2010年06月04日

now or never フレンズ4-23その3

エミリーが結婚式を挙げるつもりだった教会は、予定よりも早く取り壊されていました。
代わりに最適の場所が見つからない場合は、結婚式を延期したらいい、と、エミリーとモニカは意見が一致したようです。
それを聞いてロスは、「両親はこの結婚式にたくさんのお金を使ってくれているし、多くの人がアメリカから忙しい時間を割いて飛行機でイギリスに飛んで来てくれているのに…」と言って、エミリーの出した案に驚き、あきれ、怒っています。

ロス: I can't ask people to do that. Would you ask people to do that? (Holds out his pants) (僕はみんなにそんなことをしてくれって言えないよ。君はそんなことをみんなに言うつもりか? [自分のパンツを前に差し出す])
エミリー: Don't you point your pants at me! (She throws them on the floor.) We have no choice! Anywhere that's half-decent would've be booked months ago. Ross, don't you understand? This is our wedding I'm talking about. (パンツで私を指さないで! [エミリーはロスのパンツを床に投げる] 選択肢はないのよ! そこそこのところはどこも何か月も前に予約されてるでしょうし。ロス、わからないの? 私たちが話し合ってるのは、私たちの結婚式のことなのよ。)
ロス: The only thing I understand is postponing it is not an option. This is when we're getting married. (僕がわかってるのは、結婚式を延期するというのは選択肢にはない、ってことだけだ。今この時が、僕らが結婚する時なんだよ。)
エミリー: So what are you saying? It's now or never? (それであなたは何を言ってるの? やるなら今で、今じゃないならやらない、って(言いたいの)?)
ロス: No. I'm saying it's now. (He starts putting on his pants, backwards again.) (いいや、僕は、今だ、と言ってるんだ。[ロスはパンツをはき始めるが、また前後逆になる])
エミリー: Or? (それとも?)
ロス: There's no "or" in mind. What is wrong with these pants?! (僕の考えには「それとも」はないよ。このパンツは一体どうしたんだ?[このパンツ、おかしいよ])
エミリー: It's not the pants. It's you who's backwards. And if, and if you don't understand how important this is to me, well then, perhaps we shouldn't get married at all! (She storms out.) (パンツの問題じゃないわ。逆さま[逆向き・後ろ向き]なのはあなたよ。それに、もし、もしこのことが私にとってどれほど重要かをあなたがわかってくれないのなら、そしたら、多分、私たちは結婚すべきじゃないのね! [エミリーは怒って部屋を飛び出す])

周りの人の苦労を考えると、「結婚式を延期しますから、またその時来て下さい」なんて僕は言えない、君はそんなこと言えるのか、言うつもりか?とロスはエミリーを問い詰めています。
「君はそんなこと言うつもりか?」とエミリーを指差す時に、手に持っていた自分がはきかけていたパンツ[ズボン]を突きつける形になってしまったので、エミリーは「パンツで私を指さないで!」と怒っています。

decent は「見苦しくない、きちんとした」。必要とされる基準に達しているという感覚ですね。
エミリーは、half-decent なところでさえ、何か月も前に予約で埋まっているでしょうから、今から明日の結婚式に、最高の場所を探すなんて無理よ、と言いたいのですね。
これは私たちの結婚式なのよ!というのは、自分たちの結婚式のことだから、いい加減なことで済ましたくない、きちんと悔いのないようにきちんとやりたいのよ、ということ。
「わからないの?」と言うエミリーに、「僕がわかっている唯一のことはこれだけだ」と言って、延期なんてものは選択肢にはない、と言っています。
This is when は、「今が…する時だ」。

結婚は今しかない、と言うロスに、It's now or never. だと言いたいの?とエミリーは尋ねます。
It's now or never. や、Now or never. を直訳すると「今か、もしくは、(これから)二度と、決してない、か」。
「今やらないと、この先やることはない」という意味で、何かをする際に、「今がチャンスだ。今しかないんだ。今を逃すと一生ないぞ」と今すぐ何かをやることを促す言葉になります。

「あなたは今しかない、って言いたいわけ?」とエミリーは言っているわけですが、now or never という言葉を使ったエミリーに対して、ロスは、now or never じゃなくて、now だ、と答えます。
それでもエミリーは食い下がって、「もし今じゃなかったら…?」と、or 以下の選択肢はないのか尋ねます。
ロスは断固として now にこだわっているので、or なんて言葉は僕の考え、気持ちの中にはないよ、と言います。
そんな風に怒りながらパンツをはいているので、(上のやり取りの前にも一度、前後、逆にはいてしまったのですが)、また、パンツを逆さまにはいてしまいます。
何で何度もパンツを前後逆にはいちゃうんだ!という気持ちから、「このパンツは一体どうなってるんだ?」という言葉が出たのですね。

パンツを逆にばかりはいてしまうロスに対して、その後のエミリーの言葉が辛辣です。
逆なのはパンツじゃなくてあなたの方よ、と言っています。
あるべき方向とは反対方向を向いて、見当違いのことを進めようとしているあなたが「さかさま」なのよ、と言っているのですね。
このことがどれほど大事なのかわかってくれないのなら、結婚はやめるべきだわ、と言って、エミリーは部屋を飛び出すことになります。
ロスは、now or never じゃなくて、now しかない、と言ったのですが、now という条件を受け入れられないエミリーの方が、never という(結婚しないという)選択肢を選んでしまった形になりますね。

その後(上のセリフでは省略しましたが)、出て行くエミリーを追いかけようとして、ジッパーを急いで上げたら、大事なものを挟んでしまい、ロスは崩れ落ちる…というオチもあるのですが(笑)、パンツを何度も逆向きにはいてしまう、という行動が、エミリーの It's not the pants. It's you who's backwards. に上手に繋がっているところが、脚本としてうまく出来ているなと思いました。

フレンズでは、ある二人が喧嘩する場面、というのがよく登場しますが、今回のやり取りも、相手がああ言えばこちらはこう言う、というやり取りがうまい具合に絡んでいますね。
「わからないの?」「わかってるのはこれだけだ」
「now or never なの?」「now だ」「or....」「or はない」
「このパンツはどうなってるんだ?」「逆さまでおかしいのはあなたの方よ」
などなど。
コミュニケーションというのは、相手の言うことをしっかり理解した上で、自分の考えを適切に述べることですから、こんな風に喧嘩で丁丁発止と渡り合うことができるようになれば、英語もネイティブ並み、と言えるのかもしれません。


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posted by Rach at 08:35| Comment(11) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年06月02日

地図の中の俺を踏み潰せ フレンズ4-23その2

[Scene: Street in front of the London Marriott, Joey and Chandler exit. Joey is carrying a video camera and is shooting Chandler.]
ザ・ロンドン・マリオット(ホテル)の前の通り。ジョーイとチャンドラーがホテルから出てくる。
ジョーイはビデオカメラを持っていて、チャンドラーを撮影中。
ジョーイ: Hey, Chander, do something! Come on! Do something! (おい、チャンドラー、何かしろよ! なあ、何かしろよ!)
チャンドラー: I am. I'm ignoring you. (してるさ。お前を無視してるんだ。)
ジョーイ: Okay, here. (Gives him the camera.) I wanna be the on-camera guy. All right. First stop... (地図を広げる) Westminster Abbey. (Joey folds out his "pop-up" map of London. All of the major landmarks pop-up like in a pop-up book.) (よし、これ持ってて。[チャンドラーにビデオカメラを渡す] (今度は)俺がカメラに映る。よし、最初に行くのは…ウエストミンスター寺院だな。[ジョーイはロンドンのポップアップ[飛び出す]地図を広げる。飛び出す絵本のように、主要なランドマークの全てが飛び出している])
チャンドラー: Oh, what the hell is that? (あー、それは一体何だよ?)
ジョーイ: That's London, baby! All right, the hotel's here. (Points to the map.) Wait. No, we wanna go-- No. I know. (Sets the map down.) I'm gonna have to go into the map. (So Joey literally steps into the map.) (それがロンドンだぜ、ベイビー! よし、ホテルはここだ。[地図を指差す] 待てよ、違う。俺たちが行きたいのは…違う。わかった。[地面に地図を置く] 俺は地図の中に入らないといけないことになるな。[そうしてジョーイは文字通り地図の中に足を踏み入れる])
チャンドラー: Okay, if you see a little version of me in there, kill it! (よし、もしお前がその地図の中に俺のちっちゃい版を見つけたら、そいつを殺してくれ!)

画面には次々とロンドンの名所が映り、チャンドラーとジョーイはザ・ロンドン・マリオットという名前のホテルから出てきます。
今回はロンドンが舞台になっていますが、実際にフレンズたちはロンドンに行ってロケをしているのですね。
イギリスでも「フレンズ」は大人気で、彼らのロケ中、大勢のファンが集まったそうです。

ジョーイは典型的な観光客のように、手にビデオカメラを持って、チャンドラーを撮影しています。
接近してビデオを撮るので、チャンドラーは嫌気がさしているようですね。
「カメラに向かって何かしろ!」というのは、ビデオを撮影する人の決まり文句ですが、チャンドラーの答え、「してるよ。お前を無視してるとこだ」というのが、いかにもチャンドラーらしいです。

ジョーイは地図を広げますが、その地図は広げると、主要なランドマークが飛び出る仕組みになっている地図でした。
ト書きにあるようにまさに「飛び出す絵本」の地図バージョンですね。
確かにこういう仕組みになっていると、観光には便利かも(笑)。
a pop-up book 「飛び出す絵本」は、フレンズ2-10その11 のセリフにも登場しました。

そんな便利な地図なのに、ジョーイは地図を読み取るのが苦手なようです。
ついには地面にその地図を置いて、「俺が今いるのはここだ」とばかりに、地図のその地点に足を乗せます。
地図を踏みつけているジョーイにあきれたチャンドラーは、「もしその地図の中に、小さな俺がいたら、それをお前がその足で踏みつけて殺してくれ」と言っています。
あまりにおバカな行動をするジョーイと一緒に行動するのはこりごりだから、地図を踏んでいるついでに、その地図の中の俺を踏みつけて、その存在を消しちゃってくれ、と言っているのです。

ロンドンですっかり舞い上がっているジョーイに、冷めた答えを返し続けるチャンドラーが面白いですね。


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posted by Rach at 07:11| Comment(5) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする