2010年11月29日

商用ジェット機を操縦する フレンズ5-11その2

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[Scene: Monica and Rachel's, after the party. Everyone has left, except for the gang.]
モニカとレイチェルの部屋。(新年を迎えた)パーティーの後。フレンズ以外の人たちはみんな帰ってしまっている。
ロス: Y'know what? I'm gonna go out on a limb and say, "No divorces in '99!" (ねぇ? 僕は思い切って言うよ、「1999年は離婚はナシ!」って。)
レイチェル: But your divorce isn't even final yet. (でも、あなたの離婚はまだ確定してないんでしょ?)
ロス: Just the one divorce in '99! Y'know what, I am gonna be happy this year. I am gonna make myself happy. (1999年は1回だけの離婚にするぞ! ねぇ、今年は僕は幸せになるんだ。僕は自分自身を幸せにするんだよ。)
チャンドラー: Do you want us to leave the room, or...? (俺たちに部屋を出て行って欲しい? それとも…?)
ロス: Every day, I am gonna do one thing I have never done before. That, my friends, is my New Year's resolution. (毎日、僕はこれまでにしたことのないことを1つするつもりだ。それがね、みんな、僕の新年の決意なんだよ。)
フィービー: Ooh! That's a good one! Mine is to pilot a commercial jet. (うー! それは良い決意ね! 私の(決意)は商用[民間営業用]ジェット機の操縦をすることよ。)
チャンドラー: That's good one too, Pheebs. Now all you have to do is find a planeload of people whose resolution is to plummet to their deaths. (それも良い決意だね、フィービー。今、君は、(新年の)決意が落ちて死ぬこと、っていう人を飛行機1台分見つけたらいいだけだね。)

go out on a limb は「危険な・不利な・困難な立場になる、孤立無援の状態になる、危険を冒す」というような意味。
limb は「(木の)枝」なので、直訳すると「枝の上に乗り出して」ということになります。
out on a limb というフレーズは、
フレンズ3-1その14フレンズ4-5その1 にも出てきました。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
go/be out on a limb : to do something risky or uncertain
つまり、「危険な、または不確かなことをすること」。
ロスのセリフは、危険を恐れずに思い切って言っちゃうけど、とか、危険かもしれないけどあえてこう言うよ、みたいなニュアンスかなと思います。

最初の妻キャロルと離婚し、イギリス人エミリーとの結婚も破綻し、ロスは今、バツ2状態。
離婚の話は友人たちにもよくネタにされるので、「今年は離婚ナシの年にするぞ!」と高らかに宣言しているわけですね。

ですがレイチェルに早速ツッコミを入れられてしまいます。
final は「ファイナル」と日本語になっているように、「最後の、最終の」という意味があり、また「決定的な、確定的な」という意味もあります。
今回のセリフは、「決定的な、確定的な」というニュアンスで、But your divorce isn't even final yet. を直訳すると、「でも、あなたの離婚はまだ、決定的になってさえいないでしょ」のようになるでしょうか。
離婚手続きが完全には済んでなくて、まだ正式には離婚してないわけでしょ?、これから正式に離婚することになるんだから、99年は少なくとも1回の離婚は確定してるんじゃない?みたいなツッコミですね。

ちょうど、英辞郎の final の例文に以下のものがありました。
Our divorce became final just recently. 「つい先日、正式に離婚しました。」
まさに、final が今回のセリフと同じ状況・ニュアンスで使われている例文ですね。

そんな風につっこまれたロスは、レイチェルに文句も言わず、言い訳もせず、たださきほどの「離婚はナシ」宣言を「離婚は1回きり」宣言に、何事もなかったかのように変えるのも面白いです。
1回は決まってるからそれはしょうがないとして、今年はそれ以上は離婚しないぞ!と誓っているのですね。

ロスは、「僕は今年は幸せになるんだ」と言った後、I am gonna make myself happy. 「僕は自分自身を幸せにするんだ、するつもりだ」と言っています。
それに対するチャンドラーの返しは、彼お得意のエッチネタ。
Do you want us to leave the room, or...? を直訳すると、「ロスは俺たちにこの部屋を出て行って欲しいと思ってる? それとも…?」みたいな感じ。
「俺たちに席を外して欲しい? ロスは今、一人になりたい?」みたいに言っているわけで、それはつまり、「今からこの部屋で一人になって、一人エッチをするつもり?」みたいに言ってからかっているのですね。

「自分自身を幸せにする」というフレーズは、普通に聞けば文字通りの抽象的な意味に聞こえますが、その myself の部分にちょっとエッチなニュアンスを持たせて解釈すると(日本語で言うと、「俺”自身”」のように「自身」をやたらと強調する感じ?…笑)、自分で自分を幸せにする、自分で自分を気持ち良くさせる、自分で自分の身体(もしくは、象徴的な大切な部分)を気持ち良くする…というような意味にも聞こえてしまいます。

フレンズ1-17 で、お猿のマルセルが窒息しかかっており、動物病院ではない(人間用の)病院で何とか診てもらおうとしていた時のロスのセリフに以下のものがありました。
ロス: He touches himself when nobody's watching. (誰も見ていない時には、彼(マルセル)は自分自身を触るんだよ。)

これも、himself というのは、彼の身体、というよりも、ある特定の部位を指している感覚がありますよね。
マルセルは人間と同じなんだよ、こんなことだってするし…と挙げた例の一つがこれだったわけですが(笑)、一人エッチをするくらい彼は人間的なんだぞ、と言っているわけですね。

チャンドラーはまさにそのマルセルのことを語るロスのセリフと同じようなことを、ロスに対して言っていることになります。
「見られてるとやりにくいだろうから、それじゃあみんなで外に出ようか?」みたいに言っているわけですね。
意味としては「一人エッチをするつもりか?」と言っているわけですが、ダイレクトにはそう言わず、「一人にして欲しい?」とだけ言っているのが、このジョークの面白いところだなぁ、と思いました。

That, my friends, is my New Year's resolution. のカンマに挟まれた my friends は、フレンズたちに対する呼び掛けで、文頭や文尾に来ることが多いそういう呼び掛け語を、「いいかい、みんな」みたいに注意を引くために、わざと文の間に挿入している感じですね。
New Year's resolution は文字通り「新年の決意」。新年の抱負や新年の誓い、でもいいでしょう。
どこの国の人でも、一年の最初には何かを決意したくなるものなのですねぇ(笑)。

ロスの新年の決意を聞いて、フィービーも自分の決意を述べています。
commercial は日本語にもなっている「コマーシャル」ですが、形容詞としては、「商業の、商用の」という意味になり、a commercial jet は「商用・民間営業用ジェット機」というニュアンスになります。
わざわざ commercial と付けているのは、a private jet 「自家用ジェット機」との対比でしょうね。
(お金持ちがよくやるように)自家用ジェット機を買ってそれを操縦する、とかじゃなくて、航空会社が飛ばしているジェット機のパイロットをしてみたいのよ、という感じでしょう。

その決意を聞いて、いつものようにちゃちゃを入れるチャンドラー。
Now all you have to do is find a planeload of people whose resolution is to plummet to their deaths. の文の構造の基本は、all you have to do is (to) find... になります。
「君がしなければならないことのすべては…を見つけることだ」という構造ですね。
つまり、「君は…を見つけさえすればいい」と、あるものを find しさえすればその夢は叶うね、と言っていることになります。
で、何を見つけるか、ということが、find 以下で語られています。

find a planeload of people whose resolution is to plummet to their deaths の構造について。
planeload は「飛行機の搭載量」のことなので、a planeload of people は「飛行機1台分の人々」というところ。
whose 以下で、その人々の決意が、to plummet... である人、だと説明を付け加えています。
plummet は「まっすぐに落ちる、急落する」という自動詞。
物価などが落ちる、という意味でも使われるため、ビジネス英語でもちょくちょく見かける単語です。
今回のセリフの plummet to their deaths は「死に向けて落ちる、急落して死に至る」というようなニュアンスでしょうか。
簡単に言うと、「落ちて死ぬ」みたいな感じですね。

チャンドラーは、「今年は高いところから落ちて死ぬぞ!というのを新年の決意にしているような人を、飛行機一台分見つけることができたら、フィービーの願いは叶っちゃうね」と皮肉を言っているのです。
飛行機を操縦したこともないのに、いきなり商用ジェットだなんて、そんなパイロットが操縦する飛行機にお金を出して乗り込む物好きはいないよ、自殺願望のある人なら別だけど、みたいに言って、からかっている感じですね。


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posted by Rach at 13:45| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月26日

どちらかと言えばどっちがいい? フレンズ5-11その1

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シーズン5 第11話
The One with All the Resolutions (新年の誓い)
原題は「決意ばかりの話」


モニカとレイチェルの部屋で大晦日のパーティーが行なわれています。
恋人同士のチャンドラーとモニカは、「新年のキスをしたいけど、誰もする様子がないから(自分たちだけすると目立っちゃうし)…」と悩んでいます。
二人の仲を知っているジョーイは、俺が何とかしてやるよ、俺に任せとけ、とばかりに、他のフレンズたちのところに向かいます。
(新年を迎えた瞬間に誰かとキスをする、というシーンは、フレンズ1-10 にも出てきました。)
ジョーイ: Ross! Ross! Ross, listen! Who are you kissing at midnight, huh? Rachel or Phoebe? (ロス! ロス! ロス、なぁ! 真夜中にロスは誰とキスするつもりなんだ? レイチェルかフィービーか?)
ロス: What? (何だって?)
ジョーイ: Well, you gotta kiss someone, you can't kiss your sister. (ほら、誰かにキスしなくちゃいけないだろ。お前は自分の妹とはキスできないし。)
ロス: Who's gonna kiss my sister? (誰が妹にキスすることになってるの?)
ジョーイ: Chandler. (チャンドラーだよ。)
ロス: Oh , man! Really? (あぁ、なんてこった! ほんとに?)
ジョーイ: Dude, dude, who would you rather have kiss your sister, me or Chandler? (なぁ、おい、お前はどちらかと言えば誰が妹にキスして欲しい? 俺か、チャンドラーかだったら。)
ロス: That's a good point. (それはいい点をついてるね。)
ジョーイ: Yeah. (そうだろ。)
ロス: Oh well, since I have that whole history with Rachel, I guess Phoebe. (あぁ、そうだなぁ、僕はレイチェルとはああいう過去があるから、(キスする相手は)フィービーかな。)
ジョーイ: Okay, great! (よし、それでいい。)
ロス: All right. (オッケー。)
ジョーイ: Pheebs! Pheebs! Listen. Ross wants to kiss you at midnight. (フィービー! フィービー! ねぇ、ロスは真夜中に君とキスしたいって。)
フィービー: So obvious. Why doesn't he just ask? (すっごくミエミエね。どうしてロス(自身)が頼まないの?[ロスが自分で頼めばいいのに])
ジョーイ: Rach! Rach! Listen, I'm gonna kiss you at midnight. (レイチェル! レイチェル! ねぇ、真夜中に俺が君にキスするからね。)
レイチェル: What? (何ですって?)
ジョーイ: Well, everyone's gotta kiss someone. You can't kiss Ross. You got the history. (ほら、みんな誰かにキスしないといけないだろ。君はロスとキスできない。君には過去があるからさ。)
レイチェル: So? (それで?)
ジョーイ: So? Who would you rather have kiss you, me or Chandler? (それで、って? どちらかと言えば誰が君にキスして欲しい? 俺かチャンドラーかだったら。)
レイチェル: Oh, good point. (あぁ、いい点をついてるわね。)
ジョーイ: Yeah! (そうだろ!)

Who are you kissing at midnight, huh? は「近い未来の予定」を表す現在進行形ですね。
at midnight は「真夜中に」という時点を表していて、カウントダウンでゼロ!になった瞬間の真夜中にキスすることを指しています。

you gotta kiss someone の gotta は got to = have got to = have to ということで、「お前は誰かとキスしなければならない」。
ジョーイは「新年だから誰かとキスしなくちゃな」と、それが決まりごとであるかのように言ってみせているのですね。
カウントダウンではしゃいでいたロスは、誰かとキスするつもりはなかったようなので、「ほら、新年恒例のキスをお前も誰かとするんだろ?」みたいに思い出させている感じです。
そうして、キスする相手は妹以外から選ばなくちゃな、実の妹にはキスできないだろ、と上手く話を進めていきます。

Who's gonna kiss my sister? の be gonna (= be going to) は、「このまま行くとこうなる」という予定を表しています。
ジョーイの言い方だと、妹モニカのキスの相手はもう決まってるみたいだけど、それは誰?というニュアンスですね。
相手がチャンドラーと聞いてがっかりしたような声を出す兄のロスですが、次のジョーイの一言で、ロスの態度がころっと変わるのが面白いです。

Who would you rather have kiss your sister, me or Chandler? について。
ここでは、使役動詞 have が使われています。
have someone kiss your sisiter で、「誰かに、妹にキスさせる」という意味になります。
使役動詞には他に、make や let などもありますが、「強制」的にキスさせるという make でもなく、キスすることを「許可」するという let でもない、もっとニュートラルな感じの have という使役動詞が使われていることにも注目して下さい。
直訳すると、「誰かが妹にキスする、という状態を持つ」というような感じでしょう。
その someone に当たる部分を、疑問詞 who にして文頭に出したのが、今回のセリフになります。
誰?と尋ねた後で、文の終わりに、A or B で選択させる形ですね。

would rather は「むしろ…したい」。
would rather A than B なら、「B するよりはむしろ A したい、B するくらいならいっそ A するほうがよい」という意味になります。
rather には「どちらかと言えば、むしろ」というニュアンスがあるためにそういう意味になるのですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
would rather : used when you would prefer to do or have one thing more than another.
つまり、「別のものよりも、あることの方をする、あるいは持つことを好む時に使われる」。

今回のセリフも、rather が入っているために、「もし、俺とチャンドラーのうちのどっちかを選ばないといけないとしたら? 二人のうちのどちらかと言えばどっちになる?」というニュアンスが感じられます。
相手がチャンドラーと聞いて、えー?みたいにいやそうに言ったロスに対して、「ロスはそんな風に言うけど、俺よりはむしろチャンドラーの方がましだと思うだろ?」と言ってみせているわけで、「あえて選ぶとすれば?」という「究極の選択」の選択肢の一つに自らを投入している感じです。
そう言われて、「それは良い点をついてるね。それもそうだね」みたいにあっさり了解するロスには笑ってしまいました。
プレイボーイのジョーイよりはチャンドラーの方がましだ、とロスは思ったでしょうし、フレンズ5-9 のラストでの「ジョーイとモニカがロンドンで寝た」という話を思い出したのかもしれません。
こうして、兄ロスが、チャンドラーとモニカのキスをあっさり認めたところで、ロスに相手を選ばせるジョーイ。

since は理由を表し、history は「経歴」のようなニュアンス。「過去」と訳しても良いかもしれません。
LAAD では、
history : SOMEBODY'S ACTIONS/EXPERIENCES all the things that someone has done or experienced
つまり、「誰かがしてきた、または経験してきたすべてのこと」。

I have that whole history with Rachel の that whole history は、ジョーイたちも知ってる「あの、例の」、あんなことやこんなことがたくさんあったそういう「全部の」 history みたいなニュアンスが感じられます。
レイチェルは元カノで、くっついたり離れたりとこれまでいろんな経緯があったから、という感じですね。

ロスが、妹と元カノ以外のフィービーを選んだのを確認して、今度はそのことをフィービーに伝えるジョーイ。
「ロスは新年のキスをフィービーとしたい、ってよ」と報告すると、「どうして?」とも聞かずに、So obvious. Why doesn't he just ask? と答えるフィービーが彼女らしいです。
obvious は、「(疑問の余地がないほど)明らかな、明白な」。
「ロスが私とキスしたいって? そんなこと、ミエミエだったからわかってたわよ、そんなことだろうと思ったわ」みたいな、「あたし、モテすぎて困っちゃうのよねぇ」みたいな感じの、自信満々のセリフになります。

Why doesn't he just ask? を直訳すると、「どうして、彼が(ただ)頼まないの?」みたいな感じでしょうか。
私と新年のキスをしたいのなら、ロスが自分で私に頼みにくればいいだけのことなのに、わざわざジョーイに伝えてもらうなんて、彼、恥ずかしいのかしら?みたいな余裕のセリフのように聞こえます。

キスする2組のカップルを完成させて、最後にジョーイはレイチェルのところに行きます。
真夜中のキスは俺とだからね、と言われて、は?となっているレイチェルに、ロスとはいろいろ過去があるから無理だろ、と説明するジョーイ。
レイチェルの So? は、そのジョーイの説明だけでは満足できず、さらなる説明を求めるニュアンス。
ロスとキスできないのはわかるけど、だからってどうして即、ジョーイとキスすることに決まっちゃうのよ?という感じです。

そこでジョーイが「俺とチャンドラーのうち、どちらかと言えばどっちがいい?」と、さっきロスに言ったのと同じような質問をするのに笑ってしまいます。
この場合は、「レイチェルが誰かにキスさせるとしたらどっちがいいか?」を尋ねています。
ジョーイは、モテないチャンドラーよりは、プレイボーイでキスの上手い俺の方がいいだろ?みたいに言っているのですね。
ジョーイとチャンドラーの二択なら、やっぱりジョーイを選ぶことになるわねぇ、とあっさりそれを認めるレイチェル。
ここでも、ロスの時と同じように、good point という返事になっているのも面白いです。
兄が選ぶ妹のキスの相手はプレイボーイじゃない方(もてない方)、女の子が自分で選ぶキスの相手はプレイボーイの方(もてる方)…という心理を突いて、ジョーイは上手く相手を丸め込んだ感じですね。

ジョーイにしては手際が良すぎる感じではありますが(笑)、まぁ、プレイボーイの彼なので、恋愛がらみの話では頭がよく回転する、ということはあるでしょう。
また、ドラマの脚本としてもテンポが良く、みんなが疑問にも思わずすんなり納得し丸く収まる様(さま)が実に見事だな、と感心しました。


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posted by Rach at 11:57| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月24日

これ以上ないくらいゴメン フレンズ5-10その7

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基本的には、「1エピソードは「その6」まで」にしているのですが、今日はご紹介したいセリフがあったので、「その7」の記事を投稿します。

ジョーイに映画の脚本を書けとアドバイスし、たくさんのノルマを課すロスですが、チャンドラーがジョーイをゲームに誘うので、脚本が一向にはかどりません。
ロスが「ゲームでジョーイの邪魔をするな」とチャンドラーに言えば、チャンドラーは「自分が休職中で退屈だからって、ジョーイにあれこれ指示するな」とロスに言い、二人は大喧嘩。
喧嘩状態が続いている二人のところに、図書館で今日の分の脚本を書いてきたぞ!と嬉しそうに帰ってきたジョーイは、その脚本を声に出して読んでくれ、と二人に頼みます。
(引用符がついている部分は、脚本のセリフを読んでいることを表しています。)
ジョーイ: Okay. (Reading.) "It's a typical New York City apartment. Two guys are hanging out." Ross (Points to him.) (よし。[(脚本を)読む] 「よくあるニューヨーク市のアパートメント。二人の男が(ぶらぶらと)時を過ごしている。」 ロス。[(脚本を読むようにとロスを指差す])
(Ross and Chandler start to read Joey's script aloud.)
ロスとチャンドラーは、ジョーイの脚本を声に出して読み始める。
ロス: "Hey, man." (「やぁ。」)
チャンドラー: "What is up?" (「調子はどうだい?」)
ロス: "About yesterday. I was really wrong. I am sorry." (「昨日のことだけど。僕が本当に間違ってた。ごめんよ。」
チャンドラー: "No, it was me. I'm sorry. I overreacted." (「いいや、俺のせいだよ。ごめん。俺が過剰に反応しすぎた。」)
ロス: "Maybe it was both of us. But we had our best friend's interest... (Pauses and looks at Joey.) But we had our best friend's interest at heart." (「多分、僕らふたりのせいだよ。でも、僕らは親友のため… [読むのをやめ、ジョーイを見る] でも、僕らは親友のためを思ってたんだ。」)
チャンドラー: "Could I be more sorry?" (Looks at Joey.) (「これ以上ないってくらいに、ごめん。」 [ジョーイを見る])

What's up? じゃなくて、What is up? になったりしている、わざとらしい挨拶のセリフ(笑)の後、いきなりロスが謝るセリフが続きます。
僕が間違っていたよ、ごめん、と謝るロスに対して、チャンドラーは、It was me. と言っていますね。
これは「(いやお前のせいじゃなく)俺のせいだった。悪いのは俺の方だった。原因は俺だった」というようなニュアンスですね。
その後のロスのセリフの、it was both of us. も、「俺たち二人のせいだった」ということで、どちらか一人のせいじゃなく、二人とも責任がある、二人とも悪い部分があった、というニュアンスになります。

overreact は「…に過剰に反応する」。overreaction 「オーバーリアクション、過剰反応」は日本語になっていますよね。
俺も大人げなくムキになっちゃってごめん、みたいな感じ。

we had our best friend's interest... というセリフを読んだところで、ロスはジョーイの意図に気付き、ジョーイを見つめます。
interest はここでは「利益、利害、ため」というような意味ですね。
一度、絶句した後、再び読み直すと、そのセリフは、we had our best friend's interest at heart となっています。
have 〜 at heart を直訳すると、「〜を心に持っている」ということですから、「〜を心にかけている」という意味になります。
英辞郎では、以下のように出ています。

have ~ at heart=〜を心にかけている、〜を切望する
例) That selfish guy always has his own interest at heart. 「あのわがまま者はいつも自分の利益を考えている。」


ちょうどその例文にも、interest が使われていますね。
その例文の場合は、「自分の利益ばかり考えている」みたいな悪い意味ですが、今回のセリフは「親友の利益を考えている」という友情に厚い友の行為を指していることになります。
僕たちは喧嘩したけど、それは自分たちの大切な親友の利益を考えて、親友のためを思ってしたことだったんだ、というセリフなのですね。

ロスとチャンドラーが、自分のためを思っていろいろやってくれていたのがわかっていたジョーイは、これ以上二人が喧嘩するのを見たくなかった、仲直りして欲しかった…だから、脚本を読んでくれと頼むことで、二人に I'm sorry. というセリフを言わせ、「お互い、親友ジョーイのためを思ってしたことだから」ということに気付かせようとしたのです。

"Could I be more sorry?" について。
これは「チャンドラーの口癖を真似(まね)たセリフ」ですね。
チャンドラーの口癖のパターンの基本形は、
"Could 名詞 BE any 形容詞の比較級 ?"
です。
今回のセリフには、any はついていませんが、そのバリエーションなのは間違いありません。
これまでに出てきた口癖については、過去記事、チャンドラーの口癖の話 フレンズ3-2その29 で詳しく説明しています。

今回のセリフの音声も、いつものチャンドラーの口癖の言い方と同じように、Could I BE more sorry? と be を強調して読んでいます。
チャンドラーは「俺ならこんな風に言うだろう…ってか?」みたいな顔をジョーイに向け、ジョーイは「な、お前っぽいセリフだろ?」みたいに得意気で嬉しそうな顔をしています。
観客の笑い声もしばらく続き、拍手までもが起こっているのは、「チャンドラーが言いそうなセリフ」を書いたと得意になっているジョーイに笑ってしまうからですね。

直訳すると、「俺はこれ以上、sorry になれるだろうか?(いや、なれない)」という反語のニュアンスで、「もうこれ以上ないってくらい申し訳ない気持ちだよ、最高にごめん」みたいなニュアンスになるでしょう。
チャンドラーは、「いくら俺の口癖でも、こんな変な謝り方はしないぞ」と言いたいのでしょうが、そのセリフを図書館で思い付いて嬉しそうに書いていたであろうジョーイを思うと、微笑ましくてつい笑ってしまいます。

こういう言い回しが「チャンドラーの口癖」であると知らないと、このセリフの面白みも、チャンドラーのあきれた顔、ジョーイの得意気な顔の意味もわかりません。
元ネタを知っているからこそわかるジョークの典型ですし、フレンズを最初のシーズンから見ている方なら楽しめるかな?と思ったので、説明させていただきました。


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posted by Rach at 12:13| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月22日

あんな娘にはこなせない フレンズ5-10その6

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前回の続きです。
ボブ: Umm, Ginger's gonna take over this corner. (あー、ジンジャーがこの場所を引き継ぐ予定だ。)
フィービー: That chick can't handle my corner. (そんな娘に私の場所はこなせないわ。)
ボブ: Look, either you leave or we remove you. (いいか、君が去るか、もしくは我々が君を排除[解雇]するかのどっちかだ。)
フィービー: Fine. (She hands her bell to Ginger and starts to take down her signs.) (The same old lady walks by again.) All right, I'll give you one pointer. Look out for that bitch. (結構よ。[フィービーは自分のベルをジンジャーに手渡し、(バケツにつけた)掲示を取り外し始める] [同じ老婦人がまたそばを通る] いいわ、あなたに1つアドバイスをあげる。あのアマには注意して。)

横に立っている女性(Ginger)が、後を引き継ぐと告げるボス。
take over は「(職務など)を引き継ぐ、引き受ける、後任になる」。
takeover だと「引き継ぎ、引き取り、乗っ取り」、takeover bid は「TOB、株式公開買い付け」のことですね。

chick は「ひよこ」「若い女、娘」という意味。フレンズでは、「若い女」という意味でよく登場しますね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
chick [noun] [countable] :
1. BIOLOGY a baby bird
2. (spoken) (informal) a word for a young woman, sometimes considered offensive

つまり、1. は「ひな鳥」、2. は「若い女性を指す言葉、時々、侮辱的だとみなされる」。

handle は「扱う、取り扱う、処理する、対処する、さばく」のようなニュアンス。
仕事上で難題が持ち上がった時などに、I can handle this. と申し出るシーンをよく見かけます。
直訳すると「私はこれを処理することができる」ということで、「私に(この件を)やらせて・任せて下さい」という意味になるのですね。

ここでのフィービーのセリフは、「こんな若い女・若い娘に、こんな難しい場所がこなせるわけがない、私みたいに人生経験豊富な人間じゃないと無理よ」とでも言いたいような感じです。
ここでの chick は「若い女」という意味だと思いますが、日本語で「こんなヒヨッコには任せられない」みたいに表現することもあるなぁ…などと考えると、「”一人前の大人とはいえない”若い女」みたいなニュアンスも多少は含まれているのかなぁ、と思いました。
LAAD の語義にあるように、offensive 「侮辱的な」ニュアンスがこのセリフからも感じられますね。

「こんな子には無理よ」と頑張ろうとするフィービーに、ボブは、either you leave or we remove you と強い口調で言っています。
either A or B を使って、「君が(自らすすんで)この場を去るか、我々が(権限を使って強制的に)君を排除・解任するかのどちらかだ」と警告しているのですね。

remove は「取り除く、排除する」「(役職などから)解任・解雇する」。
前回の記事の説明で登場した、lint remover 「毛玉取り器」も、「毛玉を取り除くもの」という意味ですし、「リムーバー」はすでに日本語になっている感もありますね。

LAAD では、「解任する」の意味は以下のように出ています。
remove : to force someone out of an important position or fire them from a job
remove somebody from power/office etc.

つまり、「人を重要な地位から追い出す、または人を解雇する」。

今回のセリフは、動こうとしないなら強制排除する、という感じにも聞こえますし、上司の命令を聞かないなら寄付の仕事から解雇する、というようにも聞こえます。
いずれにしても、「君がいくらそこで頑張っても無駄だぞ、配置の権限はこちらにあるんだからね」という感じでしょう。

前回、この上司であるボブは、a low-profile spot ではなく、a less high-profile spot と表現し、フィービーをできるだけ刺激せずにことを穏便に済ませようとしていました。
それでも言うことを聞かないとわかると、今度は有無を言わさない強い調子で、「君が動かないなら、こちらが強制的に君を動かすまでだ」と言っています。
相手の態度に合わせて、硬軟を使い分けているところに、「やり手のビジネスマンのような雰囲気」を感じました。
もちろん、上司であり権限を持っているからこそこういう態度や発言ができるわけですが、できるだけ相手の気を悪くしないように言葉を選んだり、譲れないところはきっぱりと断言したり、という部分はビジネスにおいて大切なことだなぁ、と思ったりします。

しぶしぶ、Fine. 「わかったわ。それで結構よ」と命令を了解したフィービーは、後片付けを始めます。
さっきの老婦人がまだうろうろしているのを見て、そのことを後釜のジンジャーに忠告していますね。

pointer は「ポインター、針、指針」という意味ですが、「助言、示唆、アドバイス」という意味もあります。
LAAD では、
pointer [noun] [countable] : a useful information that helps you do or understand something (SYN: tip)
例) Larry gave me a few pointers on giving a presentation.

つまり、「何かをする、または何かを理解する助けになるような有益な情報。類義語: tip 」。
例文は、「ラリーは、プレゼンをするのに関して、2、3のアドバイスをくれた」。

look out for は「…に用心する、注意する、警戒する」。
いつまでもここをうろうろして、また何か変なものを入れるつもりかもしれないから気をつけなさいよ、とアドバイスしているということです。


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posted by Rach at 10:12| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月19日

ハイ・プロファイル フレンズ5-10その5

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有名百貨店メイシーズ(Macy's)の前で、クリスマスの寄付集めをするフィービーですが、寄付のお金を集めるバケツにゴミやタバコの吸い殻を捨てる人などが続出し、フィービーはついにキレてしまいます。
昔、ストリートで暮らしていた頃のフィービー(Street Phoebe)に戻って、慈善事業の寄付集めとは思えないような荒っぽい態度や言葉遣いになってしまっています。
フィービー: Oh, whoa, whoa, whoa! Wait a minute. Open your hand. Let me take a look. (The lady opens up her hand.) Quarter, dime. Lint? Not interested in that. (She throws the lint away.) What's this? A Canadian coin? Get outta here! (The lady walks away.) (あぁ、ちょっと、ちょっと、ちょっと! ちょっと待ってよ。手を広げて。私に見せて。[(寄付するため近寄ってきた)婦人は手を広げる] 25セント、10セント、糸くず? そんなの興味ないわ。[フィービーは糸くずを捨てる] これは何? カナダのコイン? あっちへ行って! [その婦人は歩き去る])
(Another man walks up with a drink in his hand, Phoebe stops him too.)
別の男性が手に飲み物を持って近づいてくる。フィービーは彼も止める。
フィービー: Whoa! No drinks near the bucket. Set it down over there and then you can make a contribution. (The guy starts to walk away with a hurt look on his face.) And you can leave the "hurt bunny" look over there too! (Her boss and a co-worker walk up.) Hi, Bob! (The same old lady from before walks by.) (To the old lady.) I thought I told you to get outta here! (ちょっと! バケツの近くで飲み物はだめよ。向こうの方にその飲み物を置いたら、その後に寄付することができるわ。[傷ついた表情を顔に浮かべて、その男性は歩き去ろうとする] それからその「傷ついたウサちゃん」の顔も向こうに置いてきなさいよ! [フィービーのボスと同僚が歩み寄る] はーい、ボブ! [前と同じ老婦人が傍を通る] [その老婦人に] ここから出て行って、って私はあなたに言ったと思ったけど。)
ボブ: Uh, Phoebe, we've been getting complaints and uh, we're gonna move you to a less high-profile spot. (あー、フィービー、ずっと苦情[クレーム]が来てるんだ。それで、その、君をもう少し目立たない場所に移動しようと思ってる。)
フィービー: What? (何ですって?)

whoa というのは「ちょっと待って、ちょっと待て」というニュアンス。
発音は [wou] (ウォウ)で、元々は、馬を止める時の「どーどー」という掛け声のこと。

寄付しようとした老婦人の手を開かせ、中身をチェックするフィービー。
quarter は 25セント、dime は 10セントですね。
lint を見つけたフィービーは怒ってそれを捨てています。
lint は「糸くず」。
英辞郎には、
lint catcher=洗濯機用のくず取りネット
lint remover, lint shaver=毛玉取り器

などの用語も出ています。

次に近づいてきた男性が手に飲み物を持っていたので、フィービーはまた怒っています。
寄付を始めた頃、バケツを灰皿代わりにして、タバコを捨てた人がいて、その火を消そうと近くの人の飲み物をバケツにかけたら、それがお酒だったのでさらに炎上してしまった、という苦い経験があったので、飲み物にも敏感になっているのですね。

Set it down over there and then you can make a contribution. について。
make a contribution (to...) は「(…に)寄付する、貢献する」。
寄付したかったら、まずはその飲み物をあっちに置いてきなさい、みたいなことで、慈善の寄付をお願いしている人のセリフとは思えないのもポイントです。
寄付しようとしてどうして怒鳴られないといけないんだ、みたいな気持ちで、hurt look 「傷ついた表情」を浮かべ去っていきますが、フィービーはそれにもケチをつけています。
hurt bunny は「傷ついたウサギちゃん」のようなニュアンスで、「僕ちゃんってかわいそう」みたいに哀れみを誘うような顔をしても無駄よ、そのシケた顔もそっちに置いてくるのね!みたいなことを言っているわけです。

そんな風に寄付集めというよりバケツの番人みたいになってしまっているフィービーのところに、フィービーをその場所に配置したと思われる上司と、若い女性とがやってきます。
上司が来たにもかかわらず、I thought I told you to get outta here! と老婦人を追い払うフィービーもすごいです。
I thought I told you to... は「…しろとあなたに言った(はず)だと思うけど」みたいなニュアンスで、ここから立ち去れって言った警告を聞いてなかったの? 私の言った通り、とっととどっかに消えなさいよ!みたいな感じのセリフになります。
I told you. なら、「(私は確かにあなたに)言ったでしょ。だから言ったのに。言わんこっちゃない」というような意味ですね。
自分が前に注意・警告していたにもかかわらず、それを無視して失敗してしまった相手などに言う決まり文句です。

上司のボブは、we've been getting complaints と言っています。
直訳すると、「我々は苦情・クレームをずっともらい続けている」で、継続を表す現在完了進行形ですね。
「ひっきりなしに、じゃんじゃん苦情が来るんだ」みたいな感じでしょう。

we're gonna move you to a less high-profile spot について。
profile は日本語で言う「プロフィール、人物紹介」も指しますが、英語の発音は「プロゥファイル」という感じ。
元々は「(人の)横顔」という意味です。
profile は動詞で「輪郭を描く」という意味もあり、犯罪捜査の用語でよく使われる「プロファイリング」はその意味から来た言葉ですね。

high-profile は「目立った、人目・人の注意を引くような」という形容詞。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
high-profile [adjective] [only before noun] : often mentioned in newspapers and in television and radio programs, and known about by most people.
つまり、「(名詞の前にのみ付く形容詞) 新聞やテレビ・ラジオ番組でしばしば話題にされ、多くの人に知られている」。

逆に「目立たない」なら、low-profile になります。
keep a low profile なら「目立たないようにする」ですね。
LAAD では、
keep a low profile : to behave quietly and avoid doing things that will make people notice you.
つまり、「静かに振る舞い、人に自分を気付かせるようなことをするのを避けること」。

以前フィービーが「新人なのにメイシーズのそばの場所に大抜擢されたの!」と喜んでいたように、ここは非常に目立つ場所 a high-profile spot なのですね。
そんな目立つところで、苦情が殺到するような失礼な振る舞いをされては困るから、我々が、つまり、上司の権限で、君を a less high-profile spot に移動させるつもりだ、とボブは通告していることになります。

上で、high-profile の反対語 low-profile を説明しましたが、このセリフでは、move you to a low-profile spot 「目立たない場所へ移動させる」ではなく、move you to a less high-profile spot 「ここよりも目立たない場所に移動させる」と言っているのが興味深いな、と思いました。

上司のボブは、フィービーの気を悪くしないように、これ以上フィービーを刺激しないように、そう言ったのだという気がしました。
このフィービーの姿を見れば、実際は、「人目につかない目立たない場所」に移動するつもりだろうと思うのですが、今一番目立つ場所にいてそれを嬉しく思っているフィービーに、「目立たない場所に移動させるぞ」と言えば、フィービーが反抗するかもしれない、気が立っているらしいフィービーが逆ギレしないとも限らない、それで「ここほど目立つ場所じゃないけど、決して、目立たない場所っていうわけじゃないから」みたいに聞こえるように、less をつけて、「ここより high-profile の度合いは少なくなるけど」と表現しているように思いました。
喧嘩腰で興奮気味のフィービーに対して、的確なセリフであると思えます。
同じような内容を言う場合でも、相手の気に障らないような表現を選ぶことが大切なのは、英語も日本語も同じですね。


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posted by Rach at 12:50| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月17日

敷金を返して欲しい フレンズ5-10その4

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前の記事のシーンの続きです。
ジョーイ: (jumping up) All right! But uh, listen, what do you say we, uh... crank it up a notch? ([椅子から飛び上がって] よし! でも、なぁ、それをもう一段階、そのゲームのレベル[刺激]を上げるっていうのはどう?)
チャンドラー: I'm intrigued. (興味をそそられるねぇ。)
ジョーイ: All right. All we need is a little lighter fluid. (よし。必要なのは、ライター用のオイルだけだ。)
チャンドラー: Okay, but be careful, okay? Because I wanna get our security deposit back. (よし。でも、気をつけろよ? だって俺、敷金返して欲しいからさ。)
ジョーイ: Yeah, I think we said goodbye to that when we invented hammer darts. (あぁ、敷金にはさよならしたと思うけど、二人でハンマーダーツ(というゲーム)を編み出した時にね。)
チャンドラー: Do you even remember which part of the wall is not spackle? (壁のどの部分がスパックルで埋められてないか、覚えてるか?)
ジョーイ: Uh yeah, right here. (He punches his fist through the wall next to the door.) (あぁ、ちょうどここだよ。[ジョーイはドアの隣の壁をこぶしでパンチし、こぶしが突き抜ける]

intrigue は他動詞で「…の興味・好奇心をそそる」。
ですから、Someone is intrigued by/with... なら「人が…に興味をそそられる」という意味になり、Something is intriguing. なら「(主語)が興味をそそる(ものである)、面白い」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
intrigue [verb] : [transitive] if something intrigues you, it interests you a lot because it is strange or mysterious
つまり、「何かが人を intrigue するというのは、それが珍しい、または神秘的であるという理由で、人の興味を大いに引くこと」。
語義説明にも、interest という動詞が使われているように、intrigued と intriguing の関係は、interested と interesting の関係と同じですね。

ゲームの刺激を上げるために、ジョーイはライターのオイルが必要だと言っています。
危険な香り(笑)を察したチャンドラーは、「あんまり無茶するなよ。security deposit を返して欲しいもん」と言っていますね。
security deposit は「敷金、保証金」。
オイル、つまり、火を使うゲームらしいけど、部屋を焦がしたりして敷金が返ってこなくなる、とかのゲームはやめてくれよ、と言いたいのですね。
それに対してジョーイは、「敷金にはもうサヨナラを言った」と言っています。
もう戻ってこないものとあきらめた、という意味ですが、日本語で「…にサヨナラを言った」と表現しても意味はわかりますね。「敷金よ、さらば!、敷金くん、バイバイ!」みたいな感じです。
when を使って、ある時点で敷金を返してもらうのはあきらめた、と言っていますが、それは「ハンマーダーツを発明した時」。
hammer darts って? みたいに一瞬思ってしまいますが、その後の会話と、壁には実は大きな穴が開いていたことを映像として見せることで、ダーツの矢の代わりにハンマー(金づち)を投げて点数を競っていたことが想像されます。
恐らく、最初から壁を狙ってハンマーを投げていたわけではないでしょうが、狙いが狂って壁に当たり、壁がボコッとヘコんでしまった、ということでしょう。

spackle は「穴埋め材」「穴埋めパテ」のことで、元々は商標です。
LAAD では、
spackle [noun] : [uncountable] a substande used to fill holes in walls, that becomes very hard when it dries
spackle [verb] [intransitive, transitive]

つまり、「壁の穴を埋めるために使われる物質。それは乾くと非常に硬くなる」。
名詞だけでなく、動詞としても使われると説明されています。

spackle という単語は、フレンズ3-5その20 や、フレンズ3-15その6 にも出てきました。

また、ブログの解説では飛ばしてしまったのですが、ネットスクリプトのト書きに出てきたこともあります。
フレンズ5-6その5 のやり取りの前に書いてあったト書きは、以下のようになっていました。
[Scene: Ross's now empty apartment, he is spackling some holes shut as the gang comes to apologize.]
そのト書きを訳しますと、
「ロスの今は空になったアパートメント。ロスは(壁の)いくつかの穴をスパックルで埋めていて、その時、フレンズたちが謝るために入ってくる。」

このト書きでは、spackle は動詞として使われていますね。
動詞としても使われることを考えると、上のセリフも is not spackled のように「過去分詞形」にした方が「スパックルで補修されていない」という意味になって、文法的にもしっくり来るような気がするのですが、この部分は、ネットスクリプトもDVD英語字幕も、is not spackle という表記になっています。
それだと、spackle を形容詞的なニュアンスで使っている感じになるでしょうか。

とにかくここで言いたいのは、壁に穴が開いてしまった後、それをスパックルで修繕していない、ということですね。
とりあえず壁紙だけ張っているので、こぶし(拳)でパンチすると、そこに穴が開いているのがわかってしまう、ということです。

過去記事、こぶしが壁を突き抜ける フレンズ4-17その4 では、以下のセリフがありました。
ロス: If I hadn't let you talk me into going to the airport in the first place, I never would've put my fist through the wall. (もし、そもそも僕がモニカに言われて空港に行ったりしなければ、自分のこぶしが壁を突き通すこともなかったのに。)

今回のセリフは、punch で、4-17 では put でしたが、「こぶしが壁を突き抜ける」というニュアンスは同じですね。
through という単語に「突き抜ける」感がよく出ていると思います。


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posted by Rach at 12:24| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月15日

もう一段階レベルを上げる フレンズ5-10その3

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自分にぴったりだったはずの役をゲットできなかったと怒るジョーイに、ロスは「それなら自分で映画の脚本を書いたらいい」とアドバイスします。
そのアドバイス通りに、ジョーイは今、映画の脚本を書いているところ。
チャンドラーはカウンターで、スプーンにピンポン玉を乗せ、スプーンの端を叩いて玉をボウルに入れる、というゲームを一人でやりながらはしゃいでいます。
ジョーイ: You're driving me crazy with that. (お前のそれのせいで、いらいらするんだよ。)
チャンドラー: Okay, I'll stop. (わかった、やめるよ。)
ジョーイ: Don't stop! Move the bowl further away. Ross could make that shot! (やめるなよ! そのボウルをもっと遠くに離せよ。そんなショットなら、ロスにでもできるぞ!)
(Chandler slides the bowl to the far end of the counter. He tries again, but he hits the spoon too hard and the ball goes flying away.)
チャンドラーは、カウンターの遠い端にボウルをスライドさせる。チャンドラーは再度チャレンジするが、スプーンを強く叩きすぎたので、ボールは遠くに飛んでいってしまう。
ジョーイ: Well, you suck! But at least you suck at a man's game now. (あぁ、お前は下手くそだな! でも少なくとも今は、(大人の)男のゲームで下手くそなわけだし。)
チャンドラー: You wanna play? (お前もゲームやりたい?)
ジョーイ: Chandler, I can't be playing games. Ross is gonna be home soon. And I have to write 5 whole pages if I'm gonna stick to his schedule. (チャンドラー、俺はゲームなんかやってられないんだ。ロスがもうすぐ家に帰ってくる。そして、もしロスのスケジュールに合わせるとすると、俺は丸々5ページを書かないといけないんだ。)
チャンドラー: Well, so play for the next 30 minutes, and then write until he gets home. (うーん、じゃあ、今から30分ゲームして、その後、ロスが帰宅するまでに書けば。)
ジョーイ: (jumping up) All right! But uh, listen, what do you say we, uh... crank it up a notch? ([椅子から飛び上がって] よし! でも、なぁ、もう一段階、そのゲームのレベル[刺激]を上げるっていうのはどう?)

drive someone crazy は「人の気を変にさせる、ひどくイライラさせる」。
You're driving me crazy with that. を直訳すると、「チャンドラーは、そのゲームで、俺をひどくイライラさせてるぞ」ということになり、つまり、「お前がそのゲームをやるから、俺は今、すごくイライラしてるんだ」と言っていることになります。
そう言われてチャンドラーは、「じゃあ、やめる」と言うのですが、ジョーイがイラついていたのは、ゲームをしてうるさかったから、とかではなくて、ゲームの内容が気に入らなかったせいのようですね。

further は far 「遠く」の比較級で「もっと遠く、さらに遠く」という意味ですから、further away は、far away 「遠く離れて」を比較級にした形の「もっと遠くに離れて」という意味になります。
ですから、Move the bowl further away. は、「そのボウルをもっと遠くに離すように移動させろ、もっと遠くに離せ」ということになります。

Ross could make that shot! について。
make a shot は「ショットする、発射する」。
could は、「もしロスがそれをやるとしたらできる、ロスでもそれくらいのことはやろうと思えばできる」という感覚。
つまり、ジョーイが怒っていたのは、チャンドラーのやっているゲームが、ロスにもできそうなほど(笑)簡単すぎるから、だったのですね。
ジョーイの言われた通りにボウルを離し、再度挑戦するチャンドラーですが、叩く力が強すぎて、ボールが勢い良く飛び過ぎたため、ボールの行方を見失い、キョロキョロしているチャンドラーも楽しいです。
この部分、ネットスクリプトのト書きには、he hits the spoon to hard と書いてありますが、too hard のタイポでしょうね。he hits the spoon too hard and the ball... 「あまりに強く叩きすぎて、ボールは…」ということだと思います。

suck はフレンズによく登場する俗語で、「最低だ、下手だ、ひどい」というような意味で、英語で言い換えると、be terrible というところ。
チャンドラーが失敗したので、「下手くそ!」というニュアンスで、You suck! と言っているわけですが、その後、at least... at a man's game と言っていますね。
これは、「確かに下手くそは下手くそだけど、ボウルへの距離を離して難易度を上げたから、子供のゲームで下手なわけじゃない。少なくとも今は大人の男のゲームだから、同じ下手でも、さっきみたいなレベルの低いゲームで喜んでるよりはましだな」と言いたい感じでしょう。

ゲームに興味を示しているらしいジョーイを、チャンドラーは誘ってみますが、ジョーイはロスが帰ってくるまでに、これを5ページ書かなきゃいけないから…と言っています。
映画の脚本を書いたらいい、と提案したロスは、今日はこれだけ書く、というノルマをジョーイに課して出かけたのですね。
I can't be playing games. というのは、can't の後が進行形になっています。
進行形のニュアンスを出して直訳すると、「ゲームとかをやっていることができない」みたいになるでしょうか。
まさに日本語の「そんなことやっていられない、やってられない」と同じ感覚のように思います。
「今、そんなことをやっているという状態になることはできない」→「そんなことやってる場合じゃないんだ」みたいなニュアンスになるでしょう。

そこでチャンドラーは、so play... , and then〜 「それじゃあプレイして、それからその後、〜しろよ」という命令文の形でジョーイにアドバイスしています。
その誘いにあっさり乗ってしまうのもまたジョーイらしいですね。
What do you say+文? は、「…はいかがですか?、…はどうですか?」という「提案」。

crank up は「エンジンをかける」「刺激する、スピードを増す」などの意味があります。
元々、crank という名詞は「クランク」という機械の部品のこと。
英辞郎では、
crank=《機械》クランク◆エンジンを手動でスタートさせる時の道具。または形状がそれに似た機械部品(ジグザグの形)
研究社 新英和中辞典では、
crank=【C】 〔機〕 クランク 《回転軸の端に直角に取りつけられた柄(鉛筆削りの取っ手など)、また往復運動を回転運動に換える装置》
と説明されています。

ですから、crank up はその「クランクを回してエンジンをかける、始動させる」という意味になり、「刺激する、スピードを増す」という意味にもなるわけです。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
crank also crank up [verb] [transitive] (spoken) : to increase the level of sound, heat, cold etc. produced by a machine.
つまり、「機械によって生み出された音や暑さや寒さなどのレベルを上げること」。

notch は元々、「V字型の刻み目、切り込み、くぼみ」という意味で、そこから「段、段階、級、階級」という意味にもなります。
ですから、crank up a notch は「もう一段階レベルを上げる、もう一段階刺激的にする」のようなニュアンスになるでしょう。

マクミラン(Macmillan Dictionary)では、
notch [noun] : (informal) if you move up or down a notch, you move up or down to the next level, for example in a job or in your ability to do something
つまり、「move up/down a notch とは、次のレベルに move up/down すること。例えば、仕事や何かをするための能力において」。

ですから、動詞+up/down a notch という形で使われた場合は、「次のレベルに・一段階、上げる/下げる」というニュアンスで使われるということですね。

また、notch の関連語で、topnotch (top-notch) 「最高の、一流の」という言葉もあります。
topnotch は、フレンズ3-11その35 に出てきました。
まさに直訳通り、「トップの段階、最高級」という意味なわけですね。


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posted by Rach at 09:34| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月12日

新人なのに抜擢された理由 フレンズ5-10その2

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[Scene: Central Perk, Chandler, Ross, Joey, Monica, and Rachel are there. Phoebe walks in ringing a bell.]
セントラルパーク。チャンドラー、ロス、ジョーイ、モニカとレイチェルがそこにいる。フィービーはベルを鳴らしながら入ってくる。
フィービー: Hey, you guys! Guess what? (ねぇ、みんな! 何だと思う?)
チャンドラー: The British are coming? (イギリス人が来るの?)
フィービー: Ohh, you and your ways. (She shakes the bell at him and sits down.) Since it's Christmastime, I'm going to be one of those people collecting donations. (あぁ、あなたとあなたのやり方ね[相変わらずね]。[フィービーはチャンドラーに向かってベルを振り、座る] クリスマスの時期だから、寄付を集める(ああいう)人たちの一人になろうと思ってね。)
みんな: Ohh. (おーぉ。)
フィービー: (Excitedly) Yeah, I already have my bell, and later on I get my bucket. ([嬉しそうに] そうよ、すでにベルは持ってるの。それから、あとでバケツも手に入れるわ。)
チャンドラー: Ohh. (おー。)
フィービー: Yeah, yeah, I'm going to be out there spreading joy to the people. I mean, last year I spread a little joy, but not really enough. So this year, I'm going to do the whole city. (そう、そうなの。私は外で[世間で]人々に喜びを広めるのよ。ほら、去年、ちょっとだけ喜びを広めたんだけど、十分ってほどじゃなかったから。それで今年は、街全体にそれをしようと思って。)
モニカ: You know, I knew a girl in high school who did that. She was very popular. (Chandler laughs.) (ねぇ、高校で、そういうこと[それと同じこと]をした女の子を知ってたわ。彼女はすごく人気だった。 [チャンドラーは笑う])
ジョーイ: So Pheebs, where are you doing all your bell ringing? (それで、フィービー、ベルを鳴らすっていうのはどこでするの?)
フィービー: Ohh, they gave me a great spot right by Macy's. Yeah, they hardly ever give such a good corner to a rookie, but I'm the only one who can say "Merry Christmas" in 25 languages. (She smirks.) I lied. (あぁ、メイシーズのすぐそばの良い場所を私に与えてくれたの。そうよ、新人にそんな良い場所を与えてくれることはこれまでほとんどなかったの。でも、私は「メリー・クリスマス」を 25ヶ国語で言えるただ一人の人間だから[言えるのは私だけだから]。[フィービーはニヤニヤ笑う] 私、嘘ついたの。)

大きなベルを上下に振って鳴らしながら入ってくるフィービー。
このベル、何だと思う?と言われて、チャンドラーはまた何か言わずにはいられないようです。
The British are coming? の The British は「イギリス人、英国人」。
ですから、「イギリス人が来る?」みたいな意味になるわけですが、どうして「イギリス人」と言ったのかについて、2つ思いついたので、以下にそれを書いてみます。

まず1つ目。
イギリスで bell 「鐘」と言えば、ビッグ・ベンを思い出す方も多いでしょうか。
Wikipedia 日本語版: ビッグ・ベン
ウィキペディアにあるように、「ビッグ・ベン (Big Ben) とは、英国の首都ロンドンにあるウェストミンスター宮殿(英国国会議事堂)に付属する時計台 (Clock Tower) の大時鐘の愛称」ですね。
時計台や大時計を指す場合もあるけれども、基本的にはその「鐘」の名前だそうです。

Wikipedia 英語版: Big Ben でも、
Big Ben is the nickname for the great bell of the clock...
のように、bell のことだと書いてあります。

ですから、イギリスで bell と言えば、あのビッグ・ベンのことを言ってる可能性もあるのかなぁ、と。
シーズン4の終わりからシーズン5にかけては、イギリスがフレンズの舞台になっていましたが、そこがイギリスであることをはっきり示すために、場面の切り替え時にビッグ・ベンの映像が挿入されたりもしていましたよね。

もし「ビッグ・ベン」を意図したセリフだとすると、ベルを鳴らしながら入ってきたフィービーに対して、「ビッグ・ベンみたいな鐘の音が聞こえるけど、イギリス人でも来るのか?」みたいなことを言ったのかなぁ、と思ったりします。
ただ、その鐘がビッグ・ベンを思わせると言いたいのなら、"Where are we? Still in London?" 「ここはどこ? まだ(俺たち)ロンドンにいるの?」みたいなセリフの方がそれっぽいかなぁ、などと思ったり…。
…ということで、1つ目の解釈は、The British はわかるけれども、are coming が続いているのがよくわからない…という感じです。

そして、2つ目。
「イギリス人が来る?」というのは、「イギリス人が攻めてくる」というニュアンスで、「だからフィービーは、ベルをガンガン鳴らして、みんなに警告してるの?」というニュアンスのジョークを言っているのかなぁ、という解釈。
その場合は、「鐘を鳴らす→昔の人が使っていた合図、大きな音による警告」という連想なのでしょう。
昔、それは多分、アメリカ独立戦争の頃のイメージで、その頃の敵と言えばイギリスだからかなぁ、と思います。

今現在は、アメリカとイギリスは友好関係にありますが、フレンズでは時折、そういう「独立戦争ネタ」が出てくることがあります。
1776年のアメリカ独立宣言 フレンズ4-15その2 では、
エミリー: Well, I mean, you're American, to start with. You don't even have rugby here. (そうねぇ、だって、そもそもあなたはアメリカ人だもの。ここ(アメリカ)にはラグビーはないでしょ。)
ロス: Well, we didn't have freedom here until 1776 either, so…. (そうだねぇ、ここ(アメリカ)には、1776年までは自由もなかったんだ、だから…)
というやり取りもありました。
ラグビーどころか、1776年にアメリカがイギリスから独立するまでは、自由すらなかったんだ、という、アメリカ人ロスからイギリス人エミリーへの皮肉のセリフでした。

今回のチャンドラーのセリフも、「昔の敵と言えばイギリス人」みたいなイメージからのジョークなのかな?と思ったりします。
DVDの日本語字幕も、「イギリス人 襲来?」となっていて、私も最初に英語のセリフを聞いた時は、その「襲来」のイメージかなぁ、と思ったのです。
日本で言うと、誰かが、ほら貝をプォ〜と鳴らしているのを見て、「蒙古襲来?」みたいに返す感覚に近いのかなぁ…とか(笑)。

ということで、私は2つ目の「襲来の合図」というジョークかな、と思っているのですが、正直よくわかりません。


フィービーの You and your ways. を直訳すると、「あなたとあなたのやり方ね」みたいなことですが、これは「またチャンドラーったら、そんなこと言って茶化すんだから」みたいに、チャンドラーのいつものやり方、いつものパターンにあきれている感じが出ているように思います。
相手がしたことについて怒っている時に、これと似た形の、"you and your stupid+名詞" というフレーズが過去に登場したことがあります。

フレンズ3-10その21 では、
チャンドラー: You-you-you don't wanna give in to The Fear. (その恐怖に降伏したくはないんだろ?)
レイチェル: You and your stupid Fear! I hate your Fear! I would like to take you and your Fear.... (あなたとあなたのばかげた恐怖ね。私はあなたの言っているその恐怖ってやつを憎むわ。あなたとあなたの恐怖を…)
というやり取りがあって、あなたがそんな「恐怖が必要だ」なんてバカなことを言うからこうなったのよ、とレイチェルが怒っている時のフレーズでした。

また、過去記事では取り上げていませんが、フレンズ1-9 でも、"you and your stupid balloon" というフレーズが登場していました。

今回のフィービーのセリフは、stupid とまでは言っていませんが、「また、あなたのいつものパターンね、あなたって相変わらずね」みたいな感じが込められていると思いました。

since は現在完了形と共に使われる「…以来」という意味ではなくて、ここでは「理由」を表す「…だから」という意味ですね。
collecting donations が後ろから前の people を修飾していて、そういう「寄付を集める人々」の一人になろうとしてるの、と言っています。
bucket は「バケツ」で、お金を入れてもらうための入れ物ですね。

フィービーは spread joy to the people 「人々に喜びを広める」と言っています。
去年も少しやったけど、十分とは言えなかったから、今年は町全体に喜びを広めるのよ、と嬉しそうに話します。

それを聞いたモニカは、高校の時、そんな風に、街中に joy を広めたっていう女の子を知ってたけど、その子はすっごく人気者だったわ、と言っています。
モニカはフィービーが言った、joy 「喜び」という言葉を、エッチなニュアンスとして捉えてみてジョークにしている感じですね。

あえて日本語で感じを出そうとすると、「ヨロコビ」「悦び」「悦楽」みたいな感じでしょうか。
街中の男性に悦楽を与えた、つまり、街中の男性にエッチなサービスをした(もしくはエッチをした)子が高校にもいたわぁ…みたいに言って、茶化しているわけです。

有名百貨店メイシーズのすぐそばの場所を与えてもらったの、とフィービーは言っています。
rookie は「ルーキー、新人」ですね。
hardly は「ほとんど…しない」という否定のニュアンスですから、they hardly ever give such a good corner to a rookie を直訳すると、「彼ら(配置を決める担当者)が、新人にそんな良い場所をこれまで与えたことはほとんどなかった」になります。

でも…と言って、新人でありながら、そんな良い場所をゲットできた理由を、その後に述べています。
I'm the only one who can... は「私は…できる唯一の人間である」。
もちろんここでは、世界中でたった一人の人間、というニュアンスではなくて、何人かいるその寄付集めの候補者の中で、これをできる人間が私だけだから、ということですね。
で、何ができるかと言うと、say "Merry Christmas" in 25 languages 、つまり、「25ヶ国語で「メリー・クリスマス」と言える」という特技だということになります。
過去記事、リスニングの脳内処理 でも触れたのですが、この部分、DVD英語字幕では、say になっていて、ネットスクリプトでは、sing になっていました。
実際の音声を聞いてみるとやはり字幕どおり say と言っているようです。
このエピソードを見ていくと、後のシーンでフィービーが、英語以外の言葉で、クリスマスの挨拶みたいな声掛けをしているシーンがありますから、そういう意味でも say がやはり正しいかなと思います。
また、sing だと「メリー・クリスマス」の歌を 25ヶ国語で歌う、という意味になりますが、いろんな国の言葉に翻訳された「メリー・クリスマス」という歌があるとして、そんなにたくさんの言語で歌えたりするというのはちょっとムリがある感じもしますし、25ヶ国語の言葉でメリー・クリスマスの挨拶を「言える」という方が、意味としても妥当なのかなと思いました。(まぁ、Merry Christmas という(恐らく)サビの部分を「歌える」だけなら、say と能力的には同じことですけれど…)
その過去記事でも触れたのですが、単なるちょっとした聞き間違いというレベルの話ではあるものの、この位置には動詞しか来ない、という感覚や、恐らく、s- の音だけがはっきり聞こえたので、say ではなく sing に聞こえてしまった、という単語の選択の仕方、などは、ディクテーションのヒントになる気がしました。
ネイティブも全ての音を聞き取っているというよりは、文脈や構造から一番適切だと思われる単語を選択しながら意味を取り、それを文字にしている、ということだと思うし、それを証明してくれる一つの例のような気がするのです。

新人だけど、そういう特技があったから私、選ばれちゃったの…みたいに言うフィービーですが、そのすぐ後に、「…ってそれは、嘘なんだけどね」みたいに言ってニヤニヤしています。
25ヶ国語の話を聞いた直後は、フレンズたちや観客の中には一瞬、「え? そんな特技があるの?」と思った人もいたかもしれませんが、フィービーの I lied. で、なぁんだ、やっぱりそうかぁ…と拍子抜けしちゃう感じですね。


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posted by Rach at 13:00| Comment(8) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月10日

サバティカルという休暇 フレンズ5-10その1

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シーズン5 第10話
The One with The Inappropriate Sister (シスコン男にご用心!)
原題は「不適切な妹の話」


[Scene: Chandler, Joey, and Ross's apartment, Ross is cleaning out the fridge. Joey walks from his room. He looks like he just woke up.]
チャンドラー、ジョーイ、ロスのアパート。ロスは冷蔵庫を掃除している。ジョーイが自分の部屋から歩いてくる。たった今起きたところのようだ。
ジョーイ: What are you doing? (何やってんの?)
ロス: I...reorganized the fridge. See? Bottom shelf, meats and dairy. (There's nothing on the shelf.) Middle shelf, fruits and vegetables. (There’s one lone tomato.) And top shelf, expired products. (The shelf is jammed packed.) (僕は…冷蔵庫を整理し直してたんだ。ほら見て。一番下の棚は、肉と乳製品。[その棚には何もない] 真ん中の棚は、果物と野菜。[トマトが1個だけ] そして一番上の棚は、賞味期限切れの製品。[その棚はぎっしり詰め込まれている])
ジョーイ: Why are you doing this? (どうしてこんなことしてるんだよ?)
ロス: Because I am bored out of my mind. I've already been to the bank, post office and the dry cleaners. (だって、心の底から退屈してるんだよ。もうすでに銀行も郵便局もクリーニング屋にも行っちゃったし。)
ジョーイ: Dude, you just described seven days worth of stuff. You've got to spread it out a little, you know. Haven't you ever been unemployed? (おい、お前が言ったのは、7日分の価値のある仕事だぞ。そういう仕事はもう少し(まんべんなく)広げなきゃ。ロスは今まで失業したことないのか?)
ロス: Hey, I am not unemployed. I'm on sabbatical. (おい、僕は失業してるんじゃない。僕は有給休暇[研究休暇]中なんだ。)
ジョーイ: Hey, don't get religious on me, okay? (Ross looks a little confused.) (おい、俺に宗教的な話をするなよ、な? [ロスは少し困惑したように見える])

organize は「整理する」。そこに「再び」の意味の re- がついていますので、reorganize は「再編成する、再び整理する、整理し直す」というところでしょう。
冷蔵庫の中のものをいったん外に出して、整理し入れ直している感覚ですね。
shelf は棚。bookshelf なら「本棚」ですね。bottom, middle, top のそれぞれの棚に何を入れているか説明しています。

dairy は「乳製品」。
expired products は「消費・賞味期限切れの製品」。
expire という動詞は自動詞で「(運転免許証などの)有効期限が切れる、満了する」。
My driver's license expires next month. なら、「私の運転免許証は来月切れる[期限切れになる]」という意味ですね。
自ら期限が切れちゃうもの、というよりも、誰かが抗力を失効させる気がするのですが、不思議とこの単語は「自動詞」なのですね。
フレンズ4-21その5 にも、
モニカ: You don't have a car. And your license expired. (レイチェルは車を持ってないでしょ。それに、あなたの免許は期限切れだし。)
というセリフがありました。

几帳面なロスの区分けに従って分けてみると、生鮮食料品系の棚がガラガラで、期限切れの食品ばかりがどっちゃり詰まってしまうところに、チャンドラーとジョーイの「賞味期限とかには頓着しない男」な感じが出ています。

ト書きでは、The shelf is jammed packd. と書いてありますが、通常は、jam-packed と表記するのが一般的かなと思います。
jam-packed は「ぎゅうぎゅう詰めで、すし詰めで」という意味ですね。
同じく「すし詰めで」という意味で使われるフレーズに、packed like sardines というものもあります。
sardine は「イワシ、サーディン」、sardines in oil は「オイル・サーディン、イワシのオイル漬け」ですね。
ですから、packed like sardines は、「缶詰のイワシのようにぎゅうぎゅう詰め[すし詰め]になって」という意味になります。

ちょっと脱線しますが、日本語の「すし詰め」の「すし」というのは、回転寿司とかの「すし(寿司)」ではなく、「塩や酢につけた魚肉」を指すようです。

三省堂 新明解国語辞典では、
すしづめ【鮨詰め・鮨詰】
入れ物に ぎっしり詰めた「すし1」のように、多くの人や物が、すきまも無く入っていること。
すし【鮨】
1 塩に漬けて醗酵(ハツコウ)させた魚肉。〔昔の「すし」は大部分、これ〕
2 握りずし・押しずし・散らしずし・五目ずしなどの総称。
(表記) 1は、「鮓」とも書く。また、売品としての2は、「寿司」という好字を用いることが多い。


広辞苑では、すしづめ(鮨詰)の鮨が何を指すかの説明は載っていないのですが、
すし【鮨】(「酸(す)し」の意」
2 酢に漬けた魚肉。また、魚肉を飯と共に圧して酸味を生じさせたもの。

という意味は載っています。

すし詰めの「すし」が「酢や塩につけて醗酵させた”魚肉”」を指すのであれば、保存のためにオイルにつけたオイル・サーディン(イワシ)と何だか似ている気がしますね。
ちょっと面白いなと思ったので、ご紹介してみました(笑)。


be bored out of one's mind について。
英辞郎では、
bored out of one's mind=《be 〜》心の底から飽き飽きする、ほとほとうんざりする
と出ています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
bored out of your mind : (informal) extremely bored
つまり、「非常に・極めて退屈である」。

意味としては、英英辞典にあるように、extremely bored ということで問題ないと思うのですが、ちょっと気になったことがあるので、補足的に書いてみます。
(細かい話なので、興味のない方は飛ばして下さい)

out of one's mind だけだと、「気が狂った、頭がおかしくなった、常軌を逸した、正気を失った」みたいな意味になります。
正常な思考をつかさどる心(mind)の外に(出た)、という感覚から、そういう意味になるのでしょうね。

マクミラン(Macmillan Dictionary)では、
be/go out of your mind : (informal) to be/become crazy or confused
be/go out of your mind with worry/jealousy/boredom etc.
例) I'll go out of my mind with boredom if I have to stay in this job.

つまり、be/go out of your mind は、「クレイジーである/クレイジーになる、困惑している/困惑した状態になる」。
with worry/jealousy/boredom とくっついた形も紹介されていて、boredom 「退屈」が使われている例文は、「もし私がこの仕事にとどまらなければならないなら、私は退屈で頭がおかしくなるわ」。

また、LAAD に戻って、今度は go out of your mind を調べてみると、
go out of your mind also lose your mind : (informal) to start to become mentally ill or very worried, bored etc.
つまり、「精神的な病気になり始めること、または非常に心配したり、退屈したりするようになること」。

LAAD の語義では、go out of your mind のニュアンスに、bored も含まれているのですね。
「心ここにあらず」というくらい退屈極まりない、という感覚でしょうか。

DVD英語字幕では、I am bored out of my mind. と書かれていますが、ネットスクリプトでは、I am bored...Out of my mind. という表記になっていました。
bored out of your mind = extremely bored だとロングマンに載っているので、解釈としては「心底あきあきしている」という意味で良いと思うのですが、I am bored...Out of my mind. とディクテーションした方は、「僕は退屈で、頭がおかしくなってるんだ」、つまり、be out of my mind with boredom という意味に解釈したのかなぁ、とも思うのですね。
とにかく「退屈している」ということは間違いないので、意味としては大差はないのですが、細かいニュアンスで言うと、ここでの out of my mind には crazy のようなニュアンスが含まれているのかどうかが、個人的には少し気になりました。
(細かい話は以上です)


I've already been to は「すでに…に行ってしまった」という感覚ですね。
用事のある行くべき場所には全部行ってしまったので、行くところもないんだよ、という感じです。

spread out は「広げる、分散する」。
上のセリフのニュアンスも、やるべきことを一日にかためてしまわないで、一週間のうちにまんべんなく分散してやれよ、と言っているわけですね。

「経験」を尋ねる現在完了形の疑問文、Haven't you ever been...? を使って、今まで、unemployed 「失業した」という状態になった経験がないのか?とジョーイは尋ねています。
unemployed と言われたのが、ロスは聞き捨てならなかったようで、僕は unemployed じゃなくて、on sabbatical なんだよ、とジョーイの発言を否定しています。

ロスは前回のエピソードで、自分のサンドイッチを食べてしまった上司を大声で怒鳴りつけたため、仕事を休むように言われています。
だから僕は失業してるわけじゃないんだ!と言いたいようですね。

sabbatical は名詞で、「研究休暇、有給休暇」。
研究社 新英和中辞典では、
sabbatical 【名】【C】 研究休暇, サバティカル 《研究や旅行のため本来7年ごとに大学教授などに与えられる1年または半年の有給休暇》
Professor Robins is on sabbatical this year. 「ロビンズ教授は今年サバティカルです」 (注:on sabbatical は無冠詞)

と説明されています。

LAAD では、
sabbatical [noun] : a period when someone, especially someone in a college or university job, stops doing their usual work in order to study or travel
つまり、「誰かが、特に大学の仕事についている誰かが、研究したり旅行したりするために、通常の仕事をするのをやめる期間」。

この sabbatical という言葉は Sabbath の形容詞形です。
Sabbath は「(キリスト教・ユダヤ教の)安息日」。
ですから、Sabbatical という形容詞は「安息日の」という意味にもなるのですね。

それで、sabbatical という言葉を使ったロスに対してジョーイは、Don't get religious on me. 「俺に対して宗教的になるな、俺に宗教的な話をするな」みたいに返したようです。
ジョーイは大学の専門用語っぽい sabbatical の意味を知らなくて、安息日のことかと思った、ということでしょう。
宗教的な言葉で(比喩的に?)表現されても俺にはわからないよ、と言いたいようですね。
サバティカルを宗教用語と勘違いしているのがわかって、ロスも困惑の表情を浮かべているのですね。


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posted by Rach at 12:13| Comment(6) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年11月08日

やっぱり8歳だった フレンズ5-9その7

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フレンズ5-9その2 のセリフで、チャンドラーがモニカの部屋に忘れていった下着を見て、
ジョーイ: And tighty-whiteys! What are you, eight? (それに、白のブリーフって! お前は子供か?)
と言うセリフがありました。
その記事では、eight 「8歳」という年齢は「小さな子供、ガキ」というニュアンスで、フレンズでは何度もその意味で登場している、と解説しました。
今日は「フレンズ以外」で同じように「8歳」が使われていた例をご紹介したいと思います。


まず1つ目の作品。
映画「鉄ワン・アンダードッグ」(原題:Underdog)でのワンシーン。
ちなみにこの映画は、アメリカの昔のアニメ Underdog を、CGを使った実写版でリメイクした作品。
そのアニメのアンダードッグのキャラクターは、フレンズ1-9 で、感謝祭のパレードのバルーンで登場していましたね。

父(名前はダン)が拾ってきた犬が、言葉を話すスーパー犬だと知って、急に飼いたいと言い出す息子ジャック。
その父と息子の会話。
ダン(父): You told me you didn't want the dog. (お前は犬なんか欲しくない[飼いたくない]って言ってたじゃないか。)
ジャック(息子): Me? No way. I told you I've wanted a dog since I was, like, eight. (僕が? まさか。僕は犬がずっと欲しかった、って言ったんだよ、ほら、8歳の頃からね。)

このセリフは、8歳という年齢が、have wanted ... since 「…以来ずっと欲しかった」という現在完了形と結びつくことで、小さな頃からずっとそう思ってたんだ、というニュアンスがよく出ています。
「欲しくないって言ってたなんてとんでもない。ちっちゃーい頃からずーっと欲しいと思ってた、って言ったんだ」ということですね。


2つ目の作品。
カリフォルニアのオレンジ・カウンティの若者たちを描いた海外ドラマ「The O.C.」。
シーズン1第5話「アウトサイダー」(原題:The Outsider)では、その1話の中に2回、eight という言葉が登場します。

まずは最初の方。
セスは、IMAX(アイマックス)シアターを一緒に見に行かないかとライアンを誘うも、マリッサと約束してるからと断られてしまいます。
そこで、ライアンのバイト先の同僚ドニーを誘うセス。
セス: I have an extra ticket to the IMAX, Donnie. A shark movie, hammerheads, very violent. (IMAX シアターのチケットが1枚余ってるんだ。サメの映画だ、ハンマーヘッド(シュモクザメ)の。すっごく凶暴なんだよ。)
ドニー: What are you, like, 8? (お前は子供か?)

このドニーの返事は、日本語字幕では「サメ? ガキか」、日本語音声(吹替)では「お前、小学生か」と訳されていました。
やはり「小学生のガキ」というニュアンスで使われているようですね。
セスは富裕層のおぼっちゃまでオタク系、ドニーは貧困層でかなりのワルという設定なので、このセリフが余計に面白く聞こえるわけですね。
ドニーがそんな映画好きそうなはずないのに、無邪気にマニアックな映画に誘っているところに、セスの「何も知らないお坊ちゃまな感じ」が出ています。


The O.C. での2つ目の例。
今では裕福な生活をしているけれど、元々は貧困層出身のジュリー・クーパーが、富裕層出身のキルスティン・コーエンに対して、小さな頃の正直な気持ちを吐露するシーン。
ジュリーとキルスティンの二人は、リムジンの後部座席に並んで座っている状態で、ジュリーが以下のセリフをキルスティンに言います。
ジュリー: I remember as a kid, if I saw a limousine driving, I'd always try to see through the tinted window, wondering what kind of life the people inside lived. How glamorous and lucky. Who knew, right? You knew. You were probably in there, staring back at me. Which means I've been jealous of you since I was 8. (私、覚えてるの。子供の時、リムジンが走ってるのを見ると、いつも(中が見えないように)色のついた窓越しに中を見ようとしてたことを。その中の人はどんな生活を送ってるんだろう、って思いながら。どんなに華やかで幸運かって。誰が(その生活がどんな風かを)知ってたか、って? 知ってたのはあなたよ。あなたは多分、その(車の)中にいたのよ、(外で見つめる)私を見つめ返しながらね。それはつまりこういうことよ、私は8歳の頃からあなたをずっと妬(ねた)んでいたの。)

ジュリーは小さい頃は貧しくて、リムジンにはどんな人が乗ってるんだろう、その人はどんな素晴らしい生活をしてるんだろう、と妬む側の立場だった、と言っています。
キルスティンはそういうリムジンに乗っている側の人間だった、だから私は、あなたに出会うずっと前の、小さな子供の頃から、あなたに嫉妬していたことになるのよ、と言っているのですね。
これも初めてそういう嫉妬を覚えたのが8歳だと正確に覚えていたわけではないでしょう。
貧富の差みたいなものを認識できるようになった子供の年齢として8歳という数字が挙げられているのでしょうね。
ほんとに小さな頃から富裕層の人に対してはそういう感情を抱いていたから、そういうことに関する気持ちはものすごく複雑で根が深いものがあって簡単には片づけられないのよ、みたいな気持ちも込められているセリフになっていると思います。

…ということで、上に上げた例でも、eight 「8歳」という言葉はそれぞれ、「お前はガキか?」的にバカにしたセリフであったり、「小さな子供の頃から」というニュアンスで使われていたりしますよね。
フレンズのセリフと同様、「ガキ、小さな子供」というニュアンスで 8 (eight) という年齢を使う例は他にもありました、というご報告でした。


ついでに、「どうして 7歳(seven)や9歳(nine)ではなくて、8歳(eight)なのか?」ということについては、あくまで私見ながら、この単語の中では、eight が一番発音しやすい、発音がラクだからかなぁ、という気がしています。

seven だと v の音を発音する時に、「前歯を下唇に乗せる、当てる」という口の動きが必要です。
また、nine の n- は日本人が考えるよりもずっと力の強い音で、「鼻に抜く」音ですよね。
(強い音だからこそ、not, no などの否定語に使われているのだろうと思いますし、would と wouldn't の聞き分けも、n- が聞こえるか聞こえないかで判断することができる、ということだと私は思っています。)

それに比べると、eight の発音は、語尾の -t という破裂音は消失してしまうので、日本人がカタカナで書く「エイト」ではなく、「ィ」のような発音になります。
そのように発音を比較しても、「エィ」が断然ラクだと思えますから、それでやたらと eight が使われることになるのかなぁ、と。


「なぜ”8歳”なのか?」を追求すること自体はあまり意味のないことかもしれませんが、こういう場合に英語ではよく eight という数字を使う、ということを知ることは無駄だとは思いません。
自分の知り合いのネイティブがたまたま eight と言っただけであれば、その人の言い回しの癖みたいなものである可能性もありますが、Friends, Underdog, The O.C. と、それぞれ監督も脚本家も違う作品で、eight が同じニュアンスで使われていたということであれば、「英語ではそういう言い回しをするんだな」と判断しても構わない、という気がします。
私はそうやって「自然な英語」を学んできた気がするのですね。

「フレンズ以外でも、やっぱり8歳って言うのかな?」とずっと疑問に思っていた謎が、たまたま他の作品を見ることで解決できたことが嬉しかったので、ご報告も兼ねて記事にさせていただきました。
やはり「生きた英語の宝庫」であるドラマや映画は、私にとって何よりの英語の先生であると、今回しみじみ思いました。


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posted by Rach at 09:05| Comment(4) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする