2010年09月29日

so thatのいろんな形 フレンズ5-7その2

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ジョーイ: Hey, you can stay with us! We'll take care of ya! (なぁ、ロスは俺たちのところにいろよ! 俺たちがお前の世話をしてやるよ!)
チャンドラー: Oh, yeah! Absolutely! Anything you need, man! But you have to promise me you will let us know the second you are feeling better so that we can make fun of your hair! (あぁ、そうだよ! もちろん! お前が必要なものは何でもな! でも、俺に約束してくれ、お前の気分がましになる瞬間を俺に知らせるって。俺たちがお前の髪型を笑えるようにね!)
ジョーイ: Yeah. (ああ。)
ロス: You got it. ([恥ずかしそうに自分のボサボサの髪の毛に触って] 了解。)
ジョーイ: Okay. (よし。)
ロス: Thanks, you guys, I really appreciate this. All right, I'm gonna get packing again. Man, I've been moving around so much lately I'm beginning to feel like a nomad. (ありがと、二人とも、このことは本当に感謝してるよ。よし、また荷造りをするよ。あぁ、ここ最近ずっと、あちこちとすごく動き回っていたから、自分がノーマッド(放浪者)みたいな気分になってくるよ。)
(Joey starts giggling.)
ジョーイはクスクス笑い始める。
ロス: What? (何?)
チャンドラー: He thought you said gonad. (ジョーイは、ロスがゴーナッド(生殖腺、生殖器官)と言ったと思ったんだよ。)
(Joey busts out laughing.)
ジョーイはどっと笑う。

ロスが部屋を追い出されたと聞いて、俺たちの部屋に来ればいい、と誘う二人。
you have to promise me... のセリフ中の so that we can は、「俺たちが…できるように」という目的を表す副詞節ですね。
日本語では、「…できるように〜する」という語順が自然なので、上のセリフも、「お前の髪(型)を笑えるように、気分が良くなったら教えてくれ」と訳すことも可能ですが、こういう長い文章の場合は、とにかく聞こえた順番に前からイメージしていく方がすんなり理解できます。
前から順番に訳すと、「お前は俺に約束しなければならない」→「俺たちに知らせるって」→「気分が良くなる瞬間を」→「お前の髪型を笑うことができるように」という感じになりますね。
このように目的を表すフレーズが最後に存在することで、「気分が良くなったらすぐに教えてよ。だってそうしたら、お前のその変な髪型を思い存分からかうことができるだろ?」と最後にオチが来るセリフになるわけです。
「気分が少しはましになったらそう言ってくれよな」と、ロスのことを親身になって心配しているかのように言っておきながら、実は「あんまり落ち込んでるとその髪型をからかうこともできないしさ」とジョークとして落としているのが、いかにもチャンドラーらしいな、と思いました。

I've been moving around so much lately I'm beginning to feel like a nomad. は、so 〜 (that)...「非常に〜なので…」の構文ですね。
DVDの英語字幕では、I've been moving around so much that I feel like a nomad. のように that が書いてありますが、実際の音声では、ネットスクリプト通り、that がない形になっています。
so 〜 (that)... の構文で、that が省略された形になっている、ということですね。

さきほど、so that S can の形をご紹介しましたが、その後すぐに so 〜 (that)... が出てきたので、その二つの so that の違いを学ぶのに良い例だな、と思います。
that が省略されているけれども、so 〜 (that)... の構文だと気付くことも大切ですね。

nomad は「遊牧民、放浪者」。
gonad は英和辞典では「生殖腺、性腺」という訳語で載っています。
「ノウマッド」と「ゴウナッド」という音が似ているので、ジョーイはそれを聞き間違えて笑ってるんだ、ということです。

gonad について、もう少し専門的、医学的見地から意味を説明すると、
LAAD では、
gonad [noun] [countable] : BIOLOGY the male or female sex organ in which the sperm or eggs are produced
つまり、「(生物学) 精子や卵子が作られる、男性または女性の生殖器官」。

Macmillan Dictionary では、
gonad [noun] [countable] : (medical) a sex organ that makes cells used in producing babies. In men this sex organ is called a testicle, and in women it is called an ovary.
つまり、「(医学的(医学用語)) 赤ん坊を作り出す時に使われる細胞を作る生殖器官。男性においては、この生殖器官は睾丸(testicle)と呼ばれ、女性では卵巣(ovary)と呼ばれる」。

何だか保健の授業みたいになってきましたが(笑)、語義を見てもわかるように、生物学的、医学的用語、という感じですね。
ジョーイがそういう専門的な言葉と聞き間違える…というのは、やや無理がある感じもするのですが…。
前回の記事 フレンズ5-7その1 で解説したように、エピソードの冒頭シーンで、ジョーイは、「ナショナル・ジオグラフィック」という自然科学系の雑誌を読んでいました。
それは実は、nomad を gonad に聞き間違える、という今回のオチに繋げるための伏線だったのかな、と思ったりします。

その雑誌のブタの乳首の写真を見てジョーイは喜んでいましたが、そこにブタの生殖関連の記事が載っていて、gonad という言葉が登場していた、それで、ロスの nomad という言葉を聞いて、よく似た発音の gonad を連想し、またいやらしいクスクス笑いをした…という流れなのかなぁ、と。

脚本を書いた側の視点を想像してみると、nomad と gonad というダジャレのオチを思いついたはいいけれど、いきなり gonad という、恐らく普段の会話ではあまり登場しない単語をジョーイが思い付くのは不自然なので、その流れが自然になるように、冒頭でブタの knobs (= nipples) の話を持ってきた…ということかな、と思いました。


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posted by Rach at 07:26| Comment(3) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月27日

また貸しのsublet フレンズ5-7その1

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シーズン5 第7話
The One Where Ross Moves In (レイチェルは恋の法則ガール)
原題は「ロスが引っ越してくる話」


[Scene: Central Perk, Chandler and Joey are there. Joey is looking at a National Geographic and giggling.]
セントラルパーク。チャンドラーとジョーイがそこにいる。ジョーイはナショナル・ジオグラフィック(という雑誌)を見て、くすくす笑っている。
チャンドラー: Are you looking at naked tribeswomen? (裸の原住民の女を見てるのか?)
ジョーイ: No, look. (Shows him the magazine.) (いいや、見てくれよ。[チャンドラーに雑誌を見せる])
チャンドラー: That's a pig. (それはブタだぞ。)
ジョーイ: I know, I know. But look at the knobs on it! (わかってる、わかってるよ。でも、そのブタの乳首を見てみろよ!)
(Ross enters and his hair is a mess.)
ロスが入ってくる。髪の毛は乱れている。
チャンドラー: Hey! (Joey quickly hides the magazine under the couch.) (よお! [ジョーイはカウチの下に、素早くその雑誌を隠す])
ロス: Emily's cousin kicked me out. (エミリーのいとこに(部屋から)追い出されたよ。)
チャンドラー: What? (何だって?)
ジョーイ: Why? (どうして?)
ロス: Well, when you're subletting an apartment from your wife's cousin and then you get a divorce, sometimes the cousin suddenly wants his apartment back. (うーんと、妻のいとこからアパートメントを、サブレット(また借り)してて、その後、離婚したら、そのいとこが自分の部屋を突然返して欲しいと思ったりすることがあるんだよ。)
チャンドラー: How can he do that? Didn't you sign a lease? (どうしてそんなことができるんだよ? ロスはリースの契約をしなかったのか?)
ロス: Who needs a lease when it's "family"? (身内なのに、契約を必要とするやつがいるか?)

ジョーイは、ナショナル・ジオグラフィック(National Geographic)という雑誌を見ながら、くすくす笑っています。
詳しくはこちら(↓)。
ナショナル ジオグラフィック 日本版 NATIONAL GEOGRAPHIC.JP
「ナショジオ」という略称で呼ばれることもある、自然や科学などのトピックを取り上げている雑誌ですね。
古生物学者のロスが好きそうな雑誌ですが、ジョーイが喜んでいるので、「裸の女性でも載ってるのか?」とチャンドラーは尋ねています。
ですが、ジョーイが見ていたのは、ブタ(笑)。
あきれるチャンドラーに、ジョーイは、But look at the knobs on it! と言って喜んでいますね。

knob は「ドアノブ」などの「ノブ」「取っ手、つまみ」ですが、ジョーイのいやらしい笑い方を見ていると、何かエッチ系のことを考えているのがわかります。
これから、その knob(s) とは何か?について考えてみます。(長くなります。すみません)

まず、knob には penis の意味があります。
Macmillan Dictionary にも、
knob : (British) (impolite) a man's penis (=sex organ)
と出ています。
LDOCE (Longman Dictionary of Contemporary English) にも、
knob : (British English) (spoken, not polite) a penis
と出ています。
が、アメリカ英語に特化した辞書である、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には、knob の語義に penis の意味は載っていません。
そのように、辞書の定義を忠実に解釈すると、「knob はイギリスでは penis の意味として使われるが、アメリカではその意味では使われない」ということになるでしょうか。
ただ、オンラインスラング辞典である、Urban Dictionary でも、knob = penis だという説明が多く載っていたのですが、そこでは特に「イギリス英語限定」という記載はありませんでした。
とすると、もっぱらイギリス英語だけど、アメリカでもその意味で使うことはあり得るかなぁ、という気もするのですね。

ただ、a knob = a penis だと解釈した場合に、違和感を感じるのは、the knobs on it と「複数形」になっていることです。
it は前述の a pig ですから、「1匹のブタ(の身体の表面)についている penises (複数)」だったら、おかしいような気がするのですね、生物学的に(笑)。
そう考えると、アメリカ英語ではあまり penis の意味では使われない、ということが意味を持ってくるような気もします。

最初に述べたように、knob には「取っ手、つまみ」という意味もあります。
また、英和では「(木の幹などの)こぶ」「丸い丘、小山」のような意味も載っています。(残念ながら英英ではそういう意味は見当たらないのですが…)
そういう「盛り上がったもの、出っ張ったもの」、あるいは文字通り「つまみ」という意味で、複数形のもの…ということになると、ブタのお乳、特に「乳首」(nipples)を指している可能性が高い気がします。
DVDの日本語でも「見ろよ、この乳首!」と訳されていましたし、ジョーイの習性(?)を考えると、ブタの penis よりも、ブタのおっぱいを見て喜んでいる方が彼らしい(笑)という気もしますし。
また、DVDの英語字幕や実際の音声は、knobs on it となっていますが、ネットスクリプトは、knobs on her と書いてあります。
her というのは、female pig ということですから、ネットスクリプトを書いた人(ディクテーションした人)も、knobs を nipples だと思った、だから、it を her と書いてしまった、ということなのでしょう。

さきほど参考にあげた Urban Dictionary では、knobs という「複数形」の形で調べると、
knobs : The female breasts/nipples
と出ていました。
また、英辞郎でも、knob にはそういう意味は載っていませんでしたが、knobs という「複数形」では、
knobs=乳房
と出ていました。
それを考えると、最初から knobs という複数形で調べていれば、こんな回り道をすることもなかったわけですが…(泣)、でもイギリス英語では単数形で penis の意味になる、とわかったのも無駄ではなかった(と思いたい…笑)。
…ということで、やはりここは「乳首」ということで間違いないと思います。
「つまみ」に通じる形からの連想…なのでしょうね。

knob の話をこんなに延々書いたのは、英語音声で聞いた瞬間は、ノブみたいな形状のものとして私も(ブタの)乳首を連想したのですが、英英に penis の意味が載っていたので一瞬そっちかな?と思ってしまった自分に対する反省が一つ、それと、これがエッチ系の意味であることが次回の「その2」で取り上げるオープニング前のオチと少し関係があるように思うからです。
それについてはまた、次回詳しく説明します。

kick someone out を直訳すると「蹴り出す」ということですから、「追い出す、放り出す」という意味ですね。
漫画などでよく見かけるような、「出てけー!」と言われポーンと蹴られて追い出された、みたいなイメージでしょう。
なぜロスは追い出されたのか?と理由を尋ねるジョーイに、ロスは when you're subletting... という文章で、you を主語にして答えています。
これは、「自分の経験を語る時に使う you 」ですね。
フレンズ1-13その3 のコメント欄 でも説明していますが、マーク・ピーターセンさんの「続 日本人の英語」に、このような you についての詳しい記述があります。
p.71 のピーターセンさんの説明にあるように、
英語では、自分の経験から一般論を推定する場合、主語を "you" にすることが実に多い。
のですね。

今回の場合、「(もし)君が妻のいとこから部屋を借りてて、それで君が離婚したら…」のように、主語を 「君、あなた」として訳しても、意味はわかりますよね。
もし君がこういう立場だったりするだろ、そしたら、こういう結果になるんだよ、と、君(相手)に疑似体験を連想させて、相手の共感を得ながら自分の体験を一般論として語る感覚…から来たものだと思いますが、ここではあえて「君が」と二人称で訳さない方が、英語本来のニュアンスが出る気がします。
あくまで自分のことを語っているけれど、「こんなふうになるもんなんだ」と一般論として語るために you を使っている、ということです。
こういう「自分の体験を語る時に主語を you にする」というのは、これまでのフレンズでもたびたび登場しましたし、英語でのインタビューなどでもよく耳にします。
こういう場合は主語が you である方が英語的には「自然」なのだ、ということですね。

sublet は英和では「…を又(また)貸しする」と出ています。
使役動詞として使われる let 「…させる」には、「(家・土地など)を貸す、賃貸する」という意味があり、そこに「下、下位、副」を意味する接頭語 sub- がついた形になります。
LAAD では、
sublet : to rent to someone else a property that you rent from its owner
つまり、「持ち主[家主]から借りている[賃借している]資産[不動産]を他の誰かに貸すこと」。

sublet の語義説明に使われている rent という単語は、rent someone the room や rent the room to someone の形だと「人にその部屋を貸す・賃貸する」という意味になり、rent the room from だと「その部屋を…から借りる・賃借する」という意味になります。
ですから、その前置詞の感覚を sublet にも当てはめると、to なら貸すで、from なら借りるになりますから、sublet an apartment from your wife's cousin は「妻のいとこからアパートの一室を、また借りする」という意味になるのですね。
英和ではもっぱら「また貸しする」という意味で載っていますが、from と組み合わせれば意味はおのずと「また借りする」になる、ということです。

フレンズ4-4その2 では、家賃安定化条例について触れましたが、その時のアパートの管理人トリーガーのセリフで、
Monica is illegally subletting her grandmother's apartment. (モニカは、おばあさんのアパートを違法に又貸し(サブレット)している。)
というのもありました。
祖母名義のアパートなのに、モニカがそれをレイチェルとルームシェアしていることを、「違法に又貸し」と表現しているわけですね。

family は「家族」ですが、ここでは「身内」の感覚ですね。
不当に追い出されるなんて、lease 「賃貸借契約」を交わさなかったのか?とチャンドラーは尋ねていますが、「身内、親戚」としての好意から貸してくれてただけだから、契約なんか結んでるわけないだろ、とロスは答えているわけです。
Who needs...? は、Who knows? / Who cares? などと同じ反語で、「身内なのに、誰が契約を必要とするんだ。わざわざ契約を取り交わすやつなんていないだろ?」というニュアンスですね。


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posted by Rach at 10:50| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月24日

〜するほどばかじゃない フレンズ5-6その6

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ロスはモニカの家でフレンズたちと夕食を共にします。
エミリーが知ると怒るから…と、夕食の席から外れようとしたレイチェルでしたが、ロスはレイチェルにも一緒にいて欲しい、といい、いつものメンバーで食事をすることになります。
食事の後、エミリーから電話がかかってきます。
ロスが自分の家にいないので、モニカの部屋だろうと見当をつけたようです。
スピーカーフォン状態にして、フレンズたちは電話の向こうのエミリーに挨拶します。
エミリー: Hello, everyone. So who am I saying hello to? (こんにちは、みんな。それで、私が挨拶してるのは(そっちにいるのは)誰かしら?)
ジョーイ: Well uh, I don't know about who's here, but I can tell you for damn sure who's not here and that's Rachel!! (えーっと、あの、誰かここにいるかはわからないけど、でも、ここにいないのは誰か、だけは確実に言えるよ、それはレイチェルだ!)
エミリー: (laughs) Well, I should hope not. Ross knows better than that by now. ([笑って]そう、(レイチェルには)いないで欲しいわ。今はもう、ロスもそんなことをするほどばかじゃないし[それくらいの分別はあるし]。)
(Rachel waves her hands in disgust and starts to head for her room.)
レイチェルはうんざりしたように手を振り、自分の部屋に向かおうとする。
ロス: Y'know what? Uh, Rachel is here! (Rachel stops.) (ねぇ? あの、レイチェルはここにいるんだ! [レイチェルは立ち止まる])
エミリー: She's there? (彼女はそこにいるの?)
チャンドラー: Oh, yeah, there, there she is! (あぁ、そうだよ。そこに、そこにレイチェルがいるよ!)
ロス: Yeah, yeah, she's here. (そう、そうなんだ。彼女はここにいる。)
エミリー: Ross, take me off speakerphone. (ロス、スピーカーフォン状態を解除して。)
(He does so.)
ロスはそうする[スピーカーフォン状態ではなく、受話器で二人きりで話せるようにする]。
ロス: (on phone) Hi. ([電話で] やあ。)
エミリー: How could you do this to me? I thought I'd made my feelings about Rachel perfectly clear! (どうして私にこんなことができるの? レイチェルについての私の気持ちは、完全にはっきりさせたと思ってたのに。)
ロス: (going onto the patio) Look Emily, I'm just having dinner with my friends, okay? ([(受話器を持ったまま)テラスに出て] ねぇ、エミリー、僕はただ自分の友達と一緒に夕食を食べてただけなんだよ、いいかい?)
エミリー: You obviously can't keep away from her. (あなたが彼女から離れることは、明らかに不可能なようね。)

エミリーは、電話の向こう(モニカの部屋)で、私に挨拶してくれてるのは誰?と尋ねています。
それに対するジョーイの答えが面白いですね。
「誰がここにいるか」はわからないけど、「誰がここにいないか」については、確実に言えるよ、その誰かってのはレイチェルなんだ!という感じのセリフです。
for sure は「確かに、確実に」という意味で、そこに「ひどく、すごく」という意味を強める副詞の damn がついた、for damn sure という形になっていますね。
レイチェルが一緒にいるのをエミリーに知られたらまずい、という気持ちから、「ここに絶対にレイチェルはいないから!」と強調しているわけですが、同じ部屋にいながら、「ここに誰がいるのかはわからないけど」みたいに言っているのは何とも不自然です。
ジョーイはそのセリフを言った後、「俺、うまくごまかしただろ、な?」みたいに、ロスに対して得意気な顔でサムアップしていますが、ロスはあきれた顔をしています。
ジョーイは気を利かせてしゃべったつもりが、非常に不自然なセリフになっているところに、ジョーイらしさが出ているわけですね。
hope not は、hope she is not there ということ。

know better は、know better than to do... の形でよく使われ、「…しないくらいの分別がある、…するほど愚か・ばかではない」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
know better : to be wise or experienced enough to avoid makikng mistakes
つまり、「間違いを犯すのを避けるのに十分なほど、賢明である、または経験があること」。

直訳すると、「…するより(物事を)より良く知っている」ということですから、「…するより賢明である、思慮分別があるので…したりしない」という意味になるのですね。
上のセリフでは、than to do ではなく、than that になっています。
that は「レイチェルと食事を共にすること、レイチェルと同じ部屋にいること」などを指します。
ロスはもうよーくわかってるはずだから、この期(ご)に及んでそんなことはしない、そんなことするほどロスはバカじゃないわ、と言っているわけです。

スピーカーフォン越しに、エミリーのその言葉が聞こえたレイチェルは、「えぇわかったわよ。やっぱり私はここにいるべきじゃない人間なのよ」という感じで、自分の部屋に向かおうとするのですが、その姿を見たロスは、エミリーに「レイチェルもここに(一緒に)いる」という真実を告げます。

Take me off speakerphone. を直訳すると、「私をスピーカーフォンから外して」みたいな感じになるでしょうか。off は「分離」の感覚ですね。
今は、お互いの会話がみんなに筒抜けのスピーカーフォン状態になっているけど、その状態から外して、その状態を解除して、普通に二人だけで話したいの、ということになります。

How could you do this to me? は相手が自分に対して信じられないようなひどいことをした時に言うセリフの定番ですね。
フレンズ2-16その17 でも、タトゥーに対して抵抗があったレイチェルを説き伏せ、タトゥーを入れさせたくせに、自分は針が痛かったから、と結局タトゥーを入れなかったフィービーに対して、
レイチェル: How could you do this to me? This was your idea! (私に対して、どうしてこんなことが出来るの? これはあなたのアイデアだったのに!)
というセリフがありましたね。
言いだしっぺのあなたが逃げるなんて信じられない、という感じの非難でした。

LAAD では、
how can/could you...? : used when you are very surprised by something or disapprove strongly of something
つまり、「何かに非常に驚いた時や、何かに対して強く不賛成である時に使われる」。

how が使われていますので、「どのようにして[どのようにしたら]私にこんな(ひどい)こと[仕打ち]ができるのか?」→「どんな具合でそんな信じられないようなことが可能になるのか、そんなことができちゃうのか」と相手を問い詰めるニュアンスになります。
「どうしてそれがあなたにはできちゃうわけ? 自分の常識で考えると、あなたが私にそんなことできるはずないのに…」みたいな非難の言葉です。

make something clear は文字通り「…をクリアー・明確にする、…を明らかにする」ですから、make my feelings about Rachel perfectly clear は「レイチェルに関する私の気持ちを、完全に明確にする」となります。
私(エミリー)がレイチェルについて複雑な感情を持っていることをロスにはっきりと説明し、ロスもわかってくれた、というニュアンスですね。
I thought I'd made は、「過去形+過去完了形」になっています。
I thought という過去の時点で、make my feelings clear という作業・行為がすでに「完了」していた、という感覚になります。
それはもうすっかり「済んで、完了した」ものだと思っていたのに、またその話をぶり返すことになるなんて…というニュアンスでしょう。
あなたは完全に理解してくれたものと思ってたのに、それはまだ完全じゃなかったの? まだ私の気持ちをわかってくれてないの? 私がいろいろ説明をつけ加えないと、あなたはまだ私の気持ちをわかってくれないの?というエミリーの悲痛な気持ちが感じられますね。

obviously は「明らかに、はっきりと」「どう考えても…だ」。
LAAD では、
obviously [adverb] : used to mean that a fact can easily be noticed or understood
つまり、「ある事実が容易に気付かれる、または理解されることを意味するのに使われる」。

keep away from... は「…に近づかない、…から離れる」。離れて距離を置く感覚です。

あんなに固く約束したのにそれを守れないなんて、ロスがレイチェルから離れられないのは、もう明白だわ、あなたが口で何を説明しても、これではっきりしたわね、結局あなたは彼女から離れられないのよ…みたいな感じですね。


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posted by Rach at 07:10| Comment(6) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月22日

歌詞を抜き出しただけの台詞 フレンズ5-6その5

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ロスはエミリーのために、今住んでいるアパートメントを引っ越すことにします。
そんなことまで要求するなんてエミリーは理不尽(unreasonable)だ、とフレンズたちが口々に言うので、ロスはすっかり怒ってしまいます。
結婚には妥協が必要なんだ、コーヒーハウスで笑ってばかりはいられない、「大人」にはしなくちゃならないことがあるんだよ、とまで言うロス。
それからしばらく経った後、空っぽになったロスの部屋に、フレンズたちがやってきます。
チャンドラー: Uh, Ross? (あのー、ロス?)
フィービー: Are you still mad at us? (ロスはまだ、私たちに怒ってる?)
ロス: Yep. (ああ。)
フィービー: Oh good! Because we have an "I'm sorry" song. (それは良かった。だって私たちには、「ごめんなさい」ソングがあるから。)
ギターで演奏し始めようとするフィービー。
ロス: Y'know what? I'm really not in the mood. (ねぇ。僕はほんとにそんな(歌を聴くような)気分じゃないんだ。)
ジョーイ: Look, Ross. I feel really bad. I mean, you're going through all this stuff and I just acted like a jerk. (なぁ、ロス。本当に申し訳ないと思ってる。だって、お前はこの(今の)こと全部を切り抜けようとしているのに、俺はただ、最低なやつみたいに振舞うだけだった。)
チャンドラー: Yeah, we are so sorry. (あぁ、俺たち、ほんとに悪かったよ。)
フィービー: (To Chandler) You're kinda stepping on the song. (She gets ready to play but is stopped by...) ([チャンドラーに] あなたは、歌を踏みつけてる[歌に対してひどい仕打ちをしてる]わよ。[フィービーは演奏の準備をするが、また邪魔が入る])
ジョーイ: Look, we were way out of line, all right? We totally support you. (ねぇ、俺たちは(友達として)すごい的外れなことをしてたよ、だろ? 俺たちは完全に、お前の味方だぞ。)
モニカ: Whatever you decide, whatever you do. (あなたが何を決心しても、あなたが何をしても。)
フィービー: Okay, now you're just taking lines right out of the song! (いいわ、今あなたたちは、歌からセリフを、(そのまんま)抜き出してるだけじゃないの!)
ロス: Look, this is hard enough, okay? I really need you guys right now. (ねぇ、今回のことは、ものすごく大変なんだ、わかるだろ? 今は本当に、僕には君たちが必要なんだ。)
フィービー: Yes, exactly! And that's why.... (そうね、その通り! そして、だから…)
(She starts to play her song, but is stopped by Monica.)
フィービーは歌を演奏しようとするが、モニカに止められる。
モニカ: Why don't you come over tonight, and I'll make your favorite dinner. Come on. (今夜はうちに来たらどう? そしたら私がロスの好きな晩御飯を作ってあげるわ。ねぇ来てよ。)
ロス: Okay. Thanks, you guys. Pheebs, are you wearing fur? (わかった。ありがとう、みんな。[フィービーが毛皮を着ているのに気付いて] フィービー、君は毛皮を着てるの?)
フィービー: Okay, let's get some perspective, people. It's not like I'm wearing a seeing-eye dog coat! (いいわ、バランスの取れた見方をしてよ、皆さん。私は盲導犬のコートを着ているわけじゃないのよ!)

in the mood は「…したい気分になって」。
in the mood for+名詞、または、in the mood to do(動詞) という形で使われます。
jerk は「最低なやつ」みたいな意味ですね。
ロスが頑張って今の状況を切り抜けようとしてるのに、俺はただ最低なやつみたいな行動・言動をするばかりで悪かった、と謝罪しています。

step on は「…を踏む、踏みつける」。そこから、「…にひどいこと・ひどい仕打ちをする」という意味になります。
日本語でも、何かに対してひどい仕打ちをすることを「足蹴(あしげ)にする」と言いますが、上から足で踏んだり蹴ったりするという行為から来るイメージは、同じ感覚なようですね。

way out of line を直訳すると、「かなり線を外れて」ということですから、we were way out of line という過去形は、「ロスを非難したあの時の俺たちは、友達としてのあるべき線から大きく外れていた」という感覚だと思います。
辛い立場のお前を責めるなんて、友達としてあるまじきことをしてしまった、ということでしょう。
way は副詞で「はるかに、ずっと」。他の副詞や前置詞を強める働きがあります。
フレンズでも way too の形でよく登場しますね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
out of line : if someone's behavior is out of line, it is not appropriate in a particular situation
例) I thought what Kenny said was way out of line.

つまり、「誰かのふるまいが out of line だということは、ある特定の状況で適切ではない[不適切である]ということ」。
例文は、「ケニーが言ったことは、かなり不適切だと思った。」

やはり「線から外れる」→「不適切である」という感覚ですね。

ジョーイやモニカがロスに優しい言葉をかける中、フィービーは、you're just taking lines right out of the song! と言って怒っていますね。
line は「セリフ、一節」、つまり、あなたたちが今言ってる言葉は、私が作った歌の歌詞を抜き出したものじゃないの!と怒っているわけです。
特に、We totally support you. Whatever you decide, whatever you do. などは、いかにも歌の歌詞、という感じのフレーズですよね。
私の好きな歌に、Richard Marx の Right Here Waiting という曲があるのですが、サビの部分は以下のような歌詞になっています。

Wherever you go
Whatever you do
I will be right here waiting for you

Whatever you do の部分などは、全く同じですね。
もちろんこれは、この歌の歌詞を意識した、ということではなくて、Whatever you do 「あなたがどんなことをしても」という譲歩節が、歌詞になり得るドラマティックなフレーズだから、ですね。

You're just taking lines right out of the song! の just は「ただ…だけ」というニュアンスで、right out of の right は「ちょうど、まさしく」という感覚だろうと思います。
just や right が抜けた形の、You're taking lines out of the song! だと「あなたたちは歌からセリフを抜き出してるわ!」という感じになりますが、そこに just や right が入ることで、「あなたたちは、まさしく歌から(そっくりそのまんま)セリフをを抜き出してる”だけ”だわ!」のようなニュアンスが加わる気がします。

フィービーは何度もギターの演奏を始めようとするのに、ことごとく他のフレンズたちのセリフに邪魔されるのに笑ってしまいますね。
感動的な曲でロスをホロリとさせよう…と思っていたであろうフィービーは、歌を歌えず、さらには、動物愛護主義者にもかかわらず毛皮を着ていることをロスに指摘されてしまいます。

perspective は、修飾語を伴う形では「…な見方、考え方」という意味になりますが、perspective 単独で「つりあいの取れた・バランスの取れた見方」という意味にもなります。
また、perspective には「遠近(画)法」「遠近図、透視図」という意味もあります。
「建築透視図」のことを「建築パース」と呼んだりもしますが、その「パース」は「パースペクティブ」を略したもののようですね。
perspective については、バランスの取れた見方 フレンズ4-1その6 でも説明しています。

フィービーの着ている毛皮はミンクで、少し前のシーンでは、「ミンクはそんなに良い動物じゃないの」(Minks are not very nice.)というフィービーのセリフもありました。
It's not like I'm wearing a seeing-eye dog coat! もその流れを汲んでいて、自分がこの毛皮を着ていることを正当化しようとするセリフですね。
seeing-eye dog は「盲導犬」。
これはミンクであって、人間のために奉仕してくれている盲導犬の毛皮を着てる、っていうのとは違うのよ、だからそんな風に非難がましい目で見ないでよ、動物って言ったっていろんなのがいるんだから、もっとバランス良く物事を見てくれないと…というところです。
動物愛護主義者であったはずのフィービーですが、毛皮が似合う自分を見てしまうと、「悪い動物の毛皮なら、そんなに目くじら立てることないじゃない」みたいに言ってしまっているのが、面白いわけですね。


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posted by Rach at 06:58| Comment(4) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月20日

あんな姿じゃなかったら フレンズ5-6その4

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レイチェルとモニカは、「倉庫で、毛むくじゃらの雪男みたいなヤツと会った!」と大騒ぎしていましたが、それは下の階に引っ越してきたダニーという男性だと判明します。
不審者だと思って、スプレー式殺虫剤(bug bomb)の霧・煙を彼に浴びせた二人は、彼の部屋に謝りに行くのですが、彼は何を言っても、Okay. と軽く言うだけで、謝罪を真剣に聞いてくれませんでした。
そして、その後の話。
アパートメントのロビーのメールボックスの前。買い物袋を提げたレイチェルは、メールボックスをチェック中の男性を見て、「あら、ちょっといい男」みたいな顔で挨拶します。
レイチェル: Hi! (はーい。)
それを見て、ふっと鼻で笑う彼。
ダニー: So you like the short hair better? (じゃあ、君は短い髪の方が好きなんだ?)
レイチェル: What? Yeti? I mean Danny? (何? 雪男? あ、じゃなくて、ダニー?)
ダニー: I had to cut my hair to get rid of the uh, fogger smell. (あの(殺虫剤)噴霧器の臭いを取る[取り除く]ために、髪を切らないといけなかったんだ。)
レイチェル: Oh. Listen, I'm so sorry. I would, I would've never fogged you, y'know, if you hadn't looked so.... Y'know. (あぁ、聞いて、本当にごめんなさい。あなたに(殺虫剤の)煙を浴びせたりなんかしなかっただろうのに、もし(あの時の)あなたの見かけがそんなに…じゃなかったらね、ほら…。)
ダニー: Absolutely. Some people are just into appearances. (全くだね。見かけにだけ興味を持つ人もいるからね。)
レイチェル: (shocked) What? ([ショックを受けて] 何ですって?)
ダニー: That's cool. That's cool. (Starts to leave.) (それでいい。それでいいよ。 [立ち去ろうとする])
レイチェル: What? Hey! No, no, no! That is not cool! You don't even know me! (何ですって? ちょっと! 違う違う違う。そんなの良くないわ! あなたは私のことを知りもしないくせに!)
ダニー: Come on, you got the shopping bags and the Saks catalogue. (おいおい、君は買い物袋とサックス(・フィフス・アベニュー)のカタログを持ってるじゃないか。)
レイチェル: So, from that, you think you've got me all figured out? Well, you don't! Y'know, I, I could have toys for underprivileged kids in here! (それで、そのことから、あなたは私のことを全部理解したと思ってるの? そうねぇ、あなたはわかってない! ほら、ここ(このアパートメント)に住んでる恵まれない子供たちへのおもちゃを持ってる、って可能性もあるわ。)
ダニー: Do you? (そうなの?)
レイチェル: Well, y'know, if, if kids like to play with capri pants. (そうねぇ、ほら、もし、子供がカプリパンツで遊ぶのが好きだとしたらね。)
ダニー: Okay. (Heads for his apartment.) (オッケー。[自分のアパートの部屋に向かう])
レイチェル: And stop saying that! I hate that! (それと、それを言うのはやめて! それ、大嫌いなの!)
ダニー: Okay! (オッケー。)

So you like the short hair better? は、「それじゃあ、君は短い髪の毛の方が(より)好きなんだね」という感じ。
何かと比較して、短い髪の方が好き、と言っているので、長い髪と比較して…?、もしかして、あなたはあのボサボサ頭のダニー?…という連想がレイチェルにも働いたわけですね。
So 「それじゃあ」というニュアンスは、ちょっと興味を持って自分から声を掛けてきたレイチェルを見て、「以前の髪型の時は、不審者だと思って殺虫剤を浴びせたりしたくせに、こざっぱりした俺には、そんな風な顔で声を掛けるってことは、こういう見かけの方が君は好みみたいだね」と言いたい気持ちが感じられます。

髪の毛の話でピンと来たレイチェルは、あなたがあの雪男?…じゃなくて、ダニーなの?と驚いています。
yeti は今回のエピソードタイトルにも使われていますが「イエティー、雪男」。
Wikipedia 日本語版: イエティ
Wikipedia 英語版: Yeti
全身毛むくじゃらの男、みたいなイメージですね。

I mean は「私の言いたいことは、つまり」という挿入句ですが、この場合は特に、思わず相手のことを「あの雪男?」みたいに言ってしまった失言を撤回して、「私が言いたかったのはそういうことじゃなくて」と「訂正して言い直す」ニュアンスです。

見違える姿になったダニーに驚くレイチェルに、ダニーは髪の毛を切った理由を説明しています。
get rid of は、フレンズ5-6その1 で「処分する」という意味で出てきたばかりですが、今回は「取り除く」という基本的な意味で使われています。

フレンズ5-6その3 で、She's having it cremated. を解説する時に、have my hair cut 「髪の毛を切ってもらう」という形を紹介しましたが、今回のセリフでは、I had to cut my hair つまり、I cut my hair という形になっています。
この形だと、散髪屋さんとかで人に切ってもらうのではなく、自分で自分の髪の毛を切る、ということになるわけですが…実際、彼は「自分で」髪を切ったのだろう、と思える気がします。
これはあくまで想像ですが、彼は(少し前のシーンでジョーイが説明していたように)アンデスを長期間一人旅するような人なので、髪の毛が伸びてきたら自分でチョキチョキ切ってしまうような気もするのですね。
日本人が書いた英語なら、I had to cut my hair. と書いてあっても、実際には散髪屋さんでカットしてもらった、という可能性もありますが、ネイティブはその辺りの感覚は自然に身に付いているでしょうから、I had to have my hair cut. と言うべきところを、I had to cut my hair. とは言い間違えない気がする、だからダニーの場合はほんとに自分で切っちゃった気がする、と私は思うのです。

煙の臭いがついたので、髪を切らざるを得なかった、というダニーに、レイチェルはごめんなさいと謝っています。
I would, I would've never fogged you, y'know, if you hadn't looked so....Y'know. は、「過去の事実に反対の仮定」を表す、典型的な「仮定法過去完了」の文章ですね。
条件節から訳すと、「もしあなたがあの時、見た目[見かけ]がそんなに○○でなかったなら、私はあなたに殺虫剤を浴びせなかっただろうに(実際にはあんな風にあなたに殺虫剤をかけてしまった)」になります。

so.... Y'know. とはっきりした言葉を言わずに、「ほら(私が言わんとしてること)わかるでしょ」みたいに言葉を濁していますが、so の後には、hairy 「毛むくじゃら」とか、creepy 「気味悪い」とかのネガティブな言葉が続きそうなニュアンスですね。
いくら過去の姿とは言え、本人を目の前にして悪い表現は言いにくいので、y'know でごまかした感じです。

appearance は「外見、見かけ、容姿、風貌」。
into は「…に興味を持って、夢中になって」。フレンズではこの意味でよく出てきますね。
つまりダニーは、「君の意見はごもっともだねぇ。容姿にしか興味を持たない人間、容姿だけにこだわる人間ってのもいるからね」と言っているわけです。
その言葉にレイチェルはショックを受けた様子で、観客からも、おお!みたいな歓声が上がっていますが、それだけ鋭い指摘だった、ということですね。

そう言い捨てて去ろうとするダニーをレイチェルは引き止めます。
私のことを知らないくせに、とレイチェルは怒るのですが、ダニーはレイチェルの姿を指摘して、「ほら君はそんな風にカタログ持って服を買い込んじゃって、見かけばっかり気にする女の子の典型じゃないか」とでも言いたいようです。
Saks は Saks Fifth Avenue (サックス・フィフス・アベニュー)。五番街にある高級デパートの名前です。
フレンズ1-18その5 にも出てきました。

買い物袋の中身を洋服だと決め付けるダニーに、「中身も見ないでそうやって決めつけるの?」と怒るレイチェル。
privilege は名詞で「特権」、他動詞で「…に特権を与える」。
過去分詞の形の privileged は「特権のある、特権を与えられた」という形容詞。
ですから、underprivileged は「(人が)(社会的・経済的に)恵まれていない」という意味になります。
underprivileged kids/children は「恵まれない子供」。
その形容詞に the をつけた形の、the underprivileged も「恵まれない人々」という意味になります。
そういう恵まれない子へのおもちゃが入ってるかもしれないじゃない、と could を使って「可能性」を述べるレイチェル。
Do you? は、Do you really have those toys? みたいなことですね。
「ほんとにそんなおもちゃを持ってるの? その紙袋にほんとにそんなおもちゃが入ってるの?」ということです。

if kids like to play with capri pants は、「もし、子供たちがカプリパンツで遊ぶのが好きなら、紙袋の中身はおもちゃだって言えるかも」という感じ。
カプリパンツは、くるぶし丈のぴったりした女性用パンツ・ズボンのことですから、自分用にそのパンツを買って来たレイチェルは、「こういうパンツをおもちゃにして遊ぶ子供がいるかもよ」みたいに言って、おもちゃになり得る可能性を言っていることになります。

あきれたように立ち去るダニー。
ダニーが言う Okay. は、「オ・ケイ」みたいにすごくそっけなくて、ちょっと人をバカにしたような響きがあります。日本語で言うと、「あっそ」みたいな感じでしょうか。
殺虫剤をかけたことを謝りに言った時も、この Okay. を連発されてレイチェルたちは気分を害していましたが、またその Okay. を使っているので、レイチェルは「その Okay ってやつ、嫌いだからやめてよね」と言っているわけですね。


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posted by Rach at 07:15| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月17日

毛皮を火葬してもらう フレンズ5-6その3

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フィービーは、ママから、おばあちゃんの持ち物だった(家に代々伝わる)家宝のミンクの毛皮を譲り受けます。
動物愛護主義者のフィービーは、毛皮をどう処分するかで悩んでいます。
フィービー: So listen, you know my friend Chris who owns the crematorium? (それで、聞いて。火葬場を持っている[経営している]私の友達のクリスを知ってるでしょ?)
モニカ: Crematorium Chris? Sure! (クレマトリアム・クリスね? もちろん(知ってるわ)!)
フィービー: He said that he would cremate my fur coat for free if I umm, y'know, bring in the next person I know who dies. (彼が言うにはね、私の毛皮のコートをただで火葬にしてくれるんだって、もし、その、ほら、今度、私の知り合いで死ぬ人を紹介したらね。)
(Rachel enters from the bathroom and sees the coat.)
レイチェルはトイレからこちらの部屋に入ってきて、そのコートを見る。
レイチェル: Oh, my God! Oh, my God. Look at these pelts! (まぁ、なんてこと! すごいわ。見てよ、その皮!)
モニカ: Don't get too attached. She's having it cremated. (あんまり執着しすぎちゃだめよ。フィービーはそれを火葬してもらおうとしてるんだから。)
レイチェル: What? Uhh, Phoebe, honey, honey, I know you're quirky, and I get a big kick out of it. We all do, actually. But if you destroy a coat like this, I mean, that is like a crime against nature! Not nature. Fashion! (何ですって? あー、フィービー、ハニー、ハニー、あなたが風変わりな人だってことはわかってるわ。そして私はそれにしびれてるの。私たちは、実際、みんなそうよ[あなたにしびれてるわ]。でも、もしあなたがこんなコートを破壊するのなら、つまり、それは自然に対する犯罪みたいなものよ! [自分で「違うわ」という感じで横を向いて笑って] 自然(に対する犯罪)じゃない。ファッション(に対する犯罪)よ! [ここはすごく怒った声と顔で言う])
フィービー: This is fashion? (Grabs the coat from Rachel.) Okay, so to you, death is fashion? That's really funny. (She puts the coat on and starts to model it.) Here's Phoebe umm, sporting uh, y'know, cutting edge hairy carcass from, y'know, the steel traps of wintry Russia. I mean, you really think this looks good? (Sees herself in the mirror.) 'Cause I do! (これがファッションですって? [レイチェルからコートを掴み取る] いいわ、あなたにとってはそうなのね、死がファッションなのね? それってすっごく面白いわ。[フィービーはコートを着て、それを着たモデルの真似をし始める] こちらは、冬のロシアの鋼鉄製の罠からやって来た[取って来た]、流行の最先端の毛深い死骸を誇らしげに見せているフィービーです。つまり、あなたはこれが素敵に見えるって本当に思うの? [フィービーは鏡に映った自分の姿を見る] (思うわよね)だって私は(実際に)そう思うもの。)

crematorium は crematory とも言いますが「火葬場」。
cremate は「(死体)を火葬にする」という動詞ですね。
Crematorium Chris というあだ名のところで観客が笑っています。
Cre- と Chri- とが似た音の繰り返しになっているので、(「火葬」という死に関する話ですから、ちょっと不謹慎ですが)うまい具合につけたあだ名だねぇ…というところでしょう。

for free は「無料で、ただで」。
owns the crematorium つまり「火葬場を所持している、持っている」ということは、火葬場を経営していて、火葬するのが仕事だ、ということですね。
本来は火葬する場合、料金を取るけれど、それをただでやってくれるの、ということです。
ただし、知り合いで次に死ぬ人を紹介したらね、という条件付きであることを、if 以下で説明しています。
次のお客さんを紹介してくれたら、今回のことはサービスでしてあげるよ、という話なわけですが、さらっと言っているわりには、「次に友人の誰かが死んだら」というヘビーな内容なので、そのブラックさに笑ってしまうわけです。
また、火葬の話が出たことで、毛皮=動物の死体、だと強く認識しているフィービーは、処分する場合は人間の死体と同じように丁寧に葬るべきだと思っていることもわかりますね。

トイレから戻ってきたレイチェルは、ミンクのコートを見て、感動の声を上げています。
pelts! と言うのを聞いて、観客は笑っていますね。
英和辞典では、pelt は「(動物の)生皮、毛皮」という訳語が出ています。
恐らくこれは、「コートの毛皮」というニュアンスではなくて、「生き物の皮」というニュアンスの言葉だから、笑い声が起こっているのだと思います。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
pelt [noun] [countable] : the skin of a dead animal, especially with the fur or hair still on it
つまり、「死んだ動物の皮、特に、まだ表面に毛皮や毛がついている状態のもの」。

レイチェルは冗談ぽく、「その”動物の皮”、素敵ね!」と言っているのでしょう。

get attached (to...) は、「(…を)好きになる」「(…に)執着する、こだわる」。

She's having it cremated. という文は、近い未来を表す「現在進行形」と、「have+目的語+過去分詞」という使役動詞 have が使われていますね。
have it cremated の it は the fur coat です。
日本語だと「フィービーはそのコートを火葬にするつもり」みたいな言い方をしますので、She's cremating it. のように表現したくなりますが、そうすると、She、つまり、フィービー自身が火葬という行為を行うように聞こえます。
実際に、「火葬する」という行為を行うのは友人のクリスですから、「毛皮のコートを火葬してもらう」という意味で、「コートが火葬されるという状態を持つ」というニュアンスの have it cremated という使役の形が使われているわけです。
I had my hair cut. 「私は髪の毛を切ってもらった、散髪してもらった」と同じニュアンスですね。

コートを燃やそうとしていると知って、レイチェルは慌ててそれを引き止めようとしています。
「フィービーは風変わりで、私やみんなはそれにしびれちゃうんだけどね」みたいなことを言って褒めた上で、でも、このコートを破壊するなんて、ファッションに対する犯罪よ!と最後には怒っています。
quirky は「風変わりな、奇妙な」。
get a big kick out of... は「…から刺激・快感・スリルを得る、…にしびれる」。
名詞 kick に「刺激・スリル」という意味があるのですね。
LAAD では、
kick [noun] : [singular] (informal) a feeling of excitement you get from doing something enjoyable
つまり、「何か楽しいことをすることで得られる、興奮の感情」。

コートを cremate することを、レイチェルは destroy と表現しています。
レイチェルにとっては、動物の死体という認識はなく、素敵でおしゃれで高価な服、というイメージしかないので、それをあなたは「破壊する」気なの?と言いたいのですね。

こんな素敵な毛皮のコートを破壊するなんて、ファッションに対する犯罪だわ、と言い切ったレイチェルに対して、「あなたにとっては、”死”がファッションなわけ?!」と反論するフィービー。
その後、コートを実際に羽織ってみて、ファッションモデルのような真似をしています。

Here's Phoebe umm, sporting... の文章は長いですが、こういうものは前から順番にイメージしていくべきですね。
まず語彙を説明していくと、
sport は動詞で「…を見せびらかす、誇らしげに・自慢そうに示す」。
cutting edge は「(流行・ファッションなどの)最先端、最前線」。
carcass は「(獣の)死体、死骸」。

前から順番に意味を取っていくと、
こちらはフィービーです(と自分で紹介する感じ)
→(そのフィービーは何をしているところかと言うと)最先端の毛深い死体を見せびらかしています
→(その死体はどこから来たものかと言うと)冬のロシアの鋼の罠から来た、
という感じになるでしょうか。
ファッションショーのナレーションみたいに、その様子を言葉で紹介しているわけですが、嬉しそうに見せびらかしている最先端のその毛皮は、「ロシアの罠で捕らえられた動物の死骸のなれの果て」なんだけどね、と言いたいわけです。
そんなものをファッションだと言ってみせびらかすなんて悪趣味よ!という感じでしょう。

こんなのが素敵に見えるわけ?と怒っていたフィービーですが、鏡に映った、毛皮を着ている自分の姿を見て、'Cause I do! と言うオチが楽しいですね。
この文章は、You really think this looks good? 'Cause I do! ということなので、「あなたはこれが素敵に見えるって本当に思うの? (そう思うわよね。) だって(実際に)私はそう思うもの。」みたいな意味になります。
鏡を見る前と見た後で、コロッと気持ちが変わってしまったことが表れています。

フィービーのセリフがもし、You really think I look good in this? 'Cause I do! だったとしたら、「これを着た私が素敵に見えると思う? (思うわよね。) だって私は(実際に)素敵に見えるもの。」という意味になるでしょう。
ですが、実際のセリフは、I look good in this ではなくて、this looks good のように主語は this なわけですから、this の動詞に当たる look は、'Cause I do. の do が指す動詞とはなり得ません。
I do の do が何か?を考えた場合は、その前の You really think に対して、I do と言っていると考えるのが自然です。
流れとしては、You really think...? Of course, you do. Because I (do) think so. という感じでしょう。

最初に「あなたは本当にそう思うの?」と言った時は、単なる疑問ではなくて、「そんな風に思うなんて信じられないわ」という反語表現だったのですが、鏡に映った自分の姿があまりにも素敵だったので(笑)、「思うの?…って、そりゃ、そう思うわよね。だって(今、鏡を見て)私もそう思うから。」と、あっさり素敵さを認めてしまった感覚です。
動物愛護の精神から毛皮に反対していたフィービーですが、自分の可愛い姿にはそのポリシーをも変えてしまう…という女の子っぽいオチですね。


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posted by Rach at 07:31| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月15日

henceはアカデミックな単語 フレンズ5-6その2

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エミリーのために、家財道具全てを買い換える決意をしているロスに、
チャンドラー: Okay, but don't you think this is a little extreme? (わかった、でも、これってちょっと行き過ぎだと思わないか?)
ロス: After what I did, can you blame her? (僕があんなことした後だ、彼女を非難できる?)
フィービー: Oh, my God! You got off easy. When my friend Silvie's husband said someone else's name in bed, she cursed him and turned his thingy green. (まあ! あなたは軽い罰で済んだわよ。私の友達のシルヴィーの夫がベッドで誰か他の人の名前を言った時、シルヴィーは夫に呪いをかけて、彼のモノを緑に変えたんだから。)
(Ross suddenly gets up and heads for the bathroom.)
ロスは突然立ち上がり、トイレに向かう。
ジョーイ: (after Ross is gone) What is he doing? What, Emily thinks Ross' furniture has got Rachel cooties? ([ロスが行った後] ロスは一体何やってんだよ? ロスの家具にはレイチェル・シラミがついてるとでも、エミリーは思ってるのか?)
モニカ: Now calm down, Joey. (ねぇ、落ち着いて、ジョーイ。)
ジョーイ: No! Everything's gettin' all messed up, y'know? Emily won't let Ross see Rachel. We're not gonna stop seeing Rachel. Hence Ross stops seeing us! (やだ! 何もかも全部、ぐちゃぐちゃになってるよ、だろ? エミリーはロスとレイチェルを会わせない。俺たちはレイチェルに会うのをやめない。ゆえに、ロスは俺たちに会うのをやめる[俺たちに会わなくなる]、ってことだ。)
フィービー: Oh, I hate this. Everything's changing. (あぁ、こんなのいや。何もかもが変わって行くわ。)
チャンドラー: Yeah I know, we're losing Ross. Joey said "hence." (あぁ、そうだね。俺たちはロスを失うし、ジョーイは hence って言葉を言うし。)

エミリーの言う通り、家財道具を全て新品に買い換えるというロスに、フレンズたちは、それでいいのか?と尋ねています。
extreme は「極端な、過激な、行き過ぎの」。
エミリーの言うことはいくらなんでもちょっと行き過ぎじゃないのか?とチャンドラーは言いたいわけです。

After what I did, can you blame her? について。
after what I did を直訳すると、「僕がしたことの後で」。
結婚式でエミリーの名前をレイチェルと言ってしまった、彼女に対してそんなひどいことをしてしまった後で、というニュアンスですね。
can you blame her? の you は、エミリーのことを行き過ぎだと言っているチャンドラーを指しているとも考えられますが、漠然と「一般の人々」を指しているような気もします。
僕(ロス)がエミリーにとてもひどいことをしてしまった、というのは誰の目にも明らかなので、エミリーがどんなことをしても、誰も彼女を非難できない、非難できる人などいない、という感覚かな、と思います。
また、その「一般の人々を表す you 」にはロス自身も含まれていて、「行き過ぎだと思わないか?」と言われても、僕は彼女を非難することはできないんだ、だってあんなひどいことをしてしまった後だからね、というニュアンスも入っているように思います。

You got off easy. の get off easy は「軽い罰・叱責で済む」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
get off easy : to escape severe punishment for something that you have done wrong
つまり、「自分が悪いことをしてしまったことに対しての厳しい罰を逃れること」。

get off には「刑罰・不幸を免れる」という意味があります。
ここでの easy は副詞で「楽に、容易に」。
easy は形容詞として使われることが多く、副詞としては別に easily という単語が存在しますが、easy の形でも副詞として機能するのですね。

研究社 新英和中辞典には、
easy=【副】(口語) 楽に、気楽に、容易に、ゆっくりと (注:通例口語体の慣用的表現に用い、他は easily を用いる)
Easier [It's easier] said than done. (諺) 言うのはやさしいが行なうのは難しい。
Easy come, easy go. (諺) 得やすいものは失いやすい。


と出ています。
get off easy はまさに、get off easily という意味の「口語体慣用表現」だということです。

thingy は、あえて名前を言わない「もの」というニュアンス。
ここではまさに日本語で言うところの「モノ」、夫の大事な部分(笑)を指していますね。
ベッドで(エッチの最中に、もしくは寝言で)別の女性の名前を言ってしまったために、その部分を緑色に変えられた、という話ですが、ペンキで塗られた、とかではなく、呪いでそんな色に変えられた、というのが何とも怖いです(笑)。
ロスも最初は、そんなバカな…みたいに笑っているのですが、フィービーが冗談だと否定しないので、後で真顔になっているのも笑えます。
ベッドで名前を間違えてそんなことをされちゃった人もいるんだから、ロスは大勢の人のいる結婚式で名前を間違えて、それで済んでるなんて楽だわよ、とフィービーは言いたいのですね。

cootie は「シラミ」。
レイチェルが触ったものを全て処分しろ、だなんて、レイチェルのシラミでもついてるって言いたいのか!とジョーイは怒っています。
モニカになだめられても、ジョーイの怒りは収まりません。
stop seeing Rachel は「レイチェルに会うのをやめる」。
stop doing は「…するのをやめる」で、stop to do は「…するために立ち止まる、立ち止まって…する」であるという違いは、学校文法でもよく登場する事柄ですね。

エミリーのせいで、ロスは俺たちと会わなくなってしまう、何もかもが変わってしまう…と口々に言うフレンズたち。
最後のチャンドラーのオチが面白いですね。
全くだよ、ほんとに何もかも変わっていくよねぇ、ロスとのこともそうだし、ジョーイは hence なんて言葉を使うしさぁ…と言っているわけですが、hence という言葉がジョーイには似つかわしくない単語であることが、そのセリフだけでわかります。

hence は「ゆえに、それゆえに、このゆえに」。
研究社 新英和中辞典には、hence の用法として、
so that, consequently, therefore よりも硬い表現
と出ています。
そのセリフのイメージ通り、かなり硬い表現であることが辞書でも確認できましたね。
セリフからだいたいの言葉のイメージを掴んでおいて、それを辞書でしっかり確認する、という作業が、言葉を定着させるのには大切です。

LAAD では、
hence [Ac] [adverb] (formal) :
1. [senence adverb] used to show that what you are about to say is a result of what you have just said

つまり、「(フォーマル) [文副詞(文全体を修飾する副詞)] 今から言おうとすることが、たった今言ったことの結果である、と示す時に使われる」。

LAAD では、hence という単語に、Ac というマークがついています。
Ac は、the Academic Word List に含まれている単語、という印です。
学生が学問としての読み書きをする場合に必要な、アカデミックな単語だということですね。
アカデミックなこととは縁遠いジョーイが(笑)、hence という言葉を使っているおかしさを、このセリフから感じていただけたら、と思います。


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posted by Rach at 07:16| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月13日

触ったものは全て処分する フレンズ5-6その1

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シーズン5 第6話
The One with the Yeti (雪男に胸キュン!)
原題は「雪男の話」


セントラルパークにロスが入ってくる。
ロス: (entering) Hey! ([入ってきて] やあ!)
ガンター: Oh, Ross? Ross! You can't put up flyers in here. (あぁ、ロス? ロス! ここにビラを掲示しちゃだめだ。)
ロス: How come? Everybody else does. (どうして? 他のみんなはそうしてるのに。)
ガンター: You can't. (君はだめなんだ。)
モニカ: What is that? (それ、なあに?)
ロス: Oh, umm, I'm just getting rid of a couple of things. (あぁ、うーんと、僕はただ、所持品を2、3個、処分しようとしてるんだよ。)
モニカ: (looking at the flyer) This is all of your things. ([ビラを見て] これって、ロスの所持品の全てじゃないの。)
ロス: Yes, yes, it is! No, but it's good, it's, Emily thinks we should get all new stuff. Stuff that's just ours. Together. Y'know, brand new. (そう、そうだね! いや、でもいいんだ。僕らは全部新しいものを買うべきだってエミリーは思ってるんだよ。僕たちだけのものをね。一緒に、ほら、新品を。)
モニカ: So basically, this is a getting-rid-of-anything-Rachel-ever-touched sale. (じゃ、基本的に、これって、「レイチェルが今まで触ったものはどんなものでも処分する」セールなのね。)
ロス: Touched, used, sat on, slept on.... ((今までに)触った、使った、座った、寝た…)
ガンター: I'll take it all. (僕が全部もらうよ。)

put up はここでは「(掲示などを)掲げる、掲示する」。
put up a notice on a bulletin board だと「掲示板に掲示を出す」ですね。
flyer は flier とも綴り、「ビラ、チラシ」という意味になります。
私は flier という単語は映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」で覚えました。
"Save the clock tower!" 「時計台を守りましょう!」と言いながら、ビラを配っていた女性に、マーティーが募金した時に、その女性が、"Thank you. Don't forget to take a flier." 「ありがとう。ビラを(受け取るのを)お忘れなく」と返すセリフがあったんですよね。
そのチラシが後々、物語の重要なアイテムになることもあって、印象に残っていました。

You can't... 「君は…できない、…してはいけない」と言われ、ロスは、「他のみんなはしてるのに、僕だけどうしてだめなの?」みたいに聞き返していますね。
それに対して、理由も述べず、ただ、You can't. を繰り返すガンターが面白いです。
理由も何も、他の人がどうであろうとも、とにかく君はだめなんだ、と有無を言わさない感じです。
ガンターはずっとレイチェルに片想いしていて、ロスに対して敵意を持っているために、嫌がらせのようなことを言っているわけですが、当のロスは全くそれに気付いていない…というのがいつものパターンなのですね。

get rid of は「…を処分する、取り除く」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
get rid of somebody/something : to throw away, sell etc. something you do not want or use anymore
例) I got rid of all those old CDs.


つまり、「自分が欲しくないもの、またはもう使わないものを捨てる、または売るなどすること」。
例文は、「その古いCD全部を処分した。」

今回はまさにその sell 「売る」のニュアンスですね。

a couple of things 「持ち物を2、3個」と言ったロスに対して、モニカが、all of your things と返すのも面白いです。
ロスは所持品2、3個とか言うけど、数個どころか家財道具一式じゃない!と言ったところですね。
チラシにはありとあらゆる家具や電化製品が書いてあったのでしょう。

そう指摘されたロスは、そのことを認めた上で、二人で新しいもの、僕たちだけのもの、新品を買おうとしてるんだ、それはエミリーの考えなんだよ、と説明しています。
Emily thinks の部分で、モニカはピンと来たようですね。
あぁ、つまり、このビラに書いてあるセールは、基本、こういうコンセプトなのね?という感じで、this is a getting-rid-of-anything-Rachel-ever-touched sale. という言葉で表現しています。
getting-rid-of-anything-Rachel-ever-touched の部分は、長い文章をハイフンで繋げることで、形容詞化したものですね。
This is a 〜 sale. 「これは〜の(〜という)セールである」という文章のセールを説明する部分がハイフンで繋がった形容詞になっていて、「レイチェルが今まで触ったものはどんなものでも処分する」っていうセールなんだぁ…と、その目的をモニカはズバリ指摘した、ということです。

それを当てられてしまったロスは、触ったもの、だけじゃなくて…みたいな感じで、used, sat on, slept on... という動詞を並べています。
モニカが表現した、getting-rid-of-anything-Rachel-ever-touched の touched の部分を、used, sat on, slept on に置き換えたもの、何もかもを処分するんだ、ということですね。
touched と used は他動詞なので、touched something の形になりますが、sat (sit), slept (sleep) は自動詞なので、sat on the chair, slept on the bed のように必ず前置詞 on が必要になります。
日本人はこのように目的語が前に来ると、最後の on を忘れてしまいがちになりますが、What are you talking about? の about のように、必要な前置詞は必ず文尾に残ります。
今回のセリフでも、「on がないと何だか気持ち悪い」という感覚になれると、いい感じ、だと思います。

レイチェルが触ったもの、使ったもの、座ったもの、寝たもの…と挙げていくのを聞いて、ガンターが I'll take it all. と言うのがまた面白いです。
どうやら、slept on が効いたようですね(笑)。
それまではビラを貼るのにも反対していたガンターでしたが、「レイチェルが寝たベッド」と聞いた途端に、それを買おうと決意した、その「その時、決めた」感覚が、I'll の will に出ています。
これが、I'm going to take it all. だと、その話を聞く前から買おうと決めていたことになってしまい、この状況にはそぐわないセリフとなってしまいます。
恋敵のロスの野郎が物を売ろうとしてることに協力なんかしてやるかぁ!という感じで、ビラの掲示に反対していたのに、売り物がレイチェルがらみのものであると知るやいなや、「僕、それ全部いただきます」みたいにころっと態度を変える、その面白さが、will に出ている、ということですね。


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posted by Rach at 08:55| Comment(4) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月11日

そもそも私ならこうしてた フレンズ5-5その6

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仲間から離れるべきなのは、全ての原因となったこの僕なんだ、というロス。
レイチェルは「そんな…」と否定しようとするのですが、
ロス: No, no, it's okay. Really. There're plenty of people who just see their sisters at Thanksgiving and just see their college roommates at reunions and just see Joey at Burger King. So is, is that better? (いや、いや、いいんだ。ほんとに。妹とは感謝祭で会うだけ、とか、大学のルームメイトとは同窓会で会うだけとか、ジョーイとはバーガーキングで会うだけ、とか、そういう人は大勢いるよ。それならいいだろ?)
レイチェル: No, it's not better. I still don't get to see you. (いいえ、良くないわ。私はやっぱりあなたに会えないもの。)
ロス: Well, what, what would you do, Rach? If you were me, what, what would you do? (それじゃあ、君ならどうするの、レイチェル? もし君が僕なら、君ならどうする?)
レイチェル: Well, for starters, I would've said the right name at my wedding! (そうねぇ、そもそも、私なら結婚式で正しい名前を言ってたでしょうね!)
二人は少し笑い、また寂しそうな顔に戻って
ロス: I can't believe this is happening. (こんなことが起こるなんて信じられないよ。)
レイチェル: I know. (そうね。)
ロス: I am so sorry. (本当にごめんよ。)
レイチェル: I know that too. (それもわかってるわ。)
二人は手を握り合う。


There're plenty of people who just see... について。
ネットスクリプトでは、They're plenty of people who just see their sisters at Thanksgiving... と書いてあり、DVDの英語字幕では、Plenty of people just see their sisters at Thanksgiving... になっていましたが、ここは、There're plenty of people who... 「…する人は大勢いる」が正解だろうと思います。

まずはその people の内容を見てみます。
妹や大学のルームメイトという言葉が出ているのは、「仲間外れになるのは私よ」という話の中で出てきた以下のセリフ、
レイチェル: It's not gonna happen to Ross! [モニカに] He's your brother. [チャンドラーに] He's your old college roommate. (ロスが仲間外れになるわけない! ロスはモニカの兄さんで、ロスはチャンドラーの大学のルームメイトだもの。)
を踏まえてのものですね。
レイチェルがそう言っていると聞いたロスは、「妹だから、大学のルームメイトだからって、何も四六時中一緒にいなきゃいけないわけじゃない、妹や同級生と、こういう機会にしか会えないって人間も、世間には大勢いるんだから…」と説明しているわけです。
just see someone at 〜 の just は「誰かとは、ただ〜で会うだけ」みたいな感覚でしょう。
普段はめったに会うことなくて、家族とは感謝祭で、学生時代の友人とは同窓会で会うくらい、そういう人たちは大勢いるだろ? 僕もそういう人たちと同じことになるだけさ、と言いたいのですね。
そういうしんみりした話をしながらも、3番目のジョーイのくだりは、よくある「3段オチ」のジョークになっています。
家族でも学生時代の友人でもないジョ−イとはどこで会えるかって言うと…そうそう、バーガーキングに行ったら、彼にいつでも会えるしね、みたいな感じ。
この部分も、主語は前の2つと同じ「大勢の人」のままなので、バーガーキングに行けば誰もがジョーイに会える、みたいなニュアンスがあります。
ジョーイに会いたい人は、バーガーキングに行けばいいんだよ、ということですね。

バーガーキングについて、詳しくはこちら。
Wikipedia 日本語版: バーガーキング
たまたま9月3日(金)の日経新聞朝刊に、「バーガーキング 米で身売り合意 ファンドに3370億円で」という記事も載っていました。
その記事にも「バーガーキングは世界に約1万2000店を持つ」という説明がありましたが、日本では首都圏のみで展開されているようですね。

So is that better? は、「今、言った僕の話は、君が想像してたのより良い感じだろ?」みたいなニュアンスだろうと思います。
身を引くのは僕だ、と聞いて、そんな寂しいこと…とレイチェルは思ったかもしれないけど、彼らと会うチャンスはあるんだし、世間にはそういう感じの付き合いをしている人もたくさんいる、だから僕だけが不幸なわけじゃないから心配しないで、全く会えなくなるわけじゃないんだからさ、と言っているわけですね。
同時にそう自分に言い聞かせることで、自分を納得させようとしている感じもあるでしょう。

better という言葉を使ったロスに対して、レイチェルは better じゃない、と言います。
I still don't get to see you. というセリフにはちょっと泣けてしまいますね。
still は「やはり、まだ、いぜんとして」で、状態が前と変わっていないこと、そのままの状態で続いていることを示します。
don't get to see you を無理に直訳すると「あなたに会うという状態にならない」となるでしょうか。
「僕はみんなと1年に1回くらいは会えるから、それなら悪くないだろ?」とロスが言ったことに対して、「みんなはあなたに会えても、やっぱり私はあなたに二度と会えないんだから、そんなのちっとも良くない、「私が」「あなたに」会えないって事実は変わらないし、あなたに会えないんじゃ意味がないのよ」と言いたいのですね。
ロスと会えなくなることで、フレンズたちとも疎遠になる…と心配していたレイチェルをロスは気遣ったわけですが、レイチェルとしては、仲間外れになってしまうかどうかよりも、あなたに会えなくなることが一番つらいことなんだから…ということです。

If you were me, what would you do? は典型的な仮定法過去の文章ですね。
君が僕になる、ということは事実上不可能だけど、「もし君が僕だとしたら、君が僕の立場だったら、君ならどうする?」と、相手の意見を求めている表現です。
普通は、If you were me という条件節なしの、最初の What would you do? だけで、すでに「もし君が僕だったら」という仮定の意味が含まれています。
would にそういう仮定のニュアンスがあるために、I would を使って答えた場合も、それだけで「もし私があなたの立場だったら、私はこうする」という意味になるのですね。

for starters は「手始めに、まず第一に」。
I would've said は、would have+過去分詞、の形で、「過去の事実とは反対の仮定」を表す「仮定法過去完了」ですね。
この場合は「私なら(その時)…しただろうに(でも実際のあなたは違うことをした)」というニュアンスになります。
どうする?と今のこと、これからのことを聞かれたレイチェルが、仮定法過去完了を使って「過去のこと」を語っている、というその「時制のずれ」が、この会話の面白さになっていると思います。
これからどうするかより何より、そもそも結婚式の時に、私なら相手の名前を間違えたりするような、そんなどんくさいことはしなかったわ、みたいに言っているわけですね。
それを聞いたロスはフッと軽く笑い、レイチェルもつられて笑っています。
全ての元凶となった「花嫁の名前の言い間違い」をこんな風にジョークとして言えるのも、親友だからこそ、ですが、真剣な気持ちとしても、「今、どうする?と聞かれても、私にもどうしたらいいかわからない」と思っているので、こんな風にジョークを言うしかなかった、という切ない場面でもある気がします。

こんなことが起こるなんて、こんなことになるなんて信じられない、というロスに、レイチェルは、I know. と返します。
ニュアンスとしては、「そうね、わかってるわ」という感じ。
ロスが今の事態を信じられない、と言っていることに対して、信じられないっていうその気持ちはよくわかるわ、ということです。
自分の決断でこんなことになってしまったことを、ロスはレイチェルに詫びていますね。
I know that too. は、「そのこともわかってる」、つまり、そんな風に謝らなくても、あなたが申し訳なく思ってること、私はよくわかってるからね、ということです。
お互いのことをよくわかっているからこそ却ってつらいし、やりきれない…そういう二人の気持ちがよく表れているシーンですね。


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posted by Rach at 07:53| Comment(1) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月09日

…したのは僕なんだ フレンズ5-5その5

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妻エミリーとやり直すための条件として、「レイチェルとはもう会わない」ことをエミリーに約束したロス。
それを知ったレイチェルはショックを受けます。
そのことを、ロス以外のフレンズたちと話している時に、「ロスと会わなくなることで、他のみんなとも疎遠になり、いずれは自分だけが仲間から抜けることになってしまう…」という心配を口にするレイチェル。
その後、セントラルパークにいるレイチェルのところに、ロスがやってきます。
ロス: Hi. (はーい。)
レイチェル: Hi. What are you doing here? Isn't this against the rules? (はーい。あなたはこんなところで何してるの? これってルールに反するんじゃないの?)
ロス: I talked to Monica. Look, I'm the one who made the choice. I'm the one who's making things change. So I should be the one to, y'know, step back. (モニカと話したんだ。ねぇ、選択を下した人間は僕なんだ。いろんなことが変わるようにしてしまっているのは僕なんだよ。だから、僕が身を引く人間であるべきなんだよ。)
レイチェル: Oh, Ross.... (あぁ、ロス…)

What are you doing here? の文字通りの意味は、「あなたはここで何をしているんですか?」と相手がしている行為が何かを尋ねる質問になりますが、このセリフには、レイチェルの驚きの気持ちが込められていますね。
against the rule(s) は「規則に反して、ルール違反で」。
エミリーとの約束で、私とはもう会わないはずじゃなかったの?こんな風に会ったりしたら、約束を破ったことになる、ルール違反になっちゃうわよ、と言っているのですね。

ロスはモニカと話したと言っています。
レイチェルが「近い将来、自分だけが仲間外れになってみんなの前から消えていく…(I'm gonna be phased out.)」と考えていることを、ロスがモニカから聞いたことがわかりますね。

次のセリフでは、I'm the one who... が2回登場し、3番目の文も、同じように the one が使われています。
the one は「人、人間」というニュアンスですね。
the one who+V(動詞)は「…する人間」、the one to do は「…すべき人間」。
I made the choice. という普通のSVなら、「僕が選択を下した」という過去に起こった出来事・事実を客観的に述べていることになりますが、I'm the one who+動詞の過去形、の形を使うと、「僕が…した人間なんだ、…したのは(他の誰でもない、この)僕なんだよ」と、「その行為者が僕であること」を強調した文になります。

日本語では上の訳のように、「僕が…した」の主語を後に持ってきて、「…したのは僕なんだ」と表現して強調しますね。
英語の場合は、I'm the one 「僕がその人間なんだ」と先に言っておいて、その後、関係代名詞の who で続けて、「その人間、というのは、選択を下した人間のことだ」と、the one の内容を付け足しの形で詳しく説明することになります。

誰かが自分にとって大きな意味のあることをしてくれた場合などにも、You're the one who... という形はよく使われますね。
「…してくれたのはあなたなのよ」という感覚です。
(もちろん、した行為がネガティブなことであれば、「あなたがそれをした張本人じゃないのよ!」みたいな非難の言葉にもなりますが…笑)

the one が the only one になると、「たった一人の人」感が強調されます。
You're the only one who encouraged me to do... だと、「あなたは、私に…するように励ましてくれた、たった一人の人だもの」というようなニュアンスになりますね。

「自分が何かをした」「相手が何かをしてくれた」ということを語る場合に、シンプルにSVで表すことも可能でしょう。
ですがそれを、I'm the one who... や You're the one who... で表現することで、上に挙げたような話者の気持ちがこもったニュアンスが生まれるのですね。

英語を話す場合、相手に言いたいことを伝えるのが先決なので、まずはシンプルにSVの形で言えるようになることが大切でしょう。
がその後、I'm the one who... のような強調の形があるのを知った時に、そういうのを自分も使ってみたいと思うか、SVで意味が通じるから別にそんな複雑な形は覚えなくてもいいと思うか、で、今後の英語力が飛躍的に伸びるかどうかが決まるような気もします。

上のロスのセリフは、「…したのは僕だ、そして(今)…しているのも僕だ、だから僕が、step back する人間になるべきなんだよ」という流れになっています。
make things change は、物事が変化するように「圧力をかけている」ような感覚ですね。
自分のせいで、僕たちのグループにまつわる状況が変化してしまっているんだ、という感じでしょう。

step back は「後ずさりする、後退する」、そこから抽象的に「身を引く」という意味にもなります。
レイチェルと会わないと決めたのは僕なんだし、レイチェルを始めとする仲間との関係に、今、いろんな変化をもたらしているのもこの僕だ、僕のせいでこうなったんだから、仲間から身を引くのは、離れていくべきは、君じゃなくて、この僕なんだよ、と言っているわけですね。


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posted by Rach at 10:41| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする