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拾った警察バッジを使って、警官のふりをしていたフィービーですが、相手も警官とわかってびっくり。
ばれないうちに…と適当に挨拶して、その場を去ろうとしますが…
警官: (stopping her) Hey, wait a second! So wait, what precinct are you with? ([フィービーを止めて] ねぇ、ちょっと待ってよ! 待って、君はどこの警察管区だ?)
フィービー: I-I'm with the umm, the 57th. (私は、そのー、57分署よ。)
警官: Oh, I know a guy in Homicide up there. (あぁ、57分署の殺人課のやつを知ってるよ[殺人課には知り合いがいるよ]。)
フィービー: I'm in Vice. Yeah, in fact, I'm undercover right now. I'm a whore. (私は風俗犯罪取締課なの。そうよ、実は、私は今、潜入捜査中なの。私は(今)売春婦なのよ[売春婦役をやってるのよ]。)
precinct は「区域」という意味があり、警察の場合だと「警察管区」を指します。
フィービーがバッジをかざして警官のふりをしているので、「君はどこの管区?」と所属を尋ねているのですね。
homicide は「殺人」という意味の単語。
セリフでは最初大文字で書かれていますが、これは部署を意味しており、「(警察の)殺人課」というようなニュアンスですね。
ビジネス英語で所属を言う時に、in Sales なら「営業部(門)の」、in Accounting なら「経理部(門)の」という意味になります。
その場合も無冠詞の大文字で始まるので、今回の in Homicide もそれと同じ形だと言うことですね。
-cide は「…殺し」を意味する接尾辞。
suicide は「自殺」、genocide なら「集団虐殺」になります。
殺人課に知り合いがいる、と聞いて、フィービーは自分は別の課だと言っています。
その殺人課の知り合いの話を引っ張られたら困ると思ったからですね。
フィービーは、I'm in Vice. と言っていて、これも最初が大文字で書かれていますので、Homicide と同じく、警察の担当課を指す言葉のようです。
vice といえば、「悪」「邪悪、悪徳」などの「抽象的な悪」のイメージの単語として覚えた気がするのですが、そういう意味に並んで、研究社 新英和中辞典には、
vice=【U】 性的不道徳行為、売春
という意味が載っています。
「殺人課」に対して Vice という部署の名前が出たとすると、「売春などの性犯罪担当の部署」という意味で使われているように思います。
さらに英英辞典で調べてみると、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
vice [noun]
1 [uncountable]
a) criminal activities that involves sex, drugs, GAMBLING etc.
b) the part of the police department that deals with this type of crime
つまり、a) は、「性、麻薬、ギャンブルなどに関係する犯罪活動」。b) は、「このようなタイプの犯罪を扱う警察の部署」。
ロングマンではこのように、性犯罪に限らず、麻薬やギャンブルなども含む、と書いてあり、また、そういう犯罪を扱う警察の部署だとの説明もありますね。
ですから、大まかに言うと、「性犯罪担当部署」のようなものだけれども、もっと広い範囲で、麻薬・ギャンブルも含まれる、と考えればよいでしょう。
警察でバイス(ヴァイス)と言うと、アメリカの人気刑事ドラマ「特捜刑事マイアミ・バイス」(原題:Miami Vice)を思い出す方も多いでしょうか。
このブログでも、マイアミ・バイスの真似 フレンズ5-8その4 で、マイアミ・バイスについて触れました。
今回、改めて、マイアミ・バイスについて調べてみると、Wikipedia 日本語版: 特捜刑事マイアミ・バイス の「概要」に、以下の記述がありました。
「フロリダ州マイアミデイド郡首都圏警察の組織犯罪局(OCB)内・風紀取締特別班バイス・スクワッド」
つまり、マイアミ・バイスのバイスは、バイス・スクワッド(vice squad)と関係があるようですね。
vice squad は、普通に英和辞典に載っていて、
研究社 新英和中辞典では、
vice squad=【名】【C】 [集合的に] (売春・麻薬などを取り締まる警察の)風俗取締班
英辞郎では、
vice squad=風紀犯罪取締班、風俗犯罪取締班
と出ています。
(ちなみに、squad は「分隊、チーム」の意味)
それを考えると、フィービーが言った、Vice という部署は「風俗犯罪取締課」とでも訳すのが一番自然なのかな、と思いました。
ちなみに、Wikipedia 英語版: Miami Vice の、Main characters での、Detective James "Sonny" Crockett の説明には、an undercover detective of the vice unit という説明はありますが、vice squad という表記は見当たりませんでした。
まぁ、unit も「部、部隊、一団」のような意味ですから、vice unit = vice squad ということで問題ないとは思うのですが。
英語版ウィキペディアの、Production に以下の記述があります。
In keeping with the show's namesake, most episodes focus on combating drug trafficking and prostitution.
つまり、「番組がその名をもらったものに従って、ほとんどのエピソードは麻薬取引・密売や売春との闘いに焦点が当てられている」ということになるでしょうか。(namesake 「同名のもの、名をもらった人」が訳しにくいのですが、番組タイトルの元となった、vice という言葉を指しているのだと思います。)
そのことからも、Vice という単語が、麻薬密売や売春を扱う部署を指している、と言えるように思います。
Vice の意味について、上で延々述べてきましたが、私はずっと「マイアミ・バイス」のバイスは「悪、邪悪」という”抽象的な”意味だと思っていて、そのタイトルは「マイアミの悪…それに立ち向かう刑事たちのドラマ」というニュアンスなんだと思っていました。
ですが、実は刑事ドラマにおいては、もっと限定された「麻薬・売春などの風俗犯罪」及び、その担当部署を指す言葉になる、ということですよね?
「マイアミ・バイス」を一度も見たことないのですが、英語版で見ると、部署や所属名として、Vice という言葉が頻出するのでしょうか…?? (いつか自分でも確認してみます)
フレンズのセリフに戻ります。
undercover は「秘密に行う、秘密調査・潜入捜査に従事する」というような意味。
whore は「売春婦」ですね。
その一連のセリフを見てみると、「私は風俗犯罪取締課所属で、今は潜入捜査の最中で、売春婦役をやってるの」みたいな意味になり、話の流れ的にもしっくり来る気がします。
ちなみにフレンズでは、「売春婦」を指す場合には、hooker という単語が使われることが多いですが、それは元々、動詞 hook 「(かぎで)引っかける」から来た「引っかけるもの」という意味の俗語ですね。
hooker よりも whore の方が、「売春婦という職業」をよりダイレクトに表す言葉だと思います。
LAAD の whore の説明にも、offensive 「侮辱的(な表現)」という記述があります。
映画「プリティ・ウーマン」(Pretty Woman)では、
ヴィヴィアン(ジュリア・ロバーツ)が産業スパイではないかと疑っている仕事仲間フィルに対して、エドワード(リチャード・ギア)が、
She's not a spy. She is a hooker.
と言っていました。
また、大きな仕事をエドワードにつぶされ、それをヴィヴィアンのせいだと恨んでいるフィルは、ヴィヴィアンが一人でいるホテルの部屋を訪ねます。
その時も最初は、
You're a hooker.
と言っていましたが、ヴィヴィアンに乱暴しようとして抵抗されている時には、
You a $50 whore, Vivian?
そして、後から入ってきたエドワードにそれを止められた後には、
Look. She's a whore, man. と言っていました。
この言葉の変化を考えても、hooker よりも、whore の方が直接的かつ侮辱的であると言える気がしますよね。
また、エドワードは彼女は産業スパイではないかと疑われて、思わず、She's a hooker. と言ってしまったわけですが、自分が惹かれている女性のことなので、She's a whore. と他人に説明することはあり得ない、とも言えると思います。
今回のフィービーのセリフの場合は、自分は潜入捜査で売春婦役をしている、という話なので、ダイレクトな whore を使っているわけですね。
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2011年02月25日
2011年02月22日
10-4は警察無線コード フレンズ5-16その4
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[Scene: Outside Central Perk, Phoebe is walking up and notices a car that is parked half on the curb and right in front of the door, making it difficult for people to enter Central Perk.]
セントラルパークの外。フィービーは歩いて近づいてきて、半分路肩に乗り上げ、ドアのまん前に駐車している車に気付く。その車のせいで、人がセントラルパークに入りにくくなっている。
フィービー: Excuse me. Is this your car? (もしもし。これはあなたの車?)
男: Yeah. (ああ。)
フィービー: Well, I don't think it's very nice of you to park here, y'know you're blocking the entrance. (うーんと、ここに駐車するのはあんまり親切なこととは言えないわねぇ。ほら、あなた(の車)は入り口をふさいでるから。)
男: Don't worry about it. It's not a problem. (心配しないで。問題じゃないよ。)
フィービー: Well, it's a problem for me, which means it's a problem for you 'cause I'm a cop. (Shows the badge.) (そうねぇ、私にとっては問題だわね、それはつまりあなたにとっての問題であることも意味するわ。だって私は警官だもの。[バッジを見せる])
男: (he reaches into the car and slams his siren on the roof.) So am I! ([彼は車の中に手を伸ばし、車の屋根にサイレンをドンと置く] 俺も(警官)だよ!)
フィービー: Ohh, no. (Pause) Oh okay. So you're a cop, which means you can park anywhere, 'cause I know that 'cause I'm a cop too. So, all right, keep up the good work. Ten four. (Tries to leave.) (あぁ、やだ。[沈黙] あぁ、オッケー。それじゃあ、あなたは警官なのね。ってことは、あなたはどこに駐車してもいいのよね。だって、私はそれを知ってるもの、だって私も警官だから。それじゃあ、わかったわ。今の調子で仕事を続けてね。了解。[立ち去ろうとする])
入り口の邪魔になるところに停めてある車を見て、フィービーは車の持ち主に声をかけます。
it's nice of you to do は、「…するとは(あなたは)親切だ」というニュアンスですね。
それを、I don't think で否定しているので、「ここに車を停めるなんて不親切だわ、人の迷惑になるわ」という意味になるわけですが、見知らぬ人にまずは注意をする段階なので、いきなり「それって迷惑よ」とダイレクトには言わず、I don't think を使ってやんわり注意している感覚でしょう。
入り口をふさいでるし、と言っても、相手は全く動じません。
「そんなの問題じゃない」とまで言う相手に、フィービーは it's a problem for me, which means... と言っていますね。
which means の which は、その前の文を指しています。
「私にとって問題である」ということが「あなたにとっても問題である」ことを意味する、という意味になります。
「あなたは問題だと思っていなくても、(警官の)私がそれを問題だと思ったら、あなたはそれ相当の罰を受けることになるのよ、問題じゃないと無視することはできないわ」というところですね。
フィービーが勇ましく警官バッジを見せると、相手は車の上に赤いサイレンをドンと置きます。
ト書きの slam は「ドアをバタンと閉める」「ものをドンと置く」という意味の動詞。
フレンズでは、誰かが怒ってドアをバタンと閉めて出て行く時のト書きでよく登場しますよね。
今回は、「どう、これでも文句ある?」みたいに、これみよがしにサイレンを「ドンと音を立てて置く」感覚が、slam という動詞でよく表されていると思います。
相手も警官だと気付いて、それまでの勢いもどこへやら、という感じになってしまったフィービー。
その後もまた、which means という表現を使っています。
「あなたが警官である」ということは「あなたはどこに車を停めても良い」ということを意味する、になりますね。
日本語だと「…ってことはつまり〜ってことよね」みたいに訳すと感じが出るでしょうか。
because ('cause) を二度も使って、「なぜなら私はそれを知ってるもの、なぜなら私も警官だもの」みたいな言い方になっていますが、そうやって必死に理由を言葉で説明しようとしているところに、却ってフィービーの焦りが見えますね。
keep up the good work. を直訳すると、「今のその良い仕事を維持して」というところでしょうか。
「その調子で頑張って」みたいなニュアンスですね。
去ろうとする間際にフィービーが言った、Ten four. について。
DVD英語字幕では、Ten four. ネットスクリプトでは、10-4. と綴られていました。
聞いた通り、数字を2つ並べた言葉ですが、とりあえずは意味がわからないながらも、警察官がよく使う用語なのかなぁ、みたいな印象は受けますよね。
この言葉、英辞郎に載っていました。ten-four、10-4 の両方で載っています。
ten-four=オーケー、承知、了解◆【語源】Citizen's Band の Code から
例) That's a big ten-four [10-4] momma. 〈米俗〉ばっちり了解。
ちなみに、citizens band とは、研究社 新英和中辞典によると、
citizens band=(通信) 市民バンド (トランシーバーなど個人用無線通信に開放されている周波数帯、略 CB )
つまり、個人の無線通信でのコードだったのですね。
数字のコードなのが、確かに無線っぽい感じがします。
また、オンラインスラング辞典の Urban Dictionary にも載っていました。
そこでも、Ten Four 、10-4 の両方で載っています。
(それぞれ語義の説明文は異なります)
Urban Dictionary: Ten Four
Urban Dictionary: 10-4
Ten Four の方が説明は詳しく書かれています。
そこでは「アマチュア無線の黎明期から CB owners によって使われたコード」と説明されています。
また、現在では、警察の無線コードシステム(the police radio code system)として使われていることも説明されていて、その下に、10-4 以外にもたくさんの警察無線のコードが一覧で書かれています。
フィービーは、10-4 がそういう「警察無線のコード」だと知っていて、自分を警官っぽく見せるためにそのコードを使ったのですね。
Urban Dictionary の 10-4 の項目では、10-4 の意味として、
"I understand your transmission" "OK" "understood" "affirmative"
などの意味であると説明されています。
その意味を考えると、「仕事頑張って」と言った後の別れの挨拶としては、ちょっとそぐわないような気もしますね。
また、元々は無線用語なのですから、無線ではない普通の会話で無線用語を使うというのも何か不自然な気がします。
このセリフは、フィービーは、警官になりきったつもりで警察無線のコードを使ったけれども、その使い方が不自然で却って警官でないことがバレバレな様子をかもし出すための演出なんだろうな、と思います。
とってつけたような、使い慣れていない感じがありありと出ていますよね。
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[Scene: Outside Central Perk, Phoebe is walking up and notices a car that is parked half on the curb and right in front of the door, making it difficult for people to enter Central Perk.]
セントラルパークの外。フィービーは歩いて近づいてきて、半分路肩に乗り上げ、ドアのまん前に駐車している車に気付く。その車のせいで、人がセントラルパークに入りにくくなっている。
フィービー: Excuse me. Is this your car? (もしもし。これはあなたの車?)
男: Yeah. (ああ。)
フィービー: Well, I don't think it's very nice of you to park here, y'know you're blocking the entrance. (うーんと、ここに駐車するのはあんまり親切なこととは言えないわねぇ。ほら、あなた(の車)は入り口をふさいでるから。)
男: Don't worry about it. It's not a problem. (心配しないで。問題じゃないよ。)
フィービー: Well, it's a problem for me, which means it's a problem for you 'cause I'm a cop. (Shows the badge.) (そうねぇ、私にとっては問題だわね、それはつまりあなたにとっての問題であることも意味するわ。だって私は警官だもの。[バッジを見せる])
男: (he reaches into the car and slams his siren on the roof.) So am I! ([彼は車の中に手を伸ばし、車の屋根にサイレンをドンと置く] 俺も(警官)だよ!)
フィービー: Ohh, no. (Pause) Oh okay. So you're a cop, which means you can park anywhere, 'cause I know that 'cause I'm a cop too. So, all right, keep up the good work. Ten four. (Tries to leave.) (あぁ、やだ。[沈黙] あぁ、オッケー。それじゃあ、あなたは警官なのね。ってことは、あなたはどこに駐車してもいいのよね。だって、私はそれを知ってるもの、だって私も警官だから。それじゃあ、わかったわ。今の調子で仕事を続けてね。了解。[立ち去ろうとする])
入り口の邪魔になるところに停めてある車を見て、フィービーは車の持ち主に声をかけます。
it's nice of you to do は、「…するとは(あなたは)親切だ」というニュアンスですね。
それを、I don't think で否定しているので、「ここに車を停めるなんて不親切だわ、人の迷惑になるわ」という意味になるわけですが、見知らぬ人にまずは注意をする段階なので、いきなり「それって迷惑よ」とダイレクトには言わず、I don't think を使ってやんわり注意している感覚でしょう。
入り口をふさいでるし、と言っても、相手は全く動じません。
「そんなの問題じゃない」とまで言う相手に、フィービーは it's a problem for me, which means... と言っていますね。
which means の which は、その前の文を指しています。
「私にとって問題である」ということが「あなたにとっても問題である」ことを意味する、という意味になります。
「あなたは問題だと思っていなくても、(警官の)私がそれを問題だと思ったら、あなたはそれ相当の罰を受けることになるのよ、問題じゃないと無視することはできないわ」というところですね。
フィービーが勇ましく警官バッジを見せると、相手は車の上に赤いサイレンをドンと置きます。
ト書きの slam は「ドアをバタンと閉める」「ものをドンと置く」という意味の動詞。
フレンズでは、誰かが怒ってドアをバタンと閉めて出て行く時のト書きでよく登場しますよね。
今回は、「どう、これでも文句ある?」みたいに、これみよがしにサイレンを「ドンと音を立てて置く」感覚が、slam という動詞でよく表されていると思います。
相手も警官だと気付いて、それまでの勢いもどこへやら、という感じになってしまったフィービー。
その後もまた、which means という表現を使っています。
「あなたが警官である」ということは「あなたはどこに車を停めても良い」ということを意味する、になりますね。
日本語だと「…ってことはつまり〜ってことよね」みたいに訳すと感じが出るでしょうか。
because ('cause) を二度も使って、「なぜなら私はそれを知ってるもの、なぜなら私も警官だもの」みたいな言い方になっていますが、そうやって必死に理由を言葉で説明しようとしているところに、却ってフィービーの焦りが見えますね。
keep up the good work. を直訳すると、「今のその良い仕事を維持して」というところでしょうか。
「その調子で頑張って」みたいなニュアンスですね。
去ろうとする間際にフィービーが言った、Ten four. について。
DVD英語字幕では、Ten four. ネットスクリプトでは、10-4. と綴られていました。
聞いた通り、数字を2つ並べた言葉ですが、とりあえずは意味がわからないながらも、警察官がよく使う用語なのかなぁ、みたいな印象は受けますよね。
この言葉、英辞郎に載っていました。ten-four、10-4 の両方で載っています。
ten-four=オーケー、承知、了解◆【語源】Citizen's Band の Code から
例) That's a big ten-four [10-4] momma. 〈米俗〉ばっちり了解。
ちなみに、citizens band とは、研究社 新英和中辞典によると、
citizens band=(通信) 市民バンド (トランシーバーなど個人用無線通信に開放されている周波数帯、略 CB )
つまり、個人の無線通信でのコードだったのですね。
数字のコードなのが、確かに無線っぽい感じがします。
また、オンラインスラング辞典の Urban Dictionary にも載っていました。
そこでも、Ten Four 、10-4 の両方で載っています。
(それぞれ語義の説明文は異なります)
Urban Dictionary: Ten Four
Urban Dictionary: 10-4
Ten Four の方が説明は詳しく書かれています。
そこでは「アマチュア無線の黎明期から CB owners によって使われたコード」と説明されています。
また、現在では、警察の無線コードシステム(the police radio code system)として使われていることも説明されていて、その下に、10-4 以外にもたくさんの警察無線のコードが一覧で書かれています。
フィービーは、10-4 がそういう「警察無線のコード」だと知っていて、自分を警官っぽく見せるためにそのコードを使ったのですね。
Urban Dictionary の 10-4 の項目では、10-4 の意味として、
"I understand your transmission" "OK" "understood" "affirmative"
などの意味であると説明されています。
その意味を考えると、「仕事頑張って」と言った後の別れの挨拶としては、ちょっとそぐわないような気もしますね。
また、元々は無線用語なのですから、無線ではない普通の会話で無線用語を使うというのも何か不自然な気がします。
このセリフは、フィービーは、警官になりきったつもりで警察無線のコードを使ったけれども、その使い方が不自然で却って警官でないことがバレバレな様子をかもし出すための演出なんだろうな、と思います。
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2011年02月18日
「夢」と言えばキング牧師 フレンズ5-16その3
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チャンドラーとモニカが仲睦まじくクロスワードパズルをしている様子を見たジョーイは、その晩、自分とモニカが同じように仲良くクロスワードパズルをしている夢を見てしまいます。
それ以来、モニカを見るとぎくしゃくした態度を取ってしまうようになり、モニカが「作った料理を味見して」と言っただけで、怯えた感じで後ずさりしています。
その不自然な様子を見て、
モニカ: What is going on with you? (一体、どうしちゃったのよ?)
ジョーイ: Nothing! (何でもない!)
チャンドラー: Oh, come on! You've been acting strange all day! (おいおい! お前は一日中ずっとおかしな行動をしてるぞ。)
ジョーイ: All right! There is something. I uh, I kinda had a dream. (pause) But I don't want to talk about it. (Starts for his room.) (わかったよ! あることがあって。俺はその、まぁ、ある夢を見たんだ。[沈黙] でも、それについて話したくない。 [自分の部屋に向かおうとする])
チャンドラー: Whoa-whoa-whoa-whoa-whoa. What-what if Martin Luther King had said that? (Imitating what his famous speech would sound like.) I kinda have a dream! I don't want to talk about it. (ちょっと待った。もし、マーティン・ルーサー・キングがそんなことを言ったとしたらどうなる? [キング牧師の有名なスピーチの口調を真似て] 俺には、まぁ、夢があるんだ! それについては話したくない。)
ジョーイ: Well, it involved Monica. (えーっと、その夢はモニカが関係してるんだよ。)
チャンドラー: You had a dream about a girl I am seeing? Oh, that is so cool! (To Monica) I can't tell you how many times I've dreamt about the girls he was seeing. (Seeing Monica's stare.) (To Joey) Anyway, we're talking about your dream. (To Monica) I love you. (To Joey) Your dream? (Leans in to listen closely.) (お前が、俺が付き合ってる女の子の夢を見た、だって? あぁ、それってすっごく最高だよ! [モニカに] ジョーイが付き合ってる女の子の夢を見たことが何回あるかなんて言えないくらいだよ。[モニカがじっと見ているのを見て] [ジョーイに] とにかく、俺たちはお前の夢の話をしてるんだ。[モニカに] 愛してるよ。[ジョーイに] で、お前の夢は? [しっかり聞くために身を乗り出す])
ジョーイ: Don't worry. There wasn't any sex in it or anything. I haven't dreamt about her like that since I found out about you two-ish. (心配するな。その夢の中ではエッチとかそういうのはなかったよ。そんな感じのモニカの夢を見たことはなかったよ、お前ら二人に関することを知って以来はね。)
チャンドラーは、You've been acting という「現在完了進行形」を使って、一日ずっとジョーイの様子がおかしい、と言っています。
そう指摘されたジョーイは、さっきは、Nothing. 「何にもない、何でもない」って言ったけど、実は something 「あること」があるんだ、と言い直しています。
「ある夢を見たんだけど、それについては言いたくない」と言って自分の寝室に向かうジョーイに、チャンドラーは、有名なキング牧師の演説を持ち出してからかっていますね。
フレンズで、"I have a dream." 「私には夢がある」というキング牧師の有名な演説にまつわるセリフが出てきたのは、これで2回目です。
前回は、フレンズ1-15その2 での、以下のようなセリフでした。
チャンドラー: You know, you have goals, you have dreams. I don't have a dream! (みんなには目標がある、夢がある。俺には夢がない。)
ロス: The lesser known "I Don't Have A Dream"speech. (これはあんまり知られてない方の、「私には夢がない」演説だな。)
I have a dream. もしくはそれに似たフレーズが出てきたら、必ず誰かが口にするお決まりのツッコミという感じですね。
前回の フレンズ1-15 では、チャンドラーが突っ込まれる側でしたが、今回はチャンドラーが突っ込み役になっています。
今回、ジョーイは、「憧れ、希望」という意味の「夢」ではなく、「夜、寝ている時の夢」の話をしているわけですが、「夢がある」も「夢を見る」も、どちらも英語では、I have a dream のように、動詞 have を使うので、言葉としては同じ表現になってしまうのですね。
逆に言うと、日本語では「夢がある」「夢を見る」のようにそれぞれ表現が異なるので、こういうジョークがしっくりこない、ということにもなるでしょう。
kinda は、kind of で、「まぁ、その、ちょっと」のように言葉を濁す感覚。
断言したくない場合、はっきりと人に言うには抵抗がある、という場合に使われることが多いですね。
ジョーイが、「ほら、あのー、夢を見た、っていうようなことなんだけどさ」のように、kinda を使ったのをそのまま真似して、キング牧師風の演説を真似ながらも、I kinda have a dream! と kinda を入れるのを忘れないチャンドラーが、ちょっぴりいじわるな感じです。
What if...? は「もし…だったらどうなるか、どうなるだろうか?」。
あのキング牧師の感動的な演説が、「私には夢がある、って感じだが、それを話したくはないのだ!」みたいなセリフだったとしたら、一体どうなるよ?みたいな皮肉ですね。
ジョーイは言いたくない理由について、モニカが関係していることだから、と言っています。
それを聞いて、チャンドラーは、「ジョーイが俺の彼女(モニカ)の夢を見ただって?」と大喜びしています。
そしてモニカに、「これまで何回…してきたかを言うことができないよ」と言っています。
それはつまり、「今まで数え切れないほど…してきたんだ」と言っていることになるのですが、その内容はと言うと、「ジョーイが付き合っている女の子の夢を見ること」。
「これまでずっとジョーイの彼女を夢で見てきたけど、やっと俺が逆の立場になれた!」と喜んでいるわけですが、それを聞いたモニカがじーっとチャンドラーを見つめているので、あぁ、こんな話を自分の彼女にしちゃだめだった…ということにチャンドラーは気付いたのですね。
それで、anyway 「とにかく」と話題を変えて、「俺のことはともかく、今、俺たちはお前の夢のことを話してるところだった」と言ったのですね。
モニカの機嫌を損ねないように、I love you. と言った後、また、「で、お前の夢は? 続きを話して聞かせろよ」みたいに、促しています。
このセリフとこのシーン、モニカに睨まれて、まずいと思って慌てて話題を変え、必死にフォローしようとしているチャンドラーの絶妙の間(ま)が、すごく面白いと思いました。
「お前の彼女の夢は見たけど、心配するな」とジョーイは言っています。
その後はっきり、「夢の中で、エッチとかそういうこととかはなかった」と説明していますね。
その後のセリフは、since を使った現在完了形で、「〜して以来、…したことはなかった」という意味ですね。
dream about her like that というのは、その前に言った「モニカに関して、エッチとかそれ系のことをするような夢を見る」ということなので、「モニカとそういうことをするような夢は見たことないよ」と言っていることになります。
like that で文章が切れていれば、「これまでの人生で一度もそんな夢を見たことない」という意味ですんなり受け入れられたのですが、今回のセリフでは、since 「…して以来」という条件付きなので、「…して以来、そういう夢は見てない」→「…する前は、そういう夢を見たことある」と言っていることになってしまいます。
find out は「気付く、知ってしまう」。
-ish という接尾辞については、研究社 新英和中辞典では、以下のような語義が載っています。
-ish 【接尾】
次の意味を表わす形容詞語尾
「…の」「…に属する」「…性の」
English, Irish.
この場合も、「お前ら二人にまつわること、関わること、関係すること」みたいなニュアンスで使っているのかな、と思います。
ということで、「心配するな、モニカとのそういう夢は見てない」と言いながらも、二人の仲を知る前には、そういう夢を見たこともあった、と告白していることになるので、チャンドラーは「何だって?」という顔をし、モニカは何とも言えない顔をしているわけですね。
since 以下がジョークのオチになっている、ということです。
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チャンドラーとモニカが仲睦まじくクロスワードパズルをしている様子を見たジョーイは、その晩、自分とモニカが同じように仲良くクロスワードパズルをしている夢を見てしまいます。
それ以来、モニカを見るとぎくしゃくした態度を取ってしまうようになり、モニカが「作った料理を味見して」と言っただけで、怯えた感じで後ずさりしています。
その不自然な様子を見て、
モニカ: What is going on with you? (一体、どうしちゃったのよ?)
ジョーイ: Nothing! (何でもない!)
チャンドラー: Oh, come on! You've been acting strange all day! (おいおい! お前は一日中ずっとおかしな行動をしてるぞ。)
ジョーイ: All right! There is something. I uh, I kinda had a dream. (pause) But I don't want to talk about it. (Starts for his room.) (わかったよ! あることがあって。俺はその、まぁ、ある夢を見たんだ。[沈黙] でも、それについて話したくない。 [自分の部屋に向かおうとする])
チャンドラー: Whoa-whoa-whoa-whoa-whoa. What-what if Martin Luther King had said that? (Imitating what his famous speech would sound like.) I kinda have a dream! I don't want to talk about it. (ちょっと待った。もし、マーティン・ルーサー・キングがそんなことを言ったとしたらどうなる? [キング牧師の有名なスピーチの口調を真似て] 俺には、まぁ、夢があるんだ! それについては話したくない。)
ジョーイ: Well, it involved Monica. (えーっと、その夢はモニカが関係してるんだよ。)
チャンドラー: You had a dream about a girl I am seeing? Oh, that is so cool! (To Monica) I can't tell you how many times I've dreamt about the girls he was seeing. (Seeing Monica's stare.) (To Joey) Anyway, we're talking about your dream. (To Monica) I love you. (To Joey) Your dream? (Leans in to listen closely.) (お前が、俺が付き合ってる女の子の夢を見た、だって? あぁ、それってすっごく最高だよ! [モニカに] ジョーイが付き合ってる女の子の夢を見たことが何回あるかなんて言えないくらいだよ。[モニカがじっと見ているのを見て] [ジョーイに] とにかく、俺たちはお前の夢の話をしてるんだ。[モニカに] 愛してるよ。[ジョーイに] で、お前の夢は? [しっかり聞くために身を乗り出す])
ジョーイ: Don't worry. There wasn't any sex in it or anything. I haven't dreamt about her like that since I found out about you two-ish. (心配するな。その夢の中ではエッチとかそういうのはなかったよ。そんな感じのモニカの夢を見たことはなかったよ、お前ら二人に関することを知って以来はね。)
チャンドラーは、You've been acting という「現在完了進行形」を使って、一日ずっとジョーイの様子がおかしい、と言っています。
そう指摘されたジョーイは、さっきは、Nothing. 「何にもない、何でもない」って言ったけど、実は something 「あること」があるんだ、と言い直しています。
「ある夢を見たんだけど、それについては言いたくない」と言って自分の寝室に向かうジョーイに、チャンドラーは、有名なキング牧師の演説を持ち出してからかっていますね。
フレンズで、"I have a dream." 「私には夢がある」というキング牧師の有名な演説にまつわるセリフが出てきたのは、これで2回目です。
前回は、フレンズ1-15その2 での、以下のようなセリフでした。
チャンドラー: You know, you have goals, you have dreams. I don't have a dream! (みんなには目標がある、夢がある。俺には夢がない。)
ロス: The lesser known "I Don't Have A Dream"speech. (これはあんまり知られてない方の、「私には夢がない」演説だな。)
I have a dream. もしくはそれに似たフレーズが出てきたら、必ず誰かが口にするお決まりのツッコミという感じですね。
前回の フレンズ1-15 では、チャンドラーが突っ込まれる側でしたが、今回はチャンドラーが突っ込み役になっています。
今回、ジョーイは、「憧れ、希望」という意味の「夢」ではなく、「夜、寝ている時の夢」の話をしているわけですが、「夢がある」も「夢を見る」も、どちらも英語では、I have a dream のように、動詞 have を使うので、言葉としては同じ表現になってしまうのですね。
逆に言うと、日本語では「夢がある」「夢を見る」のようにそれぞれ表現が異なるので、こういうジョークがしっくりこない、ということにもなるでしょう。
kinda は、kind of で、「まぁ、その、ちょっと」のように言葉を濁す感覚。
断言したくない場合、はっきりと人に言うには抵抗がある、という場合に使われることが多いですね。
ジョーイが、「ほら、あのー、夢を見た、っていうようなことなんだけどさ」のように、kinda を使ったのをそのまま真似して、キング牧師風の演説を真似ながらも、I kinda have a dream! と kinda を入れるのを忘れないチャンドラーが、ちょっぴりいじわるな感じです。
What if...? は「もし…だったらどうなるか、どうなるだろうか?」。
あのキング牧師の感動的な演説が、「私には夢がある、って感じだが、それを話したくはないのだ!」みたいなセリフだったとしたら、一体どうなるよ?みたいな皮肉ですね。
ジョーイは言いたくない理由について、モニカが関係していることだから、と言っています。
それを聞いて、チャンドラーは、「ジョーイが俺の彼女(モニカ)の夢を見ただって?」と大喜びしています。
そしてモニカに、「これまで何回…してきたかを言うことができないよ」と言っています。
それはつまり、「今まで数え切れないほど…してきたんだ」と言っていることになるのですが、その内容はと言うと、「ジョーイが付き合っている女の子の夢を見ること」。
「これまでずっとジョーイの彼女を夢で見てきたけど、やっと俺が逆の立場になれた!」と喜んでいるわけですが、それを聞いたモニカがじーっとチャンドラーを見つめているので、あぁ、こんな話を自分の彼女にしちゃだめだった…ということにチャンドラーは気付いたのですね。
それで、anyway 「とにかく」と話題を変えて、「俺のことはともかく、今、俺たちはお前の夢のことを話してるところだった」と言ったのですね。
モニカの機嫌を損ねないように、I love you. と言った後、また、「で、お前の夢は? 続きを話して聞かせろよ」みたいに、促しています。
このセリフとこのシーン、モニカに睨まれて、まずいと思って慌てて話題を変え、必死にフォローしようとしているチャンドラーの絶妙の間(ま)が、すごく面白いと思いました。
「お前の彼女の夢は見たけど、心配するな」とジョーイは言っています。
その後はっきり、「夢の中で、エッチとかそういうこととかはなかった」と説明していますね。
その後のセリフは、since を使った現在完了形で、「〜して以来、…したことはなかった」という意味ですね。
dream about her like that というのは、その前に言った「モニカに関して、エッチとかそれ系のことをするような夢を見る」ということなので、「モニカとそういうことをするような夢は見たことないよ」と言っていることになります。
like that で文章が切れていれば、「これまでの人生で一度もそんな夢を見たことない」という意味ですんなり受け入れられたのですが、今回のセリフでは、since 「…して以来」という条件付きなので、「…して以来、そういう夢は見てない」→「…する前は、そういう夢を見たことある」と言っていることになってしまいます。
find out は「気付く、知ってしまう」。
-ish という接尾辞については、研究社 新英和中辞典では、以下のような語義が載っています。
-ish 【接尾】
次の意味を表わす形容詞語尾
「…の」「…に属する」「…性の」
English, Irish.
この場合も、「お前ら二人にまつわること、関わること、関係すること」みたいなニュアンスで使っているのかな、と思います。
ということで、「心配するな、モニカとのそういう夢は見てない」と言いながらも、二人の仲を知る前には、そういう夢を見たこともあった、と告白していることになるので、チャンドラーは「何だって?」という顔をし、モニカは何とも言えない顔をしているわけですね。
since 以下がジョークのオチになっている、ということです。
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2011年02月16日
これ以上左は残っていない フレンズ5-16その2
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家具専門店で大きなソファを買ったロス。家まで3ブロックの距離しかないのに、配送料がソファの金額と同じぐらい高いと知って、自分で運ぶ、と言います。
店に一緒に来ていたレイチェルにも手伝ってもらって、自分のアパートメントの1階までやってきました。
[Scene: Ross's building's lobby, he and Rachel are about to attempt to take the couch upstairs.]
ロスの(アパートの)ビルのロビー。ロスとレイチェルはそのカウチを階上に運ぼうとしているところ。
ロス: Okay. (Throws off the last cushion.) (よし。[(ソファに乗っていた)最後のクッションをさっと取り外す])
レイチェル: Ross, didn't you say that there was an elevator in here? (ロス、ここにはエレベーターがあるって言わなかった?)
ロス: Uhh, yes, I did, but there isn't. Okay, here we go. (あー、うん、言ったよ。でも、(実際には)エレベーターはないね。よし、行くぞ。)
(They start the attempt. Ross is going backwards and reaches the first landing. This staircase has three steps then a landing, makes a 90-degree turn, and has more steps before another landing and another 90-degree turn.)
二人は(ソファを上に運ぶという)試みを始める。ロスは後ろ向きに進み、最初の踊り場に到達する。この階段は3段あって踊り場があり、90度に曲がっている、そして次の踊り場の前にさらに段があり、もう一つ、90度の曲がり角がある。
ロス: Okay, go left. Left! Left! (The bottom of the couch is hitting the railing.) (よし、左に行って。左! 左だ! [カウチの下が手すりに当たっている])
レイチェル: Okay, y'know what? There is no more left left! (いいわ、ねえ? もうこれ以上左は残ってないわ!)
ロス: Oh okay. Lift it straight up over your head! Straight up over your head! You can do it! You can do it! (She gets it lifted up and they make the first turn.) Okay. You got it? (あぁ、わかった。ソファを頭の上にまっすぐに持ち上げろ! 頭の上にまっすぐに! 君ならできる! できるよ! [レイチェルはソファを持ち上げ、二人は最初の角を曲がる] よし。いける?)
Didn't you say that there was an elevator in here? は「ここ(このビルの中)にはエレベーターがある、ってあなたは言わなかった?」という意味ですね。
didn't という過去形に合わせて、there is の is が時制の一致のため、過去形の was になっている形です。
ですから、引用符を付けて表現すると、
Didn't you say, "There is an elevator in here/in my building" ? になるでしょう。
つまり、ロスは「このビル(僕の住んでるアパート)にはエレベーターがある」って言ったのに、実際にここに来てみたらエレベーターはないわよ。あなたは、確かに「ある」って言ったわよね、あるって言わなかったっけ? と否定疑問文の形で尋ねているわけです。
それに対して、ロスはあっさりと、Yes, I did, but there isn't. と答えています。
省略されている部分をくどいくらいに補うと、
Yes, I said that there was an elevator in here, but (actually) there isn't an elevator in here. のようになるでしょうか。
「言わなかった?」という質問に対しては、「確かに言ったよ」と言った事実を認めたわけですが、その言った言葉に反して、実際にはここにはエレベーターは存在しないんだよね、と付け加えているのですね。
自分のアパートにエレベーターがあるかどうかを知らないわけはないですから、ロスはないと知っていて、レイチェルに嘘を言ったようです。
エレベーターはなくて、階段を上らないといけないと知ったら、レイチェルが手伝ってくれないと思ったのでしょう。
ト書きにあるように、この階段はまっすぐに伸びているものではなくて、直角に曲がっている部分が2箇所もあります。
実際の映像と照らし合わせてみると、こういう状況はこういう英語(のト書き)で表現するのかぁ、と勉強になりますね。
今回取り上げたシーンのト書きには、階段がらみの単語がいくつか登場しています。
landing は「踊り場」、staircase は「階段」、step は「(階段の)段、段差」、そして、railing は「手すり」になります。
TOEIC のリスニングの Part 1 で、時々見かける単語かもしれません。
特に railing は、実際の試験や問題集で何度か出てきた気がします。
「左だ、左!」と叫ぶロスに対して、レイチェルは、There is no more left left! と言っています。
このセリフ、最後に left が2回重なっていますが、興奮して「左」という意味の left を2回繰り返しているのではなく、それぞれ意味が異なります。
no more left left の最初の left は「左」、後の left は leave 「…を残す」の過去分詞形の「残される、残されている」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
leave : REMAIN
be left : if an amount or number of something is left, that amount or number remains after everything else has been taken away or used
例) Is there any coffee left?
By 5 o'clock there was hardly anyone left in the office.
つまり、「何かのある量やある数が be left であるということは、他のもの全てが持っていかれてしまった、または使われてしまった後に、その量や数が残っているということ」。
例文は、「コーヒーがいくらか残っていますか?」「5時までには、そのオフィスにはほとんど誰も残っていない状態になった」
LAAD の例文と同じように、こういう left は、There is something left. の形で使われることが多いです。
レイチェルのセリフも、There is no more something left. の形なので、そういうよく使われる形の一種なのですが、その「残っているもの」が left なので、left left になってしまう、という、ダジャレのような面白さがあるわけですね。
「残っている」を「レフトしている」みたいに無理やりな日本語にすると、「もうレフトがレフトしていない」みたいなセリフになる、ということです。
lift up は「持ち上げる」なので、lift it straight up over your head は、「頭の上にまっすぐに持ち上げる」になります。
こういう動作の伴った表現は、やはり、実際の動作の映像を合わせて見ることで、ニュアンスがより良く理解できる気がしますよね。
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店に一緒に来ていたレイチェルにも手伝ってもらって、自分のアパートメントの1階までやってきました。
[Scene: Ross's building's lobby, he and Rachel are about to attempt to take the couch upstairs.]
ロスの(アパートの)ビルのロビー。ロスとレイチェルはそのカウチを階上に運ぼうとしているところ。
ロス: Okay. (Throws off the last cushion.) (よし。[(ソファに乗っていた)最後のクッションをさっと取り外す])
レイチェル: Ross, didn't you say that there was an elevator in here? (ロス、ここにはエレベーターがあるって言わなかった?)
ロス: Uhh, yes, I did, but there isn't. Okay, here we go. (あー、うん、言ったよ。でも、(実際には)エレベーターはないね。よし、行くぞ。)
(They start the attempt. Ross is going backwards and reaches the first landing. This staircase has three steps then a landing, makes a 90-degree turn, and has more steps before another landing and another 90-degree turn.)
二人は(ソファを上に運ぶという)試みを始める。ロスは後ろ向きに進み、最初の踊り場に到達する。この階段は3段あって踊り場があり、90度に曲がっている、そして次の踊り場の前にさらに段があり、もう一つ、90度の曲がり角がある。
ロス: Okay, go left. Left! Left! (The bottom of the couch is hitting the railing.) (よし、左に行って。左! 左だ! [カウチの下が手すりに当たっている])
レイチェル: Okay, y'know what? There is no more left left! (いいわ、ねえ? もうこれ以上左は残ってないわ!)
ロス: Oh okay. Lift it straight up over your head! Straight up over your head! You can do it! You can do it! (She gets it lifted up and they make the first turn.) Okay. You got it? (あぁ、わかった。ソファを頭の上にまっすぐに持ち上げろ! 頭の上にまっすぐに! 君ならできる! できるよ! [レイチェルはソファを持ち上げ、二人は最初の角を曲がる] よし。いける?)
Didn't you say that there was an elevator in here? は「ここ(このビルの中)にはエレベーターがある、ってあなたは言わなかった?」という意味ですね。
didn't という過去形に合わせて、there is の is が時制の一致のため、過去形の was になっている形です。
ですから、引用符を付けて表現すると、
Didn't you say, "There is an elevator in here/in my building" ? になるでしょう。
つまり、ロスは「このビル(僕の住んでるアパート)にはエレベーターがある」って言ったのに、実際にここに来てみたらエレベーターはないわよ。あなたは、確かに「ある」って言ったわよね、あるって言わなかったっけ? と否定疑問文の形で尋ねているわけです。
それに対して、ロスはあっさりと、Yes, I did, but there isn't. と答えています。
省略されている部分をくどいくらいに補うと、
Yes, I said that there was an elevator in here, but (actually) there isn't an elevator in here. のようになるでしょうか。
「言わなかった?」という質問に対しては、「確かに言ったよ」と言った事実を認めたわけですが、その言った言葉に反して、実際にはここにはエレベーターは存在しないんだよね、と付け加えているのですね。
自分のアパートにエレベーターがあるかどうかを知らないわけはないですから、ロスはないと知っていて、レイチェルに嘘を言ったようです。
エレベーターはなくて、階段を上らないといけないと知ったら、レイチェルが手伝ってくれないと思ったのでしょう。
ト書きにあるように、この階段はまっすぐに伸びているものではなくて、直角に曲がっている部分が2箇所もあります。
実際の映像と照らし合わせてみると、こういう状況はこういう英語(のト書き)で表現するのかぁ、と勉強になりますね。
今回取り上げたシーンのト書きには、階段がらみの単語がいくつか登場しています。
landing は「踊り場」、staircase は「階段」、step は「(階段の)段、段差」、そして、railing は「手すり」になります。
TOEIC のリスニングの Part 1 で、時々見かける単語かもしれません。
特に railing は、実際の試験や問題集で何度か出てきた気がします。
「左だ、左!」と叫ぶロスに対して、レイチェルは、There is no more left left! と言っています。
このセリフ、最後に left が2回重なっていますが、興奮して「左」という意味の left を2回繰り返しているのではなく、それぞれ意味が異なります。
no more left left の最初の left は「左」、後の left は leave 「…を残す」の過去分詞形の「残される、残されている」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
leave : REMAIN
be left : if an amount or number of something is left, that amount or number remains after everything else has been taken away or used
例) Is there any coffee left?
By 5 o'clock there was hardly anyone left in the office.
つまり、「何かのある量やある数が be left であるということは、他のもの全てが持っていかれてしまった、または使われてしまった後に、その量や数が残っているということ」。
例文は、「コーヒーがいくらか残っていますか?」「5時までには、そのオフィスにはほとんど誰も残っていない状態になった」
LAAD の例文と同じように、こういう left は、There is something left. の形で使われることが多いです。
レイチェルのセリフも、There is no more something left. の形なので、そういうよく使われる形の一種なのですが、その「残っているもの」が left なので、left left になってしまう、という、ダジャレのような面白さがあるわけですね。
「残っている」を「レフトしている」みたいに無理やりな日本語にすると、「もうレフトがレフトしていない」みたいなセリフになる、ということです。
lift up は「持ち上げる」なので、lift it straight up over your head は、「頭の上にまっすぐに持ち上げる」になります。
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2011年02月14日
警官とドーナツ フレンズ5-16その1
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シーズン5 第16話
The One with the Cop (警官バッジは恋の始まり)
原題は「警官の話」
[Scene: Central Perk, everyone is there but Ross and Joey. Gunther hands them the bill, and Chandler gives some money to pay it.]
セントラルパーク。ロスとジョーイ以外のみんながそこにいる。ガンターは彼らに請求書を手渡す。チャンドラーはそれを払うためのお金をいくらか出す。
レイチェル: (looking at the bill) Uhh, we, we still need a tip. ([請求書を見て] あー、まだチップが必要だわ[チップ分が足りないわ]。)
フィービー: All right. Hold on. (She starts digging in the chair.) I got it. Nickel. (Donates it.) How much more do we need? (わかった。ちょっと待って。[フィービーは椅子を丹念に調べ始める] あった。ニッケル[5セント]。 [その5セントを提供する] あといくら必要?)
レイチェル: Couple of bucks. (2、3ドルね。)
フィービー: Okay, dime. (Donates that.) You guys should probably keep talking. This could take a while. (Finds something else.) Oh no, wait! Look it! Whoa! (Looks at it.) Oh, my God! This is a police badge! (オッケー、ダイム[10セント]よ。[それを提供する] みんな、多分、おしゃべりを続けていた方がいいわよ。これ、しばらくかかりそうだから。[何か他のものを見つける] あぁ、待って! 見てよ! わぁ。 [それを見る] なんてこと! これは警官バッジよ!)
モニカ: Wow! (まあ!)
チャンドラー: Oh, that's so cool. Why would a cop come in here, though? They don't serve doughnuts. (No one laughs.) Y'know what actually, could you discover the badge again? I think I can come up with something better than that. (あぁ、それってすっごくかっこいいね。でも、なぜ警官がここに来たりしたんだろう? この店ではドーナツは売ってないのに。[誰も笑わない] ねぇ、そのバッジをもう一度見つけてくれるかな? 今のよりも良いやつを考えつくと思うからさ。)
ガンターから渡された請求書を見て、チップ分が足りないわ、というレイチェル。
それを聞いて、フィービーは、自分が座っているソファの下に手を入れて、ごそごそ探しています。
そういうところによく小銭が挟まっているからですね。
nickel は「5セント貨」、dime は「10セント貨」。
そうやって小銭を探しながら、You guys should probably keep talking. This could take a while. と言っています。
keep talking は「話し続ける」、take a while は「しばらく(時間が)かかる」。
この小銭探しの作業はしばらく時間がかかりそうだから、その間、みんなはおしゃべりを続けといて、という感じですね。
日本語では、何かを待っている時に司会者が、「それまで、しばしご歓談を」と言ったりしますが、そういうのにちょっと似ているような気もします。
小銭を探していたフィービーは、警官バッジを見つけたようです。
それを見たチャンドラーは、警官ネタのジョークを言っているのですが…残念ながらあまりウケていませんね(笑)。
チャンドラーのセリフは、「ここに警官バッジがあるのなら、警官がここに来たことになるけど、どうして警官がこの店に来たりしたんだろう? この店はドーナツを提供してないのに」というような意味になります。
つまり、「この店でドーナツを売ってるのなら、警官が来るのもわかるけど」と言いたいわけですが、どうしてドーナツの話が出たかというと、アメリカでは「警官といえばドーナツ」という連想が働くから、なのですね。
私が「警官とドーナツ」の話を初めて知ったのは、ジャパンタイムズ発行の「週刊ST」の記事でした。
週刊STの2001年10月19日号に、
Police use helicopter to fight war against hunger
という記事が載っていました。
タイトルを訳すと、「空腹と戦うために、警察、ヘリコプターを使う」というような感じになるでしょうか。
ヘリコプターで夜間パトロールをしていた警官と民間パイロットが、ドーナツチェーン店 Krispy Kreme の横の空き地にヘリを着陸させ、1ダースのドーナツを買って、また飛び立って行った、というニュースでした。
その後、同じく週刊STの2002年6月28日号では、
Doughnuts have long been associated with lazy cops.
「昔から、ドーナツは怠惰な・怠けた警官に付き物であった、怠惰な警官を連想させるものだった」
という記述も載っていました。
つまり、ドーナツは警官(特に怠け者の警官)を強く連想させるものだった、だから夜中のパトロール中にわざわざヘリを着陸させてまで、「ドーナツ」を買いに行った警官の話が面白いニュースとして取り上げられたのだと思います。
他の食べ物ではなく、警官と言えば連想されるステレオタイプな「ドーナツ」だから、より面白いと。
クリント・イーストウッドが監督、主演した映画「ルーキー」(原題: The Rookie)では、新米刑事デーヴィッド(チャーリー・シーン)が運転する車には、いつもドーナツの箱が置いてあり、ベテラン刑事のニック(クリント・イーストウッド)にそのドーナツのことで、何度もからかわれていました。
デーヴィッドが腹を殴られて、うなっていると、
Too many of those candied doughnuts. 「その甘ったるいドーナツの食い過ぎだ」
また、デーヴィッドが I hate... を使って、ニックのいやな部分を挙げていくと、同じように、I hate を使って返したニックのセリフの中に、
And I hate these f*cking doughnuts. 「それにその、いまいましいドーナツが俺は大嫌いなんだ」
というのもありました。
また、ラストシーンでも、ドーナツがちょっとしたアクセントとして登場しています。
葉巻が好きなベテラン刑事との対比で、甘いもの好きのルーキーという設定にしたということもあるでしょうが、やはり、「警察官にはドーナツ」という連想からのイメージもあるのでしょうね。
チャンドラーは、そんな風にお決まりの「警官とドーナツ」のジョークを言ってみたものの、言った本人のチャンドラー以外は誰も笑いません。
そこで、「もう一度、バッジを発見するところをやり直してくれるかな?」みたいに言っていますね。
come up with は「(考え・案・アイディアなどを)思いつく、考えつく」ですから、もう一度、見つけるところからやってくれたら、今度はさっきのよりも、も少しましなジョークを言うからさ、と言っていることになります。
もう一度チャンスをくれたら、今度はスベらないからさ、みたいな感じですね。
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シーズン5 第16話
The One with the Cop (警官バッジは恋の始まり)
原題は「警官の話」
[Scene: Central Perk, everyone is there but Ross and Joey. Gunther hands them the bill, and Chandler gives some money to pay it.]
セントラルパーク。ロスとジョーイ以外のみんながそこにいる。ガンターは彼らに請求書を手渡す。チャンドラーはそれを払うためのお金をいくらか出す。
レイチェル: (looking at the bill) Uhh, we, we still need a tip. ([請求書を見て] あー、まだチップが必要だわ[チップ分が足りないわ]。)
フィービー: All right. Hold on. (She starts digging in the chair.) I got it. Nickel. (Donates it.) How much more do we need? (わかった。ちょっと待って。[フィービーは椅子を丹念に調べ始める] あった。ニッケル[5セント]。 [その5セントを提供する] あといくら必要?)
レイチェル: Couple of bucks. (2、3ドルね。)
フィービー: Okay, dime. (Donates that.) You guys should probably keep talking. This could take a while. (Finds something else.) Oh no, wait! Look it! Whoa! (Looks at it.) Oh, my God! This is a police badge! (オッケー、ダイム[10セント]よ。[それを提供する] みんな、多分、おしゃべりを続けていた方がいいわよ。これ、しばらくかかりそうだから。[何か他のものを見つける] あぁ、待って! 見てよ! わぁ。 [それを見る] なんてこと! これは警官バッジよ!)
モニカ: Wow! (まあ!)
チャンドラー: Oh, that's so cool. Why would a cop come in here, though? They don't serve doughnuts. (No one laughs.) Y'know what actually, could you discover the badge again? I think I can come up with something better than that. (あぁ、それってすっごくかっこいいね。でも、なぜ警官がここに来たりしたんだろう? この店ではドーナツは売ってないのに。[誰も笑わない] ねぇ、そのバッジをもう一度見つけてくれるかな? 今のよりも良いやつを考えつくと思うからさ。)
ガンターから渡された請求書を見て、チップ分が足りないわ、というレイチェル。
それを聞いて、フィービーは、自分が座っているソファの下に手を入れて、ごそごそ探しています。
そういうところによく小銭が挟まっているからですね。
nickel は「5セント貨」、dime は「10セント貨」。
そうやって小銭を探しながら、You guys should probably keep talking. This could take a while. と言っています。
keep talking は「話し続ける」、take a while は「しばらく(時間が)かかる」。
この小銭探しの作業はしばらく時間がかかりそうだから、その間、みんなはおしゃべりを続けといて、という感じですね。
日本語では、何かを待っている時に司会者が、「それまで、しばしご歓談を」と言ったりしますが、そういうのにちょっと似ているような気もします。
小銭を探していたフィービーは、警官バッジを見つけたようです。
それを見たチャンドラーは、警官ネタのジョークを言っているのですが…残念ながらあまりウケていませんね(笑)。
チャンドラーのセリフは、「ここに警官バッジがあるのなら、警官がここに来たことになるけど、どうして警官がこの店に来たりしたんだろう? この店はドーナツを提供してないのに」というような意味になります。
つまり、「この店でドーナツを売ってるのなら、警官が来るのもわかるけど」と言いたいわけですが、どうしてドーナツの話が出たかというと、アメリカでは「警官といえばドーナツ」という連想が働くから、なのですね。
私が「警官とドーナツ」の話を初めて知ったのは、ジャパンタイムズ発行の「週刊ST」の記事でした。
週刊STの2001年10月19日号に、
Police use helicopter to fight war against hunger
という記事が載っていました。
タイトルを訳すと、「空腹と戦うために、警察、ヘリコプターを使う」というような感じになるでしょうか。
ヘリコプターで夜間パトロールをしていた警官と民間パイロットが、ドーナツチェーン店 Krispy Kreme の横の空き地にヘリを着陸させ、1ダースのドーナツを買って、また飛び立って行った、というニュースでした。
その後、同じく週刊STの2002年6月28日号では、
Doughnuts have long been associated with lazy cops.
「昔から、ドーナツは怠惰な・怠けた警官に付き物であった、怠惰な警官を連想させるものだった」
という記述も載っていました。
つまり、ドーナツは警官(特に怠け者の警官)を強く連想させるものだった、だから夜中のパトロール中にわざわざヘリを着陸させてまで、「ドーナツ」を買いに行った警官の話が面白いニュースとして取り上げられたのだと思います。
他の食べ物ではなく、警官と言えば連想されるステレオタイプな「ドーナツ」だから、より面白いと。
クリント・イーストウッドが監督、主演した映画「ルーキー」(原題: The Rookie)では、新米刑事デーヴィッド(チャーリー・シーン)が運転する車には、いつもドーナツの箱が置いてあり、ベテラン刑事のニック(クリント・イーストウッド)にそのドーナツのことで、何度もからかわれていました。
デーヴィッドが腹を殴られて、うなっていると、
Too many of those candied doughnuts. 「その甘ったるいドーナツの食い過ぎだ」
また、デーヴィッドが I hate... を使って、ニックのいやな部分を挙げていくと、同じように、I hate を使って返したニックのセリフの中に、
And I hate these f*cking doughnuts. 「それにその、いまいましいドーナツが俺は大嫌いなんだ」
というのもありました。
また、ラストシーンでも、ドーナツがちょっとしたアクセントとして登場しています。
葉巻が好きなベテラン刑事との対比で、甘いもの好きのルーキーという設定にしたということもあるでしょうが、やはり、「警察官にはドーナツ」という連想からのイメージもあるのでしょうね。
チャンドラーは、そんな風にお決まりの「警官とドーナツ」のジョークを言ってみたものの、言った本人のチャンドラー以外は誰も笑いません。
そこで、「もう一度、バッジを発見するところをやり直してくれるかな?」みたいに言っていますね。
come up with は「(考え・案・アイディアなどを)思いつく、考えつく」ですから、もう一度、見つけるところからやってくれたら、今度はさっきのよりも、も少しましなジョークを言うからさ、と言っていることになります。
もう一度チャンスをくれたら、今度はスベらないからさ、みたいな感じですね。
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2011年02月11日
結婚する理由1位から4位 フレンズ5-15その6
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前回の続きです。
「(恋愛関係をうまく続けるために)どうすべきかは自分で考えて」とモニカに言われたチャンドラーは、フレンズたちがいる前で、モニカにプロポーズします。
それには、フレンズたちも、そしてプロポーズされたモニカ自身もびっくり。
モニカ: Chandler, why are you doing this? (チャンドラー、どうしてこんなことをしてるの?)
チャンドラー: I don't know. But I know I'm not afraid to do this. (わかんない。でも、これをするのが怖くない、ってのはわかるよ。)
モニカ: Chandler. (チャンドラー。)
チャンドラー: I'm doing this because I'm sorry? (俺がこれをしてるのは、申し訳ないと思ってるから?)
モニカ: Do you umm, you really think the best reason to get married is because you're sorry? (あなたは、あなたは本当に思ってるの? 申し訳ないと思ってるから、っていうのが、結婚する1番の理由だって。)
チャンドラー: No, the best reason to get married is pregnancy. Sorry is pretty much fourth y'know, behind being ready and actually wanting to get married. (Laughs.) Will you be my wife? (いいや。結婚する1番の理由は妊娠だよ。申し訳なく思うのは、だいたい4番目だね、ほら、こういう理由の後に来るんだよ、気持ちの準備ができることと、本当に結婚したいと思うことと。[笑って] 俺の妻になってくれる?)
モニカ: (kneels with him) Chandler, umm, I want you to take just a minute and I want you to think about how ridiculous this sounds. ([チャンドラーと一緒にひざまずき] チャンドラー、あのね、あなたには時間を少しとってもらって、この発言がどんなにばかげて聞こえるかについてあなたに考えて欲しいの。)
チャンドラー: Yeah, I'm kinda wishing everyone wasn't here right now. (そうだね。ここに今、みんながいなければいいのに、って願ってるって感じだよ。)
「どうしてこんなこと(プロポーズなんて大それたこと)をするの?」と尋ねたモニカに対して、チャンドラーは、「俺がこんなことをしてるのは、俺が申し訳ないと思ってるから…?」と、語尾を上昇気味にして言っています。
自分でも理由ははっきりとは言えないけど、多分、そういうことだよねぇ?とモニカにも確認しているような感じですね。
それを聞いてモニカはあきれたように、「申し訳ないと思うから、って言うのが、結婚する最大の、1番の理由なの?」と聞き返しています。
それに対して「いやいやそんなことないよ」と言いながら、「結婚する1番の理由」を迷わず即答するチャンドラーに笑ってしまいます。
チャンドラーが語る「結婚する1番の理由」は pregnancy 「妊娠」。
そんな風に言ってしまったら、身も蓋(ふた)もない…という気もするのですが、日本でも、できちゃった結婚の比率が年々上がっている、というようなニュースを聞きますので、様々な事情で結婚に踏み切れない人が思い切って踏み切る理由としては、やはり the best reason なのかもしれないなぁ、などと思ったりもします。
「妊娠」が一番目で、sorry は4番目、と言った後、2番目と3番目の理由も挙げていますね。
behind は「…の後ろに」ですから、being ready and actually wanting to get married の後ろに4番目として、sorry という理由が来る、という感覚です。
being と wanting はそれぞれ動名詞。
being ready は、being ready to get married のことですね。
結婚する心の準備ができること、本当に結婚したいと思うこと、そういう理由の後に、「申し訳ないと思うこと」の理由が4番目に来る、と言っているわけです。
ちなみに、このセリフを単純化すると、Sorry is fourth behind A and B. の形になっていますね。
これを「Sorry は、A と B の後ろに来る4番目」という日本語に訳すと、2番目が A 、3番目が B と来て、4番目に Sorry が来るように聞こえますが、実際の英語のニュアンスはどうなのでしょう??
fourth behind A だけなら、A は fourth の前、つまり、3番目ということになりますよね。
とすると、behind に近い方から、3番目、2番目ということになる気がします。
上の訳ではどちらが2番目かということをはっきり訳さなかったのですが、どちらが2番目か、ということになると、fourth behind A and B の B が2番目、つまり、上のセリフでは、「本当に結婚したいと思うこと」が結婚する2番目の理由になるのかな、と思います。
そして「心の準備ができること」が3番目ということになるでしょう。
理想的な恋愛としては、結婚する1番の理由は「本当に結婚したいと思うこと」であって欲しいところですから、「本当に結婚したいと思う」と「心の準備ができる」との比較なら、「結婚したいと思う」の方が上位になる気もしますしね。
そういう理由は2番目と3番目、と後から付け足すこのセリフで、1番目を「妊娠」と断言したチャンドラーのセリフの面白さがより引き立つ感じがします。
「本当に結婚したいと心から思う、とかの方が、順位が低いんかいっ!」とツッコミを入れたくなりますよね。
その自分の発言に笑った後、また真顔で、Will you be my wife? 「俺の妻になってくれる?」と言っているチャンドラーの姿にも笑えます。
本当なら愛する人からの「俺の妻になってくれる?」という発言は、感動的なものになるはずですが、チャンドラーがそういう「結婚する理由」をいろいろ挙げたうちの4番目の理由(それも「申し訳なく思って」という理由」…笑)からの求婚ですから、そんな感動もどこへやら、という感じです。
どう見てもパニクっていて冷静な考えができていないチャンドラーに、モニカは、「時間をかけて、今のセリフがどれだけバカげて聞こえるか考えてみて」と言います。
そう言われてしばらく考えたチャンドラーは、モニカに顔を近づけて、I'm kinda wishing... のセリフを言っています。
kinda は「…みたいな(感じ)」と、断言せずにちょっとはぐらかす感覚。
I wish everyone wasn't... のように、仮定法過去を使って、実現不可能な願望を述べています。
I wish I were a bird. と同じ感覚ですね。
今、フレンズたちはここにいるから、今さらいなくなって欲しいというのは不可能だけど、みんなが今ここにいなかったらいいのにと思う、と言っているわけですね。
あまりに恥ずかしい発言と行動をみんなに見られてしまったので、「みんなのいる前でこんなことするんじゃなかった」と、モニカにだけ聞こえるようにぼそっと言っている、ということです。
ここでやっと自分の行動の ridiculous さに気付いたようですね。
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前回の続きです。
「(恋愛関係をうまく続けるために)どうすべきかは自分で考えて」とモニカに言われたチャンドラーは、フレンズたちがいる前で、モニカにプロポーズします。
それには、フレンズたちも、そしてプロポーズされたモニカ自身もびっくり。
モニカ: Chandler, why are you doing this? (チャンドラー、どうしてこんなことをしてるの?)
チャンドラー: I don't know. But I know I'm not afraid to do this. (わかんない。でも、これをするのが怖くない、ってのはわかるよ。)
モニカ: Chandler. (チャンドラー。)
チャンドラー: I'm doing this because I'm sorry? (俺がこれをしてるのは、申し訳ないと思ってるから?)
モニカ: Do you umm, you really think the best reason to get married is because you're sorry? (あなたは、あなたは本当に思ってるの? 申し訳ないと思ってるから、っていうのが、結婚する1番の理由だって。)
チャンドラー: No, the best reason to get married is pregnancy. Sorry is pretty much fourth y'know, behind being ready and actually wanting to get married. (Laughs.) Will you be my wife? (いいや。結婚する1番の理由は妊娠だよ。申し訳なく思うのは、だいたい4番目だね、ほら、こういう理由の後に来るんだよ、気持ちの準備ができることと、本当に結婚したいと思うことと。[笑って] 俺の妻になってくれる?)
モニカ: (kneels with him) Chandler, umm, I want you to take just a minute and I want you to think about how ridiculous this sounds. ([チャンドラーと一緒にひざまずき] チャンドラー、あのね、あなたには時間を少しとってもらって、この発言がどんなにばかげて聞こえるかについてあなたに考えて欲しいの。)
チャンドラー: Yeah, I'm kinda wishing everyone wasn't here right now. (そうだね。ここに今、みんながいなければいいのに、って願ってるって感じだよ。)
「どうしてこんなこと(プロポーズなんて大それたこと)をするの?」と尋ねたモニカに対して、チャンドラーは、「俺がこんなことをしてるのは、俺が申し訳ないと思ってるから…?」と、語尾を上昇気味にして言っています。
自分でも理由ははっきりとは言えないけど、多分、そういうことだよねぇ?とモニカにも確認しているような感じですね。
それを聞いてモニカはあきれたように、「申し訳ないと思うから、って言うのが、結婚する最大の、1番の理由なの?」と聞き返しています。
それに対して「いやいやそんなことないよ」と言いながら、「結婚する1番の理由」を迷わず即答するチャンドラーに笑ってしまいます。
チャンドラーが語る「結婚する1番の理由」は pregnancy 「妊娠」。
そんな風に言ってしまったら、身も蓋(ふた)もない…という気もするのですが、日本でも、できちゃった結婚の比率が年々上がっている、というようなニュースを聞きますので、様々な事情で結婚に踏み切れない人が思い切って踏み切る理由としては、やはり the best reason なのかもしれないなぁ、などと思ったりもします。
「妊娠」が一番目で、sorry は4番目、と言った後、2番目と3番目の理由も挙げていますね。
behind は「…の後ろに」ですから、being ready and actually wanting to get married の後ろに4番目として、sorry という理由が来る、という感覚です。
being と wanting はそれぞれ動名詞。
being ready は、being ready to get married のことですね。
結婚する心の準備ができること、本当に結婚したいと思うこと、そういう理由の後に、「申し訳ないと思うこと」の理由が4番目に来る、と言っているわけです。
ちなみに、このセリフを単純化すると、Sorry is fourth behind A and B. の形になっていますね。
これを「Sorry は、A と B の後ろに来る4番目」という日本語に訳すと、2番目が A 、3番目が B と来て、4番目に Sorry が来るように聞こえますが、実際の英語のニュアンスはどうなのでしょう??
fourth behind A だけなら、A は fourth の前、つまり、3番目ということになりますよね。
とすると、behind に近い方から、3番目、2番目ということになる気がします。
上の訳ではどちらが2番目かということをはっきり訳さなかったのですが、どちらが2番目か、ということになると、fourth behind A and B の B が2番目、つまり、上のセリフでは、「本当に結婚したいと思うこと」が結婚する2番目の理由になるのかな、と思います。
そして「心の準備ができること」が3番目ということになるでしょう。
理想的な恋愛としては、結婚する1番の理由は「本当に結婚したいと思うこと」であって欲しいところですから、「本当に結婚したいと思う」と「心の準備ができる」との比較なら、「結婚したいと思う」の方が上位になる気もしますしね。
そういう理由は2番目と3番目、と後から付け足すこのセリフで、1番目を「妊娠」と断言したチャンドラーのセリフの面白さがより引き立つ感じがします。
「本当に結婚したいと心から思う、とかの方が、順位が低いんかいっ!」とツッコミを入れたくなりますよね。
その自分の発言に笑った後、また真顔で、Will you be my wife? 「俺の妻になってくれる?」と言っているチャンドラーの姿にも笑えます。
本当なら愛する人からの「俺の妻になってくれる?」という発言は、感動的なものになるはずですが、チャンドラーがそういう「結婚する理由」をいろいろ挙げたうちの4番目の理由(それも「申し訳なく思って」という理由」…笑)からの求婚ですから、そんな感動もどこへやら、という感じです。
どう見てもパニクっていて冷静な考えができていないチャンドラーに、モニカは、「時間をかけて、今のセリフがどれだけバカげて聞こえるか考えてみて」と言います。
そう言われてしばらく考えたチャンドラーは、モニカに顔を近づけて、I'm kinda wishing... のセリフを言っています。
kinda は「…みたいな(感じ)」と、断言せずにちょっとはぐらかす感覚。
I wish everyone wasn't... のように、仮定法過去を使って、実現不可能な願望を述べています。
I wish I were a bird. と同じ感覚ですね。
今、フレンズたちはここにいるから、今さらいなくなって欲しいというのは不可能だけど、みんなが今ここにいなかったらいいのにと思う、と言っているわけですね。
あまりに恥ずかしい発言と行動をみんなに見られてしまったので、「みんなのいる前でこんなことするんじゃなかった」と、モニカにだけ聞こえるようにぼそっと言っている、ということです。
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2011年02月09日
見ちゃいられないor見ないではいられない フレンズ5-15その5
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は7位です。
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今や公認の中となった、チャンドラーとモニカですが、女性との深い付き合い(commitment)が苦手なチャンドラーは、「モニカはもう結婚や出産のことで頭がいっぱいなんだろ」と言ってしまい、「私のことを全てわかっているかのように言わないで!」と二人は喧嘩になってしまいます。
その後、「喧嘩の修復方法を教えてくれたら、俺はその通りにするからさ」と言って、チャンドラーは仲直りしようとするのですが、「あなたの恋愛関係の指導役(relationship tutor)をするのはもうこりごりよ。どうすべきかは自分で考えて」とモニカは言います。
それからしばらく経った後、モニカの部屋に勢いよく入ってきたチャンドラーは、フレンズたちも見ている中、モニカを見つけて「話がある」と言います。
チャンドラー: Okay, I've been doing a lot of thinking about us, y'know a lot of uhh, "us" thinking. And uh, well I guess there's only one-one way to do this. (He slowly and awkwardly gets down on one knee.) (よし。俺はずーっと、俺たちのことをいっぱい考えてたんだ、ほら、「俺たち二人」のことをね。それで、その、これをするたった1つの方法があるって思うんだ。 [チャンドラーはゆっくり、そして、ぎこちなく片ひざをついてひざまずく])
モニカ: Wait what-wh-wh-what are you doing? (待って。何、何やってるの?)
チャンドラー: (getting out a ring box) Monica.... ([指輪の箱を取り出して] モニカ…)
モニカ: No-no, don't-don't-don't do it. (だめよ、だめ。そんなことしないで。)
チャンドラー: Will you marry me? (俺と結婚してくれる?)
(Phoebe hides her eyes in shame. Rachel is starring at them wide-eyed and open-mouthed. Joey and Ross are stunned to temporary silence.)
フィービーは恥ずかしくて目を覆う。レイチェルは目を見開いて、口をあんぐり開けて、二人を見つめている。ジョーイとロスは唖然として、一瞬沈黙している。)
ロス: Oh-no. No. No. (あぁ、だめだ。だめ、だめだよ。)
ジョーイ: What a bad idea! (ひどい考えだな!)
レイチェル: Ohhhh, I cannot look at it. (She doesn't move.) (あぁぁ、見ちゃいられないわ。 [レイチェルは動かない・かたまったまま])
「どうするかは自分で考えて」と言われたチャンドラーは、彼なりに考えた結果、何とプロポーズする、という行動に出ます。
女性の前にひざまずき、指輪の箱を開け相手に指輪を見せて、Will you marry me? と言うのは、プロポーズの時のお決まりのシーンですね。
ひざまずいた辺りから、もしかしてプロポーズするつもりじゃ…ということがわかったモニカは、焦って何とかそれを止めようとしています。
それを見ても、チャンドラーが一人、先走っていることがわかりますね。
傍で見ていたフレンズたちも、あまりの展開に驚きを隠せません。
チャンドラーのプロポーズを見た観客からも、オォ、というどよめき、さらにはキャーという歓声も上がっています。
こめかみ辺りを両手で押さえて口をあんぐりしていたレイチェルは、I cannot look at it. と言っているようです。
このセリフ、DVDの英語字幕では、I can't not look at it. と書いてあったのですが、ネットスクリプトでは、I cannot look at it. になっていて、実際の音声も I cannot look at it. と言っているように聞こえたので、上のセリフでも、ネットスクリプトの方を採用しました。
ちょっとここから細かい話になりますが、どちらが正しいと思うかについての意見を書かせて下さい。
その字幕をパッと見た場合、I can't not look at it. は、can't (すなわち cannot )の次に not を重ねて書いてしまったような、タイポ(タイプミス、字の打ち間違い)だと思えるのですが、セリフのような口語においては、I can't not look at it. と表現することで、「それを見ないなんてことはできない」→「それを見ずにはいられない」のような意味に解釈することも可能だと思います。
実際、チャンドラーがプロポーズする、というこの状況に対しては、「この展開から目が離せない! 見ないでいることなんて無理よ!」というセリフも成立するとは思うのですね。
ただ、I can't not look at it. と言いたいのであれば、否定語の can't の部分が強く発音され、I CAN'T not look at it. のような発音になる気がします。
(「君ならできるさ」と言いたい場合は、You can DO it. と発音し、「君にはできない」と言いたいならば、You CAN'T do it. と発音する・・・ということを考えると、上のセリフの場合も、CAN'T が強く発音されるはずではないか、と思うわけです)
ところが、実際の音声では、can't が強く発音されているようには聞こえない気がするので、can't not ではなく、やはり、cannot かなと思うのです。
I can't not look at it. のように、通常の文法ルールを無視したような特殊な言い回しであれば、余計にはっきりと、CAN'T not であることをはっきり発音すると思うのですね。
何度か聞いてみたのですが、やはり、cannot と言っているように聞こえるので、ネットスクリプトの記述が正しいと私は判断した、ということです。
レイチェルは手を目の横に置いて、二人の様子をじーっと見ながらそのセリフを言っています。
そのセリフの後、観客の笑い声(ラフ・トラック)も入っています。
実際のレイチェルの行動から考えると、レイチェルは二人から目が離せない状態なので、I can't not look at it. 「見ないでいることなんてできない」というセリフもあながち外れとは言い切れません。
また、I cannot look at it. 「見ることができない、見ちゃいられない」と言っているのであれば、「見ちゃいられない」と口では言いながら、手で目を覆うこともせず、二人に視線が釘付けになっている、その言動の不一致に対して、観客は笑っている、と考えることもできるでしょう。
私は、観客の笑い声は、「見ちゃいられない」と言いながら、しっかり見ているレイチェルの行動に笑っているのだろうと思いました。
She doesn't move. というネットスクリプトのト書きも、その前の行動、Rachel is starring at them wide-eyed and open-mouthed. から動きがない、ずっと二人を見つめたまま、であることを強調している気がします。
「見ちゃいられない」と言いながらも、その後、目を手で覆うとか、席を立つとかするでもなく、それまでと同じように、目を見開いたままじっと見ている、ということを She doesn't move. という表現で表しているのだと思いました。
もちろん、「見ないではいられないわ」という、回りくどい言い回し・セリフに笑った、という可能性ももしかしたらあるのかもしれませんが…。
ということで、DVD英語字幕はもしかしたらタイポかもしれない、でも、もしそちらが正しいのならばどういうニュアンスになるか?、そして、DVD字幕とネットスクリプトの2つのセリフ、話の流れ的にはどちらが正しいか、また、どちらがコメディー的に笑えるか、というような観点から、しつこい目(笑)に解説してみました。
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その後、「喧嘩の修復方法を教えてくれたら、俺はその通りにするからさ」と言って、チャンドラーは仲直りしようとするのですが、「あなたの恋愛関係の指導役(relationship tutor)をするのはもうこりごりよ。どうすべきかは自分で考えて」とモニカは言います。
それからしばらく経った後、モニカの部屋に勢いよく入ってきたチャンドラーは、フレンズたちも見ている中、モニカを見つけて「話がある」と言います。
チャンドラー: Okay, I've been doing a lot of thinking about us, y'know a lot of uhh, "us" thinking. And uh, well I guess there's only one-one way to do this. (He slowly and awkwardly gets down on one knee.) (よし。俺はずーっと、俺たちのことをいっぱい考えてたんだ、ほら、「俺たち二人」のことをね。それで、その、これをするたった1つの方法があるって思うんだ。 [チャンドラーはゆっくり、そして、ぎこちなく片ひざをついてひざまずく])
モニカ: Wait what-wh-wh-what are you doing? (待って。何、何やってるの?)
チャンドラー: (getting out a ring box) Monica.... ([指輪の箱を取り出して] モニカ…)
モニカ: No-no, don't-don't-don't do it. (だめよ、だめ。そんなことしないで。)
チャンドラー: Will you marry me? (俺と結婚してくれる?)
(Phoebe hides her eyes in shame. Rachel is starring at them wide-eyed and open-mouthed. Joey and Ross are stunned to temporary silence.)
フィービーは恥ずかしくて目を覆う。レイチェルは目を見開いて、口をあんぐり開けて、二人を見つめている。ジョーイとロスは唖然として、一瞬沈黙している。)
ロス: Oh-no. No. No. (あぁ、だめだ。だめ、だめだよ。)
ジョーイ: What a bad idea! (ひどい考えだな!)
レイチェル: Ohhhh, I cannot look at it. (She doesn't move.) (あぁぁ、見ちゃいられないわ。 [レイチェルは動かない・かたまったまま])
「どうするかは自分で考えて」と言われたチャンドラーは、彼なりに考えた結果、何とプロポーズする、という行動に出ます。
女性の前にひざまずき、指輪の箱を開け相手に指輪を見せて、Will you marry me? と言うのは、プロポーズの時のお決まりのシーンですね。
ひざまずいた辺りから、もしかしてプロポーズするつもりじゃ…ということがわかったモニカは、焦って何とかそれを止めようとしています。
それを見ても、チャンドラーが一人、先走っていることがわかりますね。
傍で見ていたフレンズたちも、あまりの展開に驚きを隠せません。
チャンドラーのプロポーズを見た観客からも、オォ、というどよめき、さらにはキャーという歓声も上がっています。
こめかみ辺りを両手で押さえて口をあんぐりしていたレイチェルは、I cannot look at it. と言っているようです。
このセリフ、DVDの英語字幕では、I can't not look at it. と書いてあったのですが、ネットスクリプトでは、I cannot look at it. になっていて、実際の音声も I cannot look at it. と言っているように聞こえたので、上のセリフでも、ネットスクリプトの方を採用しました。
ちょっとここから細かい話になりますが、どちらが正しいと思うかについての意見を書かせて下さい。
その字幕をパッと見た場合、I can't not look at it. は、can't (すなわち cannot )の次に not を重ねて書いてしまったような、タイポ(タイプミス、字の打ち間違い)だと思えるのですが、セリフのような口語においては、I can't not look at it. と表現することで、「それを見ないなんてことはできない」→「それを見ずにはいられない」のような意味に解釈することも可能だと思います。
実際、チャンドラーがプロポーズする、というこの状況に対しては、「この展開から目が離せない! 見ないでいることなんて無理よ!」というセリフも成立するとは思うのですね。
ただ、I can't not look at it. と言いたいのであれば、否定語の can't の部分が強く発音され、I CAN'T not look at it. のような発音になる気がします。
(「君ならできるさ」と言いたい場合は、You can DO it. と発音し、「君にはできない」と言いたいならば、You CAN'T do it. と発音する・・・ということを考えると、上のセリフの場合も、CAN'T が強く発音されるはずではないか、と思うわけです)
ところが、実際の音声では、can't が強く発音されているようには聞こえない気がするので、can't not ではなく、やはり、cannot かなと思うのです。
I can't not look at it. のように、通常の文法ルールを無視したような特殊な言い回しであれば、余計にはっきりと、CAN'T not であることをはっきり発音すると思うのですね。
何度か聞いてみたのですが、やはり、cannot と言っているように聞こえるので、ネットスクリプトの記述が正しいと私は判断した、ということです。
レイチェルは手を目の横に置いて、二人の様子をじーっと見ながらそのセリフを言っています。
そのセリフの後、観客の笑い声(ラフ・トラック)も入っています。
実際のレイチェルの行動から考えると、レイチェルは二人から目が離せない状態なので、I can't not look at it. 「見ないでいることなんてできない」というセリフもあながち外れとは言い切れません。
また、I cannot look at it. 「見ることができない、見ちゃいられない」と言っているのであれば、「見ちゃいられない」と口では言いながら、手で目を覆うこともせず、二人に視線が釘付けになっている、その言動の不一致に対して、観客は笑っている、と考えることもできるでしょう。
私は、観客の笑い声は、「見ちゃいられない」と言いながら、しっかり見ているレイチェルの行動に笑っているのだろうと思いました。
She doesn't move. というネットスクリプトのト書きも、その前の行動、Rachel is starring at them wide-eyed and open-mouthed. から動きがない、ずっと二人を見つめたまま、であることを強調している気がします。
「見ちゃいられない」と言いながらも、その後、目を手で覆うとか、席を立つとかするでもなく、それまでと同じように、目を見開いたままじっと見ている、ということを She doesn't move. という表現で表しているのだと思いました。
もちろん、「見ないではいられないわ」という、回りくどい言い回し・セリフに笑った、という可能性ももしかしたらあるのかもしれませんが…。
ということで、DVD英語字幕はもしかしたらタイポかもしれない、でも、もしそちらが正しいのならばどういうニュアンスになるか?、そして、DVD字幕とネットスクリプトの2つのセリフ、話の流れ的にはどちらが正しいか、また、どちらがコメディー的に笑えるか、というような観点から、しつこい目(笑)に解説してみました。
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2011年02月07日
ゆりかごを強奪する者 フレンズ5-15その4
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引退する便利屋ハワードへのカンパを断ったロス。そのことで、アパート内では彼への非難が高まります。自分はそんなにひどい人間ではないことをわかってもらおうと、自分の新しい部屋でパーティーを開こうとするロスですが、お客は誰一人やってきません。
向かいの部屋では、ハワードへの感謝のパーティーが行われており、そこに顔を出したロスは、ハワードがカットするはずだった記念のケーキを先に一口食べてしまったことで、みんなをさらに怒らせてしまいました。
スティーブ(自治会長): Okay, you got your free food. You ruined everyone's fun. Don't you think it's time you went home? (よし、君はタダ飯を食べた。みんなの楽しみを台無しにした。そろそろ自宅に帰る時間だと思わないか?)
客3(Guest #3): Yeah, leave! (そうだ、立ち去れ!)
みんな: Yeah, get out! Now! (そうだ、出て行け! 今すぐ!)
スティーブ: Go back to 3-B, 3-B. (3-Bの部屋に帰れよ、3-Bめ。)
フィービー: All right, everyone, calm down! Everyone, calm down! I have something that I would like to say! Who here likes Ross? (Ross is the only one who raises his hand and Phoebe glares at him to put his hand back down.) Of course you don't like him. He, he didn't give you any money. He raised his own hand when I asked, "Who here likes Ross?" And he's wearing two name tags. (He takes one off.) I, I'll be honest with you guys. When I first met Ross, I didn't like him at all! But then once I got to know him, I saw that he's really sweet and caring and very generous. I mean, all I'm saying is don't judge Ross before you get to know him, all right? I mean, you know, I like all you guys now, but when I first met you, y'know, Kurt? I thought, y'know, abrasive drunk. Umm, Lola? Mind-numbingly stupid! And okay, you guys. (She turns to an elderly gentleman and a 20 something woman, who're a couple.) (To the girl) Gold digger, (To the old guy) cradle-robbing perv. So, I think you all know what I mean. (いいわ、みんな、落ち着いて! みんな、落ち着くのよ! 私は言いたいことがあるの! ここにいる人たちの中でロスを好きな人は誰? [ロスだけが手を挙げ[ロスだけが手を挙げる唯一の人間で]、フィービーはその手を下げるようにとロスをにらみ付ける] もちろん、あなたたちはロスが好きじゃないわよね。彼は、彼は、少しのお金も渡そうとしない。「ここにいる人たちの中でロスを好きな人は誰?」と聞いたら、自分自身の手を挙げた。そして、ロスは名札を2枚もつけてるし。[ロスは名札の1枚をとる] 私はみんなに正直になるわね[これから正直なところを述べるわね]。私が最初にロスに会った時、私はロスが全然好きじゃなかった! でもその後、いったん彼という人間を知るようになると、彼は本当に優しくて、思いやりがあって、とっても寛大な人だってわかったの。つまり、私が言っているのは、ロスを(よく)知るようになる前に彼を判断しないで、ということだけなの、いい? ほら、私は今はあなたたち全員を好きだけど、私があなたに最初に会った時、ほら、カートよ。私は、(カートを)かんに障る酔っ払いだと思った。うーんと、ローラは、頭のぼーっとしたおバカだと思った。それから、あなたたち。[フィービーは年老いた紳士と、20歳くらいの女性の方を向く。その二人はカップルである] [女性に] お金目当て。[老人に] 若い子好きの変態。それで、みんなは私の言いたいことがわかったと思うけど。)
自治会長のスティーブはケーキを食べてしまったロスに、you got your free food 「無料の食べ物を得た、食べた」と言っています。
カンパのお金を出さなかったのに、そのパーティーの食べ物を食べるなんて、「ただでメシを食いやがって」みたいな感じですね。
楽しいパーティーをこんな風に台無しにして、と言って、「そろそろ自分の部屋に帰る時間だと思わないか?」とも言っています。
ここにはお前の居場所はないんだよ、というところですね。
他の住民も口々に、Leave! Get out! と叫んでいます。
Go back to 3-B, 3-B. の、3-B は、ロスの部屋番号のことですね。
3-B の部屋に戻れよ、と言っているわけですが、最後の 3-B は、ロスに対する呼び掛け語です。
お互い自己紹介し合ったので、スティーブはロスの名前を当然知っているわけですが、相手を名前で呼ぶことすら腹立たしいので、部屋番号で呼んでいるわけですね。
ロスを人名ではなく部屋番号で呼ぶことで、相手が人格のある人間であることを否定したかのような感覚が出るように思います。
みんながロスを追い出そうとしていると、フィービーは「落ち着いて。言いたいことがあるの」と話を始めます。
フィービーは、このアパートの住民でないにもかかわらず、お金をカンパしたため、他の住民はフィービーのことを気に入っているのですね。
それで、フィービーが何か言いたいのなら話を聞こうと、その場がいったん静まります。
「ロスが好きな人は?」という質問に対して、ロスだけがさっと手を挙げるのも、ロスのキャラらしいです。
それを見て、「こんな質問に対して、自分だけ手を挙げるなんて、そりゃみんなロスが好きじゃないっていうのも無理ないわよ」と、フィービーはあきれた風に述べています。
ロスは自分の部屋で開くパーティーのために、名札を用意していて、自分の胸に2枚名札シールを並べて貼っていました。
上の名札には、DR. GELLER 「ドクター・ゲラー(ゲラー博士)」、下の名札には "ROSS" 「”ロス”」と引用符付きで書いてあります。
つまり、「ドクター・ゲラーの”ロス”」みたいな感じで、僕は博士号を持ってるんだけど、気軽にロスと呼んでね、みたいな感じをかもし出しているように思います。
「名札を2枚も貼ってるし!」みたいに言われて、その1枚を剥がすのですが、下の "ROSS" と書いた方を剥がしたようです。
この期に及んで、まだ「自分はドクターである」ことをアピールしたいのか!とツッコミを入れたくもなりますが、まぁ、ロスはそういうキャラ(自分が博士号を持っている科学者であることに誇りを思っている人)なので、これもそういうキャラ立ちの面白さの1つでもあるのでしょうね。
フィービーはその後、「私も初めてロスに会った時は、彼のことが全然好きじゃなかった」と衝撃発言もしています。
それを聞いて、ロスが「は?」と怒った顔をしているのも面白いですね。
でもその後、彼をよく知るようになると、彼は sweet, caring, generous であることがわかった、と言ってフォローしています。
get to know は「知るようになる、懇意になる」というニュアンスですね。
彼と時を過ごして、彼という人を知るようになると、というような感覚でしょう。
「ロスのことも最初は好きじゃなかった」という話から、フィービーは、ここにいるあなたたちも最初はそうだったのよ、という話を始めます。
今はいろいろ話をした結果、あなたたちのことがわかって、みんな好きになったけど、最初は、それぞれの人に対して、こんな風に思っていたの、と、最初の印象について語り始めます。
カートについては、abrasive drunk だと思ったと言っています。
abrasive は名詞では、「研磨剤、磨き粉」の意味があります。
そういう「研磨する、すり減らす」ニュアンスから、「(人・態度などが)いらいらさせる、不快な、かんに障る」という意味になるのですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
abrasive [adjective] : seeming rude or unkind in the way you behave toward people, especially because you say what you think very directly
つまり、「人に対する振る舞いで無礼や不親切に見えること、特に考えを非常にダイレクトに言うために」。
ですから、カートのことを、「不快な・かんに障る酔っ払い」だと言っていることになります。
次に初老の女性ローラに対しては、mind-numbingly stupid だと言っています。
numb (発音は、ナム)は、「(人)の感覚をなくする、まひさせる」という動詞ですから、mind-numbingly は「心・精神の感覚がないような愚か者」というような意味になるのでしょうか?(正直よくわかりませんが)
なので「ぼーっとしたおバカさんかと思ってた」みたいな悪口だと思います。
その後、フィービーは、隣にいる年の差カップルに矛先を向けます。
見るからに年齢が不釣り合いなその二人に対して、20歳くらいの若い女性には、gold digger 、おじいちゃんの方には、cradle-robbing perv と言っています。
gold digger は文字通り「金を掘る人」なので、「金鉱掘り」を指します。
また、俗語では、「金目当てに異性と交際する人」も意味します。
LAAD では、
gold digger [noun] [countable] : (slang) a woman who tries to attract rich men in order to get their money
つまり、「その人たちのお金を得るために、裕福な男性たちを魅了しようとする女性」。
cradle-robbing perv の perv は pervert の略語で、「性的倒錯者、変質者」のことですから、cradle を rob する変質者、みたいな意味になります。
cradle は「(赤ちゃんの眠る)ゆりかご」ですね。
from the cradle to the grave は「ゆりかごから墓場まで、生まれてから死ぬまで、一生の間」という決まり文句になります。
rob は「強奪する、略奪する」ですから、ゆりかごに入っている赤ちゃんを強奪するような変質者、だと言っていることになりますね。
つまり、相手が物心つかないうちに誘拐してきて…ということですから、それくらい年の離れた幼い人を自分の恋人にしているような人を指す言葉になるでしょう。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、以下のように出ています。
cradle-robber : someone who has a romantic relationship with someone much younger than they are
cradle-rob [verb] [intransitive]
つまり、「自分よりずっと若い人と恋愛関係を持つ人。動詞は、cradle-rob 」
rob the cradle : (informal) to have a sexual relationship with someone who is a lot younger than you
つまり、「rob the cradle 「ゆりかごを強奪する」とは、自分よりずっと若い人と性的な関係を持つこと」。
語義に、have a romantic/sexual relationship と出ているように、やはり「性的な恋愛関係を目的として、(何も知らない)若い子を(連れ去り)騙す、たぶらかす」というニュアンスがあるようですね。
研究社 新英和中辞典や、英辞郎では、cradle-snatcher という名詞が載っていました。
snatch も「素早くつかむ、ひったくる、強奪する」という意味なので、「ゆりかごを強奪する人」という意味では、cradle-robber とほとんど同じですね。
ロスは、フィービーのあまりの悪口の連続に、それ以上は言わない方がいいんじゃ…みたいな顔をしているのですが、フィービーはそれに気付かない様子で、「これで私の言いたいことがわかったでしょ」みたいな満足げな顔をしています。
「人は第一印象で判断しちゃいけないのよ」と、確かにいいことを言っているのですが、その第一印象の言葉があまりにひどいものだったので、みんなは唖然としていますね。
このシーンは、普段聞きなれない表現もかなり出てきますが、かなりひどい悪口を言っていることが分かれば、余計にそのセリフが楽しめると思います。
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引退する便利屋ハワードへのカンパを断ったロス。そのことで、アパート内では彼への非難が高まります。自分はそんなにひどい人間ではないことをわかってもらおうと、自分の新しい部屋でパーティーを開こうとするロスですが、お客は誰一人やってきません。
向かいの部屋では、ハワードへの感謝のパーティーが行われており、そこに顔を出したロスは、ハワードがカットするはずだった記念のケーキを先に一口食べてしまったことで、みんなをさらに怒らせてしまいました。
スティーブ(自治会長): Okay, you got your free food. You ruined everyone's fun. Don't you think it's time you went home? (よし、君はタダ飯を食べた。みんなの楽しみを台無しにした。そろそろ自宅に帰る時間だと思わないか?)
客3(Guest #3): Yeah, leave! (そうだ、立ち去れ!)
みんな: Yeah, get out! Now! (そうだ、出て行け! 今すぐ!)
スティーブ: Go back to 3-B, 3-B. (3-Bの部屋に帰れよ、3-Bめ。)
フィービー: All right, everyone, calm down! Everyone, calm down! I have something that I would like to say! Who here likes Ross? (Ross is the only one who raises his hand and Phoebe glares at him to put his hand back down.) Of course you don't like him. He, he didn't give you any money. He raised his own hand when I asked, "Who here likes Ross?" And he's wearing two name tags. (He takes one off.) I, I'll be honest with you guys. When I first met Ross, I didn't like him at all! But then once I got to know him, I saw that he's really sweet and caring and very generous. I mean, all I'm saying is don't judge Ross before you get to know him, all right? I mean, you know, I like all you guys now, but when I first met you, y'know, Kurt? I thought, y'know, abrasive drunk. Umm, Lola? Mind-numbingly stupid! And okay, you guys. (She turns to an elderly gentleman and a 20 something woman, who're a couple.) (To the girl) Gold digger, (To the old guy) cradle-robbing perv. So, I think you all know what I mean. (いいわ、みんな、落ち着いて! みんな、落ち着くのよ! 私は言いたいことがあるの! ここにいる人たちの中でロスを好きな人は誰? [ロスだけが手を挙げ[ロスだけが手を挙げる唯一の人間で]、フィービーはその手を下げるようにとロスをにらみ付ける] もちろん、あなたたちはロスが好きじゃないわよね。彼は、彼は、少しのお金も渡そうとしない。「ここにいる人たちの中でロスを好きな人は誰?」と聞いたら、自分自身の手を挙げた。そして、ロスは名札を2枚もつけてるし。[ロスは名札の1枚をとる] 私はみんなに正直になるわね[これから正直なところを述べるわね]。私が最初にロスに会った時、私はロスが全然好きじゃなかった! でもその後、いったん彼という人間を知るようになると、彼は本当に優しくて、思いやりがあって、とっても寛大な人だってわかったの。つまり、私が言っているのは、ロスを(よく)知るようになる前に彼を判断しないで、ということだけなの、いい? ほら、私は今はあなたたち全員を好きだけど、私があなたに最初に会った時、ほら、カートよ。私は、(カートを)かんに障る酔っ払いだと思った。うーんと、ローラは、頭のぼーっとしたおバカだと思った。それから、あなたたち。[フィービーは年老いた紳士と、20歳くらいの女性の方を向く。その二人はカップルである] [女性に] お金目当て。[老人に] 若い子好きの変態。それで、みんなは私の言いたいことがわかったと思うけど。)
自治会長のスティーブはケーキを食べてしまったロスに、you got your free food 「無料の食べ物を得た、食べた」と言っています。
カンパのお金を出さなかったのに、そのパーティーの食べ物を食べるなんて、「ただでメシを食いやがって」みたいな感じですね。
楽しいパーティーをこんな風に台無しにして、と言って、「そろそろ自分の部屋に帰る時間だと思わないか?」とも言っています。
ここにはお前の居場所はないんだよ、というところですね。
他の住民も口々に、Leave! Get out! と叫んでいます。
Go back to 3-B, 3-B. の、3-B は、ロスの部屋番号のことですね。
3-B の部屋に戻れよ、と言っているわけですが、最後の 3-B は、ロスに対する呼び掛け語です。
お互い自己紹介し合ったので、スティーブはロスの名前を当然知っているわけですが、相手を名前で呼ぶことすら腹立たしいので、部屋番号で呼んでいるわけですね。
ロスを人名ではなく部屋番号で呼ぶことで、相手が人格のある人間であることを否定したかのような感覚が出るように思います。
みんながロスを追い出そうとしていると、フィービーは「落ち着いて。言いたいことがあるの」と話を始めます。
フィービーは、このアパートの住民でないにもかかわらず、お金をカンパしたため、他の住民はフィービーのことを気に入っているのですね。
それで、フィービーが何か言いたいのなら話を聞こうと、その場がいったん静まります。
「ロスが好きな人は?」という質問に対して、ロスだけがさっと手を挙げるのも、ロスのキャラらしいです。
それを見て、「こんな質問に対して、自分だけ手を挙げるなんて、そりゃみんなロスが好きじゃないっていうのも無理ないわよ」と、フィービーはあきれた風に述べています。
ロスは自分の部屋で開くパーティーのために、名札を用意していて、自分の胸に2枚名札シールを並べて貼っていました。
上の名札には、DR. GELLER 「ドクター・ゲラー(ゲラー博士)」、下の名札には "ROSS" 「”ロス”」と引用符付きで書いてあります。
つまり、「ドクター・ゲラーの”ロス”」みたいな感じで、僕は博士号を持ってるんだけど、気軽にロスと呼んでね、みたいな感じをかもし出しているように思います。
「名札を2枚も貼ってるし!」みたいに言われて、その1枚を剥がすのですが、下の "ROSS" と書いた方を剥がしたようです。
この期に及んで、まだ「自分はドクターである」ことをアピールしたいのか!とツッコミを入れたくもなりますが、まぁ、ロスはそういうキャラ(自分が博士号を持っている科学者であることに誇りを思っている人)なので、これもそういうキャラ立ちの面白さの1つでもあるのでしょうね。
フィービーはその後、「私も初めてロスに会った時は、彼のことが全然好きじゃなかった」と衝撃発言もしています。
それを聞いて、ロスが「は?」と怒った顔をしているのも面白いですね。
でもその後、彼をよく知るようになると、彼は sweet, caring, generous であることがわかった、と言ってフォローしています。
get to know は「知るようになる、懇意になる」というニュアンスですね。
彼と時を過ごして、彼という人を知るようになると、というような感覚でしょう。
「ロスのことも最初は好きじゃなかった」という話から、フィービーは、ここにいるあなたたちも最初はそうだったのよ、という話を始めます。
今はいろいろ話をした結果、あなたたちのことがわかって、みんな好きになったけど、最初は、それぞれの人に対して、こんな風に思っていたの、と、最初の印象について語り始めます。
カートについては、abrasive drunk だと思ったと言っています。
abrasive は名詞では、「研磨剤、磨き粉」の意味があります。
そういう「研磨する、すり減らす」ニュアンスから、「(人・態度などが)いらいらさせる、不快な、かんに障る」という意味になるのですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
abrasive [adjective] : seeming rude or unkind in the way you behave toward people, especially because you say what you think very directly
つまり、「人に対する振る舞いで無礼や不親切に見えること、特に考えを非常にダイレクトに言うために」。
ですから、カートのことを、「不快な・かんに障る酔っ払い」だと言っていることになります。
次に初老の女性ローラに対しては、mind-numbingly stupid だと言っています。
numb (発音は、ナム)は、「(人)の感覚をなくする、まひさせる」という動詞ですから、mind-numbingly は「心・精神の感覚がないような愚か者」というような意味になるのでしょうか?(正直よくわかりませんが)
なので「ぼーっとしたおバカさんかと思ってた」みたいな悪口だと思います。
その後、フィービーは、隣にいる年の差カップルに矛先を向けます。
見るからに年齢が不釣り合いなその二人に対して、20歳くらいの若い女性には、gold digger 、おじいちゃんの方には、cradle-robbing perv と言っています。
gold digger は文字通り「金を掘る人」なので、「金鉱掘り」を指します。
また、俗語では、「金目当てに異性と交際する人」も意味します。
LAAD では、
gold digger [noun] [countable] : (slang) a woman who tries to attract rich men in order to get their money
つまり、「その人たちのお金を得るために、裕福な男性たちを魅了しようとする女性」。
cradle-robbing perv の perv は pervert の略語で、「性的倒錯者、変質者」のことですから、cradle を rob する変質者、みたいな意味になります。
cradle は「(赤ちゃんの眠る)ゆりかご」ですね。
from the cradle to the grave は「ゆりかごから墓場まで、生まれてから死ぬまで、一生の間」という決まり文句になります。
rob は「強奪する、略奪する」ですから、ゆりかごに入っている赤ちゃんを強奪するような変質者、だと言っていることになりますね。
つまり、相手が物心つかないうちに誘拐してきて…ということですから、それくらい年の離れた幼い人を自分の恋人にしているような人を指す言葉になるでしょう。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、以下のように出ています。
cradle-robber : someone who has a romantic relationship with someone much younger than they are
cradle-rob [verb] [intransitive]
つまり、「自分よりずっと若い人と恋愛関係を持つ人。動詞は、cradle-rob 」
rob the cradle : (informal) to have a sexual relationship with someone who is a lot younger than you
つまり、「rob the cradle 「ゆりかごを強奪する」とは、自分よりずっと若い人と性的な関係を持つこと」。
語義に、have a romantic/sexual relationship と出ているように、やはり「性的な恋愛関係を目的として、(何も知らない)若い子を(連れ去り)騙す、たぶらかす」というニュアンスがあるようですね。
研究社 新英和中辞典や、英辞郎では、cradle-snatcher という名詞が載っていました。
snatch も「素早くつかむ、ひったくる、強奪する」という意味なので、「ゆりかごを強奪する人」という意味では、cradle-robber とほとんど同じですね。
ロスは、フィービーのあまりの悪口の連続に、それ以上は言わない方がいいんじゃ…みたいな顔をしているのですが、フィービーはそれに気付かない様子で、「これで私の言いたいことがわかったでしょ」みたいな満足げな顔をしています。
「人は第一印象で判断しちゃいけないのよ」と、確かにいいことを言っているのですが、その第一印象の言葉があまりにひどいものだったので、みんなは唖然としていますね。
このシーンは、普段聞きなれない表現もかなり出てきますが、かなりひどい悪口を言っていることが分かれば、余計にそのセリフが楽しめると思います。
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2011年02月05日
便利屋の彼にありがとうを フレンズ5-15その3
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は5位、「にほんブログ村」は5位です。
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以前、裸のブ男が住んでいた部屋に、ロスは引っ越してきます。
その部屋でフィービーと話していると、同じアパートメントの住人の一人がやってきます。
男性(Guy): Welcome to the building. I'm uh, Steve Cera, President of the tenants' committee. (このビルへようこそ。私は、あー、スティーブ・シーラ、このアパートの自治会のプレジデント[会長・理事長]だ。)
ロス: Oh, hi! Ross Geller. And this is my friend Phoebe. (あぁ、こんにちは! ロス・ゲラーです。そして、こちらは僕の友達のフィービーです。)
スティーブ: Oh, hi, Phoebe. (おぉ、こんにちは、フィービー。)
フィービー: Mr. President. (ミスター・プレジデント[大統領閣下]。)
スティーブ: I came to talk to you about Howard. (ハワードのことで君に話をしに来たんだ。)
ロス: Howard? (ハワード?)
スティーブ: Yeah, he's the handyman. He's gonna be retiring next week and everyone who lives here is kicking in a 100 bucks as a kind of a thank you for all the hard work type of thing. (あぁ、彼は便利屋だ。彼は来週退職することになってるんだ。それでここに住んでいるみんなが、そういう大変だった仕事に一種の感謝の気持ちとして、100ドルずつお金を出し合うんだ。)
ロス: Oh, that's nice. (あぁ、それは素敵ですね。)
スティーブ: Yeah. So, you want to give me a check, or...? (そうなんだよ。それで、君は小切手で渡したいか、それとも…?)
ロス: Oh. Uhh.... (あぁ、あのー・・・)
スティーブ: Oh, look, you don't have to give it to me right now! You can slip it under my door. (あぁ、ねぇ、今すぐに渡してくれなくてもいいんだよ! 僕のドアの下に挿し込んでくれたらいい。)
(Points to his apartment across the hall.)
廊下の向かいにある自分のアパートメントを指差す。
ロス: No, no, it's not that, it's just... I-I just moved in. (いえ、いえ、そうじゃなくて、ただ…僕は、僕はたった今、越して来たばかりで。)
スティーブ: Well, the guy's worked here for 25 years. (ふーん、その人はここで25年間働いてくれてたんだ。)
ロス: Yes, but I've lived here for 25 minutes. (そうですね、でも僕はここに25分間しか住んでません。)
スティーブ: Oh, okay, I get it. (Starts to leave.) (あぁ、オッケー、わかったよ。 [立ち去ろうとする])
ロス: Wait. Look, look! I'm sorry, it's just I've never even met Howard. I-I mean I don't know Howard. (待って。ちょっと、ちょっと! 申し訳ないんですが、ただ、僕はハワードに会ったこともないんですよ。僕が言いたいのは、僕はハワードを知らない、ってことです。)
スティーブ: Howard's the handyman! (ハワードはハンディ・マン[便利屋]だ!)
ロス: Yes, but to me he's just "man." (そうですね、でも僕にとっては彼はただの「マン」[人]だ。)
スティーブ: Okay. Fine. Whatever. Welcome to the building. (Exits.) (わかったよ。結構だよ。何でもいいさ。このビルにようこそ。 [出て行く])
ロス: (To Phoebe) Ugh, can you believe that guy? ([フィービーに] あー、あの男、信じられる?)
フィービー: Yeah. I really like his glasses. (そうね、私、彼の眼鏡、ほんとに好きだわ。)
この丸メガネをかけた人を演じているのは、Sex and the City で、キャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)の友人スタンフォードを演じていた俳優ウィリー・ガーソンさんですね。
SATC では、ゲイの役を演じていたのも印象的でした。
tenant は「テナント」という日本語になっているように、「借家人」のことですね。
この場合は、ここのアパートメントの部屋を借りている居住者、アパートの住人たちのことで、彼は President of the tenants' committee 、つまり、その委員会の会長、ということですから、日本語風に言うと、「アパートの自治会の会長」という肩書きになるでしょう。
ロスも自分の名前を名乗って挨拶し、隣にいるフィービーも紹介しています。
そして、フィービーもその自治会長さんに挨拶するのですが、そのセリフ、ベタながら笑ってしまいました。
president という言葉そのものは、いろいろな組織の「長」を指す言葉で、国の政治においては「大統領」、その他にも、「(協会の)会長」「(会社の)社長」「(大学の)学長、総長」など、いろいろなトップの人を指す肩書きになります。
が、Mr. President というのは、大統領に対する呼び掛け語として使われる言葉ですよね。
相手が「プレジデント」だと名乗るので、「大統領(閣下)」を意味する呼び掛け語の Mr. President を使い、うやうやしく挨拶したフィービーのオトボケな感じを楽しみたいところです。
相手のスティーブは何だか戸惑った顔をしていますね。
この人、変わってるなぁ、と内心思っているのでしょうが、私自身は、このフィービーの「小ネタをかました」ようなジョークが結構気に入りました(笑)。
自治会長のスティーブは、ハワードのことで話をしにきたと言っています。
handyman というのは、いわゆる「便利屋、よろず屋」のこと。
Macmillan Dictionary では
handyman : someone whose job is to repair things and do other types of practical work in people's houses
つまり、「人々の家で、ものを修理したり、他の実際の仕事[実際に体を動かして行うような仕事]をするのが仕事である人」。
handy という形容詞は、「便利な、使いやすい、役に立つ」。
また、be handy with something, be handy at doing something だと「(人が)…(の扱い)がうまくて、器用で、上手で」という意味になります。
kick in は「(分担金などを)出す、お金を寄付する」。
as a kind of a thank you for all the hard work を直訳すると、「そのすべての大変な仕事に対しての一種の感謝として」というところでしょうか。
as a token of one's gratitude for 「…への感謝のしるしに、…のお礼に」というお決まりフレーズがありますが、それをもっと柔らかく表現したようなものでしょう。
柔らかい日本語にすると、「すべてのハードワークへのありがとうの気持ちとして」という感じですね。
ハワードが退職すると聞いて、住民たちはみんな100ドルずつお金を出し合って、これまでの仕事に対しての感謝の気持ちを示す、と言っています。
そのハワードが、これまで、アパートの住民たちの日常の様々なトラブル(排水溝が詰まった、電気がつかない、電化製品・家具が壊れた、などなど)をいろいろ解決してくれた、彼がいてくれたお陰で僕たちはすごく助かってたんだよね、と言っていることがわかります。
まさに「便利屋、よろず屋」として、住民たちの役に立ってくれていた、ということです。
その話を聞いて、「それは素敵ですね」と返事するロスですが、相手のスティーブは、check 「小切手」という単語を出しています。
小切手で渡したいかそれとも…という彼の質問で、スティーブは越してきたばかりのロスにも、そのカンパを求めていることがわかりますね。
ロスがもごもご言っていると、相手はお金をすぐには用意できないと思ったのか、ドアの下に挿し込んでおいてくれたらいい、と言っています。
相手に自分の意図が伝わっていないのに気付いて、ロスは、it's not that... it's just... 「…ではなくて、ただ…で」というフレーズを使って、自分の言いたいことを説明しようとしています。
「僕は越してきたばかりなので…」というセリフでロスの言いたいことを理解したスティーブは、「そうは言っても、ハワードはみんなのために25年間も働いてくれてたんだ」と言います。
25年間という数字を出した相手に対して、「自分はここに住んで、まだたったの25分しか経ってないんですけど」と返すのがロスらしいですね。
不満そうに去ろうとするスティーブに、「だって僕はハワードに会ったこともない、彼のことは知らない」とロスは言います。
「さっき説明したように、彼は便利屋(handyman)なんだよ!」と言うスティーブに、「みんなにとってはそうでしょうが、僕は彼に何か仕事をしてもらったわけじゃない、僕にとってはただの man 「人」です」というロスにも笑ってしまいます。
Fine. Whatever. という捨て台詞を残して去るスティーブ。言葉では、Welcome to the building. と言いながらも、全く歓迎していない様子もありありと出ています。
横でやり取りを見ていたフィービーに、「あの男、全く信じられないやつだよね」みたいに言うロスですが、フィービーの興味は彼の個性的な眼鏡にあったようで(笑)、そのトンチンカンさもまたフィービーらしいところですね。
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以前、裸のブ男が住んでいた部屋に、ロスは引っ越してきます。
その部屋でフィービーと話していると、同じアパートメントの住人の一人がやってきます。
男性(Guy): Welcome to the building. I'm uh, Steve Cera, President of the tenants' committee. (このビルへようこそ。私は、あー、スティーブ・シーラ、このアパートの自治会のプレジデント[会長・理事長]だ。)
ロス: Oh, hi! Ross Geller. And this is my friend Phoebe. (あぁ、こんにちは! ロス・ゲラーです。そして、こちらは僕の友達のフィービーです。)
スティーブ: Oh, hi, Phoebe. (おぉ、こんにちは、フィービー。)
フィービー: Mr. President. (ミスター・プレジデント[大統領閣下]。)
スティーブ: I came to talk to you about Howard. (ハワードのことで君に話をしに来たんだ。)
ロス: Howard? (ハワード?)
スティーブ: Yeah, he's the handyman. He's gonna be retiring next week and everyone who lives here is kicking in a 100 bucks as a kind of a thank you for all the hard work type of thing. (あぁ、彼は便利屋だ。彼は来週退職することになってるんだ。それでここに住んでいるみんなが、そういう大変だった仕事に一種の感謝の気持ちとして、100ドルずつお金を出し合うんだ。)
ロス: Oh, that's nice. (あぁ、それは素敵ですね。)
スティーブ: Yeah. So, you want to give me a check, or...? (そうなんだよ。それで、君は小切手で渡したいか、それとも…?)
ロス: Oh. Uhh.... (あぁ、あのー・・・)
スティーブ: Oh, look, you don't have to give it to me right now! You can slip it under my door. (あぁ、ねぇ、今すぐに渡してくれなくてもいいんだよ! 僕のドアの下に挿し込んでくれたらいい。)
(Points to his apartment across the hall.)
廊下の向かいにある自分のアパートメントを指差す。
ロス: No, no, it's not that, it's just... I-I just moved in. (いえ、いえ、そうじゃなくて、ただ…僕は、僕はたった今、越して来たばかりで。)
スティーブ: Well, the guy's worked here for 25 years. (ふーん、その人はここで25年間働いてくれてたんだ。)
ロス: Yes, but I've lived here for 25 minutes. (そうですね、でも僕はここに25分間しか住んでません。)
スティーブ: Oh, okay, I get it. (Starts to leave.) (あぁ、オッケー、わかったよ。 [立ち去ろうとする])
ロス: Wait. Look, look! I'm sorry, it's just I've never even met Howard. I-I mean I don't know Howard. (待って。ちょっと、ちょっと! 申し訳ないんですが、ただ、僕はハワードに会ったこともないんですよ。僕が言いたいのは、僕はハワードを知らない、ってことです。)
スティーブ: Howard's the handyman! (ハワードはハンディ・マン[便利屋]だ!)
ロス: Yes, but to me he's just "man." (そうですね、でも僕にとっては彼はただの「マン」[人]だ。)
スティーブ: Okay. Fine. Whatever. Welcome to the building. (Exits.) (わかったよ。結構だよ。何でもいいさ。このビルにようこそ。 [出て行く])
ロス: (To Phoebe) Ugh, can you believe that guy? ([フィービーに] あー、あの男、信じられる?)
フィービー: Yeah. I really like his glasses. (そうね、私、彼の眼鏡、ほんとに好きだわ。)
この丸メガネをかけた人を演じているのは、Sex and the City で、キャリー(サラ・ジェシカ・パーカー)の友人スタンフォードを演じていた俳優ウィリー・ガーソンさんですね。
SATC では、ゲイの役を演じていたのも印象的でした。
tenant は「テナント」という日本語になっているように、「借家人」のことですね。
この場合は、ここのアパートメントの部屋を借りている居住者、アパートの住人たちのことで、彼は President of the tenants' committee 、つまり、その委員会の会長、ということですから、日本語風に言うと、「アパートの自治会の会長」という肩書きになるでしょう。
ロスも自分の名前を名乗って挨拶し、隣にいるフィービーも紹介しています。
そして、フィービーもその自治会長さんに挨拶するのですが、そのセリフ、ベタながら笑ってしまいました。
president という言葉そのものは、いろいろな組織の「長」を指す言葉で、国の政治においては「大統領」、その他にも、「(協会の)会長」「(会社の)社長」「(大学の)学長、総長」など、いろいろなトップの人を指す肩書きになります。
が、Mr. President というのは、大統領に対する呼び掛け語として使われる言葉ですよね。
相手が「プレジデント」だと名乗るので、「大統領(閣下)」を意味する呼び掛け語の Mr. President を使い、うやうやしく挨拶したフィービーのオトボケな感じを楽しみたいところです。
相手のスティーブは何だか戸惑った顔をしていますね。
この人、変わってるなぁ、と内心思っているのでしょうが、私自身は、このフィービーの「小ネタをかました」ようなジョークが結構気に入りました(笑)。
自治会長のスティーブは、ハワードのことで話をしにきたと言っています。
handyman というのは、いわゆる「便利屋、よろず屋」のこと。
Macmillan Dictionary では
handyman : someone whose job is to repair things and do other types of practical work in people's houses
つまり、「人々の家で、ものを修理したり、他の実際の仕事[実際に体を動かして行うような仕事]をするのが仕事である人」。
handy という形容詞は、「便利な、使いやすい、役に立つ」。
また、be handy with something, be handy at doing something だと「(人が)…(の扱い)がうまくて、器用で、上手で」という意味になります。
kick in は「(分担金などを)出す、お金を寄付する」。
as a kind of a thank you for all the hard work を直訳すると、「そのすべての大変な仕事に対しての一種の感謝として」というところでしょうか。
as a token of one's gratitude for 「…への感謝のしるしに、…のお礼に」というお決まりフレーズがありますが、それをもっと柔らかく表現したようなものでしょう。
柔らかい日本語にすると、「すべてのハードワークへのありがとうの気持ちとして」という感じですね。
ハワードが退職すると聞いて、住民たちはみんな100ドルずつお金を出し合って、これまでの仕事に対しての感謝の気持ちを示す、と言っています。
そのハワードが、これまで、アパートの住民たちの日常の様々なトラブル(排水溝が詰まった、電気がつかない、電化製品・家具が壊れた、などなど)をいろいろ解決してくれた、彼がいてくれたお陰で僕たちはすごく助かってたんだよね、と言っていることがわかります。
まさに「便利屋、よろず屋」として、住民たちの役に立ってくれていた、ということです。
その話を聞いて、「それは素敵ですね」と返事するロスですが、相手のスティーブは、check 「小切手」という単語を出しています。
小切手で渡したいかそれとも…という彼の質問で、スティーブは越してきたばかりのロスにも、そのカンパを求めていることがわかりますね。
ロスがもごもご言っていると、相手はお金をすぐには用意できないと思ったのか、ドアの下に挿し込んでおいてくれたらいい、と言っています。
相手に自分の意図が伝わっていないのに気付いて、ロスは、it's not that... it's just... 「…ではなくて、ただ…で」というフレーズを使って、自分の言いたいことを説明しようとしています。
「僕は越してきたばかりなので…」というセリフでロスの言いたいことを理解したスティーブは、「そうは言っても、ハワードはみんなのために25年間も働いてくれてたんだ」と言います。
25年間という数字を出した相手に対して、「自分はここに住んで、まだたったの25分しか経ってないんですけど」と返すのがロスらしいですね。
不満そうに去ろうとするスティーブに、「だって僕はハワードに会ったこともない、彼のことは知らない」とロスは言います。
「さっき説明したように、彼は便利屋(handyman)なんだよ!」と言うスティーブに、「みんなにとってはそうでしょうが、僕は彼に何か仕事をしてもらったわけじゃない、僕にとってはただの man 「人」です」というロスにも笑ってしまいます。
Fine. Whatever. という捨て台詞を残して去るスティーブ。言葉では、Welcome to the building. と言いながらも、全く歓迎していない様子もありありと出ています。
横でやり取りを見ていたフィービーに、「あの男、全く信じられないやつだよね」みたいに言うロスですが、フィービーの興味は彼の個性的な眼鏡にあったようで(笑)、そのトンチンカンさもまたフィービーらしいところですね。
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2011年02月02日
見た目よりずっとキツい フレンズ5-15その2
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セントラルパークに小柄な女の子が入ってきます。
その子とキスしたジョーイは、ケイティという名のその彼女をフレンズたちに紹介します。
ジョーイ: So, you ready to go? (それで、行く準備はできた?)
ケイティ: Yeah, I just gotta run to the bathroom. (ええ、ただちょっと急いでおトイレに行かなくちゃ。)
ジョーイ: Oh sure, right back there. (Points.) (あぁ、もちろん(いいよ)、ちょうどあそこの奥にある。[(トイレの方向を)指差す])
ケイティ: Hey, where are we going to lunch? (ねぇ、どこにランチを食べに行くの?)
ジョーイ: I was thinking Chinese food. (中華料理にしようかと考えてた。)
ケイティ: Ohh, I love Chinese! How did you know I love Chinese? (She hits him repeatedly as she says that.) (あぁ、私、中華って大好き! 私が中華が好きってどうやって知ったのよ! [そのセリフを言う間、ケイティはジョーイを何度も(拳で)殴る])
(She heads to the bathroom and Joey sits back down.)
ケイティはトイレに向かい、ジョーイはまた椅子に座る。
レイチェル: She is so cute. You could fit her right in your little pocket! (彼女ってとっても可愛いわね。あなたのちっちゃなポケットにしまっておけそうね[収まりそうね]。)
ジョーイ: I don't know. I mean, I like her a lot, and she's really nice, but.... (どうかな。つまり、俺は彼女をとっても好きだし、彼女はほんとにいい子だし、でも…)
モニカ: But what? (でも、何なの?)
ジョーイ: (shyly) She keeps punching me. ([恥ずかしそうに] 彼女は俺にパンチし続けるんだ。)
(They all laugh.)
全員が笑う。
モニカ: In the cute, little, sweet way she just did? (彼女が今したような、あの可愛い、ちっちゃくて、優しいやり方で?)
ジョーイ: Hey, it's a lot harder than it looks! Okay? (Quietly) She-she-she's hurting me. (おい、見た目よりずっとキツいんだぞ! いいか? [静かに] 彼女は、彼女は、彼女は俺に痛みを与えてるんだよ。)
モニカ: I know what you need. You need a bodyguard. Hey, Ross, what is Ben doing after preschool? (あなたに必要なものがわかるわ。あなたにはボディガードが必要ね。ねぇ、ロス、保育園の後、ベンは何をする予定?)
チャンドラー: Hey listen, come on, Joey is having a problem! A little girl is beating him up. (ねぇ、聞けよ、いいか、ジョーイは問題を抱えてるんだよ! ちっちゃな女の子が彼をたたきのめしてるんだぞ。)
レイチェル: Aww, Joey, come here. (She takes his hand.) Look honey, I know. This must be really, really difficult for you and I-- Oh, I'm sorry, am I hurting you? (あー、ジョーイ、こっちに来て。[レイチェルはジョーイの手を取る] ねぇ、ハニー、わかるわ。これって、あなたにとって、ほんとにほんとに難しいことよね、それで私は…。あぁ、ごめんなさい、私、あなたを痛みを与えちゃってる[痛くしちゃってる]?)
ランチは中華料理にしようかと思ってた、というジョーイに、「私、中華料理、大好きなの! 私がそれを好きだってこと、どうしてわかったのよ!」と嬉しそうに言いながら、ケイティはジョーイを拳でボクシングのように殴っています。
How did you know I love Chinese? の How は、Why 「なぜ?」という理由を尋ねているのとは異なり、「どうやって」という手段・方法を尋ねている感覚ですね。
フレンズたちがケイティのことを知らなかったくらいですから、まだ付き合って日が浅い、だから食べ物の好みについてもあまりよく話したことがない、それなのに自分の好きな料理を選んでくれたジョーイに対して、「私が何にも言わないのに、私の好きな物がわかっちゃうなんて! あなたって、私の心まで読めちゃう人なわけ?」というような喜びを、パンチにしてぶつけている感じです。
ケイティがトイレに行った後、その様子を見ていたフレンズたちは、ジョーイを冷やかしています。
ここでの cute というのはまさに「小さくて可愛い」みたいなニュアンスでしょう。
だから、その後、その cute さをさらに説明するために、「ポケットにしまえそう」みたいなことを言っているのですね。
You could fit her right in your little pocket! の could は、「しようと思えばできる、できそう」というニュアンス。
ここでの他動詞 fit は日本語で言うと「フィットさせる」というような感覚で、あなたのちっちゃなポケットにちょうどすっぽりフィットさせることができそう、ちょうどすっぽり収まりそう、みたいなことを言っているわけです。
そうやって「小さくて可愛い」ことを冷やかすレイチェルですが、ジョーイは、それを聞いても素直には喜んでいない様子が、I don't know. 「どうかな」という出だしの言葉に表れています。
とっても好きだし、すごくいい子だし、と言いながらも、but という逆接を続けるジョーイ。
「でも、何なの?」と続きを促すと、返って来た答えは、She keeps punching me. でした。
keep doing は「…(という動作を)し続ける」ですから、ケイティが自分を殴り続ける、叩き続ける、何度も殴る、ということを、恥ずかしそうに言っていることになります。
In the cute, little, sweet way she just did? は、「彼女が今さっきやっていた、cute, little, sweet なやり方で(殴り続けるってこと)?」というようなニュアンス。
俺にパンチしてくるんだよ、とジョーイは言うけれど、パンチって言ったって、女子が好きな男子に甘えてじゃれ合ってるみたいな感じの可愛いパンチじゃないの、それのどこが問題なのよ、と言いたいわけです。
笑い飛ばそうとするみんなに、真剣な顔で、it's a lot harder than it looks! と訴えるジョーイにも笑ってしまいますね。
「見た目よりも、ずっとハードなんだ!」ということで、可愛らしい軽いパンチに見えるかもしれないけど、実際それを受けてみたら、そんな生やさしいもんじゃなくて、すごくキツいパンチなんだよ!と言っていることになります。
その後、さらに恥ずかしいと思ったのか、また声を小さくして、She's hurting me. と言っていますね。
hurt は他動詞で、「…を傷つける、…に苦痛・痛みを与える」。
あのパンチのお陰で、俺は実際に痛いんだよ、痛い思いをしてるんだよ、ということです。
ジョーイの悩みを聞いたモニカは、あなたには彼女のパンチから守ってくれるボディガードが必要ね、と言っていますが、その後のセリフが、面白いです。
Hey, Ross, what is Ben doing after preschool? は文字通り、「ねぇ、ロス、保育園の後、ベンは何をする予定?」と、ロスの息子である保育園児のベンの予定を聞いていることになりますが、ボディガードが必要だ、と言った後にベンの予定を尋ねている、ということは、ベンにボディガードを頼んだらいいんじゃない?と言っていることになりますよね。
あんな小さくて可愛い女の子のパンチから守ってもらうだけなら、保育園児のベンで十分ボディガードは務まるわよ、と言っていることになり、ジョーイがパンチを大袈裟に痛がっていることを、からかっているセリフになります。
このセリフは意味としては、「じゃあ、ベンちゃんにボディガードを頼みましょうよ」ということになりますが、それをそのようにダイレクトには言わず、「今日のベンの予定はどうなってる?」と尋ねることで、そういう意味であることを示唆している、それが余計にこのセリフを面白くしているなぁ、と思いました。
beat up は「打ちのめす、たたきのめす、ぼこぼこにする」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
beat up : to hurt someone badly by hitting them
つまり、「ある人を叩くことで、その人をひどく痛めつける[傷つける]」。
Macmillan Dictionary では、
beat up : (informal) to hurt someone by hitting or kicking them many times
つまり、「人を何度も叩いたり蹴ったりすることで、その人を痛めつける[傷つける]」。
ジョーイをからかう女性陣を諭すかのように、「ジョーイは問題を抱えてるんだよ、もっと真面目に聞いてやれよ」みたいにチャンドラーは言いながら、「ちっちゃな女の子にぼこぼこにされてるんだから」と表現して、同じようにジョーイをバカにして、からかっているわけです。
あんまりみんなにバカにされるので、今度はレイチェルが優しい口調で、ジョーイの手を取ります。
ジョーイの気持ちを理解したかのように語り出すのですが、自分がジョーイの手をぎゅっと握っていることに気付いて、「こんなに手をぎゅって握って痛かった? あのパンチが痛いあなただものね、私もあなたに痛い思いをさせちゃった?」みたいに、またからかっているのですね。
むっとして慌てて手を引っ込めるジョーイが何だかかわいそうになってきます。
誰か一人がからかい始めると、他のみんなもそれに加わる、というのが、フレンズのパターンでもありますので、一瞬、相手に同情したかのような表情を見せた人も、結局、その人をからかって終わる、というのも、お決まりの流れです。
フレンズを見慣れている方にとっては、今回のオチも何となく想定されたものではあるでしょうが、それでも、とことんからかい倒し、いじり倒す、という、親しい友達ならではの、ちょっぴりいじわるな感じを楽しむのも、フレンズ鑑賞のポイントなのかな、と思いました。
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セントラルパークに小柄な女の子が入ってきます。
その子とキスしたジョーイは、ケイティという名のその彼女をフレンズたちに紹介します。
ジョーイ: So, you ready to go? (それで、行く準備はできた?)
ケイティ: Yeah, I just gotta run to the bathroom. (ええ、ただちょっと急いでおトイレに行かなくちゃ。)
ジョーイ: Oh sure, right back there. (Points.) (あぁ、もちろん(いいよ)、ちょうどあそこの奥にある。[(トイレの方向を)指差す])
ケイティ: Hey, where are we going to lunch? (ねぇ、どこにランチを食べに行くの?)
ジョーイ: I was thinking Chinese food. (中華料理にしようかと考えてた。)
ケイティ: Ohh, I love Chinese! How did you know I love Chinese? (She hits him repeatedly as she says that.) (あぁ、私、中華って大好き! 私が中華が好きってどうやって知ったのよ! [そのセリフを言う間、ケイティはジョーイを何度も(拳で)殴る])
(She heads to the bathroom and Joey sits back down.)
ケイティはトイレに向かい、ジョーイはまた椅子に座る。
レイチェル: She is so cute. You could fit her right in your little pocket! (彼女ってとっても可愛いわね。あなたのちっちゃなポケットにしまっておけそうね[収まりそうね]。)
ジョーイ: I don't know. I mean, I like her a lot, and she's really nice, but.... (どうかな。つまり、俺は彼女をとっても好きだし、彼女はほんとにいい子だし、でも…)
モニカ: But what? (でも、何なの?)
ジョーイ: (shyly) She keeps punching me. ([恥ずかしそうに] 彼女は俺にパンチし続けるんだ。)
(They all laugh.)
全員が笑う。
モニカ: In the cute, little, sweet way she just did? (彼女が今したような、あの可愛い、ちっちゃくて、優しいやり方で?)
ジョーイ: Hey, it's a lot harder than it looks! Okay? (Quietly) She-she-she's hurting me. (おい、見た目よりずっとキツいんだぞ! いいか? [静かに] 彼女は、彼女は、彼女は俺に痛みを与えてるんだよ。)
モニカ: I know what you need. You need a bodyguard. Hey, Ross, what is Ben doing after preschool? (あなたに必要なものがわかるわ。あなたにはボディガードが必要ね。ねぇ、ロス、保育園の後、ベンは何をする予定?)
チャンドラー: Hey listen, come on, Joey is having a problem! A little girl is beating him up. (ねぇ、聞けよ、いいか、ジョーイは問題を抱えてるんだよ! ちっちゃな女の子が彼をたたきのめしてるんだぞ。)
レイチェル: Aww, Joey, come here. (She takes his hand.) Look honey, I know. This must be really, really difficult for you and I-- Oh, I'm sorry, am I hurting you? (あー、ジョーイ、こっちに来て。[レイチェルはジョーイの手を取る] ねぇ、ハニー、わかるわ。これって、あなたにとって、ほんとにほんとに難しいことよね、それで私は…。あぁ、ごめんなさい、私、あなたを痛みを与えちゃってる[痛くしちゃってる]?)
ランチは中華料理にしようかと思ってた、というジョーイに、「私、中華料理、大好きなの! 私がそれを好きだってこと、どうしてわかったのよ!」と嬉しそうに言いながら、ケイティはジョーイを拳でボクシングのように殴っています。
How did you know I love Chinese? の How は、Why 「なぜ?」という理由を尋ねているのとは異なり、「どうやって」という手段・方法を尋ねている感覚ですね。
フレンズたちがケイティのことを知らなかったくらいですから、まだ付き合って日が浅い、だから食べ物の好みについてもあまりよく話したことがない、それなのに自分の好きな料理を選んでくれたジョーイに対して、「私が何にも言わないのに、私の好きな物がわかっちゃうなんて! あなたって、私の心まで読めちゃう人なわけ?」というような喜びを、パンチにしてぶつけている感じです。
ケイティがトイレに行った後、その様子を見ていたフレンズたちは、ジョーイを冷やかしています。
ここでの cute というのはまさに「小さくて可愛い」みたいなニュアンスでしょう。
だから、その後、その cute さをさらに説明するために、「ポケットにしまえそう」みたいなことを言っているのですね。
You could fit her right in your little pocket! の could は、「しようと思えばできる、できそう」というニュアンス。
ここでの他動詞 fit は日本語で言うと「フィットさせる」というような感覚で、あなたのちっちゃなポケットにちょうどすっぽりフィットさせることができそう、ちょうどすっぽり収まりそう、みたいなことを言っているわけです。
そうやって「小さくて可愛い」ことを冷やかすレイチェルですが、ジョーイは、それを聞いても素直には喜んでいない様子が、I don't know. 「どうかな」という出だしの言葉に表れています。
とっても好きだし、すごくいい子だし、と言いながらも、but という逆接を続けるジョーイ。
「でも、何なの?」と続きを促すと、返って来た答えは、She keeps punching me. でした。
keep doing は「…(という動作を)し続ける」ですから、ケイティが自分を殴り続ける、叩き続ける、何度も殴る、ということを、恥ずかしそうに言っていることになります。
In the cute, little, sweet way she just did? は、「彼女が今さっきやっていた、cute, little, sweet なやり方で(殴り続けるってこと)?」というようなニュアンス。
俺にパンチしてくるんだよ、とジョーイは言うけれど、パンチって言ったって、女子が好きな男子に甘えてじゃれ合ってるみたいな感じの可愛いパンチじゃないの、それのどこが問題なのよ、と言いたいわけです。
笑い飛ばそうとするみんなに、真剣な顔で、it's a lot harder than it looks! と訴えるジョーイにも笑ってしまいますね。
「見た目よりも、ずっとハードなんだ!」ということで、可愛らしい軽いパンチに見えるかもしれないけど、実際それを受けてみたら、そんな生やさしいもんじゃなくて、すごくキツいパンチなんだよ!と言っていることになります。
その後、さらに恥ずかしいと思ったのか、また声を小さくして、She's hurting me. と言っていますね。
hurt は他動詞で、「…を傷つける、…に苦痛・痛みを与える」。
あのパンチのお陰で、俺は実際に痛いんだよ、痛い思いをしてるんだよ、ということです。
ジョーイの悩みを聞いたモニカは、あなたには彼女のパンチから守ってくれるボディガードが必要ね、と言っていますが、その後のセリフが、面白いです。
Hey, Ross, what is Ben doing after preschool? は文字通り、「ねぇ、ロス、保育園の後、ベンは何をする予定?」と、ロスの息子である保育園児のベンの予定を聞いていることになりますが、ボディガードが必要だ、と言った後にベンの予定を尋ねている、ということは、ベンにボディガードを頼んだらいいんじゃない?と言っていることになりますよね。
あんな小さくて可愛い女の子のパンチから守ってもらうだけなら、保育園児のベンで十分ボディガードは務まるわよ、と言っていることになり、ジョーイがパンチを大袈裟に痛がっていることを、からかっているセリフになります。
このセリフは意味としては、「じゃあ、ベンちゃんにボディガードを頼みましょうよ」ということになりますが、それをそのようにダイレクトには言わず、「今日のベンの予定はどうなってる?」と尋ねることで、そういう意味であることを示唆している、それが余計にこのセリフを面白くしているなぁ、と思いました。
beat up は「打ちのめす、たたきのめす、ぼこぼこにする」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
beat up : to hurt someone badly by hitting them
つまり、「ある人を叩くことで、その人をひどく痛めつける[傷つける]」。
Macmillan Dictionary では、
beat up : (informal) to hurt someone by hitting or kicking them many times
つまり、「人を何度も叩いたり蹴ったりすることで、その人を痛めつける[傷つける]」。
ジョーイをからかう女性陣を諭すかのように、「ジョーイは問題を抱えてるんだよ、もっと真面目に聞いてやれよ」みたいにチャンドラーは言いながら、「ちっちゃな女の子にぼこぼこにされてるんだから」と表現して、同じようにジョーイをバカにして、からかっているわけです。
あんまりみんなにバカにされるので、今度はレイチェルが優しい口調で、ジョーイの手を取ります。
ジョーイの気持ちを理解したかのように語り出すのですが、自分がジョーイの手をぎゅっと握っていることに気付いて、「こんなに手をぎゅって握って痛かった? あのパンチが痛いあなただものね、私もあなたに痛い思いをさせちゃった?」みたいに、またからかっているのですね。
むっとして慌てて手を引っ込めるジョーイが何だかかわいそうになってきます。
誰か一人がからかい始めると、他のみんなもそれに加わる、というのが、フレンズのパターンでもありますので、一瞬、相手に同情したかのような表情を見せた人も、結局、その人をからかって終わる、というのも、お決まりの流れです。
フレンズを見慣れている方にとっては、今回のオチも何となく想定されたものではあるでしょうが、それでも、とことんからかい倒し、いじり倒す、という、親しい友達ならではの、ちょっぴりいじわるな感じを楽しむのも、フレンズ鑑賞のポイントなのかな、と思いました。
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