ブログを続ける原動力となります。どうか今日も応援クリックをよろしくお願いします。


ジョーイのインタビューを行なっているインタビュアーは、フレンズたちに「友達として、ジョーイに関して読者が知っておくべきだと思うことが何かある?」と質問しています。
レイチェルがそれに得意気に答えますが、思ったほどウケずに、スベってしまった後、
フィービー: Umm, I... I just think that you don't expect someone so hot to be so sweet. (うーんと、私はただこう思うの。そんなにホット(セクシー)な人がそんなにスイートだって(優しいって)人は(誰も)思わないでしょう、って。)
インタビュアー: Oh! I like that. What's your name? (まぁ! それ、気に入ったわ。あなたのお名前は?)
フィービー: Umm, Phoebe Buffay. (あぁ、フィービー・ブッフェよ。)
インタビュアー: How do you spell that? So we can get it right. (それはどう綴るの?[どういうスペルを書くの?] (それを聞けば)私たちはその綴りを正しく書くことができるから。)
フィービー: Oh, okay, It's P as in Phoebe. H as in Heebie. O as in Obie. E as in Ebie. B as in Beebee. And E as in, (In an Australian accent) "'ello there, mate!" (あぁ、オッケー。P はフィービーの P。H はヒービーの H。O はオービーの O。E はイービーの E。B はビービーの B。そして、E は [オーストリア・アクセントで] 「エロー、ゼアー、メイト[or マイト]!」)
ジョーイが出演するソープオペラのタイトル "Days of our Lives" を使って、洒落たことを言って、雑誌に掲載してもらおうと思っていたレイチェルでしたが、本人が思っているほど、周りにはウケませんでした。
その後、フィービーが、I just think that you don't expect someone so hot to be so sweet. と言います。
you don't expect の you は、話を聞いているインタビュアーを指すというよりも、「一般の人々」を指すニュアンスでしょうね。
expect は「予期する」「期待する」「〜と思う」と訳されることが多いですが、ここでは「期待する」もしくは「期待する感じでそう思う」というニュアンスだろうと思います。
直訳すると、「私はただこう思うの。そんなにホット(セクシー)な誰かがそんなにスイート(優しい)だなんて、人は期待しないって」のようになるでしょうか。
もう少し自然な日本語にすると、「そんなにセクシーな人がそんなに優しいだなんて、きっと誰も思わないでしょうね」という感じだと思います。
ジョーイという名前は出していませんが、ジョーイのことを「すっごくセクシー、かつ、すっごく優しい」と表現しているわけですね。
ソープオペラの俳優として、ジョーイのことを hot だと思っている人がたくさんいるだろうけど、そんな彼はいつもとっても優しいのよ、と、「親しい友達だから言えること」っぽいことを答えていることになります。
その前のレイチェルの答えには、困った顔をしていたインタビュアーでしたが、このフィービーの答えは気に入ったようで、嬉しそうな顔をして、「それ気に入ったわ。あなたのお名前は?」とフィービーに尋ねます。
名前を答えたフィービーに、インタビュアーは、How do you spell that? 「その名前はどうやってスペルするの? どういう綴りで書くの?」と尋ねます。
get it right は「それを正しくゲットする」というところで、綴りをあなたに言ってもらえたら、その名前を正しくゲットできる、スペルを間違わずに名前を書ける、と言っている感覚になるでしょう。
そこでフィービーは、自分のスペルを説明していくことになるのですが、このフィービーの綴りの説明のしかたが、とってもフィービーっぽくって楽しいです。
フィービーっぽい独特の世界観があるものの、名前の綴りをアルファベットで説明する時の言い回しは、一般的なものですね。
P as in Phoebe のように、全て as in が使われていますが、英語では綴りを説明する際、このように「アルファベットの文字 as in そのアルファベットが最初についた単語」と表現します。
日本人が、自分の名前の漢字を電話で説明する時の感覚に近いですね。
私が自分の名前(三世)を説明する時には、「数字の三に、世界の世(せ)です。ルパン三世の三世です(← 一言、余計だw)」と説明するのがお決まりなのですが^^ 日本語でも英語でも、誰しもそういう「自分の名前の漢字・スペルの、自分なりの説明方法」というのを持っているように思います。
綴りを説明する時によく使われる単語というのは、だいたい決まっているようです。
これについては英辞郎で、"A as in" や "B as in" のように入力すると、全てのアルファベットでよく使われる単語を調べることが可能でしたので、興味のある方は是非、トライしてみて下さい。
ちなみに、フィービーの頭文字 P の場合は、"P as in Paul" または "P as in Papa" がよく使われるようです。
また、国際的な頭文字伝達の方法としては、Wikipedia 日本語版: NATOフォネティックコード
というものもあるようです。
映画の飛行機の無線のやりとりによく登場するのが、上の NATOフォネティックコードですね。
ということで、フィービーという名前の綴りを一般的に説明しようとすると、普通は、"P as in Paul/Papa, H as in hotel..." のようになるはずですが、それを「P はフィービーの P、H はヒービーの H」のように説明しているのが、ちょっとズレたフィービーっぽくて面白いわけですね。
それじゃあ、全然、スペルの説明になってないじゃん!というおかしさです。
2文字目を説明する時は、名前の2文字目から始める、という方法で、延々スペリングの説明をしていますが、一応、フィービー、ヒービー、オービー、イービー、ビー(ビー)のように「音として読める名前」になっているのも楽しいです。
最後に残った E については、E as in E では説明にならないため、無理やりな感じの説明になっているのが、このセリフのオチになっています。
"'ello there, mate!" は、挨拶の言葉のイメージですね。
'ello は、文字の見た感じと、音の感じから想像できる通り、Hello の H が落ちたもの。
"Hello there, mate!" は、アメリカ英語っぽく言うと、"Hi there, man!" のような感じでしょう。
ト書きに、「オーストラリア・アクセントで」とあるように、この "'ello there, mate!" は、オーストラリア英語のイメージのようです。
私がざっと調べてみたところ、「オーストラリア英語で、H 音が落ちる」というはっきりした記述はあまり見当たらなかったのですが、「イギリス英語のコックニーという発音(イギリス労働階級の発音と言われている)では、H 音が落ちる」という説明は見つけました。
オーストラリア英語は、イギリスのコックニーの影響を強く受けているという説明もありましたので、イギリスのコックニー、またはオーストラリア英語の傾向として、H 音が落ちる、という共通認識はあるように思います。
私はそういう「国によって異なるアクセント」を学ぶための参考書として、以下の2冊の本を持っています。
Amazon.co.jp: 4カ国の英語 リスニング強化ブック (The Japan Times)
Amazon.co.jp: ナマった英語のリスニング (The Japan Times)
オーストラリア英語の「音の脱落」については、「リスニング強化ブック」の p.56 に、以下のように説明されています。
語句や表現を短縮したものをよく使うのもオーストラリア英語独特の特徴です。こういった音の脱落、短縮はほかの国の英語でも見られますが、オーストラリアは、とくにその傾向が強いと言えるでしょう。
また、オーストラリア英語についてではなく、その元となった「コックニー」について、「ナマった英語のリスニング」の p.128 に、ブリティッシュ・アクセントを使う人のインタビューの中で、以下の説明がありました。(日本語訳も、本に書いてあった和訳を引用しています)
Q: If I were to visit London, which accents am I likely to encounter there? (私がロンドンを訪ねた場合、一番遭遇しそうなアクセントは何でしょうか?)
A: Well, primarily it would be the Cockney accent. People drop the 'h's from words, like '(H)ow'd you do that?' (そうですね、まずコックニー・アクセントだと思います。(コックニー・アクセントの)人々は、単語から「h」の音を落とします。例えば、「ハウ・ウドゥ・ヨゥー・ドゥー・ザット?」が、「アウ・ウドゥ・ヨゥー・ドゥー・ザット?」となるように。)
このように、コックニーでは「h」音を落とす、脱落させる、ということが、この本でははっきり説明されていますね。
ここで、今回のフィービーのセリフに戻ってみますと、"'ello there, mate!" の mate のように、呼び掛け語として、mate を使うのは、オーストラリア英語の特徴だとよく言われています。
同時に、オーストラリア英語は、"G'day, mate." 「グダイ、マイト」のように、[ei]音を[ai]音に発音することが多いとも言われていますね。
今回のフィービーの発音を聞いてみると、「マイト」よりは「メイト」に近い発音なので、ここを「マイト」と発音していたら、よりオーストラリア英語っぽくなっていたのかなぁ、と思ったりもします。
そういう意味では、このセリフは、「オーストラリア発音で」というよりも、「コックニー発音で」と解釈することも可能な気がしますね。
ちなみに、映画「パイレーツ・オブ・カリビアン」では、呼び掛け語として、主人公のジャック・スパロウは mate をよく使い、バルボッサはその mate の代わりに、matey の方を良く使う傾向がありました。
そのような mate/matey という呼び掛け語、そして、オーストラリア英語とイギリス英語の違いについて、過去記事 所有格のme (possessive me) フレンズ6-4その2 でお話させていただいたことがあります。
国の違いによる単語や発音の違いについて興味を持たれた方は、併せてお読みいただけると幸いです。
いずれにしても、Phoebe の最後の e のように「何かの文字の後についた E」を表現したくて、hello の H 音が落ちた 'ello を使って、「オーストラリア人の挨拶、エロー・ゼアー・メイト(or マイト)」の E よ、と説明したのが、今回のフィービーのセリフだった、ということですね。
ランキングをクリックして、応援していただけると嬉しいです。

