2012年08月29日

教授とココナッツ電話を作ってた フレンズ6-25その3

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モニカにプロポーズのことを悟らせないために、「結婚制度に否定的な男」をモニカの前で演じ続けるチャンドラー。
リチャードに「君と結婚したい」と告白された後に、そういうチャンドラーの姿を見たことで、モニカはすっかり失望してしまい、ジョーイにそのことをグチります。
モニカがジョーイに「リチャードにプロポーズされた」ことを告げたので、ジョーイは「チャンドラーは本当は結婚したがってるんだ」と必死に本当のことを説明しようとするのですが、モニカはそれを信じる様子がありません。

ジョーイが未だに船長(キャプテン)スタイルのまま、電話の受話器を握っているところに、チャンドラーが帰ってきます。
ジョーイ: Where the hell have you been?! (お前は一体今までどこにいたんだよ?!)
チャンドラー: I was making a coconut phone with the professor. (俺は教授と一緒にココナッツ電話を作ってたんだよ。)
ジョーイ: Richard told Monica he wants to marry her! (リチャードがモニカに、結婚したい、って言ったんだぞ!)
チャンドラー: What?! (何だって?)
ジョーイ: Yeah! Yeah, I've been trying to find ya to tell to stop messing with her. And maybe I would have if these (lifts a leg) damn boat shoes wouldn't keep flying off! (そうさ、そうなんだよ。彼女を混乱させるのをやめろってお前に言うために、俺はずっとお前を捜そうとしてたんだ。そして多分、お前を見つけただろうな、もし、この [脚を持ち上げる] バカなボートシューズが脱げまくることがなかったらな!)
チャンドラー: My-Oh, my God! (あぁ、なんてこった!)
ジョーイ: I know! They suck!! (そうだろ! このシューズは最低だよ!)

受話器を持っていたジョーイは、チャンドラーの顔を見るなり、「お前、どこ行ってたんだよ?」と怒ったように言っています。
「君は(今)どこにいますか?」という疑問文だと、Where are you? になりますが、それを現在完了形にした Where have you been? は「君は今まで(ここに姿を現すまで)どこにいたの?」と、それまでいた場所を尋ねる疑問文になります。
the hell という強意語がついているので、「全く、お前は、一体全体、今までどこにいたんだよ?」という怒りのニュアンスが出るのですね。

ジョーイがカリカリしているのは、その前にモニカから「リチャードにプロポーズされた」という衝撃発言を聞いたためなのですが、そんなことになっているとは夢にも思っていないチャンドラーは、キャプテンのかっこうをしているジョーイを見て、キャプテンがらみのジョークを言っているようです。

I was making a coconut phone with the professor. は直訳通り、「俺はプロフェッサー(教授)と一緒にココナッツ電話を作っていたんだ」ということ。
「一体どこで何してたんだよ?」みたいに怒っているので、そんなに怒ることないじゃんか、みたいに軽いジョークで返している感覚になります。

船の船長みたいなかっこうをしているジョーイに対して、「教授とココナッツ電話を作っていた」と言っていることになりますが、いつものフレンズのパターンから考えると、そんな設定が当てはまるようなドラマや映画が存在するような気がしてきますよね?
このセリフだけからでも、船長や教授が登場する作品で、ココナッツ電話を作るという話から、「ココナッツはあるけれど、通常の電話は存在しない」…つまり、無人島の話?みたいな見当がつけられる気がします。

で、試しに Google の検索ボックスに、coconut phone と入力してみると、Google サジェスト機能で、
coconut phone with the professor
coconut phone gilligan's island
などの候補が提示されました。

island という言葉からも関連性がある気がする、gilligan's island というフレーズ、これは実は、過去の記事で解説したことのある、海外ドラマのタイトルなんですよね。
過去記事、映画スターのジンジャーって誰? フレンズ3-14その7 で、ジンジャーという人物名が出てきて、それは有名なドラマ「ギリガンズ・アイランド」の登場人物だとわかった、ということを解説しています。

そのドラマについての情報は以下。

Wikipedia 英語版: Gilligan's Island
IMDb : Gilligan's Island (1964–1967) TV Series

IMDb の説明にもあるように、
Seven men and women are stranded on an uncharted island following a torrential storm.
「7人の男女が、激しい嵐の直後に、地図にない島に(船が座礁し)取り残されてしまう」
というお話のようです。
設定だけだと、LOST みたいですが、こちらのギリガンズ・アイランドは、カテゴリーで言うとシットコムに属するので、コメディーなんですね。

グーグル・サジェスト機能で、gilligan's island が表示されたからと言って、これが元ネタだとは言い切れないかも…と思いながら、内容を確認していると、登場人物の中に、
Professor Roy Hinkley
という人がいるのを発見!
「教授とココナッツ電話を作っていた」というその「教授」が実際にこの作品に登場するので、元ネタはやはりこの作品であったことはほぼ間違いないと、この時点で確信しました。

そして、ウィキペディアのその教授のことを説明している以下のページにジャンプしてみると…
The Professor (Gilligan's Island)
以下の「決定的証拠」を見つけました!

Many of his inventions (including a method for recharging the batteries in the ubiquitous radio) utilized coconuts and bamboo, both of which were in plentiful supply.

訳させていただきますと、
「彼の発明の多くは、ココナッツと竹を利用した。そういうココナッツや竹は、豊富な供給があった。」
つまり、島にココナッツや竹が豊富にあるので、それを利用していろんな発明品を作った、ということですね。

また、以下の興味深い記述もあります。

A running joke about the Professor was his ability to build anything from coconuts and bamboo, yet he was somehow unable to create a raft or other means to leave the island. This was parodied in the sitcom Roseanne, ... (以下略)

つまり、
「プロフェッサーに関して繰り返し出てくるジョーク(ランニング・ジョーク)は、ココナッツと竹から何でも作るという能力だったが、どういうわけか彼は、いかだや、島を出るための他の方法などを生み出すことはできなかった。このことはシットコム「ロザンナ」でパロディーにされて… (以下略)」

つまり、このウィキペディアの説明は、「ココナッツと竹から何でも作ることができるなら、どうして教授はいかだのような「島を脱出するための道具」を作らなかったの?」という、ドラマによくある矛盾をつくようなツッコミですね。
「そんなものを作っちゃったら、話が終わってしまうから」(笑)が理由でしょうが、ウィキペディアでは、その矛盾をパロディにした他のシットコムやパロディ映画があるという説明が続いていますので、「教授はココナッツや竹からあらゆる発明を作り出す」ということは、パロディにしても笑いが取れるほど有名な設定だと言えるでしょう。
アメリカ人なら、coconut, professor だけで、「ギリガンズ・アイランド」というドラマがすぐに頭に浮かぶ、ということですね。

船長のかっこうをしているジョーイを見て、無人島のシットコムの設定を使ったジョークを言ったチャンドラーですが、ジョーイは単刀直入に、「リチャードがモニカに結婚したいと言った」と説明します。

驚くチャンドラーに、「モニカを mess with するのをやめるように言うために、お前をずっと捜そうとしてたんだぞ」とジョーイは言います。
mess with は「干渉する、手を出す」などと訳されることが多いですが、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には、mess with として、4つの意味が出ており、以下のものが今回のニュアンスに近いと思います。

3. mess with somebody/something : to try to deceive or confuse someone
つまり、「誰かを騙そう、または混乱させよう[惑わせよう]とすること」。

プロポーズのことをモニカに悟られないように、いろいろ惑わせるようなことを言ってたけど、そんなことやってる場合じゃないぞ、って言おうと思ってお前を捜してた、みたいなことですね。
ずっと捜そうとしていた、と言って、その結果を、I would have if these... wouldn't と表現しています。
I would have if these... wouldn't は仮定法ですね。
I would have は、I would have found you 「お前を見つけていただろう」ということ。
if these... wouldn't は「これらの…が〜しなければ」という仮定で、そういうことがなければお前を見つけてたのに、…が〜したせいで見つけられなかった、と言っていることになります。

で、ジョーイは何のせいにしているかと言うと、脚を上げてチャンドラーに見せた these damn boat shoes 、つまり、「このバカな・最低なボートシューズ」。
見たところ、ビーチサンダルのようなものですね。
fly off は「飛ぶ」+「分離」なので、「飛んで行く、飛び去る」みたいなことですが、シューズが fly off し続ける、ということはつまり、走るたびに飛んでっちゃう、脱げちゃう、ということでしょう。
走るのに不向きなサンダルのせいで、お前を捜しに行けなかったんだ、ということですね。

ジョーイの話を聞いて、チャンドラーは、Oh, my God! と言っています。
これはもちろん、「リチャードがモニカにプロポーズした。お前は下手な芝居を打ってる場合じゃなかったのに」みたいな話に対しての言葉ですが、ジョーイは、I know! 「そうだろ」と言いながら、They suck!! と言っています。
この they は、these (damn) boat shoes のことですね。
ジョーイはチャンドラーの「なんてこった」を、「このバカシューズめ」みたいに言ったジョーイの発言に同意したものと受け取って、「そうだろ、お前があきれるように、このシューズは最低なんだよ」と言っているわけです。
チャンドラー一世一代のプロポーズが危機に瀕している時に、まだシューズの話をしているジョーイが、いかにもという感じですね。


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posted by Rach at 17:51| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月27日

テニールがあなたを捜してた フレンズ6-25その2

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[Scene: Central Perk, Rachel is bringing Phoebe some coffee.]
セントラルパーク、レイチェルはフィービーにコーヒーを持ってきているところ。
レイチェル: Isn't it incredible?! Monica and Chandler, gettin' married. (すごくない? モニカとチャンドラーが結婚するのよ。)
フィービー: I know. They're gonna be so happy together. (そうね。二人は一緒にすごく幸せになるわ。)
レイチェル: Ohh.... I mean two best friends falling in love. How often does that happen? (あぁ…だって、2人の親友が恋に落ちるのよ。そんなこと、どれほど頻繁に起こる?)
フィービー: Not that often! (そんなに頻繁には起こらないわ。)
レイチェル: No! I'm so happy for them! (起こらないわよね! 二人のことで私はとっても嬉しいわ。)
フィービー: Me too! So happy for them. (私もよ! 二人のことでとても嬉しい。)
レイチェル: I'm so happy and not at all jealous. (私はとっても幸せで、全然ジェラシーは感じてない。)
フィービー: Oh, no! No God, definitely not jealous! (あぁ、私も感じてない! 感じてないわ、絶対にジェラシーの気持ちはない!)
(They both take a drink of coffee.)
二人はコーヒーを一口飲む。
レイチェル: I mean I'm probably 98% happy, maybe 2% jealous. And I mean what's 2%? That's nothing. (つまり、多分私は、98% 幸せで、多分 2% がジェラシーね。そして、2% って何?ってことよ。そんなの、ゼロと同じだわ。)
フィービー: Totally. I'm like 90-10. (全くね。[しばらく間があって] 私は、9割1割って感じかな。)
レイチェル: Yeah. Me too. (そうね。私も。)
(Joey enters looking like Captain Stubing from the Love Boat.)
ジョーイは「ラブ・ボート」のキャプテン・スタビングのようなかっこうで入ってくる。
ジョーイ: Hey, uh, have you guys seen Chandler? (なぁ、二人はチャンドラーを見た?)
レイチェル: (staring at him) Wh-no. But y'know who did stop in here looking for ya, Tennille. ([ジョーイを見つめて] えっと、見てないわ。でも、あなたを捜してここに立ち寄ったのが誰だかわかる? テニールよ。)

チャンドラーがモニカにプロポーズすることを知っているレイチェルとフィービーは、チャンドラーとモニカの結婚について話し合っています。(二人は、リチャードがモニカに告白し、モニカが動揺していることをまだ知りません)。

レイチェルは、two best friends falling in love. How often does that happen? と言っていますね。
親友が恋に落ちることなんて、そんなこと、どれくらい頻繁に(どれくらいの頻度で)起こるかしら?ということですね。
実際には、「どのくらいの頻度で起こることか」を純粋に尋ねる質問ではなくて、言っているレイチェルの気持ちには、「そんなこと、めったに起こらないわよねぇ?」というニュアンスがすでに入っています。
それに対して、Not that often! 「そんなに頻繁には起こらない」みたいな、中途半端な答えをしているのもフィービーらしいですね。
Never! 「絶対にそんなこと起こらない!」とは言えないので、「確かに、そんなにしょっちゅう起こるものじゃないわよね」と言うしかない、みたいな感じです。
しかし、考えてみれば、それを言い出したレイチェル自身も、親友であったロスと恋に落ちた当人なので、わりと頻繁に起こることと言えるような気もします(笑)。

レイチェルとフィービーは口々に、モニカたちに対しては、おめでとうという幸せな気持ちでいっぱいで、ジェラシーなんか感じてない、みたいに言っています。
jealous という気持ちに対しては、not at all, defenitely not と、完全否定していた二人ですが、口ではそう言いながらも、その後、黙りこくってしまって、ただコーヒーをズズーっと飲んでいる様子を見ると、それが本心ではないことは明らかです。

やっぱり、ちょっと嘘ついてるかも、みたいな感じで、レイチェルは、98% が happy、2% が jealous の気持ちだと訂正します。
2% はジェラシーの気持ちがある、と言いながらも、what's 2%? That's nothing. と言うのが面白いですね。
「2% って何? そんなの「無、ゼロ」よ」と言っている感覚で、確かに 2% くらいはそういう気持ちがあるけど、2% なんて数のうちに入らない、そんなの、ないのも同然よね、と自分で言っているわけです。

2% なんて、ゼロと同じよ、と言うレイチェルに、フィービーは、Totally. 「全くその通り」と同意しますが、その後、しばらく沈黙した後で、I’m like 90-10. 「私は、90 と 10 って感じかな」と言っています。
これは、90% happy, 10% jealous ということで、私は 2% よりもう少しジェラシーの気持ちが強くて、まぁ、9割1割って比率になるかしら、と言っていることになります。
結局、レイチェルもその発言に同意することになり、二人とも1割くらいはジェラシーの気持ちがあることをお互いに認めることになるのですね。

ジェラシーなんて、全然そんな気持なんかない!と言いながら、だんだんと本音が出て行くさまを、彼女たちの英語のセリフから感じ取れれば「いい感じ」だと思います。

そんな風に二人が話しているところに、ジョーイが「船長」のようなかっこうをして入ってきます。
これは、前回のエピソードで船を買うことになったジョーイが、すっかり船長気取りで、船長のコスプレみたいなものをしているのですね。
(前回のエピソード解説では、チャンドラー&モニカのなりゆきにポイントを置いたため、その部分は割愛してしまったので、以下に簡単に、経緯を説明させていただきます。)
レイチェルの上司が主催するパーティーの入札制オークションで、「船の値段を当てる」ゲームだと勘違いしたジョーイが、船に一番高値を付けてしまい、彼が買い取ることになってしまいます。
2位の人に譲って差額を払う、という案もあったのですが、レイチェルが2位の人を説得するのを聞いているうちに、ジョーイは手離すのが惜しくなり(笑)、万年金欠状態にもかかわらず、船を購入することを決めたのでした。

ト書きには、Captain Stubing from the Love Boat のようなかっこう・様子で入ってくる、とありますね。
「人名 from 大文字で始まるタイトル」なので、ドラマか映画にそういう人物がいるだろうことは容易に想像できますが、参考までに紹介しておきます。

Wikipedia 英語版: The Love Boat

1977年から1986年にかけてアメリカで放映されていた、クルーズ・シップを舞台にしたシットコムのようです。
Cast に、
Gavin MacLeod as Captain Merrill Stubing, "Your Captain"
とあるように、The Love Boat の主役のキャプテンが、Captain Stubing なのですね。

日本でも「ラブ・ボート」というタイトルで放映されていたようですが、残念ながら私は全く知りません。
この後も、ト書きで何度も、Captain Stubing from the Love Boat というフレーズが登場しますので、ネットスクリプトのト書きを書いた方(ドラマをディクテーションした方)にとっては、「船長と言えば、これを思い出さずにはいられない」というほどの有名なドラマだった、ということでしょうね。

ジョーイは「チャンドラーを見た?」と尋ねるのですが、そのジョーイの姿をじーっと見つめていたレイチェルは、「チャンドラーは見なかったけど、あなたを捜してここに立ち寄った人がいるわ。それは誰だかわかる?」みたいに逆に質問しています。
You know who did..., Tennille. の形で、「…した人は誰だか知ってる? テニールよ」ということになります。

ここで、テニールという固有名詞が出てきたので、これまた、フレンズによくあるサブカルネタだということがわかりますが、このネタは以前にも使われたことがあるので、記憶にある方もおられるかもしれませんね。

フレンズたちがタッチフットボールをするエピソード、キャプテンと言えば… フレンズ3-9その7 で、
ジョーイ: All right, we have to pick captains. (よし、キャプテンを選ばないとな。)
チャンドラー: And then "Tennilles." (そして、それから、テニールもね。)
というセリフがあったのですが、その時にセリフに出て来たテニールが、今回と同じテニールだということです。

Wikipedia 日本語版: キャプテン&テニール
Wikipedia 英語版: Captain & Tennille

70年代後半から80年代前半にかけてヒットしたアメリカのデュオで、”キャプテン”・ダリル・ドラゴンと、トニー・テニールのコンビ。二人は夫婦でもあります。
日本語版ウィキペディアの説明にあるように、
ドラゴンが「キャプテン」のニックネームになったのは、彼がいつも船長のような帽子をかぶっていた事に由来する。
とのこと。
英語版の写真でも、確かに、キャプテン帽をかぶっていますね。

レイチェルは、「テニールがあなたを捜していた」と言うことで、ジョーイの姿が、テニールの相方(かつ夫)である、”キャプテン” ダリル・ドラゴンみたいだ、と言って、キャプテン姿のジョーイをからかっているわけです。

フレンズで二度もネタに使われたところを見ると、それだけアメリカ人にとっては、誰でも知ってる有名人、ということになるでしょう。
日本人英語学習者としては、特に必要ない知識(笑)かもしれませんが、「あえて、キャプテンという単語を出さずに、キャプテンという言葉を連想させるジョーク」なのが面白いなと思いますし、そういう「ちょっとひねったジョーク」の仕組みに慣れておくことは、英語学習にとっても有用なことだと思います。


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posted by Rach at 15:25| Comment(2) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月24日

言わなければ一生後悔する フレンズ6-25その1

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シーズン6 第25話
The One With The Proposal - Part 2 (チャンドラーのプロポーズ大作戦! Part 2)
原題は「プロポーズの話 パート2」


前回のエピソード、フレンズ6-24 の最後で、モニカが働くレストランにやってきたリチャードは、I still love you. 「まだ君を愛している」と告白します。
驚いて、しばらく言葉が出ないモニカでしたが…
モニカ: What uh-What did you-What?! (何? あの、あなたは何て… 何?)
リチャード: I still love you. And I know I probably shouldn't even be here telling you this, I mean, you're with Chandler, a guy I really like, and if you say he's straight, I'll believe you! After seeing ya the other night, I knew if I didn't tell ya, I'd regret it for the rest of my life. Letting you go was the stupidest thing I ever did. (僕はまだ君を愛している。そして、多分、こんなことを言いながらこんなところにいるべきじゃなってこともわかってる。だって、君はチャンドラーと付き合っているんだからね。チャンドラーは僕が実に好きな男だし、もし彼はストレートだって君が言うのなら、僕は信じるよ! あの晩、君を見た後、わかったんだ。もし君に言わなければ、今後の人生ずっと(死ぬまで)、そのことを後悔するだろう、って。君を行かせてしまったこと[君を手離したこと]は僕が今までした最もバカなことだったんだ。)
モニカ: Y'know you're really not supposed to be back here! (あなたは本当にこんなところ(レストランの舞台裏であるキッチン・厨房)にいるべきじゃないのに!)
リチャード: Well yeah, I'm sorry. I know this is the wrong time and the wrong place but I had to tell ya! I wanna spend my life with you. I wanna marry you. I wanna have kids with you. (そうだね、ごめんよ。これが最悪の時で最悪の場所だってわかってる。でも君に言わないといけなかったんだ! 僕は君と一緒に人生を過ごしたい。君と結婚したい。君と子供を持ちたいんだ。)
モニカ: Oh God.... (Starts looking around.) Why don't they put chairs back here?! (まぁ、なんてこと… [あたりを見回し始める] どうしてここに椅子を置かないの[置いておいてくれないの]?)

突然のリチャードからの告白に、言葉にならないことしか言えないモニカ。
リチャードは、自分の今の気持ちを何とか説明しようとしています。
「僕がここにいるべきじゃないってわかってる」と言って、you're with Chandler... とその後、言葉を続けていますね。
you're with Chandler は、「君はチャンドラーと一緒にいる」ですから、「君とチャンドラーは付き合ってる」ということですね。

a guy I really like は、その前の Chanlder をカンマで区切って、チャンドラーという人を言い換えた感覚の同格のニュアンス。
チャンドラー、(その彼は)僕が本当に好きな男なんだけどね、という感じです。

その後のセリフが、このシリアスな状況とはちょっと異なるジョークになっているのがフレンズらしいですね。
「もしチャンドラーがストレート(同性愛者ではない異性愛者)だとモニカが言うのなら、僕はそれを信じるよ」と言っているわけですが、それはつまり、「僕はチャンドラーがゲイだと思っていたけど、君が彼をゲイじゃないと言うのなら、君の言葉を信じるよ」と言っているのですね。
別にチャンドラーに対する悪意からそんなことを言っているわけではないでしょうが、このどさくさに紛れて、「僕は彼をゲイだと思っていたんだが、君と付き合ってるっていうことはゲイじゃなかったんだね」みたいな言葉を挟んでいるのが、コメディっぽいと言えるでしょう。

I knew if I didn't tell ya, I'd regret it for the rest of my life. について。
for the rest of my life は「僕の人生の残りの期間」ということですから、「今後の僕の人生、死ぬまでずっと」という意味になります。
こんなことを言うべきじゃないってわかってる、君はチャンドラーと付き合ってるんだし、でも言わないと、これから先の人生で言わなかったことを後悔するって思ったんだ、ということです。
そして、let you go したことが、これまででもっとも愚かなことだった、とも言っています。
let you go は文字通り、「君を行かせる」ということで、この場合は、君が去るのを引き留めなかった、君を手離してしまった、と言っていることになるでしょう。

次から次へと衝撃発言が続く中、モニカは、「あなたはこんなところにいるべきじゃないのに」というのが精一杯。
back here の back は、前回も説明したように、「レストランの奥の舞台裏であるキッチン、厨房」のニュアンスですね。
客であるあなたは、関係者以外立ち入り禁止の場所にいちゃいけないのよ、と言っている感覚になります。

リチャードもその back here という場所のニュアンスを受けて、「不適切な時(タイミング)、不適切な場所だってわかってる」と言って謝っています。
君の仕事中に、君の仕事場に押しかけて、こんなことを言うことがよくないことはわかってるんだ、ということですね。
そう言いながらも、「でも僕は言わなきゃならないんだ」と言って、以下のような、決め台詞となるようなセリフを3つも続けて言っています。
I wanna spend my life with you. I wanna marry you. I wanna have kids with you.
つまり、「君と一緒に人生を過ごしたい」「君と結婚したい」「君と子供を持ちたい[作りたい]」という、ダイレクトでストレートすぎる言葉です。

前回のエピソードでは、プロポーズを延期したチャンドラーが、モニカを驚かすためにわざと「結婚する気なんか毛頭ない」ふりをすることを決めて、「結婚制度に否定的な男」をモニカの前で演じていました。
そういうチャンドラーを見た後に、元カレであるリチャードから、こうもはっきり、「結婚したい、子供も持ちたい」と言われたモニカの衝撃は、ものすごいものがあるでしょう。

シーズン2の後半に付き合っていたモニカとリチャードですが、その二人が別れることになったのは、子供を持つことに対する二人の考え方の違いでした。
過去記事、フレンズ2-24その27 で、二人の意見の相違が明白になっていましたね。
孫のいる年齢で今さら子供を持つことに抵抗があるという理由からモニカとリチャードは別れた、という経緯があるために、今度は子供を持つことをも容認した告白であったことも、モニカにとっては驚きだったのですね。

モニカはその告白にさらに動揺してしまって、まわりを見回しながら、「どうしてここには椅子がないの?」みたいなことを言っています。
they というのは、このレストランの関係者のことですね。
厨房に、シェフが一休みするための椅子をどうして置いておいてくれないの?みたいな感じです。
常に椅子が用意してあればいいのに、とても立ってはいられないようなこんな時に、腰掛ける椅子さえないじゃない、と、椅子を用意すべき人たちに怒りをぶつけることで、何とか気持ちを保っているニュアンスになるでしょう。


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posted by Rach at 16:18| Comment(4) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月22日

シェフに賛辞の言葉を述べる フレンズ6-24その6

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[Scene: Monica's Restaurant's kitchen, she's cooking as a waitress sticks her head in.]
モニカのレストランのキッチン。モニカが調理していると、ウェイトレスが(ひょいと)顔を出す。
ウェイトレス: Hey, Monica, there's a customer who wants to compliment the chef. Shall I let him in? (ねぇ、モニカ、シェフを賞賛したいっていうお客さんがいるの。彼を中に入れましょうか?)
モニカ: Sure! I love this part! (Starts to look busy.) (もちろん! この時が大好きなのよ! [忙しそうに見えるようにする])
ウェイトレス: (to the customer) Come on in. ([その客に] どうぞ中に入って。)
(The customer turns out to be...)
その客は…(だとわかる)。
リチャード: Hi! (やあ!)
モニカ: Richard! (リチャード!)
リチャード: Actually, I'm not here to compliment the chef. (実際には、シェフを賞賛するためにここに来たんじゃないんだ。)
モニカ: Ohh.... Oh, that's okay. I hate when people come back to compliment the chef. Like I have nothing better to do! So what's up? (あぁ…。そんなの構わないわ。人がシェフを賞賛しに(裏まで)来るのは嫌いだもの。まるで私が他にすべきことが何もないみたいに(仕事の邪魔しに来るんだから)。それで、どうしたの?)
リチャード: Well, it was great seeing you the other night. (うーんと、先日の夜に君に会えたのは良かった。)
モニカ: Oh, good to see you too. Did you come down here to tell me that? (ええ、私もあなたに会えて良かったわ。そのことを言うためにここに来たの?)
リチャード: No! I came here to tell you something else. (Pause) Came here (Pause) to tell you I still love you. (違うよ! 別のことを君に言うためにここに来た。[沈黙] ここに来たのは [沈黙] 君に言うためだ、まだ君を愛してる、って。)

キッチンで仕事中のモニカのところに、ウェイトレスが顔を出し、compliment the chef したいお客さんがいるの、と知らせます。
compliment は名詞では「賛辞、ほめ言葉」、動詞では「賛辞を述べる、ほめる」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
compliment [verb, transitive] : to say something nice to someone in order to praise them
つまり、「ある人を褒めるために、その人に良いこと(ナイスなこと)を言うこと」。

Thank you for the compliment. 「お褒めのお言葉ありがとうございます」は、誰かが褒めてくれたことに対する決まり文句ですね。

ですから、compliment the chef は、「(料理を担当した)シェフをほめる、そのシェフに賛辞の言葉を述べる」ということになります。
今日の料理がとてもおいしかったので、シェフに一言お礼と賞賛の言葉を述べたい、ということですね。
ちなみに、ネットスクリプトでは、complement という綴りで書かれていましたが、complement は名詞で「補足物」、動詞で「補足する」という意味になる、別の単語です。
i と e の違いだけなので、この2つは間違いやすい単語です。注意しましょう。

それを聞いたモニカは、Sure! I love this part! と喜んでいますね。
I love this part. は、少し前の記事、フレンズ6-24その4 に出てきたロスのセリフ、I hate this part. の正反対の意味の言葉です。
ロスは、別れ話をするのが一番いやなんだ、という意味で、I hate this part. と言っていましたが、モニカの場合は、「お客さんが料理を褒めてくれる瞬間が、シェフは一番嬉しいのよ、シェフとして一番大好きな部分がこれなのよね」みたいな意味で言ってるわけですね。
モニカの場合も、ロスの場合も、それぞれが一連の行動の中で、この部分が好き、嫌いと言っていることになります。
「ここがいいとこなのよ」「ここがいやなとこなんだ」みたいな感覚ですね。

ウェイトレスが招き入れた客は何とリチャード。
彼は、「実は、シェフを賞賛しに来たんじゃないんだ(賞賛するためにここにいるんじゃないんだ)」と言います。
「この瞬間が大好きなのよね」みたいに言っていたモニカですが、「褒めに来たんじゃない」と言われ、「それでいいわ。人がシェフを賞賛しにくるのは嫌いだし」みたいな負け惜しみを言っています。
come back to の back は「もう一度来る」という意味ではなく、back つまり、レストランの舞台裏である奥のキッチンまでやってくる、というニュアンスかなと思います。
お客さんがシェフを褒めるために、わざわざこの奥までやってくるのが、いやなのよね、と言っている感覚だと思います。

Like I have nothing better to do! は、「まるで私がすべき、より良いことがないみたいに!」と訳せば良いでしょうか。
私は台所でシェフとしてやるべき大切な仕事がたくさんある、それを、私がここで暇を持て余してるみたいに、ちょろちょろと挨拶に来られても迷惑なだけなのよね、と言っている感覚になるでしょう。
「まるで私がすることのない暇人みたいに、仕事を邪魔しに来るんだから…」とボヤいているわけですね。

リチャードは、「先日の夜、君に会えたのは良かった」と言い、モニカも同じように返します。
そんなことを言うために、わざわざここまで来たの?という怪訝なモニカに、リチャードは、something else 「(それとは)他の何か、あること」を言うために来たと言って、躊躇するように何度も沈黙を挟みながらも、ついには、I still love you という告白の言葉を述べることになります。

腕を組んでリチャードの話を聞いていたモニカは、そのまま固まってしまって、驚いた様子でどう言えばいいかわからない、という顔をしています。
今回のエピソード(フレンズ6-24)は、このまま画面が暗転し、続きは次回(6-25)ということになります。
通常のシーズンは、1シーズン24回ということが多いですが、ファイナルシーズン(シーズン10)の18話を除くと、1シーズンが24回でないのは(1シーズン25回あるのは)、シーズン3と今回のシーズン6だけになります。
通常よりも1話多い状態でのシーズンフィナーレに、期待も高まってしまいますね。


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posted by Rach at 18:56| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月20日

お前であることが報われる フレンズ6-24その5

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リチャードに出くわして、婚約指輪を渡し損ねたチャンドラー。
それを知らないフィービーとジョーイが、モニカを見た途端、「(指輪をはめている)手を見せて!」と騒いだことにチャンドラーは怒っています。
モニカは変に思いながらも、指輪のことだとは気付かず立ち去りますが、プロポーズを明日に延期したチャンドラーは、モニカにプロポーズのことを悟られないようにするにはどうすればいいか悩んでいます。
チャンドラー: This is terrible. What am I going to do? (こんなの最低だよ。俺はどうすればいい?)
フィービー: Look, she only suspects something, okay? She doesn't know for sure, so just throw her off the track. (ねぇ、モニカはただ何かをうすうす怪しいと思ってるだけよ、でしょ? 彼女は確実に知ってるわけじゃない、だからただモニカが手掛かりから離れるようにすれば(モニカをまけば)いいだけよ。)
チャンドラー: That's right, I can throw her off. I can make her think marriage is the last thing on my mind. (その通りだ、俺は彼女を混乱させることができるぞ。結婚なんて全く考えてないんだって彼女に思わせることができる。)
フィービー: Yeah! Yeah! Convince her that-that you're scared of commitment! (そうよ! そうよ! あなたはコミットメントを恐れてるって確信させるのよ!)
チャンドラー: I can do that. I've had 30 years of practice. (それならできるよ。俺は30年間実行してきたんだから[30年の実践経験があるから]。)
ジョーイ: Hey, being you is finally gonna pay off! (They give each other fives.) (おい、”お前であること”がついに報われることになるな! [二人はお互いにハイファイブをする])

she only suspects something の suspect は、「〜を怪しいと思う、〜にうすうす気づく」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
suspect : to think that something bad or secret is probably happening, true, or likely
つまり、「何か悪いことや秘密が恐らく起こっている、真実である、あり得ると思うこと」。

モニカの場合も、何か妙なことが起こっているとは感じるものの、それが何がははっきりわかっていない、という感覚ですね。
for sure は「確実に、確かに」なので、She doesn't know for sure は「確実に知ってる・わかってるわけじゃない」。
ぼんやりとした疑念を持っているだけで、何のことかははっきりしていないから、ただ、throw her off the track すればいい、とフィービーはアドバイスしています。
track は「足跡」「進路」「軌道」のような意味で、off the track は off の「離れる、分離」のニュアンスから、「軌道からはずれて」という意味になります。
throw off は「投げる、捨てる」+「分離」のニュアンスで「〜を投げ捨てる、振り捨てる」ことから、「(追っ手)から逃れる、(追っ手)をまく」という意味にもなります。
ですから、throw her off the track は、「モニカを軌道からはずれるように振り捨てる」という感覚で、「秘密が何かを掴もうとしている軌道(手掛かり)から離れるようにモニカをまく」というようなことになるでしょう。

そう言われてチャンドラーも、「その通りだ。俺はモニカを throw off することができる」と言っています。
I can make her think... つまり、「モニカに…だと思わせることができる」とも言っています。
モニカに思わせる内容は、marriage is the last thing on my mind と表現されています。
the last thing は「最後のこと」ですから、「最もしそうにないこと、最もやりたくないこと」という意味になります。

LAAD では、
the last person/thing : used for emphasizing that a particular person or thing etc. is much less likely, appropriate, or desirable than all others
つまり、the last person や the last thing とは、「ある人やあることなどが、他のものに比べてずっと可能性がないこと、適切でないこと、望ましくないことを強調するために使われる」。

そして、セリフにあった表現、be the last thing on somebody's mind も、LAAD に載っていました。
be the last thing on somebody's mind : to be the thing that someone is least likely to be thinking about
例) Marriage is the last thing on my mind right now.

つまり、「人がそれについて考える可能性が最も少ないことであること」。例文は、「今は、結婚のことは全く考えていない」。

この例文がチャンドラーのセリフとほぼ同じなのが興味深いですね。
「そんなことこれっぽっちも思っちゃいない」みたいな例文を作る場合に、「結婚」という言葉がイメージされやすいんですねぇ。

convince は「納得させる、確信させる」。
commitment 「男女の真剣で深い付き合い」をチャンドラーは恐れてると、モニカに確信させるのよ、ということです。

チャンドラーは「俺にはそれができる」と言って、I've had 30 years of practice. とも言っています。
practice は「練習」という訳語で覚えることが多いですが、この場合は、「実行、実践」「(実地の)経験」みたいな意味ですね。
つまり、「俺には30年の実践経験があるから」と言っていることになり、「深い付き合い恐怖症、結婚恐怖症ってやつをこの30年間ずっと経験してきたから、そういうふりをするのは慣れてるよ」と自虐的に言っていることになります。

それに対するジョーイの言葉も面白いですね。
pay off は「うまくいく、成功する、報われる」という意味。
LAAD では、
pay off: if something you do pay off, it brings success, especially after a lot of effort or after a long time.
つまり、「自分のする何かが pay off するとは、それが成功をもたらす、特にたくさんの努力の後、または長い時間の後に」。

being you は「お前である、ということ」という動名詞で、「お前であるということが、ついに報われることになる」と言っていることになります。
これまでずっと、コミットメント恐怖症で何もいいことなかったけど、そういうお前であることが、今回やっと報われるんだな、コミットメント恐怖症であったことが、やっと役に立つんだな、と言っているわけです。
「お前であることが、お前でいることがやっと報われる」とまで言われてるチャンドラーって…と同情したくなりますね。


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posted by Rach at 16:37| Comment(3) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月15日

今年は結婚できないかもしれないぞ フレンズ6-24その4

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エリザベスをお芝居に誘おうとしたロスですが、大学生のエリザベスは同級生たちと水風船を投げ合って遊んでいました。
子供っぽい遊びをするエリザベスを見て、ロスは違和感を感じ始めている様子。
このまま付き合うべきか悩むロスに、モニカは、彼女と付き合うことについて、長所(良いこと)と短所(悪いこと)を挙げて比較してみたら?と助言します。
ロス: Okay umm, bad stuff. Well, I'm-I'm 12 years older than she is. (わかった。うーんと、短所は、僕は彼女より12歳も年上だ。)
モニカ: If the school finds out, you're fired. (もし大学が(二人の関係を)知ったら、あなたはクビよ。)
ロス: Hmm. (うーん。)
モニカ: She's leaving for three months. (彼女は3カ月ここを離れるし。)
チャンドラー: For camp! (キャンプのためにね。)
ロス: Okay, good stuff. Umm, well she's-she's sweet and pretty and.... (よし、長所だ。うーんと、そうだな、彼女は優しくて可愛くて…)
モニカ: Look, Ross, the only question you need to ask is, do you see a future? I mean like, do you see yourself marrying her? (Ross pauses in consideration.) Oh, my God! You did it already! You married her, didn't you?! (ねぇ、ロス、あなたが問う必要がある唯一の質問は、あなたには未来が見える?ってことよ。つまり、あなた自身が彼女と結婚しようとしている姿が見える?ってこと。[ロスは考えて、しばらく沈黙する] まあ、なんてこと! ロスはすでに(それを)したのね! ロスはエリザベスと結婚したんでしょう?)
ロス: No! No! I... didn't do that. It's just.... Okay, honestly, no. I don't, I don't see a big future with her. (いや、いや、僕はそんなことはしてないよ。ただ…よし、正直に言うと、ノーだ。僕には彼女との大きな未来が見えない。)
モニカ: Okay, well, I think... that's your answer. (わかった、じゃあ、私は…それがあなたの答えだと思うわ。)
ロス: I've got to talk to her. Ugh, I hate this part. (彼女に話さなきゃ。あー、こういうのっていやなんだよな。)
チャンドラー: Hey, you have to forget about Elizabeth. I mean if you're not careful, you may not get married at all this year! (なぁ、ロスはエリザベスを忘れないといけないんだ。だって、気をつけないと、ロスは今年、全然結婚できないかもしれないぞ。)

エリザベスとの交際についての、bad stuff と good stuff を挙げて、それを比べようとしているロス。
悪い点として、ロスが12歳も年上であることを挙げると、モニカはそれに付け加えるように、「もし学校が知ったら、あなたはクビよ」とも言っています。
「教師と生徒は交際してはならない」という大学の規定があるために、それに違反しているロスは解雇されてしまうということですね。
エリザベスはキャンプに行くために長期間不在であることも悪い点に挙げられています。

何とか良い部分も探そうとするロスは、エリザベスは sweet で pretty だと言いますが、モニカはロスに、一番大切な問題が何かを教えようとしています。
the only question you need to ask is, do you see a future? は、ask までが主語で、「あなたが訪ねる必要がある唯一の質問は」ということですね。
その質問とは、"Do you see a future?" 「あなたは(ある)未来が見える?」だと言っていることになります。
a future という表現が漠然としているので、モニカは、I mean と言い換える形で、Do you see yourself marrying her? と問うています。
ここでの marry は「(人)と結婚する」という他動詞で、-ing と進行形になっているのは、「結婚しようとしている自分の姿があなたには見える?」と問うている感覚だと思います。
言い換えると、Do you see yourself getting married to her? と同じようなことでしょう。
-ing は日本語で「〜している」と訳される傾向にありますが、「彼女と結婚している(状態)」を表現したい場合は、be marrying her ではなく、be married to her の形を取ることにも注意したいところです。

「エリザベスと結婚しようとしている自分の姿がロスには見えてる?」みたいに言われて、ロスはしばらく黙って考え込んでいます。
それを見て、モニカは驚いたように、「ロスはすでにそれをしたのね? ロスはエリザベスと結婚したんでしょう?」みたいに言っているのがおかしいですね。
ロスが沈黙したのは、すでに実行してしまった事実を指摘されたから、みたいにモニカは考えたわけですが、「彼女との結婚をイメージできる? まさか、もうすでに結婚しちゃってるの?」みたいに言われるのは、ロスは何度も(通算3回)結婚している、というフレンズお約束のネタを使ったジョークですね。
普通の人ならそんな話の展開にはなりませんが、「ロスならすでにこっそりエリザベスと結婚しちゃってるってことありうるわ」みたいにフレンズたちが思っているという面白さになるでしょう。

ロスは、すでに結婚したという話は否定して、「正直に言うと、彼女との未来は見えない」と言います。
ロスはただ、エリザベスとの結婚をイメージできるかをしばらく頭の中で考えていて返答が遅れただけだったのですね。
「彼女との未来が見えない」「なら、それがあなたの答えね」というやり取りから、ロスはエリザベスとの結婚はあり得ないとはっきり認識することになります。
彼女と話さなきゃ、というのは、彼女に重要な話、ここでは別れ話をしなくちゃ、という意味ですね。

I hate this part. を直訳すると、「僕はこの部分が嫌いだ」ということで、その part というのは、I've got to talk to her. という部分ですね。
つまりは、人との恋愛関係の中で、別れ話をする時が一番いやなんだ、と言っていることになります。

嫌だと言っても、ロスはエリザベスを忘れなきゃいけない、とチャンドラーは言っています。
彼女との未来が描けないなら、忘れるしかないだろ、というアドバイスのようですが、その続きを聞いてみると、チャンドラーらしいジョークになっているのがポイントですね。

チャンドラーは、「彼女を忘れないと。だってもしお前が気をつけなければ(油断してると)、今年は全く結婚できないかもしれない」と言っています。
つまり、「エリザベスのことを忘れられなくてウダウダ時を過ごしてると、今年は結婚するチャンスを逃しちゃうかもしれないぞ」みたいなことですね。
これもまた、「ロスは毎年のように結婚している」という結婚ネタを使ってからかっていることになります。
別にロスは好き好んで何回も結婚しているわけではないでしょうが、フレンズたちは、ロスを「結婚したがりの結婚マニア」か何かのようにからかう傾向があって、このチャンドラーのセリフも、「さっさと忘れて次を探さないと、毎年の連続結婚記録が途切れるぞ」みたいに言っているというジョークになるわけですね。


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posted by Rach at 16:28| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月13日

居心地悪いと冗談言っちゃう フレンズ6-24その3

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チャンドラーがモニカにプロポーズの言葉を述べ始めた直後に、そのレストランの入り口にリチャードの姿が見えます。
元カレの登場に驚いたモニカは、思わず「リチャード!」と声をかけてしまい、チャンドラーのプロポーズの言葉は中断されてしまいました。
モニカ: Hey, it's good to see you! (まぁ、あなたに会えて嬉しいわ!)
リチャード: You too, you let uh, your hair grow long. (僕も君に会えて嬉しいよ。君は髪の毛を長く伸ばしてるんだね。)
モニカ: Yeah. Oh, that's right. You, you always wanted me to. Hey, I see you got your mustache back. (ええ。その通りよ。あなたはいつも私にそうして欲しいって言ってたものね。ねぇ、あなたはヒゲをまた生やしてるのね。)
リチャード: Well, my nose got lonely. (あぁ、僕の鼻が寂しくなってね。)
チャンドラー: (to Richard's date) And uh, you don't have a mustache, which is good. (She just smiles.) I'm Chandler. I make jokes when I'm uncomfortable. ([リチャードのデート相手に] それで、あなたにはヒゲがないですね、それは良かった。[彼女はただ笑うだけ] 僕はチャンドラーです。僕はジョークを言っちゃうんですよ、居心地の悪い時に。)
リチャードのデート相手: Hi, I'm Lisa. (こんにちは、私はリサよ。)
チャンドラー: Hi. (こんにちは。)
リチャード: Oh, I'm sorry. (Introduces them.) Lisa, (nodding at each) Monica, Chandler. We used to date. (ああ、ごめん。[彼らを紹介する] リサ、[それぞれにうなずいて(それぞれをあごで示して)] モニカ(と)、チャンドラーだ。僕たちはかつてデートしていた[付き合っていた]んだよ。)
チャンドラー: Richard! No one's supposed to know about us! (Richard just smiles at him.) See I, did it again. (リチャード! 誰も僕ら[私たち]のことを知っちゃいけないことになってるだろ[でしょ]! [リチャードはただチャンドラーに微笑む] ほら、僕はまたやっちゃいました。)

チャンドラーがプロポーズしようとしていたことにも気づかず、モニカは元カレとの再会を喜んでいる様子。
You let your hair grow long. を直訳すると、「君は君の髪の毛を長く伸ばすことを許している」という感覚。
髪の毛は放っておくと自然に伸びるものなので、ヘアカットするなどして短くすることなしに、自然に伸びるままに任せている、という感覚から、let 「〜の状態になることを許す、〜の状態にさせる」が使われているのですね。

grow は Hair grows. 「髪の毛が伸びる」という自動詞でも使えますし、He grows his hair. 「彼は髪の毛を伸ばす」の形で、人が主語、髪の毛が目的語の形でも使えます。
そういう意味では、let がない形の、You grow your hair long. / You've grown your hair long. なども使えそうですが、あえて let を入れることで、「髪の毛が伸びるのを、あえて許している」というような感覚が感じられる気がします。

You always wanted me to. は、You always wanted me to grow my hair long. が省略された形。
リチャードの「(今は)髪を伸ばしてるんだね」というセリフから、リチャードが昔、モニカに「君は髪の毛が長い方が似合うから、長く伸ばしたら?」と勧めていたことを思い出したのですね。
「長い髪の毛と言えば、あなたはいつも、伸ばせ伸ばせ、って言ってたわよねぇ」みたいに懐かしそうに思い出話をしているわけです。
つまり、リチャードと付き合っていた当時は、リチャードが伸ばせと言っても髪の毛を短く切っていた、だからリチャードはあえて「今は長く伸びるのを”許している”、前みたいに伸びたからってすぐに切ったりしないんだね」という意味で let your hair grow long と言った、ということにも繋がるわけですね。

見た目の変化を言われたモニカは、リチャードにも同じようなことを返します。
「あなたがヒゲを取り戻したのが私には見える、わかる」みたいなことで、「あら、あなたのヒゲは復活したのね」みたいなことですね。
get lonely は「寂しくなる」ですから、鼻の下にヒゲがないと、鼻が寂しがったんでね、みたいに言っていることになります。

ヒゲの話が出たので、チャンドラーは話に割り込んできて、リチャードと一緒にいる女性に対して、「あなたにはヒゲがないですね、それは良かった(それはいいことです)」みたいに言っています。
女性だからヒゲがないのは当たり前なのですが、リチャードと同じような豊かなヒゲを生やした男性を同伴していたとすると、リチャードがゲイのカップルみたいになってしまうので、「あなたがヒゲの生えていない女性で良かった、リチャードのデート相手が女性で良かった」と言っているようにも思います。
妙なジョークにどう反応したらよいか判断しかねる同伴の女性は、ただ微笑むしかありません。
チャンドラーは遅ればせながら、という感じで名前を名乗って、「僕はジョークを言うんです、uncomfortable な時に」と説明しています。
つまり、今はちょっと居心地が悪くて、そういう時にはいつも、こんなつまらない冗談を言ってしまうんですよね、僕って…みたいにちょっと自虐的な自己紹介をしているわけですね。
自分の彼女が元カレと親しそうに話しているのを見て、チャンドラーは面白いはずもありません。
「あなたは長い髪の毛の方がいいって言ってたものね」みたいに言われたらなおさらです。
そういう「ちょっと今僕は気分・機嫌が悪い」というところを、さりげなく盛り込んで、「そういう時にジョークを言うような人間なんですよ、僕は」と、「習慣・習性を表す現在形」を使って、説明していることになります。

チャンドラーが自ら名乗って、それに答える形でリサも名乗るのですが、それを見てリチャードは「おっと、申し訳ない」みたいに謝っています。
普通はこんな風に、初対面の人がいる場合には、両方を知っている人がそれぞれを紹介するのが礼儀ですよね。
モニカとリチャードがそれぞれの同伴相手をほったらかして、紹介するのを忘れていたことを詫びる感覚になるでしょう。
逆に I'm sorry. と言ってしまうことで、「モニカとの再会に驚いて、モニカと話すのに夢中になって、紹介するのをすっかり忘れてたよ、ごめんごめん」と言っている形になり、ほっとかれた人にしてみたら、「君たちのこと、忘れてた」みたいにはっきり認められた形になるようで、あまり良い気はしない気がします。
そういう部分に、モニカだけでなく、リチャードもモニカとの再会に驚き喜んでいる様子が伺えるわけですね。

リチャードはそれぞれを紹介して、「私たちはかつてデートしていたんだ、付き合っていたんだ」と説明します。
それを聞いたチャンドラーが即座に、リチャード!と言うので、「俺たちが今付き合っているのに、そんなことをわざわざ初対面の人に言うんですかぁ?」と抗議でもするのかと思いきや、ちょっと違った方向の抗議に変えて、それをジョークにしているところが、チャンドラーらしいです。

No one's supposed to know about us! の be supposed to はフレンズ頻出フレーズで、「〜することになっている」。
ここでは主語が否定語の No one 「誰も〜ない」になっていますので、つまりは、be not supposed to 「〜してはいけないことになっている」という意味になります。
「私たちのことについて、誰も知ってはいけないことになっている!」と叫んでいることになりますが、ここでの us とは、「リチャードとチャンドラー」のことですね。

モニカとチャンドラーを紹介した後、リチャードは「私たちはデートしていた」と説明しました。
つまり、具体的に「モニカと私は」とは言わなかったので、「私たち」と言った場合、「モニカとリチャード」か「チャンドラーとリチャード」かの2通りが考えられるわけですね。
リチャードはゲイではないと同伴女性も知っているでしょうし、いかにも元カップルっぽい会話を交わしていたので、その付き合っていた相手がモニカであることは、リサも瞬時にわかったはずですが、リチャードが we と言ったのを利用する形で、「そう、リチャードが言ったように、リチャードと僕はかつてデートしていた仲だったけど、誰もそれを知っちゃいけないことになっていたはずだ、僕らの仲を他の人に話しちゃいけないってことになってただろ?」と抗議しているかのようなセリフを言ったのですね。
こういうセリフは、「だめよ、リチャード、私たちが付き合ってたことは内緒にするって約束でしょ!?」みたいに、「チャンドラーがまるで女性(リチャードの元カノ)になったような気持ちで言っているセリフ」のように訳すと、雰囲気がつかみやすい気がします。
「モニカと僕は昔付き合っていてねぇ」みたいに嬉しそうに話すリチャードに対して、真正面から抗議できないチャンドラーは、ジョークのようにそう言うことが精一杯だった、という感じになるでしょう。

リチャードもそういうチャンドラーのジョークにどう反応していいかわからずただ微笑んでいるだけ。
チャンドラーは、See I, did it again. と言っています。
「もう一度それをした」というのは、さきほど言ったヒゲのジョークと同じで、I make jokes when I'm uncomfortable. 「居心地の悪い時にジョークを言ってしまう」というのを、またやっちゃった、ということですね。
とにかく、この場の気まずさをジョークでごまかすしかできない、チャンドラーのつらい立場に大いに同情してしまうシーンです。


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posted by Rach at 17:54| Comment(2) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月09日

その理由は君だよ フレンズ6-24その2

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チャンドラーとモニカはレストランにいます。
今夜このレストランでモニカにプロポーズするつもりのチャンドラーは緊張している様子。
「大丈夫?」と聞かれたチャンドラーは「モニカこそ大丈夫?」と聞き返し、「少し寒いから、あなたの上着を貸して」とモニカに言われます。
上着の内ポケットに指輪のケースを入れているので上着を貸せないチャンドラーは、「君に貸したら僕が寒くなるじゃないか」みたいなことを言って上着を貸すのを拒んでいます。
やはり様子がおかしいと思ったモニカは、
モニカ: (laughs) Are you sure you're okay? ([笑って] 本当に、あなた、大丈夫?)
チャンドラー: Yes! I'm fine. In fact, I've been fine for a long time now and I think, the reason is you. (ああ! 俺は元気(順調)だよ。実際、俺は長い間ずっと元気でいる、僕は思うんだ、その理由は君だ、って。)
モニカ: Ohh, that's sweet! (まぁ、それって素敵。)
チャンドラー: Okay umm, before I met you, I had really little life. And I couldn't imagine growing old with-- (よし、えーっと、俺は君に会う前は、俺には人生ってものがほとんどなかった。そして俺には想像できなかったんだ、一緒に年を取っていくことを…)
(As he's talking Monica notices someone familiar has just entered the restaurant. Let's see; I seem to remember him driving a Ferrari in Hawaii solving crimes as a private investigator and as a certain eye doctor in more recent times.)
チャンドラーが話している時に、モニカは見覚えのある人がちょうどレストランに入ってきたのに気づく。彼が私立探偵として事件を解決しながら、ハワイでフェラーリを運転しているのを思い出す気がする、そしてもっと最近では、とある眼科医としての姿を。
モニカ: (interrupting him) Oh, my God! ([チャンドラーの発言をさえぎって] まぁ、なんてこと!)
チャンドラー: (not knowing the true meaning of her exclamation) I know. But just let me say it. ([モニカの感嘆の声の本当の意味を知らずに] わかってる。でもただ(何も言わずに)俺にそれを言わせてくれ。)
モニカ: Oh, my God, Richard. (Yep, Richard's back.) (なんてこと、リチャード。[その通り、リチャードが戻ってきた])
チャンドラー: What?! I'm Chandler! (She nods towards the doorway, Chandler turns and looks) Oh, that's Richard! (何だって? 俺はチャンドラーだぞ! [モニカは出入り口の方をあごで示す、チャンドラーは振り返って見る] あぁ、あれはリチャードだ!)

明らかにそわそわして様子がおかしいチャンドラーに、モニカは、Are you sure you're okay? と尋ねています。
それまでにもすでに何度か、Are you okay? 「あなた大丈夫?」と尋ねていて、チャンドラーは大丈夫だと返事していたのですが、やはり様子がおかしいので、「自分では大丈夫だって言ってるけど、それは間違いない?」みたいな感じで、Are you sure you're okay? と言っているのですね。

チャンドラーは、I'm fine. と返事しています。
英会話の決まり文句として習う、"How are you?" "I'm fine, thank you." のあの fine ですね。
改めて英英辞典で語義を見てみると、以下のように出ています。
fine : HEALTHY healthy and well
例) "How are you?" "Fine, thanks."

つまり、「健康で調子が良い」。

「大丈夫?」と聞かれて、「元気だよ、順調でいい感じだよ」と返事したチャンドラーは、優しい顔でその後の言葉を続けています。
I'm fine. In fact, I've been fine for a long time は、「今、自分は fine な状態で、実際、これまで長い間ずっと fine な状態だった」と言っていることになります。
そして、the reason is you と言っていますね。
その理由、つまり、自分がずっと fine でいられた理由は君だ、君のおかげでずっと僕は fine でいられた、と言っていることになります。
モニカが素直に感動していることからもわかるように、かなりロマンティックなセリフですね。
今からプロポーズするぞ!という大事な場面なので、いつものおふざけのチャンドラーではなくて、ちょっと照れたような笑顔で心からそう言っているらしいことが表情からもわかります。

the reason is you のように、you が最後に来ているところが、余計にそのセリフを素敵なものにしているように思います。
例えば、Wham! (ワム!)のヒット曲の Freedom のサビの部分で、
I don't need your freedom, girl, all I want right now is you.
という歌詞がありますが、これも、「今の僕が欲しいもののすべては君だ、今の僕が欲しいのは君だけだ」というような意味ですね。
I want you right now. と似たような意味ですが、... is you 「…は君だ」と表現することで、強調したい部分を後回しにしたような倒置のニュアンスが出るわけです。
今回のセリフも内容としては、You are the reason why I've been fine for a long time. のような感じですが、上のセリフのように表現することで、「俺はずっと fine だった、そして俺は思うんだ、その理由は君なんだ、って」というように、「(それは全て)君なんだ、君のおかげなんだ」という部分が強調されるわけですね。

モニカが感動してくれたので、チャンドラーもプロポーズの言葉を言う勇気が出てきたようです。
ついに、チャンドラーが一世一代のプロポーズの言葉を述べ始めたその時に、ある人物の姿が画面に映ります。
ト書きの説明を読むとわかりますが、モニカの元カレの眼科医、リチャード・バーク先生が、このタイミングで同じレストランに現れたのですね。
実際の画面では、「これってリチャードじゃない?」とわかる程度に最初はちらっと画面に映る程度ですが、ファンとしてはやはり彼の登場はまさに驚きなので、そういうファンとしての気持ちが出たト書きになっているのが面白いです。
「私立探偵として事件を解決しながら、ハワイでフェラーリを乗り回す」というのは、リチャードを演じるトム・セレックが主演していた人気ドラマ「私立探偵マグナム」(原題:Magnum,p.i.)のことですね。
Wikipedia 日本語版 : 私立探偵マグナム

そのウィキペディアの説明にも、

「ベトナム帰り」の元海軍士官であるトーマス・マグナムはハワイ・オアフ島で私立探偵業を営んでいる。
マスターズ所有の赤いフェラーリ・308を勝手に乗り回し「愛車」としている。


という記述があるように、「ハワイでフェラーリを乗り回している私立探偵」というのがマグナムのよく知られた設定だということです。
そのように、マグナムとして有名な彼だけれど、もっと最近の話だと、フレンズファンにとっては、「ある眼科医」であるバーク先生として思い出されるとも言っているのですね。

座った位置の関係で、モニカだけがリチャードがいることに気づいた状態で、チャンドラーのプロポーズの言葉が続いています。
モニカがチャンドラーの発言を遮る形で、Oh, my God! と言ったのは、思いがけない場所で元カレ、リチャードを見かけたからですが、チャンドラーはその驚きの意味に気づかないまま、「わかってる。でも俺に言わせて」と言っています。
君と出会う前の俺は(誰かと)一緒に年を取ることなんて想像もできなかった…みたいなフレーズが出てくると、たいていの人はこれがプロポーズのセリフだと気づくでしょう。
チャンドラーも、そのフレーズでモニカがプロポーズだと気づいて声を上げたのだと思って、「今のフレーズで、これがプロポーズの言葉だって気づいて君は驚きの声を上げたってこと俺にもわかってるけど、大事な言葉だから最後まで俺にそれを言わせて」と言っているわけです。
その後、モニカはまた、Oh, my God. と言い、今度は、Richard という名前も出します。
「リチャードだって? こんな大事な時に彼氏の名前を間違えるか? 俺はチャンドラーだ!」と名前を訂正したチャンドラーですが、モニカが示す方向を見て、そこに本当にリチャードがいることにやっと気づくことになります。

ト書きの nod toward the doorway について。
nod は「首を縦に振る、うなづく」ですね。
ですから、nod toward は、「〜の方向に向けて首を縦に振る」という感じで、「〜の方にあごをしゃくる、〜をあごで示す」という意味になります。
口で説明せずに、無言であごをしゃくって、何かを示す、それだと教える、という仕草が、nod toward だということですね。


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2012年08月06日

乾杯の代わりにプロポーズ フレンズ6-24その1

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シーズン6 第24話
The One With The Proposal - Part 1 (チャンドラーのプロポーズ大作戦! Part 1)
原題は「プロポーズの話 パート1」


[Scene: Monica, Chandler, and Phoebe's, Chandler is showing Ross, Rachel, Joey, and Phoebe his engagement ring again.]
モニカ、チャンドラー、フィービーの家。チャンドラーはロス、レイチェル、ジョーイ、フィービーに(自分が買った)婚約指輪をもう一度見せているところ。
ロス: God, that is the most beautiful engagement ring ever! (わぁ、それってこれまでで最も美しい指輪だね。)
レイチェル: Yeah? Well, you should know, you've bought like a billion of ‘em. (そうよね? ほら、あなたはわかるはずだもの、これまでに何億個も婚約指輪を買ってきたもんね。)
ロス: Yeah, you didn't get one. (ああ、君は婚約指輪をもらったことないけどね。)
チャンドラー: Okay, well, tonight's the big night. (よし、今夜は重要な夜だぞ。)
フィービー: Yeah! (そうね!)
ジョーイ: Okay listen, how are you gonna ask her? (なぁ、どうやって彼女に申し込む[結婚してくれって言う]つもりなんだ?)
チャンドラー: It is going to be perfect. I am taking her to her favorite restaurant. I'm going to get her a bottle of the champagne that she really loves; therefore knows how expensive it is. Then when the glasses are full, instead of proposing a toast, I'm just gonna propose. (パーフェクトなものになるんだよ。俺はモニカのお気に入りのレストランに連れて行くつもりだ。俺はシャンパンのボトルを注文するんだ、彼女が大好きなシャンパンのね、それゆえに、彼女はそれがどんなに高価であるかを知ってるってわけさ。それから(2つの)グラスが(シャンパンが注がれて)満たされた時、乾杯をする代わりに、ただプロポーズするつもりなんだ。)

チャンドラーがモニカのために買った婚約指輪を見て、ロスは「これまでで最も美しい指輪だね」と絶賛しています。
それを聞いたレイチェルは、「ロスは何億個も指輪を買ってきたから、わかるはずよね」みたいなことを言います。
billion は 10億で、ここでは「膨大な数」の誇張表現として使われています。
ロスはさすがに何億もの指輪を買ってきたわけではないですが、「ロスはこれまでに3回結婚した」という、いつもフレンズたちが持ち出すネタを、ここでも使ったわけですね。
「何回も結婚してるから、何回も指輪を買ってる、そういう経験の豊富なロスだから、指輪の良し悪しはよくわかるわよね」みたいに言ってからかっているのです。

それに対するロスの返しも面白いです。
one は、an engagement ring のことですね。
このような one については、研究社 新英和中辞典では、以下のように説明されています。
one (代名詞)=[既出の可算名詞の反復を避けて] (その)一つ、それ
例) I don't have a pen. Can you lend me one? ペンがありません. お貸しくださいませんか .
語法 (one)
同一のものを受ける時は it を用いる: He has a car and likes to drive it. I want one. (彼は車を持っていてそれを運転することが好きだ。私も車が欲しい。)


LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
one [pronoun] : used to talk about a person or thing of a type that has already been mentioned or is known about
例) If you don't have a camera, buy one.

つまり、「すでに言及された、または知られているタイプの人やものについて語る時に使われる」。
例文は、「もし君がカメラを持っていないなら、カメラを買いなさい」。

it と表現すると、誰かが前に述べた「そのもの」を指すことになり、one だと「同じ種類のもの」を指す感覚になるわけですね。
ロスのセリフも、「君は婚約指輪というものをゲットしたことがない」と言っていることになります。
僕が何度も結婚したことをネタにしてるようだけど、そういう君は(僕と結婚したけれど、酒の勢いでの結婚だったから)婚約指輪はもらえなかったよね、みたいなことですね。

チャンドラーは、今日は the big night 「重要な夜、大切な夜」だと意気込んでいます。
ジョーイは、how 「どのようにして、どうやって」 ask her 、つまり、ask her to marry you するのかを尋ねています。
チャンドラーは「パーフェクトなんだよ」と言って、自分の完璧な計画を語って聞かせます。
未来の予定として、I am taking や、I'm going to が使われていますね。
I am taking は「近い将来の決まった予定」を表す現在進行形です。
モニカお気に入りのレストランにすでに予約を入れているので、「決まった確実な予定」であることから、現在進行形がフィットするのでしょうね。
その後は、「その流れで自分はこうするつもりだ」という「つもりの予定」みたいなものを述べているので、I'm going to/I'm gonna が使われているということになるでしょうか。

I'm going to get her a bottle of the champagne... therefore knows how expensive it is. という文の表現がなかなか面白いです。
therefore は「それゆえに、従って」という副詞。
LAAD では、
therefore [adverb] (formal) : as a result of something that has just been mentioned
つまり、「ちょうど言及されたばかりのことの結果として」。
哲学者デカルトの言葉、「われ思う、ゆえにわれあり」の英訳、"I think, therefore I am." にも登場する単語ですね。

前から順番に意味を取っていくと、
俺はシャンパンのボトルを1本注文するつもりだ→(どんなシャンパンかと言うと)モニカが本当に大好きな(シャンパン)→それゆえに→そのシャンパンがどんなに高価かをモニカは知っている
という流れになります。
knows のように、-s がついているのは、いわゆる「3単現の s」で、主語はその前の文章と同じ she(=Monica) だということですね。
つまり、チャンドラーは、「モニカが大好きなシャンパンを注文するんだよ、自分の好きなシャンパンだから、それがどんなに高いシャンパンかをモニカは知ってるんだ」と言っていることになり、それを注文することで、モニカは「まぁ、チャンドラーはこんなに高いシャンパンを頼んでくれたの?」と感激するのは間違いない、と言っていることになります。
ポイントは、「そのシャンパンが高い」ことではなく、「モニカがそのシャンパンが高額だと知っている」という部分なのですね。
そのシャンパンの価値をモニカは知ってるから、俺がプロポーズのために最高級のシャンパンを用意したことを、彼女はきっと喜んでくれるだろう、ということです。

when the glasses are full は、「その(二人の)グラスが満杯になる時」ですから、グラスにそのシャンパンが注がれた時、ということ。
さあ乾杯しよう、というその時に、propose a toast する代わりに、ただ、propose する、とチャンドラーは説明します。
動詞 propose は「提案する」というのが基本的な意味ですが、propose a toast は「乾杯する、乾杯の音頭をとる、乾杯を発議する」という意味の決まり文句になります。
そして、日本語にもなっている「プロポーズ」という言葉通り、「結婚を申し込む」という意味もありますね。

乾杯で、propose a toast する代わりに、toast (乾杯)じゃない方の propose をするんだ、というような、propose という動詞を使ったダブルミーニングのようなセリフになっているわけです。
逆に日本語では「プロポーズ」というと、結婚のプロポーズの意味で使われることがほとんどなので、ダブルミーニングに訳すのは難しいですね。
propose a toast というお決まりフレーズを知っているからこそ、「おぉ、しゃれてるね」と思えるセリフだということです。
ちなみに、日本語では「プロポーズ」は名詞扱いですが、英語の propose は「提案する、結婚を申し込む」などの動詞になります。
「プロポーズ、結婚の申し込み」という名詞は、proposal なので、今回の原題も、The One With The Proposal 「プロポーズ(結婚の申し込み)の話」になっているわけですね。


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posted by Rach at 17:54| Comment(6) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年08月03日

橋の下の水=過ぎてしまったこと フレンズ6-23その6

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少し前のニックス戦に誘わなかったことをチャンドラーが怒っている、と思ったジョーイとロスは、別の試合にチャンドラーを誘いますが、チャンドラーはそれを断ります。
それに気分を害した二人は、これからチャンドラーのことを無視しよう、と決め、今もそれを実行中です。
[Scene: Joey and Rachel's, Joey and Ross are watching TV as Chandler enters.]
ジョーイとレイチェルの家。ジョーイとロスがテレビを見ていると、チャンドラーが入ってくる。
チャンドラー: Guys? (They ignore him.) I've got something important to tell ya. (Still nothing so he walks over and stands in front of the TV.) Guys? (They lean over to try and watch the TV, Chandler mimics them.) Guys?! (Pause) I'm gonna ask Monica to marry me. (ねえ? [ジョーイとロスはチャンドラーを無視する] 君らに言うべき重要なことがあるんだ。[いぜんとして反応がないので、チャンドラーは歩いて行って、テレビの前に立つ] ねえ? [二人はテレビを見ようとして体を曲げる、チャンドラーはそれを真似する] 二人とも。[間があって] 俺はモニカに結婚してくれ、って言うつもりなんだ[結婚を申し込むつもりなんだ]。)
ジョーイ: (To Ross) I think we gotta end the freeze-out. ([ロスに] シカトは終わりにしなきゃいけないみたいだな。)
ロス: Wait a minute, is this, is this for real? (ちょっと待ってよ。これって、これって本当なの?)
チャンドラー: Yeah. Check out the ring. (Shows it to them.) (ああ。指輪を見てくれよ。[指輪を二人に見せる])
ジョーイ: Oh, my God!! (なんてこった!)
ロス: So you two are really serious?! (それじゃあ、二人はほんとに真剣だったんだな?)
チャンドラー: Yep, pretty much. (ああ、かなりね。)
ロス: You-you're gonna get married?! I mean... We're gonna be brothers-in-law! Come here! (They hug.) (チャンドラーは結婚するんだね!? つまり…僕たちは義理の兄弟になるわけだ! 来いよ! [二人はハグする])
ジョーイ: And-and-and-and-and-and, and we're gonna be friends again! (それでそれでそれで…俺たちはまた友達になれるんだな!)
チャンドラー: (goes to hug him and stops short) Heyyyy - What? ([ジョーイにハグしようとして、はたと止まって] おぉ〜い〜、何だって?)
ジョーイ: Oh, it's water under the bridge, forget it! (あぁ、過ぎたことだ、忘れろ!)

二人がテレビを見ているところに入ってきたチャンドラーは、大事な話をしようとしますが、「チャンドラーを無視する」と決めた二人は、チャンドラーに気づかぬふりをして、テレビを見続けています。
ですが、I'm gonna ask Monica to marry me. という重大発言をすると、さすがの二人も驚いた顔になり、ジョーイは見ていたテレビを消しています。

I think we gotta end the freeze-out. の freeze-out は「締め出し、(人を)締め出すこと」。
句動詞 freeze out を名詞にした形なので、freeze-out とハイフンで繋がれているのですね。
句動詞 freeze out については、
研究社 新英和中辞典では、
freeze out=(米口語) (冷遇・力ずくなどで)〈人・ものを〉締め出す、追い出す
英辞郎では、
freeze out=【句動-2】(組織や地位から)締め出す、追い出す、【句動-3】(人)をわざと無視する
と出ています。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
freeze somebody out / freeze out somebody [phrasal verb]
to deliberately prevevnt someone from being involved in something by making it difficult for them, not being nice to them etc.
freeze somebody out of something
例) He claims he was frozen out of the decision making process.

つまり、「故意に、誰かが何かにかかわるのを妨げること、その人に対してそれを難しくすることで、または、その人に親切にしないことなどで」。
例文は、「意思決定の過程で締め出しを食らったと彼は主張した」。

チャンドラーの「モニカにプロポーズする」発言に驚いたロスは、"Is this for real?" と言っています。
real は「本当の」という形容詞ですが、今回のロスのセリフのように、for real という形でもよく使われますね。
研究社 新英和中辞典では、
for real (米口語) [形容詞的に] 本物の、本気の
This is for real. これは本物だ.
Are you for real. 君本気か.

と出ています。

Macmillan Dictionary では、
for real (informal) : if something is for real, you are doing it seriously, not just practising or pretending
つまり、「何かが for real であるとは、人がそれを真剣にしている、ということ、ただ練習しているだけとか、そういうふりをしているだけなどではなく」。

「冗談じゃなくて、マジな話か?」と問われたチャンドラーは、買ってきた婚約指輪を二人に見せます。
brother-in-law は、「義理の兄弟」ですね。
当然のことながら、複数形にする場合は、brother に -s がついた brothers の形になります。

「僕たち、義理の兄弟になるんだ!」とハグし合う二人を見て、親戚関係にはならないジョーイは、「それで、俺たち(俺とチャンドラー)は、また友達になるんだ!」と言います。
ロスと同じように、一瞬喜びそうになるチャンドラーですが、その言葉の意味に引っかかって、「ヘ〜ェエイ」みたいな声を出して、それっていったい何のことだよ?みたいに問い詰めます。
「また友達になれる」ってことは、この話をする前は友達じゃなかった、ってことか? 俺のことを無視してたのは俺を友達だと思ってなかったからか?というようなことに気づいたからでしょう。

そう言われて、「だって、せっかくニックス戦のチケットを用意したのに、それを喜ばないお前が悪い」みたいな説明をしても良かったのでしょうが、もはやそういう次元の話を越えたビッグニュースが飛び込んできたので、「もうそんなことは忘れろよ」みたいに、あっさり言ってしまうのがジョーイらしいですね。

water under the bridge を直訳すると「橋の下の水」ということですから、「川の水」を指すことになるでしょうが、このフレーズには「過ぎてしまったこと」という意味があります。

研究社 新英和中辞典では、
water under the bridge=過ぎてしまったこと、取り返しのつかない過去

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be water under the bridge (spoken) : to be in the past and not worth worrying about
つまり、「過去のことで、心配する価値のないこと」。

Macmillan Dictionary では、
water under the bridge : used for saying that you should stop thinking about something bad that happened in the past and you should forgive people who did bad things
例) Don't worry - it's all just water under the bridge.

つまり、「過去に起こった悪いことについて考えるのをやめるべきだ、そして、悪いことをした人を許すべきだと言うために使われる」。
例文は、「心配するな。すべてはただ過ぎてしまったことだ」。

鴨長明の「方丈記」に、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず」という言葉もあるように、川の流れを移りゆく時の流れに例える感覚は日本語にも存在しますよね。
ですから、「橋の下の水」という直訳でも何となく意味を察することはできそうですが、どの辞書にも載っているような決まり文句なので、そういう表現があるんだ、と覚えておいて損はないと言えるでしょう。


(過去記事への追記のお知らせ)
前回の記事、仕事なら2千ドルは稼げたのに フレンズ6-23その5 のセリフ、
"When just 14 hours ago we figured out..." の when について、Twitter 上でコメントを頂戴しました。
記事への追記の形で、この when に関する今の見解を述べさせていただきましたので、併せてご覧いただけると幸いです。


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posted by Rach at 11:26| Comment(0) | フレンズ シーズン6 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする