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自分だけがロンドンへ行けなかったことで、「取り残された感、仲間外れ感」がしたというフィービー。
そのフィービーのために、フレンズたちは一緒にピクニックしよう!と言うのですが、その行き先が Central Park だと知って、フィービーは怒り出します。
Central Park (セントラルパーク)は、NYにある大きな公園で、フレンズたちがいつもたむろしているコーヒーハウスのセントラルパーク(Central Perk)の名前の元になった有名な公園ですよね。
フィービー: That sucks! That's not a trip! I just came from the park! What are we gonna high-five about at the stupid Central Park? "Well, it's right by my house. All right!" (そんなの最低よ! そんなの旅行じゃないわ! 私はたった今、公園から来たのよ! バカなセントラルパークで、何についてハイファイブしろっての? 「ねぇ、公園は私の家のすぐそばなの。オッケー!」)
チャンドラー: Well, I'm gonna go home and bask in the triumph of my Central Park idea. (そうだな、俺は家に帰って、俺のセントラルパーク案が成功したことの(勝利の)喜びに浸(ひた)ることにするよ。)
(Gets up to leave.)
ここを去ろうと立ち上がる。
レイチェル: (stopping him) Hey, whoa. Ho, ho, hold on a sec there, Mr. Kissy! Y'know, I've been meaning to talk to you about this whole, little, new European thing you've got going on. And I just need to tell you it makes me very uncomfortable and I just, y'know, stop it! ([(行こうとする)チャンドラーを止めて] ねぇ、待って。ちょっと待ってよ、ミスター・キス魔(キス魔さん)! あの、私はずーっとあなたに話そうと思っていたのよね、あなたがやっている、例のつまらない、一連の新しいヨーロッパ風のことについて、ね。そして私はただあなたにこう言う必要があるの。あなたのやってることは私を非常に不快にするし、私はただ、ほら、(とにかく)やめて!)
チャンドラー: I was just trying to bring a little culture to the group. (俺はただ、グループ(のみんな)に、ちょっとした文化をもたらそうとしただけだったんだよ。)
フィービー: That's fine. Just don't bring it in my mouth. (それはいいわね。ただその文化を私の口にもたらさないで!)
モニカ: Makes me wanna puke! (Chandler looks at her, quizzically.) (吐きたくなっちゃうわよね! [チャンドラーはモニカをいぶかしげな顔で見る])
suck はフレンズによく登場しますが、「最低・最悪である、ひどい」という意味ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
suck : BE BAD [intransitive] (spoken, informal) to be very bad
例) The food there sucks.
例) She really sucks at tennis.
つまり、「とても悪いこと」。例文は、「あそこの料理は最悪だ」「彼女は本当にテニスが下手だ」。
セントラルパークにピクニックに行くという計画なんて、最低最悪!とこき下ろしているわけです。
What are we gonna high-five about at the stupid Central Park? について。
high five は、手を高く上げてパチンとする、あのハイファイブですね。
at the stupid Central Park の at は「場所、地点」を表す at です。
「あのバカなセントラルパークで」というニュアンスで、「セントラルパークなんて(くだらない)!」という気持ちが、stupid に表れています。
What are we gonna high-five about はつまり、We are gonna high-five about something の something が疑問詞として前に出た形で、「私たちは何についてハイファイブすることになるの」という意味ですね。
その文の構造から、ここでは high-five は動詞として使われていることがわかります。
自動詞では「ハイファイブする」、他動詞では「(人)とハイファイブする」という意味になりますが、今回は「何かについて、何かを祝って、ハイファイブする」という意味なので、前置詞 about がついています。
high-five という言葉を聞いて、あのハイファイブのしぐさが想像できれば、その単語に動詞の意味があるかどうかを知らなくても、上のセリフのニュアンスはおのずとわかる気がします。
こういう生きたセリフを見ることで、high-five about という表現が存在することを知り、使えるフレーズとして自分の中にストックしておくこともできます。
セリフとして素直に受け止めることで、「about の後に、ハイファイブする対象を続ければいい」ということもすんなり理解できますよね。
何についてハイファイブするの?と言った後、フィービーは、例えばこんな感じだっての?!みたいに、ハイファイブしている様子をセリフで言ってみせています。
「セントラルパークって、私の家のすぐそばにあるのよねー! やったぁ!」みたいにハイファイブすればいいわけ?みたいに怒っているのです。
フィービーが大激怒しているのを見た後のチャンドラーのセリフ。
my Central Park idea と言っていることから、セントラルパークへのピクニック計画の発案者はチャンドラーであったことがわかります。
bask は「日光に当たる、日なたぼっこする」、そこから「(恩恵などに)浴する、浸る、恵まれる」という意味にもなります。
triumph は「勝利」「大成功」、「勝利感、成功の喜び、勝ち誇り(感)」。
ですから、bask in the triumph of は「…の成功・勝利(の喜び)に浸る」というニュアンスになります。
LAAD には、bask in the glory of the victory というフレーズが例文として載っていました。
「勝利の栄光」ですから、上の the triumph と同じような意味ですね。
bask in the triumph of というフレーズそのものは辞書には載っていませんが、ネットで検索するとその表現はたくさんヒットしますので、広く使われる表現だ、と言うことができると思います。
文字通りの意味なのでイディオムとは言えませんが、bask in the triumph of の形をそっくり拝借し、自分で使えるようになるといいな、という感じですね。
ということで、チャンドラーは、フィービーがその案をけなしているのを承知で、「その案を気に入ってもらえたみたいだから、俺は家でその案の成功の喜びに(ひとりで)浸ることにするよ」と言っているのですね。
怒るフィービーから逃げるために、「喜んでもらえたようで良かった。じゃあ…」と行って、そそくさと退散しようとしているのです。
そう言って立ち上がるチャンドラーを止めるレイチェル。
this whole, little, new European thing you've got going on は、you've got this whole, little, new European thing going on ということですね。
go on は「起こる、発生する」「…をし続ける、継続する」「存続する」のような意味。
What's going on? だと「何が起こっているの? どうなっているの?」という決まり文句になります。
have got は have のようなニュアンスで、this...thing を go on している状態を持っている、みたいなことになるでしょうか。
「あなたの中で目下進行中の、この…ヨーロッパのこと」みたいな感じで、「あなたがずっとやっている、この…ヨーロッパのことよ」みたいなことかなと思います。
this whole, little, new European thing というのは、チャンドラーが女性陣にするフレンチキスのことですね。
このように、this whole というフレーズが、thing などの前につくことはフレンズでは多いです。
過去の例では、
フレンズ3-12その29
It's just, you have to realize this whole Mark thing is really hard for me.
フレンズ3-14その17
And you've got this whole other life going on.
フレンズ3-16その3
This whole breakup thing is just stupid.
などの形で登場しています。
特に、3-14その17 のセリフは、You've got this whole ... going on になっていて、今回のセリフと全く同じ形ですね。
whole は「全部の、全体の」という意味ですが、thing という言葉で表現されるような何かに関する「こと」、そのこと全部、全体、その件に関するすべてのことをひっくるめた一連の出来事、みたいな感覚が、その whole にはあるような気がします。
こういう whole がある場合には、必ずその語順が、「this whole +他の形容詞+名詞」の形になることにも注目ですね。
レイチェルは最初に、Mr. Kissy 「キス魔さん」みたいに呼びかけていますが、その後は、kiss という単語は使っていませんね。
多分、その後の文章では、kiss という言葉を使うのもいや、という感じなんだろうと思います。
「あなたがやってるヨーロッパ風のあれ、やめて欲しいのよね」としか言えない、という感じでしょう。
チャンドラーは、「みんなにちょっとした文化をもたらそうとしただけだ」と言っています。
bring は「持ってくる」と訳されることが多いですね。
LAAD では、
bring : HAVE SOMEBODY/SOMETHING WITH YOU to take something or someone with you to the place where you are now, or to the place you are talking about
つまり、「自分が今いる場所、または自分が話題にしている場所に、自分と一緒に何かを持ってくる、誰かを連れてくること」。
それを聞いてフィービーは、グループによその国の文化をもたらす、持ち込むのはいいけど、私の口にもたらさないで、と言っています。
文化を紹介するのはいいけど、実際に私の口を使って実演してくれなくてもいい、他の人とやってくれ、みたいなことでしょうね。
レイチェルやフィービーが口々にチャンドラーを非難するのを見て、モニカは勢いで、Makes me wanna puke! と言ってしまいます。
これは、Your kiss makes me want to puke. ということで、「あなたのキスは、私を吐きたい気持ちにさせる」ということ。
そのように普通に直訳しても意味はよくわかりますが、これはお決まりのフレーズのようです。
LAAD には以下のように出ています。
it makes me (want to) puke! : (spoken) used to say that something makes you very angry or annoyed
つまり、「何かが自分を非常に怒らせる、またはいらいらさせる、ということを言う時に使われる」。
(アカデミックな辞書である LAAD に、このフレーズが載っているのは、私としてはちょっと驚きでしたが…)
「吐く」という言葉としては他に throw up や vomit があります。
フレンズでよく使われるのは throw up ですね。vomit よりも throw up の方が口語っぽいですし、日本語で言う「もどす」という感覚に近いでしょうか。(「吐く」とダイレクトに言わない「遠回し」な感じがする…というか)
それらに対して、puke の方は俗語で、もっとダイレクトな感覚があります。
研究社 新英和中辞典では、
puke (語源) 擬音語
と出ていますし、
LAAD の Etymology にも、語源として、
Probably from the sound
と書いてありますので、その行為を直接的に(露骨に)表現している動詞だと言えますね。
何かに対して、吐き気を催すほど怒っている、いやがっている時などに使われることが多い動詞でもあります。
今回のモニカのセリフも、puke という動詞を使うことで、まさにそういうニュアンスが出てしまっているわけですね。
隣にいるチャンドラーは、「何てこと言うんだ?」みたいな顔でモニカを見つめています。
モニカも少し笑っています。
恋人であることを隠そうとするあまりに、他の人に合わせて「あのキスはほんと困るわよね」みたいなことを言おうとしたら、モニカが一番どぎつい表現を使うことになってしまった…というオチですね。
チャンドラーにしてみれば、puke とまで言うか?!みたいな気持ちでしょう。
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