セントラルパークでキャシーとラブラブなところを見せつけるチャンドラーですが、キャシーが出かけた後、フレンズたちに「キャシーとはまだエッチしてない」ことを告白します。
チャンドラーがエッチをためらう理由は…。
チャンドラー: Well, Kathy's last boyfriend was Joey. (えーっと、キャシーの前の[一番最近の]恋人はジョーイだっただろ。)
ロス: And you're afraid you won't be able to fill his shoes. [grins] (そしてチャンドラーは恐れてるんだな。自分がジョーイの靴にぴったり合わせることができないんじゃないかって。[にやっと笑う])
チャンドラー: No, I'm afraid I won't be able to make love as well as him. (いいや。俺が恐れてるのは、彼と同じくらい上手にエッチできないんじゃないかってことだ。)
ロス: [stops grinning] Yeah, I was going for the metaphor. ([にやっと笑うのをやめて] あぁ、僕はメタファーを言おうとしたんだよ。)
チャンドラー: Yes, and I was saying the actual words. (そうだな。そして俺は(メタファーじゃない)本当の言葉を言ったんだ。)
チャンドラーは、キャシーの直前の恋人がジョーイであったことを気にしているようです。
ロスは、fill his shoes できないんじゃないか、って心配してるわけだな、と言っています。
fill someone's shoes は「人に代わって後任となる、後釜にすわる」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
fill somebody's shoes: to be able to do a job as well as the person who did it before you
つまり、「自分の前にある仕事をした人と同じようにうまくその仕事をすることができること」。
fill someone's shoes を直訳すると、「誰かの靴を満たす、埋める」ということで、前任者にぴったりサイズが合った靴に、後任者もぴったり合わせる、前任者がこなしてきた仕事を後任者ももれなくきっちりやる、みたいな感覚なのでしょう。
フレンズ3-18その6 のコメント欄 で話題に上ったことがあるのですが、靴を使ったイディオムでは、in someone's shoes 「人の立場に立って」というのもありますね。
これも誰かの靴を履くという行為で、その人の立場に立つ、という状態を表しているのでしょう。
日本語の「立場に立つ」の「(足で)立つ」という言葉と英語の shoes 「靴」には同じ感覚があるように思います。
ロスはメタファー、つまり比喩を使って言っているわけですが、ニヤっと笑いながらこのセリフを言っていることから、裏に別の意味を込めていることがわかります。
「彼の靴を満たす、彼の靴のサイズにぴったり合う」というのは、エッチにおける「入れる」という行為を、靴に足を入れるというメタファーで示唆しているように思います。
すると、his shoes は、キャシーの大事な部分を指しているように思うのですね。
(女の私が言うのもなんですが)靴に足を入れるように、キャシーのあの部分にジョーイはそれを入れていた、今度はそこにお前が自分のものをぴったり合うように入れることになるわけだけど、それがうまく出来るかどうか、もしくはサイズがぴったり合う(ジョーイのものと大きさが同じである)かどうかを心配してるんだろ、と意地悪なことをメタファーを使って言っているのだと思います。
ちなみに、DVD日本語訳では「ジョーイの穴を埋められるかどうか」と訳してありました。
エッチな意味のメタファーとすると、これはある意味ドンピシャで(笑)お見事!と思いました。
実はこれと似たニュアンスのセリフが、フレンズ3-24 で出てきたことがあります。
ブログの解説では飛ばしてしまった部分なので、以下に紹介させていただきます。
セントラルパークで、ゲスト俳優のロビン・ウィリアムズとビリー・クリスタルが話しているシーン。
自分の妻が婦人科医と浮気しているのがわかるんだ、と言うロビンに、
ビリー: Like when you go bowling and you know you're in somebody else's shoes? (ボーリングに行って、他人の靴を履いてるのがわかる時みたいな感じ?)
ロビン: That's the one. (まさにそれだよ。)
これも、「他人の靴を履くと違和感がある」と言っていますね。
奥さんとエッチした時に、自分の靴を履いているはずがこれは別人の靴だと感じた、というような比喩です。
自分の靴だったはずが、誰か他の人が足を入れてしまい感覚が違ってしまった、それで奥さんが別人と寝てしまったことがわかった、ということでしょう。
同じように靴で例えていることから、今回のロスのメタファーに通じるものがあります。
ちなみに、たまたま昨日(11/5)の日経新聞朝刊に、村上由佳さんの「ダブル・ファンタジー」の書籍広告が載っていました。
その広告にその小説の中のセリフだと思われる以下の言葉が載っていました。
「ほかの男と、した?
俺のかたちじゃなくなってる」
これは、ビリー・クリスタルが例えた「他人の靴を履いている」という違和感と似ているように思います。
ビリーの場合は、コメディの中でジョークにして言っているわけですが、男が感じる違和感としては同じものなんだろうと。
ちょうどこの記事を投稿しようとしていた時に、目に入った言葉だったので、タイムリーだと思ってここで引用させていただきました。
ロスの発言を No. と否定したチャンドラーは、「俺はジョーイと同じくらい上手くエッチができるかどうかを心配してるだけだ」と言います。
チャンドラーのセリフは、上に挙げた LAAD の語義と非常によく似ていますね。
そのロスの例えの本当の意味をダイレクトに言ったわけです。
うまく例えたと思ったメタファーが通じなかったと感じたロスは、「今のは比喩だよ」と説明します。
当然のことながら、それが皮肉を交えた比喩だとわかっていたチャンドラーは、「お前が比喩を使って皮肉を言ったのはわかってたけど、俺はそれを実際の言葉を使って言ってみたまでだ」と返しています。
こういう皮肉っぽい例えは、相手が何らかの反応をしてくれてこそ言った甲斐もある、というもので、比喩で例えたことをダイレクトな言葉で表現されてしまっては、比喩を言った人間がバカみたいに見えてしまいます。
比喩を直接的な言葉で返すことで、チャンドラーはロスの皮肉に対して軽く仕返しをした、俺が真剣に悩んでるのに茶化したりするから、お前の皮肉を面白くないものにしてやったんだよ、という感じでしょうね。
(Rach からのお願い)
このブログを応援して下さる方は、下のランキングサイトをクリックしていただけると嬉しいです。
人気ブログランキング
にほんブログ村 英語ブログ
皆様の応援クリックが、とても励みになり、ブログを続ける大きな原動力となっています。心より感謝いたします。
2009年11月06日
2009年11月04日
言い間違いをみんなで責める フレンズ4-11その2
[SCENE: Monica's apartment. Chandler, Monica and Rachel are playing cards around the living room table. Joey and Ross enter.]
モニカのアパートメント。チャンドラー、モニカ、レイチェルはリビングルームのテーブルの周りでトランプをしている。ジョーイとロスが入ってくる。
ジョーイ: Hey, you guys. Check it out! Check it out! Guess what job I just got? [smoothes the blue blazer he's wearing and has a big grin on his face] (やあ、みんな。見てくれよ! 俺は何の仕事をゲットしたと思う? [自分が着ている青いブレザーのしわをのばし、歯を見せてにっこり笑う])
チャンドラー: I don't know, but Donald Trump wants his blue blazer black. [stops] (さあね。でも、ドナルド・トランプは、自分の青いブレザーをブラックにしたいだろうね。[動きが停止する])
ロス: What? (何だって?)
チャンドラー: Blue blazer back. He, he wants it back. (青いブレザーを「バック」したいだ。彼は、彼はそれを「バック」したい、だよ。)
レイチェル: Well, you said "black." Why would he want his blue blazer black? (えーっと、あなたは「ブラック」って言ったわ。どうして彼は自分の青いブレザーをブラックにしたいと思うわけ?)
チャンドラー: Well, you, you know what I meant. (えーっと、俺の言いたかったこと、わかるだろ?)
モニカ: No, you've messed it up. You're stupid. (いいえ。あなたは間違えたのね。あなたっておバカねぇ。)
チャンドラー: [Chandler glares at her and then changes the subject.] So what job did you get, Joe? ([チャンドラーはモニカをにらみつけ、それから話題を変える] それで何の仕事をゲットしたんだ、ジョーイ?)
ジョーイ: Oh, tour guide at the museum. Yeah, Ross got it for me. (あぁ、博物館のツアーガイドだよ。そうさ、ロスが俺にその仕事を用意してくれたんだ。)
ジョーイは、ピンクのシャツの上に、鮮やかな色の青いブレザー(the blue blazer)を着ています。
そのブレザーを得意気に披露して、「俺は仕事をゲットしたんだけど、何だと思う?」と尋ねています。
Guess what? と言われたら、何かしら面白いことを言わずにはいられないチャンドラー。
またお得意のジョークで返そうとするのですが…。
今回は、せっかくのジョークなのに単語を言い間違えて、みんなに「それってどういう意味?」と責められる結果になってしまいます。
まずは順番にセリフの内容を見ていきます。
ドナルド・トランプ(Donald Trump)は、「トランプ・タワー」などで有名な、アメリカの不動産王、大富豪ですね。
Wikipedia 日本語版: ドナルド・トランプ
Wikipedia 英語版: Donald Trump
his blue blazer と言っているのは、ドナルド・トランプがそういう色のブレザーをよく着ているから、という意味なんでしょうねぇ、多分。
ウィキペディアの日本語版には2つの写真が載っていて(たまたまかもしれませんが)どちらのブレザーも青系です。
特に下の方の、奥さんと一緒に写っている写真のブレザーの色は、今回ジョーイが着ている服の色に似ているように思います。
ただ、英語版ウィキペディアに、blue の服をよく着ている、好きな色は blue、などの記述は残念ながら見当たりませんでした。
Google の画像検索で Donald Trump を見てみると、青系の服が多いようには思いますが、いつも青、ということでもないようです。
チャンドラーが、Donald Trump wants his blue blazer black. と言った後、「あれ?」という顔をして、動きが止まってしまいます。
みんなに「は?」という顔をされて、慌てて、Blue blazer back. He, he wants it back. と言い直していますね。
つまりチャンドラーは、Donald Trump wants his blue blazer back. と言おうとして、wants his blue blazer black と言い間違えてしまった、ということです。
want something back だと「…を返して欲しいと思う、…を取り戻したいと思う」。
I want my life back! だと「俺の人生を返してくれ!」ですね。
want something black だと「…を黒にしたいと思う、黒くしたいと思う」。
バックとブラックを言い間違えた(余計なエルが入ってしまった)ことで、「トランプは自分の青いブレザーを返して欲しいと思ってるよ」が、「自分の青いブレザーを黒にしたいと思ってるよ」という意味になってしまったわけです。
ジョーイがトランプが着そうな感じの派手な青いブレザーを着ていたので、「それはドナルド・トランプのブレザーを盗んできたんじゃないのか? 彼はそれを返してもらいたがってるよ」と言って茶化すつもりが、「トランプは自分の青いブレザーを黒くしたがってるよ」と意味不明な内容になってしまったのですね。
ロスは、What? と言い、レイチェルは「あなたは black って言ったわ」と責め、モニカに至ってははっきりと、you've messed it up と言っています。
mess up は「台無しにする、だめにする」「間違える、失敗する、しくじる」。
ここでは、ジョークを言うはずが言い間違えた、しくじった、トチった、という感じですね。
みんなにポンポン言われて、言い返せなくなったチャンドラーは、「それでそのジョーイの仕事って何だ?」と話題を変え、みんなの非難から逃れます。
この一連のシーン、チャンドラーが一語言い間違えたことにフレンズたちがやたらとツッコミを入れてきて、チャンドラーがそれに言い返すことができずに話題を変えてしまう、という珍しい展開になっていますが、これは実際に、チャンドラー役のマシュー・ペリーがセリフを言い間違えてしまったためにこういうシーンが出来上がったようです。
IMDb: Trivia for "Friends" The One with Phoebe's Uterus に、これにまつわるトリビアが書いてあります。
面白いので引用させていただくと、
Matthew Perry messes up a line by saying "blue blazer black" instead of "blue blazer back". The rest of the cast's responses were so funny that they left it in the episode.
訳しますと、「マシュー・ペリーは "blue blazer back" と言う代わりに、"blue blazer black" と言うことで、セリフをトチってしまった。残りのキャストの反応がとても面白かったので、製作者はそのシーンをエピソードに残した。」
つまり、脚本にあった本当のセリフは back だったのに、それを black と言い間違えてしまった。残りのメンバーがそれに反応した様子が面白かったので、それをエピソードの一部として使ってそのまま放映した、ということですね。
セリフを言い間違えたわけですから、普通ならそこで誰かが笑ってしまったり、ごめん間違えた、と言ってしまったりして、NG集に入ってしまうようなタイプのシーンです。
ところが今回は、「マシュー」がセリフを間違えたのに、シーンが中断することなく、まるで「チャンドラー」が言い間違えたかのように話が進んでいます。
「ジョークの天才であるチャンドラーが、言葉を言い間違えてジョークがすべった」ことをフレンズたちが執拗に攻撃しているように見える、「あなた、面白いこと言おうとしてトチってるわよ」とまで言われてしまっている、ということです。
時々、吉本新喜劇でも、俳優の言い間違いだと思われるセリフを、他のキャストがいじりまくるシーンなどがあったりしますので、それと同じ感覚でしょうか。
元々脚本の中で言い間違える設定になっていたとしたら、みんなにこうして責められた後、それをひっくり返すような面白いオチが最後に来るはずだと思うのですね。
今回はそれがなく、チャンドラーが言い返せなくて敗北を認めたかのように自ら話題を変えているところがいつものフレンズとは展開が違いますので、「マシュー・ペリーが言い間違えた」という IMDb のトリビアを読んで、あぁなるほどそういうことか、と妙に納得してしまいました。
みんなが妙に意地悪っぽくチャンドラー(マシュー・ペリー)を責めている時、俳優としての素の部分みたいなものが垣間見れて面白いなと思いました。
(Rach からのお願い)
このブログを応援して下さる方は、下のランキングサイトをクリックしていただけると嬉しいです。
人気ブログランキング
にほんブログ村 英語ブログ
皆様の応援クリックが、とても励みになり、ブログを続ける大きな原動力となっています。心より感謝いたします。
モニカのアパートメント。チャンドラー、モニカ、レイチェルはリビングルームのテーブルの周りでトランプをしている。ジョーイとロスが入ってくる。
ジョーイ: Hey, you guys. Check it out! Check it out! Guess what job I just got? [smoothes the blue blazer he's wearing and has a big grin on his face] (やあ、みんな。見てくれよ! 俺は何の仕事をゲットしたと思う? [自分が着ている青いブレザーのしわをのばし、歯を見せてにっこり笑う])
チャンドラー: I don't know, but Donald Trump wants his blue blazer black. [stops] (さあね。でも、ドナルド・トランプは、自分の青いブレザーをブラックにしたいだろうね。[動きが停止する])
ロス: What? (何だって?)
チャンドラー: Blue blazer back. He, he wants it back. (青いブレザーを「バック」したいだ。彼は、彼はそれを「バック」したい、だよ。)
レイチェル: Well, you said "black." Why would he want his blue blazer black? (えーっと、あなたは「ブラック」って言ったわ。どうして彼は自分の青いブレザーをブラックにしたいと思うわけ?)
チャンドラー: Well, you, you know what I meant. (えーっと、俺の言いたかったこと、わかるだろ?)
モニカ: No, you've messed it up. You're stupid. (いいえ。あなたは間違えたのね。あなたっておバカねぇ。)
チャンドラー: [Chandler glares at her and then changes the subject.] So what job did you get, Joe? ([チャンドラーはモニカをにらみつけ、それから話題を変える] それで何の仕事をゲットしたんだ、ジョーイ?)
ジョーイ: Oh, tour guide at the museum. Yeah, Ross got it for me. (あぁ、博物館のツアーガイドだよ。そうさ、ロスが俺にその仕事を用意してくれたんだ。)
ジョーイは、ピンクのシャツの上に、鮮やかな色の青いブレザー(the blue blazer)を着ています。
そのブレザーを得意気に披露して、「俺は仕事をゲットしたんだけど、何だと思う?」と尋ねています。
Guess what? と言われたら、何かしら面白いことを言わずにはいられないチャンドラー。
またお得意のジョークで返そうとするのですが…。
今回は、せっかくのジョークなのに単語を言い間違えて、みんなに「それってどういう意味?」と責められる結果になってしまいます。
まずは順番にセリフの内容を見ていきます。
ドナルド・トランプ(Donald Trump)は、「トランプ・タワー」などで有名な、アメリカの不動産王、大富豪ですね。
Wikipedia 日本語版: ドナルド・トランプ
Wikipedia 英語版: Donald Trump
his blue blazer と言っているのは、ドナルド・トランプがそういう色のブレザーをよく着ているから、という意味なんでしょうねぇ、多分。
ウィキペディアの日本語版には2つの写真が載っていて(たまたまかもしれませんが)どちらのブレザーも青系です。
特に下の方の、奥さんと一緒に写っている写真のブレザーの色は、今回ジョーイが着ている服の色に似ているように思います。
ただ、英語版ウィキペディアに、blue の服をよく着ている、好きな色は blue、などの記述は残念ながら見当たりませんでした。
Google の画像検索で Donald Trump を見てみると、青系の服が多いようには思いますが、いつも青、ということでもないようです。
チャンドラーが、Donald Trump wants his blue blazer black. と言った後、「あれ?」という顔をして、動きが止まってしまいます。
みんなに「は?」という顔をされて、慌てて、Blue blazer back. He, he wants it back. と言い直していますね。
つまりチャンドラーは、Donald Trump wants his blue blazer back. と言おうとして、wants his blue blazer black と言い間違えてしまった、ということです。
want something back だと「…を返して欲しいと思う、…を取り戻したいと思う」。
I want my life back! だと「俺の人生を返してくれ!」ですね。
want something black だと「…を黒にしたいと思う、黒くしたいと思う」。
バックとブラックを言い間違えた(余計なエルが入ってしまった)ことで、「トランプは自分の青いブレザーを返して欲しいと思ってるよ」が、「自分の青いブレザーを黒にしたいと思ってるよ」という意味になってしまったわけです。
ジョーイがトランプが着そうな感じの派手な青いブレザーを着ていたので、「それはドナルド・トランプのブレザーを盗んできたんじゃないのか? 彼はそれを返してもらいたがってるよ」と言って茶化すつもりが、「トランプは自分の青いブレザーを黒くしたがってるよ」と意味不明な内容になってしまったのですね。
ロスは、What? と言い、レイチェルは「あなたは black って言ったわ」と責め、モニカに至ってははっきりと、you've messed it up と言っています。
mess up は「台無しにする、だめにする」「間違える、失敗する、しくじる」。
ここでは、ジョークを言うはずが言い間違えた、しくじった、トチった、という感じですね。
みんなにポンポン言われて、言い返せなくなったチャンドラーは、「それでそのジョーイの仕事って何だ?」と話題を変え、みんなの非難から逃れます。
この一連のシーン、チャンドラーが一語言い間違えたことにフレンズたちがやたらとツッコミを入れてきて、チャンドラーがそれに言い返すことができずに話題を変えてしまう、という珍しい展開になっていますが、これは実際に、チャンドラー役のマシュー・ペリーがセリフを言い間違えてしまったためにこういうシーンが出来上がったようです。
IMDb: Trivia for "Friends" The One with Phoebe's Uterus に、これにまつわるトリビアが書いてあります。
面白いので引用させていただくと、
Matthew Perry messes up a line by saying "blue blazer black" instead of "blue blazer back". The rest of the cast's responses were so funny that they left it in the episode.
訳しますと、「マシュー・ペリーは "blue blazer back" と言う代わりに、"blue blazer black" と言うことで、セリフをトチってしまった。残りのキャストの反応がとても面白かったので、製作者はそのシーンをエピソードに残した。」
つまり、脚本にあった本当のセリフは back だったのに、それを black と言い間違えてしまった。残りのメンバーがそれに反応した様子が面白かったので、それをエピソードの一部として使ってそのまま放映した、ということですね。
セリフを言い間違えたわけですから、普通ならそこで誰かが笑ってしまったり、ごめん間違えた、と言ってしまったりして、NG集に入ってしまうようなタイプのシーンです。
ところが今回は、「マシュー」がセリフを間違えたのに、シーンが中断することなく、まるで「チャンドラー」が言い間違えたかのように話が進んでいます。
「ジョークの天才であるチャンドラーが、言葉を言い間違えてジョークがすべった」ことをフレンズたちが執拗に攻撃しているように見える、「あなた、面白いこと言おうとしてトチってるわよ」とまで言われてしまっている、ということです。
時々、吉本新喜劇でも、俳優の言い間違いだと思われるセリフを、他のキャストがいじりまくるシーンなどがあったりしますので、それと同じ感覚でしょうか。
元々脚本の中で言い間違える設定になっていたとしたら、みんなにこうして責められた後、それをひっくり返すような面白いオチが最後に来るはずだと思うのですね。
今回はそれがなく、チャンドラーが言い返せなくて敗北を認めたかのように自ら話題を変えているところがいつものフレンズとは展開が違いますので、「マシュー・ペリーが言い間違えた」という IMDb のトリビアを読んで、あぁなるほどそういうことか、と妙に納得してしまいました。
みんなが妙に意地悪っぽくチャンドラー(マシュー・ペリー)を責めている時、俳優としての素の部分みたいなものが垣間見れて面白いなと思いました。
(Rach からのお願い)
このブログを応援して下さる方は、下のランキングサイトをクリックしていただけると嬉しいです。
人気ブログランキング
にほんブログ村 英語ブログ
皆様の応援クリックが、とても励みになり、ブログを続ける大きな原動力となっています。心より感謝いたします。
2009年11月01日
人間誰しも歳をとるから フレンズ4-11その1
シーズン4 第11話
The One with Phoebe's Uterus (フィービー、ママになるの?)
原題は「フィービーの子宮の話」
セントラルパーク。フィービーは、弟フランクとアリスが結婚したと聞いて大喜び。(フランクとアリスの話は、フレンズ3-18 に出てきました)
フィービー: So, ooh, I'm going to get you a gift now. Is there anything you need? (それで、あぁ、あなたたちに贈り物をすることになるわね。何か必要なものはある?)
フランク: Uh, yeah. (あぁ、そうだね。)
アリス: We've been trying to get pregnant, uh, pretty much ever since we got engaged. We thought we'd get a jump on things. You know, no one's getting any younger. [laughs] (私たちは妊娠しようとずっとトライしているの、私たちが婚約して以来、かなりね。早く取り掛かろうと思ったのよ。だって、年齢がどんどん若くなる人はいないから[人間、どんどん歳をとっちゃうから] [笑う])
フランク: Because the thing is, uh, we're not able to, you know, uh, conceive, you know. (それで言いたいことは、俺たち、できないんだよ、ほら、妊娠することができないんだ。)
アリス: We've tried everything; we've seen a bunch of doctors. (私たちこれまであらゆることをやってみたわ。たくさんのお医者さんにも診てもらったの。)
フランク: Yeah, and they say, they say that our only chance to have a baby is that if they take my sperm, her egg, and put it together in a dish, and then put it into another girl. So we were wondering if you could be the girl that we could put it into. (そうなんだ。それで医者が言うんだよね。赤ちゃんができる唯一のチャンスは、医者が俺の精子、アリスの卵子を取って、それを皿で混ぜて、それからそれを別の女の子に入れることだって。それで俺たち、どうかなーって思ったんだよね。フィービーが、俺たちがそれを入れることができる女の子になってくれるかな、って。)
[Phoebe just stares at them for a moment with a bewildered smile on her face.]
フィービーは顔に当惑した笑顔を浮かべて、しばらくの間、ただ二人をじっと見つめる。
フィービー: That's a really nice gift. I was thinking of, like, a gravy boat. (それはほんとうに素敵な贈り物ね。私は、グレイビーボートみたいなものを考えていたんだけど。)
結婚したと聞いて何かお祝いの品をあげたい、というフィービー。
それを聞いて、アリスは、自分たちが今、子供を作ろうとトライ中であることを話し始めます。
have been trying to... ever since... という現在完了進行形は、婚約を決めた時から今までずっと子作りにトライしてきた、という「継続」を表しますね。
結婚してからではなくて婚約中から始めていたのは、早い方がいいと思ったからだと言っています。
get a jump on は「…に早く取り掛かる」。
no one's getting any younger を直訳すると「少しでも若返っていく人はいない」という感じでしょうか。
日が経つにつれて若返っていく人などいない、人間は誰しも日に日に歳をとっていくものだ、ということです。
子供を産むのなら少しでも若い方がいいと思って、結婚する前から子作りを始めたのよ、と言っているわけですが、このセリフをアリスが言っていることにポイントがあります。
フレンズ3-18その4 で、「フランクは18歳で、アリスは44歳である」というセリフが出てきます。
そのように、アリスはフランクと歳が離れていて、(アラフォーの私が言うのもなんですが)妊娠するのがなかなか難しいと思われる年齢です。
「人間どんどん歳をとっちゃうから、ちょっとでも早い方がいいと思って」と言っているのですが、今の年齢でも結構キツいものがある、その自分の年齢を忘れたかのような、まるで自分が若者であるかのようなセリフなので面白い、ということなのでしょう。
「ほら、私はこんな歳だから、少しでも急いだ方がいいと思って」という自虐的なセリフだという可能性もありうるかもしれませんが、これまでのアリスのキャラ設定を見ていると、はたの人間が思っているほど、自分の年齢についてコンプレックスを持っていないように見えます。
ですから、自分の年齢を自覚していない、「人間誰しも歳をとるから、妊娠は早い方がいい」という一般論を、歳の差結婚で年齢が高い方のアリスが述べているのが面白い、ということだと思います。
conceive は「妊娠する、子をはらむ」。
かなりトライしてみたけど、子供ができないんだ、ということです。
そして、お医者さんが言ってくれた子供を持てる唯一の方法をフィービーに話します。
精子と卵子を取り出して皿で混ぜて他の女性に入れる、つまり、体外受精して、別の女性に代理母になってもらう、という方法ですね。
その方法を説明した後、the girl that we could put it into 「体外受精させた精子と卵子を入れる女性」にフィービーがなってくれるかな、と言っています。
We were wondering if... は、フレンズ1-9その1 を始めとして何度も登場している表現ですが、「…はどうかなと思ったんだけど」と自分の希望を遠回しに伝える表現ですね。
「…してくれるといいなと思ったんだけど、どうかなぁ?」というニュアンスです。
それが代理母になってくれと頼むお願いであることに気づいて、さすがのフィービーもびっくりして、しばらくは声も出ません。
I was thinking of, like, a gravy boat. という過去形は「私はグレイビーボートみたいな贈り物を考えていたんだけど」ということで、そんなものを想像していたのに、あなたたちのリクエストはそれとは全然違うものだったから、びっくりよ、というニュアンスが出るように思います。
gravy は「肉汁」で、gravy boat は「グレイビー(肉汁)ソース入れ」です。
gravy boat は、sauce boat とも言います。
Wikipedia 英語版: Sauce boat には写真もあります。
boat 型(舟形)をしているから、そう呼ぶのですね。
フレンズ1-1 で、レイチェルが結婚式から逃げ出した理由について述べているセリフでも、really gorgeous Limoges gravy boat 「本当に豪華な、リモージュ[リモージュ焼]のグレイビーボート」という言葉が出てきました。
結婚式のお祝いの品の定番というところでしょうか。
(Rach からのお願い)
このブログを応援して下さる方は、下のランキングサイトをクリックしていただけると嬉しいです。
人気ブログランキング
にほんブログ村 英語ブログ
皆様の応援クリックが、とても励みになり、ブログを続ける大きな原動力となっています。心より感謝いたします。
The One with Phoebe's Uterus (フィービー、ママになるの?)
原題は「フィービーの子宮の話」
セントラルパーク。フィービーは、弟フランクとアリスが結婚したと聞いて大喜び。(フランクとアリスの話は、フレンズ3-18 に出てきました)
フィービー: So, ooh, I'm going to get you a gift now. Is there anything you need? (それで、あぁ、あなたたちに贈り物をすることになるわね。何か必要なものはある?)
フランク: Uh, yeah. (あぁ、そうだね。)
アリス: We've been trying to get pregnant, uh, pretty much ever since we got engaged. We thought we'd get a jump on things. You know, no one's getting any younger. [laughs] (私たちは妊娠しようとずっとトライしているの、私たちが婚約して以来、かなりね。早く取り掛かろうと思ったのよ。だって、年齢がどんどん若くなる人はいないから[人間、どんどん歳をとっちゃうから] [笑う])
フランク: Because the thing is, uh, we're not able to, you know, uh, conceive, you know. (それで言いたいことは、俺たち、できないんだよ、ほら、妊娠することができないんだ。)
アリス: We've tried everything; we've seen a bunch of doctors. (私たちこれまであらゆることをやってみたわ。たくさんのお医者さんにも診てもらったの。)
フランク: Yeah, and they say, they say that our only chance to have a baby is that if they take my sperm, her egg, and put it together in a dish, and then put it into another girl. So we were wondering if you could be the girl that we could put it into. (そうなんだ。それで医者が言うんだよね。赤ちゃんができる唯一のチャンスは、医者が俺の精子、アリスの卵子を取って、それを皿で混ぜて、それからそれを別の女の子に入れることだって。それで俺たち、どうかなーって思ったんだよね。フィービーが、俺たちがそれを入れることができる女の子になってくれるかな、って。)
[Phoebe just stares at them for a moment with a bewildered smile on her face.]
フィービーは顔に当惑した笑顔を浮かべて、しばらくの間、ただ二人をじっと見つめる。
フィービー: That's a really nice gift. I was thinking of, like, a gravy boat. (それはほんとうに素敵な贈り物ね。私は、グレイビーボートみたいなものを考えていたんだけど。)
結婚したと聞いて何かお祝いの品をあげたい、というフィービー。
それを聞いて、アリスは、自分たちが今、子供を作ろうとトライ中であることを話し始めます。
have been trying to... ever since... という現在完了進行形は、婚約を決めた時から今までずっと子作りにトライしてきた、という「継続」を表しますね。
結婚してからではなくて婚約中から始めていたのは、早い方がいいと思ったからだと言っています。
get a jump on は「…に早く取り掛かる」。
no one's getting any younger を直訳すると「少しでも若返っていく人はいない」という感じでしょうか。
日が経つにつれて若返っていく人などいない、人間は誰しも日に日に歳をとっていくものだ、ということです。
子供を産むのなら少しでも若い方がいいと思って、結婚する前から子作りを始めたのよ、と言っているわけですが、このセリフをアリスが言っていることにポイントがあります。
フレンズ3-18その4 で、「フランクは18歳で、アリスは44歳である」というセリフが出てきます。
そのように、アリスはフランクと歳が離れていて、(アラフォーの私が言うのもなんですが)妊娠するのがなかなか難しいと思われる年齢です。
「人間どんどん歳をとっちゃうから、ちょっとでも早い方がいいと思って」と言っているのですが、今の年齢でも結構キツいものがある、その自分の年齢を忘れたかのような、まるで自分が若者であるかのようなセリフなので面白い、ということなのでしょう。
「ほら、私はこんな歳だから、少しでも急いだ方がいいと思って」という自虐的なセリフだという可能性もありうるかもしれませんが、これまでのアリスのキャラ設定を見ていると、はたの人間が思っているほど、自分の年齢についてコンプレックスを持っていないように見えます。
ですから、自分の年齢を自覚していない、「人間誰しも歳をとるから、妊娠は早い方がいい」という一般論を、歳の差結婚で年齢が高い方のアリスが述べているのが面白い、ということだと思います。
conceive は「妊娠する、子をはらむ」。
かなりトライしてみたけど、子供ができないんだ、ということです。
そして、お医者さんが言ってくれた子供を持てる唯一の方法をフィービーに話します。
精子と卵子を取り出して皿で混ぜて他の女性に入れる、つまり、体外受精して、別の女性に代理母になってもらう、という方法ですね。
その方法を説明した後、the girl that we could put it into 「体外受精させた精子と卵子を入れる女性」にフィービーがなってくれるかな、と言っています。
We were wondering if... は、フレンズ1-9その1 を始めとして何度も登場している表現ですが、「…はどうかなと思ったんだけど」と自分の希望を遠回しに伝える表現ですね。
「…してくれるといいなと思ったんだけど、どうかなぁ?」というニュアンスです。
それが代理母になってくれと頼むお願いであることに気づいて、さすがのフィービーもびっくりして、しばらくは声も出ません。
I was thinking of, like, a gravy boat. という過去形は「私はグレイビーボートみたいな贈り物を考えていたんだけど」ということで、そんなものを想像していたのに、あなたたちのリクエストはそれとは全然違うものだったから、びっくりよ、というニュアンスが出るように思います。
gravy は「肉汁」で、gravy boat は「グレイビー(肉汁)ソース入れ」です。
gravy boat は、sauce boat とも言います。
Wikipedia 英語版: Sauce boat には写真もあります。
boat 型(舟形)をしているから、そう呼ぶのですね。
フレンズ1-1 で、レイチェルが結婚式から逃げ出した理由について述べているセリフでも、really gorgeous Limoges gravy boat 「本当に豪華な、リモージュ[リモージュ焼]のグレイビーボート」という言葉が出てきました。
結婚式のお祝いの品の定番というところでしょうか。
(Rach からのお願い)
このブログを応援して下さる方は、下のランキングサイトをクリックしていただけると嬉しいです。
人気ブログランキング
にほんブログ村 英語ブログ
皆様の応援クリックが、とても励みになり、ブログを続ける大きな原動力となっています。心より感謝いたします。