2012年02月29日

何考えてたのか自分でもわからない フレンズ6-14その1

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シーズン6 第14話
The One Where Chandler Can't Cry (泣けないチャンドラー)
原題は「チャンドラーが泣くことができない話」


[Scene: Monica and Chandler's, Chandler, Monica, Phoebe, and Joey are watching ET.]
モニカとチャンドラーの部屋。チャンドラー、モニカ、フィービー、ジョーイは、(映画の)「E.T.」を見ている。
モニカ: (crying) This is my favorite part. ([泣きながら] ここ、私の好きなところよ。)
フィービー: (crying) Yeah, me too. ([泣きながら] そうね、私もよ。)
(We see the TV and it's the last scene where ET is saying goodbye.)
テレビが映る。E.T. がさよならを言おうとしているラストシーンである。
フィービー: Oh, y'know what's sadder than this? Bambi. I cried for three days with that movie. No, wait, two! Because on the third day my mother killed herself, so I was partly crying for that. (あぁ、これよりももっと悲しいのって何かわかる? バンビよ。あの映画で私は3日間泣いたわ。違うわ、待って、2日間よ! だって、3日目にママが自殺して、だから私は、ある程度は、そのことで泣いていたから。)
チャンドラー: (totally not crying) Well, see now that I can see crying over, but Bambi is a cartoon! ([全く泣いていない状態で] そうだなぁ、嘆き悲しむのはわかるけど、でも、バンビはアニメだぞ!)
ジョーイ: (crying) You didn't cry when Bambi's mother died? ([泣きながら] バンビのママが死んだ時に、お前は泣かなかったのか?)
チャンドラー: Yes, it was very sad when the guy stopped drawing the deer! (ああ、すごく悲しいことだったよね、アニメーターがその鹿の絵を描くのをやめた時は!)
モニカ: Chandler, there's nothing wrong with crying! You don't have to be so macho all the time. (チャンドラー、泣くのは何も悪いことじゃないわ! いつもそんなにマッチョでいる必要なんかないのよ。)
チャンドラー: I'm not macho. (俺はマッチョじゃないよ。)
モニカ: Yeah, you're right. I don't know what I was thinking. (そうね、あなたは正しいわ。私、何を考えてたのか自分でもわからない。)

フレンズたちはみんなで映画「E.T.」を見ています。
This is my favorite part. は、「これが私のお気に入りの部分だ」なので、「私はこのシーンが好き」という感覚ですね。

Y'know what's sadder than this? Bambi. は、「これ(この E.T. のラストシーンよりももっと悲しいものは何か知ってる? (それは)バンビよ」というニュアンス。
そして、バンビの映画で3日間泣いた、と言った後、「違うわ、待って、2日間だったわ!」と日数を訂正し、その理由を付け加えています。
バンビを見て泣いていた3日目に、ママが自殺したので、部分的にはそのため(ママの自殺のせいで)私は泣いていたわけだから、という、何ともヘビーな理由。
アニメのバンビで泣く話と、自分の母親が自殺した話を同じ次元で語っていて、聞いているフレンズたちはぎょっとした顔をしていますが、そういう話をさらっと普通の会話に混ぜてくるところが、フィービーらしいとも言えますね。

cry over は「(不幸などを)嘆き悲しむ」。
It's no use crying over spilt milk. だと、「こぼれたミルクを嘆き悲しむことは無駄だ」という意味になり、これは日本語の「覆水盆に返らず」に当たることわざですね。
チャンドラーは、「バンビを見て、嘆き悲しむのはわかる、理解できるけど、アニメなのに(実際に涙を流して)泣くのか?」と言いたいようです。

ジョーイが、バンビのママが死ぬシーンを見て、お前は泣かなかったのか?と尋ねると、チャンドラーは、「いやぁ、すごく悲しかったよ、…の時は」と答えます。
「ママが死んだ時は、(泣きはしなかったけれど)そりゃあ悲しかったさ、あれは悲しいシーンだったよね」と言うのかと思いきや、「男が鹿を描くのをやめた時」は悲しかった、と言っています。
「そりゃあ悲しかったさ、アニメーターが鹿(バンビのママ)の絵を描くのをやめた時にはね」と表現することで、「実際に何かが”死んだ”わけじゃなくて、アニメからその絵が消えただけのことだろ?」と、アニメを見て心底悲しむフレンズたちに皮肉を言っているわけですね。

モニカはそのセリフを聞いて、「チャンドラーは泣くことを拒否している、もしくは恥ずかしいと思っている」のかと思ったようです。
泣くことは何も悪いことじゃない、恥ずかしいことじゃない、と言って、「いつも、そんなにマッチョでいる必要はないのよ」と言います。
チャンドラーは、マッチョと言われたことが意外だったようで、「俺はマッチョじゃないよ」と言うのですが、その後のモニカのセリフが面白いですね。
モニカもそう言われて、自分の発言のおかしさに気付いたようで、「あなたの言う通りね。(あなたをマッチョだと言った時に)私が何を考えていたのか、自分でもわからないわ」と答えます。

マッチョは日本語になってしまっていますが、改めて英英辞典を見てみると、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
macho [adjective] : (informal) macho behavior emphasizes a man's physical strength, lack of sensitive feelings, and other qualities considered to be typical of men
つまり、「マッチョな行動は、男の体力、繊細な感情の欠如、男性に特有なものと見なされる他の性質を強調する」。

「アニメで泣くかぁ?」みたいなチャンドラーの発言が、「男は泣かない」という男らしさを必要以上に強調している気がして、「マッチョぶる必要なんかないのに」とモニカは言ったわけですが、「別に俺はマッチョじゃないけど」とあっさり言われてしまったので、「そうね、確かにチャンドラーは全然マッチョじゃないのに、どうして私はあんなこと言っちゃったのかしら?」と、自分自身にあきれている感じが出ています。
「俺はマッチョじゃないし」「あなたの言う通り、あなたは確かにマッチョじゃない」と、お互いあっさり「マッチョじゃない」ことを認めてしまうあたりが、このカップルらしいところだなと思いました。


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posted by Rach at 17:59| Comment(2) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月27日

ゲットする、を、取り除く、に変える フレンズ6-13その6

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最初はロスのことを「デートの相手としては考えられない」と言っていたジルでしたが、それに反論したい元カノのレイチェルが、ロスの長所を挙げていくうち、「それじゃあ、ロスをデートに誘ってみる」と言い出してしまいました。
二人の様子が気になってしょうがないレイチェルは、モニカたちの部屋から、向かいのロスのアパートを覗いています。
(We see that Ross is returning to his apartment with Jill.)
ロスがジルと一緒にアパートに帰ってくるのが見える。
レイチェル: (gasps) Oh, he brought her back to his apartment. ([息を呑んで] まぁ、ロスは彼女を自分のアパートに連れて帰ったわ[連れ込んだわ]。)
モニカ: (entering with Chandler) Who? (She looks out the window at Ross's apartment) Is that your sister? ([チャンドラーと一緒に(リビングに)入ってきて] 誰? [モニカは窓からロスの部屋を見る] あれはあなたの妹?)
レイチェル: Ugh, she is a slut! (あー、あの子はほんとにふしだらね!)
モニカ: God, Ross is on a date with your sister. How weird is that? (まぁ、ロスはあなたの妹とデートしてるのね。それってすごく変な感じよね?)
レイチェル: Oh, my God, look-look, he's taking off her clothes! (あぁなんてこと。見て見て、ロスは彼女の服を脱がしてる!)
チャンドラー: He's taking off her coat. (ロスは、ジルのコートを脱がしてるだけだよ。)
(We see that Ross is taking off Jill's coat.)
ロスがジルのコートを脱がしているのが見える。
レイチェル: Oh, this is just terrible. (あぁ、これって、ただただ最悪だわ。)
モニカ: Oh, no, it's not, no it's not. It's a first date. I'm sure that nothing is gonna.... (as she is talking we see Ross close his drapes.) (あぁ、そんなことないわ。最悪じゃないわよ。最初のデートよ。私は確信してる、何も起こらないって…。 [モニカが話している時に、ロスがカーテンを閉めるのが見える])
レイチェル: Oh. (Squeaks again.) (あ! [キーキー声を出す])
チャンドラー: Ho-oh, he's gonna get some! (Rachel looks at him.) Of the glare... from the streetlight out of his apartment. Y'know so umm, he's closed the drapes there so he can have a nice, pleasant conversation with your little sister. (Pause) Well, I'm off to bed! (Goes to bed.) (ほほぉー、ロスは何かをゲットしようとしてるぞ! [レイチェルがチャンドラーを見る] 街路灯(街の明かり)のまぶしい光を、部屋に入らないようにしてるんだ。ほら、それで、うーんと、ロスは自分の部屋のカーテンを閉めたんだ、君の妹と、ナイスで快適な会話ができるようにね。[沈黙] えーっと、俺はベッドに行くよ。 [ベッドに行く])

brought her back to his apartment は、「彼女を彼のアパートメントに連れ帰る」ということですが、レイチェル的には、「女を自分の家に連れ込んだ」という感覚で言っているようです。
外でデートした後、家にまで連れてきたのね、という感じでしょう。
slut は「ふしだらな女、尻軽女」。
アカデミックな辞書である、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には、この単語、載っていませんでした。(英和辞典には普通に載っているのに、さすがと言うか何と言うか…笑)
Macmillan Dictionary では、
slut [noun] (offensive) : an insulting word for a woman whose sexual behaviour is considered immoral
つまり、「(侮辱的な言葉) その人の性的な行動が、不道徳・ふしだらだと見なされる女性への侮辱的な言葉」。

レイチェルは、二人の様子を見ながら、「ロスがジルの服を脱がしてる!」と大騒ぎしています。
でも、その後のチャンドラーのセリフから、服と言っても、コート・上着を脱ぐのを手伝ってあげているだけなのがわかるのが面白いですね。

焦るレイチェルに、「最初のデートだから何も起こらないって…」と慰めようとするモニカですが、そう言っている間に、ロスがカーテンを閉めるのが見え、レイチェルは、あ!と叫んでいます。

元カレと妹がこの後どうなるか気が気でないレイチェルの気持ちに気付かないように、チャンドラーは、He's gonna get some! と嬉しそうな声で言っています。
get some は「何かを得る、ゲットする」という感覚ですが、これはチャンドラーのにやにや具合からもわかるように、ロスはこれから「何かいいこと」するんだな、と言いたいわけですね。
some! だけで文を終えることで、「言わなくてもわかる、あれ」のようにわざと言ってみせているのでしょう。

そういうことをニヤニヤしながら言った後、レイチェルが自分を見たので、元カノを前にして、言ってはいけないことを言ってしまった、と気づいたのでしょう、チャンドラーは慌てて、その後に文章を続けることで、自分の言おうとしていたことはこういう内容のことなんだ、と必死に言い直そうとしています。

次のセリフが、Of で始まっているのは、その前の文章の続きを言っている感覚ですね。
つまり、チャンドラーは、He's gonna get some of the glare from the streetlight out of his apartment. と言おうとしていた、というふりをしているわけです。
長い文章ですが、この文章の基本構造は、He's gonna get A out of B. になります。
つまり、「B から A を取り出す、取り除く」という感覚ですね。

glare は、フレンズのト書きでは、Rachel glares at him. 「レイチェルは彼をにらむ」のように、「にらむ、にらみつける」という動詞で使われることが多いですが、「ギラギラ光る、輝く」という意味もあり、ここでは the がついていることからもわかるように、名詞「まぶしい光、ギラギラする光」の意味で使われています。

「B から」の部分は、「ロスのアパートから」、「A を(取り除く)」は、「街路灯・街の明かりから来るまぶしい光を(取り除く)」になります。
つまり、街のギラギラしたまぶしい光が自分のアパートに入らないようにする、という感じですね。
そうすることで、部屋がまぶしくなくなって、まぶしい明かりを気にせず、ジルと落ち着いて会話ができるからね、みたいに、チャンドラーは理由も付け加えています。
どう聞いても無理のある説明だと自分でもわかるチャンドラーは、気まずい空気に耐えられず、「もう俺、ベッドに行くね」と言って、去って行ったわけですね。

get は非常によく使われる基本動詞で、他の単語と結びつくことで様々なニュアンスを出すことができる単語です。
チャンドラーのこのセリフは、get some 「何か(いいこと・いいもの)をゲットする、手に入れる」という意味の get を、後に、out of を付け加えることで、「…から〜を取り出す、取り除く」という「別の意味の動詞」であるように思わせたところに面白さがあると言えるでしょう。
後に別の言葉を続けることで、強引にそういう意味に持っていこうとした「無理やり感」が感じられるセリフということになるでしょうね。


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posted by Rach at 18:09| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月24日

タイプじゃない、ってことにしときましょ フレンズ6-13その5

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レイチェルの妹ジルは勘当されたにもかからわず、パパが支払うことになるカードで買い物をしました。
怒った姉のレイチェルは、買った品物を没収するのですが、ロスがこっそり1つの紙袋をレイチェルから隠しておいたのをきっかけに、ロスとジルは仲良くなってしまいます。
その様子を見ていたフィービーは、レイチェルにそれを話し、レイチェルは真相を確かめるため、ジルに「ロスと付き合うの?」と尋ねます。
ジル: Me go out with Ross? No! God, no! What would make you think that? (私がロスと付き合う[デートする]? いいえ! とんでもない! どうしてそんなこと考えたりするの?)
レイチェル: I just, Phoebe said y'know thought she saw something between you guys. (私はただ…フィービーが言ったの、あなたたち2人の間に何か(があるの)を見た気がするって。)
ジル: No! I mean, he's nice. (いいえ! まぁ、彼はいい人だけど。)
レイチェル: Yeah. (そうね。)
ジル: He's the kind of guy you're friends with, y'know? But he's not the kind of guy you date. I mean, he's the kind of guy you'd date because you did. But me? Not so much. (彼は友達になるってタイプの人だわ、でしょ? でも、彼はデートするタイプの人じゃないの。彼はあなた(レイチェル)がデートするタイプの人ではあるけれど。だってあなたは(実際に)デートしたんだから。でも、私? それほどでもない。)
レイチェル: Oh, not-not so much. Umm, what-what do you, what do you mean? Is there something wrong with Ross? (まぁ、それほどでもないのね。んー、それってどういう意味? ロスには何か悪いところでもあるの?)
ジル: Oh no-no-no-no. He's just, I don't know. You know, he's just a little bookish. (ああ、違う違う違う違う。彼はただ、よくわからないわ。ほら、彼はただ、ちょっぴり堅苦しいのよ。)
レイチェル: Are-are you saying he's a geek? (あなたは、彼がオタクだって言ってるの?)
ジル: You think so too? (あなたもそう思う?)
レイチェル: No! No I, no Ross is not a geek! (いいえ! いいえ、ロスはオタクじゃないわ!)
ジル: Fine. Then let's just say he's not my type. (いいわ。それじゃあ、彼はタイプじゃない、ってことにしときましょ。)

go out with... は、これまでのフレンズで何度も出てきているように、「人と付き合う、交際する、デートする」。
「ロスとデートする気?」みたいに問われたジルは、「どうしてそんな風に思ったりするの?」と問い返しています。
フィービーが、something between you guys 「あなたたち二人の間に何か」があるのを見た、と言ったことを説明すると、ジルは「そんなことない!」と否定する感じで、まずは No! と言い、その後、I mean, he's nice. と言っています。
「二人の間には、何かあるんじゃない?」と言われたことに対してははっきり否定したわけですが、だからってロスが嫌いとか、ひどい人だとか思ってるわけじゃなくて、彼はいい人よ、と付け足したニュアンスです。
No! だけで言葉をやめてしまうと、ロスが大嫌いと言っていると取られかねないので、I mean 「つまり、私が言いたいことはこういうことよ」と言葉を繋いで、誤解のないように言い直す、言葉を付け足しているわけですね。

その後、ジルが、He's (not) the kind of guy you... というパターンの文を3つ続けて言っています。
3つの文章を、前から順番に見ていくと、最初の文、He's the kind of guy you're friends with. は、「ロスは、人が友達になるようなタイプの人である」と言っていることになります。
ここでの you は、目の前にいる「あなた」、つまり、レイチェルを指しているのではなく、「一般の人」を指すニュアンス。
「一般の人」を指しつつ、それは自分自身をも含まれる、という感覚で、ここはあえて you という主語を訳さない方が、「自分自身を含む一般の人」のニュアンスが出る気がします。

2つめの文、But he's not the kind of guy you date. は、逆接の but で繋がっていることからもわかるように、前の文を受けて、「彼は…ってタイプの人であって、〜ってタイプの人じゃない」と対比の形で言っていることになります。
この文は、「(人が、もちろん私も含めて)デートするようなタイプの人じゃない」ということになります。

その後、さきほども「言葉が足りないせいで誤解を招きそうな場合に付け足す」ニュアンスだと説明した、I mean で文を続けて、he's the kind of guy you'd date because you did. と言います。
この3文目の you は、「一般の人を表す you」ではなく、ジルが話している相手の「あなた」=レイチェル、になります。

「デートするようなタイプの男性じゃない」って言っちゃったけど、でも、「あなた(レイチェル)なら、デートするようなタイプの男性ね、だって実際にレイチェルはロスと(過去に)デートしてたんだしね」と、前の発言を少し訂正しているような形になります。
「友達にはなれるけど、デートの相手として見ることはできない」タイプだ、と言ってしまったので、それでは元カノのレイチェルに悪いと思ったのでしょう、「もちろん、レイチェルの場合は、デート対象になるけどね、過去にデートしたことが実際あったわけだから」と言ったわけです。
そんな風に、「まぁ、レイチェルにとってはデートするタイプの人だったんでしょうけど」と言って、「でも、(妹の)私はどうかって? そんなにタイプじゃないわね」と、姉と自分の好みが違うことを告げます。

Not so much. 「それほどでもない」と言われたことにカチンと来たらしいレイチェルは、「それってどういう意味よ? ロスに何が悪いところでもあるの?」とジルにつっかかります。

それに対してジルは、He's just a little bookish. と言います。
bookish は「読書の、書物の」という形容詞で、「本好きの」「堅苦しい」などの意味があります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
bookish [adjective] :
1. someone who is bookish is more interested in reading and studying than in sports or other activities
2. seeming to come from books rather than from real experience
例) bookish language

つまり、1. は、「bookish な人とは、スポーツや他の活動よりも、読書や勉強に興味がある(人のこと)」。2. は、「実体験よりもむしろ本から来たと思われる」、例は、「堅苦しい言語」。

ジルは、ロスのことを、「学問のことばかり話したがる、学者っぽくて堅苦しい人」みたいなニュアンスで、bookish と表現したのでしょう。

それを聞いたレイチェルは、「ジルは、ロスが a geek だと言ってるの?」と聞き返します。
geek は、フレンズ1-1 にも出てきた単語なので、フレンズファンにはおなじみですが、「おたく」「がり勉」みたいなニュアンスですね。

LAAD では、
geek [noun] : (slang) someone who is not popular, wears unfashinable clothes, behaves awkwardly in social situations, and is interested in things that most people think are strange
つまり、「(スラング) 人気がなく、ダサい服を着て、人との付き合いの場でぎこちなくふるまい、多くの人が奇妙だと思うことに興味を持っている」。

Macmillan Dictionary では、
geek [noun] : (informal) someone who is boring, especially because they seem to be interested only in computers
つまり、「(インフォーマル) 退屈な人、特にコンピューターにだけ興味があるように見えるために(退屈な人)」。

マクミランの語義にあるように、元々は、「パソコンおたく」みたいな人を指したようですが、今は他のジャンルにも使います。
上の英英辞典の語義からは、「何か一つのことにオタク的なこだわりを持っていて、他の興味ないことには全く注意を払わない、頓着(とんちゃく)しない(=無頓着である)」というようなニュアンスが感じられる気がします。

「あなた、(私の元カレ)ロスのことを、a geek だと言ってるの?」というセリフは、元カノとして怒っているセリフなのは誰の目にも明らかだと思うのに、「あなたもそう思う?」と聞き返すジルに笑ってしまいます。
「一応、私的には言葉を選んで、bookish と表現してみたけれど、ロスって geek よね、レイチェルもやっぱりそう思うでしょ?」みたいな、何とも失礼な返しと言えるでしょう。
「ロスが a geek ですって?!」と抗議したつもりなのに、「あら、レイチェルもやっぱりそう思ってる?」と返されたので、レイチェルはむきになって「ロスは a geek じゃない!」と反論します。

Then let's just say he's not my type. を直訳すると、「それじゃあ、”ロスは私のタイプじゃない”って、ただ言いましょう」という感じ。
「ロスが a geek じゃない、って言うんなら、それで結構よ。ただ、ロスは私のタイプじゃない、って言っときましょ、そういうことにして、この話は終わりにしときましょ」というニュアンス。
ジルは正直、ロスが a geek であろうがなかろうがどうでもいい、もうそんなことで問答したくない、という気持ちなのでしょう、そういうセリフで、この話題を切り上げようとしている感じがよく出ていますね。


(「フレンズ」関係の嬉しいニュース!)
「フレンズ」のレイチェル役のジェニファー・アニストンが、「ハリウッド殿堂入り」を果たしたそうです。
シネマトゥデイ:ジェニファー・アニストン、ハリウッドの星を獲得
ジェニファー・ファン、フレンズ・ファンには、嬉しいニュースですよね。
ジェン、おめでとうっ!! :-):-):-)


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posted by Rach at 17:39| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月22日

それって抵抗しがたいだろうな フレンズ6-13その4

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[Scene: Monica and Chandler's, Monica is still very sick and is entering the living room from the bathroom wearing a robe. Chandler is reading a magazine.]
モニカとチャンドラーの部屋。モニカはまだ、ひどい風邪で、ローブを着てバスルームからリビングルームに入ってくる。チャンドラーは雑誌を読んでいる。
モニカ: Okay, so what do you, what do you want to do? Let's do something crazy! (オッケー、それで、あなたは何をする? 何をしたい? クレイジーなことしましょうよ!)
チャンドラー: I know, let's rest and drink lots of fluids. (Holds up a glass of orange juice.) (そうだな、休んで、たくさんの水分を取ろうよ。 [オレンジジュースのグラスを掲げる])
モニカ: Okay, I'll rest. But y'know if I'm going to bed, then you're coming with me. (わかったわ、私は休むわ。でも、ほら、私がベッドに行く時には、その時はあなたも私と一緒に来て。)
チャンドラー: See, that would be impossible to resist if you weren't all... drippy here. (Points to his nose.) (ほら、それって、たまらないんだろうな、もし君が…このあたりが垂れてなかったらね。 [自分の鼻を指差す])

ひどい風邪を引いているので、真っ赤な分厚いガウンを着ているモニカ。
バスルームから出てきたモニカは、Let's do something crazy! と言っています。
何かクレイジーなことをしましょう!というのは、「これから二人でイイコトしましょ」みたいに恋人チャンドラーを誘っているわけですね。
ですが、負けず嫌いのモニカが自分は健康であると誇示したいためにそう言っているのがわかるチャンドラーは、「休んで、たくさんの水分を取ろう」と言います。
病気の時は、ゆっくり寝て、水分補給をして…とアドバイスするのは、どこの国でも同じようですね。

rest することを勧められたので、モニカはとりあえず、I'll rest. と答えます。
その後、But y'know if I'm going to bed, then you're coming with me. と言っていますね。
休むから、これからベッドに行くけれど、その時はあなたも私と一緒に来てね、というニュアンスです。
「ベッドで寝てた方がいいよ」とアドバイスされたことを利用して、「じゃあ、あなたも私と一緒にベッドに入って」と、チャンドラーをまだエッチに誘おうとしているわけです。

その後のチャンドラーのセリフが面白いですね。
that would be... if you weren't... は、典型的な「仮定法過去」の文章。
that というのは、モニカが今言った、チャンドラーをベッドに誘うセリフですね。
resist は、「抵抗する、我慢する」なので、impossible to resist は「抵抗することができない、我慢できない」。
この場合は、「(魅力的なもの・こと)を我慢することができない」というニュアンスになります。

drippy は、drip 「したたる、ポタポタ落ちる」を形容詞にした形で、「したたっている、ポタポタ落ちている、垂れている」というニュアンス。

drip の語義を英英辞典で見てみると、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
drip [verb] : to fall in the shape of a small drop
つまり、「小さなしずく(滴)の形で落ちること」。

if you weren't all... drippy here. は仮定法で、現実・事実とは異なることを仮定しています。
「もし君がすっかり、このへん・この辺りが、drippy じゃなかったら」と言いながら、鼻を指差しているので、「今の君は、鼻(のあたり)が drippy (垂れている)状態である」と言っていることになります。

前半部分で、「今のモニカの誘うセリフ、たまんないんだろうなぁ」と言っているわけですが、後半部分で、「そんな風に、鼻が垂れてなかったらね」と条件付けしているわけですね。
鼻水のせいで、せっかくのセクシーなお誘いのセリフもセクシーに聞こえないよ、と言っていることになります。

ちなみに、drippy には、「涙がしたたり落ちる」という意味から、「お涙頂戴の、感傷的な」という意味があります。
LAAD では、
drippy [adjective] : very emotional in a silly way
例) The movie is nothing but a drippy melodrama.

つまり、「くだらない・ばかばかしい様子で、非常に感情的なこと」。
例文は、「その映画は、お涙頂戴のメロドラマに過ぎなかった」。

また、「(人が)めそめそする」という意味もあります。
Macmillan Dictionary では、
drippy [adjective] : (very informal) someone who is drippy is very weak or boring
つまり、「drippy な人とは、非常に弱い、またはうんざりさせる(人)」。

そのように、通常は、「めそめそする」「お涙頂戴の」という意味で使われる drippy ですが、drip という動詞を形容詞化したものなので、今回の「鼻が垂れている」のように、drip という動詞の意味から想像される、さまざまな使い方が可能だということです。
単語を覚える場合に、日本語訳を丸暗記していると、そういう「意味の広がり」に気付かずに、一義的な訳を当てはめてしまう可能性があります。

一般的に「鼻が垂れる、鼻水が出る」という場合は、I have a runny nose. と表現することが多いように思います。
今回のチャンドラーは、直接的に、if you didn't have a runny nose 「もし、君の鼻水が垂れてなかったら(今の誘い、たまんないのに)」とは表現せず、「ここのあたりが、drip している状態」みたいに「あえて遠回しに表現した」ということになるでしょう。
ですから、drippy は通常、「鼻が垂れる」という意味で使われるわけではないけれど、話の流れとチャンドラーのしぐさ、そして、言葉のイメージするものを考えると、鼻水のことを言っているのだとわかる、ということで、チャンドラーが drippy と表現したことにこのセリフの面白味がある、ということになるでしょうね。


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posted by Rach at 17:31| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月20日

親に支払わせたら、自立とは呼べない フレンズ6-13その3

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パパに勘当されたと言って、姉レイチェルを訪ねてきた妹のジル。
これから自立する、と決意したはずのジルでしたが、たくさんの荷物を抱えて、セントラルパークに入ってきます。
ジル: (entering, carrying a bunch of shopping bags) I just had the hardest day. Some of these are so heavy. (Sets them down.) ([(セントラルパークに)入ってくる、たくさんの買い物袋を持って] すっごく大変な一日だったわ。この袋、すっごく重たいのがあって。[袋を下に置く])
ロス: Jill, how did you pay for all this? I thought your dad took away your credit card. (ジル、この全部(の買い物)、どうやって支払ったんだ? 君のパパが君のクレジットカードを取り上げたと思ってたけど。)
ジル: Oh, please, I memorized those numbers when I was 15. But look at all the cool make-it-on-my-own stuff I got! (Holds up a red sweater) This is my "Please, hire me" sweater. (Holds up a pair of black pants) And these are my "Don't you want to rent me this apartment?" pants. (もう、やめてよ。私は15歳の時に、その番号を暗記しちゃったのよ。でも、見て、私がゲットした、このクールな「私は自立するの!」の品々を! [赤いセーターを掲げる] これは私の「どうか、私を雇って」セーター。[黒いパンツを掲げて] そしてこれは私の「このアパートメントを私に貸したくない?」パンツよ。)
ロス: I don't think charging new clothes to your dad qualifies as making it on your own. (新しい服を君のパパに支払わせるってことは、自立するとは見なされないと思うけど。)
ジル: Oh, Mr. Scientist has to get all technical! (まぁ、科学者くんは何でもかんでも専門っぽく言わないと[専門的にならないと]いけないのね。)
フィービー: Seriously, I don't think Rachel's gonna think it's a good idea. (真面目な話、それは良いアイデアとは言えないとレイチェルが思うと思うわ。)
ジル: So who made her queen of the world? (じゃあ、誰がレイチェルを世界の女王様にしたの?)
フィービー: I would love that job! (私なら、その仕事、大好きよ![私がその仕事をしたい!])

今日は大変な一日だった、と言いながら、ジルはたくさんの買い物袋を持って入ってきます。
このシーンを見ると、フレンズ1-1 (パイロット)で、レイチェルが同じようにたくさんの買い物袋を持って入ってきたシーンを思い出しますね。
デジャブを感じるような同じ設定にすることで、「お買い物が大好きな似た者姉妹」であることを視聴者に印象づけているわけでしょう。
驚いたロスは、How did you pay for all this? と尋ねています。
その後のセリフからもわかるように、「パパに勘当されて、もう資金援助をしてもらえなくなり、カードも取り上げられたはずなのに、”どうやって”そんなたくさんの買い物の支払いをしたんだ?」という質問ですね。
I thought your dad took away... という過去形は、「僕は…だと思ってたけど(実際は違ったのか?)」みたいなニュアンスが感じられます。
実際、そんなたくさんのショッピングをしてきたんだから、カードは没収されなかったの?みたいな気持ちが入っている感じですね。

その後のジルのセリフが、甘やかされたお嬢さんっぽいセリフなので笑ってしまいます。
直訳すると、「私はこれらの(クレジットカードの何桁かの)番号を、15歳の時に記憶した」ということで、15歳の時からずっと、その番号を記憶してるから、カードが手元になくっても、番号わかっちゃうもん、と言っていることになります。
番号を覚えちゃってるから、カードそのものは必要ない…って、そういう問題か?! カードを没収された意味わかってる?みたいにツッコミを入れたくなるところ。

その後、Look at all the cool make-it-on-my-own stuff I got! と言っていますが、make-it-on-my-own は、stuff 「もの、品物」を修飾するために make it on my own というフレーズをハイフンで結んで形容詞化したものですね。
その後のセリフは、ハイフンではなく、引用符で文をくくる形で、名詞を修飾するために形容詞化した形になっています。
どれも、日本語で表現する場合は、ハイフン、または、引用符で区切られた部分を「かぎかっこ」でくくったようなイメージになるでしょう。
ただ、買ってきたセーターやパンツに、「これは、”私を雇って!”セーターで、こっちは、”私にアパート貸さない?”パンツよ」と適当に自立っぽいセリフをくっつけただけのネーミングですが、まぁ、これらの服を着て、これからそういう活動を頑張るわ、というちょっとした決意表明みたいな感じのネーミングのつもりなのでしょう。

こういう変なネーミングをするところも、お姉さんのレイチェルにそっくりですね。
フレンズ1-1 で、レイチェルが、今回のジルと同じように、紙袋を抱えて入ってきた後、
レイチェル: They're my new "I don't need a job, I don't need my parents, I've got great boots" boots. (それは私の新しい、「仕事なんかいらない、両親もいらない、素敵なブーツを手に入れたんだもの」ブーツよ。)
と言っていました。
自分の気に入ったアイテムを買い、それにそういう前向き?な名前を付けることで、現実逃避しているような雰囲気も感じられます。

この服を着て、これから自立ってやつを頑張るの!みたいに言うジルに対して、ロスは冷静な分析をしています。
I don't think charging new clothes to your dad qualifies as making it on your own. について。
charge ... to someone は「(買い物や費用などを)人の勘定につける、人に負担させる」。
qualify as は「…としての資格を得る」。
ここまでも何度か出てきた make it on your own は、make it 「うまくやり遂げる」+ on your own 「独力で(without help)」なので、「一人で何とかやっていく、自立する」というニュアンス。
ですから、上のロスのセリフを直訳すると、「新しい服を君のパパに支払わせる(支払いを負担させる)ことは、自立するという資格を得る(自立すると見なされる)とは僕は思えない」という感覚になります。
自立、自立、って言ってるけど、自立のための服を、結局パパが支払うことになるカード払いで買ってるようでは、自立とは言えないんじゃないのかなぁ、という軽い非難ですね。

その批判を聞いて少しは反省するかと思いきや、ジルは、Oh, Mr. Scientist has to get all technical! と返します。
Mr. Scientist は、「ミスター・サイエンティスト、科学者くん」みたいに、科学者であるロス(ロスは古生物学者なので)をちょっとからかったように呼ぶセリフ。
get all technical は、「すっかりテクニカルになる」みたいな感覚で、科学者っていう人種は、どんなささいなことでも、技術的、専門的に分析しようとするんだから、みたいに、「科学者っぽく専門用語で語ろうとしないでよ」と言っているような感じかな、と思います。
ロスは別に、科学者っぽいことを言っているわけではなく、誰もが思うであろう感想「親に金を払わせて、それで自立って言える?」と言っているだけなのですが、「もーぅ、専門家はすぐに専門家っぽい言葉でケムに巻こうとして…」みたいにジルは言っているということでしょう。

ロスの意見を、「科学者っぽい意見をしないで」と受け入れないジルを見て、フィービーも、「真剣な話、真面目な話、レイテェルがそのこと(ジルが買い物してきたこと)を、a good idea だと思うとは思えない」と言っています。
そんなことをしたと知ったら、レイチェルは激怒するわよ、と警告しているわけですね。

So who made her queen of the world? を直訳すると、「それじゃあ、誰が彼女(レイチェル)を世界の女王さまにしたの?」。
つまり、「レイチェルが怒るとかって脅すけど、レイチェルは世界の女王様なわけ? レイチェルが善悪の全てを判断して、私のやることなすことに口を出すわけ?」と怒っていることになります。
レイチェルが世界女王なわけじゃあるまいし、私は姉のご機嫌取りをする必要なんかないわ、レイチェルが何て言おうと、私は私のやりたいようにやるの!と言っている感じになるでしょう。

ジルに対するフィービーの返しが、フィービーらしいオトボケぶりで楽しいですね。
ジルのセリフは、「誰がレイチェルを世界女王にしたって言うの?」→「レイチェルが世界女王なわけじゃあるまいし、彼女のことなんか気にしない」というニュアンスで言っているのに、Who made...? という質問「誰が…したのか?」のように見える部分を、文字通り受け取って、「誰がしたのかって? 誰もレイチェルを女王に任命していないのなら、私がその役目・仕事をやりたい」と言っていることになるでしょう。
日本語で言うと、「誰がレイチェルを女王にしたって言うの?」「レイチェルを女王にする仕事? 私、それ、やりたいわ!」のように、ちょっとズレた感じでジルのセリフに反応していることになり、そのズレ具合が、いかにもフィービーという感じですね。


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posted by Rach at 17:53| Comment(9) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月17日

間違った方と友達になっちまった フレンズ6-13その2

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レイチェルの妹ジルが、フレンズたちの部屋を訪れます。
"Daddy cut me off." 「パパに勘当された」というジルの話を聞いていたレイチェルですが、パパがレイチェルのことを「(立派に独り立ちしている)自慢の娘」だと言っていたと聞いて、大喜び。
妹の悩みの相談中であることをモニカに指摘された後、
レイチェル: Oh, yeah, sorry. Wait, honey, so what did you do that made dad cut you off? (ああ、そうね。ごめんなさい。待って、ハニー。それであなたは、パパに勘当されるようなどんなことをしたの?)
ジル: Okay, I bought a boat. (いいわ、私はボートを買ったの。)
モニカ: You bought a boat? (ボートを買った、ですって?)
ジル: Yeah, but it wasn't for me, it was for a friend. (ええ、でも、自分のためじゃなかったの、友達のためだったのよ。)
チャンドラー: Boy, did we make friends with the wrong sister. (Rachel glares at him.) (なんてこった、俺たちは、姉妹のうち間違った方と友達になっちまったよ。 [レイチェルはチャンドラーをにらむ])

妹ジルを演じているのは、リース・ウィザースプーン。大物ゲストの登場ですね。
「キューティ・ブロンド」(原題:Legally Blonde)で一躍有名になり、2005年公開の「ウォーク・ザ・ライン/君につづく道」(原題:Walk the Line)では、アカデミー賞主演女優賞を受賞しています。

まずは、cut off について。
「カット・オフ」というカタカナからでも何となくイメージが湧きますが、基本的は意味は、「切る」+「分離する」で、「切り落とす、切り離す」という感覚ですね。
今回の場合は、日本語で言うと「勘当する」が近い感じだと思いますが、親子の縁を切る、というよりも、金銭的な援助をやめる、ということになるでしょうね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
cut off [phrasal verb] :
STOP THE SUPPLY
to stop the supply of something such as electricity, gas, water, money etc.

つまり、「電気、ガス、水、金銭などのようなものの供給を止めること」。

ということで、今回の話では、to stop the supply of money ということになるでしょう。
What did you do that made dad cut you off? の that 以下は、what にかかっています。
直訳すると、「パパにあなたを勘当させるようにした」ような「何」をあなたはしたの? というところでしょう。
「あなたは何をしたの?」とまずは言っておいて、その「何」をさらに詳しく説明するために、that 以下を付け加えている感覚です。
「何」と聞いてるのは、パパがあなたを勘当したことの原因となったのは何か?ってことなのよ、みたいな補足ですね。

ジルは「ボートを買った」とあっさり言っています。
モニカは驚いて聞き返していますが、ジルはさらに、「私のためじゃなくて、友達のために買った」と付け加えます。
一般人の感覚だと、「ボートみたいな高価なものを、それも友達に買ってやっただと?!」と、あまりの贅沢な金銭感覚にあきれるばかり…というところですが、どうもジルの言い方を聞いていると、「自分のために買ったんじゃなくて、お友達のために買ってあげたんだから、私は良いことをしたのにどうして怒られるの?」とでも言いたげな様子です。

そのジルの発言の後のチャンドラーのセリフが彼らしくて面白いですね。
make friends with は「(人)と友達になる」。
wrong は「間違った」。
I think you have the wrong number. 「電話番号が間違っていますよ」の wrong と同じです。
the wrong sister は、「間違った sister 」、つまり、姉妹2人いるうちの、間違った方、みたいな感じになるでしょう。
チャンドラーはレイチェルと友達なわけですが、ジルの話を聞いて、「レイチェルじゃなくて、姉妹のもう一人の方(ジル)と友達になっときゃ良かった。間違ったほうと友達になっちゃった」と言っていることになります。
ジルと友達だったならボートを買ってもらえてたのに…という感じですね。

Boy, did we make friends with the wrong sister. は、did we という、一見、疑問文のような語順になっていますが、これは、フレンズ2-14その21 でも引用させていただいた、大西泰斗先生の ハートで感じる英文法 (会話編) の「倒置の呼吸」で語られている「感情を乗せる倒置」のニュアンスのようですね。

We made friends with the wrong sister. のように普通の語順で言うと、「俺たちは、姉妹のうち間違った方と友達になった」と言っていることになりますが、それを倒置にして、さらには文頭に、Boy 「いやはや、全く」という間投詞もつけることで、「いやぁ、全く、俺たちは間違った方と友達になっちまったよ!」というような「感情を乗せたセリフ」になった、ということでしょう。

ちなみに、「フレンズ」では、こういう「感情を乗せる倒置」の登場頻度はあまり高くない気がするのですが、他の作品をいろいろ見るようになってから、結構、目にすることが増えました。

特に、頻度が高いなと感じたのが、シットコムの「フルハウス」。
「フルハウス」シーズン1だけでも、以下に挙げるセリフで倒置が使われています。
1-2 Boy, are you strict.
1-2 Boy, are you gonna get it.
1-5 Oh, boy, am I a happy camper.
1-7 Champ, I'm sorry. Oh, boy, am I sorry.
1-11 Boy, am I in trouble, Joey?
1-14 Boy, does he work fast.
1-21 Really? Boy, did she rip off Madonna.

他にも、「スター・ウォーズ」(Star Wars IV A NEW HOPE) でも、
Boy, am I gonna get it.
Boy, am I glad to see you.
というセリフが出てきます。
ちなみに、2つ目のセリフは、探していたベン・ケノービ(オビ=ワン・ケノービ)にやっと会えた時にルークが言っていたセリフ。
倒置にすることで、「やっと会えた!」感が出ているわけですね。

今回のチャンドラーのセリフ、Boy, did we make friends with the wrong sister. も並べて一覧してみると、この倒置の形では、どれも文頭に Boy (または Oh, boy)がついていることに気づきますね。
今回はたまたま、すべてに Boy がついていた、ということでしょうから、Boy が必須条件ということでもないでしょうが、そういう「感情を乗せる」倒置は、間投詞の Boy との組み合わせの相性が良い、ということは言えると思います。


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posted by Rach at 17:15| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月16日

病気じゃない、病気にならない フレンズ6-13その1

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シーズン6 第13話
The One With Rachel's Sister (妹はライバル)
原題は「レイチェルの妹の話」


チャンドラーとモニカの部屋。モニカ以外の5人がいるところに、モニカが帰ってきます。
チャンドラー: Hey, what are you doing here? Shouldn't you be at work? (ちょっと、ここで何してるんだよ? 仕事のはずじゃなかったのか?)
モニカ: (congested) Ugh, they sent me home. They said I can't work if I'm sick. ([鼻づまりで] あー、家に帰されたのよ。病気なら、仕事しちゃだめだ、って言うの。)
みんな: Ohh! (おぉ。)
チャンドラー: So sorry you're sick. (君が病気だなんて、かわいそうに。)
モニカ: I'm not sick!! I don't get sick! Getting sick is for weaklings and for pansies! (私は病気じゃないわ! 私は病気にならないの[かからないの]! 病気にかかる、っていう行為は、弱い人か、女々しい男向けのものよ。)
レイチェル: Honey, no one thinks you're a pansy, but we do think that you need a tissue. (She notices something hanging from Monica's nose, as does Joey.) (ハニー、あなたが女々しい男だなんて誰も思ってないわよ。でも、あなたにはティッシュが必要だってことは私たちみんな(強く)思ってるけどね。 [レイチェルは、モニカの鼻から垂れているものに注目する、ジョーイも同様にそれを見る])

仕事場で働いているはずのモニカが帰ってきたので、チャンドラーは驚いて、What are you doing here? と言っています。
これは日本語の「こんなとこで何やってんの?」と同じような感覚で、今何をしているかを問う「質問」ではなく、「どうしてここにいるはずのない君が帰ってきてるの?」という「驚き」のセリフになります。
Shouldn't you be at work? は、You should be at work. 「君は仕事中のはずだ」を否定疑問文にした形で、「君は仕事中のはずじゃなかったのか?」という意味。

モニカは帰ってきた理由を説明していますが、ものすごい鼻声でしゃべっています。
ト書きの、congested について。
動詞 congest は「(車などが)(道路などを)渋滞させる・混雑させる」という意味で、他に「…をうっ血させる、充血させる」という意味もあります。
それらを過去分詞 congested にすると、「混雑している」「充血している」という形容詞として使われるわけですが、今回のト書きの意味は、シーンを見て明らかなように「鼻づまり状態で」という意味になります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
congested [adjective] :
2. a congested nose, chest etc. is filled with thick liquid that does not flow easily, especially because you have a cold.
congestion [noun, uncountable]
nasal congestion


つまり、「congested nose や、congested chest などは、流れにくい濃い(粘度の高い?)液体で満たされている、特に風邪を引いている場合に」。
名詞形の congestion の例に出ている、nasal congestion は「鼻づまり」の意味ですね。

「鼻が詰まっています」と言いたい場合は、My nose is stuffy. や、My nose is stuffed up. などと言うことが多いように思うのですが、congested にもそのような意味がある、ということです。

「病気なら働いちゃだめだと言われて、家に帰されちゃった」という内容をモニカは言っていますが、2つの文の主語がどちらも they になっているところが、英語っぽいなと思いました。
「(私は)家に帰された。(私は)(働くことはできない)と言われた」という日本語が頭に浮かぶと、受身(受動態)を使うのかな?という連想が働きそうですが、別にわざわざ受動態にする必要はなく、職場の人(モニカの場合は職場であるレストランの経営者?)が「モニカを家に送り返した、モニカを帰宅させた」という能動態で表現するのが自然だ、ということです。
誰がそう命じたかを詳しく説明する必要もないわけですから、they と言えば聞いている方は、主語は職場の関係者だなとわかるので、それで十分というところでしょう。

「私が病気なら」と言ったモニカの言葉を受けて、みんなは同情するような声で、Ohh! と言い、チャンドラーは彼氏らしく、So sorry you're sick. と言っています。
ソーリーと言ってももちろん謝っているわけではなく、「かわいそうに、同情するよ」「遺憾に思うよ」みたいなニュアンス。

そうやって優しく声をかけてくれたにもかかわらず、モニカは「私は病気じゃない!」と叫んでいます。
I'm not sick!! I don't get sick! という連続した2文が、モニカらしい主張ですね。
「私は(今)病気の状態じゃない! (それに)私は病気にはかからないの!」みたいな感覚になります。
これまで何度も説明したように、don't get という「現在形」は、「習慣・習性」を表すもの。
「私は病気にかかるようなことはない」「私は病気にかからない人間なの」みたいにモニカは主張していることになります。
「病気にかからない人間」ってのは言い過ぎだろう…とツッコミを入れたくなるところですが、その後で自分でも言っているように、「病気は弱い人がかかるものだ」という先入観があるようで、負けず嫌いのモニカは、病気にすら負けたくないようです。

Getting sick is for weaklings and for pansies! を直訳すると、「病気にかかること、というのは、weaklings や pansies のためのものである」みたいになるでしょうか?
病気にかかるという行為は、そういう人たち向けのものであって、私のような強い人間には、getting sick ということそのものがあり得ないのよ!みたいに言いたいのでしょう。

weakling は「虚弱者、弱虫」。
-ling という接尾辞は、「…に関係する人」という感覚。
ですから、weakling は「弱い人」という感じですね。
「虚弱な人」が病気がちなのはやむを得ないことですが、モニカはそういう「虚弱体質」だけではなく、もっと広い意味の「弱い人」というニュアンスで使っているように思います。

ちなみに、-ling という接尾辞が使われている単語で、私がいつも思い出すのは、earthling という単語。
意味は「(宇宙人に対して)地球人」。
映画「インデペンデンス・デイ」で、デイヴィッド(ジェフ・ゴールドブラム)と、ヒラー大尉(ウィル・スミス)が、エイリアンの母船に潜入した後、自分たちの顔をエイリアンたちに見せる時に言っていたセリフが、
Look at us. Take a look at the earthlings. 「俺たちを見ろ。地球人を見ろ」
でした。

LAAD では、
earthling [noun, countable] : a word used by creatures from other worlds in science fiction stories, to talk about a human
つまり、「SF で、人間について語るために、別世界からの生物によって使われる単語」。

エイリアンが人間のことを「地球人」と呼ぶ場合の英単語が earthling だということで、説明にあるように、SF で使われる単語なわけです。

その次の pansy という単語について。
pansy は「パンジー、サンシキスミレ」というお花の名前ですが、俗語としては、「女々しい男」「同性愛の男」という意味があります(軽蔑的ニュアンスがあるので、注意が必要です)。
アカデミックな辞書である LAAD には(やはり)、お花の意味しか載っていませんでしたが、マクミランにはその俗語の意味も出ています。

Macmillan Dictionary では、
pansy [noun, countable] :
2. (informal) an insulting word for a man who is weak or easily afraid
a. (offensive) an offensive word for a gay man


つまり、「(インフォーマル) 弱い、または怖がりの男性に対する侮辱的な言葉」「(侮辱的表現) ゲイの男性に対する侮辱語」。

上のモニカのセリフは、ゲイのことを言っているわけではなく、マクミランで言うところの a man who is weak or easily afraid のような人物をイメージしての発言だと思います。
とにかくモニカの考えでは、「病気は弱い人がかかるもの」という意識が強く、「弱い人」をイメージする単語を2種類挙げてみた、ということでしょう。

「私は弱くないから病気にかからないの!」と力説するモニカをなだめるように、レイチェルは、「あなたが pansy だなんて誰も思ってない」と言っています。
このレイチェルのセリフは、no one thinks..., but we do think that... という「対比」がポイントですね。
do think の do は、think を強調しています。
「A だとは誰も思ってないけど、B だとはみんなが(強く)思ってるわ」みたいな感覚です。
「私は弱い人間じゃない」って主張するのはともかく、まずは鼻水を拭いたら?と言っているわけです。
そんなことを指摘されるほど、モニカが風邪を引いているのは明らかなのに、自分は病気じゃないと必死に主張しているのが、モニカらしい、というところでしょうね。


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posted by Rach at 16:29| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月14日

君をメンテするのが好きなんだ フレンズ6-12その6

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high maintenance 「手がかかる、世話が焼ける」と言われたモニカは、みんなの前で恋人チャンドラーに、「モニカは、ハイ・メンテナンスじゃない」と言わせようとしますが、あらかじめモニカが教えたことを棒読みしているのがバレバレとなってしまいます。
それでも、自分は high maintenance じゃない!と必死に否定を続けるモニカ。
モニカ: Look, I am not high maintenance! I am not. Chandler! (ねぇ、私はハイ・メンテナンスじゃないわ!(手のかかる人間じゃないわ!) 私は違うのよ。チャンドラー!)
チャンドラー: (pauses as he struggles with what he has to say) You're a little high maintenance. ([自分が言わなければならないことと葛藤するように間を置いて] モニカは少し手がかかるよ。)
モニカ: Ahhh! You are on my list. (あー! あなたは私のリストに載ったわ。)
チャンドラー: Look, I'm sorry. But you're not-- You're not easygoing, but you, you're passionate. And that's good. And when you get upset about the little things, I think that I'm pretty good at making you feel better about that. And that's good too. So, they can say that you're high maintenance, but it's okay, because I like... maintaining you. (ねぇ、ごめんよ。でも、君は… 君はのんきで大らかじゃないけど、でも、君は情熱的だ。そして、それはいいことだよ。君が小さなことに大騒ぎしている時、そのことについて君の気分を良くしてあげることが俺はかなり得意なんだって思うんだ。それもいいことだよ。だから、君は手がかかるとみんなが言っても構わないんだ。それでいいんだよ。だって、俺は好きなんだから…君をメンテナンスするのがね。)

I am not high maintenance! 「私はハイ・メンテナンスじゃない! 私は手のかかる人間じゃない!」と必死に否定するモニカですが、チャンドラーは、You're a little high maintenance. 「君は、少し、ハイ・メンテナンスだ」と、正直な見解を述べています。
やっぱり、ハイ・メンテナンスな部分があることは否定できない、という感じですね。

怒ったモニカは、You are on my list. と言っています。
言葉通り、「あなたは私のリストに載った、あなたは私のリスト入りした」みたいなことですが、これは「私の悪口を言う人リスト、私の敵リスト」みたいな感覚ですね。
今の発言で、あなたを私の敵だとはっきり認定するわ!みたいなニュアンスでしょう。

モニカにポンポン言われると、たじたじとなり、意見をころっと変えたりすることも多いチャンドラーですが(笑)、今回は、彼氏らしく、この後も、自分の気持ちを素直に語っています。

easygoing は「のんきな、寛大な、大らかな」。
high maintenance の「正反対に位置する対義語」とまでは言えませんが、イメージ的には反対のニュアンスの言葉だと言えそうですね。
フレンズ6-12その3 で、high maintenance だと言われて怒るモニカが、「私が手がかかる人間ですって? じゃあ、リストを作って、それを一つ一つ検討しましょう!」みたいに言った後にも、フィービーは、easygoing という言葉を使って、以下のように言っていました。
フィービー: No, you're right. You're easygoing. You're just not as easygoing as Rachel. (いいえ、あなたは正しいわ。あなたは大らかよ。ただ、レイチェルほど大らかじゃない、っていうだけのことよ。)

この時のフィービーも、You're not high maintenance. を補足する意味で、 You're easygoing. と言っています。
もちろん、「モニカが大らか」というのは嘘くさいですが、「そうね、モニカは大らかだわ。ただ、レイチェルほど大らかじゃない、っていうだけで」と表現することで、「モニカが、自分はハイ・メンテナンスじゃない!って主張するのなら、いいわ、モニカは大らかってことにしときましょ」「モニカがそう言って欲しいのなら、easygoing だって言っといてあげるわよ」みたいな感じが出ている気がします。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
easygoing [adjective] : not easily upset, annoyed, or worried
つまり、「容易に、動揺したり、いらいらしたり、悩んだりしない」。

チャンドラーは、「確かにそりゃあモニカは、easygoing だとは言えない」と認めつつ、you're passionate. だと付け加えています。
いろいろなことをあっさり流せない性格だけど、それは君が情熱的な人だからだ、と付け加え、それは良いことだ、と言っています。
ロングマンの語義にあるように、チャンドラーも、get upset about the little things と upset という単語を使っているのにも注目したいところです。

I think that I'm pretty good at making you feel better about that. を直訳すると、「君が小さなことに大騒ぎすることについての君の気分をより良くしてあげることが、僕はかなり得意だと自分で思ってる」みたいなことですね。
つまり、君がちょっとしたことで騒ぎ立てた時に、君の気分を良くしてあげるのが俺は得意なんだ、君をなだめたり、君の気分を落ち着かせてあげたりするのが俺は得意なんだよ、と言い、それもまた良いことだ、と言っています。

君は情熱的、それって最高。君が大騒ぎした時、気持ちを和らげてあげるのが俺は得意、それも最高、みたいな感覚です。

みんなが君のことを、ハイ・メンテナンスと言ってもいいし、全然構わない、だって俺は…と言いながら、チャンドラーは、I like maintaining you. と言います。
maintain は、high maintenance の maintenance の動詞形。
maintain は、人を目的語に取った場合には、「(人)を養う、扶養する」という意味で使われます。
maintain one's family なら「家族を養う」という意味になります。
が、ここでは、モニカを養う、というニュアンスではなく、「維持する」「よい状態にしておく」みたいな感覚で使っていると考えるべきでしょうね。

LAAD では、
maintain : TAKE CARE OF SOMETHING
to take care of something so that it stays in good condition

つまり、「それが良い状態に保たれるように何かを世話すること」。

「モニカは手がかかる、世話やメンテが大変」みたいな意味で、みんなはモニカを、ハイ・メンテナンスだと言うけれど、そのモニカの恋人である俺は、モニカをメンテするのが好きなんだから、それでいいんだよ、みたいなセリフになります。
世話の焼けるモニカをお世話するのが好きなんだ、それが俺の彼氏としての喜びなんだ、みたいな、ボーイフレンドらしい微笑ましいセリフですね。


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posted by Rach at 15:29| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月10日

気持ちを揺さぶろうとするな フレンズ6-12その5

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プレイボーイ誌に掲載されたジョークはどちらのものか?で、まだモメているロスとチャンドラー。
そこで、モニカを呼んで、決着をつけてもらおうとします。
公正になれるのはモニカだけだ、と言われたモニカは、
モニカ: I can't be fair. You're my boyfriend. (公正にはなれないわ。あなたは私の恋人よ。)
ロス: Yeah, but I'm your brother. We're family. That's the most important thing in the world. (そうだね、でも、僕は君の兄だ。僕たちは家族だ。それは世界で一番大切なものだぞ。)
チャンドラー: (to Ross) Don't try to sway her. (To Monica) (Softly) I'm your only chance to have a baby. Okay, let's go. ([ロスに] モニカを惑わそうとしないでくれ。[モニカに、ソフトな声で] 俺は、子供を持つための、君の唯一のチャンスだぞ。よし、始めよう。)
ロス: Okay. We'll each tell you how we came up with the joke and then you decide which one of us is telling the truth. Me. (よし。僕たちはそれぞれ、モニカにどんな風にジョークを思いついたかを言う、その後で君は、僕たちのどちらが本当のことを言っているかを決めるんだ。僕だけど。)

どちらが作ったジョークかでモメている二人は、モニカなら公正な立場で判断できる、と期待しています。
チャンドラーは私の恋人なんだから、どうしてもそちらをひいきしてしまう、だから、公平になんかなれないわ、みたいにモニカは言っていますね。
それを聞いた兄のロスは、「僕は兄で、僕らは家族だ。家族って世界で一番大切なものだろ」と家族愛をここぞとばかりに強調します。

家族愛を持ち出したロスに、チャンドラーは、Don't try to sway her. と言っています。
sway は、「ゆする、ゆすぶる、揺り動かす」。
物理的に「ものを前後や左右にゆすぶる」という意味以外にも、「心・決心などを動かす、揺り動かす、左右する」という意味にもなります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
sway :
2. [transitive] to influence someone who has not yet decided about something so that they change their opinion
例) Will these arguments sway voters?

つまり、「何かについてまだ決めていない人に、意見を変えるように影響を与えること」。
例文は、「この論拠は、投票者(有権者)の心を揺り動かすだろうか?(決定に影響を与えるだろうか?)」

つまり、モニカ自身が、「チャンドラーは恋人だから、公正な立場になんてなれない」と言っているのに、「でも、家族って一番大切なものじゃないのか?」とロスがその気持ちを揺り動かそうとしているのを見て、「ほとんど決めかかっているのに、それを揺さぶろうとするな」と言っているわけですね。

チャンドラーはチャンドラーで、モニカが自分を選んでくれるように、別のアピールをしています。
I'm your only chance to have a baby. を直訳すると「俺は、赤ちゃんを持つための、君の唯一のチャンスだ」、つまり、「君が赤ちゃんを産むための、俺は唯一のチャンスなんだぞ」と言っていることになります。
人生で唯一のチャンス(笑)みたいな言い方は、いくら彼氏でもちょっと言い過ぎかと思いますが、確かにこれまでなかなか理想の彼氏に出会えなかったのは事実ですし、理想の恋人と感じた眼科医のリチャードは、父親ほど年齢が違うため、彼はモニカとの間に子供を持つことを拒んでいました。
モニカは子供が早く欲しくてたまらない、という女性なので、そのモニカの夢をかなえてあげられるのは、俺だけなんだよ、その俺をがっかりさせるつもりはないよねぇ?みたいに、赤ちゃんネタを使っているわけです。
家族の絆を強調したロスに、Don't try to sway her. と言いながら、自分も「新しい家族」を提供してあげられるのは俺だよ、みたいに、モニカの心に揺さぶりをかけているのが、チャンドラーらしいところです。

それぞれが、how 「どのようにして」そのジョークを思いついたかをモニカに話して、その後、モニカが、二人のうちのどちらが真実を語っているかを決める、という段取りになります。
you decide which one of us is telling the truth. と言った直後に、ロスは、Me. と言っていますね。
それは、前の文章、「僕らのうちのどちらが真実を言っているか」を受けて、That's me. 「それは僕だ」と言っていることになります。
別にモニカに決めてもらわなくても、それは僕だって、最初からわかりきってるけどね、みたいに、先に勝利宣言をしてしまっている感じですね。


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posted by Rach at 17:33| Comment(11) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月08日

ほら、これが最初のチップだよ フレンズ6-12その4

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売れない俳優のジョーイは、仕事がなくて金欠状態。
それを聞いたガンターは、セントラルパーク(コーヒーハウス)のウェイターとして、ジョーイを雇うことにします。
ジョーイがウェイターとして働いているのを知って、
チャンドラー: I think it's great that you work here. You're going to make a lot of money, and here's your first tip. Don't eat yellow snow. (He laughs, then picks up a pen, glares at Ross, and writes in his journal) Ah ha ha, 2:15, coffeehouse. (お前がここで働くのはいいことだと思うよ。たくさん金を稼ぐことになる。で、これがお前の最初のチップだ。黄色い雪は食べるな。 [チャンドラーは笑い、それからペンを取り、ロスをにらんで、日記を書く] あはは、2時15分、コーヒーハウス。)
レイチェル: Well, you know what? This is great. Finally, I have someone I can pass on my wisdom to. Let me tell you about a couple of things I learned while working at the coffeehouse. First of all, the customer is always right. (Joey nods.) A smile goes a long way. (Joey smiles) And if anyone is ever rude to you? Sneeze muffin. (ねえ。これって最高よ。ついに私にも、私の知識を与えられる人ができたわ。このコーヒーハウスで働いていた間に私が学んだいくつかのことをあなたに話させて。まず最初に、客はいつも正しい。[ジョーイはうなずく] 笑顔は大いに役立つ。[ジョーイは微笑む] そして、もし誰かがあなたに失礼なら? くしゃみ・マフィンよ。)

ジョーイがコーヒーハウスで働くのはいいことだよ、とチャンドラーは言います。
金を稼ぐことになるし、と言った後、here's your first tip. と言っていますね。
Here's... は、何かを手渡す時のお決まりフレーズで、「はい、これが…だよ」と言いながら手渡す感覚。
「金が稼げる」と言った後に、「はい、これがお前の最初のチップだよ」と言っているわけですから、チャンドラーが、ウェイターをやっているジョーイに、サービスの対価として、チップ(お金)を渡そうとしているのかと思いきや、チャンドラーはお金を出すことはせずに、ただ、"Don't eat yellow snow." という言葉を言うだけです。

これは、tip という言葉をかけたダジャレ、おやじギャグみたいなものですね。
チップは、日本語にもなっている「チップ」、つまり、ウェイターなどに渡す「心付け」という意味がありますが、ここでチャンドラーが言ったのは、「こつ、秘訣、ヒント」「情報、助言」という意味。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) での、それぞれの語義は以下の通り。
tip [noun] :
2. MONEY a small amount of additional money that you give to someone, such as a waiter or a taxi driver.
3. ADVICE a helpful piece of advice

つまり、2. は、「誰か、例えば、ウェイターやタクシー運転手に与える少額の追加のお金」。
3. は、「役に立つアドバイス」。

「お前に初めてのチップをあげるよ」と言っているように思わせておいて、「お前に、ちょっとした助言をあげるよ」という意味で、「黄色い雪は食べるな」と言っているわけです。
そう言った後、自分の発言に大ウケしている様子のチャンドラー。
「黄色い雪を食べるな」という言葉の内容については、その後、何も説明はありませんが、これは想像すると何となくわかってしまいますね。
真っ白できれいな雪は、かき氷みたいで思わず食べたくなることもあるけど、黄色い雪は、誰かがおしっこした後だから、食べちゃだめだ、みたいなアドバイスだったということです。

自分のジョークに大笑いのチャンドラーは、メモを取りだし、「2時15分、コーヒーハウス」とメモしています。
これは、ロスに自分のジョークを盗まれたと主張するチャンドラーが、「これからはジョークを言った時間と場所を記録しておく」と宣言するシーンが少し前にあったのですが、それを実行に移しているわけですね。

チャンドラーが、ウェイターの仕事には全く関係ないアドバイスをくれた後(笑)、レイチェルは同じように、ジョーイがここで働くことはグレイトだと言っています。
その理由は、「ついに、私の知識を渡す相手ができたから」みたいなことですね。
以下の文章で、レイチェルが言う、wisdom とは、「私がこのコーヒーハウスで働いていた時に学んだこと」であることがわかります。

レイチェルがジョーイに教えたことの第一は、「客は常に正しい」。
その次には、A smile goes a long way. と言っています。
go a long way を直訳すると、「長い道を行く、遠くまで行く」ということから、「長持ちする」「大いに役に立つ」というような意味になります。

LAAD では、
go a long way toward doing something : to help greatly in achieving something
つまり、「何かを達成するのに大いに助けになる」。

お客様に笑顔で応対したら、効果が高いわよ、みたいなことになります。

「お客様は常に正しい。そして、笑顔を忘れずに」という、標語みたいなアドバイスをした後、「もし誰かがあなたに失礼なら? 失礼なことをしたら?」と付け加えるのもまた、レイチェルらしいところ。
その答えは、Sneeze muffin.
sneeze は、名詞で「くしゃみ」、動詞では「くしゃみをする」という意味があります。
辞書を見ると、動詞としては、「自動詞」扱いになっています。

この「スニーズ・マフィン」は、おそらく、「(客に出す前に、それに向けて)くしゃみをしたマフィン」という意味でしょう。
「むかつくお客がいたら、マフィンにくしゃみしろ」という意味のアドバイスとして、sneeze を動詞の命令形として使いたいのであれば、Sneeze on/at their muffin. みたいになるように思います。
フレンズ2-5 では、チャンドラーの悪乗りに気分を害しているらしいウェイターに、
チャンドラー: You're gonna sneeze on my fish, aren't you? (俺の魚にくしゃみするつもりだろ?)
と言っているセリフもありましたね。

今回の場合は、名詞 sneeze を、形容詞的に名詞 muffin の前につけて、「くしゃみ・マフィン」みたいなイメージで言っているように私は思いました。


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posted by Rach at 16:29| Comment(5) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする