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ロスが付き合っている大学生のエリザベスは、春休みにフロリダに旅行するとロスに告げます。
最初は何も気にしていなかったロスでしたが、フレンズたちが「それはきっと男遊びをしに行くんだ」と言うので、心配で仕方ないようです。
[Scene: Elizabeth's apartment, she is packing for her trip as Ross watches.]
エリザベスの部屋、彼女は旅行用の荷造りをしていて、ロスがそれを見ている。
ロス: I'm so glad you're going on this trip! (君がこの旅行に行くのが、僕はとても嬉しいよ!)
エリザベス: Yeah! I've been working so hard this semester. I really need to go crazy y'know, blow off some steam. (そうね! 今学期はすっごく頑張ってきたの。ほんとにはしゃぎまくる必要があるわ、ほら、ストレス発散ね。)
ロス: Sure. Sure. Look, I don't, I don't know if your plans are finalized yet, but umm, hey I-I know another great way to blow off steam. (そう、その通り。ねぇ、君の計画がもう決定済みなのかどうかは知らないけど、でも、ほら、別のすごいストレス発散法を僕は知ってるよ。)
エリザベス: What? (何?)
ロス: Are you into crafts at all? (君は少しでも工芸(手芸)に興味あったりする?)
エリザベス: Ross, are you okay? (ロス、あなた大丈夫?)
ロス: Well, yeah, of-of course I'm okay! What? I'm just being supportive. Supportive of you and this whole trip, and-and (notices something) what-what is uh, what's this? (He holds up a rather skimpy bathing suit.) (ああ、そうさ、もちろん、大丈夫だよ! 何? 僕はただサポーティブである[協力的である]だけだよ。君とこの旅行全部に協力的なんだよ、それから [何かに気付いて] 何、これは何? [ロスはかなり露出度の高い水着を掲げる] )
エリザベス: It's a bathing suit? (水着だけど?)
ロス: To wear in front of people? (人々の前で着るための?)
エリザベス: Is that supportive? (それ[そのあなたの態度]がサポーティブなの?)
ロス: Is this? ((じゃあ)これ[この水着]は?(サポーティブなの?))
他の若い男と寝たりするんじゃないか、と心配なロスですが、言葉では、「君がこの旅行に行くのが、僕は嬉しいよ!」と言っています。
you're going は「決まった近い将来の予定」を表す現在進行形ですね。
エリザベスは、ロスの心配に気づく様子もなく、I've been working という現在完了進行形を使って、「今学期は、ずーっと勉強を頑張ってきた」と言い、だから、go crazy, blow off some steam する必要があるの、と言っています。
go crazy は文字通り、「クレイジーになる」ということで、はしゃいで、大騒ぎして、みたいな感じですね。
blow off steam は「鬱憤(うっぷん)を晴らす、ストレスを解消する」という意味。
blow は「吹く」、off は「分離」の意味ですから、blow off で「吹き飛ばす」ということ。
steam は「スチームアイロン」などの steam で「蒸気、湯気(ゆげ)」。
確かに鍋などに溜まった蒸気を吹き飛ばして逃がす感じは、「うっぷん晴らし」の感覚に繋がる気がします。
爆発、破裂しそうになっているのを蒸気を逃がすことで回避する、みたいな感じでしょう。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
let/blow off steam : to get rid of your anger or excitement in a way that does not harm anyone, by doing something active
例) Recess is a good chance for kids to blow off steam.
つまり、「何かアクティブなことをすることにより、誰かを傷つけない方法で怒りや興奮を取り除くこと」。
例文は、「休憩時間は子供がストレスを解消する良い機会だ」。
エリザベスが、go crazy, blow off steam という言葉を使うので、余計に「ハメをはずす」イメージが強まってしまい、ロスはますます心配になってきます。
その旅行の計画が最終決定になったかどうかは知らないけど、他にもすごいストレス発散法があるよ、と言って、何とか計画を変えさせようとしています。
で、その別の方法が何かと言うと…「君は工芸に興味があったりする?」
crafts は「ペーパークラフト」などのクラフトで「工芸、手芸」ですよね。
今学期は超ハードに勉強してきたから、パーッとその鬱憤晴らしをしたいのよね、と言っているのに、じゃあ、工芸なんかどう? と「静かな文化系の趣味」を持ち出すというそのギャップに笑ってしまうわけです。
うまく出来なかったら、ますますイライラが溜まりそうな感じすらしますよね(笑)。
フロリダに行かずに、工芸でもしてみたら?という発言にはエリザベスも違和感を感じたらしく、「大丈夫?」と尋ねています。
ロスは平気な風を装って、大丈夫だ、と言い、I'm just being supportive. とも言っています。
このような「be 動詞+being」の形は、これまでのフレンズでも何度も登場しましたが、「今、この瞬間(だけ)、supportive である状態になっている」という感覚ですね。
supportive は「協力的な、支えとなる」。
これが、I'm supportive. という普通の現在形だと、「僕は協力的だ」というような「性格」や「(いつもそうであるという)普段の様子」を示していることになるでしょう。
I'm just being supportive. という形を使うことで、「今、僕はただ、supportive でいるだけなんだよ」のように、今、君に対して協力的であろうとしているだけ、協力的な態度を取っているだけのことなんだ、みたいに言っているわけですね。
「be 動詞+being」をあえて日本語化しようとすると、「〜であるという状態を今まさにしているところ」みたいな感覚になるでしょうか。
(微妙な違いですが)「協力的である」と「今、協力的でいる」のように差異を出すことも可能でしょうか??
その後の、Supportive of you and this whole trip は、I'm just being supportive of you and... 「君や…のことで(に対して)サポーティブ」のように、of 以下で、supportive の対象、サポートすべき対象を挙げていることになります。
of 以下で、「僕は協力的でいるんだよ、君に対しても、この旅行全体に対しても、そして…」と、その対象を挙げている時に、ロスは何かを見つけて驚いています。
ロスが掲げたそれは、赤いビキニ、それも、布の部分が小さな小さなビキニでした。
ト書きの、a rather skimpy bathing suit という表現もそのビキニの小ささを表しています。
skimpy については英辞郎に、
skimpy attire=肌もあらわな服装
skimpy bikinis=露出度の高いビキニ
と出ていますが、まさにそういう「肌もあらわな、露出度の高い」という意味なのですね。
LAAD では、
skimpy : a skimpy dress, skirt etc. is very short and does not cover very much of a woman's body
つまり、「skimpy なドレスやスカートは、非常に短く、女性の体を十分にカバーしていない[覆っていない]。」
水着を掴んで、何だよこれ?みたいに言ったロスに、エリザベスは「(何って)水着よ、水着だけど?」みたいに返します。
ロスはさらに、「人々の前で着るための水着か?」と尋ねていますね。
こんな露出度の高い肌もあらわな小さな水着を、大勢の男の前で着るつもり?と言いたいわけです。
「君の旅行には僕は協力的な態度でいるんだ」と言っておきながら、「こんな水着を男の前で着るのか?」と怒るロスに矛盾を感じたエリザベスは、Is that supportive? と言います。
that はその直前のロスの発言や態度を指しますね。
「そんな風に、水着にケチをつけたりするのが、協力的なの? 協力的だって言える?」みたいな抗議です。
それに対してロスが、Is this? と返すのが面白いなと思いました。
Is this? というのは、Is this supportive? ということですね。
Is that...? を受けての、Is this? ですから、「それはサポーティブなの?」「(じゃあ)これはサポーティブなの?」と「じゃあ、こっちはどうなんだ?」と逆に挑んでいる感覚になります。
ロスの言う this とは、ロスが今、手に持っている「肌もあらわな水着」のこと。
上で説明したように、supportive とは「協力的な、支えとなる」という意味でした。
人について使うと、その人が誰かや誰かの行動に対してサポートしてあげる、協力的である、という意味になりますが、元々、support 「支える」という動詞から派生した形容詞ですから、まさに「何かが何かを(物理的に)支える」という意味での「支えとなる」でもあるわけですね。
「このビキニ(のブラ)は支えになるのか?」とロスは聞き返しているわけで、「こんな少ない布きれで、君の胸が支えられるのか?」みたいに言っていることになります。
こんな小さなビキニじゃあ、ビキニとしてのサポート機能を果たしてないじゃないか、こんなのビキニとは言えないじゃないか、と、そのあまりの小ささと露出度の高さを指摘しているわけですね。
ブラなどの下着の機能説明で「しっかりサポート」みたいな言葉が使われることもありますが、まさにそういう「サポート」のニュアンスです。
僕はサポーティブだよ、と supportive という単語を連呼していたのは、(脚本的に)最後にこのビキニの話でオチをつけるためだったんですね(笑)。
"Is that supportive?" "Is this?" という、単語だけ見れば非常に簡単なやり取りではありますが、that はロスの言動、this はビキニを指し、それぞれに supportive という言葉を使うことで、「(人が)協力的である」「(衣服が)しっかりサポートする」という2つの意味を持たせ、コメディのジョークにしているわけです。
ここで最後のロスのセリフが、"Is this supportive?" になっていたら、意味はもっとはっきりしたかもしれませんが、今回のようにあえて、"Is this?" 「じゃあ、これは(どうなの)?」で止める方が、セリフとしてもオチとしても、すっきり聞こえる気がします。
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