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フレンズ2-7その10 のコメント欄 で、セリフに関するご質問がありました。
過去の記事では取り上げていなかったセリフで、改めて見直して見ると、実にフレンズっぽい面白いやりとりだなと思ったので、今日はそれを記事として投稿します。
1) more like insulation についてチャンドラーが「パーティーでモテなかった」みたいな話をしていて、フィービーが「少し体重が増えるたびに、あらゆることを疑問視し始めるのよね」みたいに言ったことから、
チャンドラー:
Woah, woah, I've put on a little weight? (おいおい、俺がちょっと体重が増えた、って?)
ロスとジョーイはその話には関係ないからね、というように台所に向かう中、
フィービー:
No, not weight. Y'know, more like insulation. (いいえ、体重じゃないわ。ほら、もっと insulation みたいなものよ[むしろ insulation が近いわよ]。)
モニカ:
Chandler, I'm unemployed and in dire need of a project. Wanna work out? I can remake you. (チャンドラー、私は無職で、何かプロジェクトがものすごく必要なの。トレーニング(ワークアウト)したい? 私があなたを改造できるわよ。)
フィービーのセリフの insulation とは何か?というご質問です。
私も辞書で調べてみましたが、insulation は「隔離、孤立」「絶縁」「断熱」「断熱材、遮音材、防音材」みたいな意味になっています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
insulation [noun, uncountable] : 1. material used to insulate something, especially a buildingつまり、「何か、特に建物を、防音・断熱するために使われる素材」
となっていて、一番最初に出ている語義が、その「防音材・断熱材」となっています。
それを聞いたチャンドラーは「へ?」という顔をしています。
体重のことじゃないのよ、と言って、別の言葉で言い換えようとしたフィービーでしたが、さらに失礼な表現になってしまって、それでチャンドラーが驚いた顔をしたようにも見えます。
その直後のモニカのセリフが「チャンドラーはワークアウトしたい? あなたを改造してあげられるわよ」になっているので、「チャンドラーは太っている、太ってしまった」という流れの中で、話が続いているようです。
more like は「むしろ〜に近い」ですね。
ですから、フィービーは、「weight というよりはむしろ insulation に近い」と言ったことになります。
ここで、weight という単語の語義を改めて見てみると、「重さ、重量、体重」「分銅(ふんどう)、おもし、文鎮」「(重量挙げの)バーベル」など、そこには共通して「重さ」のイメージがあります。
一方の「断熱材」の方はと言うと、熱を遮断するためのフワフワの物体が連想されますよね。
weight のイメージと比べてみると、断熱材にはそういう「重さ」が感じられず、むしろ「軽い」イメージが浮かぶように思います。
ここで、直前のチャンドラーのセリフを見てみると、"I've put on a little weight?" となっています。
put on weight というのは「体重が増える、太る」というお決まりフレーズですが、直訳すると、「体重・重さを身につける」ということですね。
つまり、フィービーのセリフは、「体重・重さを身につけた、っていうよりはむしろ、断熱材を身につけた、が近いかな」と言っているような気がしました。
体重が何キロ・何ポンドになったとかっていう「重さ」の話というよりは、断熱材を身にまとったかのような、その体のふくらみ具合(かさが増えたこと)が問題っていうかね、みたいに言ってみせた、ということかなぁ、と。
この部分、DVDの日本語訳では、
違うわよ ていうか”肥大化”した/デブったとは言わない。ていうか、全身はれた。と訳されていました。
weight がついて重くなった、ってことじゃなくて、断熱材をまとって膨らんだ、っていう方が正しいかな、みたいに言ったことから、「肥大化」「全身はれた」という訳になっているのでしょうね。
チャンドラーが「俺、体重増えて重くなった?」と聞いたので、相手を傷つけまいとすれば「私は、あなたの体重が増えたようには思わないけど…」と否定することになるでしょう。
フィービーの返事の最初の部分、"No, not weight." だけ聞いていると、「別に太ってないわよ」と言ってあげたように聞こえるのですが、その続きを聞いてみると、「重さというよりは、ふくらみね」と言ってしまっている、否定してあげたのかと思ったら、実はそのものズバリを言ってしまっている、というのが、フレンズっぽい、そしてフィービーっぽいセリフになっていると思いました。
日本語でも、前の人の言った言葉を受けたジョークみたいなのがありますが、今回も直前のセリフの put on を受けた上で、put on したのは「重さ」じゃなくて「断熱材」と表現してみせた面白さということですね。
ちなみに、何かを身にまとうことで、ふくれた感じに見えるものとしては、他にもいろいろあるのでしょうが(着ぐるみ、とか?w)、insulate する、つまり、「断熱・防音・遮断、または、隔離・孤立する」ものという意味の insulation を使うことで、「それを身につけたせいで、外部のものと遮断される、外部から隔離される、孤立する」→「女性にモテない」という意味ももたせているのかなぁ、とも思いました。
あなたは重さを身につけた、というより、「(自分の周囲にあるものを)遮断するような、少し厚みのあるフワフワの(ふくれた)断熱材」を身につけた、って表現する方が当たってるわね、ということかなぁ、と。
2) as much fun as that was などについてコーヒーハウスのセントラルパークの窓の外で、ロスとその彼女のジュリーがイチャついているところ。
ロスに惹かれているレイチェルがそれを気にするかと思いきや、「私、デートするの」と言うので、ジョーイは驚いています。
ジョーイ:
Woah, woah, woah, you have a date? (おいおい、レイチェルはデートするのか?)
レイチェル:
Yeah, Monica's settin' me up. (ええ、モニカが私にセッティングしてくれたの。)
ジョーイ:
But uh, uh, what about uh, Ross and uh...? (でも、あれはどうなるの? ロスと、ほら…?)
レイチェル:
Oh what? My whole insane jealousy thing? Well, y'know, as much fun as that was, I've decided to opt for sanity. (あぁ、何? 私の一連の狂気じみたヤキモチのこと? ほら、<この部分、省略>、私は正気(健全さ)を選ぶことを決めたのよ。)
チャンドラー
So you really OK about all this? (それじゃあ、この件すべてについて、レイチェルは本当にオッケーなの?)
レイチェル:
Oh yeah, c'mon! I'm movin' on. He can press her up against that window as much as he wants. For all I care, he can throw her through the damn thing. (ええ、そうよ。いいわ! 私は前に進むの。彼は好きなだけ、彼女をあの窓に押し付ければいいわ。私の知ったことではないけれど(ちっとも構わないけど)…<以下略>)
その問題の、as much fun as that was の部分ですが、そこには逆接のニュアンスが入っているようです。
そのような (as) much as の逆接のニュアンスについては、辞書には以下のように出ています。
研究社 新英和中辞典では、
much as=大いに…はするが、…するのはやまやまなのだが
Much as I'd like to go, I cannot. 行きたいのはやまやまですが、行けません。英辞郎では、
as much as
【2】〜ではあるが◆【同】much as
・As much as I hate to say this, sometimes you have to give in to their expectations and demands. これは言いたくないが、その人たちの期待や要求を受け入れなければいけないこともある。例文は (as) much as になっているので、as much fun as that was と完全に一致しているわけではありませんが、as much as にそういう逆接のニュアンスがあることを考えると、as much fun as that was も、「それ(狂気じみたジェラシー)は大いに楽しいものだったけれど」のような逆接のニュアンスを持たせることも可能な気がするのです。
DVDの日本語訳は、
(字幕)ジャマするのは楽しいけど もう前向きに生きるわ
(音声)二人の邪魔するのは、楽しい、っちゃあ楽しいわ。でも、もういい加減、前向きに行くことにしたの。となっていて、どちらもやはり「逆接」のニュアンスで訳されていますよね。
as much as の部分がよくわからないということで、仮にそれを排除してみると、
My whole insane jealousy thing? Well, y'know, ... fun ... that was, I've decided to opt for sanity.
になります。それを訳すと、「私の一連の狂気じみたヤキモチ? あれは楽しかった… 私は(今はもう)正気を選ぶことに決めた」となり、…の部分をスムーズにつなげようと思うと、「狂気じみたヤキモチは楽しかった”けれど”、今は正気を選ぶことに決めたの」とした方が、insane と sanity の対比がうまく生きてきますよね。
He can press her up against that window as much as he wants. For all I care, he can throw her through the damn thing. について。
これは、ロスが恋人のジュリーを、コーヒーハウスの窓に押し付けるようにしてキスしたりしていたのを見たことを受けてのセリフですね。
He can は「彼はできる」というより、「彼が〜したらいいわ」みたいな感覚。
直訳すると、「ロスは、ロスが望むだけ、ジュリーをあの窓に押し付ければいいわ。私の知ったことではないけれど(for all I care)、彼はあのいまいましいもの(窓)を通る[突き抜ける]ように、彼女を throw すればいいわ」。
the damn thing = the window のことで、ロスがジュリーをその窓に押し付けながらイチャついているので、その窓のことを憎々しげに、the damn thing と呼んでいることになるでしょう。
また、throw は「(ボールなどを)投げる」と訳すのが一般的ですが、ここでは「ブンと投げる」感じというよりは、「乱暴に強く押す」という感覚が近いようです。
LAAD では、
throw : 3. PUSH ROUGHLY to make someone or something move roughly and violently in a particular direction or into a particular position
throw a door/window open
例) James threw the door open and ran into the house.つまり、「乱暴に押す。ある方向にまたはある場所に、誰かや何かが乱暴に動くようにすること」。
例文は、「ジェームズはドアを乱暴に開け、家に駆け込んだ」。
今はイチャつきながら、彼女を窓に押し付けているわけですが、それをもっと強く、窓を割らんばかりに手荒に乱暴に押し付けて・押し込んで、窓を突き破ってしまうくらいにしちゃえばいいのよ、と言っていることになるでしょう。
この部分、DVDの日本語字幕では、
ウインドーに 押しつけすぎて−−ガラスが割れたら 面白いわねとなっていました。
熱烈にイチャついて、もっと窓に彼女を押し付けちゃっても別にいいのよ…と言いながら、もっと思いっきり押して窓ガラスを割って押し出しちゃえばいいのに(そうしてジュリーがケガしても構わない)みたいに言ったところに、レイチェルがまだロスのことを好きで、ジュリーに猛烈に嫉妬しているのが見てとれる、ということになると思います。
he can throw her through the damn thing の部分を、throw her through the window のように表現してしまうと、「彼女があの窓を突き破っちゃえばいい」というダイレクトな表現になってしまって、いくらヤキモチを焼いているにしても、露骨過ぎてシャレにならないかもしれません。
the window を the damn thing 「いまいましいあれ」みたいに表現したことで、やきもちにもまだ可愛げが残ったかな、という気もします。
3) You just sort fo put away feelings or whatever the hell it was you felt for me? についてレイチェルが自分のことを好きだったと知って、動揺しているロス。
ロス:
The point is, I... I don't need this right now! Okay? It's, it's too late, I'm with somebody else. I'm happy. This ship has sailed! (大事なことは…僕は今はこんなこと必要ない、ってことだ!いいかい? 遅すぎるんだよ。僕は他の人と付き合ってる。僕は幸せだ。この船はもう出航したんだよ! [と言って自分の胸を指で指し示す])
レイチェル:
Yeah, what're you saying, you just sort of put away feelings or whatever the hell it was you felt for me? (そう、あなたはこう言っているわけね、<以下略>)
ロス:
Hey, I've been doin' it since the ninth grade, I've gotten pretty damn good at it. (ああ、僕は9年生からずっとそうし続けてたんだ。そうすることはものすごく得意になったんだよ。)
レイチェルのセリフの、whatever... の部分が文法的にわかりにくい、というご質問でしたが、これは、それぞれのフレーズのどこが切れ目になっているか、がポイントになりますね。
この時のレイチェルは非常に早口でまくし立てているのですが、切れ目は、
You just sort of put away feelings / or whatever the hell it was / you felt for me?
になると思われます。
whatever the hell it was の the hell は強意語なので、whatever (the hell) it was ということになり、この whatever it was は「それがどんなものであっても、あったとしても」という譲歩節になります。
feelings or whatever だけなら、「感情・気持ちとか(その他の)何とか」くらいの意味になりますが、ここでは、「feelings と言っていいのか、またはそれが feelings とは呼べない違うものであったとしても」というニュアンスが入っていて、「あなたが私に対して感じた(という)、感情やもしくは他のどんなものであっても、それをただしまい込む(どこかにやってしまう)の?」と言っていることになるでしょう。
セリフ全体を見ると、what're you saying, you just sort of put away feelings... となっていますので、sort of 「〜みたいな」というニュアンスも入れて訳すと、「じゃあ、あなたはこう言ってるの? 気持ちとか…をただしまい込むみたいな、そんな感じのことを(言ってるわけ)?」ということになります。
ご質問に対する私の解釈・見解は以上です。
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