2010年12月31日

今年もありがとうございました

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もう大晦日ですね。
今日は読者の皆様にお礼を述べて、今年最後の記事にしたいと思います。

ブログ5周年の記事で、ブログの閉鎖も視野に入れていることを述べ、ブログランキングがどれほどの励みになっているかということも書きました。
それ以来、毎日たくさんの方がランキングクリックの応援をして下さったお陰で、今も上に書いたような高順位をキープさせていただいています。
クリックして下さっている皆様、本当にありがとうございます。

5周年の記事からもう半年が経つのに今でも多くの方が押し続けて下さっていること、そして私のブログはもう毎日更新ではなくなっているにもかかわらず、記事の更新がない日にも多くの方が押して下さっている、という事実が、私にとってはとても嬉しくありがたいです。
個々の記事の良し悪しでクリックして下さっているだけではなく、このブログがネット上に存在し続けることを期待して下さっている方々の応援だと理解させていただいています。

ランキングのことで落ち込むことがなくなって以来、何かがふっきれた感じで、自分なりに納得できる記事がまた書けるようになった気がします。
もちろん、全ての記事に納得できているわけではなく、日によって良し悪しはありますが、以前のように「一生懸命書いても、それをちゃんと読んでくれる人がいるのだろうか?」というような不安な気持ちを持ちながら書くということはなくなりました。
私らしい記事を自由に書いても、それをきちんと読んで下さる人がいる、と今は確信できるからですね。

英語学習の目的も方法も人それぞれなので、私は自分の考えややり方を誰かに強制するつもりはありません。
「私はこんな風に楽しく英語を学んでいます」ということをネット上で皆様にご披露することで、英語学習に悩んだり行き詰ったりしている方々に対して何らかのヒントになればいいな、という気持ちで、これからもこのブログを続けて行きたいと思います。


日本語が上手な外国人の方にその理由を尋ねると、「日本のアニメやマンガが好きで、それを見て日本語を覚えた」というようなコメントを聞くことが最近よくある気がします。
それを聞いて驚く人も結構いるようですが、私はそれは当然だと思うし、また自然なことだとも思います。
それは「そのキャラクターが使っている言葉をオリジナルで理解したい」という欲求が、学ぶ意欲に繋がっているからです。
私がやっている海外ドラマを使ったDVD学習法はまさにそれと同じことです。
ですから私は、アニメやマンガで日本語を覚えた、という人の気持ちも、その効果がいかほどかということも、よくわかります。
他の言語を学ぶ流れとしては、それが「一番自然でまっとうなもの」だと思うからです。
誰かに強制されるのではなく、内的欲求から来る学びの気持ちが大切だと思うのですね。

社内英語公用語化の動きや、昇進のために TOEIC で何点以上必要、など、英語に興味がない、もしくは好きでもないのに英語を学ばないといけない強制にさらされている方が多くいらっしゃるのはわかっています。
そういう方にとっては、海外ドラマで英語を学ぶという行為はそれほど魅力的には映らないだろうことも容易に想像できます。
でも、そういう方は別にして、本当に英語を使いこなしたい、英語で人間らしいコミュニケーションを取れるようになりたい、と願っている方にとっては、私がお薦めしている DVD学習法は、最も効果的な学習法の一つであると私は信じています。(唯一無二の、とまでは言いませんが…笑)

自分なりに「これだ!」と思う方法を見つけている方は、どうかそれを来年も続けて行って下さい。
そして、何に取り組んでも結局続かなくてやめてしまう、という方は、是非一度、レンタルでもいいから何かDVDを借りてみて、DVD英語学習法を試してみて下さい。

昨今の日本の英語学習ブーム…と言っても、恐怖心だけをあおるような動きや、テストの点数のみに振り回されるような現状には、正直、残念な気持ちがしています。
語学を学ぶということは本来もっと楽しいものであるはずです。
そういう本来の学ぶ楽しみを多くの人が感じられる世の中になって欲しいと思います。
来年は一人でも多くの人が「英語を学ぶって楽しい」と言えるような状況になってくれることを祈っています。

5周年の時は本当にブログを閉鎖しようかと思っていました。
あの時やめてしまわなくて本当に良かった、と今は心から思っています。
皆様、本当にありがとうございました。

来年も頑張ります。
今後ともどうかよろしくお願いいたします。

皆様、よいお年をお迎え下さいませ。


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posted by Rach at 09:42| Comment(7) | その他のお知らせ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月30日

ユーニードとユー&アイ フレンズ5-13その2

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オーディションで、洗練された男の役をゲットしたいジョーイのために、ファッション業界で働いているレイチェルが服を選ぶのを手伝うと申し出ます。
[Scene: Bloomingdale's, Rachel is fixing Joey up with some new clothes.]
ブルーミングデールズ(レイチェルの職場)。レイチェルは、新しい洋服で、ジョーイの身なりを整えてあげているところ。
レイチェル: Okay now Joey, you know that since you're returning all this stuff right after the audition you're gonna have to wear underwear? (オッケー。それでね、ジョーイ、オーディションのすぐ後に、あなたはこの服を全部返却することになるから、下着を着なくちゃだめだってこと、わかってるわよね。)
ジョーイ: All right. You'd better show me some of that too, then. (わかったよ。それじゃあ、下着もいくつか見せてくれた方がいいな。)
レイチェル: Okay, it's missing something. Ooh, I know! Umm, okay. (Goes and grabs a bag, that looks like a purse, and shows it to Joey.) ([ジョーイの言葉に笑った後、ジョーイの全身を見つめながら] オッケー。何か足りないのよね。あぁ、わかった! よし。 [行って一つのバッグをつかむ、それはパース[ハンドバッグ]のように見える、そしてそれをジョーイに見せる]
ジョーイ: Really? A purse? (まじで? ハンドバッグ(を持て、って)?)
レイチェル: It's not a purse. It's a shoulder bag. (ハンドバッグじゃないわ。ショルダーバッグよ。)
ジョーイ: It looks like a woman's purse. (女性用ハンドバッグに見えるよ。)
レイチェル: No Joey, look. Trust me, all the men are carrying them in the spring catalog. Look. (Shows him.) See, look. Men... carrying the bag. (いいえ、ジョーイ、見て。信じてよ、男性はみんな春のカタログで、そのバッグを持ってるのよ。ほら。[ジョーイに(カタログを)見せる] ほら、見て、男性よ…そのバッグを持ってる。)
ジョーイ: See, look. Women... carrying the bag. (He puts it on his shoulder and looks at himself in the mirror and likes what he sees.) But it is odd how a woman's purse looks so good on me, a man. (ほら、見て、女性だ…そのバッグを持ってる。[ジョーイはそのバッグを肩にかけ、自分の姿を鏡で見る。そして、自分の見ている姿を気に入る] でも、女性用バッグが俺にそんなに似合ってるように見えるのって奇妙だよな。俺は男なのに。)
レイチェル: Exactly! Unisex! (その通りよ! ユニセックス[男女兼用]だもの!)
ジョーイ: Maybe you need sex. I had sex a couple days ago. (多分、セックスが必要なのは君の方だよ。俺は2、3日前にセックスしたから。)
レイチェル: No! No, Joey. U-N-I sex. (違う! 違うわ、ジョーイ。ユー・エヌ・アイ・セックスよ。)
ジョーイ: Well, I ain't gonna say no to that! (そうだな、俺はそれについてはノーとは言わないぜ。)

レイチェルは、ジョーイにおしゃれな服を着せながら、you know that... 「…のことはわかってるわよね」と念押ししています。
since は理由を表す接続詞で、「オーディションの直後にこの服全部を返すことになるから[返すことになってるから]」というニュアンス。
オーディションのために高価な服を(友達のよしみで)貸してあげてるだけなんだから、ちゃんと下着をはいてよね、と言っているわけです。
ジョーイが服の下に下着(パンツ)をはいていない、という話はこれまで何度も出てきましたね(笑)。

今日は上の服は借り物なんだから、下着をちゃんとつけてよ、と言われて、「そう言うのなら、下着もいくつか見せてくれよ」と言うジョーイ。
下着は見えないので自分の持っているものをはけばいいのに、ついでに上等な下着も一緒に貸してくれ、と言っているわけですね。

服を着たジョーイの全身を見ながら、「何かが足りない」と言った後、レイチェルは思い出したようにそばに置いてあったバッグを持ってきます。
ジョーイはそれを見て、A purse? と言っていますね。
purse は日本語になっているように、「パース、口金つきの財布、小銭入れ」ですが、アメリカでは「女性用ハンドバッグ」のことも purse といいます。
フレンズで purse といえば、たいてい、財布ではなく、バッグの方を指しますね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
purse [noun] [countable] : a bag, often made of leather, in which a woman carries her money and personal things
つまり、「バッグ。たいていは革製、女性はお金や個人の持ち物をその中に入れて持ち歩く」。

ハンドバッグじゃなくて、ショルダーバッグよ、と言いながら、肩にかけてみせるレイチェルですが、ジョーイはもっとはっきりと、「”女性用の”ハンドバッグに見える」と言っています。

レイチェルは、男性もこれを持ってるのよ、と主張するために、春のカタログを見せています。
ページをめくりながら、そこに出てくる男性たちが、そういうバッグを持っている、と説明していますね。
carry は「運ぶ」が基本的な意味ですが、このようなバッグの場合だと「(身につけて)持ち歩く、携行する、携帯する」ようなニュアンスですね。

最初は女物みたいだ、と文句を言っていたジョーイですが、それを肩にかけてみた姿を鏡で見て、まんざらでもないじゃん、みたいな顔をして、女性用のバッグが俺にこんなに似合っちゃうなんて、奇妙・変だよな、と言っています。
me, a man は同格で、「俺、つまり男の俺」みたいな感じです。

男にも似合うなんて不思議だ、というジョーイに、だってそれは unisex だもの!とレイチェルは言っています。
ユニセックスは日本語になっていますが、「男女兼用・両用の、男女共用の、男女の別のない」という意味ですね。
uni- は「単一」という意味を表す連結形ですから、「男女に分かれていない単一の性」というようなことから、そういう意味で使われるのですね。
その unisex という言葉を聞いた後の、ジョーイの返しがいかにもジョーイらしいです。

ジョーイは、Maybe you need sex. と言っていますが、それは、レイチェルが言った、unisex 「ユニセックス」という言葉を、You need sex. 「ユー・ニード・セックス」と聞き間違えているのですね。
You need sex! と言われたと思ったジョーイは、"I need sex? No, I don't need sex 'cause I had sex a couple days ago. Maybe YOU need sex." 「俺は、2、3日前にエッチしたばっかりだから、エッチは必要ないよ。必要なのは多分、君(レイチェル)の方だよ」みたいに返したわけですね。

ジョーイが勘違いしているのに気付いたレイチェルは、ユニという発音ではわからないと思って、今度はアルファベットのスペルで、U-N-I 「ユー・エヌ・アイ」だと説明します。
それを聞いたジョーイは、「俺はその件に対しては、ノーとは言わないよ」みたいに答えていますが、今度は、U-N-I 「ユー・エヌ・アイ」を、You and I 「ユー・アンド・アイ」と聞き間違えているわけです。

レイチェルが、「私は、You need sex. と言ったんじゃなくて、You and I sex. と言ったのよ」と訂正したのかと思って、「君と俺がエッチするってこと? 俺としてはその提案にノーとは言わないよ、オッケーだよ」と言って、ニヤニヤしているわけですね。

ain't は am not の縮約形ですが、非標準的用法とされています。
ドラマや映画でのラフなセリフや、歌詞などでよく見かける気がしますが、フレンズでは案外使われていません。
今回も、I'm not going to say no to that と言うところを、わざと口説き文句風にラフに言った感じを出しているのだと思います。

今回のこのやり取り、sex という単語を聞くと、「性別」のことではなく「行為」のことしか思いつかないプレイボーイのジョーイらしいセリフでしたが、uni という言葉を、You need、そして、You and I のように2回聞き間違える、というところが、脚本としてなかなか凝っているなぁ、と思いました。

歌の歌詞や、あるいは Twitter での略語などでも、you を U と表現することはよくあります。
また、need の語尾の -d は、音としてはほとんど聞こえませんから、uni- と you need は非常に似た感じに聞こえます。
そして、rock and roll を rock 'n' roll と表記するように、2つの言葉を結ぶ and は、軽く発音されて軽い「エン」のように聞こえるため、U-N-I を、you and I に聞き間違えてしまう、というのもありそうな話です。

似た言葉に聞き間違えるというのは、日本語の漫才にもよく登場する、言わば「ジョークの本流」ですね。
ジョーイが答えるセリフを英語で聞いて、ジョーイがどういう聞き間違いをしたのか?にピンと来るようになれば、いい感じ!だと思います。


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posted by Rach at 12:22| Comment(4) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月27日

情報を聞き出すために拷問する フレンズ5-13その1

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シーズン5 第13話
The One with Joey's Bag (ジョーイのバッグ)
原題は「ジョーイのバッグの話」


冒頭シーンで、モニカはチャンドラーにマッサージをしてあげています。
自分をマッサージ上手だと思っているモニカですが、モニカのマッサージを受けているチャンドラーの顔は苦痛にゆがんでいます。
そのことにモニカは全く気付いていません。
その後のシーン。
[Scene: Central Perk, Chandler and Joey are sitting on the couch.]
セントラルパーク。チャンドラーとジョーイはカウチに座っている。
チャンドラー: I'm telling you, she gives the worst massages ever! Okay, it was like she was torturing me for information. And I wanted to give it up. I just, I didn't know what it was! (言っとくけど、モニカは今までで最悪のマッサージをするんだ[モニカのマッサージは史上最悪なんだ]! そう、情報を聞き出そうとモニカが俺を拷問してるみたいな感じだったんだよ。そして、俺はその情報を提供しようと思ったんだけど、俺はただ、俺はその情報が何かわからなかったんだよ!)
ジョーイ: Chandler, if it really hurts that bad, you should just tell her. (チャンドラー、もし本当にそんなにひどく痛いのなら、ただモニカに言うべきだよ。)
チャンドラー: Look, for the first time in my life, I'm in a real relationship. Okay, I'm not gonna screw that up by y'know, telling the truth. (なぁ、人生で初めて、俺は本当の男女関係の中にいる[男女関係を築けている]んだ。そうさ、俺はその関係をダメにするつもりはないんだよ、ほら、真実を告げることでね。)
ロス: (walking up with Rachel and carrying coffee) Hey. (レイチェルと歩いて近づいてきて、コーヒーを運んでいるところ) やあ。)
ジョーイ: Whoa, dude, look out! You almost crushed my hat. (He picks a hat up from the floor. It's one of those magician stovepipe hats.) (おいおい、気をつけろよ。俺の帽子を踏みつぶすところだったぞ。[ジョーイは床から帽子を取り上げる。その帽子は、よくある、マジシャンのシルクハット(の一つ)である]
ロス: Sorry. (ごめん。)
チャンドラー: (examining the hat) And the bunny got away. (Turns and starts looking for the bunny as Joey puts the hat on.) (帽子をよく調べて) そしてウサギは逃げた[ウサギがいないよ]。 [チャンドラーは振り向いてウサギを捜し始める、そしてジョーイは帽子を頭にかぶる])
ロス: (glaring at Joey) This would be the place where you explain the hat. ([ジョーイをにらみながら] ここで、ジョーイがその帽子を説明するところだと思うけど。)

チャンドラーはジョーイに、モニカのマッサージのひどさを愚痴っています。
she was torturing me for information の for は「…を求めて、…を得るために」というニュアンスですね。
つまり、torture me for information は、「情報を得るために俺を拷問する」ということになります。
モニカがマッサージしている時の様子を、it was like she was torturing... と表現することで、まるでそれは、モニカが俺から情報を聞き出そうと拷問しているような感じだった、と言っているのですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
torture [verb] [transitive] : to deliberately hurt someone to force them to give you information, to punish them, or to be cruel
つまり、「情報を提供するように強制したり、その人を罰したり、または虐待したりするために、故意に人に苦痛を与えること」。

このように、元々、torture の語義の一つに、「情報提供を強要する」ことが含まれているのにも注目したいところです。

死にそうなほど痛くて拷問みたいだったと言っているわけですが、その後のセリフ、And I wanted to give it up. I just, I didn't know what it was! がさらにそのジョークを面白くしています。
以下の文章に2箇所出てくる it はどちらも、information を指します。
give up は「あきらめる」と訳されることが多いですが、この場合は「秘密などを人に明かす」というニュアンスですね。
「自分が所持していたものを、観念して・あきらめて、誰か人の手に渡す」というような感覚だと思います。
つまり、この一連のセリフは、「モニカは情報を聞き出そうと俺を拷問にかけてるみたいだった。で俺は(あまりにその拷問がキツくて耐えられないと思ったので)その情報を明かしたい、提供したいと思った。でも、俺はその情報がどんなものかを知らなかったんだよ!」と言っていることになります。

「お前が知っている情報を全て吐け!」みたいな感じで非人道的な拷問にかけられるシーンはドラマや映画でよく登場しますよね。
その拷問がキツければキツいほど、つい情報をばらしてしまいたい衝動に駆られるわけですが、今回のモニカのマッサージはまさにそういう「思わず知っている情報を口走ってしまいそうになるほどの痛さだった」と言っているわけです。
この拷問をやめてもらえるなら、俺は何でも話す!と言いたいところだったけど、提供したくても、提供すべき情報が何であるかがわからなかったんだよ、と言っていることになります。
そもそもモニカは何かの情報を聞き出そうとして拷問しているわけではありませんから(笑)、提供すべき情報がないのは当然で、そこを「情報を提供してその拷問をやめてほしかったけど、提供すべき情報がなかった」というオチにしているわけですね。

そんなに痛いなら、痛いってモニカに言えばいいのに、というジョーイですが、チャンドラーは、
for the first time in my life, I'm in a real relationship 「人生で初めて、本当の男女関係の中にいるんだ」というセリフで、今のモニカとの関係を表現しています。
これまでの恋愛は、「本当の恋愛関係」と呼べるようなものではなかった、今回初めて、そういう本物の関係になれてるんだよ、ということですね。

screw up はフレンズによく出てくる表現ですが、「…を台無しにする」。
その関係をだめにしたくないんだ、と言いながら、by telling を付け足しのように加えて、「真実を告げることでね」と言っています。
恋人同士であるなら、真実を語り合うことがより関係を深めることに繋がることもありますが、今回のマッサージの件に関しては、正直にモニカのマッサージのことを伝えてしまったら、関係が破綻してしまうくらい、モニカのマッサージがひどいものだと言っているわけですね。

ロスがカップを持って近寄ってきたので、ジョーイはロスに注意しています。
You almost crushed my hat. という 「almost+過去形」は、これまでも何度か出てきましたが、「もう少しで…するところだった」という意味。
まだ踏みつぶしてはいない、実際に踏みつぶしたりはしていないけど、もう少しで踏みつぶすところだったぞ、気をつけてくれよ、という感覚です。
stovepipe は文字通り「ストーブの煙突」のことで、その形状に似ていることから、シルクハットのことを stovepipe hat と呼びます。
one of those は「よくある、例の…の一つ」で、みんながよく知っている、おなじみのアレ、という感覚ですね。
見るからに手品師がかぶっていそうなシルクハットだったので、チャンドラーは帽子の中を覗いてチェックした後、「で、中に入ってるはずのウサギは逃げたな」と言いながらキョロキョロと逃げたウサギを捜すふりをしています。
「お前はマジシャンかっ!」のようにダイレクトにツッコミを入れるのではなく、「で、ウサちゃんはどこ?」みたいに言うのがチャンドラーらしいですね。

ジョーイはただ黙って、その帽子をかぶり、すました顔をしています。
それをじっと見ていたロスは、This would be the place where... と言っていますね。
このセリフを直訳すると、「ここ(今の時点)が、ジョーイが帽子を説明するところになるだろう、なるはずだ」という感じでしょうか。
そんな妙な帽子を何の説明もなくかぶっていて、周りの者は怪訝な顔で見つめているのも気にしない様子のジョーイに、「今がまさに、どうしてそんな帽子を持っているのかを説明するところだと思うけど(どうしてジョーイは説明もせずに当たり前みたいにその帽子をかぶってるわけ?)」と、帽子の説明を促しているわけですね。

フレンズ3-14その3 では、チャンドラーが、出会ったばかりの女性ジンジャーに対して、名前を言うようにしぐさで促すも名前を言おうとしないので、This is the part where you say your name. 「ここが[ここで]君が自分の名前を言うところだよ」というセリフもありました。
This is the place/part where という形が、よく似ていて、どちらも「今(この時)が、…するところだよ」というニュアンスになるわけですね。


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posted by Rach at 10:07| Comment(13) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月24日

THIS IS IT フレンズ5-12その6

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前回の記事、フレンズ5-12その5 で取り上げたセリフ、
モニカ: So if you don't mind, maybe this will be it for me on the work things. (だから、もしあなたが構わないなら、多分、仕事のことではもうこれっきりになる[これが最後になる]でしょうね。)
の日本語訳について、ご質問がありました。
その記事の中では、説明を省いてしまったので、今回はそのことを記事にしたいと思います。

当初は、その部分ももう少し詳しく説明するつもりだったのですが、書いているうちに長くなり収拾がつかなくなりそうだったので、説明が中途半端になるよりは…とその部分の説明を丸々カットしてしまったのです。
ですが、せっかくご質問をいただいたので、それをもう一度きちんと説明する良いチャンスだと思いました。
また、今回のフレーズは、This is it. というお決まりフレーズとも関係するものなのですが、ちょうど今日、日本テレビ系の金曜特別ロードショーで、『THIS IS IT 4時間スペシャル』が地上波初放送されることを知り、このタイムリーな偶然は、「コメレスではなく、記事として書いたら?」という英語の神様のお告げに思えたのですね(笑)。
ということで、今回は上のセリフの説明と、This is it. というフレーズについても解説します。

まず、問題のセリフですが、私は前回の記事で以下のように訳しました。
モニカ: So if you don't mind, maybe this will be it for me on the work things. (だから、もしあなたが構わないなら、多分、仕事のことではもうこれっきりになる[これが最後になる]でしょうね。)

this will be it for me on the work things の this will be it は、this is it の未来形だと考えます。
そして、This is it. というフレーズは、いろんな解釈が可能な言葉ですが、この場合の This is it. は「これで終わりだ」「これで最後だ」のニュアンスだと私は捉えたので、その未来形の意味で「これが最後になるでしょう」「もうこれっきりになるでしょう」と訳したわけです。
This is it. はいろんな意味に解釈可能だ、という話については、後で詳しく述べます。

maybe this will be it for me on the work things の for me は、「私にとって」のような感覚で、on the work things の on は接触を表す on であることから、「その仕事の件に関して」というような「関与」のニュアンスが感じられる気がします。
ですから、そのセリフは、「多分、私にとって仕事のことではこれが最後になるでしょう、仕事の件に関しては私はこれで最後にするわね」のような意味になるだろうと考えた、ということです。

「仕事に関してはもうこれっきり」→「もうこれ以上、(あなたの)仕事関係の用事には付き合わない」と言ったので、「そんな大きな問題か?」とチャンドラーは問い返しているのですね。


ではここで、This is it. というフレーズについて改めて見てみます。
This is it. は日本語では「いよいよだ」と訳されることが多いですね。

映画「インデペンデンス・デイ」で、宇宙にあるエイリアンの母船にコンピューターウイルスを仕掛けてシールドを解除した後、地上の宇宙船に向けて一発目のミサイルが発射された時にグレイ将軍が言っていたセリフが、
グレイ将軍: Gentlemen, this is it. (諸君、いよいよだ。)
でした。

また、フレンズ1-21 では、マルセルと空港で別れを言っている時のロスのセリフにも、This is it. が登場していました。
ロス: Marcel, come here, come here. [He sits down and Marcel jumps down and sits beside him] Well buddy, this is it. There's just a couple of things I wanted to say. (マルセル、おいで、おいで。[ロスは座り、マルセルは飛び降りてロスの隣に座る] ねぇ、友よ、いよいよだね。言いたかったことがいくつかあるんだよ。)

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
this is it! : used to say that something you expected to happen is actually going to happen.
例) This is it - the moment we've been waiting for!

つまり、「起こると予期していたことが実際に起ころうとしていることを言うのに使われる」。
例文は、「いよいよだ。我々がずっと待っていた瞬間だ!」

This it it. を直訳すると、「これがそれだ、これがそうだ」みたいな感じです。
this は今目の前で起こっていること、これから起ろうとしていることを指し、it は「話者の頭の中にイメージとして存在する、重要なポイント・焦点となるべき事柄」を指す感覚。
「こういうことが起こるだろうと思っていた、その it がこれだね、it が今、目の前で起ころうとしているんだね」という感じでしょう。
フレンズ1-21 でロスがマルセルに言った、This is it. も、ずっと心の中で考えていた「その(別れの)時」がとうとう来てしまったんだ、という感じの、This is it. です。

そのように、This is it. は「いよいよだ、来るべきものが来た」というニュアンスで訳されることが多いのですが、今回のモニカのセリフに関しては、「これがいよいよになるでしょうね」というような訳だと、何だかしっくりきません。
そこで思い出されるのが、this を that に変えたバージョンの That's it. というフレーズ。
That's it. もドラマの会話で頻出する表現ですが、主に以下の3通りのニュアンスに分けられると思います。

That's it.
1. まさにそれだ。その通りだ。 (直前の発言や行動などに対して、それがまさに求めていたものである、という賛成・賛同・称賛のニュアンス)
2. それまでだ。そこまでだ。 (誰かの行動などに対して不満を覚え、もうそれ以上は続けさせないぞ、と怒っているニュアンス)
3. それでおしまい。それで終わりだ。 (何かが今、終わったことを伝えるニュアンス。
That's it for today. なら「今日はここまで[それまで]。今日はこれで[それで]おしまい」という決まり文句)

フレンズでは、誰かの行動に我慢できなくなって、「もうそこまでだ、そこまでにしろ!」という感じで怒った時に使う That's it! が多いでしょうか。
また、That's it? 「それだけ? それで終わり?」みたいなセリフも登場しますね。

このように、That's it. にはいろんなニュアンスがあるわけですが、その指示代名詞の that を this に変えることで、同じようなニュアンスを出すことは可能だと思います。
実は英英辞典を見ても、This is it. に「これで終わりだ、これで最後だ」というような意味は載っていないのですが、That's it. 「それでおしまい」のニュアンスから、そういう意味を導き出すことはできるだろう、と。

This is it. にそういうニュアンスがあると仮定して、どうして、That's it. や、This is it. で「おしまい、終わり」という意味になるかを私なりに考えてみたのですが、その場合の it は「自分が頭の中に思い描いていたものの全体、全て」を指しているのかなぁ、という気がします。
That's it. だと、that = it 、つまり、「それ(今までにしてきたこと、述べてきたことなど)が、自分のイメージの中にあるもの(全て)である」と等式で繋ぐことで、「今ので全部だ」というイメージにつながり、「それ以上はない、それで終わりだ、おしまいだ」という「終わり」の感覚に繋がるのかなぁ、と思うのです。

This is it. はもっぱら「いよいよだ」と訳されることが多いものの、状況によってはいろいろな解釈が可能だと思う、ということを述べてきましたが、ここで改めて、マイケル・ジャクソンの THIS IS IT について考えてみたいと思います。

「マイケル・ジャクソン THIS IS IT」(原題: Michael Jackson's THIS IS IT)は、2009年に話題になった映画ですね。
THIS IS IT は元々、2009年にロンドンで行われる予定だったコンサートツアーのタイトルで、そのタイトルを冠した曲もあり、それがマイケルの死後制作されたドキュメンタリー映画のタイトルにも使われたのでしたね。
このタイトルを聞いて、「『これはそれだ』ってどういう意味?」と思った方も多いかもしれませんが、上で説明したように、英語ではよく使われる言い回しだということをまずは覚えておきたいところです。

このマイケルの映画のタイトルの意味は何か?については、何度か関係者のインタビューなどで語られているようです。
ただ、その作品を「受け止める立場」の私たちとしては、本来の意味は何か?を考えると同時に、その抽象的なタイトルから、さまざまな意味を連想できることも否定すべきではないでしょう。
何かの題名、タイトルである場合は、いろんな解釈が可能なフレーズを使うことで、タイトルにより深みが出る、いろんな意味を持たせられるという効果が望めます。小説や映画のタイトルもそういうものが多いですよね。
This is it. というフレーズについては、その映画の字幕や歌詞の日本語訳などで何かしらの日本語に訳されているわけですが、それはそれぞれの状況に合わせて、文脈に合うように訳されているはずです。
それはそれで正しいとして、その訳が、This is it. の意味の「全て」ではない、という気がするのです。

通常、This is it. は、上で説明したように「いよいよだ」というニュアンスで使われることが多いので、マイケルにとっては久しぶりのコンサートであることから、「世界中のファンが待ち焦がれていたものがいよいよ来るぞ」というニュアンスがまず考えられるでしょう。
また、このロンドンコンサートは、マイケルにとって最後のコンサートになるらしい、という噂もありました。
その噂を考慮すると、よく似たフレーズの That’s it. には「それでおしまい、それで終わり」という意味があるので、This is it. にもその「終わり」のニュアンスを持たせて、「これで終わりだ、これで最後だ」というメッセージが込められていると考えることも可能な気がします。
さらには、上で述べたように、it は「話者の頭の中にイメージとして存在する、重要なポイント・焦点となるべき事柄」を指しますので、「マイケル、もしくは多くの人々が求めていたもの、望んでいたものがこれだ。とうとう望むもの、求めるものを見つけたぞ。これなんだよ! これで決まりだよ!」という感覚だと捉えることもできます。

it が指しているのはどういうことか、を多角的に捉えることで、This is it. は実にいろんな意味に解釈可能になる、そこがタイトルとしての魅力でもあるのでしょう。
マイケルが頭の中で描いている it のイメージが何であるかによって、「これが“それ”なんだ」の「それ」が指すものが幾通りにも考えられるということですね。
「いよいよだ」もしくは「これで決まりだよ」と言いながら、「そしてこれが最後だ」というメッセージも込められているのではないか?という憶測が飛び交うことで、ファンの期待度が大いに高まるという効果だと思います。

中1の1学期で習うような this, is, it という3つの単語で出来た文章に、それだけの深さがある、というところが、語学の奥深さでもあるでしょうね。
また、ノンネイティブにとって掴むのが難しい部分でもあります。
英検1級に出てくるような難易度の高い単語をたくさん覚えるより、こういう簡単な単語、特に指示語のニュアンスを感覚として掴めるようになる方が、英語学習においては大切なことだと思っています。
私がセリフの解釈を間違う場合も、そのほとんどは、ある言葉が何を指しているかを取り違えてしまったことが原因である場合が多いですし(笑)。

ということで、長くなりましたが、this will be it for me on the work things の解釈と、This is it. についての説明でした。


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posted by Rach at 10:57| Comment(11) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月22日

驚いて、もう一度見る フレンズ5-12その5

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上司ダグのジョークにしらじらしいほど大袈裟に笑うチャンドラーに対して、
モニカ: (To Chandler) How does that laugh not give you a headache? ([チャンドラーに] どうしたら、あの笑いで頭が痛くならないで済むの?)
チャンドラー: Oh, you get used to it. (あぁ、慣れるもんだよ。)
モニカ: Y'know, I, I, I don't think that I can. So if you don't mind, maybe this will be it for me on the work things. (ねぇ、私にはできないって思うわ。だから、もしあなたが構わないなら、多分、仕事のことではもうこれっきりになる[これが最後になる]でしょうね。)
チャンドラー: So I laugh at my boss's jokes. What's the big deal? (確かに俺はボスのジョークに笑うよ。何がそんなに大ごとなんだよ。)
モニカ: I'd rather not hang out with this sniveling work-weasel guy when, when I can be hanging out with my boyfriend, who I actually respect. (私は、鼻をすすりながら泣いている、ずるい仕事男と一緒に過ごしたくない。本当に尊敬する恋人と一緒に過ごすことができているはずの時にね。)
チャンドラー: Oh. (Does a double take when he realizes what she just said.) (おぉ。[モニカが今言ったこと(内容)に気付き、改めて驚いてモニカを見る])

ダグたちがコーヒーを取りに席を外した後、モニカは不満をチャンドラーにぶつけています。
How does that laugh not give you a headache? を直訳すると、「さっきのあの笑いがどのようにしてあなたに頭痛を与えないの?」になるでしょうか。
「あんな笑い方してたら、普通は頭痛を起こしそうなものだけど、あの笑いがあなたに頭痛を与えてないなんて不思議でしょうがない」みたいなことを言いたいのですね。
理由を尋ねる why ではなくて、how を使うことで、「どういう仕組みで、頭痛を起さないで済んでるわけ?」みたいなニュアンスになります。

get used to は「…に慣れる、慣れてくる」。
仕事のお付き合いでこういうことに参加するのはもうこれで最後にしたい、というモニカに、俺はボスのジョークに笑ってるだけなのに、そんな大袈裟な話にするなよ、と怒っています。
snivel は「鼻をすする、鼻をすすりながら泣く」。
weasel は「イタチ」で、「ずるい男」という意味でこれまで何度も登場しました。

この最後のモニカのセリフは、非常に回りくどい表現になっていますが、文全体として言いたいことは、「自分が尊敬する恋人と一緒に過ごせる時に、ずるい仕事人間と過ごしたくない」と言っていることになりますね。

チャンドラーは、そのモニカの発言を聞いて、Oh. と言った後、改めてモニカの方を振り返り、「今、何て言った?」みたいなびっくりした顔を向けていますね。
ト書きの double take については、研究社 新英和中辞典に以下のように出ていました。

double take
【名】【C】《口語》 (意外な物事を見過ごしまたは聞き流し)後で気がついてはっと驚く(身ぶりをする)こと、見直し (解説:喜劇でよく用いる手法; 通例次の句で)
do a double take (at…) (…に)はっと見直す


LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
double take [noun] [countable]
do a double take : to look at someone or something again because you are surprised by what you originally saw or heard

つまり、「当初、見たり聞いたりしたことに(今)驚いて、誰かや何かを再度見ること」。

語義に「喜劇でよく用いる手法」とあるように、まさに今回もシットコムというコメディー、喜劇で使われていますよね。
上の訳を当てはめると、モニカがたった今、言ったことに後で気がついて、はっと驚いて見直す、ということになるでしょう。
それほど大した発言ではないといったんは軽く頷いたものの、よく考えてみると、「モニカ、今、君、すごいこと言わなかった?」みたいに、その発言の重要さに少し遅れて気付いた感覚ですね。
そのチャンドラーの、ダブルテイクの反応を見ても、モニカの発言が実はすごいことを言っている、ということになるはずです。

モニカがこのセリフを言っている時、前半部分ではチャンドラーから視線を外していますが、when I can be hanging out with my boyfriend, who I actually respect の部分では、チャンドラーの方を見ながらしゃべっています。
それを考えるとやはり、尊敬する恋人、というのはチャンドラーのことを言っている、と考えるのが妥当かなぁ、と。
モニカは「ずるい仕事男と一緒にいたくない」という話をしていて、その後、「尊敬する恋人と一緒にいられるはずの時間に」と付け加えることで、「今のチャンドラーは、尊敬すべき恋人じゃなくて、ずるい仕事男だ」と言っているモニカの意図に気付き、今言った、work-weasel って俺のことかよ!、今の俺は尊敬できる恋人じゃない、って言うのかよ!と気付いたために、チャンドラーは「そこまで言うか?」とモニカを改めて見た、ということかなぁ、と。

ですから、そのモニカのセリフは、「あなたがいつものあなたに戻ってくれたら、私は尊敬する恋人と一緒に時間を過ごせるのに。今のあなたは恋人として全然尊敬できない、ずるい仕事男よ」という意味が込められているのだろうと思いました。
my boyfriend, who I actually respect 「私の恋人、その人を私は本当に尊敬しているのよ」という言葉を添えていることで、相手の全てが嫌いなわけではなく、今の、a work-weasel guy であるあなたが尊敬できないのよ、と言っていることになる気がします。

細かい話ですが、when I can be hanging out のように「進行形」になっているのは、今、あなたがそういう態度を取っていなくて、いつものあなたならば、「私は尊敬する恋人と、、過ごせている(はず)」というニュアンスが入っているのかなぁ、とも思います。

(2010.12.24 追記)
チャンドラーが、do a double take した理由について、下のコメント欄でご意見をいただきました。
「チャンドラーが do a double take したのは、respect という言葉が意外だったから、予想していなかったものだったから」ということですが、私も改めて考えてみて、その通りだと思いました。

最初の部分の悪口が自分のことを言っていることは、チャンドラーは気付いていたわけですね。
それで、「また、「おべっか使い」みたいに俺のことを悪く言ってるよ…」と軽く聞き流していたら、「本当なら(あなたさえそうしてくれれば)今は恋人と時間を過ごせているはずなのに、私が本当に尊敬する恋人と」というセリフが続いたので、「モニカは今、俺のことを、”本当に尊敬する恋人”って言った?」というように、その発言に驚いた、それが、ダブルテイクの仕草だったのですね。
あまりの悪口に驚いた、とかではなく、「尊敬する」という褒め言葉、称賛の言葉に驚いたということです。
(確かに今考えると、それまでにも suck-up などさんざんチャンドラーの悪口を言ってきているので(笑)、今さら、work-weasel と言われても、それほど驚くことはないはずですから…)

チャンドラーとモニカはもう深い関係になっている恋人同士ですが、そういう人たちでも意外と面と向かって、I respect you. とは言わないもののようです。
I love you. という言葉には非常に重たい意味があって、付き合いの初期の頃にはあまり口にしないのと同じですね。
モニカが、「恋人としてのあなたを、私は本当に尊敬してるのに…」みたいな言い方をして、respect という単語を使ったことにチャンドラーは驚き、モニカが自分のことをそこまで思ってくれていることに感銘を受けた、ということだと思われます。

そのセリフの後、またジョークを言いながらダグが登場しますが、今度はチャンドラーは work laugh 「仕事向けの作り笑い・愛想笑い」をしようとはしません。
それは respect すると言ってくれた恋人モニカに対して、モニカが respect するに値する尊敬すべき素敵な恋人として振舞おうと心に決めたから、だったのですね。
それで一連の話の流れが合点がいった気がします。
(追記はここまで)


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posted by Rach at 11:50| Comment(3) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月20日

コーヒーにミルクと砂糖は? フレンズ5-12その4

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[Scene: Doug's house, Chandler, Monica, and them are just finishing dinner.]
ダグの家。チャンドラー、モニカとダグ夫妻がちょうど夕食を終えようとしているところ。
ダグ: But seriously, I strongly believe that we should all support President Clinton... and her husband, Bill. (Chandler does the laugh.) (でも、真面目な話、私たちは全面的にクリントン大統領を支持すべきだって、強く思ってるよ。…それと、彼女の夫のビルもね。[チャンドラーは笑う])
カーラ: So how do you kids like your coffee? (それで、あなたたちのコーヒーをどういう風にしたい[砂糖とミルクはどうしたらいい]?)
モニカ: Oh, none for me. Thanks. (あぁ、私は砂糖もミルクもなしで。ありがとう。)
チャンドラー: Just a little bit of sugar. (ちょっとだけ砂糖を。)
ダグ: Well, maybe I'll bring it out and have Monica stick her finger in it. That oughta sweeten it up, huh? (Once again, with the laugh.) (そうだな、多分、私がコーヒーを持ってきて、モニカに指をコーヒーの中に入れてもらうよ。そしたら甘くなるはずだ、だろ? [もう一度、(チャンドラーは)笑う])
(Doug and Kara go get the coffee.)
ダグとカーラはコーヒーを取りに行く。

ダグはまたジョークを言っています。
最初は真面目な政治の話をしていると思わせておいて、最後に落とす感じのジョークですね。
最初から順番に意味を取っていくと、「でも真剣な話、私は強く思っているんだ、我々は全面的にクリントン大統領を支持すべきだ、って…」ということになります。
私はクリントン大統領を強く支持するよ、と言っているのかな、と思っていたら、最後に「そして、彼女の夫のビルもね」と付け加えていますね。
つまり、ダグは、「ビル・クリントン大統領」ではなく、奥さんのヒラリー・クリントンの方を、President Clinton と呼んでいたことが、最後のオチでわかる仕組みですね。
あのダンナさんの方も支持するよ、と言うことで、まるで奥さんの方が大統領みたいだ、と言っていることになります。

Wikipedia 日本語版: ヒラリー・クリントン の「ファーストレディー」の項目にも、共同大統領 (co-President) と呼ばれていた、などの記述もありますね。

英辞郎に、以下の興味深い記述が載っています。

Hillary Rodham Clinton
【人名】ヒラリー・ロッドハム・クリントン、ヒラリー・クリントン、ヒラリー夫人◆米国第42代大統領 Bill Clinton の妻。2000年にニューヨーク州上院議員になる。才女。
ヒラリーの以前の男友達が経営するガソリンスタンドに立寄った時、クリントンがヒラリーに「貴女が彼と結婚していたらガソリンスタンドの経営者の妻だった」と言ったら、ヒラリーは「もしそうだったら、彼が大統領になっていたわ」と切り返した。


このジョークは、「ヒラリーとライス: アメリカを動かす女たちの素顔」(岸本裕紀子 著)の p.79 にも載っているようです。
(Googleブック検索で見つけました)
Google ブックス: ヒラリーとライス:アメリカを動かす女たちの素顔

その本の中では、「インターネット上で話題になったクリントン夫妻についてのジョークを紹介しよう。」と書いてありました。
ウィキペディアには(日本語版、英語版とも)このような話は載っていませんでしたので、やはり本当のエピソードではなく、あくまで「いかにもそんなことがありそうな感じのジョーク」なのでしょうね。
でもそういうジョークもなるほどと思えるイメージと、今回のダグのジョークの内容には、通じるものがある気がします。

カーラ(ダグ夫人)が言った How do you kids like your coffee? の kids は「子供」ですが、ここでは、you kids で「あなた方、若いお二人は」みたいなニュアンスがあるのでしょうね。
you だけだと、単数か複数かもわかりませんし、そばにはダグもいるので、自分の夫に尋ねているのではなく、あなたたちに尋ねているのよ、ということをわかりやすくするためにわざと kids を挿入しているのかなぁ、と思います。
フレンズ同士では、you guys のように表現することで、「君たち」という複数感を出しますが、ここではその you guys の代わりに you kids を使ったのでしょう。

How do you (kids) like your coffee? という問いに対して、モニカは、None for me. チャンドラーは、Just a little bit of sugar. と答えています。
チャンドラーの「砂糖をちょっぴり」という返事からわかるように、この How do you like your coffee? は、「コーヒーをどういうふうにしましょうか?」という決まり文句になります。
どういうふうに、とはつまり、ミルク(クリーム)や砂糖をどれくらい入れるか?という質問ですね。
直訳すると、「あなたは自分のコーヒーをどのようにするのが好きですか?」ということになり、それに対しては、ブラックがいい、とか、砂糖をたっぷり目に、とかの、好みの述べることになります。
飛行機の機内で客室乗務員が尋ねる決まり文句だったりもしますので、覚えておきたい表現の一つです。
「クリームと砂糖入りでお願いします」なら、With cream and sugar, please. です。

ですから、モニカの返事の、None for me. の none は、「ミルクも砂糖も要りません。ブラックでお願いします」という意味になります。
none は「何もない」ですが、コーヒーが要らないと言っているのではなく、ミルクや砂糖が要らない、と言っているだけであることに注意したいところですね。

コーヒーが飲みたいかどうかを尋ねる質問だと、Would you like to have some coffee? や、Would you care for some coffee? のような文になります。
今回は、How do you like your coffee? となっているので、あくまでコーヒーを飲むことを前提にして、「どういう風にして」飲みたいかを問うている質問になっている、ということです。

同じようなフレーズで、ステーキ(肉)の焼き加減を尋ねる質問の場合は、How would you like your steak (done)? になります。
直訳すると、「ステーキをどのようにするのがお好みですか?」ということですから、レストランでウェイターが、「ステーキの焼き加減はいかがなさいますか? どのようにいたしましょうか?」と尋ねる決まり文句ですね。

ちょっぴり砂糖を、と言ったチャンドラーに対して、俺がコーヒーを持ってきて、モニカに指を入れてもらうよ、とダグは言っています。
have Monica stick her finger in it は使役動詞で、「モニカに、モニカの指をコーヒーの中に入れてもらう、モニカの指を入れさせる」というニュアンスになります。
oughta は、ought to の発音綴り(発音した音の通り綴った形)。
ought to は「・・・のはずだ」という推量を表し、should と同じような意味。
sweeten up は「…を甘くする」ですから、コーヒーにモニカが指を入れれば、それでコーヒーが甘くなるはずだよ、と言っていることになります。

指を入れたら甘くなる、というのは、恐らく、恋人のことを、honey, sweetheart, sweetie のように「あま〜い」 名前で呼ぶから…でしょうねぇ。
お前と甘い関係真っ只中の恋人モニカの指を入れれば、そのコーヒーも甘くなるだろうさ、みたいに、二人を冷やかしているのかなぁ、と思いました。


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posted by Rach at 12:52| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月17日

勝てる試合にわざと負ける フレンズ5-12その3

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[Scene: Monica and Rachel's, Monica and Chandler are returning from the game.]
モニカとレイチェルの部屋。モニカとチャンドラーは(上司ダグ夫妻とのテニスの)試合から戻ってきたところ。
モニカ: I can't believe you let them win! (あなたがダグたちを勝たせるなんて信じられないわ!)
チャンドラー: Yeah, at least you hid your feelings well about it. (Removes a smashed racket from his bag.) (そうだね、少なくとも君は、その件について、感情をうまく隠したね。[自分のバッグから破壊されたラケットを取り出す]
モニカ: I was frustrated. (私は苛立(いらだ)ってたんだもの。)
チャンドラー: It was my racket. (俺のラケットだったんだぞ。)
モニカ: I was frustrated with you! (私はあなたに苛立ってたのよ!)
チャンドラー: If we hadn't lost the game, they would never have invited us to dinner tomorrow night. (もし俺たちが試合に負けなかったら、ダグたちは俺たちを明日の晩のディナーに招待したりはしなかったよ。)
モニカ: Y'know what really bothers me is, is how, how different you act around them. I mean y'know the throwing the tennis games, the fake laugh, the "See you later, Bing!" "Not if I see you first, Doug!" (Mocks the fake laugh.) I gotta tell you, I don't like "work Chandler." Okay? The guy's a suck-up. (私をほんとにイライラさせるのが何かわかる? それは、あの人たちのそばでは、あなたが(いつもと)違うように振る舞うことよ。つまり、あんな風にテニスの試合でわざと負けたことや、あの作り笑いや、あの「また後でな、ビング!」 「いえいえ、私があなたを先に見つけますよ、ダグ!」とかよ。 [作り笑いを真似する] これだけは言わせて、私は「仕事の(時の)チャンドラー」が好きじゃないのよ、いい? そいつ(work Chandler)は、ごますり男だもの。)
チャンドラー: Okay y'know what, because you said that, I'm not putting out tonight! (わかった、いいか、君がそんな風に言ったから、今夜はさせてやらないからな!)

テニスの試合で上司にわざと勝たせてやったチャンドラーに対して、モニカはぷりぷり怒っています。
at least you hid your feelings well about it と言いながら、めちゃめちゃに壊されたテニスラケットを見せるチャンドラーが面白いですね。
そのセリフを文字通り訳すと、「少なくともモニカは、それ(上司に勝たせるためにわざと負けたこと)について、君の感情を上手く隠した」となります。
言葉としては、「君はそうやってすごく怒っているけど、少なくともその感情をぶちまけることはなかった(ので良かったよ)」みたいなことを言っているのですが、そう言いながらバッグから取り出したラケットはボロボロ。
チャンドラーの本音は、ラケットをこんなにめちゃくちゃにしておいて、まだ怒ってるのか、というところでしょう。
ラケットに八つ当たりすることで気は済んだだろ?と言いたい感じでしょうか。
そのラケットを見れば、モニカが怒りの感情を爆発させたのは一目瞭然、それを見せながら、「君は少なくとも感情は隠してた」と言ってみせるチャンドラー流の皮肉です。

私は苛立ってたの→君が苛立ってたからってどうして俺のラケットに八つ当たりするんだ→だって私は「あなたに」苛立ってたんだもん…というやり取りも、恋人の喧嘩っぽくて楽しいですね。

If we hadn't lost... they never would've invited... は典型的な仮定法過去完了の文。
「もし試合に負けなかったら、彼らが俺たちをディナーに招待することはなかった」ということですから、つまりは「試合に負けたからこそ、ディナーに招待してくれたんだ」と言いたいのですね。
わざと負けたことを怒ってるけど、そうすることで得るものがあったんだ、と言って納得させようとしている感じです。

モニカは、上司の前での振る舞いがいつもと違うことを怒っています。
the throwing the tennis games の throw は「(試合などに)わざと(八百長で)負ける」。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
throw a game/match/fight etc. : to deliberately and dishonestly lose a fight or sports game that you could have won
つまり、「勝てた勝負やスポーツの試合に、わざと、そして、偽って負けること」。

ロングマンの語義にあるように、普通にしていれば勝てた試合にわざと負けることを指します。
まさに今回チャンドラーがやったことですね。
throw は元々「投げる」という意味で、throw away なら「捨てる」です。
日本語で「試合を投げる」と言うと、「あきらめる、断念する」の give up のニュアンスに近くなってしまいますが、「投げる」「捨てる」というニュアンスは、(完全に一致はしないまでも)今回の「わざと負ける」という語義に近いものはある気がします。

the throwing the tennis games のように、the ...ing の形になっているのは動名詞で、「その、テニスの試合に負けたということ」を指します。
その後も、the fake laugh, the "See you later..." のように全てに the がついているのは、そのわざと負けたこと、その作り笑い、その「…」っていうセリフ・・・のように、普段と違う行動を、名詞を箇条書きにして挙げているような感覚でしょう。

ダグが "See you later, Bing!" と言ったら、チャンドラーが "Not if I see you first, Doug!" と返す、というやり取りも槍玉に上げられていますが、チャンドラーの返事の、"Not if I see you first, Doug!" の意味が意外と難しいです。
not は、その前のダグの発言を not で否定した形が省略されていると考えられます。
ダグの See you later という決まり文句は、いきなり動詞で始まっているからと言って命令形なわけではなく、I'll see you later. の最初の I'll が省略されたものですね。
ですから、チャンドラーのセリフの not 部分の省略された部分を補って文にすると、"You won't see me later, if I see you first." みたいになるでしょうか。
英辞郎に、
I see you.=(かくれんぼ) 見っけ。見ーつけた。
という意味が載っていたのですが、今回の I see you も、「あなたに会う」というよりも「あなたを見つける」というニュアンスかなぁ、と思いました。「会う」よりも「見る」という感覚ですね。

See you later という決まり文句を、「後で君を見つけるぞ」と言ったかのようにわざと解釈し、「それは無理ですよ、私があなたを最初に(先に)見つけますからね」と言ったのかなぁ、と私は思いました。
see を「会う」と訳してしまうと、「後で会おう」「後で会うことはないですよ、私が先に会いますから」となってしまい、何となく意味不明ですが、「見る、見つける」のニュアンスで訳すと、「後でお前を見つけるぞ」「それはないですよ、もし私があなたを先に見つければね」(=いえいえ、私が先にあなたを見つけますよ)のような感じになって、何となくですが意味は通じる気はします。
とにかくチャンドラーは、later を使った決まり文句を、first に変えることで遊んでみた、くらいのことだと思うのですが、あえて訳すとこうなるかな、というのを説明してみました。

(2010.12.17 14:45 追記)
Not if I see you first. について、下のコメント欄でご指摘いただきました。
これは決まり文句のようです。
the Free Dictionary に以下の語義が出ていました。
the Free Dictionary : Not if see you sooner, and Not if I see you first
Not if I see you sooner, and Not if I see you first.
Inf. a response to I'll see you later. (This means you will not see me if I see you first, because I will avoid you.)

つまり、「 I'll see you later. に対する返答で、意味は、「もし私があなたを先に見たら[見つけたら]、あなたは私に会うことはないでしょう、なぜなら私があなたを避けるから」。」

ですから、「後で会おうな」と気安く声をかけている上司に対して、「僕が先にあなたの姿を見かけたら僕は逃げますけどね、僕としてはあんまり会いたくないんですけどね」みたいに意地悪な返事を返しているやり取りのようです。

ここでは、チャンドラーが上司のダグに媚びを売っていることを指摘するセリフとして挙げられていますので、部下が上司に「またあなたにいろいろ小言を言われるんですか? 勘弁して下さいよぉ〜」みたいな感じで、本当は仲が良いのにわざとふざけてそんな言い方をして面白がっている感じを演出しているセリフなのかなぁ、と思います。
(追記はここまで)

suck-up は、「ゴマすり、おべっか使い、へつらうやつ」。
suck-up は、フレンズ2-23その26+brown-noserの話 で詳しく解説しています。

上司と一緒にいる時の、ゴマすり男になってるチャンドラーは好きじゃない、と言っているモニカ。
これだけ相手のことをけちょんけちょんに言っているわりには、I don't like "work Chandler." と言っていて、「大嫌い」という意味の hate は使っていませんねぇ。
やはり何だかんだ言っても、愛する男性チャンドラーのことを、hate とは言いたくない、言えない、ということなのでしょうかねぇ?

ゴマすりだの何だの、俺のことをそんなにひどく言うから…という理由を述べた後、I'm not putting out tonight! と言い捨てて、チャンドラーは部屋を勢い良く出て行きます。
観客からは、おぉ、という歓声も起こっていて、モニカもちょっと笑い出しそうな顔をして、立ち去るチャンドラーを見送っています。
この反応を見る限り、チャンドラーはエッチ系のジョークを言って去って行った感じがするんですよね。(シットコムをずっと見続けていると、観客の笑いでジョークの種類(エッチネタ、下品ネタ、ひどい悪口ネタなどの違い)がわかるようになってくる気がします…)

put out を調べてみると、Macmillan Dictionary に以下の意味が載っていました。

put out:
10. [INTRANSITIVE] MAINLY AMERICAN IMPOLITE (have sex)
if you put out, you agree to have sex with someone

つまり、「(自動詞)(主にアメリカ英語、無礼・不作法な表現) put out するというのは、誰かと sex することに同意すること」。

つまり、I'm not putting out tonight. は、I'm not having sex with you tonight. のような拒絶宣言(笑)のようですね。
そんなに俺を悪く言うのなら、今夜のエッチはなしだ!と言って出て行ったことになります。

マクミランの語義の agree to には、「誰かの意思に同意する」ニュアンスが感じられますよね。
ですから put out というフレーズを使うことで、「モニカはしたいと思ってるだろうけど、こちらはその申し出には応じない」みたいなニュアンスが出る気がします。
どちらかと言うと、「今夜はさせてあげないから」のような、女の子の側が言いそうなセリフかなぁ、と思います。
男性であるチャンドラーがそう言って出て行ったので、観客もウケていて、モニカも怒りよりも笑いが込み上げたような顔をしているのだと思いました。


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posted by Rach at 12:20| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月15日

いっそひと思いに楽にして フレンズ5-12その2

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チャンドラーとモニカは、上司のダグ夫妻とテニスをしています。
相手が上司であろうと構うことなく、全力でプレーし、ダグ夫妻を打ち負かしてしまうモニカ。
へとへとになったダグ夫妻が休憩している間の二人の会話。
モニカ: Am I on fire today or what? Those birds are browned, basted and ready to be carved! (私って今日、燃えてるって感じね? あの鳥たちはキツネ色に焼かれて、たれをかけられて、切り分けられる準備は万端ね[切り分けられるのを待ってるわね]。)
チャンドラー: Okay, easy, Martina. I think we should let them win the next game. (よし、落ち着いて、マルチナ(・ヒンギス)。次のゲームはダグたちに勝たせるべきだと思うよ。)
モニカ: I'm sorry, I don't understand what you just said. (ごめんなさい、あなたが今言ったこと、私には理解できないわ。)
チャンドラー: Let them win one. (彼らをゲームに勝たせるんだ。)
モニカ: Are you crazy? We own those two! I mean, look at them. He can't even breath, and she's popping pills. (あなた、おかしいんじゃないの? 私たちは、あの二人に勝ってるのよ! ほら、彼らを見て。彼は呼吸さえできてないし、彼女は薬を頻繁に服用してるし。)
チャンドラー: You're not even giving them a chance. (君は彼らにチャンスを与えてすらいないだろ。)
モニカ: They have rackets, don't they? (彼らはラケットを持ってるでしょ?)
ダグ: Uh Bing, I think we're gonna make this the last game. (あー、ビング。これを最後のゲームにしようと思うんだ。)
チャンドラー: Oh yes, sir. Put me out of my misery. Are you sure you never played pro? (Does his work laugh.) (To Monica) Please let them win! (あぁ、そうですね。僕をひと思いにやっつけちゃって下さい。プロとしてプレーしたことがなかった、って本当ですか? [仕事笑い(仕事用の愛想笑い、作り笑い)をする] [モニカに] お願いだから彼らを勝たせてやって!)
モニカ: I'll take it down to 95%, but that's the best I can do. (95%まで力は落とすけど、それが私のできることのベストよ。)

on fire は「燃えて、炎上して」という、実際に火や炎が出ていることも指しますが、精神的に「熱狂して、燃えて、興奮して」という意味にもなります。
or what は直訳すると「それとも(他の)何か」になりますから、Am I on fire today or what? は「私は今日、燃えてる、それとも他の何か?」みたいな感じになり、「燃えてる、もしくは他にどう表現できる? やっぱり、燃えてるって表現が一番合ってるわよね、私はまさに燃えてるって感じよ」というニュアンスが出ると思います。

Those birds are browned... のように主語が鳥になっているのは、ゲームでこてんぱんにやっつけたダグ夫妻のことを、「料理されている鳥」のように表現しているわけですね。
鳥は turkey 「ターキー、七面鳥」のイメージでしょう。
brown は茶色のブラウンのことで、動詞では「…を茶色・褐色・きつね色にする」、特に料理においては「きつね色に(こんがり)焼く」という意味になります。
baste は「(肉などに)たれなどをかけながら焼く」ことで、carve は「(食卓で)(肉)を切る、切り分ける」。
ですから、モニカのセリフは、「あの鳥たちは、キツネ色にこんがり焼かれて、たれもかけられて、切り分けられる準備が整っている」という意味になります。

日本語でも敵を上手くやっつけてしまうことを「敵を料理する」などと言いますし、「まないたの鯉(こい)」というような表現もありますね。
相手を料理の材料のように表現することで、相手はこちらに対して抵抗できない、手も足も出ない、こちらは相手を好きなように扱え、処理できる、というニュアンスが出るのは、英語も日本語も同じようです。

ゲームで圧倒的に勝っていることを興奮して語るモニカに対して、チャンドラーは、easy, Martina と言っています。
Easy. は「落ち着いて、落ち着け」。
Martina は、女子プロテニス選手のマルチナ・ヒンギスのことでしょう。
Wikipedia 日本語版: マルチナ・ヒンギス
テニスのことでそんなにムキになって興奮して、君はプロのテニスプレーヤーか、みたいに皮肉を言っている感覚です。

ちなみに、マルチナという名前のテニス選手には、他にも、マルチナ・ナブラチロワがいますね。
ヒンギス選手のウィキペディアに、
誕生時に、当時チェコスロバキアの代表選手だった母親メラニーが、同じチェコスロバキア出身の名選手マルチナ・ナブラチロワにあやかって娘を「マルチナ」と命名した。
という記述があります。
松坂大輔選手の「大輔」という名前は荒木大輔選手にあやかったもの…と同じような感覚ですね。

マルチナという名前の有名テニス選手が2人いるので、どちらとも決めかねる、とも言えそうですが、今回のフレンズのエピソードの放映は、1999年1月。
ウィキペディアに載っているヒンギス選手が様々な記録を打ち立てた時期の年号は、1997年、1998年あたりが特に多いように思われます。
それを考えると、やはり、往年の名選手であるナブラチロワ選手ではなく、エピソードの放映当時、大活躍していたヒンギス選手のことを言っている、と考えるのが妥当だと思います。

あちらに勝たせてやろうよ、というチャンドラーに対して、I'm sorry, I don't understand what you just said. という妙に長いセリフで返すモニカにも笑えますね。
普通なら、What? 「何ですって?」とか、What are you talking about? 「何言ってるのよ?」くらいで済ますところを、わざわざ、「申し訳ないんだけど、あなたの言ったことが理解できないわ」と表現しているのが、ちょっといじわるな感じがします。
「あなたの言ってること、わけわかんない、意味不明」というのをわざと丁寧な感じで言ってみせることで、余計にモニカの怒りが伝わる感じです。

We own those two! の own は「所有する」で、このような勝ち負けのゲームにおいては、「(人)に勝つ」という意味になります。相手を自分のものにしてしまう、ということから、そういう意味になるのですね。
英辞郎にも、
own=【他動-4】〈俗〉(人)に勝つ◆ゲームや議論の対戦で
例) I just owned you. 「私の勝ちだ。」

と出ています。

pop pills は「(薬を)(しょっちゅう)服用する」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
pop pills : (informal) to take drugs in the form of PILLS too often.
つまり、「錠剤の形態で薬を非常に頻繁に飲むこと」。
too often というフレーズに、「通常考えられる以上に頻繁に度を過ぎて飲む」ニュアンスが感じられます。

ちょうどその時、息が切れてしまっているダグの妻が薬を飲んでいる姿が画面に映っています。
動悸が激しい時に飲むような薬を少し飲んでいるだけでしょうが、モニカはそれを「薬(もしくはヤク)に頼ってる状態」みたいに表現したいようですね。
夫は呼吸困難、妻はヤク漬け、みたいに容赦のない表現をして、私がそんな人たちに負けるわけにはいかないわ、と言っているのでしょう。

相手にチャンスも与えてない、と言うチャンドラーに、「ラケットは持ってるじゃない」と返すモニカ。
相手だって私たちと同じようにラケットを持ってるわけだから、別に相手に不利な条件をつけて戦ってるわけじゃない、平等な条件で戦ってるわけだから、これ以上相手に何かしてあげる必要なんかないわ、というところです。

これを最後のゲームにしようと思う、というダグに対して、また部下らしくお世辞を言うチャンドラー。
misery は「悲惨、みじめさ」ですが、ここでは「苦痛、苦しみ」というニュアンス。
ですから、put someone out of his misery を直訳すると、「人をその人の苦しみから出してやる、解放してやる」というような意味になりますが、そこから「(人や動物)を安楽死させる、ひと思いに殺す」という意味になります。

研究社 新英和中辞典では、以下のように出ています。
put ... out of its [his, her] misery
(1) 〈ひどく苦しんでいる病人などを〉苦しみから解放してやる、〈苦しんでいる動物を〉ひと思いに殺す
(2) 〈(どっちつかずで)気をもんでいる人に〉本当のことを話して気を楽にさせる


LAAD では、
put something/somebody out of their misery : to kill a person or an animal that is sick or wounded in order to end their suffering
つまり、「苦しみを終わらせるために、病気である、またはけがをしている人や動物を殺すこと」。

ですからこのチャンドラーのセリフも、「僕の息の根を止めて、早く楽にして下さい」みたいに言っていることになるわけです。
日本でも「楽にしてやる」という意味がその人の命を絶つことを意味する場合がありますので、ニュアンスは似ていますね。

どう見てもチャンドラーたちの方が有利で、ダグたちの方がヘロヘロなのに、「もう僕たち苦しいので、ひと思いにとどめを刺して、僕たちをやっつけちゃって下さいよ」みたいに言っているお世辞のセリフになります。

play pro は「プロとしてプレーする」というニュアンスでしょう。
このセリフも、見え透いたお世辞で、「プロの経験はない、っておっしゃるけれど、昔プロテニスプレーヤーだったとしか思えない実力ですよ。ほんとはプロの経験あったんじゃないんですか? プロじゃない、って話は確かなんですか?」みたいに言っているわけですね。
明らかにダグの方が劣勢なのに、こんなミエミエのお世辞を言われると、却って相手は怒りそうな気もしますが…(笑)。

相手に勝たせてやってよ!と懇願するチャンドラーに、「力は95%までは落とせるけど、それが私にできるベストよ、それが私にできる最高のことよ」と返すモニカ。
5%だったら誤差の範囲だろうと思いますが(笑)、相手が上司であろうが何だろうが、勝ち負けがかかるとムキになる、モニカの competitive なところ(負けず嫌いなところ)がよく出ているシーンだなと思いました。


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posted by Rach at 12:11| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月13日

でたらめ法律事務所の名前 フレンズ5-12その1

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シーズン5 第12話
The One with Chandler's Work Laugh (ゴマすりチャンドラー)
原題は「チャンドラーの仕事笑いの話」


チャンドラーの会社のパーティー。チャンドラーはモニカを同伴しています。他のフレンズたちがいないので、ここでは二人は恋人同士であることを隠す必要がない、と喜んでいます。
(Chandler's boss (Doug) walks up.)
チャンドラーのボス(ダグ)が近づいてくる。
ダグ: Hey, Bing! (Slaps him on his ass.) (Sees Monica) Wo-ho-ho, who's the pretty lady, and what the hell is she doing with you? (よお、ビング! [チャンドラーのお尻を叩く] [モニカを見て] うぉー、その可愛い女性は誰だ? そして、彼女はお前と一体何をしてるんだ?)
チャンドラー: I asked myself that very question, sir. Uh, (Points to Monica) this is Monica. (Points to his boss.) This is my boss, Doug. Doug, this is Monica. (まさにその質問を自分自身にしましたよ。あぁ、[モニカを指差して] この人はモニカです。[ボスを指差して] こちらが俺のボスのダグだ。ダグ、こちらはモニカです。)
モニカ: Hi, nice to meet you! (はーい、初めまして[お会いできて嬉しいです]!)
ダグ: Hi! And this is my wife, Kara. (よお! そして、これが俺の妻、カーラだ。)
カーラ: Nice to meet you, Monica. Bing! (Slaps Chandler on his butt.) (初めまして、モニカ。 ビング! [チャンドラーのお尻をバチンと叩く])
チャンドラー: Okay. (はいはい。)
ダグ: Hey, uh, Bing, did you hear about the new law firm we got working for us? (なぁ、ビング、我々が雇っている[仕事をさせている]新しい法律事務所のことを聞いたか?)
チャンドラー: No, sir. (いいえ、聞いていません。)
ダグ: Yeah, Dewey, Cheatem & Howe. (あぁ、デューイ・ティーテム&ハウって名前なんだ。)
(Chandler does a fake laugh.)
チャンドラーは(わざとらしい)作り笑いをする。
ダグ: Come on, honey, let's go drink our body weight, huh? (They walk off leaving Chandler and Monica alone.) (さぁハニー。自分の体重分くらいの酒を飲もう。[ダグ夫妻は去り、チャンドラーとモニカだけが残される])

チャンドラーが珍しく女性を同伴しているのを見て、上司のダグはチャンドラーを冷やかしています。
モニカのことを、the pretty lady と褒めた後、What the hell is she doing with you? のように強意語 the hell を使って、そんな可愛い女性が、お前みたいなやつと一緒に、一体ここで何してるんだ?みたいなことを言っていますね。
そんな素敵な子がお前と一緒にいるなんて信じられないよ、というところでしょう。
それに対するチャンドラーのセリフ、I asked myself that very question, sir. は、「僕も僕自身に、まさしくその質問をしました」ということで、「僕もそう思ったんですよね、どうして彼女みたいな(素敵な)女性が僕と一緒にいてくれるのかなぁ、って」みたいな感じです。
ダグのセリフは、モニカを褒めることで、チャンドラーを親しみを込めてけなしているわけですが、それをチャンドラーは素直に受け止めている感覚ですね。

ちなみに、語尾に sir がついていますが、これは、"Yes, sir." 「イエッサー」の sir と同じで、「年上、目上、立場が上の人」に対して話す時につける呼び掛け語ですね。
チャンドラーはフレンズたちとはいつもおちゃらけていますが、会社ではちゃんと sir をつけて丁寧な話し方をしている、という部分にも注目したいところだと思います。

この sir については、研究社 新英和中辞典に、
sir
(用法) 日本語ではこの語を訳さず文全体を丁重に訳せばよい場合が多い。
Good morning, sir. 「おはようございます」


という説明がされていますが、まさにそういうことですね。
今回のやり取りで、チャンドラーが sir を使っているセリフは、部下が上司に対して丁寧な言葉で話している、というイメージで聞くことができれば良い感じだと思います。

ダグとモニカを紹介し合った後、ダグは自分の妻のカーラを紹介します。
モニカには普通に挨拶していますが、チャンドラーに対しては、Bing! と力を込めて呼んで、お尻をバシッと叩くところは、夫のダグと同じですね。似た者夫婦であることがこのシーンだけでよくわかります。

ダグは新しい法律事務所(law firm)のことを聞いたか?とチャンドラーに尋ねています。
Did you hear about the new law firm we got working for us? の we got working for us は、前の the new law firm にかかっています。
元々の形は、we got the new law firm working for us になります。
work for は「…のために働く」ですから、「…のために仕事をしている、…に雇われている」というニュアンス。
get someone doing は「(人)に…させる」という使役動詞で、doing のニュアンスをもう少し出して訳すと、「(人)が…している状態にさせる」という感覚。
直訳すると、「我々(の会社)は、我々のために、その新しい法律事務所に仕事させているという状態にした」というところで、簡単に言うと「わが社は、その新しい法律事務所を雇って、今、うちのために働いてもらっている」ということでしょう。
その the new law firm が about につく形で前に出た形が、ダグのセリフになります。
英語の語順どおり、前から順番に意味を取っていこうとすると、「お前は聞いたか? 例の新しい法律事務所のこと。わが社が仕事をさせている…(あの事務所のことだよ)」みたいな感じになると思います。

ジョーク好きのダグは、「その事務所の名前は Dewey, Cheatem & Howe っていうんだ」と言って笑い、チャンドラーも一緒にわざとらしく作り笑いをしてウケています。
それに対するフォローも何もないので、その「名前そのもの」がジョークであることが想像できますね。

この名前は、でたらめ法律事務所の名前としてよく使われるネーミングのようです。
そのものバッチリがウィキペディアにありました。
Wikipedia 英語版: Dewey, Cheatem & Howe

ウィキペディアの冒頭の説明を引用させていただくと、
Dewey, Cheatem & Howe ("Do we cheat 'em? And how!") is the gag name of a fictional law firm or fictional accounting firm, used in several parody settings.

つまり、「Dewey, Cheatem & Howe ("Do we cheat 'em? And how!") は、架空の法律事務所または会計事務所のギャグの名前で、いくつかのパロディーの設定で使われる。」

そのウィキペディアの説明にあるように、その名前を発音すると、"Do we cheat 'em? And how!" に聞こえるので(cheat 'em = cheat them)、「俺たちはやつらを騙すの? で、どうやって?」というセリフに聞こえてしまうのですね。
信頼して仕事を任せているはずの相手なのに、名前には実はそういうメッセージが隠されている、みたいなブラックジョークというところでしょうか。
その法律事務所のメンバーが、相手の騙し方を相談しているかのようなセリフになっているのが面白いわけです。
日本のドラマやアニメなどでも、人の良さそうなセールスマンが名刺を出した時、「腹黒 伊造(はらぐろ・いぞう)」みたいな名前だったりすると、そういう顔をして実は裏で何かたくらんでいることを匂わせる効果があったりしますよね。
今回ダグが使ったネーミングは、そういう架空のでたらめな名前として有名なものだったので、チャンドラーも聞いた瞬間に大ウケしたふりをしている、英語ネイティブならピンと来るのであえてそれ以上の説明は必要なかった、というところです。

法律事務所の名前は、共同経営者の名前を & で繋げた名前が多いですよね。
アリー my Love (Ally McBeal)で、アリーの法律事務所の名前は、共同経営者であるJohn Cage (ジョン・ケイジ)と、Richard Fish (リチャード・フィッシュ)の両人の名前を取って、Cage & Fish (ケイジ&フィッシュ)という名前でした。
今回も、複数の名前を & で繋げたような事務所名になっているところが、いかにも「それっぽい」感じがするわけです。

ダグは let's go drink our body weight と言って、さらに酒を飲むためにその場を離れます。
この our body weight は「自分の体重」のことですね。

研究社 新英和中辞典には、
weight=【U】 (…の)目方に相当する量
という訳語が出ていますので、今回のセリフももそういう「自分の体重に相当する量」という意味で使っているように思います。
自分の体重分くらいの分量の酒をガンガン飲むぞー、と景気良く酒コーナーに向かった感じなのでしょうね。


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posted by Rach at 10:49| Comment(5) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月10日

故郷の星に帰ったらどう? フレンズ5-11その7

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友達をからかってばかりのチャンドラーは、「あなたの新年の決意は、友達をからかったり、ばかにしたりしないことね」と言われてしまいます。
ロスには、「そんな決意は絶対に守れない、って方に50ドルかけるよ」とまで言われてしまい、友人をからかうような冗談をずっと我慢していたチャンドラーでしたが…。
[Scene: Central Perk, Phoebe, Ross, and Monica are there.]
セントラルパーク。フィービー、ロス、モニカがそこにいる。
チャンドラー: (entering) Oh good, okay, look. I can't take it anymore. I can't take it anymore. So you win. Okay? Here. (Hands him the 50 bucks he's about to owe him.) Pheebs? Flying a jet? Better make it a spaceship so that you can get back to your home planet! And Ross, phone call for you today. Tom Jones. He wants his pants back! And Hornswoggle? What, are you dating a character from Fraggle Rock? (He sits down and sighs in relief.) ([入ってきて] あぁ、いいよ。オッケー、いいか。もう我慢できない[耐えられない]。もう我慢できないよ。だから、お前の勝ちだ、いいな? ほら。[50ドルをロスに渡す] フィービー? ジェット機を飛ばす[操縦する]? ジェット機じゃなくて宇宙船にした方がいいよ、自分の故郷の星に戻れるようにね! それに、ロス、今日、お前に電話があったぞ。トム・ジョーンズからだったよ。トムは自分のパンツ[革パン]を返して欲しいってさ! それから、ホーンスワグルだって? お前は、フラグル・ロックに出てくるキャラクターとデートしてるのかよ? [チャンドラーは(ソファに)座り、安堵のため息をつく])

冗談を言えないことには耐えられない、とばかりに、自分の負けを認め、ロスに50ドルを支払うチャンドラー。
I can't take it anymore. は「もう耐えられない。もう我慢できない」という決まり文句ですね。

約束通り、金を払ったんだから、今まで我慢して言えなかったことを全部ぶちまけさせてもらうぞ、とばかりに、フレンズそれぞれに対して、チャンドラーは言いたかったことを機関銃のようにまくし立てています。

まずフィービーに対しては、飛行機の操縦に関してはまったくのド素人なのに「ジェット機を操縦する」と言ったことに対してからかっています。
Better make it a spaceship... の better は、You had better 「君は…した方が良い」の省略形ですね。
make it a spaceship の it は、a jet のことで、何かを飛ばしたいと思うのなら、ジェット機じゃなくて、スペースシップ(宇宙船)にすればいい、と言っていることになります。
so that you can get... は、「…するために、…できるように」という目的を表す副詞節。
you can get back to your home planet は「自分の故郷の惑星に戻ることができる」ですから、フィービーをまるで宇宙人のように表現しているわけですね。
飛行機の操縦経験もないくせに、今年の抱負は商用ジェット機を運転すること、だなんて、普通の人間の言うこととは思えない、そんな常識外れのことばかり言う君は異星人なんだろ、どうせならジェット機じゃなくて、宇宙船にして、そのまま故郷の星(惑星)に帰ったらどう?と言っているわけですね。

何だか、SFチックな表現、という気もしますが、planet を使った同じようなニュアンスのフレーズは、アカデミックな辞書である LAAD (Longman Advanced American Dictionary) にも載っています。

what planet is somebody from/on? also somebody is (living) on another planet :
(spoken) (humorous) used to say that someone does not seem to understand things that are clear to most people, or that their ideas are not at all practical or sensible


つまり、「(人)はどの惑星から来たの?」「(人)は別の惑星に住んでいる」というフレーズは、
「(口語)(ユーモラスな表現) ある人が、ほとんどの人にとって明らかな事柄を理解していないように見えること、または、その人の考えが全く現実的ではない、または分別がないこと、を言うために使われる」。

後半部分のことがまさにチャンドラーが言いたいことですね。
あまりに常識外れなことを言う人に対して、「わけわかんないこと言うなぁ。君は他の惑星から来た宇宙人?」と言ってからかうフレーズになります。

次の標的はロス。
ロスにはどうにも似合わないピチピチの革パンをはいていたことに対して、「お前に今日電話があったよ。トム・ジョーンズから。パンツを返して欲しいってさ」と言っています。

トム・ジョーンズは、「よくあることさ」(It's Not Unusual)、「思い出のグリーングラス」(Green Green Grass of Home)、「恋はメキ・メキ」(If I Only Knew) などで、日本でも有名な歌手ですよね。

Wikipedia 日本語版: トム・ジョーンズ (歌手)
Wikipedia 英語版: Tom Jones (singer)
IMDb: Tom Jones (I)

ワイルドでセクシーな雰囲気で人気でしたから、革パンのイメージとも確かに合う気がします。

フレンズ4-11その2 で、青いブレザーを着ているジョーイを見たチャンドラーが、"Donald Trump wants his blue blazer back." 「ドナルド・トランプは、自分の青いブレザーを返して欲しい、ってさ」と言おうとして、間違えて、back を black と言ってしまい、みんなに言い間違いを責められるシーンがあったのですが、そのセリフは今回のセリフにそっくりですね。
有名人が着ていそうな特徴的な服装を見た時に、「…が自分の衣装を返して欲しい、って言ってるよ」とツッコミを入れるのは、チャンドラーのジョークの典型系なパターンだと言えそうです。

その後、ロスがデートしていた相手の女性の名前に対してもチャンドラーは一言言いたいようです。
相手の女性が、Elizabeth Hornswoggle 「エリザベス・ホーンスワグル」という名前だったので、その名字にケチをつけています。

Fraggle Rock 「フラグル・ロック」は、アメリカで80年代に放映されていた人形劇。
日本でもNHKで放映していたようですね。(私は見たことあるようなないような微妙な感じなので、どんな作品かあまり知りません)

Wikipedia 日本語版: フラグルロック
Wikipedia 英語版: Fraggle Rock

フラグル(Fraggle)というのは、英語版ウィキペディアによると、humanoid creatures about 18 inches tall 「身長約18インチの人型生物」ということなので、その人形劇に出てくるキャラの生き物としての種類を指すようですね。
(ちなみに、「フラグルロック」というのは、その生物たちが住んでいる洞窟の名称らしい)

なので、それぞれの登場人物は、Gobo Fraggle (ゴーボー・フラグル)、Boober Fraggle (ブーバー・フラグル)のように、後ろにフラグルを名字のように付けた形がフルネームになっているようです。

チャンドラーは、「ホーンスワグル」という音から、「なんちゃら・フラグル」という名前のキャラクターがたくさん出てくるフラグルロックのキャラクターかよ!みたいにツッコミを入れているようですね。

そのような「フラグルロック」ネタとは別に、hornswoggle は動詞で「だます」という意味があるようです。

英辞郎では、
hornswoggle=【動】〈俗〉だます

the Free Online Dictonary : hornswoggle には、
To bamboozle; deceive
Slang to cheat or trick; bamboozle
deprive of by deceit

などの語義が出ています。
確かにどれも「だます」という意味の単語ですね。

ロングマンやマクミランには載っていませんでしたが、ネット検索すると、そういう意味だと説明してあるサイトがいくつか見つかりましたので、スラングでそういう意味がある、というのは間違いないようです。
それを考えると、「だます」という意味の名字であることに対しての発言やツッコミはないのかなぁ??と思ったりもするのですが…。とりあえず、チャンドラーが言いたくてウズウズしていたのは、フラグルロックの話だったようです。

ずっとジョークを封印されてチャンドラーも辛かったのでしょう、言いたいことをぶちまけた後、ソファにどっかり腰を下ろして安堵のため息をついているのに笑えますね。
チャンドラーのジョークを解説したくてこのブログを書いているような私も、チャンドラーのジョーク禁止令は辛かったです(笑)。


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posted by Rach at 11:43| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする