2011年12月31日

キスしたのは新年のせい フレンズ6-10その3

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ジョーイのルームメイトであるダンサーのジャニーンは、大晦日の番組 「ディック・クラークのニューイヤーズ・ロッキン・イブ」(Dick Clark's New Year's Rockin' Eve)に出演することが決まり、そのパートナーにジョーイを誘います。
小さい頃からその番組の大ファンだったと大騒ぎしているロスとモニカを見たジャニーンは、二人も誘うことにします。
ジャニーンがセントラルパークを出て行った後、大喜びしているジョーイ。
ジョーイ: Did she just ask me out on a date? (ジャニーンは今、俺をデートに誘ったよね?)
チャンドラー: I don't think so. (そうは思わないけど。)
モニカ: What are you talking about? She just invited him to the biggest party of the millennium! (何言ってるの? ジャニーンはミレニアム(新世紀)最大のパーティーにジョーイを誘ったのよ!)
レイチェル: Yeah, but she also invited you and Ross. Yeah, honey, I'm sorry, but I don't think that was a romantic thing. (そうね、でもジャニーンはあなた(モニカ)とロスも誘ったわ。そうよ、ハニー、残念だけど、今のはロマンティックなものじゃなかったと思うの。)
ジョーイ: Oh. Maybe. But, hey, I know how I can find out. We're going to a New Year's Eve party, right? So at midnight, I can kiss her. And if she kisses me back, great! Y'know? But if she says, "Dude, what the hell are you doing?" I can say, "It wasn't me, it was New Year's." (あぁ、多分ね。でも、ほら、それがわかる方法を知ってるんだ。俺とジャニーンは大晦日のパーティーに行くだろ? それで、真夜中に、俺は彼女にキスできる。そして、もし彼女がキスを返してきたら(キスに応えたら)、最高!だろ? でももし彼女が「ちょっとあなた(あんた)、一体何やってんの?」って言えば、俺はこう言えるんだ。「俺のせいじゃないよ、新年だからだよ。」)

ジョーイはジャニーンが番組に誘ってくれた!と大喜びしていますが、チャンドラーは「俺にはそうは思えないけど」と言っています。
一緒に番組に行けることになったモニカは、「ジャニーンはジョーイをミレニアム最大のパーティーに誘ったのよ!」と興奮気味に叫んでいます。
そんなすごいパーティーに誘ったんだから、やはり特別な何かがあるのよ!と言っているようにも聞こえますが、実際のところは、モニカの頭の中は自分がその番組に参加できることで頭がいっぱいで、その番組のすごさをただ言いたかっただけなのかもしれません(笑)。

レイチェルは、「確かにジョーイを誘ったけど、他にロスやモニカも誘ってるから、ロマンティックな感情があって誘ったわけじゃないと思う」と冷静に分析しています。
ジョーイもそういう可能性は重々承知しているようで、「多分そうかもしれないけど、それを確かめる方法がある」みたいなことを言っていますね。
I know how I can find out. を直訳すると、「(今の(誘い)がロマンティックなものかどうかを)どのように解明することができるかを知っている」になるでしょうか。
I know how to find out. と同じような感覚です。

シーズン1の大晦日エピソードである フレンズ1-10 では、テレビ画面にディック・クラークが映っていましたし、そのエピソードでも、新年の瞬間にたくさんの人がキスしているシーンがありました。
そのように、カウントダウンがゼロになり新年を迎えた瞬間、カップルはキスして新年を祝うという習慣(?)みたいなものがあるのですが、ジョーイはその儀式(?)を利用して、ジャニーンの気持ちを確かめることができる、と言っているわけです。

前回の記事でご紹介した、ただいま公開中の映画「ニューイヤーズ・イブ」(New Year's Eve)でも、その「年越しのキス」が大きなテーマとなっていて、それくらい、彼らにとっては重要なイベントだと言うことがわかります。

フレンズ1-10 で、チャンドラーはこの年越しシーズンのことを以下のようなセリフで表現していました。
チャンドラー: It's just that I'm sick of being a victim this Dick Clark holiday. (このディック・クラーク・ホリデーの犠牲者でいるのにうんざりしてるってだけなんだよ。)

新年を迎えた瞬間に、みんながキスするから、自分たちもそういうキスする相手を探さないといけない、というようなプレッシャーにうんざりしてる、それはこのディック・クラークの年越し番組に原因がある、と言いたい感じですね。

また、フレンズ1-10 ではこんなセリフもありました。
チャンドラー: Nothing for you. You have Paolo. You don't have to face the horrible pressures of this holiday. Desperate scramble to find anything with lips just so you can have someone to kiss when the ball drops! Man, I'm talking loud! (そりゃ君にはどうってことないだろうね。君(レイチェル)にはパウロ(という恋人)がいるんだから。君はこのホリデーの悲惨なプレッシャーに向き合う必要がないんだ。唇がついているものを探す必死の争奪戦さ、そうすれば(真夜中に)ボールが落ちる時[ボール・ドロップが行われる時]、キスする相手が誰かいることになるからね。なんてこった、俺は大声でしゃべってる!)

年越しにはタイムズスクエアで「ボール・ドロップ」というイベントがあるのですが(それも、映画「ニューイヤーズ・イブ」のテーマの1つになっているようです)、ボールが落ちた新年の瞬間に年越しのキスをする相手を探さないといけない、と言っているわけですが、それを、"anything with lips" 「唇のついている何か、唇のついたものなら何でもいい」みたいに言っているのが面白いですね。
anyone という「人」じゃなくて、anything のようにもはや「モノ扱い」です。
相手を選んでいられない、キスできるものなら何だっていい、みたいな、まさにデスパレートな感じがよく出ています。
そういうことを大声で叫んだ後、「なんてこった、俺ってこんなみじめなセリフを、周りのみんなに聞こえるような大声でしゃべってるじゃないか!」と気づくのもまた、チャンドラーらしいですね。

今回のエピソードのセリフに戻ります。
新年を迎えた瞬間の真夜中に俺はジャニーンにキスできる、とジョーイは言います。
それで彼女が kiss me back 「俺にキスを返してくれたら」、つまり、キスを嫌がらず拒まずに、そのキスに応じてくれて同じようなキスを返してくれたら、Great! だと言っています。
で、うまくいかなかった場合の例として、もし彼女がこんなことを言ったら…と、あるセリフを例に出していますね。
"Dude, what the hell are you doing?" の dude は、男性に対する呼び掛け語で、「あんた」みたいなニュアンス。
What the hell are you doing? は、普通の What are you doing? に the hell という俗語の強調が入っているので、「一体全体、何やってんの?」と、相手に対する「あきれ」や「驚き」の気持ちがより強く感じられます。
キスした時に、相手が「一体何やってんのよ!」と激怒した場合を例に挙げているわけですね。
もしキスしたことに対して相手がそう言って怒ったら、"It wasn't A, it was B." 「(原因は)Aじゃなくて、Bなんだ。AのせいじゃなくてBのせいだったんだ」みたいに言い訳できる、とジョーイは説明しています。
新年の瞬間にキスするのがお決まりだから、俺はそのお決まり通りに行動しただけさ、というように、「新年のせい」にできると言いたいのですね。

この後に続くセリフも、フレンズっぽくて面白いのですが、それは来年、ということにいたします。


さて、早いもので、今日はもう大晦日ですね。
ちょうど、年越しカウントダウンの話のエピソードを語りながら年を越せることになるのも、楽しい偶然でした。

今年も皆様には大変お世話になりました。本当にありがとうございました。
皆様から温かいコメントを頂戴したこと、ランキングで応援していただけたことは、このブログを続けるための非常に大きな原動力となっていました。
来年もまた、皆様と一緒に、楽しく英語を学んでいきたいと心より願っています。
皆様、どうかよいお年をお迎え下さいませ。
来年もどうかよろしくお願いいたします!

Thank you so much for reading my blog & supporting me this year, you guys.
I really appreciate your kindness. :-)
I wish everyone good luck for the coming year!


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2011年12月28日

タイムズスクエアのカウントダウン フレンズ6-10その2

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ジョーイのルームメイトであるダンサーのジャニーンがセントラルパークに入ってきて、
ジャニーン: I just got a call to be a dancer on a television special for New Year's Eve. It's called some sort of Dickin' Rockin' Dicky Eve. (たった今、大晦日(おおみそか)のテレビスペシャルのダンサーとして出るようにって電話があったの。「ディッキン・ロッキン・ディッキー・イブ」とかって名前の番組よ。)
モニカ: Hold it! Are you talking about Dick Clark's New Year's Rockin' Eve? (ちょっと待って! あなたが言ってるのは、「ディック・クラークのニューイヤーズ・ロッキン・イブ」のこと?)
ジャニーン: Yeah, that's what I said. (ええ、私はそう言ったわよ。)
モニカ: Oh, my God! We love that show! I mean Ross and I have been watching it since I, I can remember! (なんてこと! 私たち、その番組大好きなの! ロスと私は物心ついた時からその番組をずーっと見てるのよ!)
ロス: Yeah. (そうだよ。)
チャンドラー: Ah, you're still just a little fat girl inside, aren't you? (He kisses her on the cheek) (あー、君の中では君はまだ小さな太った女の子なんだね? [チャンドラーはモニカの頬にキスする])

ジャニーンはプロのダンサーなので、大晦日の有名番組へダンサーとして出演することになったようです。
ジャニーンが、その番組のタイトルを、Dickin' Rockin' Dicky Eve だと説明するのを聞いて、モニカは、「それって、Dick Clark's New Year's Rockin' Eve のこと?」と驚いた様子で聞き返していますね。
Yeah, that's what I said. は、「ええ、それ(今、モニカが言った名前)が私が言ったことよ」というような意味。
ジャニーンは実際の番組名とはやや違う名前を言ったにもかかわらず、「ええ、だから私はそう言ったけど」みたいに返している感じで、自分の間違いに気づいてないことがわかります。
アメリカでは有名な番組なのですが、オーストラリア出身のジャニーンはその番組名を知らなくて、なんとなく適当にそれらしい名前を言ってみた、というところですね。

その有名な番組については、後に詳しく説明しますので、まずは先にセリフの方を見てみます。
その番組にジャニーンが出ると聞いて、モニカは興奮気味に、Ross and I have been watching it since I, I can remember! と早口でまくし立てています。
have been watching... since という「継続を表す現在完了進行形」を使って、「〜して以来、ずーっと…を見ている」というニュアンスを出しています。
since I can remember は「物心ついてから」。
記憶が残っているような小さな頃からずーっとその番組を見ていた、だから、ジャニーンがその番組に出ると聞いて、大興奮しているわけです。
盛り上がっている自分の恋人モニカを見て、チャンドラーは、「君の中ではまだ君は小さな太った少女なんだね」みたいなことを言って、愛しそうにモニカの頬にキスしています。
言われた方のモニカは、a fat girl と言われて嬉しいはずもなく、「へ?」みたいな顔をしているのも面白いですね。
子供の頃から大好きだった番組に盛り上がっているモニカに、「君はまだ子供みたいだね、君の中にはまだあの頃の少女の君がいるんだね」と愛しげに言うのは恋人のセリフによくあるパターンですが、当時のモニカがものすごく太っていたことから、a fat girl のようにわざわざ fat という形容詞を入れているところが、からかいを混ぜたチャンドラーっぽいセリフだなと思いました。
モニカにしてみれば、「その fat って一言が余計なんだけど」みたいなところでしょう。

さて、ここで、その大晦日の特別番組について説明します。
Dick Clark's New Year's Rockin' Eve は ABC (フレンズと同じ局)の大晦日の番組。
まずはその司会者のディック・クラークについて、以下のウィキペディアで。

Wikipedia 日本語版: ディック・クラーク
Wikipedia 英語版: Dick Clark

まずは日本語版ウィキペディアを見てみると、興味深い以下の記述があります。

また、大晦日にABCで放送される年越し番組「Dick Clark's New Year's Rockin' Eve」の司会も勤めている(ただし1999年はミレニアム特番で放送なし、(以下略)

今回のフレンズのエピソードの放映日は、1999年12月16日。
ですから、ここで話題になっているディック・クラークの大晦日特番はもちろん 1999年の大晦日に放送予定のものなわけですが、1999年の Dick Clark's New Year's Rockin' Eve は、「ミレニアム特番」のために、実際には放映されなかった、ということになります。

英語版ウィキペディアを見てみると、その「ミレニアム特番」というのは、ABC 2000 Today という番組のようですね。
Wikipedia 英語版: ABC 2000 Today

1999年12月31日午前5時から、翌日2000年1月1日午前4時までの、実に23時間(正確には23時間10分らしい)にもわたる特別番組だったようです。
この時の司会者は、Peter Jennings が担当したようですが、ウィキペディアの Correspondents and guests には以下の記載があります。

Dick Clark did the countdown in Times Square, as always since his Dick Clark's New Year's Rockin' Eve shows first aired in 1972, and was credited as a correspondent. Dick Clark's New Year's Rockin Eve was not aired as a result of the broadcast. Jack Ford was stationed in Times Square throughout the broadcast and did the countdown in Times Square with Clark.

つまり、「ディック・クラークは(そのミレニアム特番「ABC 2000 Today」で)、自分の番組 "Dick Clark's New Year's Rockin' Eve" が1972年に初放映されて以来の例年と同様に、タイムズ・スクエアでカウントダウンを行った。彼は特派員としてクレジットされた。
Dick Clark's New Year's Rockin Eve は、放送の結果としては放映されなかった。ジャック・フォードは放送の間中ずっとタイムズ・スクエアにいて、(ディック・)クラークと一緒に、タイムズ・スクエアでのカウントダウンを行った。」

要は、ミレニアム特番のために、毎年恒例のディックの大晦日番組はなかった(番組としては放映されなかった)けれど、タイムズ・スクエアでのカウントダウンはいつものように彼が行った、ということのようですね。
彼のカウントダウンを聞かないと年を越せない、みたいな感覚がある、ということでしょう。

この番組にジャニーンが出演するんだ!と大喜びしているけれど、実際にはその年だけ、その番組が放映されなかった、というのは、なかなか面白いなぁと思います。
この番組は、シーズン1の大晦日エピソード、フレンズ1-10 でも言及されていました。

とにかく、フレンズで大晦日、年越しの話になると、必ず話題に出てくる有名番組なので(やっぱり、同じ局の番組ですから、当然と言えば当然ですが…笑)、今回、ちょっと詳しめに語ってみました。

タイムズスクエアのカウントダウンと言うと、ただいま公開中の映画「ニューイヤーズ・イブ」(New Year's Eve)が、まさにその「NYタイムズスクエアの年越しのカウントダウン」をテーマにした作品ですよね。
映画『ニューイヤーズ・イブ』 公式サイト

子供が冬休みに突入したため、映画を見るチャンスがないのですが、今朝とりあえず近くの映画館に行って、映画パンフレットだけはゲットしてきました(笑)。
パンフには、有名な「ボール・ドロップ」や、「年越しのキス」などの話も解説されています。
この映画の監督は「プリティ・ウーマン」も監督したゲイリー・マーシャル。
それはもう超豪華キャストが集結!という映画ですが、キャストを見ていて「お!」と思ったのが、「プリティ・ウーマン」でもいい味を出していた支配人役のヘクター・エリゾンドも出ている、ということ。彼はマーシャル作品には欠かせない俳優さんのようです。
パンフによると、この映画は、2010年12月31日(ということは1年前の大晦日!)にタイムズスクエアで撮影されたそうです。
フレンズでは、これまで何度も大晦日・年越しのエピソードがありましたが、その大晦日のカウントダウン自体はちらっとテレビに映る程度だったので、この映画を見ればその「本物」が見られるんだなぁ、と思うと、わくわくしちゃいますね。

次回の解説「その3」では、シーズン1のフレンズ1-10 のセリフなどもいくつか引用しながら、もう少しカウントダウンの話の続きをしたいと思っています。


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posted by Rach at 15:39| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月25日

クリスマスってそういうものでしょ フレンズ6-10その1

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シーズン6 第10話
The One With The Routine (夢のカウントダウン・パーティー)
原題は「ルーティーン(お決まりの演技[ダンス])の話」


Merry Christmas, you guys!
今日はクリスマスですね。
何ともタイムリーなことに、今回のエピソード、フレンズ6-10 は、クリスマスと大晦日(おおみそか)にまつわるお話になっています。


[Scene: Monica and Chandler's apartment, everyone except Ross is decorating the tree.]
モニカとチャンドラーのアパートメント。ロス以外のみんながツリーを飾り付けている。
チャンドラー: Let me ask you, why is everybody using these tiny lights nowadays? I remember when people used to use big lights. (俺に質問させて。どうして近頃はみんなこんな小さなライトを使ってるんだ? 大きなライトを使ってた頃を俺は覚えてるのに。)
レイチェル: That's a good story, Grandpa. (それって良い話ね、おじいちゃん。)
(Ross enters)
ロスが入ってくる。
ロス: Hey. (やあ。)
みんな: Hey. (はーい。)
ロス: Wow. Monica's letting other people help decorate her tree? Did someone get her drunk again, or...? (わあ。モニカが他の人に自分のツリーの飾り付けを手伝わせてるの? 誰かがまたモニカを酔わせたのかな、それとも…?)
モニカ: Having a perfectly decorated tree is not what Christmas is about. It's about being with the people that you love. (完璧に飾り付けされたツリーがあることがクリスマスじゃないでしょ。愛する人と一緒にいることがクリスマスなのよ。)
フィービー: That is nice. And we're done. Ta-da! (それって素敵ね。で、(飾り付けが)できたわよ。ジャジャーン!)
(Her side of the tree looks a complete mess)
ツリーのフィービーの側(フィービーが飾り付けた方)は、全くめちゃくちゃに見える。
チャンドラー: I dunno what it is, it just doesn't quite feel like Christmas to me. (それが何なのかよくわからないけど、ただ、俺にはクリスマスって感じがあんまりしないな。)
モニカ: Oh, here. (あぁ、じゃあこっちは。)
(She turns the tree around so that her side, which is perfectly decorated, is showing)
モニカはツリーを回転させる、すると、モニカの側、そちらは完璧に飾り付けされている、が見える。
チャンドラー: See, now it feels like Christmas. (ほらね、これでクリスマスって感じだ。)

モニカの部屋では、クリスマスツリーをみんなで飾り付けている最中。
チャンドラーがみんなに質問していますが、その内容は、「最近のツリーの電飾ライトはどうしてこんなに小さいんだ。昔はもっとでっかいライトを使ってたもんだったのに…」みたいなことですね。
それに対してレイチェルが、「素敵な話ね、おじいちゃん」みたいに言っています。

Why is everybody doing... nowadays? I remember when people used to do... 「どうして近頃はみんな…してるんだ? 人が…してたもんだった頃を俺は覚えてるぞ(昔はみんな…してたもんだったのに)」みたいな言い回しが、口を開けば「昔は、あの頃は良かった」ばかり言っているおじいさんのセリフのように聞こえたからですね。
「素敵な話ね」と一瞬賛同するかのように言っておいて、呼び掛け後に Grandpa を用いることで、「なに年寄りくさいこと言ってるのよ」みたいにからかっているということです。

部屋に入ってきたロスは、モニカ以外の人もツリーの飾り付けをしているのを見て驚いています。
ロスが言っているように、「モニカが他の人にツリーの飾り付けを手伝わせている」という事実にびっくりしているわけですね。
何もかも全部を一人で仕切るのが好きで、自分のやり方を他人に邪魔されるのを嫌うモニカだから、ツリーも自分一人で飾り付けしたいはずなのに、今年は一体どうしたんだ?みたいな気持ちですね。
誰かがモニカを酔わせて、正常な判断力を失わせたのか?みたいなことまで言っています。

兄のそういう発言に、モニカは「クリスマスとは、クリスマスの意味」について語ります。
Having a perfectly decorated tree is not what Christmas is about. の前半の部分は、「完ぺきに飾り付けされたツリーを持つこと」みたいな感じでしょうか。
そのニュアンスは、「きれいに飾られたツリーが(部屋に)あること」みたいな感じだと思います。
後半の is not what Christmas is about. というのは、ドラマや映画のセリフによく登場する、That's what this is all about. 「これはそういうことだったのね」と同じニュアンスですね。
all about は文字通り「…に関するすべて」という意味。
「ガイド」さんが様々な情報を詳しく説明してくれる All About (オールアバウト)という生活情報サイトもありますから、all about という言葉のニュアンスは何となくわかる方も多いかと思います。
過去記事、単語はわかるのに文の意味がわからない で、That's what this is all about. の文法的構造について解説していますので、そちらも併せてご覧いただけると幸いです。

今回のセリフ、Having a perfectly decorated tree is not what Christmas is about. の構造をシンプルにすると、A is not what Christmas is about. ということで、Christmas is about B. 「クリスマスは(クリスマスとは) B に関することである」という文章の B が what になって前に出た形になります。
「クリスマスとは B に関することである」の B というのは、「クリスマスとはなんぞや?」という疑問に対する答えの部分にあたります。クリスマスの本質を説明している部分と言えば良いでしょうか?
つまり、A is not what Christmas is about. は、「A はクリスマスの本質ではない、クリスマスって A みたいなことじゃない」と言っていることになります。

そうやって、not の否定文を使った後、It's about... 「クリスマスっていうのは、…に関することである」とその本質を説明するセリフが続いています。
自分が愛する人々と一緒にいること、それがクリスマスの本質でしょ? クリスマスの意味、意義でしょ?みたいな感覚ですね。
物質的に満たされることじゃなくて、精神的に満たされることがクリスマスの本質なのよ、というようなセリフになります。

飾り付けを手伝っていたフィービーは、できた! 完成!と言って、Ta-da! (発音は、タ・ダー!)と言っていますね。
日本語で言う「ジャジャーン!」のニュアンスで、何かを自慢げに誇らしげに人に披露する時の擬音語です。
そうやって、Ta-da! と見せたツリーですが、フィービーが飾り付けした方は、何だか雑然としており、あまり美しいとは言えません。
チャンドラーのセリフ、I dunno what it is, it just doesn't quite feel like... は、「何が原因でそう感じるのかわからないけど、とにかくただ…って感じがあんまりしないんだ」みたいなニュアンスでしょう。
それを聞いたモニカは、「じゃあ、これはどうかしら?」というように、自分の飾り付けた側が見えるようにツリーを回転させます。
さすがはモニカ、そちら側はきれいにデコレートしてあるので、それを見たチャンドラーは、「今これでクリスマスって感じがするな」と言っていますね。
「きれいなツリーを置くことがクリスマスなんじゃなくて、愛する人といることがクリスマスなのよ」と美しいことを言いながら、フィービーたちに飾り付けを手伝わせていたわけですが、結果がこうなることを見越して、わざと飾り付けの担当エリアを厳密に分けていたのでは?と思わせる、モニカの予想通りの結果となったわけですね。

ちなみに、今回のエピソードのもう少し後の記事での説明に使うつもりにしている「クリスマスにまつわるある作品」をDVDで見ました。
その作品中のセリフが上で説明したセリフとよく似ていたので、先に少しここで紹介しておきます(今日はクリスマス、ということでタイムリーでもありますし)。

その作品とは、「スヌーピーのメリークリスマス」(原題:A Charlie Brown Christmas)。
1965年の作品です。
Wikipedia 英語版: A Charlie Brown Christmas

Amazon ではこちら(↓)
スヌーピーのメリークリスマス 特別版 [DVD]
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この作品は、アマゾンの「商品の説明、内容紹介」にあるように、
それでもチャーリー・ブラウンは、仲間たちの力を借りて、クリスマスの本当の意味を見つけ出していくのでした。
というお話。
そういう「クリスマスの本当の意味」というセリフが何度も作品中に登場するのですが、そのセリフは以下のような感じになっていました。

チャーリー・ブラウン: I guess I really don't know what Christmas is all about. Isn't there anyone who knows what Christmas is all about? (クリスマスって何なのか、本当にわからなくなったよ。クリスマスって何なのか(どういうことなのか)知ってる人は誰かいる?)
ライナス: Sure, Charlie Brown. I can tell you what Christmas is all about. (もちろんさ、チャーリー・ブラウン。クリスマスが何なのかを僕が君に教えてあげられるよ。)
ライナスがひとしきり、あることを語った後で、
ライナス: That's what Christmas is all about, Charlie Brown. (今のがクリスマスが何かってことなんだよ(クリスマスの意味なんだよ)、チャーリー・ブラウン。)

作品説明にあるように、「クリスマスの本当の意味」がこの作品のテーマなわけですが、その英語表現は、上のセリフで繰り返し使われている、what Christmas is all about なのですね。
もちろん、「クリスマスの本当の意味」を、文字通り、The True Meaning of Christmas と表現することは可能ですし、実際、同じDVDに収録されている「スヌーピーとチャーリー・ブラウンのクリスマス・ストーリー」(原題:It's Christmastime Again, Charlie Brown)(1992年)では、まさにその The True Meaning of Christmas というフレーズも登場するのですが、上のセリフのように、all about を使っても同じような意味を表現できるということです。

今回のフレンズのセリフでも、モニカが、"... is not what Christmas is about." と言っていましたし、また終わり近くのシーンでも、別の人が、"This is not what Christmas is about." というセリフを言います。
all のありなしは多少違いますが、どちらも、what Christmas is (all) about という言い回しが繰り返し使われているのが興味深いなと思います。
「それがクリスマスだ、クリスマスの意味だ、クリスマスってそういうものだ」というニュアンスで、what Christmas is (all) about というフレーズを自然に使えるようになると、what something is all about というバリエーションでさまざまなことが表現できるようにもなると思います。
難しい単語を覚えることよりもむしろ、こういう what something is all about みたいな言い回しを自然に使えることの方が、言葉は豊かになる気がしますね。
いかつい言葉でガチガチの言葉を組み上げるのではなく、優しい単語を紡いで、滑(なめ)らかで柔(やわ)らかな表現を生み出すことの方が、気持ちを伝える言葉としては美しく、素敵だなと思えます。

...So, now you know what Christmas is all about, you guys?
Yes, like Monica says above, being with the people that you love, that's what Christmas is all about.
And I guess it's also about feeling the bonding, I mean '絆', especially this year.
I hope you deepen the bonds with the people you love at Christmas. ;-)


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posted by Rach at 06:41| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月21日

主語複数形+目的語単数形の配分単数

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非公開コメントにて、文法に関するご質問を頂戴しました。
最初はどこかのコメント欄にてお返事しようと、自分なりの見解をまとめていたのですが、また(いつものように…笑)説明が長くなってしまったことと、文法的に興味深い話題だと思ったので、今日はそれを一つの記事として、投稿させていただきます。

なお、以下に書く内容は、正直、私も「確信」はありませんので、あくまで一つの意見としてお聞きいただけると幸いです。

まず、ご質問について。

1. They have a house.
2. They have their own house.
3. They have their houses.

they とは 友達3人で、別々に暮らしていて それぞれ家を一つ持っている。
という意味だと、1と2が正解ということでしょうか?
主語が複数形だと、そのあとに続く名詞を 単数にするべきか、複数形にするべきか いつも悩んでいます。


…というご質問でした。

以下に、私の見解を述べさせていただきます。

「別々に暮らしている3人の友達が、それぞれ家を一つ持っている」ということだと、
2. They have their own house.
が一番適切かなと思います。

1. They have a house.
でも、そのような意味に取れるとは思うのですが、複数の人間が1つの家を持っている、複数の人間で1つの家を共有している、つまり、They share a house. のように聞こえる可能性もあると思うのですね。
They have a house. という文の場合だと、前後の文脈がなければ、複数の意味に取れてしまう可能性があるということです。

主語が複数形の場合、目的語を単数形にするのか、複数形にするのか、でお悩みとのことですが、そのお悩みは大変よくわかります。
主語の複数の人を図に書いて、それぞれが家を持っていると絵にすると、家も複数個、書くことになるわけですから、そのイメージからすると、目的語も複数形の houses になるのでは?と思われるのも無理のない話だと思います。

このような「主語が複数形」の場合については、私が持っている文法書の
数研出版 「基礎と完成 新英文法」 (安藤貞雄 著)
基礎と完成 新英文法
に説明が載っていました。
この本でわかりやすくまとめて下さっているので、以下に引用させていただきます。
(ちなみにこの本は、典型的な「受験英語参考書」なのですが、私は学生時代からこの参考書が好きで、32歳で英語のやり直し学習を始めた時に、また新たに買い直した、という本です。)

p.496
第32章 呼応
400. 主語と目的語との呼応

次のような場合は、各人がそれぞれ1つずつ所有しているものなので、普通、単数を用いる (”配分単数”)
We have a nose. 「我々には鼻がある。」
The girls were nodding their head [heads]. 「少女たちは、うなずいていた。」 [単数の方が普通]


(引用終わり)

上の説明にあるように「配分単数」という言葉で説明される文法概念があるようです。

研究社 新英和中辞典の distributive の項目にも、

distributive 【形】【A】 〔文法〕 配分的な
the distributive singular 配分単数 《複数の観念を個別的に配分してさす単数形; たとえば We have a nose. における a nose》


のように「配分単数」という言葉が出てきます。
ここでの例文も、We have a nose. になっていて、これが「配分単数」を説明するのに最も適切な例だと言うことなのでしょうね。

ちなみに、形容詞の下の「名詞」の語義では、
【名】【C】 〔文法〕 配分詞、個別的[配分]代名詞[形容詞] 《each, every など》
と説明されています。
「配分」のニュアンスは、each や every のような感覚、だと理解するとわかりやすいですね。

そういう「配分単数」の場合は、「各人がそれぞれ1つずつ所有しているものなので」という部分がポイントになってくるかと思います。
上の例で言うと、「1人の人には、鼻は1つ、頭は1つ」という基本認識があるので、主語が複数形であったとしても、主語の複数の「それぞれの人には」鼻が1つある、「それぞれの人が」自分の1つの頭を縦に振る、というイメージが得られる、ということなのでしょう。
こういう文章の場合は、They = Each of them だと理解される、ということですね。

そのように、鼻や頭のように「各人に1つ」であることが前提となっているもの以外では、このような「配分単数」の原理は働かないようにも思います。
例えば、ご質問の a house であれば、一人の人が複数の家を持つことも可能だし、複数の人で一軒の家を持つことも可能なので、「各人がそれぞれ1つずつ所有しているもの」という前提が成り立たない、という気がするのです。
ですから、They have a house. だと、必ずしも「一人につき一軒」という前提がないために、They share a house. という意味に理解される恐れもあるだろう、と思うのです。

意味を明確にするためには、2. They have their own house. のように、目的語に own をつける、あるいは、主語を They ではなく、「彼らのそれぞれ」であることをはっきりさせるために、Each of them と表現すると、別の意味に取られる心配がなくなるように思います。

3. They have their houses. という文章も、意味がいろいろ取れそうな気がしますが、この形だと、「複数の人間が、それぞれ複数の家を持っている」と理解される可能性が高い気がします。

ということで、長くなりましたが、私の結論としては、「別々に暮らしている友達3人が、それぞれ家を1つ持っている」という英文だと、
They have their own house.
または、
Each of them has a house.
にするのが適切かな、と思います。
They have a house. だと、そういう意味にも取れるけれど、They share a house. だと思われる可能性もある、というのが私の意見です。

私は、ドラマや映画のDVDを見る時に、セリフをPC上にメモして、それをデータベースとして英語学習に使っているのですが、自分でざっと調べた限り、今回のご質問の答えとして使えるような、理想的な例を発見することができませんでした。
また、English Grammar in Use (Cambridge) のような英語で書かれた文法書も調べてみたのですが、the distributive singular (配分単数)の項目を(私が見た限りは)見つけることができませんでした。
ですから、説明の根拠となる情報が少ないので、最初に述べたように、正直あまり確信はありません。

また、皆様からのご意見もお待ちしております。


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posted by Rach at 16:22| Comment(10) | 英文法 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月19日

してはいけなかったのにしてしまった フレンズ6-9その6

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モニカの両親はチャンドラーを毛嫌いしているのですが、それは、ロスが大学生の頃、自室でマリファナを吸っていたことが親にばれそうになった時、吸っていたのは自分ではなくチャンドラーだ、と嘘をついたことがきっかけだったことがロスの口から明らかになります。
自分でその事実を両親に告げようとしない兄ロスに怒ったモニカは、そのことを両親にばらします。
怒りのモニカはその他にも秘密の暴露を始め…
モニカ: And Dad, y'know that mailman that you got fired? He didn't steal your Playboys! Ross did! (それにね、パパ、パパが解雇したあの(郵便)配達人を覚えてるでしょ。彼はプレイボーイを盗んでないわ! ロスが盗んだのよ!)
[The Gellers stare at Ross. Ross looks at his parents with an afraid, shocked look.]
ゲラー夫妻(ロスの両親)はロスをじっと見つめる。ロスは恐れとショックの表情で両親を見る。
ロス: Yeah, well, Hurricane Gloria didn't break the porch swing. Monica did! (そうさ、それに、ハリケーン・グロリアがポーチのブランコを壊したんじゃないよ。モニカが壊したんだ!)
[The Gellers glare at Monica.]
ゲラー夫妻はモニカをにらむ。
[Joey, Phoebe, and Rachel are sitting at the table, looking at the Geller siblings like they're weirdos.]
ジョーイ、フィービー、レイチェルはテーブルの前に座っていて、ゲラー兄妹がまるで変人であるかのように見ている。
モニカ: Ross hasn't worked at the museum for a year! (ロスは1年間、あの博物館で働いてないのよ!)
[The Gellers glare at Ross.]
ゲラー夫妻はロスをにらみつける。
ロス: Monica and Chandler are living together! (モニカとチャンドラーは一緒に住んでる!)
[The Gellers glare at Monica, shocked]
ゲラー夫妻はショックを受けた表情でモニカをにらむ。
[Monica and Chandler both are shocked. Ross gives Monica a "take that!" look.]
モニカとチャンドラーは二人ともショックを受けている。ロスはモニカに「これでどうだ!」という顔をする。
モニカ: Ross married Rachel in Vegas! And got divorced! Again!!!! (ロスはベガスでレイチェルと結婚したのよ! そして離婚したの。またもやね!)
[The Gellers glare at Ross.]
ゲラー夫妻はロスをにらむ。
フィービー: (joining in) I love Jacques Cousteau! ([話に加わって] 私はジャック・クストーが大好き!)
レイチェル: (reading the recipe magazine, finally figuring out that...) I wasn't supposed to put beef in the trifle! ([レシピ雑誌を読んでいて、とうとう気づいて…] 私はトライフルに牛肉を入れちゃいけなかったのに(入れちゃった)!)
ジョーイ: (pounding the table) I wanna gooooooo! ([机をドンドン叩きながら] 俺は出かけたいんだー!)
ミセス・ゲラー(ゲラーママ): (rubbing her temples) That's a lot of information to get in 30 seconds. ([こめかみをこすりながら] 今のは、30秒で得るには多すぎる情報だわ。)

学生時代のマリファナの話以外にも、両親が知らなかったロスの悪事をモニカはここぞとばかりにバラしています。
プレイボーイ誌の話をしていますが、パパがプレイボーイ誌を盗んだとして解雇したメイルマンがいたようですが、実は盗んだのは彼じゃなくてロスだったのよ!とモニカは言っています。
いろいろなことを両親に告げ口されて、ロスも負けじとモニカの秘密をバラしています。
swing は動詞で「揺れる」ですが、名詞では「ブランコ」の意味があります。(ちなみに、slide (スライド)は「すべり台」)
玄関ポーチにぶら下がっているブランコを porch swing というようです。
A didn't do.... B did! 「A は…してない。B が…した! (…したのは A じゃなくて B だ!」というモニカと同じ言い回しを使って、ロスも対抗しているのが面白いですね。

Hurricane Gloria は台風についている名前で、アメリカではこのように台風には女性の名前がつくんでしたね。
甚大な被害をもたらした2005年のハリケーン・カトリーナ(Hurricane Katrina)はニュースで何度も登場しましたので、その名前をご記憶の方も多いでしょう。
ブランコが壊れたのを台風のせいにしてたけど、あれは、子供の頃非常に太っていたモニカが乗って壊したものだったんだ、という告白ですね。

モニカは「継続を表す現在完了形」を使って、「ロスはもう1年間、あの博物館で働いていない」みたいなことを言っています。
イギリス人エミリーとの結婚が破局して情緒不安定だったロスは、自分のランチのサンドイッチを食べた上司を怒鳴りつけてしまい、休職を命じられていたんでしたね。
フレンズ5-10その1 でロス自身は以下のように語っていました。
ロス: Hey, I am not unemployed. I'm on sabbatical. (おい、僕は失業してるんじゃない。僕は有給休暇[研究休暇]中なんだ。)
このように主張していたことからも、少なくとも解雇されたわけではないようですね。
ですからモニカも He got fired 「クビになった」みたいには言わず、「1年ほど勤務してない」みたいに表現しているわけでしょう。

ロスはそれに対する仕返しとして、モニカとチャンドラーが一緒に住んでいること、二人が同棲していることを両親に告げます。
ト書きの、Ross gives Monica a "take that!" look. がなかなか面白いですね。
Take that! というのは直訳すると、「それを取れ!今のを受け取れ!」みたいな感じでしょう。
わかりやすい日本語で言うと、「これでもくらえ! これでどうだ!」みたいなニュアンスになります。
モニカが両親に隠していたチャンドラーと同棲しているという秘密を、僕が暴露してやったぞ、ざまあ見ろ、みたいな気持ちですね。

恋愛がらみの話を暴露されたので、モニカもロスの異性関係の秘密をバラします。
ロスがベガスでレイチェルと結婚したこと、さらには離婚したことまで告白していますね。最後の Again! を憎々しげに付け加えていますが、ロスはキャロル、エミリーに続いて、これが3度目の離婚になるために、「また離婚したのよ、3度目の離婚をしたの!」と、「また離婚した」ことを必要以上に強調しているわけですね。
そのことで両親がショックを受けるのをわかって、わざとその部分を強調しているわけです。

ロスとモニカの兄妹喧嘩を、クレイジーなものでも見るような顔で傍観していたフレンズたちですが、二人が叫んで盛り上がってきたのを見て、自分たちも参加したくなったようです(笑)。
まずフィービーが、ゲラー兄妹と同じように叫んで、「ジャック・クストーを愛してる!」と言っていますね。
ブログの解説ではその顛末を割愛してしまいましたが、最初は、ジャック・ゲラー(ゲラーパパ)の夢を見て以来、ジャックに夢中だったフィービーが、また別の夢の中で今度はジャック・クストーに救われて彼に惚れてしまう、という話が今回のプロットの1つになっています。
何ゆえ唐突にジャック・クストー?というところですが、多分、ただの「ジャック繋がり」だけだったのでしょうね(笑)。

ジャック・クストーというのはフランスの海洋学者。
詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版: ジャック=イヴ・クストー
Wikipedia 英語版: Jacques Cousteau
上の英語版ウィキペディアでは、In popular culture の項目に、今回のフレンズのエピソードで彼の名前が言及されたことが書いてあります。

自分が参考にしたレシピ本を読んでいたレイチェルは、自分が2つの料理のレシピを混ぜてトライフルを作ってしまったことについに気づきます。
be supposed to は「…することになっている、…するはずである」なので、その過去形を否定文にした I wasn't supposed to... は「…しないはずだった(のに…してしまった)、…してはいけなかった(のに…してしまった)」というニュアンスになります。

ジョーイは興奮気味にテーブルをドンドン叩いて、I wanna go! と叫んでいますね。
ルームメイトのジャニーンが誘ってくれたダンサーたちの感謝祭パーティーに行きたいのに、レイチェルのデザート失敗に続いて、ゲラー兄妹の兄弟喧嘩に巻き込まれてしまい、なかなかこの部屋を出られないことを嘆いているセリフです。

みんなが思い思いに自分の気持ちを述べた後(笑)、ゲラーママは、頭がクラクラする、とでも言うように、こめかみをこすっています。(ジョーイが信じがたいほどおバカなことを言った後に、チャンドラーがよくこのしぐさをしますね。)
テンプルと言うと、「寺」の temple を思い出す方が多いでしょうが、額の両端にある「こめかみ」も temple という綴りになります。

That's a lot of information to get in 30 seconds. を直訳すると、「今の(話)は、30秒でゲットする多くの情報である」という感覚でしょうか。
ニュアンスとしては、That's too much information to get in 30 seconds. 「今のは、30秒で得るには多すぎる情報である」のような too... to 〜 構文に近い感覚だと思います。


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posted by Rach at 17:11| Comment(8) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月16日

少しでも慰めになるとしたら フレンズ6-9その5

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フレンズたちは、レイチェルが間違って牛肉を入れてしまったデザートを食べています。
「マズい」ということは言わないようにしているものの、別の場所で食べると言って次々と席を立つみんなを見て、レイチェルは自分の作ったデザートに問題があると気づき始めたようで…
レイチェル: Okay, now what was that all about? Is it, does it not taste good? Let me try it. (いいわ、今のは一体何なの? そのデザートがおいしくないの? ちょっと私にも試させて。)
[Rachel reaches for Ross's plate]
レイチェルは、ロスの皿に手を伸ばす。
ロス: Wha? No no! Ah! (Ross scarfs all of his trifle down in about a second. He looks like he's going to throw up.) (Lying) All gone! So good! Maybe Chandler has some left. (何? だめだめ! あー! [ロスは約1秒で、自分のトライフルをがつがつ食べてしまう。ロスは吐きそうになっている] [嘘をついて] 全部なくなったよ! すごくおいしい! 多分、チャンドラーがまだいくらか残してるんじゃないかな。)
[Rachel leaves to the balcony.]
レイチェルは(チャンドラーがいる)バルコニーに向かう。
ロス: It tastes like feet! (足みたいな味がする!)
ジョーイ: I like it! (俺は好きだよ!)
ロス: Are you kidding? (冗談だろ?)
ジョーイ: What's not to like? Custard? Good. Jam? Good. Meat? Gooooood. (好きじゃないものって何? カスタードは? グッド。ジャムは? グッド。肉は? グーッド!)
[Rachel and Chandler re-emerge from the balcony.]
レイチェルとチャンドラーがバルコニーから再び現れる。
レイチェル: ...So a bird just grabbed it, and then... and then tried to fly away with it and, and then just dropped it on the street? (それで、一羽の鳥がそれをつかんで、それから… それから、それを持って飛び去ろうとして、そして通りにそれを落としちゃったの?)
[Chandler makes a fake "I know I couldn't believe it either" gesture.]
チャンドラーは、「俺もそんなこと信じられなかったけど」というニセのジェスチャーをする。
チャンドラー: (lying) Yes, but if it's any consolation, before the bird dropped it, he seemed to enjoy it. ([嘘をついて] そうだよ、でも、もし少しでも慰めになるとしたら、鳥がそれを落とす前、その鳥はトライフルを楽しんでるように見えたよ。)

レイチェルが作ったデザート(トライフル)の皿を持って、みんなが次々と席を立つのを見て、レイチェルは、「私にも試食させて、私にも試しに食べさせて」と言って、ロスの皿のトライフルを味見しようとします。
ト書きの scarf はいわゆる「スカーフ、襟巻き」と同じ綴りですが、ここでの動詞の scarf は「…をガツガツ食べる」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
scarf also scarf down/up [verb, transitive] (informal) : to eat something very quickly
つまり、「何かを非常に素早く食べること」。

チャンドラーのところにはまだ残りがあるかも、と言われたので、レイチェルはチャンドラーのいるバルコニーへと向かいます。
レイチェルが去った後、ロスは「足みたいな味だ」と何ともひどい形容をしていますが(笑)、平然とした顔でむしゃむしゃトライフルを食べていたジョーイは、I like it! と言っています。

驚くロスに、「好きじゃないものって何?」と言いながら、トライフルの中身を一つずつ、これはどう?あれはどう?と挙げていき、全部に、Good? と返事しているのがなんともジョーイらしくて面白いですね。
デザートと牛肉料理が混ざったために、何とも妙な味になってしまっているのに、個々の素材が俺の好きなものばっかりなんだから、俺が気に入らないはずはないだろ、みたいな理由なわけです。

その後、レイチェルとチャンドラーがバルコニーから部屋の中に入ってきます。
レイチェルは、チャンドラーと話しながら入ってきたのですが、そのレイチェルのセリフを聞いていると、チャンドラーが「鳥がトライフルを奪っていったんだ」みたいな話をしたことがわかります。
So a bird just grabbed it と言った直後に、観客の笑い声(ラフトラック)が入っていますね。
チャンドラーが自分がトライフルを食べなかった理由の言い訳に鳥の作り話をした、ということが観客にもその時点でわかったので、そこでみんな笑っているということです。
英語のセリフで聞いていて、同じ位置で笑えたら「いい感じ」かなと思います。

「鳥がつかんで…」と言うので、そのまま鳥がつかんで持ち去った、のかと思いきや、その後、まだ話の続きがあって、「つかんで、そのまま飛び去ろうとしたら、鳥はトライフルを通りに落としてしまった」という結末になっています。
つまり、チャンドラーは、それ以上食べたくなかったトライフルの残りを、バルコニーから下の通りに投げ落としたようですが、それをレイチェルに見つかったため、「鳥が持ち去ろうとして、誤って下に落とした」ということにしたのがわかります。
とっさの言い訳にしては、なかなか話がよくできていますね(笑)。

それを、チャンドラー自身の口から語らせずに、「じゃあ、これこれこういうことなわけね?」とレイチェルがその状況を繰り返すのをセリフとして聞かせるのが、笑いとしてはさらに効果的な気がします。

チャンドラーらしい作り話も楽しいですが、その後の妙なフォローもチャンドラーらしくて面白いですね。
consolation は「慰め」「慰めとなるもの」なので、if it's any consolation (to...) は、「(…にとって)少しでも慰め・気休めになるなら」。

LAAD では、
consolation [noun] : someone or something that makes you feel better when you are sad or disappointed
例) If it's any consolation, you played better than you did last time.

つまり、「人が悲しんでいる、または失望している時に、その人の気分がより良くなるようにする人または物」。
例文は、「少しでも気休めになるのなら、君は前回よりも、うまくプレーしていたよ」。

つまり、チャンドラーのセリフは、「せっかくのデザートなのに、鳥が奪って通りに落としちゃったのは何とも残念だけど、落とす前に鳥はそれをおいしそうに食べてたよ。それを聞いて君の気が少しでも休まるといいんだけどね」みたいなことですね。


(Rach からのお知らせ)
前回の記事、フレンズ6-9その4 に追記しました。
"Can't blame a guy for trying." というセリフの解釈についての追加説明になりますので、興味のある方は併せてご覧下さい。


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posted by Rach at 16:49| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月13日

アローン・アローン フレンズ6-9その4

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今年の感謝祭のデザートはレイチェルが作ることになったのですが、レシピ本のページがくっついていたために、別のビーフ料理が混ざったデザートを作ってしまいます。
それを知ったロスとジョーイは、レイチェルが笑い者にならないよう、おいしそうなふりをして食べてくれと他のみんなに頼むことにします。
ジョーイがみんなに頼んでいるのをレイチェルに聞かれないように、ロスはレイチェルを廊下に連れ出します。
レイチェル: What's up, Ross? (どうしたの、ロス?)
ロス: So um... Thanksgiving. The holiday season is upon us, hm? (それであの…感謝祭だね。ホリデー・シーズンがやってきたね。)
レイチェル: Yeah! (そうね!)
ロス: And um... You look nice today. (それでその…今日、君は素敵だよ。)
レイチェル: Oh, no. No, Ross, don't do this. (あぁ、だめよ、ロス。こんなことしないで。)
ロス: What? (何?)
レイチェル: I just, I don't think us getting back together is a good idea. (私はただ、私たちがよりを戻すのはいい考えじゃないと思うの。)
ロス: (shocked) Eh? ([ショックを受けて] え?)
レイチェル: I thought this might happen today. Ross, I know the holidays can be rough... y'know? And it's probably really hard for you to be alone right now. (こういうことが今日起こるかもしれないって思ってたのよ、ロス。ホリデーがつらいってわかるもの、でしょ? そして、多分、あなたにとっては、ちょうど今ひとりでいることが本当につらいんでしょうね。)
ロス: (cutting her off) You're alone. ([レイチェルの話を遮(さえぎ)って] 君もひとりだろ。)
レイチェル: No, I, I live with Phoebe. I mean, you're [pity-tone] alone-alone. And I just, it's just not the time for us. I'm sorry. (いいえ、私はフィービーと住んでるもの。ほら、あなたは [憐(あわ)れみの口調で] ほんとにひとりぼっちだもの。私たちにとってその時じゃないと思うの。ごめんなさい。)
ロス: (just trying to get out of the conversation) Oh, well. Can't blame a guy for trying. ([その会話から抜け出そうとして] まぁ、いいや。人が何かにトライするのを非難はできないだろ[トライしてみるのも悪いことじゃないだろ]。)

廊下でレイチェルをしばらく引き留めておかないといけないロスは、話題が見つからないので、「ホリデーシーズンがやってきたね」とか「今日の君はきれいだね」とか、適当なことを言っています。
何を話していいかわからない、みたいな様子のロスを見て、レイチェルは誤解してしまったようです。
「こんなことしないで」と言われたロスは何のことかわからず、What? と聞き返すのですが、その後のセリフで、レイチェルがロスの様子をどう誤解したのかがわかりますね。

I don't think us getting back together is a good idea. の us getting back together は、us が getting という動名詞の主語に当たります。
フレンズでこれまで何度も出てきたように、動名詞の主語は、セリフのような口語では、所有格(our)ではなく、目的格(us)が使われることが多いですよね。
I don't think A is a good idea. は、「私は…とは思わない」という否定語句 not が先に来る形になっています。
英語ではこのように、not のような否定語句はできるだけ早めに示しておく、という傾向があります。
このレイチェルの発言から、ロスが復縁を迫っている(笑)とレイチェルが誤解したことがわかりますね。

I thought this might happen today. は、「私は今日、このことが起こるかもしれないと思っていた」。
rough は「つらい、苦しい」で、the holidays can be rough は「ホリデーはつらいものにもなり得る」という感覚でしょう。
つまり、どうして「今日」こういうことが起こりそうと思っていたかと言うと、今日の感謝祭のような特別な日には、普段よりもより人恋しくなって、元の恋人とよりを戻したいと思ったりするかもしれないと思ってた、みたいなことですね。
さらに追い打ちをかけるように、really hard for you 「あなたにとっては本当につらい」こととして、to be alone 「ひとりでいること、ひとりぼっちでいること」と言っています。

ト書きの cut off は「人の話・発言を遮る(さえぎる)」。
「ひとりぼっちのあなたには、ホリデーシーズンはさぞ堪える(こたえる)でしょうねぇ」みたいに言われたので、「僕のことを alone だと言うレイチェルだって、彼氏がいないから alone じゃないか!」とロスは指摘します。

レイチェルはそれを軽く否定して、「私はフィービーと一緒に住んでるもの」と返しています。
つまり、今は彼氏はいないけれど、一緒に住んでる同居人はいる、ということですね。
そう言った後、同情するかのような憐れみの感じられるトーンで、「あなたは alone-alone だもの」と言っています。
alone-alone のニュアンスは、全く・完全に・本当に alone みたいな感覚ですね。
私の場合は alone と言っても、「同居人がいる」 alone だけど、ロスの場合は、
正真正銘の alone、「一人で住んでるし、彼女もいない」 alone だと言いたいわけです。
「まさに alone と表現できる alone」みたいなニュアンスでしょう。
逆に、同居人がいるレイチェルの場合は、I'm not alone-alone. 「alone って断言できるほど、alone でもない、”ひとりぼっち”って言うほどひとりぼっちでもない」みたいな感じになると自分では言いたいのでしょうね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、alone の語義が以下のように説明されています。
alone :
1. NO OTHER PEOPLE without any other people
2. NO FRIENDS without any friends or people who you know, and feeling nervous or unhappy

つまり、1. は「他の人が誰もいない状態で」、2. は「友達、または知り合いが誰もいない状態で、神経質で不幸せな気持ちであること」。

1. は物理的に人が近くにいない、という感覚で、2. は精神的に人がそばにいない、という感覚になるでしょうか。
レイチェル的には、自分には同居人がいるから、たとえ今、ステディな恋人がいないとしても、上の 1. の語義には自分は該当しない、と言いたいわけですね。
お互いに今は恋人がいないけど、私は同居人がいるから、あなたほど寂しくない、人恋しくないのよ、みたいに、少し勝ち誇ったような優越感を味わっているようなセリフになるでしょう。

元カノにそんなことを言われ、ムッとしたらしいロスは、とりあえず時間稼ぎはできた、とばかりに、あっさりと話を終えます。
Can't blame a guy for trying. を直訳すると、「ある人間がトライするのを責める・非難することはできない」。
例え、ダメ元であったとしても、人が何かにトライしようとすることは悪いことではない、みたいな意味になるでしょう。
ロスはただ時間稼ぎをしたかっただけなのに、よりを戻したがっているとレイチェルに誤解されてしまったわけですが、あえてその誤解を解くことはせずに、それが会話の目的だったことにして、「まぁ、よりを戻せるかどうかトライしてみるのも悪いことじゃないだろ、結果はダメだったけどトライしたこと自体は悪いことじゃないもんね」と言ってみせて、無難に会話を終わらせようとしている、ということになるでしょう。
勝手に「よりを戻したがっている」と誤解され、さらには「私はまだいいけれど、恋人もいない、同居人もいないあなたにとっては、この季節は寂しいでしょうねぇ」みたいに同情され、踏んだり蹴ったりのロスがなんだかかわいそうですね。

(2011.12.16 追記)
上で説明した、Can't blame a guy for trying. というセリフの解釈について、Twitter 上でご意見を頂戴しました。
このセリフは少々ダブルミーニングになっていて、trying 以下は、"trying to keep her there" 「レイチェルをそこにとどまらせるようトライする」ことも同時に示唆しているのではないか、というご意見だったのですが、私もそれが正しいように今は思います。

このセリフそのものは、レイチェルに対して言っているセリフなので、レイチェルに対しては、上に書いたような「よりを戻せるかどうかトライしてみるのも悪いことじゃないだろ」という意味に聞こえることを想定して、ロスは言っているのだと思いますが、ロスの本心としては、「それほど長時間レイチェルを廊下でキープできたわけでもないけれど、彼女を部屋から連れ出して廊下で時間稼ぎするという任務をとりあえずは頑張ってみた、トライしてみた、だからジョーイも僕を非難したりはしないよね」という意味で、このセリフを言った気がします。
レイチェルに一方的に失礼なことを言われたので、それ以上、間(ま)が持たなくなって、会話を切り上げて中に入ろうとしたわけですが、その前に自分に対する言い訳みたいな感じで、「結果は上々とは言えないながらも、自分の仕事はとりあえず済んだことを自分に対して言い聞かせている」ようなニュアンスが感じられるように思います。
あえて trying でセリフを終えているために、レイチェルは自分が想像している意味で受け取るし、ロスは自分の意図をレイチェルに気づかれることなくそう言える、というダブルミーニングになりうるわけでしょうね。
(追記はここまで)


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posted by Rach at 15:10| Comment(2) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月09日

着替え中に入ってくる人 フレンズ6-9その3

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[Phoebe walks from the living room to the kitchen and talks quietly to Rachel.]
フィービーはリビングからキッチンに歩いてきて、レイチェルに静かに語りかける。
フィービー: Rach, Rach, I just remembered. I had a dream about Mr. Geller last night. (レイチェル、レイチェル、ちょっと思い出したの。昨日の晩、ゲラー氏(ゲラーパパ)の夢を見たのよ。)
レイチェル: Really? (ほんとに?)
フィービー: Yeah, I dreamt that he saved me from a burning building and he was so brave and so strong! And it's making me look at him totally differently. Y'know, I mean, he used to be just, y'know "Jack Geller, Monica and Ross' dad. "And now he's, he's "Jack Geller, dream hunk." (ええ、彼が私を燃えるビルから助け出すって夢を見たの。彼はとっても勇敢でとっても強かったのよ! そのことで、彼を全く違った目で見るようになってるの。ほら、つまり、以前はただ、ほら、「ジャック・ゲラー、モニカとロスのパパ」だったけど、今や彼は、「ジャック・ゲラー、夢のたくましくていい男」。)
[We see a shot of Jack stuffing his face with food. Some dream hunk!]
視聴者は顔を食べ物でいっぱいにした[顔に食べ物を詰め込んだ]ジャックのショットを見る。全く、大した「夢のたくましくていい男」だ!
レイチェル: I dunno. Y'know, to me, he'll always be "Jack Geller, walks in while you're changing." (どうかしらねぇ。ほら、私にとっては、ゲラーパパはいつも、「ジャック・ゲラー、着替え中に入ってくる人」だけど。)

感謝祭のデザートを作っているレイチェルのところにフィービーがやってきて、「昨夜、ゲラーパパ(ロスとモニカのパパ)の夢を見たの」と話しかけます。
驚くレイチェルに、フィービーはその夢の内容を語ります。
「燃えさかるビルから私を助け出してくれたの。彼はとっても勇敢で強かったのよ!」と、ゲラーパパがヒーローになったかようなお話ですね。

It's making me look at him totally differently. の make は使役動詞。
夢の中のそういう彼の行為、もしくはそういう夢を見たことが、「私を look at him totally differently にさせている」という感覚になります。
「全く違うように彼を見る」ようにさせた、ということはつまり、彼を見る目が全く変わってしまった、それまでとは全く違う感じで彼を見るようになった、ということですね。

used to 「以前は…だった」、now 「今は…」という表現を使って、夢を見る前と後とで、どのように見る目が違ったかということをフィービーは説明します。
以前の状態は、「ジャック・ゲラー、モニカとロスのパパ」という、なんとも「そのまんま」な説明なわけですが(笑)、夢で助けられた後の彼は「ジャック・ゲラー、dream hunk 」だと言っています。

hunk は「りっぱな体格の男、たくましい男」、さらには「セクシーでいかす男、いい男」という意味もあります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hunk : (informal) a sexually attractive man with a big strong body
つまり、「(インフォーマル) 大きくて強い体の、性的に魅力的な男」。

ロングマンの語義にもあるように、「性的に魅力的」、つまり、「異性として魅力的に感じられる」という感覚なのですね。
dream は「夢の中に出てきた」というよりも、「夢の(男)」という感じ、つまり、「夢のように素晴らしい、理想的な」という感覚になるでしょう。

ゲラーパパを dream hunk だと表現したフィービーですが、そのパパに視線をやると、パパは食べ物を口いっぱいにほおばって、口の端にクリームみたいなものまでつけて、食べ物にがっついている、という感じ。
フィービーが、dream hunk だと言ったのとは対照的な、その現実の姿とのギャップに、観客も笑っているのですね。

ト書きには、Some dream hunk! と書いてありますが、これは「全く、大した・とんだ”夢の男”ってやつだな!」みたいな皮肉なニュアンスが入っています。
元々、some には、「たいした、なかなかの」「素敵な、素晴らしい」という意味があるのですが、それをわざと皮肉っぽく使って、「全く、大した…だよ」と表現する技法があるのですね。
本音としては、「全然…ではない」と言いたいところをあえて皮肉っぽく大袈裟に褒めている感じです。

LAAD では、
some [determiner] :
4. (spoken, informal) very good, bad, impressive, or extreme
例) That was some party last night!

つまり、「(限定詞。口語、インフォーマル) とても良い、とても悪い、印象的、または極端な」。
例文は、「昨夜はなかなかのパーティーだったね!」
5. some friend/help! etc. (spoken) used, especially when you are annoyed, to mean someone or something has disappointed you by not behaving in the way you think they should
例) Some friend you are!

つまり、「特にうんざりしている時に、誰かや何かがそうすべきだと思う方法で行動しないことで人をがっかりさせたことを言うのに用いられる」。
例文は、「まったく、君はたいした友人だね!」

上の 4. の語義が文字通りの「なかなかの」という意味で、5. が皮肉っぽく使った用法だということになります。

ト書きを書いた人にもあきれられているゲラーパパですが(笑)、レイチェルも、ゲラーパパの様子を目にしながら、「どうかしらねぇ」みたいに言って、自分にとってはこんな風に見える、というさまを説明しています。

ネットスクリプトに I dunno. と書いてあったので、上ではそちらを採用しましたが、これはつまり、I don't know. ということ。
発音したまんまを文字にしたらこんな感じ、というような「発音綴り」です。

「私にとってゲラーパパはいつも…」の後、walks in while you're changing と言っています。
change は「変わる」ですが、この場合は「着替える」ですね。
主語の you は、一般の人を表す you で、それには自分自身も含まれています。
ここでの感覚は、「私たち女性が着替え中に、歩いて(その部屋に)入ってくる」という感じですが、そういう場合に we や I ではなく、you を使うことで、相手に共感させながら物事を語ることができる、という効果があるわけです。

walks in のように「現在形」が使われているのは、「そういう習慣・習性がある(人)」という感覚。
「女性が着替えてると(いつも)部屋に入ってくるのよ、女性の着替え中に部屋に入ってくるような人よ」と言っていることになります。
ちょっとうろ覚えなのですが、あだち充さんの漫画「みゆき」で、鹿島ちゃんのお父さんの「二枚刃の安次郎」さんが、よく女の子(実の娘の鹿島ちゃん含む)の着替え中に、「間違って」部屋に入ってきては「キャー」とか言われ、ドアを閉めた後に「ムフ」とか言ったりしていたような…(笑)。

レイチェルはゲラーパパに対して、悪い言葉で言うと「エロ親父」みたいなイメージを持っているということが、このセリフからわかるわけですね。


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posted by Rach at 17:33| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月07日

彼女を魅力的と言う人もいるだろう フレンズ6-9その2

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モニカとチャンドラーの部屋で感謝祭のディナーを一緒に食べることになっていたロスとジョーイですが、ジョーイのルームメイト、ジャニーンが、ダンサー仲間と一緒のディナーに二人を誘います。
ダンサーたちのディナーに行きたいジョーイたちは、とりあえずモニカの部屋にやってきて、挨拶もそこそこに出て行こうとするのですが…。
モニカ: Whoa, whoa, whoa! Where're you goin'? (ちょっと、ちょっと、ちょっと。あなたたちどこに行くの?)
ロス: Oh, oh, we did say we'd stop by this little thing Joey's roommate is having. (あぁ、ジョーイのルームメイトがやる予定のちょっとしたことに顔を出す、って、僕らは言っちゃったんだよ。)
モニカ: Oh, Janine, the really hot dancer girl? (あぁ、ジャニーン、あの実にセクシーなダンサーガールね。)
ロス: Some would say she's attractive, yes. (彼女が魅力的だと言う人もいるだろうね、確かに。)
フィービー: And who else is going to be there? (それで他には誰がそこに来る予定なの?)
ジョーイ: Uh, some of her friends, yeah. (あー、彼女の友達の何人かだよ、うん。)
レイチェル: Her dancer friends? (彼女のダンサー友達?)
ジョーイ: (frustrated) Yes! All right? All of her hot dancer friends are gonna be there and they're gonna be, be drinkin' and dancin', and we really wanna go! ([いらだった様子で] そうだよ! いいか? 彼女のセクシーなダンサー仲間が全員、そこに来るんだよ。そして彼女たちはそこで飲んで、踊ることになってるんだ。だから俺たちはすごく行きたいんだよ!)
ロス: (to Joey) Dude, we were good! ([ジョーイに] おいおい、僕たちはうまく行ってたのに。)

とりあえずの感謝祭の挨拶だけをして部屋を出て行こうとする二人に、モニカは「どこ行くつもり?」と尋ねます。
we did say we'd stop by... の did は say を強調した過去形で、「確かに…と言ったんだ」みたいに、そういうことを「実際に言った、すでに言ってしまった」ことを強調しています。
this little thing Joey's roommate is having は、Joey's roommate is having a little thing のような文章の a little thing を前に出した形になります。
ジョーイのルームメイトがする予定の「ある、ちょっとしたこと」に立ち寄る、顔を出す、って言っちゃったんだよ、と言っているわけですね。
パーティーだとははっきりとは言わずに、わざと、「まぁちょっとしたもの、ちょっとしたこと」とごまかそうとしているのも感じられます。
「ジョーイのルームメイト」と表現したのも、ダイレクトにジャニーンのイメージを出したくなかったからでしょうが、モニカはロスのわざとらしい言い回しに気づいて、「それってあの、the really hot dancer girl のジャニーンのことよね」と返します。
hot はフレンズでいつも使われる通り「セクシーな」という意味ですが、わざと hot dancer 「セクシーなダンサー」という言葉をモニカが盛り込んだところに、「セクシーなダンサーに誘われたからそっちを選ぶつもりなんだぁ…」と、二人の魂胆がミエミエであることを言葉で示しているわけでしょう。

わざわざ、「ジャニーンってあの、ホットなダンサーね」と言ったモニカに対して、ロスは、Some would say she's attractive, yes. と答えています。
直訳すると、「何人かの人は、ジャニーンを魅力的だと言うだろう」みたいなことで、「まぁ、ジャニーンが素敵だと言う人も中にはいるだろうけどね」と、まるで自分はそんなことちっとも感じてないけど、そんな風に感じる人もいるだろうね、と他人事(ひとごと)的な発言をしていることになります。
実際には、ジャニーンからそのパーティーの話を聞いて、目の色を変えて(笑)、即行く!と返事していたロスたちですが、人が言うほどにはそんなに魅力的だとは自分では感じてない、自分はそこまで彼女に入れ込んではいない、みたいなことを示そうとしているわけです。
彼女が a hot dancer だから行くわけじゃないよ、と言いたいわけですね。

「他にそこに来る予定の人は?」と聞かれて、ジョーイは「彼女の友達の何人か」だと答えます。
ただ「友達」と言ったのに、「友達っていうのはやっぱり、ダンサー仲間の友達?」とさらに突っ込んでくるので、ジョーイはそういう女性陣の質問攻めにキレた感じで、All of her hot dancer friends... 以下のセリフを、興奮した様子で、ひっくり返ったような声でまくし立てています。

それまでは、hot という形容詞は使わないようにしていた二人でしたが、ここでジョーイは自分からはっきりと、her hot dancer friends と表現しています。
「あぁ、そうだよ、君らが言う通り、セクシーなダンサー友達がそこには来るんだよ!」と開き直っている感じが出ています。
「そのセクシーなダンサーたちが、飲んで踊って…」と、そのパーティーが盛り上がる様子を表現し、だから俺たちは是非ともそのパーティーに行きたいんだ!と宣言します。

それを見ていたロスは、ジョーイの様子にあきれた感じで、we were good と言っていますね。
「僕たちは良かった」ということはつまり、ジョーイがそうやって自分の気持ちを「ぶっちゃけ」話してしまうまでは、いい感じで進んでたのに、という感覚。
「セクシーなダンサーが飲んで踊るパーティーなんだぞ、絶対に行きたいに決まってるじゃないか!」みたいに、男の欲望丸出し(笑)の正直であからさまな気持ちを吐露してしまったジョーイに、「せっかくそういう部分を出さずに、「行くって言っちゃったから、顔を出しとかないとね」みたいに丸く収めようと思ってたのに、それを台無しにしてくれちゃって…」みたいな気持ちだということですね。


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posted by Rach at 15:19| Comment(2) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2011年12月05日

「招かれざる客」のシドニー・ポワチエ フレンズ6-9その1

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シーズン6 第9話
The One Where Ross Gets High (チャンドラーは嫌われ者?)
原題は「ロスがハイになる話」


今日は感謝祭。モニカは誰かと電話中。
モニカ: (on phone) Okay, great. Bye. (Hangs up as Chandler enters.) So guess who's coming to Thanksgiving dinner? ([電話で] オッケー、いいわね、バーイ。[電話を切る。そこにチャンドラーが入ってくる] それで、感謝祭のディナーには誰が来ると思う?)
チャンドラー: Sidney Poitier? Hehheh. (シドニー・ポワチエ? へへ。)
[Chandler throws his coat on the couch]
チャンドラーは自分のコートをカウチの上に投げる。
モニカ: (not amused by Chandler's joke) I miss Rachel. (To Chandler) No, my parents. ([チャンドラーのジョークに楽しんでいない様子で] レイチェルが恋しいわ。[チャンドラー] 違うわ、私の両親よ。)
チャンドラー: Oh! That's great, they haven't seen the place since I moved in! (おー! それって最高だね、俺がここに越してきて以来、君の両親はこの場所を見てないもんね。)
[Monica goes to fiddle with something on the table.]
モニカはテーブルの上にある何かをいじりに行く。
モニカ: Yeah, and y'know, if you could not mention to them that we live together, that would be great! (Quickly trying to change subjects) I was thinking we would eat around 4. (そうね、でね、私たちが一緒に住んでることを両親に言わないでいてくれたら、ありがたいわ! [急いで話題を変えようとする] 4時ごろに食べようかなって考えてたの。)
[Monica goes to the stove.]
モニカはコンロに行く。
チャンドラー: (shocked at the news) Why can't I tell them that we live together? ([そのニュースにショックを受けて] 俺たちが一緒に住んでることをどうして俺が言っちゃいけないんだ?)
モニカ: Because they don't know we're dating. (Again, trying to quickly change subjects.) Do you think we should eat in the kitchen? (Goes to the sink and the stove to cook.) (だって両親は私たちがデートしているのを知らないから。[再び、話題を素早く変えようとする] 私たち、台所で食べるべきだと思う? [料理するために、シンクとコンロに行く])

電話を切ったモニカは、ちょうど部屋に入って来たチャンドラーに、So guess who's coming to Thanksgiving dinner? と尋ねています。
それに対してチャンドラーは、Sidney Poitier? と言った後、自分で「ナハハ」みたいな乾いた笑い声を出しています。
その様子からも、このチャンドラーの返しが、彼のジョークであることが想像できますね。
そのジョークの後、モニカは遠い目をして、I miss Rachel. 「レイチェルが恋しい、愛しい」と言っています。
何か質問すると、とりあえずジョークで返してくる、今の会話パターンにちょっとげんなりしているらしく(笑)、レイチェルが同居人だった時はこんなんじゃなかったのに、レイチェルがいた頃は良かったわ…みたいに言っているわけですね。

シドニー・ポワチエはアメリカの俳優。黒人男優として、アカデミー主演男優賞を初めて受賞した人としても有名です。

Wikipedia 日本語版: シドニー・ポワチエ
Wikipedia 英語版: Sidney Poitier
IMDb : Sidney Poitier

その名優シドニー・ポワチエが出演した作品のうち、1967年公開の、Guess Who's Coming to Dinner というタイトルの映画があります。(邦題は「招かれざる客」)

Wikipedia 日本語版: 招かれざる客
Wikipedia 英語版: Guess Who's Coming to Dinner
IMDb : Guess Who's Coming to Dinner (1967)

IMDb では、この映画の内容が以下のように説明されています。
Matt and Christina Drayton are a couple whose attitudes are challenged when their daughter brings home a fiancé who is black.
訳しますと、「マット&クリスティーナ・ドレイトは夫婦で、自分たちの娘が黒人のフィアンセを家に連れてきた時、その態度が試される」。

その説明通り、黒人の差別問題をテーマにした映画で、白人夫婦の娘が連れてきた、その黒人のフィアンセを、シドニー・ポワチエが演じているわけです。
映画のタイトルを訳すと、「ディナーに来るのは誰だと思う?」という意味になりますが、それは、「娘がディナーに招いた黒人のフィアンセ」=「シドニー・ポワチエ」を指しています。
この映画のタイトルとよく似たセリフ「感謝祭のディナーに来るのは誰だと思う?」と言ったモニカに対して、その映画での客人、シドニー・ポワチエの名前をチャンドラーは出したわけですね。

このように、今回のフレンズのセリフでは、単にセリフがタイトルと似ていたことからの連想でしたが、この「招かれざる客(Guess Who's Coming to Dinner)」という映画は、黒人差別を真正面から取り上げた映画として、強くアメリカ人の心に刻まれているようです。

政治ドラマ「ザ・ホワイトハウス」(The West Wing) 1-11 でも、セリフの中にこの映画の話題が出てきました。
The West Wing では、黒人差別との関連でセリフに登場していましたので、それをここでご紹介します。(これから The West Wing を見ようと思っておられる方は、ネタバレの恐れがありますのでご注意下さい)

バートレット大統領は、自分の娘ゾーイが、大統領私設秘書の黒人青年チャーリー・ヤングをデートに誘ったと聞いて、浮かない顔をしています。
レオ・マクギャリー主席補佐官: Got a racial problem? (人種問題ですか?)
バートレット大統領: A racial problem? (人種問題だって?)
レオ: It's okay to admit it. (そうだと認めても構いませんよ。)
バートレット: I don't! (私は人種問題を抱えてるんじゃない!)
レオ: Okay. (そうですか。)
バートレット: I don't have a racial problem. (私は人種のことで悩んでいるんじゃないんだ。)
レオ: Okay. (わかりました。)
バートレット: I'm Spencer Tracy at the end of "Guess Who's Coming to Dinner." (私は「招かれざる客」のラストのスペンサー・トレイシーなんだよ。)
レオ: Okay. (そうですか。)
バートレット: Racial problem! ((それを)人種問題だなんて!)
レオ: I'm just saying.... (私はただ…)
バートレット: My problem is not that she's white, he's black, it's that she's a girl and he's not. To say nothing of he's older than she is. (私の悩みは、娘が白人でチャーリーが黒人だってことじゃない。娘が女で彼は女じゃない、ってことなんだ。彼が娘よりも年上だってことは言うまでもなく。)
レオ: She's 19. He's 21. (ゾーイは19歳。チャーリーは21歳です。)
バートレット: Yeah, but a guy learns a lot in those two years. (そうだな、でも、男はその2年間で多くのことを学ぶんだ。)
レオ: Okay. (そうですね。)
バートレット: Tracy was good in that movie. (あの映画での、トレイシーは良かった。)
レオ: Yeah. (ええ。)

「招かれざる客」で白人夫婦を演じているのは、スペンサー・トレーシー&キャサリン・ヘップバーン。
バートレット大統領は、自分の娘が黒人青年をデートに誘ったので、自分はあの映画の父親スペンサー・トレイシーと同じ状況、気持ちだ、と言いたいようです。
上の一連のやり取りの最後でも、「あの映画のトレイシーは良かった」とその演技に感銘を受けた様子が伺えます。
白人である自分の娘が黒人と付き合う、という話になると、まっさきにあの映画が頭に浮かぶ…ということもよくわかりますね。

また、その映画に関する以外のセリフでも、上のバートレットのセリフは、娘を持つ父親の気持ちがよく表れていて興味深いなと思います。
「黒人だから不安を感じてるんじゃなくて、彼が男でしかも年上だからだ」と言う大統領に対して、レオは恐らく「年上と言っても、たった2歳だけですよ」という意味で、19歳と21歳という年齢を出したのでしょう。
その19歳から21歳の2年の間に男は多くのものを学ぶ、と言っているのも、自分も男としてその時期を経験してきたから、ああいう年齢の男性がどういう感じかわかるだけに余計に心配なんだ…というような、娘を心配する父親らしい気持ちがよくにじみ出ていると思います。
(「招かれざる客」に関する部分はここまで)

ジョークで返したチャンドラーに対して、今夜の夕食に来るのはうちの両親よ、と説明するモニカ。
それを聞いたチャンドラーは「俺がここに引っ越して来て以来、君の両親はこの場所を見てないから、そりゃあいいや」みたいに言っています。
「そうよねぇ〜!」と嬉しそうに同調するかと思いきや、モニカは「私たちが同居してることをあなたが言わないでいてくれるとありがたい」みたいに超早口で言った後、慌てて話題を変えています。
「そうしてもらえると助かる」みたいに言うものの、あまりその理由は詮索しないで、聞かないで、みたいな感じがありありと感じられますね。

mention は「…に言及する、話に出す、…に触れる」という感覚。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
mention : to talk about something or someone in a conversation, piece of writing etc., especially without saying very much or giving details
つまり、「会話や文書の中で、何かや誰かについて話すこと、特に、多くのことを言ったり、詳細を話したりすることなしに」。

語義説明にあるように、「多くのことや詳細を語ることをしないで」というのがポイントだと言えるでしょう。
まさに日本語の「…のことに触れておく」という程度の軽い感覚だと言うことですね。

「言わないでくれるとありがたい」というのは「お願いだから、同居してることは両親には黙ってて」と言われたのと同じなので、チャンドラーはショックを受けています。
どうして言えないの? 言っちゃだめなの? と問うチャンドラーに「だって、私たちがデートしてる、付き合ってるってことを両親は知らないから」と理由を説明するモニカ。
ト書きにもあるように、またもや素早く話題を変えていることから、とにかくモニカはその話題をさっさと切り上げたい、あれやこれやとチャンドラーに突っ込まれたくないと思っていることがよくわかりますね。
この後も、モニカがチャンドラーの質問をはぐらかし続けるのですが、最終的にモニカに "they don't like you" 「うちの両親は、あなたが好きじゃない」と言われ、衝撃を受けることになります。
最終的にその事実をチャンドラーに告げるまでの間に、モニカが話題を変えることで、その話から逃げよう逃げようとしている様子を英語のセリフから感じることができれば、いい感じかな、と思います。


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posted by Rach at 16:07| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする