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護身術には「ウナギ」の極意が必要、などと適当なことを言っていたロスでしたが、レイチェルとフィービーを不意打ちしようとして、逆に押さえ込まれてしまいます。
そういうことがあってから、しばらく後のシーン。
[Scene: A women's self-defense class, the instructor is just finishing a class.]
女性の護身術の授業、インストラクターはちょうど授業を終わろうとしているところ。
インストラクター: Okay, ladies, that ends today's class. And let's remember, let's be safe out there. (よし、みんな、今ので今日の授業は終わり。それから覚えておいて、外では安全にね[気を付けてね]。)
(The women all clap and start to leave as Ross comes up to the instructor. Apparently he was hiding in the back.)
女性たちは全員拍手をし、部屋を出ようとする。その時、ロスがインストラクターに近づいてくる。どうやら彼は後ろに隠れていたようだ。
ロス: It's a great class. (素晴らしい授業でしたよ。)
インストラクター: Thanks. (ありがとう。)
ロス: Yeah, yeah, I was watching. (The instructor just nods and walks away.) Umm, hey, a couple of questions though. Umm, about that-that-that last move where the woman tripped you and then pinned you to the floor? What-what-what-what would you do next? (ほんと、ほんと、僕は見てたんですよ。[インストラクターはただうなずいて、歩き去る] あー、ねぇ、2、3、質問があるんですけど。うーんと、あの最後の動き、女性が君をつまずかせて、それから、君を床に押さえつけて動けないようにする、あの動きのことだけど。次はどうするのかな?)
インストラクター: Well, she would take the keys and try to jam them in your-- (そうだな、彼女は鍵を取り出して、それを押し込むだろうね、そいつ[犯人]の…)
ロス: No. No-no. No. What would YOU do next? (違う、違うよ。”君は”次にどうするの?)
インストラクター: Who? Me, the attacker? (誰だって? 俺、襲う[襲撃する]人間の方(ほう)?)
ロス: Yes, that's right. (そう、その通り。)
インストラクター: Why? (どうして(そんなことを聞くんだ)?)
ロス: I tried attacking two women. Did not work. (僕は2人の女性を襲おうとしたんだ。うまくいかなかった。)
インストラクター: What?! (何だって?)
ロス: No, I mean it's okay, I mean, they're-they're my friends. In fact, I-I-I was married to one of them. (いや、大丈夫なんだよ。だって、その二人は僕の友達なんだ。実際、僕はそのうちの一人と結婚してたんだよ。)
インストラクター: Let me get this straight, man, you attacked your ex-wife?! (ちょっとこのことを整理させてくれよ。君は自分の元妻を襲ったのか?)
ロス: Oh, no! No-no! No, I tried! But I couldn't. That's why I'm here. Maybe we could attack them together! (He glares at him.) That-that's a no. (ああ、違う、違うんだ。僕は襲おうとした(だけな)んだ。でも失敗した。だから僕はここにいるんだよ。多分、君と僕とが一緒なら、彼女たちを襲えると思うんだけどな! [インストラクターはロスをにらむ] それって、ダメだよね。)
インストラクターのセリフ、that ends today's class の end は「…を終える、…の終わりとなる」という他動詞。
最後に何かをやって、that 「それが、今のが」、今日の授業を終える、今日の授業の終わりとなる、なので、「今ので今日の授業は終わり、おしまい」という感覚になるのですね。
生徒たちが立ち去ろうとする中、ロスが手を叩きながら、軽やかなステップでインストラクターに近づいてきます。
great な授業だった、などとロスは言葉では褒めているのですが、インストラクターの方は、知らない男性が突然やってきて親しげに話しかけるので、あまり関わりたくないと思っている様子が伺えます。
そこでロスは、「2、3、質問があるんだけど」と言って、本題に入ろうとします。
about that last move where S+V は、「SがVする(という)あの最後の動きについて」という感覚。
where は関係副詞で、that last move の中で、SがVという行動をする、のように、that last move の内容を、後から詳しく説明していることになります。
ここでの trip は他動詞で「人をつまずかせる、転ばせる」。
pin は名詞だと「ピン、画びょう」で、それを他動詞として使うと、「…をピンで留める」ことから、「…を押さえつける、動けないようにする」という意味になります。
この場合は、「人を床に押さえつけて動けなくする」ということですね。
「人をピンで床に留める」というイメージからも想像しやすい動きだと言えるでしょう。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
pin : to make someone unable to move by putting a lot of pressure or weight on them
つまり、「多くの圧力や体重を上にかけることで、人を動くことができないようにすること」。
インストラクターが最後に示してみせた、「襲ってきた男性を転ばせて、床に押さえつける動作」についての質問なんだけど、と言ってから、次に you はどうするの?とロスは尋ねています。
インストラクターは、she would を使って、「襲われた女性は…するだろう」と説明しています。
jam は「詰め込む、押し込む」という動詞で、この場合は目的語が、in your-- で止まっているのではっきりとはわかりませんが、襲ってきた男の口や目(?!)などにキーを押しこんで、相手に痛い思いをさせ、ひるませる、みたいなことを言いたかった…のでしょうか?
ですがロスは、「違う違う」と言って、you というのは「君」のことだよ、と YOU を強調して、再度同じ質問をします。
このクラスはあくまで「女性の護身術」を習う授業なので、What would you do next? と尋ねた場合、護身術を行なっている女性が次に何をするのか?という質問だと受け取るのが普通ですね。
その場合の you は、一般の人を表す you で、そういう動きがあった後、「人は次にどう行動するか?」を尋ねているように聞こえるわけです。
それでインストラクターは、「男を押さえつけた後、その女性はこうする」と、女性の次の行動を説明したのですが、ロスは、you というのは、一般の人、このクラスで言うところの女性の受講者のことではなくて、「君自身」はその後、どうするの?と尋ねてるんだよ、と訂正しているということです。
そう言われて、「誰? 俺のこと? 襲う方の人間のこと?」とインストラクターは驚いています。
Why? と言っているのも、護身術のクラスなのに、襲う人間の次の行動を尋ねてどうするんだ? 何でそんなこと聞くんだ?という気持ちなのですね。
ロスは、「僕は2人の女性を襲おうとしたけど、うまくいかなかった」と言っています。
レイチェルとフィービーに「ウナギ」の極意を教えようと不意打ちしたけれど、逆に押さえつけられたことをそう説明しているので、確かに事実なのですが、その言葉だけを聞いたインストラクターにしてみれば、「女性を襲おうとして失敗した、だって?」と、「こいつは犯罪者、変質者なのか?」みたいな目で見てしまうのも無理のないところ。
相手が何か不審なものを感じていることに気づいたロスは、さらに詳しく事実を説明するのですが、「二人は友達で、一人は元妻」という内容だったので、「君は元妻を襲ったのか?」とまた驚かれてしまいます。
まるで、離婚後もストーカーのように付きまとう DV夫みたいに思われてしまったのですね。
attacked 「襲った」という過去形を使ったインストラクターに、ロスは、attacked じゃなくて、tried to attack 「襲おうとした」けど、I couldn't. 「できなかった、失敗した」んだと訂正しています。
インストラクターにしてみれば、襲ったという事実が実際に成功しようが失敗しようが、「元妻を襲おうとした男」のイメージは変わらないわけですが、ロスにしてみると、「実際に襲ったんじゃなくて、襲おうとしてそれがうまくいかなかった、と僕は言ってるんだよ」とあくまで「未遂」に終わったことを強調しているわけです。
That's why I'm here. は、That's the reason why I'm here. 「それが僕が(今)ここにいる理由だ」ということで、「襲おうとして失敗したから、どうすれば失敗しないで済むか、反撃することができるかを尋ねようとここに来たんだ」と言っていることになります。
護身術を教えている君なら、当然それを跳ね返す方法も知ってるんだろうから、とばかりに、「君と一緒なら、多分、彼女たちを襲うこともできそうだよね」と誘ってみるのですが、彼ににらまれて、「それって、ノー、ダメ、ってことだよね」とあきらめます。
このシーンは、ロスは確かに事実をそのまま述べているものの、事情を知らない人が聞くと、「こいつはどこまでアブないやつなんだ!?」とあきれかえってしまうようなことを言っている、という面白さにあるでしょう。
ロスが説明すればするほど、相手の不審感はどんどん高まっていく…という様子を、英語のセリフから感じ取っていただければと思います。
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