2014年05月07日

俺はただ普通の生活がしたいのに フレンズ8-12その3

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素敵なレストランでデートをしているジョーイとレイチェル。
ジョーイとルームシェアをしているレイチェルは、「あなたに家賃を払うのを忘れてたわ」と言うのですが、
ジョーイ: Oh, whoa-whoa-whoa, no roommate stuff. Okay? We're on a date. (あぁ、ちょっとちょっとちょっと。ルームメイトのことは無しだ、いい? 俺たちはデート中なんだよ。)
レイチェル: Okay. Wow! So I get to see what Joey Tribbiani is like on a date. So do you have any moves? (わかった。ワオ! それじゃあ私は、ジョーイ・トリビアーニがデートでどんな感じかを見られるのね。それであなたはどんな手を使うの?)
ジョーイ: No! No. I'm just myself, and if they don't like me for-- (Laughs.) I'm sorry, I couldn't even get through that. (ないよ! 手なんかない。俺はただ俺のままでいるだけで、もし相手が俺を好きじゃないなら… [笑って] ごめん、(自分で笑ってしまって)最後まで言い終えることができなかったよ。)
レイチェル: I knew it, I knew it. Come on, tell me your moves. (やっぱりね、そうだろうと思ったわ。ねぇ、あなたの手を教えてよ。)
ジョーイ: Uh, all right. Umm, well, okay, I usually start by having a bottle of wine sent to my table from a fan. (あぁ、わかった。うーんと、よし、俺はたいてい、俺のファンから1本のワインボトルを運ばせる[贈らせる]ってことから始める。)
レイチェル: Oh, my God. And that works?! (なんてこと。それでそんなのが効果あるの[効くの]?)
ジョーイ: Well, it does when you combine it with, "This is so embarrassing. I just want to have a normal life!" (うん、うまく行くよ、この言葉と組み合わせればね、「こんなのすっごく恥ずかしいよ。俺はただ、普通の生活がしたいのに」。)
レイチェル: Oh, you poor little famous man. (まぁ、ちょっとした有名人は大変なのね。)
ジョーイ: Oh, okay, how about this one? I was gonna wait until the end of the night to kiss you, but you're just so beautiful... I don't think I can. (よし。こんなのはどう? 今夜が終わるまで君にキスするのを待ってるつもりだったけど、君がただそんなにきれいだから…待てそうにないよ。)
レイチェル: (looks interested) Oh, my God! Wow! That was fantastic, I almost leaned in. I really almost did! (すっかり興味を引かれた様子で) なんてこと! ワオ! それって素敵ね、あなたの方に身を乗り出しそうに[顔を近づけそうに]なっちゃった。ほんとにもう少しでそうしそうだったわ!)
ジョーイ: Alright, so... so tell me one of your moves. (わかった、それじゃあ… じゃあ、君の手を一つ教えてよ。)
レイチェル: All right. So where'd you grow up? (わかったわ。それで、あなたはどこで育ったの?)
ジョーイ: That's your move? Boy, Rach, you're lucky you're hot. (それが君の手なの? なんてこった、レイチェル、君はホット(セクシー)で良かったね。)

"No roommate stuff. Okay?" の stuff は漠然と「こと、もの」を指す感覚。
「ルームメイトのこと、ルームメイトの件、ルームメイト的な話」は「なし」だよ、いいね?みたいなことです。
俺たちは今、デート中なんだから、ルームメイト的な話をしたら興醒めになるからやめようよ、と言っていることになります。
了解したレイチェルは、So I get to see what Joey Tribbiani is like on a date. と言っていますね。
get to see は「見ることになる」、what Joey Tribbiani is like on a date は、「ジョーイ・トリビアーニがデートでどんな感じであるか、どんな様子であるか」。
いつもは「仲の良い友達」としての面ばかりを見ているので、ジョーイがデートモードになると、どんな感じなのかをこれから見ることができちゃうのね、とわくわくしている感じが出ています。

So do you have any moves? の move は「動き、動作」ですね。
このように、恋愛の場面での話になると、デートではどんな手を使うの?のような「手」というニュアンスになります。

どんな「手、手段、アクション」があるの?みたいに聞かれたジョーイは、I'm just myself, and if they don't like me for-- みたいに言いかけた後、自分で笑っていますね。
「俺はただ俺自身でいるだけだ、そのことで相手が俺を好きじゃないと思うなら…」みたいに言いかけたことになるでしょう。
何か「手」を使ったりなんかしない、俺は素の俺のままでいるだけで、それで嫌われたらしょうがないと思ってるんだ、みたいなことを言おうとしたのですね。

I couldn't even get through that. の get through は「(最後まで)し終える」というニュアンスだろうと思います。
「俺は、今の話を最後まで言い終えることができなかった」みたいなことでしょう。
DVDの日本語訳も「言ってて笑っちゃった」となっていましたが、かっこをつけて「俺は俺のままでいるだけだ」と言おうとしたけれど、自分がそのセリフに笑ってしまって、最後までその話で押し通せなかった、みたいなことでしょうね。

I knew it. は「(私には)わかってた。やっぱりね」という感じ。
プレイボーイのジョーイのことだから、絶対に何か、女の子を落とすための「手、テクニック」を使ってるはずだと思ってたわ、何も手がないなんて絶対嘘だってわかってたわよ、というところ。

そこでジョーイは正直に、自分の moves をレイチェルに教えます。
start by doing は「〜することで(することから)始める」。
have a bottle of wine sent to my table from a fan の have は使役動詞で、「俺のテーブルに、1本のワインを、一人のファンから贈らせる」ということですね。
「贈らせる、届けさせる」と言っても、実際にあるファンにそれをさせるということではなく、「ファンからボトルが届いたかのように見せかける」ということ。
それを聞いたレイチェルは、「そんなのが上手くいくの? 効果あるの?」と尋ねるのですが、ジョーイは、it does when you combine it with... と答えています。
it does work when... ということで、「それ(ファンからだと言ってワインを運ばせること)と…を組み合わせる時には、うまくいく、効き目がある」と言っていることになります。
with 以下は引用符でセリフになっているので、ワインを運ばせた上で俺がこんな風に言えば、うまくいくんだよね、と言っていることになりますね。
そのセリフはというと、「こんなのすっごく恥ずかしいよ。俺はただ、普通の生活をしたいだけなのに」。
ファンがワインを贈ったように見せかけておいて、「こんなことされたら困るよ。俺はプライベートではスターであることを忘れたいのに」みたいにデート相手の前で言う、ということです。

それを聞いたレイチェルの返し、Oh, you poor little famous man. は、ちょっと辛辣で面白いですね。
poor は「かわいそうに」と同情する感覚ですが、little famous man の little には「つまらない、ちょっとした、大したことない」というニュアンスが入っているように思います。
you poor famous man なら、「あなたって、かわいそうな有名人ね、有名人でかわいそうね、有名人だから苦労するのね」みたいになるでしょうが、そこに little という「相手を軽んじる」感覚の単語が入っているために、直訳すると、「かわいそうな、ちょっとした有名人さん」のような、つまり、「ちょっとした有名人は大変なのね、苦労するのね」のようなニュアンスになると思います。
本当の大スターなら、それこそ本物のファンが本当にワインを贈ってくれたり、ファンに取り囲まれたりするところを、ジョーイの場合は自分でそれを「演出」しなければいけない、それを演出した上で、「俺は普通の生活がしたいのに」と大スターを気取って見せている、、というその様子を「ちょっとした有名人は、自分でいろいろ演出しないといけなくて大変ね」みたいに表現しているところが、何でも言い合える親友ならではの、辛辣だけれどもある意味微笑ましい発言だとも思えるわけです。

それからジョーイは、また別の手をレイチェルに説明しています。
レイチェルを見つめながら、真剣な表情で、I was gonna のセリフを言っていますね。
「俺は、今夜の終わり(最後)まで、君にキスするのを待つつもりだったけど、でも君がただ、すごくきれいだから…待てるとは思えないよ[とても待てそうにないよ]」。
ト書きの looks interested は「興味津々の顔でそれを聞いている」という感じですが、実際のレイチェルも、そのジョーイのセリフをうっとりした顔で聞いています。
そのセリフが終わった後も、しばらくうっとりしたままで、それから、ハッと我に返った様子で、「なんてこと! ワオ!」と言うことになります。

今のって素敵ね、の後の、I almost leaned in. I really almost did! がまた面白いですね。
この場合の lean は「体を乗り出す」というニュアンス。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
lean : to move or bend your body in a particular direction
forward/back/over etc.
例1) Celia leaned forward.
例2) Then he leaned over and kissed his wife.

つまり、「自分の体をある方向に動かす、または曲げる」。
例文1は、「セリアは身を乗り出した(前かがみになった)」。例文2は、「それから彼は、かがみこんで妻にキスをした」。

英辞郎にも、
lean over and kiss=かがみ腰で顔を近づけてキスをする
と出ていますので、lean over and kiss というのはよく使われる組み合わせのようですね。
over は「〜の上に」という感覚なので、背の高い男性が、自分より背の低い女性にキスする時に、腰をかがめる感じで(ちょっと大袈裟に言うと、相手に覆いかぶさるように)体を曲げる様子になるでしょう。
今回のレイチェルのセリフは、例文2の「相手の方に体を乗り出して、キスする」というニュアンスですね。
DVDの日本語訳も「顔を出しそうになっちゃったわ」となっていました。
セリフでは、lean in のように in が使われています。
「前方に傾く」なら、lean forward でも良いのでしょうが、in 「〜の中に」という前置詞には、目の前にある何かに「引き込まれるような」感じが出ているような気がしました。

「キスするのを待てそうにない(今すぐキスしたい)」と真顔で言われたので、ジョーイが友達であることも忘れて、キスする態勢に入っちゃいそうだった、チューして、みたいに顔を近づけそうになっちゃった、と言っていることになるわけです。
almost+過去形は、これまでにも何度も登場しましたが、「もう少しで〜してしまいそうだった、〜してしまうところだった」ですね。

ジョーイの moves にすっかり感心した様子のレイチェルを見て、今度はジョーイの方が「レイチェルの手を教えてよ」と言います。
「わかったわ」と言ったレイチェルは、いきなり、「それであなたはどこで育ったの?(出身はどこ?)」と質問します。
何か色っぽいことでも始まるのかとワクワクしていたであろうジョーイは、「それが君の手なの?」とあきれた顔で尋ねています。
その後の、Boy, Rach, you're lucky you're hot. は、「なんてこった、レイチェル、君はホット(セクシー)でラッキーだね」ということですね。
見た目がきれいでセクシーだから、そんなのが「手」として通用するんだねぇ、みたいなことで、そんな質問じゃ、男は全然そそられないんだけど、、みたいに言っていることになるでしょう。
「そんなのが君の move なの?」と聞き返すだけだと普通なのですが、そんな風にあきれながらも、you're lucky you're hot とさりげなく褒めているところが、さすがはプレイボーイのジョーイだなぁ、と思ったりもします^^

この後は、ちょっとやりとりが長くなるので割愛しますが、レイチェルは出身地を尋ねた後、相手の家族との関係を聞くように話を持って行き、相手がつらいことを話し始めると、同情したように相手の手を握る、、という move を披露することになります。
「出身地を尋ねるのが、君のテクなわけぇ?」みたいにあきれていたジョーイも、"Nice move! So simple!" 「すごい手だ! すっごくシンプルで!」と驚くことになるのですね。
その後も、「私、お手洗いに行ってくるわね」とレイチェルは席を立ち、
レイチェル: And now you're watching me walk away. (それで今、あなたは私が歩いて行くのを(歩いて行く後ろ姿を)見てるでしょう。)
ジョーイ: Yes, I am! Again so simple! (あぁ、見てるよ! またすっごくシンプルだ!)
のように、プレイボーイのジョーイが二度までも、「レイチェルのシンプルな手」に感心することになります。

これまでは友達としての面しか見ていなかった二人が、それぞれ、「デートでの異性に対する move」を披露して、すごいすごいと喜び合っている姿がなんだかとっても微笑ましいですね(^^)


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posted by Rach at 15:04| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年05月02日

彼に手を出さないようにするのが大変だろ? フレンズ8-12その2

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[Scene: Joey and Rachel's, Rachel is getting ready for her date with Joey as there is a knock on the door.]
ジョーイとレイチェルの家。レイチェルはジョーイとのデートの準備中、その時、ドアにノックの音。
レイチェル: Joey? Could you get that? (There is no answer and she goes and opens the door to Joey.) What are you doing here? I thought you were in your room? (ジョーイ? 出てくれる? [返事がないので、レイチェルが行って、ジョーイのためにドアを開ける[ドアを開けると、ジョーイである] ここで何してるの? あなたは自分の部屋にいると思ってたのに。)
ジョーイ: No, I'm picking you up for our date. These are for you. (Hands her some flowers.) (いいや、俺は二人のデートのために、君を迎えに来てるんだよ。これを君に。[レイチェルに花を手渡す])
レイチェル: Ohh, Lilies. Joey, they're my favorite. Thank you. (まぁ、ユリね。ジョーイ、ユリは私のお気に入りの花よ。ありがとう。)
ジョーイ: And, a brownie! (Hands her a bag with the brownie in it.) Well, half a brownie. Actually, it's just a bag. It's a long walk from the flower shop and I was startin' to feel faint, so.... (それから、ブラウニー! [中にブラウニーが入った紙袋をレイチェルに渡す] えーっと、半分のブラウニーね。実際には袋だけだ。花屋からの歩きが長くて、くらくらし始めてきたんで、それで…)
レイチェル: Oh man! This is so great! I actually feel like I'm going on a real date! Although, I have a hint of morning sickness, and I'm wearing underwear that goes up to about... (She snaps the waistband on her underwear that is just slightly below her breasts)... there. (まあ! こういうのって素敵ね! 本物のデートに行こうとしてるみたいな気分だもの! ただ、私はちょっぴり、つわりがあるし、下着を着てるのよね、上の部分が… [レイチェルは自分の下着の胴回りをパシッとはじく、それはちょうど胸の少し下くらいの部分にある] このあたり。)
ジョーイ: Hey, come on now. This is a real date. Uh, so... nice place you got here. Foosball, huh? Pizza box. Oh, a subscription to Playboy. My kind of woman. (おいおい、これはほんとのデートだよ。それで…いいところに住んでるね。フーズボール(ゲーム)に、ピザの箱。あぁ、プレイボーイ(誌)の購読。俺向きの[俺好みの]女性だね。)
レイチェル: Yeah, actually that's my roommate's. (えぇ、実際には、それは私のルームメイトのものなの。)
ジョーイ: I would like to meet him. He sounds like a standup guy. (その彼に会いたいね。彼は正々堂々とした男らしいな。)
レイチェル: Ah, yes, but he's very protective of me, so you'd better watch yourself. (あぁ、そうね、でも彼は私をものすごく守ろうとしてくれるのよ。だから、あなたは自重した方がいいわ。)
ジョーイ: Ah.... Hey, so this roommate of yours... is he good looking? (あぁ…。ねぇ、それで、この君のルームメイトは…彼は男前(イケメン)か?)
レイチェル: Hm-mmm. (うん、、、(まあね) (肯定のニュアンス)。)
ジョーイ: Oh yeah, must be tough to keep your hands off him, huh? (あぁ、そう、きっと彼に手を出さないようにするのが大変だろ?)
レイチェル: (laughs) Yeah, but I'm pretty sure he's gay. ([笑って] えぇ、でも彼はきっとゲイだと思うの。)
ジョーイ: No-no-no-no, he's not! No! Why are you trying to ruin the game? Come on! (違う違う違う違う、彼はゲイじゃないよ! 違うって! どうしてゲームを台無しにしようとするんだよ。頼むよ!)

妊婦だから素敵なデートができなくて残念、、と言うレイチェルに、ジョーイは「俺がデートに誘ってあげるよ」と言っていました。
レイチェルが鏡を見ながら準備しているとノックの音が聞こえたので、Joey? Could you get that? と言っていますが、これは、「誰か来たみたいだから、(私の代わりに)あなたが出てくれる?」みたいな感覚ですね。
電話が鳴った時や、誰かがドアをノックした時などに、「私が出るわ」という意味で、I'll get it. がよく使われますが、その get と同じニュアンスになります。
そんな風に呼び掛けたのに、ジョーイが自分の部屋から出てくる様子がないので、レイチェルは自らドアを開けに行くのですが、ドアを開けるとそこにいたのはジョーイでした。

「ジョーイは自分の部屋にいると思ってたのに」というレイチェルに、ジョーイは「俺たち二人のデートのために、君を迎えに来てるんだ」と言い、花束を手渡します。
レイチェルはお気に入り(my favorite)であるリリー(ユリ)をもらって喜んでいますね。

それからジョーイはレイチェルに紙袋を手渡します。
その説明が、And, a brownie! Well, half a brownie. Actually, it's just a bag. とどんどん変わっているのが面白いですね。
最初は、「1個のブラウニー」と言って手渡すのですが、「1個じゃなくて半分だけ」と言い直し、最後には「実はただの紙袋だけ」になっています。
その変遷(笑)を聞いていると、元々はちゃんと1個のブラウニーが入っていたんだけれど、ジョーイが半分食べちゃって、最後には全部食べちゃったんだ、、ということがわかるわけですね。
その理由として、 It's a long walk from the flower shop and I was startin' to feel faint, so.... という文章を言っています。
最初の部分は、「花屋から長い歩き・徒歩だった」、つまり、花屋さんでユリを買ってからここに来るまでの距離が長かった、ということ。
feel faint は「くらくらする、気が遠くなる、めまいがする」という意味で、その場合の faint は「くらくらして」という形容詞で使われていることになりますが、faint 1語だけでも、「気が遠くなる、気絶する」という動詞として使うことができます。
I was startin' to feel faint, so.... は、「(長い距離を歩いていて)くらくらし始めてきた、だから…(ブラウニーを食べちゃった)」と言っているのですね。

大好きなユリの花をもらったレイチェルは「本物のデートみたい!」と大喜びしています。
その後、「…だけどね」(although)を使って、残念な点を2点挙げているのも面白いです。
1点目の morning sickness は「(妊娠時の)つわり」、hint はいわゆる「ヒント、暗示」のヒントですが、a hint of で「かすかな、わずかな、ちょっぴり」というニュアンスになります。
ですから、「私はちょっと(今)つわり気味で」と言っている感覚になるでしょう。

2点目の I'm wearing underwear... について。
私は下着を着ている、ということで、どんな下着か、という詳しい内容が、that 以下で説明されている感覚ですね。
that goes up to about... there で、there の場所を説明するために、ト書きにあるように、胸の少し下に位置する、その下着の胴回りを引っ張って、パチンと鳴らしてみせています。
その下着の上の部分は、このあたりくらいの上まで上がってるのよね、みたいなことですね。
「ここに一番上のゴムがあるのよ」とそれをパッチンすることで、お腹をカバーするようなでっかい下着を着ていることを示しているわけです。
通常のデートなら、セクシーな勝負下着(笑)でも着用するところ、セクシーさのかけらもない下着なのが残念なんだけどね、みたいに言っていることになります。

そんな風に、「今は妊婦だからセクシーさに欠ける」的なことを自虐的に言ってみせたレイチェルですが、「これはほんとのデートだよ」と言って、デートっぽい感じで話を進めて行くところは、さすがはプレイボーイのジョーイです。
nice place you got here は、You got nice place here. を倒置にした形でしょうね。
got = have の感覚で、「君はここにいい場所を持ってるね」→「君はいいところに住んでるね」と、相手の家を褒めている感覚になるでしょう。
その後、フーズボール(ゲーム台)、ピザの箱、そして、「プレイボーイ(誌)の購読」に感心した様子を見せているジョーイ。
My kind of woman. は「俺好みの女性、俺向きの女性」というニュアンス。

英辞郎では、
my kind of=私向きの〜、私の好みの〜
He's tall, intelligent, handsome and rich ! You know, my kind of guy ! 彼って背が高くて、頭が良くて、ハンサムで、お金持ちなの。つまり、私好みの人なのよ!

研究社 新英和中辞典では、
a person's kind=(人の)性に合った人
She's not my kind. 彼女は私の性に合った人ではない。

のように説明されています。

フーズボール、ピザ、プレイボーイは全部、ジョーイ本人の趣味なのですが、それをさも「デート相手の家で発見した」かのように言って、「君となら趣味が合いそうだ」と言っているわけですね。
レイチェルもその「リアルなデート風の会話」を楽しいと思ったのでしょう、「なーに言ってるのよ、これは全部、あなたのものじゃないの、ジョーイ!」のようにシラけさせるようなことも言わず、ジョーイのお芝居に合わせて、「実はそれは私のルームメイトのものなのよ」と返します。
ジョーイは、「その彼に会いたいね」、そして、He sounds like a standup guy. とも言っていますね。
sound like は「〜のように聞こえる」ということで、この場合は、「実際の彼はまだ知らないけど、君の話を聞いていると、〜のように聞こえる、君の話から〜という印象を持つ」と言っているニュアンス。
standup (stand-up) は、「立っている」ということですから、「正々堂々とした」という意味。
プレイボーイ誌をこそこそ隠したりせず、リビングに置いておくなんて、なかなか堂々とした男だね、と言っていることになるでしょう。

protective は「保護する、保護的な」ということで、be protective of なら「〜を守ろうとする、保護しようとする」という感覚になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
protective : wanting to protect someone from harm or danger
He's very protective of his younger brother.

つまり、「害や危険から誰かを守りたいと思う」。例文は「彼は自分の弟を非常に守りたいと思っている」。
watch oneself は「気をつける、自重する」。

ジョーイは、「そのルームメイトの彼は、なかなかいい男みたいだね」という風に褒める方向に話を持って行こうとし、レイチェルはそのお芝居に乗りながらも、「その彼は、私のことをすごく守ろうとしてくれてるから、あなたが私に手を出そうとしたらきっと怒るわよ。だから自重した方が身のためよ」みたいに言っているのが面白いところですね。
レイチェルは、友人であるジョーイが、自分のことをとても大切に思ってくれているのをわかっているので、「彼」と表現しながら、そのことを嬉しく思っていることをさりげなく出した感じになるでしょう。
普段は、本人に向かって直接そういうことを改めて言うのは恥ずかしい場合でも、「その彼っていうのはね」みたいに客観的な人物として語ることで、素直な気持ちを表現できたりするということですね。

good looking (good-looking) は「顔立ちがきれいな」という意味の「美人、美男」のニュアンス。
女性にも男性にも使える形容詞です。
must be tough to keep your hands off him は、主語の it が省略されていますが、つまりは、「彼から手を離しておくことはタフ(大変、困難)に違いない」ということですね。
まさに「手を出さないようにする」という感覚で、ルームメイトがそんなにいい男なら、つい彼にちょっかいかけたり、モーションかけたりしたくなっちゃうだろ、みたいに言っていることになるでしょう。
ジョーイ本人が「俺みたいないい男がルームメイトだと、レイチェルも気持ちを抑えるのが大変だよな」みたいに言ったことになるので、レイチェルは笑って、「でも私は確信してるのよね、彼はゲイだって」と返します。
I'm sure が I'm pretty sure のようにさらに強調されているので、「ほぼ間違いなくそうだと確信している」という感覚になりますね。
「彼はゲイだから、大丈夫よー」みたいに笑ってみせたレイチェルに、ジョーイは「彼はゲイじゃないよ」と否定して、Why are you trying to ruin the game? と言っています。
直訳すると、「なぜ、ゲームを台無しにしようとするのか?」ということ。
この game は「試合」というよりも、「遊び、戯れ」の感覚ですね。
DVD日本語訳では、
(字幕)せっかく 盛り上がってきたのに/せっかく楽しんでたのに、台無しにしないでよー、もう。
のように訳されていましたが、まさにそういうニュアンスで、今の俺は「レイチェルの同居人のジョーイじゃない、今日初めて来たデート相手」という設定で、同居人のジョーイのことを世間話的に語り合うのを面白がっていたのに、そんな風に話を終わらさないでくれよ〜、という気持ちだということです。

今回の二人のやりとりでは、「レイチェルの同居人である彼(ジョーイ本人)」のことは、ずっと、he/him 「彼」と表現されていました。
わざとそのように、同居人としてのジョーイを「彼」と表現しながら、「彼」についていろいろ語るのを楽しんでいる二人の様子を、今回のやりとりから感じていただければいいなと思います。


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posted by Rach at 15:02| Comment(0) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする