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[Scene: Rachel's new job, she's in her new boss's office (Kim's) and with the other assistant (Nancy). Together they're deciding what clothes to buy or something, who knows, let's all watch/read to find out.]
レイチェルの新しい仕事。レイチェルは新しい上司(ボス)のオフィス(キムのオフィス)にいる、別のアシスタント、ナンシーと共に。みんなで一緒にどの服を仕入れるべきかなどを決めているところ…ってそんなの(今は)誰にもわからないよ。観て・読んだらわかるよ[わかるから観てみよう]。
キム(レイチェルの上司): So it's down to these two. Nancy, I know you like this one and I think I agree. Rachel, what do you think? (それでこの2つに絞られたわね。ナンシー、あなたはこっちが好きでしょ、で、私もそれに賛成よ。レイチェル、あなたはどう思う?)
レイチェル: Well umm, that one is pretty but uh, I just, I just love this fabric (On the other one.) Sorry. (えーっと、あのー、そっちはかわいいですが、あの、私はただこの布地が大好きなんです。[もう1つの方を触る] ごめんなさい。)
キム: Oh, don't be sorry. That's part of your job here to give your opinions. And then I take credit for them. I'm kidding! (まぁ、謝らないで。そんな風にあなたの意見を言うのが、ここでのあなたの仕事の一部よ。そして、私はそれを自分の手柄にするの。冗談よ!)
ナンシー: She is kidding. But don't ever disagree with her again. Okay, now I'm kidding! (ボスはからかってるのよ。でも、二度と彼女に異議を唱えちゃだめよ。いいわ、今のは私の冗談よ!)
レイチェル: (laughing nervously) Oh, what a fun office. ([神経質に笑って] あぁ、何て楽しい職場。)
キム: I don't know which one. But I do know I need a cigarette. So what do you say we take a break, we go outside, and we'll figure this thing out when we come back? (どちらか[どちらにすべきか]私にはわからないわ。でも、私にはタバコが必要だってことはよくわかる。だから、休憩して、外に出て、戻ってきてからこの件を解決するっていうのはどうかしら?)
(They all get up to leave.)
全員が部屋を出るために立ち上がる。
キム: (at the door) Rachel? You smoke? ([ドアのところで] レイチェル? あなたはタバコを吸う?)
レイチェル: Oh no. My dad's a doctor and he would always tell me just horror stories... (stops and tries to change directions).... about ghosts and goblins who totally supported the princess's right to smoke. (いいえ。私の父は医者で、父はいつも私に話してきかせたものでした、恐ろしい話を… [話をやめ、話の方向を変えようとする] ゴースト(幽霊・亡霊)やゴブリン(子鬼)についての話です。そのゴーストやゴブリンは、お姫様の喫煙権[喫煙する権利]を全面的に支持していました。)
まず最初のト書きですが、who knows 以下は、状況を説明しているというよりは、ト書きを書いた人のメッセージみたいになっていますね。
通常、シーンの最初のト書きは、場所の説明があって、そこで誰が何をしているかが書かれているわけですが、シーンの最初の段階では、何やら仕事の打ち合わせ中なのはわかるけど、実際に何を決めようとしているかは今の段階ではよくわからない、ま、そのまま見てたら(もしくはこのスクリプトを読んでたら)わかるから、とりあえず見てみようよ、みたいな感じの let's all watch/read... なわけですね。
It's down to these two. の be down to は、be narrowed down to と同じようなニュアンスでしょう。
narrow down は「(範囲を)狭める、絞る、絞り込む」。
down は「量が少なくなるまで」という感覚ですね。
2つ残った候補を見比べながら、どちらにしようか議論中の3人。
レイチェルは意見を聞かれて、「二人がいいと思っている方はかわいいですけど、私はこっちの布・布地が大好きで…」と言った後、それが上司の意見に反対することになると気づき、「すみません、反論するようなこと言ってしまって…」のように、Sorry. を付け加えています。
Don't be sorry. は、「謝らないで。申し訳ないと思わないで」。
意見を言うのがここでのあなたの仕事なんだから、と言った後、キムは、And then I take credit for them. と言っていますね。
take credit for は、「…のことで称賛される、…を自分の手柄とする」。
ここでの credit は「功績、称賛」(praise)の意味ですね。
for 以下に、自分以外の人がなしとげた事柄が来る場合は、「本来はなしとげた人が得るべき称賛を、別人である主語が取る」というようなニュアンスになるため、「自分の手柄とする」という日本語になるのでしょう。
「あなたが言ったことを自分の意見として提出して、私が手柄を横取りするから、どんな意見でもじゃんじゃん出して」みたいなことを言ったので、その後、「今のは冗談よ、本気じゃないわ」と言っているわけです。
その後、アシスタントのナンシーも、上司の調子に合わせてちょっと悪ノリしていますね。
「ボスはあなたをからかっただけだけど、でももう二度とボスに反論しちゃだめよ」と言うことで、ボスはあんな風に冗談だと言って笑ってるけど、内心すっごく怒ってるのよ、さっきみたいな意見は二度と言わないように注意してね、と釘を刺しているようなセリフになります。
「やっぱり、自分の意見を主張しちゃいけなかったの?」と焦るレイチェルに、「これも冗談よ」とからかうナンシー。
ビクっとするようなことを言っては「ほんの冗談よ〜」と否定する、何を信じていいかわからないそういう会話の連続に、「楽しい職場だわ」と言いながら、レイチェルの顔は引きつっています。
キムは、I don't know... But I do know... という、対比の形の文を言っています。
「どっちに決めたらいいかはわからない、でも、これだけははっきりわかるわ、私には今、タバコが必要だってこと」みたいな意味ですね。
決められなくてイライラするから、タバコを吸って一服したいわ、という気持ちのようです。
休憩して、外に出て、戻ってから決めましょ、とキムが言うので、みんなは部屋を出ようとします。
You smoke? は、Do you smoke? のニュアンスで、「あなたはタバコを吸う?」
現在形なのは「習慣」を表していて、「タバコを吸う、喫煙する習慣があるか?」を尋ねる感覚になります。
レイチェルは「いいえ」とすぐに否定して、私の父は医者で、いつも恐ろしい話を聞かされていましたから…みたいに言っています。
would always は「いつも…したものだった」という感覚でしょう。
「タバコは吸いません。だって、医者の父がいつも怖い話を…」の流れから、タバコを吸うと医学的にどういう問題・弊害があるかを医者の父が語ってきかせたものだった…という話になるのが想像できますね。
上司のキムが「何ですって?」みたいな顔をしたので、レイチェルはこれから言おうとしたタバコの健康被害の話が、キムにとっては嬉しくない話だということに気づいたようです。
これからタバコを吸いに行こうとする人、つまり、タバコが好きでヘビースモーカーだと思われる人に、タバコの害の話なんかしちゃだめだ、と思ったレイチェルは、horror stories を別の方面の話にすり変えます。
ホラー話、というのは、ゴーストやゴブリンが出てくる話のことで…と、お化けの話に話題を変えたのですね。
goblin は「小鬼」のこと。
日本語ではゴーストほどなじみがない気がしますが、他の作品でゴブリンという単語を見かけたことがあります。
まず、映画「E.T.」(原題:E.T: The Extra-Terrestrial)では、物置で何かを見た!と騒ぐエリオットに、家族や友達は、それはコヨーテ(coyote)かゴブリン(goblin)だろうとからかっていました。
その後、それが宇宙から来た生物だとわかった後、学校で以下のようなやり取りもありました。
エリオット: Yeah, he came back, but he's not a goblin. He's a spaceman. (あぁ、彼は帰ってきたよ、でも彼はゴブリンじゃないんだ。彼は宇宙人なんだよ。)
スティーブ: As in extra-terrestrial. ((宇宙人って) E.T. (地球外生命体)みたいな?)
小鬼のような伝説上の生物かと思ってたら、宇宙人だったんだ!というセリフですね。
また、映画「ハリー・ポッターと賢者の石」(原題: Harry Potter and the Philosopher's Stone)で、ハリーとハグリッドが Gringotts, the wizard bank 「グリンゴッツ魔法銀行」にやって来た時、そこで働いている人たちを見て、
ハリー: Hagrid, what exactly are these things? (ハグリッド、これら[この人たち]は一体何?)
ハグリッド: They're goblins. (そいつらはゴブリンだ。)
というセリフもありました。
そのシーンに登場していた、グリンゴッツ銀行で働いている小柄な人(というか、正確には鬼)たちが、ゴブリンだということです。
体に悪い、という怖い話を、幽霊や鬼の出てくるようなおとぎ話に変えたレイチェルは、そこに出てきたゴーストたちは、姫の喫煙権を支持していました、と言っています。
support someone's right to do は、「人が…する権利を支持する、サポートする」。
ゴーストとタバコの話を強引に結びつけるために、「私は吸いませんけど、誰にでもタバコを吸う権利はありますもの、喫煙権を支持していたゴーストやゴブリンの話を、今、思い出しました」と言って、話をごまかしているのですね。
レイチェルは何とかごまかしたつもりでしょうが、お化けの出てくるようなファンタジーと、姫の喫煙権を支持する、という何だか現代的な言い回しとのギャップが、このレイチェルのセリフをより面白くしているな、と思いました。
ちなみに、「医者の父からタバコについての怖い話を聞かされて…」のような話を言いかけていますが、レイチェルのパパのドクター・グリーンは、実はヘビースモーカーなんですよね。
フレンズ2-22 では、隣の部屋に置いてあるドクターのタバコをロスが取ってくる、というシーンもありました。
これはいわゆる「シリーズものにありがちな設定の不一致」というものですが、今回のレイチェルのセリフを聞いて、「レイチェルのパパって、タバコ吸うよなぁ?」などと盛り上がったりするのも、ファンの楽しみ方の一つかな、とも思います。
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2011年03月30日
2011年03月28日
改めてDVD学習法を語る
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フレンズ5-17その6 のコメント欄 で、「フレンズを鑑賞しながら、どのようにして微妙なニュアンスを理解できるようになったのか?」というご質問がありました。
私自身がどこまで「微妙なニュアンスを理解できているか」ということは、自分では正直よくわかりませんが、英語学習を続けて、このようなブログを書き続けている間に、「前よりもわかるようになってきた」という実感はありました。
このブログではこれまでDVD学習法についての記事をいくつも書いてきましたが、「このブログを5年半以上続けてきた私が、今、改めてその学習法について思うところ」を今日は記事として書きたいと思います。
まず、過去記事で参考になる部分をご紹介します。
海外ドラマのDVDを使った「Rach流DVD学習法」については、カテゴリー: DVD学習法 で、説明させていただいています。
その学習法の一番基本的な部分は、「DVDの字幕や音声をいろいろ切り換えて見ることで、英語のニュアンスを掴む」ことなのですが、その切り替え方法については、その「カテゴリー: DVD学習法」の記事をずっと下にスクロールしていただいて、一番下から3つ分の記事である、「DVDの音声と字幕(その1)〜(その3)」で説明しました。
ここで改めてその方法について述べますと、Rach流DVD学習法には、「完全5段階」と「はしょる3段階」があります。
完全5段階は、
1. 英語音声、字幕なし (必ず「“ネタバレ禁止”状態」で)
2. 英語音声、英語字幕
3. 英語音声、日本語字幕
4. 日本語音声、英語字幕
5. 英語音声、英語字幕 (ここで英語の意味を自分で調べる)
はしょる3段階は、
1. 英語音声、字幕なし
2. 日本語音声、日本語字幕
3. 英語音声、英語字幕
(はしょる3段階の場合でも、最初は「ネタバレ禁止状態で」と、最後は「英語の意味を自分で調べる」というのは同じ)
DVD学習法をまとめた拙著でも、この方法をご紹介しましたが、誤解のないように言っておきたいのは、「5回見なければいけない」と言っているのではない、ということです。
まず一つの方法として「5段階」をご紹介しただけで、「(はしょる)3段階」で十分であることを、ここで改めて強調させて下さい。
私が完全5段階をまず最初に紹介したのは、「英語字幕」「日本語字幕」「日本語音声」によって得られる情報の種類が違う、ということを一度じっくり感じていただきたかったからです。
詳しくは拙著で説明しましたが、「英語字幕」では「音だけではわからなかったものが文字にするとわかる」ことに気づくことができますし、「日本語字幕」は内容を簡潔に伝え、ダブルミーニングのような英語のだじゃれを言葉にルビ(ふりがな)をふることで示すことができます。
また「日本語音声(吹替)」は、文字数制限のある字幕では出し切れないような細かいニュアンスを表現することができます。
そういう情報の質の違いを一度理解してもらった方が、その後の情報の読み取りに役立つと考えたので、「まずはとりあえず5段階で」と書いただけです。
ですから、「はしょる3段階では不完全だ」と言っているわけではなく、「必要な段階は全て、はしょる3段階に含まれている」と思って下さい。
また、最初の「英語音声、字幕なし」は、「ネイティブと同じように見て今の自分がどこまでわかるか?」を確認するという段階です。
今の自分は英語の音声だけでどこまでわかるか、もしくはどれほどわからないか、というのを自分自身でしっかり認識しておくべきだと思うからです。
それを知ることで、今後「少しずつわかってくる」感覚がよりはっきり感じられると思うのですね。
それを考えると、もう日本語で何度も見ているようなお気に入りの作品を、無理に「英語音声、字幕なし」で見る必要はありません(もうすでに「ネタバレ」しているわけですから…)。
そういう大好きな作品なら印象的なセリフもたくさんあるでしょうから、実際に英語字幕を出してみて、「あの名セリフの原文は、こういう英語だったのか!」とじっくり確認する作業に時間を割いた方が良いでしょう。
拙著でも「自分なりに「カスタマイズ」する」ことについて述べましたが、誰かが言った方法を鵜呑みにしてそっくり真似するのではなく、その行為の意味を考えた上で、自分にとって無駄な作業は省き、柔軟にフレキシブルに対応することもまた、学習する際の大切な心構えです。
はしょる3段階では、「日本語音声、日本語字幕」という、一見、英語学習とは完全に離れてしまっているような段階が入っていますが、この部分で、キャラクターの立場や気持ちを含めた、「話の流れ、会話の流れ」をしっかり掴んでいただきたいと思います。
映画館で字幕つきの映画を見るノリで、「日本語字幕、英語音声」でDVDをご覧になる方は多いと思うのですが、日本語音声(吹替)で聞いたセリフのイメージは、オリジナルの英語のセリフを解釈する際に、思った以上に役立つものです。
そういう意味でも、この段階では徹底して、「話の流れ、セリフのニュアンスを日本語で掴む」ことに集中していただければと思います。
つまり私は、英語のセリフのニュアンスを掴むのに、「DVDの日本語訳」を大いに参考にさせていただいていた、ということです。
もちろん、字幕の文字数制限、口パクに合わせるための吹替の秒数制限などもあり、必ずしも英語の意味が日本語に完全に訳し切れているわけではありません。また、文化的背景の違いなどから直訳しても日本人には笑えない(日本人にはその面白さが伝わらない)部分については、大胆に意訳されている場合もありますので、それが英語のセリフの「答え」であるとは限らないのですが、それでもその日本語訳は「大きなヒント」となるものです。
逆に、直訳されていない部分は、表現は悪いですが、「プロの翻訳者が日本語に訳すのは難しいとあきらめたところ」なわけですから、その部分がわからないからと言って落ち込むことはありません。
まずはヒントを使ってわかる部分から取り組んで行く、という姿勢が大切だと思います。
DVD学習法は、生きた英語を大量に浴びる、という意味で、留学や英会話学校に匹敵するような効果が期待できます。
そして、英語の意味を理解するための「ヒント」が、DVDにはたくさん隠されている…恐らくここが、留学や英会話学校との大きな違いなんだろうと思います。
いくつか例を挙げますと、
1. 音だけではわからなかった言葉が、英語字幕となって文字化されているため、わからない言葉をその場で、辞書や文法書を使って調べることができる。
2. よく聞き取れなかった音は、巻き戻して何度も聞き直すことができる。
3. (必ずしも直訳されているとは限らないが)「日本語で言うとこんな感じ」という日本語訳があるので、そのイメージを英文解釈に役立てることができる。
実際にネイティブとの会話から英会話を学ぶ場合には、それはほとんど「音だけの情報」になっているはずです。
そういう場合は、わからない部分、気になる部分が出てきても、その全てを記録し、覚えておくことは不可能な気がするのですね。
言葉の全てをメモることはできないし、わからないからと言っていちいち会話を止めていたら、会話が成り立たない、もしくは相手が嫌がるからです。
わからないところで立ち止まり、じっくり調べることができる点が、DVD学習法の最大の利点だと私は思っています。
私は、何かを学ぶということは、「自分がどこがわからなかったかを知り、その弱点をつぶしていく、間違いを修正していく」という作業の繰り返しだと思っています。
いくら素晴らしい授業を受けても、何度テストを受けても、自分でしっかり復習する時間を設けなければ、自分の身につかない…というような一般論がありますが、それと同じことで、「質の高い、本物の、生の英語」に触れられたとしても、それを「きちんと消化し、吸収する」という作業があるかないかで、理解度が大きく違ってくると思うのですね。
「暗記する」のではなくて、「理解する」という作業が不可欠だと思うのです。
DVDには、英語字幕や日本語訳があるために、そういう理解するための「復習」の作業がしやすい、それが私が考えるDVD学習法の利点です。
また、言葉の意味というのは、前後の文脈があって初めて、その意味が考えられるものです。
ある程度の長さのリアルな会話をドラマのDVDを使って学ぶことで、「この流れだとこういう意味になるんだろうな」という推測がより楽になるのだろうと思います。
辞書には一つの単語やフレーズに複数の語義が載っている、つまり、同じ表現であってもいろいろな意味に理解できるわけですから、どんなにすごい辞書があったとしても、その意味がこれになるだろうと決める感覚は「前後の流れ」です。
ですから、「使える便利なフレーズ集」のようなものに載っている、それぞれ独立した単発のフレーズや言葉をたくさん丸暗記したところで、そういう「流れ」を意識して学んでいない間は、「決まり文句をつぶやくだけの”会話らしきもの”」を超えることができない気がしています。
ある程度、会話の流れがわかるようになってきた人には、そういうフレーズ集は語彙を増やすための大きな武器になるとは思うのですが、そういう流れもわからないまま決まり文句を覚えるだけでは会話は成り立たないと思います。
接客のためのマニュアル言葉を覚えても、それで言葉全体が豊かになるわけではないのと似ているでしょうか。
会話ができるようになるためにはたくさんの「本物の会話」を浴びなければならないと思います。
それも、相手がこう言えばこう返す、というような一問一答、質疑応答レベルの短さではなく、「ある程度の長さのある複数のやり取り」をじっくり観察することが必要で、それが一番手軽にできるのが、海外ドラマや映画のDVDを見ることだと思います。
また、英語のコメディーを見続けることで、英語のジョークもわかってくるはず、と思います。
「日本に行ったことはないけれど、日本のアニメやマンガが大好きで、それを見て日本語を覚えた」という外国人の方々の話をテレビで見ることがありますが、それはごく自然なことだと思います。
好きなものを興味を持って見続けていれば、どんどん理解が深まると思うからです。
それが何かを学ぶ際の、一番基本的な気持ちだからです。
私自身、こういう学習法を続け、このブログを続けてくる中で、理解度が深くなってくるのを感じました。
その様子は、このブログの昔の記事と最近の記事を読み比べていただければ明白だと思います。
例えば、シーズン1の記事は、5年以上も前に書いたオリジナルの記事と、それから何年か経った後に追記の形で書いた記事があります。
また、コメント欄でのお返事も、5年前から現在に至るまで、いろんな時期に書いたものがあります。
記事やコメントを書いた「時期」を見ていただければ、昔に書いたものは、内容が「薄く浅い」ことに気づいていただけると思います。
初期の頃は、DVDの日本語訳を見て、「そういう意味なのかー」と思い、手持ちの辞書を調べてみたら、確かにそういう意味が載っていた…という程度のものだったと思います。
最初は「そういう程度」のものであっても、まずはそこから始めないといけません。
最初から全てを理解できるかのように錯覚してはいけません。
わかる部分を増やしていくことで、自分の中に知識のストックが増えてきて、今度は今まで自分が気づかなかった部分に注目できるようになってくるはずです。
最初はどうしても「使える便利なフレーズ」ばかりに目が行くものですが、それはそれで知識として蓄えて、それにプラスする形で、普段の何気ない会話のセリフをじっくり見つめてみることで、フレーズ集を丸暗記するだけでは学べない、深いニュアンスが理解できるようになってくると信じています。
私がずっとブログを続けているのも、昔の稚拙な記事やさまざまな間違いを読者の方々に見える形で残しているのも、そういうことを経てきて今の私がいる、ということをわかっていただきたいからです。
最初からいろんなことをわかっていた、知っていたわけではない、気になる部分で立ち止まり、調べ、気づき、修正し…の繰り返しでここまで来た、ということを知っていただけたらと思います。
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このブログではこれまでDVD学習法についての記事をいくつも書いてきましたが、「このブログを5年半以上続けてきた私が、今、改めてその学習法について思うところ」を今日は記事として書きたいと思います。
まず、過去記事で参考になる部分をご紹介します。
海外ドラマのDVDを使った「Rach流DVD学習法」については、カテゴリー: DVD学習法 で、説明させていただいています。
その学習法の一番基本的な部分は、「DVDの字幕や音声をいろいろ切り換えて見ることで、英語のニュアンスを掴む」ことなのですが、その切り替え方法については、その「カテゴリー: DVD学習法」の記事をずっと下にスクロールしていただいて、一番下から3つ分の記事である、「DVDの音声と字幕(その1)〜(その3)」で説明しました。
ここで改めてその方法について述べますと、Rach流DVD学習法には、「完全5段階」と「はしょる3段階」があります。
完全5段階は、
1. 英語音声、字幕なし (必ず「“ネタバレ禁止”状態」で)
2. 英語音声、英語字幕
3. 英語音声、日本語字幕
4. 日本語音声、英語字幕
5. 英語音声、英語字幕 (ここで英語の意味を自分で調べる)
はしょる3段階は、
1. 英語音声、字幕なし
2. 日本語音声、日本語字幕
3. 英語音声、英語字幕
(はしょる3段階の場合でも、最初は「ネタバレ禁止状態で」と、最後は「英語の意味を自分で調べる」というのは同じ)
DVD学習法をまとめた拙著でも、この方法をご紹介しましたが、誤解のないように言っておきたいのは、「5回見なければいけない」と言っているのではない、ということです。
まず一つの方法として「5段階」をご紹介しただけで、「(はしょる)3段階」で十分であることを、ここで改めて強調させて下さい。
私が完全5段階をまず最初に紹介したのは、「英語字幕」「日本語字幕」「日本語音声」によって得られる情報の種類が違う、ということを一度じっくり感じていただきたかったからです。
詳しくは拙著で説明しましたが、「英語字幕」では「音だけではわからなかったものが文字にするとわかる」ことに気づくことができますし、「日本語字幕」は内容を簡潔に伝え、ダブルミーニングのような英語のだじゃれを言葉にルビ(ふりがな)をふることで示すことができます。
また「日本語音声(吹替)」は、文字数制限のある字幕では出し切れないような細かいニュアンスを表現することができます。
そういう情報の質の違いを一度理解してもらった方が、その後の情報の読み取りに役立つと考えたので、「まずはとりあえず5段階で」と書いただけです。
ですから、「はしょる3段階では不完全だ」と言っているわけではなく、「必要な段階は全て、はしょる3段階に含まれている」と思って下さい。
また、最初の「英語音声、字幕なし」は、「ネイティブと同じように見て今の自分がどこまでわかるか?」を確認するという段階です。
今の自分は英語の音声だけでどこまでわかるか、もしくはどれほどわからないか、というのを自分自身でしっかり認識しておくべきだと思うからです。
それを知ることで、今後「少しずつわかってくる」感覚がよりはっきり感じられると思うのですね。
それを考えると、もう日本語で何度も見ているようなお気に入りの作品を、無理に「英語音声、字幕なし」で見る必要はありません(もうすでに「ネタバレ」しているわけですから…)。
そういう大好きな作品なら印象的なセリフもたくさんあるでしょうから、実際に英語字幕を出してみて、「あの名セリフの原文は、こういう英語だったのか!」とじっくり確認する作業に時間を割いた方が良いでしょう。
拙著でも「自分なりに「カスタマイズ」する」ことについて述べましたが、誰かが言った方法を鵜呑みにしてそっくり真似するのではなく、その行為の意味を考えた上で、自分にとって無駄な作業は省き、柔軟にフレキシブルに対応することもまた、学習する際の大切な心構えです。
はしょる3段階では、「日本語音声、日本語字幕」という、一見、英語学習とは完全に離れてしまっているような段階が入っていますが、この部分で、キャラクターの立場や気持ちを含めた、「話の流れ、会話の流れ」をしっかり掴んでいただきたいと思います。
映画館で字幕つきの映画を見るノリで、「日本語字幕、英語音声」でDVDをご覧になる方は多いと思うのですが、日本語音声(吹替)で聞いたセリフのイメージは、オリジナルの英語のセリフを解釈する際に、思った以上に役立つものです。
そういう意味でも、この段階では徹底して、「話の流れ、セリフのニュアンスを日本語で掴む」ことに集中していただければと思います。
つまり私は、英語のセリフのニュアンスを掴むのに、「DVDの日本語訳」を大いに参考にさせていただいていた、ということです。
もちろん、字幕の文字数制限、口パクに合わせるための吹替の秒数制限などもあり、必ずしも英語の意味が日本語に完全に訳し切れているわけではありません。また、文化的背景の違いなどから直訳しても日本人には笑えない(日本人にはその面白さが伝わらない)部分については、大胆に意訳されている場合もありますので、それが英語のセリフの「答え」であるとは限らないのですが、それでもその日本語訳は「大きなヒント」となるものです。
逆に、直訳されていない部分は、表現は悪いですが、「プロの翻訳者が日本語に訳すのは難しいとあきらめたところ」なわけですから、その部分がわからないからと言って落ち込むことはありません。
まずはヒントを使ってわかる部分から取り組んで行く、という姿勢が大切だと思います。
DVD学習法は、生きた英語を大量に浴びる、という意味で、留学や英会話学校に匹敵するような効果が期待できます。
そして、英語の意味を理解するための「ヒント」が、DVDにはたくさん隠されている…恐らくここが、留学や英会話学校との大きな違いなんだろうと思います。
いくつか例を挙げますと、
1. 音だけではわからなかった言葉が、英語字幕となって文字化されているため、わからない言葉をその場で、辞書や文法書を使って調べることができる。
2. よく聞き取れなかった音は、巻き戻して何度も聞き直すことができる。
3. (必ずしも直訳されているとは限らないが)「日本語で言うとこんな感じ」という日本語訳があるので、そのイメージを英文解釈に役立てることができる。
実際にネイティブとの会話から英会話を学ぶ場合には、それはほとんど「音だけの情報」になっているはずです。
そういう場合は、わからない部分、気になる部分が出てきても、その全てを記録し、覚えておくことは不可能な気がするのですね。
言葉の全てをメモることはできないし、わからないからと言っていちいち会話を止めていたら、会話が成り立たない、もしくは相手が嫌がるからです。
わからないところで立ち止まり、じっくり調べることができる点が、DVD学習法の最大の利点だと私は思っています。
私は、何かを学ぶということは、「自分がどこがわからなかったかを知り、その弱点をつぶしていく、間違いを修正していく」という作業の繰り返しだと思っています。
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「暗記する」のではなくて、「理解する」という作業が不可欠だと思うのです。
DVDには、英語字幕や日本語訳があるために、そういう理解するための「復習」の作業がしやすい、それが私が考えるDVD学習法の利点です。
また、言葉の意味というのは、前後の文脈があって初めて、その意味が考えられるものです。
ある程度の長さのリアルな会話をドラマのDVDを使って学ぶことで、「この流れだとこういう意味になるんだろうな」という推測がより楽になるのだろうと思います。
辞書には一つの単語やフレーズに複数の語義が載っている、つまり、同じ表現であってもいろいろな意味に理解できるわけですから、どんなにすごい辞書があったとしても、その意味がこれになるだろうと決める感覚は「前後の流れ」です。
ですから、「使える便利なフレーズ集」のようなものに載っている、それぞれ独立した単発のフレーズや言葉をたくさん丸暗記したところで、そういう「流れ」を意識して学んでいない間は、「決まり文句をつぶやくだけの”会話らしきもの”」を超えることができない気がしています。
ある程度、会話の流れがわかるようになってきた人には、そういうフレーズ集は語彙を増やすための大きな武器になるとは思うのですが、そういう流れもわからないまま決まり文句を覚えるだけでは会話は成り立たないと思います。
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会話ができるようになるためにはたくさんの「本物の会話」を浴びなければならないと思います。
それも、相手がこう言えばこう返す、というような一問一答、質疑応答レベルの短さではなく、「ある程度の長さのある複数のやり取り」をじっくり観察することが必要で、それが一番手軽にできるのが、海外ドラマや映画のDVDを見ることだと思います。
また、英語のコメディーを見続けることで、英語のジョークもわかってくるはず、と思います。
「日本に行ったことはないけれど、日本のアニメやマンガが大好きで、それを見て日本語を覚えた」という外国人の方々の話をテレビで見ることがありますが、それはごく自然なことだと思います。
好きなものを興味を持って見続けていれば、どんどん理解が深まると思うからです。
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その様子は、このブログの昔の記事と最近の記事を読み比べていただければ明白だと思います。
例えば、シーズン1の記事は、5年以上も前に書いたオリジナルの記事と、それから何年か経った後に追記の形で書いた記事があります。
また、コメント欄でのお返事も、5年前から現在に至るまで、いろんな時期に書いたものがあります。
記事やコメントを書いた「時期」を見ていただければ、昔に書いたものは、内容が「薄く浅い」ことに気づいていただけると思います。
初期の頃は、DVDの日本語訳を見て、「そういう意味なのかー」と思い、手持ちの辞書を調べてみたら、確かにそういう意味が載っていた…という程度のものだったと思います。
最初は「そういう程度」のものであっても、まずはそこから始めないといけません。
最初から全てを理解できるかのように錯覚してはいけません。
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最初はどうしても「使える便利なフレーズ」ばかりに目が行くものですが、それはそれで知識として蓄えて、それにプラスする形で、普段の何気ない会話のセリフをじっくり見つめてみることで、フレーズ集を丸暗記するだけでは学べない、深いニュアンスが理解できるようになってくると信じています。
私がずっとブログを続けているのも、昔の稚拙な記事やさまざまな間違いを読者の方々に見える形で残しているのも、そういうことを経てきて今の私がいる、ということをわかっていただきたいからです。
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2011年03月24日
フェア・シェア フレンズ1-3その8
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フレンズ1-3その1 のコメント欄 で、セリフについてのご質問がありました。
そのセリフの中の表現が、なかなか興味深いなと思ったので、今回は、フレンズ1-3 の追記記事の形で解説したいと思います。
ご質問があったやり取りは以下の部分。
SCENE 3: IRIDIUM (MONICA AND PAULA ARE AT WORK)
イリジウム (モニカとポーラが仕事中)
(注:「イリジウム」はモニカが働いているレストランの名前)
モニカ: Why should I let them meet him? I mean, I bring a guy home and within five minutes they're all over him. They're like... coyotes picking off the weak members of the herd. (どうして彼ら(フレンズたち)に(今、付き合っている)彼を会わせなきゃいけないの? ほら、私が男性を家に連れてくると、5分以内にみんなは彼に殺到するのよ。彼らはまるで…群れの中の弱いメンバーをむしり取る[狙いうちする]コヨーテみたいなの。)
ポーラ: Listen, as someone who's seen more than her (fair) share of bad beef, I'll tell you, that is not such a terrible thing. Come on. They're your friends, they're just looking out after you. (ピンクの文字は1つ目の質問部分なので和訳は省略。ねぇ、彼らはあなたの友達なのよ。ただあなたを心配してるだけよ。)
モニカ: I just wish that once, I'd bring a guy home that they actually liked. (私はただ願うわ、一度でいいから、彼らが本当に気に入る人を家に連れてきたい、って。)
ポーラ: Well, you do realize the odds of that happening are a little slimmer if they never get to meet the guy.... (2つ目の質問部分なので和訳は省略。)
まず1つ目の、
ポーラ: Listen, as someone who's seen more than her (fair) share of bad beef, I'll tell you, that is not such a terrible thing.
について。
As someone who..., I'll tell you は、「…する人間として、今から(以下のことを)言うよ」という感覚だと思います。ですから、この場合の as は、「…として」という意味ですね。
fair share という表現について。
ネットスクリプトでは、her fair share となっているのですが、DVD英語字幕は her share だけで fair はありません。
音声を聞いてみると、her share と言っていて、やはり fair は発音されていませんでした。
ですが、ネットスクリプトを書き起こした方が感じた通り、このセリフには、her fair share のニュアンスがあるように思います。
fair share は決まり文句で、
英辞郎には、
fair share=公正な取り分、正当な分け前
と出ています。
研究社 新英和中辞典では、share の項目に、
get a fair share 正当な[当然の]分け前をもらう
という例も出ています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
fair [adjective] の項目の 5 番目に、以下のフレーズが出ています。
5. have had more than your fair share of something :
to have had more of something, especially something bad, than seems reasonable or fair
例) Tim's had more than his fair share of bad luck this year.
つまり、「何かを、特に何か悪いものを、正当(妥当)、公平に思われるよりもいっそう多く持ってしまうこと」。
例文は、「ティムは今年、不公平だと思われるほどの不運を持ってしまった」。
そのフレーズを直訳すると、「何かの正当な分け前以上のものを持ってしまった」ということなので、特に something が悪いものの場合だと、「本来課せられるべき以上の悪いことをあてがわれてしまった、普通の人が持つべき一人分以上のものを持ってしまった」というような感覚になるのだろうと思います。
ロングマンにほとんど同じフレーズが載っていることから、ポーラが使ったような言い回しはよく使われる表現のようですね。
fair share が「エア」の音で韻を踏んでいるのもポイントなのだろうと思います。
have had のように常に「完了形」で使われるようですが、それは「今に至るまでのこれまでの人生でそういうものを持った、与えられてしまった」という「経験」のニュアンスがあるからだと思います。
ポーラのセリフは、
has seen more than her fair share of bad beef
ですから、have が see となり、「何か悪いもの(something bad)」は、bad beef になります。
ここでは、モニカに恋愛のアドバイスをしているので、bad beef は、「悪い、ダメな、ひどい男」のニュアンスのようです。
ちょうどその前のセリフで、フレンズたちを「群れの弱いものをむしり取るコヨーテ」に例えているので、その流れから、「コヨーテに狙われるような肉のうちでも悪いもの」という感覚で、bad beef と表現しているのだと思います。
see は「見る」ですが、I'm seeing someone. 「私は誰かと付き合っている」のように、「付き合う、交際する」という意味もあるので、「一人の人間にとって正当な取り分だと思える以上に、ひどい男をたくさん見てきた、ダメな男とたくさん付き合ってきた」というニュアンスが出ると思います。
who's 以下が、someone を説明する形となって、「そういう経験をしてきた人間として言わせてもらうと」という意味になるのですね。
正当な取り分、分け前、という表現が使われているのは、「人間、誰でも悪い男を掴むことがあるけど(私は人と比べて必要以上に悪い男ばっかり掴んできた、付き合ってきた)」という気持ちが入っているのだと思います。
友達に認めてもらえないようなひどい男と何人も付き合ってきたけど、その私に言わせると、フレンズたちがモニカの彼氏に群がってあーだこーだ言うこともそんなにひどいことじゃない、という感覚ですね。
ですから、そのセリフを私なりに訳してみると、「ねぇ、自分に与えられた公正な取り分以上に、悪い牛肉(男)を見てきた人間として言うけど、モニカが言ったようなことは、それほどひどいことじゃないわ」になるでしょうか。
実際のセリフは fair がないので、「公正な取り分(fair share)」ではなく、ただの「取り分(share)」ですが、それでも、セリフを言ったポーラも、聞いているモニカや観客・視聴者も、そこに fair share のニュアンスを感じ取っているのだろうと私は思いました。
2つ目の、
ポーラ: Well, you do realize the odds of that happening are a little slimmer if they never get to meet the guy....
について。
このセリフの if は「もし…ならば」という仮定です。
the odds of that happening は「それが起こる可能性、確率」、slim は 「(可能性・見込みが)少ない、かすかな、ほんのわずかな」。
you do realize の do は realize を強調していて、あなたは…であることがよくわかっているわよね」という確認、念押しのニュアンス。
get to は「…するようになる、…の状態になる」なので、get to meet the guy は「その男性に会うことになる」になるでしょう。
ですから、私なりに訳してみると、「そうねぇ、もしあなたの友達がその男性(モニカのデート相手)に会うことにならなければ、その男性を気に入る確率がごくわずかになってしまうってこと、わかるでしょ?」みたいになるでしょうか。
フレンズたちが彼を気に入るかどうかモニカは気をもんでいるけれども、「会わせない限りは、気に入られることもない、気に入ってもらいたいなら、会わせないことには始まらない」とポーラは言いたいのですね。
ちなみに、これらの英語のセリフは、DVDの日本語訳ではそれぞれ以下のように訳されていました。
1つ目のセリフ
(字幕) ひどい獲物を つかんできた私に言わせりゃ
(吹替) いいかい、自慢じゃないが、あたし今までひどい獲物ばっか掴んできた
2つ目のセリフ
(字幕) 会わせなかったら 気に入る可能性はゼロだよ
(吹替) でもあんた、そう言って彼氏を会わせなかったら、気に入ってもらえる可能性は限りなくゼロに近くなっちまうよ
上の日本語訳は、今回のセリフのニュアンスがよく出ていると思います。
私自身、多分、このエピソードを最初に英語で見た時は、このセリフの意味がよくわからなかったと思いますが、そういう日本語訳を参考にして、辞書でそれらしい意味を探し、その英語のセリフを解釈した、ということですね。
DVDの日本語訳は、字幕なら文字数制限、吹替なら秒数制限があります。あるいは、直訳しても日本人にはピンと来ないという理由などで、意訳されている場合も多いです。
が、それでもやはり、参考になる部分は多いと思います。
私もいつも、「必ずしも直訳されているとは限らない」ということを念頭に置きつつ(←これをしっかり意識することはとても大切です)、「プロの翻訳者はどう訳しておられるか?」というのを、貴重な意見として参考にしています。
やはりネイティブが普通に楽しんでいる娯楽作品なので、ノンネイティブの我々には難しい部分も多いですから、そういう日本語訳のヒントもどんどん有効活用していきたいな、と思っています。
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フレンズ1-3その1 のコメント欄 で、セリフについてのご質問がありました。
そのセリフの中の表現が、なかなか興味深いなと思ったので、今回は、フレンズ1-3 の追記記事の形で解説したいと思います。
ご質問があったやり取りは以下の部分。
SCENE 3: IRIDIUM (MONICA AND PAULA ARE AT WORK)
イリジウム (モニカとポーラが仕事中)
(注:「イリジウム」はモニカが働いているレストランの名前)
モニカ: Why should I let them meet him? I mean, I bring a guy home and within five minutes they're all over him. They're like... coyotes picking off the weak members of the herd. (どうして彼ら(フレンズたち)に(今、付き合っている)彼を会わせなきゃいけないの? ほら、私が男性を家に連れてくると、5分以内にみんなは彼に殺到するのよ。彼らはまるで…群れの中の弱いメンバーをむしり取る[狙いうちする]コヨーテみたいなの。)
ポーラ: Listen, as someone who's seen more than her (fair) share of bad beef, I'll tell you, that is not such a terrible thing. Come on. They're your friends, they're just looking out after you. (ピンクの文字は1つ目の質問部分なので和訳は省略。ねぇ、彼らはあなたの友達なのよ。ただあなたを心配してるだけよ。)
モニカ: I just wish that once, I'd bring a guy home that they actually liked. (私はただ願うわ、一度でいいから、彼らが本当に気に入る人を家に連れてきたい、って。)
ポーラ: Well, you do realize the odds of that happening are a little slimmer if they never get to meet the guy.... (2つ目の質問部分なので和訳は省略。)
まず1つ目の、
ポーラ: Listen, as someone who's seen more than her (fair) share of bad beef, I'll tell you, that is not such a terrible thing.
について。
As someone who..., I'll tell you は、「…する人間として、今から(以下のことを)言うよ」という感覚だと思います。ですから、この場合の as は、「…として」という意味ですね。
fair share という表現について。
ネットスクリプトでは、her fair share となっているのですが、DVD英語字幕は her share だけで fair はありません。
音声を聞いてみると、her share と言っていて、やはり fair は発音されていませんでした。
ですが、ネットスクリプトを書き起こした方が感じた通り、このセリフには、her fair share のニュアンスがあるように思います。
fair share は決まり文句で、
英辞郎には、
fair share=公正な取り分、正当な分け前
と出ています。
研究社 新英和中辞典では、share の項目に、
get a fair share 正当な[当然の]分け前をもらう
という例も出ています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
fair [adjective] の項目の 5 番目に、以下のフレーズが出ています。
5. have had more than your fair share of something :
to have had more of something, especially something bad, than seems reasonable or fair
例) Tim's had more than his fair share of bad luck this year.
つまり、「何かを、特に何か悪いものを、正当(妥当)、公平に思われるよりもいっそう多く持ってしまうこと」。
例文は、「ティムは今年、不公平だと思われるほどの不運を持ってしまった」。
そのフレーズを直訳すると、「何かの正当な分け前以上のものを持ってしまった」ということなので、特に something が悪いものの場合だと、「本来課せられるべき以上の悪いことをあてがわれてしまった、普通の人が持つべき一人分以上のものを持ってしまった」というような感覚になるのだろうと思います。
ロングマンにほとんど同じフレーズが載っていることから、ポーラが使ったような言い回しはよく使われる表現のようですね。
fair share が「エア」の音で韻を踏んでいるのもポイントなのだろうと思います。
have had のように常に「完了形」で使われるようですが、それは「今に至るまでのこれまでの人生でそういうものを持った、与えられてしまった」という「経験」のニュアンスがあるからだと思います。
ポーラのセリフは、
has seen more than her fair share of bad beef
ですから、have が see となり、「何か悪いもの(something bad)」は、bad beef になります。
ここでは、モニカに恋愛のアドバイスをしているので、bad beef は、「悪い、ダメな、ひどい男」のニュアンスのようです。
ちょうどその前のセリフで、フレンズたちを「群れの弱いものをむしり取るコヨーテ」に例えているので、その流れから、「コヨーテに狙われるような肉のうちでも悪いもの」という感覚で、bad beef と表現しているのだと思います。
see は「見る」ですが、I'm seeing someone. 「私は誰かと付き合っている」のように、「付き合う、交際する」という意味もあるので、「一人の人間にとって正当な取り分だと思える以上に、ひどい男をたくさん見てきた、ダメな男とたくさん付き合ってきた」というニュアンスが出ると思います。
who's 以下が、someone を説明する形となって、「そういう経験をしてきた人間として言わせてもらうと」という意味になるのですね。
正当な取り分、分け前、という表現が使われているのは、「人間、誰でも悪い男を掴むことがあるけど(私は人と比べて必要以上に悪い男ばっかり掴んできた、付き合ってきた)」という気持ちが入っているのだと思います。
友達に認めてもらえないようなひどい男と何人も付き合ってきたけど、その私に言わせると、フレンズたちがモニカの彼氏に群がってあーだこーだ言うこともそんなにひどいことじゃない、という感覚ですね。
ですから、そのセリフを私なりに訳してみると、「ねぇ、自分に与えられた公正な取り分以上に、悪い牛肉(男)を見てきた人間として言うけど、モニカが言ったようなことは、それほどひどいことじゃないわ」になるでしょうか。
実際のセリフは fair がないので、「公正な取り分(fair share)」ではなく、ただの「取り分(share)」ですが、それでも、セリフを言ったポーラも、聞いているモニカや観客・視聴者も、そこに fair share のニュアンスを感じ取っているのだろうと私は思いました。
2つ目の、
ポーラ: Well, you do realize the odds of that happening are a little slimmer if they never get to meet the guy....
について。
このセリフの if は「もし…ならば」という仮定です。
the odds of that happening は「それが起こる可能性、確率」、slim は 「(可能性・見込みが)少ない、かすかな、ほんのわずかな」。
you do realize の do は realize を強調していて、あなたは…であることがよくわかっているわよね」という確認、念押しのニュアンス。
get to は「…するようになる、…の状態になる」なので、get to meet the guy は「その男性に会うことになる」になるでしょう。
ですから、私なりに訳してみると、「そうねぇ、もしあなたの友達がその男性(モニカのデート相手)に会うことにならなければ、その男性を気に入る確率がごくわずかになってしまうってこと、わかるでしょ?」みたいになるでしょうか。
フレンズたちが彼を気に入るかどうかモニカは気をもんでいるけれども、「会わせない限りは、気に入られることもない、気に入ってもらいたいなら、会わせないことには始まらない」とポーラは言いたいのですね。
ちなみに、これらの英語のセリフは、DVDの日本語訳ではそれぞれ以下のように訳されていました。
1つ目のセリフ
(字幕) ひどい獲物を つかんできた私に言わせりゃ
(吹替) いいかい、自慢じゃないが、あたし今までひどい獲物ばっか掴んできた
2つ目のセリフ
(字幕) 会わせなかったら 気に入る可能性はゼロだよ
(吹替) でもあんた、そう言って彼氏を会わせなかったら、気に入ってもらえる可能性は限りなくゼロに近くなっちまうよ
上の日本語訳は、今回のセリフのニュアンスがよく出ていると思います。
私自身、多分、このエピソードを最初に英語で見た時は、このセリフの意味がよくわからなかったと思いますが、そういう日本語訳を参考にして、辞書でそれらしい意味を探し、その英語のセリフを解釈した、ということですね。
DVDの日本語訳は、字幕なら文字数制限、吹替なら秒数制限があります。あるいは、直訳しても日本人にはピンと来ないという理由などで、意訳されている場合も多いです。
が、それでもやはり、参考になる部分は多いと思います。
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2011年03月22日
ちょっと散歩したぐらいで フレンズ5-18その1
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シーズン5 第18話
The One Where Rachel Smokes (目指せ! キャリア・ウーマン)
原題は「レイチェルがタバコを吸う話」
セントラルパークに、ロス、キャロル(ロスの元妻)、ベン(ロスの息子)が入ってきます。
キャロル: Guess what? Ben is gonna be in a TV commercial. (ねえ、何だと思う? ベンがテレビのコマーシャルに出るのよ。)
フィービー: What are you talking about? (何言ってるの?[どういうことなの? それほんとなの?)])
ロス: (sets Ben down) Well, it's not for sure, but umm, we met this guy in the park who thought Ben was really cute. Y'know, which he is, umm... anyhoo, he uh, he gave us his card and told us to bring him down for this commercial he's auditioning. ([ベンを下ろして] そうだね、確かじゃないんだけど、でも、僕たち、公園である男性に会ったんだけど、その人がベンをとってもかわいいと思ったんだ。ほら、ベンは(実際)かわいいだろ。とにかく、彼(その男性)は僕らに名刺をくれて、彼がオーディションをするコマーシャルのために、ベンを連れて来てくれ、って言ったんだ。)
ジョーイ: (reading the card) Whoa! This guy is, like, the biggest commercial casting director in town! (Ross gasps) Ben takes one lousy walk in the park and gets an audition? (Ross and Carol stare at him, then Joey realizes what he just said.) I mean, way to go, Ben! (Gives Ben the thumbs up, which Ben returns.) Man! I've been in that park a million times and no one's offered me an audition. ([名刺を読みながら] ちょっと待てよ! この人は、ほら、街で一番ビッグなCMキャスティング・ディレクターだぞ! [ロスは息を呑む] ベンは公園をほっつき歩いてて、オーディションをゲットするのか? [ロスとキャロルはジョーイをじっと見る、そこでジョーイは自分がたった今言ったことに気づく] つまり、よくやったぞ、ベン! [ジョーイはベンにサムアップをする、ベンはそれを返す] なんてこった! 俺は今までその公園に百万回もいたのに、誰も俺にオーディションをオファーしてくれなかったぞ[誰からも俺にオーディションのオファーがなかったぞ]。)
ロス: I know, it's crazy! We were just pushing Ben on the swings-- (そうだよね、クレイジーだよ! 僕たちはただ、ブランコに乗ったベンを押していただけで…)
ジョーイ: I'm always on the swings! What am I doing wrong? (俺もいつもブランコに乗ってるぞ! 俺は何をしくじったって言うんだよ?)
チャンドラー: That. (それだよ。)
嬉しそうに入ってきたロスたち。
Guess what? は、何かすごいニュースがある時に使う決まり文句ですね。
we met this guy の this は、過去記事、フレンズ5-16その7 で説明したように、物語調で語る場合に使われる a と同じような意味の this です。
which he is の which は、その前の really cute を指していると思います。
ある男性がベンをすごくかわいいと思ったんだけど、と言ったセリフを受けて、その人がそう思うのは当然さ、だって実際にベンはかわいいんだから、と付け足した感覚になります。
わざわざそれを言い足すところに、ロスの親バカぶりが出ていますね。
anyhoo は、anyway のカジュアルな表現。
その男性は名刺をくれて、オーディションに連れてこいと言ったんだ、と説明して、その名刺をフレンズたちに見せています。
俳優であるジョーイは、その名刺を見て驚きます。
Ben takes one lousy walk の lousy について。
take a walk はご存知「散歩する」ですね。
lousy は元々「シラミがたかった」という意味ですが、そこから、「いやな、ひどい、最低の、お粗末な」というネガティブなニュアンスで使われます。
ジョーイが lousy という単語を使った気持ちとしては、「公園の中で、ちょっと、くっだらないお散歩してたぐらいで、ベンはオーディションをゲットするのかよ!」という感じになるでしょう。
これが、Ben takes a walk もしくは、takes a little walk 「ちょっと公園を散歩する」という表現なら普通なのですが、そこに lousy という「けなす」言葉を入れていることで、「ちょっとそんなくだらないことしたくらいで」という気持ちが入るわけですね。
上の訳では、「公園をほっつき歩いてて」と訳してみましたが、何かしらそういう批判的なニュアンスで語っているのが感じられればいいのかな、と思います。
Ben takes... and gets... という現在形が使われているのは、「彼がこうすると、こうなる」という現象を語っている感覚かなと思いました。
実際に起こった過去の事実を述べるのであれば、「ベンは公園を散歩していて、オーディションをゲットした、だって?」のように、Ben took... and got...? と過去形を使うでしょうか。
ジョーイのセリフは、そのように過去に起こった事実に驚いているというよりは、「子供のベンは、ちょっと散歩したくらいで、オーディションをゲットできるわけか?」みたいな感覚で、自分はこんなに苦労してるのに、子供にはそれが簡単にできてしまうという事実に驚いている感覚だと思います。
lousy という言葉に、ジョーイのそういう批判的な気持ちを感じて、ベンの両親である二人は、ジョーイをじーっと見つめています。
つい興奮してそう言ってしまったけれど、自分がひどいことを言ったことに気づいたジョーイは、I mean を使って、自分が言ったことを訂正するようなニュアンスで、Way to go, Ben! 「よくやった、でかしたぞ、ベン!」と言い直していますね。
そうは言いながらもまだ、「俺は公園に何回も言ってるのに、オーディションをオファーされたことなんてなかった」とボヤいています。
ロスも、公園にいただけで声をかけられたことが信じられない様子で、「ブランコに乗っていたベンを押していただけなのに、特別なことなんて何もしてないのに…」みたいに言っています。
swing は「揺れ動く」ことから、「ブランコ」の意味があります。動詞で「ブランコに乗る」という意味もあります。
ついでに言うと、「滑り台」は slide ですね。
ブランコに乗ってただけ、というロスに、ジョーイは、「俺もいつもブランコに乗ってる!」と言っています。
What am I doing wrong? の do wrong は、「間違ったやり方をする」という感覚。
wrong の副詞の意味としては、「不正に、悪く」という意味と、「間違って、誤って」という意味がありますが、この場合は、「間違って」の方ですね。
直訳すると、「俺は何を、間違ったやり方でしているのだろう?」という感じになるでしょうか。
つまり、「俺もベンと同じようにブランコに乗っているのに、ベンはスカウトされて、俺には声がかからない。何かやり方がまずいのかな? 一体何がまずいんだろう? 俺、何か間違ってる? しくじってる?」みたいなことでしょう。
それに対するチャンドラーの返事は、一言、"That." ですが、これは短いながらも辛辣ですね。
チャンドラーは、「何がまずいかは、今お前が言った、そのこと、その行為だよ」と言いたいようです。
どうしてお声がかからないか、それは、いい年をして子供みたいにブランコに乗って遊んでいる、その行為そのものが問題だからだよ、というところでしょう。
スカウトされるようにブランコを上手にこいでアピールするとかしないとかの問題ではなくて、大人のお前がブランコに乗ってること自体がまずいんだ、と言いたいわけです。
「やり方、間違えた?」という問いに、「やってる行為そのものが間違い」だと答えた、チャンドラーの厳しい指摘の面白さが感じられるセリフだと思います。
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シーズン5 第18話
The One Where Rachel Smokes (目指せ! キャリア・ウーマン)
原題は「レイチェルがタバコを吸う話」
セントラルパークに、ロス、キャロル(ロスの元妻)、ベン(ロスの息子)が入ってきます。
キャロル: Guess what? Ben is gonna be in a TV commercial. (ねえ、何だと思う? ベンがテレビのコマーシャルに出るのよ。)
フィービー: What are you talking about? (何言ってるの?[どういうことなの? それほんとなの?)])
ロス: (sets Ben down) Well, it's not for sure, but umm, we met this guy in the park who thought Ben was really cute. Y'know, which he is, umm... anyhoo, he uh, he gave us his card and told us to bring him down for this commercial he's auditioning. ([ベンを下ろして] そうだね、確かじゃないんだけど、でも、僕たち、公園である男性に会ったんだけど、その人がベンをとってもかわいいと思ったんだ。ほら、ベンは(実際)かわいいだろ。とにかく、彼(その男性)は僕らに名刺をくれて、彼がオーディションをするコマーシャルのために、ベンを連れて来てくれ、って言ったんだ。)
ジョーイ: (reading the card) Whoa! This guy is, like, the biggest commercial casting director in town! (Ross gasps) Ben takes one lousy walk in the park and gets an audition? (Ross and Carol stare at him, then Joey realizes what he just said.) I mean, way to go, Ben! (Gives Ben the thumbs up, which Ben returns.) Man! I've been in that park a million times and no one's offered me an audition. ([名刺を読みながら] ちょっと待てよ! この人は、ほら、街で一番ビッグなCMキャスティング・ディレクターだぞ! [ロスは息を呑む] ベンは公園をほっつき歩いてて、オーディションをゲットするのか? [ロスとキャロルはジョーイをじっと見る、そこでジョーイは自分がたった今言ったことに気づく] つまり、よくやったぞ、ベン! [ジョーイはベンにサムアップをする、ベンはそれを返す] なんてこった! 俺は今までその公園に百万回もいたのに、誰も俺にオーディションをオファーしてくれなかったぞ[誰からも俺にオーディションのオファーがなかったぞ]。)
ロス: I know, it's crazy! We were just pushing Ben on the swings-- (そうだよね、クレイジーだよ! 僕たちはただ、ブランコに乗ったベンを押していただけで…)
ジョーイ: I'm always on the swings! What am I doing wrong? (俺もいつもブランコに乗ってるぞ! 俺は何をしくじったって言うんだよ?)
チャンドラー: That. (それだよ。)
嬉しそうに入ってきたロスたち。
Guess what? は、何かすごいニュースがある時に使う決まり文句ですね。
we met this guy の this は、過去記事、フレンズ5-16その7 で説明したように、物語調で語る場合に使われる a と同じような意味の this です。
which he is の which は、その前の really cute を指していると思います。
ある男性がベンをすごくかわいいと思ったんだけど、と言ったセリフを受けて、その人がそう思うのは当然さ、だって実際にベンはかわいいんだから、と付け足した感覚になります。
わざわざそれを言い足すところに、ロスの親バカぶりが出ていますね。
anyhoo は、anyway のカジュアルな表現。
その男性は名刺をくれて、オーディションに連れてこいと言ったんだ、と説明して、その名刺をフレンズたちに見せています。
俳優であるジョーイは、その名刺を見て驚きます。
Ben takes one lousy walk の lousy について。
take a walk はご存知「散歩する」ですね。
lousy は元々「シラミがたかった」という意味ですが、そこから、「いやな、ひどい、最低の、お粗末な」というネガティブなニュアンスで使われます。
ジョーイが lousy という単語を使った気持ちとしては、「公園の中で、ちょっと、くっだらないお散歩してたぐらいで、ベンはオーディションをゲットするのかよ!」という感じになるでしょう。
これが、Ben takes a walk もしくは、takes a little walk 「ちょっと公園を散歩する」という表現なら普通なのですが、そこに lousy という「けなす」言葉を入れていることで、「ちょっとそんなくだらないことしたくらいで」という気持ちが入るわけですね。
上の訳では、「公園をほっつき歩いてて」と訳してみましたが、何かしらそういう批判的なニュアンスで語っているのが感じられればいいのかな、と思います。
Ben takes... and gets... という現在形が使われているのは、「彼がこうすると、こうなる」という現象を語っている感覚かなと思いました。
実際に起こった過去の事実を述べるのであれば、「ベンは公園を散歩していて、オーディションをゲットした、だって?」のように、Ben took... and got...? と過去形を使うでしょうか。
ジョーイのセリフは、そのように過去に起こった事実に驚いているというよりは、「子供のベンは、ちょっと散歩したくらいで、オーディションをゲットできるわけか?」みたいな感覚で、自分はこんなに苦労してるのに、子供にはそれが簡単にできてしまうという事実に驚いている感覚だと思います。
lousy という言葉に、ジョーイのそういう批判的な気持ちを感じて、ベンの両親である二人は、ジョーイをじーっと見つめています。
つい興奮してそう言ってしまったけれど、自分がひどいことを言ったことに気づいたジョーイは、I mean を使って、自分が言ったことを訂正するようなニュアンスで、Way to go, Ben! 「よくやった、でかしたぞ、ベン!」と言い直していますね。
そうは言いながらもまだ、「俺は公園に何回も言ってるのに、オーディションをオファーされたことなんてなかった」とボヤいています。
ロスも、公園にいただけで声をかけられたことが信じられない様子で、「ブランコに乗っていたベンを押していただけなのに、特別なことなんて何もしてないのに…」みたいに言っています。
swing は「揺れ動く」ことから、「ブランコ」の意味があります。動詞で「ブランコに乗る」という意味もあります。
ついでに言うと、「滑り台」は slide ですね。
ブランコに乗ってただけ、というロスに、ジョーイは、「俺もいつもブランコに乗ってる!」と言っています。
What am I doing wrong? の do wrong は、「間違ったやり方をする」という感覚。
wrong の副詞の意味としては、「不正に、悪く」という意味と、「間違って、誤って」という意味がありますが、この場合は、「間違って」の方ですね。
直訳すると、「俺は何を、間違ったやり方でしているのだろう?」という感じになるでしょうか。
つまり、「俺もベンと同じようにブランコに乗っているのに、ベンはスカウトされて、俺には声がかからない。何かやり方がまずいのかな? 一体何がまずいんだろう? 俺、何か間違ってる? しくじってる?」みたいなことでしょう。
それに対するチャンドラーの返事は、一言、"That." ですが、これは短いながらも辛辣ですね。
チャンドラーは、「何がまずいかは、今お前が言った、そのこと、その行為だよ」と言いたいようです。
どうしてお声がかからないか、それは、いい年をして子供みたいにブランコに乗って遊んでいる、その行為そのものが問題だからだよ、というところでしょう。
スカウトされるようにブランコを上手にこいでアピールするとかしないとかの問題ではなくて、大人のお前がブランコに乗ってること自体がまずいんだ、と言いたいわけです。
「やり方、間違えた?」という問いに、「やってる行為そのものが間違い」だと答えた、チャンドラーの厳しい指摘の面白さが感じられるセリフだと思います。
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2011年03月18日
そういうことだったのか フレンズ5-17その6
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[Cut to the Men's room. Chandler is practicing flashing his badge as Monica enters.]
男性用トイレに画面がカット。チャンドラーは(警官)バッジをパッと見せる練習をしている。その時にモニカが入ってくる。
モニカ: Hi, Chandler. (はーい、チャンドラー。)
チャンドラー: Monica, this is the men's room. (Pause) Isn't it? (モニカ、ここは男性用トイレだぞ。[少し間があって] そうだよね?)
モニカ: Yes, it is. But see, I've always found the men's bathroom very sexual. Haven't you? (そうよ、男性用トイレよ。でもね、私ずっと、男性用トイレってすごくセクシャルだと思ってたの。あなたはどう?(そう思ったことない?))
チャンドラー: No. And if I did, I don't think we'd be going out. Monica, this is getting ridiculous! (思ったことないよ。それに、もし俺がそう思うなら、俺たち二人は(今こうして)付き合ってないと思うけど。モニカ、これって、どんどんおかしな話になってるよ!)
モニカ: Come on, we can't let them win! (ねぇ、私たちは彼らを勝たせるわけにはいかないのよ!)
チャンドラー: Ugh, we have already proved that we are hot, okay? So why-why are you getting so obsessed about this thing? (あー、俺たちはアツアツだって、もうすでに証明しただろ? それで、どうして君はこのことにそんなにこだわってるんだ?)
モニカ: Because Phoebe and Gary are in that "can't keep their hands off each other doing it in the park" phase! (だって、フィービーとギャリーは、あの「お互いに触れずにはいられなくて、公園でエッチしちゃう」って段階にいるんだもの!)
チャンドラー: (gasps) So? ([息を呑んで] それで?)
モニカ: So? I feel really sad that we're not... really there anymore. (それで、ですって? 私は本当に悲しいのよ、私たちは…もうそんな段階にはいない、ってことが。)
チャンドラー: Oh, wow! Oh, is that what this has all been about? (わぁ。今回のことは全部、そういうことだったんだね?)
チャンドラーが鏡に向かって警官バッジを早業(はやわざ)で見せる仕草を練習しているところに、モニカが入ってきます。
モニカは色っぽい、誘うような感じでチャンドラーに声をかけます。
男性トイレに入ってきたモニカに驚いて、「ここは男性用トイレだよ」と言うのですが、その後、少しだけ目をきょろきょろさせて、「(そう)だよね?」のような付加疑問文をつけているのが面白いですね。
モニカがあまりに堂々と入ってくるので、もしかして俺が間違って入っちゃったかな?と一瞬思ってしまった感じです。
モニカは、ここは男性用トイレだと認めた上で、I've always found the men's bathroom very sexual. と言っています。
この文章は、「find+目的語+補語」の形で、「…が〜だとわかる、思う、考える」という意味になります。
現在完了形が使われているので、「私はずっと、男性用トイレがとてもセクシャルだな、って思ってたの」というような意味になりますね。
自分が、I've always found 、つまり、「ずっとそう思ってた」と言ったことに対して、Haven't you? と尋ねることで、「あなたはそんな風に思ったことない?」と尋ねていることになります。
次のチャンドラーのセリフ、No. And if I did, I don't think we'd be going out. について。
「思ったことない?」と聞かれて、「そんな風に思ったこと、感じたことはない」と否定した上で、「もし俺が男性用トイレをセクシャルだと思うなら…」という仮定を述べています。
この did は、仮定法過去でしょうね。俺はそんな風に思わないけど、もしもそう思ったと仮定すると、という「実現不可能な仮定」を意味していると思います。
I don't think we'd be going out. は、「否定語はできるだけ前に持ってくる」という英語の特性上、否定語 not が前に来て、think を否定していますが、日本語っぽく意味を取るために改造すると、I think we wouldn't be going out. になるでしょうか。
go out の基本は、「外に出る」という意味ですが、恋愛関係においては、「デートする、付き合う、交際する」という意味があります。
つまり、「俺たち(俺とモニカ)は、(今のように)付き合ったりしてないだろうと思うよ」と言いたいのですね。
woudln't go out ではなく、wouldn't be going out という進行形になっているのは、今自分たちがまさに交際中(交際が進行中)であることに反対の推定を表していて、「(今の状態とは異なり)今付き合っているっていう状態ではなくなっているだろう、今は付き合っていないだろう、デートしていないだろう」というニュアンスになると思います。
「男性トイレって、何かエッチな気持ちにさせるわよね」みたいなことをモニカは言っているわけですが、チャンドラーは、「男性トイレでエッチな気持ちになるような人間だったら、今頃、女性の君とはデートしてないだろうね」と言っているわけです。
つまり、男性の俺が男性トイレでそういう気持ちになるってことは、男性が好き、ゲイである、ということなので、女性のモニカと恋愛関係になったりはしてないよ、と言っているのですね。
女性側の例えで言うと、「女湯でドキドキするような人間だったら、(レズビアンの気がある、ということなので)、男性のあなたとはデートしてない」みたいな感じになるでしょうか。
つまり、チャンドラーは、「俺はモニカとデートしてるストレート(ゲイではない男)なんだから、男性トイレをセクシャルだなんて思わないよ」と言っていることになりますね。
モニカが色っぽい目つきで迫り、「男性トイレってエッチよね」みたいなことを言っているのは明らかにチャンドラーを誘っているのがミエミエですから、チャンドラーはいつものジョークでそれを押し留めようとしている感じです。
モニカがそこまでこだわる理由を尋ねるチャンドラー。
モニカは、フィービーたちは今、こういうフェイズ・段階にいるんだもの!と言って、フィービーたちの状態を説明していますね。
チャンドラーは息を呑んで大袈裟に驚いて見せた後、「で?」と全く普通の口調で問い返しています。
大袈裟に gasp してみただけで、実は全然驚いていないことがわかりますね。
フィービーたちのラブラブぶりに対する、モニカとチャンドラーの意識の違いが、この So? という返事に表れています。
その後、モニカは「フィービーたちはあんなアツアツの状態なのに、自分たちはもうそういう段階にはいないことが悲しいの」と正直な気持ちを述べます。
それでやっとチャンドラーも、モニカがこだわっていた理由がわかったようですね。
Is that what this has all been about? は、That's what this is all about. の現在完了形を疑問文にした形です。
That's what this is all about. は、「これはそういうことなんだな」のように訳されることが多いでしょうか。(拙著の p.72 でも、「構造をつかむ例題」としてこの文章を取り上げています)
今回のチャンドラーのセリフでは、that は、直前にモニカが言った理由を指し、this は、こういうちょっと ridiculous なほどのモニカのこだわりを指しています。
こういうこだわりは一体何だったのか、何についてそんなにこだわっているのかと思っていたら、「私たちはフィービーたちほどもうアツアツじゃないのが悲しい」、それがこだわりの原因、理由だったのか、と、チャンドラーがここで気づいた感覚になりますね。
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[Cut to the Men's room. Chandler is practicing flashing his badge as Monica enters.]
男性用トイレに画面がカット。チャンドラーは(警官)バッジをパッと見せる練習をしている。その時にモニカが入ってくる。
モニカ: Hi, Chandler. (はーい、チャンドラー。)
チャンドラー: Monica, this is the men's room. (Pause) Isn't it? (モニカ、ここは男性用トイレだぞ。[少し間があって] そうだよね?)
モニカ: Yes, it is. But see, I've always found the men's bathroom very sexual. Haven't you? (そうよ、男性用トイレよ。でもね、私ずっと、男性用トイレってすごくセクシャルだと思ってたの。あなたはどう?(そう思ったことない?))
チャンドラー: No. And if I did, I don't think we'd be going out. Monica, this is getting ridiculous! (思ったことないよ。それに、もし俺がそう思うなら、俺たち二人は(今こうして)付き合ってないと思うけど。モニカ、これって、どんどんおかしな話になってるよ!)
モニカ: Come on, we can't let them win! (ねぇ、私たちは彼らを勝たせるわけにはいかないのよ!)
チャンドラー: Ugh, we have already proved that we are hot, okay? So why-why are you getting so obsessed about this thing? (あー、俺たちはアツアツだって、もうすでに証明しただろ? それで、どうして君はこのことにそんなにこだわってるんだ?)
モニカ: Because Phoebe and Gary are in that "can't keep their hands off each other doing it in the park" phase! (だって、フィービーとギャリーは、あの「お互いに触れずにはいられなくて、公園でエッチしちゃう」って段階にいるんだもの!)
チャンドラー: (gasps) So? ([息を呑んで] それで?)
モニカ: So? I feel really sad that we're not... really there anymore. (それで、ですって? 私は本当に悲しいのよ、私たちは…もうそんな段階にはいない、ってことが。)
チャンドラー: Oh, wow! Oh, is that what this has all been about? (わぁ。今回のことは全部、そういうことだったんだね?)
チャンドラーが鏡に向かって警官バッジを早業(はやわざ)で見せる仕草を練習しているところに、モニカが入ってきます。
モニカは色っぽい、誘うような感じでチャンドラーに声をかけます。
男性トイレに入ってきたモニカに驚いて、「ここは男性用トイレだよ」と言うのですが、その後、少しだけ目をきょろきょろさせて、「(そう)だよね?」のような付加疑問文をつけているのが面白いですね。
モニカがあまりに堂々と入ってくるので、もしかして俺が間違って入っちゃったかな?と一瞬思ってしまった感じです。
モニカは、ここは男性用トイレだと認めた上で、I've always found the men's bathroom very sexual. と言っています。
この文章は、「find+目的語+補語」の形で、「…が〜だとわかる、思う、考える」という意味になります。
現在完了形が使われているので、「私はずっと、男性用トイレがとてもセクシャルだな、って思ってたの」というような意味になりますね。
自分が、I've always found 、つまり、「ずっとそう思ってた」と言ったことに対して、Haven't you? と尋ねることで、「あなたはそんな風に思ったことない?」と尋ねていることになります。
次のチャンドラーのセリフ、No. And if I did, I don't think we'd be going out. について。
「思ったことない?」と聞かれて、「そんな風に思ったこと、感じたことはない」と否定した上で、「もし俺が男性用トイレをセクシャルだと思うなら…」という仮定を述べています。
この did は、仮定法過去でしょうね。俺はそんな風に思わないけど、もしもそう思ったと仮定すると、という「実現不可能な仮定」を意味していると思います。
I don't think we'd be going out. は、「否定語はできるだけ前に持ってくる」という英語の特性上、否定語 not が前に来て、think を否定していますが、日本語っぽく意味を取るために改造すると、I think we wouldn't be going out. になるでしょうか。
go out の基本は、「外に出る」という意味ですが、恋愛関係においては、「デートする、付き合う、交際する」という意味があります。
つまり、「俺たち(俺とモニカ)は、(今のように)付き合ったりしてないだろうと思うよ」と言いたいのですね。
woudln't go out ではなく、wouldn't be going out という進行形になっているのは、今自分たちがまさに交際中(交際が進行中)であることに反対の推定を表していて、「(今の状態とは異なり)今付き合っているっていう状態ではなくなっているだろう、今は付き合っていないだろう、デートしていないだろう」というニュアンスになると思います。
「男性トイレって、何かエッチな気持ちにさせるわよね」みたいなことをモニカは言っているわけですが、チャンドラーは、「男性トイレでエッチな気持ちになるような人間だったら、今頃、女性の君とはデートしてないだろうね」と言っているわけです。
つまり、男性の俺が男性トイレでそういう気持ちになるってことは、男性が好き、ゲイである、ということなので、女性のモニカと恋愛関係になったりはしてないよ、と言っているのですね。
女性側の例えで言うと、「女湯でドキドキするような人間だったら、(レズビアンの気がある、ということなので)、男性のあなたとはデートしてない」みたいな感じになるでしょうか。
つまり、チャンドラーは、「俺はモニカとデートしてるストレート(ゲイではない男)なんだから、男性トイレをセクシャルだなんて思わないよ」と言っていることになりますね。
モニカが色っぽい目つきで迫り、「男性トイレってエッチよね」みたいなことを言っているのは明らかにチャンドラーを誘っているのがミエミエですから、チャンドラーはいつものジョークでそれを押し留めようとしている感じです。
モニカがそこまでこだわる理由を尋ねるチャンドラー。
モニカは、フィービーたちは今、こういうフェイズ・段階にいるんだもの!と言って、フィービーたちの状態を説明していますね。
チャンドラーは息を呑んで大袈裟に驚いて見せた後、「で?」と全く普通の口調で問い返しています。
大袈裟に gasp してみただけで、実は全然驚いていないことがわかりますね。
フィービーたちのラブラブぶりに対する、モニカとチャンドラーの意識の違いが、この So? という返事に表れています。
その後、モニカは「フィービーたちはあんなアツアツの状態なのに、自分たちはもうそういう段階にはいないことが悲しいの」と正直な気持ちを述べます。
それでやっとチャンドラーも、モニカがこだわっていた理由がわかったようですね。
Is that what this has all been about? は、That's what this is all about. の現在完了形を疑問文にした形です。
That's what this is all about. は、「これはそういうことなんだな」のように訳されることが多いでしょうか。(拙著の p.72 でも、「構造をつかむ例題」としてこの文章を取り上げています)
今回のチャンドラーのセリフでは、that は、直前にモニカが言った理由を指し、this は、こういうちょっと ridiculous なほどのモニカのこだわりを指しています。
こういうこだわりは一体何だったのか、何についてそんなにこだわっているのかと思っていたら、「私たちはフィービーたちほどもうアツアツじゃないのが悲しい」、それがこだわりの原因、理由だったのか、と、チャンドラーがここで気づいた感覚になりますね。
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2011年03月16日
無線コード10-100 フレンズ5-17その5
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は4位です。
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[Scene: A restaurant, Chandler, Monica, Phoebe, and Gary are on a double date. Chandler is yawning.]
レストランで、チャンドラー、モニカと、フィービー、ギャリーがダブルデート中。チャンドラーはあくびをしている。
フィービー: You tired, Chandler? (疲れてるのね、チャンドラー。)
モニカ: You better believe he's tired after the day we had! If you know what I mean. You know what I mean? (私たちが過ごした一日のせいで疲れてるって思えばいいわよ! もし私の言いたいことがわかればだけど。私の言いたいことわかるわよね?)
チャンドラー: Honey? The tortilla chips know what you mean. (ハニー? そのトルティーヤチップスも君の言いたいことはわかるよ。)
ギャリー: So uh Chandler, do you like that badge I got you? (それで、あの、チャンドラー、君にあげたそのバッジ、気に入った?)
チャンドラー: Oh yeah, it's so cool. (He opens his coat and has it pinned to the lining.) Now, I gotta go. Officer Bing's got a 10-100. (Pause, softly) That's pee-pee. (Heads for the bathroom.) (あぁ、そうだね、とってもクールだよ。[チャンドラーはコートを広げる。バッジを裏地につけている] さぁ、行かなくちゃ。警官ビングは、コード10-100 だ。[間があって、ソフトに] それって、おしっこのことね。[トイレに向かう])
モニカ: Phoebe, you have a, a twig in your hair. (フィービー、髪の毛に小枝がついてるわよ。)
フィービー: Ohh, (laughs) umm, we kinda took a little detour on our way over here. (あぁ。[笑って] あー、私たち、ここに来る途中でちょっと回り道をしたのよね。)
ギャリー: Yeah, we were taking a little stroll through the park and no one was around, so.... (ああ、公園を通ってちょっと散歩してたら、周りに誰もいなくて、それで…)
モニカ: You didn't! ((まさか)あなたたち、(そんなこと)してないわよね!)
フィービー: We did! We violated section 12, paragraph 7 of the criminal code! (したのよ! 私たちは刑法第12条第7項に違反したの。)
モニカ: The park, huh? Public place. (公園で? 公共の場所で。)
ギャリー: Uh-huh. (まあね。)
モニカ: I hear ya. Can you excuse me for just a second? (Gets up and heads for the bathroom as that annoying Gotta-win-at-all-costs-super-competitive thing kicks in again.) (わかったわ。ちょっとだけ失礼してもいい? [立ち上がり、トイレに向かう、その時、例のうっとうしい「何としても勝たなければならない超負けず嫌い」ってやつが、再び始まる])
ダブルデート中、チャンドラーは眠そうにあくびをしています。
疲れてるの?と尋ねるフィービーに、直訳すると、「私たちが持った・過ごした一日の後で疲れてる、って思ってくれたらいいわ」みたいなことを言っていますね。
つまり、ものすごく疲れる一日だったの、と言いたいわけで、何でそんなに疲れたのか、という具体的な内容は言わずに、If you know what I mean 「もし、私の言いたいことがわかれば、の話だけど」のように意味ありげなセリフを付け加えています。
if you know what I mean は、フレンズ3-23その3 にも出てきました。
そこでも説明しましたが、自分が遠回しに、またはダイレクトな言い方を避けた表現で言ったことを、相手が理解したかどうか確認したい時に使うフレーズになります。
今回の場合も、「私たち、ものすごーく疲れる一日を過ごしちゃったの。何してて疲れちゃったかは、だいたい見当がつくでしょ?」と言ってみせることで、体力を消耗するほど、ずっとエッチしてたもんだから…みたいなことを相手に気づいてもらおうとしている感覚です。
「私の言いたいことわかるかなぁ?わかるわよね」としつこく念押しするモニカにチャンドラーはあきれて、「このカゴに入っているトルティーヤチップス(という無生物)でも、君の言わんとしていることはわかるよ」みたいに言っているのも面白いです。
それで遠回しに言ってるつもりかもしれないけど、対抗心丸出しで自慢してるのはミエミエだよ、というところですね。
ギャリーはチャンドラーに警官バッジのレプリカ(?)のようなものをあげたようで、チャンドラーは嬉しそうにコートの裏につけたバッジを見せています。
その後、警官になったつもりで、10-100 (発音は、ten, one-hundred )というコード番号を言っています。
過去記事、10-4は警察無線コード フレンズ5-16その4 では、「了解」の意味の、警察無線のコード 10-4 (ten four) が登場していましたね。
今回の 10-100 は、その後、チャンドラーが、pee-pee 「おしっこ(幼児語)」と言っていることから、「トイレに行く」という意味で使っていることがわかりますが、実際、10-100 というコードはその意味で使われているようです。
オンラインスラング辞典の Urban Dictionary: 10-100 には以下のように説明されていました。
10-100: A radio code, used by truckers and civil servants to denote a 5 minute break, usually to go to the bathroom.
つまり、「無線コードで、5分の休憩を示すために、たいていはトイレに行くために、トラック運転手や公務員によって使われる」。
チャンドラーがでまかせで適当なそれらしいコードを言ったのではなく、実際にトイレ休憩の意味で使われているコードを使ったのが興味深いなと思いました。
ちなみに、上で紹介した過去記事(フレンズ5-16その4)で、「了解」という意味の 10-4 (Ten-four) というコードについて説明しましたが、実はそのコード、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART 2」のセリフに登場していました。
無線で使われるコード、ということで、「そういえば、バック・トゥ・ザ・フューチャー PART 2 で、マーティとドクが、無線機で交信しているシーンがあったなぁ」と思い出し、チェックしてみたところ、やはり予想通り、そういうコードが使われていたのですね。
それぞれ離れた場所でこなすべき任務があったので、ドクがマーティに、walkie-talkie (無線機、トランシーバー)を渡すのですが、映画の時間にして、1時間23分から1時間35分過ぎくらいの間に、3回も Ten-four. が出てきていました。
それだけ、無線用語としてネイティブにはなじみのある表現だ、ということですね。
チャンドラーがトイレに向かった後、モニカはフィービーの髪の毛に小枝がついているのに気づきます。
detour は「遠回り、回り道、迂回路」。
take a detour で「回り道で行く、回り道をする、迂回する」という意味になります。
take a stroll は「散歩する」。
stroller には「乳母車、ベビーカー」という意味もありますね。
ここに来る途中、回り道をして公園を散歩してたら、人気(ひとけ)がなかったんで…と言うのを聞いて、モニカは、You didn't! と叫んでいます。
これは、省略されている部分を補うと、You didn't do it! 「公園でエッチしてないわよね!」のようなニュアンスでしょう。
so.... の後、はっきりどうしたかを言わないギャリーですが、人気のない公園で、フィービーの髪の毛に小枝がついていた、となると、公園に寝転んで…ということは容易に想像されますよね。
モニカの方も、その想像された行為の内容をはっきり言うことなく、「まさかそんなことしてないわよね、そんなことしたはずないわ!」のように、その行為が行われたことが信じられない、というように叫んでいるわけです。
その後のフィービーの We did! も、「あなたは信じられないでしょうけど、実際に私たちはあなたが考えているそのことをしたのよ」というところですね。
criminal code は「刑法」、section が「条」で、paragraph が「項」になります。
「刑法第何条第何項に違反した」と警察関係者っぽく言ってみせているわけですね。
警官という立場なのに法を犯しちゃった、と言うことで、それだけ二人はラブラブで、情熱を抑えることができなかったの、みたいに言っていることになります。
モニカはただ、「公園で? そんな公共の場所で?」としか言えません。
その後、「ちょっと失礼するわ」と言って、席を立つモニカ。
そういうフィービーたちの発言がまたモニカの競争心に火をつけてしまったようです。
ト書きの at all costs は「どんなに費用をかけても、何としても、ぜひとも」。
モニカの競争心が激しい様子を、「何としても、ぜひとも、勝たなければならない」と表現しているのは、なるほどなぁ、という感じですね。
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[Scene: A restaurant, Chandler, Monica, Phoebe, and Gary are on a double date. Chandler is yawning.]
レストランで、チャンドラー、モニカと、フィービー、ギャリーがダブルデート中。チャンドラーはあくびをしている。
フィービー: You tired, Chandler? (疲れてるのね、チャンドラー。)
モニカ: You better believe he's tired after the day we had! If you know what I mean. You know what I mean? (私たちが過ごした一日のせいで疲れてるって思えばいいわよ! もし私の言いたいことがわかればだけど。私の言いたいことわかるわよね?)
チャンドラー: Honey? The tortilla chips know what you mean. (ハニー? そのトルティーヤチップスも君の言いたいことはわかるよ。)
ギャリー: So uh Chandler, do you like that badge I got you? (それで、あの、チャンドラー、君にあげたそのバッジ、気に入った?)
チャンドラー: Oh yeah, it's so cool. (He opens his coat and has it pinned to the lining.) Now, I gotta go. Officer Bing's got a 10-100. (Pause, softly) That's pee-pee. (Heads for the bathroom.) (あぁ、そうだね、とってもクールだよ。[チャンドラーはコートを広げる。バッジを裏地につけている] さぁ、行かなくちゃ。警官ビングは、コード10-100 だ。[間があって、ソフトに] それって、おしっこのことね。[トイレに向かう])
モニカ: Phoebe, you have a, a twig in your hair. (フィービー、髪の毛に小枝がついてるわよ。)
フィービー: Ohh, (laughs) umm, we kinda took a little detour on our way over here. (あぁ。[笑って] あー、私たち、ここに来る途中でちょっと回り道をしたのよね。)
ギャリー: Yeah, we were taking a little stroll through the park and no one was around, so.... (ああ、公園を通ってちょっと散歩してたら、周りに誰もいなくて、それで…)
モニカ: You didn't! ((まさか)あなたたち、(そんなこと)してないわよね!)
フィービー: We did! We violated section 12, paragraph 7 of the criminal code! (したのよ! 私たちは刑法第12条第7項に違反したの。)
モニカ: The park, huh? Public place. (公園で? 公共の場所で。)
ギャリー: Uh-huh. (まあね。)
モニカ: I hear ya. Can you excuse me for just a second? (Gets up and heads for the bathroom as that annoying Gotta-win-at-all-costs-super-competitive thing kicks in again.) (わかったわ。ちょっとだけ失礼してもいい? [立ち上がり、トイレに向かう、その時、例のうっとうしい「何としても勝たなければならない超負けず嫌い」ってやつが、再び始まる])
ダブルデート中、チャンドラーは眠そうにあくびをしています。
疲れてるの?と尋ねるフィービーに、直訳すると、「私たちが持った・過ごした一日の後で疲れてる、って思ってくれたらいいわ」みたいなことを言っていますね。
つまり、ものすごく疲れる一日だったの、と言いたいわけで、何でそんなに疲れたのか、という具体的な内容は言わずに、If you know what I mean 「もし、私の言いたいことがわかれば、の話だけど」のように意味ありげなセリフを付け加えています。
if you know what I mean は、フレンズ3-23その3 にも出てきました。
そこでも説明しましたが、自分が遠回しに、またはダイレクトな言い方を避けた表現で言ったことを、相手が理解したかどうか確認したい時に使うフレーズになります。
今回の場合も、「私たち、ものすごーく疲れる一日を過ごしちゃったの。何してて疲れちゃったかは、だいたい見当がつくでしょ?」と言ってみせることで、体力を消耗するほど、ずっとエッチしてたもんだから…みたいなことを相手に気づいてもらおうとしている感覚です。
「私の言いたいことわかるかなぁ?わかるわよね」としつこく念押しするモニカにチャンドラーはあきれて、「このカゴに入っているトルティーヤチップス(という無生物)でも、君の言わんとしていることはわかるよ」みたいに言っているのも面白いです。
それで遠回しに言ってるつもりかもしれないけど、対抗心丸出しで自慢してるのはミエミエだよ、というところですね。
ギャリーはチャンドラーに警官バッジのレプリカ(?)のようなものをあげたようで、チャンドラーは嬉しそうにコートの裏につけたバッジを見せています。
その後、警官になったつもりで、10-100 (発音は、ten, one-hundred )というコード番号を言っています。
過去記事、10-4は警察無線コード フレンズ5-16その4 では、「了解」の意味の、警察無線のコード 10-4 (ten four) が登場していましたね。
今回の 10-100 は、その後、チャンドラーが、pee-pee 「おしっこ(幼児語)」と言っていることから、「トイレに行く」という意味で使っていることがわかりますが、実際、10-100 というコードはその意味で使われているようです。
オンラインスラング辞典の Urban Dictionary: 10-100 には以下のように説明されていました。
10-100: A radio code, used by truckers and civil servants to denote a 5 minute break, usually to go to the bathroom.
つまり、「無線コードで、5分の休憩を示すために、たいていはトイレに行くために、トラック運転手や公務員によって使われる」。
チャンドラーがでまかせで適当なそれらしいコードを言ったのではなく、実際にトイレ休憩の意味で使われているコードを使ったのが興味深いなと思いました。
ちなみに、上で紹介した過去記事(フレンズ5-16その4)で、「了解」という意味の 10-4 (Ten-four) というコードについて説明しましたが、実はそのコード、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART 2」のセリフに登場していました。
無線で使われるコード、ということで、「そういえば、バック・トゥ・ザ・フューチャー PART 2 で、マーティとドクが、無線機で交信しているシーンがあったなぁ」と思い出し、チェックしてみたところ、やはり予想通り、そういうコードが使われていたのですね。
それぞれ離れた場所でこなすべき任務があったので、ドクがマーティに、walkie-talkie (無線機、トランシーバー)を渡すのですが、映画の時間にして、1時間23分から1時間35分過ぎくらいの間に、3回も Ten-four. が出てきていました。
それだけ、無線用語としてネイティブにはなじみのある表現だ、ということですね。
チャンドラーがトイレに向かった後、モニカはフィービーの髪の毛に小枝がついているのに気づきます。
detour は「遠回り、回り道、迂回路」。
take a detour で「回り道で行く、回り道をする、迂回する」という意味になります。
take a stroll は「散歩する」。
stroller には「乳母車、ベビーカー」という意味もありますね。
ここに来る途中、回り道をして公園を散歩してたら、人気(ひとけ)がなかったんで…と言うのを聞いて、モニカは、You didn't! と叫んでいます。
これは、省略されている部分を補うと、You didn't do it! 「公園でエッチしてないわよね!」のようなニュアンスでしょう。
so.... の後、はっきりどうしたかを言わないギャリーですが、人気のない公園で、フィービーの髪の毛に小枝がついていた、となると、公園に寝転んで…ということは容易に想像されますよね。
モニカの方も、その想像された行為の内容をはっきり言うことなく、「まさかそんなことしてないわよね、そんなことしたはずないわ!」のように、その行為が行われたことが信じられない、というように叫んでいるわけです。
その後のフィービーの We did! も、「あなたは信じられないでしょうけど、実際に私たちはあなたが考えているそのことをしたのよ」というところですね。
criminal code は「刑法」、section が「条」で、paragraph が「項」になります。
「刑法第何条第何項に違反した」と警察関係者っぽく言ってみせているわけですね。
警官という立場なのに法を犯しちゃった、と言うことで、それだけ二人はラブラブで、情熱を抑えることができなかったの、みたいに言っていることになります。
モニカはただ、「公園で? そんな公共の場所で?」としか言えません。
その後、「ちょっと失礼するわ」と言って、席を立つモニカ。
そういうフィービーたちの発言がまたモニカの競争心に火をつけてしまったようです。
ト書きの at all costs は「どんなに費用をかけても、何としても、ぜひとも」。
モニカの競争心が激しい様子を、「何としても、ぜひとも、勝たなければならない」と表現しているのは、なるほどなぁ、という感じですね。
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2011年03月14日
どうかご無事で…
今回の大地震、大津波で被害にあわれた皆様に、心よりお見舞い申し上げます。
私は大阪在住なのですが、遠く離れた大阪でも、あの地震の時、長い時間、横揺れが続いていました。
震源地近くの揺れのすごさや、その後の津波の激しさを思うと、言葉になりません。
このような大災害があった後、いつものように、コメディー、つまり、お笑いの要素の強いセリフの数々を、能天気に解説するような記事を投稿しても良いのだろうか?とさえ思えました。
あの震災の後に書く最初の記事は、どういう言葉で始めればいいのか?と思いました。
私はあくまでも英語学習ブロガーなので、私のブログを訪問して下さる方は、何かしら英語学習に役立つものがあると期待して、記事を読んで下さっているのだと思います。
ですから、まずは、英語ブロガーRach として、通常通りの記事をこの下に投稿いたしました。
それとは別に、英語ブロガーではない一人の日本人として、私にできることを考えていきます。
一人でも多くの方が無事に救出されることを、
家族と離れ離れになった方が一刻も早く再会できることを、
ライフラインなどが一日も早く復旧されることを、
心よりお祈りしています。
私は大阪在住なのですが、遠く離れた大阪でも、あの地震の時、長い時間、横揺れが続いていました。
震源地近くの揺れのすごさや、その後の津波の激しさを思うと、言葉になりません。
このような大災害があった後、いつものように、コメディー、つまり、お笑いの要素の強いセリフの数々を、能天気に解説するような記事を投稿しても良いのだろうか?とさえ思えました。
あの震災の後に書く最初の記事は、どういう言葉で始めればいいのか?と思いました。
私はあくまでも英語学習ブロガーなので、私のブログを訪問して下さる方は、何かしら英語学習に役立つものがあると期待して、記事を読んで下さっているのだと思います。
ですから、まずは、英語ブロガーRach として、通常通りの記事をこの下に投稿いたしました。
それとは別に、英語ブロガーではない一人の日本人として、私にできることを考えていきます。
一人でも多くの方が無事に救出されることを、
家族と離れ離れになった方が一刻も早く再会できることを、
ライフラインなどが一日も早く復旧されることを、
心よりお祈りしています。
平行宇宙に住んでいる フレンズ5-17その4
チャンドラーとモニカがエッチの後、ソファーで語り合っているところに、ジョーイが入ってきます。
ジョーイ: (entering) Hey, guys. (Sees their state of undress) What 'cha been doin'? (Has a silly grin.) ([入ってきて] やあ。 [服を脱いでいる[服を着ていない]二人の状態を見て] 何やってたんだよ? [おばかな感じで歯を見せて笑う])
モニカ: (looking out the window) Hey, Joey! Isn't that the girl that waved at you the other day? ([窓の外を見て] ねぇ、ジョーイ! あれって、こないだあなたに手を振ってた女の子じゃない?)
ジョーイ: I don't know, but I can see through your sheet. (He looks out the window.) Yeah, yeah, that's her. But y'know what? Doesn't matter. I'm never gonna get to meet her anyway. (どうかな、でも、君が巻いているシーツが透けて見えるよ。[ジョーイは窓の外を見る] そうだ、そうだよ、あれはその彼女だ。でもさぁ、どうでもいいや。どの道、俺は彼女に会うことができないんだよ。)
モニカ: Why? (どうして?)
ジョーイ: Because it's impossible to find her apartment! She lives in like some hot-girl parallel universe or something. (だって、彼女のアパートメント(部屋)を見つけることは不可能なんだよ! 彼女は、ほら、いい女の平行宇宙か何かに住んでるんだよ。)
モニカ: What are you talking about? (Pointing out the window.) She obviously lives on the second floor, seventh apartment from the left! (何言ってるの? [その窓を指差しながら] 明らかに、彼女は住んでるわ、2階の、左から7番目の部屋にね。)
ジョーイ: No. No. No. She lives on the third floor, eighth apartment from the left. (いやいやいや。彼女が住んでるのは、3階の、左から8番目の部屋だよ。)
モニカ: No. Those first two windows, (Points) that's the lobby. And y'know that other one over there, that's the stairway. You've been counting wrong. (いいえ。あの最初の2つの窓は、[指差す] あれはロビーよ。それから、あっちの別の窓、あれは階段よ。あなたはずっと数え間違いをしてるのよ。)
ジョーイ: I did not know that! Thank you, Monica. (Starts to leave) I can't believe I almost lost another girl because of counting! (俺はそのことを知らなかった! ありがと、モニカ。[立ち去ろうとする] 数のカウントのせいで、もう一人女の子を失うところだったなんて、信じられないよ。)
モニカは身体にシーツを巻いた状態で、それを見たジョーイは、「二人は一体何してたのかな?」とニヤニヤした笑いを浮かべています。
モニカが、「あそこに見えるのは、前に手を振ってた子じゃない?」と言っても、「そのシーツが透けて見えてるよ」みたいなことを言ってからかっていますね。
see through は「シースルー」という日本語になってしまっていますが、直訳すると、「…を通して見る」ことから、「…を透かして見る、…から透けて見える」という意味になるのですね。
窓に行って確認したジョーイは、「確かに例の女の子だけど、どうでもいい。どうせ、会うことはできないんだし」みたいに投げやりなセリフを言っています。
get to は、「…するようになる、…の状態になる」という感覚ですから、「どっちみち、彼女と会える、ということにはならない」というニュアンスですね。
彼女のアパートの部屋を見つけることは不可能なんだ、と説明した後、parallel universe という言葉も使っています。
これは、SFなどによく登場する「平行宇宙、平行世界」で、parallel world 「パラレル・ワールド、もう一つの世界」という言葉もありますね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
a parallel universe
a) a universe that is extremely similar to our own, and exists at the same time
b) used when someone or something seems very strange and unusual, and different or separate from your normal experience
つまり、a) は、「私たち自身の宇宙[世界]に非常に似ている宇宙のことで、同時に存在している」、
b) は、「誰かや何かが非常に変わっていて普通ではないように見え、通常の経験とは異なり離れている時に使われる」。
a) は科学的、SF的な意味合いで、b) は「異次元、異世界」の感覚で、通常の感覚が通用しない世界、というニュアンスですね。
今回のエピソードでは、向かいのアパートに住むこの女の子の部屋を訪ねたら、そこはロスの部屋だった…ということが続き、ジョーイはなかなか彼女に会うことができません。
こっちからは見えてるけど、きっと彼女は別の世界に住んでいて会えない存在なんだよ、みたいにSFチックに言ってみせているわけですね。
それもただの「平行宇宙」ではなく、hot girl の平行宇宙、つまり、いい女がいっぱい住んでいるような世界に住んでるんだ、と言っているのが、ジョーイらしいですね。
ジョーイにとっては、夢のような世界なのでしょう。
モニカは、その彼女の住んでいる部屋の位置をジョーイに説明しています。
「2階の左から7番目の部屋」は、英語ではこう表現するんだなぁ、ということも同時に覚えておきたいですね。
こういう部屋の説明・案内などは、ビジネス英語でも必要なものだと思います。
ジョーイが部屋の位置を間違えているのを知って、モニカはその間違えた原因を説明してあげています。
ロビーや階段の窓を、部屋の窓とカウントしてしまったために、ジョーイは間違えたのだ、ということがわかります。
count wrong は「数え間違う」なので、現在完了進行形を使った You've been counting wrong. は、「(いつも彼女が見つからないって言ってたのは)あなたはずーっと数え間違いをしてるのよ」というニュアンスになりますね。
ジョーイは、I did NOT know that! と、否定の not を強く発音して、「それは知らなかった!」と言っています。
I can't believe I almost lost another girl because of counting! について。
because of counting は、直訳すると「数を数えることのせいで」というところで、つまりは、「数を数え間違えたり、正確に数えられなかったせいで」という感覚ですね。
almost lost という、「almost+過去形」は、「もう少しのところで・危うく…するところだった」というニュアンス。
lost (lose) は、「失う、見失う」で、ここでは「ゲットし損なう、ゲットするチャンスを逃す」というような感覚でしょうか。
「数を数え間違えたせいで、もう少しで女の子を失うところだったなんて、信じられないよ」と言っているわけで、「信じられない」というのは、女の子を失いそうになった原因が「愚かな数え間違い」であったことに、自分自身であきれているわけですね。
ところでこのセリフ、another という単語に少々ひっかかりました。
another というのは、an + other で、「もう一人の、別の」という意味ですね。
今回のように、あの手を振っていた彼女のことを言っているだけであれば、a girl 「一人の女の子」で構わないと思うのに、another を使っている理由は何でしょうか?
「もう一人別の女の子を失うところだった」というのは、以前にも何かしらの数え間違いで、お近づきになり損ねた経験があることを示唆している…のでしょうか??
counting 「数を数えること」という漠然とした表現を使っているので、必ずしも、部屋の位置を間違えたこととは限らないかもしれません。
数字に強いチャンドラーに比べて、数字には弱そうなジョーイなので、何か数字に関するミスをしてチャンスを逃した経験があって、今回、部屋を数え間違っていたことに気づいたジョーイは、「カウント間違いで、”また”失敗しちゃうところだったよ」みたいに言っているのかなぁ、と。
ジョーイは自分のおでこを手のひらでペンと強く叩きながら出て行き、モニカは少し首を横に振ってあきれた顔をしています。
モニカがあきれているのは、もちろん、アパートの部屋を正しく数えられないジョーイにあきれているのもあるでしょうか、もしかするとその another という言葉を聞いて、「前にも数え間違いで失敗したことがあったわけ?」みたいにあきれているのかもしれないなぁ、と思いました。
以前の間違いがどういうものかは、はっきりとはわかりませんが、「数え間違いによる失敗」というのが、ジョーイならありそうな話なので、「一体どんな間違いをしたんだよ!?」とツッコミを入れたくなるようなセリフの面白さなのかな、と思ったりします。
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ジョーイ: (entering) Hey, guys. (Sees their state of undress) What 'cha been doin'? (Has a silly grin.) ([入ってきて] やあ。 [服を脱いでいる[服を着ていない]二人の状態を見て] 何やってたんだよ? [おばかな感じで歯を見せて笑う])
モニカ: (looking out the window) Hey, Joey! Isn't that the girl that waved at you the other day? ([窓の外を見て] ねぇ、ジョーイ! あれって、こないだあなたに手を振ってた女の子じゃない?)
ジョーイ: I don't know, but I can see through your sheet. (He looks out the window.) Yeah, yeah, that's her. But y'know what? Doesn't matter. I'm never gonna get to meet her anyway. (どうかな、でも、君が巻いているシーツが透けて見えるよ。[ジョーイは窓の外を見る] そうだ、そうだよ、あれはその彼女だ。でもさぁ、どうでもいいや。どの道、俺は彼女に会うことができないんだよ。)
モニカ: Why? (どうして?)
ジョーイ: Because it's impossible to find her apartment! She lives in like some hot-girl parallel universe or something. (だって、彼女のアパートメント(部屋)を見つけることは不可能なんだよ! 彼女は、ほら、いい女の平行宇宙か何かに住んでるんだよ。)
モニカ: What are you talking about? (Pointing out the window.) She obviously lives on the second floor, seventh apartment from the left! (何言ってるの? [その窓を指差しながら] 明らかに、彼女は住んでるわ、2階の、左から7番目の部屋にね。)
ジョーイ: No. No. No. She lives on the third floor, eighth apartment from the left. (いやいやいや。彼女が住んでるのは、3階の、左から8番目の部屋だよ。)
モニカ: No. Those first two windows, (Points) that's the lobby. And y'know that other one over there, that's the stairway. You've been counting wrong. (いいえ。あの最初の2つの窓は、[指差す] あれはロビーよ。それから、あっちの別の窓、あれは階段よ。あなたはずっと数え間違いをしてるのよ。)
ジョーイ: I did not know that! Thank you, Monica. (Starts to leave) I can't believe I almost lost another girl because of counting! (俺はそのことを知らなかった! ありがと、モニカ。[立ち去ろうとする] 数のカウントのせいで、もう一人女の子を失うところだったなんて、信じられないよ。)
モニカは身体にシーツを巻いた状態で、それを見たジョーイは、「二人は一体何してたのかな?」とニヤニヤした笑いを浮かべています。
モニカが、「あそこに見えるのは、前に手を振ってた子じゃない?」と言っても、「そのシーツが透けて見えてるよ」みたいなことを言ってからかっていますね。
see through は「シースルー」という日本語になってしまっていますが、直訳すると、「…を通して見る」ことから、「…を透かして見る、…から透けて見える」という意味になるのですね。
窓に行って確認したジョーイは、「確かに例の女の子だけど、どうでもいい。どうせ、会うことはできないんだし」みたいに投げやりなセリフを言っています。
get to は、「…するようになる、…の状態になる」という感覚ですから、「どっちみち、彼女と会える、ということにはならない」というニュアンスですね。
彼女のアパートの部屋を見つけることは不可能なんだ、と説明した後、parallel universe という言葉も使っています。
これは、SFなどによく登場する「平行宇宙、平行世界」で、parallel world 「パラレル・ワールド、もう一つの世界」という言葉もありますね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
a parallel universe
a) a universe that is extremely similar to our own, and exists at the same time
b) used when someone or something seems very strange and unusual, and different or separate from your normal experience
つまり、a) は、「私たち自身の宇宙[世界]に非常に似ている宇宙のことで、同時に存在している」、
b) は、「誰かや何かが非常に変わっていて普通ではないように見え、通常の経験とは異なり離れている時に使われる」。
a) は科学的、SF的な意味合いで、b) は「異次元、異世界」の感覚で、通常の感覚が通用しない世界、というニュアンスですね。
今回のエピソードでは、向かいのアパートに住むこの女の子の部屋を訪ねたら、そこはロスの部屋だった…ということが続き、ジョーイはなかなか彼女に会うことができません。
こっちからは見えてるけど、きっと彼女は別の世界に住んでいて会えない存在なんだよ、みたいにSFチックに言ってみせているわけですね。
それもただの「平行宇宙」ではなく、hot girl の平行宇宙、つまり、いい女がいっぱい住んでいるような世界に住んでるんだ、と言っているのが、ジョーイらしいですね。
ジョーイにとっては、夢のような世界なのでしょう。
モニカは、その彼女の住んでいる部屋の位置をジョーイに説明しています。
「2階の左から7番目の部屋」は、英語ではこう表現するんだなぁ、ということも同時に覚えておきたいですね。
こういう部屋の説明・案内などは、ビジネス英語でも必要なものだと思います。
ジョーイが部屋の位置を間違えているのを知って、モニカはその間違えた原因を説明してあげています。
ロビーや階段の窓を、部屋の窓とカウントしてしまったために、ジョーイは間違えたのだ、ということがわかります。
count wrong は「数え間違う」なので、現在完了進行形を使った You've been counting wrong. は、「(いつも彼女が見つからないって言ってたのは)あなたはずーっと数え間違いをしてるのよ」というニュアンスになりますね。
ジョーイは、I did NOT know that! と、否定の not を強く発音して、「それは知らなかった!」と言っています。
I can't believe I almost lost another girl because of counting! について。
because of counting は、直訳すると「数を数えることのせいで」というところで、つまりは、「数を数え間違えたり、正確に数えられなかったせいで」という感覚ですね。
almost lost という、「almost+過去形」は、「もう少しのところで・危うく…するところだった」というニュアンス。
lost (lose) は、「失う、見失う」で、ここでは「ゲットし損なう、ゲットするチャンスを逃す」というような感覚でしょうか。
「数を数え間違えたせいで、もう少しで女の子を失うところだったなんて、信じられないよ」と言っているわけで、「信じられない」というのは、女の子を失いそうになった原因が「愚かな数え間違い」であったことに、自分自身であきれているわけですね。
ところでこのセリフ、another という単語に少々ひっかかりました。
another というのは、an + other で、「もう一人の、別の」という意味ですね。
今回のように、あの手を振っていた彼女のことを言っているだけであれば、a girl 「一人の女の子」で構わないと思うのに、another を使っている理由は何でしょうか?
「もう一人別の女の子を失うところだった」というのは、以前にも何かしらの数え間違いで、お近づきになり損ねた経験があることを示唆している…のでしょうか??
counting 「数を数えること」という漠然とした表現を使っているので、必ずしも、部屋の位置を間違えたこととは限らないかもしれません。
数字に強いチャンドラーに比べて、数字には弱そうなジョーイなので、何か数字に関するミスをしてチャンスを逃した経験があって、今回、部屋を数え間違っていたことに気づいたジョーイは、「カウント間違いで、”また”失敗しちゃうところだったよ」みたいに言っているのかなぁ、と。
ジョーイは自分のおでこを手のひらでペンと強く叩きながら出て行き、モニカは少し首を横に振ってあきれた顔をしています。
モニカがあきれているのは、もちろん、アパートの部屋を正しく数えられないジョーイにあきれているのもあるでしょうか、もしかするとその another という言葉を聞いて、「前にも数え間違いで失敗したことがあったわけ?」みたいにあきれているのかもしれないなぁ、と思いました。
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2011年03月11日
なぜノーと言おうとしてる? フレンズ5-17その3
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セントラルパークにて。
モニカ: Phoebe, do you want to go see a movie after dinner tonight? (フィービー、今夜、ディナーの後に、映画を見たい?)
フィービー: Oh, we can't. We already have plans. (あぁ、私たちは無理だわ。すでに計画があるの。)
モニカ: What are you doing? (何をする予定なの?)
フィービー: Well, same thing we did all day. Just hang out at Gary's apartment. He is so amazing. We never left the bedroom. But have fun at the movie. (そうねぇ、一日中してたのと同じこと(をするの)よ。ただ、ギャリーのアパートメントで過ごすの。彼ってとってもすごいのよ。私たち、寝室から出られないの。でも、(モニカたちは)映画を楽しんでね。)
モニカ: (That annoying competitiveness thing kicks in again, what the heck is that with her and why must the writers show it every flippin' episode?!) Oh, we're not seeing a movie! ([例のうっとうしい競争心ってやつがまた始まる。モニカは一体どうなってるんだ? そして、どうして脚本家は毎回のエピソードでそれを示さないといけないのか?] あぁ、私たちは映画を見にいかないわ!)
フィービー: You're not? Then why did you ask us if we wanted to go? (見に行かないの? じゃあ、どうして私たちに映画を見に行きたいかどうか尋ねたの?)
モニカ: Oh umm, that's because I just, you know, wanted to know what you guys are doing, so, you know, you wouldn't walk in on me and Chandler while we were, y'know, doing it all night. Will you excuse me for just a second? (あぁ、うーんと、それはほら、あなたたちが何をする予定かを知りたかったからよ。あなたたちが私とチャンドラーの邪魔をしに入ってこないようにね、私たちが、ほら、一晩中エッチしてる間に。ちょっと失礼するわね。)
フィービー: Yeah! (ええ。)
モニカ: Okay. (She gets up and walks over to Chandler.) Chandler? Can I see you for a second? (オッケー。[モニカは立ち上がり、チャンドラーのところに歩いていく] チャンドラー? ちょっといいかしら?)
チャンドラー: Uh, yeah. (あぁ、いいよ。)
モニカ: Okay. (They walk away to get some privacy.) We have got to beat them! {Here we go yet again.} (オッケー。[二人は二人きりで話せるようにその場を離れる] 私たちは彼らを負かさないといけないわ! [あぁ、まただ])
チャンドラー: Why? (どうして?)
モニカ: 'Cause Gary and Phoebe think they're a hotter couple than we are! (だって、ギャリーとフィービーは、自分たちが私たちよりもアツアツなカップルだって思ってるのよ!)
チャンドラー: Ohh, so? (おぉー、それで?)
モニカ: So? So we've gotta go upstairs and have a lot of sex to prove them wrong! (それで、ですって? だから、私たちは上に行って(自分たちの部屋に戻って)、彼らが間違ってるって証明するために、たくさんエッチをしなくちゃいけないのよ!)
チャンドラー: Monica, you have got to stop this competitive thing. Okay? It's crazy. {Finally! The voice of reason.} I mean, just to impress Gary and Phoebe, you want me to go upstairs and have sex with you over and over and over and I'm saying no to this, why? Get your coat! (モニカ、君はこの負けず嫌いってやつをやめなきゃいけないよ、いいかい? クレイジーだよ。[とうとう、分別ある言葉が(出た)!] つまり、ただギャリーとフィービーに認識させる[印象づける]ためだけに、俺が上に行って君と何回も何回も何回もエッチすることを君は望んでるのか? そして俺はこのことに対してノーと言うぞ…って、どうして(俺はノーと言おうとしてるの)? ほら、コートを持って!)
モニカはフィービーに、Do you want to...? を使って、「映画を見たい?」と尋ねています。
それに対して、We can't. と答えていることからも、モニカは、「自分たち二人と一緒に、あなたたちカップルも一緒に映画を見に行かない?」と誘っていたことがわかります。
モニカの誘いに対して、すでに予定があると答えるフィービー。
What are you doing? は現在進行形で、「(今)何をしているの?」というニュアンスで使われることも多いですが、今回のセリフは、「すでに決まっている近い予定」を尋ねる表現になります。
今日一日していたことと同じことをする予定なの、と言った後、その内容を簡単に説明しています。
hang out は「ぶらぶらして時を過ごす」というような意味ですね。
それ以降は具体的に何をしたということは言わずに、ただ、「彼ってすごいの。寝室から出られないのよ」と言って、bedroom の部分で、目を大きく見開いています。
具体的に言わなくても、そう言えばわかるでしょ?みたいな感じで、私たち一日中ずーっと寝室にこもりっぱなしなのよ、と自慢げに話しているわけです。
私たちはそんな予定だけど、モニカはその映画、楽しんできてね、とフィービーは言うのですが、その発言が、また、モニカの負けず嫌いに火をつけてしまったようですね。
今回のネットスクリプトのト書きでは、このセリフを書き起こした方の個人的見解が随所に見られるのですが、ここでも、モニカがまた張り合おうとすることに対して、うんざりしている様子が表現されています。
自分から映画のことを提案しておきながら、「映画は見に行かない!」と言うモニカ。
じゃあ、どうしてあんな質問したのよ?と尋ねるフィービーに、モニカは無理やりな理由を述べています。
ラブラブでベッドから離れられないフィービーたちに対して、自分たちは映画を見に行こうとしていた、そのことをフィービーに知られたくなかったため、「私たちだって別に映画を見に行こうとしていたわけじゃないわよー」としらばっくれているのですね。
今夜の予定を尋ねたのは、あなたたちの予定を知りたかったからで、私たちの部屋を不意に訪ねてこないかどうかを確認したかったの、と説明するモニカ。
walk in on は、英辞郎では、
walk in on=〜にうっかり邪魔をする
と出ています。また、同じく英辞郎では、
walk in on someone's conversation=(人)が話しているところに入って来る
というフレーズも載っています。
今回のセリフも、「私とチャンドラーのいるところにうっかり入ってきて邪魔をする」みたいなニュアンスで使われているようですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
walk in on somebody [phrasal verb] : to go into a place and interrupt someone who you did not expect to be there
例) I walked in on Joe and Susan kissing in his office.
つまり、「ある場所に入って、そこにいるとは予期していなかった人の邪魔をすること」。
例文は、「私はジョーとスーザンがジョーのオフィスでキスしているところにうっかり入って(邪魔して)しまった」
最後に付け足しのように、while we were, y'know, doing it all night 「私たちが今夜、一晩中エッチしている間にね」と言うことで、「私たちの邪魔をされたくなかったの、私たちも今夜はずっとエッチする予定にしてるから」と説明していることになります。
私たちだって最初からその予定だったのよ!と対抗心を燃やしていることになりますね。
そう告げた後、モニカはチャンドラーのところに行って、二人きりで相談を始めます。
「私たちはあのカップルに勝たないといけないのよ! 自分たちの方がアツアツだと思ってるんだから」と言うモニカに、一瞬、「おぉー」と驚いたような反応をした後、「で?」みたいに軽く so? と言うチャンドラーが面白いです。
チャンドラー的には、「それが一体どうしたって言うんだよ?」という気持ちなのですね。
反応の薄いチャンドラーに対して、モニカは「これからすべきこと」を力説しています。
上の階の自分たちの部屋に行って、フィービーたちが間違ってるって証明するために、いっぱいエッチをしなくちゃいけないのよ!と言っていますが、本来ロマンティックなものであるはずの行為が、そのモニカの言い方だとノルマか任務のように聞こえてしまいますね。
恋人モニカの性格をよく知っているチャンドラーは、「こういう競争心はやめにしないといけないよ」と諭(さと)します。
impress は「印象・感銘を与える、印象づける、強く・深く認識させる」。
あの二人に、「モニカとチャンドラーもラブラブなんだ」と思わせるためだけに、そういう印象を与えたいためだけに、モニカは俺にこういうことをして欲しいって言うのか?と言いながら、モニカが自分に求めている行為を、言葉にして述べています。
モニカがさっき言った言葉とほぼ同じ内容を繰り返しているようですが、エッチの部分が微妙に違っていますね(笑)。
モニカが have a lot of sex と言った部分を、have sex with you over and over and over と言い換えていますが、over を3回繰り返すのはまさに「オーバー」な表現ですよね。
普通なら、over and over くらいで止めておくところを、over and over and over と言ってしまっているのは、その状況を頭で想像しながら言っているうちに表現がエスカレートしてしまった、言っているチャンドラーの気持ちがちょっと盛り上がってしまった(笑)ような感覚が出ている気がします。
君はそういうことを俺に望んでるのか?そしてそれに対して俺はノーと言って拒否するつもりだ…と言った後、すぐに why? と言っていますね。
自分が言おうとしている返事に、自分自身が疑問符をつけている感覚です。
Why am I saying no to this? 「どうして俺はノーと言おうとしてる?」、または、Why do I have to say no to this? 「どうして、俺はノーと言わなければならない?」みたいな感じで、決まり文句の Why not? と似た感覚ですね。
Why not? は、文字通りの意味の「どうしてだめなの?」から転じて、「いいじゃないか。もちろん(いいよ)」という意味になりますね。
今回の場合も、「どうして俺はその申し出を拒もうとしてるの? 別に拒む必要ないじゃんか!」みたいに、そのことを言葉として発しているうちに、別に拒む理由がないということに気づいた感覚です。
Get your coat! は、モニカに対して、「モニカは君のコートを取りなよ」と言ったセリフ。
つまり、コートを着て今からうちに帰って、早速その計画を実行しよう(笑)、ということですね。
最後のこのチャンドラーのセリフを英語で聞いていて、彼の心境の変化というか、彼の「気づき」のポイントがわかれば「いい感じ」ですね。
「フィービーたちに証明するためにそんなことをするなんてバカげてるよ」と最初は思っていたわけですが、その行為の内容を話している間に、「そういう内容なら、別に俺がいやがる必要ないわけだな」ということに気づき、その計画に乗っかることにした、そのチャンドラーの「ころっと変わる」具合を感じられたら楽しいなと思います。
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モニカ: Phoebe, do you want to go see a movie after dinner tonight? (フィービー、今夜、ディナーの後に、映画を見たい?)
フィービー: Oh, we can't. We already have plans. (あぁ、私たちは無理だわ。すでに計画があるの。)
モニカ: What are you doing? (何をする予定なの?)
フィービー: Well, same thing we did all day. Just hang out at Gary's apartment. He is so amazing. We never left the bedroom. But have fun at the movie. (そうねぇ、一日中してたのと同じこと(をするの)よ。ただ、ギャリーのアパートメントで過ごすの。彼ってとってもすごいのよ。私たち、寝室から出られないの。でも、(モニカたちは)映画を楽しんでね。)
モニカ: (That annoying competitiveness thing kicks in again, what the heck is that with her and why must the writers show it every flippin' episode?!) Oh, we're not seeing a movie! ([例のうっとうしい競争心ってやつがまた始まる。モニカは一体どうなってるんだ? そして、どうして脚本家は毎回のエピソードでそれを示さないといけないのか?] あぁ、私たちは映画を見にいかないわ!)
フィービー: You're not? Then why did you ask us if we wanted to go? (見に行かないの? じゃあ、どうして私たちに映画を見に行きたいかどうか尋ねたの?)
モニカ: Oh umm, that's because I just, you know, wanted to know what you guys are doing, so, you know, you wouldn't walk in on me and Chandler while we were, y'know, doing it all night. Will you excuse me for just a second? (あぁ、うーんと、それはほら、あなたたちが何をする予定かを知りたかったからよ。あなたたちが私とチャンドラーの邪魔をしに入ってこないようにね、私たちが、ほら、一晩中エッチしてる間に。ちょっと失礼するわね。)
フィービー: Yeah! (ええ。)
モニカ: Okay. (She gets up and walks over to Chandler.) Chandler? Can I see you for a second? (オッケー。[モニカは立ち上がり、チャンドラーのところに歩いていく] チャンドラー? ちょっといいかしら?)
チャンドラー: Uh, yeah. (あぁ、いいよ。)
モニカ: Okay. (They walk away to get some privacy.) We have got to beat them! {Here we go yet again.} (オッケー。[二人は二人きりで話せるようにその場を離れる] 私たちは彼らを負かさないといけないわ! [あぁ、まただ])
チャンドラー: Why? (どうして?)
モニカ: 'Cause Gary and Phoebe think they're a hotter couple than we are! (だって、ギャリーとフィービーは、自分たちが私たちよりもアツアツなカップルだって思ってるのよ!)
チャンドラー: Ohh, so? (おぉー、それで?)
モニカ: So? So we've gotta go upstairs and have a lot of sex to prove them wrong! (それで、ですって? だから、私たちは上に行って(自分たちの部屋に戻って)、彼らが間違ってるって証明するために、たくさんエッチをしなくちゃいけないのよ!)
チャンドラー: Monica, you have got to stop this competitive thing. Okay? It's crazy. {Finally! The voice of reason.} I mean, just to impress Gary and Phoebe, you want me to go upstairs and have sex with you over and over and over and I'm saying no to this, why? Get your coat! (モニカ、君はこの負けず嫌いってやつをやめなきゃいけないよ、いいかい? クレイジーだよ。[とうとう、分別ある言葉が(出た)!] つまり、ただギャリーとフィービーに認識させる[印象づける]ためだけに、俺が上に行って君と何回も何回も何回もエッチすることを君は望んでるのか? そして俺はこのことに対してノーと言うぞ…って、どうして(俺はノーと言おうとしてるの)? ほら、コートを持って!)
モニカはフィービーに、Do you want to...? を使って、「映画を見たい?」と尋ねています。
それに対して、We can't. と答えていることからも、モニカは、「自分たち二人と一緒に、あなたたちカップルも一緒に映画を見に行かない?」と誘っていたことがわかります。
モニカの誘いに対して、すでに予定があると答えるフィービー。
What are you doing? は現在進行形で、「(今)何をしているの?」というニュアンスで使われることも多いですが、今回のセリフは、「すでに決まっている近い予定」を尋ねる表現になります。
今日一日していたことと同じことをする予定なの、と言った後、その内容を簡単に説明しています。
hang out は「ぶらぶらして時を過ごす」というような意味ですね。
それ以降は具体的に何をしたということは言わずに、ただ、「彼ってすごいの。寝室から出られないのよ」と言って、bedroom の部分で、目を大きく見開いています。
具体的に言わなくても、そう言えばわかるでしょ?みたいな感じで、私たち一日中ずーっと寝室にこもりっぱなしなのよ、と自慢げに話しているわけです。
私たちはそんな予定だけど、モニカはその映画、楽しんできてね、とフィービーは言うのですが、その発言が、また、モニカの負けず嫌いに火をつけてしまったようですね。
今回のネットスクリプトのト書きでは、このセリフを書き起こした方の個人的見解が随所に見られるのですが、ここでも、モニカがまた張り合おうとすることに対して、うんざりしている様子が表現されています。
自分から映画のことを提案しておきながら、「映画は見に行かない!」と言うモニカ。
じゃあ、どうしてあんな質問したのよ?と尋ねるフィービーに、モニカは無理やりな理由を述べています。
ラブラブでベッドから離れられないフィービーたちに対して、自分たちは映画を見に行こうとしていた、そのことをフィービーに知られたくなかったため、「私たちだって別に映画を見に行こうとしていたわけじゃないわよー」としらばっくれているのですね。
今夜の予定を尋ねたのは、あなたたちの予定を知りたかったからで、私たちの部屋を不意に訪ねてこないかどうかを確認したかったの、と説明するモニカ。
walk in on は、英辞郎では、
walk in on=〜にうっかり邪魔をする
と出ています。また、同じく英辞郎では、
walk in on someone's conversation=(人)が話しているところに入って来る
というフレーズも載っています。
今回のセリフも、「私とチャンドラーのいるところにうっかり入ってきて邪魔をする」みたいなニュアンスで使われているようですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
walk in on somebody [phrasal verb] : to go into a place and interrupt someone who you did not expect to be there
例) I walked in on Joe and Susan kissing in his office.
つまり、「ある場所に入って、そこにいるとは予期していなかった人の邪魔をすること」。
例文は、「私はジョーとスーザンがジョーのオフィスでキスしているところにうっかり入って(邪魔して)しまった」
最後に付け足しのように、while we were, y'know, doing it all night 「私たちが今夜、一晩中エッチしている間にね」と言うことで、「私たちの邪魔をされたくなかったの、私たちも今夜はずっとエッチする予定にしてるから」と説明していることになります。
私たちだって最初からその予定だったのよ!と対抗心を燃やしていることになりますね。
そう告げた後、モニカはチャンドラーのところに行って、二人きりで相談を始めます。
「私たちはあのカップルに勝たないといけないのよ! 自分たちの方がアツアツだと思ってるんだから」と言うモニカに、一瞬、「おぉー」と驚いたような反応をした後、「で?」みたいに軽く so? と言うチャンドラーが面白いです。
チャンドラー的には、「それが一体どうしたって言うんだよ?」という気持ちなのですね。
反応の薄いチャンドラーに対して、モニカは「これからすべきこと」を力説しています。
上の階の自分たちの部屋に行って、フィービーたちが間違ってるって証明するために、いっぱいエッチをしなくちゃいけないのよ!と言っていますが、本来ロマンティックなものであるはずの行為が、そのモニカの言い方だとノルマか任務のように聞こえてしまいますね。
恋人モニカの性格をよく知っているチャンドラーは、「こういう競争心はやめにしないといけないよ」と諭(さと)します。
impress は「印象・感銘を与える、印象づける、強く・深く認識させる」。
あの二人に、「モニカとチャンドラーもラブラブなんだ」と思わせるためだけに、そういう印象を与えたいためだけに、モニカは俺にこういうことをして欲しいって言うのか?と言いながら、モニカが自分に求めている行為を、言葉にして述べています。
モニカがさっき言った言葉とほぼ同じ内容を繰り返しているようですが、エッチの部分が微妙に違っていますね(笑)。
モニカが have a lot of sex と言った部分を、have sex with you over and over and over と言い換えていますが、over を3回繰り返すのはまさに「オーバー」な表現ですよね。
普通なら、over and over くらいで止めておくところを、over and over and over と言ってしまっているのは、その状況を頭で想像しながら言っているうちに表現がエスカレートしてしまった、言っているチャンドラーの気持ちがちょっと盛り上がってしまった(笑)ような感覚が出ている気がします。
君はそういうことを俺に望んでるのか?そしてそれに対して俺はノーと言って拒否するつもりだ…と言った後、すぐに why? と言っていますね。
自分が言おうとしている返事に、自分自身が疑問符をつけている感覚です。
Why am I saying no to this? 「どうして俺はノーと言おうとしてる?」、または、Why do I have to say no to this? 「どうして、俺はノーと言わなければならない?」みたいな感じで、決まり文句の Why not? と似た感覚ですね。
Why not? は、文字通りの意味の「どうしてだめなの?」から転じて、「いいじゃないか。もちろん(いいよ)」という意味になりますね。
今回の場合も、「どうして俺はその申し出を拒もうとしてるの? 別に拒む必要ないじゃんか!」みたいに、そのことを言葉として発しているうちに、別に拒む理由がないということに気づいた感覚です。
Get your coat! は、モニカに対して、「モニカは君のコートを取りなよ」と言ったセリフ。
つまり、コートを着て今からうちに帰って、早速その計画を実行しよう(笑)、ということですね。
最後のこのチャンドラーのセリフを英語で聞いていて、彼の心境の変化というか、彼の「気づき」のポイントがわかれば「いい感じ」ですね。
「フィービーたちに証明するためにそんなことをするなんてバカげてるよ」と最初は思っていたわけですが、その行為の内容を話している間に、「そういう内容なら、別に俺がいやがる必要ないわけだな」ということに気づき、その計画に乗っかることにした、そのチャンドラーの「ころっと変わる」具合を感じられたら楽しいなと思います。
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2011年03月09日
そこまでするほど欲しくない フレンズ5-17その2
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ラルフ・ローレンの面接に行ったレイチェル。
面接の終わりに、面接官の男性がドアを開けようとしてレイチェルの方に身体を傾けたのを、相手がキスするつもりだと勘違いしたレイチェルは、自分から相手の頬にキスしてしまいます。
気まずい空気が流れ、これで面接に落ちてしまった、と思っていたレイチェルですが、予想に反して2度目の面接の呼び出しがありました。
「きっと誰にでもキスする子だから、簡単に寝るんじゃないかと思われてるかも…」などと心配しつつも、その2回目の面接に臨もうとしているところ。
[Scene: Rachel's job interview, she is waiting outside Mr. Zelner's (the interviewer) office banging her pen between her teeth.]
レイチェルの就職面接。レイチェルは面接官ゼルナー氏のオフィスの外で待っている。歯の間でペンをカチカチ叩きながら。
ゼルナー氏: Hi, Rachel! (やあ、レイチェル!)
レイチェル: Hi! (こんにちは!)
ゼルナー氏: Come on in. (入って。)
(They go inside.)
二人は部屋の中に入る。
ゼルナー氏: It's really nice to see you again. (もう一度君に会えてとても嬉しいよ。)
レイチェル: Thank you. (ありがとうございます。)
ゼルナー氏: (Sees that she has some ink on her lip from her pen.) Oh Rachel, uhh.... (He points to his lip to get her to notice the ink on hers.) ([ペンのインクがレイチェルの唇についているのを見て] あぁ、レイチェル、その・・・ [ゼルナー氏は、レイチェルの唇のインクに気づかせようと、自分の唇を指差す])
レイチェル: What? (何ですか?)
ゼルナー氏: Just ah.... (He points again.) (ただ、あの… [彼は再度指差す])
レイチェル: Excuse me? (どういうことですか?)
ゼルナー: Here let me.... (He goes to wipe it off himself.) (じゃあ、私が… [彼は自分でそのインクをふき取ろうと近づく])
レイチェル: (stopping him) Wh-whoa! All right, okay-okay, I see, I see what's going on here. Now listen, look-look, I am sorry if I have given you the wrong impression. But I am not some hussy who will just sleep around to get ahead! Now even though I (He tries to interrupt and tell her about the ink), hey-hey-hey, even though I kissed you, that does not give you the right to demand sex from me! I do not want this job that bad. Good day, sir. (She storms out of his office.) ([近づこうとする彼を止めて] ちょっと待って! いいわ、わかった、今ここで何が起こっているのかわかりました。いいですか、もし私があなたに間違った印象を与えたんだとしたら、申し訳なく思っています。でも私は成功する[出世する]ために誰とでも寝るようなふしだらな女じゃありません! 例え私が… [ゼルナー氏は発言をさえぎって、そのインクのことを彼女に伝えようとする] ちょっとちょっとちょっと、例え私があなたにキスしたとしても、それが、あなたが私にエッチを求める権利を与えることにはならないわ! 私はこの仕事をそこまで強く欲していません。 さようなら。[レイチェルは彼のオフィスを怒って飛び出す])
[Scene: Monica and Rachel's, Rachel is returning from her interview attempt.]
モニカとレイチェルの部屋。レイチェルは行われることがなかった面接から戻ってくる。
レイチェル: (entering) Ugh, you are not gonna believe what that sleazeball from Ralph Lauren did to me! ([部屋に入ってきて] あー、ラルフ・ローレンのあの卑劣男が私にしたことは、誰も信じられないでしょうね。)
(Joey, Monica, and Ross all point to their lips to get Rachel to once again notice the ink on her lip.)
ジョーイ、モニカ、ロスは全員、自分の唇を指差す。レイチェルの唇についたインクを再度、気づかせようとして。
レイチェル: Okay-okay, that-that's amazing. How did you know that? (わかった、わかった。それってすごいわね。どうやってそれがわかったの?)
ロス: You got ink on your lip. (君の唇にインクがついてるんだよ。)
レイチェル: Oh. (Realizes.) Ohhhhhhhhh.... (まぁ。[気づいて] あぁぁぁぁ…。)
気まずいことがあった後の2回目の面接ですから、待っている間、レイチェルはイライラして、ペンの先を歯の間でカチカチ鳴らしています。
部屋に入った後、レイチェルの唇に、そのペンのインクがついて、紫色みたいになっているのを発見した面接官のゼルナー氏は、そのことを仕草で説明しようとしています。
「ここにインクがついてるよ」というように、自分の唇を指差し、それでもレイチェルは気づかないので、自分がふき取ってあげようとレイチェルに近づこうとします。
そのゼルナー氏の行動を見て、レイチェルは過剰に反応していますね。
「誰とでもすぐにキスをして、尻軽そうな女だから再度呼ばれたのではないか?」と思っていた、その心配が的中したと勘違いしたわけです。
レイチェルにはそのゼルナー氏の仕草が、「さぁ、これから面接を始めるから、まず挨拶のキスをここにして」と言っているように見えたようですね。
自分がキスしようとしないので、相手から近づいてきた、とも思ったようです。
レイチェルは自分という人間が誤解されていると思い、自分はそんな人間じゃない、ということをその後、力説しています。
I am sorry if I have given you the wrong impression. は、「もしも(前の面接の時に)間違った印象をあなたに与えたとしたら申し訳ありません」みたいな意味ですね。
あの時に私がキスをしたから、あなたはきっと誤解してるんでしょうけど、と言いたいわけです。
hussy は「浮気娘、ふしだらな女」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hussy : (old-fashioned) a woman who is sexually immoral
Etymology (Word Origin) 1500-1600 housewife
とあります。
意味は、「性的に不道徳な・ふしだらな女性」ということで、その語源は、housewife 「主婦」であるとのこと。
研究社 新英和中辞典にも、
hussy (語源) housewife の変形
と出ていました。
上のセリフでは、独身のレイチェルが使っているので、もうそういう「主婦」という言葉のイメージは完全に消えてしまっているようですね。
get ahead は「前方に到達する」というような感覚ですから、今回のような仕事の話だと「出世する、成功する」という意味。
LAAD では、
get ahead [phrasal verb] : to be successful, especially in your job
sleep around は「いろいろな相手と寝る、性的関係を持つ」。
LAAD では、
sleep around [phrasal verb] (disapproving) : to have sex with a lot of different people
around の「あちこちで」という感覚から、「あちこちで寝る」→「いろんな人と寝る」という意味になるのでしょう。
つまりこのセリフでレイチェルは、「私は出世のために誰とでも寝るようなふしだらな女ではありません!」と言っていることになります。
that does not give you the right to は、「そのこと(私が前の面接であなたにキスしたこと)が、あなたに…する権利を与えるわけではない」。
I do not want this job that bad. について。
この場合の bad は副詞で、badly の意味。
アメリカ英語ではこのように、badly と言うところを、bad で済ましてしまうことがよくあります。
LAAD では、
bad [adverb] (spoken) (nonstandard) : badly
と書いてありますので、「非標準的」、つまり、言葉にうるさい人はあまり認めたがらない用法と言えそうです。
bad は「悪い」ですから、badly も「悪く、まずく」みたいな意味ですが、「悪い」意味にとどまらず、「ひどく、激しく」「とても、非常に」という強調を表す意味としても使われます。
今回も「激しく、非常に」のニュアンスで使われていて、I do not want this job that bad. は、「私はこの仕事を、そんなに激しく欲していません」になります。
「そんなに激しく」とはどんなにか?と言うと、「その仕事をゲットするためなら、面接官のあなたと寝てもいいと思えるほど、強く激しく」みたいなことですね。
自分の体を差し出してまで、その仕事を欲しいわけじゃない、みたいなことになります。
もちろん、その仕事につきたいけれど、そんなことをしてまでは欲しくない、という感覚が、that bad の that に込められているわけですね。
レイチェルが勝手に誤解して、嵐のように出て行ってしまったので、残されたゼルナー氏は途方に暮れた顔をしています。
そのままプリプリしながら帰って来たレイチェルは、you are not gonna believe 「あなたたちには信じられないでしょうね」と言いながら、面接での出来事を話して聞かせようとします。
ちなみに、ト書きの interview attempt は、「面接の試み・企て」みたいなことですが、わざわざ attempt がついているのは、実際に面接が行われる前に、レイチェルが怒って帰ってしまい、面接そのものが成立していないから、でしょう。
英辞郎には、attempt の訳として、「未遂」という言葉が載っていますが、そのニュアンスを当てはめると、「”未遂に終わった面接”から戻ってくる」と訳してもいいかもしれません。
sleazeball は、「嫌なやつ、卑劣なやつ」。
元々、sleaze という名詞に「低俗さ」「低俗な人」という意味があるのですね。
LAAD では、
sleaze [noun] [disapproving]
1. [uncountable] immoral behavior, especially involving sex or lies
2. [countable] also sleazebag, sleazeball, sleazebucket (informal)
someone who behaves in an immoral or dishonest way
つまり、(相手を非難する言葉)で、1. は、「不道徳な・ふしだらな行動。特に性や嘘にかかわること」。2. は、sleazebag, sleazeball, sleazebucket とも表現され、「不道徳、または不正なやり方で行動する人」。
このセリフでレイチェルが sleazeball と表現していることから、彼が何か不道徳なことをしたと怒っていることがわかります。
「その男がどんなことをしたかあなたたちには信じられないと思うわ」というのは、「その男はあなたたちが想像もつかないような、思いもつかないような、信じられないほどひどいことをしたのよ」と言いたいわけですね。
unbelievable な話を言う前振りの決まり文句みたいなものですが、そのように言ったのに、3人が揃って面接官の仕草を真似たので、レイチェルはびっくりしています。
How did you know that? を直訳すると、「どのようにして、どのような手段で、そのこと(面接官がその仕草をしたこと)を知ったのか?」という感覚ですね。
実際にその現場を見たわけでもないのに、それを知っていることが不思議なので、それを知るに至った経緯を知りたい、という気持ちから出た言葉です。
唇についているインクのことを教えてもらい、軽く Oh. と言った後、何かに気づいて、Ohhh... と長いオーを言っています。
フレンズたちに指摘されて初めて、ゼルナー氏の仕草の意味を理解した、それを勝手に「相手が性的に迫ってきた」と勘違いしていたことに今になって気づいてしまった、ということですね。
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ラルフ・ローレンの面接に行ったレイチェル。
面接の終わりに、面接官の男性がドアを開けようとしてレイチェルの方に身体を傾けたのを、相手がキスするつもりだと勘違いしたレイチェルは、自分から相手の頬にキスしてしまいます。
気まずい空気が流れ、これで面接に落ちてしまった、と思っていたレイチェルですが、予想に反して2度目の面接の呼び出しがありました。
「きっと誰にでもキスする子だから、簡単に寝るんじゃないかと思われてるかも…」などと心配しつつも、その2回目の面接に臨もうとしているところ。
[Scene: Rachel's job interview, she is waiting outside Mr. Zelner's (the interviewer) office banging her pen between her teeth.]
レイチェルの就職面接。レイチェルは面接官ゼルナー氏のオフィスの外で待っている。歯の間でペンをカチカチ叩きながら。
ゼルナー氏: Hi, Rachel! (やあ、レイチェル!)
レイチェル: Hi! (こんにちは!)
ゼルナー氏: Come on in. (入って。)
(They go inside.)
二人は部屋の中に入る。
ゼルナー氏: It's really nice to see you again. (もう一度君に会えてとても嬉しいよ。)
レイチェル: Thank you. (ありがとうございます。)
ゼルナー氏: (Sees that she has some ink on her lip from her pen.) Oh Rachel, uhh.... (He points to his lip to get her to notice the ink on hers.) ([ペンのインクがレイチェルの唇についているのを見て] あぁ、レイチェル、その・・・ [ゼルナー氏は、レイチェルの唇のインクに気づかせようと、自分の唇を指差す])
レイチェル: What? (何ですか?)
ゼルナー氏: Just ah.... (He points again.) (ただ、あの… [彼は再度指差す])
レイチェル: Excuse me? (どういうことですか?)
ゼルナー: Here let me.... (He goes to wipe it off himself.) (じゃあ、私が… [彼は自分でそのインクをふき取ろうと近づく])
レイチェル: (stopping him) Wh-whoa! All right, okay-okay, I see, I see what's going on here. Now listen, look-look, I am sorry if I have given you the wrong impression. But I am not some hussy who will just sleep around to get ahead! Now even though I (He tries to interrupt and tell her about the ink), hey-hey-hey, even though I kissed you, that does not give you the right to demand sex from me! I do not want this job that bad. Good day, sir. (She storms out of his office.) ([近づこうとする彼を止めて] ちょっと待って! いいわ、わかった、今ここで何が起こっているのかわかりました。いいですか、もし私があなたに間違った印象を与えたんだとしたら、申し訳なく思っています。でも私は成功する[出世する]ために誰とでも寝るようなふしだらな女じゃありません! 例え私が… [ゼルナー氏は発言をさえぎって、そのインクのことを彼女に伝えようとする] ちょっとちょっとちょっと、例え私があなたにキスしたとしても、それが、あなたが私にエッチを求める権利を与えることにはならないわ! 私はこの仕事をそこまで強く欲していません。 さようなら。[レイチェルは彼のオフィスを怒って飛び出す])
[Scene: Monica and Rachel's, Rachel is returning from her interview attempt.]
モニカとレイチェルの部屋。レイチェルは行われることがなかった面接から戻ってくる。
レイチェル: (entering) Ugh, you are not gonna believe what that sleazeball from Ralph Lauren did to me! ([部屋に入ってきて] あー、ラルフ・ローレンのあの卑劣男が私にしたことは、誰も信じられないでしょうね。)
(Joey, Monica, and Ross all point to their lips to get Rachel to once again notice the ink on her lip.)
ジョーイ、モニカ、ロスは全員、自分の唇を指差す。レイチェルの唇についたインクを再度、気づかせようとして。
レイチェル: Okay-okay, that-that's amazing. How did you know that? (わかった、わかった。それってすごいわね。どうやってそれがわかったの?)
ロス: You got ink on your lip. (君の唇にインクがついてるんだよ。)
レイチェル: Oh. (Realizes.) Ohhhhhhhhh.... (まぁ。[気づいて] あぁぁぁぁ…。)
気まずいことがあった後の2回目の面接ですから、待っている間、レイチェルはイライラして、ペンの先を歯の間でカチカチ鳴らしています。
部屋に入った後、レイチェルの唇に、そのペンのインクがついて、紫色みたいになっているのを発見した面接官のゼルナー氏は、そのことを仕草で説明しようとしています。
「ここにインクがついてるよ」というように、自分の唇を指差し、それでもレイチェルは気づかないので、自分がふき取ってあげようとレイチェルに近づこうとします。
そのゼルナー氏の行動を見て、レイチェルは過剰に反応していますね。
「誰とでもすぐにキスをして、尻軽そうな女だから再度呼ばれたのではないか?」と思っていた、その心配が的中したと勘違いしたわけです。
レイチェルにはそのゼルナー氏の仕草が、「さぁ、これから面接を始めるから、まず挨拶のキスをここにして」と言っているように見えたようですね。
自分がキスしようとしないので、相手から近づいてきた、とも思ったようです。
レイチェルは自分という人間が誤解されていると思い、自分はそんな人間じゃない、ということをその後、力説しています。
I am sorry if I have given you the wrong impression. は、「もしも(前の面接の時に)間違った印象をあなたに与えたとしたら申し訳ありません」みたいな意味ですね。
あの時に私がキスをしたから、あなたはきっと誤解してるんでしょうけど、と言いたいわけです。
hussy は「浮気娘、ふしだらな女」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hussy : (old-fashioned) a woman who is sexually immoral
Etymology (Word Origin) 1500-1600 housewife
とあります。
意味は、「性的に不道徳な・ふしだらな女性」ということで、その語源は、housewife 「主婦」であるとのこと。
研究社 新英和中辞典にも、
hussy (語源) housewife の変形
と出ていました。
上のセリフでは、独身のレイチェルが使っているので、もうそういう「主婦」という言葉のイメージは完全に消えてしまっているようですね。
get ahead は「前方に到達する」というような感覚ですから、今回のような仕事の話だと「出世する、成功する」という意味。
LAAD では、
get ahead [phrasal verb] : to be successful, especially in your job
sleep around は「いろいろな相手と寝る、性的関係を持つ」。
LAAD では、
sleep around [phrasal verb] (disapproving) : to have sex with a lot of different people
around の「あちこちで」という感覚から、「あちこちで寝る」→「いろんな人と寝る」という意味になるのでしょう。
つまりこのセリフでレイチェルは、「私は出世のために誰とでも寝るようなふしだらな女ではありません!」と言っていることになります。
that does not give you the right to は、「そのこと(私が前の面接であなたにキスしたこと)が、あなたに…する権利を与えるわけではない」。
I do not want this job that bad. について。
この場合の bad は副詞で、badly の意味。
アメリカ英語ではこのように、badly と言うところを、bad で済ましてしまうことがよくあります。
LAAD では、
bad [adverb] (spoken) (nonstandard) : badly
と書いてありますので、「非標準的」、つまり、言葉にうるさい人はあまり認めたがらない用法と言えそうです。
bad は「悪い」ですから、badly も「悪く、まずく」みたいな意味ですが、「悪い」意味にとどまらず、「ひどく、激しく」「とても、非常に」という強調を表す意味としても使われます。
今回も「激しく、非常に」のニュアンスで使われていて、I do not want this job that bad. は、「私はこの仕事を、そんなに激しく欲していません」になります。
「そんなに激しく」とはどんなにか?と言うと、「その仕事をゲットするためなら、面接官のあなたと寝てもいいと思えるほど、強く激しく」みたいなことですね。
自分の体を差し出してまで、その仕事を欲しいわけじゃない、みたいなことになります。
もちろん、その仕事につきたいけれど、そんなことをしてまでは欲しくない、という感覚が、that bad の that に込められているわけですね。
レイチェルが勝手に誤解して、嵐のように出て行ってしまったので、残されたゼルナー氏は途方に暮れた顔をしています。
そのままプリプリしながら帰って来たレイチェルは、you are not gonna believe 「あなたたちには信じられないでしょうね」と言いながら、面接での出来事を話して聞かせようとします。
ちなみに、ト書きの interview attempt は、「面接の試み・企て」みたいなことですが、わざわざ attempt がついているのは、実際に面接が行われる前に、レイチェルが怒って帰ってしまい、面接そのものが成立していないから、でしょう。
英辞郎には、attempt の訳として、「未遂」という言葉が載っていますが、そのニュアンスを当てはめると、「”未遂に終わった面接”から戻ってくる」と訳してもいいかもしれません。
sleazeball は、「嫌なやつ、卑劣なやつ」。
元々、sleaze という名詞に「低俗さ」「低俗な人」という意味があるのですね。
LAAD では、
sleaze [noun] [disapproving]
1. [uncountable] immoral behavior, especially involving sex or lies
2. [countable] also sleazebag, sleazeball, sleazebucket (informal)
someone who behaves in an immoral or dishonest way
つまり、(相手を非難する言葉)で、1. は、「不道徳な・ふしだらな行動。特に性や嘘にかかわること」。2. は、sleazebag, sleazeball, sleazebucket とも表現され、「不道徳、または不正なやり方で行動する人」。
このセリフでレイチェルが sleazeball と表現していることから、彼が何か不道徳なことをしたと怒っていることがわかります。
「その男がどんなことをしたかあなたたちには信じられないと思うわ」というのは、「その男はあなたたちが想像もつかないような、思いもつかないような、信じられないほどひどいことをしたのよ」と言いたいわけですね。
unbelievable な話を言う前振りの決まり文句みたいなものですが、そのように言ったのに、3人が揃って面接官の仕草を真似たので、レイチェルはびっくりしています。
How did you know that? を直訳すると、「どのようにして、どのような手段で、そのこと(面接官がその仕草をしたこと)を知ったのか?」という感覚ですね。
実際にその現場を見たわけでもないのに、それを知っていることが不思議なので、それを知るに至った経緯を知りたい、という気持ちから出た言葉です。
唇についているインクのことを教えてもらい、軽く Oh. と言った後、何かに気づいて、Ohhh... と長いオーを言っています。
フレンズたちに指摘されて初めて、ゼルナー氏の仕草の意味を理解した、それを勝手に「相手が性的に迫ってきた」と勘違いしていたことに今になって気づいてしまった、ということですね。
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