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[Scene: The craps table, Monica is on a big roll.]
クラップス(2個のさいころを使うゲーム)のテーブル。モニカは大きく勝ち続けている。
モニカ: All right, baby, come on! (Rolls the dice) Yes! Yes! I am on fire! (いいわ、ベイビー、来い! [サイコロを転がす] やった、やった! 私は燃えてるわよ!)
チャンドラー: (walking by with his luggage) See you later, Mon. ([荷物を持って通りかかる] じゃあね、モニカ。)
モニカ: Wait, Chandler, what are you doing? (待って、チャンドラー、何やってるの?)
チャンドラー: What's it look like? I'm going home. (どう見える? 俺は家に帰るんだよ。)
モニカ: What? Wait! Why? (He turns and heads for the door and she chases after him.) Chandler! Chandler! Wait! I’m sorry, I was just playing for one second! I was trying to find you to tell you that, look, if you don't want me to see Richard again, I won't! He, He means nothing to me. (何ですって? 待って! どうして? [チャンドラーは向きを変えてドアの方に進む、そしてモニカは彼の後を追いかける] チャンドラー、チャンドラー! 待って! ごめんなさい。私はただ、ちょっとだけ(一瞬)、ゲームをやっていただけなの! 私はあなたを探して、こう言おうとしてたの、ほら、もしあなたが私にもう二度とリチャードに会って欲しくないと思うなら、私は会わないわ! 彼は、彼は私にとっては何の意味もないもの。)
チャンドラー: Oh, come on. I was there. (He's propped up with his hand on a statute of a naked guy. He winces and pulls his hand away.) I know he's the love of your life. (あぁ、よせよ。俺はその場にいたんだぞ。[チャンドラーは、裸体の男性像の上に手を置いて自分の体を支える。彼は顔をしかめ、手を引っ込める] リチャードは君の運命の恋人だって、俺は知ってるんだぞ。)
モニカ: Not anymore. (今はもう違うわ。)
チャンドラー: Really? (ほんとに?)
モニカ: Really! (They hug and kiss) All right? Let's forget about this going home stuff and celebrate our anniversary. (She picks up his suitcase.) Okay, this is empty. (ほんとよ! [二人はハグしてキスする] いい? この家に帰るってことは忘れましょう、そして、私たちの記念日を祝いましょうよ。[モニカはチャンドラーのスーツケースを持ち上げる] ちょっと、これは空(から)よ。)
チャンドラー: Yeah, I wanted to make a dramatic scene, but I hate packing. (そうなんだ。ドラマティックなシーンにしたかったんだけど、でも、荷造りするのが嫌でね。)
ト書きの the craps table について。
crap というと、ドラマや映画のセリフでは、「うんち」「くず、がらくた」「たわごと、うそ」という悪い意味で使われることが多いですが、この craps というのはゲームの名前で、「2個のサイコロを使う博打(ばくち)、ゲーム」のことを指します。
Macmillan Dictionary では、
craps [noun] [uncountable] : a game played especially in the U.S. in which the players throw two dice and risk money on the numbers
つまり、「特にアメリカで行われるゲームで、そのゲームでは、プレーヤーは2個のサイコロを投げて、数字に金を賭ける」。
今回のエピソードでは、実際にそのクラップスというゲームのシーンが流れますので、まさにその説明の通り、2個のサイコロを投げて、その出た目の合計を当てるゲームであることがわかります。
クラップスで絶好調なモニカのそばを、カバンを持ったチャンドラーが通りかかり、じゃあね、と言って去って行こうとします。
モニカの What are you doing? に対して、チャンドラーは What's it look like? と言っていますね。
What does it look like? ということで、「(今のこの状況は)何に見える?」みたいな感覚でしょう。
自然な日本語にすると、「見りゃわかるだろ、家に帰ろうとしてんだよ」みたいな感じになるでしょうか。
そう言ってまた去ろうとするチャンドラーを追いかけて、モニカは必死に自分のこれまでの行動を説明しています。ゲームをちょっとやってただけで、I was trying to find you... と言っていますね。
「私は…しようとしていた」のように、was trying to という過去進行形が使われていることで、「そうしようとしていたけど、失敗した。あなたを探そうとしたけれど、見つからなかったの」と言っていることがわかります。
to tell you that で、「that 以下のことをあなたに言うために(あなたを探そうとしていた)」ということもわかりますね。
その言おうとしていた内容が、if 以下のセリフで語られています。
「私がリチャードにもう一度会うことをあなたが望まないのなら、私は(もう二度と)会わないわ!」ということです。
He means nothing to me. は、「彼は私にとって何の意味もない」。
そこまではっきり断言しても、チャンドラーはその言葉が信じられない様子で、Oh, come on. I was there. と言っています。
「あぁ、(そんな嘘を言うのは)よしてくれよ。俺はその場にいたんだぞ」という感じですね。
この部分、DVDの日本語訳では、「当時を知ってるぞ/付き合ってた頃を知ってるんだぞ」となっていましたが、まさにそういう意味ですね。
モニカにとってリチャードの存在に意味がないだなんて大嘘だ、二人は熱愛していて、別れた後、モニカがボロボロになってたのも知ってる、その様子をずっと近くで見ていて知っている俺に、そんな口先だけの嘘を言うなよ、という感じなのでしょう。
ところで、この I was there. とよく似たフレーズの、You weren't there! というセリフが、フレンズ1-5 で使われていたことがあります。
偶然にも、つい先日、フレンズ1-5その1 のコメント欄 で、その You weren't there! に関するご質問があり、そのフレーズのニュアンスについても説明させていただいていますので、合わせてお読みいただけると幸いです。
そんな風に真剣に怒りながらも、たまたま手を乗せたのが近くにあったローマ風の彫刻で、それが男性の裸体像だったため、ぎょっとした顔をして慌てて手を引っ込めるのも、フレンズらしくて面白いです。
チャンドラーは、「モニカとリチャードが付き合っていた頃のことを知ってる」と言った後で、I know he's the love of your life. とも言っています。
この love は抽象的な「愛」というよりも「恋人」を意味していて、「人生の恋人」みたいな感覚でしょうか。
もっと詩的に言うと、「運命の恋人、運命の人」みたいな意味ですね。
Queen の曲にも、Love of My Life というタイトルの歌があります。
Queen のベスト盤、Jewels II の9曲目に入っていて、手持ちの歌詞カード(笑)を見てみたのですが、やはり歌詞の日本語訳では、「運命の恋人」と訳されていました。
将来に対する方向性の違いで二人は別れてしまったけれど、リチャードはモニカが一番愛した男性で、運命の人だってことを、俺は知ってるんだぞ、ということですね。
それに対してモニカは、Not anymore. と言っています。
not anymore は、「もはや(もう)…ではない」ということですね。
確かにつき合っていた当時はリチャードは運命の人、運命の恋人だった、でも今はもう違うのよ、ということです。
それはつまり、今の私にとっては、今の恋人のあなたが、the love of my life だと言っているわけですね。
昔のリチャードとの関係を否定しても、チャンドラーには嘘にしか聞こえないでしょうから、そのように過去の事実を否定するのではなく、「チャンドラーとこうして恋人になって、あなたを愛するようになったから、もはやリチャードは運命の人ではない」と、今の正直な気持ちを素直に伝えたわけです。
「今はもう違う」という一言がチャンドラーを救ってくれたようで、チャンドラーは嬉しそうな顔をして、Really? と言っています。
ハグ&キスをしたモニカは、家に帰ろうとしてたことは忘れて、記念日をお祝いしましょう、と言っています。
this going home stuff は、「この「家に帰る」って件、家に帰ろうとしていたこと」みたいな感覚ですね。
カバンを部屋に戻そうと持ち上げた時に、それが軽くて中身が空っぽであることにモニカは気付きます。
make a dramatic scene は文字通り、「ドラマティックなシーンを作る」ということですね。
「もう俺は帰るからな!」「あなた、お願いだから待って!」みたいにドラマティックになるような演出を考えていたんだけど、実際にカバンに荷物を詰めるのは苦手で面倒くさかったから、中身は空っぽのまま持ってきちゃったんだ、ということです。
つまり、チャンドラーは本気で帰ろうとしていたわけではなかった、ということで、その事実に気づかれて、チャンドラーもちょっと気まずそうな顔をしていますが、二人の誤解が解けて仲直りできたのならまぁそれでいいか、というところでしょうね。
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