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フィービーは本を読みながら、セントラルパークに入ってきます。
レイチェル: What are you reading? (何、読んでるの?)
フィービー: Umm, Wuthering Heights. I'm taking a literature class at the New School and I have to finish it for the first session tomorrow. (あぁ、「嵐が丘」よ。ザ・ニュー・スクール(大学)で文学の授業を受ける予定で、明日の第1回目の講座のためにそれを読み終えないといけないのよ。)
チャンドラー: I didn't know you were taking a class. That is so cool. (フィービーが授業を受ける予定だなんて知らなかったよ。それってすっごくクールだね[かっこいいね]。)
フィービー: Yeah! Well, I really liked that Lamaze class I took. Y'know and I just thought this time I'd go for something, y'know a little more intellectual, with a less painful final exam. (ええ! そうね、私が受講したあのラマーズクラスがすごく好きだったの。それでちょっと思ったのね、今度は何か、そう、もう少し知的で、最終試験があれほど痛くない何かをやってみよう、って。)
レイチェル: Honey, that sounds like fun. (ハニー、それって楽しそうね。)
フィービー: Yeah! Ooh, you should come with me! Oh yeah, then I'd have someone to sit with! (ええ! あー、レイチェルも私と一緒に来ればいいわ! えぇ、そうよ、そしたら、私には一緒に座る人ができるから。)
レイチェル: Okay. (オッケー。)
フィービー: Yeah! Okay, ooh, but are you going to have time to read it? (やったー! オッケー、うー、でも、レイチェルはその本を読む時間があるかしら?)
レイチェル: Oh, I read that in high school. (あぁ、その本は高校の時、読んだわ。)
フィービー: This is going to be so much fun! Okay, shhh, I have to finish. (これはものすごく楽しくなるわね! オッケー。シーッ。私は読み終わらないといけないから。)
また読書に戻る。
Wuthering Heights は「嵐が丘」。エミリー・ブロンテ(Emily Bronte)の名作ですね。
詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版: 嵐が丘
take a class は「授業を受ける」。
この部分、
DVDの英語字幕は、
I had to finish it by tomorrow for my literature class.
と、かなり省略されていますが、
ネットスクリプトでは、
I'm taking a literature class at the New School and I have to finish it for the first session tomorrow.
になっていて、実際の音声でもそのように言っています。
the New School というところで文学のクラスを受講する予定だから、明日の第1回目のセッションまでにこの本を読み終わらないといけないの、ということですね。
the New School について。
これは、単語の先頭が大文字になっていることからわかるように、固有名詞です。
at the new school と小文字表記だったら、「例の新しい学校・スクールで」みたいな意味になり、この近所に最近何か新しいスクールでもできて、そのことを言っているのかなぁ、と想像されるわけで、それ以上詮索するようなことでもないのですが、ザ・ニュー・スクールという何とも漠然とした名前でありながら、ちゃんとした大学の固有名詞であることがわかると、またこのセリフの意味も少々違ってくると思うので、以下で少し説明させていただきます。
The New School は、マンハッタンのグリニッチ・ヴィレッジにある大学の名前。
公式サイトはこちら。
The New School - A New York College | University
詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: The New School
上のウィキペディアの Fictional alumni, students, and faculty 「架空の卒業生・生徒・教職員」の項目に、フレンズの複数のエピソードで、the New School への言及、そこでのシーンが登場する、とあります。
ウィキペディアでは2つの例が挙げられていて、1つ目は、フレンズ8-21 で、料理教室・料理コース(a cooking class)を受講する話、2つ目が今回の文学講座のことですね。
実はそれ以外にも、すでに The New School という言葉はフレンズのセリフに登場していました。
過去記事では解説していませんが、フレンズ1-21 で、クレジットカードを他人に悪用されたモニカが、カードの明細を見ながらレイチェルに言ったセリフ。
モニカ: Do I go horseback riding in the park? Do I take classes at The New School? (私は公園の乗馬に通ってる? 私はザ・ニュー・スクール(大学)で講座を受講してる?」
カードを悪用した犯人は、私の人生を私よりも楽しく生きてるのよ!と怒っていた時のセリフでした。
その後、モニカは、にせモニカを一目見ようと、tap dance のクラスに潜入しますが、もしかすると、それが、The New School の講座、なのかもしれません。
フレンズ1-21 では、このセリフ以降、The New School という言葉はセリフに出てきませんし、ネットスクリプトのト書きでも、tap class としか書いていないので何とも言えませんが、料理教室もあるくらいだから、タップダンス講座があってもおかしくないと思いますし。
The New School の英語版ウィキペディアに、
Other students 5,900 (continuing education)
とあります。つまり、「継続教育、生涯教育」の生徒が 5,900人ほどいるということで、それが、今回のような社会人が受講する講座の生徒数なのかな、と思いました。
つまり、「社会人となった大人にも生涯教育の場を提供している大学」ということで、The New School の名前が出ている、ということだろうと思います。
The New School が実際にどういう大学かを知ることは英語のセリフの解釈においてはそれほど重要ではないかもしれませんが、フレンズでちょくちょく登場する学校名として、フレンズファンなら知っておいても損はないかな?と思い、説明させていただきました。
講座を受けるなんてかっこいいじゃん、と褒めるチャンドラー。
フィービーはそれを受講することになった理由を述べています。
弟フランクの代理母として受講することになったラマーズクラス(ラマーズ呼吸法を教えるクラス)が気に入ったから、何か別のものも受けてみたくなった、という話ですが、something, y'know a little more intellectual, with a less painful final exam と言っているのが面白いです。
挿入句の y'know が間に入っているので少しわかりにくいですが、something intellectual で「何か知的なもの」という意味ですね。
「知的な何か、何か知的なもの」という場合、something を形容する形容詞は、このように後に置きます。
今回は、「もうちょっとだけ知的なもの」という意味で、something a little more intellectual という形になっています。
with a less painful final exam の with は「付随」とか「伴って」という感覚ですね。
less という比較級は、ラマーズクラスとの比較です。
ラマーズクラスの最終試験が実際の出産だと考えると、ラマーズクラスの授業は最終(卒業)試験がむちゃくちゃ痛い(笑)、あの講義を受けると最後には超痛い試験を受けないといけないことになる…だから、あんな風に最終試験が痛くないものを選んでみたの、ということです。
直訳すると、「より痛みの少ない最終試験を伴う、もう少し知的な何か」ということで、もう少しラフに訳すと、「もう少し知的なやつで、最終試験があんなに痛くないやつね」みたいな感じでしょう。
楽しそう!というレイチェルに対して、一緒にどう?と誘うフィービー。
I'd have someone は、I would have someone ということで、もしレイチェルが一緒に来てくれるなら、隣に座ってくれる人ができるわ、という「仮定」のニュアンスが would には含まれています。
楽しくなりそうね!とものすごくはしゃいでいたフィービーですが、急に真顔になって、「しーっ、静かに。私、この本、読み終わらないといけないんだから」と言って、読書に戻ってしまいます。
盛り上がっている話を一方的に切り上げる感じで、他のメンバーは唖然としていますが、必死に読んでいるところに、フィービーの講座に対する意気込みも感じられますね。
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2010年10月29日
2010年10月27日
ユーアーノットウェルカム フレンズ5-9その2
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チャンドラーとモニカが付き合っていることを秘密にするため、チャンドラーが置き忘れた下着(パンツ)はジョーイのものだった、ということになってしまいます。
無理やり犯人にされたジョーイは、自分の部屋でチャンドラーに怒りをぶつけます。
ジョーイ: That's it! I'm tired of covering for you two. This has got to stop! (Realizes he still has the underwear in his hand.) Ahh! (Throws them towards Chandler's room.) And tighty-whiteys! What are you, eight? (そこまでだ! お前ら二人のために取り繕(つくろ)うのはもううんざりだ。こんなこと、やめなきゃだめだ! [自分の手にまだその下着を持っていることに気付き] あー! [チャンドラーの部屋の方向に向かって下着を投げる] それに、白のブリーフって! お前は子供か?)
モニカ: (entering) Thank you, Joey, thank you so much! ([二人の部屋に入ってきて] ありがとう、ジョーイ、ほんとにありがとう!)
ジョーイ: Oh hey, no, you're not welcome, okay? Look, I hate this. You guys keep embarrassing me! (To Monica) Yesterday, Rachel found your razor in our bathroom. And I didn't know what to say, so I said it was mine and, and that I was playing a woman in a play. And one thing led to another and.... (He puts his leg on the chair and pulls up his pants leg to reveal that he now has shaved legs.) (ああ、おい、違う、こっちはいい迷惑なんだ、いいか? なぁ、こんなのもういやだよ。お前らが俺にずっと恥ずかしい思いをさせて! [モニカに] 昨日、レイチェルがバスルームでモニカの(女物の)カミソリを見つけたんだ。それで俺は何て言ったらいいかわからなかったから、それは俺のだって言ったんだ。それで、俺はある劇で女性を演じる予定だって言ったんだ。それからいろんなことが重なって [ジョーイは椅子の上に脚を置き、彼はもうすっかり脚を剃ってしまっているのを見せるためにパンツをたくし上げる])
モニカ: (inspecting his leg) Wow! And around the ankles, y'know that is a tough spot. ([剃られたジョーイの脚をじっくり観察して] まあ! それにくるぶしの周辺、ほら、そこは(剃るのが)難しい部分なのに(うまく剃れたわね)。)
I'm tired of covering for you two. の cover for について。
cover for には「(人)の代わりを務める、代理をする」という意味と、「(人)をかばう、(人)のために取り繕(つくろ)う」という意味があります。
今回は「かばう」のニュアンスですね。
英語の「カヴァー、カバー」という発音と日本語の「かばう」が見た目似ているのが、何だか下手なダジャレみたいですが(笑)。
cover はまさに「カバーする」で、「表面を覆う、隠す」ことから、「保護する、かばう」「(人を守って)援護射撃する」という意味にもなるのですね。
「お前ら二人のために(いろんな失敗を)カバーするのはもううんざりだ」のように訳しても意味は通じる気がします。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
cover for somebody [phrasal verb] :
1. to do the work that someone else usually does, because they are sick or not present
例) Who's going to cover for you while you're on vacation?
2. to prevent someone from getting into trouble by lying about where they are or what they are doing
例) Cindy refused to cover for him when his boss called.
つまり、1. は、「誰か他の人が通常している仕事をすること、その人が病気、またはそこにいないという理由で」。
例文は、「あなたの休暇中、誰があなたの仕事の代理をしてくれることになってるの?」
2. は、「ある人のいる場所やその人がしていることについて嘘を言うことで、その人がトラブルになるのを防ぐこと」。
例文は、「彼の上司が電話してきた時、シンディーは彼をかばうのを拒んだ。」
今回のニュアンスもまさに「嘘をついて二人がトラブルになるのを避ける」という行動を指していますね。
tighty-whiteys について。
英辞郎には、少々綴りは違いますが、
tightie whities=〈米俗〉(男性用の)ブリーフ
と出ていました。
LAAD では(LAAD にも出ているのには、ちょっとびっくりしましたが)
tightie whities [noun] [plural] (informal) : white JOCKEY SHORTS
ついでに Jockey shorts も調べてみると、
Jockey shorts [noun] [plural] : (trademark) a type of men's cotton underwear that fits tightly (see also BOXER SHORTS)
つまり、ジョッキー・ショーツは商標で、「ぴったりフィットする男性用の綿の下着の一種」ですから、tightie whities は、「ぴったりした白の男性用下着」、つまり「白のブリーフ」ということになるのですね。
タイトでホワイトなパンツということですが、音的にも、-ightie 「アイティー」の部分が韻を踏んだ形になっているので、呼びやすい名称になっています。
チャンドラーのパンツが白のブリーフであることを指摘した後、What are you, eight? と言っていますね。
これは「お前って何? 8歳か?」と言っていることになりますが、この eight という数字は、フレンズでこれまでに何度も「小さな子供、ガキ」のニュアンスで出てきました。
それについては、過去記事、何故8歳なのか? フレンズ1-1その8 で詳しく解説しています。
その過去記事では、「8歳(eight)」というフレーズが、フレンズ1-1、1-5、2-5 で登場した、と説明したのですが、今回の 5-9 もそのリストに加わるわけですね。また、フレンズ10-14 にも eight は登場します。
過去記事で、「フレンズ以外でもやはり「8歳」という年齢を使うのかなぁ?」と書いたのですが、その記事を書いた後に見た作品で、「7歳」でも「9歳」でもなくやはり「8歳」が使われている例をいくつか発見しました!
その「8歳が使われている別の例」については、「フレンズ5-9その7」という記事の形で書く予定です。もうしばらくお待ち下さいませ。
モニカは何度もお礼を言っていますが、ジョーイは You're not welcome. と言っていますね。
Thank you. 「ありがとう」に対して、You're welcome. 「どういたしまして」というのは、決まり文句ですが、今回はいつもの返事とは違って not が入っているのがポイントです。
You're welcome. の welcome は、形容詞で「歓迎される、歓迎されて」という意味です。
ありがとう、と感謝の気持ちを述べる相手に対して、「君は歓迎されてるよ、僕は何もいやがっていないから僕に遠慮せずに何でも頼んでくれよ」みたいなニュアンスが込められているのだと思います。
君の頼みをきくのは大歓迎さ、みたいな感じでしょうか。
同じように「どういたしまして」の意味で使われる言葉に Anytime. がありますが、これも「いつでも(どうぞ)」ということで、「君の頼みならいつでも歓迎するよ、お安い御用さ」というニュアンスが感じられます。そういうニュアンスは、You're welcome. と非常に近い気がします。
今回の You're not welcome. は not がついていますので、「君は歓迎されない」、つまり、ありがとうと感謝されても、僕はちっとも君の頼みを歓迎してない、もうこれ以上面倒なことを俺に頼まないでくれ!という気持ちが出ていると思います。
英辞郎では、
You're not welcome=いい迷惑だ
と出ていましたが、まさにそういう感じですね。
ありがとう、って言われてもちっとも嬉しくない、そんな頼みごと、もう勘弁してくれよ!ということです。
俺に恥ずかしい思いばかりさせて…と言いながら、ジョーイは昨日の出来事を語り始めます。
レイチェルが俺のバスルームでモニカのカミソリを見つけた、という話です。
明らかに男性のひげ剃り用のものとは異なる、女性のムダ毛剃り用の安全カミソリだったのでしょう。
言い訳が思いつかなくて、思わず俺のものだと言ってしまい、芝居で女性役をする予定なんだと説明したらしいジョーイ。
プレイボーイのジョーイのことですから、連れ込んだ女性が忘れていったものだ、とでも言ったら良かったようにも思いますが、やはりバスルームでカミソリで脚を剃ることまでするには、一夜限りではない、かなりステディな関係が連想されてしまうのでしょうか?
今付き合ってる彼女がいないジョーイには、そういう言い訳をすることもできず、とっさに自分のものだと言ってしまったようですね。
女性用のカミソリは、女性のふりをするためで、そんな嘘をついているうちに、流れ上、こんなことになっちゃったんだ、と言いながら、つるつるに剃った脚を見せるジョーイに笑ってしまいます。
one thing led to another は、「1つのことが別のあることに繋がって」ということで、「いろんなことが重なって」というニュアンスですね。
フレンズ2-2その4、フレンズ4-7その7 にも出てきました。
女役をするって言っちゃったから、それを使って剃ってみせることになっちゃって…みたいなことですね。
きれいに剃られた脚をまじまじと見ていたモニカは、くるぶし・足首の周りは a tough spot なのに、と感心している様子。
a tough spot は「剃るのが難しい部位」みたいなニュアンスですね。
くるぶしの盛り上がった部分はうまく剃るのが難しいのに、随分きれいに剃れてるじゃない!みたいに褒めている感覚でしょう。
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ジョーイ: That's it! I'm tired of covering for you two. This has got to stop! (Realizes he still has the underwear in his hand.) Ahh! (Throws them towards Chandler's room.) And tighty-whiteys! What are you, eight? (そこまでだ! お前ら二人のために取り繕(つくろ)うのはもううんざりだ。こんなこと、やめなきゃだめだ! [自分の手にまだその下着を持っていることに気付き] あー! [チャンドラーの部屋の方向に向かって下着を投げる] それに、白のブリーフって! お前は子供か?)
モニカ: (entering) Thank you, Joey, thank you so much! ([二人の部屋に入ってきて] ありがとう、ジョーイ、ほんとにありがとう!)
ジョーイ: Oh hey, no, you're not welcome, okay? Look, I hate this. You guys keep embarrassing me! (To Monica) Yesterday, Rachel found your razor in our bathroom. And I didn't know what to say, so I said it was mine and, and that I was playing a woman in a play. And one thing led to another and.... (He puts his leg on the chair and pulls up his pants leg to reveal that he now has shaved legs.) (ああ、おい、違う、こっちはいい迷惑なんだ、いいか? なぁ、こんなのもういやだよ。お前らが俺にずっと恥ずかしい思いをさせて! [モニカに] 昨日、レイチェルがバスルームでモニカの(女物の)カミソリを見つけたんだ。それで俺は何て言ったらいいかわからなかったから、それは俺のだって言ったんだ。それで、俺はある劇で女性を演じる予定だって言ったんだ。それからいろんなことが重なって [ジョーイは椅子の上に脚を置き、彼はもうすっかり脚を剃ってしまっているのを見せるためにパンツをたくし上げる])
モニカ: (inspecting his leg) Wow! And around the ankles, y'know that is a tough spot. ([剃られたジョーイの脚をじっくり観察して] まあ! それにくるぶしの周辺、ほら、そこは(剃るのが)難しい部分なのに(うまく剃れたわね)。)
I'm tired of covering for you two. の cover for について。
cover for には「(人)の代わりを務める、代理をする」という意味と、「(人)をかばう、(人)のために取り繕(つくろ)う」という意味があります。
今回は「かばう」のニュアンスですね。
英語の「カヴァー、カバー」という発音と日本語の「かばう」が見た目似ているのが、何だか下手なダジャレみたいですが(笑)。
cover はまさに「カバーする」で、「表面を覆う、隠す」ことから、「保護する、かばう」「(人を守って)援護射撃する」という意味にもなるのですね。
「お前ら二人のために(いろんな失敗を)カバーするのはもううんざりだ」のように訳しても意味は通じる気がします。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
cover for somebody [phrasal verb] :
1. to do the work that someone else usually does, because they are sick or not present
例) Who's going to cover for you while you're on vacation?
2. to prevent someone from getting into trouble by lying about where they are or what they are doing
例) Cindy refused to cover for him when his boss called.
つまり、1. は、「誰か他の人が通常している仕事をすること、その人が病気、またはそこにいないという理由で」。
例文は、「あなたの休暇中、誰があなたの仕事の代理をしてくれることになってるの?」
2. は、「ある人のいる場所やその人がしていることについて嘘を言うことで、その人がトラブルになるのを防ぐこと」。
例文は、「彼の上司が電話してきた時、シンディーは彼をかばうのを拒んだ。」
今回のニュアンスもまさに「嘘をついて二人がトラブルになるのを避ける」という行動を指していますね。
tighty-whiteys について。
英辞郎には、少々綴りは違いますが、
tightie whities=〈米俗〉(男性用の)ブリーフ
と出ていました。
LAAD では(LAAD にも出ているのには、ちょっとびっくりしましたが)
tightie whities [noun] [plural] (informal) : white JOCKEY SHORTS
ついでに Jockey shorts も調べてみると、
Jockey shorts [noun] [plural] : (trademark) a type of men's cotton underwear that fits tightly (see also BOXER SHORTS)
つまり、ジョッキー・ショーツは商標で、「ぴったりフィットする男性用の綿の下着の一種」ですから、tightie whities は、「ぴったりした白の男性用下着」、つまり「白のブリーフ」ということになるのですね。
タイトでホワイトなパンツということですが、音的にも、-ightie 「アイティー」の部分が韻を踏んだ形になっているので、呼びやすい名称になっています。
チャンドラーのパンツが白のブリーフであることを指摘した後、What are you, eight? と言っていますね。
これは「お前って何? 8歳か?」と言っていることになりますが、この eight という数字は、フレンズでこれまでに何度も「小さな子供、ガキ」のニュアンスで出てきました。
それについては、過去記事、何故8歳なのか? フレンズ1-1その8 で詳しく解説しています。
その過去記事では、「8歳(eight)」というフレーズが、フレンズ1-1、1-5、2-5 で登場した、と説明したのですが、今回の 5-9 もそのリストに加わるわけですね。また、フレンズ10-14 にも eight は登場します。
過去記事で、「フレンズ以外でもやはり「8歳」という年齢を使うのかなぁ?」と書いたのですが、その記事を書いた後に見た作品で、「7歳」でも「9歳」でもなくやはり「8歳」が使われている例をいくつか発見しました!
その「8歳が使われている別の例」については、「フレンズ5-9その7」という記事の形で書く予定です。もうしばらくお待ち下さいませ。
モニカは何度もお礼を言っていますが、ジョーイは You're not welcome. と言っていますね。
Thank you. 「ありがとう」に対して、You're welcome. 「どういたしまして」というのは、決まり文句ですが、今回はいつもの返事とは違って not が入っているのがポイントです。
You're welcome. の welcome は、形容詞で「歓迎される、歓迎されて」という意味です。
ありがとう、と感謝の気持ちを述べる相手に対して、「君は歓迎されてるよ、僕は何もいやがっていないから僕に遠慮せずに何でも頼んでくれよ」みたいなニュアンスが込められているのだと思います。
君の頼みをきくのは大歓迎さ、みたいな感じでしょうか。
同じように「どういたしまして」の意味で使われる言葉に Anytime. がありますが、これも「いつでも(どうぞ)」ということで、「君の頼みならいつでも歓迎するよ、お安い御用さ」というニュアンスが感じられます。そういうニュアンスは、You're welcome. と非常に近い気がします。
今回の You're not welcome. は not がついていますので、「君は歓迎されない」、つまり、ありがとうと感謝されても、僕はちっとも君の頼みを歓迎してない、もうこれ以上面倒なことを俺に頼まないでくれ!という気持ちが出ていると思います。
英辞郎では、
You're not welcome=いい迷惑だ
と出ていましたが、まさにそういう感じですね。
ありがとう、って言われてもちっとも嬉しくない、そんな頼みごと、もう勘弁してくれよ!ということです。
俺に恥ずかしい思いばかりさせて…と言いながら、ジョーイは昨日の出来事を語り始めます。
レイチェルが俺のバスルームでモニカのカミソリを見つけた、という話です。
明らかに男性のひげ剃り用のものとは異なる、女性のムダ毛剃り用の安全カミソリだったのでしょう。
言い訳が思いつかなくて、思わず俺のものだと言ってしまい、芝居で女性役をする予定なんだと説明したらしいジョーイ。
プレイボーイのジョーイのことですから、連れ込んだ女性が忘れていったものだ、とでも言ったら良かったようにも思いますが、やはりバスルームでカミソリで脚を剃ることまでするには、一夜限りではない、かなりステディな関係が連想されてしまうのでしょうか?
今付き合ってる彼女がいないジョーイには、そういう言い訳をすることもできず、とっさに自分のものだと言ってしまったようですね。
女性用のカミソリは、女性のふりをするためで、そんな嘘をついているうちに、流れ上、こんなことになっちゃったんだ、と言いながら、つるつるに剃った脚を見せるジョーイに笑ってしまいます。
one thing led to another は、「1つのことが別のあることに繋がって」ということで、「いろんなことが重なって」というニュアンスですね。
フレンズ2-2その4、フレンズ4-7その7 にも出てきました。
女役をするって言っちゃったから、それを使って剃ってみせることになっちゃって…みたいなことですね。
きれいに剃られた脚をまじまじと見ていたモニカは、くるぶし・足首の周りは a tough spot なのに、と感心している様子。
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2010年10月25日
ドック・オブ・ザ・ベイ フレンズ5-9その1
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シーズン5 第9話
The One with Ross' Sandwich (モニカはエッチ中毒!?)
原題は「ロスのサンドイッチの話」
[Scene: Monica and Rachel's, the entire gang is there, eating breakfast. Phoebe is on the couch, fidgeting.]
モニカとレイチェルの部屋。フレンズ全員が、朝食を食べながら、そこにいる。フィービーはカウチに座っていて、もじもじと身体を動かしている。
フィービー: What am I sitting on? (私は、何の上に座ってるの?)
チャンドラー: Top of the world? Dock of the bay? (He tries to think of another but can't) I'm out. (トップ・オブ・ザ・ワールド? ドック・オブ・ザ・ベイ? [もう一つ考えようとするができない] もう(これ以上言うのは)やめた。)
フィービー: (taking something out of the couch) Ew-eww!! Undies! ([何かをカウチから取り出して] ウエー! 下着[パンツ]よ!)
(She throws them into the kitchen and Rachel picks them up with the handle of a large spoon. Chandler and Monica have horrified looks on their faces.)
フィービーはその下着を台所の方に投げる。レイチェルは大きなスプーンの取っ手でそれをつまみあげる。チャンドラーとモニカは顔に恐怖の表情を浮かべる。
レイチェル: All right! Whose are they? Whose are they? (いいわ! それは誰のもの? それは誰のもの?)
ロス: Well, they're not mine! (えーっと、それは僕のじゃないよ。)
チャンドラー: Well, they're Joey's! They gotta be Joey's! (あー、それはジョーイのだ! それはジョーイのに違いない!)
(Rachel turns and stares at him.)
レイチェルは振り返り、ジョーイを見つめる。
ジョーイ: Yeah, they're mine. (あぁ、それは俺のだよ。)
チャンドラー: See? They're Joey's! They're Joe-Joe-Joe-Joe-Joe-Joey's. (ほらね? それはジョーイのだ! それは、ジョ、ジョ、ジョ、ジョ、ジョ、ジョーイのだ。)
ロス: Why are they here? (どうしてそれがここにあるの?)
ジョーイ: I don't know uhh.... (Pause as he thinks about it.) Well, I'm Joey. Yeah, I'm disgusting, I take my underwear off in other people's homes. (さあね、あー… [考えている時に沈黙があり] あぁ、俺はジョーイだ。そうさ、俺は最低なんだ。俺は自分の下着を他の人の家で脱ぐんだよ[脱ぐような人間なんだよ]。)
ト書きの fidget は「(落ち着きなく)そわそわする、もじもじする」。
What am I sitting on? を直訳すると、「私は何の上に座っているの?」で、sit on... の on 以下の部分が疑問詞 what として前に出た形の疑問文です。
つまり、何か違和感感じるんだけど、私の座っているお尻の下には何があるの?という意味で、それで、もぞもぞしていたわけです。
「私は何の上に座ってる?」と聞かれて、ジョーク大好きチャンドラーは何か言わずにはいられないようです。
チャンドラーの答えの、Top of the world と Dock of the bay は、どちらも歌のタイトルであり、また歌詞のサビの一部でもあります。
まず、Top of the world の方ですが、これはカーペンターズ(Carpenters)の「トップ・オブ・ザ・ワールド」(Top of the World)ですね。
カーペンターズは日本でも大変人気がありますし、この曲も有名なので、ここはピンと来た方も多かったのではないでしょうか。
フレンズでも、フレンズ1-7 の停電の話で、バルコニーでロスがネコに襲われている時に、室内で、フィービー、モニカ、ジョーイたちが、フィービーのギターに合わせてこの曲を歌っていましたね。
そのバルコニーでの惨事(笑)には全く気付かない様子で、楽しく幸せそうに大声でトップ・オブ・ザ・ワールドを歌っていたのが印象的でした。
その 1-7 でもサビの部分を歌っていましたが、その部分の歌詞は、
I'm on the top of the world lookin' down on creation
And the only explanation I can find
ですね。
歌詞では、sitting という言葉は出てきませんが、何かの上に、という on という言葉を聞いて、まずチャンドラーが、on the top of the world というフレーズを思いついた、ということです。
次の、Dock of the bay ですが、Google のサーチボックスで dock of まで打ったら、「グーグルサジェスト機能」で、「dock of the bay」や、「dock of the bay 歌詞」というフレーズが自動的に候補として表示・提示されたので、そういう歌があるんだなぁ、ということがわかります。
(こういう場合、グーグルサジェスト機能は本当に便利!)
さらに続けて、dock of the bay まで打つと、他の候補として、sitting on the dock of the bay という形も出てきます。
これが歌のタイトルのようですね。
これを見るだけでも、チャンドラーが、What am I sitting on? に対して、Dock of the bay? と答えた経緯がわかってしまう感じですが…。
実際に検索結果を見てみると、YouTube に動画もたくさんあるようです。
Otis Redding(オーティス・レディング)が歌っている、(Sitting On) The Dock of the Bay という曲です。
(ちなみに私はこの曲、知りませんでした)
詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: (Sittin' On) The Dock of the Bay
タイトルのネット上での表記は、Sitting on がついていたりいなかったりといろいろです。
サビの部分の歌詞は、
Sitting on the dock of the bay
Watching the tide roll away
I'm just sitting on the dock of the bay
Wasting time
となっていて、サビの部分にもタイトルフレーズがきちんと含まれています。
チャンドラーの答えは、on または、sitting on から連想した有名な曲の歌詞またはタイトルだった、ということですね。
フィービーは Undies! と叫んで、それを放り投げています。
undies は underwear の短縮形。
このように常に複数形で使われます。
脚の部分が二股に分かれているから、でしょう。pants や trousers と同じ感覚だと思います。
音的には、pajamas のことを jammies と呼ぶのと似ていますね。
その後も、この undies という複数形を指すことになるため、代名詞は常に they が使われていることにも注目です。
日本人の感覚では、なかなかここで、they という複数代名詞がすっと出てこない気がします。
なお、ネットスクリプトでは、Who's are they? と表記してありますが、Who's は Whose のタイポです。「それは[その下着は]誰のもの?」という疑問文ですね。
Whose undies are they? だと「それは誰の下着ですか?」になり、今回のように後に来る名詞を省略すると、whose だけで「誰のもの」という意味で使うことができます。
ネットスクリプトでは、Whose を Who's と書いてあることが結構多いです。
you'reをyourと書く間違い フレンズ4-1その7 でも、レイチェルが手紙の中で、you're と your を混同していたことをロスに指摘されていましたが、結構その手のタイポは多いんですよね。
ただ、書いた人は(ネイティブの方であれば)、Who's と書いていても、それを Who is だと勘違いしている、ということは決してないでしょう。ただの書き間違い、というか、ついそう書いてしまう本人の癖みたいなものでしょうね。
逆に日本人は、まず文字から入りがちなので、Who's と書いてあると、Who is だと思い込んでしまって、Who is are they? ってどういう文の構造?としばらく悩んでしまうかもしれません。
当たり前のことながら、ネイティブが書いたものにもタイポはある、ということをいつも意識しながら読むことも大切だ、ということです。
また、日本人でさえかなり初歩的だと思ってしまうような間違いだからと言って、その間違いを指摘して鬼の首でも取ったように勝ち誇ったりするような話でもありませんし、ネイティブも間違えるんだから、と自分の開き直りの道具に使うのも望ましくない気がします。
ネイティブなら読んでいてもひっかからないようなささいな間違いだけれど、文字から入りがちな日本人にとっては危険かもしれませんので気をつけたいですね、という話でした。
whose 「誰のもの」という疑問文なので、答えも常に mine 「私のもの」などの所有代名詞(または独立所有格とも呼ばれる)が使われていることにも注目です。
ですから、「ジョーイのもの」という意味で、Joey's になっているのですね。
チャンドラーとモニカがぎょっとした顔をしているのは、その下着がチャンドラーのものだからです。
ですが二人は、付き合っていることをジョーイ以外のフレンズたちには内緒にしています。
それで、ジョーイに罪をなすりつけようとしているわけですが、チャンドラーに目配せされたジョーイは目をむいて、「え? 俺? 俺のパンツってことにしとけってか?」みたいにびっくりした顔をしています。
「それはジョーイのだ!」と言いながらも、ジョ、ジョ、ジョ…と明らかにチャンドラーのセリフが動揺しているのが、いかにもコメディーっぽくて楽しいです。
罪をかぶることを決めたらしいジョーイは、他のみんなに責められて、I'm Joey. とわかったようなわからないような理由を述べています。
「何でここに俺のパンツがあるのか?って聞かれても…俺はジョーイだからね、俺はそういう最低の人間なんだよ」と、人が理解しがたい行動をするような人間だからしょうがないんだよ、みたいに説明しています。
disgusting は「実にいやな、ひどい、最低な」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
disgusting [adjective] : extremely unpleasant, and making you feel sick
つまり、「極度に不快・不愉快な、そして人の気分を悪くするような」。
「胸が悪くなるような、むかつくような」という意味の、非常に悪いニュアンスの形容詞です。
I take my underwear off... で、「他人の家でパンツを脱ぐ」という話をしていますが、この現在形は、「習慣・習性を表す現在形」ですね。
実際にそのパンツを俺はここで脱いだんだ、という過去の行為を述べているのではなくて、俺は人んちでパンツを脱ぐような人間なんだ、と、ジョーイという人間はそういう行為をする人間なんだ、と説明している感覚になります。
(Rach からのお詫び)
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シーズン5 第9話
The One with Ross' Sandwich (モニカはエッチ中毒!?)
原題は「ロスのサンドイッチの話」
[Scene: Monica and Rachel's, the entire gang is there, eating breakfast. Phoebe is on the couch, fidgeting.]
モニカとレイチェルの部屋。フレンズ全員が、朝食を食べながら、そこにいる。フィービーはカウチに座っていて、もじもじと身体を動かしている。
フィービー: What am I sitting on? (私は、何の上に座ってるの?)
チャンドラー: Top of the world? Dock of the bay? (He tries to think of another but can't) I'm out. (トップ・オブ・ザ・ワールド? ドック・オブ・ザ・ベイ? [もう一つ考えようとするができない] もう(これ以上言うのは)やめた。)
フィービー: (taking something out of the couch) Ew-eww!! Undies! ([何かをカウチから取り出して] ウエー! 下着[パンツ]よ!)
(She throws them into the kitchen and Rachel picks them up with the handle of a large spoon. Chandler and Monica have horrified looks on their faces.)
フィービーはその下着を台所の方に投げる。レイチェルは大きなスプーンの取っ手でそれをつまみあげる。チャンドラーとモニカは顔に恐怖の表情を浮かべる。
レイチェル: All right! Whose are they? Whose are they? (いいわ! それは誰のもの? それは誰のもの?)
ロス: Well, they're not mine! (えーっと、それは僕のじゃないよ。)
チャンドラー: Well, they're Joey's! They gotta be Joey's! (あー、それはジョーイのだ! それはジョーイのに違いない!)
(Rachel turns and stares at him.)
レイチェルは振り返り、ジョーイを見つめる。
ジョーイ: Yeah, they're mine. (あぁ、それは俺のだよ。)
チャンドラー: See? They're Joey's! They're Joe-Joe-Joe-Joe-Joe-Joey's. (ほらね? それはジョーイのだ! それは、ジョ、ジョ、ジョ、ジョ、ジョ、ジョーイのだ。)
ロス: Why are they here? (どうしてそれがここにあるの?)
ジョーイ: I don't know uhh.... (Pause as he thinks about it.) Well, I'm Joey. Yeah, I'm disgusting, I take my underwear off in other people's homes. (さあね、あー… [考えている時に沈黙があり] あぁ、俺はジョーイだ。そうさ、俺は最低なんだ。俺は自分の下着を他の人の家で脱ぐんだよ[脱ぐような人間なんだよ]。)
ト書きの fidget は「(落ち着きなく)そわそわする、もじもじする」。
What am I sitting on? を直訳すると、「私は何の上に座っているの?」で、sit on... の on 以下の部分が疑問詞 what として前に出た形の疑問文です。
つまり、何か違和感感じるんだけど、私の座っているお尻の下には何があるの?という意味で、それで、もぞもぞしていたわけです。
「私は何の上に座ってる?」と聞かれて、ジョーク大好きチャンドラーは何か言わずにはいられないようです。
チャンドラーの答えの、Top of the world と Dock of the bay は、どちらも歌のタイトルであり、また歌詞のサビの一部でもあります。
まず、Top of the world の方ですが、これはカーペンターズ(Carpenters)の「トップ・オブ・ザ・ワールド」(Top of the World)ですね。
カーペンターズは日本でも大変人気がありますし、この曲も有名なので、ここはピンと来た方も多かったのではないでしょうか。
フレンズでも、フレンズ1-7 の停電の話で、バルコニーでロスがネコに襲われている時に、室内で、フィービー、モニカ、ジョーイたちが、フィービーのギターに合わせてこの曲を歌っていましたね。
そのバルコニーでの惨事(笑)には全く気付かない様子で、楽しく幸せそうに大声でトップ・オブ・ザ・ワールドを歌っていたのが印象的でした。
その 1-7 でもサビの部分を歌っていましたが、その部分の歌詞は、
I'm on the top of the world lookin' down on creation
And the only explanation I can find
ですね。
歌詞では、sitting という言葉は出てきませんが、何かの上に、という on という言葉を聞いて、まずチャンドラーが、on the top of the world というフレーズを思いついた、ということです。
次の、Dock of the bay ですが、Google のサーチボックスで dock of まで打ったら、「グーグルサジェスト機能」で、「dock of the bay」や、「dock of the bay 歌詞」というフレーズが自動的に候補として表示・提示されたので、そういう歌があるんだなぁ、ということがわかります。
(こういう場合、グーグルサジェスト機能は本当に便利!)
さらに続けて、dock of the bay まで打つと、他の候補として、sitting on the dock of the bay という形も出てきます。
これが歌のタイトルのようですね。
これを見るだけでも、チャンドラーが、What am I sitting on? に対して、Dock of the bay? と答えた経緯がわかってしまう感じですが…。
実際に検索結果を見てみると、YouTube に動画もたくさんあるようです。
Otis Redding(オーティス・レディング)が歌っている、(Sitting On) The Dock of the Bay という曲です。
(ちなみに私はこの曲、知りませんでした)
詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: (Sittin' On) The Dock of the Bay
タイトルのネット上での表記は、Sitting on がついていたりいなかったりといろいろです。
サビの部分の歌詞は、
Sitting on the dock of the bay
Watching the tide roll away
I'm just sitting on the dock of the bay
Wasting time
となっていて、サビの部分にもタイトルフレーズがきちんと含まれています。
チャンドラーの答えは、on または、sitting on から連想した有名な曲の歌詞またはタイトルだった、ということですね。
フィービーは Undies! と叫んで、それを放り投げています。
undies は underwear の短縮形。
このように常に複数形で使われます。
脚の部分が二股に分かれているから、でしょう。pants や trousers と同じ感覚だと思います。
音的には、pajamas のことを jammies と呼ぶのと似ていますね。
その後も、この undies という複数形を指すことになるため、代名詞は常に they が使われていることにも注目です。
日本人の感覚では、なかなかここで、they という複数代名詞がすっと出てこない気がします。
なお、ネットスクリプトでは、Who's are they? と表記してありますが、Who's は Whose のタイポです。「それは[その下着は]誰のもの?」という疑問文ですね。
Whose undies are they? だと「それは誰の下着ですか?」になり、今回のように後に来る名詞を省略すると、whose だけで「誰のもの」という意味で使うことができます。
ネットスクリプトでは、Whose を Who's と書いてあることが結構多いです。
you'reをyourと書く間違い フレンズ4-1その7 でも、レイチェルが手紙の中で、you're と your を混同していたことをロスに指摘されていましたが、結構その手のタイポは多いんですよね。
ただ、書いた人は(ネイティブの方であれば)、Who's と書いていても、それを Who is だと勘違いしている、ということは決してないでしょう。ただの書き間違い、というか、ついそう書いてしまう本人の癖みたいなものでしょうね。
逆に日本人は、まず文字から入りがちなので、Who's と書いてあると、Who is だと思い込んでしまって、Who is are they? ってどういう文の構造?としばらく悩んでしまうかもしれません。
当たり前のことながら、ネイティブが書いたものにもタイポはある、ということをいつも意識しながら読むことも大切だ、ということです。
また、日本人でさえかなり初歩的だと思ってしまうような間違いだからと言って、その間違いを指摘して鬼の首でも取ったように勝ち誇ったりするような話でもありませんし、ネイティブも間違えるんだから、と自分の開き直りの道具に使うのも望ましくない気がします。
ネイティブなら読んでいてもひっかからないようなささいな間違いだけれど、文字から入りがちな日本人にとっては危険かもしれませんので気をつけたいですね、という話でした。
whose 「誰のもの」という疑問文なので、答えも常に mine 「私のもの」などの所有代名詞(または独立所有格とも呼ばれる)が使われていることにも注目です。
ですから、「ジョーイのもの」という意味で、Joey's になっているのですね。
チャンドラーとモニカがぎょっとした顔をしているのは、その下着がチャンドラーのものだからです。
ですが二人は、付き合っていることをジョーイ以外のフレンズたちには内緒にしています。
それで、ジョーイに罪をなすりつけようとしているわけですが、チャンドラーに目配せされたジョーイは目をむいて、「え? 俺? 俺のパンツってことにしとけってか?」みたいにびっくりした顔をしています。
「それはジョーイのだ!」と言いながらも、ジョ、ジョ、ジョ…と明らかにチャンドラーのセリフが動揺しているのが、いかにもコメディーっぽくて楽しいです。
罪をかぶることを決めたらしいジョーイは、他のみんなに責められて、I'm Joey. とわかったようなわからないような理由を述べています。
「何でここに俺のパンツがあるのか?って聞かれても…俺はジョーイだからね、俺はそういう最低の人間なんだよ」と、人が理解しがたい行動をするような人間だからしょうがないんだよ、みたいに説明しています。
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LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
disgusting [adjective] : extremely unpleasant, and making you feel sick
つまり、「極度に不快・不愉快な、そして人の気分を悪くするような」。
「胸が悪くなるような、むかつくような」という意味の、非常に悪いニュアンスの形容詞です。
I take my underwear off... で、「他人の家でパンツを脱ぐ」という話をしていますが、この現在形は、「習慣・習性を表す現在形」ですね。
実際にそのパンツを俺はここで脱いだんだ、という過去の行為を述べているのではなくて、俺は人んちでパンツを脱ぐような人間なんだ、と、ジョーイという人間はそういう行為をする人間なんだ、と説明している感覚になります。
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2010年10月22日
その手には引っかからないぞ フレンズ5-8その6
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チャンドラーに仕返ししたいモニカは、エッチしたそうにしていると見せかけてチャンドラーを裸にして恥をかかせようとします。
"Just act like everything around you turns you on." 「自分のまわりのもの全てが、自分を性的に興奮させる[エッチな気持ちにさせる]かのように振舞って」というレイチェルのアドバイス通り、マカロニ&チーズの箱、ニンジン、そして包丁を、身体に色っぽく(?)すりすりしていたモニカですが、手が滑り、持っていた包丁がチャンドラーの靴めがけて落ちてしまいます。
そのすぐ後のシーン。
[Scene: The hospital, Chandler has been rushed to the emergency room.]
病院。チャンドラーはERに大急ぎで運ばれてきたところ。
医者: What do we got here? (どんな患者だ?)
救急救命士(The Paramedic): Twenty-year-old male. He's got a severed toe on his right foot. (20歳、男性。右足の指が切断されています。)
(They go through the doors into the trauma room, opening them by ramming the gurney through them, only Chandler's foot is hanging off the end and he screams in pain.)
医者たちは、外科(治療)室へのドアを通り抜ける、車輪付き担架をぶつけることでドアを開いて。チャンドラーの足だけが端っこから垂れ下がっているので、チャンドラーは痛みで叫ぶ。
ロス: Could you please not do that feet first? You know where his injury is. Severed toe, you just said it! (その足を先にするのはやめてくれませんか? 彼のケガがどこか知ってるでしょう。切断された足指、あなたが今、そう言ったんだ!)
救急救命士は無言で去る。医者はカルテを見ながら、
医者: It says here that the knife went right through your shoe. (ナイフが靴を貫通した、とここには書いてありますね。)
ゲラーパパ: Of course it did. They're made of wicker. (もちろん貫通しましたよ。靴はメッシュ[小枝編み、籐製]だから。)
医者: Did you bring the toe? (その(切断された)指を持ってきましたか?)
モニカ: Oh yes! I have it right here on ice. (She takes a bag of ice out of her purse and hands it to the doctor.) (あぁ、はい! 氷につけてここに持ってます。[モニカはカバンから氷の袋を取り出し、それを医者に手渡す]
医者: (opening it) Don't worry, son. We'll just reattach it and-- (Stops suddenly.) ([袋を開けながら] 心配しないで。それをくっつけて、それで… [突然、動きが止まる])
モニカ: What? What is it? (何? 何ですか?)
医者: You brought a carrot. (君が持ってきたのはニンジンだよ。)
チャンドラー: What? (何だって?)
医者: This isn't your toe. This is a small, very cold piece of carrot. (これは君の足指じゃない。これは、小さくてとっても冷えたニンジンのかけらだ。)
レイチェル: You brought a carrot? (あなたはニンジンを持ってきたの?)
ゲラーママ: Oh, my God! There's a toe in my kitchen. (なんてこと! うちの台所に足の指があるなんて!)
モニカ: God, I'm sorry! I'll go back and get it! (まぁ、ごめんなさい! 戻って指を取ってくるわ!)
医者: It's too late, all we can do now is sew up the wound. (遅すぎる、今我々ができるのは、傷口を縫い上げることだけだ。)
チャンドラー: Without my toe? I need my toe! (指なしで(縫っちゃうの)? 指は必要だ!)
モニカ: Wait, no, no, no, I can go really fast! Dad, give me the keys to your Porsche! (待って、だめだめだめ、私、ほんとに素早く行けるから! パパ、パパのポルシェのキーをちょうだい!)
ゲラーパパ: Oh, I'm not falling for that one. (おぉ、そんな手にはひっかからないぞ[だまされないぞ]。)
医者が救急救命士に、What do we got here? と尋ねています。
got = have got = have で、What kind of patient do we have here? 「我々が抱えている(今から診ようとしている)のは、どんな感じの患者だ?」というニュアンスだろうと思います。
それに対して救急救命士は、年齢、性別、負傷部位を的確に答えていますね。
sever は「…を(無理やりに)切断する」という他動詞。
直訳すると、「患者は、足に切断された指を持っています」みたいなことですから、「足の指が切断された状態です」と訳せば自然でしょうか。
ト書きにある trauma room は「外科室」みたいな意味のようですね。
すっかり日本語になってしまっている「トラウマ」ですが、元々は、医学用語で「外傷」という意味です。
今では、「精神的外傷」の意味で使われることが多いようですが、ここでは本来の外傷という意味で trauma room という言葉が使われています。
トラウマという言葉のイメージが強すぎて、「トラウマを抱えた人が集まる部屋」(?)かと思ってしまいそうですが、そうではないのですね。
英辞郎にも、
trauma center=《病》外傷センター
trauma department=外科
という言葉が載っています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
trauma : MEDICINE serious physical injury
例) a head trauma
つまり、「医学用語。深刻な身体のケガ」。例は、「頭部外傷」。
担架がドアを通った後、チャンドラーは、アウアウ!と叫び声を上げていますが、その理由はト書きに書いてある通りですね。
ケガをした方を先頭にして、担架でドアを開けたところ、担架からすこしはみ出ていた足がドアに思いきり当たってしまったので、その痛みで叫んでいる、ということです。
ですから、ロスもそのことを抗議しているのですね。
ケガをしている部分にさらに衝撃を加える…なんて、まるで吉本新喜劇にありそうなノリですが(笑)、コメディーなのであまり深刻になり過ぎないようにそういう演出がされているのでしょう。(本当にこんなことがあったら、アメリカでは間違いなく訴訟沙汰になると思うのですが…)
医者はカルテのようなものを見ながら、It says here that... と言っています。
これは、「今見ているこれに…と書いてある」という意味ですね。
the knife went right through your shoe は、「ナイフ(包丁)が靴を完全に通り抜けた、貫通した」というニュアンスでしょう。
それに対してのパパの返事がオトボケな感じですね。
wicker は「柳細工、小枝編み」。
LAAD では、
wicker : thin dried tree branches that are woven together to make furniture, BASKETs etc.
つまり、「バスケットなどの家具(備品)を作るために編み合わされた、細く乾燥した木の枝」。
日本語で言うと「籐(とう)」が近いでしょうか。
逆に、研究社 新和英辞典で「籐」を調べると、
籐椅子 a wicker(work) [cane, rattan] chair
籐細工 wickerwork, canework, rattan work
と出ています。
パパは、「そりゃもちろん貫通ですよ、だってその靴は籐製の靴だったんだから」みたいに言っているわけです。
包丁が上から落ちてきたという悲劇にもかかわらず、他のに比べて貫通しやすい素材だから、ものの見事に貫いちゃったねぇ…みたいに言っているのが、おとぼけパパらしいです。
実際、この ER の場面の前に、チャンドラーの靴が一瞬大写しになるのですが、チャンドラーが履いていたのは、確かに、網目の靴、メッシュの靴(mesh shoes)みたいな感じです。
そして、ちらっとですが、どうやら素足にそれを履いているように見えます。
過去記事、フレンズ5-8その4 で説明したように、チャンドラーたちがそのスタイルを真似ている、マイアミ・バイスのクロケット刑事は、「素足にスリップオン」がお約束のスタイルということでした。
今回、もっと硬い丈夫な素材の革靴で、さらには靴下もちゃんと履いていれば、ケガももっと軽く済んだのでは?と思わせるところもあります。
パパは靴がメッシュであることしか言及していませんが、マイアミ・バイスの真似をして靴下を履かず裸足であったことも、足指切断という結果に多少は関係している気がして(上からナイフが落ちてきたら、靴下があろうがなかろうが結果は同じかもしれませんが)、ちょっと興味深いなぁ、と思いました。
マイアミ・バイスの格好を真似ていたことがアダとなった感じですね。
ちなみに、フレンズ2-22 にも、wicker という単語は出てきていました。
ブログの解説では省略してしまったのですが、レイチェルのパパとママの仲が悪くて、これからも二人は同じ場所にはいられないのね、という話から、
レイチェル: She gets the house, he's in some condo my sister's gonna decorate with wicker. (ママは家を手に入れて(今住んでいる家にそのまま住んで)、パパはうちの妹が小枝編み細工で飾り立てることになる、どっかのコンドミニアム[分譲マンション]に住むのよ。)
というセリフでした。
切断した指を、氷の袋に入れて持ってきた、というモニカ。
氷の入ったビニル袋にそれを入れてきたわけですが、on ice の on という前置詞は「接触」を表す前置詞ですから、「氷に”接触”させた状態で、氷で冷やした状態で」ここに持っています、というニュアンスを出している気がします。
ところが、指だと思って持ってきたのが、実はニンジンであったことが判明します。
このお医者さんもなかなか辛辣で、「これは指じゃなくて、ニンジンだ」と言う時に、わざわざ、cold 「(氷で冷えて)冷たい」と形容しているのに笑ってしまいました。
君はニンジンを冷やしてただけなんだよ、みたいな感じですね。
チャンドラーの足に包丁を落とす前、モニカはニンジンも触っていました。
その前にレイチェルと話をしている時も、モニカは細いニンジンをナイフで削っている様子でした。
そのように、台所でニンジンを使うところを映像として見せておいたのは、「指だと思って持ってきたのはニンジンだった」というオチに繋げるための伏線だったようですね。
ママは Oh, my God! と言っていますが、その後、「うちの台所に指がある!」と言っているのが、これまたママらしいです。
大事な指がないなんて!と驚くのが普通ですが、「切れた指がうちの台所に落ちてるなんて、気持ち悪い、不気味」とでも言いたいらしく、そういう自己中発言がママらしいなと思いました。
sew は「縫う、縫い付ける、綴じる」。
sewing machine は「ミシン」、sewing set は「裁縫道具」ですね。
包丁を落とした上に、間違えてニンジンを持ってきてしまったモニカは責任を感じ、急いで取ってくるから、パパのポルシェのキーを貸して、と頼んでいます。
fall for は、「(策略など)にひっかかる、だまされる」。
フレンズ2-20その20 でもその意味で出てきました。
モニカは真剣に必死にお願いしているのですが、「そんな手に乗るか。うまいこと言っても、私のポルシェは貸してやらんぞ」みたいにパパは言っているわけですね。
この緊急事態に、それを利用してポルシェに乗ろうと画策しているかのように勘ぐられてしまった、ということです。
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そのすぐ後のシーン。
[Scene: The hospital, Chandler has been rushed to the emergency room.]
病院。チャンドラーはERに大急ぎで運ばれてきたところ。
医者: What do we got here? (どんな患者だ?)
救急救命士(The Paramedic): Twenty-year-old male. He's got a severed toe on his right foot. (20歳、男性。右足の指が切断されています。)
(They go through the doors into the trauma room, opening them by ramming the gurney through them, only Chandler's foot is hanging off the end and he screams in pain.)
医者たちは、外科(治療)室へのドアを通り抜ける、車輪付き担架をぶつけることでドアを開いて。チャンドラーの足だけが端っこから垂れ下がっているので、チャンドラーは痛みで叫ぶ。
ロス: Could you please not do that feet first? You know where his injury is. Severed toe, you just said it! (その足を先にするのはやめてくれませんか? 彼のケガがどこか知ってるでしょう。切断された足指、あなたが今、そう言ったんだ!)
救急救命士は無言で去る。医者はカルテを見ながら、
医者: It says here that the knife went right through your shoe. (ナイフが靴を貫通した、とここには書いてありますね。)
ゲラーパパ: Of course it did. They're made of wicker. (もちろん貫通しましたよ。靴はメッシュ[小枝編み、籐製]だから。)
医者: Did you bring the toe? (その(切断された)指を持ってきましたか?)
モニカ: Oh yes! I have it right here on ice. (She takes a bag of ice out of her purse and hands it to the doctor.) (あぁ、はい! 氷につけてここに持ってます。[モニカはカバンから氷の袋を取り出し、それを医者に手渡す]
医者: (opening it) Don't worry, son. We'll just reattach it and-- (Stops suddenly.) ([袋を開けながら] 心配しないで。それをくっつけて、それで… [突然、動きが止まる])
モニカ: What? What is it? (何? 何ですか?)
医者: You brought a carrot. (君が持ってきたのはニンジンだよ。)
チャンドラー: What? (何だって?)
医者: This isn't your toe. This is a small, very cold piece of carrot. (これは君の足指じゃない。これは、小さくてとっても冷えたニンジンのかけらだ。)
レイチェル: You brought a carrot? (あなたはニンジンを持ってきたの?)
ゲラーママ: Oh, my God! There's a toe in my kitchen. (なんてこと! うちの台所に足の指があるなんて!)
モニカ: God, I'm sorry! I'll go back and get it! (まぁ、ごめんなさい! 戻って指を取ってくるわ!)
医者: It's too late, all we can do now is sew up the wound. (遅すぎる、今我々ができるのは、傷口を縫い上げることだけだ。)
チャンドラー: Without my toe? I need my toe! (指なしで(縫っちゃうの)? 指は必要だ!)
モニカ: Wait, no, no, no, I can go really fast! Dad, give me the keys to your Porsche! (待って、だめだめだめ、私、ほんとに素早く行けるから! パパ、パパのポルシェのキーをちょうだい!)
ゲラーパパ: Oh, I'm not falling for that one. (おぉ、そんな手にはひっかからないぞ[だまされないぞ]。)
医者が救急救命士に、What do we got here? と尋ねています。
got = have got = have で、What kind of patient do we have here? 「我々が抱えている(今から診ようとしている)のは、どんな感じの患者だ?」というニュアンスだろうと思います。
それに対して救急救命士は、年齢、性別、負傷部位を的確に答えていますね。
sever は「…を(無理やりに)切断する」という他動詞。
直訳すると、「患者は、足に切断された指を持っています」みたいなことですから、「足の指が切断された状態です」と訳せば自然でしょうか。
ト書きにある trauma room は「外科室」みたいな意味のようですね。
すっかり日本語になってしまっている「トラウマ」ですが、元々は、医学用語で「外傷」という意味です。
今では、「精神的外傷」の意味で使われることが多いようですが、ここでは本来の外傷という意味で trauma room という言葉が使われています。
トラウマという言葉のイメージが強すぎて、「トラウマを抱えた人が集まる部屋」(?)かと思ってしまいそうですが、そうではないのですね。
英辞郎にも、
trauma center=《病》外傷センター
trauma department=外科
という言葉が載っています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
trauma : MEDICINE serious physical injury
例) a head trauma
つまり、「医学用語。深刻な身体のケガ」。例は、「頭部外傷」。
担架がドアを通った後、チャンドラーは、アウアウ!と叫び声を上げていますが、その理由はト書きに書いてある通りですね。
ケガをした方を先頭にして、担架でドアを開けたところ、担架からすこしはみ出ていた足がドアに思いきり当たってしまったので、その痛みで叫んでいる、ということです。
ですから、ロスもそのことを抗議しているのですね。
ケガをしている部分にさらに衝撃を加える…なんて、まるで吉本新喜劇にありそうなノリですが(笑)、コメディーなのであまり深刻になり過ぎないようにそういう演出がされているのでしょう。(本当にこんなことがあったら、アメリカでは間違いなく訴訟沙汰になると思うのですが…)
医者はカルテのようなものを見ながら、It says here that... と言っています。
これは、「今見ているこれに…と書いてある」という意味ですね。
the knife went right through your shoe は、「ナイフ(包丁)が靴を完全に通り抜けた、貫通した」というニュアンスでしょう。
それに対してのパパの返事がオトボケな感じですね。
wicker は「柳細工、小枝編み」。
LAAD では、
wicker : thin dried tree branches that are woven together to make furniture, BASKETs etc.
つまり、「バスケットなどの家具(備品)を作るために編み合わされた、細く乾燥した木の枝」。
日本語で言うと「籐(とう)」が近いでしょうか。
逆に、研究社 新和英辞典で「籐」を調べると、
籐椅子 a wicker(work) [cane, rattan] chair
籐細工 wickerwork, canework, rattan work
と出ています。
パパは、「そりゃもちろん貫通ですよ、だってその靴は籐製の靴だったんだから」みたいに言っているわけです。
包丁が上から落ちてきたという悲劇にもかかわらず、他のに比べて貫通しやすい素材だから、ものの見事に貫いちゃったねぇ…みたいに言っているのが、おとぼけパパらしいです。
実際、この ER の場面の前に、チャンドラーの靴が一瞬大写しになるのですが、チャンドラーが履いていたのは、確かに、網目の靴、メッシュの靴(mesh shoes)みたいな感じです。
そして、ちらっとですが、どうやら素足にそれを履いているように見えます。
過去記事、フレンズ5-8その4 で説明したように、チャンドラーたちがそのスタイルを真似ている、マイアミ・バイスのクロケット刑事は、「素足にスリップオン」がお約束のスタイルということでした。
今回、もっと硬い丈夫な素材の革靴で、さらには靴下もちゃんと履いていれば、ケガももっと軽く済んだのでは?と思わせるところもあります。
パパは靴がメッシュであることしか言及していませんが、マイアミ・バイスの真似をして靴下を履かず裸足であったことも、足指切断という結果に多少は関係している気がして(上からナイフが落ちてきたら、靴下があろうがなかろうが結果は同じかもしれませんが)、ちょっと興味深いなぁ、と思いました。
マイアミ・バイスの格好を真似ていたことがアダとなった感じですね。
ちなみに、フレンズ2-22 にも、wicker という単語は出てきていました。
ブログの解説では省略してしまったのですが、レイチェルのパパとママの仲が悪くて、これからも二人は同じ場所にはいられないのね、という話から、
レイチェル: She gets the house, he's in some condo my sister's gonna decorate with wicker. (ママは家を手に入れて(今住んでいる家にそのまま住んで)、パパはうちの妹が小枝編み細工で飾り立てることになる、どっかのコンドミニアム[分譲マンション]に住むのよ。)
というセリフでした。
切断した指を、氷の袋に入れて持ってきた、というモニカ。
氷の入ったビニル袋にそれを入れてきたわけですが、on ice の on という前置詞は「接触」を表す前置詞ですから、「氷に”接触”させた状態で、氷で冷やした状態で」ここに持っています、というニュアンスを出している気がします。
ところが、指だと思って持ってきたのが、実はニンジンであったことが判明します。
このお医者さんもなかなか辛辣で、「これは指じゃなくて、ニンジンだ」と言う時に、わざわざ、cold 「(氷で冷えて)冷たい」と形容しているのに笑ってしまいました。
君はニンジンを冷やしてただけなんだよ、みたいな感じですね。
チャンドラーの足に包丁を落とす前、モニカはニンジンも触っていました。
その前にレイチェルと話をしている時も、モニカは細いニンジンをナイフで削っている様子でした。
そのように、台所でニンジンを使うところを映像として見せておいたのは、「指だと思って持ってきたのはニンジンだった」というオチに繋げるための伏線だったようですね。
ママは Oh, my God! と言っていますが、その後、「うちの台所に指がある!」と言っているのが、これまたママらしいです。
大事な指がないなんて!と驚くのが普通ですが、「切れた指がうちの台所に落ちてるなんて、気持ち悪い、不気味」とでも言いたいらしく、そういう自己中発言がママらしいなと思いました。
sew は「縫う、縫い付ける、綴じる」。
sewing machine は「ミシン」、sewing set は「裁縫道具」ですね。
包丁を落とした上に、間違えてニンジンを持ってきてしまったモニカは責任を感じ、急いで取ってくるから、パパのポルシェのキーを貸して、と頼んでいます。
fall for は、「(策略など)にひっかかる、だまされる」。
フレンズ2-20その20 でもその意味で出てきました。
モニカは真剣に必死にお願いしているのですが、「そんな手に乗るか。うまいこと言っても、私のポルシェは貸してやらんぞ」みたいにパパは言っているわけですね。
この緊急事態に、それを利用してポルシェに乗ろうと画策しているかのように勘ぐられてしまった、ということです。
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2010年10月20日
ハートと心臓 フレンズ5-8その5
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は2位です。
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引き続き、1988年の感謝祭の回想シーン。
やせてきれいになったモニカを、男の目でジロジロ見ていたチャンドラー。
レイチェルとモニカは、台所でそのことについて語り合います。
(In the kitchen.)
レイチェル: (entering) Oh-ho, my God! That was so awesome! You totally got him back for calling you fat! He was just drooling all over you. That must've felt so great! ([入ってきて] あーあ、なんてこと! 今のはほんとにすごかったわ! あなたを fat って呼んだことに対して、完全に彼に仕返ししたのよ! 彼はただあなたをよだれをたらしそうな顔で見てたわよ。それってすっごく最高に感じたに違いないわ!)
モニカ: Well, it didn't! (うーん、そうでもなかったのよ。)
レイチェル: What? (何ですって?)
モニカ: Yeah, I mean yeah, I look great. Yeah, I feel great and yeah, my heart's not in trouble anymore! Blah, blah, blah! Y'know I still don't feel like I got him back, y'know? I just want to humiliate him. I wanna, I want him to be like naked, and I wanna point at him and I wanna laugh! (ええ、その、確かに、私は素敵に見えてるわ[素敵なルックスになったわ]。そうよ、気分はいいし、それに、そう、私の心臓はもう危ない状態じゃないわ! その他、いろいろね! (でも)私はまだ彼に仕返ししたって気持ちじゃないのよ。私はただ彼に恥をかかせたいの。私は、私は彼を裸(みたい)にして、彼を指差したいの、そして笑いたいの!)
レイチェル: Okay, that, we may be able to do. (わかったわ、そういうの、私たちにできるかもしれない。)
モニカ: How? (どうやって?)
レイチェル: Well, guys tend to get naked before they're gonna have sex. (そうねぇ、男って、エッチをしようとする前に裸になる傾向があるわ[裸になろうとするわ]。)
モニカ: What? I mean, I didn't work this hard and, and, and lose all this weight just so I could give my flower to someone like him! (何ですって? だって、私は、私のお花を彼みたいな人にあげる[捧げる]ために、こんなに必死にワークアウトして、こんなに体重を落としたんじゃないわ!)
レイチェル: Okay, first of all, if you keep calling it that, no one's gonna ever take it. Then, second of all, you're not gonna actually have sex with him. You're just gonna make him think that you are. (いいわ、まず第一に、もしあなたがそれをそんな風に(お花だと)呼び続けるのなら、誰もそれを取っていかない[奪わない]わよ。それから、二番目に、あなたは実際に彼とエッチするんじゃないの。あなたはただ、あなたがそうするつもりだと彼に思わせるだけなのよ。)
get someone back はここでは「人に仕返しする」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
get somebody back [phrasal verb] : (informal) also get back at somebody
to do something to hurt or embarrass someone who has hurt or embarrassed you
つまり、「自分を傷つけたり自分に恥ずかしい思いをさせた人を、傷つけたり恥ずかしい思いをさせたりするために何かをすること」。
直訳すると却ってわかりにくいですが、つまりは、傷つけられたり、恥ずかしい思いをさせられたりしたので、同じことを相手に返す、という感覚ですね。
drool は「よだれをたらす」「よだれをたらして喜ぶ、よだれをたらしそうなほど欲しがる」。
LAAD では、
drool : to show in a silly way that you like someone or something a lot
over
例) Sarah was drooling over the lead singer through the whole concert.
つまり、「自分が誰か、または何かを非常に好きであることを愚かな方法で見せること」。
例文は、「サラは、そのコンサートの間じゅう、リードシンガーを(よだれをたらしそうなほど、好きで好きでたまらないという感じで)うっとり見ていた。」
in a silly way というのがポイントで、また、前置詞はこのように over と結びつきます。
今回のセリフも、over が使われていましたね。
去年 fat と呼んでバカにしていたのに、今年はジロジロとエッチな視線で見てたから、あなたもさっきはさぞや気分が良かったでしょうね、とレイチェルは言うのですが、モニカはそれを否定しています。
その後、確かに悪い気はしなかった、と、良い面をいくつか述べていますね。
I look great. は、自分のルックス、見かけが良いことを言っていて、I feel great. は良い気分だったと言っています。
my heart's not in trouble anymore! というセリフの後、観客が笑っていますね。
この my heart's... の heart は、(日本語で言うところの)「ハート」「心」ではなく、「心臓」を指していて、そこがジョークのオチになっています。
(DVDの日本語訳でも「心臓」と訳出されていました。)
in trouble はまさに「トラブルの中に」ですから、「トラブルの状態で、窮地に陥って、ピンチで、困難な・危うい状態で」という意味ですね。
その前の feel great のことを言い換えて、「私の心は、もはやピンチな状態ではない」と心の平穏を言っているのではなく、「身体の器官である心臓はもう危うい状態ではない」と言っていることになります。
太りすぎの人が抱えている「心臓に負担がかかる」という問題は、この身体になったお陰で解消されたのよ、と言っているのですね。
「心」のことを言っているのであれば、ここで観客が笑う理由が説明できません。
「見かけ良し、気分良し、そして心臓の調子も良し」という三段オチになっているからこそ、観客が笑うジョークになっている、ということですね。
ちょっと話が脱線しますが、heart には「心」という意味と「心臓」という意味があることで思い出すのが、映画「忘れられない人」(原題:Untamed Heart)でのセリフ。
生まれつき心臓が弱いアダム(クリスチャン・スレーター)に、心臓移植を勧める恋人のキャロライン(マリサ・トメイ)。
死ぬかもしれないと言われても、アダムは心臓移植を拒もうとします。
アダム: I'm afraid if they take away my heart, I won't be able to love you the same. You are my peace. (もし、僕の心臓を取られたら、僕は君を同じように愛せなくなるんじゃないかと思うんだ。君は僕の安らぎなんだ。)
キャロライン: Oh, my God. You love with your mind and your soul, not actually with your heart. It's just a saying. (そんな。あなたは心と魂で愛しているのよ、実際に心臓で愛してるわけじゃないわ。そう(心臓=心、だと)言ってるだけよ。)
アダム: Why does it hurt so much here when you're not with me? (じゃあどうして、君がそばにいない時に、ここがすごく痛むの? [アダムは自分の胸を示す])
気持ちや感情が宿ると言われている heart 「心、心臓」を取られてしまったら、君を今と同じように愛せなくなりそうで怖い、と言っていますね。
それに対してキャロラインは、heart 「心臓」じゃなくて、mind や soul で人を愛しているのであって、heart を「心」だと言うのは、ただの言い回しに過ぎないわ、というように言っています。
心臓を取られても、あなたの心が取られるわけじゃないから、と優しく諭しているのですね。
それに対して、「心が心臓にないって言うんなら、君がそばにいないときに心臓がすごく痛むのはなぜ?」と返すアダムがとても愛おしいです。
heart という単語に2つの意味があることから生まれた名シーンだなと思ったので、紹介させていただきました。(長い脱線、すみません)
Blah, blah, blah! は「などなど、何とかかんとか」みたいに、重要でない部分をはっきりとは言わずに飛ばす時に使われる表現。
それについては、過去記事、ブラブラブラとくだらないことをしゃべる フレンズ3-14その16 で詳しく解説しています。
humiliate は「…に屈辱を与える、恥をかかせる」。
それに、-ing をつけて形容詞化すると、「屈辱的な」という意味になります。
humiliating は、フレンズ2-24その16 に出てきました。
彼を裸にして恥をかかせたいというモニカに、男はエッチの前には裸になるわよ、とレイチェルは言います。
それを聞いたモニカは、I didn't... just so I could 〜 という形を使って、「〜するために…したんじゃない」と言っています。
エッチをする、って言うけど、あんな男とエッチするために、頑張ってやせたんじゃないわ!と怒っているのですね。
レイチェルは、have sex とはっきり言っているのに、モニカはそれを give my flower to someone と表現しています。
このエピソードでは、これより前にも、モニカは flower という言葉を使っていました。
それは昨年の感謝祭の時の会話で、そのやり取りは以下の通り。
レイチェル: Well, you know how my parents are out of town and Chip was going to come over.... (そうねぇ、ほら、私の両親は町を離れてて[留守にしてて]、チップがうちに来ることになってたの…)
モニカ: Yeah, yeah, and you were going to give him y'know, your "flower." (ええ、ええ、それであなたは彼に捧げる[あげる]つもりだったんでしょ、ほら、あなたの「お花」を。)
レイチェル: Okay, Monica, can you just call it sex?! It really creeps me out when you call it that. (いいわ、モニカ、そのことはただ sex って言ってくれる? あなたがそれをそう呼ぶと、本当にぞっとするのよ。)
sex のことを flower を使って表現しないで、といやがっていたレイチェルですが、今年になってもまた、同じようなやり取りをしている、という面白さですね。
レイチェルは、first of all, second of all 「第一に、第二に」を使って、モニカに対して答えています。
まず始めに言いたかったのは、やはり flower のことで(笑)、それを「お花」なんて言っていたら、誰もそれを take しない、つまり、あなたがお花と呼ぶものを取っていかない、ずっと virgin のままよ、と言いたいわけですね。
いつまでもそんな夢見る乙女みたいなことを言ってたら、男が寄ってこないわ、という感じでしょう。
それから、「私はあなたに彼とエッチしろ、って言ってるんじゃなくて、その気があると思わせろ、って言ってるの」と言っています。
actually 「実際には」という副詞が、「”本当に実際に”エッチするってことじゃない」というニュアンスを出していますね。
make him think that you are は、make him think that you are gonna have sex with him が省略された形で、make は使役動詞で、「彼に that 以下だと思わせる」という意味になります。
(Rach からのお詫び)
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やせてきれいになったモニカを、男の目でジロジロ見ていたチャンドラー。
レイチェルとモニカは、台所でそのことについて語り合います。
(In the kitchen.)
レイチェル: (entering) Oh-ho, my God! That was so awesome! You totally got him back for calling you fat! He was just drooling all over you. That must've felt so great! ([入ってきて] あーあ、なんてこと! 今のはほんとにすごかったわ! あなたを fat って呼んだことに対して、完全に彼に仕返ししたのよ! 彼はただあなたをよだれをたらしそうな顔で見てたわよ。それってすっごく最高に感じたに違いないわ!)
モニカ: Well, it didn't! (うーん、そうでもなかったのよ。)
レイチェル: What? (何ですって?)
モニカ: Yeah, I mean yeah, I look great. Yeah, I feel great and yeah, my heart's not in trouble anymore! Blah, blah, blah! Y'know I still don't feel like I got him back, y'know? I just want to humiliate him. I wanna, I want him to be like naked, and I wanna point at him and I wanna laugh! (ええ、その、確かに、私は素敵に見えてるわ[素敵なルックスになったわ]。そうよ、気分はいいし、それに、そう、私の心臓はもう危ない状態じゃないわ! その他、いろいろね! (でも)私はまだ彼に仕返ししたって気持ちじゃないのよ。私はただ彼に恥をかかせたいの。私は、私は彼を裸(みたい)にして、彼を指差したいの、そして笑いたいの!)
レイチェル: Okay, that, we may be able to do. (わかったわ、そういうの、私たちにできるかもしれない。)
モニカ: How? (どうやって?)
レイチェル: Well, guys tend to get naked before they're gonna have sex. (そうねぇ、男って、エッチをしようとする前に裸になる傾向があるわ[裸になろうとするわ]。)
モニカ: What? I mean, I didn't work this hard and, and, and lose all this weight just so I could give my flower to someone like him! (何ですって? だって、私は、私のお花を彼みたいな人にあげる[捧げる]ために、こんなに必死にワークアウトして、こんなに体重を落としたんじゃないわ!)
レイチェル: Okay, first of all, if you keep calling it that, no one's gonna ever take it. Then, second of all, you're not gonna actually have sex with him. You're just gonna make him think that you are. (いいわ、まず第一に、もしあなたがそれをそんな風に(お花だと)呼び続けるのなら、誰もそれを取っていかない[奪わない]わよ。それから、二番目に、あなたは実際に彼とエッチするんじゃないの。あなたはただ、あなたがそうするつもりだと彼に思わせるだけなのよ。)
get someone back はここでは「人に仕返しする」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
get somebody back [phrasal verb] : (informal) also get back at somebody
to do something to hurt or embarrass someone who has hurt or embarrassed you
つまり、「自分を傷つけたり自分に恥ずかしい思いをさせた人を、傷つけたり恥ずかしい思いをさせたりするために何かをすること」。
直訳すると却ってわかりにくいですが、つまりは、傷つけられたり、恥ずかしい思いをさせられたりしたので、同じことを相手に返す、という感覚ですね。
drool は「よだれをたらす」「よだれをたらして喜ぶ、よだれをたらしそうなほど欲しがる」。
LAAD では、
drool : to show in a silly way that you like someone or something a lot
over
例) Sarah was drooling over the lead singer through the whole concert.
つまり、「自分が誰か、または何かを非常に好きであることを愚かな方法で見せること」。
例文は、「サラは、そのコンサートの間じゅう、リードシンガーを(よだれをたらしそうなほど、好きで好きでたまらないという感じで)うっとり見ていた。」
in a silly way というのがポイントで、また、前置詞はこのように over と結びつきます。
今回のセリフも、over が使われていましたね。
去年 fat と呼んでバカにしていたのに、今年はジロジロとエッチな視線で見てたから、あなたもさっきはさぞや気分が良かったでしょうね、とレイチェルは言うのですが、モニカはそれを否定しています。
その後、確かに悪い気はしなかった、と、良い面をいくつか述べていますね。
I look great. は、自分のルックス、見かけが良いことを言っていて、I feel great. は良い気分だったと言っています。
my heart's not in trouble anymore! というセリフの後、観客が笑っていますね。
この my heart's... の heart は、(日本語で言うところの)「ハート」「心」ではなく、「心臓」を指していて、そこがジョークのオチになっています。
(DVDの日本語訳でも「心臓」と訳出されていました。)
in trouble はまさに「トラブルの中に」ですから、「トラブルの状態で、窮地に陥って、ピンチで、困難な・危うい状態で」という意味ですね。
その前の feel great のことを言い換えて、「私の心は、もはやピンチな状態ではない」と心の平穏を言っているのではなく、「身体の器官である心臓はもう危うい状態ではない」と言っていることになります。
太りすぎの人が抱えている「心臓に負担がかかる」という問題は、この身体になったお陰で解消されたのよ、と言っているのですね。
「心」のことを言っているのであれば、ここで観客が笑う理由が説明できません。
「見かけ良し、気分良し、そして心臓の調子も良し」という三段オチになっているからこそ、観客が笑うジョークになっている、ということですね。
ちょっと話が脱線しますが、heart には「心」という意味と「心臓」という意味があることで思い出すのが、映画「忘れられない人」(原題:Untamed Heart)でのセリフ。
生まれつき心臓が弱いアダム(クリスチャン・スレーター)に、心臓移植を勧める恋人のキャロライン(マリサ・トメイ)。
死ぬかもしれないと言われても、アダムは心臓移植を拒もうとします。
アダム: I'm afraid if they take away my heart, I won't be able to love you the same. You are my peace. (もし、僕の心臓を取られたら、僕は君を同じように愛せなくなるんじゃないかと思うんだ。君は僕の安らぎなんだ。)
キャロライン: Oh, my God. You love with your mind and your soul, not actually with your heart. It's just a saying. (そんな。あなたは心と魂で愛しているのよ、実際に心臓で愛してるわけじゃないわ。そう(心臓=心、だと)言ってるだけよ。)
アダム: Why does it hurt so much here when you're not with me? (じゃあどうして、君がそばにいない時に、ここがすごく痛むの? [アダムは自分の胸を示す])
気持ちや感情が宿ると言われている heart 「心、心臓」を取られてしまったら、君を今と同じように愛せなくなりそうで怖い、と言っていますね。
それに対してキャロラインは、heart 「心臓」じゃなくて、mind や soul で人を愛しているのであって、heart を「心」だと言うのは、ただの言い回しに過ぎないわ、というように言っています。
心臓を取られても、あなたの心が取られるわけじゃないから、と優しく諭しているのですね。
それに対して、「心が心臓にないって言うんなら、君がそばにいないときに心臓がすごく痛むのはなぜ?」と返すアダムがとても愛おしいです。
heart という単語に2つの意味があることから生まれた名シーンだなと思ったので、紹介させていただきました。(長い脱線、すみません)
Blah, blah, blah! は「などなど、何とかかんとか」みたいに、重要でない部分をはっきりとは言わずに飛ばす時に使われる表現。
それについては、過去記事、ブラブラブラとくだらないことをしゃべる フレンズ3-14その16 で詳しく解説しています。
humiliate は「…に屈辱を与える、恥をかかせる」。
それに、-ing をつけて形容詞化すると、「屈辱的な」という意味になります。
humiliating は、フレンズ2-24その16 に出てきました。
彼を裸にして恥をかかせたいというモニカに、男はエッチの前には裸になるわよ、とレイチェルは言います。
それを聞いたモニカは、I didn't... just so I could 〜 という形を使って、「〜するために…したんじゃない」と言っています。
エッチをする、って言うけど、あんな男とエッチするために、頑張ってやせたんじゃないわ!と怒っているのですね。
レイチェルは、have sex とはっきり言っているのに、モニカはそれを give my flower to someone と表現しています。
このエピソードでは、これより前にも、モニカは flower という言葉を使っていました。
それは昨年の感謝祭の時の会話で、そのやり取りは以下の通り。
レイチェル: Well, you know how my parents are out of town and Chip was going to come over.... (そうねぇ、ほら、私の両親は町を離れてて[留守にしてて]、チップがうちに来ることになってたの…)
モニカ: Yeah, yeah, and you were going to give him y'know, your "flower." (ええ、ええ、それであなたは彼に捧げる[あげる]つもりだったんでしょ、ほら、あなたの「お花」を。)
レイチェル: Okay, Monica, can you just call it sex?! It really creeps me out when you call it that. (いいわ、モニカ、そのことはただ sex って言ってくれる? あなたがそれをそう呼ぶと、本当にぞっとするのよ。)
sex のことを flower を使って表現しないで、といやがっていたレイチェルですが、今年になってもまた、同じようなやり取りをしている、という面白さですね。
レイチェルは、first of all, second of all 「第一に、第二に」を使って、モニカに対して答えています。
まず始めに言いたかったのは、やはり flower のことで(笑)、それを「お花」なんて言っていたら、誰もそれを take しない、つまり、あなたがお花と呼ぶものを取っていかない、ずっと virgin のままよ、と言いたいわけですね。
いつまでもそんな夢見る乙女みたいなことを言ってたら、男が寄ってこないわ、という感じでしょう。
それから、「私はあなたに彼とエッチしろ、って言ってるんじゃなくて、その気があると思わせろ、って言ってるの」と言っています。
actually 「実際には」という副詞が、「”本当に実際に”エッチするってことじゃない」というニュアンスを出していますね。
make him think that you are は、make him think that you are gonna have sex with him が省略された形で、make は使役動詞で、「彼に that 以下だと思わせる」という意味になります。
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2010年10月18日
マイアミ・バイスの真似 フレンズ5-8その4
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チャンドラーに Ross' fat sister と言われ、モニカがショックを受けた時から1年後の、1988年の感謝祭。
この時にはもう、レイチェルは高すぎた鼻を整形しています。
すでにモニカの家に来ていたレイチェルは、ドアベルが鳴ったのでそれに応対します。
(She opens the door to reveal Chandler and Ross. Unfortunately, they seem to have their holidays mixed up. They think it's Halloween and they're going as Crockett and Tubbs from that legendary TV show of the late 80's, Miami Vice. God, we looked silly back then!)
レイチェルがドアを開けると、チャンドラーとロスの姿が見える。残念ながら、彼らはホリデーをごっちゃにしているようだ。彼らはハロウィーンだと思っていて、80年代後半のあの伝説的なテレビ番組「マイアミ・バイス」の(登場人物の)クロケットとタブスの扮装をしている。あぁ、全く、その当時の俺たちはまぬけに見えてたね!)
レイチェル: Hey! (はーい!)
ロス: Hey. (To his parents) Happy Thanksgiving! (やあ。[両親に] 感謝祭おめでとう!)
ゲラーパパ: (To Chandler) God, your hair sure is different. ([チャンドラーに] おぉ、君の髪の毛[髪型]は確かに[明らかに]違ってるね。)
チャンドラー: Yeah, we were just talking about that. I can't believe how stupid we used to look. (They both quickly push their sleeves over their elbows.) (そうですね、俺たちちょうど、そのことについて話をしていたところなんです。以前の姿がどんなに愚かだったか信じられないですよ。[ロスとチャンドラーは二人とも服の袖を肘のところまでまくりあげる])
ロス: So uh, where's Monica? (それで、あの、モニカはどこ?)
ゲラーママ: She's upstairs. Monica! Come down! Everyone's here! Ross, Rachel, and the boy who hates Thanksgiving. (モニカは2階よ。モニカ! 降りてらっしゃい! みんな来てるわよ! ロスに、レイチェルに、それから感謝祭嫌いの例の少年も。)
(Monica enters, but she forgot something. Oh, about 150 pounds. In other words, she lost weight, big time!)
モニカが部屋に入ってくる、が、彼女は何かを忘れてきた。おぉ、(忘れてきたのは)約150ポンド(約68kg)。言い換えると、モニカは減量したんだ、ものすごく!
モニカ: Hi, Chandler. (はーい、チャンドラー。)
チャンドラー: Oh, my God! (おぉ、なんてこった!)
モニカ: What, what's the matter? Is there, is there something on my dress? (She turns around making sure he gets a good look.) (何、どうしたの? 私のドレスに何かついてる? [モニカは、チャンドラーが確実によく見えるように、くるりと一周する]
チャンドラー: You just, you look so different! Terrific! That dress, that body.... (君は、君はすっごく違って見えるね! 素晴らしいよ! そのドレス、その身体[バディ]…)
ロス: Dude! (おい!)
チャンドラー: Sorry! (ごめん!)
ト書きの reveal は「(隠されていたものを)見せる、示す、あらわにする、さらけ出す」という意味。
「(秘密などを)明かす、暴露する」という意味もあり、reveal one's identity なら「正体・身元を明かす」になります。
ここでは、「チャンドラーとロスの姿を(観客・視聴者に)見せる」という感覚ですね。
She opens the door to reveal... の to reveal は「結果」を表す to 不定詞。
このように文の終わりにつくと、「…するために」という「目的」の意味で訳したくなる日本人が多いような気がしますが、レイチェルはロスたちがそこにいること、そして、見たらびっくりするような格好をしていることなど当然知りませんから、「彼らの姿を見せるために」ドアを開けたわけではありません。
ですから、ドアを開けた結果、彼らの姿が視聴者などに見える結果となった、という意味のト書きになります。
今回のエピソードは、いつもに比べて、ト書きに熱が入っています(笑)。「フレンズファンによる英語でのツッコミ」を見ているようで微笑ましくもあり、また当然、この部分も勉強になりますので、引き続き、ト書きにも注目してみます。
ト書きには、「残念ながら彼らはホリデーをごっちゃにしてるみたい。ハロウィーンだと思って、…の扮装をしている」と書いてあります。
今日は感謝祭なのに、彼らの服装がある人たちの真似をした仮装のように見えるので、「今日は(みんなが仮装する)ハロウィーンじゃないってわかってる?」みたいに言っている感じです。
ロスは真っ青なスーツの下に黄色のシャツ、チャンドラーは白いスーツの下にピンクのシャツを着ていて、顔にはうっすらと無精ひげ、そして袖をまくっています。
何の真似をしているかは、ト書きで詳しく説明して下さっているので、非常に助かりますね。(ありがとうございます!)
Miami Vice は80年後半のアメリカ刑事ドラマで、日本でも「特捜刑事マイアミ・バイス」のタイトルで放映されていましたね。
詳しくはこちら。
Wikipedia 日本語版: 特捜刑事マイアミ・バイス
日本でも有名なので、私もタイトルは知っているのですが、未だに見たことはありません。
「例えそれがよく知らない作品であっても、ネットなどの情報を検索することで、どこまで知ることができるか?」に挑戦するのも、私のブログの存在意義の一つだと思っていますので、今回もそのスタンスで進めます。
クロケットとタブスというのは、主人公の名前ですね。
上のウィキペディアにもあるように、「ヴェルサーチやアルマーニのスーツを着てフェラーリを乗り回し」という部分もウリだったようで、ロスたちは今回、そのスーツのイメージを真似しているようです。
Wikipedia 英語版: Miami Vice の Fashion という項目にも、the "T-shirt under Armani jacket"-style 「アルマーニのジャケットの下にTシャツ、というスタイル」や、stubble 「無精ひげ」のことが書いてあります。
Fashion の最後の部分では、以下のようにまとめてあります。
Many of the styles popularized by the TV show, such as the t-shirt under pastel suits, no socks, rolled up sleeves, and Ray-Ban sunglasses, have today become the standard image of 1980s culture.
訳しますと、「その(マイアミ・バイスという)テレビ番組によって日常化された多くのスタイル、例えば、パステルスーツの下のTシャツ、靴下をはかない、まくり上げた袖、レイバンのサングラスなどは今日(こんにち)、1980年代のカルチャーの標準的なイメージとなった。」
つまり、「アメリカの80年代のスタイルといえばマイアミ・バイス」という感じなのでしょう。
日本で言うと、「ワンレン、ボディコン」というスタイルを説明する時に、バブルの頃のジュリアナ東京から説明しないといけない、みたいな感じと似ているでしょうか。
no socks については、日本語版ウィキペディアのクロケット刑事の説明の中でも、「靴(パチョッティのスリップオン)は素足でというのがお約束」と書いてあります。
「靴は素足で」って石田純一さんみたいですが(笑)、石田純一さんのウィキペディアには(えぇ、こちらも調べました…笑)、「素足に革靴を意識し始めたのは、以前ミラノで、スリッポンに素足のファッションが流行した事に遡る。」とありますので、石田さんは別にマイアミ・バイスの真似をしているわけではなく(笑)、クロケット刑事と同様、slip-on (shoes) (簡単にはける靴)の流行のファッションから入った、ということのようです。
実はこの「素足で靴をはく」という部分は、後の出来事の伏線になっている気がします。
また、その場面を解説する時に、その件について触れたいと思っています。
God, we looked silly back then! というト書きは、「俺たちって、80年代のあの当時、(今のこの二人みたいに)愚かに見えてたんだね!」みたいな感じでしょうか。
当時の流行をみんながこぞって真似していたはずですが、今から見るとちょっと、こっ恥(ぱ)ずかしい…当時の俺たちって、こんな姿に見えてたんだね、と改めて気付いた気持ちがト書きに出ている気がします。
去年は、フロック・オブ・シーガルズを真似していたのに、今年はマイアミ・バイスになっているので、ロスのパパは「(去年とは)髪型が違うね」と言っています。
それに対してチャンドラーは、「俺たちも今、そのことで話をしていたんです。俺たちの去年のあの格好はバカみたいだったよなぁ、って話をね。」みたいに答えます。
チャンドラーは、「去年に比べると今年はすっごいイケてる」と思っていることがわかりますね(笑)。
このト書きにも、袖をまくりあげる仕草が描写されています。
ウィキペディアでの、Impact on popular culture には、今回のフレンズのエピソードのことが以下のように書いてあります。
Flashback scenes from the 1980s in this episode shows the characters Ross and Chandler in pastel colored suits with rolled up sleeves like that of Sonny Crockett.
「この(フレンズの感謝祭の)エピソードでは、1980年代の回想シーンで、ソニー・クロケットのように、袖をまくり上げたパステルカラーのスーツを着ているロスとチャンドラーのキャラクターを見せている。」
腕をまくりあげる仕草をわざとらしく見せているところからも、この部分もマイアミ・バイスの真似をしているだろうことはわかりますね。(もっと後のシーンでも、チャンドラーはまだこの仕草をやっていましたし…笑)
ネットスクリプトのト書きでは、クロケットとタブスという二人の真似をしているように書いてありましたが、上のウィキペディアの説明を読むと、二人ともドン・ジョンソン演じるソニー・クロケットの方を真似しているのかな、という気もします。
ママは2階にいるモニカを呼びます。
ママもモニカも当然、チャンドラーという名前を知っているのにもかからわず、チャンドラーという名前ではなく、わざわざ、「感謝祭を嫌っている・憎んでいる例の少年」と言っているのが、ママらしいイヤミですね。
「感謝祭の料理が食べられないのに、また今年も来たの?!」という気持ちが込められているのでしょう。
ものすごく減量して、スリムで美しくなったモニカが登場します。
ト書きの 150 pounds は、約68キログラム。
ちなみに、Google のボックスに 150ポンド と入力すると、
「150ポンド = 68.0388555 キログラム」
と表示してくれます。(この「Google 電卓機能」は便利ですよね。)
以前、モニカを fat と表現していたチャンドラーはびっくり。
モニカは、「あら、どうかした? 何か服についてる?」とわざと平静を装って、身体をくるっと一回転させます。
チャンドラーはまだ驚いていて、「全然(昔と)違ってる! すごい!」と褒めて、that dress, that body.... と言っていますね。
そのドレス、は褒め言葉としていいとして、that body はまさに「そのカラダ、そのバディ」みたいなことですから、かなり直接的な表現です。
dude は「男、やつ、野郎」という意味ですが、今回のように、若い男性に対しての呼び掛け語としても使われますね。
「お前、あんた」みたいな感じですが、「おい、お前」、もしくは「おい」くらいに訳すのが無難な感じでしょう。
あまりにスリムな身体になったモニカのことを、「そんなにナイスバディになって」みたいにダイレクトに言ったので、兄のロスは「そんなに露骨に言うなよ」とたしなめているわけです。
この少し後のシーンでも、キッチンに向かおうとするモニカの後ろ姿を、チャンドラーがじーっと見つめていた時、
ゲラーパパ: Dude! (おい!)
チャンドラー: Sorry. (ごめん。)
という全く同じやり取りが出てきます。
兄や父という身内なら「おい!」と言いたくなるように、body という言葉や、その視線は露骨過ぎる、ということですね。
(Rach からのお詫び)
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チャンドラーに Ross' fat sister と言われ、モニカがショックを受けた時から1年後の、1988年の感謝祭。
この時にはもう、レイチェルは高すぎた鼻を整形しています。
すでにモニカの家に来ていたレイチェルは、ドアベルが鳴ったのでそれに応対します。
(She opens the door to reveal Chandler and Ross. Unfortunately, they seem to have their holidays mixed up. They think it's Halloween and they're going as Crockett and Tubbs from that legendary TV show of the late 80's, Miami Vice. God, we looked silly back then!)
レイチェルがドアを開けると、チャンドラーとロスの姿が見える。残念ながら、彼らはホリデーをごっちゃにしているようだ。彼らはハロウィーンだと思っていて、80年代後半のあの伝説的なテレビ番組「マイアミ・バイス」の(登場人物の)クロケットとタブスの扮装をしている。あぁ、全く、その当時の俺たちはまぬけに見えてたね!)
レイチェル: Hey! (はーい!)
ロス: Hey. (To his parents) Happy Thanksgiving! (やあ。[両親に] 感謝祭おめでとう!)
ゲラーパパ: (To Chandler) God, your hair sure is different. ([チャンドラーに] おぉ、君の髪の毛[髪型]は確かに[明らかに]違ってるね。)
チャンドラー: Yeah, we were just talking about that. I can't believe how stupid we used to look. (They both quickly push their sleeves over their elbows.) (そうですね、俺たちちょうど、そのことについて話をしていたところなんです。以前の姿がどんなに愚かだったか信じられないですよ。[ロスとチャンドラーは二人とも服の袖を肘のところまでまくりあげる])
ロス: So uh, where's Monica? (それで、あの、モニカはどこ?)
ゲラーママ: She's upstairs. Monica! Come down! Everyone's here! Ross, Rachel, and the boy who hates Thanksgiving. (モニカは2階よ。モニカ! 降りてらっしゃい! みんな来てるわよ! ロスに、レイチェルに、それから感謝祭嫌いの例の少年も。)
(Monica enters, but she forgot something. Oh, about 150 pounds. In other words, she lost weight, big time!)
モニカが部屋に入ってくる、が、彼女は何かを忘れてきた。おぉ、(忘れてきたのは)約150ポンド(約68kg)。言い換えると、モニカは減量したんだ、ものすごく!
モニカ: Hi, Chandler. (はーい、チャンドラー。)
チャンドラー: Oh, my God! (おぉ、なんてこった!)
モニカ: What, what's the matter? Is there, is there something on my dress? (She turns around making sure he gets a good look.) (何、どうしたの? 私のドレスに何かついてる? [モニカは、チャンドラーが確実によく見えるように、くるりと一周する]
チャンドラー: You just, you look so different! Terrific! That dress, that body.... (君は、君はすっごく違って見えるね! 素晴らしいよ! そのドレス、その身体[バディ]…)
ロス: Dude! (おい!)
チャンドラー: Sorry! (ごめん!)
ト書きの reveal は「(隠されていたものを)見せる、示す、あらわにする、さらけ出す」という意味。
「(秘密などを)明かす、暴露する」という意味もあり、reveal one's identity なら「正体・身元を明かす」になります。
ここでは、「チャンドラーとロスの姿を(観客・視聴者に)見せる」という感覚ですね。
She opens the door to reveal... の to reveal は「結果」を表す to 不定詞。
このように文の終わりにつくと、「…するために」という「目的」の意味で訳したくなる日本人が多いような気がしますが、レイチェルはロスたちがそこにいること、そして、見たらびっくりするような格好をしていることなど当然知りませんから、「彼らの姿を見せるために」ドアを開けたわけではありません。
ですから、ドアを開けた結果、彼らの姿が視聴者などに見える結果となった、という意味のト書きになります。
今回のエピソードは、いつもに比べて、ト書きに熱が入っています(笑)。「フレンズファンによる英語でのツッコミ」を見ているようで微笑ましくもあり、また当然、この部分も勉強になりますので、引き続き、ト書きにも注目してみます。
ト書きには、「残念ながら彼らはホリデーをごっちゃにしてるみたい。ハロウィーンだと思って、…の扮装をしている」と書いてあります。
今日は感謝祭なのに、彼らの服装がある人たちの真似をした仮装のように見えるので、「今日は(みんなが仮装する)ハロウィーンじゃないってわかってる?」みたいに言っている感じです。
ロスは真っ青なスーツの下に黄色のシャツ、チャンドラーは白いスーツの下にピンクのシャツを着ていて、顔にはうっすらと無精ひげ、そして袖をまくっています。
何の真似をしているかは、ト書きで詳しく説明して下さっているので、非常に助かりますね。(ありがとうございます!)
Miami Vice は80年後半のアメリカ刑事ドラマで、日本でも「特捜刑事マイアミ・バイス」のタイトルで放映されていましたね。
詳しくはこちら。
Wikipedia 日本語版: 特捜刑事マイアミ・バイス
日本でも有名なので、私もタイトルは知っているのですが、未だに見たことはありません。
「例えそれがよく知らない作品であっても、ネットなどの情報を検索することで、どこまで知ることができるか?」に挑戦するのも、私のブログの存在意義の一つだと思っていますので、今回もそのスタンスで進めます。
クロケットとタブスというのは、主人公の名前ですね。
上のウィキペディアにもあるように、「ヴェルサーチやアルマーニのスーツを着てフェラーリを乗り回し」という部分もウリだったようで、ロスたちは今回、そのスーツのイメージを真似しているようです。
Wikipedia 英語版: Miami Vice の Fashion という項目にも、the "T-shirt under Armani jacket"-style 「アルマーニのジャケットの下にTシャツ、というスタイル」や、stubble 「無精ひげ」のことが書いてあります。
Fashion の最後の部分では、以下のようにまとめてあります。
Many of the styles popularized by the TV show, such as the t-shirt under pastel suits, no socks, rolled up sleeves, and Ray-Ban sunglasses, have today become the standard image of 1980s culture.
訳しますと、「その(マイアミ・バイスという)テレビ番組によって日常化された多くのスタイル、例えば、パステルスーツの下のTシャツ、靴下をはかない、まくり上げた袖、レイバンのサングラスなどは今日(こんにち)、1980年代のカルチャーの標準的なイメージとなった。」
つまり、「アメリカの80年代のスタイルといえばマイアミ・バイス」という感じなのでしょう。
日本で言うと、「ワンレン、ボディコン」というスタイルを説明する時に、バブルの頃のジュリアナ東京から説明しないといけない、みたいな感じと似ているでしょうか。
no socks については、日本語版ウィキペディアのクロケット刑事の説明の中でも、「靴(パチョッティのスリップオン)は素足でというのがお約束」と書いてあります。
「靴は素足で」って石田純一さんみたいですが(笑)、石田純一さんのウィキペディアには(えぇ、こちらも調べました…笑)、「素足に革靴を意識し始めたのは、以前ミラノで、スリッポンに素足のファッションが流行した事に遡る。」とありますので、石田さんは別にマイアミ・バイスの真似をしているわけではなく(笑)、クロケット刑事と同様、slip-on (shoes) (簡単にはける靴)の流行のファッションから入った、ということのようです。
実はこの「素足で靴をはく」という部分は、後の出来事の伏線になっている気がします。
また、その場面を解説する時に、その件について触れたいと思っています。
God, we looked silly back then! というト書きは、「俺たちって、80年代のあの当時、(今のこの二人みたいに)愚かに見えてたんだね!」みたいな感じでしょうか。
当時の流行をみんながこぞって真似していたはずですが、今から見るとちょっと、こっ恥(ぱ)ずかしい…当時の俺たちって、こんな姿に見えてたんだね、と改めて気付いた気持ちがト書きに出ている気がします。
去年は、フロック・オブ・シーガルズを真似していたのに、今年はマイアミ・バイスになっているので、ロスのパパは「(去年とは)髪型が違うね」と言っています。
それに対してチャンドラーは、「俺たちも今、そのことで話をしていたんです。俺たちの去年のあの格好はバカみたいだったよなぁ、って話をね。」みたいに答えます。
チャンドラーは、「去年に比べると今年はすっごいイケてる」と思っていることがわかりますね(笑)。
このト書きにも、袖をまくりあげる仕草が描写されています。
ウィキペディアでの、Impact on popular culture には、今回のフレンズのエピソードのことが以下のように書いてあります。
Flashback scenes from the 1980s in this episode shows the characters Ross and Chandler in pastel colored suits with rolled up sleeves like that of Sonny Crockett.
「この(フレンズの感謝祭の)エピソードでは、1980年代の回想シーンで、ソニー・クロケットのように、袖をまくり上げたパステルカラーのスーツを着ているロスとチャンドラーのキャラクターを見せている。」
腕をまくりあげる仕草をわざとらしく見せているところからも、この部分もマイアミ・バイスの真似をしているだろうことはわかりますね。(もっと後のシーンでも、チャンドラーはまだこの仕草をやっていましたし…笑)
ネットスクリプトのト書きでは、クロケットとタブスという二人の真似をしているように書いてありましたが、上のウィキペディアの説明を読むと、二人ともドン・ジョンソン演じるソニー・クロケットの方を真似しているのかな、という気もします。
ママは2階にいるモニカを呼びます。
ママもモニカも当然、チャンドラーという名前を知っているのにもかからわず、チャンドラーという名前ではなく、わざわざ、「感謝祭を嫌っている・憎んでいる例の少年」と言っているのが、ママらしいイヤミですね。
「感謝祭の料理が食べられないのに、また今年も来たの?!」という気持ちが込められているのでしょう。
ものすごく減量して、スリムで美しくなったモニカが登場します。
ト書きの 150 pounds は、約68キログラム。
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以前、モニカを fat と表現していたチャンドラーはびっくり。
モニカは、「あら、どうかした? 何か服についてる?」とわざと平静を装って、身体をくるっと一回転させます。
チャンドラーはまだ驚いていて、「全然(昔と)違ってる! すごい!」と褒めて、that dress, that body.... と言っていますね。
そのドレス、は褒め言葉としていいとして、that body はまさに「そのカラダ、そのバディ」みたいなことですから、かなり直接的な表現です。
dude は「男、やつ、野郎」という意味ですが、今回のように、若い男性に対しての呼び掛け語としても使われますね。
「お前、あんた」みたいな感じですが、「おい、お前」、もしくは「おい」くらいに訳すのが無難な感じでしょう。
あまりにスリムな身体になったモニカのことを、「そんなにナイスバディになって」みたいにダイレクトに言ったので、兄のロスは「そんなに露骨に言うなよ」とたしなめているわけです。
この少し後のシーンでも、キッチンに向かおうとするモニカの後ろ姿を、チャンドラーがじーっと見つめていた時、
ゲラーパパ: Dude! (おい!)
チャンドラー: Sorry. (ごめん。)
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2010年10月15日
冷蔵庫にはもう空きがない フレンズ5-8その3
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1987年の感謝祭の回想シーンの続きです。
キッチンで話をしているロスとチャンドラー。
ロスはチャンドラーに、自分はレイチェルを誘うつもりで、もしかしたら今夜は家に帰らないかも…などと言っています。
チャンドラー: Dude, don't do that to me! (おいおい、俺にそんなこと[そんな仕打ち]をしないでくれよ。)
(Monica enters behind them.)
ロスとチャンドラーの後ろにモニカが入ってくる。
ロス: All right, it's cool, you can stay here. My parents won't mind. (大丈夫だよ、問題ないさ。チャンドラーはここに泊まればいい。僕の両親もそれで構わないって思うさ。)
(Monica suddenly gets very happy.)
モニカは急に、とてもハッピーになる。
チャンドラー: No, it's not that. I just don't want to be stuck here all night with your fat sister. (いや、そういうことじゃないんだ。俺はただ、一晩中ずっとここにとどまっていたくない、ってだけなんだ、お前の太った妹と一緒にね。)
ロス: Hey! (おい!)
(Upon hearing this, Monica starts to break down and storms out. Only to be stopped by her parents.)
これを聞いて、モニカはがっくりして、荒々しく部屋を飛び出す。が、(結局は)両親に止められることになる。
ゲラーママ: (holding two pies) Monica, why don't you finish off these pies? I don't have any more room left in the fridge. ([2つのパイを持ちながら] モニカ、このパイ、食べちゃってくれる? 冷蔵庫にはもうこれ以上の空きがないのよ。)
モニカ: No. No, thank you! (いいえ、いいえ、結構よ[いらないわ]!)
ゲラーパパ: Well Judy, you did it. She's finally full! (ほう、ジュディ、やったぞ。モニカがついに満腹になった!)
ロスとチャンドラーがキッチンで話をしている時に、ちょうどモニカが入ってきて、二人の会話を後ろから聞くことになります。
僕が家に帰ってこなくても、チャンドラーはここで泊まればいいさ、とロスは言っています。
won't mind の mind は「気にする、いやがる、迷惑がる」。
"Would you mind if I open the window?" "No, not at all." 「窓を開けても構いませんか?」「構いません(どうぞ)」のように使われる mind ですね。
チャンドラーが泊まることをうちの親はいやがったりしないから、ここに泊まっていけばいいさ、と言っているわけです。
チャンドラーに憧れの気持ちを持っているモニカは、それを聞いて嬉しそうな顔をするのですが、その直後、チャンドラーがショッキングなセリフを言います。
be stuck は、今回のエピソードの フレンズ5-8その1 で、ターキーが頭から取れないジョーイのセリフに出てきたように、「動けない、動きが取れない」という意味ですね。
日本語でも、ある場所から離れられない時に、「ここにしばらく張り付いてないといけないんだ」などと言ったりしますが、それと似た感覚だと思います。
また、be stuck with だと「(いやなもの・やっかいなもの)を押し付けられる」という意味にもなります。
このセリフも、「一晩中、お前の太った妹と一緒にここにいて身動きが取れない、ここを離れられない」という解釈もできますし、「ここで一晩中、お前の太った妹を押し付けられる」という解釈も可能かもしれません。
ただ、「いやなものを押し付けられる」ことを強調したいのであれば、be stuck with your fat sister のように、stuck と with を繋げる形(離さない形)にするかもしれません。
今回のセリフは、「ここに一晩中ずっといないといけないのがいやなんだ」と言っているように聞こえながら、最後に with your fat sister 「お前の太った妹と一緒にね」がくっついていることで、いやな理由は、一緒にいるのがあの太った妹だからだ、と言っていることがわかる仕組みです。
英語の語順のまま日本語に訳すと、上に書いた訳のように強調のための倒置のように聞こえてしまいますが、英語はこの語順が自然なので特にわざとらしい感じには聞こえませんね。
チャンドラーは、ここに泊まるのがいやなのは、お前の太った妹と二人きりにされるのがいやだからなんだ、と言っていて、ロスが外出しているとなれば、モニカはあれやこれやと俺に話しかけてくるだろう、一晩中、あの子の相手をするのがいやなんだ、と言っているわけです。
そのセリフを聞いて、ロスは抗議するように、Hey! とキツい調子で言い、後ろでそれを聞いていたモニカも、大ショックを受け、部屋を飛び出して行きます。
それだけ、fat という言葉はキツい、ということですね。
日本語で言うと「デブ」に近い感じでしょう。
ト書きの only to... は「結果」を表し、「結局ただ…する結果になる、…するだけのことになる」。
ショックを受けて部屋を勢い良く飛び出したものの、そこにいた両親に止められるという結果になってしまった、という感覚です。
finish off は「終える、片付ける、済ます」という意味で、食べ物の場合は「すっかり平らげる」という意味になります。
ママは、この残ったパイを平らげちゃってくれないかしら?と言っているのですね。
don't have any more room left in... は「…にはこれ以上の余地・スペースが残っていない」。
冷蔵庫はいっぱいで、パイを入れる場所がもう全然ないのよ、と言っていることになります。
DVDの英語字幕では、I don't have any more room in the fridge. となっていて、それでも「冷蔵庫にはもう(空きの)スペースがない」という意味になりますが、実際のセリフのように、left がついた形の方が、より英語っぽい感じがします。
left がつくことで、「スペースがない」というよりも、「”残った”スペースがない、スペースが”残って”いない」というニュアンスが出るのですね。
そのような left のニュアンスについては、フレンズ3-16その7 でも解説しています。
このパイ、食べちゃってくれる?と言われたモニカは、(恐らく)いつものようにそれを食べようとして、皿を持ちますが、先ほどチャンドラーに、fat と言われたことを思い出し、パイを食べるのを拒み、皿を付き返して走り去ります。
それを見たゲラーパパのセリフが面白いですね。
You did it! は、何かすごいことを成し遂げた相手に、「よくやった!」と言う時のセリフ。
full は「いっぱいの、いっぱいになる」で、この場合は、「満腹の、満腹で」という意味。
日本語でも、「もうお腹がいっぱい」と言いますので、その感覚は同じですね。
モニカのように太っている人は、いつもお腹をすかしていて、常に何かを食べている、というイメージがあります。
フレンズ2-14 のプロムのビデオのエピソードでも、その姿が映るたびに何かを食べているような感じでした。
小学生に人気の「ピラメキーノ」という番組の「だるだるイングリッシュ」に出てくるダルさん(ボストン出身、23歳…笑)という巨体の男性も、いつもアイスクリームやら、生クリームのどっさりついたドーナツやらを手放しませんし、NARUTO のぽっちゃり忍者、秋道チョウジくんも、いつも片手にスナック菓子を持っていたりしますから、「太っている人は大食漢でいつもお腹をすかせている」というのは、どこの国にも共通するイメージのようです。
いつもなら絶対に断らないのに、「いらない」と言ったモニカを見て、「モニカがとうとう満腹感を覚えてこれ以上いらない、って言ったぞ。ママ、すごいぞ、でかしたぞ、ついにやったな!」と喜んでいるわけですね。
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キッチンで話をしているロスとチャンドラー。
ロスはチャンドラーに、自分はレイチェルを誘うつもりで、もしかしたら今夜は家に帰らないかも…などと言っています。
チャンドラー: Dude, don't do that to me! (おいおい、俺にそんなこと[そんな仕打ち]をしないでくれよ。)
(Monica enters behind them.)
ロスとチャンドラーの後ろにモニカが入ってくる。
ロス: All right, it's cool, you can stay here. My parents won't mind. (大丈夫だよ、問題ないさ。チャンドラーはここに泊まればいい。僕の両親もそれで構わないって思うさ。)
(Monica suddenly gets very happy.)
モニカは急に、とてもハッピーになる。
チャンドラー: No, it's not that. I just don't want to be stuck here all night with your fat sister. (いや、そういうことじゃないんだ。俺はただ、一晩中ずっとここにとどまっていたくない、ってだけなんだ、お前の太った妹と一緒にね。)
ロス: Hey! (おい!)
(Upon hearing this, Monica starts to break down and storms out. Only to be stopped by her parents.)
これを聞いて、モニカはがっくりして、荒々しく部屋を飛び出す。が、(結局は)両親に止められることになる。
ゲラーママ: (holding two pies) Monica, why don't you finish off these pies? I don't have any more room left in the fridge. ([2つのパイを持ちながら] モニカ、このパイ、食べちゃってくれる? 冷蔵庫にはもうこれ以上の空きがないのよ。)
モニカ: No. No, thank you! (いいえ、いいえ、結構よ[いらないわ]!)
ゲラーパパ: Well Judy, you did it. She's finally full! (ほう、ジュディ、やったぞ。モニカがついに満腹になった!)
ロスとチャンドラーがキッチンで話をしている時に、ちょうどモニカが入ってきて、二人の会話を後ろから聞くことになります。
僕が家に帰ってこなくても、チャンドラーはここで泊まればいいさ、とロスは言っています。
won't mind の mind は「気にする、いやがる、迷惑がる」。
"Would you mind if I open the window?" "No, not at all." 「窓を開けても構いませんか?」「構いません(どうぞ)」のように使われる mind ですね。
チャンドラーが泊まることをうちの親はいやがったりしないから、ここに泊まっていけばいいさ、と言っているわけです。
チャンドラーに憧れの気持ちを持っているモニカは、それを聞いて嬉しそうな顔をするのですが、その直後、チャンドラーがショッキングなセリフを言います。
be stuck は、今回のエピソードの フレンズ5-8その1 で、ターキーが頭から取れないジョーイのセリフに出てきたように、「動けない、動きが取れない」という意味ですね。
日本語でも、ある場所から離れられない時に、「ここにしばらく張り付いてないといけないんだ」などと言ったりしますが、それと似た感覚だと思います。
また、be stuck with だと「(いやなもの・やっかいなもの)を押し付けられる」という意味にもなります。
このセリフも、「一晩中、お前の太った妹と一緒にここにいて身動きが取れない、ここを離れられない」という解釈もできますし、「ここで一晩中、お前の太った妹を押し付けられる」という解釈も可能かもしれません。
ただ、「いやなものを押し付けられる」ことを強調したいのであれば、be stuck with your fat sister のように、stuck と with を繋げる形(離さない形)にするかもしれません。
今回のセリフは、「ここに一晩中ずっといないといけないのがいやなんだ」と言っているように聞こえながら、最後に with your fat sister 「お前の太った妹と一緒にね」がくっついていることで、いやな理由は、一緒にいるのがあの太った妹だからだ、と言っていることがわかる仕組みです。
英語の語順のまま日本語に訳すと、上に書いた訳のように強調のための倒置のように聞こえてしまいますが、英語はこの語順が自然なので特にわざとらしい感じには聞こえませんね。
チャンドラーは、ここに泊まるのがいやなのは、お前の太った妹と二人きりにされるのがいやだからなんだ、と言っていて、ロスが外出しているとなれば、モニカはあれやこれやと俺に話しかけてくるだろう、一晩中、あの子の相手をするのがいやなんだ、と言っているわけです。
そのセリフを聞いて、ロスは抗議するように、Hey! とキツい調子で言い、後ろでそれを聞いていたモニカも、大ショックを受け、部屋を飛び出して行きます。
それだけ、fat という言葉はキツい、ということですね。
日本語で言うと「デブ」に近い感じでしょう。
ト書きの only to... は「結果」を表し、「結局ただ…する結果になる、…するだけのことになる」。
ショックを受けて部屋を勢い良く飛び出したものの、そこにいた両親に止められるという結果になってしまった、という感覚です。
finish off は「終える、片付ける、済ます」という意味で、食べ物の場合は「すっかり平らげる」という意味になります。
ママは、この残ったパイを平らげちゃってくれないかしら?と言っているのですね。
don't have any more room left in... は「…にはこれ以上の余地・スペースが残っていない」。
冷蔵庫はいっぱいで、パイを入れる場所がもう全然ないのよ、と言っていることになります。
DVDの英語字幕では、I don't have any more room in the fridge. となっていて、それでも「冷蔵庫にはもう(空きの)スペースがない」という意味になりますが、実際のセリフのように、left がついた形の方が、より英語っぽい感じがします。
left がつくことで、「スペースがない」というよりも、「”残った”スペースがない、スペースが”残って”いない」というニュアンスが出るのですね。
そのような left のニュアンスについては、フレンズ3-16その7 でも解説しています。
このパイ、食べちゃってくれる?と言われたモニカは、(恐らく)いつものようにそれを食べようとして、皿を持ちますが、先ほどチャンドラーに、fat と言われたことを思い出し、パイを食べるのを拒み、皿を付き返して走り去ります。
それを見たゲラーパパのセリフが面白いですね。
You did it! は、何かすごいことを成し遂げた相手に、「よくやった!」と言う時のセリフ。
full は「いっぱいの、いっぱいになる」で、この場合は、「満腹の、満腹で」という意味。
日本語でも、「もうお腹がいっぱい」と言いますので、その感覚は同じですね。
モニカのように太っている人は、いつもお腹をすかしていて、常に何かを食べている、というイメージがあります。
フレンズ2-14 のプロムのビデオのエピソードでも、その姿が映るたびに何かを食べているような感じでした。
小学生に人気の「ピラメキーノ」という番組の「だるだるイングリッシュ」に出てくるダルさん(ボストン出身、23歳…笑)という巨体の男性も、いつもアイスクリームやら、生クリームのどっさりついたドーナツやらを手放しませんし、NARUTO のぽっちゃり忍者、秋道チョウジくんも、いつも片手にスナック菓子を持っていたりしますから、「太っている人は大食漢でいつもお腹をすかせている」というのは、どこの国にも共通するイメージのようです。
いつもなら絶対に断らないのに、「いらない」と言ったモニカを見て、「モニカがとうとう満腹感を覚えてこれ以上いらない、って言ったぞ。ママ、すごいぞ、でかしたぞ、ついにやったな!」と喜んでいるわけですね。
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2010年10月13日
人気バンドの髪型をまねる フレンズ5-8その2
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1987年の感謝祭の回想シーン。
ロスは大学生、モニカは高校生の頃の話になります。
ロスとモニカの家(実家)に、すでにレイチェルは来ていて、そこにロスが帰ってきます。
ロス: (entering) Hey! ([入ってきて] やあ!)
(He brought home Chandler for Thanksgiving. Chandler is sporting the very popular Flock of Seagulls haircut. Yeah, it's another you have to see it to believe it kinda thing.)
ロスは感謝祭のために、チャンドラーを家に連れて来た。チャンドラーは非常に人気のあるフロック・オブ・シーガルズの髪型を(誇らしげに)見せびらかしている。そう、それは、「そう信じる[思う]にはそれを見なければいけない」っていう、もう一つの例[タイプ・パターン]である。
ゲラーパパ(ミスター・ゲラー): Oh my! (おや、まあ。)
ロス: Uh, everyone, this is Chandler. My roommate and lead singer of our band. (あー、みんな、こちらはチャンドラー。僕のルームメイトで、僕らのバンドのリードシンガーなんだ。)
(太っている)モニカ(Fat Monica): Ross! (Wanting to be introduced.) (ロス! [紹介してもらいたがっている])
ロス: Oh, this is Monica. (あぁ、こちらはモニカだ。)
モニカ: Hi, I'm Ross' little sister. (はーい。私はロスの妹です。)
チャンドラー: (seeing her) Okay. ([モニカを見ながら] あっ、そう。)
ゲラーママ(ミセス・ゲラー): I'm so glad you could come, Chandler. We've got plenty of food, so I hope you're hungry. (来てくれてすごく嬉しいわ、チャンドラー。食べ物はたくさんあるから、あなたのお腹がすいてるといいけれど。)
ロス: Oh, mom. Mom. Chandler hates Thanksgiving and doesn't eat any Thanksgiving food. (あぁ、ママ、ママ。チャンドラーは感謝祭を憎んでるから、感謝祭の料理はどれも食べないんだ。)
ゲラーママ: Oh, well, I'm so glad you brought him here then. (あら、そう、ロスが彼を連れて来てくれてほんとに良かったわ、そういうことならね。)
モニカ: Umm, Chandler, if you want I can make you some macaroni and cheese for dinner. (あー、チャンドラー。お望みなら、夕食にマカロニ&チーズを作ってあげられるわよ。)
チャンドラー: Well, as long as the Pilgrims didn't eat it, I'm in. (そうだな、ピルグリム(たち)がそれを食べてなかったということであれば、その話に乗るよ。)
(As she is drinking, Monica laughs and Chandler's joke and Diet Coke comes out of her nose.)
飲み物を飲んでいたモニカは、チャンドラーのジョークに笑い、ダイエット・コークが鼻から出てしまう。
モニカ: Damn it! (Runs off.) (しまった![やだ!] [走り去る])
ロスが大学生の頃の感謝祭。
ロスは、実家に友人チャンドラーを連れて来ますが、そのチャンドラーの髪型に笑ってしまいますね。
ト書きにあるように、これは、A Flock of Seafulls (フロック・オブ・シーガルズ)というイギリスのバンドのメンバーの髪型を真似たものです。
Wikipedia 英語版: A Flock of Seagulls
そのウィキペディアには、Hairstyle という項目があり、以下の説明があります。
Mike Score's distinctive hairstyle has been mentioned, copied, and parodied many times in the media:
「マイク・スコア(ボーカル担当)の独特の髪型は、メディアで何度も言及され、コピーされ、パロディーにされてきた。」
その下にたくさんの例が載っているのですが、その筆頭に今回のフレンズでのパロディーが挙げられています。
どんな髪型か興味のある方は、Flock of Seagulls などで Google 画像検索してみて下さい。
その髪型については、フレンズ2-15その12 でも、以下のセリフで登場していました。
ロス: Have you ever been, you know, fooling around with a girl and she started laughing? (女の子といちゃついていて、彼女が笑い出した、って経験をしたことがある?)
チャンドラー: Yeah. But it was 1982 and my Flock of Seagulls haircut was tickling her chin. (あぁ。1982年のことだ。俺の「フロック・オブ・シーガルズ」カットが彼女のあごをくすぐったんだよ。)
今回は、そのシーズン2でのセリフが本当のことであったのを回想シーンの映像で見せているわけです。
(年代にややずれがありますが、まぁ、それはご愛嬌、ということで…笑)
シリーズものならではのお遊びみたいなものですね。
Yeah, it's another you have to see it to believe it kinda thing.
というト書きですが、これは、
Yeah, it's another "you have to see it to believe it" kinda thing.
のように引用符でくくるか、
Yeah, it's another you-have-to-see-it-to-believe-it kinda thing.
のようにハイフンで結ぶかした方が、意味が取りやすいと思います。
つまり、it is another kind of thing 「それは、また別の…という感じの[種類の]ものである」という…の部分が、you have to see it to believe it という文章の形の形容詞になっている、という構造です。
you have to see it to believe it は、「(今、説明したように)チャンドラーが、フロック・オブ・シーガルズの髪型をしているのが本当だと信じるためには、(実際に)それを[その姿を・その映像を]見なければならない」という意味です。
つまり、全体としては、「ほんとにそんな髪型をしてるかどうかは、実際に見てみないことにはわからない、って感じのやつの、また別の一例だよ」のような意味になります。
another 「別のもう一つ」とあるからには、その前に同じような例があったことになりますが、それは前回、フレンズ5-8その1 で説明した、It's one of those you have to see it to get it jokes. というト書きのことを指しています。
前回は、その部分に深く注目することなく、訳も適当に流してしまいましたが(反省)、その部分も、It's one of those "you have to see it to get it" jokes. のように、形容詞として名詞にかかっている部分を引用符でくくるなどした方が理解しやすいですね。
you have to see it to get it は、「意味を理解するためにはそれを(実際に)見なければならない」で、one of those ... jokes 「…という(よくある)そういうジョークの一つ」の…の部分が、文章の形で形容詞になっていて、「意味がわかるためにはそれを見てみないといけない、という類のジョークの一つ」という意味になるのです。
ジョーイがターキー頭で考え事をしている、というシーンや、チャンドラーのこの奇抜な髪型は、ト書きの文字の説明だけではわかりにくい、これはもうとにかく実際に見てみて下さい、と言うしかない、映像でしかわからない面白さだと言いたいわけです。
このブログは基本的には、英語のセリフの分析を中心にしていますが、今回のような、「長い文章を形容詞にする」という方法は、ト書きはもちろんのこと、フレンズのセリフにもよく登場します。
文法書ではなかなか学べない、生き生きとした口語表現で、自分で英語日記を書く時にも使える便利な表現ですから、ちょっと執拗に(笑)解説してみました。
ロスはみんなにチャンドラーを紹介しています。
ロスはヒゲを生やしていて、モニカが超太っているのも、フレンズ2-14 で登場した、プロムのビデオの話を思い出させますね。
モニカは、恥ずかしそうにもじもじしながら、Ross! と言っていますが、それはト書きにあるように、「私のことをチャンドラーに紹介して」と言っていることになります。
I'm Ross' little sister. と自己紹介したモニカですが、そのモニカの姿をじーっと見て、チャンドラーはちょっとあきれたような感じでふっと笑い、Okay. と言っています。
これは、モニカの little という言葉に対する笑いですね。
英語の sister は「女きょうだい」という意味で、普通 sister だけでは、姉なのか妹なのかわかりません。
年下の妹であることをはっきり示したい場合には、(one's) little sister のように表現します。
逆に年上の姉の場合は、(one's) big sister になりますね。
年上だから大きい(big)、年下だから小さい(little)という形容詞をつけるわけですが、自分で little sister だと名乗ったモニカが、とても little とは呼べないような巨体だったので(ごめん!)、チャンドラーはその姿をまじまじ見ながら、「リトルじゃなくて、ビッグじゃねーの?」みたいな感じで、くすっと笑ったわけでしょう。
こういう場合の Okay. はちょっと訳しにくいのですが、ニュアンスとしては、「あっそ。なるほどね。わかったよ。まぁいいさ。まぁいいでしょう。そういうことにしとこうか。そういうことでいいんじゃない。」みたいに、君がそう言うんならそういうことにしとこう、ここは深く詮索したりせず、軽く流しとこう、みたいな感じの返事をしている気がします。
little という言葉にツッコミを入れたいところを、あえてそれを口にせず、心の中だけで笑っている感じでしょう。
感謝祭に来た息子の友人に対して、ロスのママは母親らしい歓迎の言葉をにこやかに述べています。
感謝祭のごちそうをたくさん作ったから、お腹いっぱい食べてね、という感じですね。
ですが、チャンドラーは、感謝祭の食卓で親の離婚話を切り出されたという辛い経験があるために、感謝祭やその料理に対してトラウマがあって、感謝祭の料理は食べることができません。
ロスはそのことをママに説明するのですが、それを聞いたママは、さっきまでの愛想の良い顔から、急に不機嫌そうな顔に変わって、I'm so glad you brought him here then. と言って去って行きます。
このセリフでは、文尾の then がポイントですね。
研究社 新英和中辞典では、
then=[通例文頭または文尾または条件節を受けて主節の初めに用いて] それなら、(それ)では
例) So you're not going to visit the doctor. What are you going to do, then? 「医者に行かないというのかね。じゃ、どうしようというのか。」
上の例文は「文尾」につくパターンで、今回のママのセリフと同じ感覚ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
then [adverb] : (spoken) said to show that what you are saying is related in some way to what has been said before (SYN: in that case)
つまり、「(口語) 自分が言っていることが、その前に言われたことと何かしら関係があることを示すために言われる[使われる]」。
意味としては、「それなら、それでは、それじゃあ」というニュアンスですが、今回のように文尾におまけとしてつくことで、ちょっと皮肉っぽい非難めいた気持ちが出る気がします。
「感謝祭のごちそう、たくさん食べてね」→「チャンドラーは感謝祭の料理、食べられないんだ」→「まぁ、彼を感謝祭に連れて来てくれてとっても嬉しいわ、感謝祭の料理を食べられないってことならね」という感じになるのですが、ママの本音としては、「感謝祭の料理を食べられないような人を何で感謝祭に招いたりするのよ!」と言いたいわけですね。
このように then を文尾につける方が、「嬉しいわ、”感謝祭の料理を食べられないんですものね!”」と、「それなら、それじゃあ」という皮肉の部分がより強調されて聞こえる気がします。
本音は、「そういうことなら、全然嬉しくない」のですが、「嬉しいわ、そういう事情なら」とあえて皮肉っぽく(もちろん顔は不機嫌そうに)言っているのがママらしい感じがします。
日本で言うと、お正月におせちや雑煮を腕によりをかけて作ったのに、煮物系や餅は苦手なんです、と言われたような感じ…なのでしょう。
感謝祭の料理はダメ、というチャンドラーに、モニカはマカロニ&チーズを作ってあげようか、と申し出ています。
英辞郎にも、
macaroni and cheese=《料理》マカロニアンドチーズ◆ゆでたマカロニをチェダーチーズなどであえたもの。主に子どもの食事。
と出ているくらい、アメリカではメジャーな食べ物ですね。
Pilgrims は、Pilgrim Fathers 「ピルグリムファーザーズ」のことで、最初にアメリカに入植した人々のこと。
フレンズ2-8その6 でも、ピルグリムファーザーズについて触れていますが、感謝祭は彼らが最初の収穫を神に感謝することから始まったと言われています。
ピルグリムファーザーズが食べてたんじゃなかったら、感謝祭のトラウマも感じないで済みそうだから、そのメニューなら食べられそうだよ、とチャンドラーは言っているわけですね。
チャンドラー風のジョークだったわけですが、それを聞いたモニカはそのジョークに受け、飲んでいたコーラを吹き出してしまい、恥ずかしそうに走り去って行きます。
この一連のシーンでは、モニカがチャンドラーを一人の男性として意識していることがわかりますね。
あんな髪型なのに惹かれたのか…?などと、ちょっとツッコミを入れたくもなりますが(笑)。
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1987年の感謝祭の回想シーン。
ロスは大学生、モニカは高校生の頃の話になります。
ロスとモニカの家(実家)に、すでにレイチェルは来ていて、そこにロスが帰ってきます。
ロス: (entering) Hey! ([入ってきて] やあ!)
(He brought home Chandler for Thanksgiving. Chandler is sporting the very popular Flock of Seagulls haircut. Yeah, it's another you have to see it to believe it kinda thing.)
ロスは感謝祭のために、チャンドラーを家に連れて来た。チャンドラーは非常に人気のあるフロック・オブ・シーガルズの髪型を(誇らしげに)見せびらかしている。そう、それは、「そう信じる[思う]にはそれを見なければいけない」っていう、もう一つの例[タイプ・パターン]である。
ゲラーパパ(ミスター・ゲラー): Oh my! (おや、まあ。)
ロス: Uh, everyone, this is Chandler. My roommate and lead singer of our band. (あー、みんな、こちらはチャンドラー。僕のルームメイトで、僕らのバンドのリードシンガーなんだ。)
(太っている)モニカ(Fat Monica): Ross! (Wanting to be introduced.) (ロス! [紹介してもらいたがっている])
ロス: Oh, this is Monica. (あぁ、こちらはモニカだ。)
モニカ: Hi, I'm Ross' little sister. (はーい。私はロスの妹です。)
チャンドラー: (seeing her) Okay. ([モニカを見ながら] あっ、そう。)
ゲラーママ(ミセス・ゲラー): I'm so glad you could come, Chandler. We've got plenty of food, so I hope you're hungry. (来てくれてすごく嬉しいわ、チャンドラー。食べ物はたくさんあるから、あなたのお腹がすいてるといいけれど。)
ロス: Oh, mom. Mom. Chandler hates Thanksgiving and doesn't eat any Thanksgiving food. (あぁ、ママ、ママ。チャンドラーは感謝祭を憎んでるから、感謝祭の料理はどれも食べないんだ。)
ゲラーママ: Oh, well, I'm so glad you brought him here then. (あら、そう、ロスが彼を連れて来てくれてほんとに良かったわ、そういうことならね。)
モニカ: Umm, Chandler, if you want I can make you some macaroni and cheese for dinner. (あー、チャンドラー。お望みなら、夕食にマカロニ&チーズを作ってあげられるわよ。)
チャンドラー: Well, as long as the Pilgrims didn't eat it, I'm in. (そうだな、ピルグリム(たち)がそれを食べてなかったということであれば、その話に乗るよ。)
(As she is drinking, Monica laughs and Chandler's joke and Diet Coke comes out of her nose.)
飲み物を飲んでいたモニカは、チャンドラーのジョークに笑い、ダイエット・コークが鼻から出てしまう。
モニカ: Damn it! (Runs off.) (しまった![やだ!] [走り去る])
ロスが大学生の頃の感謝祭。
ロスは、実家に友人チャンドラーを連れて来ますが、そのチャンドラーの髪型に笑ってしまいますね。
ト書きにあるように、これは、A Flock of Seafulls (フロック・オブ・シーガルズ)というイギリスのバンドのメンバーの髪型を真似たものです。
Wikipedia 英語版: A Flock of Seagulls
そのウィキペディアには、Hairstyle という項目があり、以下の説明があります。
Mike Score's distinctive hairstyle has been mentioned, copied, and parodied many times in the media:
「マイク・スコア(ボーカル担当)の独特の髪型は、メディアで何度も言及され、コピーされ、パロディーにされてきた。」
その下にたくさんの例が載っているのですが、その筆頭に今回のフレンズでのパロディーが挙げられています。
どんな髪型か興味のある方は、Flock of Seagulls などで Google 画像検索してみて下さい。
その髪型については、フレンズ2-15その12 でも、以下のセリフで登場していました。
ロス: Have you ever been, you know, fooling around with a girl and she started laughing? (女の子といちゃついていて、彼女が笑い出した、って経験をしたことがある?)
チャンドラー: Yeah. But it was 1982 and my Flock of Seagulls haircut was tickling her chin. (あぁ。1982年のことだ。俺の「フロック・オブ・シーガルズ」カットが彼女のあごをくすぐったんだよ。)
今回は、そのシーズン2でのセリフが本当のことであったのを回想シーンの映像で見せているわけです。
(年代にややずれがありますが、まぁ、それはご愛嬌、ということで…笑)
シリーズものならではのお遊びみたいなものですね。
Yeah, it's another you have to see it to believe it kinda thing.
というト書きですが、これは、
Yeah, it's another "you have to see it to believe it" kinda thing.
のように引用符でくくるか、
Yeah, it's another you-have-to-see-it-to-believe-it kinda thing.
のようにハイフンで結ぶかした方が、意味が取りやすいと思います。
つまり、it is another kind of thing 「それは、また別の…という感じの[種類の]ものである」という…の部分が、you have to see it to believe it という文章の形の形容詞になっている、という構造です。
you have to see it to believe it は、「(今、説明したように)チャンドラーが、フロック・オブ・シーガルズの髪型をしているのが本当だと信じるためには、(実際に)それを[その姿を・その映像を]見なければならない」という意味です。
つまり、全体としては、「ほんとにそんな髪型をしてるかどうかは、実際に見てみないことにはわからない、って感じのやつの、また別の一例だよ」のような意味になります。
another 「別のもう一つ」とあるからには、その前に同じような例があったことになりますが、それは前回、フレンズ5-8その1 で説明した、It's one of those you have to see it to get it jokes. というト書きのことを指しています。
前回は、その部分に深く注目することなく、訳も適当に流してしまいましたが(反省)、その部分も、It's one of those "you have to see it to get it" jokes. のように、形容詞として名詞にかかっている部分を引用符でくくるなどした方が理解しやすいですね。
you have to see it to get it は、「意味を理解するためにはそれを(実際に)見なければならない」で、one of those ... jokes 「…という(よくある)そういうジョークの一つ」の…の部分が、文章の形で形容詞になっていて、「意味がわかるためにはそれを見てみないといけない、という類のジョークの一つ」という意味になるのです。
ジョーイがターキー頭で考え事をしている、というシーンや、チャンドラーのこの奇抜な髪型は、ト書きの文字の説明だけではわかりにくい、これはもうとにかく実際に見てみて下さい、と言うしかない、映像でしかわからない面白さだと言いたいわけです。
このブログは基本的には、英語のセリフの分析を中心にしていますが、今回のような、「長い文章を形容詞にする」という方法は、ト書きはもちろんのこと、フレンズのセリフにもよく登場します。
文法書ではなかなか学べない、生き生きとした口語表現で、自分で英語日記を書く時にも使える便利な表現ですから、ちょっと執拗に(笑)解説してみました。
ロスはみんなにチャンドラーを紹介しています。
ロスはヒゲを生やしていて、モニカが超太っているのも、フレンズ2-14 で登場した、プロムのビデオの話を思い出させますね。
モニカは、恥ずかしそうにもじもじしながら、Ross! と言っていますが、それはト書きにあるように、「私のことをチャンドラーに紹介して」と言っていることになります。
I'm Ross' little sister. と自己紹介したモニカですが、そのモニカの姿をじーっと見て、チャンドラーはちょっとあきれたような感じでふっと笑い、Okay. と言っています。
これは、モニカの little という言葉に対する笑いですね。
英語の sister は「女きょうだい」という意味で、普通 sister だけでは、姉なのか妹なのかわかりません。
年下の妹であることをはっきり示したい場合には、(one's) little sister のように表現します。
逆に年上の姉の場合は、(one's) big sister になりますね。
年上だから大きい(big)、年下だから小さい(little)という形容詞をつけるわけですが、自分で little sister だと名乗ったモニカが、とても little とは呼べないような巨体だったので(ごめん!)、チャンドラーはその姿をまじまじ見ながら、「リトルじゃなくて、ビッグじゃねーの?」みたいな感じで、くすっと笑ったわけでしょう。
こういう場合の Okay. はちょっと訳しにくいのですが、ニュアンスとしては、「あっそ。なるほどね。わかったよ。まぁいいさ。まぁいいでしょう。そういうことにしとこうか。そういうことでいいんじゃない。」みたいに、君がそう言うんならそういうことにしとこう、ここは深く詮索したりせず、軽く流しとこう、みたいな感じの返事をしている気がします。
little という言葉にツッコミを入れたいところを、あえてそれを口にせず、心の中だけで笑っている感じでしょう。
感謝祭に来た息子の友人に対して、ロスのママは母親らしい歓迎の言葉をにこやかに述べています。
感謝祭のごちそうをたくさん作ったから、お腹いっぱい食べてね、という感じですね。
ですが、チャンドラーは、感謝祭の食卓で親の離婚話を切り出されたという辛い経験があるために、感謝祭やその料理に対してトラウマがあって、感謝祭の料理は食べることができません。
ロスはそのことをママに説明するのですが、それを聞いたママは、さっきまでの愛想の良い顔から、急に不機嫌そうな顔に変わって、I'm so glad you brought him here then. と言って去って行きます。
このセリフでは、文尾の then がポイントですね。
研究社 新英和中辞典では、
then=[通例文頭または文尾または条件節を受けて主節の初めに用いて] それなら、(それ)では
例) So you're not going to visit the doctor. What are you going to do, then? 「医者に行かないというのかね。じゃ、どうしようというのか。」
上の例文は「文尾」につくパターンで、今回のママのセリフと同じ感覚ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
then [adverb] : (spoken) said to show that what you are saying is related in some way to what has been said before (SYN: in that case)
つまり、「(口語) 自分が言っていることが、その前に言われたことと何かしら関係があることを示すために言われる[使われる]」。
意味としては、「それなら、それでは、それじゃあ」というニュアンスですが、今回のように文尾におまけとしてつくことで、ちょっと皮肉っぽい非難めいた気持ちが出る気がします。
「感謝祭のごちそう、たくさん食べてね」→「チャンドラーは感謝祭の料理、食べられないんだ」→「まぁ、彼を感謝祭に連れて来てくれてとっても嬉しいわ、感謝祭の料理を食べられないってことならね」という感じになるのですが、ママの本音としては、「感謝祭の料理を食べられないような人を何で感謝祭に招いたりするのよ!」と言いたいわけですね。
このように then を文尾につける方が、「嬉しいわ、”感謝祭の料理を食べられないんですものね!”」と、「それなら、それじゃあ」という皮肉の部分がより強調されて聞こえる気がします。
本音は、「そういうことなら、全然嬉しくない」のですが、「嬉しいわ、そういう事情なら」とあえて皮肉っぽく(もちろん顔は不機嫌そうに)言っているのがママらしい感じがします。
日本で言うと、お正月におせちや雑煮を腕によりをかけて作ったのに、煮物系や餅は苦手なんです、と言われたような感じ…なのでしょう。
感謝祭の料理はダメ、というチャンドラーに、モニカはマカロニ&チーズを作ってあげようか、と申し出ています。
英辞郎にも、
macaroni and cheese=《料理》マカロニアンドチーズ◆ゆでたマカロニをチェダーチーズなどであえたもの。主に子どもの食事。
と出ているくらい、アメリカではメジャーな食べ物ですね。
Pilgrims は、Pilgrim Fathers 「ピルグリムファーザーズ」のことで、最初にアメリカに入植した人々のこと。
フレンズ2-8その6 でも、ピルグリムファーザーズについて触れていますが、感謝祭は彼らが最初の収穫を神に感謝することから始まったと言われています。
ピルグリムファーザーズが食べてたんじゃなかったら、感謝祭のトラウマも感じないで済みそうだから、そのメニューなら食べられそうだよ、とチャンドラーは言っているわけですね。
チャンドラー風のジョークだったわけですが、それを聞いたモニカはそのジョークに受け、飲んでいたコーラを吹き出してしまい、恥ずかしそうに走り去って行きます。
この一連のシーンでは、モニカがチャンドラーを一人の男性として意識していることがわかりますね。
あんな髪型なのに惹かれたのか…?などと、ちょっとツッコミを入れたくもなりますが(笑)。
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2010年10月11日
今はそんな場合じゃない フレンズ5-8その1
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シーズン5 第8話
The One with the Thanksgiving Flashbacks (それぞれの感謝祭)
原題は「感謝祭のフラッシュバックの話」
今日は感謝祭。モニカが作った感謝祭のごちそうで満腹になったフレンズたちは、今までで最悪の感謝祭はどれか、について話しています。
そして、1992年の感謝祭の映像がフラッシュバックします。
チャンドラーを驚かせようと、頭にターキー(七面鳥)をかぶったジョーイ。
それが取れなくなって、フィービーに助けを求めたところに、モニカが帰ってきます。
皿の上に頭を乗せて、ターキーが皿に乗っているかのように見せようとするのですが…
モニカ: Hey, did you get the turkey basted-- Oh, my God! Oh my God! (She sees someone is stuck in the turkey.) Who is that? (ねぇ、あのターキーにたれをかけてくれたかしら… まぁ、なんてこと! なんてこと! [モニカは誰かがターキーの中にはまり込んでいるのを見る] それは誰?)
ターキーはむくっと顔を上げて、泣きそうな声で
ジョーイ: It's Joey. (ジョーイだよ。)
モニカ: What, what are you doing? Is this supposed to be funny? (何、何をやってるの? これは面白いつもりなの?)
フィービー: No, it's not supposed to be funny. It's supposed to be scary. (いいえ、面白いつもりじゃないわ。怖いつもりなのよ。)
ジョーイはうんうんと頷き、怪物の手のような形を作り、相手を怖がらせるふりをする。
モニカ: Well, get that off now! (ねぇ、そんなの今すぐ取りなさいよ!)
ジョーイ: I can't! It, it's stuck! (できないんだよ! はまっちゃってるんだ!)
モニカ: Well, I don't care! That, that turkey has to feed 20 people at my parent's house and they're not gonna eat it off your head! (もう、そんなの知ったこっちゃないわ! その、そのターキーは、実家[両親の家]で、20人の人の食料にならないといけないのよ。あなたの頭からターキーを食べるわけにはいかないわ!)
フィービー: All right, hold on! Okay, let's just all think. (わかった、ちょっと待って! よし、とにかくみんなで考えましょ。)
(They all start thinking. Joey starts rubbing his chin, of course his chin is currently inside the turkey so he ends up rubbing the turkey. And I didn't do that joke one bit of justice. It's one of those you have to see it to get it jokes.)
ジョーイ、フィービー、モニカは全員、考え始める。ジョーイはあごをさすり始める。もちろん、彼のあごは、目下(もっか)、ターキーの中なので、結局、ターキーをなでていることになる。そして、僕(=セリフをディクテーションしてこのスクリプトを書いている人)はそのジョークをちっとも実物通りに表現できていない。ジョークとして理解するためには、それを(実際に映像で)見なければいけないという類(たぐい)のものの一つだ。
モニカ: Okay, I got it. Phoebe? All right, you pull. I'm gonna spread the legs as wide as I can. (Joey starts giggling.) Joey? Now is not the time! (よし、思いついた。フィービー? いいかしら、私が引っ張るわ。私はできるだけ大きく脚を広げるから。[ジョーイはくすくす笑い始める] ジョーイ? 今はそんな時[場合]じゃないでしょ!)
ジョーイ: Sorry! Sorry. (ごめんよ! ごめん。)
モニカは帰ってくるなり、ターキーの話をしています。
最初のセリフ、DVDの英語字幕では、get the turkey--? と表記されていますが、ネットスクリプトでは、get the turkey basted? になっています。
実際の音声も、ベイ…と言っているように聞こえますので、ここはやはり、basted と言おうとした、ということで間違いないでしょう。
baste は「(肉などに)たれをつける、たれをかける、たれをかけながら焼く」という意味。
英辞郎にも、
baste a turkey=七面鳥にたれをかける
というフレーズが載っているくらいですから、ターキー料理の描写によく使われるフレーズだということです。
ターキーの話をしながら、ターキーを見たら、そこに人間の身体がくっついているので(笑)、モニカは驚いています。
「ジョーイだよ」という情けなーい声にも笑えますね。
ターキーをかぶっているその姿が、目や口のない、でっかい顔の、ユーモラスな(癒し系の?)着ぐるみキャラクターみたいに見えるので、この一連のシーンは、映像だけでも十分に笑えてしまいます。
be supposed to はフレンズ頻出表現で、「…することになっている、…するはずである、…すると予想・予期される」。
この場合は、ターキーなんかをそんな風に頭にかぶって、面白い(funny)って思わせるつもりなの? 面白い、ってことになるの? 面白いことになるはずなの?、みたいなニュアンスになるでしょう。
面白いって言わせたくてそんなことをしたの?、見た人は面白いって思うべきところなの?という感覚で、そんなことやって、こっちが面白がるとでも思ってるの?という非難の気持ちも入っていると思います。
それに対してフィービーは、ジョーイは、funny じゃなくて、scary のつもりだったのよ、と言っています。
その前にジョーイが、I put it on to scare Chandler! 「チャンドラーを怖がらせるためにそれ(ターキー)を(頭に)つけたんだ!」と説明していたからですね。
自分の意図を説明してもらったジョーイは、うんうんと頷き、手をぐわっと怪物のように曲げ、こんな感じで驚かせようと思ったんだ、みたいにしぐさで説明するのにも笑えます。
get that off の off は「分離」のイメージですね。
it's stuck! の stuck は stick の過去分詞形(またはその過去分詞形が形容詞となったもの)で、「(はさまって・くっついて)動かない、動きがとれない」という意味ですね。
stuck については、挟まって動けない フレンズ3-3その22 でも解説しています。
I don't care! は、「私には関係ない。構わない。どうでもいい。知ったことではない」みたいに突き放す感じのセリフですね。
ターキーに挟まっちゃって抜けないんだよ、と情けない声を出しているジョーイに、「自分でやったことでしょ、あなたのつらい状況なんて知ったこっちゃないわ! (そのターキーは今からこうやって使う予定なのに、全くどうしてくれるのよっ!)」と怒っている様子が出ています。
feed は「(動物・人)にえさ・食物を与える」という意味で、主語がえさや食べ物の場合は、「(主語は目的語の)えさ・食料になる」という意味にもなります。
また「…の欲望などを満足させる」という意味もあります。
今回のニュアンスは、以下の LAAD (Longman Advanced American Dictionary) の語義が近いでしょうか。
feed : to provide enough food for a group of people
例) This recipe feeds six.
つまり、「あるグループの人々に十分な食物を提供すること」。例文は、「このレシピは6人分だ。」
今回の feed も、実家のお客さん20人分の食料となる、20人分の食料を提供する、という感覚でしょう。
実家での感謝祭のメインのごちそうになる予定なのに、ジョーイの頭にくっついたまま、みんなでそれをつついてターキーを食べるわけにはいかないでしょ!と怒っているわけですね。
eat it off your head の off も、上に述べたのと同じ「分離」のイメージになります。
とにかく何か対策を考えましょう、と3人は考え始めるのですが、ジョーイはそのでっかいターキー頭の状態で、「うーむ」と深く思案する様子で、あごをさすっています。
本人は中で真剣な面持ちで必死に考えているのでしょうが、何しろ見かけがそのターキー顔なので、その考えるしぐさが妙にユーモラスで、観客は思わず笑ってしまうのですね。
ネットスクリプトのト書きには、このト書きを書いた方の個人的見解(?)みたいなものが書いてありますが、そこに書かれているように、文字ではうまく描写できない、これはとにかく映像で見てもらわないとその面白さを完全に理解することはできない、という類のものであるのは間違いありません。
ちなみに、今回のネットスクリプトを書いた方は、個人的な意見をト書きに盛り込むのが好きな方のようで、冒頭シーンで、ジョーイが「感謝したいもの」の一つとして、thongs 「(下着の)Tバック」を挙げた時にも、
Note: Actually, I think every guy is thankful for thongs. That and spandex.
「メモ:実際、全ての男はTバックに感謝してると思う。Tバックとスパンデックス(レオタード)ね。」
みたいなことを書いておられました(笑)。
spandex は、フレンズ4-4その1 のセリフにも登場していましたね。
ある案を思いついたらしいモニカ。と言っても、力ずくで引っ張るだけのようですが(笑)。
spread the legs as wide as I can は、「できるだけ脚を広く・大きく広げる」ですね。
as wide as possible とも言い換えられます。
脚を広げて踏ん張って、思い切り引っ張るから、と言っているだけなのですが、ターキーの中のジョーイはそのセリフを聞いて、イヒヒヒ…という感じのいやらしい笑いをしています。
「脚を思い切り広げる」と聞いて、エッチの時のそういうセリフを想像して喜んでいるのですね。
Now is not the time! を直訳すると、「今はその時ではない」ですから、まさに日本語で言うところの、「今はそんなことを言ってる時じゃない、今はそんな場合じゃない」というのと同じです。
英辞郎にも以下のように出ています。
now is not the time to=今は〜しているとき[場合]ではない
・Now isn't the time to say that. 「そんなこと言ってる場合かよ。」
・Now is not the time to talk about such matters 「今はそんなことを話している場合ではない。」
結構、日本語をそのまま直訳したような英文なので、日本人にもわかりやすい感覚ですね。
ターキーが頭から取れなくて…と困っていたはずのジョーイが、自分の状況も忘れたかのようにエッチっぽいセリフに無邪気に喜んでいて、それを見ているモニカはイライラして怒っている、という構図が、この二人のキャラらしくて面白いな、と思いました。
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シーズン5 第8話
The One with the Thanksgiving Flashbacks (それぞれの感謝祭)
原題は「感謝祭のフラッシュバックの話」
今日は感謝祭。モニカが作った感謝祭のごちそうで満腹になったフレンズたちは、今までで最悪の感謝祭はどれか、について話しています。
そして、1992年の感謝祭の映像がフラッシュバックします。
チャンドラーを驚かせようと、頭にターキー(七面鳥)をかぶったジョーイ。
それが取れなくなって、フィービーに助けを求めたところに、モニカが帰ってきます。
皿の上に頭を乗せて、ターキーが皿に乗っているかのように見せようとするのですが…
モニカ: Hey, did you get the turkey basted-- Oh, my God! Oh my God! (She sees someone is stuck in the turkey.) Who is that? (ねぇ、あのターキーにたれをかけてくれたかしら… まぁ、なんてこと! なんてこと! [モニカは誰かがターキーの中にはまり込んでいるのを見る] それは誰?)
ターキーはむくっと顔を上げて、泣きそうな声で
ジョーイ: It's Joey. (ジョーイだよ。)
モニカ: What, what are you doing? Is this supposed to be funny? (何、何をやってるの? これは面白いつもりなの?)
フィービー: No, it's not supposed to be funny. It's supposed to be scary. (いいえ、面白いつもりじゃないわ。怖いつもりなのよ。)
ジョーイはうんうんと頷き、怪物の手のような形を作り、相手を怖がらせるふりをする。
モニカ: Well, get that off now! (ねぇ、そんなの今すぐ取りなさいよ!)
ジョーイ: I can't! It, it's stuck! (できないんだよ! はまっちゃってるんだ!)
モニカ: Well, I don't care! That, that turkey has to feed 20 people at my parent's house and they're not gonna eat it off your head! (もう、そんなの知ったこっちゃないわ! その、そのターキーは、実家[両親の家]で、20人の人の食料にならないといけないのよ。あなたの頭からターキーを食べるわけにはいかないわ!)
フィービー: All right, hold on! Okay, let's just all think. (わかった、ちょっと待って! よし、とにかくみんなで考えましょ。)
(They all start thinking. Joey starts rubbing his chin, of course his chin is currently inside the turkey so he ends up rubbing the turkey. And I didn't do that joke one bit of justice. It's one of those you have to see it to get it jokes.)
ジョーイ、フィービー、モニカは全員、考え始める。ジョーイはあごをさすり始める。もちろん、彼のあごは、目下(もっか)、ターキーの中なので、結局、ターキーをなでていることになる。そして、僕(=セリフをディクテーションしてこのスクリプトを書いている人)はそのジョークをちっとも実物通りに表現できていない。ジョークとして理解するためには、それを(実際に映像で)見なければいけないという類(たぐい)のものの一つだ。
モニカ: Okay, I got it. Phoebe? All right, you pull. I'm gonna spread the legs as wide as I can. (Joey starts giggling.) Joey? Now is not the time! (よし、思いついた。フィービー? いいかしら、私が引っ張るわ。私はできるだけ大きく脚を広げるから。[ジョーイはくすくす笑い始める] ジョーイ? 今はそんな時[場合]じゃないでしょ!)
ジョーイ: Sorry! Sorry. (ごめんよ! ごめん。)
モニカは帰ってくるなり、ターキーの話をしています。
最初のセリフ、DVDの英語字幕では、get the turkey--? と表記されていますが、ネットスクリプトでは、get the turkey basted? になっています。
実際の音声も、ベイ…と言っているように聞こえますので、ここはやはり、basted と言おうとした、ということで間違いないでしょう。
baste は「(肉などに)たれをつける、たれをかける、たれをかけながら焼く」という意味。
英辞郎にも、
baste a turkey=七面鳥にたれをかける
というフレーズが載っているくらいですから、ターキー料理の描写によく使われるフレーズだということです。
ターキーの話をしながら、ターキーを見たら、そこに人間の身体がくっついているので(笑)、モニカは驚いています。
「ジョーイだよ」という情けなーい声にも笑えますね。
ターキーをかぶっているその姿が、目や口のない、でっかい顔の、ユーモラスな(癒し系の?)着ぐるみキャラクターみたいに見えるので、この一連のシーンは、映像だけでも十分に笑えてしまいます。
be supposed to はフレンズ頻出表現で、「…することになっている、…するはずである、…すると予想・予期される」。
この場合は、ターキーなんかをそんな風に頭にかぶって、面白い(funny)って思わせるつもりなの? 面白い、ってことになるの? 面白いことになるはずなの?、みたいなニュアンスになるでしょう。
面白いって言わせたくてそんなことをしたの?、見た人は面白いって思うべきところなの?という感覚で、そんなことやって、こっちが面白がるとでも思ってるの?という非難の気持ちも入っていると思います。
それに対してフィービーは、ジョーイは、funny じゃなくて、scary のつもりだったのよ、と言っています。
その前にジョーイが、I put it on to scare Chandler! 「チャンドラーを怖がらせるためにそれ(ターキー)を(頭に)つけたんだ!」と説明していたからですね。
自分の意図を説明してもらったジョーイは、うんうんと頷き、手をぐわっと怪物のように曲げ、こんな感じで驚かせようと思ったんだ、みたいにしぐさで説明するのにも笑えます。
get that off の off は「分離」のイメージですね。
it's stuck! の stuck は stick の過去分詞形(またはその過去分詞形が形容詞となったもの)で、「(はさまって・くっついて)動かない、動きがとれない」という意味ですね。
stuck については、挟まって動けない フレンズ3-3その22 でも解説しています。
I don't care! は、「私には関係ない。構わない。どうでもいい。知ったことではない」みたいに突き放す感じのセリフですね。
ターキーに挟まっちゃって抜けないんだよ、と情けない声を出しているジョーイに、「自分でやったことでしょ、あなたのつらい状況なんて知ったこっちゃないわ! (そのターキーは今からこうやって使う予定なのに、全くどうしてくれるのよっ!)」と怒っている様子が出ています。
feed は「(動物・人)にえさ・食物を与える」という意味で、主語がえさや食べ物の場合は、「(主語は目的語の)えさ・食料になる」という意味にもなります。
また「…の欲望などを満足させる」という意味もあります。
今回のニュアンスは、以下の LAAD (Longman Advanced American Dictionary) の語義が近いでしょうか。
feed : to provide enough food for a group of people
例) This recipe feeds six.
つまり、「あるグループの人々に十分な食物を提供すること」。例文は、「このレシピは6人分だ。」
今回の feed も、実家のお客さん20人分の食料となる、20人分の食料を提供する、という感覚でしょう。
実家での感謝祭のメインのごちそうになる予定なのに、ジョーイの頭にくっついたまま、みんなでそれをつついてターキーを食べるわけにはいかないでしょ!と怒っているわけですね。
eat it off your head の off も、上に述べたのと同じ「分離」のイメージになります。
とにかく何か対策を考えましょう、と3人は考え始めるのですが、ジョーイはそのでっかいターキー頭の状態で、「うーむ」と深く思案する様子で、あごをさすっています。
本人は中で真剣な面持ちで必死に考えているのでしょうが、何しろ見かけがそのターキー顔なので、その考えるしぐさが妙にユーモラスで、観客は思わず笑ってしまうのですね。
ネットスクリプトのト書きには、このト書きを書いた方の個人的見解(?)みたいなものが書いてありますが、そこに書かれているように、文字ではうまく描写できない、これはとにかく映像で見てもらわないとその面白さを完全に理解することはできない、という類のものであるのは間違いありません。
ちなみに、今回のネットスクリプトを書いた方は、個人的な意見をト書きに盛り込むのが好きな方のようで、冒頭シーンで、ジョーイが「感謝したいもの」の一つとして、thongs 「(下着の)Tバック」を挙げた時にも、
Note: Actually, I think every guy is thankful for thongs. That and spandex.
「メモ:実際、全ての男はTバックに感謝してると思う。Tバックとスパンデックス(レオタード)ね。」
みたいなことを書いておられました(笑)。
spandex は、フレンズ4-4その1 のセリフにも登場していましたね。
ある案を思いついたらしいモニカ。と言っても、力ずくで引っ張るだけのようですが(笑)。
spread the legs as wide as I can は、「できるだけ脚を広く・大きく広げる」ですね。
as wide as possible とも言い換えられます。
脚を広げて踏ん張って、思い切り引っ張るから、と言っているだけなのですが、ターキーの中のジョーイはそのセリフを聞いて、イヒヒヒ…という感じのいやらしい笑いをしています。
「脚を思い切り広げる」と聞いて、エッチの時のそういうセリフを想像して喜んでいるのですね。
Now is not the time! を直訳すると、「今はその時ではない」ですから、まさに日本語で言うところの、「今はそんなことを言ってる時じゃない、今はそんな場合じゃない」というのと同じです。
英辞郎にも以下のように出ています。
now is not the time to=今は〜しているとき[場合]ではない
・Now isn't the time to say that. 「そんなこと言ってる場合かよ。」
・Now is not the time to talk about such matters 「今はそんなことを話している場合ではない。」
結構、日本語をそのまま直訳したような英文なので、日本人にもわかりやすい感覚ですね。
ターキーが頭から取れなくて…と困っていたはずのジョーイが、自分の状況も忘れたかのようにエッチっぽいセリフに無邪気に喜んでいて、それを見ているモニカはイライラして怒っている、という構図が、この二人のキャラらしくて面白いな、と思いました。
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2010年10月08日
ア・ペイン・イン・ザ… フレンズ5-7その6
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チャンドラーとジョーイの部屋に、ロスが帰ってきます。
ロス: Hey. So I uh, I didn't get that apartment. Some problem with my application. (やあ。それで、その、僕はあのアパートを手に入れることができなかった。申込書に問題があって。)
ジョーイ: You're kidding! (まさか!)
チャンドラー: You're kidding, no! (まさか、うそだろ!)
ロス: Yeah. But, the good news is Phoebe said I could stay at her place for a while. So.... (そうなんだ。でも、良いニュースもあって、自分のところにしばらくいていいってフィービーが言ってくれたんだ。だから…)
ジョーイ: Well, you can't stay with Phoebe, Ross! We're, we're roomies! (そんな、フィービーといっしょにいるなんてだめだよ、ロス。俺たちは、俺たちはルームメートじゃないか!)
ロス: Look, you guys don't need me here taking up your space. (ねぇ、君たちの場所を取っちゃうから、僕はここにいて欲しくないだろ。)
ジョーイ: Well, we got plenty of space! There, there's still some over there (Points to where the window is but sees that there isn't any space there and points towards his door.) by, by that speaker. Please, just stay. (そんな、俺たちはスペースはいっぱいあるさ! そっちに、まだいくらかスペースがあるよ [窓がある場所を指差すが、そこには全くスペースがないのに気付き、自分の(寝室の)ドアの方向を指差す] そのスピーカーの横に。お願いだよ、(何も言わずに)ただここにいてくれよ。)
チャンドラー: Yeah! (そうだよ!)
ロス: Are you guys sure about this? (この話、本当[本気]なの?)
ジョーイ: Definitely. (もちろん。)
チャンドラー: Yes, Ross, you have to stay! (そうだよ、ロス。お前はここにいなくちゃいけないんだ!)
ロス: All right. (わかった。)
ジョーイ: All right! (よし。)
チャンドラー: All right, buddy! (それでいいよ、ロス[友よ]。)
ロス: So I'm a pimp, huh? It's okay! Look, I know sometimes I can be a pain in the ass. But you just have to talk to me. Tell me if something is bothering you, okay? And for my part, I'll really do everything I can to keep my annoying habits, you know, just.... (Does the 'quiet down' maneuver). (それで、僕はポン引きだって? それは(別に)いいんだよ! ねぇ、時々、僕はうっとうしいやつになるってこと、わかってるよ。でも、君らは僕に話してくれなくちゃ。もし何かうっとうしいことがあれば僕に言ってよ、ね? そして、僕としては、できることはほんとに何でもするからさ、僕のうっとうしい癖を、ほら、こうするために… [例の”静かにする・抑える”の動き[しぐさ]をする])
(Chandler and Joey smile, but when Ross turns away look at each other with looks of horror.)
チャンドラーとジョーイは微笑んでいるが、ロスがあちらを向いた時、二人は嫌悪の顔で顔を見合わせる。
application は「申込書」。
「申込書、願書」「申し込み、応募、申請」という意味で、TOEIC 頻出の単語ですね。
チャンドラーがロスについて、アパートの経営者に嘘の悪口を言ったことで、入居を断られてしまったわけですが、チャンドラーたちは寝耳に水のように、「冗談だろ、嘘だろ」と驚いたふりをしています。
ロスはがっくりしながらも、良いニュースもあるんだよ、と言っています。
the good news is (that)... は、「良いニュースは、…ということだ」ですね。
フィービーのところにしばらく世話になる、というロスを必死に引き止める二人。
roomie は、roommate の俗語表現ですね。
ロスが二人の部屋に引っ越して来た最初、ロスは二人を見るなり、"Hey, roomies!" と呼びかけていました。
「ルームメイトくん」みたいに、より親密な表現を使って、ルームメイトになった喜びを表現してい
たわけですが、越してきたばっかりなのに、もうすっかりルームメイトとして一人で盛り上がっちゃってる、みたいな感じも出ていました。
今度は、いったんはロスを追い出そうとしたジョーイがその言葉を使って、「他の人のとこに泊まるなんてだめだよ、(ロスも言ってたように)俺たち、ルーミー(ズ)だろ」と返しているのが面白いなと思いました。
「俺たち、友達だろ」というよりも、「俺たち、ダチだろ」と言う方が、より親密度が増すのと同じ感覚だと思います。
そんな、水くさいこと言うなよ、という感じでしょう。
take up は「(時間・場所)を取る、占める」。
二人のスペースを取っちゃうような僕は必要ないだろ、いない方がいいだろ、とロスが言うので、「場所なんかいっぱいあるさ」とそれを否定しようとするのですが、やはりスペースらしいスペースはなく、結局、スピーカーの横のわずかなスペースを指し、ほら、そこがあるじゃん、と言うしかないジョーイにも笑えます。
Please, just stay. の just は、このように命令形に付いた場合、「ただ、そうしてくれ、何も言わずにとにかくそうしてくれ」というニュアンスが出ますね。
ロスは自分のことを pimp (ポン引き)と言われた話を持ち出します。
a pain in the ass を直訳すると「尻(というより、むしろ、ケツ)の(中の)痛み」ということで、「イライラさせるやつ・こと、とてもいやなやつ・こと」という意味になります。
ass は、上にも書いたように、「尻」というよりも「ケツ」が近い感じで、英語でも卑語扱いになっています。
ですから、a pain in the ass はかなり下品な表現で、同様の意味では、通常は、a pain in the neck のように、neck 「首、頚部(けいぶ)」が使われることが多いです。
英辞郎[第ニ版]の pain in the neck の説明に、興味深いことが書いてありました。
pain in the neck
【用法】neck の代わりにいろいろな卑語が使われるが、アメリカ映画では pain in the ass のパターンが最も多く使われる。ただし、テレビ番組で pain in the ass [butt]が使われることはない。
このように、「テレビ番組で使われることはない」と断言されている pain in the ass が、今回のエピソードでは、ばっちり登場しちゃっていますね。
となると、「テレビ番組で使われることはない」と言い切れないことになるわけですが、私は別に揚げ足取りをしたいわけではなく、そのように説明されているくらい、ass を使ったバージョンは下品である、ということに気付くことが大切だと思うのです。
特にこの場合は、ロスは自分のことをそう呼んでいるわけで、そんな卑語の入った強烈な表現を使うほど、自分は、いけすかないやつになることがある、って自分でもわかってるから…と反省の気持ちを述べていることになるわけです。
a pimp と言われたことについては怒ってないよ、実際に僕は、a pain in the ass になったりすることがあるからね、と言うことで、自分の悪いところをちゃんと自覚してるよ、と言っていることになります。
アルクの「起きてから寝るまで表現550」(私が持っているのは、1991年版。大学生の時に買ったもの)の、p.122 にも、
Reading manuals is a pain in the neck. 「マニュアル読むのってめんどうくさいんだもん。」
という例文が載っていました。
その解説にも、
a pain in the neck は「骨の折れること、めんどうくさいこと」。俗語では、a pain in the ass もよく使う。
と出ています。
ちなみに、この「起きてから寝るまで表現550」の完全改訂版も少し前に発売されましたね。
Amazon.co.jp: 起きてから寝るまで英語表現700
私はこの「起き寝る」シリーズが好きで、上に挙げた(古い方の)「正編」と、「日常生活編」というのを持っています。
どちらも、生き生きした英文が満載で、自分が英語を書く時に、よく参考にしていました。
ですから、このシリーズの改訂版が発売になったと聞いて、「やっぱりね」と思ったりしたものです。
その例文はフレンズのセリフと同様のノリを感じさせるところもありますから、映画やドラマで英語を学びたい人のニーズに合うフレーズ集だと思います。
(フレンズのセリフに戻ります)
bother も annoy も「いらいらさせる、悩ませる」という意味の他動詞ですね。
ですから、それに -ing をつけて形容詞化した bothering や annoying は「うっとうしい」という意味になります。
the 'quiet down' maneuver は、このエピソードの中間あたりでロスがやっていた、「静かにして、抑えて」を手で表現するしぐさ・手の動きのこと。
音をもうちょっと抑えて…と、両手の指で上から押すようなしぐさをするのですが(ここは実際に映像で確認していただきたいところ)、それをする時に、うっとうしそうな顔で目も細めるんですよね(笑)。
口ではっきり「静かにしてくれ」と言われた方がましだな、と思えるくらい、確かに annoying なしぐさなのですが、「僕にうっとうしい癖があったら何でも言ってね、僕はその癖をこうするからさ…」みたいに言いながら、「抑える、控える」という意味で、最高に annoying なこのしぐさをしている、というのが、このセリフのポイントになります。
「何がうっとうしいって、それが一番うっとうしいんだよっ!」とつっこみたいところですね。
親友のロスのために、部屋を提供することを決めた二人ですが、反省を口にしながらも、友人を嫌がらせる癖を自覚していないロスの様子を見て、ぞっとした顔になっているのも納得ですね。
またこれを見続けなくちゃいけないのかよ、という感じでしょう。
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ロス: Hey. So I uh, I didn't get that apartment. Some problem with my application. (やあ。それで、その、僕はあのアパートを手に入れることができなかった。申込書に問題があって。)
ジョーイ: You're kidding! (まさか!)
チャンドラー: You're kidding, no! (まさか、うそだろ!)
ロス: Yeah. But, the good news is Phoebe said I could stay at her place for a while. So.... (そうなんだ。でも、良いニュースもあって、自分のところにしばらくいていいってフィービーが言ってくれたんだ。だから…)
ジョーイ: Well, you can't stay with Phoebe, Ross! We're, we're roomies! (そんな、フィービーといっしょにいるなんてだめだよ、ロス。俺たちは、俺たちはルームメートじゃないか!)
ロス: Look, you guys don't need me here taking up your space. (ねぇ、君たちの場所を取っちゃうから、僕はここにいて欲しくないだろ。)
ジョーイ: Well, we got plenty of space! There, there's still some over there (Points to where the window is but sees that there isn't any space there and points towards his door.) by, by that speaker. Please, just stay. (そんな、俺たちはスペースはいっぱいあるさ! そっちに、まだいくらかスペースがあるよ [窓がある場所を指差すが、そこには全くスペースがないのに気付き、自分の(寝室の)ドアの方向を指差す] そのスピーカーの横に。お願いだよ、(何も言わずに)ただここにいてくれよ。)
チャンドラー: Yeah! (そうだよ!)
ロス: Are you guys sure about this? (この話、本当[本気]なの?)
ジョーイ: Definitely. (もちろん。)
チャンドラー: Yes, Ross, you have to stay! (そうだよ、ロス。お前はここにいなくちゃいけないんだ!)
ロス: All right. (わかった。)
ジョーイ: All right! (よし。)
チャンドラー: All right, buddy! (それでいいよ、ロス[友よ]。)
ロス: So I'm a pimp, huh? It's okay! Look, I know sometimes I can be a pain in the ass. But you just have to talk to me. Tell me if something is bothering you, okay? And for my part, I'll really do everything I can to keep my annoying habits, you know, just.... (Does the 'quiet down' maneuver). (それで、僕はポン引きだって? それは(別に)いいんだよ! ねぇ、時々、僕はうっとうしいやつになるってこと、わかってるよ。でも、君らは僕に話してくれなくちゃ。もし何かうっとうしいことがあれば僕に言ってよ、ね? そして、僕としては、できることはほんとに何でもするからさ、僕のうっとうしい癖を、ほら、こうするために… [例の”静かにする・抑える”の動き[しぐさ]をする])
(Chandler and Joey smile, but when Ross turns away look at each other with looks of horror.)
チャンドラーとジョーイは微笑んでいるが、ロスがあちらを向いた時、二人は嫌悪の顔で顔を見合わせる。
application は「申込書」。
「申込書、願書」「申し込み、応募、申請」という意味で、TOEIC 頻出の単語ですね。
チャンドラーがロスについて、アパートの経営者に嘘の悪口を言ったことで、入居を断られてしまったわけですが、チャンドラーたちは寝耳に水のように、「冗談だろ、嘘だろ」と驚いたふりをしています。
ロスはがっくりしながらも、良いニュースもあるんだよ、と言っています。
the good news is (that)... は、「良いニュースは、…ということだ」ですね。
フィービーのところにしばらく世話になる、というロスを必死に引き止める二人。
roomie は、roommate の俗語表現ですね。
ロスが二人の部屋に引っ越して来た最初、ロスは二人を見るなり、"Hey, roomies!" と呼びかけていました。
「ルームメイトくん」みたいに、より親密な表現を使って、ルームメイトになった喜びを表現してい
たわけですが、越してきたばっかりなのに、もうすっかりルームメイトとして一人で盛り上がっちゃってる、みたいな感じも出ていました。
今度は、いったんはロスを追い出そうとしたジョーイがその言葉を使って、「他の人のとこに泊まるなんてだめだよ、(ロスも言ってたように)俺たち、ルーミー(ズ)だろ」と返しているのが面白いなと思いました。
「俺たち、友達だろ」というよりも、「俺たち、ダチだろ」と言う方が、より親密度が増すのと同じ感覚だと思います。
そんな、水くさいこと言うなよ、という感じでしょう。
take up は「(時間・場所)を取る、占める」。
二人のスペースを取っちゃうような僕は必要ないだろ、いない方がいいだろ、とロスが言うので、「場所なんかいっぱいあるさ」とそれを否定しようとするのですが、やはりスペースらしいスペースはなく、結局、スピーカーの横のわずかなスペースを指し、ほら、そこがあるじゃん、と言うしかないジョーイにも笑えます。
Please, just stay. の just は、このように命令形に付いた場合、「ただ、そうしてくれ、何も言わずにとにかくそうしてくれ」というニュアンスが出ますね。
ロスは自分のことを pimp (ポン引き)と言われた話を持ち出します。
a pain in the ass を直訳すると「尻(というより、むしろ、ケツ)の(中の)痛み」ということで、「イライラさせるやつ・こと、とてもいやなやつ・こと」という意味になります。
ass は、上にも書いたように、「尻」というよりも「ケツ」が近い感じで、英語でも卑語扱いになっています。
ですから、a pain in the ass はかなり下品な表現で、同様の意味では、通常は、a pain in the neck のように、neck 「首、頚部(けいぶ)」が使われることが多いです。
英辞郎[第ニ版]の pain in the neck の説明に、興味深いことが書いてありました。
pain in the neck
【用法】neck の代わりにいろいろな卑語が使われるが、アメリカ映画では pain in the ass のパターンが最も多く使われる。ただし、テレビ番組で pain in the ass [butt]が使われることはない。
このように、「テレビ番組で使われることはない」と断言されている pain in the ass が、今回のエピソードでは、ばっちり登場しちゃっていますね。
となると、「テレビ番組で使われることはない」と言い切れないことになるわけですが、私は別に揚げ足取りをしたいわけではなく、そのように説明されているくらい、ass を使ったバージョンは下品である、ということに気付くことが大切だと思うのです。
特にこの場合は、ロスは自分のことをそう呼んでいるわけで、そんな卑語の入った強烈な表現を使うほど、自分は、いけすかないやつになることがある、って自分でもわかってるから…と反省の気持ちを述べていることになるわけです。
a pimp と言われたことについては怒ってないよ、実際に僕は、a pain in the ass になったりすることがあるからね、と言うことで、自分の悪いところをちゃんと自覚してるよ、と言っていることになります。
アルクの「起きてから寝るまで表現550」(私が持っているのは、1991年版。大学生の時に買ったもの)の、p.122 にも、
Reading manuals is a pain in the neck. 「マニュアル読むのってめんどうくさいんだもん。」
という例文が載っていました。
その解説にも、
a pain in the neck は「骨の折れること、めんどうくさいこと」。俗語では、a pain in the ass もよく使う。
と出ています。
ちなみに、この「起きてから寝るまで表現550」の完全改訂版も少し前に発売されましたね。
Amazon.co.jp: 起きてから寝るまで英語表現700
私はこの「起き寝る」シリーズが好きで、上に挙げた(古い方の)「正編」と、「日常生活編」というのを持っています。
どちらも、生き生きした英文が満載で、自分が英語を書く時に、よく参考にしていました。
ですから、このシリーズの改訂版が発売になったと聞いて、「やっぱりね」と思ったりしたものです。
その例文はフレンズのセリフと同様のノリを感じさせるところもありますから、映画やドラマで英語を学びたい人のニーズに合うフレーズ集だと思います。
(フレンズのセリフに戻ります)
bother も annoy も「いらいらさせる、悩ませる」という意味の他動詞ですね。
ですから、それに -ing をつけて形容詞化した bothering や annoying は「うっとうしい」という意味になります。
the 'quiet down' maneuver は、このエピソードの中間あたりでロスがやっていた、「静かにして、抑えて」を手で表現するしぐさ・手の動きのこと。
音をもうちょっと抑えて…と、両手の指で上から押すようなしぐさをするのですが(ここは実際に映像で確認していただきたいところ)、それをする時に、うっとうしそうな顔で目も細めるんですよね(笑)。
口ではっきり「静かにしてくれ」と言われた方がましだな、と思えるくらい、確かに annoying なしぐさなのですが、「僕にうっとうしい癖があったら何でも言ってね、僕はその癖をこうするからさ…」みたいに言いながら、「抑える、控える」という意味で、最高に annoying なこのしぐさをしている、というのが、このセリフのポイントになります。
「何がうっとうしいって、それが一番うっとうしいんだよっ!」とつっこみたいところですね。
親友のロスのために、部屋を提供することを決めた二人ですが、反省を口にしながらも、友人を嫌がらせる癖を自覚していないロスの様子を見て、ぞっとした顔になっているのも納得ですね。
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