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本物の警官と話しながら、自分も警官のふりをしているフィービー。
「私は風俗犯罪取締課(Vice)に所属してるの」と言うのですが…。
警官: Who-who else is in Vice up there? (その風俗犯罪取締課には他に誰がいるの?)
フィービー: Umm, do you know, umm Sipowicz? (うーんと、あなたは知ってるかしら、シポウィッツを?)
警官: Sipowicz? No, I don't think so. (シポウィッツ? いいや、知らないと思うけど。)
フィービー: Yeah. Sipowicz. Yeah. Big guy, kinda bald. (ええ、シポウィッツよ。そう、大男で、ちょっとハゲてる。)
警官: No, I don't know him. (いいや、その男は知らない。)
フィービー: (starts to walk away, but stops) Don't try to call him or anything, 'cause he's not there. He's out. His umm, his partner just died. ([歩いて去ろうとするが立ち止まって] 彼に電話してみようとか、そういうことはしないでね。だって彼はそこにいないもの。彼は仕事を休んで[離れて]るの。彼の、ほら、彼のパートナーが死んだばかりだから。)
警官: Wow umm, tell Sipowicz I'm real sorry for his loss. (わぁ、シポウィッツに心からのお悔やみを伝えといて。)
フィービー: I-I sure will. Take care. (Starts walking off.) (確かに伝えるわ。じゃあね。 [歩いて去ろうとする])
警官: (following her) Hey, by the way, I'm sure Sipowicz is gonna be all right. I heard that kid from Silver Spoons is really good. (Phoebe's stunned) And where did you find my badge? ([フィービーの後を追って] ねぇ、ところで、シポウィッツは大丈夫だと確信してるよ。「シルバー・スプーンズ」のあの子は本当にいいやつだ、って聞いたから。[フィービーは衝撃を受ける] それから、君はどこで俺のバッジを見つけたの?)
フィービー: Oh. (She starts laughing. Then she throws the badge at him and runs away.) (まぁ。[フィービーは笑い出す。その後、彼にバッジを投げつけ、走り去る])
私は今、潜入捜査中なの…などと言って何とかごまかしたつもりのフィービーでしたが、相手の警官はまだ質問してきます。
Vice の部署には他に誰がいる?と尋ねてきたので、フィービーは、シポウィッツ(Sipowicz)というちょっと珍しい名前を出していますね。
相手の警官は「そんなやつは知らない」と答えます。
フィービーはこれで話は済んだというようにその場を去ろうとしますが、「彼に連絡したりしないでね」とクギを刺しています。
「パートナーが死んだばかりで、仕事を休んでるのよ」とも言っていますね。
I'm real sorry for his loss はお悔やみの表現。
I'm sorry for your loss. は、身内などを亡くした人へのお悔やみの言葉になります。
ですから、tell Sipowicz I'm real sorry for his loss は、「(彼の相棒が亡くなったことに対して)心からお悔やみ申し上げます、って俺が言っていたとシポウィッツに伝えてくれ」という意味になりますね。
警官のふりをしていたことがバレずに済んだ、という感じで歩き出すフィービーですが、その警官はフィービーにさらに話しかけています。
そのセリフを聞いてフィービーはギクっとした顔をしていますが、それは、そのセリフでフィービーの嘘がすでにバレていたことがわかったからですね。
彼のセリフの意味は、「シポウィッツは大丈夫だと思う。「シルバー・スプーンズ」の子供はいいやつだって聞いたから」。
「シルバー・スプーンズ」は、字幕でイタリックで書かれていたように、ドラマのタイトル名です。
Wikipedia 英語版: Silver Spoons
IMDb: Silver Spoons (TV Series 1982-1987)
ウィキペディアの Synopsis に、以下の記述があります。
The title of the show is based on the expression that rich children are born with a "silver spoon" in their mouth...
つまり、「番組タイトルは、裕福な子供は口に銀のスプーンをくわえて生まれてくる、という表現に基づいている」。
be born with a silver spoon in one's mouth は「裕福な家庭に生まれる」という慣用表現になります。
そのタイトルから判断されるように、リッチな子供が主人公のお話のようですね。
that kid from Silver Spoons はそのドラマの主人公 Ricky Stratton を指しているようです。
その Ricky Stratton を演じていたのは、Rick Schroder という俳優さん。
Wikipedia 日本語版: リック・シュローダー を見ると、彼は「NYPDブルー」(原題: NYPD Blue)という刑事ドラマにも出演していたことがわかります。
(ちなみに、NYPD は、New York Police Department 「ニューヨーク市警」のことですね)
Wikipedia 日本語版: NYPDブルー を見ると、主人公の名前が「アンディ・シポウィッツ刑事」。
ここで、シポウィッツの名前と繋がりました!
そのウィキペディアの「制作」に以下の記述があります。
シーズン2以降におけるアンディ・シポウィッツ刑事の主要パートナーには…(中略)… Det. Danny Sorenson (演:リッキー・シュローダー 、1998年-2001年まで出演) …(中略)…がいる。
リッキー(or リック)・シュローダーは、さきほど説明した「シルバー・スプーンズ」の主人公(子役)を演じていた俳優さんでしたよね。
その警官は、シポウィッツ刑事のパートナー役を演じる俳優が、かつて「シルバー・スプーンズ」の子役を演じていた俳優だと知っていて、そういうセリフを言ったわけですね。
説明がだだ長くなってしまいましたが、つまりは、その警官は、「パートナーを亡くしたシポウィッツはこれからも大丈夫だよ。その後釜にやってくる、リック・シュローダー(「シルバー・スプーンズ」の子役)はいいやつだからさ」と言っていることになります。
そのセリフから、フィービーが名前を出したシポウィッツは、実在する人物ではなく、「NYPDブルー」というドラマの警官の名前だって気付いてたよ、ということがわかるわけです。
うまく逃げ切れたと思っていたフィービーは、嘘がバレたとわかって、一瞬笑った後、慌ててバッジを投げて走り去ります。
今回のやり取りの面白いところは、警官がずっとフィービーの嘘にまんまと騙されたようなふりをして、「お悔やみを言っておいてくれ」とまで言っておきながら、最後の最後にドンデン返しで、「君の嘘はすっかりお見通しだったよ」ということを、ちょっと回りくどい言い回しで告げるところですね。
シポウィッツという名前を聞いた時点で、「NYPDブルーの主人公もそんな名前だったような気がするけど…」と言って、フィービーの出鼻をくじくことも可能だったはずですが、その時はその名前にピンと来たようなふりを見せず、フィービーがどこまで嘘をつこうと頑張るかを面白がって見ていた、という感じもします。
最後まで、「NYPDブルー」というタイトルは一切出さず、その共演者が、昔、子役として出ていたドラマのタイトルを出すところもまた、なかなかひねりがきいていますよね。
さて、その「NYPDブルー」のシポウィッツ刑事ですが、
Wikipedia 英語版: NYPD Blue
Wikipedia 英語版: Andy Sipowicz
などに写真が載っています。
フィービーが、"Big guy, kinda bald" と言っていた通り、やはり髪の毛が少なく、また、がっしりした体型のようです。
そのシポウィッツをイメージしながらしゃべっていたので、架空の友人を語っているはずが、NYPDブルーのシポウィッツの特徴を述べてしまうことになったのですね。
また、その名前とその特徴から、フィービーが NYPDブルーのキャラクターの名前を出してごまかそうとしていることも観客にわかる仕組みになっている、ということでしょう。
ちなみに、シポウィッツの綴りは、DVD英語字幕では Sipowitz、ネットスクリプトでは Sipowicz になっていましたが、上の Wikipedia を見ると、Sipowicz が正しい綴りのようですね。
DVD字幕とネットスクリプトでは、オフィシャルなDVD字幕の綴りの方が正しい場合が多いですが、今回はネットの方が正しかったようです。
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