2015年01月02日

冗談のギャグ以外のgagの意味 フレンズ9-3その2

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あけましておめでとうございます!
本年もどうかよろしくお願い申し上げます。

前回の続きです。
オクラホマ州タルサへの赴任が決まったチャンドラー。夫婦でタルサに引っ越すことを決めた二人でしたが、チャンドラーは自分だけが週4日タルサに行くことで、モニカはニューヨークに残ることができる、という案を提案します。
ですが、モニカは「週4日もあなたと離れるってこと? そんなのいやよ」と言い、チャンドラーはその言葉を嬉しく感じながらも、「いつもの口癖でノーって言ってるだけじゃないよね?」などと照れ隠しの冗談を言うのですが、
モニカ: No. I can't be away from you for that long. (違うわ。そんなに長い間、あなたと離れることなんかできない。)
チャンドラー: Really? (ほんとに?)
モニカ: Yeah, you're my husband. I'm not gonna live in a different state than you for 208 days out of the year. (ええ、あなたは私の夫だもの。1年のうち 208日もあなたと違う州で暮らしたりしないわ。)
チャンドラー: That's fast math! We could use you in Tulsa. (計算早いね! タルサで使えそう[役に立ちそう]だ。)
モニカ: Honey, thanks for trying to figure out a way, but if you're going to Tulsa, I wanna go with you. (ハニー、方法を見つけようとしてくれてありがとう、でももしあなたがタルサに行くつもりなら、私はあなたと一緒に行きたい。)
チャンドラー: Hey, you said that without gagging! (ねぇ、今の(セリフ)を君は、おえってならずに言えたね!)
モニカ: I know! (They high-five.) (そうね! [二人はハイファイブする])

モニカは「そんなに長く、あなたから離れていることはできない」と言っています。
「そんなに長く」というのは、「1週間に4日間も」ということですね。

はっきりそう言ってくれて喜ぶチャンドラーに、モニカは「だって、あなたは私の夫よ」と言った後、I'm not gonna live in a different state than you for 208 days out of the year. というセリフを言っています。
ちょっと長めの文章なので、とにかく聞こえた順番にイメージしていくと、「私はあなたと違う州に住むことはないわ。1年のうち 208日間を」になるでしょう。
in a different state than you の than について。
「〜とは違う」という意味だと、different from のように from を使うイメージが強いような気がしますが、今回のセリフのように、different than という形も使われます。

研究社 新英和中辞典では、
different =【形】〔+from+【(代)名】〕 〔…と〕異なった[て]、違った[て]
用法:from のほかに to, than も用いることがある。 比較:《米》では than のほうが一般的
The market today is very different than it was ten years ago. 今日の市場は10年前とはずいぶん違っている。


LAAD (Longman Advanced American Dictionary) にも、from, than の両方の例文が載っていました。
また、LAAD の GRAMMAR というボックスには、以下の説明が載っていました。
We use both different from and different than to talk about two things that are not the same. However, most teachers prefer different from.

研究社 新英和中辞典では、「米では than のほうが一般的」と説明されているのですが、アメリカ英語の英英辞典である LAAD では、「from/than のどちらも使うが、たいていの教師は from の方を好む」と書いてあるのが興味深いですね。
実際のアメリカ英語では、than が使われることが多いけれども、文法的には from が正しいと教師が考えている、ということになるでしょうか。

フレンズの過去記事では、from も than も両方出てきました。
from の方は、いつも聞いてるものとは違う フレンズ4-7その2
フィービー: What are you guys talking about? I loved it! It was soo moving. Oh, plus it's just, it's so different from the stuff you usually hear. (あなたたち、何言ってるの? 私は大好きよ! とっても感動的だったわ。あぁ、それに、ただ、いつも聞くものとは全く違うでしょ。)

一方、different than の方は、Fameの出演者は今 フレンズ3-24その3
レイチェル: Oh, no. I'm sorry. You look a lot different than the last time I-I saw you. (あぁ、いいわ。ごめんなさい。この前会った時[最後に会った時]から、あなたの見た目が随分違っているから。)

LAAD が最初に「from/than の両方とも使う」とも言っていたことから、「教師は from を好む」とは言っても、than でも全く間違いではない(実際に、LAAD に例文も出ているし)、と理解しておけばよいということですね。

「1年のうち 208日も」いうのは、「1週間のうち4日も」を即座に計算した結果ですね。
1年はほぼ52週なので、4日×52週=208日、と計算したことになります。
208日と算出したモニカに、チャンドラーは「今のは(それって)早い計算だね!」と感心したように言っています。
We could use you in Tulsa. の could use はフレンズ頻出で、「〜があるとありがたい、助かる。〜をぜひともほしい」という意味。
could use の could に「もし〜があれば、それを使うことができるだろう」という仮定のニュアンスが込められていることになります。
「あなたと 208日も離れているなんていやよ」と言ったということは、「あなたと一緒にタルサに行きたい、タルサに私もついて行きたい」と言ったことになるので、そういう発言の中で計算能力を発揮した妻を見て、「君が一緒にタルサに来てくれたら、僕たちにとって、君のその計算能力が役に立ちそうだね。是非君のその能力をタルサで発揮してもらいたいよ」と言ったことになるわけです。

thanks for trying to figure out a way は、「(ある)方法を見つけ出そうとしてくれてありがとう」。
「俺が一人で週4日をあっちで過ごせばいいんだから」のように、モニカが引っ越さなくて済む方法を見つけてくれたことへの感謝しつつ、モニカは「もしあなたがタルサに行くのなら、私もあなたと一緒に行きたい」と、夫のチャンドラーにとっては何より嬉しいであろう言葉を述べています。
それで終わらないのが、フレンズっぽいところで、チャンドラーは嬉しい気持ちを感じつつも、またいつものように冗談でそれを受け止めています。
without gagging の gag はいわゆる「ギャグ、冗談」という意味もありますが、この場合は「(吐きそうになって)おえっ・げぇっとなる」という意味。「人に猿ぐつわをはめる」という意味もあります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
gag [intransitive] : to feel sick in a way that makes you feel as though you might vomit
つまり、「まるで吐くかもしれないかのように感じさせる方法で気分が悪くなる」。

Macmillan Dictionary では、
gag [intransitive] (informal) : to be unable to swallow because you feel as if you are going to vomit
つまり、「まるで吐きそうな気分のために、飲み込むことができないこと」。

vomit や throw up のように「(実際に)吐く(という行為)」そのものではなく、「吐きそうになる感じになる」という感覚のようですね。

「おえっとなる」や「猿ぐつわをはめる」という意味の語源については、研究社 新英和中辞典では、
語源:窒息の声をまねた擬音語
と説明されています。
LAAD の Etymology (Word Origin) (語源)でも、以下のように出ています。
Probably from the sound of someone being prevented from breathing
つまり、「恐らく、人が呼吸を妨げられている音から」。
猿ぐつわをはめられる場合も、おえっとなる場合も、喉が詰まって息ができない感じがあるので、その「窒息した様子を音で表現」したものが、gag という音だということのようですね。
その昔、サザエさんの次回予告で、喉を詰まらせたサザエさんが「ンガググ」みたいな声(諸説ありw)を出していましたが、喉が詰まると、ga, gu などの「ガ行」になるのは、日英同じなんだなぁ、と思ったりもしました^^

このような gag=おえっとなる、という意味は、実は、ごく初期のエピソード、フレンズ1-2 で既に登場していました。
ブログ解説では飛ばしてしまった部分ですが、元婚約者で歯科医のバリーに、レイチェルが婚約指輪を返しに行ったシーン。
彼の歯科医のオフィスでの会話で、
バーニス(インターコムで): Dr. Farber, Jason Greenspan's gagging. (ファーバー先生(バリーのこと)、ジェイソン・グリーンスパンが、おえっとなってます。)
バリー (インターコムに): Be right there. (TO ROBBIE+RACHEL) Be back in a second. (すぐにそこに行くよ。[(患者の)ロビーと、レイチェルに] すぐに戻るよ。)

日本人の場合、gag という単語を見る・聞くと、どうしても「冗談の方のギャグ」を連想しがちだろうと思いますし、私も フレンズ1-2 のセリフを調べるまでは「おえっとなる」という意味があることを知りませんでした。
フレンズ1-2 のおかげでそういう意味だと知ったので、それから随分後になる今回のセリフでも、「おえっとならずにそのセリフが言えた」という意味だとわかることもできました。
DVDの日本語訳も「吐かずに言えたね」となっていたので、そこでも意味は確認できるのですが、ギャグがやたらと出てくるフレンズのことなので(笑)、「ギャグにせずに(真面目に)そのセリフが言えたね」みたいに解釈してしまいそうな人もいるかもしれない、、と思い、ちょっとしつこいめに解説してみました。

「あなたが行くのなら、私も一緒に行くわ」と、あまりにもロマンティックなことを言うので、「そんなきれいごと過ぎる発言をしたことに、自分でおえってなりそうだったんじゃない?」みたいに冗談めかして言ってみたわけですね。
チャンドラーがその言葉を喜んでくれたことはモニカもわかっているので、そんな風に冗談っぽく照れ隠ししたチャンドラーに、モニカもいつもの口癖 I know! 「そうね!」で返し、また、二人がロマンティックにハグしたりキスしたりするのではなく、昔の友達そのまんまな感じでの high-five をする、というのも、いかにも「フレンズ」っぽいいいシーンだな、と思いました。


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posted by Rach at 11:19| Comment(2) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする