2011年09月06日

君が僕を完全にする フレンズ6-4その1

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シーズン6 第4話
The One Where Joey Loses His Insurance (ジョーイ、迫真の名演技!)
原題は「ジョーイが保険を失う話」


[Scene: Monica and Rachel's, Rachel is packing her belongings to move to Ross's. She's standing in the kitchen.]
モニカとレイチェルの部屋。レイチェルはロスの部屋に引っ越すために、自分の持ち物を荷造りしているところ。レイチェルは台所に立っている。
レイチェル: Monica, which of all of this kitchen stuff is mine? (モニカ、この台所用品全部のうちで、私のものはどれ?)
モニカ: This bottle opener. (She grabs it off of the freezer door.) (この栓抜きね。[モニカは冷凍室のドアから、栓抜きをはぎ取る])
レイチェル: And...? (それに…?)
モニカ: And it's a magnet! (それに、それは(その栓抜きは)マグネットなの!)
レイチェル: Look at that! ([ロスに]、見てよ(栓抜きだけなのよ)!)
ロス: How weird is that? Y'know? You're moving in with me and have the one thing I don't have. It's like uh, in a way, you, you complete me. (Phoebe glares at him) Kitchen. (それってどれくらい不思議かなぁ。ほら、君は僕のところに引っ越してくる、そして僕が持っていない1つのものを持っている。それってまるで、ほら、ある意味では、君が、君が僕を完全なものにする[完成させる]んだよ。[フィービーがロスをにらむ] 台所をね。)
レイチェル: What? (何?)
ロス: (in an Australian accent) You complete me kitchen, matey! ([オーストラリア・アクセントで(訳注:私はイギリス・アクセントだと思うのですが、それについては後に説明します)] 君が僕の台所を完全なものにするんだよ、メイティ[友よ]!)

レイチェルは、Which of all... is mine? 「全ての…の中でどれが私のもの?」と尋ねています。
これまで5年以上同居してきたので、共有して使っていた台所用品のうち、私が持って行ってもいいのはどれかしら?という質問です。
モニカは、「この栓抜き」と言ってそれをレイチェルに渡します。
その後、レイチェルは、And...? と言って、その後のセリフを促していますが、それは、栓抜き以外に他にも何かあるでしょ?と言いたいわけですね。
「栓抜きと、それから他には何があるの?」という意味で、and を使うレイチェルに、モニカは、And it's a magnet! と答えます。
「それに、今渡したその栓抜きはマグネットでもあるのよ」ということですね。
その前の、grabs it off of the freezer door というト書きは、「冷凍室にくっついていたのを、つかんで取り外した」感覚がありますが、その描写からも、その栓抜きには磁石が付いているだろう、ということは想像できます。
「他に何かあるの?」と「別の品物」を尋ねたレイチェルに対して、「それはマグネットも兼ねてるのよ」と「別の機能」があることを言うことで、暗に「それ以外にあなたに譲れるものはない」と断言していることになるでしょう。
モニカはうまく話をすり替えた、という感じですね。

How weird is that? について。
How weird that is! なら「それは何て不思議なんだ」という感嘆文になるでしょうが、この場合は、is that? という語順なので、やはり「疑問文」ということになるでしょう。
直訳すると、「それってどんなに不思議かなぁ?」になるでしょうが、ロスは「それってどんなに不思議だと思う? 実はすごく不思議なことなんだよ」と、これからその「不思議さ具合」を説明する前に、そのような疑問文で、そのことが weird であると先に予告している、という気がします。

You're moving in with me and have the one thing I don't have. について。
have the one thing I don't have は「僕が持っていない(たった)1つのものを君が持っている」という感覚。
これから越してくる予定の君が、僕がもっていない唯一のものを持ってきてくれるなんて、すごく不思議だって思うだろ?という感じです。
It's like... 「…のようである」、in a way 「ある意味(では)」と言いながら、ロスは、You complete me. と言っています。

complete は「完了する」という意味ですが、「…を完成させる、…を完全なものにする」という意味もあります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
complete : to make something whole or perfect by adding what is missing
つまり、「欠けているもの[足りないもの]を加えることで、何かを完全に(whole, perfect)にすること」。

嬉しそうな顔をして、You complete me. とレイチェルに言ったロスを、フィービーは冷たい目でにらんでいます。
それは、You complete me. というセリフが、かなりロマンティックなセリフだからですね。
complete は「欠けているものを補って完全にする」というニュアンスですから、「君がいてくれると僕は完全になれる、君がいないと僕は不完全なままだ」と言っていることになり、僕には君が必要なんだ、君は僕の大切な一部なんだ、君がいないと僕は僕ではいられないんだ、のような意味になるでしょう。

しゃれた素敵な表現だなと思い、ネットで検索してみたところ、トム・クルーズ主演の1996年の映画「ザ・エージェント」(原題:Jerry Maguire)のセリフに、You complete me. があるようです。
IMDb: Memorable quotes for Jerry Maguire

Wikipedia 英語版: Jerry Maguire の Legacy という項目に、
Jerry Maguire spawned several popular quotations, including ... (途中省略) ... "You complete me"...
という記載があります。
「人気のある・評判の良い引用文をいくつか生んだ」ということで、その有名なものの中に、You complete me. も入っているということです。

どういう場面で使われたのか気になったので、早速、DVD をレンタルしてセリフを確認してみました。
(私が借りた DVD には英語字幕がついていなくて、それは少々残念でしたが…)

以下は、「ザ・エージェント」のネタバレになってしまいます。(あらすじを知りたくない方は(フレンズのセリフに戻ります)まで、スキップして下さい。)

主人公のジェリー・マグワイア(トム・クルーズ)が退職する時に、同僚のドロシー(レニー・ゼルウィガー)も彼の信念に共感して一緒に会社を辞めるのですが、その時のエレベーターの中で、手話で会話するカップルがいました。
そのカップルが降りた後に、ドロシーがその手話の意味を説明します。
ドロシー: My favorite aunt is hearing impaired. He just said "You complete me." (私の大好きなおばあちゃんは耳が不自由なの。今の彼は「君が僕を完全にする」って言ったのよ。)
おばあちゃんは耳が聞こえにくいから、ドロシーも手話を使える、だから彼の手話の意味がわかった、ということですね。
その時は、ふーん、という感じでその言葉を聞いていたジェリーですが、ラストシーン近く、ドロシーの存在の大きさに気づいて彼女の元に帰ってきた時に言うセリフが、
ジェリー: I love you. You complete me. (愛してるよ。君が僕を完全にするんだ。)
でした。
最初の方に手話として登場したセリフが、最後に決め台詞として使われることになる、というのが洒落てるなぁ、と思います。

(フレンズのセリフに戻ります)
今回の フレンズ6-4 の放映は、1999年10月ですから、トム・クルーズのこの映画(1996年公開)のセリフを意識して、ロスはそのフレーズを使ってみた、ということでしょう。
レイチェルへの恋愛感情を再び持ち始めたロスが、婚姻無効手続きをせず、レイチェルとまだ結婚している状態を続けて、なおかつそれをレイチェルには黙っている、そういう状態で、こんな「ロマンティックな愛のセリフ」を嬉しそうに言ったため、フィービーは、ロスをにらんだわけですね。

ちなみに、余談になりますが、Keyshia Cole(キーシャ・コール)が歌う、You Complete Me というタイトルの曲もあるようです。
Wikipedia 英語版: You Complete Me
2008年12月リリースのアルバム「A Different Me」に入っていた曲で、2009年1月にシングルとしてリリースされたもの。
ですから、フレンズ6-4 の放映(1999年)よりはずっと後なので、この歌を念頭に置いてロスがそのセリフを言ったわけではない、ということも言えるでしょう。

フィービーに「何言ってるの?」みたいな顔をされたロスは、とっさに、Kitchen. という言葉を付け加えます。
レイチェルに何?と聞き返されたロスは、kitchen と、さらには、matey という言葉も付けた、You complete me kitchen, matey! という文章を言っていますね。

この文章を私は「僕の台所を完全(なもの)にする」と訳しましたが、英語のセリフを見てみると、my kitchen という所有格(my)ではなく、me kitchen という目的格(me)になっていますね。
このように、英語では、my が来るべきところに me が使われる、ということがあります。
調べてみると、イギリスのある地方では、my の代わりに me が使われること、matey という単語もイギリス英語であることがわかりました。
それで、ネットスクリプトのト書きには「オーストラリア・アクセント」とあるけれど、私はイギリス・アクセント(イギリス英語)だと思ったわけです。

my の代わりに me を使うという用法について、また、matey という単語については、私がこれまでに見た他の作品(映画)でのセリフをいくつか引用しながら、次回の記事でじっくり説明したいと思います。

「You complete me kitchen, matey! というロスのセリフは、どこのアクセントか?、語彙から判断してどこの国の英語だと思われるか?」ということは、イギリス英語のネイティブスピーカーの方などに聞けば、瞬時にわかってしまう話だろうと思います。
ですが、私はあえてそういうことはせず、自分が英語学習として見てきた作品のセリフと、ネット上でポピュラーな情報源として使われている Wikipedia などを検索することとで、どこまで答えに近づけるかを自分で確かめてみたい、という気持ちが常にあります。
「調べた過程はいいから、結果だけ簡潔に教えてくれ」という方も多くおられるとは思うのですが、過程を披露するのがこのブログの基本コンセプトなので、次回もかなり長い記事になりますが(笑)、どうかお付き合い下さいませ。


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posted by Rach at 16:19| Comment(2) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月03日

「合流」の道路標識 フレンズ6-3その6

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モニカの部屋。レイチェルの部屋をどうするかでモメていたものの仲直りした、その後のシーン。
モニカ: Okay, Come here, I want to show you something! (ねぇ、こっちに来て。あなたに見せたいものがあるの!)
チャンドラー: Okay! (オッケー!)
(They run to the living room where Monica has moved the chair back (Towards the step), the coffee table forward (Towards the TV), and taped a square outline on the floor.)
二人はリビングルームに走っていく。そこは、モニカが椅子を後ろに(段の方向に)動かしてあり、コーヒーテーブルは前に(テレビの方向に)動かしてある。そして、床には、正方形の輪郭(縁取り)が、テープで貼られている。
チャンドラー: Oh, my God! Someone's killed Square Man! (なんてこった! 誰かが「四角男」を殺したぞ!)
モニカ: This is where I thought the Barcalounger could go. You see you could see the TV, and still it's walking distance to the kitchen. (私はここに、バーカラウンジャー(安楽椅子)を置いてもいいなと思ったのよ。ほら、テレビも見れて、それでもなお、キッチンまで歩ける距離だし。)
チャンドラー: Oh, that's so sweet. I want to show you something too. (あぁ、それってすっごくいいね。俺も君に見せたいものがあるんだ。)
モニカ: Okay! (オッケー!)
チャンドラー: Y'know those big-big uh, road signs that say, that say "merge"? (ねぇ、ああいう大きな、大きな、道路標識があるだろ、「マージ(合流)」って書いてあるやつ。)
モニカ: Uh-hmm. (ええ。)
チャンドラー: Y'know? So I was thinking that we could get one of those signs and hang it over our bed. Because that's you and I together! "Merge!" (だろ? それで俺は思ったんだよ、ああいう標識の1つを手に入れて、それを俺たちのベッドの上にかけることもできるかな、って。なぜなら、それは、君と俺とが一緒、ってことだから! 「マージ(融合)」だよ!)
モニカ: Oh, my God! I love that! (なんてこと! それ、気に入ったわ!)
チャンドラー: Really? (ほんとに?)
モニカ: Uh, "No!" (あー、「ノー(禁止)」よ!)

モニカは「あなたに見せたいものがあるの」と言って、チャンドラーをリビングに連れてきます。
ト書きの説明にあるように、椅子とテーブルの位置を動かして空いた空間の床に、正方形が白いテープで形作られています。
それを見て、チャンドラーが、Someone's killed Square Man! と言っているのが面白いですね。
square は「正方形」で、Square Man のように大文字で書かれているので、「正方形の男」というよりは、固有名詞的な「スクエア・マン、正方形男」という感覚になるでしょう。
よく殺人現場などで、白いロープやテープで、被害者の倒れていた位置が人型で示してあることがありますね。
そういうイメージで、人型じゃなくて正方形だから、ここでこの正方形の形をした男が倒れていたんだな、誰かがついさっき、ここで、正方形男を殺したんだな、と言ってみせているわけですね。
日本の刑事ドラマでも、そういう「白い人型」のシーンはよく見かけますので、日本人にもわかりやすいジョークだと言えるでしょう。

Barcalounger は、チャンドラーが自分の部屋で愛用しているあの革製の椅子のこと。
This is where I thought the Barcalounger could go. を前から直訳していくと、「ここが、その場所である、私が思っていた、その安楽椅子が来ることができると」みたいになるでしょうか。
つまり、「四角で囲ってあるこの場所が、あの安楽椅子を置くことができると私が思っていた、その場所なの」ということになります。
I thought が挿入されることで、「私はそう思っていたんだけど」という意味を込めることができます。
チャンドラーの椅子なのでそれをどこに置くかはチャンドラーが決めるべきことだろうけど、私はこう思ったのよね、と、控えめに意見を述べる形になるでしょう。
それぞれ、自分のしたいようにしようとして喧嘩した後ですから、あまり自己主張しすぎないように気を付けている感じが出ています。
ここに椅子を置くことで、テレビも見れるし、still 「それでもなお、やはり、それにもかかわらず」、キッチンまで歩ける距離なのよ、と説明しています。
ここなら、テレビも見れるし、キッチンにも近いわ、絶好のポジションだと思うの、ということですね。

チャンドラーはモニカの思いやりの気持ちを素直に受け取り、嬉しそうにチャンドラーからモニカにキスし、ハグします。
その後、「俺の方も見せたいものがあるんだよ」と言っていますね。
そして、Merge と書かれた road sign 「道路標識、交通標識」の話をしています。
こんな風に大きく横に書いてある文字、みたいな感じで、手を横に動かして標識のイメージを表してもいます。

merge とは、「(2つ以上のものを)併合する、合併する」という意味が基本。
日本人英語学習者には、その名詞形の merger の方がなじみがあるでしょうか。
merger は「(会社の)合併」で、M & A 「合併と買収」は、mergers and acquisitions の略ですよね。

ここでチャンドラーが言っているのは、道路標識の話なので、ここでは「合流する」という意味になります。
英辞郎には、
merge into the left lane 左車線に合流する
merge onto the expressway 高速道路に合流する

などのように「(道路・車線)に合流する」という意味の例がいくつも載っていました。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
merge : if traffic merges, the cars from two roads come together onto the same road
つまり、「交通が merge すると、2つの道路からの車が同じ道路の上で一緒になる」。

チャンドラーは「合流あり。この先、合流注意」みたいな標識の話をしているようですが、そういうよくある標識の1つをゲットして、ベッドの上にかけたらどうかなと思ってたんだと言っています。
それは、you and I together ってことだから、と理由を説明していますね。
together は「共に、一緒に」「合わせて、結合して、合体して」などの意味があります。

上に書いたように、merge の意味の基本は「合併する」ということでした。
チャンドラーは、ベッドで二人が一緒になる…つまり、エッチしている時の様子を指して、(はっきり書いてしまうと、まさに文字通りの)「合体する」というイメージで、その標識をベッドの上にかけておきたいんだ、と言っているわけですね。

研究社 英和中辞典には、merge の語義として、
merge=〈二つ(以上)のものが〉溶け合う 〈together〉
The sea and the sky merged (together). 「海と空(の色)が溶け合っていた」

というようなきれいな表現も載っていましたが、そんな風に「二人が溶け合う」というような日本語にしたら、小説っぽくて美しいかも、と思ったりもします。

とにかくチャンドラーは、「合流」という標識を寝室にかけて、そういうエッチなニュアンスを示したジョークを実行したがっているわけです。
誰かがそれを見たら、ウケてくれそうだろ、みたいなことでしょうね。
モニカはその「合流」標識の話を聞いて、一瞬茫然として固まっていますが、その後、I love that! と嬉しそうな顔をしています。
「ほんとに(気に入った)?」と聞き返すチャンドラーに、モニカは、No! に力を入れて、チャンドラーの時と同じように、手を横に動かしています。
それも、標識を手でイメージしている感じですね。
「ほんとに気に入った?」「いいえ!」と返しているわけですが、その「いいえ」も、道路標識の「ノー(禁止)」のイメージを使っているのだと思います。
No Parking なら「駐車禁止」、No Passing なら「追い越し禁止」のように、道路標識で、No は禁止の意味で頻繁に使われますので、「合流」って標識はどう?と掲げてみせたチャンドラーに、「禁止」の標識で対抗した、「標識には標識を」の精神で切り返した、みたいなやり取りになるでしょう。
DVD字幕では "No!" と引用符がついているのも、そういう「標識」であることを示すためだと思います。

一瞬、嬉しそうな顔を見せて、ほんとに?と確認すると、「もちろんだめよ」とあっさり却下するパターンは、このカップルの「お約束」ですが、その「だめよ」が、標識繋がりになっているところに、脚本のひねりを感じて、面白いなと思いました。


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posted by Rach at 08:49| Comment(2) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年09月01日

どうしてそういうことするかなぁ? フレンズ6-3その5

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チャンドラー: Well, we are fond of the silliness. But we also have a soft spot for the love. (そうだな、俺たちは、ばかなことは好きだよ。でも同時に、愛に対しても弱いんだよな[愛っていうのも好きなんだよね]。)
モニカ: Love is the best medicine. (愛は最良の薬、よね。)
チャンドラー: That's "laughter." (それは(「愛」じゃなくて)「笑い」だよ。)
モニカ: Why do you do it? (どうしてそういうことするの?)
チャンドラー: I don't know. (わかんない。)
ロス: Okay! All right! Now, Chandler, you, you wanna live with Monica, right? (オッケー! わかった! さあ、チャンドラー、君はモニカと一緒に住みたいよね?)
チャンドラー: Yeah, I do. (ああ、住みたいよ。)
ロス: And, Mon, you wanna live with Chandler, don't ya? (そして、モニカ、君はチャンドラーと一緒に住みたいよね?)
モニカ: Yes. (ええ。)
ロス: (jumping up) Good! A verbal contract is binding in the state of New York! (Storms out.) ([(椅子から)パッと立ち上がって] よし! ニューヨーク州では口約束[口頭契約]は拘束力を持つ! [部屋を飛び出す])

チャンドラーとモニカが同居を取りやめようとするのを必死に止めようと説得するロス。
二人が付き合い出してからは、これまでの100万倍幸せそうなのに、たった1つの部屋の使い道をめぐって同居をやめるなんてばかげてる、と、silly や silliness という単語をロスは何度も使います。
be fond of は「…を好む、…が好きである」。
soft spot は直訳すると、「弱い所、弱点」ということですから、have a soft spot for は「…に対して弱点を持っている、弱点がある、弱い部分がある」、つまり、「…が好きである、ぞっこんである」というような意味になります。
日本語でも、好みの話で「…に弱い」というと、その魅力に抵抗できない、みたいなニュアンスがあるでしょうか。そのあたり、日英、似た感覚なのかなと思います。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
have a soft spot for somebody/something : to like someone or something, even though other people might not
つまり、「誰かや何かを好きなこと、他の人は好きではないかもしれないけれど」。

Macmillan Dictionary では、
have a soft spot for someone : to like someone a lot, even if they do not deserve it
つまり、「誰かを大変好きなこと、例えその人がそれを受けるに値(あたい)しなくても」。

英英辞典の2つの語義を見てみると、どちらも最後に「他の人は好きではないかもしれない」「好きだと思われる価値がない」のようなネガティブな条件がついていますね。
手持ちの英和辞典には、あまりそういうネガティブなニュアンスは載っていないのですが、これらの英英辞典の語義を見る限り、「その人特有の、他の人には理解できないような、ちょっと変わった好み」について語る場合に使われる表現…ということになるのでしょうか??
元々は「…に対して弱点がある、…に弱い」という意味から来たとすると、本来の常識から言うとそういうものを好きになるべきではないのに、それを好きになることが一般的ではないのに、その魅力に逆らえずに好きになってしまう、という意味から、弱点という言葉が使われている、ということになるのかなぁ、と。
誰もが好きだと認めるようなものであれば、それを他の人と同じように好きであることを弱点とは言わないでしょうから、特にその人はそれに弱い、というニュアンスだということでしょうかねぇ??
(問いかけ口調ばかりですみません)

もしそういう「(世間一般の人とは異なる)その人独特の好み」というニュアンスがあるとすると、一般的にみんなが好きであろう「愛」という言葉に対して使ったということは、「ばかなことも好きだけど、愛も好き」と言うのに照れがあって、わざとそんな風に「愛ってやつにも俺たちは弱くてね」と言ってみせた、しゃくだけど愛も好きだと認めざるを得ない、みたいなニュアンスが出せるということになるのかな、と思ったりもしました。

愛という言葉を出したチャンドラーに対して、モニカも、「そうよ、愛は最良の薬よ」と言うのですが、それを言うなら、love じゃなくて、laughter だろ、みたいに訂正されてしまいます。
実際、研究社 新英和中辞典にも、
Laughter is the best medicine. 「笑いは最良の薬」
という言葉が載っています。
LAAD にも、medicine の項目に、
the best medicine : the best way of making you feel better when you are sad.
例) Laughter is the best medicine.

のように載っていますので、有名なフレーズのようですね。

正しい言い回しは確かに、love ではなく、laughter だったようですが、モニカはそれを訂正されて、Why do you do it? とムッとした顔で言い、チャンドラーは反射的に I don't know. と返しています。
Why do you do it? を直訳すると、「なぜ・どうしてあなたはそれをするの?」ですから、日本語で言うところの、「どうしてそういうことをするかなぁ?」「どうしてそういうことをするわけ?」に近いニュアンスを感じます。
「愛」という言葉が出たところで、せっかく二人が仲直りしようとしているこの時に、そういうささいな間違いをいちいち訂正するわけ?、仲直りの気持ちに水を差そうってつもり?みたいな気持ちがモニカにはあるのでしょう。
そう責められて、即座に I don't know. と返すのも、「なんでそんな言葉が口を突いて出ちゃったのか、俺自身にもわからない、何でそんなこと言っちゃったんだろう、俺」みたいな感じですね。
二人の、"Why do you do it?" "I don't know." のスピーディーさが絶妙で、思わず笑ってしまう、そういうシーンでもあります。

ちょっとしたモメごとはあるものの(笑)、お互いの愛を再認識して、ばかな喧嘩はよそうと決めた二人。
ロスは「相手と一緒に住みたいよね?」とそれぞれに尋ねています。
何だか、結婚式の牧師さんみたいな尋ね方で、それに対する二人の返事も、結婚式の誓いの言葉にイエスと答えている感じに似ているのもポイントでしょう。
やっぱり一緒に住みたいという二人の意志を確認すると、ロスはすくっと椅子から立ち上がって、A verbal contract is binding in the state of New York! と叫んだ後、部屋を飛び出して行きます。

verbal contract は「口頭契約、口約束」。
bind は他動詞で「…を縛る、くくる」「(契約・法律などで)束縛する、拘束する、義務づける」、自動詞で「(契約などが)拘束力を持つ」という意味があります。(発音は「バインド」)
このセリフでは、「契約などで拘束する」という動詞に -ing がついて、「拘束力のある」という意味の形容詞として使われています。

LAAD では、
binding [adjective] :
a binding contract/promise/agreement etc. : a promise, agreement etc. that legally forces someone to obey it

つまり、「a binding contract (など)とは、法的に人に強制してそれに従わせる約束など」。

まるで結婚式の誓いの言葉のように、それぞれの意思を確認したわけですが、「確かに今イエスと言ったよね。紙に書いた契約じゃなくても、今みたいな口頭契約でも、NY州では拘束力があるんだ」ということで、今、口頭で誓ったから、もう撤回はできないぞ、正式に契約として認められたんだからな、と念押ししたようなセリフになるでしょう。
また同居とりやめ話がぶり返すといけないから、今の言葉には法的拘束力があるんだぞ、と高らかに宣言して出て行った、ということですね。


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posted by Rach at 17:43| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする