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フレンズ5-11その3 のコメント欄 で、-less と -free のニュアンスの違いについての話題が出ました。
その2つの違いを調べていたら、なかなか面白かったので、今日はそれについて記事にします。
-less と -free はどちらも「…のない」と訳すことが可能ですが、研究社 新英和中辞典では、-less の語義として、「…を欠く」というのも出ています。
「欠く」という言葉のイメージは、「本来あるべきものを欠いている」という感じになるでしょうか。
(ちなみに、日本語で「ノースリーブのドレス」などと言いますが、ノースリーブは和製英語で、英語では、a sleeveless dress になります。)
それに対応する形で考えると、free は「フリー、自由」ですから、「自由な、束縛されていない」のようなニュアンスで、「本来課せられるべきもの(負担など)から”解放”されている」という感覚に繋がるように思います。
tax-free 「免税の、非課税の」の -free は、まさにそんな感じで、「課せられるべき税金が免除されている、課税の義務から逃れられている」というニュアンスを感じます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
-less : suffix [in adjectives]
1. not having something (SYN: without)
つまり、1. は「何かを持っていないこと。同義語 without」。
-free : suffix [in adjectives and adverbs]
without something that you do not want
つまり、「欲しくない何かがない」。
2つの単語の語義を比較してみると、どちらも、without 「…がない」というニュアンスは共通していますが、注目すべきは、-free の方の、something that you do not want の部分でしょうか。
「自分が欲しくないもの」がない、つまり、「いやなものから解放されている」ニュアンスですよね。
次に、-less と -free の両方を後ろにつけることが可能な care (careless, carefree)を使って、2つの違いを考えてみたいと思います。
careless は、「不注意な、軽率な」、
carefree は、「心配のない、気苦労のない、のんきな」
という意味。
LAAD では、
careless : not paying enough attention to what you are doing, so that you make mistakes, damage things etc.
つまり、「自分がしていることに対して十分な注意を払わない、その結果、間違いを犯したり、ものに損害を与えたりなどする」。
carefree : having no worries or problems
つまり、「心配や問題がないこと」。
-less は「あるべきものを欠いている」という意味で、-free が「いやなものから解放されている」という意味であるとすると、その両方を後ろにつけることが可能な単語は、「あるべきもの」にもなり、また「いやなもの」にもなる得るという二面性を持った単語、ということになりますね。
実際、care の語義を見てみると、
研究社 新英和中辞典では以下のように説明されています。
care(名詞)
1. 気にかかること
心配、気がかり、不安
2. 気にかけること
(細心の)注意、配慮、気配り
「かかる」と「かける」の違いで、意味がゴロッと変わってしまうのが日本語の面白いところですが、1. は「欲しくない、ない方がありがたい」ネガティブなニュアンスで、2. は「必要なもの」になりますね。
このように、care には両方のニュアンスの意味があるので、「必要なものを欠いている」という意味の -less と繋げると、「(必要な)注意が欠けている」→「注意不足」というニュアンスになり、「いやなものから解放されている」という意味の -free と繋げると、「(通常は感じがちな、いやな)心配から解放されている」というニュアンスになる、ということだと思います。
おまけになりますが、-less は、動詞の後ろにつくと、「…しえない、…しがたい」という意味になります。
LAAD では、
-less :
2. never doing something
例) ceaseless (=that never ends), harmless (=that will not harm you)
3. unable to be treated in a particular way, or never becoming a particular way
例) countless (=too many to be counted), tireless (=never getting tired)
2. は「何かを決してしないこと」。
ceaseless は「決して終わらない」(→「絶え間ない、やむことのない」)
harmless は「危害を加えることがない、傷つけない」(→「無害な」)
3. は「ある方法で扱うことができないこと、あるいはある様子・様式に決してならないこと」。
countless は「多すぎて数えることができない」(→「数え切れない、無数の」)
tireless は「決して疲れない」(→疲れを知らない、根気強い)
マスターカードのCMで使われていた「プライスレス(priceless)」という言葉は「きわめて貴重な、金で買えないほどの」という意味ですが、これも、「プライス(値段)がない」という名詞+-less ではなくて、「値をつける、値段をつける」という動詞 price に -less がついた形で、「あまりに貴重なので値段が付けられない」という意味になるわけです。
LAAD では、
priceless : so valuable that you cannot calculate a financial value
つまり、「非常に価値があるので、金銭的価値[価格]を計算・算出することができない」。
-less は「…がない」と訳されることが多いですが、何でもかんでも「…がない」と機械的に訳すのではなく、動詞についた場合は特に注意したいところですね。
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