2012年05月07日

床に押さえつけて動けなくする フレンズ6-17その5

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護身術には「ウナギ」の極意が必要、などと適当なことを言っていたロスでしたが、レイチェルとフィービーを不意打ちしようとして、逆に押さえ込まれてしまいます。
そういうことがあってから、しばらく後のシーン。
[Scene: A women's self-defense class, the instructor is just finishing a class.]
女性の護身術の授業、インストラクターはちょうど授業を終わろうとしているところ。
インストラクター: Okay, ladies, that ends today's class. And let's remember, let's be safe out there. (よし、みんな、今ので今日の授業は終わり。それから覚えておいて、外では安全にね[気を付けてね]。)
(The women all clap and start to leave as Ross comes up to the instructor. Apparently he was hiding in the back.)
女性たちは全員拍手をし、部屋を出ようとする。その時、ロスがインストラクターに近づいてくる。どうやら彼は後ろに隠れていたようだ。
ロス: It's a great class. (素晴らしい授業でしたよ。)
インストラクター: Thanks. (ありがとう。)
ロス: Yeah, yeah, I was watching. (The instructor just nods and walks away.) Umm, hey, a couple of questions though. Umm, about that-that-that last move where the woman tripped you and then pinned you to the floor? What-what-what-what would you do next? (ほんと、ほんと、僕は見てたんですよ。[インストラクターはただうなずいて、歩き去る] あー、ねぇ、2、3、質問があるんですけど。うーんと、あの最後の動き、女性が君をつまずかせて、それから、君を床に押さえつけて動けないようにする、あの動きのことだけど。次はどうするのかな?)
インストラクター: Well, she would take the keys and try to jam them in your-- (そうだな、彼女は鍵を取り出して、それを押し込むだろうね、そいつ[犯人]の…)
ロス: No. No-no. No. What would YOU do next? (違う、違うよ。”君は”次にどうするの?)
インストラクター: Who? Me, the attacker? (誰だって? 俺、襲う[襲撃する]人間の方(ほう)?)
ロス: Yes, that's right. (そう、その通り。)
インストラクター: Why? (どうして(そんなことを聞くんだ)?)
ロス: I tried attacking two women. Did not work. (僕は2人の女性を襲おうとしたんだ。うまくいかなかった。)
インストラクター: What?! (何だって?)
ロス: No, I mean it's okay, I mean, they're-they're my friends. In fact, I-I-I was married to one of them. (いや、大丈夫なんだよ。だって、その二人は僕の友達なんだ。実際、僕はそのうちの一人と結婚してたんだよ。)
インストラクター: Let me get this straight, man, you attacked your ex-wife?! (ちょっとこのことを整理させてくれよ。君は自分の元妻を襲ったのか?)
ロス: Oh, no! No-no! No, I tried! But I couldn't. That's why I'm here. Maybe we could attack them together! (He glares at him.) That-that's a no. (ああ、違う、違うんだ。僕は襲おうとした(だけな)んだ。でも失敗した。だから僕はここにいるんだよ。多分、君と僕とが一緒なら、彼女たちを襲えると思うんだけどな! [インストラクターはロスをにらむ] それって、ダメだよね。)

インストラクターのセリフ、that ends today's class の end は「…を終える、…の終わりとなる」という他動詞。
最後に何かをやって、that 「それが、今のが」、今日の授業を終える、今日の授業の終わりとなる、なので、「今ので今日の授業は終わり、おしまい」という感覚になるのですね。

生徒たちが立ち去ろうとする中、ロスが手を叩きながら、軽やかなステップでインストラクターに近づいてきます。
great な授業だった、などとロスは言葉では褒めているのですが、インストラクターの方は、知らない男性が突然やってきて親しげに話しかけるので、あまり関わりたくないと思っている様子が伺えます。

そこでロスは、「2、3、質問があるんだけど」と言って、本題に入ろうとします。
about that last move where S+V は、「SがVする(という)あの最後の動きについて」という感覚。
where は関係副詞で、that last move の中で、SがVという行動をする、のように、that last move の内容を、後から詳しく説明していることになります。
ここでの trip は他動詞で「人をつまずかせる、転ばせる」。
pin は名詞だと「ピン、画びょう」で、それを他動詞として使うと、「…をピンで留める」ことから、「…を押さえつける、動けないようにする」という意味になります。
この場合は、「人を床に押さえつけて動けなくする」ということですね。
「人をピンで床に留める」というイメージからも想像しやすい動きだと言えるでしょう。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
pin : to make someone unable to move by putting a lot of pressure or weight on them
つまり、「多くの圧力や体重を上にかけることで、人を動くことができないようにすること」。

インストラクターが最後に示してみせた、「襲ってきた男性を転ばせて、床に押さえつける動作」についての質問なんだけど、と言ってから、次に you はどうするの?とロスは尋ねています。
インストラクターは、she would を使って、「襲われた女性は…するだろう」と説明しています。
jam は「詰め込む、押し込む」という動詞で、この場合は目的語が、in your-- で止まっているのではっきりとはわかりませんが、襲ってきた男の口や目(?!)などにキーを押しこんで、相手に痛い思いをさせ、ひるませる、みたいなことを言いたかった…のでしょうか?
ですがロスは、「違う違う」と言って、you というのは「君」のことだよ、と YOU を強調して、再度同じ質問をします。

このクラスはあくまで「女性の護身術」を習う授業なので、What would you do next? と尋ねた場合、護身術を行なっている女性が次に何をするのか?という質問だと受け取るのが普通ですね。
その場合の you は、一般の人を表す you で、そういう動きがあった後、「人は次にどう行動するか?」を尋ねているように聞こえるわけです。
それでインストラクターは、「男を押さえつけた後、その女性はこうする」と、女性の次の行動を説明したのですが、ロスは、you というのは、一般の人、このクラスで言うところの女性の受講者のことではなくて、「君自身」はその後、どうするの?と尋ねてるんだよ、と訂正しているということです。

そう言われて、「誰? 俺のこと? 襲う方の人間のこと?」とインストラクターは驚いています。
Why? と言っているのも、護身術のクラスなのに、襲う人間の次の行動を尋ねてどうするんだ? 何でそんなこと聞くんだ?という気持ちなのですね。

ロスは、「僕は2人の女性を襲おうとしたけど、うまくいかなかった」と言っています。
レイチェルとフィービーに「ウナギ」の極意を教えようと不意打ちしたけれど、逆に押さえつけられたことをそう説明しているので、確かに事実なのですが、その言葉だけを聞いたインストラクターにしてみれば、「女性を襲おうとして失敗した、だって?」と、「こいつは犯罪者、変質者なのか?」みたいな目で見てしまうのも無理のないところ。

相手が何か不審なものを感じていることに気づいたロスは、さらに詳しく事実を説明するのですが、「二人は友達で、一人は元妻」という内容だったので、「君は元妻を襲ったのか?」とまた驚かれてしまいます。
まるで、離婚後もストーカーのように付きまとう DV夫みたいに思われてしまったのですね。

attacked 「襲った」という過去形を使ったインストラクターに、ロスは、attacked じゃなくて、tried to attack 「襲おうとした」けど、I couldn't. 「できなかった、失敗した」んだと訂正しています。
インストラクターにしてみれば、襲ったという事実が実際に成功しようが失敗しようが、「元妻を襲おうとした男」のイメージは変わらないわけですが、ロスにしてみると、「実際に襲ったんじゃなくて、襲おうとしてそれがうまくいかなかった、と僕は言ってるんだよ」とあくまで「未遂」に終わったことを強調しているわけです。

That's why I'm here. は、That's the reason why I'm here. 「それが僕が(今)ここにいる理由だ」ということで、「襲おうとして失敗したから、どうすれば失敗しないで済むか、反撃することができるかを尋ねようとここに来たんだ」と言っていることになります。
護身術を教えている君なら、当然それを跳ね返す方法も知ってるんだろうから、とばかりに、「君と一緒なら、多分、彼女たちを襲うこともできそうだよね」と誘ってみるのですが、彼ににらまれて、「それって、ノー、ダメ、ってことだよね」とあきらめます。

このシーンは、ロスは確かに事実をそのまま述べているものの、事情を知らない人が聞くと、「こいつはどこまでアブないやつなんだ!?」とあきれかえってしまうようなことを言っている、という面白さにあるでしょう。
ロスが説明すればするほど、相手の不審感はどんどん高まっていく…という様子を、英語のセリフから感じ取っていただければと思います。


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posted by Rach at 16:42| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月04日

今宵の君は、を入れたテープ フレンズ6-17その4

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[Scene: Monica and Chandler's, Monica is getting ready for Chandler's arrival. He enters and finds the place lit with candles and dinner on the table.]
モニカとチャンドラーの部屋。モニカはチャンドラーが帰宅するので(食事の)準備中。チャンドラーが部屋に入ると、その場所にはキャンドルが灯され、テーブルにはディナーが置いてある。
チャンドラー: Oh, my good God. (あぁ、なんてことだ。)
モニカ: Hey! Continuing the countdown of your favorite meals. Tonight, No. 3, macaroni and cheese with cut-up hot dogs. (はーい! あなたのお気に入りの食事のカウントダウンは継続中よ。今夜は、第3位、切り刻んだソーセージ入りのマカロニ&チーズよ。)
チャンドラー: Look, you have done enough! Okay? You have to stop this now. (ねぇ、君はもう十分してくれたよ、だろ? もうこんなことやめないといけないよ。)
モニカ: I will! But not tonight. For dinner music, I thought we could listen to that tape that you made me. (やめるわよ! でも今日はまだやめない。ディナーの音楽として、あなたが私に作ってくれた、あのテープを聞くことができるんじゃないか、って思ってたの。)
チャンドラー: Oh, the mixed tape. (あぁ、例の編集テープね。)
(Monica pushes play and The Way You Look Tonight starts to play.)
モニカはプレイボタンを押すと、The Way You Look Tonight が流れ始める。
モニカ: "The Way You Look Tonight" is on here! Dance with me? (ここに、The Way You Look Tonight が入ってるのね! 私と踊る?)
(He hesitates, then goes over to dance with her.)
チャンドラーは躊躇し、それから踊ろうとモニカのところに行く。
モニカ: You are just the sweetest. (They kiss.) (あなたって最高に素敵ね。[二人はキスする])
(Suddenly, a strange and familiar voice comes out of the tape player. Here's a hint, OH... MY... GAWD!! That's right, it's Janice!)
突然、奇妙で、また聞き覚えのある声がテーププレーヤーから聞こえてくる。これがヒント、オー、マイ、ゴッド! その通り、ジャニスだ!
ジャニス: I love the way you look every night, Chandler! (Monica breaks the kiss and Chandler freezes in terror.) That's why I made you this tape! Happy Birthday! Love, Janice! (毎晩のあなたの姿[様子]を愛してるわ、チャンドラー! [モニカはキスをやめ、チャンドラーは恐怖で凍りつく] だから私はあなたにこのテープを作ったの! お誕生日おめでとう! 愛してるわ、ジャニスより!)
チャンドラー: No! You're the sweetest! (He tries to kiss her but Monica backs away with a look that could kill on her face.) (いやいや! 君が最高に素敵だよ! [チャンドラーはモニカにキスしようとするが、モニカは殺しかねないような表情を顔に浮かべながら、後ずさりする]

チャンドラーが帰宅すると、部屋にはロマンティックなキャンドルが灯され、夕食の用意もされています。
モニカは、「あなたの好きな食事のカウンドダウンが続いてるのよ」と言いながら、今夜は第3位の、macaroni and cheese with cut-up hot dogs だと説明します。
cut up は「切り刻む」。
hot dog は日本語の「ホットドッグ」のように、パンにソーセージを挟んだものを想像しがちですが、その「パンにソーセージを挟んだもの」だけではなく、ソーセージそのものも、hot dog と言います。
今回は cut-up hot dogs なので、「小さく切り刻まれたソーセージ」を指しているわけです。

マカロニ&チーズは、フレンズ5-8その2 にも出てきたように、手軽に作れる料理の代表選手みたいなメニュー。
それに、切ったソーセージを加えただけなので、シェフであるモニカにしては、腕の振るい甲斐がないような料理なのですが、それを豪華な肉料理でも入っているかのようにものものしく、金属のドーム型の蓋をあけてジャジャーン!と見せているのに笑えます。そのギャップが面白い、って感じですね。

You have done enough. の完了形のニュアンスを出そうとすると、「君はもうこれまでに十分なことをしてきた」という感じになるでしょうか。
埋め合わせをすると言っていろいろとしてくれたけど、もう十分だから、もうこんなことはやめないといけない、やめてくれたらいいんだよ、と言っているわけですね。
自分の手作りではないものを、「君のために作ったテープだ」と言って渡したことが後ろめたくて、モニカが尽くしてくれればくれるほど、申し訳ない気持ちになっているわけです。

I will! But not tonight. は、「こういうことは(いつか近い将来)やめるわ、でも、今日はやめない[やめるのは今日じゃない]」という感覚。
そして、ディナーの音楽として、あなたが作ってくれたあのテープを聞くことができるかな、って思ってたの、と言います。

テープを再生すると、流れてきたのは、The Way You Look Tonight という曲。
Wikipedia 英語版: The Way You Look Tonight
を見ると、さまざまな人にカバーされているスタンダードだということがわかります。
邦題では「今宵の君は」というタイトルがつけられているようですね。

手作りのものが見つからず、寝室で見つけたカセットテープをとっさに手作りだと偽ってプレゼントした時、以下のようなやり取りがありました。
モニカ: Oh, what a great gift! Is "The Way You Look Tonight" on it? (まぁ、何て素敵なプレゼントなの! "The Way You Look Tonight" は入ってる?)
チャンドラー: (momentarily terrified) Maybe we'll have to listen and see! ([一瞬、怯えて] 多分、聞いてみたらわかるよ!)

モニカが、「このテープにその曲は入ってる?」と真っ先に尋ねた曲が入っていたので、モニカは感動しているわけです。と同時にチャンドラーも、「良かった、この曲、入ってて…」と安心しているだろうこともわかります。

ロマンティックなムードになって、二人はゆっくり踊り始めます。
You are just the sweetest. は、フレンズでよく出てくる、You're (so) sweet. の最上級の形で、「あなたってほんとに、最高に優しいのね、素敵ね」というニュアンス。
そんな感じでいい雰囲気になる二人ですが、次のト書きを読むと、笑ってしまいますね。
「奇妙で聞き覚えのある声がプレーヤーから聞こえてくる」という部分が、声が特徴のキャラ、ジャニスの説明として絶妙な感じ。

The Way You Look Tonight の曲の合間に、ナレーションのようにジャニスの声が入っており、「私は the way you look every night が好き、だから、"The Way You Look Tonight" というタイトルの、この曲をテープに入れたのよ」というようなメッセージが入っています。
改めてその曲のタイトル the way you look tonight を直訳してみると、「今夜、あなたがどのように見えているかという様子」みたいな感じになるでしょうか。
「今夜のあなたの様子、姿」みたいな意味なので、曲の邦題も「今宵の君は」と訳されているわけですね。
それと同じ感覚で、ジャニスは「今夜だけではなくて、毎晩のあなたの様子、あなたの姿を私は愛してる、だからこの曲を選んだの」と曲選択の理由を説明していることになります。

こういう the way は、ビリー・ジョエルの名曲、Just The Way You Are のニュアンスと同じですね。
この曲の邦題は「素顔のままで」ですが、原題のニュアンスが「君が今あるそのままの状態で」という感覚なので、そういう邦題になったわけです。
その「素顔のままで」の歌詞に、"I love you just the way you are" というフレーズがありますが、それは「そのままの君を愛している」ということになります。
the way you look や、the way you are などのフレーズは、そういう恋人同士でのロマンティックな会話によく登場するということですね。

「誕生日おめでとう、Love, Janice」というメッセージから、このテープはジャニスがチャンドラーの誕生日にプレゼントしたものであることも、モニカにバレてしまったわけです。
チャンドラーの手作りだと思って感激していたモニカは、真実を知って驚きあきれた顔をしています。
その様子に気づいたチャンドラーは、そのテープのナレーションなど聞かなかったかのように、さきほどの You are just the sweetest. と言ったモニカに返事する形で、「いや、(僕じゃなくて)最高に素敵なのは君だよ!」とごまかそうとするのですが、モニカは「もうだまされないわ」という怖い顔で、キスしようとするチャンドラーから逃げるように後ずさりするのにも笑えますね。

ジャニスの強烈キャラにはいつも笑ってしまいますが、絶妙なタイミングで登場した彼女の「声」だけでも、ここまでのインパクトを与えられるところに、見事にキャラ立ちしたジャニスというキャラの完成度(?)を見る気がして、面白いなと思いました。
こういうところが、シリーズものの醍醐味、というところですね。


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posted by Rach at 08:43| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月01日

望むものを何でも、こっちとあっちで フレンズ6-17その3

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今年のバレンタインデー当日はモニカが忙しかったため、2週間遅れで祝うことにしたチャンドラーとモニカ。
それぞれが相手のために手作りの贈り物をする、と約束したのですが、チャンドラーはプレゼントを手作りすることができません。
二人の寝室で、適当なものを探していたチャンドラーは、a mixed tape (音楽や音声をミキシングした編集テープ)を発見し、それを手作りギフトとしてモニカに贈ることにします。
手作りカセットテープ(カセットテープ、って時代を感じさせますが…笑)に感動したモニカは、自分のプレゼントをチャンドラーに渡すのですが、
(He opens his present to find Phoebe's sock bunny from earlier.)
チャンドラーが自分へのプレゼントを開けると、先のシーンで出てきたフィービーの(手作り)靴下バニー(ソックスで作ったウサギ)であることがわかる。
チャンドラー: It's a sock bunny. (靴下バニーだ。)
モニカ: Yeah-yeah, remember how I call you bunny? (そう、そうよ、私があなたをバニーって呼ぶのを覚えてるでしょ?)
チャンドラー: Not really. (いや、あんまり。)
モニカ: Well, I did one time, and-and I want to start doing it more. See, that's what this is about. (そうねぇ、一度、そうした[あなたをそう呼んだ]わ、そして、もっとそうするように始めたいと思うの。ほら、これは、そういうことなのよ。)
チャンドラー: I see. Y'know umm, Phoebe makes sock bunnies. (わかったよ。ほら、うーんと、フィービーは靴下バニーを作るよね。)
モニカ: No! No, she doesn't. Uh Phoebe, what she makes- that's uh- they're sock rabbits. They are completely different-- Okay! Okay! Okay! I didn't make it! I'm sorry! I totally forgot about tonight and the fact that we're supposed to make the presents! (いいえ! いいえ、フィービーは作らないわ。あー、フィービー、彼女が作るのは、それは…靴下ラビットよ。それって全く違う…。わかった、わかった、わかった! 私はそれを作ってない。ごめんなさい! 今夜のことと、私たちがプレゼントを作ることになっていたって事実を、私はすっかり忘れてたの!)
チャンドラー: Oh, it's okay. I don't-- (ああ、いいんだよ、俺も…してないし…)
モニカ: No-no, it's not okay! It's not! I mean you were just.... You're so incredible! You went through all this time and effort to make this tape for me! Y'know I'm just gonna- I, I am gonna make this up to you! I will! I-I am going to cook anything you want in here (points to the kitchen), and I am going to do anything you want in there! (Points to the bedroom.) (いいえ、よくないわ! よくない! だって、あなたはただ… あなたってすごいわ! あなたはこんな時間と努力をかけて、私のためにこのテープを作ってくれたんだもん! ほら、私はあなたにこの埋め合わせをするわ! きっとよ! 私はあなたが望むものを何でも料理してあげるわ、こっちで[台所を指差す] そして、あなたが望むことを何でもしてあげるわ、そっちで[寝室を指差す]。)
チャンドラー: (thinking it over) Well, I did put a lot of thought into the tape. (They both run into the bedroom.) ([その件について思いを巡らせて] そうだな、そのテープのことはほんとにいろいろと考えたんだよなぁ。 [二人は寝室に走って入る])

部屋で偶然見つけた編集テープを「俺の手作りなんだ」とプレゼントしたチャンドラーでしたが、モニカからのプレゼントは、ソックスでできたウサギ(a sock bunny)。
これより前のシーンで、「何か手作りのものを持ってない?」と、チャンドラーがフレンズたちに相談していた時に、フィービーが見せていたのがこれと全く同じものでした。
だから、チャンドラーは、そのバニーを見て、唖然としているのですね。

モニカは自分の手作りだとごまかそうと必死で、「私があなたをバニーって呼ぶの、覚えてるでしょ?」と言います。
Not really. は「あんまり覚えてない、よく覚えてない」みたいなニュアンスで、完全否定ではありませんが、はっきり完全否定すると角が立つので、こんな風に軽く否定してみた、というところでしょう。
チャンドラーにバレているとも知らず、モニカはまだ、嘘を続けます。
I did one time. は、I called you bunny one time. 「私は過去に一度、あなたをバニーと呼んだ」という意味。
その後の文章を直訳すると、「あなたをもっとたくさんバニーと呼ぶことを始めたいと思っている」ということで、「過去に一度あなたをバニーと呼んだけど、これからはもっとそう呼びたいと思ってるの」という感じですね。
See, that's what this is about. の that は、直前のモニカ自身のセリフ、「あなたを過去にバニーと呼んで、これからもっとそう呼びたいと思っていること」を指します。
this は、チャンドラーへのプレゼントの靴下バニー、もしくは、「チャンドラーに靴下バニーをプレゼントすること」を指すでしょう。
日本語では、「ね、これはそういうことなのよ」と訳しましたが、それはつまり、「こんな風にあなたにバニーちゃんのプレゼントをあげたのは、あなたをこれからもっとバニーと呼びたいと思っているからなのよ」と言っていることになります。

ついにチャンドラーは、「フィービーが靴下バニーを作る」ことをモニカに告げます。
このセリフについては、makes という「現在形」が使われているのに注目すべきですね。
チャンドラーは、「モニカが作ったと主張している、その靴下バニーは、フィービーが作った(ものだ)」と言っているわけではありません。
目の前の靴下バニーの作者が誰かを言っているのではなくて、「フィービーが(フィービーも)、靴下バニーを作るんだ、作るよ」と言っているだけです。
いきなり、モニカのプレゼントを「それはフィービーの作ったもんだろ!? モニカは嘘をついてるんだろ?!」と否定するのではなく、「俺はフィービーがそれと同じような靴下バニーを作ることを知ってるんだけど」と先にやんわり伝えることで、「俺はそれがフィービー作だとわかってるんだけどな」と言外に示唆しているわけですね。
これまでのフレンズで何度も出てきたように、現在形は「習慣、習性」を表しますので、チャンドラーのセリフはあくまでも、「フィービーは靴下バニーを作る」という彼女が日常行う行為を語っているだけであって、決して、Phoebe made the sock bunny. 「フィービーが”その”靴下バニーを作った」と直接的にモニカの嘘を糾弾しているわけではない、ということです。

現在形を使ったチャンドラーに対して、モニカも現在形の否定文で、「フィービーは靴下バニーを作らないわ」と否定します。
その後も、「フィービーが作るのは靴下ラビットで、靴下バニーとは全然違うわよ…」みたいに、理由にならない理由を言っているところに、追い込まれてしまっている様子がよくわかりますね。
ついに意を決して、「私は靴下バニーを作っていない」と自分の手作りでないことをモニカは認め、「今夜のこと、プレゼントを手作りすることになってたこと、をすっかり忘れてたの!」と正直に謝ります。

チャンドラーも偶然部屋で見つけた音楽テープを「俺の手作り」と嘘をついて渡しただけなので、謝るモニカを見て、「いや、いいんだよ、俺もこのテープを作ってないんだ(I don't make this tape.)」と告白しようとしたのですが、I don't-- まで言ったところでモニカがセリフをかぶせてきて、「よくないわ! あなたはほんとに素晴らしいんだもの!」と言って、チャンドラーが自分のために手間をかけて音楽テープを編集してくれたことを賞賛します。

You went through all this time and effort to make this tape for me! の go through は「耐える、切り抜ける、終える」みたいな「やり遂げる」感覚ですね。
「私にこのテープを作るために、このすべての時間と努力をかけてやり遂げてくれた」みたいな感謝の気持ちです。
あなたは手間暇かけて私に手作りのプレゼントを作ってくれた、だから、(他人のプレゼントを使ってごまかそうとした)私にどうか埋め合わせをさせて、みたいにも言っています。

モニカは、I am going to 「私は…するつもりである」を使って、埋め合わせの内容を説明しています。
前半は、「あなたが欲しいものを何でも料理してあげる、ここで」と言って、here のところで台所を指差しています。
後半は、「あなたが(して)欲しいことを何でもしてあげる、あそこで」と言って、there のところで寝室を指差していますね。
シェフであるモニカが、「あなたの好きな料理を何でも作ってあげる」というのは、埋め合わせとしてまず想定される話ですが、in the kitchen の部分をあえて、in here と言って指で場所を示しているのがポイントですね。
同様に、後半では、「あなたの望むこと、何でもしてあげるわ、あっちでね」と寝室を指差すことで、「え? あっち、つまりベッドルームで何でも好きなことをしてくれるの?!」とチャンドラーが喜び、寝室とはっきり言うよりも「あそこで」と言う方が余計にエッチな雰囲気が増す、という効果があるわけです。
どちらも同じように、anything you want 「あなたが望むもの・ことを何でも」という表現が使われているのもポイントですね。
動詞は、cook と do のように異なってはいますが、場所に関しては、台所と寝室、という具体的な場所の単語は出さずに、here と there を指で示すことで、「こっちであなたの望むもの(を料理する)、あっちでもあなたの望むこと(をする)」と言っているところに、よりセリフとしての面白さが出ていることになるでしょう。

そのテープは自作じゃない、と告白しかけていたチャンドラーでしたが、「あっちで何でも望むことをしてあげる」と言われて、急に表情が変わるのも面白いです。
put thought into を直訳すると、「考え、思考を…に入れる、注入する」という感覚になるでしょうか。
今回は、put a lot of thought into ですから、「多くの考えを…に注入する」みたいな感じで、「…のことをいろいろとよく考えた、時間をかけて考えた」というニュアンスになるでしょう。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
put time/energy/work/enthusiasm etc. into something : to use a lot of time, energy etc. when you are doing an activitiy.
例) The kids have put a lot of energy into planning the trip.

つまり、「何かの活動をしている時に、多くの時間やエネルギーなどを使うこと」。
例文は、「その子供たちは、旅行の計画に多くのエネルギーを費やした」。

ロングマンの英文では、「時間、エネルギー、仕事、情熱」などが使われていますが、今回のチャンドラーのセリフでは、thought になっているので、「そのテープを作るのに、あれやこれやといっぱい悩んで考えたんだ」みたいなニュアンスで使っていることになります。

少し前にモニカが、You went through all this time and effort to make this tape for me! と言ってくれたことを、別の表現で言い変えた感じです。
I did put のように、強調のための did が入っていますので、put a lot of thought をさらに強調した感じで、「そのテープ作成に当たっては、ほんと、いろんなことを考えに考えたんだよ〜」と、自分がそのテープを作るのにどれだけの努力をしたか、ということを主張しているわけですね。

そのまま、寝室に走って行く二人に笑ってしまいますが、最初は「俺も自作じゃない」と言おうとしていたのに、モニカのセクシーなお誘いにつられて、「いやぁ、それを作るのには、随分苦労したんだよ」と、ころっと変わる様子をセリフから感じていただければと思います。


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posted by Rach at 16:19| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする