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前回の続きです。
ジョーイは、「俺は子供たちのメンター(ロールモデル)でもあるんだ」と言おうとして、a mentor ではなく、間違って a mento と言っています。
a mento だと、お菓子のメントス(mentos)の単数形になってしまうので、インタビュアーは、"A mento?" 「メントーなの?」と聞き返すのですが、ジョーイは間違いに気づく様子もなく、"Right." と答えた続きのシーン。
インタビュアー: Like the candy? (キャンディーみたいなもの?)
ジョーイ: Matter of fact, I do. (実は、俺はキャンディーは好きなんだよ。)
(Chandler tries to jump over the couch but everyone stops him.)
チャンドラーはカウチを乗り越えようとするが、みんなが彼を止める。
インタビュアー: Well umm, another thing our readers always want to know is how soap stars stay in such great shape. Do you have some kind of fitness regime? (えーっと、読者がいつも知りたいと思う、もう一つのことは、ソープ(オペラ)のスターは、どうやってそんな素晴らしい体型(or 体調)を維持してるのかってことなの。何か、フィットネスの方法があるの?)
ジョーイ: Uh, we stars usually just try to eat right and get lots of exercise. (あぁ、俺たちスターはいつも、きちんと食事して、エクササイズをたくさんするようにしてるよ。)
前回からのメントー(メントス)の話の続きとなっている、"Like the candy?" "Matter of fact, I do." というやりとりはなかなか面白いですね。
これは、like という単語に2つの意味があることを利用したオチになっています。
インタビュアーが、"Like the candy?" と尋ねたのは、"A mento is (something) like the candy?" 「メントーっていうのは、キャンディーみたいなもの?」という意味。
それに対してジョーイが、"Matter of fact, I do." と答えていますが、これを省略しないで完全な文で言おうとすると、"As a matter of fact, I like the candy." と言っていることになるでしょう。
I do. という返事の do は、直前のインタビュアーが使った「一般動詞」の言い換えになりますから、そのジョーイの返事から、ジョーイは like を「(一般)動詞」だと捉えて、I do. (= I like the candy.) と答えたということになるわけです。
ですからジョーイは、インタビュアーの Like the candy? を、Do you like the candy? 「あなたはキャンディーが好き?」という質問だと勘違いした、ということですね。
ジョーイが、I do. と答える前に、もったいぶった感じで、(as a) matter of fact 「実は、実を言うと、実際のところ」という言葉が挿入されているのも、「君は意外に思うかもしれないけど、何を隠そうこの俺は、キャンディーが大好きなんだよ」のように答えた感じを出すのに一役買っていると思います。
インタビュアーは、a mento の話の続きとして、「それって、キャンディーみたいなもの?」と尋ねたわけですが、ジョーイの中では、a role model の話はすでに終わっていて、唐突に「(あなた、)キャンディーは好き?」と尋ねられたと思ったため、「そんな質問をわざわざするくらいだから、俺はキャンディーとか嫌いに見えるのかもしれないけど、実のところ俺は、キャンディーは大好きだよ」と答えた感じが、Matter of fact, I do. のニュアンスだと思われるということです。
前回の記事でも説明したように、インタビュアーは、このやりとりの中では一切、a mentor (メンター)という正しい単語を口に出してはいません。
ですが、"A mento?" と尋ねることで、「a mento っていうのはメントスってキャンディーのことで、それを言うなら、a mentor じゃないの?」というニュアンスで助け舟を出したようになっていたのに、そのヒントにも気付かない上に、「キャンディーみたいな?」と尋ねた質問を「キャンディーは好き?」だと勘違いして、トンチンカンな答えをしているジョーイが、「まだ、わかってないのか!」的に面白いわけです。
a mentor という正しい単語で訂正することなく、a mento で(脚本上)話を続けたからこそ、この Like the candy? ネタのオチを作ることもできた、ということですね。
そんなジョーイを見かねて、「あぁ、もう俺が止めてくる!」みたいにカウチを乗り越えようとするチャンドラー、それを必死に止めるフレンズたちも楽しいです。
話がちぐはぐなまま、インタビュアーは次の質問に進みます。
another thing our readers always want to know is how soap stars stay in such great shape. は長いセリフですが、とにかくこういうものは、文の最後まで待たずに、聞こえた順番でイメージしていくことが大切で、前からイメージしてみると、「もう一つ別のこと、私たちの読者がいつも知りたいと思う、は、どんな風に、ソープ(オペラ)のスターが、そんな素晴らしい shape を維持するのか」になるでしょう。
ラフに訳すと、「読者が知りたいと思っていることがもう一つあるんだけど、あなたたちスターは、どんな風に素晴らしい shape を維持してるわけ?」みたいなことですね。
stay in such great shape という表現について。
in good shape に代表されるような、shape が使われているこういうフレーズを英英辞典で調べると、もっぱら「良い体調(健康状態)」という意味で説明されています(後で詳しく述べます)。
また、英和辞典では「良い体調」という意味以外に、「良い体型」という意味も載っています。
英辞郎では、
stay in good shape=体形[体調]を保つ
体型を保つ=keep [stay] in shape [fit]
また、
研究社 新英和中辞典では、
She has a slender shape. 彼女はすらりとした体つきをしている。
という例文も出ています。
shape の基本語義は「形、かっこう」で、「姿、外見、様子」という意味もあることから、「体型」という意味で理解するのは受け入れやすいですが、「体調」を表すのにも使えるということです。
ですから、stay in great shape というフレーズ自体は、「素晴らしい体型を維持する」または「素晴らしい体調・健康状態を維持する」のどちらにも解釈できる、ということになりますね。
今回のセリフについては、DVDの日本語訳では、
(字幕)読者の関心が強いのは スターの体型維持のコツよ
(音声)それから、うちの読者が特に知りたがってるのが、昼メロのスターは、どうやって体形を維持してるのか、ってことなの。
となっていました。
その質問をしている時のインタビュアーは、ジョーイの体の方にチラッと視線を向けているような気がしますし、ファンが知りたいと思う質問としては、「どうして体調が良いのか?」よりも、「どうしてそんな体型をキープできるのか」の方がもっともらしい気はしますよね。
テレビで見ている視聴者は、体調が良いなどという内面のことはわからないから、きっと見た目の話をしているのだろう、と。
また、ファンが興味があるのも、体調管理ではなく、体型キープの方法だろうと思われるので^^
なので、このセリフの意味としては、「スターはどうやって体型を維持しているのか?」という話だと解釈するのが自然だろうと思いました。
ただ、今回はそっち(体型の話)だろうとは思うのですが、英英辞典では、stay in shape, in great shape というフレーズの意味は、「体調」の意味で説明されているので、そのことを以下で少し説明させていただきますね。
日本人は「シェイプアップ」のような言葉のイメージから、good shape, great shape と聞くと、「良い体型・スタイル」しか逆に浮かばないだろうと思うので、「体型、スタイル」という見た目の話ではない、「コンディション、健康が良い」という意味もあるということを、この機会に確認しておいた方がいいかな、と思ったわけです。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、「体調」の意味で以下のような様々なフレーズが紹介されていました。
2. in good/bad/poor etc. shape : in good, bad etc. condition, or in good, bad etc. health
3. in shape/out of shape : in a good or bad state of physical fitness
keep/stay in shape
He plays basketball to keep in shape.
in good/awful/great etc. shape
Eddie is in better shape than anyone else on the team.
つまり、2. の in good/bad shape は「体調(コンディション)や健康が良い・悪い」。
3. の in shape/out of shape は「体の健康が良い・悪い」。
例文は、「彼は体調維持のために、バスケットボールをする」。「エディーはチームの誰よりも体調・調子が良い」。
stay in shape と in great shape という例がロングマンに出ていますが、それを組み合わせると、今回のセリフの、stay in (such) great shape になるわけで、そういう意味でも今回のセリフは、英英の語義をそっくり当てはめると、「素晴らしい体調を維持する」という風に解釈することも十分可能だと思うわけです。
ただ、今回のセリフについて言うと、話の流れと内容から、「体型維持」の話をしているのだろうと判断できる、ということですね。
その後に続く質問、Do you have some kind of fitness regime? について。
fitness は「フィットネス」という日本語になっていますが、元々は「フィットすること」→「適合、適合性」という意味で、そこから「健康状態の良好・健康」という意味としても使われます。
改めて、英英辞典の語義を見ておくと、
fitness : the condition of being healthy and strong enough to do hard work or sports
つまり、「健康であり、重労働やスポーツをするのに十分に強い体調」。
regime という単語は「体制、政権」という意味で、a puppet regime なら「傀儡(かいらい)政権」、the ancient regime なら「旧制度、旧体制」という意味になります。
世界史で「アンシャン・レジーム」(ancien regime)という言葉が出てきたのですが、それも、1789年フランス革命以前の「旧社会・政治体制」を指す言葉でした。
そのように regime は政治・制度の話では「体制、政権」という意味でよく使われるのですが、今回のセリフの regime は、regimen の意味で使われています。
英和辞典でも、英英辞典でも、regime の語義説明として、= regimen という記載があります。
その regimen の意味を見てみると、研究社 新英和中辞典では、
regimen 【名】【C】 〔医〕 (ダイエット・運動などによる)摂生、養生法、食養生
keep to a prescribed regimen 処方された養生法を守る。
と出ています。
LAAD では、
regimen : (formal) a special plan for food, exercise etc. that is intended to improve your health
例) a fitness regimen
つまり、「健康を促進することを目的とする食べ物や運動(エクササイズ)の特別なプラン」。
例は、「健康養生(ようじょう)法」。
「養生(ようじょう)」と表現すると、何だか古めかしい感じがしてしまいますが、要は、健康維持・体型維持のためのフィットネスプランみたいなものはあるのか?と尋ねていることになるでしょう。
その質問に対して、we stars usually 「俺たちスターは、たいてい…」みたいに答えているのも面白いですね。
インタビュアーが、soap stars と表現したことに気を良くして、「そうだね、俺たち、ソープオペラのスターたちは」と得意げに答えたことになるでしょう。
eat right は「正しい食事をする、きちんと食べる」、get lots of exercise は「たくさんエクササイズをする」ですね。
えらく、かっこいいことを言っているのですが、その後に続く回想シーンでは、ジョーイはそれと正反対なことをしているシーンが次々と登場することになるのも、コメディーのお約束的展開で面白いなと思いました。
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