2013年05月06日

与える受け取る所有する分け合う フレンズ7-16その3

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[Scene: Central Perk, Phoebe, Chandler, and Monica are there.]
セントラルパーク。フィービー、チャンドラー、モニカがそこにいる。
ジョーイ: (entering) Hey! ([入ってきて] やあ!)
チャンドラー: Hey! (やあ!)
ジョーイ: Say hello to Reverend Joey Tribbiani! (Holds up the piece of paper bearing the proof of his ordination.) (ジョーイ・トリビアーニ師[尊師]に挨拶してくれよ。[聖職授与証明の記載がある紙を高く掲げる])
チャンドラー: Hey! (おぉ!)
モニカ: You did it! You got ordained?! (やったのね! 牧師に任命されたのね?)
ジョーイ: Yeah. Just got off the Internet! Man, there is a lot of porn out there! (あぁ。ちょうどインターネットを終えたところだ! あぁ、あそこにはポルノがいっぱいあるんだな!)
チャンドラー: Our minister. (我らが牧師様。)
ジョーイ: Anyway, I started working on what I'm going to say for the ceremony. Wanna hear it? (とにかく、式で言うつもりにしてることに取り掛かり始めたんだ。聞きたいか?)
チャンドラー: Okay. (よし。)
モニカ: Yeah! (ええ!)
ジョーイ: Now-now, listen, this is just a first draft, so.... (Starts to read the piece of paper he brought.) "We are gathered here today on this joyous occasion to celebrate the special love that Monica and Chandler share." (Monica and Chandler like it so far.) Eh? (He continues reading.) "It is a love based on giving and receiving, as well as having and sharing. And the love that they give and have is shared and received. And through this having and giving and sharing and receiving... We too can share and love and have... and receive." (よし、いいか、これはまだ最初の草稿なんで、だから… [自分が持ってきた紙切れを読み始める] ”私たちは今日この喜ばしい出来事に集いました、モニカとチャンドラーが分け合う特別な愛を祝うために” [モニカとチャンドラーはそこまでは気に入っている] どう? [ジョーイは読むのを続ける] ”それは与えることと受け取ること、そして同様に、所有することと分け合うことにも基づいた愛です。そして彼らが与え所有する愛は、分け合われ、受け取られます。そしてこの、所有すること、与えること、分け合うこと、受け取ることを通して、我々も同様に分け合い、愛し、所有し…受け取ることが可能なのです” )
チャンドラー: (To Monica) Should we call the spitter? ([モニカに] 俺たち、ツバ飛ばし(の牧師)に電話すべきかな?)

嬉しそうに入ってきたジョーイは、Reverend のジョーイ・トリビアーニに挨拶しろよ、みたいに言っています。
reverend は「聖職者、牧師」という意味で、the Reverend+氏名、の形をとると、「…師、…尊師」のような聖職者の敬称になります。
研究社 新英和中辞典では、
reverend
用法:聖職者に対する敬称として用いる場合には, 姓と名とをつけて、さらに the をつけるのがていねいな用法

という説明があり、今回のジョーイのセリフの場合は、その the がついていないバージョンだということになるでしょう。
そう言いながらジョーイが掲げているものは、ト書きでは、the piece of paper bearing the proof of his ordination と説明されています。
ordination は「聖職授与(式)」という意味。
動詞 ordain は「(人)を(牧師・司祭に)任命する」という意味になり、その後のモニカのセリフに、got ordained の形で登場していますね。
ここでの、動詞 bear は「(日付・署名の)記載がある」。
ですから、このト書きは、聖職に任命されたという証明の記載がある(1枚の)紙を高く掲げる、と言っていることになります。

Just got off the Internet! の get off は「(乗り物)から降りる」のニュアンスから、「〜から離れる」という感覚。
ついさっきまでインターネットやってて、今それを終えてきたばかりなんだ、という感覚になるでしょう。
インターネットで牧師の資格が取れる、ということで早速それをやってきたばかりだ、という話なのですが、その後、「あそこにはポルノがいっぱいあるんだな」みたいなことを言っていますね。
out there は「あちらでは、向こうでは」という感覚で、この場合は、今見てきたばかりのインターネットの世界を「あっちの世界では」と呼んでいる感覚になります。
一般的には「世間では」のようなニュアンスで、out there を使うことも多いですね。

「インターネットってポルノがいっぱい見られるんだな」みたいなことを言うジョーイに、チャンドラーは笑いながら、Our minister. と言っています。
「我が牧師よ、我らが牧師様」みたいなニュアンスで言っているわけですが、結婚式を挙げられるという聖職者の資格をインターネットで得てきたばかりだと言うのに、聖職者に似つかわしくないエッチな話(笑)を早速言っているジョーイに対して、皮肉っぽくそう呼びかけているわけですね。
「そういうエッチな話題をするジョーイが俺たちの牧師さんになってくれて、あー、ほんとに誇らしいよー」みたいな感じに言ってみせているのです。

そんな風に茶化されたことも気にせず、ジョーイは式で言おうとしていることの練習を始めたんだ、みたいに言っています。
work on は「〜に取り組む、励む」。
「俺が何を言おうとしてるか、聞きたい?」と言って、話し始めるジョーイ。
draft は「草案、草稿」「下書き」。
「これはまだただの下書きなんだけど…」と言うことで、これが完成品ではない、まだ不完全な部分もあるけど、まぁ、聞いてみてよ、と言っている感覚になります。

最初の部分の「我々は今日ここに集いました」というようなフレーズは、結婚式などでよく聞かれる言葉ですね。
モニカとチャンドラーが分け合う特別な愛を祝うために、この喜ばしい出来事(this joyous occasion)に集いました…というのも、よくあるパターンで、ト書きにあるように、「今のところは(so far)いいね」みたいに二人も反応しています。
so far は「これまで・今までのところ(は)」という意味で、so far so good だと「これまでのところは良い」という決まり文句ですね。

ちなみに、ト書きの like は日本語では「好き」と訳されることが多いですが、Facebook の「いいね!」ボタンは英語では「Like」であることからも、「いいね、気に入った」みたいな感覚で訳してみた方が、この like it so far 「ここまでのところは、いいねと気に入っている」感覚が出るような気がしました。

わざわざト書きに so far 「ここまでは」と書いてあることから何となくこの先が想定されたわけですが(笑)、案の定、そこから先の言葉が、ジョーイらしい、わけのわからない感じになっていくのが面白いです。
It is a love based on giving and receiving, as well as having and sharing. の it は今述べている、チャンドラーとモニカの愛のことで、それは与えることと受け取ることに基づいた愛である、と言っています。
A as well as B は、「B と同じように A も」、または「A も B も」のようなニュアンス。
与えることと受け取ること、と先に言っておいて、また同様に、所有することと分け合うことも、と付け加えた形になります。
このあたりは、ちょっと抽象的な表現になっていますが、愛を大きな視点で語る場合に、give, receive, have, share などの動詞は愛という言葉と繋がりが深い気がしますよね。
そういう言葉をふんだんに使って、愛というものを語ろうとしている姿勢はうかがえます。
内容がおかしくなってくるのが次くらいからで、And the love that they give and have is shared and received. を直訳すると、「彼らが与え、所有する愛は、分け合われ、受け取られる」。
つまり、与えるものが受け取られ、所有しているものが分け合われる、という、まぁ、愛とはそういうものだ的なことを語っていると言えばそうなのかもしれませんが、ここまで来ると、ただ言葉をこねくり回しているだけ、という感じになってしまっています。
学校英語で、「この能動態の文章を受動態の文章に直せ」みたいな感じで受動態にしたかのような、無理やり感が感じられる気もしますよね。
それらしいことを言っているようだけど、結局それって何のこと?みたいな感じになってしまっているわけです。
その次にまた、さっきから使っている同じような動詞を使いまくって、「この所有することと、与えることと、分け合うことと、受け取ることを通して、我々もまた、分け合い、愛し、所有し、受け取ることができるのだ」みたいな、これまたわかったようなわからないようなことを言っているという面白さですね。
ちなみに、この最後の文章では、share, love, have, receive が使われていますが、love ではなくて、give の方が、他の文章との釣り合いが取れるのではないか?と思うのですがいかがでしょう?
もちろん、love という単語も、キーワードではありますが、このジョーイの草案では、love を語るにおいて、give, receive, have, share という一般的、抽象的な4つの動詞を使っている、というのがポイントなわけですよね。
次々と文章は続いていくものの、使われている単語は全部、この4つばっかりじゃん! その4つをグルグル使い回ししてるだけじゃん!という面白さがここでのポイントだと思うので、最後の We too can... の文章も、その4つの単語で揃えた方が、「まだ言うか!」的に笑えて面白いのではないかなぁ、と思ったということです。

最初はいい感じだな、と嬉しそうな顔で聞いていた二人でしたが、その4つの動詞ばかりがやたらと出てくる文章になってきた頃から、不安になってきたようで、一通り聞いた後、「俺たち、the spitter (あのツバを飛ばすやつ)に電話すべきかな? あいつを呼ぶべきかな?」みたいに言っています。
牧師候補のどいつもこいつも気に入らないということで、友達のジョーイに頼むことにしたけれど、この文章を聞いてたらやっぱ不安だ、ツバを飛ばすあの牧師の方がまだましだ、と思っていることが、このセリフからもわかります。

まぁ、いつものフレンズのパターンとして、ジョーイが牧師役をやる、ということになれば、こんな感じのダメダメなスピーチをすることになりそうでみんなが不安になる、という流れは想定されるわけですが、そのダメダメさを表現するのに、「牧師っぽく抽象的に語ろうとするけれど、ボキャ貧で語彙が限られているので、その言葉を能動態、受動態、動名詞…みたいに形を変えて変形させ、組み合わせたような、中身のない薄っぺらい言葉になってしまう」という面白さが、ここでのポイントだということになるでしょうね。


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posted by Rach at 13:59| Comment(0) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年05月02日

俺がお尻星人だって知ってるだろ フレンズ7-16その2

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[Scene: Monica and Chandler's, Monica and Chandler are eating lunch as Joey enters.]
モニカとチャンドラーの家。モニカとチャンドラーはランチを食べている、そこにジョーイが入ってくる。
ジョーイ: So, did you uh, find anyone to marry you guys yet? (それで、お前らを結婚させる誰かさんはもう見つかったか?)
チャンドラー: No, but "Horny for Monica" minister called, wanting to know if we are still together. (いいや。でも、「モニカにムラムラしてる」牧師が電話してきたよ。俺たちがまだ別れてないかを知りたがってた。)
モニカ: We're never gonna find anybody. (私たち、絶対に誰も見つけられないわ。)
ジョーイ: Well then let me do it! (ふーん、それなら、俺にやらせてよ!)
チャンドラー: Joe-- (ジョー…)
ジョーイ: No-no-no! Look, I've been thinking about it. I'm an actor, right? So I won't get nervous talking in front of people. I won't spit and I won't stare at Monica's breasts. Y'know? Everyone knows I'm an ass man! (違う違う違う! なぁ、俺はずっとそのことを考えてたんだよ。俺は俳優だろ? だから人前で話すのに緊張しない。俺はツバを飛ばさないし、モニカの胸をじっと見ない。だろ? みんな知ってるじゃん、俺がお尻星人だってことを!)
モニカ: That is true. (それはそうね。)
ジョーイ: Yeah and the most important thing is, it won't be some like, stranger up there who barely knows you. It'll be me! And I swear, I'll do a really good job. Plus, y'know I love you guys and-and it would really mean a lot to me. (ああ、それで、一番重要なことは、ほら、お前らをほとんど知らないような他人がそこにいるんじゃない、ってことだ。それが俺になるんだぞ! で、俺は誓うよ、ほんとにいい仕事をするってね。プラス、ほら、俺はお前たちを愛してるし、それはほんとうに俺にとって意味のあることなんだ。)

チャンドラーとモニカは、自分たちの結婚式を挙げてくれる牧師を探しているところですが、適当な人物が見つからないとボヤいています。
marry you guys は「お前らを結婚させる」で、この marry は「(牧師・司祭などが)…の結婚式を行う」という意味の他動詞になります。
次のセリフに出てくる minister が「牧師、聖職者」。
minister と言えば、the Prime Minister 「総理大臣」などのように「大臣」の意味でもよく使われますね。

horny for Monica は「モニカに対してホーニーになっている」という感覚ですが、horny とは「性的に興奮した、ムラムラしている」という意味。
horn は「(動物の)角(つの)」で、「角のように硬い」ということから、そんな意味で使われる何ともダイレクト過ぎる(笑)表現ですが、フレンズでは結構よく出てくる単語です。
やはりというか、アカデミックな辞書である、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には載っておらず、Macmillan Dictionary では以下のように出ていました。
horny : (very informal) sexually excited
やはり、「非常にインフォーマル」ということなので、使い方には気を付けて下さいませ^^

少し前のシーンで、「牧師候補の一人は、モニカの胸ばっかり見てた」とチャンドラーが怒っていて、チャンドラーはその牧師のことを、"Horny for Monica" minister と呼んだわけです。
「俺たちがまだ一緒にいるかどうかを知りたがって電話してきた」というのは、「二人はまだ別れてないの?」みたいに聞かれた感覚ですね。

適当な人が見つけられないというモニカに、ジョーイは「俺にそれ(牧師役)をやらせてよ」と言っています。
これより前のシーンで、「最近では、結婚式の司祭の資格をインターネットで簡単に取ることができる」という話題が出ていて、フィービーとジョーイが名乗り出たものの、その場で却下されていました。
「誰も見つからないわ」とモニカが言うので、ジョーイは再度、名乗りを上げているわけです。

I've been thinking about it. は「そのことを俺はずーっと考えていた」。
継続を表す現在完了進行形の典型的なものです。
俺は俳優だから、人前で話すことにナーバスにならないし、ツバを飛ばさないし、モニカの胸をじっと見たりもしない、とも言っています。
ツバを飛ばす話は、これまた牧師候補の一人が、やたらとツバを飛ばす人だからダメ、という話があったから。

その後の、Everyone knows I'm an ass man! を直訳すると、「俺がお尻マンだってこと、みんな知ってるだろ」みたいなことですね。
DVDの日本語訳では、
(字幕)俺は”お尻星人”だもん/(音声)俺はお尻星人だって、みんな知ってるだろ?
となっていましたが、まさに an ass man はそういう「お尻星人」(お尻大好き人間)みたいなニュアンスで使われているようですね。
セリフの流れ的にも、「俺はモニカの胸をじーっと見たりはしないぞ。みんな俺が an ass man だって知ってるじゃん」ということですから、やはり、an ass man は「お尻星人」の感覚が近いと言えますよね。

ただまあ、ジョーイは自分でそんな風に言っていて、みんなも納得しているようですが、これまでの言動から、ジョーイはお胸にも興味があるタイプだと思うんですけれど…。
つい最近の、これより2つ前のエピソード、30歳になった人への禁句 フレンズ7-14その1 で、30歳になったレイチェルに対して、"They still look pretty damn good." 「それ(レイチェルの胸)はまだすっごくいい感じに見えるじゃん」などと言わないように!と、タグから注意されていたくらいですし。
まぁこれも、シリーズものによくある、「つじつまの合わない設定」の一例なのでしょう。

さらにジョーイは続けて、the most important thing is... 「一番大切なことは…だ」と、一番言いたかったことを述べています。
barely は「ほとんど〜ない」という、否定の意味が含まれた副詞ですね。
rarely 「めったに〜しない」、hardly 「ほとんど〜しない」などと同じタイプの副詞です。
not や un- などの否定語句が含まれていないけれど、否定のニュアンスで訳さないといけない点に注意しましょう。
it won't be some like, stranger up there who barely knows you. は「君らをほとんど知らないような、どっかの他人がそこにいるってことにならない」という感覚。
牧師を探すと言っても、所詮は二人のことを全く知らない他人なんだから、君らをよく知ってる俺がそこに立つ方がいいじゃないか、と力説しているわけです。
「誓って言うよ、俺はいい仕事をするからさ」と言った後、「君らを愛してるから、もし俺が牧師役をすることができたら、それは俺にとって大いに意味がある」とも言っています。
it would の would は「もし俺が牧師役をすることになったら、それは俺にとって本当に意味のあるものになるだろう」という仮定のニュアンスが込められていることにも注目したいですね。


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posted by Rach at 15:49| Comment(4) | フレンズ シーズン7 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする