2015年04月30日

返品しない、今すぐには フレンズ9-10その6

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[Scene: Mondler's Apartment, everyone except Chandler is there; they're opening their presents]
モンドラー(モニカとチャンドラー)のアパートメント。チャンドラー以外のみんながそこにいる。自分たちの(クリスマス)プレゼントを開けているところ。
レイチェル: (opens her present from Ross; it's a dark-red scarf) Oohh, I love it! ([ロスからのプレゼントを開ける。えんじ色のスカーフである] あぁ、これ気に入ったわ!)
ロス: Really? You're not gonna return it? (ほんとに? 返品しに行かない?)
レイチェル: Well, not this second! (そうねぇ、この瞬間にはね。)
フィービー: (at the window) Hey, look, you guys. It's snowing! ([窓のところにいる] ねぇ、見て、みんな。雪が降ってるわ!)
(The others all get up and go to the window.)
残りの全員が立ち上がり、窓のところに行く。
レイチェル: Oh wow, it's so beautiful. (あぁ、わぉ、すっごくきれいね。)
ロス: Wow, it really is! (わぉ、ほんとにそうだね!)
(They all stand a moment in silence, staring out of the window.)
みんな、しばらく沈黙したまま立っている、窓の外を見つめながら。
モニカ: Wendy's a fat-girl name. (ウェンディーって、太った女の子の名前だわ。)
フィービー: Aren't we done with that? (その件は(まだ)済んでないの?)
モニカ: Okay, fine. Fine. Let's talk about snow. Do you think it's snowing in Tulsa, where my husband is having sex on a copying machine? (オッケー、いいわ、いいわ。雪について話しましょ。タルサで雪が降ってると思う? そこではうちの夫がコピー機の上でエッチしてるのよ。)
(Shortly after that, Chandler enters.)
その直後、チャンドラーが(部屋に)入ってくる。
チャンドラー: Hey! (やあ!)
(Surprised, uttering Ahhs and Ohhs, the others are coming over to him.)
驚いて、ああ、とか、おお、とか言いながら、他のみんなが彼のところにやってくる。
ロス: Oh, my God. (なんてこった。)
ジョーイ: Hey-heeyyy - Look at that. That's a Christmas miracle! (ヘーイ、見てよ。それってクリスマスの奇跡だよな。)
モニカ: What are you doing here? (あなたはここで何してるの?[どうしてあなたはここにいるの?])
チャンドラー: I wanted to be with you. I missed you so much. (君と一緒にいたかったんだ。君がものすごく恋しかった。)
ジョーイ: Hey, hey, uh. Who did you miss the most? (なぁ、なぁ。お前が一番恋しかったのは誰だ?)
チャンドラー: Monica. (モニカだ。)
ジョーイ: Got ya. (blinks an eye) (了解。[片目でウインクする])
チャンドラー: I never want to leave you again! (もう二度と君から離れたくない!)
モニカ: But I thought if you left, you'd get fired. (でも、あなたがタルサを離れたら、あなたはクビになると思ってたんだけど。)
チャンドラー: Turns out they can't fire me. Because I quit. (彼らは俺をクビにできないんだよね。だって俺は仕事をやめたから。)
モニカ: What? (何ですって?)
ロス: What? You--? You really quit your job? (何だって? お前… お前は仕事をやめたのか?)
チャンドラー: Yeah! It's a stupid job, and I could not stand leaving you. And why should I be the only one who doesn't get to do what he *really* wants to do? (そうだ! つまんない仕事だし、君から離れることに耐えられなかったんだ。それに自分が本当にやりたいことをすることができない唯一の人間にどうして俺がならないといけないんだ?)
レイチェル: Well, what do you really wanna do? (ふーん、あなたが本当にしたいことは何?)
チャンドラー: (realizing) I have *not* thought this through! ([(改めてそのことに)気づいて] この件はよく考えてなかったよ!)
モニカ: Oh, my God! (なんてこと。) (モニカは手を胸に当てて、とても嬉しそうな顔をしている)
チャンドラー: I know. I, I should've talked to you first about it. (そうだろ。その件は君に最初に話すべきだったよね。)
モニカ: No, I think that this is what you wanna do. I think it's great! (いいえ、これがあなたのしたいことなんだと思うから。素敵だと思うわ!)
チャンドラー: Thanks! (ありがと!)

ネットスクリプトのト書きに、Mondler's Apartment と書いてありますが、Mondler は、Monica & Chandler のことですね。
タルサにいるチャンドラーを除いた残りのフレンズたちは、今日クリスマスだということで、プレゼントを開けているところ。
ロスからのプレゼントであるえんじ色のスカーフを見て、レイチェルが I love it! 「これ大好き。気に入ったわ」と言ったので、それをあげたロスは「ほんとに? それを返品しに行かない?」と尋ねています。

not this second の second は「瞬間」という意味で、「この瞬間は(返品し)ない」と言っていることになるため、「今すぐには返品しない、、、けど、しばらくしたら返品しに行く」と言っていることになります。
「プレゼントを返品する」というのは、買ったお店に持って行って、別のもの、もしくはお店のクーポンなどと交換してもらう、ということですね。
「レイチェルがもらったプレゼントを交換する」というのは、フレンズお決まりのパターンで、フレンズ1-24その4 では、モニカからの誕生日プレゼントを別のスカートに交換していたことがわかるシーンがありました。
また、フレンズ2-22その7 では、誕生日に当時の恋人ロスがくれたイヤリングを喜びながらも、ロスが「交換してもいいよ」と言ってくれたのを聞いて、さらに喜んでいましたね。

また、大きな犬がくわえて逃げた フレンズ4-8その2 では、
フィービー: Because she exchanges every gift she ever gets, it's like impossible to get her something she likes. Come on, let's trade! (だって、レイチェルは自分がもらったあらゆる贈り物を交換するんだもん。まるで、レイチェルが好きなものを彼女にあげることは不可能、って感じね。ねぇ、トレードしよう!)
と言って、レイチェルとプレゼント交換するのを避けたがっているフィービーの発言がありましたし、そのエピソードの後半、チェンジとエクスチェンジ フレンズ4-8その6 では、ロスがあげたネックレスをレイチェルがまだ持っているかどうか確認したところ、レイチェルがお店のクレジットに交換してしまっていたとわかるシーンもありました。

また、もらったプレゼントを return するということについては、レイチェル以外の人も言っていて、バルコニーから通りに返却 フレンズ8-14その1 では、親戚から結婚祝いとして、趣味の悪いパンチボウルをもらった時、「返品できるよね?」「店の名前がわからないから返品できないわ」「バルコニーから通りに返すのはどう?(→バルコニーから下の通りに落として壊しちゃうのはどう? )」というやりとりもありましたね。

返品するしないの話の後、フィービーは窓の外を見て、雪が降ってるわ! と言います。
みんなも窓のところに集まってきて、口々にきれい、と言いながら、雪を見つめているのですが、モニカがまた突然思い出したように、Wendy's a fat-girl name. 「ウェンディーって、太った女の子の名前だわ」と言い出します。
「ウェンディーって、太った女の子を連想させる名前よね」みたいに言うことで、「準ミス・オクラホマ」と聞いてつい想像してしまう可愛い女の子のイメージを何とか振り払いたいという感覚でしょう。
みんなできれいな雪に見とれているのに、またウェンディーの話を持ち出したので、フィービーは、Aren't we done with that? とボヤいています。
直訳すると、「私たちはそれ(その件)について済んでないの?」ということで、「その件はまだ終わってなかったの? まだその話をしてるの? 引きずってるの?」ということですね。

「またその話ぃ?」みたいに言われたので、モニカは「いいわ、じゃあ雪の話をしましょ」と言って、「タルサに雪は降ってると思う?」と言うのですが、Tulsa, where と関係副詞 where で繋げて、「タルサ、そこでは私の夫がコピー機の上でエッチしてるのよ」とまた、夫チャンドラーの話を持ち出してしまうという面白さです。
「タルサでも雪は降ってるのかしらね」とタルサの名前を出してしまうと、「あぁ、きっと今頃、チャンドラーはそのウェンディーって子とエッチしてるのよ」と言わずにはいられない、「頭からそのことが離れない」状態であることがよくわかるセリフだと思います。
オフィスでエッチする場合に「コピー機の上でエッチ」が連想されるのは、他のフレンズにも出てきています。
フレンズ2-4 で、「ジョーイはポルノに出演したことがある」とチャンドラーにバラされて、その内容を説明しているジョーイのセリフが以下のようになっていました。
ジョーイ: Ahh, alright, alright, alright. I was young and I just wanted a job, OK? But at the last minute I couldn't go through with it. So they let me be the guy who comes in to fix the copier but can't 'cause there's people havin' sex on it. (あぁ、わかったわかった。俺は若くて、仕事が欲しかったんだよ、いいか? でも最後の最後になって、(役を)果たすことができなかった。それで彼ら(スタッフ)が俺をある男の役にしたんだ。その男はコピー機(copier)を修理しに来るんだけど修理できないんだ、なぜならその上でエッチしている人がいたからね。)
その後、実際にそのポルノをみんなで見て、ジョーイが自分の演技の説明までしていたのですが、そんな風に「コピー機の上でエッチ」というのは、オフィスを舞台にしたエッチビデオでありがちな設定だということですね。

そんな「エッチビデオのようなことをしてるんじゃないか、という想像」までしているモニカの元に、タルサにいたはずのチャンドラーが帰ってきたので、みんなびっくりして彼に駆け寄っています。
What are you doing here? というモニカのセリフは「タルサにいるはずのあなたが、どうしてここにいるの? こんなところで何してるの?」という、「ここにいることを驚いているセリフ」ですね。
チャンドラーは「君と一緒にいたかった。君のことがものすごく恋しかった」と、素直な気持ちを述べています。

前回解説した記事のシーンでは、タルサのオフィスでウェンディーに迫られたチャンドラーが、その誘惑に負けることなく、モニカへの強い気持ちを語っていました。
ウェンディーに「じゃあどうしてあなたは今、(モニカじゃなくて)私とクリスマスを過ごしてるの?」と聞かれ、モニカとのいろいろな思い出(過去のエピソードシーン)のフラッシュバックへと繋がっていたのですが、そんな風に幸せなことをたくさん思い出して、いてもたってもいられない状態になり、タルサからNYに飛んで帰ってきた、ということが、ここでわかるわけですね。

I missed you so much. とモニカに言うチャンドラーを見て、ジョーイは「なぁなぁ。お前が一番恋しかったのは誰だ?」と質問しています。
チャンドラーは当然のごとく、「(妻である)モニカ」と答えるのですが、ジョーイは、Got ya. と言って、片目をまばたき、つまり、ウィンクしていますね。
Got ya. = Got you. で、Gotcha. (ガッチャ)などとも表記されますが、「わかった! 了解!」というニュアンス。
この「了解!」は、「わかったよ、モニカの目の前だから、そう言うしかないもんな。俺にはお前のほんとの気持ちはわかってるからさ」みたいなことが言いたいわけですね。
ジョーイが「チャンドラーは誰よりも俺(ジョーイ)に一番会いたかったはず」と思っていること、「モニカ
」と言ったのはモニカの手前そう言っただけ、だと思っていることが「Got ya. +ウインク」からわかる仕組みですね。

I never want to leave you again! の leave+人 は、「人を残す、人を残して去る」というニュアンス。
直訳すると、「再び君を残して去る(君と離れる)ことは絶対にしたくない」ということですから、「二度と君から離れない、もう絶対に君とは離れたくない」と言っていることになります。
But I thought if you left, you'd get fired. は、「でも、あなたが(タルサを)離れたら[去ったら]、あなたはクビになる[解雇される]だろうって、私は思ってたんだけど」ということですね。
「君を残してタルサに行くなんてもういやだ」と言ったことに対して、「でもあなたがタルサから(こんな風に)帰ってきちゃったら、クビになっちゃうんじゃなかったの? それは大丈夫なの?」と尋ねる感覚になるでしょう。

「彼らは俺をクビにできないんだよね。だって俺は辞めたから」とチャンドラーが言うので、みんなは驚いて聞き返しています。
チャンドラーには、後悔の気持ちは全くないようで、a stupid job 「愚かな、くだらない、つまらない仕事だ」と言い、君を残して行くことに耐えられなかった、と言っています。
could not stand のように、否定文で使われる時の stand は「耐える、我慢する、辛抱する」という意味で、I can't stand... 「〜には耐えられない」という形でよく使われます。

And why should I be the only one who doesn't get to do what he *really* wants to do? というのは長いセリフなので、前から順番にイメージしていくと、
「そして、どうして俺が〜(しない)唯一の人間になるべきなんだ?」→(どんな人間かと言うと)「本当にしたいと思うことをすることができない(唯一の人間)」
という流れになるでしょう。
ほんとにしたいことができない人間に、どうして俺だけがならなきゃいけないの? ということですが、それは、どれだけあってもまだ足りない フレンズ9-10その1 で解説した、このエピソードの最初のシーンからの流れですね。
チャンドラーが「仕事が好きなやつなんている?」と聞いたら、他のフレンズたちはみんな自分の仕事が大好きで、「仕事なんか嫌いだ」と思っているのはチャンドラーだけだったとわかった、というシーンでした。
「やりたいと思うことができてないのは俺だけ。俺だけずっとそんな状態でいろってのか? で、そんな仕事ならやめてやる! と思ったんだ」と言っていることになります。

「本当にやりたいこと」という表現を使ったチャンドラーに、レイチェルは、「じゃあ、あなたが本当にやりたいこと、っていうのは何?」と質問しています。
そう問われて、改めて気づいた様子のチャンドラーは、「俺はこの件について、よく考えてなかった」と言っていますね。
think through は「考える+貫いて・通り抜けて」ということですから、「考え抜く、じっくり・とことん考える」という意味になります。

「辞めたはいいが、何をしたいかってことまでは考えてなかったな」などと言うチャンドラーではありますが、モニカはチャンドラーが帰ってきてくれたことを心から喜び感動している様子。
その妻の姿を嬉しく思いながら、チャンドラーは、I should've talked to you first about it. と言っています。
should have+過去分詞 というのは、「〜すべきだった(のに実際には〜しなかった)」という表現ですね。
この場合も、「その件(仕事を辞める件)について、君に最初に話すべきだったのに、、(実際には君に話さなかったよね。ごめんね)」というニュアンスになります。
そのことについて、モニカは何も不満を述べることなく、「これはあなたがしたいことだと思う(から私は反対なんかしない)。素敵だと思うわ」と、夫チャンドラーが下した決断を全面的に認め、チャンドラーも素直に「ありがと」と言うことになります。

「次に何の仕事をするか、とか何も考えず、とにかく辞めてきちゃった」と言っているわけで、この後どうするんだろう? と見ている方も少し不安になってしまうところではありますが(笑)、チャンドラーだけタルサ、というのはやはり「フレンズ」という作品では落ち着かない気がしますので、「離れてみてお互いの大切さがわかった」という経過を踏んで、落ち着くところに落ち着いてくれた気がして、見ているファンはホッとしたところでしょうね。


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posted by Rach at 17:10| Comment(6) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月28日

妄想的になる資格がある フレンズ9-10その5

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NYのモニカからの電話を切った後、チャンドラーは一緒にいるウェンディーに、「電話してきた妻(モニカ)が、クリスマスに俺が君と二人きりだからって、何か起こるんじゃないかと心配してるんだ」と説明します。
それを聞いたウェンディーは、否定するどころか、チャンドラーのネクタイを少し引っ張って、セクシーな顔で近づいて来たので…
チャンドラー: Whoa-ho, back off, missy! (He takes a step back, but she still keeps her grip on his tie.) (わーお、下がって、お嬢ちゃん! [チャンドラーは一歩下がるが、ウェンディーはいぜんとしてチャンドラーのネクタイを握ったままである])
ウェンディー: (laughs) Missy? ([笑って] お嬢ちゃん、ですって?)
チャンドラー: I don't know. I'm not used to girls making passes at me! ... (She lets go of his tie) Wait a minute. Am I sexy in Oklahoma? (よくわからないんだよ。女の子が俺に迫ってくるのには慣れてなくて! [ウェンディーはチャンドラーのネクタイを放す] ちょっと待って。俺ってオクラホマではセクシーなの?)
ウェンディー: You are to me. (She gets closer again, putting her arms around his waist/chest.) (私には、あなたはセクシーよ。[ウェンディーはまた近づく、腕をチャンドラーの腰・胸に回しながら])
チャンドラー: (flattered) No,... no... (realizing) NO! (He quickly gets several steps away from her.) Look, I'm, I'm married! ([褒められて嬉しそうに] だめだ、だめだよ… [(状況に改めて)気付いて] だめだ! [チャンドラーは素早く数歩彼女から離れる] ねぇ、俺は、俺は既婚者なんだよ!)
ウェンディー: So? I'm married. (Showing him the ring on her finger.) (それで? 私も既婚者よ。[チャンドラーに指のリングを見せながら])
チャンドラー: I'm *happily* married. (俺は幸せな結婚をしてるんだ。)
ウェンディー: Oh. What's *that* like? (まぁ、それってどんな感じ?)
チャンドラー: Right. So, I'm sorry, but-- (そうだね。で、悪いんだけど…)
ウェンディー: Seriously? Happily married? So that phone call before, that was... happy? (ほんとに? 幸せな結婚をしてる、って? さっきのあの電話、あれは…幸せだったかしら?)
チャンドラー: Well, look, it's not easy to spend this much time apart, you know. She's entitled to be a little paranoid. Or, in this case, right on the money! You know, she's amazing and beautiful and smart. And if she were here right now, ...she'd kick your ass. Look, you're a really nice person... ham-stealing and adultery aside. But what I have with my wife is pretty great. So nothing's ever gonna happen between us. (ねぇ、長い時間離れて暮らすのは簡単なことじゃないんだよ。妻はちょっとぐらい誇大妄想的になる資格(権利)がある(追記:「誇大妄想的」という訳語について、以下の解説に訂正と追記があります)。または、今回の場合は、ぴったり当たってる[的中してる]し! モニカは素晴らしくて美しくて頭がいいんだ。そしてもしモニカがまさに今ここにいるとしたら… 彼女は君のケツを蹴り上げるだろうね。ねぇ、君はほんとにいい人だ… ハム盗難と不貞(不義)は別にして。でも俺が妻と持っていることはほんとにすごいんだ。だから、俺と君の間には何も起こらないよ。)
ウェンディー: Okay, let me ask you something. If what you and your wife have is so great, then why are you spending Christmas with me? (じゃあ、あなたにちょっと質問させて。もしあなたと奥さんとが持っているものがそんなに素晴らしいのなら、じゃあ、どうしてあなたは(今)私と一緒にクリスマスを過ごしてるの?)
(Chandler starts to think about it...)
チャンドラーはそれについて考え始める。

back off は「後ろに下がる」。missy は「お嬢さん」。
「妻は君と俺との仲を誤解してるんだ」と言ったところ、それを笑い飛ばすどころか逆に色っぽく迫ってきたので、チャンドラーは慌てて、「離れてよ、お嬢さん」みたいに言ったわけですね。
ウェンディーが「Missy ですって」みたいに笑いながら言ったことからも、女性が男性を誘っているようなこの場の雰囲気にはそぐわない呼び掛け語だったことが想像できます。
日本語の「お嬢さん」のような、少し距離のある呼び掛け語の感覚なのでしょう。

自分でも何で思わずそんなこと言っちゃったのかわけがわからないんだよ、というように I don't know. と言った後、チャンドラーは、"I'm not used to girls making passes at me!" と言っています。
「be used to+名詞」は、「〜に慣れている」という意味ですね。
今回はその名詞に当たる部分が、girls making passes at me になります。
「girls が、俺に make passes at すること」というような動名詞ですね。
girls は動名詞 making の意味上の主語となります。
make passes at のように今回は、名詞 pass が複数形 passes になっていますが、基本形は、make a pass at という単数形で「(異性に)言い寄る、ナンパする、モーションをかける、ちょっかいを出す」という意味になります。
今回 passes と複数形になっているのは、意味上の主語が girls と複数形になっていることを受けてのものですね。
ですからこのセリフは、「女の子たちが俺にモーションをかけてくることに慣れてない」というような意味になります。

その後、ふと気づいたように、「ちょっと待って。俺ってオクラホマではセクシーなの?」と言っています。
NYでは、こんな風に女の子に迫られたりすることなかったんだけど、もしかして俺ってオクラホマではモテ男になるタイプなのかな? みたいなことですね。
チャンドラーはいつものように、冗談半分で言ったのでしょうが、ウェンディーはその発言を笑うこともなく、You are to me. と言っています。
Am I sexy in Oklahoma? を受けての、You are なので、You are sexy to me. ということですね。
私はあなたをセクシーだと思うわ、とかなりダイレクトに言ったことになり、その言葉通り、いったんは離れたのにまたチャンドラーに近づき、彼の身体に手を触れたりしています。

最初は照れたように、No,... no... と言っていたチャンドラーですが、相手の迫り方が冗談ではない様子なので、強い調子で NO! と言って、ウェンディーから、さっと距離をとります。
I'm married! は「俺は結婚してる、俺は既婚者だ」ですね。
「俺は妻のいる身で、君とこんなことはできない」と言いたいわけですが、ウェンディーは、「そう、それで?」みたいに言った後、自分の薬指の指輪を見せながら、「私も既婚者よ」と言っています。

「私だって結婚してるけど、別にこんなこと、どうってことない」みたいにウェンディーが思っているのがわかるので、チャンドラーは、I'm *happily* married. 「俺は幸せな結婚をしてるんだ。俺たちは夫婦円満なんだ」と説明しています。

ウェンディーは、「それって(その幸せな結婚って)どんな感じ?」と尋ねていますね。
それに対して、チャンドラーは明確な説明をすることなく、「俺は幸せな結婚をしてるんで、悪いんだけど、君の誘いには乗れない」というように、とにかく拒絶の方向に話を持って行こうとしていますが、それは恐らくウェンディーのそのセリフを「えぇ、あなたの思っている通り、私の結婚生活は楽しくないわ。その「幸せな結婚」っていうのはどんなものなのかしら?(私にはわからないから知りたい)」というような、多少自虐の入った言葉だと解釈したからだ、と私には思えました。
そうやって、その質問を流されそうになったので、ウェンディーは再度、その質問を繰り返し、「ほんとに(本気で)そう言ってるの? 幸せな結婚をしてるってのはほんと?」みたいに続けたのだろうと。
「さっきのあの(奥さんからの)電話、あれはハッピー(なもの)だった?」と痛いところを突かれてしまったチャンドラーですが、それでもウェンディーに正直に自分の考えを伝えようとしています。

it's not easy to spend this much time apart は、「このような多くの時間を離れて(別々に)過ごすことは簡単・容易ではない」。
She's entitled to be a little paranoid. の paranoid は「誇大妄想・被害妄想的な」ですね。

(2015.4.28 追記)
上のセリフの日本語訳で、paranoid を「誇大妄想的」と訳したのですが、「誇大妄想」という言葉の意味について、下のコメント欄でご意見をいただきました。
「誇大妄想」は「自己の状態・能力・地位を誇大に想像・空想する」というような意味であり、今回の paranoid は「疑心暗鬼」の方がふさわしいようです。
下のコメント欄に訂正と追加説明がありますので、詳しくはそちらをご覧下さい。
(追記はここまで)

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
paranoid : believing that you cannot trust other people, that other people want to harm you, or that you are always in danger.
つまり、「他人を信じることができない、他人が自分を傷つけようとしている、自分は常に危険な状態にある、と信じている(状態)」。

entitle の基本語義は「タイトルをつける」ということで「表題をつける」という意味ですが、「(人に)〜の資格・権利を与える」という意味にもなります。
ですから、be entitled to (be) は、「〜である資格・権利がある」ということですね。

ですからこのセリフを直訳すると、「妻モニカは、paranoid になる権利がある」、つまり、「モニカはそんな妄想を抱いても構わない立場にいるんだよ。そんな妄想を抱いても構わない、許されるんだ」と言っていることになります。
長い時間離れて暮らしている夫婦なんだから、自分のいないところで相手が何をしているか、とあれこれ心配するのも無理はない、ということです。
相手が自分に対して paranoid な言動をすることは、チャンドラーにとっては困ったことではあるのですが、そういうことをしてもしょうがない、と理解してあげる度量の広さみたいなものが感じられるセリフだなぁ、と思いました。
今回の She's entitled to be a little paranoid. というセリフを聞いて、何となく同じニュアンスを感じる別エピソードのセリフを思い出しました。
それが、過去記事、私が呼ぶのに常に備えていて欲しい フレンズ8-21その6 の以下のセリフです。
レイチェル: Really? But I'm being so unreasonable. (ほんとに? でも私はすっごく理不尽になってるのに。)
ロス: True, but you're allowed to be unreasonable. You're having our baby. (そうだね。でも、君は理不尽でいてもいいんだよ。君は僕たちの赤ちゃんを産むんだから。)

フレンズ8-21 の You're allowed to be unreasonable. と、今回(9-10)の She's entitled to be a little paranoid. の2つの文が、「使われている単語は異なるけれども、言っている内容に共通のニュアンスを感じる」と私は思ったわけです。
unreasonable と paranoid というネガティブな形容詞で形容される状態のそれぞれの女性に対して、男性側が、be allowed to 「そうであることが許される」、be entitled to 「そうである資格がある」と表現して、そういう状態になっていることを許し受け入れているというところに、同じようなイメージを感じるわけですね。
unreasonable または paranoid になっている状態の女性側も、相手の男性がこんな風に「理不尽でもいいんだよ」「妄想してもいいんだよ」と「受け入れてくれている、受け止めてくれている」と知ると、ずいぶん気持ちが楽になるだろうなぁ、と思ったりもしますので^^ なかなか良い表現だなぁ、と感じました。

チャンドラーは、She's entitled to be a little paranoid. と言った後、Or, in this case, right on the money! と続けていますね。
right on the money は「まさにその通りで、ぴったりで、的中して」という意味。
LAAD では、
be (right) on the money : used when something is perfect or exactly right for the situation.
つまり、「何かが完璧である、またはその状況にまさにぴったりである時に使われる」。

ですから、Or, in this case... のセリフは、「もしくは今回の場合・ケースでは、まさにその通り! 的中してる!」という意味になります。
夫が女性と二人きりだということで、妻がいろいろ妄想を巡らせて心配してしまうのはしょうがないし、今回の(タルサでの君と俺の)場合においては、実際にウェンディーが俺にモーションかけてきた、という点で、それが「ただの妄想」ではなく、「モニカの心配が的中」してるわけだしね、と言っているわけですね。

実際にこんな事態になってしまっているのを考えても、モニカが心配し不安になるのは無理もないから、あんな電話になってしまったけど、そのことでモニカを責めるつもりはない、と言っていることになります。

「モニカは素晴らしくて美しくて頭がいいんだ」と自分の妻を褒めた後、「もし今、彼女がここにいたら、君のケツを蹴り上げているだろうね」と言っています。
実際には遠く離れたNYにいるので、right now に here にいることは不可能であることから、if she were と「仮定法過去」が使われているのもポイントですね。
amazing, beautiful, smart という素晴らしい形容をした後で、そのイメージとは真逆の「乱暴でお下品」な感じの「夫にモーションかけた女のお尻を蹴り上げる」という言葉で、「妻の怒り」を表現しているという、そのギャップの面白さになるでしょう。

you're a really nice person... ham-stealing and adultery aside. について。
aside は「わきへ」ということから、「別にして」という意味で使われます。
aside from だと「〜は別にして、〜はさておき」。
今回のような、ham-stealing and adultery aside は、以下の研究社の語義説明がわかりやすいと思います。

aside 【副】 [(動)名詞の後に置いて](…は)別として、さておいて
Joking aside… 冗談はさておき…


Joking aside はよく使われる表現ですが、それは文法的に言うと、「動名詞+aside」の形になるわけですね。
-ing のような動名詞以外の一般の名詞でも使える、ということで、今回のセリフは、ham-stealing (動名詞「ハムを盗むこと」) and adultery (名詞「不義、不貞」)という「動名詞と名詞の両方」が使われていることになります。

aside というのは、日本語で言うと「(それは)こっちに置いておいて」みたいな感覚ですが、チャンドラーも、手で「こっちに置いとく」ようなしぐさをしながらその aside のセリフを言っているのが、日本人にもわかりやすい感覚だなと思いました。

what I have with my wife is pretty great. を直訳すると、「私が妻と一緒に持っているものはとても素晴らしい・素敵である」というところでしょうか。
日本語に直訳すると、なんとも抽象的な表現になってしまいますが、要は「二人で素晴らしい毎日を送っている、素晴らしい人生を過ごしている」というようなことを言いたいのでしょう。
そして、「だから、俺と君の間には、何も起こらない」と説明します。

妻との絆が固いことを理解したらしいウェンディーですが、「ちょっと質問させて」と言います。
質問は、「もしあなたが言ったように、あなたとあなたの奥さんが持っているものがそんなに素晴らしいなら、どうしてあなたは(今)私と一緒にクリスマスを過ごしてるの?」。
そう言われたチャンドラーは、そのことについて思いを巡らす様子で、過去のフレンズの回想シーンへと場面が移る、、、という流れになっているわけですね。


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posted by Rach at 16:12| Comment(4) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月24日

belowを別の単語に聞き間違える フレンズ9-10その4

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モニカのアパートメント。モニカはタルサにいるチャンドラーに電話しているところ。スピーカーフォンにしているので、チャンドラーの声は他のフレンズたちにも聞こえる状態になっています。
チャンドラー: Ahh, merry Christmas. I miss you guys! (あぁ、メリー・クリスマス。みんなが恋しいよ。)
モニカ: So is it horrible? Is everybody working really hard? (それで(状況は)ひどい? みんな一生懸命働いてるの?)
チャンドラー: Ah, well, no, it's just uh, me and Wendy. (あぁ、うーんと、違う。ただ、俺とウェンディーだけだ。)
モニカ: Wendy? That sounds like a girl's name. (ウェンディー? それって女の子の名前みたいに聞こえるわね。)
チャンドラー: It is. Did I... not tell you about her? (そうだよ。俺、彼女のこと、君に話さなかった?)
モニカ: Umhmm, umhmm, about the time you told me about New Year's Eve. Where is everybody else? (うーん、私に大晦日について話した時のことかしら。他の人はどこにいるの?)
チャンドラー: I send them home. (彼らは家に帰したんだ。)
モニカ: Ohh, you are such a good boss! Is she pretty? (まぁ、あなたって何ていい上司なの! 彼女は可愛い?)
チャンドラー: Uhh, uh... (あ、あぁ…)
ロス: (in a low voice) Answer faster. Answer faster! ([低い声で] もっと早く答えろ。もっと早く答えろ!)
チャンドラー: I don't know! (わかんないよ!)
ロス: (in the same low voice) Answer better. Answer better! ([同じく低い声で] もっとうまく答えろ! もっとうまく答えろ!)
チャンドラー: I don't think of her that way, you know, I mean, she's a, she's a colleague. (彼女のことをそんな風に考えたりしないから、ほら、彼女は同じ職場の人間だし。)
モニカ: What does she do there? (彼女はそっちで何をするの?[そこでの彼女の仕事は何?])
チャンドラー: Oh, she's regional vice president. She's... just below me. (あぁ、彼女は地区の副支社長だ。彼女はただ、俺の下にいるんだ[ただ below me なんだ]。)
モニカ: She did WHAT? (彼女が何をしたって?)
チャンドラー: BE-LOW me! (俺の下(ビ・ロウ)、だ!)
ジョーイ: Ahh, wait, is Wendy the runner-up Miss Oklahoma? (あぁ、待って、ウェンディーって、準ミス・オクラホマの人?)
モニカ: *What*?! (何ですって??)
チャンドラー: Well, she... she didn't win. (うーん、彼女は…彼女は優勝しなかったし。)
モニカ: Alright, well, maybe I should let you and the second prettiest girl in Oklahoma get back to work. (いいわ、多分私は、あなたとオクラホマで2番目に可愛い女の子とを仕事に戻らせてあげるべきね。)
チャンドラー: Well, second prettiest that year. I mean, of *all* the girls in Oklahoma, she's probably-- (うーん、その年で2番目に可愛い、ってことは、オクラホマの全部の女の子の中では多分…)
レイチェル: (interrupting him) Oh, Chandler, stop talking! ([チャンドラーの発言を遮って] あぁ、チャンドラー、話すのをやめて!)

モニカはチャンドラーにタルサの状況を尋ねています。
So is it horrible? の it は「状況を漠然と表す it 」ですね。
「それで、(そっちの状況は)ひどい?」と尋ねている感覚になります。
「会社の人はみんな、一生懸命働いているところ?」と聞くモニカに、チャンドラーは、「ただ俺とウェンディーだけだ」と答えます。

モニカは、「それって女の子の名前に聞こえるわね?」と返していますが、「クリスマスに、女の子と二人きりでいるわけ?」という不満そうな気持ちが出ています。
「俺、ウェンディーのこと、君に話さなかったっけ?」と言うチャンドラーに、モニカは、about the time you told me about New Year's Eve. とちょっと怒った様子で言っていますが、これは恐らく、「君に話したはずだけど、みたいに言っているのは、あなたが私に”大晦日にもNYにいられない”って話した時のことを言っているのかしら?」というニュアンスかなと思います。
「大晦日には帰れない」って話は聞かされたけど、そんな女の子がいることは私に内緒にしてたわね、とでも言いたいようですね。

ウェンディーと二人だけだ、と知って、モニカは「他の人はどこにいるの?」と尋ねます。
I send them home. の send 〜 home は「人を家に送る」ですから、この場合は、「上司として部下を家に帰した」と言っていることになります。
「まぁ、あなたっていいボスね!」とちょっと大げさな感じで褒めた後、顔から急に笑顔が消えて(笑)、「その彼女、可愛い?」と言うので、隣でその電話を聞いているロスも、ぎょっとした顔をしています。

「今一緒にいるその女の子は、可愛いの?」と聞かれたチャンドラーは、何と答えていいかわからず、あー、あー、と言うばかりで、それを聞いているロスは、モニカの隣でちょっと声を低くして、Answer faster. と言っています。
直訳すると「より早く答えろ」ということですから、「もたもたしないで、さっさと答えろよ」とアドバイスしていることになります。
答えに困ったチャンドラーは、「わかんないよ!」と言うのですが、するとロスは「もっとうまく答えろ!」と言っていますね。
その返事はマズい、そんな答えじゃますますモニカを怒らせちゃうだろ、とロスは思っているわけですね。
I don't think of her that way は、「俺は彼女のことをそんな風に考えない」ということで、つまりは、「可愛いとか可愛くないとか、そういう目で見たことない。仕事仲間、同じ職場の人間だから」みたいなことです。

What does she do there? は現在形が使われていますが、What is she doing there? 「彼女は(今)そこで何をしているの?」というような、今、行なっている行為を尋ねるのとは異なり、「彼女はそこ(タルサの職場)で(日頃、通常)何をするのか? 彼女は何をする人か?」のように「普段行なっていること」を尋ねている感覚で、そこでの彼女の職務内容を聞いているニュアンスになります。

「彼女の仕事は何?」と聞かれたことになるので、チャンドラーは、彼女はこの地域の副支社長だ、と答えた後、She's... just below me. と説明するのですが、それを聞いたモニカは、驚いた声で、She did WHAT? と聞き返しています。
チャンドラーが言いたかった内容は、She is just below me. 「彼女は俺のすぐ下にいる」ということで、つまりは、「すぐ下の直属の部下」という感覚です。
ですが、モニカの過剰な反応から、モニカが勘違い、聞き違いをしたことに気づいたチャンドラーは、BE-LOW me! 「ビ・ロウ、ミー!」と、はっきり言い直しているのですが、このやりとりから、チャンドラーが言った below me という言葉を、モニカが恋愛がらみ、エッチがらみの言葉と聞き間違えたことがわかります。

先に答えを言ってしまうと、チャンドラーの below という言葉を、モニカはよく似た発音の blow と聞き間違えたというのが、このセリフのオチになっています。
blow は「風が吹く」または「笛を吹く」というような意味で使われますが、エッチな話の場合だと(「笛を吹く」様子から連想されるような) 「oral な(口を使った)エッチ行為を行なう」ことを指します。
今回は、blow という動詞の形で使われていますが、この行為を意味する場合には、blow job という名詞の形がよく使われるようです。
ちなみに、研究社 新英和中辞典にもその意味がダイレクトに書いてあります(笑)が、アカデミックな辞書であるLAAD (Longman Advanced American Dictionary) には、それ系の意味は一切出ていませんでした。

この意味の動詞 blow を使ったジョークは、過去のフレンズ記事、フレンズ2-19その5 にも出てきました。
その時のやりとりは以下のようなものでした。
レイチェル: Yes, my wind. How do you expect me to grow if you don't let me blow? (そうよ、私の風よ。もしあなたが私に blow させないなら、あなたは私がどんな風に成長するのを期待してるの?)
ロス: You know I don't have a problem with that. (君もわかってるとは思うけど、僕はその件に関しては問題ないよ。)
レイチェルは本で読んだ「風」の話をしていて、その流れで、blow 「風が吹く」という動詞を使っているのですが、ロスはその「風の本」のことを知らないので、エッチ系の blow の意味だと勘違いした、というオチだったわけですね。

フレンズ2-19 のそのセリフが記憶にあった方は、blow という動詞にそういう意味があることが強く印象づけられていたと思いますので、今回のチャンドラーとモニカの電話のやりとりで、モニカが below を blow と聞き違えたこともピンと来たのではないかな、と思います。

フレンズ2-19 の場合は、レイチェルが言った言葉が全く同じ blow という単語でしたので、ロスの勘違いも自然に受け止めることができます。
一方、今回の フレンズ9-10 の場合は、below と blow のように「音は似ているが厳密には単語が異なる」ため、それを「うまく聞き違えたように思わせる」ための工夫が、セリフの端々に出ている気がしました。

先ほど述べたように、チャンドラーの元々のセリフは、She's... just below me. つまり、She is just below me. です。
below は前置詞で、She's は She is なわけですが、それを、She is just below me. とはっきり is を発音してしまうと、be動詞の存在がはっきりしてしまうため、「below という前置詞」を 「blow という動詞」に聞き間違えるということに無理が出てきます。
「前置詞+me」を「他動詞+me(目的語)」と聞き間違えるのに無理が出ないように、チャンドラーは、She's... のように、一瞬、間(ま)を空けています。
その一瞬の間が存在することで、is があったことが意識から外れ、just blow me 「ただ俺を blow する、俺に blow という行為をする」というような動詞の意味に勘違いしたんだな、と思わせる仕組みですね。
「彼女の仕事は、(ただ)俺を blow することだ」のような意味であれば、厳密に言うと、She just blows me. のように、3単現の -s が付くべきところではありますが、blow という原形でないと below との聞き間違いにはならないので、それも、She という主語と時間的距離を置くことで、3単現の -s がないことに違和感を出さないようにしている気がするわけです。

そして、その「間」以上に聞き間違えに効果的になっているのが、チャンドラーの below の発音です。
below の発音をカタカナで書くと「ビ・ロウ」という感じではありますが、アクセントのない be- の部分は、あいまい母音となり、通常は「ビ」ほどはっきり発音されることもありません。
そういう「あいまい母音の特性」も利用した形で、チャンドラーが below を b- low のように母音の部分をほとんど発音せず言ったことで、「クリスマスにオフィスで二人きりで、その子と何してるの?」と疑心暗鬼になっているモニカには、エッチな行為である blow に聞こえてしまった、という流れになっているわけですね。

そして、チャンドラーが、She is (just) below me. 「be動詞(is)+前置詞(below)+me」という文を言ったのを、モニカが She (just) blow me. 「一般動詞(blow)+me(他動詞の目的語)」に聞き間違えたことをはっきりと観客にもわからせるために、モニカに、She did WHAT? 「彼女は何をしたの?」という「一般動詞の言い換え」である did を言わせたわけですね。
文法的に言えば、チャンドラーが She... (just) blow(s) me. と言ったと勘違いして聞き返しているわけなので、She does what? 「彼女は何をするって?」のように現在形で返しても良かったところでしょうが、「彼女は俺を blow するのが仕事」→「いつもそういうことをしている」→「彼女はあなたにそんなことを(実際に)したの?」という流れで、過去形になっているのかなぁ、と思いました。
「あなたは彼女にそんなことさせたわけ?」みたいな感じの「既に過去にそういうことをしたことがある」かのようにモニカに言わせてみせたのだろうと。

モニカが did という「一般動詞を言い換える単語」を使ったことで、below という前置詞を blow という動詞と聞き間違えたことに気づいたチャンドラーは、今度ははっきりと、「ビ・ロウ」と発音し直しています。
それぞれのキャラの発言内容から、「どういうつもりでそれを言ったか」「それがどんな風に聞こえてしまったか」を観客にわかるようにすることで初めて、この手の「言葉の勘違いのジョーク」は成立します。
今回は、厳密には発音も違うし、そもそも品詞が違う、という2つの単語をうまく勘違いさせたわけで、英語学習者的には、なかなか興味深かったです。

そんな勘違いなやりとりが済んだ後、ジョーイはふと思い出したように、「ちょっと待って。ウェンディーって、runner-up のミス・オクラホマ?」みたいにチャンドラーに尋ねています。
runner-up は「(競技・競争の)二着の人、次点の人」という意味。
ですから、「二着のミス・オクラホマ」→「準ミス・オクラホマ」ということになるわけですね。
「その子って可愛い?」と聞いても、チャンドラーから明確な返事は得られなかったわけですが、ジョーイの発言から、そのウェンディーという子は「準ミス・オクラホマ」になるくらい超可愛い子だということがわかってしまったので、またモニカは、What?! 「何ですって?」と大声をあげることになります。
チャンドラーは、「彼女は勝たなかった、優勝しなかった」と表現することで、「1位の子には負けたわけだし。1番可愛いわけじゃないんだし」と言おうとするのですが、モニカはその子が準ミスだと知って、「あなたと、オクラホマで2番目に可愛い子とを、私は仕事に戻らせてあげるべきね」みたいに言います。
「あなたはその可愛い子ちゃんとの楽しいお仕事に戻りたいだろうから、私はこの電話をすぐに切ってあげるべきよねぇ〜」みたいに言ってみせたわけですね。
ウェンディーが可愛い子だということで、余計にヤキモチを妬いてしまうモニカに、チャンドラーは何とか「可愛いと言ったって、それほどでもない」みたいなことを言おうとして、second prettiest that year... 以下のセリフを言っています。
直訳すると、「その年、2番目に可愛い。つまり、オクラホマの全部の女の子(の中)では、彼女は多分…」みたいなことですね。
「2番目と言っても、その年にエントリーした子の中で2番だから、何年間にも渡る歴代ミス・オクラホマの中での位置付けだと、2位よりずっと下になる」みたいなことで、オクラホマの全ての女性の中で2位なわけじゃない、とチャンドラーは言いたいわけですね。
それを聞いたレイチェルは、「チャンドラー、話すのをやめて!」と言っています。
とにかくその年に2位になるような可愛い子なのは事実なのだから、そんなことを言ったところで何のフォローにもならないし、準ミス・オクラホマであるという話をさらに続けても、モニカを怒らせるだけなのに、、というのが、同じ女性としてよくわかるからですね。
話せば話すほど墓穴を掘る感じになってしまっているチャンドラーが切ないです^^


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posted by Rach at 20:29| Comment(2) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月22日

やる気を起こさせる話をする人 フレンズ9-10その3

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チャンドラーが単身赴任中のタルサのオフィス。クリスマスだというのに仕事をしないといけないことで、スタッフも不満そう。
チャンドラーも「こんなクリスマスは最低だ!」と愚痴を言い、スタッフのウェンディーが「まさにクリスマスって感じね」と皮肉を言った後、
チャンドラー: I'm sorry. Hey, at least you guys get to go home and be with your familys tonight. I have to go back to an empty hotel room and lay down on a very questionable bedspread. And then tomorrow morning, you get to have Christmas morning in your own houses. Which, by the way, none of you have invited me to. (すまないね。ねぇ、少なくとも君たちは、今夜帰宅して、家族と一緒に過ごすことができる。俺は一人ぼっちのホテルの部屋に戻って、非常に疑わしいベッドカバーの上に横たわらなければならない。それから明日の朝、君たちは自分の家でクリスマスの朝を迎えることができるんだ。ところで、それに、君たちの誰もが僕を招待してくれなかったけどね。)
ニック: You can come to my house! (僕の家に来てもいいですよ!)
チャンドラー: Haha, no, thanks! (ハハハ、結構だ!)
ウェンディー: It was a nice pep talk. (元気の出る素敵な話だったわ。)
チャンドラー: Oh, thanks! I'm actually thinking about becoming a motivational speaker. (あぁ、ありがと! 実際俺は、やる気を起こさせる話をする人になろうかって考えてるところだ。)

愚痴を言って、クリスマスの雰囲気を壊してごめん、というように、一言謝った後、チャンドラーは、you guys get to (do). I have to (do). という文章で、「君たちと俺の違い」を述べています。
you guys get to go home の get to は「〜という状態になる、〜するようになる」「〜できるようになる、〜できるチャンスを得る」という感覚ですね。
今はこうして仕事しないといけないけど、夜になれば家に帰って家族と過ごせるようになる、と言っていることになります。
「君たちはそんな風にできるけど、俺は〜しないといけない」と言って、自分は誰もいないホテルの部屋に戻って、a very questionable bedspread の上に横たわらないといけない、と続けます。
spread は動詞だと「広げる、伸ばす」という意味で、前回の記事の、寄付の封筒を配る場面のト書きでは、he starts spreading envelopes among them というように、「配る、配布する」のような意味でも使われていましたね。
日本語にもなっているように、「パンに塗るもの」も、「広げる、伸ばす」ことから「スプレッド」(spread)と言いますね。
そういう「広げる、伸ばす」というニュアンスから、複合語として使う場合には、「〜掛け」という敷物を意味し、bedspread だと「ベッド掛け、ベッドカバー」という意味になります。
「ベッドカバーの上に横たわる」というのは、ぐっすり眠るためにベッドに入るという感覚ではなくて、「あーあ、疲れた」というように、バタっとベッドに倒れ込むようなニュアンスでしょう。
「誰もいない部屋で、帰ってきた服そのままでベッドにバタンとなる」というようなことでしょうね。
そのベッドスプレッドのことは、a very questionable bedspread と表現されていますが、questionable は「疑わしい、不審な」「問題のある」というネガティブな意味です。
ベッドカバーが「疑わしい」というのは、ちょっと漠然としているのですが、恐らく、「きちんと洗濯されていて清潔なのかどうか疑わしい」みたいな意味だろうなと思います。
「いつ洗ったのかどうかもわからないような、不潔かもしれないカバーの上に寝転ぶことになる」と表現することで、チャンドラーの中では、「きれい好きなモニカの家にいるのとは違う環境にいる」ことを言葉にした感覚になるのかなぁ、と。

今夜の話をした後で、チャンドラーは続けて、明日の朝の話をしています。
少し前と同様に、再び、you get to という表現を続けて、「君たちは自分自身の家(我が家)でクリスマスの朝を迎えることができる」と言った後、Which, by the way, none of you have invited me to. と付け加えていますね。

none of you have invited me to (something) の something の部分が前に出て、関係代名詞 which になっている構造ですが、「君たちの中の誰も、俺を(それに)招待してくれなかった」と言っていることからもわかるように、which はそれより前にチャンドラーが述べていた、「君たちは今夜、そして明日の朝、自宅でクリスマスを過ごす」ことを全体的に指している感覚になるだろうと思います。
直前の文章だけを指すとしたら、「明日のクリスマスの朝」だけに限定したことになりますが、話の内容から言っても、「朝に限らず、クリスマスの夜から朝にかけての一連の”我が家でのクリスマス”」というものに、単身赴任中の俺を招待してくれる人は誰もいなかったよね、と言っていることになるだろうと。

「君たちは家族とクリスマスを過ごせる。俺はホテルの部屋でひとりぼっちでクリスマスを過ごす」と対比させた後で、そういう状況だと言うのに、君たちはその俺に声を掛けてくれることすらしてくれなかった、とちょっと恨み言を言った感覚になるでしょう。
それを聞いたニックという男性が、「うちに来てもいいですよ!」と言うのですが、チャンドラーは笑って「結構だ」と断っています。
社交辞令だとわかっていることもあるし、クリスマスに仕事させる上司のチャンドラーに良い感情を持っていないことも自覚しているので、「誘ってもくれないとボヤいたけれど、別に親しくもない君らの家でクリスマスを過ごしたいわけでもないし」みたいに即座に断った感覚になるでしょうね。

チャンドラーの「俺だけが寂しく一人で、、」的な話を聞いて、ウェンディーは、It was a nice pep talk. と言っています。
pep というのは pepper 「こしょう、とうがらし」から来た言葉のようで、意味としては「元気、気力」という意味になります。
Macmillan Dictionary では、
pep [noun] : lively energy
Jimmy's always full of pep in the morning.

つまり、「生き生きした(元気いっぱいの、活気ある)エネルギー」。例文は、「ジミーは朝いつも、元気いっぱいだ」。

今回のセリフにある、pep talk という言葉もよく使われるフレーズのようで、英英辞典にも、pep talk という1つの項目として説明されています。
同じく、Macmillan Dictionary では、
pep talk : a talk during which someone encourages you to do something better or to work harder
例) We got a pep talk from our coach.

つまり、「(その話をしている間に)誰かが自分に、もっと良いことをするように、または、もっと一生懸命働くように励ましたりするような話」。例文は、「我々はコーチから元気の出る話をしてもらった」。

「俺はクリスマスにひとりぼっちだ」というさみしい話を聞かされたわけですが、ウェンディーは「今の話で元気になったわ」みたいに逆のことを言ってみせたわけですね。
そう言ったウェンディーに対して、チャンドラーは、I'm actually thinking about becoming a motivational speaker. と言っています。
motivational は文字通り、motivation の形容詞形で、「動機付けをする、動機を与えて意欲を起こさせる」という意味ですから、a motivational speaker は「動機を与えて意欲を起こさせるような話をする人」という意味になります。
要は、「やる気が出るような・やる気を起こさせるような話をする人」というところです。
I'm actually thinking about becoming は、「実際、俺は〜になろうかなって考えてるんだ」ということで、「あなたの話を聞いて元気出ちゃった」と皮肉っぽく言われたことを、言葉通り受け止めたふりをして、「そうだろ、俺の話って人に元気を与えるだろ? そういう俺の才能を活かして、”話をして人を元気づける、やる気を起こさせる”人になろうかな、って考えてるんだよね」と返したことになるわけですね。


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posted by Rach at 15:50| Comment(2) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月20日

あなたの名前で寄付されました フレンズ9-10その2

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チャンドラーが単身赴任中のタルサのオフィス。今日はクリスマスなのですが、その日も全員出勤し仕事をしています。そこに同じ部署のウェンディーが、段ボール箱を抱えて入ってきます。
チャンドラー: Hey. Where you been? (やあ、どこにいたの?)
ウェンディ: I was, uh, checking out that insurance company's Christmas party on three. Oh, it was really beautiful. They have all these decorations and this huge tree. And I just thought, to hell with them, we have to work. So I stole their ham. (She turns the cardboard box upside down over the conference table, a big piece of ham falls out.) (私は、3階の保険会社のクリスマス・パーティーをチェックしてたの。あぁ、すっごくきれいだったわ。デコレーションと大きなツリーがあるの。それで私はちょっと思ったのね、あいつら、くたばれ、って。私たちは働かないといけないのに、って。それであいつらのハムを盗んだの。[ウェンディーが会議テーブルの上に段ボール箱をひっくり返すと、ハムが落ちて出てくる])
チャンドラー: (to the others) Hear that? You may not be with your families, but at least it's gonna smell like ham in here. ([他の人に] 今の聞いた? 君たちは家族と一緒にいられないかもしれないけど、少なくともここはハムの匂いがするよ。)
クラウディア: My kid's in a play right now. (うちの子供は今頃、劇に出ているわ。)
チャンドラー: Y'know what, I know what will cheer you guys up! (he starts spreading envelopes among them) I had a little talk with the boys in New York. Told 'em about all the hard work you've been doing and that a little Christmas bonus may be in order. (ねぇ、俺には君たちを元気づけるものがわかるんだ! [チャンドラーは封筒を配り始める] 俺はNYの人たちとちょっと話をしたんだよ。君たちがずっとやっているハードな仕事について話して、ちょっとしたクリスマス・ボーナスがふさわしいだろう、ってね。)
ニック: (reading off his card) "A donation has been made in your name to
the New York City Ballet."
([自分へのカードを読み上げて] 「NYシティバレエ(団)にあなたの名前で寄付されました」。)
チャンドラー: Well, that's like money in your pocket! Alright look, you want me to say it? This sucks. Being here sucks! This work sucks! (えーっと、それは小遣い程度(の金額)だよ! 俺にそれを言わせたい? こんなの最低だ。ここにいるのなんて最低だ! こんな仕事は最低だ!)
ウェンディー: *Now* it feels like Christmas. (今(まさに)クリスマスって感じね。)

Where you been? は、Where have you been? の have が省略された形で、「(ここに戻ってくる)今まで君はどこにいたの?」ということ。
しばらく姿が見えなかったけど、と、その間の相手の居場所を問うていることになります。
その女性ウェンディーは、「3階の保険会社のクリスマス・パーティーをチェックしていた」と説明し、「すっごくきれいだったわ。(たくさんの)デコレーションとツリーもあったの」と言っています。
all these decorations and this huge tree の these や this は本来の語義通りに訳すと、「これらの」「この」になりますが、こういう this/these は、話者が頭の中に描いている「あるもの」をイメージしているニュアンスになります。
自分の体験を物語調に他者に語る際にこのような this はよく使われるのですが、this = 定冠詞 a のイメージで理解すると良いでしょう。

他の階のパーティーに行ったら、たくさんのデコレーションと大きなツリーで、クリスマスの雰囲気満載だった、みたいに言った後、And I just thought, to hell with them, we have to work. と言っていますね。
To hell with (人)! は「〜などくたばれ!」というニュアンス。
hell 「地獄」という単語をののしりの言葉として使っていることになります。

Macmillan Dictionary では、
to hell with: (spoken) used for showing that you are angry with someone or something and do not care about them any more
例) To hell with Miles, who needs him?

つまり、「自分が誰かや何かに怒っていて、その人やそのことをもう構わないということを示すために使われる」。例文は、「マイルズなんかくたばれ(どうでもいい)! 誰が彼を必要なの?(誰も彼を必要としていないわ!)」

To hell with...! というフレーズは、フレンズ1-1 という一番最初のエピソードに出てきたので、記憶に残っている方も多いでしょうか。
ロスの妻キャロルが家を出て行った、という話ばかりしてくるみんなに、
ロス: I'll be fine, alright? Really, everyone. I hope she'll be very happy. (僕は大丈夫だよ、いいか? ほんとだよ、みんな。彼女がすごく幸せになってくれるのを願ってる。)
モニカ: No, you don't. (いいえ、あなたは(そんなこと)願ってないわ。)
ロス: No, I don't. To hell with her. She left me! (あぁ、願ってないさ。彼女なんかくたばれ。彼女は僕を捨てて出て行ったんだ!)

今回のウェンディーも、自分たちはクリスマスに仕事だというのに、楽しそうにパーティーしている人たちに対する恨み節で、「あんな人たちなんか、くたばれ! 私たちは仕事しないといけないのに」と思った、と言っているわけですね。
そんな気持ちになったので、彼らのパーティーにあったハムを盗んできた、と言って、段ボールをひっくり返すと、重なったハムがどっさり落ちてくることになります。

大量のハムを目の前にして、チャンドラーは、「君たちは(今)家族と一緒にいられないかもしれないけど、少なくともここはハムの匂いがするね」と言います。
ハムの匂いでちょっとはクリスマス気分が味わえるかも、みたいなことですね。

My kid's in a play right now. の a play は「お芝居、劇」のこと。
クリスマスに学校でお芝居をするというのは定番のようで、映画「ラブ・アクチュアリー」(原題: Love Actually)でも、子供がお芝居に出演するということで、家族みんなで見に行くというシーンもありました。

「クリスマスに仕事なんて、、」とみんなが愚痴る中、チャンドラーは、I know what will cheer you guys up! と言って、スタッフに封筒を配り始めます。
cheer up は「人を元気づける、励ます」なので、I know what... を直訳すると、「君たちを元気づけるものを俺は知ってる」と言っていることになります。
「ほら、これで君たちを元気づけられると思うんだ」と言いながら、封筒を配っている感覚になりますね。

I had a little talk with the boys in New York. を直訳しようとすると、「俺は、NYの少年たちとちょっと話をした」になりますが、the boys のように「特定する定冠詞」の the がついていることから、タルサの人たちに対して「NYの(あの)彼ら」と言っている感覚となりますので、同じ会社のNYの人たち(恐らく本社の人)を指しているニュアンスになるでしょう。
その人たち(男性)を、軽い感じで boys と表現していることになるでしょうね。

その後、Told 'em about... という長めの文章が続いていますが、シンプルな構造にすると、
I told them about A(名詞) and that B(文).
という形になるでしょう。
NYの人たちに、「君たちがずっとやっているハードな仕事」について話して、「ちょっとしたクリスマス・ボーナスは in order かもしれない」と言った、ということになります。
in order は、「順番に」または「整然と、整理整頓されて」と訳されることが多いですが、今回の場合は、「ふさわしい、望ましい、適切で」という意味がまさに「ふさわしい」w と思います。

研究社 新英和中辞典では、
in order
(5) 適切で、ふさわしい、望ましい、必要で
A word here may be in order. この辺で一言述べておいてよいだろう。


LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
be in order : (formal) to be an appropriate thing to do or say on a particular occasion
例) I think a brief summary of the situation may be in order.

つまり、「ある特定の場合において、すべき、または言うべき適切なことである」。例文は、「その状況の短いサマリー(要約)が望ましいかなと思う」。

「適切で、ふさわしい」という意味の例文では、研究社もロングマンもどちらも、may be in order の形になっていて、今回のチャンドラーのセリフも、may be in order となっています。
in order にはいろいろな意味がありますが、特にこの may be in order のように may が使われている場合には、「適切である(だろう)」という意味で使われていると考えたら良いように思いますね。

「NYの人に、君たちが仕事を頑張っていることを話して、ちょっとしたクリスマス・ボーナスがふさわしいと話した」と言っていることになり、「君たちの仕事の頑張りに対して、ボーナスをもらえるよう(君たちの上司として)交渉した」と言っていることになるでしょう。
つまり、その配った封筒が「交渉した結果のボーナス」になるわけですが、スタッフの一人ニックはその中に入っていたカードを読み上げています。
書いてあった内容は、「ニューヨークシティバレエ(団)に、あなたの名前で寄付がなされました」。
つまり、「仕事を頑張ったことに対する報酬のお金は、あなたの名前でバレエ団に寄付されました」ということ。

小切手でも入っているのかと思ったら、「あなたの名前で寄付しました」というカードが入っていたので、スタッフたちは、「こんなのいらない」みたいに、無造作にそのカードを放っています。
チャンドラーは「そんなのは、money in your pocket みたいなものだ」と言っていますが、「ポケットのお金」、つまりは、小銭、小遣い程度の少額だ、というニュアンスになるでしょう。
額面を見せてもがっかりさせる程度の額なので、寄付という慈善事業に貢献したという形で処理したということでしょうが、クリスマスに残業している社員にしてみたら「ちゃんと給料に反映させてほしい。寄付とかそんなきれいごとはいらない」というところでしょう。

チャンドラー自身もそういうNYの対応にはご不満のようで、「俺にそれを言って欲しい?」と言った後、「こんなの最低。ここにいるのは最低。この仕事は最低!」と suck(s) = be terrible 「最低である」を3回連続で使って、表現しています。
楽しいクリスマスとは正反対の「愚痴と文句の連続」に対して、ウェンディーは「今(まさに)クリスマスって感じね」と、皮肉っぽく言っているわけですね。


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posted by Rach at 17:22| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月17日

どれだけあってもまだ足りない フレンズ9-10その1

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シーズン9 第10話
The One With Christmas In Tulsa (離ればなれのクリスマス)
原題は「タルサでのクリスマスの話」


今回の フレンズ9-10 は、クリスマスのエピソードです。
チャンドラーとモニカの家に、クリスマスでフレンズたちが集まっているのですが、単身赴任中のチャンドラーはタルサに向かおうとしています。
モニカ: I can't believe you're not gonna be here for Christmas. (あなたがクリスマスにここにいないなんて信じられないわ。)
ロス: You're really not coming back? (本当に(ここには)戻ってこないの?)
チャンドラー: Yeah, we have all this paperwork that needs to be filed by the end of the year. If I don't get it done, I'll be fired. (あぁ、年末までに提出しないといけない書類仕事があるんだよ。それが済まないと(終わらないと)、俺はクビになる。)
モニカ: It's so unfair. You don't even like your job! (それって不公平よ! あなたは自分の仕事が好きでさえないのに!)
チャンドラー: So. Who does? (それで、誰が(仕事なんか)好きなの?[仕事が好きなやつなんか、いないだろ?])
(The following responses are overlapping:)
以下の反応は、(口々に言っているので)言葉が重なっている。
フィービー: Oh, I like my job. (あら、私は自分の仕事が好きよ。)
ジョーイ: I *love* my job. (俺も自分の仕事が大好きだ。)
レイチェル: Yeah, I can't *wait* to go back to work. (そうよ、仕事に戻るのが待ち遠しいわ。)
ロス: I can't get *enough* dinosaurs! (恐竜はどれだけあってもまだ足りないよ。)
チャンドラー: I'm sorry I won't be here. (俺が(クリスマスに)ここにいなくてごめんね。)
モニカ: It's just... It's hard enough not seeing you during the week, but for Christmas... alright, if this is what you have to do, I understand. (ただ… 1週間あなたに会えないだけで十分つらいのに、クリスマスも(会えないなんて)… いいわ、もしこれがあなたがしなければならないことなら、私は理解するわ。)
チャンドラー: Thanks. (they kiss) I'll see you New Year's Day. (ありがと。[二人はキスする] 元日に会おう。)
モニカ: (shocked) You're not gonna be here New Year's Eve?? ([ショックを受けて] あなたは大晦日にもいないの?)
チャンドラー: Did I not mention that? (俺、それ言ってなかった?)
モニカ: No! (言ってないわ!)
チャンドラー: (thinks for a second, then waves his arms, exclaiming:) ...And to all a good night! (and runs out of the apartment) [少し考えて、それから手を振って、叫びながら] そして、みんなに、おやすみを!(みんな、いい夜を!) [そして走ってアパートメントを出て行く])

タルサに出かけようとするチャンドラーに、モニカは、「あなたがクリスマスにここにいないなんて信じられない」と言います。
ロスの You're really not coming back? は、really not という語順で、not の前に really が来ているので、really は not という否定を強調していることになります。
「本当に、戻ってこないの?」ということで、「戻ってこないことは本当か、確かか?」と確認していることになるでしょう。
チャンドラーは、帰れない事情を説明していますね。
年末までに提出しないといけないペーパーワーク、つまり書類仕事がある、と言って、俺がそれを get it done、つまり、「その仕事を終わらせる、完了させる」ことをしないと、俺は首になる、と言います。

仕事の締切に間に合わさないとクビになっちゃうから、と言ったチャンドラーに、モニカは、「そんなの不公平よ。あなたは自分の仕事が好きですら(好きでさえ)ないのに!」と言っていますね。
好きでやっている仕事ならともかく、好きでもない仕事をクリスマスにしなくちゃいけないなんて、可哀想、、みたいなことですね。
Who does? は、その前のセリフを受けてのもので、「誰が自分の仕事を好きなの?」ということ。
これは反語的表現で、「誰が自分の仕事を好きだろうか?」→「仕事を好きな人間なんて誰もいない」と言ったことになります。
「チャンドラーは、仕事が好きでもないのに、こんな目にあって、、」と言われたので、「そもそも、自分の仕事が好きな人間なんていないだろ? みんな仕事なんて嫌々やってんだろ?」的なことを言ったのですが、その後、フレンズたちから、「自分の仕事が好き」というセリフを口々に言われてしまい、「仕事が好きなやつなんている? と思ったけど、嫌いな仕事をやってるのは俺だけか」と、気づかされることになってしまうわけですね。

ネットスクリプトで、*love* のようにアスタリスクがついている部分は、やや強めに発音されたことを示しています。
「仕事好きな人間なんているかぁ〜?」と言われたことに対して、「自分は好きだ(けど)」と反論している部分が強調されている感覚ですね。
レイチェルは、赤ちゃんを産んで、ただいま育児休業中なので、「仕事に戻る(復職する)のが待ちきれないわ」と言っていることになります。
「仕事が好き」発言がいろいろ出た中で、ロスの発言の後だけ、みんながはぁ? という顔でロスを見ています。
I can't get *enough* dinosaurs! を直訳すると、「恐竜を十分にゲットすることができない」ですから、「どんなにゲットしても十分ではない・まだ足りない、どんなにゲットしてもゲットしきれない」と言っていることになります。
このような not enough が使われた決まり文句としては、I can't thank you enough. 「私はあなたに十分に感謝することができません」→「感謝しきれません。あなたには感謝の言葉もありません」というのもありますね。

チャンドラーが、「クリスマスにここにいられなくてごめん」と謝ると、モニカは「1週間あなたに会えないだけでも十分につらいのに、クリスマスにも(いないなんて)…」と言い、その後、alright, if this is what you have to do, I understand. と続けていますね。
「つらい、悲しい」ばかりを言ってもダメだと思ったのでしょう、「もしこのことがあなたがしなければならないことなら、私は理解する」と言ったことになります。
「仕事の締切に間に合わせるためにクリスマスに出勤しないといけない、それがあなたの仕事で、あなたのやるべきことなら、私は(妻として)(そのことを)理解するわ」と言ったわけですね。

この if this is what you have to do, I understand. というフレーズですが、つい先週、義務を負うowe フレンズ5-4その6 のコメント欄 で、よく似たセリフについてご質問を受けたばかりでした。
その フレンズ5-4 のセリフは、以下のようなものでした。
チャンドラー: I understand if you never want to sleep with me again. But that would be wrong. (もし君が俺ともう一度寝たくないと思っているのなら、俺は理解するよ。でもそれって間違いだろうと思うんだ。)

この if についてご質問を受けた際、I wonder if のような「〜かどうか」という意味の if ではなく、「もし〜なら」という意味だと私は解釈し、このセリフのニュアンスは、If you never want to sleep with me again, I understand. のような感覚だろうと思う、とお返事しました。
もうすぐ解説することになる今回のエピソードで、似たようなフレーズが登場することも知らずに、そんなお返事を書いたのですが、そのようなコメントのやりとりがあった直後に、今回、まさに、if this is what you have to do, I understand. という、"if 節, I understand." の形が出てきて、その意味を考えた時に、やはり、I understand if SV... は、If SV, I understand. と同じニュアンスである、と言える気がしました。
過去記事のコメント欄で話題に上がったのと同じようなフレーズが、最新記事に登場したということで、タイムリーだったこともあり、ご紹介してみました^^

妻として仕事への理解を示してくれたモニカに、ありがとう、と言ってチャンドラーはキスをして、New Year's Day (元日)に会おう、と言います。
それを聞いたモニカは、驚いた顔をして、いつにも増して早口で、「あなたは大晦日にもいないの?」と聞き返しています。
「次に会えるのは新年の元日だね」みたいに言ったことから、年末の大晦日には戻ってこないってこと? と尋ねたわけですね。

Did I not mention that? の mention は「言及する、話に出す」ですから、「俺はそのこと(次に会えるのは新年。大晦日には戻れない)を言わなかった?」という意味になります。
モニカの No! は、No, you didn't (mention that). 「あなたはそんなこと言わなかった、言ってなかった」ですね。
「あれ、言ってなかったっけかな」みたいに一瞬、思いを巡らせたチャンドラーでしたが、その後すぐに手を振って、「で、みんなに、good night を(おやすみを。良い夜を)」と言いながら、逃げるように走り去ってしまいます。

「これがあなたの仕事なら、私は理解するわ」と優しく言っていたモニカでしたが、そんな優しい様子のまま終わることもなく(笑)、クリスマスだけではなく大晦日もいないと知って、いつものトーンに戻るのが、フレンズのオープニング前のオチっぽくて楽しいですね。


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posted by Rach at 17:55| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月15日

外出するのはすごくいい気分だった フレンズ9-9その6

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赤ちゃんのエマをロスに預けて、久しぶりにフィービーと夜の外出をしたレイチェル。
バーで男性二人組と話が弾んだレイチェルは、連絡先の電話番号を聞かれ、つい自宅の電話番号を教えてしまいます。その彼がそこに電話すれば、ロスが電話に出る、とフィービーに指摘され、慌てて電話番号を取り返そうとするのですが、その男性はもうそこにはいませんでした。
フィービーの彼氏マイクが、今ロスと一緒にいるので、フィービーはマイクに電話して、「レイチェルが男性に電話番号を渡してしまったから、もし電話がかかってきたら、ロスが出る前にあなたが出て」と依頼。
全くロスと話が弾まず、いったんはロスの家を出たマイクでしたが、フィービーの頼みなのでまたロスの家に戻り、さらにはかかってきた電話にロスより先に出たりするので、ロスはマイクに不信感いっぱいとなっています。
[Scene: Ross and Rachel's apartment. Rachel and Phoebe enter through the door]
ロスとレイチェルのアパートメント。レイチェルとフィービーがドアを開けて入ってくる。
レイチェル&フィービー: Hey! (はーい!)
ロス&マイク: Hi! [Ross jumps up out of his seat, runs and hugs Rachel. Mike walks up to Phoebe] (はーい! [ロスは椅子から飛び上がり、走ってレイチェルにハグする。マイクは歩いてフィービーに近づく])
ロス: Oh, God! (ああ、もう!)
マイク: So glad you're back! [Hugs Phoebe] (君が戻ってきてくれて、すっごく嬉しいよ! [フィービーにハグする])
レイチェル: So, what did you guys do? (それで、あなたたちは何してたの?)
ロス: You know, we just drank some beer. Mike played with the boundaries of normal social conduct. (ほら、僕たちはただビールを飲んでた。マイクはノーマルな(正常な)社会的行為の限界をもて遊んでた[限界に挑戦してた]。)
マイク: It's true, I did. (確かに、僕はそうしたよね。)
フィービー: Well, goodbye! (じゃあ、さよなら!)
レイチェル: Bye. That was fun, Pheebs! (バイバイ! さっきは楽しかったわ、フィービー!)
フィービー: I know. It was fun. (そうね。楽しかった。)
レイチェル: See ya, guys. [Phoebe and Mike leave] (じゃあね、お二人さん。[フィービーとマイクは去る])
ロス: Rachel, lock the door! Lock the door, seriously! (レイチェル、ドアに鍵をかけろ! 鍵をかけるんだ、まじで!)
レイチェル: Oh shoot, I forgot to pay Phoebe for the drinks! [Goes outside into the hallway] Wait, wait. Wait, sorry. Did he call? Did that guy call? (あ、いけない、私、フィービーに飲んだお金を払うのを忘れたわ。[廊下に出る] 待って待って待って、ごめんね。彼は電話してきた? その男性は電話してきた?)
マイク: No, just his mom. (いや、(電話してきたのは)ロスのママだけだ。)
レイチェル: Oh, around 8:30? (あぁ、8時半ごろ?)
マイク: Yeah. (うん。)
レイチェル: Then again at 9? (それからまた9時に?)
マイク: Uh huh. (ああ。)
レイチェル: Yeah. (そうよね。)
[Inside apartment. Phone rings. Ross picks up the phone]
アパートメントの中。電話が鳴る。ロスが電話を取る。
ロス: Hello? Oh no, she's not here right now. Can I take a message? Bill from the bar? Okay, Bill from the bar, I'll make sure she gets your number. (もしもし? いえ、彼女は今、ここにはいません。伝言しましょうか? バーのビル? オッケー、バーのビル(さん)、確かに、彼女にあなたの電話番号を伝えます。)
[Ross hangs up the phone. He re-reads the message. Rachel re-enters and goes to tend to the baby]
ロスは電話を切る。ロスはメッセージを再度読む。レイチェルはまた入ってきて、赤ちゃん(エマ)を世話しに行く。
ロス: So, er, so how was it? Did you guys-- you guys have a good time? (それで、その、どうだった? 君たちは… 君たちは楽しい時を過ごした?)
レイチェル: Oh, we had so much fun. It felt so good to be out. (あぁ、楽しかったわ。外に出るのは[外出するのは]すごくいい気分だった。)
[Ross picks up the note]
ロスはメモを手に取る。
ロス: Ah, Rach? (あの、レイチェル?)
レイチェル: Yeah? (ん?)
[Ross puts note into his pocket]
ロスはメモをポケットにしまう。
ロス: Never mind. (いや、なんでもない。)

ロスとマイクの二人は、全く話が盛り上がらず、さらにはいったん帰ったはずのマイクが(バーの男性からの電話にロスが出ないようにするために)かかってきた電話にロスより先に出たりするので、ロスはマイクに対して「なんてことをするんだ!」というような顔をしていました。
やっと、レイチェルとフィービーが帰ってきてくれたので、ロスとマイクもほっとして、すごい勢いで女性陣にそれぞれハグすることになります。

「二人で何してたの?」と聞かれたロスは、「ビールを飲んだ」と言った後、Mike played with the boundaries of normal social conduct. というセリフを続けています。
play with は「〜で遊ぶ」ということですから、「〜をもてあそぶ、〜をいじる、〜をおもちゃにする、〜と戯れる(たわむれる)」という感覚だろうと思います。
boundaries of normal social conduct は何だか堅苦しい感じの単語が並んでいますが、boundary は「境界、境界線」「限界、限度」という意味ですね。
ですから直訳すると、「正常な社会的行為の限界」になるでしょうか。

この部分、DVDの日本語訳は、
マイクが非常識なことをしたり/マイクが人として許される、ギリギリのことをしたり
となっていましたが、まさにそういう感覚だろうと私も思いました。
「一般的な社会的行為の限界をもてあそぶ」を「人として許されるギリギリのことをする」と訳者の方が訳されたのは、とてもしっくり来る気がしました。
「社会的行為の限界として、どこまでならオッケーかな、と、その辺りの行為をいろいろ試すような感覚」なんだろうな、と思うわけですね。

ロスはマイクの非常識で不可解な行動が理解できず、そんな風にイヤミを込めて表現したわけですが、マイクも自分の行為の非常識さは承知しているので、「それは本当だ。確かに僕は(君が言った通りのことを)した」と言っています。
そういう非常識なことをお願いした当人たち(女性陣)が聞いているところで、「僕はロスが怒るようなことを確かにしたよ」と笑いながら認めることで、「僕がどんなに大変だったか」を彼女たちに伝えたい気持ちもあったのでしょうね。

マイクとフィービーの二人が帰った後、ロスは真剣な顔で、Rachel, lock the door! Lock the door, seriously! と言っています。
えらい目にあったので、また何かのはずみで戻って来られたら困るから、鍵かけろ! と言っているのですが、「ジョークで言ってるとかじゃなくて、マジで言ってるから」という意味で、seriously を付け加えているのが、ロスの気持ちをよく表していますね。

レイチェルは、忘れていたことを思い出した様子で、Oh shoot, I forgot to pay Phoebe for the drinks! と言っています。
このような間投詞の shoot は「しまった!」というような意味で、卑語 shit の婉曲語ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
shoot [interjection] (informal) : used to show that you are annoyed or disappointed about something
例) Oh, shoot! I forgot to go to the bank.

つまり、「自分が何かにいらいらしている、または失望していることを示すために使われる」。
例文は、「あぁ、しまった! 銀行に行くのを忘れた!」

ロングマンの例文の Oh, shoot! I forgot to... というのは、今回のレイチェルのセリフと同じですね。
「あぁ、しまった! 〜するのを忘れた」という形でよく使われるのだということが、ロングマンの例文からもよくわかりますね。
そう言って、フィービーたちを追いかけるように廊下に出たレイチェルは、Did he call? Did that guy call? と尋ねています。
ロスに対して、「飲み代を払うのを忘れた」と言って部屋を出たのは、ロスのいないところでマイクと話すための口実だったことがわかります。
マイクは、No と否定して、「ただロスのママだけ(が電話してきた)」と返事するのですが、それを聞いたレイチェルが、「あぁ、8時半頃に? それからまた9時に?」と返すのが面白いですね。
ロスももういい年(笑)なのに、そんな風に晩の決まった時間にママから電話がかかってくるなんて、親離れ子離れできてないのか? とツッコミたくなるところです。

廊下でそんな話をしている時に、部屋に一人でいるロスのところに電話がかかってきます。
「いえ、彼女はここにいません」という最初のセリフで、レイチェルへの電話だとわかりますが、観客や視聴者の予想通り、それが「ロスに出て欲しくなかった、バーの男」からの電話であることが、Bill from the bar? というロスの受け答えではっきりします。
Can I take a message? を直訳すると、「メッセージを受けましょうか(承り(うけたまわり)ましょうか?)」ということですから、何か伝言があれば、言ってくれれば本人(彼女)に伝えますよ、と言っていることになります。
「バーで会ったビル(だ)」は、Bill from the bar と表現すればいいんだ、というのも、ささいなことではありますが、学びどころだと思います。
「職場の男性」なども、a guy from work のように from を使って表現したりしますよね。

make sure は「確かに・間違いなく〜するようにする」なので、I'll make sure she gets your number. は、「間違いなく、あなたの電話番号を彼女がゲットするようにする」→「あなたの番号を必ず彼女に伝えます」ということになります。

そう言って、その人の電話番号をメモった紙をちぎって、改めてそれを読んだ時に、ロスはそのメッセージの意味に気づいたような表情を浮かべています。
レイチェルが、そのバーの男に自宅の電話番号を教えた、だからその男から電話がかかってきた、ということですね。

バーである男性との出会いがあって、その男が家に電話までかけてきた、ということに気づいたロスは、エマの様子を見ているレイチェルに向かって、「君たちは楽しい時間を過ごしたの?」と尋ねています。
レイチェルはエマの方を向いていて、ロスの微妙な表情に気づくこともありませんから、その質問に対して、ただ「とっても楽しかったわ。外に出るっていうのはいい気分ね」と返事しています。
久しぶりの外出ですから、「楽しかった?」「ええ、楽しかったわ。外出ってやっぱりいいわね」という会話は、ごくありきたりで当たり前のやりとりなのですが、「レイチェルはバーで男と知り合った」ということを知っているロスにとっては、「とっても楽しかった。外出ってやっぱりいいわ」というレイチェルの発言に、男の影を感じないではいられないわけですね。

It felt so good to be out. について。
このような動詞 feel の使い方については、以下の研究社 新英和中辞典の説明がわかりやすいかと思います。
feel 【自】〔+補〕〈物事が〉〈…の〉感じを与える、〈…と〉感じられる
It feels good to be wanted. 人に求められることは気分がよい。
How does it feel to have passed the examination? 試験に合格するとどんな気分だろう。


1つ目の例文のように、It feels 〜 to ... の形だと、「…することは〜だと感じられる」という意味になるということで、今回のレイチェルのセリフもまさにその形を取っており、「外に出ることは、とても(気分が)良いと感じられた」という意味になるので、「外に出るって(外出するって)すごくいい気分ね」という意味になるわけですね。

「電話番号を必ず彼女(レイチェル)に伝えます」と言った手前、ロスも電話番号を書いたメモを渡そうとレイチェルに声を掛けるのですが、結局、そのメモは自分のポケットにしまい、「何でもない、気にしないで」と言って、エマを見ているレイチェルにそれ以上話すこともなく、台所の方に向かうことになります。
ロスの複雑な気持ちを考えると、何だかやりきれないエンディングですね。


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posted by Rach at 18:21| Comment(2) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月13日

埋め合わせできること何かある? フレンズ9-9その5

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タルサにいるとジョーイに嘘をついて、NYの自宅に戻ってきているチャンドラー。
ジョーイに見つかりそうになったので、非常階段を降りて、普通の階段を上がってくることで、「今、タルサから帰ってきたばかり」であることを演出したチャンドラーは、何とかジョーイをごまかすことに成功したのですが、チャンドラーのスーツケースが部屋の中にあることをジョーイが発見してしまったことで、ジョーイに嘘をついていたことがバレてしまいます。その後のシーン。
ジョーイ: What's going on? (どうなってるんだよ?[何が起こってるんだよ?])
チャンドラー: I'm sorry. I told you I was in Tulsa because I wanted to spend the night with Monica and I didn't know-- I didn't think you'd understand. (ごめん。俺はお前に、俺はタルサにいるって言ったけど、それは俺がモニカと一緒に夜を過ごしたかったからなんだ。それで俺にはわからなかったんだよ… お前が理解してくれるとは思えなくて。)
ジョーイ: What? You think I'm too dumb to understand that a husband needs to be with his wife? Uh? You think I'm like, duhhh! [Taps head with baseball bat - it hurts him] (何だって? 夫は妻と一緒にいる必要があるってことを理解できないほど俺がバカだと思ったのか? お前はこう思ってるのか、俺がまるで…おバカだと! [野球のバットで頭を叩く。そのせいでジョーイは痛がる])
モニカ: Joey? (ジョーイ?)
ジョーイ: Yeah? (ん?)
モニカ: I don't know what to say. We shouldn't have lied to you. (何て言ったらいいかわからないわ。あなたに嘘なんかつくべきじゃなかったのに。)
チャンドラー: Yeah, I feel so bad. Is there, is there anything I can do to make it up to you? (そうだよ、ほんとに申し訳ない。お前に対して埋め合わせできるようなことが何かある?)
ジョーイ: Hey, you could go to the game with me. Even though I know you said you couldn't. But then you lied to me and tricked me and gave me a bump on the head. (なぁ、俺と一緒に試合(を見)に行くことができるんじゃないか。お前が行けないって言ったことを、俺がわかっているとしてもな。でもその後、お前は俺に嘘をついて、俺を騙し、俺の頭にたんこぶを作ったんだから。)
チャンドラー: I'm sorry. That's the one thing I can't do. I promised that I'd be with Monica. (ごめんよ。それだけはできないんだ。俺はモニカといるって約束したんだよ。)
ジョーイ: [Looking sad] Alright. ([悲しそうな顔で] わかった。)
モニカ: You can go. (行っていいわ。)
チャンドラー: [Turning around] What? ([振り返って] 何?)
モニカ: You should go to the game. It's okay. I want you to. (あなたは試合に行くべきよ。大丈夫。あなたにそうして欲しいの。)
チャンドラー: Really? You gonna be okay? (ほんとに? 君は大丈夫?)
モニカ: Yeah, it'll be fine. Y'know, maybe I'll stay here and practice the art of seduction. (ええ、大丈夫よ。ほら、多分、私はここにいて、誘惑のテクを練習するわ。)
チャンドラー: You're gonna put sweats on and clean, aren't ya? (スエットを着て、掃除するつもりだろ?)
モニカ: That's gonna be so hot! (それってすっごくセクシーよね。)
[Monica and Chandler hug]
モニカとチャンドラーはハグする。

チャンドラーはジョーイに「タルサに残る」と言っておきながら、実はNYに帰っていたことがわかって、ジョーイは、What's going on? 「何が起こってるんだ? どういうことなんだ?」と問い正しています。
もうこれ以上嘘をつくことができないと思ったチャンドラーは、正直に話していますね。
「俺はタルサにいるってお前に言った。なぜならモニカと一緒に夜を過ごしたいと思ったから」と説明した後、I didn't know-- I didn't think you'd understand. と言っています。
前半は、「俺にはわからなかった…」で、後半は、「お前が理解してくれる・わかってくれるだろうとは思わなかった」ですね。
つまり、「バスケの試合よりも、妻と過ごすことを選ぼうとした俺の気持ちはお前にはわからないだろうな、と思ったんだ」ということになるでしょう。
説明してもわかってもらえないと思ったから、嘘をついてしまった、ということですね。

それを聞いたジョーイは、You think I'm too dumb to understand that... と言っています。
too dumb to understand は、too 〜 to ... 「あまりに〜で…できない、…するには〜すぎる」という too to 構文ですね。
dumb は「ばかな、まぬけな」なので、「that 以下が理解できないほど、俺がバカだとお前は思うのか?」と言っていることになります。
that 以下の内容は、「夫が自分の妻と一緒にいる必要がある(ということ)」ですね。
つまりジョーイは、「結婚していない俺だって、夫が妻と一緒にいる必要がある、ってことくらいわかるさ」と言っているわけです。

「お前は俺が…ってことがわからないほどバカだと思ってんの?」の話の続きで、ジョーイは、You think I'm like, duhhh! みたいなことを言いながら、(モニカが浮気していると思って、その浮気相手をやっつけるために持っていた)バットで自分の頭を叩いて、一瞬、クラッとなっています。
この部分、DVDの英語字幕では、You think I'm, like.... となっていて、ドゥーのような、ダァーのようなその音は字幕化されていませんが、あえて文字にするとすれば、やはりネットスクリプトにあるような duhhh! になるのかなぁ、という気はします。

duh という単語は、「(そんなの)当たり前じゃないか!」という意味で、よく使われます。
1か月前くらいの記事、息子の素晴らしさを言い続ける フレンズ9-7その2 にもそういう意味で出てきました。
ただ、今回のセリフの場合は、そういうニュアンスではなく、「おバカ」的なイメージの言葉を、duh という「音」で表現している感じですね。
少し前のジョーイのセリフにあった、dumb に通じるイメージ、と言えばいいでしょうか。
過去記事、彼は何しに来たの? フレンズ3-17その21 では、「ばか者、愚か者」という意味で、dufus (または doofus)という単語も出てきました。
dumb や dufus のような単語からの連想で、d- で始まる感じの音を発することで、「お前は俺をバカだと思ってんのか?」ともう一度言ったことになるでしょう。
その際、「俺のこの頭が、このおつむが」みたいな感じで、頭をコンと叩いた時に、たまたま持っていたのがバットだったので、想像以上に衝撃が大きくなりw 一瞬意識が飛んだかのような顔になって、その後、目をかっ開いたりしているわけですね。
ジョーイがクラッとなったのを見て、モニカが「ジョーイ? (大丈夫?)」みたいに呼び掛けると、ジョーイは目をパチクリさせて、「あー、一瞬、まじでクラッとした」みたいな顔で返事するのも面白いです。

「俺だって、夫が妻と一緒にいたい気持ちはわかる」とジョーイが言うので、モニカは、「何て言ったらいいか・何て言うべきかわからないわ。私たちはあなたに嘘をつくべきじゃなかったのに」と言っています。
We shouldn't have lied to you. の、shoudln't have+過去分詞 は、「〜すべきではなかったのに(〜してしまった)」という、後悔を表すニュアンスですね。
この場合も、「話せばわかってくれたはずだから、私たちはあなたに嘘をつくべきではなかったのに、実際はあんな風にあなたに嘘をついてしまった」と後悔と反省の言葉を述べていることになります。

チャンドラーも、「本当に申し訳ないと思っている」と言った後、is there anything I can do to make it up to you? と尋ねています。
make it up to は「(損失の)埋め合わせをする、償い(つぐない)をする」という意味。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
make it up to somebody : to do something good for someone because you feel responsible for something bad or disappointing that happened to them.
例) I'm sorry I can't get away from work. I'll make it up to you this weekend.

つまり、「ある人に対して良いことをすること。その人に起こった、悪いこと、またはがっかりすることに対して自分が責任を感じているという理由で」。例文は、「仕事を抜けられなくてごめん。今週末に、埋め合わせをするよ」。

「償いとして、俺に何かできるといいんだけど」みたいに言ったチャンドラーに対して、ジョーイは、「俺と(バスケの)試合(を見)に行くことができる」と言っています。
could は can の婉曲表現で、「行こうと思えば行けるんじゃないのか」というようなニュアンスになるでしょう。
その後、「お前が行けないと(以前に)言ったことを俺が知っているとしても」と言って、「でもそれから(行けないとお前が言った後で)お前は俺に嘘をついて、俺をだまして、俺の頭に a bump を与えた」と言っています。
bump は「隆起、こぶ」で、ここでは「頭にできたたんこぶ」を指しています。
「お前は俺のことをバカだと思ってんのか?」と言いながら、ジョーイがバットで自分の頭をゴツンとやった時にできたたんこぶのことなので、別にチャンドラーが殴ってたんこぶができたわけでもないのですが、手にバットを持っていたのも、「俺をバカだと思ってる?」と言ったことも、元々はチャンドラーが嘘をついたことが原因なんだから、たんこぶできたのはチャンドラーのせいだ、みたいにジョーイは言いたいわけでしょう。

「確かにお前は行けないって言ったし、そのことは俺もわかってる。でもその後、嘘をついて俺を騙したんだし、行けないっていう話を撤回して、俺と一緒に行くことで、埋め合わせをしてもいいんじゃないのかな?」と言うジョーイに、チャンドラーは申し訳なさそうな顔をして、That's the one thing I can't do. と答えます。
直訳すると、「それは、俺ができない1つのことだ」ということで、「それだけはできないんだ」というニュアンスですね。
「俺はモニカと一緒にいるって約束しちゃったから」と言うチャンドラーを見て、ジョーイは残念そうな顔をしながらも、わかった、と言うのですが、今度はモニカが、「あなたは行くことができる、行っていいわ」と言います。
驚くチャンドラーにモニカはさらに、「あなたは行くべきだし、私はあなたに行って欲しいと思ってる」とも言っていますね。
そして、「私は大丈夫よ。ここにいて、誘惑のテクを練習するから」と言うのですが、チャンドラーが、clean うんぬんの話をするのが面白いですね。
put sweats on は文字通り、「スウェットを着る」で、俺が出て行ったら、今のセクシーな下着姿からスウェットに着替えて、clean、すなわち掃除をするつもりだろ? と問うていることになります。
この場合の hot は「セクシーな」という意味で、お掃除大好きモニカとしては、「徹底的にお掃除しまくれるなんて、燃えちゃうわ」と言ったことになるわけですね。


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posted by Rach at 17:35| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月09日

俺の裏切りより君の浮気の方がまし フレンズ9-9その4

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ジョーイとバスケを一緒に観戦するというプランを断るために、「(単身赴任先の)タルサに残る」とジョーイに嘘をついて、モニカの待つNYの自宅に戻ってきているチャンドラー。
ジョーイは、チャンドラーとモニカの話し声を廊下で聞いて、「モニカは(チャンドラー以外の)男としゃべってる。モニカは浮気してる!」と勘違い。
ジョーイは、チャンドラーの携帯に電話して、「モニカが浮気してるから、今すぐこっちに帰ってこい! 俺はずっと廊下で見張ってるから」と言います。その後のシーン。
[Scene: Monica and Chandler's apartment]
モニカとチャンドラーのアパートメント。
モニカ: Chandler, you have to tell Joey that you are not in Tulsa. (チャンドラー、あなたは(今)タルサにはいない、って、ジョーイに言わないといけないわ。)
チャンドラー: Don't you think it's better for him to think that you're cheating on me than for him to think that I'm cheating on him? [Silence] I heard it! (俺がジョーイを騙してるってジョーイが考えるよりも、モニカが俺に隠れて浮気してるってジョーイが考える方がいいって思わないか? [沈黙] (自分のバカな発言)聞いたよ![そんな質問した俺がバカでした])
モニカ: I don't want him to think that I'm having an affair. (私が浮気してるって、ジョーイに思われたくないのよ。)
チャンドラー: Alright, I've got a plan. I'll go down the fire escape-- (よし、俺にプランがある。俺が非常階段を降りて…)
モニカ: Yes. Because all good plans start with, "I'll go down the fire escape." (そうね。だって、全ての良いプランは、「俺が非常階段を降りて…」で始まるものね。)
チャンドラー: Hear me out, woman! I'll go down the fire escape, then I'll wait for a while. Then, when I come back up the stairs, it'll just be like I got back from Tulsa. Then, Joey and I will come in here and see that there's no guy in here. (最後まで聞けよ! 俺が非常階段を降りて、それからしばらく待つんだ。それから、俺が階段を上がって帰ってくると、それって俺がタルサから帰ってきたみたいになるだろ。それから、ジョーイと俺は一緒にこの部屋に入ってきて、この中に男なんかいないって確認するんだよ。)
モニカ: Aren't you afraid that Joey's gonna figure all this out? [Silence] I heard it! (ジョーイがこんなこと全部わかっちゃうだろう、って心配にならないの? [沈黙] (自分のバカな発言)聞いたわ![そんなこと聞いた私がバカだった(ジョーイなら気づかないわよね)])

部屋の中から男性の声が聞こえたので、チャンドラーの不在中にモニカは別の男性と浮気していると勘違いしているジョーイ。
モニカはチャンドラーに、「タルサにはいない。NYに帰って来てる、って正直にジョーイに話すべきよ」と言っています。
それに対してチャンドラーは、Don't you think...? という長いセリフを言っていますね。
こういう長いセリフは、最後まで聞いてから日本語の順番に置き換えていては到底間に合いませんから、聞いた順番に、かたまりごとにイメージして、次のセリフを待ち構えるくらいの気持ちで臨みたいところですね。

Don't you think 「〜だと君(モニカ)は思わない?」 it's better for him to think that 「彼(ジョーイ)が that 以下だと思う方がより良いと」。
ここまで聞いたところで、「that 以下だとジョーイが思う方がいいって、モニカは思わないのか?」ということになりますね。
「ジョーイがこう思った方が、まだましだろ」という内容が that 以下に続くことになり、better 「より良い」という比較級が出てきていることから、than 「〜よりも」という比較の対象が続く可能性が高いことも予想できます。

続きを聞いてみると、that you're cheating on me than for him to think that... のように、やはり than が使われていますね。
前半と同じように、for him to think that が繰り返されていることから、
it's better for him to think A than for him to think B 「ジョーイが B だと考えるよりも、A だと考える方が、より良い(まし)」
という構造を読み取ることができるでしょう。

このセリフの A と B の部分の両方で、be cheating on someone の形が使われており、人の部分の人称代名詞だけが異なっている、というのが、英語学習者的にとても興味深いところだと思いました。
cheat の基本語義は「騙す(だます)」なのですが、恋愛話の多いフレンズでは、「cheat on+人」の形で、「(人に隠れて・内緒で)浮気をする」という意味で出てくることが多いです。
この場合の on は「その人に対して不利益をもたらす」ニュアンスで、そういう on については、過去記事 不利益を表すon フレンズ6-6その1 で解説しています。
このセリフの場合も、前半の you're cheating on me はまさに「君が俺に隠れて浮気している」という意味ですね。
ただ後半の「俺(チャンドラー)が彼(ジョーイ)に(不利益をもたらす形で) cheat している」というのは、恋愛関係にある男女ではありませんから、ここでは「浮気をしている」と訳してしまってはしっくり来ません。
ここは元々の語義通り、「ある人を(その人に不利益をもたらす形で)騙す、裏切る」と言っていることになります。
恋愛ドラマ頻出フレーズの cheat on だと言っても、何でもかんでも「浮気する」と訳しちゃってはいけない、ということですね。
日本語の「裏切る」も、「彼を裏切ってしまったの、、」みたいに言うと、他の人と浮気をした、というニュアンスを出すこともできますし、その状況に合わせて、cheat on が示す行為をイメージしないといけない、ということになるでしょう。

英語の表現としては、「俺がジョーイに cheat on してる(とジョーイが思う)よりも、モニカが俺に cheat on してる(とジョーイが思う)方がましだろ」というように、人称代名詞が変わっているだけになっていますが、具体的な内容としては、「俺がジョーイを騙してる(とジョーイが思う)よりも、モニカが俺に隠れて浮気してる(とジョーイが思う)方がましだろ」ということになるわけですね。

「本当のことを話してよ」と言ったモニカに、「本当のことを話して、俺がジョーイを騙していることがジョーイにバレるよりも、モニカが俺に隠れて浮気をしているとジョーイが思い込んでてくれた方が(俺的には)ましなんだけど」とチャンドラーは返したことになりますが、しばらく沈黙した後、チャンドラーは、I heart it! と言っていますね。
it は、沈黙する前の自分自身の発言を指していることになるでしょう。
自分の都合を優先した身勝手な発言を反省しているニュアンスになるだろうと思います。
「俺(自身)がたった今言ったことを、俺は(自分で)聞いた」ということで、「モニカが浮気してるとジョーイが思っててくれた方がいいと思わないか?」と、相手に同意を求めるような形で発言したことを、「その方がいい、だなんて、(浮気の濡れ衣を着せられそうになってる)君が思うわけないよね」という感覚で、「はい、確かに自分のおバカな発言を自分で聞きました。→俺バカな質問しちゃったから、今のは忘れて、なかったことにして」と言っているニュアンスになるだろう、ということですね。

モニカもその部分を念押しするように、「私はジョーイに、私が浮気してるって思われたくないのよ」と言っています。
それを聞いたチャンドラーは、「よし、俺にプランがある」と言って、「俺が非常階段(the fire escape)を降りて…」と話し始めるのですが、モニカは、「そうね。だってすべての良いプランは、「俺が非常階段で降りて…」で始まるものね」と、あきれた様子で返します。

非常階段というアイテムは、過去のフレンズにも登場したことがありました。
過去のフレンズでは、フレンズ2-8その14 で、レイチェルに部屋に入れてもらえなかったロスが、雨の中、非常階段を登ってくる話がありましたし、クリスマス太りが残ってる フレンズ7-12その6 では、屋上に取り残されてしまったロスとジョーイが、非常階段を伝って下に降りる、というシーンもありました。

そんな風に、普通の階段が使えない場合の非常手段として、非常階段はよく使われる手なわけですが、「いい案を思いついた」みたいなことを言った後、「非常階段を使って、俺は出て行く」的なプランをチャンドラーが話そうとしているので、「ジョーイに真実を伝えることを避け、とりあえず自分はこの場から逃げる」という、行き当たりばったり的なプランに対して、「まぁ、それはそれは素敵なプランだこと。良いプランっていうのは、”俺が非常階段で降りて…”で始まるもんだからね〜」みたいに皮肉っぽく言ったことになるでしょう。

「へぇ〜、あなたはとりあえず逃げるんだ」みたいに言われてしまったチャンドラーは、「俺はただ逃げるんじゃない」と言うように、Hear me out, woman! 「最後まで聞けよ、ウーマン!」と言っています。
この woman は、相手の女性に対していらいらした感情を持っている場合に、その女性に対する呼び掛け語として使われるものです。
少し前の記事、ある程度前のことだった フレンズ9-4その6 にも、そういう woman が出てきました。

まだ続きがあるんだ、と言うように「最後まで聞けよ」と言った後、then 「それから、その後」を何度も使って、こうしてああしてそうする、、という一連のプランの流れを説明するチャンドラー。
順番に訳して行くと、「非常階段を降りる。それからしばらく待つ。それから俺が階段を上がってくると、タルサから帰ってきたみたいになる。それから、ジョーイと俺はこの部屋に入って、この中に男がいないことを知る・確認する」と言っていることになります。

そのプランを聞いたモニカは、Aren't you afraid that...? 「that 以下になるかも、って心配にならないの?」のように言っています。
figure out は「わかる、理解する」なので、「このこと全部がジョーイにわかってしまうようになるんじゃないか、って心配にならないの?」ということですね。
これがそういう作戦だってことが、ジョーイにバレちゃうんじゃないか、ジョーイに見抜かれてしまうんじゃないか、って思わないの? と尋ねたことになります。
そう自分で言って、しばらく沈黙した後、モニカは I heart it! と言っていますが、これは今回のシーンの最初でチャンドラーが言っていたニュアンスと全く同じですね。
「そんな計画、ジョーイに気づかれちゃうんじゃないの?」と言った後で、「あのジョーイが、そんなこと気づくわけないわよね。気づいちゃうと思わない? なんて聞いた私がバカだったわ」という意味で、I heard it. 「私の愚かな質問を自分で聞いた(から、あなたはその質問に答えなくてもいいわ)」というニュアンスになるわけですね。


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posted by Rach at 18:01| Comment(4) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年04月07日

これ以上ないくらいそそられる フレンズ9-9その3

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単身赴任先のタルサからNYに帰ってくる日に、バスケのニックス戦に行こう、とジョーイに誘われていたチャンドラーは、妻のモニカに「その試合にあなたが行けば、また長い間、一緒の夜を過ごせなくなる」と言われ、妻と過ごすことを選びます。
NYに帰って来たチャンドラーは、モニカがセクシーな黒い下着姿で待っていたので大喜び。
二人が会話をしているところに、ジョーイがやってきて、ドアを開けようとしますが、鍵がかかっているので不審がっています。
「ジョーイに断れなくて、タルサに残ると言ってしまった」とチャンドラーが言うので、チャンドラーはここにはいないことにして、モニカがジョーイに応対しようとしているところ。
[Knock. Monica opens the door slightly. Chandler sneaks behind it]
ノック。モニカは少しドアを開ける。チャンドラーはその後ろにこっそり隠れる。
ジョーイ: What are you--? (一体何を…?)
モニカ: Hi! (はーい!)
ジョーイ: Why are you dressed like that? (どうしてそんな格好をしてるの?)
モニカ: [Nervous giggle] Because I, erm, well, Chandler's gonna be home in a couple of days, so I thought that I would just, you know, practice the art of seduction. ([神経質そうな忍び笑い(をして)] だってほら、チャンドラーが2、3日後に家に戻ってくるから、思ったのよ、ほら、誘惑の技法(わざ、こつ、テク)を練習しよう、ってね。)
ジョーイ: I thought I heard a man's voice before? (さっき、男の声を聞いたと思ったんだけど。)
モニカ: No, I was just doing Chandler's side of the conversation. Y'know, like, "Hi", "How do I look?" [In Chandler's voice] "Really sexy. Could I be any more turned on?" You know? (いいえ、私はただ、会話でチャンドラーの方をやってただけよ。ほら、こんな風に。「はーい」「私はどう見える?」 [チャンドラーの声で] 「すっごくセクシー。これ以上そそられることなんてできない、ってくらいだ(最高にそそられちゃうよ)」。ね?)
[Chandler slaps Monica on the shoulder. Monica slaps him back. It hurts Chandler]
(ドアに隠れている)チャンドラーはモニカの肩を叩く。モニカは彼を叩き返す。チャンドラーは(アーォ!と声に出さずに言って)痛がる。

チャンドラーはジョーイに「タルサに残る」と嘘をついたので、ジョーイは「モニカは今、家に一人でいるはず」と思っています。
それで、黒いセクシーな下着姿で応対したモニカに、「どうして(一人なのに)そんな(セクシーな)格好をしてるの?」と尋ねます。
「チャンドラーが帰って来てるから」とは言えないモニカは、何とか言い訳を考えなければならず、その理由として、「チャンドラーが2、3日したら家に帰ってくるから、the art of seduction を練習しようと思った」と説明していますね。
seduction は「性的に誘惑(すること)」。動詞は seduce になります。
art はこの場合は「技巧、わざ、術、こつ」というニュアンスですね。
「夫をセクシーに誘惑するテクを練習しようと思って」みたいに言ったことになります。

ですが、廊下にいたジョーイは、中での二人の会話が少し聞こえていたようで、「さっき、男の声を聞いた気がしたんだけど」みたいに返します。
そこでモニカは、I was just doing Chandler's side of the conversation. と答えていますね。直訳すると、「私はただ、会話のチャンドラーの側(がわ)・方(ほう)をやっていただけ」になるでしょう。
二人の会話を私が一人で演じていて、ジョーイが聞いた男性の声っていうのは、私がチャンドラーの方を担当していた部分だったのよ、と説明したことになります。
そして、「こんな風に」という感じで、その二役を演じている会話を、ジョーイの前で実演してみせることになります。

How do I look? は「私はどう見える?」ですから、このセクシーな下着姿の私を見てどう思う? どんな感じに見える? と尋ねていることになります。
その後、チャンドラーの声真似のように、低い男性のトーンの声に変えて、
Really sexy. Could I be any more turned on? と言っています。
「どう見える?」と聞かれた返事として、最初の部分の「ほんとにセクシー(だよ)」は、まぁ、通常の返しですが、その次の Could I...? のセリフが、フレンズファンとしては楽しいですね。
これは、これまでのフレンズに何度も登場した「チャンドラーの口癖」を真似したセリフになっているのがポイントです。

"Could I be any more turned on?" の turn on は「スイッチをオンにする、スイッチを入れる」が基本的な意味であることから、エッチ系の話では、「(人を)性的に刺激する、興奮させる、その気にさせる」という意味で使われます。
このセリフでは、be turned on という受動態になっていますので、「(そのセクシーな服を見て)俺はそそられる、興奮する」という意味になります。
「その格好、すっごくセクシーなんで、そそられちゃうよ」と言いたいわけですが、それを、Could I be any more...? 「これ以上少しでも(そそられることが)可能だろうか? いや、ない」→「もう最高にそそられちゃうよ」という、疑問文を使った反語表現を使っているのが、「チャンドラーの口癖」の特徴なわけですね。
be の部分を強く発音するのも特徴の一つで、今回のモニカのセリフでも(スクリプトでは特に大文字表記にはなっていませんが) "Could I BE any more turned on?" のように、やはり BE の部分が強く発音されていました。

このチャンドラーの口癖のパターンについては、過去記事、チャンドラーの口癖の話 フレンズ3-2その29 で説明しています。

"Couldn't be+比較級" という形は、
Couldn't be better. 「(これ以上よくなることができない→)最高に良い」
Couldn't be happier. 「(これ以上幸せになることができない→)最高に幸せ」
という決まり文句として、日常会話によく出てくるのですが、そういう「これ以上〜できない→最高である」というニュアンスを活かして、それを、
"Could 名詞 be (any)+比較級...?" 「これ以上〜になることができるだろうか? いやできない」→「最高に〜である」
という形の「反語の疑問文」にするのが、フレンズでは「チャンドラーの口癖」として認識されている、ということになっています。
チャンドラー自身が、そのセリフを言うことはあまりなく、「誰かがチャンドラーの真似をして、そう言っている」というところが面白いところでもあります。

そういう「反語の疑問文」になっている「チャンドラーの口癖」が出てくるのは、恐らく、このエピソード9-9 が最後になります。
改めてここで、以下に一覧として並べてみますね。

フレンズ1-6
チャンドラー: Oh, please, could she be more out of my league? (any なし)

フレンズ1-22
フィービー: You know like... uh okay... uh... "Could that report be any later?"

フレンズ1-22
ガーストン(チャンドラーの同僚): Uh, like, "Could these margaritas be any stronger?"

フレンズ2-20
リチャード: Could that shot be any prettier?

フレンズ3-2
ジョーイ: Look at me! I'm Chandler. Could I be wearing any more clothes?

フレンズ4-3
チャンドラー: Could there be more Kims? (any なし)

フレンズ5-10
チャンドラー: Could I be more sorry? (any なし)

フレンズ9-9
モニカ: Could I be any more turned on?

たまに、any がないバージョンもありますが、「これ以上”少しでも”」感を出している any が入っているバージョンの方が、「よりチャンドラーの口癖っぽい」と認識されているようです。

「会話のチャンドラーの部分も、私が演じてた」と言った流れで、チャンドラーの口癖を盛り込んだセリフを言ったので、観客は笑っているわけですね。
ジョーイから見えないドアの後ろに隠れているチャンドラーは、「俺がそんなこと言うか!」とでも言いたげに、モニカを軽くペシッと叩くのですが、「隠れてるあなたは黙ってて!」みたいに叩き返されて、声には出さず口の形で「アーォ!」と言って、渋い顔をしています。
この「チャンドラーの口癖」がジョークとして使われる時はいつもそうなのですが、「チャンドラーってこんな風に言うよね」とまわりの人間はみんなそう思っているけれど、当人のチャンドラーは「俺はそんな風に言うかぁ?」と、どこかあきれた様子である、というのがパターンになっている気がします。
フレンズ5-10 の "Could I be more sorry?" はまさにその典型で、これは、このセリフを言っているのはチャンドラーですが、ジョーイが書いた脚本を読まされているというシーンになっていました。
過去記事、これ以上ないくらいゴメン フレンズ5-10その7 で、その部分を解説していますが、「お前っぽいセリフだろ?」と嬉しそうなジョーイと、「俺ならこんな風に言う、ってか?」とあきれたようなチャンドラーの表情が、周りの人間と当人との認識の違いをよく表している気がして、とても面白いシーンでした。
今回も、モニカが得意気に真似したのを、チャンドラーが「おいおい」という感じでペシッと軽く叩いているところに、5-10 と同じノリを感じて、こういうところがシリーズものの楽しさだな、と思いました(^^)


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posted by Rach at 18:12| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする