2015年05月29日

あぁ僕も彼が嫌いだよ フレンズ9-12その5

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[Scene: Rachel's party, Rachel is on the balcony, Monica goes there also]
レイチェルの(誕生日)パーティー(が終わった後)。レイチェルはバルコニーにいて、モニカもそこに行く。
モニカ: Hey! (はーい!)
レイチェル: Hi. Thanks for the party, honey. Should I help you clean up? (はーい。パーティーをありがとう、ハニー。あなたが掃除するのを手伝おうか?)
モニカ: No way! You had your party. Now I have mine! Is everything alright? (とんでもない! あなたはあなたのパーティーがあったわ。今度は私のパーティーよ! 大丈夫?)
レイチェル: Yeah, I just get a little bummed when my birthday's over. (えぇ、ちょっとヘコむのよね、自分の誕生日が終わると。)
モニカ: Well, at least you have one thing to be happy about. That jerk, Gavin, from your office didn't show up. (Gavin shows up at the balcony windows). (少なくともあなたには幸せなことがあるわ。あのいやな男、職場のギャビンが現れなかったことよ。[ギャビンがバルコニーの窓に現れる])
ギャビン: Yeah, I hate him. (comes in to the balcony) (あぁ、僕も彼が嫌いだよ。[バルコニーの中に入る])
モニカ: Oh, we weren't talking about you. No, no way to recover. (あぁ、私たち、あなたのこと話してたんじゃないわよ。いえ、回復[埋め合わせ]できないわね。)
レイチェル: No. (無理ね。)
モニカ: No. Okay. (無理ね。わかった。)
(Monica goes back inside)
モニカは部屋の中に入る。
ギャビン: Fun party. (楽しいパーティー(だったんだ)。)
レイチェル: Well, it was. And you would have seen it if you didn't showed up at (looks at his watch) ... 9:30?? God! Oh, this party was lame. (ええ、そうだったわ。あなたはきっと楽しいパーティーを見たでしょうね、もし現れたのがこんな時間じゃなかったら… [彼の腕時計を見て] 9時半? なんてこと! あぁ、このパーティーは最低だったわ。)
モニカ: (from inside) Again, you're welcome! ([部屋の中から] もう一度言うわね、どういたしまして!)
ギャビン: Look, I'll just give you this and go. (ねぇ、僕はただこれを君に渡して、帰るよ。)
レイチェル: Oh, you bought me a present! Why? (あぁ、あなたは私にプレゼントを買ってくれたの? どうして?)
ギャビン: Well, let me explain how birthday parties usually work. There are presents, and a cake, perhaps a fourth or fifth person. Okay, I.... I got you the present to make up for being such a jerk to you. (誕生日パーティーってのは普通どんな風になるかを説明させて。プレゼントにケーキに、恐らく4人目、または5人目の人間がいるもんだ。[レイチェルが、「どうせそんな程度よ」というように軽く息を吐くのを見て] ほら、君に対してあんなやな奴だったことを埋め合わせするために君にプレゼントを持ってきたんだよ。)

レイチェルの誕生日パーティーが終わり、レイチェルは一人バルコニーにいます。
そこにモニカがやってきたので、(いつものように)パーティーを取り仕切ってくれていたモニカに「パーティーのこと、ありがとう。掃除するの手伝おうか?」とレイチェルは言います。
それに対するモニカの返事が、モニカらしくて面白いですね。
No way! は「とんでもない!」という感じで、"You had your party. Now I have mine!" を直訳すると、「あなたはあなたのパーティーを持った。今は私が自分のパーティーを持つ(番よ)」になるでしょう。
お掃除、お片付け大好きモニカとしては、これから部屋を片付けるのが楽しみで、それが私にとってのパーティーみたいなものなのよ、今からその私のパーティーが始まるのよ、と言ってみせたわけですね。
「掃除を手伝うわ」なんて言ってくれなくてもいいのよ、というのを、「今から、掃除&片付けという私のパーティーが始まるんだから、手を出さないでね」的にいたずらっぽく言ってみせたことになります。
モニカらしいその発言に、レイチェルは微笑むのですが、その後、レイチェルが浮かない顔に戻ったので、モニカが「大丈夫?」と言うと、レイチェルは、「自分の誕生日が終わると、ちょっとヘコんじゃうのよね」と言っています。
bummed は「がっかりした」。
過去記事、人の雷鳴を盗む フレンズ5-3その2 にも出てきました。

落ち込んでいると言うレイチェルに、モニカは「少なくともあなたには幸せだと思うことが1つある」と言って、「あのいやな男、職場のギャビンが(パーティーに)現れなかったことよ」と言うのですが、ちょうどギャビンの話をしている時に、箱を持ったギャビンが窓からバルコニーに顔を出します。
そして、Yeah, I hate him. とギャビンが言うので、その声でギャビンが来たことがわかった二人は「やばい、悪口言ってる時に、本人来ちゃった」みたいに、彼の方を見ることができず、一瞬固まった状態になっています。
「あのギャビンっていやなやつが来なくて良かったわね」という自分の悪口をまともに聞いてしまうと、声を掛けにくいものでしょうが、それに動じることなく、「あぁ、彼ね、僕も彼が嫌いだよ」と言うところが、ギャビンらしい回転の速さだと思います。

レイチェルとモニカが気まずい顔をしているのにも構わず、ギャビンがバルコニーに入ってくるので、その発言をしてしまったモニカは、とりあえず「私たち、あなたのことを話してたんじゃないのよ」と言うのですが、あれだけはっきり "That jerk, Gavin, from your office" と表現してしまった後なので、フォロー不可能だと悟り、no way to recover. と言って、モニカはバルコニーから出て行くことになります。
recover は「取り戻す、回復する」「(損失を)償う、埋め合わせをする」という意味。
no way to recover は「リカバーする方法がない、リカバーすることができない」、つまりは「失言してしまったその発言を、言わなかったことにする、というような回復や埋め合わせをすることができない」と言っていることになります。

Fun party. は「楽しいパーティーだったんだ。楽しいパーティーだった?」みたいなことですね。
fun は「楽しみ、面白さ」という名詞で使われることが多く、Have fun! なら「楽しんで!」という決まり文句ですね。
ここでは、party という名詞にかかる形容詞として使われていて、アメリカ英語ではこのように、fun を形容詞として使うことがあります。
パーティーのことを聞かれたレイチェルは、パーティー後の部屋の中の様子をチラッと見て、「ええ、楽しいパーティーだったわ」と過去形で答えた後、And you would have seen it if... のセリフを言っています。
途中、ギャビンの腕時計を見ていますが、セリフを直訳すると、「あなたはそれ(a fun party だった様子)を見たでしょうね、もし9時半に現れなければ」。
ギャビンが来たのはパーティーが終わった後だったので、「もしあなたが今の時間じゃなくてもっと早く、パーティーたけなわの時に来ていたら、楽しいパーティーだった様子が見られたのに、、」と言っているわけですが、彼の腕時計を見たら、時間がまだ9時半だったので、「9時半なのに、もうお開きになっちゃってるわけ? 今夜のパーティーは全然盛り上がってなかったんだ」ということに改めて気づき、9:30 の部分で驚いた声を上げているわけですね。
「もっと早く来てくれたら、盛り上がってたパーティーの様子が見れたのに、、」と言おうとしたのに、それを言うことで逆に「えらく早い時間にパーティーが終わってしまって、全然楽しくないパーティーだった」ことがはっきりしてしまったということです。
それで思わず、「このパーティーは最低よ!」と言ったのですが、それが中で片付け中のモニカに聞こえたらしく、モニカは外のレイチェルに向かって窓ガラス越しに「もう一度言うわね、どういたしまして!」と言います。
いろいろ準備して頑張ってあげたのに、「このパーティー最低だった」と自分に聞こえるような大きな声で言われたことに対して、「どういたしまして、ってもう一回言わせてね」のように、皮肉っぽく返したわけですね。

リボン付きの箱を持参していたギャビンは、「僕はただこれを君に渡して、行くよ[帰るよ]」と言います。
「どうして私にプレゼントを買ってくれたの?」と尋ねるレイチェルに、ギャビンは let me explain how birthday parties usually work. と言っていますね。
直訳すると、「誕生日パーティーがたいていはどんな風に機能するものかを僕に説明させて」というところ。
「誕生日パーティーっていうのは、たいてい、こんな感じになるよね」というのを説明させて、と言ってから、There are... を使って、「パーティーにはこういうものがある、こういうものが付き物である」と説明しています。
パーティーにあるものとして挙げたのは、「(複数の)プレゼント、1つのケーキ、多分、4番目または5番目の人間」。
パーティーにはプレゼントがいるだろ、不可欠だろ、みたいに言ってプレゼントを持ってきた説明にしているのですが、その後、誕生日ケーキのことを言った後、a fourth or fifth person とも言っています。
さらっと聞いてしまうと、four or five people 「4、5人の人々」みたいに思ってしまいそうですが、正確に訳すと「4番目、または5番目の人」という意味になりますね。
意味としては同じようなことで、「パーティーには、4、5人の人間が付き物だ。4、5人くらいは出席者がいるものだ」みたいに言っていることになると思います。
実際のパーティーのイメージは、もう少し大勢の人数が出席するものでしょうから、今回のレイチェルのパーティーが早々とお開きになってしまったのを見て、からかうように「4、5人の参加者」と極端に少ない人数を言ってみせたわけでしょう。
その参加者を表現するのに、「4、5人の人々」のように people という複数扱いの名詞でまとめて全体を表現するよりも、4人目の人、5人目の人、のように、「何人目の person」という単数名詞で表現する方が、余計にわびしい感じが出るというか、「ほんとにぽつぽつと数えるほどしかいない出席者だった感」が出るために、ギャビンはわざと、「人数+people」ではなく、「順番を表す序数+person」を使ったのかな、と(何となく私は)感じました。
最初、私は「今やってきた自分(ギャビン)が、多分、4番目か5番目だったりするんだろうね」というような意味で言ったのかなと思ったのですが、シーンの映像をよく見直してみると、presents の時は自分が持ってきたそのプレゼントを手で示し、a cake と a fourth or fifth person の時は、どちらもパーティーが行われていた室内を手で示しています。
ですから、ギャビン自身のことを「4番目の人、5番目の人」みたいに言っているわけではないようで、中でそのパーティーが行われていた時には、まぁ、4人目、5人目くらいの人はいたんだろうね、と、参加者の少なさを極端な数字で言ってみせて、盛り上がらなかっただろうパーティーを揶揄したことになるのでしょう。

そういうギャビンの皮肉を聞いたレイチェルは、「どうせそんな程度よ」というように、がっかりしたように軽く息を吐き、パーティーの終わった部屋の様子をチラリと見た後、視線を落としたままになっています。
自分の言ったからかいの言葉に、言い返す元気もなさそうなレイチェルを見て、ギャビンも反省したのでしょう、ここでは素直に、「君に対して、あんなにいやな奴だったことを埋め合わせする(make up for)ために、君にこのプレゼントを持ってきた」と言うことになるのですね。


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posted by Rach at 18:54| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月27日

私が演技してるのがわからないの? フレンズ9-12その4

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レイチェルの職場ラルフ・ローレン。
(door knock, Monica enters)
ドアにノック、モニカが入ってくる。
モニカ: Hey, Rach! (はい、レイチェル!)
レイチェル: Hi! (はーい!)
モニカ: Ready for your birthday lunch? (あなたの誕生日ランチに行ける?)
レイチェル: I am, I am! Oh, but first, Monica, I would like to introduce you to my very talented colleage and more importantly my wonderful friend, Gavin Mitchell. (行くわ、行くわ! あぁ、でも最初に、モニカ、あなたに紹介したいの、私の非常に有能な同僚で、さらに重要なことには、私の素晴らしい友人である、ギャビン・ミッチェルよ。)
ギャビン: Pleased to meet you. (はじめまして。)
モニカ: Pleased to meet you. So you're coming to Rachel's party tonight? (はじめまして。それで、あなたは今夜のレイチェルのパーティーに来る予定なの?)
レイチェル: Oh no no no no no. Gavin can't. He already has plans, most likely with his mother. (あぁ、来ない来ない来ない。ギャビンは来られないの。彼はすでに予定があってね、恐らく彼のママとの予定よ。)
ギャビン: Well, I don't mind, okay, I'll cancel them. I would never miss my secretary's birthday. (leaves) (あぁ、いいよ(構わないよ)、オッケー、その予定はキャンセルするよ。自分の秘書の誕生日を僕は決して見逃したりしないから。[立ち去る])
レイチェル: Why did you invite him?? I can't stand that guy! (どうして彼を誘ったの? あの男には我慢ならないのに!)
モニカ: You were just being so nice to him! (あなたは彼に優しくしてたじゃない。)
レイチェル: I was faking it! Can't you tell when I'm being fake? (私は演技してたの![お芝居してたの!] 私が演技してるのがわからないの?)
(A man walks by)
一人の男性が通りかかる。
レイチェル: Hey, Mr Phillips. Nice suit! (はい、フィリップスさん。素敵なスーツね!)
モニカ: Right there! That was so fake! (まさにあれね! あれは全くの演技だったわ!)
レイチェル: Shh! (シー!)

今日はレイチェルの誕生日なので、モニカはレイチェルのオフィスに顔を出し、「(レイチェルの)誕生日ランチの準備はいい?」のように尋ねています。
レイチェルと誕生日ランチをしようと思うんだけど行ける? という感覚ですね。
I am! は、I'm ready for my birthday lunch! ということで、「もちろん、行く行くー!」と即答していることになります。
but first 「でも最初に(でもランチに出かける前に)」と言って、レイチェルはちょっと気取った口調で、I would like to introduce you to... 以下のセリフを述べています。
前から順番に直訳していくと、
「私はあなたに(ある人を)紹介したいと思っている」
「私の非常に有能な同僚で」「さらに重要なことには、私の素晴らしい友人(である)、ギャビン・ミッチェル」
になるでしょう。
more importantly 「さらに重要なことには」が挿入されていることで、「有能な同僚であるのはもちろんのこと、”私の素晴らしい友人”であると特に強調したいの」という感覚ですね。

お互い、Pleased to meet you. と挨拶した後、モニカは「あなたは今夜のレイチェルのパーティーに来る?」と言っています。
レイチェルは慌てて、「いえ、ギャビンは来られないわ」と言って、「彼にはすでに予定が入ってるの、多分、彼のママとの予定ね」と、ギャビンが答える前に先に否定しています。
さっきギャビンのママから電話があったことで、彼のことを mama's boy 「マザコン坊や」と呼んでみせたことの続きで、「誰かと予定があるとしたら、きっとママとの予定よね〜」と言った感覚になるでしょう。
パーティーがあることは知らなかったはずのギャビンですが、モニカが birthday lunch を誘いに来たと先ほど話していたので、「今夜のパーティー=レイチェルの誕生日パーティー」であることは、回転の速いギャビンならすぐにわかったことでしょう。
「ギャビンに来てほしくないので、レイチェルはギャビンのにせの予定をでっち上げた」ことを知りつつ、「そんな予定ないよ」とに否定するのではなく、モニカの手前、とりあえずそういう予定があることにして、「構わないよ、(予定はあるけど)それはキャンセルするよ」と返したのがスマートだなぁ、と思います。
I would never miss my secretary's birthday. は、I would not miss my secretary's birthday. の否定度をより強くした感じで、「僕は決して、自分の秘書の誕生日を見逃したりしない[秘書の誕生日パーティーの機会を逃したりしない]」と言っていることになるでしょう。
レイチェルが来てほしくないからモニカに嘘をついたのを承知で、わざと「予定をキャンセルしてでも是非参加させてもらうよ」と言ったのですが、「ママとの予定ね」などと言われたことに対するちょっとした仕返しっぽく、レイチェルのことを「自分の秘書」と表現しているのも、ギャビンらしいところだと思います。

ギャビンが去った後、レイチェルはモニカに、「どうして彼を誘ったの?」と言います。
I can't stand that guy! の can't stand は「我慢できない、我慢ならない」ですね。
You were just being so nice to him! は、were being という be動詞の過去進行形になっていますが、これは「さっき、あなたは彼に対してすごく親切な態度を取っていた」と、過去の一時点におけるレイチェルの態度を言っていることになります。

「彼のこと我慢ならない! なんて言うけど、さっきは”有能な同僚で素晴らしい友人”とか言って、彼に対して好意的な態度を取ってたじゃない」と言われたレイチェルは、I was faking it! と言っています。
直訳すると、「私はフェイクしていたのよ」ということで、fake は「〜のふりをする、〜だと見せかける、演技する」ということですね。
本当に彼に好意的な態度を取ってたんじゃなくて、そういうふりをしていただけよ、と言っていることになります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
fake : to pretend to be sick, or to be interested, pleased etc., when you are not.
例) I thought he was hurt, but he was just faking it.

つまり、「病気である、興味がある、喜んでいる、などのふりをすること、実際にはそうではない時に」。例文は「彼がケガをしたと私は思ったが、彼はただ(ケガした)ふりをしていただけだった」。

fake という動詞は、前回のエピソード、フレンズ9-11 にも登場していました。
解説では省略してしまったシーンですが、エッチした翌日、「赤ちゃんができた気がする」と言うモニカに対して、
チャンドラー: Well, that thing that I have to do to make a baby? I faked it. (赤ちゃんを作るために俺がしないといけないあのこと、あるだろ? 俺、それを演技したんだ[そうしたふりをしたんだ]。)
と言っていました。
その後、二人の間で何度も fake it 「それを演技する」というフレーズが使われるのですが、ダイレクトに言うと、「(エッチで)イッたふりをする、イッたという演技をする」ということですね。

今回のレイチェルの場合も、「彼に対して親切な演技をしていただけ」ということで、彼に対して本心から、nice な態度を取っていたわけじゃない、と言っていることになります。
Can't you tell when I'm being fake? は、「私が fake である時、あなたはそれがわからないの?」ということで、fake はここでは「偽の」「偽って(いつわって)」という意味の形容詞で使われています。

そんな話をしているところに、会社の別の男性が通りかかったので、レイチェルは急に愛想の良い笑顔になり、Nice suit! 「素敵なスーツね!」と声を掛けています。
それを見たモニカは、「まさにそれよ!」というニュアンスで、Right there! 「ちょうどそこに!」と言った後、「今のは、とっても fake だったわ!」と言います。
ここも fake は形容詞として使われていて、「すっごくフェイクだった」→「まさに・全く、偽りだった、演技だった(全然、心のこもっていない、嘘の褒め言葉だった)」と言っていることになります。
褒められたフィリップスさんに聞こえそうな大声で、「今のは完全なお世辞よね!」みたいに言ったので、レイチェルは慌てて「シー!」と言うことになるわけですね。


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posted by Rach at 15:25| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月25日

ありがたい、やっと言ってくれたね フレンズ9-12その3

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[Scene: Rachel's office, Rachel and Gavin there, phone rings, Gavin picks it up]
レイチェルのオフィス。レイチェルとギャビンがそこにいて、電話が鳴る。ギャビンが電話を取る。
ギャビン: Gavin Mitchell's office. (ギャビン・ミッチェルのオフィス(です)。)
レイチェル: Rachel Green's office!! Give me that phone! (takes the phone) Hello, this is Rachel Green. How can I help you? Uh huh ... Okay then. I'll pass you back to your son. (gives phone to Gavin) (レイチェル・グリーンのオフィスよ! その電話を貸して! [電話を取る] もしもし、こちらはレイチェル・グリーンです。ご用件は? あ、あぁ… オッケー、それなら、あなたの息子さんに電話を返します。[電話をギャビンに渡す])
ギャビン: Hey, Mom! No, that's just my secretary. (Rachel is upset) (やあ、ママ! いや、今のは僕の秘書なんだ。[レイチェルはムッとする])
レイチェル: Um, excuse me, Gavin. I have a question I need to ask you. (あの、申し訳ないんだけど、ギャビン。あなたに尋ねなければいけない質問があるの。)
ギャビン: Mom, I'll call you later. Yeah. (hangs up) (to Rachel) Yes? (ママ、後でかけるよ。ああ。[電話を切る] [レイチェルに] 何?)
レイチェル: If you like looking at butts so much, why don't you just go look in a mirror? (もしお尻を見るのがそんなに好きなら、ただ鏡(の中)を見たらどう?)
ギャビン: Thank God you finally said that. I saw you make a note on your pad three hours ago. (Rachel throws away that paper) Man, I really bug you, don't I? (ありがたい、やっとそれを言ってくれたね。3時間前に君がメモ帳にメモを書いてるのを僕は見たんだ。[レイチェルはメモ用紙を捨てる(実際には、くちゃくちゃと丸めている)] あぁ、僕はほんとに君をいらいらさせるんだね[君は僕にいらいらしてるよね]?)
レイチェル: Oh, no. please, I don't care about you enough to bug me. In fact, from now on, I'm going to take the high road, and I'm going to be very, very nice to you, you mama's boy, starting right now. (いいえ、違うわ、やめてよ。私をいらいらさせるほど、あなたのことは気にしてないわ。実際、今から私は自分が信じる道を進むの、そしてあなたにとってもとっても優しくするわ、マザコン坊やさん、(今言ったことは)今すぐ始まるわよ。)

オフィスにかかってきた電話にギャビンが出て「ギャビン・ミッチェルのオフィスです」と言ったので、レイチェルは怒っています。
あなた(ギャビン)のオフィスじゃなくて、ここは私(レイチェル)のオフィスなんだけど! という感じで、「その電話を貸して!」と怒って、そつのない感じで電話に応対するのですが、その後の「オッケー、それじゃあ、あなた(の電話)をあなたの息子さんに渡します、戻します」というセリフから、その電話の主が、ギャビンのママだったことがわかる仕組みですね。

電話をひったくったら、自分への電話ではなかったので、気まずい表情を浮かべているレイチェルですが、ギャビンはママとの電話を続け、「今の(電話の女性)は僕の秘書なんだ」と言うので、ムッとした顔をすることになります。

ママと電話で話しているギャビンに、「ちょっと聞きたいことがあるんだけど」とレイチェルが言い、ギャビンは「また後でかける」と言って電話を切ります。
こちらを向いたギャビンに、レイチェルは、ちょっと得意気な顔で、「もしあなたがお尻を見るのがそんなに好きなら、ただ鏡の中を見たらどう?」と言い、言い終えた後も、どうよ! みたいな勝ち誇った顔を浮かべています。
仕事場で部下の女性のお尻を見つめていたギャビンに対して、「そんなにお尻が見たいなら、鏡の中で自分のお尻を見たらいいんじゃない?」と、皮肉っぽく言ってみたかったわけですね。
look in a mirror は「鏡の中を見る、鏡を覗き込む」みたいな感じですが、「鏡を見る」→「見ている本人を見る」ということになるので、わざわざ、look at yourself in a mirror 「鏡の中のあなた自身を見る」のように、yourself という言葉を入れなくてもいいんだな、ということもわかりますね。
look in a mirror というフレーズを聞いて私がいつも思い出すセリフがあります。
それが、フレンズ2-8その17 の以下のシーン。
ラスタター: Thanks for coming in again. (また来てくれてありがとう。)
モニカ: Not at all. I have no morals, and I need the cash. (どういたしまして。私にはモラルがないですし、お金は欲しいですし。)
ラスタター: It's like I'm looking in a mirror. (まるで鏡を見てるようだな。)

「モラルはないし、お金は欲しいし」とあまりに正直すぎる(笑)言葉を述べるモニカがすでに面白いのですが、「君はまるで私みたいだね」と返すラスタターさんのセリフがさらに面白いんですよね。
目の前に自分にそっくりな人がいることを「まるで鏡を見ているようだ」と表現する感覚は日本語にもありますし、look in a mirror というフレーズは覚えておいて損はないと思います。

レイチェルが得意気に言った皮肉を聞いたギャビンは、逆に喜んで、「ありがたい! ついに君はそれを言ってくれたね」と言っています。
Thank God +文は、「〜して(くれて)ありがたい。〜して(くれて)良かった」という感覚ですね。
その後、「君が3時間前に君の pad (メモ用紙)に、メモを取る(make a note)するのを僕は見たよ」とも言っています。
そのギャビンの発言から、「レイチェルは、”あのギャビンにお尻のネタでこんなことを言ってやろう!”と思い付き、3時間前にそのネタをメモし、言うタイミングを待っていた」ことがわかります。
「そのネタ、3時間温めてたよねぇ」みたいに指摘されてしまっては、逆にレイチェルの方が恥ずかしくなってしまうわけで、それでそれをメモっていた黄色い紙をいらいらしながらクチャクチャと丸めることになります。
目の前のその黄色いメモに、その言葉をメモっていたわけですが、それを踏まえて、もう一度、レイチェルがそのセリフを言ったシーンを見返してみると、レイチェルはそのセリフを言う時に、ちょっと視線を落として、そのメモ用紙あたりを見ています。
「メモをチラ見して、それを読んでいる」というのがかすかにわかる描写なのですが、そういうちょっとした細かい演技も面白いなと思いました。

I really bug you, don't I? の bug は、名詞では「(小さな)虫」、またはコンピュター関連では「(プログラミングの)バグ、欠陥」という意味もありますね。
今回は他動詞として使われていて、「人を悩ます、いらいらさせる」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
bug : (informal) to annoy someone
例) It really bugs me when the car behind me drives too close.

つまり、「(インフォーマル) 人をいらいらさせること」。例文は「後ろの車がものすごく接近して走っていると、実にいらいらする[俺をいらいらさせる]」。

「僕は君を実にいらいらさせてるよね? 君は僕にいらいらしてるよね?」と言ったギャビンに対し、レイチェルは I don't care about you enough to bug me. と言っています。
直訳すると、「私をいらいらさせるほど十分に、あなたのことを気にしていない」になるでしょう。
「私をいらいらさせてくれちゃって!」とか思うほど、あなたの存在とか行動とかを私は気にしてないわ、という感覚ですね。
In fact, from now on, I'm going to... 「実際、これから私はこうするの」と言って、レイチェルは take the high road と言っています。
LAAD では、
take the (moral) high road : to do what you believe is right according to your beliefs, even when others criticize or oppose you
つまり、「自分の信念に従って、自分が正しいと信じることをする、他人が批判したり、反対したりする時でさえも」。

「私は自分の信じる道を進むわ」と言ってから、「あなたにとってもとっても優しくするわね」とも言っています。
mama's boy は「ママの少年」という直訳からイメージが湧く通り、「マザコン坊や、マザコン男性」のこと。
starting right now は「今すぐに始まる」ということですから、「自分の信じる道を進み、マザコン坊やに優しくするわ」と I'm going to を使って「これからするつもりのこと」を述べたことを受けて、それは今すぐ始まるわよ、私は今からそういうことを始めるわよ、と言っている感覚だろうと思います。


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posted by Rach at 14:06| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月22日

彼には名字がなかった フレンズ9-12その2

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ギャビンのことを誤解していたわ、と謝罪して、話を続けていたレイチェルですが、部屋に入ってきたパンツ姿の女性のお尻ばかり見つめていたギャビンにあきれた様子のレイチェル。
レイチェル: Oh wow, you are really.... You're really a creep. (あぁ、まぁ、あなたってほんとに… あなたは本当にやな奴ね。)
ギャビン: Why do you even care if I was looking at her? Are you jealous? (どうして、僕が彼女を見ていたかどうかを気にしたりするの? ヤキモチやいてるの[嫉妬してるの]?)
レイチェル: Oh, yeah. I'm jealous. "Oh Gavin. Please, please look at my ass." (Gavin starts looking) Stop looking at my ass! I mean, I just think you are totally inappropriate, okay? This is a work environment. She's your subordinate. (えぇ、そうよ、ヤキモチやいてるの。「あぁ、ギャビン、どうかどうか私のお尻を見て!」 [ギャビンは見ようとする] 私のお尻を見るのはやめて! あなたって全く不適切だと思うわ、でしょ? ここは職場よ。彼女はあなたの部下でしょ。)
ギャビン: But it was okay when you slept with your old assistant, Tag? (でも、君が前のアシスタント、タグと寝た時はオッケーだったんだよね?)
レイチェル: That is totally different for two reasons. One: I didn't know that you knew that. And two: I wasn't some creep staring at his ass. We had a.... We had a deep meaningful relationship. (それは全く事情が違うわ、2つの理由でね。一つは、あなたがそのことを知ってるって私は知らなかった。そして2つ目。私は彼のお尻を見つめるような変なやつじゃなかった。私たち(タグと私)は、深くて意義のある関係だったのよ。)
ギャビン: Huh. What was Tag's last name? (ほう。タグの名字は何だったっけ?)
レイチェル: It was.... (can't remember) Oh, my God. He didn't-- He didn't-- He didn't have a last name. It was just Tag, you know, like Cher or... you know, Moses. (それは… [思い出せない] なんてこと。彼は、彼は…彼は名字がなかったわ。ただのタグよ、ほら、シェールとか、ほら、モーゼみたいな。)
ギャビン: But it was a deep meaningful relationship. (でも、(彼との関係は)深くて意味があるものだった、と。)
レイチェル: Oh, you know what? My first impression of you was absolutely right. You are arrogant. You are pompous. Morgan! Morgan! Tag's last name was Morgan! Huh! (ねえ? あなたへの第一印象は完全に当たってたわ。あなたは傲慢よ。あなたは尊大よ。モーガン! モーガン! タグの名字はモーガンよ。どうだ!)
ギャビン: It was Jones. (ジョーンズだったよ。)
レイチェル: Yeah well, what are you, his boyfriend? (えぇ、そうね、あなたは何? タグの彼氏?)

creep は「いやなやつ」。creepy 「ぞっとする、気味が悪い」という形容詞は、これまでのフレンズにも何度か登場しました。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
creep : [noun] (spoken) : someone you dislike a lot
つまり、「(自分が)とても嫌いな誰か」。

Why do you even care if I was looking at her? を直訳すると、「僕が彼女を(いやらしい目で)見ていたかどうかを、なぜ君は気にすることさえするの[気にしたりするの]?」になるでしょう。
僕が彼女を見てようが見てまいが、そんなこと君に関係ないだろ、何で気にしたりするんだよ、というところですね。

僕が他の女性に見とれてることをとやかく言うとは、それってヤキモチかな? みたいに言われたレイチェルは、「だーれがヤキモチなんかやくもんですか!」という気持ちをはっきりさせるために、わざと、「ええ、そうよ。私、ヤキモチやいてるのよね」と言って、「あぁ、ギャビン。お願い、お願いよ、どうか私のお尻を見て!」と芝居がかった顔をして、大袈裟に言ってみせています。
それを聞いたギャビンが、「それじゃあ、、」みたいに覗き込もうとするのを見て、「お尻、見ないでよ!」というのも面白いですね。

jealous は、名詞形の jealousy 「ジェラシー」が日本語になっているので、説明するまでもないのでしょうが、LAAD の説明が非常に的確でわかりやすかったので、紹介させていただくと、
jealousy : feeling angry and unhappy because someone you like or love is showing interest in another person, or another person is showing interest in them
つまり、「自分が好きな人、または愛する人が別の人に興味を示している、または、別の人がその人に興味を示しているという理由で、怒りを感じている、または不幸を感じている」。

「好きな人・愛している人が、他人に興味を示す」だけではなく、「他人が、その彼(または彼女)に興味を示す」場合にも当てはまるということが、語義説明を読むとよくわかります。
「彼が誰かにモーションかけている」のも「彼に誰かがモーションかけている」のも、どっちの場合もムッとする、ということですね^^
ギャビンが「ヤキモチやいてるの?」と尋ねたのも、「僕が彼女のお尻に見とれてて、彼女に興味を持ってるのが許せないみたいに言ってるのは、それってヤキモチなんじゃないの?」ということになります。

「えーえ、そうなの、ヤキモチなのよ〜。私のお尻を見て〜ん」みたいに皮肉っぽく言っても、言葉通り見ようとするような一枚上手(うわて)のギャビンに、レイチェルは自分の考えを述べています。
「私はただ、全く不適切だと思ってるだけよ」と言って、「これ(ここ)は仕事の環境(=職場)よ。彼女はあなたの部下よ」と指摘します。
職場で部下の女性のお尻をジロジロ見るなんて不適切だわ、と言っているわけですね。

そういう正論で相手を言い負かせようとしたレイチェルですが、ギャビンはここで、レイチェルに不利な話を持ち出してきます。
それが、「でも、(それは)オッケーだったんだよね? 君が君の前のアシスタントであるタグと寝た時(のこと)は」という内容。
「君が部下の男性と寝た時のことは特に問題にならなかったんだよねぇ?」と言ってみせることで、部下の女性のお尻を見るなんて不適切! って君は言うけど、君とタグとの関係の方がよっぽど不適切だったんじゃないのか? と指摘していることになります。

相手を言い負かそうとしたのに、痛いところを突かれてしまった(笑)レイチェルは、一瞬ひるんだように絶句した後、「それは全く違うの[話が全然違うの]、2つの理由のために[理由によって]」と語り始めます。
2つの理由と言ったので、One. And two. 「1つ目。そして2つ目」と順番に理由を挙げているのですが、1番目の理由が、レイチェルの気持ちをよく表していて面白いですね。
理由が理由なので、早口で適当にごまかしつつ言っている口調ですが、言っている内容は、「あなたがそのことを知っているとは私は知らなかった」。
まさか、アシスタントのタグとの関係を、ギャビンが知ってるとは思わなかった、ということで、「タグとの関係を知っているはずないと思ったから強気に発言してしまった」と認めていることになるでしょう。

次の2番目の理由の方は、1つ目よりはまともな理由で、あなたはいやらしい目つきで彼女のお尻を見てたけど、私は彼のお尻を見つめるようなそういう「ヘンな奴」じゃなかったわ、と言って、私たち(タグと私)は、深くて、意義のある関係を持っていた、とも言っています。
私たちは、エッチな気持ちだけじゃなく、心も深く通じ合っていたのよ、みたいなことですね。

その主張に Huh. 「ほう(そうかい。なるほどね)」みたいに相槌を打った後、ギャビンは「タグの名字は何だったっけ?」と言っています。
その質問に即答できないレイチェルが面白いですね。
It was.... と言おうとして、彼の名字が出てこないレイチェルは、え、どうしよう、、、という顔をして、Oh, my God. と言っています。
He didn't-- He didn't-- と何度も繰り返して、ついには「彼には名字がなかった」とか言っています(おいおい^^)
「彼とは深い結びつきがあったの」とか言いながら、彼の名字すら知らないことを指摘されての苦肉の策w ですね。
「(名字のない)ただのタグだった。ほら、Cher とかみたいな」と言っていますが、Cher はアメリカの歌手「シェール」のことですね。
Wikipedia 日本語版: シェール
ウィキペディアの説明にも、「原語の英語の発音はシェアないしシェーアに近い」とありますが、今回のレイチェルのセリフも、「シェア」みたいに発音されています。
歌手という芸能人を例に出した後、もう一つダメ押しで誰かの名前を出そうとして、出てきたのが、Moses なのには笑ってしまいます。
日本では、「モーゼの十戒」として知られているあのモーゼのことですが、旧約聖書の出エジプト記(Exodus)の時代の歴史上の人物を例に出しても何の説得力もありませんね。
Moses も英語読みでは、「モゥズィズ」みたいな感じで、日本語での名前のイメージとは少々異なることも意識しておきたいところです。

「タグには名字がないの」というようなトンデモない説明をするレイチェルに、But it was a deep meaningful relationship. とギャビンは言っていますが、これは、「名字も知らないのに、深い意義のある関係だった、と君は言うのか」というニュアンスですね。
裏を返すと、「名字も知らないくらいだから、深くて意義ある関係とは言えないよね。君らの関係も、僕が部下のお尻を見たのと、レベル的にはあまり変わらないんだろ?」と言いたいのでしょう。

そんなことを言うギャビンに、レイチェルは、「ねぇ、私が感じた、あなたの第一印象は完全に正しかったわ」と言っています。
第一印象の時に感じた、と言っていた arrogant, pompous という形容詞をここでも使っていますね。
そんな風に言いながら、急に大きな声で、Morgan! Morgan! そして、「タグの名字はモーガンよ!」と叫び、勝ち誇った様子で、Huh! 「どうよ! どうだ!」みたいに言っています。
ですが、ギャビンが、「(モーガンじゃなくて)彼の名字はジョーンズだったよ」と指摘したので、レイチェルは、「あなたって何?[何者?] タグの彼氏?」みたいに言っています。
付き合ってた私が知らなかったのに、彼の名字を知ってるって、あなた、彼と付き合ってるわけ? ということですね。
ギャビンはタグの名字を知っていて、レイチェルを試したらしいことがここでわかりますが、「レイチェルが思い出した! と思ったら、その答えは間違っていた」というところが、そういうことに無頓着そうな(笑)レイチェルらしくて、面白いなぁと思いました。

ところで、ギャビンが言った、タグの名字は Jones というのは正解で、フレンズ7-4 とフレンズ7-9 で、彼の名字がわかるフルネームがセリフに登場しています。
どちらも過去記事で解説していなかった部分なので、ここでご紹介しておくと、、、
タグが初登場した回の フレンズ7-4 では、レイチェルがアシスタントの面接をしている時に、やってきたタグが名前を聞かれ、"Tag Jones." と答えていました。
また、フレンズ7-9 では、レイチェルが冗談で書いたタグの評定書が上司ゼルナー氏の元に届いてしまい、その明らかに妙な内容を確認するためにやってきたゼルナー氏が、
ゼルナー氏: So, I read your evaluation of Tag. Or to use his full name, Tag "Sweet Cheeks" Jones? Is something going on with you two? (それで、君が書いたタグの評定を私は読んだ。(タグ)または、彼のフルネームを使うと、「タグ・かわいいお尻・ジョーンズ」のね。君ら二人に間には何かある[起こっている]のか?)
と言っていました。
タグのフルネームの間に、レイチェルがタグをそう呼んでいるらしい「ニックネーム」を挟む形にすることで、「君はタグのことを、Sweet Cheeks と呼んでいるようだけど、お尻がかわいいとかって、君らは恋愛関係にあるのかね?」と問い正している感覚になるでしょう。
ちなみに、cheek というのは「チーク」でわかる通り、通常は「頬(ほお、ほほ)、ほっぺた」のことですが、「尻(の肉)」という意味もあります。
お尻は両方にお肉がついているのでw お尻を指す場合は、cheeks という複数形になるのですね。
これが「頬」ではなくて「お尻」を指していることは、これより前のレイチェルとタグのやりとりで、tushy 「尻」という言葉が使われていたことからわかる仕組みになっていました。

タグの名字は確かに Jones であるという証拠として、上の フレンズ7-9 のセリフをご紹介しましたが、レイチェルがそんな風に「タグのお尻をセクシーポイントだと思っていた」ことを考えると、"I wasn't some creep staring at his ass." (私は彼のお尻を見つめるような変なやつじゃなかった)というレイチェルの発言とは正反対で、レイチェルもタグのお尻に視線が釘付けだったことがわかるわけですね。
タグとのエピソードを思い出してみると、女性のお尻を見ていたギャビンのことをそれほどエラそうには言えないということが改めてわかるのが、何とも面白いなと思いました。


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posted by Rach at 15:31| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月20日

人に謝罪するのはこれが初めて? フレンズ9-12その1

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シーズン9 第12話
The One With Phoebe's Rats (ベビーシッターを守れ!)
原題は「フィービーのネズミの話」


[Scene: Rachel's office, Rachel comes in and Gavin is there]
レイチェルのオフィス。レイチェルが入ると、そこにギャビンがいる。
レイチェル: Hello. (はーい。)
ギャビン: Hello. (はーい。)
レイチェル: Gavin, I just wanted to say thank you again for watching Emma yesterday during the presentation. I really owe you an apology. (ギャビン、私はただ、もう一度ありがとうって言いたいの。昨日、プレゼンの間、エマを見ててくれてありがとう、って。本当に私はあなたに謝らないといけないわ。)
ギャビン: For what? (何のために?)
レイチェル: Well, when we first met, you know, I thought you were pompous and arrogant and obnoxious.... (そうねぇ、私たちが初めて会った時[初対面の時]、ほら、あなたは尊大で傲慢で感じが悪い、って思ってたから…)
ギャビン: Is this your first apology? (これは、君の初めての謝罪?[人に謝罪するのはこれが初めて?])
レイチェル: No, I just mean that, you know, first impressions don't mean anything. And I-I think you're a really good guy. And I'm sorry that I misjudged you. (いいえ、私はただ、ほら、第一印象は何の意味もない、って言いたいのよ。そして、あなたは本当にいい人だと思うの。だから、あなたに対する判断を誤ってごめんなさい。)
(Heather walks in)
ヘザー(という金髪でポニーテールの女性)が入ってくる。
ヘザー: Morning! (おはよう!)
レイチェル: Hello. (to Gavin) But you know what? Hey, new day, new leaf. I am just really really happy-- (sees Gavin staring at Heather) I'm sorry. Obviously, Heather's ass has something more important to say so I'll just wait till it's finished. (はーい。[ギャビンに] でもね。ほら、新しい日、新しいページよ[私は今日から生まれ変わるわ]。私はただほんとにほんとに幸せで… [ギャビンがヘザーを見つめているのを見る] ごめんなさい。明らかに、ヘザーのお尻の方が、言うべき、より重要なものを持っているから、私はただ、それが終わるのを待つわね。)
ギャビン: What? (何?)
レイチェル: I was giving you an apology and you were totally checking her out! (私はあなたに謝罪していたのに、あなたはすっかり彼女を見ていたわ!)
ギャビン: I wasn't checking her out. I'm in fashion. I was looking at her skirt. Or was it pants? I didn't really see what happened below the ass area. (僕は彼女をじろじろ見てたんじゃない。僕はファッション(業界)にいる。僕は彼女のスカートを見ていたんだよ。[レイチェルが、"Oh!" という声を出したので] もしくはパンツだったかな? お尻エリアの下の部分で何が起こっていたか、僕はあまり見てなかった。)

レイチェルはギャビンに会うと、昨日のお礼を述べています。
I really owe you an apology. の owe someone an apology は「人に謝罪(の義務)を負っている」ということですから、「私は本当にあなたにお詫びを言わなければならない」という意味になります。
「娘エマの面倒を見ててくれてありがとう」という感謝の言葉はわかるけれども、「謝らないといけないって、何に? 何に対して?」という感覚が、ギャビンの For what? というセリフですね。

レイチェルは、「私たちが初めて会った時(私たちの初対面の時)、私は思ったの、あなたが尊大で傲慢で感じが悪い、って」と言います。
参考までに、それぞれの語義説明を、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) で見てみると、
pompous : trying to make people think you are important, especially by using very formal and important sounding words
つまり、「自分が重要であると人に思わせようとすること、特に非常にフォーマルで重要に聞こえる単語を使うことによって」。
arrogant : so proud of your own abilities or qualities that you behave as if you are much more important than anyone else
つまり、「自分自身の能力や資質に非常に誇りを持っていて、まるで自分が他の人よりもずっと重要であるかのように振る舞う」。
obnoxious : very offensive or not nice
つまり、「非常に不快感を与える、またはナイスではない(親切ではない、優しくない)」。

第一印象が悪かった、と言うために、最初に受けた印象を、3つの単語で説明しているわけですが、謝ると言っておきながら、「あなたのことを、こんなひどいやつだと最初は思った」と語ったレイチェルに対して、ギャビンは、Is this your first apology? と言っています。
直訳すると、「これは君の(人生で)最初の謝罪?」ということで、「君が謝罪するのは、これが初めて?」と言っている感覚になるでしょう。
謝罪だと言いつつ、よくよく聞いてみると、僕の悪口を3つも並べてくれちゃって、君ってもしかしてこれまで謝罪した経験ないの? 謝罪ってどういうものかわかってる? みたいに皮肉っぽく言ってみせたわけですね。

「これが謝罪なの?」みたいに言われたレイチェルは、「私はただ、こう言いたいだけなのよ」というように、No, I just mean that を使い、「第一印象は何の意味もない」と言っています。
第一印象はそんな風に悪かったけど、でもあなたは本当にいい人だわ、と言って、あなたを misjudge してしまってごめんなさい、と謝っています。
misjudge は文字通り、mis- 「誤って」+ judge 「判断する」ですから、「誤った判断をする」ということですね。

「あなたのこと、誤解してたわ、ごめんなさい」と言っているところに、ヘザーという金髪の女性が入って来て挨拶をしています。
レイチェルも挨拶を返した上で、話の続きをしているのですが、ギャビンがヘザーをじーっと見つめていて、レイチェルの話を全く聞いていない様子なので、Obviously, Heather's ass has... とレイチェルが言うことになります。

ギャビンがヘザーを見つめていることに気づく前のレイチェルのセリフ、new day, new leaf. について。
leaf は「(木の、草の)葉」という意味ですが、今回は「(書物の)1枚、1葉」というニュアンスになるでしょう。
new leaf を使った、turn over a new leaf という表現があり、「心を入れ替える、改心する、生活を一新する、心機一転する」というような意味になります。
「新しい(本の)ページをめくる」ということから、そのような意味になるわけですね。
LAAD では、
turn over a new leaf : to decide to change the way you behave and become a better person
つまり、「自分の行動の方法を変え、より良い人間になるように決心すること」。

turn over a new leaf のイメージで、new day, new leaf は、「新しい日、新しいページ(をめくり、私は生まれ変わる)」というようなことを言っていることになるでしょう。
今日からまた新しい一日が始まるから、あなたと喧嘩していたこととかも全部忘れて、心機一転頑張るわ、的なことを言って、「私とってもとっても幸せなの」と言いかけたのですが、そんなレイチェルの話が全く耳に入らない様子で、視線がヘザーに釘付けになっていたので、レイチェルは、Obviously... 以下のセリフを言うことになります。

ass は「尻」のお下品な言い方なので、感覚的には「ケツ」が近いですが、とりあえずここでは「お尻」くらいにしておくと、「ヘザーのお尻は、言うべき、より重要なものを持っている、だから私はそれが終わるまでただ待つわね」みたいになるでしょうか。
私がいろいろ語るよりも、ヘザーのお尻の方がより重要なことを語っているようね、私の話よりもヘザーのお尻の方にあなたは意識が向いてしまっているわね、みたいなことだろうと思います。
だから、ヘザーのお尻がそこで何かを語リ終えるまで(ヘザーのお尻がここから出て行くまで)私は待つわ、と言っていることになるでしょう。

「何のこと?」と聞き返したギャビンに、レイチェルは「私はあなたに謝罪をしていたのに、あなたはすっかり彼女を check out していたわ!」と言います。
check out は「調査する、よく調べる」と訳されることが多いですが、この場合は「調査するかのようにジロジロ見る」みたいなことでしょう。
LAAD では、
check out [phrasal verb] : LOOK AT SOMEBODY/SOMETHING
check somebody/something out : (spoken) to look at someone or something because they are interesting or attractive.
例) Wow, check out that girl in the striped pants.

つまり、「誰かや何かが、興味深い、または魅力的であるという理由で、それを見ること」。例文は、「わお! ストライプのパンツを履いたあの娘を見てよ」。

「彼女のことばっか、見てたでしょ」みたいに言われたギャビンは、「僕は彼女を見てないよ」と言った後、I'm in fashion. I was looking at her skirt. と言っています。
直訳すると、「僕はファッション(業界)にいる。僕は彼女のスカートを見ていた」ということで、つまりは、「彼女本人を見てたんじゃなくて、僕はファッション業界にいる人間として、彼女のスカートを見てたんだよ」と説明していることになります。
と、ここで話が終わっていたら、「また、そんな見え透いた嘘をついて、、」で終わってしまうところですが、その後に続くセリフが、このギャビンという人物の憎めないキャラクターをよく表しているように思います。

ギャビンが「僕は彼女のスカートを見ていたんだよ」と言った後、レイチェルは Oh! という声を上げています。
実際、ヘザーはパンツを履いていたので、「スカートですって?」的な意味合いで、そんな声を出したわけですね。
それで、「いや、それともパンツだったかな?」と、スカートと言ったのは間違いだったことを認めて、I didn't really see what happened below the ass area. と続けています。
「お尻エリアの下の部分で何が起こったかを僕はよく見なかった」ということで、つまりは、「お尻より下の部分がパンツだったか、スカートだったか、僕はよく見てなかったようだね」と表現することで、「僕はお尻エリアばかりを見ていた」と認めたことになります。

レイチェルに、ヘザーの ass を見てたでしょ、みたいに ass という言葉で指摘されたことを受けて、「業界人としてスカートを見てた、とか言ったけど、the ass area の下の部分の服装が何だったか覚えてない」と答えることで、「君が言うように、確かに僕は彼女のお尻(ass)に見とれてたよ」ということを、ちょっとニヤっとした顔で言ったことになるのですね。
直接、「彼女のお尻を見ていた」とは表現せず、「お尻エリアの下の服装は見てなかったから、スカートかパンツか覚えてない(だからパンツをスカートと間違えた)」と言ってみせたところが、洒落た返しになっているなぁ、と思いました。


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posted by Rach at 15:09| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月18日

女性に泣かれるのは苦手 フレンズ9-11その6

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レイチェルは、産休中の自分の仕事を引き継いでいるギャビンが優秀なので、自分が職場を追われるのではないかと心配しています。2週間後だった職場復帰を、明日復帰すると言い張ったレイチェルは、明日のプレゼン準備中のギャビンに「私も参加するから、内容を教えて」と言います。
そのプレゼンの日、ギャビンが出社すると、レイチェルはエマと一緒にもうオフィスにいて、今日のプレゼンの準備は万全の様子。そこに、上司のゼルナー氏が入ってきて、
レイチェル: Oh, hello, Mr. Zelner. We're all ready for our presentation this afternoon. (あぁ、こんにちは、ゼルナーさん。今日の午後のプレゼンは、二人とも準備万端です。)
ゼルナー氏: Good, because it's in ten minutes. (良かった、プレゼンは10分後なんだ。)
レイチェル: What? I can't do that! I have the baby. And Ross is not gonna pick her up for another hour. (何ですって? そんなの無理よ! 赤ちゃんがいるんです。それにロスはあと1時間は迎えに来られないし。)
ゼルナー氏: Well, then Gavin can give the presentation, okay? We have to do it now. Ralph needs to leave early today. He's going helicopter shopping. (うーん、それじゃあ、ギャビンがプレゼンをしたらいいよ、だろ? プレゼンは今(すぐ)しないといけないんだ。ラルフは今日、早く発たないといけないんだ。ヘリコプターを買いに行く予定なんだよ。)
レイチェル: Well, there you go. You win, you win. You get to do the presentation. You'll knock 'em dead. No one will ever remember that I worked here, and then Ralph will buy his helicopter, and Super Gavin will just fly right alongside of him! (あぁ、しかたないわ。あなたの勝ち、あなたの勝ちよ。あなたはプレゼンをすることになる。あなたはみんなを感動させる(悩殺する)。私がここで働いていたことを誰も思い出しすらしないわ、そしてラルフはヘリコプターを買って、スーパーギャビンは彼の隣に並んで飛ぶのね!)
ギャビン: You can do the presentation. (君がプレゼンをしたらいい。)
レイチェル: No, I can't. I have a baby. (いいえ、私にはできないわ。赤ちゃんがいるもの。)
ギャビン: I'll watch her. (僕が面倒を見るよ。)
レイチェル: Why would you do that? (どうしてそんなことをしてくれるの?)
ギャビン: Because you've worked really hard, and it's your job. And you're a little crazy. (だって君は一生懸命やったし、君の仕事だし。それから君はちょっとクレイジーだから。)
レイチェル: That's really nice. (それってすっごく優しいわ。[泣きそうな声になる])
ギャビン: I should tell you that crying women make me very uncomfortable. (君にこう言わないといけないな、泣く女性は僕を居心地悪くする[女性に泣かれるのは苦手だ]、って。)
レイチェル: Well, you're not gonna like what's coming. (Starts crying) I'm sorry, I'm sorry. I'm sorry. God. Thank you. Thank you. (えぇ、次に来るものをあなたは気に入らないでしょうね。[泣き出す] ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。あぁ。[ギャビンがレイチェルに書類を手渡す] ありがとう。ありがとう。)
ギャビン: I'm really fine. Don't worry. I'm great with children. (To Emma) Gavin Mitchell. Pleased to meet you. ([心配そうに振り向いたレイチェルに] 僕は本当に大丈夫だから。心配しないで。子供は得意なんだよ。[(レイチェルが去った後) エマに向かって] ギャビン・ミッチェルだ。会えて嬉しいよ。)

上司のゼルナー氏が入ってきたので、「今日の午後のプレゼンの準備は万全です」と言ったところ、ゼルナー氏は、Good, because it's in ten minutes. と返していますね。
直訳すると、「(それは)良かった。なぜなら、プレゼンは10分後だから」になるでしょう。
「準備はバッチリです」に対して、上司が Good. というのは自然な返しですが、今回の場合は、「それは良かった、、 というのは(実は)午後の予定のプレゼンが早まって、10分後になったから(準備を終えておいてくれて助かった)」というニュアンスになります。

プレゼンは10分後と言われたレイチェルは、非常に困った様子で、「そんなことできません! 赤ちゃんがいるんです。それにロスはあと1時間はエマを迎えに来ないし」と言っていますね。
1時間後には来るけれど、それじゃあ10分後のプレゼンには間に合いません、と言っていることになります。

「私にはプレゼンできません」とレイチェルが言うのを聞いて、ゼルナー氏は「ギャビンがプレゼンをできるよね。ギャビンがすればいいよ」と言っています。
We have to do it now. は「我々はプレゼンを今しなければならない」→「プレゼンを遅らせるわけにはいかない」というニュアンスですね。
ラルフは今日早く発つ(会社を出る)必要があるんだ、と言って、その理由として、「彼はヘリコプター・ショッピングに行く」→「ヘリコプターを買いに行く」と説明しています。

社長のラルフ・ローレンが出かけるのなら、プレゼンを遅らせることは不可能だと悟ったレイチェルは、Well, there you go. You win, you win. と負けを認めています。
There you go. には文脈によってさまざまなニュアンスがありますが、この場合は「しかたがない」と現実を受け入れるようなニュアンスになると思います。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
there you go : also there you are, there it is
used to show that you accept that an unsatisfactory situaion cannot be changed.

つまり、「不満な状況が変わることがないことを、自分が受け入れていると示すために使われる」。

There you go. や There you are. を直訳すると、「あなたはそこに行く」「あなたはそこにいる」という感じですね。
そう表現することで、「相手の今の状況」を指すことになると思うのですが、そういう「相手の現況・現状」が自分にとって不満なものであった場合に、確かにそうであると認め、受け入れる感覚が、「しかたがない」というニュアンスになるのだろうと思います。

You get to do the presentation. の get to は「〜するようになる、〜できるようになる」という感覚。
「あなたがプレゼンをする」というよりも、「(私には無理だから、結果として)あなたがプレゼンすることになる」というニュアンスになるでしょう。

You'll knock 'em dead = You'll knock them dead の knock someone dead は直訳すると、「人を殴って死なせる」→「人を殴り殺す」ということになりますが、この場合は「人を強く感動させる」という意味になります。
研究社 新英和中辞典には、「悩殺する」という訳語が出ており、「悩殺」という言葉も「殺す」という文字が使われていますが、悩殺の意味は「うっとりさせる、夢中にさせる」ということなので、日英に似た感覚が感じられる気がします。

「あなたがプレゼンをやって、みんなを感動させる」と言った後、今度は自分の話として、「私がここで働いていたことを誰も思い出しすらしないでしょう」と言います。
ラルフがヘリを買いに行くことで、プレゼンの時間が変更になったという恨み(笑)みたいなものもあるのでしょうね、そのヘリコプターの話をしつつ、スーパーギャビンは社長のすぐ横に並んで、ただ飛ぶのね、みたいにも言っていますね。
上司のゼルナー氏が、ギャビンのことを Super Gavin とベタ褒めしたことは、常にレイチェルの頭から離れないらしく、superhero なら、社長のヘリのすぐ横にくっついて、一緒に飛んで行けちゃうもんね、みたいに言ってみせたわけですね。
脚本的な流れとしては、相手が成功した描写として「スーパーヒーローのあなたは、スーパーヒーローらしく颯爽と飛んで行く」というような話に持って行くために、「飛ぶ系の乗り物」であるヘリコプターをラルフは買おうとしている、と話を導入に使ったことになるのでしょうね。
ヘリを買うというスケールの大きな話は、大会社の社長のイメージにも合っているので、さほどわざとらしくない感じで話題として入ってくるのですが、最後に「社長のヘリの横で飛ぶスーパーギャビン」というオチを聞いた時に、「このオチで使うためのヘリコプターだったのかぁ、、」と伏線に気づく楽しさと言うんでしょうか。

「私は負けたわ」という発言をしたレイチェルをじっと見ていたギャビンは、静かな声で、You can do the presentation. と言っています。
「君はプレゼンをすることができる」→「(僕じゃなくて)君がプレゼンをすればいい」ということですね。
「できないわ、赤ちゃんがいるもの」と言うと、ギャビンは「僕が彼女(君の赤ちゃんエマ)(の面倒)を見るよ」と言います。
思いがけない申し出に、レイチェルは驚いた様子で、Why would you do that? 「どうしてそんなことをしてくれるの?」と言っています。
それに対する理由を、because 以下で説明していますが、3つ理由を挙げて、最後の3つ目で落としているのが、日本にもよくある「三段オチ」のパターンですね。
「君がプレゼンできるように、僕が赤ちゃんを見ていてあげる」と言った理由の1つ目は「君は(プレゼンのために)一生懸命働いた・作業したから」。
2つ目は「それは君の仕事だから」。
そして3番目に言ったのが、「そして君はちょっとクレイジーだから」。
「社長にも上司にも気に入ってもらってるスーパーヒーローのあなたは、社長のヘリと一緒に飛んで行けばいいのよ!」とまくし立てている様子のことを、クレイジーだと言っているわけですね。

ギャビンの表情を見ていると、レイチェルの一生懸命さに打たれて「君がプレゼンをしたらいい」と言ったことがわかるのですが、そういう場合でも、ただ優しい言葉だけをかけるのではなくて、ちょっぴり意地悪なことを言ったりするのは、ギャビンの照れ隠しでもあり、優しさでもあるのでしょう。

レイチェルは、That's really nice. と泣きそうな声で言っています。
レイチェルの様子を見たギャビンは、I should tell you... 以下のセリフを言っていますが、crying women 以下を直訳すると、「泣いている女性は僕を非常に居心地悪くする」になるでしょう。
つまり、「女性に泣かれると困る、女性に泣かれるのは苦手だ」ということですね。

「目の前で女性に泣かれると、どうしたらいいかわからなくて困るから、頼むから泣かないで欲しい」的なことを言いたいわけでしょうが、「女性の涙に弱い」と言ったギャビンに対して、「めそめそしてごめんなさい」と言うのではなく、you're not gonna like what's coming. と言って、本格的に泣き始めるレイチェルが面白いです。
直訳すると、「(これから)来るべきことを、あなたは気に入らないだろう」ということで、つまりは、「泣かれるのが苦手と言っているあなたの嫌いなものが次にやってくる」→「あなたが嫌だと言う、「女の涙」がこの後、来るわよ」と言った上で、我慢できずに泣き始めている、という感覚になるわけですね。

そんな風に、レイチェルの方も「ちょっと相手を困らせるようなこと」を言ってみたりしていますが、その後は「(泣いちゃって)ごめんなさい」と素直な言葉を述べています。
ギャビンがプレゼンの資料を渡してくれたことに礼を言って、部屋を出ようとするレイチェルですが、エマをギャビンに託してしまっていいのかしら、という気持ちからか、不安げにギャビンを振り返っています。
レイチェルが不安な気持ちであることがわかるので、ギャビンは「僕は本当に大丈夫だよ。心配しないで。僕は子供は得意なんだ」とレイチェルを安心させるような言葉をかけています。
レイチェルは小さく、Okay. と言って、プレゼンに向かうのですが、エマと二人残されたギャビンは、ベビーカーに乗ったエマに握手の手を差し出しながら、「ギャビン・ミッチェルだ。会えて嬉しいよ」と、大人に対する初対面の挨拶みたいな言葉を言っていますね。
手を差し出しても、相手が手を出すはずもなく、出した手を引っ込めて、「こんな挨拶じゃあ、ダメだな、、」みたいな顔をしているギャビンですが、この様子から、I'm great with children. と言ったのはレイチェルを不安にさせないための発言だったこと、上司から絶大な評価を得ている彼も子供の扱いは苦手であることがよくわかります。
レイチェルはその姿を見ていませんが、観客や視聴者は彼のそういう一面を微笑ましく感じるであろう、ほのぼのしたシーンになっていると思いました。


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posted by Rach at 16:56| Comment(2) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月15日

落ち着いて、ノーマ・レイ フレンズ9-11その5

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レイチェルの上司であるゼルナー氏は、レイチェルの後任ギャビンを高く評価しているようで、レイチェルの前で彼に対する褒め言葉を述べています。
ゼルナー氏: Incidentally, when are you coming back? (ちなみに、君(レイチェル)はいつ(職場に)戻る[復帰する]予定なの?)
レイチェル: Today. (今日です。)
ギャビン: You said two weeks. (君は2週間(後)って言ったぞ。)
レイチェル: No, I said today! See, for a superhero, not so much with the listening. (いいえ、私は今日(トゥ・デイ)って言ったわ。! ねぇ、スーパーヒーローにしては、リスニングはそれほどでもないのね。)
(ここに別のシーンが入りますが、解説ではそれは省略し、上の話の続きとなる、レイチェルとロスが話している場面の解説に移ります)
レイチェル: Listen. Sudden change of plans. My maternity leave just ended. They told me that if I didn't come back today, they were gonna fire me. (ねぇ聞いて。計画の急な変更があったの。私の育児休暇はたった今、終わったわ。会社の人が私に言ったのよ、もし私が今日(仕事に)戻らなければ、私を首にする、って。)
ロス: What? No, that's illegal. I'm gonna have the Labor Department down here so fast, they won't even-- (何だって? だめだよ、そんなの法律違反だ。僕が(上の階にある)労務部をすぐにここ(下の階)に来させるよ、彼らは〜すらしないだろう…)
レイチェル: Alright, alright. Calm down, Norma Rae. They didn't actually say that. I'm just afraid if I don't come back right now, this guy's gonna try and squeeze me out. (いいわ、いいわ。落ち着いて、ノーマ・レイ。彼らは実際にそうは言ってないの。私はただ心配なのよ、もし今すぐに私が戻らなければ、この男が私を追い出そうとするだろう、って。)

incidentally は「ついでに言えば、ところで、ちなみに」。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
incidentally : used when adding more information to what you have said, or to introduce a new subject (SYN: by the way)
例) Incidentally, where were you born?

つまり、「今言ったばかりのことに、さらに情報を追加する時に使われる、または新しい話題を紹介するために。類義語 by the way」。例文は、「ところで、君はどこで生まれたの?[出生地はどこ?])

上司のゼルナー氏に、「いつ(産休から仕事に)戻る予定なの?」と聞かれ、レイチェルは Today 「今日」と返事しています。
ギャビンが言うように、レイチェルはこのやりとりの少し前(「その2」の記事で)、自分で、Don't get too comfortable there, because I'm back in two weeks! と言っていました。
それなのにレイチェルは、「私は today と言ったわ!」と頑張っています。
today の to を強調して、two のように発音し、「私は today と言ったのを、あなたが two に聞き間違えたんじゃない?」みたいに言ってみせたわけですね。

for a superhero, not so much with the listening. の for は「〜にしては」という感覚。
Super Gavin とか言われてるスーパーヒーローさんにしては、リスニング(力)はそれほどでもないのね、とレイチェルは言っていることになります。

その後、別のシーンを挟んだ後、レイチェルとロスが話しているシーンになり、そこでレイチェルはロスに、「2週間後」に復帰予定だったのを、「今日」と強く主張した件について説明しています。
レイチェルは、「計画の突然の変更なの」と言って、「私の産休・育児休暇はたった今、終わった」と言います。
They told me that... は「会社の人が私に言ったの。もし私が今日(育休から仕事に)戻らないと、私を解雇する・首にする、って」ということですね。

レイチェルが「今日戻らないとクビにされちゃうの」というので、そんなのはイリーガル(違法)だ! とロスは言い、Labor Department をすぐに(下の)ここに来させる、的なことを言っています。
Labor Department は「労働省」という省庁を表す言葉でもありますが、ここでは、have ... down here 「〜を”下のここ”にいる状態にする」という表現が使われていることから、今いるこの部署よりも上の階にある「この会社の労務担当部門」の人間をこの階に連れてきて、話を聞いてもらう、というようなことを言っているのだと思います。
人事・労務などの管理部門は会社の上の階の方にあるというイメージもありますよね。(私は会社員時代、人事部人事課に在籍しており、お隣が(人事部)労務課でしたが、役員さんのおられる階の1つ下のフロアに、その人事部はありました^^)

「戻るのは2週間後と決まっているのに、今日じゃないとクビだなんて、そんなのおかしい!」と怒り、the Labor Department を呼んで、労働基準法違反だと訴えてやる! という感じのものすごい剣幕のロスに対して、レイチェルは、Calm down, Norma Rae. と言っています。
「落ち着いて、Norma Rae」という言い方と、大文字で始まっていることから、Norma Rae は人の名前であることが想像されますね。
これは「ノーマ・レイ」(原題:Norma Rae)という1979年のアメリカ映画に出てくる女性主人公の名前になります。
私はこの映画を見たことはないのですが、邦題も「ノーマ・レイ」で、有名な映画のようなので、その映画のことだと気付いた方は結構おられるかもしれませんね。
「落ち着いて、ノーマ・レイ」というのは、漫才のツッコミ風に言うと、「その発言、お前はノーマ・レイかっ!」という感じで、「今ロスが言った言葉って、ノーマ・レイが言いそうな言葉ね」ということになります。

映画の内容については、以下のウィキペディアで。
Wikipedia 日本語版: ノーマ・レイ
ウィキペディアの「ストーリー」の解説の中で説明されているように、出会ったある男性と労働組合結成に向けて行動するお話、なんですね。
その男性ルーベンを演じているのは、ロン・リーブマンという俳優さんなのですが、この方は「フレンズ」でレイチェルのパパ、ドクター・レオナルド・グリーンを演じている俳優さん! です。
IMDb : Ron Leibman
パパ役のリーブマンさんが出ていた映画のネタを、娘役のレイチェルが言っている、という意味でも、楽屋落ちネタだと言えそうですね(^^)

They didn't actually say that. は、「彼らは実際にはそう言っていない」ということ。
その前にレイチェル自身が、They told me that if I didn't come back today, they were gonna fire me. (「私が今日戻らないと、彼らは私を首にする」と彼らが言った)と言っていましたが、実際にその通りの言葉を彼らが言ったわけじゃないの、ということになります。

I'm just afraid if I don't come back right now, this guy's gonna try and squeeze me out. は、「(実際にはそう言われたわけじゃないけど)今すぐに戻らないと、この男(ギャビン)に squeeze out されるんじゃないかとただ心配なだけなの」ということですね。
squeeze は「(強く押して)圧搾(あっさく)する」「搾る(しぼる)、押しつぶす」というニュアンスですから、「搾り出される、強く押して出される」→「無理矢理追い出される」という感覚になるでしょう。
LAAD では、
squeeze out [phrasal verb]
squeeze somebody/sth out : to force someone or something to stop taking part in something by making it very difficult for them to continue
例) Local bookstore are being squeezed out by national chains.

つまり、「誰かや何かが何かに参加するのをやめるように強いること、その人(もの)が続けるのを非常に困難にすることによって」。例文は「地元の本屋は、全国チェーンによって追い出されつつある[業務停止に追い込まれつつある]」。

困った事情を説明する際、勢いで大袈裟に言ってしまったりすることがありますが、今回のレイチェルもまさにそうですね。
「そんなことを言われたなんて、それは明らかな法律違反だよ!」と大騒ぎするロスをまずはなだめて、「実際にそう言われたわけじゃないんだけど、そんな方向に行ってしまうんじゃないかと心配なの」と事情を説明するという今回の流れは、英語学習者として学んでおきたいところではないかな、と思いました。


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posted by Rach at 14:21| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月13日

to the rescue フレンズ9-11その4

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レイチェルとギャビンが言い合いをしているところに、レイチェルの上司であるゼルナー氏(Mr. Zelner)が入ってきます。
ゼルナー氏(Mr. Zelner): (Enters) Gavin, Ralph loved your ideas. ([入ってきて] ギャビン、ラルフは君のアイデアを気に入ったよ。)
レイチェル: Oh, hi, Mr. Zelner. (まぁ、こんにちは、ゼルナーさん。)
ゼルナー氏: Rachel, I see you've met Gavin. You know, I must say, when you left us, we weren't sure what we were gonna do. But then, Gavin to the rescue. Super Gavin! (レイチェル、どうやらギャビンには会ったようだね。ほら、私はこう言わなければならないな。君が去った時、我々はどうしたらいいかわからなかった、と。でもその時、ギャビンが助けに現れた[お助けギャビン]。スーパー・ギャビンだ!)
レイチェル: Well, that's great, that's great. So now, Super Gavin, when I come back where are you plan on flying off to? (えぇ、それは良かった、良かった。それで、スーパー・ギャビン、私が戻ったら、あなたはどこへ飛び立つ予定なのかしら?)
ギャビン: Well, that's up to Mr. Zelner. I'm sure he'll make the right decision. (あぁ、それはゼルナーさん次第だ。彼は正しい決断をするって確信してるから。)
レイチェル: (To herself) Oh, wow. Super ass-kissing power. ([独り言で] わぉ。超ごますりパワーね。)

部屋に入るなり開口一番、「ギャビン、ラルフ(ローレン)は君のアイデアを気に入ったよ」と言っていることからも、ゼルナー氏は、レイチェルの後任ギャビンの働きぶりを高く評価していることがわかります。
I see you've met Gavin. は「どうやら、君はもうギャビンに会ったようだね」というニュアンス。
二人が会話していた様子から、「君らはもう、お互い自己紹介し合って、互いの立場を認識し合ったんだね」というところですね。

I must say, when.. は「私は(こう)言わなければならない。君が(産休で)去った時、私たちはどうすればいいかわからなかった、と」。
つまり、「君がいなくなってどうすればいいか、あの時、我々はほんとに困っていたんだよ」みたいなことですね。
その後、But then, Gavin to the rescue. Super Gavin! と言っています。
Gavin to the rescue. の to the rescue は、come to the rescue 「助けに来る」という感覚ですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
come to the/somebody's rescue
a) to help someone who is having problems or difficulties
b) to save someone who is in a dangerous situation

つまり、a は、「問題や困難を抱えた人を助けること」。b は、「危険な状況にいる人を救うこと」。

辞書にはそのように、come のついた形で説明されていますが、今回のセリフのように、come なしの "名前+to the rescue" の形が、フレンズ1-23 で出てきたことがありました。
ブログ記事では解説していなかったので、ここで改めて触れておくと、、、

ロスの妻キャロルが出産という時に、掃除用具の部屋に閉じ込められてしまった、ロス、フィービー、スーザンの3人。
ロスとスーザンを足場にして、フィービーが通風孔から出られるかを確認することになり、フィービーはそこに置いてあった、「ベン」という名前の入った清掃人用の制服に着替えます。
これから、通風孔を覗こうとする時のセリフが、
フィービー: Hi, I'm Ben. I'm hospital worker Ben. It's Ben to the rescue! (はーい、僕はベン。僕は病院で働くベンです。救助に向かうベンです[ベンが救助に向かいます]!)

フィービーは胸に BEN のネームが入った緑の作業着を着ていて、これは hospital worker 「病院で働く人、病院の作業員」の服なのですね。
Ben to the rescue は「救助に向かう状態にある、救助に向かおうとしているベン」という感じでしょう。
It's Ben to the rescue! と叫んで「僕が行きまーす!」という感じで張り切って手を上げた後、フィービーは、♪タンタララーン、ランラン…♪みたいなメロディーを歌っていたのですが、これは、イギリス製作の人形劇「サンダーバード」(原題: Thunderbirds)のテーマ曲のような気がします。
バリー・グレイ作曲のこの「サンダーバードのテーマ」は、何年か前に、スバルのフォレスターのCM「秘密基地滝編」でも使われていました。

サンダーバードは、災害の救助に向かう「国際救助隊」(IR = International Rescue)の話です。
サンダーバードと to the rescue という言葉を検索すると、Thunderbirds to the Rescue というフレーズの入った画像がいろいろヒットしました。
以下のリンク先の、Amazon にあるDVDの画像がわかりやすいかな、と思います。(イタリア語版のようですがw)
Thunderbirds To The Rescue [Italian Edition]
Thunderbirds To The Rescue [Italian Edition]

上の Thunderbirds to the Rescue というタイトルのDVDは、テレビ版サンダーバードを編集した特別編のようです。

また、以下の Amazon リンク先のサンダーバードのサントラでは、曲目リストを見ると、ディスク2の7曲目のタイトルが、Thunderbirds to the Rescue となっています。
オリジナル・サウンドトラック「サンダーバード・完全盤」(初回限定生産)

そのように、Thunderbirds to the Rescue という定番フレーズがあり、ニュアンスとしては、「救助に向かうサンダーバード」という感覚になるでしょう。
フレンズ1-23 のフィービーが、to the rescue という言葉を使った後に、サンダーバードのテーマを口ずさんでいたのは、"Thunderbirds to the Rescue" のイメージが浮かんだから、なんでしょうね。
サンダーバードで脱線し過ぎましたが(笑)、そういう「名前+to the rescue」というフレーズが、今回のギャビンの件でも使われていることになります。

「助けに現れたギャビン」のようなニュアンスで、Gavin to the rescue と言った後、ゼルナー氏はさらに、Super Gavin とも言っています。
ゼルナー氏はギャビンのことをベタ褒め状態で、レイチェルは面白くないでしょうが、ゼルナー氏が言ったその大げさな言い回しをわざと使って、「ところで、スーパー・ギャビン」と呼び掛け、「私が(仕事に)戻ったら、あなたはどこに飛んで行く予定かしら?」のように尋ねます。
その where are you plan on flying off to? という表現について。
他動詞の plan 「〜を計画する」は、plan to do のように to 不定詞を続ける形で使われることもありますが、今回のように、自動詞として、plan on doing (動名詞)の形で使われることもあります。
plan on doing の形は、過去のフレンズにも出てきました。
私のお株を奪ったのよ フレンズ7-1その3 では、
モニカ: See, I've been waiting my whole life to be engaged, and unlike some people, I'm only planning on doing this once. (ねぇ、私はこれまでの人生ずっと、婚約するのを待ってたのよ。そして、他の人とは違って、私はこれ(婚約)をするのは一度だけと計画してるの。)
衣の人でも感情はある フレンズ7-16その5 では、
チャンドラー: Were you planning on telling me this? (君はこのことを俺に話すつもりだったか?)
という形で出てきました。

fly off to の off は「分離、離れる」、to は「〜に、〜へ向けて」という感覚ですから、「(ここを離れて)どこへ向かって飛んで行くつもり(計画)なの?」と言っていることになりますね。
Super Gavin という名前が、Superman などを連想させるようなヒーローっぽい名前なので、あんな風にビューンとどこかに飛んで行くのかしら? と言っている感じになるでしょう(実際に、後のセリフで、superhero という単語も出てきます)。

up to は「〜次第で」。It's up to you. 「あなた次第です。判断はあなたにお任せします」は決まり文句ですね。
I'm sure he'll make the right decision. は「彼が正しい決断をするだろうと、私は確信している」。
今回のエピソード、フレンズ9-11 では、"so you can make an informed decision." という表現も出てきました。
「決定する、決断する」という意味の make a decision という基本フレーズを覚えた後、informed や right を付け加えたバリエーションを増やしていくことで、言葉はより豊かになっていく気がしますね。

「次の異動先はどこになる予定?」と聞かれて、「ゼルナーさん次第だよ。彼の決断・判断は正しいと信じてるし」みたいに言ったわけですが、その上司がいる目の前でそういうことをさらりと言って、如才なく立ち回る様子に、レイチェルも「超ごますりパワーね」と言わずにはいられません。

leaveをvacationと言われ フレンズ9-11その2 で、brown の話から、brown-noser という言葉をご紹介したばかりでしたが、この ass-kissing というのもまさに「お尻にキスする」という同じニュアンスですね。
kiss someone's ass は「人にへつらう、ご機嫌を取る」。ass-kisser は「ゴマすり、おべっか使い」で、brown-noser と同じ意味になります。
Super Gavin とゼルナー氏に言われてたけど、ごますりパワーもスーパー級ね、みたいなことですね。


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posted by Rach at 14:28| Comment(2) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月11日

三度目のラバー&グルー フレンズ9-11その3

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あと2週間で、育児休暇から仕事に復帰する予定のレイチェル。
娘のエマをお披露目するために、職場のラルフ・ローレンに挨拶に行った時、「君の仕事を僕が引き継いでいた」と言う男性ギャビンに出会います。
そのことを知らなかったレイチェルは、ギャビンに、
レイチェル: Let me just get this straight! So I go have a baby, and they send some guy in to do my job? (この件について整理させて! それじゃあ、私が子どもを産みに行って(る間に)、会社は私の仕事をするためにある男をここによこす、ってこと?)
ギャビン: Well, there was talk of shutting down Ralph Lauren altogether. (あぁ、ラルフ・ローレンを完全に操業停止にする、って話もあったけどね。)
レイチェル: Yeah, yeah, okay. That's right. You're very cheeky for a temp. (ええ、ええ、わかった。そうね。あなたは臨時雇い(臨時採用)にしては、生意気ね。)
ギャビン: I'm not a temp. I was transferred here from another department. (僕は臨時じゃない。別の部署からここに異動になったんだ。)
レイチェル: Oh yeah, what department was that? The jerk department? (あら、そう。それって何部? イヤなやつ部?)
ギャビン: Oh, they didn't tell me about your quick wit. (おぉ、君の素早いウィット(機転)のことは彼らは僕に話してくれなかったよ。)
レイチェル: Did they mention that I'm rubber and you're glue? (私はゴムで、あなたは糊(のり)だ[私に言った言葉は、跳ね返ってあなたにくっつく]ってことは言ってた?)

get 〜 straight は「〜をストレート、まっすぐにする」ということから、「〜を整理する、〜をはっきりさせる」という意味になります。
込み入った話になって、「ちょっとこの件を整理させて。(つまりはこういうこと?)」という時に、Let me (just) get this straight. という表現はよく使われますね。

So I go have a baby, and they send some guy in to do my job? を直訳すると、「それじゃあ、私が子どもを産みに行く。そして彼ら(会社の上の人)は私の仕事をするためにある男を送りこむ」のようになるでしょうか。
意味としては、「私が子どもを産みに行っている間(子供を産むために仕事を離れて産休を取っている間)に、会社の人たちは、私の仕事をするためにある男を送りこんだ、ってこと?」みたいなことですが、go, send という現在形が使われているので、「私が産休を取る→会社は私の仕事をするための(別の)ある男をよこす」というような「経緯、しくみ」を説明している感覚があるように私には感じました。

レイチェルはご不満そうにそう述べていますが、「誰かが産休を取っている間に、代わりの者がその仕事をする」ことは一般的でしょうし、そんな風にキャンキャン言われても、普通は言われた方が困ってしまうでしょう。
ここでのギャビンの返事が、またなかなか洒落ていて、there was talk of shutting down Ralph Lauren altogether. と言っています。
altogether は「完全に、すっかり」という副詞ですから、文を直訳すると、「ラルフ・ローレン(の業務)を完全に(操業)停止にするという話もあった」になりますね。
「私の仕事をするために、別の人間をよこした会社」に対して文句を言っているようなレイチェルに、「君が産休に入ることで、君の仕事がストップするから、いっそのこと、その時に会社の業務を全面的に停止する、って案もあったんだけどね」と返していることになるでしょう。
つまり、言いたい内容としては、「自分が産休でいなくなり、君の仕事が止まるとなった時、代わりの者を用意することなく、会社の業務を全面停止すべきだったと言いたいのか?」みたいなことですね。
ただ、そういう感じの抗議の口調で言うのではなく、「会社を全面休業する案もあったんだけどね」みたいにさらっと言うところに、このギャビンというキャラクターの回転の良さが出ている気がします。

うまく返されてしまった(笑)レイチェルは、You're very cheeky for a temp. と言っています。
temp は、temporary staff の略で、「臨時雇い、臨時社員、派遣社員」のこと。
そう言えば、「テンプスタッフ」という名前の人材派遣会社もありますよね。

cheeky は「生意気な、ずうずうしい、厚かましい」。
Macmillan Dictionary では、
cheeky : behaving in a way that does not show respect, especially towards someone who is older or more important
つまり、「敬意を払わない方法で振る舞う、特に自分よりも年上またはより重要な人に対して」。

レイチェルが cheeky という言葉を使ったのは、「臨時採用のあなたが、正社員の私に対して生意気な口をきくのね」的な、ギャビンよりも自分の方が、会社にとって more important な存在である、という意識から来たものであるように感じます。
ギャビンは、「僕はテンプじゃないんだ」と言って、「別の部署からここに異動になった」と説明します。
「別の部署」と聞いて、「それって何ていう部署? The jerk department?」と返していますが、jerk は「いやなやつ、むかつくやつ」という意味で、これまでのフレンズでも何度か出てきました。
改めて英英辞典の語義を見てみると、LAAD では、
jerk : (informal) someone, especially a man, who is stupid or who does things that annoy or hurt other people
例) Ignore him. He's a total jerk.

つまり、「(インフォーマル) 愚かで、他の人を困らせる、または傷つけることをする人、特に男性」。例文は、「彼は無視して。彼って全くひどいやつなの」。

レイチェルは「あなたが前にいた部署っていうのは、”むかつくやつ”部? あなたみたいな、いやな男ばっかり集まってる部から来たの?」みたいなことを言っていることになるでしょう。
そう返されたギャビンは、「彼ら(会社の(上の)人)は、君の quick wit について僕に話さなかったよ」と言っています。
「クイックなウィット」でイメージが湧く通り、「素早い機知・機転」ということですね。
君がそんなに素早い機転がきく人だとは聞いてなかったよ、という意味になるでしょう。

それを受けてレイチェルは、「会社の人たちは、I'm rubber and you're glue だって言ってた?」と言います。
I'm rubber and you're glue. を直訳すると、「私はゴムで、あなたは糊(のり)だ」ということで、つまりは、「あなたの言った言葉は私(ゴム)で跳ね返って、あなた(糊)にくっつく」→「その言葉そっくり返す」という意味になります。
過去記事、その言葉そっくり返すよ フレンズ1-4その5 で、そのフレーズについて解説しています。
また、フレンズ2-17 では、その変形バージョンである he's rubber and you're glue の形が登場していました。
コメント欄で少し触れたことがあるのですが、記事中でそのやりとりを取り上げたことがなかったので、ここで改めて紹介しておくと、

フレンズ2-17 のワンシーン。髪をブローするために、モニカの家の洗面所からなかなか出てこない兄ロスにイライラしているモニカ。ドンドンドン! とドアを叩きながら、
モニカ: Get out, you doofus! (出てこい、このバカ!)
レイチェル: Or, ya know, he's rubber and you're glue. (もしくは、ほら、彼に言った言葉があなたに跳ね返るわよ。)
ロス: [comes out] All yours. ([洗面所から出てきて] どうぞ。)
モニカ: I hope you cleaned your hair out of the drain. (排水溝からあなたの髪の毛を取って掃除してくれてるといいんだけど。)
ロス: [in a childish voice] I hope you cleaned your hair out of the drain. ([子供っぽい(高い)声で(モニカを真似ている感じで)] 排水溝からあなたの髪の毛を取って掃除してくれてるといいんだけど。)
モニカ: Shut up! (黙れ!)
ロス: [childish voice] Shut up. ([子供っぽい(赤ちゃんのような)声で] 黙れ!)
モニカ: Cut it out! (やめて!)
ロス: [childish voice] Mi-mi-mii. ([子供っぽい声で] ミミミ!)

レイチェルが「ロスに言う言葉が、モニカ自身に跳ね返る」と言ったように、モニカがヒステリックに言っているセリフに対し、ロスは高い声で同じセリフを返していることになります。
このように、フレンズ1-4、フレンズ2-17 で出てきたフレーズが、今回久しぶりに フレンズ9-11 で出てきたことになるわけですが、日本語の直訳「ゴムと糊」では、いまいちピンと来ないこういう表現こそ、「一度覚えたら、インパクトがあって忘れにくい」ような気がしますね(^^)


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posted by Rach at 16:28| Comment(2) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月08日

leaveをvacationと言われ フレンズ9-11その2

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レイチェルはロスと一緒に、自分の娘エマをお披露目するために、職場であるラルフ・ローレンに来ています。
レイチェルが荷物を取るために、自分のオフィスに寄ったところ、そこにはある男性がいて、彼は "I'm Gavin Mitchell, the person who's taken over your job." 「僕はギャビン・ミッチェル。君の仕事を引き継いだ者だ」と名乗ります。
その後のシーン。
レイチェル: Wait a minute! What do you mean, you're taking over my job? (ちょっと待って! どういう意味よ? あなたが私の仕事を引き継いでる、って。)
ギャビン: Well, while you were on your baby vacation, I was doing your job. (あぁ、君が赤ちゃん休暇を取っている[赤ちゃんの件でバケーションを取っている]間に、僕が君の仕事をしてたんだ。)
レイチェル: A vacation? My idea of a vacation does not involve something sucking on my nipples until they are raw. (休暇(バケーション)ですって? 私が考えるバケーションは、皮がむけるまで私の乳首を吸うものがかかわる[伴う]ものじゃないわ。)
ギャビン: Clearly, you've never been to Sandals Paradise Island. (明らかに、君はサンダルズ・パラダイス・アイランドに行ったことがないようだね。)
レイチェル: Alright! Don't get too comfortable there, because I'm back in two weeks! And I want everything back to the way it was. I can't say that I care too much for the way you've rearranged my office. (いいわ! そこでいい気にならないで! だって私は2週間で戻るんだから! そして私は全てを前の通りに戻して欲しいの。あなたが私のオフィスを模様替えしたやり方を、私はあまり好まないのよね。)
ギャビン: I can't say I care too much for that smell you've brought in with you. (君が持ち込んだそのにおいを、僕もあまり好まないね。)
レイチェル: Excuse me? (何ですって?)
ロス: Rach, we have a code brown situation. (レイチェル、コード・ブラウンの事態だ。)
レイチェル: Can you please, please take care of it for me? (お願い、お願い、私のために、どうかそれ(おしめ)の世話をしてくれる?)
ロス: Alright, but you have to do one sometime. (いいよ、でもいつかそのうち、君もそれをしてくれないとね。)

take over は「(仕事・職務)を引き継ぐ」。
「あなたが私の仕事を引き継いでる、ですって?」と驚くレイチェルに、ギャビンという名の男性は「君が baby vacation の間に、僕が君の仕事をしていたんだ」と説明します。
赤ちゃんが生まれる際の育児休暇のことは、一般的には maternity leave と呼ばれることが多いですね。
それを、baby vacation のように「バケーション」と表現されたことに、レイチェルはムッとしていることになります。

改めて、英英辞典で、vacation の語義を見てみると、
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
vacation : a trip that you take to another place for pleasure
つまり、「娯楽・楽しみのために、他の場所へ行く旅行」。
その LAAD の THESAURUS (シソーラス、類語)の欄では、似たような意味の vacation, holiday, break, leave の意味が比較されて載っていますが、今回の話に関係のある vacation と leave を比較してみると、以下のようになっています。
vacation : time you spend away from school or work
例) We met when we were on vacation in Acapulco.
leave : a time when you are allowed not to work for a special reason
例) Angela is on maternity leave.

つまり、vacation の方は、「学校や仕事から離れて過ごす時間」。例文は「アカプルコで休暇中に、私たちは出会ったの」。
leave の方は、「特別な理由のために、働かなくてもよい(と認められた・許された)時間」。例文は「アンジェラは育児休暇中だ」。

leave の例文にも出ているように、出産・育児のために認められている休暇は maternity leave と表現するのが一般的なわけですが、その用語を知らないわけでもないだろうのに、わざと on your baby vacation と、日本語の「バケーション」という言葉のイメージのような「遊びのための休暇」的な言葉を使って言ったことに対して、レイチェルは怒っているわけですね。

それでレイチェルは、「バケーションですって?」と抗議の口調で言った後、My idea of a vacation... 以下のセリフを言っています。
ちょっと長いそのセリフを、前から順番にイメージしていくと、
My idea of a vacation 「休暇の私の考えは」→「私の考える休暇(vacation)というのは」
does not involve something 「(〜する)何かを伴うものではない」
(something) sucking on my nipples until they are raw 「ひりひりする[皮がむける]まで、私の乳首に吸い付く(何か)」
になるでしょう。
LAAD では、
raw : (SKIN) a part of your body that is raw is red and sore
と説明されています。
つまり、「(皮膚) raw である体の一部は赤くて、ひりひりしている」ということですね。

日本語っぽい語順にすると、「私が考える vacation っていうのは、(皮がむけそうなほど)ひりひりするまで私の乳首に吸い付く何かを伴うものじゃないわ」と言っていることになります。
赤ちゃんを子育て中のレイチェルが語っていることなので、「私の乳首に吸い付くもの」というのはお乳を飲む赤ちゃんのことですね。
「授乳中に痛くなるほど乳首を吸われる」ことを言っていて、そんな状態を「バケーション」と言われるのは心外だわ、というところでしょうが、こんな風に「乳首」の話を出すと、エッチな方向のジョークに持って行くのがフレンズのパターンである通り(笑)、今回もそっち系のジョークのオチになっています。
過去記事、時間のかかる子もいる フレンズ9-1その4 でも、"Do you think my nipples are too big for her mouth?" (エマの口には私の乳首が大きすぎる、ってあなたは思う?)というセリフがあり、言われたジョーイが困っているシーンがありましたよね。

ギャビンは「明らかに、君は Sandals Paradise Island に行ったことがない(ようだね)」と言っていますが、そのアイランド(島)の固有名詞にピンと来なくても、「パラダイス(楽園)」という言葉から、娯楽・快楽のために訪れる感じの島であることがイメージされますね。
ネットスクリプトでは Sandles と表記されていたのですが、DVD英語字幕 では Sandals となっており、(私はそういうリゾート地のことには疎いものでw) とりあえず Sandals Paradise Island で検索してみると、バハマのリゾートホテルの名前がいろいろ出てきました。
バハマの首都ナッソーがあるニュー・プロビデンス島に Sandals という名前のリゾートホテルがあり、パラダイス島はナッソーの近くにあるようですから、その辺りのリゾートのことを、Sandals Paradise Island と表現しているようです。

楽園と名の付くリゾート地であることから、そこここに恋人同士がいていちゃついているようなイメージも湧きますので、そこでバケーションをとっている人たちは、そういう部分がひりひりするほど(まぁ、激しいw)エッチな行為にふけっているというオチで、そのリゾートの名前を出したことになるでしょう。
レイチェルが nipples がどうの、、という話をした時点で、それ系のオチが来ることは予想されてはいましたが、「赤ちゃんがママのおっぱいを吸う」という微笑ましい描写をエッチ系の話に置き換えると、俄然いやらし〜ぃ描写になってしまうというところがコメディーのオチに使われやすい点でもありますね。
また、ギャビンのセリフでは、その行為を露骨に表現することなく、「ハバマのリゾート地のバケーションでは、そういうことがあるよ」という意味で「バハマのリゾート地には君は行ったことがないようだね」と言っているのも、なかなか洒落ているなぁ、と思いました。
言葉自体はやらしくないけど、よくよく聞いてみると、ギャビンすごいこと言ってるよね、という意味で洒落ているなぁ、と思ったわけです^^

ギャビンがそういうしれっとした返しをするので、レイチェルはさらに怒りが増した様子。
Don't get too comfortable there を直訳すると、「そこで快適になり過ぎないで」みたいなことですね。
私は2週間後に戻るんだから、何だかいい気になってるようだけど、調子に乗リ過ぎないでよね、みたいなところでしょう。
in two weeks の in は「〜後に」という意味ですね。
within 「〜以内に」のような意味に間違えやすいので、気を付けたいところです。

And I want everything back to the way it was. は、「全てを(そうであった)元の状態に戻したい(と思う)」ということ。
I can't say that I care too much for the way you've rearranged my office. の文の構造は、「あなたが私のオフィスを再配置した(配置換えをした)方法を非常に care for するとは言えない」になります。
この場合の care for は「〜を好む」という意味ですね。
この文は、最初に I can't say that という否定文が付いていますので、「非常に好む、とは言えない」のように、「好まない、好きではない」ということを少し回りくどい言い方を使って、ダイレクトにならないように表現していることになるでしょう。

LAAD にも、否定文での care for が項目として挙がっていて、
not care for somebody/something : to not like someone or something
例) I don't really care for Jeff's parents.

つまり、「誰か・何かを care for しない、というのは、誰か・何かを好きではないこと」。例文は、「私はジェフの両親はそんなに好きではない」。

この例文も、誰かの親を好きではない、という話をしているわけですが、人の親をダイレクトに「嫌い」と表現するのははばかられるので、このように not (really) care for 「そんなに好きではない」と言っていることになるでしょう。
今回のレイチェルのセリフも、「あんまり好まない」という表現ではありますが、「あなたが私の部屋をこんな風に勝手に模様替えしたのが、超気に入らないんだけど!」というのが本音ですね。
それに対して、ギャビンも同じ、I can't say I care too much for... という表現を使って、「君が(君と一緒に)ここに持ち込んだそのにおいが気に入らないな」と返しています。
ギャビンの言った the smell の意味がわからなくて聞き返したレイチェルですが、ロスはその意味がわかったようで、we have a code brown situation. と言っています。
「コード・ブラウン(茶色)の状況」という言葉から何となく察しがつきますが、これは、赤ちゃんのエマがおしめの中でうんちをしてしまっている、ということですね。

brown が「うんち」を意味しているという単語では、brown-noser が典型的な例になるように思います。
過去記事、フレンズ2-23その26+brown-noserの話 でも、brown-noser という言葉について、詳しく解説しています。
意味は「人におべっかを使う、ゴマをする、こびへつらう」ということですが、「人のお尻にキスをする→うんちがついて、鼻が茶色になる」というのが、その語源だそうです。
この言葉の意味と語源が記憶に残っていた方は、今回の a code brown situation にもピンと来たのではないでしょうか?
この後も、「うんち、おしめ」のような具体的な単語は出てきませんが、「お願いだから、私のために、それの世話をしてくれる?」という表現から、「今、このギャビンという男と仕事のことでモメてて大変だから、私の代わりにおしめ替えの世話をしてくれる?」と言っていることがわかりますね。
ロスは Alright と引き受けるのですが、付け足しのように言った「でも君はそれをいつか(そのうち)しないといけないよ」というセリフから、「おしめ替えはいつも僕(ロス)がやってる。たまにはレイチェルもやってよね」と言っていることがわかります。
「今、こんな状況だから、お願い、ロス、おしめの世話をして!」と言っているレイチェルでしたが、こんな状況でなくても(笑)、いつもロスにお願いしていることがわかってしまったというオチになるわけですね。


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posted by Rach at 15:02| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする