2015年06月29日

slim pickings フレンズ9-14その4

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ロスとレイチェルが、それぞれ別の人とデートしようとしていると知って、ジョーイとフィービーは「二人はお似合いなんだから、お互いの良さに気づくべきなのに」という話をしています。
フィービー: You know what? Maybe once they start dating and see what's out there, they'll realize how good they are for each other. (ねぇ。多分、一度、二人がデートすることを始めて、世間にあるもの[世間にいる人]を見たら、自分たちがお互いにとってどんなに良いかってことに気づくわ。)
ジョーイ: Yeah, because it is slim pickings. I had this date last night. Yuck! But we should probably keep it down, she's still in the bedroom. (あぁ、だって、選択肢は少ないからね。俺も昨日の晩、あるデート相手がいたんだ[ある人とデートしたんだ]。うへっ!(って感じだったよ。) でも多分俺たちは、静かにする(大きな声を出さないようにする)べきだ、彼女はまだ寝室にいるんでね。)
フィービー: So, what are we gonna do? Are we just gonna go ahead and set them up with people? (それで、私たちはどうすればいいの? 私たちはただこのまま進んで、二人に他人をセッティングすることになるの?)
ジョーイ: I know, that just pushes them further and further apart. (そうだね、それってただ二人をどんどん遠くに引き離すだけだよ。)
フィービー: Yeah. Oh, I know what we can do. We could set Ross and Rachel up on horrible dates, so that they'll realize how good they are together. (そうね。あぁ、私たちにできることがあるわ。私たちはロスとレイチェルに、ひどいデート相手をセッティングすることができる、そうすれば二人が一緒ならどんなに素敵かってことに気づくわ。)
ジョーイ: Ooh, that's a great plan! (おぉ、それはいいプランだね!)

Maybe once... の文章は長めですが、once they start doing... they'll realize 「二人がいったん〜し始めたら、彼らは気づくだろう」というのがメインの部分ですね。
前半は「いったん二人がデートし始めて、世間に何があるか(どんな人がいるか)を知ったら」、後半は「彼らがお互いにどれほど良いかということに気づくだろう」になります。
out there は「世間で、世の中には・世の中では」というような、世間という外の世界を指す感覚。
広く世間を見て、そこにどんな人たちがいるかを知ったら、やっぱりそういう人たちの中には自分にぴったり合う人はいない、ロスとレイチェルがお互いにとって最高の相手であることに気づく、とフィービーは言っていることになります。

ジョーイはそれに同意して、because it is slim pickings と言っています。
pick という動詞にはいろいろな意味がありますが、この場合は「選ぶ」ということで、pickings という名詞の複数形では「選択肢」という意味になります。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
pickings [noun] [plural] (informal) : something or a group of things that you can choose from
easy/best/rich etc. pickings
例) There were rich pickings on the stock market at that time.
slim/lean/meager etc. pickings (= when there are not many good things or opportunities to choose from)


つまり、pickings は「(複数形) それから選ぶことのできる何か、またはもののグループ」。
例文は「その時、株式市場では豊富な選択肢があった」。
slim pickings (lean pickings, meager pickings) は、「選ぶための良いものや良い機会が多くない時」。

slim の項目にも、slim pickings が載っていて、以下のように説明されていました。
slim pickings : (informal) used to say that there is not enough of something
つまり、「何かが十分にはないことを言うために使われる」。

ですから、「世間の人を見れば、お互いが自分にとって最高だとわかる」と言ったフィービーに対して、「あぁ、だって(世間では)選択肢は少ないからね、自分に合った人なんて、そうそういないからね」と、返したことになるでしょう。

そのように、slim pickings は「選択肢が少ない」という意味になるわけですが、その意味を使ったジョークっぽいやりとりが、過去のフレンズで既に登場していました。
ブログの解説では飛ばしてしまった部分ですが、フレンズ9-3 で、チャンドラーが、モニカが働けそうなレストランがタルサにあるかどうかを探している、というシーンがあり、その時のやりとりが以下のようになっていました。
モニカ: That's so sweet. Find anything? (それってすっごく素敵ね。何か見つかった?)
チャンドラー: Slim Pickins. (スリム・ピキンズ。※この部分、DVD英語字幕では、Slim Pickins. ネットスクリプトでは Slim Pickings. と表記されていました)
モニカ: Nothing, huh? (なかった、のね?)
チャンドラー: No. Slim Pickins. It's a barbecue joint. They're looking for a cook. Actually "cook" may be a bit of a stretch. They're looking for somebody to shovel mesquite. (違うよ。スリム・ピキンズって名前(の店)だよ。バーベキュー屋だ。コックを探してる。実際には「コック」っていうのは拡大解釈かもしれない[無理があるかもしれない]けど。彼らはメスキート(植物名)を掘る人を探してるんだ。)

このやりとりに登場している、Slim Pickins (slim pickings) というのが、言葉のジョークになっています。
「選択肢が少ない」→「いい物件が見つからなかった」という意味かと思ったモニカが、Nothing, huh? 「つまり、なかった、ってことね?」と返したところ、その「スリム・ピキンズ」というのはお店の名前だった、とわかる仕組みです。
ネットスクリプトを書いた方は、まさに「選択肢が少ない」という名前のお店だと捉えたということで、DVD英語字幕ではそれによく似た発音の Slim Pickins という名前の表記を使っていることになります。
pickin という単語を調べてみると、Macmillan Dictionary に以下のように載っていました。
pickin : NOUN [COUNTABLE] (WEST AFRICAN) a young child
つまり、「(西アフリカ語) 若い子供」。

また、スリム・ピケンズ(Slim Pickens)という名前のアメリカの俳優さんもいるようですね。
Wikipedia 日本語版: スリム・ピケンズ
ロデオパフォーマーでもある、彼のこの名前は本名ではなく芸名で、ウィキペディアによるとその由来は「ほんの少しの金(slim pickings)」から来ている、とのことでした。
Macmillan Dictionary には、
pickings : money or things that are available to be taken
つまり、「テイクすること(取ること)が可能な金やもの」という意味も載っていますので、「ほんの少しの金」という意味にもなるようですね。

Slim Pickins という表記の意味については、「スリムな(若い)子供」という意味なのか、そのロデオ俳優さんの名前をイメージしているのかはよくわかりませんが、「選択肢が少ない」というそのまんまの名前だと、ちょっとひねりがないので、よく似た別の単語を使って、店の名前っぽくしてみた、というところでしょうか。
これについては、ネットスクリプト通り、Slim Pickings という名前だと捉えても特に支障はないと思われます。
「候補が少ない、ほとんどない」という意味に勘違いするような店名であった、ということがわかればいいわけですからね。
この部分、DVDの日本語訳は「スズメの涙」と訳されていました。まさに、「少ない」という意味であり、店の名前としても成立しそうな言葉、を訳者の方も選ばれたわけですね(^^)

ちなみに、mesquite は、LAAD で以下のように説明されていました。
mesquite : a tree or bush from the northwest U.S., or the outer covering of this tree, used when cooking food on a barbecue to give it a special taste
つまり、「アメリカ北西部産の木または低木、またはこの木の外皮。バーベキューで食べ物を調理する時に、特別な味覚(テイスト)を与えるために使われる」。
ということで、「バーベキューの燻製用チップ」として使う植物のようですね。
「燻製用チップになる木を掘る人を探してるってことだから、コックってのは言い過ぎかもしれないけど」とチャンドラーは言ったことになります。

(今回のエピソードに戻ります)
その後、「世間で自分に合う人を見つけることは難しい」の話の続きとして、I had this date last night. と言っています。
have a date は「デートする」という意味もありますが、date は「デートの相手」のように人物を指すこともできるので、この場合は「昨日の晩、あるデートをしたんだ」でもいいですし、「昨日の晩、あるデートの相手がいたんだ(ある子とデートしたんだ)」のように、人を指すニュアンスで解釈することも可能かなと思います。

Yuck! は「うへっ!」という感覚で、その声と顔から、デート相手のことが気に入らなかったことがわかります。
keep it down はここでは「大きな声を出さない、静かにする」というニュアンスで、「俺たちは多分、静かにすべきだ、そのデート相手の彼女はまだ(俺の)寝室にいるから」と言っていることになります。
Yuck! のように思い出すのもいや、みたいな顔をしておきながら、ちゃっかり寝てたんかい! とツッコミたくなるところですね。

フィービーは「私たちこれからどうするの? どうすればいい?」と言って、「私たちはただこのまま進んで、彼らに人(他人)をセッティングすることになるの?」と続けています。
go ahead は「前に進む」で、set up はまさに「デート相手をセッティングする」ということですね。
このまま、手立てを講じることなく、彼らの言われる通りにしていたら、二人に誰かを紹介しないといけなくなっちゃう、と心配するフィービーに、ジョーイも、that just pushes them further and further apart. と言っています。
直訳すると、「それ(二人に別の相手を紹介すること)はただ、彼らをより遠くへ遠くへと押し離すだけ」みたいになるでしょうか。
もう少し、日本語っぽくすると、「別の人を紹介しちゃったら、二人は(今より)もっともっと遠くに離れちゃうよ」と言っていることになるでしょう。

その後、フィービーは何か思いついた様子で、「私たちにできることがわかるわ」と言って、「ロスとレイチェルにひどいデート相手をセッティングすることができる、そうしたら彼らは二人が一緒にいることがどんなに良いかってことがわかるわ」と言います。
「世間の人を見たら、お互いが最高だとわかるのに」と言っていたことを踏まえ、「紹介して! って言われているから、それはもう最悪の相手を紹介しちゃいましょうよ」というプランを出して、ひどいものと比べることでお互いの良さに改めて気づかせよう、ということですね。


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posted by Rach at 16:46| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月25日

誰かが俺の名字を継がないと フレンズ9-14その3

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[Scene: Joey and Rachel's apartment. Joey is there as Phoebe enters.]
ジョーイとレイチェルのアパートメント。ジョーイがそこにいて、フィービーが入ってくる。
フィービー: Hey. (はーい。)
ジョーイ: Hey. I was just gonna get something to eat. You want something? (やあ。ちょうど何か食べようとしてたところだ。何か欲しい?)
フィービー: What you got? (何があるの?)
ジョーイ: (checks the refrigerator) Okay, let's see, we got strained peas, strained carrots... Ooh! Strained plums. We haven't tried that yet. ([冷蔵庫をチェックして] よし、えーっと、裏ごしした豆、裏ごししたニンジン… おぉ! 裏ごししたプラムだ。それはまだ試してないよ。)
フィービー: Goody! Thanks. So how is it living with Rachel again? I mean, apart from the great food. (すてき! [離乳食の瓶をもらって] ありがと。それでまたレイチェルと一緒に住むっていうのはどう(どんな感じ)? つまり、素敵な食べ物は別にしてね。)
ジョーイ: I'm fine, I'm fine. It's just, it's just weird what's happening with her and Ross. You know, yesterday he asked me to fix him up with somebody. (大丈夫、大丈夫だよ。ただレイチェルとロスの間に起きてることが変だな、ってことだけだよ。ほら、昨日、ロスは俺に、誰かを紹介してくれって頼んだんだぜ。)
フィービー: Oh my god, Rachel asked me if I knew anyone for her too. (なんてこと。レイチェルも私に、自分に合う誰かを知ってるか、って尋ねてきたわ。)
ジョーイ: Why are they doing this? (どうして二人はこんなことするんだろうね?)
フィービー: I don't know. They're so perfect for each other. It's crazy. (さあね。二人はお互いにとって完璧なのに。おかしいわよ。)
ジョーイ: You know what's crazy? These jars. What is there, like, two bites in here? (おかしいって言えば何かわかる? この瓶だよ。そこに何が入ってる? ほら、ここには2口だけだよ。)
フィービー: I just wish they'd realize they should be together. (私はただこう願うわ、二人は一緒にいる(一緒になる)べきだって、二人が気づく[悟る]といいのに、って。)
ジョーイ: I know, I know. And when they moved back in together, I figured y'know, that's where things were headed. (そうだね、そうだね。そして、二人が一緒に住み始めた時、それ(二人が一緒にいるべきだと彼らが気づくこと)に向かって(物事は)進んでいくんだろうな、って俺は思ってたんだよ。)
フィービー: I know. They should be a family. They should get married and have more children. (そうね。二人は家族になるべきよ。二人は結婚して、もっと子供を持つべきよ。)
ジョーイ: Yes. And they should name one of their kids Joey. I may not have kids. Someone's gotta carry on the family name. (そうだね。そして、二人は子供の一人にジョーイと名前を付けるべきだ。俺は子供を持たないかもしれないから。誰かが俺の名字を継いでくれないと。)

ジョーイの家にフィービーがやってきたので、ジョーイは「俺は今から何か食べようとしてたところなんだけど、何か欲しい?(フィービーも何か食べたい?)」と尋ねます。
それに対してフィービーは、What you got? と尋ね、ジョーイも冷蔵庫の中身をチェックしながら、we got... と言って、冷蔵庫の中にあるものの名前を挙げて行っています。
この話の流れから、意味としては、「何があるの?」「うーんと、(冷蔵庫には)これとこれがある」と言っていることはわかりますが、ここが「見た目が、過去形の got になっている」ことに引っかかる日本人英語学習者の方も結構多いように思うのですね。
この got は、「have(持っている)の意味で使われる got」で、(宣伝になって申し訳ないのですがw)拙著「読むだけ なるほど! 英文法」の p.176 でも、「got が、have の意味で使われることがある」という項目で説明させていただいています。
拙著では、I got leftovers in the fridge. (冷蔵庫の中に残り物がある。)という文を例文として使っていますが、今回のように、フレンズでは、「冷蔵庫に(〜という食べ物)がある」と表現する場合に、この got がよく使われることを踏まえて、そういう例文にしたわけですね^^

「(何か食べる?って言うけど)あなたの家には何があるの?」とフィービーが尋ねたので、ジョーイは冷蔵庫を物色しながら、we have... の意味で、we got... と言いながら、strained peas, strained carrots... Ooh! Strained plums. と、やたらと、strained という単語の入った食品を挙げています。
strain は「(ぴんと)引っ張る」という意味で使われることが多いですが、今回は「液体などを濾す(こす)、(食べ物を)裏ごしする」という意味で使われています。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
strain [verb] : LIQUID [transitive] to seperate solid things from a liquid by pouring the mixture through something with very small holes in it
例) Strain the sauce through a sieve.

つまり、「固形物を液体から分離すること、非常に小さい穴がある何かを通して、(固体と液体の)混合物を注ぐことで」。
例文は、「ざる(ふるい、こし器)を通してそのソースを濾しなさい」。

ここでは、豆、ニンジン、そしてプラムを濾したもの、裏ごししたものが挙げられていますが、やたらと「裏ごししたもの」ばかりが出てくるのは、赤ちゃんのエマが住んでいるから、その離乳食として、裏ごししたペースト状のものばかりが冷蔵庫に入っている、ということですね。
We haven't tried that yet. は「それ(直前に言った”裏ごししたプラム”)は、まだ試してない」ということですが、主語が we になっていますね。
実際には、エマの離乳食を食べてみたりしているのはジョーイだけなので、I haven't のように主語を I にして、「俺はプラムはまだ試してない」と表現しても良いのでしょうが、これから一緒に離乳食の試食会(笑)みたいなことをしようとしているフィービーも含める形で、「俺たちは(君も含めて俺も)、プラムはまだ試してないよ」と表現している感覚になるだろうと思います。
自分一人が行う行為ではなく、これから二人で一緒にやろうとしていることに関する話だから、「やったかやらないか」の話を語る時にも、主語を we にして表現しているということでしょう。

goody は、研究社 新英和中辞典では、
goody 【間】 [特に子供が喜びを表わして] すてき!、すごーい!、うれしい!
と出ています。

フィービーはジョーイと一緒に離乳食を食べながら、「レイチェルとまた一緒に住むのはどんな感じ?」と尋ねています。
apart from は「〜は別にして、〜はさておき」ということで、the great food は今食べている離乳食のことを指しています。
赤ちゃんを子育て中のレイチェルがいることで、離乳食が食べられる、というような食べ物的な話は別にして、レイチェルとの同居はどう? と尋ねていることになりますね。

ジョーイは「俺は大丈夫、問題ない」みたいに言った後、「レイチェルとロスに起こってることがただ変だな、ってだけだよ」と続けます。
fix up は「取り決める、手配する、手筈(てはず)を整える」ということで、fix up with 人、だと「デートの相手を見つける・紹介する」というようなことですね。
昨日、ロスが俺に、デートの相手を用意してくれ、見つけてくれ、と頼んできたんだよ、とジョーイが言うと、フィービーは驚きの声を上げて、「レイチェルも私に、レイチェルのために誰か(いい人を)知っているかどうかって尋ねてきた」と同じような内容を言っています。

ロスとレイチェルが、それぞれ同性の友人にデート相手の紹介を頼んだと知って、「何で二人はこんなことするんだろ」「二人はお互いにとってものすごく完璧なのに(二人は相性ぴったりなのに)。ばかげてる」と言います。
crazy という言葉を使ったフィービーに対して、ジョーイは「何がクレイジーかわかる?」と言った後、「この瓶(これらの瓶)だよ」と言って、今、自分が食べている離乳食の小さな瓶を示します。
What is there, like, two bites in here? を直訳すると、「そこには何がある(入ってる)? ほら、この中に二口(ふたくち)?」みたいなことですね。
スプーンですくえば、2回で終わってしまうようなわずかな量しか入っていないことを、「何がクレイジーかって言えば、この瓶の中身の少なさだろ」と言ってみせたわけですね。

I just wish they'd realize they should be together. は、I wish they would の形で、「彼ら二人は一緒になるべきだということに彼ら二人が気づいてくれたらなぁ、とただ思うわ」ということ。

And when they moved back in together, I figured y'know, that's where things were headed. について。
back のない move in together というフレーズは、「引っ越して一緒に住む、一緒に住むために(同じ場所に)引っ越す」というニュアンス。
同居すると切手代が減る フレンズ5-21その4 でも、
フィービー: We're moving in together! (私たち(引っ越して)一緒に住むのよ! )
というセリフが出てきました。

ここで、back がついているのは、get back together 「よりを戻す」のようなニュアンスだろうと思います。
実際には、「また交際を始めた」わけではなかったものの、「二人がよりを戻すかのような形で、一緒に住む」ことを、move back in together と表現しているのだろうと思ったわけですね。

I figured that's where things were headed. は、「それが、物事(状況)が向かって進む(目指す)場所だ、と俺は思ってた」になるでしょうか。
「二人が同居を始めた時に、向かっているのはそこだと思った」ということで、that が指しているものは、その前にフィービーが言った「二人が一緒にいるべきだと二人が気づくこと」になると思います。
フィービーが「二人は一緒にいるべきだと気づけばいいのに」と願望を述べたことに対して、ジョーイは、「二人が同居し、一緒に生活することで、”二人は一緒にいるべき”だと気づくようになる」→「二人の同居はそういう気づきに繋がることになると思っていた」と言っているように私は感じた、ということですね。
一緒に住んでいれば、居心地よくてお互いの良さもわかるはず、自然とまた恋愛感情が芽生えるはず、と思っていたのに、みたいなことになるでしょう。

フィービーが「二人は家族になって、もっと子供を持つべきだ」と言うと、ジョーイはそれに同意して、「二人は自分たちの子供の一人にジョーイと名前を付けるべきだ」と言います。
その理由として、「俺は子供を持たないかもしれない。誰かが俺の名字を継がないといけない」と言っていますね。
carry on は「続ける」という意味なので、名字の話だと「名字を継ぐ、継承する」ということになります。
ジョーイという名前はファースト・ネームで、ジョーイの family name はトリビアーニの方ですから、ジョーイはかなりボケたことを言っていることになります。
それを聞いたフィービーも、一瞬「おや?」という顔をしますが、特にその間違いを指摘することなく、まあいいか、みたいな顔でスルーし、次の話題に移ってしまうのもフィービーらしいところ。
また、脚本の流れ的には、ここでツッコミを入れない(ジョーイに間違いだと気づかせない)ことで、このネタをまた後でもう一度使おうと考えている、という脚本家たちの意図が見えるように思います。
実際、この「名前」ネタは後でまた登場するのですが、「さらっと流しておいて、同じネタを再度使う」というパターンは、日英問わず、お笑いの定番パターンと言えそうですね。


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posted by Rach at 13:07| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月22日

うっかり入って邪魔してしまう フレンズ9-14その2

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娘のエマをロスに預けて、レイチェルが仕事に出かけた後、
ロス: Bye! Hey, I hope Emma isn't making it too hard on you. (バーイ! ねぇ、エマのことで君が大変じゃないといいんだけど。)
ジョーイ: No, hey, it's been great. (いや、ほら、ずっと最高だよ。)
ロス: Yeah? (そう?)
ジョーイ: Yeah. And look, I just want you to know that with Rachel staying here and everything, all my feelings from before are totally over, okay? And even if they weren't, when you accidentally walk in on a woman using a breast pump.... (あぁ。で、お前に知っておいてほしいんだけど、レイチェルがここにいることとか何やかんやで、以前からの俺の気持ちは全て、完全に終わったよ。そして、たとえそれが終わってないとしても、女性が搾乳器を使っているところにうっかり入ってしまった時には…)
ロス: Yeah, that'll do it. (あぁ、それは功を奏するよね[それって効くよね]。)
ジョーイ: Wow! So, how are you? (ワォ! それで、気分はどう?)
ロス: I'm, I'm okay. (僕は、僕は大丈夫だよ。)
ジョーイ: Really? (ほんとに?)
ロス: Sure, I mean, do I wish me and Rachel living together would have worked out? Of course. You know, I'm disappointed, but it's not like it's a divorce. (あぁ。ほら、僕とレイチェルとの同居がうまくいってたらなぁ、って思うかって言うと、それはもちろんそう思うよ。ほら、僕はがっかりはしたけれど、でも、離婚ってわけじゃないからね。)
ジョーイ: Well, actually it-- (あぁ、(でも)実際にはそれは…)
ロス: No, it's not a divorce. It is not a divorce! Anyway, I think Rachel and I need to, you know, get on with our lives. Maybe, maybe start seeing other people. (いいや、離婚じゃない。離婚じゃないの! とにかく、レイチェルと僕は、ほら、自分たちの人生を進めることが必要だと思うんだ。多分、多分、別の人と付き合うってことを始める必要があると思うんだよ。)

I hope Emma isn't making it too hard on you. の make it hard on は、前回出てきた make it easy on の反対のニュアンスですね。
「状況を人にとってハードに(つらい・厳しいものに)する」という感覚で、エマがいることで、ジョーイの状況や環境がジョーイにとってつらくて苦しいものになっていないといいんだけど、と言っていることになるでしょう。
ジョーイは、「エマのことで困ったことにはなってない」と No で否定し、「エマたちが来て以来、ずっと最高だよ」と現在完了形で great であることを言っています。

そしてジョーイは、「ただお前にこのことを知っておいてほしいんだけど」と言って、that 以下の内容を続けています。
that 以下の内容は、with Rachel staying here and everything, all my feelings from before are totally over となっていて、前半は、「レイチェルがここにいることとか、その他何やかんやで」になるでしょう。
and everything は「その他何やかんや(何やかや)」という意味で、Rachel staying here 「レイチェルがここにいる(滞在している)ということ」という動名詞の後につけて、「レイチェルがいることだけじゃなく、それに関係するその他もろもろも含めて」と、Rachel staying here だけに限定していない感じを出していることになります。
with+動名詞で、「人が〜するという状況で、状況があって・状況のおかげで」のように、動名詞で語られる部分を付帯状況を表す with で表現していることになります。
後半は「以前からの俺の感情の全ては完全に終わった」ですね。
ですから、「レイチェルがここにいる(俺と一緒に住む)という状況があって、その状況のおかげで、以前抱いていたレイチェルに対する気持ちの全ては消えちゃったよ」ということになるでしょう。

「彼女への気持ち・感情は終わった」と言った後、And even if they weren't と仮定法過去を使って、「たとえもしその感情が終わってない・消えてないとしても」と言った後、when you... 以下の文章を言っていますね。
その when you accidentally walk in on a woman using a breast pump.... について。
まず、breast pump は「胸ポンプ」という言葉から想像できるように、母乳をポンプの要領で搾乳する「搾乳器」のことですね。
walk in on は「人が〜しているところに(うっかり・邪魔する形で)入ってくる」という感覚。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
walk in on somebody [phrasal verb] : to go into a place and interrupt someone who you did not expect to be there
例) I walked in on Joe and Susan kissing in his office.

つまり、「ある場所に入って、そこにいるとは予期していなかったある人の邪魔をすること」。例文は、「オフィスでジョーとスーザンがキスしているところに、私はうっかり入って(邪魔して)しまった」。

when you accidentally walk in on... のように、主語に you が使われていますが、これは特にジョーイの話し相手であるロスを指しているのではなく、「相手のロスも含めた一般の人々を表す you」を使って、自分の体験談を述べる、というものですね。
その体験談の内容は、「ある女性が搾乳器を使っているところに、うっかり入ってしまう時」ということ。
つまりジョーイは、「たとえまだ、レイチェルへの感情が完全に消えていないとしても、彼女が搾乳器を使ってる姿をうっかり見ちまった日にゃあ、、(そういう気持ちも完全に消し飛んでしまうよな)」ということが言いたいわけですね。
男性にとっては、セクシーさを感じさせる部位である胸エリアですが、搾乳器という器具を装着されて母乳製造機(笑)みたいになっているさまを見ると、気持ちも萎えちゃうわな、みたいなことが言いたいのでしょうね。
それを聞いたロスも、「ジョーイの意見には全く同意だよ」というような顔と口調で、Yeah, that'll do it. と言っています。
do it は、フレンズのような恋愛コメディーでは、「エッチする」という意味で使われることが多いですが、この場合の do it は「効果・威力を発揮する、功を奏する」という意味で使われているように思います。

英辞郎では、
do it=【1】功を奏する、効力[効果]を発揮する、成功する

大修館書店 ジーニアス英和辞典では、
do it 功を奏する
Quick-fix dieting won't do it. 急場しのぎのダイエットをやってもだめだ
Steady does it. 着実にやるのがよい (形容詞・副詞が主語になることがある)


do it が「功を奏する」という意味になることについて、私の考えを述べさせていただきますと、「it(頭の中でイメージしていること)をする」ということですから、「目的としていることをする・遂行する」→「効果を発揮する、功を奏する」という意味になる、ということだろうと。

この場合も、「レイチェルへの気持ちがたとえ消えていなかったとしても、搾乳器を使ってる現場を見ちゃったら」という話の流れなので、ロスがそれに対して、That'll do it. 「それ(that=そういう現場を見てしまうこと)は、do it (そういう効果を果たす)」と表現することで、「それって(恋愛感情を消すのに)功を奏するよね、効果を発揮するよね」と言ったことになるだろうな、と思ったわけですね。

ジョーイは、レイチェルとの別居を解消したロスを気遣う様子で、How are you? 「気分はどう? 調子はどう?」と尋ねています。
ロスが「僕は大丈夫だよ」と言った後のセリフ、do I wish me and Rachel living together would have worked out? について。
疑問文の形になっているので、それを平叙文に直すと、I wish S would have p.p. の形になります。
これは、「過去の事実とは反対の仮定(この場合は願望)」を表す仮定法過去完了ですね。
living together 「一緒に住むこと」の意味上の主語が me and Rachel (目的格)になっており、これで「僕とレイチェルが一緒に住むこと」という意味の動名詞になります。
work out は「うまくいく、良い結果となる」なので、平叙文に直した形で意味を取ろうとすると、「僕とレイチェルが一緒に住むことがうまくいけば良かったのになぁと僕は思う(実際には失敗してしまったけれど)」というニュアンスになります。
それを疑問文にしているので、「二人の同居がうまくいけば良かったのになぁ、と僕が思うかって? もちろん(そう思うよ)」というように、自問自答する形で表現していることになるでしょう。
「僕は大丈夫、とは言うものの、そりゃあ、同居がうまくいけば良かったなぁ、って思ってるかと聞かれれば、もちろんそうなればいいなと思ってた、って答えるよ」みたいなことですね。

そして「僕はがっかりしてるけど」と続けているのも、「大丈夫と言っても、同居の成功を願ってたのは事実だから、正直今、がっかりはしてるけどね」と言っていることになります。
「がっかりしてるけどね」と言って、but の逆接で続けた後、it's not like it's a divorce 「(でも)離婚ってわけじゃない(から)」と言っています。
それを聞いたジョーイは、ちょっと口ごもる感じで、「でも実際には…」と言いかけますが、それは「ロスは離婚じゃない、って言うけど、”子供を持つ二人が別居を解消した”ってことは、それは実際には・事実上は、離婚と同じでは…」みたいなことを言いかけたことが想像できますね。

ロスはそう言われるのを遮るように、強い調子で「いいや、それは離婚じゃない。離婚じゃない!」と力説しています。
ロスはバツ3で、それも、2回目と3回目は「結婚生活らしきものをしないまま離婚した」という状況だったので、「ロスは結婚するのが好きなんだ。結婚マニアなんだ」みたいにいつもフレンズたちにイジられる始末。
ですから、今回のこの件まで「離婚扱い」されてはたまらない、とばかりに、「いーや、これは絶対に離婚じゃないよ!」と頑張ってみせたわけですね。

その後、「レイチェルと僕は自分たちの生活・人生を get on with すべきだと思う」と言っています。
get on with は「〜をどんどん進める」というニュアンス。
LAAD では、
get on with something [phrasal verb] : to continue doing something after you have stopped doing it for a while
例) Let's get on with the meeting, so we can go home on time.

つまり、「何かをすることをしばらくやめた[ストップした]後、それを続けること」。例文は、「ミーティングを続けよう。そうすれば、時間通りに帰宅できるよ」。

語義説明にあるように、「ストップしていたことを再開する」という感覚ですから、ロスが言っているのも、「二人の別居で今は二人とも”止まった、ストップした”状態になっているけれど、お互いの人生を再開して進めていくべきだ」というニュアンスになりますね。
get on with our lives という表現がちょっと漠然としていたので、それをもう少し具体的に言い換える形で、「別の人と付き合うってことを始める」と言っています。
前の文章の続きなので、I think Rache and I need to start seeing other people. と言っていることになるわけですね。


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posted by Rach at 14:09| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月19日

五日目の正直 フレンズ9-14その1

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シーズン9 第14話
The One With The Blind Dates (仕組まれたブラインド・デート)
原題は「ブラインド・デートの話」


娘エマを二人で育てられるように、と、ロスとレイチェルは、ロスのアパートメントで一緒に暮らしていたのですが、レイチェルが他の男性に電話番号を渡したり、バルコニーでキスしたりしていたことで口論となり、二人は同居を解消します。
レイチェルは、前に住んでいたジョーイの家に、エマと一緒に戻ってきました。
[Scene: Joey and Rachel's apartment. Rachel is in the kitchen as Joey enters from his bedroom.]
ジョーイとレイチェルのアパートメント。レイチェルは台所にいて、そこにジョーイが寝室から(リビングに)入ってくる。
ジョーイ: Morning, roomie! (おはよう、同居人さん!)
レイチェル: Hey! You remembered to put clothes on this morning. (はーい! 今朝は服を着ることを覚えてたのね。)
ジョーイ: Fifth day's a charm. (五日目の正直だね。)
レイチェル: Oh, Joey, it's so great to be back here. I gotta tell you, you're making it so easy on me and Emma. (あぁ、ジョーイ、ここに戻ってくるのはほんとに素敵だわ。これだけは言わせてね、あなたは、私とエマがとっても楽になるようにしてくれてるわ[あなたのお蔭で、私とエマはとっても居心地よくさせてもらってるわ]。)
ジョーイ: Hey, it's great having you back. You know, stay as long as you want. And when does she stop crying all night? (ねぇ、君が戻ってきたのは最高だよ。ほら、好きなだけここにいなよ。で、エマが一晩中泣くのをやめるのはいつかな?)
(Ross enters.)
ロスが入ってくる。
ロス: Hey, you're not naked! So hey, Rach, when will we expect to see you tonight? (やぁ、ジョーイは裸じゃないんだね! それで、ねぇ、レイチェル、今夜、君を見られるのはいつになりそうかな?)
レイチェル: Well, I'll probably be back to pick her up around six, but she's in the bedroom, all ready to go. But she did actually fall back to sleep, so.... (そうねぇ、多分、6時頃にエマを迎えに帰るけど、エマは寝室にいるわ。行く準備万端でね。でも実はエマはまた寝ちゃったから…)
ジョーイ: She's probably exhausted from all that adorable screaming she did last night. (多分疲れてるんだよね、昨日の晩のあの可愛らしい叫び声のおかげでね。)
レイチェル: Bye! (バーイ!)
(She leaves.)
レイチェルは出掛ける。

寝室から出てきたジョーイを見て、レイチェルは「今朝は服を着るのを覚えてたのね」と言っています。
this morning 「今朝(は)」とわざわざ言っていることから、レイチェルがジョーイの家に越してきて、数日は服を着るのを忘れていた、ということがわかりますね。
レイチェルが同居しているのに、うっかり一人暮らしの時の癖のまま、寝室から裸でリビングに出てきたことがあった、ということになるでしょう。

それに対してジョーイは、Fifth day's a charm. と返します。
DVDの日本語訳では「五日目(いつかめ)の正直」と訳されていましたが、まさにそういうニュアンスで、日本語の諺にもある「三度目の正直」を意味する英文、Third time's a charm. を、「三度目」を「五日目」に変えることでもじった表現になります。

LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、charm の項目ではなく、third の項目に載っていました(一瞬、載っていないのかと焦りました^^)
(the) third time's the charm : (spoken) used when you have failed to do something twice and hope to be successful the third time
つまり、「何かに二度失敗して、三度目は成功するよう願う時に使われる」。

Macmillan Dictionary では、
third time's the/a charm : you say this when someone is successful the third time they try something, after they failed the first two times
つまり、「人が最初の二回を失敗して、何かにトライする三度目に成功する時に、こう言う」。

マクミランにあるように、the charm または a charm のように、the と a の両方が使えるようですね。

レイチェルは嬉しそうに、「ここに戻れるのは最高よ」と言います。
you're making it so easy on me and Emma の make it easy on は「(人)に対して、そのことを、容易にする・簡単にする・楽にする・優しくする」というような感覚になるでしょう。
この場合の it は「状況を漠然と指している」感覚で、「あなたは状況を私たちに優しくなるようにしてくれている」→「あなたのお蔭で居心地よくしてもらっている」と言っているニュアンスになるでしょう。
「ここに戻って来られて嬉しい」と言うレイチェルに、ジョーイも嬉しそうに、Hey, it's great having you back. と返していますね。
have you back は「君がここに戻った状態を持つ」ということなので、「君がここに戻って来てくれて最高だよ」とジョーイも同じように返したことになります。
そして、「君が望むだけ、好きなだけ、ここにいなよ」と言うのですが、その後、ちょっと引きつったような顔になって、「エマは一晩中泣く、ということをいつやめるのかな?」と尋ねています。
レイチェルとエマが戻ってきてくれて最高だよ、と喜んでいるものの、エマの夜泣きが一晩中続いて、さすがのジョーイも睡眠不足なのでしょう、「夜泣きはいつになったらなくなるのか」って気になってるんだけどね、と付け加えた感じですね。

そんな話をしているところに、ロスが入ってきます。
ジョーイを見るなり、「ジョーイは裸じゃない(んだね)!」みたいに言っていますが、それも、少し前のレイチェルのセリフ、「今朝は服を着てるのね」と同じノリで、「今朝は、いつものような裸じゃなく、珍しく服を着てるじゃないか」と言ったことになります。
その後、レイチェルに話しかけていますが、その口調は意外と明るい感じのもので、見ている私もとりあえずホッとしました^^
前回のエピソードの終わりに、ロスとレイチェルが別居を決めた時、「うまくいってるどころか正反対よ!」と言っていたように、完全に気持ちがすれ違い、ちぐはぐになっていた二人だったので、二人が顔を合わせると、「別れた後の気まずい雰囲気」で何とも重苦しかった、フレンズ3-17 のスキー旅行の回の例もあることですし、また周囲を巻き込んでの修羅場にでもなるのかと(個人的に)心配していたのですが、杞憂でしたね。

when will we expect to see you tonight? は、「今夜いつ、君に会えるかな?」みたいなことですが、主語が I ではなく、複数形の we になっていますね。
この後のセリフでレイチェルが、「私は多分、6時くらいに、エマを迎えに戻る[エマをお迎えしに(仕事から)帰ってくる]わ」と言っているように、ロスとレイチェルの間では、「レイチェルが仕事に行ってエマの面倒を見られない間、ロスがエマを預かる」という分担が決められているようで、その前提で話しているために、「(君の帰りを待ってる)僕とエマは、今夜何時に君に会えそうかな」と、主語を we (Emma and I)を使って言っていることになるでしょう。

「ロスに預ける」という話がそのまま続いているので、「エマは(今)寝室にいて、行く準備は全てできてるわ」とレイチェルは言い、ちょっと気になる点として、「でも実はエマは(いったん目が覚めたんだけど)また寝てしまって(寝入っちゃって)」と付け加えています。

「いったん起きたんだけど、また寝ちゃったのよ」と言うのを聞いて、ジョーイは「エマは多分疲れてるんだよね」と言います。
何で疲れているか、の原因が、from 以下で語られていますが、それが「昨晩、エマがした、あの愛らしい叫びの全て」ですね。

be exhausted は、be tired 「疲れた」よりもさらに度合が強く、「疲れ切って、疲労困憊で、ヘトヘトで」のようなニュアンス。
LAAD では、
exhausted [adjective] extremely tired and having no energy
from/by
例) Ron was exhausted from studying all night.

つまり、「極度に疲れていて、力(エネルギー)がない」。例文は「ロンは一晩中勉強して、疲労困憊していた」。

adorable 「愛らしい、可愛らしい」と形容してはいますが、少し前に「一晩中続く夜泣きはいつ終わるのかな?」と言っていたように、ジョーイはその夜泣きに困っているので、「また寝ちゃったのは、一晩中夜泣きしていて睡眠不足だからだろう」と、ここでまた「エマの夜泣きが大変だったこと」を言ってみせたことになります。
「あの夜泣きでエマは疲れ切ってるんだろう」と表現することで、ジョーイ自身もその夜泣きをずっと聞かされ続けて、I'm exhausted too. 「俺もドッと疲れてる」と言いたいわけですね。


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posted by Rach at 15:19| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月17日

まともな女性は誰も来てくれなかった フレンズ9-13その6

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バーで会った男性から電話があったことを、ロスがレイチェルに伝えなかったことを知って、レイチェルは「私がどのメッセージを受け取るかをあなたが決めるなんて、あなたは一体何様のつもりなの?」と激怒します。
"Who are you to decide..." という表現を使ったレイチェルに対して、ロスは「僕が誰か、だって? 僕は君が外で遊び回ってる間に、僕たち二人の子供を世話してる者だよ」と返します。
レイチェル: Oh, my God, I cannot believe this. You know I actually came in here hoping to have a mature conversation with you about us! But I can't do that with someone who hides my messages and brings crazy women back to my apartment! (なんてこと。こんなの信じられない。ねぇ、私たちのことについて分別のある会話ができることを願って、私はここに来たのよ! でもそんなことできないわ、私のメッセージを隠して、変な女を私のアパートに連れ込むような人とはね!)
ロス: Hey, none of the sane ones wanted to come back with me! That's not the point. Okay? The point is you...you are the one who moved on and didn't tell anyone! (ちょっと! まともな女性は誰も僕と一緒に来てくれなかったんだよ! そんなのは問題じゃない。いいか? 問題は、君が前に進んだのに、それを誰にも言わなかった、ってことだ。)
レイチェル: Oh, God, Ross, this is just so messed up! What's wrong with us? You know when people hear about our situation, they always ask: "What, you live together, but you're not a couple? And you have a baby, isn't that weird?" And I say, "No. You know what? It's not, because it works for us." But you know what? This doesn't work. In fact, this is the opposite of working! (あぁ、ロス。こんなのただメチャクチャよ! 私たちはどうしたの? (人は)私たちの状況について聞くと、みんないつもこう尋ねるわ。「何? 君たちは一緒に住んでるけど、夫婦じゃない? それに君たちには赤ちゃんもいる。それってヘンじゃない?」って。そして私はこう言うの。「いいえ(ヘンじゃないわ)。ほら、変じゃないの、だってそれで私たちにはうまくいってるから(うまく機能してるから)。でも、わかる? こんなの全然うまくいってない。実際、こんなのはうまくいってるの正反対よ!)
ロス: Uh, clearly. (あぁ、明らかにね。)
レイチェル: And you know, we said that we would, we would live together as long as this makes sense, and maybe this, you know, just doesn't make sense anymore. (ねぇ、私たちは言ってたわよね、これがうまくいく間は一緒に住もう、って。そして多分これは、もう意味をなしてないわ。)
ロス: Yeah, maybe not. So what do you wanna do? (そうだね、多分、意味がないね。それで、君はどうしたいの?)
ノックの音がした後、ドアが映る。
[Scene: Joey's]
ジョーイの家。
ジョーイ: Hey! (やあ!)
レイチェル: Hi. Can Emma and I live here for a while? (はーい。エマと私がしばらくここに住んでもいい?)
ジョーイ: Ha, oh, of course. (はっ(驚きの声)、あぁ、もちろん。)
レイチェル: Thank you. Your eyebrows look weird. (ありがとう。[黙ってジョーイに抱きつく] あなたの眉毛、変よ。)

「君が遊んでいる間に、僕らの子供の面倒を僕一人が見てるんだけど!」みたいに言うロスに、レイチェルは「信じられない」と言って、I actually came... のセリフを言っています。
直訳すると、「私たちのことについて、あなたと分別ある会話をすることを願って、私はここに来た」になるでしょう。
ギャビンとの距離が近づく中でもロスの存在が気になってしまうレイチェルは、ギャビンに「ロスとじっくり話し合った方がいい」と言われ、ロスに会ったらゆっくり話し合おうと思っていたところでした。
でも、今ロスがやっていることを見て、「私のメッセージを隠したり、私のアパートメントにクレイジーな女を連れ込んだりするような人とは、そんなこと(成熟した話し合いをすること)なんてできない」ということになります。

「変な女を連れ込む」と言われたロスは、「ちょっと! まともな女性は誰も僕と一緒に(家に)来ようとしてくれなかったんだ!」と言っています。
sane は「正気な、気の確かな」という意味で、対義語の insane 「正気でない」という意味の方が、フレンズではよく使われますね。
そんな自虐的なセリフがちょこっと挿入されるのが、コメディーっぽいところではありますが、「そんなことはポイントじゃない、大事じゃない」と言って、また、深刻な話に戻ります。
ロスは、「君が前に進んだのに、それを誰にも言わなかったのが問題なんだ」と言っています。
move on は「どんどん前に進む」という感覚ですね。
誰かと新しい関係を始めるつもりなら、僕に黙っているべきではなかった、とロスは思っていることになります。

どんどん話がこじれて行くので、レイチェルは「こんなの、メチャクチャだわ!」と言い出します。
You know when people hear about our situation, they always ask: は、「人々が私たちの状況について聞く時、彼らはいつもこう尋ねる、ってこと知ってるでしょ」みたいな感覚ですね。
「ほら、私たちの話を聞いたら、みんないつもこう質問してくるじゃない」みたいなことです。
みんなが尋ねる内容は、「何? 君たちは一緒に住んでるけど、カップル(夫婦)じゃない? それに君たち(二人)には赤ちゃんもいる。それってヘンじゃない?」ということ。
そう聞かれたら私はこう言うのよ、と言って、「いいえ。ヘンじゃないわ。だって、それは私たちには work 、つまり、うまく機能してるから」と、レイチェルはいつも自分が言う返事を、ここで語っています。
work は「正常に・正しく働く・機能する、効き目がある、うまくいく」という感覚ですね。
他人には「一緒に住んでて子供もいるのに夫婦じゃないなんて」と変な目で見られても、「私たち二人にとっては、この形でうまくいってるんです」って私は返事してたのよ、と言っていることになります。
その後、「でも、こんなのうまくいってない」と今の状況を嘆いて、「実際、こんなのは、”うまくいっている・機能している”の反対・真逆よ」と言っていますね。
人にはうまくいっていると説明してたけど、今の状況は全部ちぐはぐで、何一つうまくいっていない、と言っていることになります。
ロスも「明らかにね」と言って、うまくいっていないことを認めます。

we said that we would live together as long as this makes sense は、「このことが意味をなす[道理にかなっている・筋が通っている]間は、一緒に住もうって言ったわよね」ということ。
maybe this, you know, just doesn't make sense anymore. は、「多分、これは、ほら、もう意味をなしてないわ」。
自分たちにとって、「このことに意味がある、これで道理にかなっている」と思える間は一緒に住もうと約束してたけど、もう今のこの状態は意味あるものではなくなっているわよね、ということですね。
ロスも「あぁ、多分、意味をなしてないね」とその意見に賛同し、「それで君はどうしたいの?」と尋ねることになります。
レイチェルとの同居を最初に望んだのはロスでしたが、今の状況がなにもかもうまくいっていないことは、もう十分感じているのでしょう。
レイチェルの意見に全く逆らうことなく同意しているロスには、「これ以上どうしようもない、というあきらめの気持ち」しかないことがよくわかりますね。

この後、ロスとレイチェルが画面に映った状態で、トントントンというノックの音が鳴り、すぐにドアの画面に切り替わります。
一瞬、ロスとレイチェルの家に誰かが訪ねて来たかのように感じさせるタイミングの音ですが、直後に 19号室の緑のドアが映り、そのドアを開けて顔を見せたのはジョーイだった、、という流れになっています。
ロスが「レイチェルはどうしたいの?」と問いかけた後、それに対するレイチェルの返事を画面上で聞かせることなく、「レイチェルが選択した行動」を画面で直接示す、という演出ですね。

レイチェルがいきなりやってきて、「エマと私が、しばらくここに住んでもいい?」と言うので、一瞬、びっくりした様子のジョーイでしたが、もちろん、と言って了解します。
黙ってジョーイに抱きついたレイチェルは、ジョーイの顔を直接見ない状態のまま、さっきドアを開けた時のジョーイの顔を思い浮かべるような表情をして、「あなたの眉毛、変よ(変に見えるわ)」と言っていますね。
ロスとレイチェルがある意味「別れた」後のシーンなので、そんな深刻なシーンでお笑いっぽい展開にもしにくいわけですが、ドアを開けた時に、「ジョーイの眉毛がヘンだ」ということにレイチェルは気付いていたけれど、最初はそれは言わずに、ジョーイに抱きついた後で、「ところであなたの眉毛、ヘンなんだけど」みたいにおまけ的に言ったことになります。
ロスとレイチェルがこんな風に同居を解消してしまったことで、重い雰囲気になってしまったのを、ジョーイの眉毛ネタを最後にオチとして持ってくることで、「ちょっと救われた感」が出た感じですね。
今回、プロットの1つとして「ジョーイのちぐはぐ眉」の話が出てきたのは、こんな風にどんよりした最後に、「ジョーイの見た目と、それに対するレイチェルの一言」で、少し笑えて、少しだけ見ている人の気持ちが軽くなる、という効果を見込んでのものだったのかな、という気がしました。


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posted by Rach at 18:28| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月15日

ブログ10周年

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2005年6月15日に開始したこのブログ、今日で10周年を迎えることができました!
10年間、このブログを続けることができましたのは、ずっとこのブログを読んで下さり応援して下さった、読者の皆様のお蔭です。
本当に本当にありがとうございます!

今日のこの記事が、投稿件数にして、2,163件目になります。
この記事を投稿する前の「記事数とコメント数のデータ画像」を、記念に以下に貼らせていただきますね。

150615info


10年に渡り、2,000件以上の記事を書けたことをとても嬉しく思いますし、また、7,614件というコメント数がこのブログ上に蓄積されている、ということもとても幸せに思っています。
「役に立つ、ためになる、わかりやすい」というお褒めのお言葉の数々は、私に大きな自信を与えてくれましたし、セリフに関するご質問を頂戴した時、それにわかりやすくお答えしようとすることで、私のブロガーとしての「解説力、説明力」が伸びてくれたのだと思っています。
また、私の解釈とは異なる解釈をいただくことで、私もとても勉強になりましたし、皆様からのコメントが私をここまで育ててくれたことは間違いありません。
これまでコメントを下さった皆様、本当にありがとうございました。

そして、こうして10周年を迎えた今日も、ブログランキングの上位にいさせていただけていることは、本当に嬉しく、心より感謝しております。
ランキングクリックで応援していただけることで、「このブログをこれからも続けていっていいんだ!」「限界を決めずに、書きたいと思うことをとことん書き続ければいいんだ!」と思えるのですね。

ブログ5周年を迎えた時、ブログを続けるかどうか本当に迷い、ネガティブな記事を書かせていただいたことがありました。
その当時の私は、自分のブログの存在意義がわからなくなっていて、そのままずっとブログを続けて、10周年の節目、またはシーズンファイナル到達まで、楽しく幸せにブログを書き続けている自分のイメージを頭に描くことができませんでした。
そういう気持ちで意地のようにブログを続けたところで、あまり意味もないんだろうなぁ、と思っていたのですね。
そういう自分の悩んでいる正直な気持ちを5周年で書かせていただいた時、驚くほどたくさんの方が、実際にランキングクリックで応援して下さり、励ましのコメントを下さいました。
それは私にとっては本当に本当に嬉しいことでした。
このブログがどなたかの英語学習のお役に立てているのならば、私は迷わず続けられる、と、その時、確信することができたのですね。

また、その皆様の応援が、一時的なものではなく、その後もずっと続いたこと、それがまた私にとっては大きな喜びと励ましになってくれました。
その5周年以降は、ランキングの上下の変化は多少あるものの、私の実感として、「ランキングが下がった、と感じたことは一度もない」、そういう5年間でした。
そういう意味で、ひとくくりに「10年間」と言っても、私にとっては、前半と後半とで、ブロガーとしての気持ちに大きな違いがあります。
「このブログを必要としてくれている人が確かにいる」と日々実感できていた5年間は、本当に迷いというものがありませんでした。
私が解説したいと思う部分を記事にして、とことん説明したいところは長々と解説して、、という、まさに「自分の思い通り、好き勝手な記事」を書き続けてきたのにもかかわらず、多くの方がそれを読み続けて下さった、ということが、何よりも幸せなことだと思うのですね。
「好きなことをただ続けて、それが多くの方に認めてもらえる」ことは本当に幸せで満ち足りたことです。
ブロガー Rach として、そういう日々を送らせていただけたこと、皆様には心より感謝いたしております。

このブログでは、現在、フレンズ9-13 (シーズン9第13話)を解説中です。
フレンズのファイナルエピソードは、フレンズ10-18 (シーズン10第18話)で、最終話まで、あと29話分、残っています。
ブログの解説は、「2週間で1エピソードのペース」で進んでいますので、単純計算で、約15ヶ月後の、2016年9月くらいには、最終話の解説に到達しているかなぁ〜、、というところですね。

昔の記事では「いつまでこのブログが続いているかわかりませんが」というのが口癖だったのですが、シーズン9も後半に入ったことですし、ここまで続けたからには(死なない限りはw)最後まで続けたいと思っています。
また、その「続ける」というのも、「ただ、日数と記事数を重ねる」というのではなく、今のこの幸せな気持ちのまま、「楽しく面白くためになる」記事が書けるように、頑張り続けたいと思っています。

10周年という大きな節目ということで、「10年総括」みたいな話ばかりになってしまいましたが、9周年から10周年にかけての1年間の大きな動きを挙げてみますと、、、
(1) 2014年7月6日、神戸・住吉での「追加セミナー第3弾」(セミナーとしては4回目)を開催。
関連記事:追加セミナー第3弾終了しました!
(2) 2014年10月12日・13日、初の「東京セミナー」を2日間連続で開催。
関連記事:東京セミナー終了しました!
(3) 2014年11月4日、学研教育出版より「読むだけ なるほど! 英文法」を出版。
関連記事:学研より英文法の本を出版しました!

セミナーでは、たくさんの人に直接お会いしてお話することができましたし、また、英文法の本を出版したことで、ブロガーとしての私を知らない方にも新たに私のことを知っていただくことができたのかな、と思っています。
上に書いたように、この1年間だけでも本当にいろんなことがありました。
5周年の時にブログをやめてしまっていたら、セミナーで会った方には会えなかったし、私の英文法の本が世に出ることもなかったでしょう。
あの時、気が弱くなっていた私を励まして下さった皆様には感謝の言葉もありません。

まだ解説していないエピソードになってしまいますが、フレンズ10-16(ラストから3話目)に、以下のセリフがあります(ネタバレを防ぐため、誰のセリフかも伏せておきます^^)

None of the amazing things that have happened to me in the last 10 years, would have happened if it wasn't for you. (あなたがいなければ、この10年間に私に起こった素晴らしい出来事はどれも起こることはなかった。)

このセリフは、まさに今の私の気持ちそのものです。
この10年間に私に起こったたくさんの素晴らしい出来事は、読者の皆様の存在がなければ起こり得なかったことでした。
私が10年間、ブロガーとして存在し続けることができたのは、ブログを読んで下さる皆様がいて下さったからこそです。
皆様、10年間、本当に本当にありがとうございました!
これからも引き続き、どうかよろしくお願いいたします!(^^)


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posted by Rach at 14:38| Comment(10) | 節目となる出来事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月12日

あなたが決めるなんて何様のつもり? フレンズ9-13その5

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バルコニーでレイチェルとギャビンがキスしているのを見たロスは、セントラルパークでミッシェルという女性をナンパして、自宅に連れ帰ります。
ミッシェルがかなり変わった女性である上に、ロスが「君だって男とバルコニーでキスしてたくせに」と言ったので、「私に仕返しするために、見知らぬ女を連れ込んだのね」とレイチェルに指摘されてしまいます。
そのミッシェルが帰った後、「レイチェルがギャビンとバルコニーでキスしていた」ことをまた持ち出したロスに、「1人の人と1回キスしただけで、そんなに大騒ぎしないで」とレイチェルが言ったところ、
ロス: What about the guy from the bar? (バーの男はどうなの?)
レイチェル: What? Who? (何ですって? 誰?)
ロス: The guy you gave your number to. (君が電話番号を教えた男だよ。)
レイチェル: Whoa, how do you know about that? (ちょっと、どうしてそのことを知ってるの?)
ロス: Because he called here looking for you. So don't tell me this...this kissing this guy from work is a one-time thing, okay? You've been out there in bars and on balconies for over a month now. And you didn't even have the courtesy to tell me. (なぜなら、その彼が君を探して[君宛に]ここに電話してきたからだよ。だから、この…職場の男とキスしたこのことを、一度のことだ、なんて言わないでくれ。君はバーにバルコニーにと、今で1か月以上、外に出て(遊んで)る。そして君はそのことを僕に言う礼儀をわきまえてすらいなかった。)
レイチェル: Why didn't I get that message? (どうして私はそのメッセージを受け取らなかったの?)
ロス: What? (何?)
レイチェル: From the guy in the bar? Why didn't I get that message? (バーの男性からの(メッセージ)よ。どうして私はそのメッセージを受け取らなかったの?)
ロス: Because I folded it up and put in my pants pocket. Do you...do you not look there? (それは僕がそれを畳んで自分のパンツのポケットに入れたから。君はそこ(ポケットの中)を見ないのかな?)
レイチェル: Ross? (ロス?)
ロス: I never gave it to you. (僕が君にそれを渡さなかったんだ。)
レイチェル: Why? (どうして?)
ロス: I don't, I don't know. (わからないよ。)
レイチェル: Oh, God. You know what? I don't.... Who you think you are? Who are you to decide what messages I should or should not get?! (なんてこと。ねぇ。あなたは自分を何様だと思ってるの? 私がどのメッセージを受け取るべきか受け取らないべきかを決めるなんて、何様のつもり?)
ロス: Who am I? (僕が誰か、だって?)
レイチェル: Yes. (ええ。)
ロス: I'm the guy who's taking care of our baby while you're out at bars meeting guys! (僕は僕ら(二人)の赤ちゃんを世話してる者だよ、君がバーに行って男と会ってる間にね!)

レイチェルは、「バルコニーでのキスのことでそんなに大騒ぎする、そのことをそんな大ごとみたいに言うなんて信じられない。一度のキスで、1人の人とキスしただけ。一度だけのことよ!」と、指を1本立てて、one であることを強調していました。
それに対してロスは何度も Oh, really? 「へぇ、ほんとに?」と繰り返した後、「バーの男はどうなの?」と言います。
いきなり「バーの男」と言われたレイチェルは、「何? 誰?」と聞き返し、ロスは「君が電話番号を教えた男だ」と説明します。
これは、過去記事、外出するのはすごくいい気分だった フレンズ9-9その6 で、レイチェルに電話をかけてきた男性のことですね。
ロスが電話に出るのを阻止しようと、あれこれ画策するも、結局、レイチェルが廊下でフィービーと話している間にその男性から電話がかかってきてしまい、ロスは「レイチェルがバーで男性に電話番号を渡したんだ」ということに気づき、その男性から電話があったことを結局レイチェルに告げなかった、というシーンで終わっていました。

「1人の人と1回キスしただけなのに!」と「1人、1回」を強調するので、「1人だけって言えるのかな? 他の男にも電話番号渡してたくせに!」と、バーの男性の件をここで持ち出したことになります。

結局、あの日、電話はかかってこなかった、と思っていたレイチェルは、ロスがそのことを知っていたことに驚き、「どうしてそのことをあなたは知ってるの?」と尋ねます。
それに対してロスは、「君を探して(君を求めて)、その彼がここに電話してきたからだ」と事実を語り、「だから、この(バルコニーでの)キス、この職場の男(ギャビンのこと)を一度のこと(one-time thing)だなんて言わないでくれ」と言います。

You've been out there in bars and on balconies for over a month now. を直訳すると、「君はもう1か月以上に渡って、バーやバルコニーで外に出ている」みたいなことになるでしょうか。
be out there 「向こうの外にいる」という表現は、物理的に屋外にいる、という意味ではなく、「家にいるのではなく、人のいる世間に出ている、人付き合いをする場所に行っている」という感覚になるでしょう。
「外に出かけてる、外出している」という感覚で、ロスとしては「外で(男と)遊んでる」というようなニュアンスで言っていることになるでしょうね。
And you didn't even have the courtesy to tell me. の have the courtesy to は「〜する礼儀をわきまえている」という意味。
courtesy を改めて英英辞典で調べてみると、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
courtesy : polite behavior that shows that you have respect for other people
例) Even after midnight, they don't have the courtesy to turn the volume down.

つまり、「他人に対して敬意を持っていることを示す礼儀正しいふるまい」。
例文は、「真夜中過ぎでさえ、彼らは音量を下げるという礼儀をわきまえていない」。

ですから、「そして君は(そうして外出して男と遊んでるのに)(そのことを)僕に話す礼儀をわきまえてすらいなかった」になるでしょう。
そのことを(外出する君のためにエマの面倒を見ている)僕に、一言言うのが礼儀ってもんじゃないのか? とロスは言いたいのですね。

「外で男性とどんなことがあったかを、僕に一言言うべきだと思うけど」と言うロスに対して、レイチェルは「どうして私はそのメッセージを受け取らなかったの?」と言っています。
ロスが「何?」と言うのでレイチェルは具体的に「バーの男性から(のメッセージ)よ!」と言っていますね。
レイチェルが that message と言えば、少し前にロス自身が話題に出した「バーの男からのメッセージ」であることはわかりそうなものですが、ロスはただ「バルコニーのキス男だけじゃなく、バーで電話番号を渡した男もいるだろ」というように、「二人目の男」という「数を増やすためのアイテム」としか考えていなかった、ということなのでしょう。
勢いもあって、「電話がかかってきた”バーの男”ってのもいたからねぇ〜」と得意げに持ち出したわけですが、「私はどうしてそのメッセージを受け取らなかったの?」と言われて、一瞬、レイチェルが何のことを言っているかわからない様子のロスは、「電話がかかってきたことをレイチェルに告げなかった」ということも同時に教えてしまった、レイチェルがそれを聞いて怒るであろうことが想像できていなかった、ということになります。

「レイチェルに電話がかかってきたのに、それをレイチェルに教えなかった」ことでレイチェルが明らかに怒っているのを見て、ロスはそれまでの勢いをなくした様子で、「それは僕がそのメモを畳んで自分のパンツのポケットに入れたからだ。僕のパンツのポケットの中を君は見たりしないの?」などと言っています。
「メモをポケットに入れちゃったんだけど、そんなところをレイチェルはチェックしたりしないよね?」と、ちょっと冗談っぽく逃げた感じになるのですが、そんな冗談でごまかされるような話じゃないわ! とばかりに、レイチェルは問い詰める調子で Ross? と言います。
それでロスは、「たまたまポケットに入れちゃって」とかではなく、「僕が君にそのメッセージを渡さなかった」と正直に答えます。
「どうして(そんなことしたの)?」と言われても、ロスは「わからない」と答えるしかありません。

Who you think you are? は「あなたは自分を誰だと思うの?」ということですから、「自分を誰だと思ってるの? 何様のつもり?」というニュアンス。
次の Who are you to decide what messages I should or should not get?! の Who are you to do...? も「〜するなんて(あなたは)何様のつもり?」という意味になります。
英辞郎には、
Who are you to say something like that?
そんなことを私に言うなんて一体何様のつもり?
Who are you to say tell me what to do?
私に指示するなんて一体何様のつもり?

という例文も出ていました。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では、
who is somebody to do something? : (spoken) used to say that someone does not have the right or the authority to say or do something
例) Who are you to tell me what to do?

つまり、「何かを言ったりしたりする権利や権限をある人が持っていない、と言うために使われる」。例文は「私が何をすべきか言うなんて[私に指示するなんて]何様のつもり?[あなたにはそんなこと言う権利や権限はないわ])

今回の場合は、「私(レイチェル)がどのメッセージを受け取るべきか、または受け取らないべきかを決める権利・権限はあなたにはないわ」と言っていることになり、「私がメッセージを受け取るか受け取らないかをあなたが決めるなんて、あなたは一体何様のつもりなの?」と怒っていることになります。

「あなたにそんな権限あるの? 自分を何様だと思ってるの?」という怒りを込めて、Who are you to do...? 「〜するとは(〜するなんて)あなたは誰(何者)なの?」という表現を使ったレイチェルに対して、ロスは「僕が誰か? って君は尋ねてるの?」というように、Who am I? 「僕が誰か、だって?」と問い返しています。
そして、I'm the guy who's... 「僕は〜する者(男)だ」みたいに説明していますね。
ロスのセリフは、「僕は僕ら二人の赤ちゃんを世話している男だ、君が外出してバーで男たちと会ってる間にね!」ということですから、「僕たち二人の子供を僕が一人で世話をして、その間、君はバーで男と遊んでる」とロスは言いたいわけです。
「何様だと思ってるの?」みたいに偉そうに言われたので、「君が男と遊んでる間に、僕は君の子供を世話してあげてるんだけど!」と言い返したことになるわけですね。


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2015年06月10日

まだ博士号の話をしてないなんて フレンズ9-13その4

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ロスは、バルコニーでレイチェルとギャビンがキスしていたのを見て以降、ずっとイライラしています。
そのことを直接レイチェルに言うことはせず、「僕がエマの子育てをしている間、レイチェルは他の男とキスしてる。僕だって他の女とそういうことするぞ」とチャンドラーに宣言し、セントラルパークで女性をナンパしようとするのですが(案の定)うまくいきません。
他の男性に捨てられて泣いているミッシェルという女性をようやくナンパし、家に連れ帰るのですが、そこにちょうど、レイチェルが帰ってきます。
レイチェルはギャビンとの距離が近くなるにつれ、ロスに対する後ろめたさのようなものが増え、ギャビンにも「一度、ロスとじっくり話し合った方がいい」とアドバイスされたため、ロスと話し合いをしようとして、エマをママに預けてきていました。
そんなレイチェルの考えを知らないロスは、レイチェルに「僕の彼女だ」とミッシェルを紹介するものの、ミッシェルがかなり変わった女性であるということがわかってきます。
[Scene: Ross’]
ロスの家。奥からトイレを流す音が聞こえる。
レイチェル: Wow! She does that a lot! (わぉ! 彼女はたくさんトイレをする[用を足す]のね!)
ミッシェル: Ross, you didn't tell me you were a doctor! ([証書が入った額縁を抱えて出てきて] ロス、あなたが博士だってこと、あなたは私に話してくれなかったわね!)
レイチェル: What, what, wait a minute! You haven't even told her you are a doctor yet? How long have you known her, like an hour? (何、何、ちょっと待って! あなたが博士号を持ってることをまだ彼女に話してさえいないの? 彼女と知り合ってどれくらい? 1時間くらい?)
ミッシェル: Actually, about an hour and a half. (実際には、約1時間半よ。)
ロス: I told you it wasn't long, but there's an amazing connection between us. (長くない、って君に言ったろ。でも僕らの間には素晴らしいつながりがあるんだ。)
ミッシェル: You feel that too? Oh, I thought that was just me! (あなたもそう感じてるの? あぁ、それ(そう感じてる)のは私だけだと思ってたのに!)
ロス: Are you kidding? (冗談だろ[僕もそう感じてるのは当然じゃないか]。)
ミッシェル: Hey, do you wanna go away this weekend? (ねぇ、今週末、どこかに行かない?)
ロス: We'll see. (どうかな。)
レイチェル: Okay, Ross, what's going on here? Are we just bringing strange women back to the apartment now? (いいわ、ロス、ここで何が起こってるの? 見知らぬ女をアパートに連れ込んでるの?)
ロス: I don't know. Are we just kissing guys on balconies? (さあね。バルコニーで男にキスしてるの?)
レイチェル: How do you know about that? (どうしてそれを知ってるの?)
ロス: Through the magic of sight! I was here, putting our child to sleep-- (視覚の魔術でね! 僕がここにいて、僕らの子供を寝かしつけていたら…)
ミッシェル: Emma. ([得意気な顔で] エマよ!)
ロス: When I happened to look through the window and see you kissing a guy you've known for what, a week? (その時、僕は窓越しに目をやって、君がある男とキスしてるのを偶然見たんだ。その男と知り合ってから、ほら、1週間くらいかな?)
レイチェル: Oh, God, is that what this is all about? You bring her up here to get back at me? (なんてこと、これはそういうことなのね? 私に仕返しするために、彼女をここに連れ込むわけね?)
ミッシェル: No, actually, see, I had to pee, ‘cause I can't use public bathrooms because of the doody parasites. (いいえ、実際には、ほら、私はトイレに行きたかったのよ。だって私、公衆トイレは使えないから、うんちに寄生してるばい菌のせいでね。)
ロス: Okay, Michelle, it's time to go. (よし、ミッシェル、帰る時間だよ。)
ミッシェル: Well, call me! (そうね、電話して!)
ロス: Okay. (わかった。)
ミッシェル: No, wait, you don't have my phone number! (いいえ待って。あなたは私の電話番号を知らないわ!)
ロス: You know what? If it's meant to be, I'll guess it. Bye-bye. (ねぇ? もしこれが運命なら、僕は君の電話番号を当てられるよ。[ミッシェルは嬉しそうな顔をする] バイバイ。)
レイチェル: Score. (やるわね。)

ロスとレイチェルがソファに座っていると、奥からトイレの音が聞こえます。
ミッシェルがトイレを使っているということですね。
She does that a lot! は「ミッシェルはそれをたくさん(多く、頻繁に)する(のね)!」という感じで、具体的な言葉は使われていませんが、トイレのことを言っているので、「何回もトイレに行くのね! たくさん用を足すのね!」みたいに言っていることになります。

トイレから出てきたミッシェルは、額縁に入った証書を抱えながら、「あなたがドクター(博士)だということを、あなたは私に話さなかった!」と言っています。
「ロスが博士号を持っている」と証明する証書が奥に飾ってあるのを発見したので、それを見せながら「博士号持ってるなんて、私、聞いてなかったわ。そうならそうと言ってくれたら良かったのに」みたいに表現したことになるでしょう。
それを聞いたレイチェルの反応が面白いですね。
レイチェルのセリフを直訳すると、「自分が博士号を持ってるってことを、ミッシェルにまだ話してさえいないの? 彼女と知り合ってどのくらいになるの? 1時間くらい?」ということになります。
博士(doctor)である、博士号を持っている、というのを自分の誇りとしているロスは、相手の女性に気に入ってもらいたい時、相手の女性の気を引きたい時、すぐに博士号の話をするだろうから、ミッシェルがそのことを知らなかったなんて、まだ知り合って間もないってわかるわ、とレイチェルは言いたいわけですね。
「1時間」という数字は、「ロスなら博士号の話をすぐ自慢するはず」というのもあるし、からかう意味も込めてわざと短い時間を言ったというのもあるでしょう。
その「1時間くらいかしら?」というからかいとも取れる発言に対して、ミッシェルが「実際には、約1時間半よ」とすかさず答えているのも面白いですね。
レイチェルが言った「1時間」という極端な数字があながちハズレでもなかった、という面白さです。

ロスは、ミッシェルを最初に紹介する時に、レイチェルに「ロスは付き合ってたの?」と問われ、
ロス: We haven't been going out too long, but there's this amazing connection between us. (僕ら(僕とミッシェル)はそんなに長く付き合ってないけど、でも僕たちの間には素晴らしいつながりがあるんだ)
と言っていました。
ここでもまたその話を繰り返す形で、「さっきも言ったように、付き合いは長くないけど、素晴らしいつながりがあるんだよ」と言っていることになります。
そのロスの言葉を聞いたミッシェルは嬉しそうに、「あなたもそう感じてるの? そんな風に感じてるのは私だけだと思ってたのに!」と言っています。
Are you kidding? は言葉としては「冗談だろ」ということで、「何言ってるんだよ、君だけじゃなく、もちろん僕も同じ気持ちだよ」と言っていることになりますが、それを言っているロスは、ミッシェルの肩に手を置きながらも、笑顔が引きつっていますね。
ミッシェルはロスの言葉をそのまま受け取り、「今週末、どこかに行かない?」と誘いますが、今度は顔から笑顔は消え、We'll see. 「まあね。どうかな。どうなるかな」みたいに適当にあしらっています。

ロスがミッシェルのことを好きでも何でもないことは、一目瞭然なので、レイチェルは「一体何が起こってるの?」と怒った顔で尋ねます。
その後、「見知らぬ女性をアパートメントに連れ込んでるの?」みたいに言っていますが、このセリフをよく聞くと(見ると)、Are we just bringing のように、主語が we になっています。
そう言われたロスは、「バルコニーで男とキスしてるの?」と返しますが、そのセリフも主語が we になっていますね。

これは、the paternal "we" 「親身の we」のようなニュアンスで使っているのだろうと思います。
フレンズ2-18その2 で、
フィービー: Are we not getting along with the new boy? (新しい(ルームメイトの)彼とは仲良くやっていけそうにないの?)
というセリフが出てきた時に、「親身の we 」について説明していますが、このような we は基本的に「医療関係者が患者に対して、また親が子供に対して」用いられることが多いです。
今回のセリフはそのようなパターンではありませんが、主語を we にすることで、相手の状況や境遇を自分がシェアしている感覚を出しているように思います(上の フレンズ2-18 のセリフもそういうニュアンスだと思われます)。
「知らない女性をアパートに連れ込んだ」のは、ロスが行なった行為ですが、このアパートメントはレイチェルの住まいでもありますし、今、自分もその状況に巻き込まれていることを踏まえて、「今、私たちはどういう状況になっているのかしら? アパートメントに見知らぬ女性を連れ込むってことをやってるわけ?」と言ってみせた感覚になるように思います。
「見知らぬ女性」を指す言葉が複数形の women になっているのも、「あなたが今、見知らぬ女性であるミッシェルをアパートに連れ込んでいる」と彼女個人のことを指しているのではなく、「見知らぬ女性をアパートに連れ帰るという行為をしている」というような一般論を述べていることになるでしょう。
「一体、今、何が起こってるの? ”見知らぬ女性をアパートに連れ帰る大会”でもやってるの?」みたいに、自分が知らない間に、当たり前のようにそういう行為が行なわれていることを揶揄しているニュアンスになるように思います。

そう言われたロスは、同じように Are we just doing... の形を使って、「バルコニーでキスしてるの?」みたいに言っています。
レイチェルが「どうしてそれを知ってるの?」と返した通り、「レイチェルとギャビンがバルコニーでキスしたこと」を言っているのは明らかですが、このセリフも guys, balconies のようにどちらも複数になっていますね。
それも「バルコニーで男とキスする」という行為を一般的に表現している感覚で、「僕らはバルコニーで男にキスする大会もやってるのかな?」みたいに返したニュアンスになるでしょう。

「ギャビンと私がキスしたことをどうしてあなたは知ってるの?」みたいに言われたロスは、Through the magic of sight! と言っています。
直訳すると、「視覚の魔術・魔法を通して」みたいなことになるでしょうか。
DVDの日本語訳では「透視術だ」と訳されていましたが、そんな感じのニュアンスで言っているのだろうと私も思います。
「どうして知っているも何も、僕の部屋から丸見えのバルコニーでキスしてたくせに」という気持ちがロスにはあるような気がします。
それでわざと、「僕には見えないはずのものが見える力(魔法)があるんでね」みたいに、まずは皮肉っぽく言ってみたのかなぁ、と私は思ったわけですね。

そんなことを言った後、実際にどういう経緯でそのキスを目撃したかを語っていますが、「僕がここにいて、僕達の子供を寝かしつけていたら…」とロスが言うと、ミッシェルが「エマよ!」と言うのが面白いです。
レイチェルと初めて顔を合わせた時、ロスからレイチェルを紹介されたミッシェルは、レイチェルのことを「(話に聞いていた)ロスの娘エマ」だと勘違いして、
ミッシェル: This is your daughter? I can be your new mommy! (この人があなたの娘さん? 私、あなたの新しいママになるかも!)
などと言っていました。
それが「今はちゃんとわかってるわよ」とでも言うように、our child 「僕たちの子供」という言葉が出た時に、「それってエマよね!」とドヤ顔で口を挟んだことになります。

ロスはその後も話を続けて、「たまたま、窓越しに目をやって、君がある男とキスしているのを見た」と説明します。
a guy 「ある男」ととりあえず言った後、you've known for what, a week? と情報を付け加えていますね。
「そのある男っていうのは、君がほら1週間くらい知り合いの[1週間前に知り合ったばかりの]男だったよね」みたいなニュアンスですね。
ロスはレイチェルと一緒に、ラルフ・ローレンにエマのお披露目に行った時、ギャビンと顔を合わせていますので、「こないだ会社で会ったばかりのあの男だよね、君だって知り合って間もない男とキスしてたんだよね」と言っていることになるでしょう。

is that what this is all about? は「これはそういうことなのね?」という意味ですね。
今回は疑問文の形になっていますが、That's what this is all about. の形で使われることも多いです。
誰かの目的や意図がわかった時などに、「これは全てそういうことだったのね。そこに繋がっていたのね」みたいな意味として使われます。

ロスがある女性をいきなり家に連れてきて、「付き合ってるんだ。二人の間には素晴らしいつながりがあるんだ」などと言っている。
でも、ロスが博士号を持っていることを知らなかったり、どう見てもロスの好みとは思えない、かなり変わった女性だったりしたので、レイチェルとしては、全く状況を理解できなかったけれども、「レイチェルだってバルコニーで男とキスしてたじゃないか!」という発言で、ようやくロスの行動の意味に気づいた、ということですね。
get back at は「〜に仕返しをする」ですから、「私に仕返しをするために彼女をここに連れてくる」と、ロスの行為の意味を解き明かしていることになります。

そこにまた、「私からも言わせて」という感じで、ミッシェルが手を挙げて話に割り込んで来て、「ロスがむりやり私を連れてきた、とかじゃなくて、実は私がトイレに行かないといけなかったからなの」と説明しています。
その理由として、doody parasites のために、私は公衆トイレを使うことができない、と言っていますね。
doody は幼児語で「うんち」という意味で、parasite は「寄生生物、寄生虫、寄生菌」ですから、「うんちに含まれているばい菌」的な意味で言っていることになるでしょう。
今日初めて会ったばかりで、まだよく知らない人に、pee 「おしっこ」や doody 「うんち」のような言葉を平気で使っているところに、この人の「変わってる」部分がよく見えていますね。
ロスがミッシェルを自分のアパートに連れてきた時も、最初のやりとりが、以下のような「その手のトイレ系の話」でした。
ミッシェル: Thank you so much for letting me do this. Public bathrooms freak me out. I can't even pee, let alone do anything else. (私にこれをさせてくれて(あなたの家のトイレを使わせてくれて)ほんとにありがとう。公衆トイレだとパニクっちゃうのよね。私はおしっこさえできないの、別のことはもちろんのことね。)
ロス: But what's great is you don't mind talking about it. (でも素晴らしいのは、君はそのことについて話すのは気にしない(平気だ)ってことだね。)

「公衆トイレは使えないの」ということだけなら、きれい好きな女性と思われる可能性もありますが、「公衆トイレだと、おしっこさえできない。別のことはもちろんね」みたいに言っているのは、「小もできないから、もちろん大もできない」と言っていることになりますよね。
まだ知り合って間もない男性に「大をする」話なんか普通するかぁ〜? とツッコミたくなるところで、ロスも「公衆トイレは汚いから使えない」とか言っているけど、そういう汚い話を他人にするのは平気なんだね、と皮肉っぽく言っていることになるでしょう。
レイチェルの前でもまた、そういう「トイレ系のダイレクトな言葉を平気で使う」というところを見せたことになるわけですね。

どんどんボロが出てくるので(笑)、レイチェルの手前、ロスもこんな人をいつまでもここにいさせたくない、とばかりに、「帰る時間だよ」とミッシェルを促します。
ミッシェルは「電話してね」と言って帰ろうとするのですが、ロスに電話番号を伝えていないことに気づいた様子で、「あなたは私の電話番号を持ってない(知らない)わ!」と言います。
そのままだと、ミッシェルから強引に電話番号を渡されてしまいそうな流れですが、ロスはこれをうまく切り抜けています。
(be) meant to be は「…であるように運命づけられている」という意味ですから、ロスのセリフは、「もし(二人の関係が)運命なら、僕はそれ(君の電話番号)を推測する・当てるよ」と言っていることになります。
いくら結ばれる運命であったとしても、それで電話番号を当てられるほど、「人がそんなに便利になれるわけ、、ない」(セイラさんw)のですが、ミッシェルにはその言葉が何だかロマンティックに聞こえたのでしょうね、嬉しそうな顔を見せたまま、さようなら、となります。
それを見たレイチェルは、両手の親指を立てて(サムアップ)して、Score. と言っていますね。
score は「得点する」という意味で、そこから「成功する、うまくやる」という意味にもなります。
今回は「やったね。やったわね」というニュアンスですね。
フレンズ1-16その3 では、「レストランで、コーヒーしか注文しなかったのに、頼んでもいない食べ物の皿を運んできてくれた」という話に、チャンドラーが Score. 「やったな」と言っていましたね。


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2015年06月08日

芝刈りやゴミ出しで小遣いを稼ぐ フレンズ9-13その3

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俳優としてのプロフィール写真を撮るために、眉毛サロンで眉を脱毛してもらったジョーイでしたが、痛くて片方だけでやめたため、両方の眉毛がちぐはぐな状態になっています。
チャンドラーにその眉毛を見せた後、
ジョーイ: What the hell am I supposed to do?! (俺は一体どうしたらいいんだ?)
チャンドラー: All right, I will help you out, but you have to promise me you won't tell anyone what I'm about to tell you. (よし、俺が助けてやる。でも俺が今からお前に言うことを、誰にも言わないって約束しないといけないぞ。)
ジョーイ: What? What? (何? 何だよ?)
チャンドラー: Okay. You know how most kids get their allowance from mowing the lawn or taking out the garbage? Well, I earned mine by plucking the eyebrows of my father and his "business partners." (いいか。たいていの子供が庭の芝刈りやゴミ出しで小遣いをもらうだろ? うーんと、俺は、俺の父親と彼の”ビジネス・パートナー”の眉毛を抜くことで、自分の小遣いを稼いでたんだ。)
ジョーイ: Oh, my God! (なんてこった。[あきれたように笑う])
チャンドラー: Yeah, well, I guess you don't need my help, Victor-Victoria! (あぁ、じゃあ、お前は俺の助けは必要ないんだな、ビクター・ビクトリア!)
ジョーイ: Okay, all right, no, no, no, no, I do, I do, I do. I need your help. But, Chandler, I don't know if I can take any more plucking. It hurt so bad! (あぁ、わかったよ、いやいやいやいや、必要だ必要だ必要だ。俺にはお前の助けが必要なんだよ。でも、チャンドラー、これ以上少しでも毛を抜けるかどうかわからないよ、ものすごく痛いんだ!)
チャンドラー: Oh, not with my combination of ice cubes, aloe vera and my gentle... self-loathing touch. (あぁ、痛くないよ、俺の(こういう)コンビネーションならね、氷とアロエと俺の優しい… 自分でも嫌になるほどのタッチ(手際)(のコンビネーション)だ。)

ジョーイが「俺はどうすればいいんだ?」と言うと、チャンドラーは「俺がお前を助けてやる」と言った後、but you have to promise me... のセリフを言っています。
直訳すると、「(助けてやるけど)でもお前は俺に約束しなければならない。俺が今から言おうとしていることをお前が誰にも言わないって」になるでしょう。
「助けてやるが、俺が今から話すことは、他の誰にも言うなよ」と釘を刺している感覚ですね。
そしてチャンドラーは、allowance の話を始めます。
allowance は「手当、〜費」という意味で、「小遣い(こづかい)」という意味でも使われます。
そういう「(子供への)おこづかい」という意味は、LAAD (Longman Advanced American Dictionary) では以下のように説明されています。
allowance [noun, countable] : a small amount of money that a parent regularly gives to a child
つまり、「親が定期的に子供に与える少額のお金」。

ですから、You know how... は「多くの子供が、芝生を刈ったり、ゴミ出しをしたりすることで(自らの)小遣いを得る(稼ぐ)ってことをお前は知ってるだろ」という感覚になります。
そうやって、「たいていの子供はそんな風に小遣い稼ぎをする」という一般論を述べた後、I earned mine by doing... の形を使って、「俺(の場合)は、〜することによって自分の小遣いを稼いでた」と語ります。
pluck は「〜を引き抜く」という意味。
LAAD では、
pluck : PULL SOMETHING [transitive] to pull something quickly in order to remove it
例) young girls who already pluck their eyebrows (= pull out some of the hairs to give their eyebrows the shape they want)

つまり、「何かを取り除くために、それを素早く引くこと」。
例文は、「自分の眉毛を(もう既に)抜く若い少女たち(=自分の眉毛を望む形にするために何本かの毛を引き抜く)」。
語義説明では「取り除くために、素早く」の部分がポイントと言えそうですね。
また、例文でも眉毛の話が出ていますが、「眉毛を抜く」という行為との親和性が高い動詞であることがそこからもよくわかります。

「親から小遣いをもらうために、親の眉毛を抜いてやった」という話なのですが、誰の眉毛かということが、the eyebrows of... 以下で語られています。
「俺の父親」というだけで既に「母親じゃなくて、父親かいっ!」とツッコミ入れたくなるところですが、その後、指でカニさんマークのようなしぐさをして、「彼(自分の父親)のビジネス・パートナー」とも言っているのが面白いですね。
このしぐさは、フレンズに何度も出てきましたが、引用符(” ”)を表すもので、「いわゆる〜ってやつ」というニュアンスを出します。
「いわゆる、彼のビジネス・パートナーってやつさ」みたいに表現したことになりますが、チャンドラーの父親はゲイで、男性の恋人がいるタイプの人であることは過去のフレンズの話から明らかになっていますので、「いわゆるビジネス・パートナーね」と言うことで、「親父の彼氏、ボーイフレンド」を意味していることがわかる、という仕組みです。
本当にビジネス上でのパートナーに過ぎないのであれば、観客もそこまで笑うことにはなりませんが、引用符のしぐさを付けながら「いわゆるビジネス・パートナーってやつさ」と言ったことで、実際にはもっと深い関係であること、この場合は恋愛・肉体関係がある、と暗に示したことになるわけですね。

男子が「親の眉毛を抜く」ことで小遣い稼ぎをしていた、というのもかなり珍しいパターンな上、その親が「女性である母親ではなく、男性である父親だった」というのがさらに珍しい、あげく「父親だけではなく、彼の”恋人”である”男性”」の分まで抜いていた、、という話であるところに、チャンドラーの複雑な家庭環境が見えることになります。

ジョーイが「なんてこった」とあきれたように笑ったので、チャンドラーは「(そんな風に俺をバカにして笑うなら)お前は俺の助けが必要ないってことだな」みたいに言って、Victor-Victoria と呼び掛けています。
Victor Victoria というのは、1982年のミュージカル映画「ビクター/ビクトリア」のこと。
主演は「サウンド・オブ・ミュージック」のジュリー・アンドリュース。
Wikipedia 日本語版: ビクター/ビクトリア の説明にもあるように、「異性装と性同一性がメインテーマ」の映画のようですね。
ソプラノ歌手ヴィクトリア(女性)が、ビクターという名前の「女装の男性」のふりをして売り出す、という話のようです。
IMDb : Victor Victoria (1982) では簡単に以下のように説明されています。
A struggling female soprano finds work playing a male female impersonator, but it complicates her personal life.
売れない女性ソプラノ歌手は、「女装する男性」を演じる仕事を見つけるが、そのことで彼女の私生活が複雑になる。

女性であるジュリー・アンドリュースが、「”女装する男性”を演じている女性歌手」という複雑な役柄を演じているということですね。
「女を演じる男を演じる女」みたいに性別が交錯しているので、そういうキャラクターの名前を呼び掛け語として使うことで、「親父と親父の彼氏の眉抜きをしていた俺のことを笑ってるけど、お前はその”片方だけ女みたいな細い眉”のままでいるつもりかな、男か女かわからないような状態のままで構わないのかな」と言ってみせたことになるでしょう。

「お前はその”男女”のままでいろよ」みたいに突き放されそうになったジョーイは、慌てて「お前の助けが必要なんだ!」と言っています。
I do, I do, I do. と言っているのは、チャンドラーが you don't need my help と言ったことを受けて、don't じゃなくて、do だ(I need your help だ)、とまずは否定文を肯定文に変えた感覚になります。
I do. と何回か言っておいて、I need your help. という完全な文を最後に言った形になりますね。
「お前の助けが必要なんだよ」と言った後、ジョーイは「でもチャンドラー、俺はこれ以上、毛を抜くことを受け入れることができるかどうかわからない。すっごく痛かったんだ!」と言っています。
これ以上少しでも毛を抜かれるようなことがあれば、それに耐えられるかどうかわからない、ということですね。

それを聞いたチャンドラーは、Oh, not with my combination... 以下のセリフを言っています。
「〜という俺のコンビネーションなら、not (痛くない)」と言っていて、そのコンビネーション(組み合わせ)については、ice cubes, aloe vera and my gentle... self-loathing touch のように、A, B and C の形で説明しています。
ice cubes は「角氷」、aloe vera は「アロエ」のことですね。
LAAD では、
aloe vera also aloe : the juice from the leaves of an aloe plant used for making skin creams, medicine etc.
「aloe vera または aloe。スキンクリームや薬に使われる、アロエ植物の葉から出た汁」。
とありますので、aloe だけでも通じるようですが、aloe vera と表現されることもあるようですね。
A, B と来て、最後に C が来る場合、日本のお笑いでもよくある「三段オチ」と同じく、英語のジョークの場合も最後の C がオチになることが常であり、今回もそのパターンとなっています。
my gentle... まで言った後、ちょっとためらう感じで self-loathing touch と言っていますね。
loathe は「〜をひどく嫌う」という他動詞なので、self-loathing は「自分自身を嫌う、自己嫌悪の」という意味になります。
フレンズ1-7その4 では、モデルのジルにガムを勧められて、緊張のあまり、おバカなことを言ってしまった自分に対して、"I loathe myself!" 「自己嫌悪!」と言っているセリフもありました。

touch は「触れること、接触」という意味もありますが、この場合は「手際(てぎわ)、やり口」が近いように思います。
LAAD では、
touch [noun] : WAY OF DOING SOMETHING [singular] a particular way of doing something
つまり、「何かをする、あるやり方」。

氷で冷やしたり、アロエを塗ったり、というのは物理的に痛みを緩和するテクニックですが、それに加え、俺の手際が gentle である、つまり、俺が毛を抜くそのやり方が、乱暴で痛くしたりしないような優し〜ぃタッチだからさ、みたいに言おうとして、「優しく毛を抜いてあげる、っていうテクを持ってる俺って何者?」みたいな自虐的な気持ちになって、「自分でも嫌になるような、自分でも嫌になるほどの」という表現を加えたことになるだろうと思います。

親に言われていやいや小遣い稼ぎでしていた「眉毛抜き」ですが、「俺の毛抜きテクは、ほんとに gentle で痛くないんだからぁ」みたいにちょっと自慢げに言っている自分自身に気づいて、「そんなことが上手だなんて、自分でも嫌になっちゃうよな」的に self-loathing と表現したことになるでしょうね。


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posted by Rach at 15:25| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年06月05日

スキニー、スレンダー、スリム フレンズ9-13その2

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俳優のジョーイは、新しいプロフィール写真を撮影するのに、カメラマンに「(太い)眉毛を(ワックスで脱毛して)細くした方がいい」とアドバイスされ、眉毛を手入れしてくれるサロンに行ったのですが、サロンで毛を抜かれるたびに、痛い!痛い! と大騒ぎしていました。
その後のシーン。
[Scene: Monica and Chandler's]
モニカとチャンドラーの家。
ジョーイ: Hey, I need your help. (なぁ、お前の助けが必要なんだ。[雑誌で顔を隠しながら入ってくる])
チャンドラー: Wow, it seems serious. What seems to be the problem, Ashley Judd? (わぉ、深刻みたいだな。どんな問題がありそうなのかな、アシュレイ・ジャッド?)
ジョーイ: Look, I'm getting new headshots taken, all right? So I want to get my eyebrows shaped. (なぁ、俺は新しい(履歴書用の)顔写真を撮る予定なんだよ、な? で、俺は自分の眉毛を整えてもらいたいと思って。)
チャンドラー: I am sorry. Moment to make fun of that, please! (ちょっと待って。今、そのことをからかうべき時だよな!)
ジョーイ: I may be a sissy, but I'll still pound you into the ground. All right, look, it hurts so bad, I could only let her do one eyebrow, and now... they don't match! (女々しいかもしれないけど、でも俺はまだ地面にお前を殴り倒せるよ。なぁ、すっごく痛くて、彼女(担当者)に片方の眉だけしか処置させられなかった、だから今… 眉毛がちぐはぐなんだ[合ってないんだ、左右揃ってないんだ]!)
チャンドラー: It's like a baby caterpillar chasing its mama! ([チャンドラーはまじまじとジョーイのその眉を見て] ママを追いかけてる毛虫の赤ちゃんみたいだな。)
ジョーイ: All right, look, you got to help me out, okay? Look, I have a magic marker. I want you to fill in the skinny one so I don't look stupid for my pictures. (なぁ、俺を助けてくれよ、な? マジック(マーカー)を持ってるんだ。お前には、眉の細い方に(マジックで)書き足して欲しいんだよ。そうしたら、写真でバカに見えないだろ。)
チャンドラー: Okay, first of all, this is green! (わかった、(でも)まず最初に、このマジックは(色が)緑だぞ!)

雑誌で顔を隠しながら部屋に入って来たジョーイに、チャンドラーは「(助けが借りたいというのは)深刻(な話)みたいだな。何が問題のようなのかな?」のように言って、Ashley Judd と声を掛けています。
ジョーイが持っている雑誌の表紙が、まさにアシュレイ・ジャッドだったからですね。
アシュレイ・ジャッドさんは有名な女優さんなので、今さら私が説明するまでもないのですが、彼女の女優デビュー作は(私の好きな)「新スタートレック」(Star Trek: The Next Generation)で、初登場は第102話(シーズン5第2話)「謎のタマリアン星人」(原題: Darmok)。
ロビン・レフラー少尉という役柄で、ウィル・ウィトン演じるウェスリー・クラッシャーとのキスシーンもあったりするのですが、その件については、スタートレックのシーズン5のDVDの映像特典のインタビューで、ウィトンも、"Apparently, I was her first on-screen kiss." と言っていました。
後に有名になる女優さんの初キスの相手が自分だった、というのは、やっぱり嬉しいみたいですね^^ (脱線すみません)

ジョーイは顔を雑誌で隠したまま、headshots について話しています。
headshot は「頭部のショット」という言葉からもわかる通り、「顔写真、履歴書用の写真」のことで、俳優のジョーイにとっては、自分を売り込むための大切な写真となります。
I'm getting new headshots taken は、「俺は俺の新しい顔写真を撮ってもらう予定だ」ということですね。
撮影するのはカメラマンで、自分ではありませんから、get (new) headshots taken という、get+目的語+過去分詞(受身)で、「顔写真を take される」と表現することになります。
次の eyebrows のセリフも、同様に get my eyebrows shaped という get+目的語+過去分詞(受身)の形が使われていますね。
shape は名詞では「形」ですから、他動詞では「形づくる」という意味になり、「俺の眉毛を形づくってもらう」→「眉毛の形を整えてもらう」と言っていることになります。
ちなみに、eyebrow という単語の発音は「アイブラウ」となります。日本の化粧品では「アイブロウ」と書いてあるものもよく見かけますので、気を付けたいところですね。

ジョーイが「眉毛を整えたいと思ってる」とまるで女子みたいなことを言うので、チャンドラーは驚きあきれた顔をして、I am sorry. Moment to make fun of that, please! と言っています。
make fun of は「〜をからかう、ばかにする、物笑いの種にする」ですね。
sissy は「女々しい(めめしい)」という意味。
「(眉毛の話をしたりして)俺は女々しいかもしれないけど、俺はまだ pound you into the ground する」と言います。
pound は「〜をさんざんに叩く、打つ」という意味ですから、「俺はまだ、お前を地面に叩きつけることができるぜ」と言っていることになるでしょう。
女々しいとバカにしてもいいが、俺はまだ、お前を倒すだけの男の強さは持ち合わせてるんだぞ、と言って、「あんまり調子に乗ってバカにしてたら、そのうち殴るからな」と言っている感覚になります。
「すっごく痛かったから、彼女(眉サロンの女性)に1つ(片方)の眉毛だけを(処理)させることができた(→痛くて、片方の眉しか処理させられなかった)」と説明した後、and now... 「そして今」と言って、顔を隠していた雑誌を取り、「2つの眉毛がマッチしてない!」と叫びます。
「マッチしてない」、つまり、「揃ってない、ちぐはぐである」ということですね。
画面に映ったジョーイの眉毛はその言葉通り、左右がマッチしておらず、観客も大笑いしています。

チャンドラーはジョーイに近づき、まじまじとその眉毛を見て、caterpillar のセリフを言っています。
caterpillar は「(蝶・蛾の幼虫の)毛虫、いもむし」のことですね。
日本語で「キャタピラー」と言うと、戦車やトラクターが道路と接触する部分のキャタピラー(無限軌道)をイメージしますが、あれはアメリカのキャタピラー社(Caterpillar Inc.)の登録商標だそうです。
チャンドラーのセリフは、「ママを追いかけてる、赤ちゃん毛虫みたいだ」と言っていることになりますが、確かに、片方が細く、もう片方は太いままなので、そんな風に見えますね。
眉毛を毛虫に例えるのは、日本人にもわかりやすいイメージですから、caterpillar という単語が「毛虫」という意味だと知っていた方は、すんなり笑えるジョークだったのではないでしょうか。
ちぐはぐの眉毛のジョーイは、「俺は a magic marker を持ってる」と言います。
日本語でも「マーカー」のことを「マジック」と言ったりしますが、本来、magic は「魔法、魔術」で、magic に「ペン」のような意味はありません。
この Magic Marker というのも登録商標のようですね。
LAAD (Longman Advanced American Dictionary) にも、
Magic Marker : [noun, countable] (trademark) a large pen with a thick soft point
つまり、「(登録商標) 太くて柔らかい先端を持つ大きなペン」
と出ています。

fill in the skinny one の fill in は「中を満たす」という感覚から、この場合は「(空いたところを)(マーカーで)埋める」と言っている感覚になるでしょう。
書類に名前などの必要事項を記入する時も、fill in を使いますね。

skinny は skin(皮膚、皮)+ -y ですから、本来は「(骨と)皮ばかりの、やせこけた」という意味。
ここでは眉毛の話なので、「細い眉毛」くらいのニュアンスですね。
改めて skinny の語義を英英で調べてみると、LAAD では、
skinny : very thin, especially in a way that is unattractive
つまり、「とても細い(やせている)、特に魅力的でない様子で」。
この語義を見ると、「細い、やせている」という意味でも、「魅力的だとは思われない風にやせている」というネガティブな意味であることがわかりますね。
「細い、やせている」を意味する類義語との比較として、LAAD では、thin の THESAURUS 「シソーラス、類義語」に、同じような意味の単語が比較で載っていました。
特にわかりやすい比較を挙げると、
slim and slender : used about someone who is thin in an attractive way
skinny : used about someone who is very thin in a way that is not attractive

つまり、「slim, slender は、魅力的な風に(魅力的な様子で)細い人について使われる」。
「skinny は、魅力的ではない風に、非常に細い人について使われる」。

上が attractive、下が not attractive とはっきり書いてあるように、「魅力的だと感じられるやせ方」の場合は slim か slender で、「魅力的に見えないやせ方」の場合は skinny になる、ということですね。

別の英英辞典 Macmillan Dictionary も見てみると、
skinny
1. (informal) very thin, in a way that is not attractive. Someone who is thin in an attractive way is slender or slim
2. skinny clothes fit your body very tightly

つまり、1. は「非常に細い(やせている)、魅力的ではない風に。魅力的に細い人は slender か slim である」。
2. は「skinny な服は、身体に非常にぴったりとフィットする(している)」。

マクミランには、skinny jeans という項目もあるので、それも見てみると、
skinny jeans : [noun, plural] tight jeans with narrow straight legs
つまり、「細くまっすぐな脚を持つ、タイトなジーンズ」。

「スキニージーンズ」という言葉は日本でもよく見かけますが、その場合のスキニーは「身体にぴったり(皮膚のように)フィットする」という感覚なわけですね。

また、skinny と slender, slim の使い分けに関するマクミランの説明は、ロングマンと全く同じになっています。
やせた人を形容する場合、やせていることを褒め言葉として言いたい場合には、slender か slim を使うべき、ということですね。
人を形容する場合に skinny という言葉を使うと「魅力的でない風にやせている」と言っていることになってしまうので、使用を避けるべきですが、ジーンズなどの服に関しては、身体にぴったりフィットした服という意味で、skinny jeans という言葉はファッションの用語として問題なく使える、ということになるでしょう。

今回の、スキニー、スレンダー、スリムのようにカタカナの日本語になっている言葉の違いを知るのに、英英辞典の語義を比較する、というのはなかなか有効な手段だと思います。
英和辞典でも類語を比較してくれている場合もありますが、簡単な英単語で説明されている英英辞典の語義を読むことで、イメージがすっと頭に入るという効果もあるように思います。

類語の話が長くなってしまいましたが、ジョーイのセリフに戻ると、「俺は(今)マーカーを持ってる。お前に skinny な眉毛をマジックで埋めて(書き足して)ほしいんだ。そうすれば、俺の写真で俺がバカに見えない(だろ)」と言っていることになりますね。
「細い方をマジックで書き足してほしい」と言っていることからもわかるように、ジョーイは細い方の形が気に入らないから直してほしいわけですね。
まさに、「細すぎて unattractive になってしまっている」と思っているから、同じ「細い」という単語でも、良い意味の slender や slim を使わずに、悪いニュアンスの skinny 「細くてかっこ悪くなっている(方)」という単語を使ったことになります。
辞書の説明と、ジョーイの使い方が、まさに一致したことになるでしょう。
私が辞書を使って「確認」したいと思っているのはまさにそういうことで、辞書の意味を見て、詳しいニュアンスの説明があった時に、実際、そのニュアンスがセリフに出ているかどうかをセリフに戻って確認して、「やっぱりそういうニュアンスで使われてる!」と確認できたところで一安心する、、みたいなことになります。
今回のように「眉毛の細い方」と言いたい場合でも、slender や slim ではなく、skinny が使われていたのは「たまたま」ではなく、「単語の使い分けに則った、単語の適切な選択」だったということですね。

「このマーカーで、細い部分を太くしてくれたら、顔写真がおバカに見えないから、頼むよ」と言うジョーイに、チャンドラーはとりあえず、オッケーと言った後、「まず第一に(最初に)、これ(このマーカー)は緑だ!」と言うのも面白いです。
眉毛を書いてもらうように持ってきたつもりなら、色くらいちゃんと確認して持ってこいよ! とチャンドラーは言いたいわけですね。


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posted by Rach at 18:54| Comment(0) | フレンズ シーズン9 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする