2014年04月30日

後回しにする方法を挙げる フレンズ8-12その1

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シーズン8 第12話
The One Where Joey Dates Rachel (ジョーイの新しい恋)
原題は「ジョーイがレイチェルとデートする話」


コーヒーハウスのセントラル・パークで。
ジョーイ: Oh! Hey, Rach, listen umm.... (あぁ。ねぇ、レイチェル、聞いてよ。)
レイチェル: Yeah. (ええ。)
ジョーイ: I got a big date coming up. Do you know a good restaurant? (大事なデートがあるんだ。いいレストラン知ってる?)
レイチェル: Uh, Paul's Café. It's got great food and it's really romantic. (あぁ、ポールズ・カフェよ。素敵な料理があるし、とってもロマンティックなの。)
ジョーイ: Ooh, great! Thanks! (あぁ、いいね! ありがと!)
レイチェル: Yeah! Oh, and then afterwards you can take her to the Four Seasons for drinks. Or you go downtown and listen to some jazz. Or dancing-Oh! Take her dancing! (そうね! あぁ、それからその後、お酒を飲みに、フォーシーズンズ(ホテル)に連れて行けるわ。もしくは、ダウンタウンに行って、ジャズを聴くの。それか、ダンスね。あぁ、彼女をダンスに連れて行きなさいよ!)
ジョーイ: You sure are naming a lot of ways to postpone sex, I'll tell ya.... (君はまさにエッチを後回しにするためのたくさんの方法を挙げてるね、全く…。)
レイチェル: Ooh, I miss dating. Gettin' all dressed up and going to a fancy restaurant. I'm not gonna be able to do that for so long. And it's so much fun! I mean not that sitting at home worrying about giving birth to a sixteen pound baby is not fun. (あぁ、デートするのが恋しいわ。すっかりドレスアップして、高級レストランに行くの。そんなこと、長い間、できないことになるわ。それに、すっごく楽しいんだもの! 16ポンドの赤ちゃんを産むことを心配しながら家で座っているのは楽しくないわ。)
ジョーイ: Hey, y'know what? (ねぇ。)
レイチェル: Huh? (なに?)
ジョーイ: Why don't I take you out? (俺が君をデートに誘うっていうのはどう?)
レイチェル: What?! Joey, you don't want to go on a date with a pregnant lady. (何? ジョーイ、あなたは妊婦とデートなんてしたくないでしょ?)
ジョーイ: Yes, I do! And we're gonna go out, we're gonna have a good time, and take your mind off of childbirth, and C-sections and-and giant baby heads stretching out-- (デートしたいよ! で、二人で出かけて、楽しい時間を過ごすんだ。そして出産のことなんか忘れるんだ。それから、帝王切開とか、それから巨大児の頭が(…を)広げるとか(も忘れて)…。)
レイチェル: (interrupting) Okay, okay! I'll go with ya! I'll go! I'll go with ya. ([さえぎって] わかった、わかった! あなたと一緒に行くわ! 行くわ。あなたと行くわ!)

ジョーイは、I got a big date coming up. と言っています。
この got は have のようなニュアンスで、I have a big date coming up. を直訳すると、「大きな(大事な)デートが近づいてくる(coming up)状態を持っている」みたいな感じですね。
ですから、「(もうすぐ)大事なデートがあるんだ」と言っている感覚になります。

いいレストラン知ってる?と聞かれたレイチェルは、Paul's Café の名前を出し、It's got great food and it's really romantic. と言っています。
It's got は、It has got で、has got = have の意味となり、「その店は良い料理がある、その店の料理は素敵」と言っていることになります。
afterwards は「その後で、のちに」。
ドリンクのため、つまり、お酒を飲むために、彼女を、フォーシーズンズ(ホテル)に連れて行くことができる、連れていけばいいわ、みたいなことですね。
その後も、Or 「または、もしくは」と言って、ジャズを聴きにダウンタウンへ行く、ダンスよ、ダンスに連れて行きなさいよ、と次々アドバイスしています。
Or! 「それか、こういうのはどう?」を二度も使っているところに、次から次へと素敵なプランのアイディアが浮かんでしまうレイチェルの様子がよく出ています。

それを聞いていたジョーイの、You sure are naming a lot of ways to postpone sex というセリフがプレイボーイのジョーイらしくて面白いですね。
sure は「確かに、本当に、まさに」のように、意味を強調する副詞。
name は「名前を挙げる」、postpone は「延期する、後回しにする」なので、「君はまさに、エッチを後回しにするためのたくさんの方法を挙げてるんだねぇ」と言っているニュアンス。
プレイボーイのジョーイとしては、とりあえず良いレストランで食事して女性を楽しい気持ちにさせておいて、その後はすぐに家に帰ってエッチだな、、みたいにプランを立てていたのでしょうが、良いレストランに行った後も、ホテルでお酒、ジャズやダンス、と候補を次々と挙げられたので、なかなかエッチにたどり着けない(笑)という意味で、「エッチを後回しにする方法をたくさん挙げる」と表現したことになります。

レイチェルは、自分でいろいろなプランをお勧めした後、I miss dating. と言っています。
miss は「〜がなくて、〜しなくて寂しく思う」という感覚ですから、「デートすることがなくて寂しい、デートするのが恋しい」ということですね。
その次の文章は、getting ... and going のように -ing が続いていますが、それも、I miss doing の doing を他の言葉で言い換えたことになるでしょう。
「デートすることが恋しい」と言った後で、すっかりドレスアップすることが恋しい、a fancy restaurant に行くことが恋しい、と続けている感覚になり、そういうことを長い間していないから、そういうことを今すっごくしてみたい、と言っていることになるのですね。
ちなみに、a fancy restaurant の fancy は「上等の、高級な、豪華な」という意味で、女子が「いいレストランで食事しましょ」と言う場合には、よくこの fancy という形容詞が使われます。

I'm not gonna be able to do that for so long. は、「私はこれから長い間、そんなことをすることができないだろう、できないことになるだろう」。
そんな風に、「ドレスアップして、素敵なレストランに行くようなデートは、すっごく楽しい(so much fun)」と言った後、is not fun 「楽しくない」ものの例として、sitting at... 以下のことを言っていますね。
sitting at home worrying about giving birth to a sixteen pound baby は長いので前から順番にイメージしていくと、「家に座って、〜について悩む」→「(悩みの内容は)〜を出産すること」→「(出産するものは)16ポンドの赤ちゃん」という流れになります。
ちなみに、「〜を産む」という場合には、give birth to... のように、前置詞には to が使われることにも注目しておきましょう。

Google の検索ボックスに「16ポンド」と入れると、自動でキロに換算してくれるのですが、それによると、「16ポンド = 7.25747792 キログラム」、つまり、7キロ強、と言っていることになりますね。
日本人が赤ちゃんを出産する場合には、3キロ前後くらいが平均だと思うのですが、7キロという数字は、アメリカ人的にはどうなんだろう、、?と思って、ちょっと調べてみました。
Wikipedia 英語版: Infant の Weight の項目 に、新生児の体重について、以下の記載がありました。
Weight
In developed countries, the average birth weight of a full-term newborn is approximately 3.4 kg.(7 ½ lbs), and is typically in the range of 2.7–4.6 kg (5.5–10 pounds).

つまり、「体重: 先進国では、臨月で生まれた新生児の出生体重の平均は、約 3.4キログラム(7.5ポンド)で、一般的に、2.7キロから4.6キログラムの間である」。

ということなので、先進国の平均値は、3.4キロということですね。
ですから、日本人の赤ちゃんの出生体重よりやや重い程度で、そんなに変わらない気がしますので、やはり、16ポンド(7キロ)というのは、「大袈裟な表現」として使っていることになるでしょう。
この部分、DVDの日本語訳でも、「7,000グラムの巨大児を産む心配をしてるのは、楽しくない」のように訳されていましたし、レイチェルはわざと「平均とはかけ離れた大きな数字」を言ったということでしょうね。
このエピソードでのレイチェルは妊娠4か月頃で、まだお腹もそれほど大きくないので、出産時の赤ちゃんの体重が予想されるほどの時期ではありません。
ですから、レイチェルは「このまま赤ちゃんがお腹の中ですくすく育って、もしかしたら7キロもあるようなすっごく大きな赤ちゃんを産むことになるかもしれない、、」と、まだどうなるかわからない先のことを心配するのがいやだ、と言っているわけですね。
そんな風に、赤ちゃんの体重を大袈裟に表現することで、「ドレスアップして素敵なレストランで食事するデート」のイメージと、妊婦としての現実とのギャップがこんなにあるのよ、と訴えたいのでしょう。

その話を聞いていたジョーイは、「俺が君を take out するのはどう?」と提案しています。
take someone out は「人を外に連れ出す」ということで、この場合は、「デートに連れ出す、デートに誘う」ということですね。
Why don't we have a date? なら「俺たちがデートするっていうのはどう? 二人でデートしようよ」というニュアンスになるでしょうが、ジョーイは take you out という表現を使っているので、「俺がレイチェルをデートに連れ出してあげる、っていうのはどうかな?」と言っている感覚になるでしょう。
「妊婦の私はデートなんかできないわ。生まれてくる赤ちゃんの体重を心配して家で座ってるだけしかできないのよ」とレイチェルは言っているので、「一緒にデートしようよ」というよりも、「じゃあ、俺が君を誘ってあげるよ、連れ出してあげるよ」と言う方が、「家にこもっているのが当然」と思っているらしいレイチェルに対しては、素敵な誘い文句になる気がします。

そんなジョーイの発言を聞いて、レイチェルは驚いた声を上げて、Joey, you don't want to go on a date with a pregnant lady. と言っています。
you don't want to は「あなたはそんなことをしない方がいい」というアドバイスのニュアンスで使うことがよくありますが、今回のセリフは、そのままの意味の、「あなたはそんなことをしたくないでしょ(したくないだろうとだろうと私は思うわ)」という感覚だろうと思います。
プレイボーイのあなたが、妊婦とデートしたいなんて思うはずないわ、みたいなことですね。

You don't want to... と言われたことに対して、ジョーイは、Yes, I do! と返事していますが、これは、Yes, I want to go on a date with a pregnant lady. ということ。
日本語的に言うと、「妊婦とデートなんかしたくないでしょ」「いいや、したいさ!」みたいになるところでしょうが、相手が否定文で言ってきた内容を、肯定文で返していることから、「No じゃなくて、Yes」という意味で、Yes が使われていることに注意しましょう。

その後もジョーイは、「二人でデートに出かけて、楽しい時間を過ごすんだ」と言ってから、take your mind off of childbirth と言っています。
take one's mind off of は「〜から人の心を離す」という感覚なので、「(いやなこと・心配ごとなどを)忘れる、〜から気を紛らわせる」という意味になります。
C-section は、Caesarean [Caesarian] section のことで、「帝王切開、開腹分娩法(子宮を切開し胎児を取り出す方法)」のこと。
deliver a baby by Caesarean section なら「帝王切開で出産する」になります。

Caesarean は「ローマ皇帝の、シーザーの」という意味で、Caesar は「ローマ皇帝」または、歴史上の人物である (Gaius) Julius Caesar 「ジュリアス・シーザー(or ガイウス・ユリウス・カエサル)」のこと。
なぜ、帝王切開にシーザーの名前が付いているか?については、「シーザーがその開腹分娩法で生まれたから」という説が有名で、私もずっとそう信じていたのですが、
Wikipedia 日本語版: 帝王切開 の「語源」 に、興味深いことが書いてありました。
興味がおありの方は、そのウィキペディアの記事を読んでいただければと思うのですが、「実際にカエサルが帝王切開で生まれた可能性は極めて低い」とのことで、大プリニウスが1世紀に書いた著書「博物誌」での文言が、その伝説の元になっていること、などが説明されています。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) の語義説明では、
cesarean also cesarean section [noun, countable] : an operation in which a woman's body is cut open to take a baby out
つまり、「赤ちゃんを取り出すために、女性の体を切り開く手術」。
とあります。また、その語源(Etymology)を見てみると、
Word Origin
cesarean : 1600-1700 Julius Caesar (100-44 BC),
Roman soldier and political leader, who is said to have been born in this way

「ローマの戦士で政治指導者であるジュリアス・シーザー。彼がこの方法で生まれたと言われている」
と出ています。
is said to 「と言われている、と伝えられている」ということなので、「そういう言い伝えがある」と言っているだけで、それが真実だと主張しているわけでもないですが、この語源を見ると、やはり「帝王切開」の語源は一般的にそう信じられているということもわかるし、それが実際には違うんだよ、というウィキペディアの話も、歴史的になかなか興味深く面白い話だなと思います。

and giant baby heads stretching out-- について。
ここで、giant baby という言葉が出てきましたね。
ジャイアント・ベイビー、すなわち「巨大児」ということで、さっきレイチェルが心配していたのような、7キロくらいありそうな赤ちゃんのイメージを、ダイレクトに「巨大児」と言っていることになるでしょう。
stretch out の stretch は、「ストレッチ」という日本語にもなっているように、「伸ばす、広げる」ということですね。
out がついた、stretch out で、さらに「外の方向に向かって大きく広げる、伸ばす」という感じが出ていると思います。
つまり、巨大児の頭が何かを大きく広げて伸ばして…みたいに言いかけたわけですが、レイチェルはそれを遮るように、「わかった。あなたと行くわ! あなたと行くから!(だからもうその話はやめて)」みたいに言っています。
大きな赤ちゃんが生まれてくるかも、、と考えるだけでも心配なのに、それをジョーイが、「大きな赤ちゃんの頭が、出口を思いっきり広げて出てくるんだぞ」みたいにリアルにイメージさせようとしたので、慌ててそれを止めたわけですね。

ちなみに、giant baby heads stretching out の -ing は、動名詞の感覚でしょうね。
giant baby heads は、stretching out という動名詞の意味上の主語になっており、このように、セリフのような口語では、「動名詞の主語は、(所有格ではなくて)目的格を用いる」ことが多いです。
take your mind off of A, B and C の形になっていて、A と B がそれぞれ名詞で、それに合わせて、C も 動詞に -ing をつけた動名詞の形になっているという理解で良いでしょう。
ちなみに、このセリフでは、giant baby heads のように「複数形」が使われていますね。
仮に双子ちゃんであったとしても、二つの頭が並んで出てくることはないのですが(笑)、このように、heads という「複数形」になっているのは、一般的に赤ちゃんの頭はみんなそんな風にして出てくるという「一般論」を語っているからなんだろうなと思います。

または、stretching out の部分を、heads を後置修飾している現在分詞と捉えて、「stretch out している(〜を広げている、広げようとしている)巨大児の頭」のことを忘れる、、と解釈することも可能は可能だと思うのですが、ここでのイメージは「頭」という物体・対象よりも、「その頭が stretch out しているという”行為・動作”」の方にポイントがあると思うので、「出産(のこと)、帝王切開(のこと)、巨大児の頭が(ある部分を)広げて伸ばすこと」のように、動名詞として解釈した方がいいように私は思いました。


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posted by Rach at 15:09| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月28日

これをどう言えばいいのか フレンズ8-11その6

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妊娠中のレイチェルは、見る男性すべてが魅力的に見えてしまう状態になっています。
そういう気持ちが抑えられなくなっている自分に困っているレイチェル。
様子がおかしいと気づいたルームメイトのジョーイは、
ジョーイ: Oh, what's wrong? (あぁ、どうしたの?)
レイチェル: Oh, you really, you really just don't want to hear about it. (あぁ、ほんとにジョーイはその話を聞きたくないだろうとと思うわ[ジョーイは聞かない方がいいわ]。)
ジョーイ: Then why did I ask? (なら、何で俺は質問したんだよ?)
レイチェル: Okay, it's just-and this is really embarrassing-but lately, with this whole pregnancy thing I'm just finding myself... how do I put this, umm, erotically charged. (わかった。ただ、これはほんとに恥ずかしいことなんだけど、最近、この一連の妊娠のことのせいで、自分がこんな状態だって気づいちゃってるの…これをどう言えばいいのか…その、エロティックにみなぎってるの。)
ジョーイ: Is that college talk for "horny"? (それって「やりたがってる(ムラムラしてる)」の大学生言葉?)
レイチェル: Yeah. So y'know, I have all of these feelings and I don't know what to do about them, because I can't date like a normal person, which is fine because I don't need a relationship, I mean all I really want is one great night! Just sex, y'know? No strings attached. No relationship. Just with someone that I feel comfortable with, and who knows what he's doing. For just one great night. I mean, is that really so... hard... to find. (Looks at Joey.) So how was your day? (そうなの。それで、私はこんな気持ちになっちゃって、それについてどうしたらいいかわからないの、だって私は普通の人みたいにデートできないから。そのことはいいのよ、だって私は(恋愛)関係は要らない。私が欲しいのは素敵な一晩だけなの。ただエッチだけ。紐付きじゃなくて。関係もなくて。ただ私が一緒にいて気持ちいいと[心地よく]感じられる人と、そしてその人が自分が何をしているのかわかっている人と。たった一晩の素敵な夜だけのために。それってすっごく難しいの…見つけるのが… [ジョーイを見る] それで、今日のあなたの一日はどうだった?)
ジョーイ: Good, I uh, I saw a pretty big pigeon. (良かったよ。あぁ、かなりでっかいハトを見た。)
レイチェル: Well, I gotta get up early, and it's almost seven o'clock. (えーっと、私は朝早く起きなくちゃいけないの。で、もう7時だし。)
ジョーイ: Yeah, I gotta, I gotta go to my room too. (そうだな、俺も、俺も自分の部屋に行かなくちゃ。)
レイチェル: Okay, good night! (そうね、おやすみ!)
ジョーイ: Good night. (They both enter their rooms.) (おやすみ。[二人とも自分の部屋に入る])
(Pause.)
二人とも部屋に入るが、同時に出てくる。
ジョーイ: (entering) I can't do it! ([リビングに入ってきて] そんなことできないよ!)
レイチェル: (entering) I didn't ask you to do it! ([入ってきて] あなたにそうしてって頼んでないわ!)
ジョーイ: You're Rachel! (君はレイチェルだ!)
レイチェル: You're Joey! (あなたはジョーイよ!)
ジョーイ: You're my friend! (君は俺の友達だ!)
レイチェル: Right back at ya! (お互いさまよ!)
ジョーイ: But plus, it would be wrong, and weird and-and-and bad! (でも、それに、そんなことは間違ってるし、変だし、それにそれに、いけないことだ!)
レイチェル: And so bad. But I don't even know what you're talking about because I didn't ask you to do anything! (それも、すっごくいけないことよ。でも私はあなたが何を言ってるかすらわからないわ。だって私はあなたに何も頼んでないんだもの!)
ジョーイ: I know! (わかってるよ!)
(Pause.)
沈黙。
ジョーイ: You wanna do it? (君はしたいの?)
レイチェル: No! (いいえ!)
ジョーイ: All right, me neither! I was just testing you! (わかったよ、俺もしたくない! 俺はただ、君を試しただけだ!)
レイチェル: Hey! That's the end of this conversation! (ちょっと! 今のでこの会話は終わりよ!)
ジョーイ: This conversation never happened! (こんな会話なかったんだ!)
レイチェル: Never happened! Good night! (ええ、なかったわ! おやすみ!)
ジョーイ: Good night! (おやすみ!)
(They both go into their rooms and after a little while Rachel pokes her head into the living room.)
二人とも自分の寝室に入り、少し後に、レイチェルはリビングに頭を突き出す。
ジョーイ: Get back in there! (Rachel re-enters her room and closes the door.) (部屋に戻れ! [レイチェルは再度、自分の部屋に戻り、ドアを閉める])

レイチェルの様子がおかしいと感じたジョーイは、What's wrong? 「どうしたの?」と尋ねています。
「どんな男性を見ても、エッチな気持ちになってしまう」というような話なので、レイチェルは「あなたは本当に、それについて聞きたいとは思わないわ」のように言っていますね。
You (really) don't want to を直訳すると、「あなたは(本当に)〜したくない」になりますが、そのように表現することで、「あなたは〜しない方がいい」というようなアドバイスのニュアンスが出ます。
日本語で「きっとあなたはこんな話、聞きたくないわよ」と表現した場合でも、「こんな話をあなたは聞かない方がいいわ、聞いてもきっと楽しくないし」みたいなニュアンスは出ますよね。

それに対するジョーイの返事、Then why did I ask? がなかなかいい表現だな、と私は思いました。
直訳すると、「それじゃあ、なぜ、俺は尋ねたんだ?」ということですね。
つまり、「聞きたくないと思っていたなら、そもそも俺は質問してない。質問したのは、レイチェルの話を聞きたかったからだ」と言っていることになるでしょう。
「こんな話、聞いても面白くないだろうし、、」という感じで、話しにくそうに、もじもじしているレイチェルに対して、「俺が聞きたくて質問したんだし、どんな話でも聞くつもりはあるから、何でも話してみてよ」と促す感覚になるわけです。
話すのをためらっている側も、そんな風に言ってもらえると、話を切り出しやすくなる感じがしますよね。

レイチェルは、「これってほんとに恥ずかしいことなの」と言いながら、最近、with this whole pregnancy thing 「この、一連の妊娠(のこと)のせいで」、I'm just finding myself と続けています。
I'm just finding myself は「私は自分自身が…だと気づいているところ or 気づきつつあるところ」みたいな感じですね。
I found myself なら「私は自分が…だと気づいちゃった、わかっちゃった」みたいなことになりますが、それを現在進行形にすることで、最近は、そういう「変わってしまった自分」に気づくことばかりなのよ、と言っている感覚になるでしょう。
find という「気づき」が毎日のように続いている、今でも進行中である、というニュアンスでしょうね。
myself の後は、本来なら、「自分がこんな風になってしまった」という状態の言葉が続くことになりますが、その前に、how do I put this という言葉が挿入されています。
直訳すると、「私はこれをどう put する?」という感じで、「これを(私は)どう言えばいいのか、何と表現すればいいのか?」というニュアンスになります。

研究社 新英和中辞典では、
put=[通例 put it で様態の副詞(句)を伴って] 〈…を〉(…に)表現する、述べる
Let me put it in another way. 別な言い方で言ってみよう。
To put it briefly [mildly], …. 手短に[控え目に]言えば…。
I'm - how shall I put it? - in love with you. ぼくは、どう言ったらいいのか、あなたを愛しているのです。


特に最後の例文の、how shall I put it? が、今回のレイチェルのセリフのニュアンスに似ていますね。

そんな風に「なんて言ったらいいのかなぁ〜、えーっと、、」とためらった後に出てきた表現が、 erotically charged でした。
erotically は「エロティカリー」というカタカナから想像できる通り、「エロティックに」ですね。
charged もまさに「チャージされる」という感じですが、他動詞の charge は、「〜を満たす、充満させる」「みなぎらせる」という感覚になります。
「充電する」という意味の「チャージ」も、「満たす、充満させる」ということですよね。

Macmillan Dictionary では、
charged [adjective] : filled with a strong emotion such as excitement or nervousness
つまり、「興奮や緊張などの強い感情で満たされている」。

遠回しに、erotically charged という言葉で、そういうエッチな気持ちでいっぱいになっちゃってるの、という状態を表現してみたレイチェルですが、それを聞いたジョーイは、腕を組んで考えた後、「それって、horny の college talk か?」と聞き返していますね。
horny は「性的に興奮した」という意味で、フレンズでも男性陣がよく使う言葉ですね。
元々は「角の」という形容詞で、性的に興奮した場合に、あるところ(笑)が角のような形状になることから、「ムラムラする、やりたがっている」という性的な意味で使われるようになった言葉です。
アカデミックな辞書である、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には載っておらず、Macmillan Dictionary では、
horny : (very informal) sexually excited
つまり、「(非常にインフォーマル) 性的に興奮した」
と出ています。very informal と書かれていることからも、「かなりインフォーマルな口語」であることがわかりますね。

college talk は「大学のトーク」ですから、「大学生の会話で使われる言葉」のようなニュアンスでしょう。
charged 「チャージされた」(充填された、充電された)という言葉が、ちょっと学術用語っぽく感じた、みたいなことでしょうか。
horny のようなダイレクトすぎる言葉を使わないようにしたのに、ジョーイに「それって horny を小難しく言ってみた言葉?」みたいに返されてしまった、ということですね。

そういう状態だとジョーイが理解してくれたので、レイチェルはその後は、あまりためらうことなく、今の正直な気持ちを述べています。
「そういう、ムラムラする気持ちがあって、それをどうしたらいいかわからないの」と言った後、「だって私は(妊婦だから)、普通の人(a normal person)みたいにデートすることはできない」と言います。
その後、which is fine because と続けていますね。
which は前文を指していて、「普通の人みたいにデートできないということ、は、それでいいの、構わないの(fine)」ということ。
そして、「デートできなくても構わない理由」を、because 以下で述べることになります。
because 以下は、ダイレクトな表現が続きますが、順番に訳していくと、「私には関係(恋愛関係、男女関係)は必要ない」「私が本当に欲しいものは、1晩の素敵な夜だけ。ただエッチが欲しいだけ」。
No strings attached の strings attached は、文字通り「ひも付き」ということ。
「ひも」というのは「付帯条件」のことですね。
with no strings attached で「ひも付きでなく」という形でよく使われます。
DVDの日本語訳では「後腐れなし」と訳されていましたが、まさにそういうことですね。

「ひも付きなし(後腐れなし)。関係なし」と言った後の、Just with someone that I feel comfortable with, and who knows what he's doing. について。
文としては長いので、前から順番にイメージしていくと、
「ただ誰かと(のエッチ)。その人と一緒に気持ち良くなる。そして、その人は自分がしていることを知っている」。
自分は、こういう誰かとのエッチを望んでるの、と説明するために、「誰か」の詳しい内容が後に続いている感覚ですね。
一緒にいて心地よい人、一緒に気持ち良くなれる人、というのが第一の条件で、一緒にいるのもいや、みたいな生理的に受け付けない人はもちろんダメということ。
そして、「自分がしていることをわかっている人」というのは、レイチェルが「後腐れのない一晩きりのエッチだけが望みで、それ以上のものは求めていない」ということをわかった上でそのエッチに応じてくれる人、みたいなことですね。
DVDの日本語訳では「相手も割り切ってくれる人」と訳されていましたが、まさにそんな感じでしょう。

「ただ一晩の素敵な夜だけのため」のような話を、熱気を帯びた様子でだんだんジョーイに顔を近づけながら話し続けているレイチェル。
「私が望んでいるそういう人を見つけることは本当にすっごく難しい」とレイチェルは言っています。
英語の語順では、is that really so... hard... 「それは本当に難しい」 to find 「見つけることが」という順番になるのですが、to find. と言った後、言葉が止まってしまったのは、目の前に「自分が求めている条件に合うかもしれない男性」がいることに気づいてしまった、その人を「見つけて」しまったからですね。
レイチェルが話している間、ジョーイの表情は映像では角度的に見えないのですが、レイチェルをずっと見つめているらしいことが微動だにしない後ろ姿からもわかります。
ここでお互い、意識してしまったことに気づき、レイチェルの方が慌てて話題を変えて、「今日のあなたの一日はどうだった?」みたいに尋ねることになります。
ジョーイの方も明らかにそわそわした感じで、「こんなでっかいハトを見た」みたいにハトの大きさを手で示しながら、どーでもいい話題(笑)をしているところに動揺が見えていますね。

気まずくなってしまったレイチェルは、「明日は早起きしなきゃいけないんだけど、もう7時だし」と言っています。
この微妙な空気から逃れようと、「明日早いから、もう寝るわね」と言おうとしたのに、実はまだ夜の7時で、寝るという言い訳がものすごく不自然に聞こえてしまうということになるわけです。
でもそれを聞いたジョーイの方もその不自然さを指摘することなく、「俺も寝室に行かなきゃ」と言っているところに、ジョーイのアワアワ具合がよくわかるわけです。
「おやすみ!」と言って、それぞれの寝室に入った二人ですが、二人がまた同時に出て来るのが面白いですね。
今度は二人とも、相手に怒っている口調で、「そんなことできないよ」「私はあなたにそうしてなんて頼んでない」と言い合っています。
同時にそれを言い合っているところから、双方がリアルにそういうことを想像してしまったことがよくわかりますね。
You're Rachel! You're Joey! と言い合うところも、もう今はシーズン8ですし(笑)、ずっと長年友達でいた二人が、今、急に、エッチするだのしないだの、、みたいな想像が働いた時に、そんなことできっこない!とパニックっている様子がよく出ているように思います。
You're my friend! 「君は俺の友達だ」と言ったジョーイに対しての、Right back at ya! は、Right back at you. つまり、「あなたにまっすぐ(まさに・ちょうど)戻る・返る」みたいな感覚で、日本語で言うと、「お互いさまだ」ということですね。
「その言葉、そっくりあなたに返すわ」という感じで、私だって You're my friend! って言えるわ、私の方だって同じことよ、みたいなことになるでしょう。

その後、ジョーイは、it would を使って、wrong で weird で、そして bad だ、と言っていますね。
この would は、「もしそういうことが起これば」という「仮定」の感覚ですね。
wrong は「間違った、誤った」、weird は「変な」、bad は「(道徳的に)悪い、だめだ」という感じです。
レイチェルは、最後の bad のことを、so bad だとさらに強めています。
I don't even know... の文は、「私には、あなたが何のことを言っているのかすらわからない。だって私はあなたに何かをするようには頼んでいない」みたいになるでしょう。
レイチェルが何度も「私はあなたに何かしてくれなんて頼んでない」みたいに言っているのは、「ジョーイとならそういうことも可能かも」と一瞬思ってしまった自分の気持ちを必死に否定する感じですね。
「ジョーイは何か勘違いしているようだけど、私はそんなこと、頼んだ覚えはないわよ」と言うしかないわけです。
ジョーイも「(レイチェルが頼んでないってことは)わかってるよ」と言いながら、少しの沈黙の後、「でもレイチェルはそれを望んでるの?」みたいに聞き返すのも面白いですね。
はっきり否定されて、「俺だってそんなことを望んでないさ」と言い、「ただ君をテストしただけだ、試しただけだ」と言います。
その後もお互い、「それでこの会話はおしまい」「こんな会話自体、そもそも起こらなかったんだ(こんな会話、なかったんだ)」と言って、「レイチェルがそういうエッチの相手を求めている話」をなかったことにしようとしています。
また二人は寝室に戻ることになるのですが、今度は、レイチェルの方だけが、ちょこっと寝室のドアから顔をのぞかせて、ジョーイの様子をうかがっているのが面白いですね。
ジョーイは部屋から出てこないながらも、レイチェルがそうしているのがわかったようで、「部屋に戻れ」と叫ぶことになります。
最後にドアから顔をのぞかせるレイチェルと、Get back in there! と声だけで答えるジョーイが、二人のその「ギリギリな気持ち」をよく表している気がしました。

レイチェルとジョーイがお互いを意識してしまった後は、照れ隠しだったり、自分の方はそんなつもりはない、という言い訳だったりのセリフが延々続くことになりますが、特に今回のやりとりでは、「相手が言ってきたことに対してどう返すか」に注目してみると、実際の英会話に役立ちそうな気がします。
今回は見ていて苦しくなるような喧嘩ではなく、「友達だった二人が、急にお互いを異性として意識してしまった」後のやりとりで、ずっと彼らを見てきたフレンズファンとしては、その二人の戸惑いもよくわかるわけなので、余計に二人のセリフが面白く感じられますね。
お互いが相手のことを嫌いなわけではもちろんないし、友達だからそんなことダメだ、と言いながらも、相手の気持ちを伺うような言葉も端々に出てくるなどの「二人の距離の取り方」を感じながら、セリフを楽しんでいただけたらと思います。


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posted by Rach at 15:44| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月25日

鍵を交換してるのはその人 フレンズ8-11その5

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二人の関係はどんな風に進んでるの?とモナに尋ねられたロスは、話せば話すほど気まずくなってしまい、その気まずさを打開するために、自分のアパートメントのキーをモナに渡してしまいます。
キーを渡してしまったことを、フレンズたちに愚痴っていた、その後のシーン。
[Scene: Ross's Apartment, a locksmith has finished changing the locks on Ross's door.]
ロスのアパートメント。鍵屋さんがロスのドアのロック(鍵)をちょうど、取り替え終えたところ。
ロス: Okay, and oh I'm gonna need a bunch of extra keys. Apparently, I give them away for no reason at all. (オッケー。で、スペアキー(合い鍵)がいくつか必要になると思うんだ。どうやら、僕は何の理由もなしに、カギを(人に)あげちゃうんだよね。)
モナ: (entering) Hey, Ross, what's going on? You changing the lock? ([家に入ってきて] ねぇ、ロス、どうなってるの? あなたは鍵を取り替えてるの?)
ロス: No. That guy is. (いいや。鍵を取り替えてるのは、その人だ。)
モナ: I don't understand. You-you give me a key to your apartment and then you change the lock? (わからないわ。あなたは私に、アパートメントの鍵をくれて、その後、あなたは鍵を取り替えるの?)
鍵屋(Locksmith): Good luck, buddy. (Exits.) (頑張れよ。[出て行く])
モナ: Umm, I-I thought we were moving forward and now you're-you're sending me all these mixed signals. What are you trying to tell me? (私たちは前に進んでると私は思ってたのに。そして今、あなたは私に、こんな混乱したシグナルを送ってる。あなたは私に何を言おうとしているの?)
ロス: I'm trying to tell you... I made you a mix tape. (僕は君にこう言おうとしてるんだ… 君にミックス・テープを作ったよ。)
モナ: What? (何ですって?)
ロス: I love you! (愛してるよ!)
モナ: Ohh! (Hugs him.) And I love spending time with you. (Ross isn't happy.) (あぁ! [ロスをハグする] そして私は、あなたと一緒に時間を過ごすのが大好きよ。[ロスは幸せそうではない顔をしている])

ト書きの locksmith は「鍵屋」ですね。
-smith の形で「〜屋、〜職人、〜師」という意味を表し、blacksmith だと「鍛冶(かじ)屋」になります。
extra keys は「余分のカギ」ということで、「スペアキー、合い鍵」のこと。
give away は「ただで(人に)あげる、与える」というニュアンス。
for no reason は「理由もなしに」ということで、for no reason at all のように、at all がつくことで、さらに「全く何の理由もなしに」というニュアンスが出ます。
気まずくなり、つい、女性にカギを渡してしまった自分を自虐的に語ったようなセリフですね。

ロスはモナにカギを渡してしまって、それもロスによるとたった一つのカギだったそうで(笑)、それでロスはドアの鍵を取り替えていたのですが、取り替え中の現場をモナに見られてしまう、、という最悪の展開になってしまいます。
「何が起こってるの?」と言ったモナは、You changing the lock? 「あなたはロックを取り替えてるの?」と尋ねていますね。(You are changing the lock? の be動詞 are が省略されている形)
これ以下のやりとりでも、key と lock という言葉が何度も登場するので、ここで改めて整理しておくと、key は、キーホルダーにつけたりして持ち歩く方のカギ、lock は、その key を使って開けたり閉めたりする、ドアについている「錠、錠前」を指します。
日本語では、持ち歩く方も、ドアについている方も、鍵(カギ)と言いますので、混乱しないように注意が必要ですね。
今回のモナも、ドアについている錠前を取り替えているのを見たので、You changing the lock? と尋ねていることになります。

まずいところを見られてしまったロスですが、そのモナの質問に対する答えが、ちょっと面白いですね。
No. That guy is. というのは、No. That guy is changing the lock. ということで、You (are) changing the lock? と聞かれたことを利用して、「いいや」といったん否定した後で、changing the lock してるのは、僕じゃなくて、あの人だ、と主語を訂正した感じになります。
いいや、と否定してみたものの、誰がどう見ても鍵を交換中なのは明らかなので、「実際に取り替えてるのは[取り替え作業をしているのは]、僕じゃなくて、その人だよ」とジョークでごまかそうとした感じでしょう。
You have that guy changing the lock? 「あなたはあの人に鍵を取り替えさせてるの?」のように、使役動詞 have が使われていれば、そんなごまかしの答えも不可能だったのでしょうが、ロスの意思や意図を確認するニュアンスで「あなたは鍵を取り替えようとしているの?」と尋ねた文章を、ロスは文字通りの意味で受け止めたふりをして、厳密に言うと、change という動詞の動作主は that guy だから、No, I'm not changing the lock. That guy is (changing the lock). と返事したことになります。

余談ですが、私が小学校の時に、「大阪城(大坂城)を建てたのはだ〜れだ?」「豊臣秀吉!」「ブブー! 答えは、大工さん、でしたー!^^」みたいなクイズ(?)があったのですが、それもまぁ、厳密に言うと「大阪城を”建てさせた”のは誰?」と表現しないといけない、という言葉の隙を見事に突いた(笑)質問であったわけで、今回のロスのセリフも、それと似た感じがしました。

モナの you give me a key to your apartment and then you change the lock? というセリフを見ると、上で述べた、key と lock を指すものが、よりはっきりする気がしますね。
ドアの鍵を開けるキーをあなたは私にくれたばかりなのに、その直後に、そのキーに合うロック(錠前)をあなたは取り替えているの?みたいな質問になります。

そのセリフから、この後、修羅場になりそうだ、と感じたのでしょう、鍵屋さんが、「グッドラック」という言葉を残して、去って行くのも面白いです。

I thought we were moving forward and now you're-you're sending... というのは、「私は…だと思っていた、でも、今、あなたは〜している」という過去と現在との対比がわかりやすい形になっていますね。
「私が思っていたことと、今あなたがしていることが違う」ということで、モナは「私たちは、move forward 「前に進んでいる」と思っていた、のに、今、あなたは私に、こんな mixed signals を送っている」と言っています。
mixed signal は「いろいろなものが入り混じった、シグナル・信号」というところで、「統一の取れていない、混乱したシグナル」というニュアンスになるでしょう。
アパートのキーをくれる、という嬉しいことをしてくれたのに、その一方で、そのキーが使えなくなってしまうような錠の交換をしているなんて、私を喜ばせようとしているのか、私を悲しませようとしているのか、あなたからの信号・シグナルが混乱していてわからない、みたいなことですね。
mixed feelings, mixed emotions なら「複雑な感情」というニュアンスになります。

どう解釈したらいいかわからないシグナルを送られて私は混乱しているから、あなたは本当は何を言おうとしているの? あなたの本当の気持ちを教えて、みたいにモナは質問することになります。
それに対してロスは、a mix tape の話を出し、その次に、I love you! と言っていますね。
これは、前回の記事、ジェスチャーは気持ちの表れ フレンズ8-11その4 で説明したような、「女性陣からもらったアドバイス」のことを頭に浮かべて言っていることになります。
その過去記事のシーンで、「意思表示になるような行為(geture)」が必要なんだ、と女性陣に相談する中で、出てきた項目ですが、ロスがその話を聞いていた時には、a mix tape は「小さすぎる」、「彼女にカギを渡すこと」は「大きすぎる」、「I love you. と言うこと」は、「今はまだそんなところにはいない」と返事して、ロスの方が、「I love you. はまだ言えないけれど、I love spending time with you. なら言えるよ」と言ったところ、「その言葉、女は大嫌いよ」「ビンタと同じよ」とさんざんけなされていましたよね。

前のシーンでそういうやりとりがあった、ということを踏まえて、今ここで、その時に出た項目の言葉が次々出てくるわけです。
まずは自分で「小さすぎる」と言った、ミックス・テープのことをモナに告げ、「何それ?」みたいに言われたので、そんな軽い話じゃ、モナの怒りを抑えることはできない、と思ったロスは、「まだそんな時期じゃない」と言うのを拒んでいた I love you! という言葉を言うところまで追いつめられてしまう、という面白さです。
あまりにも唐突すぎるセリフで、心もこもっていない感じがありありと見えるのですが(笑)、それを聞いたモナは嬉しそうな顔をして、素直に喜んでいます。
そうして、モナから手を広げて、ロスにハグをするのですが、その後のセリフが、And I love spending time with you. なのが、このシーンのオチになっています。
普通、I love you. と言われて、泣きそうな顔になるほど喜んでいるモナを見ていると、モナがロスにハグした後には、I love you too! 「私も愛してるわ!」と言うだろうと予想しますよね。
それが、予想に反して、「(あなたは私を愛してるのね。) そして私は、あなたと一緒に時間を過ごすことを愛してるわ」みたいに答えた、その答えの「温度差」に、ロスはムッとした顔をすることになるわけです。
モナの機嫌を損ねまいと、キーまで渡し、I love you. まで言ったロスがモナからもらった言葉がその「ビンタ同然の侮辱的とも言えるセリフ」だったので、ロスは、これまであれやこれやと悩んでた僕は何だったの?みたいな気持ちになったことでしょう。

少し前のシーンで出てきたネタが、後から使われる、ということは、特にコメディーではよくありますが、それは逆に、後のシーンで使われることを見越して、先に伏線を張っておく、ということでもありますね。
「こんなセリフはどうかな?」と言ったら、「そんなのビンタ同然よ」と女性陣にさんざん非難されたにもかかわらず、結局、男性のロスが女性のモナにその言葉を言われてしまう、、というオチだったわけですが、そういうものを「英語のまま」で感じ取れるようになること、「これって、さっき出てきたネタやん!」と思って喜べるようになることが、「英語で楽しむ、英語で笑う」ということなんだろうと思っています。


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posted by Rach at 14:21| Comment(4) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月23日

ジェスチャーは気持ちの表れ フレンズ8-11その4

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ロスはモナという女性と付き合っているのですが、二人でスケートをしている写真がうまく撮れたということで、モナは「この写真をクリスマスカードにして、連名でみんなに送りましょう」と言い出します。
ロスは、「夫婦や家族でもないのに、そんなことをするのはおかしい」と思っていて、「僕たちの関係は、連名でカードを出すようなところまではまだいっていない」と伝えるのですが、モナは「じゃあ、今の私たちはどの段階に向かってるの?」と逆に質問されてしまいます。
それにうまく答えられなかったロスは、「カードを出そう!」と言ってごまかそうとしたのですが、そのことを、今、フレンズの女性陣に説明しているところ。
ロス: Yeah, we're not just doing a card! Y'know, she-she also wants to have the conversation about where the relationship is going. (そう、僕たちはただカードを出すだけじゃないんだ! ほら、モナは、この二人の関係がどこに行こうとしているのか(どこに向かっているか)についての会話をしたいと思ってもいるんだよ。)
フィービー: Ugh! Women! (あー、女って!)
ロス: I know! I know! Why do you guys need to have this conversation?! Huh? I mean no self-respecting man would ask a woman, "So, where is this going?" (そうなんだよ、そうなんだよ! どうして君たち(女性)は、こういう会話をするのが必要なの? 自尊心のある男なら、女性にこんなことは尋ねないよ、「それで、これは(この関係は)どこに向かってるの?」なんて。)
レイチェル: Uh, Ross? You asked me that. (あのー、ロス? あなたは私にそういうことを尋ねたわよ。)
ロス: Hey! You were a closed book! Okay? I'm not a mind reader! Besides, I hate those conversations. I'm horrible at them. Really! Maybe-maybe I need some kind of a gesture. Y'know, something that says we're moving forward without having to talk about it. (ちょっと! 君は、僕には理解できない人(不可解な人)だったんだよ、いいかい? 僕は読心術者じゃないんだ! それに、僕はこういう会話は嫌いなんだよ。そういうのが苦手なんだ、ほんとに! 多分、多分、僕にはある種の意思表示の行為が必要なんだ。ほら、前に進んでいることを示していて、そのことについて(実際に言葉で)話す必要がないようなもの。)
モニカ: Like asking her to move in with you? (彼女に、あなたと一緒に住むようにお願いするとか?)
ロス: Smaller than that. (それよりも小さなことだよ。)
モニカ: Making her a mix tape? (彼女に、ミックス・テープ(自分で編集した音楽のカセットテープ)を作るとか?)
ロス: Uh, bigger than that. (あぁ、それよりも大きいやつ。)
フィービー: Give her a key to your apartment. (彼女に、あなたのアパートメントのカギを渡す。)
ロス: Whoa-hello! We were closer with the mix tape. (おい、ちょっと! ミックス・テープの方が近かったよ。)
モニカ: All right. Have you said, "I love you"? You could say, I love you. (わかった。あなたはもう「愛してる」って言った? 愛してる、って言えるでしょ。)
ロス: Yeah I-I don't-I don’t think I'm quite there yet. But, oh, I could say, "I looove spending time with you." (僕はまだその段階にはいないと思うよ。でも、こうは言えるな。「君と一緒に時間を過ごすのは、だーい好きだよ」って。)
フィービー: No, we hate that. (だめ、私たち女性はその言葉が大嫌いよ。)
モニカ: That is a slap in the face. (それって、ビンタ[平手打ち](並みの侮辱)だわ。)

ロスは、「僕とモナはカードを出すだけじゃないんだ」と言って、she also 以下の文章を言っています。
about where the relationship is going は、「この関係(ロスとモナの関係)がどこに行こうとしているのか、どこに向かっているのかについて」のようなニュアンスでしょう。
モナがそういう話題の会話をしたがっていると聞いたフィービーは、いらいらしたような口調で、Ugh! Women! と言っています。
フィービー自身も女性なので、そういうことを聞きたがる女性の気持ちをわかっていながら、わざと男性の立場に立ってみせて、「あぁ、女ってそういう会話をしたがるもんよねぇ」みたいに、うっとうしそうに言ってみせたことになるでしょう。
この Women という「複数形」は、「女というものは(みんな)そういうことをする」というニュアンスを出した感じですね。
Kids! 全く子供ってのは フレンズ6-21その6 という記事で、その記事タイトルにある通り、"Kids!" という複数形で「全く子供ってのは。子供ってやつは(これだから困る)」みたいなニュアンスで使われているセリフをご紹介しました。
同時に他のドラマで聞いたセリフの、"Men." や "Ah, doctors." というセリフも併せてご紹介しています。

ロスは「どうして君たち(女性)は、こういう会話をしたがるの?」と尋ねています。
self-respecting は、「自らをリスペクトしている」ですから、「自尊心のある」。
自尊心のある男なら、女性に、"So, where is this going?" みたいなことを聞いたりしないだろうと言っています。
レイチェルが、「えーっと、ロス? あなたは私にそういう質問をしたわよ」と言うと、ロスは怒った口調で、「君は、a closed book だった。僕は a mind reader じゃないんだ!」と答えます。

a closed book は「閉じた本」ということで、「不可解なこと、理解できないこと・人物」という意味があります。
Macmillan Dictionary では、
a closed book
something or someone that is very difficult to understand
例) I'm afraid accountancy is a closed book to me.

つまり、「理解するのが非常に難しい物や人」。例文は、「会計事務は私にとって、理解するのが非常に難しいものだ」。

a mind reader は文字通り、「心を読む人」ということで、「読心術を持った人、読心術者、人の心を読める人」ということになります。

「あなただって、付き合っている時に、この関係がどうなるか、って聞きたがったじゃない」とレイチェルに言われて、「だって、レイチェルは何も言ってくれないから、君の考えてることは僕にはさっぱりわからなかったんだ。僕は人の心を読めるわけじゃないんだから!」みたいに答えたことになります。
「どうして、女性ってのは、関係がどこに進んでるかを聞きたがるの?」と言っているロス本人が、レイチェルに同じような質問をしていたこと、「レイチェルが言わないから、わかるわけがない」と怒っていながら、ロスもモナに自分の気持ちを話そうとしていないこと、、など、女性に対して文句を言っている内容と全く同じことをロス自身が今まさにしてるんじゃないか、とツッコミたくなるところが、このセリフの面白さですね。

「それに、僕はこういう会話が嫌いなんだ」と言って、I'm horrible at them. と言っています。
この be horrible at は、be good at 「〜が得意である、上手である」の反対語のニュアンスですね。
be bad at で、「〜が苦手である、下手である」という意味になりますが、very bad の意味である horrible 「ひどい」を使って表現したことになるでしょう。

その後、「僕には、ある種の gesture が必要だ」と言って、「それについて話さなければならないことなく(話す必要なく)、僕たちは前に進んでいるんだ(move forward)と示すような何かが(必要だ)」と続けています。
つまり、「この関係がどこまで進んでいるか、どこに進んでいるのか」ということを会話として話すのは苦手なので、それを言葉で説明することなく、「僕たちの関係はちゃんと前進しているよ、前に進んでいるよ」ということを示してくれるような gesture が僕には必要だ、と言っていることになるでしょう。
something that says we're moving forward without having to talk about it. のように「言う」を意味する2つの単語、say と talk が使われていますが、talk はロスとモナの間で「会話」として話すイメージ、say の方は主語が「もの」(something, some kind of a gesture)なので、その無生物の主語が言葉を発するということではなく、その主語が「〜を表す、示す」というニュアンスで使っていることになります。
前進しているということを、自分たちが言葉で語るのではなく、gesture が語ってくれる[gesture で表わされる、示される]ような、そういう gesture が必要なんだ、ということですね。

この gesture は、日本語の「ジェスチャー」のニュアンスとは、ちょっと違う感じがしますね。
日本語のジェスチャーは、「ジェスチャー・ゲーム」のイメージで、「身ぶり手ぶり」「しぐさ」というイメージですよね。
もちろん、英語の gesture にもそういう「身ぶり手ぶり」の意味はあるのですが、今回のセリフでは、ロスが「身ぶり手ぶりのしぐさでモナに伝える」ということではなくて(笑)、「言葉で説明するのではなく、行為・行動で伝える」ことを言っていることになるでしょう。
研究社 新英和中辞典では、
gesture=(意思表示としての)行為
The Australian Government gave us a koala bear as a gesture of friendship. 「オーストラリア政府は友好のしるしとして我々にコアラを送ってくれた」


この例文のニュアンスが非常にわかりやすいと思うのですが、「友情・友好の気持ちを行為・行動で伝えるものとして」という感覚ですよね。
研究社の訳語にあるような「意思表示としての行為」であり、「気持ちの表れ」などと訳すのも良いかもしれません。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
gesture : something that you do or say to show how you feel about someone or something
例1) The flowers were really a nice gesture.
例2) A flag was burned as a gesture of protest.

つまり、「自分が誰か、または何かについてどう感じているかを示すために、自分がする、または言う何か」。
例文1は、「その花は、本当に素敵な意思表示の行為(気持ちの表れ)だった」。
例文2は、「一枚の旗が、抗議の意志表示行為として、焼かれた」。

つまりロスは、「言葉でくどくど説明しなくても、ある行為をすれば、関係が進展中だとわかってもらえるような、シンボル的な行為・行動」があればいいのに、と言っていることになるわけです。

Like asking... は、その「意思表示の行為」っていうのは、例えば、ask ... するようなこと?みたいなニュアンスですね。
move in は「(誰かのところに)引っ越して来る」感覚で、move in with you だと「あなたと一緒に住むために、あなたの家に引っ越してくる(そしてあなたと同居する)」という感覚になります。
ロスは「それより小さい」と言っているので、それはちょっと、今の自分からすると、ことが大きくなりすぎているから、もっと控えめなことがいい、ということですね。

次の mix tape 「ミックス・テープ」は、カセットテープ(懐かしいw)に自分の好きな曲を入れて、人にあげる、というものですね。
こういう a mix tape (a mixed tape) は、過去記事、今宵の君は、を入れたテープ フレンズ6-17その4 にも出てきたことがありました。
編集したテープを作る、という意見については、ロスは、「それよりは大きい」と言っています。

次にフィービーは、「彼女にあなたのアパートメントのカギを渡す」という案を出しています。
これまでにも何度も、「アパートの鍵」というフレーズは登場してきましたが、「〜の鍵」と言う場合には、a key to ... のように、前置詞は to を使うことを、ここで再確認しておきましょう。

アパートのカギを渡す、という言葉を聞いて、ロスは焦ったように、Whoa-hello! と大声を出しています。
「ミックス・テープの方が、より近かった」と言っていて、アパートの鍵を渡すっていうのは、あまりにも話が大きくなり過ぎだ、と言っていることになります。

モニカは、「もう、愛してる、って言った?」と尋ねますが、ロスは、「僕はまだそこにはいないと思う」と答えています。
そういう言葉を言う段階にはまだいない、それを言うには早すぎる、ということですね。
これまでのフレンズでも何回か説明しましたが、I love you. という言葉は、本当に相手に対して真剣な気持ちになった時にしか言わないもので、エッチするなどの深い関係になった後でも、お互いに、I love you. という言葉はまだ言い合っていない、という状況もよく出てきます。

ですからロスも、モナと付き合っているとはいえ、まだ、I love you. と言えるところにはいない、と思っているわけで、でも「こんな風になら言えるよ」と言って、"I looove spending time with you." という言葉を例に出しています。
つまりは、「君と一緒に時間を過ごすのが大好きだ」ということですね。

そのセリフを聞いて、フィービーとモニカは、ムッとした顔をしているのが面白いです。
フィービーは、「私たちはその言葉が嫌い」と言っていますが、we = women のことですね。
モニカは、「それは、顔への平手打ち」、つまり、「それはビンタだわ、ビンタに等しい」と言っていることになります。
I love you. と言いたくない代わりに、「君と一緒に時間を過ごすこと」を愛してる、「君と一緒に時間を過ごすのは」大好きだよ、みたいに言っているのがミエミエで、そんなことを言われたら逆にいやだと思う、ビンタされたみたいな侮辱だわ、と言っていることになるのですね。


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posted by Rach at 14:37| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月21日

追加セミナー第2弾終了しました!

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神戸・住吉での「追加セミナー第2弾」(セミナーとしては3回目)
「私の先生は海外ドラマ」セミナー 〜生きたセリフで英語4技能を伸ばす〜
が、昨日、4月20日(日)に無事、終了いたしました。
昨日はとても肌寒い一日だったのですが、そんな中、足をお運び下さった参加者の皆様、本当にありがとうございました。

昨日のセミナーには、関西各地から、そして、名古屋や東京から来て下さった方もおられました。
いろんな場所から、たくさんの方々にご参加いただけること、いつもとても幸せなことだと思っております。

今回も、「追加セミナー」ということで、以前のセミナーと同様に、前半は「Rach流DVD学習法」や英語に対する考え方をお話しました。
後半は「フレンズ」を鑑賞しながら、私が実際に家でやっている様子を皆さんにお見せする形で、笑いのポイント、英語字幕で注目すべきポイントなどをお話させていただきました。
この部分が、まさに私の学習法のキモの部分なので、どうしてもその部分に熱が入ってしまうわけですが、今回もまた(!)、この部分に時間を使い過ぎてしまい、最後の質疑応答の時間が短くなってしまいました。
「今回こそ、質疑応答の時間をきちんと確保せねば、、」と思って、自分の手持ち資料では、説明する項目を極力絞ったつもりだったのですが、一時停止した字幕を説明しようとすると、手持ち資料に書いていないことまでも、あれもこれも、と盛り込み過ぎてしまう(笑)のは、こういうブログを書き続けてきた私の職業病みたいなものですね^^
ただ、そんな風に、予定以上にしゃべり過ぎてしまった部分ではありますが、終了後の皆様のアンケートでは、「実際にどうやって DVD を使うのか、という具体的なやり方がわかって良かった」というようなご意見をたくさん頂戴することができましたので、結果としては良かったのかな、とも思っています。
私がいつもやっている方法を、皆様に具体的にお見せできたこと、その一時停止した字幕から、私がどんな情報を読み取っているかということ、そして生きた英語を教材にして学ぶ楽しさを分かち合えたことは本当に嬉しいことでした。

時間が減ってしまった質疑応答タイムではありましたが、手を挙げて積極的に質問して下さったこと、とても嬉しかったです。
ここでご質問していただくことで、セミナー中に説明し足りなかった部分を補足させていただくこともできるわけですから、ご質問は本当にありがたいことだと思っています。
セミナー終了後にも、わざわざ私のところまで来て下さって、質問して下さった方もおられましたし、その後の懇親会でも、テーブル移動の先々で、たくさんの質問を頂戴しました。
皆様それぞれが、どのような英語学習をされていて、どのようなお悩みを持っておられるか、どのようなヒントやアドバイスを求めておられるか、、ということが、懇親会で個人的にお話させていただけたことで、本当によくわかりました。
いろいろなお悩みやご相談がある中でも、「今日のようなドラマを使った学習法は、本当に面白かった」と皆様おっしゃって下さったことは、本当に嬉しかったですね。

私のセミナーもこれで3回目だったわけですが、セミナーをすればするほど、「私がおすすめしている、ドラマを使った学習法の有効性」をより確信することができています。
参加者の皆様がとても楽しそうな顔で、ドラマに笑い、フレーズの説明にうんうんと頷いて下さっているのを見ていると、私も揺るぎない気持ちで、これからも自分のブログを続けていくことができる、と思えます。

以下のリンク先、セミナー主催の「つなぎすとサロンのブログ」にも、昨日のセミナーの報告記事がアップされています。
また、併せてお読みいただけると嬉しいです(^^)

つなぎすとサロンのブログ:報告☆第55回つなぎすとサロン主催 【南谷三世の「私の先生は海外ドラマ」セミナー 〜生きたセリフで英語4技能を伸ばす〜】 2014/4/20

お忙しい中、ご参加下さった皆様、本当にありがとうございました。
これからも、「海外ドラマを先生」にした学習法の楽しさと素晴らしさを頑張って伝えて行きたいと思います。
今後とも、どうかよろしくお願いいたします!(^^)

↓セミナーのチラシです。画像をクリックしていただくと、チラシが別ウィンドウで拡大表示されます。

セミナー3 チラシ アップロード.jpg


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posted by Rach at 14:27| Comment(0) | セミナー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月18日

その気ならモノにできてた フレンズ8-11その3

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妊娠4か月のレイチェルは、見る男性、見る男性に魅力を感じてしまうと言っています。レイチェルはそんな状態で妊娠検診に行ったのですが、担当医の女性が不在のため、別の若い男性医が診察することになりました。レイチェルは、自分が妊婦であり、相手が診察医であることを忘れたかのように、相手の男性の気を引くような言動ばかりをしてしまいました。その後のシーン。
[Scene: Central Perk, Monica and Phoebe are there as Rachel enters.]
セントラルパーク。モニカとフィービーがそこにいて、レイチェルが入ってくる。
レイチェル: Hi. (はーい。)
フィービー: Oh, hey! So, how did your doctor's appointment go? (あぁ、はーい。それで、お医者さんの(診察の)予約はどうだったの?)
レイチェル: Well, let's see. Uh, they gave me "cute boy" doctor today and in the middle of the exam, I put my pinky in his chin dimple. (あぁ、そうね。今日は、「セクシーボーイ」の先生を私に用意してくれたから、診察の途中で、私は自分の小指を、彼のあごえくぼに入れちゃったの。)
フィービー: Oh, my God! (まぁ、なんてこと!)
モニカ: Why did you do that? (どうしてそんなことしたの?)
フィービー: Okay, remember that little problem I was having during my fourth month of pregnancy? (ほら、あのちょっとした問題を覚えてるでしょ? 私が妊娠4か月の頃に抱えてた問題を。)
モニカ: Oh, yeah. The Evander Holyfield phase. Oh, man! You were so hard up, you practically came on to me. (あぁ、そうね。イベンダー・ホリフィールド段階(フェイズ)ね。そうよ! あなたはものすごく欲求不満になって、実際に私に誘いをかけたもの。)
フィービー: You wish. (そうだといいわね[実際には違うけど]。)
モニカ: Hey, I could've had you if I wanted you. (ちょっと! 私はあなたをモノにできてたわよ、もし私がその気なら[私があなたを欲しいと思うなら]。)
フィービー: Oh, yeah? Come and get it. (あら、そう? (じゃあ)取りに来て。)
レイチェル: Okay, even this is turning me on! (もういいわ、こういうことですら、私を燃えさせちゃう[その気にさせちゃう]のよ!)

妊娠の診察でお医者さんに行ってきたレイチェルに、フィービーは、どうだった?と尋ねています。
they gave me "cute boy" doctor today の they は「病院の人々」を漠然と指すニュアンスですね。
大きな病院でお医者さんが何人もいて、今回は主治医の都合が悪かったので、病院側が別の医師を用意した、準備した、みたいなニュアンスになるでしょう。
cute boy の cute は、これまでのフレンズにも何度も出てきましたが、男性を cute と言う場合は、日本語の「キュート、かわいい」というよりも、「異性として性的に魅力的である」、つまり「セクシーである」というニュアンスになります。
病院が「異性として魅力的な男性」のお医者さんを私の診察に寄こしたので、検査・診察の最中に、私は自分の pinky を、彼の chin dimple に入れた、と説明しています。

pinky は「小指」のことですね。小指にはめる指輪のことを、pinky ring 「ピンキー・リング」と言ったりしますので、ご存じの方も多いでしょうか。
chin dimple は「あごえくぼ」。
過去記事、顔の尻じゃなくアゴエクボ フレンズ6-19その3 でも、chin dimple という言葉が登場していました。
その過去エピソードでは、フィービーは自分のあごを指で押して a chin dimple を作ろうとしていたのですが、それを見たチャンドラーが、A face ass? 「顔の尻?」とツッコミを入れていました。
チャンドラーにそんな言われ方をしてしまいましたが、フィービーは、a chin dimple を、「男性の魅力的なところ」として挙げていたので、女性にとっては、男性のチャームポイントとして認識されているということですね。
今回のレイチェルの場合も、彼のアゴエクボに小指を入れてみた、みたいな感じですから、そこにセクシーさを感じてしまった、ということになりますね。
ちなみに、put は「置く」というのが基本語義で、put my pinky on his chin dimple なら、「小指を、彼のアゴエクボの”上に置く”」というニュアンスになるでしょうが、今回は、put my pinky in his chin dimple のように in が使われていますので、自分の小指を、エクボのように「引っ込んでいる部分」の「中に入れた」感じが出るように思います。
かすかに触れた、くらいではなく、その「へこみ」に小指をぎゅっと入れた感じが in という前置詞に出ている気がするわけです。

診察している医師のあごえくぼをそんな風に触るのはやはり尋常ではないので、フィービーは驚き、モニカは「どうしてそんなことしたの?」と尋ねています。
そして、レイチェルが答える代わりに、同じような状況を経験した、妊婦の先輩(笑)のフィービーが説明を始めることになります。

remember that little problem I was having... を直訳すると、「私の妊娠4か月の頃に、私が持っていた・抱えていた、あのちょっとした問題を覚えてる?」になりますね。
それを聞いたモニカは、あぁ、あれね、と思い出したようで、The Evander Holyfield phase. と答えています。
イベンダー・ホリフィールドの件は、1つ前の記事で説明したように、靴屋さんから、ホリフィールドの等身大パネルを盗んでしまう、という話でしたね。
そういうことをしてしまう時期・段階のことを、phase と表現しているわけです。
「フェイズ」と日本語になっているので、何となくイメージは湧きますが、改めて、英英辞典で見ておくと、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
phase : one of the stages of a process of development or change (SYN: stage)
つまり、「発達または変化の過程の段階の一つ」。

妊娠中の心身の変化がいろいろあるとして、「ホリフィールドのパネルが欲しくなっちゃう段階・そういうことに夢中になっちゃう時期」みたいに言ってみせたわけですね。

You were so hard up の hard up は、「必要としている」というニュアンス。
Macmillan Dictionary では、
hard up : [adjective] (informal)
not having much money
not having enough of something
例) Some of the schools are pretty hard up for teachers.

つまり、「十分なお金を持っていない」、「何かが十分にはない」。例文は、「いくつかの学校は、(必要とされる)十分な先生がいない[先生を非常に必要としている]」。

今回はエッチ系の話をしているので、「十分にない」→「足りない、枯渇している」→「欲しいものが得られなくて欲求不満になっている」というニュアンスになるだろうと思います。

practically は「実際に」、come on to は「(恋愛対象に)性的に誘いをかける、色目を使う」ということですね。
ですから、you practically came on to me は、相手を性的に誘うような言動を実際にした、というニュアンスになるでしょう。
言葉の上だけで冗談でそう言ってた、とかではなくて、結構本気で誘うアプローチを当時のフィービーから受けたわ、みたいに言っているのですね。

次のフィービーの You wish. について。
直訳すると、「あなたは(そう)願う」みたいなことですが、これは「そうだといいわね(残念ながら実際には違うけど)」のようなニュアンスがあります。
LAAD では、
you wish! : used to tell someone that something is definitely not true or definitely won't happen, even though they might wish it.
例) "Mine is better than yours." "You wish!"

つまり、「たとえある人がそれを願っているかもしれないとしても、何かが絶対に真実ではない、または絶対に起こらないと、その人に言う時に使われる」。
例文は、「私のものの方が、あなたのものより良いわ!」「そうだといいね!(残念ながら、現実には僕のもの方がいいけど)」。

Macmillan Dictionary では、
you wish : (spoken) used for telling someone that the thing that they want to happen is completely impossible
例) 'I told Ben that Sally was my girlfriend.' 'You wish!'

つまり、「起こってほしいとある人が思っていることが、全く不可能であるとその人に言うために用いられる」。例文は、「サリーは僕の彼女だってベンに言ったんだ」「そうだといいわね!(実際にはあなたの彼女じゃないけど)」。

ですから、「フィービーが実際に私に色目を使って、モーションかけてきたの」とモニカが言ったことに対して、フィービーは「そうだといいわね」と返したことになります。
つまり、「モニカが勝手にそう思ってるだけでしょ、実際にはそんなことなかったわ」とフィービーは言ったことになるため、モニカは聞き捨てならないという様子で、Hey! と言い、I could've had you if I wanted you. と言っています。

これは「事実とは反対の仮定」を表す「仮定法」ですね。
I could've had you は、I could have had you ということで、「(しようと思えば)私はあなたを have することができた」と言っている感覚になります。
I could have+p.p. (過去分詞)で、「私は(その過去の時点で)(しようと思えば)〜することもできた(けど、実際にはそうしなかった)」という意味になるわけです。
have you は「あなたを持つ」というイメージですが、こういうエッチ系の話で言うと、「あなたをモノにする」という感じになるでしょう。
実際、英英辞典では、have にそういうエッチ系のダイレクトな意味があることが載っており、
Macmillan Dictionary では、
have : (informal) to have sex with someone
例) He thinks he can have any woman he wants.

つまり、「(インフォーマル) 誰かとエッチすること」。例文は、「彼は自分が欲しいと思う女性なら誰でもモノにできると[エッチできると]思っている」。

このマクミランの例文は、今回のモニカのセリフと同じように、have と want が使われているのが興味深いですね。
その if I wanted you の部分ですが、文法的に厳密な「仮定法過去完了」(過去の事実とは反対の仮定をする)のセオリーに則る(のっとる)と、条件節の if 節が、if I had wanted you 「もし私が(過去のその時)あなたを欲しいと思ったなら」になるようにも思うのですね。
その場合なら、if 節、帰結節、共に、「過去の事実とは反対の仮定」をしていることになり、厳密に訳すと、「もし(あなたが妊娠4か月だったあの時)、私があなたを欲しいと[あなたとエッチしたいと]思ったなら、私はあなたをモノにすることができた」と言っている感じになるでしょう。
今回のセリフでは、if I wanted you になっているので、文法的に解釈すると、「過去の事実とは反対の仮定」の「仮定法過去完了」ではなく、「現在の事実とは反対の仮定」の「仮定法過去」になるように思うのです。
「現在の事実とは反対の仮定」だとして訳すと、「もし私があなたを欲しいと思うなら」になるでしょうか。
DVDの英語字幕でも、I could have had you if I wanted you. と表記されていて、帰結節と if 節に時制のずれがあります。
ですから、「わざと」時制のずれをつけて言った可能性が高いかな、と思うのですね。

この if I wanted you が言い間違いではなく、わざと「(仮定法過去完了ではない)仮定法過去を使った」んだとしたら、それはどういう理由からなのか?を私なりに考察してみました。
そんな細かい話には興味がない、という方は、(→→→ここまでワープ!)までお進み下さい^^

モニカとしては、「フィービーが私に迫って来たのよ」と言ったところ、You wish. 「あなたはそう願ってるんだろうけど、実際には違うわよ」のようにフィービーに言い返されたので、「私(モニカ)にはそんな気は一切なかったわ。その気満々だったのは、フィービーの方よ!」と言いたい気持ちで今はいっぱいなのでしょう。
それで、「私は、”あの当時も、そして今も”、あなたとエッチしたいなんて気持ちはこれっぽっちもないけど、もし私がその気になれば、あの時だって私はあなたをモノにできてたわ(だってあなたの方はすっかりその気だったんだから)」みたいに言ってみせたのかなぁ、と思うわけです。
ここで、if I had wanted you と「過去に限定」してしまうと、「過去の事実にだけ反対の仮定」をしたようになり、「現在では I want you になる可能性がある、今は I want you という気持ちであるかもしれない」余地を残してしまいそうだから、「とにかく私は、昔も今もフィービーに対して、性的に I want you という気持ちになることは絶対にない」という思いから、if I wanted you 「現実には私は I want you という気持ちではないけれど、もし! I want you という気持ちになることがあると仮定(現在の事実とは反対の仮定)をしたら」という意識が、if I wanted you という表現に繋がったのかな、と思うわけです。
モニカとしては、「あの当時の話」だけをしているのではなくて、「実はモニカは私に性的な魅力を感じてるんでしょ、正直に言いなさいよ」みたいな感じで、You wish. と言われたことに抗議するために、「私の方は、全くそんな気持ちになることは過去から現在に至るまで全くないわよ」と言うために、if I wanted you. という「仮定法過去」(”現在の事実”とは反対の仮定)を使ったのかな、と思ったということです。

(→→→ここまでワープ!)
ちなみに、if I wanted to do... の形なら、「もし私が…する気があるならば」というニュアンスになりますね。
映画「ゴッドファーザー」(The Godfather)で、
ソロッツォ: What are you worried about? If I wanted to kill you you'd be dead already. Get in.
というセリフがありました。
If I wanted to kill you you'd be dead already. というのが、仮定法過去ですね。
字幕では、「殺すつもりなら、とっくにやってる」と訳されていましたが、つまりは、「もし俺がお前を殺したいと思っていたら(お前を殺す気だったら)お前はとっくに死んでるだろうよ」ということですね。
物騒なセリフ(笑)ではありますが、いかにも「ゴッドファーザー」っぽいセリフでもあり、「俺がその気なら、今頃はこうなってた」という「仮定法過去」のニュアンスを理解するのに、良い例になるだろうと思います。

モニカに「私さえその気なら、あなたなんか落とせちゃうわ」みたいに言われたフィービーは、チュ!という口をして、軽く誘う感じの顔をしています。
Come and get it. は、「来て、それを取って。取りに来て」みたいなことですが、研究社 新英和中辞典では、
Come and get it!=(口語) 食事の用意ができたよ!
という説明がありました。
そういう「食事の時の決まり文句」のニュアンスを出して使っているとすると、「準備ができたから、食べに来て」みたいな感覚で言っているのかもしれません。
フィービーがいたずらっぽく、相手を誘うような顔で言っているので、「あなたがその気になったら、こっちはいつでもオッケーよ。準備はできてるからいつでも食べに来て」みたいに言ってみせたのかなぁ、と。
文字通り、「来て、it をゲットして」「it をゲットしに来て」みたいに解釈しても、it は漠然とした言葉ながら、エッチ的なことを指しているだろうと想像できるので、やはりフィービーがモニカを「誘っている」であろうことはわかりますね。

そんな女性二人の会話を聞いていたレイチェルは、even this is turning me on と言っています。
turn on は「スイッチを入れる」という意味ですが、エッチな会話の中では「その気(エッチな気持ち)にさせる」という意味で、フレンズでもよく登場しますね。
女友達二人が、今は特に具体的な行為(笑)をしているわけでもなく、エッチ系の会話を面白がってしているだけなのですが、そういう二人のやりとりを聞くだけでも、変な気持ちになってきちゃう、、と言っていることになりますね。


★ Rach からのお知らせとご挨拶 ★
神戸・住吉で開催される私の「追加セミナー第2弾」(セミナーとしては3回目)が、あさっての日曜日(4月20日)となりました。
「海外ドラマで英語を学ぶ楽しさ」をできるだけたくさんお伝えできればと思っています。
ご参加して下さる皆様は、どうかお気をつけてお越しくださいませ。
参加者の皆様とお会いできるのをとても楽しみにしています!(^^)


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posted by Rach at 14:27| Comment(2) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月14日

3倍の古語thrice フレンズ8-11その2

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普段はあまり魅力を感じないような男性に対して、その人の服をはぎ取りたいという気持ちになってしまう、、というレイチェルの言葉を聞いて、
フィービー: Wait a second! This is about the fourth month of your pregnancy, right? (ちょっと待って! これって、あなたは今、妊娠4か月ってことよね?)
レイチェル: Yeah. (そうよ。)
フィービー: This is completely normal. Around the fourth month your hormones start going crazy. (これって完璧に正常よ。4か月の頃には、ホルモンがおかしくなり始めるの。)
レイチェル: Really?! So this has happened to you? (ほんとに? それじゃあ、こういうことはあなたに(も)起こったの?)
フィービー: Oh, absolutely yeah! Oh, and keep in mind, now, I was carrying triplets. So in, y'know, medical terms, I was-I was thrice as randy. (えぇ、全くその通りよ! あぁ、それで、心に留めておいて、ほら、私は三つ子を妊娠してたでしょ。だから、医学的に言うと、私は3倍、みだらだったのよ。)
レイチェル: Wow! This explains so much! Last weekend, I went from store to store, sitting on Santa's laps. (まぁ! これですごく説明がつくわ! 先週、私は店から店を渡り歩いて、サンタさんの膝に座ったの。)
フィービー: Yeah. Yeah, I remember trying to steal a cardboard cutout of Evander Holyfield from a Foot Locker. (そうよ、そうよ。フット・ロッカー(靴のチェーン店)から、イベンダー・ホリフィールドの看板を盗もうとしていたことを思い出すわ。)
レイチェル: Ah. (まぁ。)
フィービー: Yeah. (ええ。)
レイチェル: Well, y'know what? I go see my doctor tomorrow, I'll ask her about this. Maybe she can give me a pill or something. (ねえ? 私は明日、お医者さんに診てもらいに行くから、この件について彼女(お医者さん)に尋ねるわ。多分、薬か何かがもらえるだろうから。)
フィービー: Yeah. Yeah, that's what you need. A good... pill. (そうね、そうね、それがあなたに必要なものだわ。良い…ピルが。)

フィービーは、「これって、あなたが妊娠4か月ってことよね?」と確認した上で、This is completely normal. 「このレイチェルの今の状態は、完全にノーマルよ、正常よ」と断言しています。
(妊娠)4か月頃には、ホルモンが go crazy になり始めるの、と言っていますが、go crazy は「クレイジーになる」ということですから、「狂う、おかしくなる、変になる」みたいな感じですね。そのまま「クレイジーになる」でも、ニュアンスはわかる気がします。
your hormones のように your を使っていますが、これは話し相手のレイチェルその人だけを指すというよりも、「妊婦さんはみんな」のような「一般の人」を表すニュアンスだと考えた方が自然でしょうね。
(妊娠)4か月頃には、どの人のホルモンもそんな風にクレイジーになり始める、という一般論を述べている感覚になるでしょう。

妊婦経験者であるフィービーがそう言うのを聞いて、レイチェルは「あなたにもそういうことが起こったの? 起こったことがあったの?」と経験談を尋ねています。
フィービーは「ええ、もちろん!」と答えた上で、Oh, and keep in mind, now, I was carrying triplets. So... と説明します。
keep in mind は「心の中にキープしろ」という命令形ですから、「心に留めておいて、覚えておいて」のように、次に続く言葉をしっかり心に留めておいてね、と前振りしている感覚になります。
I was carrying triplets. の triplets は「三つ子」で、ここでの carry は「(女性が)(子を)はらんでいる、妊娠している」という感覚。
このように、「(子を)はらんでいる」という意味では、通常、be carrying という進行形の形で使われることになります。
carry の基本的な意味は、「運ぶ、持ち運ぶ、持ち歩く、携帯する、身につけている」ということですが、お腹に赤ちゃんを抱えている状態はまさに「三つ子を持ち歩いている」という感じですよね^^

in, y'know, medical terms は、言葉を思い浮かべる感覚の、y'know という挿入句が入っていますが、つまりは、in medical terms ということで、「医学用語では」→「医学用語で言うと、医学的に言うと」と言っている感覚になるでしょう。
I was thrice as randy. について。
randy は「みだらな、好色な」という意味。
アカデミックな辞書である、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には載っていませんでしたが、マクミランには載っていました。
Macmillan Dictionary では、
randy : [adjective] (informal) someone who feels randy wants to have sex or wants to touch someone in a sexual way
つまり、「(インフォーマル) randy な気持ちである人、は、誰かとエッチをしたい、またはエッチな感じで誰かにタッチしたいと思っている」。

thrice は「3倍」という意味で、研究社 新英和中辞典では、「文語」だと説明されていました。
LAAD でも、
thrice: (old use) three times
Macmillan Dictionary でも、
thrice : an old word meaning 'three times'
と説明されていますので、three times 「3倍」の古い言い回しであることは間違いないようですね。

なぜここで、フィービーがわざわざ、old word を使ったかと言うと、その前の in medical terms がポイントなんだろうと思います。
「私は三つ子を妊娠してたでしょ。だから、ほら、その、”医学用語で言うと”」と前振りしていたことを受けて、医学用語っぽく聞こえるような、いかめしい古語・文語の thrice を使ってみせたのだろうと思うわけです。
そうやって、古い(そして硬い)表現を使ったわけですが、3倍どうだったか、については、randy 「みだらな」というインフォーマルな表現を使ったというその「古語」と「俗語」のギャップみたいなものが、フィービーのこのセリフの面白さになっているのでしょうね。

フィービーの経験談を聞いたレイチェルは、「それで説明がつくわ」と言って、先週の話をしています。
went from A to B は、「A から B を渡り歩いた」みたいな感覚ですね。
ちょうど、クリスマスシーズンで、いろんなお店に、サンタさんの扮装をした男性がいたのでしょう。
子供がサンタさんのお膝に座る、という光景はよくあるようですが、レイチェルはそれに紛れて、自分も童心に返ったふりをして、サンタ役の男性の膝の上に座ることで、エッチな気持ちの高ぶりを紛らわせていた、と言っていることになるでしょう。

フィービーもまた、自分の体験談を語っています。
ある店から、あるものを盗もうとしたことを思い出す、と言っていますね。
まず、Foot Locker は、スポーツウェアや靴のチェーン店のようです。
詳しくは以下のウィキペディアで。
Wikipedia 英語版: Foot Locker
そして、イベンダー・ホリフィールド(Evander Holyfield)は、有名なボクサーですね。
Wikipedia 日本語版: イベンダー・ホリフィールド
日本語版ウィキペディアにも書かれていますが、試合中にマイク・タイソンに耳を噛み切られたことは有名ですよね。
cardboard は「段ボール、ボール紙、厚紙」、cutout は「切り抜き」なので、ホリフィールドの姿形にカットされた等身大の厚紙パネル、みたいなものを言っていることになるでしょう。
ボクサーのようなたくましい肉体の男性の等身大パネルを見たら欲しくなっちゃった、、みたいなことです。
サンタさんの膝に座りまくる、というレイチェル以上に、生身の人間でもないパネルでもいいから欲しくなっちゃった、、と言っているフィービーの方が、確かに「3倍みだら」だったと言える気がします(笑)

レイチェルは、「明日、診察のためにお医者さんに行くから、このことについて尋ねるわ」と言っています。
こういう症状なんです、と説明したら、お医者さんは私に薬か何かを与えることができる、つまり、私は薬をもらえたりできそうよね、と言っていることになります。
それを聞いたフィービーは、「ええ、それがあなたが必要なものね」と言った後、A good... pill. と言っています。
pill は最初のレイチェルのセリフでは、「(薬の)錠剤、丸薬」を指していますが、このフィービーのセリフでは、日本語の「ピル」のニュアンスである「経口避妊薬」を指しているようですね。
日本語では「ピル」というと、避妊薬のイメージが強いですが、英語では避妊薬の意味で使う場合には、the pill のように、the を付けて使うようです。
LAAD では、
pill :
1. a small solid piece of medicine, that you swallow whole
2. the pill a pill taken regularly by some women in order to prevent them having babies

つまり、1. は、「薬の小さな固形、全部を飲みこむもの」、2. は、「妊娠するのを防ぐために女性によって定期的に摂取される錠剤」。
1. が「錠剤、丸薬」の意味で、2. が「避妊薬のピル」の意味ですね。

レイチェルが先に使ったように、普通に「丸薬」の意味で使う単語ではあるのですが、後でその単語を使ったフィービーは、A good... pill. のように、意味ありげに間(ま)を置いて、pill という単語を言っています。
そのもったいぶった言い方が、「ええ、そうね、レイチェルが言うように、レイチェルには、good な the pill が必要だわね」みたいに言ってみせたニュアンスになるのでしょう。
実際のところ、レイチェルは今、妊娠中なので、「避妊薬のピル」は全く必要ないわけですが、レイチェルの話を聞いていると、レイチェルは今まさに、randy 状態(誰かとエッチしたい状態)なので、「エッチしたいのならピルを貰っておいた方がいいわよね、今のあなたにはそれが必要そうだから」みたいに、からかった感覚になるでしょう。
誰とでも寝たがるような奔放な女性に、「あなたにはピルが必要ね」と言ってからかう感覚で、現在妊婦であるレイチェルに、「エッチしたがってるようだから、良い避妊薬をもらっときなさいね」と言った、というジョークになるわけですね。


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posted by Rach at 16:01| Comment(2) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月11日

スウェットとウエストポーチ フレンズ8-11その1

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シーズン8 第11話
The One With Ross' Step Forward (クリスマスカードはまだ早い?)
原題は「ロスの前進の話」


[Scene: Central Perk, Rachel is looking around the shop as Phoebe returns from getting some more coffee.]
セントラル・パーク。レイチェルは店を見回している、そこにフィービーがコーヒーのおかわりをして帰ってくる。
レイチェル: Look at that guy by the window. Wow! (窓のそばのあの人を見て! ワオ!)
フィービー: He's awfully short. And I think he's talking to himself. And to be completely honest, he's not that good in bed. (彼はすっごく背が小さいわよ。それに彼は独り言を言っているように思えるし。それからすっごく正直に言うと、彼はベッドではそんなに良くないわ。)
レイチェル: Oh, what is wrong with me lately? I mean, it's like every guy I see-I mean look here. (Points behind them) Look at that guy, for example, I mean normally that's not someone I would-would be attracted to. But right now, with the way I'm feeling, all I want to do is rip off his sweatpants and fanny pack. (あぁ、最近の私はどうしちゃったの? まるで、見る男性のどの人も… ほら、こっちを見て。[後ろを指さす] あの人を見て、例えば、普段なら、ああいう人は私が惹かれるような人じゃないの。でも今は、私の感じ方だと、ただ私がしたいことは、彼のスウェットパンツとウエストポーチをはぎ取りたいってことだけなの。)

レイチェルがフィービーに、窓際にいる男性を見て!と言うと、レイチェルの言い方から、「ねぇ、あの人、いいと思わない?」みたいな意味だとわかったらしく、フィービーは、その彼についての意見を述べています。
He's awfully short. の short は「背が低い」という意味ですね。
日本語では「ショート」というと、「短い」という訳語がまず頭に浮かぶ方が多いと思いますが、「背が高い」を tall と言うことに対して、「背が低い」は short で表わされることになります。
awful が「ひどい、恐ろしい」という形容詞であることから、awfully は「ひどく、恐ろしく」という意味になり、very と同じような意味で使われます。
terribly などと同じ感覚ですね。
talk to oneself は「自分自身に向かって話す」ですから、「独り言を言う」。

その後、to be completely honest 「全く正直に言うと」と言って、he's not that good in bed. と言っていますね。
直訳すると、「彼はベッドではそんなに良くない」ということで、つまりは「エッチがあまり上手じゃない」的なことを言っていることになります。
「背がすっごく小さいし、独り言を言ってるみたいだし…」と、少し離れた場所から見た、今の感想を述べているだけかと思ったら、「実はフィービーは彼と寝たことがあった、エッチしたことがあった」というのが、そのフィービーのセリフからわかる、という仕組みですね。
「レイチェルは、あの彼いいな、と思ったかもしれないけど、実はエッチはあまり上手じゃないわよ」みたいに、さりげなく爆弾発言したことになるでしょう。

レイチェルは、「最近の私はどうしちゃったの?」と嘆き、it's like every guy I see と続けています。
it's like... で、「こんな感じなのよ」と説明しようとしていて、every guy I see と言った後、「こっちを見て、あの男性を見て」と、男性の方を見るようなセリフに途中で変わっていますが、最初の部分でレイチェルは、「ほら、こんな感じなのよ、私が見る男性はすべて(どの男性も)…」みたいに言いかけていたことがわかります。
日本語的に言うと、「見る男、見る男が全部…」という感じで、フィービーに「ねぇ、窓際の男性を見て」と言ったり、「私、最近、どうしちゃったの?」と嘆いたりしていた流れで考えると、どんな男性を見ても「あの人いいわ」みたいな気持ちになっちゃうの、、と言いたいであろうことが想像できますね。

あの男性を見て、と言った後、normally 「いつもは、普通は、通常では」、あの人は私が惹かれる(be attracted to)ような人ではない、と説明しています。
normally.... But right now 「いつもは… でも今は」のように、今はいつもと違うことを対比させた上で、with the way I'm feeling 「私の感じ方では」、all I want to do is ... 「私がしたいと思っていることの全ては…である、私がしたいと思うのは…だけよ」と続けます。

rip off 以下が、レイチェルがしたいと思っている内容になるのですが、rip は「破る、引き裂く」という意味もありますし、また、「はぎ取る(剥ぎ取る)」という意味でも使われますね。
今回は、「分離」の意味を表す off が使われていますので、rip off は「はぎ取る」という意味になります。
sweatpants は文字通り「スウェットパンツ」のことで、fanny pack は「ウエストポーチ」を指します。
fanny は、俗語で「お尻」という意味になるのですが、それは米語(アメリカ英語)での意味で、イギリス英語では「女性の性器」を指すそうなので、ご注意下さい。
過去記事、英国では使うべからずの言葉 フレンズ3-5その26 で、
女性: He touched my fanny. (この人が私のお尻を触ったのよ。)
というセリフが出てきた時に、fanny という単語について説明しました。

fanny pack は英英辞典にも載っていて、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
fanny pack : a small bag that someone wears around their waist to carry money, keys etc.
つまり、「お金、カギなどを持ち運ぶために、人が腰のまわりに付ける、小さなバッグ」。

つまり、レイチェルは、あそこにいる男性の「スウェットパンツ」と「ウエストポーチ」をはぎ取りたい、と言っていることになります。
パンツと腰につけたポーチのことを言っていることで、「下半身を脱がせたい」的なエッチなことを言っているのがわかるわけですが、その、はぎ取りたいと言っている服やアイテムが、あまりセクシーなものではなく、どちらかと言うと「ダサい」イメージのものであるのが、このセリフのポイントになるでしょう。
セクシーさが感じられないようなそういう服装の男性に対しても、そんな気持ちになってしまっているという「いつもとは違う異常さ」が、sweatpants and fanny pack という言葉から読み取れる、ということですね。


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posted by Rach at 14:43| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月09日

そう考えるのも耐えられない フレンズ8-10その6

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一番下の妹ディーナから、「妊娠したの」と聞いたジョーイは、怒って部屋を出て行ったのですが、ディーナを妊娠させた彼であるボビーを連れて戻ってきます。
ジョーイは以前に、チャンドラーとモニカの結婚式で牧師を務めたこともあったので、ジョーイの部屋で、ディーナとボビーの結婚式を行なおうとするものの、レイチェルに止められます。
ジョーイは、「シングルマザーとして子供を育てることなんか、ディーナには無理だ」と主張するのですが、妹ディーナは猛反論し、
ディーナ: Look, Rachel's told me how much easier you've made all this on her. Why can't you do that for me? (ねぇ、レイチェルは私に言ったわ、レイチェルに対して、ジョーイがこのこと(妊娠して、シングルマザーとして子供を育てること)をどんなに簡単にしてくれたか、って。どうして私にはそうすることができないの?)
ジョーイ: Because! ‘Cause... ‘Cause you're my baby sister! (だって! だって、だって、お前が俺の妹だからだよ!)
ディーナ: And you're my big brother! I mean, you're my favorite guy in the whole world. I'm not even scared to tell Mom and Dad. I was scared of telling you. (そしてジョーイは私のお兄ちゃんよ! ジョーイは私が全世界で一番大好きな人なの。私はママやパパに言うのは怖いとさえ思わないわ。ジョーイに言うことが怖かったの。)
ジョーイ: Well, I'd be scared of them, but all right. (俺なら、パパやママが怖いけど、でも、まあいいや。)
ディーナ: Joey, I can't stand the thought of having this baby with you mad at me. I want him to have his uncle. Is my baby gonna have his Uncle Joey? (ジョーイ、あなたが私に対して怒ったままで、この赤ちゃんを産む、と考えることが耐えられないのよ。彼(お腹の赤ちゃん)には、伯父さんが欲しいの。私の赤ちゃんには、ジョーイ伯父さんがいることになる?)
ジョーイ: Of course he's gonna have his Uncle Joey! (もちろん、その赤ちゃんにはジョーイ伯父さんができるよ!)
ディーナ: We're gonna be all right. I mean, even if we're not married, this baby is gonna be so loved. And not just by us. (私たちは大丈夫よ。だって、たとえ私たちが結婚しなくても、この赤ちゃんはとっても愛されることになるもの。それも、ただ私たち二人にだけ愛されるんじゃないわ。)
ジョーイ: That's right! By his uncle too! (その通りだよ! 彼の伯父さんにも愛されるさ。)
ボビー: And by you. (そして、あんたにもね。)

Rachel's told me how much easier... の文について。
直訳すると、「ジョーイが、レイチェルに対して、このすべてのこと(妊娠、及びシングルマザーになること)をどれほどより簡単にしたかについて、レイチェルは私に話してくれた」みたいなことですね。
シングルマザーになる、という大変なことを、それが大変じゃなくなるように心の面でサポートしてくれた、励ましてくれた、みたいに言っていることになるでしょう。
レイチェルが、妊娠してシングルマザーとして子供を育てようとしていると知ったディーナは、同じ境遇ということでレイチェルに相談したわけですが、レイチェルにはそうやって応援してあげたのに、どうして私にはそうしてくれないの?と言っていることになります。

「レイチェルにしたことをどうして私にはしてくれないの?」と言われてしまったジョーイは、Because を何度も繰り返しながら、「だってお前は俺の妹だからだ!」と答えます。
英語の sister という単語は「女のきょうだい、姉または妹」を指しますが、このように baby sister と言った場合には、はっきりと「(自分より年下の)妹」を指しますね。
レイチェルという、同世代の女性とは違って、ディーナは自分の身内であり、かつ、年齢のまだ若い小さな妹だ、とジョーイは言いたいようです。
まだ若い俺の妹に、そんな大変な人生を背負わせたくない、実の妹だからこそ、兄の俺は心配してるんじゃないか、というような、兄心がうかがえます。

それに対してディーナも、「そしてあなた(ジョーイ)は、私のお兄ちゃんよ!」と返します。
brother も、「男のきょうだい、兄または弟」を指す単語ですが、big brother と言った場合には、「年上の兄」を指しますね。
「ジョーイは私のお兄ちゃんでしょ!」みたいに言ったディーナはその後、you're my favorite guy in the whole world と続けています。
whole world は「全世界、世界全体」というニュアンスですね。
in the world だけでも「世界中で」という意味になりますが、そこに whole がついたことで、「この世界全体の中で」のように、さらに強調する感じが出るように思います。
favorite は「お気に入りの、大好きな」という意味ですね。
改めて、英英辞典の語義を見ておくと、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
favorite : someone or something that you like more than any other one of its kind
つまり、「同じ種類の他のものよりも、より好きである誰か(人)や何か(もの)」。

ですから、ディーナは「あなたは私のお兄ちゃんよ。全世界の中で一番大好きな人よ」と言っていることになります。
その後、be scared to do/of doing 「〜するのを怖がる、怖いと思う」という言葉を使って、他の人との違いを説明していますね。
最初の文は、「ママやパパに言うのは怖いとさえ思わない、怖がりさえしない」、2番目の文は「あなた(兄であるジョーイ)に言うのは怖かった」。
一番大好きな人だから、誰よりもジョーイに言うのが怖かったの、と言っているのですね。

次のジョーイのセリフ、I'd be scared of them の I'd は、I would で、「もし俺なら」という仮定のニュアンスが入っています。
them は、ディーナが言った、Mom and Dad を指していますね。
「もし俺がそういう告白をしないといけないとしたら、俺なら親が怖いと思うだろうけどな」みたいなことになります。
but all right は、「俺なら親が怖いけど、ま、それは別にいいや」みたいなニュアンスですね。
親に言うのは怖くない!という妹の強気な発言に、ちょっと驚いた感じが出ています。

このように、be scared of という形は、be scared of doing なら「〜するのを怖がる」という意味になりますし、be scared of something なら「〜(という対象)を怖がる」という意味になります。
そして、「〜するのを怖がる」という場合には、be scared to do の形も使える、ということですね。
LAAD の例文でも、
He's really scared of snakes. 彼は本当にヘビが怖い。
He's scared of being caught. 彼は捕らわれることを恐れた。
Mary was scared to tell the truth. メアリーは真実を言うのを恐れた。
のように、of something, of doing, to do の形が並んで挙げられていました。

I can't stand the thought of having this baby with you mad at me. について。
長い文章なので、こういうセリフは聞こえた順番に頭でイメージしていかないと追いつけませんね。
前から順番にイメージしていくと、「私はこういう考えに耐えられない」→「この赤ちゃんを産むという考えに」→「あなたが私に対して怒っているという状態で」になるでしょう。
日本語っぽい語順にすると、「ジョーイが私に対して怒ったままで赤ちゃんを産む、と考えることに耐えられない」みたいなことですね。
大まかな意味としては、「ジョーイに反対されたまま、赤ちゃんを産むのはいや」ということですが、the thought of が入っていることから、「ジョーイに反対された状態で赤ちゃんを産む、と考えること」が耐えられない、と言っていることになります。
日本語でも、「想像するだけでも耐えられない」みたいに言うことがありますので、その感覚は同じですね。

I want him to have his uncle. を直訳すると、「私は彼(お腹の赤ちゃん)に彼の伯父さんを持ってほしい」。
him と言っているのは、検査で性別がわかっているからでしょう。
the thought of having this baby のように、「子供を産む」という場合にも、基本動詞 have を使いますが、have という単語を頭でイメージする場合には、とりあえず「持つ」と訳しておけば良いでしょう。
もちろん、きちんとした日本語に翻訳するとか通訳するとかの場合には、文脈と目的語に合った日本語の動詞を選択しないといけませんが、「英語をイメージする」場合には「持つ、持っている、所有する」というイメージを頭に描けばそれで良い、ということです。
ディーナのセリフも、とりあえずは「私の赤ちゃんには伯父さんを持ってほしいと思ってる」ということですから、もう少し日本語風に表現すると、「赤ちゃんには伯父さんがいてほしい」と訳すことになるでしょう。

Is my baby gonna have his Uncle Joey? の Uncle Joey はアンクルの部分が大文字になっていることで、「ジョーイ伯父さん、ジョーイおじさん」という固有名詞の感覚になりますね。
「私の赤ちゃんは、彼にとってのジョーイ伯父さんを持つことになる?」と尋ねていて、つまりは、目の前のジョーイに、「私の赤ちゃんにとっての、ジョーイ伯父さんになってくれるつもりはある?」みたいに言っていることになります。
妹の妊娠のことで怒っていても、「この子の Uncle Joey になってくれる?」と言われてしまうと、ジョーイも怒り続けることができなくなってしまい、体をくねらせながら(笑)、「もちろん、その赤ちゃんはジョーイ伯父さんを持つことができるよ、彼にはジョーイ伯父さんがいることになるよ」と答えます。

兄ジョーイが認めてくれたことで、ディーナは「心配しなくても、私たちは大丈夫よ」と言っています。
その後、たとえ私たち(私とボビー)が結婚しなくても、この赤ちゃんは be so loved 、つまり、「とっても愛される」ことになる、とも言っていますね。
And not just by us. は、「ただ私たちによって(愛される)だけじゃない」、つまり、「愛されると言っても、両親だけに愛されるだけじゃない、両親にしか愛されないわけじゃない」というニュアンス。
「この子は、両親以外からも愛されることになるわ」と言ったディーナの言葉を受けて、ジョーイは、「そうだよ! 彼の伯父さんにも愛されることになるよ!」と答えます。
ディーナのセリフが、「私たち両親以外にも、この子を愛してくれる人はいるわよね?」と言われた形になったので、「あぁ、もちろん、この俺、ジョーイ伯父さんも、赤ちゃんを愛するよ」と答えたことになるわけです。

その後、ジョーイとディーナの兄妹が和解する様子を見ていたボビー(赤ちゃんの父親)が、ジョーイの肩に手を置いて、And by you. と言うのが面白いです。
つまり、「そして、あなたによっても。あなたからも(赤ちゃんは愛される)」と言っていることになるのですが、このセリフから、ボビーは、his uncle = Joey であることが全くわかっていない、ということが判明するのですね。
「赤ちゃんは俺たち両親にも愛されて、彼の伯父さんにも愛されて、そして、目の前にいるあなた(ジョーイ)にも愛される」とボビーが言ったことになり、ずっと話を聞いていたはずのボビーは、his uncle が Joey を指していることが全くわかっていなかったのね、、というオチになります。
シーンの映像からは、ジョーイの顔は見えませんが、ジョーイはじーっとボビーの顔を見ている様子で、ボビーがそのジョーイの顔を見て、ちょっとひるんだ様子を見せています。
多分、ジョーイは「こいつはどこまでバカなんだ」という顔で睨んでいるだろうことが、その様子から想像できるのですが、いつもはフレンズたちにあきれられているジョーイ、そのジョーイがあきれるほどのおバカ度を見せたボビーというキャラクターも強烈で面白いですね。


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posted by Rach at 16:02| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年04月07日

再結成するの? フレンズ8-10その5

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前回の続きです。
ロスの息子ベンが、スティング(Sting。イギリスの人気バンド「ポリス」(The Police)のヴォーカル&ベース担当)の息子と同じ小学校に通っていると知ったフィービー。
スティングのチケットをゲットできなかったフィービーは、ベンの保護者のふりをして、子供たちの問題を話し合うために、スティングの自宅を訪れているところ。
フィービーがチケット目当てに来たことに気づいたスティングの妻トゥルーディー・スタイラー(Trudie Styler)は、激怒して、、、
トゥルーディー: I'm not giving concert tickets to someone who'd use their son like this! (私はコンサートチケットを渡さないわ、自分の息子をこんな風に使おうとするような人にはね!)
フィービー: Oh good! Then you're in luck! Ben's not my son! (それは良かった! それならあなたは運がいいわ! ベンは私の息子じゃないもの!)
トゥルーディー: (stands up) Look, I've just pressed a button, triggering a silent alarm. Any minute now, the police will be here! ([立ち上がって] ねぇ、私はたった今、あるボタンを押したの、これでサイレント・アラームが作動するわ。今すぐにも、ポリス(警察)がここに来るわよ!)
フィービー: The Police? Here? A reunion?! (She gets out her camera.) (ポリスが? ここに? 再結成? [フィービーは(バッグから)カメラを取り出す])

チケットが欲しいことをあっさり認めたフィービーに、トゥルーディーは激怒した様子で、I'm not giving... 以下のセリフを言っています。
ちょっと長めのセリフになるので、前から順番にイメージすると、前半は、「私はコンサートのチケットをある人(こんな人)には渡さない」という感じですね。
そして、「こんな人には渡したくない」の説明として、someone 以下の表現を使っています。
someone who'd use their son like this の who'd は、who would で、「自分の息子をこんな風に使おうとする人」になるでしょう。
「チケット欲しさに、自分の息子を利用するなんて、最低だわ! そんな人に、チケットを渡すもんですか!」みたいに怒っているわけですが、フィービーは笑顔で、「それは良かった。あなたはラッキーね。ベンは私の息子じゃない」みたいに答えています。
「息子を利用する人にはチケットはあげない」と言った言葉を文字通り理解して、「そういうことなら問題ないわ。だってベンは私の息子じゃないから、私は自分の息子を利用したことにはならないもの。あなたもチケットを私に譲るのに問題がなくなるから、このことはあなたにとってもラッキーなことよね」みたいに言ってみせたことになるでしょう。

トゥルーディーは立ちあがって、I've just pressed a button, triggering a silent alarm. と言います。
私はたった今、あるボタンを押した。そのボタンは、a silent alarm をトリガーするの、みたいなニュアンスですね。
silent alarm は言葉の通り、「静かな・音の出ないアラーム」と言うことで、通常のアラームのような大音量で近所を騒がせることなく、警報を発することができるアラームということのようです。
trigger は「銃の引き金、トリガー」のことで、動詞として使うと、「銃の引き金を引く」ということから、「〜のきっかけとなる、〜を起こす」という意味としても使われます。
ですから、このセリフは、「私はあるボタンを押したけれど、そのボタンでサイレント・アラームが作動する仕組みになっているのよ」と説明したわけですね。

警報ボタンを作動させたことで、any minute now 「今すぐにも、今すぐにでも」、the police will be here! 「ポリス(警察)がここに来るわ!」とトゥルーディーは言うのですが、それを聞いたフィービーが、ものすごく嬉しそうに、The Police? Here? A reunion?! というのには大笑いしてしまいました。

reunion というのは、「再・結合」ということで、「再会(の集い)、同窓会」という意味でよく使われます。
a class reunion なら「クラスの同窓会」ですね。
フレンズ1-14その2 では、廊下にいる時に、次々とフレンズたちと対面したジャニスが、
This is like a reunion in the hall! (廊下での同窓会みたい。)
と言って喜ぶシーンもありました。
また、そもそも私ならこうしてた フレンズ5-5その6 では、
ロス: There're plenty of people who just see their sisters at Thanksgiving and just see their college roommates at reunions and just see Joey at Burger King. (妹とは感謝祭で会うだけ、とか、大学のルームメイトとは同窓会で会うだけとか、ジョーイとはバーガーキングで会うだけ、とか、そういう人は大勢いるよ。)
という表現も出てきましたね。
そんな風に、「同窓会」として使われることが多い reunion という言葉ですが、今回のセリフでは、「(バンドの)再結成」という意味で使われており、そこがこのセリフのオチになっています。
トゥルーディーは、スティングの奥さんで、フィービーは、スティングのチケット目当てでこの部屋にやって来たわけですから、フィービーは「スティングのチケットをどうやってもらおうか」ばかり考えているわけです。
ですから、トゥルーディーが「すぐに警察(the poice)が来るわよ」と言った言葉を聞いて、「The Police (ザ・ポリス。スティングが在籍していたバンド)が来る」と勘違いして、「ポリスが、ここに? 再結成したの?」みたいに叫んで、写真を撮ろうと、カメラまで取り出そうとしている、、というオチになった、ということです。
ポリスというバンドは、1984年に活動停止を宣言し、その後、2007年に再結成したようですが、今回のフレンズのエピソードの放映は 2001年で、ポリスがちょうど活動停止中の時期に当たりますので、フィービーが、「再結成?」と喜ぶセリフも、しっくりくるわけですね。

スティングの名前は、かっこいい男性の例として、フレンズでも何度も登場しました。
過去記事、スティング フレンズ3-5その8 では、レイチェルが挙げた「寝たい有名人リスト」の中にスティングの名前が入っていたことから、他にスティングの名前が出てきたセリフを一緒にご紹介しています。

「ポリスが来るわよ」「え、ポリスが再結成したの?」というオチは、トゥルーディーがスティングの奥さんだからこそ成立するジョークで、このセリフを言わせたいがために、「スティングの奥さんが警察に通報せずにはいられないようなことをする」設定にしたのかも、、と思える感じです。
いくらスティングのチケットが欲しいからとはいえ、今回のフィービーの行動は、常識を越えたところがありますが、それもこれも、このオチのセリフに繋げるためだと思えば納得できる気がしました。

まぁ、ベタだと言えばベタなのかもしれませんが(笑)、バンド名が The Police であることをうまく使った、そして、スティングと言えば、The Police のメンバーだったことをみんなが知っていることをうまく活用した、フレンズらしいオチだと言えるでしょうね。

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posted by Rach at 16:15| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする