2011年03月07日

野獣を目覚めさせちゃった フレンズ5-17その1

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シーズン5 第17話
The One with Rachel's Inadvertent Kiss (レイチェルの勘違いキス)
原題は「レイチェルのうかつなキスの話」


前回のエピソードで、フィービーは Gary (ギャリー)という名の警官と出会いました。
彼が落とした警官バッジを使って警官のふりをしていたフィービーですが、その彼はフィービーのことを気に入り、二人は今、付き合っています。
モニカの部屋で、仕事に行く彼を見送った後、
フィービー: Oh, God! (まぁ、なんてこと!)
モニカ: What? (何?)
フィービー: Oh, I just miss him so much! (あぁ、ただ彼がいなくてものすごく寂しいのよ!)
モニカ: Wow! For just a week, you guys are really close, huh? (まぁ! たったの1週間なのに、あなたたちは本当に親密なのね?)
フィービー: Yeah, it's weird. I can't help it, though, he's so sweet. He's like this little puppy dog, y'know? But like a really tough one who shoots bad guys. Ohh, I just love the beginning parts of relationships, y'know? You just, like, can't keep your hands off each other. (そうね、変な感じなのよ。自分ではどうしようもないんだけど、彼ってとっても優しいの。彼は小さな子犬って感じよ、でしょ? でも、悪いやつらを銃で撃つ本当にタフな男って感じでもあるの。あぁ、恋愛関係の始まりの部分って大好きだわ、でしょ? お互いに触れずにはいられないって感じよね。)
モニカ: I know. It is the best. (わかるわ。最高よね。)
フィービー: God. So-so how long did that last for you and Chandler? (あぁ。それで、それで、あなたとチャンドラーとは、それがどのくらいの長さ続いたの?)
モニカ: What? It's still going on. (何ですって? まだ続いてるわよ。)
フィービー: Come on, seriously. When did it end? (よしてよ、真面目に答えて。いつ終わったの?)
モニカ: I-I am serious, I mean, we're, we're all over each other all the time. (私は真面目に話してるわ。つまり、私たちはずっとお互いべったりくっついてるもの。)
フィービー: Okay, you know where you are better than I do. I was just curious. (いいのよ、あなたは自分の今の状況を、私よりもよくわかってるでしょ。ただちょっと興味があっただけよ。)
モニカ: (Start annoying hyper-competitive mode now.) (Jumping up) What don't you just calm down, Phoebe! All right? Why don't you just get all your facts before you run around telling everybody that you're the only hot couple! ([うっとうしい、超・負けず嫌いモードを開始して] [椅子から飛び上がって] ちょっと落ち着いたらどうなの、フィービー? いい? 全ての事実をきちんと理解したらどうなのよ、自分たちが唯一のラブラブカップルだっていろんな人に触れ回る前にね!)
フィービー: (Under her breath) God, I woke the beast. Sorry. (To Monica) I was wrong obviously. I just, I misspoke. It's okay. ([小声で] なんてこと、野獣を目覚めさせちゃった。しまった。 [モニカに] 明らかに私が間違ってたわ。私はただ…私は失言したのよ。もういいのよ。)

彼を見送った後、フィービーは胸に手を当てて、ハッと何かに気づいたような声を上げます。
どうしたの?というモニカに、「ただ彼がいないのがすごく寂しくて、彼がものすごく恋しくて」みたいに答えるフィービーが微笑ましいですね。
miss は、I miss you. などと使われるように、「(人)がいなくて寂しく思う」という意味ですね。
ついさっきまで一緒にいて、今、離れたばかりなのに、もう寂しく恋しくなってしまった、という、相手にラブラブだからこそ出てくるセリフとも言えるでしょう。

フレンズ1-14その2 では、部屋の外に出た途端に、
ジャニス: Oh, I miss you already. (あぁ、もうあなたが恋しいわ。)
と言っていたことがありましたが、それと同じ感覚ですね。

I can't help it. は「どうしようもない、しょうがない、そうするより仕方ない」という意味で使われます。
この場合の help は「…を避ける、抑える」という意味ですね。
ここでは、自分としてはそういう気持ちになるのをどうすることもできない、彼に対して今こんな気持ちになっているのを自分では抑えることができない、みたいな感じだと思います。
「自分ではどうしようもないのよ」みたいなことでしょうね。
彼は、小さな子犬みたいでもあり、また悪人を撃つようなタフガイみたいだとも言うフィービー。
恋に落ちたばかりの初期の頃って素敵よね、お互いから手を離すことができない、つまり、片時も離れていることができない、みたいなそういうラブラブの時期っていいわよね、みたいなことも言っています。
「それ、わかるわぁ」みたいに同意するモニカに対して、フィービーは、How long did that last for you and Chandler? と尋ねています。
that は、the beginning parts of relationships のことで、そういう「片時も離れることができない時期」を指しています。
last は「続く、存続する、持続する」という自動詞ですから、そういうラブラブの時期がどのくらい続いたか?を尋ねる質問になります。
did という「過去形」を使った質問であることから、フィービーはその期間がもう「終わってしまった」のだと思っていることがわかりますね。
それでモニカは、「まだ過去形じゃないわ、現在もまだ進行中よ」と抗議するように、It's still going on. と答えているわけです。
「真面目に答えてよ」「私は真剣に答えてるわ」と言い合う二人。

be all over somebody は、「人に性的に迫る」というような意味があります。
フレンズ5-14その4 でも、She was all over me. というセリフが出てきました。
今回の場合は、恋人同士の話なので、文字通りのニュアンスの「…の上一面に」という感覚でイメージした方が近いかもしれませんね。
相手の身体にぴったりくっついて離れない、二人はいつも繋がってるのよ、みたいな、そういう「アツアツのラブラブ感」を表現しているのだと思います。

You know where you are better than I do. について。
中1で習うような簡単な単語ばかりですが、意外と解釈に迷う人が多いかも、と思ったりします。
ネイティブなら感覚的にわかるであろうこういう文章を、ノンネイティブの我々が理解するためには、やはり、文章の構造を読み解くための「文法知識」が必要になってくると思います。

better という比較級が出ていることから、何かと何かを比較していることがわかりますね。
比較級に付き物の than も登場していることから、I do と何かを比較していることがわかります。
do は一般動詞(be 動詞ではない動詞)の繰り返しを避けるために使われる「代動詞」ですね。
このセリフの中の一般動詞は know ですから、than I do = than I know となり、このセリフは、You know ... better than I know. 「あなたは私よりも…をよく知っている」という意味になります。
where you are は、know の目的語に当たり、「あなたが(今)どこにいるか」というような意味になるでしょう。
「あなたが今いる場所」とはつまり、「あなたが今どういう状況にいるか、あなたは今どういう状態か」を指すと考えられます。
このやり取りの中での where you are とは、モニカとチャンドラーが恋愛関係において今、どういう位置にいるか、というようなことを指すでしょう。
つまりフィービーは、「モニカが今、恋愛関係のどの段階にいるか、ってことは、私よりもあなたの方がよくわかってるでしょ」と言いたいのだと思います。
「いつもべったり」だなんてモニカは言うけど、もうそういう段階はとっくに過ぎてるってことは、本人のあなたたちがよくわかってるはずでしょ?と言いたいわけですね。
私に言われるまでもなく自分たちが誰よりわかってるはずなのに、そんなに無理して嘘つかなくてもいいわよ、くらいの意味になると思われます。
「ちょっと興味があっただけ」というのは、「私たちまだラブラブよ」と嘘をついてまで言いたくないのならこれ以上は聞かないけど、モニカたちのラブラブ期間はどのくらい続いたか?を参考までにただちょっと聞いてみたかっただけよ、みたいなことですね。

「自分でももうラブラブじゃないってわかってるくせに」みたいに言われて、モニカはついにキレてしまいます。
ト書きの、annoying hyper-competitive mode という表現に笑えますね。
Why don't you just...? という表現を2回も使って、「(つべこべ言わないで)ただ…したらどうなのよ?!」みたいに、キツい調子で叫んでいます。

「ハイパー負けず嫌いモード」(笑)になったモニカを見て、声をひそめて、God, I woke the beast. と言うフィービーにも笑えますね。
モニカの逆鱗(げきりん)に触れることを言ってしまって、野獣を目覚めさせてしまった…という後悔のセリフです。
mis- は「誤って」という意味の接頭辞ですから、「誤って話す」、つまり「失言する」ということになります。


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posted by Rach at 11:23| Comment(0) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月04日

アドバイスが口説き文句に フレンズ5-16その7

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チャンドラーとモニカの仲睦まじい様子を見たジョーイは、二人のような closeness 「親密さ」のある関係を自分も築きたいと願います。
そのためには、まずは友達から始めることだ、とアドバイスする二人。
その後、手近なレイチェルに声をかけたりしていたジョーイでしたが(笑)、逆にレイチェルに、「誰かと出会って、友達になって、基礎を築いてから、デートに誘うのよ」とアドバイスされます。
[Scene: Chandler and Joey's, Joey is returning and finds Chandler, Monica, and Rachel are there.]
チャンドラーとジョーイの部屋。ジョーイは戻ってきて、チャンドラー、モニカ、レイチェルがそこにいるのを見つける。
ジョーイ: (entering) Hey! ([入ってきて] やあ!)
レイチェル: Hey! How's it going? Did you make any new friends? (はーい! どんな感じ? 新しい友達は作れた?)
ジョーイ: Yeah, yeah. I met this woman. (Starts for his room.) (うん、うん。ある女性に会ったよ。[自分の部屋に向かう])
チャンドラー: (stopping him) Hey, whoa-whoa! What's she like? ([ジョーイを止めて] おい、ちょっと待てよ! 彼女はどんな感じなんだ?)
ジョーイ: Uhh, well, she's... really good in bed. (あー、そのー、彼女は…ほんとにエッチが上手なんだ。)
モニカ: Joey, I thought you were gonna try to be friends first! (ジョーイ、あなたは最初に友達になろうとするつもりだって思ってたのに!)
ジョーイ: (To Rachel) Well, look, hey, it's all your fault! ([レイチェルに] あぁ、ねぇ、ほら、全部君のせいだぞ!)
レイチェル: What?! Why?! (何ですって? どうして?)
ジョーイ: Well, because you didn't give me advice! No! You gave me a pickup line! As soon as I told her I wanted to y'know, "build a foundation and be friends first." I suddenly, through no fault of my own, became irresistible to her! (Pause) And her roommate! (ほら、だって君は俺にアドバイスをくれたんじゃないからだ! アドバイスじゃなかったよ! 君がくれたのは口説き文句だったんだよ! 俺が、ほら、「基礎を築いて、まずは友達になる」ことを望んでるって彼女に言った途端、俺は突然、俺のせいでもないのに[俺が何かした、ってわけでもないのに]、彼女にとっては抵抗できないほど魅力的になっちゃったんだ! [沈黙] それに、彼女のルールメイトまで!)
モニカ: What about the "closeness"? (例の「親密さ」はどうなったのよ?)
ジョーイ: Closeness, schmosness! There was three of us, for crying out loud! (親密さも何も(あったもんじゃないよ)! (そういう状態の)俺たち3人がいたんだからさ!)

外出から帰って来たジョーイに、「新しい友達」はできた?と尋ねるレイチェル。
ジョーイは、ある女性に会ったよ、とだけ言って、それ以上は語らないまま、自分の部屋に入ろうとします。
this woman の this は、日本語の「この」のように、すぐ近くにあるもの、いる人を指しているのではなく、不定冠詞の a と同じようなニュアンスですね。

研究社 新英和中辞典では、
this=[物語体に用いて] (口語) ある(一人[一つ]の)
There's this boy I ride home with on the bus every day, and... 「毎日帰りのバスで一緒になるある少年がいて…」


Macmillan Dictionary では、
this : (SPOKEN) used in a story or a joke when you mention a person or thing without giving a name
例) There was this big guy standing in the doorway.

つまり、「話やジョークの中で、名前を言わずにある人やものを言及する時に使われる」。
例文は、「戸口に立っている大男がいた」

辞書の説明にあるように、物語調で話している時に、よく使われる表現だということです。
ジョーイも、「ある女性に会ってね」と物語調で話している感覚ですが、その続きを言わないまま去って行こうとしたので、「その話の続きはどうなったんだ? その女の子はどんな感じの子なんだよ?」とチャンドラーが質問していることになります。

フレンズ2-24その7 では、What's she look like? 「相手はどんな(見かけの)子なの?」というセリフがありましたが、そのように、「外見、見かけ、容姿、ルックス」を尋ねたい場合は、What's she look like? (What does she look like?) になり、「性格、雰囲気、様子」などの見た目だけではない部分を尋ねる場合には、What's she like? (What is she like?) を使うことになります。

どんな子?と聞かれてのジョーイの答えには笑ってしまいますね。
good in bed は、「ベッドですごい」みたいな感じで、つまりは、エッチが上手である、というような意味。
チャンドラーとモニカのような親密さを恋人に求めるのであれば、まずは友達から始めないと…ということで、そういう人を探しに行ったはずなのに、もうベッドインしてしまったことが、その言葉でわかるわけです。
「最初は友達から始めるはずだったのに、そんなことになっちゃうなんてどういうわけよ?」みたいにモニカに責められたジョーイは、レイチェルの方を向いて、こうなったのは全部レイチェルのせいだ、と言っています。
ジョーイはレイチェルのくれた助言を実行した結果、こんなことになってしまったんだ、と言いたいようですね。

pickup line は「口説き文句」。
レイチェルが言うように、「まずは基礎を築いて、最初は友達から始めよう」って言った途端にこうなった…と、その言葉を発した結果どうなったかを述べています。
through no fault of one's own は、「・・・のせいではないのに、…が悪いのではないのに」。
フレンズ5-1その1 でも、through no fault of his own 「彼のせいではないのに」というフレーズが出てきていました。

irresistible は、resist は「抵抗する、我慢する」に、否定の接頭辞 ir- と、可能を表す接尾辞 -ible がついたもので、「抵抗・我慢することができない、抑えられない」という意味。
そこから、「(抵抗できないほど)非常に魅力的な、悩殺的な」という意味になります。
ですから、I became irresistible to her. は、「俺は、彼女が我慢できないほど(彼女にとって)魅力的(な存在)になっちゃったんだ」という感じになります。

男性のジョーイの方が「まずは友達から始めたい」みたいなことを言ったことで、却って相手の女性がそそられてしまった、みたいなことですね。
その話を聞いていたルームメイトの女性まで、俺に魅力を感じちゃったんだ、とも言っています。

またいつものジョーイのパターン(笑)になってしまっているのにあきれて、モニカは、「あなたが求めていた、closeness 「親密さ」ってやつは、一体どうなっちゃったのよ?」と言っています。
それに対するジョーイの返事、Closeness, schmosness! ですが、これは、「shm- や、schm- をつけた言葉を直後に繰り返すことで、やや否定的なニュアンスを出す」という表現。
過去記事では、フレンズ3-19その5 に、Fair, shmair. が、フレンズ4-15その3 には、too soon, too schmoon という同様の表現が出てきました。

また、フレンズ以外の作品では、映画「トイ・ストーリー3」で、Sunnyside Daycare (サニーサイド保育園)に連れてこられたおもちゃたちのセリフで、
A: Anyone see an exit? (誰か出口見た?)
B: Exit, shmexit. Let's get played with. (出口が何だってんだよ。(子供たちに)遊んでもらおうよ。)
というやり取りがありました。

そのように、「shm- や、schm- をつけた言葉を直後に繰り返すパターン」は、実に様々なバリエーションがあるようですね。
こんな状況になっちゃって、もう、親密さがどうとか、そんな話じゃなくなってるよ、みたいに、モニカが closeness という言葉を出したことに対して、否定的に返事している感覚でしょう。

There was three of us. は非常に漠然とした表現ですが、無理やり訳すと、「俺たち3人がそこにいた、そこにいたのは俺たち3人だった」みたいな感じになるでしょうか。

for crying out loud は、誰かに対していらいらした場合によく使われる強調表現。
フレンズ5-14その4 にも出てきました。
今回の場合も、今の俺の話を聞いて、それでもまだ、closeness がどうとかこうとか言うつもり? みたいな、相手に対するいらいら感が出たフレーズなのだと思います。
俺が言った一言で、相手の女性もそのルームメイトも俺に夢中になっちゃって、「そういう3人がその場に存在していた」わけだから、「まずは友達から始めて親密な関係を築く」なんてプランは吹っ飛んじゃったに決まってるじゃないか、その場の状況に身を任せるしかないだろ、みたいな感じのことが言いたいのかな、と思いました。
「3人」という人数を出しているのは、つまりはその3人でエッチすることになっちゃったんだ、ということを意味しているんだと思います。


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posted by Rach at 13:17| Comment(4) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年03月01日

シポウィッツ刑事の相棒 フレンズ5-16その6

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本物の警官と話しながら、自分も警官のふりをしているフィービー。
「私は風俗犯罪取締課(Vice)に所属してるの」と言うのですが…。
警官: Who-who else is in Vice up there? (その風俗犯罪取締課には他に誰がいるの?)
フィービー: Umm, do you know, umm Sipowicz? (うーんと、あなたは知ってるかしら、シポウィッツを?)
警官: Sipowicz? No, I don't think so. (シポウィッツ? いいや、知らないと思うけど。)
フィービー: Yeah. Sipowicz. Yeah. Big guy, kinda bald. (ええ、シポウィッツよ。そう、大男で、ちょっとハゲてる。)
警官: No, I don't know him. (いいや、その男は知らない。)
フィービー: (starts to walk away, but stops) Don't try to call him or anything, 'cause he's not there. He's out. His umm, his partner just died. ([歩いて去ろうとするが立ち止まって] 彼に電話してみようとか、そういうことはしないでね。だって彼はそこにいないもの。彼は仕事を休んで[離れて]るの。彼の、ほら、彼のパートナーが死んだばかりだから。)
警官: Wow umm, tell Sipowicz I'm real sorry for his loss. (わぁ、シポウィッツに心からのお悔やみを伝えといて。)
フィービー: I-I sure will. Take care. (Starts walking off.) (確かに伝えるわ。じゃあね。 [歩いて去ろうとする])
警官: (following her) Hey, by the way, I'm sure Sipowicz is gonna be all right. I heard that kid from Silver Spoons is really good. (Phoebe's stunned) And where did you find my badge? ([フィービーの後を追って] ねぇ、ところで、シポウィッツは大丈夫だと確信してるよ。「シルバー・スプーンズ」のあの子は本当にいいやつだ、って聞いたから。[フィービーは衝撃を受ける] それから、君はどこで俺のバッジを見つけたの?)
フィービー: Oh. (She starts laughing. Then she throws the badge at him and runs away.) (まぁ。[フィービーは笑い出す。その後、彼にバッジを投げつけ、走り去る])

私は今、潜入捜査中なの…などと言って何とかごまかしたつもりのフィービーでしたが、相手の警官はまだ質問してきます。
Vice の部署には他に誰がいる?と尋ねてきたので、フィービーは、シポウィッツ(Sipowicz)というちょっと珍しい名前を出していますね。
相手の警官は「そんなやつは知らない」と答えます。

フィービーはこれで話は済んだというようにその場を去ろうとしますが、「彼に連絡したりしないでね」とクギを刺しています。
「パートナーが死んだばかりで、仕事を休んでるのよ」とも言っていますね。

I'm real sorry for his loss はお悔やみの表現。
I'm sorry for your loss. は、身内などを亡くした人へのお悔やみの言葉になります。
ですから、tell Sipowicz I'm real sorry for his loss は、「(彼の相棒が亡くなったことに対して)心からお悔やみ申し上げます、って俺が言っていたとシポウィッツに伝えてくれ」という意味になりますね。
警官のふりをしていたことがバレずに済んだ、という感じで歩き出すフィービーですが、その警官はフィービーにさらに話しかけています。
そのセリフを聞いてフィービーはギクっとした顔をしていますが、それは、そのセリフでフィービーの嘘がすでにバレていたことがわかったからですね。

彼のセリフの意味は、「シポウィッツは大丈夫だと思う。「シルバー・スプーンズ」の子供はいいやつだって聞いたから」。
「シルバー・スプーンズ」は、字幕でイタリックで書かれていたように、ドラマのタイトル名です。

Wikipedia 英語版: Silver Spoons
IMDb: Silver Spoons (TV Series 1982-1987)

ウィキペディアの Synopsis に、以下の記述があります。
The title of the show is based on the expression that rich children are born with a "silver spoon" in their mouth...
つまり、「番組タイトルは、裕福な子供は口に銀のスプーンをくわえて生まれてくる、という表現に基づいている」。

be born with a silver spoon in one's mouth は「裕福な家庭に生まれる」という慣用表現になります。
そのタイトルから判断されるように、リッチな子供が主人公のお話のようですね。
that kid from Silver Spoons はそのドラマの主人公 Ricky Stratton を指しているようです。
その Ricky Stratton を演じていたのは、Rick Schroder という俳優さん。
Wikipedia 日本語版: リック・シュローダー を見ると、彼は「NYPDブルー」(原題: NYPD Blue)という刑事ドラマにも出演していたことがわかります。
(ちなみに、NYPD は、New York Police Department 「ニューヨーク市警」のことですね)

Wikipedia 日本語版: NYPDブルー を見ると、主人公の名前が「アンディ・シポウィッツ刑事」。
ここで、シポウィッツの名前と繋がりました!

そのウィキペディアの「制作」に以下の記述があります。

シーズン2以降におけるアンディ・シポウィッツ刑事の主要パートナーには…(中略)… Det. Danny Sorenson (演:リッキー・シュローダー 、1998年-2001年まで出演) …(中略)…がいる。

リッキー(or リック)・シュローダーは、さきほど説明した「シルバー・スプーンズ」の主人公(子役)を演じていた俳優さんでしたよね。
その警官は、シポウィッツ刑事のパートナー役を演じる俳優が、かつて「シルバー・スプーンズ」の子役を演じていた俳優だと知っていて、そういうセリフを言ったわけですね。

説明がだだ長くなってしまいましたが、つまりは、その警官は、「パートナーを亡くしたシポウィッツはこれからも大丈夫だよ。その後釜にやってくる、リック・シュローダー(「シルバー・スプーンズ」の子役)はいいやつだからさ」と言っていることになります。
そのセリフから、フィービーが名前を出したシポウィッツは、実在する人物ではなく、「NYPDブルー」というドラマの警官の名前だって気付いてたよ、ということがわかるわけです。

うまく逃げ切れたと思っていたフィービーは、嘘がバレたとわかって、一瞬笑った後、慌ててバッジを投げて走り去ります。

今回のやり取りの面白いところは、警官がずっとフィービーの嘘にまんまと騙されたようなふりをして、「お悔やみを言っておいてくれ」とまで言っておきながら、最後の最後にドンデン返しで、「君の嘘はすっかりお見通しだったよ」ということを、ちょっと回りくどい言い回しで告げるところですね。

シポウィッツという名前を聞いた時点で、「NYPDブルーの主人公もそんな名前だったような気がするけど…」と言って、フィービーの出鼻をくじくことも可能だったはずですが、その時はその名前にピンと来たようなふりを見せず、フィービーがどこまで嘘をつこうと頑張るかを面白がって見ていた、という感じもします。

最後まで、「NYPDブルー」というタイトルは一切出さず、その共演者が、昔、子役として出ていたドラマのタイトルを出すところもまた、なかなかひねりがきいていますよね。

さて、その「NYPDブルー」のシポウィッツ刑事ですが、
Wikipedia 英語版: NYPD Blue
Wikipedia 英語版: Andy Sipowicz
などに写真が載っています。
フィービーが、"Big guy, kinda bald" と言っていた通り、やはり髪の毛が少なく、また、がっしりした体型のようです。
そのシポウィッツをイメージしながらしゃべっていたので、架空の友人を語っているはずが、NYPDブルーのシポウィッツの特徴を述べてしまうことになったのですね。
また、その名前とその特徴から、フィービーが NYPDブルーのキャラクターの名前を出してごまかそうとしていることも観客にわかる仕組みになっている、ということでしょう。

ちなみに、シポウィッツの綴りは、DVD英語字幕では Sipowitz、ネットスクリプトでは Sipowicz になっていましたが、上の Wikipedia を見ると、Sipowicz が正しい綴りのようですね。
DVD字幕とネットスクリプトでは、オフィシャルなDVD字幕の綴りの方が正しい場合が多いですが、今回はネットの方が正しかったようです。


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posted by Rach at 10:41| Comment(3) | フレンズ シーズン5 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする