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モニカ、チャンドラー、フィービーの家にジョーイが入ってきます。
モニカ: How was your first day? ((ドラマの)初日はどうだった?)
ジョーイ: Pretty great! Except I did get a little attitude from the robot. (かなり良かったよ! ロボットから、ちょっとした(無礼な)態度をもらったってこと以外はね。)
チャンドラー: Damn those robots. They're supposed to be our faithful servants! (あのロボットめ! あいつらは我々(人間)の忠実なしもべであるはずなのに!)
ジョーイ: Anyway, it wasn't the robot, it was the guy who controls him. Yeah, he doesn't like me. He had C.H.E.E.S.E. knock over the sandwich table right when I was reaching for one! Ohh! (とにかく、(問題なのは)ロボットじゃなくて、(ロボットの)彼をコントロールする男なんだ。そうさ、彼は俺のことが好きじゃないんだよ。彼は(ロボットの)チーズにサンドイッチのテーブルをひっくり返させたんだ、ちょうど俺がサンドイッチに手を伸ばそうとした時にだぜ! ああ!)
フィービー: Well, why don't you just get him fired? (ふーん、ただ彼をクビにさせたらどうなの?)
ジョーイ: I may have to. I hate to do it. But I'm the star! Y'know? There's a limit to how many sandwiches I can eat off the floor. (そうしなくちゃいけないかもしれないな。それをするのはいやだけど。でも、俺はスターだ、だろ? 何個のサンドイッチを床から食べられるかには限度があるよ。)
ジョーイが、自分が出演するドラマ「マック&チーズ」のために出掛けていたことを知っているので、モニカはジョーイが帰ると、「初日はどうだった?」と尋ねています。
How was your first day? は、初仕事の日はどうだったかを尋ねる定番表現ですね。
ジョーイは、Pretty great! 「かなりグレイトだったよ!」と答えるのですが、その後、Except を付け足して、「…ということ以外はね」と言っています。
フレンズにはこういう except の使い方がよく登場しますね。
先に全般的な感想を言っておいて、後から付け足しのように、「ただし…ということを除いてはね」と言っている感覚になります。
ジョーイのこのセリフも、Except が聞こえた時点で、「何かグレイトとは言い切れない出来事があったんだな」ということがわかるわけです。
attitude は「態度」ですから、I did get a little attitude from the robot. を直訳すると、「俺は例のロボット(=相棒役のチーズ)から、ちょっとした態度をもらった」と言っていることになります。
a little attitude と言っているだけで、それが、good なものなのか、bad なものなのかがわかりませんが、そのように bad などの形容詞がつかない形でも、「無礼な態度」というニュアンスを出すことができます。
Macmillan Dictionary では、
attitude : (informal) a proud confident way of behaving that some people consider rude
つまり、「(インフォーマル) 無礼・傲慢だと見なす人もいるような、高慢・尊大で自信に溢れたふるまい方」。
rude という言葉が使われていることからもわかるように、この語義のポイントは、「自信満々の態度で、それを無礼だと見なす人もいる」というところですね。
今回のジョーイのセリフも、「ジョーイにとっては無礼に感じられた尊大な態度」を言っていることになるでしょう。
ロボットが俺に無礼な態度を取った、という意味と呼応するように、チャンドラーも、Damn those robots. と吐き捨てるように言っています。
このような、Damn は、日本語だと「〜め!」と憎々しげに言う感覚が近いですね。
They're supposed to be our faithful servants! の be supposed to (be) は(今回のエピソードでは、何度も出てくるフレーズですが)、「〜するはずである、〜であるということになっている」という感覚。
faithful servants は「忠実なしもべ」なので、「彼らロボットは、我々人間の忠実なしもべであるはずだ」と言っていることになります。
これはもちろん、チャンドラーが本気でロボットに怒っているわけではなく、SFなどでよく使われる「ロボット工学三原則」(Three Laws of Robotics)の第二条(の前半部分)、
「ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない(A robot must obey the orders given to it by human beings)」
という原則を持ち出して、ジョークにしているわけですね。
ロボット工学三原則については、以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版: ロボット工学三原則
Wikipedia 英語版: Three Laws of Robotics
ジョーイは、そのチャンドラーのジョークを anyway と軽く流して(笑)、it wasn't the robot, it was the guy who... と言っています。
この it wasn't A, it was B の形は、「問題となっているのは、A ではなくて、B だった」という感覚。
ロボットからそういう無礼な態度をもらったけど、実際はロボットが問題なんじゃなくて、ロボットを操る男が問題なんだよ、ということです。
(ジョーイがチーズのあまりのチープさを見て、バカにしたような発言をしたので、発明者であり操縦者の彼はジョーイを嫌っているのです。)
He had C.H.E.E.S.E. knock over の had は使役動詞で、チーズに knock over させた、ということですね。
同じ使役動詞でも、let は「許可して・許して〜させる」、make は「強制的に・むりやり〜させる」というニュアンスがありますが、この have は「許可」でも「強制」でもない中立な感覚があります。
操縦者の彼がロボットを操作しているので、make でも良いようにも思いますが、このロボット自身に自我があるわけではないので、「何らかの意思に反して〜させる」というニュアンスを出す必要もないために、中立的な have を使っているのかな、と思います。
knock over は「ひっくり返す」。
right when I was reaching for... は「…に手を伸ばそうとしたまさにその時に」という感覚ですね。
日本語だと、「サンドイッチに手を伸ばそうとした時に、テーブルをひっくり返されたんだ」という語順が自然な流れになるでしょうが、英語ではこのように、時を表す副詞節は後ろに来ることも多いですね。
その英語の語順の感覚を出して訳すと、上のような訳になるわけで、日本語だと倒置にして強調したように聞こえる感覚になるでしょうか。
Why don't you just get him fired? の get him fired は「その男をクビにされた状態にする」という感覚。
fire という他動詞は「(人)をクビにする」という意味ですが、ジョーイ自身は、彼をクビにする権限を持っていないので、Why don't you just fire him? とは表現できないわけですね。
そういう権限のある人に話して、クビにさせたら?というのが、フィービーのセリフのニュアンスになります。
ジョーイは、「そうしないといけないかもしれないな。そうするのはいやだけど」と言っています。
自分のことを嫌っているし、嫌がらせもされたわけですが、彼をクビにすることには躊躇の気持ちもあるようですね。
それでも、「でも俺はスターだ、だろ?」と言って、ロボットを使っての嫌がらせに黙ってるわけにはいかない、みたいにも言っています。
「俺にもスターとしてのプライドってもんがあるんだ!」みたいな強気な発言に聞こえるのですが、その後のセリフで、「それでもスターか?!」とツッコミたくなるような発言が出てくるところが、ここのオチになっています。
そのオチの、There's a limit to how many sandwiches I can eat off the floor. について。
There's a limit to... は「…には限界・限度がある」。
何に対して限界・限度があると言っているかと言うと、how many sandwiches I can eat off the floor、つまり、「何個のサンドイッチを、床から食べることができるか」ということになります。
eat off の off は「分離」のイメージ。床にあるものを床から取って食べる、という感覚になります。
さきほど、ロボットのチーズがサンドイッチのテーブルをひっくり返した、と言っていることからも連想されるように、その時にサンドイッチが床に落ちてしまった、その床に落ちたサンドイッチを何個食べれるかにも限界があるだろ、と言っていることがわかります。
「何個食べられるかにも限界がある」と言っていることから、「何個かは食べた」ことがわかりますね。
「俺はスターなんだ、バカにされてたまるか!」みたいな流れから、「そのスターの俺が、床に落ちたサンドイッチなんか食べられるかよ!」と言うならまだしも、「床に落ちたサンドイッチを、そう何個も何個も食べられるもんじゃないだろ(今回は(いくつか)食べたけどさ)」と言っている、その「スターらしからぬ、みみっちぃ話」が、ジョーイっぽいオチになっているわけですね。
実際のところ、本当のスターであれば、スタッフが嫌がらせをしたことを怒ったとしても、「落ちたサンドイッチ」のことをそんなにしつこく話題にはしないでしょう。
フレンズ6-20その6 では、チャンドラーがジョーイを捜すために、サンドイッチを出すあらゆる店に行った、というセリフもありました。
また、フレンズ6-18 では、以下のような、床に食べ物を落とすシーンが出てきました(残念ながら、解説では飛ばしてしまった部分ですが…)。
ジョーイの家に住むようになったレイチェルが床にスパゲティを落とした時、ジョーイは「気にすんなよ。ここはジョーイん家だぜ」と言って一緒にスパゲティを落としたりしています。
ですが、面白がってたくさんのスパゲティを床に落としたレイチェルに、
ジョーイ: All right, don't waste it. I mean, its still food. (He picks it up and eats it.) (よし、(もう)無駄にしちゃだめだ。だって、それはやっぱり(まだ)食べ物なんだから。 [ジョーイは落ちたスパゲティを拾い上げ、それを食べる])
こういう過去のエピソードから、「ジョーイはサンドイッチが大好物」で「落ちたものでも食べる」ことが視聴者にはわかっているので、「床に落ちたサンドイッチを食べる話」をするジョーイのセリフが、余計に面白く感じられるわけです。
シリーズ物ならではの「お約束」ジョークだということですね。
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2012年06月30日
2012年06月28日
なぜ自分の年頃の彼女を選ばない フレンズ6-21その2
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ロスは今、自分が教えている大学の学生エリザベスと付き合っているのですが、そのエリザベスのパパがロスに会うため、セントラルパークにやって来ます。
エリザベス: This is my father, Paul Stevens. Dad, this is Ross Geller. (これが私の父、ポール・スティーブンズよ。パパ、こちらが、ロス・ゲラー。)
ロス: It-it's great to meet you, Paul. (お目にかかれて光栄です、ポール。)
ポール: I usually prefer Elizabeth's boyfriends to address me as Mr. Stevens. (私は通常、エリザベスの彼氏には、私をミスター・スティーブンズと呼んでもらう方を好むんだが。)
ロス: Of course, of course, Mr. Stevens. (もちろん、もちろんです、ミスター・スティーブンズ。)
ポール: So, Ross, what's your problem? (それで、ロス、君は何が問題なんだ?)
ロス: Eh-wh−Excuse me? (えー、あの、何ですって?)
ポール: Why can't you get a girlfriend your own age? (なぜ君は自分の年頃の彼女をゲットできないんだ[持たないんだ・選ばないんだ]?)
ロス: That's funny. Umm.... (Pause, then serious) It's not funny. (それは面白いですねぇ。あー [間があって、その後、真剣になり] 面白くはありませんね。)
ポール: I don't like you going out with my daughter, Ross. (君が私の娘とデートするのは好きじゃない[嬉しくない]んだが、ロス。)
ロス: Okay. I can, I can see that. Umm, but I think if you give me umm, one chance, I can, I can change your mind. (はい、わかります。あー、でも、僕が思うに、もし僕に一度チャンスを下さったら、あなたの心を変えることができます[変えてみせます]。)
ポール: Okay. (わかった。)
ロス: What? (何ですって?)
ポール: Okay. I'll give you one chance to change my mind. (Ross laughs in relief) You got one minute. (Ross suddenly gets worried.) (わかった、私の気持ちを変えるためのチャンスを一度、君に与えるよ。[ロスは安心したように笑う] 1分やろう。)
エリザベス: Daddy! (パパ!)
ポール: Fine! Two minutes. Go. (わかったよ。2分だ。さあ始めて。)
ロス: This is-you- (Ross starts laughing.) (これは…あなたが… [ロスは笑い始める])
ポール: (laughs then checking his watch) 1 minute 50 seconds. ([笑って、それから自分の腕時計を見て] 1分50秒だ。)
今回の フレンズ6-21 の日本語タイトルが「彼女のパパはブルース・ウィリス」となっていることからもわかるように、ロスの彼女エリザベスのパパを演じているのは、「ダイ・ハード」でジョン・マクレーン刑事を演じた、あの、ブルース・ウィリスです。
ブルース・ウィリスは、最近も「ダイハツ ミライース」のCMに出演したりして、見かける機会がますます増えましたね。
彼のような大物俳優のゲスト出演はフレンズではよくあることですが、今回のゲスト出演は、映画「隣のヒットマン」(原題: The Whole Nine Yards)で、チャンドラー役のマシュー・ペリーと共演したことがきっかけとなったようです。
IMDb : The Whole Nine Yards : Trivia
には以下のような情報が書いてあります。
As a result of a bet lost on the set, Bruce Willis agreed to do a guest appearance on Friends for free. He was already planning to do the guest spot, but the terms of the bet led to him giving his pay for the episode to charity.
つまり、「(映画の)撮影現場で負けた賭けの結果、ブルース・ウィリスは、無償でフレンズへのゲスト出演をすることに同意した。ブルースはすでにゲスト出演を計画していたが、賭けの条件のために、ブルースがエピソードに対する支払いをチャリティーとして差し出すことになった」。
つまり、この映画の撮影中にはすでに、ブルースがフレンズにゲスト出演する予定は決まっていたようですが、マシューとの賭けに負けたブルースが、その支払いの代わりに、フレンズに無償で出演することになった、ということのようです。
ブルースは、このフレンズへのゲスト出演で、エミー賞ゲスト男優賞コメディ部門を受賞(win an Emmy Award in the Outstanding Guest Actor category)していますが、確かに、その受賞もうなずけるようなコミカルな彼の演技は見ものです。
ブルース・ウィルスと言えばやはり「ダイ・ハード」ですが、過去記事、なかなか死なぬダイハード フレンズ4-21その2 では、ジョーイとチャンドラーが、「ダイ・ハード」のビデオを借りるぞー!と盛り上がるセリフが出てきましたし、この先のフレンズ7-6 でも、フレンズ男性陣がダイ・ハードのビデオを見るシーンが出てきます。
そんな風に「男子が大好きな映画」の代名詞ともなっている「ダイ・ハード」の主演俳優が、一般人の役として、今回さらっと登場しているのが面白いですね。
あの映画、何回も見てるのに、「マクレーン刑事に似てるなぁ」とか思わないのかよっ!とツッコミたいところです(笑)。
エリザベスは、自分の父と恋人ロスをそれぞれに紹介しています。
ロスは、「お目にかかれて光栄です」の後に、パパのファーストネーム、ポールで呼びかけていますね。
その後のポールのセリフから、娘の恋人にファーストネームで呼ばれたことに不満を持っていることがわかります。
I usually prefer は、「私は通常・通例、…の方を好む」。
何を好むかと言うと、「娘の恋人にはミスター・スティーブンズと呼んで・呼びかけてもらうこと」をより好むと言っていることになります。
このように動詞 address は、address someone as... の形で、「人を…と呼ぶ」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
address : to use a particular title or name when speaking or writing to someone
address somebody as something
例) You should address him as "Mr. President."
つまり、「誰かに話しかけたり、文章を書いたりしている時に、ある称号・肩書きや名前を使うこと」。
例文は、「彼を「ミスター・プレジデント」と呼ぶべきだ」。
ロスは、自分がエリザベスよりかなり年上であることから、そのパパに対して「世代が少し下な程度」のような気さくな感じを出すために、そうやってファーストネームで呼びかけてみたのでしょう。
それが、パパの癇に障(さわ)ってしまったわけですね。
ロスも慌てて、Mr. Stevens と訂正しています。
ポールはいきなりロスに、「君の問題は何だ? 君は何が問題なんだ?」と尋ねています。
ロスが「え?」みたいに聞き返したように、そのポールのセリフには、「君には何か問題があるようだが、それは何かな?」→「君ってどっかおかしいんじゃないか?」のようなニュアンスが感じられます。
質問の意図がわからず口ごもるロスに、ポールは、Why can't you get a girlfriend your own age? と言います。
your own age は「君の年頃」なので、a girlfriend your own age は「君の年頃の彼女」、つまり、ロスと同年代の彼女、恋人ということになります。
「同じ年頃の彼女」と言いたい場合には、a girlfriend of your own age のように、of が必要な気がするのですが、of なしの形でも使えるようですね。
研究社 新英和中辞典には、以下のように出ています。
age 【名詞】
[叙述形容詞的に用いて] …の年齢で[の] (注:of one's age の of を略した形)
He's just my age. 彼は私と同じ年です。
when I was your age 私が君の年齢のときに(は)
a girl your age 君の年ごろの少女
用例の、a girl your age 「君の年ごろの少女」がまさに、ロスのセリフの a girlfriend your own age と同じ感覚で、「君の年ごろの彼女」という意味になるわけです。
過去記事、レイア姫の金のビキニの話 フレンズ3-1その8 では、
フィービー: Yeah, oh, Princess Leia and the gold bikini? Every guy our age loved that. (えぇ、レイア姫と金のビキニでしょ? 同世代の男はみんなあれが大好きだったのよ。)
というセリフもありました。
これも、every guy our age 「同世代の[同い年の]男性はすべて」ということですね。
若すぎる女の子を彼女にしていることをポールに指摘されて、ロスは「その冗談、面白いですね」のように、笑い話で流そうとするのですが、父ポールの顔が真剣なので「いえ、それは笑いごとではありませんね」のようにロスも真顔になっています。
「君が娘と付き合う・デートするのは嬉しくない」とはっきり言われたので、ロスは「僕にチャンスを下されば、あなたの心を変えてみせます」と宣言します。
Okay. とあっさりそれを受け入れたポールに拍子抜けしたようなロスでしたが、ポールは「チャンスをやろう」と言って、You got one minute. と言います。
ネットスクリプトでは、You got one minute. 字幕では、You've got one minutes. と書いてありますが、この got/have got は、have の意味ですね。
「君は1分持っている、君には(時間が)1分ある」→「君に1分間の時間をやろう」と言っていることになります。
娘のエリザベスが「そんなのひどいわ!」と言わんばかりに、Daddy! と叫んだので、ポールは、「わかった。(じゃあ)2分だ。Go. 」と言います。
チャンスをくれると言っても、1分や2分でどうしろっていうんだ、というところですが、Go. と言いながら、「さあ、始めて」みたいに、ロスに「どうぞ」のような指差しサインを出すのが何ともコミカルです。
ロスが、にやけながら口ごもっていると、ポールはちらっと腕時計を見て、「1分50秒」と言っています。
君が何もできないで無言でいる間に、もう10秒過ぎちゃったぞ、と言っているわけです。
ロスを受け入れるつもりが全くないのがその様子からもよくわかりますね。
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ロスは今、自分が教えている大学の学生エリザベスと付き合っているのですが、そのエリザベスのパパがロスに会うため、セントラルパークにやって来ます。
エリザベス: This is my father, Paul Stevens. Dad, this is Ross Geller. (これが私の父、ポール・スティーブンズよ。パパ、こちらが、ロス・ゲラー。)
ロス: It-it's great to meet you, Paul. (お目にかかれて光栄です、ポール。)
ポール: I usually prefer Elizabeth's boyfriends to address me as Mr. Stevens. (私は通常、エリザベスの彼氏には、私をミスター・スティーブンズと呼んでもらう方を好むんだが。)
ロス: Of course, of course, Mr. Stevens. (もちろん、もちろんです、ミスター・スティーブンズ。)
ポール: So, Ross, what's your problem? (それで、ロス、君は何が問題なんだ?)
ロス: Eh-wh−Excuse me? (えー、あの、何ですって?)
ポール: Why can't you get a girlfriend your own age? (なぜ君は自分の年頃の彼女をゲットできないんだ[持たないんだ・選ばないんだ]?)
ロス: That's funny. Umm.... (Pause, then serious) It's not funny. (それは面白いですねぇ。あー [間があって、その後、真剣になり] 面白くはありませんね。)
ポール: I don't like you going out with my daughter, Ross. (君が私の娘とデートするのは好きじゃない[嬉しくない]んだが、ロス。)
ロス: Okay. I can, I can see that. Umm, but I think if you give me umm, one chance, I can, I can change your mind. (はい、わかります。あー、でも、僕が思うに、もし僕に一度チャンスを下さったら、あなたの心を変えることができます[変えてみせます]。)
ポール: Okay. (わかった。)
ロス: What? (何ですって?)
ポール: Okay. I'll give you one chance to change my mind. (Ross laughs in relief) You got one minute. (Ross suddenly gets worried.) (わかった、私の気持ちを変えるためのチャンスを一度、君に与えるよ。[ロスは安心したように笑う] 1分やろう。)
エリザベス: Daddy! (パパ!)
ポール: Fine! Two minutes. Go. (わかったよ。2分だ。さあ始めて。)
ロス: This is-you- (Ross starts laughing.) (これは…あなたが… [ロスは笑い始める])
ポール: (laughs then checking his watch) 1 minute 50 seconds. ([笑って、それから自分の腕時計を見て] 1分50秒だ。)
今回の フレンズ6-21 の日本語タイトルが「彼女のパパはブルース・ウィリス」となっていることからもわかるように、ロスの彼女エリザベスのパパを演じているのは、「ダイ・ハード」でジョン・マクレーン刑事を演じた、あの、ブルース・ウィリスです。
ブルース・ウィリスは、最近も「ダイハツ ミライース」のCMに出演したりして、見かける機会がますます増えましたね。
彼のような大物俳優のゲスト出演はフレンズではよくあることですが、今回のゲスト出演は、映画「隣のヒットマン」(原題: The Whole Nine Yards)で、チャンドラー役のマシュー・ペリーと共演したことがきっかけとなったようです。
IMDb : The Whole Nine Yards : Trivia
には以下のような情報が書いてあります。
As a result of a bet lost on the set, Bruce Willis agreed to do a guest appearance on Friends for free. He was already planning to do the guest spot, but the terms of the bet led to him giving his pay for the episode to charity.
つまり、「(映画の)撮影現場で負けた賭けの結果、ブルース・ウィリスは、無償でフレンズへのゲスト出演をすることに同意した。ブルースはすでにゲスト出演を計画していたが、賭けの条件のために、ブルースがエピソードに対する支払いをチャリティーとして差し出すことになった」。
つまり、この映画の撮影中にはすでに、ブルースがフレンズにゲスト出演する予定は決まっていたようですが、マシューとの賭けに負けたブルースが、その支払いの代わりに、フレンズに無償で出演することになった、ということのようです。
ブルースは、このフレンズへのゲスト出演で、エミー賞ゲスト男優賞コメディ部門を受賞(win an Emmy Award in the Outstanding Guest Actor category)していますが、確かに、その受賞もうなずけるようなコミカルな彼の演技は見ものです。
ブルース・ウィルスと言えばやはり「ダイ・ハード」ですが、過去記事、なかなか死なぬダイハード フレンズ4-21その2 では、ジョーイとチャンドラーが、「ダイ・ハード」のビデオを借りるぞー!と盛り上がるセリフが出てきましたし、この先のフレンズ7-6 でも、フレンズ男性陣がダイ・ハードのビデオを見るシーンが出てきます。
そんな風に「男子が大好きな映画」の代名詞ともなっている「ダイ・ハード」の主演俳優が、一般人の役として、今回さらっと登場しているのが面白いですね。
あの映画、何回も見てるのに、「マクレーン刑事に似てるなぁ」とか思わないのかよっ!とツッコミたいところです(笑)。
エリザベスは、自分の父と恋人ロスをそれぞれに紹介しています。
ロスは、「お目にかかれて光栄です」の後に、パパのファーストネーム、ポールで呼びかけていますね。
その後のポールのセリフから、娘の恋人にファーストネームで呼ばれたことに不満を持っていることがわかります。
I usually prefer は、「私は通常・通例、…の方を好む」。
何を好むかと言うと、「娘の恋人にはミスター・スティーブンズと呼んで・呼びかけてもらうこと」をより好むと言っていることになります。
このように動詞 address は、address someone as... の形で、「人を…と呼ぶ」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
address : to use a particular title or name when speaking or writing to someone
address somebody as something
例) You should address him as "Mr. President."
つまり、「誰かに話しかけたり、文章を書いたりしている時に、ある称号・肩書きや名前を使うこと」。
例文は、「彼を「ミスター・プレジデント」と呼ぶべきだ」。
ロスは、自分がエリザベスよりかなり年上であることから、そのパパに対して「世代が少し下な程度」のような気さくな感じを出すために、そうやってファーストネームで呼びかけてみたのでしょう。
それが、パパの癇に障(さわ)ってしまったわけですね。
ロスも慌てて、Mr. Stevens と訂正しています。
ポールはいきなりロスに、「君の問題は何だ? 君は何が問題なんだ?」と尋ねています。
ロスが「え?」みたいに聞き返したように、そのポールのセリフには、「君には何か問題があるようだが、それは何かな?」→「君ってどっかおかしいんじゃないか?」のようなニュアンスが感じられます。
質問の意図がわからず口ごもるロスに、ポールは、Why can't you get a girlfriend your own age? と言います。
your own age は「君の年頃」なので、a girlfriend your own age は「君の年頃の彼女」、つまり、ロスと同年代の彼女、恋人ということになります。
「同じ年頃の彼女」と言いたい場合には、a girlfriend of your own age のように、of が必要な気がするのですが、of なしの形でも使えるようですね。
研究社 新英和中辞典には、以下のように出ています。
age 【名詞】
[叙述形容詞的に用いて] …の年齢で[の] (注:of one's age の of を略した形)
He's just my age. 彼は私と同じ年です。
when I was your age 私が君の年齢のときに(は)
a girl your age 君の年ごろの少女
用例の、a girl your age 「君の年ごろの少女」がまさに、ロスのセリフの a girlfriend your own age と同じ感覚で、「君の年ごろの彼女」という意味になるわけです。
過去記事、レイア姫の金のビキニの話 フレンズ3-1その8 では、
フィービー: Yeah, oh, Princess Leia and the gold bikini? Every guy our age loved that. (えぇ、レイア姫と金のビキニでしょ? 同世代の男はみんなあれが大好きだったのよ。)
というセリフもありました。
これも、every guy our age 「同世代の[同い年の]男性はすべて」ということですね。
若すぎる女の子を彼女にしていることをポールに指摘されて、ロスは「その冗談、面白いですね」のように、笑い話で流そうとするのですが、父ポールの顔が真剣なので「いえ、それは笑いごとではありませんね」のようにロスも真顔になっています。
「君が娘と付き合う・デートするのは嬉しくない」とはっきり言われたので、ロスは「僕にチャンスを下されば、あなたの心を変えてみせます」と宣言します。
Okay. とあっさりそれを受け入れたポールに拍子抜けしたようなロスでしたが、ポールは「チャンスをやろう」と言って、You got one minute. と言います。
ネットスクリプトでは、You got one minute. 字幕では、You've got one minutes. と書いてありますが、この got/have got は、have の意味ですね。
「君は1分持っている、君には(時間が)1分ある」→「君に1分間の時間をやろう」と言っていることになります。
娘のエリザベスが「そんなのひどいわ!」と言わんばかりに、Daddy! と叫んだので、ポールは、「わかった。(じゃあ)2分だ。Go. 」と言います。
チャンスをくれると言っても、1分や2分でどうしろっていうんだ、というところですが、Go. と言いながら、「さあ、始めて」みたいに、ロスに「どうぞ」のような指差しサインを出すのが何ともコミカルです。
ロスが、にやけながら口ごもっていると、ポールはちらっと腕時計を見て、「1分50秒」と言っています。
君が何もできないで無言でいる間に、もう10秒過ぎちゃったぞ、と言っているわけです。
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2012年06月25日
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シーズン6 第21話
The One Where Ross Meets Elizabeth's Dad (彼女のパパはブルース・ウィリス)
原題は「ロスがエリザベスのパパに会う話」
[Scene: Central Perk, time lapse. Phoebe is now looking at the covers of two different books.]
セントラルパーク。(オープニングシーンから)時間が経過している。フィービーは今、2つの違う本の表紙を見ているところ。
チャンドラー: Are you judging them by their covers? Because you're really not supposed to do that. (表紙で本を判断してるの? だって、ほんとうにそんなことはしちゃいけないことになってるだろ。)
フィービー: No, I'm just deciding which one to use. I'm gonna start writing another book! (いいえ、ただどっちを使おうか決めてるところなの。私、別の本を書き始めようとしてるのよ。)
レイチェル: Be-because the last one was such a big seller? (最新の本がすごく売れたから?)
フィービー: Well, if you must know, I have written 14 books. And as I am the only one who has read them, I can tell you that they all have been very well received. (そうねぇ、是非知りたいと言うなら(教えてあげるけど)、私はこれまでに14冊の本を書いたのよ。そして私はそれらの本を読んだ唯一の人間だから、私はあなたたちにこう言えるのよ、その本は全部、好意的に受け止められたって。)
チャンドラーは Are you judging them by their covers? とフィービーに言っています。
cover は本の表紙のことですね。
この「表紙で本を判断する」というフレーズは慣用句になります。
外側の表紙だけを見て、中身を判断する、ということですから、「ものを見かけや外見だけで判断する」という意味になるのですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
don't judge a book by its cover : used to say that you should not form an opinion based only on the way someone or something looks
つまり、don't judge a book by its cover は、「誰かや何かがそう見える様子だけに基づいて、意見を形成すべきではないと言う時に用いられる」。
つまり、「人やものを見かけで判断しちゃいけないよ」と言う時のフレーズが、Don't judge a book by its cover. なのですね。
フィービーが、2つの本の表紙を見比べているので、「(慣用句にあるように、文字通り)君は表紙で本の中身を判断しようとしてるのか?」と言っていることになります。
Because you're really not supposed to do that. の Because は「なぜなら…だから」で、「どうして俺が”表紙で本を判断してるの?”と言ったかというと、以下の理由からだ」みたいな感覚。
be supposed to do は「〜することになっている」で、それを否定文にした be not supposed to do は「〜してはいけないことになっている」になります。
not の前に really がついて、not を強調しているので、「本当にそんなことはしてはいけないことになっている」という感覚になるのですね。
「本当にそんなことしちゃいけないんだよ」というのは、慣用句でそういう表現があるけど、ただの慣用句じゃなくて、実際、ほんとにそんなことしちゃだめなんだ、表紙で本の中身は判断できないんだよ、と言っているわけですね。
フィービーは No と否定した後、「私はただ、どっちの方を使おうか決めようとしているだけ」だと言っています。
その後、another book を書き始めるつもりなの、とも言っていますね。
another 「もう1つの」と言ったことから、それが初めての本ではなく、過去にも本を書いたかのような口振り(くちぶり)なので、レイチェルは「なぜなら、最新の本が、とってもビッグセラーだったから?」のように聞き返しています。
seller は「よく売れるもの」ですから、such a big seller は「とてもよく売れたもの」になります。
「どうして次の本を書こうとしてるかって言うと、それは、前の本がバカ売れしたからかしら?」みたいな聞き方をしているわけですね。
そこには「フィービーが書いた本が売れたって話は聞かないし、そもそも、フィービーが本を書いたってことすら知らないんだけど」みたいに、からかいの気持ちで言っているのがわかります。
そういうレイチェルの意図を察したらしいフィービーは、Well, if you must know, I have written 14 books. と言っています。
直訳すると、「そうねぇ、もしあなたが知らなければいけないのなら、私は(これまでに)14冊の本を書いたのよ」ということになるでしょう。
この if you must know というフレーズは、研究社 新英和中辞典では、以下のように説明されています。
must=[主張を表わして] ぜひ…ねばならない (注:must が通例強く発音される)
例) Talk to him yourself if you must. 「ぜひにというなら自分で彼と話してみるんだな」
つまり、「どうしても君が…しなければならないと言うのなら」という感覚ですね。
このフレーズについては、英英辞典の説明は以下のようになっています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
if you must (do something) : used to tell someone that they are allowed to do something, but that you do not approve or agree with it
例1) All right, come with us, if you must.
例2) "Who was that girl?" "Well, if you must know, her name is Mabel."
つまり、「ある人がそれをすることを許されているが、自分はそのことを承認したり同意したりしていないことをその人に言う時に用いられる」。
例文1は、「わかったよ、俺たちと一緒に来いよ、君がぜひにと言うなら」。
例文2は、「あの女の子は誰だったの?」「うーん、君がぜひ知りたいと言うのなら、彼女の名前はマーベルだ」。
Macmillan Dictionary では、
if you must know : (spoken) used for answering someone in an annoyed way
例) He's not my boyfriend any more, if you must know.
つまり、「いらいらした様子で誰かに答えるのに用いられる」。
例文は、「彼はもう私の恋人(彼氏)じゃないわ、ぜひ知りたいって言うんなら(教えるけど)」。
if you must という形以外だと、if you must know のように know と一緒に使われるパターンが多いことが、ロングマン、マクミランを見てもわかります。
ロングマンもマクミランも、「君がぜひとも、どうしても知りたいって言うんなら、教えてあげないこともないけど(自分としては率先して進んで教えたいわけではない)」というようなニュアンスが感じられますね。
フィービーのセリフも、レイチェルがからかったようにそう言ったことに対して、「私の本のことをどうしても知りたいって言うんなら、(渋々ながら)教えてあげるけど」というようなニュアンスが感じられる気がします。
「本なんか書いてるの?」って言いたいようだけど、実際にちゃんと本を14冊も書いたんですからね、みたいなことですね。
as I am the only one who... の as は「理由を表す接続詞」。
because ほどの明白な理由のニュアンスを出さずに、軽く理由を述べたい時に使われる接続詞です。
as は「〜として」という前置詞としても用いられますが、その場合は後ろに名詞が続きますね。
「その14冊の本を読んだ唯一の人間として」と言いたいのであれば、as the only one who... のようになるでしょう。
フィービーのセリフは、「私がその14冊の本を読んだ唯一の人間だから、あなたたちに(that 以下のこと)を言うことができる」という構造になります。
have been received は、現在完了形+受動態の形。
直訳すると、「受け取られてきた」ということですね。
very well に受け取られた、ということですから、「よく・好意的に受け止められた」というような「評判が良かった」という意味になるでしょう。
LAAD では、
receive : REACTION TO SOMETHING [usually passive] to react in a particular way to a suggestion, idea, performance etc.
例) Hawke's first novel was well received by many critics.
つまり、「提案、考え、業績などに対してある様子で反応すること」。
例文は、「ホークの最初の小説は、多くの批評家に好意的に受け止められた」。
usually passive 「たいていは受動態で」とあるように、be well received の形で用いられることが多いようです。
ロングマンの例文とフィービーのセリフには非常に似たニュアンスがありますので、このような形で使われるのが一般的だということがよくわかりますね。
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シーズン6 第21話
The One Where Ross Meets Elizabeth's Dad (彼女のパパはブルース・ウィリス)
原題は「ロスがエリザベスのパパに会う話」
[Scene: Central Perk, time lapse. Phoebe is now looking at the covers of two different books.]
セントラルパーク。(オープニングシーンから)時間が経過している。フィービーは今、2つの違う本の表紙を見ているところ。
チャンドラー: Are you judging them by their covers? Because you're really not supposed to do that. (表紙で本を判断してるの? だって、ほんとうにそんなことはしちゃいけないことになってるだろ。)
フィービー: No, I'm just deciding which one to use. I'm gonna start writing another book! (いいえ、ただどっちを使おうか決めてるところなの。私、別の本を書き始めようとしてるのよ。)
レイチェル: Be-because the last one was such a big seller? (最新の本がすごく売れたから?)
フィービー: Well, if you must know, I have written 14 books. And as I am the only one who has read them, I can tell you that they all have been very well received. (そうねぇ、是非知りたいと言うなら(教えてあげるけど)、私はこれまでに14冊の本を書いたのよ。そして私はそれらの本を読んだ唯一の人間だから、私はあなたたちにこう言えるのよ、その本は全部、好意的に受け止められたって。)
チャンドラーは Are you judging them by their covers? とフィービーに言っています。
cover は本の表紙のことですね。
この「表紙で本を判断する」というフレーズは慣用句になります。
外側の表紙だけを見て、中身を判断する、ということですから、「ものを見かけや外見だけで判断する」という意味になるのですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
don't judge a book by its cover : used to say that you should not form an opinion based only on the way someone or something looks
つまり、don't judge a book by its cover は、「誰かや何かがそう見える様子だけに基づいて、意見を形成すべきではないと言う時に用いられる」。
つまり、「人やものを見かけで判断しちゃいけないよ」と言う時のフレーズが、Don't judge a book by its cover. なのですね。
フィービーが、2つの本の表紙を見比べているので、「(慣用句にあるように、文字通り)君は表紙で本の中身を判断しようとしてるのか?」と言っていることになります。
Because you're really not supposed to do that. の Because は「なぜなら…だから」で、「どうして俺が”表紙で本を判断してるの?”と言ったかというと、以下の理由からだ」みたいな感覚。
be supposed to do は「〜することになっている」で、それを否定文にした be not supposed to do は「〜してはいけないことになっている」になります。
not の前に really がついて、not を強調しているので、「本当にそんなことはしてはいけないことになっている」という感覚になるのですね。
「本当にそんなことしちゃいけないんだよ」というのは、慣用句でそういう表現があるけど、ただの慣用句じゃなくて、実際、ほんとにそんなことしちゃだめなんだ、表紙で本の中身は判断できないんだよ、と言っているわけですね。
フィービーは No と否定した後、「私はただ、どっちの方を使おうか決めようとしているだけ」だと言っています。
その後、another book を書き始めるつもりなの、とも言っていますね。
another 「もう1つの」と言ったことから、それが初めての本ではなく、過去にも本を書いたかのような口振り(くちぶり)なので、レイチェルは「なぜなら、最新の本が、とってもビッグセラーだったから?」のように聞き返しています。
seller は「よく売れるもの」ですから、such a big seller は「とてもよく売れたもの」になります。
「どうして次の本を書こうとしてるかって言うと、それは、前の本がバカ売れしたからかしら?」みたいな聞き方をしているわけですね。
そこには「フィービーが書いた本が売れたって話は聞かないし、そもそも、フィービーが本を書いたってことすら知らないんだけど」みたいに、からかいの気持ちで言っているのがわかります。
そういうレイチェルの意図を察したらしいフィービーは、Well, if you must know, I have written 14 books. と言っています。
直訳すると、「そうねぇ、もしあなたが知らなければいけないのなら、私は(これまでに)14冊の本を書いたのよ」ということになるでしょう。
この if you must know というフレーズは、研究社 新英和中辞典では、以下のように説明されています。
must=[主張を表わして] ぜひ…ねばならない (注:must が通例強く発音される)
例) Talk to him yourself if you must. 「ぜひにというなら自分で彼と話してみるんだな」
つまり、「どうしても君が…しなければならないと言うのなら」という感覚ですね。
このフレーズについては、英英辞典の説明は以下のようになっています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
if you must (do something) : used to tell someone that they are allowed to do something, but that you do not approve or agree with it
例1) All right, come with us, if you must.
例2) "Who was that girl?" "Well, if you must know, her name is Mabel."
つまり、「ある人がそれをすることを許されているが、自分はそのことを承認したり同意したりしていないことをその人に言う時に用いられる」。
例文1は、「わかったよ、俺たちと一緒に来いよ、君がぜひにと言うなら」。
例文2は、「あの女の子は誰だったの?」「うーん、君がぜひ知りたいと言うのなら、彼女の名前はマーベルだ」。
Macmillan Dictionary では、
if you must know : (spoken) used for answering someone in an annoyed way
例) He's not my boyfriend any more, if you must know.
つまり、「いらいらした様子で誰かに答えるのに用いられる」。
例文は、「彼はもう私の恋人(彼氏)じゃないわ、ぜひ知りたいって言うんなら(教えるけど)」。
if you must という形以外だと、if you must know のように know と一緒に使われるパターンが多いことが、ロングマン、マクミランを見てもわかります。
ロングマンもマクミランも、「君がぜひとも、どうしても知りたいって言うんなら、教えてあげないこともないけど(自分としては率先して進んで教えたいわけではない)」というようなニュアンスが感じられますね。
フィービーのセリフも、レイチェルがからかったようにそう言ったことに対して、「私の本のことをどうしても知りたいって言うんなら、(渋々ながら)教えてあげるけど」というようなニュアンスが感じられる気がします。
「本なんか書いてるの?」って言いたいようだけど、実際にちゃんと本を14冊も書いたんですからね、みたいなことですね。
as I am the only one who... の as は「理由を表す接続詞」。
because ほどの明白な理由のニュアンスを出さずに、軽く理由を述べたい時に使われる接続詞です。
as は「〜として」という前置詞としても用いられますが、その場合は後ろに名詞が続きますね。
「その14冊の本を読んだ唯一の人間として」と言いたいのであれば、as the only one who... のようになるでしょう。
フィービーのセリフは、「私がその14冊の本を読んだ唯一の人間だから、あなたたちに(that 以下のこと)を言うことができる」という構造になります。
have been received は、現在完了形+受動態の形。
直訳すると、「受け取られてきた」ということですね。
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receive : REACTION TO SOMETHING [usually passive] to react in a particular way to a suggestion, idea, performance etc.
例) Hawke's first novel was well received by many critics.
つまり、「提案、考え、業績などに対してある様子で反応すること」。
例文は、「ホークの最初の小説は、多くの批評家に好意的に受け止められた」。
usually passive 「たいていは受動態で」とあるように、be well received の形で用いられることが多いようです。
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2012年06月22日
面白いってことになってるのか? フレンズ6-20その6
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[Scene: Joey and Rachel's apartment, Joey is entering to find Chandler waiting patiently for him.]
ジョーイとレイチェルの部屋。ジョーイが入ってきて、チャンドラーが辛抱強くジョーイを待っているのを見る。
ジョーイ: Hey! (やあ!)
チャンドラー: Please tell me you got the message! (お願いだから、メッセージを受け取ったって言ってくれ!)
ジョーイ: What message? (何のメッセージ?)
チャンドラー: The actor playing Mac couldn't do it. They needed to see you at 2 o'clock. (マックを演じる予定の例の俳優はダメだったんだ。(オーディション)関係者はお前に2時に会う必要があったんだ[会いたいと言ってたんだ]。)
ジョーイ: What?! It's 6 o'clock! (何だって? (今は)6時だぞ!)
チャンドラー: Du-du-I wrote it, I wrote it on the board! I wrote it on the board, then I went all over New York City looking for ya! I went to Ross's! I went to the coffee house! I went to any place that they make sandwiches! (ほら、ほら、俺はそれを書いたぞ、そのことをボードに書いたんだ! ボードに書いて、それからお前を捜してニューヨーク中あちこち行ったんだぞ! ロスの家にも行った! コーヒーハウスも行った! サンドイッチを作っているあらゆる場所にも行ったんだ!)
ジョーイ: I can't believe this, Chandler! (こんなの信じられないよ、チャンドラー!)
チャンドラー: Sorry! I-I-I don't know what to say. (ごめんよ! 何て言えばいいかわからないよ。)
ジョーイ: Well, you-you-you-you might say congratulations! I saw the board, I went to the audition, I got the part! (じゃあ、お前はこう言えばいいんじゃないか、おめでとう!って。 俺はボードを見た! オーディションに行った! 役をゲットしたんだ!)
チャンドラー: (angrily) Is that supposed to be funny? I was really worried over here! ([怒って] それは面白いってことになってるのか? 俺はほんとにここで心配してたのに。)
ジョーイが部屋に戻ってきたのを見て、チャンドラーは「お願いだから、どうかメッセージを見たって言ってくれよ!」と言っています。
オーディションの時間が変更になったことを、お絵かきボードに書いたチャンドラーでしたが、それをジョーイが見たのかどうか不安でしょうがない、だから「頼むから、メッセージを見た・受け取ったって言ってくれ!」と言っているのですね。
日本語でも「なぁ、頼むからこれは嘘だと言ってくれよ」みたいな、Please tell me... と同じニュアンスが存在しますよね。
自分が願っていることを、相手の口からはっきり聞くことで確認したい、というような感覚です。
「ああ、もちろん見たよ、ありがとな」と言ってくれるかと思ったら、ジョーイは「何のメッセージ?」と返しています。
焦ったチャンドラーは、マック役の俳優がダメになったこと、オーディションが2時になったことを説明しています。
The actor playing Mac couldn't do it. の playing Mac は「マック役を演じる(予定の)」その俳優、のように、後ろから the actor を修飾しています。
couldn't do it は「それをすることができなかった」ということですから、マック役を演じるということができなかった、ということですね。
They needed to see you の they は、ドラマ製作者などのオーディション関係者を指しています。
2時という時刻を聞いて、ジョーイは「何だって? (今は)6時だぞ!」と言っています。
その言葉から、ジョーイは2時にあるはずのオーディションのことを知らなかったことがわかりますね。
パニクっているチャンドラーは、「俺はそれをボードに書いたんだ!」と主張しています。
it は、「オーディションが2時にある」という内容のメッセージを指しています。
最初に Du-du- と書いてありますが、これはDVD英語字幕では、Look! と表記されています。
「ほら、見てみろよ、俺はちゃんとボードにメッセージを書いたんだぞ!」という意味で、Look! と言いたかったのが、声にならなくて、ドゥ、ドゥ…みたいな音になってしまった感じです。
「俺はメッセージをボードに書いて、それから…」と、その後にした自分の行動を説明するチャンドラー。
I went all over New York City looking for ya! の all over は「あちこち、至るところ、そこらじゅう」という感覚。
お前を捜して、ニューヨーク中をくまなく歩き回ったんだ、というニュアンスになります。
Ross's は、Ross's place 、すなわち、「ロスのところ、ロスの家」。
the coffee house は、the で特定されていますので、いつもみんながたむろしている「セントラル・パーク」を指すでしょう。
I went to any place that they make sandwiches. について。
I went to any place は「どんな場所にも行った」という感覚。
that 以下で場所の内容を詳しく説明しています。
they make sandwiches は「人がサンドイッチを作る」ですから、つまりは、「サンドイッチを作るところ、サンドイッチをメニューとして出している、どんな店にも行った」と言っていることになります。
ジョーイはピザも好きですが、サンドイッチも大好きなんですよね。
だから、「ジョーイがいそうな場所と言えば、サンドイッチを出す店だ!」と思ったチャンドラーが、サンドイッチのある店をくまなく捜したと言っていることになるわけです。
「NY中を捜し回った」の後に、1.ロスの家、2.コーヒーハウス、3.サンドイッチを出すあらゆる店、みたいに言っているのが、3段オチっぽくて面白いなと思いました。
「サンドイッチあるところに、ジョーイあり」みたいに言っているわけですね。
俺は必死になってお前を捜したんだ、と言うのですが、ジョーイはまだむっとした顔で「こんなの信じられないよ」と言っています。
I don't know what to say. は文字通り、「何を言うべきかわからない」ですが、これは嬉しくて感激して感謝の言葉もない場合にも使いますし、今回のように何と言って謝ればいいのかわからない、謝っても謝りきれない場合にも使います。
「何て言ったらいいかわからない」というチャンドラーに、ジョーイは、you might say... と言って、言うべき言葉を自ら教えています。
congratulations 以下のセリフで、怒っていたように見えていたジョーイでしたが、実はちゃんとメッセージを受け取っていたことがわかる仕組みになっています。
I saw the board! 以下の3つの文は、間を置かずに連続する感じになっていて、「ボードを見た! オーディションに行った! 役をゲットした!」とリズミカルな発言になっています。
それまで嘘をついていたジョーイでしたが、ここで一気にネタばらし!という感じですね。
その嬉しいニュースを聞いて、一緒に喜ぶはずのチャンドラーが、今度は逆にすねてしまっています。
is supposed to (be) は「…(である)ことになっている、〜(である)はずである」なので、Is that supposed to be funny? は、「それ(今のジョーイの発言)は、面白いってことになってるの? 面白いはずなの?」みたいな感覚になります。
俺はここで、こっちで、すごく心配してたのに、とも言っていますね。
「俺、怒ってるみたいに見えてただろうけど、実は役をゲットできちゃったんだよ〜ん」みたいにジョーイがおちゃらけて言ったのを、「それって面白い冗談のつもりか? 俺にそれで笑えってか?」みたいに返したわけです。
俺はジョーイと連絡がつかないから、あちこち探し回って、すっごく心配してたのに、全く笑いごとじゃないよ!と怒っているのですね。
フレンズ5-8その1 でも、七面鳥をマスクのように頭にかぶったジョーイを見て、
モニカ: What, what are you doing? Is this supposed to be funny? (何、何をやってるの? これは面白いつもりなの?)
というセリフがありました。
ここは笑うべきところ? フレンズ3-14その10 では、
ロス: Is that funny? Am I supposed to be laughing? (それって面白いの? 僕は(今ここで)笑うことになってるの?[ここは僕が笑うべきところ?])
というセリフもありましたが、"Is that supposed to be funny?" と、"Is that funny? Am I supposed to be laughing?" には非常によく似たニュアンスがありますね。
それらと同様に、今回も、「面白い冗談か何かのつもり?」というニュアンスで、「君は面白がって言ってるんだろうけど、こちらとしては全然笑えないね」という気持ちをよく表していると思います。
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[Scene: Joey and Rachel's apartment, Joey is entering to find Chandler waiting patiently for him.]
ジョーイとレイチェルの部屋。ジョーイが入ってきて、チャンドラーが辛抱強くジョーイを待っているのを見る。
ジョーイ: Hey! (やあ!)
チャンドラー: Please tell me you got the message! (お願いだから、メッセージを受け取ったって言ってくれ!)
ジョーイ: What message? (何のメッセージ?)
チャンドラー: The actor playing Mac couldn't do it. They needed to see you at 2 o'clock. (マックを演じる予定の例の俳優はダメだったんだ。(オーディション)関係者はお前に2時に会う必要があったんだ[会いたいと言ってたんだ]。)
ジョーイ: What?! It's 6 o'clock! (何だって? (今は)6時だぞ!)
チャンドラー: Du-du-I wrote it, I wrote it on the board! I wrote it on the board, then I went all over New York City looking for ya! I went to Ross's! I went to the coffee house! I went to any place that they make sandwiches! (ほら、ほら、俺はそれを書いたぞ、そのことをボードに書いたんだ! ボードに書いて、それからお前を捜してニューヨーク中あちこち行ったんだぞ! ロスの家にも行った! コーヒーハウスも行った! サンドイッチを作っているあらゆる場所にも行ったんだ!)
ジョーイ: I can't believe this, Chandler! (こんなの信じられないよ、チャンドラー!)
チャンドラー: Sorry! I-I-I don't know what to say. (ごめんよ! 何て言えばいいかわからないよ。)
ジョーイ: Well, you-you-you-you might say congratulations! I saw the board, I went to the audition, I got the part! (じゃあ、お前はこう言えばいいんじゃないか、おめでとう!って。 俺はボードを見た! オーディションに行った! 役をゲットしたんだ!)
チャンドラー: (angrily) Is that supposed to be funny? I was really worried over here! ([怒って] それは面白いってことになってるのか? 俺はほんとにここで心配してたのに。)
ジョーイが部屋に戻ってきたのを見て、チャンドラーは「お願いだから、どうかメッセージを見たって言ってくれよ!」と言っています。
オーディションの時間が変更になったことを、お絵かきボードに書いたチャンドラーでしたが、それをジョーイが見たのかどうか不安でしょうがない、だから「頼むから、メッセージを見た・受け取ったって言ってくれ!」と言っているのですね。
日本語でも「なぁ、頼むからこれは嘘だと言ってくれよ」みたいな、Please tell me... と同じニュアンスが存在しますよね。
自分が願っていることを、相手の口からはっきり聞くことで確認したい、というような感覚です。
「ああ、もちろん見たよ、ありがとな」と言ってくれるかと思ったら、ジョーイは「何のメッセージ?」と返しています。
焦ったチャンドラーは、マック役の俳優がダメになったこと、オーディションが2時になったことを説明しています。
The actor playing Mac couldn't do it. の playing Mac は「マック役を演じる(予定の)」その俳優、のように、後ろから the actor を修飾しています。
couldn't do it は「それをすることができなかった」ということですから、マック役を演じるということができなかった、ということですね。
They needed to see you の they は、ドラマ製作者などのオーディション関係者を指しています。
2時という時刻を聞いて、ジョーイは「何だって? (今は)6時だぞ!」と言っています。
その言葉から、ジョーイは2時にあるはずのオーディションのことを知らなかったことがわかりますね。
パニクっているチャンドラーは、「俺はそれをボードに書いたんだ!」と主張しています。
it は、「オーディションが2時にある」という内容のメッセージを指しています。
最初に Du-du- と書いてありますが、これはDVD英語字幕では、Look! と表記されています。
「ほら、見てみろよ、俺はちゃんとボードにメッセージを書いたんだぞ!」という意味で、Look! と言いたかったのが、声にならなくて、ドゥ、ドゥ…みたいな音になってしまった感じです。
「俺はメッセージをボードに書いて、それから…」と、その後にした自分の行動を説明するチャンドラー。
I went all over New York City looking for ya! の all over は「あちこち、至るところ、そこらじゅう」という感覚。
お前を捜して、ニューヨーク中をくまなく歩き回ったんだ、というニュアンスになります。
Ross's は、Ross's place 、すなわち、「ロスのところ、ロスの家」。
the coffee house は、the で特定されていますので、いつもみんながたむろしている「セントラル・パーク」を指すでしょう。
I went to any place that they make sandwiches. について。
I went to any place は「どんな場所にも行った」という感覚。
that 以下で場所の内容を詳しく説明しています。
they make sandwiches は「人がサンドイッチを作る」ですから、つまりは、「サンドイッチを作るところ、サンドイッチをメニューとして出している、どんな店にも行った」と言っていることになります。
ジョーイはピザも好きですが、サンドイッチも大好きなんですよね。
だから、「ジョーイがいそうな場所と言えば、サンドイッチを出す店だ!」と思ったチャンドラーが、サンドイッチのある店をくまなく捜したと言っていることになるわけです。
「NY中を捜し回った」の後に、1.ロスの家、2.コーヒーハウス、3.サンドイッチを出すあらゆる店、みたいに言っているのが、3段オチっぽくて面白いなと思いました。
「サンドイッチあるところに、ジョーイあり」みたいに言っているわけですね。
俺は必死になってお前を捜したんだ、と言うのですが、ジョーイはまだむっとした顔で「こんなの信じられないよ」と言っています。
I don't know what to say. は文字通り、「何を言うべきかわからない」ですが、これは嬉しくて感激して感謝の言葉もない場合にも使いますし、今回のように何と言って謝ればいいのかわからない、謝っても謝りきれない場合にも使います。
「何て言ったらいいかわからない」というチャンドラーに、ジョーイは、you might say... と言って、言うべき言葉を自ら教えています。
congratulations 以下のセリフで、怒っていたように見えていたジョーイでしたが、実はちゃんとメッセージを受け取っていたことがわかる仕組みになっています。
I saw the board! 以下の3つの文は、間を置かずに連続する感じになっていて、「ボードを見た! オーディションに行った! 役をゲットした!」とリズミカルな発言になっています。
それまで嘘をついていたジョーイでしたが、ここで一気にネタばらし!という感じですね。
その嬉しいニュースを聞いて、一緒に喜ぶはずのチャンドラーが、今度は逆にすねてしまっています。
is supposed to (be) は「…(である)ことになっている、〜(である)はずである」なので、Is that supposed to be funny? は、「それ(今のジョーイの発言)は、面白いってことになってるの? 面白いはずなの?」みたいな感覚になります。
俺はここで、こっちで、すごく心配してたのに、とも言っていますね。
「俺、怒ってるみたいに見えてただろうけど、実は役をゲットできちゃったんだよ〜ん」みたいにジョーイがおちゃらけて言ったのを、「それって面白い冗談のつもりか? 俺にそれで笑えってか?」みたいに返したわけです。
俺はジョーイと連絡がつかないから、あちこち探し回って、すっごく心配してたのに、全く笑いごとじゃないよ!と怒っているのですね。
フレンズ5-8その1 でも、七面鳥をマスクのように頭にかぶったジョーイを見て、
モニカ: What, what are you doing? Is this supposed to be funny? (何、何をやってるの? これは面白いつもりなの?)
というセリフがありました。
ここは笑うべきところ? フレンズ3-14その10 では、
ロス: Is that funny? Am I supposed to be laughing? (それって面白いの? 僕は(今ここで)笑うことになってるの?[ここは僕が笑うべきところ?])
というセリフもありましたが、"Is that supposed to be funny?" と、"Is that funny? Am I supposed to be laughing?" には非常によく似たニュアンスがありますね。
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2012年06月20日
伝言メモで省略される単語 フレンズ6-20その5
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[Scene: Joey and Rachel's apartment, Chandler is entering with a peace offering of a Joey Special, two pizzas.]
ジョーイとレイチェルの部屋。チャンドラーは仲直りの贈り物である「ジョーイ・スペシャル」、すなわち2つのピザを持って部屋に入ってくる。
チャンドラー: Joey? Got you the Joey special! Two pizzas! Joe? (The phone rings and he answers it) (On phone) Hello? (Takes the phone away from his mouth when he realizes what he just did and yells.) Damnit! (Back on phone.) Hello? (Listens.) No, Joey's not here right now, but I can take a message. I think. (Listens) He's still got a chance for the part?! Oh, that's great news! (Listens) Well, no, obviously not for the actor who was mauled by his dog. (Listens) Oh well, that's great. I will give Joey the message. Thank you! (Hangs up and goes to write the message on the Magna-Doodle.) Yes! (Reading what he's writing) Okay. Mac audition at 2:00. Allergy actor attacked. (Pause) By dog not flowers. (ジョーイ? お前にジョーイ・スペシャルを買ってきたぞ! 2枚のピザだ! ジョーイ? [電話が鳴って、チャンドラーはそれに出る] [電話で] もしもし! [自分が今したことに気づいて、電話を口から離して叫ぶ] くそっ! [電話に戻って] もしもし? [電話を聞いて] いいえ、ジョーイは今はここにいませんが、私がメッセージを受け取れます…と思います。 [電話を聞いて] 彼にまだ役のチャンスがあるんですか? あぁ、それは素晴らしいニュースだ! [聞いて] うーん、いいえ、明らかに、自分の犬に怪我させられた俳優にとっては、素晴らしいニュースじゃないですけどね。[聞いて] ああ、それは素晴らしい。ジョーイにそのメッセージを伝えます。ありがとう! [電話を切って、マグナ・ドゥードル(磁気お絵かきボード)にメッセージを書きに行く] よし! [自分が書いているものを読みながら] よし。マックのオーディションは2時。アレルギー俳優、襲われる。[間を置いて] 犬に、花じゃなくて。)
チャンドラーが嬉しそうな顔で、ピザを2枚持って部屋に入ってきます。
Got you the Joey special! は、主語の I が省略されていますが、「俺はお前に(お前のために)ジョーイ・スペシャルをゲットしてきた、買ってきた」というニュアンス。
ト書きでも、チャンドラーのセリフでも言及されているように、the Joey special とは、two pizzas 「ピザ2枚」のことなんですね。
「ジョーイ・スペシャル」という名前なので、ジョーイの好きなトッピングがいっぱい入っているのか?と思いきや、ただ「ピザ2枚」をそう呼んでいるところに笑ってしまいます。
ジョーイは大食漢でピザが大好きですから、「ピザ2枚」が「ジョーイ仕様」なわけですね。
最初のト書きでは、peace offering という言葉が使われています。文字通り、peace 「平和、和平」を offer するということで、「和平・和解の贈り物」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
peace offering [noun, countable] : something you give to someone to show them that you are sorry and want to be friendly, after you have annoyed or upset them
例) Mike brought in some doughnuts - I think they were a sort of peace offering.
つまり、「自分が人を困らせたり、怒らせたりした後で、自分が申し訳ないと思っている、または友好的になりたいとと思っていることを相手に示すために、その人に渡す何か」。
例文は、「マイクはドーナツを持ってきた。それは一種の和解の贈り物だと思う」。
にこにこしながらピザ2枚を持って入ってきたのは、これでも食べて仲直りしようよ、という気持ちだということですね。
ジョーイの名前を呼ぶも返事はなく、その時、電話がなります。
反射的に電話を取ってしまったチャンドラー。
前にもこうやって電話を取ってしまい、その伝言をし忘れたことで、ジョーイはいまだに怒っているわけですから、「俺は電話を取っちゃいけなかったのに、また取っちまった!」みたいな感じで、Damnit! と言っているのですね。
「ジョーイは今ここにはいません、でも、自分がメッセージを取り次げます」みたいに言った後、おまけのように、I think と付け加えるのが面白いですね。
「メッセージ、俺が受け取れます…と思います、多分」みたいな感じで、前に一度メッセージを伝え損ねたことがあるので、絶対とは言えませんけど、多分、伝えられると自分では思ってます、みたいな感覚です。
電話を聞いていたチャンドラーは、「ジョーイにはまだ役のチャンスがあるんですか?」と驚きの声を上げています。
obviously not for the actor who was mauled by his dog について。
まず、見慣れない単語 maul (発音は「モール」)は、「(獣などが)…を傷つける」という意味。
LAAD では、
maul [verb, transitive] : if an animal mauls someone, it injures them badly by tearing their flesh
例) A six-year-old boy was mauled by a mountain lion.
つまり、「動物が人を maul するとは、肉を切り裂くことで人にひどい怪我をさせること」。
例文は、「6歳の少年が、マウンテン・ライオン(アメリカライオン、クーガー)にひどい怪我をさせられた(ひどく傷つけられた)」。
no, obviously not と言っていますが、これはその前の文、Oh, that's great news. を受けての否定文でしょう。
Obviously, that's not great news for the actor who was mauled by his dog. ということですね。
Oh, that's great news! Well, no, obviously not for him. 「それは素晴らしいニュースだ。いや、彼にとっては明らかにそうじゃないですけどね」みたいな感覚です。
そのように、for him と言えばいいところを、セリフで him = the actor を詳しく説明させることで、その彼がどういう状況かがわかるという仕組みです。
obviously 以下を前から順番にイメージしていくと、
「明らかに、それは良いニュースではない、自分の犬に怪我させられた俳優にとって」
という感じになるでしょう。
そのチャンドラーのセリフから、アレルギーCMの俳優が役を降りることになったのは、自分の犬に襲われたからだ、ということがわかるわけですね。
LAAD の語義にあったように、maul は、"injures them badly by tearing their flesh" というような、かなりひどい怪我を指しますから、自分の犬に襲われて大怪我をしたために、ドラマへの出演が不可能になったということになります。
嬉しいニュースを聞いたチャンドラーは、「メッセージをジョーイに伝えます」と言って電話を切り、ドアにかけてあるボードにメッセージを書き始めます。
ト書きには、Magna-Doodle とありますが、Magna-Doodle で、Google 画像検索すれば、それがどんなものかすぐにわかります。
詳しい説明は以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Magna Doodle
そのウィキペディアの説明を以下に引用させていただくと、
Magna Doodle is a magnetic drawing toy, consisting of a drawing board, a magnetic stylus, and a few magnet shapes.
つまり、「マグナ・ドゥードルとは、磁気(式)のお絵かきおもちゃ(トーイ)で、お絵かきボード、磁気の筆、2、3個のマグネットの型で構成されている」。
磁気で絵や字を書いたりするボード、つまり、日本のメーカーだと、タカラトミーの「せんせい」シリーズのような「マグネットのおえかきボード」のことですね。
商品情報:せんせい:タカラトミー
doodle は「いたずら書き(をする)」という意味。
doodle は、過去記事、フレンズ3-15その5、フレンズ5-24その3 にも出てきました。
そして、magna はどうやら、magnet から来たようですが…。
ちょっと脱線してみますと、Magna 「マグナ」という言葉で思い出すのは、世界史に出てきた「マグナカルタ」(大憲章)という言葉。
研究社 新英和中辞典には、Magna Carta の語源として、
語源:ラテン語 ‘great charter' の意
と出ています。
つまり、ラテン語の magna は、英語の great という意味なのですね。
「磁気でお絵かき」という意味の、magnet/magnetic doodle という感じのネーミングでありつつ、magnet/magnetic を、magna- にすることで、great doodle 「偉大な・素晴らしい(?)いたずら書き」みたいな意味も込めたネーミングなのかも、と思ったりもします。
そのマグナ・ドゥードルにジョーイへのメッセージを書くチャンドラーは、それを声に出して読んでいます。(もちろん、観客や視聴者にメモの内容を聞かせるためですが…笑)
その内容は以下。
Mac audition at 2:00. Allergy actor attacked. By dog not flowers.
要点となる単語が簡潔に並んでいるのが、いかにもメモっぽいですね。
日本語にすると、「マック・オーディション、2時(に)。アレルギー俳優、襲われる。犬に、花(に)ではなく」ということになります。
日本語でメモする場合も、「2時 ○○より電話。見積もりの件。戻り次第電話下さい、とのこと」みたいに簡潔に書いたりしますので、省略を多用する感覚は日英同じと言えるでしょう。
Allergy actor attacked. を文章にすると、The allergy actor was attacked. 「例のアレルギー(CMの)俳優が襲われた」になりますが、冠詞や be動詞を省いているのが、いかにもメモっぽい書き方という感じがします。
特に、be動詞を省いて、attacked という過去分詞形だけで、「受け身」「受動態」の「襲われた」という意味を表しているのが、いかにも英語っぽいですね。
このように、be動詞を省略して、過去分詞形だけで「受動態」の意味を表すのは、新聞記事の見出しでよく用いられる手法です。
「その俳優が襲われた」とメモした後、チャンドラーはちょっと考えてから、By dog not flowers. と付け足しています。
He was attacked by a dog, not by flowers. という意味ですね。
メモなので、冠詞も省略されて、by dog となっていますが、複数形(flowers)の場合はちゃんと複数形の -s がつくんですね。
「襲われた、っていう話は、犬に襲われた、ってことで、花(たち)に襲われたんじゃないよ」とメモっていることになります。
それはその俳優が「複数の花に追いかけられるCM」で有名で、少し前にもチャンドラー自身が、「彼にデカい花を贈ってビビらせたらいいんじゃない」などとも言っていたので、彼を襲ったのは、あんな風に俺たちが話題にしてた「花」じゃなくて、「犬」なんだけどね、とちょっとジョークを入れてみたメモになっているのですね。
嬉しいニュースの伝言を書きながら、ちょっとオチもつけちゃった、みたいにご満悦なチャンドラーが可愛らしいです。
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[Scene: Joey and Rachel's apartment, Chandler is entering with a peace offering of a Joey Special, two pizzas.]
ジョーイとレイチェルの部屋。チャンドラーは仲直りの贈り物である「ジョーイ・スペシャル」、すなわち2つのピザを持って部屋に入ってくる。
チャンドラー: Joey? Got you the Joey special! Two pizzas! Joe? (The phone rings and he answers it) (On phone) Hello? (Takes the phone away from his mouth when he realizes what he just did and yells.) Damnit! (Back on phone.) Hello? (Listens.) No, Joey's not here right now, but I can take a message. I think. (Listens) He's still got a chance for the part?! Oh, that's great news! (Listens) Well, no, obviously not for the actor who was mauled by his dog. (Listens) Oh well, that's great. I will give Joey the message. Thank you! (Hangs up and goes to write the message on the Magna-Doodle.) Yes! (Reading what he's writing) Okay. Mac audition at 2:00. Allergy actor attacked. (Pause) By dog not flowers. (ジョーイ? お前にジョーイ・スペシャルを買ってきたぞ! 2枚のピザだ! ジョーイ? [電話が鳴って、チャンドラーはそれに出る] [電話で] もしもし! [自分が今したことに気づいて、電話を口から離して叫ぶ] くそっ! [電話に戻って] もしもし? [電話を聞いて] いいえ、ジョーイは今はここにいませんが、私がメッセージを受け取れます…と思います。 [電話を聞いて] 彼にまだ役のチャンスがあるんですか? あぁ、それは素晴らしいニュースだ! [聞いて] うーん、いいえ、明らかに、自分の犬に怪我させられた俳優にとっては、素晴らしいニュースじゃないですけどね。[聞いて] ああ、それは素晴らしい。ジョーイにそのメッセージを伝えます。ありがとう! [電話を切って、マグナ・ドゥードル(磁気お絵かきボード)にメッセージを書きに行く] よし! [自分が書いているものを読みながら] よし。マックのオーディションは2時。アレルギー俳優、襲われる。[間を置いて] 犬に、花じゃなくて。)
チャンドラーが嬉しそうな顔で、ピザを2枚持って部屋に入ってきます。
Got you the Joey special! は、主語の I が省略されていますが、「俺はお前に(お前のために)ジョーイ・スペシャルをゲットしてきた、買ってきた」というニュアンス。
ト書きでも、チャンドラーのセリフでも言及されているように、the Joey special とは、two pizzas 「ピザ2枚」のことなんですね。
「ジョーイ・スペシャル」という名前なので、ジョーイの好きなトッピングがいっぱい入っているのか?と思いきや、ただ「ピザ2枚」をそう呼んでいるところに笑ってしまいます。
ジョーイは大食漢でピザが大好きですから、「ピザ2枚」が「ジョーイ仕様」なわけですね。
最初のト書きでは、peace offering という言葉が使われています。文字通り、peace 「平和、和平」を offer するということで、「和平・和解の贈り物」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
peace offering [noun, countable] : something you give to someone to show them that you are sorry and want to be friendly, after you have annoyed or upset them
例) Mike brought in some doughnuts - I think they were a sort of peace offering.
つまり、「自分が人を困らせたり、怒らせたりした後で、自分が申し訳ないと思っている、または友好的になりたいとと思っていることを相手に示すために、その人に渡す何か」。
例文は、「マイクはドーナツを持ってきた。それは一種の和解の贈り物だと思う」。
にこにこしながらピザ2枚を持って入ってきたのは、これでも食べて仲直りしようよ、という気持ちだということですね。
ジョーイの名前を呼ぶも返事はなく、その時、電話がなります。
反射的に電話を取ってしまったチャンドラー。
前にもこうやって電話を取ってしまい、その伝言をし忘れたことで、ジョーイはいまだに怒っているわけですから、「俺は電話を取っちゃいけなかったのに、また取っちまった!」みたいな感じで、Damnit! と言っているのですね。
「ジョーイは今ここにはいません、でも、自分がメッセージを取り次げます」みたいに言った後、おまけのように、I think と付け加えるのが面白いですね。
「メッセージ、俺が受け取れます…と思います、多分」みたいな感じで、前に一度メッセージを伝え損ねたことがあるので、絶対とは言えませんけど、多分、伝えられると自分では思ってます、みたいな感覚です。
電話を聞いていたチャンドラーは、「ジョーイにはまだ役のチャンスがあるんですか?」と驚きの声を上げています。
obviously not for the actor who was mauled by his dog について。
まず、見慣れない単語 maul (発音は「モール」)は、「(獣などが)…を傷つける」という意味。
LAAD では、
maul [verb, transitive] : if an animal mauls someone, it injures them badly by tearing their flesh
例) A six-year-old boy was mauled by a mountain lion.
つまり、「動物が人を maul するとは、肉を切り裂くことで人にひどい怪我をさせること」。
例文は、「6歳の少年が、マウンテン・ライオン(アメリカライオン、クーガー)にひどい怪我をさせられた(ひどく傷つけられた)」。
no, obviously not と言っていますが、これはその前の文、Oh, that's great news. を受けての否定文でしょう。
Obviously, that's not great news for the actor who was mauled by his dog. ということですね。
Oh, that's great news! Well, no, obviously not for him. 「それは素晴らしいニュースだ。いや、彼にとっては明らかにそうじゃないですけどね」みたいな感覚です。
そのように、for him と言えばいいところを、セリフで him = the actor を詳しく説明させることで、その彼がどういう状況かがわかるという仕組みです。
obviously 以下を前から順番にイメージしていくと、
「明らかに、それは良いニュースではない、自分の犬に怪我させられた俳優にとって」
という感じになるでしょう。
そのチャンドラーのセリフから、アレルギーCMの俳優が役を降りることになったのは、自分の犬に襲われたからだ、ということがわかるわけですね。
LAAD の語義にあったように、maul は、"injures them badly by tearing their flesh" というような、かなりひどい怪我を指しますから、自分の犬に襲われて大怪我をしたために、ドラマへの出演が不可能になったということになります。
嬉しいニュースを聞いたチャンドラーは、「メッセージをジョーイに伝えます」と言って電話を切り、ドアにかけてあるボードにメッセージを書き始めます。
ト書きには、Magna-Doodle とありますが、Magna-Doodle で、Google 画像検索すれば、それがどんなものかすぐにわかります。
詳しい説明は以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Magna Doodle
そのウィキペディアの説明を以下に引用させていただくと、
Magna Doodle is a magnetic drawing toy, consisting of a drawing board, a magnetic stylus, and a few magnet shapes.
つまり、「マグナ・ドゥードルとは、磁気(式)のお絵かきおもちゃ(トーイ)で、お絵かきボード、磁気の筆、2、3個のマグネットの型で構成されている」。
磁気で絵や字を書いたりするボード、つまり、日本のメーカーだと、タカラトミーの「せんせい」シリーズのような「マグネットのおえかきボード」のことですね。
商品情報:せんせい:タカラトミー
doodle は「いたずら書き(をする)」という意味。
doodle は、過去記事、フレンズ3-15その5、フレンズ5-24その3 にも出てきました。
そして、magna はどうやら、magnet から来たようですが…。
ちょっと脱線してみますと、Magna 「マグナ」という言葉で思い出すのは、世界史に出てきた「マグナカルタ」(大憲章)という言葉。
研究社 新英和中辞典には、Magna Carta の語源として、
語源:ラテン語 ‘great charter' の意
と出ています。
つまり、ラテン語の magna は、英語の great という意味なのですね。
「磁気でお絵かき」という意味の、magnet/magnetic doodle という感じのネーミングでありつつ、magnet/magnetic を、magna- にすることで、great doodle 「偉大な・素晴らしい(?)いたずら書き」みたいな意味も込めたネーミングなのかも、と思ったりもします。
そのマグナ・ドゥードルにジョーイへのメッセージを書くチャンドラーは、それを声に出して読んでいます。(もちろん、観客や視聴者にメモの内容を聞かせるためですが…笑)
その内容は以下。
Mac audition at 2:00. Allergy actor attacked. By dog not flowers.
要点となる単語が簡潔に並んでいるのが、いかにもメモっぽいですね。
日本語にすると、「マック・オーディション、2時(に)。アレルギー俳優、襲われる。犬に、花(に)ではなく」ということになります。
日本語でメモする場合も、「2時 ○○より電話。見積もりの件。戻り次第電話下さい、とのこと」みたいに簡潔に書いたりしますので、省略を多用する感覚は日英同じと言えるでしょう。
Allergy actor attacked. を文章にすると、The allergy actor was attacked. 「例のアレルギー(CMの)俳優が襲われた」になりますが、冠詞や be動詞を省いているのが、いかにもメモっぽい書き方という感じがします。
特に、be動詞を省いて、attacked という過去分詞形だけで、「受け身」「受動態」の「襲われた」という意味を表しているのが、いかにも英語っぽいですね。
このように、be動詞を省略して、過去分詞形だけで「受動態」の意味を表すのは、新聞記事の見出しでよく用いられる手法です。
「その俳優が襲われた」とメモした後、チャンドラーはちょっと考えてから、By dog not flowers. と付け足しています。
He was attacked by a dog, not by flowers. という意味ですね。
メモなので、冠詞も省略されて、by dog となっていますが、複数形(flowers)の場合はちゃんと複数形の -s がつくんですね。
「襲われた、っていう話は、犬に襲われた、ってことで、花(たち)に襲われたんじゃないよ」とメモっていることになります。
それはその俳優が「複数の花に追いかけられるCM」で有名で、少し前にもチャンドラー自身が、「彼にデカい花を贈ってビビらせたらいいんじゃない」などとも言っていたので、彼を襲ったのは、あんな風に俺たちが話題にしてた「花」じゃなくて、「犬」なんだけどね、とちょっとジョークを入れてみたメモになっているのですね。
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2012年06月18日
それは俺が買ってやったんだ フレンズ6-20その4
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たまたまチャンドラーだけがジョーイの部屋にいる時に、ジョーイ宛てに電話がかかってきて、オーディションの時間が前倒しになった、という伝言を受けます。
その伝言をホワイトボードに書いている最中に、モニカが呼びに来たため、メッセージを書き終わることなく、チャンドラーはジョーイの部屋を出て行ってしまいます。
そのしばらく後のシーン。
ジョーイとチャンドラーがフーズボールをしていると、
(The phone rings and Joey answers it.)
電話が鳴り、ジョーイがそれに出る。
ジョーイ: (on phone) Hello? (Listens) What are you talking about? The audition's not ‘til 5:00! (Chandler suddenly remembers and looks at the unfinished message then tries to sneak over and finish it as Joey listens.) Well, nobody told me! (Listens) Who'd you talk to? (Listens and turns around to see Chandler trying to finish the message.) Never mind. (Hangs up.) ([電話で] もしもし? [電話を聞く] 何言ってんだよ? そのオーディションは5時までないぞ! [チャンドラーは突然思い出し、(ホワイトボードの)未完成のメッセージに目をやり、それからこっそりボードのところに行き、ジョーイが電話を聞いている時に、メッセージを完成させようとする] ああ、誰も俺に言わなかったぞ! [電話を聞いて] 君は誰に話したんだ? [電話を聞いて、振り返り、メッセージを完成させようとしているチャンドラーを見る] もういいよ。 [電話を切る])
チャンドラー: You mean you didn't get it from this? (このメッセージがわからなかった、ってことかな?)
ジョーイ: The allergy guy got the part! Thanks! (例のアレルギー男が役をゲットしたよ。ありがとな!)
チャンドラー: Well, maybe we can fix it y'know? Maybe we can send him some-some big-big flowers and scare him! (ほら、多分、俺たち何とかできるよ、だろ? 多分、そのアレルギー男に大きな大きな花を贈って、彼を怖がらせたりできるぞ!)
ジョーイ: How could you do this to me, Chandler?! This part could've turned my whole career around! (どうやったら俺にこんなことができるんだよ、チャンドラー? この役は俺のキャリアすべてを変えられたかもしれなかったのに!)
チャンドラー: I messed up, okay? I'm sorry. I really messed up. (俺が台無しにしちゃったんだよな? ごめんよ。俺が本当にめちゃくちゃにしちまった。)
ジョーイ: Hey, you don't even live here anymore! What are you doing answering my phone? I have a machine! (おい、お前はもうここに住んでさえいないんだぞ! 俺の電話に出たりして、何やってんだよ? 俺には留守電があるんだ!)
チャンドラー: Which I bought for ya. Taught ya how to use it. You thought it was a copier. Look, if there was anything I could do, I would do it. Okay? But everybody's allowed one mistake, right? (その留守電は、俺がお前のために買ってやったんだ。(俺が)お前に使い方を教えたんだ。お前は留守電をコピー機だと思ってただろ。なぁ、もし俺に何かできることがあるとしたら、俺はそれをするよ、な? でも、どんな人間も一つくらいの過ちは許されるだろ。)
ジョーイが電話に出て、What are you talking about? 「何言ってんだよ?」と驚きの声を上げています。
The audition's not ‘til 5:00! は、「その・例のオーディションは5時までない」という意味ですね。
ネットスクリプトでは、The audition's not ‘til 5:00! と書かれているのですが、DVDの英語字幕は、The audition's at 5. となっていて、その文だと意味は、「そのオーディションは5時にある」となります。
このパターンは、フレンズ6-20その2 で解説した、
The callback isn't until tomorrow at five. 「次のオーディションは明日の5時までない」(ネットスクリプト)
The callback is tomorrow at 5:00. 「次のオーディションは明日の5時にある」(DVD英語字幕)
と同じものですね。
その際にも説明しましたが、今回のジョーイのセリフも、「5時にある」ではなくて、「5時までない(はずだ)」と強く言いたいわけですね。
そのセリフから、電話の相手が「(ジョーイが5時までは行われないと思っている)オーディションがすでに済んでしまった」というような内容を言っているだろうことが想像できるわけです。
The audition's at 5. 「そのオーディションは5時だよ(5時にあるはずだろ)」でも、会話としては成立しますが、not until を使う方が、「5時より前にオーディションが行なわれたはずがない!」感を強く出せるということです。
5時という言葉を聞いて、チャンドラーはハッとした顔で、ホワイトボードを見上げますが、そこにはミミズのような文字が記されているだけで(笑)、全く伝言の機能を果たしていません。
モニカが呼びに来たので、メッセージを書き終わることなく部屋を出てしまったことに、今チャンドラーは気付いてしまったわけです。
ト書きにあるように、ジョーイが電話している間に、こそこそとボードのところに行き、メッセージを完成させようとするのですが、その間もジョーイは、電話で「誰も(そんなこと)俺に言ってない!」「君は(それを)誰に言ったんだ?」と怒っています。
その後、ジョーイがチャンドラーの方を見たことで、電話の相手が「ちゃんと伝えましたよ。ジョーイが留守だから伝言を受ける、って言ってて。電話に出たのは男性でした」みたいな情報をジョーイに伝えただろうことがわかります。
そんな風に自分の電話に出る男性は、元同居人のチャンドラーしかいない、と気づいたわけですね。
Never mind. は「気にしないで。もういいよ」という感じで、「一体誰に伝言したんだよ?」と相手を質問責めにしていたけれど、答えがわかったからもうこれ以上はいいや、俺が言ったことは忘れて、というニュアンスになります。
ボードにメッセージを書き足そうとしているのがバレてしまったチャンドラーは、怖い顔をしているジョーイを見て、You mean you didn't get it from this? と言っています。
You mean は「ジョーイは…って言いたいのかな?」みたいなニュアンス。
get it from this は、「ホワイトボードに書かれたこのメッセージから、それをゲットする、理解する」という感覚。
ボードに書かれているこの文字から、そのオーディションの時間が変更になったというメッセージは読み取れなかったってことかな?みたいな意味ですね。
ヘニョヘニョの文字で、到底解読できるものではないのですが、自分としてはメッセージを書いたつもりだったんだ(少なくとも書こうとはしてたんだ)と言いたいわけでしょう。
「例のアレルギー男」、つまり、花粉症のCMに出ているあの男が、役をゲットしちまった、とジョーイは言っています。
Thanks! は「ありがと」ですが、前後の文脈や表情、口調から、それを皮肉っぽく使っていることがわかりますね。
「俺じゃなくて、そいつが役をゲットすることになったのは、お前のおかげだよ、ありがとな」みたいな皮肉です。
fix は「修理する」などの意味で使いますが、ここでは「状況を回復する、元に戻す、解決する」のような感覚。
そのCMの彼が役をゲットしてしまったことを、何とか修復することができるさ、彼に大きな花を贈って、彼を怖がらせれば、などとも言っています。
これも、過去記事、花に追われる花粉症のCM フレンズ6-20その2 で説明したように、その彼はCMの中で、大きな花に追い回されている役を演じているので、でかい花を贈れば、彼もビビって逃げ出しちゃうよ、と、なんとかジョークでこの場を和ませようとしているわけですね。
そんな冗談もジョーイには通じません。
「今回の役は俺のキャリアすべてを変えられたかもしれないのに」と思っているほど、ジョーイはこの役に賭けていたからですね。
俺がめちゃめちゃにしちまった、と反省するチャンドラーですが、ジョーイの怒りは収まらず、この後もチャンドラーを責めるセリフが続きます。
You don't even live here anymore. は「お前はもはや、ここに住んでさえいない」。
ルームメイトだった時ならまだしも、お前はもはや俺の同居人ですらないんだよ、という感覚。
What are you doing answering my phone? は、「俺の電話に出たりして、何やってんだよ?」という意味。
doing と answering のように、-ing 形が2つ連続していますが、このような、What are you doing ...ing? の形には「…したりして何やってんだよ?」というニュアンスがあります。
過去のフレンズにもこの構文は何度か登場しました。
What are you doing? という問いそのものに、純粋に「相手が今やっていることは何か?」を尋ねる以外に、「一体何やってんだよ?」という非難や驚きを表すニュアンスがありますね。
その後に、...ing? を続けることで、「一体、何やってんだよ、…したりして」みたいな感覚となり、「…したりして何やってんだよ?」という意味になるわけです。
「俺の電話に出たりして、何やってくれてるんだよ」「どうして俺の電話に出たりするんだよ?」という気持ちですね。
今回は、ジョーイの「相手を非難する気持ち」が押し出されているので、「何やってくれてるんだよ」みたいに挑む感じがありますが、そのような非難以外にも、「…したりして何やってんの?」→「なぜ…してるの?」という「ここでこれをしている理由」を問うフレーズにもなります。
I have a machine! は、「俺は留守電を持ってる、俺の電話には留守電がついてる」ということ。
そのようにジョーイは3つの文でチャンドラーを批判していますが、要は、「もはや同居人ではないお前がどうして電話に出るんだよ、(電話に出る必要なんかないんだ) 留守電もあるんだから!」と言っているわけですね。
留守電の話題が出たので、チャンドラーはそれを受ける形で、which を使ってセリフを続けています。
Which I bought for ya. の which は、直前のジョーイのセリフに出てきた、a machine 「留守番電話」のこと。
You have a machine, which I bought for you. 「お前は留守電を持っている、その留守電は俺がお前に買ってやった」と言っていることになります。
I bought the machine for you. 「俺がお前にその留守電を買ってやった」ということですが、関係代名詞 which を使って、Which I bought for ya. と続けることで、「そのお前が言っている留守電は、俺がお前に買ってやったんだけど」という「説明を付け足している感」が出ます。
チャンドラーとしては、「留守電、留守電って言うけど、そもそもその留守電は、”俺がお前に買ってやった”もんなんだぞ、その恩を忘れてるみたいだけどさ」という気持ちを込めているのですね。
「俺には留守電がある」「ああ、俺がお前に買ってやったやつね」みたいな感じです。
Taught ya how to use it. は、I taught you how to use it. で、「それ(留守電)の使い方を俺がお前に教えた」。
その後、「お前はその留守電を copier だと思ってただろ」とも言っています。
copier は「コピーする人、コピーするもの」ということで、「コピー機」。
If there was anything I could do, I would do it. は仮定法過去が使われていますね。
「もしこの俺に何かできることがあるとすれば、それを(何でも)するよ」という感覚で、実際には、オーディションに行けなくて、他の人が役をゲットしてしまった以上、俺にはこれ以上どうすることもできないんだ、やれることがあるなら何でもするけど、やれることもない今、俺をそんなに責め立てないでくれよ、という気持ちです。
Everybody's allowed one mistake. は「すべての人は1つの過ちを許されている」という一般論。
誰にだって過ちは一度くらいあるもんだ、今回のたった一度の過ちをどうか許してくれよ、ということですね。
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たまたまチャンドラーだけがジョーイの部屋にいる時に、ジョーイ宛てに電話がかかってきて、オーディションの時間が前倒しになった、という伝言を受けます。
その伝言をホワイトボードに書いている最中に、モニカが呼びに来たため、メッセージを書き終わることなく、チャンドラーはジョーイの部屋を出て行ってしまいます。
そのしばらく後のシーン。
ジョーイとチャンドラーがフーズボールをしていると、
(The phone rings and Joey answers it.)
電話が鳴り、ジョーイがそれに出る。
ジョーイ: (on phone) Hello? (Listens) What are you talking about? The audition's not ‘til 5:00! (Chandler suddenly remembers and looks at the unfinished message then tries to sneak over and finish it as Joey listens.) Well, nobody told me! (Listens) Who'd you talk to? (Listens and turns around to see Chandler trying to finish the message.) Never mind. (Hangs up.) ([電話で] もしもし? [電話を聞く] 何言ってんだよ? そのオーディションは5時までないぞ! [チャンドラーは突然思い出し、(ホワイトボードの)未完成のメッセージに目をやり、それからこっそりボードのところに行き、ジョーイが電話を聞いている時に、メッセージを完成させようとする] ああ、誰も俺に言わなかったぞ! [電話を聞いて] 君は誰に話したんだ? [電話を聞いて、振り返り、メッセージを完成させようとしているチャンドラーを見る] もういいよ。 [電話を切る])
チャンドラー: You mean you didn't get it from this? (このメッセージがわからなかった、ってことかな?)
ジョーイ: The allergy guy got the part! Thanks! (例のアレルギー男が役をゲットしたよ。ありがとな!)
チャンドラー: Well, maybe we can fix it y'know? Maybe we can send him some-some big-big flowers and scare him! (ほら、多分、俺たち何とかできるよ、だろ? 多分、そのアレルギー男に大きな大きな花を贈って、彼を怖がらせたりできるぞ!)
ジョーイ: How could you do this to me, Chandler?! This part could've turned my whole career around! (どうやったら俺にこんなことができるんだよ、チャンドラー? この役は俺のキャリアすべてを変えられたかもしれなかったのに!)
チャンドラー: I messed up, okay? I'm sorry. I really messed up. (俺が台無しにしちゃったんだよな? ごめんよ。俺が本当にめちゃくちゃにしちまった。)
ジョーイ: Hey, you don't even live here anymore! What are you doing answering my phone? I have a machine! (おい、お前はもうここに住んでさえいないんだぞ! 俺の電話に出たりして、何やってんだよ? 俺には留守電があるんだ!)
チャンドラー: Which I bought for ya. Taught ya how to use it. You thought it was a copier. Look, if there was anything I could do, I would do it. Okay? But everybody's allowed one mistake, right? (その留守電は、俺がお前のために買ってやったんだ。(俺が)お前に使い方を教えたんだ。お前は留守電をコピー機だと思ってただろ。なぁ、もし俺に何かできることがあるとしたら、俺はそれをするよ、な? でも、どんな人間も一つくらいの過ちは許されるだろ。)
ジョーイが電話に出て、What are you talking about? 「何言ってんだよ?」と驚きの声を上げています。
The audition's not ‘til 5:00! は、「その・例のオーディションは5時までない」という意味ですね。
ネットスクリプトでは、The audition's not ‘til 5:00! と書かれているのですが、DVDの英語字幕は、The audition's at 5. となっていて、その文だと意味は、「そのオーディションは5時にある」となります。
このパターンは、フレンズ6-20その2 で解説した、
The callback isn't until tomorrow at five. 「次のオーディションは明日の5時までない」(ネットスクリプト)
The callback is tomorrow at 5:00. 「次のオーディションは明日の5時にある」(DVD英語字幕)
と同じものですね。
その際にも説明しましたが、今回のジョーイのセリフも、「5時にある」ではなくて、「5時までない(はずだ)」と強く言いたいわけですね。
そのセリフから、電話の相手が「(ジョーイが5時までは行われないと思っている)オーディションがすでに済んでしまった」というような内容を言っているだろうことが想像できるわけです。
The audition's at 5. 「そのオーディションは5時だよ(5時にあるはずだろ)」でも、会話としては成立しますが、not until を使う方が、「5時より前にオーディションが行なわれたはずがない!」感を強く出せるということです。
5時という言葉を聞いて、チャンドラーはハッとした顔で、ホワイトボードを見上げますが、そこにはミミズのような文字が記されているだけで(笑)、全く伝言の機能を果たしていません。
モニカが呼びに来たので、メッセージを書き終わることなく部屋を出てしまったことに、今チャンドラーは気付いてしまったわけです。
ト書きにあるように、ジョーイが電話している間に、こそこそとボードのところに行き、メッセージを完成させようとするのですが、その間もジョーイは、電話で「誰も(そんなこと)俺に言ってない!」「君は(それを)誰に言ったんだ?」と怒っています。
その後、ジョーイがチャンドラーの方を見たことで、電話の相手が「ちゃんと伝えましたよ。ジョーイが留守だから伝言を受ける、って言ってて。電話に出たのは男性でした」みたいな情報をジョーイに伝えただろうことがわかります。
そんな風に自分の電話に出る男性は、元同居人のチャンドラーしかいない、と気づいたわけですね。
Never mind. は「気にしないで。もういいよ」という感じで、「一体誰に伝言したんだよ?」と相手を質問責めにしていたけれど、答えがわかったからもうこれ以上はいいや、俺が言ったことは忘れて、というニュアンスになります。
ボードにメッセージを書き足そうとしているのがバレてしまったチャンドラーは、怖い顔をしているジョーイを見て、You mean you didn't get it from this? と言っています。
You mean は「ジョーイは…って言いたいのかな?」みたいなニュアンス。
get it from this は、「ホワイトボードに書かれたこのメッセージから、それをゲットする、理解する」という感覚。
ボードに書かれているこの文字から、そのオーディションの時間が変更になったというメッセージは読み取れなかったってことかな?みたいな意味ですね。
ヘニョヘニョの文字で、到底解読できるものではないのですが、自分としてはメッセージを書いたつもりだったんだ(少なくとも書こうとはしてたんだ)と言いたいわけでしょう。
「例のアレルギー男」、つまり、花粉症のCMに出ているあの男が、役をゲットしちまった、とジョーイは言っています。
Thanks! は「ありがと」ですが、前後の文脈や表情、口調から、それを皮肉っぽく使っていることがわかりますね。
「俺じゃなくて、そいつが役をゲットすることになったのは、お前のおかげだよ、ありがとな」みたいな皮肉です。
fix は「修理する」などの意味で使いますが、ここでは「状況を回復する、元に戻す、解決する」のような感覚。
そのCMの彼が役をゲットしてしまったことを、何とか修復することができるさ、彼に大きな花を贈って、彼を怖がらせれば、などとも言っています。
これも、過去記事、花に追われる花粉症のCM フレンズ6-20その2 で説明したように、その彼はCMの中で、大きな花に追い回されている役を演じているので、でかい花を贈れば、彼もビビって逃げ出しちゃうよ、と、なんとかジョークでこの場を和ませようとしているわけですね。
そんな冗談もジョーイには通じません。
「今回の役は俺のキャリアすべてを変えられたかもしれないのに」と思っているほど、ジョーイはこの役に賭けていたからですね。
俺がめちゃめちゃにしちまった、と反省するチャンドラーですが、ジョーイの怒りは収まらず、この後もチャンドラーを責めるセリフが続きます。
You don't even live here anymore. は「お前はもはや、ここに住んでさえいない」。
ルームメイトだった時ならまだしも、お前はもはや俺の同居人ですらないんだよ、という感覚。
What are you doing answering my phone? は、「俺の電話に出たりして、何やってんだよ?」という意味。
doing と answering のように、-ing 形が2つ連続していますが、このような、What are you doing ...ing? の形には「…したりして何やってんだよ?」というニュアンスがあります。
過去のフレンズにもこの構文は何度か登場しました。
What are you doing? という問いそのものに、純粋に「相手が今やっていることは何か?」を尋ねる以外に、「一体何やってんだよ?」という非難や驚きを表すニュアンスがありますね。
その後に、...ing? を続けることで、「一体、何やってんだよ、…したりして」みたいな感覚となり、「…したりして何やってんだよ?」という意味になるわけです。
「俺の電話に出たりして、何やってくれてるんだよ」「どうして俺の電話に出たりするんだよ?」という気持ちですね。
今回は、ジョーイの「相手を非難する気持ち」が押し出されているので、「何やってくれてるんだよ」みたいに挑む感じがありますが、そのような非難以外にも、「…したりして何やってんの?」→「なぜ…してるの?」という「ここでこれをしている理由」を問うフレーズにもなります。
I have a machine! は、「俺は留守電を持ってる、俺の電話には留守電がついてる」ということ。
そのようにジョーイは3つの文でチャンドラーを批判していますが、要は、「もはや同居人ではないお前がどうして電話に出るんだよ、(電話に出る必要なんかないんだ) 留守電もあるんだから!」と言っているわけですね。
留守電の話題が出たので、チャンドラーはそれを受ける形で、which を使ってセリフを続けています。
Which I bought for ya. の which は、直前のジョーイのセリフに出てきた、a machine 「留守番電話」のこと。
You have a machine, which I bought for you. 「お前は留守電を持っている、その留守電は俺がお前に買ってやった」と言っていることになります。
I bought the machine for you. 「俺がお前にその留守電を買ってやった」ということですが、関係代名詞 which を使って、Which I bought for ya. と続けることで、「そのお前が言っている留守電は、俺がお前に買ってやったんだけど」という「説明を付け足している感」が出ます。
チャンドラーとしては、「留守電、留守電って言うけど、そもそもその留守電は、”俺がお前に買ってやった”もんなんだぞ、その恩を忘れてるみたいだけどさ」という気持ちを込めているのですね。
「俺には留守電がある」「ああ、俺がお前に買ってやったやつね」みたいな感じです。
Taught ya how to use it. は、I taught you how to use it. で、「それ(留守電)の使い方を俺がお前に教えた」。
その後、「お前はその留守電を copier だと思ってただろ」とも言っています。
copier は「コピーする人、コピーするもの」ということで、「コピー機」。
If there was anything I could do, I would do it. は仮定法過去が使われていますね。
「もしこの俺に何かできることがあるとすれば、それを(何でも)するよ」という感覚で、実際には、オーディションに行けなくて、他の人が役をゲットしてしまった以上、俺にはこれ以上どうすることもできないんだ、やれることがあるなら何でもするけど、やれることもない今、俺をそんなに責め立てないでくれよ、という気持ちです。
Everybody's allowed one mistake. は「すべての人は1つの過ちを許されている」という一般論。
誰にだって過ちは一度くらいあるもんだ、今回のたった一度の過ちをどうか許してくれよ、ということですね。
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2012年06月15日
ブログ7周年
皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は6位、「にほんブログ村」も6位です。
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2005年6月15日に開始したこのブログ、今日で7周年を迎えることができました。
無事、今日という日を迎えられたのは、いつも応援し温かく見守って下さる、読者の皆様のお蔭です。
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登録しているブログランキングでいつも良い順位にいさせていただけること、心より感謝しております。
思えば、私がブログ村で初めて1位を取ったのは、2005年12月12日のこと。
その時の記事 → フレンズ2-6その6
ブログを開始してちょうど半年くらいのことでした。
あれから、何年も経ち、その間にランキングの浮き沈みもありましたが(笑)、登録している各ランキングで、今でも1桁の順位をキープさせていただけていることには、感謝の言葉もありません。
手間を惜しまず、ランキングをクリックして下さっている皆様、ありがとうございます。
自分のブログがどのように評価されているか?を判断するための指標は他にもいろいろとあるでしょう。
ですが私はやはり、ブログランキングで上位にいさせていただけることが、読者の方が「このままこのブログを続けていいよ」と言って下さっているように聞こえるのです。
6周年以降のこの1年での大きな出来事と言えば、「THE21」「クーリエ・ジャポン」で紹介されたという嬉しいニュースがありました。
その記事はこちら↓
THE21で紹介されました!
クーリエ・ジャポンで紹介されました!
英語を職業としていない、いちブロガーの私が、このような有名誌で紹介していただけたこと、そして、そもそも本を出版できたこと自体が、長年、多くの方が私のブログを支持し、応援してきて下さったおかげです。
応援して下さる人がいる→その応援に応えようと頑張る→また別の方が私のブログの存在を知ってくれる…という好循環があってこそ、ここまで続けてこられたのです。それは間違いありません。
私が提唱するDVD学習法は、基本的にはDVDを使って独学で英語を学ぶ方法です。
実際、私もそうやって英語を学んできたわけですが、DVDの日本語訳を見ても、「どうしてこんな意味になるんだろ?」と疑問に思うこともよくありました。
DVDの日本語訳は、意訳されていることもあるため、英語の意味を 100% 正しく反映しているものではありません。
それでも私は、「それが答えとは言えないまでも、大きなヒントになりうる」ことを知り、それを参考に英語学習を続けてきました。
実際に、海外ドラマや洋画のDVDを使って英語を学ぼうとした方の中には、「日本語訳が”答え”とは限らない」ということを知り、挫折した方もおられることと思います。
そんな時、「フレンズのセリフを解説しているブログがあるらしいから、いっちょフレンズを試してみるか」みたいに思って下さると嬉しいな…そんな思いでこのブログを続けてきました。
現代社会においては、「生きた英語」そのものは、DVDだけではなく、ネットなどでも簡単に触れることができます。
ですから、英語を学ぶ題材には事欠かないはずですが、ただ英語を浴びていても、そこに「理解」が伴わなければ、自分のものとはなりません。
いくらネイティブの発音する英語に触れていても、「それはどういうニュアンスなのか?」とか、「この英文がどうして日本語で言うところのこういう意味になるのか?」という部分を突きつめないと、「何となくわかるんだけど」というレベルで終わってしまうように思います。
「私はこんな風に解釈しました、このように構文を分析しました」という細かい部分をブログの記事としてお見せすることで、「英語がこういう日本語の意味として理解されるまでの過程」を感じていただければと思っています。
わからないセリフがあれば、気軽に質問してもらえるような場としても、これからも、このブログをできる限り続けて行きたいと思います。
これまでの温かい応援、ありがとうございました。
これからも、どうか皆様、よろしくお願いいたします!
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応援して下さる人がいる→その応援に応えようと頑張る→また別の方が私のブログの存在を知ってくれる…という好循環があってこそ、ここまで続けてこられたのです。それは間違いありません。
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実際、私もそうやって英語を学んできたわけですが、DVDの日本語訳を見ても、「どうしてこんな意味になるんだろ?」と疑問に思うこともよくありました。
DVDの日本語訳は、意訳されていることもあるため、英語の意味を 100% 正しく反映しているものではありません。
それでも私は、「それが答えとは言えないまでも、大きなヒントになりうる」ことを知り、それを参考に英語学習を続けてきました。
実際に、海外ドラマや洋画のDVDを使って英語を学ぼうとした方の中には、「日本語訳が”答え”とは限らない」ということを知り、挫折した方もおられることと思います。
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ですから、英語を学ぶ題材には事欠かないはずですが、ただ英語を浴びていても、そこに「理解」が伴わなければ、自分のものとはなりません。
いくらネイティブの発音する英語に触れていても、「それはどういうニュアンスなのか?」とか、「この英文がどうして日本語で言うところのこういう意味になるのか?」という部分を突きつめないと、「何となくわかるんだけど」というレベルで終わってしまうように思います。
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2012年06月13日
前言撤回、今のはナシ! フレンズ6-20その3
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テレビドラマ「マック&チーズ」(Mac and C.H.E.E.S.E.)のマック役をどうしてもゲットしたいと力説するジョーイ。
ジョーイ: It's just, I want this part so much! Y'know? If I don't get this part, I'm never gonna eat macaroni and cheese again! No, I didn't say that! That doesn't count. (ただ、この役をものすごく欲しいんだよ[やりたいんだよ]! わかるだろ? もしこの役をゲットできないなら、俺はもう二度とマカロニ&チーズは食べないぞ! いや、今の発言を俺は言ってない[俺はそんなこと言ってない]。今のは、なしね[カウントしないぞ]。)
part は「役」ですね。俳優であるジョーイのセリフによく登場する単語です。
ジョーイは、この役(マック役)をものすごく欲しい、ものすごくやりたいと言っています。
If I don't get this part, I'm never gonna eat... は、「現実とは反対の仮定」を表す仮定法ではなくて、通常の if 節の文ですね。仮定法過去ではないので、don't のように現在形が使われています。
「もし、この役をゲットしないなら、俺は(これから)…を決して食べることはない」みたいな意味になります。
macaroni and cheese は、フレンズ6-20その1 でも説明しましたが、アメリカのお手軽料理の代表選手。
ドラマのタイトルが「マック&チーズ」なので、もしマック役をゲットできなかったら、俺はもう一生、「マック&チーズ」を食べないぞ!と誓っているのですね。
それくらいの意気込みで、この役ゲットに賭けてるんだ!と言いたいわけでしょう。
ですが、「一生食べないぞ!」宣言をした直後に、No, I didn't say that! と言っています。
直訳すると、「いや、俺はそれを言ってない!」ということで、that は直前の発言を指しますね。
自分の発言を、直後に「そんなこと俺は言ってないぞ」と前言撤回するニュアンスになります。
That doesn't count. の count について。
自動詞の count は、「重要である、無視できない、有効である」というような意味で使われますが、「(〜の中の数として)数えられる、含められる」という意味もありますね。
まさに日本語の「カウントする」という感覚です。
Macmillan Dictonary では、
count : to include something or someone in a calculation, or to be included in a calculation
例) Points scored after the bell do not count.
つまり、「何かや誰かを計算・勘定に含めること、または計算・勘定に含められること」。
例文は、「ベルの後に得点されたポイントは、勘定に含まない[カウントしない]」。
上のジョーイのセリフも、マクミランの例文の「ベルの後に得点されたポイント」みたいなもので(笑)、勘定に含まない、カウントしない、と自分で宣言している感覚になるでしょう。
日本語でも、うっかりはずみで不用意な発言をしてしまった後、慌てて「今の発言はなしね、俺、そんなこと言ってないからね」と、「言っていないことにする」ことがありますよね。
そんな風に「言ってないことにする」場合のフレーズが、No, I didn't say that! That doesn't count. になるということです。
「今の発言は忘れて」というニュアンスで、Never mind. を使うこともありますが、その場合は、自分が何か言おうとしたけど、やっぱりそのことは気にしないで、気にしてくれなくてもいいからね、のように、「相手に、気にするな、忘れて、と言っている感覚」になります。
今回の That doesn't count. は、自分の発言を、自分から「なし、にする、なかったことにする」という積極的な否定ですね。
今の発言を、1個の意味ある発言と取らないで、カウントしないで、のように、発言そのものの存在を完全否定する感覚になるでしょう。
[Scene: Joey and Rachel's apartment, Joey and Chandler are playing foosball and Joey scores a goal.]
ジョーイとレイチェルの部屋。ジョーイとチャンドラーはフーズボールをしていて、ジョーイがゴールを決める。
ジョーイ: Yes!! Ha-ha!! All right! Hey! How cool would it be if you could watch like a real life-size version of this? Huh? I mean, how crazy would that be? (よし! ハハー! やったぞ、おい! もしこれ[このフーズボール]の、本物の、等身大バージョンを見られるとしたら、それってどんなにクール(イケてる)かなぁ? な? つまり、それってどんなにクレイジー(すごい)だろうな?)
チャンドラー: As crazy as soccer? (サッカーと同じくらい、すごい、ってことか?)
ジョーイとチャンドラーは、フーズボールをしていて、ジョーイはゴールを決めて喜んでいます。
How cool would it be if you could watch... は、could という過去形が使われている「仮定法過去」ですね。
「(現実には無理だけど)もし…を見られるとしたら、それはどんなに cool だろうな?」と言っている感覚になります。
could という過去形の仮定法過去を使うことで、「現実とは反対の仮定」を表しているわけですね。
a real life-size version of this の this は、今やっているフーズボールのことで、まさに直訳通りの、「このフーズボールの、リアルな、ライフサイズ・バージョン」という意味。
フーズボールテーブルの人形が、本物の人間の実物大サイズになったのを見たら、クールだろうな、と言っているわけです。
crazy は「クレイジー」で、「正気でない」という意味ですが、be crazy about で「〜に熱狂して、夢中になって、大好きで」という意味としても使いますね。
今回のセリフは、How crazy would that be? で、that は「フーズボールが等身大になったもの」を指しますので、「その等身大フーズボールがあったとしたら、どんなに crazy だろうな?」と言っていることになります。
これは、その前の cool と同じ「すごい」というニュアンスのようですね。
The Free Dictionary : crazy には、
4. (Slang) very good or excellent
という意味も載っています。
「このフーズボールが等身大になったら、すっげーかっこいいと思わない?」みたいにジョーイは言っているのですが、チャンドラーは As crazy as... soccer? みたいに、サッカーの前に少し「ため」の時間を取って、そのセリフを言っています。
「そのクレイジーさ、すごさ、って、これと同じくらいかなぁ…サッカー、とか?」みたいなニュアンスになるでしょう。
フーズボールというゲームは、元々、サッカーをテーブルゲームにしたもの、ですよね?
フレンズのネットスクリプトではもっぱら、foosball と書いてありますが、table football という呼び名もあるくらいです。
フレンズ2-16その19 でも、「フーズボール、テーブルサッカーゲーム」のことについて触れています。
そんな風に、フーズボールそのものがサッカーを元にしているのに、「これが等身大になったら面白いだろうなぁ」と言っているジョーイのおとぼけ具合に笑ってしまうわけですね。
等身大のフーズボールは、サッカーとしてすでにこの世に存在してるじゃないか!、というか、元々、サッカーの方が先じゃないか! とチャンドラーは言いたいわけです。
ジョーイが「現実とは反対の仮定」を表す仮定法過去まで使って、「もし等身大のフーズボールがあったなら…」とか言っているのが、余計に面白いですね。
このジョーイの発言は、ボードゲームの野球盤を見て、「これの等身大バージョンがあったら面白いのに」とか言っている感覚と同じです。
そう言えば…よくお正月の特番で、とんねるずの石橋さんチームと松坂選手チームとが、「リアル野球盤」対決をしたりもしていますが…これがほんとの、a real life-size version of a baseball board game と言えるかもしれません(笑)。
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テレビドラマ「マック&チーズ」(Mac and C.H.E.E.S.E.)のマック役をどうしてもゲットしたいと力説するジョーイ。
ジョーイ: It's just, I want this part so much! Y'know? If I don't get this part, I'm never gonna eat macaroni and cheese again! No, I didn't say that! That doesn't count. (ただ、この役をものすごく欲しいんだよ[やりたいんだよ]! わかるだろ? もしこの役をゲットできないなら、俺はもう二度とマカロニ&チーズは食べないぞ! いや、今の発言を俺は言ってない[俺はそんなこと言ってない]。今のは、なしね[カウントしないぞ]。)
part は「役」ですね。俳優であるジョーイのセリフによく登場する単語です。
ジョーイは、この役(マック役)をものすごく欲しい、ものすごくやりたいと言っています。
If I don't get this part, I'm never gonna eat... は、「現実とは反対の仮定」を表す仮定法ではなくて、通常の if 節の文ですね。仮定法過去ではないので、don't のように現在形が使われています。
「もし、この役をゲットしないなら、俺は(これから)…を決して食べることはない」みたいな意味になります。
macaroni and cheese は、フレンズ6-20その1 でも説明しましたが、アメリカのお手軽料理の代表選手。
ドラマのタイトルが「マック&チーズ」なので、もしマック役をゲットできなかったら、俺はもう一生、「マック&チーズ」を食べないぞ!と誓っているのですね。
それくらいの意気込みで、この役ゲットに賭けてるんだ!と言いたいわけでしょう。
ですが、「一生食べないぞ!」宣言をした直後に、No, I didn't say that! と言っています。
直訳すると、「いや、俺はそれを言ってない!」ということで、that は直前の発言を指しますね。
自分の発言を、直後に「そんなこと俺は言ってないぞ」と前言撤回するニュアンスになります。
That doesn't count. の count について。
自動詞の count は、「重要である、無視できない、有効である」というような意味で使われますが、「(〜の中の数として)数えられる、含められる」という意味もありますね。
まさに日本語の「カウントする」という感覚です。
Macmillan Dictonary では、
count : to include something or someone in a calculation, or to be included in a calculation
例) Points scored after the bell do not count.
つまり、「何かや誰かを計算・勘定に含めること、または計算・勘定に含められること」。
例文は、「ベルの後に得点されたポイントは、勘定に含まない[カウントしない]」。
上のジョーイのセリフも、マクミランの例文の「ベルの後に得点されたポイント」みたいなもので(笑)、勘定に含まない、カウントしない、と自分で宣言している感覚になるでしょう。
日本語でも、うっかりはずみで不用意な発言をしてしまった後、慌てて「今の発言はなしね、俺、そんなこと言ってないからね」と、「言っていないことにする」ことがありますよね。
そんな風に「言ってないことにする」場合のフレーズが、No, I didn't say that! That doesn't count. になるということです。
「今の発言は忘れて」というニュアンスで、Never mind. を使うこともありますが、その場合は、自分が何か言おうとしたけど、やっぱりそのことは気にしないで、気にしてくれなくてもいいからね、のように、「相手に、気にするな、忘れて、と言っている感覚」になります。
今回の That doesn't count. は、自分の発言を、自分から「なし、にする、なかったことにする」という積極的な否定ですね。
今の発言を、1個の意味ある発言と取らないで、カウントしないで、のように、発言そのものの存在を完全否定する感覚になるでしょう。
[Scene: Joey and Rachel's apartment, Joey and Chandler are playing foosball and Joey scores a goal.]
ジョーイとレイチェルの部屋。ジョーイとチャンドラーはフーズボールをしていて、ジョーイがゴールを決める。
ジョーイ: Yes!! Ha-ha!! All right! Hey! How cool would it be if you could watch like a real life-size version of this? Huh? I mean, how crazy would that be? (よし! ハハー! やったぞ、おい! もしこれ[このフーズボール]の、本物の、等身大バージョンを見られるとしたら、それってどんなにクール(イケてる)かなぁ? な? つまり、それってどんなにクレイジー(すごい)だろうな?)
チャンドラー: As crazy as soccer? (サッカーと同じくらい、すごい、ってことか?)
ジョーイとチャンドラーは、フーズボールをしていて、ジョーイはゴールを決めて喜んでいます。
How cool would it be if you could watch... は、could という過去形が使われている「仮定法過去」ですね。
「(現実には無理だけど)もし…を見られるとしたら、それはどんなに cool だろうな?」と言っている感覚になります。
could という過去形の仮定法過去を使うことで、「現実とは反対の仮定」を表しているわけですね。
a real life-size version of this の this は、今やっているフーズボールのことで、まさに直訳通りの、「このフーズボールの、リアルな、ライフサイズ・バージョン」という意味。
フーズボールテーブルの人形が、本物の人間の実物大サイズになったのを見たら、クールだろうな、と言っているわけです。
crazy は「クレイジー」で、「正気でない」という意味ですが、be crazy about で「〜に熱狂して、夢中になって、大好きで」という意味としても使いますね。
今回のセリフは、How crazy would that be? で、that は「フーズボールが等身大になったもの」を指しますので、「その等身大フーズボールがあったとしたら、どんなに crazy だろうな?」と言っていることになります。
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「このフーズボールが等身大になったら、すっげーかっこいいと思わない?」みたいにジョーイは言っているのですが、チャンドラーは As crazy as... soccer? みたいに、サッカーの前に少し「ため」の時間を取って、そのセリフを言っています。
「そのクレイジーさ、すごさ、って、これと同じくらいかなぁ…サッカー、とか?」みたいなニュアンスになるでしょう。
フーズボールというゲームは、元々、サッカーをテーブルゲームにしたもの、ですよね?
フレンズのネットスクリプトではもっぱら、foosball と書いてありますが、table football という呼び名もあるくらいです。
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そんな風に、フーズボールそのものがサッカーを元にしているのに、「これが等身大になったら面白いだろうなぁ」と言っているジョーイのおとぼけ具合に笑ってしまうわけですね。
等身大のフーズボールは、サッカーとしてすでにこの世に存在してるじゃないか!、というか、元々、サッカーの方が先じゃないか! とチャンドラーは言いたいわけです。
ジョーイが「現実とは反対の仮定」を表す仮定法過去まで使って、「もし等身大のフーズボールがあったなら…」とか言っているのが、余計に面白いですね。
このジョーイの発言は、ボードゲームの野球盤を見て、「これの等身大バージョンがあったら面白いのに」とか言っている感覚と同じです。
そう言えば…よくお正月の特番で、とんねるずの石橋さんチームと松坂選手チームとが、「リアル野球盤」対決をしたりもしていますが…これがほんとの、a real life-size version of a baseball board game と言えるかもしれません(笑)。
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2012年06月11日
花に追われる花粉症のCM フレンズ6-20その2
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テレビドラマ「マック&チーズ」(Mac and C.H.E.E.S.E.)のマック役のオーディションを受けてきたジョーイは、上出来だったと喜んでいます。
ジョーイ: Yeah-yeah, it's down to me and two other guys. (そうなんだよ、俺とあと2人のやつに絞られてるんだ。)
チャンドラー: Oh, my God! (なんてこった!)
ロス: Wow! (わお!)
ジョーイ: And I know both of them, they're really good. One of them is the guy from those allergy commercials who's always getting chased by those big flowers.... (それで、俺はそいつらを両方とも知ってるんだ、すっごく(演技が)うまいんだぜ。一人は例のアレルギーのCMのやつなんだよ、いっつもあの大きな花たちに追いかけられてばかりいる…)
ロス: Oh, I love that guy! (Laughs.) (あぁ、僕、あの男、好きだなぁ! [笑う])
チャンドラー: Oh-oh, what are you doing? (おいおい、お前、何やってんだよ[何言ってんだよ]。)
ロス: (stops laughing) What am I doing? ([笑うのをやめて] 僕、何やってんだろ。)
ジョーイ: I'm just so nervous, y'know? The callback isn't until tomorrow at five. I feel like my head's gonna explode. (俺はすっごくナーバスになってるんだよ、だろ? 次の面接(次の呼び出し)は、明日の5時までないんだ。俺の頭が爆発しそう、って感じだよ。)
チャンドラー: Well, it is overdue. (そうだな、爆発の機は熟してるよな[爆発の期限は(とっくに)過ぎてるもんな]。)
ロス: Look, don't worry, okay? You're gonna be fine. (ねぇ、心配するなって、いい? きっと大丈夫だよ。)
ジョーイは、マック役の候補が、自分と他の2人に絞られたことを、be down to を使って表現しています。
この、be down to は、be narrowed down to と同じようなニュアンスでしょうね。
narrow down は「(範囲を)狭める、絞る、絞り込む」。
この場合の down は「量が少なくなるまで」という感覚になるでしょう。
フレンズ5-18その2 でも、どちらの服を仕入れるかという話で、
キム(レイチェルの上司): So it's down to these two. (それでこの2つに絞られたわね。)
のように、be down to を使っていました。
俺と他の2人に絞られたけど、俺はその2人を知っていて、やつらはすっごく good なんだ、とジョーイは言っています。
One of them is the guy... 「そのうちの人は、…の男で…」と言って、さらに詳しい説明をしていますね。
こういう長い文は、「聞いたままの順序でイメージしていく」ことが必要です。
前からイメージしていくと、
そのうちの一人は、…の男である→あの・例のアレルギーのコマーシャルからの(そのコマーシャルに出ている)(男である)→その人物はいつも追いかけられてばかりいる→あの大きな花たちに
という感じになるでしょう。
自然な日本語にしようとすると、「そのうちの一人は、例のアレルギーのCMで、あのでっかい花に追いかけられてばかりいるやつだよ」になるでしょうか。
those という指示語が二度も出てきているのは、「ほら、お前らもよく知ってる、よく見かける例のあれだよ」という感覚ですね。
「でっかい花に男が追いかけ回されているアレルギーのCM知ってるだろ? 一人はあの男なんだよ」ということです。
get chased は、単なる受動態の be chased 「追いかけられる」よりも、「追いかけられてしまう、追いかけられちゃう」のような「被害」のニュアンスが出る気がします。
その get chased が、be always getting chased という「always+現在進行形」の形になっていることで、「いつも…してばかりいる」という反復のニュアンスも出ますね。
行く先々で、大きな花に追い回されてばかりの男、という感覚です。
ちなみに、「巨大な花に追いかけられる男が出ているアレルギーのCM」というのは、日本で言うところの「花粉症」のCMのようですね。
「花粉症」は英語では、hay fever 。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hay fever : a medical condition in which you sneeze a lot and your eyes produce water, that is caused by breathing in pollen (= dust from plants)
つまり、「たくさんくしゃみをし、目から水分が出る(涙が出る)ような医学症状。それは花粉(植物から出る粉末)を吸い込むことによって起きる」。
花粉によって、くしゃみや涙が出る、というところは、まさに日本の花粉症の症状と同じですね。
「あの有名なアレルギーCMの男なんだよ」と説明したジョーイに、ロスは Oh, I love that guy! と言います。
それを聞いたチャンドラーが、「ロス、お前、何やってんだよ?」みたいに怖い顔でにらんでいますね。
ジョーイがどうしてもゲットしたい役のライバルなのに、そいつを褒めてどーすんだよ!という怒りです。
つい口が滑ってしまったロスも、その発言の無神経さに気付いて、「ほんとに僕、何やってんだろ、何言ってんだろ」と反省したわけですね。
callback は「コールバック」、つまり、「呼び戻し」「再呼び出し」みたいなことなので、この場合は、次のオーディション、二次面接ということ。
The callback isn't until tomorrow at five. を直訳すると、「そのコールバックは明日の5時まではない」。
つまりは、「次のオーディションは、明日の5時にある」ということで、実際、DVDの英語字幕では、The callback is tomorrow at 5:00. 「そのコールバックは明日の5時である、5時にある」という英文になっていました。
not ... until 〜 が「〜までは…しない、〜になって初めて…する」という意味でよく使われますが、それと同じ感覚ですね。
事実としては、「次のコールバックは明日の5時」ということですが、「明日の5時までハラハラしながら待っていないといけない」ことを自分が今ナーバスである理由として言いたいので、「次のオーディションが明日の5時まで”ない”」という、「ない」部分を強調しているわけでしょう。
同じ事実を述べるにしても、話者がどの部分を強調したいのか、つまり、「5時にある」のか「5時までない」のかのどちらにポイントがあるか、によって、選ぶ言葉も違ってくるし、聞く方もその相手の意図を汲んであげないといけない、ということですね。
明日の5時まで待つなんて、頭が爆発しちゃいそうだ、とジョーイは言っています。
日本語でもドキドキしたり、頭がパニクったりしている時には、心臓や頭が爆発しそう、破裂しそうなどと言いますので、その感覚は同じですね。
そんな風に、友人が心配している様子を見た場合は、その後のロスのセリフのように、"Don't worry. You're gonna be fine." 「心配するなよ。きっと大丈夫だよ」と言うのが、友人としての普通のパターンでしょう。
ですが上のやり取りでは、ロスがその定番を言う前に、チャンドラーが彼らしいジョークを一発入れています。
due は「期限が来て、締切で」という意味でよく使われますね。
そこに over- がついた overdue はまさに「期限がオーバーした」感覚で、「期限・期日が過ぎた、予定を過ぎた」という意味になります。
またそのような「本来起こるべき時期が過ぎた」という感覚から、「機が熟している、機が来ている」という意味にもなります。
LAAD では、
overdue : something that is overdue should have happened or been done a long time ago
つまり、「overdue であることは、ずっと前に起こるべきだった(のに起こっていない)、またはなされるべきだった(のになされていない)こと」。
「本当ならもうすでに起こっているべきことで、いつそうなってもおかしくない」→「その機は熟した」という感覚になるわけですね。
ですから、チャンドラーは、「本来なら、ジョーイの頭の爆発は、もっと前に起こるべきことだった」みたいに言っていることになります。
「(このままだと)頭が爆発しそう」と言っているジョーイに対して、「いつ爆発してもおかしくないよな、爆発期限はとっくに過ぎてるはずだから」と言っているわけです。
心配で頭がパニクっていることを「頭が爆発する」と表現しているだけなのに、「お前の頭の爆発期限は過ぎてるから、爆発も時間の問題だな」「お前の頭が今まで爆発せずに機能していたのが不思議なくらいだもんな」みたいに、ジョーイの頭を、爆発寸前の機能不全の機械か何かのように言って、からかっているわけですね。
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テレビドラマ「マック&チーズ」(Mac and C.H.E.E.S.E.)のマック役のオーディションを受けてきたジョーイは、上出来だったと喜んでいます。
ジョーイ: Yeah-yeah, it's down to me and two other guys. (そうなんだよ、俺とあと2人のやつに絞られてるんだ。)
チャンドラー: Oh, my God! (なんてこった!)
ロス: Wow! (わお!)
ジョーイ: And I know both of them, they're really good. One of them is the guy from those allergy commercials who's always getting chased by those big flowers.... (それで、俺はそいつらを両方とも知ってるんだ、すっごく(演技が)うまいんだぜ。一人は例のアレルギーのCMのやつなんだよ、いっつもあの大きな花たちに追いかけられてばかりいる…)
ロス: Oh, I love that guy! (Laughs.) (あぁ、僕、あの男、好きだなぁ! [笑う])
チャンドラー: Oh-oh, what are you doing? (おいおい、お前、何やってんだよ[何言ってんだよ]。)
ロス: (stops laughing) What am I doing? ([笑うのをやめて] 僕、何やってんだろ。)
ジョーイ: I'm just so nervous, y'know? The callback isn't until tomorrow at five. I feel like my head's gonna explode. (俺はすっごくナーバスになってるんだよ、だろ? 次の面接(次の呼び出し)は、明日の5時までないんだ。俺の頭が爆発しそう、って感じだよ。)
チャンドラー: Well, it is overdue. (そうだな、爆発の機は熟してるよな[爆発の期限は(とっくに)過ぎてるもんな]。)
ロス: Look, don't worry, okay? You're gonna be fine. (ねぇ、心配するなって、いい? きっと大丈夫だよ。)
ジョーイは、マック役の候補が、自分と他の2人に絞られたことを、be down to を使って表現しています。
この、be down to は、be narrowed down to と同じようなニュアンスでしょうね。
narrow down は「(範囲を)狭める、絞る、絞り込む」。
この場合の down は「量が少なくなるまで」という感覚になるでしょう。
フレンズ5-18その2 でも、どちらの服を仕入れるかという話で、
キム(レイチェルの上司): So it's down to these two. (それでこの2つに絞られたわね。)
のように、be down to を使っていました。
俺と他の2人に絞られたけど、俺はその2人を知っていて、やつらはすっごく good なんだ、とジョーイは言っています。
One of them is the guy... 「そのうちの人は、…の男で…」と言って、さらに詳しい説明をしていますね。
こういう長い文は、「聞いたままの順序でイメージしていく」ことが必要です。
前からイメージしていくと、
そのうちの一人は、…の男である→あの・例のアレルギーのコマーシャルからの(そのコマーシャルに出ている)(男である)→その人物はいつも追いかけられてばかりいる→あの大きな花たちに
という感じになるでしょう。
自然な日本語にしようとすると、「そのうちの一人は、例のアレルギーのCMで、あのでっかい花に追いかけられてばかりいるやつだよ」になるでしょうか。
those という指示語が二度も出てきているのは、「ほら、お前らもよく知ってる、よく見かける例のあれだよ」という感覚ですね。
「でっかい花に男が追いかけ回されているアレルギーのCM知ってるだろ? 一人はあの男なんだよ」ということです。
get chased は、単なる受動態の be chased 「追いかけられる」よりも、「追いかけられてしまう、追いかけられちゃう」のような「被害」のニュアンスが出る気がします。
その get chased が、be always getting chased という「always+現在進行形」の形になっていることで、「いつも…してばかりいる」という反復のニュアンスも出ますね。
行く先々で、大きな花に追い回されてばかりの男、という感覚です。
ちなみに、「巨大な花に追いかけられる男が出ているアレルギーのCM」というのは、日本で言うところの「花粉症」のCMのようですね。
「花粉症」は英語では、hay fever 。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
hay fever : a medical condition in which you sneeze a lot and your eyes produce water, that is caused by breathing in pollen (= dust from plants)
つまり、「たくさんくしゃみをし、目から水分が出る(涙が出る)ような医学症状。それは花粉(植物から出る粉末)を吸い込むことによって起きる」。
花粉によって、くしゃみや涙が出る、というところは、まさに日本の花粉症の症状と同じですね。
「あの有名なアレルギーCMの男なんだよ」と説明したジョーイに、ロスは Oh, I love that guy! と言います。
それを聞いたチャンドラーが、「ロス、お前、何やってんだよ?」みたいに怖い顔でにらんでいますね。
ジョーイがどうしてもゲットしたい役のライバルなのに、そいつを褒めてどーすんだよ!という怒りです。
つい口が滑ってしまったロスも、その発言の無神経さに気付いて、「ほんとに僕、何やってんだろ、何言ってんだろ」と反省したわけですね。
callback は「コールバック」、つまり、「呼び戻し」「再呼び出し」みたいなことなので、この場合は、次のオーディション、二次面接ということ。
The callback isn't until tomorrow at five. を直訳すると、「そのコールバックは明日の5時まではない」。
つまりは、「次のオーディションは、明日の5時にある」ということで、実際、DVDの英語字幕では、The callback is tomorrow at 5:00. 「そのコールバックは明日の5時である、5時にある」という英文になっていました。
not ... until 〜 が「〜までは…しない、〜になって初めて…する」という意味でよく使われますが、それと同じ感覚ですね。
事実としては、「次のコールバックは明日の5時」ということですが、「明日の5時までハラハラしながら待っていないといけない」ことを自分が今ナーバスである理由として言いたいので、「次のオーディションが明日の5時まで”ない”」という、「ない」部分を強調しているわけでしょう。
同じ事実を述べるにしても、話者がどの部分を強調したいのか、つまり、「5時にある」のか「5時までない」のかのどちらにポイントがあるか、によって、選ぶ言葉も違ってくるし、聞く方もその相手の意図を汲んであげないといけない、ということですね。
明日の5時まで待つなんて、頭が爆発しちゃいそうだ、とジョーイは言っています。
日本語でもドキドキしたり、頭がパニクったりしている時には、心臓や頭が爆発しそう、破裂しそうなどと言いますので、その感覚は同じですね。
そんな風に、友人が心配している様子を見た場合は、その後のロスのセリフのように、"Don't worry. You're gonna be fine." 「心配するなよ。きっと大丈夫だよ」と言うのが、友人としての普通のパターンでしょう。
ですが上のやり取りでは、ロスがその定番を言う前に、チャンドラーが彼らしいジョークを一発入れています。
due は「期限が来て、締切で」という意味でよく使われますね。
そこに over- がついた overdue はまさに「期限がオーバーした」感覚で、「期限・期日が過ぎた、予定を過ぎた」という意味になります。
またそのような「本来起こるべき時期が過ぎた」という感覚から、「機が熟している、機が来ている」という意味にもなります。
LAAD では、
overdue : something that is overdue should have happened or been done a long time ago
つまり、「overdue であることは、ずっと前に起こるべきだった(のに起こっていない)、またはなされるべきだった(のになされていない)こと」。
「本当ならもうすでに起こっているべきことで、いつそうなってもおかしくない」→「その機は熟した」という感覚になるわけですね。
ですから、チャンドラーは、「本来なら、ジョーイの頭の爆発は、もっと前に起こるべきことだった」みたいに言っていることになります。
「(このままだと)頭が爆発しそう」と言っているジョーイに対して、「いつ爆発してもおかしくないよな、爆発期限はとっくに過ぎてるはずだから」と言っているわけです。
心配で頭がパニクっていることを「頭が爆発する」と表現しているだけなのに、「お前の頭の爆発期限は過ぎてるから、爆発も時間の問題だな」「お前の頭が今まで爆発せずに機能していたのが不思議なくらいだもんな」みたいに、ジョーイの頭を、爆発寸前の機能不全の機械か何かのように言って、からかっているわけですね。
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2012年06月08日
チーズになる頭字語(アクロニム) フレンズ6-20その1
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シーズン6 第20話
The One With Mac and C.H.E.E.S.E. (ジョーイ再び大ブレイク!の予感)
原題は「マック&チーズの話」
[Scene: Joey and Rachel's apartment, Joey is memorizing his lines. Chandler, Rachel, and Phoebe are there as well.]
ジョーイとレイチェルの部屋。ジョーイは自分のセリフを覚えているところ、チャンドラー、レイチェル、フィービーもそこにいる。
チャンドラー: (To Joey) So uh, what's this thing you're auditioning for? (それで、お前がオーディションを受けようとしているこれは何なんだ[どんなやつだ]?)
ジョーイ: Oh, it's a new TV show. Yeah. I'm up for the part of Mac, Machiavelli, or "Mac"! Yeah, I'm a detective and I solve crimes with the help of my robot partner. He's a, he's a computerized humanoid electronically enhanced secret enforcer. Or-or "C.H.E.E.S.E." (あぁ、新しいテレビ番組なんだよ。そう、俺が立候補してる役は、マック・マキャベリ、または(通称)”マック”だ! そう、俺は探偵(or 刑事)で、ロボットのパートナーの助けを借りて事件を解決するんだよ。彼は、コンピュータ(化された)人型電子強化秘密執行人、または(通称)”チーズ”だ。)
レイチェル: So Mac and C.H.E.E.S.E.? (それじゃあ、マック&チーズなの?)
ジョーイ: That's the title! Yeah! Y'know they really lucked out that the initials spell "cheese." (それがタイトルなんだよ! そうなんだ! ほら、その頭文字(イニシャル)のスペルが「チーズ」だなんて、二人はほんとにラッキーだったよな。)
チャンドラー: That is lucky. (実にラッキーだ。)
チャンドラーは、「ジョーイがオーディションを受けようとしてセリフを練習してるこれは何?」と尋ねています。
ジョーイは、新しいテレビ番組なんだ、と言って、役柄を説明していますね。
up for は、「〜に立候補して」という感覚。
up には「立ち上がる」のようなニュアンスがありますので、「〜に対して立ち上がる」という感覚は、立候補の「候補に立つ」ような「立」の字にも繋がるように思います。
Machiavelli という名前は、世界史で習う「君主論」の著者マキャヴェリと同じですね。
ちなみに、その思想家マキャヴェリはイタリア人です。
ジョーイもイタリア系アメリカ人なので、イタリア系っぽい名前のついた役にジョーイが応募した、というところも、自然な流れと言えるのでしょう。
or "Mac" と言いながら、手を鉤爪(かぎづめ)のように大袈裟に曲げていますが、これは、引用符のジェスチャーですね。
これまでのフレンズでも、両手の指をチョキの形というか、カニのハサミのようにして、「” ”」= double quotation marks (クオーテーションマーク、引用符)を表すしぐさが何度も登場しましたが、今回のは、ジョーイが得意げにやたらと大袈裟な感じで身ぶりしているのが印象的です。
detective は「刑事」「探偵」。
a police detective なら「刑事巡査」、a private detective なら「私立探偵」になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
detective :
1. a police officer whose job is to discover information about crimes and catch criminals
2. someone who is paid to discover information about someone or something
例) a private detective
つまり、1. は、「犯罪に関する情報を発見すること、または犯罪者を捕えることが仕事である警察官」。
2. は、「誰かや何かに関する情報を見つけるために金を支払われる人(支払いを受けて誰かや何かに関する情報を見つける人)」。
日本語の「刑事」「探偵」ではえらくイメージが違いますが、元々、「見つける、発見する」という意味の動詞 detect から来た言葉だと思われますので、「発見することを仕事にする」という意味では同じということなのでしょう。
detector なら「発見器、探知器」という意味になり、a lie detector は「ウソ発見器」、a smoke detector なら「煙探知器」になります。
「ロボットのパートナーの助けを借りて事件を解決するんだ」と言った後、そのパートナーのことを説明するジョーイ。
a computerized humanoid electronically enhanced secret enforcer みたいな長い名称をジョーイが間違わずに言えたのはすごいなと思いつつ(笑)、前から順番に訳すと、
「コンピュータ化された、ヒューマノイド(人型)の、電子的に、強化された、秘密の、エンフォーサー」
になります。
動詞 enforce は、「(法律などを)実施する、施行する」「強化する、強制する、強要する」。
enforcer は、enforce する人、みたいな意味になるわけですが、英辞郎には、
enforcer=執行者、用心棒
という意味が載っています。
LAAD では、
enforcer : someone such as a police officer who makes sure that people obey rules and laws
例) the police and other law enforcers
つまり、「人々が必ず規則や法律に従うようにさせる、警察官のような人」。
Macmillan Dictionary では、
enforcer : someone who is given the responsibility for making sure that a particular thing happens or is done, usually in government or business
つまり、「あることが必ず起こるように、またはなされるようにするための責任を与えられた人、たいていは政府、またはビジネスで」。
Merriam-Webster Dictionary では、
1. one that enforces
「enforce する者」という意味と並んで、以下の語義も載っていました。
enforcer :
2. a violent criminal employed by a crime syndicate; especially : HIT MAN (= a professional assassin who works for a crime syndicate)
つまり、「犯罪シンジケートによって雇われた暴力的犯罪者、特にヒットマン(犯罪シンジケートのために働くプロの殺し屋)」。
ロングマンの語義は「警察官」のイメージで、Merriam-Webster のは「ヒットマン」と、これまたイメージが大きく違います。
(その「ヒットマン」の意味が、英辞郎の「用心棒」のニュアンスでしょうね。)
マクミランは、「政府、またはビジネスで」とあるので、「警察官」と「ヒットマン」の両方を網羅しているようにも見えます。
force 「力」という言葉が入っているように、力づくで人を従わせるというようなイメージがあるわけで、人として守るべき法律に従わせる場合だと、「政府の法の執行者」である警察のイメージとなり、それがビジネス、特に「犯罪シンジケート」の場合だと、その掟を徹底するためのヒットマンなり用心棒になったりする、という感覚でしょう。
で、マックの相棒であるロボットの彼が enforcer だとすると、そのイメージはどんな感じになるのでしょうね?
マックの相棒であることから、正義の味方だと思われるので、ヒットマンや用心棒ということはないでしょうが、secret 「秘密の」とついているところから、なんとなく(日本の時代劇で言うところの)「大江戸捜査網」の隠密同心とか、「必殺仕事人」のようなものを想像してしまうのは私だけ?(笑)
「秘密裏に法を執行する」ような a secret enforcer のニュアンスが、「闇にはびこる悪を成敗する」感覚に繋がる気が(私には)するのですが、実際のところはどうなのでしょう??
そういう「秘密の執行人」のニュアンスだとした場合、コンビを組んでいるマックは、「公的機関の警察官」よりは、「私立探偵」の方に近いことになるのでしょうか??
または、LAAD の enforcer の説明に「警察官のような人」とあったので、ことさら「力づくで執行する」イメージを連想する必要はなく、単に、a police officer の言い換え語句として使っているだけという可能性も否定できない気はします。
ただやはり、secret とわざわざついているのが、意味深な気はするのですが…そういう「人型ロボット」が存在すること自体が「機密」なのかもしれない…。
とにかくジョーイは、そういう「長い正式名称」を述べた後、or 「または、別名」と言って、またもや手で引用符のジェスチャーをしながら、"C.H.E.E.S.E." と名前を言っています。
cheese ではなくて、大文字でピリオド付きなのは、acronym 「頭字語(頭文字でできた語)」だからですね。
ジョーイが希望している役がマックで、相棒のロボットがチーズだと聞いて、レイチェルは、「じゃあ、そのコンビは、マック&チーズなの?」と驚いています。
ジョーイは、「まさにそれが番組のタイトルなんだよ!」と嬉しそうに台本を見せます。
どうして、「マック&チーズ」というネーミングで、レイチェルやジョーイが喜んでいるかと言うと、アメリカのお手軽でメジャーな料理に macaroni and cheese 「マカロニ&チーズ」というものがあるからです。
フレンズ5-8その2 にもその料理が登場しており、コメント欄でもその話題について触れています。
mac'n'cheese や、mac and cheese とも呼ばれるので、コンビ名がその料理名と同じになるんだ!と喜んでいるわけですね。
luck out の luck は名詞で「運」ですが、luck out の形で動詞として使うと、「運が良い」という意味になります。
LAAD では、
luck out [phrasal verb] : to be lucky
例) We lucked out and found someone who spoke English.
つまり、「ラッキーであること」。例文は、「私たちはラッキーで(運良く)英語を話す人を見つけた」。
the initials spell "cheese" は、spell が動詞で、「その頭文字が、cheese と綴る[という綴り(スペル)になる]」という感覚。
ですからジョーイは、「相棒の正式名称の頭文字の綴りが cheese になるなんて、彼ら(マック&チーズの二人)はほんとラッキーだったな」と言っていることになるでしょう。
それを聞いたチャンドラーは、少しあきれた顔をして、"That IS lucky." のように、is の部分を強調して言っています。
「そのことは、確かに・実に、ラッキーだよな」と言っている感覚ですが、これはチャンドラーの皮肉ですね。
番組の制作サイド(笑)としては、最初に「マック&チーズ」というコンビ名にしよう、というコンセプトがあって、そのために「縮めたら cheese になるようなそれらしい正式名称」を考えたはずです。
「cheese になるように、そういう名前のキャラ設定にしたんだぁ〜」と感心すべきところを、「相棒の名前を縮めたらチーズになって、コンビ名がマック&チーズになるなんて、すっげーラッキーじゃん!」と言っている、そのズレ具合が「いかにもジョーイ」っぽいわけですね。
今回のネーミングは最初からその略称ありきの名前なのがミエミエなのに、何も考えずにつけた名前の略称が偶然「チーズ」になったかのようにジョーイが感心しているので、「もしほんとに”偶然”そうなったんだったら、そりゃあ、ラッキーと言うほかないよな、まさにラッキーそのものだよな」と皮肉っぽく返している、その気持ちが、IS を強調している部分に込められているということですね。
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シーズン6 第20話
The One With Mac and C.H.E.E.S.E. (ジョーイ再び大ブレイク!の予感)
原題は「マック&チーズの話」
[Scene: Joey and Rachel's apartment, Joey is memorizing his lines. Chandler, Rachel, and Phoebe are there as well.]
ジョーイとレイチェルの部屋。ジョーイは自分のセリフを覚えているところ、チャンドラー、レイチェル、フィービーもそこにいる。
チャンドラー: (To Joey) So uh, what's this thing you're auditioning for? (それで、お前がオーディションを受けようとしているこれは何なんだ[どんなやつだ]?)
ジョーイ: Oh, it's a new TV show. Yeah. I'm up for the part of Mac, Machiavelli, or "Mac"! Yeah, I'm a detective and I solve crimes with the help of my robot partner. He's a, he's a computerized humanoid electronically enhanced secret enforcer. Or-or "C.H.E.E.S.E." (あぁ、新しいテレビ番組なんだよ。そう、俺が立候補してる役は、マック・マキャベリ、または(通称)”マック”だ! そう、俺は探偵(or 刑事)で、ロボットのパートナーの助けを借りて事件を解決するんだよ。彼は、コンピュータ(化された)人型電子強化秘密執行人、または(通称)”チーズ”だ。)
レイチェル: So Mac and C.H.E.E.S.E.? (それじゃあ、マック&チーズなの?)
ジョーイ: That's the title! Yeah! Y'know they really lucked out that the initials spell "cheese." (それがタイトルなんだよ! そうなんだ! ほら、その頭文字(イニシャル)のスペルが「チーズ」だなんて、二人はほんとにラッキーだったよな。)
チャンドラー: That is lucky. (実にラッキーだ。)
チャンドラーは、「ジョーイがオーディションを受けようとしてセリフを練習してるこれは何?」と尋ねています。
ジョーイは、新しいテレビ番組なんだ、と言って、役柄を説明していますね。
up for は、「〜に立候補して」という感覚。
up には「立ち上がる」のようなニュアンスがありますので、「〜に対して立ち上がる」という感覚は、立候補の「候補に立つ」ような「立」の字にも繋がるように思います。
Machiavelli という名前は、世界史で習う「君主論」の著者マキャヴェリと同じですね。
ちなみに、その思想家マキャヴェリはイタリア人です。
ジョーイもイタリア系アメリカ人なので、イタリア系っぽい名前のついた役にジョーイが応募した、というところも、自然な流れと言えるのでしょう。
or "Mac" と言いながら、手を鉤爪(かぎづめ)のように大袈裟に曲げていますが、これは、引用符のジェスチャーですね。
これまでのフレンズでも、両手の指をチョキの形というか、カニのハサミのようにして、「” ”」= double quotation marks (クオーテーションマーク、引用符)を表すしぐさが何度も登場しましたが、今回のは、ジョーイが得意げにやたらと大袈裟な感じで身ぶりしているのが印象的です。
detective は「刑事」「探偵」。
a police detective なら「刑事巡査」、a private detective なら「私立探偵」になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
detective :
1. a police officer whose job is to discover information about crimes and catch criminals
2. someone who is paid to discover information about someone or something
例) a private detective
つまり、1. は、「犯罪に関する情報を発見すること、または犯罪者を捕えることが仕事である警察官」。
2. は、「誰かや何かに関する情報を見つけるために金を支払われる人(支払いを受けて誰かや何かに関する情報を見つける人)」。
日本語の「刑事」「探偵」ではえらくイメージが違いますが、元々、「見つける、発見する」という意味の動詞 detect から来た言葉だと思われますので、「発見することを仕事にする」という意味では同じということなのでしょう。
detector なら「発見器、探知器」という意味になり、a lie detector は「ウソ発見器」、a smoke detector なら「煙探知器」になります。
「ロボットのパートナーの助けを借りて事件を解決するんだ」と言った後、そのパートナーのことを説明するジョーイ。
a computerized humanoid electronically enhanced secret enforcer みたいな長い名称をジョーイが間違わずに言えたのはすごいなと思いつつ(笑)、前から順番に訳すと、
「コンピュータ化された、ヒューマノイド(人型)の、電子的に、強化された、秘密の、エンフォーサー」
になります。
動詞 enforce は、「(法律などを)実施する、施行する」「強化する、強制する、強要する」。
enforcer は、enforce する人、みたいな意味になるわけですが、英辞郎には、
enforcer=執行者、用心棒
という意味が載っています。
LAAD では、
enforcer : someone such as a police officer who makes sure that people obey rules and laws
例) the police and other law enforcers
つまり、「人々が必ず規則や法律に従うようにさせる、警察官のような人」。
Macmillan Dictionary では、
enforcer : someone who is given the responsibility for making sure that a particular thing happens or is done, usually in government or business
つまり、「あることが必ず起こるように、またはなされるようにするための責任を与えられた人、たいていは政府、またはビジネスで」。
Merriam-Webster Dictionary では、
1. one that enforces
「enforce する者」という意味と並んで、以下の語義も載っていました。
enforcer :
2. a violent criminal employed by a crime syndicate; especially : HIT MAN (= a professional assassin who works for a crime syndicate)
つまり、「犯罪シンジケートによって雇われた暴力的犯罪者、特にヒットマン(犯罪シンジケートのために働くプロの殺し屋)」。
ロングマンの語義は「警察官」のイメージで、Merriam-Webster のは「ヒットマン」と、これまたイメージが大きく違います。
(その「ヒットマン」の意味が、英辞郎の「用心棒」のニュアンスでしょうね。)
マクミランは、「政府、またはビジネスで」とあるので、「警察官」と「ヒットマン」の両方を網羅しているようにも見えます。
force 「力」という言葉が入っているように、力づくで人を従わせるというようなイメージがあるわけで、人として守るべき法律に従わせる場合だと、「政府の法の執行者」である警察のイメージとなり、それがビジネス、特に「犯罪シンジケート」の場合だと、その掟を徹底するためのヒットマンなり用心棒になったりする、という感覚でしょう。
で、マックの相棒であるロボットの彼が enforcer だとすると、そのイメージはどんな感じになるのでしょうね?
マックの相棒であることから、正義の味方だと思われるので、ヒットマンや用心棒ということはないでしょうが、secret 「秘密の」とついているところから、なんとなく(日本の時代劇で言うところの)「大江戸捜査網」の隠密同心とか、「必殺仕事人」のようなものを想像してしまうのは私だけ?(笑)
「秘密裏に法を執行する」ような a secret enforcer のニュアンスが、「闇にはびこる悪を成敗する」感覚に繋がる気が(私には)するのですが、実際のところはどうなのでしょう??
そういう「秘密の執行人」のニュアンスだとした場合、コンビを組んでいるマックは、「公的機関の警察官」よりは、「私立探偵」の方に近いことになるのでしょうか??
または、LAAD の enforcer の説明に「警察官のような人」とあったので、ことさら「力づくで執行する」イメージを連想する必要はなく、単に、a police officer の言い換え語句として使っているだけという可能性も否定できない気はします。
ただやはり、secret とわざわざついているのが、意味深な気はするのですが…そういう「人型ロボット」が存在すること自体が「機密」なのかもしれない…。
とにかくジョーイは、そういう「長い正式名称」を述べた後、or 「または、別名」と言って、またもや手で引用符のジェスチャーをしながら、"C.H.E.E.S.E." と名前を言っています。
cheese ではなくて、大文字でピリオド付きなのは、acronym 「頭字語(頭文字でできた語)」だからですね。
ジョーイが希望している役がマックで、相棒のロボットがチーズだと聞いて、レイチェルは、「じゃあ、そのコンビは、マック&チーズなの?」と驚いています。
ジョーイは、「まさにそれが番組のタイトルなんだよ!」と嬉しそうに台本を見せます。
どうして、「マック&チーズ」というネーミングで、レイチェルやジョーイが喜んでいるかと言うと、アメリカのお手軽でメジャーな料理に macaroni and cheese 「マカロニ&チーズ」というものがあるからです。
フレンズ5-8その2 にもその料理が登場しており、コメント欄でもその話題について触れています。
mac'n'cheese や、mac and cheese とも呼ばれるので、コンビ名がその料理名と同じになるんだ!と喜んでいるわけですね。
luck out の luck は名詞で「運」ですが、luck out の形で動詞として使うと、「運が良い」という意味になります。
LAAD では、
luck out [phrasal verb] : to be lucky
例) We lucked out and found someone who spoke English.
つまり、「ラッキーであること」。例文は、「私たちはラッキーで(運良く)英語を話す人を見つけた」。
the initials spell "cheese" は、spell が動詞で、「その頭文字が、cheese と綴る[という綴り(スペル)になる]」という感覚。
ですからジョーイは、「相棒の正式名称の頭文字の綴りが cheese になるなんて、彼ら(マック&チーズの二人)はほんとラッキーだったな」と言っていることになるでしょう。
それを聞いたチャンドラーは、少しあきれた顔をして、"That IS lucky." のように、is の部分を強調して言っています。
「そのことは、確かに・実に、ラッキーだよな」と言っている感覚ですが、これはチャンドラーの皮肉ですね。
番組の制作サイド(笑)としては、最初に「マック&チーズ」というコンビ名にしよう、というコンセプトがあって、そのために「縮めたら cheese になるようなそれらしい正式名称」を考えたはずです。
「cheese になるように、そういう名前のキャラ設定にしたんだぁ〜」と感心すべきところを、「相棒の名前を縮めたらチーズになって、コンビ名がマック&チーズになるなんて、すっげーラッキーじゃん!」と言っている、そのズレ具合が「いかにもジョーイ」っぽいわけですね。
今回のネーミングは最初からその略称ありきの名前なのがミエミエなのに、何も考えずにつけた名前の略称が偶然「チーズ」になったかのようにジョーイが感心しているので、「もしほんとに”偶然”そうなったんだったら、そりゃあ、ラッキーと言うほかないよな、まさにラッキーそのものだよな」と皮肉っぽく返している、その気持ちが、IS を強調している部分に込められているということですね。
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