2010年09月07日

どうだった?から始まる会話 フレンズ5-5その4

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[Scene: Chandler and Joey's, Chandler is returning from his disastrous weekend. He throws his bag down and sits down on one of the leather chairs, but he sits on something and picks it up and throws it away.]
チャンドラーとジョーイの部屋。チャンドラーは悲惨な週末から戻ってくる。バッグを下に投げ、革の椅子の一つに座る。が、何かの上に座ったチャンドラーは、それを取り上げて投げる。
チャンドラー: Damn Rolos! (くそったれの(いまいましい)ローローめ!)
ジョーイ: Hey, you're back! (よお、戻ったんだな!)
チャンドラー: Hey. (よお。)
ジョーイ: How was your conference? (会議はどうだった?)
チャンドラー: It was terrible. I fought with (Pause) my colleagues y'know, the entire time. Are you kidding with this? (Throws away another Rolo) (最低だったよ。喧嘩したんだよ、[一瞬の沈黙] 同僚とね、ほら、ずっと。これ、ふざけてんのか? [もう1つのローローを投げる])
ジョーイ: Oh, so your weekend was a total bust? (あー、じゃあ、週末は大失敗だったんだな。)
チャンドラー: Uh, no, I got to see Donald Trump waiting for an elevator. (いや、そうでもないよ。ドナルド・トランプがエレベーターを待ってるところを見れちゃったし。)
モニカ: (entering) Hi! ([入ってきて] はーい。)
ジョーイ: Hey, you're back too! (よお、モニカも戻ってきたんだ!)
モニカ: Yeah. Umm, Chandler, can I talk to you outside for a second? (ええ。あのー、チャンドラー、外で少し話せるかしら?)
ジョーイ: Hey, how was your chef thing? (ねぇ、モニカのシェフのやつはどうだったの?)
モニカ: Oh, it was awful. (To Chandler) I guess some people just don't appreciate really good food. (あー、最悪よ。[チャンドラーに] 本当においしい食べ物の良さがただわからない人もいるみたいね。)
チャンドラー: Well, maybe it was the kind of food that tasted good at first but then made everybody vomit and have diarrhea. (あぁ、多分、それはこういう類の食べ物だったんだよ。最初はおいしかったけど、その後、食べた人がそれを吐いて、下痢しちゃうような類のね。)

ラブラブの週末旅行のはずがモニカと大喧嘩してしまい、不機嫌な顔で戻ってきたチャンドラー。
いつものリクライニングチェアに座ったチャンドラーは、座った下に異物を感じ、それを取り上げて、床に投げています。
セリフからわかるようにこれは、Rolo ですね。
フレンズ5-5その2 で説明した小さなチョコレートです。
ジョーイと一緒に暮らしたら、部屋じゅうにチョコが置いてあるぞ、と言っていた、そのオチがここで今、出てきたわけですね。
以前のチャンドラーのセリフから、子供の食べ残し、食べ散らかしみたいにあちこちにチョコが落ちていると想像されていたことが、実際の画面で明らかになった、というシーンになります。

モニカとの話題で出たローロー、それを見ると、話題が出た時はまだ幸せだったのに、その後にひどい喧嘩になった…ということを思い出してしまうので、余計にローローに当り散らしてしまうわけですね。

チャンドラーが帰ってきているのを見て、ジョーイは、「お、帰ってきたんだな。で、会議はどうだった」と尋ねています。
外から帰ってきた相手に How was+名詞? と尋ねるのは、日常会話の決まり文句ですね。
まさに「名詞は”どうであったか”」を尋ねている文になります。
それに対して、terrible などのように、それが”どうであったか”の感想や結果を述べることで、会話が進んでいく、というパターンが多いですね。
フレンズの場合も、そのセリフが新たな話題への導入となり、話が広がっていくという展開が多いので、この How was+名詞? というセリフは非常によく登場します。
How was your date? 「デートはどうだった?」もよく出てきますよね。

terrible だったよ、と答えるチャンドラーの頭の中には、モニカと喧嘩したことが浮かんでいるわけですが、モニカとの旅行は他のフレンズたちには内緒なので、I fought with... my colleagues と嘘の話を作っています。
そうボヤきながらも、また椅子の下にローローを見つけて、またそれを投げていますね。
椅子の下や隙間に、どんだけローローが落ちてるんだよ、いい加減にしてくれよ、お前は子供かっ、という気持ちでしょう。

bust は「(計画などの)失敗」。
Macmillan Dictionary では、
bust : [noun] [singular] (mainly American informal) a complete failure
例) The movie was a bust.

つまり、「(主にアメリカ英語、インフォーマル) 完全なる失敗(大失敗)」。
例文は、「その映画は大失敗だった。」

フレンズ2-5その10 でも、
ロス: Aside from that, the evening was pretty much a bust. (それ以外は、昨日の夜は、全くの大失敗だったよ。)
という形で登場しました。

「そっか、じゃあ週末は最低最悪だったんだー」みたいに言われたチャンドラーは、「いや、そうでもないよ、ドナルド・トランプを見れたしね」みたいに答えています。
ドナルド・トランプ(Donald Trump)は、「トランプ・タワー」などで有名な、アメリカの不動産王、大富豪。
フレンズ4-11その2 のセリフにも登場しています。
see Donald Trump waiting つまり、see someone doing という形は、「人が…しているところ(瞬間)を見る」という感覚。
これが see someone do なら、「人が…するのを見る」という感じになります。
do の場合は、一瞬ではなく、その行為が「ある程度の長さ」行われているところを見る、という感覚になるでしょう。
-ing 形が使われることで、トランプ氏がエレベーターを待っているところを瞬間的に見た、彼をちらっと見たけど、その時の彼は(エレベーターのドアの前で)エレベーターが来るのを待ってるところだった、みたいな「一瞬」の感覚が出るように思います。
got to see で使われている get to は「…するようになる」「…できるチャンスを得る」というような感覚。
I saw なら単に「俺は見た」になりますが、got to (get to) が使われることで、「見れることになった、見るチャンスを得た、(運よく)見れちゃった」みたいなニュアンスが加わる気がします。

モニカが入ってきたのを見て、ジョーイはモニカに、「モニカの chef thing はどうだったの?」と尋ねています。
ここでも、さきほどのチャンドラーへの挨拶と同じように、How was+名詞? で尋ね、それに対して、awful だったわ、と答えるパターンは同じですね。
ジョーイはモニカがシェフとしての仕事で「料理フェア(culinary fair)」に行っていたことは以前に聞いていましたが、具体的に fair という言葉は使わずに、your chef thing だけで済ませていますね。
詳しく言わなくても、「ほら、その”モニカのシェフのやつ、シェフの件”はどうだったの?」と言うだけで十分意味は通じるからです。
こういう thing の使い方を覚えておくと便利ですよね。

モニカにとっても旅行は最悪だったわけですが、本当のことを話すわけにもいかず、「おいしい料理がわからないやつがいるのよねー」みたいに、料理フェアでいやな出来事があったかのように語っています。
それが自分に対する皮肉だとわかったチャンドラーは、「モニカはおいしい料理って言うけど、それって最初はおいしいけど、後で吐き気や下痢を起こすような料理じゃないの?」と返します。
モニカは really good food という言葉で、「週末を一緒に過ごす最高の彼女」である自分をイメージしているのでしょう。
こんなにいい女と旅行してたのに、その彼はそのありがたみもわからずにテレビばっかり見て、さらには私を非難したりもしたのよ、と言いたいのだと思います。
それを聞いたチャンドラーは、「最初は確かに素敵だな、と思ってたけど、ささいなことで文句ばっかり言う口うるさい女だってことが後でわかって俺はえらい目に遭ったんだよ」ということを食べ物に例えて表現し、モニカに皮肉を返しているわけでしょう。

at first は「初めは、最初は」。
フレンズ5-3その2 で説明したように、at first but then というフレーズガ使われることで、「最初は…だったけど、でもその後に(それとは違った結果になった)」というニュアンスも出ていますね。


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posted by Rach at 10:08| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月04日

特番ではない通常の番組 フレンズ5-5その3

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ホテルの部屋が気に入らず、別の部屋に替えてもらうモニカたちでしたが、替わった先の部屋もモニカは気に入りません。
チャンドラーは、テレビでやっている警察のカーチェイス特番を見たいのに、部屋が決まらずいらいらしています。
また違う部屋に画面が切り替わります。
モニカ: Okay, this one I like! (いいわ、これは私が好きな部屋よ[これは気に入ったわ]!)
チャンドラー: (watching TV, in fact, ER is on.) Nothing! Nothing! It's over! Damn it! This is regularly scheduled programming! ([テレビを見ながら、実際、テレビでは ER を放送している] 何もない! ない! 終わった! くそっ! これは通常に予定されている番組だよ。)
モニカ: Can we turn the TV off? Okay? Do we really want to spend the entire weekend like this? (テレビは消しましょうよ。ね? 週末全部を、ほんとにこんな風に過ごしたいの?)
チャンドラー: Oh, I'm sorry. Am I getting in the way of all the room-switching fun? (あぁ、ごめんよ。部屋を替えるお楽しみを、俺は邪魔しちゃってるかな?)
モニカ: Hey, don't blame me for wigging tonight! (ちょっと、はちゃめちゃな今夜のことで私を責めないでよ。)
チャンドラー: Oh, who should I blame? The nice bellman who had to drag out luggage to 10 different rooms? (おー、(じゃあ)俺は誰を責めるべき? 10室の違った部屋に荷物を引きずって運び出さないといけなかった、優しいベルマン(を責めるべき)かな?)
モニカ: I don't know, how about the idiot who thought he could drive from Albany to Canada on half a tank of gas! (さあね、タンク半分のガソリンでオールバニーからカナダまで車で行けると思っていたおバカさんはどうかしら?)
チャンドラー: Do not speak ill of the dead. (死者の悪口を言うな。)
モニカ: We're supposed to uh, be spending a romantic weekend together, it, it, what is the matter with you? (私たち、ロマンティックな週末を一緒に過ごしているはずなのに。あなたは一体どうしちゃったの?)
チャンドラー: I just want to watch a little television. What is the big deal? Jeez, relax, Mom. (俺はただ、ちょっとテレビを見たいだけなんだよ。何がそんなに大ごとなんだよ。全く、落ち着いてくれよ、ママ。)
モニカ: What did you say? (今、何て言ったの?)
チャンドラー: I said, "Jeez, relax, Mon." (「全く、落ち着いてくれよ、モン」って言ったんだよ。)

とうとうモニカの気に入る部屋にたどり着けたようですが、チャンドラーはテレビを見ながら怒っています。
regularly scheduled は「定期的に予定された、定期の」という意味ですね。
カーチェイスを連想させる言葉は出てきませんが、「今テレビでやってるのは、通常の定期的にやっている番組だよ」と言うことで、「報道特別番組、特番」であったカーチェイスは終わってしまった、ということがわかる仕組みですね。
ト書きにあるように、ER のテーマがテレビから流れているのも、「通常の番組編成に戻ってしまった感」を出すのに一役買っています。

やっと理想の部屋に入れたので、モニカは「テレビは消しましょう。この週末ずっとテレビを見ながら過ごすつもり?」みたいに言っています。
ですがチャンドラーは怒りが収まらず、皮肉を言っていますね。
get in the way of は「…の邪魔をする、…の邪魔になる」。
モニカが何度も部屋を替えさせたことを、the room-switching fun 「部屋を替える楽しみ」と表現して、「部屋を替えるのをすっかり楽しんでたみたいだけど、俺はその邪魔になってるんじゃないのか?」みたいなことを言っているわけです。
モニカとしては、別に好きで替えたわけじゃない、と言いたいところでしょうから、今夜のことで私を責めないでよ!と怒っています。

for wigging tonight の wigging について。
wig は日本語でも「ウィッグ」と言われる「かつら」ですが、イギリス英語の口語では「(人)を叱責する」という意味になります。
また、wig out だとアメリカのスラングで「麻薬に酔う、麻薬でハイになる」「興奮する」「パニック状態に陥る」のような意味になります。
Merriam-Webster (m-w.com) では、
wig [intransitive verb] (slang) : to lose one's composure or reason : FREAK —usually used with out
つまり、「平静さや分別を失うこと。同義語 freak。たいていは out と共に用いられる」。
usuallly とありますので、逆に言うと out なしの wig だけでも同じような意味で使うこともできる、と解釈できそうです。
今回の wigging tonight も、freaking tonight みたいなニュアンスなんだろうと思います。
ロマンティックとはとても言えない、ドタバタでめちゃくちゃだった今夜のことを、wigging というネガティブな形容詞で表している感覚かなぁ、と。

チャンドラーは、「モニカを責めないとしたら、誰を責めればいいわけ? あのベルマン(ベルボーイ)くんかな?」みたいに言っています。
その後、関係代名詞 who を使って、そのベルマンが何をしてくれたかも語っています。
drag out luggage は「旅行の重い荷物を引きずり出す」という感覚でしょう。
その荷物を、10室の違う部屋に引きずり出さなければいけなかった、と言っていますね。
つまり、モニカはいろいろと部屋に文句を言って、結局10室も部屋を移動することになったんだ、ということがこのセリフでわかるわけです。
それはつまり、10室も部屋を移動することになった原因である君以外に、誰を責めろって言うんだよ、と言いたいわけですね。
モニカはモニカで、部屋を替わる間じゅうずっと、テレビのカーチェイスに釘付けで、モニカの話を真剣に取り合わなかったチャンドラーに怒りをぶつけます。
ベルマンのことを言って、部屋の交換にケチをつけるんだったら、あのおバカさんはどうかしらね? あのおバカさんが全ての元凶じゃないの? とモニカは言います。
ここでもまた、関係代名詞 who を使って、そのおバカさんの説明をしています。
drive, gas (ガソリン)というキーワードや、カナダに逃げようとしていた、という話から、それがカーチェイスで追いかけられていた逃走犯であることがわかります。

speak ill of は「・・・の悪口を言う、…を悪く言う」。
ですから、speak ill of the dead は「死者の悪口を言う」になります。
このセリフから、その逃走犯は死んでしまったこともわかりますね。
(チャンドラーはカーチェイスの結末を見損ねてしまったんじゃなかったっけ?とも思いましたが、まぁ、テレビのテロップで「逃走犯は死亡」というニュースが流れているかもしれない、ですしね。)
日本でも、死んだ人のことを悪く言う人は少ないですが、その感覚はアメリカでも同じようです。
犯人とはいえ、死んでしまった人のことをそんな風に悪く言うなんて不謹慎だぞ、みたいな感じでしょう。

We're supposed to be spending... について。
be supposed to はフレンズに頻出のフレーズで、「…することになっている」。
通常は、be supposed to do のように、動詞の原形が続くことが多いですが、ここでは、be spending という進行形になっていますね。
当初の予定なら、今頃はちょうど、ロマンティックでラブラブに”過ごしている”はずなのに、どうして私たちは今、こんな風に喧嘩してるのかしら?という気持ちから、進行形が使われている、という気がします。

チャンドラーは、ロマンティックな週末ってったって、ちょっとテレビを見るくらいいいじゃんか、と
言いたいようです。
いつまでもテレビのことを持ち出すモニカに、つい、「落ち着いてくれよ、ママ」と言ってしまうチャンドラー。
「全く、あなたはテレビばっかり見て」という言い方がママの小言を聞いている気がしたからでしょうね。
その一言にピキッと来たモニカは、「何て言った?」と聞き返します。
Mom って聞こえたかもしれないけど、俺は、Mon って言ったんだよ、みたいに、大袈裟に、
「モーンンヌ!」と最後の n の文字を強調して発音しているのに笑えますね。
フレンズたちは時々、Monica のことを、Mon と呼ぶ時があるので、そうやってごまかそうとした、ということですね。


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posted by Rach at 06:57| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年09月02日

部屋を取り替えたい理由 フレンズ5-5その2

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自分たちのアパートではなかなか二人きりになれないチャンドラーとモニカは、ニュージャージー州のアトランティックシティに週末旅行にやってきました。
チャンドラー: (jumping on the bed) I can't believe it! We're here! ([ベッドの上で飛び跳ねながら] 信じられないよ! 俺たちがここにいるなんて!)
モニカ: Ooh, chocolates on the pillows! I love that! (うー、枕の上にチョコレート! それって大好き!)
チャンドラー: Oh, you should live with Joey, Rolos everywhere. (あー、(それが好きなら)モニカはジョーイと一緒に暮らすべきだね、ローロー(ズ)があちこちにあるから。)
モニカ: Come here. (He does, and they kiss.) Okay, be right back. (こっちに来て。[チャンドラが来て、二人はキスをする] オッケー、すぐに戻るからね。)
(Goes to the bathroom and Chandler turns on the TV and finds a high-speed police chase.)
モニカはバスルームに行き、チャンドラーはテレビをつける。すると、ハイスピードの警察の追跡(カーチェイス)が放映されている。
チャンドラー: Oh, yes! Monica, get in here! It's a high-speed car chase on! (あぁ、やった! モニカ、こっちに来いよ! ハイスピードのカーチェイスがテレビでやってるよ!)
(Monica returns, carrying a glass.)
モニカは、手にグラスを持って戻ってくる。
モニカ: We're switching rooms. (部屋を取り替えるわ。)
チャンドラー: (looks at what she's holding and shies away) Oh, dear God! They gave us glasses! ([モニカが手に持っている物を見て、逃げ腰の態度で] おぉ、すごい! ホテルの人たちはグラスも用意してくれてるの?)
モニカ: No, they gave us glasses with lipstick on them. I mean, if they didn't change the glasses, who knows what else they didn't change? (He glares at her.) Come on, sweetie, I just want this weekend to be perfect, okay? We can change rooms, can't we? (いいえ、彼らが用意してくれたのは口紅がついたグラスよ。つまり、そのグラスを交換しなかったとしたら、他にも交換してないものがあるかもしれないわ。[チャンドラーはモニカをにらむ] ねぇ、ハニー、私はただこの週末を完璧にしたいだけよ、ね? 部屋を取り替えることできるわよね?)
チャンドラー: Okay. Okay, but let's do it now though, because Chopper Five just lost its feed! (He grabs their bags and sprints out.) (わかった、わかったよ。でも(取り替えるなら)今すぐしなくちゃ、だってヘリ5号がちょうど燃料切れしちゃったから!)

二人だけの週末旅行なので、チャンドラーははしゃいでいます。
モニカは、ホテルからのサービスとして枕元にチョコレートが置いてあるのを見て、素敵!と喜んでいます。
それを見たチャンドラーは、「そんなものが嬉しいのなら、ジョーイと暮らせばいいよ。あいつと一緒に生活してると、そこらじゅうに Rolos があるからね」と言っていますね。

まず、Rolos について。これはチョコレート菓子の名前です。
公式サイトはこちら。
ROLO chewy caramels in milk chocolate - HERSHEY'S -
Wikipedia はこちら。
Wikipedia 英語版: Rolo

ウィキペディア英語版には、アメリカでは、Rolo を "Roll-Oh" と発音する、とも書いてありますね。
ウィキペディアに書いてある Rolo の slogan (スローガン、標語)がちょっと面白いなと思いました。
そのスローガンは、
"Do you love anyone enough to give them your last Rolo?"
つまり、「最後に残ったローローをあげることができるほどに誰かを愛していますか?」。
「最後に残った自分の大好物をあげられるほど、強く愛している人はいますか?」みたいな意味ですが、そう表現することで、その人をむちゃくちゃ愛してないと最後のローローは譲れない、それくらいローローはおいしいよ、と言っているわけですね。
このスローガン、anyone という単数形を them という複数形の代名詞で受けていることにも注目しましょう。
学校英語では(少なくとも私の時代は) anyone を them で受ける、ということは習わなかったし、フレンズなどのセリフでそういうものを初めて見た時も、いまいちピンと来なかったのですが、実はロングマン英英辞典の語義説明でも普通に出てくる表現なのですね。
だからこういうスローガンでも普通に使われている、ということです。

普段からのジョーイのイメージとこのセリフから、その意味は何となくわかりますが、これは食べかけのチョコなどが部屋のあちこちにある、というイメージですね。
食べこぼしが落ちていたり、どこかに挟まっていたり…という感じです。
(後のほうのシーンで、これと関連した話も出てきますので、その時にまた説明します。)

モニカはチャンドラーにキスをして、Okay, be right back. と言っています。
DVDの英語字幕には、I'll be right back. と書いてありますが、実際の音声は、ネットスクリプトの通り、I'll は聞こえず、be right back. という感じです。
いちいち言わなくてもわかる部分は省略する口語英語の特徴が出ています。
right は「すぐに、直ちに」という意味。
right のないバージョンの I'll be back. は、映画「ターミネーター」でのシュワちゃんの有名なセリフですよね。
普通、洋画の名セリフというのは、日本語訳のセリフの方で有名になってしまうことも多いですが、I'll be back. は英語のセリフのままで有名ですよね。
せっかくの「洋画の名セリフ」であるならば、やはり英語で覚えておきたいと思うし、英語で覚えているからこそ、ちょっとしたジョークにも使えたり、このセリフ好きなのよねぇ、みたいにネイティブと世間話もできるかなぁ、と思うのですが…。

チャンドラーがテレビをつけると、そこでは警察のカーチェイスが放映されていました。
大騒ぎするチャンドラーですが、モニカは不機嫌そうな顔でグラスを持って帰ってきます。
We're switching rooms. という現在進行形について。
これは「未来の予定が確定している」感覚でしょう。
未来を表す3形態 フレンズ5-2その4 でも解説した、I'm quitting tomorrow. 「明日、仕事をやめてやる!」という「ゆるぎない決意」と同じ感覚だと思います。
部屋を取り替えたい理由はその後で語られるわけですが、このセリフとその表情とで、モニカは何かこの部屋に不満を持っていて、どうしても部屋を変えたいと思っていることがわかるわけです。

次のト書きの shies away の shies は動詞 shy の3単現の形。
shy は「シャイ、内気な」の shy で、動詞になると「尻込みする、避ける」という意味になります。
「…するのを尻込みする、避ける」は、shy away from の形になります。
英辞郎には、
shy away from a challenge=骨の折れる問題を避けようと逃げ腰になる
というフレーズが載っていますが、このト書きで示されるチャンドラーの態度もまさにそういう感じですね。
モニカがグラスを持って来たのを見て、チャンドラーは大袈裟に、「わぉ! ホテルの人は、そんなに素敵なグラスを部屋に用意してくれてたんだね?」みたいに言っています。
部屋にグラスが用意されているのは普通のサービスですが、モニカが何か不満があって部屋を替えたいと言っていることが長年の付き合いでわかるだけに、それに付き合わされるのが正直いやで、モニカの不機嫌さにわざと気付かないふりをしている感じになるでしょう。
No, they gave us glasses with lipstick on them. というのは、前からイメージしていくと、「いいえ、彼らは(確かに)私たちにグラスを用意してくれたけど、それはグラスの上に口紅がついたものなのよ」みたいな感じになるでしょう。
ホテルが私たちに用意したのは、普通のグラスじゃなくて、口紅が残った「汚れた」グラスなのよ、とモニカは文句を言っているのです。

I mean, if they didn't change the glasses, who knows what else they didn't change? について。
if 節に didn't という過去形が使われていますが、これは「現実と反対の仮定」を表す「仮定法過去」ではなく、ただ「過去の条件・仮定」を表しているだけですね。
モニカは、ホテルはこの部屋の前の客が使ったグラスを交換していない、と思っているわけですから、「もし(私が推測するように)グラスが取り替えられてなかったとしたら」という仮定や条件を述べているのです。
who knows what else they didn't change? を直訳すると、「ホテルの人が他に何を交換しなかったかを、誰が知っているだろう?」となり、それはつまり「グラス以外のものについては、ホテルの人が交換していないものが何か、誰にもわからないわ」みたいな反語的な意味になりますね。
モニカが言いたいのは、グラスを交換してなかったとしたら、他の物も前の客の時のままかもしれない、一見きれいに見えている物も誰かの使用後かもしれない。そう思ったら、とてもこの部屋にはいられないわ、みたいなことですね。
グラスを交換してないとしたら、他の物もきれいだとは言い切れないでしょ? それがわからないままこの部屋で過ごすのは耐えられないわ、という、潔癖症のモニカらしい発言だということです。

いかにもモニカの言いそうな不満なので、チャンドラーはいやそうな顔をしています。
でも、「せっかくの週末だから完璧にしたいの、ねぇ、いいでしょう?」と恋人に言われて、それを断るわけにもいきません。
思い切って部屋を替えることにするのですが、そうと決まればモニカ以上に急いでいるチャンドラーに笑えます。
chopper は「ヘリコプター」。Chopper Five と大文字で書かれているので、車を上空から追跡しているヘリの一つを「ヘリ5号」みたいに呼んでいるわけですね。
feed は「食事、食料、食料供給」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には以下の意味が出ています。
feed [noun]
1. food for animals
3. [countable] a tube which supplies a machine with FUEL

1. は「動物への食べ物」、3. は「機械に燃料を供給するチューブ」。

機械関係ではそういう「燃料供給チューブ」という意味があるようですが、そういうチューブがヘリの飛行中にポロッと取れて落ちた、ということもないでしょうから、やはりここは燃料供給が失われた、燃料がなくなった、みたいな意味で解釈すればよいだろうと思います。
追跡ヘリがピンチで、今、カーチェイスは手に汗握る緊迫した状況なんだ、続きを早く見るために急いで部屋を交換だ!と先に飛び出しているわけですね。


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posted by Rach at 10:29| Comment(6) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする