2014年12月10日

時間のかかる子もいる フレンズ9-1その4

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病室にいるレイチェルは、ジョーイが置いた指輪の箱を開け、Wow! と言いながら、自分の指にはめています。
そこにジョーイがやってきて、
ジョーイ: Hey uh, is it okay to come in? (ねぇ、俺、入ってもいい?)
レイチェル: Of course! Oh, Joey, this ring I-- It's beautiful. I love it! (もちろんよ! あぁ、ジョーイ、この指輪、きれいね。大好きよ[気に入ったわ]!)
ジョーイ: Yeah uh look, Rach, there's something I gotta tell ya. (あの、レイチェル、君に話さないといけないことがあるんだ。)
(There's a knock on the door and a nurse enters carrying Emma.)
ドアにノックがあり、エマを抱えた看護師が入ってくる。
レイチェル: Hey! (はーい!)
看護師: Hey! Are you ready to try nursing again? (はーい! もう一度、授乳にトライする準備はできてる?)
レイチェル: Yeah! Hi, Emma. Hey, why do you think she won't take my breast? (ええ! はーい、エマ。ねぇ、エマが私のおっぱいを受け入れないのはどうしてだと思う?)
看護師: It's all right, honey. It takes some babies a while to get it. But don't worry, it'll happen. (大丈夫よ、ハニー。おっぱいを飲むのに、時間がかかる子もいるわ。でも心配しないで、(じきに)そうなるわよ。)
レイチェル: Okay. (わかった。)
(レイチェルは授乳しようと、胸をはだけている様子)
ジョーイ: (watching) Yowsa! (Looks away.) ([それを見て] おっとー![ヤウザ!] [目をそらす])
レイチェル: Okay, sweetie, you can do it. Just open up and put it in your mouth. (いいわ、スウィーティ、あなたならできるわ。ただお口を開いて、それをあなたのお口に入れて。)
ジョーイ: Dear Lord. (なんてこった。)
レイチェル: I'm sorry, honey, what were you saying? (ごめんなさい、ハニー、あなたは何を言おうとしていたの?)
ジョーイ: Oh uh-uh yeah, I think that-- (あ、あのー、そう、俺思うんだけど…)
レイチェル: Oh look, she's pulling away again! Do you think my nipples are too big for her mouth? (Joey gets embarrassed.) She looks scared. Doesn't she look scared? (ねぇ、見て、エマがまた(お乳から)離れるの! エマの口には私の乳首が大きすぎる、ってあなたは思う? [ジョーイは恥ずかしがる] エマは怯えてるみたい。エマが怯えてるように見えない?)
ジョーイ: Y'know, I don't really know her. (ほら、俺はエマのことをよく知らないし。)
看護師: Why don't we try massaging the breast to stimulate the flow. (Does so.) (お乳の出を良くするために、お乳をマッサージしてみましょう。[そうする])
レイチェル: Okay. (オッケー。)
ジョーイ: (To God) Are you kidding me?! ([神様に向かって] 俺をからかってるんすか?)
レイチェル: This is so frustrating! Why doesn't she want my breast?! (こんなの、すっごくいらいらするわ。どうしてエマは私のおっぱいを欲しがらないの?)
ジョーイ: I don't know! Maybe she's crazy! (Storms out.) (さあね! 多分エマはおかしいんだよ! [勢いよく出ていく])

ジョーイが「入ってもいい?」と言い、レイチェルは「もちろん。この指輪きれいね。私、大好きよ[気に入ったわ」と言っています。
「ジョーイがくれた指輪」だと思い込んでいるレイチェルに、ジョーイは事情を説明しようとするのですが、そこに、エマを連れた看護師さんが入ってきて、Are you ready to try nursing again? と言います。

nurse は名詞では「看護師、ナース」で、動詞では「病人を看病する」という意味があります。
また、今回のように新生児の話だと、「赤ん坊に授乳する」という意味にもなります。
つまり、breast-feed と同じ意味ですね。
ですから、この看護師さんは、「もう一度、赤ちゃんに授乳しようとする(おっぱいをあげようとする)準備はできている?」と尋ねていることになります。
「もう一度、授乳にトライする準備はオッケー?」みたいなことですから、これまでトライしたけれども失敗に終わったこともそれで示唆されますね。

why do you think she won't take my breast? を直訳すると、「エマが私のおっぱいを take
しないのはなぜだとあなたは思いますか?」ということ。
この場合の take は「受け入れる」というニュアンスでしょう。
「どうして私のおっぱいを飲もうとしないの、嫌がるの? 拒絶するの?」ということで、「なぜエマは嫌がってると思う?」のように、看護師さんに意見を求めていることになります。
看護師さんは、プロらしい返事をしていますね。
「大丈夫よ、ハニー」とまずは安心させるための言葉をかけた後、It takes some babies a while to get it. と説明しています。
take+人+時間で、「人に時間がかかる、人に時間を必要とする」という意味になり、この場合は、「それをゲットするのに、何人かの赤ちゃんには、ある程度の時間を必要とする」と言っていることになります。
get it は漠然としていますが、「それを獲得すること」という感覚なので、「おっぱいを受け入れて、そこからお乳を飲めるようになること」を指すでしょう。
「何人かの赤ちゃんは、ある程度の時間を必要とする」、つまり、「お乳が飲めるようになるのに、時間のかかる赤ちゃんもいるわ」ということですね。

エマちゃんみたいに時間のかかる子は他にもいるのよ、のように言っておいて、But don't worry, it'll happen. と付け加えています。
it'll happen は、「それは(いつか)起こる」ですから、時間がかかっても、赤ちゃんがおっぱいに慣れる時は必ずやってくるから、心配しなくても大丈夫よ、ということですね。

そう励まされて、早速授乳にトライしようとするレイチェルは、隣にジョーイがいることも気にせず、胸をはだけて授乳させようとします。
画面では、レイチェルのその姿をはっきりとは見せていませんが、ジョーイがちらっと目をやった時に、レイチェルのはだけた胸を見てしまったらしいことが、ジョーイのリアクションからわかる仕組みになっています。
胸を見てしまい、驚いた顔で Yowsa! と言って、目をそらすのが可愛いですね^^
この部分、DVDの英語字幕では文字化されておらず、ネットスクリプトに Yowsa! と書いてあったのですが、確かに「ヤウザ!」みたいな音になっています。
驚きのあまり、つい口から意味不明な言葉が出てしまった、みたいにも聞こえるのですが、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) に、yowza というよく似た単語が載っているので、結構使われる言葉なのかもしれません。
その LAAD の説明では、
yowza [interjection] said when you think something is surprising or impressive
つまり、「(間投詞) 何かが驚くべきものである、または印象的であると思う時に使われる」。

LAAD の yowza の発音も同じく「ヤウザ」という感じですし、意味としても、今回のジョーイのセリフと同様のニュアンスが感じられますよね。
間投詞は「音を文字化した」タイプのものが多いので、表記としては、yowza でも yowsa でもどちらもオッケーみたいなことだろうと思います。

ドギマギしているジョーイに気づく様子もなく、レイチェルはエマにお乳を飲ませようと必死です。
エマに、「大丈夫よ、できるわ」と言い聞かせながら、「ただ(あなたのお口を)開けて、それをあなたのお口の中に入れて」と言っています。
授乳中の話なので、it = nipple 「乳首」ということになりますね。
恋心を抱いているレイチェルの胸を見てしまった後、恥ずかしくてずっと視線をそらせた状態のジョーイにとっては、「乳首を口に含んでちょうだい」みたいな「母と子の微笑ましい会話」が、「恋心を押さえないといけない自分を刺激する、拷問のようなセリフ」になっている、という面白さですね。
Dear Lord. の Lord は「神」で、Oh, my God. のような感嘆のニュアンスの言葉になります。

全くレイチェルの方を見ることができない状態になっているジョーイに対して、レイチェルは「ジョーイはさっき、私に何を話そうとしてたんだっけ?」と尋ねます。
ジョーイは、視線をそらしながらも、話し始めようとするのですが、エマがお乳を飲んでくれないことにイライラしたレイチェルは、また、お乳の話を始めます。

pull away (from) は「(〜から)離れる、引き離す」。
お乳を飲ませようとしてお乳を近づけても、赤ちゃんがそこから顔をそむけてしまう感じですね。
「エマがまた離れてるわ、離れようとするわ」と言った後、「エマの口に対して、私の乳首が大きすぎる、ってあなたは思う?」みたいに、ダイレクトに nipples という言葉を使って、レイチェルはジョーイに尋ねています。
breasts だの nipples だのと、男の子(笑)のジョーイにとっては、刺激の強い言葉が容赦なく、それも平然とした感じで次から次へと繰り出されるので、ジョーイはもう何も言えず、恥ずかしい、困った顔をするしかありません。

「エマは怯えているみたいに見えるわ。ほら、あなたにもそう見えるでしょ?」というように、ジョーイに意見を求めるのですが、エマの顔を覗き込むこと=レイチェルの胸をダイレクトに見てしまうこと、になるので、ジョーイはやはりそちらに視線を向けることができず、ただ、「ほら、俺はエマのことをよく知らないから、わかんない」みたいに答えをはぐらかすことになります。
生まれたばかりでまだジョーイにとっては付き合いの浅い(笑)赤ちゃんであっても、怖がっているかどうかというのはある程度はわかるはずですが、それを「いやぁ、俺はまだエマのことをよく知らないから」という理由で答えを逃げているのも笑いのポイントだということになるでしょう。

次の看護師さんのセリフ、Why don't we try massaging the breast to stimulate the flow. について。
stimulate the flow は「流れを刺激する」。
「流れを刺激するために、胸をマッサージするのはどうかしら?」と言っていることから、「流れを刺激する」=「お乳の出を良くする」ということだと想像できますね。
そう言いながら、看護師さんは実際に、レイチェルの胸に手を置いて、揉む(もむ)ようにマッサージしています。
そういう部分を揉む、というのは、ジョーイにとってはエッチな連想しか浮かばないわけで、それで、天国にいる神様を見上げるような様子で、Are you kidding me?! 「俺をからかってるんですか? ふざけてるんですか?」と言うことになるわけです。
「何で俺を動揺させるようなエッチな試練(笑)ばっかり与えるんすか?」という気持ちなのでしょう。

なかなかお乳を飲んでくれないエマに、「こんなのって、すっごくイライラするわ」とレイチェルは言い、「どうしてエマは私の胸(おっぱい)を欲しがらないの?」と言っています。
ジョーイはそれを見たい(触れたい)気持ちを必死に抑えているというのに、レイチェルがそんなことを言うものだから、「さあね、(レイチェルの胸を拒むなんて)多分、エマは変なんじゃないの[おかしいんじゃないの]?」と言い残して、部屋を飛び出して行くことになります。
次から次へと続く拷問状態に、もう耐えられないと出て行った感じですね。

「フレンズ」においては、ジョーイは「プレイボーイ」というキャラ設定がされていて、tons of girls 「ものすごくたくさんの女の子」と寝た、とか、出会ったばかりの子とすぐに寝た、みたいな話はしょっちゅう出てきます。
そういうプレイボーイのジョーイが、「惚れてしまったレイチェル」のことになると、ウブな少年みたいな反応をしてしまうのが、このシーンのポイントになるでしょう。
「フレンズ」というドラマは、アメリカでは子供も見られる時間帯に放送していたこともあって、「ちょっぴりエッチなんだけど、エッチが行き過ぎないギリギリの線を守っている」みたいな絶妙のバランス感覚があります。
今回のシーンも、ジョーイがニヤニヤしながらレイチェルの胸を見ていたり、もしくは欲望丸出しな感じで凝視していたりすると、「それはちょっとフレンズじゃないかも」という気がしてしまうようにも思うのですね。
「プレイボーイのはずなのに、レイチェルの胸で何でそこまで照れてんのよ、ジョーイ!」みたいにツッコミたくなるところが、まさに「フレンズ」っぽいバランスな気がして、ジョーイというキャラをさらに魅力的に見せる演出になっているんだろうな、と思いました。

「赤ちゃん」には「授乳」が付き物で、子供と向き合っている時の母親は、おっぱい=お乳をあげるもの、という発想しか浮かばなくなるのですが(出産した後は、3時間ごとに授乳のため起きないといけないので、自然とそういう発想にもなるわけです^^)、男性にとってはやはり、「エッチな対象物」であることに変わりはないのでしょうね。
レイチェルの方は、「エッチなニュアンスは全くなく、授乳についての事実を語っている」だけなのに、それを聞いているジョーイにとっては、「どれもこれもがエッチな話にしか聞こえない」という「二人の感じ方の違い」が、このシーンの笑いのポイントになっているということですね。


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posted by Rach at 15:21| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月08日

私がそう仕向けた張本人よ フレンズ9-1その3

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出産後のレイチェルの病室を訪ねたフィービー。
フィービー: Are you all right? (具合はどう?[大丈夫?])
レイチェル: Uhh... I think I just got engaged. (うーん… 私、婚約しちゃったみたい。)
フィービー: Oh, my God! He did it? (なんてこと? 彼は(プロポーズ)したの?)
レイチェル: What? Did you know he was gonna ask me? (何ですって? 彼が私にプロポーズするつもりだったって、あなたは知ってたの?)
フィービー: Are you kidding? I'm like, the one who talked him into it. I like to think of myself as the puppet master of the group. (冗談でしょ[本気で言ってるの]? 私は、彼がそうするように言った人間みたいなものなんだから。自分のことをグループの人形使いのように考えるのって楽しいわね。)
レイチェル: And you really think this is a good idea? (これがいい考えだと、あなたは本当に思ってる?)
フィービー: I just talked him into it. Don't tell me I have to do you too. The puppet master gets tired, people. (私は彼にそうするように言ったところなのよ。あなたにもそれと同じことをするように私に言わないで。人形使いは疲れたのよ、皆さん。)
レイチェル: Okay. I just don't know! It just doesn't feel right. (わかったわ。ただ私にはわからないのよ! ただ「正しくない」って気がするの。)
フィービー: Why?! You two are so meant to be together. Everybody thinks so. (どうして?! あなたたち二人は結ばれる運命にあるのよ。みんなそう思ってるわ。)
レイチェル: Really?! Even Ross? (ほんとに? ロスも?[ロスでさえも? ロスまでも?])
フィービー: Especially Ross! (特にロスがそうなのよ[そう思ってるのよ]!)

「具合・調子はどう?」との質問に、レイチェルは、「私、たった今婚約した、と思う」というようなことを言っています。
わざわざ I think とつけているところに、自分でも思いがけずそうなってしまった感が出ているように思えます。「私、婚約しちゃったみたい」というところですね。

それを聞いたフィービーは驚き、He did it? と言うので、逆にレイチェルの方が驚いています。
フィービーの He did it? を直訳すると、「彼はそれをしたの?」というところですが、この話の流れから、婚約することになった相手の行為、つまり、「彼はあなたに結婚を申し込んだの? プロポーズしたの?」(He proposed to you? / He asked you to marry him?)と言っていることがわかります。
通常の場合、「婚約したですって?」と婚約したことを驚くのが普通ですが、「彼はそれをしたの?」と言っていることから、フィービーにはレイチェルと婚約した「彼」のことがすでに頭に思い浮かんでいる、それでレイチェルも驚いて、「彼が私にプロポーズするつもりだったってこと、あなたは知ってたの?」と返すことになります。

Are you kidding? 「あなた、知ってたの?だなんて、冗談じゃないわ」みたいなことを言った後、フィービーは、I'm like, the one who talked him into it. と言います。
I'm like は「私はまぁ、〜みたいなものね」とちょっと断定を避ける感覚。
the one who talked him into it の talk someone into は「人を説得して・説き伏せて、〜する気にさせる、〜するように仕向ける」。
彼に何かを話して、into 以下のことに「向かう、足を踏み入れる、入り込む」ようにさせるというニュアンスになるでしょう。
断定を避けるための like を除くと、I'm the one who talked him into it. になりますが、このような I'm the one who V の形は、「〜した人間は(他でもない)私よ」というニュアンスになりますね。
事実としては、I talked him into it. 「私がそう(レイチェルにプロポーズ)するように仕向けた」ということですが、それを I'm the one who talked... の形にすることで、「そう仕向けたのは私。私がそう仕向けた張本人」だと、強調していることになるわけです。
「知ってたも何も、私がそうするように彼を説得した人間みたいなものなんだから」と言っていることになります。

この一連のセリフの中で、フィービーが言っている彼(he/him)はロスのことですね。
過去記事、壊すか望んでいた全てを手に入れるか フレンズ8-24その5 で、フィービーがロスの背中を押すセリフを言っていました。
その時のロスは「じゃあ僕はレイチェルにプロポーズする」とはっきり言ってはいませんでしたが、フィービーは自分がロスにそうするように促したこと、そしてレイチェルが「私、婚約しちゃった」と言っていることから、「ロスは私のアドバイスを受け入れて、レイチェルに婚約を申し込んだんだ!」と思い込んでしまったわけです。

ですが、レイチェルは、「片膝ついて指輪を手に持った」ジョーイが自分にプロポーズしたと思い込んでいるので、この後ずっと、
レイチェルは「ジョーイが(レイチェルに)プロポーズした、ジョーイと婚約した」と思っている。
フィービーは「ロスが(レイチェルに)プロポーズした、ロスと婚約した」と思っている。
と二人が勘違いした状態で、セリフのやりとりが続くことになります。
アンジャッシュの「勘違いネタ」みたいな感じですが^^、「二人はそれぞれ、別の人を婚約相手だと思いながら話している」ということを意識してセリフを見ていくと、このシーンが余計に面白く感じられると思います。
お互い、別人をイメージして話しているのに、それで話が成り立ってしまっている、という面白さですね。

I like to think of myself as the puppet master of the group. を直訳すると、「自分自身を、グループのパペット・マスターだと思うのが好き」ですね。
puppet master は「(操り)人形を扱う人、人形師、人形使い」というニュアンス。
実際、フィービーは、パペットを操るようなしぐさをしていて、「人がパペットのように、私の命じるままに動いてくれることは楽しいわね」と言っていることになります。

レイチェルは「このことが良い考えだとあなたは本当に思ってる?」と尋ねています。
このセリフからレイチェルは、「私がジョーイと婚約したことは正しいことなのかしら?」と疑問を感じていることがわかりますが、フィービーの方は「私が説得に説得を重ねて、やっとこさw ロスがレイチェルにプロポーズした」と思い込んでいるので、レイチェルの婚約に疑問を持つこともありません。

I just talked him into it. Don't tell me I have to do you too. の後半は、Don't tell me I have to talk you into it too. ということですね。
直訳すると、「私はたった今、彼にそうするように仕向けたばかり。(だから)私がまたあなたにも同じことをしなければいけない、なんて言わないで」。
「私は彼にそうするように仕向けたばかりなのよ。それなのに、今度はあなたにも「こうした方がいいわ」と仕向けないといけないって言うの? 人を操ることって疲れるんだから、人形使いの私は疲れちゃったのよ、みんな」と言っている感覚になるでしょう。

people は「人々」ですが、ここでは「みんな、皆さん」という感じで呼び掛け語として使われていますね。
今ここにはいないロスも含めて、「私にまだパペットマスターを演じ続けろと言うの? 皆さん」と複数の人に呼び掛けている感覚になるでしょう。

このように、people を呼び掛け語に使ったものは、過去記事では、僕が彼らから引き出せたもの フレンズ3-12その27 に以下の形で出てきました。
(「ジョーイに教えられた変なダンス」を踊った人たちに)
ディレクター: Well, people! (おい、君たち!)
ジョーイ: People, people, people! (君たち、君たち、君たち!)
ディレクターはあまりの変なダンスにあきれた様子でそう言って、そのダンスを教えた張本人であるジョーイが、同じようにあきれた様子で People, people, people! と言っていたのが、笑いのポイントにもなっていたシーンでした。

このような people のニュアンスに関連するものとして、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には以下のようなものが出ています。

people :
10. TO GET ATTENTION (spoken, informal) used to get the attention of a group of people
例) Listen up, people!

つまり、「(口語、インフォーマル) 人々のグループの注意を引くために使われる」。例文は「よく聞いて、皆さん!」

7. you people : (spoken) used to talk about a group of people when you are annoyed with them
例) Do you people have any idea how much trouble you've caused?

つまり、「(口語) you people は、人々のグループについて話す時に使われる、その人々にいらいらしている時に」。
例文は、「君たちがどれほどのトラブルを引き起こしたか、君たちはわかっているのか?」

people というのは基本的に複数の人に呼び掛ける時の言葉ではあるのですが、you の代わりに you people を使った場合に「その人たちにいらいらしている」ニュアンスが出ることを考えると、今回のフィービーのセリフも、フレンズ3-12 のセリフも、you people と同様の「いらいらした感じ」が出ているように思えますね。
呼び掛け語の people 全てにそういう「いらいら感」があるわけではないでしょうが、「全く、この人たちったら、もう!」のような「いらいら感」がある場合には特に、この呼び掛け語の people がしっくりくるのかな、という気がしました。

フィービーとしては、「ロスがレイチェルにプロポーズしたのなら万々歳、大団円」だと思っているので、もうそれでいいじゃない、と話を終わらせたいわけですね。
ですが、レイチェルは「ジョーイと私が結婚することが正しいの? フィービーもそれでいいとほんとに思ってるわけ?」という気持ちがあるため、食い下がることになります。
I just don't know! It just doesn't feel right. は、「私はただわからないの! ただ、正しいという感じがしないの」ということ。
You two are so meant to be together. の be meant to は「〜するように運命づけられている」ですから、「あなたたち二人は一緒になるよう運命づけられているのよ。二人は結ばれる運命にあるのよ」ということになります。
みんなもそう思ってるわ、とフィービーに言われたレイチェルは、「レイチェルとジョーイが運命の二人だとみんなが思ってるの?」と驚き、「(私の元彼で、今私との間に赤ちゃんが生まれたばかりの)ロスでさえ、ロスまでもがそんな風に思ってるの?」と聞き返します。
フィービーは、「レイチェルと婚約したのはロス」だと思っているので、「特にロスがそう思っているのよ。誰よりもロス自身が「僕とレイチェルは結ばれる運命にある」って思ってるのよ」と力説することになります。

この後、ジョーイとロスが部屋に入ってきて、またすぐに二人とも出ていくのですが、その二人の後ろ姿を見て、フィービーが Your fiancée. 「あなたのフィアンセ」と言い、レイチェルが I guess so. 「そのようね」と言うので、さらにお互いの勘違いに拍車をかけることになってしまう、というのもコメディーの王道っぽくてフレンズらしいなと思います。

今回のシーンでは、「お互いが勘違いしていることに気づかず話が進行する」ようにするために、「誤解させたい部分」では、Ross/Joey という固有名詞ではなく、人称代名詞の he/him が使われていました。
それが延々続いた後に、"Even Ross?" "Especially Ross!" のように、Ross という固有名詞を効果的に使ったところなどは、「さすがは人気ドラマの脚本だなぁ。うまいなぁ〜」と感心してしまいます。
このシーンのセリフは「言葉による勘違い」で成り立っていますので、二人がそれぞれ勘違いしていることに気づき、お互い別々のことをイメージしたまま二人の会話が進んでいる、話が食い違っているはずなのに会話が成立してしまっている、というその面白さを英語で味わうことができれば、「とってもいい感じ♪」だと思います。


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posted by Rach at 17:12| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月05日

一日一度俺たち全員がそうするように フレンズ9-1その2

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ジョーイが「指輪を手に持って、片膝をついていた」ことから、「ジョーイがレイチェルにプロポーズした」とレイチェルに誤解されてしまったジョーイは、事情を説明しようとするものの、次々に邪魔が入り、レイチェルに説明できないままになっています。
ジョーイ: (taking Chandler aside) Hey Chandler, can I talk to you for a second? ([チャンドラーを脇へ連れていって] なぁ、チャンドラー、ちょっと話せるか?)
チャンドラー: Sure. (いいよ。)
ジョーイ: Dude, I just did something terrible. (なぁ、俺、まずいことしちゃったんだよ。)
チャンドラー: That was you?! I thought it was Jack! (あれ[おならをしたの]はお前だったのか? 俺はジャック(ゲラーパパ)だと思ってたのに。)
ジョーイ: No! No. That was Jack! Rachel thinks I asked her to marry me! (違う、違う! あれはジャックだったんだよ! レイチェルは、俺が彼女に結婚を申し込んだと思ってるんだ。)
チャンドラー: What?! Why does she think that? (何だって? 何でレイチェルはそんな風に思ってるんだよ?)
ジョーイ: Because it kinda looked like I did. (それは、俺がそうしたように見えた感じだったからだ。)
チャンドラー: Again, what?! (もう一度聞くぞ、何だって?)
ジョーイ: Okay, well, I was down on one knee with the ring in my hand-- (わかった、その、俺は片膝をついてたんだ、手に指輪を持って…)
チャンドラー: As we all are at some point during the day. (一日のある時点で、俺たちみんながそんな風にするように?)
ジョーイ: It wasn't my ring! It fell out of Ross' jacket! And when I knelt down to pick it up, Rachel thought I was proposing! (それは俺の指輪じゃなかったんだよ。ロスのジャケットから落ちたんだ。それでそれを拾い上げようとして膝をついた時、俺がプロポーズしてるとレイチェルが思ったんだよ。)
チャンドラー: Ross had a ring?! And he was gonna propose? (ロスが指輪を持ってた?! それじゃあロスはプロポーズするつもりだったのか?)
ジョーイ: I guess. (そうだろうね。)
チャンドラー: And you did it first?! This is gonna kill him! You know how much he loves to propose! (それでお前がそれを先にした? こんなことしたら彼はショックで死ぬぞ! 彼がプロポーズをどんなに好きか知ってるだろ!)

レイチェルに誤解されていることを相談しようと、ジョーイはチャンドラーを脇に呼んでいます。
ジョーイが「俺、ひどいことをしちゃったんだ」と言った後、チャンドラーは「あれはお前だったのか? 俺はジャック(ゲラーパパ)だと思ってたのに!」と言っていますが、これは「おならをしたのはゲラーパパじゃなくて、お前だったのか?」ということで、実際、これより後に、以下のシーンがあります。

[Back in front of the nursery window.]
育児室の窓の前(のシーン)に戻る。
ロス: Dad, seriously! Y'know, you really should see someone about that! ([ロスは、突然、自分の手を口や鼻の辺りにやって] パパ、マジでお願いだよ! 本当にそのことで誰かに会った方が[診てもらった方が]いいよ。)

ロスのしぐさは明らかに「パパが隣でおならをした」ような反応で、「そんなにおならばっかりしてるってことは内臓の具合が悪いのかも。お医者さんに診てもらった方がいいよ」と言っていることになりますね。

(元のシーンに戻ります)
「さっき育児室の前でおならしたのはお前だったのか?」と言われたジョーイは「違う違う、それはゲラーパパだよ」と言った後、早速本題に入っています。
Rachel thinks I asked her to marry me! は、「レイチェルは思っている、俺が彼女に結婚してくれと頼んだと」ということですね。
思いがけない話にチャンドラーは、「どうしてレイチェルはそんな風に思ってるんだよ?」と当然のごとく返します。
ジョーイの説明は、「俺がそうしたように見えた感じだったから」。
kinda (kind of) を入れることで、「そう見えたみたいな感じだった、ややそんな風に見えた」と「断言するのを避ける」感覚です。

その答えを聞いたチャンドラーが、「もう一度聞くぞ。何?」と言っているのが面白いですね。
「何でそう思われてるんだよ」という問いに対して、「俺がそうしてるように見えた感じだったから」という何とも漠然とした返事だったため、「それじゃちっともわからん」という感じで、What? を繰り返したことになります。

問われたジョーイは、自分がしていた姿を説明するのですが、「俺は片膝をついて、手には指輪を持って」という描写がまさに「プロポーズする人の姿そのまんま」なのがポイントですね。
それを聞いたチャンドラーの、As we all are at some point during the day. が面白いです。
直訳すると、「一日のある時点で、俺たちみんながするように」。
つまりチャンドラーは、「ジョーイが誤解されたっていう、その、”片膝ついて手に指輪”ってポーズ、俺たちみんな、一日のどこかでそういうポーズをするよねぇ」みたいに皮肉を言ったことになります。
「プロポーズ以外に、普段の生活でそんなポーズしないだろ。そんなポーズしたら、プロポーズだと誤解されて当然だろ!」とチャンドラーは言っているのですね。

ジョーイは「俺の指輪じゃなかったんだよ! ロスのジャケットから落ちたんだ!」と言い、「それを拾い上げようと膝をついた時、俺がプロポーズしているとレイチェルが思ったんだ」と状況を説明することになります。

「ロスのジャケットから指輪が落ちた」と聞いたチャンドラーは驚いた様子で、「ロスが指輪を持ってたのか? ロスは(レイチェルに)プロポーズするつもりだったのか?」と尋ね、ジョーイはそれに同意します。

その後のチャンドラーのセリフがまた面白いですね。
最初の文は、「(ロスがレイチェルにプロポーズするつもりだったのに)ジョーイが先にプロポーズしたのか?」
実際には、ジョーイは「プロポーズした」わけではありませんが、レイチェルがそう誤解していることから、「ロスがプロポーズする前にお前が先にそれをしてしまった」と表現していることになるでしょう。
This is gonna kill him! は「このことがロスを kill することになる」。
kill は「殺す」という意味ですが、「死ぬほど苦しませる、人を打ちのめす」という意味もあります。
死ぬほどのショックを与える、という意味で、「こんなことを知ったら、ロスは(ショックで)死ぬぞ」と表現してもいいし、「こんなことを知ったら、ロスは死ぬほどショックを受けるぞ」と言ってもいいでしょう。

You know how much he loves to propose! は「プロポーズすることをロスがどんなに好きかお前は知ってるだろ」というニュアンス。
ロスは現在独身ですが、結婚と離婚を3回経験していて、フレンズからは「結婚するのが好きな男、結婚マニア」みたいにイジられることも多いです。
そういう「フレンズお決まりのネタ」を使って、「ロスは、プロポーズが趣味か生きがいみたいな男なのに、その男がプロポーズしようとしていた直前に、お前が先にしちまったのか?」と言っているセリフになるわけですね。

「ジョーイが先にプロポーズしたのか? そんなことしたらロスはショックで死ぬぞ」というのは、想定された流れですが、どうしてショックを受けるかの理由が「愛するレイチェルに他の男が先にプロポーズしたから」ではなくて、「プロポーズするのが大好きなのに、それができなくなったから」だと言っているのが笑いのポイントになるわけですね。


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posted by Rach at 15:22| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月03日

シーズン9に突入! フレンズ9-1その1

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今日からシーズン9に入ります!
これからもよろしくお願いします。


シーズン9 第1話
The One Where No One Proposes (プロポーズの行方)
原題は「誰もプロポーズしない話」


シーズン8の終わりからの続きです。
前回のエピソードの終わりでは、ロスのポケットから落ちた婚約指輪を拾い上げたジョーイがレイチェルを振り向いた時、「手に指輪の箱を持って、片膝ついている」ポーズになっていたことで、「ジョーイが私(レイチェル)にプロポーズしている」とレイチェルが誤解してしまいます。
レイチェルは驚きながらも、Okay. と返事します。誤解されてしまったことに気づいたジョーイは、驚愕の表情を浮かべるのですが、ちょうどその時、手に花束を持ったロスが、レイチェルの病室へと歩いて行くところを映し出して、そのシーンは終わっていました。
その続きから。
レイチェル: So uh... I guess we should... make it official, huh? (それじゃあ、私たち、それを公式なものにすべきよね?)
ジョーイ: Uh... Look, Rach, I.... (Ross enters.) Hey, Ross is here! Hey, look! It's my good friend Ross. Hey, Ross. (あの…ねぇ、レイチェル、俺は… [ロスが入ってくる] やあ、ロスが来た! ほら! 俺の良き友ロスだ。やあ、ロス。)
ロス: Hey, Joey. (To Rachel) Hey, you. (やあ、ジョーイ。[レイチェルに] やあ、君。)
レイチェル: Hey, you. (はーい、あなた。)
ジョーイ: Hey, and look he brought flowers! Oh! Thanks, Ross. I'm really more of a candy kinda guy. (Laughs.) (やあ、それにほら、ロスは花を持ってきた! あぁ、ありがとう、ロス。俺は、(花よりは)キャンディーってタイプの男なんだけどさ。[笑う])
ロス: You're weird today. (He turns to Rachel and Joey puts the ring back.) (To Rachel) Listen I uh, wanted to talk to you about something. (今日の君は変だぞ。[ロスはレイチェルの方を向いて、ジョーイは指輪を後ろに置く] [レイチェルに] ねぇ、僕はあることで、レイチェルに話をしたかったんだけど。)
レイチェル: Uh yeah. Actually, I kinda need to talk to you too. (そうね。実は、私もあなたに話したいことがあったりするの。)
ロス: Uh Joey, can you give us just a minute? (あぁ、ジョーイ、僕らにちょっと時間をもらえるかな?)
ジョーイ: No. (だめだ。)
ロス: What? (何だって?)
ジョーイ: Oh, I'm sorry. I meant, "No." (あぁ、ごめん。俺が言いたかったのは「だめだ」だ。)
モニカ: (entering with everyone else including Mr. Geller) Hi! Hey, look who's here! ([ゲラーパパを含む、他のみんな(フレンズたち)と一緒に入ってきて] はーい! ねぇ、誰が一緒に来たか見て!)
ゲラーパパ: Where's my granddaughter? I've been practicing my magic tricks. (私の孫娘はどこかな? マジックのトリックを私はずっと練習してたんだ。)

I guess we should... make it official, huh? について。
official は「公式の、公の」という意味で、日本語で「オフィシャル」というカタカナで使われることもありますね。
こういう漠然としたニュアンスの単語の場合は、英英辞典で「基本的な語義」を確認するのが有効です。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) には、make it official が使われている例文が出ていました。
その説明部分を以下に引用しますと、
something is official :
used to say that something has been formally announced and is defenitely true or is defenitely going to happen
例1) It's official: They're getting married.
例2) The letter confirming the offer came, making it all official.

つまり、「何かが正式に発表(公表)され、それが確かに真実であると、または確かにそれが起こると言うために使われる」。
例文1は、「公式(発表)です。彼らは結婚します」。例文2は、「それを全て公式なものとする、申し入れを確認する手紙が来た」。

そういう official のニュアンスを考えると、「ジョーイがプロポーズを申し込んで、レイチェルが Okay. と承諾した、そのことを公式なものとすべきよね」ということになり、つまりは「このことを真実として他の人たち(フレンズたち)にも公表すべきよね」と言っていることにもなるでしょう。

レイチェルの誤解を解こうと、ジョーイは何かを言いかけるのですが、そこに花束を持ったロスが入ってくる、という何ともタイミングの悪いことになってしまいます。
ロスはレイチェルの元彼ですし、ロスのポケットから婚約指輪が落ちたことを知っているジョーイは、余計に慌ててしまうわけですね。
それで、「俺の良き友ロスだ」のような大げさなことを言って、その場を取り繕うことになります。

ジョーイとロスは、Hey, Ross. Hey, Joey. と挨拶していますが、ロスとレイチェルはそれぞれ相手に、Hey, you. と呼び掛けていますね。
Hey, you. は文字通り、「やあ、君(あなた)」ということで、Hey, you! と怒った調子で言えば「ちょっと、あんた!」みたいなニュアンスにもなってしまう言葉で、やはり「話者の表情や口調」が大きな意味を持つのですが、ここでの二人の Hey, you. は特別な相手に対して「やあ、君」「はーい、あなた」と呼び掛けるニュアンスだと感じます。
わざわざ名前を言わずに、you と言うだけで、いろんな思いを込めることができてしまう、みたいな感じですね。

フレンズ2-15 でも、
レイチェル: Hey, you.
ロス: Hey, you. [they stand together in front of the TV.]
と言っているシーンがありました。
ロスとレイチェルがテレビの前でお互いを愛おしそうに見つめ合って突っ立っているので、買ったばかりのテレビが見えないから邪魔だという風に、チャンドラーとジョーイに抗議されていたシーンでした。
フレンズ2-14 で、学生時代のプロムのビデオを見て、ロスが当時からどんなにレイチェルのことが好きだったかを知ったレイチェルが、自らロスにキスをした、というエピソードの後なので、二人はラブラブなわけだったのですが、そのラブラブ具合が、お互いを、Hey, you. と言って見つめ合う姿に表れていたことになります。

今回の Hey, you. も、「二人の子供が生まれた」という気持ちをお互いとても嬉しく思っていて、自分にとって大切な人であることを再認識している今だからこその気持ちが表れたものだと言えるでしょう。
日本語で呼び掛け語に「あなた」を使うのと似たニュアンスが感じられるということですね。

パニクっているジョーイは、妙にテンションが高いまま、あれやこれやとしゃべっています。
花束を持っているロスを見て、「ほら、ロスは花束を持ってきた! ありがとう、ロス」と言って、I'm really more of a candy kinda guy. と言っています。
more of A (than B) は、「B というよりはむしろ A」というニュアンスですね。
ですからこれを直訳すると、「俺は本当は、花束ってタイプの男よりは、キャンディー・タイプの男なんだけどね」と言っていることになります。
花束が、女性のレイチェルへのプレゼントであることは明白なのですが、それをジョーイはわざと「ありがとう」と言って、「わぁー、俺たちに(or 俺に)花を持ってきてくれたんだね、ありがとう。と言っても、俺は花よりもキャンディーの方が嬉しいタイプだったりするんだけどね。俺は「花より団子」タイプだから、キャンディーの方がもっと嬉しかったけどね」みたいに表現したことになるでしょう。

ロスのポケットから指輪が落ちたことで、ジョーイは「ロスがプロポーズしようとしている」と悟ったのでしょう。
こうしてレイチェルに花束を持ってきたこともその一環だろうとわかるので、「その花、俺へのプレゼント? 嬉しいよ。俺はキャンディーの方が嬉しい男だけどさ」みたいに言って、その花束が「プロポーズという重大なことの一部ではないかのように見せようとした」のかなぁ、と思います。

明らかにジョーイの様子がおかしいので、ロスははっきり「今日のジョーイはヘンだね」と言っています。
そしてロスはレイチェルの方を向いて、「僕は君にあることで話をしたかったんだ」と言います。
レイチェルも「私もあなたに話す必要があったりするの」と言っていますね。

赤ちゃんが生まれたばかりの二人が、「お互い話したいことがある」と言っているので、ここは部外者のジョーイが席を外すのが常識ではありますが、ジョーイは「ジョーイがプロポーズしたとレイチェルは思っている」という誤解を解かないといけないので、「ちょっと僕たちに時間をもらえるかな(ジョーイは席を外してもらえるかな)」という当たり前のお願いにも、No. と返事することになります。
意外な答えが返ってきたので、ロスは What? と驚きますが、その後のジョーイの返事がちょっと面白いですね。

Oh, I'm sorry. I meant, "No." を直訳すると、「あぁ、ごめん。俺が言いたかったのは”ノー”だ」ということ。
普通、I'm sorry. I meant... 「ごめん、俺が言いたかったのは」と言う場合には、その前の発言が相手にうまく伝わらなくて、相手を怒らせてしまった場合などに、「いや、君が思ったような意味じゃなくて、俺が言いたかったのはこういうことなんだ」と「言い直す、その前の発言を訂正する」ニュアンスが込められることになります。

ですが、このジョーイの発言は、「ああ、ごめん、(そうじゃなくて)俺が言いたかったのはこういうことなんだ」と前言を訂正するかのような言い方をしながら、先ほど言ったのと全く同じ "No." という言葉を繰り返している面白さですね。
「ノーだ。いや、ごめん、俺が言いたかったのは、ノーなんだ」と言ったわけで、「違う言葉で言い直すのかと思ったら、やっぱり”ノー”なんかいっ!」とツッコミを入れたくなるようなオチだということですね。

そんな会話をしていると、モニカが他のフレンズたちと一緒に、そしてゲラーパパ(ロスとモニカのパパ)も連れて、部屋に入ってきます。
ロスだけではなく、他の人まで大勢来てしまったために、ジョーイは「プロポーズしたと誤解」されていることを、ますますレイチェルに説明できなくなってしまうわけです。

Hey, look who's here! は、「はーい、誰がここにいるか見て!」ですから、「ある人を一緒に連れてきたわよ」と言っている感覚になります。
それがゲラーパパのことで、パパは「私の孫娘はどこかな?」と言いながら、「私はずっとマジックのトリックを練習してたんだ」と言っています。
have been practicing は継続を表す「現在完了進行形」ですね。
孫娘と初めてのご対面!の日に手品を披露しようと、今日までずっと練習してきたんだ、という「ずっと〜していた」感がよく出ていると思います。


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posted by Rach at 15:52| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月01日

思いもしなかった私ってバカ フレンズ8-24その6

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ロスとの間の子供、エマを出産したことで、ロスとレイチェルの距離はぐっと縮まった様子。
ですが、同じ病院で同時期に赤ちゃんを出産したジャニスから、「相手の男性が他の人と家庭を持ったら、その人は離れていってしまうものよ」と言われ、レイチェルは動揺します。
そんな時、レイチェルの様子を見に、ジョーイが病室にやってきます。
ジャニスから聞いた話が頭を離れないレイチェルはそれにまつわる話をするのですが、ジャニスの話を知らないジョーイは、レイチェルの話が抽象的過ぎてわかりません。
レイチェル: I'm just saying that, y'know, someday Ross is gonna meet somebody and... he's gonna have his own life. Right? (私はただこう言ってるのよ、ほら、いつかロスが誰かと出会って、そしたら…彼は彼自身の人生を歩むことになるでしょ?)
ジョーイ: Yeah, I guess so. (あぁ、そうだろうね。)
レイチェル: I just never thought I would raise this baby all by myself. Pretty dumb, huh? (私はただ、私がたった一人でこの赤ちゃんを育てることになるなんて思いもしなかったの。(私って)かなりバカよね?)
ジョーイ: Hey, you listen to me, listen to me. You are never, ever gonna be alone. Okay? I promise I won't let that happen. (ねぇ、俺の話を聞いて、聞いてよ。君は絶対に一人になんかならない、わかった? 約束するよ、俺がそんなことさせない。)
レイチェル: Joey. Oh, sweetie, what would I do without you? (ジョーイ。あぁ、スウィーティー、あなたがいなかったら私はどうするの?[あなたがいないと私は何もできないわ])
(They hug.)
二人はハグする。
ジョーイ: You don't have to worry about that, okay? (そんなこと心配する必要はないんだよ、いいかい?)
(Pause) 間があって
レイチェル: Oh, honey, could you grab me my other box of tissues? They're right on that chair under Ross' coat. (あぁ、ハニー、私の別のティッシュの箱を取ってくれる? ロスのコートの下のその椅子のちょうど上にあるの。)
ジョーイ: Sure. (わかった。)
レイチェル: Okay. (ええ。)
(He moves Ross's coat to get the tissues and the engagement ring box Mrs. Geller gave him falls out of the pocket it was inside. Joey goes to one knee, picks up the box, opens it, and sees that it's an engagement ring.)
ジョーイはティッシュを取るためにロスのコートを動かす。すると、ロスのママがロスに渡した婚約指輪の箱が、それが入っていたポケットから落ちる。ジョーイは片膝で近づき、その箱を拾って、それを開ける。そして、それが婚約指輪であるのを見る。
ジョーイ: Oh, my God! (なんてこった。)
レイチェル: Joey? (ジョーイ?)
(He turns to face Rachel on one knee with the box open.)
ジョーイはレイチェルの方を向く、片膝をついて、その箱を開けた状態で。)
レイチェル: (seeing the ring) Oh, my God. (Pause) Okay. ([指輪を見ながら] なんてこと。[間があって] いいわ。)
(Joey is stunned.)
ジョーイは愕然とする。
[Cut to Ross getting off an elevator carrying a bouquet of flowers and walking down the hall to Rachel's room.]
ロスに画面がカット。ロスはブーケを持ちながら、エレベーターを降りている、そしてレイチェルの部屋に向かう廊下を歩いて行くところ。
[Fade to black.] フェードアウト

レイチェルは部屋に来たジョーイに、Ross is gonna meet somebody and... he's gonna have his own life. Right? と言っています。
ロスが誰かと出会って、彼自身の生活・人生を持つことになる、ということですから、いい人と出会って、その人と結婚して、その人と家庭を持つ、みたいなことですね。
今回エマという赤ちゃんが生まれたものの、ロスとレイチェルは結婚しないことを決めているので、二人は夫婦ではありません。
だから、ロスが他の誰かと結婚して家庭を持つ可能性もあるし、友達のジョーイもその可能性を否定していない、ということです。

I just never thought... を直訳すると、「私が全く・完全に一人で、この赤ちゃんを育てるだろうなんて、ただ全く思っていなかった」。
パパのロスがいる、と思っていたけれど、ロスは新しい家庭を持てば離れていくことになる、そんなこと想像もしてなかったわ、ということですね。
Pretty dumb, hun? の dumb は「バカな、間抜けな」。
pretty は形容詞 dumb にかかる副詞で、「かなり、ずいぶんと」という意味。
副詞の pretty は、pretty much 「ほとんど、だいたい」というフレーズでよく登場しますね。

「ロスが離れていく可能性を考えてもみなかったなんて、私ってかなりおバカよね、おバカだと思うでしょ?」みたいに、ちょっと自虐的に自分のことを言っていることになります。

ちなみに、この pretty dumb という表現は、過去のフレンズに出てきたこともあって、それがジョークとして使われていました。
過去記事、プリティ フレンズ3-4その27 で、ジョーイの演技を見た芝居の担当者の発言を、フィービーがジョーイに伝えているシーン。
フィービー: Um, the off-Broadway play people said that you were "pretty but dumb." (あぁ、オフ・ブロードウェイのお芝居の担当者たちは、ジョーイは「pretty だけど dumb だ(かわいいけど、おバカだ)」って言ってた。)
ジョーイ: Oh. (おぉ。)
フィービー: Oh no wait, I'm sorry. That's "pretty dumb." (あぁ、違う、待って。ごめんなさい。今のは、"pretty dumb"(かなりバカ)だった。)

「プリティ」という言葉は「かわいい」という意味ですっかり日本語化していて、「プリチー」とか言ったりもしますが(「妖怪ウォッチ」にも「プリチー族」という「かわいい妖怪」がいるそうです)、そんな風に pretty=かわいい、という連想がすぐに働く日本人だと、副詞の pretty である可能性が思い浮かばないかもしれないですよね。
上のフレンズ3-4 のセリフは、「pretty dumb だった」というのがオチになっていますが、日本人だったらそのオチを聞いてもまだ、「pretty but dumb」的なニュアンスで受け取ってしまいそうな気がする、という意味で、興味深いセリフだと思います。

「私ってバカよね」というレイチェルに、ジョーイは「ねぇ、聞いて」と言いながら、レイチェルの手を両手で握り、さすりながら、レイチェルの顔をじっと見て、「君は絶対に絶対に一人になんかならないよ」と言います。
never ever は「絶対に〜ない、何があっても〜ない」という、never をさらに強調したニュアンス。
I promise I won't let that happen. を直訳すると、「俺がそんなことが起こらないようにするって約束する」。
そんなこと、つまり、「レイチェルが一人になるようなこと、俺がそんなことさせない、そんなの俺が許さない」ということですね。

レイチェルのセリフ、what would I do without you? について。
これについては、英辞郎に、
What would I do without you?=あなたがいなくては何もできません。
と出ていましたが、まさにそういうニュアンスでしょうね。
直訳すると、「もしあなたがいなかったら、私は何をするだろう?」になるでしょうか。
「あなたがいなかったら、私はどうすればいいかわからない、何もできないわ」と表現していることになるでしょう。

二人はハグをして、ジョーイは「レイチェルはそんなこと(一人になるかもしれないなんて)心配しなくていいんだよ」と言い、レイチェルをしっかりハグして、髪の毛にキスしてあげています。

涙を拭こうと、レイチェルはジョーイに、ティッシュの箱を取ってくれる?と頼んでいます。
「〜を取ってくれる?」と言う場合、Could you get me 〜? のように get を使うこともありますが、今回は grab が使われています。
grab の基本語義は「〜をひっつかむ」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
grab : to take hold of someone or something with a sudden or violent movement (SYN: snatch, seize)
つまり、「誰かや何かをつかむ、突然の、または乱暴な動きで」。

「取る」という意味の get をラフに言った感じになりますね。
They're right on that chair under Ross' coat. を直訳すると、「ティッシュの箱(複数)は、ロスのコートの下の、その椅子のちょうど上にある」。

レイチェルの説明通り、ジョーイはロスのコートの下にあるティッシュを取ろうとするのですが、ト書きにあるように、ロスのママが「これをレイチェルに渡しなさい」と言って手渡した婚約指輪の箱が、その箱が入っていたコートのポケットから落ちます。
ロスのママがロスに指輪を渡したシーンは、先に電話してくれたら良かったのに フレンズ8-23その1 に出てきました。

ト書きでその後の様子も詳しく説明されていますね。
「ジョーイは片膝で歩んで、その箱を拾い、開け、それが婚約指輪だと知る・わかる」がト書きで説明されている内容になります。

ジョーイはロスのポケットに婚約指輪の箱が入っていたという事実に驚き、Oh, my God. と言います。
その言葉に反応したレイチェルは、「どうしたの、ジョーイ?」というようにジョーイの名前を呼んだので、ジョーイはレイチェルの方を振り向くのですが、指輪の箱が開いた状態で、片膝ついた状態のまま、レイチェルの顔を見たので、レイチェルはそのジョーイの姿を見て、「ジョーイが指輪を持って、片膝ついて、私に今プロポーズしようとしている」と「勘違い」してしまった、というシーンになっているわけです。
海外ドラマや洋画ではおなじみのシーンですが、男性が女性にプロポーズする時は、「指輪を見せて、片膝ついて」というのがお決まりポーズで、そのポーズのままレイチェルを振り向いてしまったので、レイチェルには「プロポーズ」にしか見えなかったのも無理はない、という流れです。
少し前に、「レイチェルは絶対に一人になんかならない。俺がそんなことさせない」みたいに優しくハグしてくれた、ということもあって、流れ的にも全く違和感がないことも、レイチェルが完全に誤解してしまうことに一役買っているわけでしょう。

指輪を見せながら片膝ついた状態で自分を見つめているジョーイを見て、レイチェルは、Oh, my God. と言った後、Okay. と言っています。
英会話で、Okay. というのは、実にいろんなニュアンスで使われますが、この場合はやはり、日本語の「オッケー」というニュアンスの、「いいわ。あなたのプロポーズを受けるわ」ということになります。
ト書きには、Joey is stunned. 「ジョーイは愕然とする」と説明されていますが、もう少し細かい描写をすると、Okay. とレイチェルに言われたジョーイは、もう一度、自分が手に持っている指輪を見て、それから目を大きくかっ開いて、ものすごく驚いた顔をする、という感じになっています。
レイチェルに、Okay. と言われてから、改めて自分の姿を客観的に見て、「手には指輪、片膝ついてる。レイチェルは俺がプロポーズしたと誤解した」ということに気づいた、驚きの顔ですね。
ジョーイは、何かに気づくのがいつも人より遅く(笑)、そういう時には、こういう「目をかっ開く」驚きの表情をよく見せ、それに思わず笑ってしまうのですが、今回は、緊迫した展開になっているので、そのいつもの顔に「笑ってしまう」感じにはなりませんね。

「レイチェルがオッケーって言った?!」と思っていると、今度は画面がロスにカットします。
そして、そのロスは、手にブーケを持って、エレベーターを降り、レイチェルの部屋に向かうところで、画面はフェードアウトすることになります。

この後、DVDでは、おまけのように(笑)、JANITORIAL(清掃用具室)で、子作りのためにエッチした後のチャンドラーとモニカのシーンが入っています。
レイチェルを巡って、ロスとジョーイはどうなるの?!というシーンで終わってしまうと、息が詰まりそうなので、最後にちょっと笑える、のどかなシーンを入れて「緩和」した感じでしょう。
レイチェル、ロス、ジョーイがどうなるかの話は、次のシーズン9へと続きます。

、、、ということで、今回の記事でシーズン8は終了し、次回の記事からシーズン9を始めます。

ブログを続けている時に、私が最も意識する「区切り」は、「ブログ何周年」に当たる記事と、「シーズンを終えて、次のシーズンに進む時」です。
こうして無事、そして楽しく、シーズン8を終えることができたこと、本当に嬉しく思っています。
楽しく続けることができたのは、記事を読み、コメントを下さり、ブログを応援して下さった皆様方のお蔭です。
心より感謝申し上げます。ありがとうございました!

「フレンズ」のファイナルシーズンはシーズン10です。
「ファイナルに到達することなんて無理だろう」と思いながら「とりあえず行けるところまで行こう」と続けてきたブログですが、だんだんファイナルシーズンに近づいてくると、どうしても意識してしまいますね^^
フレンズたちの人生がどんどん変化していくのを見守りながら、シーズン9も楽しく面白く、フレンズ解説を続けていきたいと思います。

どうかシーズン9でも、よろしくお願いいたします!(^^)


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posted by Rach at 15:39| Comment(2) | フレンズ シーズン8 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする