2008年11月07日

トレイルを常に考えろ! フレンズ3-16その8

クロエと寝たことは、レイチェルには言うな、と二人に説得されて、
ロス: Yeah, okay. (he plops down into one of the leather chairs, with the footrest extended.) (あぁ、わかったよ。[フットレストを伸ばして、革椅子の一つにドスンと座り込む。]
ジョーイ: All right, okay, now, we just have to make sure she doesn't find out some other way. (spins the chair around so that Ross is facing him) Did you think about the trail? (わかった。よし、じゃあ、何か他の方法で、レイチェルが知ってしまわないようにしないといけないな。[ロスの座っているイスを回して、ロスはジョーイと対面する] トレイルについて考えたか?)
ロス: What trail? (何のトレイル?)
ジョーイ: (stomps on the footrest which pops Ross up into a sitting position) The trail from the woman you did it with to the woman you hope never finds out you did it! (slapping his hands with each word) You always have to think about the trail! ([ジョーイがフットレストを踏みつけて、ロスは座る姿勢に飛び上がる] お前がエッチした女性から、お前がエッチしたことを絶対に知られたくない女性への、トレイル[跡、道]だよ! [それぞれの単語で手をたたく] いつも、トレイルについて考えなくちゃだめなんだ!)
ロス: Oh, I-I don't think there's any trail. (あぁ。僕は、トレイルがあるとは思えないよ[トレイルなんかないと思うよ]。)
チャンドラー: Okay, okay-okay, ah, Chloe works with that guy, Issac. Issac's sister is Jasmine. And Jasmine works at that massage place with Phoebe. And Phoebe's friends with Rachel. And that's the trail! I did it! (よし、よしよし。クロエはあの男、アイザックと働いている。アイザックの姉(妹)はジャスミンだ。そして、ジャスミンは、フィービーと一緒にマッサージ屋で働いている。そして、フィービーはレイチェルと友達だ。それがトレイルだよ。やった!)

ト書きの plop は、「プラップ」という音から想像されるように、「ポトン、ドブンと音がする、落ちる」という意味です。
また「(人が)(…に)ドスンと座る」という意味もあります。
plop down into a chair 「椅子にドスンと座り込む」というのは決まり文句のようですが、into という前置詞が、「椅子の上に」というよりも、ドスンと座ったために、椅子がへこんで、椅子に少し「入り込んだ」感じが出ているような気がします。
座り込む、の「込む」が into の感じを出している、とも言えるでしょうか。

ジョーイが言った trail の意味がよくわからなくて、"What trail?" 「何のトレイル?、トレイルって何?」と聞き返しています。
相手の言ったある単語の意味や意図がわからない場合は、このようにその単語に what をつけて聞き返すことも多いですね。

ひとごとみたいにのん気に尋ねるから、椅子の足を踏んで、リクライニングを起こすジョーイ。
ロスがリクライニングの椅子に座ったのも、こういう後からの演出に使うためだったんですね。
当事者であるロスが、何も考えていないので、ジョーイがえらそうに先生のようにコーチングしているのですが、その様子を描写するのに、このリクライニングチェアという「動く椅子」がアイテムとして使えるのです。
くるっと回してジョーイと対面するようにしてみたり、自分のことなのに、ダラーッとリクライニングに寝そべっているロスに対して「お前のことなんだぞ、しゃん!とせんかいっ!」みたいな感じで、フットレストを踏んで、リクライニングを起こしたり、と面白い使われ方をしています。

ロスも聞き返した、このセリフでのキーワード、trail について。
DVDの日本語訳では、「つながり」と訳されていました。
今回のセリフのニュアンスは、それが近いと思います。

trail は「小道、跡(あと)、痕跡(こんせき)、(捜索などの)手がかり」。
ロスも「何?」と尋ねているくらいなので、trail と聞いた瞬間は、「トレイルかぁ…」くらいの認識でよいのですが、ジョーイの言っているのは、何かのつながりをたどって行って、ロスとクロエのことをレイチェルが知ってしまうことにならないか?と言っているのです。

たまたま、2008年10月23日(木)の日経新聞夕刊のテレビ欄に、NHKハイビジョンの「世界ふれあい街歩き」という番組の紹介が載っていました。
アメリカ・ボストンを紹介する番組で、
独立運動発祥の地として知られるこの街のダウンタウンを「フリーダムトレイル(建国の足跡をたどる道)」を軸に歩く。
という説明が書いてありました。
この「…の足跡をたどる道」というのが、トレイルという言葉の説明にぴったりくるように思います。
今回も、人と人とのつながりをたどっていくと、最後にはレイチェルに行き着く、という、そういうトレイルがあるかどうかを考えようとしているのですね。

did it と表現していますが、これは「エッチした」ということですね。
こういう話をしているわけですから、do it 「それをする」で、そういう意味だとわかるわけです。
トレイルが何のことかわからないので、ジョーイは詳しくロスに説明しているのですが、The trail from A to B で、A も B も女性、それぞれの女性についての詳しい説明が入っているので、文章が長くなっています。
the woman you did it with というのは、You did it with the woman ということですから、クロエ、
the woman you hope never finds out you did it は、you hope the woman never finds out you did it つまり、「ロスが did it したことを、その女性が決して知らないように、とロスが願う」ということですから、レイチェル、ですよね。
それを、クロエやレイチェルという固有名詞を使わずに、ちょっと下品な言い方をすると、「お前がやった女から、やったことを知られたくない女への trail だよ!」と表現しているのが面白いわけです。
trail と聞いて、そんなこともピンと来ないのかよ!と言いたげなジョーイです。

ジョーイのようにたくさんの女性と遊んでいる人は、そういうことに気をつけないといけないのでしょうかね。
そういうことについては誰よりも頭が回転する、と(笑)。
手をポンポンたたいて、その always 以下を強調し、「いつもそのトレイルを考えておかないといけないんだよ!」と言っています。
このセリフに合わせて5回手をたたいていますが、こういうリズム、大切にしたいですね。

過去記事、フレンズ3-11その30 でも、
モニカ: You've got to make stuff happen! (あなたが物事が起こるようにしないといけないのよ。)
というセリフで、make stuff happen に合わせて、手をパンパンパンとたたいていました。

I-I don't think there's any trail. というのは、"There's no trail." だとロスは思っている、そんなトレイルなんて存在しないよ、クロエとレイチェルを結びつけるものなんてないよ、と思っている、ということです。

そこで、チャンドラーが持ち前のスマートさ(賢さ)で、trail を考えます。

Phoebe's friends with Rachel. の be friends with は「…と友達だ、…と親しい」という意味。
フレンズ2-21その22 にも出てきました。

トレイルを考えて、見事、クロエからレイチェルに辿り着いたチャンドラー。
謎を解いた探偵みたいに「やったぜ!」と喜んでいます。
トレイルがつながって、つなげた俺ってえらい、というところですが、喜んでいる場合ではありません。
何の関係もないと思っていた、クロエからレイチェルへの道筋を発見してしまい、ロスが「まずい、どうしよう」という顔をしていますね。


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2008年11月05日

絶好のタイミングを待って言う フレンズ3-16その7

ジョーイ: Ross, look, I'm onboard about the total-honesty thing, I am, just not about stuff that's gonna get you in trouble. (ロス、いいか。完全に正直であること、については、全く賛成だよ。ただ、お前をトラブルに陥れる[巻き込む]ことになることについては、賛成じゃない、ってことだ。)
チャンドラー: He's right. Nobody's gonna benefit, and you're just gonna hurt her. (ジョーイは正しいよ。誰も得をしない[誰の利益にもならない]。そして、お前がただレイチェルを傷付けることになるだけだ。)
ジョーイ: Yeah, and there won't be a relationship left to rebuild. (そうだよ。そして、立て直すべき関係も残っていないことになる。)
ロス: Yeah, but don't you think.... (あぁ。でも、こう思わない…?)
チャンドラー: All right look, if you absolutely have to tell her, at least wait until the timing's right. And that's what deathbeds are for. (よし、いいか。もし、お前が絶対に彼女に言わないといけないとしたら、少なくとも、ふさわしいタイミングになるまで待て。そして、そのタイミングっていうのは、死の床が向かう時だ[死ぬ時だ]。)

I'm onboard about ... について。
on board だと「船上に、機内に」という意味ですね。
board は「板、盤、台、卓、テーブル」などの意味があり、the Board of directors だと「取締役会、役員会」という意味になります。
今回のセリフの、onboard については、辞書になかなか意味が載っていなかったのですが、on board 「台の上に乗っている」みたいな意味から、その意見に自分も同調していること、を表しているのかな、と思います。
DVDの日本語訳も「大賛成だ」となっていたので、やはりそういう賛成、同意、という意味なんだろうと思います。
が、どうして辞書には載っていないんだろう??

Nobody's gonna benefit, and you're just gonna hurt her. では、2箇所、be gonna が使われています。
これは、ロスがもしレイチェルに事実を告白して、その流れでことが進行すると、結局、誰も得することなく、レイチェルを傷付けるという結果になってしまう、ということを言っているのですね。
チャンドラーが未来をそう推測している、ということではなく、「自然の流れでいくと、そういう結果になる」という感じです。

there won't be a relationship left to rebuild.
関係が「ない」だろう、というよりも、「残っていない」だろう、というニュアンスです。
こんな風に、There is 構文で、存在すべき名詞の後に left をつけて、それが「残っている、残されている」と表現することがよくあります。
leave は「…を残す」という他動詞ですね。
英辞郎には、
There are only two days left in this year. 今年もあと二日で暮れてしまう。
という例文が出ています。
また、研究社 新英和中辞典の例文では、
There was little coal left. 石炭はもうほとんど残っていなかった。
というのもあります。
フレンズ2-21その12 では、I have no family left という表現も出てきました。

deathbed を直訳すると「死のベッド」ですから、日本語と同じく、「死の床」であり、「臨終」という意味になります。
普通は、on one's deathbed 「臨終に、死の床で」という風に使うようです。

deathbeds are for... の for の後に続く部分が、その right なタイミングだ、と言いたいようです。
for は方向を表す前置詞ですから、deathbeds が向いている方向、というニュアンスで、死の時、死ぬ時が、そのグッドタイミングだよ、と言っている、どうしても言いたけりゃ人生の最期にしろ、もうじき死ぬっていう最後の最後に言え、今は言っちゃだめだ、と説得しているのですね。


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posted by Rach at 12:25| Comment(9) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年11月02日

クエスチョンをアドレスする フレンズ3-16その6

[Scene: Chandler and Joey's, Ross has told Chandler and Joey his terrible act.]
チャンドラーとジョーイの部屋。ロスは、彼のひどい行為(=クロエと寝たこと)をチャンドラーとジョーイに話したところ。
チャンドラー: Oh my God! Oh my God! (なんてこった! なんてこった!)
ジョーイ: Yeah. We figured when we couldn't find you, you'd gone home to make up with Rachel. Which is probably what you shoulda done. Huh? (あぁ。俺たちは思ってたんだよ。お前を見つけられなかった時、お前はレイチェルと仲直りするために、家に帰ったんだろうって。それが、多分、お前がすべきことだったんだよ、だろ?)
ロス: You think?! God, I, ah, I'm in hell. I mean, what, what am I gonna do? Rachel's all like, "I love you and, and let's work on this." And all I can think about is "What is she gonna do? What is she gonna say?" when I tell her what I did. (お前がそう思うのか? あぁ、俺は地獄だ、最低だ。僕はどうすればいい? レイチェルはすっかりこんな感じだったんだ。「愛してるわ。そして、このことについて(二人で)努力しましょう。」って。そして僕が考えることができたのはこれだけだ。「レイチェルはどうするだろう? レイチェルは何て言うだろう? 僕がしたことをレイチェルに言ったら。」って。)
チャンドラー: Well, before we answer that, I think we should address the more important question. How dumb are you? (そうだな、俺たちがそれに答える前に、もっと重要な疑問に取り組むべきだな。お前はどれほどバカなんだ?)
ロス: What?! Look, we're trying to rebuild a relationship here, right? How am I supposed to do that here without being totally honest with each other? (何だって? いいか、僕たちはここで、関係を立て直そうとしているんだよ。お互いに完全に正直になることをしないで、どうやってそれを[関係修復を]することになるんだ?)

make up with は「…と仲直りする、和解する」。
you'd gone home は、you had gone home で、We figured you had gone home... 「(レイチェルと仲直りするために)家に帰ってしまったと思っていた」ということです。
We figured 「俺たちはそう思っていた」という過去形は、実際はそうじゃなかったんだな、びっくりだよ、という感じですね。
その今俺が言ったこと(レイチェルと仲直りするために家に帰ること)をお前はすべきだったのに、実際はその行動を起こさずに、あろうことかクロエと寝てたのか!?というニュアンスです。
ネットスクリプトに書いてある、shoulda というのは、should have のことですね。

You think? と言うロスの言い方は、「プレイボーイであるお前が、そんなことを言うのか? そんな風に思うのか?」というニュアンスでしょうね。
ジョーイに言われなくても、いけないことをしたってわかってる、なのに、プレイボーイのジョーイに、「そんなことをしちゃだめだろう。」みたいに言われると、余計に情けなくなる、辛くなるじゃないか、と言いたいようです。
チャンドラーに言われるのならともかく、お前にはそんな風に言われたくない、という気持ち、それが、You think? なんでしょうね。

all I can think about is... について。
先日、テレビのニュースを見ていたら、たくさんの聴衆を前にしたオバマ候補が、"All I can say is... WOW." と言っていました。
直訳すると「私が言えることの全ては…WOW だけだ。」みたいなことで、「すごい!」という意味の Wow としか言えない、という感動を表す言葉ですね。
all I can think about is ... もこれと同じ構成です。

How dumb are you? は、How dumb you are! という感嘆文ではないですね。
その前に、the more important question と言っていることからもわかるように、これは見た目の通りの疑問文です。
「お前は、どのくらい dumb なのか?」と dumb の程度を尋ねる疑問文ですね。
もちろん、それは本当に程度を尋ねているのではなくて、意味としては、感嘆文の How dumb you are! と同じ、「お前は何てバカなんだ!」と同じことです。
ロスがどうしたらいい?と尋ねているので、お前の質問に答える前に、まずはこっちのより重要な問題からだ、と前振りしてから、How dumb are you? という疑問文を使って、彼の愚かさ加減にあきれている様子を示しているわけです。

ここでの address という動詞について。
address には、「(言葉などを)(人に)向けて言う、(人に)話しかける」という意味があります。
また「(問題などを)扱う、処理する、取り組む」という意味もあります。

「(人に)言う、話す」という意味では、address an audience なら「聴衆に演説・講演・説教をする、行なう」という意味になります。
TOEIC の Part 4 で、「そのスピーチは誰に向けたものか、聴衆は誰か」という質問で、
Who is being addressed?
Who is the speaker addressing?
のような形で address が登場することもありますね。

「問題などを扱う」という意味では、address the issue of... という組み合わせでよく使われます。
日向清人先生の 即戦力がつくビジネス英会話―基本から応用まで の p.218 にも、
A meeting to address the issue of revising the Employee Handbook 「従業員ハンドブックの改訂を進める会議」
という表現が出てきます。
「従業員ハンドブックを改訂するという課題・議題に取り組む会議」というニュアンスですね。

それで、address the more important question の解釈ですが、ここでの address は「言う」または「扱う」のどちらの意味になるでしょうか?
address the issue of という決まり文句(?)なら「問題を扱う」で良いと思うのですが、issue に似たニュアンスの question の場合はどうなるのか?
英辞郎では、
address a question=問題に対処する
address a question to=〜に質問をする
という語義が載っています。
上の方が「対処する、扱う」で、下の方は「言う」という意味ですね。

ロングマン現代英英辞典では、
address [verb]:
2 (formal)
if you address a problem, you start trying to solve it
address a problem/question/issue etc

つまり、「問題を address するということは、それを解決しようとする試みを始めること」。
address a issue と同様に、address a question も挙げられています。

また「言う」という意味では、
4 (formal)
if you address remarks, complaints etc to someone, you say or write them directly to that person
例) You will have to address your comments to our Head Office.

つまり、「発言や不平などを誰かに address するというのは、その人に直接そのことを言ったり書いたりすること」。
例文は、「あなたは我々の本部にコメントを言わなければならないでしょう。」

英辞郎やロングマンを見ていると、「(何かを)言う」という意味の場合は、言う内容である目的語(remarks, complaints, comments)の後に、それを言う対象となる、to someone が必要になるような気がします。
だから、we should address the more important question to you. なら、「お前にもっと重要な質問を言うべきだ」という意味に解釈することができるかもしれません。
が、今回のセリフでは、to you という言葉がないので、address the issue of と似たニュアンスの「質問を扱うべきだ、疑問に取り組むべきだ」という意味になるのかな、と思いました。

レイチェルに言ったらどうなるか?と心配しているロスに「お前はバカか?」と言うチャンドラーですが、それは当然「レイチェルに言うつもりなのか?、お前はバカか、正気か?」と言っているのですね。
それを察したロスは、rebuild a relationship 「関係修復」するためには、be totally honest with each other 「お互いに完全に正直になる、隠し事をしない」ことが重要だと訴えます。
ここにロスの真面目な性格が出ていますね。


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posted by Rach at 10:03| Comment(2) | フレンズ シーズン3 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする