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シーズン5 第5話
The One with the Kips (お忍びでラブラブ旅行)
原題は「キップたちの話」
ロスは元妻エミリーとやり直す条件として、「レイチェルとはもう会わない」という約束をしました。
そのことを、ロスはレイチェルに告げようとしています。
[Cut to Monica's bedroom, Chandler is trying to listen through the door.]
モニカの寝室に場面がカット。チャンドラーはドア越しに聞こうとしている[聞き耳を立てている]。
フィービー: (To Chandler) Can you hear anything? ([チャンドラーに] 何か聞こえる?)
チャンドラー: Oh yes, somebody just said, "Can you hear anything?" (あぁ、聞こえるよ。誰かが今ちょうどこう言った、「何か聞こえる?」って。)
(Joey is bent over at the waist and is looking for something under Monica's bed.)
ジョーイは腰を曲げて[前かがみになって]モニカのベッドの下の何かを探している。
モニカ: Hey, Joey's ass. What are you doing? (ねぇ、ジョーイのおケツ。何してるの?)
ジョーイ: (holding a box) Well, remember when they got in that big fight and broke up and we were all stuck in here all night with no food or anything? Well, when Ross said "Rachel" at the wedding, I figured it was gonna happen again. You know? So I hid this in here. ([箱を持ちながら] ほら、あの二人(ロスとレイチェル)があの大喧嘩になって別れて、俺たち全員がここに一晩中、食べ物とかなしの状態で閉じ込められたことがあったろ[覚えてるだろ]。 ほら、ロスが結婚式で「レイチェル」って言った時に、また(同じようなことが)起こるって考えたんだ。だろ? だから俺はこれをここに隠したんだよ。)
モニカ: Ooh, candy bars, crossword puzzles.... (うー、チョコバーに、クロスワードパズルに…)
フィービー: Ooh, Mad Libs! Mine! (Grabs it.) (うー、マドリブズよ! 私がもらいっ! [それを掴む])
チャンドラー: Condoms? (コンドーム?)
ジョーイ: You don't know how long we're gonna be in here. We may have to re-populate the Earth. (俺たちがここにどれだけ長くいることになるかわかんないだろ? 地球の人口を増やさなくちゃならないかもしれないし。)
チャンドラー: And condoms are the way to do that? (で、それをする方法がコンドームだって言うのか?)
ロスとレイチェル以外の4人は、モニカの部屋から二人の様子を伺っています。
ドアに耳をつけているチャンドラーに、「何か聞こえる?」と尋ねるフィービーですが、「あぁ、今、聞こえたよ。「何か聞こえる?」ってセリフがね」と返すチャンドラー。
あまりにもベタなジョークですが(笑)、私は反射的に笑ってしまいました。
そんな会話が交わされる中、ジョーイはベッドの下を何やらゴソゴソと探しています。
フレンズたちからは、青いスエットを着たお尻しか見えません。
そこで、Hey, Joey. という人名ではなく、Hey, Joey's ass. と呼びかけているのですね。
同じ「尻」という意味でも、フレンズでよく使われる butt に比べると、ass は下品な卑語ですので、そのニュアンスを汲んで訳すと、「ジョーイのお尻」よりも、「ジョーイのケツ」という表現が近いでしょう。
人にお尻をニュッと見せた状態で、ジョーイは一体何やってんのよ、お尻だけしか見えてないってことわかってる?みたいにあきれている感じですね。
Remember when... は「…の時のこと覚えてる?」という感覚。
ジョーイが言っているのは、フレンズ3-16 での出来事ですね。
ロスがコピー屋のクロエと寝たことがレイチェルにバレて、その後、二人が壮絶な喧嘩をし、4人がこの部屋に閉じ込められてしまった時のことです。
今のこの映像を見ると、その時と全く同じ状況なので、その時のシーンを思い出した人も多いでしょう。
ジョーイは、段ボールの箱を取り出しながら、ロスが(花嫁エミリーの名前と間違えて)レイチェルの名を呼んでしまった時から、またこういうこともあろうかと準備しておいたんだ、と言っています。
candy bar は「チョコレートバー」。
英語の candy はいわゆる「キャンディー」に限らず、チョコレートやキャラメルも含まれます。
英辞郎にあるように、スニッカーズ(SNICKERS)などのチョコバーも candy bar と呼ぶのですね。
フレンズ1-4その2 にも、candy bar という言葉が出ていました。
Mad Libs (マドリブズ)は、ストーリーの空欄に言葉を埋めていくゲームのこと。
DVDの日本語訳では「作文ゲーム」となっていましたが、まさにそういうものですね。
マドリブズ(Mad Libs) フレンズ3-3その23 で解説していますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
マドリブズを見たフィービーは、Mine! と言って、それをひったくるように取っています。
これは「元々、私のものだった。私の所有物である」という意味ではなくて、「私のものにするわ、私がそれをもらっちゃうわ」というニュアンスですね。
DVDの日本語音声も「作文ゲーム、もーらいっ!」みたいなセリフになっていました。
その「いただきっ! もーらいっ!」のニュアンスが近いと私も思います。
チャンドラーは怪訝な顔で「コンドーム?」と言っています。
実際に映像では見えませんが、チャンドラーのセリフから、それも中身の一つとして入っていることがわかりますね。
チャンドラーが、「どうしてコンドームなんか要るんだよ、そんなもの要るはずないじゃないか」と言っているのがわかったジョーイは、それが必要である理由を述べるのですが…。
populate は「(土地に)人を居住させる、生息させる」という意味。
名詞 population は「人口、住民数」ですね。
re-populate the Earth は「地球に再び人が住むようにする」という意味になるでしょう。
population のイメージから「地球の人口を増やす」とも言えそうです。
つまりジョーイは、俺たちがどれだけ長くここに閉じ込められているかわからない、長い間閉じ込められて、外の世界では人類が滅亡しちゃってるかもしれない、その未来のために、俺たちは再び人を増やさないと、新たに人を生み出さないといけないことになってるかもしれないだろ?みたいな、近未来SFのような話を言っているわけです。
それを聞いたチャンドラーは、ジョーイの発言の矛盾点を指摘します。
子供を産んで人間を増やすのが目的なら、そもそも避妊用具であるコンドームは不要じゃないか、という的確な指摘ですね(笑)。
ジョーイは誰か女の子とこの部屋に閉じ込められてしまうことを想定してそれを準備していたのか、もしくは、あまり深く考えずに自分の必需品(笑)をつい入れてしまったのか、そのあたりはよくわかりませんが、「人類滅亡の危機のために準備しておいた」みたいに大きなことを言うジョーイに対して、そもそも人類滅亡の危機においては、コンドームは逆効果だろ、と冷静に指摘するチャンドラーが面白い、ということですね。
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2010年08月31日
2010年08月28日
義務を負うowe フレンズ5-4その6
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モニカの部屋にチャンドラーが入ってきます。
チャンドラー: (entering) Look, maybe I got carried away before, but there's something you gotta know. If I'm the best, it's only because you made me the best. ([入ってきて] ねぇ、多分、少し前の俺は調子に乗ってたんだよ。でも君が知るべきこと[君に知っておいて欲しいこと]がある。もし俺が最高なら、それはただ君が俺を最高にしてくれるからなんだよ。)
モニカはちょっと感動した様子で、
モニカ: Keep talking. (話を続けて。)
チャンドラー: I mean I was nothing before you. Call the other girls and ask. Which wouldn't take long. But when I'm with you, and we're together, OH...MY...GOD.! (君に会うまでの俺は、意味のないつまらない男[全然ダメな男]だったんだよ。他の女の子に電話して聞いてみて。そんなに時間はかからないし。でも俺が君といて、俺たちが一緒にいると、あぁ、何てすごい!(って感じなんだよ))
モニカはすごく嬉しそうな顔で、
モニカ: Really? (ほんとに?)
チャンドラー: Oh-aw my God! Now, I understand if you never want to sleep with me again. But that would be wrong. We're too good! We owe it... to sex! (あぁ、何てすごい!だよ。で、俺ともう一度寝るのを君が望んでいないことはわかってるけど、でも、それって間違いだと思うんだ。俺たちはすっごくいいんだから! (そのいいエッチをしないと)エッチに申し訳ないよ[エッチには借りがあるんだよ]!)
モニカ: Well, if we owe it! (She throws down her cleaning stuff and jumps into his arms.) Oh, my! When is Joey gonna be home? (そうね、もしエッチに申し訳ないならね! [モニカは掃除道具を床にドサッと投げ下ろし、彼の腕に飛び乗る(お姫様だっこ状態になる)] あぁ、なんてこと! ジョーイはいつ家に帰ってくるの?)
チャンドラー: Well, I was kinda hoping we could do this without him. (She starts to take off her latex gloves.) Oh, no, no, no! Leave the gloves on. (そうだな、ジョーイなしでできればいいな、と俺は思ったりしてたんだけどなぁ。[モニカは(掃除用の)ラテックスの手袋を外そうとする] あぁ、だめだめだめ! 手袋ははめたままにして。)
モニカ: But I just cleaned the bathroom. (でも、今、トイレを掃除したところよ。)
チャンドラー: Yeah, why don't we lose the gloves. (そうだね、手袋は脱ごうか。)
モニカ: Yeah. (She takes them off.) (そうね。[モニカは手袋を取る])
(He carries her over to the door and opens it.)
チャンドラーはモニカをドアのところまで運び、ドアを開ける。
チャンドラー: All right. Let's show them how it's done. (よーし。どんなにすごいか見せてやろう。)
モニカ: Okay. (オッケー。)
(He starts to carry her into the hallway but hits her head on the door.)
チャンドラーはモニカを廊下に運び出そうとするが、モニカの頭をドアにぶつけてしまう。
モニカ: Ow! (いた!)
チャンドラー: Y'know that wasn't part of it? (今のはエッチの一部じゃなかった、ってわかってるよね?)
モニカ: I know! (わかってるわ!)
(He carries her into the hall.)
チャンドラーはモニカを廊下に運び出す。
(get) carried away は「われを忘れる、興奮する、図に乗る、調子に乗る」。
能動形の carry away は文字通り「運び去る」ですから、その受身形の carried away は「(どこかに)運び去られてしまった」という感覚で、いつもの自分とは違う状態になってしまった感じが出るのだと思います。
If I'm the best, it's only because you made me the best. について。
only because は「ただ…だから」という感覚で、because 以下が唯一の理由だ、ということです。
つまり、「もし俺が the best だとしたら、それはただ、君が俺を the best にしてくれたから、というのが唯一の理由だよ」と言っていることになります。
君が俺を the best にしてくれたから俺は the best でいられるんだ、というニュアンスですね。
the best は「最高」「最高の人」と取ることも可能でしょうが、ここでもまた、フレンズ5-4その4 で語った、the best sex のことを指しているのだと考えるのが自然ですね。
上の訳では、「最高」と無難に訳しましたが、実際にチャンドラーが言おうとしていることは、「君が俺を、Mr. the best sex にしてくれたんだよ、相手が君だから俺は最高のエッチができるんだよ」ということになるでしょう。
チャンドラーのハッピーダンスにげんなりしていたモニカでしたが、そう言われて嬉しくない女はいないでしょうから(笑)、そのセリフには素直に感動した顔を見せています。
話の続きをもっと聞きたいから、もっと話して、と言っていますね。
nothing は「無」で、この場合は「つまらないもの・人、意味のないもの・人」のような意味になります。
the other girls はもちろん、「チャンドラーとこれまで付き合った別の女の子たち」というニュアンスですね。
元カノたちに電話で聞いてみてよ、以前の俺は、the best じゃなくて、nothing だったってことがわかるから、みたいなことです。
Which wouldn't take long. の which は、前文の内容の「他の女の子に電話して尋ねること」を指していて、それをするのに(長い)時間はかからない、と言っていることになります。
元カノ、と言っても大勢いるわけじゃないから、聞いて回るのに時間はかからないよ、と、これまで付き合った女性の数も知れてるけど、という自虐的なことを言っているわけです。
これがジョーイなら電話代がかかってしょうがないところですが(笑)。
君といると、君と一緒だと…の後に、チャンドラーは、Oh, my God! と言っています。
ネットスクリプトのト書きにあるように大袈裟に発音していますが、これはジャニスの口癖の真似ですね。
元カノと言えばまず誰もがジャニスを一番に思い浮かべますので、その連想を使って、彼女の口癖で、「君と俺とのエッチはどれほどすごいか、どれほど素晴らしいか」を表現しているわけです。
普通、こういう状況で元カノの話が出るとあまり嬉しくない気もするのですが、ジャニスの場合は例外で、モニカもジャニスのことを思い出しても、あまりやきもちも妬かないのでしょうね。
あの強烈なキャラクターなので、やきもちよりも先に笑いが出てしまう、みたいな感じなのでしょう。
ですから、元カノの口癖を使ってそのすごさを表現しても、モニカはとても嬉しそうな顔で、「ほんと?」と聞き返しています。
チャンドラーも、Oh, my God! をさらに大袈裟に発音して、「そりゃもう、すごいのなんのって!」みたいに表現しています。
そのように二人のエッチが素晴らしいものであったことを説明した後、「君が俺と寝たくないと思ってるのは知ってるけど、それは間違いだよ」と言っていますね。
too good は、「度を過ぎて good である」という感覚。すんごくいい、みたいなことですね。
owe の基本的な意味は「(金など)を借りている」。
I owe him $10. / I owe $10 to him. なら、「私は彼に10ドル借りている、私は彼に10ドルの借りがある」ということで、私は彼に対して10ドルの返済義務がある、ということになります。
また、お金だけではなく、義務などを負っている場合にも使いますね。
その場合、owe 〜 to someone は、「(人)に(義務・恩義などを)負っている」、または「(成功などを)〜に帰さねばならない、(成功などは)〜のおかげである」と訳すことができます。
owe の発音は、[ou] (オウ)なので、「何かしらの義務(お金の返済義務を含む)を負う(オウ)ている」と私は強引に覚えているのですが(笑)、「to 以下の者に対して、金、義務、恩義、成功などを負っている、借りがある」というのが、全体的なニュアンスになると思います。
LAAD では、
owe [verb] :
2. to feel that you should do something for someone or give something to someone, because they have done something for you or given something to you
4. a) to have something valuable or important as a result of a particular person, quality etc
b) to feel that someone's help has been important to you in achieving something
つまり、2. は「誰かのために何かをすべきだと、または誰かに何かを与えるべきだと感じること。なぜならその人が自分に何かをしてくれた、または何かを与えてくれたから」。
4. a) は、「ある特定の人や品質の結果として、価値のある、または重要な何かを持っていること」。
4. b) は、「何かを成し遂げるのに、誰かの助けが重要であったと感じること」。
2. は「誰かがしてくれたことに対してそれを返す」感覚ですから、「(何かを返す)義務を負っている」ニュアンスでしょう。
4. はどちらも「…のおかげである」と訳せるように思います。
そういう日本語訳になることを踏まえて、チャンドラーのセリフ We owe it... to sex! を見てみましょう。
it はその前の We're too good! を指していると思われます。
「義務」のニュアンスで訳すと、「そのことで、俺たちは sex に借りがあるんだ」みたいになるでしょうか。
「sex に恩義を負っているんだ」とも訳せるかもしれません。
「おかげ」のニュアンスで訳すと、「(最高なのは) sex のおかげなんだ」となるでしょうか。
そのようにいろいろな日本語訳が考えられる中で、恐らくチャンドラーがここで言いたいのは、エッチのおかげで俺たちは最高なんだから、という「原因と結果」ではなく、エッチに対して俺たちは何か「返さなければならない」義務がある、という感覚なのかなぁ、と思うのですね。
DVDの日本語訳も、「最高のエッチなのに、エッチしないなんて、エッチに悪い!」となっていたのですが、私もそんなニュアンスをこの言葉から感じました。
エッチに対しては借りがあるのに、このまま一生エッチをしないでいたら、エッチに対して申し訳ないだろ?みたいなことを言いたい気がするのですね。
最高のエッチにさせてくれたエッチに対する「義務」が俺たちにはあるんだよ、みたいに言っている気がします。
それを聞いてモニカも、Well, if we owe it! 「ええ、もしそういう義務を負っているのならね!」みたいに言っています。
表情は、渋々そのチャンドラーの意見を受け入れた、みたいな顔をしていますが、それは照れ隠しですね。
「しない」と言っていたのを素直に「する」とはお互い言いにくいのでしょう、何らかの理屈をつけて、何かの負債や義務でもあるかのように言うことで、ちょっと気まずかった壁を乗り越えようとする感覚なのかな、と思いました。
お姫様だっこ状態のモニカは、ジョーイはいつ帰るの?と聞いています。
それはもちろん、二人きりでいられる時間はどのくらいかを尋ねているのですが、ご機嫌のチャンドラーはお得意のジョークで返していますね。
I was hoping... は「…だと思っていた、願っていた」。
俺はジョーイなしのモニカと二人きりでしようと思ってたんだけどさぁ、ジョーイがいつ帰るかを気にするなんて、モニカはもしかして3Pをしたいと思ってるわけ? と言っているのですね。
手袋はそのままで、と言うチャンドラー。
何か新たなプレイでも考えているみたいですが(笑)、トイレを掃除したところ(だから汚い)と言われ、やっぱり外そう、と言っています。
日本人は「バスルーム」と聞くとお風呂を思い浮かべますが、ここでお風呂をイメージしては、このセリフの面白さが伝わりませんね。
トイレ掃除に使った手袋だから、そんなのは外さなきゃ、ということになるわけです。
Let's show them how it's done. について。
直訳すると、「それがどのようになされるかを彼らに見せよう」になるでしょうか。
them は漠然とした「人々」みたいな感覚だろうと思います。
DVDの日本語訳は「最高のエッチを見せてやる」となっていましたが、恐らくそういうニュアンスでしょうね。
抱っこしたまま廊下に出ようとして、チャンドラーはモニカの頭をドアにぶつけてしまいます。
Y'know that wasn't part of it? の it は、これからしようとしているエッチを指しているのでしょう。
これもちょっと考えすぎかもしれませんが(笑)、頭をどこかに激しくぶつけてしまうようなエッチを今から始めようとしてたんじゃないよ、みたいな意味に私には聞こえました。
頭をぶつけたい場所 フレンズ3-8その15 で、レイチェルは柱にゴンゴンと頭をぶつけながら以下のセリフを言っていました。
レイチェル: Y'know, if it's not a headboard, it's just not worth it. (ほら、もしそれがベッドのヘッドボードじゃないなら、やる価値もないわね。)
このセリフは「どうせ頭をぶつけるなら、エッチの最中に、ベッドのヘッドボードに頭をぶつけたいわ」と言っていると私は解釈したのですが、それと同じ流れで、間違って頭をゴンと激しくぶつけてしまったことを、「これは激しいエッチの導入部分じゃないからね」みたいに言ったジョークなのかな、と思いました。
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モニカの部屋にチャンドラーが入ってきます。
チャンドラー: (entering) Look, maybe I got carried away before, but there's something you gotta know. If I'm the best, it's only because you made me the best. ([入ってきて] ねぇ、多分、少し前の俺は調子に乗ってたんだよ。でも君が知るべきこと[君に知っておいて欲しいこと]がある。もし俺が最高なら、それはただ君が俺を最高にしてくれるからなんだよ。)
モニカはちょっと感動した様子で、
モニカ: Keep talking. (話を続けて。)
チャンドラー: I mean I was nothing before you. Call the other girls and ask. Which wouldn't take long. But when I'm with you, and we're together, OH...MY...GOD.! (君に会うまでの俺は、意味のないつまらない男[全然ダメな男]だったんだよ。他の女の子に電話して聞いてみて。そんなに時間はかからないし。でも俺が君といて、俺たちが一緒にいると、あぁ、何てすごい!(って感じなんだよ))
モニカはすごく嬉しそうな顔で、
モニカ: Really? (ほんとに?)
チャンドラー: Oh-aw my God! Now, I understand if you never want to sleep with me again. But that would be wrong. We're too good! We owe it... to sex! (あぁ、何てすごい!だよ。で、俺ともう一度寝るのを君が望んでいないことはわかってるけど、でも、それって間違いだと思うんだ。俺たちはすっごくいいんだから! (そのいいエッチをしないと)エッチに申し訳ないよ[エッチには借りがあるんだよ]!)
モニカ: Well, if we owe it! (She throws down her cleaning stuff and jumps into his arms.) Oh, my! When is Joey gonna be home? (そうね、もしエッチに申し訳ないならね! [モニカは掃除道具を床にドサッと投げ下ろし、彼の腕に飛び乗る(お姫様だっこ状態になる)] あぁ、なんてこと! ジョーイはいつ家に帰ってくるの?)
チャンドラー: Well, I was kinda hoping we could do this without him. (She starts to take off her latex gloves.) Oh, no, no, no! Leave the gloves on. (そうだな、ジョーイなしでできればいいな、と俺は思ったりしてたんだけどなぁ。[モニカは(掃除用の)ラテックスの手袋を外そうとする] あぁ、だめだめだめ! 手袋ははめたままにして。)
モニカ: But I just cleaned the bathroom. (でも、今、トイレを掃除したところよ。)
チャンドラー: Yeah, why don't we lose the gloves. (そうだね、手袋は脱ごうか。)
モニカ: Yeah. (She takes them off.) (そうね。[モニカは手袋を取る])
(He carries her over to the door and opens it.)
チャンドラーはモニカをドアのところまで運び、ドアを開ける。
チャンドラー: All right. Let's show them how it's done. (よーし。どんなにすごいか見せてやろう。)
モニカ: Okay. (オッケー。)
(He starts to carry her into the hallway but hits her head on the door.)
チャンドラーはモニカを廊下に運び出そうとするが、モニカの頭をドアにぶつけてしまう。
モニカ: Ow! (いた!)
チャンドラー: Y'know that wasn't part of it? (今のはエッチの一部じゃなかった、ってわかってるよね?)
モニカ: I know! (わかってるわ!)
(He carries her into the hall.)
チャンドラーはモニカを廊下に運び出す。
(get) carried away は「われを忘れる、興奮する、図に乗る、調子に乗る」。
能動形の carry away は文字通り「運び去る」ですから、その受身形の carried away は「(どこかに)運び去られてしまった」という感覚で、いつもの自分とは違う状態になってしまった感じが出るのだと思います。
If I'm the best, it's only because you made me the best. について。
only because は「ただ…だから」という感覚で、because 以下が唯一の理由だ、ということです。
つまり、「もし俺が the best だとしたら、それはただ、君が俺を the best にしてくれたから、というのが唯一の理由だよ」と言っていることになります。
君が俺を the best にしてくれたから俺は the best でいられるんだ、というニュアンスですね。
the best は「最高」「最高の人」と取ることも可能でしょうが、ここでもまた、フレンズ5-4その4 で語った、the best sex のことを指しているのだと考えるのが自然ですね。
上の訳では、「最高」と無難に訳しましたが、実際にチャンドラーが言おうとしていることは、「君が俺を、Mr. the best sex にしてくれたんだよ、相手が君だから俺は最高のエッチができるんだよ」ということになるでしょう。
チャンドラーのハッピーダンスにげんなりしていたモニカでしたが、そう言われて嬉しくない女はいないでしょうから(笑)、そのセリフには素直に感動した顔を見せています。
話の続きをもっと聞きたいから、もっと話して、と言っていますね。
nothing は「無」で、この場合は「つまらないもの・人、意味のないもの・人」のような意味になります。
the other girls はもちろん、「チャンドラーとこれまで付き合った別の女の子たち」というニュアンスですね。
元カノたちに電話で聞いてみてよ、以前の俺は、the best じゃなくて、nothing だったってことがわかるから、みたいなことです。
Which wouldn't take long. の which は、前文の内容の「他の女の子に電話して尋ねること」を指していて、それをするのに(長い)時間はかからない、と言っていることになります。
元カノ、と言っても大勢いるわけじゃないから、聞いて回るのに時間はかからないよ、と、これまで付き合った女性の数も知れてるけど、という自虐的なことを言っているわけです。
これがジョーイなら電話代がかかってしょうがないところですが(笑)。
君といると、君と一緒だと…の後に、チャンドラーは、Oh, my God! と言っています。
ネットスクリプトのト書きにあるように大袈裟に発音していますが、これはジャニスの口癖の真似ですね。
元カノと言えばまず誰もがジャニスを一番に思い浮かべますので、その連想を使って、彼女の口癖で、「君と俺とのエッチはどれほどすごいか、どれほど素晴らしいか」を表現しているわけです。
普通、こういう状況で元カノの話が出るとあまり嬉しくない気もするのですが、ジャニスの場合は例外で、モニカもジャニスのことを思い出しても、あまりやきもちも妬かないのでしょうね。
あの強烈なキャラクターなので、やきもちよりも先に笑いが出てしまう、みたいな感じなのでしょう。
ですから、元カノの口癖を使ってそのすごさを表現しても、モニカはとても嬉しそうな顔で、「ほんと?」と聞き返しています。
チャンドラーも、Oh, my God! をさらに大袈裟に発音して、「そりゃもう、すごいのなんのって!」みたいに表現しています。
そのように二人のエッチが素晴らしいものであったことを説明した後、「君が俺と寝たくないと思ってるのは知ってるけど、それは間違いだよ」と言っていますね。
too good は、「度を過ぎて good である」という感覚。すんごくいい、みたいなことですね。
owe の基本的な意味は「(金など)を借りている」。
I owe him $10. / I owe $10 to him. なら、「私は彼に10ドル借りている、私は彼に10ドルの借りがある」ということで、私は彼に対して10ドルの返済義務がある、ということになります。
また、お金だけではなく、義務などを負っている場合にも使いますね。
その場合、owe 〜 to someone は、「(人)に(義務・恩義などを)負っている」、または「(成功などを)〜に帰さねばならない、(成功などは)〜のおかげである」と訳すことができます。
owe の発音は、[ou] (オウ)なので、「何かしらの義務(お金の返済義務を含む)を負う(オウ)ている」と私は強引に覚えているのですが(笑)、「to 以下の者に対して、金、義務、恩義、成功などを負っている、借りがある」というのが、全体的なニュアンスになると思います。
LAAD では、
owe [verb] :
2. to feel that you should do something for someone or give something to someone, because they have done something for you or given something to you
4. a) to have something valuable or important as a result of a particular person, quality etc
b) to feel that someone's help has been important to you in achieving something
つまり、2. は「誰かのために何かをすべきだと、または誰かに何かを与えるべきだと感じること。なぜならその人が自分に何かをしてくれた、または何かを与えてくれたから」。
4. a) は、「ある特定の人や品質の結果として、価値のある、または重要な何かを持っていること」。
4. b) は、「何かを成し遂げるのに、誰かの助けが重要であったと感じること」。
2. は「誰かがしてくれたことに対してそれを返す」感覚ですから、「(何かを返す)義務を負っている」ニュアンスでしょう。
4. はどちらも「…のおかげである」と訳せるように思います。
そういう日本語訳になることを踏まえて、チャンドラーのセリフ We owe it... to sex! を見てみましょう。
it はその前の We're too good! を指していると思われます。
「義務」のニュアンスで訳すと、「そのことで、俺たちは sex に借りがあるんだ」みたいになるでしょうか。
「sex に恩義を負っているんだ」とも訳せるかもしれません。
「おかげ」のニュアンスで訳すと、「(最高なのは) sex のおかげなんだ」となるでしょうか。
そのようにいろいろな日本語訳が考えられる中で、恐らくチャンドラーがここで言いたいのは、エッチのおかげで俺たちは最高なんだから、という「原因と結果」ではなく、エッチに対して俺たちは何か「返さなければならない」義務がある、という感覚なのかなぁ、と思うのですね。
DVDの日本語訳も、「最高のエッチなのに、エッチしないなんて、エッチに悪い!」となっていたのですが、私もそんなニュアンスをこの言葉から感じました。
エッチに対しては借りがあるのに、このまま一生エッチをしないでいたら、エッチに対して申し訳ないだろ?みたいなことを言いたい気がするのですね。
最高のエッチにさせてくれたエッチに対する「義務」が俺たちにはあるんだよ、みたいに言っている気がします。
それを聞いてモニカも、Well, if we owe it! 「ええ、もしそういう義務を負っているのならね!」みたいに言っています。
表情は、渋々そのチャンドラーの意見を受け入れた、みたいな顔をしていますが、それは照れ隠しですね。
「しない」と言っていたのを素直に「する」とはお互い言いにくいのでしょう、何らかの理屈をつけて、何かの負債や義務でもあるかのように言うことで、ちょっと気まずかった壁を乗り越えようとする感覚なのかな、と思いました。
お姫様だっこ状態のモニカは、ジョーイはいつ帰るの?と聞いています。
それはもちろん、二人きりでいられる時間はどのくらいかを尋ねているのですが、ご機嫌のチャンドラーはお得意のジョークで返していますね。
I was hoping... は「…だと思っていた、願っていた」。
俺はジョーイなしのモニカと二人きりでしようと思ってたんだけどさぁ、ジョーイがいつ帰るかを気にするなんて、モニカはもしかして3Pをしたいと思ってるわけ? と言っているのですね。
手袋はそのままで、と言うチャンドラー。
何か新たなプレイでも考えているみたいですが(笑)、トイレを掃除したところ(だから汚い)と言われ、やっぱり外そう、と言っています。
日本人は「バスルーム」と聞くとお風呂を思い浮かべますが、ここでお風呂をイメージしては、このセリフの面白さが伝わりませんね。
トイレ掃除に使った手袋だから、そんなのは外さなきゃ、ということになるわけです。
Let's show them how it's done. について。
直訳すると、「それがどのようになされるかを彼らに見せよう」になるでしょうか。
them は漠然とした「人々」みたいな感覚だろうと思います。
DVDの日本語訳は「最高のエッチを見せてやる」となっていましたが、恐らくそういうニュアンスでしょうね。
抱っこしたまま廊下に出ようとして、チャンドラーはモニカの頭をドアにぶつけてしまいます。
Y'know that wasn't part of it? の it は、これからしようとしているエッチを指しているのでしょう。
これもちょっと考えすぎかもしれませんが(笑)、頭をどこかに激しくぶつけてしまうようなエッチを今から始めようとしてたんじゃないよ、みたいな意味に私には聞こえました。
頭をぶつけたい場所 フレンズ3-8その15 で、レイチェルは柱にゴンゴンと頭をぶつけながら以下のセリフを言っていました。
レイチェル: Y'know, if it's not a headboard, it's just not worth it. (ほら、もしそれがベッドのヘッドボードじゃないなら、やる価値もないわね。)
このセリフは「どうせ頭をぶつけるなら、エッチの最中に、ベッドのヘッドボードに頭をぶつけたいわ」と言っていると私は解釈したのですが、それと同じ流れで、間違って頭をゴンと激しくぶつけてしまったことを、「これは激しいエッチの導入部分じゃないからね」みたいに言ったジョークなのかな、と思いました。
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2010年08月26日
マジック・エイト・ボール フレンズ5-4その5
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[Scene: Monica and Rachel's, Monica and Phoebe are cooking, Chandler is reading a magazine.]
モニカとレイチェルの部屋。モニカとフィービーは料理をしている。チャンドラーは雑誌を読んでいる。
ロス: (entering) Okay, that's it. I cannot make this decision! It is too difficult. So I'm just gonna leave it entirely up to the gods of fate. (He holds up and starts shaking a...) ([入ってきて] よし、それで終わりだ。僕はこんな決心はできないよ! 難しすぎる。だから僕はただその決定を完全に運命の神(々)にゆだねることにするよ。[ロスはあるものを掲げて、それを振る])
モニカ: A Magic 8 Ball? You can't be serious. You can't make this decision with a toy! (マジック・エイト・ボール? 冗談よね。おもちゃで意思決定をすることなんてできないわ!)
フィービー: Ooh, it's not a toy. (あぁ、それはおもちゃじゃないわ。)
ロス: Well, I don't know what else to do! I mean, I either keep my wife and lose one of my, my best friends or I keep my friend and get divorced for the second time before I'm 30! So, so if anyone else has, has a better suggestion, let's hear it. 'Cause I, I got nothing! All right, don't be shy. Any suggestion will do. (There are none.) Okay, then. Here we go. Magic 8 Ball, should I never see Rachel again? (He turns it over and reads the answer) "Ask Again Later." Later is not good enough. (He shakes it up again and reads the answer.) "Ask Again Later." What the hell? This is broken! It, it is broken! (その、僕は他に何をすべきかわからないんだよ! つまり、妻をそばに置いて、僕の親友を失うか、もしくは、友達を選んで30歳になる前に2度目の離婚をするかのどちらかなんだよ! だから、だからもし(僕以外の)他の誰かにこれより良い提案があるのなら、それを聞こうじゃないか。だって、僕には何にもないんだから! よし、遠慮しないで。どんな提案でもオッケーだよ。[提案はない] よし、それじゃあ、いくよ。マジック・エイト・ボール、僕は二度とレイチェルに会わない方がいいですか? [ロスはボールをひっくり返して答えを読む] 「後で再び尋ねよ」。 後で、じゃダメなんだよ。[ロスはボールを再び振って答えを読む] 「後で再び尋ねよ」。一体どういうことだ? これは壊れてる! そのボールは壊れてるんだ!)
モニカ: All right, let me see. (She grabs the 8 ball.) Will Chandler have sex tonight? (Reads the answer.) "Don't Count On It." Seems like it works to me. (いいわ。見せて。[モニカはエイトボールを掴む] チャンドラーは今夜エッチしますか? [答えを読む] 「当てにするな[期待するな]」。私には、ボールはちゃんと機能しているように思えるけど。)
エミリーから、「私とやり直すつもりなら、もう二度とレイチェルと会わないと約束して」と言われてしまったロス。
妻を選ぶか、長年の親友を選ぶかでロスは迷っています。
決めかねたロスは、手に持っているものに決定をゆだねることにするのですが…。
fate は「運命」なので、gods of fate は文字通り「運命の神」。
通常、英語では、「神」は、God という大文字で表され、それはキリスト教の神である「イエス・キリスト」を意味しますね。
今回のように gods と小文字、さらには複数形になっているのは、その「キリスト」ではなく、異教の神、今回のイメージでは恐らく、ギリシャ神話・ローマ神話などに出てくるような神々のイメージでしょう。
神話の世界では、それぞれの神々にそれぞれの役割がありますね。
the god of day 「日輪の神」は Apollo 「アポロ、アポロン」、
the god of the sea 「海の神」は、ギリシャ神話では Poseidon 「ポセイドン」、ローマ神話では Neptune 「ネプチューン」と呼ばれています。
the fates of god の場合は gods と複数になっていますが、これは「運命の三女神」を指していると思われます。
Wikipedia 日本語版: モイラ (ギリシア神話)
ウィキペディアの説明では、
モイライは、ギリシア神話における「運命の三女神」である。幾つかの伝承があるが、ラケシス、クロートー、アトロポスの3人で、姉妹とされる。
モイライは複数形で、単数ではモイラと呼ぶ。
とあります。
私は神話に詳しいわけではないのですが、永野護さんの漫画「ファイブスター物語」に、「運命の3人の女神」として、ラキシス、アトロポス、クローソーというキャラクターが出てきますので、運命の女神が3人いることを私はたまたま知っていただけなのですが…(オタクな知識もたまには役に立ちます…笑)
leave it up to... は「…に任せる、ゆだねる」。
leave it up to one's judgment なら「…の判断に任せる」ですね。
それを、entirely 「完全に」という副詞でさらに強調しています。
ロスが見せたものを見て、モニカはあきれています。
You can't be serious. を直訳すると、「あなたが本気であるはずがない」で、「嘘でしょ、冗談でしょ」と、相手の言動を信じられないと言っていることになります。
モニカは「そんなおもちゃで決めるなんて」と言っていますが、フィービーは「おもちゃじゃないわ」と反論していますね。
このやり取りからも、ロスが持っているものは一般的に「おもちゃ」と認識されているものであることがわかります。
マジック・エイト・ボール(Magic 8 Ball)についての詳しい説明は以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Magic 8-Ball
最初の説明部分を引用させていただきますと、
The Magic 8-Ball is a toy used for fortune-telling or seeking advice, manufactured by Mattel.
つまり、「マジック・エイト・ボールは、占い、または、助言を求めるのに使われるおもちゃで、マテル社によって製造されている。」ということです。
Design の項目に、ボールの仕組みや使い方が書いてありますので、興味のある方は合わせてお読み下さい。
ビリヤードの the (black) 8 ball に似せた形状なので、この名前があるようですね。
仕組みを簡単に説明すると、ボールの中の液体に正20面体のさいころが浮かんでいて、その20個の表面にはある言葉が書いてあります。
ボールを動かすことで、中身のさいころも動き、何か質問をした後、窓から覗いた時に見えた言葉がお告げの言葉になる、という感じです。(私は現物を見たことないのですが…)
日本のおみくじに近い感覚でしょう。
製造元のマテル社の、以下の公式サイト、
Mattel - MattelGameFinder.com では、
Magic 8 Ball (R) Demo があり、
Ask a Question... Shake the ball for the answer.
と書いてあります。
Shake Me!! の部分をクリックすると、ボールが揺れて回転し、文字が出てくる、という仕組みです。
ネット上で雰囲気を味わえる感じですね。
フィービーは霊感が強く、スピリチュアルなものを信じる人なので、「これはただのおもちゃじゃない」と頑張っているのも彼女らしいところです。
そんなおもちゃに頼るなんて、とモニカに非難されて、他に方法はないんだ、とロスは反論します。
keep my wife はまさに「妻をキープする」という感覚で、今は遠く離れたところにいる妻を自分のところに連れてきて、そのまま自分の近くにいさせる、という感じでしょう。
「ずっと持っている」という keep の基本的な意味の通りですね。
keep a dog なら「犬を飼う」ですが、それも自分のそばにずっといさせるイメージですよね。
自分のそばにいて欲しいのは、自分がキープすべきなのはどちらか、でロスは悩んでいて、もし親友のレイチェルを選んでしまったら、30前にして2度目の離婚を経験することになる、と言っています。
Any suggestion will do. の will do は「役に立つ、間に合う」。
誰か他に良い案があったら言ってくれ、とロスは言いますが、他の人からは何も意見は出てきません。
そこで、最後の頼みである、マジック・エイト・ボールに質問をします。
出てきた答えは、"Ask Again Later." 「後で再び尋ねよ」。
もう一度やってもまたその同じ答えなのに笑ってしまいますね。
上のウィキペディアに書いてあるのですが、Ask again later というのは、マジック・エイト・ボールの答えとして実際に存在するものです。
ウィキペディアの説明では、20個の Standard answers が一覧になっています。
ありがたいことに、答えの種類を、affirmative 「肯定的」(緑)、negative 「否定的」(赤)、non-committal 「どっちつかずの、あいまいな」(黄)の3種類に色分けしてくれていますね。
Ask again later は「どっちつかずの答え」に該当します。
決死の覚悟で、ボールに運命をゆだねたのに、何回やっても「どっちつかずのあいまいな答え」しか返ってこない、そこがこのシーンの面白さなわけです。
このボール壊れてる!と怒るロス。
今度はモニカがそのボールに質問します。
count on は「…を当てにする、…を期待する」。
チャンドラーは今夜のエッチを期待できない、という答えですね。
ウィキペディアにも、否定的な答えとして、Don't count on it が載っています。
モニカは、チャンドラーのハッピーダンスにげんなりして、今はエッチする気分ではありません。
それを考えると、このボールの予言は当たってると言えるので、他の人にはその事情は説明できないながらも、ボールは正しく機能してるみたいよ、と言っているのですね。
それは同時に、近くにいるチャンドラーに対して、「今はそういう気持ちになれないから、今夜のエッチはなしだからね」と宣告していることにもなります。
なお、余談ですが、過去のエピソードでも、マジック・エイト・ボール関連のセリフが出てきました。
フレンズ1-22 で、フィービーがチャンドラーの秘書のバイトをするシーン。
ロスからかかってきた電話に、秘書らしく応対した後、
フィービー: This is so fun! All right, what do we do now? (これってとっても楽しいわ! よし、今は何をするの?)
チャンドラー: Well, now I actually have to get to work. (そうだな、実は、今は、(こんな風に二人で遊んでないで)仕事に取り掛からないと。)
フィービー: "Most likely." [raises and goes toward the door] Okay, I'm gonna be out there. (「多分[十中八九]。[立ち上がり、ドアのところへ行く] オッケー、外に出てくるね。)
ネットスクリプトのト書きには、あまり詳しく書いてありませんが、君とこうやって秘書ごっこするのも楽しいけど、俺はそろそろマジで仕事を始めなきゃ、と言われたフィービーは、チャンドラーの机の上にあるボールを見て、Most likely と言っています。
このボールが、今回登場したマジック・エイト・ボールなのですね。
ウィキペディアに、「肯定的な答え」の一つとして、Most likely が載っていたので、間違いないと思います。
実はずっとこの "Most likely." というセリフが気になっていて、なんかおみくじっぽいものを見てのセリフのような気がしていたのですが、今回、マジック・エイト・ボールについて詳しく調べていて、それがお決まりの答えであることを知ったのですね。
長年の謎が解けて、ちょっと嬉しいです(笑)。
これで、1-22 と今回の 5-4 のセリフで、マジック・エイト・ボールの、肯定的な答え(Most likely)、否定的な答え(Don't count on it)、どっちつかずの答え(Ask again later)の3種類全てが登場したことになりますね。
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[Scene: Monica and Rachel's, Monica and Phoebe are cooking, Chandler is reading a magazine.]
モニカとレイチェルの部屋。モニカとフィービーは料理をしている。チャンドラーは雑誌を読んでいる。
ロス: (entering) Okay, that's it. I cannot make this decision! It is too difficult. So I'm just gonna leave it entirely up to the gods of fate. (He holds up and starts shaking a...) ([入ってきて] よし、それで終わりだ。僕はこんな決心はできないよ! 難しすぎる。だから僕はただその決定を完全に運命の神(々)にゆだねることにするよ。[ロスはあるものを掲げて、それを振る])
モニカ: A Magic 8 Ball? You can't be serious. You can't make this decision with a toy! (マジック・エイト・ボール? 冗談よね。おもちゃで意思決定をすることなんてできないわ!)
フィービー: Ooh, it's not a toy. (あぁ、それはおもちゃじゃないわ。)
ロス: Well, I don't know what else to do! I mean, I either keep my wife and lose one of my, my best friends or I keep my friend and get divorced for the second time before I'm 30! So, so if anyone else has, has a better suggestion, let's hear it. 'Cause I, I got nothing! All right, don't be shy. Any suggestion will do. (There are none.) Okay, then. Here we go. Magic 8 Ball, should I never see Rachel again? (He turns it over and reads the answer) "Ask Again Later." Later is not good enough. (He shakes it up again and reads the answer.) "Ask Again Later." What the hell? This is broken! It, it is broken! (その、僕は他に何をすべきかわからないんだよ! つまり、妻をそばに置いて、僕の親友を失うか、もしくは、友達を選んで30歳になる前に2度目の離婚をするかのどちらかなんだよ! だから、だからもし(僕以外の)他の誰かにこれより良い提案があるのなら、それを聞こうじゃないか。だって、僕には何にもないんだから! よし、遠慮しないで。どんな提案でもオッケーだよ。[提案はない] よし、それじゃあ、いくよ。マジック・エイト・ボール、僕は二度とレイチェルに会わない方がいいですか? [ロスはボールをひっくり返して答えを読む] 「後で再び尋ねよ」。 後で、じゃダメなんだよ。[ロスはボールを再び振って答えを読む] 「後で再び尋ねよ」。一体どういうことだ? これは壊れてる! そのボールは壊れてるんだ!)
モニカ: All right, let me see. (She grabs the 8 ball.) Will Chandler have sex tonight? (Reads the answer.) "Don't Count On It." Seems like it works to me. (いいわ。見せて。[モニカはエイトボールを掴む] チャンドラーは今夜エッチしますか? [答えを読む] 「当てにするな[期待するな]」。私には、ボールはちゃんと機能しているように思えるけど。)
エミリーから、「私とやり直すつもりなら、もう二度とレイチェルと会わないと約束して」と言われてしまったロス。
妻を選ぶか、長年の親友を選ぶかでロスは迷っています。
決めかねたロスは、手に持っているものに決定をゆだねることにするのですが…。
fate は「運命」なので、gods of fate は文字通り「運命の神」。
通常、英語では、「神」は、God という大文字で表され、それはキリスト教の神である「イエス・キリスト」を意味しますね。
今回のように gods と小文字、さらには複数形になっているのは、その「キリスト」ではなく、異教の神、今回のイメージでは恐らく、ギリシャ神話・ローマ神話などに出てくるような神々のイメージでしょう。
神話の世界では、それぞれの神々にそれぞれの役割がありますね。
the god of day 「日輪の神」は Apollo 「アポロ、アポロン」、
the god of the sea 「海の神」は、ギリシャ神話では Poseidon 「ポセイドン」、ローマ神話では Neptune 「ネプチューン」と呼ばれています。
the fates of god の場合は gods と複数になっていますが、これは「運命の三女神」を指していると思われます。
Wikipedia 日本語版: モイラ (ギリシア神話)
ウィキペディアの説明では、
モイライは、ギリシア神話における「運命の三女神」である。幾つかの伝承があるが、ラケシス、クロートー、アトロポスの3人で、姉妹とされる。
モイライは複数形で、単数ではモイラと呼ぶ。
とあります。
私は神話に詳しいわけではないのですが、永野護さんの漫画「ファイブスター物語」に、「運命の3人の女神」として、ラキシス、アトロポス、クローソーというキャラクターが出てきますので、運命の女神が3人いることを私はたまたま知っていただけなのですが…(オタクな知識もたまには役に立ちます…笑)
leave it up to... は「…に任せる、ゆだねる」。
leave it up to one's judgment なら「…の判断に任せる」ですね。
それを、entirely 「完全に」という副詞でさらに強調しています。
ロスが見せたものを見て、モニカはあきれています。
You can't be serious. を直訳すると、「あなたが本気であるはずがない」で、「嘘でしょ、冗談でしょ」と、相手の言動を信じられないと言っていることになります。
モニカは「そんなおもちゃで決めるなんて」と言っていますが、フィービーは「おもちゃじゃないわ」と反論していますね。
このやり取りからも、ロスが持っているものは一般的に「おもちゃ」と認識されているものであることがわかります。
マジック・エイト・ボール(Magic 8 Ball)についての詳しい説明は以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Magic 8-Ball
最初の説明部分を引用させていただきますと、
The Magic 8-Ball is a toy used for fortune-telling or seeking advice, manufactured by Mattel.
つまり、「マジック・エイト・ボールは、占い、または、助言を求めるのに使われるおもちゃで、マテル社によって製造されている。」ということです。
Design の項目に、ボールの仕組みや使い方が書いてありますので、興味のある方は合わせてお読み下さい。
ビリヤードの the (black) 8 ball に似せた形状なので、この名前があるようですね。
仕組みを簡単に説明すると、ボールの中の液体に正20面体のさいころが浮かんでいて、その20個の表面にはある言葉が書いてあります。
ボールを動かすことで、中身のさいころも動き、何か質問をした後、窓から覗いた時に見えた言葉がお告げの言葉になる、という感じです。(私は現物を見たことないのですが…)
日本のおみくじに近い感覚でしょう。
製造元のマテル社の、以下の公式サイト、
Mattel - MattelGameFinder.com では、
Magic 8 Ball (R) Demo があり、
Ask a Question... Shake the ball for the answer.
と書いてあります。
Shake Me!! の部分をクリックすると、ボールが揺れて回転し、文字が出てくる、という仕組みです。
ネット上で雰囲気を味わえる感じですね。
フィービーは霊感が強く、スピリチュアルなものを信じる人なので、「これはただのおもちゃじゃない」と頑張っているのも彼女らしいところです。
そんなおもちゃに頼るなんて、とモニカに非難されて、他に方法はないんだ、とロスは反論します。
keep my wife はまさに「妻をキープする」という感覚で、今は遠く離れたところにいる妻を自分のところに連れてきて、そのまま自分の近くにいさせる、という感じでしょう。
「ずっと持っている」という keep の基本的な意味の通りですね。
keep a dog なら「犬を飼う」ですが、それも自分のそばにずっといさせるイメージですよね。
自分のそばにいて欲しいのは、自分がキープすべきなのはどちらか、でロスは悩んでいて、もし親友のレイチェルを選んでしまったら、30前にして2度目の離婚を経験することになる、と言っています。
Any suggestion will do. の will do は「役に立つ、間に合う」。
誰か他に良い案があったら言ってくれ、とロスは言いますが、他の人からは何も意見は出てきません。
そこで、最後の頼みである、マジック・エイト・ボールに質問をします。
出てきた答えは、"Ask Again Later." 「後で再び尋ねよ」。
もう一度やってもまたその同じ答えなのに笑ってしまいますね。
上のウィキペディアに書いてあるのですが、Ask again later というのは、マジック・エイト・ボールの答えとして実際に存在するものです。
ウィキペディアの説明では、20個の Standard answers が一覧になっています。
ありがたいことに、答えの種類を、affirmative 「肯定的」(緑)、negative 「否定的」(赤)、non-committal 「どっちつかずの、あいまいな」(黄)の3種類に色分けしてくれていますね。
Ask again later は「どっちつかずの答え」に該当します。
決死の覚悟で、ボールに運命をゆだねたのに、何回やっても「どっちつかずのあいまいな答え」しか返ってこない、そこがこのシーンの面白さなわけです。
このボール壊れてる!と怒るロス。
今度はモニカがそのボールに質問します。
count on は「…を当てにする、…を期待する」。
チャンドラーは今夜のエッチを期待できない、という答えですね。
ウィキペディアにも、否定的な答えとして、Don't count on it が載っています。
モニカは、チャンドラーのハッピーダンスにげんなりして、今はエッチする気分ではありません。
それを考えると、このボールの予言は当たってると言えるので、他の人にはその事情は説明できないながらも、ボールは正しく機能してるみたいよ、と言っているのですね。
それは同時に、近くにいるチャンドラーに対して、「今はそういう気持ちになれないから、今夜のエッチはなしだからね」と宣告していることにもなります。
なお、余談ですが、過去のエピソードでも、マジック・エイト・ボール関連のセリフが出てきました。
フレンズ1-22 で、フィービーがチャンドラーの秘書のバイトをするシーン。
ロスからかかってきた電話に、秘書らしく応対した後、
フィービー: This is so fun! All right, what do we do now? (これってとっても楽しいわ! よし、今は何をするの?)
チャンドラー: Well, now I actually have to get to work. (そうだな、実は、今は、(こんな風に二人で遊んでないで)仕事に取り掛からないと。)
フィービー: "Most likely." [raises and goes toward the door] Okay, I'm gonna be out there. (「多分[十中八九]。[立ち上がり、ドアのところへ行く] オッケー、外に出てくるね。)
ネットスクリプトのト書きには、あまり詳しく書いてありませんが、君とこうやって秘書ごっこするのも楽しいけど、俺はそろそろマジで仕事を始めなきゃ、と言われたフィービーは、チャンドラーの机の上にあるボールを見て、Most likely と言っています。
このボールが、今回登場したマジック・エイト・ボールなのですね。
ウィキペディアに、「肯定的な答え」の一つとして、Most likely が載っていたので、間違いないと思います。
実はずっとこの "Most likely." というセリフが気になっていて、なんかおみくじっぽいものを見てのセリフのような気がしていたのですが、今回、マジック・エイト・ボールについて詳しく調べていて、それがお決まりの答えであることを知ったのですね。
長年の謎が解けて、ちょっと嬉しいです(笑)。
これで、1-22 と今回の 5-4 のセリフで、マジック・エイト・ボールの、肯定的な答え(Most likely)、否定的な答え(Don't count on it)、どっちつかずの答え(Ask again later)の3種類全てが登場したことになりますね。
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2010年08月23日
カタログのページ数を言うだけ フレンズ5-4その4
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チャンドラーの部屋に、モニカが入ってきます。
モニカ: Uh, listen, I need that broiling pan that Joey borrowed the other day. (あぁ、ねぇ、こないだジョーイが借りてった、あのブロイラーパン(焼肉用の皿)が必要なんだけど。)
チャンドラー: Oh, that was yours? Uh, yeah, we used it when the duck was throwing up caterpillars. (あぁ、あれはモニカのだったの? その、俺たちそれを使っちゃったんだよね、アヒルがイモ虫を吐いてた時にさ。)
モニカ: Williams-Sonoma, fall catalog, page 27. (ウィリアムズ・ソノマ、秋のカタログ、27ページ。)
チャンドラー: Expect it in 4 to 6 weeks. (She starts to leave.) Umm, hey, umm, Joey's gonna be at the telethon for the rest of the day. We have the whole place to ourselves. (4週間後から6週間後までのお届けになります。[モニカは出て行こうとする] あのー、ほら、あのさ、ジョーイは今日ずっとテレソンに出てるよ。この部屋全部、俺たちが独占できるんだけど。)
モニカ: Yeah, so? (そう。それで?)
チャンドラー: Well, I just thought maybe you'd wanna book some time with "the best you've ever had." (えーっと、多分、モニカは「史上最高(のエッチ)」との時間を予約したいと思ってるかな、って思っただけだけど。)
モニカ: Y'know what, champ? I think I'll pass. (ねぇ、チャンプ。私はパスするわ。)
チャンドラー: Why? (どうして?)
モニカ: Why? (She hops into the living room and imitates Chandler's happy dance.) (どうして、ですって? [モニカはリビングの方にぴょんと飛んで、チャンドラーのハッピーダンスを真似する])
チャンドラー: What's your point? (何が言いたいの?)
broil は「(肉を)直火で焼く」。broiler は「ブロイラー、焼肉用の若鶏」「焼肉用の器具」になります。
pan はフライパンのパンで「浅いなべ」または「オーブン用の皿」を意味します。
broiling pan は「直火で焼くためのパン」ということになりますが、英辞郎に broiler pan が出ているので、それと同じものでしょう。
英辞郎では、
broiler pan=《料理》焼き皿、ブロイラー・パン◆オーブンに入れて焼くための皿。
とあります。
Google の画像検索では、broiling pan でも、broiler pan でも、どちらも同じような写真がヒットします。
焼けた肉汁が隙間から下に落ちるようになっている形状のものですね。
そのパンを返して欲しいというモニカに、チャンドラーは、「モニカからの借り物だって知らなくて、アヒルがイモ虫・毛虫を吐いた時の受け皿として使っちゃったよ…」と言っています。
それを聞いたモニカは、そのことを非難したりはせずに、ただ、Williams-Sonoma, fall catalog, page 27. とだけ言っています。
カタログの27ページ、という言葉だけでも何となくモニカの言いたいことは日本人にも想像できる気はしますね。
Williams-Sonoma がブランド名であることがわかればよりピンと来やすいでしょう。
Williams-Sonoma (ウィリアムズ・ソノマ)は、キッチン用品のお店、ブランドの名前です。
公式サイトはこちら。
Cookware, Cooking Utensils, Kitchen Decor & Gourmet Foods / Williams-Sonoma
ウィキペディアはこちら。
Wikipedia 英語版: Williams-Sonoma
フレンズ3-12その26 で、"Hold Everything" catalog (「ホールド・エブリシング」カタログ)という言葉が出てきた時に、それに関連して、ウィリアムズ・ソノマについても触れました。
私(モニカ)がよく購入しているキッチン用品「ウィリアムズ・ソノマ」のカタログに、そのパンが載ってるから、忘れずに注文しといてよ、とモニカは言っているわけですね。
それを言うのに、「私が貸したパンをそんなことに使うなんて。弁償してもらうからね。それはカタログの p.27 に載ってるから…」などとくどくど説明せずに、「ウィリアムズ・ソノマ、秋のカタログ、27ページ」と単語だけ並べるところが、このセリフの面白さだと思います。
それに対してのチャンドラーの返事も面白いですね。
Expect it in 4 to 6 weeks. を直訳すると、「4〜6週間後にそのパンが着くのを期待して待て」みたいな命令形になりますが、それはつまり、「4〜6週間で、そのパンが届きますから、それまでしばらくお待ち下さいね」みたいな感じの意味になるでしょう。
多分、そのカタログにはよく「この商品の発送には、4〜6週間かかります」との注意書きが書いてある、そのイメージを使って、「ちゃんと注文しとくからさ。ちょっと時間がかかっちゃうけど待っててね」と言っているのですね。
この短いやり取りの中で、「カタログ見てちゃんと頼んどいてよ」「了解。6週間かかっちゃうかもしれないけど」と伝え合えている、お互いをよく知る長年の仲だからこそ言える「ノリ」みたいなものを感じていただけたら、と思います。
ブロイラーパンのことだけ言ってそのまま出て行こうとするモニカに、チャンドラーは声をかけます。
have...to oneself を直訳すると、「自分だけに…を持っている」ということで、は「…を独占する、独り占めする、自分(たち)だけで好きなように使う」という意味になります。
ジョーイはしばらく帰ってこないから、この部屋を二人だけで好きなように使えちゃうんだぜ、と言っているわけです。
このセリフだけでも、「今なら誰にも邪魔されずにエッチもできちゃうよ」と「誘っている」のはわかりますね。
しかし、モニカは Yeah, so? と返します。
それでチャンドラーは、「二人だけで部屋を使える」というボカした表現ではなくて、もう少し具体的に説明しています。
その I just thought maybe you'd wanna book some time with "the best you've ever had." というセリフについて。
book は「予約する」ですから、「モニカは多分 "the best you've ever had" との時間を予約したいと思ってるんじゃないかな、って俺は思っただけなんだよ」ということですね。
引用符で括られた "the best you've ever had" というのは、俺(チャンドラー)という「人」を表している感覚だと思います。
抽象的な言葉で「人」を表しているために、引用符でくくっているように思えます。
book some time with... の with という前置詞も、「(人)と一緒の[一緒に過ごす]時間を予約する」というニュアンスが感じられますしね。
「俺と一緒の時間を予約したいんじゃないの?」と言いながら、俺っていうのはつまり、モニカが言っていた、"the best you've ever had" なわけだけど、と、「史上最高の人、史上最高のエッチをした人」と言われたことを自分のキャッチフレーズとして使っている感覚かな、と思いました。
「史上最高」というフレーズについては、まず今回のエピソードの前半に、
レイチェル: I wanna meet this guy who's the best sex she ever had. (モニカのこれまでの最高のエッチ、っていうその男性に会いたいわ。)
というセリフがありました。(解説では飛ばしています)
このセリフから、モニカ本人がそのセリフを言うシーンはないながらも、そういう感想を親友のレイチェルには話した、ということがわかりますね。
その事実を知ったチャンドラーはとても嬉しくなって、
前回の記事、フレンズ5-4その3 で、
チャンドラー: I mean if this guy was me and it was me who had learned that it was me who was the best you'd ever had, (だって、もしこの男性が俺だったら、そして、君の今までの最高の(エッチの)相手が俺だってことを知ったら)
と言ったわけです。
(the) best という名詞には、「最上の人、最高の人」という意味があるので、the best you'd ever had は、「君の人生の中で最高の人」と訳すことも可能ですが、最初にレイチェルが、the best sex she ever had と言っていることから、その後に出てくる the best という言葉には常に、the best sex のイメージが付いて回っている気がします。
ですから、上のチャンドラーの the best you've ever had という表現も、ただの the best ではなくて、the best sex と表現するのをあえて the best で止めているような気がするのですね。
the best だけで、何がベストだと言っているのかがわかるからでしょうし、具体的な名詞を挙げないことで、却って the best sex を指しているのを強調している気がするのです。
with me と言う代わりに、with "the best you've ever had" と表現する感覚は、自分自身のことを、Mr."the best (sex) you've ever had" 「ミスター・史上最高の sex、史上最高の sex くん」と表現している感覚に近い気がします。
そういう「人」のイメージがあると考えると、レイチェルが言った最初のフレーズ、this guy who's the best sex she ever had で、人を表す関係代名詞である who が使われている理由も納得できる気がします。
つまり、this guy is the best sex she ever had という意味になるわけですが、the best sex が「行為」を指すとすると、who が使われるのは違和感がある、the best sex を Mr. "the best sex..." みたいな意味で使っているとすると、who でも納得できる気がするのです。
モニカは俺を「史上最高のエッチ(の相手)」だと思ってるんだろ? その男との時間を予約したいんじゃないのかな?」と言ってチャンドラーは誘っているわけですが、そこまで言っているのに(笑)、モニカはあっさり「パスするわ」と言っています。
champ は champion ですから、自分を史上最高だと言って得意気なチャンドラーに対して、「自信満々のチャンピオンさん」と呼びかける感覚でしょう。
いつもなら二人きりになるとすぐ始めようとするのに(笑)、今回はあっさり断られてしまい、チャンドラーは理由を尋ねます。
それに対して、言葉では説明せずに、チャンドラーのハッピーダンスを大袈裟に真似してみせるモニカ。
エッチしたら、また「俺は史上最高なんだよ!」と大喜びしちゃって、このダンスを始めちゃうでしょ?と言いたいのですね。
バカにしたようにチャンドラーのダンスを真似するモニカを見つめていたチャンドラーのセリフ、What's your point? 「何が言いたいの?」が何だか妙におかしいです。
「そのダンスをバカにしてるの? それを踊る俺がバカだとでも言いたいわけ?」という気持ちでしょうが、口で説明せずに、ダンスの真似だけで理由を語ろうとするモニカに対して、「で、モニカの話のポイントは何だ? いったいそのダンスで何が言いたいんだ?」とむすっとした顔で言っているわけで、(うまく説明できないのですが)私は思わず笑ってしまいました。
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チャンドラーの部屋に、モニカが入ってきます。
モニカ: Uh, listen, I need that broiling pan that Joey borrowed the other day. (あぁ、ねぇ、こないだジョーイが借りてった、あのブロイラーパン(焼肉用の皿)が必要なんだけど。)
チャンドラー: Oh, that was yours? Uh, yeah, we used it when the duck was throwing up caterpillars. (あぁ、あれはモニカのだったの? その、俺たちそれを使っちゃったんだよね、アヒルがイモ虫を吐いてた時にさ。)
モニカ: Williams-Sonoma, fall catalog, page 27. (ウィリアムズ・ソノマ、秋のカタログ、27ページ。)
チャンドラー: Expect it in 4 to 6 weeks. (She starts to leave.) Umm, hey, umm, Joey's gonna be at the telethon for the rest of the day. We have the whole place to ourselves. (4週間後から6週間後までのお届けになります。[モニカは出て行こうとする] あのー、ほら、あのさ、ジョーイは今日ずっとテレソンに出てるよ。この部屋全部、俺たちが独占できるんだけど。)
モニカ: Yeah, so? (そう。それで?)
チャンドラー: Well, I just thought maybe you'd wanna book some time with "the best you've ever had." (えーっと、多分、モニカは「史上最高(のエッチ)」との時間を予約したいと思ってるかな、って思っただけだけど。)
モニカ: Y'know what, champ? I think I'll pass. (ねぇ、チャンプ。私はパスするわ。)
チャンドラー: Why? (どうして?)
モニカ: Why? (She hops into the living room and imitates Chandler's happy dance.) (どうして、ですって? [モニカはリビングの方にぴょんと飛んで、チャンドラーのハッピーダンスを真似する])
チャンドラー: What's your point? (何が言いたいの?)
broil は「(肉を)直火で焼く」。broiler は「ブロイラー、焼肉用の若鶏」「焼肉用の器具」になります。
pan はフライパンのパンで「浅いなべ」または「オーブン用の皿」を意味します。
broiling pan は「直火で焼くためのパン」ということになりますが、英辞郎に broiler pan が出ているので、それと同じものでしょう。
英辞郎では、
broiler pan=《料理》焼き皿、ブロイラー・パン◆オーブンに入れて焼くための皿。
とあります。
Google の画像検索では、broiling pan でも、broiler pan でも、どちらも同じような写真がヒットします。
焼けた肉汁が隙間から下に落ちるようになっている形状のものですね。
そのパンを返して欲しいというモニカに、チャンドラーは、「モニカからの借り物だって知らなくて、アヒルがイモ虫・毛虫を吐いた時の受け皿として使っちゃったよ…」と言っています。
それを聞いたモニカは、そのことを非難したりはせずに、ただ、Williams-Sonoma, fall catalog, page 27. とだけ言っています。
カタログの27ページ、という言葉だけでも何となくモニカの言いたいことは日本人にも想像できる気はしますね。
Williams-Sonoma がブランド名であることがわかればよりピンと来やすいでしょう。
Williams-Sonoma (ウィリアムズ・ソノマ)は、キッチン用品のお店、ブランドの名前です。
公式サイトはこちら。
Cookware, Cooking Utensils, Kitchen Decor & Gourmet Foods / Williams-Sonoma
ウィキペディアはこちら。
Wikipedia 英語版: Williams-Sonoma
フレンズ3-12その26 で、"Hold Everything" catalog (「ホールド・エブリシング」カタログ)という言葉が出てきた時に、それに関連して、ウィリアムズ・ソノマについても触れました。
私(モニカ)がよく購入しているキッチン用品「ウィリアムズ・ソノマ」のカタログに、そのパンが載ってるから、忘れずに注文しといてよ、とモニカは言っているわけですね。
それを言うのに、「私が貸したパンをそんなことに使うなんて。弁償してもらうからね。それはカタログの p.27 に載ってるから…」などとくどくど説明せずに、「ウィリアムズ・ソノマ、秋のカタログ、27ページ」と単語だけ並べるところが、このセリフの面白さだと思います。
それに対してのチャンドラーの返事も面白いですね。
Expect it in 4 to 6 weeks. を直訳すると、「4〜6週間後にそのパンが着くのを期待して待て」みたいな命令形になりますが、それはつまり、「4〜6週間で、そのパンが届きますから、それまでしばらくお待ち下さいね」みたいな感じの意味になるでしょう。
多分、そのカタログにはよく「この商品の発送には、4〜6週間かかります」との注意書きが書いてある、そのイメージを使って、「ちゃんと注文しとくからさ。ちょっと時間がかかっちゃうけど待っててね」と言っているのですね。
この短いやり取りの中で、「カタログ見てちゃんと頼んどいてよ」「了解。6週間かかっちゃうかもしれないけど」と伝え合えている、お互いをよく知る長年の仲だからこそ言える「ノリ」みたいなものを感じていただけたら、と思います。
ブロイラーパンのことだけ言ってそのまま出て行こうとするモニカに、チャンドラーは声をかけます。
have...to oneself を直訳すると、「自分だけに…を持っている」ということで、は「…を独占する、独り占めする、自分(たち)だけで好きなように使う」という意味になります。
ジョーイはしばらく帰ってこないから、この部屋を二人だけで好きなように使えちゃうんだぜ、と言っているわけです。
このセリフだけでも、「今なら誰にも邪魔されずにエッチもできちゃうよ」と「誘っている」のはわかりますね。
しかし、モニカは Yeah, so? と返します。
それでチャンドラーは、「二人だけで部屋を使える」というボカした表現ではなくて、もう少し具体的に説明しています。
その I just thought maybe you'd wanna book some time with "the best you've ever had." というセリフについて。
book は「予約する」ですから、「モニカは多分 "the best you've ever had" との時間を予約したいと思ってるんじゃないかな、って俺は思っただけなんだよ」ということですね。
引用符で括られた "the best you've ever had" というのは、俺(チャンドラー)という「人」を表している感覚だと思います。
抽象的な言葉で「人」を表しているために、引用符でくくっているように思えます。
book some time with... の with という前置詞も、「(人)と一緒の[一緒に過ごす]時間を予約する」というニュアンスが感じられますしね。
「俺と一緒の時間を予約したいんじゃないの?」と言いながら、俺っていうのはつまり、モニカが言っていた、"the best you've ever had" なわけだけど、と、「史上最高の人、史上最高のエッチをした人」と言われたことを自分のキャッチフレーズとして使っている感覚かな、と思いました。
「史上最高」というフレーズについては、まず今回のエピソードの前半に、
レイチェル: I wanna meet this guy who's the best sex she ever had. (モニカのこれまでの最高のエッチ、っていうその男性に会いたいわ。)
というセリフがありました。(解説では飛ばしています)
このセリフから、モニカ本人がそのセリフを言うシーンはないながらも、そういう感想を親友のレイチェルには話した、ということがわかりますね。
その事実を知ったチャンドラーはとても嬉しくなって、
前回の記事、フレンズ5-4その3 で、
チャンドラー: I mean if this guy was me and it was me who had learned that it was me who was the best you'd ever had, (だって、もしこの男性が俺だったら、そして、君の今までの最高の(エッチの)相手が俺だってことを知ったら)
と言ったわけです。
(the) best という名詞には、「最上の人、最高の人」という意味があるので、the best you'd ever had は、「君の人生の中で最高の人」と訳すことも可能ですが、最初にレイチェルが、the best sex she ever had と言っていることから、その後に出てくる the best という言葉には常に、the best sex のイメージが付いて回っている気がします。
ですから、上のチャンドラーの the best you've ever had という表現も、ただの the best ではなくて、the best sex と表現するのをあえて the best で止めているような気がするのですね。
the best だけで、何がベストだと言っているのかがわかるからでしょうし、具体的な名詞を挙げないことで、却って the best sex を指しているのを強調している気がするのです。
with me と言う代わりに、with "the best you've ever had" と表現する感覚は、自分自身のことを、Mr."the best (sex) you've ever had" 「ミスター・史上最高の sex、史上最高の sex くん」と表現している感覚に近い気がします。
そういう「人」のイメージがあると考えると、レイチェルが言った最初のフレーズ、this guy who's the best sex she ever had で、人を表す関係代名詞である who が使われている理由も納得できる気がします。
つまり、this guy is the best sex she ever had という意味になるわけですが、the best sex が「行為」を指すとすると、who が使われるのは違和感がある、the best sex を Mr. "the best sex..." みたいな意味で使っているとすると、who でも納得できる気がするのです。
モニカは俺を「史上最高のエッチ(の相手)」だと思ってるんだろ? その男との時間を予約したいんじゃないのかな?」と言ってチャンドラーは誘っているわけですが、そこまで言っているのに(笑)、モニカはあっさり「パスするわ」と言っています。
champ は champion ですから、自分を史上最高だと言って得意気なチャンドラーに対して、「自信満々のチャンピオンさん」と呼びかける感覚でしょう。
いつもなら二人きりになるとすぐ始めようとするのに(笑)、今回はあっさり断られてしまい、チャンドラーは理由を尋ねます。
それに対して、言葉では説明せずに、チャンドラーのハッピーダンスを大袈裟に真似してみせるモニカ。
エッチしたら、また「俺は史上最高なんだよ!」と大喜びしちゃって、このダンスを始めちゃうでしょ?と言いたいのですね。
バカにしたようにチャンドラーのダンスを真似するモニカを見つめていたチャンドラーのセリフ、What's your point? 「何が言いたいの?」が何だか妙におかしいです。
「そのダンスをバカにしてるの? それを踊る俺がバカだとでも言いたいわけ?」という気持ちでしょうが、口で説明せずに、ダンスの真似だけで理由を語ろうとするモニカに対して、「で、モニカの話のポイントは何だ? いったいそのダンスで何が言いたいんだ?」とむすっとした顔で言っているわけで、(うまく説明できないのですが)私は思わず笑ってしまいました。
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2010年08月21日
仮定法を使って本音を述べる フレンズ5-4その3
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[Scene: Monica and Rachel's, Phoebe, Rachel, and Monica are there.]
モニカとレイチェルの部屋。フィービー、レイチェル、モニカがそこにいる。
フィービー: I cannot believe I can't find a selfless good deed. Y'know that really old guy that lives next to me? Well, I snuck over there and, and raked up all the leaves on his front stoop. But he caught me, and force-fed me cider and cookies. Then I felt wonderful. That old jackass! (私利私欲のない善行(の存在)を見つけることができないなんて信じられない。私の隣に住んでる、あのかなり高齢のおじいさんを知ってるでしょ? 私はこっそりおじいさんのところに行って、玄関の前の階段の落ち葉を全部、かき集めてあげたのよ。でもそのおじいさんに(そうしているところを)見つかっちゃって、リンゴジュースとクッキーを無理やりごちそうになっちゃったの。それで私は良い気分になっちゃった。あのくそじじいめ!)
レイチェル: Maybe Joey's right. Maybe all good deeds are selfish. (多分、ジョーイが正しいのよ。多分、善行はすべて利己的なことなんだわ。)
フィービー: I will find a selfless good deed. Because I just gave birth to three children and I will not let them be raised in a world where Joey is right! (私は私利私欲のない善行を見つけるわ。だって私は3人の子供を産み落としたばかりで、ジョーイの考えが正しいような世界でその子たちが育つのを許すわけにはいかないもの。)
ジョーイに、selfless good deed (私利私欲のない・利己的でない善行)などは存在しないと言われ反論したフィービーは、何とかその存在を見つけ出そうとしています。
snuck は、sneak 「こそこそ入る・出る、こっそり近づく」の過去形ですね。
stoop は「玄関口の階段」。発音は「ストゥープ」という感じです。
rake は名詞で「(落ち葉をかき集めるための)レーキ、くま手」なので、それを動詞にすると、「(レーキなどで)(落ち葉など)をかき集める」になります。
catch は「捕らえる、つかまえる」ですが、この場合は「(人が)(何かをしているところを)見つける」という感覚ですね。
日本語でも「二人のデート現場をキャッチ」などと言ったりしますので、その感覚はわかりやすい気がします。
相手に気づかれないようにやっていたつもりがその現場を見られてしまって、「あ! 見つかっちゃった!」となってしまった感じ。
force-feed は、force 「(人)に無理やり…させる」と、feed 「(人)に食物を与える」という意味の通り、「(人)に無理やり・強制的に食べ物を与える」という意味。
この場合は、口を無理やり開けさせて食べ物を突っ込むわけではなく(笑)、結構です、と遠慮しているのに、「まぁそう言わずに食べなさい」と強く勧められて断れなかった、ということですね。
cider は日本語の「サイダー」ではなくて、「リンゴジュース」の意味。
フレンズ3-2その1 でも、cider について解説しています。
jackass は「まぬけ、ばか」みたいな悪口なので、that old jackass は「あの年老いたバカ」→「くそじじい」みたいな悪態をつく表現になります。
せっかく、相手に気づかれないように善行をして、a selfless good deed の存在を証明しようとしたのに、大袈裟に感謝されちゃって気分良くなっちゃったじゃない、あのじいさんのせいで!みたいな気持ちですね。
やっぱりジョーイの言うようにすべての善行は selfish なのよ、とレイチェルに言われ、フィービーは必死に反論します。
I will not let them be raised in a world where Joey is right. は「…という世界で、私が産んだばかりの3人の子供を育たせないわ」みたいなことですね。
raise は「(子供)を育てる」という意味で、be raised in という過去分詞として使われる場合は、「…で育つ」という感覚になります。
be born and raised in... 「…で生まれ育つ、生まれも育ちも…である」は決まり文句ですね。
world は「(私たちが生きているこの)世界」を指す場合は、通常、the が付きます。
今回のセリフでは、a world where Joey is right となっていますが、いろいろな世界が存在する中の一つの世界として、「ジョーイの考えが正しいとされる世界」を語っているので、a という不定冠詞がついている、ということになります。
チャンドラー: (entering) Hey, Monica? Can I ask you a cooking question? ([入ってきて] ねぇ、モニカ? 料理の質問していい?)
モニカ: Sure. (いいわ。)
チャンドラー: If you're cooking on the stove, does that mean that your new secret boyfriend is better in bed than Richard? (コンロで料理しているとすると、それはつまり、君の新しい恋人は、(元彼の)リチャードより(ベッドでの)エッチが上手ってこと?)
レイチェル: Chandler! (Pause) Is he? (チャンドラー! [少しの沈黙] そうなの?)
モニカ: Well, y'know I, I think I'm going to respect the privacy of my new, secret boyfriend. (そうねぇ、新しい秘密の恋人のプライバシーは尊重しようと思うの。)
チャンドラー: Why? I mean if this guy was me and it was me who had learned that it was me who was the best you'd ever had, I'd be going like this. (He jumps up onto the table and starts doing his happy dance.) (どうして? だって、もしこの男性が俺だったら、そして、君の今までの最高(のエッチの相手)が俺だってことを知ったら、俺はこんな感じになるよ。[チャンドラーはテーブルの上に飛び乗り、ハッピーダンスを始める])
モニカたちの部屋に入ってきたチャンドラーは、料理の質問をしていい?と言っています。
stove は日本語の「ストーブ、暖房機」という意味もありますが、ここでは「(料理用の)コンロ」という意味ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
stove [noun] [countable] : a piece of kitchen equipment on which you cook food in pots and pans, and that contains an OVEN
つまり、「その上で鍋(pot や pan)に入れた食物を調理する台所設備の一つ。その設備にはオーブンが含まれている」。
cook on the stove という、いかにも料理の質問ぽいフレーズを出していますが、does that mean that... 以下では、全く料理とは関係ないエッチの話にすり替わっています(笑)。
料理の質問がある、と言えば、モニカがその質問をちゃんと聞いてくれるとわかっていて、わざとそういう前振りをしたわけです。
この質問を聞かなかったふりはできないだろ、という感じですね。
その質問を聞いて、レイチェルはチャンドラーの太腿をぺしっと叩き、少しの間、沈黙しているのですが、Is he? と言っています。
「チャンドラーが言うように、新しい恋人はリチャードよりもスゴイの?」とレイチェルも興味津々なわけです。
respect the privacy of... はまさに直訳通りの「…のプライバシーを尊重する」。
エッチが上手いとか下手とか、そんな彼のプライバシーに関することはお答えしません、ということですね。
モニカが答えを拒絶した後のチャンドラーのセリフ、if this guy was me and it was me who... について。
これは典型的な「仮定法過去」の文章ですね。
「もしこの男性(モニカの新しい恋人)が俺だとしたら」と、新しいモニカの恋人の立場になって、自分の意見を述べているのです。
「モニカの新しい恋人」というのはチャンドラー自身なわけですが、それはまだ二人だけの秘密で、他のフレンズたちはそのことに気づいていません。
だから、「現実にはそうじゃないけど、もし俺がその新しい恋人だったとしたら」という「現在の事実に反対の仮定」を表す仮定法過去を使っているわけです。
それは同時にモニカに対して、「俺の本音はこうだよ」と説明していることにもなりますね。
「俺がもし彼だったら知りたい」→「モニカの恋人本人として、今それを知りたいなぁ。みんなの前ではっきり言ってくれないかなぁ?」と言っていることになります。
(if) it was me who had learned that it was me who was the best you'd ever had というのは、it was me who というフレーズが2回も出てくる長い文章ですが、聞こえた順番に前からイメージしていくとわかりやすいかな、と思います。
「…を知ったのが俺なら」→「(何を知ったかと言うと)…は俺であること」→「(何が俺であるかと言うと)モニカが今まで持った中の最高であること」という流れになります。
君のこれまでで最高のエッチの相手だって知ったら、俺はこんな風に喜んじゃうよ、と、チャンドラーはいつもの喜びのダンスを踊っていますね。
フレンズ5-3その5 で、喜びのあまりそれを踊ろうとして、モニカに Don't do the dance. と言われたあのダンスです。
モニカは見たくない、という顔で目をそむけた後、いつまでも踊っているチャンドラーをあきれたように見上げているのも面白いですね。
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モニカとレイチェルの部屋。フィービー、レイチェル、モニカがそこにいる。
フィービー: I cannot believe I can't find a selfless good deed. Y'know that really old guy that lives next to me? Well, I snuck over there and, and raked up all the leaves on his front stoop. But he caught me, and force-fed me cider and cookies. Then I felt wonderful. That old jackass! (私利私欲のない善行(の存在)を見つけることができないなんて信じられない。私の隣に住んでる、あのかなり高齢のおじいさんを知ってるでしょ? 私はこっそりおじいさんのところに行って、玄関の前の階段の落ち葉を全部、かき集めてあげたのよ。でもそのおじいさんに(そうしているところを)見つかっちゃって、リンゴジュースとクッキーを無理やりごちそうになっちゃったの。それで私は良い気分になっちゃった。あのくそじじいめ!)
レイチェル: Maybe Joey's right. Maybe all good deeds are selfish. (多分、ジョーイが正しいのよ。多分、善行はすべて利己的なことなんだわ。)
フィービー: I will find a selfless good deed. Because I just gave birth to three children and I will not let them be raised in a world where Joey is right! (私は私利私欲のない善行を見つけるわ。だって私は3人の子供を産み落としたばかりで、ジョーイの考えが正しいような世界でその子たちが育つのを許すわけにはいかないもの。)
ジョーイに、selfless good deed (私利私欲のない・利己的でない善行)などは存在しないと言われ反論したフィービーは、何とかその存在を見つけ出そうとしています。
snuck は、sneak 「こそこそ入る・出る、こっそり近づく」の過去形ですね。
stoop は「玄関口の階段」。発音は「ストゥープ」という感じです。
rake は名詞で「(落ち葉をかき集めるための)レーキ、くま手」なので、それを動詞にすると、「(レーキなどで)(落ち葉など)をかき集める」になります。
catch は「捕らえる、つかまえる」ですが、この場合は「(人が)(何かをしているところを)見つける」という感覚ですね。
日本語でも「二人のデート現場をキャッチ」などと言ったりしますので、その感覚はわかりやすい気がします。
相手に気づかれないようにやっていたつもりがその現場を見られてしまって、「あ! 見つかっちゃった!」となってしまった感じ。
force-feed は、force 「(人)に無理やり…させる」と、feed 「(人)に食物を与える」という意味の通り、「(人)に無理やり・強制的に食べ物を与える」という意味。
この場合は、口を無理やり開けさせて食べ物を突っ込むわけではなく(笑)、結構です、と遠慮しているのに、「まぁそう言わずに食べなさい」と強く勧められて断れなかった、ということですね。
cider は日本語の「サイダー」ではなくて、「リンゴジュース」の意味。
フレンズ3-2その1 でも、cider について解説しています。
jackass は「まぬけ、ばか」みたいな悪口なので、that old jackass は「あの年老いたバカ」→「くそじじい」みたいな悪態をつく表現になります。
せっかく、相手に気づかれないように善行をして、a selfless good deed の存在を証明しようとしたのに、大袈裟に感謝されちゃって気分良くなっちゃったじゃない、あのじいさんのせいで!みたいな気持ちですね。
やっぱりジョーイの言うようにすべての善行は selfish なのよ、とレイチェルに言われ、フィービーは必死に反論します。
I will not let them be raised in a world where Joey is right. は「…という世界で、私が産んだばかりの3人の子供を育たせないわ」みたいなことですね。
raise は「(子供)を育てる」という意味で、be raised in という過去分詞として使われる場合は、「…で育つ」という感覚になります。
be born and raised in... 「…で生まれ育つ、生まれも育ちも…である」は決まり文句ですね。
world は「(私たちが生きているこの)世界」を指す場合は、通常、the が付きます。
今回のセリフでは、a world where Joey is right となっていますが、いろいろな世界が存在する中の一つの世界として、「ジョーイの考えが正しいとされる世界」を語っているので、a という不定冠詞がついている、ということになります。
チャンドラー: (entering) Hey, Monica? Can I ask you a cooking question? ([入ってきて] ねぇ、モニカ? 料理の質問していい?)
モニカ: Sure. (いいわ。)
チャンドラー: If you're cooking on the stove, does that mean that your new secret boyfriend is better in bed than Richard? (コンロで料理しているとすると、それはつまり、君の新しい恋人は、(元彼の)リチャードより(ベッドでの)エッチが上手ってこと?)
レイチェル: Chandler! (Pause) Is he? (チャンドラー! [少しの沈黙] そうなの?)
モニカ: Well, y'know I, I think I'm going to respect the privacy of my new, secret boyfriend. (そうねぇ、新しい秘密の恋人のプライバシーは尊重しようと思うの。)
チャンドラー: Why? I mean if this guy was me and it was me who had learned that it was me who was the best you'd ever had, I'd be going like this. (He jumps up onto the table and starts doing his happy dance.) (どうして? だって、もしこの男性が俺だったら、そして、君の今までの最高(のエッチの相手)が俺だってことを知ったら、俺はこんな感じになるよ。[チャンドラーはテーブルの上に飛び乗り、ハッピーダンスを始める])
モニカたちの部屋に入ってきたチャンドラーは、料理の質問をしていい?と言っています。
stove は日本語の「ストーブ、暖房機」という意味もありますが、ここでは「(料理用の)コンロ」という意味ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
stove [noun] [countable] : a piece of kitchen equipment on which you cook food in pots and pans, and that contains an OVEN
つまり、「その上で鍋(pot や pan)に入れた食物を調理する台所設備の一つ。その設備にはオーブンが含まれている」。
cook on the stove という、いかにも料理の質問ぽいフレーズを出していますが、does that mean that... 以下では、全く料理とは関係ないエッチの話にすり替わっています(笑)。
料理の質問がある、と言えば、モニカがその質問をちゃんと聞いてくれるとわかっていて、わざとそういう前振りをしたわけです。
この質問を聞かなかったふりはできないだろ、という感じですね。
その質問を聞いて、レイチェルはチャンドラーの太腿をぺしっと叩き、少しの間、沈黙しているのですが、Is he? と言っています。
「チャンドラーが言うように、新しい恋人はリチャードよりもスゴイの?」とレイチェルも興味津々なわけです。
respect the privacy of... はまさに直訳通りの「…のプライバシーを尊重する」。
エッチが上手いとか下手とか、そんな彼のプライバシーに関することはお答えしません、ということですね。
モニカが答えを拒絶した後のチャンドラーのセリフ、if this guy was me and it was me who... について。
これは典型的な「仮定法過去」の文章ですね。
「もしこの男性(モニカの新しい恋人)が俺だとしたら」と、新しいモニカの恋人の立場になって、自分の意見を述べているのです。
「モニカの新しい恋人」というのはチャンドラー自身なわけですが、それはまだ二人だけの秘密で、他のフレンズたちはそのことに気づいていません。
だから、「現実にはそうじゃないけど、もし俺がその新しい恋人だったとしたら」という「現在の事実に反対の仮定」を表す仮定法過去を使っているわけです。
それは同時にモニカに対して、「俺の本音はこうだよ」と説明していることにもなりますね。
「俺がもし彼だったら知りたい」→「モニカの恋人本人として、今それを知りたいなぁ。みんなの前ではっきり言ってくれないかなぁ?」と言っていることになります。
(if) it was me who had learned that it was me who was the best you'd ever had というのは、it was me who というフレーズが2回も出てくる長い文章ですが、聞こえた順番に前からイメージしていくとわかりやすいかな、と思います。
「…を知ったのが俺なら」→「(何を知ったかと言うと)…は俺であること」→「(何が俺であるかと言うと)モニカが今まで持った中の最高であること」という流れになります。
君のこれまでで最高のエッチの相手だって知ったら、俺はこんな風に喜んじゃうよ、と、チャンドラーはいつもの喜びのダンスを踊っていますね。
フレンズ5-3その5 で、喜びのあまりそれを踊ろうとして、モニカに Don't do the dance. と言われたあのダンスです。
モニカは見たくない、という顔で目をそむけた後、いつまでも踊っているチャンドラーをあきれたように見上げているのも面白いですね。
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2010年08月19日
新妻のために元妻が引っ越す フレンズ5-4その2
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セントラルパークにロスが入ってきます。
ロス: Well, Emily's willing to work on the relationship. (えーっと、エミリーは(僕たちの)関係について努力することはいとわない、って。)
モニカ: That's great! (それは良かったわね!)
チャンドラー: Yes! (そうだよ!)
ロス: In London! (ロンドン、でね!)
モニカ: What? (何ですって?)
ロス: She wants me to move to London. (エミリーは僕がロンドンに引っ越すことを望んでるんだ。)
モニカ: But you live here. (Ross rolls his eyes.) You know that. (でもロスはここに住んでるのよ。[ロスはあきれたように目をグルグル回す] ロスはそんなこと、わかってるわよね。)
レイチェル: What, what, what are you gonna do? (あなたはどうするつもりなの?)
ロス: I bet if I talk to Carol and Susan I could convince them to move to London... with Ben. (キャロルとスーザンに話をしたら、二人をロンドンに引っ越すように説得できるんじゃないかな、って思うんだ。ベンも一緒にね。)
モニカ: Yeah, I'm sure your ex-wife would be more than happy to move to another country so you can patch things up with your new wife. (ええ。私も間違いないって思うわ。あなたが新妻と事態を収拾できるように、あなたの元妻は別の国に引っ越すのをすごく嬉しく思うだろう、ってね。)
ロス: It could happen. ([少しの沈黙の後] あり得るかもよ。)
willing to do は「…するのをいとわないで、…してもかまわない」。
フレンズ4-2その4 でも、be willing to do のニュアンスについて説明しています。
work on は「…に取り組む、…に励む」ということなので、ここでは「…について努力する」のような意味になります。
やっとエミリーが関係修復に前向きになったことを喜ぶフレンズたちですが、ロスは、In London! だと大きな声で言っています。
エミリーはイギリスで一からやり直そうと言っているのですね。
エミリーは僕にイギリスに来るように言ってるんだ、と説明するロスに、モニカは But you live here. と反射的に返してしまいます。
ト書きの roll one's eyes は文字通り、「目をグルグル回す」こと。
映像でもロスは目をぐるっと回していますが、そこには、あまりにも当たり前の事実を口に出して言ったモニカに対する「あきれた」気持ちが出ています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
roll your eyes : to move your eyes around and up, especially in order to show that you are annoyed
例) My friends roll their eyes when I mention her name.
つまり、「目を回し、上へ動かすこと。特に自分がむっとしていることを示すために」。
例文は、「私が彼女の名前を出すと、友達は目をぐるっと回した(あきれてむっとした顔をした)。」
今回のエピソードでは、これより前のシーンで、「私利私欲のない善行」(unselfish good deeds, selfless good deeds)があるかないかで不毛な会話をしているジョーイとフィービーの間に座っているチャンドラーについても、Chandler rolls his eyes. というト書きが入っていました。
上のロスのセリフは、「そんなこと言われなくてもわかってるさ!」という気持ちを口に出して言う気も起こらないほど、あきれている感じですね。
そんなロスの表情を見て、ロスの言いたいことを察したモニカは、自分から「そんなこと、あなたはわかってるわよね、当然」と言っているのです。
ロスがアメリカを離れたくない理由は、「息子のベンがいるから」だと、ロスは以前から言っていました。
今回の件も、それがネックになっているようですね。
対策として、元妻のキャロルたちをイギリスに住むように説得できたら、ベンも一緒に行くことになるし…などと言っています。
bet は元々「(金などを)賭(か)ける」という意味なので、「I bet (that)+文」の形で使うと、「…だと主張する、断言する」「きっと…だと思う」のような意味になります。
could で少し表現が婉曲になっていますので、ベンたちをロンドンに移住させることができる可能性はあると思ってるんだ、というところですね。
それを聞いてモニカは、I'm sure 「私は…を確信しているわ、きっと…よね」という言葉を使って、ロスがやろうとしていることを、少し言葉を変えて表現しています。
more than は happy を修飾してその意味を強めていて、「より以上に、十二分に」というニュアンス。
patch は「つぎあて」の「パッチ」で、動詞では「…に継ぎ(つぎ)を当てる、あて布を当てる」「修繕する」という意味になります。
そこからもっと抽象的な意味での「(喧嘩など)を収める、収拾する、修復する」という意味にもなるのですね。
things は「物事、事態」という感覚なので、patch things up で「事態を収拾する」という感じになります。
LAAD では、
patch something/somebody up, patch up something/somebody [phrasal verb] : to end an argument because you want to stay friendly with someone
例) They made an effort to patch up their marriage.
Do you think you two can patch things up?
つまり、「誰かと友好的な関係でいたいから、口論をやめること」。
例文は、「彼らは結婚を修復するための努力をした。」「あなたがた二人は事態を修復できると思いますか?」
まさに上の LAAD の例文は、今回の状況にぴったりです。
モニカのセリフのキーワードは「元妻」「新妻」「別の国」ですね。
「ええ、私も確信してるわ」と言いながら、その実、「そんなことあり得ないじゃない、常識で考えてみなさいよ」と言いたい気持ちが出ています。
元夫が結婚したばかりの新妻と関係を修復するために(するため”だけ”に)、元妻がパートナーと子供を連れて遠い異国に引っ越す…なんてこと、普通はあり得ないでしょ!とモニカは言いたいのですね。
ロスがよく認識できていない厳しい現実を突きつける形で、でも言葉上では「確かにそういう引越しに、キャロルは喜んで応じてくれると思うわぁー」と皮肉を言っているわけです。
もちろんロスにはその皮肉がわかったので、しばらく絶句した後に、「あり得ないとはいえない、あるかもしれない」みたいに負け惜しみのセリフを言うことになるのですね。
このロスとモニカのやり取りは、文字通りに訳してみると、I bet に対して Yeah, I'm sure と返しているわけですから、「僕はこう思うんだ」「えぇ、私もきっとそうだと思うわ」と肯定している形になるのですが、実際のところは「そりゃそうよねー、キャロルはその話を聞いたらきっと喜ぶわよねぇー?」と思い切り皮肉を言っている、そのやり取りを感じていただけたらと思っています。
TOEIC のような試験では、こういう皮肉はまず登場しませんよね。
でも実際の会話は、ドラマや映画のように、ちょっと皮肉を言ってみたり、わざと反語的表現を使ってみたり、ということはよくあります。
親しくなるほど、そういう会話の味付けも増えてきますし、そういうのが理解できて初めて「会話が楽しめる」と言える気がします。
無味乾燥ではない会話の妙を楽しめるのも、生きた会話で英語を学ぶ楽しみの一つだと思っています。
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セントラルパークにロスが入ってきます。
ロス: Well, Emily's willing to work on the relationship. (えーっと、エミリーは(僕たちの)関係について努力することはいとわない、って。)
モニカ: That's great! (それは良かったわね!)
チャンドラー: Yes! (そうだよ!)
ロス: In London! (ロンドン、でね!)
モニカ: What? (何ですって?)
ロス: She wants me to move to London. (エミリーは僕がロンドンに引っ越すことを望んでるんだ。)
モニカ: But you live here. (Ross rolls his eyes.) You know that. (でもロスはここに住んでるのよ。[ロスはあきれたように目をグルグル回す] ロスはそんなこと、わかってるわよね。)
レイチェル: What, what, what are you gonna do? (あなたはどうするつもりなの?)
ロス: I bet if I talk to Carol and Susan I could convince them to move to London... with Ben. (キャロルとスーザンに話をしたら、二人をロンドンに引っ越すように説得できるんじゃないかな、って思うんだ。ベンも一緒にね。)
モニカ: Yeah, I'm sure your ex-wife would be more than happy to move to another country so you can patch things up with your new wife. (ええ。私も間違いないって思うわ。あなたが新妻と事態を収拾できるように、あなたの元妻は別の国に引っ越すのをすごく嬉しく思うだろう、ってね。)
ロス: It could happen. ([少しの沈黙の後] あり得るかもよ。)
willing to do は「…するのをいとわないで、…してもかまわない」。
フレンズ4-2その4 でも、be willing to do のニュアンスについて説明しています。
work on は「…に取り組む、…に励む」ということなので、ここでは「…について努力する」のような意味になります。
やっとエミリーが関係修復に前向きになったことを喜ぶフレンズたちですが、ロスは、In London! だと大きな声で言っています。
エミリーはイギリスで一からやり直そうと言っているのですね。
エミリーは僕にイギリスに来るように言ってるんだ、と説明するロスに、モニカは But you live here. と反射的に返してしまいます。
ト書きの roll one's eyes は文字通り、「目をグルグル回す」こと。
映像でもロスは目をぐるっと回していますが、そこには、あまりにも当たり前の事実を口に出して言ったモニカに対する「あきれた」気持ちが出ています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
roll your eyes : to move your eyes around and up, especially in order to show that you are annoyed
例) My friends roll their eyes when I mention her name.
つまり、「目を回し、上へ動かすこと。特に自分がむっとしていることを示すために」。
例文は、「私が彼女の名前を出すと、友達は目をぐるっと回した(あきれてむっとした顔をした)。」
今回のエピソードでは、これより前のシーンで、「私利私欲のない善行」(unselfish good deeds, selfless good deeds)があるかないかで不毛な会話をしているジョーイとフィービーの間に座っているチャンドラーについても、Chandler rolls his eyes. というト書きが入っていました。
上のロスのセリフは、「そんなこと言われなくてもわかってるさ!」という気持ちを口に出して言う気も起こらないほど、あきれている感じですね。
そんなロスの表情を見て、ロスの言いたいことを察したモニカは、自分から「そんなこと、あなたはわかってるわよね、当然」と言っているのです。
ロスがアメリカを離れたくない理由は、「息子のベンがいるから」だと、ロスは以前から言っていました。
今回の件も、それがネックになっているようですね。
対策として、元妻のキャロルたちをイギリスに住むように説得できたら、ベンも一緒に行くことになるし…などと言っています。
bet は元々「(金などを)賭(か)ける」という意味なので、「I bet (that)+文」の形で使うと、「…だと主張する、断言する」「きっと…だと思う」のような意味になります。
could で少し表現が婉曲になっていますので、ベンたちをロンドンに移住させることができる可能性はあると思ってるんだ、というところですね。
それを聞いてモニカは、I'm sure 「私は…を確信しているわ、きっと…よね」という言葉を使って、ロスがやろうとしていることを、少し言葉を変えて表現しています。
more than は happy を修飾してその意味を強めていて、「より以上に、十二分に」というニュアンス。
patch は「つぎあて」の「パッチ」で、動詞では「…に継ぎ(つぎ)を当てる、あて布を当てる」「修繕する」という意味になります。
そこからもっと抽象的な意味での「(喧嘩など)を収める、収拾する、修復する」という意味にもなるのですね。
things は「物事、事態」という感覚なので、patch things up で「事態を収拾する」という感じになります。
LAAD では、
patch something/somebody up, patch up something/somebody [phrasal verb] : to end an argument because you want to stay friendly with someone
例) They made an effort to patch up their marriage.
Do you think you two can patch things up?
つまり、「誰かと友好的な関係でいたいから、口論をやめること」。
例文は、「彼らは結婚を修復するための努力をした。」「あなたがた二人は事態を修復できると思いますか?」
まさに上の LAAD の例文は、今回の状況にぴったりです。
モニカのセリフのキーワードは「元妻」「新妻」「別の国」ですね。
「ええ、私も確信してるわ」と言いながら、その実、「そんなことあり得ないじゃない、常識で考えてみなさいよ」と言いたい気持ちが出ています。
元夫が結婚したばかりの新妻と関係を修復するために(するため”だけ”に)、元妻がパートナーと子供を連れて遠い異国に引っ越す…なんてこと、普通はあり得ないでしょ!とモニカは言いたいのですね。
ロスがよく認識できていない厳しい現実を突きつける形で、でも言葉上では「確かにそういう引越しに、キャロルは喜んで応じてくれると思うわぁー」と皮肉を言っているわけです。
もちろんロスにはその皮肉がわかったので、しばらく絶句した後に、「あり得ないとはいえない、あるかもしれない」みたいに負け惜しみのセリフを言うことになるのですね。
このロスとモニカのやり取りは、文字通りに訳してみると、I bet に対して Yeah, I'm sure と返しているわけですから、「僕はこう思うんだ」「えぇ、私もきっとそうだと思うわ」と肯定している形になるのですが、実際のところは「そりゃそうよねー、キャロルはその話を聞いたらきっと喜ぶわよねぇー?」と思い切り皮肉を言っている、そのやり取りを感じていただけたらと思っています。
TOEIC のような試験では、こういう皮肉はまず登場しませんよね。
でも実際の会話は、ドラマや映画のように、ちょっと皮肉を言ってみたり、わざと反語的表現を使ってみたり、ということはよくあります。
親しくなるほど、そういう会話の味付けも増えてきますし、そういうのが理解できて初めて「会話が楽しめる」と言える気がします。
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2010年08月17日
俺の好きな足し算 フレンズ5-4その1
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シーズン5 第4話
The One Where Phoebe Hates PBS (ロスが選ぶのはどっち?)
原題は「フィービーは PBS が大嫌い、の話」
タキシードを着て、モニカたちの部屋に入ってきたジョーイは、その理由を説明します。
ジョーイ: Well, I'm doing this telethon thing on TV. And my agent got me a job as cohost! (えっと、テレビで、テレソン(24時間テレビ)をやる予定なんだ。そしてエージェントが俺に共同司会者の仕事をゲットしてくれたんだよ!)
モニカ: Oh, that's great! (まぁ、それはすごいわね!)
ジョーイ: Yeah. A little uh, good deed for PBS, plus some TV exposure. That's the kind of math Joey likes to do. (そうなんだよ。ちょっとした、ほら、PBS に対する善行だよ。プラス、テレビに出ることもできるしね。それって、ジョーイが好きなタイプの計算だろ。)
フィービー: Ugh, PBS! (あー、PBS!)
モニカ: What's wrong with PBS? (PBS がどうかしたの[PBS に何か悪いことでもあるの]?)
フィービー: Ugh, what's right with them? (あー、PBS に何か良いことでもあるの?)
ジョーイ: Why don't you like PBS, Pheebs? (どうして PBS が嫌いなの、フィービー?)
フィービー: Okay, 'cause right after my mom killed herself, I was just in this really bad place, y'know personally. So, I just thought that it'd make me feel better if I wrote to Sesame Street, 'cause they were so nice when I was a little kid. No one ever wrote back. (いいわ。その理由はこうよ。私のママが自殺した直後に、私は本当にひどい状況にいたのよ、ほら、個人的にね。それでこう考えたの。もしセサミストリートに手紙を書いたら、気分が良くなるんじゃないか、って。だって私が小さい頃、その番組はとても優しかったから。(でも)誰も返事をくれなかった。)
チャンドラー: Well y'know a lot of those muppets don't have thumbs. (そうだな、ほら、そういうマペットたちは親指がないのが多いから。)
フィービー: All I got was a lousy keychain. And by that time, I was living in a box. I didn't have keys! (私がもらったのは、くだらないキーチェーンだったわ。そしてその時まで、私は箱に住んでたの。カギなんか持ってなかったわ!)
ジョーイは telethon という言葉を使っています。
その発音から、何となくイメージはわかりますが、telethon とは「テレビマラソン」の略ですね。
英辞郎では、
telethon=【名】テレソン、長時間テレビ放送、24時間テレビ◆テレビ+マラソン。TELE-vision + mara-THON
と出ています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
telethon : [noun] [countable] a special television program in which famous people provide entertainment and ask people to give money to help other people.
つまり、「有名な人々がエンターテインメントを提供し、他の人を助けるためのお金を募金してくれるようにお願いする、特別なテレビ番組」。
日本でもこの夏休みの時期によくそういうチャリティー番組がありますよね。
あれを英語では、telethon と言うわけです。
deed は「行為、行動、行い」なので、good deed は文字通り「善行、善い行い」になります。
PBS は Public Broadcasting Service の略で、日本のNHK教育テレビのようなもの。
Wikipedia 英語版: Public Broadcasting Service
過去記事、フレンズ2-12その11 や、フレンズ3-12その14 でも、PBS について簡単に説明していますが、Barney & Friends、Sesame Street(セサミストリート)、Between the Lions(ライオンたちとイングリッシュ)、ZOOM などの子供向け番組が PBS で放送されたものとして挙げられます。
「セサミストリート」や「ライオンたちとイングリッシュ」は、実際に日本の教育テレビで放映されていましたので、PBS が NHK教育テレビみたいなもの、というのもすんなり納得できますね。
ジョーイは、plus 「プラス」という言葉を使っています。
この plus は「そのうえ」という意味の接続詞。
研究社 新英和中辞典では、
plus=【接】《口語》 そしてまた、そのうえ
We arrived late, plus we were hungry. 「遅く着いてそのうえ空腹だった」 (注:この用法には反対する人もいる)
と説明されています。
「この用法には反対する人もいる」とあるので、「正式な用法」とはいえないのかもしれませんが、以下のように LAAD にも載っているので、全くダメということでもない気はします。
LAAD では、
plus : [conjunction] (informal) used to add more information
例) He's really cute, plus he's got a good job.
You need a birth certificate, plus a photo I.D.
つまり、「さらに情報を付け加える時に用いられる」。
例文は、「彼はとってもセクシーで、その上、良い仕事をゲットした。」
「あなたは出生証明書、さらには写真付き身分証明書が必要です。」
日本語でも同じようなニュアンスで「プラス」という言葉を使ったりしますので、日本人にもすんなり理解できますし、同じような感覚ですぐに使えるようにもなりそうな便利な表現ですね。
exposure は「露出」。「人前に出ること」「テレビなどに出演すること」も指します。
日本語でも、「最近、あの人はテレビでの露出も増えてきた」などと言いますよね。
That's the kind of math Joey likes to do. について。
do the math は「計算する」。
フレンズ1-9その4 でも、
ジョーイ: I got one keyhole and a zillion keys! You do the math. (一つの鍵穴に対して、数え切れないくらいのカギがあるんだ。計算してくれよ。)
というセリフもありました。
自分でプラス(+)という言葉を使ったことに対して、「PBS への善行+テレビでの露出」という式は、俺が計算するのが好きなタイプの式だからね、と言っているのですね。
数字が得意なチャンドラーに比べて、計算は苦手なタイプのジョーイですが、「こういう足し算は好きだから」と言っているわけです。
PBS の話題が出て、フィービーは見るからにいやそうな顔をして、いやそうな声を出しています。
What's wrong with...? は「…のどこが悪いの?、なぜ…はダメなの?」という決まり文句。
そう尋ねられてフィービーは、What's right with them? 「…のどこが良いの? なぜ…は良いの?」と返しています。
What's right with...? という表現は一般的ではないでしょうが、wrong という言葉を使って質問してきたモニカに対して、正反対の right という言葉で「じゃあ逆に、PBS の何が良いって言えるのよ?」と、反抗的に返した、ということでしょう。
「どうして…するの?」と聞かれて、「じゃあ逆に、どうして…しないの?」と聞き返すのと同じパターンですね。
フィービーは PBS を嫌いな理由を説明しています。
子供の頃、あの番組が好きだったから、ママの自殺後に落ち込んでいる時に手紙を書いたんだけど、返事をくれなかったのよ、というのがその理由です。
「返事を書こうにも、マペットのあの手の形状じゃ、手紙を書けなかったんじゃないかな」とチャンドラーは言っています。
ヒューマノイドタイプのキャラも結構いるように思うのですが(笑)、実際のところは返事を書くのは番組のスタッフだとわかっていながら、「マペットには返事を書くのは無理だったんだよ」とジョークを言っているのですね。
返事の代わりに、PBS はキーチェーンを送ってきた、と言ってフィービーは怒っています。
その頃まで私は「箱」に住んでいた、と言っていますが、これは恐らく、路上生活をしていた、ということでしょう。
フィービーが若い頃、street で生活していた、という話はこれまでにも何度か出てきましたしね。
カギがついているようなまともな家じゃない、箱みたいなところに住んでいたから、カギなんて持ってなかったのよ。そんな私にキーチェーンなんか送ってきて!と怒っているわけです。
PBS としては感謝の気持ちを込めて、ロゴ入りのチェーンを送ってきたのでしょうが、それが却ってフィービーの怒りを増幅させることになってしまった、という流れですね。
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The One Where Phoebe Hates PBS (ロスが選ぶのはどっち?)
原題は「フィービーは PBS が大嫌い、の話」
タキシードを着て、モニカたちの部屋に入ってきたジョーイは、その理由を説明します。
ジョーイ: Well, I'm doing this telethon thing on TV. And my agent got me a job as cohost! (えっと、テレビで、テレソン(24時間テレビ)をやる予定なんだ。そしてエージェントが俺に共同司会者の仕事をゲットしてくれたんだよ!)
モニカ: Oh, that's great! (まぁ、それはすごいわね!)
ジョーイ: Yeah. A little uh, good deed for PBS, plus some TV exposure. That's the kind of math Joey likes to do. (そうなんだよ。ちょっとした、ほら、PBS に対する善行だよ。プラス、テレビに出ることもできるしね。それって、ジョーイが好きなタイプの計算だろ。)
フィービー: Ugh, PBS! (あー、PBS!)
モニカ: What's wrong with PBS? (PBS がどうかしたの[PBS に何か悪いことでもあるの]?)
フィービー: Ugh, what's right with them? (あー、PBS に何か良いことでもあるの?)
ジョーイ: Why don't you like PBS, Pheebs? (どうして PBS が嫌いなの、フィービー?)
フィービー: Okay, 'cause right after my mom killed herself, I was just in this really bad place, y'know personally. So, I just thought that it'd make me feel better if I wrote to Sesame Street, 'cause they were so nice when I was a little kid. No one ever wrote back. (いいわ。その理由はこうよ。私のママが自殺した直後に、私は本当にひどい状況にいたのよ、ほら、個人的にね。それでこう考えたの。もしセサミストリートに手紙を書いたら、気分が良くなるんじゃないか、って。だって私が小さい頃、その番組はとても優しかったから。(でも)誰も返事をくれなかった。)
チャンドラー: Well y'know a lot of those muppets don't have thumbs. (そうだな、ほら、そういうマペットたちは親指がないのが多いから。)
フィービー: All I got was a lousy keychain. And by that time, I was living in a box. I didn't have keys! (私がもらったのは、くだらないキーチェーンだったわ。そしてその時まで、私は箱に住んでたの。カギなんか持ってなかったわ!)
ジョーイは telethon という言葉を使っています。
その発音から、何となくイメージはわかりますが、telethon とは「テレビマラソン」の略ですね。
英辞郎では、
telethon=【名】テレソン、長時間テレビ放送、24時間テレビ◆テレビ+マラソン。TELE-vision + mara-THON
と出ています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
telethon : [noun] [countable] a special television program in which famous people provide entertainment and ask people to give money to help other people.
つまり、「有名な人々がエンターテインメントを提供し、他の人を助けるためのお金を募金してくれるようにお願いする、特別なテレビ番組」。
日本でもこの夏休みの時期によくそういうチャリティー番組がありますよね。
あれを英語では、telethon と言うわけです。
deed は「行為、行動、行い」なので、good deed は文字通り「善行、善い行い」になります。
PBS は Public Broadcasting Service の略で、日本のNHK教育テレビのようなもの。
Wikipedia 英語版: Public Broadcasting Service
過去記事、フレンズ2-12その11 や、フレンズ3-12その14 でも、PBS について簡単に説明していますが、Barney & Friends、Sesame Street(セサミストリート)、Between the Lions(ライオンたちとイングリッシュ)、ZOOM などの子供向け番組が PBS で放送されたものとして挙げられます。
「セサミストリート」や「ライオンたちとイングリッシュ」は、実際に日本の教育テレビで放映されていましたので、PBS が NHK教育テレビみたいなもの、というのもすんなり納得できますね。
ジョーイは、plus 「プラス」という言葉を使っています。
この plus は「そのうえ」という意味の接続詞。
研究社 新英和中辞典では、
plus=【接】《口語》 そしてまた、そのうえ
We arrived late, plus we were hungry. 「遅く着いてそのうえ空腹だった」 (注:この用法には反対する人もいる)
と説明されています。
「この用法には反対する人もいる」とあるので、「正式な用法」とはいえないのかもしれませんが、以下のように LAAD にも載っているので、全くダメということでもない気はします。
LAAD では、
plus : [conjunction] (informal) used to add more information
例) He's really cute, plus he's got a good job.
You need a birth certificate, plus a photo I.D.
つまり、「さらに情報を付け加える時に用いられる」。
例文は、「彼はとってもセクシーで、その上、良い仕事をゲットした。」
「あなたは出生証明書、さらには写真付き身分証明書が必要です。」
日本語でも同じようなニュアンスで「プラス」という言葉を使ったりしますので、日本人にもすんなり理解できますし、同じような感覚ですぐに使えるようにもなりそうな便利な表現ですね。
exposure は「露出」。「人前に出ること」「テレビなどに出演すること」も指します。
日本語でも、「最近、あの人はテレビでの露出も増えてきた」などと言いますよね。
That's the kind of math Joey likes to do. について。
do the math は「計算する」。
フレンズ1-9その4 でも、
ジョーイ: I got one keyhole and a zillion keys! You do the math. (一つの鍵穴に対して、数え切れないくらいのカギがあるんだ。計算してくれよ。)
というセリフもありました。
自分でプラス(+)という言葉を使ったことに対して、「PBS への善行+テレビでの露出」という式は、俺が計算するのが好きなタイプの式だからね、と言っているのですね。
数字が得意なチャンドラーに比べて、計算は苦手なタイプのジョーイですが、「こういう足し算は好きだから」と言っているわけです。
PBS の話題が出て、フィービーは見るからにいやそうな顔をして、いやそうな声を出しています。
What's wrong with...? は「…のどこが悪いの?、なぜ…はダメなの?」という決まり文句。
そう尋ねられてフィービーは、What's right with them? 「…のどこが良いの? なぜ…は良いの?」と返しています。
What's right with...? という表現は一般的ではないでしょうが、wrong という言葉を使って質問してきたモニカに対して、正反対の right という言葉で「じゃあ逆に、PBS の何が良いって言えるのよ?」と、反抗的に返した、ということでしょう。
「どうして…するの?」と聞かれて、「じゃあ逆に、どうして…しないの?」と聞き返すのと同じパターンですね。
フィービーは PBS を嫌いな理由を説明しています。
子供の頃、あの番組が好きだったから、ママの自殺後に落ち込んでいる時に手紙を書いたんだけど、返事をくれなかったのよ、というのがその理由です。
「返事を書こうにも、マペットのあの手の形状じゃ、手紙を書けなかったんじゃないかな」とチャンドラーは言っています。
ヒューマノイドタイプのキャラも結構いるように思うのですが(笑)、実際のところは返事を書くのは番組のスタッフだとわかっていながら、「マペットには返事を書くのは無理だったんだよ」とジョークを言っているのですね。
返事の代わりに、PBS はキーチェーンを送ってきた、と言ってフィービーは怒っています。
その頃まで私は「箱」に住んでいた、と言っていますが、これは恐らく、路上生活をしていた、ということでしょう。
フィービーが若い頃、street で生活していた、という話はこれまでにも何度か出てきましたしね。
カギがついているようなまともな家じゃない、箱みたいなところに住んでいたから、カギなんて持ってなかったのよ。そんな私にキーチェーンなんか送ってきて!と怒っているわけです。
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2010年08月15日
if条件節の未来形 フレンズ5-3その7
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昨日の続きです。
代理母として産んだ三つ子ちゃんに話しかけているフィービー。
フィービー: (One of the babies begins to cry.) Well, if you're gonna cry.... (She starts crying.) ([赤ちゃんの一人が泣き始める] ねぇ、もしあなたが泣くことになるのなら… [フィービーも泣き始める])
if you're gonna cry.... について。
if 節に be gonna (be going to) という「未来形」が使われていますが、一般的に、「if の条件節では、未来形は使わない」というような認識がありますよね。
そこで今日は、「if の条件節での未来形」について考えてみたいと思います。
「if の条件節では、未来形は使わない」というのは、「もし明日雨が降れば」は、if it will rain tomorrow ではなく、if it rains tomorrow が正しい、という文法事項のことです。
ですが、今回のセリフは、will ではありませんが、同じように未来を表す be gonna (be going to) が使われていますね。
今回のセリフの場合は、赤ちゃんは今まだ完全には泣いていなくて、泣きかかっている状態である、この状態のまま、あなたがしばらくして泣くことになるのなら…(私も一緒に泣いてしまう…)という「未来の仮定・条件」を表している、だから、be going to が使われている、という解釈が成り立つと思います。
今回のセリフは、be going to が使われていますが、その流れから、以下では、「if の条件節に will が使われる場合」を考えてみたいと思います。
「if の条件節で、will が使われるのは「意志未来」のみ」というような認識もあるようですが、必ずしもそうとは言えません。
研究社 新英和中辞典では、if の条件節について、以下のように説明されています。
if
1 [仮定・条件を表わして] もしも…ならば、…とすれば
(1) [現在・過去・未来の実現の可能性のある事柄について推量する場合]
用法:この場合には未来[未来完了]のことでも if 節には現在[現在完了]時制を用いる; 仮定法の動詞を用いるのは 《古》
語法 (if)
次のような場合には if 節に助動詞 will が用いられる。
(1) if 節がその主語の意志にかかわる仮定・条件を表わす場合
If you will help, we'll [we shall] finish sooner. 「手伝っていただければ(仕事が)早くすみますが。」
(2) if 節が未来の仮定・条件を表わしても, 文全体が現在の事実にかかわる場合
If it will help, I'll give you support. 「お役に立つのなら支援しましょう。」
語法(1) の If you will help が「意志未来」ですね。あなたにそういう「意志・つもり」があるのなら、という感覚です。
語法(2) は、「もしそれが”将来的に”役立つのなら」という「未来の仮定」ですね。
「将来的に役立つのなら、後でそれが役立つことになるのなら、私はあなたを支援します」という感覚が、上に説明されている「未来の条件が、現在の事実にかかわる」ということになるでしょう。
このように「If の条件節 で will を使う話」については、
マーク・ピーターセンさんの 続 日本人の英語 (岩波新書) の p.123 「遅れることになったら電話する−未来形」に詳しく書かれています。
ピーターセンさんが、日本人の学生に講義していて、「われわれは、"If..." の条件節には、未来形を使わないと教わりました」と言われてびっくりした話に始まり、If I am late, I will call you. と、If I will be late, I will call you. のニュアンスの違いも説明して下さっています。
ピーターセンさんの訳では、
If I am late, I will call you. 「遅れてしまったら、電話する」
If I will be late, I will call you. 「遅れることになったら、電話する」
となっています。
未来の時点での仮定である場合は、If 節でも will を使う、というお話なのですが、興味のある方は是非、「続 日本人の英語」をお読みになって下さい。
「"If" の条件節には、未来形は用いられない」という日本の文法書の説明に腹が立った、とか、その例外として「意志未来」のみが説明されていることを面白いと思った、などの記述もあります。
そういう「変なルール」が生じた過程についても、
「"If" の条件節に未来形を使わない」という「理屈抜き」のルールで説明した方がよほど楽だからではないかと思う。」
と説明されていますが、私もそれが「アタリ」だろうなと思いました。
日本人はどうしても、If it will rain tomorrow と書いてしまいたくなる、まずはそれは違うんだよ、と言うためには、そういうルールがあるんだ、と「とりあえずは」納得させる必要があるのかもしれない、と私も思うのですね。
日本語で書かれた文法書は、日本人英語学習者のために書かれた本です。
そういう本が「日本人が犯しやすい間違い」を基準にして構成されているのは、ある程度やむを得ないことだと思います。
日本語の視点から見て不思議に思う事柄から、英語という言語の特徴に気づく、ということも大いにあると思うのですね。
そしてそういう「大雑把なルール」としての英文法を最初に学んでいれば、If の条件節で will や be going to が使われているのを見て、「あれ?」と思うこともできるわけですし。
文法はあくまで「大きな流れ」を示しているだけですから、実際に個々の言葉に当たっていく過程で、例外を知り、その知識を修正しながら、学んでいくしかないのだろう、と思います。
今回のフレンズでの、if you're gonna cry.... というフレーズも、日本語の文法書ではなかなかお目にかからない表現ですよね。
そういう言葉があると知って、そこに隠されているニュアンスを知ることが、「生きた英語」で英語を学ぶということです。
私が今回ご紹介したのは「続編」の方で、ピーターセンさんのご本ではその前作の
日本人の英語 (岩波新書) が非常に有名ですよね。
未だに新刊本並みに売れているすごい本です。
そのベストセラーの「日本人の英語」が素晴らしい本なのは、今さら私が言うまでもないですが、続編の「続 日本人の英語」も、実に素晴らしい本です。
(実は私は、こちらの「続編」の方がお気に入りなんですね。私にとっては「続編」の方が、「目からウロコ」の説明が多かったので。)
「日本語のわかる英語ネイティブスピーカーに聞きたかったのは、こういうことなんだよなぁ」と思える事柄が満載です。
「続編の方は読んでない」という方は是非そちらも合わせてお読み下さい。
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昨日の続きです。
代理母として産んだ三つ子ちゃんに話しかけているフィービー。
フィービー: (One of the babies begins to cry.) Well, if you're gonna cry.... (She starts crying.) ([赤ちゃんの一人が泣き始める] ねぇ、もしあなたが泣くことになるのなら… [フィービーも泣き始める])
if you're gonna cry.... について。
if 節に be gonna (be going to) という「未来形」が使われていますが、一般的に、「if の条件節では、未来形は使わない」というような認識がありますよね。
そこで今日は、「if の条件節での未来形」について考えてみたいと思います。
「if の条件節では、未来形は使わない」というのは、「もし明日雨が降れば」は、if it will rain tomorrow ではなく、if it rains tomorrow が正しい、という文法事項のことです。
ですが、今回のセリフは、will ではありませんが、同じように未来を表す be gonna (be going to) が使われていますね。
今回のセリフの場合は、赤ちゃんは今まだ完全には泣いていなくて、泣きかかっている状態である、この状態のまま、あなたがしばらくして泣くことになるのなら…(私も一緒に泣いてしまう…)という「未来の仮定・条件」を表している、だから、be going to が使われている、という解釈が成り立つと思います。
今回のセリフは、be going to が使われていますが、その流れから、以下では、「if の条件節に will が使われる場合」を考えてみたいと思います。
「if の条件節で、will が使われるのは「意志未来」のみ」というような認識もあるようですが、必ずしもそうとは言えません。
研究社 新英和中辞典では、if の条件節について、以下のように説明されています。
if
1 [仮定・条件を表わして] もしも…ならば、…とすれば
(1) [現在・過去・未来の実現の可能性のある事柄について推量する場合]
用法:この場合には未来[未来完了]のことでも if 節には現在[現在完了]時制を用いる; 仮定法の動詞を用いるのは 《古》
語法 (if)
次のような場合には if 節に助動詞 will が用いられる。
(1) if 節がその主語の意志にかかわる仮定・条件を表わす場合
If you will help, we'll [we shall] finish sooner. 「手伝っていただければ(仕事が)早くすみますが。」
(2) if 節が未来の仮定・条件を表わしても, 文全体が現在の事実にかかわる場合
If it will help, I'll give you support. 「お役に立つのなら支援しましょう。」
語法(1) の If you will help が「意志未来」ですね。あなたにそういう「意志・つもり」があるのなら、という感覚です。
語法(2) は、「もしそれが”将来的に”役立つのなら」という「未来の仮定」ですね。
「将来的に役立つのなら、後でそれが役立つことになるのなら、私はあなたを支援します」という感覚が、上に説明されている「未来の条件が、現在の事実にかかわる」ということになるでしょう。
このように「If の条件節 で will を使う話」については、
マーク・ピーターセンさんの 続 日本人の英語 (岩波新書) の p.123 「遅れることになったら電話する−未来形」に詳しく書かれています。
ピーターセンさんが、日本人の学生に講義していて、「われわれは、"If..." の条件節には、未来形を使わないと教わりました」と言われてびっくりした話に始まり、If I am late, I will call you. と、If I will be late, I will call you. のニュアンスの違いも説明して下さっています。
ピーターセンさんの訳では、
If I am late, I will call you. 「遅れてしまったら、電話する」
If I will be late, I will call you. 「遅れることになったら、電話する」
となっています。
未来の時点での仮定である場合は、If 節でも will を使う、というお話なのですが、興味のある方は是非、「続 日本人の英語」をお読みになって下さい。
「"If" の条件節には、未来形は用いられない」という日本の文法書の説明に腹が立った、とか、その例外として「意志未来」のみが説明されていることを面白いと思った、などの記述もあります。
そういう「変なルール」が生じた過程についても、
「"If" の条件節に未来形を使わない」という「理屈抜き」のルールで説明した方がよほど楽だからではないかと思う。」
と説明されていますが、私もそれが「アタリ」だろうなと思いました。
日本人はどうしても、If it will rain tomorrow と書いてしまいたくなる、まずはそれは違うんだよ、と言うためには、そういうルールがあるんだ、と「とりあえずは」納得させる必要があるのかもしれない、と私も思うのですね。
日本語で書かれた文法書は、日本人英語学習者のために書かれた本です。
そういう本が「日本人が犯しやすい間違い」を基準にして構成されているのは、ある程度やむを得ないことだと思います。
日本語の視点から見て不思議に思う事柄から、英語という言語の特徴に気づく、ということも大いにあると思うのですね。
そしてそういう「大雑把なルール」としての英文法を最初に学んでいれば、If の条件節で will や be going to が使われているのを見て、「あれ?」と思うこともできるわけですし。
文法はあくまで「大きな流れ」を示しているだけですから、実際に個々の言葉に当たっていく過程で、例外を知り、その知識を修正しながら、学んでいくしかないのだろう、と思います。
今回のフレンズでの、if you're gonna cry.... というフレーズも、日本語の文法書ではなかなかお目にかからない表現ですよね。
そういう言葉があると知って、そこに隠されているニュアンスを知ることが、「生きた英語」で英語を学ぶということです。
私が今回ご紹介したのは「続編」の方で、ピーターセンさんのご本ではその前作の
日本人の英語 (岩波新書) が非常に有名ですよね。
未だに新刊本並みに売れているすごい本です。
そのベストセラーの「日本人の英語」が素晴らしい本なのは、今さら私が言うまでもないですが、続編の「続 日本人の英語」も、実に素晴らしい本です。
(実は私は、こちらの「続編」の方がお気に入りなんですね。私にとっては「続編」の方が、「目からウロコ」の説明が多かったので。)
「日本語のわかる英語ネイティブスピーカーに聞きたかったのは、こういうことなんだよなぁ」と思える事柄が満載です。
「続編の方は読んでない」という方は是非そちらも合わせてお読み下さい。
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2010年08月14日
まるで昨日のことのようだ フレンズ5-3その6
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弟夫婦(フランクとアリス)の代理母として、産んだ三つ子を渡すことになっているフィービーですが、フィービーはそのうちの一人をもらいたい、と思っています。
それが可能かどうかをレイチェルからフランクに尋ねてもらうのですが、もちろん答えはノー。
以下のセリフでは、フィービーがレイチェルにその結果を尋ねています。
レイチェル: (entering) Hi. (To Phoebe) Hi! So uh, Frank and Alice wanted me to tell you that they're still outside making phone calls. ([入ってきて] はーい。[フィービーに] はい! それで、あの、フランクとアリスは、まだ外で電話をかけているところなの。それをあなたに伝えて欲しいって。)
フィービー: Oh. But umm, I mean, did you talk to them about, y'know...? (そう。でも、あの、ほら、二人に話してくれた? ほら…)
レイチェル: Yeah, umm, no, honey. (ええ。あの、ダメだって、ハニー。)
フィービー: Oh. Okay. It was a long shot. Hey, you guys? Can I just have like a second alone with the babies? (あぁ、わかったわ。望みの薄い試みだったもの。ねぇ、みんな? ちょっとだけ、このベイビーたちと一緒にいさせてくれる?)
みんな: Yeah, sure yeah. Yeah. (ああ、もちろん、いいよ。いいよ。)
(They hand her the babies and leave them alone.)
みんなはフィービーに赤ちゃんを手渡し、フィービーと赤ちゃんだけにする。
フィービー: So here you are. Seems like yesterday I was talking to you in that little petri dish. Everyone said labor was the hardest thing I'd ever have to do. But they were wrong. This is. Well, I had the most fun with you guys. I wish I could take you home and see you everyday. Okay, I'll settle for being your favorite aunt. I know Alice's sister has a pool, but you lived in me. Okay, so we're cool. Yeah, we're gonna be great. Little high-fives! (Imitates the high fives.) Ahh! Ahh! Ahh! (One of the babies begins to cry.) Well, if you're gonna cry.... (She starts crying.) (それで、あなたたちは(今)ここにいるのね。あの小さなペトリ皿の中のあなたたちに話しかけたのがまるで昨日のことみたいよ。陣痛が(しなければならないことのうちの)最もつらいことだってみんな言ってた。でもみんな間違ってるわ。これ[あなたたちを手放さなければいけないこと]が一番つらいことよ。そうね、あなたたちと最高に楽しい時を過ごしたわ。できることなら、あなたたちを家に連れ帰って、毎日あなたたちを見ていたいけど。いいわ、あなたたちのお気に入りのおばさんになることでよしとするわ。アリスのお姉さんはプールを持ってるって知ってるけど、でも、あなたたちは私の中に住んでたんだもの。いいわね、それで私たちは(お互い)問題ないわよね。そうよ、私たち最高になるもの。ちっちゃなハイファイブよ! [ハイファイブの真似をする] アー! アー! アー! [赤ちゃんの一人が泣き始める] ねぇ、もしあなたが泣くことになるのなら… [フィービーも泣き始める])
long shot は「成功しそうにない・望みの薄い企て・試み」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
long shot : [noun] [countable] (informal) someone or something with very little chance of success
つまり、「成功のチャンスが非常に少ない[ほとんどない]誰か、または何か」。
フレンズ3-14その15 でも、I know it's a long shot, but, by any chance 「望み薄だと思うけど、ひょっとして」という表現が登場していました。
子供の一人をもらうことはできない、と悟ったフィービーは、フレンズたちに席を外してもらって、3人の赤ちゃんに語りかけます。
フィービーは with the babies と言っていますが、これが本当の自分の赤ちゃんなら、with my babies と言うような気がするのですね。
それを考えると何だか切ないです。
Seems like yesterday... は「…したのはまるで昨日のことのようだ」。
アルク「起きてから寝るまで表現550 日常生活編」 の p.200 「つぶやき表現 応用編・親と子」でも、
It seems like just yesterday we were taking baths together! 「ちょっと前まで一緒にお風呂に入っていたじゃないか。」
という例文が出ています。
そこの解説でも、
It seems like... は「まるで…のようだ」。直訳すると「一緒にお風呂に入っていたのがついきのうのようだ」。
と説明されています。
ですから、(It) seems like (just) yesterday... という表現は、それなりによく使われる表現だと考えて良いでしょう。
日本語でも「…したのはまるで昨日のようだ」とやはり「昨日」という言葉を使うので、その感覚は同じですね。
ペトリ皿の中のあなたたち、というのは、フレンズ4-12 で、ペトリ皿に載っていた弟夫婦の受精卵に話しかけた時のことを言っています。
しんみりしたシーンの中に、「ペトリ皿って…」みたいにクスッと笑ってしまう要素も少し取り入れている感覚でしょう。
Everyone said labor was the hardest thing I'd ever have to do. But they were wrong. This is. について。
This is. の this は、「出産した後、こうして3人を弟夫婦に渡さないといけないこと」を指していて、This is the hardest thing... だと言っていることになります。
みんなは、世間の人は、出産・陣痛の痛み・苦しみが一番つらいって言うけど、それは間違いよ。本当につらいのは、今、私がしなければならないこと、産んだばかりの赤ちゃんを手放すってことよ、という意味ですね。
I wish I could take you home and see you everyday. は典型的な「仮定法過去」の文章ですね。
「…できたらいいのに(現実にはできない)」という、「現在の事実に反対の仮定」を表します。
文法事項を学ぶ時に、仮定法でつまずく人も多いですが、このセリフを言った時のフィービーの気持ちを考えると、仮定法のニュアンスがよく理解できるような気がします。
「できることなら連れ帰って、あなたたちを毎日見ていたい、でもそれはできないのよ」ということですね。
いくら私が望んでも現実はそれを許してくれないの、ということです。
I'll settle for being your favorite aunt. の、settle for は、「(不満足ながら、不満足なこと)を受け入れる、…でよしとする」という感覚。
LAAD では、
settle for something [phrasal verb] : to accept something even though it is not the best, or not what you really want
例) There wasn't any real coffee, so we had to settle for the instant kind.
つまり、「それがベストではない、または本当に欲しいものではないにもかかわらず、その何かを受け入れること」。
例文は、「本物のコーヒーが全くなかったので、我々はインスタントでよしとせねばならなかった」。
あなたたちのママになることはできないから、あなたたちが大好きな伯母さんでいることを受け入れるわ、ということですね。
I'll settle for と will が使われているので、赤ちゃんたちと話をしながら、「よし、私はそうするわ」と決めた感覚が出ている気もします。
I know Alice's sister has a pool, but you lived in me. について。
アリスの姉(もしくは妹)はプールを持っている、と言っています。
アリスの姉妹の話を出したのは、その人もこの子たちのおばさん(伯母さん・叔母さん)に当たるからですね。
そのアリス側のおばさんは(多分お金持ちで?)、家にプールがあったりするから、あなたたちはそのおばさんも好きになるかもしれないけど、でもあなたたちは私の中に「住んでた」んだから、私が負けるわけないわよね、と言いたいのだろうと思います。
子宮の中で育てていた、羊水の中であなたたちは暮らしてた、というイメージから、プールという単語も出てきたのかなと思います。
人工的なプールになんか負けないわよ、「私の水」の中であなたたちは暮らしてたんだからね、という、代理母だからこそ言える発言だと思いました。
赤ちゃんたちと「やったね!」と喜び合う仕草として、ハイファイブよ!と言いながら、3人の赤ちゃん1人ずつに、Ahh! Ahh! Ahh と声をかけるフィービー。
そのうちの1人が、ひっく、ひっく…と泣き出しそうになるので、フィービーも、もらい泣きしそうになっています。
if you're gonna cry.... について。
if 節に be gonna (be going to) という「未来形」が使われていますね。
これについては少し長くなりますので、明日、おまけの記事「フレンズ5-3その7」として投稿する予定です。
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弟夫婦(フランクとアリス)の代理母として、産んだ三つ子を渡すことになっているフィービーですが、フィービーはそのうちの一人をもらいたい、と思っています。
それが可能かどうかをレイチェルからフランクに尋ねてもらうのですが、もちろん答えはノー。
以下のセリフでは、フィービーがレイチェルにその結果を尋ねています。
レイチェル: (entering) Hi. (To Phoebe) Hi! So uh, Frank and Alice wanted me to tell you that they're still outside making phone calls. ([入ってきて] はーい。[フィービーに] はい! それで、あの、フランクとアリスは、まだ外で電話をかけているところなの。それをあなたに伝えて欲しいって。)
フィービー: Oh. But umm, I mean, did you talk to them about, y'know...? (そう。でも、あの、ほら、二人に話してくれた? ほら…)
レイチェル: Yeah, umm, no, honey. (ええ。あの、ダメだって、ハニー。)
フィービー: Oh. Okay. It was a long shot. Hey, you guys? Can I just have like a second alone with the babies? (あぁ、わかったわ。望みの薄い試みだったもの。ねぇ、みんな? ちょっとだけ、このベイビーたちと一緒にいさせてくれる?)
みんな: Yeah, sure yeah. Yeah. (ああ、もちろん、いいよ。いいよ。)
(They hand her the babies and leave them alone.)
みんなはフィービーに赤ちゃんを手渡し、フィービーと赤ちゃんだけにする。
フィービー: So here you are. Seems like yesterday I was talking to you in that little petri dish. Everyone said labor was the hardest thing I'd ever have to do. But they were wrong. This is. Well, I had the most fun with you guys. I wish I could take you home and see you everyday. Okay, I'll settle for being your favorite aunt. I know Alice's sister has a pool, but you lived in me. Okay, so we're cool. Yeah, we're gonna be great. Little high-fives! (Imitates the high fives.) Ahh! Ahh! Ahh! (One of the babies begins to cry.) Well, if you're gonna cry.... (She starts crying.) (それで、あなたたちは(今)ここにいるのね。あの小さなペトリ皿の中のあなたたちに話しかけたのがまるで昨日のことみたいよ。陣痛が(しなければならないことのうちの)最もつらいことだってみんな言ってた。でもみんな間違ってるわ。これ[あなたたちを手放さなければいけないこと]が一番つらいことよ。そうね、あなたたちと最高に楽しい時を過ごしたわ。できることなら、あなたたちを家に連れ帰って、毎日あなたたちを見ていたいけど。いいわ、あなたたちのお気に入りのおばさんになることでよしとするわ。アリスのお姉さんはプールを持ってるって知ってるけど、でも、あなたたちは私の中に住んでたんだもの。いいわね、それで私たちは(お互い)問題ないわよね。そうよ、私たち最高になるもの。ちっちゃなハイファイブよ! [ハイファイブの真似をする] アー! アー! アー! [赤ちゃんの一人が泣き始める] ねぇ、もしあなたが泣くことになるのなら… [フィービーも泣き始める])
long shot は「成功しそうにない・望みの薄い企て・試み」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
long shot : [noun] [countable] (informal) someone or something with very little chance of success
つまり、「成功のチャンスが非常に少ない[ほとんどない]誰か、または何か」。
フレンズ3-14その15 でも、I know it's a long shot, but, by any chance 「望み薄だと思うけど、ひょっとして」という表現が登場していました。
子供の一人をもらうことはできない、と悟ったフィービーは、フレンズたちに席を外してもらって、3人の赤ちゃんに語りかけます。
フィービーは with the babies と言っていますが、これが本当の自分の赤ちゃんなら、with my babies と言うような気がするのですね。
それを考えると何だか切ないです。
Seems like yesterday... は「…したのはまるで昨日のことのようだ」。
アルク「起きてから寝るまで表現550 日常生活編」 の p.200 「つぶやき表現 応用編・親と子」でも、
It seems like just yesterday we were taking baths together! 「ちょっと前まで一緒にお風呂に入っていたじゃないか。」
という例文が出ています。
そこの解説でも、
It seems like... は「まるで…のようだ」。直訳すると「一緒にお風呂に入っていたのがついきのうのようだ」。
と説明されています。
ですから、(It) seems like (just) yesterday... という表現は、それなりによく使われる表現だと考えて良いでしょう。
日本語でも「…したのはまるで昨日のようだ」とやはり「昨日」という言葉を使うので、その感覚は同じですね。
ペトリ皿の中のあなたたち、というのは、フレンズ4-12 で、ペトリ皿に載っていた弟夫婦の受精卵に話しかけた時のことを言っています。
しんみりしたシーンの中に、「ペトリ皿って…」みたいにクスッと笑ってしまう要素も少し取り入れている感覚でしょう。
Everyone said labor was the hardest thing I'd ever have to do. But they were wrong. This is. について。
This is. の this は、「出産した後、こうして3人を弟夫婦に渡さないといけないこと」を指していて、This is the hardest thing... だと言っていることになります。
みんなは、世間の人は、出産・陣痛の痛み・苦しみが一番つらいって言うけど、それは間違いよ。本当につらいのは、今、私がしなければならないこと、産んだばかりの赤ちゃんを手放すってことよ、という意味ですね。
I wish I could take you home and see you everyday. は典型的な「仮定法過去」の文章ですね。
「…できたらいいのに(現実にはできない)」という、「現在の事実に反対の仮定」を表します。
文法事項を学ぶ時に、仮定法でつまずく人も多いですが、このセリフを言った時のフィービーの気持ちを考えると、仮定法のニュアンスがよく理解できるような気がします。
「できることなら連れ帰って、あなたたちを毎日見ていたい、でもそれはできないのよ」ということですね。
いくら私が望んでも現実はそれを許してくれないの、ということです。
I'll settle for being your favorite aunt. の、settle for は、「(不満足ながら、不満足なこと)を受け入れる、…でよしとする」という感覚。
LAAD では、
settle for something [phrasal verb] : to accept something even though it is not the best, or not what you really want
例) There wasn't any real coffee, so we had to settle for the instant kind.
つまり、「それがベストではない、または本当に欲しいものではないにもかかわらず、その何かを受け入れること」。
例文は、「本物のコーヒーが全くなかったので、我々はインスタントでよしとせねばならなかった」。
あなたたちのママになることはできないから、あなたたちが大好きな伯母さんでいることを受け入れるわ、ということですね。
I'll settle for と will が使われているので、赤ちゃんたちと話をしながら、「よし、私はそうするわ」と決めた感覚が出ている気もします。
I know Alice's sister has a pool, but you lived in me. について。
アリスの姉(もしくは妹)はプールを持っている、と言っています。
アリスの姉妹の話を出したのは、その人もこの子たちのおばさん(伯母さん・叔母さん)に当たるからですね。
そのアリス側のおばさんは(多分お金持ちで?)、家にプールがあったりするから、あなたたちはそのおばさんも好きになるかもしれないけど、でもあなたたちは私の中に「住んでた」んだから、私が負けるわけないわよね、と言いたいのだろうと思います。
子宮の中で育てていた、羊水の中であなたたちは暮らしてた、というイメージから、プールという単語も出てきたのかなと思います。
人工的なプールになんか負けないわよ、「私の水」の中であなたたちは暮らしてたんだからね、という、代理母だからこそ言える発言だと思いました。
赤ちゃんたちと「やったね!」と喜び合う仕草として、ハイファイブよ!と言いながら、3人の赤ちゃん1人ずつに、Ahh! Ahh! Ahh と声をかけるフィービー。
そのうちの1人が、ひっく、ひっく…と泣き出しそうになるので、フィービーも、もらい泣きしそうになっています。
if you're gonna cry.... について。
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2010年08月12日
やめるべき時を知る フレンズ5-3その5
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[Scene: A hallway, Monica and Dan are talking.]
(病院の)廊下。モニカとダンは話をしている。
ダン: So, I'll call you tomorrow. (それじゃあ、明日、電話するよ。)
モニカ: Great. (ええ。)
(Dan leaves as Chandler enters.)
ダンは去り、チャンドラーが入ってくる。
チャンドラー: So, are you really gonna go out with that nurse man? (それで、モニカは本当に、あの看護師男とデートするつもりなの?)
モニカ: Well uh, you and I are just "goofing around." I thought, why not "goof around" with him? (そうねぇ、あなたと私はただ、「遊びで付き合ってる」のよね。私は思ったの。彼と「遊びで付き合って」もいいじゃない、って。)
チャンドラー: Y'know, I don't know if you've ever looked up the term "goofing around" in the dictionary. Well, I have, and the technical definition is, "two friends who care a lot about each other and have amazing sex and just wanna spend more time together." But if you have this new fangled dictionary that gets you mad at me, then we have to, y'know, get you my original dictionary. I am so bad at this. (ねぇ、モニカがこれまでに、"goofing around" って言葉を辞書で調べたかどうか俺は知らないけどさ。俺は調べたよ。そして、その専門的な定義はこうだ。「二人の友達がお互いをすごく大事に思って、素晴らしいエッチをして、ただもっと多くの時間を一緒に過ごしたいと思うこと」なんだよ。でももし、君に俺に対する怒りを覚えさせるようなこの新しい混乱した(?)辞書を君が持ってるのなら、そしたら、俺たちは、ほら、君に俺のオリジナルの辞書を買ってあげないといけないな。[うまく説明できないことを言い訳するように] 俺って、こういうの、すっごく苦手なんだよね。)
モニカ: I think you're better than you think you are. (あなたが自分で思っているよりもいいと私は思うわよ。)
チャンドラー: Really? Okay. So if-- (ほんとに? よし。それじゃあ、もし…)
モニカ: (interrupting) Know when to stop. ([チャンドラーの発言をさえぎって] やめるべき時を知りなさい[引き際が肝心よ]。)
チャンドラー: Y'know, I sensed that I should stop. So we're okay? (ねぇ、やめるべきだって俺も感じてたよ。それで、俺たちって大丈夫だよね?)
モニカ: Yeah. All right, I'm gonna go tell Dan that it's not gonna happen. (They kiss and as she starts to leave, Chandler starts to dance. Without turning around.) Don't do the dance. (ええ。大丈夫よ。これからダンに、デートはなし、って言いに行ってくるわね。[二人はキスをする[注:モニカがチャンドラーの頬にキスをする] そしてモニカが行こうとした時に、チャンドラーは踊り始める。(モニカは)振り返ることなしに] そのダンスをするのをやめなさい。)
チャンドラー: Right. (そうだよね。)
チャンドラーは、ダンのことを、that nurse man と言っています。
nurse の中でも特に男性のナース(a male nurse)であることを強調したくて、that nurse man と表現したのだと思います。
日本語での「あのナース男」と同じような感覚でしょう。
男であることを強調するためのチャンドラーの造語でしょうが、何となく響きが、earthman (地球人)と似ているので、実際にありそうな言葉に聞こえるのもポイントでしょうか。
Why not...? は、「なぜ…しないの? なぜ…したらだめなの?」という文字通りの意味から転じて、「もちろん…してもいいじゃない」という意味になる反語表現ですね。
上のセリフも、「あなたと私はただ "goof around" してるだけだから、(それなら)別の人と "goof around" するのがなぜいけないの?別にいいじゃない、って私は思ったの」という意味になります。
goof around については、
英辞郎では、
goof around=サボる、ぼんやりする、怠ける、ふざける
例) Should you be goofing around? 「仕事をサボってていいんですか?」
と出ています。
そのような「仕事をサボる」という意味は、フレンズ3-12その8 で、以下の形で登場しています。
ロス: Hi. What's ah, what's Mark doing answering your phone? (やあ。マークは君の電話に出たりして、何をやってるんだ?)
レイチェル: Oh, he's just goofing around. (あぁ、彼はただ、さぼってるだけよ。)
ロス: Ohhhhh yeah, that's, that's funny. Why ah, why isn't he goofing around in his own office? (あぁ、そう。それは、それは面白いね。どうして、彼は自分のオフィスでさぼらないの?)
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
goof around : [phrasal verb] (informal) to spend time doing silly things or not doing very much
つまり、「くだらないことをして時を過ごす、またはあまり多くのことをしないで過ごす」。
意味のないことをして時間を過ごす、みたいな意味なので、「とりあえず付き合ってるだけで、あんまり深い意味はない」→「真剣ではない遊びの付き合い」みたいなことになってしまいますね。
フレンズ5-3その4 で、二人が喧嘩状態になった経緯を軽く説明しましたが、チャンドラーが、We're goofing around と表現したことで、二人の付き合いが軽いものであるとチャンドラーが言ってしまったからモニカもムッとした、ということです。
モニカが、goof around という言葉にカチンと来て、仕返しのようなことをしたと言ったのを聞いて、チャンドラーは、"goof around" という言葉の定義はこうなんだ…と説明し始めます。
looked up the term ... in the dictionary は「辞書で…という言葉を調べる」。
I don't know if you've ever looked up... 「君が今までに調べたことがあるかどうか知らないけど」の後の I have は、I have looked up ... before. 「僕は(以前に、これまでに)調べたことがある」という経験を語る現在完了形を意味します。
そして、自分が辞書で調べたという定義をモニカに説明していますね。
チャンドラーの語る「定義」を聞いていると、何だか泣けてきちゃうのですが、友達から恋人になった二人の今の気持ちを素敵に表現できている気がします。
and have amazing sex のところで、モニカも観客も笑っていますが、ちょっと感動的なセリフの中に、そういう笑いの要素も入れるのは、チャンドラーらしい「照れ」なのでしょうね。
「エッチも最高だしさ」という言葉も挟みつつ、お互いを大切に思い、一緒にもっと多くの時間を過ごしたいと思う、と表現しています。
いつも本音をジョークでごまかしてしまうチャンドラーは、その言葉を自分の本当の気持ちとしてモニカにダイレクトにぶつけることは、やはりどこか「恥ずかしい」気持ちがあるのでしょうね。
それで、「あれー、知らなかった? 俺が言った goof around って言葉の意味は辞書にはこう書いてあるんだよ」と辞書の定義として客観的に説明することで、モニカへの思いを伝えようとしているわけです。
そこがとてもチャンドラーらしくていいな、と思いました。
this new fangled dictionary について。
DVD英語字幕では、this new dictionary と表記されていますが、ネットスクリプトには、this new fangled dictionary と書いてあります。
ただ、fangled という単語が辞書に載ってないんですよねぇ。
tangled であれば「絡まった、もつれた、混乱した」のような意味なので、今ある新しい辞書は意味が混乱していて、正しい定義がわからなくなっている、という感覚で、this new tangled dictionary と表現したのかな、とも思えるのですが、音声を聞く限りはやはり、「タングルド」ではなく、「ファング…」みたいに聞こえるのです。(ですから正直、fangled の部分はよくわかりません)
モニカはその新しい辞書の意味で怒ってるのかもしれないけど、俺のオリジナルの辞書には、俺が今言ったようなことが書いてあるから、何ならそれをあげようか?とチャンドラーは言っています。
それを聞いてモニカがくすっという感じで笑っているので、「あぁ、今のはあんまりうまく説明できてなかったよねぇ」みたいな意味で、「こういうこと言うの、俺、苦手なんだ」とチャンドラーは言います。
チャンドラーの気持ちを知ったモニカは「あなたが思ってるほど悪くない、うまく説明してくれてたわよ」みたいなことを言っています。
その言葉に気を良くしたチャンドラーはさらに話を続けようとするのですが、すぐに Know when to stop. とモニカに言われてしまいます。
この命令形を直訳すると、「いつやめるべきかを知れ」ということで、「引き際を知りなさい、心得なさい」みたいな意味になります。
せっかくいいこと言ってくれたんだから、ここで終わりにしといた方がいいわよ、という感じですね。
ダンに断ってくる、と立ち去ろうとするモニカの後ろで、チャンドラーはいつもの妙な(笑)喜びのダンスを踊り出そうとします。
が、モニカにすかさず、「そのダンスはやめて」と言われてしまっていますね。
ト書きにあるように、モニカはチャンドラーを振り返ることなくそう言っています。
チャンドラーの姿を見なくても、今チャンドラーがそのダンスを踊っていることがわかる、というところも、長年の付き合いである親友の証なのでしょう。
いかにもチャンドラーとモニカっぽいオチなのが微笑ましいなと思いました。
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[Scene: A hallway, Monica and Dan are talking.]
(病院の)廊下。モニカとダンは話をしている。
ダン: So, I'll call you tomorrow. (それじゃあ、明日、電話するよ。)
モニカ: Great. (ええ。)
(Dan leaves as Chandler enters.)
ダンは去り、チャンドラーが入ってくる。
チャンドラー: So, are you really gonna go out with that nurse man? (それで、モニカは本当に、あの看護師男とデートするつもりなの?)
モニカ: Well uh, you and I are just "goofing around." I thought, why not "goof around" with him? (そうねぇ、あなたと私はただ、「遊びで付き合ってる」のよね。私は思ったの。彼と「遊びで付き合って」もいいじゃない、って。)
チャンドラー: Y'know, I don't know if you've ever looked up the term "goofing around" in the dictionary. Well, I have, and the technical definition is, "two friends who care a lot about each other and have amazing sex and just wanna spend more time together." But if you have this new fangled dictionary that gets you mad at me, then we have to, y'know, get you my original dictionary. I am so bad at this. (ねぇ、モニカがこれまでに、"goofing around" って言葉を辞書で調べたかどうか俺は知らないけどさ。俺は調べたよ。そして、その専門的な定義はこうだ。「二人の友達がお互いをすごく大事に思って、素晴らしいエッチをして、ただもっと多くの時間を一緒に過ごしたいと思うこと」なんだよ。でももし、君に俺に対する怒りを覚えさせるようなこの新しい混乱した(?)辞書を君が持ってるのなら、そしたら、俺たちは、ほら、君に俺のオリジナルの辞書を買ってあげないといけないな。[うまく説明できないことを言い訳するように] 俺って、こういうの、すっごく苦手なんだよね。)
モニカ: I think you're better than you think you are. (あなたが自分で思っているよりもいいと私は思うわよ。)
チャンドラー: Really? Okay. So if-- (ほんとに? よし。それじゃあ、もし…)
モニカ: (interrupting) Know when to stop. ([チャンドラーの発言をさえぎって] やめるべき時を知りなさい[引き際が肝心よ]。)
チャンドラー: Y'know, I sensed that I should stop. So we're okay? (ねぇ、やめるべきだって俺も感じてたよ。それで、俺たちって大丈夫だよね?)
モニカ: Yeah. All right, I'm gonna go tell Dan that it's not gonna happen. (They kiss and as she starts to leave, Chandler starts to dance. Without turning around.) Don't do the dance. (ええ。大丈夫よ。これからダンに、デートはなし、って言いに行ってくるわね。[二人はキスをする[注:モニカがチャンドラーの頬にキスをする] そしてモニカが行こうとした時に、チャンドラーは踊り始める。(モニカは)振り返ることなしに] そのダンスをするのをやめなさい。)
チャンドラー: Right. (そうだよね。)
チャンドラーは、ダンのことを、that nurse man と言っています。
nurse の中でも特に男性のナース(a male nurse)であることを強調したくて、that nurse man と表現したのだと思います。
日本語での「あのナース男」と同じような感覚でしょう。
男であることを強調するためのチャンドラーの造語でしょうが、何となく響きが、earthman (地球人)と似ているので、実際にありそうな言葉に聞こえるのもポイントでしょうか。
Why not...? は、「なぜ…しないの? なぜ…したらだめなの?」という文字通りの意味から転じて、「もちろん…してもいいじゃない」という意味になる反語表現ですね。
上のセリフも、「あなたと私はただ "goof around" してるだけだから、(それなら)別の人と "goof around" するのがなぜいけないの?別にいいじゃない、って私は思ったの」という意味になります。
goof around については、
英辞郎では、
goof around=サボる、ぼんやりする、怠ける、ふざける
例) Should you be goofing around? 「仕事をサボってていいんですか?」
と出ています。
そのような「仕事をサボる」という意味は、フレンズ3-12その8 で、以下の形で登場しています。
ロス: Hi. What's ah, what's Mark doing answering your phone? (やあ。マークは君の電話に出たりして、何をやってるんだ?)
レイチェル: Oh, he's just goofing around. (あぁ、彼はただ、さぼってるだけよ。)
ロス: Ohhhhh yeah, that's, that's funny. Why ah, why isn't he goofing around in his own office? (あぁ、そう。それは、それは面白いね。どうして、彼は自分のオフィスでさぼらないの?)
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
goof around : [phrasal verb] (informal) to spend time doing silly things or not doing very much
つまり、「くだらないことをして時を過ごす、またはあまり多くのことをしないで過ごす」。
意味のないことをして時間を過ごす、みたいな意味なので、「とりあえず付き合ってるだけで、あんまり深い意味はない」→「真剣ではない遊びの付き合い」みたいなことになってしまいますね。
フレンズ5-3その4 で、二人が喧嘩状態になった経緯を軽く説明しましたが、チャンドラーが、We're goofing around と表現したことで、二人の付き合いが軽いものであるとチャンドラーが言ってしまったからモニカもムッとした、ということです。
モニカが、goof around という言葉にカチンと来て、仕返しのようなことをしたと言ったのを聞いて、チャンドラーは、"goof around" という言葉の定義はこうなんだ…と説明し始めます。
looked up the term ... in the dictionary は「辞書で…という言葉を調べる」。
I don't know if you've ever looked up... 「君が今までに調べたことがあるかどうか知らないけど」の後の I have は、I have looked up ... before. 「僕は(以前に、これまでに)調べたことがある」という経験を語る現在完了形を意味します。
そして、自分が辞書で調べたという定義をモニカに説明していますね。
チャンドラーの語る「定義」を聞いていると、何だか泣けてきちゃうのですが、友達から恋人になった二人の今の気持ちを素敵に表現できている気がします。
and have amazing sex のところで、モニカも観客も笑っていますが、ちょっと感動的なセリフの中に、そういう笑いの要素も入れるのは、チャンドラーらしい「照れ」なのでしょうね。
「エッチも最高だしさ」という言葉も挟みつつ、お互いを大切に思い、一緒にもっと多くの時間を過ごしたいと思う、と表現しています。
いつも本音をジョークでごまかしてしまうチャンドラーは、その言葉を自分の本当の気持ちとしてモニカにダイレクトにぶつけることは、やはりどこか「恥ずかしい」気持ちがあるのでしょうね。
それで、「あれー、知らなかった? 俺が言った goof around って言葉の意味は辞書にはこう書いてあるんだよ」と辞書の定義として客観的に説明することで、モニカへの思いを伝えようとしているわけです。
そこがとてもチャンドラーらしくていいな、と思いました。
this new fangled dictionary について。
DVD英語字幕では、this new dictionary と表記されていますが、ネットスクリプトには、this new fangled dictionary と書いてあります。
ただ、fangled という単語が辞書に載ってないんですよねぇ。
tangled であれば「絡まった、もつれた、混乱した」のような意味なので、今ある新しい辞書は意味が混乱していて、正しい定義がわからなくなっている、という感覚で、this new tangled dictionary と表現したのかな、とも思えるのですが、音声を聞く限りはやはり、「タングルド」ではなく、「ファング…」みたいに聞こえるのです。(ですから正直、fangled の部分はよくわかりません)
モニカはその新しい辞書の意味で怒ってるのかもしれないけど、俺のオリジナルの辞書には、俺が今言ったようなことが書いてあるから、何ならそれをあげようか?とチャンドラーは言っています。
それを聞いてモニカがくすっという感じで笑っているので、「あぁ、今のはあんまりうまく説明できてなかったよねぇ」みたいな意味で、「こういうこと言うの、俺、苦手なんだ」とチャンドラーは言います。
チャンドラーの気持ちを知ったモニカは「あなたが思ってるほど悪くない、うまく説明してくれてたわよ」みたいなことを言っています。
その言葉に気を良くしたチャンドラーはさらに話を続けようとするのですが、すぐに Know when to stop. とモニカに言われてしまいます。
この命令形を直訳すると、「いつやめるべきかを知れ」ということで、「引き際を知りなさい、心得なさい」みたいな意味になります。
せっかくいいこと言ってくれたんだから、ここで終わりにしといた方がいいわよ、という感じですね。
ダンに断ってくる、と立ち去ろうとするモニカの後ろで、チャンドラーはいつもの妙な(笑)喜びのダンスを踊り出そうとします。
が、モニカにすかさず、「そのダンスはやめて」と言われてしまっていますね。
ト書きにあるように、モニカはチャンドラーを振り返ることなくそう言っています。
チャンドラーの姿を見なくても、今チャンドラーがそのダンスを踊っていることがわかる、というところも、長年の付き合いである親友の証なのでしょう。
いかにもチャンドラーとモニカっぽいオチなのが微笑ましいなと思いました。
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