2010年03月08日

こぶしが壁を突き抜ける フレンズ4-17その4

[Scene: Monica and Rachel's erm, Chandler and Joey's, Ross is relating his recent conversation with Emily to the gang.]
モニカとレイチェルの、えーっと(そうじゃなくて)チャンドラーとジョーイの部屋。ロスはフレンズたちに、エミリーとの最新の会話のことを話している。
ロス: She doesn't know which one of us she wants. Me or this "Colin" guy. (エミリーは、僕たちのうちのどちらを欲しているか[愛しているか]わからないんだ。僕か、その「コリン」ってやつか。)
モニカ: This isn't how it's supposed to go. I mean, there can't be another guy. (これは、予定されている展開とは違うわ。ほら、もう一人の別の男性なんているはずないのに。)
ロス: Well.... (そうだね…)
モニカ Of course, there's another guy! This is even more perfect. Now you have to prove your love! ([突然考えを変えたように] もちろん、他の男がいるのよ! これはもっとさらに完璧だわ。今あなたはあなたの愛を証明しないといけないのよ!)
ロス: I'm not proving anything. Okay, I'm done listening to you. If I hadn't let you talk me into going to the airport in the first place, I never would've put my fist through the wall. (僕は何も証明したりしないよ。いいか、モニカの話を聞くのはもうおしまいだよ。もし、そもそも僕がモニカに言われて空港に行ったりしなければ、自分のこぶしが壁を突き通すこともなかったのに。)
チャンドラー: You put your fist through the wall? (ロスのこぶしは壁を突き抜けたのか?)
ロス: No, I missed and hit the door. But it opened really hard. (いいや。的がはずれて、(こぶしは)ドアに当たったよ。でも、ドアはほんとに激しく開いたんだ。)

エミリーとの会話の内容を、フレンズたちに話して聞かせるロス。
エミリーは、僕(ロス)と、イギリスにいるコリンという男との二人の間で迷っているんだ、と言っています。
モニカは、「他の男性がいたなんて、そんなこと、私のシナリオにはなかったわ」みたいなことを言っていますね。
This isn't how it's supposed to go. の go は「(物事が)進行する、進展する」というニュアンスで、コリンという別の男性がいる今のこの状況は、本来そうなるはずだった進展の様子とは異なる、という感覚です。
フレンズ4-16その4 にも、
This is not how this is supposed to happen. (これはこんな風になるはずじゃなかったのよ。)というセリフも出てきましたね。

二人の恋愛が成就するためには、そんな「別の男」の存在など、あってはいけないのに、という感じで、 There can't be another guy. 「別の男なんかいるはずがない、いてはいけない」と言っています。
自分でそう言っておきながら、モニカは何かひらめいたように、「他の男がいて当然よ。もちろんそういう男はいるものよ!」と正反対のことを言い直しています。
恋愛ドラマでもよく登場する「恋敵(こいがたき)、ライバル」の存在はあって当然よ、そこでロスは自分の愛を証明すればいいのよ、とモニカは言いたいのですね。
ロスは、「また、女のロマンチックな連想が始まったよ」みたいな顔をしています。

If I hadn't let you..., I never would've put... という文章は、had not let と never would have put が使われていて、教科書に出てきそうなくらいの「きれいな仮定法過去完了」の文章になっています。
in the first place は「そもそも」。
let you talk me into going to the airport は使役動詞 let が使われています。
talk someone into doing は「人を説得して…させる」。
ですから、直訳すると、「僕を説得して空港に行かせることをモニカにさせる[許す]」、つまり、モニカが僕に空港に行くように説得して、僕もその説得に折れて行くことにした、モニカのそういう説得を拒まずに、モニカの言ったとおりにした、ということです。
If 節は、hadn't という否定形になっていますので、「モニカの言う通りにしていなければ」という意味になります。

put my fist through the wall は「自分のこぶしを壁に通らせる」。自分のこぶしを壁を通り抜けた状態に put する、という感覚ですね。
これはよく映画やドラマであるようなシーンのイメージでしょう。
やりきれない怒りをぶつけるために、男性が自分のこぶしを壁などに打ちつけて、壁がへこんだり、穴が開いたりして、本人のこぶしも血で真っ赤になっている、というようなシーンをよく見かけますよね。
自分の手が痛くなっても構わない、爆発する怒りのやり場がない様子をそういう描写で表現しているわけです。
ロスの仮定法過去完了のセリフも、文字通り受け止めると、「モニカに言われるまま空港に行ったりしなければ、こぶしが壁を突き抜けること(そして自分のこぶしを痛めること)もなかった」ということになります。
あまり暴力には訴えないタイプのロスが、そんな激しいことを言うので、チャンドラーはびっくりして聞き返していますね。
するとロスは、「実際のところは、壁を打つはずが的が外れてドアに当たってしまった」と言っています。
「ドアに当たってしまったけれど、僕のこぶしの勢いが強かったから、ドアは、それはもうすごい勢いで開いたよ」とも付け足しています。
やはりみんなの想像通り、いくら怒りを抱えていても、壁をこぶしで打つようなことはしなかったのだ、とわかるオチなわけですね。
ちょっとドラマの主人公風に、「壁を突き破ることもなかったのに」と言ってみたけれど、実際はドアを思い切り開けただけだった、怒りでドアをバーン!と開けただけなのを「こぶしが壁を突き抜けた」と大げさに言ってみた、ということです。


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2010年03月05日

想う気持ちが強すぎて怖い フレンズ4-17その3

ロスが愛してると言ったのに、エミリーはありがとうとだけ言ってイギリスに帰ってしまったんだから、それで終わりだよ、というチャンドラー。
モニカはそれに反論します。
モニカ: It is not over because she is going to call you and tell you she loves you. And the reason why she couldn't, is because her feelings were so strong that it scared her. You go home and wait for her call. She could be calling you from the plane! Come on now go! Go! (Tries to push Ross out the door.) (終わりじゃないわ。だって、彼女は(これから)あなたに電話してきて、あなたを愛してるって言うんだから。そして、彼女がそのことを空港で言えなかった理由は、彼女の気持ちがとても強くて、そのことが彼女を怖がらせたからよ。あなた(ロス)は家に帰って、彼女の電話を待つのよ。彼女は飛行機から電話してくるかもしれないわ! さあ、行って! 行って! [ロスをドアの外へ押し出そうとする])
ロス: Okay! Okay! But if she doesn't call, it is definitely over! No, wait. Wait. Unless, eventually, I call her, y'know just to see what's going on, and, and she says she'll call me back, but then she doesn't. Then it's over! (わかった、わかったよ! でももし彼女が電話してこなければ、それで完全に終わりだよ! いや、待って。待って。こういう場合は話は別だけどね。結局、僕が彼女に電話して、ほら、それはただ今どういう状況なのかを知るためだけだよ、そして、彼女が僕にまた電話する、と言って、それから彼女が電話して来なければ。その時は、終わりなんだ!)
(Joey holds his fist up, and Chandler gives him two thumbs up.)
ジョーイはこぶしを高く掲げ、チャンドラーは両手の親指を立てる。
ジョーイ: Way to be strong, man! (その調子で強く頑張るんだ、ロス!)
(Ross leaves, and after the door closes, Joey gives him the loser sign.)
ロスは立ち去る。そしてドアが閉まった後、ジョーイはロスに負け犬サインをする。

モニカは、「まだ終わっていない。エミリーはきっとロスに電話してきて、愛してると言うはず」と言っています。
愛しているのに、空港で愛していると言わなかったのは、her feelings were so strong that it scared her だからだ、と説明していますね。
これは、学校文法でも習った、so... that 〜 の構文。
直訳すると、「彼女の気持ちがとても強かったので、(そのことが)彼女を怖がらせた」。
ロスのことを想う気持ちがあまりにも強かったために、彼女は愛してるとあなたに言うのが怖かったのよ、ということです。
いかにも女の子が考えそうなロマンチックな理由ですね。

そのような理由をつけて、とにかく家で彼女の電話を待つのよ、と説得するモニカ。
ロスもその後押しを受けて、家に帰ることにします。
去り際にロスが長々と述べているセリフが面白いですね。
ロスも内心、もうダメかな、と思っているのがわかります。
「エミリーが電話してこなければ終わりだ」といったんは言うのですが、ただ待っていても、電話がかかってこないかもしれない可能性が高い、とロスは思っているのですね。
それで、unless 「ただし、こういう場合は話が別だけど」と言って、ただロスが電話を待つだけではなく、別の行動を起こすことを続けて述べています。
まずは僕が電話して、と言った後、自分から電話するなんてみっともない、もしくは未練がましいと思われたらいやなのでしょう、just to see what's going on 「ただ、何が起こっているかを知るためだけに、ただ状況がどんな様子か知るためだけに」まずは僕から電話をかけるんだ、と自分から電話をかける理由を説明しています。
エミリーは無事にイギリスについたか、元気にやっているか?という状況を知りたいためだけに電話するだけで、彼女の気持ちを確かめたくて電話するんじゃないんだよ、という言い訳です。
そしてそういう電話をした後、エミリーが「また私から電話するわね」と言って、それで結局彼女がそれ以降かけてこなければ、そこで正真正銘、二人の関係は終わりってことになるんだよ、とロスは言っているのですね。
「ありがとう」と言われて気まずく別れた後、勇気を振り絞って僕が電話したのに、それでも結局、納得のいく返事がもらえないのならば、さすがに僕もその時はすっぱりあきらめるよ、というところです。

ジョーイとチャンドラーは、そのロスの宣言を聞いて、頑張れよ!と激励しています。
こぶしを高く掲げたり、親指を立てたサムアップをしているのは、「いいぞ! その調子で頑張れ!」というニュアンスですね。
ただ、ロスが出て行った後、ジョーイはその高く掲げていたこぶしの指をエル字形にして、おでこにくっつけています。
これが、ト書きにある、the loser sign のようですね。
loser の最初の文字エルを指で示したもののようで、「あぁ、きっと、ロスとエミリーの仲はもうダメだろうな」とジョーイが思っていることがわかります。
ロスが「もし僕が電話して、それでも彼女が電話してこなかったら」と譲歩に譲歩を重ねたのを見て、もうすでに負けを見越したような敗者の言葉だと感じたのでしょう。


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2010年03月03日

落ちにくい男を演じる フレンズ4-17その2

エミリーを愛しているのなら、今から空港に行って、その気持ちを彼女に伝えるべきよ、とモニカに促されたロス。
そのロスが帰ってきました。
(Ross enters.)
ロスが部屋に入ってくる。
モニカ: Ohh! Did you do what I said? Did-did-did you tell her? (ああ! 私が言ったことをしてきた? ロスは彼女に言ったの?)
ロス: I did. (言ったよ。)
モニカ: And well, what did she say? (それで、その、彼女は何て言ったの?)
ロス: "Thank you." (「ありがとう」。)
モニカ: Oh, you're totally welcome. What'd she say? (まぁ、全く、どういたしまして、よ。彼女は何て言ったの?)
ロス: She said, "Thank you." I said, "I love you." And she said, "Thank you." (彼女は言った、「ありがとう」と。僕は「愛してる」と言って、彼女は「ありがとう」と言ったんだ。)
チャンドラー: Whoa-whoa, wait a minute, did you say you love her? (おいおい、ちょっと待てよ。ロスは彼女に愛してると言ったのか?)
ジョーイ: Yeah, what were you trying to get her to do? (そうだよ。お前は彼女に何をさせようとしていたんだよ?)
ロス: What do I do now? (それじゃあ、僕は何をするんだ?)
ジョーイ: You play hard-to-get. (「手に入れるのが難しい[簡単には落ちない]」人間を演じるんだ。)
ロス: She already lives in London. (エミリーはすでにロンドンに住んでるんだぞ。)
ジョーイ: So you go to Tokyo. (じゃあ、お前は東京へ行け。)

モニカが言った通り、ロスはエミリーに愛してると言ったかどうかを、モニカはロスに確認しています。
それに対するエミリーの返事を尋ねたモニカに、ロスは "Thank you." と答えていますね。
ネットスクリプトでは、引用符はついていませんでしたが、DVD英語字幕ではこのように引用符がついていました。
実際、このシーンの前に、空港でのロスとエミリーのシーンがあったのですが、決死の覚悟で、I love you. と告白したロスに対して、ロスをきつくハグした後、エミリーは Thank you. とだけ言って、そのまま飛行機に乗り込んでしまいました。
観客、視聴者は、そのシーンを見ているので、ここでのロスのセリフ、Thank you. は、モニカに「ありがとう」と言ったものではなく、エミリーが言った言葉を説明していることがわかるため、引用符をつけているのですね。

ただ、そのことを知らないモニカは、「モニカが良い助言をしてくれたんで、素晴らしい結果になったよ。ありがとう」とお礼を言われたものと思ったのですね。
それで、「どういたしまして。そんなお礼なんていいから、とにかくエミリーが何て返事したのか教えてよ」と、もう一度同じ質問をしているわけです。
今度は、僕の "I love you." に対して、エミリーは、"Thank you." とだけ答えた、ということをはっきり説明しています。
ロスの言う Thank you. は、「さんきゅ」みたいに軽い感じで発音していて、僕は必死に告白したのに、返ってきたセリフはたったそれだけだよ、というがっかり感が出ています。

このように、引用符がついていると、それがロス自身の発言ではなくて、誰かの発言をそのまま伝えたものであることがわかりますが、音として聞いている場合は、ロスがモニカにありがとうと言ったように聞こえます。
そこから来る誤解が、上のようなロスとモニカのトンチンカンなやり取りに繋がっている、ということですね。
また、今回は、ロスとエミリーのシーンを見せた後でこのセリフが登場したので、引用符をつけてもネタバレにはなりませんが、そのシーンを見せずに、モニカが誤解したように、観客や視聴者にもまずはモニカにお礼を言ったのだと思わせたい場合は、引用符をつけないでいた方がネタバレにならないですむでしょう。
今回の場合は、観客にはオチがわかっているが、知らぬはモニカばかりなり、という状況だということです。

チャンドラーは、I love you. を言いに行ったロスに驚いています。
これまでの解説でも何度か説明してきましたが、それほど I love you. という言葉は「重い」のですね。
何となく好き、ぐらいの程度では使わない言葉だということです。

ジョーイたちは、そんなに簡単にお前の方から I love you. なんて言っちゃだめだ、と言いたいようです。
hard-to-get は「ゲットするのが難しい」、つまり、「入手困難な、手に入れるのが難しい」。
ですから、play hard-to-get は「簡単には落ちない・落ちにくい人間を演じる」ということで、こちらからホイホイと近づいていくのではなくて、「つれないふりをする、その気がないふりをする」ということになります。

play hard-to-get は、前回のエピソード 4-16 にも出てきました。(前回の解説では省略した箇所になります。)
ジョシュアが好きなのに、離れた場所にいるレイチェルに対して、
チャンドラー: Why are you over here if Joshua is all the way over there? (ジョシュアはずっとあっちの方(リビング)にいるのに、どうしてレイチェルはこっち(キッチン)にいるの?)
レイチェル: Because I'm trying to play hard-to-get. (だって、私は落ちにくい女を演じてるのよ。)
というセリフがありました。
また、その演出がうまく行かないので、
レイチェル: This playing-hard-to-get thing is not working. (この、落ちにくい女を演じるってやつは、うまく行ってないわね。)
と言って、結局、ジョシュアのそばに行くことにしたのでした。
むちゃくちゃ好きなのに、それを相手に気取られないようにこっちが優位に立っているように見せるのが、play hard-to-get だということです。

そのようにジョーイは、自分から I love you. と簡単に口にしたりせず、落ちにくい男、簡単には手に入らない男を演じなきゃだめだ、とアドバイスしています。
ですが、今回の場合は、イギリスとアメリカという超長距離恋愛で、「簡単には手に入らない」ことを演じるも何も、そんなことを演じるまでもなく、元々、「簡単には手に入らない、簡単に会うことすらできない」相手なんだよ、とロスは言いたいのですね。
エミリーはロンドン在住で、僕ら二人はお互いすでに、hard-to-get な状態なんだ、だからそんなことをしても無意味だし、むしろ気のないふりなんかしたら、二人の心の距離が離れるのをも加速することになってしまうよ、と言いたいのでしょう。
ですが、ジョーイはまだ、play hard-to-get にこだわっているようで、エミリーがロンドンに住んでいて、今でも十分 hard-to-get な状態だったとしても、それならもっと hard-to-get になるために、お前は日本の東京に行け!と言っています。
ロンドンとNYよりも、ロンドンと東京の方が、もっと距離的に離れるぞ、そうしたら今よりも、さらに hard-to-get な状態になるぞ、と言っているのですね。
ロスは二人の物理的な距離が離れ過ぎているために、相手の気を引くために通常使われるような play hard-to-get というテクニックは今回は使えない、と説明しているのですが、ジョーイは、「今、向こうがロンドンだって言うなら、今度はお前がもっと遠いところに移動してやれ」と妙な方法を提案しているということです。
それを聞いて、「あちゃー(ジョーイは何にもわかってない)」という顔をしているチャンドラーが楽しいです。
また、日本人として、「東京」という地名が「フレンズ」に出てくるのも何だか嬉しいですね。


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2010年03月01日

異国の人と出会い恋に落ちる フレンズ4-17その1

シーズン4 第17話
The One with the Free Porn (ロス、イギリスへ行く!!)
原題は「無料ポルノの話」


ロスと2週間だけ付き合っていたイギリス人女性エミリーは、イギリスに帰るため、空港に行ってしまいました。
「また会うつもりなんでしょ?」としつこく尋ねる妹のモニカに、
ロス: And why do you care so much? (それに、どうしてモニカはそんなに(エミリーと僕とのことを)気にかけるんだよ?)
モニカ: Because! You could get to live out my fantasy. (なぜって! ロスが私の夢[空想]を実現させることができるかもしれないからよ。)
ロス: You had fantasies about Emily? (モニカは、エミリーについて(あれこれ)空想をめぐらせてるの[エミリーに対して憧れがあるの]?)
モニカ: No! Y'know, the fantasy. Meet someone from a strange land, fall madly in love and spend the rest of your lives together. (違うわ。ほら、そういう夢があるでしょ。見知らぬ土地から来た人と出会って、狂おしいほど恋に落ちて、残りの人生をその人と一緒に過ごす、っていう夢よ。)
ロス: Is that why in junior high you were the only one that hung out with that Ukrainian kid? (だから、中学の時、モニカだけが、あのウクライナの子と一緒に遊んでたのか?)
モニカ: Yeah that, plus his mom used to put sour cream on everything. (そうね。それと、彼のママが何にでもサワークリームを乗せてくれてたから。)


care は「気にかける、心配する」。
実の兄のこととは言え、当事者でもないモニカが、どうしてそこまで僕とエミリーの仲をあれこれ気にしてるんだよ、とロスは尋ねています。
fantasy は「空想、幻想」ですが、この場合は「夢」のような感覚が近いでしょうか。
live out a fantasy は「空想(の世界)を(現実に)体験する」、live out a dream だと「夢を実現させる」という意味になります。
out が、空想や夢が現実の世界に引き出された・現れた感じを出しているように思います。

could は、can を婉曲に表現した形で、「うまく行けばそういうことが可能かもしれない」というようなニュアンス。
get to は「…になる」ですから、You could get to live out my fantasy. を前から意味を取っていくと、could 「…になる可能性がある」、get to 「…という状態になる」、live out my fantasy 「ロスが私の空想の世界を実現させる」なので、「ロスが私の空想を実現させるという状態になる可能性がある」ということになります。

have fantasies about を直訳すると、「…について空想を持つ」ですから、「…について、(あれこれ)空想をめぐらせる」というニュアンスになります。
ロスがエミリーとうまく行けば、私の幻想・夢が実現したことになる、とモニカが言うので、モニカはエミリーに対して憧れの気持ち・好きだという気持ちがあって、その夢をモニカの代わりに僕に実現して欲しいと思ってるわけ?みたいなことですね。

モニカは、fantasy の意味を説明します。
エミリーに対して何かの気持ちを抱いているのではなくて、異国イギリスの人エミリーとの恋愛が成就することがモニカの憧れである、と言っています。
異国の人と恋に落ちて残りの人生を共に過ごすのがモニカのファンタジーだそうですが、いかにも女の子が夢見そうな感じのロマンチックな幻想です。
自分が映画のヒロインになったかのような気持ちになる、ということでしょう。

その話を聞いて、ロスは、モニカが昔、ウクライナ人の子と仲良くしていたことを思い出します。
Is that why...? は「なぜ…したかの理由はそれか?」ということで、「そういうわけで、…したのか?」というニュアンス。
それを肯定文にした、That's why... は「そんなわけで…なのだ、それが…の理由だ」という意味でよく使われますね。
hang out with はフレンズによく登場するフレーズで、「…と一緒に時間を過ごす、付き合う」という意味。友達として一緒に遊ぶ、というニュアンスです。
in junior high you were the only one that.. 「中学時代、モニカは(ウクライナ人の子供と遊んでいた)唯一の人間だった」と言っていることから、そのウクライナ人の子供は他の子供とは遊んでいなくて、モニカだけがその子と遊んでいた、ということがわかります。
他の子は、よその国から来た子供だということで(差別というほどではないかもしれませんが)あまり親しい付き合いをしていなかったのに、その中でモニカだけが彼と積極的に遊んでいた、ということですね。
ロスは今のモニカの話で、モニカが異国の人と恋に落ちて結ばれるという夢を持っていたことを知り、そういう夢があるから、異国の同級生と熱心に遊んでいたってわけか?と尋ねているのです。

モニカは、そうよ、と認めながらも、もう一つ別の理由があったことを説明します。
彼のおうちに遊びに行くと、あらゆる食べ物に、サワークリームを乗せて[入れて]くれたから、だと言っています。
サワークリームは、生クリームに乳酸を加えて発酵させたもので、料理などに使われますね。
小さい頃太っていて、食欲も旺盛だったモニカは、いろんなものにサワークリームをかけてくれることにも魅力を感じていて、そのことも彼と遊ぶ要因の1つだったのよ、と言っているのです。

Wikipedia 日本語版: サワークリーム にも、サワークリームを使ったいろんな料理の写真が載っています。
その「用途」のところに、ウクライナとサワークリームとの関係が載っていました。
引用させていただくと、
ウクライナ料理 (Ukrainian cuisine) およびロシア料理では、サワークリームはボルシチや他のスープに添えられ、ピエロギの調味料であり、ビーフストロガノフなどの料理に用いられる。
とのことです。
ですから、ウクライナ人の家庭では、サワークリームがふんだんに使われていた、というセリフもなるほどと思えるわけですね。
ちなみに、ウィキペディアによると、来週 3月8日は、日本における「サワークリームの日」だそうですよ。


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posted by Rach at 10:41| Comment(2) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする