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「もしもあの時…だったら、こうなっていた可能性もある」という「もしもの世界」で話が進行しています。
その世界では、フィービーはメリルリンチで働くバリキャリになっているのですが、株取引で大損を出したショックで、心臓発作を起こしてしまい入院中。
[Scene: A hospital, Phoebe is recovering from her heart attack as Ross, Monica, and Chandler are there to comfort and support her.]
病院、フィービーが心臓発作から回復しているところ、フィービーを慰め、サポートするために、ロス、モニカ、チャンドラーがそこにいる。
ロス: Come on, Pheebs, it's not that bad! Y'know most people would be excited if they didn't have to work for a couple of weeks. (ねぇ、フィービー、そんなに悪いことじゃないよ! ほら、たいていの人なら、2、3週間働かないで済むとしたら、大喜びだよ。)
フィービー: Most people don't like their jobs. I love my job! I've been not working for three hours, and I'm already going crazy. I miss Joan. (たいていの人は自分の仕事が嫌いなのよ。私は自分の仕事が大好きなの! 私は(もう)3時間も働いてない状態で、すでに頭がおかしくなりそう。ジョアンに会いたいわ。)
モニカ: Honey, having a heart attack is nature's way of telling you to slow it down. (ハニー、心臓発作が起きるのは、自然が、あなたにのんびりするようにって言って[告げて]くれてるのよ。)
チャンドラー: I always thought having a heart attack was nature's way of telling you to die! (Phoebe glares at him.) But you're not gonna die. I mean, you are going to die, but you're not gonna die today. I wish I was dead. (心臓発作が起きるのは、自然がその人に死ぬって言ってるんだって、俺はいつも思ってたけど。 [フィービーはチャンドラーをにらむ] でも君は死なないよ。ほら、君は(いつかは)死ぬけど、今日は死なない。[いたたまれなくなって] 俺、死んじゃいたい。)
most people would be excited if they didn't... の文は、仮定法過去。
たいていの人、多くの人は、もし2、3週間働かないで済むとしたら、わくわくするだろう、大喜びするだろう、ということですね。
2、3週間も仕事を休める、ということは(よほどの理由がない限り)現実的にはあり得ないので、仮定法を使っているわけです。
普通は、たいていは、大手を振って仕事を休めるなら大喜びするもんだ、だから、今の状態ってそんなに悪くないだろ、とロスは励ましているのですね。
それに反発したフィービーは、Most people... I... という対比を使って、「たいていの人は…だけど、私は〜なの!」と、自分はそういう大勢の人たちとは考え・感覚が違うと主張しています。
みんなは自分の仕事が嫌いだから、休めると嬉しいけれど、私は自分の仕事が大好きだから、ちっとも嬉しくなんかないのよ!ということですね。
I've been not working for three hours は、継続を表す現在完了進行形。3時間、not work の状態がずっと続いている、という感覚。
3時間働いていないだけで、すでにクレイジーになりかけてる、と言っています。
I miss Joan. の Joan は、メリルリンチでのフィービーの部下の名前ですが、この人物に関しては、エピソードの前半で以下のセリフがありました。
携帯が鳴るのですが、フィービーは、まずはタバコに火をつけてから電話に出ます。
フィービー: Hang on! Hang on! Hang on! (Answering the phone.) Go!! Who's this? (Listens) Oh okay, you're gonna like working for me. What's your name? (Listens) What kind of name is Brendy? I... Whatever... Stop talking! All right, from now on your name is Joan. You can pick your own last name. (ちょっと待って! ちょっと待って! [電話に出る] ゴー! これは誰? [電話を聞いて] あぁ、わかった、あなたは私の下で働きたいのね。あなたの名前は何? [電話を聞いて] ブレンディってどんな名前よ? 私は…何でもいいわ。話すのをやめて! いいわ、今からあなたの名前はジョアンよ。名字はあなたが選んでいいわ。)
つまり、この人の本当の名前は Brendy なのですが、フィービーはその名前が気に入らなかったらしく(笑)、勝手にその人の名前を Joan にしてしまったのですね。
そういうセリフが先に出ていたために、ここで「あぁ、Joan がいなくて寂しい、Joan に会いたい」と言われても、「それは、フィービーが勝手につけた名前だろっ」とツッコミを入れたくなってしまう、という仕組みです。
忘れた頃にその話題が再登場する、というお笑いの王道ですね。
もしもの世界のフィービーは、忙しいビジネスパーソンになっているので、携帯がよく鳴るのですが、そのたびに、なぜかまずはタバコに火をつけて、さぁ、話せるわよ、という時には必ず、Go!! と言うのには笑ってしまいます。
モニカは友人らしく、フィービーをなだめるようなことを言っています。
having a heart attack is nature's way of telling you to slow it down を直訳すると、「心臓発作になるのは、あなたにのんびりするようにと nature が言う方法だ」みたいになるでしょうか。
「心臓発作が起こるのは、nature があなたに slow it donw しなさい、って言ってるのよ」みたいなことですね。
この nature's way of doing というのは決まり文句のようで、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) にも出ています。
LAAD では、
something is nature's way of doing something : used to say that something is a natural process that achieves a particular result
例) Disease is nature's way of keeping the population down.
つまり、「何かが特定の結果を達成する自然な過程・成り行きである、と言うために用いられる」。例文は、「病気は人口を低く抑えるための自然の方法・過程である」
主語が自然にそのような結果を引き起こす、という感覚でしょう。
また、nature つながりの表現として、the call of nature という言葉もあります。これは「生理的要求、尿意」のことですね。
LAAD では、
the call of nature : (informal) a need to urinate (= pass liquid from your body)
つまり、「(インフォーマル) 小便をしたいという(生理的)要求」
どうして、the call of nature も同時に説明したかと言うと、nature's way of telling you to... には、「(尿意などと同じような)肉体的・生理的要求があなたにそう言っている」という感覚も感じられる気がしたからです。
心臓発作を起こしたのは、心臓が赤信号を出している、心臓がちょっと休ませてと言っている証拠よ、みたいな感覚で、身体の機能という nature が、あなたにそう教えてくれているの、と言っているニュアンスを感じられるように思うのです。
自然、というのは、緑がいっぱいの自然、というよりも、「自然の摂理」とか「人が生物として生きている仕組み」みたいな感覚に近いのでしょうね。
今回は特に、nature's way of telling you to という形なので、「自然の摂理がそうしろと言っている」、つまり、「自然のお告げ」みたいなニュアンスなんだろうと思います。
nature's way of doing something というお決まりフレーズを使って、モニカはフィービーのワーカホリック状態をいさめるのですが、チャンドラーは同じフレーズで、別のことを言っています。
「モニカはそう言うけど、俺はずっと、心臓発作は、nature が、お前は死ぬよと言っているんだと思ってた」みたいな感覚ですね。
nature が教えてくれる兆候、サインだと言うならば、心臓発作は心臓がもうすぐ止まるってサインじゃないのか?みたいな、ブラックなジョークですね。
今は元気にしゃべっているとは言え、心臓発作を起こした直後の人間に言う言葉ではありませんから、フィービーはチャンドラーをにらんでいます。
それにビビったチャンドラーは、何とかフォローしようとしますが、どんどん深みにハマっていく様子がチャンドラーらしくて面白いです。
「心臓発作は、もうすぐ死ぬっていう自然のお告げだろ」みたいに言ってしまったので、「いや、別に俺はフィービーが死ぬって言ってるわけじゃないぞ、フィービーは死なないよ」と慌ててフォローしたのですが、「死なないって言っても、不死身の身体じゃないから、やっぱりいつかは死ぬんだけどね」と言い直し、「いつかは死ぬけど、今日は死なない、って言ってるんだ」と付け加えます。
いろいろ表現を言い変えてみたところで、die という言葉を連発するのは、心臓発作後の患者には不適切な発言ですから、どんどん泥沼にはまっていく感じです。
die という単語を何度も言って、もうこれ以上フォローできないとわかった後に、I wish I was dead. と言うのがチャンドラーらしいです。
これも仮定法で、「現在の事実に反する願望」ですね。
今自分はピンピンしているけれど、不適切発言をしちゃって窮地に立たされてる、俺、死にたい、死んじゃいたい…みたいな感覚です。
フレンズ1-2その1 でも、I wish I wad dead. というフレーズが出ていました。
紙を丸めてその辺に捨てたことを冗談交じりに説明していたら、親が来るのでピリピリしているモニカが激怒したので、最後には、I wish I was dead. と言うしかなかった、みたいなセリフでした。
どちらの場合も、みんなの視線が冷たくて居心地が悪いので、「もう、俺、消えちゃいたい」みたいな感じですね。
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