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ずっと友達だったレイチェルを女性として意識してしまったジョーイは、「友達から恋人の関係になった」経験のある、チャンドラーやモニカに相談しようとして、ルールだとか、人が違って見える、などと説明します。
それぞれが聞いた相談内容を話し合っているうちに、「昔の私たちみたいに、友達に恋愛感情を抱いた」ということに気づいたモニカたちは、「フィービーが入ってきたら、ジョーイは話をやめた」ことから、恋の相手をフィービーだと勘違いしてしまいます。
チャンドラーには「フィービーに言うなよ」と止められたのですが、モニカは言いたくてたまらない様子で、、、
(Monica starts smiling)
モニカは、ニコニコし始める。
フィービー: What? (何?)
モニカ: Nothing. (何でもないわ。)
フィービー: Okay. (ならいいわ。)
モニカ: I mean, I-I, I really shouldn't say. I mean, I'm really not supposed to. (つまり、私はほんとに言うべきじゃないの。ほら、ほんとに言っちゃいけないことになってるの。)
フィービー: Fine. (それならいいわ。)
モニカ: It's a humdinger! (素晴らしいことなのよ!)
フィービー: Then it's really too bad that you can't tell me. (それなら、あなたが私に話せないのは、ものすごく残念ね。)
モニカ: Somebody likes you! (誰かさんがあなたを好きなのよ!)
フィービー: (Groans) Is it Chandler? ([不満げな声で] (それって)チャンドラー?)
モニカ: No! (違うわ!)
フィービー: Well, then tell him to stop staring! (ふーん、じゃあ、彼に、じっと見るのはやめて、って言っといて。)
モニカ: It's Joey! (ジョーイなのよ!)
フィービー: Really?! Joey?! You don't say. (ほんとに? ジョーイが? まさか。)
モニカ: Is it something you'd be interested in? (それって、あなたが興味を持つようなことかしら?[あなたは興味があったりする?])
フィービー: I don't know, I don't know, I don't know. You know, I mean, on the one hand, "Mother may I?" But, y'know, on the other hand... No. No, I can't. We're friends. No, oh, no. I don't wanna risk what we have. (わからない、わからない、わからないわ。ほら、だって、一方では、「前に進んでもいい?」 だけど、ほら、もう一方では… だめよ、だめ。私たちは友達よ。だめ、だめ。私たちの持っているものを危険にさらしたくないわ。)
モニカ: I guess that makes sense. So, you think you're going to talk to him? (それは言えてると思うわ。それじゃあ、ジョーイに話すつもり?)
フィービー: Sure, yeah. I mean, it's Joey. I don't want him to get hurt. Well, I must say, I am on fire! First Chandler, now Joey! (もちろん、そうよ。だって、ジョーイだもん。彼に傷ついて欲しくない。こう言わないといけないわね。私は今、モテ期ね(モテモテね)! 最初はチャンドラーで、今はジョーイよ!)
モニカ: Not Chandler, just Joey. (チャンドラーは違う、ジョーイだけよ。)
フィービー: Sure. (そうよね。)
「ジョーイは、フィービーのことを女性として好きになった」と誤解したモニカは、フィービーの前で意味ありげな発言を繰り返しています。
I really shouldn't say. I'm really not supposed to. のように、really not の形が連続していますが、really は、not の前に位置しているので、「本当に、全く」言うべきではない、言ってはいけないことになっている、のように、not であることを強調していることになります。
「言っちゃいけないなら、言わなくていいんじゃない」みたいに Fine. と返したフィービーに、モニカは、It's a humdinger! と言っています。
humdinger は、俗語で「素晴らしい物・人」。
Macmillan Dictionary では、
humdinger [noun] [singular] (informal) : an exciting or excellent example of something
つまり、「あるものの、エキサイティングな、または素晴らしい例」。
「素晴らしいことなんだけど言えないの」とモニカが言うと、フィービーは、Then it's really too bad... と言っていますね。
直訳すると、「それなら、あなたが私に(そのことを)言えないということは、本当にとっても残念だわ」という感じになるでしょう。
「素敵なことなのに言えないなんて、モニカも残念ね」みたいなことですね。
言わずにはいられなくなったモニカは、Somebody likes you! と言っています。
とりあえず「誰かさん」と名前を伏せてみたものの、そこまで言ってしまったら、それが誰か?という話になるのは明白ですよね。
「あぁ、モニカったら、もう我慢しきれず、しゃべっちゃってるよ、、」という面白さがそこにはあるのですが、それに対して、フィービーが「それってチャンドラー?」と返すのがまた、さらに面白いところ。
モニカとチャンドラーが夫婦であることをわかっていて、「私を好きな人がいるって、それって(あなたの夫の)チャンドラーのこと?」と聞くのが、フィービーらしいですね。
あきれたように否定するモニカに、「それじゃあ、私をじっと見つめるのをやめて、って言っといて」とまで言っています。
「あなたの夫は私をいやらしい目でいつも見てるのよ」みたいに言ったことになるのですが、モニカはもうそんな話題はどうでもいいらしく(笑)、「その誰か、っていうのは、ジョーイなのよ!」とバラしてしまいます。
You don't say. というのは「まさか」のように驚きを表す言葉なのですが、「本当に”まさか!”と驚いた場合」にも使うし、「驚いたかのような言葉を発してみるけれども、実は全然驚いていない場合」にも使われます。
英英辞典にその2種の意味が載っているのでご紹介しますと、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
you don't say!
a) (humorous) used to show that you are not surprised at all by what someone has just told you
b) (old-fashioned) used to say that you are surprised by what someone has just told you
a) は、「(ユーモラス) 誰かがった今言ったばかりのことに、全く驚いていないことを示すのに使われる」。
b) は、「(古い表現) 誰かがたった今言ったばかりのことに、驚いていると言うのに使われる」。
Macmillan Dictionary では、
you don't say (spoken)
1. used for saying that you are surprised by what someone has told you
例) 'He's just won the lottery.' 'You don't say!'
2. used for saying that you are not surprised by what someone has told you
例) 'He phoned in sick again this morning.' 'You don't say!'
1. は、「誰かが言ったことに驚いていると言うために使われる」。
例文は、「彼が宝くじに当たったよ」「まさか!」
2. は、「誰かが言ったことに驚いていないと言うために使われる」。
例文は、「彼は、今朝また、病気だって電話してきたよ(病欠の電話してきたよ)」「まさか」。
(この「まさか」の本音は、「またかよ」「やっぱりな」みたいな感じ。)
特に面白いのが、マクミランの語義で、1. の語義に not を加えて「正反対の意味」にしたものが、2 の語義になっていますよね。
誰かが言ったことに対して、驚いた時にも使うし、驚いていない時にも使う、、、って、一体どっちやねん!と、ツッコミたくなるところですが、ロングマンの説明にあるように、驚いた意味で使うのが元々の意味で、今ではそれを「全く驚いていない時に、驚いたかのような言葉を使ってみせる」のように、ユーモラスに、皮肉っぽく使うのが一般的だと言うことなのでしょうね。
今回のフィービーもセリフも、言葉としては「まさか」なのですが、フィービーの口調にはそれほど驚いた感じはなく、とりあえずそう言ってみた、という感じが出ている気がします。
心のどこかで、「まぁ、そんなこともあるかも、ありうるかも」と思っていたかのような感じが出ていると言いますか。
訳語としては「まさか」と訳すことになりますが、「えー、嘘でしょう? 絶対にそんなこと信じられないわ!」的な超びっくりした気持ちを表しているわけではない、ということです。
Is it something you'd be interested in? を直訳すると、「そのこと(ジョーイがあなたを好きということ)は、あなたが興味を持つようなことかしら?」になるでしょう。
そのことについてあなたはどう思う? 興味を引かれる話?と尋ねている感覚ですね。
フィービーは、「どうかな、わからないわ」と繰り返しながらも、on the one hand, on the other hand 「一方では〜、そしてもう一方では…」と、揺れ動く乙女心(笑)を語っています。
Mother may I? について。
これは、英語圏の「子供の遊び(ゲーム)」の名前です。
Google 検索をしたら、その遊びを説明するサイトや、実際に遊んでいる様子の画像などがたくさんヒットします。
Wikipedia 英語版: Mother May I? に説明がありますが、ざっとした流れを説明すると、
一人のプレーヤーが mother(母)に、そして他のプレーヤーが children(子供)になって、mother が一方の端に、children が反対の端に並び、子供が、"Mother, may I take five steps forward?" 「ママ、前に5歩進んでいい?」などと尋ねて、母が、"Yes, you may" 「ええ、いいわよ」、または、"No, you may not do that, but you may _____ instead" 「だめよ、それはしちゃだめ。でもその代わりに〜してもいい」と答え、母のところに最初にたどり着いた者が勝ち
というゲームのようです。
何となく、日本の遊び、「だるまさんがころんだ」(大阪では「坊さんが屁をこいた」と言います、、それも「ぼうさん」じゃなくて「ぼんさん」と言うのがお約束^^)に似た感じ(鬼に近づくところなど)がありますが、「だるまさんがころんだ」によく似た英語圏の遊びとしては、Red light, green light という名前のゲームの方がより近いようです。
How to Play "Mother May I" : 6 Steps (with Pictures) - wikiHow というサイトで、で、Mother May I の遊び方が詳しく説明されていますが、その解説の中の、
Whether the Mother replies yes or no is completely up to the Mother's whim. However, the Mother must be impartial, or the game isn't fun for everyone.
という部分が、なるほどな、という感じですね。
つまり、「母が、イエスと答えるかノーと答えるかどうかは、完全に母のきまぐれ次第である。しかしながら、母は公平でなければならない、さもないと、そのゲームはみんなにとって楽しいものではなくなる」。
母役の人が、ある人にはイエスばかり、そして別の人にはノーばかり、、とえこひいきをしたら、ゲームが成り立たなくなってしまう、つまらないものになってしまう、ということですよね。
ゲームの説明が長くなってしまいましたが、要は、Mother May I? というゲームは、"Mother, may I take five steps forward?" 「ママ、前に5歩進んでいい?」などと尋ねるゲームで、フィービーはその決まり文句の連想から、「ジョーイが私のことを好き? それじゃあ、私は前に進んでもいい?」のように、step forward 「前に進む、前進する」ということを考える気持ちも持っている、と言っていることになります。
そして、「もう一方では」の方では、「だめよ、そんなことできないわ。私たちは友達よ」と言って、「友達だから恋愛に進んじゃいけない」と自分を押しとどめる気持ちも語っています。
I don't wanna risk what we have. の動詞 risk は「〜を危うくする」なので、「私たちが持っているものを危うくしたくない」、つまり、私たちの間にある、素敵な友情関係を危険にさらしたくない、それを壊したくない、と言っていることになります。
make sense は「道理にかなっている、なるほどと思える」。
フィービーが、「前に進んでもいい?という気持ちもあるけど、やっぱり、二人の関係を壊したくない」と言ったのを受けて、モニカは、「じゃあ、ジョーイに話すつもり?」と尋ね、フィービーは、「そうね。だってジョーイだもん。彼に傷ついてほしくない(彼を傷つけたくないの)」と答えます。
そこまでなら、まぁ、普通の会話なのですが、その後、また、チャンドラーの話を出すのが、フレンズっぽくて面白いですね。
I must say, I am on fire! の on fire は「燃えて」(burning)という意味なので、言葉としては、「私、燃えてるぅ〜!」みたいなことですが、ここでは、ノリノリで、絶好調で、モテモテで、のような感覚で使っているようですね。
その後、First Chandler, now Joey! 「最初はチャンドラーで、今はジョーイよ!」と言っています。
自分の夫がフィービーに夢中、みたいな言い方をされたので、モニカは怒った様子で、Not Chandler, just Joey. と言うのですが、フィービーは、そっけない感じで Sure. と答えています。
言葉としては、「もちろん」という意味ですが、フィービーの口調と表情を見ていると、「ま、あなたがそう思いたいんなら、そういうことにしておきましょうか」的なニュアンスが感じられます。
先に説明した、You don't say. もそうですが、元々の基本的な意味というのが存在しても、言い方、イントネーション、口調、表情次第で、皮肉っぽく反対の意味で使う、ということは、英会話ではよく出てきます。
音と映像付きのドラマだと、そういうものはより学びやすいですよね。
また、"First Chandler, now Joey!" "Not Chandler, just Joey." のように、完全な文の形になっていないシンプルな言葉だけれども、意味やニュアンスはしっかりわかる、という表現がセリフにはたくさん登場しますよね。
書き言葉の場合には、「文という体裁」を気にしないといけないことも多いですが、英会話というのは、相手の言葉を受けて返すものなので、わかりきった部分は省略できるし、省略した方が、会話のテンポも良くなる、ということでもあります。
難しい単語、長くて複雑な構造の文章ばかりを気にするのではなく、そういう「文になっていないフレーズ」の感覚も意識することで、よりシンプルでナチュラルな表現を身につけることもできる、ということですね。
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