meant を使うことで隠れている by God が、素直に能動態を使うことで、SVの形ではっきり God が主語だと明示できた、ということだと思います。
この解釈、いかがでしょうか??
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フィービー: For your information, this happens to be a pain like no man will ever experience. (参考までに言っておくと、これは男性が決して経験することのないような痛みだったりするのよ。)
チャンドラー: Yeah, well, I don't think you can make that statement, unless you've been kicked in an area that God only meant to be treated nicely. (そうだな。そんな発言できないと思うよ。大切に[心地よく]扱われるように意図され(て作られ)た部分を蹴られた経験があるのなら、話は別だけどね。)
というやり取りがありました。
その you've been kicked in an area that God only meant to be treated nicely について、ざっと以下のように説明しました。
(be) meant to は「(物が)〜であることを[〜するように]意図されて[作られて]いる」という意味で、mean to 「…するつもりである」が過去分詞で受身になった形。
過去分詞形 meant となっている mean の主語は God だと思うのですが、その mean の主語の God がこの位置に来る理由を文法上うまく説明できません。
その記事のコメント欄で、
you've been kicked in an area that was meant (by God) to be treated nicely
みたいなニュアンスだと思う、というご意見をいただいたのですが、私もそういうニュアンスを感じたのです。
ですから、その by God がどうしてこの位置に来るんだろう?と思ったんですね。
でも、考えているうちにあることに気づきました。
この meant は過去分詞形じゃなくて、「過去形」なのではないか?と。
コメント欄でいただいた文章 that was meant (by God) to be treated nicely のように、関係代名詞の that を使って書く場合は、that was meant となりますね。
そして、that was を省略すると、形容詞の後置修飾の形になって、in an area meant to be ... と表現することも可能ですよね。
でも、セリフでは、in an area that God only meant となっていて、「that があるのに be動詞がない」、もしくは「meant という過去分詞だけで後置修飾できるのに、that がついている」みたいなことになっています。
be meant to do 「(物が)〜であることを[〜するように]意図されて[作られて]いる」という決まった表現があるので、その (be) meant to だとばかり思ってしまったのですが、このセリフの meant を mean の過去形の meant だと考えると、文法上しっくりきます。
研究社 新英和中辞典の mean の項目を見ると、以下の用法があります。
mean=(+目+to do)(…に)(…するように)予定する、計画する (注 しばしば受身で用いる)
例) I certainly mean him to come. もちろん彼に来てもらうつもりです。
つまり、mean という単語は、"S+mean+O+to do" という形を取れる、ということですね。
その考えで行くと、元々、
God only mean an area to be treated nicely. 「神はある場所が nicely に取り扱われるようにだけ意図する、計画する」
という文があって、その mean を過去形にすると、
God only meant an area to be treated nicely.
になって、
その an area を先行詞として前に出して、that という関係代名詞を使って後ろから修飾すると、
(in) an area that God only meant to be treated nicely
になる、という仕組みなのかな、と思いました。
ですから、日本語訳としては、「神が nicely に扱われるようにとだけ”計画した・意図した”エリア」ということになるかなぁ、と思います。
つまり、「(神によって)意図された」という受身の意味の過去分詞 meant ではなくて、「神が意図した」というS+V(過去形 meant)のようだ、というのが今の私の結論なのですが、どうでしょう??
meant something to be treated という文章で、目的語の something が先行詞として前に出たために、meant と to がくっつく形になってしまい、meant to be treated という一続きの過去分詞表現に見えてしまった、という間違いかな、と思うのです。
わざわざ一つの記事として投稿したのは、この meant に関しての興味深い話が、ある本に載っていたからです。
その本とは、マーク・ピーターセンさんの 続・日本人の英語 (岩波新書) です。
p.8 で、映画「雨に唄えば」の中の曲、You Were Meant For Me について語られています。
mean という単語を語る中で、I guess it just wasn't meant to be. (まあ、もともと縁がなかったんだろう。)という表現も出てきます。
以下、一部引用させていただきますと、
p.10 隠れた主語は「神」
"were meant for" という英語は、受動態である。ということは、能動態の "meant for (mean for の過去形)もあるはずである。それに、その主語もどこかにあるはずである。つまり、
Who meant you for me? という問題になる。
p.11 "mean" の受動態の多くの場合、その「つもり」をもつ、背景にある主語は「運命」、あるいは、もっと厳密に言えば「造物主」である。「神」である。
上の例文では、mean someone for という形になっていますが、まさに mean の過去形の能動態(meant)の話が出ています。
be meant to という受動態がよく使われ、その隠れた主語は神である、ということは暗黙の了解のようです。
ですから、今回のセリフも、
in an area that was meant to be treated nicely
または、that was を省略して、
in an area meant to be treated nicely
と表現することも可能だと思います。
ですが、チャンドラーはその「隠れた主語」である神をはっきりと出すために能動態の形にした、それが、
in an area that God only meant to be treated nicely なのだと思いました。
実際の発音も God にアクセントがきていて、「神様がただただ、そこが nicely に扱われるように…と思って作ったエリアを蹴られる」という対比、その神の思し召しに反して、大切な部分を蹴られてしまう、という不幸な出来事、想定外の出来事、という感じがより出るのかな、と思いました。
文法的に考えると、目的語が前に出た関係代名詞の形だと理解しやすいのですが、be meant to という過去分詞を使った表現が有名でそれが頭にあったために、「meant は過去分詞」という考えから抜け出せなかったようです。
普段は過去分詞 meant を使うことで隠れている by God が、素直に能動態を使うことで、SVの形ではっきり God が主語だと明示できた、ということだと思います。
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2008年11月19日
ナイスに扱われることを意図されたエリア フレンズ3-16その12
[Scene: Monica's Bedroom, Monica and Phoebe are removing the rest of their wax strips.]
モニカのベッドルーム。モニカとフィービーは残りのワックス片をはがしているところ。
モニカ&フィービー: Ow!!!!!!! Ow-ow-ow-ow! (あぁ! あーあーあーあー!)
(Hearing the screaming Chandler and Joey rush in. Joey has a pan, Chandler has a tea kettle.)
その叫びを聞いて、チャンドラーとジョーイが駆け込んでくる。ジョーイは鍋、チャンドラーはやかんを持っている。
フィービー: We're all right. (私たちは大丈夫。)
モニカ: It's okay, it's okay. (大丈夫、大丈夫よ。)
フィービー: We're all right. (大丈夫なの。)
モニカ: We were just waxing our legs. (私たちはただ、足にワックスを塗っていた[ワックスで脱毛していた]だけなの。)
チャンドラー: Off?!! (はがしてた(だけ)?)
フィービー: For your information, this happens to be a pain like no man will ever experience. (参考までに言っておくと、これは男性が決して経験することのないような痛みだったりするのよ。)
チャンドラー: Yeah, well, I don't think you can make that statement, unless you've been kicked in an area that God only meant to be treated nicely. (そうだな。そんな発言できないと思うよ。大切に[心地よく]扱われるように意図され(て作られ)た部分を蹴られた経験があるのなら、話は別だけどね。)
ジョーイ: Yeah, I-I think that women just have a lower threshold for pain than men, that's all. I mean, come on, it's just a little wax. (そうだよ。女性は男性より、痛みに対する限界点[線]が低いだけだよ、それだけだ。ほら、ほんのちょっとのワックスじゃないか。)
フィービー: Oh yeah, come here. (Puts a little wax on Joey's arm and puts a strip on it.) (あぁ、そうね。こっちに来て。[ジョーイの腕に少しのワックスを塗って、ストリップ[一片]をつける]
チャンドラー: Oh, that's mature. (おぉ、それって大人っぽいね。)
ジョーイ: Okay, fine, so now what, I just pull it off? (オッケー、よし。それでどうするの、ただ、引っ張りはがせばいいだけ?)
フィービー: Uh-huh. (そうそう。)
モニカ: That's right. (それでいいわ。)
(Joey laughs, pulls it off, then does a high-pitched whine.)
ジョーイは笑い、ストリップを引っ張りはがす。そして、甲高いすすり泣くような声を上げる。
二人でストリップをはがしては、アオアオ、アウアウ!と叫んでいるので、チャンドラーとジョーイが何事かと寝室に駆け込んできます。
ジョーイはミルクパンみたいな鍋、チャンドラーは黄色い三角のケトルを手にしています。
犯罪者でもいるのかと思って、武器を持って参上したのでしょうが、悪者を撃退するのにあまり役に立たなさそうなトンチンカンなものを持っているのがポイントですね。
ワックスで脱毛してただけよ、という二人に、チャンドラーは、大声で、"Off?!!" と言っています。
おそらくこれは「分離」を表す off で、足にはったそいつをただ「はがしてただけ」?みたいにあきれた感じで言っているのかなぁ?と思いました。
「はがす」だけで、あんな大声を出したのか?という感じかな、と思います。
this happens to be a pain like no man will ever experience. について。
no という否定語と ever との組み合わせで、「決して…ない」(=never)の意味になります。
研究社 新英和中辞典にも、
ever=(否定文で)かつて(…することがない)、決して(…ない)
(用法) not ever で never の意になる
例) I won't ever forget you. 決して君のことは忘れない。
という説明が載っています。
no man has ever experienced という現在完了形なら、「どんな男性もかつて経験したことがない」という過去から現在までの経験を言うことになるのでしょうが、この場合は、no man will ever experience と will が使われていますので、「どんな男性もこれから決して経験することのない」みたいなニュアンスになると思います。
I don't think you can make that statement, unless you've been kicked in an area that God only meant to be treated nicely. について。
英辞郎には、以下の語義が載っています。
meant to=
1. (be 〜) (物が)〜であることを[〜するように]意図されて[作られて]いる
2. (be 〜) (人が)〜になるよう運命づけられている
mean to 「…するつもりである」が過去分詞で受身になった形ですね。
God only meant to となっているのは、意図したのが神である、「神がただ…であるようにと意図して作った」というニュアンスかな、と思います。
すなわち mean の主語が God である、ということだと思うのですが、ただ、その mean の主語の God がこの位置に来る理由を文法上うまく説明できません。
神によって、be treated nicely であることを意図されて作られた、神様が本来、そこを nicely に扱うようにとお作りになった部分、つまり、男性の大事な部分(笑)を、乱暴に蹴られた経験がないのなら、みたいなことですね。
nicely のニュアンスは、ロングマン現代英英辞典では、
nicely:
1. WELL
in a satisfactory, pleasant, or attractive way
2. IN A FRIENDLY/PLEASANT WAY
in a pleasant, polite, or friendly way
つまり、1. は「満足な、心地よい、または魅力的な方法で」、2. は「心地よい、丁寧な、または親切な方法で」。
いずれにしても良い意味ですが、デリケートで敏感な部分であるということで「大切に扱う、優しく扱う」という意味で言っているのか、それとも、エッチの時に快感を感じる部分だということで「心地よく(なるように)扱う」という意味で言っているのかがよくわかりません。
多分、蹴られるというような乱暴なことは想定されていない部分である、という意味で「大切に優しく扱われる」という意味だとは思うのですが…。
Unless はこれまでに何度も出ているように、否定の条件を表して、「もし…でなければ、…でない限り、…なら話は別だが」という意味になります。
ですから、「こんな痛み、男性は経験したことないでしょ、みたいに言うけど、それは、大事な部分を蹴られる、という男性の一番痛い経験をしてから言って欲しいな。」という意味になり、女性はそういうのを最高の痛みみたいに言うけど、男性には男性にしかわからない究極の痛みというのがあるんだ、あそこを蹴られた経験がないものにはそれがわからないんだよ。あれを超える痛みなんてないよ。あれを経験してから、そういうことを言ってくれよ。」ということが言いたいのですね。
そういう「男性の大事な部分」を説明するのに、that God only meant to be treated nicely という表現を使っているのが笑えるのです。
あそこは本来、大事に、大切に扱ってもらうべきところなんだ、ということですね。
threshold は「敷居、入り口」で、そこから「出発点、発端」「限界、境界」という意味にもなります。
women just have a lower threshold for pain than men は、耐えられる痛みのレベルが低い、ちょっとの限界を超えるとすぐに女性は痛がるんだよ、みたいなことですね。
どれだけ痛いが試しにやってみる?ということで、腕にワックスを塗られたジョーイ。
それを見て、チャンドラーが "Oh, that's mature." と言っているのですが、それは、男性なのに脱毛をしているところが、成熟した大人みたいだ、と言っているのでしょうかねぇ?
それとも、「ワックス塗ってみろよ、俺は痛がらないからさ。」と、実際に痛みを経験するために、腕にストリップをつけている姿が何だか子供っぽいので、皮肉っぽく「お前、大人だねぇ…」と言っているのでしょうか?
ストリップをはがした後の様子、ト書きでは、does a high-pitched whine と書いてあります。
whine は「すすり泣きの声」。
ンンンー!と一瞬、小さな甲高い声を上げて、口はギュッと閉めたままで、でも涙がちょちょぎれそうな感じ。
耐えられないような痛みじゃないよ、と言って試しているわけですから、痛い!とか、ギャー!とか言うわけにもいかず、a high-pitched whine になってしまったのですね。
それを試す前、ジョーイは、it's just a little wax. と言っていました。
ペインフリーとペインフル フレンズ3-16その9 で、「ペインフリー(無痛)だなんてとんでもない、ペインフルよ。」と言った後、
モニカ: ... they should call it "Pain-zine, now with a little wax." (こう呼ぶべきよ、「ペイン・ジーン。今、少しのワックスで。」)
と、言っていました。
ジョーイの一瞬の whine が、そのモニカの考えた新しいキャッチフレーズを図らずも証明してしまった感じです。
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モニカ&フィービー: Ow!!!!!!! Ow-ow-ow-ow! (あぁ! あーあーあーあー!)
(Hearing the screaming Chandler and Joey rush in. Joey has a pan, Chandler has a tea kettle.)
その叫びを聞いて、チャンドラーとジョーイが駆け込んでくる。ジョーイは鍋、チャンドラーはやかんを持っている。
フィービー: We're all right. (私たちは大丈夫。)
モニカ: It's okay, it's okay. (大丈夫、大丈夫よ。)
フィービー: We're all right. (大丈夫なの。)
モニカ: We were just waxing our legs. (私たちはただ、足にワックスを塗っていた[ワックスで脱毛していた]だけなの。)
チャンドラー: Off?!! (はがしてた(だけ)?)
フィービー: For your information, this happens to be a pain like no man will ever experience. (参考までに言っておくと、これは男性が決して経験することのないような痛みだったりするのよ。)
チャンドラー: Yeah, well, I don't think you can make that statement, unless you've been kicked in an area that God only meant to be treated nicely. (そうだな。そんな発言できないと思うよ。大切に[心地よく]扱われるように意図され(て作られ)た部分を蹴られた経験があるのなら、話は別だけどね。)
ジョーイ: Yeah, I-I think that women just have a lower threshold for pain than men, that's all. I mean, come on, it's just a little wax. (そうだよ。女性は男性より、痛みに対する限界点[線]が低いだけだよ、それだけだ。ほら、ほんのちょっとのワックスじゃないか。)
フィービー: Oh yeah, come here. (Puts a little wax on Joey's arm and puts a strip on it.) (あぁ、そうね。こっちに来て。[ジョーイの腕に少しのワックスを塗って、ストリップ[一片]をつける]
チャンドラー: Oh, that's mature. (おぉ、それって大人っぽいね。)
ジョーイ: Okay, fine, so now what, I just pull it off? (オッケー、よし。それでどうするの、ただ、引っ張りはがせばいいだけ?)
フィービー: Uh-huh. (そうそう。)
モニカ: That's right. (それでいいわ。)
(Joey laughs, pulls it off, then does a high-pitched whine.)
ジョーイは笑い、ストリップを引っ張りはがす。そして、甲高いすすり泣くような声を上げる。
二人でストリップをはがしては、アオアオ、アウアウ!と叫んでいるので、チャンドラーとジョーイが何事かと寝室に駆け込んできます。
ジョーイはミルクパンみたいな鍋、チャンドラーは黄色い三角のケトルを手にしています。
犯罪者でもいるのかと思って、武器を持って参上したのでしょうが、悪者を撃退するのにあまり役に立たなさそうなトンチンカンなものを持っているのがポイントですね。
ワックスで脱毛してただけよ、という二人に、チャンドラーは、大声で、"Off?!!" と言っています。
おそらくこれは「分離」を表す off で、足にはったそいつをただ「はがしてただけ」?みたいにあきれた感じで言っているのかなぁ?と思いました。
「はがす」だけで、あんな大声を出したのか?という感じかな、と思います。
this happens to be a pain like no man will ever experience. について。
no という否定語と ever との組み合わせで、「決して…ない」(=never)の意味になります。
研究社 新英和中辞典にも、
ever=(否定文で)かつて(…することがない)、決して(…ない)
(用法) not ever で never の意になる
例) I won't ever forget you. 決して君のことは忘れない。
という説明が載っています。
no man has ever experienced という現在完了形なら、「どんな男性もかつて経験したことがない」という過去から現在までの経験を言うことになるのでしょうが、この場合は、no man will ever experience と will が使われていますので、「どんな男性もこれから決して経験することのない」みたいなニュアンスになると思います。
I don't think you can make that statement, unless you've been kicked in an area that God only meant to be treated nicely. について。
英辞郎には、以下の語義が載っています。
meant to=
1. (be 〜) (物が)〜であることを[〜するように]意図されて[作られて]いる
2. (be 〜) (人が)〜になるよう運命づけられている
mean to 「…するつもりである」が過去分詞で受身になった形ですね。
God only meant to となっているのは、意図したのが神である、「神がただ…であるようにと意図して作った」というニュアンスかな、と思います。
すなわち mean の主語が God である、ということだと思うのですが、ただ、その mean の主語の God がこの位置に来る理由を文法上うまく説明できません。
神によって、be treated nicely であることを意図されて作られた、神様が本来、そこを nicely に扱うようにとお作りになった部分、つまり、男性の大事な部分(笑)を、乱暴に蹴られた経験がないのなら、みたいなことですね。
nicely のニュアンスは、ロングマン現代英英辞典では、
nicely:
1. WELL
in a satisfactory, pleasant, or attractive way
2. IN A FRIENDLY/PLEASANT WAY
in a pleasant, polite, or friendly way
つまり、1. は「満足な、心地よい、または魅力的な方法で」、2. は「心地よい、丁寧な、または親切な方法で」。
いずれにしても良い意味ですが、デリケートで敏感な部分であるということで「大切に扱う、優しく扱う」という意味で言っているのか、それとも、エッチの時に快感を感じる部分だということで「心地よく(なるように)扱う」という意味で言っているのかがよくわかりません。
多分、蹴られるというような乱暴なことは想定されていない部分である、という意味で「大切に優しく扱われる」という意味だとは思うのですが…。
Unless はこれまでに何度も出ているように、否定の条件を表して、「もし…でなければ、…でない限り、…なら話は別だが」という意味になります。
ですから、「こんな痛み、男性は経験したことないでしょ、みたいに言うけど、それは、大事な部分を蹴られる、という男性の一番痛い経験をしてから言って欲しいな。」という意味になり、女性はそういうのを最高の痛みみたいに言うけど、男性には男性にしかわからない究極の痛みというのがあるんだ、あそこを蹴られた経験がないものにはそれがわからないんだよ。あれを超える痛みなんてないよ。あれを経験してから、そういうことを言ってくれよ。」ということが言いたいのですね。
そういう「男性の大事な部分」を説明するのに、that God only meant to be treated nicely という表現を使っているのが笑えるのです。
あそこは本来、大事に、大切に扱ってもらうべきところなんだ、ということですね。
threshold は「敷居、入り口」で、そこから「出発点、発端」「限界、境界」という意味にもなります。
women just have a lower threshold for pain than men は、耐えられる痛みのレベルが低い、ちょっとの限界を超えるとすぐに女性は痛がるんだよ、みたいなことですね。
どれだけ痛いが試しにやってみる?ということで、腕にワックスを塗られたジョーイ。
それを見て、チャンドラーが "Oh, that's mature." と言っているのですが、それは、男性なのに脱毛をしているところが、成熟した大人みたいだ、と言っているのでしょうかねぇ?
それとも、「ワックス塗ってみろよ、俺は痛がらないからさ。」と、実際に痛みを経験するために、腕にストリップをつけている姿が何だか子供っぽいので、皮肉っぽく「お前、大人だねぇ…」と言っているのでしょうか?
ストリップをはがした後の様子、ト書きでは、does a high-pitched whine と書いてあります。
whine は「すすり泣きの声」。
ンンンー!と一瞬、小さな甲高い声を上げて、口はギュッと閉めたままで、でも涙がちょちょぎれそうな感じ。
耐えられないような痛みじゃないよ、と言って試しているわけですから、痛い!とか、ギャー!とか言うわけにもいかず、a high-pitched whine になってしまったのですね。
それを試す前、ジョーイは、it's just a little wax. と言っていました。
ペインフリーとペインフル フレンズ3-16その9 で、「ペインフリー(無痛)だなんてとんでもない、ペインフルよ。」と言った後、
モニカ: ... they should call it "Pain-zine, now with a little wax." (こう呼ぶべきよ、「ペイン・ジーン。今、少しのワックスで。」)
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2008年11月17日
話しちゃいけないことになってた? フレンズ3-16その11
[Scene: Phoebe's Work, Ross is now trying to stop Jasmine from telling Phoebe.]
フィービーの仕事場。ロスは今、ジャスミンがフィービーに話すのを止めようとしている。
ロス: (entering out of breath) Jasmine? ([息を切らして入ってきて] ジャスミン?)
ジャスミン: Uh-huh. (はい。)
ロス: We met at Phoebe's birthday party, I'm, I'm Ross Geller. (僕たち、フィービーの誕生日パーティーで会ったよね。僕は、僕は、ロス・ゲラーだ。)
ジャスミン: You did a bad thing! (あなた、ひどいことをしたわね!)
ロス: Yes, I did. (あぁ、その通りだ。)
ジャスミン: Very bad! (とてもひどいことを。)
ロス: Very bad. (とてもひどいことだ。)
ジャスミン: Very, very bad! (とても、とてもひどい!)
ロス: I'm agreeing with you. Did you, listen, did you happen to tell Phoebe yet? (僕は君に同意しているよ。ねぇ、もうフィービーに話したりした?)
ジャスミン: No. (いいえ。)
ロス: Okay, Jasmine, please, please don't. I love my girlfriend very much and I want more than anything to just work it out with her. Okay? (よし。ジャスミン、どうか、どうか言わないで。僕は彼女をとても愛しているんだ。そして、何よりも、彼女とやり直したいんだ。わかるだろ?)
ジャスミン: All right. (わかったわ。)
ロス: Thank you, thank you. (ありがとう、ありがとう。)
ジャスミン: But you should probably talk to my roommate, because I told him and he knows Phoebe too. (でも、私のルームメートに多分話をすべきだわ。私は彼に話をしたの、彼もフィービーを知ってるのよ[彼もフィービーの知り合いだわ]。)
ロス: (angrily) Who's your roommate? ([怒って] 君のルームメートって誰?)
[Scene: Central Perk, Gunther is wiping down the counter as Ross rushes in.]
セントラルパーク。ガンターがカウンターをふいていると、ロスが慌てて入ってくる。
ロス: Gunther! Gunther. Gunther, please tell me you didn't say anything to Rachel about me and the girl from the copy place. (ガンター! ガンター、ガンター。どうか僕に言ってくれ、レイチェルに何も言ってないって。僕とコピー屋の女の子とのことを。)
ガンター: I'm sorry. Was I not supposed to? (ごめんよ。僕は話しちゃいけないことになってたの?[言っちゃいけなかったの?])
(Ross turns around and sees Rachel sitting by the window. She is just glaring at him.)
ロスは振り向いて、レイチェルが窓の傍に座っているのを見る。彼女はただロスをにらみつけている。
stop someone from doing は「〜が…するのを妨げる(さまたげる)、〜に…させないようにする」。
discourage someone from doing 「〜に…することを思いとどまらせる」の from と同じ使い方ですね。
out of breath は「息切れして、息を切らして」。
フレンズ3-6その20 では、"We're out of beers." 「俺たち、ビールを切らしちゃってさ。」というセリフが出てきました。
この「ビールを切らす」のように、何かあるべき物体が存在しなくなっていることを日本語で「切らす」といいますね。
out of を、研究社 新英和中辞典で調べると、以下の語義と用例が載っています。
out of=
1. (…の状態)から離れて、…を脱して、…がなくて、…を失って
out of date 時代遅れで
out of danger 危険を脱して
out of breath 息を切らして
out of work [a job] 失職[失業]して
2. (もの)が不足して、…がなくなって
We are [have run] out of coffee. コーヒーが切れている。
out of breath と、out of coffee は別の語義として挙げられているので、厳密には意味が少々違うようですが、どちらの out of も、日本語で「切れる、切らす」と表現するのが面白いな、と思いました。
フレンズ3-16その10 で、ロスがアイザックに話しかける時、" we haven't actually met...." 「僕たちは、実際には会ったことないけど…」と言っていました。
今回のジャスミンにも、まず最初に、"We met at Phoebe's birthday party." と言った後、自己紹介しています。
ロスにとって、アイザック、ジャスミンは多少の顔見知りのはずなのですが、一応、お互い認識している相手であっても、それまであまり親しく話をした経験がない場合は、こんな風に、自己紹介みたいなものをすべきなんでしょうね。
全く知らない仲でもないから、どうか、僕のお願いを聞いてくれ、みたいな話の流れに持っていくためにも、相手との接点、自分がどういう経緯で相手を知っているか、というのを説明してから、深い話にもっていく必要がありますね。
more than anything は「どんなことよりももっと」ということですから、何よりも、彼女との仲を修復することについて頑張ってみたい、やり直したい、ということでしょう。
職場の同僚のフィービーには話してないと知って安心するロスですが、ルームメートには話してしまったとジャスミンは言っています。
それは、チャンドラーが考えたトレイルには出て来なかった繋がりです。
「ルームメートって誰?」と聞いたところで、ジャスミンの答えを画面に出さずに、ロスが慌てて「彼」を探しているシーンに移るのが、(ドラマではありがちな設定ではあるけれど)面白いですね。
wipe down について。
研究社 新英和中辞典では、
wipe down=(…を)(湿った布などで上下に)ふいてきれいにする
wipe down a horse=wipe a horse down 馬をきれいにふく
ただふいているだけではなくて、上下に動きがあって、より丁寧にふいている感じが出るのでしょうか。
Was I not supposed to? について。
be supposed to 「…することになっている」はフレンズに頻繁に登場しますね。
be supposed to については、フレンズ1-1その6 で詳しく説明しています。
今回のセリフは、not がついています。
be not supposed to は「…してはいけないことになっている」ですね。
英辞郎には、以下の例文が載っています。
I'm not supposed to be talking to you. あなたとこうして話していることは内緒なのよ。
また、研究社 新英和中辞典には、以下の例文が載っています。
We're not supposed to smoke in the classroom. 教室ではたばこを吸ってはいけないことになっている。
ロスが「僕とあの娘とのことをレイチェルに何も話してない、って言ってくれ。」と言った後のセリフですから、「僕は、そのことを話しちゃいけないことになってたの?」みたいな意味になりますね。
つまり、「話しちゃいけないだなんて知らなかったよ。」と言っていることになります。
そのセリフを聞いて、ガンターがもうレイチェルに話してしまった、ということがわかるのですね。
過去のエピソードからもわかるように、ガンターはレイチェルに片思いしています。
フレンズ3-7その7 では、レイチェルとイチャイチャしているロスに対して、We'll see. 「今にわかるよ。」と言っていました。
レイチェルに恋しているガンターが、ロスの決定的弱点を知って黙っているはずがありません。
「あれ、話しちゃいけなかったの?」などととぼけていますが、それは「だって、誰にも口止めされなかったし。」みたいな言い訳ですね。
ロスがガンターへのトレイルに気付いて、ロスが直接ガンターに「どうか言わないでくれ!」と頼んでいたら、どうなっていたでしょうか?
ガンターにとっては、ロスは恋敵ですから、自分が直接言わないまでも、何とかしてレイチェルにその事実を伝えたかもしれないので、必ず口止めできていたかどうかはわかりません。
ただ、スマートな(賢い)チャンドラーがトレイルを考えた時に、ガンターへの繋がりに気付かなかったことで、今回のような最悪な伝わり方を許してしまうことになった、つまり、ロスのことをよく思っていない人物(恋敵)から、浮気がバレてしまうことになった、というのが何ともやりきれない感じがします。
フレンズたちも、観客もそうですが、「まさか、ジャスミンのルームメートがガンターだったなんて!」という、びっくり仰天の結末なのですね。
ロスにとっては、あまりにも不運な展開です。
そして、レイチェルはセントラルパークにいました。
She is just glaring at him. というト書きが、レイチェルの様子をよく表しています。
glare は「にらみつける」。
glare については、過去記事、英英辞典で補完する で詳しく説明しています。
「見る」を意味する単語にはいろいろあるけれど、今回のレイチェルのように、angrily という「怒った感情」でじっと見つめることを glare と言うのですね。
ここでは何も言葉を発していませんが、そのことが却って、レイチェルの怒りや悲しみを表現している、という感じがします。
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フィービーの仕事場。ロスは今、ジャスミンがフィービーに話すのを止めようとしている。
ロス: (entering out of breath) Jasmine? ([息を切らして入ってきて] ジャスミン?)
ジャスミン: Uh-huh. (はい。)
ロス: We met at Phoebe's birthday party, I'm, I'm Ross Geller. (僕たち、フィービーの誕生日パーティーで会ったよね。僕は、僕は、ロス・ゲラーだ。)
ジャスミン: You did a bad thing! (あなた、ひどいことをしたわね!)
ロス: Yes, I did. (あぁ、その通りだ。)
ジャスミン: Very bad! (とてもひどいことを。)
ロス: Very bad. (とてもひどいことだ。)
ジャスミン: Very, very bad! (とても、とてもひどい!)
ロス: I'm agreeing with you. Did you, listen, did you happen to tell Phoebe yet? (僕は君に同意しているよ。ねぇ、もうフィービーに話したりした?)
ジャスミン: No. (いいえ。)
ロス: Okay, Jasmine, please, please don't. I love my girlfriend very much and I want more than anything to just work it out with her. Okay? (よし。ジャスミン、どうか、どうか言わないで。僕は彼女をとても愛しているんだ。そして、何よりも、彼女とやり直したいんだ。わかるだろ?)
ジャスミン: All right. (わかったわ。)
ロス: Thank you, thank you. (ありがとう、ありがとう。)
ジャスミン: But you should probably talk to my roommate, because I told him and he knows Phoebe too. (でも、私のルームメートに多分話をすべきだわ。私は彼に話をしたの、彼もフィービーを知ってるのよ[彼もフィービーの知り合いだわ]。)
ロス: (angrily) Who's your roommate? ([怒って] 君のルームメートって誰?)
[Scene: Central Perk, Gunther is wiping down the counter as Ross rushes in.]
セントラルパーク。ガンターがカウンターをふいていると、ロスが慌てて入ってくる。
ロス: Gunther! Gunther. Gunther, please tell me you didn't say anything to Rachel about me and the girl from the copy place. (ガンター! ガンター、ガンター。どうか僕に言ってくれ、レイチェルに何も言ってないって。僕とコピー屋の女の子とのことを。)
ガンター: I'm sorry. Was I not supposed to? (ごめんよ。僕は話しちゃいけないことになってたの?[言っちゃいけなかったの?])
(Ross turns around and sees Rachel sitting by the window. She is just glaring at him.)
ロスは振り向いて、レイチェルが窓の傍に座っているのを見る。彼女はただロスをにらみつけている。
stop someone from doing は「〜が…するのを妨げる(さまたげる)、〜に…させないようにする」。
discourage someone from doing 「〜に…することを思いとどまらせる」の from と同じ使い方ですね。
out of breath は「息切れして、息を切らして」。
フレンズ3-6その20 では、"We're out of beers." 「俺たち、ビールを切らしちゃってさ。」というセリフが出てきました。
この「ビールを切らす」のように、何かあるべき物体が存在しなくなっていることを日本語で「切らす」といいますね。
out of を、研究社 新英和中辞典で調べると、以下の語義と用例が載っています。
out of=
1. (…の状態)から離れて、…を脱して、…がなくて、…を失って
out of date 時代遅れで
out of danger 危険を脱して
out of breath 息を切らして
out of work [a job] 失職[失業]して
2. (もの)が不足して、…がなくなって
We are [have run] out of coffee. コーヒーが切れている。
out of breath と、out of coffee は別の語義として挙げられているので、厳密には意味が少々違うようですが、どちらの out of も、日本語で「切れる、切らす」と表現するのが面白いな、と思いました。
フレンズ3-16その10 で、ロスがアイザックに話しかける時、" we haven't actually met...." 「僕たちは、実際には会ったことないけど…」と言っていました。
今回のジャスミンにも、まず最初に、"We met at Phoebe's birthday party." と言った後、自己紹介しています。
ロスにとって、アイザック、ジャスミンは多少の顔見知りのはずなのですが、一応、お互い認識している相手であっても、それまであまり親しく話をした経験がない場合は、こんな風に、自己紹介みたいなものをすべきなんでしょうね。
全く知らない仲でもないから、どうか、僕のお願いを聞いてくれ、みたいな話の流れに持っていくためにも、相手との接点、自分がどういう経緯で相手を知っているか、というのを説明してから、深い話にもっていく必要がありますね。
more than anything は「どんなことよりももっと」ということですから、何よりも、彼女との仲を修復することについて頑張ってみたい、やり直したい、ということでしょう。
職場の同僚のフィービーには話してないと知って安心するロスですが、ルームメートには話してしまったとジャスミンは言っています。
それは、チャンドラーが考えたトレイルには出て来なかった繋がりです。
「ルームメートって誰?」と聞いたところで、ジャスミンの答えを画面に出さずに、ロスが慌てて「彼」を探しているシーンに移るのが、(ドラマではありがちな設定ではあるけれど)面白いですね。
wipe down について。
研究社 新英和中辞典では、
wipe down=(…を)(湿った布などで上下に)ふいてきれいにする
wipe down a horse=wipe a horse down 馬をきれいにふく
ただふいているだけではなくて、上下に動きがあって、より丁寧にふいている感じが出るのでしょうか。
Was I not supposed to? について。
be supposed to 「…することになっている」はフレンズに頻繁に登場しますね。
be supposed to については、フレンズ1-1その6 で詳しく説明しています。
今回のセリフは、not がついています。
be not supposed to は「…してはいけないことになっている」ですね。
英辞郎には、以下の例文が載っています。
I'm not supposed to be talking to you. あなたとこうして話していることは内緒なのよ。
また、研究社 新英和中辞典には、以下の例文が載っています。
We're not supposed to smoke in the classroom. 教室ではたばこを吸ってはいけないことになっている。
ロスが「僕とあの娘とのことをレイチェルに何も話してない、って言ってくれ。」と言った後のセリフですから、「僕は、そのことを話しちゃいけないことになってたの?」みたいな意味になりますね。
つまり、「話しちゃいけないだなんて知らなかったよ。」と言っていることになります。
そのセリフを聞いて、ガンターがもうレイチェルに話してしまった、ということがわかるのですね。
過去のエピソードからもわかるように、ガンターはレイチェルに片思いしています。
フレンズ3-7その7 では、レイチェルとイチャイチャしているロスに対して、We'll see. 「今にわかるよ。」と言っていました。
レイチェルに恋しているガンターが、ロスの決定的弱点を知って黙っているはずがありません。
「あれ、話しちゃいけなかったの?」などととぼけていますが、それは「だって、誰にも口止めされなかったし。」みたいな言い訳ですね。
ロスがガンターへのトレイルに気付いて、ロスが直接ガンターに「どうか言わないでくれ!」と頼んでいたら、どうなっていたでしょうか?
ガンターにとっては、ロスは恋敵ですから、自分が直接言わないまでも、何とかしてレイチェルにその事実を伝えたかもしれないので、必ず口止めできていたかどうかはわかりません。
ただ、スマートな(賢い)チャンドラーがトレイルを考えた時に、ガンターへの繋がりに気付かなかったことで、今回のような最悪な伝わり方を許してしまうことになった、つまり、ロスのことをよく思っていない人物(恋敵)から、浮気がバレてしまうことになった、というのが何ともやりきれない感じがします。
フレンズたちも、観客もそうですが、「まさか、ジャスミンのルームメートがガンターだったなんて!」という、びっくり仰天の結末なのですね。
ロスにとっては、あまりにも不運な展開です。
そして、レイチェルはセントラルパークにいました。
She is just glaring at him. というト書きが、レイチェルの様子をよく表しています。
glare は「にらみつける」。
glare については、過去記事、英英辞典で補完する で詳しく説明しています。
「見る」を意味する単語にはいろいろあるけれど、今回のレイチェルのように、angrily という「怒った感情」でじっと見つめることを glare と言うのですね。
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2008年11月14日
「捨てる英語、拾う英語」を読んで
井上大輔さんの「捨てる英語、拾う英語」を読みました。
アマゾンではこちら(↓)。
捨てる英語、拾う英語
まず、この本を読ませていただいたきっかけについて書き、その後、本の感想を書かせていただきたいと思います。
実は、この井上さんのご本に、私の著書、シットコムで笑え! 楽しくきわめる英語学習法 の名前が登場しているのです。
それも、本文中と巻末に2回も!
一つ目は、「第7章 リスニングの勉強方法」の p.139 に、
DVDを使ったリスニングの勉強法が知りたい人は、『シットコムで笑え!』(エヌティティ出版)も参考になります。
と書いて下さっています。
そして、巻末の 厳選!「捨てる英語、拾う英語」おすすめ参考書 では、本のフルタイトルと著者名もはっきり書いて下さっています。
他の方が書かれた本の中で、拙著をおすすめ参考書として挙げていただけるなんて、本当に光栄です。
井上さん、ありがとうございます!!
井上さんは、ALC Blog で、カメハメハ日記 というブログを書いておられます。
11月11日の記事 では、拙著のことを書いて下さっています。重ね重ねありがとうございます。
10月18日の記事 では、明日香出版社の著者大会で、晴山陽一さんにお会いになったお話が書いてあります。
井上さんとお話をされて、井上さんが著書を出されていることを知った晴山さんは、早速アマゾンで井上さんの「捨てる英語、拾う英語」を購入されたそうです。
晴山さんのご本 12日間で完全マスター 速習英単語1200 も、巻末におすすめ参考書として挙げられているのですが、私の本の名前も出ていることに晴山さんが気付き、それを私にメールで教えて下さったんですね。
晴山さんからは「南谷さんの著書がしっかり浸透してきている証拠だと思い、うれしくなりました。」とも言っていただけました。
そのお話を聞いて、私も早速アマゾンで購入し、こうして読ませていただいた、ということです。
井上さんの本に載せていただけたこと、それを晴山さんが教えて下さったこと、私にとっては、とても幸せなニュースでした。
ちなみに、今回ご本を読んだ後、井上さんのブログに初コメントを入れ、ご挨拶させていただいたのですが、それまでは、井上さんとブログ上でお話させていただいたことはありませんでした。
でも、井上大輔さんのお名前とそのブログは以前から存じ上げていました。
日向清人先生の ビジネス英語雑記帳 の 2008年02月11日の記事 で、井上さんの「カメハメハ日記」が紹介されていて、「TOEIC のスコアが示しているのは TOEIC 力である」などの井上さんのお言葉が載っていたのですね。
「そうそう、まさにあれは、”TOEIC 力”だわぁ〜」と思った私は、井上さんのブログも読ませていただき、そのことが強く頭に残っていたのです。
井上さんのご本にも、p.192 に「TOEIC で測定されるのは TOEIC 力」という章があります。
英語力と TOEIC 力は必ずしも一致しない、ということを説明した上で、では、効率的に TOEIC の点数を上げるにはどうしたらよいか?ということを述べておられます。
ではここから、本を読んで感じたことを、自分の体験と絡めて綴ってみたいと思います。
拙著を紹介して下さっているということで、とても嬉しい気持ちで読んだこともあるのですが、英語を学んできた者として、「TOEIC 力」のお話も含め、共感できる部分が数多くありました。
井上さんの本から引用した部分は、青色で書かせていただきます。
「はじめに」で、この本のメインテーマが書かれています。
それは、「自分にとって必要なところを押さえて、後はあきらめよう」ということです。
そんな風に、いい意味での「見切り」を行なう ことはとても大切なことですよね。
それを「捨てる」というインパクトのある言葉で表現されているのが、心に残りました。
p.4 同じ低レベルな英語でも発展性や広がりに乏しい無勝手流のものと、低レベルながらも将来的に発展していく可能性を持った折り目正しいものの二つに分けられます。
そういう、折り目正しいレベルの低い英語を身につけるための方法を説明しようとして書かれたのがこの本だ、ということです。
それぞれの章では、単語、文法、リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングなどに場合分けして、「捨てること」「拾うこと」について説明してあります。
井上さんは、何を捨て、何を拾うべきだと考えておられるのか?
それは、実際にこの本を読んでいただければと思います。
井上さんの本を読んでみて、私は何を捨てているかなぁ?と考えてみました。
真っ先に浮かんだのは、「英検1級レベルの単語」ですね(爆)。
過去記事 Pass単断念 1級一次(語彙編) でも書いたように、一応、「Pass単」という有名な本を使って、暗記しようと試みてはみました。
でも、頭に入らないことがすぐにわかりました。
それがどうしても必要なものであるならば、私も何か工夫をしたり、楽しみを見出したりしてでも覚えようとしたのですが、当時の記事でも書いたように、私はそれをあっさり「捨てた」のです。
実際、英検1級に合格した後は、さらにそれを身につけないといけない「必要性」がなくなりました。
もちろん、知っているに越したことはないし、あのレベルを知っているということは「教養」でもあります。
もちろん、覚えられるものなら覚えたいのですが、井上さんがおっしゃるように、「私達の時間とお金は有限」なのです。
「おわりに」では、「我々の人生は有限である」ことを語った上で、「物事にきちんと優先順位をつける、つまり必要ではないものを捨てることで、本当に必要なことを拾い上げる必要があるのだ。」と語られています。
全くその通りだと思います。
私たちには全てを拾い上げている時間はない、だからこそ、自分にとって今、何が必要であるか?を見極めないといけないのですね。
私、Rach にとって、優先順位の1位に来るものは何だろう?と時々考えます。
英語学習者として学びたいことはたくさんある、でも、今の私にとってはやはり、この「フレンズ」のブログを続けることが、優先順位の1番に来ると思っています。
洋書もバンバン読みたい、他の映画やドラマももっと見たい、英語のライティングももっと練習したい…とそれはもう、いろいろとしたいことがあるのですが、「今の私」にとっては、このブログでいろんな方とやり取りすることが、一番効果的な学習法だと思うのです。
「フレンズ」の英語を解説したブログとして、人気ランキングで上位にいさせていただけることで、多くのフレンズファンの方がブログを読んで下さいます。
私が解釈の間違いをしたら、すかさずどなたかが「それは違うやろ!」とツッコミを入れて下さいますし(笑)、DVDを見てわからなかったところを質問して下さる方もいます。
そういう「フレンズの英語を学ぶのに恵まれた環境」にいさせていただける私は、このブログを読んで下さる方がおられる間は、とことんフレンズをきわめるべきだ!、フレンズで学べることは全て学ぶぞ!くらいの気持ちで臨まないと、もったいないと思うのです。
フレンズの英語について一緒に考えて下さる同志がいる間は、他のことは捨てても、「このブログだけは捨てられない」と思うのです。
いろんな分野をまんべんなく学ぶことも大事だと思います。
そしてまた、ある分野にとことんこだわってみることも大切だと思います。
私は一つのことにこだわって、どこまで自分の英語力を伸ばせるか?というのを見てみたいのですね。
拙著が発売になった直後、週刊STの書評で取り上げていただいたことがあります。(詳しくは、過去記事、週刊STの書評で取り上げていただきました! をご覧下さい。)
その時の書評に以下の文章がありました。
「目標が限定的なのだ。『フレンズ』で語られる英語のみを理解し、活用できればよしとする。
この割り切り方の潔さ。」
私がフレンズにマニアックに取り組んでいる姿(笑)を、「潔い」と表現して下さったことは、とてもうれしかったです。
「潔く割り切る」ということは、「捨てる」ことに通じるかなぁ、と思います。
「捨てる英語、拾う英語」というインパクトのあるタイトル。
英語学習者は、いえ、恐らく、何かを学ぶ人は、もしくは、人間というものは、常に取捨選択しながら生きていかないといけないのかもしれません。
人生は有限だから、自分にとって効果のあるものに時間を費やしていきたいですね。
私も年齢を重ねるにつれて、人生が有限である、時間には限りがある、ということを実感するようになりました。
だからこそ、「捨てる」「拾う」というキーワードが胸に響きます。
何かを学ぶ時にはつい「あれもこれも」と欲張ってしまいがちですが、皆さんも、井上さんの本のタイトルを思い出して、「何を捨て、何を拾うべきか」を自問自答しながら、英語学習を続けていって下さい。
井上大輔さん、素晴らしい本をありがとうございました。
そして、その本で、拙著を言及して下さり、ありがとうございました。
井上さんも、DVD勉強法についての原稿を書かれたとのこと、そのご本を読ませていただける日を楽しみに待っています。
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捨てる英語、拾う英語
まず、この本を読ませていただいたきっかけについて書き、その後、本の感想を書かせていただきたいと思います。
実は、この井上さんのご本に、私の著書、シットコムで笑え! 楽しくきわめる英語学習法 の名前が登場しているのです。
それも、本文中と巻末に2回も!
一つ目は、「第7章 リスニングの勉強方法」の p.139 に、
DVDを使ったリスニングの勉強法が知りたい人は、『シットコムで笑え!』(エヌティティ出版)も参考になります。
と書いて下さっています。
そして、巻末の 厳選!「捨てる英語、拾う英語」おすすめ参考書 では、本のフルタイトルと著者名もはっきり書いて下さっています。
他の方が書かれた本の中で、拙著をおすすめ参考書として挙げていただけるなんて、本当に光栄です。
井上さん、ありがとうございます!!
井上さんは、ALC Blog で、カメハメハ日記 というブログを書いておられます。
11月11日の記事 では、拙著のことを書いて下さっています。重ね重ねありがとうございます。
10月18日の記事 では、明日香出版社の著者大会で、晴山陽一さんにお会いになったお話が書いてあります。
井上さんとお話をされて、井上さんが著書を出されていることを知った晴山さんは、早速アマゾンで井上さんの「捨てる英語、拾う英語」を購入されたそうです。
晴山さんのご本 12日間で完全マスター 速習英単語1200 も、巻末におすすめ参考書として挙げられているのですが、私の本の名前も出ていることに晴山さんが気付き、それを私にメールで教えて下さったんですね。
晴山さんからは「南谷さんの著書がしっかり浸透してきている証拠だと思い、うれしくなりました。」とも言っていただけました。
そのお話を聞いて、私も早速アマゾンで購入し、こうして読ませていただいた、ということです。
井上さんの本に載せていただけたこと、それを晴山さんが教えて下さったこと、私にとっては、とても幸せなニュースでした。
ちなみに、今回ご本を読んだ後、井上さんのブログに初コメントを入れ、ご挨拶させていただいたのですが、それまでは、井上さんとブログ上でお話させていただいたことはありませんでした。
でも、井上大輔さんのお名前とそのブログは以前から存じ上げていました。
日向清人先生の ビジネス英語雑記帳 の 2008年02月11日の記事 で、井上さんの「カメハメハ日記」が紹介されていて、「TOEIC のスコアが示しているのは TOEIC 力である」などの井上さんのお言葉が載っていたのですね。
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井上さんのご本にも、p.192 に「TOEIC で測定されるのは TOEIC 力」という章があります。
英語力と TOEIC 力は必ずしも一致しない、ということを説明した上で、では、効率的に TOEIC の点数を上げるにはどうしたらよいか?ということを述べておられます。
ではここから、本を読んで感じたことを、自分の体験と絡めて綴ってみたいと思います。
拙著を紹介して下さっているということで、とても嬉しい気持ちで読んだこともあるのですが、英語を学んできた者として、「TOEIC 力」のお話も含め、共感できる部分が数多くありました。
井上さんの本から引用した部分は、青色で書かせていただきます。
「はじめに」で、この本のメインテーマが書かれています。
それは、「自分にとって必要なところを押さえて、後はあきらめよう」ということです。
そんな風に、いい意味での「見切り」を行なう ことはとても大切なことですよね。
それを「捨てる」というインパクトのある言葉で表現されているのが、心に残りました。
p.4 同じ低レベルな英語でも発展性や広がりに乏しい無勝手流のものと、低レベルながらも将来的に発展していく可能性を持った折り目正しいものの二つに分けられます。
そういう、折り目正しいレベルの低い英語を身につけるための方法を説明しようとして書かれたのがこの本だ、ということです。
それぞれの章では、単語、文法、リスニング、リーディング、スピーキング、ライティングなどに場合分けして、「捨てること」「拾うこと」について説明してあります。
井上さんは、何を捨て、何を拾うべきだと考えておられるのか?
それは、実際にこの本を読んでいただければと思います。
井上さんの本を読んでみて、私は何を捨てているかなぁ?と考えてみました。
真っ先に浮かんだのは、「英検1級レベルの単語」ですね(爆)。
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「目標が限定的なのだ。『フレンズ』で語られる英語のみを理解し、活用できればよしとする。
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人生は有限だから、自分にとって効果のあるものに時間を費やしていきたいですね。
私も年齢を重ねるにつれて、人生が有限である、時間には限りがある、ということを実感するようになりました。
だからこそ、「捨てる」「拾う」というキーワードが胸に響きます。
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井上大輔さん、素晴らしい本をありがとうございました。
そして、その本で、拙著を言及して下さり、ありがとうございました。
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2008年11月12日
もう一度しないって約束する フレンズ3-16その10
[Scene: The Xerox Place, Ross is trying to break the trail.]
コピー屋。ロスは、トレイルを断ち切ろうとしている。
ロス: (entering) Chloe? Hi... ([入ってきて]クロエ? やぁ…)
クロエ: Is this about me taking your watch? (これ[今、あなたが来たこと]って、私があなたの腕時計をとった[盗んだ]こと(について)?)
ロス: You took my watch? (君は僕の腕時計を盗ったのか?)
クロエ: I'm sorry, I do that. (ごめんね。そういうことするのよ。)
ロス: Just you keep it, listen did you, did you tell anyone about us? (それはとっておいて。ねぇ、僕たちのこと、誰かに話した?)
クロエ: Oh no. I feel it isn't really anybody's business, y'know. (いいえ。それは他人には関係のないことだと感じたから。)
ロス: Exactly. So you didn't, didn't mention anything to Issac, right? (その通りだよ。それで、君は話さなかったよね、アイザックに何も話さなかったよね?)
クロエ: Oh, well, I tell Issac everything. (あぁ、そうね。アイザックには全てを話すから。)
ト書きの Ross is trying to break the trail. は、クロエからレイチェルにつながる道筋を断ち切ろうと奮闘している、ということですね。
ロスが慌ててやってきたのを見て、ロスの時計を盗んだことがバレて、それで来たの?とクロエは尋ねています。
You took my watch? と過去形で尋ねられているので、I did that. という過去形なら、「そうよ、(確かに)盗んだの。」と、その過去の行為を認めたことになるでしょう。
I do that. と現在形になっているのは、「習慣、習性」を表す、ということでしょうね。
フレンズ2-22その2 でも、she steals stuff 「彼女はものを盗む、盗癖がある」という現在形が出てきました。
business は「関係する権利、干渉する権利、筋合い」という意味。
That's none of your business. 「それはお前には関係ないことだ。お前の知ったことではない。」というのは決まり文句ですね。
それを聞いて安心したロスは、確認のため、アイザックにも話してないことを尋ねるのですが、クロエはあっさりと、アイザックには全てを話すから、と答えます。
ここも、「今回のことをすべて話した」という意味ではなくて、普段から、私はアイザックには何でも話すのよ、という習慣のニュアンスですね。
ロス: You tell, of course you do. Issac. Issac. Hey, Issac. Issac, hi! Y'know we haven't actually met.... (君は話す、もちろん、君は(アイザックには)話すんだよね。アイザック、アイザック…やぁ、アイザック、アイザック。やぁ! 僕たちは、実際には会ったことないけど…)
アイザック: You dog! (この、犬野郎!)
ロス: Yes, I suppose I am a dog. But Issac, see I-I happen to have a girlfriend. (そうだよ、僕は最低の男だと思う。でも、アイザック、ねぇ、僕には彼女がいるんだ。)
アイザック: Oh right, that Rachel chick from the coffee place. (あぁ、そうだね。コーヒー屋[コーヒーハウス]のあのレイチェルって女の子だろ。)
ロス: Yeah, that's the one. Listen, I don't want to hurt her. (そうだ。それが、彼女なんだ。ねぇ、僕は彼女を傷つけたくないんだよ。)
アイザック: Oh, hey, man I know, doesn't matter how much we love 'em. Monogamy is too cruel a rule. (あぁ、ねぇ、わかってるよ。僕らが女性たちをどれほど愛しているかは関係ない。一夫一婦制は残酷すぎるルールだよね。)
ロス: Yeah. Listen, can you keep this information to yourself? (そうだね。ねぇ、この情報を、自分の中にとどめてくれる?[秘密にしといてくれる?])
アイザック: Aw, no problem dude. Y'know we got to look out for each other. We're the same, you and me. (あぁ、問題ないよ。俺たちはお互いにかばいあわないとな。俺たちは同じだよ、あんたと俺は。)
ロス: Actually, no, we're not. (実際には、違う。僕らは同じじゃない。)
アイザック: Yeah, we are. (俺たちは同じだよ。)
ロス: No, we're not. (いいや、僕たちは同じじゃない。)
アイザック: Yeah, we are. (いや、同じだ。)
ロス: No, we're not!! (いや、同じじゃない!)
アイザック: Okay, we're not. (わかったよ、同じじゃない。)
ロス: Right. (そうだよ。)
アイザック: But, we are. (でも、同じだ。)
ロス: Fine. I just need to know that you're not gonna tell your sister. (もういいよ。ちょっと知りたいんだけど、君は君の妹[姉]に言うつもりはないよね。)
アイザック: I can promise not to tell her again. (約束できるよ。妹に言わないって。もう一度はね。)
we haven't actually met. というのは、お互い、その存在は認識していたけど、ちゃんと話をしたり、自己紹介したりしたことがない、という意味でしょうね。
You dog! について。
「この犬野郎!」みたいな感じだろうと思いました。
思慮もなく本能のまま行動しちゃう、みたいな意味かなぁ、と。
英辞郎に以下の語義が載っていました。
dog=(名詞)(俗)よくナンパする男、最低の男、卑劣なやつ、不誠実なやつ、裏切り者、女性を虐待するひどい男
本気でけなしている、というよりも、詳しい事情を知っているので、「彼女と仲直りする前に、他の女と寝ちゃうなんて、お前、悪い男だねぇ。」という感じでしょうね。
chick は「女の子」。フレンズにはこの意味でよく登場します。
今はアパレルで働いているレイチェルですが、セントラルパークでウェイトレスをしていたのを、アイザックは知っていて、あのコーヒーハウスで働いていた、レイチェルって名前の女の子だろ、と言っているのです。
doesn't matter how much we love 'em. について。
we というのは男性のことで、them というのは女性を指すのだろうと思います。
男というものが、女というものをどれほど愛しているか、は関係ない、好きな女の子が何人もいても、それは関係ない。
一夫一婦制だから、それはあきらめないといけない、みたいなことでしょうか。
Monogamy is too cruel a rule. の too の語順について。
このように、too は、「too+形容詞+a+名詞」という語順になることがありますね。
研究社 新英和中辞典では、
This is too large a room for us. これは我々には大きすぎる部屋だ。
(用法) a too large room ということもある
と説明されています。
一夫一婦制については過去記事、フレンズ1-6その2 にも出てきました。
チャンドラーに男性として賛同してしまったロスは、
ロス: You know monogamy can be a tricky concept. (一夫一婦制ってのが扱いづらい[難しい]概念なんだよ。)
と言っていました。
浮気や複数の女性と付き合う話を正当化するために、そもそも一夫一婦制という制度がいけない…みたいな話に持っていくのは、よくあるパターンですよね。
見た目もそうですが、アイザックはロスとはちょっと住む世界が違う人のようで、レイチェルに言わないでほしい、という気持ちがなかなか伝わりません。
というより、アイザックはわざとしらばっくれているのでしょうね。
keep something to oneself は「…を胸にしまっておく、自分だけの秘密にする、他人に言わない」という意味。
keep it secret と同じです。
Y'know we got to look out for each other. We're the same, you and me. について。
look out for は「…の面倒を見る」という語義が合うでしょうか。
DVDの日本語字幕は「お互いさまだもんな 俺らは同類だ」となっていました。
お互いが、お互いをかばって助け合わないといけない、みたいなことだと思います。
ロングマン現代英英辞典では、
look out for somebody/something [phrasal verb]:
to try to make sure that someone is treated well
例) My older brother always looked out for me when we were kids.
つまり、「誰かがよく扱われるように計らうようにすること」。
例文は、「私たちが子供の頃、私の兄はいつも私をよく世話してくれた。」
アイザックと同類だと見られるのがいやなロスは、何度もアイザックと問答をしています。
その問答がとりあえず終わった後、彼の妹ジャスミンに話していないかどうかを尋ねるのですが、一番言って欲しくない相手であるジャスミンには、すでに話をした後でした。
I can promise not to tell her. なら、「妹に言わないって、約束できるよ。」という意味になるのですが、最後に again がつくことで、すでに一回は言ってしまっている、ということがわかります。
この最後につく again が、オチというか、again が入ることで全く意味が違ってしまうのですね。
そこが英語のセリフの面白いところだと思います。
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コピー屋。ロスは、トレイルを断ち切ろうとしている。
ロス: (entering) Chloe? Hi... ([入ってきて]クロエ? やぁ…)
クロエ: Is this about me taking your watch? (これ[今、あなたが来たこと]って、私があなたの腕時計をとった[盗んだ]こと(について)?)
ロス: You took my watch? (君は僕の腕時計を盗ったのか?)
クロエ: I'm sorry, I do that. (ごめんね。そういうことするのよ。)
ロス: Just you keep it, listen did you, did you tell anyone about us? (それはとっておいて。ねぇ、僕たちのこと、誰かに話した?)
クロエ: Oh no. I feel it isn't really anybody's business, y'know. (いいえ。それは他人には関係のないことだと感じたから。)
ロス: Exactly. So you didn't, didn't mention anything to Issac, right? (その通りだよ。それで、君は話さなかったよね、アイザックに何も話さなかったよね?)
クロエ: Oh, well, I tell Issac everything. (あぁ、そうね。アイザックには全てを話すから。)
ト書きの Ross is trying to break the trail. は、クロエからレイチェルにつながる道筋を断ち切ろうと奮闘している、ということですね。
ロスが慌ててやってきたのを見て、ロスの時計を盗んだことがバレて、それで来たの?とクロエは尋ねています。
You took my watch? と過去形で尋ねられているので、I did that. という過去形なら、「そうよ、(確かに)盗んだの。」と、その過去の行為を認めたことになるでしょう。
I do that. と現在形になっているのは、「習慣、習性」を表す、ということでしょうね。
フレンズ2-22その2 でも、she steals stuff 「彼女はものを盗む、盗癖がある」という現在形が出てきました。
business は「関係する権利、干渉する権利、筋合い」という意味。
That's none of your business. 「それはお前には関係ないことだ。お前の知ったことではない。」というのは決まり文句ですね。
それを聞いて安心したロスは、確認のため、アイザックにも話してないことを尋ねるのですが、クロエはあっさりと、アイザックには全てを話すから、と答えます。
ここも、「今回のことをすべて話した」という意味ではなくて、普段から、私はアイザックには何でも話すのよ、という習慣のニュアンスですね。
ロス: You tell, of course you do. Issac. Issac. Hey, Issac. Issac, hi! Y'know we haven't actually met.... (君は話す、もちろん、君は(アイザックには)話すんだよね。アイザック、アイザック…やぁ、アイザック、アイザック。やぁ! 僕たちは、実際には会ったことないけど…)
アイザック: You dog! (この、犬野郎!)
ロス: Yes, I suppose I am a dog. But Issac, see I-I happen to have a girlfriend. (そうだよ、僕は最低の男だと思う。でも、アイザック、ねぇ、僕には彼女がいるんだ。)
アイザック: Oh right, that Rachel chick from the coffee place. (あぁ、そうだね。コーヒー屋[コーヒーハウス]のあのレイチェルって女の子だろ。)
ロス: Yeah, that's the one. Listen, I don't want to hurt her. (そうだ。それが、彼女なんだ。ねぇ、僕は彼女を傷つけたくないんだよ。)
アイザック: Oh, hey, man I know, doesn't matter how much we love 'em. Monogamy is too cruel a rule. (あぁ、ねぇ、わかってるよ。僕らが女性たちをどれほど愛しているかは関係ない。一夫一婦制は残酷すぎるルールだよね。)
ロス: Yeah. Listen, can you keep this information to yourself? (そうだね。ねぇ、この情報を、自分の中にとどめてくれる?[秘密にしといてくれる?])
アイザック: Aw, no problem dude. Y'know we got to look out for each other. We're the same, you and me. (あぁ、問題ないよ。俺たちはお互いにかばいあわないとな。俺たちは同じだよ、あんたと俺は。)
ロス: Actually, no, we're not. (実際には、違う。僕らは同じじゃない。)
アイザック: Yeah, we are. (俺たちは同じだよ。)
ロス: No, we're not. (いいや、僕たちは同じじゃない。)
アイザック: Yeah, we are. (いや、同じだ。)
ロス: No, we're not!! (いや、同じじゃない!)
アイザック: Okay, we're not. (わかったよ、同じじゃない。)
ロス: Right. (そうだよ。)
アイザック: But, we are. (でも、同じだ。)
ロス: Fine. I just need to know that you're not gonna tell your sister. (もういいよ。ちょっと知りたいんだけど、君は君の妹[姉]に言うつもりはないよね。)
アイザック: I can promise not to tell her again. (約束できるよ。妹に言わないって。もう一度はね。)
we haven't actually met. というのは、お互い、その存在は認識していたけど、ちゃんと話をしたり、自己紹介したりしたことがない、という意味でしょうね。
You dog! について。
「この犬野郎!」みたいな感じだろうと思いました。
思慮もなく本能のまま行動しちゃう、みたいな意味かなぁ、と。
英辞郎に以下の語義が載っていました。
dog=(名詞)(俗)よくナンパする男、最低の男、卑劣なやつ、不誠実なやつ、裏切り者、女性を虐待するひどい男
本気でけなしている、というよりも、詳しい事情を知っているので、「彼女と仲直りする前に、他の女と寝ちゃうなんて、お前、悪い男だねぇ。」という感じでしょうね。
chick は「女の子」。フレンズにはこの意味でよく登場します。
今はアパレルで働いているレイチェルですが、セントラルパークでウェイトレスをしていたのを、アイザックは知っていて、あのコーヒーハウスで働いていた、レイチェルって名前の女の子だろ、と言っているのです。
doesn't matter how much we love 'em. について。
we というのは男性のことで、them というのは女性を指すのだろうと思います。
男というものが、女というものをどれほど愛しているか、は関係ない、好きな女の子が何人もいても、それは関係ない。
一夫一婦制だから、それはあきらめないといけない、みたいなことでしょうか。
Monogamy is too cruel a rule. の too の語順について。
このように、too は、「too+形容詞+a+名詞」という語順になることがありますね。
研究社 新英和中辞典では、
This is too large a room for us. これは我々には大きすぎる部屋だ。
(用法) a too large room ということもある
と説明されています。
一夫一婦制については過去記事、フレンズ1-6その2 にも出てきました。
チャンドラーに男性として賛同してしまったロスは、
ロス: You know monogamy can be a tricky concept. (一夫一婦制ってのが扱いづらい[難しい]概念なんだよ。)
と言っていました。
浮気や複数の女性と付き合う話を正当化するために、そもそも一夫一婦制という制度がいけない…みたいな話に持っていくのは、よくあるパターンですよね。
見た目もそうですが、アイザックはロスとはちょっと住む世界が違う人のようで、レイチェルに言わないでほしい、という気持ちがなかなか伝わりません。
というより、アイザックはわざとしらばっくれているのでしょうね。
keep something to oneself は「…を胸にしまっておく、自分だけの秘密にする、他人に言わない」という意味。
keep it secret と同じです。
Y'know we got to look out for each other. We're the same, you and me. について。
look out for は「…の面倒を見る」という語義が合うでしょうか。
DVDの日本語字幕は「お互いさまだもんな 俺らは同類だ」となっていました。
お互いが、お互いをかばって助け合わないといけない、みたいなことだと思います。
ロングマン現代英英辞典では、
look out for somebody/something [phrasal verb]:
to try to make sure that someone is treated well
例) My older brother always looked out for me when we were kids.
つまり、「誰かがよく扱われるように計らうようにすること」。
例文は、「私たちが子供の頃、私の兄はいつも私をよく世話してくれた。」
アイザックと同類だと見られるのがいやなロスは、何度もアイザックと問答をしています。
その問答がとりあえず終わった後、彼の妹ジャスミンに話していないかどうかを尋ねるのですが、一番言って欲しくない相手であるジャスミンには、すでに話をした後でした。
I can promise not to tell her. なら、「妹に言わないって、約束できるよ。」という意味になるのですが、最後に again がつくことで、すでに一回は言ってしまっている、ということがわかります。
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2008年11月10日
ペインフリーとペインフル フレンズ3-16その9
[Scene: Monica's Bedroom, Monica and Phoebe are waxing their legs.]
モニカのベッドルーム。モニカとフィービーは、脚にワックスを塗っている。
フィービー: (reading from the instructions) "After applying the Waxine and linen strips to leg number one...." ([取扱説明書を読んで] 「ワクシーンとリネンの細長い一片[リネン片]を一つ目の脚につけた後…」)
モニカ: Did that! (それ、やったわ!)
フィービー: "Grasp one of the linen strips by its 'easy grab tab' and pull it off in one quick, pain-free motion." (リネン片の一つを、「簡単に掴めるタブ」で掴んで、すばやい、無痛モーション[痛みなしモーション]でひっぱりはがす。」)
モニカ: Okay. (Does so.) Ow!!!!! Ow-oh-oh! (わかった。[そうする] あぁ! あぁあぁあぁ![と痛がる])
フィービー: Was it not "pain-free"? (「無痛」じゃなかったの?)
モニカ: No, it was pain-ful! Oh my God , they should call it "Pain-zine, now with a little wax." (いいえ。ペイン・フルだったわ! なんてこと。こう呼ぶべきよ、「ペイン・ジーン。今、少しのワックスで。」)
フィービー: Huh, well, the girls in the satin nighties on the commercial don't seem to think it's that bad. (フーン。そうね、コマーシャルのサテンのパジャマを着ていた女の子たちは、そんなに(痛みが)ひどいと思ってるようには見えなかったけど。)
モニカ: That's because their nerves are probably deadened from being so stupid. But hey, y'know if you don't believe me, please, be my guest. (それは、あの子たちがすっごくバカだから、多分神経が無感覚になってるからよ。でも、ねぇ、ほら、もしあなたが私の言うことを信じないのなら、どうか、ご自由に試してみて。)
フィービー: (Removing one of the strips) Ow-ow-ow-ow! Oh my God!!! (リネン片の一つをはがす。) あぁあぁあぁあぁ! なんてこと!)
モニカ: Now, are you glad we didn't start with the bikini strips? (ねぇ、ビキニ用の一片から始めなくて良かったと思うでしょ?)
instruction は「使用説明書、取扱説明書」。
apply は TOEIC 頻出単語ですね。
apply to 「応募する、適用する」という意味でよく出てきます。
今回の applying the Waxine and linen strips to leg number one は、apply A to B の形で、「(Aを)Bに塗る・つける」という意味ですね。
ワクシーンはワックスですからそれを脚に塗り、その後、linen strips つまり、リネンでできた細長い一片をいくつかペタッと脚にくっつける、という感じです。
'easy grab tab' というのが「いかにも」という感じのネーミングですね。
ここを掴んではがすとはがしやすいですよ、痛みを感じずに楽にはがせますよ、ということでしょう。
ところが、はがしたとたん、叫び声を上げるモニカ。
ネットスクリプトでは普通に painful と書いてありますが、DVDでは pain-ful と書いてあります。
pain-free じゃなくて、pain-ful よ、と比較している感じでしょう。
形容詞の語尾として使われる -ful は、研究社 新英和中辞典によると、
-ful
=(接尾)[形容詞語尾] …に満ちた、…の多い、の性質を有する
語源:full (形容詞=いっぱいの、満ちた)から
と出ています。
ですから、pain がない、という意味の、pain-free どころか、pain がいっぱいの、pain-ful よ! という意味で、ful の部分をはっきり発音し、同じ f で始まる音でも、「free ではなくて ful (full) だ!」と強調しているのです。
they should call it "Pain-zine, now with a little wax." は、この商品の名前(とキャッチフレーズ)を変えるべきよ、みたいなことですね。
「ちょっとのワックスで、激痛」みたいなイメージの、「ペインジーン」という名前に変えるべきだということです。
deaden は「(苦痛などを)消す、無感覚にさせる」。
dead な状態にする、ということですね。
ワクシーンのCMの女の子たちは、おしゃれなパジャマを着て、痛くなさそうにワクシーンで脱毛してたけど、あの人たちはきっとおバカさんで、感覚まで麻痺してるのよ、ととんでもないことを言っています。
Be my guest. は「どうぞご自由に(お使い下さい、お食べ下さい)。」という意味。
「ゲストとして、遠慮なく行動して下さい。あなたの好きなように、ご自由にして下さい。」ということでしょう。
フレンズ3-11その2 にも出てきました。
the bikini strip(s) は、ビキニラインを脱毛するための一片、ということで、脚用のストリップはこれ、ビキニライン用はこれ、とその形状に合せた形や長さの strip が何種類も入っているということでしょう。
Now, are you glad we didn't start with the bikini strips? のニュアンスについて。
直訳すると、「私たち二人とも、ビキニ用の一片から始めなかった。それを嬉しく思うでしょ?」ということで、「ビキニ用から始めなくて良かったわねぇ。脚でこの痛さだから、ビキニラインみたいな繊細で敏感な場所から始めていたら、大変なことになってたわよねぇ。」という感じです。
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モニカのベッドルーム。モニカとフィービーは、脚にワックスを塗っている。
フィービー: (reading from the instructions) "After applying the Waxine and linen strips to leg number one...." ([取扱説明書を読んで] 「ワクシーンとリネンの細長い一片[リネン片]を一つ目の脚につけた後…」)
モニカ: Did that! (それ、やったわ!)
フィービー: "Grasp one of the linen strips by its 'easy grab tab' and pull it off in one quick, pain-free motion." (リネン片の一つを、「簡単に掴めるタブ」で掴んで、すばやい、無痛モーション[痛みなしモーション]でひっぱりはがす。」)
モニカ: Okay. (Does so.) Ow!!!!! Ow-oh-oh! (わかった。[そうする] あぁ! あぁあぁあぁ![と痛がる])
フィービー: Was it not "pain-free"? (「無痛」じゃなかったの?)
モニカ: No, it was pain-ful! Oh my God , they should call it "Pain-zine, now with a little wax." (いいえ。ペイン・フルだったわ! なんてこと。こう呼ぶべきよ、「ペイン・ジーン。今、少しのワックスで。」)
フィービー: Huh, well, the girls in the satin nighties on the commercial don't seem to think it's that bad. (フーン。そうね、コマーシャルのサテンのパジャマを着ていた女の子たちは、そんなに(痛みが)ひどいと思ってるようには見えなかったけど。)
モニカ: That's because their nerves are probably deadened from being so stupid. But hey, y'know if you don't believe me, please, be my guest. (それは、あの子たちがすっごくバカだから、多分神経が無感覚になってるからよ。でも、ねぇ、ほら、もしあなたが私の言うことを信じないのなら、どうか、ご自由に試してみて。)
フィービー: (Removing one of the strips) Ow-ow-ow-ow! Oh my God!!! (リネン片の一つをはがす。) あぁあぁあぁあぁ! なんてこと!)
モニカ: Now, are you glad we didn't start with the bikini strips? (ねぇ、ビキニ用の一片から始めなくて良かったと思うでしょ?)
instruction は「使用説明書、取扱説明書」。
apply は TOEIC 頻出単語ですね。
apply to 「応募する、適用する」という意味でよく出てきます。
今回の applying the Waxine and linen strips to leg number one は、apply A to B の形で、「(Aを)Bに塗る・つける」という意味ですね。
ワクシーンはワックスですからそれを脚に塗り、その後、linen strips つまり、リネンでできた細長い一片をいくつかペタッと脚にくっつける、という感じです。
'easy grab tab' というのが「いかにも」という感じのネーミングですね。
ここを掴んではがすとはがしやすいですよ、痛みを感じずに楽にはがせますよ、ということでしょう。
ところが、はがしたとたん、叫び声を上げるモニカ。
ネットスクリプトでは普通に painful と書いてありますが、DVDでは pain-ful と書いてあります。
pain-free じゃなくて、pain-ful よ、と比較している感じでしょう。
形容詞の語尾として使われる -ful は、研究社 新英和中辞典によると、
-ful
=(接尾)[形容詞語尾] …に満ちた、…の多い、の性質を有する
語源:full (形容詞=いっぱいの、満ちた)から
と出ています。
ですから、pain がない、という意味の、pain-free どころか、pain がいっぱいの、pain-ful よ! という意味で、ful の部分をはっきり発音し、同じ f で始まる音でも、「free ではなくて ful (full) だ!」と強調しているのです。
they should call it "Pain-zine, now with a little wax." は、この商品の名前(とキャッチフレーズ)を変えるべきよ、みたいなことですね。
「ちょっとのワックスで、激痛」みたいなイメージの、「ペインジーン」という名前に変えるべきだということです。
deaden は「(苦痛などを)消す、無感覚にさせる」。
dead な状態にする、ということですね。
ワクシーンのCMの女の子たちは、おしゃれなパジャマを着て、痛くなさそうにワクシーンで脱毛してたけど、あの人たちはきっとおバカさんで、感覚まで麻痺してるのよ、ととんでもないことを言っています。
Be my guest. は「どうぞご自由に(お使い下さい、お食べ下さい)。」という意味。
「ゲストとして、遠慮なく行動して下さい。あなたの好きなように、ご自由にして下さい。」ということでしょう。
フレンズ3-11その2 にも出てきました。
the bikini strip(s) は、ビキニラインを脱毛するための一片、ということで、脚用のストリップはこれ、ビキニライン用はこれ、とその形状に合せた形や長さの strip が何種類も入っているということでしょう。
Now, are you glad we didn't start with the bikini strips? のニュアンスについて。
直訳すると、「私たち二人とも、ビキニ用の一片から始めなかった。それを嬉しく思うでしょ?」ということで、「ビキニ用から始めなくて良かったわねぇ。脚でこの痛さだから、ビキニラインみたいな繊細で敏感な場所から始めていたら、大変なことになってたわよねぇ。」という感じです。
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