2010年12月08日

-lessと-freeの違い フレンズ5-11その6

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フレンズ5-11その3 のコメント欄 で、-less と -free のニュアンスの違いについての話題が出ました。
その2つの違いを調べていたら、なかなか面白かったので、今日はそれについて記事にします。

-less と -free はどちらも「…のない」と訳すことが可能ですが、研究社 新英和中辞典では、-less の語義として、「…を欠く」というのも出ています。
「欠く」という言葉のイメージは、「本来あるべきものを欠いている」という感じになるでしょうか。
(ちなみに、日本語で「ノースリーブのドレス」などと言いますが、ノースリーブは和製英語で、英語では、a sleeveless dress になります。)

それに対応する形で考えると、free は「フリー、自由」ですから、「自由な、束縛されていない」のようなニュアンスで、「本来課せられるべきもの(負担など)から”解放”されている」という感覚に繋がるように思います。
tax-free 「免税の、非課税の」の -free は、まさにそんな感じで、「課せられるべき税金が免除されている、課税の義務から逃れられている」というニュアンスを感じます。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、

-less : suffix [in adjectives]
1. not having something (SYN: without)

つまり、1. は「何かを持っていないこと。同義語 without」。

-free : suffix [in adjectives and adverbs]
without something that you do not want

つまり、「欲しくない何かがない」。

2つの単語の語義を比較してみると、どちらも、without 「…がない」というニュアンスは共通していますが、注目すべきは、-free の方の、something that you do not want の部分でしょうか。
「自分が欲しくないもの」がない、つまり、「いやなものから解放されている」ニュアンスですよね。


次に、-less と -free の両方を後ろにつけることが可能な care (careless, carefree)を使って、2つの違いを考えてみたいと思います。

careless は、「不注意な、軽率な」、
carefree は、「心配のない、気苦労のない、のんきな」
という意味。

LAAD では、

careless : not paying enough attention to what you are doing, so that you make mistakes, damage things etc.
つまり、「自分がしていることに対して十分な注意を払わない、その結果、間違いを犯したり、ものに損害を与えたりなどする」。

carefree : having no worries or problems
つまり、「心配や問題がないこと」。

-less は「あるべきものを欠いている」という意味で、-free が「いやなものから解放されている」という意味であるとすると、その両方を後ろにつけることが可能な単語は、「あるべきもの」にもなり、また「いやなもの」にもなる得るという二面性を持った単語、ということになりますね。

実際、care の語義を見てみると、
研究社 新英和中辞典では以下のように説明されています。

care(名詞)
1. 気にかかること
心配、気がかり、不安
2. 気にかけること
(細心の)注意、配慮、気配り


「かかる」と「かける」の違いで、意味がゴロッと変わってしまうのが日本語の面白いところですが、1. は「欲しくない、ない方がありがたい」ネガティブなニュアンスで、2. は「必要なもの」になりますね。

このように、care には両方のニュアンスの意味があるので、「必要なものを欠いている」という意味の -less と繋げると、「(必要な)注意が欠けている」→「注意不足」というニュアンスになり、「いやなものから解放されている」という意味の -free と繋げると、「(通常は感じがちな、いやな)心配から解放されている」というニュアンスになる、ということだと思います。


おまけになりますが、-less は、動詞の後ろにつくと、「…しえない、…しがたい」という意味になります。

LAAD では、
-less :
2. never doing something
例) ceaseless (=that never ends), harmless (=that will not harm you)
3. unable to be treated in a particular way, or never becoming a particular way
例) countless (=too many to be counted), tireless (=never getting tired)


2. は「何かを決してしないこと」。
ceaseless は「決して終わらない」(→「絶え間ない、やむことのない」)
harmless は「危害を加えることがない、傷つけない」(→「無害な」)

3. は「ある方法で扱うことができないこと、あるいはある様子・様式に決してならないこと」。
countless は「多すぎて数えることができない」(→「数え切れない、無数の」)
tireless は「決して疲れない」(→疲れを知らない、根気強い)

マスターカードのCMで使われていた「プライスレス(priceless)」という言葉は「きわめて貴重な、金で買えないほどの」という意味ですが、これも、「プライス(値段)がない」という名詞+-less ではなくて、「値をつける、値段をつける」という動詞 price に -less がついた形で、「あまりに貴重なので値段が付けられない」という意味になるわけです。

LAAD では、
priceless : so valuable that you cannot calculate a financial value
つまり、「非常に価値があるので、金銭的価値[価格]を計算・算出することができない」。

-less は「…がない」と訳されることが多いですが、何でもかんでも「…がない」と機械的に訳すのではなく、動詞についた場合は特に注意したいところですね。


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posted by Rach at 12:58| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月06日

それがどんな違いを生むの? フレンズ5-11その5

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「今までにしたことないことを、毎日一つやる」という新年の決意を実行するために、ピチピチの革パン(leather pants)に挑戦するロス。
デート相手のエリザベスの家にいたロスは、暑くなってきてトイレで革パンを脱ぐのですが、今度はそれが汗ではけなくなってしまいます。
そこで、携帯でジョーイに電話して、対処法を相談しています。
ジョーイのアドバイスに従って、最初はパウダー、次にローションを脚に塗るロスですが、やはり革パンを上に上げることができません。
ジョーイ: Ross? You okay? (ロス? 大丈夫か?)
ロス: They're still, they're still not coming on, man. And the lotion and the powder have made a paste. (革パンは、まだ、まだ、はけないよ。それにそのローションとそのパウダーがペーストになっちゃった。)
ジョーイ: Really? Uhh, what color is it? (ほんとに? あー、それってどんな色?)
ロス: What difference does that make? ((色が何色かで)何か違いがあるのかよ?)
ジョーイ: Well, I'm just, if the paste matches the pants, you can make yourself a pair of paste pants and she won't know the difference! (あぁ、俺はただ(こう言いたかったんだ)、もしそのペーストがパンツの色にマッチしてたら、ペーストパンツが作れるぞ。そしたら彼女は(本物のパンツとペーストパンツとの)区別がつかないだろう、って。)
レイチェル: (entering) Joey, do you have a minute? ([入ってきて] ジョーイ、時間ある?)
ロス: Dude, what am I gonna-- (ねぇ、僕はどうすれば…)
ジョーイ: (To Ross) Uh, Rachel's here, so good luck, man. Let me know how it works out. (He hangs up the phone and strands Ross in the bathroom.) ([ロスに] あー、レイチェルがここに来た。だから、幸運を祈ってるよ。どういう結果になったか知らせてね。[ジョーイは電話を切り、ロスはトイレに(助けもなく)取り残される])

they're still not coming on の come on のニュアンスについて。
この on は、着用する、のニュアンスの on でしょうね。
革パンを脱いだら、今度ははけなくなってしまった状況をジョーイに説明する時に、ロスは以下のように言っていました。
ロス: No, I, I got really hot in my leather pants so I took them off. But they must have shrunk from the, the sweat or something. Or, or, or my legs expanded from the heat. Look, I, I can't put them back on, Joey. I can't! (違うんだ。僕は革パンをはいててすごく暑くなったから、それを脱いだんだ。でも汗か何かで縮んじゃったに違いないよ。もしくは、僕の脚が暑さで膨張したか。ねぇ、元通りに革パンをはけないんだ。ジョーイ、はけないんだよ!)

このセリフのように、衣服を脱ぐ時は take off, 衣服を着用する(着る、はく)時は put on を使いますね。
身体に密着するようにつける、という感覚から、「接触」を表す on が使われているのでしょうから、they're still not coming on の on も同じような「接触」→「着用」の感覚なのだろうと思います。
come on は「着用した状態になる」みたいなことだろう、と。
パンツが(上に)上がらないんだ、と言うニュアンスを出したいのであれば、they're still not coming up になるのでしょうか??(よくわかりませんが)

水分を吸収するためにパウダーをかけ、滑りを良くするためにワセリンの代わりにローションを使うよう指示されたロスはその通りにするのですが、その結果、二つが混ざってペースト状になってしまった、と嘆いています。
the lotion, the powder のように定冠詞 the がついているのは、ジョーイに言われて脚につけた「そのローション、そのパウダー」のように、二人の間に共通認識があり、「それ」だと特定できるからですね。
have made という現在完了形は「make してしまった」というような完了のニュアンスでしょう。
直訳すると、「ローションとパウダーがペーストを作ってしまった」ということで、つまりは「ローションとパウダーが混ざってペーストになっちゃった」みたいなことになります。

パニクるロスに対して、のんきな声で「それって何色?」みたいなピント外れのことを聞いてくるジョーイ。
What difference does that make? を直訳すると、「そのことがどんな違いを生じさせるのか?」になるでしょう。
つまり、「色が何色か、ってことで、どんな違いがあるんだよ? それで何かが変わるのか? そのことが何か影響があるのか? それが(何かを決定付ける)重要なことなのか?」というような意味になります。
パンツがはけるかはけないかって時に、色なんか関係ないだろ、どうでもいいだろ、とロスは言いたいのですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
make a (big) difference : also make all the difference
to have an important effect on a thing or a situation

つまり、「あることやある状況に重要な影響を持つこと」。

ジョーイは色を尋ねた理由を説明します。
match は「…と調和する、釣り合う」。日本語で「マッチする」と言っても意味は通じますね。
paste pants は「ペースト状のパンツ、ペーストでできたパンツ」みたいなニュアンスでしょう。
know the difference は「違いがわかる、区別がつく」。
know the difference between A and B なら「AとBの違いがわかる、区別がつく」になります。
つまり、ジョーイが色を尋ねているのは、そのペーストが革パンとマッチするような色なら、その部分も革パンをはいてるように見えて、彼女もその違いに気付かないだろう、と言っているわけですね。
人ごとだと思って、テキトーなことを言っているのが、いかにもジョーイらしいところです。

you can make yourself a pair of paste pants について。
この文章ですが、SVOO の形なのか、それとも、SVOC の形なのか、について少し考えてみたいと思います。

make someone something という形の場合、SVOO なら、「人にものを作ってやる、用意してやる」という意味になり、make something for someone という形に書き換え可能です。

SVOC なら、「人を…にする」で、目的語(O)と補語(C)は、O=C という関係が成立します。
その場合は、make something of someone という形に書き換え可能です。

今回は、目的語の someone に当たる部分が、再帰代名詞 yourself になっていますね。
英辞郎で、make oneself something の例をいくつか探してみました。
make oneself a cup of tea=自分でお茶を入れる
これは直訳すると、「自分自身にお茶を用意してやる」ということですから、SVOO の形。
make oneself a nuisance=厄介者になる、人に嫌われる
これは直訳すると、「自分自身をやっかいな人にする」ということで、SVOC の形になります。

ですから、「make oneself +名詞」の形の場合、その名詞が目的語か補語かは、内容から判断することになるわけです。

今回のセリフに戻ります。
SVOO だとすると、直訳は「自分自身に(1着の)ペーストパンツを作ることができる」ということになります。
上に出てきた、make oneself a cup of tea の「自分でお茶を入れる」という訳のニュアンスに当てはめてみると、「自分でペーストパンツを作る、用意する」という訳になるでしょうか。

SVOC だと考えると、yourself = (a pair of) paste pants という関係になるはずで、自分自身(もしくは自分の身体の一部(この場合は脚))を、ペーストパンツに変える、ペーストパンツにする、というようなニュアンスになるでしょうか。
ただ、今の状況は、ロスの脚にペーストが塗られた状態をまるでパンツのように見せるという話ではありますが、ロス=ペーストパンツ、という等式関係が成り立つかと言われると、ちょっと違うような感じがします。
パンツのように「見せよう、見せかけよう」としているだけで、ロスの身体そのものをパンツに変化させるわけではない、と言うか…。

ですから、上のセリフは、you can make a pair of paste pants for yourself 「お前自身のために[自分に]ペーストパンツを作ってやる[用意してやる]ことができる」「お前は自分でペーストパンツが用意できる」という形に書き換え可能な、SVOO の形(目的語を2つ取る形)だと私は思いました。
革パンがはけなくても、そのペースト状態になってるのを利用して、ペーストパンツができるじゃん、みたいな感じなのだと思います。

What am I gonna do? 「僕は(これから)どうしたらいいの?」という困った時の決まり文句を言おうとするロスですが、レイチェルが来たから、とジョーイは一方的に電話を切ろうとします。

Let me know how it works out. について。
work out は「結局…になる、結果が…になる」という意味。
研究社 新英和中辞典では、
work out=[通例様態の副詞(句)を伴って] 〈計画などが〉(うまく)いく、結局(…と)なる
例) It didn't work out very well. 「それはあまりうまくいかなかった」


つまり、work out well の well の部分が「様態の副詞」で、その副詞部分が well だったか(もしくは badly だったか)どうかを知らせてね、と言っているのが、Let me know how it works out. というセリフになります。
結局”どういう”結果になったかを(後で)教えろよ、という感じですね。


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posted by Rach at 07:08| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月03日

人に当たってみる、のtry フレンズ5-11その4

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新年の決意で、今年はギターを習う、と決めたジョーイは、フィービーに先生を頼みます。
ですがフィービーは、ギターに触るのを禁じた上に、ギターのコードを正式なコード名とは異なるニックネームで呼ぶので、ジョーイはついに、フィービーの教え方は stupid だと言ってしまいます。
フィービー: Y'know, none of my other student thought I was stupid. (ねぇ、私の他の生徒は誰も、私をバカだとは思ってなかったわよ。)
ジョーイ: Your other student was you! (君の他の生徒って、君(自身)だったじゃないか!)
フィービー: Yeah, well, y'know maybe you just need to try a little harder! (えぇ、そうね、ほら、多分、あなたはもう少し一生懸命にトライする必要があるだけよ。)
ジョーイ: (looking in the Yellow Pages) Look, maybe I need to try a real teacher! Right here! Here! Andy Cooper. He teaches guitar and look ooh, there's a nice picture of him with a little kid. Yeah. And the kid's got a guitar! (Storms out.) ([イエローページを見ながら] ほら、多分、俺は本物の先生にトライする[当たってみる]必要があるんだよ! [開いたページをいらついた感じで叩きながら] ちょうどここのページのね! ほら! アンディ・クーパー。彼はギターを教えてて、見て、うー、彼が小さな子供と一緒にいる素敵な写真があるよ。ほら。そして、その子供はギターを持ってる! [ジョーイは部屋を飛び出す])
フィービー: Fine! You go learn from your "qualified instructor." But don't come crying to me when everyone's sick and tired of hearing you play "Bad, Bad Leroy Brown"! (いいわ! その(あなたの)「有資格の指導者(資格のある先生)」のところに行って習いなさい。でも、泣きながら私のところに来ないでね、あなたが「バッド・バッド・リロイ・ブラウン」を演奏するのを聞くのにみんながうんざりしてもね。)
レイチェル: (entering, singing) "Baddest man in the whole damn town." ([歌いながら入ってくる] ♪町一番の悪い奴♪)
フィービー: Oh, fine. Take his side! (Storms out.) (あぁ、いいわ。彼の側についてれば! [部屋を飛び出す])

stupid だなんて、私の他の生徒はそんな風には思わなかったわ、と怒るフィービー。
それに対して、「君の他の生徒って言うけど、それは君自身じゃないか」とジョーイは返しています。
これは、最初の方のシーンの以下のやり取りを受けてのものですね。
フィービー: Do you want me to teach you? I'm a great teacher. (私に(ギターを)教えて欲しいと思ってるのね? 私は素晴らしい先生よ。)
ジョーイ: Really? Who, who have you taught? (ほんとに? 誰に、誰にこれまで教えたの?)
フィービー: Well, I taught me and I loved me. (そうねぇ、私に教えて、私は私(という先生)が大好きだったわ。)
I taught me and I loved me. は、自分で自分に教えたことがあって、生徒としての目で見て、私は良い先生だった、その先生が大好きだった、と言っているセリフになります。

ジョーイが上達しないのは、努力が足りないからだ、みたいなことをフィービーは言っています。
自分の努力不足のように言われたジョーイは、イエローページをめくりながら、「生徒のせいじゃなくて、先生が問題なんだ」と言いたげに、maybe I need to try a real teacher! と言っています。

フィービーの maybe you just need to try a little harder! というセリフに対して、maybe I need to try a real teacher! と返すこのやり取り、just のあるなし、という細かい点を除くと、ほぼ同じ構造になっているのがポイントですね。
maybe you/I need to try a までは同じで、little harder と、real teacher は、little と real の語尾の発音の -l (エル)、harder と teacher の語尾の -er が同じになっています。
そのように、語尾の発音や綴りが似ているわけですが、実は品詞は全然違う、というところがまた興味深いです。

try a little harder の場合は、try hard 「一生懸命やってみる・努力する」の hard を harder という比較級にし、その比較級 harder を、a little 「もう少し」という副詞でさらに修飾した形ですね。
この場合の try は「やってみる、努力する」という意味の「自動詞」。

もう一方の try a real teacher は、a real teacher が try の目的語。
a は名詞につく不定冠詞の a です。
この場合の try は「他動詞」で、「(人)に当たってみる」というニュアンスですね。
研究社 新英和中辞典では、
try=〈人に〉当たってみる
例) Try your aunt. She might lend you the money. 「おばさんに当たってみなさい。彼女ならその金を貸してくれるかもしれません。」

と説明されています。

日本語で、「(人)にトライしてみる」でも何となく意味は通じる気がしますよね。
ですから、「もう少しハードにトライしないとね」みたいに言ったフィービーに対して、「俺がトライしないといけないのは本当の先生だ」みたいに返したセリフになるわけです。
同じように try という動詞を使っていますが、1つ目は自動詞の「努力する」で、2つ目は他動詞の「人に当たってみる」という意味に変化していて、なおかつ、その後に続く言葉も、どちらも a がつく、似たような発音の言葉でありながら、1つ目は副詞、2つ目は名詞、になっているというところが、ただの言い換えではない「絶妙な返し」だと思いました。

電話帳のギターの先生の写真を見て、「ほら、この先生の横の子供はギターを持ってるぞ」というジョーイ。
「この先生はギターに触るな、なんてバカなことはきっと言わないよ!」と言いたげに部屋を飛び出していきます。

qualified instructor は「有資格のインストラクター、指導者」。
私みたいな免許も資格もない素人先生はやだ、って言うのなら、そういう電話帳に載ってるようなご立派な先生のところに行けばいいわ、という感じです。
You go learn from の you は、命令形にさらに主語 You をつけて、強調した形ですね。
そうやって私の元を去ったんだから、後で泣きながら戻ってこないでよ、とも言っています。

ジョーイがギターで弾く曲として例に出した "Bad, Bad Leroy Brown" は、過去記事、フレンズ2-23その7 と、フレンズ2-23その8 にも出てきました。
確かにギターをかき鳴らしながら歌う感じの曲です。

ちょうど、その曲名を出したところに、レイチェルがその歌を歌いながら入ってきたため、フィービーはレイチェルにも怒っています。
take one's side は「人の味方をする」。
Take his side! は命令形なので、直訳すると、「彼の味方につけ! 彼の味方につきなさいよ!」みたいなことですね。
ジョーイが演奏する曲として今挙げたばかりの曲を嬉しそうに歌っているので、「何よ、レイチェルもジョーイの味方につくっての?! 私に喧嘩売ってるの?」みたいな感じで、「そんなにジョーイの肩を持ちたいなら、勝手にすれば」みたいなニュアンスでの命令形だと思います。


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posted by Rach at 12:49| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2010年12月01日

私はゴシップ好きじゃない フレンズ5-11その3

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嬉しそうに友人のうわさ話をしているレイチェルに、
モニカ: Hey Rach, maybe your resolution should be to umm, gossip less. (ねぇ、レイチェル。多分、あなたの(新年の)決意は、その…うわさ話をするのを減らすことね。)
レイチェル: What? I don't gossip! (何ですって? 私はうわさ話はしないわ!)
(They all laugh.)
全員が笑う。
レイチェル: What, maybe sometimes I find out things. Or I hear something and I pass that information on. Y'know, kinda like a public service. It doesn't mean I'm a gossip. I mean, would you call Ted Koppel a gossip? (何よ、多分、私は時々、何かを見つけてしまうのよ。もしくは、私が何かを聞いてその情報を人に伝えるとか。ほら、公共サービスみたいなものよ。それで、私がゴシップ好(ず)き、ってことにはならないわ。ほら、テッド・コッペルをゴシップ好きって言うつもり?)
モニカ: Well, if Ted Koppel talked about his coworkers' botched boob jobs, I would. (そうねぇ、もし、テッド・コッペルが自分の同僚の失敗した胸の整形について話したら、私はそう[彼をゴシップ好きだって]言うわね。)
レイチェル: What? They were like this! (何ですって? その胸はこんな感じだったのよ!)
(She puts her hands over her breasts and indicates that the coworkers boob job resulted in one pointing up and one pointing down with her hands by pointing up with one hand and down with the other.)
レイチェルは自分の胸の上に手を出して、その同僚の胸の整形が、片方は上を向き、もう片方は下を向いたという結果になったことを、自分の手の片方を上に向け、もう片方を下に向けることで示す。)

ゴシップ好きのレイチェルは、モニカに「新年の決意は gossip less にすべきね」と言われてしまいます。
「ゴシップ」はすっかり日本語になっていますが、「うわさ話」のことですね。
ここでの gossip は動詞の「うわさ話をする」という意味で使われています。
less は動詞 gossip を修飾している副詞で、「より少なく」。
your resolution should be not to gossip なら、「”うわさ話をしないこと”を新年の決意にすべきだ」という意味になりますが、ここでは、should be to gossip less ですから、「うわさ話をする頻度を少なくする、(今より)うわさ話をするのを減らす」ということになります。
モニカは、ゴシップ好きのレイチェルのことだから、それを完全になくすのは難しいだろう、とでも思ったのでしょうか?(笑)

その発言に対して、驚いたように I don't gossip! と返すレイチェル。
これは習慣を表す現在形で、「私はうわさ話なんかしない、うわさ話をするような人間じゃない」という感覚。
それを聞いたみんなが笑うので、レイチェルは、自分が話しているのはゴシップなんかじゃない、ということを説明しようとしています。

pass on は「(情報などを)(人に)伝える」。
伝える相手を示したい場合は、pass that information on to someone のように、前置詞 to を使います。
It doesn't mean I'm a gossip. の a gossip は名詞。
名詞としてはもちろん、「うわさ話、ゴシップ」という意味もありますが、ここでは「うわさ好きな人、人のうわさをふれ回る人、おしゃべり」という「人」を指しています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
gossip : [countable] (disapproving) someone who likes talking about other people's private lives
つまり、「他人の私生活について話すのが好きな人」。
disapproving とありますので、その人に対して「非難する」ニュアンスで使われる言葉、つまり悪口として使われる言葉になります。
a gossip だと思われることは不名誉なことなので、レイチェルは自分が a gossip であることを必死に否定しているわけですね。
私は公共サービスみたいに人に情報を伝えているだけよ、そういうことをしてるからって私がうわさ好きな女、とは言えないわ、と反論していることになります。

レイチェルが名前を出した、Ted Koppel について。
情報を伝えるのは公共サービスみたいなもので…という説明の後に出てきた流れから、その人物が人に情報を伝える仕事をしている人であろうことは想像できますね。
調べてみたらやはりそうで、アメリカの「ナイトライン」(Nightline)という報道番組のアンカーとして有名な方でした。
Wikipedia 英語版: Ted Koppel
そのウィキペディアの References in pop culture には、多くの作品で彼の名前が言及されていることが書かれていますが、残念ながら今回のフレンズのことは書いてありませんね。

日本語版ウィキペディアには、テッド・コッペルさん個人の項目(ページ)はありませんが、彼がアンカーをしていた番組「ナイトライン」についてのページは存在します。
Wikipedia 日本語版: ナイトライン
ニュースのアンカーみたいに、いろいろな情報をテレビを通してみんなに伝える人のことをゴシップ好きって言ったりする? 私がやってるのも、あの人たちと同じようなことよ、みんなに情報を提供してあげてるのよ、と自分の行為を正当化しているのですね。

botched boob jobs について。
botch は、名詞では「ぶざまな・下手な仕事、へま」、動詞では「…を下手にやる、しくじる」。
LAAD では、
botch [verb] [transitive] (informal) : also botch up to do something badly, because you have been careless or because you do not have the skill to do it well
つまり、「不注意だったため、または上手にやるスキルを持っていないために、下手に何かをすること[何かをするのが下手なこと]」。
boob job は「豊胸手術」。
ですから、coworkers' botched boob jobs は、「同僚の失敗した豊胸手術」。

if Ted Koppel talked about... I would のように「仮定法過去」が使われているのは、アンカーである彼が自分の同僚の整形手術の失敗を言ったりすることはあり得ないからですね。
もし、あのテッド・コッペルが同僚の手術の失敗について番組で語ったりしたら、私は彼をゴシップ好きだって言うでしょうね(I would call him a gossip)と言っていることになります。

そのモニカのセリフから、レイチェルが以前に、自分の同僚の手術の失敗をゴシップとしていろんな人に言い回っていたことがわかります。
レイチェルの、They were like this! について。
中1で出てくるような簡単な単語ばかりの文章ですが、あまりに抽象的過ぎて却ってわかりにくいタイプのセリフですね。
このセリフの意味は、ネットスクリプトのト書きに書いてある通りのようですね。
ト書きにあるように、レイチェルは自分の胸の前に手を置いて、左右の指をそれぞれ斜め上、斜め下に向かって伸ばしています。
その仕草で、手術の結果、彼女の胸はこんな風になっちゃったのよ、と描写して見せているのですね。
つまり、they という複数形は、her boobs 「彼女の胸・おっぱい」を指していることになります。
like this 「こんな感じ」と言いながら、どんな感じかを手で示しているわけで、レイチェルにしてみれば、「だって、手術後にこんな風になってたんだもの、ゴシップ好きじゃなくても誰かに言わずにはいられないわ」というところなのでしょう。


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posted by Rach at 12:12| Comment(2) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする