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レイチェルが買い物から帰ってくると、ポールは「君に言いたいことがたくさんあって、それを書いてたんだ」と言います。
ポールが泣きながら想い出話をするのにうんざりしたレイチェルは、モニカがくれたアドバイス、「男を黙らせるにはエッチに持ち込めばいい」を思い出し、ポールにセクシーに迫る作戦に出ることにします。
レイチェルが胸の谷間をわざと見せるようにしても全くそそられる様子もなく、自分の幼少時代のことを語り続けるポールに、ついにレイチェルの怒りが爆発します。
レイチェル: I don't care about the little dude! I can't! I cannot listen to anymore of this! Y'know, the only person who would want to listen to this is a mental health professional! And then it's only because they get paid $100 an hour! Do you know how much money I could've made listening to you? $2,000! And do you know when I figured that out? While you were talking! (小さい子供のことなんて私にはどうでもいいのよ! もう無理! こんなこと、これ以上聞くことなんかできないわ! ほら、こんなことを聞きたいと思うような人は、メンタルヘルスのプロだけよ! それから、その理由はただ、そのプロは時給100ドルもらえるからよ! あなたの話を聞くことで、私がどれだけのお金を稼げただろうと思う? 2,000ドルよ! そして私がそれをいつ計算したか知ってる? あなたの話を聞いている間に(計算したの)よ!)
ポール: What?! I can't believe you're trying to stifle me! When just 14 hours ago we figured out that is exactly what my mother was trying to do to me! (何だって? 君が僕の感情を抑えようとするなんて信じられないよ! たった14時間前だぞ、僕の母が僕にしようとしていたことが、まさにそれだってわかったのは!) (注:以下の記事内に、追加説明があります。)
ついにキレてしまったレイチェルは、I don't care about 「〜なんてどうでもいいわ!」という投げやりな言葉を使って、怒りを爆発させています。
the only person who... の文はちょっと長いですが、構造を単純にすると、is がメインの動詞になり、the person is a professional 「〜の人は、…のプロ(専門家)である」という意味になります。
関係代名詞 who や、形容詞がつくことで、person と professional を詳しく説明する形になっているのですね。
直訳すると、「こんなこと(こんなポールの話)を聞こうと思うような唯一の人間は、メンタルヘルス(心の健康)の専門家である」ということになります。
私は今まであなたの話を聞いていたけど、誰がこんな話を聞きたいもんですか、こんなのを聞きたがるのはメンタルヘルス専門家だけよ!ということですね。
その後、「そしてそれはただ…だからよ」と言って、専門家が話を聞きたいと思う理由はこれだけよ、と言っています。
その理由とは、「1時間に100ドル支払われるから」、つまり、メンタルヘルスのプロが仕事としてこういう話を聞くと、だいたい時給100ドル稼げるからよ、と言っているわけですね。
カウンセリングの相場がだいたいそんな感じだということでしょう。
その後、「あなたの話を聞くことで(聞きながら)、私はどれだけのお金が稼げただろうと思う?」みたいなことを尋ねていますね。
could've made (money) は、「could+have+過去分詞」の形で、「お金を稼ぐこともできたのに(実際にはできなかった)」という感覚。
私はカウンセラーじゃないから、時給100ドルもらうことはできなかったけど、もし私がカウンセラーとしての正規料金を受け取っていたら、どれだけのお金が稼げたか、という話をしているわけですね。
「どれだけ稼げたと思う? 2,000ドルよ!」と言った後、畳み掛けるように、「それをいつ計算したと思う? あなたが話している間に計算したのよ!」とも言っています。
あなたの話なんか興味なくて退屈だから、暇つぶしにそんな計算してたのよ、ということですね。
怒るレイチェルの発言を聞いて、ポールは、「君が僕を stifle しようとするなんて信じられない」と言っています。
stifle は「(人の)息を止める、窒息させる」という意味で、そこから「…を抑える」という意味にもなります。
Macmillan Dictionary では、
stifle :
1. to stop someone from breathing
3. to stop something from developing normally
つまり、1. は「誰かが呼吸するのを止めること」、3. は「何かが正常に発展するのを止めること」。
ポールが言っている stifle とは、「ポールが話をしようとしているのにそれを止めようとすること」でしょうね。
その後のセリフでも、「たった14時間前に僕らは解明したじゃないか、そのこと(stifle すること)が、まさに僕の母が僕に対してしようとしていたことだ、って!」と言っています。
ポールが幼少期に「親に受け入れられない」という思いを抱いたのは、母親がポールの話を聞こうとせず、話を止めようとしたからだ、ということですね。
レイチェルにいろいろと身の上話をして、その時に「母が僕を stifle しようとしたこと」がトラウマになっていると二人で気付いたのに、まさに母がしようとしていたことを、君は今僕に対してするつもりか?と言いたいのですね。
(2012.8.3 追記)
ポールのセリフ、"When just 14 hours ago we figured out..." について、「when は何のためにあるのだろうか?」というコメントを Twitter 上で頂戴しました。
興味深いポイントだと思ったので、ここで追記の形で、私の意見を述べさせていただきたいと思います。
ご指摘があったように、確かにこの when はクセモノですね。
「たった14時間前にそれがわかった」という文であれば、Just 14 hours ago だけで十分で、when は必要ないはずです。
上のセリフの英文は、ネットスクリプトを参考にしたものですが、この部分、DVDの英語字幕では、... to stifle me, when 14 hours ago... のように2文がカンマで繋がれていました。
英語字幕は「実際のセリフより単語が省略されるけれども、文法的に正しい文になるように表示される傾向がある」ので、英語字幕にも when が入っていたということは、この when は文法的に意味があると考えて良いと思います。
英和辞典を見ると、when には「〜なのに、〜であるのに」という逆接の意味が載っています。
そういう逆接の意味としては、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、以下の2つが該当するように思います。
when [conjunction] :
5. even though or in spite of the fact that something is true
例) Why do you want a new job when you have such a good one already?
6. used to introduce a second statement that shows that the first statement is not true
例) The doctor said Dad was fine, when he was really dying.
つまり、5. は、「あることが本当であるという事実にもかかわらず」。
例文は、「どうして新しい仕事が欲しいの? すでにそんなに良い仕事を持っている(という事実)にもかかわらず[持っているのに]」。
6. は、「最初の発言が事実ではないことを示す2番目の発言を導入するために使われる」。
例文は、「パパは大丈夫だと医者は言ったが、(実際には)パパは本当に瀕死の状態だった」。
今回のポールのセリフは、ロングマンの 5. の語義、「〜という事実にもかかわらず(in spite of the fact that)」が近いように思います。
「信じられないよ、14時間前に〜がわかったばかりなのに(少し前にわかったという事実にもかかわらずそんなことを言うなんて)」という逆接の接続詞のニュアンスだろう、というのが、今の私の見解になります。
ネットスクリプトのように、... trying to stifle me! When just 14 hours ago ... と2文に分けて書こうとすると、やはり意味的にも文法的にも、When は必要ないように思います。
上で説明したような、「逆接の when 」のニュアンスとして使われていると考えると、文法的には、DVD英語字幕のように、... trying to stifle me, when just 14 hours ago ... とカンマで区切るのが正しいと言えるでしょう。
そうすることで、1文目と2分目を繋ぐための接続詞の役割をしていることがはっきりするわけですね。
(追記はここまで)
that is exactly what my mother was trying to do to me! というフレーズは、前回の記事に出てきた、That's exactly what my dad used to say! と、ほとんど同じ構造になっています。
ポールに対して、誰かが拒否的な反応をした場合に、「それはまさにパパがよく言ってた言葉だ」とか、「それはまさにママが僕に対してしようとしていたことだ」と言うことで、「君らも、両親と同じように、僕を受け入れてくれないのか?」と悲しむセリフになるわけですね。
こういうフレーズを繰り返すところに、「過去の辛い記憶がトラウマになっていて逃れられない人」という感じがよく出ていると思います。
また、上のセリフでは、レイチェル、ポールの両方が、figure out というフレーズを使っています。
レイチェルの方は「計算する、計算して答えを出す」という意味、ポールの方は「わかる、理解する」という意味で使われているのにも注目したいところですね。
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