2012年07月06日

Kids! 全く子供ってのは フレンズ6-21その6

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は5位、「にほんブログ村」は6位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


娘エリザベスが、年上の男性ロスと交際していることを快く思っていないパパ、ポールは、ロスとの夕食の席で、ロスに皮肉ばかり言っています。
それに我慢ができなくなったロスは、
ロス: Y'know what? I-I-I... I-I have had enough of this! Y'know, I-I-I care a great deal about your daughter and I have treated her with nothing but respect! So if-if you've got a problem with me, frankly-- (いいですか? 僕は、僕は…僕はもうたくさんです! 僕はあなたの娘さんのことをものすごく気にかけていますし、彼女には尊敬の念だけを持って接しています! だから、もしあなたが僕をいやだと言うなら、率直に言うと…)
ポール: Are you yelling at me?! (君は私に怒鳴ってるのか?)
ロス: God, no! (そんな、とーんでもありません!)
エリザベス: Y'know what, daddy? If you don't like Ross, that's fine. It doesnt matter to me. I'm gonna go out with him anyway. (ねぇ、パパ? もしパパがロスを好きじゃないなら、それでいいわ。私は構わないもの[私にはどうでもいいもの]。どのみち私は彼とこれからも付き合うわ。)
ポール: Really?! (She nods in the affirmative.) (本当か? [エリザベスは肯定してうなずく])
ロス: Well, if it doesn't matter to her, it doesn't matter to me! (to Paul) Still not yelling. (ええ、もし彼女にとってどうでもいいことなら、僕にとってもどうでもいいことです! [ポールに] 今でも怒鳴ってませんよ。)
ポール: Wow. What can I say? (Pause, pointing at Ross) This doesn't make me like you any better! (わぉ。僕は何て言える?[何と言えばいいんだ?] [間があって、ロスを指差して] 今のこのことが、前より少しでも君を好きにさせるわけじゃないぞ。)
ロス: That's okay. I'm not so crazy about myself right now either. (それで構いませんよ。まさに今は、僕もそんなに自分のことが大好きではないですから。)
ポール: Then we agree? (それじゃあ、我々は意見が一致してるんだな?)
ロス: Uh yeah, I guess. Yeah! I guess so. (ええ、そうだと思います。そうですよ! そう思います。)
ポール: Neither of us like Ross! (我々はどちらもロスが好きじゃない!)
エリザベス: I like Ross. (私はロスが好きよ。)
ロス: Ohhh! Kids! (あー! 全く、子供ってのは(これだから困りますよね)!)

I have had enough of this! を直訳すると、「僕はこのことをもう十分に持った」みたいな感覚なので、「もう(こんなことは)たくさんだ!」と、うんざりしているニュアンスになります。
Enough of this/that! や、Enough! だけでも、「もうたくさんだ!」という意味になります。
文章の形だと、I have had enough. のように現在完了形になるのがポイントですね。
過去のある時点から現在までの間に、「もうたくさん」だと思えるほど何かを持った、ので、今、ここでその我慢の限界が来て、怒りが爆発している、ということになるわけです。
過去から現在までに積もり積もったものが限界を越えちゃった、という感じが、現在完了形で表されていると言えるでしょう。

care about は「〜を気にかける、大事に・大切に思う」。
nothing but... は「…の他は何もない」ということで、treat her with nothing but respect は「彼女を尊敬の念だけで扱っている」、つまり、「尊敬の念だけを持って彼女と接している」ということになります。
だんだん語気が荒くなってきたロスに対して、ポールが「君は私に怒鳴ってるのか?」と言うと、God, no! と、急にトーンダウンするのもロスらしいです。

なかなか和解できそうにない父と彼とを見て、エリザベスは、「もしパパがロスを好きじゃないなら、それでいい。私は構わない。とにかく私は彼と付き合うもの」みたいに言っています。
If you don't... 以下のフレーズは、「もし〜でも、私は気にせず構わず、自分のやりたいようにやるわ」という気持ちを主張するのに、そのまま使えそうな言葉ですね。
fine 「(それでも)結構よ」、doesn't matter 「重要なことじゃない、構わない、どうでもいい」、I'm gonna... anyway 「とにかく私は…する」という部分に、エリザベスの気持ちがよく表れています。

エリザベスがはっきりそう宣言してくれたので、これまで押され気味だったロスも、「彼女にとってどうでもいいことなら、僕にとってもどうでもいいことです」と強気な発言をしています。
そう言った後で、また大声で叫んでしまったと気づいたロスが、「今のも、あなたに怒鳴ってるわけじゃありませんよ」とフォローするのも面白いですね。

エリザベスに「パパがどう思おうと関係ないわ」と言われたのがショックだったようで、ポールはしばらく黙りこんでいます。
その後、This doesn't make me like you any better! と言っていますね。
使役動詞 make のニュアンスを出して直訳すると、「今のこのことは、私に君を少しでもよりよく好きにはさせない」、つまり、「このことで、僕が君のことを前より少しでも好きになる、ってことはない」ということになります。
this というのは、今のこの状況、エリザベスがパパがどう言おうと私はロスと付き合うわ!と言っている状況を指すでしょう。
エリザベスがそう言ったからと言って、私は君のことを好きになるわけじゃないぞ、ということになります。
君のことを好きになることはないけれど、エリザベスがそう言っているのを止めることもできない、と、消極的にではありますが、ロスとの交際を認めざるを得ないと言っているセリフになります。

「君のことを好きになるわけじゃないが」と言われたことに対して、ロスも「僕も今はそんなに自分自身のことが大好きってわけでもないですからね」と言っています。
別にあなたに好きになってもらえなくても、交際を許してくれたらそれでいいです、僕もそんなに自分を素晴らしい男だと思っているわけではないですから、という感じの大人な発言ですね。
ロスなりの譲歩なのでしょう。
「じゃあ、我々2人は、どちらもロスが好きじゃない、ということで意見が一致してるんだな!」と言い、そういう和解した様子の2人を見て、エリザベスは横から「でも私はロスが好きだけど」みたいに言います。

それに対してロスは、Kids! と言っていますね。
この kid 「子供」というのは、エリザベスの発言が子供的発言だと言っているニュアンスになります。
ポールとロスは、「お互いロスが嫌いってことで意見が一致しましたね」と盛り上がることで、お互いを完全には認めていないながらも、ロスとエリザベスの交際を認める、という方向で話がまとまっているわけですね。
そういう「落とし所を見出して、そこで手を打つ」というような「大人のやり方」をわかっていないかのように、「でも私はロスのことが好きよ」と話に入ってきたエリザベスを、「大人の処世術をわかっていない、君はまだまだ子供だな」と言っていることになるわけです。

が! このセリフそのものは、Kids! と「複数形」になっていますね。
そういう意味では、"You're still a kid!" 「君はまだまだ子供だな!」のように、「エリザベスが子供だ」と言っているのとは、少々違ったニュアンスがあることになりますね。

この「複数形」のニュアンスを出して訳すと、「全く、子供ってやつは!」「これだから子供ってのは!」という訳が近いように思います。
エリザベスが子供(a kid)だと言っているだけではなくて、Kids 「子供全般、子供というものは」、こういうことをする・言うものだ、という「習性」を表している感覚になるでしょう。

このように、名詞の複数形だけで、Kids! のようにあきれた感じで言うセリフは、他の作品でもよく見かけます。
私の記憶に残っているものから、2つご紹介します。

まず、1つ目は、「プリズン・ブレイク」の 1-3 「セルテスト」(Cell Test)。
女医のサラ・タンクレディが、ケガをしたマイケル・スコフィールドを診察しているシーン。
マイケル: I've made some enemies. (俺は敵を作った。)
サラ: You scared? (怖い?)
マイケル: .... (…。<無言>)
サラ: Men. ((全く)男っていうのは。)

この最後のサラの、Men. というセリフは、DVDの日本語字幕では、「男の意地ね」と訳されていました。
この Men. も、「全く、男っていうのは(いつでもこんな風に意地っ張りなんだから)」みたいなニュアンスで使われていると思います。

2つ目は、「ザ・メンタリスト」の 1-5 「アカスギの森」(Red Wood)。
患者を動揺させるような行動を取ったパトリック・ジェーンを見て、同僚のテレサ・リズボンが注意しています。
リズボン: The doctor said to be gentle. ((担当の)医者は、穏やかにするように、って言ってたのに。)
ジェーン: Ah, doctors. (ああ、医者なんてもんは。)

これも、テレサが、患者の担当医である医者(ゆえに、the doctor と”特定”されている)が、be gentle であるようにと指示してたのに、と指摘したことに対して、「医者なんてものは、そういうことを言うもんだ」みたいに「医者」を複数形にしてひっくるめた形にして、「そういう職種の人たちは、概してそういうことを言う」と言っているわけですね。

つまり、"Men." "Doctors." というセリフは、「全く男ってのは」「全く医者ってのは」(どいつもこいつもみんな、そういうことをする、そういうことを言う)みたいな感覚で「複数形」を使っているということになります。
今回のロスのセリフも同様に、エリザベスの行動が子供みたいだと言うために、「子供ってのは、大人の意図を理解しないでこういうことを言うんですよね」という意味で、Kids! と言っていると考えられるでしょう。
パパのポールはちょっとあきれた顔をしていますが、ロスとしては、エリザベスの言動を「これだから子供ってのは!」と言うことで、「僕たちは大人らしく、問題を解決しましたよね?」と言いたかったようですね。


(過去記事への追記のお知らせ)
前回の記事、人に教えられるもんじゃない フレンズ6-21その5 のセリフ、
ウェイン: Yeah. Her. All of them. Anyone.
について、コメント欄でご意見を頂戴しました。
記事への追記、及び、コメント欄にて、訂正と追加説明をさせていただいておりますので、併せてご覧いただけると幸いです。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 19:27| Comment(2) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月04日

人に教えられるもんじゃない フレンズ6-21その5

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は6位、「にほんブログ村」は5位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


テレビドラマ「マック&チーズ」に主演する予定だったジョーイですが、ロボット「チーズ」の開発者及び操縦者である男性ウェインを怒らせてしまい、ジョーイは主役をクビになってしまいます。
着替え室で荷物を整理しているジョーイを、そのウェインが訪ねてきます。
ウェイン: Joey, Joey, I-I-I'll g-get you your job back if you help me out. (ジョーイ、ジョーイ、ぼ、僕は君に君の仕事を取り戻してあげるよ、もし君が僕を助けてくれるなら。)
ジョーイ: (incredulous) Why should I help you out?! ([懐疑的な様子で] どうして俺が君を助けてやらないといけないんだ?)
チャンドラー: (whispering in Joey's ear) The reason he just said. ([ジョーイの耳にささやいて] 彼が今言った理由だよ。)
ジョーイ: (happily) What do you need? ([幸せそうに] 何が望みだ?)
ウェイン: I-I-I saw you on stage talking to that beautiful woman, y'know Sarah? (ぼ、僕は君が現場であのきれいな女性、ほら、サラって子と、話してるのを見たんだ。)
ジョーイ: Yeah? (そうだけど?)
ウェイン: I wish I could talk to her. (僕も彼女と話せたらいいのに、と思って。)
ジョーイ: What, are you in love with her or something? (何だよ、彼女が好き[彼女に惚れてる]とか、そんなのなのか?)
ウェイン: Yeah. Her. All of them. Anyone. (そうなんだ。彼女が(好きなんだ)[彼女に(惚れてるんだ)]。全員が。誰もが(彼女に夢中なんだ)。)
チャンドラー: Yeah. I've been there, my friend. (ああ、俺にもそういう経験ある、友よ。)
ウェイン: Listen, I-I guarantee you keep your job if you can teach me how to talk to women like you do. (ねぇ、僕は君が仕事をキープできるように保証する、もし君みたいに女性に話しかける方法を君が僕に教えてくれたら。)
ジョーイ: Oh wow Wayne, it's not really something you can teach, y'know? It's pretty much something you're born with if you-- (Off Chandler's look) -You-you can teach it! I'll show you right how to do it. (あぁ、ウェイン。そういうのは、あんまり、人が教えられるようなことじゃないんだよな、だろ? そういうのは、だいたい、生まれつき持ってるもので、もし… [チャンドラーの視線から目をそらして] (もちろん)教えられるよ! 俺が君にまさにその方法を教えてやるよ。)

自分をクビにした張本人ウェインが訪ねてきたので、ジョーイは不機嫌そうな顔で応対しています。
ウェインは、「君が僕を助けてくれるなら、君の仕事を取り戻してあげる」と申し出ています。
ジョーイは不満そうな顔のままで、「なぜ、俺が君を助けないといけないんだ?」と言っていますね。
それを聞いたチャンドラーが、The reason he just said. と言っていますが、これは、「ウェインがたった今言った、その理由」という感覚。
「なぜ、ジョーイがウェインを助けないといけないかの理由は、今、ウェインが言ったろ?」ということです。
ウェインの話によると、「ウェインを助けたら、クビになったマック役が戻ってくる」、だから、ジョーイはウェインを助けるべき、助けないといけないんだ、ということですね。

自分を不幸に突き落とした相手が頼みごとをしてきた場合に、「何で(お前にひどいことをされた)この俺がお前を助けなきゃいけないんだ?!」みたいに言うのはよくあるパターンなので、ジョーイは深く考えることなく、反射的に、Why should I help you out?! と言ったのでしょう。
ウェインの申し出が、ジョーイにとって、とてもありがたい話だったことに言われた瞬間は気付かなかったということで、他のフレンズに比べて何かに気づくのがワンテンポ遅れるジョーイらしいシーンだな、と思います。

「今、ウェインが理由を言ってたじゃないか」と言われて、さすがにその意味に気づいたジョーイは、嬉しそうにニコーッと満面の笑みを浮かべて、「で、望みはなんだ?」みたいに聞いています。
ウェインは、口下手な感じで言いにくそうに、「君が撮影現場であのきれいな女性、ほら、サラって女性と話してるのを見たんだ」と説明します。

I wish I could talk to her. は典型的な「仮定法過去」ですね。
「彼女と話せたら、彼女に話しかけられたらいいのに(実際にはできない)」という感覚です。
ウェインは見るからに、女性と話すのが得意そうではない男性なので、「そうできたらいいんだけど、僕にはそんなことできないんだよなぁ」という意味で「現実とは反対の仮定」である「仮定法過去」を使っているのですね。
それを聞いてジョーイは、「彼女に惚れてるとか、そんなのなのか?」と尋ねます。

次のウェインの返事、Yeah. Her. All of them. Anyone. について。

Her は、I'm in love with her. ということですね。
恋愛下手な感じのウェインですから、自分で be in love with というフレーズを言うのもためらわれて、ただ、with の後に続く her だけを繰り返すのが精一杯だった、という感じでしょうか。

その次の、All of them. ですが、all という言葉があることから、「彼女の全て(が好き)」ということかと一瞬思ったのですが、それだと、All of her. になりそうですよね。
例えば、like という言葉を使って、「彼女の全てが好き」と言いたい場合には、I like all of her. とか、I like everything about her. のように表現する気がします。
ここでは、her ではなくて、them が使われているので、これは、撮影現場にいる男性スタッフのみんながサラに惚れている、みたいな意味の主語(主格)かな、と私は思いました。
次の anyone は「誰でも、誰もが」という意味ですよね。
つまり、「撮影現場の男性はみんな、誰もが、サラに惚れている」というのが、Her. All of them. Anyone. の意味ではないかと私は考えたということです。
「彼女に」(目的格)、「全員が」(主格)、「誰もが」(主格)ということだろうと。
自分がサラを好き、というだけではなくて、他のみんなもサラに憧れてるんだよ、と言いたいセリフだと私は解釈しました。

(2012.7.6 追記)
ウェインのセリフ、"Yeah. Her. All of them. Anyone." について、下のコメント欄でご意見をいただきました。
私は最初に投稿した記事で、
「彼女に(惚れてるんだ)。全員が。誰もが(彼女に夢中なんだ)」のように、
「彼女に」(目的格)、「全員が」(主格)、「誰もが」(主格)
と解釈したのですが、これは、コメント欄でご指摘いただいたように、
「彼女に(憧れている)。(というか)女性全般に、女性なら誰にでも(憧れている)」のような、
Her. All of them. Anyone. の3つ全てが、I'm in love with... に続く「目的格」であると解釈した方が自然だと思いました。
下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)

ウェインの想いを聞いて、チャンドラーは、Yeah. I've been there, my friend. と言っていますね。
I've been there. は、「俺もそこにいたことがある」という感覚から、「俺にも経験ある」ということ。
「みんなが憧れるマドンナに、熱烈に恋しちゃうってこと、俺にも経験あるよ」みたいに言っているようです。
「お前の気持ち、よーくわかるぞっ」という気持ちから、my friend とも言っているわけですね。

guarantee は「保証する、請け合う」。
ジョーイがその仕事(主役マックの仕事)をキープするのを保証する、と言って、もし君みたいに女性に話しかける方法を君が教えてくれるなら、とウェインは条件をつけています。
ここで、ウェインの「僕を助けて欲しい」の内容がわかったわけですね。
「全員がサラに憧れているんだ」と言っていた(らしい)ことからも、「みんなが憧れているが簡単には手を出せない、そのサラに、ジョーイが簡単に声をかけて話していたこと」に感銘を受けたことがわかりますね。
「その極意を師匠に教えてもらいたい」というような気持ちで、気まずいのを承知でやって来たのでしょう。

「話しかけ方を教えてくれたら、君にマック役を戻す」とのせっかくのオファーなのに、ジョーイはいかにもプレイボーイ的な返答をしています。
it's not really something you can teach は、「それ(女性に話しかける方法)は、教えられるようなものじゃない」という感覚。
このセリフの you は、ジョーイが話している相手の「あなた、君」であるウェインのことではなく、「一般の人」を表す you 、もしくは、ジョーイ自身のこと(I=私)を語っている感覚になります。
ジョーイに言わせると、「女性への声のかけ方、ナンパのしかた」なんてものは、人が(誰かに)教えられるようなものじゃないんだよ、ということですね。
それはつまり、「俺がそれを君に教えることなんかできない」と言っていることにもなるわけです。
そういうコツは、俺を含めて、どんな人でも、他人に教えることなんかできる類のものじゃないんだ、みたいなことになります。
次の、It's pretty much something you're born with も、「そういうのは、だいたい、人が持って生まれてくるようなものだ」というニュアンスになります。
「女性に話しかけるコツなんてものは、人が教えられるもんじゃなくて、持って生まれた才能なんだよなぁ…」と言いたいわけですね。

そう言いながら、チャンドラーが同意してくれるのを期待して、後ろを振り向いたジョーイですが、チャンドラーが「せっかくのチャンスを無駄にする気か?」みたいな顔をしているのに気づいて、急に気が変わった風に、慌てて、You-you can teach it! I'll show you right how to do it. と言い直すのが面白いです。

この you も「(自分を含めた)一般の人」を表すニュアンスですね。
「そんなの教えられない」と言ったけど、いやいや、やっぱり、「人はそういうことを教えることができるよ」と言い直して、俺がそのやり方を教えてやるよ!と申し出ている感覚になります。

このウェインとジョーイのやり取りで、
ウェイン: if you can teach me...
ジョーイ: it's not really something you can teach...
ジョーイ: you can teach it! I'll show you...
の you に注目していると、最初のウェインのセリフの you 以外は、「あなた」という意味で使われていないことは明白ですね。
ウェインが「君(ジョーイ)が教えてくれるなら」と言っているのに、ジョーイが「君(ウェイン)が教えることができる」と言うのは、話の流れとして明らかにおかしいからです。
こういう部分は、ただ、音だけでセリフを聞いていると、何となく話の流れがつかめてしまって気づけない部分でもあるでしょう。
字幕などで文字として確認することで、ウェインが you can teach と言ったのに、ジョーイも、you can teach と同じ you を使っていることに気づけるわけです。
これまでのフレンズにも、こういう you は何度も出てきましたので、いったんそれを学んだ方は、「あぁ、またあの you ね」と瞬時に納得できて、こういう you の経験がさらに積み重なり、知識がさらに確実なものになって行きます。
そのように「経験から学んで行く」ためにも、やはり学びの段階のどこかで、「こういう you が存在する」ことをあらかじめ知識として頭に入れておく必要がある、ということになるでしょうね。


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 16:32| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年07月02日

インコースは有利な立場 フレンズ6-21その4

皆様の応援のお陰で、現在、「人気ブログランキング」は8位、「にほんブログ村」は9位です。
ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ


ジョーイを捜して、彼の部屋にやってきたロスは、その部屋のカウチで抱き合ってキスしている、レイチェルとポール(ロスの彼女エリザベスの父)を発見します。
一人動揺するロスは、見て見ぬふりをするのですが、レイチェルとポールはまったく気にしていない様子。
「また電話するよ」と言ってポールが立ち去った後、
ロス: What-what-what the−how da-how did-what the-how did-what?! (何、何が、どうして、どうして…何が!?)
レイチェル: Well, y'know, he lost his keys. So he was looking for them.... (ほら、ポールは鍵をなくしたの。それで彼は鍵を捜していて…)
ロス: (incredulous) In your mouth?! ([懐疑的な様子で] 君の口の中で(捜していたのか)?)
レイチェル: No! Downstairs! And we got to talking y'know, for like two hours, and I really liked him. So I invited him up here for a cup of coffee. (いいえ! 下の階でよ! そして私たちは話し始めたの、2時間くらい(話したわ)。それで私はすごく彼を気に入ったの。だから、コーヒーでも、って彼をここに誘ったのよ。)
ロス: You were at the coffee house! (君(たち)はコーヒーハウスにいたのに!)
レイチェル: Ross, what's the big deal? So I kissed the guy! (ロス、何がそんなに大ごとなの? 私は彼にキスしただけよ。)
ロス: He is my girlfriend's father, okay? It's-it's, it's weird! (ポールは僕の彼女の父親だぞ、いいか? それって、それって変だよ!)
レイチェル: Wh−You dated my sister! (何、あなたは私の妹とデートしたでしょ!)
ロス: That was different! (あれは(今回のこととは)違ってたよ。)
レイチェル: What? Why?! (何が? どうして?!)
ロス: This is weird for me! (今回のことは、僕にとって変なんだ!)
レイチェル: Ross, look, look. This is good for you. Okay? Let's face it. So far the guy's not lovin' ya! But I can turn that around! I got the inside track. We can all go out to dinner, y'know? And I can talk you up! Plus the guy is a very, very successful lawyer! (ロス、ねえ。これはあなたにとって良いことなのよ、でしょ? 現実を見て。これまでのところ、その男性(ポール)はあなたのことを愛してない! でも私がそれを逆転させることができるのよ! 私は有利な立場にいるわ。私たち(4人)全員で夕食に行きましょうよ。そしてあなたを良いように話すこともできるわ! プラス、あの人はとってもとっても成功した弁護士なのよ!)
ロス: How is that important? (それがどんな風に重要なんだよ?)
レイチェル: Oh, it's important! (あぁ、(ほんとに)重要なのよ!)

レイチェルがポールとキスする現場を見てしまい、動揺しているロスは、what, how を連発して、文章にならない言葉を発しています。
レイチェルは落ち着いた様子で、「彼が鍵をなくして、彼はその鍵を捜していたの…」と冷静に状況を説明しています。
鍵はたいてい、2個以上の鍵をキーホルダーにつけた形で持ち歩くことが多いので、そういうものを指す場合には、当然、keys と複数形になります。
レイチェルのセリフでも、keys が使われており、代名詞も them と複数形になっていることに注意しておきましょう。

「ポールは鍵を捜していたの」というレイチェルのセリフに、ロスは懐疑的な様子で、"In your mouth?" と叫んでいます。
「鍵を捜してた、って言うけど、ポールは君の口の中で鍵を捜してたのか?」という意味ですね。
ロスは二人がキスしている現場を見てしまったので、「鍵を捜すことがどうしてキスに繋がるんだ? 口の中に鍵があってそれを捜してたとでも言うつもりか?」と言いたいわけです。

レイチェルは軽く否定して、鍵を捜してたのは下の階での話よ、と言った後、2時間ほど話したとも言っています。
get to talking は「話し始める」というニュアンス。
通常、get to do something という get to+動詞の原形の形で、「〜するようになる」「〜できるようになる、〜するチャンスを得る」という意味で使われますが、今回の get to doing は「〜し始める」という感覚になります。

Macmillan Dictionary では、
get to doing something : to start doing something
例) He got to thinking that it was all his fault.

つまり、「何かをし始めること」。例文は、「すべて自分のせいだったと彼は思い始めた」。

彼と話し始めて、結局2時間くらい話して、私は彼がとても好きになった、とレイチェルは言います。
それで彼にコーヒーでも、ってここに誘ったのよ、と説明しています。

You were at the coffee house! の you は、君(レイチェル)、もしくは君たち(レイチェルとポールの二人)のどちらともとれますが、「君たち二人は」とした方がこの場合はふさわしいように思います。
彼をコーヒーに誘ったって言うけど、君らはその時、まさにコーヒーを出すコーヒーハウスにいたんだろ?と言っているわけですね。
コーヒーハウスにいたくせに、どうしてわざわざ自分の部屋まで上がってくる必要があるんだよ、と言いたいわけです。

ロスが一人で大騒ぎしているので、レイチェルは、「何がそんなに大ごとなの?」とあきれた様子で言っています。
お茶に誘って、キスしただけなのに、という感じですね。
それでもロスは、「ポールは僕の彼女の父親だ。それって変だよ、妙だよ」と言っています。
それに対してレイチェルも、「あなただって、私の妹とデートしたくせに」と返します。
That was different! は「それは・あれは、今回のこの話とは違う、違ってた」という感覚。
それとこれとは別だよ、という気持ちです。
「何が違うのよ?」みたいに問うレイチェルに、ロスは、This is weird for me! と言っています。
つまり、「今回の件は僕にとって weird なんだ、その点が前回とは違う」ということ。
お互い、複雑な関係の人とデートをしたわけだけど、前回は君にとっては奇妙で居心地悪かっただけで、僕にとっては「気に入った女性とデートした」という意味では、別に奇妙でも何でもなく普通のことだった、今回は僕が気持ち悪い、変な感じがする、という意味で、前回とは違うんだよ、ということですね。
他者の目から客観的に見れば、どちらも同じように「奇妙な関係」になりますが、ロスは「自分の立場から主観的に見て、今回は weird だ」と力説していることになります。
こういう自己中な発言が、いかにもロスっぽいです。

「僕の彼女の父親と付き合うなんておかしいよ!」と主張するロスに対して、レイチェルは「あなたにとってもいいことなのよ」と言って、これまでのところ、ポールはあなたのことを好いていないけれど、私がそれを逆転させるわ、とも言っています。

I got the inside track. の the inside track は「インサイド・トラック」、つまり、「(陸上競技の)トラックのインコース(内側のコース)」のこと。
このセリフの got は、I've got つまり、have got = have の意味で、have the inside track は「インコースを走る」ことから、「有利な立場にある」という意味になります。

LAAD では、
inside track : a position that gives someone an advantage over the people they are competing against
例) Another newspaper has the inside track on the story.

つまり、「競っている相手よりも有利な点を与える立場」。
例文は、「この話については、もう1つ別の新聞が有利な立場にある」。

レイチェルにしてみれば、彼は私に夢中みたいだから、私が状況を思い通りに動かせる、と言いたいようです。
全員で食事に行って、talk you up することもできる、とも言っています。
talk ... up は、「…が良いものであるように話す」というニュアンス。
日本語で言うと、「…を持ち上げるように話す」という感覚に近いでしょうか。
イメージをアップさせる方向で話す、という感じですね。

LAAD では、
talk somebody/something up [phrasal verb] : to talk about someone or something in a way that makes them seem successful, interesting, good etc. (OPP: talk down)
例) The administration has been eager to talk up the deal.

つまり、「誰かや何かが成功している、興味深い、良いなどに見えるような方法で、誰かや何かについて話すこと」。例文は、「政権はその政策を良いものであると話すことに(ずっと)意欲的だった」。

レイチェルは、Plus と言って、「さらにまだこういうこともあるわ」と言っています。
ポールはすっごく成功した弁護士なの!とレイチェルは言うのですが、ロスにはそれがどういう関係があるのかわからないので、「それが何か重要なわけ?」みたいに尋ねます。
ロスが「そんなこと、ちっとも重要じゃない。彼が成功した弁護士だろうが何だろうが、僕には関係ないことだ」と思っていることがそのセリフからわかりますが、レイチェルは、Oh, it's important! 「ええ、重要なのよ!」と答えます。
レイチェル的には、「自分が付き合っている人が、社会的地位があり、お金持ちかどうか」は非常に重要なことなので(笑)、important だと断言しているわけですね。
そういう意味ではこのセリフは、さきほどのロスの「僕にとっては変じゃない」というのと同様の自己中発言、自分の主観のみからの発言となるでしょう。
そこでちょっと思ったのですが、このセリフも、Oh, it's important for me/to me! みたいに「私にとっては重要なのよ、重要なことなのよ!」と言った方が、ロスのセリフとの対比として、今度はレイチェルが同じような自己中発言をしたことがよりはっきりして、面白いような気がするのですが、いかがでしょう??


ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。
人気ブログランキングへ にほんブログ村 英語ブログへ
posted by Rach at 17:19| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする