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モニカは、レストランでブランチを取っている時に、レイチェルとフィービーに付き添い役の件の相談をしていました。
その時、話題に出てきたチャンドラーという名前に反応した女性が近づいて来て、"You're marrying Chandler Bing?" "Huh, good luck!" 「あなた、チャンドラー・ビングと結婚するの?」「まあ、頑張って」みたいに皮肉っぽく挨拶されたことが、ずっと気になっている様子。
[Scene: Monica, Chandler, and Phoebe's, Monica has just gotten back from brunch and is telling Chandler about it.]
モニカ、チャンドラー、フィービーの家。モニカはたった今、ブランチから帰宅したところで、チャンドラーにその話をしているところ。
モニカ: Yeah hey, a weird thing happened today whey I was at brunch. This woman overheard that I was marrying you and-and then she…she wished me good luck. (ねぇ、今日、ブランチの時、変なことが起こったのよ。ある女性が、私があなたと結婚する予定だ、ってことを耳にして、それで、その女性が…私に、頑張って[幸運を祈ってるわ]って。)
チャンドラー: That's sweet. (それって優しいね。)
モニカ: No, it's more like a (sarcastically) "good luck." (いいえ、むしろ[皮肉っぽく] 「まぁ、頑張って」みたいな感じ。)
チャンドラー: So uh, what did this woman look like? (で、その女性は見た目どんな感じ?)
モニカ: She was, like, 30, dark hair, attractive. (彼女は、そうねぇ、30歳くらいで、黒髪、きれい[魅力的]だったわ。)
チャンドラー: Well, is there any chance you were looking into a bright, shiny thing called a mirror? (ふーん、モニカが、明るく輝く、鏡と呼ばれるものを覗きこんだ、って可能性はある?)
モニカ: Come on, was it someone maybe you dated in college? (ちょっと(ふざけてないで)、多分、あなたが大学でデートした[付き合ってた]誰かじゃないの?)
チャンドラー: No, no, I only dated two girls in college, both blonde, both not attractive. (Thinks a little while.) Hold on one second. Let me check this out. (He gets up and grabs a photo album) (いやいや、俺は大学時代、デートしたのは2人だけだけど、両方とも金髪で、両方ともきれいじゃなかった。[少しの間、考えて] ちょっと待って。これをチェックさせて。[チャンドラーは立ち上がり、写真のアルバムを取ってくる])
モニカ: What are you doing? (何やってるの?)
チャンドラー: Well, let's see... (Finding the picture he wants.) Okay uh, is that her? (Pointing to the picture.) (えーっと… [自分の求める写真を見つけながら] よし、それが彼女? [その写真を指差す])
モニカ: Oh, my God, yes! Who is she? (なんてこと、そうよ! 彼女は誰?)
チャンドラー: Julie Graff, my camp girlfriend. (ジュリー・グラフ、(サマー)キャンプの時の俺のガールフレンド[彼女]。)
モニカ: Did you break up with her? (彼女とは別れたの?)
チャンドラー: (pause) No, we're still together. Yeah, we went out for two summers and then I broke up with her. ([間があって] いや、俺たちはまだ付き合ってるよ。[また、しばらく間があって]そう、ふた夏、付き合って、おれから俺が彼女をふった。)
モニカはブランチの時に、妙なことが起こった、と言っています。
this woman は「この女性」のように、目の前にいる女性を指すのではなくて、a woman 「ある女性」と同じような意味ですね。
フレンズ5-16その7 でも、"I met this woman." 「ある女性に会ったよ」というセリフが出てきて、その時に、この this についての説明をしています。
物語調で話している時に、このような this がよく使われます。
wish someone good luck は「(人)に幸運を祈る」。
フレンズでは、Wish me luck! 「私に(私の)幸運を祈ってて」というフレーズが出てきたこともあります。
今回のセリフでは、「彼女が私に幸運を祈ってくれた」ということですから、「幸運を」とか「頑張って」とか口で言ってくれた、ということになります。
That's sweet. 「それってスウィートだね、優しいね」と言うチャンドラーですが、sweet って風じゃなくて、もっと違う感じだったの、とモニカは説明を加えています。
it's more like... は、「(それは)より…って感じだった」というところでしょう。
普通の good luck じゃなくて、むしろ、皮肉っぽい感じの good luck だったのよ、ということです。
チャンドラーという名前に反応した女性なので、自分の知り合いだろうと思ったチャンドラーは、What did this woman look like? と尋ねています。
look like は「〜のように見える」、つまり、「その女性はどんな感じに見えるか? 見かけはどんな感じか?」と聞いていることになります。
モニカが、30, dark hair, attractive 「30歳、黒髪、魅力的(きれい)」と答えた後の、チャンドラーのセリフがちょっと洒落てますね。
is there any chance...? は「…の可能性がある?」、look into は「覗き込む」、a bright shiny thing は「明るく輝くもの」、called a mirror は「ミラー・鏡と呼ばれるもの」。
つまり、「明るく輝くものをモニカは覗きこんだんじゃないのか、ほら、鏡って呼ばれてるやつだよ」みたいに言ったことになります。
モニカも黒髪で、年齢的にも同じくらいで、そして attractive ならモニカもそうじゃん、という感じで、「モニカは自分のことを鏡で見たんじゃない?」と言っているわけですね。
ラブラブの恋人らしい返しだと言えますが、looking into a mirror とすんなり言わずに、最後の最後に「鏡と呼ばれるもの」と付け加えたのが、なかなかおしゃれだと思いました。
チャンドラーがモニカのことを attractive と言ったのと同じなので、喜びながらも、「そんな冗談言ってる場合じゃなくて」みたいに Come on と言った後、「大学時代にデートした誰かじゃないの?」と尋ねています。
チャンドラーは即座に否定して、「大学時代は2人の女性と付き合ったけど、両方ともブロンドで、両方とも attractive じゃなかった」と言っています。
両方とも(黒髪じゃなくて)ブロンドだった、だけでいいのに、「かわいくなかった」まで言っているのが、自虐的なチャンドラーっぽいですね。
その後、何か思いついたように立ち上がったチャンドラーは、写真のアルバムを持ってきます。
「それってこの子?」みたいに尋ねたチャンドラーに、モニカは「そうよ」と同意し、チャンドラーはジュリーっていう、サマーキャンプの時の彼女なんだ、と説明しています。
昔の彼女と聞いて、反射的に「彼女とは別れたの?」と尋ねるモニカに、チャンドラーは、しばらく間を置いてから、「いや、俺とジュリーはまだ一緒にいるよ、付き合ってるよ」と答えます。
この together のセリフの後、結構長いラフトラック(観客の笑い声)が入っているのですが、こういう「当たり前の質問に、あり得ない答えで返す」というのは、よくあるアメリカンジョークのパターンですね。
モニカが存在を知らないわけだから、ずーっと前に別れたに決まってるのに、「彼女ってことは、別れたの?」みたいに反射的に尋ねてしまったモニカに対して、「いや、別れずに、まだ付き合ってる」とあり得ない返事を「しれっと」返したところが、アメリカンジョークっぽいと言えるでしょう。
ジョークが一通りウケた後で(笑)、本当のこと、つまり、「ふた夏、付き合って、その後、俺が彼女をふった」と説明していますが、「とりあえず1回はボケてみる」ところが、チャンドラーらしいシーンだと思いました。
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2012年11月30日
2012年11月28日
なぜ大事なの? 今だから フレンズ7-6その2
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結婚式で花嫁は、自分の女友達に「付き添い役」(maid of honor)を頼むのが通例となっています。
現在婚約中のモニカもそれを決めなければならないのですが、レイチェルとフィービーのどちらに頼むかでお悩み中。
そこでモニカは「3人が順番にお互いの付き添い役をやればいい」と提案した後、「今回の私(モニカ)の付き添い役が誰になるかは、レイチェルとフィービーの2人で相談して決めて」と、2人に決定を任せてしまいます。その後のシーン。
[Scene: Central Perk, Phoebe is bringing Rachel some coffee.]
セントラルパーク。フィービーはレイチェルにコーヒーを持ってくる。
フィービー: Hey, Rachel. (はーい、レイチェル。)
レイチェル: Yeah? (はい?)
フィービー: Umm, when I get married, will you be my maid of honor? (うーんと、私が結婚する時には、あなたが私の付き添い役をやってくれる?)
レイチェル: Really?! (ほんとに?)
フィービー: Uh-hmm. (ええ。)
レイチェル: Oh, my God, Phoebe! I mean I'm just-- Wait a minute. If I'm your maid of honor, that means you are Monica's. (なんてこと、フィービー! だって私はただ… ちょっと待って。もし私があなたの付き添い役になるのなら、それはつまり、あなたがモニカの(付き添い役)になるのね。)
フィービー: Oh! Well, if that's what you want... (まあ! そうねぇ、もしそれがあなたの望みなら…)
レイチェル: Ohh! No way, Phoebe! I want to be Monica's! (ああ! とんでもないわ、フィービー! 私はモニカの(付き添い役)をやりたいのよ!)
フィービー: But why does it even matter?! (でも、どうしてそれが大事なの?)
レイチェル: Why does it matter so much to you?! (どうしてあなたにとってそれがそんなに大事なの?)
フィービー: Because this one is now! And-and it's two of our best friends! Who knows what you're gonna marry! (だって今回のは今なんだもん! それに、それに、私たちの親友の2人なのよ(親友の2人が結婚するのよ)! あなたが誰と結婚するかなんて、誰にもわからないじゃない!)
レイチェル: What-what if I marry Ross? Or Joey? (もし私がロスと結婚したらどうする? もしくはジョーイと?)
フィービー: (gasps) You wouldn't! Okay, look, Rachel. I know you really want to do this, but I-I've never been maid of honor to anyone before! And I know you've done it at least twice! ([息を呑んで] あなたは(ジョーイと)結婚したりしないわ! いいわ、ねぇ、レイチェル。あなたが今回の付き添い役をものすごくしたいと思ってることはわかってる。でも、私はこれまでに誰の付き添い役もしたことないのよ! で、あなたは少なくともこれまでに2回したって私は知ってるし!)
レイチェル: Yeah, but Phoebe-- (そうね、でも、フィービー…)
フィービー: And no, oh please, oh please let me finish. (Rachel stops talking.) Oh, I guess that was it. (だめ、お願いだから、お願いだから、最後まで言わせて。[レイチェルは話すのをやめる] あぁ、さっきので終わりだったみたいね。)
レイチェルにコーヒーを持ってきながらフィービーは、「私が結婚する時、私の付き添い役をやってくれる?」と尋ねています。
Will you...? は相手の意志を尋ねる感覚ですね。
プロポーズの決まり文句、、Will you marry me? 「僕と結婚してくれる?」と同様、相手にそういうことをするつもりがあるか? そういう意志があるか?と聞いている感覚になるでしょう。
「私の付き添い役をやってくれる?」と言われて、レイチェルは胸に手を当てて、感動した様子で喜んでいるのですが、急に何かに気づいたように、「ちょっと待って」と言って表情が硬くなるのが面白いですね。
一瞬思わず喜んじゃったけど、フィービーの魂胆に気づいちゃったわよ私、というところです。
If I'm A, that means you are B. を直訳すると、「もし私がAなら、それは、あなたがBであることを意味する」。
つまり、「私がフィービーの付き添い役をするとなると、フィービーが(自動的に)モニカの付き添い役ってことになるわけね」みたいなことです。
それを聞いたフィービーは、大袈裟な感じで Ohh! と言っています。
当然、フィービーは、「レイチェルが自分の付き添い役になれば、自分はモニカの付き添い役になれる」とわかった上で提案したのですが、それをさも、「まぁ、それは気付かなかったわ」みたいに言っているように見せているという猿芝居(笑)ですね。
if that's what you want... は、「もしそれがあなたの望むことなら…」ということで、「私は別に自分がモニカの付き添い役をやりたいから、私のをレイチェルに頼んだわけじゃないけど、それがあなたの望みなら、私はモニカの付き添い役をやってあげてもいいわよ」みたいなニュアンス。
「レイチェルがそう言うんなら、モニカの付き添い役をやってあげてもいい」みたいな言い方をされたので、レイチェルは怒って、「あなたにやってほしいなんてとんでもない。私がモニカのをやりたいのよ!」と訴えています。
why does it even matter?! の matter は「重要である、大事である」という自動詞。
このことでどうしてそんなにムキになるの? どうしてモニカの付き添い役をすることが重要なの? 大事なの? という問いですね。
そう聞かれたレイチェルは、「フィービーの方こそ、どうしてそんなにこの件が大事なのよ?」と同じ質問をフィービーにぶつけています。
それに対するフィービーの返事がストレートすぎて笑えますね。
Because this one is now! は、「なぜなら、この件は今だから」みたいな感じ。
3人がお互いの付き添い役をするって話には納得だけど、どうして今ムキになってるかと言うと、「今の話だからよ」ということですね。
先のことをどうこう考えるより、今、付き添い役ができるかどうかの方が、問題としてはよりリアルでしょ、ということですね。
この答えで、「別に私はしたいわけじゃないけど、レイチェルがそう望むのならそうするわ」と言ったことが全くの嘘であったこと、自分がモニカのをゲットするために、自分の付き添い役をレイチェルに頼んだのだ、ということもバレてしまいますね。
フィービーは今回の件にこだわる理由として、「今の問題だから」ということに加え、it's two of our best friends! 「私たちの親友の2人だから」とも言っています。
モニカが親友であることに加え、新郎のチャンドラーも親友なんだから、親友同士の結婚式の付き添い役をするチャンスなんて、もうないかもしれないでしょ、ということです。
Who knows what you're gonna marry! の Who knows! は反語ですね。
「誰がわかるって言うの?」→「誰にもわからないわ」という流れです。
「あなたが誰と[どんな人と]結婚することになるか誰にもわからない」と言って、レイチェルの付き添い役をすることになった場合、新郎が「どこの馬の骨とも分からないような(笑)男」になるかもしれない、そんなのはいやよ、と言っていることになります。
What if...? は「もし…ならどうする?」。
レイチェルは、「もし私がロスと結婚するなら、親友同士になるわよ。ジョーイでもそうよ」と言って、レイチェルにも親友同士の結婚の可能性がまだ残っていることを示します。
Or Joey? と言った後に、フィービーが息を呑んで、You wouldn't! と強い調子で否定するのが面白いですね。
フィービーは常に、ジョーイに甘いというか、ジョーイを妙にえこ贔屓(ひいき)する傾向があり、逆にチャンドラーにはやたらと手厳しいところがあります。
それが、「フレンズのお約束」みたいになっているところがあるので、レイチェルが「もしくはジョーイって可能性もあるかも?」とわざともったいつけたように言ったことに対して、「私の目の前で何てこと言うの! レイチェルとジョーイが結婚するなんて、そんなことないわ!」みたいに強く否定してみせたわけですね。
フィービーはそうやって怒っていますが、レイチェルの顔を見ると、ちょっと口をとんがらかして、ふーんだ、みたいな顔をしています。
可能性としてはあり得る話だから、別にジョーイの名前を出してもいいじゃん、みたいに、わざとフィービーを挑発し、怒らせているという、いじわるな顔ですね。
その後、フィービーは、自分がどうしても今回の付き添い役をやりたい理由をきちんと説明しています。
「レイチェルは過去に付き添い役をやったことがあるけど、私は経験がないのよ」というのがその理由ですね。
必死に説明しているフィービーを遮(さえぎ)る形で、レイチェルが口を挟んだので、フィービーは、「お願いだから、私に最後まで言わせて」と言っています。
Let me finish. はこれまでに何回も出てきましたが、「私に話を終わらせて」ということから、「私の話(言いたいこと)を最後まで言わせて。途中で口を挟まないで」という意味になります。
1ヵ月ほど前の記事、フレンズ7-4その1 でも、
レイチェル: Joey! Kinda in the middle of a story here! (ジョーイ! 今ここである話をしてる途中だったりするんだけど。)
ジョーイ: Ooh, sorry. Sorry. You finish, go. (おお、ごめん、ごめん。先に言って、どうぞ。)
というやり取りがありましたが、その finish と同じニュアンスになります。
「最後まで言わせてよ」と抗議されたので、レイチェルは話をやめるのですが、フィービーは、ちょっとしばらく考えてから、Oh, I guess that was it. と言っています。
That's it. は「それで終わり。それでおしまい」という決まり文句ですから、I guess that was it. は「今ので終わりだったと思う」ということになります。
「話の途中で割り込まないでよ!」と怒っていたけれど、「私は付き添い役をしたことない。レイチェルは2回も経験あるじゃない」という以上に、何も付け加えることがなかったわ、と自分で気付いた、という拍子抜けのオチになるわけですね。
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現在婚約中のモニカもそれを決めなければならないのですが、レイチェルとフィービーのどちらに頼むかでお悩み中。
そこでモニカは「3人が順番にお互いの付き添い役をやればいい」と提案した後、「今回の私(モニカ)の付き添い役が誰になるかは、レイチェルとフィービーの2人で相談して決めて」と、2人に決定を任せてしまいます。その後のシーン。
[Scene: Central Perk, Phoebe is bringing Rachel some coffee.]
セントラルパーク。フィービーはレイチェルにコーヒーを持ってくる。
フィービー: Hey, Rachel. (はーい、レイチェル。)
レイチェル: Yeah? (はい?)
フィービー: Umm, when I get married, will you be my maid of honor? (うーんと、私が結婚する時には、あなたが私の付き添い役をやってくれる?)
レイチェル: Really?! (ほんとに?)
フィービー: Uh-hmm. (ええ。)
レイチェル: Oh, my God, Phoebe! I mean I'm just-- Wait a minute. If I'm your maid of honor, that means you are Monica's. (なんてこと、フィービー! だって私はただ… ちょっと待って。もし私があなたの付き添い役になるのなら、それはつまり、あなたがモニカの(付き添い役)になるのね。)
フィービー: Oh! Well, if that's what you want... (まあ! そうねぇ、もしそれがあなたの望みなら…)
レイチェル: Ohh! No way, Phoebe! I want to be Monica's! (ああ! とんでもないわ、フィービー! 私はモニカの(付き添い役)をやりたいのよ!)
フィービー: But why does it even matter?! (でも、どうしてそれが大事なの?)
レイチェル: Why does it matter so much to you?! (どうしてあなたにとってそれがそんなに大事なの?)
フィービー: Because this one is now! And-and it's two of our best friends! Who knows what you're gonna marry! (だって今回のは今なんだもん! それに、それに、私たちの親友の2人なのよ(親友の2人が結婚するのよ)! あなたが誰と結婚するかなんて、誰にもわからないじゃない!)
レイチェル: What-what if I marry Ross? Or Joey? (もし私がロスと結婚したらどうする? もしくはジョーイと?)
フィービー: (gasps) You wouldn't! Okay, look, Rachel. I know you really want to do this, but I-I've never been maid of honor to anyone before! And I know you've done it at least twice! ([息を呑んで] あなたは(ジョーイと)結婚したりしないわ! いいわ、ねぇ、レイチェル。あなたが今回の付き添い役をものすごくしたいと思ってることはわかってる。でも、私はこれまでに誰の付き添い役もしたことないのよ! で、あなたは少なくともこれまでに2回したって私は知ってるし!)
レイチェル: Yeah, but Phoebe-- (そうね、でも、フィービー…)
フィービー: And no, oh please, oh please let me finish. (Rachel stops talking.) Oh, I guess that was it. (だめ、お願いだから、お願いだから、最後まで言わせて。[レイチェルは話すのをやめる] あぁ、さっきので終わりだったみたいね。)
レイチェルにコーヒーを持ってきながらフィービーは、「私が結婚する時、私の付き添い役をやってくれる?」と尋ねています。
Will you...? は相手の意志を尋ねる感覚ですね。
プロポーズの決まり文句、、Will you marry me? 「僕と結婚してくれる?」と同様、相手にそういうことをするつもりがあるか? そういう意志があるか?と聞いている感覚になるでしょう。
「私の付き添い役をやってくれる?」と言われて、レイチェルは胸に手を当てて、感動した様子で喜んでいるのですが、急に何かに気づいたように、「ちょっと待って」と言って表情が硬くなるのが面白いですね。
一瞬思わず喜んじゃったけど、フィービーの魂胆に気づいちゃったわよ私、というところです。
If I'm A, that means you are B. を直訳すると、「もし私がAなら、それは、あなたがBであることを意味する」。
つまり、「私がフィービーの付き添い役をするとなると、フィービーが(自動的に)モニカの付き添い役ってことになるわけね」みたいなことです。
それを聞いたフィービーは、大袈裟な感じで Ohh! と言っています。
当然、フィービーは、「レイチェルが自分の付き添い役になれば、自分はモニカの付き添い役になれる」とわかった上で提案したのですが、それをさも、「まぁ、それは気付かなかったわ」みたいに言っているように見せているという猿芝居(笑)ですね。
if that's what you want... は、「もしそれがあなたの望むことなら…」ということで、「私は別に自分がモニカの付き添い役をやりたいから、私のをレイチェルに頼んだわけじゃないけど、それがあなたの望みなら、私はモニカの付き添い役をやってあげてもいいわよ」みたいなニュアンス。
「レイチェルがそう言うんなら、モニカの付き添い役をやってあげてもいい」みたいな言い方をされたので、レイチェルは怒って、「あなたにやってほしいなんてとんでもない。私がモニカのをやりたいのよ!」と訴えています。
why does it even matter?! の matter は「重要である、大事である」という自動詞。
このことでどうしてそんなにムキになるの? どうしてモニカの付き添い役をすることが重要なの? 大事なの? という問いですね。
そう聞かれたレイチェルは、「フィービーの方こそ、どうしてそんなにこの件が大事なのよ?」と同じ質問をフィービーにぶつけています。
それに対するフィービーの返事がストレートすぎて笑えますね。
Because this one is now! は、「なぜなら、この件は今だから」みたいな感じ。
3人がお互いの付き添い役をするって話には納得だけど、どうして今ムキになってるかと言うと、「今の話だからよ」ということですね。
先のことをどうこう考えるより、今、付き添い役ができるかどうかの方が、問題としてはよりリアルでしょ、ということですね。
この答えで、「別に私はしたいわけじゃないけど、レイチェルがそう望むのならそうするわ」と言ったことが全くの嘘であったこと、自分がモニカのをゲットするために、自分の付き添い役をレイチェルに頼んだのだ、ということもバレてしまいますね。
フィービーは今回の件にこだわる理由として、「今の問題だから」ということに加え、it's two of our best friends! 「私たちの親友の2人だから」とも言っています。
モニカが親友であることに加え、新郎のチャンドラーも親友なんだから、親友同士の結婚式の付き添い役をするチャンスなんて、もうないかもしれないでしょ、ということです。
Who knows what you're gonna marry! の Who knows! は反語ですね。
「誰がわかるって言うの?」→「誰にもわからないわ」という流れです。
「あなたが誰と[どんな人と]結婚することになるか誰にもわからない」と言って、レイチェルの付き添い役をすることになった場合、新郎が「どこの馬の骨とも分からないような(笑)男」になるかもしれない、そんなのはいやよ、と言っていることになります。
What if...? は「もし…ならどうする?」。
レイチェルは、「もし私がロスと結婚するなら、親友同士になるわよ。ジョーイでもそうよ」と言って、レイチェルにも親友同士の結婚の可能性がまだ残っていることを示します。
Or Joey? と言った後に、フィービーが息を呑んで、You wouldn't! と強い調子で否定するのが面白いですね。
フィービーは常に、ジョーイに甘いというか、ジョーイを妙にえこ贔屓(ひいき)する傾向があり、逆にチャンドラーにはやたらと手厳しいところがあります。
それが、「フレンズのお約束」みたいになっているところがあるので、レイチェルが「もしくはジョーイって可能性もあるかも?」とわざともったいつけたように言ったことに対して、「私の目の前で何てこと言うの! レイチェルとジョーイが結婚するなんて、そんなことないわ!」みたいに強く否定してみせたわけですね。
フィービーはそうやって怒っていますが、レイチェルの顔を見ると、ちょっと口をとんがらかして、ふーんだ、みたいな顔をしています。
可能性としてはあり得る話だから、別にジョーイの名前を出してもいいじゃん、みたいに、わざとフィービーを挑発し、怒らせているという、いじわるな顔ですね。
その後、フィービーは、自分がどうしても今回の付き添い役をやりたい理由をきちんと説明しています。
「レイチェルは過去に付き添い役をやったことがあるけど、私は経験がないのよ」というのがその理由ですね。
必死に説明しているフィービーを遮(さえぎ)る形で、レイチェルが口を挟んだので、フィービーは、「お願いだから、私に最後まで言わせて」と言っています。
Let me finish. はこれまでに何回も出てきましたが、「私に話を終わらせて」ということから、「私の話(言いたいこと)を最後まで言わせて。途中で口を挟まないで」という意味になります。
1ヵ月ほど前の記事、フレンズ7-4その1 でも、
レイチェル: Joey! Kinda in the middle of a story here! (ジョーイ! 今ここである話をしてる途中だったりするんだけど。)
ジョーイ: Ooh, sorry. Sorry. You finish, go. (おお、ごめん、ごめん。先に言って、どうぞ。)
というやり取りがありましたが、その finish と同じニュアンスになります。
「最後まで言わせてよ」と抗議されたので、レイチェルは話をやめるのですが、フィービーは、ちょっとしばらく考えてから、Oh, I guess that was it. と言っています。
That's it. は「それで終わり。それでおしまい」という決まり文句ですから、I guess that was it. は「今ので終わりだったと思う」ということになります。
「話の途中で割り込まないでよ!」と怒っていたけれど、「私は付き添い役をしたことない。レイチェルは2回も経験あるじゃない」という以上に、何も付け加えることがなかったわ、と自分で気付いた、という拍子抜けのオチになるわけですね。
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2012年11月26日
二本立てにするのはどう? フレンズ7-6その1
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シーズン7 第6話
The One With Nap Partners (ブライドメイドはゆずれない!)
原題は「昼寝パートナーの話」
[Scene: Ross's apartment, Chandler, Joey, and Ross are finishing watching Die Hard on video.]
ロスのアパートメント。チャンドラー、ジョーイ、ロスがビデオの「ダイ・ハード」を見終わろうとしているところ。
3人: Yeah! (イェー!)
チャンドラー: Die Hard, still great! (ダイ・ハード、やっぱりいいな!)
ジョーイ: Yep. Hey, what do you say we make it a double feature? (だな。なぁ、二本立てにする、ってのはどうかな?)
チャンドラー: What else you rent? (他には何を借りたんだ?)
ジョーイ: Die Hard 2. (「ダイ・ハード2」だよ。)
チャンドラー: (looking at the tape) Joey, this is Die Hard 1 again. ([その(ビデオ)テープを見ながら] ジョーイ、これはまた「ダイ・ハード1」だぞ。)
ジョーイ: Oh, well, we watch it a second time and it's Die Hard 2! (おー、じゃあ、それを2回見たら、それが「ダイ・ハード2」だよ。)
ロス: Joey, we just saw it! (ジョーイ、僕たち、それを見たばっかりだよ。)
ジョーイ: And? (それで?)
ロス: And it would be cool to see it again! Yeah! (だから、それをもう1回見たら、クールだよね! イェー!)
ジョーイ&ロス: Die Hard!!!!!! (ダイ・ハード!!)
ロス: Dude, you didn't say Die Hard. Is everything okay? (なぁ、チャンドラーは「ダイ・ハード」って言わないのか? 大丈夫か?)
チャンドラー: Yeah, I just got uh, got plans. (ああ、俺はただ、予定があるだけだよ。)
ロス: Well, John McClane had plans! (そうさ、ジョン・マクレーン(刑事)にも予定があったんだ!)
チャンドラー: No, see, the thing is I want to get out of here before Joey gets all worked up and starts calling everybody "bitch." (いや、ほら、実は、俺はここを出たいんだよ、ジョーイがすっかり興奮しちゃって[盛り上がっちゃって]、みんなを「ビッチ」って呼び出す前にね。)
ジョーイ: What are you talking about, bitch? (何言ってんだよ、ビッチ。)
フレンズの男性陣3人が満足そうに見終わったのは、映画「ダイ・ハード」。
フレンズ6-21その2 では、ロスが付き合っている学生エリザベスの父親役で、ブルース・ウィリスが登場していましたが、それから、それほど間もないシーズン7で、彼主演の映画を男性陣が喜んで見ている…という設定になっているのも、面白いですね。
とにかく「フレンズ」では、男子の好きな映画で必ず話題に上るのが「ダイ・ハード」になっています。
ジョーイは、what do you say we make it a double feature? と言っていますね。
double feature は、「(映画などの)2本立て」のこと。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
double feature : an occasion when two movies are shown one after the other at a theater
つまり、「映画館で、2つの映画が交互に上映されるという機会」。
make it double feature は、「それを2本立てにする」ですから、ダイ・ハードを見た後に、続いてもう1本見ることで、2本立てにしよう、という提案をしていることになります。
他に何を借りたんだ?と聞かれたジョーイは、「ダイ・ハード2」だと答えるのですが、実際には、「また、ダイ・ハード1」つまり、「ダイ・ハード(1)」という同じビデオを2本借りてきたことがわかります。
「同じビデオでも、2回目に見たやつは、ダイ・ハード2になるんだ」などと、わかったようなわからないような説明(笑)をするジョーイですが、「見たばっかりじゃん」と言いながらも、「もっかい見たら、クールだよね」とロスも一緒に大はしゃぎしています。
チャンドラーだけ一人テンションが低いのを見て、「大丈夫か?」と言うロスですが、チャンドラーは「ただ予定があるだけだ」と答えます。
それに対するロスの返事が面白いですね。
John McClane had plans! は、「(ブルース・ウィリス演じる)ジョン・マクレーン刑事には予定があった」。
Wikipedia 日本語版: ダイ・ハード の「あらすじ」には以下の説明があります。
クリスマス・イヴ、ニューヨーク市警察の刑事ジョン・マクレーンは別居中の妻ホリーに会うためにロサンゼルスに降り立つ。
マクレーン刑事は元々、妻ホリーに会うためにロスにやってきたのですが、そこで事件に遭遇し、巻き込まれてしまう、という設定なわけですね。
「俺は用事があるから、マクレーン刑事の映画は見てられない」みたいに言ったチャンドラーに対して、「マクレーンだって好きで事件に巻き込まれたわけじゃなく、彼にも別の用事があったんだ」みたいに言ってみせて、「マクレーン刑事の身にもなってみろ。例えお前に用事があったとしても見ろ」みたいに言っているのですね。
用事がある、では逃げられないと見たチャンドラーは、本当の理由を述べています。
get worked up は、英辞郎では以下のように出ています。
get worked up=興奮する、感情的になる
LAAD では、
work somebody ⇔ up : to make someone very angry, excited, or upset about something
つまり、「人を何かについて、ものすごく怒らせる、興奮させる、動揺させること」。
work somebody up が「人を興奮させる」なので、get worked up は「興奮させられる」→「興奮する」になるわけですね。
チャンドラーは、「ジョーイがすっかり興奮して、みんなを bitch と呼び始める前に、ここを出て行きたいんだ」と言っています。
このセリフから、「ダイ・ハードをずっと見ていると、人を bitch と呼びたくなる」→「マクレーン刑事などの登場人物が bitch という言葉をよく使う」ということがわかります。
実際、IMDb: Memorable quotes for Die Hard を見てみると、
John McClane: Son of a bitch! Fist with your toes.
のような感じで、bitch を使っていますね。
bitch という単語については、過去記事、son of a... フレンズ3-9その10 でも詳しく解説しています。
そんな風に、bitch みたいな卑語を連発する映画にすぐに感化されて、そういう言葉を使いまくるジョーイにうんざりする前に、俺は立ち去りたいんだよ、とチャンドラーは言っているわけですね。
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シーズン7 第6話
The One With Nap Partners (ブライドメイドはゆずれない!)
原題は「昼寝パートナーの話」
[Scene: Ross's apartment, Chandler, Joey, and Ross are finishing watching Die Hard on video.]
ロスのアパートメント。チャンドラー、ジョーイ、ロスがビデオの「ダイ・ハード」を見終わろうとしているところ。
3人: Yeah! (イェー!)
チャンドラー: Die Hard, still great! (ダイ・ハード、やっぱりいいな!)
ジョーイ: Yep. Hey, what do you say we make it a double feature? (だな。なぁ、二本立てにする、ってのはどうかな?)
チャンドラー: What else you rent? (他には何を借りたんだ?)
ジョーイ: Die Hard 2. (「ダイ・ハード2」だよ。)
チャンドラー: (looking at the tape) Joey, this is Die Hard 1 again. ([その(ビデオ)テープを見ながら] ジョーイ、これはまた「ダイ・ハード1」だぞ。)
ジョーイ: Oh, well, we watch it a second time and it's Die Hard 2! (おー、じゃあ、それを2回見たら、それが「ダイ・ハード2」だよ。)
ロス: Joey, we just saw it! (ジョーイ、僕たち、それを見たばっかりだよ。)
ジョーイ: And? (それで?)
ロス: And it would be cool to see it again! Yeah! (だから、それをもう1回見たら、クールだよね! イェー!)
ジョーイ&ロス: Die Hard!!!!!! (ダイ・ハード!!)
ロス: Dude, you didn't say Die Hard. Is everything okay? (なぁ、チャンドラーは「ダイ・ハード」って言わないのか? 大丈夫か?)
チャンドラー: Yeah, I just got uh, got plans. (ああ、俺はただ、予定があるだけだよ。)
ロス: Well, John McClane had plans! (そうさ、ジョン・マクレーン(刑事)にも予定があったんだ!)
チャンドラー: No, see, the thing is I want to get out of here before Joey gets all worked up and starts calling everybody "bitch." (いや、ほら、実は、俺はここを出たいんだよ、ジョーイがすっかり興奮しちゃって[盛り上がっちゃって]、みんなを「ビッチ」って呼び出す前にね。)
ジョーイ: What are you talking about, bitch? (何言ってんだよ、ビッチ。)
フレンズの男性陣3人が満足そうに見終わったのは、映画「ダイ・ハード」。
フレンズ6-21その2 では、ロスが付き合っている学生エリザベスの父親役で、ブルース・ウィリスが登場していましたが、それから、それほど間もないシーズン7で、彼主演の映画を男性陣が喜んで見ている…という設定になっているのも、面白いですね。
とにかく「フレンズ」では、男子の好きな映画で必ず話題に上るのが「ダイ・ハード」になっています。
ジョーイは、what do you say we make it a double feature? と言っていますね。
double feature は、「(映画などの)2本立て」のこと。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
double feature : an occasion when two movies are shown one after the other at a theater
つまり、「映画館で、2つの映画が交互に上映されるという機会」。
make it double feature は、「それを2本立てにする」ですから、ダイ・ハードを見た後に、続いてもう1本見ることで、2本立てにしよう、という提案をしていることになります。
他に何を借りたんだ?と聞かれたジョーイは、「ダイ・ハード2」だと答えるのですが、実際には、「また、ダイ・ハード1」つまり、「ダイ・ハード(1)」という同じビデオを2本借りてきたことがわかります。
「同じビデオでも、2回目に見たやつは、ダイ・ハード2になるんだ」などと、わかったようなわからないような説明(笑)をするジョーイですが、「見たばっかりじゃん」と言いながらも、「もっかい見たら、クールだよね」とロスも一緒に大はしゃぎしています。
チャンドラーだけ一人テンションが低いのを見て、「大丈夫か?」と言うロスですが、チャンドラーは「ただ予定があるだけだ」と答えます。
それに対するロスの返事が面白いですね。
John McClane had plans! は、「(ブルース・ウィリス演じる)ジョン・マクレーン刑事には予定があった」。
Wikipedia 日本語版: ダイ・ハード の「あらすじ」には以下の説明があります。
クリスマス・イヴ、ニューヨーク市警察の刑事ジョン・マクレーンは別居中の妻ホリーに会うためにロサンゼルスに降り立つ。
マクレーン刑事は元々、妻ホリーに会うためにロスにやってきたのですが、そこで事件に遭遇し、巻き込まれてしまう、という設定なわけですね。
「俺は用事があるから、マクレーン刑事の映画は見てられない」みたいに言ったチャンドラーに対して、「マクレーンだって好きで事件に巻き込まれたわけじゃなく、彼にも別の用事があったんだ」みたいに言ってみせて、「マクレーン刑事の身にもなってみろ。例えお前に用事があったとしても見ろ」みたいに言っているのですね。
用事がある、では逃げられないと見たチャンドラーは、本当の理由を述べています。
get worked up は、英辞郎では以下のように出ています。
get worked up=興奮する、感情的になる
LAAD では、
work somebody ⇔ up : to make someone very angry, excited, or upset about something
つまり、「人を何かについて、ものすごく怒らせる、興奮させる、動揺させること」。
work somebody up が「人を興奮させる」なので、get worked up は「興奮させられる」→「興奮する」になるわけですね。
チャンドラーは、「ジョーイがすっかり興奮して、みんなを bitch と呼び始める前に、ここを出て行きたいんだ」と言っています。
このセリフから、「ダイ・ハードをずっと見ていると、人を bitch と呼びたくなる」→「マクレーン刑事などの登場人物が bitch という言葉をよく使う」ということがわかります。
実際、IMDb: Memorable quotes for Die Hard を見てみると、
John McClane: Son of a bitch! Fist with your toes.
のような感じで、bitch を使っていますね。
bitch という単語については、過去記事、son of a... フレンズ3-9その10 でも詳しく解説しています。
そんな風に、bitch みたいな卑語を連発する映画にすぐに感化されて、そういう言葉を使いまくるジョーイにうんざりする前に、俺は立ち去りたいんだよ、とチャンドラーは言っているわけですね。
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2012年11月22日
謝りに謝ったのに、それ以上何を求める? フレンズ7-5その6
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前回の続きです。
フィービーがデートしているカイルという男性は emotionally unavailable (感情的に利用不可)だとロスが言うのでフィービーは怒っています。
フィービー: Well, maybe he wouldn't be if she didn't bring the office home every night! (そうね、多分、彼はそうならないと思うわ、もしホイットニーが毎晩、仕事を家に持ち帰らないなら。)
ロス: Well, excuse her for knowing what she wants to do with her life! (申し訳ないけど、彼女は自分の人生に関して、やりたいことが何か、わかってるんだよ。)
フィービー: Yeah well, she certainly knew what she was doing New Year's Eve 1997. (そうね。1997年の大みそかに自分がやっていたことを、ホイットニーはよーくわかっていたわよね。)
ロス: (angrily) I knew you were gonna throw that in my face!! That was three years ago! She apologized and apologized! What more do you want?!! ([怒って] そのことを僕の顔に投げつけるだろうってわかってたよ! あれは3年も前のことなんだ! 彼女は謝りに謝った! それ以上、何が欲しいんだよ!)
フィービー: (gets up and starts to leave) We want the last 6 years back!! ([立ち上がり、去ろうとして] 私たちは最後の6年を返して欲しいのよ!)
ロス: So do we!! So do we!! (Ross notices a couple has been staring at them.) I'm sorry you had to see that. (僕たちもだ! 僕たちもだ! [ロスは二人をずっと見ているカップルに気づいて] あんなものを見せちゃってごめんね。)
離婚協議中の夫婦、カイルとホイットニーのそれぞれとデートする仲になった、フィービーとロスは、お互いのデート相手を弁護し、配偶者を非難する、というやりとりを続けています。
ロスが、カイルのことを、emotionally unavailable 「感情的に利用不可」、つまり、「心がここにあらず、妻に対して全く気持ちが向いていない、感情がないも同然」みたいに表現したことに対して、フィービーは反論しています。
he wouldn't be if she didn't bring... は仮定法過去ですね。
be の後には、emotionally unavailable が省略されていて、「もしホイットニーが bring しないなら、カイルは感情的に利用不可にはならないだろう」という感覚になります。
bring the office home every night は、「毎晩、オフィスを家に持ち帰る」みたいなことなので、つまりは、会社の仕事を家に持って帰る、ということですね。
excuse her for knowing what she wants to do with her life! について。
excuse は、何と言っても、Excuse me. 「失礼(します)」のような形でよく使われる単語ですが、元々は「容赦する」「許す、勘弁する」という動詞です。
過去記事、私なら彼女に近づかない フレンズ7-4その6 でも、
ロス: if you'll excuse me, I-I'm gonna go hang out with some people who don't know the Space Mountain story. (失礼させてもらえるなら、僕はこれから、スペース・マウンテンの話を知らない人たちと一緒に過ごしに行くよ。)
というセリフがありましたが、「あなたが僕を許してくれるなら、僕はこれから〜に行く」ということから、「これから〜に行くために、僕は失礼するよ」というニュアンスになるわけですね。
knowing what she wants... は、「ホイットニーは自分の人生でやりたいことがわかっている」。
excuse her for knowing... を直訳すると、「彼女がそれを知っていることをお許し下さい」みたいなことですが、つまりは、「彼女が人生でやりたいことをわかっててごめんね」→「申し訳ないけど、彼女は自分の人生でやりたいことをよーくわかってるんだ」みたいに言っているわけです。
仕事を家に持ち帰る、と非難するけれど、彼女にはキャリアプランがあって、それに基づいてやっていることなんだ、自分の人生の目標に向かって頑張ってるんだ、それを認めず、非難する夫って、どういうやつだよ、みたいな感じですね。
このように、それぞれのデート相手の立場に立って、それぞれの意見を代弁するような形でしゃべっているのが、このシーンのやりとりのポイントとなります。
「彼女は知ってる、わかってる」と言ったことに対して、フィービーは、「ええそうね、彼女は何でもわかってるわよね、1997年の大みそかにしたこともしっかりわかってるんだもん」みたいに返しています。
それを聞いてロスは、「あれは3年も前のことだ。彼女は謝ったのに、それ以上、どうしろって言うんだよ」みたいに答えていますね。
具体的にその大晦日に何があったのか、ということはあえて詳しくは語っていません。
とにかく、「その日に何か後々までモメるような大事件があった」ことだけが観客にはわかるようになっています。
ロスとフィービーは他人の話なのに、その事情を深く知っていて、多くを語らずとも、「またそのこと? その件についてはもう何度も謝ったのに」みたいに即座に反応しているのがおかしいのですね。
他人のことなのに、何でそこまで詳しいねん!?みたいな面白さがあるわけです。
I knew you were gonna throw that in my face!! について。
throw 〜 in my face は「私の顔に〜を投げつける」という感覚。
「ほら、これについてはどうなんだよ!」みたいに、挑戦的な感じで、ある話題を持ち出す、眼前に突き付ける、みたいなことでしょう。
「僕は彼女の代弁者として、彼の代弁者である君がその話を持ち出すだろうと思っていたよ」という意味で言っているのですが、まるで一瞬、その彼女がロスに乗り移ったみたいに、「あなたはきっとその話を持ち出すだろうと思っていたわ!」と、自分のことのように怒りながら語っているように見えるのが、このセリフのポイント。
他人の喧嘩なのに、いつしか自分たちがその当事者であるかのような気持ちになって口論している、ということですね。
英語では、語尾などで男女の言葉の違いを出すのは難しいですが、このセリフが「いつしか自分たちが当事者になった気持ちでしゃべっている」ということを考慮すると、このロスのセリフも女言葉で訳した方が、本来のニュアンスが出るように思います。
実際、ロスの叫び方は、女性のそれをイメージしている気がしますしね。
上では一応、ロスがしゃべっているセリフとして、男言葉で訳しましたが、実際に頭の中で聞こえているイメージは、「あなたがそのことを私の顔に投げつけるだろうって思ってたわ!」という女言葉で捉えた方がしっくりくるように思います。
She apologized and apologized! はまさに日本語の「彼女は謝りに謝った」というニュアンスで、英語では、apologized and apologized のように同じ動詞を and でつなげて繰り返すことで、「重ねて何度も謝る」という感じを生み出せる、というのも興味深いです。
What more do you want?! も文字通り、「それ以上何が欲しい?」ですね。
あのことについては、何度も何度も謝ったのに、まだ私に詫びさせたいの? 一体私にどうしろって言うの?ということですね。
フィービーは立ち去りながら、「その最後の6年間を返して欲しい」と言っています。
ロスもそれに同意する形で、「僕たちもだ」と言っていますね。
ここではそれぞれが we という主語と使っていますが、これは恐らく、フィービーの言う we は、「カイル&フィービー」で、ロスの言う we は、「ホイットニー&ロス」を指していることになると思います。
あくまでも彼と彼女の話を代弁しているだけならば、
フィービー: He wants the last six years back!! (彼はこの6年間を返せ!って思ってるわ。)
ロス: So does she!! So does she!! (彼女だってそうさ、彼女だってそうさ。)
となるでしょう。
それがここでは、フィービーとロスがそれぞれ、自分の友人の肩を持っている、「彼はこの6年間を返せ!と思っているし、私も返せ!って言いたいわ」「彼女もこの6年間を返せ!と同じことを思ってるさ。僕だって返せ!って言いたいよ」みたいな感じで、ここでは、彼も彼女も、フィービーもロスもみんな、その「彼と彼女の6年間は無駄だった」みたいに思っているということですね。
フィービーとロスは、彼と彼女のそれぞれの立場から詳しい話を聞いていて、自分のことのように相手に腹を立てているから、We = He and I または She and I という言葉が出てきたのでしょう。
ロスにとってもフィービーにとっても、全く関係のない出来事なのに、まるでその6年間の修羅場を見てきたかのように怒っているのが面白いのでしょうね。
ロスもフィービーも、最初はデート相手の弁護をしていただけですが、それがだんだんエスカレートして、代理喧嘩がいつの間にか、本人が乗り移ったかのような本当の夫婦喧嘩みたいになってしまっている、という「他人の喧嘩に感情移入しすぎ」の面白さが、このシーンの見どころです。
フィービーは怒って出て行くし、ロスはギャーギャー叫んでいるし、とても代理の喧嘩とは思えない、他人の喧嘩でどうしてそこまで盛り上がれるの?という面白さですね。
フィービーが出て行って一人残ったロスは、自分の方を不審そうに見ているカップルに気づきます。
I'm sorry you had to see that. は文字通り、「君たちがそんなものを見なければいけなかったことを、申し訳なく思う」という感覚。
見たくはなかったろうに、あんな醜態を見せちゃってごめんね、ということで、ここでもまた、「自分のことでもないのに、醜態をさらすほどの大喧嘩」をしてしまったことの面白さが強調されているわけですね。
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フィービーがデートしているカイルという男性は emotionally unavailable (感情的に利用不可)だとロスが言うのでフィービーは怒っています。
フィービー: Well, maybe he wouldn't be if she didn't bring the office home every night! (そうね、多分、彼はそうならないと思うわ、もしホイットニーが毎晩、仕事を家に持ち帰らないなら。)
ロス: Well, excuse her for knowing what she wants to do with her life! (申し訳ないけど、彼女は自分の人生に関して、やりたいことが何か、わかってるんだよ。)
フィービー: Yeah well, she certainly knew what she was doing New Year's Eve 1997. (そうね。1997年の大みそかに自分がやっていたことを、ホイットニーはよーくわかっていたわよね。)
ロス: (angrily) I knew you were gonna throw that in my face!! That was three years ago! She apologized and apologized! What more do you want?!! ([怒って] そのことを僕の顔に投げつけるだろうってわかってたよ! あれは3年も前のことなんだ! 彼女は謝りに謝った! それ以上、何が欲しいんだよ!)
フィービー: (gets up and starts to leave) We want the last 6 years back!! ([立ち上がり、去ろうとして] 私たちは最後の6年を返して欲しいのよ!)
ロス: So do we!! So do we!! (Ross notices a couple has been staring at them.) I'm sorry you had to see that. (僕たちもだ! 僕たちもだ! [ロスは二人をずっと見ているカップルに気づいて] あんなものを見せちゃってごめんね。)
離婚協議中の夫婦、カイルとホイットニーのそれぞれとデートする仲になった、フィービーとロスは、お互いのデート相手を弁護し、配偶者を非難する、というやりとりを続けています。
ロスが、カイルのことを、emotionally unavailable 「感情的に利用不可」、つまり、「心がここにあらず、妻に対して全く気持ちが向いていない、感情がないも同然」みたいに表現したことに対して、フィービーは反論しています。
he wouldn't be if she didn't bring... は仮定法過去ですね。
be の後には、emotionally unavailable が省略されていて、「もしホイットニーが bring しないなら、カイルは感情的に利用不可にはならないだろう」という感覚になります。
bring the office home every night は、「毎晩、オフィスを家に持ち帰る」みたいなことなので、つまりは、会社の仕事を家に持って帰る、ということですね。
excuse her for knowing what she wants to do with her life! について。
excuse は、何と言っても、Excuse me. 「失礼(します)」のような形でよく使われる単語ですが、元々は「容赦する」「許す、勘弁する」という動詞です。
過去記事、私なら彼女に近づかない フレンズ7-4その6 でも、
ロス: if you'll excuse me, I-I'm gonna go hang out with some people who don't know the Space Mountain story. (失礼させてもらえるなら、僕はこれから、スペース・マウンテンの話を知らない人たちと一緒に過ごしに行くよ。)
というセリフがありましたが、「あなたが僕を許してくれるなら、僕はこれから〜に行く」ということから、「これから〜に行くために、僕は失礼するよ」というニュアンスになるわけですね。
knowing what she wants... は、「ホイットニーは自分の人生でやりたいことがわかっている」。
excuse her for knowing... を直訳すると、「彼女がそれを知っていることをお許し下さい」みたいなことですが、つまりは、「彼女が人生でやりたいことをわかっててごめんね」→「申し訳ないけど、彼女は自分の人生でやりたいことをよーくわかってるんだ」みたいに言っているわけです。
仕事を家に持ち帰る、と非難するけれど、彼女にはキャリアプランがあって、それに基づいてやっていることなんだ、自分の人生の目標に向かって頑張ってるんだ、それを認めず、非難する夫って、どういうやつだよ、みたいな感じですね。
このように、それぞれのデート相手の立場に立って、それぞれの意見を代弁するような形でしゃべっているのが、このシーンのやりとりのポイントとなります。
「彼女は知ってる、わかってる」と言ったことに対して、フィービーは、「ええそうね、彼女は何でもわかってるわよね、1997年の大みそかにしたこともしっかりわかってるんだもん」みたいに返しています。
それを聞いてロスは、「あれは3年も前のことだ。彼女は謝ったのに、それ以上、どうしろって言うんだよ」みたいに答えていますね。
具体的にその大晦日に何があったのか、ということはあえて詳しくは語っていません。
とにかく、「その日に何か後々までモメるような大事件があった」ことだけが観客にはわかるようになっています。
ロスとフィービーは他人の話なのに、その事情を深く知っていて、多くを語らずとも、「またそのこと? その件についてはもう何度も謝ったのに」みたいに即座に反応しているのがおかしいのですね。
他人のことなのに、何でそこまで詳しいねん!?みたいな面白さがあるわけです。
I knew you were gonna throw that in my face!! について。
throw 〜 in my face は「私の顔に〜を投げつける」という感覚。
「ほら、これについてはどうなんだよ!」みたいに、挑戦的な感じで、ある話題を持ち出す、眼前に突き付ける、みたいなことでしょう。
「僕は彼女の代弁者として、彼の代弁者である君がその話を持ち出すだろうと思っていたよ」という意味で言っているのですが、まるで一瞬、その彼女がロスに乗り移ったみたいに、「あなたはきっとその話を持ち出すだろうと思っていたわ!」と、自分のことのように怒りながら語っているように見えるのが、このセリフのポイント。
他人の喧嘩なのに、いつしか自分たちがその当事者であるかのような気持ちになって口論している、ということですね。
英語では、語尾などで男女の言葉の違いを出すのは難しいですが、このセリフが「いつしか自分たちが当事者になった気持ちでしゃべっている」ということを考慮すると、このロスのセリフも女言葉で訳した方が、本来のニュアンスが出るように思います。
実際、ロスの叫び方は、女性のそれをイメージしている気がしますしね。
上では一応、ロスがしゃべっているセリフとして、男言葉で訳しましたが、実際に頭の中で聞こえているイメージは、「あなたがそのことを私の顔に投げつけるだろうって思ってたわ!」という女言葉で捉えた方がしっくりくるように思います。
She apologized and apologized! はまさに日本語の「彼女は謝りに謝った」というニュアンスで、英語では、apologized and apologized のように同じ動詞を and でつなげて繰り返すことで、「重ねて何度も謝る」という感じを生み出せる、というのも興味深いです。
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あのことについては、何度も何度も謝ったのに、まだ私に詫びさせたいの? 一体私にどうしろって言うの?ということですね。
フィービーは立ち去りながら、「その最後の6年間を返して欲しい」と言っています。
ロスもそれに同意する形で、「僕たちもだ」と言っていますね。
ここではそれぞれが we という主語と使っていますが、これは恐らく、フィービーの言う we は、「カイル&フィービー」で、ロスの言う we は、「ホイットニー&ロス」を指していることになると思います。
あくまでも彼と彼女の話を代弁しているだけならば、
フィービー: He wants the last six years back!! (彼はこの6年間を返せ!って思ってるわ。)
ロス: So does she!! So does she!! (彼女だってそうさ、彼女だってそうさ。)
となるでしょう。
それがここでは、フィービーとロスがそれぞれ、自分の友人の肩を持っている、「彼はこの6年間を返せ!と思っているし、私も返せ!って言いたいわ」「彼女もこの6年間を返せ!と同じことを思ってるさ。僕だって返せ!って言いたいよ」みたいな感じで、ここでは、彼も彼女も、フィービーもロスもみんな、その「彼と彼女の6年間は無駄だった」みたいに思っているということですね。
フィービーとロスは、彼と彼女のそれぞれの立場から詳しい話を聞いていて、自分のことのように相手に腹を立てているから、We = He and I または She and I という言葉が出てきたのでしょう。
ロスにとってもフィービーにとっても、全く関係のない出来事なのに、まるでその6年間の修羅場を見てきたかのように怒っているのが面白いのでしょうね。
ロスもフィービーも、最初はデート相手の弁護をしていただけですが、それがだんだんエスカレートして、代理喧嘩がいつの間にか、本人が乗り移ったかのような本当の夫婦喧嘩みたいになってしまっている、という「他人の喧嘩に感情移入しすぎ」の面白さが、このシーンの見どころです。
フィービーは怒って出て行くし、ロスはギャーギャー叫んでいるし、とても代理の喧嘩とは思えない、他人の喧嘩でどうしてそこまで盛り上がれるの?という面白さですね。
フィービーが出て行って一人残ったロスは、自分の方を不審そうに見ているカップルに気づきます。
I'm sorry you had to see that. は文字通り、「君たちがそんなものを見なければいけなかったことを、申し訳なく思う」という感覚。
見たくはなかったろうに、あんな醜態を見せちゃってごめんね、ということで、ここでもまた、「自分のことでもないのに、醜態をさらすほどの大喧嘩」をしてしまったことの面白さが強調されているわけですね。
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2012年11月21日
感情面で手があいていない フレンズ7-5その5
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離婚協議中のカイルとホイットニーという夫婦がいるのですが、現在、カイルはフィービーと、ホイットニーはロスとデートする仲になっています。
カイルとホイットニーが、お互い、離婚しようとしている相手のことを悪く言っているので、そのデート相手であるフィービーとロスも、険悪なムードになっています。
フィービー: So, how are things going with Crazy? Has she cooked your rabbit yet? (それで、クレイジー女とはどうなってるの? 彼女はもうあなたのウサギを料理したかしら?)
ロス: Listen, you are hearing one side of the story, okay? And FYI, she must've shown Kyle over 30 paint samples before she painted that room! And his response to each one was, "I don't give a tiny rat's ass." (ねぇ、フィービーは話の一面を聞いてるんだよ、いい? それにね、参考までに言っておくと、あの部屋をペイントする前に、ホイットニーはカイルに、30以上のペイントサンプルを見せたはずだよ。そしてそれぞれ(の色)に対する彼の返事は、「どうでもいい」だったんだ。)
フィービー: Yeah well, maybe she should've spent a little less time decorating and a little more time in the bedroom. (そうね、多分、ホイットニーは部屋の装飾の時間をもう少し減らして、寝室での時間をもう少し増やすべきだったのよ。)
ロス: Well, I don't think we are gonna have that problem, but maybe that's just because I am not emotionally unavailable! (そうだな、僕たちの場合はそんなことは問題にならないと思うけどね。多分、僕は感情的に利用不可じゃないから[感情面で手があいていない、ってことはないから]。)
フィービー: You think he's emotionally unavailable? (カイルは感情的に利用不可だって思ってるの?)
ロス: I think he can be. (彼ならありうると思うよ。)
Crazy と大文字表記になっているのは、固有名詞、ニックネームの感覚ですね。
「例のクレイジーさんは、あのクレイジー女は」みたいな感じでしょう。
自分のデート相手であるカイルが、元妻(正確には離婚協議中の妻)であるホイットニーの悪口を言うので、フィービーはホイットニーに対して悪いイメージしか持っていないことがこのセリフからもわかります。
Has she cooked your rabbit yet? 「彼女はもう、あなたのウサギを料理したの?」というのは、マイケル・ダグラス、グレン・クローズ主演の映画「危険な情事」(原題: Fatal Attraction)のシーンが元ネタですね。
私はこの映画を見たことないのですが、「ウサギを煮る」シーンがあるという話を何度か耳にしたことがあったので、わかりました。
Wikipedia 英語版: Fatal Attraction の Plot に、以下の説明が載っています。
At one point, while the Gallaghers are not home, Alex kills Ellen's pet rabbit, and puts it on their stove to boil.
「ある時、ギャラガー家の人が家にいない間に、(グレン・クローズ演じる)アレックスが、エレン(マイケル・ダグラス演じるダン・ギャラガーの娘)のペットであるウサギを殺して、それをコンロに置いて煮る」。
その英語版ウィキペディアには、以下のようなさらに興味深い記述がありました。
Bunny boiler
The slang term "bunny boiler" has passed into popular parlance as a term for a jealous mistress, based on the infamous rabbit boiling scene from the movie. The phrase's first use in print was on December 6, 1990 in the Dallas Morning News, in which Glenn Close described her character in that film using the term.
つまり、「”バニー・ボイラー”という俗語は、嫉妬深い(不倫の)愛人に対する言葉として、よく知られる用語となった。この映画の悪名高い、ウサギを煮るシーンをベースにしている。このフレーズの印刷物での初使用は、1990年12月6日のダラス・モーニング・ニュースで、その中でグレン・クローズは、その言葉を使いながら、その映画での自分のキャラクターを描写した」。
英辞郎にも、bunny boiler という単語が出ており、語源もこの映画だと書いてありますので、有名なフレーズのようですね。
you are hearing one side of the story はまさに直訳通りの「君は話の一面(片方のサイド)を聞いている」ということ。
夫カイルの言い分だけを聞いているから、それが真実とは言えない、という感覚ですね。
FYI は、フレンズにちょくちょく登場しますが、for your information で「参考までに」。
she must've shown 「彼女は見せたに違いない」と言って、その部屋を塗る前に30以上の色サンプルをカイルに見せたはずだ、と弁護しています。
少し前に、「ホイットニーは、夫に相談もなく、部屋を派手な色に塗り替えたのよ」というフィービーの話があったのですが、それがカイルから聞いた一方的な見方だとして、ほんとのところはこうだったんだよ、ちゃんとホイットニーはカイルに相談してたんだよ、と言っているわけですね。
ホイットニーはちゃんと夫に相談したのに、夫の返事はこうだったんだ、という感じで、ロスは、"I don't give a tiny rat's ass." と言っています。
rat's ass を直訳すると、「ネズミの尻」ですが、ass は卑語なので、どちらかと言うと、「ネズミのケツ」とお下品な言葉で表現した方がさらにニュアンスが出るでしょう。
Merriam-Webster Online Dictionary には、以下のように出ています。
rat's ass : (vulgar) a minimum amount or degree of care or interest : hoot, damn −usu. used in the phrase don't give a rat's ass
つまり、「(卑俗な言葉) 気にかけること、または興味の最小の量、または度合。hoot や damn と同義。たいていは、"don't give a rat's ass" のフレーズで使われる」。
つまり、「ネズミのケツ」は小さいので、I don't give a rat's ass. は、それくらいのちっぽけな興味すらない、全く気にかけない、俺にとっちゃどーでもいい、みたいな「俺の知ったことか」的なニュアンスになるようですね。
英辞郎にも、
give a rat's ass about=〈卑〉(人)のことを気に掛ける
と出ています。
ロスがこの言葉を言ったのは、サンプルをちゃんと見せたホイットニーに対して、I don't know. 「わからないなぁ」くらいの返事ならともかく、"I don't give a tiny rat's ass." 「けっ、んなこと知るかよ。どーでもいいわ」みたいに下品なセリフで返事した、カイルの方が悪いんじゃないのか?という気持ちがあるのでしょう。
カイルを非難されたフィービーは、カイルを擁護しようとします。
should've spent a little less time decorating は、「部屋を装飾すること(部屋の色塗り)にもう少し少ない時間を費やすべきだったのに」。
a little more time in the bedroom の前には、should've spent が省略されていて、「ベッドルームでもう少し多くの時間を費やすべき、過ごすべきだったのに」。
つまり、「部屋の塗り替えなんかしてる時間があったら、それをベッドルームの時間に回すべきだったのよ」と言っているわけですね。
妻として、夜のお勤め(笑)にもっと時間を割くべきだったんじゃないの?ということです。
I don't think we are gonna have that problem の we は、ロスとホイットニーのこと。
そんなことは、僕とホイットニーの間なら、問題にならないと思うな、ということです。
その理由は、that's just because I am not emotionally unavailable 「それはただ、僕は emotionally unavailable じゃないから」。
available は「利用できる」という意味で、「手があいている」「(時間があって)会える」みたいな意味でも使いますね。
「手があいている」という意味で、TOEIC でも頻出の単語です。
ロスの言い回しは、小難しいと言うか、回りくどいと言うか、あまりダイレクトな言い方ではありませんが、要は「感情的に”(手が)あいていない、会えない”」みたいな言い方は、「感情面、気持ち的にはいないのも同じ、接触できないのも同じ」みたいな感覚と言えるでしょう。
「”僕は”感情的に利用不可じゃないから」みたいに、アイ(I)を強調したロスの発言を聞いて、「じゃあ、カイルは emotionally unavailable だとあなたは言いたいわけ?」とフィービーは返します。
あの彼なら、そういうこともあるんじゃない、みたいに、ロスはそれを認めていますね。
寝室での時間を増やせと言われても、夫のカイルは心ここにあらず、という感じで、全く妻ホイットニーに気持ちを向けようとしないんだから、しょうがないじゃないか。僕が相手なら、ちゃんと気持ちをホイットニーに向けてあげられるから、そんなことにはならないよ、ホイットニーも寝室の時間を過ごす気になれるよ、みたいなことで、それを emotionally unavailable みたいな、いかつい表現で言うところが、ロスらしいところだと言えるでしょう。
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離婚協議中のカイルとホイットニーという夫婦がいるのですが、現在、カイルはフィービーと、ホイットニーはロスとデートする仲になっています。
カイルとホイットニーが、お互い、離婚しようとしている相手のことを悪く言っているので、そのデート相手であるフィービーとロスも、険悪なムードになっています。
フィービー: So, how are things going with Crazy? Has she cooked your rabbit yet? (それで、クレイジー女とはどうなってるの? 彼女はもうあなたのウサギを料理したかしら?)
ロス: Listen, you are hearing one side of the story, okay? And FYI, she must've shown Kyle over 30 paint samples before she painted that room! And his response to each one was, "I don't give a tiny rat's ass." (ねぇ、フィービーは話の一面を聞いてるんだよ、いい? それにね、参考までに言っておくと、あの部屋をペイントする前に、ホイットニーはカイルに、30以上のペイントサンプルを見せたはずだよ。そしてそれぞれ(の色)に対する彼の返事は、「どうでもいい」だったんだ。)
フィービー: Yeah well, maybe she should've spent a little less time decorating and a little more time in the bedroom. (そうね、多分、ホイットニーは部屋の装飾の時間をもう少し減らして、寝室での時間をもう少し増やすべきだったのよ。)
ロス: Well, I don't think we are gonna have that problem, but maybe that's just because I am not emotionally unavailable! (そうだな、僕たちの場合はそんなことは問題にならないと思うけどね。多分、僕は感情的に利用不可じゃないから[感情面で手があいていない、ってことはないから]。)
フィービー: You think he's emotionally unavailable? (カイルは感情的に利用不可だって思ってるの?)
ロス: I think he can be. (彼ならありうると思うよ。)
Crazy と大文字表記になっているのは、固有名詞、ニックネームの感覚ですね。
「例のクレイジーさんは、あのクレイジー女は」みたいな感じでしょう。
自分のデート相手であるカイルが、元妻(正確には離婚協議中の妻)であるホイットニーの悪口を言うので、フィービーはホイットニーに対して悪いイメージしか持っていないことがこのセリフからもわかります。
Has she cooked your rabbit yet? 「彼女はもう、あなたのウサギを料理したの?」というのは、マイケル・ダグラス、グレン・クローズ主演の映画「危険な情事」(原題: Fatal Attraction)のシーンが元ネタですね。
私はこの映画を見たことないのですが、「ウサギを煮る」シーンがあるという話を何度か耳にしたことがあったので、わかりました。
Wikipedia 英語版: Fatal Attraction の Plot に、以下の説明が載っています。
At one point, while the Gallaghers are not home, Alex kills Ellen's pet rabbit, and puts it on their stove to boil.
「ある時、ギャラガー家の人が家にいない間に、(グレン・クローズ演じる)アレックスが、エレン(マイケル・ダグラス演じるダン・ギャラガーの娘)のペットであるウサギを殺して、それをコンロに置いて煮る」。
その英語版ウィキペディアには、以下のようなさらに興味深い記述がありました。
Bunny boiler
The slang term "bunny boiler" has passed into popular parlance as a term for a jealous mistress, based on the infamous rabbit boiling scene from the movie. The phrase's first use in print was on December 6, 1990 in the Dallas Morning News, in which Glenn Close described her character in that film using the term.
つまり、「”バニー・ボイラー”という俗語は、嫉妬深い(不倫の)愛人に対する言葉として、よく知られる用語となった。この映画の悪名高い、ウサギを煮るシーンをベースにしている。このフレーズの印刷物での初使用は、1990年12月6日のダラス・モーニング・ニュースで、その中でグレン・クローズは、その言葉を使いながら、その映画での自分のキャラクターを描写した」。
英辞郎にも、bunny boiler という単語が出ており、語源もこの映画だと書いてありますので、有名なフレーズのようですね。
you are hearing one side of the story はまさに直訳通りの「君は話の一面(片方のサイド)を聞いている」ということ。
夫カイルの言い分だけを聞いているから、それが真実とは言えない、という感覚ですね。
FYI は、フレンズにちょくちょく登場しますが、for your information で「参考までに」。
she must've shown 「彼女は見せたに違いない」と言って、その部屋を塗る前に30以上の色サンプルをカイルに見せたはずだ、と弁護しています。
少し前に、「ホイットニーは、夫に相談もなく、部屋を派手な色に塗り替えたのよ」というフィービーの話があったのですが、それがカイルから聞いた一方的な見方だとして、ほんとのところはこうだったんだよ、ちゃんとホイットニーはカイルに相談してたんだよ、と言っているわけですね。
ホイットニーはちゃんと夫に相談したのに、夫の返事はこうだったんだ、という感じで、ロスは、"I don't give a tiny rat's ass." と言っています。
rat's ass を直訳すると、「ネズミの尻」ですが、ass は卑語なので、どちらかと言うと、「ネズミのケツ」とお下品な言葉で表現した方がさらにニュアンスが出るでしょう。
Merriam-Webster Online Dictionary には、以下のように出ています。
rat's ass : (vulgar) a minimum amount or degree of care or interest : hoot, damn −usu. used in the phrase don't give a rat's ass
つまり、「(卑俗な言葉) 気にかけること、または興味の最小の量、または度合。hoot や damn と同義。たいていは、"don't give a rat's ass" のフレーズで使われる」。
つまり、「ネズミのケツ」は小さいので、I don't give a rat's ass. は、それくらいのちっぽけな興味すらない、全く気にかけない、俺にとっちゃどーでもいい、みたいな「俺の知ったことか」的なニュアンスになるようですね。
英辞郎にも、
give a rat's ass about=〈卑〉(人)のことを気に掛ける
と出ています。
ロスがこの言葉を言ったのは、サンプルをちゃんと見せたホイットニーに対して、I don't know. 「わからないなぁ」くらいの返事ならともかく、"I don't give a tiny rat's ass." 「けっ、んなこと知るかよ。どーでもいいわ」みたいに下品なセリフで返事した、カイルの方が悪いんじゃないのか?という気持ちがあるのでしょう。
カイルを非難されたフィービーは、カイルを擁護しようとします。
should've spent a little less time decorating は、「部屋を装飾すること(部屋の色塗り)にもう少し少ない時間を費やすべきだったのに」。
a little more time in the bedroom の前には、should've spent が省略されていて、「ベッドルームでもう少し多くの時間を費やすべき、過ごすべきだったのに」。
つまり、「部屋の塗り替えなんかしてる時間があったら、それをベッドルームの時間に回すべきだったのよ」と言っているわけですね。
妻として、夜のお勤め(笑)にもっと時間を割くべきだったんじゃないの?ということです。
I don't think we are gonna have that problem の we は、ロスとホイットニーのこと。
そんなことは、僕とホイットニーの間なら、問題にならないと思うな、ということです。
その理由は、that's just because I am not emotionally unavailable 「それはただ、僕は emotionally unavailable じゃないから」。
available は「利用できる」という意味で、「手があいている」「(時間があって)会える」みたいな意味でも使いますね。
「手があいている」という意味で、TOEIC でも頻出の単語です。
ロスの言い回しは、小難しいと言うか、回りくどいと言うか、あまりダイレクトな言い方ではありませんが、要は「感情的に”(手が)あいていない、会えない”」みたいな言い方は、「感情面、気持ち的にはいないのも同じ、接触できないのも同じ」みたいな感覚と言えるでしょう。
「”僕は”感情的に利用不可じゃないから」みたいに、アイ(I)を強調したロスの発言を聞いて、「じゃあ、カイルは emotionally unavailable だとあなたは言いたいわけ?」とフィービーは返します。
あの彼なら、そういうこともあるんじゃない、みたいに、ロスはそれを認めていますね。
寝室での時間を増やせと言われても、夫のカイルは心ここにあらず、という感じで、全く妻ホイットニーに気持ちを向けようとしないんだから、しょうがないじゃないか。僕が相手なら、ちゃんと気持ちをホイットニーに向けてあげられるから、そんなことにはならないよ、ホイットニーも寝室の時間を過ごす気になれるよ、みたいなことで、それを emotionally unavailable みたいな、いかつい表現で言うところが、ロスらしいところだと言えるでしょう。
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2012年11月19日
俺はまだここにいるんだけど フレンズ7-5その4
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レイチェルは、自分の秘書として雇った若いイケメンのタグにすっかりお熱。
他の部署の女性が彼をデートに誘うのを避けるため、タグを遊びに連れて行ってくれるようジョーイに頼みます。
翌日、「ジョーイとバーでナンパしまくっちゃいました」とタグから聞いたレイチェルは、ジョーイに文句を言っています。
レイチェル: Yeah, and you had fun teaching him how to be all "Joey." (そうね(昨日は楽しんだらしいわね)、あなたはタグに、すっかり「ジョーイ」になる方法を教えるのを楽しんだのね。)
ジョーイ: What? (何だって?)
レイチェル: Y'know, all the women. (ほら、全ての女性に対してよ。)
ジョーイ: Hey well, you can't teach someone to be good with women. Y'know, that's why I never had any luck with Chandler. (ねぇ、女扱いが得意になる方法を人に教えることなんてできないよ。ほら、だからチャンドラーでは、うまくいったことが一度もなかっただろ?)
チャンドラー: (Pause) I'm right here! ([間があって] 俺はここにいるんだぞ!)
レイチェル: All right, would-would you mind just not going out with him again? Okay, just the idea of you and he and all these women, it's just-And I know he's my assistant and I can't date him-but it just bothers me, all right?! (いいわ。彼ともう二度と出かけないでくれるかしら? あなたと彼とこういう女性全部を想像するだけで、ただ、もう…。彼は私のアシスタントだから、私は彼とデートできないってわかってる。でも、そういうことが私をいらいらさせるってだけなのよ、わかる?)
ジョーイ: Hey! No-no-no-no, you can't take him away from me! I got a great partner to pick up girls with! Finally!! (おい! だめだだめだ。俺からタグを連れ去ることはできないぞ! 女の子をナンパする、最高のパートナーをゲットしたんだ! ついにな!)
チャンドラー: I'm still right here! (俺はまだここにいるんだけど!)
昨晩、ジョーイとタグがナンパしまくった、という話を聞いたレイチェルは、how to be all "Joey" を彼に教えて楽しんだみたいね、と言っています。
how to be all "Joey" は、「すっかり”ジョーイ”になる方法」みたいなことですね。
タグを、ジョーイみたいなプレイボーイ野郎に変えてくれちゃって…みたいな非難の気持ちが込められています。
「タグをあんな風にして…」と言われたジョーイは、you can't teach someone to be good with women と反論します。
you は「一般の人」を表す you で、be good with women は、「女性が得意」みたいなことですから、「女の子の扱いがうまい、女あしらいがうまい、女の子とうまく付き合うすべを心得ている」みたいなことですね。
ですから、この文は「人は誰かに、女の子とうまく付き合うように教えることはできない」と言っていることになります。
俺が一緒にいたからって、誰でも彼でも女あしらいが上手くなるってわけじゃない、そんなこと、教えられるもんじゃないからね、みたいなことです。
過去記事、人に教えられるもんじゃない フレンズ6-21その5 でも、以下のようなやりとりがありました。
ウェイン: Listen, I-I guarantee you keep your job if you can teach me how to talk to women like you do. (ねぇ、僕は君が仕事をキープできるように保証する、もし君みたいに女性に話しかける方法を君が僕に教えてくれたら。)
ジョーイ: Oh wow Wayne, it's not really something you can teach, y'know? It's pretty much something you're born with if you-- (あぁ、ウェイン。そういうのは、あんまり、人が教えられるようなことじゃないんだよな、だろ? そういうのは、だいたい、生まれつき持ってるもので、もし…)
その 6-21 のやりとりも、「ジョーイみたいに女性に話しかける方法を教えて欲しい」「そういうのは生まれつき持ってるもので、人に教えられるようなことじゃない」という流れになっていますが、今回のジョーイのセリフもそれと同じ、ということですね。
ジョーイ的には、「俺がナンパが得意なのは、生まれついての才能だ」と思っていることがわかります(笑)。
「女性とうまく付き合う方法なんて人に教えられるもんじゃない」というのはジョーイの持論なのでいいとして、その後に付け足したセリフには笑ってしまいますね。
have luck with... を直訳すると、「…で幸運を持つ」、つまり、「…でうまくいく、…が成功する」という意味になります。
Y'know, that's why I never had any luck with Chandler. は、「ほら、だから(そういうわけで)チャンドラーでは、成功したことが一度もなかった」。
一度もうまくいった試しがない、みたいなことですね。
ですから、ジョーイは、「人に女性扱いのコツを教えられるわけじゃないんだ。その証拠にほら、チャンドラーは俺のコツをつかむこともなく、相変わらず女性にモテないだろ」みたいに言いたいわけですね。
そんな風に言われてしまったチャンドラーは、しばし沈黙の後、I'm right here! 「俺は今まさにここにいるんだけど!」と自分の存在を猛アピールしています。
本人の目の前でそんなこと言うかぁ?という感じですね。
would you mind just not going out with him again? について。
Would you mind doing...? は依頼表現ですね。
mind は元々、「…を嫌だと思う、気にする」という動詞なので、Would you mind doing...? は、「…するのを嫌だと思いますか?」ということから、「…してもらってもいいですか?」と婉曲にお願いする依頼文になります。
今回の場合は、just not going のように、-ing に not の否定が付いていますので、「ただ…しないことを嫌だと思いますか?」であることから、「…しないでおいてくれる?」というニュアンスの依頼文になります。
つまり、「彼ともう一度、出かけたりするのは、やめにしてくれる?」ということですね。
just the idea of you and he and all these women, it's just... は、「ただ、you と he と al these women のことを考えるだけで、ただ、もう…」みたいな感覚。
ジョーイとタグが、たくさんの女性をナンパしながら話をしてるって想像するだけで、もう耐えられないの、どうにかなっちゃいそうなのよ…みたいな女心ですね。
彼は私のアシスタントだから、彼とデートできない、という自分の立場はわかってるけど、ただ、そのこと(タグがジョーイと一緒にナンパしまくってること)が私をいらいらさせるの、とも言っています。
you can't take him away from me! は「彼を俺から連れ去ることはできない、彼を俺から引き離すことはできない」。
I got a great partner to pick up girls with! の got はまさに「ゲットした」のニュアンスで、すごいパートナーを手に入れた、ということ。
pick up girls with a great partner 「すごいパートナーと一緒に、女の子をナンパする」ということですから、a great partner を前に出して、後ろから to で修飾する場合にも、語尾に with が残ることに注意しましょう。
タグのことを、「ナンパの最高のパートナーをゲットした」と表現するのはいいのですが、またその後に一言余計な Finally 「ついに、やっと」という副詞を付け加えています。
この一言で、「今回タグと知り合ったことで、”やっと”そういうパートナーに巡り合えた」→「ジョーイ&チャンドラーとして、いつもコンビみたいに言われているけど、チャンドラーはナンパのパートナーにはなり得なかった」と言っていることがわかるわけですね。
そばで聞いていたチャンドラーはまた「俺はここにいる!」と叫んでいます。
それも、still 「俺は”まだ”ここにいるんだけど」と言っているのがさらに面白いです。
さきほどの発言に続いて、またもや「チャンドラーは女にモテない」発言を繰り返すジョーイに、「俺はまだここにいるぞー! 俺に対してすっごく失礼な発言を何度も繰り返してるってわかってるか?」と訴えているわけですね。
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他の部署の女性が彼をデートに誘うのを避けるため、タグを遊びに連れて行ってくれるようジョーイに頼みます。
翌日、「ジョーイとバーでナンパしまくっちゃいました」とタグから聞いたレイチェルは、ジョーイに文句を言っています。
レイチェル: Yeah, and you had fun teaching him how to be all "Joey." (そうね(昨日は楽しんだらしいわね)、あなたはタグに、すっかり「ジョーイ」になる方法を教えるのを楽しんだのね。)
ジョーイ: What? (何だって?)
レイチェル: Y'know, all the women. (ほら、全ての女性に対してよ。)
ジョーイ: Hey well, you can't teach someone to be good with women. Y'know, that's why I never had any luck with Chandler. (ねぇ、女扱いが得意になる方法を人に教えることなんてできないよ。ほら、だからチャンドラーでは、うまくいったことが一度もなかっただろ?)
チャンドラー: (Pause) I'm right here! ([間があって] 俺はここにいるんだぞ!)
レイチェル: All right, would-would you mind just not going out with him again? Okay, just the idea of you and he and all these women, it's just-And I know he's my assistant and I can't date him-but it just bothers me, all right?! (いいわ。彼ともう二度と出かけないでくれるかしら? あなたと彼とこういう女性全部を想像するだけで、ただ、もう…。彼は私のアシスタントだから、私は彼とデートできないってわかってる。でも、そういうことが私をいらいらさせるってだけなのよ、わかる?)
ジョーイ: Hey! No-no-no-no, you can't take him away from me! I got a great partner to pick up girls with! Finally!! (おい! だめだだめだ。俺からタグを連れ去ることはできないぞ! 女の子をナンパする、最高のパートナーをゲットしたんだ! ついにな!)
チャンドラー: I'm still right here! (俺はまだここにいるんだけど!)
昨晩、ジョーイとタグがナンパしまくった、という話を聞いたレイチェルは、how to be all "Joey" を彼に教えて楽しんだみたいね、と言っています。
how to be all "Joey" は、「すっかり”ジョーイ”になる方法」みたいなことですね。
タグを、ジョーイみたいなプレイボーイ野郎に変えてくれちゃって…みたいな非難の気持ちが込められています。
「タグをあんな風にして…」と言われたジョーイは、you can't teach someone to be good with women と反論します。
you は「一般の人」を表す you で、be good with women は、「女性が得意」みたいなことですから、「女の子の扱いがうまい、女あしらいがうまい、女の子とうまく付き合うすべを心得ている」みたいなことですね。
ですから、この文は「人は誰かに、女の子とうまく付き合うように教えることはできない」と言っていることになります。
俺が一緒にいたからって、誰でも彼でも女あしらいが上手くなるってわけじゃない、そんなこと、教えられるもんじゃないからね、みたいなことです。
過去記事、人に教えられるもんじゃない フレンズ6-21その5 でも、以下のようなやりとりがありました。
ウェイン: Listen, I-I guarantee you keep your job if you can teach me how to talk to women like you do. (ねぇ、僕は君が仕事をキープできるように保証する、もし君みたいに女性に話しかける方法を君が僕に教えてくれたら。)
ジョーイ: Oh wow Wayne, it's not really something you can teach, y'know? It's pretty much something you're born with if you-- (あぁ、ウェイン。そういうのは、あんまり、人が教えられるようなことじゃないんだよな、だろ? そういうのは、だいたい、生まれつき持ってるもので、もし…)
その 6-21 のやりとりも、「ジョーイみたいに女性に話しかける方法を教えて欲しい」「そういうのは生まれつき持ってるもので、人に教えられるようなことじゃない」という流れになっていますが、今回のジョーイのセリフもそれと同じ、ということですね。
ジョーイ的には、「俺がナンパが得意なのは、生まれついての才能だ」と思っていることがわかります(笑)。
「女性とうまく付き合う方法なんて人に教えられるもんじゃない」というのはジョーイの持論なのでいいとして、その後に付け足したセリフには笑ってしまいますね。
have luck with... を直訳すると、「…で幸運を持つ」、つまり、「…でうまくいく、…が成功する」という意味になります。
Y'know, that's why I never had any luck with Chandler. は、「ほら、だから(そういうわけで)チャンドラーでは、成功したことが一度もなかった」。
一度もうまくいった試しがない、みたいなことですね。
ですから、ジョーイは、「人に女性扱いのコツを教えられるわけじゃないんだ。その証拠にほら、チャンドラーは俺のコツをつかむこともなく、相変わらず女性にモテないだろ」みたいに言いたいわけですね。
そんな風に言われてしまったチャンドラーは、しばし沈黙の後、I'm right here! 「俺は今まさにここにいるんだけど!」と自分の存在を猛アピールしています。
本人の目の前でそんなこと言うかぁ?という感じですね。
would you mind just not going out with him again? について。
Would you mind doing...? は依頼表現ですね。
mind は元々、「…を嫌だと思う、気にする」という動詞なので、Would you mind doing...? は、「…するのを嫌だと思いますか?」ということから、「…してもらってもいいですか?」と婉曲にお願いする依頼文になります。
今回の場合は、just not going のように、-ing に not の否定が付いていますので、「ただ…しないことを嫌だと思いますか?」であることから、「…しないでおいてくれる?」というニュアンスの依頼文になります。
つまり、「彼ともう一度、出かけたりするのは、やめにしてくれる?」ということですね。
just the idea of you and he and all these women, it's just... は、「ただ、you と he と al these women のことを考えるだけで、ただ、もう…」みたいな感覚。
ジョーイとタグが、たくさんの女性をナンパしながら話をしてるって想像するだけで、もう耐えられないの、どうにかなっちゃいそうなのよ…みたいな女心ですね。
彼は私のアシスタントだから、彼とデートできない、という自分の立場はわかってるけど、ただ、そのこと(タグがジョーイと一緒にナンパしまくってること)が私をいらいらさせるの、とも言っています。
you can't take him away from me! は「彼を俺から連れ去ることはできない、彼を俺から引き離すことはできない」。
I got a great partner to pick up girls with! の got はまさに「ゲットした」のニュアンスで、すごいパートナーを手に入れた、ということ。
pick up girls with a great partner 「すごいパートナーと一緒に、女の子をナンパする」ということですから、a great partner を前に出して、後ろから to で修飾する場合にも、語尾に with が残ることに注意しましょう。
タグのことを、「ナンパの最高のパートナーをゲットした」と表現するのはいいのですが、またその後に一言余計な Finally 「ついに、やっと」という副詞を付け加えています。
この一言で、「今回タグと知り合ったことで、”やっと”そういうパートナーに巡り合えた」→「ジョーイ&チャンドラーとして、いつもコンビみたいに言われているけど、チャンドラーはナンパのパートナーにはなり得なかった」と言っていることがわかるわけですね。
そばで聞いていたチャンドラーはまた「俺はここにいる!」と叫んでいます。
それも、still 「俺は”まだ”ここにいるんだけど」と言っているのがさらに面白いです。
さきほどの発言に続いて、またもや「チャンドラーは女にモテない」発言を繰り返すジョーイに、「俺はまだここにいるぞー! 俺に対してすっごく失礼な発言を何度も繰り返してるってわかってるか?」と訴えているわけですね。
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2012年11月16日
話の出所を考えろ フレンズ7-5その3
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フィービーは、セントラルパークで知り合ったカイルという男性とデートします。
カイルは妻と離婚しようとしているところで、その妻ホイットニーがセントラルパークに現れたため、フィービーはロスに、「自分たちが逃げられるように、ホイットニーの気をそらして」と頼みます。
その翌日、フィービーがロスの家にいる時にホイットニーが訪ねてきて、ロスはホイットニーとデートしたことを認めています。
フィービー: Well look-look, okay Ross, Kyle just told me some really bad stuff about her. (ねぇ、いいわ、ロス。ホイットニーに関する本当にひどいことを、カイルが私に話してくれたばかりなのよ。)
ロス: Like what? (例えば、どんなこと?)
フィービー: Like she's really mean, and she's overly critical, and-and-No! She will paint a room a really bright color without even checking with you! (例えば、彼女はものすごく意地悪だとか、過剰に批判的だとか、それからそれから…彼女は人に相談することなしに、部屋をすっごく明るい色に塗ろうとしてるわ。)
ロス: Okay. (そうか。)
フィービー: And! She uses sex as a weapon! (それに! 彼女はエッチを武器として使うのよ!)
ロス: Fine! Thank you for warning me. At breakfast, I'll be on full alert for room painting and sex weapons. (結構だ![上等じゃないか!] 僕に警告してくれてありがとう。朝食で、部屋のペイントと、エッチの武器に対して完全警戒体制でいるよ。)
フィービー: You're still gonna go out with her?! (それでもまた、彼女とデートするつもり?)
ロス: Yeah! (ああ!)
フィービー: Well, didn't you hear what I just said?! (私がたった今言ったこと、聞いてなかったの?)
ロス: Pheebs, come on! I mean, consider the source! Of course her ex-husband's gonna say that stuff. Now, if you'll excuse me.... (フィービー、いい加減にしてよ! だって、話の出所(でどころ)を考えてよ! もちろん、彼女の元夫はそんなことを言うだろうさ。で、僕が失礼させてもらえるなら…)
フィービー: (interrupting him) No, listen to me! She is crazy! ([彼を遮って] だめよ、私の話を聞いて! 彼女はクレイジーなのよ!)
ホイットニー: (outside the door) Uh, your door isn't soundproof. ([ドアの外で] あのー、あなたの部屋のドア、防音じゃないんだけど。)
フィービー: You see? Nothing is good enough for her. (ほらね? 彼女にとっては、十分に納得できる良いものなんてないのよ[何にでもケチをつけるのよ]。)
カイルの元妻ホイットニーとデートしたロスに、フィービーは警告しています。
元夫のカイルから、彼女に関するひどい話をいろいろ聞いてるわ、というところですね。
意地悪で、過剰に批判的で、と言った後、部屋の塗り替えの話をしています。
check with は「(人)に相談する」。
with you の you は、フィービーからみた「あなた」であるロスではなくて、一般の人のニュアンスですね。
you と表現することで、ロスをも含めた一般の人を指すことになり、「あなたに相談もなく、部屋を明るい色に塗り替えたりするのよ」と表現することで、実際にそんなことされたら、あなたもムッとするでしょう?というような連想を引き出す効果があると言えるでしょう。
実際のところは、夫カイルに相談もなく、ということですから、without even checking with her husband 「自分の夫に相談することさえしないで」になるわけですが、夫と限定せずに一般の人 you を使うことで、「例えば、あなたとか、他のどんな人にも相談することなく、勝手に一人でそういうことを決めちゃう人」という印象を与えられるわけですね。
use sex as a weapon は文字通り、「sex を武器として使う」ですね。
weapon のこのような意味は、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、以下のように出ています。
weapon : a type of behavior, knowledge of a particular subject etc. that you can use against someone or something when you are in a difficult situation
例) She was afraid the information would be used as a weapon against her.
つまり、「自分が難しい状況にいる時に、誰かや何かに対して使うことのできる、ある行動、またはある題材に関する知識」。
例文は、「その情報が彼女に対する武器として使われることを彼女は恐れた」。
ロスは「僕に警告してくれてありがとう」と言って、「朝食の席で room painting と sex weapons について、full alert の状態でいるようにするよ」と皮肉っぽく言っています。
朝食の席では、実際にはそんな心配、関係ないけどね、というところでしょう。
そんな警告をしても、ロスの気持ちが変わる様子はありません。
「私の話、聞いてたの?」と怒るフィービーに、ロスは consider the source! と言っています。
ソースを考慮しろ、ということで、このソースは日本語にもなっていますが、「情報源、話の出所」という意味ですね。
「どこが出所となった話か、よく考えてみてよ。離婚協議中の夫が、そういう妻に関する悪いことを言うのは当然だろ」ということですね。
話が平行線なので、ロスは廊下の外で待たせているホイットニーと一緒にでかけるためにドアに向かうのですが、フィービーは「彼女はクレイジーなのよ!」と大声で叫んでいます。
その後、ドアの向こうから、「あなたのこのドア、防音じゃないんだけど」というセリフが聞こえるのが面白いですね。
今までのやり取り、ホイットニーに関する悪口の数々が、全て本人に筒抜け、丸聞こえだったということです。
「丸聞こえなんだけど」をオチにしてCMブレイク…でも良かったのでしょうが、ここではさらにフィービーのセリフで、もう一つのオチを付けています。
フィービーのセリフは、「ほらね。彼女にとって good enough なものは何もない」。
「これは良いわね、これだけあれば十分よ」というように、何かに対して満足することがない、どんなものも、彼女にとっては good enough 「十分に良い」とは言えない、ということをフィービーは言っていることになります。
これは、部屋の色を勝手に塗り替えたり、何かと批判的だったり、という彼女の性格の話の続きで、「あなたの家のドアは防音じゃないのね」と言ったことに対して、「ほらね、ホイットニーは、他人の家のドアにまでケチをつけてるじゃない。何にでも文句を言いたい人なのよ、ちょっとやそっとじゃ満足しない傲慢な人なのよ」みたいに言っているわけです。
さんざん悪口を言った後、「ドアが防音じゃないわよ」と言われたら、「しまった、今の悪口、全部聞かれちゃった!」と焦るのが普通ですよね。
ですが、悪口を言ってしまったことに対する反省は全く見せずに、「ほら、ドアにケチをつけてるでしょ」と彼女の欠点を勝ち誇ったように言っているのが、いかにもフィービーっぽいと言えるでしょうね。
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フィービーは、セントラルパークで知り合ったカイルという男性とデートします。
カイルは妻と離婚しようとしているところで、その妻ホイットニーがセントラルパークに現れたため、フィービーはロスに、「自分たちが逃げられるように、ホイットニーの気をそらして」と頼みます。
その翌日、フィービーがロスの家にいる時にホイットニーが訪ねてきて、ロスはホイットニーとデートしたことを認めています。
フィービー: Well look-look, okay Ross, Kyle just told me some really bad stuff about her. (ねぇ、いいわ、ロス。ホイットニーに関する本当にひどいことを、カイルが私に話してくれたばかりなのよ。)
ロス: Like what? (例えば、どんなこと?)
フィービー: Like she's really mean, and she's overly critical, and-and-No! She will paint a room a really bright color without even checking with you! (例えば、彼女はものすごく意地悪だとか、過剰に批判的だとか、それからそれから…彼女は人に相談することなしに、部屋をすっごく明るい色に塗ろうとしてるわ。)
ロス: Okay. (そうか。)
フィービー: And! She uses sex as a weapon! (それに! 彼女はエッチを武器として使うのよ!)
ロス: Fine! Thank you for warning me. At breakfast, I'll be on full alert for room painting and sex weapons. (結構だ![上等じゃないか!] 僕に警告してくれてありがとう。朝食で、部屋のペイントと、エッチの武器に対して完全警戒体制でいるよ。)
フィービー: You're still gonna go out with her?! (それでもまた、彼女とデートするつもり?)
ロス: Yeah! (ああ!)
フィービー: Well, didn't you hear what I just said?! (私がたった今言ったこと、聞いてなかったの?)
ロス: Pheebs, come on! I mean, consider the source! Of course her ex-husband's gonna say that stuff. Now, if you'll excuse me.... (フィービー、いい加減にしてよ! だって、話の出所(でどころ)を考えてよ! もちろん、彼女の元夫はそんなことを言うだろうさ。で、僕が失礼させてもらえるなら…)
フィービー: (interrupting him) No, listen to me! She is crazy! ([彼を遮って] だめよ、私の話を聞いて! 彼女はクレイジーなのよ!)
ホイットニー: (outside the door) Uh, your door isn't soundproof. ([ドアの外で] あのー、あなたの部屋のドア、防音じゃないんだけど。)
フィービー: You see? Nothing is good enough for her. (ほらね? 彼女にとっては、十分に納得できる良いものなんてないのよ[何にでもケチをつけるのよ]。)
カイルの元妻ホイットニーとデートしたロスに、フィービーは警告しています。
元夫のカイルから、彼女に関するひどい話をいろいろ聞いてるわ、というところですね。
意地悪で、過剰に批判的で、と言った後、部屋の塗り替えの話をしています。
check with は「(人)に相談する」。
with you の you は、フィービーからみた「あなた」であるロスではなくて、一般の人のニュアンスですね。
you と表現することで、ロスをも含めた一般の人を指すことになり、「あなたに相談もなく、部屋を明るい色に塗り替えたりするのよ」と表現することで、実際にそんなことされたら、あなたもムッとするでしょう?というような連想を引き出す効果があると言えるでしょう。
実際のところは、夫カイルに相談もなく、ということですから、without even checking with her husband 「自分の夫に相談することさえしないで」になるわけですが、夫と限定せずに一般の人 you を使うことで、「例えば、あなたとか、他のどんな人にも相談することなく、勝手に一人でそういうことを決めちゃう人」という印象を与えられるわけですね。
use sex as a weapon は文字通り、「sex を武器として使う」ですね。
weapon のこのような意味は、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、以下のように出ています。
weapon : a type of behavior, knowledge of a particular subject etc. that you can use against someone or something when you are in a difficult situation
例) She was afraid the information would be used as a weapon against her.
つまり、「自分が難しい状況にいる時に、誰かや何かに対して使うことのできる、ある行動、またはある題材に関する知識」。
例文は、「その情報が彼女に対する武器として使われることを彼女は恐れた」。
ロスは「僕に警告してくれてありがとう」と言って、「朝食の席で room painting と sex weapons について、full alert の状態でいるようにするよ」と皮肉っぽく言っています。
朝食の席では、実際にはそんな心配、関係ないけどね、というところでしょう。
そんな警告をしても、ロスの気持ちが変わる様子はありません。
「私の話、聞いてたの?」と怒るフィービーに、ロスは consider the source! と言っています。
ソースを考慮しろ、ということで、このソースは日本語にもなっていますが、「情報源、話の出所」という意味ですね。
「どこが出所となった話か、よく考えてみてよ。離婚協議中の夫が、そういう妻に関する悪いことを言うのは当然だろ」ということですね。
話が平行線なので、ロスは廊下の外で待たせているホイットニーと一緒にでかけるためにドアに向かうのですが、フィービーは「彼女はクレイジーなのよ!」と大声で叫んでいます。
その後、ドアの向こうから、「あなたのこのドア、防音じゃないんだけど」というセリフが聞こえるのが面白いですね。
今までのやり取り、ホイットニーに関する悪口の数々が、全て本人に筒抜け、丸聞こえだったということです。
「丸聞こえなんだけど」をオチにしてCMブレイク…でも良かったのでしょうが、ここではさらにフィービーのセリフで、もう一つのオチを付けています。
フィービーのセリフは、「ほらね。彼女にとって good enough なものは何もない」。
「これは良いわね、これだけあれば十分よ」というように、何かに対して満足することがない、どんなものも、彼女にとっては good enough 「十分に良い」とは言えない、ということをフィービーは言っていることになります。
これは、部屋の色を勝手に塗り替えたり、何かと批判的だったり、という彼女の性格の話の続きで、「あなたの家のドアは防音じゃないのね」と言ったことに対して、「ほらね、ホイットニーは、他人の家のドアにまでケチをつけてるじゃない。何にでも文句を言いたい人なのよ、ちょっとやそっとじゃ満足しない傲慢な人なのよ」みたいに言っているわけです。
さんざん悪口を言った後、「ドアが防音じゃないわよ」と言われたら、「しまった、今の悪口、全部聞かれちゃった!」と焦るのが普通ですよね。
ですが、悪口を言ってしまったことに対する反省は全く見せずに、「ほら、ドアにケチをつけてるでしょ」と彼女の欠点を勝ち誇ったように言っているのが、いかにもフィービーっぽいと言えるでしょうね。
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2012年11月14日
話の脈絡を追う フレンズ7-5その2
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モニカは、地元の新聞にチャンドラーとの婚約報告の写真を載せるため、二人のいいスナップ写真を探すのですが、チャンドラーは写真が苦手らしく、変な顔のものばかりしかありません。
プロのカメラマンにちゃんとした写真を撮ってもらえば?とアドバイスされ、何枚も撮ってもらったのですが…。
[Scene: Central Perk, Chandler, Monica, and Ross are going over the picture proofs.]
セントラルパーク。チャンドラー、モニカ、ロスは写真の試し焼きを入念に見ているところ。
ロス: I like this one. (Points to it.) It seems to say, "I love you and that's why I have to kill you." (僕はこれが好きだな。[それを指差して] こう言ってる感じだよ、「君を愛してる。だから君を殺さなきゃ」)
モニカ: Can't all be bad. (To Chandler) Find the one where you make your bedroom eyes. Ohh, there it is. (すべてがダメってことはあり得ないわ。[チャンドラーに] あなたが寝室に誘う目つきをしている写真を探してよ。ああ、あったわ。)
チャンドラー: Oh, my God! Those are my bedroom eyes?! Why did you ever sleep with me? (なんてこった! それが俺の、寝室に誘う目つきなのか? 一体どうしてモニカは俺と寝たんだよ?)
モニカ: Do you really want to pull at that thread? (あなたはほんとに、その糸を引っ張りたい?[話の脈絡を追いたい?])
ト書きの picture proof は「写真の試し焼き」のこと。
proof にはそのような「試し焼き、試し刷り」の他に、「校正刷り、ゲラ」という意味もあります。
read proofs は「校正する」で、proofread は「校正する」という動詞、proofreading は「校正」という名詞ですね。
その試し焼きを見ながらロスは、「僕はこれが好きだな」と言って、その写真はこう言ってるように見える、と続けています。
"I love you and that's why I have to kill you." は「君を愛してる。だから君を殺さないといけない」。
that's why は、that's the reason why ということで、直訳すると、「I love you (ということ)が、僕が君を殺さなければいけない理由だ」ということになります。
「殺したいほど愛してる」みたいな激しい愛のセリフのように聞こえますが、チャンドラーの写真の人相が悪いので、モニカの隣で人殺しみたいな怖い顔をしてるね、と茶化しているわけですね。
写真が全部ダメってことはないわ、と言って、モニカはある写真を探すように言っています。
Find the one where you make... は「あなたが…する写真を見つけて」。
where は関係副詞で、その写真の中で you make... している、という「場所」の感覚ですね。
フレンズの英語タイトルでは、The One Where Ross Dates A Student 「ロスが生徒とデートする話」のように、The One Where SV... の形が良く使われますが、その where と同じ感覚になります。
the one の中では、S が V するということが起こる、というニュアンスですね。
bedroom eyes は「寝室の目」、つまり、「ベッドに誘う目つき、誘惑する目つき、色目」。
女性を誘う時のセクシーな目つきをしてる写真はどれ?という感じです。
モニカが見つけたその写真を見て、チャンドラーは、「それが俺のベッドに誘う目つきなの?」と驚きの声を挙げています。
eyes と複数なので、主語と動詞も Those are と複数形になっていることにも注意しましょう。
チャンドラーは「こんな目で誘った俺と、よくも寝たもんだ」とばかりに、「モニカは一体どうして俺なんかと寝たんだよ」と言ってます。
モニカの返答、Do you really want to pull at that thread? について。
pull at は「〜を引っ張る」。pull at a rope なら「ロープを引っ張る」になります。
thread は「糸」で、また「(話の)脈略、筋道」という意味にもなります。
その「脈絡」の意味は、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、以下のように説明されています。
thread : CONNECTION an idea or feature that is found in all the different parts of an explanation, story, group of people etc. and connects them with each other
follow/lose the thread (of something)
例) I found it difficult to follow the thread of his argument.
つまり、「関連(connection)。説明、話、人のグループなどの別の部分で見つかり、それをお互いに結び付ける、考えや特徴」。
例文は、「彼の議論の脈絡を追うのは難しいと感じた」。
モニカのセリフの、「あなた、ほんとに、その糸を引っ張りたいと思ってる?」みたいな質問は、脈絡・筋道という意味で訳すと、「あなたのその目つきから、実際に寝ることになった、筋道・関連性・脈絡みたいなものを、あなたはほんとに知りたいと思ってるの?」という感じですね。
DVDの日本語訳も、「追及は勧めない/追及しない方がいいと思う」となっていましたが、まさにそういうことで、理由を深追いしない方がいいわよ、と言っていることになります。
それを聞いてチャンドラーは、ぞっとした顔をしていますが、モニカの言い方が、「そういう目つきをしているあなたと寝たことについては、深く追求しない方が身のためよ、あなたは知らない方がいいんじゃない?」という感じに聞こえたからでしょう。
本当にそういうチャンドラーの目つきに誘惑されて寝たのなら、「あなたはそう言うけど、私はセクシーだと思ったわ」みたいに答えることもできたわけですが、そうは言わずに「どうして寝ることになったか、本当に本当に知りたい?」みたいに言うことで、「別にあなたの目にそそられたわけじゃなくて、ただ(あの時は誰でも良かった)」などのような、チャンドラーが聞いても嬉しくないような話が続きそうなことを、示唆しているわけでしょう。
今は婚約中のラブラブのカップルなので、本当はモニカもその目つきをセクシーだと思っているかもしれませんが(笑)、「どうしてこんな目つきの俺なんかと寝たの?」に対して、「理由は知らない方がいいんじゃない?」と真顔で返すことで、相手をひるませて楽しんでいる、というところでしょうね。
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プロのカメラマンにちゃんとした写真を撮ってもらえば?とアドバイスされ、何枚も撮ってもらったのですが…。
[Scene: Central Perk, Chandler, Monica, and Ross are going over the picture proofs.]
セントラルパーク。チャンドラー、モニカ、ロスは写真の試し焼きを入念に見ているところ。
ロス: I like this one. (Points to it.) It seems to say, "I love you and that's why I have to kill you." (僕はこれが好きだな。[それを指差して] こう言ってる感じだよ、「君を愛してる。だから君を殺さなきゃ」)
モニカ: Can't all be bad. (To Chandler) Find the one where you make your bedroom eyes. Ohh, there it is. (すべてがダメってことはあり得ないわ。[チャンドラーに] あなたが寝室に誘う目つきをしている写真を探してよ。ああ、あったわ。)
チャンドラー: Oh, my God! Those are my bedroom eyes?! Why did you ever sleep with me? (なんてこった! それが俺の、寝室に誘う目つきなのか? 一体どうしてモニカは俺と寝たんだよ?)
モニカ: Do you really want to pull at that thread? (あなたはほんとに、その糸を引っ張りたい?[話の脈絡を追いたい?])
ト書きの picture proof は「写真の試し焼き」のこと。
proof にはそのような「試し焼き、試し刷り」の他に、「校正刷り、ゲラ」という意味もあります。
read proofs は「校正する」で、proofread は「校正する」という動詞、proofreading は「校正」という名詞ですね。
その試し焼きを見ながらロスは、「僕はこれが好きだな」と言って、その写真はこう言ってるように見える、と続けています。
"I love you and that's why I have to kill you." は「君を愛してる。だから君を殺さないといけない」。
that's why は、that's the reason why ということで、直訳すると、「I love you (ということ)が、僕が君を殺さなければいけない理由だ」ということになります。
「殺したいほど愛してる」みたいな激しい愛のセリフのように聞こえますが、チャンドラーの写真の人相が悪いので、モニカの隣で人殺しみたいな怖い顔をしてるね、と茶化しているわけですね。
写真が全部ダメってことはないわ、と言って、モニカはある写真を探すように言っています。
Find the one where you make... は「あなたが…する写真を見つけて」。
where は関係副詞で、その写真の中で you make... している、という「場所」の感覚ですね。
フレンズの英語タイトルでは、The One Where Ross Dates A Student 「ロスが生徒とデートする話」のように、The One Where SV... の形が良く使われますが、その where と同じ感覚になります。
the one の中では、S が V するということが起こる、というニュアンスですね。
bedroom eyes は「寝室の目」、つまり、「ベッドに誘う目つき、誘惑する目つき、色目」。
女性を誘う時のセクシーな目つきをしてる写真はどれ?という感じです。
モニカが見つけたその写真を見て、チャンドラーは、「それが俺のベッドに誘う目つきなの?」と驚きの声を挙げています。
eyes と複数なので、主語と動詞も Those are と複数形になっていることにも注意しましょう。
チャンドラーは「こんな目で誘った俺と、よくも寝たもんだ」とばかりに、「モニカは一体どうして俺なんかと寝たんだよ」と言ってます。
モニカの返答、Do you really want to pull at that thread? について。
pull at は「〜を引っ張る」。pull at a rope なら「ロープを引っ張る」になります。
thread は「糸」で、また「(話の)脈略、筋道」という意味にもなります。
その「脈絡」の意味は、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、以下のように説明されています。
thread : CONNECTION an idea or feature that is found in all the different parts of an explanation, story, group of people etc. and connects them with each other
follow/lose the thread (of something)
例) I found it difficult to follow the thread of his argument.
つまり、「関連(connection)。説明、話、人のグループなどの別の部分で見つかり、それをお互いに結び付ける、考えや特徴」。
例文は、「彼の議論の脈絡を追うのは難しいと感じた」。
モニカのセリフの、「あなた、ほんとに、その糸を引っ張りたいと思ってる?」みたいな質問は、脈絡・筋道という意味で訳すと、「あなたのその目つきから、実際に寝ることになった、筋道・関連性・脈絡みたいなものを、あなたはほんとに知りたいと思ってるの?」という感じですね。
DVDの日本語訳も、「追及は勧めない/追及しない方がいいと思う」となっていましたが、まさにそういうことで、理由を深追いしない方がいいわよ、と言っていることになります。
それを聞いてチャンドラーは、ぞっとした顔をしていますが、モニカの言い方が、「そういう目つきをしているあなたと寝たことについては、深く追求しない方が身のためよ、あなたは知らない方がいいんじゃない?」という感じに聞こえたからでしょう。
本当にそういうチャンドラーの目つきに誘惑されて寝たのなら、「あなたはそう言うけど、私はセクシーだと思ったわ」みたいに答えることもできたわけですが、そうは言わずに「どうして寝ることになったか、本当に本当に知りたい?」みたいに言うことで、「別にあなたの目にそそられたわけじゃなくて、ただ(あの時は誰でも良かった)」などのような、チャンドラーが聞いても嬉しくないような話が続きそうなことを、示唆しているわけでしょう。
今は婚約中のラブラブのカップルなので、本当はモニカもその目つきをセクシーだと思っているかもしれませんが(笑)、「どうしてこんな目つきの俺なんかと寝たの?」に対して、「理由は知らない方がいいんじゃない?」と真顔で返すことで、相手をひるませて楽しんでいる、というところでしょうね。
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2012年11月12日
ナプキンに標語が書いてある フレンズ7-5その1
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シーズン7 第5話
The One With The Engagement Picture (素敵な婚約写真?)
原題は「婚約写真の話」
レイチェル: Hey, look-look. Phoebe's talking to uh, Cute Coffeehouse Guy. (ねぇ、見て見て。フィービーが話してるわ、ほら、セクシーなコーヒーハウス・ガイと。)
ロス: Oh, you guys call him "Cute Coffeehouse Guy"? We call him "Hums While He Pees." (あぁ、君らは彼を「セクシーなコーヒーハウス・ガイ」と呼んでるの? 僕らは彼を「おしっこしながら鼻歌(ハミング)くん」と呼んでる。)
チャンドラー: Yes, and we call Ross "Lingers in the Bathroom." (そう。で、俺らはロスを「トイレで長居くん」と呼んでる。)
フィービー: (returning) Hey, you guys, "Hums While He Pees" just asked me out! ([戻ってきて] ねえ、みんな。「おしっこしながら鼻歌くん」がたった今、私をデートに誘ったの!)
レイチェル: Hey, I thought that guy was married. (ねぇ、彼は結婚してると[既婚者だと]思ったけど。)
フィービー: He is. But he's getting divorced. Ross! Maybe you know him. (結婚してるわ。でも離婚しようとしてるの。ロス! 多分、あなたは彼を知ってるわね。)
ロス: It's not a club. (クラブじゃない。)
レイチェル: Phoebe, if this guy's going through a divorce, is it such a good idea to start going out with him? (フィービー、もしこの男性が離婚しようとしてるところなら、彼とデートし始めることはそんなに良い考えかしら?)
ロス: Hey, divorced men are not bad men! (おい、離婚した男は悪い男じゃないぞ!)
チャンドラー: They have that on the napkins at the club. (彼らは今の言葉を、そのクラブのナプキンに書いてる[彼らのクラブのナプキンには、その言葉が書いてある]。)
レイチェルはフィービーがある男性としゃべっているのを見て、「フィービーが、Cute Coffeehouse Guy としゃべってるわ」と言っています。
大文字表記は固有名詞というか、ニックネーム、あだ名のニュアンスですね。
cute は日本語の「キュート」のような「かわいい」という意味よりは、「異性として魅力がある」という感覚。
レイチェルがその男性をそう呼んだことに対して、「君らは彼をそんな名前で呼んでるの? 僕らは彼を Hums While He Pees と呼んでるけど」と言っています。
hum はハミング(humming)のハムで、「ハミングする、鼻歌を歌う」。
pee は「おしっこをする」ですね。
「トイレに行く」というような言い回しよりも、まさに「おしっこをする」というダイレクトなニュアンスで、本来は幼児語ですが、フレンズたちはよく I have to pee. 「おしっこしてくる」みたいに言います。
親しい間柄なので、そんな直接的な単語を使っているだけ、ということに留意しておきましょう。
チャンドラーはその話の後に続いて、「ロスのことは Lingers in the Bathroom と呼んでる」と言っています。
linger は「居残る、長居する」なので、トイレに長居するやつ、トイレに長くこもってるやつ、みたいなあだ名ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
linger : also linger on
to stay somewhere a little longer, especially because you do not want to leave
つまり、「どこかにもう少し長くとどまること、特に立ち去りたくないという理由で」。
もちろん、フレンズたちはロスのことは普通に「ロス」と呼んでいるわけですが、「トイレにちなんだ名前をつけるとすると、ロスの場合はこんな感じだな」とジョークっぽい名前を付けてみたわけですね。
そんな話をしているところに、当のフィービーがやってきて、「おしっこしながら鼻歌くん」が私をデートに誘ったの!、と報告しています。
ロスがチャンドラーに、ニッと笑ってみせて、「ほらね、フィービーもそう呼んでるだろ」みたいな顔をしています。
デートに誘われて喜んでいる当人が、誘ってくれた彼のことを、そんな身も蓋もないあだ名で呼んでいる、という面白さになるでしょう。
彼がフィービーをデートに誘ったと聞いて、レイチェルは「彼は既婚者だと思ってたけど」と言っています。
I thought という過去形は「そう思っていた(けど実際は違うみたいね)」というニュアンス。
それに対してフィービーは、He is. つまり、He is married. 「彼は既婚者よ、彼は結婚してる」と答えるのですが、その後、he's getting divorced. と言っています。
get divorced が「離婚する」なので、それを現在進行形にしたこの形は、その「離婚する」という行為が進行中である(離婚協議中である、離婚しようしている)、か、ほぼ確定した未来の「離婚する予定である、離婚することになっている」かのどちらかととらえれば良いでしょう。
いずれにしても、「離婚する」ということに対して今動いている状態、進行している状態だという感覚ですね。
「彼は離婚しようとしてるの」と言ったフィービーは、ロス!と呼び掛けて、「多分、あなたは彼を知ってるわね」みたいに言っています。
ロスは固まった表情でしばらくそのまま止まっていますが、その後、微笑みながら、「クラブじゃない」と言っています。
離婚しようとしてる人は、きっとロスの友達ね、みたいに言ったフィービーに、「離婚する人がみんな僕の友達、知り合いじゃないよ。離婚クラブみたいなものがあるわけじゃないんだし」と返したわけですね。
ここでの go through は「経験する」あるいは「切り抜ける」というニュアンス。
この男性が、これから離婚を経験しようとしているところなら、離婚ということを乗り越え、切り抜けないといけないところなら、彼とデートを始めることって、そんなに良い考えって言えるかしら?みたいなことですね。
これから離婚でいろいろ大変だ、っていう男性とデートしたら、ややこしいことになるんじゃない? そんなのよろしくないんじゃない?ということです。
「これから離婚しようとしている男性とデートするなんて、良くないわ」みたいに言われたので、バツ3のロスは、「離婚した男が悪い男ってわけじゃない」と弁護しています。
離婚経験者のロスは、離婚した男を悪者みたいに言うな、と言ったわけですが、横から口を挟んできたチャンドラーは、They have that on the napkins at the club. と言っています。
they = divorced men で、the club は「離婚クラブ」みたいなものですね。
that は直前にロスが言った言葉、divorced men are not bad men を指します。
have that on the napkins at the club を直訳すると、「そのクラブでは、ナプキンの上にそれを持ってる」みたいなことですから、ナプキンの上にそういう言葉が書いてある、ということになります。
ロスは「離婚クラブがあるわけじゃない(から彼のことなんて知らない)」と言ったのですが、チャンドラーはそのクラブネタを使って、「その「離婚クラブ」で使ってるナプキンの上に、(今ロスが言った)「離婚した男は悪い男じゃない(離婚した男が悪い男ってわけじゃない)」という言葉が、キャッチコピーか標語のように書いてある」と言って、茶化したわけですね。
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The One With The Engagement Picture (素敵な婚約写真?)
原題は「婚約写真の話」
レイチェル: Hey, look-look. Phoebe's talking to uh, Cute Coffeehouse Guy. (ねぇ、見て見て。フィービーが話してるわ、ほら、セクシーなコーヒーハウス・ガイと。)
ロス: Oh, you guys call him "Cute Coffeehouse Guy"? We call him "Hums While He Pees." (あぁ、君らは彼を「セクシーなコーヒーハウス・ガイ」と呼んでるの? 僕らは彼を「おしっこしながら鼻歌(ハミング)くん」と呼んでる。)
チャンドラー: Yes, and we call Ross "Lingers in the Bathroom." (そう。で、俺らはロスを「トイレで長居くん」と呼んでる。)
フィービー: (returning) Hey, you guys, "Hums While He Pees" just asked me out! ([戻ってきて] ねえ、みんな。「おしっこしながら鼻歌くん」がたった今、私をデートに誘ったの!)
レイチェル: Hey, I thought that guy was married. (ねぇ、彼は結婚してると[既婚者だと]思ったけど。)
フィービー: He is. But he's getting divorced. Ross! Maybe you know him. (結婚してるわ。でも離婚しようとしてるの。ロス! 多分、あなたは彼を知ってるわね。)
ロス: It's not a club. (クラブじゃない。)
レイチェル: Phoebe, if this guy's going through a divorce, is it such a good idea to start going out with him? (フィービー、もしこの男性が離婚しようとしてるところなら、彼とデートし始めることはそんなに良い考えかしら?)
ロス: Hey, divorced men are not bad men! (おい、離婚した男は悪い男じゃないぞ!)
チャンドラー: They have that on the napkins at the club. (彼らは今の言葉を、そのクラブのナプキンに書いてる[彼らのクラブのナプキンには、その言葉が書いてある]。)
レイチェルはフィービーがある男性としゃべっているのを見て、「フィービーが、Cute Coffeehouse Guy としゃべってるわ」と言っています。
大文字表記は固有名詞というか、ニックネーム、あだ名のニュアンスですね。
cute は日本語の「キュート」のような「かわいい」という意味よりは、「異性として魅力がある」という感覚。
レイチェルがその男性をそう呼んだことに対して、「君らは彼をそんな名前で呼んでるの? 僕らは彼を Hums While He Pees と呼んでるけど」と言っています。
hum はハミング(humming)のハムで、「ハミングする、鼻歌を歌う」。
pee は「おしっこをする」ですね。
「トイレに行く」というような言い回しよりも、まさに「おしっこをする」というダイレクトなニュアンスで、本来は幼児語ですが、フレンズたちはよく I have to pee. 「おしっこしてくる」みたいに言います。
親しい間柄なので、そんな直接的な単語を使っているだけ、ということに留意しておきましょう。
チャンドラーはその話の後に続いて、「ロスのことは Lingers in the Bathroom と呼んでる」と言っています。
linger は「居残る、長居する」なので、トイレに長居するやつ、トイレに長くこもってるやつ、みたいなあだ名ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
linger : also linger on
to stay somewhere a little longer, especially because you do not want to leave
つまり、「どこかにもう少し長くとどまること、特に立ち去りたくないという理由で」。
もちろん、フレンズたちはロスのことは普通に「ロス」と呼んでいるわけですが、「トイレにちなんだ名前をつけるとすると、ロスの場合はこんな感じだな」とジョークっぽい名前を付けてみたわけですね。
そんな話をしているところに、当のフィービーがやってきて、「おしっこしながら鼻歌くん」が私をデートに誘ったの!、と報告しています。
ロスがチャンドラーに、ニッと笑ってみせて、「ほらね、フィービーもそう呼んでるだろ」みたいな顔をしています。
デートに誘われて喜んでいる当人が、誘ってくれた彼のことを、そんな身も蓋もないあだ名で呼んでいる、という面白さになるでしょう。
彼がフィービーをデートに誘ったと聞いて、レイチェルは「彼は既婚者だと思ってたけど」と言っています。
I thought という過去形は「そう思っていた(けど実際は違うみたいね)」というニュアンス。
それに対してフィービーは、He is. つまり、He is married. 「彼は既婚者よ、彼は結婚してる」と答えるのですが、その後、he's getting divorced. と言っています。
get divorced が「離婚する」なので、それを現在進行形にしたこの形は、その「離婚する」という行為が進行中である(離婚協議中である、離婚しようしている)、か、ほぼ確定した未来の「離婚する予定である、離婚することになっている」かのどちらかととらえれば良いでしょう。
いずれにしても、「離婚する」ということに対して今動いている状態、進行している状態だという感覚ですね。
「彼は離婚しようとしてるの」と言ったフィービーは、ロス!と呼び掛けて、「多分、あなたは彼を知ってるわね」みたいに言っています。
ロスは固まった表情でしばらくそのまま止まっていますが、その後、微笑みながら、「クラブじゃない」と言っています。
離婚しようとしてる人は、きっとロスの友達ね、みたいに言ったフィービーに、「離婚する人がみんな僕の友達、知り合いじゃないよ。離婚クラブみたいなものがあるわけじゃないんだし」と返したわけですね。
ここでの go through は「経験する」あるいは「切り抜ける」というニュアンス。
この男性が、これから離婚を経験しようとしているところなら、離婚ということを乗り越え、切り抜けないといけないところなら、彼とデートを始めることって、そんなに良い考えって言えるかしら?みたいなことですね。
これから離婚でいろいろ大変だ、っていう男性とデートしたら、ややこしいことになるんじゃない? そんなのよろしくないんじゃない?ということです。
「これから離婚しようとしている男性とデートするなんて、良くないわ」みたいに言われたので、バツ3のロスは、「離婚した男が悪い男ってわけじゃない」と弁護しています。
離婚経験者のロスは、離婚した男を悪者みたいに言うな、と言ったわけですが、横から口を挟んできたチャンドラーは、They have that on the napkins at the club. と言っています。
they = divorced men で、the club は「離婚クラブ」みたいなものですね。
that は直前にロスが言った言葉、divorced men are not bad men を指します。
have that on the napkins at the club を直訳すると、「そのクラブでは、ナプキンの上にそれを持ってる」みたいなことですから、ナプキンの上にそういう言葉が書いてある、ということになります。
ロスは「離婚クラブがあるわけじゃない(から彼のことなんて知らない)」と言ったのですが、チャンドラーはそのクラブネタを使って、「その「離婚クラブ」で使ってるナプキンの上に、(今ロスが言った)「離婚した男は悪い男じゃない(離婚した男が悪い男ってわけじゃない)」という言葉が、キャッチコピーか標語のように書いてある」と言って、茶化したわけですね。
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2012年11月09日
私なら彼女に近づかない フレンズ7-4その6
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お互いの過去の秘密の暴露合戦を続けていた、ロス、チャンドラー、モニカたちですが、そんな不毛な暴露合戦にも疲れてきたようで…。
チャンドラー: Y'know when I said that because we're getting married that we should share everything and not have any secrets? (俺たちは結婚するんだから、何でもシェアして、秘密を少しも持たないようにすべきだと俺が言った時のこと、覚えてる?)
モニカ: Yeah? (ええ。)
チャンドラー: Yeah, that was stupid. Let's not do that. (ああ、あんなのはばかげてる。そんなことはしないようにしよう。)
モニカ: Ohh, absolutely. (ええ、もちろん。)
ロス: And! We should keep all the stuff we told each other secret from everybody else. (じゃあ! 僕たちは、僕らがお互いに言ったすべてのことを他のみんなからは秘密にしておくべきだね。)
モニカ: Yeah, definitely! (ええ、もちろん!)
ロス: Okay, (gets up) if you'll excuse me, I-I'm gonna go hang out with some people who don't know the Space Mountain story. (よし、[立ち上がる] 失礼させてもらえるなら、僕はこれから、スペース・マウンテンの話を知らない人たちと一緒に過ごしに行くよ。)
モニカ: Then I'd steer clear of Phoebe. (そういうことなら、私ならフィービーに近づかないわ。)
ロス: Man! (Monica mouths, "I'm sorry.") (なんてこった! [モニカは声には出さずに口で「ごめん」と言う])
チャンドラー: Yeah, and not that you would, but I wouldn't hang out with... all the guys in my office. (ああ、そして、ロスがそうするだろう、ってわけじゃないけど、俺ならあいつらと一緒にいないな…俺の会社の全ての男とはね。)
(Ross storms out.)
ロスは怒って飛び出す。
チャンドラーはモニカに、「俺たち結婚するんだから秘密は持たないようにしよう、って言ったこと、覚えてる?」と言った後、「やっぱりそんなことはやめよう」と言い、モニカもそれに賛成します。
We should keep all the stuff... の文章は少し長いですが、keep all the stuff secret from 「すべてのことを(人)から秘密にしておく」が基本的な構造ですね。
all the stuff we told each other は「俺たちがお互いに話したすべてのこと」ということで、we told each other が、前の all the stuff に係っていることになります。
今まで言ったことは、他の人には内緒にしとこう!と話がまとまったところで、ロスは立ち上がり、「スペース・マウンテンの話(タコスを食べ過ぎておもらしした話)を知らない人と一緒に過ごすために出かけるね」と言って、出て行こうとします。
その後の、モニカのセリフは、I'd、つまり、I would という形がポイントです。
まず、steer clear of は「〜を避ける、に近づかない」という意味。
steer は車のステアリングのステアで、「舵(かじ)を操る、操舵する」という動詞。
そこから、「進路を〜に向ける」という意味にもなります。
音的にも、文字的にも似ていますが、steer の代わりに stay を使った、stay clear of でも同じ意味になります。
フレンズ2-22その12 では、
Stay clear of the salmon mousse. (サーモンムースに手を出さない方がいいですよ。)
という形で使われていました。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
steer/stay/keep clear (of something) : to avoid someone or something because of possible danger or trouble
つまり、「あり得る危険やトラブルのために、誰かや何かを避けること」。
つまり、steer clear of Phoebe とは「フィービーを避ける、フィービーに近づかない」という意味ですが、I'd を使うことで、「(もしそういうことなら)私ならフィービーに近づかない」と言っていることになります。
「スペース・マウンテンの話を知らない人と遊ぶんだ」と言ったロスに、「私ならフィービーに近づかないようにするわ」と言ったということはつまり、フィービーがその話を知っている、と言いたいのですね。
「フィービーに会ったら、その話を知ってる人と会うことになっちゃうわよ」と言っているわけです。
意味としては、「その話を知らない人と会いたいなら、フィービーには会うな」ということですが、「会うな」と命令するのではなく、「私ならフィービーには会わないようにするけどな」みたいに遠回しに言っているのがポイント、ということです。
「フィービーにその話をしゃべっちゃったのか!」というように、ロスは Man! 「なんてこった!」みたいに叫んでいますが、チャンドラーがさらに追い打ちをかけます。
Yeah, and not that you would は「そうだね、そして、ロスがそうするだろうってことじゃないけど」みたいな感覚。
It's not that... 「…というわけではないけれど」というニュアンスですね。
まさかロスがそうするとは思わないけどさ、俺なら〜しないだろうな、と言って、all the guys in my office、つまり、「俺の会社の男性全員」とは遊ばない、みたいに言っています。
ロスが俺の会社のやつに会うとは思えないけどさ、一応言っとくと、俺なら「俺の会社の男性全員に会わないようにするね」と言ってみせて、ここでもまた、「俺の会社の男性全員に、お前のスペース・マウンテン話をしゃべっちゃった」と言っているわけですね。
このような、I'd 「私なら〜する」、I wouldn't 「俺なら〜しない」という表現は、ドラマのセリフでよく登場します。
こういう would や could などの助動詞は、細かいニュアンスを込めることができるので、こういう助動詞に慣れることが、英語上達の秘訣ですね。
とりあえず文の大意が分かるレベルから、微妙なニュアンスまで理解できるかどうかの違いは、こういう助動詞がわかるか否か、にかかっていると言っても過言ではありません。
日本語でも、語尾をいろいろと使い分けることで微妙なニュアンスを出すのと同じで、ネイティブレベルの英語を使いこなせているかどうかの判断は、こういう助動詞を使いこなせているかどうかで判断できるとも言えます。
上のセリフも、would のニュアンスに気付かずにいると、
ロス 「その話を知らない人に会ってくる」
モニカ 「私はフィービーを避ける」
チャンドラー 「俺は会社の男に会わない」
となって、どうしてロスの話をしているのに、モニカやチャンドラーがそれぞれ自分の行動を語っているんだろう??ということになってしまいますね。
「その話を知らない人に会いたいんだったら、フィービーやチャンドラーの同僚は避けた方がいい」という「アドバイス」として、「もし私がロスの立場だったらこうする」という I'd で表現しているのが、非常に生きた英語っぽい気がしますし、また、ノンネイティブではなかなかこういう表現がパッと出てこないよね、と思う部分でもあります。
文法から英語を学ぼうとすると、こういう would のニュアンスはなかなかつかめません。
生きたセリフを題材にして学ぶ利点は、ここにあるのかな、と思っています。
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お互いの過去の秘密の暴露合戦を続けていた、ロス、チャンドラー、モニカたちですが、そんな不毛な暴露合戦にも疲れてきたようで…。
チャンドラー: Y'know when I said that because we're getting married that we should share everything and not have any secrets? (俺たちは結婚するんだから、何でもシェアして、秘密を少しも持たないようにすべきだと俺が言った時のこと、覚えてる?)
モニカ: Yeah? (ええ。)
チャンドラー: Yeah, that was stupid. Let's not do that. (ああ、あんなのはばかげてる。そんなことはしないようにしよう。)
モニカ: Ohh, absolutely. (ええ、もちろん。)
ロス: And! We should keep all the stuff we told each other secret from everybody else. (じゃあ! 僕たちは、僕らがお互いに言ったすべてのことを他のみんなからは秘密にしておくべきだね。)
モニカ: Yeah, definitely! (ええ、もちろん!)
ロス: Okay, (gets up) if you'll excuse me, I-I'm gonna go hang out with some people who don't know the Space Mountain story. (よし、[立ち上がる] 失礼させてもらえるなら、僕はこれから、スペース・マウンテンの話を知らない人たちと一緒に過ごしに行くよ。)
モニカ: Then I'd steer clear of Phoebe. (そういうことなら、私ならフィービーに近づかないわ。)
ロス: Man! (Monica mouths, "I'm sorry.") (なんてこった! [モニカは声には出さずに口で「ごめん」と言う])
チャンドラー: Yeah, and not that you would, but I wouldn't hang out with... all the guys in my office. (ああ、そして、ロスがそうするだろう、ってわけじゃないけど、俺ならあいつらと一緒にいないな…俺の会社の全ての男とはね。)
(Ross storms out.)
ロスは怒って飛び出す。
チャンドラーはモニカに、「俺たち結婚するんだから秘密は持たないようにしよう、って言ったこと、覚えてる?」と言った後、「やっぱりそんなことはやめよう」と言い、モニカもそれに賛成します。
We should keep all the stuff... の文章は少し長いですが、keep all the stuff secret from 「すべてのことを(人)から秘密にしておく」が基本的な構造ですね。
all the stuff we told each other は「俺たちがお互いに話したすべてのこと」ということで、we told each other が、前の all the stuff に係っていることになります。
今まで言ったことは、他の人には内緒にしとこう!と話がまとまったところで、ロスは立ち上がり、「スペース・マウンテンの話(タコスを食べ過ぎておもらしした話)を知らない人と一緒に過ごすために出かけるね」と言って、出て行こうとします。
その後の、モニカのセリフは、I'd、つまり、I would という形がポイントです。
まず、steer clear of は「〜を避ける、に近づかない」という意味。
steer は車のステアリングのステアで、「舵(かじ)を操る、操舵する」という動詞。
そこから、「進路を〜に向ける」という意味にもなります。
音的にも、文字的にも似ていますが、steer の代わりに stay を使った、stay clear of でも同じ意味になります。
フレンズ2-22その12 では、
Stay clear of the salmon mousse. (サーモンムースに手を出さない方がいいですよ。)
という形で使われていました。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
steer/stay/keep clear (of something) : to avoid someone or something because of possible danger or trouble
つまり、「あり得る危険やトラブルのために、誰かや何かを避けること」。
つまり、steer clear of Phoebe とは「フィービーを避ける、フィービーに近づかない」という意味ですが、I'd を使うことで、「(もしそういうことなら)私ならフィービーに近づかない」と言っていることになります。
「スペース・マウンテンの話を知らない人と遊ぶんだ」と言ったロスに、「私ならフィービーに近づかないようにするわ」と言ったということはつまり、フィービーがその話を知っている、と言いたいのですね。
「フィービーに会ったら、その話を知ってる人と会うことになっちゃうわよ」と言っているわけです。
意味としては、「その話を知らない人と会いたいなら、フィービーには会うな」ということですが、「会うな」と命令するのではなく、「私ならフィービーには会わないようにするけどな」みたいに遠回しに言っているのがポイント、ということです。
「フィービーにその話をしゃべっちゃったのか!」というように、ロスは Man! 「なんてこった!」みたいに叫んでいますが、チャンドラーがさらに追い打ちをかけます。
Yeah, and not that you would は「そうだね、そして、ロスがそうするだろうってことじゃないけど」みたいな感覚。
It's not that... 「…というわけではないけれど」というニュアンスですね。
まさかロスがそうするとは思わないけどさ、俺なら〜しないだろうな、と言って、all the guys in my office、つまり、「俺の会社の男性全員」とは遊ばない、みたいに言っています。
ロスが俺の会社のやつに会うとは思えないけどさ、一応言っとくと、俺なら「俺の会社の男性全員に会わないようにするね」と言ってみせて、ここでもまた、「俺の会社の男性全員に、お前のスペース・マウンテン話をしゃべっちゃった」と言っているわけですね。
このような、I'd 「私なら〜する」、I wouldn't 「俺なら〜しない」という表現は、ドラマのセリフでよく登場します。
こういう would や could などの助動詞は、細かいニュアンスを込めることができるので、こういう助動詞に慣れることが、英語上達の秘訣ですね。
とりあえず文の大意が分かるレベルから、微妙なニュアンスまで理解できるかどうかの違いは、こういう助動詞がわかるか否か、にかかっていると言っても過言ではありません。
日本語でも、語尾をいろいろと使い分けることで微妙なニュアンスを出すのと同じで、ネイティブレベルの英語を使いこなせているかどうかの判断は、こういう助動詞を使いこなせているかどうかで判断できるとも言えます。
上のセリフも、would のニュアンスに気付かずにいると、
ロス 「その話を知らない人に会ってくる」
モニカ 「私はフィービーを避ける」
チャンドラー 「俺は会社の男に会わない」
となって、どうしてロスの話をしているのに、モニカやチャンドラーがそれぞれ自分の行動を語っているんだろう??ということになってしまいますね。
「その話を知らない人に会いたいんだったら、フィービーやチャンドラーの同僚は避けた方がいい」という「アドバイス」として、「もし私がロスの立場だったらこうする」という I'd で表現しているのが、非常に生きた英語っぽい気がしますし、また、ノンネイティブではなかなかこういう表現がパッと出てこないよね、と思う部分でもあります。
文法から英語を学ぼうとすると、こういう would のニュアンスはなかなかつかめません。
生きたセリフを題材にして学ぶ利点は、ここにあるのかな、と思っています。
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