皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は3位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
[Scene: The craps table, Monica is on a big roll.]
クラップス(2個のさいころを使うゲーム)のテーブル。モニカは大きく勝ち続けている。
モニカ: All right, baby, come on! (Rolls the dice) Yes! Yes! I am on fire! (いいわ、ベイビー、来い! [サイコロを転がす] やった、やった! 私は燃えてるわよ!)
チャンドラー: (walking by with his luggage) See you later, Mon. ([荷物を持って通りかかる] じゃあね、モニカ。)
モニカ: Wait, Chandler, what are you doing? (待って、チャンドラー、何やってるの?)
チャンドラー: What's it look like? I'm going home. (どう見える? 俺は家に帰るんだよ。)
モニカ: What? Wait! Why? (He turns and heads for the door and she chases after him.) Chandler! Chandler! Wait! I’m sorry, I was just playing for one second! I was trying to find you to tell you that, look, if you don't want me to see Richard again, I won't! He, He means nothing to me. (何ですって? 待って! どうして? [チャンドラーは向きを変えてドアの方に進む、そしてモニカは彼の後を追いかける] チャンドラー、チャンドラー! 待って! ごめんなさい。私はただ、ちょっとだけ(一瞬)、ゲームをやっていただけなの! 私はあなたを探して、こう言おうとしてたの、ほら、もしあなたが私にもう二度とリチャードに会って欲しくないと思うなら、私は会わないわ! 彼は、彼は私にとっては何の意味もないもの。)
チャンドラー: Oh, come on. I was there. (He's propped up with his hand on a statute of a naked guy. He winces and pulls his hand away.) I know he's the love of your life. (あぁ、よせよ。俺はその場にいたんだぞ。[チャンドラーは、裸体の男性像の上に手を置いて自分の体を支える。彼は顔をしかめ、手を引っ込める] リチャードは君の運命の恋人だって、俺は知ってるんだぞ。)
モニカ: Not anymore. (今はもう違うわ。)
チャンドラー: Really? (ほんとに?)
モニカ: Really! (They hug and kiss) All right? Let's forget about this going home stuff and celebrate our anniversary. (She picks up his suitcase.) Okay, this is empty. (ほんとよ! [二人はハグしてキスする] いい? この家に帰るってことは忘れましょう、そして、私たちの記念日を祝いましょうよ。[モニカはチャンドラーのスーツケースを持ち上げる] ちょっと、これは空(から)よ。)
チャンドラー: Yeah, I wanted to make a dramatic scene, but I hate packing. (そうなんだ。ドラマティックなシーンにしたかったんだけど、でも、荷造りするのが嫌でね。)
ト書きの the craps table について。
crap というと、ドラマや映画のセリフでは、「うんち」「くず、がらくた」「たわごと、うそ」という悪い意味で使われることが多いですが、この craps というのはゲームの名前で、「2個のサイコロを使う博打(ばくち)、ゲーム」のことを指します。
Macmillan Dictionary では、
craps [noun] [uncountable] : a game played especially in the U.S. in which the players throw two dice and risk money on the numbers
つまり、「特にアメリカで行われるゲームで、そのゲームでは、プレーヤーは2個のサイコロを投げて、数字に金を賭ける」。
今回のエピソードでは、実際にそのクラップスというゲームのシーンが流れますので、まさにその説明の通り、2個のサイコロを投げて、その出た目の合計を当てるゲームであることがわかります。
クラップスで絶好調なモニカのそばを、カバンを持ったチャンドラーが通りかかり、じゃあね、と言って去って行こうとします。
モニカの What are you doing? に対して、チャンドラーは What's it look like? と言っていますね。
What does it look like? ということで、「(今のこの状況は)何に見える?」みたいな感覚でしょう。
自然な日本語にすると、「見りゃわかるだろ、家に帰ろうとしてんだよ」みたいな感じになるでしょうか。
そう言ってまた去ろうとするチャンドラーを追いかけて、モニカは必死に自分のこれまでの行動を説明しています。ゲームをちょっとやってただけで、I was trying to find you... と言っていますね。
「私は…しようとしていた」のように、was trying to という過去進行形が使われていることで、「そうしようとしていたけど、失敗した。あなたを探そうとしたけれど、見つからなかったの」と言っていることがわかります。
to tell you that で、「that 以下のことをあなたに言うために(あなたを探そうとしていた)」ということもわかりますね。
その言おうとしていた内容が、if 以下のセリフで語られています。
「私がリチャードにもう一度会うことをあなたが望まないのなら、私は(もう二度と)会わないわ!」ということです。
He means nothing to me. は、「彼は私にとって何の意味もない」。
そこまではっきり断言しても、チャンドラーはその言葉が信じられない様子で、Oh, come on. I was there. と言っています。
「あぁ、(そんな嘘を言うのは)よしてくれよ。俺はその場にいたんだぞ」という感じですね。
この部分、DVDの日本語訳では、「当時を知ってるぞ/付き合ってた頃を知ってるんだぞ」となっていましたが、まさにそういう意味ですね。
モニカにとってリチャードの存在に意味がないだなんて大嘘だ、二人は熱愛していて、別れた後、モニカがボロボロになってたのも知ってる、その様子をずっと近くで見ていて知っている俺に、そんな口先だけの嘘を言うなよ、という感じなのでしょう。
ところで、この I was there. とよく似たフレーズの、You weren't there! というセリフが、フレンズ1-5 で使われていたことがあります。
偶然にも、つい先日、フレンズ1-5その1 のコメント欄 で、その You weren't there! に関するご質問があり、そのフレーズのニュアンスについても説明させていただいていますので、合わせてお読みいただけると幸いです。
そんな風に真剣に怒りながらも、たまたま手を乗せたのが近くにあったローマ風の彫刻で、それが男性の裸体像だったため、ぎょっとした顔をして慌てて手を引っ込めるのも、フレンズらしくて面白いです。
チャンドラーは、「モニカとリチャードが付き合っていた頃のことを知ってる」と言った後で、I know he's the love of your life. とも言っています。
この love は抽象的な「愛」というよりも「恋人」を意味していて、「人生の恋人」みたいな感覚でしょうか。
もっと詩的に言うと、「運命の恋人、運命の人」みたいな意味ですね。
Queen の曲にも、Love of My Life というタイトルの歌があります。
Queen のベスト盤、Jewels II の9曲目に入っていて、手持ちの歌詞カード(笑)を見てみたのですが、やはり歌詞の日本語訳では、「運命の恋人」と訳されていました。
将来に対する方向性の違いで二人は別れてしまったけれど、リチャードはモニカが一番愛した男性で、運命の人だってことを、俺は知ってるんだぞ、ということですね。
それに対してモニカは、Not anymore. と言っています。
not anymore は、「もはや(もう)…ではない」ということですね。
確かにつき合っていた当時はリチャードは運命の人、運命の恋人だった、でも今はもう違うのよ、ということです。
それはつまり、今の私にとっては、今の恋人のあなたが、the love of my life だと言っているわけですね。
昔のリチャードとの関係を否定しても、チャンドラーには嘘にしか聞こえないでしょうから、そのように過去の事実を否定するのではなく、「チャンドラーとこうして恋人になって、あなたを愛するようになったから、もはやリチャードは運命の人ではない」と、今の正直な気持ちを素直に伝えたわけです。
「今はもう違う」という一言がチャンドラーを救ってくれたようで、チャンドラーは嬉しそうな顔をして、Really? と言っています。
ハグ&キスをしたモニカは、家に帰ろうとしてたことは忘れて、記念日をお祝いしましょう、と言っています。
this going home stuff は、「この「家に帰る」って件、家に帰ろうとしていたこと」みたいな感覚ですね。
カバンを部屋に戻そうと持ち上げた時に、それが軽くて中身が空っぽであることにモニカは気付きます。
make a dramatic scene は文字通り、「ドラマティックなシーンを作る」ということですね。
「もう俺は帰るからな!」「あなた、お願いだから待って!」みたいにドラマティックになるような演出を考えていたんだけど、実際にカバンに荷物を詰めるのは苦手で面倒くさかったから、中身は空っぽのまま持ってきちゃったんだ、ということです。
つまり、チャンドラーは本気で帰ろうとしていたわけではなかった、ということで、その事実に気づかれて、チャンドラーもちょっと気まずそうな顔をしていますが、二人の誤解が解けて仲直りできたのならまぁそれでいいか、というところでしょうね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2011年06月29日
2011年06月27日
ジャックポットを盗むラーカー フレンズ5-24その1
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は3位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
シーズン5 第24話
The One in Vegas Part II (恋人たちのベガス PART 2 )
原題は「ベガスの話 パート2」
ベガスのホテルのカジノコーナーで話をしているロスとフィービー。
(The old lady at Phoebe's machine wins. Phoebe turns around in shock.)
フィービーの[フィービーが使っていた](スロット)マシンに座っている老婦人が勝つ。フィービーはショックな顔で振り向く。
フィービー: Ugh! (あー!)
ロス: What? (何?)
フィービー: That's like the third time that lady's won on a machine I was playing. (あれで3度目(くらい)なのよ、あの女性が私がプレイしてたマシンで勝つのは。)
ロス: Oooohhh, I'll bet she's one of those people. (ほぉー、彼女はあの手の人だと思うね。)
フィービー: M-M-Mole people? (ス、ス、スパイなの?)
ロス: What? No-no, a lurker. (何だって? 違う違う、ラーカーだよ。)
フィービー: Oh. What's a lurker? (ああ。ラーカーって何?)
ロス: Okay, when you're playing a machine and it hasn't paid out, a lurker waits for you to give up and then-- (そうだな、人がマシンをプレイしていて[ゲームをやっていて]支払い[払い戻し]がない時、ラーカーはその人があきらめるのを待っていて、それから…)
フィービー: Kills you? (その人を殺すの?)
ロス: No. They swoop in and steal your jackpot. (違うよ。そいつらは急にやってきて、その人の大当たり(ジャックポット)を盗むのさ。)
ベガスのホテルのカジノで、自分が使っていたスロットマシンに後から座った女性が勝ってしまうのよ、とフィービーはロスにボヤいています。
それを聞いてロスは、その女性は one of those people だと思うね、と言っています。
bet は元々、「(金などを)(…に)賭ける」という意味で、I'll bet (you) that だと「(that 以下であることを)(君に)賭けてもいい」と何かを「断言」するニュアンスになります。
お金を賭けてもいいと思えるほど、that 以下であることを確信してるよ、that 以下であることについては自信があるよ、みたいな感じです。
one of those はこれまで何度も登場してきましたが、「よくあるそういうものの一つ」というニュアンスですね。
「よくいる、あの手の人だよ」と言っているロスに、フィービーは、驚いたように「モモモ、モー・ピーポー?」みたいに、どもるような感じで言っています。
mole という単語は、「ほくろ」、あるいは「モグラ」という意味があります。
その「モグラ」という意味から発展して、「スパイ」という意味もあります。
地下に潜って行動するイメージから来たのでしょうね。
フィービーはその「スパイ」の意味で使っているようです。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
mole : someone who works for an organization, especially a government, while secretly giving information to its enemy.
例) FBI moles were looking for evidence of fraud.
つまり、「組織、特に政府のために働き、その一方でその敵方に秘密裏に情報を与える人」。
例文は、「FBI のスパイたちは不正行為の証拠を探していた」。
驚いて「スパイなの?」というフィービーに、ロスは、彼女は lurker だと説明しています。
聞きなれない言葉なので一瞬「それって何?」と思った方も多いかもしれませんが、フィービーもその言葉を知らずに聞き返しているため、その後のロスの説明を聞けば意味がわかる仕組みになっています。
ネイティブでも当然、知らない言葉、わからない言葉はあるわけで、そういう言葉がある場合に、「それは何?」と聞けて、相手がそれをわかりやすく説明できれば、それできちんと内容は伝わるわけです。
ノンネイティブが英語を学ぶ場合にもそれは非常に大切なことですね。
相手がわからない言葉を使ったら聞き直す。自分が何かを説明する際に、それを示す一番適切な言葉を知らなくても、別の言葉で何とかそれを説明しようとする姿勢があれば、コミュニケーションは成り立つということです。
ロスの説明はわかりやすいですね。when you're playing... の you は、話し相手のフィービーを指しているのではなく、「一般の人々」を指しています。
「聞き手のフィービー(あなた)を含めた一般の人々」の感覚ですね。
もしこれがフィービーを指しているのだとすれば、フィービーのセリフは、Kills me? になるはずですが、それが you になっていることからも、この you はフィービーだけを指しているのではないことが確認できます。
when you're playing..., a lurker waits... 「人が…している時、ラーカーは〜する」のような形の説明は、その lurker がする典型的な行動を説明するのに非常にわかりやすい形になっています。辞書の語義説明にもありそうなパターンです。
こういう部分はノンネイティブの我々も大いに参考にすべきだと思います。
「日本語の○○を英語で言うとこうなる」というように、日本特有の事項を英単語として覚えている人も多いと思いますが、文化背景の違う外国人の方にとっては、直訳とされている単語や熟語だけではピンと来ないことも多いような気がします。
英語に訳す場合には確かにそう表現するけど、でもそれって何のこと?と相手に思わせてしまう気がするのですね。
その場合、もう少し言葉を加えて、かみ砕いて説明することが必要になりますし、その際には、今回のロスのような説明の仕方を覚えておくことが重要になってくると思います。
いざと言う時、何とか自分の語彙の範囲内で説明できる力があると思えることが、英語を話す際の大きな自信になるはずです。
ロスは、「誰かがマシンを使っていて当たりが出ない時、ラーカーはその人があきらめるのを待っていて、それから…」と説明しています。
フィービーは、ロスがその先を言う前に、「その人があきらめるのを待って、その人を殺すの?」と物騒なことを言っていますね。
まださっきの「スパイ」の連想が頭から離れないようです。
swoop は「(鳥が)(空からさっと)舞い降りる、急降下する、飛びかかる」「急襲する」。
「猛禽類が空から獲物を襲う」イメージの言葉で、そこから「急襲する」イメージも出てくるのですね。
swoop in は、過去記事、フレンズ3-11その17 にも出てきました。
jackpot は「(スロットマシン、ポーカーなどの)積み立て掛け金、たまった賞金」「(賭け事の)大当たり」。
hit the jackpot なら「大当たりをとる」。
LAAD では、
jackpot [noun] [countable] : a large amount of money that you can win in a game that is decided by chance
つまり、「運で決まるゲームで、勝ち取ることができる多額の金」。
hit the jackpot : to win a lot of money by gambling
つまり、「ギャンブルで多額の金を勝ち取る」。
lurker についてのロスの説明を聞いた後で、改めて、lurker という単語について見てみることにします。
lurk は「待ち伏せする、潜伏する」「こそこそ動く、歩き回る」という動詞。
LAAD では、
lurk : to wait somewhere quietly and secretly, usually because you are going to do something bad
around/in/beneath etc.
例) Witnesses said they saw a man lurking near the woman's home.
つまり、「どこかで静かにひそかに待つこと、たいていは何か悪いことをしようとしているという理由で」。
例文は、「目撃者は、ある男性がその女性の家の近くでこそこそしているのを見たと言った」。
lurker 、つまり、「lurk する人」というのは、「こそこそ動き回るやつ、潜伏するやつ」みたいなニュアンスですね。
lurk という単語は普通に使われる動詞のようなので、フィービーも、「lurk する人」という意味であることはわかったのでしょうが、それが具体的にどんな風にこそこそするのか、という部分がピンと来なかったのでしょう。
ロスの説明で lurker の具体的な行いがわかって、やっとその言葉の意味が納得できた、というところでしょうね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
シーズン5 第24話
The One in Vegas Part II (恋人たちのベガス PART 2 )
原題は「ベガスの話 パート2」
ベガスのホテルのカジノコーナーで話をしているロスとフィービー。
(The old lady at Phoebe's machine wins. Phoebe turns around in shock.)
フィービーの[フィービーが使っていた](スロット)マシンに座っている老婦人が勝つ。フィービーはショックな顔で振り向く。
フィービー: Ugh! (あー!)
ロス: What? (何?)
フィービー: That's like the third time that lady's won on a machine I was playing. (あれで3度目(くらい)なのよ、あの女性が私がプレイしてたマシンで勝つのは。)
ロス: Oooohhh, I'll bet she's one of those people. (ほぉー、彼女はあの手の人だと思うね。)
フィービー: M-M-Mole people? (ス、ス、スパイなの?)
ロス: What? No-no, a lurker. (何だって? 違う違う、ラーカーだよ。)
フィービー: Oh. What's a lurker? (ああ。ラーカーって何?)
ロス: Okay, when you're playing a machine and it hasn't paid out, a lurker waits for you to give up and then-- (そうだな、人がマシンをプレイしていて[ゲームをやっていて]支払い[払い戻し]がない時、ラーカーはその人があきらめるのを待っていて、それから…)
フィービー: Kills you? (その人を殺すの?)
ロス: No. They swoop in and steal your jackpot. (違うよ。そいつらは急にやってきて、その人の大当たり(ジャックポット)を盗むのさ。)
ベガスのホテルのカジノで、自分が使っていたスロットマシンに後から座った女性が勝ってしまうのよ、とフィービーはロスにボヤいています。
それを聞いてロスは、その女性は one of those people だと思うね、と言っています。
bet は元々、「(金などを)(…に)賭ける」という意味で、I'll bet (you) that だと「(that 以下であることを)(君に)賭けてもいい」と何かを「断言」するニュアンスになります。
お金を賭けてもいいと思えるほど、that 以下であることを確信してるよ、that 以下であることについては自信があるよ、みたいな感じです。
one of those はこれまで何度も登場してきましたが、「よくあるそういうものの一つ」というニュアンスですね。
「よくいる、あの手の人だよ」と言っているロスに、フィービーは、驚いたように「モモモ、モー・ピーポー?」みたいに、どもるような感じで言っています。
mole という単語は、「ほくろ」、あるいは「モグラ」という意味があります。
その「モグラ」という意味から発展して、「スパイ」という意味もあります。
地下に潜って行動するイメージから来たのでしょうね。
フィービーはその「スパイ」の意味で使っているようです。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
mole : someone who works for an organization, especially a government, while secretly giving information to its enemy.
例) FBI moles were looking for evidence of fraud.
つまり、「組織、特に政府のために働き、その一方でその敵方に秘密裏に情報を与える人」。
例文は、「FBI のスパイたちは不正行為の証拠を探していた」。
驚いて「スパイなの?」というフィービーに、ロスは、彼女は lurker だと説明しています。
聞きなれない言葉なので一瞬「それって何?」と思った方も多いかもしれませんが、フィービーもその言葉を知らずに聞き返しているため、その後のロスの説明を聞けば意味がわかる仕組みになっています。
ネイティブでも当然、知らない言葉、わからない言葉はあるわけで、そういう言葉がある場合に、「それは何?」と聞けて、相手がそれをわかりやすく説明できれば、それできちんと内容は伝わるわけです。
ノンネイティブが英語を学ぶ場合にもそれは非常に大切なことですね。
相手がわからない言葉を使ったら聞き直す。自分が何かを説明する際に、それを示す一番適切な言葉を知らなくても、別の言葉で何とかそれを説明しようとする姿勢があれば、コミュニケーションは成り立つということです。
ロスの説明はわかりやすいですね。when you're playing... の you は、話し相手のフィービーを指しているのではなく、「一般の人々」を指しています。
「聞き手のフィービー(あなた)を含めた一般の人々」の感覚ですね。
もしこれがフィービーを指しているのだとすれば、フィービーのセリフは、Kills me? になるはずですが、それが you になっていることからも、この you はフィービーだけを指しているのではないことが確認できます。
when you're playing..., a lurker waits... 「人が…している時、ラーカーは〜する」のような形の説明は、その lurker がする典型的な行動を説明するのに非常にわかりやすい形になっています。辞書の語義説明にもありそうなパターンです。
こういう部分はノンネイティブの我々も大いに参考にすべきだと思います。
「日本語の○○を英語で言うとこうなる」というように、日本特有の事項を英単語として覚えている人も多いと思いますが、文化背景の違う外国人の方にとっては、直訳とされている単語や熟語だけではピンと来ないことも多いような気がします。
英語に訳す場合には確かにそう表現するけど、でもそれって何のこと?と相手に思わせてしまう気がするのですね。
その場合、もう少し言葉を加えて、かみ砕いて説明することが必要になりますし、その際には、今回のロスのような説明の仕方を覚えておくことが重要になってくると思います。
いざと言う時、何とか自分の語彙の範囲内で説明できる力があると思えることが、英語を話す際の大きな自信になるはずです。
ロスは、「誰かがマシンを使っていて当たりが出ない時、ラーカーはその人があきらめるのを待っていて、それから…」と説明しています。
フィービーは、ロスがその先を言う前に、「その人があきらめるのを待って、その人を殺すの?」と物騒なことを言っていますね。
まださっきの「スパイ」の連想が頭から離れないようです。
swoop は「(鳥が)(空からさっと)舞い降りる、急降下する、飛びかかる」「急襲する」。
「猛禽類が空から獲物を襲う」イメージの言葉で、そこから「急襲する」イメージも出てくるのですね。
swoop in は、過去記事、フレンズ3-11その17 にも出てきました。
jackpot は「(スロットマシン、ポーカーなどの)積み立て掛け金、たまった賞金」「(賭け事の)大当たり」。
hit the jackpot なら「大当たりをとる」。
LAAD では、
jackpot [noun] [countable] : a large amount of money that you can win in a game that is decided by chance
つまり、「運で決まるゲームで、勝ち取ることができる多額の金」。
hit the jackpot : to win a lot of money by gambling
つまり、「ギャンブルで多額の金を勝ち取る」。
lurker についてのロスの説明を聞いた後で、改めて、lurker という単語について見てみることにします。
lurk は「待ち伏せする、潜伏する」「こそこそ動く、歩き回る」という動詞。
LAAD では、
lurk : to wait somewhere quietly and secretly, usually because you are going to do something bad
around/in/beneath etc.
例) Witnesses said they saw a man lurking near the woman's home.
つまり、「どこかで静かにひそかに待つこと、たいていは何か悪いことをしようとしているという理由で」。
例文は、「目撃者は、ある男性がその女性の家の近くでこそこそしているのを見たと言った」。
lurker 、つまり、「lurk する人」というのは、「こそこそ動き回るやつ、潜伏するやつ」みたいなニュアンスですね。
lurk という単語は普通に使われる動詞のようなので、フィービーも、「lurk する人」という意味であることはわかったのでしょうが、それが具体的にどんな風にこそこそするのか、という部分がピンと来なかったのでしょう。
ロスの説明で lurker の具体的な行いがわかって、やっとその言葉の意味が納得できた、というところでしょうね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2011年06月24日
背後から棒で殴る フレンズ5-23その6
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は3位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
[Scene: Chandler's hotel room, he's sitting there with Joey who's talking about his helmet and running his hand through that feathery thing at the top.]
チャンドラーのホテルの部屋。チャンドラーはそこでジョーイと座っている。ジョーイは自分の(グラディエイター用)ヘルメットについて語っていて、ヘルメットのてっぺんについているその羽のようなものを手でとかしている。
ジョーイ: Hey, y'know, in Roman times, this was more than just a hat. (なぁ、ほら、ローマ時代にはさ、これはただの帽子以上のものだったんだぜ。)
チャンドラー: Really? (ほんとに?)
ジョーイ: Yeah, sure, sure! They would uh, they would scrub the floors with it! They would use it to get the mud off their shoe. And sometimes would get dirty. So they would stick it right-- (ああ、そうさ、そうだよ! ローマ人はそれで床をゴシゴシ磨いてたもんだ! 彼らはそれを靴の泥を落とすのに使ったもんだ。それから時々、馬の下の部分が汚れるだろ、そしたら彼らはそれをそこに突っ込んで…)
チャンドラー: (interrupting in the nick of time) Joey, I uh! I can't believe this is how I'm spending my anniversary. ([間一髪でそれを遮って] ジョーイ、俺は、あぁ! 俺はこんな風に自分の記念日を過ごしてるってことが信じられないよ。)
ジョーイ: All right well, I'll take you someplace nice then. Look! A guy tipped me a hundred bucks today. (よーし、それなら、俺がお前をいいところに連れてってやる。見ろ! 今日、ある男が俺に 100ドルのチップをくれたんだ。)
チャンドラー: Whoa! (おぉ!)
ジョーイ: Yeah-yeah, he was playing blackjack for like an hour and he won $5,000. Can you believe that? $5,000! (そうなんだよ、彼は1時間くらいブラックジャックをしていて、5,000ドル勝ったんだ。そんなの信じられるか? 5,000ドルだぞ!)
チャンドラー: Y'know, if I won $5,000, I'd join a gym, y'know. Build up my upper body and hit Richard from behind with a stick! (Mimics it.) (なあ、もし俺が 5,000ドル勝ったとしたら、俺はジムに入会するね。上半身を鍛え上げて、リチャードを殴るんだ、背後から、棒で! [その動作をする(真似る)])
ジョーイ: Wait a minute! Why don't I just do what that guy did? I'll take this $100, turn it into $5,000! And then I'll turn that into enough money to get my movie going again! (ちょっと待て! 俺もただ、その男がやったことをしたらどうなんだ? この 100ドルを持って行って、それを 5,000ドルに変えるんだよ。それからそれを、俺の映画を再開させるのに十分な金に変えるんだ!)
チャンドラー: Good luck! (幸運を!)
ジョーイ: Chandler, I don't need luck. I have thought this through! (チャンドラー、俺には運は必要ないよ。このことはじっくり考え抜いたんだ。)
チャンドラー: I see. (そうだね。)
(Joey exits as Chandler shakes his head.)
ジョーイが出ていく時、チャンドラーは(だめだこりゃ、というように)首を横に振る。
ジョーイは、グラディエーターの衣装に含まれている、てっぺんに赤いフサフサがついたヘルメットを触りながら話をしています。
ト書きの running his hand through that feathery thing を直訳すると、「その羽のようなものを通って、自分の手を走らせている」ということですから、手櫛(てぐし)のように自分の指でその羽をとかしながら触っているような感覚ですね。
英辞郎にも、
run one's hand through one's untidy hair=乱れた髪を(片)手でとかす
という例が載っています。
ジョーイは、ローマ時代はこれはただの帽子じゃなかったんだ、と言っています。
more than just a hat は「ただの・単なる帽子以上である」という感覚ですね。
ジョーイは、ローマ時代にローマ人たちがしていたと思われることを、would を使って話しています。
would は「過去の習慣、反復行動・動作についての回想」を表すものですね。
「…したものだ、…したものだった」と訳されることが多いです。
ここでも、彼らはこの帽子を使って、こんなこと、あんなことしたもんだった、と回想風に語っているわけです。
ジョーイは頭の上のブラシみたいなのは、床を磨いたり、靴の泥を落としたりするのに使ってたんだ、と説明しています。
「したもんだった」と言っているけれども、それはあくまでもジョーイの想像の産物に過ぎないことは内容からも明らかなわけですが(笑)、ブラシみたいなのはダテじゃない、ちゃんとブラシとしても使っていたんだよ、と、もっともらしい(?)説明をしているのですね。
そして時には…と話を続けていますが、underneath the horse は「馬の下の部分」のエリアですね。
stick は「刺す、突き刺す」「差し込む、突っ込む」なので、馬の下部分が汚れたら、そのブラシ状のものをそこに差し込む…と言いかけていることになります。
汚れる、という表現から、下部分は股下を指していることが想像されますので、汚い話になりそうだと思ったチャンドラーは慌ててジョーイの発言を止めたわけですね。
まさにト書きにあるように、interrupting in the nick of time 「間一髪でそれを遮った」わけです。「それ以上は聞きたくない」という気持ちです。
I can't believe this is how I'm spending my anniversary. を直訳すると、「俺が自分の記念日をどんな風に過ごしているか、がこれ[こんな風]だなんて信じられないよ」みたいな感じになるでしょう。
I can't believe I'm spending my anniversary like this. 「こんな風に記念日を過ごしているなんて信じられない」と同じようなニュアンスですが、「これ、この今の状態が、記念日を過ごしている様子であることが信じられない」のような言い方をすることで、余計にその「本来、記念日を過ごしているであろう理想の形」と「今の悲惨な状態」とのギャップがはっきり出るような気がします。
恋人とラブラブで記念日を過ごしているはずが、どうして馬の下半身の掃除の話を聞かされるはめになるんだよ、みたいなことですね。
落ち込んでいるチャンドラーに、ジョーイは「俺がいいところに連れてってやる」と言います。
ある男が 100ドルのチップをくれたんだけど、そいつは1時間で 5,000ドルも稼いだんた、と言っていますね。
カジノで儲けた人の話を聞いて、チャンドラーは、if I won $5,000, I'd join a gym と言っています。
これは典型的な仮定法過去ですね。
5,000ドルも勝てるわけはないけど、もしそれだけ勝てたとしたら、俺ならこうするだろう、と言っていることになります。
その後に続く、Build up... and hit Richard... もすべて、I would に続く部分ですね。
ジムに入会して、上半身を鍛えて、リチャードを殴る…みたいなことを言っているわけですが、その後に続く言葉がチャンドラーらしくて面白いです。
from behind は「後ろから、背後から」で、with a stick は「棒で」ですね。
つまり、稼いだ金でジムに入って、体を鍛えてリチャードをやっつけてやるんだ!と、腕力で彼を負かしてやるかのように言っているのかと思ったら、正々堂々と戦うのではなくて、背後からの不意打ち、しかも棒(凶器)で殴る・叩く、という、非常に卑怯で姑息な方法でリチャードをやっつけようとしている、というオチです。
そう説明した後、その様子を再現して、「えいっ! このっ、このっ!」みたいに、スティックを持った手を伸ばして、リチャードを叩く真似をする姿にも笑えます。
今回のエピソードのセリフでは、私はこの、from behind with a stick という最後のオチが一番面白くて、DVDを見ながら声に出して笑ってしまいました。
背後から凶器を持って襲うなら、別にジムで上半身を鍛えなくてもいいじゃん、何のために上半身を鍛えたの?みたいな面白さですね。
過去記事、オチは最後に持ってくる フレンズ3-8その26 でも説明しましたが、英語のニュアンスと同じように日本語訳もオチを最後に持ってこようとすると、「リチャードを殴るんだ、背後から、棒でね」のような倒置の形にならざるを得ないため、ちょっとわざとらしいセリフになってしまいます。
英語ではこのように「背後から」「棒で」という副詞句が最後に来るのが普通なのでわざとらしい感じがない、自然なジョークになるわけですね。
ジョーイは突然、「5,000ドル稼いだ男と同じことを俺もすればいいんじゃないか?」みたいなことを言い出します。
100ドルを 5,000ドルにして、それをもっと大金、つまり、資金不足で中止になっている自分の主演映画を再開させるために十分なお金に変えることができるじゃないか、みたいな考えです。
その自分の考えに大いに納得した様子のジョーイは、チャンドラーの肩をポンと叩いてさっそくカジノに向かおうとします。
そのジョーイに、Good luck! 「グッドラック、幸運を!」とチャンドラーは声をかけるのですが、ジョーイは「俺には幸運なんて必要ない」と強気な発言をしています。
I have thought this through! の think through は「考え抜く、じっくり考える」。
現在完了形が使われていますので、「それを思いついてから今に至るまでじっくり考え抜いてきた(から大丈夫さ)」というニュアンスになると思います。
ついさっき、思いつきで言ったばかりなのに、ある程度の期間、熟慮熟考したかのように言っている面白さもあるでしょうね。
チャンドラーは、運が良ければカジノで儲かることもあるだろう、という気持ちで Good luck! と声をかけたのですが、ジョーイは、論理的に考えて出した結論だから、うまく行かないはずがないと信じ切っているのですね。
ギャンブルには当たりもあればはずれもある、という大前提をジョーイはすっかり忘れているようです。
お金をかければ必ずもうかって大金が手に入ると思いこんでいるジョーイを見て、チャンドラーもあきれたように首を横に振るしかありませんね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
[Scene: Chandler's hotel room, he's sitting there with Joey who's talking about his helmet and running his hand through that feathery thing at the top.]
チャンドラーのホテルの部屋。チャンドラーはそこでジョーイと座っている。ジョーイは自分の(グラディエイター用)ヘルメットについて語っていて、ヘルメットのてっぺんについているその羽のようなものを手でとかしている。
ジョーイ: Hey, y'know, in Roman times, this was more than just a hat. (なぁ、ほら、ローマ時代にはさ、これはただの帽子以上のものだったんだぜ。)
チャンドラー: Really? (ほんとに?)
ジョーイ: Yeah, sure, sure! They would uh, they would scrub the floors with it! They would use it to get the mud off their shoe. And sometimes would get dirty. So they would stick it right-- (ああ、そうさ、そうだよ! ローマ人はそれで床をゴシゴシ磨いてたもんだ! 彼らはそれを靴の泥を落とすのに使ったもんだ。それから時々、馬の下の部分が汚れるだろ、そしたら彼らはそれをそこに突っ込んで…)
チャンドラー: (interrupting in the nick of time) Joey, I uh! I can't believe this is how I'm spending my anniversary. ([間一髪でそれを遮って] ジョーイ、俺は、あぁ! 俺はこんな風に自分の記念日を過ごしてるってことが信じられないよ。)
ジョーイ: All right well, I'll take you someplace nice then. Look! A guy tipped me a hundred bucks today. (よーし、それなら、俺がお前をいいところに連れてってやる。見ろ! 今日、ある男が俺に 100ドルのチップをくれたんだ。)
チャンドラー: Whoa! (おぉ!)
ジョーイ: Yeah-yeah, he was playing blackjack for like an hour and he won $5,000. Can you believe that? $5,000! (そうなんだよ、彼は1時間くらいブラックジャックをしていて、5,000ドル勝ったんだ。そんなの信じられるか? 5,000ドルだぞ!)
チャンドラー: Y'know, if I won $5,000, I'd join a gym, y'know. Build up my upper body and hit Richard from behind with a stick! (Mimics it.) (なあ、もし俺が 5,000ドル勝ったとしたら、俺はジムに入会するね。上半身を鍛え上げて、リチャードを殴るんだ、背後から、棒で! [その動作をする(真似る)])
ジョーイ: Wait a minute! Why don't I just do what that guy did? I'll take this $100, turn it into $5,000! And then I'll turn that into enough money to get my movie going again! (ちょっと待て! 俺もただ、その男がやったことをしたらどうなんだ? この 100ドルを持って行って、それを 5,000ドルに変えるんだよ。それからそれを、俺の映画を再開させるのに十分な金に変えるんだ!)
チャンドラー: Good luck! (幸運を!)
ジョーイ: Chandler, I don't need luck. I have thought this through! (チャンドラー、俺には運は必要ないよ。このことはじっくり考え抜いたんだ。)
チャンドラー: I see. (そうだね。)
(Joey exits as Chandler shakes his head.)
ジョーイが出ていく時、チャンドラーは(だめだこりゃ、というように)首を横に振る。
ジョーイは、グラディエーターの衣装に含まれている、てっぺんに赤いフサフサがついたヘルメットを触りながら話をしています。
ト書きの running his hand through that feathery thing を直訳すると、「その羽のようなものを通って、自分の手を走らせている」ということですから、手櫛(てぐし)のように自分の指でその羽をとかしながら触っているような感覚ですね。
英辞郎にも、
run one's hand through one's untidy hair=乱れた髪を(片)手でとかす
という例が載っています。
ジョーイは、ローマ時代はこれはただの帽子じゃなかったんだ、と言っています。
more than just a hat は「ただの・単なる帽子以上である」という感覚ですね。
ジョーイは、ローマ時代にローマ人たちがしていたと思われることを、would を使って話しています。
would は「過去の習慣、反復行動・動作についての回想」を表すものですね。
「…したものだ、…したものだった」と訳されることが多いです。
ここでも、彼らはこの帽子を使って、こんなこと、あんなことしたもんだった、と回想風に語っているわけです。
ジョーイは頭の上のブラシみたいなのは、床を磨いたり、靴の泥を落としたりするのに使ってたんだ、と説明しています。
「したもんだった」と言っているけれども、それはあくまでもジョーイの想像の産物に過ぎないことは内容からも明らかなわけですが(笑)、ブラシみたいなのはダテじゃない、ちゃんとブラシとしても使っていたんだよ、と、もっともらしい(?)説明をしているのですね。
そして時には…と話を続けていますが、underneath the horse は「馬の下の部分」のエリアですね。
stick は「刺す、突き刺す」「差し込む、突っ込む」なので、馬の下部分が汚れたら、そのブラシ状のものをそこに差し込む…と言いかけていることになります。
汚れる、という表現から、下部分は股下を指していることが想像されますので、汚い話になりそうだと思ったチャンドラーは慌ててジョーイの発言を止めたわけですね。
まさにト書きにあるように、interrupting in the nick of time 「間一髪でそれを遮った」わけです。「それ以上は聞きたくない」という気持ちです。
I can't believe this is how I'm spending my anniversary. を直訳すると、「俺が自分の記念日をどんな風に過ごしているか、がこれ[こんな風]だなんて信じられないよ」みたいな感じになるでしょう。
I can't believe I'm spending my anniversary like this. 「こんな風に記念日を過ごしているなんて信じられない」と同じようなニュアンスですが、「これ、この今の状態が、記念日を過ごしている様子であることが信じられない」のような言い方をすることで、余計にその「本来、記念日を過ごしているであろう理想の形」と「今の悲惨な状態」とのギャップがはっきり出るような気がします。
恋人とラブラブで記念日を過ごしているはずが、どうして馬の下半身の掃除の話を聞かされるはめになるんだよ、みたいなことですね。
落ち込んでいるチャンドラーに、ジョーイは「俺がいいところに連れてってやる」と言います。
ある男が 100ドルのチップをくれたんだけど、そいつは1時間で 5,000ドルも稼いだんた、と言っていますね。
カジノで儲けた人の話を聞いて、チャンドラーは、if I won $5,000, I'd join a gym と言っています。
これは典型的な仮定法過去ですね。
5,000ドルも勝てるわけはないけど、もしそれだけ勝てたとしたら、俺ならこうするだろう、と言っていることになります。
その後に続く、Build up... and hit Richard... もすべて、I would に続く部分ですね。
ジムに入会して、上半身を鍛えて、リチャードを殴る…みたいなことを言っているわけですが、その後に続く言葉がチャンドラーらしくて面白いです。
from behind は「後ろから、背後から」で、with a stick は「棒で」ですね。
つまり、稼いだ金でジムに入って、体を鍛えてリチャードをやっつけてやるんだ!と、腕力で彼を負かしてやるかのように言っているのかと思ったら、正々堂々と戦うのではなくて、背後からの不意打ち、しかも棒(凶器)で殴る・叩く、という、非常に卑怯で姑息な方法でリチャードをやっつけようとしている、というオチです。
そう説明した後、その様子を再現して、「えいっ! このっ、このっ!」みたいに、スティックを持った手を伸ばして、リチャードを叩く真似をする姿にも笑えます。
今回のエピソードのセリフでは、私はこの、from behind with a stick という最後のオチが一番面白くて、DVDを見ながら声に出して笑ってしまいました。
背後から凶器を持って襲うなら、別にジムで上半身を鍛えなくてもいいじゃん、何のために上半身を鍛えたの?みたいな面白さですね。
過去記事、オチは最後に持ってくる フレンズ3-8その26 でも説明しましたが、英語のニュアンスと同じように日本語訳もオチを最後に持ってこようとすると、「リチャードを殴るんだ、背後から、棒でね」のような倒置の形にならざるを得ないため、ちょっとわざとらしいセリフになってしまいます。
英語ではこのように「背後から」「棒で」という副詞句が最後に来るのが普通なのでわざとらしい感じがない、自然なジョークになるわけですね。
ジョーイは突然、「5,000ドル稼いだ男と同じことを俺もすればいいんじゃないか?」みたいなことを言い出します。
100ドルを 5,000ドルにして、それをもっと大金、つまり、資金不足で中止になっている自分の主演映画を再開させるために十分なお金に変えることができるじゃないか、みたいな考えです。
その自分の考えに大いに納得した様子のジョーイは、チャンドラーの肩をポンと叩いてさっそくカジノに向かおうとします。
そのジョーイに、Good luck! 「グッドラック、幸運を!」とチャンドラーは声をかけるのですが、ジョーイは「俺には幸運なんて必要ない」と強気な発言をしています。
I have thought this through! の think through は「考え抜く、じっくり考える」。
現在完了形が使われていますので、「それを思いついてから今に至るまでじっくり考え抜いてきた(から大丈夫さ)」というニュアンスになると思います。
ついさっき、思いつきで言ったばかりなのに、ある程度の期間、熟慮熟考したかのように言っている面白さもあるでしょうね。
チャンドラーは、運が良ければカジノで儲かることもあるだろう、という気持ちで Good luck! と声をかけたのですが、ジョーイは、論理的に考えて出した結論だから、うまく行かないはずがないと信じ切っているのですね。
ギャンブルには当たりもあればはずれもある、という大前提をジョーイはすっかり忘れているようです。
お金をかければ必ずもうかって大金が手に入ると思いこんでいるジョーイを見て、チャンドラーもあきれたように首を横に振るしかありませんね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2011年06月22日
あなたが指図することはできない フレンズ5-23その5
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は2位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
ラスベガスのホテルで、ジョーイと再会したチャンドラーたち。
ジョーイは映画が中止になったことを黙っていて悪かったとチャンドラーに謝り、二人は仲直りするのですが、チャンドラーとモニカが喧嘩中のようなので、ジョーイはフィービーに質問しています。
ジョーイ: Yeah, what-what's going on? (あぁ、何が起こってるの?)
フィービー: Monica had lunch with Richard. (モニカはリチャードと食事したのよ。)
ジョーイ: Dawson? ((リチャードって)ドーソン?)
フィービー: Noo! But that would've been so cool! (違うわ! でもそうだったらすごくクールだったのにね!)
チャンドラー: No! Her boyfriend Richard! (違うよ。モニカの恋人のリチャードだよ。)
モニカ: It meant nothing! Okay? After all this time, how can you not trust me? (何の意味もないわ、いい? こんな時間をずっと過ごしてきた後で、どうして私のことを信頼できないの?)
チャンドラー: When you go lunching with hunky mustache men and don't tell me about it! (たくましいヒゲの男と一緒にランチに行って、それを俺に話さない時にはね!(信じられるわけないよ))
モニカ: You're right. I'm sorry. I should've told you. (あなたが正しいわ。ごめんなさい。あなたに言うべきだったのに。)
チャンドラー: Thanks. (They hug.) (ありがと。[二人はハグする])
ジョーイ: Aww, there we go. (あー、いいぞ。)
フィービー: Now I love Vegas. (今は、ベガスが大好き。)
モニカ: I promise you next time I absolutely will tell you. (あなたに約束するわ、この次は絶対にあなたに言うって。)
チャンドラー: (pushing her away from another hug) "Next time"? ([もう一回ハグしようとするモニカを押しのけて] 「この次」だって?)
ジョーイ: Ooh, so close. (あー、すごく惜しかった。)
チャンドラー: There's not gonna be a next time! You cannot see him ever again! (この次なんてないだろう! モニカはリチャードに二度と会っちゃいけないんだ!)
モニカ: I cannot see him? I mean, you can't tell me what to do! (私がリチャードに会っちゃいけないですって? 私が何をすべきかをあなたが言う[指図する]ことなんてできないわ!)
チャンドラー: That's so funny, because I think I just did! (そりゃものすごくおかしいね、だって俺はたった今、(そういうことを)言ったと思うけど。)
フィービーはジョーイに、「モニカがリチャードと食事したの」と説明しています。
それを聞いてジョーイは驚いたように、Dawson? と言っていますね。
モニカがリチャードと言えば、元カレのリチャードに決まっているというのに、フィービーに続いてジョーイまでもが、モニカと縁もゆかりもない(笑)別人のリチャードの名前を挙げている、という面白さです。
フィービーは、リチャード・シモンズの名前を出していましたが、ジョーイはまたそれとは違うリチャード・ドーソンを出してくるところにちょっとした「ひねり」みたいなものも感じます。
同じシモンズだとジョークとしてはありきたりになってしまいますものね。
とにかく、元カレのリチャードではなくて、別人の名前を出してきたというジョーイのオトボケ具合が楽しめればそれで十分ジョークとして笑えるわけですが、やはり一応(笑)、どんな人かだけ確認しておきましょう。
リチャード・ドーソンについては、詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Richard Dawson
ウィキペディアの説明にあるように、彼は「俳優、コメディアン、クイズ番組の解答者、司会者」だそうです。
そのウィキペディアに、クイズ番組の Family Feud の写真が載っていて、his greatest professional success とありますので、彼の名前を聞くと、やはりそのクイズ番組の司会者のイメージが浮かぶ人が多いということなのでしょうね。
フィービーは、「リチャード・ドーソンじゃないわ」と否定しながらも、that would've been so cool とも言っています。
もし、そうだったら、モニカがリチャード・ドーソンと食事したんだったら、クールだったのにねぇ、みたいなことですね。
自分はリチャード・シモンズを想像しちゃったけど、そのドーソンっていう案もなかなかイケるわね、みたいな感じでしょう。
チャンドラーは怒ったように「モニカの恋人のリチャードだよ」と説明していますが、ex-boyfriend 「元恋人、元カレ」のように、ex- 「元の」という言葉をつけていませんね。
チャンドラーも、「かつて付き合っていた元カレ」みたいに、完全に過去の人物として捉えているなら、ここまで怒らなかったのでしょう。
会って食事に行ったなんて、まだお互い気があるんじゃないか?と疑っている気持ちがあるために、まるで「今の恋人、今の思い人」であるかのように、わざと ex- をつけない boyfriend と言ったのかなという気がします。
mean nothing は「何も意味しない、何の意味もない」。
ばったり会って食事に行っただけのことで、そこには何の意味もないわ、ただ食事しただけよ、と言っているのですね。
After all this time, how can you not trust me? について。
this time 「この時間」は、チャンドラーとモニカが恋人として過ごしてきた時間を指しているでしょう。
二人がこういう時間をずっと過ごしてきたその後で、つまり、恋人としての時間を私たちは1年過ごしてきたのに、どうして私のことを信頼、信用できないの?みたいな感覚です。
why ではなくて、how なので、理由を尋ねているというよりは、「”私を信頼しない”ということがどのようにして可能なの?」と言っている感じになります。
一緒に長い時間を過ごしてきたのに、まだ私のことを信頼できないなんて、そんなことありえないわ!という気持ちですね。
それに対してチャンドラーは、When を使って答えています。
これは、I cannot trust you when you go lunching... and you don't tell me... ということですね。
「…とランチに行ってそのことを俺に話さない時には、俺は君を信じることができないよ」みたいなことです。
どうして信じてくれないの?ってモニカは言うけど、そういうことをして俺にそのことを話さないで秘密にしてたんだから、信じろって言う方が無理だろう、信じられないと思って当然だろう、という気持ちですね。
そのランチに行った相手はリチャードなわけですが、チャンドラーはリチャードの名前は出さず、あえて、hunky mustache men と表現しています。
hunky は「(男性が)がっちりしてたくましい」、hunk は「がっちりした男、魅力的な男」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hunky : a man who is hunky is sexually attractive and strong-looking
つまり、「hunky な男性は、性的に魅力的で、強そうに見える」。
hunk : (informal) a sexually attractive man with a big strong body
つまり、「大きな強い体を持った、性的に魅力的な男性」。
men と複数形になっているのは、一般論として語っている感覚だと思います。
リチャードだけに限らず、「男性として魅力のあるかっこいい男」と食事してそれを黙ってたら、何かあると思うのが普通だろ、とチャンドラーは言いたいわけでしょう。
恋人のチャンドラーとしては、魅力のない男と食事したとかならまだしも、男性として魅力的な(しかも元カレの)リチャードとそんなことがあったと聞いたら、何か勘ぐってしまいたくなるのはしょうがないというところなのでしょうね。
チャンドラーが hunky mustache men と表現したことで、焼きもちを焼いているのがわかったのでしょう、モニカは素直に謝り、「あなたに話しておくべきだったわ」と言っています。
二人が仲直りし、ハグする様子を見て、ジョーイもフィービーも嬉しそう。
Now I love Vegas. と言っているのは、フィービーが今回の旅行中、自分だけ留守番だったロンドン旅行と今回のベガス旅行とを点数化して比較している流れからのセリフです。
フィービーとしては、自分も参加しているベガス旅行に軍配を上げたいのですが、飛行機の中でリチャードの件で二人が喧嘩を始めたため、ベガス旅行の評価が下がっていた、それがこの仲直りで「やっぱり今はベガスが一番ね、ベガスが大好きよ」と言えるようになったわけです。
モニカはチャンドラーに、「この次は必ずあなたに言うから」と言うのですが、チャンドラーはその言葉に引っかかったようで、さらにハグしようとするモニカを押し戻しています。
チャンドラー自身が繰り返しているように、next time という言葉が問題なわけですね。
次回、つまり、今度リチャードと食事する時は必ずあなたに事前に言うから、ということで、それはつまり、「また今度会うつもりがある」と言っていることになります。
チャンドラーが怒っているのが明らかなので、ジョーイは、so close と言っていますね。
close は「近い、接近した」なので、「(正解や目標に)近い、惜しい」という感覚になります。
もうちょっとで完全に仲直りできたところだったのに、その一言のせいでまた逆戻りしちゃったね、すごく惜しいところだったね、みたいなことです。
チャンドラーは怒って、「next time なんてないんだ、彼には二度と会っちゃいけない、会っちゃだめだ」と言っています。
You cannot と言われたことにカチンときたモニカは、I cannot...? 「私が…しちゃいけないですって?」みたいに返します。
その後、さらにそれを補足説明する形で、I mean を使って、you can't tell me what to do! と言っています。
tell someone what to do を直訳すると、「すべきことを人に言う」ということですから、「人に…すべきだと言う、…しろと言う、すべきことを指図する」という感覚になります。
モニカは、自分の行動に対して、You cannot と言われたことに腹を立て、自分の行動は自分で決めるわ、あなたに、ああしろとか、こうしろとか、もしくはこんなことはするなとかを指図されたくないわ、と言っているわけです。
あなたが you cannot と決めつけるんだったら、私の方こそ言わせてもらうわ、あなたには私の行動を指図することはできない、そんな権利はないんだからと、同じように you can't を使って返しているわけですね。
それを聞いたチャンドラーは、そりゃおかしいや、みたいに言った後、because I think I just did と言っています。
did はその前の文の tell 以下を指していて、つまりチャンドラーは、I think I just told you what to do. と言っていることになるでしょう。
モニカが、you can't tell me what to do と言ったのを受けて、モニカは俺が「言えない、言うことができない」って言うけど、現にさっき、俺は、You cannot see him ever again! って口に出して言ったよ、現に言えたよ、だから、言えないってことはない、俺はさっきそれを言ったばかりなんだからさ、みたいに言っていることになるでしょう。
このセリフを文字通りに解釈すれば、物理的に音声としてそういう言葉を発することができるし、実際そういうこと(モニカはリチャードに会っちゃいけないという、命令や指図のようなこと)をついさっき言ったわけだしね、という意味になるでしょう。
さらには、そのセリフに隠された本音としては、恋人としてそれくらいのことを言う権利はあるはずだ、元カレとはもう二度と会うなと言ってもいいはずだ、という気持ちも含まれている気がします。
「言えないなんてことないよ、実際、さっき言ったわけだし」と冗談のように茶化しながらも、モニカに対して「俺がこんなに怒ってるのにまた会うつもりなのか?」と非難したい気持ちも込められているのだろうと思いました。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
ラスベガスのホテルで、ジョーイと再会したチャンドラーたち。
ジョーイは映画が中止になったことを黙っていて悪かったとチャンドラーに謝り、二人は仲直りするのですが、チャンドラーとモニカが喧嘩中のようなので、ジョーイはフィービーに質問しています。
ジョーイ: Yeah, what-what's going on? (あぁ、何が起こってるの?)
フィービー: Monica had lunch with Richard. (モニカはリチャードと食事したのよ。)
ジョーイ: Dawson? ((リチャードって)ドーソン?)
フィービー: Noo! But that would've been so cool! (違うわ! でもそうだったらすごくクールだったのにね!)
チャンドラー: No! Her boyfriend Richard! (違うよ。モニカの恋人のリチャードだよ。)
モニカ: It meant nothing! Okay? After all this time, how can you not trust me? (何の意味もないわ、いい? こんな時間をずっと過ごしてきた後で、どうして私のことを信頼できないの?)
チャンドラー: When you go lunching with hunky mustache men and don't tell me about it! (たくましいヒゲの男と一緒にランチに行って、それを俺に話さない時にはね!(信じられるわけないよ))
モニカ: You're right. I'm sorry. I should've told you. (あなたが正しいわ。ごめんなさい。あなたに言うべきだったのに。)
チャンドラー: Thanks. (They hug.) (ありがと。[二人はハグする])
ジョーイ: Aww, there we go. (あー、いいぞ。)
フィービー: Now I love Vegas. (今は、ベガスが大好き。)
モニカ: I promise you next time I absolutely will tell you. (あなたに約束するわ、この次は絶対にあなたに言うって。)
チャンドラー: (pushing her away from another hug) "Next time"? ([もう一回ハグしようとするモニカを押しのけて] 「この次」だって?)
ジョーイ: Ooh, so close. (あー、すごく惜しかった。)
チャンドラー: There's not gonna be a next time! You cannot see him ever again! (この次なんてないだろう! モニカはリチャードに二度と会っちゃいけないんだ!)
モニカ: I cannot see him? I mean, you can't tell me what to do! (私がリチャードに会っちゃいけないですって? 私が何をすべきかをあなたが言う[指図する]ことなんてできないわ!)
チャンドラー: That's so funny, because I think I just did! (そりゃものすごくおかしいね、だって俺はたった今、(そういうことを)言ったと思うけど。)
フィービーはジョーイに、「モニカがリチャードと食事したの」と説明しています。
それを聞いてジョーイは驚いたように、Dawson? と言っていますね。
モニカがリチャードと言えば、元カレのリチャードに決まっているというのに、フィービーに続いてジョーイまでもが、モニカと縁もゆかりもない(笑)別人のリチャードの名前を挙げている、という面白さです。
フィービーは、リチャード・シモンズの名前を出していましたが、ジョーイはまたそれとは違うリチャード・ドーソンを出してくるところにちょっとした「ひねり」みたいなものも感じます。
同じシモンズだとジョークとしてはありきたりになってしまいますものね。
とにかく、元カレのリチャードではなくて、別人の名前を出してきたというジョーイのオトボケ具合が楽しめればそれで十分ジョークとして笑えるわけですが、やはり一応(笑)、どんな人かだけ確認しておきましょう。
リチャード・ドーソンについては、詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Richard Dawson
ウィキペディアの説明にあるように、彼は「俳優、コメディアン、クイズ番組の解答者、司会者」だそうです。
そのウィキペディアに、クイズ番組の Family Feud の写真が載っていて、his greatest professional success とありますので、彼の名前を聞くと、やはりそのクイズ番組の司会者のイメージが浮かぶ人が多いということなのでしょうね。
フィービーは、「リチャード・ドーソンじゃないわ」と否定しながらも、that would've been so cool とも言っています。
もし、そうだったら、モニカがリチャード・ドーソンと食事したんだったら、クールだったのにねぇ、みたいなことですね。
自分はリチャード・シモンズを想像しちゃったけど、そのドーソンっていう案もなかなかイケるわね、みたいな感じでしょう。
チャンドラーは怒ったように「モニカの恋人のリチャードだよ」と説明していますが、ex-boyfriend 「元恋人、元カレ」のように、ex- 「元の」という言葉をつけていませんね。
チャンドラーも、「かつて付き合っていた元カレ」みたいに、完全に過去の人物として捉えているなら、ここまで怒らなかったのでしょう。
会って食事に行ったなんて、まだお互い気があるんじゃないか?と疑っている気持ちがあるために、まるで「今の恋人、今の思い人」であるかのように、わざと ex- をつけない boyfriend と言ったのかなという気がします。
mean nothing は「何も意味しない、何の意味もない」。
ばったり会って食事に行っただけのことで、そこには何の意味もないわ、ただ食事しただけよ、と言っているのですね。
After all this time, how can you not trust me? について。
this time 「この時間」は、チャンドラーとモニカが恋人として過ごしてきた時間を指しているでしょう。
二人がこういう時間をずっと過ごしてきたその後で、つまり、恋人としての時間を私たちは1年過ごしてきたのに、どうして私のことを信頼、信用できないの?みたいな感覚です。
why ではなくて、how なので、理由を尋ねているというよりは、「”私を信頼しない”ということがどのようにして可能なの?」と言っている感じになります。
一緒に長い時間を過ごしてきたのに、まだ私のことを信頼できないなんて、そんなことありえないわ!という気持ちですね。
それに対してチャンドラーは、When を使って答えています。
これは、I cannot trust you when you go lunching... and you don't tell me... ということですね。
「…とランチに行ってそのことを俺に話さない時には、俺は君を信じることができないよ」みたいなことです。
どうして信じてくれないの?ってモニカは言うけど、そういうことをして俺にそのことを話さないで秘密にしてたんだから、信じろって言う方が無理だろう、信じられないと思って当然だろう、という気持ちですね。
そのランチに行った相手はリチャードなわけですが、チャンドラーはリチャードの名前は出さず、あえて、hunky mustache men と表現しています。
hunky は「(男性が)がっちりしてたくましい」、hunk は「がっちりした男、魅力的な男」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hunky : a man who is hunky is sexually attractive and strong-looking
つまり、「hunky な男性は、性的に魅力的で、強そうに見える」。
hunk : (informal) a sexually attractive man with a big strong body
つまり、「大きな強い体を持った、性的に魅力的な男性」。
men と複数形になっているのは、一般論として語っている感覚だと思います。
リチャードだけに限らず、「男性として魅力のあるかっこいい男」と食事してそれを黙ってたら、何かあると思うのが普通だろ、とチャンドラーは言いたいわけでしょう。
恋人のチャンドラーとしては、魅力のない男と食事したとかならまだしも、男性として魅力的な(しかも元カレの)リチャードとそんなことがあったと聞いたら、何か勘ぐってしまいたくなるのはしょうがないというところなのでしょうね。
チャンドラーが hunky mustache men と表現したことで、焼きもちを焼いているのがわかったのでしょう、モニカは素直に謝り、「あなたに話しておくべきだったわ」と言っています。
二人が仲直りし、ハグする様子を見て、ジョーイもフィービーも嬉しそう。
Now I love Vegas. と言っているのは、フィービーが今回の旅行中、自分だけ留守番だったロンドン旅行と今回のベガス旅行とを点数化して比較している流れからのセリフです。
フィービーとしては、自分も参加しているベガス旅行に軍配を上げたいのですが、飛行機の中でリチャードの件で二人が喧嘩を始めたため、ベガス旅行の評価が下がっていた、それがこの仲直りで「やっぱり今はベガスが一番ね、ベガスが大好きよ」と言えるようになったわけです。
モニカはチャンドラーに、「この次は必ずあなたに言うから」と言うのですが、チャンドラーはその言葉に引っかかったようで、さらにハグしようとするモニカを押し戻しています。
チャンドラー自身が繰り返しているように、next time という言葉が問題なわけですね。
次回、つまり、今度リチャードと食事する時は必ずあなたに事前に言うから、ということで、それはつまり、「また今度会うつもりがある」と言っていることになります。
チャンドラーが怒っているのが明らかなので、ジョーイは、so close と言っていますね。
close は「近い、接近した」なので、「(正解や目標に)近い、惜しい」という感覚になります。
もうちょっとで完全に仲直りできたところだったのに、その一言のせいでまた逆戻りしちゃったね、すごく惜しいところだったね、みたいなことです。
チャンドラーは怒って、「next time なんてないんだ、彼には二度と会っちゃいけない、会っちゃだめだ」と言っています。
You cannot と言われたことにカチンときたモニカは、I cannot...? 「私が…しちゃいけないですって?」みたいに返します。
その後、さらにそれを補足説明する形で、I mean を使って、you can't tell me what to do! と言っています。
tell someone what to do を直訳すると、「すべきことを人に言う」ということですから、「人に…すべきだと言う、…しろと言う、すべきことを指図する」という感覚になります。
モニカは、自分の行動に対して、You cannot と言われたことに腹を立て、自分の行動は自分で決めるわ、あなたに、ああしろとか、こうしろとか、もしくはこんなことはするなとかを指図されたくないわ、と言っているわけです。
あなたが you cannot と決めつけるんだったら、私の方こそ言わせてもらうわ、あなたには私の行動を指図することはできない、そんな権利はないんだからと、同じように you can't を使って返しているわけですね。
それを聞いたチャンドラーは、そりゃおかしいや、みたいに言った後、because I think I just did と言っています。
did はその前の文の tell 以下を指していて、つまりチャンドラーは、I think I just told you what to do. と言っていることになるでしょう。
モニカが、you can't tell me what to do と言ったのを受けて、モニカは俺が「言えない、言うことができない」って言うけど、現にさっき、俺は、You cannot see him ever again! って口に出して言ったよ、現に言えたよ、だから、言えないってことはない、俺はさっきそれを言ったばかりなんだからさ、みたいに言っていることになるでしょう。
このセリフを文字通りに解釈すれば、物理的に音声としてそういう言葉を発することができるし、実際そういうこと(モニカはリチャードに会っちゃいけないという、命令や指図のようなこと)をついさっき言ったわけだしね、という意味になるでしょう。
さらには、そのセリフに隠された本音としては、恋人としてそれくらいのことを言う権利はあるはずだ、元カレとはもう二度と会うなと言ってもいいはずだ、という気持ちも含まれている気がします。
「言えないなんてことないよ、実際、さっき言ったわけだし」と冗談のように茶化しながらも、モニカに対して「俺がこんなに怒ってるのにまた会うつもりなのか?」と非難したい気持ちも込められているのだろうと思いました。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2011年06月20日
誘おうとしてたんじゃなかったのか フレンズ5-23その4
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は2位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
モニカがチャンドラーと旅行に出かけたため、部屋で一人きりのレイチェル。
フィービーが「家に一人だと裸で過ごせるわね」と言ったことを思い出し、裸になって歌など歌いご機嫌な様子ですが、その姿を向かいのアパートメントのロスに見られてしまいます。
ロスは「自分に見られるのを承知であんな行動をしている。きっと僕を誘っているに違いない」と思い、レイチェルの部屋をノックします。
ロス: May I come in? (入ってもいいかな?)
レイチェル: Uh, yeah, if you want to. (あー、いいわよ、もしあなたがお望みなら。)
ロス: Do you want me to? (君は僕にそうして欲しいと望んでる?)
レイチェル: Yeah, sure? (ええ、もちろん。)
ロス: So do I. (Slowly walks in.) Okay, Rach, before anything happens (He takes off his coat) I just want to lay down a couple of ground rules. (Turns back to face her.) This is just about tonight. I don't wanna go through with this if it's gonna raise the question of "us." (Rachel's confused) Okay? I just want this to be... (Kicks off his left shoe) about what it is! (Kicks off the other one.) (僕もそう望んでるよ。[ゆっくり歩いて部屋に入る] オッケー、レイチェル。何かが起こる前に [ロスは自分のコートを脱ぐ] ちょっと基本的なルールを2、3、決めておきたいんだ。[振り返ってレイチェルの方を見る] これは今夜だけだよ。僕はこのことをやり通したくない、もしそれが「僕たち」の問題を提起することになるのならね。[レイチェルは困惑している] いいかい? 僕はただ望んでるんだ [左の靴を蹴って脱ぐ]、このことが、今まさにそうであるもの(に関すること)であって欲しいってね。[反対の靴を蹴って脱ぐ])
レイチェル: And um, what-what is that, Ross? (それで、あの、それって何のこと、ロス?)
ロス: The physical act of love. (Hisses at her.) (愛の肉体行為だよ。 [(気取ったように)シーっという音を出す])
レイチェル: (laughs) What, are you crazy? ([笑って] 何、あなた、おかしいの?)
ロス: Oh so-so you weren't trying to entice me just now with your-your nakedness? (あぁ、それじゃあ、君はたった今、自分の裸で[裸になることで]僕を誘おうとしてたんじゃなかったのか?)
レイチェル: (gasps) Oh God, you saw me?! Oh! ([息を呑んで] まぁ、なんてこと、あなた、私を見たの? まあ!)
ロス: You weren't trying to entice me with your nakedness. (君は、自分の裸で僕を誘おうとしてたんじゃなかったのか…。)
レイチェル: Noo!! No! You thought, you actually thought I wanted to have sex with you?! Oh, my.... (そんなことしてない、してないわ! あなたは本当に私があなたとエッチしたがってると思ったの? なんてこと…)
レイチェルのドアのところに立っているロスは、気取った格好で意味ありげな表情を浮かべています。
入ってもいい?と尋ねるロスに、レイチェルは、「あなたが入りたいと思っているならどうぞ」みたいに答えますが、それにロスは Do you want me to? とさらに尋ねていますね。
「君は僕が部屋に入ることを望んでるの?」ということですが、暗に「裸で僕の気を引いて、部屋に誘い込もうとしている君の気持ちを僕は承知してるよ」みたいなことが言いたいようです。
部屋に入った後も、ずっと気取った雰囲気を保っているロスは、上着を脱ぎながら、何かが起こる前に、lay down a couple of ground rules しておきたい、と言っています。
ロスはレイチェルが誘ったと思い込んでいますので、あえて具体的に何とは言わず、anything と表現しているのですね。お互い、それが何を指しているかわかるだろ、という感じです。
lay down の基本的意味は「…を横たえる、据える」という感覚ですが、そこから、「(ルール・規則など)を定める、決める」という意味になります。
lay down rules なら「規則を定める」ですね。
ground rule は「基本原則」。
This is just about tonight. を直訳すると、「これは今夜についてだけだ、今夜だけに関することだ」みたいになるでしょうか。今から何が起こったとしても、それは今夜だけの、今夜限りの話ことだからね、と念押ししている感じです。
go through with は「やり通す、やり抜く」。
if という条件節を使って、「もし…なら」このことを最後までやり通したくはない、つまり、「もし if 以下のことになるのなら、これをするつもりはない」と言っていることになるでしょう。
raise the question は「問題を提起する」。
if 節の中に be going to が使われているのは、「この先(この流れで)、将来的に、そういう問題を提起することになるのなら」という感覚だと思います。
そのように、if の中に、be going to が使われるパターンは、if条件節の未来形 フレンズ5-3その7 にも出てきました。
その記事で、if+be going to の形について、もう少し詳しく説明していますので、興味のある方は合わせてお読み下さい。
ロスは、the question of "us" と言いながら、us の部分で、両手の指2本ずつを2回曲げるしぐさをしています。
これは「引用符」を意味するジェスチャーですね。
「僕たち」の問題、「僕たち」っていう問題、みたいな感覚で、元恋人同士である君と僕がまたよりを戻すなどのそういう「僕たちの(恋愛・男女)関係」の問題を提起することになったとしたら、僕は今からしようとしているこのことをやり通したくはないからね、と言っていることになるでしょう。
今から this (これ、あること)をしようとしているけれど、将来的に、僕らの問題が再浮上することになるんだったら、これをするのはやめにする、と宣言していることになると思います。
聞いているレイチェルは混乱した顔をして、ロスの言っている意味が理解できないようですが、ロスはさらに続けます。
I just want this to be about what it is! について。
シンプルな単語ばかりが並んでいますが、こういうものは却って自然な日本語に訳しづらいです。
this が、be about what it is であることを僕はただ望んでいる、ということで、This is about what it is. であることを望んでいる、ということになるでしょう。
what it is は「(今の)まさにそのもの」という感じになるでしょうか。
研究社 新英和中辞典では、
what
(関係代名詞)
(2) [関係詞節中 be の補語に用いて] (…ある)まさにその人[もの]
He's not what he was. 「彼は昔の彼ではない」
(用法:昔と比べて現在は「堕落した」「衰えた」など通例悪い意味に用いる)
You have made me what I am today. 「私の今日あるのはあなたのおかげです」
などの例が載っています。
what he was が「昔の彼」、what I am が「今の私」であるとすると、what it is は「今のそれ、それの今の姿」みたいな感じなんだろうと思います。
about が入っているので余計に訳しにくいのですが、意味としては、「このことが、今の状態、今の姿、今の形であって欲しいと望んでいる」みたいなことだろうと思います。
過去や未来は関係なしに、今からしようとしていることが今あるその姿の状態であってほしいと望んでいる、その行為そのもの以上の意味は持たせなくない、というようなことかなぁ、と。
ロスが、what it is という抽象的な表現を使ったので、「それは一体、何のことを言っているの?」という感じで、レイチェルは、What is that? と尋ねています。
ロスは the physical act of love だと答えていますね。
act of love 「愛の行為」だけでも、エッチ行為を示唆することになると思うのですが、ロスは、mental 「心の」の対義語となる physical 「身体の、肉体の」を使って、さらにそれを具体的に、ダイレクトに表現している感じです。
その言葉を聞いて、ロスの言っている意味にやっと気づいたレイチェルは、「あなた、クレイジーね」と言っています。
それに対してロスは、「君は僕のことをクレイジーだって言うけど、じゃあ君は、窓越しに見せていたあの裸で、たった今、僕を誘おうとしてたんじゃないのか?」と強気な発言をしています。
entice は過去記事、フレンズ5-9その6 にも出てきました。
このセリフは、疑問文の語順になってはいませんが、you weren't trying...? のように文尾が上がり調子になっていますので、Weren't you trying...? 「君は…しようとしてたんじゃないのか?」という否定疑問文のニュアンスになります。
このような否定疑問文は、通常の疑問文と比べて、話者の推測を感じ取ることができます。
「…しようとしてたのか?」ではなく、「…しようとしてたんじゃないのか?」と否定疑問文にすることで、「君は…しようとしてたはずだ、そうしようとしてたに決まってる、僕はそう思った、そう感じた」という話者(ここではロス)の考えが出るわけですね。話者がそうだと信じて決めつけている感じがこの否定疑問文にはあって、君はそれを否定するっていうのか?という感覚です。
your nakedness という言葉を聞いて、レイチェルは、「私を見たの?」と驚いています。
自分が裸でいたことをロスに見られたことに、ここで初めて気づいたわけですね。
そのレイチェルの発言で、「レイチェルはロスに見せようとして裸になっていたわけではない」という事実をロスも知ることになります。
その次のセリフ、You weren't trying to... は少し前にロスが言ったセリフとほぼ同じですね。
違うのは、さきほどのように決めつけて勝ち誇るような否定疑問文のニュアンスではないところです。
今回のセリフは語尾には疑問符はついておらず、レイチェルの発言から、レイチェルの過去の行動の意味は実際にはそうだったんだ、とロスが悟ったかのようなセリフになっています。
「…してたんじゃなかったのか?(僕には…しているように見えたけど)」ではなくて、「(それじゃあ本当に)…してたんじゃなかったのかぁ…そうなんだね」と改めて事実を確認するようなセリフになっているわけです。
セリフというのは文字から判断する意味だけではなく、その言い方やイントネーションが意味を大きく左右します。
今回のよく似た2つのセリフも、見た目は同じようなセリフなのに、イントネーションの違いで、「そうしようとしてたくせに(僕にはわかってるんだぞ)!」と「本当にそうしようとしてたわけじゃなかったんだ(僕の早合点だったんだ)」という二つの意味になる、というところが面白いわけですね。
最初のセリフが、Weren't you trying...? のような「疑問文」の形になっていなかったことで、余計に二つの文章がそっくりになっているのもポイントなんだろうと思います。
同じ言葉を発しているのに、言っているロスの気持ちが天と地ほど違う、という楽しさでしょう。
部屋に入ってからのロスはあえて、sex という言葉を使わないでずっと会話をしてきましたが、レイチェルは、have sex with you というダイレクトな言葉を使っています。
ロスの勝手な思い込みにあきれたために、「私があなたと sex したがってるって、あなたは勝手にそう思ってたの?」と、わざとそういう直接的な言葉を使って、そういうことを想像していたロスを非難しているわけですね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
モニカがチャンドラーと旅行に出かけたため、部屋で一人きりのレイチェル。
フィービーが「家に一人だと裸で過ごせるわね」と言ったことを思い出し、裸になって歌など歌いご機嫌な様子ですが、その姿を向かいのアパートメントのロスに見られてしまいます。
ロスは「自分に見られるのを承知であんな行動をしている。きっと僕を誘っているに違いない」と思い、レイチェルの部屋をノックします。
ロス: May I come in? (入ってもいいかな?)
レイチェル: Uh, yeah, if you want to. (あー、いいわよ、もしあなたがお望みなら。)
ロス: Do you want me to? (君は僕にそうして欲しいと望んでる?)
レイチェル: Yeah, sure? (ええ、もちろん。)
ロス: So do I. (Slowly walks in.) Okay, Rach, before anything happens (He takes off his coat) I just want to lay down a couple of ground rules. (Turns back to face her.) This is just about tonight. I don't wanna go through with this if it's gonna raise the question of "us." (Rachel's confused) Okay? I just want this to be... (Kicks off his left shoe) about what it is! (Kicks off the other one.) (僕もそう望んでるよ。[ゆっくり歩いて部屋に入る] オッケー、レイチェル。何かが起こる前に [ロスは自分のコートを脱ぐ] ちょっと基本的なルールを2、3、決めておきたいんだ。[振り返ってレイチェルの方を見る] これは今夜だけだよ。僕はこのことをやり通したくない、もしそれが「僕たち」の問題を提起することになるのならね。[レイチェルは困惑している] いいかい? 僕はただ望んでるんだ [左の靴を蹴って脱ぐ]、このことが、今まさにそうであるもの(に関すること)であって欲しいってね。[反対の靴を蹴って脱ぐ])
レイチェル: And um, what-what is that, Ross? (それで、あの、それって何のこと、ロス?)
ロス: The physical act of love. (Hisses at her.) (愛の肉体行為だよ。 [(気取ったように)シーっという音を出す])
レイチェル: (laughs) What, are you crazy? ([笑って] 何、あなた、おかしいの?)
ロス: Oh so-so you weren't trying to entice me just now with your-your nakedness? (あぁ、それじゃあ、君はたった今、自分の裸で[裸になることで]僕を誘おうとしてたんじゃなかったのか?)
レイチェル: (gasps) Oh God, you saw me?! Oh! ([息を呑んで] まぁ、なんてこと、あなた、私を見たの? まあ!)
ロス: You weren't trying to entice me with your nakedness. (君は、自分の裸で僕を誘おうとしてたんじゃなかったのか…。)
レイチェル: Noo!! No! You thought, you actually thought I wanted to have sex with you?! Oh, my.... (そんなことしてない、してないわ! あなたは本当に私があなたとエッチしたがってると思ったの? なんてこと…)
レイチェルのドアのところに立っているロスは、気取った格好で意味ありげな表情を浮かべています。
入ってもいい?と尋ねるロスに、レイチェルは、「あなたが入りたいと思っているならどうぞ」みたいに答えますが、それにロスは Do you want me to? とさらに尋ねていますね。
「君は僕が部屋に入ることを望んでるの?」ということですが、暗に「裸で僕の気を引いて、部屋に誘い込もうとしている君の気持ちを僕は承知してるよ」みたいなことが言いたいようです。
部屋に入った後も、ずっと気取った雰囲気を保っているロスは、上着を脱ぎながら、何かが起こる前に、lay down a couple of ground rules しておきたい、と言っています。
ロスはレイチェルが誘ったと思い込んでいますので、あえて具体的に何とは言わず、anything と表現しているのですね。お互い、それが何を指しているかわかるだろ、という感じです。
lay down の基本的意味は「…を横たえる、据える」という感覚ですが、そこから、「(ルール・規則など)を定める、決める」という意味になります。
lay down rules なら「規則を定める」ですね。
ground rule は「基本原則」。
This is just about tonight. を直訳すると、「これは今夜についてだけだ、今夜だけに関することだ」みたいになるでしょうか。今から何が起こったとしても、それは今夜だけの、今夜限りの話ことだからね、と念押ししている感じです。
go through with は「やり通す、やり抜く」。
if という条件節を使って、「もし…なら」このことを最後までやり通したくはない、つまり、「もし if 以下のことになるのなら、これをするつもりはない」と言っていることになるでしょう。
raise the question は「問題を提起する」。
if 節の中に be going to が使われているのは、「この先(この流れで)、将来的に、そういう問題を提起することになるのなら」という感覚だと思います。
そのように、if の中に、be going to が使われるパターンは、if条件節の未来形 フレンズ5-3その7 にも出てきました。
その記事で、if+be going to の形について、もう少し詳しく説明していますので、興味のある方は合わせてお読み下さい。
ロスは、the question of "us" と言いながら、us の部分で、両手の指2本ずつを2回曲げるしぐさをしています。
これは「引用符」を意味するジェスチャーですね。
「僕たち」の問題、「僕たち」っていう問題、みたいな感覚で、元恋人同士である君と僕がまたよりを戻すなどのそういう「僕たちの(恋愛・男女)関係」の問題を提起することになったとしたら、僕は今からしようとしているこのことをやり通したくはないからね、と言っていることになるでしょう。
今から this (これ、あること)をしようとしているけれど、将来的に、僕らの問題が再浮上することになるんだったら、これをするのはやめにする、と宣言していることになると思います。
聞いているレイチェルは混乱した顔をして、ロスの言っている意味が理解できないようですが、ロスはさらに続けます。
I just want this to be about what it is! について。
シンプルな単語ばかりが並んでいますが、こういうものは却って自然な日本語に訳しづらいです。
this が、be about what it is であることを僕はただ望んでいる、ということで、This is about what it is. であることを望んでいる、ということになるでしょう。
what it is は「(今の)まさにそのもの」という感じになるでしょうか。
研究社 新英和中辞典では、
what
(関係代名詞)
(2) [関係詞節中 be の補語に用いて] (…ある)まさにその人[もの]
He's not what he was. 「彼は昔の彼ではない」
(用法:昔と比べて現在は「堕落した」「衰えた」など通例悪い意味に用いる)
You have made me what I am today. 「私の今日あるのはあなたのおかげです」
などの例が載っています。
what he was が「昔の彼」、what I am が「今の私」であるとすると、what it is は「今のそれ、それの今の姿」みたいな感じなんだろうと思います。
about が入っているので余計に訳しにくいのですが、意味としては、「このことが、今の状態、今の姿、今の形であって欲しいと望んでいる」みたいなことだろうと思います。
過去や未来は関係なしに、今からしようとしていることが今あるその姿の状態であってほしいと望んでいる、その行為そのもの以上の意味は持たせなくない、というようなことかなぁ、と。
ロスが、what it is という抽象的な表現を使ったので、「それは一体、何のことを言っているの?」という感じで、レイチェルは、What is that? と尋ねています。
ロスは the physical act of love だと答えていますね。
act of love 「愛の行為」だけでも、エッチ行為を示唆することになると思うのですが、ロスは、mental 「心の」の対義語となる physical 「身体の、肉体の」を使って、さらにそれを具体的に、ダイレクトに表現している感じです。
その言葉を聞いて、ロスの言っている意味にやっと気づいたレイチェルは、「あなた、クレイジーね」と言っています。
それに対してロスは、「君は僕のことをクレイジーだって言うけど、じゃあ君は、窓越しに見せていたあの裸で、たった今、僕を誘おうとしてたんじゃないのか?」と強気な発言をしています。
entice は過去記事、フレンズ5-9その6 にも出てきました。
このセリフは、疑問文の語順になってはいませんが、you weren't trying...? のように文尾が上がり調子になっていますので、Weren't you trying...? 「君は…しようとしてたんじゃないのか?」という否定疑問文のニュアンスになります。
このような否定疑問文は、通常の疑問文と比べて、話者の推測を感じ取ることができます。
「…しようとしてたのか?」ではなく、「…しようとしてたんじゃないのか?」と否定疑問文にすることで、「君は…しようとしてたはずだ、そうしようとしてたに決まってる、僕はそう思った、そう感じた」という話者(ここではロス)の考えが出るわけですね。話者がそうだと信じて決めつけている感じがこの否定疑問文にはあって、君はそれを否定するっていうのか?という感覚です。
your nakedness という言葉を聞いて、レイチェルは、「私を見たの?」と驚いています。
自分が裸でいたことをロスに見られたことに、ここで初めて気づいたわけですね。
そのレイチェルの発言で、「レイチェルはロスに見せようとして裸になっていたわけではない」という事実をロスも知ることになります。
その次のセリフ、You weren't trying to... は少し前にロスが言ったセリフとほぼ同じですね。
違うのは、さきほどのように決めつけて勝ち誇るような否定疑問文のニュアンスではないところです。
今回のセリフは語尾には疑問符はついておらず、レイチェルの発言から、レイチェルの過去の行動の意味は実際にはそうだったんだ、とロスが悟ったかのようなセリフになっています。
「…してたんじゃなかったのか?(僕には…しているように見えたけど)」ではなくて、「(それじゃあ本当に)…してたんじゃなかったのかぁ…そうなんだね」と改めて事実を確認するようなセリフになっているわけです。
セリフというのは文字から判断する意味だけではなく、その言い方やイントネーションが意味を大きく左右します。
今回のよく似た2つのセリフも、見た目は同じようなセリフなのに、イントネーションの違いで、「そうしようとしてたくせに(僕にはわかってるんだぞ)!」と「本当にそうしようとしてたわけじゃなかったんだ(僕の早合点だったんだ)」という二つの意味になる、というところが面白いわけですね。
最初のセリフが、Weren't you trying...? のような「疑問文」の形になっていなかったことで、余計に二つの文章がそっくりになっているのもポイントなんだろうと思います。
同じ言葉を発しているのに、言っているロスの気持ちが天と地ほど違う、という楽しさでしょう。
部屋に入ってからのロスはあえて、sex という言葉を使わないでずっと会話をしてきましたが、レイチェルは、have sex with you というダイレクトな言葉を使っています。
ロスの勝手な思い込みにあきれたために、「私があなたと sex したがってるって、あなたは勝手にそう思ってたの?」と、わざとそういう直接的な言葉を使って、そういうことを想像していたロスを非難しているわけですね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2011年06月18日
実際の計画とは違うように見せかける フレンズ5-23その3
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は1位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
モニカは、交際1周年の記念に、ラスベガス行きのチケットをチャンドラーにプレゼントします。
ベガスに行ったらチャンドラーがジョーイと仲直りできるし、二人の思い出にもなる、と思ったわけですが、フィービーもそれに同行したいと言い出し、結局、3人でベガス行きの飛行機に乗ることになりました。
フィービーがトイレに向かい、二人きりになったチャンドラーとモニカは、記念日を祝っています。
チャンドラー: Can I give you a present now? (今、君にプレゼントあげていい?)
モニカ: Okay! (いいわよ!)
チャンドラー: Okay! (He grabs his carryon and starts rummaging through it.) Oh, man! Don't tell me I did this. (よし! [チャンドラーは持ち込んだ手荷物を掴み、その中をひっかき回して(くまなく)探す] あぁ、なんてこった! まさか俺がこんなことしちゃったなんて言わないでくれよ。)
モニカ: I love "I forgot the present" fake-out! (「俺、プレゼント忘れちゃった」ってふりをして騙すの、大好き!)
チャンドラー: How do you feel about the "I really did forgot the present, please forgive me" not fake-out? (「俺、本当にプレゼントを忘れちゃったんだ。どうか俺を許して」っていう、「何かのふりをして騙してるんじゃない」だったらどう思う?)
モニカ: Oh, honey, that's okay. Don't worry about it, you can give it to me when we get back. (あぁ、ハニー、そんなのいいのよ。心配しないで、戻った時にプレゼントを渡してくれればいいわ。)
チャンドラー: Ohh, this is the worse thing that can happen on an anniversary ever! (あぁ、これは、記念日に起こりうる(中で)最悪の出来事だよ!)
フィービー: (sitting down) Oh good! All right, so you decided to tell him about the Richard thing. ([(戻ってきて)席に座りながら] あぁ、良かった! よし、それじゃあモニカは、例のリチャードのことをチャンドラーに言うことに決めたのね。)
チャンドラー: What, what "Richard thing"? (何? どんな「リチャードのこと」?)
フィービー: Oh, no. [The patented version.] (あら、やだ。[フィービー独特のバージョンで])
チャンドラー: What "Richard thing"? (どんな「リチャードのこと」なの?)
フィービー: (To Monica under her breath) Simmons! Go with Simmons! ([モニカに声をひそめて] シモンズよ! シモンズの線で行って!)
二人きりになった時に、チャンドラーは自分からのプレゼントをモニカに渡そうとします。
ト書きの carryon は、通常は carry-on とハイフン付きで表記されることが多いですが、「(飛行機の)機内持ち込み手荷物」のこと。carry-on baggage の略ですね。
rummage は「ひっかき回して・くまなく探す」。
実際の映像からも、またその rummage が使われているト書きからも、目的のプレゼントを探しているけれども見つからない感じが出ています。
Don't tell me! を直訳すると、「俺に(…だと)言わないでくれよ!」みたいなことですが、これは、「まさか!」というニュアンスですね。
英辞郎には、
Don't tell me you don't know.=知らないなんて言わないでくださいよ。/まさか知らないとは言わせないよ。
という例が載っています。
その例にならうと、「俺がこんなことしちゃったなんて言わないでくれよ。まさか俺がこんなことやっちゃったとは言わせないよ」みたいな感じになるでしょうか。
英辞郎に載っていた他の例文も、もっぱら、Don't tell me you... のように、you が主語の文が続く形が載っていて、「君が…したって(…だって)言わないでくれよ」というニュアンスを出していますが、その主語を I に変えたバージョンが今回のチャンドラーのセリフということになるでしょう。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
don't tell me : used to interrupt someone because you know what they are going to say or because you want to guess, especially when you are annoyed
例) Don't tell me we're out of milk!
つまり、「誰かがこれから言おうとしていることがわかるからという理由で、または自分が(相手の言うことを)推測したいからという理由で、相手の発言をさえぎるために使われる。特に、いらいらしている時に」。
例文は、「ミルクを切らしてるなんて言わないでくれよ」。
このロングマンの例も、主語に自分を含めた we が使われていますので、必ずしも、主語が you である必要はない、と言えそうです。
チャンドラーのセリフの、Don't tell me という命令文は、隣にいるモニカに向けられたものというよりも、もっと漠然とした対象、もしくは自分自身に向けられた言葉、という感じがします。
「…しちゃったとか言ってくれるなよ」と誰とはなしに言っている感覚、または、「こんなことしちゃった、とか言うなよ、俺」みたいに、自分自身に対して言っている感覚でしょうか。
いずれにしろ、探しているプレゼントが見つからない様子と、Don't tell me I did this. というセリフから、「こんなことしちゃった」=「プレゼントをバッグに入れるのを忘れちゃった、プレゼントを家に置いてきちゃった」であることは想像できますね。
そのチャンドラーの様子を見て、モニカはがっかりすることなく、I love ... fake-out! と嬉しそうに叫んでいます。
fake-out という単語については、fake-out という言葉そのものは手持ちの辞書にありませんでしたが、fake out という句動詞を名詞化した感覚だと思います。
fake someone out で「人をだます」という意味になります。
LAAD では、
fake somebody out [phrasal verb] : to deceive someone by making them think you are planning to do one thing when you are really planning to do something else.
つまり、「自分が本当は何か他のことを計画している時に、自分が(それとは違う)あることを計画していると人に思わせることで相手をだますこと」。
ですからここでの fake-out は、「Aをするように見せかけて、実はBをしようとしている」みたいな感覚になります。
「フェイク」という言葉は日本語になってしまっていますから、その「フェイク」という言葉で今回の fake-out のニュアンスを表せる気はします。
fake-out の前に、文を引用符でくくる形の形容詞、"I forgot the present" がついていますから、この fake-out は、「俺、プレゼント忘れちゃった、って見せかけて、実はプレゼントはここにあるんだよ〜ん」みたいに、私をだましてびっくりさせようとしてるのね、みたいなことになるでしょう。
「プレゼントがない、ない」と焦ったそぶりを見せて、私ががっかりした時に、ジャジャーン!と見せて喜びを倍増させるつもりね、と言っているわけですね。
それに対してチャンドラーは同じような、文を引用符でくくる形容詞+not fake-out を使って、「…についてどう思う?、どう感じる?」と尋ねています。
not fake-out を無理やり日本語にすると、「非フェイク、フェイクじゃないもの」みたいになるでしょうか。
「俺、プレゼント忘れちゃった」っていうフェイクじゃなくて、「俺は本当にプレゼントを忘れちゃったんだ、だからごめんね許してね」っていう「フェイクじゃないもの」だとしたらどう思う?みたいなことで、びっくりさせようと忘れたふりをしてるんじゃなくて、ほんとに忘れちゃったんだよ、これはフェイクじゃないんだよ、と言っていることになります。
モニカはチャンドラーがプレゼントを忘れたことを理解し、「戻った時に渡してくれればそれでいいわ」と言うのですが、チャンドラーは忘れたことがよほど悔やまれるようで、「記念日における最悪の出来事だ」みたいなことを言っています。
this is the worse thing that can happen on an anniversary ever を直訳すると、「これは、ある1つの記念日に起こりうる最悪のことである」になるでしょう。
記念日にはいいこと悪いこといろいろ起こるけど、相手にあげるプレゼントを忘れるなんて最悪だ、俺は最低のことをしちゃった、と言っているセリフになります。
プレゼントを忘れたことが客観的に見て「最悪」とは思えませんが、それを最悪と表現することで、モニカをがっかりさせてしまったことを俺は大いに反省しているよ、と示したいのでしょう。
席に戻ってきたフィービーは、そのチャンドラーのセリフを聞いて、「それじゃあ、モニカは例のリチャードの件をチャンドラーに告白することに決めたのね」みたいなことを言っています。
チャンドラーが、「それって何のこと?」みたいに言うので、フィービーは自分の失言に気づいたように、Oh, no. と言っていますね。
観客も、フィービーのそのセリフにどよめいていますから、フィービーがヤバいことを言ってしまったことは容易に想像できます。
たまたま席を外していて「記念日で最悪のこと」というセリフだけを聞いたフィービーは、チャンドラーが最悪のことと言ったのは、モニカがリチャードと食事したことを告白したからだ、と勘違いしたのですね。
you decided to tell him about 「…について彼に話すと決めた」という過去形は、そう決めて、今、実際にそれを話したのね、と言っていることになるでしょう。
「言わないって言ってたけど、今のチャンドラーのセリフを聞くと、モニカは話すことにしたのね」と軽く言ったわけですが、その内容を the Richard thing と名前を出して言ってしまったので、チャンドラーの注意を強く引いてしまったわけですね。
チャンドラーは、What "Richard thing"? と2回言っていますが、厳密に言うと、What's the Richard thing? (= What is the Richard thing?) とは微妙にニュアンスが違うように思います。
What's the Richard thing? なら、「例のリチャードのこと」って何?と問うていることになるでしょうが、What "Richard thing" だとその what は、「何の、どんな」という形容詞になり、何の「リチャードのこと」なの?、どんな「リチャードのこと」なの?、とその「リチャードのこと」の内容、「どのような”リチャードのこと”なのか?」を問うている感覚になると思います。
チャンドラーが「リチャードのこと」が何かわかっていないことから、フィービーは自分が失言したことに気づいたようで、Oh, no. と言っていますが、そのト書きには、[The patented version.] と書いてありますね。
patent は「特許、特許権、パテント」のことで、動詞では「…の特許(権)を取る、特許を受ける」という意味になります。
ですから、直訳すると、「例の特許を与えられたバージョン」みたいな意味になるわけですが、それはつまり、「フィービーがよく使うと多くの人に認められている、そのバージョンで」みたいな感じでしょう。
何か言ってはいけないことを言ってしまった後に、こんな風に、Oh, no. と言うのがフィービーの口癖、いつものパターンである、という感覚なんだろうと思います。
「リチャードのこと、ってどんなことだよ?」と追及するチャンドラーを見て、フィービーがモニカに、リチャード・シモンズのことを言うのが面白いですね。
リチャード・シモンズについては、1つ前の記事、あのリチャードってどのリチャード? フレンズ5-23その2 で説明しましたが、モニカが「あのリチャード」と言った時に、フィービーが思い出したのが、減量プログラムで有名なフィットネス界の有名人、リチャード・シモンズでした。
go with は「…と共に行く」ということですが、ここでは、英辞郎の
go with=【句動-9】〜を選ぶ、〜の線[路線]で行く
という語義が近いように思います。
リチャードという名前を聞いて、私はあなたの元カレのリチャードじゃなくて、リチャード・シモンズのことを思い出したんだから、ここでもその路線で、「リチャード・シモンズの線で」行きなさいよ、リチャードっていうのはあのリチャード・シモンズのことよ、って話をそらしちゃいなさいよ、と勧めているわけですね。
最初にシモンズの名前がセリフに出てから、このように、かなり後のシーンで再度シモンズの名前を出してくるところも、コメディの定石と言えるかもしれません。
モニカがリチャードと言えば、誰もが元カレのリチャードを思い出すに決まっているのに、シモンズだと言い張って逃げられるかのように思っているところに、フィービーのオトボケ具合が感じられて、楽しいなと思いました。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
モニカは、交際1周年の記念に、ラスベガス行きのチケットをチャンドラーにプレゼントします。
ベガスに行ったらチャンドラーがジョーイと仲直りできるし、二人の思い出にもなる、と思ったわけですが、フィービーもそれに同行したいと言い出し、結局、3人でベガス行きの飛行機に乗ることになりました。
フィービーがトイレに向かい、二人きりになったチャンドラーとモニカは、記念日を祝っています。
チャンドラー: Can I give you a present now? (今、君にプレゼントあげていい?)
モニカ: Okay! (いいわよ!)
チャンドラー: Okay! (He grabs his carryon and starts rummaging through it.) Oh, man! Don't tell me I did this. (よし! [チャンドラーは持ち込んだ手荷物を掴み、その中をひっかき回して(くまなく)探す] あぁ、なんてこった! まさか俺がこんなことしちゃったなんて言わないでくれよ。)
モニカ: I love "I forgot the present" fake-out! (「俺、プレゼント忘れちゃった」ってふりをして騙すの、大好き!)
チャンドラー: How do you feel about the "I really did forgot the present, please forgive me" not fake-out? (「俺、本当にプレゼントを忘れちゃったんだ。どうか俺を許して」っていう、「何かのふりをして騙してるんじゃない」だったらどう思う?)
モニカ: Oh, honey, that's okay. Don't worry about it, you can give it to me when we get back. (あぁ、ハニー、そんなのいいのよ。心配しないで、戻った時にプレゼントを渡してくれればいいわ。)
チャンドラー: Ohh, this is the worse thing that can happen on an anniversary ever! (あぁ、これは、記念日に起こりうる(中で)最悪の出来事だよ!)
フィービー: (sitting down) Oh good! All right, so you decided to tell him about the Richard thing. ([(戻ってきて)席に座りながら] あぁ、良かった! よし、それじゃあモニカは、例のリチャードのことをチャンドラーに言うことに決めたのね。)
チャンドラー: What, what "Richard thing"? (何? どんな「リチャードのこと」?)
フィービー: Oh, no. [The patented version.] (あら、やだ。[フィービー独特のバージョンで])
チャンドラー: What "Richard thing"? (どんな「リチャードのこと」なの?)
フィービー: (To Monica under her breath) Simmons! Go with Simmons! ([モニカに声をひそめて] シモンズよ! シモンズの線で行って!)
二人きりになった時に、チャンドラーは自分からのプレゼントをモニカに渡そうとします。
ト書きの carryon は、通常は carry-on とハイフン付きで表記されることが多いですが、「(飛行機の)機内持ち込み手荷物」のこと。carry-on baggage の略ですね。
rummage は「ひっかき回して・くまなく探す」。
実際の映像からも、またその rummage が使われているト書きからも、目的のプレゼントを探しているけれども見つからない感じが出ています。
Don't tell me! を直訳すると、「俺に(…だと)言わないでくれよ!」みたいなことですが、これは、「まさか!」というニュアンスですね。
英辞郎には、
Don't tell me you don't know.=知らないなんて言わないでくださいよ。/まさか知らないとは言わせないよ。
という例が載っています。
その例にならうと、「俺がこんなことしちゃったなんて言わないでくれよ。まさか俺がこんなことやっちゃったとは言わせないよ」みたいな感じになるでしょうか。
英辞郎に載っていた他の例文も、もっぱら、Don't tell me you... のように、you が主語の文が続く形が載っていて、「君が…したって(…だって)言わないでくれよ」というニュアンスを出していますが、その主語を I に変えたバージョンが今回のチャンドラーのセリフということになるでしょう。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
don't tell me : used to interrupt someone because you know what they are going to say or because you want to guess, especially when you are annoyed
例) Don't tell me we're out of milk!
つまり、「誰かがこれから言おうとしていることがわかるからという理由で、または自分が(相手の言うことを)推測したいからという理由で、相手の発言をさえぎるために使われる。特に、いらいらしている時に」。
例文は、「ミルクを切らしてるなんて言わないでくれよ」。
このロングマンの例も、主語に自分を含めた we が使われていますので、必ずしも、主語が you である必要はない、と言えそうです。
チャンドラーのセリフの、Don't tell me という命令文は、隣にいるモニカに向けられたものというよりも、もっと漠然とした対象、もしくは自分自身に向けられた言葉、という感じがします。
「…しちゃったとか言ってくれるなよ」と誰とはなしに言っている感覚、または、「こんなことしちゃった、とか言うなよ、俺」みたいに、自分自身に対して言っている感覚でしょうか。
いずれにしろ、探しているプレゼントが見つからない様子と、Don't tell me I did this. というセリフから、「こんなことしちゃった」=「プレゼントをバッグに入れるのを忘れちゃった、プレゼントを家に置いてきちゃった」であることは想像できますね。
そのチャンドラーの様子を見て、モニカはがっかりすることなく、I love ... fake-out! と嬉しそうに叫んでいます。
fake-out という単語については、fake-out という言葉そのものは手持ちの辞書にありませんでしたが、fake out という句動詞を名詞化した感覚だと思います。
fake someone out で「人をだます」という意味になります。
LAAD では、
fake somebody out [phrasal verb] : to deceive someone by making them think you are planning to do one thing when you are really planning to do something else.
つまり、「自分が本当は何か他のことを計画している時に、自分が(それとは違う)あることを計画していると人に思わせることで相手をだますこと」。
ですからここでの fake-out は、「Aをするように見せかけて、実はBをしようとしている」みたいな感覚になります。
「フェイク」という言葉は日本語になってしまっていますから、その「フェイク」という言葉で今回の fake-out のニュアンスを表せる気はします。
fake-out の前に、文を引用符でくくる形の形容詞、"I forgot the present" がついていますから、この fake-out は、「俺、プレゼント忘れちゃった、って見せかけて、実はプレゼントはここにあるんだよ〜ん」みたいに、私をだましてびっくりさせようとしてるのね、みたいなことになるでしょう。
「プレゼントがない、ない」と焦ったそぶりを見せて、私ががっかりした時に、ジャジャーン!と見せて喜びを倍増させるつもりね、と言っているわけですね。
それに対してチャンドラーは同じような、文を引用符でくくる形容詞+not fake-out を使って、「…についてどう思う?、どう感じる?」と尋ねています。
not fake-out を無理やり日本語にすると、「非フェイク、フェイクじゃないもの」みたいになるでしょうか。
「俺、プレゼント忘れちゃった」っていうフェイクじゃなくて、「俺は本当にプレゼントを忘れちゃったんだ、だからごめんね許してね」っていう「フェイクじゃないもの」だとしたらどう思う?みたいなことで、びっくりさせようと忘れたふりをしてるんじゃなくて、ほんとに忘れちゃったんだよ、これはフェイクじゃないんだよ、と言っていることになります。
モニカはチャンドラーがプレゼントを忘れたことを理解し、「戻った時に渡してくれればそれでいいわ」と言うのですが、チャンドラーは忘れたことがよほど悔やまれるようで、「記念日における最悪の出来事だ」みたいなことを言っています。
this is the worse thing that can happen on an anniversary ever を直訳すると、「これは、ある1つの記念日に起こりうる最悪のことである」になるでしょう。
記念日にはいいこと悪いこといろいろ起こるけど、相手にあげるプレゼントを忘れるなんて最悪だ、俺は最低のことをしちゃった、と言っているセリフになります。
プレゼントを忘れたことが客観的に見て「最悪」とは思えませんが、それを最悪と表現することで、モニカをがっかりさせてしまったことを俺は大いに反省しているよ、と示したいのでしょう。
席に戻ってきたフィービーは、そのチャンドラーのセリフを聞いて、「それじゃあ、モニカは例のリチャードの件をチャンドラーに告白することに決めたのね」みたいなことを言っています。
チャンドラーが、「それって何のこと?」みたいに言うので、フィービーは自分の失言に気づいたように、Oh, no. と言っていますね。
観客も、フィービーのそのセリフにどよめいていますから、フィービーがヤバいことを言ってしまったことは容易に想像できます。
たまたま席を外していて「記念日で最悪のこと」というセリフだけを聞いたフィービーは、チャンドラーが最悪のことと言ったのは、モニカがリチャードと食事したことを告白したからだ、と勘違いしたのですね。
you decided to tell him about 「…について彼に話すと決めた」という過去形は、そう決めて、今、実際にそれを話したのね、と言っていることになるでしょう。
「言わないって言ってたけど、今のチャンドラーのセリフを聞くと、モニカは話すことにしたのね」と軽く言ったわけですが、その内容を the Richard thing と名前を出して言ってしまったので、チャンドラーの注意を強く引いてしまったわけですね。
チャンドラーは、What "Richard thing"? と2回言っていますが、厳密に言うと、What's the Richard thing? (= What is the Richard thing?) とは微妙にニュアンスが違うように思います。
What's the Richard thing? なら、「例のリチャードのこと」って何?と問うていることになるでしょうが、What "Richard thing" だとその what は、「何の、どんな」という形容詞になり、何の「リチャードのこと」なの?、どんな「リチャードのこと」なの?、とその「リチャードのこと」の内容、「どのような”リチャードのこと”なのか?」を問うている感覚になると思います。
チャンドラーが「リチャードのこと」が何かわかっていないことから、フィービーは自分が失言したことに気づいたようで、Oh, no. と言っていますが、そのト書きには、[The patented version.] と書いてありますね。
patent は「特許、特許権、パテント」のことで、動詞では「…の特許(権)を取る、特許を受ける」という意味になります。
ですから、直訳すると、「例の特許を与えられたバージョン」みたいな意味になるわけですが、それはつまり、「フィービーがよく使うと多くの人に認められている、そのバージョンで」みたいな感じでしょう。
何か言ってはいけないことを言ってしまった後に、こんな風に、Oh, no. と言うのがフィービーの口癖、いつものパターンである、という感覚なんだろうと思います。
「リチャードのこと、ってどんなことだよ?」と追及するチャンドラーを見て、フィービーがモニカに、リチャード・シモンズのことを言うのが面白いですね。
リチャード・シモンズについては、1つ前の記事、あのリチャードってどのリチャード? フレンズ5-23その2 で説明しましたが、モニカが「あのリチャード」と言った時に、フィービーが思い出したのが、減量プログラムで有名なフィットネス界の有名人、リチャード・シモンズでした。
go with は「…と共に行く」ということですが、ここでは、英辞郎の
go with=【句動-9】〜を選ぶ、〜の線[路線]で行く
という語義が近いように思います。
リチャードという名前を聞いて、私はあなたの元カレのリチャードじゃなくて、リチャード・シモンズのことを思い出したんだから、ここでもその路線で、「リチャード・シモンズの線で」行きなさいよ、リチャードっていうのはあのリチャード・シモンズのことよ、って話をそらしちゃいなさいよ、と勧めているわけですね。
最初にシモンズの名前がセリフに出てから、このように、かなり後のシーンで再度シモンズの名前を出してくるところも、コメディの定石と言えるかもしれません。
モニカがリチャードと言えば、誰もが元カレのリチャードを思い出すに決まっているのに、シモンズだと言い張って逃げられるかのように思っているところに、フィービーのオトボケ具合が感じられて、楽しいなと思いました。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2011年06月16日
あのリチャードってどのリチャード? フレンズ5-23その2
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は5位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
[Scene: Monica and Rachel's, Phoebe is entering.]
モニカとレイチェルの部屋。フィービーが入ってくる。
フィービー: Monica! I'm sorry I'm late! (Starts looking around for her) Monica? (Goes into Monica's bedroom.) (モニカ! 遅れてごめんなさい! [モニカを探し始める] モニカ? [モニカの寝室に入る])
モニカ: (entering) Phoebe? (Phoebe comes back into the living room) Oh, Phoebe, I'm so sorry. Have you been here long? ([(外からアパートメントの中に)入ってきて] フィービー? [フィービーはリビングに戻ってくる] あぁ、フィービー、ごめんなさい。ここに長い間いた?)
フィービー: (saddened) That's okay. What the hell took you so long? ([悲しんで(悲しそうな顔をして)] そんなのいいのよ。一体どうしてそんなに長い時間がかかったの?)
モニカ: Okay, you cannot tell Chandler. Okay? That I ran into Richard. (いいわ、チャンドラーには言っちゃだめよ、いい? 私、リチャードにばったり会ったの。)
フィービー: Which Richard? (どのリチャード?)
モニカ: The Richard. (あのリチャードよ。)
フィービー: Richard Simmons? Oh, my God! (リチャード・シモンズ? なんてこと!)
モニカ: Noo! My ex-boyfriend Richard! Y'know, the tall guy, mustache? (違うわ! 私の元カレのリチャードよ! ほら、背が高くて、口ひげの。)
フィービー: Oh! Okay, that actually makes more sense. So how was it? (あぁ! そうね、実際、その方が納得いくわね。それで、どうだったの?)
モニカ: It was, it was really nice. We started talking and I-I ended up having lunch with him. (本当に良かったわ。私たちは話し始めて、それで、結局、私は彼とランチを食べたの。)
フィービー: That is so weird! I had a dream that you'd have lunch with Richard. (それってすごく変な感じだわ! 私、あなたがリチャードとランチを食べる夢を見たのよ。)
モニカ: Really? (ほんとに?)
フィービー: But again, Richard Simmons. Go on. (でも、それもまた、リチャード・シモンズだけどね。(話を)続けて。)
外からアパートメントに入ってきたフィービーは、「遅くなってごめんなさい」と言いながら、モニカを探しています。
その後にアパートメントに入ってきたモニカは、フィービーの姿を見て、ここに長くいた?と尋ねます。
フィービーは悲しそうな顔をして、That's okay. と言っていますね。
これは、フィービーは予定の時刻に遅刻したけれど、モニカがさらにそれより遅かったので、自分がこの部屋でさも長い間モニカを待っていたかのようなお芝居をしているのですね。
最初は「遅れてごめん」と申し訳なさそうにモニカを探し回っていたのに、モニカが遅かったとわかると、「すごく待たされちゃったけど、まあいいわ、許したげる」みたいに、わざと不機嫌そうな顔をしてみせているわけです。
「take+someone+時間」は、「人に(時間が)かかる、人に(時間を)要する、必要とする」。
この場合は、「何があなたにそんなに長い時間を要したの?」ということで、つまりは、「何をしていたせいで、どんな用事で、あなたはそんなに遅くなった(時間がかかった)の?」と言っていることになります。
自然な日本語にするならば、「どうしてそんなに遅くなったの?」になるでしょうが、厳密に言うと、「遅くなった理由」を尋ねているというよりは、「遅くなった原因」を尋ねているニュアンスになるでしょう。
モニカは、「チャンドラーに言っちゃだめよ」と言いながら、「私、リチャードにばったり会っちゃったの」と言っています。
ネットスクリプトには、That I ran into Richard. と書いてあり、実際、that が音として聞こえるかどうかは微妙なところですが、この that は、You cannot tell Chandler that I ran into Richard. ということです。
that のニュアンスを出そうとすると、「チャンドラーには言わないでね。私がリチャードにばったり会ったことを」みたいになるでしょうか。
このように、「…ということ」の意味で、文頭がいきなり That で始まるような「That+S+V」という形は、ドラマや映画などのセリフに結構登場します。
その前に言ったセリフに続く形で、that が使われているのだと認識すれば良いでしょう。
リチャードに会ったと話すモニカに、フィービーは「どのリチャード?」と聞いています。
それに対するモニカの返事、The Richard. は、The の部分が強調され、通常の「ザ」ではなく、「ジ」…というより「ディ」みたいな発音に聞こえます。
モニカは、「どのリチャードって、あのリチャードに決まってるじゃない」という感じで、The の部分を強調しているわけですね。
「あの」リチャードと聞いて、フィービーが名前を出したのは、Richard Simmons という人。
それに対してモニカは、「違うわ、あのリチャードと言えば、私の元カレのリチャードよ!」と言い、背が高くて口ひげが生えているという彼の特徴を述べ、元カレのことを思い出させようとしています。
フレンズをずっと見てきたファンにとっても、モニカがリチャードと言えば、あの親子ほど年の離れた元カレのリチャードに決まってる、とわかるのに、全然関係のないリチャードの名前を持ち出すフィービーのズレ具合が「いかにもフィービー」という感じですね。
フィービーが名前を出した、リチャード・シモンズについては以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Richard Simmons
彼のオフィシャルサイトはこちら。
Richard Simmons Official Site and Clubhouse: Weight Loss and Fitness Tools and Motivation
減量プログラムなどを行なう、フィットネス界の有名人のようです。
ウィキペディアの説明には以下の記述があります。
... is known for his eccentric, outgoing and frequently flamboyant personality.
つまり、「彼は、エキセントリック(風変り)で、社交的で、しばしば、けばけばしい(派手な)性格で有名である」。
ついでにその flamboyant の英英辞典の語義も紹介しておきます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
flamboyant : behaving or dressing in a confident or surprising way that makes people notice you.
つまり、「人に(存在を)気づかせるような[人目を引くような]、自信に満ちた[大胆な]、または驚くようなやり方で行動する、またはそのような服を着る」。
つまり、行動や服装が大胆で人目をひくような人を指す言葉だということになります。
フィットネスやダンスのような華やかな業界は、派手めで、元気ハツラツな人が多いですよね。
このリチャード・シモンズもそういうイメージの人なのでしょう。
有名な映画俳優(例えば、リチャード・ギア)とかではなくて、フィットネス業界の人の名前を出してくるところが、変化球ぽいというか、どこかマニアックで意外性があって余計に笑えてしまう、ということかもしれません。
ダイエットのビデオなども多く出している有名人のようですが、それにしても、数多くいるリチャードと名のつく有名人の中で、なぜ彼の名前が一番最初に出てくる?!みたいな、人選のセンスの面白さなのでしょう。
口ひげの生えた元カレだと説明するモニカに、フィービーは、that actually makes more sense と言っています。
make sense は「道理にかなう」ですから、それを比較級にした、make more sense は「(主語)の方が、より道理にかなう」ということですね。
つまり、フィービーは、今のモニカの言ったことの方が、私の言ったことよりも道理にかなってるわ、と言っていることになります。
これがもし more がなければ、「あなたの言ったことは道理にかなってるわ、納得いくわ」になるのですが、more がついているために、自分の言ったことと比較して「より道理にかなっている」と言っていることになり、つまりは、自分の言ったことも多少は道理がかなっていると思っていることがわかります。
モニカがリチャードという名前を出した時に、全く何の関係もない、リチャード・シモンズだと思い込むのは超ナンセンスなのに、フィービーはその自覚がない、ということですね。
「うーん、なるほど、あなたの元カレのリチャードね、確かに”そっちの方が”納得いくわね」と「2つを比較した上でモニカの意見の方がより道理にかなう」と判断している、そのセリフの面白さに注目していただければと思います。
わりと最近の記事でも、これと同じようなパターンを取り上げたことがあります。
あまり道理にかなってるとは言えない フレンズ5-20その6 で、「銃声がしたから、サンドイッチを守ろうとしたんだ」というジョーイに、
チャンドラー: From a bullet? ((救うって)銃弾から?)
ジョーイ: I know it doesn't make much sense. (それほど筋が通らないのはわかってるけど。)
チャンドラー: "Much" sense? (「それほど」だって?)
というやり取りでした。
これも、自分の言っていることに「多少は道理がある、多少の筋は通っている」と思っているジョーイに、チャンドラーはあきれていたわけですね。
誰かの発言を受けて「なるほど。それなら道理にかなってる」と言いたい場合に、That makes sense. というフレーズをよく使いますが、それに more をつけることで、自分の言ったことも多少は道理があった、ということを示している、その面白さを楽しんでいただけたらと思います。
リチャードと会って話をして、結局はランチを一緒に食べたと言うモニカ。
フィービーは、「それって妙な感じね。(だって)私、あなたがリチャードとランチを食べる夢を見たんだもの」と言っています。
「モニカが実際にやったことを、それより前に夢で見ちゃったの。何だか予知夢みたいで奇妙な感じがするわよねぇ…」と言っているように聞こえるのですが、その後のセリフを聞いてみると、その夢に出てきたリチャードは、元カレのリチャードではなくて、またもや、リチャード・シモンズ!(笑)
「また、そっちのリチャード!?」とツッコミたくなるようなセリフですね。
さっきの話で、シモンズの件はオチがついていたと思ったら、少し間を置いてまた持ち出す、という、ある意味、喜劇の王道と言うべきジョークだと思います。
こんなところで再登場するとは思わず油断していると、まんまとそのジョークにハマってしまう、という感覚ですね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
[Scene: Monica and Rachel's, Phoebe is entering.]
モニカとレイチェルの部屋。フィービーが入ってくる。
フィービー: Monica! I'm sorry I'm late! (Starts looking around for her) Monica? (Goes into Monica's bedroom.) (モニカ! 遅れてごめんなさい! [モニカを探し始める] モニカ? [モニカの寝室に入る])
モニカ: (entering) Phoebe? (Phoebe comes back into the living room) Oh, Phoebe, I'm so sorry. Have you been here long? ([(外からアパートメントの中に)入ってきて] フィービー? [フィービーはリビングに戻ってくる] あぁ、フィービー、ごめんなさい。ここに長い間いた?)
フィービー: (saddened) That's okay. What the hell took you so long? ([悲しんで(悲しそうな顔をして)] そんなのいいのよ。一体どうしてそんなに長い時間がかかったの?)
モニカ: Okay, you cannot tell Chandler. Okay? That I ran into Richard. (いいわ、チャンドラーには言っちゃだめよ、いい? 私、リチャードにばったり会ったの。)
フィービー: Which Richard? (どのリチャード?)
モニカ: The Richard. (あのリチャードよ。)
フィービー: Richard Simmons? Oh, my God! (リチャード・シモンズ? なんてこと!)
モニカ: Noo! My ex-boyfriend Richard! Y'know, the tall guy, mustache? (違うわ! 私の元カレのリチャードよ! ほら、背が高くて、口ひげの。)
フィービー: Oh! Okay, that actually makes more sense. So how was it? (あぁ! そうね、実際、その方が納得いくわね。それで、どうだったの?)
モニカ: It was, it was really nice. We started talking and I-I ended up having lunch with him. (本当に良かったわ。私たちは話し始めて、それで、結局、私は彼とランチを食べたの。)
フィービー: That is so weird! I had a dream that you'd have lunch with Richard. (それってすごく変な感じだわ! 私、あなたがリチャードとランチを食べる夢を見たのよ。)
モニカ: Really? (ほんとに?)
フィービー: But again, Richard Simmons. Go on. (でも、それもまた、リチャード・シモンズだけどね。(話を)続けて。)
外からアパートメントに入ってきたフィービーは、「遅くなってごめんなさい」と言いながら、モニカを探しています。
その後にアパートメントに入ってきたモニカは、フィービーの姿を見て、ここに長くいた?と尋ねます。
フィービーは悲しそうな顔をして、That's okay. と言っていますね。
これは、フィービーは予定の時刻に遅刻したけれど、モニカがさらにそれより遅かったので、自分がこの部屋でさも長い間モニカを待っていたかのようなお芝居をしているのですね。
最初は「遅れてごめん」と申し訳なさそうにモニカを探し回っていたのに、モニカが遅かったとわかると、「すごく待たされちゃったけど、まあいいわ、許したげる」みたいに、わざと不機嫌そうな顔をしてみせているわけです。
「take+someone+時間」は、「人に(時間が)かかる、人に(時間を)要する、必要とする」。
この場合は、「何があなたにそんなに長い時間を要したの?」ということで、つまりは、「何をしていたせいで、どんな用事で、あなたはそんなに遅くなった(時間がかかった)の?」と言っていることになります。
自然な日本語にするならば、「どうしてそんなに遅くなったの?」になるでしょうが、厳密に言うと、「遅くなった理由」を尋ねているというよりは、「遅くなった原因」を尋ねているニュアンスになるでしょう。
モニカは、「チャンドラーに言っちゃだめよ」と言いながら、「私、リチャードにばったり会っちゃったの」と言っています。
ネットスクリプトには、That I ran into Richard. と書いてあり、実際、that が音として聞こえるかどうかは微妙なところですが、この that は、You cannot tell Chandler that I ran into Richard. ということです。
that のニュアンスを出そうとすると、「チャンドラーには言わないでね。私がリチャードにばったり会ったことを」みたいになるでしょうか。
このように、「…ということ」の意味で、文頭がいきなり That で始まるような「That+S+V」という形は、ドラマや映画などのセリフに結構登場します。
その前に言ったセリフに続く形で、that が使われているのだと認識すれば良いでしょう。
リチャードに会ったと話すモニカに、フィービーは「どのリチャード?」と聞いています。
それに対するモニカの返事、The Richard. は、The の部分が強調され、通常の「ザ」ではなく、「ジ」…というより「ディ」みたいな発音に聞こえます。
モニカは、「どのリチャードって、あのリチャードに決まってるじゃない」という感じで、The の部分を強調しているわけですね。
「あの」リチャードと聞いて、フィービーが名前を出したのは、Richard Simmons という人。
それに対してモニカは、「違うわ、あのリチャードと言えば、私の元カレのリチャードよ!」と言い、背が高くて口ひげが生えているという彼の特徴を述べ、元カレのことを思い出させようとしています。
フレンズをずっと見てきたファンにとっても、モニカがリチャードと言えば、あの親子ほど年の離れた元カレのリチャードに決まってる、とわかるのに、全然関係のないリチャードの名前を持ち出すフィービーのズレ具合が「いかにもフィービー」という感じですね。
フィービーが名前を出した、リチャード・シモンズについては以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Richard Simmons
彼のオフィシャルサイトはこちら。
Richard Simmons Official Site and Clubhouse: Weight Loss and Fitness Tools and Motivation
減量プログラムなどを行なう、フィットネス界の有名人のようです。
ウィキペディアの説明には以下の記述があります。
... is known for his eccentric, outgoing and frequently flamboyant personality.
つまり、「彼は、エキセントリック(風変り)で、社交的で、しばしば、けばけばしい(派手な)性格で有名である」。
ついでにその flamboyant の英英辞典の語義も紹介しておきます。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
flamboyant : behaving or dressing in a confident or surprising way that makes people notice you.
つまり、「人に(存在を)気づかせるような[人目を引くような]、自信に満ちた[大胆な]、または驚くようなやり方で行動する、またはそのような服を着る」。
つまり、行動や服装が大胆で人目をひくような人を指す言葉だということになります。
フィットネスやダンスのような華やかな業界は、派手めで、元気ハツラツな人が多いですよね。
このリチャード・シモンズもそういうイメージの人なのでしょう。
有名な映画俳優(例えば、リチャード・ギア)とかではなくて、フィットネス業界の人の名前を出してくるところが、変化球ぽいというか、どこかマニアックで意外性があって余計に笑えてしまう、ということかもしれません。
ダイエットのビデオなども多く出している有名人のようですが、それにしても、数多くいるリチャードと名のつく有名人の中で、なぜ彼の名前が一番最初に出てくる?!みたいな、人選のセンスの面白さなのでしょう。
口ひげの生えた元カレだと説明するモニカに、フィービーは、that actually makes more sense と言っています。
make sense は「道理にかなう」ですから、それを比較級にした、make more sense は「(主語)の方が、より道理にかなう」ということですね。
つまり、フィービーは、今のモニカの言ったことの方が、私の言ったことよりも道理にかなってるわ、と言っていることになります。
これがもし more がなければ、「あなたの言ったことは道理にかなってるわ、納得いくわ」になるのですが、more がついているために、自分の言ったことと比較して「より道理にかなっている」と言っていることになり、つまりは、自分の言ったことも多少は道理がかなっていると思っていることがわかります。
モニカがリチャードという名前を出した時に、全く何の関係もない、リチャード・シモンズだと思い込むのは超ナンセンスなのに、フィービーはその自覚がない、ということですね。
「うーん、なるほど、あなたの元カレのリチャードね、確かに”そっちの方が”納得いくわね」と「2つを比較した上でモニカの意見の方がより道理にかなう」と判断している、そのセリフの面白さに注目していただければと思います。
わりと最近の記事でも、これと同じようなパターンを取り上げたことがあります。
あまり道理にかなってるとは言えない フレンズ5-20その6 で、「銃声がしたから、サンドイッチを守ろうとしたんだ」というジョーイに、
チャンドラー: From a bullet? ((救うって)銃弾から?)
ジョーイ: I know it doesn't make much sense. (それほど筋が通らないのはわかってるけど。)
チャンドラー: "Much" sense? (「それほど」だって?)
というやり取りでした。
これも、自分の言っていることに「多少は道理がある、多少の筋は通っている」と思っているジョーイに、チャンドラーはあきれていたわけですね。
誰かの発言を受けて「なるほど。それなら道理にかなってる」と言いたい場合に、That makes sense. というフレーズをよく使いますが、それに more をつけることで、自分の言ったことも多少は道理があった、ということを示している、その面白さを楽しんでいただけたらと思います。
リチャードと会って話をして、結局はランチを一緒に食べたと言うモニカ。
フィービーは、「それって妙な感じね。(だって)私、あなたがリチャードとランチを食べる夢を見たんだもの」と言っています。
「モニカが実際にやったことを、それより前に夢で見ちゃったの。何だか予知夢みたいで奇妙な感じがするわよねぇ…」と言っているように聞こえるのですが、その後のセリフを聞いてみると、その夢に出てきたリチャードは、元カレのリチャードではなくて、またもや、リチャード・シモンズ!(笑)
「また、そっちのリチャード!?」とツッコミたくなるようなセリフですね。
さっきの話で、シモンズの件はオチがついていたと思ったら、少し間を置いてまた持ち出す、という、ある意味、喜劇の王道と言うべきジョークだと思います。
こんなところで再登場するとは思わず油断していると、まんまとそのジョークにハマってしまう、という感覚ですね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2011年06月15日
ブログ6周年
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は7位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
2005年6月15日に開始したこのブログ、今日で無事6周年を迎えることができました。
6年間もブログを続けて来られたのは、読者の皆様の温かい応援のお陰です。本当にありがとうございます!
去年の5周年の時、私は自分のブログの存在意義を感じられなくなっていて、ブログ閉鎖を視野に入れた非常にネガティブな記事を書いてしまいました。
ですが、今年はもうそんなことは言いません。
これからもこのブログを続けていって、できればフレンズのファイナル(シーズン10)まで書き続けたいと思っています。
どうかこれからもよろしくお願いいたします。
去年、皆様のランキング応援クリックがどれほど私の励みになっているかについて、正直な気持ちを書かせていただきました。
それから今日に至るまで、登録しているランキングで、ずっと高順位でいさせていただくことができました。
そのことは本当に私の励みとなっています。ありがとうございます。
特に、記事の更新がない日にもたくさんの方がクリックして下さっている、という事実が、私にとっては非常に嬉しくありがたいのです。
更新のない日のクリックにつきましては、個々の記事の良し悪しだけではなく、このブログの存在そのものを認め、応援して下さっているのだと解釈させていただいています。
このブログは、私自身の学習記録であると当時に、多くの人と英語を学ぶ楽しみを分け合うための場所でもあります。
私がこうして記事を書き続けることで少しでも誰かの英語学習のお役に立てるなら、こんなに嬉しいことはありません。
クリックの形で応援していただけていることで、誰かのお役に立てている、私の記事を待っていて下さる人がいる、ということを実感できます。
それが実感できれば、私はどこまでもこのブログを続けていける気がします。
英語学習には実に様々な方法があります。
それぞれの方がご自身の性格、性質、生活パターンに合った学習法を選んでいかれるのが何よりも大切だと思っています。
そういういろいろな方法がある中で、私は「海外ドラマ」というエンターテインメントの生きた英語を使って学ぶ方法を選び、それを続けてきました。
そこには、多くの英語学習者が身に付けたいと願う「生きた、使える英語」がいっぱい詰まっています。
学習素材としての「本物」は、あちこち探し回らなくても、すぐ手の届くところにある。後はそれを自分の母国語と同じようにニュアンスを理解し、使えるレベルにまで体に染み込ませるという作業を行なうだけだ…私はいつもそう思っています。
私はこのブログで、母国語と同じレベルで理解できるようになるためのお手伝いをさせていただいているつもりです。
私自身が、試行錯誤しながら、と同時に楽しみながら、英語を学んでいる様子をこれからも皆様に見ていただけたらいいなと思っています。
今の私には迷いはありません。
自分が「これだ!」と思った方法を信じて、それを続けていけることに至上の喜びを感じています。
そう断言できる自分をとても幸せ者だと思います。
これからも皆様と一緒に楽しく英語学習を続けていきたいです。
皆様どうか、今後ともよろしくお願いいたします。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
2005年6月15日に開始したこのブログ、今日で無事6周年を迎えることができました。
6年間もブログを続けて来られたのは、読者の皆様の温かい応援のお陰です。本当にありがとうございます!
去年の5周年の時、私は自分のブログの存在意義を感じられなくなっていて、ブログ閉鎖を視野に入れた非常にネガティブな記事を書いてしまいました。
ですが、今年はもうそんなことは言いません。
これからもこのブログを続けていって、できればフレンズのファイナル(シーズン10)まで書き続けたいと思っています。
どうかこれからもよろしくお願いいたします。
去年、皆様のランキング応援クリックがどれほど私の励みになっているかについて、正直な気持ちを書かせていただきました。
それから今日に至るまで、登録しているランキングで、ずっと高順位でいさせていただくことができました。
そのことは本当に私の励みとなっています。ありがとうございます。
特に、記事の更新がない日にもたくさんの方がクリックして下さっている、という事実が、私にとっては非常に嬉しくありがたいのです。
更新のない日のクリックにつきましては、個々の記事の良し悪しだけではなく、このブログの存在そのものを認め、応援して下さっているのだと解釈させていただいています。
このブログは、私自身の学習記録であると当時に、多くの人と英語を学ぶ楽しみを分け合うための場所でもあります。
私がこうして記事を書き続けることで少しでも誰かの英語学習のお役に立てるなら、こんなに嬉しいことはありません。
クリックの形で応援していただけていることで、誰かのお役に立てている、私の記事を待っていて下さる人がいる、ということを実感できます。
それが実感できれば、私はどこまでもこのブログを続けていける気がします。
英語学習には実に様々な方法があります。
それぞれの方がご自身の性格、性質、生活パターンに合った学習法を選んでいかれるのが何よりも大切だと思っています。
そういういろいろな方法がある中で、私は「海外ドラマ」というエンターテインメントの生きた英語を使って学ぶ方法を選び、それを続けてきました。
そこには、多くの英語学習者が身に付けたいと願う「生きた、使える英語」がいっぱい詰まっています。
学習素材としての「本物」は、あちこち探し回らなくても、すぐ手の届くところにある。後はそれを自分の母国語と同じようにニュアンスを理解し、使えるレベルにまで体に染み込ませるという作業を行なうだけだ…私はいつもそう思っています。
私はこのブログで、母国語と同じレベルで理解できるようになるためのお手伝いをさせていただいているつもりです。
私自身が、試行錯誤しながら、と同時に楽しみながら、英語を学んでいる様子をこれからも皆様に見ていただけたらいいなと思っています。
今の私には迷いはありません。
自分が「これだ!」と思った方法を信じて、それを続けていけることに至上の喜びを感じています。
そう断言できる自分をとても幸せ者だと思います。
これからも皆様と一緒に楽しく英語学習を続けていきたいです。
皆様どうか、今後ともよろしくお願いいたします。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2011年06月13日
ATMに残された暗証番号 フレンズ5-23その1
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は5位、「にほんブログ村」は5位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
シーズン5 第23話
The One in Vegas Part I (恋人たちのベガス PART 1 )
原題は「ベガスの話 パート1」
[Scene: Monica and Rachel's, Rachel is sitting in the living room and Phoebe is standing in the kitchen as the phone rings.]
モニカとレイチェルの部屋。レイチェルはリビングに座っていて、フィービーは台所に立っている。その時に電話が鳴る。
フィービー: (answering the phone) Hello? (Listens) Hey, Joey! ([電話に出て] もしもし? [電話を聞いて] はーい、ジョーイ!)
[Cut to Las Vegas, Joey is on the phone and wearing his gladiator costume.]
ラスベガスに画面がカット。ジョーイは電話をしていて、グラディエーターの衣装を着ている。
ジョーイ: Hey, Pheebs! Listen, uh can you do me a favor? I forgot the PIN number to my ATM card. Can, can you get it for me? (やあ、フィービー! ねぇ、お願いがあるんだけど。俺、ATM カードの暗証番号を忘れたんだ。俺のためにその番号を手に入れてくれる?[調べてくれる?])
フィービー: Sure! Where is it? (もちろん! それはどこにあるの?)
ジョーイ: Uh, I scratched it on the ATM machine down on the corner. (隅[角]にある ATM の上に走り書きしたんだ[引っかいて彫ったんだ]。)
フィービー: Ohh! So you're 5-6-3-9? (あー! それじゃあ、あなたが 5639 なのね?)
ジョーイ: That's it! Thanks, Pheebs! (それだよ! ありがと、フィービー!)
ラスベガスから電話してきたジョーイ。
ジョーイは、the PIN number to my ATM card を忘れたと言っています。
PIN は、personal identification number 「暗証番号」のことですね。
今回のセリフでは、the PIN number のように number という単語がついていますが、the PIN、または、my PIN という number のない形で使われることも多いようです。
実際、N = number の略であるわけですから、厳密に言うと、number をつけてしまうと、number が重複することになってしまうわけですが、より暗証「番号」であることをはっきりさせるために、PIN number という言い方もよく使われる、ということなのでしょう。
the PIN number to my ATM card のように前置詞 to が使われていますね。
これは、「…の鍵(かぎ)」と言いたい場合に、a key to something のように to が使われるのと同じような感覚だと思います。
a key to a door だと「ドアのカギ」、a key to a car だと「車のキー」ですね。
研究社 新英和中辞典では、そういう to のニュアンスを、
[付属・関連・関係を表わして] …の、…に(とっての)
と説明していますが、まさにそのような「付属しているという関係を示している」 to なのだろうと思います。紐付きになっている関係とでも言いましょうか。
Can you get it for me? の get は漠然とした動詞ですが、ここでは「入手する、手に入れる」という感覚が近いかなと思います。
番号を忘れちゃったんで、それを「探して、調べて」欲しいんだ、みたいなことでしょう。
I scratched it on the ATM machine down on the corner. について。
まずは動詞 scratch。「スクラッチくじ」という言葉があるように、scratch は「引っかく、かく、こする」という意味が基本ですね。
そこから、「引っかくように彫る」や「走り書きする、殴り書きする」という意味にもなります。
研究社 新英和中辞典では、
scratch :
1 〔+目+on+【(代)名】〕 〔…に〕〈印・名前などを〉ひっかくようにつける[書く]
scratch one's name on a wall (with a nail) (くぎで)壁に名前を彫りつける。
2 〈…を〉走り書きする, 殴り書きする
scratch one's signature さっとサインをする。
scratch a note to a friend 友人にさっと一筆手紙を書く。
と出ています。
「くぎで壁に彫りつける」というのはまさに日本語にもなっている「スクラッチ」のイメージですが、必ずしも「引っかいて傷をつける」というニュアンスばかりではなく、乱暴な感じで「書く」ことも scratch と表現するのですね。
Macmillan Dictionary では、
scratch : [transitive] (informal) to write something very quickly and carelessly
つまり、「(インフォーマル) 何かを非常に早く、ぞんざいに書くこと」。
the ATM machine down on the corner を定冠詞を忠実に訳すと、「その角にある、あの ATM 機」みたいな感覚になるでしょうか。
the という定冠詞は、話し手と聞き手が「それ」だと特定できるものに対して使われますので、いつも一緒にいるフレンズたちは、「あの隅・角の ATM 」と言えば、あぁ、いつも使ってるあれね!とピンとくるわけでしょう。
フレンズたちがよく使っているその ATM に、ジョーイは自分のカードの暗証番号を scratch したと言っているわけですが、何か硬いもので引っかいてその番号を彫った、ということもありうるし、ペンか何かで走り書き、殴り書きした、ということもあるでしょう。
彫って傷をつける方が時間がかかりそうなので(笑)、多分、忘れないようにどこかにささっと「落書きのように書き留めた」、という感じが近いのかな、とは思います。
いずれにしろ、学校の机に何かを彫ったり落書きしたりしてある、あんな感じのイメージですね。
ちなみに、ATM は、automated teller [telling] machine 「自動現金預払機」の略。
セリフでは、ATM machine と書いてありますが、これも、さきほどの PIN number と同じく、最後の machine が重複しています。
「自動現金預払機の機械」みたいな感じになるわけですが、PIN number と同様、machine を付けた方が「機械」であることをよりはっきりイメージできる、という効果もありますし、また、英語はこのような頭文字を使った略語が多いために、他の分野の同じ略語と見分けるために(紛らわしくないように)、念のため、number や machine をつけた形で使う、ということもある気がします。
いつもの ATM に書いてある、と言われたフィービーは、So you're 5-6-3-9? と驚いています。
その機械を使うと、その数字がどうしても目に入るので覚えてしまったようですね。
Your PIN number is 5-6-3-9? 「あなたの暗証番号は 5639 なの?」というような意味ですが、ここでは、be動詞 are で結ばれて、「you = 5-6-3-9」のように表現されています。
本来、「あなた(人)=暗証番号(数字)」という等式は成り立ちませんが、ATM に書かれている4桁の番号となると、それはカードの暗証番号であるに決まっている、誰の番号なんだろう?とずっと疑問に思っていたけれど、「暗証番号5639 の持ち主・正体はあなただったのね!」という感じで、「あなたが 5639 (さん)なのね」のように言っている感覚だと思います。
That's it. は「それだよ、それが求めていたものだ」というニュアンス。
that は今フィービーが言った暗証番号を指し、it はジョーイが頭の中にイメージしているもの、彼が求めているものを指しています。
「今言ったのが、俺が探していたものだ」ということですね。
ちなみに、この 5639 という番号はでたらめな数字ではありません。
この数字はアルファベットを意味しています。
正確に言うと、あるアルファベットを数字化すると、この数字になるということです。
過去記事、架空の電話番号 フレンズ3-7その3 では、お店の広告に、212-555-KING という電話番号が出てきました。
携帯電話には、数字キー(dial pad)に、アルファベットが割り振られていますよね。
この場合は、KING のアルファベットを押すと、5464 になる、という仕組みです。
今回のジョーイの暗証番号については、
5-J, K, L
6-M, N, O
3-D, E, F
9-W, X, Y, Z
と割り振られているので、5639 がどういうアルファベットから来ているかを想像してみると…なんと、JOEY という綴りを数字化したもの、だったのですね。
5639 = JOEY なわけです。
この暗証番号のやり取りが面白いのは、カードを使って引き出す機械そのものに暗証番号をメモっているという大胆さ、つまり、「人に見られるところに暗証番号をメモしてはいけない」というセキュリティーの鉄則を思いっきり破っているということがまずあります。
そこにカードを置き忘れたり、周辺に落としたりした場合に、他人にお金を引き出されてしまう可能性があるわけです。
さらに面白いのは、この暗証番号が、JOEY というアルファベットを数字化した数字になっているのに、それがわからないなんておかしいでしょ?とツッコミたくなる、ということもあるでしょう。
暗証番号に電話番号や生年月日を使わないように、という警告がよくありますが、ある意味、それよりもバレやすい暗証番号のような気もしますしね。
これもたまたま、ジョーイの綴りが4文字だったのでぴったり数字4つに収まるわけで、フレンズの中だと彼以外には、ROSS くらいしかこのパターンは使えません(ちなみにロスだと、7677 になります)。
「名前をそのまま暗証番号にした上に、それを ATM にメモっている。そんな覚えやすい番号なのに忘れてしまい、フレンズに助けを求めている」というところが、「いかにもジョーイ」という感じがして、楽しいなと思いました。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
シーズン5 第23話
The One in Vegas Part I (恋人たちのベガス PART 1 )
原題は「ベガスの話 パート1」
[Scene: Monica and Rachel's, Rachel is sitting in the living room and Phoebe is standing in the kitchen as the phone rings.]
モニカとレイチェルの部屋。レイチェルはリビングに座っていて、フィービーは台所に立っている。その時に電話が鳴る。
フィービー: (answering the phone) Hello? (Listens) Hey, Joey! ([電話に出て] もしもし? [電話を聞いて] はーい、ジョーイ!)
[Cut to Las Vegas, Joey is on the phone and wearing his gladiator costume.]
ラスベガスに画面がカット。ジョーイは電話をしていて、グラディエーターの衣装を着ている。
ジョーイ: Hey, Pheebs! Listen, uh can you do me a favor? I forgot the PIN number to my ATM card. Can, can you get it for me? (やあ、フィービー! ねぇ、お願いがあるんだけど。俺、ATM カードの暗証番号を忘れたんだ。俺のためにその番号を手に入れてくれる?[調べてくれる?])
フィービー: Sure! Where is it? (もちろん! それはどこにあるの?)
ジョーイ: Uh, I scratched it on the ATM machine down on the corner. (隅[角]にある ATM の上に走り書きしたんだ[引っかいて彫ったんだ]。)
フィービー: Ohh! So you're 5-6-3-9? (あー! それじゃあ、あなたが 5639 なのね?)
ジョーイ: That's it! Thanks, Pheebs! (それだよ! ありがと、フィービー!)
ラスベガスから電話してきたジョーイ。
ジョーイは、the PIN number to my ATM card を忘れたと言っています。
PIN は、personal identification number 「暗証番号」のことですね。
今回のセリフでは、the PIN number のように number という単語がついていますが、the PIN、または、my PIN という number のない形で使われることも多いようです。
実際、N = number の略であるわけですから、厳密に言うと、number をつけてしまうと、number が重複することになってしまうわけですが、より暗証「番号」であることをはっきりさせるために、PIN number という言い方もよく使われる、ということなのでしょう。
the PIN number to my ATM card のように前置詞 to が使われていますね。
これは、「…の鍵(かぎ)」と言いたい場合に、a key to something のように to が使われるのと同じような感覚だと思います。
a key to a door だと「ドアのカギ」、a key to a car だと「車のキー」ですね。
研究社 新英和中辞典では、そういう to のニュアンスを、
[付属・関連・関係を表わして] …の、…に(とっての)
と説明していますが、まさにそのような「付属しているという関係を示している」 to なのだろうと思います。紐付きになっている関係とでも言いましょうか。
Can you get it for me? の get は漠然とした動詞ですが、ここでは「入手する、手に入れる」という感覚が近いかなと思います。
番号を忘れちゃったんで、それを「探して、調べて」欲しいんだ、みたいなことでしょう。
I scratched it on the ATM machine down on the corner. について。
まずは動詞 scratch。「スクラッチくじ」という言葉があるように、scratch は「引っかく、かく、こする」という意味が基本ですね。
そこから、「引っかくように彫る」や「走り書きする、殴り書きする」という意味にもなります。
研究社 新英和中辞典では、
scratch :
1 〔+目+on+【(代)名】〕 〔…に〕〈印・名前などを〉ひっかくようにつける[書く]
scratch one's name on a wall (with a nail) (くぎで)壁に名前を彫りつける。
2 〈…を〉走り書きする, 殴り書きする
scratch one's signature さっとサインをする。
scratch a note to a friend 友人にさっと一筆手紙を書く。
と出ています。
「くぎで壁に彫りつける」というのはまさに日本語にもなっている「スクラッチ」のイメージですが、必ずしも「引っかいて傷をつける」というニュアンスばかりではなく、乱暴な感じで「書く」ことも scratch と表現するのですね。
Macmillan Dictionary では、
scratch : [transitive] (informal) to write something very quickly and carelessly
つまり、「(インフォーマル) 何かを非常に早く、ぞんざいに書くこと」。
the ATM machine down on the corner を定冠詞を忠実に訳すと、「その角にある、あの ATM 機」みたいな感覚になるでしょうか。
the という定冠詞は、話し手と聞き手が「それ」だと特定できるものに対して使われますので、いつも一緒にいるフレンズたちは、「あの隅・角の ATM 」と言えば、あぁ、いつも使ってるあれね!とピンとくるわけでしょう。
フレンズたちがよく使っているその ATM に、ジョーイは自分のカードの暗証番号を scratch したと言っているわけですが、何か硬いもので引っかいてその番号を彫った、ということもありうるし、ペンか何かで走り書き、殴り書きした、ということもあるでしょう。
彫って傷をつける方が時間がかかりそうなので(笑)、多分、忘れないようにどこかにささっと「落書きのように書き留めた」、という感じが近いのかな、とは思います。
いずれにしろ、学校の机に何かを彫ったり落書きしたりしてある、あんな感じのイメージですね。
ちなみに、ATM は、automated teller [telling] machine 「自動現金預払機」の略。
セリフでは、ATM machine と書いてありますが、これも、さきほどの PIN number と同じく、最後の machine が重複しています。
「自動現金預払機の機械」みたいな感じになるわけですが、PIN number と同様、machine を付けた方が「機械」であることをよりはっきりイメージできる、という効果もありますし、また、英語はこのような頭文字を使った略語が多いために、他の分野の同じ略語と見分けるために(紛らわしくないように)、念のため、number や machine をつけた形で使う、ということもある気がします。
いつもの ATM に書いてある、と言われたフィービーは、So you're 5-6-3-9? と驚いています。
その機械を使うと、その数字がどうしても目に入るので覚えてしまったようですね。
Your PIN number is 5-6-3-9? 「あなたの暗証番号は 5639 なの?」というような意味ですが、ここでは、be動詞 are で結ばれて、「you = 5-6-3-9」のように表現されています。
本来、「あなた(人)=暗証番号(数字)」という等式は成り立ちませんが、ATM に書かれている4桁の番号となると、それはカードの暗証番号であるに決まっている、誰の番号なんだろう?とずっと疑問に思っていたけれど、「暗証番号5639 の持ち主・正体はあなただったのね!」という感じで、「あなたが 5639 (さん)なのね」のように言っている感覚だと思います。
That's it. は「それだよ、それが求めていたものだ」というニュアンス。
that は今フィービーが言った暗証番号を指し、it はジョーイが頭の中にイメージしているもの、彼が求めているものを指しています。
「今言ったのが、俺が探していたものだ」ということですね。
ちなみに、この 5639 という番号はでたらめな数字ではありません。
この数字はアルファベットを意味しています。
正確に言うと、あるアルファベットを数字化すると、この数字になるということです。
過去記事、架空の電話番号 フレンズ3-7その3 では、お店の広告に、212-555-KING という電話番号が出てきました。
携帯電話には、数字キー(dial pad)に、アルファベットが割り振られていますよね。
この場合は、KING のアルファベットを押すと、5464 になる、という仕組みです。
今回のジョーイの暗証番号については、
5-J, K, L
6-M, N, O
3-D, E, F
9-W, X, Y, Z
と割り振られているので、5639 がどういうアルファベットから来ているかを想像してみると…なんと、JOEY という綴りを数字化したもの、だったのですね。
5639 = JOEY なわけです。
この暗証番号のやり取りが面白いのは、カードを使って引き出す機械そのものに暗証番号をメモっているという大胆さ、つまり、「人に見られるところに暗証番号をメモしてはいけない」というセキュリティーの鉄則を思いっきり破っているということがまずあります。
そこにカードを置き忘れたり、周辺に落としたりした場合に、他人にお金を引き出されてしまう可能性があるわけです。
さらに面白いのは、この暗証番号が、JOEY というアルファベットを数字化した数字になっているのに、それがわからないなんておかしいでしょ?とツッコミたくなる、ということもあるでしょう。
暗証番号に電話番号や生年月日を使わないように、という警告がよくありますが、ある意味、それよりもバレやすい暗証番号のような気もしますしね。
これもたまたま、ジョーイの綴りが4文字だったのでぴったり数字4つに収まるわけで、フレンズの中だと彼以外には、ROSS くらいしかこのパターンは使えません(ちなみにロスだと、7677 になります)。
「名前をそのまま暗証番号にした上に、それを ATM にメモっている。そんな覚えやすい番号なのに忘れてしまい、フレンズに助けを求めている」というところが、「いかにもジョーイ」という感じがして、楽しいなと思いました。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
2011年06月11日
古代ローマがテーマのホテル フレンズ5-22その6
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は3位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
ジョーイが主演するはずの映画は、資金不足で中止になってしまいます。ですが、フレンズたちはまだそのことを知りません。
[Scene: Monica and Rachel's, the phone is ringing.]
モニカとレイチェルの部屋。電話が鳴っている。
モニカ: (answering it) Hello? ([電話に出て] もしもし?)
ジョーイ: (on phone from Vegas) Hey, Monica, it's Joey! ([ベガスからの電話] よお、モニカ。ジョーイだ!)
モニカ: Hey, Joey! Aww, you remember me even though you're a big star! (まぁ、ジョーイ! あー、私を覚えててくれてるのね、あなたは大スターだっていうのに!)
ジョーイ: Aw, come on! It'll be years before I forget you! (あー、よせよ! 俺がモニカを忘れるには、何年もかかるよ。)
モニカ: Joey, what's it like on a movie set, huh? Do you have a dressing room? Do you have a chair with your name on it? (ジョーイ、映画セットにいるってどんな感じ? あなたには楽屋があるの? あなたの名前が書いてある椅子があるの?)
ジョーイ: Uh, well yeah-yeah, I got all of that going on. Yeah, listen uh, I want you to make sure you tell Chandler that he couldn't have been more wrong! Uh-oh! I gotta go, Monica. My uh, my sushi's here! (あー、そうだな、そう、そうだよ。そういうの全部あるよ。そうだ、ねぇ、必ずチャンドラーに言っといてよ、チャンドラーはこれ以上ないくらい間違ってたって。おっとー、モニカ、俺、行かなくちゃ。俺の、俺のスシがきたんでね!)
[Cut to Joey hanging up the phone in Vegas. He's wearing a Roman gladiator's uniform and goes over to join a family to pose for a picture. You see, he's apparently taken a job at Caesars Palace.]
ジョーイがベガスで電話を切る場面に切り替わる。ジョーイはローマ時代風のグラディエーターの服[軍服]を着ていて、ある家族のところに行って、写真のためにポーズを取る。おわかりのように、ジョーイはどうやらシーザーズ・パレスでの仕事に就いたらしい。
ジョーイ: (to the family) Sorry about that. Thanks for waitin'. ([その家族に] 今のは[電話してて]ごめん。待っててくれてありがとう。)
その家族の夫: Okay! (いいよ!)
ジョーイ: Everybody smile! (The picture is taken) Okay, thanks a lot! Enjoy your stay at Caesars! We hope it's toga-rific! (The family leaves.) Kill me. Kill me now. (みんな、笑って! [写真が撮影される] よし、どうもありがとうね! シーザーズでの滞在を楽しんで! トガリフィックになるように祈ってるよ! [その家族が去る] (誰か)俺を殺して、今すぐ、殺して。)
ラスベガスから、モニカの家に電話をしてきたジョーイ。
ジョーイの映画が中止になったことを知らないモニカは、映画の主役に抜擢されたジョーイを、ビッグスター扱いしています。
even though は「…であるのに、…にもかかわらず」。
すごい大スターで有名人になったのに、昔の友達の私のことを、以前と変わらず覚えていてくれてるの?みたいなお世辞ですね。
It'll be years before I forget you! を直訳すると、「俺が君を忘れる前に[までに]、何年もあるだろう」みたいな感じですね。
研究社 新英和中辞典では、以下の例文が載っています。
It will be long before we meet again. 「今度お会いするのはずっと先のことでしょう」
(用法:before の導く節が意味上は未来に関することを表わしていても述語動詞は現在形を用いる)
これも、「私たちが再び出会う前に、長い期間があるでしょう」ということから、上のような意味になるのですね。
この例文の long を years にしたのが今回のセリフということになります。
ジョーイがこのセリフを言った時、観客の笑い声(ラフトラック)があり、モニカは「あらら」というような顔をしています。
ジョーイを大スターのように扱ってあげたのに、あまり嬉しくないセリフで返された、というような表情に見えます。
その様子から判断すると、「モニカを忘れるには何年もかかるよ」というのは、モニカという人物の印象が強烈すぎて(笑)、忘れたくても忘れられない、一日や二日で忘れられるものじゃない(→忘れるためには何年もかかる)という意味のセリフなのかな、と思います。
モニカは、一瞬そのように、妙な表情を浮かべますが、また気を取り直して、映画に関することを質問します。
What's it like on a movie set? の What's it like? は「どんな感じ?」ですね。
What's it like to do? や、What's it like doing? なら、「…するのはどんな感じ?」という意味になります。
It is like A to do. / It is like A doing. 「〜することはAのようだ」の like の後に来る部分(A)を、疑問代名詞 what で問うているわけですね。
その場合の it は、to do や doing の仮主語ということになります。
今回のセリフ What's it like on a movie set? は、「on a movie set で、どんな感じ?」と尋ねている感覚ですね。
この場合の it は「漠然とした状況」を指しているのでしょう。
on a movie set は「映画のセットの上に乗っている」ような感覚で、そういうセットの中で行動している今の状況はどんな感じ?という質問になります。
dressing room は「更衣室、支度室、着替え部屋」みたいなことですが、映画などの場合だと「楽屋」がふさわしいでしょうか。
直訳すると、「あなたは1つの楽屋を持っているの?」ということなので、他の人と一緒の大部屋に押し込められているのではなく、主演俳優として楽屋を一つ与えられてるんでしょう?と言っていることになりますね。
a chair with your name on it の with は「付帯状況」を表し、「あなたの名前がその椅子の上にある椅子」→「あなたの名前が書いてある椅子」になります。
これもまた、主演俳優専用の椅子があるんでしょう?と言っていることになります。
I got all of that going on. の got は、have のニュアンスだと思われます。
have all of that going on で、「それ(モニカが今言ったようなこと)の全部が進行中である状態を持っている」みたいなことで、モニカが言ったように、個室の楽屋もあるし、名前の書いた椅子もあると返事していることになります。
I want you to make sure you tell Chandler that の make sure (that) は「間違いなく〜するようにする、必ず〜するように計らう」ですから、「間違いなく that 以下のことをチャンドラーに伝えて欲しい」ですね。
I want you to tell Chanlder that と同じようなことですが、make sure が入ることで、「必ず、間違いなく、もれなく」チャンドラーに伝えてよ、と念押ししている感じが出ています。
he couldn't have been more wrong の he はチャンドラーで、wrong には「悪い」という意味もありますが、ここでは「間違った、誤った、正しくない」という意味で使われているようです。
couldn't... more wrong で「それ以上、間違えることができなかった」→「これ以上はないと言うくらい、最高に・絶対的に間違っていた」ということが言いたいように思います。
I couldn't agree (with you) more. が、「これ以上同意することなんてできない」→「全く同感です」という意味になるのと同じで、「これ以上…である・になることを否定する」ことで、そのレベルが最高であることを表現する方法ですね。
ここでジョーイが言いたいのは、「俺の大ブレイクじゃない、本当の映画じゃない、ってチャンドラーは言ってたけど、今言ったように俺は主役として良い待遇を受けてるんだから、チャンドラーが言ったのは大間違いだったぞ」ということでしょう。
さらに、主役のVIP待遇であることを示すために、「俺のスシが来た」とも言っています。
お寿司を高級料理のように言っているわけですから、日本人としてはちょっと嬉しいですね。
その後のト書きにあるように、電話を切った後のジョーイの姿が映りますが、古代ローマの剣闘士(gladiator)の扮装をしています。
まさに、ラッセル・クロウ主演の映画「グラディエーター」の世界ですね。
そういう衣装を着て、お客さんと写真を撮っている、その様子から、Caesars Palace での仕事に就いたらしい、というト書きもあります。
このホテル、ラスベガスに実際に存在するホテルのようです。
Caesars Palace Las Vegas
Wikipedia 英語版: Caesars Palace
ウィキペディアの枠内の説明にあるように、Theme: Roman Empire 「テーマ:ローマ帝国」なので、ジョーイはこんな恰好をしているわけです。
Caesar は、古代ローマの将軍 Julius Caesar 「ジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)」のことですね。
palace は「宮殿」。
ネットスクリプトのト書きでは、Caesar's Palace のように所有格のアポストロフィーがついており、後のジョーイのセリフも、DVD英語字幕では、Enjoy your stay at Caesar's! のようにアポストロフィーがついていますが、アポストロフィーのつかない Caesars Palace が正式名称のようです。
上のウィキペディアの History に以下の記述がありました。
It is called "Caesars" and not "Caesar's" because every guest is a Caesar.
つまり、「呼び名(ホテルの名前)は、"Caesars" であって、"Caesar's" ではない。それは、すべての客が a Caesar 「一人のシーザー」だからである」。
つまり、Caesar's としてしまうと、「あの」ジュリアス・シーザーの宮殿、ということになり、ゲストがその宮殿にお邪魔していますみたいな感じになってしまいそうだけれども(??)、このホテルは「訪れたお客様一人ひとりがシーザーである」ようにおもてなしをするのがコンセプトなので、シーザーたちが集まる宮殿という意味で、複数形の Caesars を使っている、ということのようです。
複数形で所有格にする場合は、Caesars' のように、複数形にした後、アポストロフィーをつけることもありますが、この場合は、複数形を形容詞的に使っていると考えたら良いかなぁ、と。
かなり有名なホテルのようで、ウィキペディアの Film history や Television の項目を見ると、いろいろな作品に登場していることがわかります。
Television のところでは、ちゃんと今回のフレンズのことも書いてありますね。
ローマ時代のグラディエーターの恰好をして、お客さんと一緒に写真に納まるジョーイ。
シーザーズでの滞在を楽しんでね、と言った後、We hope it's toga-rific! と言っています。
toga-rific は恐らく、terriflc 「素晴らしい、素敵な」のもじりでしょう。
toga は「トーガ」という、古代ローマ人が着ていた外衣のことですね。
Wikipedia 日本語版: トガ
Wikipedia 英語版: Toga
上のウィキペディアには、トーガの絵なども載っています。
We hope の we は、「ホテル従業員の私たちは(滞在が素敵なものとなるように祈っています)」という感覚でしょう。
ジョーイのような写真撮影用のバイトも含め、おもてなしする側の人間を we と表現しているわけですね。
写真撮影の後は、必ずお客さんにこう言うように、と命じられている感じがします。
笑いながら客を見送ったジョーイですが、その後、落ち込んだ様子で、Kill me. Kill me now. と言っています。
映画の主役だと張り切っていたのに、写真撮影用モデルのバイトでこんな恰好をしている自分がみじめになってきたのでしょう。
「誰か、今すぐ俺を殺してくれ」というのは物騒な表現ではありますが、自分の境遇に悲観した時にはつい口から出てしまう表現のようですね。
フレンズ1-10 では、大晦日を恋人なしで過ごすことに耐え切れず、ジャニスを誘ってしまったチャンドラーが、大晦日のパーティーでジャニスと一緒に写真を撮っている時に、
チャンドラー: Kill me. Kill me now.
と、今回のジョーイと全く同じフレーズを言っていました。
これも、思わず誘ってしまったけれど、やっぱりジャニスはうっとうしかった(笑)ので、そういうことをしてしまった弱い自分を嫌悪して、「もうこんなダメな俺は消えてしまいたい。誰か俺を消してくれ」のニュアンスで言っている感じですね。
今回のジョーイのセリフ、フレンズ1-10 のチャンドラーのセリフが、どちらも写真撮影の際(もしくは後)のセリフであるのは偶然とはいえ面白いです。
カメラを向けられると、それ用の顔をしてしまうものの、そのカメラに向けている顔と自分の心情とのギャップを考えると、余計に今の自分の姿がみじめになってしまう、ということかもしれませんね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
ジョーイが主演するはずの映画は、資金不足で中止になってしまいます。ですが、フレンズたちはまだそのことを知りません。
[Scene: Monica and Rachel's, the phone is ringing.]
モニカとレイチェルの部屋。電話が鳴っている。
モニカ: (answering it) Hello? ([電話に出て] もしもし?)
ジョーイ: (on phone from Vegas) Hey, Monica, it's Joey! ([ベガスからの電話] よお、モニカ。ジョーイだ!)
モニカ: Hey, Joey! Aww, you remember me even though you're a big star! (まぁ、ジョーイ! あー、私を覚えててくれてるのね、あなたは大スターだっていうのに!)
ジョーイ: Aw, come on! It'll be years before I forget you! (あー、よせよ! 俺がモニカを忘れるには、何年もかかるよ。)
モニカ: Joey, what's it like on a movie set, huh? Do you have a dressing room? Do you have a chair with your name on it? (ジョーイ、映画セットにいるってどんな感じ? あなたには楽屋があるの? あなたの名前が書いてある椅子があるの?)
ジョーイ: Uh, well yeah-yeah, I got all of that going on. Yeah, listen uh, I want you to make sure you tell Chandler that he couldn't have been more wrong! Uh-oh! I gotta go, Monica. My uh, my sushi's here! (あー、そうだな、そう、そうだよ。そういうの全部あるよ。そうだ、ねぇ、必ずチャンドラーに言っといてよ、チャンドラーはこれ以上ないくらい間違ってたって。おっとー、モニカ、俺、行かなくちゃ。俺の、俺のスシがきたんでね!)
[Cut to Joey hanging up the phone in Vegas. He's wearing a Roman gladiator's uniform and goes over to join a family to pose for a picture. You see, he's apparently taken a job at Caesars Palace.]
ジョーイがベガスで電話を切る場面に切り替わる。ジョーイはローマ時代風のグラディエーターの服[軍服]を着ていて、ある家族のところに行って、写真のためにポーズを取る。おわかりのように、ジョーイはどうやらシーザーズ・パレスでの仕事に就いたらしい。
ジョーイ: (to the family) Sorry about that. Thanks for waitin'. ([その家族に] 今のは[電話してて]ごめん。待っててくれてありがとう。)
その家族の夫: Okay! (いいよ!)
ジョーイ: Everybody smile! (The picture is taken) Okay, thanks a lot! Enjoy your stay at Caesars! We hope it's toga-rific! (The family leaves.) Kill me. Kill me now. (みんな、笑って! [写真が撮影される] よし、どうもありがとうね! シーザーズでの滞在を楽しんで! トガリフィックになるように祈ってるよ! [その家族が去る] (誰か)俺を殺して、今すぐ、殺して。)
ラスベガスから、モニカの家に電話をしてきたジョーイ。
ジョーイの映画が中止になったことを知らないモニカは、映画の主役に抜擢されたジョーイを、ビッグスター扱いしています。
even though は「…であるのに、…にもかかわらず」。
すごい大スターで有名人になったのに、昔の友達の私のことを、以前と変わらず覚えていてくれてるの?みたいなお世辞ですね。
It'll be years before I forget you! を直訳すると、「俺が君を忘れる前に[までに]、何年もあるだろう」みたいな感じですね。
研究社 新英和中辞典では、以下の例文が載っています。
It will be long before we meet again. 「今度お会いするのはずっと先のことでしょう」
(用法:before の導く節が意味上は未来に関することを表わしていても述語動詞は現在形を用いる)
これも、「私たちが再び出会う前に、長い期間があるでしょう」ということから、上のような意味になるのですね。
この例文の long を years にしたのが今回のセリフということになります。
ジョーイがこのセリフを言った時、観客の笑い声(ラフトラック)があり、モニカは「あらら」というような顔をしています。
ジョーイを大スターのように扱ってあげたのに、あまり嬉しくないセリフで返された、というような表情に見えます。
その様子から判断すると、「モニカを忘れるには何年もかかるよ」というのは、モニカという人物の印象が強烈すぎて(笑)、忘れたくても忘れられない、一日や二日で忘れられるものじゃない(→忘れるためには何年もかかる)という意味のセリフなのかな、と思います。
モニカは、一瞬そのように、妙な表情を浮かべますが、また気を取り直して、映画に関することを質問します。
What's it like on a movie set? の What's it like? は「どんな感じ?」ですね。
What's it like to do? や、What's it like doing? なら、「…するのはどんな感じ?」という意味になります。
It is like A to do. / It is like A doing. 「〜することはAのようだ」の like の後に来る部分(A)を、疑問代名詞 what で問うているわけですね。
その場合の it は、to do や doing の仮主語ということになります。
今回のセリフ What's it like on a movie set? は、「on a movie set で、どんな感じ?」と尋ねている感覚ですね。
この場合の it は「漠然とした状況」を指しているのでしょう。
on a movie set は「映画のセットの上に乗っている」ような感覚で、そういうセットの中で行動している今の状況はどんな感じ?という質問になります。
dressing room は「更衣室、支度室、着替え部屋」みたいなことですが、映画などの場合だと「楽屋」がふさわしいでしょうか。
直訳すると、「あなたは1つの楽屋を持っているの?」ということなので、他の人と一緒の大部屋に押し込められているのではなく、主演俳優として楽屋を一つ与えられてるんでしょう?と言っていることになりますね。
a chair with your name on it の with は「付帯状況」を表し、「あなたの名前がその椅子の上にある椅子」→「あなたの名前が書いてある椅子」になります。
これもまた、主演俳優専用の椅子があるんでしょう?と言っていることになります。
I got all of that going on. の got は、have のニュアンスだと思われます。
have all of that going on で、「それ(モニカが今言ったようなこと)の全部が進行中である状態を持っている」みたいなことで、モニカが言ったように、個室の楽屋もあるし、名前の書いた椅子もあると返事していることになります。
I want you to make sure you tell Chandler that の make sure (that) は「間違いなく〜するようにする、必ず〜するように計らう」ですから、「間違いなく that 以下のことをチャンドラーに伝えて欲しい」ですね。
I want you to tell Chanlder that と同じようなことですが、make sure が入ることで、「必ず、間違いなく、もれなく」チャンドラーに伝えてよ、と念押ししている感じが出ています。
he couldn't have been more wrong の he はチャンドラーで、wrong には「悪い」という意味もありますが、ここでは「間違った、誤った、正しくない」という意味で使われているようです。
couldn't... more wrong で「それ以上、間違えることができなかった」→「これ以上はないと言うくらい、最高に・絶対的に間違っていた」ということが言いたいように思います。
I couldn't agree (with you) more. が、「これ以上同意することなんてできない」→「全く同感です」という意味になるのと同じで、「これ以上…である・になることを否定する」ことで、そのレベルが最高であることを表現する方法ですね。
ここでジョーイが言いたいのは、「俺の大ブレイクじゃない、本当の映画じゃない、ってチャンドラーは言ってたけど、今言ったように俺は主役として良い待遇を受けてるんだから、チャンドラーが言ったのは大間違いだったぞ」ということでしょう。
さらに、主役のVIP待遇であることを示すために、「俺のスシが来た」とも言っています。
お寿司を高級料理のように言っているわけですから、日本人としてはちょっと嬉しいですね。
その後のト書きにあるように、電話を切った後のジョーイの姿が映りますが、古代ローマの剣闘士(gladiator)の扮装をしています。
まさに、ラッセル・クロウ主演の映画「グラディエーター」の世界ですね。
そういう衣装を着て、お客さんと写真を撮っている、その様子から、Caesars Palace での仕事に就いたらしい、というト書きもあります。
このホテル、ラスベガスに実際に存在するホテルのようです。
Caesars Palace Las Vegas
Wikipedia 英語版: Caesars Palace
ウィキペディアの枠内の説明にあるように、Theme: Roman Empire 「テーマ:ローマ帝国」なので、ジョーイはこんな恰好をしているわけです。
Caesar は、古代ローマの将軍 Julius Caesar 「ジュリアス・シーザー(ユリウス・カエサル)」のことですね。
palace は「宮殿」。
ネットスクリプトのト書きでは、Caesar's Palace のように所有格のアポストロフィーがついており、後のジョーイのセリフも、DVD英語字幕では、Enjoy your stay at Caesar's! のようにアポストロフィーがついていますが、アポストロフィーのつかない Caesars Palace が正式名称のようです。
上のウィキペディアの History に以下の記述がありました。
It is called "Caesars" and not "Caesar's" because every guest is a Caesar.
つまり、「呼び名(ホテルの名前)は、"Caesars" であって、"Caesar's" ではない。それは、すべての客が a Caesar 「一人のシーザー」だからである」。
つまり、Caesar's としてしまうと、「あの」ジュリアス・シーザーの宮殿、ということになり、ゲストがその宮殿にお邪魔していますみたいな感じになってしまいそうだけれども(??)、このホテルは「訪れたお客様一人ひとりがシーザーである」ようにおもてなしをするのがコンセプトなので、シーザーたちが集まる宮殿という意味で、複数形の Caesars を使っている、ということのようです。
複数形で所有格にする場合は、Caesars' のように、複数形にした後、アポストロフィーをつけることもありますが、この場合は、複数形を形容詞的に使っていると考えたら良いかなぁ、と。
かなり有名なホテルのようで、ウィキペディアの Film history や Television の項目を見ると、いろいろな作品に登場していることがわかります。
Television のところでは、ちゃんと今回のフレンズのことも書いてありますね。
ローマ時代のグラディエーターの恰好をして、お客さんと一緒に写真に納まるジョーイ。
シーザーズでの滞在を楽しんでね、と言った後、We hope it's toga-rific! と言っています。
toga-rific は恐らく、terriflc 「素晴らしい、素敵な」のもじりでしょう。
toga は「トーガ」という、古代ローマ人が着ていた外衣のことですね。
Wikipedia 日本語版: トガ
Wikipedia 英語版: Toga
上のウィキペディアには、トーガの絵なども載っています。
We hope の we は、「ホテル従業員の私たちは(滞在が素敵なものとなるように祈っています)」という感覚でしょう。
ジョーイのような写真撮影用のバイトも含め、おもてなしする側の人間を we と表現しているわけですね。
写真撮影の後は、必ずお客さんにこう言うように、と命じられている感じがします。
笑いながら客を見送ったジョーイですが、その後、落ち込んだ様子で、Kill me. Kill me now. と言っています。
映画の主役だと張り切っていたのに、写真撮影用モデルのバイトでこんな恰好をしている自分がみじめになってきたのでしょう。
「誰か、今すぐ俺を殺してくれ」というのは物騒な表現ではありますが、自分の境遇に悲観した時にはつい口から出てしまう表現のようですね。
フレンズ1-10 では、大晦日を恋人なしで過ごすことに耐え切れず、ジャニスを誘ってしまったチャンドラーが、大晦日のパーティーでジャニスと一緒に写真を撮っている時に、
チャンドラー: Kill me. Kill me now.
と、今回のジョーイと全く同じフレーズを言っていました。
これも、思わず誘ってしまったけれど、やっぱりジャニスはうっとうしかった(笑)ので、そういうことをしてしまった弱い自分を嫌悪して、「もうこんなダメな俺は消えてしまいたい。誰か俺を消してくれ」のニュアンスで言っている感じですね。
今回のジョーイのセリフ、フレンズ1-10 のチャンドラーのセリフが、どちらも写真撮影の際(もしくは後)のセリフであるのは偶然とはいえ面白いです。
カメラを向けられると、それ用の顔をしてしまうものの、そのカメラに向けている顔と自分の心情とのギャップを考えると、余計に今の自分の姿がみじめになってしまう、ということかもしれませんね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。