2011年09月30日

俺にもそういう経験あるよ フレンズ6-5その4

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は4位、「にほんブログ村」は6位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


ジョーイ: (entering wearing nothing but Porsche clothes) So that Porsche guy took his car back. ([ポルシェ(のロゴが入った)服だけを着ている状態で入ってくる] それで、あのポルシェ男は自分の車を取り戻したよ。)
チャンドラー: But you found the keys to his clothes? (でもお前は、彼の服の鍵を見つけたんだな?)
ジョーイ: No, I just uh, I just love the way it feels when everybody thinks I own a Porsche. (いいや、俺はただ、その、俺がポルシェを持ってる、って[俺がポルシェの持ち主だ、って]みんなが思う時の感じがただ大好きなだけなんだ。)
モニカ: And people will think you own a Porsche because you're wearing the clothes? (それで、あなたがその服を着ているから、人はあなたがポルシェを持ってると思うだろうって?)
ジョーイ: Of course! Only an idiot would wear this stuff if he didn't have the car! Right? (もちろん! その車を持ってないのにこんな服を着るのは、おバカだけだよ。だろ?)
チャンドラーはジョーイをじーっと見て、しばらく沈黙の後、
チャンドラー: That is true. (その通りだね。)
フィービー: Yeah, but only a genius would swallow a sonic blaster gun. (そうね、でも(フィギュアについてる)ソニックブラスターガンを飲み込んだりするのは、天才だけよね。)
ジョーイ: Oh, I've been there. Yeah, I am gonna go drive my Porsche. (Starts to leave.) (あぁ、俺も経験あるよ。よし、俺はこれから俺のポルシェを運転しに行ってくる。[立ち去ろうとする])
モニカ: Joey, you know you don't actually have one. (ジョーイ、あなたは実際にはポルシェを持ってないってわかってるわよね。)
ジョーイ: Come on! What are you doing? I'm in character! Will you talk to her! (Storms out.) (おい! 何なんだよ。俺はキャラクター[役]を演じてるんだ! 彼女に言ってやってくれよ! [(怒って)勢いよく出て行く])

モニカとレイチェルの部屋にジョーイが入ってくるのですが、ポルシェのロゴマークの入った服や帽子を着ています。
nothing but は「…以外には、…の他には何もない」、すなわち「…だけ」という感覚になります。
ポルシェの服以外は着ていない状態、着ているのはポルシェの服だけ状態、みたいなことですね。
ポルシェの持ち主がポルシェを取り戻した、つまり、ポルシェは持ち主の手に戻った、と説明するジョーイですが、チャンドラーは、「ポルシェは彼の元に戻ったけど、今度はポルシェの服の鍵を見つけたんだな」みたいに言っているのに笑えます。
たまたまジョーイがポルシェの鍵を見つけたおかげで、ポルシェのオーナーのふりができて、いろいろと楽しい経験をしたわけですが、そのことを踏まえて、「もしかして今度はポルシェ服の鍵を見つけたのか? だからそんな風にポルシェの服を着放題なんだろ」みたいに、ジョーイをからかっているということです。

全身ポルシェ服状態をからかわれているのも気にせず、ジョーイは、I just love the way... と理由を説明しています。
I just love the way it feels when everybody thinks I own a Porsche. の love the way it feels when は、「…する時の感じが大好き」という感覚。
俺がポルシェの持ち主だとみんなが思う時の、あの感じ・感覚がただ好きなだけなんだよ、ということです。
「ポルシェの持ち主だと思われると気持ちいいから、この服を着てるんだ」と言っていることになるので、モニカは、「あなたがその服を着てるという理由で、人はあなたがポルシェのオーナーだと思う、って(あなたは考えてるの)?」と問い返しています。
もっちろん!と強い調子で肯定したジョーイは、Only an idiot would wear this stuff if he didn't have the car! と言っていますね。
Only an idiot would wear this stuff を直訳すると、「おバカなやつだけが、こんなもの(服)を着るだろう」、つまり、「こんな服を着るのはおバカだけだろう」。
そこには if 以下で「もしそいつがその車(ポルシェ)を持っていない場合に」のような条件づけもされていますね。
ポルシェを持っていなくてこんな服を着る、ポルシェを持ってないのにこんな服を着てる、そういうことをするのはおバカだけだよ、と言っていることになります。

その発言を聞いた後、チャンドラーはジョーイをじっと見つめて、しばらく沈黙した後、しみじみとした口調で、That is true. と言っています。
「それは本当だ」、つまり、「お前の言う通りだね、全くだね」みたいなことですね。

「そんな服着てたら、ポルシェのオーナーだと人は思ってくれる?」「当たり前さ、ポルシェも持ってないのにこんな服着てたとしたら、そいつはバカだよ、そんな間抜けなことをするのはよほどのバカくらいだよ」というやり取りが交わされたわけですが、ジョーイ自身が「ポルシェのオーナーでもないのにポルシェ服を着ているやつ」なので、ジョーイがバカだと表現している人間が自分自身であることに気づいてない様子であることがわかります。
それでチャンドラーはわざとゆっくり噛みしめるように、「あー、まったくその通りだよね」と言って、「そんなことをするのはほんとにおバカだけだよな、お前がそのいい例だ」みたいに言っているわけです。
ジョーイが得意げに言っていることが、自分自身をバカだと認めた発言になっている、でもそのことに全く気付いていない彼に、チャンドラーはあきれているのですね。

ジョーイをバカにしていることに気づいたフィービーは、ソニックブラスターガンを飲み込んだ人の話を持ち出しています。
これは、少し前のシーンで、三つ子ちゃんたちのおもちゃにしようと、アクションフィギュアを持ってきたチャンドラーが、誤ってそのブラスターガンを飲み込んでしまったことを言っています。

Only an idiot would wear this stuff 「こんなものを着るのは、おバカだけだ」と言ったことに対して、
only a genius would swallow 「…を飲み込むのは、天才だけよね」と皮肉を言っているのですね。
ジョーイに対して否定的な意見が出た場合に、フィービーはよくこのように、彼をかばうような意見を述べることが多いですが、今回もそのパターンで、「こんな服を着てるジョーイはおバカだと言いたいようだけど、じゃあ、ブラスターガンを飲み込んだ自分は天才だとでも言いたいの?」みたいな感じでしょうか。
「ブラスターガンを飲み込むなんてこと、天才にしかできないものねぇ…天才さん?」みたいに、自分だってフィギュアの部品を飲み込むようなおバカなことをしたくせに、ジョーイのしたことをバカにする資格なんてないんじゃない?みたいなことを言いたいわけでしょう。

ブラスターガンを飲み込む、という話を聞いて、ジョーイは、Oh, I've been there. と言っています。
直訳すると、「あぁ、俺もそこ(そういう状況)にいたことがある」みたいな感じで、つまりは、「俺にも(ブラスターガンを飲み込んだ)経験あるよ」みたいなことを言っているわけです。

この現在完了形が、過去形になった形の、I was there. というのは、ドラマや映画のセリフによく出てきます。
例えば、フレンズ5-24その2 では、チャンドラーとモニカが、モニカの元彼リチャードのことで喧嘩になった時、

モニカ: He means nothing to me. (リチャードは、私にとっては何の意味もないもの。)
チャンドラー: Oh, come on. I was there. I know he's the love of your life. (あぁ、よせよ。俺はその場にいたんだぞ。リチャードは君の運命の恋人だって、俺は知ってるんだぞ。)

というやり取りがありました。
「俺はその場にいた」というのは、実際にその様子を間近で見ていたから、事情や状況をよく知ってる、と言っていることになります。
「そこにいた」=「よく知っている」という感覚ですね。

今回のジョーイのセリフは、いつとは特定しない、過去から現在に至るまでのある時期に、ブラスターガンを飲み込むという経験をしたことがあるという感覚なので、現在完了形が使われている、ということになるでしょう。
チャンドラーが今、体験している状況、状態を、there と表現し、俺もそれと同じところにいたことがある、と言っている感覚です。
「俺にも経験ある」という言葉には、「俺も経験者だから、飲み込んで苦しい感じもよくわかるよ」みたいなことも含めているのでしょうね。
ジョーイの、I've been there. は「俺もそういう状況になったことあるわ」という感覚だということです。

これから、my Porsche を運転してくる、運転しに行く、みたいに言ったジョーイに、「実際には、ポルシェを持ってないってこと、あなた、わかってるわよね?」とモニカは念押ししています。
I'm in character! はまさに「今、役に入ってるんだ、入り込んでるんだ」みたいな感覚でしょうか。
今、俺は、ポルシェのオーナーという役になりきってるんだぜ、みたいなことでしょう。
自分はポルシェの服を着てるだけで、ポルシェを持ってないってことぐらい、自分でもよくわかってる。せっかく、オーナーになった気分でご機嫌なのに、水を差すなよな、という感じでしょう。
自分の職業が俳優であることを利用して、「俺は俳優として役になりきってるんだから」と言っているわけですね。
そして、「ほんとはポルシェを持ってないってわかってる?」みたいに、無粋(不粋、ぶすい)で野暮なことを言うモニカについて、恋人であるチャンドラーに「お前の恋人モニカに、彼氏であるお前から、ちゃんと言ってやってくれ」と注意している感覚が、Will you talk to her! になるでしょう。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 15:33| Comment(7) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月27日

ちゃんと話についてこいよ フレンズ6-5その3

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は2位、「にほんブログ村」は5位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


ジョーイは、セントラルパークのカウンターに、誰かがポルシェのキーを置き忘れているのを発見。
持ち主が見つかるまでキーを預かることにするのですが、そのポルシェのそばに立っていると、通りすがりの人がジョーイをポルシェの持ち主だと勘違いして、親しく声をかけてくるので、ジョーイはとても嬉しそう。
モニカとレイチェルの部屋で、フィービーたちが赤ちゃんのお世話をしているところに、ジョーイが入ってきます。
ジョーイ: Hey, babies. Oh, I'm having the best morning. That uh, that Porsche I've got the keys to? Still there. ([みんなに挨拶した後] やあ、ベイビーたち。あぁ、俺は(今日)最高の朝を過ごしてるんだ。あのポルシェ、俺がキーを持ってる、あのポルシェだけどさ。まだあそこにあるんだよ。)
チャンドラー: Shocking! Since you still have the keys. (ショッキングだな! だってお前がまだそのキーを持ってるから。)
ジョーイ: You should see the treatment I get when I'm with that car! People are friendly. They, they wanna talk. And not just about the car! One guy gave me advice about my equity investments. (俺があの車のそばにいる時に、俺が受ける扱いを、お前も見るべきだよ! 人々はフレンドリーなんだ。彼らは話をしたがる。それも、あの車についての話だけじゃないんだぜ! ある男は俺に、俺の株式についてアドバイスをくれたんだ。)
チャンドラー: What equity investments? (何の株式投資なんだ?)
ジョーイ: The ones that got me the Porsche! Will you keep up? (Chandler wipes his forehead with a baby wipe, that might have been used. He drops it disgustedly.) But I figured, if, if people keep seeing me just standing there, they're gonna start to think that I don't own it. So I figured I'll wash it. Right? Monica, you got a bucket and some soap I can borrow? (俺にポルシェを手に入れさせてくれた株式だよ! 話にちゃんとついてこいよ! [チャンドラーは、赤ちゃん用おしりふき(ウェットティッシュ)で自分の額をふくが、それはすでに使われたものかもしれない。チャンドラーはそのおしりふきをむっとした様子で下に落とす] でも俺は思ったんだ。もし、もし、俺がただそこに立ってるだけの姿を人が見続けたとしたら、俺はそのポルシェを所持していない[俺はポルシェのオーナーじゃない]と人は思い始めるだろう、って。だから俺はポルシェを洗車しようと思ったんだ。だろ? モニカ、俺が借りられるようなバケツと洗剤を持ってる?)

今日は最高の朝を過ごしてるんだ、と嬉しそうなジョーイ。
That Porsche I've got the keys to? は、I've got the keys to that Porsche. 「俺はあのポルシェのキー(鍵)を持ってる」の、to 以下の that Porsche が前に出た形ですね。
「俺がキーを持ってる(ところの)あのポルシェ」みたいなことですが、先に「あのポルシェ」と言っておいて、それだけでは情報が不十分で相手に伝わらないかもしれないから、「ほら、俺がキーを持ってるっていう、あのポルシェのことだよ」と、その車のキーを持っている、という情報を後から付け加えた感覚だと考えるとわかりやすいでしょう。
「〜のキー、鍵」という表現は、これまでにも「フレンズ」で何度も登場しましたが、「あのポルシェのキー」と言う場合、the keys to that Porsche のように前置詞 to が使われることにも注意しましょう。

Still there. つまり、「そのポルシェは(持ち主が現れずに)まだそこにある」と言うジョーイに、チャンドラーはまず、Shocking! と言って驚いています。
高級車の持ち主が未だに現れないことをショッキングだと言っているのかと一瞬思いますが、その後、チャンドラーは、Since you still have the keys. と続けていますね。
この since は理由を表し、「ショッキング、と言ったのは、お前がまだそのキーを持ってる(と言った)からだ」という意味になるでしょう。
他人の高級車のキーを、お前はまだ自分の手元に持ってるのか? 信じられないよ、という感覚でしょう。

You should see the treatment I get when I'm with that car! の、the treatment I get when I'm with that car は、「俺がその車と一緒にいる時に、俺が受ける扱い」。
俺がポルシェのそばにいる時にどんな扱いを受けてるかをお前は見るべきだよ、ということです。
その treatment がどんなものかを、その後、ジョーイは具体的に説明しています。
人々はフレンドリーで話をしたがって…と言った後、And not just about the car! と言っていますね。
その車、つまり、ポルシェの話ばかりをするんじゃないんだぞ、ポルシェ以外の話も俺としたがるんだ、ということです。
ある男、一人の男は、俺の equity についてのアドバイスをくれたんだ、とも言っています。
equity は「普通株、株、株式」。
株なんか全くやりそうにもないジョーイが、「俺の株式」みたいに言ったので、チャンドラーは、「何の株式投資のこと?」と聞き返しています。

ジョーイは、The ones that got me the Porsche! と言っていますね。
get の基本的な意味は、「手に入れる」。今では日本語でも「ゲットする」みたいに言いますが、まさにその「ゲットする」の表す感覚だと思います。
get someone something のように2つ目的語を取ると、「人にものを手に入れてやる」「人にものを買ってやる」という意味になり、今回のセリフでは、「俺にポルシェを買ってくれた」「俺にポルシェを手に入れさせてくれた」というニュアンスになると思います。
もう少しシンプルに言うと、「俺にポルシェをくれた株だよ」という感じになるでしょうか。
株で成功して、その儲けでポルシェをゲットしたんだ、その資金の元になった株のことだよ、と言っていることになります。

ですが、もちろんそれは、ジョーイの作り話の中でのこと。
実際にジョーイはポルシェを買ったわけではないので、その株式の話も全くのでたらめなのですが、道行く人と話をしている時に、「こんな高級車、どうやって買ったの?」「いやぁ、実は株で一儲けしちゃってさぁ」などとジョーイが話を作っていたことが、このセリフから想像されるわけですね。
ジョーイが勝手に作り上げた話なのに、「俺にこのポルシェを買わせてくれた株のことに決まってるだろ」とキツい調子でチャンドラーに言い、さらには、Will you keep up? とまで言っているのがこのセリフの面白いところ。
この場合の keep up は「…に遅れずに・遅れないでついていく」。
Macmillan Dictionary では、
keep up : to continue to understand what someone is saying
例) I told you she's my sister, not my girlfriend. Keep up!
keep up with : I found myself unable to keep up with the conversation.

つまり、keep up は、「誰かが言っていることを理解し続ける」。
例文は、「俺は君に、あの子は俺の妹で、俺の彼女じゃない、って言っただろ。話についてきてくれよ!」
keep up with の例文は、「私は自分がその会話についていくことができないことに気付いた、会話についていけてない自分に気付いた」。

そんな作り話を他人にしていたことなど知らないチャンドラーに対して、「ちゃんと話についてきてよね」と言われても、チャンドラーにしてみたら、そんなの知るかよ、というところですよね。
勝手に一人で話を作ったジョーイに、「その株式って何?」と聞いたら、「ポルシェの資金源になった株に決まってるだろ? 話にちゃんとついてこいよ、このおバカ」と言われたようなもので、「まったく、バカはどっちだよ」というのがチャンドラーの本音でしょう。
困ったもんだ、みたいな感じで何かで額をふくのですが、それが赤ちゃんのおしりふき(それも使用後と思われる…笑)だったので、それをポロッと手から落とす姿にも笑えます。

if people keep seeing me... they're gonna start to think that... は、「俺が…するのを人が見続けていたら、人は(そのうち)…だと思い始めるだろう」。
いつ見ても、ポルシェの横に立ってるだけで、中に乗ったり運転したりしてるのは見たことない、ということになると、持ち主じゃないことがバレちゃう、という彼なりの懸念(笑)ですね。
いくらキーを持っていたとしても、中に乗ってしまえば泥棒だと言われた場合に言い訳できないので、いくらジョーイでも、さすがに乗り込むことまではしないようです。
own は「所有する」で、日本語にもなっている「オーナー」(owner)は「持ち主、所有者」という意味ですよね。
横に突っ立ってるだけじゃ、そのうちに怪しまれるから、カーウォッシュをしようと思ったと言って、モニカにバケツとソープを借りようとしています。
英文は、「俺が借りることができるような、バケツとソープをモニカは持ってる?」ということですが、それはつまり、「そういうのがあったら、俺に貸して欲しいんだけど」というお願いと同じです。
言い換えると、If you got a bucket and some soap, can I borrow them? ということになるでしょうが、それを、「バケツとソープ持ってる? 俺が借りられるような」と最後に付け足すことで、確認とお願いを同時に言ってしまう感じのセリフになっているということです。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 15:20| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月24日

クーリエ・ジャポンで紹介されました!

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は2位、「にほんブログ村」は6位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


今日9月24日発売の講談社『クーリエ・ジャポン COURRiER Japon』(2011年11月号)で、私の英語学習法が紹介されています。
『クーリエ・ジャポン』と言えば、「世界1500以上のメディアから記事を厳選する新時代の国際情報誌」。
そのような国際的情報誌で自身の学習法を紹介していただけたこと、大変光栄で嬉しいです。ありがとうございます!

『クーリエ・ジャポン』の公式サイトはこちら。
日本発の「世界標準マガジン」 クーリエ・ジャポン

『クーリエ・ジャポン』の Twitter はこちら。
Twitter : クーリエ・ジャポン @CourrierJapon

私が紹介されているのは、p.98 になります。
『クーリエ・ジャポン』の後半部分に、黒と黄色の二色刷りの『Courrier bis <クーリエ・ビス>』という 16ページのビジネスページがあります。
その「クーリエ・ビス」の最終ページに当たる、p.98 に毎月連載されているコーナー、
English the Easy Way あの人の英語勉強法が知りたい
で、今月号は私の「シットコムのDVDを使った英語学習法」を紹介していただいた、ということです。

ちなみに、その「クーリエ・ビス」は、他のカラーページより、ページの幅が 5mm ほど短くなっています。
そのため、本屋さんで『クーリエ・ジャポン』を手に取っていただいて、パッと開いたら、私の載っている p.98 が目に入る!みたいな感じで(笑)、そのページ、非常に見つけやすいです。

今回、File 17 として私の名前が紹介されています。
このコーナーでは、毎月一人の方のインタビューが掲載されており、私は第17回目として掲載された、ということです。
このコーナーで過去に掲載された方々のお名前は以下の通り。

・第1回 本田直之さん(レバレッジ・コンサルティングCEO)
・第2回 村上憲郎さん(グーグルジャパン会長)
・第3回 佐々木正悟さん(心理学ジャーナリスト)
・第4回 越前敏弥さん(文芸翻訳家)
・第5回 杉田敏さん(NHKラジオ英語講師)
・第6回 木山啓子さん(JEN事務局長)
・第7回 関谷英里子さん(同時通訳者)
・第8回 松本大さん(マネックス証券CEO)
・第9回 佐藤卯一さん(はとバス名物ガイド)
・第10回 土井香苗さん(ヒューマン・ライツ・ウォッチ東京ディレクター)
・第11回 林孝之さん(アイリッシュ・ダンサー)
・第12回 菊池健彦さん(TOEIC専門講師)
・第13回 山崎将志さん(ビジネスコンサルタント)
・第14回 神田瀧夢さん(俳優・タレント)
・第15回 新井紀子さん(数学者)
・第16回 井上大輔さん(英語講師)


ベストセラー本の著者の方々、様々なメディアによく登場される方々…このような、そうそうたるメンバーに続いて、私が「英語ブロガー」として登場させていただけたことは、光栄の極みです。
今回、『クーリエ・ジャポン』さんに声をかけていただけたのは、私のブログをいつも読んで、応援して下さる読者の皆様のおかげです。本当にありがとうございます!

その紹介記事のタイトルは、「シットコムだと、英語の理解度がはっきりとわかる。」というもので、記事中では、「英語上達のコツ」として、Rach流DVD学習法の「はしょる3段階」をメインに説明させていただいています。
本屋さんなどで手にとって見ていただけるととても嬉しいです。

記事中の説明にもあるように、「海外に住んだ経験がなく、英会話学校にも通ったことがない私」が、このような有名な国際情報誌で自身の英語学習法をインタビューされるまでになれたことは、本当に光栄でありがたいことです。
いろいろな意味でラッキーであったことはもちろんですが、このような光栄なお話を今回喜んでお受けすることができたのも、『フレンズ』を始めとする海外ドラマで「生きた英語」をたくさん浴びてきた、という自負と自信があったからだと思います。

もちろん、実際に海外で生活された方ほどの「直接的で強烈な」英語経験には及びませんし、海外留学などが可能な状況や環境にある方は、是非そのような貴重なチャンスにトライしていただきたいと私は心から思っています。
ですが、何らかの事情で「留学」を簡単には考えられない方も多いはず。
そういう方々のためにも、「日本にいながらにして、留学に近い環境に浸って英語を学ぶことができる」という、「DVDを使った英語学習法」の効果と成果を私は訴え続けていきたいのです。

今回、『クーリエ・ジャポン』さんのコラムに取り上げていただけたことで、「英語ブロガー」として、そして「いち英語学習者」として、一回りも二回りも成長できた気がしました。
講談社の『クーリエ・ジャポン』の関係者の皆様、そして、このブログを読んで下さり応援して下さる読者の皆様、本当にありがとうございました。

これからも、「英語ブロガー」として、ドラマの英語のセリフをもっと楽しめるようなわかりやすい解説が書けるように努めます。
そして、「英語は楽しく学べる」ことをお伝えするため、これからも、このブログを頑張って続けて行きたいと思います。
皆様、どうぞこれからもよろしくお願いいたします。
Rach からの嬉しいお知らせ、でした。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 12:27| Comment(4) | メディア掲載 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月22日

ルーキーにエンドゾーンは無理 フレンズ6-5その2

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は2位、「にほんブログ村」は5位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


前回の続きです。
三つ子の赤ちゃんの世話をするにあたり、マンツーマン・ディフェンスでプレーするよりも、ゾーン・ディフェンスで戦うべきだ、と提案するチャンドラー。
チャンドラー: I just think that things would go a lot smoother if we each have our own zone, you know. Phoebe, you can be in charge of wiping. And y'know Mon, you can be in charge of diapering. And I can be in charge of looking how cute they are when they put their hands around... (He degrades into baby talk, but he means when they grab his finger.) (俺たちがそれぞれ自分のゾーンを持っていた方が、ことはもっとずっとスムーズに運ぶって思うだけだよ。フィービー、君はお尻ふきの担当。そして、モニカは、おしめをつける担当。そして俺は、赤ちゃんたちがどんなにかわいいかを見る担当、赤ちゃんたちが手を…する時に…。[チャンドラーは赤ちゃん言葉に退化するが、チャンドラーは赤ちゃんがチャンドラーの指を掴む時のことを言っている])
フィービー: That sounds really great, but maybe you should be in charge of wiping. (それって本当に素敵に聞こえるわね、でも多分、あなたがお尻ふきを担当すべきよ。)
チャンドラー: Okay, I'm a rookie. I should not be in the end zone. (ちょっと、俺は新人だよ。俺はエンド・ゾーンを担当すべきじゃないな。)

チャンドラーは「ゾーン・ディフェンス」の意味を、より具体的に語っています。
まずは、「俺たちそれぞれがゾーンを持てば、ことはもっとスムーズに進むだろうと思う」と言っています。
things would go a lot smoother はまさに日本語に訳した通りの「物事がよりもっとスムーズに進む(ようになる)」ということですね。
in charge of は「…を担当して」。ビジネス英語にもよく登場するフレーズです。

wipe は「ふく、ぬぐう、ふき取る」で、この場合の wiping は、赤ちゃんの汚れたお尻(笑)を、おしりふき(ウエットティッシュのようなもの)でふくこと。
diaper は名詞で「おしめ、おむつ」なので、それが動名詞の形になった diapering は「おしめをつけること、おしめを取り替えること」を指すでしょう。

looking how cute they are when they put... は、「彼ら(赤ちゃん)が、put する時に、彼らがどれほどキュートかを見る(こと)」。
they put their hands around... ンムムム…みたいに、フニャニフャした声で、「ほんと、かわいいでちゅねー」みたいな感じの音をチャンドラーは出していますが、ト書きにあるようにそれは、baby talk 「赤ちゃん言葉」に戻ってしまった感じで、around... 以降のセリフは聞き取れないけれど、チャンドラーは、when they grab his finger と言いたいんだ、ということまでト書きで説明してくれています。
つまり、when they put their hands around my finger と彼は言おうとしていたはずだ、ということです。
チャンドラーの大人の大きな1本の指を、赤ちゃんがそのちっちゃなおててでギューっと握るようなことを言っているわけですね。

ゾーン・ディフェンスで、それぞれが与えられたゾーンやエリアを担当するのと同じように、個々の作業ごとに仕事を分担すべきだと主張するチャンドラー。
それぞれ、can be in charge of doing... 「…する担当ができる」と表現して、作業を対等に分担したかのように見せていますが、フィービーにはお尻ふき、モニカにはおしめつけを押し付けておいて、自分は「何てかわいいの〜」とそのキュートさを鑑賞し味わう担当になれる、と言うチャンドラーの身勝手さに笑えるセリフなわけです。

フィービーに「お尻ふきはチャンドラーが担当すべきよ」と言われ、チャンドラーは、I'm a rookie. I should not be in the end zone. と答えます。
rookie はご存知、「ルーキー、新人」ですね。
end zone は、文字通り、アメフトなどの「エンドゾーン」。
そのゾーンにボールが入ることで点数になる、という重要な場所です。
LAAD では、
end zone : the place at each end of a football field where players take the ball in order to gain points
つまり、「フットボールフィールドの各端(エンド)にある場所で、得点を獲得するためにプレーヤーがボールを持ち込む[受け取る]ところ」。

チャンドラーは自分が、マンツーマン・ディフェンスとゾーン・ディフェンスの例えを出したことを再び持ち出して、仮にゾーン・ディフェンスにするにしても、俺は、赤ちゃんの世話には慣れてない全くの新人なんだから、そんな大事なエンドゾーンの担当なんかできないよ、すべきじゃないよ、と言っていることになります。
と同時に、end という言葉で、また別の意味も示唆しているように思います。
まず、私が頭に浮かんだのは、end という言葉から、rear end への連想。
rear end とは「後部、後尾」「尻」という意味です。
rear は「後ろの」で、end は「端」ですから、「お尻」という意味にもなるのですね。
Macmillan Dictionary では、
rear end : (informal) the part of your body that you sit on

さらには、「物事の終わり、末期、最後」の意味を示唆していて、ミルクを飲んで、最終的に排泄するというその「最終段階のゾーン、最後のエリア」のような感覚で、wiping (お尻ふき)が行われる場所を in the end zone と言っている感覚もあるような気もしました。

いずれにしてもチャンドラーは、ただ、スポーツのゾーン・ディフェンスの流れだけから the end zone という言葉を使ったのではなく、「お尻」あるいは「うんち(排泄)」とのダブルミーニングで、end という言葉を使ったように私は思った、ということです。
子守に慣れてないルーキーの俺に、エンドゾーン担当(お尻担当、うんち担当)は無理だよ、と言っているダブルミーニングのジョークだろう、ということですね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 15:06| Comment(2) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月20日

マンツーマンの2つの意味 フレンズ6-5その1

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は2位、「にほんブログ村」は5位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


シーズン6 第5話
The One With Joey's Porsche (炸裂! 3つ子ちゃんパワー)
原題は「ジョーイのポルシェの話」


フィービーは、弟夫婦(フランク&アリス)の三つ子の赤ちゃんを、代理母として出産したのですが、今回、その三つ子ちゃんの世話を頼まれることになります。
[Scene: Monica and Rachel's, the next day, Chandler, Monica, and Phoebe are baby-sitting the triplets. They each have one baby.]
モニカとレイチェルの部屋。次の日。チャンドラー、モニカ、フィービーは三つ子の子守中。3人はそれぞれ1人の赤ちゃんを持っている[担当している]。
モニカ: Pheebs, how's it going? (フィービー、調子はどう?)
フィービー: (rapidly) I'm doing okay. I think it's going well. Do you think they're having fun? Am I talking too fast? ([速く(早口で)] 順調にやってるわ。うまくいってると思うの。三つ子ちゃんたちは楽しんでると思う? 私、ものすごく早口でしゃべってる?)
モニカ: Nope, sound like me. Pheebs, it's going great. Look at Chandler with Little Baby Girl Chandler. (いいえ、私みたいに聞こえるわ。フィービー、うまくいってるわよ。リトル・ベイビー・ガール・チャンドラーちゃんと一緒にいるチャンドラーを見てよ。)
チャンドラー: Little Baby Girl Chandler. Where have I heard that before? Oh right, Coach Rubin. (Tries to get her to drink a little more from the bottle when he suddenly smells something.) You know what, Pheebs? When you're done over there, we've got a kind of situation over here too. (Phoebe is changing hers.) (リトル・ベイビー・ガール・チャンドラー。その名前を、前に聞いたのはどこかな? ああ、そうだ。コーチ・ルービンだ。[哺乳瓶からもう少し飲ませようとした時、チャンドラーは突然、何かのにおいに気付く] ねぇ、フィービー。そっちで君が終わったら、こっちでもある種の状況があるんだよ。[フィービーは(自分担当の)赤ちゃんのおしめを替えている])
フィービー: Na-uh, no, we are all responsible for our own babies. (だめよー、だめ。私たちは全員、自分たちの(担当の)赤ちゃんに対して責任があるのよ。)
チャンドラー: See, that's where I think you're wrong. We've been playing these babies man-to-man. We should really be playing a zone defense. (ほら、君が間違ってるって俺が思うのはそこだよ。俺たちはずっとこのベイビーたちに、マンツーマンで戦ってる。俺たちは本当はゾーン・ディフェンスで戦ってるべきなんだよ。)
モニカ: What do you mean? (どういう意味?)

三つ子ちゃんのお世話を一緒に手伝っているモニカ。
モニカは赤ちゃんの一人をだっこしながら、フィービーに「(子守の)調子はどう? どんな感じ?」と尋ねています。
ト書きに、rapidly とあるように、フィービーはその後のセリフを、いつもよりもずっと早口でしゃべっています。
質問にゆったり答える気持ちの余裕がない感じが出ていますね。
私はちゃんとやれてるし、ことは順調に進んでるし、ベイビーたちも楽しんでると思うの、と言った後、Am I talking too fast? と言っています。
あまりに早く(速く)話してる?、私、超早口になっちゃってる?みたいなことですね。

モニカはそれに対して、Nope, sound like me. と答えます。
「いいえ、むちゃくちゃ早口になってたりはしないわ」のように、Nope で否定しながらも、「私みたいに聞こえる」、つまり、「私のしゃべり方みたいに聞こえる」と言っていることになります。
フレンズファンの方にはおなじみのように、モニカはメンバーの中でも一番の早口ですよね。
「私みたいな話し方に聞こえる」ということはつまり、フィービーも私(モニカ)みたいに早口になっている、ということになり、早口じゃないといったんは否定したように見えて、やっぱり早口であることを認めていることになるでしょう。
このセリフ、文字通りに、「いいえ(早口じゃないわ)、私の話し方みたいに聞こえるもの」と解釈すると、モニカが自分の早口を全く自覚していない発言をしているようにも聞こえますが、モニカの表情を見ると、ちょっといたずらっぽい顔をしているようにも見えます。
多分、モニカは自分が早口であることをわかっていて、「いーえー、全然大丈夫よー。だって私の話し方みたいだもん」と言うことで、「やっぱりちょっと早口になってるけどね」と、焦るフィービーをからかってみた感じなのかな、とも思います。
言われたフィービーの方は「えへ、やっぱり?」みたいな顔をしていますが、「モニカの話し方みたいに聞こえる=早口になっている」ということに気づいて、アセアセしている自分がちょっぴり恥ずかしいわ、みたいな表情になっている、ということでしょう。

チャンドラーは、チャンドラーという名前がつけられた女の子(!)の赤ちゃんをだっこしています。
「Little Baby Girl Chandler と一緒にいるチャンドラーを見て。(ほら、あんなになじんでて、微笑ましい様子を見て)」のように、モニカがフィービーに言うのを聞いたチャンドラーは、Where have I heard that before? 「俺は前にどこでその名前(Little Baby Girl Chandler という名前)を聞いたんだろう?」と自問しています。
そして、何かを思い出したように、Oh right, Coach Rubin. と自答していますね。
coach は「コーチ」「監督」。
それは、少年時代に何かのスポーツをやっていた、スポーツチームに所属していた時のイメージでしょう。
チャンドラーは自分の少年時代を回想して、ルービンコーチ(ルービン監督)によく、Little Baby Girl Chandler って呼ばれてた、ということを、ここで自虐的に言っているのですね。
言わば、「ちっちゃな女の子のチャンドラーちゃん」というようなネーミングなので、スポーツの監督に女の子呼ばわりされる、女の子扱いされる、ということは、他の少年たちのようにはスポーツができなかったことを示唆しているのだと思います。

そんな自虐ネタをつぶやいた後、チャンドラーは何かのにおいに気付いた様子。
どうやら、ベイビー・チャンドラーちゃんは、うんちをしてしまったようですね。
そこで、別の赤ちゃんのおしめを替えているフィービーに、「そっちの方が終わったら、こっちの方もある状況があるから」みたいに声を掛けます。
a kind of situation のように漠然とした表現を使っていますが、つまりはこちらも、おしめを替えなきゃならない状況にあるから、そっちが済んだらこっちもお願い、と言っている感覚になるでしょう。

暗に俺の赤ちゃんのおしめも替えてくれと言われたことに気づいたフィービーは、「私たちは全員、それぞれの担当の赤ちゃんに対して責任があるのよ」と言って、チャンドラーの赤ちゃんのおしめ替えを拒絶します。

That's where I think you're wrong. の where は「先行詞を含む関係副詞」で、「…するところ」という感覚ですね。
いわば、That's the place/point/part where I think you're wrong. のような感じで、「それ(フィービーの今の発言)が、、君が間違ってると俺が思うところ(箇所)だ」という意味になるでしょう。
「今の発言、それが間違ってるんだって、僕は思う」みたいなことです。

そしてチャンドラーは、継続を表す現在完了進行形を使って、We've been playing these
babies man-to-man. と言います。
この場合の、man-to-man は、man-to-man defense 「マンツーマン・ディフェンス」のことですね。
「一対一で、特定の人が特定の人のディフェンスにつく」という意味です。
play は「スポーツの試合をする、競技をする」ニュアンスで、play ... man-to-man は、「…と(に対して)、マンツーマン・ディフェンスでプレーする、マンツーマン・ディフェンスで試合をする」という感覚になるでしょう。

ちなみに、man-to-man には、「率直な、腹を割った、腹蔵のない」という意味もあります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
man-to-man [adjective] [only before noun] (informal)
1. playing a game, especially basketball, in such a way that one peron on your team tries to stay near one person on the other team
2. it two men have a man-to-man talk or discussion, they discuss something in an honest direct way

つまり、1. は、「自分のチームの一人の人間が、もう一方のチームの一人の人間の近くにとどまろうと試みるというやり方で、ゲーム、特にバスケットボールなどのゲームをプレーすること」。
2. は、「2人の人間が man-to-man talk または、discussion をするというのは、その二人が正直で率直なやり方で何かを議論する、ということ」。

日本人は、man-to-man という言葉を見ると、「マンツーマン・ディフェンス」を思い出してしまいがちですが、ディフェンスの話ではなく、talk や discussion の場合だと、それは「1対1」(one person)の対話や議論を指すのではなくて、「率直で腹を割った」対話や議論という意味になることに注目したいと思います。

私が思うに、トークやディスカッションにおける man-to-man の意味は、「人対人、人間対人間」みたいな感覚で、ある人間が相手と対等な立場、目線で真摯に向き合って話し合う、というようなニュアンスが感じられるように思います。
face-to-face 「面と向かっての、正面切っての」の感覚と似ていますね。

ちなみに、ドラマ「ザ・ホワイトハウス」(The West Wing)で、
1-4 では、"Friend to friend." (忠告するわ。)
1-7 では、"Senior aide to senior aide." (側近同士のよしみで?)
というフレーズが登場していました。
これらのニュアンスも、man-to-man の感覚に似ている気がします。
同じ対等な立場の人間として向かい合い、言いにくいことを言う、頼みにくいことを頼む、みたいな感覚が感じられるといいましょうか。

チャンドラーは、マンツーマン・ディフェンスではなく、ゾーン・ディフェンスで戦うべきだ、と言っています。
どういう意味?と聞かれたチャンドラーは、その後、その内容をもう少し具体的に語ることになりますが、長くなるので、続きは次回にいたします。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 15:47| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月18日

アイルランドのステレオタイプな挨拶 フレンズ6-4その6

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は6位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


前回の続きです。
イギリス英語風のアクセントで話すロスを真似て、R を強調してアイルランド英語(アイリッシュ)風に自己紹介したモニカ。
ロス: (in accent) Right. Will you excuse us for one moment? (Takes Monica aside.) (In his normal voice.) What are you doing? ([(ブリティッシュ)アクセントで] そうです。少し失礼してもよろしいですか? [モニカを脇に連れて行く] [(変なアクセントのない)ロスの普通の声で] 何やってるんだよ?)
モニカ: (normal voice) Oh, you can have an accent, but I can't? (To an exiting student in accent.) Top ‘O the morning to ya laddies! ([普通の声で] あぁ、あなたにはアクセント(訛り)があるのに、私にはない、って?(そんなのおかしいでしょ?) [退出する生徒に、アクセントで] おはよう、みんな!)
ロス: Would you just please stop? (お願いだからやめてくれる?)
(They turn back to Rachel and Professor Rathman.)
ロスとモニカはレイチェルとラスマン教授の方を向く。
Rachel: (in an Indian accent) Yes, yes, Bombay is bery, bery nice time of year. ([インド・アクセントで] そうです、そうです。ボンベイは、(今は)とてもとてもいい時節です。)

ロスはモニカを脇に連れて行って、「何でそんな話し方をしてるんだ?」と尋ねますが、モニカの返事は、You can have an accent, but I can't?
直訳すると、「あなたはアクセント・訛り(なまり)を持てるのに、私は持てないっての?」みたいなことで、あなたがブリティッシュ・アクセントなら、私がアイリッシュ・アクセントでもいいじゃん、と言いたいわけですね。
そして、さらに悪乗りした感じで、退出する学生に、Top ‘O the morning to ya laddies! と呼び掛けています。
ネットスクリプトでは音声に忠実にそう書かれていましたが、DVD字幕では、この部分は、Top of the morning to you, laddies! と表記されています。
この言葉は、「アイルランド英語の挨拶として認識されている、ステレオタイプなフレーズ」のようです。
オンラインの Macmillan Dictionary のサイトの中に、さまざまな言葉に関する記事を載せた blog が存在するのですが、その Macmillan Dictionary blog の中で、この Top of the morning to yourself というフレーズについての解説がありました。
Macmillan Dictionary blog : Top of the morning to yourself
簡単に言うと、「伝統的なアイルランドの挨拶としてよく知られているが、アイルランド人はもうあまり使わない」というフレーズだそうです。

さすがはオンライン辞書の中のブログ、説明が非常に分かりやすいので、もっと詳しく知りたい方は、是非、この Macmillan Dictionary blog をご覧になって下さい。
ちなみに、Macmillan Dictionary そのものには、この言葉は載っていないようです。
それが、このようにオンライン辞書の拡張機能のブログ内で説明されていることが、とてもありがたいなと思います。
オンライン辞書ならではの利点、と言える気もしました。

つまり、この挨拶は、アイルランド英語でイメージする言葉は?と言われてこれを挙げる人が多いけれど、実際にアイルランド人が使ってるのは聞いたことない、みたいな挨拶だということですね。
大阪人のふりをするために「まいど!」と「ベタな挨拶」をするような感じ、なのでしょう。

その挨拶の後、呼び掛け語のように laddie をつけていますが、(「呼び掛け語」であるため、厳密に言うと、Top ‘O the morning to ya, laddies! のようにカンマが必要になりますが)、その laddie という言葉は、スコットランド英語のようです。

研究社 新英和中辞典では、
laddie, laddy=【名】【C】 《スコ》 若い人 (⇔lassie)
(ちなみに、対義語で挙げられているのは、lassie=《スコ》 娘、少女、お嬢さん

Macmillan Dictionary でも、
laddie : (Scottish, informal) a boy, or a young man
のようにはっきり「スコティッシュ(スコットランド英語)」だと書いてあります。
つまり、アイルランド英語を真似ているはずのモニカが、スコットランド英語も使っていることになりますが、これは、アメリカ人のモニカにとって双方の区別は難しく、ごっちゃにしてしまった、という感じなのかもしれません。
その2つの言語の区別がつかなくて、ちゃんぽんにしてしまっているところに、「それらの国の英語に疎いアメリカ人」っぽさが出ている、という演出なのでしょう。
そのアイリッシュっぽい英語を言った後、モニカはダンスみたいなしぐさをしていますが、これも「アイリッシュ・ダンス」の真似なのでしょうね。

ロスとモニカがラスマン教授の方に向き直ると、レイチェルが教授と話をしているのですが、レイチェルまでもが、いつものアメリカ英語とは違う言葉を使っています。
ト書きにあるようにそれは「インド英語」なのですね。

前回の記事でも、参考書籍として挙げさせていただいた、4カ国の英語 リスニング強化ブック (ジャパンタイムズ刊) の p.66 に「インドの英語」というコラムがあり、そこには以下の特徴が挙げられていました。
「 v を w のように発音する傾向がある」

ネットスクリプトでは、very を bery と表記してあったので、最初は「 v が b になるような音変化がインド英語の特徴なのかな?」と思ったのですが、発音の本によると、b ではなく、w になるようですね。
その規則に則ると、wery みたいな表記にすべきなのかもしれませんが、いずれにしろ、v を v の音では発音しない、という点では、今回のレイチェルの英語も、インド英語の特徴を拾っていると言えるように思います。
ドラマ「HEROES(ヒーローズ)」のモヒンダー・スレシュさん(インド出身という設定)の話していた英語も、こんな感じのインド英語でした。

また、他の特徴として、
「感想を述べるときに very という語を頻繁に使う」
「文意を効果的に強調するために、同じ言葉を繰り返して使う」

という説明もありました。

レイチェルの話すインド英語の、very, very nice time of year. の「very の繰り返し」が、まさに「インド英語」の特徴を出していた、というわけですね。

ノンネイティブの英語学習者にとっては、各国、各地方のアクセントの違いを知るのはかなり難しいことだと思いますが、ドラマや映画でそういう「極端なアクセント」が出てきた時には、わかる範囲で調べてみたりするのも悪くない…と個人的には思っています。
今回のように、そのアクセントの違いがジョークのネタになっている場合はなおさらですね。
この フレンズ6-4 というエピソードは、発音、アクセントネタが多く出てきたので、今回はその解説にポイントを置きましたが、厳密に完璧にその違いがわからなくてもいい、何となくでいいからその違いが認識できていると、こういうアクセントネタも楽しめる、ということをわかっていただけたら嬉しく思います。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 07:28| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月16日

ブリティッシュとアイリッシュ フレンズ6-4その5

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は7位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


ロスは論文が認められて、ニューヨーク大学(NYU)に特別講師として招かれ講義をすることになります。
その様子をこっそり見に来た、レイチェルとモニカは、ロスが妙なアクセントで講義しているのを見てびっくり。
見られたロスも気まずそうな顔をしています。
モニカ: What the hell are you doing? (全く、ロスは何やってるの?)
ロス: Look, I was nervous. You guys had me all worried I was gonna be boring. I got up there and they were all, like, staring at me. I opened my mouth and this British accent just came out. (ねぇ、僕は緊張してたんだよ。僕が生徒を退屈にさせるって、君たちが僕に心配させたから。僕はそこ(教壇)に立つと、生徒は全員、僕をじっと見つめたんだ。僕が口を開くと、このブリティッシュ・アクセントがただ口から出てきたんだよ。)
レイチェル: Yeah, and not a very good one. (そうね、それもあまり上手じゃないやつね。)
ロス: Will you, will you, please? (どうかお願いだから(このことは黙ってて)。)
(Another professor walks down from the back of the lecture hall.)
もう一人別の教授が大教室の後ろから歩いて下りてくる。
教授(The Professor): Dr. Geller. Kurt Rathman. I'm a professor in the paleontology department here. (ゲラー博士(ドクター・ゲラー)、(私は)カート・ラスマンです。古生物学科の教授です。)
ロス: Oh. (おぉ。)
教授: Do you have a moment to talk about your lecture? (あなたの講義について話す時間はありますか?)
ロス: (in his British accent) I'm sorry, I've got plans with my sister. ([ブリティッシュ・アクセントで] 申し訳ありません。私は妹と予定がありまして。)
モニカ: (in an Irish accent) Monica Gellerrr. (She rolls her ‘R’) ([アイリッシュ・アクセントで] モニカ・ゲラー(ラ)です。[モニカは R の音を巻く])

You guys had me all worried I was gonna be boring. について。
had me (all) worried (that) は、「君たちが僕を…だと心配させる」という、have+someone+p.p. (過去分詞)の形。
bore は「人を退屈させる、うんざりさせる」という他動詞なので、I was gonna be boring は「僕が人を退屈させることになる」。
そんな風に君らが脅すから僕はすっかり心配になっちゃったんだ、ということですね。
自分が退屈している場合は、「何かに退屈させられている」ので、be bored という過去分詞、何かが誰かを退屈させる場合は、be boring という現在分詞になります。
You're bored. なら「あなた、退屈してるわね」ですが、You're boring. なら「あなたは人を退屈にさせる人ね、退屈な人ね」と言っていることになってしまいます。
このように他動詞は過去分詞か現在分詞かが大きな違いになるので注意しましょう。

ロスは、「教壇に立つとみんなが僕を見つめるので、口を開いたらこのブリティッシュ・アクセントが出てきちゃった」と説明しています。
それに対してレイチェルは、「そうね、そしてそれはあまりグッドじゃないブリティッシュ・アクセントだしね」みたいに言っています。
ロスは明らかにいつものアメリカ英語とは違った話し方をしていますが、きれいで完璧なブリティッシュ・アクセントともいえない、インチキで奇妙なアクセントになってる、とレイチェルは言いたいわけです。
本格的なブリティッシュ・アクセントで話すならまだいいけど、そんな妙なアクセント、何とかしてよ、という感じでしょうね。

ここで、British Accent とは一般的にはどういうものを指すか、について、少しお話ししたいと思います。
フレンズ6-4その2 のコメント欄 で、オーストラリア英語とイギリス英語が話題になり、そこでも少し触れたのですが、私が所持している「各国のアクセントについて書かれた本」に、イギリス英語に関しての説明がありました。
その本は以下の2冊。(どちらも、ジャパンタイムズ刊)。
ナマった英語のリスニング English around the World
4カ国の英語 リスニング強化ブック

それぞれの本の「ブリティッシュ・アクセント」「イギリス英語」の項目を見てみると、
British English と言えば一般的に、イングランド南東部の(知識階級に使われる) Received Pronunciation (RP、容認発音)を指す
という説明が載っています。
また、「リスニング強化ブック」の p.16 には、
RP と Queen's English (QE) とは別物
という記述もあります。
イギリス英語と言えば、クイーンズ・イングリッシュを想像される方が多いと思いますが(私も真っ先にそれが浮かんだのですが)、実際は、RP と呼ばれているものが「イギリス英語、ブリティッシュ・イングリッシュ」とされている、ということだそうです。
どちらの本にも RP (容認発音)の特徴が挙げられているのですが、「4カ国の英語」に載っていた例としては、
「home は、アメリカでは「ホウム」と発音されるが、RP では「ハウム」に近い音(「ア」はあいまい母音)になる」
「母音の前の r のみ発音し、それ以外は無発音になる傾向がある」

というのがあります。
シーズン4の終わりに登場した、イギリス人女性エミリーの話し方がそんな感じでしたね。
また、ハリー・ポッターの話し方もこの発音に属するような気がします。
(イギリス英語の作品はあまり見たことないので、正直、イギリス英語に関する知識は乏しいです。また、その分野に詳しい方がおられましたら、ご教授下さいませ。)

講義が終わったロスに、NYUの教授が話しかけます。
ロスはその教授に対しても、まだブリティッシュ・アクセントを使っていますね。
横にいたモニカは、自己紹介をするのですが、モニカはト書きにあるように、アイリッシュ・アクセント、つまりアイルランド英語の発音で話しているようです。
ト書きの説明通り、R の音を舌を思いっきり巻いた感じで発音していて、ゲラーという苗字がゲラ〜ッラッ!みたいに聞こえます。

「4カ国の英語」の p.92 に「アイルランドの英語」というコラムがあるのですが、発音の特徴として、以下の説明がありました。

アイリッシュ英語は、アメリカ英語と同じく r を必ず発音する rhotic accent (ロウティック・アクセント/r 音方言)。
アメリカ英語と同じ r 音方言と言っても、アイリッシュ英語の r の発音はアメリカのものとまったく同じというわけではなく、短くそして強い、跳ねるような音になるところが特徴。


やはり、r を「短く、強く、跳ねる」のよう強調するのが、アイリッシュぽい、ということですね。

この後も、モニカ風「アイリッシュ英語」が続くのですが、説明が長くなりそうなので、それは次回にいたします。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 16:56| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月14日

ナイス・トライ フレンズ6-4その4

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は7位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


今回のエピソードでは、燭台(ろうそく立て)をめぐってのレイチェルとモニカのやり取りがあります。
話がさかのぼることになりますが、まずはオープニング前に行われていた発端部分から。
[Cut to the living room where Monica is helping pack a box.]
モニカが箱詰めを手伝っているリビングに画面がカット。
モニカ: Hey Rach, aren't these candlesticks (holds up a pair) mine? (ねぇ、レイチェル、この燭台は私のものじゃない? [燭台を上に掲げる])
レイチェル: No, no, I bought those. (違う、違う。私がそれを買ったのよ。)
モニカ: Oh, right. I forgot. (あぁ、そうね。私、忘れてたわ。)
レイチェル: Yeah. (Rachel walks away.) (そうでしょ。[レイチェルは歩いて去る])
モニカ: (under her breath) That you're a liar! (Hides the candlesticks in a drawer.) ([声をひそめて] あなたが嘘つきだってこと(を忘れてたわ)。[燭台を引き出しに隠す])

「私が買ったのよ」と主張するレイチェルに、あっさり同意した様子のモニカでしたが、その後、レイチェルに聞こえないように、声をひそめて何かを言った後、レイチェルの箱ではなく、自分の引き出しに燭台をしまっています。

この部分は、I forgot. の後に、That you're a liar! と続いているのがミソとなっており、後半の文章の文頭 That にポイントがあります。
この文章はつまり、I forgot. と言った後に、I forgot that you're a liar! と言っているのと同じことになります。
言わば、I forgot... that you're a liar! と、間を空けてちょっと「タメた」感じですね。
I forgot. までの部分を聞く限りは、「それは私が買ったのよ」と言ったレイチェルに対して、「あぁ、そうよね、その燭台をお金を出して買ったのはあなただった、そのことを私は忘れてたわ」という意味になるでしょう。
つまり、その時点では、燭台はレイチェルの所有物であることを認めた発言になるわけです。

ところが、レイチェルが離れた後、、レイチェルに聞こえないように、That.. 以下を付け加えることで、「忘れてたわ…、あなたが嘘つきだってことを」という意味になる、ということです。

その後、モニカが自分の引き出しにすぐに隠したことからもわかるように、モニカはこの燭台は絶対に自分のものだと確信しているようです。
でもレイチェルが悪びれた風もなく、「それは私が買ったのよ」と言って持っていこうとしたことに腹を立て、「あぁ、そうだったわ。あなたはこんな風に、自分のものでもないのに自分のものだって簡単に嘘をつくような嘘つきだった。そのことをすっかり忘れてたわ。あなたに尋ねた私がバカだった。尋ねても嘘を言うに決まってたのに、聞くだけ無駄だったわ」みたいな意味で、そのセリフを言ったということになるでしょう。
ですから、それ以上、レイチェルを問い詰めることはせず、当たり前のように自分のものとして取り返したわけですね。

このように、後ろに that 節が続くような動詞が使われた場合、それに対する返答では、SVを省いた形でいきなりこのように That で文章が始まる場合があります。
あくまで私の印象ですが、ドラマ「24」で、よくこういう That を見かけるような気がします。

例えば、「24」の 2-11 (シーズン2第11話)で、
大統領: What are you saying, Mike? (何を言ってるんだ、マイク?)
マイク: That you do whatever it takes to find out... (ネタバレ厳禁なので(笑)以下略) (…を見つけるために必要なことは何でもやる、ということを私は言っているのです。)
のような形で出てきます。

つまり、I'm saying that you do... の最初の I'm saying の部分が、わかりきったことであるために省略されている感覚でしょう。
That で始めることで、say 以下で言おうとしている「内容」であることが明示されるわけですね。

その that を意識しないと、「(レイチェルが買ったってこと)忘れてたわ。(レイチェルに聞こえないところで) この嘘つき!」みたいに言っているように聞こえるでしょうか。
ですが、厳密に言うと、文頭に That があるために、いったんは「レイチェルが買ったってこと、私はうっかり忘れてたわ」と言ったように見せておいて、その実、「あー、忘れてた、レイチェルが(そういう)嘘つきだってことを」とレイチェルに隠れて言った、というオチになるわけですね。

冒頭にそういうやり取りがあって、また燭台にまつわるシーンが出てきます。それが以下。
(Phoebe goes and lies down as Rachel opens the drawer Monica hid the candlesticks in and as Monica walks out of her room.)
(前回のシーンの続きで)フィービーは横になりに行く。その時に、レイチェルはモニカが燭台(ろうそく立て)を隠した引き出しを開ける。その時、モニカが自分の部屋から(歩いて)出てくる。
レイチェル: Monica! (モニカ!)
モニカ: Hmm? (Rachel holds up the candlesticks.) (んー? [レイチェルは燭台を掲げている])
レイチェル: Did, did you take these back? ((これは私のものだって言ったのに)モニカはこの燭台を(自分のものとして)取り戻したの?)
モニカ: No, no, I, I just, I liked them so much that I went out and bought some for myself. (違う、違う。私はただ、その燭台がものすごく好きだったから、自分のためにそれを買いに行ったのよ。)
レイチェル: Oh yeah, they're really great, aren't they? (あぁ、そうね、その燭台はすごく素敵だもんね?)
モニカ: I love them. (大好きよ。)
レイチェル: Yeah. (Monica walks away) Nice try. (Rachel puts them in a box.) (そうね。[モニカが歩いて去る] そうはいかないわよ。[レイチェルはその燭台を箱に入れる])

フィービーが去った後、レイチェルはモニカが引き出しの中に燭台を隠しているのを見つけます。
私のものだって言ったのに、あなたはそれを取り返したわけ?みたいに問い詰めていますが、モニカは、「お気に入りの燭台だったから、同じものを買いに行ったのよ」と嘘を言います。
その嘘の話を信じたかのように相槌を打つレイチェルですが、モニカに聞こえないところで、Nice try. と言った後、自分の箱にその燭台をしまっています。
言葉ではモニカのものであると認めたふりをして、今度はレイチェルがモニカから燭台を取り返したわけですね。
(レイチェルとモニカの行動パターンが似ているのが面白いです。さすがは親友…笑)

この Nice try. という言葉、「ナイス・トライ」の「ナイス」という言葉のイメージから、Good job. や Well done. のような「うまくやった、成功した人への褒め言葉」の一種のように思う方もいるかもしれませんが、相手が成し遂げたことを完璧なものとして絶賛・称賛する言葉ではありません。

LAAD では、
nice try : used to say that what someone has done or guessed is very good, but not completely correct.
例) "I'd say you're about 35." "Nice try. I'm only 29."

つまり、「誰かがしたことや推測したことが、とても good だが、完全に正しい・正解・正確なわけではないことを言うために用いられる」。
例文は、「君は35歳くらいかな(って僕なら言うね[推測するね])」「惜しい。私はまだ29歳よ」

英辞郎にも、やはり、
Nice try.=惜しい。
と出ています。

「惜しい」、つまり、「パーフェクトではない」という感覚なのですね。

元々、try という言葉は、I tried, but.... 「やってみたのよ、でもだめだった」と続くパターンが多いですが、このような Nice try. も、「そのあなたのトライ(試し、試み)はなかなかナイスだったけど…(実際には失敗に終わった)」的なニュアンスで使われていることになるでしょう。
結果を称賛しているのではなく、「トライ、試み」「そういう試みをしたこと」を称賛しているわけですね。

try という言葉自体は、必ずしも失敗と結び付くわけでもなく、日本語でいうところの「(成功を目指して)努力する、一生懸命やる」というニュアンスがありますね。
ですから、「やってみたこと、試みたことを褒める」場合や、「頑張ったけれど、結果が惜しいものであった」時に「惜しかったけど、よく頑張ったね」的なニュアンスを伝えたい場合にも、Nice try. を使うことがありますが、今回の上のレイチェルのセリフは決して褒め言葉ではない、皮肉っぽい表現だということです。

この Nice try. というフレーズは、タナー家の子供たちが活躍するシットコム「フルハウス」でよく出てきました。
例えば、フルハウス1-22 (シーズン1第22話)の「D.J. のずる休み」(原題: D.J. Tanner's Day Off)では、登校日に大好きなスターのサイン会があるので、D.J. (タナー家の長女)がパパ(ダニー)に欠席届にサインさせようと試みるシーンがあります。

D.J.: Dad, before you go... you wouldn't mind if I got an autograph of my favorite singer, Stacey Q, would you? (パパ、(旅行に)行く前に(聞いておきたいんだけど)…私の大好きな歌手のステイシーQのサインをもらっても構わない?)
ダニー: No, not at all. (いや、全然構わないよ[オッケーだよ]。)
D.J.: Great. You're the best dad. Just sign this note excusing me from school tomorrow, and have a wonderful trip. (最高。パパは最高のパパよ。私が明日学校を欠席するっていうこの手紙にサインして、それから素敵な旅をしてきてね。)
ダニー: Nice try, D.J. (そうはいかないよ、D.J. )
D.J.: Oh, come on, Dad. You just said I could have the autograph. (あー、いいでしょ、パパ。たった今、私はサインをもらえるって言ったじゃん。)

このセリフの流れからわかるように、パパに欠席届にサインしてもらおうというD.J.の作戦はあえなく失敗に終わったわけです。
「なかなかうまく頑張ったけど、残念ながら成功しなかったようだね」のような感覚で、「フルハウス」でこのような Nice try. が登場する時には「そうはいくか」「その手に乗るか」のような字幕がよく付けられていました。

今回のレイチェルのセリフも、まさにそういうニュアンスですね。
「同じものを買ったの!と言って逃げおおせたように思ってるだろうけど、こちらはちゃんとお見通しなんですからね。うまくやったつもりだろうけど、残念ながらあなたの思い通りにはいかないわ」という感覚だということです。
カタカナにすると「ナイスなトライ」という言葉になるけれども、その実は、「ナイスなトライだったけど、でも、結果は完全・完璧ではなかった」みたいなニュアンスがある、そのため「惜しいけどはずれ」という意味にもなり、相手がこちらをひっかけようとしている場合だと、「頑張ったけど、残念だったわねぇ〜」と相手の魂胆がミエミエであることを皮肉っぽく、それも「私にはわかってるのよ」とちょっと上から目線な感じで指摘するニュアンスにもなるようですね。
英語で言うと、"You were trying to trick me, but you failed." のような感じでしょうか。
頑張ってトライしたことは認めるけど、そのトライは完全に成功とはいかなかったようね、という感覚になります。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 16:58| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月12日

起こせるなら起こして フレンズ6-4その3

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は7位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


行きつけの占い師に「あなたは今週中に死ぬ」と言われてしまったフィービー。
[Scene: Monica and Rachel's, Phoebe enters to find Rachel still packing.]
モニカとレイチェルの部屋。フィービーが入ってきて、レイチェルがまだに荷造り中なのを見る。
フィービー: Hey! (はーい!)
レイチェル: Hey, Pheebs, you're still alive! How are you feeling? (はーい、フィービー。まだ生きてたのね! 気分はどう?)
フィービー: Ugh, it's so exhausting, waiting for death. Ohh, by the way, do you think you-- (Groans, hacks, and then freezes with her eyes open and her tongue hanging out.) (あー、すごく疲れるわ、死を待つのって。あぁ、ところで、あなたは… [うめき声を上げ、空咳(からせき)をして、その後、目を開けたまま固まり、舌を外に出す]
レイチェル: Pheebs, what, what are you doing? (フィービー、何、何してるの?)
フィービー: I was preparing you for my dea-- Didn't you think I was dead? Did that not come off? (私はあなたに私の死への準備をさせていたのよ…。私が死んだと思わなかった? 今の、うまくいかなかった?)
レイチェル: Oh yeah, scared the hell out of me. I thought we'd lost you forever. Pheebs, you wanna lie down? (えぇ、死ぬほどびびったわ。私たちはあなたを永遠に失ったと思った。フィービー、横になりたい?)
フィービー: Yeah, thanks. And listen, can you do me a favor? Could you just umm, wake me up in a couple hours. Y'know, if you can. (うん、ありがと。それで、ねぇ、私のお願いを聞いてくれる? 私を2、3時間で起こしてくれるかしら? ほら、もしそうできたら、ね。[フィービーは指をクロスする])

占い師に今週中に死ぬと言われたフィービーですが、話を聞く限り、その予言はどうも胡散臭い。
でもフィービーはその予言を真に受けています。
そんなフィービーにレイチェルは、気分はどう?と尋ねています。
exhaust は「(人)をへとへとに疲れさせる」という他動詞。
人を主語にした場合は、I was/felt so exhausted by/from/with... 「私は…でひどく疲れた」のように過去分詞形(-ed)で使われます。
一方、フィービーのセリフは、exhausting のように現在分詞(-ing)になっていますね。
これは、「自分が今ひどく疲れている」という自分の状態を言っているのではなくて、この状況が「私をへとへとに疲れさせる」と言っているニュアンスです。
It's so exhausting, waiting for death. は、「どっと疲れるのよね(疲れさせるのよね)、死を待ってると[死を待ってるってことは]」みたいな感覚でしょう。

そう言いながらフィービーはうめき声を上げ、ぐえっ!みたいな顔をして、そのまま舌を出して固まっています。
何やってんの?と言われたフィービーは、死んだふりをしたと言っていますね。

I was preparing you for my dea-- と最後の部分が途中で切れていますが、これは for my death と続くはずだったでしょう。
prepare someone for... は「人に…の準備をさせる」。
研究社 新英和中辞典には、
prepare candidates for an examination 志願者たちに試験の準備をさせる
という例文も載っています。
「あなたに私の死への準備をさせる」、つまり、私が死ぬ時に備えて、事前に心の準備をさせようとしていたの、という感覚です。

Did that not come off? の come off は「成功する、計画がうまくいく」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
come off : SUCCEED to be successful or have the intended effect
例) The joke just didn't come off very well.

つまり、「成功する、もしくは意図された効果がある」。
例文は、「そのジョークはそんなにうまくいかなかった[あまり成功しなかった]」。

フィービーのセリフも、「あなたに私の死への心の準備をさせようとしたんだけど、私が死んだとは思わなかった?」の後ですから、私のその意図は成功しなかった? 失敗に終わっちゃった?と言っていることになるでしょう。

あまりに嘘くさいお芝居だったので(笑)本気にするはずもないのですが、レイチェルは言葉の上でだけ、すごく驚いたかのように言っています。
scare the hell out of someone は「人を死ぬほど怖がらせる」。
the hell という強意語が入っているので、あまり上品な言い方ではないようです。
他にも同じような意味で、scare the life out of や、scare the living daylights out of のような表現もあります。
英辞郎では、scare the hell out of には、〈卑〉、つまり「卑語」であると書かれていて、scare the living daylights out of の方には、〈卑〉とは書かれていません。
アカデミックな辞書である(それゆえ、卑語はあまり収録されていない)LAAD には、scare の項目に、
A siren went off and scared the living daylights out of me.
という例文が載っていました。
「サイレンが鳴って、私を死ぬほど驚かせた[私は死ぬほど驚いた]」というような意味ですが、LAAD に出ているので、これはそれほど下品な表現でもないということでしょう。
英辞郎でも、この表現には〈卑〉マークがついていないことと合致しますね。
LAAD で daylight の項目を見てみると、
scare/frighten the (living) daylights out of somebody : (informal) to frighten someone a lot
やはり、「誰かをものすごく驚かせること」という語義になります。

レイチェルは自分がものすごく驚いたということを言葉で表現するために、「もう、ぶったまげたわ」みたいにわざと言ってみせた感じでしょう。
その表情からは全く驚きが感じられないのに、そういう大げさな言葉を使っているギャップの面白さでしょうね。

ちょっと横になって一休みするつもりのフィービーは、レイチェルに頼みごとをしています。
2、3時間したら起こして、というよくあるお願いですが、その後に、if you can という言葉が付け加えられていますね。
そしてフィービーは、2本の指を重ねる仕草をしています。
これは指でクロス(十字架)の形を作って、「願いが叶いますように」という仕草です。
研究社 新英和中辞典では、
cross one's fingers=(災難よけなどのために)中指を曲げて人さし指に重ねる、幸先(さいさき)のよいことを祈る
と出ています。

LAAD では、
cross your fingers : used to say that you hope something will happen in the way you want
例) Keep your fingers crossed for me.

つまり、「自分が望む方法で何かが起こることを願う、と言うために用いられる」。
例文は、「(私のために、あなたの指をクロスしてて→)私の望みが叶うように願ってて」。

普通の会話だったら、「ちょっと眠るから、2、3時間経ったら起こして」というのはごく自然なセリフですよね。
ただ今回のフィービーは、自分が今週中に死ぬ(いつ死ぬかわからない)と思っているので、眠った後、そのまま死んでしまうかもしれない、だから、起こせるのなら起こして、もうその時に死んじゃってたら起こすことは不可能だけどね、みたいな意味で、if you can を最後に付け加えたわけです。
あなたに起こしてもらえるように願ってるわ、2、3時間後にまだ私が生きてることを祈ってるわ、という気持ちを込めて、指をクロスした、ということですね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 16:38| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月08日

所有格のme (possessive me) フレンズ6-4その2

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は3位、「にほんブログ村」は7位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


前回の続きです。
ロス: How weird is that? Y'know? You're moving in with me and have the one thing I don't have. It's like uh, in a way, you, you complete me. (Phoebe glares at him) Kitchen. (それってどれくらい不思議かなぁ。ほら、君は僕のところに引っ越してくる、そして僕が持っていない1つのものを持っている。それってまるで、ほら、ある意味では、君が、君が僕を完全なものにする[完成させる]んだよ。[フィービーがロスをにらむ] 台所をね。)
レイチェル: What? (何?)
ロス: (in an Australian accent) You complete me kitchen, matey! ([オーストラリア・アクセントで(訳注:私はイギリス・アクセントだと思いました。以下の解説でそれを説明しています)] 君が僕の台所を完全なものにするんだよ、メイティ[友よ]!)

前回の記事、フレンズ6-4その1 で解説したように、ロスはレイチェルに、You complete me. という言葉を使います。
それが愛する人に対して使うロマンティックなセリフだったので、フィービーはロスをにらんでいます。
そこでロスはとっさに、Kitchen. という言葉を付け加え、さらには、matey という言葉も付けた形の文章、You complete me kitchen, matey! というセリフを言います。

ネットスクリプトのト書きには「オーストラリア・アクセント」と書いてあるのですが、私はイギリス・アクセント(イギリス英語)だと思いました。
以下でその説明をさせていただきます。

まず、You complete me kitchen の me の用法について。
本来であれば、所有格の my が使われるところに、me が使われていますね。
私が過去に見てきた映画の中でも、そういう用法に何度か出会ったことがあります。

まず1つ目は、映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー パート3」。
西部開拓時代にタイムトラベルしたマーティは、自分の祖先であるマクフライ家の人々に助けられるのですが、マギー・マフクライ(マーティのママ役のリー・トンプソンが一人二役を演じています)が自分の夫(これはマーティ役のマイケル・J・フォックスが演じています)を紹介する時に、
マギー: Me husband. (私の夫よ。)
と言っていました。
これは、My husband. を Me husband. と言っているわかりやすい例ですね。
実際、Wikipedia 日本語版: バック・トゥ・ザ・フューチャーシリーズの登場人物 の「1885年のマクフライ家」のマギー・マクフライの説明の中に、
アイルランド訛りで話す(既婚女性を指す「ミセス」を「ミサス」、「私の」を意味する「My」を「Me」と発音している)。
という記述も載っています。
アイルランド訛り(Irish accent)だと、British accent (British English) とはまた異なる部分もありますが、とりあえずはこのセリフから、アイルランドでも my を me と発音するらしい、ということがわかりますね。

次は映画「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド](原題: Pirates of the Caribbean: At World's End)(シリーズ3作目)。
この中でのセリフに、
ムルロイ(Mullroy): Shiver me timbers.
というものがあるのですが、これも本来なら、Shiver my timbers. となるはずが me になっている例になります。

Wikipedia 英語版: Shiver my timbers では以下のように説明されています。
Shiver my timbers (or shiver me timbers using the possessive me) is an exclamation in the form of a mock oath usually attributed to the speech of pirates in works of fiction.
つまり、「shiver my timbers (または、所有格の me を使っている shiver me timbers)は、小説における海賊の話し方を起源とする、にせのののしり語の形をとった感嘆の叫び声である。」

possessive me 「所有格の me」が、今回ポイントとなっている、my の代わりに使われている me のことですね。
そのウィキペディアのリンクをたどった先の、Wikiepedia 英語版: Possessive me では、
"That's me house" (That's my house)
のような例も載っていて、以下の説明もあります。
This is probably not a result of confusion between the possessive pronoun "my" and the object pronoun "me", as is often believed. In Middle English my before a consonant was pronounced [mi:], like modern English me... (以下省略)
つまり、「恐らくこれは、しばしば信じられているような、所有格代名詞の my と 目的格代名詞 me の混同の結果ではない。中世英語では、子音の前の my は、現代英語の me のように、「ミー」と発音されていた…」

ウィキペディアの情報が学術的に必ずしも正しいわけではありませんし、probably 「恐らく、たぶん」という言葉も使われているため、絶対とは言えませんが、所有格と目的格を混同したのではなく、かつて、my を「ミー」と発音していた時代があり、その名残で、地方によっては、my を me 「ミー」のように発音する、そのため、スペルも me で表記することがある、というのが真相なのかな、と私も思います。

このような me/my を話題にしているフォーラムもありました。
WordReference Forums : EN: me / my - possessive adjective

そのフォーラムでも、「イギリスにおける地域的発音である」というような説明がされていますので、やはり、格の混同というよりは、発音の「ミー」という音から、me と表記してある、と解釈できると思います。

ちなみに余談ですが、Shiver me timbers! と叫んでいたムルロイという人は、パート1にも出ていた、英国海軍のコミカルコンビの一人です。
(以下、少々、「ワールド・エンド」のネタバレになってしまいますが)
ムルロイたちは海賊側の船に潜入して、海賊の服を着ていたのですが、最後にはすっかり「海賊かぶれ」みたいになってしまって、海賊側が勝ったことを喜んでいるセリフ、それが、Shiver me timbers! でした。
このフレーズは海賊がよく使うものの1つなわけですが、海賊と敵対するイギリス海軍の海兵だった人がそのフレーズを使っているところに、「彼はすっかり海賊にハマってしまい、魅せられてしまった」ことがわかるということでしょう。
他の船員たちがあっけにとられたような顔でムルロイを見ているのも、そういう理由からだろうと思います。

次に、matey の説明に移ります。
研究社 新英和中辞典では、
matey=《英口語》【名】【C】 [通例呼び掛けに用いて] 仲間、相棒

ロングマン現代英英辞典 (LDOCE) では、
matey (2) : [noun] [British English] (informal) used by men as a very informal or disrespectful way of speaking to another man
つまり、「(イギリス英語、インフォーマル) 別の男性に、非常にインフォーマル、または無礼な感じで話しかける方法として、男性によって使われる」。
直訳したので回りくどいですが、要は、男性が他の男性にインフォーマルに話しかける時に、matey と呼び掛ける、ということですね。
辞書の説明にも「イギリス英語」だと明示されています。

この matey という言葉もまた、「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド」に出てきます。
使っているのは、ヘクター・バルボッサ(船長)。
バルボッサ: It be too late to alter course now, mateys.
バルボッサ: Feast your eyes upon this, mateys.
のような形で出てきました。
主人公のジャック・スパロウは、シリーズ全編を通して、I couldn't resist, mate. (パート1)、Sea turtles, mate. (パート3)などのように、語尾によく mate という言葉を付けています。
バルボッサはその mate の代わりに、matey の方を良く使う、ということのようです。

ちなみに上の2つ目の、Feast your eyes... というセリフですが、IMDb の quotes には以下のように書いてありました。
IMDb : Quotes for Captain Hector Barbossa (Character)
Captain Barbossa: Relax, me mateys! Look at this!

この me mateys がまさに、my friends や my buddies みたいな感じの呼び掛け語ですね。
実際の彼のセリフがこの me mateys であったなら、このセリフだけで、今回のロスのセリフのニュアンスのかなりの部分を説明できたのですが、あいにく実際のセリフを DVD で確認してみると、英語字幕通りの Feast your eyes... という言葉をしゃべっていて、me mateys とは言っていません。
ただ、このように quotes でそう書かれているということは、me mateys が「バルボッサがいかにも言いそうなフレーズ」である、ということで、海賊のセリフによく使われる言い回しだと言えるでしょう。
実際、海賊関係のことを書いている個人サイトの見出しに、(Ahoy) me mateys のようなフレーズが使われているのもいくつか見ましたので、me possession や matey は、海賊のセリフによく登場すると言えると思います。

ここまで、「パイレーツ・オブ・カリビアン」で使われている「海賊の英語」に出てくる、という話をしてきましたが、この映画は、英国海軍や東インド会社が舞台となっている話ですし、時代を考えても、その海賊たちの英語はイギリス英語が元になっているはずです。
そういう意味からも、オーストラリア英語だと判定するよりは、イギリス英語だと解釈する方が自然なのでは?と思うのですね。(イギリスではなくオーストラリアだと決める根拠がない、と言いますか…)
発音という「音」から判断したのではなく、その「言い回し」からイギリス英語だろうと私は思った、ということです。

イギリス英語、とは言っても、ロスが話しているのは「インチキ・ブリティッシュ・アクセント」みたいな感じなので、「イギリス」という断言もできないのかもしれませんが、そういう違ったアクセントを使っていることで、違った国の言葉遣いも真似している、ということがわかればいいと思います。
実は今回のエピソードは、そういう「外国アクセント」がプロットの1つになっています。
導入部分で、アクセントにまつわるセリフを持ってきて、後の展開を示唆している、という効果もあるのでしょう。

me と matey の説明が長くなりましたが、どうしてロスは、me の後に kitchen という言葉を言い、さらには matey をも付け加えたかと言うと、complete me. だと目的格で文章が終わってしまうので、me kitchen とした上で、me が my の意味であるかのように思わせ、それをさらに確実にするために、(アメリカ人はあまり呼び掛け語に使わない) matey というイギリス英語を付け足して、「僕は me って言ったけど、元々、その後に kicthen って言葉を付け加えるつもりだったんだ、この me はイギリス人がよく使う、possession me なんだよ」とレイチェルに思わせようとした、ということです。
「君が僕を完全にする」というような愛のセリフを言ったわけじゃなくて、「君が栓抜きを持ってきてくれるおかげで、僕の台所は完全なものとなる、完璧になる」って言いたかっただけなんだ、と、とぼけてみせた感じでしょうね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 14:29| Comment(3) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする