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シーズン9 第3話
The One With The Pediatrician (ジョーイの怪しいダブル・デート)
原題は「小児科医の話」
オクラホマ州タルサへの赴任が決まったチャンドラー。
チャンドラーとモニカの夫婦二人がタルサに引っ越すと伝えると、フレンズたちは非常に残念がって、何とかそれを引き止めようとするのですが、赴任命令が覆る(くつがえる)可能性はなさそうです。
[SCENE: Chandler and Monica's apartment]
チャンドラーとモニカのアパートメント。
チャンドラー: (Enters) Hi! ([入ってきて] はーい!)
モニカ: Hey! (はーい。)
チャンドラー: I've got good news! (いいニュースがある。)
モニカ: You got out of the whole Tulsa thing? (例のタルサの件は、なしになったの?)
チャンドラー: Okay, I have news. You don't have to move to Tulsa. You can stay here and keep your job. (よし、(ただの)ニュースがある。君はタルサに引っ越す必要はない。君はここにいて、仕事を続けることができるんだよ。)
モニカ: It's great! How? (最高だわ! どうやって(そんなことができるの)?)
チャンドラー. Well, my boss and I worked out a deal where I only have to be in Tulsa four days a week. So the other three, I can be here with you. (えっと、上司と俺とで取り決めをしたんだ、俺は1週間に4日、タルサにいるだけでいいっていう取り決めをね。だから、残りの3日は、ここで君と一緒にいられるんだ。)
モニカ: So you're gonna be gone four days a week? (Thinks about it.) No. (それじゃあ、あなたは1週間のうち4日間いない[向こうに行っちゃう]ってこと? [考えて] いやよ。)
チャンドラー: I'm sorry, are you just used to saying that? (ちょっと待って、君はただ、その(ノーって)言葉を言い慣れてるだけじゃないよね?)
チャンドラーは帰宅するなり、「いいニュースがある」と言っています。
You got out of the whole Tulsa thing? を直訳すると、「あなたは、例のタルサのこと・件全体から抜け出したの?」みたいな感じになるでしょうか。
the whole *** thing という表現は、フレンズによく出てきますが、〜に関するあれやこれやまとめて全部のこと、〜にまつわること全て、みたいな感覚になるでしょう。
会社の上司からタルサに赴任するように言われて、タルサに引っ越さないといけなくなった、という、タルサにまつわる一連のことを指すニュアンスですね。
get out of は、Get out of here! 「ここから出ていけ!」もしくは「ここから出るんだ!」でよく使われるような「〜から出る」ですね。
この場合は「〜から逃れる、脱する、脱出する、抜け出る」のような感覚で捉えるとよいでしょう。
「あなたは、タルサにまつわる一連の件から脱したの?」ということなので、「タルサの件は、なしになったの? なくなったの?」ということになります。
ニューヨークから遠く離れたタルサへの赴任は、二人にとって嬉しい話ではなかったので、「いいニュース」と聞いたモニカは即座に、「タルサの件は、ナシになったの?」みたいに言ったわけですが、実際にチャンドラーが言おうとした内容は、モニカが言うような「タルサへの赴任はとりやめになった」というニュースではなかったので、チャンドラーは、「いいニュースと聞いて君がそれを想像したのなら、今から話すのは”いいニュース”と言ってはいけないな」とばかりに、good という形容を外して、I have news. 「(特に good とは言わない)ニュースがある」と言い換えることになります。
その後、「君はタルサに引っ越す必要はない。君はここにいることができるし、自分の仕事をキープすることもできる」とチャンドラーは言っています。
keep your job は「君は(仕事を辞める必要はなく)そのまま今の仕事を続ける(ことができる)」ということですね。
タルサに引っ越すならば仕事も辞めないといけないと覚悟を決めていたモニカは、その話を聞いて、最高! と言い、How? 「どうやって(そんなことが可能なの?)」と問うています。
チャンドラーは事情を説明しています。
worked out a deal の deal は「取引、取り決め、協定」で work out は「考え出す、編み出す、調整する」なので、「ある取り決めを編み出した、考え出した」というところ。
その a deal の内容を、関係副詞 where を使って説明しています。
a deal where SV で「SがVするという取り決め」という意味になりますが、言葉が発せられた順番に意味を取っていこうとすると、worked out a deal 「ある取り決めを考え出した」、where SV 「その取り決め(の中)では、SがVする」とイメージした方がわかりやすいでしょう。
only have to do は「ただ〜しさえすればよい」。
have to は「〜しなければならない」ということですが、そこに only がつくことで、「しなければならないことは〜だけ」「〜だけをしなければならない」→「ただ〜しさえすればそれでよい」という意味になるわけですね。
「俺は、1週間に4日、タルサにいればいい。だから、他の(残りの)3日は、君と一緒にいられるんだ」というチャンドラーの話を聞いたモニカは、「そうすると、あなたは1週間のうち4日間、タルサに行ってしまっている(ここにはいない)ってことになるの?」と尋ねます。
そしてしばらく考えてから、No. と言っていますね。
「僕が4日間あっちに行けば、残りの3日間は君と一緒にいられる」と言った後に、「あなたは4日間あっちに行ってるってことよね」とモニカが確認するように言ったということは、「一緒にいられる3日間よりも、別々の4日間の方が気になる」と言っていることになりますね。
その上で、No. と言ったということは、「3日間一緒にいられると言っても、4日間は別々なんでしょ。それはだめよ。そんなのいやよ」という意味で言っていると考えるのが自然です。
チャンドラーも No. がそういう意味だとわかったようですが、「4日間あなたと別々なんて、いやよ」という意味で言ったと素直に信じてよいものか迷ったのでしょうか(笑)、冗談めかして、「君はただ、その No. って言葉を言い慣れてるだけじゃないよね?」と返しています。
be used to doing は「〜するのに慣れている」ですね(used to do 「以前はよく〜したものだった」と見た目が似ているために、私が学生時代の頃には文法の穴埋め問題によく登場したものでした)。
「ノーって言葉を言い慣れているだけじゃないよね?」というのは、「ノーって言葉を口癖のように言っているから、特に意味もなく反射的にノーという口癖で返しただけじゃないよね?」というところですね。
★Rach からの年末の挨拶★
早いもので、今日はもう大晦日ですね。
今年も、拙ブログをお読みいただき、コメントをいただき、ランキングクリックで応援していただき、本当にありがとうございました!
皆様の応援のおかげで、今日の「人気ブログランキング」は2位、「にほんブログ村」は6位となっています。このようにランキングも好調なまま、今年を終えることができたこと、本当に嬉しくありがたく思っております。
今年も1年、いろいろなことがありました。
1月4日、日経新聞土曜日版「日経プラス1」で私の英語学習法をご紹介していただきました。
関連記事:今日の日経プラス1で紹介されました!
「私の先生は海外ドラマ」セミナーを、神戸で3回(1月19日、4月20日、7月6日)、東京で2回(10月12日と13日)、開催させていただきました。
関連記事
追加セミナー終了しました!
追加セミナー第2弾終了しました!
追加セミナー第3弾終了しました!
東京セミナー終了しました!
11月4日、学研教育出版より、「読むだけ なるほど! 英文法」を出版しました。
関連記事:学研より英文法の本を出版しました!
新聞でご紹介いただけたこと、セミナーを複数回開催できたこと、6年ぶりとなる本を出版することができたこと、これらはすべて、このブログを読み、応援して下さった皆様方のお蔭です。
心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました!
2014年は私にとって、とても充実した1年でした。
それを励みに、来年も力いっぱい頑張りますね♪
今年一年、皆様本当にありがとうございました。
来年も、どうかよろしくお願いいたします。
皆様も、どうか良いお年をお迎え下さいませ(^^)
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2014年12月31日
2014年12月29日
僕はそのためにここにいる フレンズ9-2その6
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ジョーイへの怒りが収まらないロスを見て、ジョーイは「俺を殴れ」と言います。
ロスは何度か拒んだ後、それでも挑発を続けるジョーイをついに拳で殴るのですが、ジョーイがつい反射神経で避けてしまい、ロスは柱を殴って指を骨折してしまいました。
ジョーイに付き添われて病院に行った後、手に包帯を巻いた状態でロスは家に帰ってきます。
一方のレイチェルは、寝たエマを一度起こしてしまったところ、その後ちっとも寝てくれないのでノイローゼ気味になってしまいます。
最終的に、モニカが抱っこして揺らしたところ、エマがようやく寝てくれたため、レイチェルはモニカに、"You are the official baby-crier stopper!" (あなたは正式な[正式に任命された]泣き虫赤ちゃんストッパーよ!)と宣言していました。
[Scene: Ross and Rachel's, Ross enters.]
ロスとレイチェルの家。ロスが入ってくる。
ロス: Hey. (やあ。)
レイチェル: Heeeeey, where have you been? (He shows her his thumb) What happened to you? (はーい、今までどこにいたの? [ロスは親指を見せる] 何が起こったの?)
ロス: Ah I had a little thing with Joey. If you think this is bad, you should see him. (あぁ、ジョーイとちょっとあってね[やりあってね]。もし君がこれがひどい(大変な状態)だと思うなら、君はジョーイを見るべきだね[彼の方がもっとひどい状態だよ]。)
レイチェル: Oh, no, Ross! This is not good. We have to talk about this Joey thing. Please sit. (He sits) All right, you have got to get over this Joey thing. Okay? I never really wanted to marry Joey, okay? (あぁ、だめよ、ロス! こんなのよくないわ。私たちはこのジョーイの件について話し合わないといけない。座ってちょうだい。[ロスは座る] いいわ、あなたはこのジョーイの件を忘れないといけないわ。いい? 私は本当にジョーイと結婚したいなんて全く思ってなかったんだから、いい?)
ロス: Okay. (わかった。)
レイチェル: You know what I really, really want? (私がほんとにほんとに望んでることが何かわかる?)
ロス: What, Rach? (何なの? レイチェル。)
レイチェル: I wanna sleep. I wanna eat. I wanna take a shower. I mean, before she wakes up, and we gotta do this all over again. (私は眠りたいの。私は食べたいの。私はシャワーを浴びたいの。つまり、エマが目覚める前にね。そして(それから)私たちはまたこういうことを全部しないといけないのよ。)
ロス: (smiles) Right. ([微笑んで] そうだね。)
レイチェル: I mean, because I got news for you, mister. Emma? Not easy. (だって私はあなたにニュース(伝えること)があるんだから。エマはね、簡単じゃないわよ。)
ロス: Well, that's what I'm here for. (Emma starts crying again) You want me to get that? (あぁ、僕はそのためにここにいるんだよ。[エマがまた泣き始める] 僕に(エマのことを)見てほしい?)
レイチェル: No, that's really okay.... Monica? (いいえ、それはほんとに大丈夫なの…モニカ?)
モニカ: (comes running out the kitchen to the bedroom) Got it! Got it! Got it! Got it! Got it! Got it! ([台所から走って出てきて、寝室に向かう] 了解!了解!了解!了解!了解!了解!)
レイチェルは Where have you been? と言っています。
Where are you? という現在形なら「あなたは(今)どこにいるの?」、Where were you? という過去形なら「あなたはどこにいたの?」になりますね。
今回は現在完了形を使うことで、「(今ここに帰ってくるまでの間)今まであなたはどこにいたの?」と尋ねていることになります。
ジョーイを殴り損ねて柱に手をぶつけたロスは、ジョーイに付き添われて病院に行っていたのですが、レイチェルとしては、「セントラルパークにマフィンを買いに行ったはずなのに、帰りがこんなに遅くなるなんて、一体どこで何をしていたの?」という気持ちから、「今までどこにいたの?」と問うているわけです。
ロスが包帯している手を見せるのでレイチェルは驚きます。
そしてロスは、I had a little thing with Joey. と説明していますね。
直訳すると、「ジョーイと(の間に)ちょっとしたことがあった」になりますが、ちょっとしたもめごと、喧嘩、トラブルを示唆するニュアンスになるでしょう。
日本語でも「彼とちょっとあってね」みたいに言うと何かしらのもめごとがあった感が出ますよね。
次の If you think this is bad, you should see him. を直訳すると、「もし君が、これをひどいと思うなら、君はジョーイを見るべきだ」。
ひどい、というのは「ひどいケガ、大変なケガ」ということで、「まぁ、ロスったらひどいケガをして大変ね」ともしレイチェルが思うのなら、レイチェルはジョーイの今の姿がどんな風になっているかを見るべきだ、と表現することで、「ジョーイのケガは僕のこのケガよりもさらにひどい、ジョーイの方が大変な状態になってるよ」と言っていることになります。
実際には、ジョーイに「気が済むように俺を殴れ」と挑発されて、思い切り殴ろうとしたところ、ジョーイが避けてしまい柱を殴ってしまって骨折したわけで、ジョーイの方には全くケガはありません。
ですが最初に「ジョーイとちょっと(やり)あってね」と説明したように、その場にいなかったレイチェルには「二人が喧嘩した結果、こんなケガをしてしまった」と思わせたくて、「僕が一方的にやられっぱなしじゃなくて、ジョーイのダメージも相当なものなんだよ」と表現したことになります。
その話をレイチェルが信じたかどうかは別にして(笑)、とにかくジョーイとモメてそんなケガをしたことは間違いないようなので、レイチェルは「こんなのよくないわ。私たちはこのジョーイの件について話し合わないといけないわ」と言っています。
座って、と言ってロスを座らせた後、you have got to get over this Joey thing. とレイチェルは言います。
have got to = have to で、get over は「乗り越える、克服する、打ち勝つ」「忘れる」というニュアンスですね。
この場合は「ジョーイのことにこだわるのはやめて、そんなことはとにかく忘れて」と言っている感覚になるでしょう。
「私はジョーイと本当に結婚したいなどとは決して思わなかった」と述べることで、「あの時プロポーズを受けてしまった形になったけれど、ジョーイと結婚したくてそう言ったんじゃない、前にも言ったようにあの時の私は誰にそう言われてもイエスと言ってしまいそうなほど疲れ切っていたのよ」と説明していることになります。
「相手がジョーイ」であったことにずっとこだわっていたロスですが、レイチェルにそう言われて、ようやく納得した様子。
その後、レイチェルは、「私が本当に本当に望んでいるものが何か知ってる? 何だかわかる?」と言っています。
「ジョーイの件は忘れて。私は本当にジョーイと結婚を望んだわけじゃないんだから」という話の続きなので、もしかしたら「私が本当に結婚を望んでいるのは」とか「私が本当にずっとそばにいて欲しい人は」という話の流れになるのかな? とちょっと期待させるセリフではありますが、レイチェルが「今一番望むもの」と言ったのは、「私は眠りたい。私は食べたい。私はシャワーを浴びたい」でした。
このエピソードでは、エマが寝てくれないことで、子守をしている女性陣がみんなノイローゼ気味になってしまう描写がされていましたので、「何だ、恋愛・結婚系の望みじゃなかったのか」と観客の期待を裏切って拍子抜けさせつつも、レイチェルのその望みには納得してしまう流れになっているわけです。
次の I mean, before she wakes up, and we gotta do this all over again. について。
前半の I mean, before she wakes up は、その前に言った「眠りたい、食事したい、シャワー浴びたい」ということを、エマが目覚める前にしたい、しないといけない、と言っていることになります。
寝たい、食べたい、という今の望みをエマが起きちゃう前に済ましちゃわないといけないの、ということですね。
その後の and we gotta do this all over again がちょっと漠然とした表現ではあるのですが、all over again というフレーズは「最初からもう一度、初めからやり直し」というニュアンスなので、「私たちはこれ(this)をまた初めから全部やり直さなければならない」という感覚が感じられる気がします。
ですからこの this は、「エマの世話全般」を「こういうこと」と表現している気がするのですね。
エマが目覚める前に私は眠って食事してシャワーを浴びないと。その後また、エマの世話のこういうことをもう一度全部最初からしないといけないんだから、のように表現しているのだと私は思いました。
エマが寝ている間に私の望むことを済ませておかないと、またそれができなくなる、いったんエマが目覚めてしまえば、エマの世話で自分のことができなくなるから、と言っているのだろうと。
「エマが寝ている間に、あれもしたい、これもしたい」と訴えるレイチェルに、ロスは微笑みながら「そうだね」と言っています。
ロスにはベンという子供がいるので、子育ての苦労はよくわかっている、だからレイチェルがそうやって「とにかく寝たいの」と言う気持ちにも理解があるわけですね。
I mean, because I got news for you, mister. Emma? Not easy. について。
because は「なぜなら〜だから」と訳されることが多いですが、この because はそれほどはっきり「なぜなら〜だから」と訳す必要もなさそうな気はします。
ここで because が使われているのは、レイチェルが「エマが起きる前に自分の用事を済まさないと。エマが起きたらまたあれこれしないといけないんだから」と必死に訴えているのを、ロスがただ微笑みながら Right. と言っただけなことに、ちょっと抗議するようなニュアンスがあるのかな、と思います。
ロスは理解ある風に微笑んでいる様子ですが、レイチェルにはその反応が不満だった、というか、「エマの世話の大変さをロスはわかってないみたいね」という気持ちがあるようで、そのために、「ロスは他人事みたいに聞いているようだけどね、私はあなたに伝えるべきニュースがあるんだからね、言わないといけないことがあるのよ」と言うニュアンスで、because を使ったように思うわけです。
呼び掛け語に、Ross という相手の名前ではなく、わざわざ mister 「ミスター」を使ったのも、「私の話を他人事のように聞いていらっしゃる様子のあなた」的な「距離感」を出したかったからかな、と思います。
Emma? Not easy. は「エマ? 簡単じゃない」ということで、つまりは、「エマってどんな子だと思う? 一筋縄ではいかない、手ごわい相手よ」と言っている感覚になるでしょう。
レイチェルにしてみれば、「そんな余裕の表情で扱える相手じゃないんだから」という感覚で、微笑むロスにそう言ったようですが、それを聞いたロスは、that's what I'm here for. と言っています。
意味としては「僕はそのためにここにいるんだよ」ということですね。
I'm here for (something). 「僕は(〜)のためにここにいる」の something が what として前に出て、その something に当たることが、that (今レイチェルが言ったことである)と述べている感覚になります。
「エマは扱いが大変な子よ。かなりのやんちゃよ」と言ったことに対して、「娘のエマがやんちゃだからこそ、父親の僕がここにいるんだよ。そのエマの面倒を見るために僕はここにいるんだよ」と言っていることになります。
これはなかなか素敵なセリフですね。
そんなことを話していると、寝室からエマの泣き声が聞こえてきたので、ロスは自分が今言った通り、「僕にエマ(の面倒)を見てほしい?」のようなことを言っています。
get that は「あれをゲットする」ということで、that は「エマがああして泣いていること」という感覚でしょう。
get にはあまりにも多くの訳が可能ですが、基本的には「取る」の感覚が近いでしょうか。
例えば電話やインターホンが鳴った時に、I'll get it. 「僕が出るよ」のように get を使いますが、その場合も「僕がそれを取ろう」→「僕が出るよ、僕が対応するよ」という感覚ですね。
今回の get that も「(僕が)それ・あれに対応する」という感覚で使っているように思いました。
そう申し出たロスですが、レイチェルは「全然オッケーなの」みたいに言って、モニカの名前を呼ぶと、台所からモニカが走って出てきて、Got it! Got it! ... (音的には「ガリ、ガリ」という感じ)と叫びながら、走ってエマが泣いている寝室に入っていきます。
エマを上手に寝かしつけることに成功したモニカは、レイチェルに、"You are the official baby-crier stopper!" と言われるシーンが少し前にあったのですが、最後のこのシーンでそのネタが使われた感じですね。
Got it. = I got it. ということで、「わかった。了解」というニュアンスでよく使われるフレーズです。
仮にこれが、ロスがエマの面倒を見ようとして立ちあがったのを、モニカが「いいえ、私がやるわ」と押しのける形なら、電話に出る、と同じようなニュアンスの、I'll get it. が使われるように思います。
今回の場合は、「(他の人ではなくて)私がやるわ!」という I'll get it. のニュアンスではなくて、レイチェルに「モニカ! the official baby-crier stopper (公認・泣き虫赤ちゃんストッパー)としての出番よ!」みたいに呼ばれたので、Got it! 「了解!」と言いながら走って行った、ということになるでしょう。
ストッパーに任命された時は「えー?」という感じだったモニカでしたが、名前を呼ばれて当然のように走って行くモニカに笑えてしまうシーンということですね。
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ロスは何度か拒んだ後、それでも挑発を続けるジョーイをついに拳で殴るのですが、ジョーイがつい反射神経で避けてしまい、ロスは柱を殴って指を骨折してしまいました。
ジョーイに付き添われて病院に行った後、手に包帯を巻いた状態でロスは家に帰ってきます。
一方のレイチェルは、寝たエマを一度起こしてしまったところ、その後ちっとも寝てくれないのでノイローゼ気味になってしまいます。
最終的に、モニカが抱っこして揺らしたところ、エマがようやく寝てくれたため、レイチェルはモニカに、"You are the official baby-crier stopper!" (あなたは正式な[正式に任命された]泣き虫赤ちゃんストッパーよ!)と宣言していました。
[Scene: Ross and Rachel's, Ross enters.]
ロスとレイチェルの家。ロスが入ってくる。
ロス: Hey. (やあ。)
レイチェル: Heeeeey, where have you been? (He shows her his thumb) What happened to you? (はーい、今までどこにいたの? [ロスは親指を見せる] 何が起こったの?)
ロス: Ah I had a little thing with Joey. If you think this is bad, you should see him. (あぁ、ジョーイとちょっとあってね[やりあってね]。もし君がこれがひどい(大変な状態)だと思うなら、君はジョーイを見るべきだね[彼の方がもっとひどい状態だよ]。)
レイチェル: Oh, no, Ross! This is not good. We have to talk about this Joey thing. Please sit. (He sits) All right, you have got to get over this Joey thing. Okay? I never really wanted to marry Joey, okay? (あぁ、だめよ、ロス! こんなのよくないわ。私たちはこのジョーイの件について話し合わないといけない。座ってちょうだい。[ロスは座る] いいわ、あなたはこのジョーイの件を忘れないといけないわ。いい? 私は本当にジョーイと結婚したいなんて全く思ってなかったんだから、いい?)
ロス: Okay. (わかった。)
レイチェル: You know what I really, really want? (私がほんとにほんとに望んでることが何かわかる?)
ロス: What, Rach? (何なの? レイチェル。)
レイチェル: I wanna sleep. I wanna eat. I wanna take a shower. I mean, before she wakes up, and we gotta do this all over again. (私は眠りたいの。私は食べたいの。私はシャワーを浴びたいの。つまり、エマが目覚める前にね。そして(それから)私たちはまたこういうことを全部しないといけないのよ。)
ロス: (smiles) Right. ([微笑んで] そうだね。)
レイチェル: I mean, because I got news for you, mister. Emma? Not easy. (だって私はあなたにニュース(伝えること)があるんだから。エマはね、簡単じゃないわよ。)
ロス: Well, that's what I'm here for. (Emma starts crying again) You want me to get that? (あぁ、僕はそのためにここにいるんだよ。[エマがまた泣き始める] 僕に(エマのことを)見てほしい?)
レイチェル: No, that's really okay.... Monica? (いいえ、それはほんとに大丈夫なの…モニカ?)
モニカ: (comes running out the kitchen to the bedroom) Got it! Got it! Got it! Got it! Got it! Got it! ([台所から走って出てきて、寝室に向かう] 了解!了解!了解!了解!了解!了解!)
レイチェルは Where have you been? と言っています。
Where are you? という現在形なら「あなたは(今)どこにいるの?」、Where were you? という過去形なら「あなたはどこにいたの?」になりますね。
今回は現在完了形を使うことで、「(今ここに帰ってくるまでの間)今まであなたはどこにいたの?」と尋ねていることになります。
ジョーイを殴り損ねて柱に手をぶつけたロスは、ジョーイに付き添われて病院に行っていたのですが、レイチェルとしては、「セントラルパークにマフィンを買いに行ったはずなのに、帰りがこんなに遅くなるなんて、一体どこで何をしていたの?」という気持ちから、「今までどこにいたの?」と問うているわけです。
ロスが包帯している手を見せるのでレイチェルは驚きます。
そしてロスは、I had a little thing with Joey. と説明していますね。
直訳すると、「ジョーイと(の間に)ちょっとしたことがあった」になりますが、ちょっとしたもめごと、喧嘩、トラブルを示唆するニュアンスになるでしょう。
日本語でも「彼とちょっとあってね」みたいに言うと何かしらのもめごとがあった感が出ますよね。
次の If you think this is bad, you should see him. を直訳すると、「もし君が、これをひどいと思うなら、君はジョーイを見るべきだ」。
ひどい、というのは「ひどいケガ、大変なケガ」ということで、「まぁ、ロスったらひどいケガをして大変ね」ともしレイチェルが思うのなら、レイチェルはジョーイの今の姿がどんな風になっているかを見るべきだ、と表現することで、「ジョーイのケガは僕のこのケガよりもさらにひどい、ジョーイの方が大変な状態になってるよ」と言っていることになります。
実際には、ジョーイに「気が済むように俺を殴れ」と挑発されて、思い切り殴ろうとしたところ、ジョーイが避けてしまい柱を殴ってしまって骨折したわけで、ジョーイの方には全くケガはありません。
ですが最初に「ジョーイとちょっと(やり)あってね」と説明したように、その場にいなかったレイチェルには「二人が喧嘩した結果、こんなケガをしてしまった」と思わせたくて、「僕が一方的にやられっぱなしじゃなくて、ジョーイのダメージも相当なものなんだよ」と表現したことになります。
その話をレイチェルが信じたかどうかは別にして(笑)、とにかくジョーイとモメてそんなケガをしたことは間違いないようなので、レイチェルは「こんなのよくないわ。私たちはこのジョーイの件について話し合わないといけないわ」と言っています。
座って、と言ってロスを座らせた後、you have got to get over this Joey thing. とレイチェルは言います。
have got to = have to で、get over は「乗り越える、克服する、打ち勝つ」「忘れる」というニュアンスですね。
この場合は「ジョーイのことにこだわるのはやめて、そんなことはとにかく忘れて」と言っている感覚になるでしょう。
「私はジョーイと本当に結婚したいなどとは決して思わなかった」と述べることで、「あの時プロポーズを受けてしまった形になったけれど、ジョーイと結婚したくてそう言ったんじゃない、前にも言ったようにあの時の私は誰にそう言われてもイエスと言ってしまいそうなほど疲れ切っていたのよ」と説明していることになります。
「相手がジョーイ」であったことにずっとこだわっていたロスですが、レイチェルにそう言われて、ようやく納得した様子。
その後、レイチェルは、「私が本当に本当に望んでいるものが何か知ってる? 何だかわかる?」と言っています。
「ジョーイの件は忘れて。私は本当にジョーイと結婚を望んだわけじゃないんだから」という話の続きなので、もしかしたら「私が本当に結婚を望んでいるのは」とか「私が本当にずっとそばにいて欲しい人は」という話の流れになるのかな? とちょっと期待させるセリフではありますが、レイチェルが「今一番望むもの」と言ったのは、「私は眠りたい。私は食べたい。私はシャワーを浴びたい」でした。
このエピソードでは、エマが寝てくれないことで、子守をしている女性陣がみんなノイローゼ気味になってしまう描写がされていましたので、「何だ、恋愛・結婚系の望みじゃなかったのか」と観客の期待を裏切って拍子抜けさせつつも、レイチェルのその望みには納得してしまう流れになっているわけです。
次の I mean, before she wakes up, and we gotta do this all over again. について。
前半の I mean, before she wakes up は、その前に言った「眠りたい、食事したい、シャワー浴びたい」ということを、エマが目覚める前にしたい、しないといけない、と言っていることになります。
寝たい、食べたい、という今の望みをエマが起きちゃう前に済ましちゃわないといけないの、ということですね。
その後の and we gotta do this all over again がちょっと漠然とした表現ではあるのですが、all over again というフレーズは「最初からもう一度、初めからやり直し」というニュアンスなので、「私たちはこれ(this)をまた初めから全部やり直さなければならない」という感覚が感じられる気がします。
ですからこの this は、「エマの世話全般」を「こういうこと」と表現している気がするのですね。
エマが目覚める前に私は眠って食事してシャワーを浴びないと。その後また、エマの世話のこういうことをもう一度全部最初からしないといけないんだから、のように表現しているのだと私は思いました。
エマが寝ている間に私の望むことを済ませておかないと、またそれができなくなる、いったんエマが目覚めてしまえば、エマの世話で自分のことができなくなるから、と言っているのだろうと。
「エマが寝ている間に、あれもしたい、これもしたい」と訴えるレイチェルに、ロスは微笑みながら「そうだね」と言っています。
ロスにはベンという子供がいるので、子育ての苦労はよくわかっている、だからレイチェルがそうやって「とにかく寝たいの」と言う気持ちにも理解があるわけですね。
I mean, because I got news for you, mister. Emma? Not easy. について。
because は「なぜなら〜だから」と訳されることが多いですが、この because はそれほどはっきり「なぜなら〜だから」と訳す必要もなさそうな気はします。
ここで because が使われているのは、レイチェルが「エマが起きる前に自分の用事を済まさないと。エマが起きたらまたあれこれしないといけないんだから」と必死に訴えているのを、ロスがただ微笑みながら Right. と言っただけなことに、ちょっと抗議するようなニュアンスがあるのかな、と思います。
ロスは理解ある風に微笑んでいる様子ですが、レイチェルにはその反応が不満だった、というか、「エマの世話の大変さをロスはわかってないみたいね」という気持ちがあるようで、そのために、「ロスは他人事みたいに聞いているようだけどね、私はあなたに伝えるべきニュースがあるんだからね、言わないといけないことがあるのよ」と言うニュアンスで、because を使ったように思うわけです。
呼び掛け語に、Ross という相手の名前ではなく、わざわざ mister 「ミスター」を使ったのも、「私の話を他人事のように聞いていらっしゃる様子のあなた」的な「距離感」を出したかったからかな、と思います。
Emma? Not easy. は「エマ? 簡単じゃない」ということで、つまりは、「エマってどんな子だと思う? 一筋縄ではいかない、手ごわい相手よ」と言っている感覚になるでしょう。
レイチェルにしてみれば、「そんな余裕の表情で扱える相手じゃないんだから」という感覚で、微笑むロスにそう言ったようですが、それを聞いたロスは、that's what I'm here for. と言っています。
意味としては「僕はそのためにここにいるんだよ」ということですね。
I'm here for (something). 「僕は(〜)のためにここにいる」の something が what として前に出て、その something に当たることが、that (今レイチェルが言ったことである)と述べている感覚になります。
「エマは扱いが大変な子よ。かなりのやんちゃよ」と言ったことに対して、「娘のエマがやんちゃだからこそ、父親の僕がここにいるんだよ。そのエマの面倒を見るために僕はここにいるんだよ」と言っていることになります。
これはなかなか素敵なセリフですね。
そんなことを話していると、寝室からエマの泣き声が聞こえてきたので、ロスは自分が今言った通り、「僕にエマ(の面倒)を見てほしい?」のようなことを言っています。
get that は「あれをゲットする」ということで、that は「エマがああして泣いていること」という感覚でしょう。
get にはあまりにも多くの訳が可能ですが、基本的には「取る」の感覚が近いでしょうか。
例えば電話やインターホンが鳴った時に、I'll get it. 「僕が出るよ」のように get を使いますが、その場合も「僕がそれを取ろう」→「僕が出るよ、僕が対応するよ」という感覚ですね。
今回の get that も「(僕が)それ・あれに対応する」という感覚で使っているように思いました。
そう申し出たロスですが、レイチェルは「全然オッケーなの」みたいに言って、モニカの名前を呼ぶと、台所からモニカが走って出てきて、Got it! Got it! ... (音的には「ガリ、ガリ」という感じ)と叫びながら、走ってエマが泣いている寝室に入っていきます。
エマを上手に寝かしつけることに成功したモニカは、レイチェルに、"You are the official baby-crier stopper!" と言われるシーンが少し前にあったのですが、最後のこのシーンでそのネタが使われた感じですね。
Got it. = I got it. ということで、「わかった。了解」というニュアンスでよく使われるフレーズです。
仮にこれが、ロスがエマの面倒を見ようとして立ちあがったのを、モニカが「いいえ、私がやるわ」と押しのける形なら、電話に出る、と同じようなニュアンスの、I'll get it. が使われるように思います。
今回の場合は、「(他の人ではなくて)私がやるわ!」という I'll get it. のニュアンスではなくて、レイチェルに「モニカ! the official baby-crier stopper (公認・泣き虫赤ちゃんストッパー)としての出番よ!」みたいに呼ばれたので、Got it! 「了解!」と言いながら走って行った、ということになるでしょう。
ストッパーに任命された時は「えー?」という感じだったモニカでしたが、名前を呼ばれて当然のように走って行くモニカに笑えてしまうシーンということですね。
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2014年12月26日
パリに行ったことない人がそう言ってる フレンズ9-2その5
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会社の会議中に居眠りしていて、話を聞かずに賛成してしまったために、オクラホマ州のタルサへの赴任が決まってしまったチャンドラー。
会社から帰ってきたチャンドラーは、モニカに話があるんだと言って、その赴任のことを告げようとしているところ。
モニカ: Okay, what's up? (いいわ、どうしたの?)
チャンドラー: Okay. Umm, you know how we always said it would be fun to move to Paris for a year? And you could study French cooking, and I could write and we could take a picnic along the Seine, and go wine-tasting in Bordeaux? (よし。うーんと、パリに1年くらい引っ越したら楽しいだろうなって、俺たちいつも話してたよね? そして君はフランス料理を学んで、俺は書き物をして、二人でセーヌ川のほとりでピクニックしたり、ボルドーにワインのテイスティングをしに行ったり?)
モニカ: Oh yeah (smiles). (ええ、そうね。[微笑む])
チャンドラー: Okay. You know how people say that Tulsa... is the Paris of Oklahoma? (よし。で、タルサは…オクラホマのパリだってみんなが言ってるのを知ってるよね?)
モニカ: What? Who says that? (何ですって? 誰がそんなことを言ってるの?)
チャンドラー: People who've never ever been to Paris? (パリに行ったことのない人たち(かな)?)
モニカ: Well, what's going on? (うーん、一体何なの?)
チャンドラー: We're moving to Tulsa! (Makes a excited expression on his face) (俺たちはタルサに引っ越すんだ! [顔にワクワクするような表情を浮かべる])
モニカ: Excuse me? (何ですって?)
チャンドラー: Okay. Ms. McKenna, she kind of works above my boss. She asked me to move to Tulsa and be the president of our office there. And I was sleeping and apparently said yes. (よし。ミズ・マッケナ、彼女は俺のボスの上にいる人なんだけど。その彼女が俺に、タルサに赴任して、そこのオフィスの責任者になるように言ったんだ。それで俺は(その時)眠っていて、どうやらイエスって言っちゃったみたいなんだよね。)
モニカ: (stands up angry) Tulsa, Oklahoma? ([怒って立ち上がり] タルサ、オクラホマ州の?)
タルサへの赴任を妻モニカに伝えないといけないチャンドラーですが、タルサの名前を出す前に、パリの話をしています。
you know how we always said it would be fun to move to Paris for a year? について。
it would be fun to move の would には「もし〜したら…だろう」という仮定の意味が込められているので、「(もし俺たちが)パリに1年くらい引っ越したとしたら、楽しいだろうね」という意味になります。
ですから、文全体を直訳すると、「もし1年間、パリに引っ越したとしたら楽しいだろうな、って俺たちがいつも話していた様子を知ってるだろ? 俺たちがどんな風に話してたか知ってるだろ?」になるでしょう。
このような you know how の形は、フレンズによく出てくるのですが、意味としては、you know that に近い感覚になります。
過去記事、thatの代わりにhowを使うと フレンズ5-14その2 で、まさにそういう「that の代わりに how を使うことによるニュアンスの違い」を説明してありますので、併せてお読みいただけると幸いです。
ここでも簡単に説明しておきますと、こういう how は、接続詞 that と同じようなニュアンスで、「…ということ」という意味になるわけですが、「こと」という「単なる事実」よりももう少し「込み入った事情、様子」を述べたい場合に、how+S+V 「どんな風にSがVしたかを、SがVした様子を」というニュアンスが感じられる how を使う、ということになります。
今回のセリフも、「俺たちがいつもそんな話をしていた”こと”を知ってるだろ」というよりも、「”どんな風に”そんな話をしていたかを知ってるだろ」という感覚になるために、「ほら、俺たちいつもそんな話してたじゃん。だろ?」みたいなニュアンスが出るのですね。
「もしパリに1年ほど行ったら」の話の続きを、チャンドラーは could を使って語っています。
この could には、「もしパリに行ったとしたら、〜できる(だろう)」という仮定のニュアンスが込められていることになります。
モニカはフランス料理を学ぶことができるし、俺は write することができる、と言っていますが、それは「書き物をする、何か文章を書く」というようなニュアンスですね。
今のビジネスマンとしての仕事に追われることなく、まるで作家か何かのようにのんびり優雅に本を書くようなイメージでしょう。
セーヌ川のほとりでピクニック、ボルドーでワインのテイスティング、と具体的な地名も出して、そのイメージを語るチャンドラー。
モニカもそれを嬉しそうに聞いているのですが、その後チャンドラーは、You know how people say that Tulsa... is the Paris of Oklahoma? と言っています。
これも、先ほど説明した、You know how の形ですね。
内容は「タルサは…オクラホマ(州)のパリである、と人々が言っている」なので、「ほら、人々が、”タルサはオクラホマのパリだ”って言ってるのを、モニカも知ってるだろ?」のようなニュアンスになります。
この場合、You know that よりも、You know how を使う方が「当然モニカもそのことを知ってるよねぇ?」的な感覚が出るように思います。
「ほら、君も知ってるだろ、人がそんな風に言っていることを」みたいに言われたモニカですが、モニカはそんな話聞いたこともなかったので、「何ですって? 誰がそんなことを言ってるの?」と即座に問い返すことになります。
それに対するチャンドラーの返事が面白いですね。
直訳すると、「パリに今まで一度も行ったことがない人たち(かな)?」というところ。
have been to は「〜に行ったことがある」という現在完了形で、それを never ever 「全く全然ない」という強い否定語で否定しているので、「パリには一度たりとも行ったことがない人たちが、そういうことを言ってる…みたいなんだけど?」のように、言っていることになります。
モニカは急にタルサの地名が出てきたので、何のことやらさっぱりわからないでしょうが、観客や視聴者は「チャンドラーがオクラホマ州タルサに赴任することになった。そのことをモニカに今から説明しようとしている」ことを知っているので、モニカが憧れそうなパリの話を先に持ち出して、「(これから話をする)タルサはオクラホマのパリって呼ばれてるんだよね」という方向でモニカを説得しようとしていることが話の流れからわかるわけです。
実際にタルサがそんな風に呼ばれているはずもないだろうし、モニカの「誰がそんなことを言ってるの?」という発言からもそれが「チャンドラーの作り話」であることはわかるのですが、そんなミエミエの嘘をどうフォローするのかと思ったら、「実際にはパリに行ったことのない人が、勝手にそう言ってるだけなんだけど、、」的なオチになっているのが、非常にチャンドラーらしくて面白いなと思うわけです。
「タルサはオクラホマのパリだ」などと急に言い出したチャンドラーに対して、モニカは「一体何なの? 何が起こってるの?」と尋ねます。
もうこれ以上、下手な小細工は無駄だと判断したらしいチャンドラーは、「俺たちはタルサに引っ越すんだ!」と、excited な表情を顔に浮かべて言っています。
モニカが驚いた声を出すと、チャンドラーは事情を説明し始めます。
ミズ・マッケナという名前を出して、she kind of works above my boss. と言っています。
works above my boss ですから、「俺のボス・上司の上で働く(人)」、つまり、「俺の上司の上にいる人、上司の上司」みたいなことですね。
その人が俺に「タルサに行って、そこのわが社のオフィスの長になれ」と命じた。そして俺は(それを命じられた時)眠っていて、どうやらイエスと言ったらしい、と説明しています。
apparently はフレンズ頻出の副詞で「どうやら〜らしい」という意味ですね。
俺は眠っていて寝ぼけていて、よく覚えてないんだけど、どうやら(無意識のうちに)イエスと言ってしまったらしいんだ、とボカして表現していることになります。
自分から積極的にイエスと言ったわけではなくて、「どうも俺はイエスって言っちゃったみたいなんだよねぇ〜」と言っている感覚なのですが、チャンドラーがイエスと言ってしまった事実は確かなので、モニカは立ち上がって、「オクラホマ州のタルサですって?」と激怒することになります。
ちなみに、オクラホマ州というのは、アメリカ南中部の州で、Google マップで、ニューヨークとタルサの距離を調べたら、1,343 miles と出ました。
1マイル=約1.6km なので、1,343マイル=2,161キロメートルになります。(車で行こうとすると、20時間11分かかるそうですw)
実際の移動は飛行機になるでしょうが、唐突に「2,000キロ以上離れた土地に赴任する」と言われたわけですから、モニカが驚き怒るのも無理はない、ということですね。
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チャンドラー: Okay. Umm, you know how we always said it would be fun to move to Paris for a year? And you could study French cooking, and I could write and we could take a picnic along the Seine, and go wine-tasting in Bordeaux? (よし。うーんと、パリに1年くらい引っ越したら楽しいだろうなって、俺たちいつも話してたよね? そして君はフランス料理を学んで、俺は書き物をして、二人でセーヌ川のほとりでピクニックしたり、ボルドーにワインのテイスティングをしに行ったり?)
モニカ: Oh yeah (smiles). (ええ、そうね。[微笑む])
チャンドラー: Okay. You know how people say that Tulsa... is the Paris of Oklahoma? (よし。で、タルサは…オクラホマのパリだってみんなが言ってるのを知ってるよね?)
モニカ: What? Who says that? (何ですって? 誰がそんなことを言ってるの?)
チャンドラー: People who've never ever been to Paris? (パリに行ったことのない人たち(かな)?)
モニカ: Well, what's going on? (うーん、一体何なの?)
チャンドラー: We're moving to Tulsa! (Makes a excited expression on his face) (俺たちはタルサに引っ越すんだ! [顔にワクワクするような表情を浮かべる])
モニカ: Excuse me? (何ですって?)
チャンドラー: Okay. Ms. McKenna, she kind of works above my boss. She asked me to move to Tulsa and be the president of our office there. And I was sleeping and apparently said yes. (よし。ミズ・マッケナ、彼女は俺のボスの上にいる人なんだけど。その彼女が俺に、タルサに赴任して、そこのオフィスの責任者になるように言ったんだ。それで俺は(その時)眠っていて、どうやらイエスって言っちゃったみたいなんだよね。)
モニカ: (stands up angry) Tulsa, Oklahoma? ([怒って立ち上がり] タルサ、オクラホマ州の?)
タルサへの赴任を妻モニカに伝えないといけないチャンドラーですが、タルサの名前を出す前に、パリの話をしています。
you know how we always said it would be fun to move to Paris for a year? について。
it would be fun to move の would には「もし〜したら…だろう」という仮定の意味が込められているので、「(もし俺たちが)パリに1年くらい引っ越したとしたら、楽しいだろうね」という意味になります。
ですから、文全体を直訳すると、「もし1年間、パリに引っ越したとしたら楽しいだろうな、って俺たちがいつも話していた様子を知ってるだろ? 俺たちがどんな風に話してたか知ってるだろ?」になるでしょう。
このような you know how の形は、フレンズによく出てくるのですが、意味としては、you know that に近い感覚になります。
過去記事、thatの代わりにhowを使うと フレンズ5-14その2 で、まさにそういう「that の代わりに how を使うことによるニュアンスの違い」を説明してありますので、併せてお読みいただけると幸いです。
ここでも簡単に説明しておきますと、こういう how は、接続詞 that と同じようなニュアンスで、「…ということ」という意味になるわけですが、「こと」という「単なる事実」よりももう少し「込み入った事情、様子」を述べたい場合に、how+S+V 「どんな風にSがVしたかを、SがVした様子を」というニュアンスが感じられる how を使う、ということになります。
今回のセリフも、「俺たちがいつもそんな話をしていた”こと”を知ってるだろ」というよりも、「”どんな風に”そんな話をしていたかを知ってるだろ」という感覚になるために、「ほら、俺たちいつもそんな話してたじゃん。だろ?」みたいなニュアンスが出るのですね。
「もしパリに1年ほど行ったら」の話の続きを、チャンドラーは could を使って語っています。
この could には、「もしパリに行ったとしたら、〜できる(だろう)」という仮定のニュアンスが込められていることになります。
モニカはフランス料理を学ぶことができるし、俺は write することができる、と言っていますが、それは「書き物をする、何か文章を書く」というようなニュアンスですね。
今のビジネスマンとしての仕事に追われることなく、まるで作家か何かのようにのんびり優雅に本を書くようなイメージでしょう。
セーヌ川のほとりでピクニック、ボルドーでワインのテイスティング、と具体的な地名も出して、そのイメージを語るチャンドラー。
モニカもそれを嬉しそうに聞いているのですが、その後チャンドラーは、You know how people say that Tulsa... is the Paris of Oklahoma? と言っています。
これも、先ほど説明した、You know how の形ですね。
内容は「タルサは…オクラホマ(州)のパリである、と人々が言っている」なので、「ほら、人々が、”タルサはオクラホマのパリだ”って言ってるのを、モニカも知ってるだろ?」のようなニュアンスになります。
この場合、You know that よりも、You know how を使う方が「当然モニカもそのことを知ってるよねぇ?」的な感覚が出るように思います。
「ほら、君も知ってるだろ、人がそんな風に言っていることを」みたいに言われたモニカですが、モニカはそんな話聞いたこともなかったので、「何ですって? 誰がそんなことを言ってるの?」と即座に問い返すことになります。
それに対するチャンドラーの返事が面白いですね。
直訳すると、「パリに今まで一度も行ったことがない人たち(かな)?」というところ。
have been to は「〜に行ったことがある」という現在完了形で、それを never ever 「全く全然ない」という強い否定語で否定しているので、「パリには一度たりとも行ったことがない人たちが、そういうことを言ってる…みたいなんだけど?」のように、言っていることになります。
モニカは急にタルサの地名が出てきたので、何のことやらさっぱりわからないでしょうが、観客や視聴者は「チャンドラーがオクラホマ州タルサに赴任することになった。そのことをモニカに今から説明しようとしている」ことを知っているので、モニカが憧れそうなパリの話を先に持ち出して、「(これから話をする)タルサはオクラホマのパリって呼ばれてるんだよね」という方向でモニカを説得しようとしていることが話の流れからわかるわけです。
実際にタルサがそんな風に呼ばれているはずもないだろうし、モニカの「誰がそんなことを言ってるの?」という発言からもそれが「チャンドラーの作り話」であることはわかるのですが、そんなミエミエの嘘をどうフォローするのかと思ったら、「実際にはパリに行ったことのない人が、勝手にそう言ってるだけなんだけど、、」的なオチになっているのが、非常にチャンドラーらしくて面白いなと思うわけです。
「タルサはオクラホマのパリだ」などと急に言い出したチャンドラーに対して、モニカは「一体何なの? 何が起こってるの?」と尋ねます。
もうこれ以上、下手な小細工は無駄だと判断したらしいチャンドラーは、「俺たちはタルサに引っ越すんだ!」と、excited な表情を顔に浮かべて言っています。
モニカが驚いた声を出すと、チャンドラーは事情を説明し始めます。
ミズ・マッケナという名前を出して、she kind of works above my boss. と言っています。
works above my boss ですから、「俺のボス・上司の上で働く(人)」、つまり、「俺の上司の上にいる人、上司の上司」みたいなことですね。
その人が俺に「タルサに行って、そこのわが社のオフィスの長になれ」と命じた。そして俺は(それを命じられた時)眠っていて、どうやらイエスと言ったらしい、と説明しています。
apparently はフレンズ頻出の副詞で「どうやら〜らしい」という意味ですね。
俺は眠っていて寝ぼけていて、よく覚えてないんだけど、どうやら(無意識のうちに)イエスと言ってしまったらしいんだ、とボカして表現していることになります。
自分から積極的にイエスと言ったわけではなくて、「どうも俺はイエスって言っちゃったみたいなんだよねぇ〜」と言っている感覚なのですが、チャンドラーがイエスと言ってしまった事実は確かなので、モニカは立ち上がって、「オクラホマ州のタルサですって?」と激怒することになります。
ちなみに、オクラホマ州というのは、アメリカ南中部の州で、Google マップで、ニューヨークとタルサの距離を調べたら、1,343 miles と出ました。
1マイル=約1.6km なので、1,343マイル=2,161キロメートルになります。(車で行こうとすると、20時間11分かかるそうですw)
実際の移動は飛行機になるでしょうが、唐突に「2,000キロ以上離れた土地に赴任する」と言われたわけですから、モニカが驚き怒るのも無理はない、ということですね。
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2014年12月24日
引用符ジェスチャーを知らない人 フレンズ9-2その4
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前回の続きです。
手に指輪を持って片膝ついて、というプロポーズのポーズを取ってしまったことでレイチェルに誤解されたジョーイは、「レイチェルが勝手にそう誤解しただけで、俺は何も悪いことはしていない」と主張します。
それを聞いたロスは、「うっかり」ジョーイはそうしたんだよね、と言葉では言いながらも "accidentally" の部分に「引用符を示すジェスチャー」をつけることで、「ジョーイが言うところの”うっかり”ってやつを、僕は信じることができないな」という皮肉を込めて以下のセリフを言っています。
ロス: Okay, let's put aside the fact that you (Makes quote marks with his fingers.) "accidentally" picked up my grandmother's ring and you (Does it again) "accidentally" proposed to Rachel. (わかった、じゃあ、この事実は脇に置いておこう、お前が [指で引用符マークを作って] ”うっかり”僕のおばあちゃんの指輪を拾い上げて、お前が [再び同じしぐさをする] ”うっかり”レイチェルにプロポーズしたって事実をね。)
ジョーイ: Look, can I just stop you right there for a second? When people do this: (Makes quote marks with his fingers.) I don't really know what that means. (Ross just looks at him) You were saying? (なぁ、ちょっと今のところで話を止めていいかな? このしぐさをする時って [指で引用符マークを作る] その意味が何か、俺はよく知らないんだよ。[ロスはただジョーイを見る] で、お前は何の話をしてたっけ?)
ロス: And I can even understand that you couldn't tell Rachel. But why couldn't you tell me, huh? You had all day to, and you didn't. (それで、お前がレイチェルに言えなかったってことはまだ理解できる。でもどうして僕に言えなかったんだ? (言うのに)丸一日あったのに、お前は言わなかったんだ。)
ジョーイ: I know. I should've. (Makes quote marks again.) "I'm sorry." (わかってるよ。俺は(お前に)言うべきだったのに(言わなかった)。[また引用符を作って] ”悪かった。”)
ロス: Not using it right, Joe. (うまく使えてないよ、ジョーイ。)
(He brings his hands in closer to his face then does it again.)
ジョーイは手をより顔の方に近づけてから、またそのしぐさをする。
ジョーイ: "I'm sorry." (”悪かった。”)
accidentally のところで2回も「引用符ジェスチャー」を取ったロスに対して、「ちょっと今のところでお前の話を止めていい?」みたいに言った後、ジョーイは、When people do this 以下のセリフを言っています。
その部分を直訳すると、「人がこれ(このしぐさ)をする時 (ト書き:自分の指で引用符(マーク)を作る) その意味が何か俺にはよくわからない」になりますね。
つまり、「ジョーイの言うところのいわゆる”偶然、うっかり”ってやつ」のように、ロスが皮肉っぽく引用符のジェスチャーをつけて言っているその意図や意味を、ジョーイは理解していない、ということになるわけです。
「その指を曲げるしぐさをする人をよく見かけるけど、その意味は一体何なの? 俺よくわからないんだけど」と言っていることになるので、観客もかなりどよめいており、長く後を引く笑いが起こっています。
「引用符のジェスチャーの意味を知らないって?!」みたいにロスも驚き、ジョーイをじっと見つめるので、ジョーイはそれ以上、そこを追求することはせずに、You were saying? 「お前は(何を)話してたっけ、話そうとしてたっけ?」と、元の話に戻すことになります。
そんな風に「引用符のジェスチャーの意味を知らない」と言ったジョーイではありますが、実はジョーイ自身がその引用符をそういうニュアンスで使っているシーンが過去のフレンズ、落ち着け、カーク船長 フレンズ8-14その4 に出てきました。
開かずの扉を開けるために、カギの代わりのヘアピンが必要だという話になり、自分の髪の毛にヘアピンがあるかどうかを確認するしぐさをしたチャンドラーが、
チャンドラー: Maybe Monica has a bobby pin. (多分、モニカがヘアピンを持ってる。)
ジョーイ: Oh, sure, "Monica." (あぁ、そうだな、”モニカ”がね。)
その時、ジョーイはまさに「引用符のジェスチャー」をしており、「モニカが持ってる、って言い張るんなら、まぁ、”モニカ”ってことにしといてやろう」的な感覚で使っているのは明らかでした。
また、フレンズ8-5 でも、引用符のジェスチャーを使ったロスに対して、ジョーイが同じしぐさで返すという以下のシーンがありました(ブログの解説では飛ばしてしまった部分です)。
子供を妊娠中のレイチェルが、ジョーイの同僚の俳優とデートすると知り、ロスが怒っているシーン。
ロス: Joey, I'm not worried about her! I'm worried about my baby! Whoever she dates, my baby dates! Now-now where is this (makes the quote-marks sign) "actor" taking them? (ジョーイ、僕はレイチェルを心配してるんじゃない! 僕は自分の赤ちゃんのことを心配してるんだ! レイチェルがデートする人とは、僕の赤ちゃんもデートする(ことになる)! で、その[引用符のジェスチャーをして] ”俳優とやら”は二人をどこに連れて行くつもりなんだ?)
ジョーイ: Hey! I'm an (does the quote-marks thing as well) "actor" too! I'm not sure. I think they're taking the ferry out to some Italian place on Staten Island. (おい! 俺も [(ロスと)同じように引用符のジェスチャーをする] ”俳優とやら”(の一人)なんだぞ! よくわからないけど、フェリーに乗って、スタテンアイランドのイタリアンレストランに行くつもりだと思うよ。)
"actor" については、DVDの日本語訳で「俳優とやら」と訳されていたのですが、そのような「俳優とやら、いわゆる”俳優”ってやつ」のようなニュアンスが、その引用符のジェスチャーにはある、ということですね。
フレンズ8-5 や フレンズ8-14 という結構最近のエピソード(笑)でそのジェスチャーを自ら「正しく、正確に」使っているのに、フレンズ9-2 でそれを知らないと言っているのは、かなり無理があるのですが、そこはコメディのため笑い優先ということで、今回、そういう設定の話になったようです。
「前に正しく使えてたやん!」とツッコミたいところではありますが、そこは目をつぶって、「おとぼけキャラのジョーイなら、それを知らないこともあり得そう」という設定の元に今回の話は進行することになります。
引用符ジェスチャーを知らないジョーイにあきれた様子ながらも、ロスは話を本題に戻し、「誤解しているレイチェルに言えなかったのはまだ理解できるけど、どうして僕にも言えなかったんだ?」と問い詰めています。
You had all day to は、You had all day to tell me 「僕に言うのに、まる一日持っていた」という感覚ですね。
僕にそのことを言おうと思えば、言うだけの十分な時間があったのに、というニュアンスで「言うための時間がお前には丸一日あった」と表現していることになるでしょう。
「丸一日あったのに、お前は言わなかった」と言われたジョーイは、「わかってる、俺は言うべきだった」と素直に反省していますね。
I should've. は、I should have told you. 「俺は(そのことを)お前に言うべきだったのに(実際には言わなかった)」という反省・後悔のニュアンスになります。
その後、引用符のジェスチャーをして、"I'm sorry." と言っていますね。
この状況で引用符ジェスチャーを付けると、「いわゆる”悪かった、ごめんなさい”ってやつだ」みたいに言ったことになり、「心の底からそう思っているのではなく、言葉だけでとりあえずそう言っている」ように相手に聞こえてしまうわけですね。
「そのしぐさを付けたら、本気で謝ってることにならないんだけど」という意味で、ロスも、(You're) Not using it right 「お前はそれを、正しく・上手に・うまく、使っていない」と指摘します。
それを聞いたジョーイは、ト書きにあるように、手の幅を先ほどよりも狭めて、顔のすぐ横に指を持ってきて、息だけの声で "I'm sorry." と言います。
「正しく使えてない」と言われたことを、ジェスチャーの「形」の問題かと思って、ちょっと違うポーズを取ってみた、ということで、ジョーイのおとぼけぶりがこれでもか!と示されるシーンになっているということですね。
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前回の続きです。
手に指輪を持って片膝ついて、というプロポーズのポーズを取ってしまったことでレイチェルに誤解されたジョーイは、「レイチェルが勝手にそう誤解しただけで、俺は何も悪いことはしていない」と主張します。
それを聞いたロスは、「うっかり」ジョーイはそうしたんだよね、と言葉では言いながらも "accidentally" の部分に「引用符を示すジェスチャー」をつけることで、「ジョーイが言うところの”うっかり”ってやつを、僕は信じることができないな」という皮肉を込めて以下のセリフを言っています。
ロス: Okay, let's put aside the fact that you (Makes quote marks with his fingers.) "accidentally" picked up my grandmother's ring and you (Does it again) "accidentally" proposed to Rachel. (わかった、じゃあ、この事実は脇に置いておこう、お前が [指で引用符マークを作って] ”うっかり”僕のおばあちゃんの指輪を拾い上げて、お前が [再び同じしぐさをする] ”うっかり”レイチェルにプロポーズしたって事実をね。)
ジョーイ: Look, can I just stop you right there for a second? When people do this: (Makes quote marks with his fingers.) I don't really know what that means. (Ross just looks at him) You were saying? (なぁ、ちょっと今のところで話を止めていいかな? このしぐさをする時って [指で引用符マークを作る] その意味が何か、俺はよく知らないんだよ。[ロスはただジョーイを見る] で、お前は何の話をしてたっけ?)
ロス: And I can even understand that you couldn't tell Rachel. But why couldn't you tell me, huh? You had all day to, and you didn't. (それで、お前がレイチェルに言えなかったってことはまだ理解できる。でもどうして僕に言えなかったんだ? (言うのに)丸一日あったのに、お前は言わなかったんだ。)
ジョーイ: I know. I should've. (Makes quote marks again.) "I'm sorry." (わかってるよ。俺は(お前に)言うべきだったのに(言わなかった)。[また引用符を作って] ”悪かった。”)
ロス: Not using it right, Joe. (うまく使えてないよ、ジョーイ。)
(He brings his hands in closer to his face then does it again.)
ジョーイは手をより顔の方に近づけてから、またそのしぐさをする。
ジョーイ: "I'm sorry." (”悪かった。”)
accidentally のところで2回も「引用符ジェスチャー」を取ったロスに対して、「ちょっと今のところでお前の話を止めていい?」みたいに言った後、ジョーイは、When people do this 以下のセリフを言っています。
その部分を直訳すると、「人がこれ(このしぐさ)をする時 (ト書き:自分の指で引用符(マーク)を作る) その意味が何か俺にはよくわからない」になりますね。
つまり、「ジョーイの言うところのいわゆる”偶然、うっかり”ってやつ」のように、ロスが皮肉っぽく引用符のジェスチャーをつけて言っているその意図や意味を、ジョーイは理解していない、ということになるわけです。
「その指を曲げるしぐさをする人をよく見かけるけど、その意味は一体何なの? 俺よくわからないんだけど」と言っていることになるので、観客もかなりどよめいており、長く後を引く笑いが起こっています。
「引用符のジェスチャーの意味を知らないって?!」みたいにロスも驚き、ジョーイをじっと見つめるので、ジョーイはそれ以上、そこを追求することはせずに、You were saying? 「お前は(何を)話してたっけ、話そうとしてたっけ?」と、元の話に戻すことになります。
そんな風に「引用符のジェスチャーの意味を知らない」と言ったジョーイではありますが、実はジョーイ自身がその引用符をそういうニュアンスで使っているシーンが過去のフレンズ、落ち着け、カーク船長 フレンズ8-14その4 に出てきました。
開かずの扉を開けるために、カギの代わりのヘアピンが必要だという話になり、自分の髪の毛にヘアピンがあるかどうかを確認するしぐさをしたチャンドラーが、
チャンドラー: Maybe Monica has a bobby pin. (多分、モニカがヘアピンを持ってる。)
ジョーイ: Oh, sure, "Monica." (あぁ、そうだな、”モニカ”がね。)
その時、ジョーイはまさに「引用符のジェスチャー」をしており、「モニカが持ってる、って言い張るんなら、まぁ、”モニカ”ってことにしといてやろう」的な感覚で使っているのは明らかでした。
また、フレンズ8-5 でも、引用符のジェスチャーを使ったロスに対して、ジョーイが同じしぐさで返すという以下のシーンがありました(ブログの解説では飛ばしてしまった部分です)。
子供を妊娠中のレイチェルが、ジョーイの同僚の俳優とデートすると知り、ロスが怒っているシーン。
ロス: Joey, I'm not worried about her! I'm worried about my baby! Whoever she dates, my baby dates! Now-now where is this (makes the quote-marks sign) "actor" taking them? (ジョーイ、僕はレイチェルを心配してるんじゃない! 僕は自分の赤ちゃんのことを心配してるんだ! レイチェルがデートする人とは、僕の赤ちゃんもデートする(ことになる)! で、その[引用符のジェスチャーをして] ”俳優とやら”は二人をどこに連れて行くつもりなんだ?)
ジョーイ: Hey! I'm an (does the quote-marks thing as well) "actor" too! I'm not sure. I think they're taking the ferry out to some Italian place on Staten Island. (おい! 俺も [(ロスと)同じように引用符のジェスチャーをする] ”俳優とやら”(の一人)なんだぞ! よくわからないけど、フェリーに乗って、スタテンアイランドのイタリアンレストランに行くつもりだと思うよ。)
"actor" については、DVDの日本語訳で「俳優とやら」と訳されていたのですが、そのような「俳優とやら、いわゆる”俳優”ってやつ」のようなニュアンスが、その引用符のジェスチャーにはある、ということですね。
フレンズ8-5 や フレンズ8-14 という結構最近のエピソード(笑)でそのジェスチャーを自ら「正しく、正確に」使っているのに、フレンズ9-2 でそれを知らないと言っているのは、かなり無理があるのですが、そこはコメディのため笑い優先ということで、今回、そういう設定の話になったようです。
「前に正しく使えてたやん!」とツッコミたいところではありますが、そこは目をつぶって、「おとぼけキャラのジョーイなら、それを知らないこともあり得そう」という設定の元に今回の話は進行することになります。
引用符ジェスチャーを知らないジョーイにあきれた様子ながらも、ロスは話を本題に戻し、「誤解しているレイチェルに言えなかったのはまだ理解できるけど、どうして僕にも言えなかったんだ?」と問い詰めています。
You had all day to は、You had all day to tell me 「僕に言うのに、まる一日持っていた」という感覚ですね。
僕にそのことを言おうと思えば、言うだけの十分な時間があったのに、というニュアンスで「言うための時間がお前には丸一日あった」と表現していることになるでしょう。
「丸一日あったのに、お前は言わなかった」と言われたジョーイは、「わかってる、俺は言うべきだった」と素直に反省していますね。
I should've. は、I should have told you. 「俺は(そのことを)お前に言うべきだったのに(実際には言わなかった)」という反省・後悔のニュアンスになります。
その後、引用符のジェスチャーをして、"I'm sorry." と言っていますね。
この状況で引用符ジェスチャーを付けると、「いわゆる”悪かった、ごめんなさい”ってやつだ」みたいに言ったことになり、「心の底からそう思っているのではなく、言葉だけでとりあえずそう言っている」ように相手に聞こえてしまうわけですね。
「そのしぐさを付けたら、本気で謝ってることにならないんだけど」という意味で、ロスも、(You're) Not using it right 「お前はそれを、正しく・上手に・うまく、使っていない」と指摘します。
それを聞いたジョーイは、ト書きにあるように、手の幅を先ほどよりも狭めて、顔のすぐ横に指を持ってきて、息だけの声で "I'm sorry." と言います。
「正しく使えてない」と言われたことを、ジェスチャーの「形」の問題かと思って、ちょっと違うポーズを取ってみた、ということで、ジョーイのおとぼけぶりがこれでもか!と示されるシーンになっているということですね。
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2014年12月22日
その事実は脇に置いとこう フレンズ9-2その3
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レイチェルに頼まれたマフィンを買うために、ロスはコーヒーハウスのセントラルパークに来ています。
そこにジョーイが入ってきて、
ジョーイ: (entering) Hey. (Ross turns to see who it is, and seeing it's Joey he just ignores him and turns back around.) Ross, I know you're pissed at me, but we have to talk about this. ([入ってきて] やあ。[ロスはそれが誰であるかを確認するために顔を向け、それがジョーイだとわかるとただジョーイを無視して向きを変える] ロス、お前が俺に怒ってるのはわかってる、でもこの件について俺たちは話し合わなきゃいけない。)
ロス: Ah actually, we don't. (Ross walks off) (あぁ、実際のところ、僕たちは話し合う必要はないよ。[ロスは歩き去る(去ろうとする)])
ジョーイ: Fine, fine, okay. But I gotta say, technically, I didn't even do anything wrong. (いいよ、いいよ、わかった。でもこれだけは言っとかないと。厳密には、俺は悪いことなんか何もしなかった。)
ロス: (turns back) What? (Angrily) You, you didn't do anything wrong?! ([振り向いて] 何だって? [怒って] お前は何も悪いことはしなかった、だと?)
ジョーイ: I, I said I didn't technically. (言っただろ、厳密には、だ。)
ロス: Okay, let's put aside the fact that you (Makes quote marks with his fingers.) "accidentally" picked up my grandmother's ring and you (Does it again) "accidentally" proposed to Rachel. (わかった、じゃあ、この事実は脇に置いておこう、お前が [指で引用符マークを作って] ”うっかり”僕のおばあちゃんの指輪を拾い上げて、お前が [再び同じしぐさをする] ”うっかり”レイチェルにプロポーズしたって事実をね。)
セントラルパークでロスと鉢合わせしたジョーイは、ロスに声を掛けるのですが、ロスはそれがジョーイだとわかると、彼を無視するような行動を取ります。
レイチェルがジョーイの行動をプロポーズだと誤解して、そのプロポーズを受け入れてしまっていたことを知って以来、ロスはジョーイに対する怒りが収まらない状態になっているのですね。
ジョーイもそのことはわかっていて、「お前が俺に怒ってるのはわかってるけど、俺たちは話し合わないといけない」と言います。
そう言われてもロスの方は、「実際のところは、僕たちは話し合う必要なんかないよ」と答え、話し合いに応じる様子はありません。
それでジョーイは、「これだけは言わなきゃならない、これだけは言わせてくれ」と言った後、technically, I didn't even do anything wrong. と言います。
I didn't 以下を直訳すると、「俺は何も悪いことをすることさえしなかった」ということで、「悪いことなんか何一つしていない」という感覚になるでしょう。
technically は「技術的には」ということですが、このような文脈では「厳密に言うと」と訳した方がしっくりきますね。
このような technically のニュアンスについては、過去記事、厳密に言うとルールは破ってない フレンズ7-17その5 でも解説しています。
ジョーイ的には、「俺がたまたま取ったポーズをレイチェルが誤解したんであって、悪いことをしたかしないかという線引きの話で言うと、俺が何か”悪いこと”をしたわけじゃない」と訴えたいわけですね。
ジョーイがそう主張するのも無理のないところですが、その発言を聞いたロスがものすごく怒った様子で「お前は何も悪いことはしてないだって?」と返したので、その勢いにビビったジョーイは、「厳密には、テクニカリーには、って俺は言ったんだよ」と言って、それ以上、「俺は何も悪いことはしていない」と強く主張することもできない様子。
ジョーイの「俺は何も悪いことはしていない」発言は、「俺にはプロポーズする意図なんかなかったのに、レイチェルが勝手に誤解した」というものであることがわかっているロスは、let's put aside the fact that 「じゃあ、…という事実は脇に置いておこう」と言って、その「事実」の内容を詳しく語り始めることになります。
put aside は直訳通り、「脇に置く、脇にやる」ということで、そこから「〜を忘れる、〜を考えないようにする、棚上げにする」という意味として使われます。
日本語でも、「その件はいったんこっちに置いといて、、」のような表現がありますから、ニュアンスはわかりやすいと思います。
副詞 aside は「脇へ、離れて」という意味であることから、「〜は別として、〜はさておき・さておいて」という意味にもなります。
Joking aside は「冗談はさておき」という決まり文句ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
put something aside / put aside something [phrasal verb] :
to stop thinking about a problem, argument, or disagreement, because you want to achieve something
つまり、「問題や議論や意見の相違について考えることをやめること、何かを成し遂げたいという理由で」。
ロスのセリフは「〜って事実は脇に置いといて」と、その件について話し合うことはやめよう、と言っているように聞こえるのですが、実はロスのセリフの意図は、ロスが「事実」と呼ぶその内容をジョーイにこれみよがしに語って聞かせるところにあります。
that fact that 以下の内容では、2回登場する "accidentally" が大きなポイントになっています。
accidentally は「偶然に、ついうっかり」という意味ですが、本当に「偶然に」の場合だけでなく、「偶然を装って故意に」の場合にも、それを皮肉っぽく使うことがあります。
「偶然を装って故意に」という意味のフレーズで、accidentally on purpose という言葉も存在するのですが、話者の口調や話の流れから、on purpose なしの accidentally だけでそのような意味を表すことも可能です。
実際、過去記事、うっかり壊してしまう フレンズ1-1その5 でもそのようなニュアンスで使われていました。
「偶然(と言いながら実は故意に、意図的に、わざと)」と言いたい場合には、accidentally をわざとらしく強めに発音したりするという方法もありますが、今回のロスの場合は、ト書きにあるような「引用符のジェスチャー」を付けることで、皮肉っぽく言っていることを表現しています。
まさに日本語訳にも引用符を付けるような感覚で、「お前が”うっかり”指輪を拾って、”うっかり”レイチェルにプロポーズした」と、くどいくらい”うっかり”を強調すると、セリフのニュアンスがよく出るように思います。
「ジョーイがそういう行動を取ったことを、ジョーイは”うっかり、偶然に”そうしちゃっただけなんだ、って主張してるんだよねぇ〜?」のように、「ジョーイが主張する、いわゆる”うっかり”というやつ」のような感覚を出しているのが、
(Makes quote marks with his fingers.) "accidentally" 「指で引用符を作って”うっかり”」
のニュアンスになるわけです。
たまたまそういうポーズになったとジョーイは主張するけれど、そのポーズを取ってた時に、手に指輪を持ってるなんて、そんなの偶然か? 意図的にやったんじゃないか? もしくはレイチェルにそう誤解されてもいいと思う気持ちがどこかにあったんじゃないか? みたいにロスは言いたいわけでしょう。
ロスがジョーイに対して必要以上に怒っているのは、ジョーイが以前、レイチェルを女性として好きになってしまって実際に愛の告白をした、という事実をロスが知っているからですね。
その後、ジョーイのレイチェルに対する気持ちは友達のそれに戻ったはずだと思っていたけれど、どこかにまだレイチェルへの想いがあって、「ジョーイがレイチェルにプロポーズしたと誤解される行為」をしてしまう結果になったんじゃないか、という疑いの気持ちをロスは拭い去れずにいる、ということになるでしょう。
「偶然」指輪を拾って、「偶然」プロポーズしたって”事実”は今はとりあえず置いておこうか、と表現することで、ジョーイの言う「偶然、うっかり」というのをその言葉の通りに僕は受け止めることができないな、と言っていることになります。
そんな風に言われて、ジョーイは必死に言い訳をすることになる、、のかと思いきや、この後、ジョーイが思いがけないことを言うので、観客が大笑いすることになるのですが、、長くなりそうなので、続きは次回といたします(^^)
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レイチェルに頼まれたマフィンを買うために、ロスはコーヒーハウスのセントラルパークに来ています。
そこにジョーイが入ってきて、
ジョーイ: (entering) Hey. (Ross turns to see who it is, and seeing it's Joey he just ignores him and turns back around.) Ross, I know you're pissed at me, but we have to talk about this. ([入ってきて] やあ。[ロスはそれが誰であるかを確認するために顔を向け、それがジョーイだとわかるとただジョーイを無視して向きを変える] ロス、お前が俺に怒ってるのはわかってる、でもこの件について俺たちは話し合わなきゃいけない。)
ロス: Ah actually, we don't. (Ross walks off) (あぁ、実際のところ、僕たちは話し合う必要はないよ。[ロスは歩き去る(去ろうとする)])
ジョーイ: Fine, fine, okay. But I gotta say, technically, I didn't even do anything wrong. (いいよ、いいよ、わかった。でもこれだけは言っとかないと。厳密には、俺は悪いことなんか何もしなかった。)
ロス: (turns back) What? (Angrily) You, you didn't do anything wrong?! ([振り向いて] 何だって? [怒って] お前は何も悪いことはしなかった、だと?)
ジョーイ: I, I said I didn't technically. (言っただろ、厳密には、だ。)
ロス: Okay, let's put aside the fact that you (Makes quote marks with his fingers.) "accidentally" picked up my grandmother's ring and you (Does it again) "accidentally" proposed to Rachel. (わかった、じゃあ、この事実は脇に置いておこう、お前が [指で引用符マークを作って] ”うっかり”僕のおばあちゃんの指輪を拾い上げて、お前が [再び同じしぐさをする] ”うっかり”レイチェルにプロポーズしたって事実をね。)
セントラルパークでロスと鉢合わせしたジョーイは、ロスに声を掛けるのですが、ロスはそれがジョーイだとわかると、彼を無視するような行動を取ります。
レイチェルがジョーイの行動をプロポーズだと誤解して、そのプロポーズを受け入れてしまっていたことを知って以来、ロスはジョーイに対する怒りが収まらない状態になっているのですね。
ジョーイもそのことはわかっていて、「お前が俺に怒ってるのはわかってるけど、俺たちは話し合わないといけない」と言います。
そう言われてもロスの方は、「実際のところは、僕たちは話し合う必要なんかないよ」と答え、話し合いに応じる様子はありません。
それでジョーイは、「これだけは言わなきゃならない、これだけは言わせてくれ」と言った後、technically, I didn't even do anything wrong. と言います。
I didn't 以下を直訳すると、「俺は何も悪いことをすることさえしなかった」ということで、「悪いことなんか何一つしていない」という感覚になるでしょう。
technically は「技術的には」ということですが、このような文脈では「厳密に言うと」と訳した方がしっくりきますね。
このような technically のニュアンスについては、過去記事、厳密に言うとルールは破ってない フレンズ7-17その5 でも解説しています。
ジョーイ的には、「俺がたまたま取ったポーズをレイチェルが誤解したんであって、悪いことをしたかしないかという線引きの話で言うと、俺が何か”悪いこと”をしたわけじゃない」と訴えたいわけですね。
ジョーイがそう主張するのも無理のないところですが、その発言を聞いたロスがものすごく怒った様子で「お前は何も悪いことはしてないだって?」と返したので、その勢いにビビったジョーイは、「厳密には、テクニカリーには、って俺は言ったんだよ」と言って、それ以上、「俺は何も悪いことはしていない」と強く主張することもできない様子。
ジョーイの「俺は何も悪いことはしていない」発言は、「俺にはプロポーズする意図なんかなかったのに、レイチェルが勝手に誤解した」というものであることがわかっているロスは、let's put aside the fact that 「じゃあ、…という事実は脇に置いておこう」と言って、その「事実」の内容を詳しく語り始めることになります。
put aside は直訳通り、「脇に置く、脇にやる」ということで、そこから「〜を忘れる、〜を考えないようにする、棚上げにする」という意味として使われます。
日本語でも、「その件はいったんこっちに置いといて、、」のような表現がありますから、ニュアンスはわかりやすいと思います。
副詞 aside は「脇へ、離れて」という意味であることから、「〜は別として、〜はさておき・さておいて」という意味にもなります。
Joking aside は「冗談はさておき」という決まり文句ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
put something aside / put aside something [phrasal verb] :
to stop thinking about a problem, argument, or disagreement, because you want to achieve something
つまり、「問題や議論や意見の相違について考えることをやめること、何かを成し遂げたいという理由で」。
ロスのセリフは「〜って事実は脇に置いといて」と、その件について話し合うことはやめよう、と言っているように聞こえるのですが、実はロスのセリフの意図は、ロスが「事実」と呼ぶその内容をジョーイにこれみよがしに語って聞かせるところにあります。
that fact that 以下の内容では、2回登場する "accidentally" が大きなポイントになっています。
accidentally は「偶然に、ついうっかり」という意味ですが、本当に「偶然に」の場合だけでなく、「偶然を装って故意に」の場合にも、それを皮肉っぽく使うことがあります。
「偶然を装って故意に」という意味のフレーズで、accidentally on purpose という言葉も存在するのですが、話者の口調や話の流れから、on purpose なしの accidentally だけでそのような意味を表すことも可能です。
実際、過去記事、うっかり壊してしまう フレンズ1-1その5 でもそのようなニュアンスで使われていました。
「偶然(と言いながら実は故意に、意図的に、わざと)」と言いたい場合には、accidentally をわざとらしく強めに発音したりするという方法もありますが、今回のロスの場合は、ト書きにあるような「引用符のジェスチャー」を付けることで、皮肉っぽく言っていることを表現しています。
まさに日本語訳にも引用符を付けるような感覚で、「お前が”うっかり”指輪を拾って、”うっかり”レイチェルにプロポーズした」と、くどいくらい”うっかり”を強調すると、セリフのニュアンスがよく出るように思います。
「ジョーイがそういう行動を取ったことを、ジョーイは”うっかり、偶然に”そうしちゃっただけなんだ、って主張してるんだよねぇ〜?」のように、「ジョーイが主張する、いわゆる”うっかり”というやつ」のような感覚を出しているのが、
(Makes quote marks with his fingers.) "accidentally" 「指で引用符を作って”うっかり”」
のニュアンスになるわけです。
たまたまそういうポーズになったとジョーイは主張するけれど、そのポーズを取ってた時に、手に指輪を持ってるなんて、そんなの偶然か? 意図的にやったんじゃないか? もしくはレイチェルにそう誤解されてもいいと思う気持ちがどこかにあったんじゃないか? みたいにロスは言いたいわけでしょう。
ロスがジョーイに対して必要以上に怒っているのは、ジョーイが以前、レイチェルを女性として好きになってしまって実際に愛の告白をした、という事実をロスが知っているからですね。
その後、ジョーイのレイチェルに対する気持ちは友達のそれに戻ったはずだと思っていたけれど、どこかにまだレイチェルへの想いがあって、「ジョーイがレイチェルにプロポーズしたと誤解される行為」をしてしまう結果になったんじゃないか、という疑いの気持ちをロスは拭い去れずにいる、ということになるでしょう。
「偶然」指輪を拾って、「偶然」プロポーズしたって”事実”は今はとりあえず置いておこうか、と表現することで、ジョーイの言う「偶然、うっかり」というのをその言葉の通りに僕は受け止めることができないな、と言っていることになります。
そんな風に言われて、ジョーイは必死に言い訳をすることになる、、のかと思いきや、この後、ジョーイが思いがけないことを言うので、観客が大笑いすることになるのですが、、長くなりそうなので、続きは次回といたします(^^)
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2014年12月19日
部屋を占領する巨大なぬいぐるみ フレンズ9-2その2
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レイチェルと赤ちゃんのエマが退院したので、ロスとレイチェルの家では、エマを迎える飾り付けとプレゼントが用意されていました。
家に帰ってきたレイチェルに、
フィービー: Look at all the stuff people sent! (みんなが送ってくれたものを見て!)
レイチェル: Oh Ah! (Sees a big stuffed gorilla) Oh, my gosh. Look, there's something every mother needs. A giant, stuffed gorilla that takes up the entire apartment! What are people think--? (Reads the card) Oh you guys, I love it. (ああ! [大きなゴリラのぬいぐるみを見る] なんてこと。すべての母親が必要とするものがあるわ。巨大なゴリラのぬいぐるみよ、アパート(の部屋)全体を占領する(アパート全部の場所を取る)! これをくれた人たちは全く何を考えてたの…? [カードを読む] あぁみんな、それ、気に入ったわ!)
ジョーイ: Hey, so where's Ross? (ねぇ、それで、ロスはどこ?)
レイチェル: He's downstairs getting the rest of the stuff out of the cab. (ロスは下にいるわ、タクシーから残りのもの(荷物)を降ろしてるところ。)
ジョーイ: Is he still mad at us? (ロスはまだ俺たちに怒ってる?)
レイチェル: Well, you more than me. But he can't stay too mad at me. I mean, I just had his baby. (そうねぇ、私よりあなたに(より怒ってるわ)ね。でもロスは私にはずっと怒りまくることはできないわ。ほら、私は彼の子供を産んだばかりだもの。)
ジョーイ: That's not fair! I can't do that. (そんなのフェアじゃないよ! 俺にはそんなことできないもん!)
レイチェル: Yeah, I'm not so sure you should be here when he comes up. (そうね、ロスが来た時にあなたがここにいるべきかどうかはわからないわ。)
ジョーイ: See, this is what I was afraid of. I didn't think I should be here either. But somebody (Looks at Chandler) said he'd be over it by now. (ほら、これが俺が恐れていたことなんだよ。俺もここにはいない方がいいと思ったんだ。でも誰かさんが [チャンドラーを見る] 言ったんだよ、彼はもうその件については忘れてるだろう、って。)
チャンドラー: Hey, what do I know? I wanted to get a bigger gorilla. (おい、俺に何がわかるって言うんだ? 俺は(それより)もっと大きなゴリラを買いたいと思ったんだぞ[買おうとした男なんだぞ]。)
レイチェルが出産後、退院して帰宅したのを、フレンズたちが迎えています。
Look at... は「人々が送ったすべてのものを見て!」ですね。
たくさんの人が送ってきてくれた、この贈り物の山を見て、というところです。
レイチェルはその中で、大きくて目立つゴリラのぬいぐるみに、真っ先に反応しています。
stuff は他動詞で「(綿などの)詰め物をする、詰め込む」という意味なので、stuffed は「詰め物をされた」ですから、a stuffed animal なら一般的には「動物のぬいぐるみ」という意味になります。
「詰め物をされた」ということから、a stuffed bird なら「剥製(はくせい)の鳥」という意味にもなるし、a stuffed turkey なら「詰め物をした七面鳥(料理)」という意味でも使われます。
ぬいぐるみなのか剥製なのか中に詰め物をした料理なのかは、状況から判断することになるわけですね。
ゴリラのぬいぐるみを見て、「すべての母親が必要とするものがあるわ」と言った後、A giant, stuffed gorilla that... と言っています。
that takes の that は関係代名詞で、「部屋全体を take up する巨大なぬいぐるみのゴリラ」という意味になります。
take up は「場所を取る、ふさぐ、占める」なので、「部屋全体をふさぐ、部屋いっぱいの場所を取る」でっかいぬいぐるみだわ、とボヤいていることになるわけです。
「すべての母親が必要とする」という発言は最大の皮肉で、「母親にとって一番要らないものをくれたわね」というところですね。
What are people think--? は、What are people thinking? と言おうとして途中で言葉を止めた感じ。
「(これをくれた)人たちは何考えていたのかしら? 全く何を考えていたんだか」みたいな不平のニュアンスで、そう言いかけた時にそのゴリラに添えてあったカードを見て、「まぁ、あなたたち。それ(そのゴリラのぬいぐるみ)私、大好きよ・気に入ったわ」と言い直したことになります。
「全く誰よこんなものをくれたのは!」と怒りをぶつけようとしたところ、ここにいるフレンズたちからのプレゼントだとわかったから言葉を変えたということですね。
ジョーイが「ロスはどこにいるの?」と尋ねると、レイチェルは、「ロスは階下にいて、キャブ(タクシー)から残りのもの(荷物)を取り出しているところ」だと答えます。
ジョーイは「ロスはまだ俺たち(レイチェルと俺)に怒ってる?」と心配そうに言っています。
「君と俺に対して、ロスはまだ怒ってるかな?」と言われたレイチェルは、「私よりも、あなたの方により強く怒ってるわね」と答えます。
「私に対しても怒ってるけれど、怒りの強さはあなたに対する方が強い」ということで、その後、「(私に対して今は確かに怒ってるけど)ロスは私にものすごく怒り続けることはできないわ」と言っています。
can't stay too mad は「非常に怒っている状態のままでいることができない」ということですね。
I mean 「それはつまり」の後にその理由を述べていますが、それは「私はロスの子供を産んだばかりだから」。
可愛い自分の子供を産んでくれた相手に対してずっと怒り続けることなんてできないわよ、という、産後の母親っぽい自信に満ちた発言をしていることになります。
それに対してジョーイは「そんなのフェアじゃない。そんなのアンフェアだ!」、そして「俺にはそんなことできないもん」と言っています。
「ロスの子供を産もうと思っても、俺は男だからそんなことできないじゃん。レイチェルが女で子供を産めちゃったりすることってずるいよ」みたいに言っていることになります。
レイチェルの I'm noto so sure... を直訳すると、「私は確信がない。ロスがここに来た・現れた時に、あなたがここにいるべきかどうかは」になるでしょう。
「ロスがやってきた時に、あなたはここにいない方がいいんじゃないかしら?」みたいなことですね。
レイチェルにそう言われて、ジョーイは、「ほらな、これが俺が恐れていたことだよ」と言っています。
「俺も自分がここにはいない方がいいと思ってたんだけど」と言ったジョーイは、チャンドラーの方を見ながら、「”誰かさん”が言ったんだ、彼はもうその件については忘れてるだろう、って」と言います。
明らかにチャンドラーのことを言っているのですが、それをわざと「誰かさんは」と言うことで、皮肉っぽい言い方をしているわけですね。
「誰かさんが余計なことを言うから。やっぱり俺の方が正しかったじゃん」みたいに言われたチャンドラーは、What do I know? と言っています。
「俺は何を知っている?」→「この俺が何を知ってる・何をわかってるって言うんだ?」みたいなことですね。
その後の、I wanted to get a bigger gorilla. は「俺はもっと大きなゴリラを買うことを望んでた、買おうと思っていた」ということ。
一目見るなりレイチェルに、「場所ばっかり取る、こんなぬいぐるみを買ったのは一体誰よ?!」みたいに言われてしまったその大きすぎるプレゼントを、俺は「もっと大きな方がいいんじゃない?」って勧めようとした人間だぞ。そんな俺の意見が何の役に立つって言うんだ? そんな俺の意見を参考にする方が悪い、、というような、いかにもチャンドラーっぽい自虐的なセリフになっているわけですね。
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レイチェルと赤ちゃんのエマが退院したので、ロスとレイチェルの家では、エマを迎える飾り付けとプレゼントが用意されていました。
家に帰ってきたレイチェルに、
フィービー: Look at all the stuff people sent! (みんなが送ってくれたものを見て!)
レイチェル: Oh Ah! (Sees a big stuffed gorilla) Oh, my gosh. Look, there's something every mother needs. A giant, stuffed gorilla that takes up the entire apartment! What are people think--? (Reads the card) Oh you guys, I love it. (ああ! [大きなゴリラのぬいぐるみを見る] なんてこと。すべての母親が必要とするものがあるわ。巨大なゴリラのぬいぐるみよ、アパート(の部屋)全体を占領する(アパート全部の場所を取る)! これをくれた人たちは全く何を考えてたの…? [カードを読む] あぁみんな、それ、気に入ったわ!)
ジョーイ: Hey, so where's Ross? (ねぇ、それで、ロスはどこ?)
レイチェル: He's downstairs getting the rest of the stuff out of the cab. (ロスは下にいるわ、タクシーから残りのもの(荷物)を降ろしてるところ。)
ジョーイ: Is he still mad at us? (ロスはまだ俺たちに怒ってる?)
レイチェル: Well, you more than me. But he can't stay too mad at me. I mean, I just had his baby. (そうねぇ、私よりあなたに(より怒ってるわ)ね。でもロスは私にはずっと怒りまくることはできないわ。ほら、私は彼の子供を産んだばかりだもの。)
ジョーイ: That's not fair! I can't do that. (そんなのフェアじゃないよ! 俺にはそんなことできないもん!)
レイチェル: Yeah, I'm not so sure you should be here when he comes up. (そうね、ロスが来た時にあなたがここにいるべきかどうかはわからないわ。)
ジョーイ: See, this is what I was afraid of. I didn't think I should be here either. But somebody (Looks at Chandler) said he'd be over it by now. (ほら、これが俺が恐れていたことなんだよ。俺もここにはいない方がいいと思ったんだ。でも誰かさんが [チャンドラーを見る] 言ったんだよ、彼はもうその件については忘れてるだろう、って。)
チャンドラー: Hey, what do I know? I wanted to get a bigger gorilla. (おい、俺に何がわかるって言うんだ? 俺は(それより)もっと大きなゴリラを買いたいと思ったんだぞ[買おうとした男なんだぞ]。)
レイチェルが出産後、退院して帰宅したのを、フレンズたちが迎えています。
Look at... は「人々が送ったすべてのものを見て!」ですね。
たくさんの人が送ってきてくれた、この贈り物の山を見て、というところです。
レイチェルはその中で、大きくて目立つゴリラのぬいぐるみに、真っ先に反応しています。
stuff は他動詞で「(綿などの)詰め物をする、詰め込む」という意味なので、stuffed は「詰め物をされた」ですから、a stuffed animal なら一般的には「動物のぬいぐるみ」という意味になります。
「詰め物をされた」ということから、a stuffed bird なら「剥製(はくせい)の鳥」という意味にもなるし、a stuffed turkey なら「詰め物をした七面鳥(料理)」という意味でも使われます。
ぬいぐるみなのか剥製なのか中に詰め物をした料理なのかは、状況から判断することになるわけですね。
ゴリラのぬいぐるみを見て、「すべての母親が必要とするものがあるわ」と言った後、A giant, stuffed gorilla that... と言っています。
that takes の that は関係代名詞で、「部屋全体を take up する巨大なぬいぐるみのゴリラ」という意味になります。
take up は「場所を取る、ふさぐ、占める」なので、「部屋全体をふさぐ、部屋いっぱいの場所を取る」でっかいぬいぐるみだわ、とボヤいていることになるわけです。
「すべての母親が必要とする」という発言は最大の皮肉で、「母親にとって一番要らないものをくれたわね」というところですね。
What are people think--? は、What are people thinking? と言おうとして途中で言葉を止めた感じ。
「(これをくれた)人たちは何考えていたのかしら? 全く何を考えていたんだか」みたいな不平のニュアンスで、そう言いかけた時にそのゴリラに添えてあったカードを見て、「まぁ、あなたたち。それ(そのゴリラのぬいぐるみ)私、大好きよ・気に入ったわ」と言い直したことになります。
「全く誰よこんなものをくれたのは!」と怒りをぶつけようとしたところ、ここにいるフレンズたちからのプレゼントだとわかったから言葉を変えたということですね。
ジョーイが「ロスはどこにいるの?」と尋ねると、レイチェルは、「ロスは階下にいて、キャブ(タクシー)から残りのもの(荷物)を取り出しているところ」だと答えます。
ジョーイは「ロスはまだ俺たち(レイチェルと俺)に怒ってる?」と心配そうに言っています。
「君と俺に対して、ロスはまだ怒ってるかな?」と言われたレイチェルは、「私よりも、あなたの方により強く怒ってるわね」と答えます。
「私に対しても怒ってるけれど、怒りの強さはあなたに対する方が強い」ということで、その後、「(私に対して今は確かに怒ってるけど)ロスは私にものすごく怒り続けることはできないわ」と言っています。
can't stay too mad は「非常に怒っている状態のままでいることができない」ということですね。
I mean 「それはつまり」の後にその理由を述べていますが、それは「私はロスの子供を産んだばかりだから」。
可愛い自分の子供を産んでくれた相手に対してずっと怒り続けることなんてできないわよ、という、産後の母親っぽい自信に満ちた発言をしていることになります。
それに対してジョーイは「そんなのフェアじゃない。そんなのアンフェアだ!」、そして「俺にはそんなことできないもん」と言っています。
「ロスの子供を産もうと思っても、俺は男だからそんなことできないじゃん。レイチェルが女で子供を産めちゃったりすることってずるいよ」みたいに言っていることになります。
レイチェルの I'm noto so sure... を直訳すると、「私は確信がない。ロスがここに来た・現れた時に、あなたがここにいるべきかどうかは」になるでしょう。
「ロスがやってきた時に、あなたはここにいない方がいいんじゃないかしら?」みたいなことですね。
レイチェルにそう言われて、ジョーイは、「ほらな、これが俺が恐れていたことだよ」と言っています。
「俺も自分がここにはいない方がいいと思ってたんだけど」と言ったジョーイは、チャンドラーの方を見ながら、「”誰かさん”が言ったんだ、彼はもうその件については忘れてるだろう、って」と言います。
明らかにチャンドラーのことを言っているのですが、それをわざと「誰かさんは」と言うことで、皮肉っぽい言い方をしているわけですね。
「誰かさんが余計なことを言うから。やっぱり俺の方が正しかったじゃん」みたいに言われたチャンドラーは、What do I know? と言っています。
「俺は何を知っている?」→「この俺が何を知ってる・何をわかってるって言うんだ?」みたいなことですね。
その後の、I wanted to get a bigger gorilla. は「俺はもっと大きなゴリラを買うことを望んでた、買おうと思っていた」ということ。
一目見るなりレイチェルに、「場所ばっかり取る、こんなぬいぐるみを買ったのは一体誰よ?!」みたいに言われてしまったその大きすぎるプレゼントを、俺は「もっと大きな方がいいんじゃない?」って勧めようとした人間だぞ。そんな俺の意見が何の役に立つって言うんだ? そんな俺の意見を参考にする方が悪い、、というような、いかにもチャンドラーっぽい自虐的なセリフになっているわけですね。
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let that goする準備がある フレンズ9-2その1
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シーズン9 第2話
The One Where Emma Cries (ホントに泣きたいのは誰!?)
原題は「エマが泣く話」
[Scene: Rachel's Hospital Room, Ross is sitting next to Rachel.]
レイチェルの病室、ロスはレイチェルの隣に座っている。
ロス: You said you'd marry Joey? (君はジョーイと結婚するつもりだと言ったのか?)
レイチェル: Okay, you have to realize, I was exhausted, I was emotional. I would have said yes to anybody. Like that time when you and I got married! (Pause) I'm not helping. (いいわ、あなたはこのことをわからないといけない、私は疲れ果てていた、私は感情的だった。私は誰にだってイエスと言ったでしょうね。あなたと私が結婚した、あの時みたいに! [間があって] 私(の発言)は全然助けになってないわね。)
ロス: So you said yes to him, and you just had our baby? (それじゃあ君はジョーイにイエスと言ったんだな、そして君は僕ら(二人)の子供を産んだばかりだった(のに)?)
レイチェル: That is right. And traditionally, the daddy is supposed to give the mommy a present. But I am prepared to let that go. (その通りよ。そして、伝統的には、父親は母親にプレゼントを贈ることになってるわ。でもその件はなしにしてあげる準備はあるわよ。)
ロス: So when I came in here to see if you wanted to maybe start things up again, you were engaged to my best friend? (それじゃあ、多分、君がまた(僕たちの関係を)始めたいと思っているかどうかを確かめに僕がここに来た時、君は僕の親友と婚約していたんだ。)
レイチェル: Well-- Really? I thought Chandler was your best friend. (えー、ほんと? 私はチャンドラーがあなたの親友だと思っていたんだけど。)
ロス: Well, Chandler's my oldest friend. Joey's my-- No! Ah! (points at Rachel) (うーん、チャンドラーは僕の一番古い友人で、ジョーイは僕の… ダメだ! ああ! [レイチェルを指さす])
レイチェル: Ooooo! (あー!)
ジョーイ: (Enters) Hey, you guys, I'm gonna take off. I just wanted to say goodbye. ([部屋に入ってきて] やあ、俺は行くよ。たださよならを言いたかったんで。)
ロス: Rachel said she'd marry you?! (レイチェルは、お前と結婚すると言ったのか?)
ジョーイ: (He looks around the room) This isn't the right room. Sorry, folks. (leaves) ([部屋を見回して] これは正しい部屋じゃない[部屋を間違えた]。すまない、皆さん。[出ていく])
前回のエピソード、フレンズ9-1 の続きです。
エマという赤ちゃんが生まれたことで、また二人の関係を始めようという気持ちになり始めていた二人でしたが、「ジョーイがプロポーズしたと勘違いしたレイチェルが、それを受け入れ、指に指輪をはめていた」ことに気づいたロスが、レイチェルに質問しているところです。
You said you'd marry Joey? は、You said you would marry Joey? ということで、you will marry Joey だと you は言った(said)が、時制の一致で you would になっていることになります。
ロスに詰問された形になったレイチェルは、you have to realize 「あなたは(今から私が言うことを)理解しないといけない、悟らないといけない」と言った後、「私は疲れ果てて・疲れきっていた。私は感情的だった」と説明しています。
I would have said yes to anybody. の would have+過去分詞、は「〜だっただろう」。
「誰に対しても私はイエスと言っただろう」ということで、今回はたまたま相手がジョーイだったけれど、あの時、もし他の誰かがプロポーズしていたとしたら、その場合も、相手が誰であっても私はイエスと言っていたでしょうね、と、「過去の事実とは反対の仮定をした上で、その時、自分がしたであろう行動を推量」している感覚になります。
イエスと言った相手がジョーイであったことに、ロスが大いにこだわっている様子なので、「別にジョーイだからイエスと言ったわけじゃない。ものすごく疲れてて感情的になっていた私は、相手が誰であってもプロポーズを受け入れていたと思うわ」と説明していることになるわけです。
その後、Like that time when... 「〜したあの時みたいに、あの時のように」と言って、過去の出来事を例え話に挙げるのですが、それが「あなたと私が結婚した、あの時みたいに」。
これは、シーズン5の最終エピソード、ベガスでは簡単に結婚できちゃう フレンズ5-24その6 の時のことですね。
フレンズたちがラスベガスにいた時のエピソードで、チャンドラーとモニカがチャペルで結婚式を挙げようとしていた時、ベロンベロンに酔っ払ってしまったロスとレイチェルがチャペルから出てきて、、というシーンでした。
その時のロスとレイチェルは明らかに「酔っぱらった勢いで」結婚式を挙げてしまった典型で、レイチェルはその話を持ち出して、「あの時と同じように、今回も私は冷静な判断ができない状態で、イエスと言ってしまったのよ」と説明していることになります。
ですが、「今、目の前にいるロス」と結婚式を挙げたことを、「バカなことをしちゃったあの時と同じよ」のように例に出してしまうと、「あの時、ロスと結婚式を挙げたことはバカみたいなことだった」と言っているのと同じになってしまいますね。
それでレイチェルは、I'm not helping. 「私は助けになっていない。役に立っていない」、つまり、「私がこんなことを言っても、何のフォローにもなってないわね」と反省することになります。
「誰にでもイエスと言ったでしょう」とは言うものの、やはりジョーイにイエスと言った、ジョーイのプロポーズをその時受けた、という事実は疑いようがないので、ロスは確認するように、「それじゃあ君はジョーイにイエスと言ったんだな。君は僕らの子供を産んだばかりだったのに?」と言っています。
レイチェルはもうその事実を否定することはせず、認めた上で、「伝統的には、子供が生まれた時に、父親は母親にプレゼントを贈ることになっている」と言った後、But I am prepared to let that go. と言っています。
let ... go を直訳すると、「〜を行かせる」ということで、「〜を解放する、解き放つ、手放す」などと訳されることが多いです。
アナ雪の「レリゴー」(Let It Go)もそういう「解き放つ」というニュアンスですよね。
今回のレイチェルのセリフは、「出産後、父親が母親に贈り物をするのが伝統になっているけれど、その伝統を go させる準備が私にはある」と言っているわけですから、「その伝統はなし、ってことで済ましてもいいわ、その伝統のことは忘れてあげてもいいわよ」と言っていることになります。
ちょっとレリゴー繋がりになりますが、まさに、Let it go というフレーズが、フレンズの初期エピソード、フレンズ1-3その2 に出てきていました。
小さい頃、可愛がっていた犬がいなくなった時、「農場で余生を送ってるんだよ」と聞かされたロス。
大人になってからもずっとそれを信じていたのに、それは安楽死させたことを伏せるためによく使われる言葉だったとフレンズから教えられ、いつまでもその犬(名前は Chi-Chi)のことで落ち込んでいるロスを見て、
ジョーイ: Let it go, Ross. (もう忘れろよ、ロス。)
ロス: Yeah, well, you didn't know Chi-Chi. (あぁ、君はチーチーのことを知らなかったから(そんな風に言えるんだ)。)
この場合の、Let it go. は、「愛犬は農場に行ったのではなく安楽死させられていた、という事実」にいつまでもこだわって、その悲しみを乗り越えられないロスに対して、「そんな風に昔のことに捉われずに、行かせてしまえ、こだわらずに忘れてしまえ」という感覚ですね。
「自分のところに引き止めるな、手放せ」というニュアンスになるでしょう。
it が go するのが自然な状態であって、それを引き止めない、go することを許す、go させる、というのが、Let it go のニュアンスになるわけですね。
ロスのチーチーの件については、「こだわっていることを、こだわらないようにする、忘れる」、今回のレイチェルの場合は、「その件について、私は文句を言ってもいいところだけど、あえて問題にはせず、流してあげる、忘れてあげる」になるでしょう。
レリゴーの場合は、次の歌詞が Can't hold it back anymore 「もう隠す(秘密にする・抑える)ことができない」となっていることからもわかるように、「これまで隠していたこと、抑えていたことを行かせる→解放する、解き放つ」というニュアンスになるということですね。
そうやって、別の話にすり替えようとするレイチェルに、ロスは余計にいらいらしたのでしょう、「僕が君の気持ちを確認しようと思ってここに来た時には、君は僕の親友と婚約していたんだ」と言っています。
僕はそういう気持ちだったのに、君は僕のことなんかちっとも考えていなくて、プロポーズを申し込んでくれたジョーイのことで頭がいっぱいだったんだろ、とでも言いたげです。
そのロスの発言を聞いたレイチェルは、「あなたは今、ジョーイのことを親友と言ったけど、あなたの親友はチャンドラーじゃなかったっけ?」みたいに言っています。
そう言われたロスは、「チャンドラーは(親友というよりも)一番古い友達で、ジョーイは…」と説明しようとして、「あ、また、そんなどうでもいい話題で、本題からそらせようとしたな! 僕はごまかされないぞ!」とばかりに、レイチェルを指差しています。
レイチェルの方も、「あぁ残念、その手に引っかからなかったかー」みたいな顔をしていますね。
そこにジョーイが入ってきて、I'm gonna take off. 以下の文章を言っています。
take off は「飛行機のテイクオフ」のように日本語化していますが、「離陸する、出発する」という意味ですね。
今回のように、人が「自分はもう行くよ、立ち去るよ」という場合にも、I'm gonna take off. として使うことができます。
「俺はもう行くんで、さよならだけ言っときたくて」のように顔を出したわけですが、ロスが「レイチェルはお前に結婚する(つもりだ)と言ったのか?」と問われると、部屋をきょろきょろ見回して、This isn't the right room. Sorry, folks. と言い残して、そそくさと部屋を出て行くことになります。
最初の文は「これは正しい部屋ではない」、つまり、「俺は入る部屋を間違えた」ということですね。
folks は「人々」という意味で、このように呼び掛け語として使うと、「皆さん」というニュアンスになります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
folks : (spoken) said when you are talking to a group of people in a friendly way
例) Hi folks, it's good to see you all here tonight!
つまり、「(口語) 人々のグループに親しい様子で話しかける時に使われる」。例文は「はい、皆さん、今夜、あなたがた全員にお会いできて嬉しいです」。
in a friendly way とあるように、「親しい感じの呼び掛け語」なわけですね。
過去記事、インフォマーシャル フレンズ3-4その1 では、インフォマーシャルの司会者のセリフで、
司会者: Folks, This ever happen to you? (皆さん、今までこんな経験がありませんか?)
のように使われていましたので、やはり「親しい感じ」は感じられる気がします。
ジョーイが普段フレンズに言う場合だと、you guys を使うような気がしますし、実際、この部屋に入って来た時には、Hey, you guys, I'm gonna take off. と you guys を使っていましたね。
それが最後の部分で、いつもの you guys ではなく folks を使うことで、「you guys とは違ったフレンドリーさ」を出しているような気が私にはしました。
you guys だと「いつものフレンズ」のような関係の濃さが感じられるのですが、それよりは多少、距離感がある(ように思える)、それでいてフレンドリーさが感じられる folks を使うことで、自分も深く関わっている修羅場に顔を出してしまった気まずさから、「フレンドリーな挨拶で他人のふりをして逃げようとしている感じ」が出ているような気がするのですね。
1つ前のエピソード、私がそう仕向けた張本人よ フレンズ9-1その3 では、
フィービー: The puppet master gets tired, people. (人形使いは疲れたのよ、皆さん。)
のように、呼び掛け語の people が使われていましたが、その時のニュアンスはちょっと「いらいらした感じ」が感じられました。
今回の folks は、その people よりはずっとフレンドリーで、でも you guys のような「べったり親しい感じ」は薄れている、というような印象を私は受けたということです。
Sorry, you guys. だといつもと同じ雰囲気になってしまいますので、「知らない人の部屋に間違えて入ってしまった」ふりをしている流れから、わざと folks と呼び掛けて出て行った、ということになるだろうということですね。
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シーズン9 第2話
The One Where Emma Cries (ホントに泣きたいのは誰!?)
原題は「エマが泣く話」
[Scene: Rachel's Hospital Room, Ross is sitting next to Rachel.]
レイチェルの病室、ロスはレイチェルの隣に座っている。
ロス: You said you'd marry Joey? (君はジョーイと結婚するつもりだと言ったのか?)
レイチェル: Okay, you have to realize, I was exhausted, I was emotional. I would have said yes to anybody. Like that time when you and I got married! (Pause) I'm not helping. (いいわ、あなたはこのことをわからないといけない、私は疲れ果てていた、私は感情的だった。私は誰にだってイエスと言ったでしょうね。あなたと私が結婚した、あの時みたいに! [間があって] 私(の発言)は全然助けになってないわね。)
ロス: So you said yes to him, and you just had our baby? (それじゃあ君はジョーイにイエスと言ったんだな、そして君は僕ら(二人)の子供を産んだばかりだった(のに)?)
レイチェル: That is right. And traditionally, the daddy is supposed to give the mommy a present. But I am prepared to let that go. (その通りよ。そして、伝統的には、父親は母親にプレゼントを贈ることになってるわ。でもその件はなしにしてあげる準備はあるわよ。)
ロス: So when I came in here to see if you wanted to maybe start things up again, you were engaged to my best friend? (それじゃあ、多分、君がまた(僕たちの関係を)始めたいと思っているかどうかを確かめに僕がここに来た時、君は僕の親友と婚約していたんだ。)
レイチェル: Well-- Really? I thought Chandler was your best friend. (えー、ほんと? 私はチャンドラーがあなたの親友だと思っていたんだけど。)
ロス: Well, Chandler's my oldest friend. Joey's my-- No! Ah! (points at Rachel) (うーん、チャンドラーは僕の一番古い友人で、ジョーイは僕の… ダメだ! ああ! [レイチェルを指さす])
レイチェル: Ooooo! (あー!)
ジョーイ: (Enters) Hey, you guys, I'm gonna take off. I just wanted to say goodbye. ([部屋に入ってきて] やあ、俺は行くよ。たださよならを言いたかったんで。)
ロス: Rachel said she'd marry you?! (レイチェルは、お前と結婚すると言ったのか?)
ジョーイ: (He looks around the room) This isn't the right room. Sorry, folks. (leaves) ([部屋を見回して] これは正しい部屋じゃない[部屋を間違えた]。すまない、皆さん。[出ていく])
前回のエピソード、フレンズ9-1 の続きです。
エマという赤ちゃんが生まれたことで、また二人の関係を始めようという気持ちになり始めていた二人でしたが、「ジョーイがプロポーズしたと勘違いしたレイチェルが、それを受け入れ、指に指輪をはめていた」ことに気づいたロスが、レイチェルに質問しているところです。
You said you'd marry Joey? は、You said you would marry Joey? ということで、you will marry Joey だと you は言った(said)が、時制の一致で you would になっていることになります。
ロスに詰問された形になったレイチェルは、you have to realize 「あなたは(今から私が言うことを)理解しないといけない、悟らないといけない」と言った後、「私は疲れ果てて・疲れきっていた。私は感情的だった」と説明しています。
I would have said yes to anybody. の would have+過去分詞、は「〜だっただろう」。
「誰に対しても私はイエスと言っただろう」ということで、今回はたまたま相手がジョーイだったけれど、あの時、もし他の誰かがプロポーズしていたとしたら、その場合も、相手が誰であっても私はイエスと言っていたでしょうね、と、「過去の事実とは反対の仮定をした上で、その時、自分がしたであろう行動を推量」している感覚になります。
イエスと言った相手がジョーイであったことに、ロスが大いにこだわっている様子なので、「別にジョーイだからイエスと言ったわけじゃない。ものすごく疲れてて感情的になっていた私は、相手が誰であってもプロポーズを受け入れていたと思うわ」と説明していることになるわけです。
その後、Like that time when... 「〜したあの時みたいに、あの時のように」と言って、過去の出来事を例え話に挙げるのですが、それが「あなたと私が結婚した、あの時みたいに」。
これは、シーズン5の最終エピソード、ベガスでは簡単に結婚できちゃう フレンズ5-24その6 の時のことですね。
フレンズたちがラスベガスにいた時のエピソードで、チャンドラーとモニカがチャペルで結婚式を挙げようとしていた時、ベロンベロンに酔っ払ってしまったロスとレイチェルがチャペルから出てきて、、というシーンでした。
その時のロスとレイチェルは明らかに「酔っぱらった勢いで」結婚式を挙げてしまった典型で、レイチェルはその話を持ち出して、「あの時と同じように、今回も私は冷静な判断ができない状態で、イエスと言ってしまったのよ」と説明していることになります。
ですが、「今、目の前にいるロス」と結婚式を挙げたことを、「バカなことをしちゃったあの時と同じよ」のように例に出してしまうと、「あの時、ロスと結婚式を挙げたことはバカみたいなことだった」と言っているのと同じになってしまいますね。
それでレイチェルは、I'm not helping. 「私は助けになっていない。役に立っていない」、つまり、「私がこんなことを言っても、何のフォローにもなってないわね」と反省することになります。
「誰にでもイエスと言ったでしょう」とは言うものの、やはりジョーイにイエスと言った、ジョーイのプロポーズをその時受けた、という事実は疑いようがないので、ロスは確認するように、「それじゃあ君はジョーイにイエスと言ったんだな。君は僕らの子供を産んだばかりだったのに?」と言っています。
レイチェルはもうその事実を否定することはせず、認めた上で、「伝統的には、子供が生まれた時に、父親は母親にプレゼントを贈ることになっている」と言った後、But I am prepared to let that go. と言っています。
let ... go を直訳すると、「〜を行かせる」ということで、「〜を解放する、解き放つ、手放す」などと訳されることが多いです。
アナ雪の「レリゴー」(Let It Go)もそういう「解き放つ」というニュアンスですよね。
今回のレイチェルのセリフは、「出産後、父親が母親に贈り物をするのが伝統になっているけれど、その伝統を go させる準備が私にはある」と言っているわけですから、「その伝統はなし、ってことで済ましてもいいわ、その伝統のことは忘れてあげてもいいわよ」と言っていることになります。
ちょっとレリゴー繋がりになりますが、まさに、Let it go というフレーズが、フレンズの初期エピソード、フレンズ1-3その2 に出てきていました。
小さい頃、可愛がっていた犬がいなくなった時、「農場で余生を送ってるんだよ」と聞かされたロス。
大人になってからもずっとそれを信じていたのに、それは安楽死させたことを伏せるためによく使われる言葉だったとフレンズから教えられ、いつまでもその犬(名前は Chi-Chi)のことで落ち込んでいるロスを見て、
ジョーイ: Let it go, Ross. (もう忘れろよ、ロス。)
ロス: Yeah, well, you didn't know Chi-Chi. (あぁ、君はチーチーのことを知らなかったから(そんな風に言えるんだ)。)
この場合の、Let it go. は、「愛犬は農場に行ったのではなく安楽死させられていた、という事実」にいつまでもこだわって、その悲しみを乗り越えられないロスに対して、「そんな風に昔のことに捉われずに、行かせてしまえ、こだわらずに忘れてしまえ」という感覚ですね。
「自分のところに引き止めるな、手放せ」というニュアンスになるでしょう。
it が go するのが自然な状態であって、それを引き止めない、go することを許す、go させる、というのが、Let it go のニュアンスになるわけですね。
ロスのチーチーの件については、「こだわっていることを、こだわらないようにする、忘れる」、今回のレイチェルの場合は、「その件について、私は文句を言ってもいいところだけど、あえて問題にはせず、流してあげる、忘れてあげる」になるでしょう。
レリゴーの場合は、次の歌詞が Can't hold it back anymore 「もう隠す(秘密にする・抑える)ことができない」となっていることからもわかるように、「これまで隠していたこと、抑えていたことを行かせる→解放する、解き放つ」というニュアンスになるということですね。
そうやって、別の話にすり替えようとするレイチェルに、ロスは余計にいらいらしたのでしょう、「僕が君の気持ちを確認しようと思ってここに来た時には、君は僕の親友と婚約していたんだ」と言っています。
僕はそういう気持ちだったのに、君は僕のことなんかちっとも考えていなくて、プロポーズを申し込んでくれたジョーイのことで頭がいっぱいだったんだろ、とでも言いたげです。
そのロスの発言を聞いたレイチェルは、「あなたは今、ジョーイのことを親友と言ったけど、あなたの親友はチャンドラーじゃなかったっけ?」みたいに言っています。
そう言われたロスは、「チャンドラーは(親友というよりも)一番古い友達で、ジョーイは…」と説明しようとして、「あ、また、そんなどうでもいい話題で、本題からそらせようとしたな! 僕はごまかされないぞ!」とばかりに、レイチェルを指差しています。
レイチェルの方も、「あぁ残念、その手に引っかからなかったかー」みたいな顔をしていますね。
そこにジョーイが入ってきて、I'm gonna take off. 以下の文章を言っています。
take off は「飛行機のテイクオフ」のように日本語化していますが、「離陸する、出発する」という意味ですね。
今回のように、人が「自分はもう行くよ、立ち去るよ」という場合にも、I'm gonna take off. として使うことができます。
「俺はもう行くんで、さよならだけ言っときたくて」のように顔を出したわけですが、ロスが「レイチェルはお前に結婚する(つもりだ)と言ったのか?」と問われると、部屋をきょろきょろ見回して、This isn't the right room. Sorry, folks. と言い残して、そそくさと部屋を出て行くことになります。
最初の文は「これは正しい部屋ではない」、つまり、「俺は入る部屋を間違えた」ということですね。
folks は「人々」という意味で、このように呼び掛け語として使うと、「皆さん」というニュアンスになります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
folks : (spoken) said when you are talking to a group of people in a friendly way
例) Hi folks, it's good to see you all here tonight!
つまり、「(口語) 人々のグループに親しい様子で話しかける時に使われる」。例文は「はい、皆さん、今夜、あなたがた全員にお会いできて嬉しいです」。
in a friendly way とあるように、「親しい感じの呼び掛け語」なわけですね。
過去記事、インフォマーシャル フレンズ3-4その1 では、インフォマーシャルの司会者のセリフで、
司会者: Folks, This ever happen to you? (皆さん、今までこんな経験がありませんか?)
のように使われていましたので、やはり「親しい感じ」は感じられる気がします。
ジョーイが普段フレンズに言う場合だと、you guys を使うような気がしますし、実際、この部屋に入って来た時には、Hey, you guys, I'm gonna take off. と you guys を使っていましたね。
それが最後の部分で、いつもの you guys ではなく folks を使うことで、「you guys とは違ったフレンドリーさ」を出しているような気が私にはしました。
you guys だと「いつものフレンズ」のような関係の濃さが感じられるのですが、それよりは多少、距離感がある(ように思える)、それでいてフレンドリーさが感じられる folks を使うことで、自分も深く関わっている修羅場に顔を出してしまった気まずさから、「フレンドリーな挨拶で他人のふりをして逃げようとしている感じ」が出ているような気がするのですね。
1つ前のエピソード、私がそう仕向けた張本人よ フレンズ9-1その3 では、
フィービー: The puppet master gets tired, people. (人形使いは疲れたのよ、皆さん。)
のように、呼び掛け語の people が使われていましたが、その時のニュアンスはちょっと「いらいらした感じ」が感じられました。
今回の folks は、その people よりはずっとフレンドリーで、でも you guys のような「べったり親しい感じ」は薄れている、というような印象を私は受けたということです。
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2014年12月15日
また邪魔をして申し訳ないが フレンズ9-1その6
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エマがやっとおっぱいを飲んでくれるようになって、レイチェルは喜びの表情を浮かべています。
「たまたま落ちた指輪をひざまずいて拾っただけで、レイチェルにプロポーズしたわけではない」ことをレイチェルに理解してもらえたジョーイは、部屋を出て行き、病室には、レイチェル、ロス、そしてエマの3人だけになっています。
エマのことを幸せそうに見ていた二人は、
ロス: Look, I-I know it's not a proposal, and I don't know where you are, but with everything that's been going on and with Emma, I'm.... I've been feeling.... (ねぇ、プロポーズじゃないってわかってるし、君が今、どういう気持ちかわからないけど、でも、これまで起こった全てのことやエマのことで、僕は…僕はずっと感じてたんだ…)
レイチェル: I know. I know. I've feeling.... (わかるわ、わかる。私もずっと感じてたもの…)
ロス: Yeah? (そうなの?)
レイチェル: Yeah. (Laughs nervously) (ええ。[不安そうに笑う])
ロス: Okay, well, that-- Wow, okay, well, umm... then maybe, at least we can, we can talk about us again. (わかった。あぁ、よし、えーっと、じゃあ、多分、少なくとも僕たちは、僕たちのことをもう一度話すことができるんだね。)
レイチェル: Yeah. Maybe. (ええ、多分ね。)
ロス: Well. good. Okay. I-I, kind of think, y'know, if we, if-- You're wearing the ring. (そうか、良かった。よし。僕は思うんだけど、ほら、もし僕たちが、もし… [レイチェルの左手を触っていて、気づく] 君はその指輪をしてるんだね。)
(Pause.) 間があって
レイチェル: Wh-what's that? (な、何?)
ロス: And you told Phoebe you were engaged. (そして君はフィービーに、婚約したと言ったんだよね。)
レイチェル: I'm sorry, what? (ごめんなさい。何?)
ロス: When you thought Joey proposed did... did you say yes? (ジョーイがプロポーズしたと君が思った時…君はイエスと言ったの?)
proposal は「提案」と訳されることが多いですが、今回は「プロポーズ」の話であったことからもわかるように、propose 「プロポーズする」の名詞形「結婚の申込、プロポーズ」の意味で使われています。
「人にプロポーズする」と表現する場合には、動詞 propose だと、propose to (a woman)、
名詞 proposal を使うと、make a proposal to (a woman) の形になります。
I don't know where you are は「君がどこにいるかわからない」ということですから、「君の(僕に対する)今の気持ちがどういう段階にあるかわからない」みたいなことですね。
その後、with everything... のセリフが続きますが、その文をシンプルにすると、
with everything and with Emma, I've been feeling...
になります。
「いろんなことやエマのことで、僕はずっと〜という気持ちを感じているんだ」というところですね。
その everything の説明として、関係代名詞 that を使って、that's been going on と続いているので、「ずっと起こってきた全てのこと」と言っていることになります。
これまで起こった全てのことと、そしてエマのこと(エマが生まれたこと)で、僕はこういう気持ちになっているんだ、と説明しようとするのですが、その「気持ち」の内容を、うまく言葉にできなくて、言葉に詰まる感覚ですね。
二人の子であるエマを目の前にして、そういうことを言おうとするとロスも胸が詰まってしまうのでしょう、レイチェルにもそれがわかるので、「わかるわ、わかる。私もずっと感じてたもの」と言って、ロスと同じような「気持ち」を自分も感じていたことを語っています。
レイチェルも自分と同じように何かを感じていたと知って、ロスは言葉を選びながらも、「多分、少なくとも僕たちは、僕たちのことをもう一度話すことができるね」と言っています。
これまでの二人は、くっついたり離れたりを繰り返した結果、二人の関係を考えることをあえて避けていたところがありましたが、エマが生まれたことでお互い、これまでと違う感情を覚えるようになった、だから、二人のことを、二人の関係をこれからどうするかを話し合うこともできるようになったよね、と言っていることになります。
レイチェルもそれに同意し、ロスは「もし僕たちが…」と話をし始めるのですが、レイチェルの手を触っている時に、レイチェルの左手に指輪があることに気づき、「君はその指輪(例の指輪)をしてるんだね」とロスは言葉に出して、レイチェルに問うことになります。
レイチェルも「これからロスと良好な関係を築いて行けそうな気がする」と、ロスとの関係に前向きな気持ちを持ち始めた矢先に、自分が指輪をしていることをロスに指摘されてしまったので、トボけるしかありません。
ちなみにこの指輪は、ジョーイがレイチェルにはめたわけではなく、レイチェルが自分ではめたものでした。
過去記事、時間のかかる子もいる フレンズ9-1その4 の最初の部分で、ジョーイが置いていった指輪の箱をレイチェルが開けて、Wow! と言いながら自分の指にはめて、「この指輪、きれいね。気に入ったわ」と言っていましたね。
ジョーイはただ落ちた指輪を拾っただけで、それがたまたま片膝ついた「プロポーズのお決まりのポーズ」だったのでレイチェルは誤解した、ということになっています。
ジョーイが実際にレイチェルの指に指輪をはめるシーンを作ってしまうと、それはほんとのプロポーズになってしまうし、「ポーズで誤解した」という流れからもそれは不自然なものとなりますから、ジョーイに指輪をはめさせるわけにはいかない、だから、ジョーイが出て行った後、レイチェルが自分ではめる、という流れになっていたわけですが、その伏線が最後のここで生きてくるわけですね。
レイチェルも「しまった」と思ったでしょうが、今さらそれを外すこともできません。
さらにロスは、「(君は今、指輪をしている。)そして君はフィービーに、私は婚約した、と言ったんだよね」と言っています。
まだトボけ続けるレイチェルに、ロスは「ジョーイがプロポーズしたと君が思った時に、君はイエスと言ったの?」という核心を突く質問をすることになります。
「二人の関係をまた始めよう」とロスが思い始めた時に、「ジョーイがプロポーズしたと思ったレイチェルは、それに対してイエスと言った。だからフィービーに、自分は婚約した、と言い、その証に今も指輪をはめている」ことに気づいてしまって、ショックを受けているわけです。
気まずい空気が流れ、エンド・クレジットとなります。
このまま終わってしまうと、「あまりにも後味(あとあじ)が悪い」せいでしょうね、エンド・クレジットでは、ゲラーパパのシーンで終わってくれているのが、せめてもの救いでしょうか。
それが以下のシーン。
[Scene: Outside the Janitor's Closet, there are people having sex and Mr. Geller is trying to give them some pamphlets.]
清掃作業員のクローゼットの外。そこでは人がエッチしていて、ゲラー氏(ゲラーパパ)が中の人にパンフレットを渡そうとしているところ。
ゲラーパパ: Kids, I spoke to a doctor and picked up this pamphlets on how to get pregnant. (He slides them under the door.) (子供たち、私は医者に話をして、妊娠する方法についてのパンフレットを選んできたんだ。[ドアの下からパンフレットをそっと入れる])
モニカ: (walking by with Chandler.) Hey, Dad! ([チャンドラーと一緒にそばを通りかかって] はーい、パパ!)
チャンドラー: Hey. (はーい。)
ゲラーパパ: (pause) Sorry to bother you again, but could you pass my pamphlets back? (They do so.) Thank you. ([間があって] また邪魔をして申し訳ないが、私のパンフレットを返してくれないかな? [中の二人はそうする(パンフを返す)] ありがとう。)
パパが Kids と呼び掛けているのは、中でエッチしているのが、「自分の娘モニカとその夫チャンドラーだと思っているから」ですね。
今回のエピソードでは、この部屋の中でチャンドラーとモニカがエッチしているところを、ゲラーパパが目撃してしまう、というシーンがありました。
その現場を見てしまい、最初はものすごくショックを受けていたパパでしたが、「子作りのためにエッチをしていたんです」と説明された後は、二人のエッチを応援し始め、エッチのアドバイスまで語り出します。
そういうシーンがあった後なので、パパのセリフから、「パパは、中にいるチャンドラーとモニカに、妊娠に関するパンフを渡そうとしている」ことがわかるのですが、そのそばを、チャンドラーとモニカが通過して行ったことから、中にいるのは娘夫婦ではないとわかり、「パンフを返してもらえないかな」と頼むことになるわけです。
Sorry to bother you は「お邪魔してすみません」という決まり文句ですね。
again 「また邪魔してすまない」と言っているのは、娘夫婦のために良かれと思って、パパはパンフをドアの中に差し入れたわけですが、子作りのためではなく、普通に快楽のために(笑)エッチをしていた二人にとっては迷惑だったことに気づき、「また邪魔してすまないが、私が今入れたパンフをこちらに返してくれないか?」と詫び、頼んだことになります。
パンフレットまで探してきて二人の子作りを応援しているパパが、パパらしくて楽しい終わり方だと思いました。
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エマがやっとおっぱいを飲んでくれるようになって、レイチェルは喜びの表情を浮かべています。
「たまたま落ちた指輪をひざまずいて拾っただけで、レイチェルにプロポーズしたわけではない」ことをレイチェルに理解してもらえたジョーイは、部屋を出て行き、病室には、レイチェル、ロス、そしてエマの3人だけになっています。
エマのことを幸せそうに見ていた二人は、
ロス: Look, I-I know it's not a proposal, and I don't know where you are, but with everything that's been going on and with Emma, I'm.... I've been feeling.... (ねぇ、プロポーズじゃないってわかってるし、君が今、どういう気持ちかわからないけど、でも、これまで起こった全てのことやエマのことで、僕は…僕はずっと感じてたんだ…)
レイチェル: I know. I know. I've feeling.... (わかるわ、わかる。私もずっと感じてたもの…)
ロス: Yeah? (そうなの?)
レイチェル: Yeah. (Laughs nervously) (ええ。[不安そうに笑う])
ロス: Okay, well, that-- Wow, okay, well, umm... then maybe, at least we can, we can talk about us again. (わかった。あぁ、よし、えーっと、じゃあ、多分、少なくとも僕たちは、僕たちのことをもう一度話すことができるんだね。)
レイチェル: Yeah. Maybe. (ええ、多分ね。)
ロス: Well. good. Okay. I-I, kind of think, y'know, if we, if-- You're wearing the ring. (そうか、良かった。よし。僕は思うんだけど、ほら、もし僕たちが、もし… [レイチェルの左手を触っていて、気づく] 君はその指輪をしてるんだね。)
(Pause.) 間があって
レイチェル: Wh-what's that? (な、何?)
ロス: And you told Phoebe you were engaged. (そして君はフィービーに、婚約したと言ったんだよね。)
レイチェル: I'm sorry, what? (ごめんなさい。何?)
ロス: When you thought Joey proposed did... did you say yes? (ジョーイがプロポーズしたと君が思った時…君はイエスと言ったの?)
proposal は「提案」と訳されることが多いですが、今回は「プロポーズ」の話であったことからもわかるように、propose 「プロポーズする」の名詞形「結婚の申込、プロポーズ」の意味で使われています。
「人にプロポーズする」と表現する場合には、動詞 propose だと、propose to (a woman)、
名詞 proposal を使うと、make a proposal to (a woman) の形になります。
I don't know where you are は「君がどこにいるかわからない」ということですから、「君の(僕に対する)今の気持ちがどういう段階にあるかわからない」みたいなことですね。
その後、with everything... のセリフが続きますが、その文をシンプルにすると、
with everything and with Emma, I've been feeling...
になります。
「いろんなことやエマのことで、僕はずっと〜という気持ちを感じているんだ」というところですね。
その everything の説明として、関係代名詞 that を使って、that's been going on と続いているので、「ずっと起こってきた全てのこと」と言っていることになります。
これまで起こった全てのことと、そしてエマのこと(エマが生まれたこと)で、僕はこういう気持ちになっているんだ、と説明しようとするのですが、その「気持ち」の内容を、うまく言葉にできなくて、言葉に詰まる感覚ですね。
二人の子であるエマを目の前にして、そういうことを言おうとするとロスも胸が詰まってしまうのでしょう、レイチェルにもそれがわかるので、「わかるわ、わかる。私もずっと感じてたもの」と言って、ロスと同じような「気持ち」を自分も感じていたことを語っています。
レイチェルも自分と同じように何かを感じていたと知って、ロスは言葉を選びながらも、「多分、少なくとも僕たちは、僕たちのことをもう一度話すことができるね」と言っています。
これまでの二人は、くっついたり離れたりを繰り返した結果、二人の関係を考えることをあえて避けていたところがありましたが、エマが生まれたことでお互い、これまでと違う感情を覚えるようになった、だから、二人のことを、二人の関係をこれからどうするかを話し合うこともできるようになったよね、と言っていることになります。
レイチェルもそれに同意し、ロスは「もし僕たちが…」と話をし始めるのですが、レイチェルの手を触っている時に、レイチェルの左手に指輪があることに気づき、「君はその指輪(例の指輪)をしてるんだね」とロスは言葉に出して、レイチェルに問うことになります。
レイチェルも「これからロスと良好な関係を築いて行けそうな気がする」と、ロスとの関係に前向きな気持ちを持ち始めた矢先に、自分が指輪をしていることをロスに指摘されてしまったので、トボけるしかありません。
ちなみにこの指輪は、ジョーイがレイチェルにはめたわけではなく、レイチェルが自分ではめたものでした。
過去記事、時間のかかる子もいる フレンズ9-1その4 の最初の部分で、ジョーイが置いていった指輪の箱をレイチェルが開けて、Wow! と言いながら自分の指にはめて、「この指輪、きれいね。気に入ったわ」と言っていましたね。
ジョーイはただ落ちた指輪を拾っただけで、それがたまたま片膝ついた「プロポーズのお決まりのポーズ」だったのでレイチェルは誤解した、ということになっています。
ジョーイが実際にレイチェルの指に指輪をはめるシーンを作ってしまうと、それはほんとのプロポーズになってしまうし、「ポーズで誤解した」という流れからもそれは不自然なものとなりますから、ジョーイに指輪をはめさせるわけにはいかない、だから、ジョーイが出て行った後、レイチェルが自分ではめる、という流れになっていたわけですが、その伏線が最後のここで生きてくるわけですね。
レイチェルも「しまった」と思ったでしょうが、今さらそれを外すこともできません。
さらにロスは、「(君は今、指輪をしている。)そして君はフィービーに、私は婚約した、と言ったんだよね」と言っています。
まだトボけ続けるレイチェルに、ロスは「ジョーイがプロポーズしたと君が思った時に、君はイエスと言ったの?」という核心を突く質問をすることになります。
「二人の関係をまた始めよう」とロスが思い始めた時に、「ジョーイがプロポーズしたと思ったレイチェルは、それに対してイエスと言った。だからフィービーに、自分は婚約した、と言い、その証に今も指輪をはめている」ことに気づいてしまって、ショックを受けているわけです。
気まずい空気が流れ、エンド・クレジットとなります。
このまま終わってしまうと、「あまりにも後味(あとあじ)が悪い」せいでしょうね、エンド・クレジットでは、ゲラーパパのシーンで終わってくれているのが、せめてもの救いでしょうか。
それが以下のシーン。
[Scene: Outside the Janitor's Closet, there are people having sex and Mr. Geller is trying to give them some pamphlets.]
清掃作業員のクローゼットの外。そこでは人がエッチしていて、ゲラー氏(ゲラーパパ)が中の人にパンフレットを渡そうとしているところ。
ゲラーパパ: Kids, I spoke to a doctor and picked up this pamphlets on how to get pregnant. (He slides them under the door.) (子供たち、私は医者に話をして、妊娠する方法についてのパンフレットを選んできたんだ。[ドアの下からパンフレットをそっと入れる])
モニカ: (walking by with Chandler.) Hey, Dad! ([チャンドラーと一緒にそばを通りかかって] はーい、パパ!)
チャンドラー: Hey. (はーい。)
ゲラーパパ: (pause) Sorry to bother you again, but could you pass my pamphlets back? (They do so.) Thank you. ([間があって] また邪魔をして申し訳ないが、私のパンフレットを返してくれないかな? [中の二人はそうする(パンフを返す)] ありがとう。)
パパが Kids と呼び掛けているのは、中でエッチしているのが、「自分の娘モニカとその夫チャンドラーだと思っているから」ですね。
今回のエピソードでは、この部屋の中でチャンドラーとモニカがエッチしているところを、ゲラーパパが目撃してしまう、というシーンがありました。
その現場を見てしまい、最初はものすごくショックを受けていたパパでしたが、「子作りのためにエッチをしていたんです」と説明された後は、二人のエッチを応援し始め、エッチのアドバイスまで語り出します。
そういうシーンがあった後なので、パパのセリフから、「パパは、中にいるチャンドラーとモニカに、妊娠に関するパンフを渡そうとしている」ことがわかるのですが、そのそばを、チャンドラーとモニカが通過して行ったことから、中にいるのは娘夫婦ではないとわかり、「パンフを返してもらえないかな」と頼むことになるわけです。
Sorry to bother you は「お邪魔してすみません」という決まり文句ですね。
again 「また邪魔してすまない」と言っているのは、娘夫婦のために良かれと思って、パパはパンフをドアの中に差し入れたわけですが、子作りのためではなく、普通に快楽のために(笑)エッチをしていた二人にとっては迷惑だったことに気づき、「また邪魔してすまないが、私が今入れたパンフをこちらに返してくれないか?」と詫び、頼んだことになります。
パンフレットまで探してきて二人の子作りを応援しているパパが、パパらしくて楽しい終わり方だと思いました。
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2014年12月12日
性急に行動に移したくない フレンズ9-1その5
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レイチェルの部屋にロス、続いてジョーイがやってきます。
レイチェルは「私はジョーイにプロポーズされた」とロスに説明するのですが、ジョーイは「俺が、ひざまずいて落ちた指輪を拾ったから、レイチェルがそう誤解しただけだ」という真実を告げます。
その誤解は解けたものの、ではどうしてジョーイが指輪を持っていたか、という話になり、、、
レイチェル: Well then Joey, what the hell were you doing with an engagement ring?! (それじゃあ、ジョーイ、あなたは一体、婚約指輪で何をしようとしていたの?!)
ジョーイ: It wasn't my ring! It's Ross' ring! That's why I felt so bad, Rach, because he was going to propose. (俺の指輪じゃなかったんだ! ロスの指輪なんだよ。だからすごく申し訳ないなと感じたんだ、レイチェル、だって、ロスは(君に)プロポーズするつもりだったんだから。)
ロス: What?! (何だって?)
レイチェル: You were gonna propose to me? (あなたは私にプロポーズしようとしていたの?)
ロス: Uhh… No. (あー… いや。)
(An awkward silence follows.)
気まずい沈黙が続く。
ジョーイ: Well, this is awkward. (あぁ、こんなの気まずいよ。)
ロス: But I-I was going to see if, y'know, maybe you wantded to, uh, start dating again. But that, I mean, that-that was all, Rach. (でも、僕は確かめようとしていたんだ、多分、レイチェルがまた、付き合うことを始めたいと思ってるかな、って。でも、それだけだったんだよ、レイチェル。)
ジョーイ: Dude, step up! I proposed. (おい、もう少し頑張れよ! 俺はプロポーズしたぞ。)
ロス: No, you didn't! (いいや、お前はしてない!)
ジョーイ: Oh, that's right. There's a lot going on here and I think I ate some bad fruit earlier. (あぁ、それはそうだ。ここではいろんなことが起こってるし、少し前に傷んだ果物を食べたみたいだし。)
(There's a knock on the door and the Nurse enters carrying Emma.)
ドアにノックがあり、看護師がエマを連れて入ってくる。
看護師: Hey, she just woke up! She's hungry. Why don't we give this another try? (はーい、エマがちょうど起きたの! エマはお腹がすいてるわ。もう一度(授乳を)トライしてみましょう。)
レイチェル: Okay. (わかった。)
ロス: (To Joey) I can't believe you told her I was gonna propose! ([ジョーイに] 僕がプロポーズするつもりだったと、君がレイチェルに言うなんて信じられないよ!)
ジョーイ: I can't believe you're not gonna propose! (お前がプロポーズしないなんて信じられないよ。)
ロス: Hey, I'm not gonna rush into anything! (おい、僕は何も慌てるつもりはないんだ。)
ジョーイ: Oh yeah, dude, I totally understand. Usually after I have a baby with a woman, I like to slow things down! (あぁ、そうだよな、よくわかるよ。女との間に子供ができた後にはたいてい、物事をゆっくり進めたいと思うもんな!)
「ジョーイはレイチェルにプロポーズしていない」ということがわかったレイチェルでしたが、続けて、what the hell were you doing with an engagement ring?! と尋ねています。
「じゃあ、どうしてあなたは(プロポーズもしないのに)指輪なんか持ってたの? その指輪で(指輪を持って)あなたは一体何をしようとしていたの?」ということですね。
ジョーイは「俺の指輪じゃなかった。ロスの指輪だ」と説明した後、That's why I felt so bad と言っています。
feel bad は、feel sorry 「申し訳ない」というニュアンスですね。
ロスが指輪を持っていたことから、ロスがプロポーズするつもりだとわかった、だから、「ジョーイがレイチェルにプロポーズした」とレイチェルが勘違いしたことを申し訳ないと思っていたんだ、と説明していることになります。
「ロスはレイチェルにプロポーズするつもりだった」と言われたロスは、What?! と驚きの声を上げています。
レイチェルにも、「あなたは私にプロポーズするつもりだったの?」と確認され、ロスは、口ごもりながら、No. と否定します。
ジョーイは「ほら、このタイミングで、レイチェルにプロポーズしちまえよ」みたいな、嬉しそうな顔でロスを見ていたのですが、その後、気まずい沈黙が流れ、ジョーイも「これは気まずい」と言葉に出して言っています。
No、つまり、「プロポーズするつもりじゃなかった」と言ったロスは、自分がどうするつもりだったかを説明しています。
see if は「〜かどうかを確かめる」なので、I was going to see if maybe you wantded to start dating again. は、「君(レイチェル)がまた、(僕と)付き合うことを始めたいと(多分)思っているかどうかを、僕は確かめるつもりだった」になりますね。
that was all は「それ(今言ったこと)がすべてだった」ですから、「それだけだった。それ以上のことは何もなかった」と言っていることになります。
ロスは花束を持ってレイチェルの部屋を訪れたわけですが、ロス的には「いきなりプロポーズ」ではなくて、レイチェルがロスとの関係をまた始めたいと思っているかどうかを確認した上で、まずは二人の関係をやり直すことから始めようとしていただけだ、ということですね。
その発言を聞いたジョーイは、Dude, step up! と言っています。
step up は「ステップアップ」のような日本語にもなっていますが、その場合は「上がる、登る」という感覚ですね。
step は「一歩踏み出す」という感覚の動詞ですから、step up は「上(の方向)に一歩踏み出す」という感じになるでしょう。
「付き合いを始める」というようなレベルよりももう一段高いレベルに踏み出せ、上がれ、みたいなことだろうと思います。
この場合は、「付き合う、より、もう一段、ステップアップしろ」というカタカナでも何となくニュアンスは通じる気がしますね。
ステップアップしろ、と言った後、ジョーイは、I proposed. と言っています。
この俺はプロポーズしたぞ。俺がプロポーズしたってのに、レイチェルとの間に子供が生まれたお前が「付き合いから始めよう」みたいなことでいいのか?と言いたいのですね。
そんな風に偉そうに言うジョーイに、「お前は(プロポーズしたと勘違いはされたけど)実際にはプロポーズはしてないじゃないか」とロスも言い返しています。
その件についてはジョーイも認めて、「ここではたくさんのことが起こっているし、少し前に bad fruit を食べたし」とも言っています。
いろんなことが起きて、変なものも食べたから、ちょっと頭が混乱してるんだよ、と言いたいようです。
ここで「フルーツ」の話が出てきているのは、このエピソードの少し前のロビーでのシーンで、以下のやりとりがあったことに由来しています。
フィービー: Congratulations! I didn't want to say anything in front of Joey ‘cause I didn't know if he knew yet. (おめでとう! ジョーイの前では言いたくなかったの、だってジョーイがそれを知ってるかどうか、私にはわからなかったから。)
ロス: What? That we had a baby? Now let's give him a little credit. Although he did eat a piece of plastic fruit earlier. (何? 僕たち(僕とレイチェル)に子供が生まれたってこと? ジョーイのこと、ちょっとは評価してやってよ。彼は少し前に、プラスチックのフルーツを食べてたけどね。)
フィービー: No! No, that you and Rachel are engaged! (違う! 違うわ、あなたとレイチェルが婚約したことよ!)
ロス: What? (何だって?)
give him a little credit の credit は「信頼、信用」で、give someone credit は「人に信頼を与える」→「人を(正しく)評価してやる」という意味になります。
フィービーがロスにおめでとうと言うのを聞いて、「おめでとう、って子供が生まれたこと? いくら「人より気づくのが遅い」さすがのジョーイでもそのことはわかってると思うから、ちょっとは彼のことを評価してやってよ」と言っていることになります。
そう言った上で、「でも彼は少し前に、プラスチック製の果物を(飾り物だと気づかずに)食べていたけどね」と付け加え、「ジョーイはまだロスとレイチェルに赤ちゃんが生まれたことに気づいていないかも、とフィービーが思っている理由もわからないではないけれど」みたいに言っていることになります。
フィービーは、レイチェルとの会話から、「レイチェルはロスにプロポーズされた」と思い込んでしまったので、その後、「子供が生まれたことじゃなくて、ロスとレイチェルが婚約したことをおめでとう、って言ってるの」と説明し、ロス本人が「何だって?」と驚くシーンになっているわけですね。
そういうやりとりがあったので、「さっき、変な果物を食べたし」と言っているジョーイのセリフが、「ああ、これって、ロスが言ってた、プラスチックの果物を食べた、という話のことか」と思い出して笑えるわけです。
bad fruit を食べた、と表現していることから、「食べたその果物が腐っているか傷んでいるかして、お腹の調子が悪い、気分が悪い」的なことを言っているだろうと想像できます。
つまり、ジョーイは未だに「その果物がプラスチックであったことに気づいていない」という面白さなわけですね。
そんな話をしているところに、看護師さんがまたエマを連れて入ってきて、「また(授乳に)トライしてみましょう」と言うのですが、ロスとジョーイはまだモメている様子で、ロスはジョーイに「僕がプロポーズするつもりだった、って、ジョーイがレイチェルに言ったことが信じられない」と怒っています。
僕にはそんなつもりはなかったのに、勝手にそんなことを言うなんてひどいじゃないか、ということですね。
それに対して、ジョーイは、同じように I can't believe というフレーズを使って、「ロスがレイチェルにプロポーズするつもりがない、ってことが俺には信じられないよ」と言っています。
rush は「急ぐ、急いで行動する」で、into は「〜の中に」ですから、rush into は「慌てて行動する、性急に行動に移る」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
rush into something [phrasal verb] : to get involved in something without taking enough time to think carefully about it
例) He's asked me to marry him, but I don't want to rush into anything.
つまり、「何かについて慎重に考えるための十分な時間をかけずに何かにかかわること」。
例文は、「彼が私に結婚を申し込んだけれど、私は何も慌てて行動したくない」。
ロングマンの結婚の例文が、まさに今回のロスのセリフのニュアンスと同じですね。
「性急に行動に移す」という例文を作る場合、「慎重に考える必要がある結婚」という題材が使われやすいのも納得ですよね。
「急いで行動に移したくない」と言うロスに、ジョーイは、「俺は(お前の気持ちを)完全に理解したよ」と、言葉上ではロスの考えに完全に同意したかのように言っていますが、その後のセリフからわかるように、それは皮肉ですね。
Usually after I have a baby with a woman, I like to slow things down! を直訳すると、「俺がある女性との間に子供ができた後にはたいてい、俺は物事をゆっくりしたくなる」。
ジョーイは未婚で子供もいないので、その話の内容は実体験などではないのですが、「ロスの言うことは理解できるよ。俺もたいていの場合は、子供ができた後、スローダウンしたいと思う、物事をゆっくり進めたいと思うようになるよ」と、さも「自分の場合も確かにそうする」ように言ってみせることで、最大限に皮肉って表現していることになるわけですね。
「子供が生まれたってのに、今急がなくて、いつ急ぐんだよ」と言いたいところをわざと、「子供が生まれた後こそ、物事をゆっくり進めたいと思うもんだよな」みたいに言っているわけですね。
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レイチェルの部屋にロス、続いてジョーイがやってきます。
レイチェルは「私はジョーイにプロポーズされた」とロスに説明するのですが、ジョーイは「俺が、ひざまずいて落ちた指輪を拾ったから、レイチェルがそう誤解しただけだ」という真実を告げます。
その誤解は解けたものの、ではどうしてジョーイが指輪を持っていたか、という話になり、、、
レイチェル: Well then Joey, what the hell were you doing with an engagement ring?! (それじゃあ、ジョーイ、あなたは一体、婚約指輪で何をしようとしていたの?!)
ジョーイ: It wasn't my ring! It's Ross' ring! That's why I felt so bad, Rach, because he was going to propose. (俺の指輪じゃなかったんだ! ロスの指輪なんだよ。だからすごく申し訳ないなと感じたんだ、レイチェル、だって、ロスは(君に)プロポーズするつもりだったんだから。)
ロス: What?! (何だって?)
レイチェル: You were gonna propose to me? (あなたは私にプロポーズしようとしていたの?)
ロス: Uhh… No. (あー… いや。)
(An awkward silence follows.)
気まずい沈黙が続く。
ジョーイ: Well, this is awkward. (あぁ、こんなの気まずいよ。)
ロス: But I-I was going to see if, y'know, maybe you wantded to, uh, start dating again. But that, I mean, that-that was all, Rach. (でも、僕は確かめようとしていたんだ、多分、レイチェルがまた、付き合うことを始めたいと思ってるかな、って。でも、それだけだったんだよ、レイチェル。)
ジョーイ: Dude, step up! I proposed. (おい、もう少し頑張れよ! 俺はプロポーズしたぞ。)
ロス: No, you didn't! (いいや、お前はしてない!)
ジョーイ: Oh, that's right. There's a lot going on here and I think I ate some bad fruit earlier. (あぁ、それはそうだ。ここではいろんなことが起こってるし、少し前に傷んだ果物を食べたみたいだし。)
(There's a knock on the door and the Nurse enters carrying Emma.)
ドアにノックがあり、看護師がエマを連れて入ってくる。
看護師: Hey, she just woke up! She's hungry. Why don't we give this another try? (はーい、エマがちょうど起きたの! エマはお腹がすいてるわ。もう一度(授乳を)トライしてみましょう。)
レイチェル: Okay. (わかった。)
ロス: (To Joey) I can't believe you told her I was gonna propose! ([ジョーイに] 僕がプロポーズするつもりだったと、君がレイチェルに言うなんて信じられないよ!)
ジョーイ: I can't believe you're not gonna propose! (お前がプロポーズしないなんて信じられないよ。)
ロス: Hey, I'm not gonna rush into anything! (おい、僕は何も慌てるつもりはないんだ。)
ジョーイ: Oh yeah, dude, I totally understand. Usually after I have a baby with a woman, I like to slow things down! (あぁ、そうだよな、よくわかるよ。女との間に子供ができた後にはたいてい、物事をゆっくり進めたいと思うもんな!)
「ジョーイはレイチェルにプロポーズしていない」ということがわかったレイチェルでしたが、続けて、what the hell were you doing with an engagement ring?! と尋ねています。
「じゃあ、どうしてあなたは(プロポーズもしないのに)指輪なんか持ってたの? その指輪で(指輪を持って)あなたは一体何をしようとしていたの?」ということですね。
ジョーイは「俺の指輪じゃなかった。ロスの指輪だ」と説明した後、That's why I felt so bad と言っています。
feel bad は、feel sorry 「申し訳ない」というニュアンスですね。
ロスが指輪を持っていたことから、ロスがプロポーズするつもりだとわかった、だから、「ジョーイがレイチェルにプロポーズした」とレイチェルが勘違いしたことを申し訳ないと思っていたんだ、と説明していることになります。
「ロスはレイチェルにプロポーズするつもりだった」と言われたロスは、What?! と驚きの声を上げています。
レイチェルにも、「あなたは私にプロポーズするつもりだったの?」と確認され、ロスは、口ごもりながら、No. と否定します。
ジョーイは「ほら、このタイミングで、レイチェルにプロポーズしちまえよ」みたいな、嬉しそうな顔でロスを見ていたのですが、その後、気まずい沈黙が流れ、ジョーイも「これは気まずい」と言葉に出して言っています。
No、つまり、「プロポーズするつもりじゃなかった」と言ったロスは、自分がどうするつもりだったかを説明しています。
see if は「〜かどうかを確かめる」なので、I was going to see if maybe you wantded to start dating again. は、「君(レイチェル)がまた、(僕と)付き合うことを始めたいと(多分)思っているかどうかを、僕は確かめるつもりだった」になりますね。
that was all は「それ(今言ったこと)がすべてだった」ですから、「それだけだった。それ以上のことは何もなかった」と言っていることになります。
ロスは花束を持ってレイチェルの部屋を訪れたわけですが、ロス的には「いきなりプロポーズ」ではなくて、レイチェルがロスとの関係をまた始めたいと思っているかどうかを確認した上で、まずは二人の関係をやり直すことから始めようとしていただけだ、ということですね。
その発言を聞いたジョーイは、Dude, step up! と言っています。
step up は「ステップアップ」のような日本語にもなっていますが、その場合は「上がる、登る」という感覚ですね。
step は「一歩踏み出す」という感覚の動詞ですから、step up は「上(の方向)に一歩踏み出す」という感じになるでしょう。
「付き合いを始める」というようなレベルよりももう一段高いレベルに踏み出せ、上がれ、みたいなことだろうと思います。
この場合は、「付き合う、より、もう一段、ステップアップしろ」というカタカナでも何となくニュアンスは通じる気がしますね。
ステップアップしろ、と言った後、ジョーイは、I proposed. と言っています。
この俺はプロポーズしたぞ。俺がプロポーズしたってのに、レイチェルとの間に子供が生まれたお前が「付き合いから始めよう」みたいなことでいいのか?と言いたいのですね。
そんな風に偉そうに言うジョーイに、「お前は(プロポーズしたと勘違いはされたけど)実際にはプロポーズはしてないじゃないか」とロスも言い返しています。
その件についてはジョーイも認めて、「ここではたくさんのことが起こっているし、少し前に bad fruit を食べたし」とも言っています。
いろんなことが起きて、変なものも食べたから、ちょっと頭が混乱してるんだよ、と言いたいようです。
ここで「フルーツ」の話が出てきているのは、このエピソードの少し前のロビーでのシーンで、以下のやりとりがあったことに由来しています。
フィービー: Congratulations! I didn't want to say anything in front of Joey ‘cause I didn't know if he knew yet. (おめでとう! ジョーイの前では言いたくなかったの、だってジョーイがそれを知ってるかどうか、私にはわからなかったから。)
ロス: What? That we had a baby? Now let's give him a little credit. Although he did eat a piece of plastic fruit earlier. (何? 僕たち(僕とレイチェル)に子供が生まれたってこと? ジョーイのこと、ちょっとは評価してやってよ。彼は少し前に、プラスチックのフルーツを食べてたけどね。)
フィービー: No! No, that you and Rachel are engaged! (違う! 違うわ、あなたとレイチェルが婚約したことよ!)
ロス: What? (何だって?)
give him a little credit の credit は「信頼、信用」で、give someone credit は「人に信頼を与える」→「人を(正しく)評価してやる」という意味になります。
フィービーがロスにおめでとうと言うのを聞いて、「おめでとう、って子供が生まれたこと? いくら「人より気づくのが遅い」さすがのジョーイでもそのことはわかってると思うから、ちょっとは彼のことを評価してやってよ」と言っていることになります。
そう言った上で、「でも彼は少し前に、プラスチック製の果物を(飾り物だと気づかずに)食べていたけどね」と付け加え、「ジョーイはまだロスとレイチェルに赤ちゃんが生まれたことに気づいていないかも、とフィービーが思っている理由もわからないではないけれど」みたいに言っていることになります。
フィービーは、レイチェルとの会話から、「レイチェルはロスにプロポーズされた」と思い込んでしまったので、その後、「子供が生まれたことじゃなくて、ロスとレイチェルが婚約したことをおめでとう、って言ってるの」と説明し、ロス本人が「何だって?」と驚くシーンになっているわけですね。
そういうやりとりがあったので、「さっき、変な果物を食べたし」と言っているジョーイのセリフが、「ああ、これって、ロスが言ってた、プラスチックの果物を食べた、という話のことか」と思い出して笑えるわけです。
bad fruit を食べた、と表現していることから、「食べたその果物が腐っているか傷んでいるかして、お腹の調子が悪い、気分が悪い」的なことを言っているだろうと想像できます。
つまり、ジョーイは未だに「その果物がプラスチックであったことに気づいていない」という面白さなわけですね。
そんな話をしているところに、看護師さんがまたエマを連れて入ってきて、「また(授乳に)トライしてみましょう」と言うのですが、ロスとジョーイはまだモメている様子で、ロスはジョーイに「僕がプロポーズするつもりだった、って、ジョーイがレイチェルに言ったことが信じられない」と怒っています。
僕にはそんなつもりはなかったのに、勝手にそんなことを言うなんてひどいじゃないか、ということですね。
それに対して、ジョーイは、同じように I can't believe というフレーズを使って、「ロスがレイチェルにプロポーズするつもりがない、ってことが俺には信じられないよ」と言っています。
rush は「急ぐ、急いで行動する」で、into は「〜の中に」ですから、rush into は「慌てて行動する、性急に行動に移る」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
rush into something [phrasal verb] : to get involved in something without taking enough time to think carefully about it
例) He's asked me to marry him, but I don't want to rush into anything.
つまり、「何かについて慎重に考えるための十分な時間をかけずに何かにかかわること」。
例文は、「彼が私に結婚を申し込んだけれど、私は何も慌てて行動したくない」。
ロングマンの結婚の例文が、まさに今回のロスのセリフのニュアンスと同じですね。
「性急に行動に移す」という例文を作る場合、「慎重に考える必要がある結婚」という題材が使われやすいのも納得ですよね。
「急いで行動に移したくない」と言うロスに、ジョーイは、「俺は(お前の気持ちを)完全に理解したよ」と、言葉上ではロスの考えに完全に同意したかのように言っていますが、その後のセリフからわかるように、それは皮肉ですね。
Usually after I have a baby with a woman, I like to slow things down! を直訳すると、「俺がある女性との間に子供ができた後にはたいてい、俺は物事をゆっくりしたくなる」。
ジョーイは未婚で子供もいないので、その話の内容は実体験などではないのですが、「ロスの言うことは理解できるよ。俺もたいていの場合は、子供ができた後、スローダウンしたいと思う、物事をゆっくり進めたいと思うようになるよ」と、さも「自分の場合も確かにそうする」ように言ってみせることで、最大限に皮肉って表現していることになるわけですね。
「子供が生まれたってのに、今急がなくて、いつ急ぐんだよ」と言いたいところをわざと、「子供が生まれた後こそ、物事をゆっくり進めたいと思うもんだよな」みたいに言っているわけですね。
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2014年12月11日
紀伊國屋梅田で英文法2位
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11月4日に学研教育出版より発売された私の新刊「読むだけ なるほど! 英文法」が、
紀伊國屋書店梅田本店 先月のベストセラー 英文法部門 第2位
となり、現在、本の前に「第2位」の札を立てていただいています!
ものすごく嬉しかったので、また前回のように(笑)書店員さんに御挨拶して許可をいただいた上で、本棚の写真を撮影させていただきました。
英文法部門の第1位から第3位が一覧できる写真はこちら。
1位は「総合英語 Forest」、3位はデイビッド・セインさんの「ネイティブが使い分ける動詞・名詞・形容詞」です。
Forest と言えば、英文法書のスタンダードですよね。英語学習者の方が英文法の話をされる時に、よく名前に出される本で、写真のこの本は 7th Edition だそうです。それだけ売れ続けている、ということですよね。
デイビッド・セインさんは、私がここで説明するまでもなく、数多くの英語の本を出されている超有名な方ですから、その「フォレストとセインさん」に挟まれる形で「2位」にしていただけたことは、本当に光栄で嬉しいです。
紀伊國屋書店梅田本店さんで、拙著をお買い上げ下さった皆様、本当に本当にありがとうございます。
以前にも書きましたが、子供の頃からよく行っていた本屋さんなので、とにかくそこに飾ってもらえているだけでも嬉しいのです。
それがこうして、これだけの英文法の本が並んでいる中で2位にしていただけたこと、それをこんな風に「第2位」と札を立てて紹介していただけているなんて、こんなに嬉しいことはありません。
紀伊國屋さんで学研のアニメディアを買っていた(文字通り中二病時代の)私に教えてあげたい!^^
浮かれついでですみません。その札をアップにするとこうなります、というのが以下の写真です。
多くの皆様に拙著を買っていただけたことを大いに励みとして、これからも頑張ります!
皆様、本当にありがとうございました!
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11月4日に学研教育出版より発売された私の新刊「読むだけ なるほど! 英文法」が、
紀伊國屋書店梅田本店 先月のベストセラー 英文法部門 第2位
となり、現在、本の前に「第2位」の札を立てていただいています!
ものすごく嬉しかったので、また前回のように(笑)書店員さんに御挨拶して許可をいただいた上で、本棚の写真を撮影させていただきました。
英文法部門の第1位から第3位が一覧できる写真はこちら。
1位は「総合英語 Forest」、3位はデイビッド・セインさんの「ネイティブが使い分ける動詞・名詞・形容詞」です。
Forest と言えば、英文法書のスタンダードですよね。英語学習者の方が英文法の話をされる時に、よく名前に出される本で、写真のこの本は 7th Edition だそうです。それだけ売れ続けている、ということですよね。
デイビッド・セインさんは、私がここで説明するまでもなく、数多くの英語の本を出されている超有名な方ですから、その「フォレストとセインさん」に挟まれる形で「2位」にしていただけたことは、本当に光栄で嬉しいです。
紀伊國屋書店梅田本店さんで、拙著をお買い上げ下さった皆様、本当に本当にありがとうございます。
以前にも書きましたが、子供の頃からよく行っていた本屋さんなので、とにかくそこに飾ってもらえているだけでも嬉しいのです。
それがこうして、これだけの英文法の本が並んでいる中で2位にしていただけたこと、それをこんな風に「第2位」と札を立てて紹介していただけているなんて、こんなに嬉しいことはありません。
紀伊國屋さんで学研のアニメディアを買っていた(文字通り中二病時代の)私に教えてあげたい!^^
浮かれついでですみません。その札をアップにするとこうなります、というのが以下の写真です。
多くの皆様に拙著を買っていただけたことを大いに励みとして、これからも頑張ります!
皆様、本当にありがとうございました!
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