2013年04月30日

砂糖と塩をすり替える フレンズ7-16その1

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シーズン7 第16話
The One With The Truth About London (ロンドンの夜の真実)
原題は「ロンドンについての真実の話」


ロスにでかける用事があるので、その間、息子のベンを見てて欲しい、と頼まれたレイチェル。
ベンと二人きりになったことがない、とナーバスになっているレイチェルは、案の定、会話が弾まず、二人とも固まった状態になっているところ。
[Scene: Joey and Rachel's, Rachel and Ben are sitting on the couch bored out of their minds.]
ジョーイとレイチェルの家。レイチェルとベンはカウチに座って、すっかり退屈している。
レイチェル: Ben, y'know, when uh, when you were a baby, you and I used to hang out all the time. ‘Cause I was, I was your daddy's girlfriend. (ベン、ほら、あなたが赤ちゃんだった時、あなたと私はいつも一緒に過ごしてたのよ。だって私は、私はあなたのパパの彼女だったから。)
ベン: But you're not anymore! (でも、今はもう彼女じゃないよね。)
レイチェル: No, I'm not. (ええ、彼女じゃないわ。)
ベン: ‘Cause you guys were on a break-- (だって、パパとレイチェルは、ブレイク中だったから…)
レイチェル: Hey! We were not on a-- Okay. That's fine! Fine. Y'know what, Ben? One day when you are a lot older I am going to tell you that entire story over a pitcher of real margaritas, okay? (ちょっと! 私たちはそうじゃなかった…。いいわ、それで構わないわ! いいわよ。ねぇ、ベン。いつかあなたがもっと大きくなった時に、その話を全部あなたに話してあげる、本物のマルガリータのピッチャー越しにね、いい?)
ベン: When's my daddy coming back? (僕のパパはいつ帰ってくる予定なの?)
レイチェル: (checks her watch) Fifty-two minutes. (Pause) So no-no brothers and sisters, huh? But y'know what? I have two sisters and we just-just tortured each other. ([自分の腕時計を見て] あと52分。[間があって] それで(ベンは)兄弟(姉妹)がいないのよね? でも知ってる? 私には2人の妹がいて、お互いにいやがらせをしてたの。)
ベン: Really? Like how? (ほんとに? どんな風に?)
レイチェル: Well y'know, we would umm, we'd repeat everything the other said, or uh, we'd jump out of closets to scare each other, or switch the sugar for the salt so they'd put salt on their cereal. (ほら、私たちは、相手が言ったことをすべて繰り返したり、それから、相手を怖がらせるためにクローゼットからジャンプして飛び出したり、それから砂糖を塩に取り替えてシリアルに塩をかけちゃうようにしたりね。)

ソファーに座りながら、することもなく茫然としているレイチェルとベンですが、その空気を打破しようと、レイチェルが話を始めます。
when you were..., you and I used to do... は、「あなたが…だった時、あなたと私は…したものだった」。
used to は「〜したものだった、〜するのが常だった」のような、過去の習慣的行動を表します。
hang out はフレンズ頻出表現で、「一緒に時間を過ごす」という意味ですね。
「いつも一緒だった、だって私は、あなたのパパ(ロス)の彼女だったから」と子供相手に説明するレイチェルですが、聞いているベンの方も結構おませで(笑)、「でも今はもうパパの彼女じゃないよね」などと返しています。

「ええ、もう彼女じゃないわよ」と言ったレイチェルに対して、子供のベンが、‘Cause you guys were on a break-- と言うのが面白いですね。
過去記事、ブレイク中だったなら良かったのに フレンズ6-15その6 でも、on a break というフレーズが効果的に使われていましたが、ロスがクロエという女性と寝たことをレイチェルが持ち出すたびに、ロスが "We were on a break!" 「僕たちはブレイク中だったんだ!」と叫ぶのが、フレンズのお約束みたいになっているので、その on a break というキーワードをロスの息子(それもまだ子供)のベンが使っているのが、面白いわけですね。
ロスが自分の正当性を主張するために、まだ子供の息子にまでそんな言葉を使って説明しているらしいことが、ベンの発言から想像されるわけです。

レイチェルもレイチェルで、相手のベンが子供であることも忘れたかのようにムキになって「ちょっと、私たちは on a break じゃなかったのよ!」みたいに言いかけるのですが、子供相手にそんなことを言ってもしょうがない、みたいに自分で気づいたらしく、fine 「もういいわ」みたいに言い直しています。
そして、「いつかあなたがもっと大きくなったら(年齢が上になったら)、私は〜するつもりよ」と言っていますね。
ベンが大人になったら何をするかと言うと、「本当のマルガリータのピッチャー越しにその話全体をあなたに話して聞かせるわ」。
マルガリータを作ったピッチャーをテーブルに置いた状態で、それを二人で飲みながら、We were on a break. だったか否か、というロスとレイチェルが別れた時の話をすべて語って聞かせるわ、と言っている感覚になります。

退屈し切っているベンが、「パパ(ロス)はいつ帰るの?」と尋ねて、レイチェルが「52分」みたいに細かい時間を答えるのも楽しいですね。
ロスの帰りを分刻みで待っている感じが出ているわけです。

レイチェルは、「そう言えば、ベンは兄弟姉妹がいない一人っ子だったわよね」という話を始め、「私には妹が2人いて、お互いを torture したわ」と言っています。
torture は「(人)を拷問にかける」という意味ですが、ここでは「(精神的に)苦しめる、困らせる」というニュアンス。いやがらせをする、というような感覚ですね。

そしてレイチェルは、妹たちへの torture の内容を説明します。
1つ目の repeat everything the other said は、「他の人が言ったすべてを繰り返す」。
つまり、相手の言った言葉をそっくり真似する、というやつで、過去記事、シャドー・ゲーム フレンズ3-5その20 では、そのゲームを the shadow game と呼んでいました。
2つ目の、相手を驚かすためにクローゼットから飛び出す、というのも、子供がよくやるタイプのいたずらですね。
3つ目は、「砂糖と塩を入れ替える、そうすると相手は自分のシリアルに塩をかけることになる」。
このように、「ものとものとを交換する」という場合は、switch A for B のように for を使うことにも注目したいところ。
こっそり、砂糖と塩を入れ替えておいたら、相手はそれに気づかずに、シリアルに塩をどっさりかけちゃって、塩辛いシリアルを食べるはめになっちゃうのよー、みたいな、結構タチの悪いイタズラです。
レイチェルが挙げた3つのいたずらは、日本人でもやりそうな感じのものばかりなので、この部分の英語は比較的理解しやすい気がしますね。


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posted by Rach at 16:12| Comment(0) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月25日

落馬してフェンスに激突 フレンズ7-15その6

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スーザン・サランドン演じる女優セシリアの大ファンのレイチェルとモニカは、ジョーイの部屋でセシリアと会えて大喜び。その二人が帰った後、
ジョーイ: (notices something in the mail that Rachel brought in) Oh, my God! ([レイチェルが持って入ってきた手紙の中の何かに気付いて] なんてことだ!)
セシリア: What? (何?)
ジョーイ: They sent me today's script! They never send me the script! (今日の脚本を俺に送って来たんだよ。俺に脚本なんて(いつもは)送ってこないのに!)
セシリア: They don't? (送ってこないの?)
ジョーイ: Well, no, I'm just in a coma. This must mean I have lines! (Realizes what that means.) Oh.... (送ってこないよ。俺はただの昏睡中だから。これってきっと、俺にセリフがあるに違いない! [その意味に気付いて] あぁ…。)
セシリア: How does it happen? (それはどんな風に起こるの?)
ジョーイ: (flipping to the last page) Ew, you get thrown from a horse into an electric fence. ([最後のページまでめくって] うー、君は馬から投げ出されて、電流フェンスに激突するんだ。)
セシリア: A what?! Jessica hates horses! (何(から)ですって? ジェシカは馬が嫌いなのに!)
ジョーイ: Yeah well, I'm guessing after this she's not gonna be crazy about electricity, either. (そうだよ、この後にジェシカは電流も嫌いになると思うよ。)

ジョーイが郵便物を見て驚いています。
その理由を、They sent me today's script! だと説明していますね。
They は少し前の記事でも説明しましたが、「ドラマの制作者、脚本家」など、制作側の人間を漠然と指す感覚で、スタッフと訳しても良いかもしれません。
脚本家が、俺に今日のスクリプト・脚本を送って来た!と驚いているジョーイは、「彼らは決して俺に脚本を送って来ないのに」とも言っています。
「脚本を送って来ないわけ?」みたいに驚いているセシリアに、「ほら、俺は今、昏睡中だからさ」と言っています。
昏睡中で眠っているだけの演技だから、セリフもないし、脚本見る必要ないんだよ…ということですが、ジョーイ自身そのことに気付いて、「ってことは、(今回は)俺にセリフがあるってこと?」みたいに言っていますね。
This must mean I have lines! を直訳すると、「このこと(今回は脚本を送って来たこと)は、俺にセリフ(lines)がある、って意味に違いない」になります。
そして、「俺にセリフがあるってことは、俺に脳が移植された後?」ということにも気付き、それはつまり、今隣にいるセシリアが死んだシーンも今回の脚本に含まれていることを意味するので、セシリアに対して、気まずい顔をしているわけですね。
いつもは、何かと人より気づくのが遅い(笑)ジョーイですが、今回は(話をてきぱき進めたい脚本家の意図でしょうか?w)、脚本を送って来たという事実から、一瞬でいろんなことを察しているのが、ちょっと珍しい気はしました^^

How does it happen? は「それはどのようにして起こるの?」ですね。
it は、今、まさに二人が考えている、「(セシリア演じる)ジェシカ・ロックハートが死ぬこと」を指しています。
二人の頭の中で、共通して意識している事柄を、it で指している感覚ですね。

ジョーイはページをめくって、ジェシカが死ぬシーンを見つけ出し、you get thrown from a horse into an electric fence. と説明しています。
この英文全体のイメージを思い浮かべる前に、まずは、into に注目してみたいと思います。

into は、in + to のニュアンスがありますから、「その中に入り込む」みたいなイメージがありますよね。
ただ、その方向に向かう、ということなら、to だけになるでしょうが、そこに実際にぶつかって、めり込まんばかりになっている感じが、into に感じられる気がします。
研究社 新英和中辞典では、
into
V [衝突を表わして] …に突き当たって
The car ran into a wall. 車が塀にぶつかった。

という語義も載っており、その「突き当たる」という感覚が、「…の中に(入り込む)」という into の基本語義の延長線上にある、という気がしました。

その into のニュアンスを意識しながら、一つ一つを見て行くと、get thrown は「投げ出される」、from a horse 「馬から」、into an electric fence 「電流フェンスに(激突・衝突)」。
つまり、馬から投げ出されて、電流フェンスに激突、みたいなことを言っていることになります。
DVDの日本語訳では、
(字幕) ”落馬して 電流フェンスに激突”/(音声) うわ。馬から投げ出されて、電流フェンスに激突
となっており、きちんと「激突」のニュアンスが訳出されていたのはさすがだと思いました。

馬から投げ出される、落馬する、と聞いて、セシリアは驚いた様子で聞き返しています。
ジェシカは馬が嫌いなのに、どうして馬なんかに乗ったの? 嫌いな馬に乗った上に、そこで死ぬなんてあまりにも悲惨じゃない、みたいな気持ちなのでしょう。

「ジェシカは馬嫌いなのに、落馬して死ぬなんて…」と言うセシリアに、ジョーイは、「こんなことがあった後には、ジェシカは電流も嫌いになると思うよ」と言っています。
この be crazy about は「〜に夢中になっている、熱中している」のような「好き」という感覚ですね。
not gonna ですから、「この事故の後で、電流好きになったりはしない」と言っていることになります。

まぁ、電流が好きな人間なんていないと思いますが(好きなのは、うる星やつらのラムちゃんくらいですか…笑)、ジェシカは落馬して死んだから馬嫌いになったわけではなく、元々馬嫌いで、よりにもよって、嫌いな馬に乗っていて死ぬ、というその最期があまりに悲惨だと言っているわけですね。
それを、ジェシカが死ぬ原因になったものとして、馬に引き続いて電流も嫌いになるね、みたいに言っているのが、ちょっとピント外れのジョーイっぽいところだと言えるでしょう。
嫌いになるも何も、落馬した直後に電流フェンスで死んでしまう、という設定なので、死んだ人間に嫌いになれるわけもないのですから、ジョーイのおとぼけぶりが存分に発揮されたセリフになっているわけですね。


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posted by Rach at 17:08| Comment(0) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月22日

弁護士に止められてるの フレンズ7-15その5

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ジョーイが出演しているソープオペラ(昼メロ) Days Of Our Lives で、セシリア(演じるのはスーザン・サランドン)という女優が演じるジェシカの脳がジョーイに移植される、という設定になっています。
彼女の脳を受け継ぐ人間として(笑)演技指導を受けていたジョーイですが、降板することに落ち込むセシリアを励まし、キスの演技をしているうちに、二人は情熱的に盛り上がってしまうことに(笑)。
今はちょうど、ジョーイの寝室から、シャツだけを着たスーザン・サランドンが出てきたところ。
そこに、ちょうど同居人のレイチェルが帰ってきて…
レイチェル: Oh, my God! Oh, my God!! Ohh, Jessica Lockhart!! In my apartment!! I am such a huge fan! I am such a huge fan! (まぁ、なんてこと! なんてこと! あぁ、ジェシカ・ロックハート!! 私のアパートメントに(いる)! 私、ものすごく大ファンなんです。私、大ファンなんです!)
セシリア: Well, it's nice to know that you-- (えぇ、あなたが(ファンだと)知って、嬉しいわ…)
レイチェル: (screaming) MONICA!!!! MONICA!!!! (Runs to Monica's.) ([叫びながら] モニカー!モニカー! [モニカの家に走る])
ジョーイ: That uh, that is my roommate, Rachel. (今のは、あの、あれは俺のルームメイトのレイチェル。)
セシリア: Oh, that explains all the women's underwear. (まぁ、あの女性用下着の説明がそれでつくわね。)
ジョーイ: (shrugs) Sure. Yep. ([肩をすくめて] もちろん。そうです。)
モニカ: (entering with Rachel) Oh, my God! It's true!! Oh my God, can I just ask you to do me oh, just one favor? ([レイチェルと一緒に入ってきて] なんてこと! 本当だわ! なんてこと! 一つあなたにお願いごとをしていいですか?)
セシリア: Certainly. (もちろん。)
モニカ: Would you slap me? Would you slap me right here in the face?! (Points to her cheek.) (私をひっぱたいてくれます[私にビンタしてくれます]? 顔のちょうどここをひっぱたいてくれますか? [自分の頬を指し示す])
セシリア: I'd love to, but my lawyer said I can't do that anymore. (そうしたいんだけど、でも、私の弁護士が、それはもうしちゃだめだ、って言ったから。)
ジョーイ: All right, here we go. (He grabs them and starts to pull them out of the apartment.) (よし、行くぞ。[ジョーイは二人を掴んで、二人を自分のアパートから引き出す])
レイチェル: Okay. (わかった。)
モニカ: (breaks away) Oh wait, just one moment. (To Cecilia) Umm, you're a stupid bitch. ([ジョーイが押す手から離れて] あぁ待って、少しだけ。[セシリアに] あのー、あなたってバカでやな女ね。)
セシリア: I really can't slap you. (Monica walks away angrily) (本当にあなたをひっぱたくことはできないの。[モニカは怒った様子で立ち去る])
モニカ: My God, you're great! (もう、あなたって最高!)

レイチェルが自宅に帰ってくると、そこに、ジェシカ・ロックハート役のセシリアがいるので、驚愕しています。
今回のエピソードの前半で、セシリア降板のニュースを聞いて、レイチェルとモニカが「私たち、彼女が好きなのにー」と嘆くシーンもありました。ですから、観客も、レイチェルが大騒ぎしているのには納得なわけですね。
「ジェシカ・ロックハート! 私のアパートに!」みたいに叫んでいるのも、レイチェルの驚きぶりがよく表れていると思います。

I am such a huge fan. は「私はすっごく大ファンです」みたいな感覚。
あなたの大ファンです、と言いたい場合は、I am such a huge/big fan of yours. となりますね。
大ファンだと目の前で騒いでいるレイチェルを見て、有名女優のセシリアは、it's nice to know that you-- と言いかけるのですが、それを言い終わる前に、レイチェルは、「モニカ! モニカ!」と叫んで、隣のモニカの部屋に飛んで行ってしまいます。
セシリアはきっと、it's nice to know that you are (such) a (huge) fan of mine. 「あなたが私の大ファンだと知ることは素敵」、つまり、「あなたが私の大ファンだと知って嬉しいわ」みたいな、お決まりの返事で対応しようとしたのでしょう。
それを言う間もなく、叫んで飛び出して行ったレイチェルの狂喜乱舞ぶりが面白く感じられるわけです。

ジョーイは、「あれは・今のは、俺のルームメイトのレイチェルです」と紹介しています。
that explains all the women's underwear. を直訳すると、「そのことが、あの女性用下着の全部を説明する」になるでしょう。
That explains... の形は「それが…(であること)を説明する」→「それで…の説明がつく」という意味で、よく使われる表現。
このセリフから、セシリアは、このジョーイの家で大量の女性用下着を見たらしいことがわかります。
多分、バスルームとかに置いてあるのを見た、とかでしょうが、「この家に女性用下着があるのは、同居人が女性だからなのね」とセシリアが納得していることになります。
ジョーイは、肩をすくめて、まぁね、みたいに肯定していますが、そのジョーイの様子から、下着の全てがレイチェルのものでもない、みたいな感じが漂っていますね。
昔の彼女が使っていたものとか、忘れていったものとか(?)も入っているのでしょうか、セシリアはジョーイがそれほどのプレイボーイだとも知らないので、「同居人が女性だからか」と素直に納得している、ジョーイも「そう思ってくれてるなら、それでいいや」みたいに適当に肯定しているのが、このセリフの面白さになるでしょう。

レイチェルがモニカを連れてきて、モニカも大騒ぎしています。
そして、「一つお願いを聞いてくれますか?」みたいにお願い事をしていますね。
何をお願いしているかと言うと、「私を slap してくれますか?」
slap は、「〜を平手でピシャリと打つ、たたく」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
slap : to hit someone quickly with the flat part of your hand
つまり、「手の平らな部分で、誰かを素早くたたくこと」。

このように、人の身体の部位をたたく、と言う場合、英語では、"slap me in the face" のように、「slap+人+in the 部位」のような形を取りますね。
たたく対象は誰か、を先に言っておいて、その後で、情報を付け加える形で、場所を in the face 「その人物の顔の中」みたいに言うのが、英語っぽい配置だと言えるでしょう。

このジェシカ・ロックハートというキャラクターは、人の顔をひっぱたくのが恒例となっているキャラで、そのキャラの代名詞とも言うべき「平手打ち、ビンタ」を、お願いだから私にもやってみせて下さい、とお願いしていることになります。
まぁ言うなれば、アントニオ猪木に「闘魂ビンタ」をねだるようなもので(笑)、ファンとしては、「私、ジェシカのビンタもらっちゃった〜!」と自慢できるような話になるわけでしょう。

そういうおねだりをするファンは多いらしく、ジェシカは冷静に返答しています。
I'd love to, but.. は、I would love to, but... ということで、「できることならそうしたいと思ってるんだけど…(残念ながらできないの)」と言っている感覚。
なぜできないかの理由がその後、続いていて、「私の弁護士が言ったの、私(ジェシカ)は今後ビンタをすることができない、って」。
つまり、「今後、ビンタをしちゃいけない、って弁護士に止められたのよ」と言っていることになります。
過去に何度か、ファンにせがまれて、ビンタをしたことがあるのでしょうね。
ですが何しろ訴訟大国のアメリカのことですから、ファンの方からせがんでおいて、後から後遺症が出た、みたいに言う人もいそうな感じはします。
実際に、訴訟まで起こされたかどうかまではわかりませんが、anymore を使って、「もう今後は二度としちゃいけないと言われた」みたいに言っていることからも、少しはトラブルになったこともあるようにも聞こえます。
「してあげたいのはやまやまだけど、弁護士に、もうビンタしちゃいけない、って言われちゃったの…」と言っているところが、アメリカチックで、また有名女優の発言としてもそれっぽいですから、面白く聞こえるわけです。

俳優として大先輩のセシリアに、友達が厚かましいお願いをするのに困ったジョーイは、二人を部屋から出そうとしています。
モニカはそれを振り切って、また戻ってきて、セシリアに向かって、「あなたは、おバカでやな女ね」と喧嘩をふっかけるようなことを言います。
そうやって、セシリア、つまり、ジェシカを挑発して、お得意のビンタを出させようとしたわけですが、セシリアは動揺することなく、「いくらそんな風に挑発しても、ほんとにできないのよ」と説明することになります。
I really can't slap you. の really の位置が、can't という否定語より前にあるので、really は「本当にできない」と「できない」ことをさらに強調しています。
弁護士に止められてると説明したでしょ、あなたが何をどう頑張っても、やっぱりビンタは無理なのよ、と軽く諭している形になるでしょう。
「ちぇ!」みたいに残念そうな顔をしているモニカですが、「あなたって最高ね」と言いながら去って行ったので、そういうファンのあしらい方も有名女優っぽくてかっこいい…みたいに、さらにファンになった様子なのも微笑ましいところですね。


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posted by Rach at 16:54| Comment(0) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月19日

バグパイプを演奏しちゃだめ フレンズ7-15その4

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チャンドラーとモニカの結婚式で、何か出し物をする予定のロス。
ある晩、向かいのアパートに住んでいるロスの部屋から、バグパイプの音が聞こえてくるので、「ロスは結婚式で、あんな下手なバグパイプを演奏するつもりなのか?」と二人は頭を抱えています。
[Scene: Central Perk, Monica and Chandler are sitting on the couch. Ross is sitting on the armchair.]
セントラルパーク。モニカとチャンドラーはカウチに座っている。ロスは肘掛椅子に座っている。
チャンドラー: Well, I feel like a snack! (うーんと、軽食[軽いもの]、食べたいね。)
モニカ: Do you want some shortbread? Eh it's Scottish, like you are. (ショートブレッド[バタークッキー]はどう? あー、スコットランド系(のお菓子)よね、あなたみたいに。)
チャンドラー: Oh, no, thanks. I don't like anything from my Scottish heritage. (あぁ、結構だ[要らないよ]。俺のスコットランド系の伝統のものは、どれも好きじゃないんだ。)
ロス: What?! (何だって?)
チャンドラー: Well, it's just my entire family was run out of Scotland by... Vikings. (ほら、ただ、俺の一族全員がスコットランドを追われたってだけさ…バイキングによって。)
ロス: Oh well, it sounds to me like your family's ready to uh, rediscover its Scottish roots. (あぁ、君の一族は自らのスコットランド系のルーツを再発見する準備ができてるって風に僕には思えるよ。)
モニカ: (interrupting) You cannot play bagpipes at the wedding!! ([話を遮って] 結婚式でバグパイプを演奏しちゃだめよ!)
ロス: How did you know about that?! (どうやって、そのこと(僕が結婚式でバグパイプを演奏しようとしてること)を知ったんだよ?)
チャンドラー: We heard you play all the way from your apartment! (お前が演奏してるのが、お前のアパートから(はるばる)聞こえてきたんだ。)
ロス: Were you the ones called the cops?! (君らなのか、警察に電話したのは?!)

feel like+名詞、は「(飲食物など)が欲しい気がする」、つまり「…を食べたい、飲みたい」という意味になります。
I feel like a beer. なら「ビールを飲みたい」ですね。
snack は「スナック」で、日本語で「スナック」と言うと、パリポリ食べるようなスナック菓子を連想してしまいそうですが、ここでの意味は「軽い食事、軽食」というニュアンス。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
snack : a small amount of food that is eaten between main meals or instead of a meal
つまり、「メインの食事の間に、または食事の代わりに食べられる、少量の食べ物」。

軽食食べたい、と言っているチャンドラーに、モニカは、shortbread 欲しい? ショートブレッドはどう?みたいに言っています。
ショートブレッドとは、研究社 新英和中辞典では、
shortbread=【名】【C】 [料理名には 【U】] バタークッキー 《ショートニングをたくさん入れた厚いビスケットの一種》

その後にモニカが付け加えている情報から、スコットランド系の食べ物であることもわかります。
like you are は、like you are Scottish 「あなたがスコットランド系であるのと同じように」という感じ。
そんな風にわざわざ言っているのは、スコットランド系の楽器であるバグパイプをロスに演奏してもらいたくないから、ですね。
今から3か月前の記事、パイプ・ダウン フレンズ7-9その5 でも、pipe 繋がりでちょこっと触れましたが、「キャンディ・キャンディ」の丘の上の王子様が持っていた楽器、あれがバグパイプ(bagpipe)です^^
キャンディが泥棒の疑いをかけられて、メキシコに送られようとしている時に、アンソニー、ステア、アーチーの3人が「ぼくたちのことをわすれないでおくれ!」と言ってバグパイプを吹いていたのも印象的で、その時の彼らも、丘の上の王子様と同じような民族衣装を着ていました。
そういうことから、アードレー家の人々はスコットランド系なんだぁ、、ということもわかるわけです(脱線、失礼しました)。

スコットランドの伝統を受け継ぐものはどれも嫌いだ、みたいにチャンドラーは言い、その理由として、it's just my entire family... と説明しています。
この it's just は、it's just that... 「ただ…なだけなんだ」の that が省略された形ですね。
ただ、俺たちの一族全員がスコットランドを追われたってだけさ…と言っているのですが、追われた、と言ってみたものの、何に追われたかの説明に困って、とっさに、「バイキングに(追われた)」とか言うのが、コメディーっぽくて面白いです。
昔、「小さなバイキングビッケ」というアニメもありましたがw、日本人にも「バイキング」と言えば、「スカンジナビアの海賊」のイメージは浮かぶので、日本人にもわかりやすいジョークかなぁ、と思います。

「俺の一族は、バイキングに追われ、スコットランドから逃げた」みたいに言って、スコットランドにまつわる話は勘弁してくれ、のように話を持って行こうとしたチャンドラーでしたが、ロスはその話を聞いて余計に、「今こそ、君のスコットランドのルーツを再発見する時じゃないか、その準備ができてるように僕には思えるよ」と、スコットランドの話に戻そうとしています。

「スコットランド系のことは勘弁して」みたいな遠回しな言い方では埒が明かないと悟ったモニカは、単刀直入に、「結婚式でバグパイプを演奏しちゃだめ!」と叫びます。
How did you know about that?! を直訳すると、「どのようにして(どのような経緯で)そのこと(僕が結婚式でバグパイプを演奏する予定であること)を知ったのか?」ということですね。
日本語的には、「(僕はまだそのことを君たちに話してないのに、内緒にしてたのに)どうしてそれを知ってるんだ?」みたいなことですが、「どうして知ってる?」を、Why do you know...? ではなく、How did you know...? と表現するのが、より英語っぽいところだと言えるでしょう。
なぜ?という理由を尋ねているのではなく、どういう手段でそのことを知ったのか?という「知った経緯」を尋ねているわけですね。

We heard you play は「お前が(バグパイプを)演奏するのを聞いた」ですが、その後、all the way from your apartment と続いています。
from your apartment だけだと「お前の部屋から聞こえてきた」ですが、そこに all the way がつくことで、「遠いところからはるばる(音が聞こえてきた)」というニュアンスが出ますね。
向かいのお前のアパートから、こっちまで音が筒抜け、丸聞こえだったんだよ、みたいなことでしょう。
こっそり練習していたのを聞かれていたと知って驚いたらしいロスですが、その次のセリフには笑ってしまいますね。
the ones called the cops は「警察に電話した・連絡した人」なので、Were you the ones called the cops?! は「君たちだったのか、警察に電話したのは?」と言っていることになります。
日本語で言うと倒置で強調するような言い回しで、「君たちだったんだな、警察に電話して、うるさいと通報した人間は?」と言っているわけです。

「お前の演奏が、こっちまで聞こえてたんだよ」と言われたら、「え、あれを聞かれちゃったのか?」と返すのが普通ですが、「じゃあ、お前らか、通報したのは?」と返したことで、ロスが演奏した後、警察にお叱りを受けたことがわかる仕組みになっているわけですね。


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posted by Rach at 16:25| Comment(0) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月17日

You lost me フレンズ7-15その3

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コーヒーハウスのセントラルパークで、レイチェルとフィービーは、魅力的な男性が携帯をテーブルに置き忘れて行ったのを発見。
その携帯を預かれば、きっと本人が電話をかけてきて、そこから恋が始まるかも、、などと企んでいます。
さんざんモメた結果、携帯はレイチェルが預かることになったのですが、そのレイチェルがフィービーの家にやってきます。
レイチェル: How are ya? (調子はどう?)
フィービー: Good. (元気よ。)
レイチェル: Umm Pheebs, remember when we were in the coffee house we decided that I was gonna keep the uh, the cute guy's cell phone? (あー、フィービー、覚えてる? 私たちがコーヒーハウスにいて、あの素敵な男性の携帯を私がキープする(持っておく)って決めた時のことを。)
フィービー: Yeah. (ええ。)
レイチェル: And remember how I said I was gonna keep it in my purse, so that if it rang, I could just pick it up? (で、覚えてる? バッグに携帯を入れるわね、もし携帯が鳴ったら、すぐに取り出すことができるように、って私が言ったことを。)
フィービー: Yeah! (ええ!)
レイチェル: And do you remember going into my purse and stealing the phone?! (そして、覚えてる? 私のバッグの中に手を入れて、電話を盗んだことを?)
フィービー: Ooh, now you lost me. (あぁー、今のはわかんない。)
レイチェル: You stole the phone! (あなたがあの電話を盗んだのよ!)
フィービー: No, I didn't! (いいえ、私は盗んでないわ!)
レイチェル: No? So you're saying that if I called it, it wouldn't ring? (盗んでない? それじゃあ、もし私がその携帯に電話しても、それは鳴らないって言うのね?)
フィービー: No. (鳴らないわ。)
レイチェル: Umm, okay. (ふーん、いいわ。)
フィービー: But while you dial, let me show you the features of my new ringing handbag. (Rachel dials her phone and Phoebe's bag starts to ring.) Oh, it does work! (Rachel grabs the phone and takes it out of Phoebe's handbag.) (でもあなたがダイヤルする間に、私の新しい「鳴るハンドバッグ」の特徴をあなたに見せさせて[紹介させて]。[レイチェルが自分の電話をダイヤルすると、フィービーのバッグが鳴り始める] あぁ、うまく機能してる! [レイチェルは電話を掴み、フィービーのハンドバッグから取り出す])

レイチェルはフィービーに挨拶した後、remember when... 「…した時のこと覚えてる?」と尋ねています。
私たち二人がコーヒーハウスにいた時に、キュートな(魅力的な)男性の携帯を私がキープするって決めたことを覚えてるかしら?ということです。

その次にレイチェルは、remember how... と言っています。
これは、「私がどのようにして…したかを覚えてる?」という感覚ですね。
remember that SV... だと「主語が(動詞)した”こと”を覚えてる?」と言っていることになり、意味としては、ほぼ同じことですが、remember how の方がより口語チックで、「主語が(動詞)した時の”様子”を覚えてる?」と言っている感覚になるでしょう。

I said I was gonna keep it in my purse は「私がその携帯を自分のハンドバッグ(purse)に入れるわ、と言った」。
so that if it rang, I could... は「もし携帯が鳴ったら、私が…できるように」。
携帯が鳴った時に、すぐに電話に出られるように、取り出しやすいバッグに入れておいたのよ、と言っていることになります。

「こういうこと覚えてる?」という質問を繰り返すレイチェルは、次の質問で、ついに一番言いたかったことを尋ねます。
do you remember going ... and stealing は「go して steal したことを覚えてる?」という感覚ですね。
remember doing は「自分が…したことを覚えている」という感覚で、これが他人のことであれば、remember him/his doing のように、動名詞の主語として、目的格、または所有格が必要になってくることにも注意しましょう。

さきほど2つの質問には、「ええ」と肯定していたフィービーですが、この3番目の質問には、否定的な返事をしています。
You lost me. を直訳すると、「あなたは私を迷わせた」という感じでしょうか。
つまり、あなたの言ってること、私わかんない、と言っている感覚になります。

英辞郎では、以下のように出ています。
You lost me back at
(あなたの話が)〜のところで分からなくなった
You lost me back at the tax system.
あなたの話、課税体系のところで分からなくなった。


LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
lose somebody : (informal) to confuse someone when you are trying to explain something to them
例) You've lost me. Can you repeat that?

つまり、「自分が誰かに何かを説明しようとしている時に、相手を困惑させること」。
例文は、「君の説明がよくわからないよ。今のを繰り返してくれる?」

ですからフィービーは、それまでの質問にはイエスと答えていたものの、「バッグを探って、彼の携帯を盗んだでしょ」という質問を聞いた後は、「レイチェルが何言ってるか、あたし、わかんない」みたいにトボけたことになります。

しらばっくれるフィービーに、レイチェルは、So you're saying that 「じゃあ、あなたは…だって言ってるのね」と返しています。
盗んでないって主張するのなら、もし私がその携帯に今電話しても、この部屋でその音が鳴らない、聞こえないって言い張るのね、ということです。

電話なんか鳴らないわ、と頑張るフィービーですが、「あ、でもあなたが電話している間に、あなたに…の特徴を show させて(見せさせて、紹介させて)みたいに言っています。
何の特徴・特長かと言うと、「私の新しい、鳴るハンドバッグ」(笑)。
彼の携帯は鳴らないけど、鳴ると言えば、私のこのおニューのバッグが鳴るのよねー、それを今から見せてあげる、と言っていることになります。
フィービーがそう言ったことで、レイチェルから盗んだ携帯が、今はこのフィービーのバッグに入っていることがわかりますね。
案の定、フィービーのバッグから電話の鳴る音が聞こえるのですが、それでもまだフィービーは、さもバッグが鳴ったかのように言っているのがポイント。
it does work! は「それはうまく機能する、働く」と言っている感覚。
it とは、フィービーが言うところの my new ringing handbag ですね。
レイチェルが電話をかけたら、フィービーのバッグから音が聞こえてきた…その時点でフィービーが携帯を盗んだことがはっきりするわけですが、それでもまだ、「ほら、鳴ったわ。ね、このバッグ鳴るのよ、って言ってたけど、ちゃんと鳴る機能が働いてるのがわかるでしょ」みたいに、この期に及んでまだ(笑)しらを切り続けているところが、フィービーらしい面白さだということです。


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posted by Rach at 16:14| Comment(1) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月15日

もう一度聞くけど名前何だったっけ? フレンズ7-15その2

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ジョーイが出演しているソープオペラ(昼メロ)「Days Of Our Lives (愛の病院日誌)」で、ジェシカ・ロックハートという役が死んで降板することになっています。
ジェシカ役は、セシリア・モンローという女優が演じていることになっていますが、それを演じるのは(ややこしいw)大女優スーザン・サランドン。今回は彼女がフレンズにゲスト出演しているわけです。

有名な女優さんなので、過去記事、ポリティカルなスーザン・サランドン フレンズ3-5その16 では、有名女優として名前を挙げられていて、ロスの「寝てもいい[(恋人から)寝るのを許されている]セレブ」リストの5人に入っていた女優さんでした。
こんな風に、有名な俳優として名前を挙げておきながら、後のエピソードで別人役で登場する、というパターンは、ブルース・ウィリスを始め、フレンズでは何度かあります。

ジェシカの脳を移植されることになっている(笑)ジョーイは、ジェシカという役柄を演じるコツを教えてもらおうとするのですが、自分が降板させられると知らなかったジェシカ役の女優セシリアに、逆に怒られてしまいます。
しばらく後、セシリアは、あなたの言っていた情報が正しかったと言って、ジョーイに話しかけています。
セシリア: (walking up) You're absolutely right. They are writing me out of the show. They don't know exactly when it's going to happen, but apparently going to be very soon and then that's it. ([歩いて近づいて来て] あなたは全く正しいわ。彼ら(脚本家たち)は私を番組から外すように脚本を書いてるの。それがいつ起こるのか正確にはわからないけど、でも、どうやらそれはすぐみたい、そして、それでおしまいよ。)
ジョーイ: I'm so sorry. Look, if it was up to me, you would never leave the show. (ほんとに残念です。あの、もし俺に一任されてたら、あなたが番組を去ることは絶対にないですよ。)
セシリア: Yeah, thanks. (えぇ、ありがと。)
ジョーイ: No, I mean it! I can't believe they would do this to you! And to your fans! I mean they're gonna be devastated! Heartbroken! They love you so much! (違います、俺は本気で言ってるんですよ! 彼らがあなたに対してこんなことするなんて信じられない! それにあなたのファンに対しても! だって、ファンは絶望しますよ! 胸が張り裂けますよ! ファンはあなたをものすごく愛してるのに!)
セシリア: Oh, you're right. Thank you! What's your name again? (あぁ、あなたは正しいわ。ありがとう! もう一度聞くけど、あなたの名前、何だったっけ?)
ジョーイ: Joey. (ジョーイ。)
セシリア: Joey, well, thank you. That is so sweet. (ジョーイ、ありがとう。今のはとっても優しかったわ。)

They are writing me out of the show. について。
they は、この番組の脚本家、つまり、writers のことですね。
直訳すると、「私(ジェシカ役のセシリア)を、番組からアウトするように書く、私を書いて番組からアウトさせる」みたいな感覚になるでしょう。
もう少し日本語っぽく言うと、「私を番組から外すような形で、脚本を書いている」みたいになるでしょうか。
脚本家も、それ(ジェシカの降板)がいつになるかははっきりとは知らないけど、どうやら very soon らしい、とも言っていますね。
That's it. はいろいろなニュアンスで使われますが、ここでは「それでおしまい、それで終わり」という感覚になります。

その話を聞いてジョーイは、I'm so sorry. と言っていますね。
彼女が降板するのはジョーイのせいではないので、別にこれは謝っているのではなく、彼女に深い同情を示しているセリフになります。

if it was up to me, you would never leave the show. は典型的な仮定法過去の文章ですね。
up to somebody は「人次第で」。
It's up to you. なら「君次第だ。あなたに判断をお任せします」という意味の決まり文句ですね。
つまりジョーイは、「もし俺にドラマの決定権が任されていたら、あなたが番組を去ることは決してないだろう」と言っているわけです。
実現不可能な仮定で、「俳優の俺にそんな権限はもちろんないけれど、もしも俺なら、あなたを降板させたりなんか絶対しないのに」と言っていることになります。

それに対してセシリアは、Thanks. と言っていますが、これは「慰めてくれてありがとね」くらいの軽いお礼ですね。
そういうニュアンスを感じたジョーイは、No, I mean it! と強い調子で言っています。
こういう場合の I mean it! は、「俺は冗談とかお世辞とかじゃなくて、本心から、本気でそう言ってるんです!」というニュアンスになります。

ジョーイは真剣に、「脚本家たちがあなたに対してこんなことをするなんて信じられない。あなたのファンに対しても、ですよ」みたいに言っています。
あなたを降板させるなんて、あなたにも、そしてあなたのファンにも失礼なことじゃないですか!みたいに力説しているわけですね。

devastated は、「打撃を受ける、打ちのめされる」。
Heartbroken は文字通り「心が壊される」なので、「心が痛む、胸が張り裂ける」みたいなこと。
ファンのみんなはあなたをとっても愛してるのに!とまで言われたセシリアは、さすがに胸を打たれたようで、さきほどのようなそっけない感じではなく、心から感謝するように心を込めてありがとう、と言っています。

What's your name again? は、最後の again がポイントですね。
このシーンより前に、「あなたの脳をもらう役を演じることになって」と話しかけた時に、ジョーイはすでに自己紹介を済ませています。
その時には、降板するという事実を知らなかったセシリアを怒らせてしまったのですが、そんなこともあったし、また元々、大女優である自分はこんな売れてない俳優の名前をいちいち覚えてられないわ、みたいな尊大な感じもある人ですから、聞いたはずのジョーイの名前をすっかり忘れていたようです。
ですが今のジョーイのセリフに打たれ、確か前に名前を聞いたはずだけど、申し訳ないけど忘れちゃったわ、という気持ちを込めて、again 「もう一度聞くけど、あなたの名前は何だっけ?」と言っているのですね。
こういう場合、What was your name again? のように、過去形で表現することも多いですね。
「前にも聞いたけど、あなたのお名前何でしたっけ?」みたいなニュアンスになるわけです。
一度聞いた名前を再度聞き直すのは、相手に対して失礼なことにはなりますが、このようにせめて again を付けておくと、「確か前にも聞いたわよね、それは覚えてるけど、度忘れしちゃって」みたいな感じで、少しは失礼さが和らぐ、という効果があるように思います。


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posted by Rach at 17:33| Comment(0) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月12日

すごいことが仕事でも私生活でも フレンズ7-15その1

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シーズン7 第15話
The One Where Joey Gets A New Brain (ジョーイの脳は大女優)
原題は「ジョーイが新しい脳をゲットする話」


チャンドラーとモニカの部屋に、ジョーイが嬉しそうな顔で入ってきて、
ジョーイ: So I just talked to one of the DOOL writers today, and-- (でさ、今日、ちょうど DOOL (ドゥール)のライターの一人と話してたんだけど、でね…)
モニカ: What is DOOL? (ドゥールって何?)
ジョーイ: Days Of Our Lives. Anyway, you're not gonna believe it! My character is coming out of his coma!! (デイズ・オブ・アワ・ライブズ(「愛の病院日誌」)だよ。とにかく、みんな信じられないぞ! 俺のキャラクターが昏睡から目覚めるんだ!)
みんな: Oh!! (おぉー!)
チャンドラー: That's great! (それはすごいな。)
ジョーイ: And-and-and not only that, I'm gettin' a new brain!! (で、それだけじゃないんだぞ。俺は新しい脳を手に入れるんだ!)
チャンドラー: So great things are happening at work and in your personal life! (それじゃあ、すごいことが起こるんだな、仕事で、そして、私生活で!)
レイチェル: Wait, what do you mean you're getting a new brain? (待って、どういう意味なの、あなたが新しい脳を手に入れる、って。)
ジョーイ: Oh well, they're killing off one of the characters on the show, and when she dies her brain is being transplanted into my body. (えーっと、番組でキャラクターの一人が死んで降板させられるんだ、で、彼女が死ぬ時、彼女の脳が俺の体にに移植される予定なんだよ。)
ロス: What? A brain transplant?! It's ridiculous! (何だって? 脳移植? ばかげてるよ!)
ジョーイ: Well, I think it's ridiculous that you haven't had sex in three and a half months. (ふーん、ロスが3ヶ月半もエッチしてないこと(の方)が、ばかげてると俺は思うけどね。)
ロス: (to Monica and Rachel) It's winter. There are fewer people on the street. (Rachel and Monica smile and nod, knowingly.) ([モニカとレイチェルに] 今は冬だ。通りには(他の季節と比較して)人がほとんどいないんだよ。[レイチェルとモニカは微笑み、わかるというようにうなずく])

ジョーイは部屋に入ってくるなり、DOOL のライターの一人と話をしてたんだけど、みたいなことを言っています。
DOOL は「ドゥール」みたいに発音していますね。
聞き慣れない言葉なので、モニカは、ドゥールって何?と聞き返すと、ジョーイは、Day Of Our Lives のことだよと答えます。
自分が出演しているソープオペラ(昼メロ) Day Of Our Lives 「愛の病院日誌」の略称だったのですね。
フレンズたちにしてみれば、んな略称知るかよ、というところでしょうが、おー、なるほどそれのことねー、とうなずいてあげているのも微笑ましいところ。

My character is coming out of his coma!! の coma は「昏睡(状態)」で、文字通り、「俺の演じているキャラクターが、昏睡状態から出る予定である」、つまり「昏睡状態から覚める予定だ」と言っていることになります。
and not only that 「そしてそれだけじゃなくて」と、さらに興奮した様子で続けて、 I'm gettin' a new brain!! と言っていますね。
あまりにも漠然とした表現過ぎて、聞いているフレンズたちも正直意味不明だったでしょうが、チャンドラーはここぞとばかりに嬉しそうにツッコミを入れています。

その So great things are happening at work and in your personal life! について。
前から順番にイメージしていくと、「それじゃあ、すごいこと(複数のこと)が起こる予定なんだな、仕事で、そして、お前の私生活で!」ということになるでしょう。
特に、and の部分をチャンドラーは強めに発音しています。
and の前までの前半部分は普通のリアクションで、それだけ聞くと、「そっかー、じゃあ、お前は仕事ですっごいことがいろいろ起こるんだな」と言っていることになりますね。
「新しい脳を手に入れる」という突拍子もない話ですから、聞いているフレンズたちも、詳しい事情はわからないまでも、それがドラマの中での出来事であるという理解はしているはずでしょう。
そういう意味で、「昏睡から目覚めて、新しい脳を手に入れる、って、仕事場であるドラマの中では、すっごいことが起こるんだな」と言っているとすると、ごく普通の反応になるわけです。

が、そこにわざわざ、「で、お前の私生活でも!」と付け加えることで、「新しい脳を手に入れる」という話は、ドラマの中の俳優としての話ではなく、ジョーイ本人の話だと理解しているように聞こえるわけですね。
「そっかー、ジョーイは新しい脳をゲットするのかー、これからのお前の私生活、がらっと変わるんだなー」みたいに言ってみせたところが、チャンドラーらしいジョークになっているということです。

レイチェルは真面目に、「新しい脳を手に入れる、ってどういう意味?」と問うています。
その次のジョーイの説明のセリフ、they're killing off... について。
they というのは、番組制作者を漠然と指すニュアンス。
番組上で、キャラの一人を kill off する予定だ、と言っていますが、kill off は文字通り「殺して、オフにする」みたいな感覚。
出番があるのが on で、出番がないのが off と理解すればわかりやすいでしょう。
キャラを物語の中で死なせることで、出番をオフにして、降板させる、ということになります。
そして、そのキャラ(女性)が死ぬ時、彼女の脳が俺に移植される予定だ、とも言っていますね。

a brain transplant 「脳移植」と聞いて、古生物学者という科学者のロスは、「ばかげてる」とあきれています。
いくらドラマと言ったって、脳移植なんて非科学的すぎる、と言いたいようですね。
ridiculous だとバカにされたジョーイは、「ふーん、俺はこっちの方がばかげてると思うけどなー」みたいに言って、ロスのことを言っているのですが、その内容が「お前が3ヶ月半、エッチしてないってことがばかげてると俺は思うよ」。

どうして3ヶ月半という、そこまで詳しい期間(笑)を知っているんだ、と笑ってしまうわけですが、プレイボーイのジョーイにしてみれば、「俺のドラマのことをばかげてるとか言う前に、自分の恋愛関係のことをちっとは反省してみろよ」みたいに言いたいわけでしょう。
それだけでも十分、ジョークのオチとしては面白いと思うのですが、続くロスのセリフがさらに面白さを上乗せしていますね。
「そうなんだー、ロスってもう3ヶ月半もエッチしてないんだー、彼女いないんだー」みたいに女性陣に見られてしまったので、その女性陣に向かって、「今は冬だ。通りに人がいないんだ」みたいに言い訳していることになります。
脚本の面から考えると、3ヶ月半という期間をジョーイにセリフとして言わせたのは、「今は冬だから」というオチのセリフを持ってくるためだった、とも言えそうです。
誰かとの新しい出会いを、と思っても、ここしばらく冬だったから、みんな外を歩いてない、だから出会いようがないんだよ、別に僕のせいじゃないんだよ、と言いたいわけですね。


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posted by Rach at 16:20| Comment(0) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月10日

ただ楽しめるという時期は過ぎた フレンズ7-14その6

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レイチェルの誕生日。30歳になって落ち込んでいるレイチェルに、恋人のタグが慰めの言葉をかけています。
タグ: How are you doing? Are you feeling any better? (調子はどう? 少しは気分が楽になった?)
レイチェル: Yeah, I'm doing okay. I'm um.... Let's talk. (えぇ、私は大丈夫よ。あの…話しましょうか。)
タグ: Okay. (They sit on the step.) (わかった。[二人は段(廊下の段になっているところ)に座る]
レイチェル: Umm.... (あの…)
タグ: What's up? (どうしたの?)
レイチェル: Ohh, Tag, umm... you're such a great guy. And we have sooo much fun together. But I don't- I don't-- (あぁ、タグ、あの…あなたはとっても素敵な人よ。そして私たちは一緒にいてとっても楽しいわ。でも私は、私は…)
タグ: Wait! I think I see where you're going. But before you say anything else, can I just say one more thing? (Kisses her.) (待って! 君が何を言おうとしているのかわかる気がする。でも何か他のことを言う前に、僕から一言言ってもいいかな? [レイチェルにキスする])
レイチェル: Well said. And a uh good example of the fun I was referring to uhh... But I just think I'm past the point where I think I can y'know, just have fun. (いいこと言うわね[言えてるわね]。そして、(今のは)私が言っていた、楽しさの良い例だったわ。でも私はただこう思うの、私はもう、ただ楽しめると思えるところは過ぎた、って。)
タグ: Rachel, don't do this. This is just because you're turning thirty. (レイチェル、こんなことしないで。これはただ、君が30歳になったって理由だけだろ。)
レイチェル: Yeah, it is! But you're just a kid! I mean, you're 25! (そうよ! でもあなたはほんの子供だわ! だって、あなたは25歳なんだもの。)
タグ: Twenty-four, actually. (24歳だよ、実際は。)
レイチェル: Oh, God! Y'know what I wish? I wish you were six years older. Well actually, if I'm wishin' for stuff, I actually wish I was six years younger. (なんてこと! 私が何を願ってるかわかる? あなたが今より6歳上なら良かったのに。そうね、実際には、もし私が何かを望むとしたら、実際にはこう願うわ、私が今より6歳若いなら良かったのに、って。)
タグ: Me too. (僕もだよ。)
レイチェル: Yeah, I'm sorry. (They hug.) (そうよね、ごめんなさい。[二人はハグする])

タグはレイチェルの気分はどうかを尋ねています。
Are you feeling any better? は「少しは気分がましになった?」みたいな決まり文句ですね。
比較級に any がつくことで、「少しは、いくらか」というニュアンスを出すことができます。
I'm doing okay. は「私は大丈夫よ」という感覚。
気分がいい、ってほど good ではないけれど、悪くはない、大丈夫、みたいなことになるでしょう。

レイチェルが、Let's talk. と言って、廊下の段に座るように促し、Umm.... と言いよどんでいるので、タグもレイチェルの様子を心配しています。
レイチェルが、「あなたはとっても素敵な人で、一緒にいると楽しい。でも…」と言うので、タグもレイチェルが何を言おうとしているのか気付いたようで、先回りするようなことを言っています。

I think I see where you're going. は「君がどこに行こうとしているのかわかる、と僕は思う」という感覚。
つまり、この先の話の展開がわかる、君がこの次、何を言おうとしているのかわかる、ということですね。
この I see where you're going. というのは決まり文句で、会話ではよく出てきます。
「あなたは素敵で二人でいると楽しいわ、でも…」と来たら、レイチェルが別れ話を切り出そうとしていることはタグにもわかるので、「君が言おうとしていることはわかるけど、君が何かを言うその前に、僕からもう一言、言ってもいいかな?」みたいにタグは言って、その後、無言でキスをします。
言葉で言うより、これで僕の気持ちがわかるだろ、みたいなことですね。

そのキスをうっとりした顔で受けたレイチェルが、Well said. と言っているのが面白いです。
Well said. を直訳すると、「上手に・うまく、言われた」になるでしょうか。
ある言葉がうまく言われた、という感覚で、英辞郎には以下のように出ています。

Well said.
うまいいい方だね。/そのとおりだ。/言えてる。


LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
well said! : (spoken) used to say that you agree with that someone has just said, or that you admire them for saying it
つまり、「誰かがたった今言ったことに同意する、または、それを言ったことでその人を称賛する、と言うために使われる」。

実際にはこのように、「誰かがたった今言ったこと」に対して、「今の(発言)いいわね、その通りね」のように使うわけですが、「僕から先に一言、言わせて」と言って、言葉の代わりにキスしたことを受けて、「今の”言葉” いいわね」みたいに返したことになるわけで、なかなか洒落た返しだなぁ、と思います。

Well said. と言った後、And a good example of the fun I was referring to. とも言っています。
refer to は「言及する」なので、「私が(少し前に)言及していた楽しみ(the fun)の良い例ね」と言っていることになります。
あなたと一緒にいると楽しい、って私は言ったけど、その「私が言った楽しいってことの好例」が、今あなたがくれたキスなのよ、と言っているわけです。

そう言って、タグのキスが素敵であることを認めた上で、次に正直なところを述べていますね。
その But I just think I'm past the point where I think I can y'know, just have fun. について。
長いので、前から順番にイメージしていきますと、

でも私はただこう思う。私はそのポイントを過ぎた、って→(どういうポイントかと言うと)私がほら、ただ楽しめることができる(ようなポイント)

と言っている感覚になるでしょう。
日本語っぽい語順にすると、「ただ楽しめるっていうポイント・地点・場所は、もう過ぎたと思えるのよね」みたいなことですね。
一緒にいると楽しいし、キスもこんなに素敵…だけど、私はもう、楽しいとか素敵とか、それだけを楽しめる時期は過ぎちゃったのよ、もう楽しいとかだけ言ってられない年齢になっちゃったのよ、と言っていることになるでしょう。

「楽しいってだけじゃ、もうだめなの」みたいに言うレイチェルに、タグは、Don't do this. と言っています。
「こんなことしないで」というのは、今、タグと別れようとしていることを指しますね。
This is just because... は「これは…だからだ」という感覚。
turn thirty 「30歳になった」という理由だけで、こんなこと、つまり、レイチェルは僕と別れようとしてるんだよ、ということですね。
レイチェルはそれを肯定して、「ええ、私がこんなことを言うのは、30歳になった、という理由だけからよ」と言い、「でもあなたはまだほんの子供なんだもの。だって25歳なんだから」と言っています。
それに対して、「いや、実際のところは、まだ24歳なんだけど」と厳密に年齢を訂正するのは、コメディーっぽいところです。

タグは24歳で、自分は30歳だということを再確認した上で、レイチェルは「あなたが(今のあなたより)6歳上なら良かったのに」と言っています。
この I wish you were... は「実現不可能な願望を述べる」という典型的な仮定法過去ですね。
私が学生時代には、I wish I were a bird. 「私が鳥だったら良かったのに」みたいな例文で覚えたりしたものですが、年下の彼氏を持つ女性が「あなたの年齢が、あと6歳上なら良かったのに」みたいに言うほうが、よりリアルで(笑)、仮定法過去のニュアンスもつかみやすいのではないかなぁ、と思ったりします。

そう言った後、Well actually, if I'm wishin' for stuff と言って、I wish の内容を言い直しているのも興味深いですね。
wish for... は「…を望む、願う」。
研究社 新英和中辞典には、以下のように出ています。

wish
【自】 〔+for+【(代)名】〕〔容易に得られ(そうに)ないものを〕望む、願う。欲する (注:受身可)
We all wish for peace [happiness]. みな平和[幸福]を願う。
I have nothing left to wish for. ほかにほしいものはもう何もない。


「あなたが6歳上なら良かったのに」という言葉をふと口にした後、「実際にもし、私が何かを願っている・望んでいるとしたら」と言ったわけですが、それはつまり、「今、自分は願望を口にしたけど、もし本当に何かを願うとしたら、今言った内容より、こっちの方を願うわね」と、願い事を変更した感覚になるでしょう。
「どうせ望むなら、こっちの方が嬉しいわ」という感じです。
どう変更したかと言うと、「私が、今より6歳下なら良かったのに、私があと6歳若ければ良かったのに」。
30歳になったことでショックを受け、大好きな恋人が自分より6歳年下であることを改めて実感したレイチェルは、どうせなら、「タグが今より6歳上で二人が同い年の30歳」よりも、「私が今より6歳若くて、二人が24歳の同い年カップル」だったら、もっと幸せなのに、こんな気持ちにならなくて済んだのに…ということですね。
願い事を1つするとすれば、「タグを6歳上に」じゃなくて、「レイチェルを6歳若く」してもらう方が、レイチェル自身が若返って、タグと同い年になる、という一石二鳥だわ、と気づいた感覚になるでしょう。
そんな風に、コメディーっぽく願望を言い換えたレイチェルですが、レイチェルの決心は変わらず、この二人はハグをして、このまま別れることになります。

女性は年齢ネタに敏感な生き物ですが(笑)、こういうシーンのセリフは、女性の本音を述べたものが多いので、いろいろと勉強になりますね。
"I'm past the point where I think I can just have fun." などは、人生の節目に思いがちなことかなぁ、と思ったりします^^


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posted by Rach at 18:04| Comment(4) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月08日

今のでリストから1つ消せる フレンズ7-14その5

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30歳の誕生日を迎えたばかりだと思っていたのに、双子の姉アースラに「私たちは今31歳よ」と知らされ、ショックが隠せないフィービー。
フィービー: Plus, it totally ruined my schedule! I... I haven't done any of the things I wanted to do by the time I was 31! (それに、(私が31歳だってことが)予定を完全にめちゃくちゃにしたのよ。私…私が31歳までにしたかったことのどれもまだしてないのよ!)
ジョーイ: Like what? (例えばどんな?)
フィービー: Like, okay, I-I-I, I haven't met any Portuguese people! I, I haven't had the perfect kiss! And I haven't been to sniper school! (例えばほら、私はまだポルトガル人に会ったことがない。完璧なキスもしたことがない。それに、スナイパーの学校に通ったこともない。)
モニカ: Phoebe, y'know why don't we just go upstairs and have some birthday cake? (フィービー、ほら、とにかく上に行って、誕生日ケーキを食べましょうよ。)
フィービー: No, I just feel like being by myself for a while. All right? I'll see you guys later. Thanks. (Gets up and exits.) (いいえ、私はただしばらく一人になりたい気分なの、いい? みんな、また後でね。ありがと。[立ち上がり(セントラルパークを)出て行く])
レイチェル: Hey. (After she leaves.) Oh, poor Pheebs. (ねえ。[フィービーが出た後で] あぁ、かわいそうなフィービー。)
ジョーイ: Hey, y'know what you guys? I think I'm gonna go walk her home. (Gets up and runs out.) (ねえ、あのさ。俺、彼女を家に送って行こうと思うんだ。[立ち上がり、走り出す])
モニカ: Oh, man! (あぁ、なんてこと。)
チャンドラー: What? (何?)
モニカ: He's gonna eat the cake! (ジョーイはケーキを食べる気だわ!)
[Cut outside, Joey is catching up with Phoebe.]
外に場面がカット、ジョーイはフィービーに追いつく。
ジョーイ: Pheebs! Wait up! (She stops.) Listen uh, close your eyes. (She does so and Joey passionately kisses her.) Maybe that's one thing you can cross off your list. (フィービー! 待って! [フィービーは立ち止まる] ねぇ、あの、目を閉じて。[フィービーは目を閉じる。ジョーイは情熱的にフィービーにキスする] 多分、今のは、リストから消すことができることの1つだよね[今ので、1つリストから消せるよね]。)
フィービー: Oh, yeah. (ええ、そうね。)
(Joey starts to walk away, but stops.)
ジョーイは歩いて立ち去ろうとするが、立ち止まって。
ジョーイ: Oh, and plus, I'm 1/16th Portuguese. (あぁ、それプラス、俺は16分の1、ポルトガル人だから[ポルトガル人の血が入ってるから]。)
フィービー: Oh! (Phoebe walks away smiling.) (まぁ! [フィービーは微笑みながら歩いて去って行く])

30歳だと思ってたのに、実際は31歳だとわかったことで、私の予定(スケジュール)が完全にだめになっちゃった、みたいにフィービーは言っています。
31歳になるまでの間に私がしたいと思っていたことのどれもまだしてない、とも言っていますね。

Like what? は、「例えば、どんな感じのこと?」というニュアンス。
具体的にどんなことか内容を教えてよ、という感じです。
フィービーは、I haven't p.p. (過去分詞)という現在完了形を使って、「私はまだ〜していない」という内容を3つ説明しています。
つまりそれが、31歳になるまでにしたかったことだということになります。

1つ目は「私はポルトガル人に会ったことがない」。
なぜにポルトガル人??とも思ってしまうところですが、そこでポルトガルという国を出してきたのが、アメリカ人にとっては絶妙なチョイスなのでしょうね、きっと。
移民の多いアメリカ人にとっても、ポルトガル人はちょっと珍しいというイメージがあるのかもしれません。

2つ目は「私は完璧なキスをしたことがない」。
これまでフィービーの恋人だった人たちに対して失礼な発言とも言えそうですが(笑)、とにかくフィービーは the perfect kiss と思えるようなキスを経験したことがない、と思っていることがわかります。

そして3つ目は「私はスナイパーの学校に通ったことがない」。
ゴルゴ13にでもなるつもりか!と、ツッコみたくなる発言ですが、この3つ目は、典型的なコメディーのオチっぽくて楽しいですね。
波瀾万丈の人生を歩んできたフィービーなら、スキルの一つとしてスナイパーの資格を持っていてもおかしくない、みたいに妙に納得できるキャラであることも、このセリフを面白くしているわけでしょう。

ないないづくしで、3つの「まだしてないこと」を挙げたフィービーをなだめるように、モニカは、上の部屋に行って、ケーキを食べましょ、と誘っています。
ですがフィービーは、「私はしばらく一人になりたい気分なの」と言って出て行ってしまいます。
そんなフィービーを見て、レイチェルは、Oh, poor Pheebs. 「あぁ、かわいそうなフィーブス(フィービー)」と言っていますが、この poor は、最近の記事、かわいそうに Poor thing フレンズ7-13その4 で説明した、Poor thing. 「かわいそうに」の poor と同じニュアンスになります。

その後、ジョーイが「俺、フィービーを家まで送ってくるわ」みたいに言って、店を出ます。
モニカは、「ジョーイは部屋に先に行って、さっき私が話題に出したフィービーの誕生日ケーキを、先に食べちゃう気だわ」などと言うのですが、ジョーイは本当にフィービーを追いかけ、声をかけています。

この後は、優しいプレイボーイであるジョーイの真骨頂、という感じですね。
Close your eyes. 「目を閉じて」と言って、ジョーイはフィービーに情熱的なキスをして、その後、Maybe that's one thing you can cross off your list. と言っています。

cross off は文字通り「クロスして、オフにする」みたいなことで、「(リストなどに書いてある名前や項目)に線を引いて消す」という意味になります。
クロス(cross)という言葉には、「交差」「十字」「十字架」などの意味がありますが(「超人バロム・1」の「バロム・クロス!」とかw)、ここでの動詞の cross は「×(バツ)印をつける」というよりは、「横線を引く」という感覚になります。
across などと同じく「横切る」という感覚で、cross the border なら「国境を越える」とう意味ですね。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
cross off [phrasal verb] :
cross something off / cross off something : to draw a line through one or more things on a list because you have dealt with them or they are not needed anymore
例) Cross off their names as they arrive.

つまり、「リスト上の1つ、またはそれ以上のものの上に線を引くこと、それらの処理・対応が済んだ、またはもうそれらが必要ないという理由で」。
例文は、「彼らが到着したら、名前を線で消しなさい」。

ですから、ここでのジョーイのセリフ、Maybe that's one thing you can cross off your list. を直訳すると、「多分、それ(今のキス)は、「フィービーが31歳までにやりたかったことリスト」から消せる一つのことだね」みたいになるでしょう。
今のキスで、リストから項目を1つ消すことができるよ、だって今の俺のキスは、the perfect kiss だっただろ?みたいなことで、プレイボーイのジョーイならではのセリフということになりますね。
フィービーもそれは否定せず、嬉しそうな顔でうなずいています。

ジョーイとフィービーは恋人同士でもないのに、そういうロマンティックなキスをしたことが(私が思い出す限り)これまでに2回ありました。
1つ目は、フレンズ1-17 で、フィービーがアースラのふりをして、優しく別れの言葉を告げてキスをする、というシーン。
そして、2つ目は、フレンズ2-24その3 で、キスシーンの演技に問題あり、と言われたジョーイのために、フィービーがキスの練習台になってあげた(!)というシーンでした。
その時のジョーイのキスについて、
フィービー: Good. Very good. Firm, but tender. I'd recommend you to a friend. (素敵。とても素敵よ。揺るぎない、でも、優しい。私ならあなたを友達にお勧めできるわ。)
とまで言っており、ジョーイはやっぱり、a good kisser 「キスがうまい人」であることが証明された場面でした。

そういう a good kisser のジョーイが、落ち込んでいるフィービーのお願いを1つ叶えてあげるために、今回、とびっきりのキスをしてあげたわけなので、彼のテクニック(笑)、プラス、彼のフィービーを想う優しい気持ちが合わさった今回のキスは、the perfect kiss と呼べるものであったでしょうね。
フィービーの照れたような可愛い笑顔も、それをよく表している気がしました。

キスの後、立ち去ろうとするジョーイですが、立ち止まって、あることを言っています。
ネットスクリプトでは、"Oh, and plus, I'm 1/16th Portuguese." 、DVD英語字幕では、"Plus, I'm one-sixteenth Portuguese." と表記されていましたが、1/16 は「16分の1」ということで、発音は、「ワン・シックスティーンス」のようになります。
「俺は、16分の1 ポルトガル人なんだ」ということで、高祖父母(4親等の直系。曾祖父母の父母)の誰か1人がポルトガル人の場合、ポルトガル人の血が 16分の1 になるということで、1/16th Portuguese になるわけですね。
ジョーイはイタリア系アメリカ人ですが、実はちょっとポルトガル人の血も受け継いでいるんだ、と言っていることになります。

「ポルトガル人にまだ会ったことない」と嘆いていたフィービーですが、「完璧なキス」という2番目の願いを叶えてあげた後で、「あ、それで俺さ、ちょっとだけポルトガル人の血が入ってるから」のように、1番目の願いももしかしたら叶ったって言ってもいいんじゃない?みたいに言ってみせたところが、なんとも洒落て(しゃれて)いますよね。
残すは、スナイパースクールに通うだけになった(笑)フィービーの幸せそうな顔が印象的です。

ジョーイとフィービーの関係はフレンズの中でも独特のものがあり、「友達なのにそんなロマンティックなキスするかぁ〜?」と言いそうにもなるのですが、今回のシーンについては、そういう気持ちを通り越して、とにかく微笑ましく温かい感じがしました。
男3人女3人が親友である「フレンズ」というこのドラマは、それぞれの恋愛が描かれると同時に、このような男女間の友情のシーンもあるのが魅力だと思うのですが、今回のシーンもその一つかな、と思います。


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posted by Rach at 15:53| Comment(0) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年04月05日

over the hill フレンズ7-14その4

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フレンズたちが、30歳になったレイチェルにプレゼントをあげているところ。
チャンドラーとモニカは今は(婚約した)カップルなので、二人で一つのプレゼントをレイチェルにあげます。まずはカードを読んで!と嬉しそうなチャンドラー。
レイチェル: Okay. (Opens the card and reads it.) "Happy birthday, Grandma! It's better to be over the hill (starting to cry) than buried under it. (Breaks down as everyone glares at them.) All our love, Monica and Chandler." (Crying) That's funny, yeah! (わかったわ。[カードを開けて、それを読む] ”誕生日おめでとう、おばあちゃん! 峠を越えるのは、いいよね [泣き出す] その丘の下に埋められるよりは。 [レイチェルは泣き崩れ、みんなは二人(チャンドラーとモニカ)をにらむ] 私たちの愛すべてを込めて、モニカとチャンドラーより” [泣きながら] それって面白いわ、そうよ!)
チャンドラー: No-no-no-no! That was the joke! (違う違う違う違う! それはジョークだったんだよ!)
レイチェル: (crying) No, I know! I get it! It's funny! ([泣きながら] いいえ、わかってるの! わかってる! 面白いわ!)
チャンドラー: No, because you're not a grandmother! (違うよ、だって君はおばあちゃんじゃないだろ!)
レイチェル: No, I know, because to be a grandmother, you have to be married and have children and I don't have any of those things. That's why it's so funny. I'm just gonna go.... (Runs into her room crying.) (いいえ、わかってるの。だって、おばあちゃんになるためには、結婚して子供を産まないといけないのよ。そして私はそれらのどれもまだしていない。だから面白いのよ。私は(ただ)もう行くわね… [泣きながら自分の寝室に走って入る])
モニカ: All you had to do was buy the card! (あなたがしなくちゃならなかったことは、カードを買うことだけだったのよ!)

レイチェルは、チャンドラーとモニカからのプレゼントについていたカードの文章を、声に出して読み上げ始めます。
いきなり、Happy birthday, Grandma! と来たので、笑いが起きていますね。
grandma は、grandmother 「おばあちゃん」の略ですね。
d- の音は発音せず、「グランマ」となります。
自分のおばあちゃんに対しての呼び掛け語としても使うので、まさに、「誕生日おめでとう。おばあちゃん!」みたいな感じですね。
もちろん、30代の大台(笑)に乗ったことを、ジョークっぽく言っているわけですが、30代になったことにショックを受けている女性にとっては、あまりと言えばあまりのご挨拶と言えるでしょう。
最初からこの調子ですから、この後も年齢をネタにしたキッツい感じのジョークが続くであろうことは、容易に想像できますね。

It's better to be over the hill than buried under it. について。
これは、better ... than という比較級の文章ですね。
It's better to be over the hill than to be buried under it. のように、「それの下に埋められる(buried)こと」よりも、「over the hill すること」の方がベター(より良い)と言っていることになります。

hill は「丘、坂」なので、over the hill は「丘・坂を越えて」というニュアンス。
そこから、「(病気などが)峠を越して」という意味にもなり、また「全盛期・盛りを過ぎて」という意味にもなります。
良い意味でも悪い意味でも、一番のピークを越える、ピークを過ぎる、という意味になるわけですね。

研究社 新英和中辞典では、
over the hill 《口語》
(1) 〈病気など〉とうげを越えて、快方に向かって
(2) 〈人が〉青春[全盛期]が過ぎて、初老を迎えて
As a poet he was over the hill at twenty. 彼は詩人としては20歳で盛りを過ぎていた。


後半の buried under it の it は、前の文章の the hill のことで、「丘の下に埋められる」という意味になります。
bury は「ベリー」と発音することにも注意しましょう。
そのカードの言葉は、「丘を越えるってことはいいよね、丘の下に埋められるよりは」と言っていることになり、それはつまり、「全盛期・盛り・ピークを越えることはいいよね、死んで丘の下に埋葬されるよりは」と言っていることになるわけです。
hill を使った慣用句の後に、hill を使って「死」を意味する表現を入れて、「年を取るのも悪くないよ、死んでしまうよりはまだましだろ」みたいにかなりのブラックジョークにしているわけですね。

ト書きの break down は「泣き崩れる」で、あまりにもキツすぎるジョークのカードを送ったチャンドラーたちを、他のフレンズたちは睨んでいます。
このエピソードの冒頭部分、30歳になった人への禁句 フレンズ7-14その1 で、レイチェルの恋人タグが、「30歳になってショックを受けているレイチェルに言ってはいけない言葉」を説明していましたが、それは、
the words "old" or "downhill" or "They still look pretty damn good" (「年とった」とか「下り坂」とか、「それ(胸)はまだすっごくいい感じに見えるじゃん」という言葉)
でしたね。
old とか downhill って言葉を使うな!とあれほど注意したのに、カードの文面にそれと同じ流れの、Grandma や over the hill という言葉が登場しているというデリカシーのなさにあきれ、みんなはチャンドラーたちをにらんでいるわけです。

カードの文面にショックを受けながらも、レイチェルは、それって面白いわ、と泣き笑いのような顔になっています。
I know. 「わかってる」、I get it. 「それを理解した」と言って、カードの文面を受け入れたようにも言っています。
レイチェルの反応が激しかったので、チャンドラーは慌てて、「それはただのジョークなんだよ、だいたいレイチェルはおばあちゃんじゃないじゃないか!」と必死に弁解しています。

今のレイチェルには何を言っても逆効果なようで(笑)、「ええ、私はおばあちゃんじゃないわ、わかってる、だっておばあちゃんになるためには…」とさらに自虐的な話に持って行こうとしています。
「確かに私はおばあちゃんじゃないわ。だって、おばあちゃんになるためには、結婚して子供を持たないといけないんだもの」みたいに続けていますね。
you have to be married の you は「一般の人々」を表す you で、「人がおばあちゃんになろうと思ったら、結婚して子供を産まないといけない」という一般論を述べていることになります。
おばあちゃんになるためには、結婚と出産が必要だけど、私はそのどれも持っていない、どれも経験していない、と言っていることになります。

「だからすっごく面白いの」というのも、「おばあちゃん、って言われた私は、実際にはおばあちゃんじゃないけれど、私の今の現状だと、孫のいる本当の意味でのおばあちゃんにもなれないかもしれないわけだから、皮肉っぽくて面白いわね」みたいに言っているわけですね。

ショックを受けたレイチェルは、その場を立ち去り、自分の寝室にこもってしまいます。
妙な空気が流れる中、モニカはチャンドラーに、All you had to do was buy the card! と言ってあきれた顔で怒っています。
直訳すると、「あなたがしなければならなかったすべてのことは、カードを買うことだった」ということで、「あなたの仕事はカードを買うだけだったのよ」と言っていることになります。
プレゼントは私が選ぶから、カードを買ってきて、とあなたに頼んだのに、その唯一の仕事でこんな大失敗をしてくれちゃって、、みたいに言っていることになるでしょう。
DVDの日本語訳は、
「(字幕)普通のカード 買ってよ/(音声)なんで、普通のカード買えない?」
となっていましたが、まさにそういうことだと思います。
チャンドラーが、自分でそういう言葉を考えたというよりも、そういうキツい年齢ネタの言葉の入ったカードを、チャンドラーが自分の好みで面白がって選んだ結果だろうと言うことですね。
こんな言葉書くなんて、みたいに言うのではなく、「カードを買うのを失敗して」みたいに言っていることからも、不適切な言葉が書かれたカードを選んで買ったことを責めているセリフになると思います。

ちなみに、30代になることへの恐怖(笑)は、「アリーmy Love」(Ally McBeal)にも出てきました。
アリーの場合は「31歳の誕生日に落ち込む」という話でしたが、そのやりとりを過去記事 フレンズ2-13その16 で紹介したことがあります。
今回のレイチェルの姿に通じるものがあるので、「アリーmy Love」のセリフも以下に書いておきますね。

アリーmy Love 第4シーズン20話「誕生日の贈り物」の冒頭シーン。
事務所恒例の朝のミーティングにアリーが来ていないのに気付いて、
リチャード(事務所経営者): Where's Ally? (アリーはどこ?)
マーク(アリーの同僚): Elaine said she called in older. (秘書のエレインが言ってた。「歳くったから休む」ってアリーが電話して来たって。)
It's her birthday, she's depressed, she called in older. (今日は彼女の誕生日で落ち込んでる。今日は「トシ欠」だよ。)

加齢恐怖症のアリーが、call in sick (病気で休むと電話する)のではなく、call in older (歳を取ったから休むと電話する)というのが、アリーらしくて面白いな、と思いました。


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posted by Rach at 15:34| Comment(2) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする