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追記:セミナー満席となりました
おかげさまで、8月11日(日) 午前0時過ぎに満席となりました。
これ以降はキャンセル待ちのみの受付とさせていただきます。
たくさんのお申し込み、ありがとうございました!
(追記は以上)
先日、このブログは無事8周年を迎えることができましたが、
このたび、「初の英語セミナー」を開催させていただくことになりました!
私は大阪府在住なので、セミナーも関西で開くことになります。
ご興味のある方はご参加いただけると嬉しいです。
以下にセミナーの内容と申込み方法について書かせていただきますね。
「私の先生は海外ドラマ」セミナー
〜生きたセリフで英語4技能を伸ばす〜
★日時
2013年10月13日(日) 14:00〜16:00
★会場
神戸・東灘区民センター うはらホール8F 会議室2
(兵庫県神戸市東灘区住吉東町5丁目1-16)
JR・六甲ライナー「住吉駅」南側より徒歩2分
会場のアクセス情報は、以下の公式サイトをご覧下さい。
東灘区民センター 公式サイト
★概要
「海外ドラマ」のセリフを題材にして学ぶことで、
留学にも匹敵するほどの「生きた英語」を大量に浴びることができ、
日本でも自宅でも、高い英語力を身につけることが可能になります。
「海外ドラマ」を教材の中心として、
「読む、聴く、書く、話す」の4技能を正しく伸ばすための方法を、
楽しくわかりやすく解説します。
★受講料
2,500円
★定員
先着 30名
★備考
セミナー終了後にカフェ懇親会(別途実費)を行います(16:30〜18:00予定)。
セミナーお申し込みの際は、懇親会の参加不参加も、あわせてお知らせ下さい。
★お申込方法
件名を「10/13南谷三世セミナー」とし、
主催のつなぎすとサロン(tsunagist@yahoo.co.jp)まで、
「お名前」「連絡先(携帯番号)」「懇親会参加の可否」をお書き添えの上、メールください。
折り返し主催者よりご連絡差し上げます。
※2日以内に返信がない場合は、お手数ですが再度お問い合わせください。
(念のため、迷惑メールフォルダもご確認いただけると幸いです)
セミナーについては以上です。
「初セミナー」ということで、もちろん緊張もしていますが、
今は「当日が楽しみでしょうがない!」という気持ちの方が強いです。
私が「海外ドラマ」で英語を楽しみながら学んでいる様子を、
私自身の言葉で少しでも皆様にお伝えできるとしたら、
こんな幸せなことはありません。
また、このように「セミナー」というものを開催させていただけるに至ったのも、
これまでブログを応援して下さった皆様のおかげです。
私、Rach をここまで連れて来て下さった読者の皆様に、心から感謝いたします。
ありがとうございます。
セミナーへのご参加を心よりお待ち申し上げております。
どうかよろしくお願いいたします!(^^)
↓今回のセミナーのために作っていただいたチラシです。
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2013年07月30日
2013年07月26日
会った瞬間から愛するとわかってた フレンズ7-21その2
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チャンドラーとモニカは、結婚式で誓いの言葉を言わなければなりません。
男性陣と女性陣は、それぞれ誓いの言葉を考えているところ。
ロス: Well, why don't you just start with something simple? Like umm, "Monica, from the moment I met you, I knew I loved you." (そうだな、ただ何かシンプルなことで始めたらどう? ほら例えば、「モニカ、僕は君に出会った瞬間から、君を愛するってわかってた」。)
チャンドラー: Yeah, I'm not sure I can do that. (そうだな、それが言えるとは思えないけど。)
[Flashback to when Chandler was introduced to Monica in The One With The Thanksgiving Flashbacks.]
「感謝祭のフラッシュバックの話」(フレンズ5-8)で、チャンドラーがモニカに紹介された時にフラッシュバック。
ロス: ...everyone, this is Chandler! (…みんな、こちらがチャンドラーだ!)
太ったモニカ(Fat Monica): Hi, I'm Ross's little sister. (こんにちは。私がロスの妹よ。)
チャンドラー: (seeing her) Okay. ([モニカを見て] オッケー。)
[Cut to the girls.]
女性陣に画面がカット。
レイチェル: Okay. Okay. Okay. Umm, maybe you could start with, "Chandler, even though we were friends, there was a part of me that always knew I wanted more." (わかった、わかった。多分、この言葉で始められるわ。「チャンドラー、私たちは友達だったけど、それ以上を求めるっていつもわかっていた自分がいたの。)
[Flashback to The One With The Jellyfish, Chandler and Monica are lying on the beach.]
「クラゲの話」(フレンズ4-1)にフラッシュバック。チャンドラーとモニカはビーチに横たわっている。
チャンドラー: All right, there's a nuclear holocaust. I'm the last man on Earth. Would you go out with me? (よし、核のホロコースト[核による大量殺戮]がある。俺は地球上で最後の男だ。俺とデートする?)
モニカ: Ennnh. (うーん。)
[Cut back to the girls.]
女性陣に画面がカット。
モニカ: Ooh, are we allowed to lie in the vows?! (あぁ、誓いの言葉って、嘘をつくことは許される?)
今回のエピソードのオープニングシーンで、モニカは「頭の中ではもう誓いの言葉を考えてるわ」みたいなことを言っていましたが、実はまだ何も考えておらず、悩みまくっています。
男性陣、女性陣はそれぞれ、チャンドラーとモニカの誓いの言葉を一緒に考えてあげているところ。
ロスのアドバイスは、「ただもう、シンプルなことで始めたらどう?」みたいなことですね。
いろいろ考え過ぎずに、シンプルな言葉で始めろよ、ということです。
そして、例に挙げた言葉が、from the moment I met you, I knew I loved you.
これはなかなかロマンティックな言葉ですねぇ。
I knew I loved you の loved は、knew に合わせて時制の一致が起こっています。
I love you だということが、君に会った瞬間から僕にはわかっていた、みたいなことで、会った瞬間から、君を愛することになるだろうってわかってたよ、という感覚ですね。
ですが、チャンドラーは、「俺がそれをできると確信できない」みたいに言っています。
「それができる」というのは、「そういう言葉を誓いの言葉として言える」ということで、つまりは、「そんなこと、誓いの言葉で言えるとは思えないな、俺、言えそうにないな」と言っていることになります。
その後、回想シーンのフラッシュバックで、モニカと初めて出会った時のシーンが流れます。
これは、フレンズ5-8 (The One with the Thanksgiving Flashbacks)ですね。
当時のモニカは激太りの Fat Monica だったので、チャンドラーはモニカを見るなり、「あ〜、これは、ないな(女性として見ることはないな)」みたいな感じのバカにしたような笑いの挨拶をしていました。
初対面の時がこれなので、「初めて会ったその日から…」みたいなことは俺には言えないよ、ということです。
今度は女性陣の様子が映ります。
男性陣と同じように、どういうでだしで始めるか、という話をしています。
そのレイチェルが考えたセリフについて。
even though we were friends は、「私たちは友達だったけれども、友達だったにもかかわらず」、there was a part of me that... は「…をする、…である、私の一部があった」ということなので、「(私の中には)…である私もいたのよ」と言っていることになります。
この a part of me という言い方は、割と最近の記事、フレンズ7-19その2 に出てきたばかりでした。
7-19 でのセリフは、
But a part of me also can't wait ‘til it's over. (でも、私の一部は、結婚式が終わるまで待ちきれないでもいるの。)
というものでしたね。
このように何度も出てきたフレーズですので、「私の一部はこう思ってる、こんな風に思う私もいるのよ」みたいに言いたい場合には、是非この a part of me をネイティブっぽく使ってみて下さい(^^)
今回のセリフでは、always knew I wanted more だと言っていますが、これは「もっと欲すると常にわかっていた」みたいな感覚。
二人は友達だったけれど、友達以上のものを求めることを私は常にわかっていた、そういう自分が私の中にいた、というニュアンスですね。
友達以上の関係に、つまり、恋愛関係になりたいって気持ちが私には常にあったのよ、みたいなことを言っていることになります。
レイチェルにそういう言葉を提案されて、モニカが回想するのが、フレンズ4-1 (The One with the Jellyfish)のシーン。
この部分、フレンズ4-1 の解説では取り上げていなかったので、ここで併せて説明します。
チャンドラーのセリフは、「もし俺が地球で最後のたった一人の男になったら、俺とデートする?」という、ありがちなw質問ですね。
チャンドラーが地球最後の男となって残る、ということは実際にはありえない話ですが、ここでは特に仮定法過去も使わずに、普通に現在形で話しています。
上の日本語訳の通り、「核のホロコーストがある。俺は地球最後の男だ」という感じの英文になっているわけですが、普通の会話なら、それで全然問題ない、ということですね。
「今まさにそういう状況になっていると、頭の中で想像してみてよ」と言っていることは話の流れからわかるわけです。
holocaust は「大虐殺」で、the Holocaust のように the+大文字で書くと、「(第二次世界大戦中の)ナチスによるユダヤ人虐殺」を指します。
日本語で「ホロコースト」と言う場合も、後者の「ナチスによるユダヤ人虐殺」を連想する人が多いですよね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、2番目の語義として、ナチスの行為が挙げられていますが、1番目の語義は以下のようになっています。
1. an event that kills many people and destroys many things
例) a nuclear holocaust
つまり、「多くの人を殺し、多くのものを破壊する行為」、例は「核のホロコースト(核による大量殺戮)」。
ロングマンの例文にも、a nuclear holocaust と出ているくらいですので、核の使用で大量の人類が死ぬということを表す言葉として、a nuclear holocaust はよく使われる表現だと言えるでしょう。
Would you go out with me? は「もしそういうことになったら、俺とデートするつもりある?」みたいな、「もしそうなった場合の相手の意志」を尋ねる感じの疑問文ですね。
モニカの返事は否定のニュアンスの音(笑)で、この地球上でたった一人の最後の男になっても、あんましデートしたくない、と答えたことになります。
シーズン3の終わりから、シーズン4の始めにかけて、なぜかチャンドラーがモニカを少し口説き出す、みたいな流れになっていた頃の話ですね。
チャンドラーがあれやこれやと言ってみても、モニカは気が乗らないという返事ばかりしていた時期で、「最初から、恋愛関係になりたいと思っていたわけじゃない」ということを示す恰好の例として、ここで持ち出されたことになります。
最初から男女の関係を望んでたみたいな、そんな大嘘つけないわ、と思ったモニカは、「誓いの言葉で嘘を言うことは許される? 嘘ついてもいい?」と言うことになるわけですね。
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チャンドラーとモニカは、結婚式で誓いの言葉を言わなければなりません。
男性陣と女性陣は、それぞれ誓いの言葉を考えているところ。
ロス: Well, why don't you just start with something simple? Like umm, "Monica, from the moment I met you, I knew I loved you." (そうだな、ただ何かシンプルなことで始めたらどう? ほら例えば、「モニカ、僕は君に出会った瞬間から、君を愛するってわかってた」。)
チャンドラー: Yeah, I'm not sure I can do that. (そうだな、それが言えるとは思えないけど。)
[Flashback to when Chandler was introduced to Monica in The One With The Thanksgiving Flashbacks.]
「感謝祭のフラッシュバックの話」(フレンズ5-8)で、チャンドラーがモニカに紹介された時にフラッシュバック。
ロス: ...everyone, this is Chandler! (…みんな、こちらがチャンドラーだ!)
太ったモニカ(Fat Monica): Hi, I'm Ross's little sister. (こんにちは。私がロスの妹よ。)
チャンドラー: (seeing her) Okay. ([モニカを見て] オッケー。)
[Cut to the girls.]
女性陣に画面がカット。
レイチェル: Okay. Okay. Okay. Umm, maybe you could start with, "Chandler, even though we were friends, there was a part of me that always knew I wanted more." (わかった、わかった。多分、この言葉で始められるわ。「チャンドラー、私たちは友達だったけど、それ以上を求めるっていつもわかっていた自分がいたの。)
[Flashback to The One With The Jellyfish, Chandler and Monica are lying on the beach.]
「クラゲの話」(フレンズ4-1)にフラッシュバック。チャンドラーとモニカはビーチに横たわっている。
チャンドラー: All right, there's a nuclear holocaust. I'm the last man on Earth. Would you go out with me? (よし、核のホロコースト[核による大量殺戮]がある。俺は地球上で最後の男だ。俺とデートする?)
モニカ: Ennnh. (うーん。)
[Cut back to the girls.]
女性陣に画面がカット。
モニカ: Ooh, are we allowed to lie in the vows?! (あぁ、誓いの言葉って、嘘をつくことは許される?)
今回のエピソードのオープニングシーンで、モニカは「頭の中ではもう誓いの言葉を考えてるわ」みたいなことを言っていましたが、実はまだ何も考えておらず、悩みまくっています。
男性陣、女性陣はそれぞれ、チャンドラーとモニカの誓いの言葉を一緒に考えてあげているところ。
ロスのアドバイスは、「ただもう、シンプルなことで始めたらどう?」みたいなことですね。
いろいろ考え過ぎずに、シンプルな言葉で始めろよ、ということです。
そして、例に挙げた言葉が、from the moment I met you, I knew I loved you.
これはなかなかロマンティックな言葉ですねぇ。
I knew I loved you の loved は、knew に合わせて時制の一致が起こっています。
I love you だということが、君に会った瞬間から僕にはわかっていた、みたいなことで、会った瞬間から、君を愛することになるだろうってわかってたよ、という感覚ですね。
ですが、チャンドラーは、「俺がそれをできると確信できない」みたいに言っています。
「それができる」というのは、「そういう言葉を誓いの言葉として言える」ということで、つまりは、「そんなこと、誓いの言葉で言えるとは思えないな、俺、言えそうにないな」と言っていることになります。
その後、回想シーンのフラッシュバックで、モニカと初めて出会った時のシーンが流れます。
これは、フレンズ5-8 (The One with the Thanksgiving Flashbacks)ですね。
当時のモニカは激太りの Fat Monica だったので、チャンドラーはモニカを見るなり、「あ〜、これは、ないな(女性として見ることはないな)」みたいな感じのバカにしたような笑いの挨拶をしていました。
初対面の時がこれなので、「初めて会ったその日から…」みたいなことは俺には言えないよ、ということです。
今度は女性陣の様子が映ります。
男性陣と同じように、どういうでだしで始めるか、という話をしています。
そのレイチェルが考えたセリフについて。
even though we were friends は、「私たちは友達だったけれども、友達だったにもかかわらず」、there was a part of me that... は「…をする、…である、私の一部があった」ということなので、「(私の中には)…である私もいたのよ」と言っていることになります。
この a part of me という言い方は、割と最近の記事、フレンズ7-19その2 に出てきたばかりでした。
7-19 でのセリフは、
But a part of me also can't wait ‘til it's over. (でも、私の一部は、結婚式が終わるまで待ちきれないでもいるの。)
というものでしたね。
このように何度も出てきたフレーズですので、「私の一部はこう思ってる、こんな風に思う私もいるのよ」みたいに言いたい場合には、是非この a part of me をネイティブっぽく使ってみて下さい(^^)
今回のセリフでは、always knew I wanted more だと言っていますが、これは「もっと欲すると常にわかっていた」みたいな感覚。
二人は友達だったけれど、友達以上のものを求めることを私は常にわかっていた、そういう自分が私の中にいた、というニュアンスですね。
友達以上の関係に、つまり、恋愛関係になりたいって気持ちが私には常にあったのよ、みたいなことを言っていることになります。
レイチェルにそういう言葉を提案されて、モニカが回想するのが、フレンズ4-1 (The One with the Jellyfish)のシーン。
この部分、フレンズ4-1 の解説では取り上げていなかったので、ここで併せて説明します。
チャンドラーのセリフは、「もし俺が地球で最後のたった一人の男になったら、俺とデートする?」という、ありがちなw質問ですね。
チャンドラーが地球最後の男となって残る、ということは実際にはありえない話ですが、ここでは特に仮定法過去も使わずに、普通に現在形で話しています。
上の日本語訳の通り、「核のホロコーストがある。俺は地球最後の男だ」という感じの英文になっているわけですが、普通の会話なら、それで全然問題ない、ということですね。
「今まさにそういう状況になっていると、頭の中で想像してみてよ」と言っていることは話の流れからわかるわけです。
holocaust は「大虐殺」で、the Holocaust のように the+大文字で書くと、「(第二次世界大戦中の)ナチスによるユダヤ人虐殺」を指します。
日本語で「ホロコースト」と言う場合も、後者の「ナチスによるユダヤ人虐殺」を連想する人が多いですよね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、2番目の語義として、ナチスの行為が挙げられていますが、1番目の語義は以下のようになっています。
1. an event that kills many people and destroys many things
例) a nuclear holocaust
つまり、「多くの人を殺し、多くのものを破壊する行為」、例は「核のホロコースト(核による大量殺戮)」。
ロングマンの例文にも、a nuclear holocaust と出ているくらいですので、核の使用で大量の人類が死ぬということを表す言葉として、a nuclear holocaust はよく使われる表現だと言えるでしょう。
Would you go out with me? は「もしそういうことになったら、俺とデートするつもりある?」みたいな、「もしそうなった場合の相手の意志」を尋ねる感じの疑問文ですね。
モニカの返事は否定のニュアンスの音(笑)で、この地球上でたった一人の最後の男になっても、あんましデートしたくない、と答えたことになります。
シーズン3の終わりから、シーズン4の始めにかけて、なぜかチャンドラーがモニカを少し口説き出す、みたいな流れになっていた頃の話ですね。
チャンドラーがあれやこれやと言ってみても、モニカは気が乗らないという返事ばかりしていた時期で、「最初から、恋愛関係になりたいと思っていたわけじゃない」ということを示す恰好の例として、ここで持ち出されたことになります。
最初から男女の関係を望んでたみたいな、そんな大嘘つけないわ、と思ったモニカは、「誓いの言葉で嘘を言うことは許される? 嘘ついてもいい?」と言うことになるわけですね。
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2013年07月23日
vowを買う フレンズ7-21その1
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シーズン7 第21話
The One With the Vows (思い出は美しすぎて!?)
原題は「誓いの言葉の話」
[Scene: Monica and Chandler's, Monica is at the kitchen table and Chandler is in the living room.]
モニカとチャンドラーの家。モニカはキッチンのテーブルにいて、チャンドラーはリビングにいる。
モニカ: Do you realize that four weeks from today we're getting married? Four weeks, baby!! Four weeks!!! (わかってる? 今日から4週間で、私たちは結婚するのよ。4週間よ、ベイビー! 4週間!!)
チャンドラー: You realize you get louder each week? (わかってる? 毎週声が大きくなってるってことを。)
モニカ: There's still so much to do. Have you written your vows yet? (またすべきことがたくさんあるのよ。(結婚式で言う)誓いの言葉をあなたはもう書いた?)
チャンドラー: I figured I'd just buy those. "Pat, I'd like to buy a vow." (Laughs) (それはもうただ買っちゃおうと思ってね。「パット、バウを買いたい」って。)
モニカ: Sweetie, you know I have no sense of humor when it comes to the wedding. (ハニー、私は、結婚式のこととなると、ユーモアのセンスがなくなるってこと、あなた知ってるでしょ?)
チャンドラー: Right. So uh, have you written yours yet? (そうだね。それで、君は誓いの言葉を書いたの?)
モニカ: No! But I know exactly what I'm gonna say. (いいえ! でも私が何を言うことになるかははっきりとわかってるの。)
チャンドラー: Do you happen to know what I'm gonna say? (俺が何を言うことになるかを、君はわかってたりする?)
realize は「…だとわかる、理解する、気づく、悟る」ですから、Do you realize...? は「…だってことわかってる?」という感じですね。
four weeks from today は「今日から4週間」、つまり、4週間後に私たちは結婚する予定なのよ、たった4週間よ、そのことわかってる?!と興奮気味に話していることになります。
チャンドラーも同じフレーズ、Do you realize...? を使って返すのが面白いですね。
4週間って叫んでるけど、毎週、週を追うごとに自分が get louder、つまり、声がだんだん大きくなってるの、わかってる?と言っているわけです。
「やることがまだまだたくさんある。あなたはもう、結婚式で言う誓いの言葉を書いた?」とモニカは尋ねます。
チャンドラーは、「誓いの言葉は(自分で書くんじゃなくて)ただ買っちゃおうかと思ってたんだ」みたいに言った後、"Pat, I'd like to buy a vow." と言います。
それを聞いたモニカが怒ったように、「結婚式のこととなると、私にはユーモアのセンスがないんだけど、ユーモアのセンスなくなっちゃうんだけど」みたいに言っていることから、チャンドラーのそのセリフ、"Pat, I'd like to buy a vow." が、いつものチャンドラーのジョークであることがわかります。
ちなみに、when it comes to... は「(話が)…ということになると、…のこととなると」というお決まりフレーズであることも意識しておきましょう。
さて、そのチャンドラーのジョークについて。
文字通り、結婚式の誓いの言葉を、誰か人から買う、つまり人にお金を払って書いてもらう、みたいに言うだけでも、「大切な誓いの言葉を人に任せて書かせる気かよ?!」とツッコミたくなるジョークにはなりますが、実はこのセリフ、アメリカのあるテレビ番組にちなんだジョークになっています。
そのテレビ番組については、このブログの過去記事で取り上げたことがあるため、私もセリフを聞いた時に、あぁあれか!と気づくことができました。
このジョークのポイントは、buy a vow というフレーズと、Pat という人物名。
buy a vow という「音」でピンと来たのですが、この音とよく似たフレーズに、buy a vowel というものがあります。
Google のサーチボックスに文字を入力すると、グーグルサジェスト機能で、それ以降の候補が自動的にいくつか表示されるのですが、buy a vow まで入れると、候補として、buy a vowel や buy a vowel wheel of fortune という候補が提示されます。
この buy a vowel wheel of fortune については、以下の過去記事に解説があります。
母音を買う フレンズ3-4その16
ここでも簡単にご説明させていただきますと、アメリカのクイズ番組で Wheel of Fortune 「ホイール・オブ・フォーチュン」というものがあり、その番組で使われるフレーズが buy a vowel 「母音を買う」なのですね。
Wikipedia 英語版: Wheel of Fortune (U.S. game show)
このゲームはワードゲームで、何という言葉が隠されているかを当てるゲームなのですが、自分の手持ちのお金で、隠されている文字の母音を「買う」ことができるのです。
母音が表示されると、ものすごいヒントになりますから、手持ちのお金を減らしてもそのヒントをゲットしようとするわけです。
上の Wheel of Fortune の英語版ウィキペディアの右上の枠内には、歴代の Host の名前が載っており、その中に、
Pat Sajak (1981–89)
という司会者の名前があります。
チャンドラーが、Pat と言ったのは、この Pat Sajak のことですね。
buy a vow というフレーズが、buy a vowel というフレーズに似ていることから、Wheel of Fortune の決まり文句をもじったものだろう、という想像が働くわけですが、チャンドラーが司会者の名前を出して、「パット、僕は母音を買いたいんだ」と言ってみせたことで、このクイズ番組が元ネタであることが確信できるわけです。
モニカは結婚式のことで真面目に尋ねたのに、チャンドラーは、vow と聞いて buy a vowel を連想し、テレビのクイズ番組ネタのジョークで返したので、「結婚式のことになると、私ってユーモアのセンスがないのよね。そんなジョーク、面白いと思えないんだけど、笑えないんだけど」と、怒ることになります。
チャンドラーは逆に、「君は誓いの言葉を書いたの?」とモニカに尋ねます。
モニカは、No! と否定して、まだ書いていないことを言った後で、「でも私が何を言うか・何を言うことになるかははっきりわかってる」と答えます。
実際には文字として書いてないけど、言うことは頭の中でもう考えてるわ、という感じですね。
「言うことはもう決まってる」みたいに言うモニカに、チャンドラーは「俺が言うこともわかってたりする?」みたいに聞くのが楽しいです。
モニカが俺の言うことをついでに考えてくれたりしないかなぁ、ということですね。
この happen to というのは、フレンズでもちょくちょく出てきますが、基本的な意味は「偶然〜する、たまたま〜する」。
モニカは自分の言う誓いの言葉が頭の中で決まってるみたいに言ってるけど、俺が何を言うかも考えてある、とか、そういうラッキーなことってあったりしないかな?、みたいに言っているわけですね。
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シーズン7 第21話
The One With the Vows (思い出は美しすぎて!?)
原題は「誓いの言葉の話」
[Scene: Monica and Chandler's, Monica is at the kitchen table and Chandler is in the living room.]
モニカとチャンドラーの家。モニカはキッチンのテーブルにいて、チャンドラーはリビングにいる。
モニカ: Do you realize that four weeks from today we're getting married? Four weeks, baby!! Four weeks!!! (わかってる? 今日から4週間で、私たちは結婚するのよ。4週間よ、ベイビー! 4週間!!)
チャンドラー: You realize you get louder each week? (わかってる? 毎週声が大きくなってるってことを。)
モニカ: There's still so much to do. Have you written your vows yet? (またすべきことがたくさんあるのよ。(結婚式で言う)誓いの言葉をあなたはもう書いた?)
チャンドラー: I figured I'd just buy those. "Pat, I'd like to buy a vow." (Laughs) (それはもうただ買っちゃおうと思ってね。「パット、バウを買いたい」って。)
モニカ: Sweetie, you know I have no sense of humor when it comes to the wedding. (ハニー、私は、結婚式のこととなると、ユーモアのセンスがなくなるってこと、あなた知ってるでしょ?)
チャンドラー: Right. So uh, have you written yours yet? (そうだね。それで、君は誓いの言葉を書いたの?)
モニカ: No! But I know exactly what I'm gonna say. (いいえ! でも私が何を言うことになるかははっきりとわかってるの。)
チャンドラー: Do you happen to know what I'm gonna say? (俺が何を言うことになるかを、君はわかってたりする?)
realize は「…だとわかる、理解する、気づく、悟る」ですから、Do you realize...? は「…だってことわかってる?」という感じですね。
four weeks from today は「今日から4週間」、つまり、4週間後に私たちは結婚する予定なのよ、たった4週間よ、そのことわかってる?!と興奮気味に話していることになります。
チャンドラーも同じフレーズ、Do you realize...? を使って返すのが面白いですね。
4週間って叫んでるけど、毎週、週を追うごとに自分が get louder、つまり、声がだんだん大きくなってるの、わかってる?と言っているわけです。
「やることがまだまだたくさんある。あなたはもう、結婚式で言う誓いの言葉を書いた?」とモニカは尋ねます。
チャンドラーは、「誓いの言葉は(自分で書くんじゃなくて)ただ買っちゃおうかと思ってたんだ」みたいに言った後、"Pat, I'd like to buy a vow." と言います。
それを聞いたモニカが怒ったように、「結婚式のこととなると、私にはユーモアのセンスがないんだけど、ユーモアのセンスなくなっちゃうんだけど」みたいに言っていることから、チャンドラーのそのセリフ、"Pat, I'd like to buy a vow." が、いつものチャンドラーのジョークであることがわかります。
ちなみに、when it comes to... は「(話が)…ということになると、…のこととなると」というお決まりフレーズであることも意識しておきましょう。
さて、そのチャンドラーのジョークについて。
文字通り、結婚式の誓いの言葉を、誰か人から買う、つまり人にお金を払って書いてもらう、みたいに言うだけでも、「大切な誓いの言葉を人に任せて書かせる気かよ?!」とツッコミたくなるジョークにはなりますが、実はこのセリフ、アメリカのあるテレビ番組にちなんだジョークになっています。
そのテレビ番組については、このブログの過去記事で取り上げたことがあるため、私もセリフを聞いた時に、あぁあれか!と気づくことができました。
このジョークのポイントは、buy a vow というフレーズと、Pat という人物名。
buy a vow という「音」でピンと来たのですが、この音とよく似たフレーズに、buy a vowel というものがあります。
Google のサーチボックスに文字を入力すると、グーグルサジェスト機能で、それ以降の候補が自動的にいくつか表示されるのですが、buy a vow まで入れると、候補として、buy a vowel や buy a vowel wheel of fortune という候補が提示されます。
この buy a vowel wheel of fortune については、以下の過去記事に解説があります。
母音を買う フレンズ3-4その16
ここでも簡単にご説明させていただきますと、アメリカのクイズ番組で Wheel of Fortune 「ホイール・オブ・フォーチュン」というものがあり、その番組で使われるフレーズが buy a vowel 「母音を買う」なのですね。
Wikipedia 英語版: Wheel of Fortune (U.S. game show)
このゲームはワードゲームで、何という言葉が隠されているかを当てるゲームなのですが、自分の手持ちのお金で、隠されている文字の母音を「買う」ことができるのです。
母音が表示されると、ものすごいヒントになりますから、手持ちのお金を減らしてもそのヒントをゲットしようとするわけです。
上の Wheel of Fortune の英語版ウィキペディアの右上の枠内には、歴代の Host の名前が載っており、その中に、
Pat Sajak (1981–89)
という司会者の名前があります。
チャンドラーが、Pat と言ったのは、この Pat Sajak のことですね。
buy a vow というフレーズが、buy a vowel というフレーズに似ていることから、Wheel of Fortune の決まり文句をもじったものだろう、という想像が働くわけですが、チャンドラーが司会者の名前を出して、「パット、僕は母音を買いたいんだ」と言ってみせたことで、このクイズ番組が元ネタであることが確信できるわけです。
モニカは結婚式のことで真面目に尋ねたのに、チャンドラーは、vow と聞いて buy a vowel を連想し、テレビのクイズ番組ネタのジョークで返したので、「結婚式のことになると、私ってユーモアのセンスがないのよね。そんなジョーク、面白いと思えないんだけど、笑えないんだけど」と、怒ることになります。
チャンドラーは逆に、「君は誓いの言葉を書いたの?」とモニカに尋ねます。
モニカは、No! と否定して、まだ書いていないことを言った後で、「でも私が何を言うか・何を言うことになるかははっきりわかってる」と答えます。
実際には文字として書いてないけど、言うことは頭の中でもう考えてるわ、という感じですね。
「言うことはもう決まってる」みたいに言うモニカに、チャンドラーは「俺が言うこともわかってたりする?」みたいに聞くのが楽しいです。
モニカが俺の言うことをついでに考えてくれたりしないかなぁ、ということですね。
この happen to というのは、フレンズでもちょくちょく出てきますが、基本的な意味は「偶然〜する、たまたま〜する」。
モニカは自分の言う誓いの言葉が頭の中で決まってるみたいに言ってるけど、俺が何を言うかも考えてある、とか、そういうラッキーなことってあったりしないかな?、みたいに言っているわけですね。
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2013年07月19日
バットマンのロビンの口癖 フレンズ7-20その6
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[Scene: Monica and Chandler's, Monica and Chandler are working on the seating chart as Ross enters carrying his tux around.]
モニカとチャンドラーの家。モニカとチャンドラーは座席表に取り組んでいるところ、そこにロスが自分のタキシードを持って入ってくる。
ロス: Hey! (やあ!)
モニカ: You just carry that around? (ロスはそれを持ち歩いてるの?)
ロス: Yes. I find it to be something of a conversation piece. (そうだよ、それがちょっとした話の種になるってわかってね。)
モニカ: Between you and...? (会話って、あなたと誰との…?)
ロス: Gunther. (To Chandler) Hey-hey! Why don't we put them on? Y'know get a picture of Batman and James Bond, together. (ガンターとの。[チャンドラーに] ねぇねぇ、タキシードを着てみないか? ほら、バットマンとジェームズ・ボンドの写真を一緒に撮ろうよ。)
チャンドラー: I would, but mine doesn't fit. The pants are a little tight. (そうしたいんだけど、でも俺のタキシードは合わないんだよ。パンツがちょっとキツくてね。)
モニカ: A little tight? I could see double-oh and seven in those things. (ちょっとキツい? 私にはあのパンツの中に、ダブルの O (オー)と、セブンが見えたけど。)
ロス: Well, that stinks. I was looking forward to us wearing our celebrity tuxes together. (あぁ、それはダメだね。僕たちがセレブのタキシードを一緒に着るのを、僕は楽しみにしてたのに。)
チャンドラー: Well, does that mean that you're not gonna be wearing yours? (ふーん、それって、ロスはお前のそのタキシードを着ないっていうことか?)
ロス: What are you kidding? It's Batman's tux!! (冗談だろ? バットマンのタキシードだぞ!)
チャンドラー: (standing up) Let me try it on! ([立ち上がって] 俺にも試着させてくれよ!)
ロス: Okay. But just the jacket. Double-oh and seven are not gettin' in there. (いいよ。でも、ジャケットだけだぞ。ダブルの O (オー)と、セブンは、そのパンツには入らないよ。)
チャンドラー: (trying on the jacket) Okay. Holy double-vented comfort, Batman! ([ジャケットを試着して] いいぞ。すっごいダブルベント(サイドベンツ)の快適さだ、バットマン!)
carry around は「持ち歩く」という感覚ですね。
タキシードをいつも持ち歩いてるの?と聞かれたロスは、「それ(タキシードを持ち歩いていること)が、something of a conversation piece であるとわかる」みたいなことを言っています。
something of a は「ちょっとした〜」、conversation piece は日本語でいう「話の種」という意味になります。
ロスはタキシードを持ち歩くことで、「それ何?」「あぁ、これは友人の結婚式に着るタキシードなんだけど、実はこれ、ヴァル・キルマーが着てたタキシードなんだよね」みたいに、話のきっかけになるってわかったんだよ、と言いたいわけです。
「そういう会話、例えば誰との間で弾んだの?」みたいに聞かれたロスが、ぼそっと「ガンター」と答えるのが面白いです。
いろんな人と会話が盛り上がったのかと思いきや、実はガンターだけだった…という寂しい話だったわけですね。
僕もタキシードを持ってきたから、二人で一緒にセレブのタキシードを着てみようよ、とロスは提案します。
チャンドラーは、「俺もそうしたいけど、でも、俺のタキシードは(俺に)合わない、フィットしないんだよね」と言って、パンツが少しタイト・キツいんだよ、と説明します。
チャンドラーが a little tight と言ったのを受けて、モニカは「ちょっぴりキツい、ですって?」みたいに聞き返しています。
その後のセリフは、ちょっとお下品(笑)ながらも、しっかり 007 ネタになっているのが笑えますね。
in those things という複数形は、in your pants のことですね。
those のように「あの、あれらの」となっているのは、今、目の前でそのパンツをはいているのではなく、前にはいた時の過去のイメージを頭に思い浮かべているので、「あの時はいていたあのパンツには」という感覚の「距離感」から、those が使われているということになるでしょう。
あなたがあのパンツをはいていた時、私にはそのパンツの中に、「O (オー)が2つと7」が見えたわ、と言っていることになりますが、それはつまり(ちょっと露骨な表現になってしまいますが)「玉2つと棒」みたいなことを言っているわけですね。
「あのパンツが”ちょっぴりキツい”ですって? 実際は、ものすごくキツくて、中身がくっきり浮き出てたじゃない」みたいなことを、007 という文字を使って表現してみせたことになります。
チャンドラーが「パンツがキツくて、もうはけない」みたいなことを言うので、ロスは残念がっています。
stink は「悪臭がする」という動詞ですが、ここでは「ひどい、まずい、だめだ」というニュアンス。
I was looking forward to us wearing our celebrity tuxes together. について。
I'm looking forward to doing で「〜するのを楽しみにしています」という決まり文句で、I'm really looking forward to seeing you. 「あなたにお会いするのを本当に楽しみにしています」のように使いますね。
ここでは、I was と過去進行形になっているので、「僕は〜するのを楽しみにしていたのに(実際にはそれができなくなって残念だ)」というニュアンスが出ます。
また、look forward to... は、to の後ろは動詞の原形ではなく名詞が来るため、「〜するのを楽しみにしている」と言いたい場合は、doing のような動名詞の形にしないといけませんね。
to があるために、to do のような to不定詞のイメージで、look forward to do という形にしてしまいそうになる日本人英語学習者が多いため、文法の間違い探しによく登場する項目でもあります。
今回は、to の後が、us wearing となっていて、ただ「タキシードを着ることを楽しみにしている」ではなく、「”俺たちが”タキシードを着ることを楽しみにしている」という主語が入っています。
wearing という動名詞の主語として、目的格の us が使われており、このように「動名詞の意味上の主語を目的格で表す」というのも、口語英語の特徴の一つですね。
一緒に着られなくて残念だ、というので、「それは、お前も着ない、って意味か?」みたいにチャンドラーは尋ねますが、ロスは「冗談だろ。バットマンのタキシードなんだから、お前が着ようが着まいが、僕はもちろん着るに決まってる」みたいな返事を返します。
俺にもバットマンのタキシードを試着させてくれ、というチャンドラーに、ロスは「いいけど、ジャケットだけな」と言って、また「ダブルのオーとセブン」ネタを持ち出すのが、いかにもコメディというところです。
「ダブルのオーとセブン」は、その中には入らない、みたいなことを言っているわけですが、それはつまり、着るのは上のジャケットだけで、パンツははかせないぞ、下半身のパンツにお前の「ダブルのオーとセブン」を入れるわけにはいかないんだ、みたいなことを言っていることになります。
チャンドラーは上着だけ借りてそれをはおってみせた後、Holy double-vented comfort, Batman! と言っていますね。
まず、double-vented から説明しますと、vent は「スリット」のこと。
研究社 新英和中辞典では、
vent 【名】【C】 ベンツ、スリット 《上衣の背または両わき、スカートの裾(すそ)などに入れる切り込み》
語源:ラテン語「裂け目」の意
と出ています。
Wikipedia 日本語版: 背広 | ベント(vent) では、
馬乗り用の後裾の切込み。ないのがノーベント、中央に一本がセンターベント(日本名「馬乗り」)、両脇にあるのがサイドベンツ(同「剣吊り」)、また鍵状となっているフックベントもある。
紳士用ジャケットのことはよくわからないのですが、両脇に切込みがあるサイドベンツ、というのが、今回の double-vented のことなんだろうと思います。
サイドに2つベントがあるので、着た時にラク、という意味で、「ダブルベントになった快適さ・心地よさ」と言っているのが、double-vented comfort なのでしょう。
そして、このセリフのポイントは、Holy .... Batman! の部分にあります。
実はこれ、バットマンの相棒ロビンの口癖、というか、決め台詞(?)なのです。
そもそも、Holy ...! というのは、驚いた時などによく使われる感嘆表現ですね。
中でも、Holy shit! はよく聞きますね。
shit は「大便、うんち」ですから、かなりお下品な表現なのですが、私のデータベースによると(笑)、「プリティ・ウーマン」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「愛と青春の旅立ち」「ターミネーター」で使われているのを聞きました。
ピクサーアニメの「カーズ」では、Holy shoot! というセリフになっていて、これは恐らく、子供も見るアニメで shit はいかん、ということになって、shit の婉曲語である、shoot で代用した、ということだと思われます。
そんな風に、Holy ...! は驚いた時に使われる表現なので、普通の場合だと、チャンドラーもその驚きを Holy という言葉で言ってみせた、というだけのことになるのですが、今、バットマンのタキシードを着てみてそれを言った、というのがここでの最大のポイントで、ただの大げさな驚きのセリフではなく、バットマンの相棒ロビンの口癖・決め台詞だからこそ、面白いわけです。
Wikipedia 英語版: Batman (TV series) | After the cliffhanger
に、その口癖についての説明があります。
引用させていただきますと、
Robin, in particular, was especially well known for saying "Holy (insert), Batman!" whenever he encountered something startling.
訳しますと、「特にロビンは、何かびっくりさせるようなことに遭遇した時にはいつでも、"Holy 〜 Batman!" と言うことで有名であった」。
同じウィキペディアの Regular cast の Robin の説明でも、
Burt Ward as Dick Grayson / Robin: Batman's faithful partner and "boy wonder", noted for his recurring interjections in the form of "Holy ________, Batman!"
つまり、「ロビン:バットマンの誠実なパートナーで「ボーイ・ワンダー(天才少年)」、"Holy ... Batman!" の形で、何度も繰り返される叫び(感嘆)で有名」。
Legacy の部分では、ヴァル・キルマー主演の映画「バットマン・フォーエヴァー」で、クリス・オドネル演じるロビンが、その決まり文句を言ったことが詳しく説明されています。
冒頭部分の説明では、
A line spoken by Robin (Chris O'Donnell) in Batman Forever is a homage to the television Robin's catch-phrase exclamations that started "Holy" and sometimes ended "Batman!"
映画「バットマン・フォーエヴァー」で、ロビン(クリス・オドネル)によって言われたセリフは、Holy で始まり、時には Batman! で終わる、テレビシリーズのロビンのキャッチフレーズとなる感嘆の叫びに対する敬意である。
訳すと堅苦しいですが(笑)、要は、テレビシリーズへのリスペクトとして、テレビシリーズの時のロビンの口癖・決め台詞を新しい映画のロビンにも言わせてみた、という、シリーズものにありがちな、ファンサービスがあったということですね。
ウィキペディアのその続きにはこうあります。
During the movie, Robin says "Holy rusted metal, Batman!" after the duo climb onto twisted metal girders beside some water.
つまり、「その映画の中で、ロビンは言う、"Holy rusted metal, Batman!" と。バットマンとロビンの二人組(デュオ)が、水のそばのねじれた鉄のけたによじ登った後で」。
実際に私もその映画をDVDで観て、そのセリフは確認済みです^^
時間にして 1時間43分52秒頃、ラストに近い時間帯のシーンで、水からそのけたによじ登ったロビンが驚いた声でそう叫んでいました。
ロビン: Holy rusted metal, Batman! The ground, it's all metal. It's full of holes. Holy.
と興奮気味に叫び、バットマンはただ相槌を打っているだけ(笑)というやりとりだったのですが、最後にダメ押しでまた Holy. と言ったのも、「お約束」な感じでファンならクスっと笑えたセリフだったでしょう。
たかが Holy... のセリフに、説明を長々と書いてしまいましたが、これがロビンの口癖だとわかるかどうかで、このセリフの面白さが全然違ってきます。
007 のタキシードの話では、「ダブルのオーとセブン」ネタでイジられまくったチャンドラーが、バットマンのタキシードを着た直後に、ロビンのセリフで大げさに感動してみせる、というのが、いかにもフレンズっぽく、「もしかしてそれが言いたいがためだけに、ジャケットの試着をせがんだ?」とも取れる、、というか、それはつまり、チャンドラーにそのセリフを言わせたくて、ここでチャンドラーがバットマンのジャケットを借りる話に持って行った、という脚本の妙、が感じられる気がして、個人的にとても面白いシーンでした。
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[Scene: Monica and Chandler's, Monica and Chandler are working on the seating chart as Ross enters carrying his tux around.]
モニカとチャンドラーの家。モニカとチャンドラーは座席表に取り組んでいるところ、そこにロスが自分のタキシードを持って入ってくる。
ロス: Hey! (やあ!)
モニカ: You just carry that around? (ロスはそれを持ち歩いてるの?)
ロス: Yes. I find it to be something of a conversation piece. (そうだよ、それがちょっとした話の種になるってわかってね。)
モニカ: Between you and...? (会話って、あなたと誰との…?)
ロス: Gunther. (To Chandler) Hey-hey! Why don't we put them on? Y'know get a picture of Batman and James Bond, together. (ガンターとの。[チャンドラーに] ねぇねぇ、タキシードを着てみないか? ほら、バットマンとジェームズ・ボンドの写真を一緒に撮ろうよ。)
チャンドラー: I would, but mine doesn't fit. The pants are a little tight. (そうしたいんだけど、でも俺のタキシードは合わないんだよ。パンツがちょっとキツくてね。)
モニカ: A little tight? I could see double-oh and seven in those things. (ちょっとキツい? 私にはあのパンツの中に、ダブルの O (オー)と、セブンが見えたけど。)
ロス: Well, that stinks. I was looking forward to us wearing our celebrity tuxes together. (あぁ、それはダメだね。僕たちがセレブのタキシードを一緒に着るのを、僕は楽しみにしてたのに。)
チャンドラー: Well, does that mean that you're not gonna be wearing yours? (ふーん、それって、ロスはお前のそのタキシードを着ないっていうことか?)
ロス: What are you kidding? It's Batman's tux!! (冗談だろ? バットマンのタキシードだぞ!)
チャンドラー: (standing up) Let me try it on! ([立ち上がって] 俺にも試着させてくれよ!)
ロス: Okay. But just the jacket. Double-oh and seven are not gettin' in there. (いいよ。でも、ジャケットだけだぞ。ダブルの O (オー)と、セブンは、そのパンツには入らないよ。)
チャンドラー: (trying on the jacket) Okay. Holy double-vented comfort, Batman! ([ジャケットを試着して] いいぞ。すっごいダブルベント(サイドベンツ)の快適さだ、バットマン!)
carry around は「持ち歩く」という感覚ですね。
タキシードをいつも持ち歩いてるの?と聞かれたロスは、「それ(タキシードを持ち歩いていること)が、something of a conversation piece であるとわかる」みたいなことを言っています。
something of a は「ちょっとした〜」、conversation piece は日本語でいう「話の種」という意味になります。
ロスはタキシードを持ち歩くことで、「それ何?」「あぁ、これは友人の結婚式に着るタキシードなんだけど、実はこれ、ヴァル・キルマーが着てたタキシードなんだよね」みたいに、話のきっかけになるってわかったんだよ、と言いたいわけです。
「そういう会話、例えば誰との間で弾んだの?」みたいに聞かれたロスが、ぼそっと「ガンター」と答えるのが面白いです。
いろんな人と会話が盛り上がったのかと思いきや、実はガンターだけだった…という寂しい話だったわけですね。
僕もタキシードを持ってきたから、二人で一緒にセレブのタキシードを着てみようよ、とロスは提案します。
チャンドラーは、「俺もそうしたいけど、でも、俺のタキシードは(俺に)合わない、フィットしないんだよね」と言って、パンツが少しタイト・キツいんだよ、と説明します。
チャンドラーが a little tight と言ったのを受けて、モニカは「ちょっぴりキツい、ですって?」みたいに聞き返しています。
その後のセリフは、ちょっとお下品(笑)ながらも、しっかり 007 ネタになっているのが笑えますね。
in those things という複数形は、in your pants のことですね。
those のように「あの、あれらの」となっているのは、今、目の前でそのパンツをはいているのではなく、前にはいた時の過去のイメージを頭に思い浮かべているので、「あの時はいていたあのパンツには」という感覚の「距離感」から、those が使われているということになるでしょう。
あなたがあのパンツをはいていた時、私にはそのパンツの中に、「O (オー)が2つと7」が見えたわ、と言っていることになりますが、それはつまり(ちょっと露骨な表現になってしまいますが)「玉2つと棒」みたいなことを言っているわけですね。
「あのパンツが”ちょっぴりキツい”ですって? 実際は、ものすごくキツくて、中身がくっきり浮き出てたじゃない」みたいなことを、007 という文字を使って表現してみせたことになります。
チャンドラーが「パンツがキツくて、もうはけない」みたいなことを言うので、ロスは残念がっています。
stink は「悪臭がする」という動詞ですが、ここでは「ひどい、まずい、だめだ」というニュアンス。
I was looking forward to us wearing our celebrity tuxes together. について。
I'm looking forward to doing で「〜するのを楽しみにしています」という決まり文句で、I'm really looking forward to seeing you. 「あなたにお会いするのを本当に楽しみにしています」のように使いますね。
ここでは、I was と過去進行形になっているので、「僕は〜するのを楽しみにしていたのに(実際にはそれができなくなって残念だ)」というニュアンスが出ます。
また、look forward to... は、to の後ろは動詞の原形ではなく名詞が来るため、「〜するのを楽しみにしている」と言いたい場合は、doing のような動名詞の形にしないといけませんね。
to があるために、to do のような to不定詞のイメージで、look forward to do という形にしてしまいそうになる日本人英語学習者が多いため、文法の間違い探しによく登場する項目でもあります。
今回は、to の後が、us wearing となっていて、ただ「タキシードを着ることを楽しみにしている」ではなく、「”俺たちが”タキシードを着ることを楽しみにしている」という主語が入っています。
wearing という動名詞の主語として、目的格の us が使われており、このように「動名詞の意味上の主語を目的格で表す」というのも、口語英語の特徴の一つですね。
一緒に着られなくて残念だ、というので、「それは、お前も着ない、って意味か?」みたいにチャンドラーは尋ねますが、ロスは「冗談だろ。バットマンのタキシードなんだから、お前が着ようが着まいが、僕はもちろん着るに決まってる」みたいな返事を返します。
俺にもバットマンのタキシードを試着させてくれ、というチャンドラーに、ロスは「いいけど、ジャケットだけな」と言って、また「ダブルのオーとセブン」ネタを持ち出すのが、いかにもコメディというところです。
「ダブルのオーとセブン」は、その中には入らない、みたいなことを言っているわけですが、それはつまり、着るのは上のジャケットだけで、パンツははかせないぞ、下半身のパンツにお前の「ダブルのオーとセブン」を入れるわけにはいかないんだ、みたいなことを言っていることになります。
チャンドラーは上着だけ借りてそれをはおってみせた後、Holy double-vented comfort, Batman! と言っていますね。
まず、double-vented から説明しますと、vent は「スリット」のこと。
研究社 新英和中辞典では、
vent 【名】【C】 ベンツ、スリット 《上衣の背または両わき、スカートの裾(すそ)などに入れる切り込み》
語源:ラテン語「裂け目」の意
と出ています。
Wikipedia 日本語版: 背広 | ベント(vent) では、
馬乗り用の後裾の切込み。ないのがノーベント、中央に一本がセンターベント(日本名「馬乗り」)、両脇にあるのがサイドベンツ(同「剣吊り」)、また鍵状となっているフックベントもある。
紳士用ジャケットのことはよくわからないのですが、両脇に切込みがあるサイドベンツ、というのが、今回の double-vented のことなんだろうと思います。
サイドに2つベントがあるので、着た時にラク、という意味で、「ダブルベントになった快適さ・心地よさ」と言っているのが、double-vented comfort なのでしょう。
そして、このセリフのポイントは、Holy .... Batman! の部分にあります。
実はこれ、バットマンの相棒ロビンの口癖、というか、決め台詞(?)なのです。
そもそも、Holy ...! というのは、驚いた時などによく使われる感嘆表現ですね。
中でも、Holy shit! はよく聞きますね。
shit は「大便、うんち」ですから、かなりお下品な表現なのですが、私のデータベースによると(笑)、「プリティ・ウーマン」「バック・トゥ・ザ・フューチャー」「愛と青春の旅立ち」「ターミネーター」で使われているのを聞きました。
ピクサーアニメの「カーズ」では、Holy shoot! というセリフになっていて、これは恐らく、子供も見るアニメで shit はいかん、ということになって、shit の婉曲語である、shoot で代用した、ということだと思われます。
そんな風に、Holy ...! は驚いた時に使われる表現なので、普通の場合だと、チャンドラーもその驚きを Holy という言葉で言ってみせた、というだけのことになるのですが、今、バットマンのタキシードを着てみてそれを言った、というのがここでの最大のポイントで、ただの大げさな驚きのセリフではなく、バットマンの相棒ロビンの口癖・決め台詞だからこそ、面白いわけです。
Wikipedia 英語版: Batman (TV series) | After the cliffhanger
に、その口癖についての説明があります。
引用させていただきますと、
Robin, in particular, was especially well known for saying "Holy (insert), Batman!" whenever he encountered something startling.
訳しますと、「特にロビンは、何かびっくりさせるようなことに遭遇した時にはいつでも、"Holy 〜 Batman!" と言うことで有名であった」。
同じウィキペディアの Regular cast の Robin の説明でも、
Burt Ward as Dick Grayson / Robin: Batman's faithful partner and "boy wonder", noted for his recurring interjections in the form of "Holy ________, Batman!"
つまり、「ロビン:バットマンの誠実なパートナーで「ボーイ・ワンダー(天才少年)」、"Holy ... Batman!" の形で、何度も繰り返される叫び(感嘆)で有名」。
Legacy の部分では、ヴァル・キルマー主演の映画「バットマン・フォーエヴァー」で、クリス・オドネル演じるロビンが、その決まり文句を言ったことが詳しく説明されています。
冒頭部分の説明では、
A line spoken by Robin (Chris O'Donnell) in Batman Forever is a homage to the television Robin's catch-phrase exclamations that started "Holy" and sometimes ended "Batman!"
映画「バットマン・フォーエヴァー」で、ロビン(クリス・オドネル)によって言われたセリフは、Holy で始まり、時には Batman! で終わる、テレビシリーズのロビンのキャッチフレーズとなる感嘆の叫びに対する敬意である。
訳すと堅苦しいですが(笑)、要は、テレビシリーズへのリスペクトとして、テレビシリーズの時のロビンの口癖・決め台詞を新しい映画のロビンにも言わせてみた、という、シリーズものにありがちな、ファンサービスがあったということですね。
ウィキペディアのその続きにはこうあります。
During the movie, Robin says "Holy rusted metal, Batman!" after the duo climb onto twisted metal girders beside some water.
つまり、「その映画の中で、ロビンは言う、"Holy rusted metal, Batman!" と。バットマンとロビンの二人組(デュオ)が、水のそばのねじれた鉄のけたによじ登った後で」。
実際に私もその映画をDVDで観て、そのセリフは確認済みです^^
時間にして 1時間43分52秒頃、ラストに近い時間帯のシーンで、水からそのけたによじ登ったロビンが驚いた声でそう叫んでいました。
ロビン: Holy rusted metal, Batman! The ground, it's all metal. It's full of holes. Holy.
と興奮気味に叫び、バットマンはただ相槌を打っているだけ(笑)というやりとりだったのですが、最後にダメ押しでまた Holy. と言ったのも、「お約束」な感じでファンならクスっと笑えたセリフだったでしょう。
たかが Holy... のセリフに、説明を長々と書いてしまいましたが、これがロビンの口癖だとわかるかどうかで、このセリフの面白さが全然違ってきます。
007 のタキシードの話では、「ダブルのオーとセブン」ネタでイジられまくったチャンドラーが、バットマンのタキシードを着た直後に、ロビンのセリフで大げさに感動してみせる、というのが、いかにもフレンズっぽく、「もしかしてそれが言いたいがためだけに、ジャケットの試着をせがんだ?」とも取れる、、というか、それはつまり、チャンドラーにそのセリフを言わせたくて、ここでチャンドラーがバットマンのジャケットを借りる話に持って行った、という脚本の妙、が感じられる気がして、個人的にとても面白いシーンでした。
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2013年07月17日
007とバットマンどっちがクール? フレンズ7-20その5
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[Scene: Monica and Chandler's, Monica is on the couch as Chandler disgustedly enters.]
モニカとチャンドラーの家。モニカはカウチに座っていて、チャンドラーは機嫌が悪そうに入ってくる。
チャンドラー: Ross is Batman! (ロスはバットマンなんだ!)
モニカ: Well, he did manage to keep his identity secret for a long time. (ふーん、ロスは長い間、まんまと自分の正体を秘密にし続けたのねぇ。)
チャンドラー: Rachel got Ross the tuxedo that Val Kilmer wore in Batman. Okay, Batman is so much cooler than James Bond! (レイチェルはロスに、ヴァル・キルマーが「バットマン」で着たタキシードを用意したんだ。いいか、バットマンはジェームズ・ボンドよりずっとかっこいいよ。)
モニカ: What are you talking about?! 007 has all those gadgets! (何言ってるの? 007 は、あんな小道具を持ってるじゃない!)
チャンドラー: Batman has a utility belt! (バットマンは多用途ベルトを持ってる。)
モニカ: 007 has a fancy car! (007 は、凝った・しゃれた・派手な車を持ってるわ。)
チャンドラー: Batman has the Batmobile! (バットマンは、バットモービルを持ってる!)
モニカ: 007 gets all the ladies. (007 には女性たちがいる。)
チャンドラー: Batman has Robin! (Pause) We get ESPN, right? (バットマンにはロビンがいる! [間があって] うちは、ESPN 入ってるよね?)
モニカ: How about you go put on your 007 tuxedo, and I'll make you a nice martini. (あなたは自分の 007 のタキシードを着たらどう? そしたら私はあなたに、素敵なマティーニを作ってあげるわ。)
チャンドラー: Actually, I don't like martinis. (実は、俺はマティーニが嫌いなんだよ。)
モニカ: How about a Yoo-Hoo with a funny straw? (おもしろストロー付きの Yoo-Hoo はどう?)
チャンドラー: Ooh, yum! (Runs into the bedroom.) (ああ、おいしそう! [寝室に走り込む])
チャンドラーは自分の結婚式で、ピアース・ブロスナン(007)のタキシードを着る予定。ですが、ロスが(映画でバットマンを演じた)ヴァル・キルマーのタキシードを着ると知って、プリプリ怒っています。
それで、家に帰るなり、「ロスはバットマンなんだよ!」とご機嫌斜めで言うのですが、それに対するモニカの返事に笑ってしまいますね。
その he did manage to keep his identity secret for a long time について。
manage to は「うまく〜する、どうにかして〜する、まんまと〜する」。
identity は「本人であること、身元、正体」で、keep his identity secret は「自分の正体・身元を秘密に保つ」、つまり、自分の正体を秘密にし続ける、という意味。
did は manage to を過去形で強調したニュアンスで、もし実はロスはバットマンその人だった、というのなら、今の今まで、ロスは長い間、自分がバットマンである、という正体を、友人や妹の私にもうまく隠し続けてたのねぇ、と言ってみせたことになります。
チャンドラーは、「バットマンはジェームズ・ボンドよりクールだ」と言うので、モニカは「そんなことないわ。007 の方がかっこいいわよ」と、チャンドラーをなだめようとします。
その後は、モニカが 007 の良いところを挙げる度に、チャンドラーが「でもバットマンの方がこんな風にかっこいい」とバットマンの長所を持ち出す、というやり取りが続くことになります。
こういう会話は、まさにサブカルネタのオンパレードになりますね。
007 もバットマンも、日本でも有名ですから、いちいち元ネタを紹介する必要もないかもしれませんが、参考資料として、以下にウィキペディアのリンクをいくつかはらせていただきます。
リンクや引用が多くなりうっとうしいかもしれませんが、なにとぞご了承下さい。
それぞれが挙げた長所は、小道具VS多用途ベルト、凝った車VSバットモービル、女性たちVSロビン。
まず、007 の all those gadgets というのは、腕時計、ベルト、ペンなどに特殊な装置が仕込まれているような、そういう小道具一式を指しています。
Q がボンドのために作ったものですね。
ガジェットという言葉は、もう日本語になっているので、分かった方も多いでしょうか。
バットマンのユーティリティベルトについては以下。
Wikipedia 日本語版: バットマン (架空の人物) ガジェット(装備)
以下に引用します。
ユーティリティベルト(万能ベルト)
バットマンが腰に巻いているガジェット携帯用ベルト。「フラッシュライト」「試験管」「呼吸フィルター」「レーザートーチ」など様々な道具が装備されている。シリーズによっては携行可能なのか疑わしいほどの量の装備が収納されており、「ブレイブアンドボールド」でミュージック・マイスターから皮肉られている。
Wikipedia 英語版: Batman's utility belt
英語版には、ベルトのイラストが載っています。
このユーティリティベルトも、いわゆるガジェットの一種なので、ガジェット部門で長所を主張し合っていることになります。
次に車の話。007 の a fancy car は、ミサイルを発射したりするあの「ボンドカー」のことですね。
Wikipedia 日本語版: ボンドカー
バットモービルについては以下。
Wikipedia 日本語版: Wikipedia 日本語版: バットマン (架空の人物) ヴィークル(乗り物)
引用させていただくと、
バットモービル(Batmobile)
すべてのシリーズに登場する、バットマン愛用の特殊車輌。登場作品によってデザインや機能はやや異なるが基本的につや消しの黒でカラーリングされた高性能な車であり、バットマンのヴィークルの代表格である。
ガジェット対決、車対決の後、モニカが「ボンドはいつも女性にモテモテじゃない」みたいに、gets all the ladies と言ったのに対して、チャンドラーが、「バットマンには(相棒の)ロビンがいるじゃないか!」とムキになって言うのには笑ってしまいました。
観客からは悲鳴にも似たような笑いが起き、モニカも目を丸くしてあきれている様子。
いつも、ゲイだと勘違いされて、同室だったジョーイとはゲイカップルに間違えられたりするようなチャンドラーですので、そのチャンドラーが、「大勢の女がなんだ。バットマンにはロビンっていう、最高の男がいるじゃないか」みたいに言ったのが、「大勢の女性に囲まれるよりも、ロビンがたった一人いてくれればそれでいい」と言っているよなゲイ的発言に聞こえてしまう、という面白さですね。
ゲイだと誤解されそうな発言をしてしまったことに気付いて、チャンドラーは、We get ESPN, right? と尋ねています。
ESPN は、過去記事、テレビをつけて音だけでも聞いといて フレンズ7-20その2 に出てきた、スポーツ専用チャンネルのこと。
芸能ネタにばかり反応していたことをレイチェルに指摘され、「もっと ESPN 見なさいよ」と言われたことをここで思い出して、「バットマンにはロビンがいる」という発言が、二人を同性愛っぽい視点で見ている感じがしてしまう、そんな俺はやっぱり芸能番組、見過ぎなのかな。スポーツ番組見なくちゃだめだよな、という意味で、「うちは ESPN を見られるよね、うちにそのチャンネル入ってるよね」という意味で、そう聞いたことになるでしょう。
そんなやりとりの後、モニカは、「(ロスがバットマンを着ようが、あなたは予定通り)007を着ればいいのよ。そしたら私はあなたにマティーニを作ってあげる」と言います。
マティーニと言えば、ボンドを思い出す人も多いでしょうか。
Wikipedia 日本語版: マティーニ
引用させていただくと、
007シリーズでジェームズ・ボンドが「Vodka Martini. Shaken, not stirred.(ウォッカマティーニを。ステアせずにシェィクで)」という台詞を決めるシーンがある。本来、ジンでつくるマティーニをウォッカで、おまけにシェイクして出せという意表を突いた台詞が受け流行となり、これは007シリーズの定番になった。
ボンドの "Vodka martini. Shaken, not stirred." というセリフは本当に有名で、私も過去記事、フレンズ2-5その2+007の話 で触れています。
ボンドのそのセリフにちなんで、モニカがせっかくそう言ったのに、チャンドラーは「俺、マティーニ嫌いなんだよね」みたいに返事します。
「それじゃあこれはどう?」みたいに次にモニカが言ったのは、a You-Hoo with a funny straw でした。
Wikipedia 英語版: Yoo-hoo
の説明にあるように、
Yoo-hoo is an American chocolate beverage.
つまり、「yoo-hoo は、アメリカのチョコレート飲料」ということです。
funny straw は「面白いストロー」ということですから、子供が好きそうな、ぐるぐるになった変な形のストローを指します。
Google の画像検索で、funny straws で調べると、そういう楽しいデザインのカラフルなストローの画像がたくさんヒットします。
チャンドラーはそれを聞いて、Yum! 「おいしそう!」と大喜び。
007 のようなマティーニよりも、楽しいストローがついたチョコ飲料の方に心惹かれるところに、チャンドラーのお子ちゃま具合が出ている、というオチになっているわけですね。
ちなみに、最後に余談となりますが、「バットマンはジェームズ・ボンドよりクールだ」というチャンドラー発言について、思い出したことがあります。
私はこれまでバットマンの映画を観たことがなかったのですが、今回、セリフでバットマンの話がいろいろ出てきたのが良い機会と思い、ヴァル・キルマーがバットマンを演じた映画「バットマン・フォーエバー」をDVDレンタルして観てみました。
その中で、今回のチャンドラーのセリフに通じるものを感じたセリフがあったのでご紹介します。
主人であるブルース・ウェイン(バットマン)の命令に逆らうことになるかもしれない、と思った、執事アルフレッドのセリフ。
アルフレッド: Oh, sir.... I could be fired for this. I'll go back to Buckingham Palace. (字幕:これで解雇されたら−− 英国王室に戻ります/音声:これでお暇を出されたら、イギリス王室に戻ります)
「私は今回のことで解雇される可能性がある。(解雇されたら)バッキンガム宮殿に戻ります」と言っているわけですが、go back to (戻る)と言っていることからも、元々そこで働いていたことがわかりますね。
「バットマンのところをクビになったら、英国王室に戻る」というのは、英国王室で働くよりもバットマンの下で働く方が名誉だと思っていることになり、今回のエピソードで、"Batman is so much cooler than James Bond!" 「バットマンは、ジェームズ・ボンドよりずーっとかっこいい!」と力説しているチャンドラーのイメージとも重なる気がしました。
王室のあるイギリスに対しての対抗心から出たアメリカン・ジョークとでも言ったら良いでしょうか。
アメリカ人が聞いたら、クスッと笑ってしまうセリフが楽しかったので、ここで併せてご紹介してみました。
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[Scene: Monica and Chandler's, Monica is on the couch as Chandler disgustedly enters.]
モニカとチャンドラーの家。モニカはカウチに座っていて、チャンドラーは機嫌が悪そうに入ってくる。
チャンドラー: Ross is Batman! (ロスはバットマンなんだ!)
モニカ: Well, he did manage to keep his identity secret for a long time. (ふーん、ロスは長い間、まんまと自分の正体を秘密にし続けたのねぇ。)
チャンドラー: Rachel got Ross the tuxedo that Val Kilmer wore in Batman. Okay, Batman is so much cooler than James Bond! (レイチェルはロスに、ヴァル・キルマーが「バットマン」で着たタキシードを用意したんだ。いいか、バットマンはジェームズ・ボンドよりずっとかっこいいよ。)
モニカ: What are you talking about?! 007 has all those gadgets! (何言ってるの? 007 は、あんな小道具を持ってるじゃない!)
チャンドラー: Batman has a utility belt! (バットマンは多用途ベルトを持ってる。)
モニカ: 007 has a fancy car! (007 は、凝った・しゃれた・派手な車を持ってるわ。)
チャンドラー: Batman has the Batmobile! (バットマンは、バットモービルを持ってる!)
モニカ: 007 gets all the ladies. (007 には女性たちがいる。)
チャンドラー: Batman has Robin! (Pause) We get ESPN, right? (バットマンにはロビンがいる! [間があって] うちは、ESPN 入ってるよね?)
モニカ: How about you go put on your 007 tuxedo, and I'll make you a nice martini. (あなたは自分の 007 のタキシードを着たらどう? そしたら私はあなたに、素敵なマティーニを作ってあげるわ。)
チャンドラー: Actually, I don't like martinis. (実は、俺はマティーニが嫌いなんだよ。)
モニカ: How about a Yoo-Hoo with a funny straw? (おもしろストロー付きの Yoo-Hoo はどう?)
チャンドラー: Ooh, yum! (Runs into the bedroom.) (ああ、おいしそう! [寝室に走り込む])
チャンドラーは自分の結婚式で、ピアース・ブロスナン(007)のタキシードを着る予定。ですが、ロスが(映画でバットマンを演じた)ヴァル・キルマーのタキシードを着ると知って、プリプリ怒っています。
それで、家に帰るなり、「ロスはバットマンなんだよ!」とご機嫌斜めで言うのですが、それに対するモニカの返事に笑ってしまいますね。
その he did manage to keep his identity secret for a long time について。
manage to は「うまく〜する、どうにかして〜する、まんまと〜する」。
identity は「本人であること、身元、正体」で、keep his identity secret は「自分の正体・身元を秘密に保つ」、つまり、自分の正体を秘密にし続ける、という意味。
did は manage to を過去形で強調したニュアンスで、もし実はロスはバットマンその人だった、というのなら、今の今まで、ロスは長い間、自分がバットマンである、という正体を、友人や妹の私にもうまく隠し続けてたのねぇ、と言ってみせたことになります。
チャンドラーは、「バットマンはジェームズ・ボンドよりクールだ」と言うので、モニカは「そんなことないわ。007 の方がかっこいいわよ」と、チャンドラーをなだめようとします。
その後は、モニカが 007 の良いところを挙げる度に、チャンドラーが「でもバットマンの方がこんな風にかっこいい」とバットマンの長所を持ち出す、というやり取りが続くことになります。
こういう会話は、まさにサブカルネタのオンパレードになりますね。
007 もバットマンも、日本でも有名ですから、いちいち元ネタを紹介する必要もないかもしれませんが、参考資料として、以下にウィキペディアのリンクをいくつかはらせていただきます。
リンクや引用が多くなりうっとうしいかもしれませんが、なにとぞご了承下さい。
それぞれが挙げた長所は、小道具VS多用途ベルト、凝った車VSバットモービル、女性たちVSロビン。
まず、007 の all those gadgets というのは、腕時計、ベルト、ペンなどに特殊な装置が仕込まれているような、そういう小道具一式を指しています。
Q がボンドのために作ったものですね。
ガジェットという言葉は、もう日本語になっているので、分かった方も多いでしょうか。
バットマンのユーティリティベルトについては以下。
Wikipedia 日本語版: バットマン (架空の人物) ガジェット(装備)
以下に引用します。
ユーティリティベルト(万能ベルト)
バットマンが腰に巻いているガジェット携帯用ベルト。「フラッシュライト」「試験管」「呼吸フィルター」「レーザートーチ」など様々な道具が装備されている。シリーズによっては携行可能なのか疑わしいほどの量の装備が収納されており、「ブレイブアンドボールド」でミュージック・マイスターから皮肉られている。
Wikipedia 英語版: Batman's utility belt
英語版には、ベルトのイラストが載っています。
このユーティリティベルトも、いわゆるガジェットの一種なので、ガジェット部門で長所を主張し合っていることになります。
次に車の話。007 の a fancy car は、ミサイルを発射したりするあの「ボンドカー」のことですね。
Wikipedia 日本語版: ボンドカー
バットモービルについては以下。
Wikipedia 日本語版: Wikipedia 日本語版: バットマン (架空の人物) ヴィークル(乗り物)
引用させていただくと、
バットモービル(Batmobile)
すべてのシリーズに登場する、バットマン愛用の特殊車輌。登場作品によってデザインや機能はやや異なるが基本的につや消しの黒でカラーリングされた高性能な車であり、バットマンのヴィークルの代表格である。
ガジェット対決、車対決の後、モニカが「ボンドはいつも女性にモテモテじゃない」みたいに、gets all the ladies と言ったのに対して、チャンドラーが、「バットマンには(相棒の)ロビンがいるじゃないか!」とムキになって言うのには笑ってしまいました。
観客からは悲鳴にも似たような笑いが起き、モニカも目を丸くしてあきれている様子。
いつも、ゲイだと勘違いされて、同室だったジョーイとはゲイカップルに間違えられたりするようなチャンドラーですので、そのチャンドラーが、「大勢の女がなんだ。バットマンにはロビンっていう、最高の男がいるじゃないか」みたいに言ったのが、「大勢の女性に囲まれるよりも、ロビンがたった一人いてくれればそれでいい」と言っているよなゲイ的発言に聞こえてしまう、という面白さですね。
ゲイだと誤解されそうな発言をしてしまったことに気付いて、チャンドラーは、We get ESPN, right? と尋ねています。
ESPN は、過去記事、テレビをつけて音だけでも聞いといて フレンズ7-20その2 に出てきた、スポーツ専用チャンネルのこと。
芸能ネタにばかり反応していたことをレイチェルに指摘され、「もっと ESPN 見なさいよ」と言われたことをここで思い出して、「バットマンにはロビンがいる」という発言が、二人を同性愛っぽい視点で見ている感じがしてしまう、そんな俺はやっぱり芸能番組、見過ぎなのかな。スポーツ番組見なくちゃだめだよな、という意味で、「うちは ESPN を見られるよね、うちにそのチャンネル入ってるよね」という意味で、そう聞いたことになるでしょう。
そんなやりとりの後、モニカは、「(ロスがバットマンを着ようが、あなたは予定通り)007を着ればいいのよ。そしたら私はあなたにマティーニを作ってあげる」と言います。
マティーニと言えば、ボンドを思い出す人も多いでしょうか。
Wikipedia 日本語版: マティーニ
引用させていただくと、
007シリーズでジェームズ・ボンドが「Vodka Martini. Shaken, not stirred.(ウォッカマティーニを。ステアせずにシェィクで)」という台詞を決めるシーンがある。本来、ジンでつくるマティーニをウォッカで、おまけにシェイクして出せという意表を突いた台詞が受け流行となり、これは007シリーズの定番になった。
ボンドの "Vodka martini. Shaken, not stirred." というセリフは本当に有名で、私も過去記事、フレンズ2-5その2+007の話 で触れています。
ボンドのそのセリフにちなんで、モニカがせっかくそう言ったのに、チャンドラーは「俺、マティーニ嫌いなんだよね」みたいに返事します。
「それじゃあこれはどう?」みたいに次にモニカが言ったのは、a You-Hoo with a funny straw でした。
Wikipedia 英語版: Yoo-hoo
の説明にあるように、
Yoo-hoo is an American chocolate beverage.
つまり、「yoo-hoo は、アメリカのチョコレート飲料」ということです。
funny straw は「面白いストロー」ということですから、子供が好きそうな、ぐるぐるになった変な形のストローを指します。
Google の画像検索で、funny straws で調べると、そういう楽しいデザインのカラフルなストローの画像がたくさんヒットします。
チャンドラーはそれを聞いて、Yum! 「おいしそう!」と大喜び。
007 のようなマティーニよりも、楽しいストローがついたチョコ飲料の方に心惹かれるところに、チャンドラーのお子ちゃま具合が出ている、というオチになっているわけですね。
ちなみに、最後に余談となりますが、「バットマンはジェームズ・ボンドよりクールだ」というチャンドラー発言について、思い出したことがあります。
私はこれまでバットマンの映画を観たことがなかったのですが、今回、セリフでバットマンの話がいろいろ出てきたのが良い機会と思い、ヴァル・キルマーがバットマンを演じた映画「バットマン・フォーエバー」をDVDレンタルして観てみました。
その中で、今回のチャンドラーのセリフに通じるものを感じたセリフがあったのでご紹介します。
主人であるブルース・ウェイン(バットマン)の命令に逆らうことになるかもしれない、と思った、執事アルフレッドのセリフ。
アルフレッド: Oh, sir.... I could be fired for this. I'll go back to Buckingham Palace. (字幕:これで解雇されたら−− 英国王室に戻ります/音声:これでお暇を出されたら、イギリス王室に戻ります)
「私は今回のことで解雇される可能性がある。(解雇されたら)バッキンガム宮殿に戻ります」と言っているわけですが、go back to (戻る)と言っていることからも、元々そこで働いていたことがわかりますね。
「バットマンのところをクビになったら、英国王室に戻る」というのは、英国王室で働くよりもバットマンの下で働く方が名誉だと思っていることになり、今回のエピソードで、"Batman is so much cooler than James Bond!" 「バットマンは、ジェームズ・ボンドよりずーっとかっこいい!」と力説しているチャンドラーのイメージとも重なる気がしました。
王室のあるイギリスに対しての対抗心から出たアメリカン・ジョークとでも言ったら良いでしょうか。
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2013年07月15日
俺の特別感が減っちゃう フレンズ7-20その4
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[Scene: Central Perk, Chandler is on the couch reading as Ross enters carrying a garment bag.]
セントラルパーク。チャンドラーはカウチで読書中、ロスがスーツ袋(衣装バッグ)を持って入ってくる。
ロス: Hey! Guess what I got for your wedding! (Holding up his garment bag.) (ねえ! チャンドラーの結婚式のために、僕が何をゲットしたと思う? [衣装バッグを掲げる]
チャンドラー: A freakishly thin date with a hanger for a head? (頭にハンガーがついた(頭がハンガーの)異常にやせたデート相手か?)
ロス: No. Rachel hooked me up with a tux! But not just any tux. Batman's tux! (いいや。レイチェルが僕にタキシートを見立ててくれたんだ! でもただのタキシードじゃないんだぜ。バットマンのタキシードだ!)
チャンドラー: What? (何だって?)
ロス: That's right! Made expressly for Val Kilmer, and worn by him in the hit film… that Batman film he was in. (その通り! 特別にヴァル・キルマーのために作られた、そして彼が着た[着用した]、あのヒット映画で…彼が出てたあのバットマンの映画でね。)
チャンドラー: You can't wear that! I'm wearing the famous tux! James Bond's tux! (ロスはそんなの着ちゃだめだ! 俺が有名なタキシードを着る予定なんだよ! ジェームズ・ボンドのタキシードを!)
ロス: So? (それで?)
チャンドラー: So-If you wear that, you'll make mine less special. (それで、もしお前がそれを着たら、お前のせいで、俺のタキシードの特別さが減ってしまうんだよ。)
ロス: Well, you need something to make this day special? Hello! You-you-you have the most special thing of all! You are marrying the woman you love. (お前はこの日を特別にする何かが必要なのか? もしもし? お前は全ての中で最も特別なものを持ってるじゃないか! お前が愛する女性とお前は結婚するんだぞ。)
(Chandler mimics him.)
チャンドラーはロスのセリフを(ドナルドダックみたいな声でバカにしたように)真似る。
チャンドラー: Please, don't take away my cool thing. Please?! Pretty please?! (お願いだから、どうか俺のかっこいいところを持ってかないでくれよ。頼むよ。一生のお願いだよ!)
ロス: "Pretty please?" Not very uh, 007. (「一生のお願い」だって? あんまり(or 全く)007らしくない。)
チャンドラー: Look, it's my wedding day, okay? If you were getting married I would never do anything to upset you. (なぁ、俺の結婚式なんだぞ。だろ? もしお前が結婚する予定だったら、俺はお前を困らせるようなことは絶対に何もしないぞ。)
ロス: When I got married, you slept with my sister. (僕が(ロンドンで)結婚した時、お前は俺の妹と寝たじゃないか。)
チャンドラー: That was pretty 007. (それって、かなり007(的)だよな。)
スーツの入った袋を持ってコーヒーハウスに入ってきたロスは、Guess what I got for your wedding! と尋ねています。
直訳すると、「僕が君の結婚式のためにゲットしたのは何か、推測してみて・当ててみて」という感じですね。
衣装バッグを掲げているので、「君の結婚式のためにこれをゲットしたんだけど、中身は何だと思う?」みたいなことを嬉しそうに聞いているわけです。
Guess what...? 「何だと思う?」みたいに聞かれたら、面白いことを言わずにはいられないチャンドラーは、ここでもジョークで返しています。
そのチャンドラーのセリフ、A freakishly thin date with a hanger for a head? について。
freakishly thin は「異常に・異常なほど、やせた」、with a hanger for a head は「頭の代わりにハンガーがついた」という感覚ですね。
date はいわゆる「(男女の)デート」という意味もありますが、ここでは、「やせた」という形容詞がついていることからも、「デート相手」という人間を指していることになります。
ですから、チャンドラーは、「頭の代わりにハンガーがついた、異常なほどやせたデート相手をゲットしたのか?」と返したことになります。
スーツが入っている典型的な袋を見て、「俺の結婚式に同伴するデート相手として、頭の部分がハンガーになった、超薄っぺらい人をゲットしたのか?」みたいに茶化したわけです。
ロスは、レイチェルが僕にタキシードを提供してくれた、見立ててくれた、と言って、「ただのタキシードじゃない、バットマンのタキシードなんだぞ」と自慢します。
驚くチャンドラーに、ロスは自分のタキシード自慢を続けています。
expressly は「特別に、わざわざ」なので、Made expressly for Val Kilmer は、「ヴァル・キルマーのために特別に作られた、あつらえた」。
いきなり Made で始まり、その後、and worn by him と続いているのは、This tux was made expressly.... and (was) worn by... ということで、この話の流れで明白な主語を省略している形となります。
worn by him in the hit film を直訳すると、「ヒット映画でヴァル・キルマーによって着られた」みたいになりますね。
そこまで受動態を出し過ぎると日本語では不自然になりますが、やはり英語では、「このスーツ」の説明をしたい場合だと、「特注で作られた」「彼によって着用された」と表現するのが自然なわけです。
the hit flim... と言った後、that Batman film he was in 「彼が出ていたあのバットマンの映画」と説明しているのが面白いです。
「あのヒット映画で着てた服なんだよ!」みたいに自慢しておきながら、その映画のタイトルを知らない、ということがこのセリフでわかるわけですね。
ちなみに、その「ヴァル・キルマーが出ていたバットマンの映画」のタイトルは、1995年の『バットマン フォーエヴァー』(原題:Batman Forever)になります。
ロスがバットマンのタキシードを着る、というのをチャンドラーは必死に止めようとしています。
俺は007のタキシードを着るのに、ロスがバットマンのタキシードを着たら、俺のが less special になっちまうじゃないか!みたいに抗議していますね。
結婚式の主役である新郎として特別でいたいのに、俺のタキシードのスペシャルさを減らさないでくれ、みたいなことになります。
ロスは「お前はすでに特別なものを持ってるじゃないか。愛する女性と結婚するんだから」みたいに、ロスはかっこいいことを言ってかわそうとするのですが、チャンドラーが小馬鹿にしたように、ロスの様子を口真似する様子から、「何きれいごと言って逃げようとしてんだよ」みたいに思っていることがわかりますね。
don't take away my cool thing は、「俺のクールな・かっこいいこと・ところを取り去らないでくれ」ということですね。
日本語で言うと、「俺のいいところ・おいしいところを持ってかないでくれよ」というところでしょう。
Please! 「どうか、お願いだから」という言葉を2回使った後、Pretty please?! とも言っていますね。
英辞郎では、以下のように出ています。
pretty please
〈話〉本当に[一生の]お願い◆子どもや女性が使うことが多い。◆pretty は considerable amount of の意味と考えられる。
英辞郎では、pretty please の他に、pretty please with sugar on it, pretty please with sugar on top などの表現が同じ意味の言葉として挙げられています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
pretty please : (spoken, humorous) said to emphasize that you really want something when you are asking someone for it
つまり、「(話し言葉、ユーモラス) 誰かに何かを頼んでいる時に、それが本当に欲しいと強調するために使われる」。
「一生のお願い」みたいな必死にお願いするようなセリフは、クールな 007 には似つかわしくないなぁ、みたいにロスは言っています。
very 007 だと「まさに 007 (らしい、っぽい)」となりますね。
そして、その very を not で否定した形の not very は、通常なら、「とても〜というわけではない」→「あまり〜ではない」という感じの部分否定のニュアンスになりますが、実際の用例としては、not very で「全否定」(全然〜でない、全く〜でない)という意味でも使われるようです。
研究社 新英和中辞典では、
very=[否定文で]
1 あまり[そんなに](…ではない)
“Are you busy?”―“No, not very.” 「お忙しいですか」「いや, 別に」
2 [正反対の意味を婉曲に表わして] 全然[ちっとも](…でない)
I'm not feeling very well. 全然気分がすぐれない。
LAAD では、
not very
a) only slightly
例) I'm not very worried about it.
b) used before a quality to mean exactly the opposite of that quality
例) She's not very smart (= she's fairly stupid).
つまり、a) は「わずかに、少しだけ」。例文は「私はそれについてあまり心配していない」。b) は「その性質の正反対を意味するために、性質の前(の位置)で使われる」。例文は「彼女は全然賢くない(=彼女はかなり・きわめて愚かである)」。
今回のロスのセリフについては、「一生のお願いなんて言葉、”あんまり”007らしくないよな」と言いながら、「全然007っぽくないじゃん、007のイメージとは真逆の言葉じゃん」みたいにからかっているニュアンスなんだろうと思います。
チャンドラーは「もしお前が結婚する予定なら、俺はお前を困らせるようなことはしないのに」、つまり、「俺がお前の立場なら、そんな嫌がらせみたいなことはしないぞ」と言います。
それに対してロスは、「僕のロンドンでの結婚式の日に、お前は妹のモニカと寝たじゃないか。あれは十分、僕を upset させたぞ」みたいに返します。
それに対するチャンドラーの返事が面白いですね。
「妹と寝たってことが、かなり007っぽい、007らしい」ということで、モテ男の007は、映画の中でも、いろんな女性と寝たりしていることを持ち出して、「友人の妹と寝る、なんて、いかにも007っぽいじゃないか」と言っているわけですね。
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[Scene: Central Perk, Chandler is on the couch reading as Ross enters carrying a garment bag.]
セントラルパーク。チャンドラーはカウチで読書中、ロスがスーツ袋(衣装バッグ)を持って入ってくる。
ロス: Hey! Guess what I got for your wedding! (Holding up his garment bag.) (ねえ! チャンドラーの結婚式のために、僕が何をゲットしたと思う? [衣装バッグを掲げる]
チャンドラー: A freakishly thin date with a hanger for a head? (頭にハンガーがついた(頭がハンガーの)異常にやせたデート相手か?)
ロス: No. Rachel hooked me up with a tux! But not just any tux. Batman's tux! (いいや。レイチェルが僕にタキシートを見立ててくれたんだ! でもただのタキシードじゃないんだぜ。バットマンのタキシードだ!)
チャンドラー: What? (何だって?)
ロス: That's right! Made expressly for Val Kilmer, and worn by him in the hit film… that Batman film he was in. (その通り! 特別にヴァル・キルマーのために作られた、そして彼が着た[着用した]、あのヒット映画で…彼が出てたあのバットマンの映画でね。)
チャンドラー: You can't wear that! I'm wearing the famous tux! James Bond's tux! (ロスはそんなの着ちゃだめだ! 俺が有名なタキシードを着る予定なんだよ! ジェームズ・ボンドのタキシードを!)
ロス: So? (それで?)
チャンドラー: So-If you wear that, you'll make mine less special. (それで、もしお前がそれを着たら、お前のせいで、俺のタキシードの特別さが減ってしまうんだよ。)
ロス: Well, you need something to make this day special? Hello! You-you-you have the most special thing of all! You are marrying the woman you love. (お前はこの日を特別にする何かが必要なのか? もしもし? お前は全ての中で最も特別なものを持ってるじゃないか! お前が愛する女性とお前は結婚するんだぞ。)
(Chandler mimics him.)
チャンドラーはロスのセリフを(ドナルドダックみたいな声でバカにしたように)真似る。
チャンドラー: Please, don't take away my cool thing. Please?! Pretty please?! (お願いだから、どうか俺のかっこいいところを持ってかないでくれよ。頼むよ。一生のお願いだよ!)
ロス: "Pretty please?" Not very uh, 007. (「一生のお願い」だって? あんまり(or 全く)007らしくない。)
チャンドラー: Look, it's my wedding day, okay? If you were getting married I would never do anything to upset you. (なぁ、俺の結婚式なんだぞ。だろ? もしお前が結婚する予定だったら、俺はお前を困らせるようなことは絶対に何もしないぞ。)
ロス: When I got married, you slept with my sister. (僕が(ロンドンで)結婚した時、お前は俺の妹と寝たじゃないか。)
チャンドラー: That was pretty 007. (それって、かなり007(的)だよな。)
スーツの入った袋を持ってコーヒーハウスに入ってきたロスは、Guess what I got for your wedding! と尋ねています。
直訳すると、「僕が君の結婚式のためにゲットしたのは何か、推測してみて・当ててみて」という感じですね。
衣装バッグを掲げているので、「君の結婚式のためにこれをゲットしたんだけど、中身は何だと思う?」みたいなことを嬉しそうに聞いているわけです。
Guess what...? 「何だと思う?」みたいに聞かれたら、面白いことを言わずにはいられないチャンドラーは、ここでもジョークで返しています。
そのチャンドラーのセリフ、A freakishly thin date with a hanger for a head? について。
freakishly thin は「異常に・異常なほど、やせた」、with a hanger for a head は「頭の代わりにハンガーがついた」という感覚ですね。
date はいわゆる「(男女の)デート」という意味もありますが、ここでは、「やせた」という形容詞がついていることからも、「デート相手」という人間を指していることになります。
ですから、チャンドラーは、「頭の代わりにハンガーがついた、異常なほどやせたデート相手をゲットしたのか?」と返したことになります。
スーツが入っている典型的な袋を見て、「俺の結婚式に同伴するデート相手として、頭の部分がハンガーになった、超薄っぺらい人をゲットしたのか?」みたいに茶化したわけです。
ロスは、レイチェルが僕にタキシードを提供してくれた、見立ててくれた、と言って、「ただのタキシードじゃない、バットマンのタキシードなんだぞ」と自慢します。
驚くチャンドラーに、ロスは自分のタキシード自慢を続けています。
expressly は「特別に、わざわざ」なので、Made expressly for Val Kilmer は、「ヴァル・キルマーのために特別に作られた、あつらえた」。
いきなり Made で始まり、その後、and worn by him と続いているのは、This tux was made expressly.... and (was) worn by... ということで、この話の流れで明白な主語を省略している形となります。
worn by him in the hit film を直訳すると、「ヒット映画でヴァル・キルマーによって着られた」みたいになりますね。
そこまで受動態を出し過ぎると日本語では不自然になりますが、やはり英語では、「このスーツ」の説明をしたい場合だと、「特注で作られた」「彼によって着用された」と表現するのが自然なわけです。
the hit flim... と言った後、that Batman film he was in 「彼が出ていたあのバットマンの映画」と説明しているのが面白いです。
「あのヒット映画で着てた服なんだよ!」みたいに自慢しておきながら、その映画のタイトルを知らない、ということがこのセリフでわかるわけですね。
ちなみに、その「ヴァル・キルマーが出ていたバットマンの映画」のタイトルは、1995年の『バットマン フォーエヴァー』(原題:Batman Forever)になります。
ロスがバットマンのタキシードを着る、というのをチャンドラーは必死に止めようとしています。
俺は007のタキシードを着るのに、ロスがバットマンのタキシードを着たら、俺のが less special になっちまうじゃないか!みたいに抗議していますね。
結婚式の主役である新郎として特別でいたいのに、俺のタキシードのスペシャルさを減らさないでくれ、みたいなことになります。
ロスは「お前はすでに特別なものを持ってるじゃないか。愛する女性と結婚するんだから」みたいに、ロスはかっこいいことを言ってかわそうとするのですが、チャンドラーが小馬鹿にしたように、ロスの様子を口真似する様子から、「何きれいごと言って逃げようとしてんだよ」みたいに思っていることがわかりますね。
don't take away my cool thing は、「俺のクールな・かっこいいこと・ところを取り去らないでくれ」ということですね。
日本語で言うと、「俺のいいところ・おいしいところを持ってかないでくれよ」というところでしょう。
Please! 「どうか、お願いだから」という言葉を2回使った後、Pretty please?! とも言っていますね。
英辞郎では、以下のように出ています。
pretty please
〈話〉本当に[一生の]お願い◆子どもや女性が使うことが多い。◆pretty は considerable amount of の意味と考えられる。
英辞郎では、pretty please の他に、pretty please with sugar on it, pretty please with sugar on top などの表現が同じ意味の言葉として挙げられています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
pretty please : (spoken, humorous) said to emphasize that you really want something when you are asking someone for it
つまり、「(話し言葉、ユーモラス) 誰かに何かを頼んでいる時に、それが本当に欲しいと強調するために使われる」。
「一生のお願い」みたいな必死にお願いするようなセリフは、クールな 007 には似つかわしくないなぁ、みたいにロスは言っています。
very 007 だと「まさに 007 (らしい、っぽい)」となりますね。
そして、その very を not で否定した形の not very は、通常なら、「とても〜というわけではない」→「あまり〜ではない」という感じの部分否定のニュアンスになりますが、実際の用例としては、not very で「全否定」(全然〜でない、全く〜でない)という意味でも使われるようです。
研究社 新英和中辞典では、
very=[否定文で]
1 あまり[そんなに](…ではない)
“Are you busy?”―“No, not very.” 「お忙しいですか」「いや, 別に」
2 [正反対の意味を婉曲に表わして] 全然[ちっとも](…でない)
I'm not feeling very well. 全然気分がすぐれない。
LAAD では、
not very
a) only slightly
例) I'm not very worried about it.
b) used before a quality to mean exactly the opposite of that quality
例) She's not very smart (= she's fairly stupid).
つまり、a) は「わずかに、少しだけ」。例文は「私はそれについてあまり心配していない」。b) は「その性質の正反対を意味するために、性質の前(の位置)で使われる」。例文は「彼女は全然賢くない(=彼女はかなり・きわめて愚かである)」。
今回のロスのセリフについては、「一生のお願いなんて言葉、”あんまり”007らしくないよな」と言いながら、「全然007っぽくないじゃん、007のイメージとは真逆の言葉じゃん」みたいにからかっているニュアンスなんだろうと思います。
チャンドラーは「もしお前が結婚する予定なら、俺はお前を困らせるようなことはしないのに」、つまり、「俺がお前の立場なら、そんな嫌がらせみたいなことはしないぞ」と言います。
それに対してロスは、「僕のロンドンでの結婚式の日に、お前は妹のモニカと寝たじゃないか。あれは十分、僕を upset させたぞ」みたいに返します。
それに対するチャンドラーの返事が面白いですね。
「妹と寝たってことが、かなり007っぽい、007らしい」ということで、モテ男の007は、映画の中でも、いろんな女性と寝たりしていることを持ち出して、「友人の妹と寝る、なんて、いかにも007っぽいじゃないか」と言っているわけですね。
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2013年07月12日
むしろ断熱材が近い フレンズ2-7その12
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フレンズ2-7その10 のコメント欄 で、セリフに関するご質問がありました。
過去の記事では取り上げていなかったセリフで、改めて見直して見ると、実にフレンズっぽい面白いやりとりだなと思ったので、今日はそれを記事として投稿します。
1) more like insulation について
チャンドラーが「パーティーでモテなかった」みたいな話をしていて、フィービーが「少し体重が増えるたびに、あらゆることを疑問視し始めるのよね」みたいに言ったことから、
チャンドラー: Woah, woah, I've put on a little weight? (おいおい、俺がちょっと体重が増えた、って?)
ロスとジョーイはその話には関係ないからね、というように台所に向かう中、
フィービー: No, not weight. Y'know, more like insulation. (いいえ、体重じゃないわ。ほら、もっと insulation みたいなものよ[むしろ insulation が近いわよ]。)
モニカ: Chandler, I'm unemployed and in dire need of a project. Wanna work out? I can remake you. (チャンドラー、私は無職で、何かプロジェクトがものすごく必要なの。トレーニング(ワークアウト)したい? 私があなたを改造できるわよ。)
フィービーのセリフの insulation とは何か?というご質問です。
私も辞書で調べてみましたが、insulation は「隔離、孤立」「絶縁」「断熱」「断熱材、遮音材、防音材」みたいな意味になっています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
insulation [noun, uncountable] : 1. material used to insulate something, especially a building
つまり、「何か、特に建物を、防音・断熱するために使われる素材」
となっていて、一番最初に出ている語義が、その「防音材・断熱材」となっています。
それを聞いたチャンドラーは「へ?」という顔をしています。
体重のことじゃないのよ、と言って、別の言葉で言い換えようとしたフィービーでしたが、さらに失礼な表現になってしまって、それでチャンドラーが驚いた顔をしたようにも見えます。
その直後のモニカのセリフが「チャンドラーはワークアウトしたい? あなたを改造してあげられるわよ」になっているので、「チャンドラーは太っている、太ってしまった」という流れの中で、話が続いているようです。
more like は「むしろ〜に近い」ですね。
ですから、フィービーは、「weight というよりはむしろ insulation に近い」と言ったことになります。
ここで、weight という単語の語義を改めて見てみると、「重さ、重量、体重」「分銅(ふんどう)、おもし、文鎮」「(重量挙げの)バーベル」など、そこには共通して「重さ」のイメージがあります。
一方の「断熱材」の方はと言うと、熱を遮断するためのフワフワの物体が連想されますよね。
weight のイメージと比べてみると、断熱材にはそういう「重さ」が感じられず、むしろ「軽い」イメージが浮かぶように思います。
ここで、直前のチャンドラーのセリフを見てみると、"I've put on a little weight?" となっています。
put on weight というのは「体重が増える、太る」というお決まりフレーズですが、直訳すると、「体重・重さを身につける」ということですね。
つまり、フィービーのセリフは、「体重・重さを身につけた、っていうよりはむしろ、断熱材を身につけた、が近いかな」と言っているような気がしました。
体重が何キロ・何ポンドになったとかっていう「重さ」の話というよりは、断熱材を身にまとったかのような、その体のふくらみ具合(かさが増えたこと)が問題っていうかね、みたいに言ってみせた、ということかなぁ、と。
この部分、DVDの日本語訳では、
違うわよ ていうか”肥大化”した/デブったとは言わない。ていうか、全身はれた。
と訳されていました。
weight がついて重くなった、ってことじゃなくて、断熱材をまとって膨らんだ、っていう方が正しいかな、みたいに言ったことから、「肥大化」「全身はれた」という訳になっているのでしょうね。
チャンドラーが「俺、体重増えて重くなった?」と聞いたので、相手を傷つけまいとすれば「私は、あなたの体重が増えたようには思わないけど…」と否定することになるでしょう。
フィービーの返事の最初の部分、"No, not weight." だけ聞いていると、「別に太ってないわよ」と言ってあげたように聞こえるのですが、その続きを聞いてみると、「重さというよりは、ふくらみね」と言ってしまっている、否定してあげたのかと思ったら、実はそのものズバリを言ってしまっている、というのが、フレンズっぽい、そしてフィービーっぽいセリフになっていると思いました。
日本語でも、前の人の言った言葉を受けたジョークみたいなのがありますが、今回も直前のセリフの put on を受けた上で、put on したのは「重さ」じゃなくて「断熱材」と表現してみせた面白さということですね。
ちなみに、何かを身にまとうことで、ふくれた感じに見えるものとしては、他にもいろいろあるのでしょうが(着ぐるみ、とか?w)、insulate する、つまり、「断熱・防音・遮断、または、隔離・孤立する」ものという意味の insulation を使うことで、「それを身につけたせいで、外部のものと遮断される、外部から隔離される、孤立する」→「女性にモテない」という意味ももたせているのかなぁ、とも思いました。
あなたは重さを身につけた、というより、「(自分の周囲にあるものを)遮断するような、少し厚みのあるフワフワの(ふくれた)断熱材」を身につけた、って表現する方が当たってるわね、ということかなぁ、と。
2) as much fun as that was などについて
コーヒーハウスのセントラルパークの窓の外で、ロスとその彼女のジュリーがイチャついているところ。
ロスに惹かれているレイチェルがそれを気にするかと思いきや、「私、デートするの」と言うので、ジョーイは驚いています。
ジョーイ: Woah, woah, woah, you have a date? (おいおい、レイチェルはデートするのか?)
レイチェル: Yeah, Monica's settin' me up. (ええ、モニカが私にセッティングしてくれたの。)
ジョーイ: But uh, uh, what about uh, Ross and uh...? (でも、あれはどうなるの? ロスと、ほら…?)
レイチェル: Oh what? My whole insane jealousy thing? Well, y'know, as much fun as that was, I've decided to opt for sanity. (あぁ、何? 私の一連の狂気じみたヤキモチのこと? ほら、<この部分、省略>、私は正気(健全さ)を選ぶことを決めたのよ。)
チャンドラー So you really OK about all this? (それじゃあ、この件すべてについて、レイチェルは本当にオッケーなの?)
レイチェル: Oh yeah, c'mon! I'm movin' on. He can press her up against that window as much as he wants. For all I care, he can throw her through the damn thing. (ええ、そうよ。いいわ! 私は前に進むの。彼は好きなだけ、彼女をあの窓に押し付ければいいわ。私の知ったことではないけれど(ちっとも構わないけど)…<以下略>)
その問題の、as much fun as that was の部分ですが、そこには逆接のニュアンスが入っているようです。
そのような (as) much as の逆接のニュアンスについては、辞書には以下のように出ています。
研究社 新英和中辞典では、
much as=大いに…はするが、…するのはやまやまなのだが
Much as I'd like to go, I cannot. 行きたいのはやまやまですが、行けません。
英辞郎では、
as much as
【2】〜ではあるが◆【同】much as
・As much as I hate to say this, sometimes you have to give in to their expectations and demands. これは言いたくないが、その人たちの期待や要求を受け入れなければいけないこともある。
例文は (as) much as になっているので、as much fun as that was と完全に一致しているわけではありませんが、as much as にそういう逆接のニュアンスがあることを考えると、as much fun as that was も、「それ(狂気じみたジェラシー)は大いに楽しいものだったけれど」のような逆接のニュアンスを持たせることも可能な気がするのです。
DVDの日本語訳は、
(字幕)ジャマするのは楽しいけど もう前向きに生きるわ
(音声)二人の邪魔するのは、楽しい、っちゃあ楽しいわ。でも、もういい加減、前向きに行くことにしたの。
となっていて、どちらもやはり「逆接」のニュアンスで訳されていますよね。
as much as の部分がよくわからないということで、仮にそれを排除してみると、
My whole insane jealousy thing? Well, y'know, ... fun ... that was, I've decided to opt for sanity.
になります。それを訳すと、「私の一連の狂気じみたヤキモチ? あれは楽しかった… 私は(今はもう)正気を選ぶことに決めた」となり、…の部分をスムーズにつなげようと思うと、「狂気じみたヤキモチは楽しかった”けれど”、今は正気を選ぶことに決めたの」とした方が、insane と sanity の対比がうまく生きてきますよね。
He can press her up against that window as much as he wants. For all I care, he can throw her through the damn thing. について。
これは、ロスが恋人のジュリーを、コーヒーハウスの窓に押し付けるようにしてキスしたりしていたのを見たことを受けてのセリフですね。
He can は「彼はできる」というより、「彼が〜したらいいわ」みたいな感覚。
直訳すると、「ロスは、ロスが望むだけ、ジュリーをあの窓に押し付ければいいわ。私の知ったことではないけれど(for all I care)、彼はあのいまいましいもの(窓)を通る[突き抜ける]ように、彼女を throw すればいいわ」。
the damn thing = the window のことで、ロスがジュリーをその窓に押し付けながらイチャついているので、その窓のことを憎々しげに、the damn thing と呼んでいることになるでしょう。
また、throw は「(ボールなどを)投げる」と訳すのが一般的ですが、ここでは「ブンと投げる」感じというよりは、「乱暴に強く押す」という感覚が近いようです。
LAAD では、
throw : 3. PUSH ROUGHLY to make someone or something move roughly and violently in a particular direction or into a particular position
throw a door/window open
例) James threw the door open and ran into the house.
つまり、「乱暴に押す。ある方向にまたはある場所に、誰かや何かが乱暴に動くようにすること」。
例文は、「ジェームズはドアを乱暴に開け、家に駆け込んだ」。
今はイチャつきながら、彼女を窓に押し付けているわけですが、それをもっと強く、窓を割らんばかりに手荒に乱暴に押し付けて・押し込んで、窓を突き破ってしまうくらいにしちゃえばいいのよ、と言っていることになるでしょう。
この部分、DVDの日本語字幕では、
ウインドーに 押しつけすぎて−−ガラスが割れたら 面白いわね
となっていました。
熱烈にイチャついて、もっと窓に彼女を押し付けちゃっても別にいいのよ…と言いながら、もっと思いっきり押して窓ガラスを割って押し出しちゃえばいいのに(そうしてジュリーがケガしても構わない)みたいに言ったところに、レイチェルがまだロスのことを好きで、ジュリーに猛烈に嫉妬しているのが見てとれる、ということになると思います。
he can throw her through the damn thing の部分を、throw her through the window のように表現してしまうと、「彼女があの窓を突き破っちゃえばいい」というダイレクトな表現になってしまって、いくらヤキモチを焼いているにしても、露骨過ぎてシャレにならないかもしれません。
the window を the damn thing 「いまいましいあれ」みたいに表現したことで、やきもちにもまだ可愛げが残ったかな、という気もします。
3) You just sort fo put away feelings or whatever the hell it was you felt for me? について
レイチェルが自分のことを好きだったと知って、動揺しているロス。
ロス: The point is, I... I don't need this right now! Okay? It's, it's too late, I'm with somebody else. I'm happy. This ship has sailed! (大事なことは…僕は今はこんなこと必要ない、ってことだ!いいかい? 遅すぎるんだよ。僕は他の人と付き合ってる。僕は幸せだ。この船はもう出航したんだよ! [と言って自分の胸を指で指し示す])
レイチェル: Yeah, what're you saying, you just sort of put away feelings or whatever the hell it was you felt for me? (そう、あなたはこう言っているわけね、<以下略>)
ロス: Hey, I've been doin' it since the ninth grade, I've gotten pretty damn good at it. (ああ、僕は9年生からずっとそうし続けてたんだ。そうすることはものすごく得意になったんだよ。)
レイチェルのセリフの、whatever... の部分が文法的にわかりにくい、というご質問でしたが、これは、それぞれのフレーズのどこが切れ目になっているか、がポイントになりますね。
この時のレイチェルは非常に早口でまくし立てているのですが、切れ目は、
You just sort of put away feelings / or whatever the hell it was / you felt for me?
になると思われます。
whatever the hell it was の the hell は強意語なので、whatever (the hell) it was ということになり、この whatever it was は「それがどんなものであっても、あったとしても」という譲歩節になります。
feelings or whatever だけなら、「感情・気持ちとか(その他の)何とか」くらいの意味になりますが、ここでは、「feelings と言っていいのか、またはそれが feelings とは呼べない違うものであったとしても」というニュアンスが入っていて、「あなたが私に対して感じた(という)、感情やもしくは他のどんなものであっても、それをただしまい込む(どこかにやってしまう)の?」と言っていることになるでしょう。
セリフ全体を見ると、what're you saying, you just sort of put away feelings... となっていますので、sort of 「〜みたいな」というニュアンスも入れて訳すと、「じゃあ、あなたはこう言ってるの? 気持ちとか…をただしまい込むみたいな、そんな感じのことを(言ってるわけ)?」ということになります。
ご質問に対する私の解釈・見解は以上です。
ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。
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フレンズ2-7その10 のコメント欄 で、セリフに関するご質問がありました。
過去の記事では取り上げていなかったセリフで、改めて見直して見ると、実にフレンズっぽい面白いやりとりだなと思ったので、今日はそれを記事として投稿します。
1) more like insulation について
チャンドラーが「パーティーでモテなかった」みたいな話をしていて、フィービーが「少し体重が増えるたびに、あらゆることを疑問視し始めるのよね」みたいに言ったことから、
チャンドラー: Woah, woah, I've put on a little weight? (おいおい、俺がちょっと体重が増えた、って?)
ロスとジョーイはその話には関係ないからね、というように台所に向かう中、
フィービー: No, not weight. Y'know, more like insulation. (いいえ、体重じゃないわ。ほら、もっと insulation みたいなものよ[むしろ insulation が近いわよ]。)
モニカ: Chandler, I'm unemployed and in dire need of a project. Wanna work out? I can remake you. (チャンドラー、私は無職で、何かプロジェクトがものすごく必要なの。トレーニング(ワークアウト)したい? 私があなたを改造できるわよ。)
フィービーのセリフの insulation とは何か?というご質問です。
私も辞書で調べてみましたが、insulation は「隔離、孤立」「絶縁」「断熱」「断熱材、遮音材、防音材」みたいな意味になっています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
insulation [noun, uncountable] : 1. material used to insulate something, especially a building
つまり、「何か、特に建物を、防音・断熱するために使われる素材」
となっていて、一番最初に出ている語義が、その「防音材・断熱材」となっています。
それを聞いたチャンドラーは「へ?」という顔をしています。
体重のことじゃないのよ、と言って、別の言葉で言い換えようとしたフィービーでしたが、さらに失礼な表現になってしまって、それでチャンドラーが驚いた顔をしたようにも見えます。
その直後のモニカのセリフが「チャンドラーはワークアウトしたい? あなたを改造してあげられるわよ」になっているので、「チャンドラーは太っている、太ってしまった」という流れの中で、話が続いているようです。
more like は「むしろ〜に近い」ですね。
ですから、フィービーは、「weight というよりはむしろ insulation に近い」と言ったことになります。
ここで、weight という単語の語義を改めて見てみると、「重さ、重量、体重」「分銅(ふんどう)、おもし、文鎮」「(重量挙げの)バーベル」など、そこには共通して「重さ」のイメージがあります。
一方の「断熱材」の方はと言うと、熱を遮断するためのフワフワの物体が連想されますよね。
weight のイメージと比べてみると、断熱材にはそういう「重さ」が感じられず、むしろ「軽い」イメージが浮かぶように思います。
ここで、直前のチャンドラーのセリフを見てみると、"I've put on a little weight?" となっています。
put on weight というのは「体重が増える、太る」というお決まりフレーズですが、直訳すると、「体重・重さを身につける」ということですね。
つまり、フィービーのセリフは、「体重・重さを身につけた、っていうよりはむしろ、断熱材を身につけた、が近いかな」と言っているような気がしました。
体重が何キロ・何ポンドになったとかっていう「重さ」の話というよりは、断熱材を身にまとったかのような、その体のふくらみ具合(かさが増えたこと)が問題っていうかね、みたいに言ってみせた、ということかなぁ、と。
この部分、DVDの日本語訳では、
違うわよ ていうか”肥大化”した/デブったとは言わない。ていうか、全身はれた。
と訳されていました。
weight がついて重くなった、ってことじゃなくて、断熱材をまとって膨らんだ、っていう方が正しいかな、みたいに言ったことから、「肥大化」「全身はれた」という訳になっているのでしょうね。
チャンドラーが「俺、体重増えて重くなった?」と聞いたので、相手を傷つけまいとすれば「私は、あなたの体重が増えたようには思わないけど…」と否定することになるでしょう。
フィービーの返事の最初の部分、"No, not weight." だけ聞いていると、「別に太ってないわよ」と言ってあげたように聞こえるのですが、その続きを聞いてみると、「重さというよりは、ふくらみね」と言ってしまっている、否定してあげたのかと思ったら、実はそのものズバリを言ってしまっている、というのが、フレンズっぽい、そしてフィービーっぽいセリフになっていると思いました。
日本語でも、前の人の言った言葉を受けたジョークみたいなのがありますが、今回も直前のセリフの put on を受けた上で、put on したのは「重さ」じゃなくて「断熱材」と表現してみせた面白さということですね。
ちなみに、何かを身にまとうことで、ふくれた感じに見えるものとしては、他にもいろいろあるのでしょうが(着ぐるみ、とか?w)、insulate する、つまり、「断熱・防音・遮断、または、隔離・孤立する」ものという意味の insulation を使うことで、「それを身につけたせいで、外部のものと遮断される、外部から隔離される、孤立する」→「女性にモテない」という意味ももたせているのかなぁ、とも思いました。
あなたは重さを身につけた、というより、「(自分の周囲にあるものを)遮断するような、少し厚みのあるフワフワの(ふくれた)断熱材」を身につけた、って表現する方が当たってるわね、ということかなぁ、と。
2) as much fun as that was などについて
コーヒーハウスのセントラルパークの窓の外で、ロスとその彼女のジュリーがイチャついているところ。
ロスに惹かれているレイチェルがそれを気にするかと思いきや、「私、デートするの」と言うので、ジョーイは驚いています。
ジョーイ: Woah, woah, woah, you have a date? (おいおい、レイチェルはデートするのか?)
レイチェル: Yeah, Monica's settin' me up. (ええ、モニカが私にセッティングしてくれたの。)
ジョーイ: But uh, uh, what about uh, Ross and uh...? (でも、あれはどうなるの? ロスと、ほら…?)
レイチェル: Oh what? My whole insane jealousy thing? Well, y'know, as much fun as that was, I've decided to opt for sanity. (あぁ、何? 私の一連の狂気じみたヤキモチのこと? ほら、<この部分、省略>、私は正気(健全さ)を選ぶことを決めたのよ。)
チャンドラー So you really OK about all this? (それじゃあ、この件すべてについて、レイチェルは本当にオッケーなの?)
レイチェル: Oh yeah, c'mon! I'm movin' on. He can press her up against that window as much as he wants. For all I care, he can throw her through the damn thing. (ええ、そうよ。いいわ! 私は前に進むの。彼は好きなだけ、彼女をあの窓に押し付ければいいわ。私の知ったことではないけれど(ちっとも構わないけど)…<以下略>)
その問題の、as much fun as that was の部分ですが、そこには逆接のニュアンスが入っているようです。
そのような (as) much as の逆接のニュアンスについては、辞書には以下のように出ています。
研究社 新英和中辞典では、
much as=大いに…はするが、…するのはやまやまなのだが
Much as I'd like to go, I cannot. 行きたいのはやまやまですが、行けません。
英辞郎では、
as much as
【2】〜ではあるが◆【同】much as
・As much as I hate to say this, sometimes you have to give in to their expectations and demands. これは言いたくないが、その人たちの期待や要求を受け入れなければいけないこともある。
例文は (as) much as になっているので、as much fun as that was と完全に一致しているわけではありませんが、as much as にそういう逆接のニュアンスがあることを考えると、as much fun as that was も、「それ(狂気じみたジェラシー)は大いに楽しいものだったけれど」のような逆接のニュアンスを持たせることも可能な気がするのです。
DVDの日本語訳は、
(字幕)ジャマするのは楽しいけど もう前向きに生きるわ
(音声)二人の邪魔するのは、楽しい、っちゃあ楽しいわ。でも、もういい加減、前向きに行くことにしたの。
となっていて、どちらもやはり「逆接」のニュアンスで訳されていますよね。
as much as の部分がよくわからないということで、仮にそれを排除してみると、
My whole insane jealousy thing? Well, y'know, ... fun ... that was, I've decided to opt for sanity.
になります。それを訳すと、「私の一連の狂気じみたヤキモチ? あれは楽しかった… 私は(今はもう)正気を選ぶことに決めた」となり、…の部分をスムーズにつなげようと思うと、「狂気じみたヤキモチは楽しかった”けれど”、今は正気を選ぶことに決めたの」とした方が、insane と sanity の対比がうまく生きてきますよね。
He can press her up against that window as much as he wants. For all I care, he can throw her through the damn thing. について。
これは、ロスが恋人のジュリーを、コーヒーハウスの窓に押し付けるようにしてキスしたりしていたのを見たことを受けてのセリフですね。
He can は「彼はできる」というより、「彼が〜したらいいわ」みたいな感覚。
直訳すると、「ロスは、ロスが望むだけ、ジュリーをあの窓に押し付ければいいわ。私の知ったことではないけれど(for all I care)、彼はあのいまいましいもの(窓)を通る[突き抜ける]ように、彼女を throw すればいいわ」。
the damn thing = the window のことで、ロスがジュリーをその窓に押し付けながらイチャついているので、その窓のことを憎々しげに、the damn thing と呼んでいることになるでしょう。
また、throw は「(ボールなどを)投げる」と訳すのが一般的ですが、ここでは「ブンと投げる」感じというよりは、「乱暴に強く押す」という感覚が近いようです。
LAAD では、
throw : 3. PUSH ROUGHLY to make someone or something move roughly and violently in a particular direction or into a particular position
throw a door/window open
例) James threw the door open and ran into the house.
つまり、「乱暴に押す。ある方向にまたはある場所に、誰かや何かが乱暴に動くようにすること」。
例文は、「ジェームズはドアを乱暴に開け、家に駆け込んだ」。
今はイチャつきながら、彼女を窓に押し付けているわけですが、それをもっと強く、窓を割らんばかりに手荒に乱暴に押し付けて・押し込んで、窓を突き破ってしまうくらいにしちゃえばいいのよ、と言っていることになるでしょう。
この部分、DVDの日本語字幕では、
ウインドーに 押しつけすぎて−−ガラスが割れたら 面白いわね
となっていました。
熱烈にイチャついて、もっと窓に彼女を押し付けちゃっても別にいいのよ…と言いながら、もっと思いっきり押して窓ガラスを割って押し出しちゃえばいいのに(そうしてジュリーがケガしても構わない)みたいに言ったところに、レイチェルがまだロスのことを好きで、ジュリーに猛烈に嫉妬しているのが見てとれる、ということになると思います。
he can throw her through the damn thing の部分を、throw her through the window のように表現してしまうと、「彼女があの窓を突き破っちゃえばいい」というダイレクトな表現になってしまって、いくらヤキモチを焼いているにしても、露骨過ぎてシャレにならないかもしれません。
the window を the damn thing 「いまいましいあれ」みたいに表現したことで、やきもちにもまだ可愛げが残ったかな、という気もします。
3) You just sort fo put away feelings or whatever the hell it was you felt for me? について
レイチェルが自分のことを好きだったと知って、動揺しているロス。
ロス: The point is, I... I don't need this right now! Okay? It's, it's too late, I'm with somebody else. I'm happy. This ship has sailed! (大事なことは…僕は今はこんなこと必要ない、ってことだ!いいかい? 遅すぎるんだよ。僕は他の人と付き合ってる。僕は幸せだ。この船はもう出航したんだよ! [と言って自分の胸を指で指し示す])
レイチェル: Yeah, what're you saying, you just sort of put away feelings or whatever the hell it was you felt for me? (そう、あなたはこう言っているわけね、<以下略>)
ロス: Hey, I've been doin' it since the ninth grade, I've gotten pretty damn good at it. (ああ、僕は9年生からずっとそうし続けてたんだ。そうすることはものすごく得意になったんだよ。)
レイチェルのセリフの、whatever... の部分が文法的にわかりにくい、というご質問でしたが、これは、それぞれのフレーズのどこが切れ目になっているか、がポイントになりますね。
この時のレイチェルは非常に早口でまくし立てているのですが、切れ目は、
You just sort of put away feelings / or whatever the hell it was / you felt for me?
になると思われます。
whatever the hell it was の the hell は強意語なので、whatever (the hell) it was ということになり、この whatever it was は「それがどんなものであっても、あったとしても」という譲歩節になります。
feelings or whatever だけなら、「感情・気持ちとか(その他の)何とか」くらいの意味になりますが、ここでは、「feelings と言っていいのか、またはそれが feelings とは呼べない違うものであったとしても」というニュアンスが入っていて、「あなたが私に対して感じた(という)、感情やもしくは他のどんなものであっても、それをただしまい込む(どこかにやってしまう)の?」と言っていることになるでしょう。
セリフ全体を見ると、what're you saying, you just sort of put away feelings... となっていますので、sort of 「〜みたいな」というニュアンスも入れて訳すと、「じゃあ、あなたはこう言ってるの? 気持ちとか…をただしまい込むみたいな、そんな感じのことを(言ってるわけ)?」ということになります。
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2013年07月10日
殺しのライセンス フレンズ7-20その3
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結婚式に着るタキシードを探していたチャンドラーは、セレブが着たタキシードを見ているところ。
レイチェル: (Chandler nods and Rachel grabs another tux) Ooh, this one was Pierce Brosnan! [チャンドラーはうなずき、レイチェルは別のタキシードを掴む] あぁ、これはピアース・ブロスナンだわ!)
チャンドラー: Pierce Brosnan? (ピアース・ブロスナン?)
レイチェル: Uh-huh. (ええ。)
チャンドラー: Are you serious? (まじで?)
レイチェル: Yeah. (そうよ。)
チャンドラー: 007?! This is James Bond's tux?! (007? これはジェームズ・ボンドのタキシードなの?)
レイチェル: Yeah. (ええ。)
チャンドラー: Oh, I have to get married in James Bond's tux! (おぉ、俺はジェームズ・ボンドのタキシードで結婚しなくちゃな!)
レイチェル: It's a pretty cool tux. (すごくかっこいいタキシードよ。)
チャンドラー: Oh, it's not just that. I would be England's most powerful weapon. Jet-setting heartbreaker on Her Majesty's secret service. A man who fears no one, with a license to kill. (Worried.) Would Monica let me wear this? (あぁ、それだけじゃないよ。俺は英国のもっともパワフルな武器になるんだ。女王陛下のシークレットサービス(諜報部)の、飛行機で世界を飛び回り、女心を張り裂けさせる男。何ものをも恐れない、殺しのライセンスを持った男。[心配そうに] 俺がこれを着るのを、モニカは許してくれるかな?)
ピアース・ブロスナンが来たタキシードと聞いて、チャンドラーは興奮気味。
007 は日本でも有名ですから、英語のセリフで聞いていてもわかった方も多いでしょう。
007、ジェームズ・ボンドのタキシードと知って、「俺はこのボンドのタキシードを着て、結婚しなければならない、結婚しなきゃ」みたいに言っています。
「そうよね、すっごくクール(かっこいい)タキシードだもんね」と同意するレイチェルに、チャンドラーは、it's not just that. 「それだけじゃない」と言い、デザインのカッコよさだけじゃなく、他にもいろいろ理由があるんだ、ということを、その後、説明することになります。
I would be England's most powerful weapon. の I would be は、If I wore this, I would be... 「もし俺がこの007のタキシードを着たら、俺は(007として)英国のもっとも強力な武器になるだろう」という仮定のニュアンスが入っていると考えられます。
Jet-setting heartbreaker on Her Majesty's secret service. について。
まず、Her Majesty は「女王陛下」という意味ですね。
このチャンドラーの一連のセリフで出てくるフレーズは、どれも、007 というキャラクターの描写に関係ある言葉ですから、日本人にもイメージしやすくなっていると思います。
on Her Majesty's secret service は、be on ... service のような感覚で、「〜のサービスに就く」、ここでは、「女王陛下のシークレットサービスという仕事に就く」という感じでしょう。
そして、On Her Majesty's Secret Service というのは、ジョージ・レーゼンビーが演じた映画『女王陛下の007』の原題でもあります。
jet-setting は「ジェット機で(世界中を)飛び回っている」という感覚。
研究社 新英和中辞典では、
jet set 【名】[the 〜; 集合的に] ジェット族 《ジェット機などで豪快に遊び回る富裕な有閑階級》
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
the jet set : rich and fashionable people who travel a lot
つまり、「たくさん旅行する、裕福で上流社会の人々」。
heartbreaker は「ハートブレイクさせる人、胸が張り裂けるような思いをさせる人」という感じで、007 の場合ですと、「女心を虜にする色男」みたいな感じで使っていることになるでしょう。
A man who fears no one, with a license to kill. について。
「何ものをも恐れない男で、a license to kill を持っている」ということですが、a license to kill も「殺しのライセンス」として日本語になっていますよね。
日本語では「殺しのライセンス」と訳されていて、それを英訳しようとする場合に、日本人はどうしても、「〜の」の部分に、of などを使いたくなってしまうと思うのですが、この場合は、「〜する許可、免許、ライセンス」ということなので、(a) license to do という形を取ることになります。
少々脱線ですが、漫画及びアニメ「パタリロ!」に出てくる、イギリス情報局秘密情報部(MI6)所属のバンコラン少佐も「殺しのライセンス」を持っていて、アニメ版第23話の「殺しのライセンス」というエピソードでは、実際に殺人許可証を見せるというシーンも出てきました。
映画007の邦題では、「殺しのライセンス」というタイトルのものはないようですが、ティモシー・ダルトンがボンドを演じた『007 消されたライセンス』の原題が、License to Kill になります。
ボンドが辞職する、というストーリーらしいので、直訳の「殺しのライセンス」ではなく、わざと「消されたライセンス」という邦題に変えた、ということなのでしょうね。
そんな風に、ボンドのタキシードを着ることで、俺もボンドみたいにかっこよくなれちゃうぞ!と妄想中のチャンドラーでしたが、ふと我に返ったように、気弱そうな小さな声で、Would Monica let me wear this? というのが楽しいですね。
「もし俺がこれを着たいと言った場合、モニカは俺がこれを着るのを許してくれるだろうか?」という仮定のニュアンスが would に込められていることになります。
「何ものをも恐れない、人を殺すことさえ平然とできる男」みたいに言った直後なのに、婚約者モニカの顔色をついうかがってしまう…チャンドラーらしい微笑ましいオチですね。
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結婚式に着るタキシードを探していたチャンドラーは、セレブが着たタキシードを見ているところ。
レイチェル: (Chandler nods and Rachel grabs another tux) Ooh, this one was Pierce Brosnan! [チャンドラーはうなずき、レイチェルは別のタキシードを掴む] あぁ、これはピアース・ブロスナンだわ!)
チャンドラー: Pierce Brosnan? (ピアース・ブロスナン?)
レイチェル: Uh-huh. (ええ。)
チャンドラー: Are you serious? (まじで?)
レイチェル: Yeah. (そうよ。)
チャンドラー: 007?! This is James Bond's tux?! (007? これはジェームズ・ボンドのタキシードなの?)
レイチェル: Yeah. (ええ。)
チャンドラー: Oh, I have to get married in James Bond's tux! (おぉ、俺はジェームズ・ボンドのタキシードで結婚しなくちゃな!)
レイチェル: It's a pretty cool tux. (すごくかっこいいタキシードよ。)
チャンドラー: Oh, it's not just that. I would be England's most powerful weapon. Jet-setting heartbreaker on Her Majesty's secret service. A man who fears no one, with a license to kill. (Worried.) Would Monica let me wear this? (あぁ、それだけじゃないよ。俺は英国のもっともパワフルな武器になるんだ。女王陛下のシークレットサービス(諜報部)の、飛行機で世界を飛び回り、女心を張り裂けさせる男。何ものをも恐れない、殺しのライセンスを持った男。[心配そうに] 俺がこれを着るのを、モニカは許してくれるかな?)
ピアース・ブロスナンが来たタキシードと聞いて、チャンドラーは興奮気味。
007 は日本でも有名ですから、英語のセリフで聞いていてもわかった方も多いでしょう。
007、ジェームズ・ボンドのタキシードと知って、「俺はこのボンドのタキシードを着て、結婚しなければならない、結婚しなきゃ」みたいに言っています。
「そうよね、すっごくクール(かっこいい)タキシードだもんね」と同意するレイチェルに、チャンドラーは、it's not just that. 「それだけじゃない」と言い、デザインのカッコよさだけじゃなく、他にもいろいろ理由があるんだ、ということを、その後、説明することになります。
I would be England's most powerful weapon. の I would be は、If I wore this, I would be... 「もし俺がこの007のタキシードを着たら、俺は(007として)英国のもっとも強力な武器になるだろう」という仮定のニュアンスが入っていると考えられます。
Jet-setting heartbreaker on Her Majesty's secret service. について。
まず、Her Majesty は「女王陛下」という意味ですね。
このチャンドラーの一連のセリフで出てくるフレーズは、どれも、007 というキャラクターの描写に関係ある言葉ですから、日本人にもイメージしやすくなっていると思います。
on Her Majesty's secret service は、be on ... service のような感覚で、「〜のサービスに就く」、ここでは、「女王陛下のシークレットサービスという仕事に就く」という感じでしょう。
そして、On Her Majesty's Secret Service というのは、ジョージ・レーゼンビーが演じた映画『女王陛下の007』の原題でもあります。
jet-setting は「ジェット機で(世界中を)飛び回っている」という感覚。
研究社 新英和中辞典では、
jet set 【名】[the 〜; 集合的に] ジェット族 《ジェット機などで豪快に遊び回る富裕な有閑階級》
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
the jet set : rich and fashionable people who travel a lot
つまり、「たくさん旅行する、裕福で上流社会の人々」。
heartbreaker は「ハートブレイクさせる人、胸が張り裂けるような思いをさせる人」という感じで、007 の場合ですと、「女心を虜にする色男」みたいな感じで使っていることになるでしょう。
A man who fears no one, with a license to kill. について。
「何ものをも恐れない男で、a license to kill を持っている」ということですが、a license to kill も「殺しのライセンス」として日本語になっていますよね。
日本語では「殺しのライセンス」と訳されていて、それを英訳しようとする場合に、日本人はどうしても、「〜の」の部分に、of などを使いたくなってしまうと思うのですが、この場合は、「〜する許可、免許、ライセンス」ということなので、(a) license to do という形を取ることになります。
少々脱線ですが、漫画及びアニメ「パタリロ!」に出てくる、イギリス情報局秘密情報部(MI6)所属のバンコラン少佐も「殺しのライセンス」を持っていて、アニメ版第23話の「殺しのライセンス」というエピソードでは、実際に殺人許可証を見せるというシーンも出てきました。
映画007の邦題では、「殺しのライセンス」というタイトルのものはないようですが、ティモシー・ダルトンがボンドを演じた『007 消されたライセンス』の原題が、License to Kill になります。
ボンドが辞職する、というストーリーらしいので、直訳の「殺しのライセンス」ではなく、わざと「消されたライセンス」という邦題に変えた、ということなのでしょうね。
そんな風に、ボンドのタキシードを着ることで、俺もボンドみたいにかっこよくなれちゃうぞ!と妄想中のチャンドラーでしたが、ふと我に返ったように、気弱そうな小さな声で、Would Monica let me wear this? というのが楽しいですね。
「もし俺がこれを着たいと言った場合、モニカは俺がこれを着るのを許してくれるだろうか?」という仮定のニュアンスが would に込められていることになります。
「何ものをも恐れない、人を殺すことさえ平然とできる男」みたいに言った直後なのに、婚約者モニカの顔色をついうかがってしまう…チャンドラーらしい微笑ましいオチですね。
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2013年07月08日
テレビをつけて音だけでも聞いといて フレンズ7-20その2
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結婚式に着るタキシードを、レイチェルに見立ててもらっているチャンドラー。
ここにあるのは、セレブが着たタキシードよ、と説明されて、
チャンドラー: You mean these tuxes have been down the red carpet with people yelling, "Who are you wearing?! You look fabulous!" (つまり、これらのタキシードはレッドカーペットを歩いたんだね、「誰(がデザインした服)を着てるの? ステキに見えるよ!」と人が叫ぶ中を。)
レイチェル: Honey, might I suggest watching a little more ESPN and a little less E!? (ハニー、もう少し多く ESPN を見て、E! を見るのをもう少し減らすことをお勧めしてもよろしいかしら?)
チャンドラー: Okay. Who wore those? (Points to the tuxedos.) (わかったよ。それは誰が着てたの? [タキシードを指さす])
レイチェル: Umm, well let's see uh, this one is Tom Brokaw. (あー、えっと、これはトム・ブロコウだわ。)
チャンドラー: Not bad. (悪くないね。)
レイチェル: (reading a tag) This one is uh Paul O'Neill. ([タグを読みながら] これは、ポール・オニールね。)
チャンドラー: Who's that? (それ、誰?)
レイチェル: He plays for the Yankees. Seriously, ESPN! Just once in a while. Have it on in the background. (ヤンキースでプレイしているわ[ヤンキースの選手よ]。冗談抜きで、ESPN を見てね! ほんのたまにでいいから。(画面を見るんじゃなくて)BGMとしてつけときなさいよ。)
セレブのために特注で作ったものの、使用後返品されてきたタキシード、というのが棚にたくさん並んでいるので、レイチェルとチャンドラーはそれをいくつか見ていっています。
these tuxes have been down the red carpet with people yelling の部分について。
down は、walk down the red carpet 「レッドカーペットを歩いていく」の down だけが残った感覚で、人が〜と叫ぶ中を、このタキシードは動いて行った、(着ている人と共に)歩いて行った、みたいなことになるでしょう。
Who are you wearing?! を直訳すると、「君は誰を着ているの?」ということになりますが、それはつまり、「誰がデザインした服を着ているの?」と尋ねているようですね。
アカデミー賞などの授賞式では、俳優さんの服装に注目が集まるのが通例で、色やデザインがカブったとか、あまりにも奇抜すぎるとか、多くの話題をふりまいています。
服装に関しては、男女とも必ず、「デザイナーの誰それがデザインしたドレスまたはタキシード」みたいな説明がつくことから、このタキシードも、レッドカーペットで披露されている時に、観客から「ねぇ、それ、誰のデザイン?」みたいに質問が飛んできた、という様子を、チャンドラーは語って見せているわけですね。
服のデザイナーがどうのこうの…などという、芸能好きの女子か!とツッコミたくなるようなことを言うチャンドラーに、レイチェルは、might I suggest... 以下のセリフを言っています。
まず、Might I suggest ですが、これは、May I suggest...? 「提案・お勧めしてもよろしいですか?」の may をさらに過去形にして婉曲にした丁寧バージョンと言えるでしょう。
「スターウォーズ」の C-3PO が、マスター・ルーク(ルーク様)に、Might I...? のように使うこともあるような丁寧表現なわけですが、もちろん、今回のレイチェルの場合は、日本語で言うと、「そのようにお勧めさせていただいてもよろしかったかしら」のような感じで、わざと慇懃無礼っぽく、皮肉っぽく言ってみせていることになります。
次に、ESPN と E! について。
まず、ESPN とは「スポーツ番組を放送している局」のこと。セリフでは「イーエスピーエヌ」と発音されています。
英辞郎では、
ESPN=イーエスピーエヌ◆アメリカの民放テレビ局。スポーツ関連の番組のみ放映。◆
【略】=Entertainment and Sports Programming Network
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
ESPN [noun, singular, not with "the"] : A CABLE TELEVISION station that broadcasts sports programs
そして、E! の方は、これまた、E! という放送局の名前です。感嘆符を含めた E! というのが正式名称になります。
公式サイトはこちら。
Entertainment News, Celebrity News, Celebrity Gossip | E! Online
ウィキペディアはこちら。
Wikipedia 日本語版: E!
ウィキペディア日本語版では、
E!(エンターテイメント・テレビジョン)は、アメリカ合衆国のエンターテイメント専門のテレビ局。
と説明されています。
公式サイトのタイトルにあるように、「セレブのゴシップ」なども扱っている、いかにも、な感じの芸能情報局、ということなのでしょう。
ですから、上の a little more ESPN & a little less E! というのは、「芸能ゴシップ番組ばっかり見るのを少し減らして、その分を、(男子らしく)スポーツ番組を見るのに回したらどう?」と言っていることになります。
英辞郎の説明にあるように、ESPN は Entertainment and Sports Programming Network の略なわけですが、どちらの語義でも、「スポーツ番組(のみ)放送」のように説明されていることから、局の名称に入っている、Entertainment の部分は皆無、のような状態になっているらしいことがわかります。
そして、もう一方の E! は、Entertainment にさらに感嘆符がついた名前になっていて、「エンターテインメントをこれでもか!とばかりに放送する」感じが出ている気がします。
仮に、スポーツ専用チャンネルということから、ESPN の名前が S! (Sports!)であったとしたら、「E! (娯楽)を減らして、S! (スポーツ)を見て」というセリフになり、意味としては同じことになりますが、「タイトルに名ばかりの E が入っている」 ESPN という名前(でも実際は、スポーツ専用)であることが余計に、この a little more ESPN & a little less E! というセリフを面白く聞こえさせている気がしました。
トム・ブロコウというのは、アメリカのニュースキャスター。
Wikipedia 日本語版: トム・ブロコウ
ポール・オニール(Paul O'Neill)は、レイチェルが言っているように、ヤンキースの選手のようです。
Wikipedia 日本語版:ポール・オニール (野球)
トム・ブロコウというキャスターは知っていても、ポール・オニールというヤンキースの選手を知らないと言ったチャンドラーに対しての、"Seriously, ESPN!" は、「さっきも言ったけど、ほんと、まじで、スポーツ番組見なきゃだめよ!」みたいなことですね。
有名なヤンキースの選手名も知らないなんて、ちょっとヤバいから、という感じです。
Just once in a while. は「ただちょっと、たまに、ときどき(でいいから)」。
次の Have it on in the background. というのが、英語ぽい表現ですね。こういうフレーズは、日本語からの発想ではなかなか出てこない気がします。
直訳すると、「それ(ESPN)をオンの状態で持つ、バックグラウンド・背景に」という感じになるでしょうか。
バックグラウンドで、というのは、BGM (バックグラウンド・ミュージックで)というイメージですね。
つまり、「テレビ画面を見なくてもいいから、せめてそのスポーツ専用番組をつけて(オンにして)、音だけでも聞くようにした方がいい」という忠告になります。
有名な選手の名前を聞いても誰だかわからないチャンドラーに、せめて名前くらいは覚えときなさいよ、そのために音だけでも聞いときなさいよ、と言っているわけですね。
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結婚式に着るタキシードを、レイチェルに見立ててもらっているチャンドラー。
ここにあるのは、セレブが着たタキシードよ、と説明されて、
チャンドラー: You mean these tuxes have been down the red carpet with people yelling, "Who are you wearing?! You look fabulous!" (つまり、これらのタキシードはレッドカーペットを歩いたんだね、「誰(がデザインした服)を着てるの? ステキに見えるよ!」と人が叫ぶ中を。)
レイチェル: Honey, might I suggest watching a little more ESPN and a little less E!? (ハニー、もう少し多く ESPN を見て、E! を見るのをもう少し減らすことをお勧めしてもよろしいかしら?)
チャンドラー: Okay. Who wore those? (Points to the tuxedos.) (わかったよ。それは誰が着てたの? [タキシードを指さす])
レイチェル: Umm, well let's see uh, this one is Tom Brokaw. (あー、えっと、これはトム・ブロコウだわ。)
チャンドラー: Not bad. (悪くないね。)
レイチェル: (reading a tag) This one is uh Paul O'Neill. ([タグを読みながら] これは、ポール・オニールね。)
チャンドラー: Who's that? (それ、誰?)
レイチェル: He plays for the Yankees. Seriously, ESPN! Just once in a while. Have it on in the background. (ヤンキースでプレイしているわ[ヤンキースの選手よ]。冗談抜きで、ESPN を見てね! ほんのたまにでいいから。(画面を見るんじゃなくて)BGMとしてつけときなさいよ。)
セレブのために特注で作ったものの、使用後返品されてきたタキシード、というのが棚にたくさん並んでいるので、レイチェルとチャンドラーはそれをいくつか見ていっています。
these tuxes have been down the red carpet with people yelling の部分について。
down は、walk down the red carpet 「レッドカーペットを歩いていく」の down だけが残った感覚で、人が〜と叫ぶ中を、このタキシードは動いて行った、(着ている人と共に)歩いて行った、みたいなことになるでしょう。
Who are you wearing?! を直訳すると、「君は誰を着ているの?」ということになりますが、それはつまり、「誰がデザインした服を着ているの?」と尋ねているようですね。
アカデミー賞などの授賞式では、俳優さんの服装に注目が集まるのが通例で、色やデザインがカブったとか、あまりにも奇抜すぎるとか、多くの話題をふりまいています。
服装に関しては、男女とも必ず、「デザイナーの誰それがデザインしたドレスまたはタキシード」みたいな説明がつくことから、このタキシードも、レッドカーペットで披露されている時に、観客から「ねぇ、それ、誰のデザイン?」みたいに質問が飛んできた、という様子を、チャンドラーは語って見せているわけですね。
服のデザイナーがどうのこうの…などという、芸能好きの女子か!とツッコミたくなるようなことを言うチャンドラーに、レイチェルは、might I suggest... 以下のセリフを言っています。
まず、Might I suggest ですが、これは、May I suggest...? 「提案・お勧めしてもよろしいですか?」の may をさらに過去形にして婉曲にした丁寧バージョンと言えるでしょう。
「スターウォーズ」の C-3PO が、マスター・ルーク(ルーク様)に、Might I...? のように使うこともあるような丁寧表現なわけですが、もちろん、今回のレイチェルの場合は、日本語で言うと、「そのようにお勧めさせていただいてもよろしかったかしら」のような感じで、わざと慇懃無礼っぽく、皮肉っぽく言ってみせていることになります。
次に、ESPN と E! について。
まず、ESPN とは「スポーツ番組を放送している局」のこと。セリフでは「イーエスピーエヌ」と発音されています。
英辞郎では、
ESPN=イーエスピーエヌ◆アメリカの民放テレビ局。スポーツ関連の番組のみ放映。◆
【略】=Entertainment and Sports Programming Network
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
ESPN [noun, singular, not with "the"] : A CABLE TELEVISION station that broadcasts sports programs
そして、E! の方は、これまた、E! という放送局の名前です。感嘆符を含めた E! というのが正式名称になります。
公式サイトはこちら。
Entertainment News, Celebrity News, Celebrity Gossip | E! Online
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Wikipedia 日本語版: E!
ウィキペディア日本語版では、
E!(エンターテイメント・テレビジョン)は、アメリカ合衆国のエンターテイメント専門のテレビ局。
と説明されています。
公式サイトのタイトルにあるように、「セレブのゴシップ」なども扱っている、いかにも、な感じの芸能情報局、ということなのでしょう。
ですから、上の a little more ESPN & a little less E! というのは、「芸能ゴシップ番組ばっかり見るのを少し減らして、その分を、(男子らしく)スポーツ番組を見るのに回したらどう?」と言っていることになります。
英辞郎の説明にあるように、ESPN は Entertainment and Sports Programming Network の略なわけですが、どちらの語義でも、「スポーツ番組(のみ)放送」のように説明されていることから、局の名称に入っている、Entertainment の部分は皆無、のような状態になっているらしいことがわかります。
そして、もう一方の E! は、Entertainment にさらに感嘆符がついた名前になっていて、「エンターテインメントをこれでもか!とばかりに放送する」感じが出ている気がします。
仮に、スポーツ専用チャンネルということから、ESPN の名前が S! (Sports!)であったとしたら、「E! (娯楽)を減らして、S! (スポーツ)を見て」というセリフになり、意味としては同じことになりますが、「タイトルに名ばかりの E が入っている」 ESPN という名前(でも実際は、スポーツ専用)であることが余計に、この a little more ESPN & a little less E! というセリフを面白く聞こえさせている気がしました。
トム・ブロコウというのは、アメリカのニュースキャスター。
Wikipedia 日本語版: トム・ブロコウ
ポール・オニール(Paul O'Neill)は、レイチェルが言っているように、ヤンキースの選手のようです。
Wikipedia 日本語版:ポール・オニール (野球)
トム・ブロコウというキャスターは知っていても、ポール・オニールというヤンキースの選手を知らないと言ったチャンドラーに対しての、"Seriously, ESPN!" は、「さっきも言ったけど、ほんと、まじで、スポーツ番組見なきゃだめよ!」みたいなことですね。
有名なヤンキースの選手名も知らないなんて、ちょっとヤバいから、という感じです。
Just once in a while. は「ただちょっと、たまに、ときどき(でいいから)」。
次の Have it on in the background. というのが、英語ぽい表現ですね。こういうフレーズは、日本語からの発想ではなかなか出てこない気がします。
直訳すると、「それ(ESPN)をオンの状態で持つ、バックグラウンド・背景に」という感じになるでしょうか。
バックグラウンドで、というのは、BGM (バックグラウンド・ミュージックで)というイメージですね。
つまり、「テレビ画面を見なくてもいいから、せめてそのスポーツ専用番組をつけて(オンにして)、音だけでも聞くようにした方がいい」という忠告になります。
有名な選手の名前を聞いても誰だかわからないチャンドラーに、せめて名前くらいは覚えときなさいよ、そのために音だけでも聞いときなさいよ、と言っているわけですね。
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2013年07月05日
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シーズン7 第20話
The One With Rachel's Big Kiss (レイチェルとウィノナ・ライダーの秘密)
原題は「レイチェルの重大なキスの話」
[Scene: Ralph Lauren, Rachel is showing Chandler the selection of tuxedos.]
(レイチェルの職場である)ラルフ・ローレン。レイチェルはチャンドラーに、タキシードのセレクションを見せているところ。
レイチェル: (motioning to a rack) So now, these are all the tuxedos that we make and if there's anything that you like, we can make you a deal. Anything at all. (Grabs a few) But these are the three that Monica pre-approved. ([ラックを調べながら] それで、私たち(うちの会社)が作るすべてのタキシードがここにある。あなたが好きなものがなにかあれば、あなたと取引することが可能よ。とにかくどれでもいいの。[2、3個掴んで] でも、ここにあるのが、モニカが事前に承認した3つよ。)
チャンドラー: Well, thanks a lot for hookin' me up, Rach. I want you to know that I want you to attend our wedding as my guest. (俺に服を見立ててくれてほんとにありがとう、レイチェル。君に知っておいてほしいんだ、俺は、君に俺のゲストとして式に出席してほしいと思ってることを。)
レイチェル: I'm Monica's maid of honor. Okay? Don't try to blue-pin me. (私はモニカの花嫁付添役よ。いい? 私をブルーピンしようとしないで。)
チャンドラー: (sees another rack) Well, what's the deal with these? These-these look nice. ([別のラックを見て] これらはどうなの? 素敵に見えるよ。)
レイチェル: Oh, they are nice. We-we custom-make tuxedos for celebrities and then when they're done with them they just send ‘em back. (ええ、それらは素敵よね。うちは、セレブにカスタムメイドでタキシードを作るの。それで、彼らがそれを使い終えた時、ただそれを送り返してくるのよ。)
結婚式間近のチャンドラーは、ラルフ・ローレンで働いているレイチェルに、自分が着るタキシードを見立ててもらっているところ。
we make の we は、ラルフ・ローレン全体、会社を指すニュアンスですね。
「わが社、うちの会社が作るタキシードが全部ここにあるから、好きなものがあれば、どれでも貸せるわよ(取引・契約できるわよ)」と言っていることになります。
どれでもいいのよ、と言いながら、2、3着の服を掴んで、「でもこれがモニカが事前承認した3つよ」というのが面白いですね。
pre-approve 「事前に承認する」という単語は、過去記事、フレンズ2-18その22 にも出てきました。
ジョーイ: I got this credit card application and I was pre-approved! (クレジットカードを申請したら、俺は事前承認されたんだ!)
というセリフで、そんな風にクレジットカードがらみの話でも使われる単語ですね。
thanks a lot for hookin' me up について。
hook はいわゆる「フック、ホック、留め金」のことで、hook up は「ひっかける、つるす、ホックで留める」「つなぐ、接続する、結合する」のような意味になります。
そういう「つながる、結合する」という感覚から、人間同士の話だと「友達になる、仲間になる」、それが恋愛面の話になると「人と性的関係を持つ」という意味としても使われます。
「引っかける」という意味があることから、hooker だと「売春婦」という意味にもなりますね。
では、今回のセリフでの hook me up のニュアンスは何か?についてですが、恋愛系のことを言っているのではなく、「俺と、俺が着ることになるタキシードを結びつけてくれてありがとう」みたいなことを言いたいのかな?と私は思いました。
英辞郎には、
hook someone up with=〈俗〉(人)に〜を与える
のように出ていますが、そんな風に、「人に物を結びつける」→「人に物を与える」ということになるのだろうと。
俺に似合う服を探してくれていることに感謝、という意味で、上では「タキシードを見立ててくれてありがとう」と訳してみたということです。
唐突な感じのお礼の言葉ですが、感謝の気持ちで素直にお礼を言っただけ…でないところが、チャンドラーらしいですね。
ありがとう、と言った後で、「君に俺のゲストとして出席してほしいと思ってることを知っていてほしい」と言っています。
服選びを手伝ってくれたお礼に、是非俺のゲストとして式に出席して、みたいなことですね。
レイチェルはチャンドラーの意図を察し、「私はモニカの付添役よ。私を blue-pin しようとしないで」と言います。
blue-pin というのは、オープニング直後のシーンで、結婚式の座席表(the seating chart)を相談していた二人のやりとりと関係があります。
その表には、出席者の目印に、赤と青のピンが刺してあり、
モニカ: (To Chandler) Okay, the red ones are my guests, and the blue ones are yours. ([チャンドラーに] いいわ、赤いピンが私のゲストで、青いピンがあなたのよ。)
チャンドラー: This is so sad. I mean, I only have like 10 pins. (これってすっごく悲しい。だって、俺はほら、10個くらいしかピンがないんだぞ。)
「私を”ブルーピン”しようとしないで」というのは、「私をチャンドラーのゲストとして、青いピン扱い・青ピン化(笑)しないで」ということで、本来は名詞である、blue pin という言葉を、blue-pin と動詞化して使っているのがポイントとなります。
ありがとう、とか言いながら、どさくさに紛れて、あなたのゲスト側に入れようとしないでちょうだいね、私はモニカの付添人なんだから、とまさに「釘を刺している」感じになるでしょう。
what's the deal with these? は「こっちにあるこれらのタキシードは、どうしたの?どうなってるの?」という感覚。
こっちにもあるのに、こっちはだめなわけ?みたいなことですね。
素敵に見えるのに、何が問題なんだろう、どうして候補じゃないんだろう、みたいなことです。
レイチェルはその別の棚にあるタキシードのことを説明しています。
we custom-make tuxedos for celebrities は「うち(わが社)は、セレブのために、タキシードを注文に応じて作る、オーダーメイド・カスタムメイドで作る、特注であつらえて作る」という感覚。
custom-made clothes 「カスタムメイドの服」のように、カスタムメイドという言葉はほぼ日本語になってしまっていますが、「作られた」という意味の過去分詞形(受動態)の made を、本来の「作る」という能動形で使っているのが、custom-make になるわけです。
be done with は「〜を済ます、終える」という感覚なので、そのタキシードを使い終えた後、自分の服として保管しておくとかいうことをせずに、ただ送り返してきちゃうのよ、と言っていることになります。
わざわざ、オーダーメイドで作ったのに、1回、もしくは数回着た後で、返品してくる、だからこうしてここにある、と説明しているわけですね。
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The One With Rachel's Big Kiss (レイチェルとウィノナ・ライダーの秘密)
原題は「レイチェルの重大なキスの話」
[Scene: Ralph Lauren, Rachel is showing Chandler the selection of tuxedos.]
(レイチェルの職場である)ラルフ・ローレン。レイチェルはチャンドラーに、タキシードのセレクションを見せているところ。
レイチェル: (motioning to a rack) So now, these are all the tuxedos that we make and if there's anything that you like, we can make you a deal. Anything at all. (Grabs a few) But these are the three that Monica pre-approved. ([ラックを調べながら] それで、私たち(うちの会社)が作るすべてのタキシードがここにある。あなたが好きなものがなにかあれば、あなたと取引することが可能よ。とにかくどれでもいいの。[2、3個掴んで] でも、ここにあるのが、モニカが事前に承認した3つよ。)
チャンドラー: Well, thanks a lot for hookin' me up, Rach. I want you to know that I want you to attend our wedding as my guest. (俺に服を見立ててくれてほんとにありがとう、レイチェル。君に知っておいてほしいんだ、俺は、君に俺のゲストとして式に出席してほしいと思ってることを。)
レイチェル: I'm Monica's maid of honor. Okay? Don't try to blue-pin me. (私はモニカの花嫁付添役よ。いい? 私をブルーピンしようとしないで。)
チャンドラー: (sees another rack) Well, what's the deal with these? These-these look nice. ([別のラックを見て] これらはどうなの? 素敵に見えるよ。)
レイチェル: Oh, they are nice. We-we custom-make tuxedos for celebrities and then when they're done with them they just send ‘em back. (ええ、それらは素敵よね。うちは、セレブにカスタムメイドでタキシードを作るの。それで、彼らがそれを使い終えた時、ただそれを送り返してくるのよ。)
結婚式間近のチャンドラーは、ラルフ・ローレンで働いているレイチェルに、自分が着るタキシードを見立ててもらっているところ。
we make の we は、ラルフ・ローレン全体、会社を指すニュアンスですね。
「わが社、うちの会社が作るタキシードが全部ここにあるから、好きなものがあれば、どれでも貸せるわよ(取引・契約できるわよ)」と言っていることになります。
どれでもいいのよ、と言いながら、2、3着の服を掴んで、「でもこれがモニカが事前承認した3つよ」というのが面白いですね。
pre-approve 「事前に承認する」という単語は、過去記事、フレンズ2-18その22 にも出てきました。
ジョーイ: I got this credit card application and I was pre-approved! (クレジットカードを申請したら、俺は事前承認されたんだ!)
というセリフで、そんな風にクレジットカードがらみの話でも使われる単語ですね。
thanks a lot for hookin' me up について。
hook はいわゆる「フック、ホック、留め金」のことで、hook up は「ひっかける、つるす、ホックで留める」「つなぐ、接続する、結合する」のような意味になります。
そういう「つながる、結合する」という感覚から、人間同士の話だと「友達になる、仲間になる」、それが恋愛面の話になると「人と性的関係を持つ」という意味としても使われます。
「引っかける」という意味があることから、hooker だと「売春婦」という意味にもなりますね。
では、今回のセリフでの hook me up のニュアンスは何か?についてですが、恋愛系のことを言っているのではなく、「俺と、俺が着ることになるタキシードを結びつけてくれてありがとう」みたいなことを言いたいのかな?と私は思いました。
英辞郎には、
hook someone up with=〈俗〉(人)に〜を与える
のように出ていますが、そんな風に、「人に物を結びつける」→「人に物を与える」ということになるのだろうと。
俺に似合う服を探してくれていることに感謝、という意味で、上では「タキシードを見立ててくれてありがとう」と訳してみたということです。
唐突な感じのお礼の言葉ですが、感謝の気持ちで素直にお礼を言っただけ…でないところが、チャンドラーらしいですね。
ありがとう、と言った後で、「君に俺のゲストとして出席してほしいと思ってることを知っていてほしい」と言っています。
服選びを手伝ってくれたお礼に、是非俺のゲストとして式に出席して、みたいなことですね。
レイチェルはチャンドラーの意図を察し、「私はモニカの付添役よ。私を blue-pin しようとしないで」と言います。
blue-pin というのは、オープニング直後のシーンで、結婚式の座席表(the seating chart)を相談していた二人のやりとりと関係があります。
その表には、出席者の目印に、赤と青のピンが刺してあり、
モニカ: (To Chandler) Okay, the red ones are my guests, and the blue ones are yours. ([チャンドラーに] いいわ、赤いピンが私のゲストで、青いピンがあなたのよ。)
チャンドラー: This is so sad. I mean, I only have like 10 pins. (これってすっごく悲しい。だって、俺はほら、10個くらいしかピンがないんだぞ。)
「私を”ブルーピン”しようとしないで」というのは、「私をチャンドラーのゲストとして、青いピン扱い・青ピン化(笑)しないで」ということで、本来は名詞である、blue pin という言葉を、blue-pin と動詞化して使っているのがポイントとなります。
ありがとう、とか言いながら、どさくさに紛れて、あなたのゲスト側に入れようとしないでちょうだいね、私はモニカの付添人なんだから、とまさに「釘を刺している」感じになるでしょう。
what's the deal with these? は「こっちにあるこれらのタキシードは、どうしたの?どうなってるの?」という感覚。
こっちにもあるのに、こっちはだめなわけ?みたいなことですね。
素敵に見えるのに、何が問題なんだろう、どうして候補じゃないんだろう、みたいなことです。
レイチェルはその別の棚にあるタキシードのことを説明しています。
we custom-make tuxedos for celebrities は「うち(わが社)は、セレブのために、タキシードを注文に応じて作る、オーダーメイド・カスタムメイドで作る、特注であつらえて作る」という感覚。
custom-made clothes 「カスタムメイドの服」のように、カスタムメイドという言葉はほぼ日本語になってしまっていますが、「作られた」という意味の過去分詞形(受動態)の made を、本来の「作る」という能動形で使っているのが、custom-make になるわけです。
be done with は「〜を済ます、終える」という感覚なので、そのタキシードを使い終えた後、自分の服として保管しておくとかいうことをせずに、ただ送り返してきちゃうのよ、と言っていることになります。
わざわざ、オーダーメイドで作ったのに、1回、もしくは数回着た後で、返品してくる、だからこうしてここにある、と説明しているわけですね。
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