2010年08月10日

THE21「英語勉強法特集」レビュー

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Twitter 上で、PHP研究所『THE21』9月号「英語勉強法特集」のレビュアーを募集されていました。
「THE21」の Twitter はこちら。
PHP研究所「THE21」編集部 (the21ed) on Twitter
そのレビュアーに応募したところ、早速、見本誌を送っていただきました。ありがとうございます!
今日はその「英語勉強法特集」についてレビューを書かせていただきます。

「THE21」9月号の目次データはこちら。
THE21 雑誌 PHP研究所

表紙には、大きな文字で、
海外経験ゼロでも英語ができる人はどのように勉強したのか?
と書かれています。
その「海外経験ゼロでも」という部分がやはり、多くの日本人英語学習者の興味をひきつけるんだろうなぁ、と思いながら読みました。
私も「海外経験なしでも、英検1級、TOEIC満点(990点)取れました」というのをブログのキャッチフレーズとして使っているので、同じ状況で英語を身につけた方の方法には、非常に興味があります。

その「国内だけで英語をモノにした人」の勉強法、としては、p.27 に登場されている、有子山博美さんの「海外ドラマ&映画のDVDで学習派」に大いに共感を覚えました。
英語字幕を活用して「生の英語」を習得」と紹介されている部分も、私がこれまでやってきて、今もこのブログ上で行っている Rach流DVD英語学習法と同じスタンスだからですね。
今回のレビューでは、私の方法と一番近い有子山さんの勉強法を中心に書かせていただきますが、他の方の勉強法もそれぞれ説得力のあるものばかりです。
そこは実際に「THE21」を手に取って読んでいただければ、と思っています。

有子山さんは、留学しないで、英語の超★達人!―国内でネイティブ並みの英語力を身につける方法 という本を出版されています。
私と同じように「海外経験なし」で英語を身に付けた方として、ずっとその存在が気になっていました。
私も Twitter を始めるようになって、有子山さんとお話させていただけるようになったことは、Twitter を始めて良かったな、と思えた理由の一つです。
有子山さんの Twitter はこちら。
有子山博美(ROMY) (romyscafe) on Twitter

今回の「THE21」のレビューの件も、有子山さんの Twitter で、「THE21 のレビュアー募集」の tweet を RT されていたのを見て知ったわけですから、今、この記事を書いているのも、有子山さんと知り合えたから、なのですね。

TOEICの問題がゆっくり聴こえるように」ということも書いてありますが、それは本当にそうだと思います。
「生の英語」であるドラマや映画の方が、リスニングはずっとずっと難しいです。
私が TOEIC のリスニングで満点を取れたのも、それよりも聞き取りが難しいドラマの英語で聞き取る訓練をしていたからなのは間違いありません。

日本人が英語ができるようになりたい、と思う理由として、「映画やドラマを字幕なしで理解し、楽しめるようになりたい」を挙げる人も多いですよね。
ですから、実際に映画やドラマなどの生きた教材を使って学ぼうとしている人も多いはずです。
でも結局、全然わからない、難しい…と思ってやめてしまう方も多いですよね。
拙ブログの過去記事、普通に映画を見ているだけでは… (私が著書で訴えたかったこと その1) で書いたことがあるのですが、その作品をエンターテインメントとして、英語音声にして(悪く言えば)ただぼーっと見ているだけでは、そこから多くのことを学ぶことはできません。
大切なのは映画やドラマで触れた「生きた英語、生の英語」を、自分で辞書を調べるなりして、自分の中できっちり確認する、という作業を行うことです。
有子山さんもその記事の中で以下のように書かれています。
英語字幕で観ながら、知らない単語やフレーズが出てきたら一時停止をしてメモし、辞書で意味を必ず確認します。そのままにしておくと、永遠にわからないままなので

私のRach流DVD学習法も、「英語字幕を一時停止して意味を確認する」という部分は全く同じです。
私は専業主婦になってから、32歳で英語のやり直し学習を始めて、もうかれこれ10年弱、DVD学習法を続けているわけですが、その時からずっと「英語字幕を確認する」という作業は必ず行っています。

おそらく、DVDを使って英語を身に付けてこられた方は、多かれ少なかれ同じ作業を行っているはずです。
そういう確認作業なしに、ただ流れている音声を繰り返し聞いているだけでは、本当の深いニュアンスは理解できないし、ましてやそれを自分で使えるようには到底なりません。
音声を文字の形できちんと確認し、自分の中で消化し吸収していくことで、「海外で毎日生活している人と同じ」と言っても過言ではないくらいの多くのことが学べる、と今の私は思っています。
海外で生活していれば、もちろん日本にいるよりもずっと多くの英語を浴びることになります。
ですが、ただ「大量の英語を浴びる」だけではだめで、その英語を自分が使える言語として理解する作業が必ず必要になってくるわけですね。
例え毎日英語で生活していても、その英語を深く理解しようという意識を持たずにいれば、「何となくわかるレベル」にとどまってしまう気がします。
日本にいながらでも、その生きたセリフの意味を「言葉」としてより深く理解しようとすることで、浴びる量の少なさを十分カバーできるようになると思うのです。
昔の私は、自分に海外経験がないことで、海外経験の豊富な方に対して「とてもかなわない」と感じることもありました。
が、今ではそういう気持ちはほとんど感じなくなりました。
日本にいながらでも、日本語のドラマと同じような感覚で英語のセリフを楽しみ、英語のジョークに笑えるようになったからですね。
私がブログの宣伝文句に使っている、「英検1級、TOEIC満点」という肩書きは、これはあくまでも資格であって、それが私の英語力の全てを示しているわけではありません。
海外経験のない私が、アメリカのドラマのセリフを解説するというブログをもう5年間も続けてこられたのは、そういう「資格としての英語力」ではなく、「DVDで学ぶことで、私は英語がここまで理解できるようになった、英語のジョークに笑えるようになった」という「自分の中での実感」があったからです。
そういう自分の中にある自信は、何よりも自分を勇気付けてくれます。
これからもこのやり方でずっと英語に触れていけば、もっともっと英語力が伸びるはずだ、という希望を与えてくれるのです。

英語学習法には、人それぞれに合ったやり方、というのがあります。
ですから私は人に自分のやり方を押し付けるつもりはありません。
また、それぞれが求める英語力というのも異なるので、それに合わせた学習法を選ぶことも必要です。
まずは自分がどういう英語力をつけたいのか?をしっかり見極めることが大切ですね。
TOEIC で高得点を目指すことと、映画やドラマの英語を理解することとは、ベクトルがかなり異なります。
いろいろな目標がある中で、「映画やドラマの英語を理解できるようになりたい」というベクトルで英語を学ぼうとしている人は、やはり実際にDVDなどを使ってセリフから学ぶのが、一番スタンダードで、かつ一番の近道であるはずです。

私はビジネスパーソンではないので、英語を学ぶ必要性というのは「全く」と言っていいほどありません。
私はただ、「海外ドラマの英語を楽しみ、理解できるようになりたい」と思って、英語のやり直し学習を始めただけです。
と同時に、TOEIC で高得点を取ることも目標にしましたが、それは、英語学習において何らかの目に見える形での「ものさし」があった方が励みになるかな、と思ったからですね。

海外ドラマの英語を理解する、というのは、なかなかはっきりした形で結果が出るものではありませんから、その結果を数字として表してくれる TOEIC を一つの指標として使っていた、ということです。
私の場合はその両方を同時に行うことで、どちらかの結果に失望することなく、うまい具合にバランスを取りながら、ここまで英語学習が続けてこられたのだと思っています。

今回の特集の p.59 に「楽しみながら英語力が身につく教材」として、「超字幕」がオススメされています。
超字幕については、私も、「超字幕」先行体験記 というレビューを書かせていただきました。
超字幕ではいろんな作品が取り上げられているのですが、その数あるタイトルの中で、p.59 の写真で使われているのが「フレンズ」なんですねぇ〜。
こういうブログを書いている人間として、何だかとても嬉しかったです。

また、今回の9月号には、カリスマ英語講師の竹岡広信先生、安河内哲也先生の「分野別速習法」も載っています。
拙ブログでも、竹岡先生については、
ドラゴン桜のモデル、竹岡広信先生
安河内先生については、
安河内哲也先生の「できる人の勉強法」
という記事を書かせていただいたことがあります。
そういうカリスマ講師の先生方のアドバイスはやはり参考になりますよね。
これは直接、じっくり読んでいただければと思います。

今回の特集の p.11 に、
本特集に登場された方はみな、「英語がなければ、今日の自分はない」と口を揃えていた。
という言葉が書かれています。

今回の特集では、各界で活躍されている著名人の方々のインタビューも載っていますが、出版社から直接、見本誌を送っていただく形でそういう本のレビューを書くことができるようになった自分、ブロガーRach に対して、「英語がなければ、今日の自分はない」と私もはっきり言うことができます。

私の世界を大きく広げてくれた「英語」に対して私は心より感謝しています。
そしてこれからも英語を学び続けていきたいし、英語を「楽しく」学べる人がもっともっと増えて欲しいと思っています。
自分の学習法に不安を持っている人は、広く素直にいろんな方の意見を聞いて、その中から自分に合ったものを選んでいかれるといいですね。
いろんな人の意見から「いいとこどり」をするのもアリでしょう。
私はまさに「ええとこどり」するタイプですが、学習においてはそういう柔軟性も必要ですね。
英語学習についていろいろな不安を感じている方も多いと思いますが、今回のこの特集を読んだ多くの方が、「自分にあった英語勉強法」を見つけられますように…と心から願っています。

以上、自分の経験や過去記事と絡めて(絡めすぎ…?笑)、「THE21」の英語勉強法特集についてのレビューを書かせていただきました。
特集に登場された皆様、そして「THE21」の関係者の皆様、本当にありがとうございました。


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posted by Rach at 11:30| Comment(0) | 書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月09日

医者と看護師のイメージ フレンズ5-3その4

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フィービーがいる分娩室に、男性のナースが入ってきます。
レイチェル: Uh, Monica, this is Dan (points to him), one of the guys we're gonna be going out with on Saturday. Uh Dan, Monica. (Mouths "He's yours." to her.) (あー、モニカ。この人がダン、[ダンを指差す] 土曜日に私たちがデートする予定の男性の一人よ。あー、ダン、(こちらが)モニカよ。[レイチェルはモニカに、「この人があなたの相手よ]と声には出さずに口の動きで言う])
ダン: Nice to meet you. (はじめまして。)
モニカは横にいるチャンドラーをチラっと見てから、わざと大袈裟に嬉しそうな挨拶をする。
モニカ: Hello, Dan! I'm really looking forward to Saturday night! Really, really! (こんにちは、ダン! 本当に土曜日の夜を楽しみにしてるわ! ほんとに、ほんとにね!)
チャンドラーは頭をポリポリかきながら、横から話に入ってくる。
チャンドラー: So Dan, nurse, not a doctor, huh? Kinda girlie, isn't it? (それで、ダン、(君は)ナースなんだね、ドクターじゃなくて、だろ? ちょっと女の子っぽい、って感じじゃない?)
それを聞いたナースのダンは苦笑いをする。
モニカ: Chandler! (チャンドラー!)
ダン: Nah, that's okay. I'm just doing this to put myself through medical school. (いやぁ、いいんだよ。医学部を卒業するために、このナースの仕事をやっているだけなんだ。)
チャンドラー: Oh. ([残念そうに] あぁ。)
ダン: And it didn't feel so "girlie" during the Gulf War. (それに、湾岸戦争の時、ナースの仕事はそんなに「女の子っぽい」感じじゃなかったよ。)
チャンドラー: Sure. (Pause) And listen, thanks for doing that for us, by the way. (Retreats in defeat.) (そうだよね。[しばしの間(ま)] それで、ねぇ、俺たち(アメリカ国民)のために、そういうことをしてくれてありがとう、言い忘れてたけどさ。[敗北して撤退・退却する])

レイチェルは、自分とモニカのために、男性ナース2人とダブルデートの約束をとりつけました。
そのうちの一人(名前はダン)がちょうどフィービーの分娩室に入ってきたので、レイチェルはモニカに彼を紹介します。
ト書きの Mouths "He's yours." to her. に少し注目しましょう。
mouth という動詞は、フレンズのネットスクリプトのト書きによく登場しますが、「声には出さずに口の形だけで…と言う」という意味です。
セリフとして声には出ていないので、DVDでもこの部分は日本語に訳されていませんが、実際に映像を見ていると、確かにレイチェルの口は、He's yours. と言っているように動いていますね。
He のところで目の前にいるダンの頭を指差し、yours のところでモニカを指しています。
意味としては、He/Dan is your date. 「彼があなたのデート相手よ」ということです。
誘った二人はどちらも多分かっこいいのでしょうが、多分レイチェルはもう一人の方をより気に入っていて、私はもう一人のナースにターゲットを絞るから、あなたはこっちの彼を担当ね、みたいな感じのことでしょう。
その前のセリフにあるのと似たような、He's one of our dates. 「彼はダブルデートの相手のうちの一人よ」というような内容なら、声に出して言えるのでしょうが、「ダンの担当はあなただからね」みたいなことはやはり、ダン本人の前では言いにくいので、声には出さずに口の形だけでそうモニカに伝えた、ということだと思います。

モニカはダブルデートをすることで、最初はチャンドラーに申し訳ないという気持ちを持っていたのですが、この少し前に二人で話した時、チャンドラーは「モニカが誰とデートしようと別に構わないよ、だって俺たち遊びだろ(We're goofing around)」みたいなことをつい言ってしまい、モニカも「あなたがそう言うんなら、私も気にせずデートするわ」みたいな、ちょっとした喧嘩状態に今はなっています。(goof around というフレーズについては、また、後の記事で解説します)
それでモニカは大袈裟なくらい、ダンに愛想よく挨拶しているのですね。これ見よがしにチャンドラーに見せつけている感じです。
I'm really looking forward to Saturday night! は、to の後、Saturday night という名詞が続いていますね。
「…するのを楽しみに待つ」のように動詞が続く場合は、look forward to doing のように動名詞の形になる、ということが常に注意事項として挙げられますが、このように直接、名詞が続くのを見ると、「動詞の場合は動名詞にしなければならない」ということもおのずと理解できますね。
「look forward to 動名詞」ということを丸暗記するのではなくて、今回のように名詞が来たり、動名詞が来たりする様々な形に遭遇することで、自然とその形が普通に思えてくる、そういう学び方をしたいものだと思います。

モニカがチャンドラーの前でわざとはしゃいで見せたので、チャンドラーも何か一言言わずにはいられないようです。
君は医者じゃなくて、看護師なんだよね。それってちょっと girlie じゃない?みたいなことを言っています。
girlie は、ガーリーというカタカナでも何となくわかるように「女の子っぽい」という意味です。
ジョーイが最初に nurse と聞いて、女の子を想像したように、ナースという職業には女の子のイメージがある、とチャンドラーは言いたいのですね。
この発言はちょっと、PC (politically correct) 的に問題あり、という感じなのですが、それについてはまた後で触れることにします。

put myself through medical school を直訳すると、「自分自身を、医学部の中に入れて通す」みたいな感じになるでしょうか。
それはつまり、「医学部に通って、最終的には卒業する」というニュアンスでしょうね。
英辞郎にも以下の説明が載っています。
put oneself through college=(働いて)自力で大学を卒業する
例) How do you think I put myself through college? 「大学を卒業するのに、どうやって学費を稼いだと思う?」


看護師としての実習経験が卒業単位に必要ということもあり得るかもしれませんが、英辞郎にあるように、「働いて学費を稼ぐ」というニュアンスが近いような気はします。
医学部の高額の学費を稼ぐために、看護師として働いているんだよ、ということでしょう。

ナースなんて女の子みたい、と言ったのに、実は医学部に在籍する医者の卵なんだ、と返されてしまったので、チャンドラーは「負けた」という感じで残念そうな声を出しています。
さらには、湾岸戦争(the Gulf War)の話がダメ押しになったようですね。
ダンは「湾岸戦争中のナースの仕事は、そんなに「女の子っぽく」感じられなかったよ」と言っています。
このように it feels という形の自動詞は、「(物事が)…と感じられる」という意味。
feel という単語が使われていることから、この文章だと、やはりダン本人がその現場でその感覚を感じた、ということだと思えます。

湾岸戦争が起こったのは 1991年頃ですね。
今回のエピソードの放映は、1998年なので、7年前の出来事になります。
今、医学部に通っていて、見た目も若そうなダンが、7年前のその戦争に看護師として参加していた、というのはちょっと設定に無理があるようにも思いますが、ここでのセリフはやはり、ダン本人にそういう経験がある、ということを言っているように思います。
君たちは看護師の仕事を女の子っぽい仕事だと思っているようだけど、戦争などの現場を見たらとてもそんなことは言えない、壮絶で大変な仕事なんだ、ということでしょう。

戦争の話まで出されて、チャンドラーは反論することができません。
thanks for doing that for us の that は、具体的には湾岸戦争での看護師の仕事、を指すでしょう。
us は、そんな風に戦争の前線で働いていた人に対して、本国に残っていた国民の我々、という感覚でしょうね。
君たち看護師さんは、俺たちのために前線で頑張ってくれてたんだよね、ありがとう、みたいな感じのセリフになります。
by the way は「ところで」ですが、今回のように最後におまけのようについている by the way はちょっと日本語に訳しにくいところ。
無理に語尾につけて訳すと、「ありがとうね、言い忘れてたんだけどさ」みたいな感じになるでしょうか。

そう言った後、まさにト書きにあるように「敗北して退却する」ことになるのですね。(戦争っぽいフレーズを使っているのは、湾岸戦争からの連想でしょうか?)
ナースという職業をネタに、相手をギャフンと言わせるつもりが、逆にギャフンと言わされてしまった感じです。

最後に PC (politically correct)の話をします。
フレンズ2-21その14 で詳しく解説しているのですが、直訳すると「政治的に正しい」という意味で、その概念の意味は、「(表現・考え方・行動が)人種や性による差別や偏見がない」ということです。
アメリカは差別に対する感覚が鋭い国なので、PC 的に問題ないかどうかについてのチェックは日本以上に厳しいです。
それを考えると、今回のように、ナース(看護師)は女の子の仕事、みたいに決め付けるのは、ちょっと PC 的に問題発言なのでは?という気がするのですね。
また上のチャンドラーのセリフからは、医者と看護師の仕事の間に優劣をつけている感覚もあるので、それもまた PC 的には問題ではないかな、とも思います。

ただ今回の場合は、聞いた瞬間には「そこまで言っちゃっていいの?」と思えるような差別的な発言をするのですが、結局、そのことでチャンドラーが逆に負かされてしまう、という展開になっているので、そのきわどい発言もある程度は許されてしまっているのかな、という気はします。
また、「フレンズ」はあくまでもコメディであるので、ジョークを成り立たせるための前振りのセリフとして許される許容範囲であった、とも言えるのかもしれません。

ナースのことを今では日本語でも「看護師」と中性的な名称で呼称していますが、昔は「看護婦」と呼ばれていましたので、ナースと聞いて「白衣の天使」の女性を想像してしまうのは、何もジョーイに限ったことではないですね。
今回のフレンズのセリフを見ていても、「男のナース」という存在を特別扱いしている感覚があります。
今回はそのみんなのイメージを逆手に取る形で、ジョークやセリフが成り立っているという感じでしょう。

余談になりますが、TOEIC のような試験では、PC 的配慮がなされていて、例えば、リスニング・セクションでは、医者が女性である、上司が女性である、という会話のパターンもよく登場します。
これも「女性だから看護師、女性だから部下」のような固定概念を持っていると、それだけで混乱してしまう可能性がありますね。
PC という概念を知っていると、逆に「PC に配慮した会話なんだな」と妙に納得できてしまうわけです。
TOEIC の問題の表紙に、いろんな人種の方々の顔写真が載っていますが、これも、「国際語」としての英語のイメージを強調すると同時に、英語を話す多様な人種に配慮した、PC 的な側面もあるのでは?と思っています。


(Rach からのお詫び)
いただいたコメントへのお返事は、もうしばらくお待ち下さいませ。

(Rach からのお願い)
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posted by Rach at 10:07| Comment(3) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月06日

フォンジーとドゥーギー フレンズ5-3その3

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[Scene: The delivery room, Ross has returned with another doctor. This one, is well, younger.]
分娩室。ロスは別の医者と一緒に戻ってくる。この医者は(前の医者より)かなり若い。
ロス: Okay, Pheebs, this Dr. Oberman. He has no strong feelings about Fonzie or any of the Happy Days gang. (よし、フィービー。このドクター・オーバーマン。彼はフォンジーやハッピー・デイズのメンバーの誰についても、強い感情を抱いてないよ。)
フィービー: Hi! And you're going into what grade? (はーい。それであなたは今度何年生になるの?)
ドクター・オーバーマン: Umm, I'm actually a first-year resident, but I get that a lot, I, I graduated early.... (あのー、僕は実際、1年目の研修医ですが、(仕事の内容は)よくわかっています。僕は早くに卒業して…)
フィービー: (interrupting) Uh-huh, me too. Ross, maybe I should've specified that I'd be needing a grown-up doctor. ([相手の発言をさえぎって] あっそう、私もよ。ロス、多分、私ははっきり言うべきだったのよね、私は大人の医者を必要としてるんだ、ってことを。)
ドクター・オーバーマン: Oh, no, really, I'm fully qualified to-- (あぁ、違うんです。ほんとに、僕は十分な資格があるんです…)
フィービー: Shh! "Doogie!" Shh! Doesn't anybody understand that I'm going to be having babies soon? Huh? Go! Go, little boy! Go! (シーッ! ドゥーギー! シーッ! 私は間もなく子供を産むんだってことを誰か理解してくれないの? ねえ? 行って! 行って、坊や! 行って!)
(He runs out and Frank watches him go.)
若いドクターは走って部屋を出る。フランクは彼が行くのを見る。
フランク: Oh, cool! You made him cry! (あぁ、最高! フィービーはあの医者を泣かせたぞ!)

ロスは見るからに若そうな医者を連れて部屋に入ってきます。
最初の担当医が、Fonzie (フォンジー)の話ばかりするので、フォンジーおたくじゃない人を探して来て!と言われて、この人を連れて来たのですが…。
このシーンより前に何度も Fonzie という名前が出てきていますが、ここで簡単に説明しておきます。
ロスのセリフにもあるように、Fonzie は Happy Days というアメリカのシットコムの登場人物です。
ハッピー・デイズの話は、フレンズでこれまで何度も登場しています。

フレンズ3-6その26 では、She hits the jukebox Fonzy style 「レイチェルはフォンジースタイルで、ジュークボックスをたたく」というト書きがありました。

ハッピー・デイズ フレンズ3-7その2 では、「フレンズ」で出てきた「ハッピー・デイズ」ネタを一覧にしています。

フレンズ3-25その4 では、Happy Days のすごろくで遊ぶシーンがあり、そこにも Fonzie の名前が出てきていました。

今度はフォンジーおたく、ハッピーデイズおたくじゃないから…とロスは自信を持って連れて来たのですが、フィービーは what grade 「何年生」という言葉を使っています。
若そうな見かけだったので、「あなたはまだ学生じゃないの? そんなに若くて大丈夫?」と言いたいのですね。

resident は「居住者、在住者」という意味で使われ、a foreign resident なら「在留外国人」ですが、今回のように医学分野では「レジデント、インターンを終了した研修医」を指します。
僕は知識も豊富だし、卒業が早かっただけで…みたいに説明しようとする医者の言葉をさえぎって、フィービーは me too と言っていますね。
「何かぐだぐだ言ってるようだけど、あなたが言うようなことは私にだって言えるわ、あなたのそんな言葉信用できないわ」という感じでしょう。
be fully qualified to は「…するのに十分な資格がある」。

何も問題はないと説明する若い医者に向かって、今度はフィービーは「ごちゃごちゃ言うのはやめて、黙りなさい、ドゥーギー!」みたいなことを言っています。
doggy という単語だったら「犬の」という形容詞、doggie だったら「わんちゃん、わんわん」という犬を示す幼児語になりますが、ここでは、Doogie となっていて、少し綴りが違いますね。
また音も、doggy や doggie は「ドギー」という感じですが、Doogie は「ドゥーギー」みたいに発音されています。
この Doogie は人物の名前のようですね。

Google で Doogie という単語を検索すると、Doogie Howser, M.D. というドラマがたくさんヒットしました。
グーグル・サジェスト機能でも、Doogie と入れるだけで、候補として doogie hauser m.d というフレーズが表示されるほどですから、Doogie と言えばこのドラマ、と言ってもよいくらいかもしれません。
神童である10代の医師が主人公のドラマです。
詳しくは以下で。
Wikipedia 英語版: Doogie Howser, M.D.
IMDb: "Doogie Howser, M.D." (1989)

このドラマは日本でも「天才少年ドギー・ハウザー」というタイトルで放映されていたようですね。(私は全然知りませんでした)
Wikipedia 日本語版: 天才少年ドギー・ハウザー

英語版ウィキペディアには、今回のフレンズのセリフのことは書いてありませんでしたが、日本語版ウィキペディアの方に、
ドラマは4年で終了したが、「フレンズ」で引用されるなど、ドギー・ハウザーは天才少年の代名詞となっている。
という記述があります。このウィキペディアに書いてある「フレンズでの引用」がまさに、上のフィービーのセリフなのですね。

また、英語版ウィキペディアの Cultural Influence に以下の記述があります。
Smart mice obtained by genetic engineering have been named "Doogie mice" in honor of Harris' character.
つまり、「遺伝子操作によって得られた賢いネズミは、ハリス(ドギー[ドゥーギー]・ハウザーを演じていた俳優ニール・パトリック・ハリス)のキャラクターに敬意を表して、「ドゥーギー・マイス[マウス]」と呼ばれてきた。」

賢いネズミにその名が付くほど有名である、ということですね。

フィービーは、その医師の若さを強調するために、「若い医師」の代名詞である Doogie という名前で呼んだわけです。
日本で言うと、若い探偵なら「コナンくん」(名探偵コナン)、若い店長なら「(加藤)清史郎くん」(こども店長)と呼び掛けて、相手の若さを皮肉る感覚でしょうか。

「出てって、坊や!」みたいに言われ、走って部屋を飛び出した若い医師。
さらにはフランクに、「フィービーがあいつを泣かした」とまで言われて、何だかかわいそうですね。
若い医者を泣かせてしまうほど、今のフィービーがイライラしている、ということを示してもいるのでしょう。


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posted by Rach at 11:21| Comment(3) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月04日

人の雷鳴を盗む フレンズ5-3その2

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ロス: Hey, where are Monica and Rachel, anyway? (なぁ、とにかく、モニカとレイチェルは(今)どこにいるんだ?)
ジョーイ: Oh, a couple of nurses asked them out. Maybe they're with them. (あー、2人のナースがモニカとレイチェルをデートに誘ってたよ。多分、モニカたちはそのナースたちと一緒にいるんだよ。)
チャンドラー: Really? Male nurses? (本当に? 男のナースか?)
ジョーイ: Yeah, I was bummed too. (あぁ、俺もがっかりしたよ。)
チャンドラー: So they're going on dates? When? (それで、二人はデートする予定なんだな? いつ?)
ジョーイ: I think Saturday. (groans in pain again). (土曜日だと思うよ。[再び痛みでうめく])
フランク: (To Phoebe) What's with him? ([フィービーに] 彼はどうしたの?)
フィービー: Umm, sympathy pains. I thought it was really sweet at first, but now I think he's just trying to steal my thunder. (あぁ、シンパシー・ペインよ。最初は本当に優しいって思ってたの。でも今は、彼はただ、私の主役の座を横取りしようとしているだけだ、って思うわ。)

モニカとレイチェルを見かけないので、ロスは二人の居場所を尋ねています。
ジョーイは、ナースとのデートのことを説明していますね。
モニカの恋人であるチャンドラーは、ナースとデート、と聞いて、心穏やかではいられないようで、不満そうな顔で、「(ナースっていうのは)男のナースか?」と聞き返しています。

bummed は「がっかりした」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
bummed also bummed out [adjective] (spoken) : feeling sad or disappointed

フレンズでは、関連語 bummer が何度か登場しましたね。
フレンズ4-7その1 では、bummer について、英英辞典の語義も合わせて説明しています。

ジョーイは、I was bummed too. のように too を使っています。
「俺がっかりした」と言うことで、「チャンドラーがっかりした」と思っていることがわかります。
「そうなんだよ、ナースって言っても男のナースなんだよ。お前もがっかりしただろうけど、俺もほんとがっかりだったよ」という意味で、チャンドラーもナースと聞いて一瞬レズネタを想像したかもしれないけど、現実は残念ながら違ってたんだよなぁ、みたいなことを言っているわけですね。
恋人がデートと聞いて不満な顔をしているのを、自分と同じ理由からそんな顔をしていると思ったわけです。

話をしながら、ジョーイは腰のあたりを押さえてうめいています。
sympathy は「同情、共感」ですから、sympathy pain は「(妊婦の苦しみを)共感することによる痛み」のような意味ですね。
辞書には、sympathy pain の形では載っていなかったのですが、カタカナでシンパシー・ペインと書いても、何となく意味はわかる気がします。
相手のことを思うあまりに、自分も同じような気持ちになり、同じような痛みを感じてしまうということですね。

I thought it was really sweet at first, but now I think he's just trying to steal my thunder. について。
フレンズでは相手が優しいことをしてくれた、優しいことを言ってくれた場合に、You're so sweet! と言って相手にハグするシーンをよく見かけますね。
上のセリフも、It is really sweet of him to feel those sympathy pains. みたいなニュアンスでしょう。
「あんなシンパシー・ペインを感じてくれるなんて、ジョーイはほんとに優しいのね」みたいなことです。
ただ、この場合は「優しい」と思ったのは過去形であることがわかります。
ここでは、I thought A, but now I think B という時制の対比に注目しましょう。
「(少し前までは)Aと思っていたけれど、今はBだと思っている」のように、少し前とで考え方が変わったことを示しているのです。

at first は「初めは、最初は」。
この言葉は「初めに、最初に」という日本語とは違った感覚で、「初めはこうだったけど、今は違う」というニュアンスが感じられます。

LAAD では、
at first : used to talk about the beginning of a situation, especially when it is different now
例) At first, he said very little.
例) He watched from a distance at first.

つまり、「ある状況の初め、始まりについて語る時に用いられる。特に今では違っている時に」。
例文は、「最初は、彼はほとんど発言しなかった。」「彼は、最初は遠くから見ていた。」

その例文のニュアンスも、最初は無口だったけどだんだんしゃべるようになった、最初は遠くから見ていたけど、だんだん対象物に近づいてきた、というニュアンスが感じられますね。
at という「点、地点」を表す前置詞が使われているために、first という「最初の一時点、一地点」においてはそうであった(過去形)、という感覚から、「今は違うけど」というニュアンスも出てくるのでしょう。

そういう意味では、at first をも含めた、I thought A at first, but now I think B という形は、「最初はAと思っていたけど、今はBと思っている」という対比がよりはっきり出ていることになります。
こういう文章の形は、そのままそっくり頂戴して、自分の言葉として使えるといいですね。

steal someone's thunder を直訳すると、「人の雷鳴を盗む」。
thunder は「雷」の中でも特に「雷鳴」という「音」の部分を指します。
steal someone's thunder は「他の人が得るべき称賛を奪う、(主役の)座を横取りする」というような意味になります。
LAAD では、
steal somebody's thunder : to get the success and praise someone else should have gotten, by doing what they had intended to do
つまり、「誰か他の人が得るべきであった成功や称賛を得ること、その人がしようと意図していたことをすることによって」。

ジョーイが痛がると、他のフレンズたちが「どうしたの?大丈夫?」みたいにジョーイのことを心配する、すると、激痛に耐える妊婦である私への称賛や注目がジョーイに奪われたみたいになってしまう、とフィービーは言いたいのですね。
最初は、ジョーイって優しいな、って思ったけど、あんな風に私より痛がっちゃうと、みんなの心配が私じゃなくてジョーイに向かってしまうじゃない、あなたのせいで、みんなが私も痛いことを忘れちゃうじゃない、私のことを心配して痛がってるんじゃなくて、ただみんなの注意を自分に向けたいだけじゃないの?と文句を言っているのですね。

また余談、かつ、随分先の話になりますが、フレンズ7-1 の英語タイトルは、The One With Monica's Thunder といいます。
そのエピソードでは、steal someone's thunder というフレーズが合計7回も出てきます。
タイトルにも使われているくらいですから、そのフレーズがそのエピソードの重要なポイントになっていることもわかりますね。


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posted by Rach at 06:33| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年08月02日

互いに正当な理由を求める フレンズ5-3その1

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シーズン5 第3話
The One Hundredth (フィービー、ついに出産!)
原題は「100番目の話(第100話)」


フィービーが破水したので、フレンズたちはみんな病院にやってきました。
まだ産気づかないので、フレンズたちは待合室で待っているところ。
[Scene: The waiting room, Monica and Joey are sitting there.]
待合室。モニカとジョーイはそこに座っている。
レイチェル: (entering) Monica? You're gonna be very proud of me. I just got us dates with two unbelievably cute nurses. ([入ってきて] モニカ? あなたは(きっと)私をすごく誇りに思うことになるわよ。2人の信じられないくらいセクシーなナース[看護師]とのデートをゲットしたんだから。)
ジョーイ: Oh, my! (おお、いいねぇ。)
レイチェル: They're male nurses. (それって男性のナースよ。)
ジョーイ: Not in my head. (俺の頭の中では違うな。)
レイチェル: Anyway, they want to take us out Saturday night! What do you say? (とにかく、その二人は土曜日の夜に私たちをデートに誘いたいんだって! どう思う?)
モニカ: Umm. (Looks at Chandler who is using the phone.) Umm. Umm. I don't think so. (そうねぇ。[電話を使っているチャンドラーを見る] あー、うーん。そうは思わないわ[いいとは思わないわ]。)
レイチェル: What? What are you talking about? You, you're the one who's been telling me to get over Ross and move on. I'm moving on, and you're moving on with me. Come on, give me one good reason why you don't wanna go. (何ですって? あなた、何を言ってるの? ロスをあきらめて前に進めって私にずっと言い続けたのはあなたでしょ。私は前に進んでるわ、そしてあなたも私と一緒に前に進んでるの。ねぇ、あなたが行きたくないっていう正当な理由を一つでも私に言ってみて。)
モニカ: Umm, why don't you give me something that would be a good reason and, and then I'll tell you if it's true. (あぁ、正当な理由になりそうなことをあなたが私に言ったらどう? そしたら私があなたにそれが正しいかどうか言うわ。)
レイチェル: What? (何?)
モニカ: Harder than it sounds, isn't it? (言葉として聞こえるよりも難しいでしょ?)

今回の英語タイトル The One Hundredth について。
過去記事、投稿記事1000件目! The One Thousandth でも少し説明しましたが、今回のフレンズ5-3 は第1話から数えて通算100話目に当たります。
それで、「100回目、100番目のもの、第100話」という意味で、エピソードタイトルが、The One Hundredth となっているのです。
それは同時に、The One With... や、The One Where... などのように The One で始まるいつものタイトルをもじっている、いつものタイトルにかけている、という面もあるのですね。
いつものタイトルのパターンを使いつつ、そこにひねりを加えた、フレンズらしい面白いタイトルだと思いました。

レイチェルは、You're gonna be very proud of me. と言いながら、ニコニコしてモニカに近づいてきます。
私の話を聞けば、モニカがレイチェルに "I'm very proud of you!" と言って感謝することになるわ、という感じで、モニカが喜ぶようなニュースを私は持ってきたの、とあらかじめ言っておくニュアンスですね。
フレンズ3-17その5 でも、「カルバン・クラインのランジェリー・ショーにみんなをご招待!」というビッグニュースを持ってきた時に、
レイチェル: You guys are gonna love meee! (あなたたち、私を大好きになるわよ!)
と言っていました。今回もそのニュアンスと同じだと思います。

I just got us dates with two unbelievably cute nurses. について。
get は日本語でも「ゲットする」などと言うように「…を手に入れる」ニュアンスですね。
上のセリフは、get someone something のように目的語を2つ取る形になっています。
直訳すると、「私たち(レイチェルとモニカ)に、デートを手に入れてやる」みたいなことですね。
私たち二人のためにデートをゲットしてきたのよ、ということです。
date は「デート相手」という「人」の意味でも使えますが、この場合は、dates with ... nurses となっているので、「ナースとのデート」という、「会う約束のデート」の意味になります。

2人のナースとのデートと聞いて、ジョーイは嬉しそうな顔をして、Oh, my! と言っています。
それを見て、ジョーイが勘違いしていることに気づいたレイチェルは、「ナースと言っても、あなたが想像してる女性のナースじゃなくて、男性のナースよ」と言います。

レイチェルが気づいたように、ジョーイはレズビアン関連の話になると、よく Oh, my! と言いますよねぇ(笑)。
フレンズ1-20その4 でも、レイチェルとミンディが抱き合っているのを見て、Oh, my! と言っていましたし、フレンズ3-21 の冒頭で、ローラースケートで転んだモニカが、レイチェルの上に重なった状態になっているのを見た時も、Oh, my! と言っていました。
ですから、ジョーイがニヤニヤして、Oh, my! と言う時は、「あ、ジョーイはレズビアンネタと勘違いしてる」とわかる仕組みですね。
フレンズをずっと見ている人にはわかる、お約束的な部分でもあるでしょう。

喜んでるジョーイには悪いけど、男性のナースだからね、とレイチェルは教えてあげたのですが、それに対して、Not in my head. と返すのもジョーイらしいです。
Not in my head. はつまり、They are not male nurses in my head. ということで、「そのナースたちは、俺の頭の中では男性じゃない。俺の想像の世界ではそのナースは女性だよ」ということになります。
例え事実がそうだったとしても、俺が頭の中でどう想像しようが俺の勝手だろ、俺はそのナースが女性だと思って、君たち二人とのことをいろいろ想像しとくからさ、みたいに言っているわけですね。

男性ナースとのデートの話を告げて、レイチェルはモニカに意見を求めます。
その時、電話中のチャンドラーの姿が画面に映りますね。
これはモニカの視点としての映像で、誰かとデートする、という話になった時に、今の恋人であるチャンドラーに自然に目が行ってしまう、彼がそれを聞いたらどう思うだろうとモニカが心配していることが表現されています。

レイチェルのデート案を否定したモニカに、レイチェルは信じられない、という顔をしています。
You're the one who's been telling me to get over Ross and move on. は You're the one who... という表現と、has been telling me という現在完了進行形がポイントですね。
「…する・した人はあなただ」というニュアンスの You're the one who を使うことで、ただあなたがそうした、という事実を述べるのではなく、「そういうことをしたのは、他の誰でもないあなたなのよ、あなたがそれをした”まさにその人”じゃないの」という強調のニュアンスが生じます。
次に現在完了進行形の部分について。
You told me to get over... という単なる過去形だと、「あなたはロスをあきらめるように私に言った」という過去の事実を述べたものになりますが、それが現在完了進行形になることで、過去から現在までずーっとそうしてきている、という「継続」のニュアンスが出てきますね。
あなたが今までずっと、何度も何度も私にそう言ってきたのに、そう言い続けてきたのは他でもないあなたなのに、そのあなたがダブルデートに後ろ向きって、一体どういうことよ!という気持ちなのですね。

good reason は「正当な、もっともな理由」。
せっかくのデートを断るなんて、何か私を納得させるような正当な理由があるのなら言ってみて、ということです。
そう言われたモニカは、何だか訳のわからない返事をしています。
正当な理由を言えって言うけど、あなたの方こそ、「デートをしなければならない」正当な理由があるなら、あなたが先にそれを言ってみたらどうなの? 私がその理由が正しいかどうかを判断してあげるから、みたいなことです。

これがビジネスの会議であれば、「このプロジェクトに反対の理由を述べろ」と言われた場合に、「プロジェクトを推進すべきだと考える正当な理由を先に説明してみろ、それが正しいかどうか先に検討してやる」みたいに返すことはありそうですね。
「なぜダメなんだ?と問う前に、それを行う必要性を論理的に説明できるのか?」みたいな挑み方です。
今回のモニカも、そういうビジネス的な議論のテクニックを使って、何とか反論しようとした感じでしょう。

いつもなら、素敵な男性とデート、と聞くと二つ返事でオッケーのモニカなのに、今回はそれを妙な屁理屈で拒否するので、レイチェルも「は?」という感じになっています。
それに対してモニカはまだ、Harder than it sounds, isn't it? と返しています。
これは、It is harder than it sounds. の付加疑問文の形ですね。
レイチェルは私に正当な理由を言え、って迫るけど、いざ自分が同じように返されたら、あなたも言葉に詰まるでしょ? 正当な理由を言うのは、思ったほど簡単じゃないのよ、みたいな返しをしたということです。
レイチェルはトンチンカンな返しをしてきたことに対して、What? とあきれたのですが、うまく反論できずに、まるで言葉に詰まって絶句したかのようにモニカは受け止めて(受け止めたふりをして)、「ほら、あなただってうまく説明できないじゃない」と逃げた感じになるでしょう。


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posted by Rach at 09:58| Comment(4) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする