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拾った警察バッジを使って、警官のふりをしていたフィービーですが、相手も警官とわかってびっくり。
ばれないうちに…と適当に挨拶して、その場を去ろうとしますが…
警官: (stopping her) Hey, wait a second! So wait, what precinct are you with? ([フィービーを止めて] ねぇ、ちょっと待ってよ! 待って、君はどこの警察管区だ?)
フィービー: I-I'm with the umm, the 57th. (私は、そのー、57分署よ。)
警官: Oh, I know a guy in Homicide up there. (あぁ、57分署の殺人課のやつを知ってるよ[殺人課には知り合いがいるよ]。)
フィービー: I'm in Vice. Yeah, in fact, I'm undercover right now. I'm a whore. (私は風俗犯罪取締課なの。そうよ、実は、私は今、潜入捜査中なの。私は(今)売春婦なのよ[売春婦役をやってるのよ]。)
precinct は「区域」という意味があり、警察の場合だと「警察管区」を指します。
フィービーがバッジをかざして警官のふりをしているので、「君はどこの管区?」と所属を尋ねているのですね。
homicide は「殺人」という意味の単語。
セリフでは最初大文字で書かれていますが、これは部署を意味しており、「(警察の)殺人課」というようなニュアンスですね。
ビジネス英語で所属を言う時に、in Sales なら「営業部(門)の」、in Accounting なら「経理部(門)の」という意味になります。
その場合も無冠詞の大文字で始まるので、今回の in Homicide もそれと同じ形だと言うことですね。
-cide は「…殺し」を意味する接尾辞。
suicide は「自殺」、genocide なら「集団虐殺」になります。
殺人課に知り合いがいる、と聞いて、フィービーは自分は別の課だと言っています。
その殺人課の知り合いの話を引っ張られたら困ると思ったからですね。
フィービーは、I'm in Vice. と言っていて、これも最初が大文字で書かれていますので、Homicide と同じく、警察の担当課を指す言葉のようです。
vice といえば、「悪」「邪悪、悪徳」などの「抽象的な悪」のイメージの単語として覚えた気がするのですが、そういう意味に並んで、研究社 新英和中辞典には、
vice=【U】 性的不道徳行為、売春
という意味が載っています。
「殺人課」に対して Vice という部署の名前が出たとすると、「売春などの性犯罪担当の部署」という意味で使われているように思います。
さらに英英辞典で調べてみると、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
vice [noun]
1 [uncountable]
a) criminal activities that involves sex, drugs, GAMBLING etc.
b) the part of the police department that deals with this type of crime
つまり、a) は、「性、麻薬、ギャンブルなどに関係する犯罪活動」。b) は、「このようなタイプの犯罪を扱う警察の部署」。
ロングマンではこのように、性犯罪に限らず、麻薬やギャンブルなども含む、と書いてあり、また、そういう犯罪を扱う警察の部署だとの説明もありますね。
ですから、大まかに言うと、「性犯罪担当部署」のようなものだけれども、もっと広い範囲で、麻薬・ギャンブルも含まれる、と考えればよいでしょう。
警察でバイス(ヴァイス)と言うと、アメリカの人気刑事ドラマ「特捜刑事マイアミ・バイス」(原題:Miami Vice)を思い出す方も多いでしょうか。
このブログでも、マイアミ・バイスの真似 フレンズ5-8その4 で、マイアミ・バイスについて触れました。
今回、改めて、マイアミ・バイスについて調べてみると、Wikipedia 日本語版: 特捜刑事マイアミ・バイス の「概要」に、以下の記述がありました。
「フロリダ州マイアミデイド郡首都圏警察の組織犯罪局(OCB)内・風紀取締特別班バイス・スクワッド」
つまり、マイアミ・バイスのバイスは、バイス・スクワッド(vice squad)と関係があるようですね。
vice squad は、普通に英和辞典に載っていて、
研究社 新英和中辞典では、
vice squad=【名】【C】 [集合的に] (売春・麻薬などを取り締まる警察の)風俗取締班
英辞郎では、
vice squad=風紀犯罪取締班、風俗犯罪取締班
と出ています。
(ちなみに、squad は「分隊、チーム」の意味)
それを考えると、フィービーが言った、Vice という部署は「風俗犯罪取締課」とでも訳すのが一番自然なのかな、と思いました。
ちなみに、Wikipedia 英語版: Miami Vice の、Main characters での、Detective James "Sonny" Crockett の説明には、an undercover detective of the vice unit という説明はありますが、vice squad という表記は見当たりませんでした。
まぁ、unit も「部、部隊、一団」のような意味ですから、vice unit = vice squad ということで問題ないとは思うのですが。
英語版ウィキペディアの、Production に以下の記述があります。
In keeping with the show's namesake, most episodes focus on combating drug trafficking and prostitution.
つまり、「番組がその名をもらったものに従って、ほとんどのエピソードは麻薬取引・密売や売春との闘いに焦点が当てられている」ということになるでしょうか。(namesake 「同名のもの、名をもらった人」が訳しにくいのですが、番組タイトルの元となった、vice という言葉を指しているのだと思います。)
そのことからも、Vice という単語が、麻薬密売や売春を扱う部署を指している、と言えるように思います。
Vice の意味について、上で延々述べてきましたが、私はずっと「マイアミ・バイス」のバイスは「悪、邪悪」という”抽象的な”意味だと思っていて、そのタイトルは「マイアミの悪…それに立ち向かう刑事たちのドラマ」というニュアンスなんだと思っていました。
ですが、実は刑事ドラマにおいては、もっと限定された「麻薬・売春などの風俗犯罪」及び、その担当部署を指す言葉になる、ということですよね?
「マイアミ・バイス」を一度も見たことないのですが、英語版で見ると、部署や所属名として、Vice という言葉が頻出するのでしょうか…?? (いつか自分でも確認してみます)
フレンズのセリフに戻ります。
undercover は「秘密に行う、秘密調査・潜入捜査に従事する」というような意味。
whore は「売春婦」ですね。
その一連のセリフを見てみると、「私は風俗犯罪取締課所属で、今は潜入捜査の最中で、売春婦役をやってるの」みたいな意味になり、話の流れ的にもしっくり来る気がします。
ちなみにフレンズでは、「売春婦」を指す場合には、hooker という単語が使われることが多いですが、それは元々、動詞 hook 「(かぎで)引っかける」から来た「引っかけるもの」という意味の俗語ですね。
hooker よりも whore の方が、「売春婦という職業」をよりダイレクトに表す言葉だと思います。
LAAD の whore の説明にも、offensive 「侮辱的(な表現)」という記述があります。
映画「プリティ・ウーマン」(Pretty Woman)では、
ヴィヴィアン(ジュリア・ロバーツ)が産業スパイではないかと疑っている仕事仲間フィルに対して、エドワード(リチャード・ギア)が、
She's not a spy. She is a hooker.
と言っていました。
また、大きな仕事をエドワードにつぶされ、それをヴィヴィアンのせいだと恨んでいるフィルは、ヴィヴィアンが一人でいるホテルの部屋を訪ねます。
その時も最初は、
You're a hooker.
と言っていましたが、ヴィヴィアンに乱暴しようとして抵抗されている時には、
You a $50 whore, Vivian?
そして、後から入ってきたエドワードにそれを止められた後には、
Look. She's a whore, man. と言っていました。
この言葉の変化を考えても、hooker よりも、whore の方が直接的かつ侮辱的であると言える気がしますよね。
また、エドワードは彼女は産業スパイではないかと疑われて、思わず、She's a hooker. と言ってしまったわけですが、自分が惹かれている女性のことなので、She's a whore. と他人に説明することはあり得ない、とも言えると思います。
今回のフィービーのセリフの場合は、自分は潜入捜査で売春婦役をしている、という話なので、ダイレクトな whore を使っているわけですね。
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