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フィービーは、歌手のスティング(Sting。イギリスの人気バンド「ポリス」(The Police)のヴォーカル&ベース担当)の息子ジャックが、ロスの息子ベンと同じ小学校に通っていると知ります。
スティングのコンサートチケットが取れなかったフィービーは、ベンとジャックが喧嘩していると聞いて、ベンの保護者を装ってコンタクトを取り、話し合いをするために、スティングの家に来ています。
スティングの奥さんである、トゥルーディー・スタイラー(Trudie Styler。本人が演じています)と話していたフィービーですが、肝心の(笑)スティングが同席していないのを見て、
フィービー: Umm, I'm sorry. Won't-won't Jack's father be joining us? (あのー、ごめんなさい。ジャックのお父さんは私たちに加わらないの?)
トゥルーディー・スタイラー(スティングの妻): Oh, I'm sorry, Jack's father is not available. (あら、ごめんなさい。ジャックの父親は今は忙しいの。)
フィービー: Uh-hmm. Okay. Well then, could we reschedule for, say, Friday night, perhaps at 8 o'clock? (あぁ、いいわ。それじゃあ、予定を組み直しましょうか? 例えば、金曜の夜、多分、8時くらいに?)
トゥルーディー: Oh, no, I know that wouldn't work. My husband's in concert. (あぁ、だめね、それは無理だってわかるわ。夫はコンサートなの。)
フィービー: Concert. Yeah. That just put us in... quite a pickle. Because you see I'm very busy before and after the concert, and he's obviously busy during. (コンサート。そうね。それはちょっと困ったことになったわね。だってほら、私はそのコンサートの前と後が忙しいの。そして、彼(スティング)はどう考えてもコンサートの間、忙しいし。)
トゥルーディー: So, I guess you and I should talk about Jack and Ben right now. (だから、あなたと私が今、ジャックとベンのことで話し合うべきだと思うのよ。)
フィービー: Unless! Unless umm, okay I-I would be willing to go to the concert, umm, all the while thinking about the children, of course. (でもこれなら話は別よ! もし、ほら、私がそのコンサートに行くのを厭わない(いとわない)なら。その間ずっと、子供たちのことについて考えられるわよ、もちろん。)
トゥルーディー: Are you here for tickets? (あなたは、チケットのために来たの?)
フィービー: Oh, thank you. Four would be great. (あぁ、ありがとう。4枚ならありがたいわ。)
スティングが同席していないので、フィービーは「ジャックの父親(であるスティング)は、私たちに加わらないの? 同席しないの?」と尋ねています。
Jack's father is not available. の not available は「手があいていない」というニュアンスですね。
都合がつかなくて、他の用事で忙しくて、この話し合いに参加することができない、というような感覚です。
スティングがいないと知ってフィービーは、reschedule (再スケジュール)しましょう、つまり、この話し合いの日程を変更しましょう、再調整しましょう、と提案します。
「〜の日時に予定する」 は、schedule for のように for を使いますので、今回のような reschedule (re-schedule) の場合も同じく、for を使うことになります。
say は「例えば」というニュアンスの挿入句ですね。
フィービーは、コンサートの日時をわかっていて、わざとその日を、さも今思いついたように言ってみせたことになります。
I know that wouldn't work. の work は「うまくいく、正しく機能する」という自動詞なので、「その日程では、うまくいかないだろうって私にはわかるわ」ということ。
My husband's in concert. は、「私の夫は(その時間)、コンサートにいるの。コンサートに出演中なの」ということですね。
「コンサート」という言葉を聞いたフィービーは、残念そうなふりをして、That just put us in... quite a pickle. と言っています。
pickle は「ピクルス」のことで、日本語で「ピクルス」と言われているのは、pickles という「複数形」からなのですね。
また、pickle には「困った立場、窮境、苦境」という意味もあって、put someone in a pickle なら「人を困った立場にする」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be in a (pretty) pickle : (old-fashioned) to be in a difficult or confusing situation
つまり、「(古風な表現) 難しい、またはややこしい状況にいること」。
ロングマンの説明によると、old-fashioned な表現のようです。
フィービーがこのセリフを言った後、ラフトラック(観客の笑い声)が起こっていますが、観客、そして視聴者は、フィービーが「スティングのコンサートのチケット目当てにやってきた」ことを知っているので、そんな古風で大袈裟な表現を使って、「私が提案した日時が、ちょうどコンサートに当たっちゃうなんて、随分と大変な苦境に追い込まれちゃったわねぇ」としらじらしく言ったその猿芝居(笑)に笑ってしまった、ということでしょう。
その後、「私はそのコンサートの前後が忙しいし、彼(スティング)は、どう考えても(明らかに)、その自分のコンサートの間、忙しいわよね」みたいに言っています。
その話の流れから、「そうなの、だから夫は忙しいので、私たち二人だけで、子供たちの問題に話し合うべきだと思うのよ」と、ごく当たり前のことをトゥルーディーは言うのですが、フィービーはまだあきらめず、Unless! と強く言っています。
こんな感じで、Unless! とか、Or! のように、「別のこんな案はどうかしら?」と続けるパターンは、フレンズにはよく出てきますね。
このような会話に出てくる unless は、「もし〜でなければ話は別だけど」と訳すと、しっくりくる場合が多いです。
今回のセリフも、「unless 以下のことが起こらなければ、今ここで、スティング抜きで話し合うべき、となるだろうけど」みたいなニュアンスなので、「二人で今、話し合うべきよ」と言ったトゥルーディーに対して、「もし、私が今から言うことが現実になれば、話は別だけど(今、ここで二人で話し合う必要はなくなるけれど)」と言っている感覚になります。
そして、「ほら、もしこんな風になったら、二人だけで話す必要がなくなるわよ」と言ったその条件が、「もし私がそのコンサートに行くのを厭わない(いとわない)なら」。
be willing to というのは、「厭わない」と訳したように、「(仮にやりたくないと思うことでも)求められれば進んで〜する」というニュアンスがありますね。
Macmillan Dictionary では、
willing : if you are willing to do something, you do it when someone askes you, sometimes when you do not want to
つまり、「be willing to do something というのは、誰かが自分に頼む時、時には自分がそれをしたくないと思う時、にそれをすること」。
今回も、フィービー自身は、そのコンサートに行きたくて行きたくてたまらない、だから、ベンの母親のふりをするという嘘をついてまで、この部屋にやって来たのですが、その「超、行きたい」という気持ちを伏せて、「私としては、例えばあなたがそう望むのなら、コンサートに行くのはやぶさかではないわよ、コンサートに行ってあげてもいいわよ、コンサートに足を運んであげよう、っていうつもりはあるわよ」みたいに言ったというニュアンスが、この be willing to というフレーズによく出ているように思うわけです。
「私はそのコンサートに行く意思はあるわよ、と言えば、そこにはスティングもいるから、みんなで一緒に、子供たちのことについて話し合えるでしょ」みたいに言うフィービーのセリフを聞いて、さすがにトゥルーディーにもフィービーの真の目的がわかったようで、Are you here for tickets? と言っています。
直訳すると、「チケットのために、あなたはここにいるの?」ということで、つまりは、「あなたはチケット欲しさにここに来たの? チケットが目的で、この家にやって来たの?」と言っていることになります。
「チケットのためにここにいるの?」と言われたフィービーは、悪びれた様子もなく、「まぁ、ありがとう。4枚なら(4枚もらえたら)素敵だわ、ありがたいわ」みたいに答えます。
この後、スティングの奥さんであるトゥルーディーが激怒することになるのですが、その続きは次回、といたします(^^)
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