2010年07月09日

全部捜したなら見つけてるはず フレンズ5-1その3

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チャンドラーとモニカは、二人だけになれる場所を求めて、ついには、ロスとエミリーが泊まる予定だったハネムーンスイートにやってきました。
どうせ二人はこの部屋を使わないんだから…とベッドに入ろうとしたその瞬間、エミリーを探しているロスが部屋に入ってきました。
ロス: (entering) Emily? ([部屋に入ってきて] エミリー?)
チャンドラー: Nope! Not under here! (いや、この下にはいないぞ。)
モニカ: You didn't find her? (ロスはエミリーを見つけてないの?)
ロス: No, I've looked everywhere! (見つけてない。これまであらゆる場所を見た[捜した]のに!)
チャンドラー: Well, you couldn't have looked everywhere, or else you would've found her! (そうだな、ロスはすべての場所を見ることができていなかったんだよ。そうじゃなきゃ、お前は彼女を見つけてただろうよ。)
モニカ: Yeah, I think you should keep looking! (そうよ、ロスは捜し続けるべきだと思うわ。)
チャンドラー: Yeah! For about... uh... 30 minutes? (そうだよ! だいたい(あと)…30分くらいかな?)
モニカ: Or forty-five? (それとも、45分?)
チャンドラー: Wow, in 45 minutes, you could find her twice. (Monica smiles at that.) (わぁ、45分なら、ロスは彼女を2回発見できそうだよ。[モニカはその言葉に微笑む])
ロス: No! For all I know, she's trying to find me but couldn't because I kept moving around. No, from now on, I'm staying in one place. (He sits down on the bed.) Right here. (だめだよ! 多分、エミリーは僕を見つけようとしているんだ、でもそれができなかった、それは僕があちこち動き回っているせいだ。だめだよ、今から僕は1つの場所に留まることにする。[ロスはベッドの上に腰を下ろす] ここにね。)
モニカ: Well, it's getting late. (そうね、もう時間も遅いし。)
チャンドラー: Yeah, we're gonna go. (ああ、俺たちは行くよ。)
去ろうとする二人を寂しそうな顔で見つめて
ロス: Actually, do you guys mind staying here for a while? (実は…しばらくここにいてくれないかな?)
モニカ: Ugh, y'know, umm we gotta get up early and catch that plane to New York. (あー、ほら、あの、私たちは明日の朝早く起きて、NY行きのその飛行機を捕まえないといけないの。)
チャンドラー: Yeah, it's a very large plane. (あぁ、とても大きな飛行機なんだ。)

ベッドに潜り込もうと、ベッドカバーをめくった瞬間にロスが入ってきたので、チャンドラーはすかさず、"Nope! Not under here!" と言ってごまかしています。
自分たちも一緒になってエミリーを捜しているふりをしたのですね。

have looked everywhere 「すべての場所を見た、捜した」というロスに対して、チャンドラーは、couldn't have+過去分詞、would have+過去分詞、の形を使ってセリフを返しています。
could have+過去分詞、という肯定文だと、「…できただろうに(実際はそうしなかった)」という意味になりますね。
ここではその否定形になっているので、「…できていないんだろう(やろうと思えばできたはずなのに、できたかもしれないのに)」みたいなニュアンスになるのかな、と思います。

or else は「さもないと」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には or else... に3つの意味が載っていますが、恐らく下記の意味がこのセリフのニュアンスに一番近いと思います。
or else... :
c) used for saying that a situation would be different if something were not true.
例) I'm sure the baby's sleeping, or else we'd hear him.

つまり、「もし何かが真実でないならば状況は違っているだろう、と言うために用いられる」。
例文は、「赤ちゃんは眠っていると思う[確信している]わ。そうじゃないと、私たちに彼の(泣き)声が聞こえるだろうから」

チャンドラーのセリフの、would've found her (would have found her) は、「彼女を見つけていただろうに」という意味。
ですから、「ロスは全ての場所を捜せていない。もし捜せていたとしたら、ロスは(とっくに)エミリーを見つけてただろうから」とチャンドラーは言いたいようです。
チャンドラーとこの部屋で二人きりになりたいモニカも、「(まだ捜し足りないから)捜し続けるべきよ」と言っています。
チャンドラーは、ちょっとモニカの様子を伺いながら「ロスはもうあと30分くらい捜してみたら?」という具体的な数字を挙げています。
それに続けてモニカが、「45分はどう?」と言っていますね。
ロスは「は?」みたいな顔でモニカを見ています。その細かい時間設定にどういう意味があるの?と言いたげな顔です。
45分、という時間を聞いて、チャンドラーは「45分もあれば、ロスはエミリーを2回見つけられちゃうね」と言っていますが、これはもちろん、ロスが45分間ここを離れている間に、モニカと2回エッチができちゃうね、と言っているわけですね。
モニカがチャンドラーよりも時間を長く設定したことに対して、チャンドラーが喜んでいるセリフになります。
それを聞いたモニカが、嬉しさを隠すためか、口を閉じてにっこり顔で笑っているのも、何だか微笑ましいですね。

チャンドラーがちょっとモニカの方を気にして30分という数字を挙げたのは、このシーンの前にも同じような時間に言及する場面があったからです。
(それが上のやり取りの伏線にもなっていますので、今回ここでご紹介します)

二人きりになれる場所を探して、ホテルのモニカの部屋にやってきたチャンドラーとモニカは、部屋の中にレイチェルがいるのを発見してがっかり。
レイチェルはホテルの下(のバー)でちょっと飲まない?と誘います。
レイチェル: Do you guys want to go downstairs and get a drink? (下に行って、ちょっと飲まない?)
チャンドラー: Yes, we do. But we have to change first. (そうだね、飲みたいよ。でも最初に俺たちは(礼服を)着替えないと。)
モニカ: Yes, I wanna change. And why, why don't you go down and get us a table? (そうね、着替えたいわ。だから、レイチェルが(先に)そこに行って、私たちのテーブルを取っといてくれる?)
チャンドラー: Yeah, we'll be down in like five minutes. (そうだね、俺たちは、そうだな、5分で下に降りるよ。)
モニカ: (elbows him) Fifteen minutes. ([チャンドラーに肘鉄を食らわせて] 15分よ。)
レイチェル: Okay. (わかったわ。)

このように、レイチェルとの時にチャンドラーが5分と言ったところ、「5分なんて短すぎる、15分よ!」とエルボーを食らったので、次のロスとの会話の時は、モニカの様子を伺いながら、長めの時間を挙げたのですね。
チャンドラーが先に時間を言い、モニカがその時間を延長する、というパターンも同じです。
それだけモニカもチャンドラーとのエッチに夢中になっているということがわかりますね。
女性のモニカの方が積極的なところも、この二人らしくて面白いなと思いました。

また、チャンドラーが最初に「5分」という時間を挙げたのも、「早い」ことを強調するチャンドラーお決まりの自虐ネタですね。
フレンズ2-13その6 でも、部屋で、スージー(ジュリア・ロバーツ)といちゃつきながら、
スージー: We gotta go. Got a reservation in 30 minutes. (もう行かなくちゃ。30分後に予約してるのよ。)
チャンドラー: What I had planned shouldn't take more than two, three minutes, tops. (俺の予定してることは、どんなに長くても2、3分以上はかかるはずないよ。)
というセリフがありましたね。

時間の話で脱線しすぎましたので(笑)、セリフに戻ります。
エミリーが見つからなかったのは、自分が動き回っているせいだ、だから僕はここで待つことにする、とロスはベッドに座り込みます。
ここでのエッチは無理だな…と判断した二人は部屋を出ようとするのですが、ロスは二人に一緒にいて欲しいと言います。
それに対して、モニカは「明日、早い飛行機に乗らないといけないから」と言うのですが、その後のチャンドラーのセリフはそれを少しジョークに変えたもののようですね。

catch は「捕(つか)まえる、捕(と)らえる」という意味がありますね。
日本語でも「タクシーをつかまえる」などと表現するのと同じで、人や動物をつかまえるだけではなく、乗り物に対しても catch は使われます。
このモニカとチャンドラーのセリフは、モニカが「NY行きの早い便の飛行機に間に合うように乗らないといけないから」と、明日の朝早いからもう帰る理由を述べているのですが、その catch という言葉を動物などを「捕獲する」というニュアンスに捉えて、「捕獲しようとしてるのは、とても大きな飛行機なんだよね」と言っているジョークのように思えました。
DVDの日本語字幕も、「早朝に飛行機を捕まえるの」「デカい獲物だ」となっていましたが、まさにそういうジョークなのだろうと。
The early bird catches the worm. 「早起きの鳥は虫を捕らえる」、つまり「早起きは三文の徳」という諺(ことわざ)もありますが、その catch のニュアンスでジョークを言ってみた、ということでしょう。


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posted by Rach at 11:24| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月07日

一筆書きパズルが語源のイディオム フレンズ5-1その2

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前回のフレンズ4-24 で、ベストマンの挨拶でスベってしまったチャンドラーと、ロスの母親に間違えられてしまったモニカは、(恐らくお互いを慰め合っているうちに)男女の関係になってしまいました。
もちろん、他のフレンズたちは誰も気づいていないのですが、その後も何度も(チャンドラーによると「7回」も!)二人はエッチをしたらしく、今も下のワインセラーで会おうという約束をしたところ。
チャンドラーは先に行き、モニカもそこに向かおうとしたその時、レイチェルがモニカに話しかけてきます。

レイチェル: Mon, honey, I gotta ask you something. (モニカ、ハニー、あなたに尋ねなきゃならないことがあるの。)
モニカ: (impatiently) Now? ([いら立った様子で] 今?)
レイチェル: Ross said my name up there, I mean, come on, I can't just pretend it didn't happen, can I? (ロスはあそこで[結婚式の祭壇で]私の名前を言ったわ。つまり、ほら、私はただ、そういうことが起こらなかったってふりをすることはできないのよ、そうでしょ?)
モニカ: Oh, I, I don't know. (あぁ、私は、私はわからないわ。)
レイチェル: Monica, what should I do? (モニカ、私はどうすればいい?)
モニカ: Just uh, do the right thing. (Uses some breath spray) (ただ、そうね、正しいことをすればいいのよ。[口臭予防スプレーを使う])
レイチェル: What? (どういうこと?)
モニカ: Toe the line! Thread the needle! Think outside the box! (Tries to leave, but is stopped by Rachel.) (規則に従って! 穴に針を通すように慎重に! 既成概念にとらわれずに考えて! [去ろうとするが、レイチェルに止められる])

pretend は「…のふりをする」。
今回のように後ろに that 節が続く場合は、「(that 以下)であるというふりをする、…であるとうそぶく」というニュアンスになります。
実際にロスは、誓いの言葉を述べる時に私の名前を口にしたのよ、そんな事実がなかったかのようなふりをすることは私にはできない、とレイチェルは言っているのですね。

レイチェルは真剣に相談しているのですが、早くチャンドラーとエッチしたくて(笑)心ここにあらずという感じのモニカは、「さあね、わからないわ」みたいな適当な返事をしています。
do the right thing は「正しいことをする、やるべきことをする」というニュアンス。
フレンズ2-8その10 では、レイチェルを選ぶためにジュリーと別れたロスが、I did the right thing. と言っていました。
Do the right thing. 「正しいこと[正しいと思うこと]をしなさい」というのは、友人に対する励ましのアドバイスでよく聞く表現ですが、ここではそれが何を指すのがよくわかりませんね。
それでレイチェルも聞き返すのですが、モニカもあまり深く考えずに Just do the right thing. と言ってしまったようで、その後、アドバイスを3文まくし立てて、その場を去ろうとします。

その3文、Toe the line! Thread the needle! Think outside the box! について、じっくり見てみることにします。(非常に長くなっています。すみません)

まず1つ目の Toe the line.
DVDの英語字幕では、Tow the line. と表記されていたのですが(tow は「引っ張る、牽引する」という動詞)、ネットスクリプトのように、Toe the line. が正解だと思われます。
toe も tow もどちらも [tou] で、発音は同じになります。

toe は名詞で「足の指、つま先」、動詞では「…につま先で触れる」という意味。
ですから、文字通りの意味は、「(競争やレースなどで)スタートラインにつま先をつける」という意味で、そこから、「規則などに従う」という意味になるようです。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
toe the line : to do what other people in a job or organization say you should do, whether you agree with them or not
「ある仕事や組織の中の他の人々がすべきだと言うことをすること。それに同意するしないにかかわらず」

Macmillan Dictionary では、
toe the line : to accept rules and to obey people in authority
例) Members of the party have to toe the line or they're expelled.

「規則を受け入れること、そして、権威ある人々に従うこと」。
例文は、「その党(パーティー)のメンバーは、規則に従わなければならないか、もしくは除名されるかだ。」

次に2つ目の Thread the needle.
thread は「糸」で、動詞では「(針に)糸を通す」という意味になります。
過去記事、針に糸を通す フレンズ3-8その31 で、裸のブ男を突っつく巨大な装置を操作している時に、thread the needle という表現が使われていました。

LAAD では、
thread a needle : to put thread through the EYE (=hole) of a needle
つまり、「針の穴に糸を通すこと」。

Macmillan Dictionary では、
thread a needle : to put a piece of thread through a needle
つまり、「1本の糸を針に通すこと」。

英英辞典の説明が「そのまんま」すぎて、あんまり役に立たないのですが(泣)。

英辞郎では、
thread the needle
【名-1】困難なことを成し遂げる、針に糸を通す
【名-2】《ゴルフ他》狭い所に正確に打つ

と出ています。

ロングマン、マクミランの英英辞典では、文字通りの「針に糸を通す」という意味しか書いてありませんが、その表すところはやはり、英辞郎にあるような「困難なことを(正確に、慎重に)成し遂げる」というような意味なのだろうと思います。

最後の Think outside the box. について。

LAAD では、
think outside the box : to think of new, different, or unusual ways of doing something, expecially in business
「何かをやるのに、新しい、別の、またはいつもと違う方法を考えること。特にビジネスにおいて」。

Macmillan Dictionary では、
think outside the box : to find new ways of doing things, especially of solving problems
例) Employees are encouraged to think outside the box and develop creative solutions.

「何かをやるのに新しい方法を見つけること、特に問題解決において」
例文は「従業員たちは新しい方法を見つけ、創造的な解決を生み出すことを奨励される。」

英辞郎では、
think outside the box
これまでとは全く違った観点で考える、既成概念にとらわれずに物事を考える


とあるように、まさに「既成概念にとらわれずに」という部分がこのフレーズのポイントになります。
そしてこのフレーズの語源は、ある一筆書きの問題に由来するようです。

英辞郎で関連語を調べていて、以下の説明を見つけました。
pop out of the box
既成の概念を破る◆【語源】9個の点を4画の一筆書きで結ぶというパズルの答えに由来する◆【類】think out of the box ; think outside the nine dots


その説明には、think outside of the box そのものは載っていませんが、限りなく近い表現が類義語として挙げられていますね。

ネットで調べてみると、やはりそういう「一筆書きのパズル」が由来であることがわかりました。

Wikipedia 英語版: Thinking outside the box

そこに9個の点(ドット)を線で結ぶという問題の図が載っています。
9個の点を大きく外にはみ出す形で線を結ぶことで、最小の本数(4画)で一筆書きが可能になるのですね。
この形を線で結ぼうとする時、点の外に線を伸ばすという発想はなかなか出てこないですよねぇ?
だから、そういう既成概念を打ち破るような、斬新で柔軟な考え方を、このパズルになぞらえて、think outside the box と呼ぶようになったようです。

ネットを検索していると、think outside the box は、ビジネス書や自己啓発書などでよく登場するフレーズであることもわかります。
「枠をはみ出せ!」という考え方が新しい道への突破口になる、という感覚でしょうね。

説明が長くなりましたが、モニカはレイチェルにアドバイスとして、よく使われる3つのフレーズを立て続けに挙げた、ということになるでしょう。

「規則に従って! 針に糸を通して! 既成概念にとらわれず考えて!」というセリフは、その3つの文章に何の脈略もない気がします。
1つ1つのフレーズはアドバイスとして「それらしい」言葉だけれど、3つをつなげるとイマイチ意味がわからない感じがする…焦っているモニカがレイチェルに、適当な意味不明なアドバイスをしたことを表しているのかな?と私は思いました。


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posted by Rach at 14:22| Comment(6) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月05日

シーズン5に突入! フレンズ5-1その1

今日からシーズン5に入ります。
皆様の応援、励ましのお陰で、無事シーズン5を始めることができます。本当にありがとうございます!
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シーズン5 第1話
The One After Ross Says "Rachel" (ロスの結婚式、その後…)
原題は「ロスが”レイチェル”と言う後の話」


シーズン4最終話 フレンズ4-24 で、誓いの言葉を述べる時、ロスはエミリーと言うべきところをレイチェルと言ってしまいます。
気まずい空気が流れる中、もう一度誓いの言葉をやり直し、とりあえず結婚式を終えたロスですが、エミリーの怒りは収まらず、彼女は化粧室に入ったまま出てきません。

(Mrs. Waltham's phone rings and she answers it.)
ウォルサム夫人(エミリーの継母)の電話が鳴り、彼女はそれに出る。
ウォルサム夫人: Yes, Waltham Interiors. (はい、ウォルサム・インテリアーズです。)
フィービー: (On the phone, in New York) Uh, hello, this is Ross Geller's personal physician, Dr. Philange. ([NYにいて、電話で] あぁ、こんにちは。こちらはロス・ゲラーの主治医のドクター・フィランジーです。)
ウォルサム夫人: Who? (誰?)
フィービー: Yeah, I discovered that Ross forgot to take his brain medicine. Uh, now without it, uh, in the brain of Ross, uh women's names are interchangeable. Through, through no fault of his own. (ええ、私はロスが脳の薬を飲むのを忘れたことに気づいたんです。えー、今、薬がないと、その、ロスの脳の中では、あの、女性の名前が取替え可能になってしまうんです。彼のせいではないのに。)
ウォルサム夫人: Oh, my God! Phoebe. (まぁなんてこと。フィービーね。)
フィービー: No, not Phoebe. Dr. Philange. Oh, no! You have it too! (いいえ、フィービーじゃありません。ドクター・フィランジーよ。まぁ、なんてこと! あなたも同じ症状なのね!)
(Mrs. Waltham hangs up on her.)
ウォルサム夫人は一方的に電話を切る。
フィービー: Hello? (もしもし?)

エミリーのママは、電話に出る時に、「ウォルサム・インテリアーズです」と答えています。
interior は形容詞では「内部の、室内の」、名詞では「内部」ですね。
このセリフでの interior(s) は、日本語の「インテリア」のイメージと同じでしょうね。
interior design, interior decoration で「室内装飾」という意味になりますが、そういうものを請け負う業者か店の名前だと思います。
このママは、最初に登場した時から、しょっちゅう携帯で電話ばかりしているのですが、どうやらそういうインテリア関係の仕事をしているために、片時も電話を離せない、ということのようです。

physician は「内科医、医師」で、personal physician は「かかりつけの医者」。
フィービーは偽名を使って、Dr. Philange と名乗っています。
(この名前については、後に詳しく触れます)

フィービーは、ロスの担当医のふりをして話を続けます。
フィービーは、discover という動詞を使って、「ロスが(飲むべき)脳の薬を飲んでいないことに気づいた」と言っているようです。
かかりつけの医師である私が処方して渡すべきだったのに、それを渡し忘れたことに気づいた、という感じでしょう。
薬がない状態、薬を飲んでいない状態だと、ロスの脳の中では、女性の名前が interchangeable であると言っています。
interchange と言えば、「インターチェンジ」、つまり「高速道路の立体交差」を思い浮かべますが、この場合は「置き換える、入れ替える」という意味ですね。
女性の名前が入れ替え可能になる、というのは、エミリーの名前をレイチェルと言い間違えることを指しています。

through no fault of one's own は決まり文句で、「…の責任ではないのに」。
through no fault of his own を強引に直訳すると、「彼自身の”無”過失を通して、通じて」みたいなことですから、「彼自身の過失を通じてではなく」→「彼に過失、落ち度はないのに」という意味になるのですね。
つまりフィービーは、ロスが名前を間違えたのは病気のせいなんです、と言いたいわけです。

その話を聞いた後、エミリーのママが、「まぁなんだ、あなたフィービーね」と見破ってしまうのも面白いですね。
4-24 で携帯でやり取りをしたことがあったので、フィービーのことを覚えていたようですが、あんまり他人のことには興味のなさそうなママがちゃんと名前まで覚えているのに笑えます。

私はフィービーじゃなくて、ドクター・フィランジーよ、とまだ頑張るフィービー。
have it というのは漠然とした言い方ですが、「あなたもロスと同じような、人[あるいはもっと限定して女性]の名前を入れ替えてしまうという病気・症状を持っている」という意味でしょう。
そのセリフを言いながら、片手でサムアップをして(親指を立てて)、「私、うまいこと返してやったわ!」みたいに勝ち誇った表情を浮かべるフィービーも楽しいです。
やった!と思ったフィービーですが、エミリーのママにあっさり電話を切られてしまうのも、さらに笑えますね。

さて、フィービーが使った偽名について。
DVDでは Filangie、ネットスクリプトでは Philange、そして、Wikipedia では Phalange と綴りが統一されていませんが、この名前は、今回のフレンズ5-1 以降、フィービーの偽名として何度も登場します。

ネタバレを避けたい方は読まない方が良いですが、Wikipedia 英語版: Phoebe Buffay にも、"Regina Phalange"という項目があります。

今回は苗字のフィランジーだけですが、今後は「レジーナ・フィランジー(or ファランジー)」というフルネームでよく登場することになります。
私が調べたところ、今回のフレンズ5-1 の後は、5-24 7-20, 8-4, 8-21, 10-13, 10-18 に登場します。
フレンズ10-18 は、フレンズファイナルシーズン(シーズン10)の最終話で、フレンズの「ほんとにほんとの最終回」なのですが、そこにも Philange という言葉が登場するのですね。
その際には、フィービーの偽名としてではなくて、何かを指す言葉として使われたのですが、それはまた、最終回の時に説明します。(約6年後?…笑)

記念すべき最終話にも登場したくらいですから、それだけフレンズファンには印象深い名前だということですね。
サブカルネタというのとはちょっと違いますが、フィービーがいつも使う偽名という「フレンズファンのお約束」みたいなものなので、参考までに触れておきました。


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posted by Rach at 12:24| Comment(16) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年07月02日

結婚式の誓いの言葉 フレンズ4-24その6

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ロスとエミリーの結婚式が始まりました。
牧師(Minister): Friends, family, we are gathered to celebrate here today the joyous union of Ross and Emily. May the happiness we share with them today be with them always. Now, Emily, repeat after me. I, Emily... (友人、家族、我々は、今日ここで、ロスとエミリーの喜びに満ちた婚姻を祝うために集いました。今日我々が彼らと分かち合う幸せが常に彼らと共にありますように。さあ、エミリー、私に続けて。私、エミリーは…)
エミリー: I, Emily... (私、エミリーは…)
牧師: ...take thee, Ross... (汝、ロスを…)
エミリー: ...take thee, Ross... (汝、ロスを…)
牧師: ...as my lawfully wedded husband in sickness and in health till death parts us. (法に定めた夫とします。病める時も健やかなる時も、死が私たち(二人)を分かつまで。)
エミリー: As my lawfully wedded husband, in sickness and in health, until death parts us. (法に定めた夫とします。病める時も健やかなる時も、死が私たち(二人)を分かつまで。)
牧師: Now, Ross. Repeat after me. I, Ross... (さあ、ロス。私に続けて。私、ロスは…)
ロス: I, Ross... (私、ロスは…)
牧師: ...take thee, Emily... (汝、エミリーを…)
ロス: Take thee, Rachel-- (All his friends have looks of shock on their faces. He realises what he said. Quickly he says.) Emily! (A slight chuckle.) Emily. (汝、レイチェルを…。[フレンズは全員、顔に驚きの表情を浮かべる。ロスは自分が言ったことに気づく。急いでロスは言う] エミリー! [声に出さすにクスっと笑い] エミリー。]
牧師: (Looking and feeling awkward. he looks towards Emily.) Uhh...Shall I go on? ([決まり悪い様子で、牧師はエミリーの方を向いて] あー、続けましょうか?)

牧師さんのセリフは、結婚式での決まり文句ですね。
日本人がチャペルで結婚式をする場合にも、牧師さんが同じようなことをおっしゃいますが、その日本語バージョンは、英語でのお決まりの言葉をほぼ直訳したものなのだ、ということが、今回の英語のセリフを見ているとよくわかります。

May the happiness we share with them today be with them always. は、「願わくは…ならんことを、どうか…でありますように」というような「願望」を表す 「May+S+V」の形ですね。
修飾語を取り払うと、May the happiness be with them. になります。
つまり、「幸せが彼ら(ロスとエミリー)と共にあらんことを!」という願望で、その幸せとは、「今日(ここで)我々参加者が彼ら二人と分かち合った(この)幸せ」になります。
today (今日)の幸せが、always (今日だけではなく、これからずっと、いつも)、二人と共にありますように、という感覚ですね。

I, Emily は、「私、エミリーは」という感じの同格のニュアンス。
thee は you の古語で、「汝を」という意味。
ですから、thee, Ross も「汝、ロスを」という同格になります。
普段は使わないような古語の thee を使っているので、日本語の誓いの言葉も「汝」という古い言葉を用いているのですね。

take someone as a husband は「(人)と夫とする」なので、take someon as my lawfully wedded husband は「(人)を法に定められた夫とする」になります。
wed は wedding 「結婚」という言葉からわかる通り「結婚する」という意味ですが、marry に比べると文語なので、このような儀式、または形式的な場面で使われることが多いですね。

「病める時も健やかなる時も」「死が(私たち)二人を分かつまで」というのも決まり文句。
「病める時も…」などを前に回して訳した方が日本語っぽくなりますが、今回は英語の流れに合わせて、前から順番に訳してみました。

part はここでは他動詞で「…を分ける、引き離す」という意味。
研究社 新英和中辞典では、「離す、分ける」という意味の類語(seperate, divide, sever)との比較の中で、
part は密接な関係にある人やものを分け離す
というように説明されています。

今度はロスが同じように誓いの言葉を述べるのですが、なんと、「エミリー」と言うべきところを「レイチェル」と言ってしまいます。
「レイチェル」と言った瞬間、フレンズたちの驚いた顔が次々と映ります。
フィービーは、エミリーのママと携帯で電話していた流れで、NYにいながら、そのまま音声だけを聞いていたのですが、そのお陰で、このセリフをフィービーも聞くことになる、という仕組みも面白いなと思いました。
やっぱりこの決定的なセリフは、フレンズ全員が聞かないとだめなんだ、みたいな「お約束」ですね。

言った後で、ロスは名前を言い間違えたことに気づきます。
慌ててエミリーと言い直し、あまりのことに笑うしかない、という感じのロス。
何とも言えない沈黙が流れ、牧師さんがエミリーに、このまま式を続けてもいいかどうかを尋ねるシーンでシーズン4は終わります。
誰もが「このまま、どうなっちゃうの?」と思わずにはいられない、典型的なクリフハンガーです。
(クリフハンガーについては、フレンズ1-24その6 で説明しています)

今回のエピソードでは、チャンドラーとモニカに関する大きな動きがあったのですが、サブカルネタ系の解説を優先させた結果、その部分は解説記事では取り上げることができませんでした。すみません。


今日でシーズン4の解説はおしまいです。
来週からは「シーズン5」に突入します。
「ブログ5周年」の記事で、ブログ閉鎖も考えていることをお伝えしたりもしましたが、皆様からの応援クリック、激励のお言葉のお陰で、今は新たな気持ちでシーズン5に入ることができます。
本当にありがとうございました!
シーズン5以降も、どうぞよろしくお願いいたします。

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posted by Rach at 10:46| Comment(10) | フレンズ シーズン4 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする