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自分だけがロンドンへ行けなかったことで、「取り残された感、仲間外れ感」がしたというフィービー。
そのフィービーのために、フレンズたちは一緒にピクニックしよう!と言うのですが、その行き先が Central Park だと知って、フィービーは怒り出します。
Central Park (セントラルパーク)は、NYにある大きな公園で、フレンズたちがいつもたむろしているコーヒーハウスのセントラルパーク(Central Perk)の名前の元になった有名な公園ですよね。
フィービー: That sucks! That's not a trip! I just came from the park! What are we gonna high-five about at the stupid Central Park? "Well, it's right by my house. All right!" (そんなの最低よ! そんなの旅行じゃないわ! 私はたった今、公園から来たのよ! バカなセントラルパークで、何についてハイファイブしろっての? 「ねぇ、公園は私の家のすぐそばなの。オッケー!」)
チャンドラー: Well, I'm gonna go home and bask in the triumph of my Central Park idea. (そうだな、俺は家に帰って、俺のセントラルパーク案が成功したことの(勝利の)喜びに浸(ひた)ることにするよ。)
(Gets up to leave.)
ここを去ろうと立ち上がる。
レイチェル: (stopping him) Hey, whoa. Ho, ho, hold on a sec there, Mr. Kissy! Y'know, I've been meaning to talk to you about this whole, little, new European thing you've got going on. And I just need to tell you it makes me very uncomfortable and I just, y'know, stop it! ([(行こうとする)チャンドラーを止めて] ねぇ、待って。ちょっと待ってよ、ミスター・キス魔(キス魔さん)! あの、私はずーっとあなたに話そうと思っていたのよね、あなたがやっている、例のつまらない、一連の新しいヨーロッパ風のことについて、ね。そして私はただあなたにこう言う必要があるの。あなたのやってることは私を非常に不快にするし、私はただ、ほら、(とにかく)やめて!)
チャンドラー: I was just trying to bring a little culture to the group. (俺はただ、グループ(のみんな)に、ちょっとした文化をもたらそうとしただけだったんだよ。)
フィービー: That's fine. Just don't bring it in my mouth. (それはいいわね。ただその文化を私の口にもたらさないで!)
モニカ: Makes me wanna puke! (Chandler looks at her, quizzically.) (吐きたくなっちゃうわよね! [チャンドラーはモニカをいぶかしげな顔で見る])
suck はフレンズによく登場しますが、「最低・最悪である、ひどい」という意味ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
suck : BE BAD [intransitive] (spoken, informal) to be very bad
例) The food there sucks.
例) She really sucks at tennis.
つまり、「とても悪いこと」。例文は、「あそこの料理は最悪だ」「彼女は本当にテニスが下手だ」。
セントラルパークにピクニックに行くという計画なんて、最低最悪!とこき下ろしているわけです。
What are we gonna high-five about at the stupid Central Park? について。
high five は、手を高く上げてパチンとする、あのハイファイブですね。
at the stupid Central Park の at は「場所、地点」を表す at です。
「あのバカなセントラルパークで」というニュアンスで、「セントラルパークなんて(くだらない)!」という気持ちが、stupid に表れています。
What are we gonna high-five about はつまり、We are gonna high-five about something の something が疑問詞として前に出た形で、「私たちは何についてハイファイブすることになるの」という意味ですね。
その文の構造から、ここでは high-five は動詞として使われていることがわかります。
自動詞では「ハイファイブする」、他動詞では「(人)とハイファイブする」という意味になりますが、今回は「何かについて、何かを祝って、ハイファイブする」という意味なので、前置詞 about がついています。
high-five という言葉を聞いて、あのハイファイブのしぐさが想像できれば、その単語に動詞の意味があるかどうかを知らなくても、上のセリフのニュアンスはおのずとわかる気がします。
こういう生きたセリフを見ることで、high-five about という表現が存在することを知り、使えるフレーズとして自分の中にストックしておくこともできます。
セリフとして素直に受け止めることで、「about の後に、ハイファイブする対象を続ければいい」ということもすんなり理解できますよね。
何についてハイファイブするの?と言った後、フィービーは、例えばこんな感じだっての?!みたいに、ハイファイブしている様子をセリフで言ってみせています。
「セントラルパークって、私の家のすぐそばにあるのよねー! やったぁ!」みたいにハイファイブすればいいわけ?みたいに怒っているのです。
フィービーが大激怒しているのを見た後のチャンドラーのセリフ。
my Central Park idea と言っていることから、セントラルパークへのピクニック計画の発案者はチャンドラーであったことがわかります。
bask は「日光に当たる、日なたぼっこする」、そこから「(恩恵などに)浴する、浸る、恵まれる」という意味にもなります。
triumph は「勝利」「大成功」、「勝利感、成功の喜び、勝ち誇り(感)」。
ですから、bask in the triumph of は「…の成功・勝利(の喜び)に浸る」というニュアンスになります。
LAAD には、bask in the glory of the victory というフレーズが例文として載っていました。
「勝利の栄光」ですから、上の the triumph と同じような意味ですね。
bask in the triumph of というフレーズそのものは辞書には載っていませんが、ネットで検索するとその表現はたくさんヒットしますので、広く使われる表現だ、と言うことができると思います。
文字通りの意味なのでイディオムとは言えませんが、bask in the triumph of の形をそっくり拝借し、自分で使えるようになるといいな、という感じですね。
ということで、チャンドラーは、フィービーがその案をけなしているのを承知で、「その案を気に入ってもらえたみたいだから、俺は家でその案の成功の喜びに(ひとりで)浸ることにするよ」と言っているのですね。
怒るフィービーから逃げるために、「喜んでもらえたようで良かった。じゃあ…」と行って、そそくさと退散しようとしているのです。
そう言って立ち上がるチャンドラーを止めるレイチェル。
this whole, little, new European thing you've got going on は、you've got this whole, little, new European thing going on ということですね。
go on は「起こる、発生する」「…をし続ける、継続する」「存続する」のような意味。
What's going on? だと「何が起こっているの? どうなっているの?」という決まり文句になります。
have got は have のようなニュアンスで、this...thing を go on している状態を持っている、みたいなことになるでしょうか。
「あなたの中で目下進行中の、この…ヨーロッパのこと」みたいな感じで、「あなたがずっとやっている、この…ヨーロッパのことよ」みたいなことかなと思います。
this whole, little, new European thing というのは、チャンドラーが女性陣にするフレンチキスのことですね。
このように、this whole というフレーズが、thing などの前につくことはフレンズでは多いです。
過去の例では、
フレンズ3-12その29
It's just, you have to realize this whole Mark thing is really hard for me.
フレンズ3-14その17
And you've got this whole other life going on.
フレンズ3-16その3
This whole breakup thing is just stupid.
などの形で登場しています。
特に、3-14その17 のセリフは、You've got this whole ... going on になっていて、今回のセリフと全く同じ形ですね。
whole は「全部の、全体の」という意味ですが、thing という言葉で表現されるような何かに関する「こと」、そのこと全部、全体、その件に関するすべてのことをひっくるめた一連の出来事、みたいな感覚が、その whole にはあるような気がします。
こういう whole がある場合には、必ずその語順が、「this whole +他の形容詞+名詞」の形になることにも注目ですね。
レイチェルは最初に、Mr. Kissy 「キス魔さん」みたいに呼びかけていますが、その後は、kiss という単語は使っていませんね。
多分、その後の文章では、kiss という言葉を使うのもいや、という感じなんだろうと思います。
「あなたがやってるヨーロッパ風のあれ、やめて欲しいのよね」としか言えない、という感じでしょう。
チャンドラーは、「みんなにちょっとした文化をもたらそうとしただけだ」と言っています。
bring は「持ってくる」と訳されることが多いですね。
LAAD では、
bring : HAVE SOMEBODY/SOMETHING WITH YOU to take something or someone with you to the place where you are now, or to the place you are talking about
つまり、「自分が今いる場所、または自分が話題にしている場所に、自分と一緒に何かを持ってくる、誰かを連れてくること」。
それを聞いてフィービーは、グループによその国の文化をもたらす、持ち込むのはいいけど、私の口にもたらさないで、と言っています。
文化を紹介するのはいいけど、実際に私の口を使って実演してくれなくてもいい、他の人とやってくれ、みたいなことでしょうね。
レイチェルやフィービーが口々にチャンドラーを非難するのを見て、モニカは勢いで、Makes me wanna puke! と言ってしまいます。
これは、Your kiss makes me want to puke. ということで、「あなたのキスは、私を吐きたい気持ちにさせる」ということ。
そのように普通に直訳しても意味はよくわかりますが、これはお決まりのフレーズのようです。
LAAD には以下のように出ています。
it makes me (want to) puke! : (spoken) used to say that something makes you very angry or annoyed
つまり、「何かが自分を非常に怒らせる、またはいらいらさせる、ということを言う時に使われる」。
(アカデミックな辞書である LAAD に、このフレーズが載っているのは、私としてはちょっと驚きでしたが…)
「吐く」という言葉としては他に throw up や vomit があります。
フレンズでよく使われるのは throw up ですね。vomit よりも throw up の方が口語っぽいですし、日本語で言う「もどす」という感覚に近いでしょうか。(「吐く」とダイレクトに言わない「遠回し」な感じがする…というか)
それらに対して、puke の方は俗語で、もっとダイレクトな感覚があります。
研究社 新英和中辞典では、
puke (語源) 擬音語
と出ていますし、
LAAD の Etymology にも、語源として、
Probably from the sound
と書いてありますので、その行為を直接的に(露骨に)表現している動詞だと言えますね。
何かに対して、吐き気を催すほど怒っている、いやがっている時などに使われることが多い動詞でもあります。
今回のモニカのセリフも、puke という動詞を使うことで、まさにそういうニュアンスが出てしまっているわけですね。
隣にいるチャンドラーは、「何てこと言うんだ?」みたいな顔でモニカを見つめています。
モニカも少し笑っています。
恋人であることを隠そうとするあまりに、他の人に合わせて「あのキスはほんと困るわよね」みたいなことを言おうとしたら、モニカが一番どぎつい表現を使うことになってしまった…というオチですね。
チャンドラーにしてみれば、puke とまで言うか?!みたいな気持ちでしょう。
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2010年07月30日
2010年07月28日
雨の中をさまよう フレンズ5-2その5
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レイチェルが部屋に帰ってくると、ロスは大きな箱を横に置いてソファに座っています。明らかに落ち込んでいる様子のロスを見て、
レイチェル: What's that? (Points to the box.) (それは何? [その箱を指差して])
ロス: It came in the mail today. It's uh, 72 long-stemmed, red roses. One for each day that I've known and loved Emily, cut up into mulch! (今日、郵便で届いたんだ。72本の長い柄のついた赤いバラだよ。僕がエミリーを知り、愛してきた日につき1本ずつの、(それが)カットされて(植物を覆う)敷きわらになってる!)
レイチェル: Oh, honey, that's awful. (まぁ、ハニー、それはひどいわね。)
ロス: Oh, it's not so bad. Monica's gonna make potpourri! I think I'm gonna go wander out in the rain for a while. (あぁ、そんなに悪くないよ。モニカがポプリを作るだろうからね! 僕はしばらく雨の中をさまようことにするよ。)
レイチェル: But, it's not raining. (でも雨は降ってないわよ。)
ロス: I can't catch a break! (運にも恵まれないのか!)
ロスは箱の中身は、エミリーに贈ったバラだと言っています。
cut up into mulch の cut は過去分詞でしょうね。
mulch という姿に cut up された状態で、ということでしょう。
mulch は、研究社 新英和中辞典では、
mulch=(移植した植物の根または果実を保護する)根おおい, 敷きわら, マルチ
と説明されています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
mulch [noun] [singular, uncountable] decaying leaves that you put on the soil to improve its quality, to protect the roots of plants, and to stop WEEDs from growing
つまり、「土の質を改良するため、植物の根を守るため、そして、雑草が育つのを阻止するために、土壌の上に置く、腐食している[腐りかけている]葉」
土の上にまく葉のように、原形をとどめないほどボロボロになっている、と言いたいのでしょうね。
Wikipedia 英語版: Mulch には、いくつかの写真も載っています。
ひどいわね、と言うレイチェルに、そうでもないよ、だってモニカがこれでポプリを作ってくれるからさ、とロスは言っています。
ロスがそのボロボロになったバラを手に取って見せた時、ポプリみたいに見えたので、何となく予想されたジョークであるとは思いましたが…。
発音は「ポゥ・プ・リー」という感じで、最後のリーにアクセントがあります。
綴りや発音から何となく想像されますが、これはフランス語ですね。
フランス語で、rotten pot という意味だそうです。(「腐った壷」??)
愛の証に贈ったバラをボロボロにして返された傷心のロスは、「雨の中をしばらくさまよって来る」と言うのですが、レイチェルに「外は今、雨は降ってないわよ」と言われてしまいます。
wander out in the rain は上に書いたように、直訳すると「雨の中をさまよう、さまよい歩く」という感じで、日本語に訳してもその意味はよくわかりますね。
何となくイディオムっぽい表現なのですが、辞書にはイディオムとしては載ってはいませんでした。
ネットで検索してみても、フレンズのスクリプトがヒットする割合が多いです。
フレンズのスクリプト以外でもヒットはありますが、「よく使われる表現」だと断言できるほどの多さではありません。
ですから、「よく使われる決まり文句」とも言いがたいレベルの表現だと思います。
日本語の「雨の中をさまよう」もそうですが、その行動には「傷心」のイメージがありますね。
失恋した時など、「雨の中で涙を流し、悲しみも雨と一緒に流してしまう」みたいな感じです。
ロスは実際に雨に打たれようとしたわけでもなく、そういう「雨の中をさまよう傷心の自分」をイメージして、その言葉を使ったのでしょうが、それをレイチェルは「雨、って言うけど、今は雨は降ってないわよ」と素(す)で返してしまった感じだと思いました。
実際に雨が降ってるかどうかはあんまり関係ないんやけどぉ…みたいに突っ込みたくなるような、ちょっと「ぬけた」感じがしますよね。
ロスの I can't catch a break! について。
正直、これはよくわかりません。が、一応の見解を下に書いておきます。
take a break なら、「休憩する、ひと休みする」というニュアンスですね。
また、ブレイクをとる フレンズ3-15その14 では、「別れる、離れる」というようなニュアンスでも使われていました。
今回のセリフでは、そういう take a break ではなく、動詞に catch が使われていますね。
catch の基本的な意味は「つかまえる」で、「何かをこの手につかむ」というニュアンスが感じられます。
英英辞典では、catch a break というフレーズが見当たらなかったのですが、
英辞郎では
catch a break in that=(that 以下)という点でチャンスを得る
例) The team caught a break in that Japan series was at home. 「日本シリーズがホームグラウンドで行われたという点で、そのチームには利するところがあった。」
と出ています。
そのように名詞の break には「運、幸運、チャンス」という意味があるのですね。
LAAD には以下のように出ています。
break [noun] : A CHANCE [countable] (informal) a sudden or unexpected chance to do something, especially to be successful in your job
つまり、「何かをするのに突然の、または予期されないチャンス。特に自分の仕事で成功することにおいての」。
can't catch 「つかめない」というフレーズとの組み合わせを考えても、a break を「幸運、チャンス」と訳すのはしっくり来る気がします。
I can't catch a break! の部分、DVDの日本語は「感傷にも浸れない/失恋に酔うこともできない」と訳されていました。
実際のロスの気持ちは、やっぱりそういうことなのかなぁ、と思います。
「ちょっと雨に打たれてくるよ」と言って、実際に雨で悲しみを洗い流せたらいいのに、実際には雨は降ってない。
雨さえ僕の味方をしてくれない、僕は運にも見放されたのか、という意味で、「僕はチャンスもつかめないのか、運もないのか!」と嘆いているセリフなのかな、と思いました。
また、余談ですが、ゲームの「ファイナルファンタジーXIII」(FF13) のサントラの、Disc-3, Track-1 の音楽の英語版のタイトルが、"Can't Catch a Break" ("Daddy Has to Fight!") というそうです。(日本語版のタイトルは、「父ちゃん奮闘だぁ!」)
Wikipedia 英語版: Music of Final Fantasy XIII
その音楽が流れている箇所のストーリーを知っていれば、"Can't Catch a Break" のニュアンスも(もしかしたら)わかるのかもしれません。
私はアニメにはうるさいですが(笑)、ゲームはさっぱりわかりませんので、私には全然イメージは湧かないのですが…ご参考までに。
ただ、このように音楽のタイトルとして使われていることで、今回のロスのセリフのように、can't catch a break という形(can't との組み合わせ)で使われることが多い、ということがわかる気もします。
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レイチェル: Oh, honey, that's awful. (まぁ、ハニー、それはひどいわね。)
ロス: Oh, it's not so bad. Monica's gonna make potpourri! I think I'm gonna go wander out in the rain for a while. (あぁ、そんなに悪くないよ。モニカがポプリを作るだろうからね! 僕はしばらく雨の中をさまようことにするよ。)
レイチェル: But, it's not raining. (でも雨は降ってないわよ。)
ロス: I can't catch a break! (運にも恵まれないのか!)
ロスは箱の中身は、エミリーに贈ったバラだと言っています。
cut up into mulch の cut は過去分詞でしょうね。
mulch という姿に cut up された状態で、ということでしょう。
mulch は、研究社 新英和中辞典では、
mulch=(移植した植物の根または果実を保護する)根おおい, 敷きわら, マルチ
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LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
mulch [noun] [singular, uncountable] decaying leaves that you put on the soil to improve its quality, to protect the roots of plants, and to stop WEEDs from growing
つまり、「土の質を改良するため、植物の根を守るため、そして、雑草が育つのを阻止するために、土壌の上に置く、腐食している[腐りかけている]葉」
土の上にまく葉のように、原形をとどめないほどボロボロになっている、と言いたいのでしょうね。
Wikipedia 英語版: Mulch には、いくつかの写真も載っています。
ひどいわね、と言うレイチェルに、そうでもないよ、だってモニカがこれでポプリを作ってくれるからさ、とロスは言っています。
ロスがそのボロボロになったバラを手に取って見せた時、ポプリみたいに見えたので、何となく予想されたジョークであるとは思いましたが…。
発音は「ポゥ・プ・リー」という感じで、最後のリーにアクセントがあります。
綴りや発音から何となく想像されますが、これはフランス語ですね。
フランス語で、rotten pot という意味だそうです。(「腐った壷」??)
愛の証に贈ったバラをボロボロにして返された傷心のロスは、「雨の中をしばらくさまよって来る」と言うのですが、レイチェルに「外は今、雨は降ってないわよ」と言われてしまいます。
wander out in the rain は上に書いたように、直訳すると「雨の中をさまよう、さまよい歩く」という感じで、日本語に訳してもその意味はよくわかりますね。
何となくイディオムっぽい表現なのですが、辞書にはイディオムとしては載ってはいませんでした。
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ですから、「よく使われる決まり文句」とも言いがたいレベルの表現だと思います。
日本語の「雨の中をさまよう」もそうですが、その行動には「傷心」のイメージがありますね。
失恋した時など、「雨の中で涙を流し、悲しみも雨と一緒に流してしまう」みたいな感じです。
ロスは実際に雨に打たれようとしたわけでもなく、そういう「雨の中をさまよう傷心の自分」をイメージして、その言葉を使ったのでしょうが、それをレイチェルは「雨、って言うけど、今は雨は降ってないわよ」と素(す)で返してしまった感じだと思いました。
実際に雨が降ってるかどうかはあんまり関係ないんやけどぉ…みたいに突っ込みたくなるような、ちょっと「ぬけた」感じがしますよね。
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take a break なら、「休憩する、ひと休みする」というニュアンスですね。
また、ブレイクをとる フレンズ3-15その14 では、「別れる、離れる」というようなニュアンスでも使われていました。
今回のセリフでは、そういう take a break ではなく、動詞に catch が使われていますね。
catch の基本的な意味は「つかまえる」で、「何かをこの手につかむ」というニュアンスが感じられます。
英英辞典では、catch a break というフレーズが見当たらなかったのですが、
英辞郎では
catch a break in that=(that 以下)という点でチャンスを得る
例) The team caught a break in that Japan series was at home. 「日本シリーズがホームグラウンドで行われたという点で、そのチームには利するところがあった。」
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そのように名詞の break には「運、幸運、チャンス」という意味があるのですね。
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break [noun] : A CHANCE [countable] (informal) a sudden or unexpected chance to do something, especially to be successful in your job
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can't catch 「つかめない」というフレーズとの組み合わせを考えても、a break を「幸運、チャンス」と訳すのはしっくり来る気がします。
I can't catch a break! の部分、DVDの日本語は「感傷にも浸れない/失恋に酔うこともできない」と訳されていました。
実際のロスの気持ちは、やっぱりそういうことなのかなぁ、と思います。
「ちょっと雨に打たれてくるよ」と言って、実際に雨で悲しみを洗い流せたらいいのに、実際には雨は降ってない。
雨さえ僕の味方をしてくれない、僕は運にも見放されたのか、という意味で、「僕はチャンスもつかめないのか、運もないのか!」と嘆いているセリフなのかな、と思いました。
また、余談ですが、ゲームの「ファイナルファンタジーXIII」(FF13) のサントラの、Disc-3, Track-1 の音楽の英語版のタイトルが、"Can't Catch a Break" ("Daddy Has to Fight!") というそうです。(日本語版のタイトルは、「父ちゃん奮闘だぁ!」)
Wikipedia 英語版: Music of Final Fantasy XIII
その音楽が流れている箇所のストーリーを知っていれば、"Can't Catch a Break" のニュアンスも(もしかしたら)わかるのかもしれません。
私はアニメにはうるさいですが(笑)、ゲームはさっぱりわかりませんので、私には全然イメージは湧かないのですが…ご参考までに。
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2010年07月26日
未来を表す3形態 フレンズ5-2その4
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[Scene: Monica and Rachel's, Chandler enters to find Monica waiting patiently for him. He closes the door and they start kissing.]
モニカとレイチェルの部屋。チャンドラーが入ってきて、モニカが辛抱強くチャンドラーを待っていたことを知る。チャンドラーはドアを閉めて、二人はキスを始める。
モニカ: Oh. What took you so long? (あぁ、どうしてこんなに遅くなったの?)
チャンドラー: I got caught up and work. But I'm quitting tomorrow. ((仕事に)巻き込まれて残業してたんだ。でも明日には仕事をやめるぞ!)
モニカ: Oh, good. (あぁ、素敵。)
まずはト書きの Chandler enters to find Monica waiting... について。
この to は to不定詞の副詞的用法の「結果」ですね。
日本人英語学習者には、to不定詞の副詞的用法というと、「…するために」という「目的」のイメージが強い気がします。
それでつい、「モニカが待っているのを見つけるために部屋に入る」というように後ろから訳し上げてしまいそうになりますが、「何かを見つけるために入る」のではなくて、「入って、…であることを見つける」というのが実際のニュアンスになります。
数研出版「基礎と完成 新英文法」の p.357 の「副詞的用法 基本用法」でも、
<結果>:<目的>と異なり、通例は意図的な行動ではない。
のように説明されていますが、「BしようとしてAする」のではなくて、「Aする結果、Bする」ということになるのですね。
私はいつも、to という単語に「→(右向きの矢印)」のイメージを持っていて、今回の場合も、Chander enters → find Monica waiting というニュアンスで捉えました。
部屋に入って、そこで、モニカがそうしているのを見る、見つける、という感覚です。
「take someone 時間」は、「人に(それだけの)時間がかかる」という意味ですね。
研究社 新英和中辞典には、
The work took him a week. 「その仕事に(彼は)1週間かかった。」
という例文が載っています。
主語が仕事で、その仕事をするのに、彼に1週間という時間がかかった、ということですが、それを自然な日本語にすると、「彼はその仕事(をするの)に1週間かかった」ということになります。
英語のニュアンスは、「仕事のせいで彼は1週間という時間をとられた」という感じになるのでしょうね。
上のモニカのセリフも、意味としては「どうしてこんなに遅くなったの?」ということですが、英語そのもののニュアンスは、「何があなたの時間を(こんなに遅くなるまで)そんなに長く奪ったの?」というところでしょう。
遅くなった「理由」を尋ねているというより、あなたを帰さずに長い間引き止めていたものは「何か」を尋ねる感覚だと思います。
catch up は「(人)に追いつく」という意味でもよく使われますが、この場合は「(人)を巻き込む」という感覚が近いでしょうか。
ですから、get caught up は「(人)が…に巻き込まれる」という感じになりますね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be/get caught up in something : to be or become involved in something, especially something bad
つまり、「何かに巻き込まれている、もしくは、巻き込まれるようになること、特に何か悪いことに」。
I got caught up and work. は「仕事中にあることに巻き込まれて、それで仕事をしないといけなかった」みたいなニュアンスになると思います。
work は原形になっていますが、意味としては、had to work ということでしょう。
次の、But I'm quitting tomorrow. について。
未来を表す表現としては、1) will do, 2) be going to do, 3) be doing(現在進行形)の3つが主に挙げられると思いますが、このチャンドラーのセリフをその3つで表現した場合に、どういう違いが生じるかを少し考えてみたいと思います。
will と be going to の違いは、今、思いついたのか、少し前からそう思っていたのか、という違い、ですね。
ですから、I'll quit tomorrow. だとすると「思いつきの表現」となり、日本語にすると「そうだ、俺、会社やめる」と、たった今思いついたニュアンスになるでしょう。
話をしている間に今、そう思った、そう考えた感じですね。
これが、I'm going to quit tomorrow. だと、will よりももっと練った、考えた末の予定、という感じがします。
「俺、会社をやめようと思ってるんだ、やめることにしてるんだ」みたいな感じになるでしょう。
そして今回のセリフの現在進行形ですが、未来の予定がすでに確定している場合にこういう現在進行形が良く使われますね。
ですから、ここでの I'm quitting tomorrow. は、思いつきは思いつきだけれども、will よりもずっと強い意志を示している気がします。
チャンドラーも早く家に帰ってモニカとキス(など)をしたかったし、モニカが自分をずっと待っててくれたのを知って、余計に愛しさが募ったのでしょう。
仕事のせいでこんなに遅くなって、恋人のモニカにも寂しい思いをさせて…という気持ちから、「あんな会社、やめてやるぞ!」という「ゆるぎない決意」の言葉である現在進行形が使われた、という感覚だと思います。
もちろん、ほんとに会社をやめるわけではないですが、その時の気持ちは「仕事なんてどうでもいい、今すぐ辞めてやる!」という気持ちだった、ということですね。
モニカとキスしているところを見られたチャンドラーは、あくまでこれは友情のキスであることを強調するために、レイチェルとフィービーにも熱烈なキスをして、そのまま部屋を出て行きます。
ジョーイ: (Jumping out of his way) See you, man. (To the girls.) What the hell was that? ([チャンドラーが通る場所から飛びのいて] じゃあな。[女子に向かって] 今のは一体何だったんだ?)
モニカ: Probably some, y'know, European goodbye thing he picked up in London. (多分、その、チャンドラーがロンドンで身に付けたヨーロッパ風のさよなら(の行為)なのよ。)
レイチェル: That's not European! (あんなの、ヨーロッパ風じゃないわ!)
フィービー: Well, it felt French. (そうねぇ、フランス風(フレンチ)って感じだった。)
(Joey is intrigued.)
ジョーイは好奇心をそそられたような顔をする。
チャンドラーはジョーイの前を通って部屋を出て行くのですが、俺にまでキスされたらたまんないよ!というように、飛びのくジョーイも面白いですね。
Probably some, y'know, European goodbye thing he picked up in London. を正しい文章にすると、It was probably some European good-bye thing (that) he picked up in London. になるでしょう。
pick up の基本は「(ものを)拾い上げる」ですが、そこから「(知識などを)手に入れる、身につける、(外国語などを)聞き覚える」という意味にもなります。
LAAD では、
9. HABIT/BEHAVIOR pick sth up, pick up sth : if you pick up a habit or a way of behaving, you start to do it because you have spent a lot of time with a particular group of people or in a particular place
例) The children had all picked up the local accent.
つまり、「ある習慣や、ある振る舞いのやり方を pick up する、というのは、ある特定のグループと一緒に、あるいはある特定の場所で、多くの時間を過ごしたことで、それをやり始める、ということ」。
例文は、「その子供たちは、その地方のアクセント(方言)をすっかり身につけた」。
14. LEARN pick sth up, pick up sth : to learn a skill, language, or idea without much effort or without being taught in a class
例) I've picked up a few words of Russian, since I got here.
つまり、「大した努力なしに、または授業で教わることなしに、スキルや言語や考えを学ぶこと」。
例文は、「ここに着いてから、ロシア語の単語を2、3個学んだ。」
今回のセリフのニュアンスは、9 の「習慣を身につけ、それをやり始めるようになった」という感覚が近いですね。
ロンドンに長くいたせいで、ロンドンの風習を身につけちゃったんでしょうね、という感じです。
それを聞いてレイチェルは、「あんなのヨーロッパっぽいやり方じゃないわ!」と言うのですが、フィービーは「ヨーロッパっていうより、フレンチって感じよね」と言っています。
フレンチキス(French kiss)は日本語になっていますので、このセリフは日本人にもわかりやすいものですね。
英語学習者用の真面目な辞書である LAAD を見てみたら、その語義説明が妙にリアル(笑)だったので、参考までに引用させていただきます。
French kiss [noun] [countable] : a romantic kiss between two people with their mouths open and with their tongues touching
恥ずかしいので訳しません(笑)。
ジョーイが「ふーん、なるほどぉ…」みたいにへの字口をして感心した風な顔をしているのも笑えます。
「ロンドンで身につけたヨーロッパ風」→「ヨーロッパ風でも、ロンドン(イギリス)じゃなくてフレンチ(フランス)」というオチは、ある程度予想されたジョークである感じもしますが、それでもやっぱり私は笑ってしまいました。
モニカと恋人であることを隠すために、他の女性陣にもフレンチキスをしなければならなくなったチャンドラー。それで今回のタイトルも、The One With All the Kissing 「キスばかりの話」になっているわけですね。
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[Scene: Monica and Rachel's, Chandler enters to find Monica waiting patiently for him. He closes the door and they start kissing.]
モニカとレイチェルの部屋。チャンドラーが入ってきて、モニカが辛抱強くチャンドラーを待っていたことを知る。チャンドラーはドアを閉めて、二人はキスを始める。
モニカ: Oh. What took you so long? (あぁ、どうしてこんなに遅くなったの?)
チャンドラー: I got caught up and work. But I'm quitting tomorrow. ((仕事に)巻き込まれて残業してたんだ。でも明日には仕事をやめるぞ!)
モニカ: Oh, good. (あぁ、素敵。)
まずはト書きの Chandler enters to find Monica waiting... について。
この to は to不定詞の副詞的用法の「結果」ですね。
日本人英語学習者には、to不定詞の副詞的用法というと、「…するために」という「目的」のイメージが強い気がします。
それでつい、「モニカが待っているのを見つけるために部屋に入る」というように後ろから訳し上げてしまいそうになりますが、「何かを見つけるために入る」のではなくて、「入って、…であることを見つける」というのが実際のニュアンスになります。
数研出版「基礎と完成 新英文法」の p.357 の「副詞的用法 基本用法」でも、
<結果>:<目的>と異なり、通例は意図的な行動ではない。
のように説明されていますが、「BしようとしてAする」のではなくて、「Aする結果、Bする」ということになるのですね。
私はいつも、to という単語に「→(右向きの矢印)」のイメージを持っていて、今回の場合も、Chander enters → find Monica waiting というニュアンスで捉えました。
部屋に入って、そこで、モニカがそうしているのを見る、見つける、という感覚です。
「take someone 時間」は、「人に(それだけの)時間がかかる」という意味ですね。
研究社 新英和中辞典には、
The work took him a week. 「その仕事に(彼は)1週間かかった。」
という例文が載っています。
主語が仕事で、その仕事をするのに、彼に1週間という時間がかかった、ということですが、それを自然な日本語にすると、「彼はその仕事(をするの)に1週間かかった」ということになります。
英語のニュアンスは、「仕事のせいで彼は1週間という時間をとられた」という感じになるのでしょうね。
上のモニカのセリフも、意味としては「どうしてこんなに遅くなったの?」ということですが、英語そのもののニュアンスは、「何があなたの時間を(こんなに遅くなるまで)そんなに長く奪ったの?」というところでしょう。
遅くなった「理由」を尋ねているというより、あなたを帰さずに長い間引き止めていたものは「何か」を尋ねる感覚だと思います。
catch up は「(人)に追いつく」という意味でもよく使われますが、この場合は「(人)を巻き込む」という感覚が近いでしょうか。
ですから、get caught up は「(人)が…に巻き込まれる」という感じになりますね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be/get caught up in something : to be or become involved in something, especially something bad
つまり、「何かに巻き込まれている、もしくは、巻き込まれるようになること、特に何か悪いことに」。
I got caught up and work. は「仕事中にあることに巻き込まれて、それで仕事をしないといけなかった」みたいなニュアンスになると思います。
work は原形になっていますが、意味としては、had to work ということでしょう。
次の、But I'm quitting tomorrow. について。
未来を表す表現としては、1) will do, 2) be going to do, 3) be doing(現在進行形)の3つが主に挙げられると思いますが、このチャンドラーのセリフをその3つで表現した場合に、どういう違いが生じるかを少し考えてみたいと思います。
will と be going to の違いは、今、思いついたのか、少し前からそう思っていたのか、という違い、ですね。
ですから、I'll quit tomorrow. だとすると「思いつきの表現」となり、日本語にすると「そうだ、俺、会社やめる」と、たった今思いついたニュアンスになるでしょう。
話をしている間に今、そう思った、そう考えた感じですね。
これが、I'm going to quit tomorrow. だと、will よりももっと練った、考えた末の予定、という感じがします。
「俺、会社をやめようと思ってるんだ、やめることにしてるんだ」みたいな感じになるでしょう。
そして今回のセリフの現在進行形ですが、未来の予定がすでに確定している場合にこういう現在進行形が良く使われますね。
ですから、ここでの I'm quitting tomorrow. は、思いつきは思いつきだけれども、will よりもずっと強い意志を示している気がします。
チャンドラーも早く家に帰ってモニカとキス(など)をしたかったし、モニカが自分をずっと待っててくれたのを知って、余計に愛しさが募ったのでしょう。
仕事のせいでこんなに遅くなって、恋人のモニカにも寂しい思いをさせて…という気持ちから、「あんな会社、やめてやるぞ!」という「ゆるぎない決意」の言葉である現在進行形が使われた、という感覚だと思います。
もちろん、ほんとに会社をやめるわけではないですが、その時の気持ちは「仕事なんてどうでもいい、今すぐ辞めてやる!」という気持ちだった、ということですね。
モニカとキスしているところを見られたチャンドラーは、あくまでこれは友情のキスであることを強調するために、レイチェルとフィービーにも熱烈なキスをして、そのまま部屋を出て行きます。
ジョーイ: (Jumping out of his way) See you, man. (To the girls.) What the hell was that? ([チャンドラーが通る場所から飛びのいて] じゃあな。[女子に向かって] 今のは一体何だったんだ?)
モニカ: Probably some, y'know, European goodbye thing he picked up in London. (多分、その、チャンドラーがロンドンで身に付けたヨーロッパ風のさよなら(の行為)なのよ。)
レイチェル: That's not European! (あんなの、ヨーロッパ風じゃないわ!)
フィービー: Well, it felt French. (そうねぇ、フランス風(フレンチ)って感じだった。)
(Joey is intrigued.)
ジョーイは好奇心をそそられたような顔をする。
チャンドラーはジョーイの前を通って部屋を出て行くのですが、俺にまでキスされたらたまんないよ!というように、飛びのくジョーイも面白いですね。
Probably some, y'know, European goodbye thing he picked up in London. を正しい文章にすると、It was probably some European good-bye thing (that) he picked up in London. になるでしょう。
pick up の基本は「(ものを)拾い上げる」ですが、そこから「(知識などを)手に入れる、身につける、(外国語などを)聞き覚える」という意味にもなります。
LAAD では、
9. HABIT/BEHAVIOR pick sth up, pick up sth : if you pick up a habit or a way of behaving, you start to do it because you have spent a lot of time with a particular group of people or in a particular place
例) The children had all picked up the local accent.
つまり、「ある習慣や、ある振る舞いのやり方を pick up する、というのは、ある特定のグループと一緒に、あるいはある特定の場所で、多くの時間を過ごしたことで、それをやり始める、ということ」。
例文は、「その子供たちは、その地方のアクセント(方言)をすっかり身につけた」。
14. LEARN pick sth up, pick up sth : to learn a skill, language, or idea without much effort or without being taught in a class
例) I've picked up a few words of Russian, since I got here.
つまり、「大した努力なしに、または授業で教わることなしに、スキルや言語や考えを学ぶこと」。
例文は、「ここに着いてから、ロシア語の単語を2、3個学んだ。」
今回のセリフのニュアンスは、9 の「習慣を身につけ、それをやり始めるようになった」という感覚が近いですね。
ロンドンに長くいたせいで、ロンドンの風習を身につけちゃったんでしょうね、という感じです。
それを聞いてレイチェルは、「あんなのヨーロッパっぽいやり方じゃないわ!」と言うのですが、フィービーは「ヨーロッパっていうより、フレンチって感じよね」と言っています。
フレンチキス(French kiss)は日本語になっていますので、このセリフは日本人にもわかりやすいものですね。
英語学習者用の真面目な辞書である LAAD を見てみたら、その語義説明が妙にリアル(笑)だったので、参考までに引用させていただきます。
French kiss [noun] [countable] : a romantic kiss between two people with their mouths open and with their tongues touching
恥ずかしいので訳しません(笑)。
ジョーイが「ふーん、なるほどぉ…」みたいにへの字口をして感心した風な顔をしているのも笑えます。
「ロンドンで身につけたヨーロッパ風」→「ヨーロッパ風でも、ロンドン(イギリス)じゃなくてフレンチ(フランス)」というオチは、ある程度予想されたジョークである感じもしますが、それでもやっぱり私は笑ってしまいました。
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2010年07月24日
君はゴールデン フレンズ5-2その3
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は2位です。
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ロスのことにいつまでもこだわるレイチェルに、モニカはアドバイスをしています。
モニカ: You're going to talk to him. Y'know what? We made a deal. I make your decisions, and I say you're going to talk to him. (あなたは彼に話をするのよ。いい? 私たちは契約を交わしたの。私があなたの決定を下すのよ。だから(私はこう言うわ)あなたは彼に話をするのよ。)
レイチェル: All right. You're the boss. I guess I gotta do what you tell me. (わかったわ。あなたはボスだもの。あなたが私に言う[命じる]ことを私はしなくちゃいけないのよね。)
ジョーイ: Say that to him, and you're golden. (She just glares at him.) (今の言葉を彼に言えよ。そしたら、成功間違いなしだよ。[レイチェルはただジョーイをにらみつける])
モニカは「レイチェルと私は契約を交わした。私があなたの意思決定をする」みたいなことを言っています。
これは少し前のシーンの以下のやり取りが元になっています。(過去記事では取り上げていないので、今回説明します)
レイチェル: Phoebe, you were right. I should've never gone to London. And from now on, you make all of my decisions for me. (フィービー、あなたは正しかったわ。私はロンドンへ行くべきではなかったの。そして今からは、私のために、あなたが私の全ての(意思)決定をするのよ[意思決定をして]。)
フィービー: Oh.... No. I did that for someone once. And I'm not comfortable having that kind of power and control over someone's life. (あぁ…。だめよ。かつて、ある人のためにそれをしたの[したことがあるの]。そして、そういう力を持って誰かの生活をコントロールするのは居心地が悪いのよ。)
モニカ: I'll do it! (私がするわ!)
レイチェル: That's fine. So Monica, you are now in control of my love life. (それはいいわね。そしたらモニカ、今、あなたが私のラブ・ライフをコントロールするのよ。)
フィービーの忠告も聞かずロンドンに行ってしまったせいでこんなことになってしまった、と反省しているレイチェルは、自分の行動を人に決めてもらおうとしているわけですね。
フィービーが断り、モニカが引き受けたので、今はモニカがレイチェルの意思決定をすることになっているわけです。
フィービーがそういうことをするのをいやがるところ、そして、人にあれやこれやと命令するのが好きという bossy なイメージの強い(笑) モニカが即座にそれを引き受けると名乗り出るところは、二人のキャラクターのイメージ通りの行動ですね。
今回の記事のセリフの説明に戻ります。
I say you're going to... とモニカは言っています。
あなたは今からこうするのよ、こうすることになるのよ、と be going to を使いつつ、さらにその前に I say も付けていますね。
You're going to... だけでも意味はよくわかるのですが、そこに I say を付けることで、「私はこう言うわよ」と自分の発言をより強調する効果があるのでしょう。
誰かに命令したりアドバイスしたりする場合に「I say you+動詞」の形がよく使われる気がします。
以下は、I say の後に、「命令形に主語の you をつけてさらに強調した形」が続いているケースです。
フレンズ2-24その1
ロス: Well, hey. You're an actor. I say you just suck it up and do it. Or you just do it. (ほら、ジョーイは役者だろ。ただ、愚痴を言わずに(吸い付いて)キスしたらいいんだよ。[レイチェルにいやな顔をされたので]もしくは(吸い付くのはやめにして)ただキスしたらいいんだよ。)
フレンズ3-4その14
ジョーイ: In this case, you have a fear of commitment, so I say you go in there and you be the most committed guy there ever was! (この場合は、お前はコミットメントに対して恐怖心があるんだから、そこに入って、史上最高にコミットした[深入りした]男になれ!)
モニカっぽい bossy な発言を聞いて、レイチェルも、「そうね、あなたがボスだものね」みたいに言っています。
I gotta do what you tell me. は「あなたが私に言う・命じることをしなければならない」。
この what が whatever になれば「あなたが言うことは”何でも・どんなことでも”しなければならない」という風に、より強調される気がします。
そのレイチェルの発言を聞いて、今の言葉をその彼(今から声をかけようとしている男性)に言えば、レイチェルは golden だよ、とジョーイは言っていますね。
golden は「金色の、黄金の」ですが、ここでは「成功間違いなしの」という感じの意味で使っているようです。
golden boy だと「将来を約束された人、将来性のある人」みたいな意味ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
somebody is golden : (spoken, imformal) used to say that someone is in a very good situation
つまり、「誰かがゴールデンである、というのは、誰かが良い状況にいる、ということ」。
そのセリフを言えば、大丈夫、完璧、間違いなく成功するよ、みたいなことですね。
つまりその男性に向かってレイチェルが「あなたの言うことは何でもするわ」と言えば、必ず落とせるよ、と言っているわけです。(確かに殿方はこういうセリフに弱そうですものね…笑)
ジョーイは指でオッケーマークを作り、横にいるチャンドラーも、あぁ間違いなく落とせるよ、みたいな顔をしています。
二人に冷たい視線を向けつつ、立ち上がるレイチェルも面白いですね。
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ロスのことにいつまでもこだわるレイチェルに、モニカはアドバイスをしています。
モニカ: You're going to talk to him. Y'know what? We made a deal. I make your decisions, and I say you're going to talk to him. (あなたは彼に話をするのよ。いい? 私たちは契約を交わしたの。私があなたの決定を下すのよ。だから(私はこう言うわ)あなたは彼に話をするのよ。)
レイチェル: All right. You're the boss. I guess I gotta do what you tell me. (わかったわ。あなたはボスだもの。あなたが私に言う[命じる]ことを私はしなくちゃいけないのよね。)
ジョーイ: Say that to him, and you're golden. (She just glares at him.) (今の言葉を彼に言えよ。そしたら、成功間違いなしだよ。[レイチェルはただジョーイをにらみつける])
モニカは「レイチェルと私は契約を交わした。私があなたの意思決定をする」みたいなことを言っています。
これは少し前のシーンの以下のやり取りが元になっています。(過去記事では取り上げていないので、今回説明します)
レイチェル: Phoebe, you were right. I should've never gone to London. And from now on, you make all of my decisions for me. (フィービー、あなたは正しかったわ。私はロンドンへ行くべきではなかったの。そして今からは、私のために、あなたが私の全ての(意思)決定をするのよ[意思決定をして]。)
フィービー: Oh.... No. I did that for someone once. And I'm not comfortable having that kind of power and control over someone's life. (あぁ…。だめよ。かつて、ある人のためにそれをしたの[したことがあるの]。そして、そういう力を持って誰かの生活をコントロールするのは居心地が悪いのよ。)
モニカ: I'll do it! (私がするわ!)
レイチェル: That's fine. So Monica, you are now in control of my love life. (それはいいわね。そしたらモニカ、今、あなたが私のラブ・ライフをコントロールするのよ。)
フィービーの忠告も聞かずロンドンに行ってしまったせいでこんなことになってしまった、と反省しているレイチェルは、自分の行動を人に決めてもらおうとしているわけですね。
フィービーが断り、モニカが引き受けたので、今はモニカがレイチェルの意思決定をすることになっているわけです。
フィービーがそういうことをするのをいやがるところ、そして、人にあれやこれやと命令するのが好きという bossy なイメージの強い(笑) モニカが即座にそれを引き受けると名乗り出るところは、二人のキャラクターのイメージ通りの行動ですね。
今回の記事のセリフの説明に戻ります。
I say you're going to... とモニカは言っています。
あなたは今からこうするのよ、こうすることになるのよ、と be going to を使いつつ、さらにその前に I say も付けていますね。
You're going to... だけでも意味はよくわかるのですが、そこに I say を付けることで、「私はこう言うわよ」と自分の発言をより強調する効果があるのでしょう。
誰かに命令したりアドバイスしたりする場合に「I say you+動詞」の形がよく使われる気がします。
以下は、I say の後に、「命令形に主語の you をつけてさらに強調した形」が続いているケースです。
フレンズ2-24その1
ロス: Well, hey. You're an actor. I say you just suck it up and do it. Or you just do it. (ほら、ジョーイは役者だろ。ただ、愚痴を言わずに(吸い付いて)キスしたらいいんだよ。[レイチェルにいやな顔をされたので]もしくは(吸い付くのはやめにして)ただキスしたらいいんだよ。)
フレンズ3-4その14
ジョーイ: In this case, you have a fear of commitment, so I say you go in there and you be the most committed guy there ever was! (この場合は、お前はコミットメントに対して恐怖心があるんだから、そこに入って、史上最高にコミットした[深入りした]男になれ!)
モニカっぽい bossy な発言を聞いて、レイチェルも、「そうね、あなたがボスだものね」みたいに言っています。
I gotta do what you tell me. は「あなたが私に言う・命じることをしなければならない」。
この what が whatever になれば「あなたが言うことは”何でも・どんなことでも”しなければならない」という風に、より強調される気がします。
そのレイチェルの発言を聞いて、今の言葉をその彼(今から声をかけようとしている男性)に言えば、レイチェルは golden だよ、とジョーイは言っていますね。
golden は「金色の、黄金の」ですが、ここでは「成功間違いなしの」という感じの意味で使っているようです。
golden boy だと「将来を約束された人、将来性のある人」みたいな意味ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
somebody is golden : (spoken, imformal) used to say that someone is in a very good situation
つまり、「誰かがゴールデンである、というのは、誰かが良い状況にいる、ということ」。
そのセリフを言えば、大丈夫、完璧、間違いなく成功するよ、みたいなことですね。
つまりその男性に向かってレイチェルが「あなたの言うことは何でもするわ」と言えば、必ず落とせるよ、と言っているわけです。(確かに殿方はこういうセリフに弱そうですものね…笑)
ジョーイは指でオッケーマークを作り、横にいるチャンドラーも、あぁ間違いなく落とせるよ、みたいな顔をしています。
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2010年07月22日
なんともない、のクール フレンズ5-2その2
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前回の フレンズ5-1 のラスト、ギリシャへの新婚旅行に向かう飛行場にエミリーが現れないので、ロスはレイチェルを誘います。
先にレイチェルが飛行機に乗り込んだところで、エミリーが現れたので、ロスはエミリーを追い掛け、結局、レイチェル一人がギリシャに行くはめになります。
レイチェル一人をギリシャに行かせてしまったことで、さぞかしレイチェルは怒っているだろう…と心配顔のロス。
そこに、荷物を持ったレイチェルが帰ってきました。
ロス: Rach, Rach, I am so sorry. I am so, so sorry. (レイチェル、レイチェル、本当にごめんよ。ほんとにほんとにごめん。)
レイチェル: Oh, Ross, come on! You just did what you had to do. Hi, Pheebs. (まぁ、ロス。(そんな風に謝るのは)やめてよ。あなたはしなければならないことをしただけだもの。はーい、フィービー。)
ロス: What? That's it? You're not mad? I mean, it must've been terrible. (何? それだけ? 怒ってないの? だって、ひどかった[つらかった]に違いないのに。)
レイチェル: Terrible? Hell, I was in Greece! That was a nice hotel, nice beach, met the nice people. It’s not too shabby for Rachel. (Goes and puts her luggage away.) (ひどい? 何てこと、私はギリシャにいたのよ! 素敵なホテルで、素敵なビーチで、素敵な人たちに会ったわ。レイチェルにとってはそんなに悪くなかったわよ[なかなか良かったわよ]。[荷物を片づけに行く])
ロス: So, what, that's it? (それで、何、それだけ?)
レイチェル: Oh, yeah! We're cool. Totally cool. (ええ、そうよ! 私たちの間には何も問題はないわ。全くなんともないわ[平気よ]。)
ロス: Oh, thanks, Rach. Oh, you're the best. (They hug.) (あぁ、ありがとう、レイチェル。あぁ、君は最高だよ! [二人はハグする])
レイチェル: Oh, no. You're the best. (あぁ、いいのよ。あなたは最高よ。)
ロス: (breaking the hug) Ohh, I gotta go to the flower store. (Runs to the door.) Check it out, no one will tell me where Emily is, so I'm gonna send 72 long-stemmed, red roses to her parent's house. One for each day that I've known and loved her. That oughta get her talking to me again. ([ハグを解いて] あー、花屋さんに行かなくちゃ。[ドアに走る] ねぇ、エミリーが(今)どこにいるか、誰も教えてくれないだろうから、僕はエミリーの両親の家に、72本の長い茎のついた赤いバラを送るつもりなんだ。僕がエミリーを知り、愛したそれぞれの日に対して1本ずつね。そうすることで、エミリーはまた僕と話をするようになるに違いないよ。)
チャンドラー: Oh, Ross, when you make out card, be sure to make it out to "Emily." (あぁ、ロス。カードを書く時には、間違いなく宛名は「エミリー」って書くようにしろよ。)
ロスはレイチェルが怒っているかどうか心配していますが、レイチェルの反応は意外にあっさりしています。
謝るロスに対して普通に言葉を返し、すぐフィービーに挨拶していることからも、その「あっさり」具合がわかりますね。
shabby は「(身なりが)みすぼらしい」などの意味がありますが、ここでは「ひどい」という意味のようです。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
shabby [adjective] :
1. old and in bad condition from being used for a long time
つまり、「長い間使われていたことで、古くて悪い状態である」
3. something is not (too) shabby (informal) used to show that you think something is very good
例) Our profits were up by 35% last year. That's not too shabby.
つまり、「何かが not too shabby というのは、何かがとても良いと思っていることを示すために使われる」。
例文は、「我々の利益は去年35%上昇した。それはかなり良い[悪くない]。」
そのように英英辞典で、not too shabby というフレーズがよく使われることを知った上で、改めて英辞郎を見てみると、やはり英辞郎にも載っていました。
英辞郎では、
not too shabby
【1】〈米話〉素晴らしい、立派な、良い出来の◆shabby を強く発音
・I didn't like this car first. But after driving this for a week, I think this is not too shabby. この車始めは嫌いだったんだ。でも1週間運転したらそんなに悪くないなって思うようになったよ。
【2】〈米話〉全くお粗末な◆too を強く発音したとき皮肉として。◆【同】very shabby
皮肉として文字通りの「お粗末な」を強調する意味でも使われるようですが、通常は、「そんなに shabby じゃない」→「悪くない、良い」という意味で使われることがわかりますね。
not too bad も「そんなに悪くない、結構いける」という意味で使われるので、そのニュアンスは同じでしょうか。
肯定的な形容詞を使わずに、ネガティブな形容詞を否定することで、「まんざらでもない」感を出しているのでしょう。
また、LAAD には、shabby treatment という言葉も載っています。「ひどい待遇」のような意味ですね。
今回の shabby は特にそうですが、shabby という単語に出会った時に、「shabby =みすぼらしい」という反射的な訳語だけを必死に覚えようとするのではなく、get shabby treatment 「ひどい待遇を受ける」、It's not too shabby. 「そんなに悪くない(→良い)」というフレーズで覚えるべきだ、ということですね。フレーズで覚えておかないと、肝心な時に使えないことになりますから。
cool は「冷静な」ということですが、ここでは「なんともない」みたいな感覚ですね。
LAAD では、
cool : 3. AGREEMENT (spoken) said to show that you agree with something, that you understand it, or that it does not annoy you
例) "Sorry, I have to go." "It's okay, it's cool (=it does not upset me)."
つまり、「人が何かに同意していること、人がそれを理解していること、またはそのことが人を悩ませないことを示すために使われる」。
例文は、「ごめんね、行かなくちゃ」「オッケーだよ、問題ないよ」
つまりレイチェルは、ロスのしたことについて、怒ったりいらついたり動揺したりせず、全く平静で何の問題も抱えてない、感情的なしこりが残ったりしていない、という感覚でしょうね。
stem は「(植物の)茎」。また、ワイングラスの脚もステムと言いますね。
ですから、long-stemmed は「長い茎の、茎が長い状態の」という意味になります。
One for each day that I've known and loved her. の one for each day は「それぞれの日に対して1本」みたいな感覚。
どんな日かというと、自分がこれまでエミリーを知り、愛してきた日、ということになります。
つまり、エミリーと知り合ってから今日で72日になるから、1日1本の気持ちを込めて72本のバラを送る、と言っているのですね。
make out はフレンズでは「いちゃいちゃする」という意味で使われることが多いですが(笑)、今回は、「(書類などを)作成する、(記入して)書き上げる」という意味で使われています。
プレゼントに添えるカードを書く時に、宛名を間違えるなよ、「エミリーへ」ってきちんと書けよ、とチャンドラーはからかっているのですね。
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前回の フレンズ5-1 のラスト、ギリシャへの新婚旅行に向かう飛行場にエミリーが現れないので、ロスはレイチェルを誘います。
先にレイチェルが飛行機に乗り込んだところで、エミリーが現れたので、ロスはエミリーを追い掛け、結局、レイチェル一人がギリシャに行くはめになります。
レイチェル一人をギリシャに行かせてしまったことで、さぞかしレイチェルは怒っているだろう…と心配顔のロス。
そこに、荷物を持ったレイチェルが帰ってきました。
ロス: Rach, Rach, I am so sorry. I am so, so sorry. (レイチェル、レイチェル、本当にごめんよ。ほんとにほんとにごめん。)
レイチェル: Oh, Ross, come on! You just did what you had to do. Hi, Pheebs. (まぁ、ロス。(そんな風に謝るのは)やめてよ。あなたはしなければならないことをしただけだもの。はーい、フィービー。)
ロス: What? That's it? You're not mad? I mean, it must've been terrible. (何? それだけ? 怒ってないの? だって、ひどかった[つらかった]に違いないのに。)
レイチェル: Terrible? Hell, I was in Greece! That was a nice hotel, nice beach, met the nice people. It’s not too shabby for Rachel. (Goes and puts her luggage away.) (ひどい? 何てこと、私はギリシャにいたのよ! 素敵なホテルで、素敵なビーチで、素敵な人たちに会ったわ。レイチェルにとってはそんなに悪くなかったわよ[なかなか良かったわよ]。[荷物を片づけに行く])
ロス: So, what, that's it? (それで、何、それだけ?)
レイチェル: Oh, yeah! We're cool. Totally cool. (ええ、そうよ! 私たちの間には何も問題はないわ。全くなんともないわ[平気よ]。)
ロス: Oh, thanks, Rach. Oh, you're the best. (They hug.) (あぁ、ありがとう、レイチェル。あぁ、君は最高だよ! [二人はハグする])
レイチェル: Oh, no. You're the best. (あぁ、いいのよ。あなたは最高よ。)
ロス: (breaking the hug) Ohh, I gotta go to the flower store. (Runs to the door.) Check it out, no one will tell me where Emily is, so I'm gonna send 72 long-stemmed, red roses to her parent's house. One for each day that I've known and loved her. That oughta get her talking to me again. ([ハグを解いて] あー、花屋さんに行かなくちゃ。[ドアに走る] ねぇ、エミリーが(今)どこにいるか、誰も教えてくれないだろうから、僕はエミリーの両親の家に、72本の長い茎のついた赤いバラを送るつもりなんだ。僕がエミリーを知り、愛したそれぞれの日に対して1本ずつね。そうすることで、エミリーはまた僕と話をするようになるに違いないよ。)
チャンドラー: Oh, Ross, when you make out card, be sure to make it out to "Emily." (あぁ、ロス。カードを書く時には、間違いなく宛名は「エミリー」って書くようにしろよ。)
ロスはレイチェルが怒っているかどうか心配していますが、レイチェルの反応は意外にあっさりしています。
謝るロスに対して普通に言葉を返し、すぐフィービーに挨拶していることからも、その「あっさり」具合がわかりますね。
shabby は「(身なりが)みすぼらしい」などの意味がありますが、ここでは「ひどい」という意味のようです。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
shabby [adjective] :
1. old and in bad condition from being used for a long time
つまり、「長い間使われていたことで、古くて悪い状態である」
3. something is not (too) shabby (informal) used to show that you think something is very good
例) Our profits were up by 35% last year. That's not too shabby.
つまり、「何かが not too shabby というのは、何かがとても良いと思っていることを示すために使われる」。
例文は、「我々の利益は去年35%上昇した。それはかなり良い[悪くない]。」
そのように英英辞典で、not too shabby というフレーズがよく使われることを知った上で、改めて英辞郎を見てみると、やはり英辞郎にも載っていました。
英辞郎では、
not too shabby
【1】〈米話〉素晴らしい、立派な、良い出来の◆shabby を強く発音
・I didn't like this car first. But after driving this for a week, I think this is not too shabby. この車始めは嫌いだったんだ。でも1週間運転したらそんなに悪くないなって思うようになったよ。
【2】〈米話〉全くお粗末な◆too を強く発音したとき皮肉として。◆【同】very shabby
皮肉として文字通りの「お粗末な」を強調する意味でも使われるようですが、通常は、「そんなに shabby じゃない」→「悪くない、良い」という意味で使われることがわかりますね。
not too bad も「そんなに悪くない、結構いける」という意味で使われるので、そのニュアンスは同じでしょうか。
肯定的な形容詞を使わずに、ネガティブな形容詞を否定することで、「まんざらでもない」感を出しているのでしょう。
また、LAAD には、shabby treatment という言葉も載っています。「ひどい待遇」のような意味ですね。
今回の shabby は特にそうですが、shabby という単語に出会った時に、「shabby =みすぼらしい」という反射的な訳語だけを必死に覚えようとするのではなく、get shabby treatment 「ひどい待遇を受ける」、It's not too shabby. 「そんなに悪くない(→良い)」というフレーズで覚えるべきだ、ということですね。フレーズで覚えておかないと、肝心な時に使えないことになりますから。
cool は「冷静な」ということですが、ここでは「なんともない」みたいな感覚ですね。
LAAD では、
cool : 3. AGREEMENT (spoken) said to show that you agree with something, that you understand it, or that it does not annoy you
例) "Sorry, I have to go." "It's okay, it's cool (=it does not upset me)."
つまり、「人が何かに同意していること、人がそれを理解していること、またはそのことが人を悩ませないことを示すために使われる」。
例文は、「ごめんね、行かなくちゃ」「オッケーだよ、問題ないよ」
つまりレイチェルは、ロスのしたことについて、怒ったりいらついたり動揺したりせず、全く平静で何の問題も抱えてない、感情的なしこりが残ったりしていない、という感覚でしょうね。
stem は「(植物の)茎」。また、ワイングラスの脚もステムと言いますね。
ですから、long-stemmed は「長い茎の、茎が長い状態の」という意味になります。
One for each day that I've known and loved her. の one for each day は「それぞれの日に対して1本」みたいな感覚。
どんな日かというと、自分がこれまでエミリーを知り、愛してきた日、ということになります。
つまり、エミリーと知り合ってから今日で72日になるから、1日1本の気持ちを込めて72本のバラを送る、と言っているのですね。
make out はフレンズでは「いちゃいちゃする」という意味で使われることが多いですが(笑)、今回は、「(書類などを)作成する、(記入して)書き上げる」という意味で使われています。
プレゼントに添えるカードを書く時に、宛名を間違えるなよ、「エミリーへ」ってきちんと書けよ、とチャンドラーはからかっているのですね。
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2010年07月20日
泡風呂で一日の疲れを癒す フレンズ5-2その1
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シーズン5 第2話
The One With All the Kissing (モニカとチャンドラーのひ・み・つ)
原題は「キスばかりの話」
チャンドラーの部屋のお風呂。ロマンチックなキャンドルをたくさん灯した状態で、チャンドラーとモニカはバブルバスに入り、シャンパンを飲んでいます。
モニカ: You look cute in bubbles. (泡の中のあなた[泡に包まれてるあなた]ってセクシーに見えるわ。)
チャンドラー: Ehh, you're just all liquored up. (えー、君はただすっかり酔っ払ってるだけだけどね。)
(They move into kiss but are interrupted by Joey knocking on the door.)
二人はキスしようとするが、ドアをノックするジョーイのために中断させられる。
ジョーイ: Hey, it's me. I'm comin' in. (おい、俺だ。入るぞ。)
(Monica quickly dives under the water as Joey enters. He looks a little shocked at what Chandler's doing.)
ジョーイが入ってきた時、モニカは急いで水の下に潜る。ジョーイはチャンドラーがやっていることを見て、少しショックを受けた顔をする。
チャンドラー: I've had a very long, hard day. (とっても長くてつらい一日だったんでね。)
ジョーイ: Ahh, I'm gonna go get some chicken. You want some? (あー、チキンを買ってこようかと思ってるんだ。お前もいるか?)
チャンドラー: Ahh, no, thanks. No chicken. Bye-bye then. (あー、いや、結構だ。チキンはいらない。じゃあ、さよなら。)
ジョーイ: Okay. (わかった。)
(Joey turns to leave but stops at the door.)
ジョーイは立ち去ろうとするが、ドアのところで止まる。
ジョーイ: You sure? Some extra-crispy, dirty rice? Beans? (確かだな? さらにカリカリのチキンに、ダーティーライスだぞ? ビーンズだぞ?)
チャンドラー: For the last time, no! Get out! Get out, Joey! (これで最後だ[きっぱり言うぞ]。いらない! 出て行け! 出てけよ、ジョーイ!)
ジョーイ: All right. (わかったよ。)
前回のエピソードで、情熱的なキスを観客に見せたチャンドラーとモニカですが、今回のエピソードでは冒頭から一緒にお風呂に入っています(進展、早っ…笑)。
もう完全にラブラブの恋人モードですね。
liquor は名詞で「酒」で、動詞になると、自動詞では「大酒を飲む」、他動詞だと「(人に)酒を飲ませる」という意味になります。
動詞の場合は、liquor up のように up と共に使われることが多いようです。
ですから、be liquored up は、be drunk 「酔っぱらっている」という意味でしょう。
モニカは泡に包まれているチャンドラーを cute (セクシー)だと褒めているのですが、それに対してチャンドラーは、「君はベロンベロンに酔ってるねぇ」と言って、恋人のモニカをちょっとからかっている感じだと思います。
You're so beautiful. などと普通に褒めずにそう冗談めかして言うところが、逆に二人のラブラブぶりを表している気もしますね。
そこにノックの音がして、ジョーイが入ってきます。モニカは慌てて泡の中に隠れます。
一人でバブルバスに浸かっているチャンドラーを見て、ジョーイは眉毛を上げ、「お前、一体、何してんの?」みたいな顔をしていますね。
それでチャンドラーは、I've had a very long, hard day. と現在完了形を使って答えています。
日本語で言うと、「今日は長くて大変な一日だったんだ」というところですが、過去形の had ではなく、現在完了形になっているのは、「彼の1日がまだ終わっていない」という感じがあるからでしょう。
大変だった一日の終わりに、今、こうしてバブルバスで心と身体を癒してるんだよ、というニュアンスでしょうね。
ジョーイが驚いた顔をしたのは、バブルバスで疲れを癒し、いやなことを忘れ気を紛らわす、というのは、女性っぽい行動だからですね。
フレンズ3-4その20 でも、
レイチェル: If you feel yourself reaching for that phone, then you go shoe shopping, you get your butt in a bubble bath. (もし自分がその電話に手を伸ばしそうに感じたら、靴の買い物に行くのよ。バブルバス(泡のお風呂)に浸かるの。)
というセリフがありました。
ジョーイは自分はチキンを買いに行くけど、お前もどう?と尋ねています。
go get some chicken の go get は、1つ前の記事、フレンズ5-1その7 で説明した、go to get または、go and get が、go get になった形ですね。
食べ物としての鶏肉は不可算なので、some chicken という形になっています。
これを a chicken と可算名詞扱いにしてしまうと、鶏1匹買って来てそれを丸ごと食べちゃう、みたいなことになってしまうわけですね。
チキンはいらないと言われて、いったんはバスルームを出ようとしたジョーイですが、また立ち止まって、再度、確認しています。
dirty rice という言葉が出てきますが、dirty-rice で「Google画像検索」すると、たくさん画像がヒットしますので、どんなものかはわかります。
見た目はチャーハンとかピラフみたいな感じ。
また、以下のウィキペディアにも詳しい説明が載っています。
Wikipedia 英語版: Dirty rice
最初の説明部分を引用させていただきますと、
Dirty rice is a traditional Cajun dish made from white rice cooked with small pieces of chicken liver or giblets, which give it a dark ("dirty") color and a mild but distinctive flavor.
訳しますと、「伝統的なケージャン料理。鳥のレバーや臓物の小さなかけらと共に調理した、白米から出来た料理。その臓物のかけらがダークな色(ダーティーな色)をつける。マイルドだが独特のフレイバーを生み出す」。
ケージャン料理のケージャンとは、Wikipedia 日本語版: ケイジャン に説明があるように、「フランスのアカディア植民地に居住していたフランス語系の人々のうち現在のルイジアナ州に移住した人々とその子孫」のこと。
フレンズ2-5その12 でも、あるレストランで、
チャンドラー: I will have the Cajun catfish. (俺は、ケージャン・ナマズをもらおう。)
と注文していたことがありました。
それだけ、ケージャン料理というのはなじみがあるのでしょうね。
Dirty rice の英語版ウィキペディアの In restaurants という項目に、
「Bojangles' Cajun Fried Chicken のレストランでは、サイドディッシュとしてダーティーライスを出す」と書いてあります。
今回、ジョーイはチキンを買うついでに、ダーティーライスもどう?と尋ねているので、ジョーイがイメージしているのは、このチェーン店なのかもしれません。
Bojangle's Famous Chicken 'n Biscuits には、その店のメニューが載っていますが、ジョーイのセリフにあるように、Dirty Rice や、Green Beans の名前が出ています。
また、ウィキペディアによると、
「ニューオーリンズをテーマにした、Popeye's Fried Chicken というレストランでは、長らく、ダーティーライスがメニューとして提供されていたが、最近、名前が「ケイジャン・ライス」に変わった」とあります。
どうやら、dirty という言葉のイメージを避けたかったようですね。
for the last time は、「それを終わりとして、最後に」。
for the first time だと「初めて」ですね。
断ってもしつこく尋ねてくるので、もう返事はこれで最後だ、という感じでチャンドラーは怒っているということです。
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シーズン5 第2話
The One With All the Kissing (モニカとチャンドラーのひ・み・つ)
原題は「キスばかりの話」
チャンドラーの部屋のお風呂。ロマンチックなキャンドルをたくさん灯した状態で、チャンドラーとモニカはバブルバスに入り、シャンパンを飲んでいます。
モニカ: You look cute in bubbles. (泡の中のあなた[泡に包まれてるあなた]ってセクシーに見えるわ。)
チャンドラー: Ehh, you're just all liquored up. (えー、君はただすっかり酔っ払ってるだけだけどね。)
(They move into kiss but are interrupted by Joey knocking on the door.)
二人はキスしようとするが、ドアをノックするジョーイのために中断させられる。
ジョーイ: Hey, it's me. I'm comin' in. (おい、俺だ。入るぞ。)
(Monica quickly dives under the water as Joey enters. He looks a little shocked at what Chandler's doing.)
ジョーイが入ってきた時、モニカは急いで水の下に潜る。ジョーイはチャンドラーがやっていることを見て、少しショックを受けた顔をする。
チャンドラー: I've had a very long, hard day. (とっても長くてつらい一日だったんでね。)
ジョーイ: Ahh, I'm gonna go get some chicken. You want some? (あー、チキンを買ってこようかと思ってるんだ。お前もいるか?)
チャンドラー: Ahh, no, thanks. No chicken. Bye-bye then. (あー、いや、結構だ。チキンはいらない。じゃあ、さよなら。)
ジョーイ: Okay. (わかった。)
(Joey turns to leave but stops at the door.)
ジョーイは立ち去ろうとするが、ドアのところで止まる。
ジョーイ: You sure? Some extra-crispy, dirty rice? Beans? (確かだな? さらにカリカリのチキンに、ダーティーライスだぞ? ビーンズだぞ?)
チャンドラー: For the last time, no! Get out! Get out, Joey! (これで最後だ[きっぱり言うぞ]。いらない! 出て行け! 出てけよ、ジョーイ!)
ジョーイ: All right. (わかったよ。)
前回のエピソードで、情熱的なキスを観客に見せたチャンドラーとモニカですが、今回のエピソードでは冒頭から一緒にお風呂に入っています(進展、早っ…笑)。
もう完全にラブラブの恋人モードですね。
liquor は名詞で「酒」で、動詞になると、自動詞では「大酒を飲む」、他動詞だと「(人に)酒を飲ませる」という意味になります。
動詞の場合は、liquor up のように up と共に使われることが多いようです。
ですから、be liquored up は、be drunk 「酔っぱらっている」という意味でしょう。
モニカは泡に包まれているチャンドラーを cute (セクシー)だと褒めているのですが、それに対してチャンドラーは、「君はベロンベロンに酔ってるねぇ」と言って、恋人のモニカをちょっとからかっている感じだと思います。
You're so beautiful. などと普通に褒めずにそう冗談めかして言うところが、逆に二人のラブラブぶりを表している気もしますね。
そこにノックの音がして、ジョーイが入ってきます。モニカは慌てて泡の中に隠れます。
一人でバブルバスに浸かっているチャンドラーを見て、ジョーイは眉毛を上げ、「お前、一体、何してんの?」みたいな顔をしていますね。
それでチャンドラーは、I've had a very long, hard day. と現在完了形を使って答えています。
日本語で言うと、「今日は長くて大変な一日だったんだ」というところですが、過去形の had ではなく、現在完了形になっているのは、「彼の1日がまだ終わっていない」という感じがあるからでしょう。
大変だった一日の終わりに、今、こうしてバブルバスで心と身体を癒してるんだよ、というニュアンスでしょうね。
ジョーイが驚いた顔をしたのは、バブルバスで疲れを癒し、いやなことを忘れ気を紛らわす、というのは、女性っぽい行動だからですね。
フレンズ3-4その20 でも、
レイチェル: If you feel yourself reaching for that phone, then you go shoe shopping, you get your butt in a bubble bath. (もし自分がその電話に手を伸ばしそうに感じたら、靴の買い物に行くのよ。バブルバス(泡のお風呂)に浸かるの。)
というセリフがありました。
ジョーイは自分はチキンを買いに行くけど、お前もどう?と尋ねています。
go get some chicken の go get は、1つ前の記事、フレンズ5-1その7 で説明した、go to get または、go and get が、go get になった形ですね。
食べ物としての鶏肉は不可算なので、some chicken という形になっています。
これを a chicken と可算名詞扱いにしてしまうと、鶏1匹買って来てそれを丸ごと食べちゃう、みたいなことになってしまうわけですね。
チキンはいらないと言われて、いったんはバスルームを出ようとしたジョーイですが、また立ち止まって、再度、確認しています。
dirty rice という言葉が出てきますが、dirty-rice で「Google画像検索」すると、たくさん画像がヒットしますので、どんなものかはわかります。
見た目はチャーハンとかピラフみたいな感じ。
また、以下のウィキペディアにも詳しい説明が載っています。
Wikipedia 英語版: Dirty rice
最初の説明部分を引用させていただきますと、
Dirty rice is a traditional Cajun dish made from white rice cooked with small pieces of chicken liver or giblets, which give it a dark ("dirty") color and a mild but distinctive flavor.
訳しますと、「伝統的なケージャン料理。鳥のレバーや臓物の小さなかけらと共に調理した、白米から出来た料理。その臓物のかけらがダークな色(ダーティーな色)をつける。マイルドだが独特のフレイバーを生み出す」。
ケージャン料理のケージャンとは、Wikipedia 日本語版: ケイジャン に説明があるように、「フランスのアカディア植民地に居住していたフランス語系の人々のうち現在のルイジアナ州に移住した人々とその子孫」のこと。
フレンズ2-5その12 でも、あるレストランで、
チャンドラー: I will have the Cajun catfish. (俺は、ケージャン・ナマズをもらおう。)
と注文していたことがありました。
それだけ、ケージャン料理というのはなじみがあるのでしょうね。
Dirty rice の英語版ウィキペディアの In restaurants という項目に、
「Bojangles' Cajun Fried Chicken のレストランでは、サイドディッシュとしてダーティーライスを出す」と書いてあります。
今回、ジョーイはチキンを買うついでに、ダーティーライスもどう?と尋ねているので、ジョーイがイメージしているのは、このチェーン店なのかもしれません。
Bojangle's Famous Chicken 'n Biscuits には、その店のメニューが載っていますが、ジョーイのセリフにあるように、Dirty Rice や、Green Beans の名前が出ています。
また、ウィキペディアによると、
「ニューオーリンズをテーマにした、Popeye's Fried Chicken というレストランでは、長らく、ダーティーライスがメニューとして提供されていたが、最近、名前が「ケイジャン・ライス」に変わった」とあります。
どうやら、dirty という言葉のイメージを避けたかったようですね。
for the last time は、「それを終わりとして、最後に」。
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2010年07月17日
ホットとキュート フレンズ5-1その7
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チャンドラー: Oh. Y'know, that night meant a lot to me too. And it wasn't because I was in a bad place or anything. It just meant a lot to me 'cause you're really hot! Is that okay? (あぁ。ねぇ、あの夜は俺にとっても大きな意味があったよ。そしてそれは俺がつらい状況にいたからとかじゃないんだ。君が本当にセクシーだったから俺にとって大いに意味があったんだよ。それでいい?)
モニカ: (laughs) That's okay. ([笑って] それでいいわ。)
チャンドラー: And I'm cute too? (それで、俺もセクシー?)
モニカ: And you're cute too! (そしてあなたもセクシーよ!)
チャンドラー: Thank you. (They hug.) All right, I gotta go unpack. (ありがとう。[二人はハグする] よし、荷物を解かなきゃ。)
モニカ: Okay. (わかったわ。[二人はここでハイファイブをする])
チャンドラー: Bye. (じゃあね。)
(After he closes the door, Monica starts to follow him, but thinks better of it and stops.)
チャンドラーがドアを閉めた後、モニカは彼を追おうとするが、それを考え直して(そうしない方がいいと思い直して)立ち止まる。
チャンドラー: (entering) I'm still on London time. Does that count? ([部屋に入ってきて] 俺はまだロンドン時間なんだけど。それって有効かな?)
モニカ: Oh, that counts! (えぇ、有効ね!)
チャンドラー: Oh, good! (They start kissing.) (あぁ、良かった! [二人はキスし始める])
昨日の続きです。
「つらい時だったから、あなたと過ごせたあの夜は私にとっては大きな意味があった」と感謝の言葉を述べたモニカ。
それに対してチャンドラーも、「俺にとっても大きな意味があった」と返しています。
チャンドラーも、スピーチがスベってしまったことで、つらい思いをしていたわけですが、チャンドラーはそれが理由じゃない、と言っています。
あの夜に大きな意味があったのは、それは、君がほんとに hot だからだよ、と言っていますね。
それを聞いてモニカは思わず吹き出して笑っています。
hot というのは、この場合は、「性的に魅力的な、セクシーな」という意味ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hot : SEXUALLY ATTRACTIVE
a person who is hot is sexually attractive
つまり、「hot な人は、性的に魅力的である」
モニカは、「つらい時に友人のあなたがいてくれて私はとても救われたの、ありがとう」という感じでお礼を述べたのですが、チャンドラーは「あの夜、君はとってもセクシーだったよ」と返しているわけですね。
傷ついた者同士がお互いを慰め合ったという意味で重要だったんじゃなくて、君がセクシーであの夜二人は燃えたから、俺にとっても大切な夜になったんだ、みたいな言い方です。
長年の友人・親友であるチャンドラーが、モニカに対して「女性としてとても魅力的だった」と言ったので、モニカは恥ずかしさも含めて、思わず笑ってしまったのでしょう。
今度はチャンドラーが、自分から、「俺って cute ?」と尋ねています。
この場合の、cute も「セクシー」のような意味ですね。
LAAD では、
cute : pretty in a way that you think is sexually attractive
つまり、「性的に魅力的であると思うような感じで pretty である」
上の LAAD の語義説明には、I think she's really cute. という例文が載っていて、それだと女性に対しても使えそうに思えるのですが、実際にネイティブの方に聞いてみると、「sexually attractive という意味の cute は、男性に対してしか使わない。女性に対して cute と言うと、「子供に対する無邪気なかわいさ」みたいな感じに聞こえるので、大人の女性には使わない方が無難」だそうです。
女性に対して sexually attractive だと言いたい場合は、今回のチャンドラーのように、hot を使うべきだということですね。
I gotta go unpack. の go unpack は、go to unpack または、go and unpack の to や and が省略された形です。
go to unpack は「unpack する(荷解(ほど)きする)ために行く」、それが、go and unpack になると「行って荷をほどく」という感じになりますね。
go to unpack よりも、go and unpack の方がくだけた表現になり、さらにその and も省略されたのが、go unpack になるということです。
フレンズのセリフでは、and も省略された、go+動詞の形が圧倒的に多い気がします。
旅行の荷物を片付けるために部屋に戻ろうとするチャンドラー。
二人がハイファイブをするのが「親友」っぽくていいですね。
ロンドンではいろんなことがあったけれど、二人の友情は壊れることなく、むしろ精神的により深く分かり合えて、お互いを大切に思えた…みたいな感じが出ている気がします。
爽やかな笑顔を残して去っていくチャンドラーも素敵ですね。
このシーンを見ると、フレンズ3-6その22 で、チャンドラーとモニカがお互いを指差すシーンを思い出すのですが、ロマンチックな恋愛ばかりでなく、こういう男女の友情も素敵に描かれているのがフレンズの魅力なのかな、と改めて思いました。
チャンドラーが出て行った後、モニカはチャンドラーのところに行こうとして、でもやっぱりダメダメ…という感じで自分を制しているのに泣けますね。
でもその後、やはり同じ気持ちであったチャンドラーは戻ってきます。
チャンドラーが言った Does that count? の自動詞 count について。
LAAD では、
count :
3. BE ALLOWED [intransitive, transitive usually passive] to be allowed or accepted according to a standard, set of ideas, or set of rules, or to allow something in this way
6. IMPORTANT [intransitive] to be important or valuable
3. の意味は、「ある基準や、一連の考えや、一連の規則に従って許される、または受け入れられること。または、何かをこのような方法で許すこと」
6. の意味は、「重要であること、または価値のあること」
自動詞の count は上の 6. の語義の「重要である」という意味で使われることが多いような気がしますが、今回のチャンドラーのセリフは、3. の語義に近いように思いました。
英辞郎には、
count=【自動-2】重要である、重視される、肝心である、無視できない、値打ちがある、価値がある、有効である
という意味が載っていますが、その中で、「無視できない、有効である」という感覚が近いのかな、と思います。
日本語で言うと、「カウントされる」みたいな感覚に近い気もします。
重要か重要でないか、というよりも、「俺の中では(NYにいても)まだロンドン時間なんだけど、それってアリかな?」みたいな感じなんだろうと思います。
エッチはロンドンにいる間だけ、というルールを二人で決めていたわけですが、今でもロンドン時間だと思っても構わない?、そう思うことは許される?、そう思ってもオッケー?ということですね。
そして二人は情熱的なキスをするのですが、見ている観客も歓声を上げていますね。
フレンズ4-24 で、ベッドのシーツの下から二人が顔を出した時も驚きましたし、フレンズ5-1 でも服を脱がせようとしているシーンなどもありましたが(笑)、二人が passionate なキスをしているのをこんなにはっきりと映像として見せたのは、多分、このシーンが初めてだと思います。
エピソードの一つとして二人が勢いで(笑)寝てしまった…というのから一歩進んで、二人が今度どうなるか?ということに注目せざるを得なくなる、インパクトの強い映像だと思いました。
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チャンドラー: Oh. Y'know, that night meant a lot to me too. And it wasn't because I was in a bad place or anything. It just meant a lot to me 'cause you're really hot! Is that okay? (あぁ。ねぇ、あの夜は俺にとっても大きな意味があったよ。そしてそれは俺がつらい状況にいたからとかじゃないんだ。君が本当にセクシーだったから俺にとって大いに意味があったんだよ。それでいい?)
モニカ: (laughs) That's okay. ([笑って] それでいいわ。)
チャンドラー: And I'm cute too? (それで、俺もセクシー?)
モニカ: And you're cute too! (そしてあなたもセクシーよ!)
チャンドラー: Thank you. (They hug.) All right, I gotta go unpack. (ありがとう。[二人はハグする] よし、荷物を解かなきゃ。)
モニカ: Okay. (わかったわ。[二人はここでハイファイブをする])
チャンドラー: Bye. (じゃあね。)
(After he closes the door, Monica starts to follow him, but thinks better of it and stops.)
チャンドラーがドアを閉めた後、モニカは彼を追おうとするが、それを考え直して(そうしない方がいいと思い直して)立ち止まる。
チャンドラー: (entering) I'm still on London time. Does that count? ([部屋に入ってきて] 俺はまだロンドン時間なんだけど。それって有効かな?)
モニカ: Oh, that counts! (えぇ、有効ね!)
チャンドラー: Oh, good! (They start kissing.) (あぁ、良かった! [二人はキスし始める])
昨日の続きです。
「つらい時だったから、あなたと過ごせたあの夜は私にとっては大きな意味があった」と感謝の言葉を述べたモニカ。
それに対してチャンドラーも、「俺にとっても大きな意味があった」と返しています。
チャンドラーも、スピーチがスベってしまったことで、つらい思いをしていたわけですが、チャンドラーはそれが理由じゃない、と言っています。
あの夜に大きな意味があったのは、それは、君がほんとに hot だからだよ、と言っていますね。
それを聞いてモニカは思わず吹き出して笑っています。
hot というのは、この場合は、「性的に魅力的な、セクシーな」という意味ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hot : SEXUALLY ATTRACTIVE
a person who is hot is sexually attractive
つまり、「hot な人は、性的に魅力的である」
モニカは、「つらい時に友人のあなたがいてくれて私はとても救われたの、ありがとう」という感じでお礼を述べたのですが、チャンドラーは「あの夜、君はとってもセクシーだったよ」と返しているわけですね。
傷ついた者同士がお互いを慰め合ったという意味で重要だったんじゃなくて、君がセクシーであの夜二人は燃えたから、俺にとっても大切な夜になったんだ、みたいな言い方です。
長年の友人・親友であるチャンドラーが、モニカに対して「女性としてとても魅力的だった」と言ったので、モニカは恥ずかしさも含めて、思わず笑ってしまったのでしょう。
今度はチャンドラーが、自分から、「俺って cute ?」と尋ねています。
この場合の、cute も「セクシー」のような意味ですね。
LAAD では、
cute : pretty in a way that you think is sexually attractive
つまり、「性的に魅力的であると思うような感じで pretty である」
上の LAAD の語義説明には、I think she's really cute. という例文が載っていて、それだと女性に対しても使えそうに思えるのですが、実際にネイティブの方に聞いてみると、「sexually attractive という意味の cute は、男性に対してしか使わない。女性に対して cute と言うと、「子供に対する無邪気なかわいさ」みたいな感じに聞こえるので、大人の女性には使わない方が無難」だそうです。
女性に対して sexually attractive だと言いたい場合は、今回のチャンドラーのように、hot を使うべきだということですね。
I gotta go unpack. の go unpack は、go to unpack または、go and unpack の to や and が省略された形です。
go to unpack は「unpack する(荷解(ほど)きする)ために行く」、それが、go and unpack になると「行って荷をほどく」という感じになりますね。
go to unpack よりも、go and unpack の方がくだけた表現になり、さらにその and も省略されたのが、go unpack になるということです。
フレンズのセリフでは、and も省略された、go+動詞の形が圧倒的に多い気がします。
旅行の荷物を片付けるために部屋に戻ろうとするチャンドラー。
二人がハイファイブをするのが「親友」っぽくていいですね。
ロンドンではいろんなことがあったけれど、二人の友情は壊れることなく、むしろ精神的により深く分かり合えて、お互いを大切に思えた…みたいな感じが出ている気がします。
爽やかな笑顔を残して去っていくチャンドラーも素敵ですね。
このシーンを見ると、フレンズ3-6その22 で、チャンドラーとモニカがお互いを指差すシーンを思い出すのですが、ロマンチックな恋愛ばかりでなく、こういう男女の友情も素敵に描かれているのがフレンズの魅力なのかな、と改めて思いました。
チャンドラーが出て行った後、モニカはチャンドラーのところに行こうとして、でもやっぱりダメダメ…という感じで自分を制しているのに泣けますね。
でもその後、やはり同じ気持ちであったチャンドラーは戻ってきます。
チャンドラーが言った Does that count? の自動詞 count について。
LAAD では、
count :
3. BE ALLOWED [intransitive, transitive usually passive] to be allowed or accepted according to a standard, set of ideas, or set of rules, or to allow something in this way
6. IMPORTANT [intransitive] to be important or valuable
3. の意味は、「ある基準や、一連の考えや、一連の規則に従って許される、または受け入れられること。または、何かをこのような方法で許すこと」
6. の意味は、「重要であること、または価値のあること」
自動詞の count は上の 6. の語義の「重要である」という意味で使われることが多いような気がしますが、今回のチャンドラーのセリフは、3. の語義に近いように思いました。
英辞郎には、
count=【自動-2】重要である、重視される、肝心である、無視できない、値打ちがある、価値がある、有効である
という意味が載っていますが、その中で、「無視できない、有効である」という感覚が近いのかな、と思います。
日本語で言うと、「カウントされる」みたいな感覚に近い気もします。
重要か重要でないか、というよりも、「俺の中では(NYにいても)まだロンドン時間なんだけど、それってアリかな?」みたいな感じなんだろうと思います。
エッチはロンドンにいる間だけ、というルールを二人で決めていたわけですが、今でもロンドン時間だと思っても構わない?、そう思うことは許される?、そう思ってもオッケー?ということですね。
そして二人は情熱的なキスをするのですが、見ている観客も歓声を上げていますね。
フレンズ4-24 で、ベッドのシーツの下から二人が顔を出した時も驚きましたし、フレンズ5-1 でも服を脱がせようとしているシーンなどもありましたが(笑)、二人が passionate なキスをしているのをこんなにはっきりと映像として見せたのは、多分、このシーンが初めてだと思います。
エピソードの一つとして二人が勢いで(笑)寝てしまった…というのから一歩進んで、二人が今度どうなるか?ということに注目せざるを得なくなる、インパクトの強い映像だと思いました。
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2010年07月16日
あれやこれやで フレンズ5-1その6
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ジョーイ、チャンドラー、モニカたちは、フィービーがいるNYの自分たちの部屋に帰ってきました。
フィービーとジョーイが部屋を出て行った後、チャンドラーとモニカは二人きりになり、二人はしばらく見つめ合っています。
モニカ: Well, we certainly are alone. (あの、私たち、(確かに)二人きりよね。)
チャンドラーはパン!と手を叩いて、
チャンドラー: Yes! Good thing we have that "not New York" rule. (そうだね! 例の「ニューヨークではしない」ルールがあって、良かったよね。)
モニカ: Right. Umm, listen, since we're, we're on that subject, umm, I just wanted to tell you that uh, well, I, I was going through a really hard time in London, what with my brother getting married and that guy thinking I was Ross' mother. (その通り。あの、ねぇ、その話題が出たから言うけど、その…、私はあなたにただこう言いたいの。えーっと、私はロンドンでほんとうにつらい時を経験してた、自分の兄が結婚することやら、私をロスの母だと思ったあの男性やらでね。)
チャンドラー: Right. ([笑いながら]そうだね。)
モニカ: Well, an, anyway, I just.... That night meant a lot to me. And I guess I'm just trying to say thanks. (そうね、とにかく、私はただ…あの夜は私にとって大きな意味があったの。そして私は(今)ただあなたにありがとうって言おうとしてるのよ。)
We certainly are alone. について。
通常は、We are certainly alone. となるのが普通ですが、1つ前の記事、フレンズ5-1その5 に出てきた、We still are over international waters. と同様に、これも "are" を強調するために certainly が be動詞の前に位置しているのでしょう。
「(今)(まさに)二人きり”である”」ことを強調しているのですね。
ロンドンでは二人きりになろうとしたら必ず邪魔者が入ってしまったのに、今、このNYに戻ってきた後で、こんなに簡単に二人きりになれちゃうなんて皮肉よね、みたいな感覚でしょう。
Good thing we have that "not New York" rule. は、It's a good thing that we have that "not New York" rule. ということですね。
ネットスクリプトでは、'Not in New York' rule のように、New York の前に in が入っていますが、DVD字幕には in はなく、実際の音声も not New York と言っているようです。
もちろん、「NYでは(エッチを)しない」ということなので、意味としては、not in New York ということになるのですが。
ロンドンではつらい時を経験した、の後、what with my brother getting married and that guy thinking I was Ross' mother と続いています。
これは、what with A and B の形で、「A やら B やらで」という意味になり、理由を列挙する表現になります。
A や B には名詞がきます。
上のセリフでも、my brother getting married は、「私の兄が結婚するということ」という動名詞で(my brother は getting married の意味上の主語)、that guy thinking I was Ross' mother は「私がロスの母だと思っているあの男性」(thinking 以下は、that guy を修飾する現在分詞)のように、それぞれが名詞になっていますね。
(2015.11.24 追記)
「A の部分は動名詞、B の部分は現在分詞」と書いた上の説明について、下のコメント欄でご意見をいただきました。
正しくは、「どちらも動名詞」になります。
下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)
what with one thing and another だと「あれやこれやで、何やかやで」という意味になります。
(「何やかやで」という言葉を聞くと、「なんやかんやは…なんやかんやです!」の「33分探偵」鞍馬六郎を思い出すのは私だけ?…笑)
マクミラン(Macmillan Dictionary)では、
what with : (spoken) used when you are giving a number of reasons for a particular situation or problem
例) The police are having a difficult time, what with all the drugs and violence on our streets.
つまり、「ある特定の状況や問題のいくつかの理由を述べようとする時に用いられる」
例文は、「あらゆる薬物やら、我々の町(通り)での暴力やらで、警察は苦労している。」
同じくマクミランで、
what with one thing and another : used for referring to many different events in a way that is not specific. You use this expression in order to explain why something did or did not happen
例) What with one thing and another, I didn't get home until after midnight.
つまり、「明確ではない方法で、多くの違った出来事を言及するために用いられる。あることがなぜ起こったか、もしくは起こらなかったかを説明するためにこの表現を使う。」
例文は、「あれやこれやで(何やかやで)、私は真夜中過ぎまで家に戻らなかった。」
モニカのセリフも、ロンドンで自分がつらい時間を過ごしていた、その理由を2つ挙げるために、what with A and B を使っているのですね。
自分は結婚願望が強いのに、また兄に先を越されてしまった、ということと、出席者の一人にロスの母親だと間違えられた(つまり、実際よりもものすごく年上だと思われた)ことがショックだった、その2つの理由で、私はロンドンではすごくつらかったのよ、と説明しているわけです。
mean a lot to... は「(人)にとって大きな・重要な意味を持つ」。
つらい時だったから、あなたと過ごせたあの夜は私にとっては大きな意味があったのよ、と感謝の言葉を述べているのですね。
今回、もう少し解説したい内容が残っているので、明日、「フレンズ5-1その7」として投稿する予定です。
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ジョーイ、チャンドラー、モニカたちは、フィービーがいるNYの自分たちの部屋に帰ってきました。
フィービーとジョーイが部屋を出て行った後、チャンドラーとモニカは二人きりになり、二人はしばらく見つめ合っています。
モニカ: Well, we certainly are alone. (あの、私たち、(確かに)二人きりよね。)
チャンドラーはパン!と手を叩いて、
チャンドラー: Yes! Good thing we have that "not New York" rule. (そうだね! 例の「ニューヨークではしない」ルールがあって、良かったよね。)
モニカ: Right. Umm, listen, since we're, we're on that subject, umm, I just wanted to tell you that uh, well, I, I was going through a really hard time in London, what with my brother getting married and that guy thinking I was Ross' mother. (その通り。あの、ねぇ、その話題が出たから言うけど、その…、私はあなたにただこう言いたいの。えーっと、私はロンドンでほんとうにつらい時を経験してた、自分の兄が結婚することやら、私をロスの母だと思ったあの男性やらでね。)
チャンドラー: Right. ([笑いながら]そうだね。)
モニカ: Well, an, anyway, I just.... That night meant a lot to me. And I guess I'm just trying to say thanks. (そうね、とにかく、私はただ…あの夜は私にとって大きな意味があったの。そして私は(今)ただあなたにありがとうって言おうとしてるのよ。)
We certainly are alone. について。
通常は、We are certainly alone. となるのが普通ですが、1つ前の記事、フレンズ5-1その5 に出てきた、We still are over international waters. と同様に、これも "are" を強調するために certainly が be動詞の前に位置しているのでしょう。
「(今)(まさに)二人きり”である”」ことを強調しているのですね。
ロンドンでは二人きりになろうとしたら必ず邪魔者が入ってしまったのに、今、このNYに戻ってきた後で、こんなに簡単に二人きりになれちゃうなんて皮肉よね、みたいな感覚でしょう。
Good thing we have that "not New York" rule. は、It's a good thing that we have that "not New York" rule. ということですね。
ネットスクリプトでは、'Not in New York' rule のように、New York の前に in が入っていますが、DVD字幕には in はなく、実際の音声も not New York と言っているようです。
もちろん、「NYでは(エッチを)しない」ということなので、意味としては、not in New York ということになるのですが。
ロンドンではつらい時を経験した、の後、what with my brother getting married and that guy thinking I was Ross' mother と続いています。
これは、what with A and B の形で、「A やら B やらで」という意味になり、理由を列挙する表現になります。
A や B には名詞がきます。
上のセリフでも、my brother getting married は、「私の兄が結婚するということ」という動名詞で(my brother は getting married の意味上の主語)、that guy thinking I was Ross' mother は「私がロスの母だと思っているあの男性」(thinking 以下は、that guy を修飾する現在分詞)のように、それぞれが名詞になっていますね。
(2015.11.24 追記)
「A の部分は動名詞、B の部分は現在分詞」と書いた上の説明について、下のコメント欄でご意見をいただきました。
正しくは、「どちらも動名詞」になります。
下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)
what with one thing and another だと「あれやこれやで、何やかやで」という意味になります。
(「何やかやで」という言葉を聞くと、「なんやかんやは…なんやかんやです!」の「33分探偵」鞍馬六郎を思い出すのは私だけ?…笑)
マクミラン(Macmillan Dictionary)では、
what with : (spoken) used when you are giving a number of reasons for a particular situation or problem
例) The police are having a difficult time, what with all the drugs and violence on our streets.
つまり、「ある特定の状況や問題のいくつかの理由を述べようとする時に用いられる」
例文は、「あらゆる薬物やら、我々の町(通り)での暴力やらで、警察は苦労している。」
同じくマクミランで、
what with one thing and another : used for referring to many different events in a way that is not specific. You use this expression in order to explain why something did or did not happen
例) What with one thing and another, I didn't get home until after midnight.
つまり、「明確ではない方法で、多くの違った出来事を言及するために用いられる。あることがなぜ起こったか、もしくは起こらなかったかを説明するためにこの表現を使う。」
例文は、「あれやこれやで(何やかやで)、私は真夜中過ぎまで家に戻らなかった。」
モニカのセリフも、ロンドンで自分がつらい時間を過ごしていた、その理由を2つ挙げるために、what with A and B を使っているのですね。
自分は結婚願望が強いのに、また兄に先を越されてしまった、ということと、出席者の一人にロスの母親だと間違えられた(つまり、実際よりもものすごく年上だと思われた)ことがショックだった、その2つの理由で、私はロンドンではすごくつらかったのよ、と説明しているわけです。
mean a lot to... は「(人)にとって大きな・重要な意味を持つ」。
つらい時だったから、あなたと過ごせたあの夜は私にとっては大きな意味があったのよ、と感謝の言葉を述べているのですね。
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2010年07月14日
waterの複数形 フレンズ5-1その5
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は1位です。
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イギリスからアメリカに帰る飛行機の中。座席に座っているチャンドラーとモニカの表情は固まっています。
モニカ: Y'know, maybe it's best we never got to do it again. (ねぇ、多分、私たちがもう二度とエッチすることはない、っていうのは一番いいことよね。)
チャンドラー: Yeah, it kinda makes that, that one night special. (Realizes something) Y'know, technically, we still are over international waters. (そうだね、それであの一夜が特別になる、って感じだからね。[何かに気づいて] ねぇ、厳密に言うと、俺たちはまだ国際水域の上空にいるんだよね。)
モニカ: I'm gonna go to the bathroom. Maybe I'll see you there in a bit? (私はトイレに行くわ。多分、少し後で、そこで会いましょう。)
チャンドラー: 'Kay! (オッケー。)
(Monica gets up and heads for the bathroom, Chandler turns to watch her go and is startled to see Joey sitting in Monica's seat.)
モニカは立ち上がり、トイレに向かう。チャンドラーはモニカが行くのを見るために振り返り、そして(その後)、ジョーイがモニカの席に座っているのを見て驚く。
ジョーイ: Can I ask you something? (ちょっとお前に尋ねていいか?)
チャンドラー: Uhh, no. (あぁぁ、だめだ。)
ジョーイ: Felicity and I, we were watching My Giant. And I was thinking, I'm never gonna be as good an actor as that giant. Do you think I'm just wasting my life with this acting thing? (フェシリティ(エミリーの友人)と俺は、俺たちは「マイ・ジャイアント」を見てたんだよ。そして俺は思ったんだ、あのジャイアントと同じくらい良い役者に俺は絶対になれない、って。この演技のこと(俳優と言う職業をやっていること)で、俺は俺の人生をただ無駄にしているだけだ、ってお前は思うか?)
チャンドラー: No. (いいや。)
still 「まだ、今までどおり」という意味の副詞の場合、通常、still は be動詞の後に位置することになりますが、上のセリフでは are の前に位置していますね。
We are still ではなく、We still are となっているのは、"are" を強調するためでしょう。
実際の音声でも、We still ARE という感じの発音になっていて、are が強調されています。
water はご存知「水」ですが、水の場合は不可算名詞扱いなので、通常は waters などという複数形の形にはなりません。
今回のように、waters と複数形になっているのは、「領海、海域」という意味だからですね。
international waters だと「国際水域、公海」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
waters [plural] : b) an area of the ocean near or belonging to a particular country.
つまり、「ある特定の国の近く、またはその国に属する海のエリア」。
in a bit の bit について。
LAAD では、
bit : TIME a bit a short amount of time
つまり、「ちょっとの間、わずかな時間」という感覚ですね。
in a bit の in は in 5 minutes 「5分後に」などの in と同じ感覚で、「…後に」という意味になります。
ですから、モニカは、「今からすぐ後に、トイレで会いましょう」、つまり「(私が先に行くから)後からすぐに来て」と誘っているわけですね。
フレンズ2-12その7 で、
清掃員: Meet me in the nocturnal house in 15 minutes. (夜行性動物のコーナーで15分後に会おう。)
というセリフがありましたが、その15分が、a bit 「少しの時間」に置き換わっている感覚です。
今すぐ来て、と言われて、チャンドラーは嬉しそうに、'Kay! と言っていますね。
Okay. の最初のオゥがあまり聞こえなくて、「、、ッケイ!」みたいな発音です。
嬉しい喜びの Okay. の時によくこういう発音になりますね。
フレンズ4-2その1 でも、高校の時憧れていたチップという男性から電話がかかってきた時、嬉しいモニカは、相槌で 'Kay. を連発していました。
モニカの後姿を見ていたチャンドラーが視線を戻すと、モニカの席にジョーが座っていたので、チャンドラーはギョッという感じで驚いています。
「お前に質問していいか?」というジョーイに対して、一瞬ちょっと考えた後、No. と返すチャンドラーに笑えますね。
まだどんな質問かもわからないのに、内容を聞く前から拒絶しているわけですからねぇ。
チャンドラーは早くモニカのところに行きたいので、こんなところでジョーイと話していたくない、その気持ちから出た No. だということです。
フレンズ5-1その2 でも、
レイチェル: Mon, honey, I gotta ask you something. (モニカ、ハニー、あなたに尋ねなきゃならないことがあるの。)
モニカ: (impatiently) Now? ([いら立った様子で] 今?)
というやり取りがありましたが、さぁこれから二人でエッチを、、、と意気込んでいる時(笑)に友人に話し掛けられ、Now? とか、No. とか返事する、というように、モニカとチャンドラーのパターンが似ていることにも注目したいですね。
普通はそんな失礼な返答はしませんが、親しい友人であることに加え、二人が急いでいる、焦っていることがわかる仕組みです。
No. と言われているのに、それに構わず話を続けるジョーイにも笑えますが、ジョーイは、フェシリティ(エミリーの花嫁付添人をしていた女性)とロンドンで仲良くなり、一緒に部屋で、My Giant という作品を見たと言っています。
これは元々、ジョーイ&フェシリティよりも先に部屋に入っていたチャンドラーとモニカが、「これからエッチをするのは、俺(ジョーイ)かお前(チャンドラー)か?」とジョーイに迫られて、いったんはあきらめて部屋をジョーイに譲ろうとしたけれど、「やっぱりビデオを見るのにお金を払っちゃったから今さら部屋を出られない」と言って断る理由に使った映画でした。
ですが、それはジョーイのお気に入りの映画だったので、結局、部屋を明け渡さざるを得なくなってしまったわけですが…。
この「マイ・ジャイアント」という映画は、日本では未公開だったようです。
主演はビリー・クリスタルと、NBAのバスケットボール選手、ジョージ・ミュアサン。
ビリー・クリスタルは、フレンズ3-24 にロビン・ウィリアムズと共にゲスト出演していましたね。
Wikipedia 英語版: My Giant
IMDb: My Giant (1998)
ウィキペディアに載っているポスターの写真の身長の違いにも注目です。
ビリー・クリスタルは 170cm だそうですが、ミュアサンは何と、身長が 231cm もあるそうです。
ジョージ・ミュアサンの説明はこちら。
Wikipedia 英語版: Gheorghe Mureşan
ミュアサンはバスケ選手なので、プロの俳優ではないわけですが、ジョーイはその演技に感銘を受けたようですね。
俺は俳優を職業としているのに、彼ほど演技がうまくないなんて、俺が俳優を続けるのは時間の無駄なんだろうか…という悩みをチャンドラーに相談しているわけです。
この後は(解説は省きますが)、ミュアサンの背の高さに言及するセリフも続きます。
背のものすごく高いバスケ選手が出演している映画の話だ、ということさえわかっていれば、その後に続くジョーイのセリフの意味も何となくわかりますよね。
ジョーイは、俳優の素人に演技で負けていると感じたり、俺はもうどんなに頑張ってもあんなに背が高くなれないと思ったりしているわけです。
ジョーイのお気に入りの映画だったはずなのに、それがジョーイを落ち込ませる原因になってしまい、急いでいるチャンドラーを悩みの相談で引き止める形になってしまう、という展開の面白さですね。
チャンドラーにとっては、ロンドンで寝室はジョーイに奪われるは、今またトイレに向かおうとしているところを止められるは、で、マイ・ジャイアントという映画に対して恨みすら抱いているかもしれませんね(笑)。
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イギリスからアメリカに帰る飛行機の中。座席に座っているチャンドラーとモニカの表情は固まっています。
モニカ: Y'know, maybe it's best we never got to do it again. (ねぇ、多分、私たちがもう二度とエッチすることはない、っていうのは一番いいことよね。)
チャンドラー: Yeah, it kinda makes that, that one night special. (Realizes something) Y'know, technically, we still are over international waters. (そうだね、それであの一夜が特別になる、って感じだからね。[何かに気づいて] ねぇ、厳密に言うと、俺たちはまだ国際水域の上空にいるんだよね。)
モニカ: I'm gonna go to the bathroom. Maybe I'll see you there in a bit? (私はトイレに行くわ。多分、少し後で、そこで会いましょう。)
チャンドラー: 'Kay! (オッケー。)
(Monica gets up and heads for the bathroom, Chandler turns to watch her go and is startled to see Joey sitting in Monica's seat.)
モニカは立ち上がり、トイレに向かう。チャンドラーはモニカが行くのを見るために振り返り、そして(その後)、ジョーイがモニカの席に座っているのを見て驚く。
ジョーイ: Can I ask you something? (ちょっとお前に尋ねていいか?)
チャンドラー: Uhh, no. (あぁぁ、だめだ。)
ジョーイ: Felicity and I, we were watching My Giant. And I was thinking, I'm never gonna be as good an actor as that giant. Do you think I'm just wasting my life with this acting thing? (フェシリティ(エミリーの友人)と俺は、俺たちは「マイ・ジャイアント」を見てたんだよ。そして俺は思ったんだ、あのジャイアントと同じくらい良い役者に俺は絶対になれない、って。この演技のこと(俳優と言う職業をやっていること)で、俺は俺の人生をただ無駄にしているだけだ、ってお前は思うか?)
チャンドラー: No. (いいや。)
still 「まだ、今までどおり」という意味の副詞の場合、通常、still は be動詞の後に位置することになりますが、上のセリフでは are の前に位置していますね。
We are still ではなく、We still are となっているのは、"are" を強調するためでしょう。
実際の音声でも、We still ARE という感じの発音になっていて、are が強調されています。
water はご存知「水」ですが、水の場合は不可算名詞扱いなので、通常は waters などという複数形の形にはなりません。
今回のように、waters と複数形になっているのは、「領海、海域」という意味だからですね。
international waters だと「国際水域、公海」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
waters [plural] : b) an area of the ocean near or belonging to a particular country.
つまり、「ある特定の国の近く、またはその国に属する海のエリア」。
in a bit の bit について。
LAAD では、
bit : TIME a bit a short amount of time
つまり、「ちょっとの間、わずかな時間」という感覚ですね。
in a bit の in は in 5 minutes 「5分後に」などの in と同じ感覚で、「…後に」という意味になります。
ですから、モニカは、「今からすぐ後に、トイレで会いましょう」、つまり「(私が先に行くから)後からすぐに来て」と誘っているわけですね。
フレンズ2-12その7 で、
清掃員: Meet me in the nocturnal house in 15 minutes. (夜行性動物のコーナーで15分後に会おう。)
というセリフがありましたが、その15分が、a bit 「少しの時間」に置き換わっている感覚です。
今すぐ来て、と言われて、チャンドラーは嬉しそうに、'Kay! と言っていますね。
Okay. の最初のオゥがあまり聞こえなくて、「、、ッケイ!」みたいな発音です。
嬉しい喜びの Okay. の時によくこういう発音になりますね。
フレンズ4-2その1 でも、高校の時憧れていたチップという男性から電話がかかってきた時、嬉しいモニカは、相槌で 'Kay. を連発していました。
モニカの後姿を見ていたチャンドラーが視線を戻すと、モニカの席にジョーが座っていたので、チャンドラーはギョッという感じで驚いています。
「お前に質問していいか?」というジョーイに対して、一瞬ちょっと考えた後、No. と返すチャンドラーに笑えますね。
まだどんな質問かもわからないのに、内容を聞く前から拒絶しているわけですからねぇ。
チャンドラーは早くモニカのところに行きたいので、こんなところでジョーイと話していたくない、その気持ちから出た No. だということです。
フレンズ5-1その2 でも、
レイチェル: Mon, honey, I gotta ask you something. (モニカ、ハニー、あなたに尋ねなきゃならないことがあるの。)
モニカ: (impatiently) Now? ([いら立った様子で] 今?)
というやり取りがありましたが、さぁこれから二人でエッチを、、、と意気込んでいる時(笑)に友人に話し掛けられ、Now? とか、No. とか返事する、というように、モニカとチャンドラーのパターンが似ていることにも注目したいですね。
普通はそんな失礼な返答はしませんが、親しい友人であることに加え、二人が急いでいる、焦っていることがわかる仕組みです。
No. と言われているのに、それに構わず話を続けるジョーイにも笑えますが、ジョーイは、フェシリティ(エミリーの花嫁付添人をしていた女性)とロンドンで仲良くなり、一緒に部屋で、My Giant という作品を見たと言っています。
これは元々、ジョーイ&フェシリティよりも先に部屋に入っていたチャンドラーとモニカが、「これからエッチをするのは、俺(ジョーイ)かお前(チャンドラー)か?」とジョーイに迫られて、いったんはあきらめて部屋をジョーイに譲ろうとしたけれど、「やっぱりビデオを見るのにお金を払っちゃったから今さら部屋を出られない」と言って断る理由に使った映画でした。
ですが、それはジョーイのお気に入りの映画だったので、結局、部屋を明け渡さざるを得なくなってしまったわけですが…。
この「マイ・ジャイアント」という映画は、日本では未公開だったようです。
主演はビリー・クリスタルと、NBAのバスケットボール選手、ジョージ・ミュアサン。
ビリー・クリスタルは、フレンズ3-24 にロビン・ウィリアムズと共にゲスト出演していましたね。
Wikipedia 英語版: My Giant
IMDb: My Giant (1998)
ウィキペディアに載っているポスターの写真の身長の違いにも注目です。
ビリー・クリスタルは 170cm だそうですが、ミュアサンは何と、身長が 231cm もあるそうです。
ジョージ・ミュアサンの説明はこちら。
Wikipedia 英語版: Gheorghe Mureşan
ミュアサンはバスケ選手なので、プロの俳優ではないわけですが、ジョーイはその演技に感銘を受けたようですね。
俺は俳優を職業としているのに、彼ほど演技がうまくないなんて、俺が俳優を続けるのは時間の無駄なんだろうか…という悩みをチャンドラーに相談しているわけです。
この後は(解説は省きますが)、ミュアサンの背の高さに言及するセリフも続きます。
背のものすごく高いバスケ選手が出演している映画の話だ、ということさえわかっていれば、その後に続くジョーイのセリフの意味も何となくわかりますよね。
ジョーイは、俳優の素人に演技で負けていると感じたり、俺はもうどんなに頑張ってもあんなに背が高くなれないと思ったりしているわけです。
ジョーイのお気に入りの映画だったはずなのに、それがジョーイを落ち込ませる原因になってしまい、急いでいるチャンドラーを悩みの相談で引き止める形になってしまう、という展開の面白さですね。
チャンドラーにとっては、ロンドンで寝室はジョーイに奪われるは、今またトイレに向かおうとしているところを止められるは、で、マイ・ジャイアントという映画に対して恨みすら抱いているかもしれませんね(笑)。
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2010年07月12日
相手に選択の余地を与えない依頼 フレンズ5-1その4
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ハネムーンスイートで、チャンドラー、モニカと共にエミリーを待っていたロス。
ノックの音にエミリー?と喜んだロスでしたが、それはエミリーの両親でした。
その後、その部屋にレイチェルも入ってきます。
エミリーパパは、「エミリーは君には二度と会いたくないと言っている」と告げ、エミリーの荷物を持って部屋を出て行こうとします。
ウォルサム氏(エミリーパパ): Goodbye, Geller. (さよなら、ゲラー君。)
ロス: Now, hold on! Hold on! (Stops him) Look, look, your daughter and I are supposed to leave tonight for our honeymoon. Now, now you, you tell her that I'm gonna be at that airport, and I hope that she'll be there too. Oh, yeah, I said Rachel's name, but it didn't mean anything, Okay? She's, she's just a friend. That's all! (Rachel sits down, depressed.) Now just tell Emily that I love her and that I can't imagine spending my life with anyone else. Please, promise me that you'll tell her that. (ちょっと、待って! 待って! [ウォルサム氏を止める] あの、あの、あなたのお嬢さんと僕は、今夜二人のハネムーンに行くことになっているんです。ですから、僕はその空港にいるからって、彼女に伝えて下さい。そして僕は彼女もそこにいてくれることを願っています。ええ、そうです、僕はレイチェルの名前を言いました、でもそれは何の意味もなかったんです。いいですか? 彼女は、彼女はただの友達なんです。それだけなんです! [レイチェルはがっかりして座る] 今、ただエミリーにこう伝えて下さい。彼女と愛していると、そして、誰か別の人と人生を一緒に過ごすことなんて想像できないと。お願いです、僕に約束して下さい、そのことを彼女に伝えるって。)
ウォルサム氏: All right, I'll tell her. (To his wife) Come on, bugger face! (わかったよ、あの子に伝えるよ。[自分の妻に向かって] 行くぞ、この、あきれたやつめ!)
ウォルサム夫人(エミリーママ): (As she walks pass Ross, she pats his butt.) Call me. ([ロスの傍を通り過ぎる時、エミリーママはロスのお尻を叩いて] 電話して。)
ウォルサム氏: You spend half your life in the bathroom. Why don't you ever go out the bloody window? (お前は人生を半分を化粧室で過ごしてるだろ。その(いまいましい)窓からお前が逃げ出したらどうだ?)
エミリーの荷物を持って出て行こうとする両親に対して、ロスは必死に自分の気持ちを伝えようとしています。
Your daughter and I are supposed to leave tonight... の部分、主語が、Your daughter and I となっているのが「他人行儀な丁寧文」という感じがします。
普通の状況だと、Emily and I でも良いのでしょうが、今回は「君とエミリーはもう終わりだ」みたいに親に言われた後なので、 エミリーというファーストネームでまるで「自分のもの」のように呼ぶことを避けた感覚でしょうか。
相手の親に対して「あなたのお嬢さん」と表現することで、「今はエミリーもあなたたちご両親もご立腹なのはよくわかっていますが、それでも僕はまだ終わりだとは思っていません」ということを一生懸命伝えようとしているのでしょう。
僕はエミリーとハネムーンに行くことになっている、ということを述べるのであれば、I'm supposed to leave tonight with your daughter (or Emily) for our honeymoon. という選択もあり得ますが、それだと「僕がハネムーンに行く、そして一緒に行くのはエミリー」という感じになって、with Emily の部分がちょっと「おまけ」みたいな感じにも聞こえそうですね。
ロスは、エミリーと僕は、正式に結婚した妻と夫としてハネムーンに行くことになっているんだ、ということを強調するために、「二人を主語」にしている、という感覚でしょう。
you tell her that... は形としては「命令文」ですね。
Tell her that... という命令文にさらに強調で主語の you がついた形ですので、命令文としてはかなりキツい感じがしますが、もちろんこれは「絶対に伝えろよ!」と偉そうに命令しているのではなくて、「お願いだから必ずそう伝えて下さい」という、相手に有無を言わせない、他の選択肢を選ばせないような強い気持ちが入っているように感じます。
普通は相手に対して丁寧に何かを依頼する場合は、Could you...? 「…してもらえますか?」のように遠回しな表現を使いますが、それは相手にそれをするかしないかの選択権を与えることで、相手の意向を尊重した丁寧な依頼になるわけですね。
今回のロスは、「エミリーにロスの言葉を伝えない」という選択肢を絶対に選んで欲しくないから、「できればそう伝えていただけないでしょうか?」などと遠回しな表現は使わずに、それしか選択肢はない、という感じの強い命令文の形で、自分の希望を相手に伝えた感覚だと思います。
「僕は確かにレイチェルの名前を口にしましたが…」と言いながら、それが何の意味もないこと、レイチェルはただの友達にすぎない、ということをロスは説明しています。
それを聞いていたレイチェルが、がっくりした様子で、ゆっくりと椅子に腰掛けるのが見ていて辛いですね。
「私の名前を呼んでくれたってことは、まだ私を愛してるってこと?」と期待していたレイチェルですが、そんな風にみんなの前ではっきり断言されてしまって、そのかすかな希望が打ち砕かれた瞬間だった、ということです。
Now just tell Emily that I love her and that I can't imagine... の部分も「命令形」ですね。
エミリーに伝えて欲しい内容として、I love her と I can't imagine... という2文を挙げています。
文法的にはこのように、伝えたい内容のそれぞれの頭に that を付けることで、その2つの内容を伝えて欲しいということがわかります。
書き言葉の場合は、そういう that は省けませんが、会話のような口語の場合は that は軽く発音されたり、はしょられたりすることも多そうですね。
それをきっちりと、that A and that B と表現しているのが、「律儀なロス」っぽいところが出ているような気がしました。
そのロスの必死の訴えを聞いているうちに、エミリーパパもだんだん感銘を受けたような顔になっていきます。
「どうかそれをエミリーに伝えると約束して下さい」と言われ、パパもまじめに頷いて「伝えるよ」と返事していますね。
ウォルサム氏は、妻に向かって bugger face と呼び掛けています。
bugger は特にイギリスでよく使われる言葉です。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
bugger [noun] [countable]
1. (British English not polite) an offensive word for someone who is very annoying or unpleasant
2. (not polite) someone that you pretend to be annoyed with, although you actually like or love them
つまり、1. は「(イギリス英語、礼儀正しくない言葉(俗語)) 非常にうっとうしい、または不快な人に対する侮辱語」。
2. は「(俗語) 自分がむかついているふりをしているその相手、実際にはその人が好きだったり愛していたりするにもかかわらず」。
1. はまさに「侮辱語」で、2. はそういう侮辱語で相手を呼ぶことで、逆に相手に対する親愛の情を表しているという感覚ですね。
このウォルサム夫妻は、気の弱い夫が、わがままし放題の妻に振り回されているという感じが伺えるのですが、そういう妻に呆れながらも、「全くお前は何てやつだよ」的な、ちょっと親愛の情も入った感じで、この bugger face という言葉を使っているような気はします。
なかなかこういう呼び掛け語は日本語にしにくいのが難点ですが。
ウォルサム夫人は、ロスが気に入ったようで、このシーンの前にもロスに対して少し色目を使っています。
そして部屋を出る時にも、ロスのお尻を叩いて Call me. などと言っていますね。
夫が目の前にいるのにそういう行動をする妻にあきれて言った、次のウォルサム氏のセリフも面白いです。
誓いの言葉でロスに名前を間違えられて、トイレの窓から抜け出したエミリーでしたが、ウォルサム氏にしてみれば、「妻のお前も、化粧室にこもって化粧直ししたり、鏡ばっかり見たりしてるのに、(エミリーじゃなくて)お前が窓から逃げ出したらどうなんだよ?」という気持ちのようです。
エミリーじゃなくて、お前が逃げ出してくれてたら丸く収まったのに…みたいなことですね。
人生の半分を過ごす、とはまた大袈裟ですが、それくらい長い時間こもってると言いたいわけです。
bloody はイギリス英語で「強意語」としてよく使われる言葉ですね。
元々は、「血の」「血まみれの」「血なまぐさい、残虐な」という意味ですが、強意語としてはそこまでのおどろおどろしい意味はなくなっていて、感覚的に何か強調したい時に名詞につける軽い感じの言葉、という認識で良いでしょう。
LDOCE では、
bloody [adjective, adverb]
(spoken especially British English)
1. used to emphasize what you are saying in a slightly rude way
つまり、「口語、特にイギリス英語。ちょっと無礼な感じで、自分の言っていることを強調するために使われる」。
ロングマンの語義にも、'slightly' rude 「”ちょっと”無礼な」とあるように、そんなに強烈な言葉ではない、ということですね。
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ハネムーンスイートで、チャンドラー、モニカと共にエミリーを待っていたロス。
ノックの音にエミリー?と喜んだロスでしたが、それはエミリーの両親でした。
その後、その部屋にレイチェルも入ってきます。
エミリーパパは、「エミリーは君には二度と会いたくないと言っている」と告げ、エミリーの荷物を持って部屋を出て行こうとします。
ウォルサム氏(エミリーパパ): Goodbye, Geller. (さよなら、ゲラー君。)
ロス: Now, hold on! Hold on! (Stops him) Look, look, your daughter and I are supposed to leave tonight for our honeymoon. Now, now you, you tell her that I'm gonna be at that airport, and I hope that she'll be there too. Oh, yeah, I said Rachel's name, but it didn't mean anything, Okay? She's, she's just a friend. That's all! (Rachel sits down, depressed.) Now just tell Emily that I love her and that I can't imagine spending my life with anyone else. Please, promise me that you'll tell her that. (ちょっと、待って! 待って! [ウォルサム氏を止める] あの、あの、あなたのお嬢さんと僕は、今夜二人のハネムーンに行くことになっているんです。ですから、僕はその空港にいるからって、彼女に伝えて下さい。そして僕は彼女もそこにいてくれることを願っています。ええ、そうです、僕はレイチェルの名前を言いました、でもそれは何の意味もなかったんです。いいですか? 彼女は、彼女はただの友達なんです。それだけなんです! [レイチェルはがっかりして座る] 今、ただエミリーにこう伝えて下さい。彼女と愛していると、そして、誰か別の人と人生を一緒に過ごすことなんて想像できないと。お願いです、僕に約束して下さい、そのことを彼女に伝えるって。)
ウォルサム氏: All right, I'll tell her. (To his wife) Come on, bugger face! (わかったよ、あの子に伝えるよ。[自分の妻に向かって] 行くぞ、この、あきれたやつめ!)
ウォルサム夫人(エミリーママ): (As she walks pass Ross, she pats his butt.) Call me. ([ロスの傍を通り過ぎる時、エミリーママはロスのお尻を叩いて] 電話して。)
ウォルサム氏: You spend half your life in the bathroom. Why don't you ever go out the bloody window? (お前は人生を半分を化粧室で過ごしてるだろ。その(いまいましい)窓からお前が逃げ出したらどうだ?)
エミリーの荷物を持って出て行こうとする両親に対して、ロスは必死に自分の気持ちを伝えようとしています。
Your daughter and I are supposed to leave tonight... の部分、主語が、Your daughter and I となっているのが「他人行儀な丁寧文」という感じがします。
普通の状況だと、Emily and I でも良いのでしょうが、今回は「君とエミリーはもう終わりだ」みたいに親に言われた後なので、 エミリーというファーストネームでまるで「自分のもの」のように呼ぶことを避けた感覚でしょうか。
相手の親に対して「あなたのお嬢さん」と表現することで、「今はエミリーもあなたたちご両親もご立腹なのはよくわかっていますが、それでも僕はまだ終わりだとは思っていません」ということを一生懸命伝えようとしているのでしょう。
僕はエミリーとハネムーンに行くことになっている、ということを述べるのであれば、I'm supposed to leave tonight with your daughter (or Emily) for our honeymoon. という選択もあり得ますが、それだと「僕がハネムーンに行く、そして一緒に行くのはエミリー」という感じになって、with Emily の部分がちょっと「おまけ」みたいな感じにも聞こえそうですね。
ロスは、エミリーと僕は、正式に結婚した妻と夫としてハネムーンに行くことになっているんだ、ということを強調するために、「二人を主語」にしている、という感覚でしょう。
you tell her that... は形としては「命令文」ですね。
Tell her that... という命令文にさらに強調で主語の you がついた形ですので、命令文としてはかなりキツい感じがしますが、もちろんこれは「絶対に伝えろよ!」と偉そうに命令しているのではなくて、「お願いだから必ずそう伝えて下さい」という、相手に有無を言わせない、他の選択肢を選ばせないような強い気持ちが入っているように感じます。
普通は相手に対して丁寧に何かを依頼する場合は、Could you...? 「…してもらえますか?」のように遠回しな表現を使いますが、それは相手にそれをするかしないかの選択権を与えることで、相手の意向を尊重した丁寧な依頼になるわけですね。
今回のロスは、「エミリーにロスの言葉を伝えない」という選択肢を絶対に選んで欲しくないから、「できればそう伝えていただけないでしょうか?」などと遠回しな表現は使わずに、それしか選択肢はない、という感じの強い命令文の形で、自分の希望を相手に伝えた感覚だと思います。
「僕は確かにレイチェルの名前を口にしましたが…」と言いながら、それが何の意味もないこと、レイチェルはただの友達にすぎない、ということをロスは説明しています。
それを聞いていたレイチェルが、がっくりした様子で、ゆっくりと椅子に腰掛けるのが見ていて辛いですね。
「私の名前を呼んでくれたってことは、まだ私を愛してるってこと?」と期待していたレイチェルですが、そんな風にみんなの前ではっきり断言されてしまって、そのかすかな希望が打ち砕かれた瞬間だった、ということです。
Now just tell Emily that I love her and that I can't imagine... の部分も「命令形」ですね。
エミリーに伝えて欲しい内容として、I love her と I can't imagine... という2文を挙げています。
文法的にはこのように、伝えたい内容のそれぞれの頭に that を付けることで、その2つの内容を伝えて欲しいということがわかります。
書き言葉の場合は、そういう that は省けませんが、会話のような口語の場合は that は軽く発音されたり、はしょられたりすることも多そうですね。
それをきっちりと、that A and that B と表現しているのが、「律儀なロス」っぽいところが出ているような気がしました。
そのロスの必死の訴えを聞いているうちに、エミリーパパもだんだん感銘を受けたような顔になっていきます。
「どうかそれをエミリーに伝えると約束して下さい」と言われ、パパもまじめに頷いて「伝えるよ」と返事していますね。
ウォルサム氏は、妻に向かって bugger face と呼び掛けています。
bugger は特にイギリスでよく使われる言葉です。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) では、
bugger [noun] [countable]
1. (British English not polite) an offensive word for someone who is very annoying or unpleasant
2. (not polite) someone that you pretend to be annoyed with, although you actually like or love them
つまり、1. は「(イギリス英語、礼儀正しくない言葉(俗語)) 非常にうっとうしい、または不快な人に対する侮辱語」。
2. は「(俗語) 自分がむかついているふりをしているその相手、実際にはその人が好きだったり愛していたりするにもかかわらず」。
1. はまさに「侮辱語」で、2. はそういう侮辱語で相手を呼ぶことで、逆に相手に対する親愛の情を表しているという感覚ですね。
このウォルサム夫妻は、気の弱い夫が、わがままし放題の妻に振り回されているという感じが伺えるのですが、そういう妻に呆れながらも、「全くお前は何てやつだよ」的な、ちょっと親愛の情も入った感じで、この bugger face という言葉を使っているような気はします。
なかなかこういう呼び掛け語は日本語にしにくいのが難点ですが。
ウォルサム夫人は、ロスが気に入ったようで、このシーンの前にもロスに対して少し色目を使っています。
そして部屋を出る時にも、ロスのお尻を叩いて Call me. などと言っていますね。
夫が目の前にいるのにそういう行動をする妻にあきれて言った、次のウォルサム氏のセリフも面白いです。
誓いの言葉でロスに名前を間違えられて、トイレの窓から抜け出したエミリーでしたが、ウォルサム氏にしてみれば、「妻のお前も、化粧室にこもって化粧直ししたり、鏡ばっかり見たりしてるのに、(エミリーじゃなくて)お前が窓から逃げ出したらどうなんだよ?」という気持ちのようです。
エミリーじゃなくて、お前が逃げ出してくれてたら丸く収まったのに…みたいなことですね。
人生の半分を過ごす、とはまた大袈裟ですが、それくらい長い時間こもってると言いたいわけです。
bloody はイギリス英語で「強意語」としてよく使われる言葉ですね。
元々は、「血の」「血まみれの」「血なまぐさい、残虐な」という意味ですが、強意語としてはそこまでのおどろおどろしい意味はなくなっていて、感覚的に何か強調したい時に名詞につける軽い感じの言葉、という認識で良いでしょう。
LDOCE では、
bloody [adjective, adverb]
(spoken especially British English)
1. used to emphasize what you are saying in a slightly rude way
つまり、「口語、特にイギリス英語。ちょっと無礼な感じで、自分の言っていることを強調するために使われる」。
ロングマンの語義にも、'slightly' rude 「”ちょっと”無礼な」とあるように、そんなに強烈な言葉ではない、ということですね。
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